09/05/14 第1回今後の看護教員のあり方に関する検討会議事録 第1回 今後の看護教員のあり方に関する検討会         日時 平成21年5月14日(木)         18:00〜20:00         場所 厚生労働省共用第8会議室(6階) ○島田課長補佐 定刻より若干早い時間ですが、先生方もお揃いですので、始めさせてい ただきます。ただいまから、「第1回今後の看護教員のあり方に関する検討会」を開催いた します。委員の先生方におかれましては、ご多忙中のところ、また遅い時間にもかかわらず 当検討会にご出席いただきまして、誠にありがとうございます。私は看護課課長補佐の島田 でございます。よろしくお願いいたします。  初めに、医政局長からご挨拶申し上げます。 ○外口医政局長 検討会の開催にあたりましてご挨拶を申し上げます。委員の皆様におか れましては、日ごろから医療行政の推進につきましてご理解、ご協力を賜り、改めて厚くお 礼申し上げます。  現在、我が国の医療をめぐる環境は、急速な少子高齢化、医療技術の高度化、医療提供の 場の多様化などを受け、さまざまな課題に直面し、看護職員の質の向上と確保が強く求めら れているところです。このような環境の変化に対応するために、厚生労働大臣のもとに設置 された「看護の質の向上と確保に関する検討会」におきましては、看護教員の質の向上と確 保の重要性や看護教員の専門性を高めるための継続教育、看護教員の臨床実践能力の保持・ 向上のための機会の確保等の重要性が示されたところです。  この検討会は、こうした提言を踏まえて、今後の看護教員のあり方について検討するため に設置されたものです。委員の皆様には、さまざまな視点から忌憚のないご意見を賜り、活 発なご議論をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。 ○島田課長補佐 それでは、委員の皆様のご紹介をいたします。初めに本検討会の座長で すが、養成所及び大学での看護教育に精通していらっしゃる富山大学大学院医学薬学研究部 看護学科学科長の永山くに子委員にお願いしております。どうぞよろしくお願いいたします。 ○永山座長 どうぞよろしくお願いいたします。 ○島田課長補佐 続きまして、座長の右隣より委員のご紹介をします。成田赤十字病院看 護部長の石渡祥子委員、聖路加看護大学学長の井部俊子委員、東京医療センター付属東ヶ丘 看護助産学校副学校長の岩本郁子委員、学校法人後藤学園理事長の後藤修司委員、東京都立 荏原看護専門学校校長の齊藤茂子委員、全国看護高等学校長協会理事長の佐藤仁作委員です。 座長の左隣に移りまして、日本女子大学人間社会学部教育学科教授の澤本和子委員、愛媛県 立医療技術大学保健科学部教授野本百合子委員、日本医師会常任理事の羽生田俊委員、福岡 県立大学看護学部教授の安酸史子委員、山梨県立大学看護学部教授の林正健二委員です。  続きまして、事務局の紹介をします。先ほどご挨拶申し上げました医政局長の外口、医政 局担当審議官の中尾、看護課長の野村、看護研修研究センター所長の岩澤です。  それでは、永山座長、一言ご挨拶をいただきまして、以後の進行をよろしくお願いします。 ○永山座長 先ほどから本検討会の趣旨の説明がありましたが、とても重要な検討会にな る予定です。委員の皆様のご意見をたくさん頂戴し、ご協力を得て、本検討会が実りある議 論の場になることを願っております。よろしくお願いいたします。  それでは、事務局より資料の確認をお願いします。 ○島田課長補佐 それでは、先生方のテーブルにある検討会の議事次第をご覧ください。 下のほうに資料の一覧があります。順に資料の確認をします。  まず議事次第、続いて座席表をお配りしております。資料1「今後の看護教員のあり方に 関する検討会開催要綱」、資料2「看護教育の概要」の綴り、資料3「今後の検討会の進め 方(案)」の1枚紙です。それ以外に、参考資料として参考資料1「看護基礎教育のあり方 に関する懇談会論点整理」、参考資料2「看護の質の向上と確保に関する検討会中間とりま とめ」、参考資料3「看護師学校養成所における看護教員に関する規定」、参考資料4「保健 師助産師看護師学校養成所指定規則(抜粋)」、参考資料5「看護教員養成講習会実施要項に ついて(抜粋)」、参考資料6「看護基礎教育に関する大学に係る規定」です。乱丁、落丁等 がありましたら、お気づきになられたときでも結構ですので、事務局のほうにお申し付けく ださい。  続いて、本検討会の進め方について確認します。本検討会は公開で行います。議事録や各 委員から提出された資料も含めて、原則厚生労働省のホームページ等で公開としますので、 ご了承をお願いします。冒頭の写真撮影はこれにて終了させていただいて、会議中の写真撮 影、ビデオ撮影及び録音はできませんので、ご了解をお願いします。また、マイクですが、 ご発言いただくときに手前のスイッチを押して、ご発言が終わったらスイッチを押してお切 りいただきますようにお願いします。 ○永山座長 ありがとうございました。それでは、議事に入ります。資料1「検討会の開 催要綱」について、検討会の趣旨及び検討の課題について事務局から説明をお願いします。 ○島田課長補佐 資料1に基づいてご説明します。「今後の看護教員のあり方に関する検討 会開催要綱」です。1.趣旨ですが、厚生労働大臣のもとに設置をされ、本年3月17日に中 間まとめが出された「看護の質の向上と確保に関する検討会」において、看護教員の質の向 上と確保が重要であり、看護教員の専門性を高めるための教員の継続教育、看護教員が臨床 現場で実践能力を保持・向上するための機会の確保、高度実践能力を持つ看護職員の活用な ど、養成機関の創意工夫が重要であるといったことが示されました。それを踏まえ、本検討 会においては、看護教員の資質の維持・向上に向けた現状と課題を整理し、教員の継続教育 の促進、看護実践能力の保持・向上に関する方策について検討することを趣旨としておりま す。  2.検討課題ですが、2点挙げております。1)看護教員の養成のあり方について、2)看護教 員の継続教育についての2点を検討課題としようと思っております。  3.メンバーは先ほどご紹介した先生方という構成となっております。4.運営は厚生労働省 医政局長の検討会として、本会議の庶務は医政局看護課で行うといったことで進めようと思 っております。 ○永山座長 ありがとうございました。ただいまの事務局の説明について、ご質問等ござ いますか。 ○井部委員 「看護教員」といった場合は、看護系大学から専門学校まですべての大学、 あるいは養成機関を指すのか、特定の看護教員を指すのか、その辺は何かありますか。 ○野村看護課長 ここで言っている検討会の名称にある「看護教員」は、大学及び養成所、 高等学校でも看護教育が行われておりますので、看護教育を行っている所すべての看護教員 の方々を指しております。 ○永山座長 一応、看護の基礎教育に携わる教員ということでご了解いただけますでしょ うか。詳細については、のちほど資料に基づいて説明もありますので、よろしいでしょうか。 ほかにはありますか。よろしければ次に進ませていただきます。  今後は、この検討会の趣旨により効率よく検討会を行っていきたいと思いますので、皆様 のご協力を願いたいと思います。本日は第1回目ということですので、看護教育の概要とこ れまでの看護教育に携わってきた教員に関する検討経過について、資料2に基づいて事務局 から説明をお願いします。そののち、検討課題に沿って、委員の皆様からご意見を賜りたい と思っております。それでは、事務局から説明をお願いします。 ○島田課長補佐 それでは、資料2に基づいて看護教育の概要をご説明します。  まず、看護教育の制度として全体を俯瞰するための概念図です。真ん中の辺りに「看護師 国家試験受験資格」という細長い横枠があるかと思いますが、そこに到達するまでに、大き く分けて4つのコースがあります。最も養成数が多いのが養成期間3年の養成所と短大とな っており、平成20年4月現在539校で2万6,037人という1学年定員になっております。 続いて多いのが、右側ですが、養成期間2年の養成所・短大等で、249校、1万3,869人と いう数になっております。続いて4年制大学での看護教育で、168校、1万3,193人。続い て、5年一貫校で69校、3,510人という割合とコースになっております。  2頁ですが、いまご説明したさまざまな養成ルートがある中で、それぞれの養成所の施設 数の推移です。いちばん上の多い数が看護師の3年課程で、これは大学も含めた3年間以上 の教育課程の数になっておりますが、合計すると700以上ということで、少しずつ増加し ている傾向になっております。次に多いのが准看護師養成所ですが、少し減少傾向です。そ の次が看護師2年課程、保健師課程、助産師課程、5年一貫校という数になっております。  3頁ですが、看護師の学校養成所のそれぞれの内訳のここ数年の推移を見たものです。最 も多いのが、3年課程のいわゆる専修学校などを中心とした養成所で、平成18年が510、 平成19年が512、平成20年が502という数になっております。次が2年課程で、260、240、 232となっております。グラフですと、いちばん下にあるのが大学ですが、146、158、168 と増えている傾向にあるという状況になっております。  4頁です。いま見ていただいたのが養成所あるいは学校の数でしたが、それぞれの入学者 数についての推移を見たものです。真ん中辺りにあるのが養成所の3年課程です。最近増え ているのが、大学の数が増えていることもあり、グラフのいちばん下ですが、入学者数も増 えている傾向があります。  5頁です。次に教員数などの数ですが、看護基礎教育における課程別、学校数・専任教員 数・1学年定員数を課程ごとにお示ししたものです。