09/05/01 第28回地域保健健康増進栄養部会議事録 第28回厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会 【日 時】:平成21年5月1日(金) 14:00〜16:00 【場 所】:中央合同庁舎第5号館 共用第8会議室(6階) 【議 題】 1.部会長選出について 2.前回の開催以降の関連領域での動向等について 3.その他 【議事録】 ○関生活習慣病対策室長 定刻の14時となりましたので、ただいまから「厚生科学審議会地域 保健健康増進栄養部会」第28回目の会合を開催いたしたいと存じます。  委員の皆様方におかれましては、御多忙の折、お集まりいただきまして誠にありがとうござい ます。心より御礼申し上げます。  私は厚生労働省健康局総務課生活習慣病対策室長の関と申します。どうぞよろしくお願いいた します。部会長選出のまでの間、議事進行役を務めさせていただきますので、よろしくお願いい たします。  この3月に厚生科学審議会の委員及び臨時委員の改選がございまして、これに伴いまして新た に当部会に御就任いただきました委員の皆様方を御紹介申し上げたいと存じます。  財団法人日本食生活協会常務理事の上谷律子様。  東北大学大学院医学系研究科教授の辻一郎様。  国立精神・神経センター総長の樋口輝彦様。  以上の方が今回の改選に伴いまして、当部会に御就任いただきました皆様方でございます。  本日の出欠状況でございますが、委員定数25名でございまして、現在21名の委員の皆様方の 御出席をいただいております。出席委員が過半数に達しておりますので、会議が成立しておりま すことを御報告いたします。なお、本日御欠席の委員は大場委員、神田委員、北村委員、松田委 員ということでございます。  配付資料の確認を申し上げます。若干足早にまいりますが、クリップでとめてありますものを 外していただきまして、まず議事次第、座席表があります。  資料1といたしまして、ただいま申し上げました25名の名簿がございます。  資料2−1と2−2は、いずれも国民健康・栄養調査に関係するものでございます。  資料3−1と3−2は「健康日本21」等の健康増進に関する普及啓発の関係の資料でござい ます。  資料4−1と4−2は「健やか生活習慣国民運動」に関する資料でございます。  資料5「特定健診・特定保健指導の状況について」。  資料6−1と6−2は「受動喫煙防止のあり方に関する検討会」の報告書及びその概要でござ います。  資料7−1と7−2は「日本人の食事摂取基準」の関係の資料でございます。  資料8「食育の推進について」。  資料9−1と9−2は「女性の健康支援対策」に関係する資料でございます。  参考資料1は当審議会の関係規程等。  参考資料2は「国民健康・栄養調査の結果概要」をお付けしてございます。  それから「健やか生活習慣国民運動」の関係のパンフレットをお手元に2種類お届けしてある かと存じます。  以上でございますが、もし御不足等ございましたら挙手いただければ、事務局の者が参ります ので、よろしくお願いいたします。  本来でございましたら、委員の改選の後でございますので、ここで健康局長の上田よりごあい さつを申し上げるところでございますけれども、本日は新型インフルエンザ関係の業務等で時間 の折り合いがつきませんので、局長あいさつは割愛させていただきまして、議事の方に入らせて いただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。 議事1に入ります前に今回新たに委員をお願いした先生方もおられますので、この審議会の規程 等について若干御説明させていただきたいと存じます。  参考資料1の1ページに厚生科学審議会全体の構成の図がございます。厚生科学審議会の下に 黒枠でハイライトしてございますが、当部会が設置されておりまして、この部会の所掌事項とい たしましては、地域保健の向上、国民の健康の増進、栄養の改善及び生活習慣病対策に関する重 要事項を調査審議することとされてございます。  2ページ目、厚生労働省設置法の中にございます厚生科学審議会の規程について記載してござ いますが、内容は省略させていただきます。  3ページ目、こちらの方は厚生科学審議令でございまして、具体的に審議会の組織等について の規程が書いてございます。委員及び臨時委員につきましては、厚生労働省労働大臣が任命する 旨、また、第3条で委員の任期について2年と定められております。  4ページ目、第6条で部会を置くことができるとなっておりまして、部会に属する委員及び臨 時委員につきましては、厚生科学審議会全体の会長、垣添先生でございますが、指名することに なってございます。  大まかではございますけれども、関係の規程の概略を御説明申し上げました。  それでは、具体的な議事でございますが、議事1は部会長の選出でございます。厚生科学審議 会令第6条の3項にございますとおり、部会長は委員の互選という形になってございますが、ど なたか委員の方の中から御推薦ございますか。 ○井部委員 永井良三委員にお願いをしたいと思いますが、いかがでしょうか。 (「異議なし」と声あり) ○関生活習慣病対策室長 ただいま井部委員から永井委員に部会長をお願いしたらどうかとの 御発言がございました。御異議がないようでございますので、永井委員に本部会の部会長をお願 いいたしたいと存じます。それでは永井委員、部会長席の方へお願いいたします。 (永井委員部会長席へ移動) ○関生活習慣病対策室長 以後の議事の進行運営につきましては、永井部会長にお願いいたしま す。どうぞよろしくお願いします。 ○永井部会長 ただいま部会長という大役を仰せつかりました、東京大学の永井でございます。 御承知のように国民栄養あるいは地域保健の問題、生活習慣病といろいろな課題が山積しており ます。是非皆様方のお力をいただきまして、円滑に進めさせていただきたいと思います。どうぞ よろしくお願いいたします。  議事に入らせていただきます。最初に審議会令第6条第5項に、部会長に事故があるときは、 部会長があらかじめ指名する者がその職務を代理するとございます。この部会長代理につきまし ては、辻委員にお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。 (「異議なし」と声あり) ○永井部会長 それでは、辻委員、よろしくお願いいたします。簡単にごあいさついただけます か。 ○辻委員 東北大学の辻でございます。今回初めて委員にさせていただきましたので、これから 先生方の御指導の下、頑張っていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 ○永井部会長 よろしくお願いいたします。  議事の2、前回開催以降関連領域でいろいろな動きがあったかと思いますが、その動向につき まして御報告お願いしたいと思います。事務局からお願いいたします。 ○河野栄養・食育指導官 「平成19年国民健康・栄養調査」について報告させていただきます。 お手元の資料2−1をごらんいただけますでしょうか。  国民健康・栄養調査につきましては毎年11月に実施ということで、調査項目につきましては 「身体状況調査」「栄養摂取状況調査」「生活習慣調査」の大きく3つの項目から成り立っており ます。昨年12月25日に平成19年の国民健康・栄養調査結果の概要について公表をしておりま す。  平成19年の重点調査項目としては、中ほどに四角で囲んでおりますが、「糖尿病」並びに「休 養(睡眠)」になっております。  結果の内容につきましては、資料2−2として横紙の説明資料をお配りしております。この中 で重点項目である糖尿病並びに休養(睡眠)を中心に、結果を紹介させていただきます。  説明資料2ページ目の「糖尿病の状況」につきましては、「糖尿病が強く疑われる人」約890 万人、「糖尿病の可能性が否定できない人」は約1,320万人、合わせて約2,210万人と推定され、 棒グラフ左の平成9年、グラフ中央の平成14年に比べましても、増加していることが明らかと なりました。  3ページ「糖尿病が強く疑われる人における治療の状況」につきましては、現在治療を受けて いると回答した者の割合は、グラフで青の線で囲んだ部分ですが、平成9年、平成14年に比べ て増加の傾向にありました。その一方で、グラフ赤の線で囲んだ部分ですが、ほとんど治療を受 けたことがないと回答した者は、依然として約4割に上る状況が見られております。  4ページ「糖尿病の検査と保健指導等」との関連をフローチャートで表したものでございます。 解析対象のうち、上から下に流れに沿って見ていただきますと「今までに糖尿病の検査を受けた ことがあるか」という設問に対しまして「あり」と回答した人が59.9%、この集団を100としま して、検査結果について「異常あり」とした者が18.8%。  このうち検査後に「糖尿病教室を受けた」「糖尿病のパンフレットをもらった」「医療機関を受 診するようにいわれた」の1つ以上を行った者が80.2%。更にこのうち一番下の部分になります が「生活習慣を改善したか」という問いに対しまして、一番下の青字の線で囲んだ部分ですけれ ども「改めた」37.6%「多少改めた」が54.3%で、これらを合計すると91.9%という結果でござ いました。  5ページ「糖尿病に関する知識の状況」につきましては、「正しい食生活と運動習慣は、糖尿 病の予防に効果がある」につきましては約9割、「糖尿病は失明の原因になる」については約8 割と高い正答率という結果が出ております。  続きまして睡眠(休養)の状況ですが、8ページ「睡眠による休養が充分にとれていない」と 回答した者は、15〜19歳で男女とも高く、グラフ赤字の線で囲んだ「あまりとれていない」「ま ったくとれていない」の部分の合計で、男性で34.2%、女性で40.8%となっていました。20〜40 歳代でも黄色の線で囲んでいますとおり、約3割という状況でした。  9ページ「眠るために睡眠薬や安定剤などの薬、お酒を使うことがある者の割合」をお示しし ておりますが、平成15年に比べてグラフの赤の線で囲んでいますとおり、男女とも増加してお りまして、「健康日本21」の目標値である13%以下に達していない状況が明らかとなっておりま す。  10ページには「ストレスの状況」をお示ししておりますが。「大いにある」「多少ある」と回 答した者については、グラフ赤の線で囲みましたとおり、男女ともに20〜40歳代で7割を超え ている状況でした。  以上、簡単ではございますが、平成19年の調査結果の概要の御報告を終わらせていただきま す。 ○永井部会長 ありがとうございます。何かただいまの御説明に御質問、御意見ございますか。 ○池主委員 大きな流れについて確認をしたいのですけれども、今日の『日本経済新聞』のコラ ムの中で新統計法というのが公布されたということで、いわゆる個票、個人データみたいなもの の分析が可能になったという記事がありますが、この調査そのものの内容にその変化というのは 影響するのでしょうか。  例えば個人データみたいなものをある程度分析していくような流れができるのかどうかとい うことです。口腔の生活習慣病に関連する部門というのは、かなりそういう分析の突き合わせが 有効だと思うのですけれども、その辺はどうでしょう。 ○永井部会長 いかがでしょうか。 ○関生活習慣病対策室長 この調査自体は国が行う調査ということで、統計法に基づく調査でご ざいますので、データの管理については一定のルールがございます。データを活用される場合に は一定の所定の手続を踏んでいただき、事務方の方で一定のルールの下に審査を行いまして、ふ さわしいという場合には、その目的の範囲の中で、匿名化したデータになりますが、データを活 用することはできます。  当然ながら、個人情報の保護ということについては厳正を期しておりますけれども、国民全体 のサンプルサーベイ、国が行うサーベイであり、非常に貴重なデータを提供する可能性のあると いうことなので、国が行う集計以外にも活用する道があるということでございます。 ○永井部会長 これは疫学研究ガイドラインとの関係はどうなっているのでしょうか。