09/10/29 平成21年10月29日薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会議事録 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会議事録 ○日 時:平成21年10月29日(木) 10:00〜12:11 ○場 所:厚生労働省 専用第21会議室 ○出席者: 委  員 青木委員、大野委員(部会長)、尾崎委員、加藤委員、斉藤委員、佐々木委員、      志賀委員、松田委員、山内委員、山添委員、鰐渕委員 事 務 局 俵木基準審査課長、工藤課長補佐、小木課長補佐、猿田課長補佐、      浦上専門官、中田専門官 関係省庁 農林水産省消費・安全局農産安全管理課農薬対策室 渡辺専門官      農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課     峯戸松係長 1.開 会 2.議 題  (1)食品中の残留農薬等に係る残留基準設定について   ・性腺刺激ホルモン放出ホルモン・ジフテリアトキソイド結合物を    有効成分とする豚の注射剤(動物用医薬品)   ・テブフェノジド(農薬)   ・ジメテナミド(農薬)   ・ピリブチカルブ(農薬)   ・オキサジアゾン(農薬)   ・メタアルデヒド(農薬)  (2)その他 3.閉 会 ○事務局 おはようございます。それでは、定刻を過ぎましたので、ただいまから「薬 事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会」を開催させていただき ます。  本日は、お忙しい中をお集まりいただき、ありがとうございます。どうぞよろしく お願いいたします。  本日は、志賀委員が少し遅れているようでございますが、生方委員、豊田委員、吉 池委員、由田委員から御欠席なさる旨の御連絡をいただいております。現時点で農 薬・動物用医薬品部会の委員15名中10名の御出席をいただいており、部会委員総数 の過半数に達しておりますので、本日の部会は成立しておりますことを御報告いたし ます。  また、本日の部会におきましては、新規の承認申請がなされております動物用医薬 品の御審議をいただくこととしておりますけれども、この剤の申請者との利害関係に つきまして、各委員に事前の確認を行わせていただきましたところ、尾崎委員が該当 するということを御回答いただいておりますので、この剤の御審議の際には一時御退 席をいただくことといたしますので、よろしくお願いいたします。  それでは、大野部会長に審議の進行をお願いしたいと思います。今後の御審議、ど うぞよろしくお願いいたします。 ○大野部会長 それでは、議事に入らせていただきたいと思います。皆さん、今日は 朝早くから遠くから集まっていただいて、どうもありがとうございます。  それでは、初めに事務局から資料の確認をお願いいたします。 ○事務局 それでは、資料の確認をさせていただきます。  本日、御審議いただくのは、動物用医薬品1剤と農薬5剤でございます。  1番目といたしまして、性腺刺激ホルモン放出ホルモン・ジフテリアトキソイド結 合物を有効成分とする豚の注射剤(動物用医薬品)でございます。  資料1−1「食品安全委員会における食品健康影響評価結果」。  資料1−2「農薬・動物用医薬品部会報告(案)」。  2番目といたしまして、テブフェノジド(農薬)でございます。  資料2−1「食品安全委員会における食品健康影響評価結果」。  資料2−2「農薬・動物用医薬品部会報告(案)」。  3番目といたしまして、ジメテナミド(農薬)」でございます。  資料3−1「食品安全委員会における食品健康影響評価結果」。  資料3−2「農薬・動物用医薬品部会報告(案)」。  4番目といたしまして、ピリブチカルブ(農薬)でございます。  資料4−1「食品安全委員会における食品健康影響評価結果」。  資料4−2「農薬・動物用医薬品部会報告(案)」。  5番目といたしまして、オキサジアゾン(農薬)でございます。  資料5−1「食品安全委員会における食品健康影響評価結果」。  資料5−2「農薬・動物用医薬品部会報告(案)」。  6番目といたしまして、メタアルデヒド(農薬)でございます。  資料6−1「食品安全委員会における食品健康影響評価結果」。  資料6−2「農薬・動物用医薬品部会報告(案)」。  