上の表は厚生労働大臣指定の養成所の 数ですが、看護師の養成所の3年課程は学校数が497、いわゆる看護教員として専任教員数 が4,909、1学年定員数としては2万2,447という数になっております。その下が看護師養 成所の2年課程で、学校数が240、専任教員数が1,863、1学年定員が1万2,724という数 になっております。保健師は、学校数25、専任教員209、1学年定員1,020という数にな っております。助産師養成所は、学校数33、専任教員119、1学年定員750という数にな っております。これが厚生労働大臣指定の養成所の数と専任教員数です。  下の表ですが、これは文部科学大臣指定の大学も含めた学校の状況になっております。大 学については学校数167、専任教員5,043、1学年定員数が1万3,108という数になってお ります。短期大学は学校数27、専任教員数457、1学年定員2,200という数になっており ます。専門学校は学校数12、専任教員数が185、1学年定員が1,030。5年一貫校について は、学校数が69、専任教員数が736、1学年定員3,510という数になっております。  下の注ですが、文部科学大臣指定の学校等につきましては、募集停止中の所のデータは含 まれていないということと、専任教員数につきましては大学設置基準に基づく専任教員で、 常勤の助手は含まれておりません。学部全体の専任教員数を提出している大学もあって、看 護師養成に関わらない教員数が含まれている場合もあるといった数になっております。また、 5年一貫校については、専任教員数は高等学校教員免許(看護)の所有者の数で、常勤の講 師・実習助手は含まれないといった数になっております。  続きまして、養成所数・看護教員養成講習会の状況をまとめた表です。都道府県別にお示 ししておりますが、養成所の数は平成19年現在で全体で672です。教員数は6,999人とい う数になっております。  看護教員養成講習会ですが、これは各都道府県で実施をする形態のものと、表の下のほう ですが、看護研修研究センター、ほかの団体等で行うという枠があり、都道府県で行うもの については全都道府県で実施をしているということではないのですが、大体10カ所ぐらい の都道府県で実施をされております。下のほうの合計を見ると、平成17年は355名の都道 府県での受講者数になっております。看護研修研究センターでは114名。平成18年は、都 道府県では356名、看護研修研究センターでは115名。平成19年は都道府県では469名、 看護研修研究センターでは115名という実績になっております。平成20年と平成21年に つきましては、募集の定員枠をお示ししておりますが、都道府県では494、看護研修研究セ ンターでは104、平成21年については都道府県509、看護研修研究センター104という数 になっております。  日本赤十字社では昭和53年から平成14年まで、全国社会保険協会連合会では平成11年 から平成15年まで、看護教員養成を行っていただいており、それぞれ合わせると日本赤十 字社で159名、全国社会保険協会連合会では165名の養成をしていただいたということに なっております。これらの過去10年間の教員の養成を合計すると、表の右下ですが、6,170 名という数になっております。  7頁です。先ほど看護教員の数の実状を見ていただきましたが、大学と養成所における教 員の配置数、教員の教育背景といったものをまとめたものです。右ですが、養成所において は教員数は8人以上という規定になっております。教育年限は養成所の教育年限ですので、 1つ飛ばして教員の職位ですが、教務主任と専任教員という区分があります。その下の教員 の資格要件ですが、5年以上看護の業務に従事をし、専任教員として必要な研修を修了した 方となっております。それ以外に、3年以上業務に従事をし、大学で教育に関する科目を履 修して卒業した者も教員の資格を持っているということになっております。  左側ですが、大学については、収容人数が200〜400人の場合については12人以上とい う規定になっております。教員の職位ですが、教授、准教授、専任講師、(助教、助手)と いった構成になっております。教員の資格要件ですが、教授の場合は博士の学位、准教授の 場合は修士の学位・研究業績等が求められるといった資格要件になっております。  9頁です。3年課程の看護師養成所の専任教員の最終学歴がどのようになっているのかを 過去と現在とで比べたもので、2000年と2008年を比較しております。2000年では、最も 多いのが専修学校・各種学校卒業の方で72.8%でしたが、2008年では専修学校・各種学校 卒業の方が56.8%になっているという変化があります。また、2000年には大学卒業の方が 14.7%でしたが、2008年には27%になっているということで、増加しております。2000 年には大学院の修士課程卒業の方が0.8%でしたが、2008年には5.6%に増加しているとい った変化が見られます。  10頁です。同じように、2年課程の看護師養成所の専任教員の最終学歴の変化を見たも のですが、専修学校・各種学校については2000年では72.8%でしたが、2008年では61.3% になっております。大学卒業者については14.7%が23.9%に変化しております。大学院の 修士を出た方が0.8%から3.2%という変化になっております。  お戻りいただいて、8頁です。先ほど見ていただいたように、修士の卒業の方が増えてい る状況ですが、その背景として看護系大学院及び入学定員数がここ数年で増えているといっ た変化をグラフでお示ししたもので、修士課程が平成20年度で110校、定員数が1,845名 という状況になっております。  11頁ですが、看護教員に関わる近年の検討経緯をまとめております。平成19年4月16 日に「看護基礎教育の充実に関する検討会」を行い、その報告の中でまとめられているもの をここに掲げております。「学生の看護実践能力向上のため、指定規則等の改正にあわせて 専任教員の資質向上について検討し、以下を実施する」ということで、専任教員については その要件として保健師・助産師養成所についても、専任教員の要件を「保健師(助産師)と して3年以上業務に従事した者で、大学において教育に関する科目を履修して卒業した者」 を追加するとされています。また、看護師学校養成所の専任教員の人数ですが、この報告書 を出されていたときには「当分の間」となっていた3年課程の専任教員数8人を6人、2年 課程の専任教員数7人を5人とする経過措置については、2年間をもって「当分の間」とい う措置を削除するということで、これは平成23年3月31日までの手当となっており、そ れ以降はそれぞれ8人、7人という規定にするということになっています。  学生定員数に合わせた専任教員の増員についてですが、保健師・助産師養成所については、 「保健師(助産師)養成所にあっては、学生定員が40人を超える場合には、学生が20人 を増すごとに1名増員する」といった増員を明記するということを追加する。  専任教員の自己研鑽についてですが、「専任教員は専門領域における教授方法の研修や、 看護実践現場での研修を受け、自己研鑽に努める」といったことを追加するとされておりま す。  養成所の「実習指導教員」の配置についてですが、「実習施設で学生の指導に当たる教員 (実習指導教員)を配置することが望ましいこと」、「特に実習施設が多数に及ぶ場合は確保 することが望ましい」といったことを追加することとされております。  平成20年7月31日にまとめた「看護基礎教育のあり方に関する懇談会論点整理」です が、そこでも教員についての指摘があります。「看護基礎教育の充実を図るためには教員の 質向上をはじめ、そうした教育を提供するのに相応しい体制や環境を整備していく必要性と、 以下の課題」が指摘されております。教員の資質の向上、教員数の確保ということで、「生 徒及び学生への十分な技術指導を行うための教員数の確保(適正な教員配置、教員養成課程 のあり方の検討を含む)」、「教員の実践指導の指導力の維持・向上(最新の知識・技術の獲 得等の教員の継続的な能力開発の機会の確保等)」とされております。「教員の教育力の高度 化のため大学院等を含めた教員養成システムの整備・開発」、「さらなる技術発展・学問的発 展のための環境整備」といったことが指摘されています。  また、趣旨のところでご説明しましたが、この検討会の設置が本年3月17日に取りまと められた「看護の質の向上と確保に関する検討会」において、看護教員の専門性を高め、か つ実践能力を保持・向上させていくために、教員の継続教育や高度実践能力を持つ看護職員 の教員としての活用などが必要といったことが指摘されております。 ○永山座長 ありがとうございました。以上の説明を受けて、ただいまからご質問、ご意 見等を伺っていきたいと思います。それでは、お願いします。 ○後藤委員 資料なのですが、9頁と10頁の2000年の数が全く同じなのです。3年課程 の看護師養成所と2年課程の看護師養成所の専任教員の2000年の最終学歴のデータが同じ なのですが。 の専任教員の最終学歴が、2000年のデータが同じなのですが、同じなのですが。 ○島田課長補佐 お調べします。 ○永山座長 調べていただいて回答したいと思います。 ○羽生田委員 この検討会は「今後の看護教員のあり方に関する検討会」ということで、 専任養成講習を受けた専任教員は、看護師教育も准看護師教育も両方できるのです。准看護 師の専任教員の数が全然入っていないのですが、そこも入れないとまずいのではないですか。 教員の数、あるいは目的からして准看護師学校の専任教員も、同じ養成講習を受けている専 任教員は全く数がないのです。それは入れていただかないとまずいのではないかと思います ので、よろしくお願いします。 ○永山座長 その点はいかがでしょうか。 ○島田課長補佐 例えば、5頁の養成課程別の専任教員数は、羽生田委員がご指摘のよう に准看護師養成所の教員の数は入っておりません。養成のところで、6頁の養成講習会は、 おっしゃるようにこれを受けた方も准看護師の養成所の専任教員になれますので、それは含 まれた数になっておりますが、いま働いている数がお示しできていませんので、それは次回 以降お示ししたいと思います。 ○永山座長 即答はということで、次回以降に報告したいと思います。ほかにいかがでし ょうか。 ○佐藤委員 7頁の資料ですが、教員の資格要件の養成所のほう、○の2つ目に「3年以上 業務に従事し、大学で教育に関する科目を履修して卒業」とありますが、具体的に教育に関 する科目と履修単位数をお教えいただきたいと思います。。 ○島田課長補佐 教育に関する科目というのは、看護課長通知である「看護学校・養成所 運営の手引き」にお示ししておりますが、心理等に関わる科目を4単位以上という規定にな っております。詳細は、参考資料3です。 ○永山座長 お手元に参校資料があると思いますが、3の右の欄をご覧ください。 ○島田課長補佐 右枠に「看護師等養成所の運営に関する手引」とありますが、その第四 の1の(1)にある指導要領第四-1-(1)〜(3)及び(4)の「教育に関する科目とは」というものが あって、教育の本質・目標、心身の発達と学習の過程、教育の方法・技術及び教科教育法に 関する科目のうちから、合計四単位以上をいうことと通知でお示ししております。 ○永山座長 ほかにいかがでしょうか。データから出てくるものもいろいろありますので。 ○羽生田委員 3頁にある高校専攻科の専任は5年課程に入っているのですが、これは別 ですか。養成所数で、この中の専攻科の専任教員はどこに入ってくるのですか。3頁にある 「高校専攻科」というのがここだけ出てくるのですが、この中の専任教員の数はどこに入っ てくるのですか。5頁にもないのですが。5年一貫とも違うけれど、ここに入ってくるので すか。 ○永山座長 いかがでしょうか。 ○羽生田委員 出せということではないのですが、数的にはここも入れないと、どこかに 入っているならいいのですが。 ○島田課長補佐 確認します。 ○永山座長 ご確認いただいて、あとで回答をいただくということでよろしいでしょうか。 ほかにいかがでしょうか。今日示されたデータは、質問されたこと等は次回までに回答でき るようにしたいと思います。次の議論に移ってよろしいでしょうか。 ○羽生田委員 6頁ですが、専任養成講習会が各県で開催されていますが、全く開催され ていない県はほかの県で受講しているわけですね。いくつの県でやったというのはわからな いのですか。これではわからないのですが。例えば、3つぐらいがまとまってどこかが担当 しますが、3県で養成講習会をやって、3県から集めたとか、そうでないとゼロが多すぎま すね。全くやっていない県があっても、これだけ専任がいるわけですからどこかに行ってい るわけで、その辺りの内訳はわからないのでしょうか。 ○島田課長補佐 この教員養成講習会は、都道府県が企画をして都道府県で行う予算事業 になっており、この表の右側に「過去10年の合計定員数」と書かれていて、その左側の過 去5年間には枠がなくて10年間で数が入っている所は、平成16年以前にはやっていたと いう都道府県の数が挙がっているのですが、それでも全く数が入っていない都道府県は、少 なくとも過去10年間はやっていない状況です。その実施方法ですが、基本的にはそれぞれ の県が企画をしてこの講習会をやっていただく構成になっていますので、何県かがまとまっ てということになっているのか、あるいは申合せのような形で近県の希望者を受講対象とし ていたりといったこともあろうかと思いますが、詳細な実態についてはわかりかねます。 ○永山座長 ということで、もっと詳細に調べたほうがよろしいでしょうか。 ○羽生田委員 詳細でなくてもいいのですが、現実に1県でやるのが定員30人以上でやる というのは、あまり開催できない県として非常に厳しい状況にあると思います。大きな県は 随分やっています。ですから、1県に委託をしているというのはわかるのですが、なかなか 1県で人数を集められないこともありますので、その辺も今後の配慮が必要なのかなという 気がしています。 ○永山座長 ということで、よろしいですか。それも課題にはなってくるだろうと思いま す。 ○島田課長補佐 この表には、養成所数も併せて都道府県別にお示ししておりますが、羽 生田委員がおっしゃるように、養成所が少ない所では開催があまりなされていない傾向があ るということもあろうかと思います。 ○永山座長 ほかにいかがでしょうか。 ○齊藤委員 私も6頁のところは大変興味深く拝見しました。この中に是非お調べいただ けたらと思う内容があるのですが、養成所の中で受講していない人がどのぐらいいるのか、 もう1つは、定員数がこのようになっていますが、受験者の数はどのようになっているのか。 つまり、受験したい人が受講できていない状況があるのではないかなと思うのです。例えば、 東京であれば平成17年から28名、今年度で言えば45名となっていますが、たぶん試験を 受けて受講ができないことが確定した人がいらっしゃると思うのです。そういう数がもし把 握できたら教えていただきたいと思います。 ○永山座長 よろしいでしょうか。経験のみで講習会を受けていない人の数の実態がどう であるかが、あまり把握されていないのではないかというご指摘だと思いますが、それもは っきりわかりますでしょうか。 ○野村看護課長 おそらく、未受講者については把握できるかと思いますが、委員がおっ しゃるように受験をしても入れない方がどのぐらいいるかというところまでは、詳細は把握 できないかと思います。次回までに少し調べてみたいと思います。 ○齊藤委員 千葉、埼玉は やっていないですね。そうなると、そこの県の中で東京に受 験してきたとしても、優先していくのは都内の養成所に教育してもらう人に機会を与えてい くことになろうかと思うのです。そういうこともありますので、情報があればお願いしたい と思いました。 ○永山座長 ご意見ありがとうございました。 ○羽生田委員 齊藤委員のお話ですが、試験をしているのですか。いま、全国で全部試験 があるのですか。 ○齊藤委員 それはどうでしょうか。東京都はやっております。 ○羽生田委員 私の記憶では、試験の記憶がないものですから。 ○林正委員 それについては、看護研修研究センターでは必ず試験をしているはずですが、 どのぐらいの倍率でしょうか。 ○岩澤所長 倍率は、私としてはいま持ち合わせていません。 ○林正委員 少なくとも、定員割れということはないわけですね。 ○齊藤委員 例えば、今年ですと定員は120名なのですが、実際の入学者は104名です。 ○永山座長 ということは、少し定員を割っていると理解すればいいでしょうか。 ○島田課長補佐 選抜試験をした結果という所もあるかと思います。 ○永山座長 よろしいでしょうか。ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。 ○岩本委員 5頁に専任教員の数が出されていますが、各学校で一応最低限の教員数は確 保されていると思いますが、課程によって、学校によって教員の実際の数は違っているので はないかと思います。実際の教員数の分布がどのようになっているのか、わかりますでしょ うか。 ○島田課長補佐 それは各校によってということですか、各課程という意味ですか。 ○岩本委員 課程もありますし、定員数によっても違うと思うのですが、1学年40人定員 であっても、8人で運営している学校と10人で運営している学校とあると思うのです。そ の実際の教員の実働の数はわかりますか。 ○永山座長 一応基準はあったにしても、結構差があるのではないだろうかというご意見 ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。それは実態を調べたものは、たぶんないと 思うのですが。 ○島田課長補佐 1校当たりの平均とかではなくて、実際に8人配置している養成所は 何%あってといったことでしょうか。 ○岩本委員 そうです。 ○島田課長補佐 学生の定員数によって、当然規定で配置数が違うということがあるので、 データとしてあるかということと、わかりやすい形としてお出しできるかということも含め て、検討させていただきたいと思います。 ○永山座長 それでは、次回までにデータが出てくると思いますので、よろしいでしょう か。 ○島田課長補佐 先ほどのご質問にありました専攻科の教員の数がどこに入っているかで すが、5頁の専任教員数の表をご覧ください。文部科学大臣指定の専門学校という区分があ りますが、ここが専攻科に当たります。先ほどの養成所数では、3頁のグラフでは平成20 年に13という数になっていますが、5頁では学校数が12となっております。下の注書きに ありますが、おそらく募集停止中の所が含まれていないということなので、この1の差は募 集停止の学校が5頁の表には含まれていないものかと思いますが、専門学校のほうに含まれ るということです。 ○永山座長 一部資料の説明がありましたが、よろしいでしょうか。ということは、専任 の高等学校ではこの数だと理解してよろしいということですね。注釈のところに説明が書か れていますので、その数でと考えていくということでよろしいでしょうか。  それでは、引き続き議論に移りたいと思います。将来を見据えた医療の現状や国民のニー ズがかなり高いものが求められてきております。看護師を育てる上では、その教育に携わっ ている看護教員は重要な役割を担っているわけです。