行政的な 調査ですので、それには拘束されないということでしょうか。 ○関生活習慣病対策室長 この調査自体はガイドラインの適用の外ということになります。 ○永井部会長 ほかに御意見ございますか。 ○笹月委員 9ページの眠るための睡眠薬、安定剤、お酒ということで、13%以下が目標だと言 われるのですが、これはネガティブにそれをとらえているからこそ、そうなるのだと思うのです が、そのネガティブであるというエビデンスというのは、あるのでしょうか。 ○関生活習慣病対策室長 「健康日本21」が御案内のように全体で9分野、約70項目の評価指 標の下に展開してございますけれども、ここの部分というのはその項目の1つとして、睡眠確保 のために睡眠補助品を使うことがある人の割合というものを、この「健康日本21」の目標とし て定めてございます。  目標として定めたときの経緯にさかのぼりますと、恐らくなるべくアシストがなくて眠れるこ とが望ましいという議論があったかと思います。今すぐにはエビデンスをお示しできないのです が、若干の価値観が関係してくるのではないかと思います。  ここに書いてあるものというのは、定められた目標値のモニタリングのためにこの調査が活用 されているという趣旨で提示されてございます。この指標が盛り込まれたということに関する背 景の議論がどういうものであったかということにいては、今、直ちにこの場で御披露できません ので、また改めて先生方に御呈示したいと思います。 ○永井部会長 ほかにございませんでしょうか。 ○井部委員 例えばこれを見ていて思いますのは、身体活動と睡眠との関連はどうなのか。スト レスと睡眠とか、身体活動とか、この変数ごとの関係はないのかなといろいろ考えてしまうので すけれども、さらなる分析というのはされないのでしょうか。これで終わりなのでしょうか。 ○河野栄養・食育指導官 現在、報告書の方でとりまとめている内容につきましては、基本的に はそれぞれの項目の集計という形での整理となっておりますので、今後項目同士の関連が更に必 要だということでしたらば、研究であるとか、あるいは私どもの方で更に施策として整理をする 中で、分析を行っていくということになります。 ○井部委員 ということは、さらなる検討が必要だということをここで話し合わないと、さらな る分析はされないということですか。 ○河野栄養・食育指導官 基本的に報告書として今ちょうどとりまとめの作業中ですので、そこ に先生の御指摘の項目がまず入っているかどうか。もしそこに今、御指摘の関連の部分について 盛り込まれていない場合については、別途研究又は当方で解析を行うことになります。 ○永井部会長 加賀谷委員、どうぞ。 ○加賀谷委員 今の井部先生の質問に追加ですが、子どもにつきましては朝食、運動、睡眠など が非常に関連あるという結果が、昨年度結果に続いて本年度報告もされておりますので、是非成 人につきましても、その辺のクロス集計をしていただければ大変ありがたいと思います。 ○樋口(輝)委員 同じようなことなのですが、例えば10ページに「ストレス状況」と書かれ ていますが、ストレスという一言で言ってしまうと、さまざまなストレスが含まれますが、例え ば今のような経済の不況によって影響を受けているようなストレスと、あるいは対人関係的なこ とで受けているストレスということによって、随分影響が違うと思うのです。ですから、サブ解 析というか、もう少し踏み込んだ調査というのをどこかでおやりいただく必要が、今後こういう 問題を更に分析していく上では大事なのではないか。  睡眠薬を使うということについても、一般的に高齢者で言うと5人に1人が日本人は睡眠薬を 使っていると言われるわけですが、その中身もさまざまな理由で使ってくると思うのです。単純 に寝つきが悪いというだけで使う人もいれば、かなりメンタルな疾患を背景にしていてという方 もありましょうし、身体的な疾患があって、そのことが今度は眠りに影響をして薬を使わざるを 得ないということもある。  そういった中身がもう少しわかるようなデータをお示しいただくと、非常にありがたいと思い ます。 ○永井部会長 いかがでしょうか。 ○関生活習慣病対策室長 実は2年前のこの部会で中間評価をしていただいたわけでございま すけれども、今度は来年度以降に2年度、3年度にかけてこの審議会の場で「健康日本21」全 体の評価をしてまいります。  本日のこの場で出ました御意見、クロス集計についての御示唆も含めまして、議事録にとどめ るとともに、そういった解析をしてみて、実際の最終評価に向けての作業のときには、そういっ たものを踏まえての議論もしていきたいと思っております。 ○永井部会長 上谷委員、どうぞ。 ○上谷委員 糖尿病の関係による健康調査のデータでやってありますが、5ページの中に「正し い食生活と運動習慣は、糖尿病の予防に効果がある」という9割の方々の意識のある人、もしく はない人たちにある食生活との相関というのは見られないのか。そういうところの調査はどうな っているのかをお伺いしたいと思います。 ○河野栄養・食育指導官 この調査の中での栄養摂取状況につきましては、1日の調査、その日 たまたまそういった食事をしたという結果でのデータとなっておりますので、直接的にこちらの 項目との関連性を評価するには難しい点がございます。  ただ「正しい食生活と運動習慣は、糖尿病の予防に効果がある」といったお答えの方々が、実 際に糖尿病が疑われる方々なのかどうかという辺りについては、現在分析を加えているところで ございます。 ○上谷委員 啓発・普及等を行う中で、啓発・普及イコール9割の方々が実践者であるかどうか というところの数と、栄養調査がだんだんと1週間が5日になり、3日になり、1日になりとい う中で、そういう解析が可能な数字であるかという、統計学的な部分も教えていただければあり がたいかなと思います。  以上でございます。 ○辻委員 今までの議論は非常にすばらしいと思うのですけれども、これを役所の方ですべてク ロス集計できるかというと、限界があるのではないかと思うのです。今、国全体で調査に関する 環境がいろいろ悪くなってきている部分がありますので、そういった中でこの資料は全国的な代 表性のある非常にいいデータでありますので、これをここだけで終わらすのは非常にもったいな い話であります。  例えば、今回の改正統計法の趣旨を踏まえまして、匿名データとして研究目的にできるだけオ ープンにしていくとか、そういったことを念頭に置いた厚生科学の研究班をつくって、できるだ けいろんな研究者が解析をして、それをいろんなものに役立てる。そういった体制をつくってい ただければと思います。 ○永井部会長 よろしいでしょうか。時間に限りもありますので、また問題があれば後で戻って いただきたいと思います。  続いて「健康日本21」の取組みと「健やか生活習慣国民運動」について御報告をそれぞれお 願いいたします。 ○関生活習慣病対策室長 資料3、4に基づきまして、主として健康づくりに関する国民の方々 への啓発あるいは健康づくりの取組みの運動についての御説明になります。  資料3−1でございますけれども、これは「健康日本21」の推進のための普及・啓発、さま ざまな情報発信ということを目的といたしまして、年1回地域を回って実施しているものです。  昨年度は熊本県において行わせていただきましたが、厚生労働省、「健康日本21推進国民会議」、 本日は小澤委員がお越しになっておりまして、この会議をまとめてやっております。そして推進 の全国協議会、そして地元の県の健康づくり県民会議というものの主催で行ったものでございま す。  こういった形で毎年各県にお願いをしながら啓発の取組みをしてございますが、昨年度は地元 のシンポジスト、あるいは健康大使にもなっていただいております増田明美さんの御講演をいた だいたりするような形で進めてまいってございます。今年度は富山県において行う予定でござい ます。  資料3−2でございますけれども、毎年健康増進の普及月間というものを定めまして、統一標 語を定めて実施してございますが、9月の1か月間をこの時期ということで定めてございます。  特に運動・食事・禁煙という3つの重点事項に、特に力を入れていくということで、これは2 年前に行っていただきました「健康日本21」の評価の中でも、ともすれば総花的と言えるよう な形になってしまいがちなところを、重点をしっかりと定めて行っていくという中で、運動・食 事・禁煙というところの重要性ということを、評価の1つのポイントとしてお示しいただきまし た。  そういったものが反映された標語をつくりまして、厚生労働省としてはポスターの掲示、ある いはさまざまな情報発信をするということで、各地方自治体、公共団体におきましても、それぞ れの取組みをお願いしているという月間がございます。  資料4−1「健やか生活習慣国民運動」ということで、この次に特定健診・特定保健指導につ いての御説明もございますが、我が国の公衆衛生施策の中で特にリスクに着目して、そのリスク を持つ方々に対する支援を重点的に行っていく、いわゆるハイリスクアプローチと併せまして、 国民全体の中での健康づくりに取り組む環境の整備、知識の普及、あるいは取り組むさまざまな 母体の連携、協力といったようなことの母体をつくるという取組みです。  「健康日本21」の推進全国連絡協議会という形で、これまで「健康日本21」の歩みとともに 進んでまいったわけでございますが、中間評価における重点化した取組み、あるいは民間主体の さらなる参画ということも含めまして、よりめりはりの効いた形での取組みをしていくという、 中間評価の中での方向性の御示唆もございましたところです。  そういったものを踏まえまして、横長のカラーの表の真ん中辺りに薄い緑色で書いてございま すけれども、「健やか生活習慣国民運動実行員会」というものを平成20年度に立ち上げたところ でございます。  「健康日本21推進全国連絡協議会」の中にこの運動の推進部隊として実行委員会を設けまし て、この委員会の会合を20年度開催する中で、ルネサンスの斉藤会長に全体の実行委員長をお 願いして実施することになっております。  2ページ目の横長の表でございますが、19年度の準備段階から20年度、21年度とステップア ップしていっている絵がございますけれども、今年度具体的に特に民間の企業にこういった活動 の輪に入っていただきまして、具体的にそれぞれの企業の持ち味あるいは社会貢献という形で、 国民の中に特に運動・栄養・禁煙という観点からの運動が浸透していくような、そういった取組 みを展開していただきたい。  そういうための社会貢献のビジネスモデルといいますか、そういったものを構築しながら、さ まざまな対象の国民の方々の特性に応じて、効果的な環境整備あるいは啓発といったことができ るように取組みを展開してまいりたいという、そういう取組みを今21年度には特に普及・定着 ということで進めていきたいと思ってございます。  資料4−2でございますけれども、その運動を立ち上げるに当たってのキックオフイベントと いうことで、平成20年11月7日〜9日にかけての3日間、赤坂のサカス広場というところで、 オープニングセレモニーに舛添厚生労働大臣のビデオメッセージから始まりまして、健康大使に なっていただいている方々の御参画も得ながらプログラムを展開いたしました。  2ページ目にございますけれども、この審議会の構成メンバーの出身団体でもございますが、 各団体の出展もいただきながらイベントを展開したところでございます。10万人を超える方々 が足を止めていただきまして、盛大にとり行うことができたということでございます。  こういった啓発の幾つかの単発のイベントもそうでございますけれども、こういったものが定 着していくために、あるいは環境整備という形で自主的に我が国の健康づくりの文化の中に定着 していくようにということで、今後とも「健康日本21」の推進と併せまして、重点化を図るた め、実際に運動を展開していく、目に見える形で進めていくという「健やか生活習慣国民運動」 の実行委員会の活動というものに、国としても力を入れてまいりたいと思っている次第でござい ます。  