09/04/20 第1回社会保障審議会介護給付費分科会調査実施委員会議事録 社会保障審議会 第1回介護給付費分科会調査実施委員会議事録 1 日時及び場所:平成21年4月20日(月) 午後3時半から5時半          厚生労働省 18階 専用第22会議室 2 出席委員:池田、田中、千葉、藤井、堀田、村川 3 議題  (1)介護報酬改定影響検証事業に関する基本的な論点について  (2)その他 ○宮島老健局長より挨拶。 ○鈴木老人保健課長より調査実施委員会について説明後、田中委員が座長に選出された。 ○田中座長より挨拶。 ○鈴木老人保健課長より資料2について説明。 ○吉野介護保険課長より資料3について説明。 (田中座長)  事務局からは、調査の時期は介護職員処遇改善交付金(仮称)の交付前の9月としてはどうか、 調査対象サービスとしては6種のサービス、調査対象職種については2職種にしてはどうか、と いう説明があった。それとは別に10月に国会を通れば予定されている介護職員処遇改善交付金 (仮称)についての説明もあった。  これらについて意見を伺う。 (堀田委員)  調査の基本的な考え方について、資料2の3頁目以降については概ね了解した。ただし、資料 2の2頁目について、全体として2点注意すべきところがあると思う。  1つ目は調査票設計にあたって、賃金のみならず、広い意味での処遇改善にどれだけ配慮がで きるかということ。  事業展開の見直しも含めた経営の安定化に向けた努力、賃金制度にとどまらず異動を含めたキ ャリア、能力開発、人事評価といった人事制度全体の体系化もある。教育研修機会や福利厚生、 コミュニケーションの充実といったものも処遇改善の一つといえるだろう。  また、人手を厚くすることもそうである。賃金は上げないけれども、負荷を減らすことによっ て処遇改善を図るという選択もあり得ると思う。  賃金も重要だが、それ以外の面も含めて、事業者の方々の御意見も聞きながら処遇というもの をトータルでとらえられる調査にすることが大事であると思う。  2つ目は分析にあたっての留意点という観点から。まず、調査結果から報酬改定の影響を検討 する際には、今回の改定までに十分に処遇を充実させる努力をしていたところと、そうでなかっ たところの仕分けができるように注意をしなければいけないと思う。  それから、そもそもこれは非常に解釈が難しい調査であるということ。報酬改定の影響なのか、 それとも交付金を想定したことによるのか、両方とも関係なく、それがあろうとなかろうとこれ までの連続性の上に処遇を見直す時期にあたったのか。従事者票については、1年前と比べて賃 金が上がったといっても、たまたまこの時期に、例えば資格を取った、それがなくてもその人の 賃金が上がるタイミングだったのかもしれない。調査結果が出てきたときに、報酬改定の影響、 交付金の影響、それからこれまでの連続性のうえにある変化の仕分けを慎重にしなければいけな いのではないか。でもその仕分けには相当難しく限界があるということは気をつけなければなら ないと思っている。  退席するので、総論的な意見となるが、以上である。 (田中座長)  交付金はダイレクトに賃金にいくとして、報酬改定の用途はさまざまな処遇改善形態もあり得 ること、それから、2月以降の調査の読み方についても今から言っておいていただいた。  他の点について意見を伺う。 (池田委員)  調査を行う場合は、一定の仮説をもってやるということになると思うが、そういった意味では 幾つか気になることを先に申し上げる。  介護従事者とは一体誰を指すのかという問題で、看護職員と直接介護をしている職員の方に限 定する。それが一番簡単でわかりやすいと思うが、それでいいのだろうかと思う。  とりわけ施設系で見られることだが、一定の社会福祉法人である場合、一定の規模の企業の場 合もそうだが、必ず幹部候補生というものを想定して育てていくというシステムをもっている。  この幹部候補生というのは、例えば特別養護老人ホームであれば大体生活相談員とかがなって いるということがあって、そこのバランスみたいなものを見るということも含めると、数は少な いですけれども少し対象を広げてみてはどうか。これは回収率とはほとんど関係なくできること である。  二つ目は、これも私の仮説だが、先ほどの説明にもあったように介護事業者というのは、大手 は極めて少なく、中堅も少ない。とりわけ在宅系のサービスにあっては、中小ではなくて零細。 零細企業が群居しているということがある。当然のことながら零細企業の場合は、経営コストが 非常にハイコストになってしまうので、配分率が悪くなるのは当たり前であるが、そこのところ をきちんと読めるような、事業規模も押さえてあるということで、そこは当然配慮されていると 思うが、そこのところは特に強調しなければならないところかなという気がする。  三点目は、賃金構造基本統計調査などを見ても、男女の差が明らかにはっきりしているという こと。私自身も地方公務員の介護職員の状況を、賃金構造基本統計調査で比較してみると、男性 の場合は例えば一部事務組合であるとか町村がやっている介護施設の職員と、ほぼ年齢で一致す る。つまり、地方公務員の一番低いところの賃金とかなり横並びになるわけである。  男性の場合は生活給という考え方で賃金が支払われているという可能性が高い。それに対して 女性の場合は年齢的には男性より高いが、賃金はかなり低い。つまり家計補助賃金的な扱いをさ れているということがある。そういった意味では恐らく男性の職員の場合と女性の職員の場合は 明らかに違いがあるわけで、その違いみたいなものがかなり正確につかめられるような配慮が必 要ではないかという気がする。  そこまでが資料2についての議論である。もう一つの介護職員処遇改善交付金(仮称)である が、これは2.5年分で、その後どうなるかわからないとはいえ、恐らく打ち切りになるだろうと思 うのです。そうすると、2つ疑問があるのです。  一つは、先ほど堀田委員がおっしゃったとおり、恐らくこの交付金をあてにして、前倒しで上 げるという可能性が高いわけです。それをどう読むか、これは読み方の問題になってくるが、そ こで随分バランスが変わってしまうなという心配が一つある。 (田中座長)  調査については、職種に関すること、事業所の零細性と男女の違いに着目すべきとの指摘をい ただいた。