本日は初回ですので、それぞれのご経 験を踏まえ、看護教員の現状や課題についてこれから意見交換をしていきたいと思っており ます。今後の論点はいろいろあろうかと思いますが、今日はできるだけフリートーキングの 形でご自由に発言をしていただいて、のちほど整理をしていきたいと思っております。何か 資料が来ましたが、訂正ですね。 ○島田課長補佐 先ほどの円グラフの数の修正です。ご指摘ありがとうございました。2 年課程のグラフが誤っておりましたので、差替えのものをお配りしております。失礼しまし た。 ○永山座長 お手元にある10頁のものと差替えをよろしくお願いします。  それでは、議論に入ります。今日お集まりの方々はそれぞれの立場でご出席されておりま すので、あまりそこを強調されなくてもよろしいかと思いますが、どなたか口火を切ってい ただければと思います。 ○安酸委員 何点か気になるというか、教員の養成と教員の質の確保ということでは、私 の専門では実習指導をするところにかなり関心があって、ここの検討の中でも実践能力や質 を担保するために自己研鑽に努めると書いてありますが、いま大学等ではFDという組織的 な取組みが義務づけられています。看護学校などは研修に積極的に出る人がとても多いこと は多いのです。自己研鑽に努めているとは思うのですが、それをどのような形で組織として とか、システムとしてきちんと確保していくかということが必要かなと思います。  また、「高度実践能力を持つ看護職員の教員としての活用」ということでは、いま私は大 学におりますが、専門看護師の資格を持った人を雇用したときに、資格維持のためには最低 週に1日は病院に行って、自分の能力の維持に努める時間をきちんと確保することが、要望 されます。教員数が少ない中で、実習指導とは別にこのような時間を確保することは困難で す。うちの大学の場合、それを出張で位置づけるということをしたのですが、教員数の少な い施設ではなかなか難しいと考えます。折角高度の専門能力を持っていても、教員をしてい る限り維持できないという現状があるわけです。今後、そういった高度な専門能力を持った 教員は有用と思いますが、教員が病院の中で活躍できる場をどのように持つかは、大きな課 題だろうと思っています。  ユニフィケーションのような形の取組みもされているところもありますが、病院の仕事と 学校の仕事の両方を1人の人が担当することは、人数が少ない状況の場合には、継続には限 界があります。看護の場合には、ドクターのような形で、臨床と教育を両立するのはなかな か難しいというのが現状のようです。看護の場合には、患者さんとの関係性が構築されない と看護の中身に入っていきにくいという特徴があります。そのため、パッと行ってちょっと 指導することは難しいようです。どのように看護師としての高度な能力を教員になって維持 し続けるかが課題と考えます。例えば、臨床実習指導者が、いまですと臨床の中で自分の役 割を持って看護師として働きながら、片手間とは言いませんが、兼務で学生に関わっている ことが多いのですが、臨床実習指導者として専任で関われるような人数を義務づける取組み も検討していく必要があるのかなと思います。いろいろな方法があるとは思いますが、実践 能力のある人が臨床指導者も含めて、きちんと学生に関われる体制を作っていくことが必要 かなと思います。 ○永山座長 ありがとうございました。キャリアアップ、またより高度なものを求められ る時代になりましたので、CNS等をどのように教育に活用していくかというところも、い まご意見として出たと思います。ユニフィケーションのことも、いろいろ設置したいとか身 分の保証とかあって、理屈ではよしとしても実践ができない所も多いと伺っておりますので、 1つの課題かと思います。ほかにいかがでしょうか。 ○林正委員 いま安酸委員が言われたように、医師の場合ですと教育、研究、診療と3つ をやりながら医学生の教育ができます。しかし、看護学生を教育するときは大学なら研究で きますが、実地から手を引く方がほとんどなのです。私は平成7年に専任教員として当時の ケアの短期大学に赴任したときに、自分自身は臨床の場を確保して、週に1回最低限患者と 接する機会を持つようにしたのですが、他の教員の方にそういうことをお勧めしてもあまり 乗り気ではなかったのです。  大学になってからいろいろな方が入って来られたのですが、先ほどの自己研鑽として、例 えば最近来られた方ですと、皮膚・排泄ケアの認定看護師の資格を持っておられます。この 方は2週間に一遍必ず実際の病院の外来に出ていっていて、それを継続しておられるわけで す。それ以外にちょっと変わったやり方としては、「術後疼痛研究会」という臨床の看護師 を巻き込んだ研究会を作って、そこで仕事をすると自分の研究のフィールドが確保できて、 なおかつそのときは必ず臨床の現場で患者と接触できて、自分たちが得た知識を臨床の現場 に還元できるという、非常にうまい方法を考えついて実践している方もおられます。ですか ら、自己研鑽の方法も、とりあえず耳にしたことを報告するだけでも結構な収穫になるので はないかと思います。 ○永山座長 貴重なご意見ありがとうございます。いまのお二方のお話は、大学での研究、 教育、実践が比較的うまくいっている、マンパワーがあったり時間のゆとりがあったり、制 度上のことも障壁がなければ実践できると思うのですが、ほかの専門学校等はいかがでしょ うか。 ○岩本委員 専門学校の場合には、私は国立病院機構に所属しておりますので、付属の形 で学校があって、臨床がすぐ隣にあるという環境なのです。いまおっしゃったように、教員 になってから実際に実習指導はしていますが、現場で自ら看護を実践することは非常に少な いということで、短期と長期なのですが、一定期間現場へ行って、そこで研修するシステム を開始しております。自分が希望して、どこの領域のどういう内容で研修したいのかという ことで申し出をし、臨床側と連携をして研修するシステムを作っております。 ○羽生田委員 私どもは医師会の養成所が主で見ているわけですが、専任教員を見ていて、 足りないのは教育学、教育論だと思います。養成講習会の中に教育の単位数もありますが、 教育とはどういうものかというところが非常に足りない感じを受けています。ですから、生 徒指導もどのように指導していいのかがよくわかっていないという感じを持っていて、その 辺をいかに育てていくかが必要だと思います。  また、いままでのいろいろな検討会でも、現場から離れすぎている者が卒業した新人看護 職員の教育と現場との乖離だという話も随分ありますが、現実にそれは私もそう思います。  専任教員になると実習では行きますが、実際に患者を看護する現場は全くありません。た だ、勤務状態から、どこかの病院へ行って、実際に患者を受け持ってやることもかなり難し いことだろうと思うし、私どもの関係の養成所では、とてもそれだけの財力がないし、原資 がないので、とても出せません。必要だとは思いますが、現実にそれを形にしてやっていく のは非常に無理があって、現在の養成所でもほとんどが赤字経営でやっていますので、学校 だけの経営ではとてもやっていけず、本会の会計から注ぎ込んでやっているという状況です。 実際に専任も数多く勤務させられませんし、また専任教員養成講習が終わっていても、来て くれる人も非常に少ないという状況で、すべてが足りない状況です。  もう1つは、大学が各県に随分できて、中には専任教員養成所の教員まで集めて講習をや って、専任の卒後教育をやっている所は随分出ているという話を聞くのですが、実際にやっ ている所で、どういうことをやっているかということもありますが、それが効果があるかど うか。もし効果があるのであれば、ある程度各県でやれる体制をどうやったら作れるか、検 討してもいいのではないかと思っています。 ○永山座長 それでは具体的に地域の大学が、看護の基礎教育に携わっている人の公開講 座にしろ、研修にしろ、経験のある方はおられますか。今回お集まりの方にはあまりないよ うですが、いかがでしょうか。  私は富山ですが、一応やってはいますが、毎年ではないので、公開講座で大学としてはや ってはいます。富山の場合ですと、実は県立大学は看護大学はありません。国立の私どもが その分を引き受けるという形をとることと、養成校はあまり多くないのです。そのうちで教 務主任の方々が修士課程に入って学んで帰っております。そうすると、内容がまたガラッと 違うということも、いま見受けられておりますので、地域でできることはやっているという 現状もあります。若干紹介させていただきました。ほかにいかがでしょうか。 ○井部委員 事ほど左様に看護教員と言ってもさまざまな背景があることがわかります。 一括して看護教員のあり方を検討するのはちょっと無理があるのではないかと思います。ま ず最初に、どの辺りの看護教員を対象にやっていくのかを、少し区分けをすることは無理で しょうか。その優先順位を決めたほうが、議論がはっきりするのではないかと思いますが、 いかがでしょうか。 ○永山座長 いろいろな、ほどほどに、たくさんのコースがありますので、事前の検討の ときも、どの部分に焦点を置きましょうかという経緯もありますので、その辺りはどうでし ょうか。 ○野村看護課長 先ほど申し上げましたように、看護教員に共通する看護という実践的な 教育をしていることで共通する部分があると考えましたので、それに携わっている教員全体 という整理です。話がなかなか噛み合わないことになれば、少し区別をして進めていくやり 方もあるかと思っています。検討会の準備をしている段階で、教員の現状がお互いにわかっ ていないのではないかと感じましたので、まずは絞らないで全体で看護教員の課題を出して いただいて、その中で整理をしていったらよろしいのではないかと考えたところです。 ○永山座長 いま大学からしか出ていないので、ほかの養成に携わっている方々から、少 しご意見を伺いたいと思います。