以上でございます。 ○永井部会長 ありがとうございました。御意見いかがでしょうか。 ○小澤委員 全国大会に関するお願いでございまして、私は「健康日本21推進全国連絡協議会」 の関係者ということでこの会議に出させていただいているのですが、この協議会は最近たばこ対 策関係の団体にたくさんお入りいただいて、非常に活発に活動していただいてありがたいと思っ ているのですが、実は昨年の熊本の全国大会のメインテーマをごらんいただきますと、禁煙が入 っていないのです。  たばこ関係の団体は大変不満を持っておりまして、是非とも富山の今年の大会におきましては、 禁煙の関係も含めた格好でアピールしていただければということでございます。お願いでござい ます。 ○永井部会長 ほかにいかがでしょうか。 ○井部委員 資料4−1で概念図が示されているのですけれども、この概念図の左下に産業界と いうところがあるのですが、「健康日本21推進フォーラム」という企業の人たちが参画してやっ ている組織があって、私はそこの理事をしていますが、一向にその名前が出てこない。  「健康日本21推進フォーラム」という企業が入っている推進フォーラムというのは、これは 官民共同で「健康日本21」を推進しようということでつくられたと聞いているのですけれども、 その位置づけはこういうところに出てこないものなのでしょうか。 ○関生活習慣病対策室長 ありがとうございます。恐らくさまざまな団体の御協力を得ながらや っていくということで、今の井部委員の御指摘のありましたフォーラムは、民間独自の取組みと いうことで、高久文麿先生がヘッドになって構成している取組みだと存じ上げております。  これまでにも連携を図ってきているということもございますので、今後フォーラムの方の展開 の状況についても、私どもも勉強させていただきながら、どういう形で接点が組めるのかという ことについても検討してまいりたいと思いますが、まさに民間企業の参画を得ての取組みという ことでございますので、目指す方向について、向かっている方向がある意味同じ方向ということ もございますので、そういった面でどういう形で協力、連携していけるか少し研究してみたいと 思います。 ○井部委員 是非御活用していただければと思います。ありがとうございます。 ○永井部会長 この国民運動ですけれども、長期的な評価とか目に見えるゴールというのは一体、 どういうところを目標にしているかという点はいかがでしょうか。 ○関生活習慣病対策室長 「健康日本21」の全体の評価とも関連するのですけれども、やはり 国民一人ひとりに何かを実行していただくということですので、例えば先ほどの国民健康栄養調 査で把握できるようなものの中でも、具体的な例を申しますと、調査対象の方々が日常生活の中 で何歩歩いていらっしゃるかといった、歩くということについての指標というものも設けている わけでございます。  恐らくこれは評価をしていく上では、評価のためのモデルの枠組みが必要になってくるかと思 いますが、一人ひとりの国民が取り組んだ結果として数値にどう表れてくるかというところ、要 は目標と活動論とのリンケージが実は「健康日本21」のある意味での一つのアキレス腱と申し ますか、目標は目標としてあるのですけれども、活動論の展開となったときにどういう評価の枠 組みで評価をしていくのかという辺りが、非常にわかりにくいということが、これも中間評価の 中での1つの御指摘の側面だったと思います。  そういった面で、これはやはり国民の方々が実際に何かに取り組んでおられるということを評 価していく、あるいはそこに向けて、これはエピソード的になると思うのですが、どういう企業 がそういう運動にどういう形で貢献されたかといったようなことの、全体としての事例集的な、 あるいは事例研究的な評価というものも含めまして、その評価の枠組みも意識しながら運動を展 開していきたいと思っております。  評価の部分は確かに今まで幾度も言われておりますように、評価をして初めて次のステップで、 より効果的な取組みができるという面がございますので、そういった面についても留意しながら 運動の推進ができるように、そういう形で実行委員会を進めていくモデルをつくっていきたいと 思っております。 ○永井部会長 ほかにいかがでしょうか。 ○樋口(進)委員 「健康日本21」は国民の健康運動ですから、たくさんの方々に知っていた だくのが非常に大事なことだと思うのですけれども、今回ここでお示しいただいたもののほかに、 どういうメディアを使って国民の方々にアピールしてくださっているのか。例えばテレビのスポ ット広告とか、そういうものが出てきたりすると物すごくインパクトが大きいような気がします が、いかがでございましょうか。 ○関生活習慣病対策室長 先ほどたばこの話も出てまいりましたが、例えばたばこについての啓 発で国として取り組む若干の予算があったりいたしまして、そういったものを活用してポスター 作成のほかに、今、先生が御指摘のような、特にインターネットテレビのような媒体などでは、 昨年度も取組みをしたところでございます。確かにさまざまな媒体を通じて啓発・普及すること が非常に重要かと思っています。  また、今日の資料の中に明示していなくて恐縮ですけれども、インターネット上ではeヘルス というような、国民の方々に健康づくりに関する取組みを紹介していけるような、ネット上の情 報提供ツールというものも国の方で開発して運営してございます。このようなものは多面的に展 開していくことが大事かと思っておりますので、そういったことにこれからも取り組んでいくと ともに、プレゼンテーションの上でもそういったものが全体像としてわかるような工夫をしてま いりたいと思います。 ○武見委員 今の御質問、御意見とも関連するのですけれども、こういうさまざまな国民運動で、 今も資料4−2とかにありましたように、当然それをまず知っていただくということで、かなり 大がかりなイベントがいろいろ行われていると思います。  ほかの省庁なのですけれども、テレビなどを使った広告ですとか、さまざまなことをやって、 イベントとか一時的なものというのは認知を高めるということもかなりやってきて、私が具体的 にやったのは食事バランスガイドというこま型のものを1つ例にして考えれば、かなりそうっい たイベントとか広告は打ってきていると思うのです。確かに人々が見たことあるというところま では、この4年で広がったと思うのです。  ただ実際に、本当に食事を変えて自分の習慣を見直しているかというところまでつなげるとい うことでは、すごく難しいということも一方で見えてきているということがわかってきています ので、そういう中でこの新しい国民運動を進める中で、イベント的なものは勿論必要でしょうけ れども、やはり人が暮らす地域というか、地域の中でさまざまな場から情報とかいろいろな働き 方が重なっていくような、コミュニティベースの取組みをやはりどう動かしていくのか。そこに その地域の産業界であるとか、さまざまな団体などが絡んでいくということを進めていただけれ ばいいなと思っています。  もう一つ、実際に食に関してはこの後出てくる食育のこととも絡むと思うのですが、福井県の 小浜市というところが首長の提言もあって、食から人づくり、地域づくりをやろうということで、 幼稚園から勤労者もすべてのところでさまざまな食育の活動をやっています。  私は実際に農林水産省の補助事業で見てきたのですけれども、ちなみにこれだけやっていて、 食べ方とか食習慣とか、あるいは健康とかはどうなっているんでしょうと伺ったら、評価のとこ ろで全然リンクしていなかったのです。その辺が一種の縦割りなのかわからないのですが、そう いうことも含めて地域単位で今の活動の面の評価と効果を見ていけるような形に、運動が進めば いいなと思っておりますので、是非そういう方向で御指導よろしくお願いいたします。 ○永井部会長 よろしいでしょうか。坂本委員、どうぞ。 ○坂本委員 国民運動としての「健康日本21」と「健やか生活習慣病国民運動」との関係につ いてなんですけれども、資料4−1で整理していただいてはいるのですが、実際自治体の側から 見ますと、必ずしもこの整理が頭の中に入っているわけではない。  それをまた今度は地域の方々に説明するときにはなおのこと、「健康日本21」で推進会議など も開いて盛り上げてきたところに、この「健やか生活習慣病国民運動」が更に起こってきたとい う感じで、そういう意味では今回資料4−1で整理していただいているのですが、もう少しわか りやすく国民運動を展開するときも、同じようなことが起こっているように住民の方には見えて しまっているように思うのです。  もう一つ、これも「健康日本21」との関係で申し上げますと、「健康日本21」計画と健康増進 計画がまた二重構造になっているように地域から見えていまして、私は「健康日本21」の推進 委員会などのメンバーになっていますが、市民の方々は健康増進計画と「健康日本21」計画と ほとんどわからなくなっておられる。  またそれに特定健診・特定保健指導の目標値などを入れているものですから、本当に混乱して しまっているように思うのです。「健康日本21」運動という形でこういう目標値を定めたものを 国民運動として始めているのですから、それとの関係、計画なども「健康日本21」計画との関 係をもう少し明確にして示していただければ、地方の自治体ももう少しわかりやすくなってくる のではないかと思います。 ○永井部会長 よろしいでしょうか。やはり目的と目標を、より明確にする必要があるように思 います。  今お話に出ました特定健診・特定保健指導の状況につきまして、勝又室長、お願いいたします。 ○勝又保健指導室長 資料5をごらんいただきたいと思います。  1ページ「生活習慣病対策について」ですが、生活習慣病は死亡の割合の約6割を占めており、 生活習慣病にかかる医療費が国民医療費の約3分の1を占めおり、総合的な生活習慣病対策の実 施が急務であるということで、医療制度改革におきまして、生活習慣病予防の観点から、医療保 険者によるメタボリックシンドロームの概念を踏まえました特定健康診査、特定保健指導が20 年4月1日から実施されたところでございます。  2ページ、既に先生方は御承知かと思いますけれども、これが基本的な特定健診・特定保健指 導の流れの図でございます。40歳〜74歳の全加入者、被扶養者を含みまして、この方々に対し まして特定健診を行います。そして腹囲、血糖、脂質、血圧、たばこ等のリスクを見ながら、リ スクが未出現の段階、リスクが出現し始めた段階、リスクが重なり出した段階ということで、そ れぞれ階層化がなされまして、特定保健指導というものが行われるわけでございます。  リスクが全くない方々につきましては、情報提供ということで、生活習慣病予防に関しての基 本的な保健指導が行われるということでございます。  動機づけ支援の場合にはリスクが出現し始めた段階で、1つリスクがありますと20分の個別 指導、あるいは80分以上のグループ支援として、1回だけ保健指導が行われまして、その後6 か月後の終了時に評価をし、次の検診をお受けになっていただくということになります。  更にリスクが重なり始めた段階の方々につきましては、積極的支援ということで、初回の面接 後180ポイントの保健指導を3か月以上行っていただきまして、その後6か月の時点で評価をし ていただき、また健診を受けていただくという仕組みになっております。  3ページが特定健康診査の項目、4ページが保健指導対象者の選定と階層化の基準になってご ざいます。  5ページは先ほど御説明いたしましたけれども、特定保健指導の具体的な中身ということで、 情報提供から積極的支援まで記載をしているところでございます。  6ページ、第5回の特定健康診査及び特定保健指導のアウトソーシング先の調査概要というこ とで、とりまとめを行ったものでございまして、これは現在、国立保健医療科学院のホームペー ジに特定健診保健指導機関のデータベースを開設しております。自分の事業所に特定健診・保健 指導の事業所にホームページがあるところは自分のところのホームページに情報公開をしてく ださいということになっていますけれども、それ以外のところはデータベースに登録をしていた だきまして、一般国民の方に情報提供をするというものでございます。