最後の点、一つ質問があったので、答えられるかどうかわからないが、いかがか。 (宮島老健局長)  本日は介護従事者の処遇改善の緊急経済対策のところだけを取り出し、調査に関係することだ からということでお示ししたが、今回の経済対策の中では、介護施設とか、小規模特養とか、地 域密着もそうだが、それの整備も経済対策として進めてくださいという、これは別途対策として 入っている。  例えば特別養護老人ホームであれば、小規模特養は今まで200万円の単価で交付金があるが、 この交付金単価を倍にするから整備を進めてくださいとか、あるいは社会福祉医療機構の融資率 も上げますよ、とかそういうものが入っており、それによって実は第4期の介護事業計画よりも、 更に前倒しして、5期分も含めて、整備を進めてくださいということを、各市町村にこれからお 願いしようと思っている。  ですから、これは第4期の介護事業計画とは別にやってくださいということで、介護保険制度 ということで考えると、今日御説明しました処遇改善の交付金の話と、整備の増、市町村事業計 画を上回る増の部分を第5期に向けて、どの程度になるかというのは、そのときまでわからない 要素もあるけれども、第5期に向けてどうするのかというのは、私どもも介護保険制度の中で保 険料にどういうふうにはね返っていくのか、あるいは第5期の計画にどのようにはね返っていく のかということを、検証委員会は検証委員会でやっていただくが、どういう対応があり得るのか ということは、また議論を続けさせていただかなければならないと思っている。  今、池田委員がおっしゃったように、単純に3年経ってこういうことがやめられるか、と言わ れると、交付金を処遇改善に結び付けるということになって、根っこの賃金なり何なり処遇の中 に組み込まれるということになると、単に打ち切るというのは難しくて、その次に続いていく手 当というのは必要になってくるなと私どもは思っている。 (田中座長)  他の点はどうか。 (村川委員)  既に2人の委員がおっしゃっていることと重なる部分があるが、資料2の2頁にあります基本 的な考え方としては、先ほど堀田委員等の指摘もあったとおり、賃金等だけではなく、福利厚生、 研修、将来的にはキャリアアップに関連した事柄等を視野に入れた幅広い処遇改善が浮き彫りに なる実態調査ということが望まれるので、賃金だけでないこうした事柄、既に取り組んでいる法 人や事業所、そうでないところも一部はあるかと思うが、2頁に記載されている基本的なスタン スというのはこういう流れでよろしいのではないかと思う。  今、局長からもお話があったが、委員の立場で考えると介護報酬3.0%の帰結という事柄と、新 たな交付金。同じ年度の中で行われるので、総合的に考えれば相まってということもあるし、あ る程度切り分けて考えるという両方の見方について、私もどちらがよいか迷っている面もある。 丁寧に考えれば、本日の事務局からの提案のように、資料2の3頁の下の方にありますが、調査 時期としては、何といいましても3.0%の介護報酬改定というものが正しく反映されたのかどうか。 人件費、賃金その他さまざまな事柄に各施設・事業所が対応されているのかどうかということと しては、9月末として行われる調査が適切だろうと思う。  ただ、同じ年度で交付金等の動きが出てくると、これは本当に関係者には負担をかけるが、も う1回、年度後半で、例えば2、3月に再調査というわけではないが、もう一度調査をするとい う見方もある。  交付金は資料3を見ると、国費の10分の10。また、各都道府県の基金の設置ということである から、こうした調査とは別に、都道府県ベース、行政ベースの実際の申請書なり交付なりそうい うところを把握すれば把握できる面もあるので、そういう意味では重ねて第2回目の調査を今年 度あえて行うのかどうか。そこを解釈する場合に、先ほど堀田委員からもあったが、交付金をあ らかじめ十分考慮し年度前半で踏み切られるところ、ただ交付金の動きも今後の補正予算成立な り、より具体的な手続などがまだまだ見えにくい段階で、なかなか微妙なものがあるので、そう いった辺りどうなっていくのか。  大きな流れで言うと3.0%改定と交付金という流れも無視できない事柄である。そうしたことが 把握できることも、これは21年度の後半の2回目の調査と考えるべきなのか。それとも、22年度 というふうに考えていくべきなのか。そこは1つ論点があるように思う。  それから、先ほど池田委員から提案があったように、基本的な対象としての介護職員のとらえ 方として、主として介護職員並びに看護職員という事柄と並んで、関連するところで、例えば生 活相談員あるいは機能訓練指導員。そういった辺りをどう見るかということであるが、この調査 が行われる予算規模で対応可能であれば、私は含んでいただくことも一つの方法かと考える。  先ほど事務局からの説明であったとおり、調査対象の選定として割合の高い介護老人福祉施設 から介護療養型医療施設まで、確かに大きな流れを把握する展開としては、私もそういった流れ はよくわかる。  しかし、この分野の代表的なサービスでもある居宅介護支援とか、これも3.0%が反映されてい る側面もあるかと思うし、やはり医療系のサービスの場合には、医療保険の角度もあるが、介護 保険として機能訓練指導員等をどう位置づけていくかということもこれからの課題であり、有料 老人ホーム周辺についてもいろいろな見方もあることから、また、実際の事業所や施設の規模と いうことから見ると、もう少し調査対象の幅を広げるということもあってよいのではと見ている。 (池田委員)  資料2に関連して留意しておくべきこととして何があるかというと、実際に介護報酬は6月か ら支払われるということになって、それを10月時点で調査するということになると、気にかかる のは、それに交付金が入ったものだから、余計にバイアスが大きくなって、実態が見にくくなっ ている。しかも賃金体系をいじるというのは基本的には年度が変わるときにいじるというのが、 一般的に多いということを考えると、かなり多くの事業者が6月と12月の一時金を積み上げるこ とによって払うだろうということが、かなり有力な仮説ではないかという感じがする。  特に一時金の押さえ方をかなり正確にしておかなければならないのではないかなというのが、 1点追加して申し上げたいことである。  