09/04/20 第1回私のしごと館に係る建物等の有効活用検討会議事録        第1回 「私のしごと館に係る建物等の有効活用検討会」                    日時 平成21年4月20日(月)                        14:00〜                    場所 私のしごと館3階 会議室1 ○育成支援課長 本日は大変お忙しい中、お集まりいただきまして誠にありが とうございます。第1回目の会合でございますので委員をご紹介するまでの間、 事務局が司会を務めさせていただきますので、よろしくお願いします。開催に あたりまして厚生労働省大臣官房審議官職業能力開発担当の杉浦審議官から、 ご挨拶を申し上げます。 ○審議官 ご紹介をいただきました厚生労働省の審議官の杉浦と申します。本 来ならば職業能力開発局長の草野が参る予定でしたが、本日、国会の委員会に 呼ばれましたので、恐縮ですが私が出席させていただくことになりました。  平素から私ども厚生労働行政、とりわけ職業能力開発行政の運営に当たり、 格別のご支援、ご指導をいただきまして、ありがたく御礼申し上げるところで ございます。また本日は遠路、お忙しい中、お集まりをいただきまして誠にあ りがとうございます。  ご案内のとおり、私のしごと館につきましては平成15年の開設以来、主とし て中学生あるいは高校生の人たちを対象にして、様々な職業体験の機会とか体 系的な職業情報、相談などをワンストップで提供するということで、若者の職 業意識の形成に寄与してきたところですが、設置に多額の費用を要したこと等 数々の批判をいただきまして、昨年12月の閣議決定により、この私のしごと館 業務は遅くとも平成22年8月までに廃止をすると。その際、売却を含めた建物 の有効活用に向けた検討を行うとともに、廃止に伴うコストの最小化という点 に配慮するというふうに決定がなされたところです。  このため、この閣議決定に基づきまして、建物などの有効活用方策について 検討を行うということで、本日、お集まりをいただきまして、ここに第1回の 会議を開催する運びとなったわけでございます。この業務を廃止した後に、こ の建物をどのように活用するかにつきましては、これまでの各般のご指摘、ご 批判を踏まえつつ、またこの立地の状況あるいは最近の経済状況など、さまざ まな視点からの検討が必要ではないかと考えているところでございます。本検 討会におきましては、本日お集まりの地元の自治体の方々、あるいは有識者の 方々のご意見を頂戴しながら、また一方でシンクタンクのほうに委託して、有 効活用に向けた実務的な調査・検討を行うことにより、大体年内を目途に活用 方策を取りまとめていきたいと考えていますので、是非、忌憚のないご意見を いただきますようお願い申し上げまして、簡単ではございますが私の挨拶とさ せていただきます。よろしくお願いします。 ○ 育成支援課長 ありがとうございました。本検討会にご参集の皆様方のご紹 介をさせていただきます。お手元の資料1の別添をご覧ください。座長をお願 いしています富士電機ホールディングス株式会社相談役の加藤丈夫様です。財 団法人関西文化学術研究都市推進機構常務理事の稲田進様です。京都府木津川 市長の河井規子様です。京都府精華町長の木村要様です。京都府商工労働観光 部長の山下晃正様ですが、本日は代理で政策企画部長の高嶋学様がご出席です。 このほか本日はご欠席ですが、太陽ASG有限責任監査法人総括代表社員の梶川 融様、日本経済団体連合会常務理事の川本裕康様、獨協大学経済学部教授の森 永卓郎様、関西経営者協会専務理事の山本憲治様に委員をお願いいたしており ます。またオブザーバーとしまして、この私のしごと館の運営を委託しており ます、株式会社コングレ取締役社長の隈崎守臣様にもご参加いただいています。  続きまして事務局ですが、厚生労働省から先ほどご挨拶申し上げた杉浦審議 官ほかが出席していますが、時間の制約もございますので個別の紹介は省略さ せていただきます。申し遅れましたが、私、本検討会の事務局を担当しており ます、育成支援課長の高野でございます。よろしくお願いします。これからの 進行につきましては加藤座長にお願いします。ここでカメラの方は退席となり ますので、よろしくお願いします。 ○加藤座長 議事に入らせていただきます。改めて議長を仰せ付かりました加 藤でございます。よろしくお願いします。まず事務局から、開催要領及び検討 会を進めるに当たっての公開の取り扱いについて、ご説明をお願いします。 ○ 育成支援課長 資料1をご覧ください。「私のしごと館に係る建物等の有効 活用検討会の開催について」です。趣旨について、先ほど審議官のご挨拶で 申し上げましたが、私のしごと館につきましては昨年暮れの閣議決定において、 「私のしごと館業務は、遅くとも平成22年8月までに廃止する。その際、売却 を含めた建物の有効活用に向けた検討を行うとともに、廃止に伴うコストの最 小化という点に配慮する」とされています。このため、有識者からなる「私の しごと館に係る建物等の有効活用検討会」を開催するということです。検討事 項につきましては、私のしごと館に係る建物等の有効活用方策について、その 他、必要な事項についてということです。構成は先ほどご紹介したとおりです。 その他として検討会の庶務は、厚生労働省職業能力開発局において処理すると いうことです。  資料2をご覧ください。「会議の公開の取り扱いについて(案)」です。本日 のこの会議、議事録及び資料については公開とする。ただし、特段の事情があ る場合には、座長の判断により、会議、議事録及び資料を非公開とすることが できるということで、いかがかということです。以上です。 ○ 加藤座長 この公開の取り扱いの件等について、事務局の提案について何か ご意見はございますか。事前に事務局と打合せしましたときにも、昨年来、こ のしごと館というのが大変注目を浴びていまして、善くも悪くも注目を浴びて いるような気がするのですが、これからの検討についても世間の注目が非常に 集中するように思いますので、我々の検討も基本的には全部オープンで議論し て、これからの提言に結び付けたいと思いました。私も事務局には全部オープ ンでやろうということを申していますので、よろしくお願いしたいと思います。 それでよろしいでしょうか。             (「はい、結構です」との声あり) ○加藤座長 ありがとうございます。特にご異論もないようですので、この検 討会の公開につきましては、事務局からのとおりに取り扱うことといたします。 それでは議題1の「私のしごと館」の概要について、議題2の検討会の役割等 について、事務局から一括してご説明をお願いします。なお、事前に資料をお 送りしてあると思いますので、説明のほうは簡単にお願いします。 ○ 育成支援課長 資料3ですが、「私のしごと館の概要」についてご説明をし げます。  1頁ですが、私のしごと館については、主として中学生・高校生を対象に、職 業意識の効率的かつ効果的な形成を図ることを目的として、様々な職業体験機 会、体系的な職業情報等をワンストップで提供する施設ですが、関西文化学術 研究都市内に平成15年にオープンした施設です。この設置にあたり、全体で581 億円の経費を要したということです。この内訳は、土地の購入で150億円、建 物及び構築物が406億円、その他の造成設計等で25億円ということですが、こ の581億円についてはすべて雇用保険における事業主拠出を財源としたもので す。このように多額の経費を要したということについて、現在に至るまで各方 面から厳しいご批判をいただいているところでございます。  またこの施設の運営につきましては、入館料あるいは体験料といった自己収 入と、運営費交付金によって賄っているところです。平成19年度の実績を申し 上げると、運営経費全体が14億6,000万円で、そのうち1億7,000万円が自己 収入、残りの12億9,000万円が運営費交付金ということですが、この運営費交 付金も先ほど申しました設置費用と同様に、雇用保険における事業主拠出が財 源となっています。なお昨年8月までは、この私のしごと館の保有主体である 雇用・能力開発機構自らが施設を運営していましたけれども、後に申します一 昨年の年末の閣議決定があって、それに従って昨年9月から、運営を民間企業 である株式会社コングレ様に包括的に委託しているところです。  2頁をご覧ください。ここにご紹介しているのは、昨年9月にコングレに運営 を委託してからの運営状況についてです。その前の年の同じ時期に、雇用・能 力開発機構が自ら運営していたときの運営状況と対比したグラフを示している ところです。なお委員の皆様に事前にお届けした資料に若干の間違いがありま したので、お詫び申し上げますとともに、この資料が正しいということを申し 添えます。  左の来館者数ですが、昨年9月から本年3月まで7カ月間の推移を載せてい ます。これをトータルで見ると約16万8,000人です。内訳を見ると、団体の利 用人数が約8万人、個人の利用人数が約8万8,000人となっています。これを 前年の同じ時期と比べてみると、トータルで見ると約1万3,000人の減少とな っていますが、内訳を見ると団体の利用人数が約1万6,000人減少している。 一方、個人のほうを見ると3,000人増えている状況です。  3頁をご覧ください。いま利用者の増減について説明し、個人客が増えている と申し上げましたが、この理由としては、コングレが昨年9月以降、さまざま な取組みをしておられることがあると見ているところです。具体的に見ると、 職業体験職種を追加ということで新しく大工のしごと、植木職人のしごととい った、新しい職業体験の職種を始めたということがありますし、また個人客を 集めるためにいろいろなイベントを開催しています。