そのとりまとめでござい ますので、全体の特定健診・特定保健指導の機関の集約というものではございません。  実際、支払基金の方には特定健診機関、特定保健指導機関の登録がなされておりまして、これ が12月1日現在で5万5,445件の登録がなされているところでございます。  自分のところでホームページを開設されていないというところで特定健診、特定保健指導実施 機関の状況を見たものですけれども、表1をごらんいただきますと例えば平成20年3月4日時 点と、20年12月31日現在の状況を見ていきますと、特定健診機関では3,208機関の増加があり まして、特定保健指導機関では824機関の増加ということになってございます。  表3は「実施可能な特定保健指導延べ人員」ということで、これについても右の方に増加人員 がこれだけだったら、特定保健指導を自分のところの機関で受けることができますよと表示され ている件数でございます。  7ページが特定保健指導の実施者への研修ということで、特定保健指導を実際に効果的に実施 しようということになれば、やはり実施者の質の向上というものが不可欠であるということで、 医師、保健師、管理栄養士は一定の研修を受けてくださいと、お願いをしているところでござい ます。  データベース上に出されている特定保健指導機関の状況を見ますと、20%〜50%の方々が一定 の研修を修了されているという状況でございまして、現在それぞれの都道府県、医療保険者のと ころで一定の研修を実施していただいておりますし、更に国立保健医療科学院におきましても、 今年度についても特定健診・特定保健指導の研修を企画、立案していただくリーダーの方の研修 を予定しているところでございます。  8ページ、特定健診・特定保健指導の実施の具体的な状況の把握というのは、平成21年11月 1日までに報告をするということになっております。現在、全体的な実施結果については、まだ 把握ができていないという状況でございますが、21年2月12日の全国国民健康保険主幹課長会 議の資料として、国民健康保険課の方から提出されている速報値では、右の方をごらんいただき たいのですが、特定健康診査の受診率は、平均28.8%ということになっておりまして、特定保健 指導の実施率につきましても、積極的支援は21.5%、動機づけ支援についても28.5%という状況 になっているところでございます。  20年度は制度ができて始めたばかりでございまして、なかなかまだ国民の方々への周知ある いは電子化の問題等いろいろな問題がありましたが、21年度につきましても、医療保険者の方々 と連携を取りながら、さらなる受診率の向上、実施率の向上に努めてまいりたいと考えていると ころでございます。  以上でございます。 ○永井部会長 ありがとうございました。加賀谷委員、どうぞ。 ○加賀谷委員 6ページに関係するところですが、たしか特定保健指導に当たっては医師、保健 師、管理栄養士、運動指導の専門家等が当たるということが書かれていて、運動指導に関しまし てはアウトソーシングでやるということになったと思うのですが、ここではそういう運動指導の 専門家の方でどのくらい指導したかという実態はつかんでいらっしゃるのでしょうか。 ○勝又保健指導室長 実施者ということで登録がありますので、それを集計すれば出てくると思 います。 ○加賀谷委員 それを是非こういう資料を出すときに、入れていただければありがたいなと思い ます。というのは、運動というのはかなり重要なものと位置づけられて始まったと思いますので、 よろしくお願いいたします。 ○永井部会長 そのほかいかがでしょうか。この特定健診でどのくらい生活習慣病あるいは脳卒 中とかが発症したかというデータはまだ出ないのですか。 ○勝又保健指導室長 まだ出ないです。 ○永井部会長 それはいつごろから出始めるのですか。 ○勝又保健指導室長 そういうデータは出ないですね。実施率等については11月に報告がなさ れるのですけれども、それ以外のところは調査を別途やらないと出ないです。 ○永井部会長 それはどこかで予定はされているのですか。というのは、先ほどの議論と同じで、 やはりこれの有効性の評価ということになると。 ○勝又保健指導室長 厚生労働科学研究等で、そういったことについては結果が出るのではない かと思います。 ○永井部会長 内田委員、どうぞ。 ○内田委員 医師会で特定健診を担当しているのですが、現場ではさまざまな苦労があって大変 な混乱を来したと認識しております。  8ページの受診率のところですが、これが28.8%というのは40歳〜74歳までの全対象者の 28.8%という数字ではないですね。これは保険者に聞いて実施しているかどうかという、どれぐ らいの実施率かという問い合わせですから、その保険者に属する対象者の人数をかけて出してい る数ではないという認識でよろしいですね。 ○勝又保健指導室長 そうです。 ○内田委員 実際の実施率は我々の現場の感覚からすると、はるかに低いという感覚でいるので すが、そういうことでよろしいでしょうか。 ○勝又保健指導室長 そうです。 ○内田委員 もう一点は、保健指導が本当に成果を出すかということに関して、さまざまな議論 があると思っています。実際の保健指導の有効性、対象者の選定の仕方、保健指導の実際の内容 等につきましても、まだまだ全然評価されていないということがありますし、現場の感覚で言い ますと、74歳で切るのはどうして、40歳以下はどうしてやらないのというのはすごくあるんで す。  そういうものも含めて、やはり特定健診・特定保健指導につきましては、できるだけ今後どう いう方向性に向かっていくか、一定の中間評価を踏まえる必要も勿論ありますけれども、早期に 検討を再開していただきたいということを強く要望したいと思います。 ○永井部会長 確かにこの受診率は大きい保険者と小さいところがあって、そのウェートがかか っていないですね。そこは加入者数をかけて平均すれば大体出てくるのではないでしょうか。  何かほかにございますか。加賀谷委員、どうぞ。 ○加賀谷委員 前の2つの議題とこの特定医療健診と合わせてですが、「健康日本21」の中間評 価を踏まえて運動基準というのがつくられて今回実施され、またここでも使われていると思うの ですが、それが妥当であるかどうかについては、ある一定の期間で見直しをしてつくり直してい く。それは食事摂取基準と同じような考え方でやっていくということがこの前、話が多分あそこ に書いてあったように思うのです。  この前つくりましたときにはエビデンスが少ないところでつくったものとか、なくて盛り込め なかったところもありますので、それをやることになりますと結構短期間でやらなければならな いので、準備が必要かと思うのですが、その辺は今どうなっているか教えていただきたいと思い ます。 ○関生活習慣病対策室長 具体的に申しますと、エクササイズガイド2007年に考え方と実施の ガイドをつくったわけでございますけれども、新しくメッツあるいはエクササイズという概念を 導入した結果と言っていいと思うのですが、例えばフィットネスなどでする場合にメッツという 単位などもかなりの勢いで広がってきております。  エビデンスの程度というところがございますけれども、少なくとも運動というものをエビデン スと結び付けて論じていって、ああいうガイドをつくったという流れというものも、ある意味画 期的なものだったと思うんですが、2007のときに大きく考え方を変えておりまして、その後や はりこの分野でのエビデンスというものについても内外で蓄積されてきていると思います。  当面は今年度もそうでございますけれども、厚生労働科学研究の中でそういったデータを集め ながら、ひいてはエクササイズガイドの改訂に結び付くようなエビデンスの検証をやっていただ くような研究班も具体的に存在しておると認識しておりますので、そういった研究班の取組みを まずは進める中でデータをいただきながら、最終的にこのエクササイズガイドというのは国で検 討会をつくってまとめております。  そういった動きにしていく上でのエビデンスの蓄積については、当面、研究費の中での取組み でやっていただくということを一応想定はしてございます。 ○加賀谷委員 エビデンスの蓄積についてはよくわかりましたが、大体何年度ぐらいにもう一回 見直そうという、そういう全体的な大きな枠組みというのはお持ちでいらっしゃらないでしょう か。 ○関生活習慣病対策室長 この後、日本人の食事摂取基準の話が出ますが、あちらの方はもう少 しベーシックな栄養素の摂取に関するということで、戦後の長い歴史の中での取組みで5年に1 回というのはある意味暦感が出てきて、これまで改訂をしているところでございますが、エクサ サイズガイドにつきましては、例えば何年後に見直しをするということを、前回つくったときに 宣言してつくったということではございません。  恐らくやはりそこのところはエビデンスの蓄積の度合いがどのぐらいのスピードで、どのぐら いの数の文献が集まってきているかという話ですとか、あるいはメッツという考え方を含めてエ クササイズガイドの具体的な考え方がかなり日常の運動を実際にされる方々の中に、あるいは運 動だけではなくて身体活動も数えるということでございますので、そういった考え方が浸透して きている状況を見ながら、やはり改訂は必要になってくるという認識でおります。  それが何年サイクルでというところまで、ある意味歴史がそこまで深くないということもある のですけれども、改訂作業ということ自体は非常に大事なことだと思っていますので、少しその 辺は私どもの方でも近い将来の改訂ということを一応念頭に置きながら、エビデンスをつくった りしていく取組みの状況を見ていきたいと思っております。 ○永井部会長 よろしいでしょうか。次に進ませていただきます。  受動喫煙防止対策の在り方に関する検討会報告ということで、森専門官から伺います。 ○森たばこ対策専門官 よろしくお願いします。  「受動喫煙防止対策のあり方に関する検討会」ですが、資料6−1をごらんください。受動喫 煙防止対策は、先ほどから何遍も出ております健康日本21のたばこ対策の中で、4つの柱のう ちの1つとして取り上げられているほか、健康増進法25条に基づいて取組みがこれまで進めら れてきました。  国際的な潮流を見ましても、平成17年2月にたばこの規制に関する世界保健機関枠組み条約 というのがまとめられ、日本も締約国として参加しているのですけれども、その中でたばこの煙 にさらされることからの保護に関するガイドラインというのが平成19年に採択されまして、そ れに基づいて我が国としてどういったことを行うべきかいうことで、平成20年3月より平成21 年3月まで6回にわたって議論され、報告書がまとめられました。  基本的な考え方ですけれども、基本的な方向性として多数の者が利用する公共的な空間につい ては、原則として全面禁煙であるべきという形で、全面禁煙という言葉を打ち出しています。た だし、社会情勢の変化に応じて暫定的に喫煙可能区域を確保することもとり得る方策の1つとし て、すぐにすべてのところは禁煙するということではなく、やはりいろいろな経済的な状況や、 そのほかの社会的な状況を見ながらやっていくということを言っています。  受動喫煙を含むたばこの健康への悪影響について、エビデンスに基づく正しい情報を発信する ということが重要であり、受動喫煙防止対策が国民から求められる気運を高めていき、そういっ たものをやりやすくしていくということが必要であると言っております。  喫煙者の方に対しても、喫煙者が自分のたばこの煙が周囲の者を曝露していることを認識して もらうような普及・啓発をやっていく必要があるということをうたっております。  具体的に推進すべき受動喫煙防止対策として下に書いておりますけれども、国及び地方公共団 体は、全面禁煙とすべき施設・区域を示すことが必要である。  国は受動喫煙防止対策の取組みについて、進捗状況や実態を把握することが必要であるという ことで、国や地方公共団体がどうするかということを書いております。  