もう一つは、職種について、男女の問題であるとか、介護福祉士や社会福祉士という国家資格 もある。賃金というのは、労働市場によって決定されるものであって、今回のようなやり方、特 に交付金というのはかなり異常事態であり、普通は余り考えられない事態である。  そのように新しく財源が入ってきた場合に、労働市場の原理が全く動かないかというと、そん なことはない。そうすると配分はどこに行くかというと、労働市場の原理では残念ながら介護職 員は労働市場の中では、最近は人材難になってきたから上がってきているというのがあるが、高 くはなかったということが、ある程度引きずるだろう。そうするとその分がどこの人件費に行く かという移動みたいなものを見るためにも、関連職種の賃金の動きというものを見ておかないと、 本当は見なければいけないものが見えてこない恐れがある。   (田中座長)  村川委員からは、報酬改定の論点整理と、他の職種について余裕があれば調べたらどうかとの まとめをいただいた。居宅介護支援事業についても指摘があった。  池田委員からは、この調査についていえば6月の一時金の可能性がある。交付金は今年は別と して、関連職種に移るかもしれないので、交付金以降の話としてはそれも視野に入れてはどうか という指摘があった。 (藤井委員)  今、池田委員がおっしゃったことだが、私も同じように賃金をいじるというのは企業、法人に とって大変大きな決断になるため、色々なことを勘案して決めると思う。施設であれば、介護報 酬がどの程度上がるか、上がったか、というのはわかりやすいが、在宅系だと、そもそも価格が 上がった分だけサービス量は減るかもしれないということを考えると、9月をとればいいだろう ということだと思うが、交付金ということが入ってきて、この交付金が今、局長から説明があっ たように、事業者の方が恒久的に上がるものだという確信を持てるかどうかということ。  それから、介護職員だけのパーセントだということがわかったときに、なかなか介護職員だけ を上げにくい。要するに判断というか、意思決定にかなりバリエーションがあるだろうなと思う。 そういう意味で9月にとったときに、どのように認識しているか、どのように考えているかとい う部分を調査しないと、どの時点でとるかといったときに、村川委員のように、年度内に2回調 査をするという考え方もあれば、きちんと理解とか意識とか聞いておくと、交付金といってもな かなかこういった情報が事業所の末端まで正確に伝わるのに時間がかかると思うので、そこを調 べるという考え方もあるのかなと考えていた。  それから、資料2の5頁で、かなり技術的なことになるが、層化無作為をするということで、 当然のことであろうと思うが、地域と規模ということで、規模は池田委員の指摘のとおり、事業 者の経営状態を表したり、運営状態を表すので必要だと思うが、地域は都道府県別にするのか、 級地にするのかだが、いずれ今の級地区分というのは、今回の報酬改定で、少し時間がない面も あって、もう少し見直した方がいいのではないかという意見があると思う。  その辺りがきちんと調査できる形にどうするのかということがあるのではないか。都道府県と いうよりは、級地区分別の層化無作為の方がいいのかなと思っている。分析でやればいいことな のかもしれないが、赤字か黒字かによって、当然従業員に給料を払うかどうかが決まってくるの で、事前に層化にしておくかどうか。あるいは事業所ができてからの年数、事業所ができてから 短ければ短いほど職員の給料が安くても、日本的な賃金体系であれば、ある種当たり前であり、 あるいは逆に、事業所ができてから年数が短いところというのは離職率が高い、というデータも あるので、その辺りも層化の要因として考えるか。それとも層化の1つの層として考えるか、そ れとも後の分析として考えるかであるが、ここの部分は技術的には何を層にしようかというのは 重要ではないか。後々の分析を考えるとそのように思う。  6頁だが、私も基本的には、介護療養型医療施設というところまででいいのかなと思っているが、 池田委員が生活相談員や支援相談員というのを1つのキャリアといいますか、幹部候補生として 重要であり、そこもとらえておくべきではないかという話があったが、そういう意味では、ケア マネジャーというのも1つのキャリアとして考えられており、村川委員のおっしゃるように、居 宅介護支援まで含めるという考え方も検討してもいいのではないか。  ただ、非常に規模が小さいので、時間や予算を考えた上でどこまでやるのかどうか、というこ ともあろうかと思う。  7頁に関連してだが、同様に時間と予算との関係から言うと、どこまでやるかというと看護職 員、介護職員で線を引くというのも1つの考え方だろうと思うが、池田委員がおっしゃったよう な、生活相談員、支援相談員を入れるかという議論はあるかと思うが、もう一つは、これを例え ば1年前の給料と比較するということになると、例えば1年以上いた職員を選ぶということにな ると思うが、職員をどう選ぶか。1年前は勤めていなかった人まで入れるのかどうか。例えば初 任給がどう動いているのか。あるいは前歴換算みたいなものを変えてきているのかもしれないと いうこと。看護職員、介護職員とするというのも一つの線であるが、それに限定をかけるかどう かによって少し考え方が変わってくるのではと思った。  実際にきちんと給料に反映されているかどうかというのは、1年前に従事していた人というこ とで比較するのがいいのだろうとは思いつつも、それにすると、これはこれで、限定しているこ とになるので、そこをどう考えるか、議論が必要である。 (田中座長)  分析対象の分け方については重要な点である。在宅の場合には価格弾力性がある。また、給付 上限額があるから報酬アップがイコール収入アップにつながるかどうかわからない。施設の方は 報酬アップがそのまま収入の増になるが、そのような点も勘案すべきである。  それから、交付金については、事業所の意識も、場合によっては調べてもいいのではないかと いう意見があった。 (千葉委員)  ほとんど他の委員がおっしゃったことに尽きてしまうが、今回の施設・事業所調査、従事者調 査ということで、この構造はいいのかなと思う。  