ここにご紹介しています ように、例えば京都サンガFCの「ふれあいサッカー教室」といったイベントを 実施し、それがマスコミでも大きく報じられていることがあり、そういうこと もあって個人客が増えていることがあるのではないかと見ています。  恐縮ですが2頁に戻ってください。個人客につきましては、いま申し上げた ように増えているところですが、一方、団体利用がかなり落ち込んでいること があり、先ほど申しましたようにトータルで見るとかなり減っている状況にあ ります。ただ、団体利用と申しますと修学旅行、校外学習といった形が多いで すので、かなり前の時期から予約を受け付けて、それに基づいて運営している 状況にありますので、コングレが運営を開始するより前にある意味で勝負は決 まっていた点はあるわけです。なお今後の予約状況を見ても、かなり厳しい状 況にあります。  一方、収支ですが、右のグラフが収入及び支出についての推移を載せたもの です。この上の折れ線グラフが支出ですが、昨年9月から本年3月までの7カ 月間における支出全体は約6億2,000万円です。その前の同じ期の支出合計が 約8億8,000万円でしたので、かなり大幅な削減ということが言えるのではな いかと思っています。コングレに昨年9月に委託する際には、収支の改善を大 きな目標に掲げたところです。支出全体に対する収入の割合を収支率と呼んで 見たわけですが、それまでは大体収支率が1割程度であったわけです。それを5 年後には5割にまで引き上げることを目標として、コングレに運営を委託した わけですが、この目標を踏まえて、コングレにおいては支出の削減を中心に多 大な努力をされたわけです。その努力の状況につきましては後でご紹介します が、昨年設けられた厚生労働省のあり方検討会においても、高く評価するとい う評価結果になっているところです。  4頁をご覧ください。これから私のしごと館の建物等の有効活用を検討してい ただくわけですが、その前提として、私のしごと館とはどういう施設なのかに ついてのご紹介です。場所は関西文化学術研究都市、精華・西木津地区ですが、 市町村単位で申しますと木津川市と精華町にまたがっているということです。 敷地面積は8万3,000平方メートルです。建物は平成14年度に峻工していますが、鉄筋コ ンクリート3階建で延床面積は3万5,000平方メートルです。  土地購入を含めた建設費用が、581億円であったということは先ほどご説明し ましたが、現在の帳簿価格がいくらなのかは(7)に書いているとおり、建物及び 構築物が262億円、土地は18億円です。これが平成19年度末の帳簿上の価格 です。土地については、平成16年に雇用・能力開発機構が特殊法人から独立行 政法人に移行していて、その際に評価替えを行っています。その時に評価した 18億円をそのまま計上しているということです。また建物及び構築物について は減価償却を行っていますので、その残存価額を計上しているということです。  5頁をご覧ください。これから、この私のしごと館の建物などの活用を検討し ていただくわけですが、その前提となる用途規制はどうなっているかを整理し たものです。左のほうに書いているのは精華町及び木津川市の条例により、一 定の建築あるいは用途変更について制限が掛かっていますので、それをご紹介 するものです。いろいろ書いていますけれども、例えば研究所、研修所に付属 するようなものを除いて住宅の建築はできないということですし、例えば店舗、 飲食店、ホテル、映画館といった商業施設も造れない状況です。右のほうに掲 げているのは景観法に基づく制限、あるいは条例による高さ制限です。例えば この敷地の前面にある精華大通りとの境界から40mまでは建築物を建てること はできないといった、かなり厳しい規制が掛かっている場所であることを頭に 入れていただければと思います。  6頁をご覧ください。今後、この私のしごと館の建物等の活用を検討する際に、 基本的なデータとして、この建物は、そもそもどのくらいの維持コストがかか るのかということが必要であろうと思っています。そこでその維持コストはい くらなのかを試算したものです。この資料の右のほうに書いているのは、施設 を完全に閉鎖した場合でも、どのくらいのコストがかかるのか最低限の維持コ ストを整理したものです。仮にこの施設を閉鎖してみても、警備というのは必 要だろうということ。その際に機械を用いた警備を行うことになれば最低限の 光熱水料は必要です。また建物の周りにある植栽を保守する費用も必要ですし 火災保険料も必要です。  税金もかかるということで書いているわけですが、固定資産税及び都市計画 税については、若干補足が必要ですので申し上げます。下の※に書いてあるこ とですが、固定資産税及び都市計画税については、現在は地方税法の規定があ ります。その中で「私のしごと館事業」に供する固定資産については、事務所 を除いて非課税の扱いをいただいているところです。そのため現在は事務所部 分のみが課税されている状況にあり、現在、木津川市及び精華町に対し、合計 で年間1,900万円を納めている状況です。今後、この私のしごと館事業を廃止 するとなった場合に、この非課税措置がおそらくなくなるのではないかと見込 み、それを織り込んでいわば機械的な計算を行ってみたところ、合計で1億500 万円の納税になるのではないかと試算したところです。ここに紹介しているの はそういった性格の数字です。そういうものを合わせると、右のほうにありま す施設を閉鎖した場合の最低限の維持費用として、約1億2,000万円といった 試算になるわけです。  一方、左のほうに書いているのは、施設を完全に閉鎖するのではなく何らか の形で事業を行う場合に、最低限必要となる経費はいくらなのかを計算したも のです。先ほどご紹介した1億2,000万円のほかに、事業を行うとなれば館内 のエスカレーター、エレベーターなどの保守点検が必要になるでしょうし、館 内の警備、清掃が必要になるということで、最低でも2億5,000万円かかるの ではないかと試算しています。もちろん、このほかに実際に利用した分の電気 料金あるいは人件費が加わってきますので、もっと多額の経費がかかることに なります。このようにかなりのコストがかかる施設であることは、検討に当た っての前提になろうかと思っているところです。以上が資料3です。  引き続き資料4において、「本検討会の役割等について」ご説明申し上げます。 1頁に書いているのは本検討会を開催するに至るまでの経緯です。一昨年12月 24日ですが、独立行政法人整理合理化計画が閣議決定されています。この中で 私のしごと館について、「運営を包括的に民間に委託し、第三者委員会による外 部評価を実施し、その結果を踏まえて、1年以内に存廃を含めその在り方につい て検討を行う。」という決定がなされたところです。  これを受けて昨年、厚生労働省において、私のしごと館のあり方検討会を開 催しました。座長は本日のこの検討会と同様に加藤丈夫様にお願いしたところ です。その検討会における議論を踏まえた上で昨年9月から、株式会社コング レ様に包括的な民間委託を行ったということです。その後、いろいろな議論が あったわけですが、最終的には昨年12月24日、「雇用・能力開発機構の廃止に ついて」という閣議決定がなされたところです。  2頁ですが、雇用・能力開発機構の廃止についてという、昨年12月24日の閣 議決定においては、「私のしごと館業務は遅くとも平成22年8月までに廃止す る。その際、売却を含めた建物の有効活用に向けた検討を行うとともに、廃止 に伴うコストの最小化という点に配慮する」という決定がなされたところです。 そこで本検討会においては、この閣議決定を踏まえて具体的にご議論をお願い したいということです。  この閣議決定に至るまでの議論につきましても若干ご紹介させていただきま す。このしごと館につきましては、先ほどご紹介した厚生労働省のほうの私の しごと館あり方検討会と、もう1つ、内閣に置かれている行政減量・効率化有 識者会議の両方で議論がなされたところです。順番的には行政減量・効率化有 識者会議のほうが先に取りまとめをやっていますので、下のほうに書いていま すが、そちらのほうから申し上げます。この行政減量・効率化有識者会議にお いては昨年9月、雇用・能力開発機構の存廃についての方針(大綱)というも のをまとめたわけですが、その中で、私のしごと館については赤字解消の目途 が立たないということで、廃止する方向を出されたわけです。「ただし、施設そ のものについては直ちに取壊すことなく、国において、一定期間をかけ、民間 の知見も活用しつつ、既に投入した雇用保険料負担の最小化と施設の有効利用 の観点から望ましい利用形態や売却先を検討する」といった提言を出したわけ です。  一方、厚生労働省のほうの私のしごと館のあり方検討会においては、昨年12 月に報告書がとりまとめられたところです。そちらにおいても、私のしごと館 業務については国の事業としては廃止するといった方向を出されたわけです。 その際、建物の有効活用に向けた検討を行うことが必要であるとしたところで す。具体的には関西経済界あるいは自治体といった地元関係者、あるいは委託 先業者の意向を踏まえた上で、シンクタンク等に調査を委託し、検討すること が考えられるとされたところです。閣議決定に至るまで、今ご紹介しましたよ うにご議論があったわけですが、こういったことを念頭に置きつつ、今後、閣 議決定を踏まえたご検討をお願いするわけです。  3頁をご覧ください。私のしごと館に係る建物等の有効活用検討スケジュール です。左のほうに書いているのが本検討会です。真ん中にシンクタンクによる 調査・検討と書いていますが、先ほどご紹介しましたように閣議決定に至るま でいろいろなご議論がありました。その際、有効活用を検討するに当たっては 民間の知見を活用すべきではないかというご議論、あるいは地元関係者の意向 を踏まえてシンクタンクに調査を委託すべきだといったご議論がありました。 