佐藤委員から5年一貫に関する教員に関して現状をお話い ただければ幸いですが、お願いできますでしょうか。 ○佐藤委員 高等学校の場合は、学校教育法、教員免許法、高等学校設置基準などの規定 に基づいて、まず教員免許状を取得します。  その上で、都道府県の教員採用試験、私学であれば学校法人の教員採用試験に合格して教 壇に上がることになります。これらのことは高校学校に限定された話になろうかと思います。  教員養成(免許取得)は、1つは大学での看護教員養成課程で学び卒業時に高等学校の専 修免許状又は一種免許状で教科「看護」の免許状を取得します。大学での養成の他に特別免 許状があります。これはいわゆる社会人採用です。看護の現場にあって高度な知識・技術を 持ち、しかも指導力のある人材を都道府県の採用試験を経て採用するとい方法です。  課題は、養成が不足していることです。特に大学で養成する課程認定大学は10数校あり ますが全てコース制で学生の選択制になっており、看護教員養成コースを選択する学生が少 ないことです。定員に満たない大学、選択する学生がいない大学もあるようですので、大学 の養成をもっと拡充していく必要があろうかと思います。  教員の研修に関しては、法令で定められた研修、自主的な臨床研修などがあります。教員 の評価制度もあり、自己評価の他に生徒や保護者による評価もあります。高等学校の教員の 現状については、概略以上の通りです。 ○永山座長 教員の資格を取るための養成機関が少ないということもご意見としてありま した。それでは、引き続きまして、齊藤委員から、できましたら専修学校等の立場から、現 状と課題等がありましたらお願いしたいと思います。 ○齊藤委員 教員の養成に関してでよろしいのですか。 ○永山座長 養成と教員の継続教育等で、課題等がありましたらお願いいたします。 ○齊藤委員 都立看護専門学校は、いま教員定数が学生80名に対して19名付いておりま す。この19名については、今年度当校は、全員が看護教員の養成研修の受講が済んでいま す。人事異動等で病院から未受講の方が来られる場合もありますが、その場合は1年間教員 活動をした後、先ほどの教員養成講座を受験して、1年間学んでまいります。  私が先ほど受講にこだわったのは、1年間のカリキュラム、自治体によっては8カ月、6 カ月という所もありますが、行く前と、行ったあとでは本当に人が変わったように学んで帰 ってきますので、教育に当たる人は、是非全員受講してもらいたいというのが私の中に強く ありますので、先ほどお手数かと思ったのですが、お伺いした次第です。  教員の養成というよりは、当校は看護師の育成ということですので、教員の養成は養成講 座にお願いして、終了したということで、看護教員の場合は免許制ではありませんので、終 了証書が免許のような形で進めていきます。  都立の場合は教員として採用後、教員研修を体系化しております。新人教員と何年か経っ た教員がうまく育っていく形で研修を組んでおり、教員に必要な能力を4つに分けています。 それは教育能力、看護実践能力、研究能力、マネージメント能力の4つを必要と考えて、そ れぞれの中で研修を組んでいます。  その中でいちばん効果を上げていると思うのは、都立の場合、研究調査日という形で、年 間12日看護教員に調査日を取得できるようなシステムを作っていますが、この中で授業研 究というのを立ち上げたのが6年ほど前だったかと思います。いま都立は7校ありますが、 その7校の中で、専門領域ごとの教員が集まるという形をとって、例えば基礎看護学であれ ば、基礎看護学の教員だけが集まって、1年間授業を、どのように組み立てたり教材を作っ たりしていけば、学生に効果的かといったことをシステムとして行っています。ほかにもい ろいろな研修を組んだのですが、これが、教員がいちばん主体的に喜んで研修に行っている ということと、授業能力の向上につながっていると思っています。  先ほどの臨床実践能力というところで、都立も臨床研修制度を設けています。これはいま 病院のほうは医療安全強化や、患者への配慮というのがあって、自由に教員が臨床研修をす るのは無理がありますので、病院と兼務発令の形で契約を取って、研修させていただいてい るという形をとっています。これもかなり教員の学びは大きいです。やはり実践というのは、 日々の実践と、それに必要な知識があって、初めて質の向上につながっていくのかなという のもありますので、継続教育の必要性もすごく感じています。 ○永山座長 離職等はどうでしょうか。 ○齊藤委員 離職は少ないです。都立全体で124名ほどおりますが、数字がはっきりして いませんが、全体でも数名程度だったかと思います。それも定年退職だったりという形です。 ○永山座長 いろいろな意味で、1年の養成コースは出たけれども、職場に不適応という ケースも多々伺っておりますので、そういうところも少し議論したらいいでしょうかね。 ○齊藤委員 そうですね。時間をいただいてよろしいでしょうか。新人の教員が陥ってい る状況は、かなり苛酷であることだと思います。臨床から教員養成研修で学んで張り切って 来るのですが、3年課程の場合は本当にハードです。時間が全然ないという感じで、毎日追 われるような中で、授業が明日迫ってくるという感じがあります。そこには指導する教員を 付けたり、いろいろな助言のシステムを作ったりということで乗り切っているという感じで す。 ○永山座長 そういう実態はあまり出てきておりませんので、若干危惧される事柄でもあ り、あまり発言がなかったものですから。関連して、どなたかご意見はありますか。 ○野本委員 私は愛媛からまいりました。地方の大学が特異なのかどうかよくわかりませ んが、新しい大学ができたり、そのほかいろいろな事情があって先生方がどんどん抜けて、 新しい先生が入ってこられるということで、先ほど言われたような新人の先生方が増えると いう状況にあります。  私はFDを担当していますが、先生方にどういう形でFDを計画すればいいのか苦慮して いるところがあります。実践能力もすごく重要で、臨床経験の長い先生方に入ってきていた だくのは大変有用な意味のあることだと思いますが、実践をすることと、教育をすることは、 少し能力に違いがあって、教育に実践能力が活かせるようなFDなどを企画していかなけれ ばいけないと最近よく感じます。この辺りを中心に今年度はFDを考えたいと、先ほどのお 話を聞いて思います。大学は教員数も多いので、すごくハードかというと、専門学校などに 比べると、そうでもないのかもしれませんが、やはり同じような状況が生じていると感じて います。 ○澤本委員 私は社会保険の看護研修センターで数年、いまは国立看護大学校と国立国際 医療センターの国立病院での看護実習生を受け入れる、あるいは初任者を受け入れる研修を 毎年お手伝いしています。今年初めて厚労省のセンターで、またお手伝いをということにな っており、楽しみにしています。  学生の養成、看護学校教員養成と研修とひと通り何年かずつ、本務の傍らですが、非常勤 で20年ぐらいお手伝いしています。幼・小・中校の教員の研修で日本全国いろいろな所で お手伝いしていますが、それとの比較でいちばん強く感じるのは、基礎学力の幅が大きいと いうことです。  率直にいうと、基礎的な学力、例えば読み書きです。私の場合は必ず感想などをできるだ け毎回書いてもらいますので、読めば誤字・脱字がわかるわけです。まずそういうところで の言語能力に関する落差があります。いま医療の世界もきちんと情報をクライアントに伝え たり、クライアントの極めて不備かもしれない情報を、しっかり受け止めて理解したりする 能力が強く求められていると思いますが、そこのところで、これで先生になって大丈夫かな というような方も少数ですが一方でいます。  しかしもう一方では、教員というのは理科の先生になったら一生理科の先生ですが、看護 師の場合は、いろいろな科目経験しますので、実にシビアな所で経験を積んだ方で、本当に すごいと思う方もたくさんおります。特に私は国際医療センターでの研修は楽しみにしてい ます。  ですから、先ほどから出ている教育者という観点からいえば、看護師であればクライアン トへの教育的なまなざしですし、看護者を育てる方だったら、学生や初任者、あるいは未熟 な看護師などへの教育的なまなざしというのでしょうか、そこのところで愛情がいくらあっ ても、それをきちんと伝える技と知性がないと駄目なのです。そうするとコミュニケーショ ン能力ということになるのですが、そこのところでどうするのかということが、専門科目が 何であれ、1つ課題として出てくるのではないかということです。  もう一点は、先ほどから出ている実践の問題です。私も実は小学校で18年ほど教員をし ていまして、それから大学に出て、もう20年超えました。率直にいうと、現場を離れて4 カ月で駄目です。つまり、40人の1クラスを受け持っていて、40人がいろいろなことを同 時に言うのですが、なぜか聞き取れるのです。でも、離れて4カ月経ったら拾えず、どんど ん能力が落ちる一方です。ですから、現場にいたときと同じシャープな感覚を大学の教員に 求めること自体が、むずかしいと思います。  大学に移ってから私がずっとしていることは、現場の先生をサポートすることなので、来 てくれという学校や教育委員会に出掛けていって、授業を一緒に見て、一緒に研究する。現 場の先生が研究する所に、一緒に自分を加えていただいて一緒に研究するという形で、なる べく勘をキープし、あまり摩滅しないように努力を続けています。  もう1つ大事なのは、現場の教師は自分の授業が第一ですが、大学の教員は他人の授業を 研究させていただくわけですから、当然どうサポートできるかということがいちばんメイン になります。