施設調査をする際には、1つこういう点も考えておく必要があるのかなということで、調査に 盛り込むかどうかは別として、こういう事情もということだが、6頁の対象を見ますと、介護老 人福祉施設とか、デイサービスといった福祉系のもの、それから介護老人保健施設といった、ど ちらかというと医療系のものがあるが、これらをやっているところは大体入所が中心の施設だが、 多くの場合、医療法人または社会福祉法人である。  これらの法人で、介護もっぱらであればよいが、例えば社会福祉法人などでもかなり手広く、 例えば障害とか、児童とかいうものをやっている場合があり、当然児童であれば職種が違うので よいが、障害あたりになってくると、かなり職種的にも重複する介護の職員もいるのではないか。   何が言いたいかというと、法人全体で俸給表が決まるということが通常あろう。施設ごとに俸 給表が決まっていることは余り考えられないので、そうなってきたときに、その法人がどんな事 業をやっているかということを念頭においておかないと、介護報酬が上がったからといって、他 の事業にも引き連れて上げられるかどうかという要素があるのではないか。  これは藤井委員も先ほどおっしゃっていたが、法人で考えるときに、その法人はない袖は振れ ないわけなので、法人決算がどうなっているかということの状況を押さえておく必要がある。そ れが前年度の決算、それから今回の決算ということであるか。そうなってくると介護報酬改定は 4月以降であるから、調査時点ではまだその年の決算が出来ていない。そういうときに経理状況 がどう変化したかというのは、どの時点でどうとらえるかということは考えておく必要があるの かなという気がする。  調査時点の関係の話ですが、実際どうなのかというのは私もいろいろな関係の方に聞いても頭 を悩ましてしまうが、一つは報酬がこの4月からどうせ変わるのだからということで、職員の処 遇を変更予定されているところもなくはない。しかし多くの場合、実際の報酬の様子を見てみよ うというときに、先ほど藤井委員がおっしゃったが、4月改定というのが通常賃金の節目になる ので、9月の調査時点のところでどれくらい改定済みなのか。逆に言うと、改定予定ということ も含めて聞いておかないと、例えば22年4月に改定ということを見込んでいるということも含め て聞いておかないと、その時点での改定の有無だけでは調査という意味では不十分という気がす る。  2ページ目にある調査の基本方針で(1)のところに賃金と、賃金のほかに一時金手当という形で、 いわゆる職員に対する俸給体系を本俸とそれ以外のものに分けている。しかし、なかなかこの本 俸をどうとらえるかというものも難しい面がある。たとえば、特に昨今の能力別の処遇といいま すか、能力給部分を本俸の中に持ち込んでいるような場合、能力給部分は手当になっている場合 がある。手当か本俸なのかというのは非常に識別に困るケースがある。  昔のように年功序列でやっている場合であれば、本俸だけの比較でいいと思うが、現在の俸給 体系の流れからはどこまでを本俸とするかを明確にする必要がある。調査の記載要領などで、ど の事業者も間違いなくここの部分は本俸だということがわかるように示しておく必要があるのか なと思う。  あとはサービスの種類だが、職員数の多いところで、上から取って、この考え方でいいのかな と思うが、そうなってくるとどうしても職員配置が多い入所系施設が、特に今の提案ですと、入 所系3施設は必ず入って、あとグループホーム等があるということなので、居宅の通所介護、訪 問介護というところで、これを代表選手に選ぶということになりますから、バイアスがないかど うかということは、よく見ておく必要があるのかなという気はする。  居宅介護支援につきましては、これは難しいが、1つの事業にはなっているわけだが、本当に 完全に独立した事業所の場合と、施設等に併設している事業所の場合というのも、いろいろな事 情があろうかと思うので、どう取り扱うか検討の必要がある。ケアマネは処遇的にもそれなりの プロフェッショナルということもありますから、確かにこれを入れてみておくというのも、今回 特に改定の中身にも入っておりますから、いいのかなという気もする。一方で、そこまでやるの かなというのは、本当に予算とコストパフォーマンスとの関係かなと思っている。  テクニカルのことも含めて、残った部分は以上です。 (田中座長)  最後の方になるとだんだん言うことが減ってきて大変だと思うが、テクニカルな点をたくさん 指摘いただいた。法人の事業経営のことや、報酬を上げる時期についても指摘があった。  皆さんにおっしゃっていただいた点をまとめると、いろいろとあるけれども、調査時期につい ては、交付金の前の時期で、あとは調査の中身によって多少調整するけれども9月でよいだろう。   対象については、事務局案についてどれかを減らせとの意見はないので、もしお金に余裕があ ればという限定付きで、居宅介護支援についても調べるかどうか検討する。  職種に関しては、基本的に看護・介護職員については、特にどなたも反対はなく、もし可能な らば他の職種についてもとどうかとの意見であった。それについては予算、統計的に有意性がど のくらい確保できるか、調査実施主体の時間的余裕などもさまざま勘案して、この次までに検討 することでよいか。 (池田委員)  先ほど藤井委員がおっしゃったので、重なってしまうが、実はケアマネジャーというのは、要 するにキャリア・パス・システムがないため、自動的に職場でできてしまう典型的なパターンに なっている。今のヘルパーの上がりがケアマネジャーという構造になってきているので、その辺 も少し観察するためには、ケアマネジャーもきちんと入れた方がかなりいろんなことが読めるの ではないかなということを追加させていただく。 (田中座長)  事務局、何かお答えになるか。 (鈴木老人保健課長)  委員の先生方から発言いただいた中で、細かいことですと、例えば級地別に層化無作為にする とか、1年以上前におられた職員かどうかということについては、個人票で1年前の状況も聞き ますけれども、おられれば書いていただくし、おられなかったら書いていただかない。それで初 任かどうかわかるというシステムにするというやり方もあるかと思う。  他サービスについても聞かせていただいて、全体の中でどういう位置付けになっているかとい うところを調べたいと思っているが、ケアマネジャーについて我々も是非知りたいところですが、 最後に千葉委員がおっしゃったように、事業所として9割ぐらいが、おそらく併設事業所になっ ているので、給与を聞くのはそんなに難しくないと思うが、事業所としての収支ということにな ると、かなりばらつきが出てきてしまう可能性があるので、そこをどう考えるかというのは、次 回までに少し整理をさせていただきたい。  