そこで今後、この私のしごと館に係る建物の有効活用の検討を行うに当たって は、具体的なニーズの調査や各事業を行う場合の費用、収入、そのための改修 に要する経費など、具体的なプランの検討が必要であると思っています。そう いった点についてシンクタンクに調査・検討を委託したいと考えているところ です。  本日のご議論を踏まえて、シンクタンクで具体的な調査・検討をしていただ いて、その調査・検討の中間的な取りまとめの報告を夏にお聞きし、また議論 していただく。そして年内にもう1回ご報告いただいて議論するといった段取 りで年内に、私のしごと館に係る建物等の有効活用の方向性を出していただき たいと考えているところです。なお、シンクタンクについては、現在、公募中 です。  本検討会において、年内に具体的な方向性を出していただくわけですが、そ れを踏まえて今後、必要な手続を実施していくことになります。その結果につ きましても本検討会にご報告をしたいと思っています。なお右の上に、関西経 済界に対するアンケート調査を書いていますが、これにつきましては後で別途 紹介させていただきます。以上、私のしごと館の概要と本検討会の役割等につ いて、ご説明申し上げたところです。 ○加藤座長 ありがとうございました。ご意見等は後で十分にご議論いただく として、ただいままでの説明のところで、ご質問等がございましたら伺いたい と思います。いかがでしょうか。 ○ 木村委員 これまでの流れのご説明をいただいたわけですが、これまでいろ いろご議論いただいたことについては、報道関係者のいろいろな報道を通じて 知り得たわけですけれども、今日のこういった機会を設けていただいたことに は非常に感謝をしています。しかし、残念ながら、これまでの経過の中で地元 の立場、地元の関係者あるいはけいはんな学研都市との関わりを持っている者 の意見を、一切聞いてもらえなかったということについては誠に残念だと思っ ています。  ただ、先ほども事務局から、団体の研修生が非常に大きく落ち込んだという 話もありましたが、まさにこのしごと館廃止という報道が先行し、これはコン グレさんに大変ご迷惑をかけたと私は思っています。企業誘致も進めています けれども、けいはんな学研都市におけるこの位置づけ等について、立地いただ いた企業さんからも「国のお墨付きもある学研都市だから進出したのに、国の 施設が撤退ということになれば、イメージダウンは避けられない」という言葉 も聞いていますので、今後、こういうことは是非とも、地元の関係者も含めて いろいろな意見を聞いてほしい。時には市民レベルの意見も聞いてほしい。市 民の方には素晴らしいアイデアを持っている方もいますので、行政の関係だけ でなく、このことを大いに国民的課題として是非とも議論をお願いしたい。以 上です。 ○ 加藤座長 ただいまのご意見、私も全くそのとおりだと思います。いまご説 明のありましたこの検討会の役割のところの2頁にありますが、昨年、私のし ごと館のあり方検討会というのが3月にスタートして検討を始めたのです。私 も座長を仰せ付かりまして、そもそもこのしごと館というのはどういうことで 出来たんだろう。いま果たしている役割はどうで、これからどんな役割を果た すべきか、その中でこれだけのお金をかけて存続させることが必要なのかどう か。少し順序立てた議論をしようと思っていたところ、夏ごろから、率直に言 えばマスコミを中心にした国費の無駄遣いの象徴、廃止の大合唱が起こってし まい、実はそこのところについてしっかりした議論を十分行えないままに、廃 止の世論が形成されてしまったというのが率直な経過だったと思います。  担当された大臣も、そういう世論に配慮されて、検討が進まない中で廃止と いうことのご発言もありました。いまお配りした資料の2頁に、私のしごと館 のあり方検討会の結論が3点あります。1つは委託契約期間の遵守ということで、 コングレさんにお願いした事業運営は、少なくともお約束の期間まではしっか り守る、これが基本だということ。ただ、これも先ほど事務局からご説明があ りましたように、前の委員会ではコングレさんの経営努力を大変高く評価した のですが、何しろ廃止という大合唱だけが先行して、修学旅行の予約等でも、 廃止が決まったのに何年も先のものを予約するのはどうかという風潮が重なっ てしまい、経営で大変苦戦をされたということがありますから、改めてこの第1 点目はきちっとお約束したいということが1点です。  廃止論の中で、まさにこれから我々が検討するわけですが、政治に携わって いる方の中にも、10億円以上の赤字のたれ流しという言葉だけが強調されて、 建物を取り壊してしまえという議論もございました。これはご承知のとおりで す。あり方委員会では、何とか建物を取り壊さない中で、これからの活用を考 えたらどうかというご報告を申し上げました。  3点目は、そういう前提に立って建物の有効活用に向けた検討を行うというこ とで、いま、まさに木村町長ご指摘のように地元関係者のご意見も改めてきち っと伺った上で、これからのあり方を考えるということ。  前回までのあり方検討会の取りまとめとしては、私は取りまとめに当たりま したけれども、そこまでが精いっぱいだったかなという気がしています。改め て今日、これからの有効活用検討会ということですので、これまでの反省も踏 まえて率直な議論をしていただければと思います。そういうこともございまし て、私と、たしか前回に続いて委員になった森永委員が参加させていただくこ とにしたわけです。ほかに何かご質問、いかがでしょうか。 ○稲田委員 質問というか一緒ですけど、資料3でいろいろな数字を教えてい ただきましたが、資料3の概要の6頁に運営費及び維持費用とあって、左側が、 しごと館がこのままでいった場合、1億円というところが2,000万円下がって 8,000万円下がるということでいけば、大体、年間維持管理費が1億7,000、8,000 万円かかると思ったらいいのですよね、これは。維持費用は2億5,400万円と なっていますね。これ年間ですよね。これは固定資産税を税金がかかるという 前提で計算されているので、いまと同じ非課税措置があれば1億8,000万円ぐ らいだと。7,000か8,000ぐらいになるのですかね。 ○育成支援課長 引き算しますと、そのぐらいになりますね。 ○稲田委員 そうですね。それで、あと2頁に収支というグラフがあって、こ れは毎月、こういう収支の計算がされているのですね。そこの関係なのですけ ど。 ○育成支援課長 よろしいでしょうか。ここで言っている収支というのは、支 出のほうにつきましてはコングレで事業を運営しているときの支出を計上して いるのですが、固定資産税の公租公課につきましてはこの支出の中に入ってい ないのです。 ○稲田委員 聞きたいのは、要するにここの支出というところには、先ほどの 維持管理費以外のどういう費用が入っているのか聞きたかったのです。たぶん 出展に伴う費用とかが入っているのかなと類推していますけど、そんな理解で よろしいでしょうか。 ○育成支援課長 正確な言い方ではないかもしれませんが、ざっくり申します と、例えば人件費が当然入っていますし、あと業務を再委託しているというこ とがありますので、その委託費等々が入っているということになります。 ○加藤座長 コングレさん、何か、この赤線の中身で。 ○隈崎社長 課長が言われているとおり、いちばん大きいのは人件費、それか ら再委託費です。 ○加藤座長 この支出の中には、ここで言っている固定資産税は入っていない ということですね。 ○隈崎社長 入っていません。 ○加藤座長 それを除いた計上と。ほかにご質問、いかがですか。それでは後 の議論もありますので、資料5の建物の有効策についてのご説明をお願いしま す。 ○育成支援課長 資料5、6に沿いましてご説明を申し上げます。先ほどご説明 したとおり、本日のご議論を踏まえまして、具体的なプランをシンクタンクに 調査検討していただきたい。そういうことを委託することを考えているわけで すが、その際の方向性といったことについて本日ご議論をいただいて、そのご 議論いただいた方向性でシンクタンクに対して調査を委託したいと考えている ところです。  そこでいきなり議論と言いましても、なかなかやりにくいところがあります ので、ひとつの参考になるのではないかと考えて、関西の企業様に対するアン ケートを行ったわけです。それをご紹介させていただきたいと思います。資料5 ですが、関西経済団体のご協力をいただいて調査を実施し、具体的には対象企 業103社にお聞きしたところ、21社からご回答いただきました。お聞きしたの は、1つは、私のしごと館の建物等の活用方策としてどういったものが考えられ るか。2つ目に、御社ではどのような活用が考えられますか。3つ目に、御社で 「私のしごと館」の土地、建物等を買うことを検討する可能性はございません か。この3点をお尋ねしました。  それについての回答を2頁以降に紹介しています。第1点目のどのような活 用方策が考えられるかという質問に対する答えとしては、アウトレットモール といった商業施設のほか、研究、教育といった答えがありました。やはりここ は関西文化学術研究都市にあるということもあってか、そういう学研関係の施 設がいいというお考えによるのかなと思っているところです。この「私のしご と館」はもともと職業関係の施設だということもあってか、職業訓練、就職支 援につなげるようなことをやってはどうか、というご意見も多々寄せられてい ます。この職業訓練施設というところに書いているとおり、例えば職種転換支 援のための技術・技能を教育する場にしてはどうか、資格取得につながるよう な職種の訓練を行ってはどうか。また宿泊をできるようにしてはどうかという ご意見もありました。  一方、3頁に書いてあるのは、今回のアンケートの趣旨としては本来、この私 のしごと館業務は廃止して、新しい用途を考えられませんかという趣旨でお尋 ねしたつもりだったのですが、いまの私のしごと館と同様の職業体験で良いの ではないかというご意見も、実はかなり寄せられたところです。