施設管理者に関しましても、施設管理者及び事業者は全面禁煙が困難である場合においても、 適切な受動喫煙防止措置を講ずるように努めることが必要であり、喫煙可能区域を確保した場合 には、その区域に未成年者や妊婦が立ち入ることがないように、措置を講じることが必要として おります。  受動喫煙は働いている従業員の方にも及ぶということで、従業員を健康被害から守るための対 応ということについて、今後も検討をしていく必要があるという形になっております。  そのほかの対策として、有用な調査や研究を進めて、エビデンスに基づく正しい情報を発信す ることが必要であるということや、禁煙を促す情報や新しい概念などについての情報提供という のも行うことが必要であるとしております。  また、たばこの健康への悪影響について普及・啓発し、禁煙を促す方法について健康教育の一 環とし、一層推進することが必要であり、そういった教育に携わる人だけではなく、保健医療従 事者の方々も健康教育に積極的に加わっていく必要があるということが書かれております。  今後の課題としましては、暫定的に喫煙可能区域を確保した場合にも、子どもに被害が及ばな いようにすることがとても大切であるということや、先ほども出ましたが、職場において従業員 をどうするのかという問題、たばこの価格、税の問題、受動喫煙防止対策を実効性を持って持続 的に進めるための対策、努力が必要であることをうたっております。  世界全体として受動喫煙防止対策に取り組むという気運を、従来にも増して醸成することが重 要であり、そのために効果的な方策を取るとともに、速やかに行動を起こす必要があるというこ とが書かれております。  こういった内容を受けまして、当方としましても内容に合わせるような形でこれからまた普 及・啓発をするなり、地方公共団体と手を組み、いろんな活動をしていきたいと考えております。  以上です、 ○永井部会長 ありがとうございます。御質問、御意見ございますか。 ○澁谷委員 5月は世界禁煙デーがあると思うのですが、これまでの世界禁煙デーの取組みとい うのと、今年の取組みは何かやはり進んできているのでしょうか。 ○森たばこ対策専門官 5月の禁煙デーに関していろいろな情報提供が遅れて大変申し訳ござ いませんが、これまでどちらかと言うと、たばこを専門にする方がそこで集まって、決起集会と 言うと言葉が悪いのですけれども、そういった形でやっていたのですが、今年はできるだけ外に 開かれるような形でということで5月31日に計画しているところでございます。 ○永井部会長 渡邊委員、どうぞ。 ○渡邊委員 この報告書はどなたが、どなたに宛てて書かれている報告書なのでしょうか。 ○森たばこ対策専門官 兼好局長の下に置かれた検討会において、検討会のメンバーによってま とめられ、健康局長宛てに出されたものになっております。 ○渡邊委員 わかりました。資料6−2の6ページ(3)にたばこ価格・たばこ税の引き上げに よって云々というところがありますが、私たちは長年、たばこ事業法を廃止して健康増進法に一 本化するべきであると主張してきたのですけれども、大変難しい課題だと思いますが、そういう 方向も同時に検討していただければと思います。 ○永井部会長 いかがでしょうか。 ○関生活習慣病対策室長 たばこをめぐっては、1つ渡邊委員の方からある意味象徴的な御意見 を賜ったわけですけれども、税源としてのたばこ税という話と、健康に対する影響ということは 明らかですので、喫煙率を減らすという観点から、たばこの税の増税をして予防していくという ことは普通余りないのですが、そういうことに私どもも毎年チャレンジをして、毎年年末の税の 審議のときにはいろいろなことが起こるわけでございます。  やはり、たばこ枠組み条約の考え方の中で、公衆衛生施策の1つとしてもたばこ税あるいはた ばこの価格の問題に対して、果敢にチャレンジしていくということが重要であるということは、 世界の公衆衛生当局、それぞれの国の公衆衛生を担う政府機関の役割であり、また公衆衛生施策 としての方法論であるということが、ある意味国際的に樹立されたものだと思っております。  そういった面で価格面からのアプローチということについても、ある意味国民の健康を守るた めの取組みの一環なのだという気持ちで取り組んでいくということを申し上げたいと思ってお ります。  法律の枠組みの問題になりますと、いろいろな施策決定過程の中の利害関係の非常に難しい分 野であるというのも、多くの方が経験されていることでございまして、私どもとしてはそういう 中でもある意味具体的に、歩みが遅いかもしれませんが、喫煙率が我が国でも減少してきている という問題ですとか、一方で若い女性の喫煙率の問題ですとか、気をつけなければならない部分 というのがあって、効果をある程度もたらしつつ、あるいは社会全体の雰囲気、風潮というもの の波にうまく乗りつつ、かつやはり問題となって顕在化してきているところをきちんと対応して いく。  つまり、ターゲットを明確にして取組みをしていくということに、これまで以上に細心の注意 を払いながら取り組んでいきたいと思っております。 ○永井部会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。  もしよろしければ、次の日本人の食事摂取基準の策定及び食育の推進体制について、御説明お 願いしたします。 ○河野栄養・食育指導官 資料7−1に基づきまして説明させていただきます。  食事摂取基準につきましては、国民の健康の維持、生活習慣病の予防を目的としたエネルギー 及び各栄養素の摂取量の基準ということになりまして、現在使用している2005年版が2005年度 から今年度までの5年間使用するもので、2010年版につきまして、2010年度から5年間使用す るものということで、現在改訂の最終作業を進めているところでございます。  2010年版策定の検討のねらいですが、大きく3点ございます。1つ目は食事摂取基準でエビ デンスに基づく策定を基本としておりまして、過去5年間における文献レビューに基づく数値の 見直しを行うこととしております。今回の2010年版では約1,300本の文献レビューを実施して おりまして、前回の2005年版では約900本でしたので、委員の先生方の御尽力もあり、充実の 方向で進められております。  2つ目として、ライフステージにおける現状や健康課題ということで、特に妊産婦、乳幼児並 びに高齢者については特有の課題もございますので、個別に横断的な検討を行うこととしており ます。  3つ目としまして、食事摂取基準をどう使うか、その活用も重要となりますので、活用の基礎 理論についても検討を行っているところでございます。  なお、主な変更点については1枚おめくりいただきまして、幾つか取り上げておりますので御 紹介させていただきます。  基本事項としましては上限量という表現につきまして、過剰摂取による健康障害を未然に防ぐ ことを目的としているということを、より的確にあらわすという観点から、耐用上限量という表 現に改めることとしました。  年齢区分については、乳児の部分について前回までは6か月未満、6か月以降の2区分になっ ておりましたが、体位の発達に応じて数値を算定できる部分は対応するということで、6か月以 降を更に2区分に分けまして、6か月未満と合わせて3区分に変更しております。  各論としては、エネルギーについて設定された推定エネルギー必要量は、小児などその実態に 即して低下している部分があるとともに、高齢者につきましては、下から2行目になりますけれ ども、元気で健康な高齢者については身体活動レベルが高いという知見もありまして、増加とい うことになっております。  ナトリウム(食塩相当量)につきましては、生活習慣病の中でも高血圧やがんとの関連を検討 した疫学研究でありますとか、現在の日本人における摂取量、諸外国における食塩摂取目標値な どを参考にしまして目標量を検討しましたところ、男女とも現行より若干低く、男性9.0g、女 性7.5gに変更することとなりました。  カルシウムにつきましては、前回では推定平均必要量・推奨量を算定するのに、十分な科学的 根拠が得られないということで目安量が算定されておりましたが、今回は推定平均必要量・推奨 量の算定となっております。  ライフステージとしましては、妊婦につきまして妊娠期間中の望ましい体重増加量である、至 適体重増加量に関する知見が整理されましたので、妊婦末期では500kcalから450kcalという変 更が生じております。  活用理論につきましては、給食の重要性にかんがみまして、給食管理についても整理を行って いるところでございます。  なお、3月27日に行われました食事摂取基準の策定検討会の資料としてお示しした概要案に つきましては、資料7−2として添付しております。  現在とりまとめ作業の最終段階に入ったところで、5月末には数値並び解説の文章も合わせた 報告書全文の公表を目指しまして、作業を進めているところでございます。  以上となります。  続きまして、食育の推進につきましては、資料8をごらんください。  1ページにつきましては、政府における食育推進の体制を示しております。国におきましては 食育推進会議ということで、食育推進基本計画が策定されておりまして、平成18年度から今年 度で4年目に入るところでございます。  関係省庁としましては内閣府、文部科学省、厚生労働省、農林水産省等による施策の実施とい うことで、具体的には現在、内閣府を中心にして平成21年版食育白書の作成作業が進められて いるところであり、食育推進評価専門委員会が6月初旬に開催されるということで、特に推進基 本計画に盛り込まれた数値目標について、議論を進めていくことになっております。  地方公共団体につきましては、都道府県では食育推進計画が既に全て作成されて、市町村食育 推進計画の作成が進められているところだと伺っております。  なお、厚生労働省の食育の取組みについては、2ページ目にお示しをしておりまして、大きく 3つの柱がございます。1つは国民健康づくり運動「健康日本21」の推進、2つ目の柱が「健 やか親子21」による母子保健活動の推進、3つ目が食品の安全について消費者等とのリスクコ ミュニケーションの推進となっております。  (1)の国民健康づくり運動「健康日本21」の推進の中では、先ほど来説明がありました「健や か生活習慣国民運動」の推進であるとか、国民健康栄養調査の実施、食事摂取基準の策定ととも に、食生活改善推進員の活動の推進等もございます。  ここには記載しておりませんが、歯科保健課の方では昨年12月から、歯科保健と食育のあり 方に関する検討会も進められておりまして、歯科からの食育の推進についても図られているとこ ろでございます。  以上で説明を終わらせていただきます。 ○永井部会長 ありがとうございました。以上2点につきまして御質問、御意見いかがでしょう か。 ○池主委員 最後に御報告がありましたけれども、歯科の方からようやく食育という問題が、極 めて関係が深い分野だということについての社会的な認知が広まりつつあるということは、非常 にいいことだと思いますし、「健康日本21」のイベント等の中でも、かなり大きなウェートでこ ういう問題が取り上げられるようになってきた。  ただ、食事摂取基準というのは栄養の問題と、それがちゃんと口腔から自然に摂取されている、 ちゃんとかめる状態でそれが摂取されているという関係については、極めてまだ認識が薄いと思 いますので、今後こういった問題を、より歯科の部門でやっていくことがそのきっかけにはなる という目的での計画だと思いますけれども、より口腔で普通に、自然に人間が食べるということ の意味を、もう少し強く推進していただきたいと思います。  端的な例が、経管栄養とか胃ろうというものでの栄養摂取と、口からちゃんと食べている人の 栄養の内容というのが違ってくる。経管栄養では栄養失調みたいな状況下が起こりやすいという 状況が次第に明確になっておりますので、その辺も強調した運動を展開していただきたいと考え ております。  以上です。 ○永井部会長 ほかにいかがでしょうか。内田委員、どうぞ。 ○内田委員 食育に限らず、生活習慣病対策を考えますと、やはり厚労省の管轄だけで縦割りで 進めても、なかなか効果的な対策が取れないというところが非常にあると思います。特に小児期 からの栄養指導であるとか生活習慣病指導を考えると、文科省の管轄である学校保健とか、もっ と下の生まれたときから、母子保健の段階からの対策というのが、非常に重要になってくると思 うのです。  現状ではなかなかそこのところが見えてこないという、縦割りのままで推移していて、上手な 連携が取れてないというところを非常に危惧しておりますので、1ページ目の支援までは非常に よく書けているのですけれども、なかなか実効性が上がっていないという印象を非常に強く持っ ていますが、その辺の今後の方向性につきまして、何かお考えがあったら、事務局の方で聞かせ ていただければと思います。 ○永井部会長 事務局、いかがでしょうか。 ○河野栄養・食育指導官 先ほど御説明申し上げました食事摂取基準については、現在は数値を 決めているところでございますが、これから活用ということになってきますと、例えば児童福祉 施設でどのように使うということでは、母子保健課との連携が入りまして、文部科学省さんの方 では学校給食基準の見直しということで、これまで余り連携ということでは十分でない部分もあ ったのですけれども、担当課レベルではこういったエビデンスに基づいてという部分で、オブザ ーバーとして関与するということで今、話も出ておりますので、一つひとつのツールの中でも協 働を図りながら、食育全般についても進めていくことができたらなと考えております。 ○渡邊委員 私も食育の方の座長をお引受けしていますが、確かにできたときは主として全省庁 が本来は絡むのですが、だんだん経過を追っていくうちに、やはり厚労省と文科省と農水が中心 になって、内閣府がまとめるというスキームが国としてはできてきております。  実際には地域のコミュニケーションレベルで成功事例がだんだん出てきておりまして、先ほど 武見委員もおっしゃったように、例えば福井県の小浜市のように地域力アップに非常に貢献して いるところもある。文科省が2年前に行いました調査では、子どもたちの8、9割が生まれ故郷 は余り好きでないという答えだったそうですが、食育が成功している地域におきましては、8、 9割の子どもが生まれ故郷が好きだというように変わってきたということもありまして、この方 向は徐々に少しずついろんなところで熟してきているかなという気がしております。 ○永井部会長 そういうフォローアップ調査が行われているわけですね。 ○渡邊委員 一応継続してやっておりまして、栄養教諭も2,000名を超えて、今年はまた更に増 える予定であります。 ○永井部会長 ほかにいかがでしょうか。池主委員、どうぞ。 ○池主委員 最近、高齢化社会で老人の問題ばかりが中心になっているところがありますけれど も、やはり食の問題というのは子どもがちゃんと食べ始めてから課題になるところがあるので、 本当のことを言うとやはり妊婦さんたち、いわゆる母子保健の最も早期からこの問題が課題にな るような体制をつくるのが、最も効果的なのではないかという感じはします。  以上です。 ○永井部会長 加賀谷委員、どうぞ。 ○加賀谷委員 具体的なことではなくて、考え方の問題なのですけれども、今回変更になった点 で、エネルギーが子どもとか若年女性、妊産婦は低下しているという現実に合わせて変更という ことだと思うのですが、実は逆に私どもは子どもの身体活動が非常に減っているので、もっと上 げなければいけない。その結果として体力が落ちてきていて、将来の子どもたちが大人になった ときどうだろうか。あるいは若年女性の身体活動が非常に少ない。むしろそれが問題で上げよう ということを考えて今いろいろやっているのです。  覚えですが、かなり前の食事栄養所要量と言っていたころに、実際のエネルギー消費量と所要 量との間にギャップがあって、実は少ないのだけれども、その分、運動を250か300kcal上げる ことによって合わせようという、そういう考え方でつくられたことがあったように思うんですが、 そういうことについてはいかがでしょうか。  現実に合わせるとどんどん減っていってしまうかもしれないという心配があるんですが、いか がでしょうか。 ○河野栄養・食育指導官 御指摘のとおり、2010年、更にこの前の2005年版からエビデンスに 基づいてということが重視された関係もございまして、実態として出てきている文献に基づいて エネルギーについては今回低くなっているという状況がございます。  ただ、だからと言ってその実態をそのままでいいとは考えておりませんで、むしろ普及・啓発 として望ましい方向にどう近づけていくか。特に運動については小児について例えば望ましい量 というものがどういったものであるかということについて、恐らく研究班のエビデンスであると か、そういったものが整理される中で、啓発普及として進められる必要があると考えております。  先生御指摘のとおり、啓発普及でどういうふうに望ましい姿に近づけていくかというところに ついては、また大きな課題としてあると認識しております。 ○加賀谷委員 ありがとうございました。 ○永井部会長 よろしいでしょうか。それでは、最後に女性の健康支援対策について御説明お願 いします。 ○関生活習慣病対策室長 報告事項の最後の項目でございますが、女性の健康支援ということで、 具体的には資料9−1と横長の資料9−2を用意してございます。  「健康日本21」というのが、ある意味健康づくり全体のアジェンダと言いますか、全体の施 策の枠組みを示しておるものでございますけれども、そういった中のいろいろな部門に、そのと きどきのプライオリティの問題に政策的な焦点を当てながら、いろいろと政策を進めていくとい う中で、今回この女性の健康支援につきましては、これも2年前になるのですけれども、平成 19年に、特にその当時官邸を中心として、健康が国民の活力の礎であるということで、新健康 フロンティア戦略というものが賢人会議というものによってまとめられまして、ある意味そうい ったものの中に今回、昨年度からメタボリックシンドローム対策ということで導入された特定健 診なども位置づけられているという図式になっています。  新健康フロンティア戦略全体を見たときに、ある意味健康づくりというのは厚労省がかなり中 心になって進めているところではあるのですけれども、具体的な推進の母体の形成が十分でない という部分があった中で、女性の健康づくり、女性の健康力という新健康フロンティア戦略の中 につくられた1つの大きな柱について、母子保健に関する従来からの取組みというものは伝統的 にあるわけです。  女性の健康という観点で新たに考えていきますと、その母体となる組織ないし事務局というも のがなかったということで、新健康フロンティアで女性の健康力というものが柱として出てきた ことを契機といたしまして、厚労省の方でも検討がされまして「2.経緯」にございますような、 女性の健康づくり推進懇談会というものを開始したところでございます。  これは健康局長の下での懇談会という位置づけでございますけれども、戸板女子短大学長の江 澤郁子先生を座長といたしまして、20名ほどの委員で立ち上げまして、具体的に今後女性の健 康づくりという観点で取組みを進めていく上での理論的な整理ですとか、あるいは重点的な事項 といったことについて検討を重ねてまいりました。  その結果、1つは毎年3月1日〜8日の間を女性の健康週間ということで位置づけて、これま でも産科、婦人科の学会、あるいは産科、婦人科医の医会などの取組みとして、何年間かの蓄積 があったわけでございますが、そういったものを国も3月1日〜8日を女性の健康週間というこ とに定めまして、幅広い関係者の方々に、その期間にさまざまな啓発活動を展開していただくよ うに呼びかけるということをいたしました。  これは啓発という観点での枠組みということですけれども、もう一つ全体を通しての理論的な バックボーンとなったのが、男性と女性の性差というものを意識した取組みの必要性ということ で、女性の固有の健康問題としてこれまで認識されてきておりました母子保健、あるいはそれに 少し幅広くとらえてあるリプロダクティブ・ヘルス/ライツという問題。  がん検診で言ってみれば、女性のがんということで子宮頚がん検診、乳がん検診といったがん 検診の事業を行って、その啓発をしたり、受診率を高めていくという取組みを更に広げていくと、 男女差というものを意識したきめ細かな健康づくりが必要であって、特に生涯を通じての体の変 化というものを男性以上に大きく経験する女性という観点で、どういう取組みをしていくのかと いう検討を、この懇談会の中でしていただいてきております。  幾つかの基本的な考え方ということの整理をしていただいたわけですけれども、ライフステー ジを通じたさまざまな時期に応じて、まずは女性があらゆるライフステージの中で、自分の健康 について自分で大切にしていくことができるように支援をしていくという観点、あるいはその要 素の情報の面で支援していく。  これは自分の健康情報を必要なときに取り出せるような形で維持して管理していくというこ ともございますし、あるいはライフステージごとにさまざまに異なってくる健康ニーズに呼応し た、そのときそのときに本当に必要な情報が、質の高い情報として手に入るという環境整備です とか、そういったことの重要性ということで理論的にいろいろな議論をいただきまして、結果的 にそれをどういう形で施策として、次の一歩を進めていくかという議論の中で、懇談会での検討 を軸にいたしました。  私どもの方で予算要求をして、21年度の予算として予算をいただくことができたのが、2枚 目にございます女性の健康支援対策事業というものでございます。  具体的に申しますと、これは国が行う事業なんですけれども、さまざまな女性の健康支援とい う観点に着目いたしました事業を地方公共団体、具体的には都道府県あるいは保健所を設置する 市、東京都の特別区というところが国の事業の委託を受けて、取組みをすることができるような 事業ということで、予算の規模といたしましては、当初予算の中で21年度3億4,000万ほどの 予算を新規に獲得することができました。  この中で特に行っていただくことといたしまして、一番下のところに21年度、22年度と書い てございますが、2年間ほどの時間的枠組みの中で、21年度の例示というところに書いてあり ますような幾つかの要素から成る事業を多面的に展開していただく。  具体的に言いますと、その地域での全体の企画をする、あるいはそれを評価していく企画・評 価のための会をつくっていただくわけですが、具体的には若年者、10代後半〜20代ぐらいにか けて、まず自分の健康についての知識を得て、自分の健康と向き合っていく。自分の体について の知識を得て、それを自分で守っていくという意識を植え付けていただく時期。  それから、更年期と言われる時期におけるさまざまな健康問題、これは更年期症状ということ もございますし、その時期に多いメンタルヘルスの問題もございますし、あるいは健康問題と表 裏一体になるような生活上のさまざまな諸問題、生活と密着した問題といったこともございます が、そういった更年期をめぐる問題。  もう一つはがんの問題で、がんに関する啓発、がん検診の受診率の向上といった、若い時期、 更年期、女性のがんというものに着目した3つの要素から成る事業を展開していただきまして、 その中に一貫して一人ひとりの女性が生涯を通じて、自分の健康は自分で管理していけるような 社会的サポートを各自治体で行っていただくという、そのための効果的な事業を展開していただ いて、国の方に報告していただくという事業ということで、新規に予算をいただくことができま した。  現在この事業を実施していただく自治体を募っているところでございまして、約30自治体で 実施するとすれば、1自治体当たり約1,000万円程度の予算でということになるわけですが、こ れから国会審議でございますけれども、補正予算が今、政府案のところまで来ておりますが、そ の中では箇所数を増加するということも今、政府全体の中での取組みとしてございまして、この 資料にございますような箇所数を大幅に増加したような補正予算を含めますと、日本の中のかな り多くの自治体でこういう取組みをしていただくことによって、この女性の健康、特に性差を踏 まえたきめ細かな取組みを進めていく足がかりにしていければという取組みでございます。  