次の資料でも御説明をするけれども、例えば介護職員として雇われていても、生活相談員とし て兼務している場合とか、ケアマネジャーの資格を持っていってやっている場合というのは併せ て聞こうと思っているので、そことの関係をどう考えるかというのも、後で加えて御議論をいた だければと思う。 (田中座長)  先ほど大体まとめた方向で、あと幾つか追加できるかどうかは制約要件との中で考えることに させていただく。  後半は資料4に基づいて議論するので、資料4の説明をお願いする。 ○鈴木老人保健課長より資料4について説明。 (田中座長)  ここで今提示された資料は、事業所については老人福祉施設が例になっているので、それ以外 の調査対象施設についても何か意見があればお願いする。  また、先ほどのスケジュールのところに書いてあったが、実際に調査を受ける側の方々の意見 も聞かないといけない。調査主体側としては、あれもこれもと思うが、受ける側からは書かない とかわからないという御意見があるかもしれない。そこは実際に書く方の記入の可能性について も勘案して最終的に決まることになると思う。今日の段階では今、提示された項目、そして、他 の事業の場合にはこういうものもあるのではないかという意見でも結構なので、自由にコメント をお願いする。質問でも結構である。 (池田委員)  まず、事業所の調査で、さっき言ったこととも関連するけれども、事業主体の規模がかなり大 きい影響を与えるという仮説に立っているが、それをどうつかむかということである。  1ページで見ると、調査対象施設における他の介護サービスの実施状況で、留意点のところに 施設や事業所が属する法人全体において提供しているサービスも調査するかという論点があるが、 提供しているサービス全部を調査するというのは恐ろしく手間がかかって、多分余り意味がない という可能性があるので、ここのところは少し発想を転換して、規模を計る物差しというのは、 単純に言えば売上高と職員数だと思う。それは、そんなに答えは難しくないと思う。  法人の売上額は年間いくらであるか、職員数は、事務職員も入れてということであるが、全体 で何人か。そういう規模みたいなものが物差しでは計れるものを少し工夫してほしいという感じ がした。  6ページ、報酬改定前後における従事者の資格保有状態の中でずらっと並んでいるが、社会福 祉士も入れてほしい。社会福祉士というのは、ケアマネジャーとかに結構いて、はっきり言うと 介護福祉士と社会福祉士の場合では労働市場上の扱いが違うということもあるので、それは入れ ておいていただきたいということ。差し当たりその2つだけである。 (藤井委員)  細かい点と少々大きな点を申し上げたいと思う。  細かな点としては2ページの真ん中の項目として、給与費で派遣社員を除くかどうかあるが、 似たような話になるが、施設とかだと、給食を委託にしているかどうかとか、あるいは掃除、事 務を委託にしているケースもあるので、給与総額をとる際は、その分を分けて分析した方がいい だろうと思うので、どう委託しているかというのを何らかの形で把握いただきたいということ。  6ページ、夜勤の労働時間というのは大変重要であるが、私が今、分析しているデータは、夜 勤の時間は余り関係なくて、休日数が結構関係あるという傾向があるので、休日を4週4日とぎ りぎりに定めているところが多いように思うが、できる限り多くしようとしているところもある ので、事業所全体の休日数の考え方と、ここは個人のところだと思いますので、個人として何日 休日が取れたか。  労働時間に関して言うと、大体のところが週40時間をベースに、月当たりの変形労働制のいっ ぱいいっぱいというところが多いように思うが、やはりこの辺りも余裕を持っているかどうかと いうのでかなり違うので、月当たりの労働時間あるいは労働時間の考え方をどう設定しておられ るかということがあってもいいのではないかと思った。  全般にこの調査の目的ということにもなるが、よく言われるのがキャリア・パス等で長い間、 将来に夢を持って働けないという中で、どうしていけばどのように給料が上がっていくか、ある いは専門性が得られるか、といったことはなかなかこの調査では得にくいと思うが、明らかに給 料を低く設定している事業者というのが存在するように思うし、この調査票から改めて分析する ときに、モデル事業所的なものが抜き出せて、そういったところでも成り立っているのだという ことがわかるような、再調査なのかもしれないが、単に現在の給料がどうだ、上がった、という ことだけではなくて、本当に今の介護報酬できちんとした経営をやって適切なサービスを提供し て、職員の処遇もよくなっているはずだというのが見えてきて、それがメッセージとして介護の 現場で働いておられる方々に伝わることが重要だと思うので、せっかく調査を行うので、それに 使えるものが何か出ないかと思った。 (田中座長)  いずれも、調査そのものだけではなくて、分析の仕方のところでの工夫もあるかもしれない。 他の老健局が行われているモデル事業所的なところの関係も見たらいいのではないか、という貴 重な御意見を頂戴した。 (千葉委員)  私の先ほどの発言は、こちらの中身の方にかかっていたのではないかと思うが、それ以外のと ころで、今、お話をお伺いして、幾つかテクニカルなものになってしまうが、ちょっとお話しし たい。  1つは、2ページ、賃金の改善状況というところで、給与や賞与の引き上げ状況ということで 書いてある。この場合、給与の引き上げは比較的わかりやすいと思うが、賞与の場合をどう考え るか分かりにくい部分がある。賞与の決め方として給与の本俸月額の倍率のような場合を取って いると、給与費を上げれば当然賞与も上がるという形になる。その場合これは賞与が上がったと 見るのか、あるいは支給倍率を引き上げるという格好取ったものを引き上げと見るのかという辺 りは、細かい話であるが、引き上げをどうとらえるかという話はあろうかと思う。  従事者票の方ですあるが、この冒頭にある性別、年齢、職種、勤続年数と書いてあるが、特に この勤続年数のところは、介護の労働市場というのは人材の流動性が高い市場だと私は認識して おり、この勤続年数のスタート点をどちらに置くか。