今の私のしご と館業務を廃止するということにつきまして、今後、検討していく必要があろ うかと思っていますが、こういったご意見があったことにつきまして、ご紹介 するところです。  その他とありますが、なかなか立地条件が厳しいので、活用方策が見当たら ないといったご意見もいただいたところです。  4頁ですが、2つ目の質問です。御社でこの私のしごと館の施設等を活用する とすれば、どういった活用方策が考えられますかという質問をしたわけですが、 基本的には企業の会社説明会を実施するとか、CSR活動に活用するといった、企 業のいろいろなPRの会場にすることが考えられるといった答えをいただきまし た。他方、活用はなかなか難しいといった答えがかなり多かったのは事実です。 3つ目のお尋ねとして、この私のしごと館の土地、建物の購入を検討する可能性 はありますかという質問をしたのですが、回答企業21社のうち20社から、購 入の可能性なしという回答をいただき、1社は無回答でした。  関西の企業の皆様方にお尋ねしたところ、以上のようなアンケート結果にな ったわけですが、こういうことを聞きましても、有効活用検討というのはそう 簡単な話ではないことを改めて実感したわけです。  ただ、いずれにしてもこの有効活用を検討しなければなりませんので、いま のアンケートを踏まえ、かつ、今までいろいろな方面からご指摘いただいたこ となどを踏まえ、資料6の論点メモを用意したわけです。建物の有効活用に関 する調査の方向性ということですが、いまご紹介したアンケートの回答結果、 あるいは今まで各方面から頂戴したご指摘を踏まえると、建物の有効活用につ いての調査といったときに、次のような方向性があるのではないかとして整理 したものです。  1つには、学研都市にこの施設が立地しているということですので、現在の用 途規制を前提にした上で、その範囲内でできる限り高く売却する場合に、どう いった活用方策が考えられるかについて調査検討してはいかがかということで ご指摘があったわけです。このほか各方面からも例えばインキュベーション施 設に活用してはどうか、教育関係の施設として活用してはどうかといったご意 見があるわけです。そういった方向性で検討してはいかがかということが1つ です。  一方、できるだけ高く売るということを考えると、現在の用途規制に必ずし もとらわれない検討も必要なのではないか。そのような場合にはどのような活 用方策が考えられるかについて、調査検討してはどうかという点があるかと思 っています。現在の用途規制では駄目だという施設としては、アンケートの中 では、アウトレットモール、コンベンション施設といったご提案があったわけ ですし、これまでも各方面から例えばショッピングモールにしてはどうか、シ ネマコンプレックスにしてはどうかといったご指摘もあったわけです。そうい ったことも含めてできるだけ高く売るという観点からは、どういった活用方策 が考えられるか検討を進めてはいかがかと思っています。  ただ、さはさりながら、現在の経済情勢といったことを踏まえると、なかな か高く売るというのは難しい点もあります。そうなると公的な事業を行う団体 に対して売却するといったことも考えられるのではないか。そういった場合に、 どのような活用方策あるいは売却先が考えられるかについて、調査検討を進め てはどうかといった点があろうかと思っています。アンケートの回答を拝見し ても、職業訓練あるいは就職支援といったご意見があるわけです。そういった ことを踏まえた調査検討を進めてはどうかということです。  以上、論点メモといった形で事務局なりに整理したところですが、いずれに しても本日のご議論を踏まえ、シンクタンクに具体的な調査・検討をお願いし たいと思っています。よろしくお願いします。 ○ 加藤座長 いま、説明がありましたアンケートですけれども、ご承知のよう に経済情勢が最悪の時期でございまして、ここにありますように103社に対し て回答が21社しかなかったということ。おそらくそれぞれアンケートを受け取 った企業は、いまの収益状況、今後の見通しから言えば、それどころではない よというのが率直な感じだと思います。回答者数もそうですし、その回答で当 面使い道がないとか、かなり消極的な意見が多い。そのことは残念ながらいま の経済情勢の中でどう考えるか、ひとつ問題を投げかけていると思います。  一方、昨年の夏の議論から閣議決定はあったわけですけれども、それから先 の今日までの動きを見ると、経済情勢が厳しい中で改めて職業訓練や職業体験 など、そういうものの重要性と言いますか、そのことが改めて強調されるよう になってきた。これは去年、第1回のあり方委員会をやっていたときと比べ、 少し世情の変化だろうと思います。我々の検討会は閣議決定に沿った線を崩す わけにはいきませんが、そういう経済環境や世論の変化というものを見極めな がら、これからどういうあり方を考えていくかを検討する必要があるのではな いか。  今日は、特に地元の自治体、関係団体の方が多くご出席ですので、そういう お立場も踏まえて、これからのあり方について、これから率直な意見交換をし ていきたいと思います。よろしくお願いします。ご自由にご発言いただきたい と思います。 ○木村委員 私ばかり申し訳ありませんが、ただいまの事務局の説明から資料6 を見ましても、この売却についてのアンケートで、アウトレットモールやコン ベンションなどという商業施設の話がありますが、一体、この学研都市という ものをどのように考えておられるのか。これは国の責任においてつくられてき たものでありますので、ここらの視点を変えていくとか、何かこれを無視して 学研都市というものは私は全くあり得ないと思っていますので、そういうこと も頭の中に描きながら、ご議論を進めていただいたらうれしいなと、これが1 つです。  それから、いま加藤座長さんもおっしゃいましたけれども、国の閣議の決定 以降でも世の中が大きく変化をして、今、どんなことが大きく取り上げられて きているのかとおっしゃいましたけれども、非常に私も同感でございます。世 の中は若い人たちが紙切れ同然で雇い止めが進んでいる中で、若い人たちが夢 と希望を持てる社会をどうつくるのかというのは、政治も社会も国民も共通課 題として私は求められていると思いますと、誠にこういった議論は寂しいなと 思っています。  ただ、私は今日まで進めてこられたことについては、全くこのとおりやって くれという思いはありませんので、12月17日に甘利大臣にもお会いさせていた だきましたけれども、そのときにもいまの時代に合わせて、どうするかという ことを何とか議論をお願いしたいということで、雇用・能力開発機構さんをな くすということの議論の中で、同時に、このしごと館も議論されている。本来 の目的を全く無視されて議論されているということについても非常に残念だと 申し上げました。甘利大臣は、そのとおりだ、若い人たちの職業教育、人材育 成も非常に大事だと強調されていましたので、私もほっとしながら帰ったので す。結果的には内閣で廃止という方向を打ち出されたわけですけれども、そう いうことも頭の中に描きながら、いま国民としてあるいは学研都市として、あ るいはそれぞれの課題を解決するためにはどうしたらいいかということで、皆 さんにいろいろな話をしていただいたらうれしいなと思います。座長さん、よ ろしくお願いします。 ○加藤座長 去年、何人か担当大臣が代わりましたけれども、その中のお一人 で、シネマコンプレックスがいいのではないか、大型のショッピングモールが いいのではないかとご発言なさった方もいらっしゃいましたね。地元としても いろいろな受け止め方があると思います。たしかそんなご発言もありました。 それから外資系のソフトウェア会社の本社でも引っ張ってきたらどうかという 話もありました。 ○木村委員 いま左前になっているところの名前も挙げておられました。 ○加藤座長 どうぞ、ご自由に。 ○河井委員 今日は、こういうふうに地元の意見を聞いていただく機会を作っ ていただいたということで、非常にありがたく思っています。以前に大臣が3 人来ていただきましたけれども、そのとき非常に残念でしたのは、こんな不便 な所にこんな贅沢なものを建ててと開口一番で言われたときは、私たちは首長 として非常に落胆したという思いがあります。私たちはこの学研都市に向けて、 20年前から夢を持って取り組んでまいりましたし、私たちはこの町にそれぞれ 誇りを持って、まちづくりを進めてきたという中で、大臣がそのように開口一 番、お話されたということは非常に残念な思いをした経過がございます。  そういった中で、あり方検討委員会で決定されたことの中では、先ほど木村 町長からもお話がありましたように、地元の意見をもう少し聞いていただく機 会があればと残念に思っています。もう1つは、委員の皆様で、私のしごと館 を実際に見ていただいていない方もおられたのではないかということで、そう いった中で議論が進んでいたことについては非常に残念な思いをしております。 決定をしたということですので、今後は前向きな話をしていかなければいけな いということもございます。  この私のしごと館については、私は非常に重要な施設だと思います。特に日 本人というのはものづくりで発展してきた。そういった国でありますので、こ れからもものづくりをしっかり子供たちに継承していかなければいけないとい う点では、ここの場所が職業の体験の場所、また資格が取れる、そういった場 所で更に充実していただくということが大事であると思っています。  その点についてアウトレットとか、いろいろなご意見はございますが、学研 都市という中で私たちは夢と希望を持って先祖伝来の土地を提供して、このま ちづくりを進めてきたわけですので、国家プロジェクトという国の事業の中で 進めてきたという中では、しっかりとした国の方向で、この施設を何らかの形 で存続していただくという方向で、是非、お願いをしていきたいなと私どもは 思っています。