参考資料といたしまして、参考資料1「国民平均、幼小児、妊婦、高齢者別の農産 物・畜産物摂取量」。  参考資料2「食品安全委員会への意見聴取及び食品健康影響評価結果について」で ございます。  配付資料の不足等ありましたら、事務局まで御連絡をお願いいたします。 ○大野部会長 いかがでしょうか。よろしいでしょうか。  それでは、審議に入りたいと思いますけれども、その前に前回の薬事・食品衛生審 議会食品衛生分科会の報告をさせていただきたいと思います。  先生方に審議していただいた農薬、動物用医薬品について1件を除いて了承してい ただきました。1件を除いてというのは、メソトリオンが若干議論でADIの設定根拠 が十分に説明できませんでしたので、ペンディングということになりました。どうい うことがペンディングになった理由かと申しますと、本剤がチロシンの代謝酵素を阻 害する作用を持っていてラットの実験でNOAELを設定したんだけれども、それに ついてはヒトについても安全性上問題になるものではないというようなことで、食品 安全委員会の方で評価していただいて、私どももそのように判断したんですけれども、 十分に説明ができなかったということで、食品安全委員会に戻して御意見をいただい て、もう一度説明をするということになりました。  どうしてかと申しますと、血中濃度のラットの実験でチロシンの血中随分濃度が上 がって、それが原因と思われる毒性が眼に出るんですけれども、ヒトでも少し血中濃 度が上がるんです。ヒトで上がる濃度がラットと比べて非常に低いので、それはヒト では別の代謝経路もあるので低くなるということで安全だということなんですが、そ のヒトでの血中濃度の上昇が眼の毒性を表す濃度に達しているかどうかというとこ ろについて十分確認できていませんでした。私も説明できなかったということで、も う一度食品安全委員会の方にも確認して、もう一度審議していただくということにな っています。そういうことで、そのことを報告させていただきます。  それでは、本日の審議をお願いしたいと思います。先ほど御説明がありましたよう に、本日は動物用医薬品について1剤と、農薬は5剤について御審議いただくことに なっております。報告書の作成にあたりましては、皆さんにあらかじめ資料を送りま して御意見をいただいて、本日の資料とさせていただいているところでございます。  それでは、議題1の食品中の残留農薬等の基準値設定ということで、御審議をお願 いいたしたいと思います。品目は動物用医薬品性腺刺激ホルモン放出ホルモン・ジフ テリアトキソイド結合物を有効成分とする豚の注射剤インプロバックについてでご ざいます。  それでは、事務局から資料の説明をお願いいたします。 ○事務局 そうしましたら、資料1によりまして御説明をさせていただきたいと思い ます。  性腺刺激ホルモン放出ホルモン・ジフテリアトキソイド結合物を有効成分とする豚 の注射剤、商品名インプロバックでございます。  まず、今般の残留基準の検討でございますけれども、本製剤が動物用医薬品として 製造販売の承認申請がなされたことに伴いまして、食品安全委員会において食品健康 影響評価がなされたことを踏まえ、この部会において御審議をいただき、報告書をと りまとめていただくという趣旨のものでございます。  「1.概要」でございます。(1)品目名、商品名につきましては、省略させてい ただきます。  本剤でございますけれども、性腺刺激ホルモン放出ホルモン(以下GnRH)につ きましては、活性のないGnRHの類縁体を使用しております。ジフテリアトキソイ ドは不活化されておりまして、以下DTと略させていただきますけれども、これはキ ャリアータンパクとして使用されているというものでございます。  この2つの結合物の溶液を主剤としておりまして、アジュバントとしてジエチルア ミノエチルデキストラン、保存剤としてチメロサール、溶剤が含まれているところで ございます。  (2)効能・効果でございます。豚に対する免疫学的去勢効果ということでござい まして、主剤でありますGnRHとDTの結合物を免疫原といたしまして、GnRH に対する特異抗体を産生させ、そのGnRHを特異的に中和し去勢効果を得るという ことで免疫学的な去勢効果を得るというものでございます。  (3)適用方法及び用量でございます。11週齢以上の無去勢雄豚に、少なくとも4 週間の間隔をあけて、2回頚部皮下に2mL投与する。2回目の投与については、出 荷4〜6週前に行うこととされております。