つまり、その人が介護という業務に従事し 始めてから何年経つのか。もしくはその施設に来てから何年経つのかというので、多少意味が違 ってくるかと思いますので、そこのところをどう書かせるかというのは明示する必要があるかと 思う。  6ページの資格保有状況のところですが、社会福祉士を入れるというのは私も賛成である。  この場合、資格を取らせるという方向の取組みと、資格を持っている人を採るという対応が2 つあるかと思う。それをどう見るかというところはある。  当然介護報酬から言えば有資格者を一定数確保しないと、より高い加算が取れないというので、 短期的には多分有資格者を採るという方向の選択肢を取ると思うが、当然先ほどの教育研修の中 にあるような資格を取らせるというところでも、何か取組みをしているかというのも、これは従 事者票の話ではないと思うが、あると思う。  少なくともこの時点では今回報酬が上がって、次の社会福祉士、介護福祉士の試験というのは 来年になるので、今の段階で新たに介護福祉士が上がったからといって資格を取れたという実績 には多分つながってこないということがある。これは施設票の方で拾った方がいいのかなという 気がする。ただ、ここに入れること自体は問題ないかと思うので、その点、2つの側面があるの かなということだけは指摘しておきたいと思う。 (村川委員)  もう既に各委員からいろいろと御指摘をいただいているが、資料4の調査項目及び主な要素と いうことについては異論がないけれども、先ほども出ていたが、職種の取り方については明らか に調査対象として、いわゆる特養だけではなく明確に介護老人保健施設や医療系の施設も含まれ るところを考えると、介護・看護だけではなく、リハビリ関連の職種が明確な対象である。これ は歴史的、制度的な経緯があって、医療保険というか、診療報酬との流れとの関係で医療法人等 での役割分担なり人事異動的なことも推察される面もあるけれども、介護保険としての必要不可 欠なスタッフとして、そういう要素もあるので、先ほど御指摘のあった生活相談員と並んで、リ ハビリ関連の職種についてどうであるかということは、意識してデータを取るということはあっ ていいのかなと思う。  藤井委員からあったけれども、後々の分析ということから考えると、特に賃金以外の要素、キ ャリアアップ関連の取組み等について、これは実際の調査票案を見てみないとわからないが、そ ういった関連する取組みがあり、これは調査ですから定量的に処理をしなければならないので、 「あり・なし」といったことを集計して終わってしまうのか、ということもあるわけであるが、 どこまで突っ込んでいけるのかということもあったし、藤井委員から積極的にモデル事業所的な 発想もあってよいのではないかということもあったので、私は年度の後半を中心に展開されるで あろう改善交付金等もにらみ、調査対象の中で、そうした前向きな動きが行われるところ、これ は余り定性的な要素を回答に求め過ぎますと、回答される方に時間をかけてしまう。あるいは判 断に混乱があってもいけないということもあるので、その後分析の作業になっていくのか。ある いは追加的、2次的な調査を全体ではないけれども、部分的に行っていくということがあるのか。  また、次年度の調査への宿題ということで、課題を整理すべきなのか、その辺の論点があるか なという気がした。 (池田委員)  1つは、先ほど千葉委員がおっしゃったことと重なるが、勤続年数と経験年数というのはうま く取れたら面白いのではないかと思う。つまり、経験年数が賃金に反映しないシステムになって いるようで、2、3年いて、もう少しいいところがあるとそっちへ移るという構造が結構あり、 それが離職率を高めているのと、実はそれが年齢経験による標準昇給システムができないという 現実を作っているので、その辺の実態を見るという意味では、勤続年数と経験年数がうまく取れ れば面白いなということを1点感じた。  この調査でやってもいいし、別な調査でやってもいいのだと思うが、先般老施協の資料で特養 20万ベッド増床しようではないかというのがあったが、その資金を見ると、2兆円くらいかかる。 うち1兆円は国が出せ。残り1兆円は自分たちで用意すると書いてあって、えっと思ったが、要 するに内部留保である。あれを読む限りは、内部留保を1兆円近く持っていると読めてしまう。  考えてみると、2000年に措置費から介護報酬に上がったときに、かなり上がっているはず。そ れは金額を見ればすぐわかる。例えば特別養護老人ホームは、1つの施設当たり1,000万円以上の 黒字を出しているということで、それが2003年にちょっと下がって、2005年にホテルコストは振 り替わっただけだから、余り問題にする必要はない。どうも見ていると、2000年に介護保険が始 まって、当時は就職氷河期の真っただ中である。期待される産業という形で介護職場にどっと人 が入って来ているということで、かなり職員数が増加しているのはデータでもはっきり示してい る。そこでちゃんと賃金が払われたのかなという意識がどうしても私は残る。  要するに、1兆円なのか、8,000億円なのかわからないけれども、その内部留保はどこから出て きたかと言えば、介護報酬から出てきたわけである。  例えば民間の企業であれば、それは1つの利潤ということも含めて経営努力をして黒字を大き くして収益を上げるということは非難されることでも何でもないと思うが、社会福祉法人の場合、 公益性が極めて強い上に、税制の優遇措置もあるわけであるので、そこのところはやはり区分し て考える必要があるだろう。  そうすると、多分この調査にはなじまないけれども、別な社会福祉法人の調査という形で内部 留保をきちんと押さえる。それを片方でやって、それをこの調査とリンケージするのはそんなに 難しい話ではなくて、簡単にできるわけで、その辺はできないかなということである。これは意 見というよりも一つの別の視点からの分析が可能になるという意味である。  ただ、それを社会福祉法人だけやって他のところはやらないと不公平ではないかと言われると、 それもそうだなというのがあり、1つの検討事項として、考える時間というか、検討するという ことがあってしかるべきではないかなと思う。