特に厚生労働省で厳しいのならば、文科省で代わりに教育施設 としての位置づけで利用いただくとか、そういったことも是非考えていただけ たらと思っています。 ○稲田委員 学研都市のまちづくりを担当しているという立場から、一言言わ せていただきたいと思います。この学研都市の所管はもともとは総理大臣だっ たのですが、いまは国土交通省です。開発の基本方針というのを国で定められ て、それを受ける形で3府県さんが建設計画を定めてまちづくりをしている、 そういう構造なのです。今、そこを国は国だというお話でした。  さっきの資料で用途の制限とかいろいろありましたが、これはそういう制度 に基づいて決められているもので、逆にこの6頁に書いてあるアウトレットと かコンベンション、商業施設など、そういうのは立地できる場所が逆に決まっ ているのです。そこの商売もいまの時勢、青色吐息で非常に苦しい状況があり ます。そういう全体を計画的に作っている町の中で、この施設だけ特別に扱う というのがどうかなというのが1つあります。  過去、20年間の中で、いろいろな理由でその施設が廃止された例というのが 学研では何カ所かあるのですが、結果、それはリニューアルとかリユースとい うか再利用されています。それは学研法の制度の中で各々の施設が有効に活用 されているということですので、そういう民間が引っ張っていくという意味も 含めて、ここだけが特別扱いというのは、ちょっとどうかなというふうに考え ます。 ○加藤座長 特別扱いというのは、シネマコンプレックスとか大型モールとか。 ○稲田委員 シネマコンプレックスも実はこの近くにできたのです。 ○加藤座長 ここだけが特別扱いで、そういうことに使えると。 ○稲田委員 いろいろな規制を、皆さん、何とかその制度の中で活用しようと しているところを、いきなりここがというと、みんな箍が外れるのではないか ということを心配すると思います。ただ、そうは言っても、私、さっき質問し たように、数字的にはこのままではあり得ないわけですから、そこをどうバラ ンスを図っていくかということかとは思います。 ○ 山下委員(高嶋代理) 京都府の政策企画部長の高嶋です。雇用担当の山下 部長がどうしても来られませんので、私、学研都市担当ですので参らせていた だきました。代理で失礼をいたします。  稲田常務がおっしゃったことを補足をさせていただきたいのですが、いま常 務がおっしゃいましたように、関西学研都市の建設促進法という法律に基づき、 特別法に基づいて国が基本方針を定められ、京都府が国土交通大臣の同意をい ただいて建設計画を決めている。この国家プロジェクトに基づいてまちづくり をしていますので、もちろん地元としましても、しっかりとしたまちづくりを しようということで条例をお作りになって、住民の皆様もその規制を大事にし て、将来に向けてまちづくりをしている。こういう構造でございます。  したがって、この私のしごと館の前の精華大通りですね、向こう側には商業 施設が現在ございますけれども、こちら側は建設計画で文化学術研究ゾーンと いうことで、国立国会図書館もございますし、いろんな企業の施設もございま す。そういうまちづくりをしているということを、ひとつご理解いただければ ありがたいと思っています。少し各論から入って恐縮です。  それから、このしごと館の評価ですが、そういう国の国家プロジェクトとし て東の筑波と並ぶ学研都市を20年前につくったということで、皆さんとご協力 をして、いま京都のみならず大阪、奈良、近畿一円に、そういう役割を果たす ということでやってきていますので、そういう点は、我々は大いに大事なプロ ジェクトとして一緒になってやっているわけです。特にこのしごと館は、その 中でもいま問題になっている若年者の雇用問題、雇用のミスマッチであるとか、 いろんな問題が大きく出ておりますときに非常に大きな役割を果たしてきた。 例えば先ほどございましたけれども、平成15年以来、全国から約200万人の来 館者がお出でになっているということは、非常に大きいものがあろうと思って います。  特に京都と奈良の間に位置しておりますので、修学旅行なんかでもご利用い ただいたり、遠足や校外学習ということでも大いにご利用いただいております ので、そのことはよく分析をいただいて、良いところ、悪いところはあろうか と思いますけれども、そういう成果はあるということをご理解いただければと 思っています。したがって、京都と奈良の文化を勉強する、歴史を勉強すると いう間に、また違った側面の体験ができるということでございます。  現在も約200名、これは契約社員さんとかパートさんとかですが、聞いてい るところによると地元雇用の場にもなっている。そういうこともございまして、 先ほど市長さんがおっしゃいましたけども、こういうプロジェクトに皆さんが 協力する中で、そういうことでも貢献いただいている側面もあるのだろうと思 っています。今後とも地元の声あるいは住民の皆様のお声を是非聞いて、検討 を進めていただければありがたいなと思っています。ありがとうございます。 ○加藤座長 いまの話で、ここの使い方が2通りあって、1つは特に3府県です ね、3府県で地元にある施設として本当に使いたいのだというご希望と、いまお 話にありましたように、全国の中高生の修学旅行のときのワンストップサービ スと言いますか、職業体験施設としての使い方です。どうも修学旅行のワンス トップ体験と言いますか、その使い方というのがあまり効果がないのではない かというので、地元には非常に強いニーズがあるが、修学旅行のほうはどうか なと首を傾げるような意見もあるように思います。実際に運営されていて、コ ングレさんはどういうふうにご覧になっていますか。オブザーバーですけど、 どうぞご発言いただいて結構ですから、いまの皆さんのご意見を踏まえて、実 際の運営を経験されていかがですか。 ○ 隈崎社長 座長のお話ともかぶるのですけれども、実は、私どもがいちばん 無念・残念と思っている当事者です。これは加藤様にもわかっていただけると 思います。先ほど稲田様から、しごと館は到底採算は無理、というお話がござ いましたけれども、私どもは国からの補助が0というのは無理にしても、いい 線まで持っていけるという自信があったので着手したことなのです。端的に言 いますと、しごと館廃止という今回の結果は、座長が言われたように、いわゆ る世論なるものが、結局こういうことになったということだと思うのですが、 私に言わせると、「世論も間違える」ということのいい例がこれではないかと思 っています。  この館自体が大変大きすぎる、巨大な施設ということについては誰もが認め るところですが、そうした生い立ちの問題は別にして、いまそこから生まれ育 った職業体験施設しごと館は、大変よい評価を受けており、アンケートの結果 も圧倒的に多数がしごと館の存続を望んでいます。本当のところ、しごと館を 潰せという声は、実はしごと館の現状を全く理解しない一部の声に過ぎないの ではないか。また、座長が言われたように、しごと館の民間委託をやってみて、 その成果を見て手を打てばいいではないかという意見こそが冷静な判断という ものでしょう。しごと館を処分するときでも、しごと館が元気にやっておれば、 高い値段がつくでしょうが、しごと館が閉鎖になって、蜘蛛の巣が張るように なってしまってから売ろうということになれば、おそらく処分価格はびっくり するぐらい安い金額になってしまっているだろうと思います。しごと館を潰せ といった人たちも、そこまで下がるのかといって驚かれるのではないでしょう か。そういう下手な売り方を国民がよしとするのでしょうか。次に先ほど地元 の委員からも言われていましたように、実はしごと館には200名の雇用がかか っているのです。始めから私どもはそう言っていまして、この雇用を守るとい うことや、ここに年間35万人の集客ができるということは、将来の学研都市発 展の大きな武器になる。ひいては、ここに駅を引っ張ってくることについても、 重要なファクターになるのだといっていたのですけれども、これはマスコミに 全く取り上げてもらえなかったことで、無念に思っております。  終わりに重ねてのお願いですが、有効活用というのは何か。有効活用という ものの中には、本当に雇用も守れて、しかもしごとというものを体験させる教 育的効果もある、しかもしごと館には本物の設備機材をたくさん組み込んでい て、さらにそれらを運営する人やノウハウ、仕組みまで全部揃っている。どう かこうしたソフトの価値を活かした活用方法を考えていただきたい。これを取 り壊して、この館の土地がいくら、建物がいくらというのではいい値段はもう 付かないだろうと思います。この間の観光庁有識者会議で出た話ですが、これ からは産業観光の施設を増やす必要があるということでした。産業観光の施設 というなら、しごと館はまさに産業観光の殿堂みたいなものではないでしょう か。韓国はこのしごと館にならって、2011年にはソウルの近くに同様の施設を つくることになっています。そういうこともみんな考慮した上で、有効活用を 考えていただきたい。  とにかく、少しでも高い方に売るのが有効活用だということにはしていただ きたくないということを強くお願いしたいと思います。 ○加藤座長 ありがとうございました。先ほど事務局から提案がありましたよ うに、シンクタンクに少し検討してもらって、それを我々に上げてもらって、 それで有効活用の検討をやろうと。これからそういうふうに考えているわけで すけれども、せっかくの機会ですから、シンクタンクが検討するに当たって、 こういうことをきちんと考えろと、あるいはこういうアイディアはどうだとい うようなことで、少しフリーなディスカッションをしたいと思います。これは 特にお立場にこだわる必要はありません。