ということで、新健康フロンティア戦略というものに礎、端緒があるわけでございますが、そ の後厚労省の方でも内閣府の男女共同参画推進室と協力いたしまして、理論的な枠組みを詰め、 こういった事業の予算化をしてきたという展開で、健康づくり全体の中のある一部分ということ でございますけれども、特にこういった部分についても重点的な取組みを進めていきたいという、 直近の展開があったものの御報告ということでございます。  以上でございます。 ○永井部会長 ありがとうございます。いかがでしょうか。 ○寺脇委員 薬剤師会の寺脇といいますけれども、我々薬局には女性薬剤師がたくさん働いてお りますので、幾つかの県で女性サポート薬局というのを提唱しております。今後の事業を展開し ていく上で、是非地域活動の中に女性サポート薬局を御利用くださいますように、宣伝をしてお きます。よろしくお願いします。 ○永井部会長 笹月委員、どうぞ。 ○笹月委員 私は2年前ぐらい前に同じような発言をして、いたくひんしゅくを買ったのですが、 健康の面で女性を守る、あるいは女性を支援する。いろんな病気の罹患率、がんとか、もろもろ 脳神経、脳血管障害は男性の方が圧倒的に多い。あるいは寿命を見ても女性の方が長い。  性差ということでそういうことが説明できるのか、あるいは環境。例えば男性が飲酒、喫煙、 エイズの動向委員会でのデータを見ると、圧倒的にHIVの感染は男性の方が多い。要するに男 性の方が悪い環境に曝露しているので、それは自業自得ですみたいなところもあるのかもしれま せんけれども、いわゆる本当に学問的に性差に基づいた医学という、何かそういうものが少し厚 労省の厚生科研費か何かでサポートされるのがいいのではないか。  女性を支援するというのは社会的に見ても、施策の上でも非常に重要なことだとは思いますけ れども、一方全く生物学的、科学的な意味でも性差の医学というのも何か立ち上げていただくと いいのではないかと思います。 ○内田委員 私も1つはその点を申し上げたかった。おっしゃったとおりで、ひがみから申し上 げるわけではないけれども、男性の方がはるかに疾病の罹患率も高いし、平均寿命も短いという 現状がある中で、女性だけを取り上げて対策を立てるというのはいかなることかということは、 一言申し上げたい。  ちょっと別の話になりますけれども、今、内閣府の方で少子化対策であるとか、そういうとこ ろが立ち上がっていて、女性の健康を取り上げてそこに健康支援に対する予算を付けるという話 になったときに、例えば少子化対策とか女性のがんの対策といったときに、そういう絡みでどこ が予算を付けるのか、予算を付けやすいのかということを教えていただければと思います。  例えば子宮がんの検診なんていうと、女性のがん対策でもあるし少子化対策にもなる。今、子 宮がんのがん検診は二十歳からになっていますし、もっと若年層からのHPVの感染といったこ とも話題になっておりますので、そういう対策を考えると、それが少子化対策でも予算が付きや すい話ではないかなという印象をちょっと持っているんですが、厚生労働省としての考えを聞か せていただければと思います。 ○関生活習慣病対策室長 ありがとうございます。難しい質問で、どういう予算が取りやすいか というのは、それはそのときどきの政策環境の成せる業というところもありまして、今、内田先 生が御指摘のように、がん対策1つ取りましても、我が国の子宮がん検診の受診率の低さという ことを何とかしなければいけない。  がん対策基本法の中で目標の数値として、50%を目指すというところもうたっているわけです が、諸外国に比べてもはるかに低い受診率であるわけで、一方でがん検診の実施そのものの本体 のところでは今、市町村の一般財源化されているという実態の中で、どう検診受診率の向上を図 っていくか。  今回も実は予算として、がん対策推進室の方の予算でございますけれども、さまざまな受診率 向上のための工夫を自治体に講じていただいて、がん検診そのものの実施の費用ではないのです が、そういった受診率向上のための努力について、国の予算で対応するという事業もできてきた りしているところでございます。  どういう予算が取りやすいかという直接の質問のお答えにはならないということではあるの ですけれども、やはりそのときどきの、先生が御指摘のように少子化の問題にヘルスの方からど う対応していくのかという問題ですが、がんの問題という対策基本法があって目標も定められて いる中でどうしていくのかという、そういった問題についての社会的関心を大きく反映して、こ の分野については特に女性の分野について、今回は若干の予算をいただくことができたという結 果論でございますけれども、そのときそのときの精一杯の努力の中で予算が付いていくというこ とではないかと思っております。 ○永井部会長 女性の健康支援という場合には、心のケアというのも入っているのでしょうか。 個人的な経験ですと、女性の場合には非常に健康不安が強いように思うのですけれども、その辺 の支援というのは含まれているのでしょうか。 ○関生活習慣病対策室長 今回のモデル事業の中でも、その辺のところは含めておりまして、そ ういった面についても配慮した形での事業展開をお願いするという形の呼びかけになってござ います。  そういった意味でも、いろいろなメンタルヘルスの性状や頻度の問題の差異ということもあり ますし、そういった面でもやはりかなり性差というものが顕著に出てくる分野ではないかとも思 っておりますので、専門の先生方もいらっしゃる中で非常に素人っぽい話ではございますけれど も、そういった意味での関心も非常に高い中での取組みをお願いしているという状況でございま す。 ○武見委員 確かに女性よりも男性についてという御意見があったのですが、女性のこうした健 診の場とか、女性に対する健康のサポートの場があるというのは、ある意味では女性にとって健 康のことを学ぶ場、学習の場になると思うんです。  そういう意味で、現状では女性が家族の健康管理であるとか、特に食生活の面などではやはり 主体的になっている部分があるという意味では、結果としてそれは多くの人に波及していくこと につながるのかなと思うのです。  それで1つ質問なのですけれども、先ほど若年女性というのは10代後半から20代ぐらいの女 性という、その方たちへのアプローチの場として具体的に、勿論妊娠、出産ということが起これ ばその場はあると思うんですが、その前段階としてどういう場を具体的にこの事業の中というか、 この政策の中では考えていらっしゃるか。あるいは議論になっているか。やはりそこをどこでア プローチするかはすごく難しい対象層ではないかなと思うのですが、いかがでしょうか。 ○関生活習慣病対策室長 その辺りにつきましては、幾つか先駆的な地域での取組例なども少し 教えていただきながら、事業のイメージをつくるということで少し勉強してきた経緯があるので すけれども、やはりどの自治体も問題意識は非常に高く持ちつつ、苦労しているところかと思い ます。  具体的に言いますと、例えば高等学校ですとか大学の場というものを、どう活用できるかとい うことですとか、大学と言いましても、健康指導を行っている保健管理室のようなところと参画 ということもあるでしょうし、あるいはそういうことに限らず大学のキャンパスの中での取組み という別の観点もあるのかもしれませんけれども、やはり高等学校あるいは大学といったところ の活用というのは1つ、具体的なイメージとしては念頭に置いている部分がございます。 ○永井部会長 よろしいでしょうか。池主委員、どうぞ。 ○池主委員 今の女性の問題で、漠然とした考え方なのですけれども、いわゆる今の日本の高齢 社会を支えているのは女性の寿命ですが、必ずしも健康寿命という観点で見ると、女性は男性と 寿命の差ほどはないのではなかったかと思うのです。  やはり「健康日本21」でも目指すのは健康寿命の延伸ということですから、そういう総合的 な観点から行けば、むしろ課題はその辺にあるのではないかなという気がするのです。 ○永井部会長 いろんな問題が含まれているようですが、よろしくお願いいたします。  上谷委員、どうぞ。 ○上谷委員 これは委託事業という形で、委託先が都道府県並びに保健所設置市、特別区という 形になっておりますが、委託事業ということは10分の10事業だということだと思うのですが、 限度枠というものはあるのでしょうか。 ○関生活習慣病対策室長 これは具体的に当初予算で言いますと3億数千万の予算で、一応目安 としてですけれども、30自治体程度でということで予算の説明上はなっておりますので、単純 に割り算をすれば1,000万円程度ということでございましたけれども、実際にはそれが上限とい うことではございません。  今またヒアリングをしながら具体的な事業の内容に応じて、特にその事業の額の制約をあらか じめ設けることなくヒアリングをしていくということで今、担当の方では作業を進めております。 ○永井部会長 よろしいでしょうか。それでは、議事3へ進めさせていただきます。  「その他」でございますが、何かございますか。 ○渡邊委員 健康栄養研究所の理事長をしておりました渡邊です。私が2期目の中期計画を計画 したときに、評価委員の方からテーラーメードニュートリションを開発してくれという要望があ りまして、4年間ずっとそれに取り組んできました。  その一部は食事摂取基準などに反映されて出てくると思うのですが、その過程で食事摂取基準 というのは健康人を対象につくられているものなのですが、病人に対してのアプローチがなかな か統一されたものがなくて、現実には病院でどのような栄養療法が行われているのかというのが わからない面があります。  食事摂取基準は平均値プラス2SDで、95、96%の人が不足がないように推奨量を決めており ますので、それをそのまま病院に当てはめますと摂り過ぎとか、そこまでの量は摂れないという ことがしばしば出ております。  最近はNSTを持った病院が1,000弱になってきましたが、施設間のばらつきもかなりあるよ うでありますし、経管栄養や胃ろうの適正化とか、その辺りの問題も検討する必要があるのでは ないかと考えております。  もう一つは、病院自体は委託給食が随分増えておりまして、嚥下困難食など病者用食品の基準 化もまた今回変わりましたし、管理栄養士による栄養指導などについても、一度現状をきちっと 検討した方がいいのではないか。  いろいろ考えまして、当部会に栄養療法委員会のようなものを設置していただくといいのでは ないか。委員会の設置につきましては、運営規程の第8条で、部会長が必要があると認めるとき は、部会に諮って委員会を設置することができるとありますので、今日でなくてもいいのですが、 是非御検討していただきたいと思います。 ○永井部会長 いわゆる病気の方に対する栄養摂取ということですね。いかがでしょうか。 ○大橋委員 私は行政の立場として、生活習慣病をどうやって地域の住民に広めるかという責務 があると思って、またこの会議に官としても出させてもらっているわけですから、責任があるわ けでございまして、生活習慣病について有名な方をお招きして講演をしておりました。  初めは大勢来ました。だんだん数が少なくなってきますけれども、そこで地元の開業医の先生 方に生活習慣病について講演をやってもらって、保健師とか栄養士の先生方にそういう講習をや ってもらっています。それを見ていますと、大体いつも来るのは同じ人がかなりいて、初めての 人は非常に少ないという状況があるわけなのですね。  確かに高齢者の老人クラブなんていうと、メジャーを持って行ってやってくれてもありがたい なと思って集まって、婦人会は私のところは非常に田舎だからそういうのがかなり広まるのです けれども、なかなかいい方法がなくて、自分なりに考えたんですけれども、やはりいろんな講演 のあいさつのときに、交通事故のことも必ず気をつけろと言うんですが、生活習慣病は1に運動、 2に食事、しっかり禁煙、最後に薬。