後半の部分はかなりシビアな話なので、かなり慎 重な扱いが必要だと思う。 (田中座長)  堀田委員などがなさっている労働の実態調査や賃金の構造調査等で把握できるものもあるであ ろう。いずれこの調査実施委員会は、介護事業経営実態調査の在り方も検討することになると思 うが、今日は介護報酬改定の結果の検証である。賃金構造全体ではないし、ましてやよい事業所 はどこかを見つけるわけでもなく、あくまで報酬がどういうふうに配られるかに絞り込まないと 拡散してしまう。調査としてはこういうものもあったらいいという意見をいただいておくことは 大変結構である。いろいろな立場から調整することはできるので、こういう視点もあると言って いただくことは大変有意義と思う。 (藤井委員)  先ほど千葉委員の方から賞与の話があったけれども、賞与というのは、就業規則上は別に書か なくてもいいものであるが、社会福祉法人は伝統的にというか、何か月と書いておくことが通常 であり、営利法人、NPOは書いていない。本俸は比較的そういう意味では、営利法人、NPO 法人はいじりやすくて、社会福祉法人がそれをいじると、一般的に賞与にはねてしまうというこ とがあるものでるため、9月までしか賞与の金額を把握しないというのはそのとおりだと思うが、 何か月と書いてあるかどうか。そしてそれは本俸の何か月分なのかというのは聞いておいた方が、 書いてある方ほど本俸をいじりたくないと思うのは当然だと思うので、これも調査全体とのバラ ンスであるが、必要かということ。  少し大きな話ですが、介護の派遣労働というのは堀田委員に本来しゃべっていただくことなの であるけれども、大変広がってきており、その派遣労働へはねているのかどうなのか、派遣への 費用とか、これはこの調査ではないかもしれないし、ここでデータを取る云々の話はあるが、重 要な話だと思うので、派遣会社というのは大手ですとそう多くはありませんので、その辺りをヒ アリングするだけでもいいのかもしれない。派遣の話はここの調査でなくてもいいが、必要かな と思う。 (池田委員)  関連して藤井委員にお聞きしたいが、一時金の月数が書いてあるというのは、公務員給与体系 との関係か。  もう一つ関連して言うと、給与改定があった場合、今、上がらないから、差額精算などという 話しはどこかにいってしまっているわけであるが、4月にさかのぼって全部差額精算をするとい うのは、社会福祉法人の場合はそういうことはあるか。 (藤井委員)  そもそも就業規則をつくったまま変えていない社会福祉法人が多くて、おっしゃったように、 公務員体系のものを適応した時代のものが残っているために、何か月というのはそのままという ところが多いようである。  それをさかのぼって調整しているかどうかというと、私が聞く範囲では、これは今やっていな いところが多いように思うが、それもきちんとある程度見ていかなければいけない部分かと思う。 (千葉委員)  細かいテクニカルな話なのであるが、先ほどの派遣職員の話のところの2ページであるが、全 職員に払っている額とするか、派遣職員を除いた額にするかというところで、そもそも派遣職員 とはいろんな会計処理がある。具体的には非常勤職員給与という勘定科目で処理している場合と、 委託費という科目で処理している場合がある。先ほど給食の例でもありましたが、調理員の委託、 全面委託などいろいろの形がある。介護職員の派遣についても委託費の方で処理している場合も あるので、その場合は抜けているし、非常勤職員給与という科目でやっていれば、そちらに含ま れてしまうというので、その辺実態はどうなのかも踏まえ、整理しておく必要があるのかなと思 う。 (田中座長)  具体的な調査の設計、特に賃金については堀田委員にいずれ教えていただきたいと思う。  今までの御質問や御意見にお答えになる点と、逆に課長からこの点については、委員の方に、 どうしても意見を言っていただきたいという課題があればお願いする。 (鈴木老人保健課長)  特に今の派遣と委託との関係については、施設との雇用関係等を整理した上で、委員の先生方 の御意見を聞いて、どういう形でより正確に実態を把握できるかということを検討させていただ きたいと思う。それ以外の幾つか、例えば経験年数と勤続年数というものについて、どういう形 であればお聞きをすることができるか。それも預からせていただいて、次回までに検討をさせて いただきたいと思う。  2点ほど確認をさせていただきたいと思う。  今日は前段も含めていろいろな御意見を先生方からいただいたので、私どもは先ほどの資料で もあったが、次回は5月18日にさせていただくとすると、今日いただいた意見をもう一度我々の 方で整理をした上で、一度先生方にもこういうデザインでどうかという御意見をお伺いした上で、 それで次回に向けて提示をさせていただければと思う。  次回、このスケジュールにも書いてあるが、できれば対象となるような団体の方にも来ていた だいて、実際に記入の段階で困ったことがあるのかないのか。こういうことは調べてほしいとい うことがあるのかないのか、というのを是非お伺いできればと考えているので、進め方としてそ ういうことでよろしいかというのが1点である。  もう一点は、特に介護収入を調べるようなときに、施設もしくはサービスを聞くわけであるが、 聞き方として3種類あると思う。1つは法人単位で聞く。もう一つは事業所単位で聞く。3つ目 はサービス単位に聞くという3種類がある。  それぞれに、いい点、これではなかなか調べにくい点とあるけれども、法人単位全部で聞くと、 1つの法人が幾つも施設をもっていることもあり、なかなか施設単位の統計が上がってこないと いう問題がある。  それから、サービス単位でお聞きするのが多分一番正確だと思うし、我々の経営実態調査等で 一番使っているのは、サービス単位である。ただ、サービス単位にすると、按分をしていただく 必要があるので、その按分が特に小さい事業所にとって負担であるということであるので、でき れば今回は事業所単位で調べさせていただき、一定の按分率をさまざまな統計からこちらの方で、 先生方にも御相談をした上で、考慮させていただいて、勿論一つひとつの事業所に当てはめると 若干違うところがあると思うが、全体としては、ほぼこういうサービスであればこういう状況だ ということが、一定の推計ができるような形で、原則的には事業所単位で把握をさせていただく ことがいいかどうか。