これからの作業を進めるに当たって ご意見があればお願いいたします。 ○河井委員 できましたら職業体験ということをお願いしたいわけですけれど も、どうしてもこのままの形態では難しいということでありましたら、関西に は非常に多くの国宝があります。約6割が関西にあるということです。また重 要文化財についても5割、そして国指定の史跡や名所といったものも3割が集 積しているという点では、非常に歴史文化の宝庫と思われます。  そういう中でもこの施設が、そういうPRのできる場所になってもいいのでは ないかと思います。特に私ども木津川市でも多くの国宝を持っておりますし、 また最近もいろいろな史跡が出てまいりまして、国宝級の史跡も出ております。 そういうものも職業の1つでありますし、そういう本物を見たり、体験したり、 そして聞いたりとできるような施設の一部にも活用していただけたら非常にあ りがたいと思います。  どうしても博物館とか、美術館については採算性は言われないのですけれど も、特にここはそういう面で少し意味が違うわけですけれども、文部科学省な どに変更ができるのでしたら、先ほども言いましたけれども、いろいろな面で そういう有効活用を考えていただければと思っています。 ○ 木村委員 このしごと館がどういう思いで、夢を持って、国の責任において つくられてきたかということも頭の中に入れて、マスコミの一部の方たちが、 大きな財政負担が伴うのでやめたらいい、ということだけでは本来の解決には 結び付かないと思っています。  先ほどから話が出ていますけれども、いま若い世代の人たちがどういう立場 でおられるのかという、自分の適性もわからない、何をしていいのかわからな いという方が大半だというお話を供されるわけです。まさに職業教育の難しさ、 また大切さ、学校を出ても、あるいは学力があっても、しごとができない方が 非常に多くなってきました。最近、大阪の橋下知事も、学力よりも職業教育の 大切さを強調されておりました。まさに、あれだけ大きな課題として提案をさ れているわけです。私は、この施設をいままでの継続ではなしに、国や文部科 学省も含めて、厚生労働省も含めて、この施設を通じて体験から研修から、そ して資格の取得、そして技術力アップに向けて、企業人として役立つような人 間をここで作り上げていく。これは、まさに国を背負って立っていただく人た ちの勇気と希望と、また大きなエネルギーになっていくと、このこと以外には ないのではないかと思っています。是非ともそういう面で皆さん方のお知恵を いただきたいと思います。  一昨日、相楽のふるさと塾というのがありまして、そこでOBの皆さんが集ま って、その席で、相楽のいろいろな文化、観光、あるいは学研都市のかかわり の中でどう生きていくのかという話も一部にありました。その場を散会して、7、 8人の方々が私にいろいろな意見をおっしゃったのは、なるほどな、これは申し 訳なかったというのは、マスコミを通じてしか情報を知らないと。それで、大 きな金をかけて、無駄遣いをして、廃止をするのだということばかりが流れて きた。我々もそのとおりだと、そうしてもらいたいと思ったけれども、もっと いろいろな情報提供をして、私たちの意見を聞いてくださいと。国民の意見や 民の意見の中には、もっとすごい、いい知恵が必ず出るはずだ。そんな機会を 設けてくださいという話を聞きまして、私もこういうことにかかわる1人とし て申し訳なかったということでお詫びをいたしました。  そんな機会を、私たち自らも作り上げていきたいと思いますけれども、この1 カ月後の5月24日に、地域住民の視点から、私のしごと館問題を考える市民フ ォーラムを立ち上げていただけるようです。これも100人規模であるようです けれども、こういう人たちの声にも注目しながら、是非とも本来の夢、本来の 目的、あるいは抱えている課題について、難しい部分についてはどうすればい いのか、どう知恵を出せばいいのかということでご議論いただいたらうれしい と思っています。 ○加藤座長 どうぞご自由に。今後のことについてどうでしょうか。 ○稲田委員 町長が熱い思いを語られましたので、ちょっと立場的には違うか もしれませんが、学研都市は、いま我が方のプロジェクトとしては、科学の町 の子どもたちということで、いまの理科離れに対して、10年先ではなくて、20 年、30年先の、いまの子どもが大人になったときに、日本がどうなるかという ことを子どもにも実感してもらいたいし、考え方としても再整理する時期が来 ているのではないかということを1つ取り組んでおります。ここがそれの拠点 みたいな感じでなっていけば非常にありがたいという夢があります。  ただ、マスコミの批判がしやすいような形にだけはならないようにと思いま す。私も、このままでは駄目かなと思っています。許す範囲の中で、学研法も 実は、何回か変えていまして、最初は研究オンリーだったのですけれども、い まは研究開発型の産業も立地が可能にするとか、その時代の要請に応えられる ように変わってきているのは事実です。そういう意味では、先ほど隈崎社長が おっしゃいましたように、二束三文で売るならと。それは一回やってみないと わかりませんが、やった上でいけば、この中のどこかを変えるとか、もうちょ っと収益に矛盾がないようにするとか、そこに手を打たないといけないかなと 思うのです。学研としては、この施設は目玉施設だと思っております。 ○加藤座長 学研都市としての今後の利用というのを考えたときに、職業体験 がここに求められると。ほかに学研都市としての施設利用といいますか、そう いう可能性については何か知恵はありますか。 ○稲田委員 学研は研究の場でもありますが、教育ということもありますし、 文化という名前もここだけ付けていますし、それから実証実験フィールドとい うのも標榜しています。だから、実際に住んだ人が、いまの環境問題に取り組 めるような住宅に住んでもらうとか、いろいろな切り口はあります。 ○加藤座長 実証実験で何か例がありますか。 ○稲田委員 いまでこそインターネットで、家まで光ファイバーが行っている のが普通ですけれども、そういうのをここでは20年ぐらい前に先駆的にやって います。最近でいえば、ロボットが実際どういう活用をできるかというのを、 商業施設の中で去年実験しました。いろいろな実証実験はしています。 ○加藤座長 ほかにはいかがですか。 ○山下委員(高嶋代理)これからご検討いただく基本は、国家プロジェクトと して関西文化学術研究都市という都市をつくっておりますので、それにふさわ しい施設ということを念頭に置いていただきたいということが基本です。  それから、先ほど河井市長がおっしゃいましたように、京都とか奈良という ストックもあるということです。それから、少し個人的な意見になるかもわか りませんが、筑波と比べていただくと、こちらはかなり違うと思います。座長 も行かれたことがあると思うのですけれども、筑波は通商産業省系の産業技術 研究所であるとか、文部科学省系の筑波大学があるとか、農林水産省系のいろ いろな研究機関があるとか、どちらかというと国立の機関がかなり重点的に張 り付けられてやっている所だと思います。  こちらは、京都、大阪、奈良が連携している。国と一緒になっていろいろな 自治体、大学、経済界とかいろいろバラエティに富んだ、多彩な機関が立地し ております。それで文化という名前も付いております。そういう所にふさわし い施設として、どういう方法があるか。少し抽象的な言い方で申し訳ないので すけれども、そういう所の連携ということ、稲田常務もおいでですけれども、 我々が大事にしている地域ですので、是非そういう観点は地域の特色を活かす と申しますか、プロジェクトとしての成り立ち、そして地域のいろいろな立地 をしているという特色を活かすということを是非念頭に置いていただきたいと 思っております。 ○ 加藤座長 いま高嶋さんから、文化という1つのキーワードを出されて、そ れから職業訓練ということ、これからの有効活用のキーワードが、そういうこ とを前提にして考える。国はそれに対してここにはお金を出さないと言ってい ます。そうすると、それを成り立たせるためには入館料というか利用料という か、民間のスポンサーシップ以外に方法がない、それで成り立つかというまた 逆に戻った議論になります。  改めて確認しておきますけれども、国としてはこの施設に対して、これから のいろいろな目的についてお金を出すことはしない、ということで考えろとい う前提でよろしいのでしょうか。杉浦さんそれでよろしいのですか。 ○ 審議官 閣議決定ないしそれに至る経緯からして、いままでのご議論なりお 話の中でありましたように、非常に多額のコストをかけてつくった。しかも、 それが雇用保険の事業主負担である雇用保険2事業と言われておりますが、雇 用保険のお金を使ってつくってきたということが、いろいろな批判のかなり大 きなウエイトを占めてきています。  そういうことを踏まえて閣議の決定、あるいは有識者会議の議論もそうなの だと思いますけれども、要は廃止に伴うコストの最小化ということを打ち出さ れておりますので、おそらくというか、いまの形態で、特に雇用保険で同様な 拠出の形で支出するのはかなり困難ではないかと思っております。  いまご議論がありましたように、国という大きな枠組みの中で、これも我々 厚生労働省の枠の中で入れるのか、外に出なければいけないのかという部分も あるかもしれませんけれども、そういった形での別の方策を考えろというご意 見もあれば、それはそれで受け止める必要があるかもしれませんけれども、少 なくともこれまで出してきたやり方で、そこを別の形にするにしても、おそら く別の形という前に、そのしごと館業務という、こういう職業体験的な同様の 事業を、同様の形の拠出でやることはおそらく認められないだろうということ はあると思います。  