これにつきましては、脚注に記載されて おりますように、雄臭が確実に抑制され、雄の闘争行動減少による肉質改善及び発育 効果が高いとされる時期ということで、この効果が出るのに4〜6週、最低4週間か かるということで出荷前の4〜6週間前に行うということとされてございます。  (4)諸外国の使用状況でございます。1998年11月にオーストラリア、ニュージ ーランドで承認されて以降、ブラジル、メキシコ、EUにおいても2009年5月に承 認されているところでございます。  2ページ目の「2.安全性試験結果」でございます。豚に対する安全性試験の中で、 本製剤の投与部位の臨床所見について観察されておりますので、御紹介をさせていた だきたいと思います。  2パラ目、投与部位の臨床所見でございますけれども、常用量群の初回投与2〜4 日後、第2回投与後1〜3日後に、熱感、発赤、腫脹を表す動物が認められたという ことでございます。  次のパラに参りまして、投与部位の膿瘍の有無の観察におきましては、両投与群と も膿瘍の形成及び自壊は認められず、初回投与及び第2回投与後に腫脹あるいは硬結 が目視において認められましたけれども、投与21日後までには消失したということ でございます。  投与部位における病理組織学的検査におきましては、10倍用量では全例で投与部位 に結合織の増生、石灰化等の所見が認められたということでございますけれども、常 用量群におきまして異常は認められなかったということでございまして、この試験の 結論といたしまして、本試験においては常用量群では投与部位の一過性の発赤、腫脹 等の変化が認められたのみであったということから、常用量の臨床使用における豚に おける安全性に問題はないと考えられた。従いまして、適用の方法、用法のところで 御説明させていただきましたけれども、出荷4〜6週前に投与すれば問題は生じない ということかと思います。  「3.食品健康影響評価」でございますけれども、最初のパラグラフは省略させて いただきまして、2つ目のパラグラフの中ほどにEUにおける評価の状況が書かれて おります。EMEAの評価におきましては、ワクチンと同様に残留基準の設定が必要 でないものとして取り扱われている休薬期間は設定されていないということが記載 されております。  安全性でございますけれども、羊、ラット及び豚での経口投与試験から、本製剤の 主剤であるGnRH・DT結合物は、経口投与において、GnRH様作用、抗体応答 及びその他毒性影響も示さないと考えられたということ。  本製剤はペプチド製剤であることから、経口投与した場合には、胃液中消化の過程 で小さなペプチド及びアミノ酸に分解され、その作用は消失するものと考えられる。  常用量の臨床投与経路である皮下に投与した場合につきましては、先ほど御説明差 し上げましたように、投与4週後における投与部位の臨床所見及び病理組織学検査の いずれにおいても異常は認められなかったということでございます。  また、アジュバント等の添加剤につきましては、物質の使用状況、既存の毒性評価 及び本製剤の投与量を考慮すると、本製剤の含有成分の摂取による健康影響は無視で きると考えられる。  以上のことから、本製剤が適切に使用される限りにおいては、食品を通じてヒトの 健康に影響を与える可能性は無視できると考えられると評価されているところでご ざいます。  「4.残留基準の設定」でございます。食品安全委員会における評価結果を踏まえ まして、残留基準を設定しないこととするとしたいというところでございます。  5ページ目、答申(案)でございますけれども、この注射剤につきましては、食品 規格として食品中の動物用医薬品の残留基準を設定しないことが適当であるという こととさせていただきたいと考えております。  以上でございます。御審議をよろしくお願いいたします。 ○大野部会長 ありがとうございます。今、御説明していただきましたように、本製 剤はペプチド製剤であって、経口摂取した場合には胃液中で消化されて、小さなペプ チド、アミノ酸に分解されて、作用が消失すると思われるということです。他のワク チンと同様に残留基準の設定が必要ないということです。EMEAでも同じような評 価をされているということでございますけれども、御意見いかがでしょうか。  特に御意見がなければ、食品中の動物用医薬品の残留基準を設定しないことが適当 であるという答申(案)でよろしいでしょうか。 (「はい」と声あり) ○大野部会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。  それでは、次の品目、農薬ですけれども、テブフェノジドについての御審議をお願 いいたします。  事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは、資料2−2をご覧ください。こちらはテブフェノジド、ベンゾ イルヒドラジン系の殺虫剤です。  初めに品目名について御確認いただきたいのですが、これまでこちらは何の名称な のかというのをはっきりと明示しておらなかったところですけれども、食品衛生法で は従来から国際名称であるISO名を使ってきているということと、食品安全委員会 による農薬評価書等でもISO名であるということが明記されておりますことから、 本部会の報告書におきましても明示する方がいいのではないかとの御指摘を加藤委 員から頂戴いたしましたので、本日の部会でお諮りする剤の報告書案から追記させて いただいております。  本剤の作用機序でございますが、昆虫の脱皮ホルモン様作用を示し、幼虫における 異常脱皮を促すことにより殺虫効果を示すと考えられているとのことです。  資料2−2の24ページ、これまでの経緯をご覧いただきたいと思います。本剤に つきましては、平成6年4月に初回の農薬登録がなされており、平成8年9月に残留 基準値の告示がなされております。その後、ポジティブリスト制度の導入に伴い、当 時の登録保留基準、国際基準、海外基準等を参照しまして、暫定基準も設定されてご ざいます。  こちらの暫定基準の見直しに関しまして、平成19年3月に食品安全委員会に対し 食品健康影響評価を依頼いたしました。また、同年7月に魚介類への基準値設定につ いて農林水産省から依頼があったことから、8月に食品安全委員会に対し追加でこの 分についての評価依頼も要請いたしております。  これらの評価依頼に対しまして食品安全委員会において審議がなされ、同年11月 に評価結果の通知がなされております。この後、先日度々、他の剤でも御審議いただ いておりますが、国内の飼料の給与実態を考慮した畜産物への基準値設定について、 本剤につきましても同様に設定要請がなされております。  よって、今回の審議対象といたしましては、魚介類の基準値設定及び畜産物を含め た暫定基準の見直しということになってございます  それでは、資料2−1の食品安全委員会による食品健康影響評価書をご覧ください。 本剤の評価は、24ページ以降にまとめられてございます。  テブフェノジドは、動物体内運命試験において速やかに吸収及び排泄されたとのこ とです。また、主要排泄経路は胆汁を介した糞中であったとされております。体内分 布では消化管を除いては肝臓及び腎臓に分布していたということでございます。  また、稲、りんご等を用いた植物体内運命試験の結果からは、葉に散布されたテブ フェノジドの可食部への移行はそれほど多くなく、主要成分としては親化合物であっ た旨を確認されております。  各種毒性試験の結果から、テブフェノジド投与による影響は、主に肝臓及び脾臓に 認められておりますが、発がん性、繁殖能に対する影響、催奇形性及び遺伝毒性は認 められておりません。これら各種試験結果から、食品中の暴露評価対象は親化合物の みと設定されております。  また無毒性量等につきましては、記載のとおり検討がなされておりますが、結論と いたしましては、追加試験として行われておりますラットを用いた2世代繁殖試験の 1.6mg/kg体重/日をADIの根拠といたしまして、安全係数100で除した0.016mg/kg 体重/日がADIとして設定されております。  以上が食品安全委員会における評価結果の概要となっております。  それでは、資料2−2にお戻りください。用途等につきましては冒頭で御説明させ ていただいたとおりでございます。また、化学名、構造式及び物性につきましても記 載のとおりとなってございます。  2ページ目以降に本剤の適用について記載してございますが、稲のコブノメイガ、 だいずのハスモンヨトウ、りんごのハマキムシ等の害虫への適用となってございます。  6ページからは作物残留試験の結果について記載してございます。分析対象の化合 物といたしましては、親化合物と、このほか一部の作物について代謝物CとGを総代 謝物Cとして分析がなされております。試験結果につきましては、記載のとおりとな ってございます。  