この2点、プロセスと把握の仕方であるが、この2点だけ御意見をいただ ければと思う。 (田中座長)  これは委員の先生方にお答えをしていただく。課長から、進め方としてテクニカルな点につい ては、こういう委員会でのフォーマルな議論とは違う、細かいやりとりになるので、それを途中 でお聞きする場合もある。次回は事業者の方々のヒアリングを行いたいということである。  第2点目は、対象としては原則事業所にしたいが、いかがかという問いかけがあったが、我々 としては、これにはお答えしておかなければならない。いかがか。 (藤井委員)  逆に質問させていただきたいが、事業所単位ということになると、特養がある、訪問介護事業 所がある、ケアマネジャーがある。これを一体として調査票を送るということなのか。そうする とここに入っていない、例えば認知症のデイをやっている、あるいは訪問入浴をやっているとい うところも一体として聞かれるという意味になるのかどうか。そこを教えていただきたい。 (鈴木老人保健課長)  おそらく事業者単位でお聞きするときに、他に介護保険の関係でどういうサービスをやってお られるか必ず聞かなければいけないと思う。できればそれで規模をお聞きしておけば、具体的に 後で保険収入の中から一定の換算をして、そこの部分を除去するということも可能だと思うので、 コアとなる6つか7つ、今日御議論いただいたものでもう一度検討させていただくが、できれば そこに集中したいと思っているが、一緒にやっていただいているところについて、それを除いて 書いていただくのも、兼務との状況でなかなか難しい状況があるので、あとは概算的なやり方で どういう形が一番よりコアな業務の状況を表しているものとして把握できるか。勿論、従事者票 は基本的にはコアの業務でやっていただけるところでいいと思うが、施設の調査もしくは事業所 の調査をする際には、そういった幅広いところを一応聞いた上で、後でその部分を取り除くとい うステップが必要ではないかと思っている。 (藤井委員)  事業所票を一体にするときに、収入はきれいに分かれると思う。人件費の部分は、どこまで教 えてくれという聞き方をする想定か。どういう指示をする予定か。 (鈴木老人保健課長)  基本的には分けられれば一番いいが、分けられない場合が多いのではないかと思っているので、 それもこれから具体的に調査票の設計をしてみて、どういう形で一番コアの業務の本当にかかっ ているコストに近い値を出せるかというのを考えてみたいと思っているが、法人単位ではなくて、 かつサービス単位でもないとすると事業所単位でしかないので、事業者単位だと当然いろんな業 務をやっておられる場合がある。サービスによってかなり併設率というものは違うと思うけれど も、その場合にどうやってコアな業務を抽出できるようにするか、知恵を絞ってみたいと思う。 また御相談をさせていただきたいと思う。 (池田委員)  前段の進め方については、具体的な打ち合わせは、個別にもやらなければいけないだろうし、 事業者の話を聞くのは必須だと思うので、それについては、私は賛成である。  後段の法人か事業所かサービスかというのはどれも捨てがたいけれども、考えてみると、法人 は規模がきちんとつかめればいいであろう。サービスの方は従事者の調査の方で結構カバーでき る部分があるのではないかということで、私は大きい法人小さい法人ということになってしまう が、それでの比較が可能であれば、事業所単位でやるということが最も無理のない数字だろうと いう感じがする。  そういった意味で、条件付きで御提案には賛成である。 (田中座長)  他にいかがか。 (村川委員)  基本的には提案の流れでよいのかなと思う。調査対象というか、関係者に意見を聞いてスムー ズに進める必要があるので、次回には是非そういう手配をしていただいた方がいいと思う。   それから、対象レベルの3区分については、今まで議論がいくつかあったけれども、やはり施 設・事業所を単位にするということで、関連情報として法人のありようと、課長が言われた按分 のとらえ方、具体的な調査票などを拝見しながら、良いやり方を追求していくのが落ち着けると ころかなという気がした。 (千葉委員)  私も進め方については何の異存もない。法人、施設・事業所、サービスということでいうと、 確かに介護報酬の改定効果を検証するという意味では、事業所の多様性の中に、いっぱい持って いる事業所の場合と単発でもっている事業所の差というので、ある意味ノイズの中に改定効果が 紛れてしまわないかと一瞬思った。しかしよく考えるとその効果の部分というのは、職員票の方 の数値は前年度比などで出てくるはずなので、例えばこの施設票に書いてあるような、処遇形態 とか処遇制度とかいうことでいうと、逆に同一事業所内でのサービスごとでそんなに差異はない と思う。確かにそれぞれの職種固有の処遇制度がないかは、一度精査が必要かと思うが、その上 で少なくとも今の調査のこの着眼点でいくということであれば、この2つの調査票を前提にすれ ば事業所単位でも問題はないのかなという気がする。 (田中座長)  では、今の課長の問いかけに対しては、皆さん概ね了解であった。この調査実施委員会は、介 護給付費分科会からの委託を受けているので、分科会の興味は、余り厚生科学研究のように細か いこととか、エピソードベースの例外事項ではなく、本筋として報酬がどういう形で従事者に行 き渡るかについて大筋を見つけることところを忘れてはならない。それを踏まえて調査票の設計 を改めて来月までにお願いする。  後半おられなかった堀田委員の意見も、よく聞いていただきたい。  今日、貴重な御意見をたくさん伺った。それを踏まえ、また調査実施に当たる主体との相談も 踏まえて、事務局において次の案をつくる。そのプロセスで先生方の御意見も伺うが、次回に提 出するまでのまとめは、最後は座長に一任させていただいてもよろしいか。  では、少し時間は早いが、大体よろしいか。まだほかに言い足りないことがおありか。 (鈴木老人保健課長)  次回の日程ですが、先ほどの資料にもあった5月18日、15時30分から行いたいと思う。細か いことについては、相談をする。 (田中座長)  これにて「第1回社会保障審議会介護給付費分科会調査実施委員会」を閉会する。 照会先 老健局老人保健課 調査係 TEL:03(5253)1111(内3960)