例えばの話ですけれども、そこを全く違う事業として行う、それに対してま たどこかから拠出を持ってくる。それで雇用保険のお金を使うことの合理性が 一定のものとしてあるということならば、それはそれで1つの方策はあるかも しれないのですけれども、その辺の関連性と、それからお金の出し方、出所の 思想のところをよく考えないといけないと思っております。極端な話、もしこ こを取り壊すにしても、何らかの形で使い直すにしても、回収の費用というの は必ずかかるわけですから、その分の費用をどこかで出さない限りは、そのま ま売ってしまえばそれ以上のお金はかかりませんけれどもということはありま す。  それから、先ほどの説明の中にありましたけれども、維持管理費というのは 最低でも年間1億2,000万円ぐらいはかかります。これだって、いまは雇用保 険のお金からずっと継続的に出ているわけですから、廃墟にならない程度の基 礎部分のコストも、いまは雇用保険のお金を使っていかなければならないので すけれども、それについてもその先の有効活用の相手方が見つからない限り、 期間が長くなればなるほど、それについての批判も出てきてしまうこともあり ます。その辺もこの検討会の中では頭の中に入れておいていただきたいという 希望はあります。 ○加藤座長 なかなか難しいご説明でしたね。先ほど、稲田委員が質問された 中で、ここにかかっている費用というのを、これからのあり方を考えるときに、 建物の取り壊しはしないまでも、一部造りを見直すとか、そういうことでかか っている光熱費などについて少し見直しをする可能性はあるかもしれませんね。 ○審議官 ご覧いただければわかりますけれども、非常に粗っぽい計算しかし ていませんので、現実にもうちょっと案になれば、またそれに付随した計算の 仕方も当然出てくると思うのです。ここに書いたのはおそらく最低の最低限と してこれだけはかかるのではないかというところを出してあります。また、用 途がもう少し具体的になれば、それはそれで計算の仕方も出てくるのではない かと思います。 ○加藤座長 いままでの世論からいっても、ベルサイユ宮殿ではないかという ような話もあったけれども、少し建物を見直す中で、改めて活用法を考えると いうのも選択肢の1つかもしれません。 ○ 木村委員 私も、いろいろお話を聞かせていただいているのですけれども、 こんなことを言うと「また、お前は蒸し返すのか」と言われそうですけれども、 例えばの話として、私も国からの意見を仄聞したりします。仮に豪華な建物と いうことはすべての人たちが、我々も同じ思いで見ていますので、当然経営者 の立場に立てば、より経費の要らないようにどうするかというのは、この世の 中では当たり前です。  行政の責任者としても、当然行政改革をやるにつけては、どの部分をどうし たらいいのかというのは当たり前ですので当然です。仮に、この施設が筑波に あれば、こんなことにはならなかったのになという話があります。事務局の皆 さん、言葉は非常に難しいと思いますけれども、首都圏、あるいは筑波にこの しごと館があれば、ここまで言われないけれどもなという、一部世論操作のよ うなことがあったのではないかということが1つありますので、ちょっと教え ていただいたらうれしいと思います。  それから、学研施設の中の中核施設として、国の責任においてつくられてき た施設もかなりあります。しかし、その部分についてはおっしゃられない。し かし、このことについておっしゃるというのは、それで私も建物が悪いのです か、大きなお金を投資したがためにいけないのですか、中身そのもの、こうい う研修施設そのものも駄目なのですかということをいろいろな場で言っても答 えは返ってきませんけれども、そういう何かすっきりしない、やはり市民レベ ルの方たちも心配する。  収支のバランスの問題もありますし、当然責任者の立場に立てば、それはな んとかしろと。私もその立場なら申し上げますので、あるいは行政の長として も当然行財政改革の中では当たり前です。だから、現状のままでという思いは 一切ありませんので、やはりこの地域に与えられた、河井市長もおっしゃいま したけれども、文化ということも大事にしながら、これから日本の国を背負っ てくれる人たちのために何をすべきなのか、その部分については当然目をつぶ らなければいけない部分もあるでしょうけれども、やはり経営ということも考 えざるを得ない。これは当たり前のことですので、私はそんな思いでお願いし ています。  ただ首都圏にあれば、あるいは筑波にあればここまで問題にはならないのだ けれどもな、という話を聞けば聞くほど、日本の国というのはそんな方向に来 てしまったのかということで、私自身も大変心配なり不安を持っていますので、 わかるのならば、答えることができるのならば、難しいですけれどもこういう 場ですのでお聞かせいただいたらうれしいと思います。 ○ 審議官 なかなか答えにくいのですけれども、もともと私どもが過去の経緯 の中で、ここにこういう施設をつくることに当たって、別に筑波を比較してと いうか、筑波を検討の素材に挙げて、こっちのほうがいいという議論は一切あ りません。そこは、まさにいろいろな検討会を当時の労働省の中でやっていく 中で、施設の中身、あるいは立地等を踏まえて、ここに設置するという形で決 まってきたと理解しております。昨今の議論の中で、結果論としてそういうこ とをおっしゃる方は、私も確かに耳にしましたけれども、だからといって筑波 にあったほうがよかったとか、どこにあったほうがよかったということをいま 言っても、そこは比較の議論にはならない話ではないかと思っています。我々 はそこを考えてどうこうしようというつもりもないです。やはり中央レベルの 政府内、あるいは各政党の方々のご意見を見ると、関東のほうでされている議 論と、関西地区でされている議論の観点はだいぶ違うのだということを、我々 も地元の新聞や報道を見るにつけ、それから地元の国会議員の先生とか、地元 の市政の方々の話を聞いても随分ニュアンスが違うというのは実感していると ころです。ですから、筑波にあったらこういう議論にならなかった、というよ うなことをいまから言ってもしようがないし、我々もそういうつもりでは全然 思っていないです。  確かに町長の思いは非常に強く我々も理解できるところですけれども、やは り我々のほうにも反省すべき材料はたくさんあると思うのですけれども、いま 議論が出ていますように、多額のコストをかけて立派な施設を造りすぎたので はないか。しかも、それが特別会計のお金で造った。昨今の財政再健の議論の 中で、特別会計がいわゆる埋蔵金議論みたいな話の中の1つとして取り扱われ てしまって、雇用・能力開発機構自体についても、その特別会計をふんだんに 使って無駄な事業をしている団体ではないかという議論の一環というか、それ の象徴的な形としてこのしごと館が取り上げられてしまったということです。  私どもも、一つひとつ国会議員の方たちに説明に行けば、やっていることの 意義はわかっていただける方が大半です。ただ、それについても「こんなにお 金をかけてやっているとな」みたいな話できてしまっているところがあって、 その中身の趣旨、あるいは目的というところと、実際の運営、あるいはその事 業の形態に対する外見的な批判のところのギャップが相当あるというのは我々 も思っています。ただ、それはトータルの中での閣議決定という形で集約され てしまったものですから、我々としては如何ともしがたいので、それを前提に 考えていかなければならないという気はしております。  私どもとしましては非常に言いにくい部分もあるのですけれども、こういう 閣議決定を前提で考えて、そこに「コストの最小化」という文言も入っている ことから考えますと、コストを最小化するためにあらゆる手立てを尽くす努力 も一方でしなくてはならないのではないか。極端に言うと、先ほどコングレの 社長の話もありましたが、一方で高く売るという方法論も1つ、これを最初か ら捨象するわけにもいかないということはご理解いただかなければいけないと 思っております。ただ、それは結果論としてそれだけではないよという、本日 はいろいろな意見をいただきましたけれども、そういうのは十分理解しますけ れども、そういった一方の極論というか、一方の議論を置いておきつつ、その 中で限られた制約の中でどのような方法論があるかということを、幅広いとこ ろから縮めていくという形でご検討いただければ非常に幸いだと思っておりま す。 ○加藤座長 確かにこれを議論したときに、政治家の方たちも、「こんな遠い所 に」という言い方をしたことは事実です。ただ、そういう方は栃木県出身の方 が多かったから、栃木県から見ればこんな遠い所にという感じだったのかもし れません。ただ、率直に言えば、集客対策の面からいえば、確かに首都圏をバ ックにした地域と、3府県をバックとした地域との集客力の違いは認めざるを得 ないかもしれない。ただ、そういうことはもう済んだ議論というか、これから の問題としては考えないということにしたらどうでしょうね。  それからもう1つ伺いたいのは、先ほどの論点でちょっと微妙な言い方があ ったのだけれども、論点メモのところで、「現在の経済情勢を踏まえると、公的 な事業を行う団体等への売却も考えられるのではないか」、これについて事務局 では何かイメージのようなものがありますか。 ○ 審議官 具体的にどういう方向のものというのは全くないですし、我々が申 し上げるべき段階でもないと思っています。第1の○で先ほど申し上げました ように、一方でコストを最小化するという観点から高く売るというようなこと を思考しても、なかなかうまくいかないということも最近の経済情勢からいっ てあるのではないか。その場合に、もちろん自治体だけということではなくて、 公的ないろいろな団体があると思いますけれども、そういう公益法人みたいな 所で、何かの事業をやるということであれば、それは全くの市場の入札という こと以外の配慮をして、例えばそれよりも安く売ることについて、世間の理解 が得られれば、そのようなことも考え得るのではないかということです。  