それと学会誌に載るような論文を書くのと、先生方に本当に役に立つような話 を書くのでは違います。そういうところをきちんと仕分けをして、看護教員の養成に必要な 情報がどういうことなのかとか、看護教員の成長みたいなものが、もしプロセスで見られる のだったら、初任のとき、中堅、ベテランなど発達段階で大まかに仕分けして整理すること は必要だといえるでしょう。恐らくは、目標も内容も方法も、発達段階で違うでしょうし、 多様なのだと推察します。ですから、今すぐ全部に対応するのは無理でしょうから、とりあ えずモデルを作って対応するということだと考えます。まずは一つ考えれば、いくらでもあ とから叩いて直してもらえますので、たたき台になるようなものを考えるという方法もある かなというところです。 ○永山座長 貴重なご意見ありがとうございました。これは先ほどの意見とも類似するこ とではないかと思っています。 ○井部委員 私は野本委員の発言でそうだなと思うのは、私たちは実践能力、実践能力と 言いますが、何の実践能力なのかがこれまではっきりしなかったと思います。いまの野本委 員の説明ですと、教育実践能力です。しかし、私たちは看護実践能力のことを実践能力と言 っています。そうすると、現場にいて、4カ月も現場にいなくなると能力が落ちるというの は、たぶんそうではないかと思います。ですから、看護実践能力を教員がずっと継続維持す るというのは幻想ではないかと最近強く思っています。  したがって、現場にいる実践家の力をどうやって教育に活かすかということを考えるのが 教員の重要な能力ではないかと思うのです。特に大学の臨地実習のあり方について、いろい ろ考えていくときに、大学の教員が臨床能力を落とさないようにするということは、私も前 は言っていましたし、いまも言う人がいますが、どうもそれは幻想で、もしそうだとすると、 ほとんどを臨床で過ごさないと臨床能力を維持することが困難ではないかと思います。繰り 返しになりますが、教員の役割は臨床実践能力をずっと担保するのではなく、誰にその学生 を預けたら、優れた臨床実践の指導をしてくれるかということを見極めること、教育者とし て、これはこういう状況なのだということを説明できることと、時代の要請に合ったカリキ ュラムは、こういうものが必要なのではないかということを考えて、教育課程を作ることが、 大学の教員の役割ではないかと思います。教員の実践能力にあまり幻想を追い求めないほう がいいのではないかと思います。 ○安酸委員 いまの発言は私は同様な点と若干違うところがあります。教育実践能力と、 臨床実践能力の両方が求められるのだと思います。ただ、バランスの問題で、確かに実践能 力を現場でずっと働いているときと同じセンスを維持することは、もちろん無理だと思いま す。ただ目のようなものというか、そのセンスがないと、現場との共同もうまくいかないと いう気がします。現場の人は、教育実践能力に関しては、逆に自信がない人が多いのです。 学生に対してあまり適切でない教育指導をしてしまい、うまくいかない場合もあります。で すから、現場の人も教育実践能力も求められるが、実践能力の中では、臨床の実践能力をよ り強く求められる。両方必要だがバランスが違う。そこをどのように共同していくかという 仕組みづくりではないかと思っています。  田舎ですから、最初に行ったときは、「大学の学生を見るのは初めて。その人たちに教え られないわ」と言われる。ただ実践能力は現場で働いているわけですから、もちろんある程 度あります。そことどのように共同できるかということで、勉強会を設けたり、事例検討会 をしたり教育のことをしたりして、あとは学校の、例えば技術の演習などに来てもらうよう な仕組みを、精神の領域などでやってもらう。そうすると、実習に学生が出る前に臨床実習 指導者と学内で会う、話ができるという場を設けたりすると、学生のほうの緊張感が、現場 に出たときにちょっと少なくなる。臨床の指導者のほうも、構えがちょっと減って、こんな 感じの学生なのだということで受け入れてもらえる。助手の先生たちも、臨床をちょっと離 れて研究をして、大学院を出て、出てきたときなどは実践能力が少し落ちていると思ってい るわけですが、学内での演習などを一緒にすると関係性ができていき、お互いの不足点を補 い合うとか、わからないが聞いてみようということが生まれてきて、なかなか意味のある取 組みだと思っているのです。両方必要だが、バランスが違うのと、それをどう補い合うシス テムを作るかということかと思います。 ○永山座長 いま本質的な内容が出てきましたので、看護実践能力と教育実践能力の2つ が、とても重要なコアになる部分です。ほかにご意見はいかがですか。 ○井部委員 私は専門学校の教員の経験がないので的外れかもしれませんが、大学は、大 学から臨床指導教員が必ず付いていきます。専門学校は8人という人数からすると、学生に 学校から付いて臨床指導をするというのはマンパワー上、限界があると思いますが、どうや って、やっているのでしょうか。 ○永山座長 それでは専門学校の関連のかたから答えていただこうと思います。 ○石渡委員 都立の看護学校の先生のお話もありましたが、赤十字のことをお話しますと、 学生は40人定員で、当校ですと30人定員です。教員が8名おります。実習に関しては、 教員が実習指導に当たっているのが実態です。  なぜかと言いますと、臨床の現場では実習指導者ということで位置づけている者はおりま すが、そういった人たちが、学生が来ている期間に専任で業務にあたる時間的な余裕はあま りないのが実際のところです。ですから、教員が出ています。  私も3年間ほど教員の経験がありますが、それ以外にも自分の授業を持っていますので時 間的な余裕は全くなく、教員自身の資質を上げるために自己研鑽をする時間は、自分の時間 を無理に捻出しているのが実際のところだと思います。  臨床から言わせていただきますと、実習指導の場面においては、現場というか臨床側の者 が、教育について教育を受けて、その上で実習指導に当たるのが、いちばん理想的なところ かと思います。そういう教育コースが千葉県にもあります。例えば3カ月ということです。 現場からそういった研修に出せるのは1〜2名ということで、当院のような看護師が600名 ぐらいいるような施設でも、それが限界です。研修修了者を満遍なく各実習現場置けるとい う現状にはありません。  それから先ほども言ったように、臨床の実習指導者は現場で動いているものですから、現 場の状況が忙しくなってくると、どうしてもそちらに取られてしまうことがあります。実際 に自分が実習指導に行っている間は、自分が授業で抜けている時間、そして臨床側も実習指 導者をどうしてもこの時間に立てられないという場合に、学生に安全に実習をやってもらう 場面を作るのが非常に困難だったことが、結構ありましたので、臨床実習指導に関するマン パワーというのはすごく不足しているのではないかと思います。臨床に研修を修了した実習 指導者を置くことに関しても、もちろん努力義務として頑張っていますが、研修の派遣に関 しては施設負担で、そういったことの経済的なバックアップはないような状況ですので、そ れが非常に厳しいかなと思います。 ○永山座長 それでは、岩本委員からお願いします。 ○岩本委員 国立病院機構の現状です。先ほど都立の齊藤先生からは80人定員で19名と いうことでしたが、私の学校では、現実に実習指導にあたる専任教員は教育主事を除いて 10名となっています。この体制のため、病院における実習指導者が逆に充実している状況 で、病棟に3名ぐらいずつ実習指導者がいます。その実習指導者は240時間の実習指導者 講習会をほぼ8割の方たちが受けています。実習指導に関する研修を受けた指導者が、学生 の実習が開始すると、3人のうちの1人、あるいは2人が実習指導に当たって教員と連携し ていくという方法をとっています。  先ほど教育力の話が出ましたが、現在、基礎能力のある学生のある程度の層は大学志向で、 大学を受験をするという形になりますので、次の段階の学生たち、あるいは社会人入学で入 ってくる学生たちが、専修学校の対象になってきます。基礎能力の側面はもちろんですが、 現代社会が抱えている家庭の状況、精神的な状況、身体的な状況があり、一人ひとりの学生 の持っている課題、多様性にどう対応していくかということも教員にとっては大きな問題で す。これらの問題に対応できる指導力そのものとか、カウンセリング能力などが、教員の能 力として非常に求められているという現状もあるのではないかと思います。  もう1つは、3年課程の看護師養成所において、先ほど、大学院の最終学歴の教員が増え ているという現状がありましたが、逆に能力のある教員たちは大学のほうに流れていくとい う現状もあって、キャリアアップした教員たちが、専修学校の中で能力を発揮しながら教育 に当たるという環境が整っていないのも現状です。キャリアアップし能力のある教員の受け 皿を、専修学校の中でどのようにつくっていくかも非常に大きな問題ではないかと思います。 ○永山座長 また1つの問題がここで出てきておりまして、大学がもう160、170になろ うとしている状況で、そういう実態もあり、異動もあることからということと、社会の変化 によって学生そのものも、たぶん受け入れる学生の変化への対応ということも1つあるので はないかと思っています。これに関連して、どなたかご意見がありますでしょうか。 ○井部委員 80人で19人の教員というのは、3学年だから240人で19人が正確ですよね。 大学のほうがそうなると数が少ないのかと思います。200人から400人で10人が最低基準 です。これは専任教員の数なので、大学というのは非常勤講師がすごくたくさんいます。で すから、人数的にはたくさんになるのですが、専任教員の数の示されている基準からすると おっしゃるとおりで、看護学部の定員のほうが少ないですかね。