10ページ、こちらに魚介類への推定残留量について記載してございます。まず、水 産動植物被害予測濃度でございますが、本農薬は水田及び水田以外のいずれの場面に おいても使用されるということから、2つのPECを比較いたしまして、水田PEC の1.1ppbを採用することといたしました。  生物濃縮係数でござまいすが、こちらにつきましては委員の皆様に事前にお配りい たしました資料から変更がございますので、併せて御説明させていただきます。  濃縮係数の根拠となります魚類濃縮試験は同じものでございます。標識位置の異な る3種類の標識帯体を用いたブルーギルの試験となっております。  分析の結果、各標識体において異なるBCFが算出されておりまして、事前にお配 りした資料ではそのうち一番高いB環標識体の値を採用する案としておりましたが、 こちらの部会報告書案にも記載してございますとおり、これらの結果が総残留放射能 としての値であり、代謝物を含んだ値と考えられますことから、最小値であるA環標 識体の結果を採用するのが適切であろうとのコメントを頂戴いたしましたので、今回 BCFといたしましては42という値を採用する案とさせていただいております。  以上の数値から推定残留量を算定いたしまして、およそ0.23ppmと算出されており ます。ここで記載の訂正なんですけれども、事前にお配りした案では生物濃縮係数で BCFKについても記載していたので、注5ということで入れていたのですが、今回 その記述がなくなりましたので、ここの注釈5の記載も削除させていただきたいと思 います。事前に直し損ねまして申し訳ございませんでした。  次に畜産物の推定残留量について御説明いたしたいと思います。これまでイミダク ロプリドですとかブプロフェジンといった農薬で御審議いただいておりますが、本剤 につきましても、稲に適用があり、飼料を通じて家畜の筋肉等への農薬の移行が想定 されますことから、農林水産省から畜産物に関する残留基準の見直しについて要請が なされております。  これまでと同様に、国内における飼料の最大給与割合等から算出した飼料中の最大 残留農薬濃度と、JMPRにおける評価時に使用された動物使用試験の結果を用いま して、推定残留量が算出されております。  11ページ以降に飼料中の残留濃度の推定結果ですとか、飼養試験の結果並びにそこ から求められた推定残留量について記載してございます。  まずは、飼料中に残留する農薬の指導基準等から算出された最大残留農薬濃度でご ざいますが、結果として乳牛においては14ppm、肉牛においては13ppmと推定され ております。  (2)の動物飼養試験といたしまして、2001年のJMPRにおける評価時に用いら れた試験結果を記載してございますが、乳牛に対し各濃度相当のテブフェノジドを含 有するゼラチンカプセルを28日間にわたり摂食させた際の試験結果となってござい ます。  詳細な結果につきましては表1にまとめさせていただいております。  これらの値から算出された推定残留量を12ページの表2にまとめました。筋肉で は0.016、脂肪において0.080、肝臓で0.031、腎臓で0.0066、乳において0.0068とい った残留量が推定されてございます。  次にADIの評価につきまして記載しておりますが、内容につきましては先ほど御 説明いたしましたとおり、ADIとして0.016mg/kg体重/dayということで設定され てございます。  本剤の諸外国における状況ですが、1996年にJMPRにおける毒性評価が行われて おりまして、国際基準につきましては、アーモンド、キャベツ、仁果果実等に設定さ れております。  また、米国、カナダ、EU、オーストラリア及びニュージーランドにおきましても、 さまざまな作物に基準値が設定されてございます。  以上を踏まえた基準値案でございますが、規制対象といたしましては、テブフェノ ジド本体のみといたしたいと考えております。  その理由ですけれども、まず農産物につきましては、一部の作物残留試験において 総代謝物Cということで残留量が分析されておりますが、親化合物と比較して少ない 残留量であるということから、農産物の規制対象は親化合物のみでいいのではないか ということで記載しております。  魚介類につきましては、推定残留量を算出する際のBCFですとかPECがテブフ ェノジドとして考えるということから、魚介類の規制対象も親化合物のみとしたいと いうことで記載いたしました。  