実際にこれは直接適用があるわけではないのですけれども、国有財産を地方 自治体などに売却する際に、一定の公共の施設として売る場合には半額まで減 額ができるという規定もあります。例えば、病院だとか学校といった所ですが、 別にそのことをすぐに適用するつもりはないのですけれども、そういう思想か らいえば、何らかの形での公益の目的のために使うということであるのならば、 それは民間で出すような入札価格よりも低い値段であっても、そこに売却がで きて、それで使ってもらうということであるのならば、それはそれも1つの方 法ではないかという趣旨です。何か特定の意図をいま持ってここに書いている つもりはないです。 ○ 河井委員 なんとなく気になるのですけれども、高く売れて、一件落着とい うような方法にだけはならないでほしいと強く思いました。前に大臣が来られ たときに、「こういうふうになって非常にイメージが悪いでしょう」と言われた ことがあります。私は、非常にイメージを悪くしているのは皆さんでしょうと いう思いがあったのですけれども、私たちは自分の町に誇りを持っていますし、 町のイメージをどれだけ高めようか、学研都市としてどれだけ高めていこうか ということで住民もそうですけれども、歴代首長がずっと努力をして町づくり をしてきているわけです。そういう中で、テレビや報道で非常にイメージの悪 い報道をされる度に心を痛めている者がいる、ということをもっと真剣にわか っていただきたいという思いがします。  ここが高く売れて、どこかが高く買って、それで一件落着したような収まり 方だけは絶対にしてほしくないと思っておりますのでよろしくお願いいたしま す。 ○加藤座長 河井委員のいまのご意見は全くそのとおりだと思います。私が最 初に申しましたように、この委員会全部をオープンにして議論をやろうと、基 本的にはそうしましょうというのは、おそらく、傍聴席に世論として座ってい る方たちが、こういう議論の中からこの有効活用の行き先が、なるほどもっと もだなあ、これがギリギリだったのだなということを理解していただく、その ことがまさに有効活用だろうと思うのです。いくらで売るとか何とかというの も、これはあちらの人たちが、なるほどこういうことで、これぐらいの値段だ ったのか、あるいは利用目的というのも、そういうことで決まってきたのだな ということが見えるといいましょうか、そのことがこれのいちばん有効活用の 基本だと思いますので、いまのご意見を十分に踏まえて、これから議論を詰め ていきたいと思います。皆さんが、なるほどここまで議論しての結論なのだな というご理解をいただく。  前回までの話は、前の在り方委員会でも、国が職業体験なり、職業教育に一 定の支出をするというのは、国としては当然のことではないかという議論が委 員会の中で随分ありました。それで、職業体験の場を提供する。ところが、そ れが年間の国の支出ということになると、赤字の垂れ流しという表現だけにな ってしまったという、ちょっと残念な経過もありました。それでは、国はどれ だけの費用をもってそのことにかかわるのか、あるいはかかわらないのかとい う議論がないままに、赤字垂れ流しという言葉だけが走ってしまったという感 じでした。その辺は、ここでもきちんと議論をして、それは必要なのか必要で はないのか、おそらく先ほどの審議官のご説明では、雇用保険のお金を使って、 いままでのスタイルで、いままでのような支出はすべきではない、というのは 閣議決定でもあれですし、我々の議論の前提としてもそれは踏まえなければな らないと思います。これからは、そういうことも含めて議論していきたいと思 います。 ○木村委員 いまの雇用保険の関係ですけれども、私たちは経営者側の方たち の大きな熱い思いというのか、こういう思いをこの事業に反映させたいという ことだったと思います。経営者側の皆さんが、どのような思いで、いまのこう いう議論とか、これまで、国が1つの方向性を見出したときに感じられたのか なということを思うわけです。本当に日本の将来を思いながら、あるいは企業 に役立ってもらう人たちを育てていくという、まさに企業者の立場からご努力 いただいたわけですので、そういう人たちの声が全く反映したのか、反映して いないのか、そんなことも心配しながら私はいまお話を聞かせていただきまし た。そういうことを何か知っていたら教えていただければと思います。 ○審議官 確かに去年の議論の中では、直接検討会の場で、地元の方々のヒア リングみたいな形は採っていないのですけれども、ただ市長、町長をはじめ、 いろいろな形で地元のご意見はいただいております。少なくとも我々は地元の 意見を全く聞かずに考えて決めたというつもりは全くないです。  ただ、一方ではそういう受け止め方を関東のほう、あるいは国の政治のほう でどのように受け止められたかということではないかと思っております。我々 としては、決して地元のことをないがしろにしていたつもりはないです。もち ろん、直接聞く場がなかったのではないかと言われれば、そこのところは反省 しなければいけないと思います。 ○木村委員 いま私が言ったのは、この施設は経営者側が人材育成という立場 で、私のしごと館は保険制度の中で造られたものでしょう。多くのお金の支出 はね。そういう人たちが思っていた夢というのか、日本の若者を育てる上にお いても、あるいは日本の技術力を誇り、これから社会にも貢献するのだと、そ んな日本をつくっていくのだという大きな夢をもって、経営者側の皆さんが大 きな役割を果たされた施設なのでしょう。だから、そういう方々も、いまの議 論に対してどのように思われているのかということを私はいま言ったのです。 ○加藤座長 それはおっしゃるとおりでして、もともとここの支援団体が経団 連、関経連になっています。本日は、残念ながら日本経団連、関経連の幹部の 方は都合でご出席できませんでした。いまのご意見については、私からも直接 日本経団連なり、関経連の幹部の方にお伝えして、もともとそうだったでしょ うということについてはきちんとお伝えしようと思います。  最初にも申しましたように、私も経団連のメンバーの一員です。いまは思い があってもちょっと言いにくいというところがあります。昨今の経済情勢の3 月期決算、来年の見通しというのは、各社軒並み大変な苦戦をしていますので、 社外への賛助、協力の禁止措置とか、出張まで差し止めている企業もたくさん あります。いまの気持は、思いがあってもなかなかそれを現実のものとして言 いにくいというのが率直なところなのです。ただ、いまのご指摘は、経済団体 にはきちんとお話するようにしたいと思います。 ○ 山下委員(高嶋代理)今のご議論を踏まえまして、論点メモの2番目のほう です。先ほど申したことのもう一度言い直しになるのかもしれませんけれども、 現在の経済情勢を踏まえると、というのも確かにあるのかもしれませんけれど も、学研都市の性格、あるいは日本の将来に向けて、この学研都市にどういう ものがふさわしいかということを考えると、どのような活用方策があって、そ の場合にどういうふうな団体に担ってもらうことがいちばんふさわしいのであ ろうか、という考え方もあるのではないかと思います。国のお立ち場からする と、確かに毎年1億円からのお金がかかるのですから、方法を考えなければい けないというのは当然のことになります。我々も自治体としてそういう施設を たくさん持っております。  しかし、いまは公的な事業であっても、図書館とか文化会館とか、植物園と かいろいろな施設を持っていますので、それがいかに住民の皆さんにサービス が向上する方法としてはどうするのがいちばんいいのか。やはり、これは直営 がいいのか、これは指定管理者という制度ができたから、そういう方にお願い するのがいいのか、NPOのような皆さんにお願いしたほうが、よほど住民の皆さ んとの交流ができていいのではないかという議論をしております。やはり活用 目的のような議論、その中でコスト、図書館ならこのコストはやむを得ない、 植物園ならこれはやむを得ない、次にこういう施設ならこれはやむを得ないと いうことをしっかりと見える化、皆様方に見えるようにしながら、ある着地点 を探っていくという議論の仕方があるのではないかと思っております。 ○ 加藤座長 今の論理の組立てかもしれませんね。大体皆さんのご意見も出た ようですので、いまのご意見をベースにして、先ほど提案があったように、シ ンクタンクに、これからの有効活用について案を作ってもらうということでお 願いしたいと思います。そのことについてはよろしいですね。本日出た意見も 十分に踏まえて、シンクタンクに検討をしていただきます。  それで、次回の検討会では、調査結果の中間報告をしていただきまして、そ れを基にさらに検討を詰めたいと思います。今後の予定について事務局からお 願いいたします。 ○育成支援課長 いま座長からありましたとおり、次回の検討会におきまして は、シンクタンクから調査・検討の中間報告をしていただくことを考えており ます。それがまとまりますのは7月か8月ごろになるのではないかと考えてお りますので、その辺りに開催したいと思っております。具体的な日時、あるい は開催場所については別途ご連絡を差し上げますのでよろしくお願いいたしま す。 ○加藤座長 その過程で何か動きがありましたら、またそれぞれの委員の皆さ んにはその推移についてご報告させていただきます。予定時間よりちょっと早 いようですけれども、本日は早く始まりましたので、これで第1回検討会を終 了させていただきます。お忙しいところをどうもありがとうございました。よ ろしくお願いいたします。 (照会先)職業能力開発局育成支援課   TEL:03-5253-1111(内線5390)      03-3595-6901(直通)   FAX:03-3580-3813