200〜400人の学生に対し て、大学設置基準は12となっています。 ○永山座長 そうですね。大学の設置基準ではそのようになっています。 ○井部委員 私が先程発言しました、専門学校の教員が少ないのにどうしているのですか、 というのは余計なお世話だと思いました。 ○永山座長 ただし、いわゆる国立と都立では随分違うということも、いま如実に公表さ れておりますので、どこで、どのように基準があるのか、ちょっと疑問だなと。それも1 つの大きな課題ではないかということでしょうか。 ○島田課長補佐 規定ですが、参考資料3に「看護師と養成所の運営に関する指導要領」 というのが3つに分かれている表の真ん中にあって、そこに専任教員の基準の数の増やし方 が規定されています。先ほど井部委員が言われていた看護師学校、養成所は、基本は8人以 上となっていますが、この規定でいきますと(8)の2行目辺りに「看護師養成所3年課程に あっては、学生総定員が120人を超える場合には、学生30増すごとに1人増員」というこ とですので、学生定員240人の場合は12名以上という規定になっています。ですから、そ れ以上厚く実態として配置しているということかと思います。補足の説明です。 ○齊藤委員 都立の数が多いということで恵まれていると思われたかもしれませんが、こ の数字に至るまでの経緯があります。当時の12人という教員の数であれば、実習は成り立 たないのです。いま都立の教員はどのような実習体制になっているかと言いますと、月曜日 から金曜日までの1週間で、月曜日から木曜日は全部実習で、金曜日に戻ってくるという感 じで、そこに授業が入れられますので、教員としては2つの授業を1年中やっているような 状況です。  それとなぜこの数字が出てきたかということですが、病院の受入れの関係があって、12 人であれば臨床に行くのに1グループが10人近くになります。1病棟に10人の学生を連れ ていくと、とても指導できません。いま在院日数が10日を切る勢いでやっている病院に、 学生の質もいろいろ変わってきて、立っている姿そのものから、どこかに連れていかないと どこにも行けないという状況の学生を10人連れていったときに、臨地実習は授業ですが、 授業にならないのです。本当にそういう状況で、都立は実習グループから人数を割り出して 膨大な資料を出して要求をしてきました。その結果、今年度から19になっています。ただ、 これは時限的配置で括弧書きにされていますので、それなりの成果をまた報告していかない と括弧がなくなってしまうこともあって、決して恵まれているとは思わないでいただけたら と思います。  先ほど機構のほうと仕組みが違うなと思ったのは、同じ80名で、片や10名、片や19名 とになったときに、実習指導に行く状況が、機構と都立では随分違うのだなと思いましたの で一概にこの人数だけでは言えないのかと思います。  それと実習指導者研修についても80%が受講済みと伺いましたが、私どもが行っている 病院はそんなにはないかと思います。実習に関しては、教員がかなり主導権を握ってやって いかなければいけないという状況です。 ○安酸委員 もう1つ、実習でうちなどは付属病院がありません。付属病院がなくて、実 習は何箇所にもお願いしてやっていますので、非常に厳しい状況があります。付属を大きい 病院が中心であるかないかということと、そこの病院の看護師たちを、学生指導に当たる人 として一緒に見られるかどうかというところが随分違うのではないかと思います。  うちは県立でしたというか、独法化したのですが、交付金をもらっているのでほとんど県 立ですが、5人に1人の指導者が必要だということを主張して、私も実習教育を専門にして おりましたので、それで割り出して助手24名、全部で60名の教員がいます。編入を入れ て4年間で360名に60名の教員なので、看護のライセンスを持っているということでいっ たら53名の枠ですが、それにしてもかなり多いと思います。  いまの独法化の中で、今後は定員削減をされる可能性がありますが、少人数教育が必要で、 実習が必要で、付属病院がなくてということで確保したという状況です。これは大学によっ て全然違うのではないか。うちはそういう意味ではかなり恵まれた環境を、いまのところは 作っています。ただ、そこが当たり前と思って教員を初めてやる先生がほとんどですので、 忙しいとみんな言っています。 ○永山座長 大学の中でも、公立は50人とかいて、国立系はかなり縮小がきておりますの で、大変な状況になっています。数の問題だけでも、いま大きな話題になる状況ではないか と思います。 ○後藤委員 国立、公立それから大学もおいでになりますが、民間のいわゆる看護学校と いう立場で私は委員にさせていただいているのだと思います。うちはいま2年課程で、40 名の定員で、教員は8名です。実習を専門に指導する人を別に入れています。実習病院はあ りません。  もともと病院をやっていて、看護師の不足があって、看護学校をつくるという動機で看護 学校ができてきた民間の学校というのはかなりあると思います。そうではない私どものよう な学校をずっとやっている所は、地元の医師会との関連などでずっとやってきていますので、 かなり状況が違うなと、先ほどからお話を伺っていて感じます。  教員の問題に限定してお話させていただくと、お話がいっぱい出ているように、講習会は 1年間のコースで、うちの場合は一応全部行ってきておりますが、本当に顔つきが変わるぐ らい、視点が全く変わるので、継続教育が絶対必要だと思っています。半年ぐらいすると、 必ず報告書が出て、これは素晴らしいなと思うのですが、また半年ぐらい経つと、元に戻っ てしまうというか、普通になってしまいます。「どうしたんだ、問題意識は」と言うと、私 は経営の立場の理事長兼学校長ですが、「こんな人数で、これだけの仕事をやっていたら、 あそこで書いていたようなことはできません」と必ず言われます。それを工夫するのが教員 だろうという詭弁を言っているわけです。  その中でうちは教員を採用するときに、いちばん大事なのは、先ほど澤本先生が言われま したが、教育学的な視点というか、教育的な視点を持っているかどうかです。このごろは本 当にいろいろな学生がおります。うちの教員を見ていても、いろいろな教員がいるなと思っ ています。うちは通信制もやっておりますし、その8人と別に9人教員がおります。  通信制は学生の年齢層が高いし、通信制は学生の年齢層が高いし、毎日来ているわけでは ないので、どういうふうに版供していけば良いのか、自分自身でも迷っているところがあり ます。しかし、びっくりするほど向学心だけは非常に高いのです。ものすごい高い意欲で、 今年も89%ぐらい国家試験に合格しましたが、何しろ勉強熱心で、ともかく向学心があり ます。  いちばん教員に求めているのは何かというと、安心感みたいなことです。つまり、この先 生と一緒に勉強しているとか、この先生に相談すると何とかなっていくという安心感をきち んと与えられる教員は、通信制の年齢が高くて経験がある人たちの中でも、信頼を得て付い てくる。そういうところから見て、40名の通学生の比較的若い子たちを見ていると、それ も教員としては教育的な視点で安心感を与えられる、学生に寄り添うというか、実習の指導 にも行っていますが、駄目な教員は現場の実習指導の人から怒られると、そちら側に座って 「だから、あなたは駄目なの」と学生に言うのです。これは絶対駄目で、怒られているとき は学生の側に座って聞かなければいけない。そういう視点を持っていることが非常に大事で、 小学校や中学校や高等学校の教員のことが問題になって、教員免許更新みたいなことが社会 の状況としてあります。  看護教員も看護の専門性を伝える。先ほど実践能力というのがありましたが、そういうこ と以前に、まず学生を育てるというか、専門家を育てるのか、人を育てるのかというところ を、まずちゃんと押さえないと駄目だという気がするのです。そこのところをどのようにす るかです。  しかし、きちんと教育学的な視点を持てるという意味では、いまの1年間の教育は非常に 有効ですので、この幅をもっと広げていただきたいと思いますし、民間経営者としては、大 学と比べてはるかに補助金が少ないですから、いわゆる人間に対する、教員に対する補助と いうか、そういう教育に出ていくことに対する補助は考えてもらえると、民間でももっと積 極的に教員になろうという人が出てくると思います。  学生も非常に多様化しているのと同時に、教員も相当多様化していると思います。論文を 書いて大学の先生になりたいという人もいますが、そうではなくて、ずっと寄り添って子ど もを育てることに生きがいを感じている人もいますし、臨床の現場とつなぐことに生きがい を感じている人もいますし、いろいろな人がいますから、その教員ごとの能力をそれぞれに 高めていかれるような仕組みがものすごく大事だと思います。あまり画一的に看護教員はこ うでなければというのは、ちょっと違うかなという気がします。 ○井部委員 後藤委員の発言は、大変面白く、賛同する部分がたくさんありました。2点 感想として申し上げたいのは、看護の世界というのは、教育にしろ臨床にしろ、すごく理想 を言うのです。教員にも「理想の教育の方法を教え、看護師になる人たちにも理想の看護と はこういうものです」とたたき込みます。  では、現実はどうなのかと言うと、先ほども教育の場面も大変で、半年も経つと元に戻る と言われたのは、確かにそうで、それは人間的なことだと思います。臨床も新卒が辞めると いうのは、基礎教育で理想とするものをたくさん教えて、臨床実習では1人しか患者を受け 持たず、こんなにできるのだという幻想みたいなものを抱かせて、現場へ行くと、4月1日 から大量に受け持つわけです。「業務は多いが、ケアはできない」などと、よく大学の卒業 生は言い、早々に撤退する。