私はそれしかないのではないかと思っているので、これを いつも暗唱するようにと言っています。  食事のときに恥ずかしくたって必ず言えと、声に出せない人もそれを思って食事しろというこ とを言っているのですけれども、生活習慣1に運動、2に食事、しっかり禁煙、最後に薬。これ はなかなかいい言葉で、だんだん覚えますもので、これを1日1回必ず言うようにと言っている のですが、もっといい方法があったら教えていただきたいなという願いでございます。 ○永井部会長 今、2点御提案があったんですが、最初に渡邊先生からお話があった栄養療法委 員会、これはいかがでしょうか。  これは学会ではどういう取組みになっているのでしょうか。 ○渡邊委員 一応幾つかの学会、例えば病態栄養学会、糖尿病学会、メタボ撲滅委員会とか、い ろいろ声をかけておりまして、皆さんやはりこういう1点にコアをつくってまとめて検討すると いいのではないか、支援したいという方向で御協力を得られそうであります。 ○永井部会長 内田委員、どうぞ。 ○内田委員 私は渡邊先生の御提案に賛成なのですが、ただ食品関係の委員会で病食に関しての 検討会が、たしかあったように思うんですけれども、そことの整合性をはっきりしていただけれ ば、そういう御検討をされるというのは是非ともやっていただきたいと思いますが、いかがでし ょうか。田中先生が座長をされている検討会があったように思うのですけれども。 ○永井部会長 事務局いかがですか。 ○内山委員 トップの方で病院食に関しても話題が出ていたのです。 ○関生活習慣病対策室長 今の渡邊委員の御提言の話でございますけれども、さきの2月に厚生 科学審議会の総会が開かれたときにもそのような話題が出ておりまして、そのときに厚生科学課 あるいは議事総括委員会の方でお答え申し上げたのは、審議会全体の中のそれぞれの所掌の中と どう整合するかという話でした。 ○内田委員 多分、中村先生が詳しいと思います。 ○中村委員 先ほどの内田先生の話は、日本に特別用途食品制度というのがございまして、その 中に病者用特別用途食品というのがあります。これは病人に使う特別な食品を国が認めようとい う制度なのですが、その委員会が立ち上がって検討が行われ、新しい特別用途食品制度が発足し たという時点でございます。  恐らく渡邊先生の話は食品に限定された話ではなくて、医療において栄養管理だとか食事指導 がどう行われているかということを、もう少し明らかにした方がいいという御提案だろうと思い ます。 ○永井部会長 そういうことを踏まえてどうなのでしょうか。事務局の方でその辺の整理がつく のかどうかですね。 ○関生活習慣病対策室長 どういう形で整理できるかということは検討してみたいと思います が、一方で病態と関連した栄養指導の在り方といったことについては、私どもの方で窓口になっ ております厚生科学研究費の中でも、特定の疾患についての食事療法の問題ですとか、あるいは 病態栄養に関してのテーマもございます。  そういった研究班での取組みといったことも含めて、全体像をもう少し見た上で御検討いただ ければと思うということもありまして、次回以降のアジェンダの中でそういった面に配慮してま いりたいと思っておりますけれども、ちょっと考える時間が必要かなと事務局としては思ってお ります。 ○永井部会長 よろしいでしょうか。次回引き続き検討ということにさせていただきたいと思い ます。内田委員、どうぞ。 ○内田委員 大橋先生の御発言についてちょっとよろしいでしょうか。  先生の御発言は大変重要だと私は思っています。私自身も「健康日本21」の方にいろいろと 関わりがありまして、そういう立場から発言するというのはじくじたる思いもあるのですが、実 は「健康日本21」の中間評価でほとんどよくなっていないとか、悪くなっているという項目が 結構ありました。  そこの問題はどこにあるかというと、やはりポピュレーションアプローチだけでは非常に大き な限界があるんだろうということで、それを補完する意味でも今回の特定健診・特定保健指導の 事業を推進するということが、非常に大きな意味があるのかなと思っています。  つまり「健康日本21」は数値目標をたくさん挙げましたけれども、ほとんどの取組みが各関 係団体に投げてしまって、取組みの評価もその後の検証も、実は余り精密には行われていないと いう状況の中で、そういう目標達成が非常に遅れたという状況があるんだと思います。  今回実行委員会立ち上げて、産業界を巻き込んでというお話も進んでいるところですけれども、 これも単に産業界に広げただけで、やはり丸投げを繰り返すという危惧もなきにしもあらずと思 っておりますので、これは小澤会長も多田羅先生もいらっしゃるところで、私もその中に入って いる中で非常に大きな問題だと思っていますが、両方との相互の連携の中で国民の健康を全体と して改善していくという取組みを推進していくということは、非常に重要でないかと思っていま す。  先ほど大橋先生がおっしゃったように、なかなかポピュレーションアプローチだけではうまく いかないのだというところの取組みを、健診受診率を特定保健指導の効果を上げることで少しで も補完できるような取組みができればと思っているところです。 ○小澤委員 私も実行委員会の事務局の役をやらせていただくことになっておりますので、一言 言わせていただくというほどではないですが、今、御指摘のあったお話は全くそのとおりだと思 うんです。  先ほどの武見先生の御発言も、まさにひとつの行事ではなくて、地域に密着した形で地域に根 付いたものが本当の国民運動ではないかということだろうと思っているのですが、これから本格 的に斉藤会長を中心に実行委員会がこれからスタートしてまいりますけれども、そういう中で今 お話のございましたような御意見をなるべく多く出していただいて、本当に実効ある運動という のはどう進めたらいいのかというのを、今までにない形というわけにもなかなかいかないのかも しれませんが、本当に効果というものを念頭に置いた、勿論短期的な効果ということではなくて、 かなり時間はかかると思いますけれども、そういう活動を進められるように事務局としても応援 をして、皆様方のお知恵を拝借していきたいと思っております。よろしくお願いいたします。 ○中村委員 「健康日本21」のように期限を決めて目標値を設定して、国として国民運動を動 かしていくという技法というのは、恐らく1990年にアメリカがやったヘルシーピープル2000が モデルになっていると思います。  アメリカ政府がその総括をやっていますが、期待したほど効果が上がらなかったとしています。 実はアメリカだけでなくてヨーロッパでも同じような技法をやっているわけで、日本だけがうま くいかないという話ではないのです。  ひょっとしたら、こういう技法は人類に向いていないのかもわからないですが、国際的にやら れているので、それをどの国で成功している、失敗しているというのは少し研究をされたらいい と思うのです。  むしろ、アメリカでうまくいかなくて、実はその打開策としてリスクレベルに合ったハイリス クアプローチをやった方がいいという話があって、それを取り組んだのが保健指導なわけであり ます。  日本の方がある意味では進んでいるので、先ほど内田先生がお話ししたように、保健指導の意 義をもっとPRしないと、せっかく世界に先駆けて「健康日本21」のような方法ではなくて、 それと同時にリスクに対してもやったという、とてもいい政策をやっていながら、このまま行っ たらうまくいかないのではないかという話にならないよう、もっと積極的にやったほうが私はい いと思います。むしろこの保健指導は外国では物すごく注目しています。世界で初めてだろうと 思っています。 ○武見委員 私もポピュレーションアプローチだけではなくて、ハイリスクアプローチと両方や るということはとても大事だと思いますし、今の特定保健指導の話もそのとおりだと思いますが、 ポピュレーションアプローチの中というのは、何も一般的な健康教育とか薄いものをやるという、 それだけがポピュレーションアプローチではないわけで、例えばバランスよく食べるとか、もっ と食塩を減らすということがわかったとしても、それをできるような食物が手に入らなかったら うまくできないわけですね。安くてエネルギーとかが非常に高いようなものが安易に手に入れば、 やはりそちらに流れるということは人間にあるわけで、そういう意味での環境整備も含めてやる のがポピュレーションアプローチだと思います。  そういう意味で今回、産業界も巻き込むという中には、資料4−1にあるように産業界が社員 とか家族に対する健康教育をやっている場ではなくて、そこは場合によってはそうした、私は食 事が専門なので食でやらせていただければ、そうした食物を提供していく側、流通側にあるとこ ろがいっぱいあると思います。  そういうところにむしろ自分たちがつくっている製品とか、会社の運営の仕方にももっと健康 とかそういう視点をいかに取り入れてもらうことかということをやっていくのが、今回の運動の 中でうまく少しでもできれば変わっていけるのではないか。そういうポピュレーションアプロー チができれば多分内田先生のおっしゃっているようなことも、ハイリスクの方と併せてうまくい くのではないかと思いますが、できればいいなと思っています。 ○永井部会長 田中委員、どうぞ。 ○田中委員 今たまたま保健指導の話がでたものですから、私は非常に保健指導の重要性を管理 している医者で、国民保健中央会の田中と申します。   ちょっと関連して要望というか、先ほど勝又室長の特定健診・保健指導の説明の最後に、医療 保険者の方々と連携を取りという御発言がありましたが、私どもにとってもそれは願ってもいな い話です。  ただ、国保の保健師を一般衛生に移管して30年近く経つのですけれども、いわゆる一般衛生 から医療保険の国保への連携支援ということを言われながら、実績が全く上がらなかったという 背景の中で我々も連携はしたいのだけれども、そういったことを難しくする要素がどこかにある のではないかと思っています。  我々は特定健診・保健指導に関しては、できる限り自前で独り立ちしてできる体制をつくりた いと思っております。是非そういった体制を整備したいと念願しているわけです。  そこで要望したいのは、要するに昭和53年に一般衛生に嫁に出した保健師の子どもは大きく なっていると思うし、増えもしているようですから、是非市町村現場で国保への配属というもの を促していただきたい。そういった格別の御配慮をお願いしたいと思っております。  健診よりも保健指導の方が重要だという認識を持っておりまして、健診というのはあくまでも 保健指導へのデータ提供にしか過ぎないと思っております。そういったことで保健指導を徹底的 にやっていきたいと思っています。  それには、やはり保健師の国保配属が必須ですので、是非そういった御配慮をお願いしたいと いうことで、要望を申し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○永井部会長 いろいろお話があるかと思いますが、大体時間になりましたので、次回の日程等 について御説明お願いできますか。 ○関生活習慣病対策室長 次回の日程につきましては、また後日調整ということで御連絡させて いただきたいと思います。この部会は非常に頻繁に開くというものでもございません。事実1年 以上間が開いてしまって今回の開催となったわけでございますけれども、なるべく節目節目で御 議論いただきながら、また今日いただきましたようなことが、例えば「健康日本21」の全体の 評価に結び付いていくみたいなことに、十分心して当たりたいと思っております。  いずれにいたしましても、また日程調整の上、御連絡させていただきたいと思いますので、よ ろしくお願いします。 ○永井部会長 それでは、今日はこれで終了させていただきます。  どうもありがとうございました。 【問い合わせ先】  健康局総務課生活習慣病対策室  調査総務係    電話 03−5253−1111(内線2342)