非常に類似した現象が起きているのではないかと私は思ってい ます。是非、医政局長にも聞いておいていただきたいと思ったのです。  これらは2つとも非常に貧困なマンパワーがなさせる結果だと私は思っています。もう少 し看護の教育にきちんと国がお金を付けるという方針でなければ、今後少し希望を持つよう なあり方を検討はできないと思っています。そのことが第1点です。   もう一点は、教員が臨床から指摘されたときに、学生側に座らないで臨床側に座るとい うのは、私も臨床指導をしたときに、そういう教員がいてけしからんと思って、カッカした ことがあります。よく考えてみると、その教員はかなり臨床に近い感覚だったと思います。 臨床ナースとして、まだ自分はアイデンティティーが半分ぐらいあって、それで教育に来て いるのですが、臨床の人は「あなた学生として何とかでしょう」と言われると「そうよ、そ うよ」と言って、突然アイテンティティーが臨床ナースに変わるというところがあるのでは ないかと思う、つまりしっかり教員になり切っていない。そうすると、教員が臨床実践能力 を付けると、アイデンティティーが臨床ナースに移行するためあながち危険なことが起きる と、看護研修センターできちんと教育学を教えると、みんな現実と比較して幻滅してしまう という負の連鎖が起きるのではないかと思います。 ○永山座長 貴重なご意見ありがとうございました。だいぶ時間が押してしまったのです が。 ○羽生田委員 皆さんのご意見で専任教員なり何なりの人数的な問題や継続の教育の問題 とか、いろいろなご意見が出ていましたが、いちばん感じるのは、学校、養成所の皆さんの 経営がいい。いま言った数がもっとあったほうがいい、教員になったあとに、いわゆる教員 の継続教育、実習病院にも行くというようなことは絶対的に必要だと私も思っていますが、 いま言ったことは学校の財源的な問題からは全く不可能です。この検討会の目的が、どうい うことをすべきかということはいっぱい出てくると思いますが、その中で現実化できるもの、 我々は本当に何ができるかと選ばなければ全くできないのです。先ほど言ったように、県が 講習会をやってくれるとか、そういった補助的なことがないと、我々とすると全く不可能に 近い話ばかりになってしまいます。  前の舛添大臣の検討会のときに、私が財源が必要だと言ったら、滅多に賛成しない井部委 員に「私も羽生田委員の意見に賛成です」と初めて賛成してもらいましたが、いまの井部委 員の意見に私は賛成します。看護師を養成するのは国の責任だと、厚労省、国が言ったから には、養成をできるだけの財源を確保していただかないと、とてもいまの数も増やせないし、 質も上がらないと思いますので、どの検討会でも、すべてそれがないとどうにもなりません。  それから、実習病院も、いまは病院がない学校という話がいくつかありましたが、そうい う所が実習病院の取り合いをするのです。大学、短大、養成所、准看という順番です。です から、下からはみ出されるのです。学校が実習病院を探すのはすごく大変です。そこに大学 がどんどんできています。大学はちょっと遠くてもバスでドンと実習病院に連れていきます。 そうすると、そこにいたほかの養成所なり、准看なりの実習生が全部追い出されるのです。  病院も大学の実習生を入れたほうが、大学卒の看護師が残ってくれる可能性も出てきます し、能力的な問題もあって、実習指導者の教えがいもあります。その上実習病院に対しての 補助も非常に少ない。実習指導者を置きなさいと言っても、大きな病院は別として、病院だ けで実習指導者を養成しておくなどというのは不可能です。そういう所へ我々は実習を頼ん でいますから、実習指導者を養成するお金も学校から出して養成してもらうようにしないと どうにも動かないのです。  理想の看護、理想の教員に少しでも近づけるべきだと思っていますが、現実にできること は何かというところで、いろいろな意見の中で、これだったらすぐできるだろうとか、そう いうところを実際にやれるように我々としてはしていきたい。そういう理解をしてほしいと 思っていますので、その辺は是非よろしくお願いします。 ○永山座長 もう5分前になってしまいました。さまざまな角度でご意見をいただきまし た。最終的に支援の経済的な体制もすごく重要だということでした。私は学生が主体的にな れるような教育、学生のことはあまり出ませんでしたので、教育の基本からすると、学生が 主体的にいろいろできるように育てるというところが、すごく重要ですので、1から10ま で教員が手を取り、足を取りというのはいかがなものか。その辺りは今日はあまり出ません でしたので、そこも少し考えて、あとは数の問題、能力の問題も必要なことで出てきました。 いろいろな角度から見なければならないということが出てきたと思いますので、一応記録に とってありますので、事務局に少し論点を整理していただきたいと思います。是非、これだ けは言っておきたいということがありましたら、お願いしたいと思います。 ○羽生田委員 専任養成講習会ですが、いま私が言ったように、8カ月出すというのは大 変なことです。養成所に教員として雇われてから8カ月講習に行くのですが、給与を払いな がら、遠い所だとアパートを借りるか、ホテル住まいかで、通学も大変です。それもお金が 要る。そのほかに代替教員が必要になります。養成コースに行かせること自体、ものすごい 負担です。  私が2、3年前から課長にお願いしているのは、昔やった通信の養成講習ができないかと。 もちろんスクーリングを夏にするということで、通信の専任養成講習を何とかしてほしいと いうことと、それには病院に現在勤務している人が、将来看護学校の先生になりたい、生徒 を教えたいという希望の人は、通信があれば専任養成講習を受けられるのです。ですから、 看護を実際にやりながら専任教員の講習会を受けられるというと、実際に生徒を教えたいと 思ったときに、看護の経験があって、専任養成講習会の修了があれば、すぐに専任になれま す。そういう人たちも専任教員を取りやすくなるし、そこまでしてくれないと専任教員はい ませんので、是非、その辺をこの会からも提言ができるようにご検討いただきたいと、お願 いします。 ○永山座長 それは教育の方法論ということで、それこそ放送大学を使うとか、いろいろ な方法論もあろうかと思いますので、それも含めて。 ○井部委員 特定の学校とか、岩澤先生がいるような研修センターだけではなくて、羽生 田委員が最初に言われたように、大学がこういうプログラムをすればいいという認定をして もらうことによって、例えば科目等履習で取ることによって、長い期間職場を空けないでも 済むようなやり方、近くの看護の大学がそれに協力すると、もっと行きやすいのではないか と思いますので、既存の施設だけを考えなくてもいいのではないかと思います。 ○澤本委員 いまの件に関しては、世界的にEラーニングで、高等教育はやっていますの で、そういうノウハウを入れて組織化すれば可能だと思います。大変だと思いますし、予算 も取らなければなりませんが。 ○永山座長 学ぶということはそれこそ主体的というところがやらされてはできないと思 いますし、そういう方略等も近代的なITを使いながらやっていくという手もあるのではな いかと思います。 ○後藤委員 是非、いまの項目を入れていただきたいのは、実態として私どもで採用して 講習に出して、帰ってくると、すぐ辞めてしまう。先ほど離職の話がありましたが、辞める というのは、自分は教員に向かないというのではなくて、ここで教員の資格を取って、どこ かへ行ってしまうのです。実態としてそういうのが今までにありまして、たまったものでは ない。うちは給料を出してみたいな話です。最近はそれは収まったのですが、過去にそうい う例がいっぱいありました。そうすると、結構民間の学校は犠牲にさらされているというか、 そんなことがありました。是非教員になるための勉強をするためのいろいろな方策を考えて いただきたい。先生がおっしゃるような通信制、Eラーニングをお願いします。 ○永山座長 ということで、いろいろなご意見が出て、方向に関するご意見も承りました。 それでは、今日出していただいたものは整理をして次回に提示させていただきたいと思いま す。それでは、次回に向けて事務局から連絡事項をお願いします。 ○島田課長補佐 お手元にあります資料3に「今後の検討会の進め方(案)」を出しており ます。本日はさまざまなご意見をいただきましたので、その意見に基づいて論点の整理をし たいと思います。  第2回以降ですが、本日のご議論を踏まえて、論点を整理した上で議論をしていただきた いと思いますが、本日は多様なご意見をいただきましたので、議論する順番、議論の方向性 も座長とご相談させていただいて次回以降でご提示したいと思っております。そういった議 論は4回までにさせていただき、第5回目にとりまとめ案の議論を行って、第6回には中間 とりまとめの案をお出しするといった今後の進め方を考えております。 ○永山座長 それでは、次回の日程についてお願いします。 ○島田課長補佐 今後の本検討会は2カ月に1回程度の割合で開催したいと思っています。 次回の開催は7月ごろを考えております。本日先生方に日程調整表をお願いしておりますが、 5月21日までに事務局にお戻しいただければと思っております。その後、日程調整を行い、 開催日を決定し、ご通知したいと思っておりますので、よろしくお願いします。 ○永山座長 それでは、送付でということですので、ご了解いただきたいと思います。こ れで第1回の「今後の看護教育のあり方に関する検討会」を閉会にしたいと思います。お忙 しいところ、ご出席いただき、いろいろご意見をいただきまして、ありがとうございました。 照会先:厚生労働省医政局看護課   平賀 ・ 島田 (内線2599・4167)