畜産物につきましては、飼養試験のデータを参照いたしましたJMPRの評価にお きまして、この際に代謝物等も併せて検討がなされておりますが、規制対象として親 化合物のみとするとの結論が出ておりますことから、畜産物の評価対象も親化合物の みとすることとさせていただければと思っております。  また、食品安全委員会によって作成された食品健康影響評価におきましても、暴露 評価対象物質として親化合物と設定されているというのは先ほども御説明したとお りでございます。  基準値案の詳細になりますが、別紙2をご覧ください。18ページ以降になります。 この表の左から3列目、基準値現行欄の網かけをしてございますのがポジティブリス ト制度導入時に新たに設定した、いわゆる暫定基準の部分でございます。これらの暫 定基準を含めまして、今回、一部の本基準につきましても、作物残留試験成績の結果 を基に見直している作物がございます。  19ページをご覧ください。このページの中ほどから少し上のところでみかんの基準 値を御確認いただければと思うのですが、こちらの現行基準というのはかんきつ類と して設定されている国際基準を参照といたしまして、2ppmの暫定基準を設定してい たところですが、今回の見直しに当たり、国際基準ではホールクロップということで 皮も含めた検討ということになっていましたので、日本ではみかんにつきましては果 皮を除いているということもございまして、基準値を削除いたしまして、一律基準に よる規制とさせていただいております。  その一方で、同じページの下の方にキウィーの基準値がございます。こちらについ ては、今回果皮を含むという形で国際基準を参照とした基準値案とさせていただいて おります。本来、先ほどのみかんの考え方に立てば、キウィーも我が国における分析 部位は果皮を除いたものとなっておりますことから、果肉のみの作残結果等何か根拠 となるデータがない場合は基準値を削除するというのが原則の対応ということで、最 初の案ではそういうのも考えたところですが、キウィーにつきましては特に輸入実態 等を考えますと国際基準が決まっている以上、考慮しないわけにはいかないのではな いかということもございまして、今回分析部位について注釈を加え、「果皮を含む」 という形での基準値案とさせていただきました。  ですので、今回作物欄に「キウィー(果皮を含む)」という旨と、20ページの表の 外になりますけれども、キウィーの基準値については果皮を含む全果実に適用するも のとすると追記させていただいております。  20ページには、先ほど御説明した推定残留量を基に設定いたしました哺乳類と魚介 類についての基準値案も、併せて記載させていただいております。  また、全体的に見ての話となりますが、みかんのほか、幾つかの作物につきまして も暫定基準として設定されていた現行基準を削除としてございますが、これらにつき ましては今後は一律基準により規制する形となります。  これらの変更後の基準値案により推定摂取量を算出いたしましたのが、21ページ以 降の別紙3となります。23ページの一番下にADI比が記載されてございますが、本 剤につきましては、TMDI試算で80%を超過いたしましたため、EDI試算を行っ ております。その際、国際基準を参照したものにつきましては、JMPRで評価され たSTMRを用いて試算しております。このほか、国内や海外の作物残留試験成績が あるものにつきましては平均値を用いて計算し、その結果、一番高い幼小児で64.7% の占有率となってございます。  25ページ以降に答申(案)を記載しております。基準値が変わったもの、もしくは 数値は同じでも暫定基準から本基準に移行させるものにつきまして記載しておりま す。  事務局からの説明は以上です。御審議のほどお願いいたします。 ○大野部会長 ありがとうございました。それでは、御審議していただきたいと思い ます。  まず、化学構造の面ではいかがでしょうか。名称、ISOの名前を使うというよう なお話がございました。  斉藤先生、よろしいですか。 ○斉藤委員 問題ありません。 ○大野部会長 それでは、適用方法と薬理作用についていかがでしょうか。昆虫の脱 皮ホルモン様作用を表すというのはよくわからないんですけれども、尾崎先生、いか がでしょうか。 ○尾崎委員 問題はないと思います ○大野部会長 ほかの先生、青木先生よろしいですか。 ○青木委員 従来からこの書き方は割とされてきたようです。 ○大野部会長 ありがとうございます。それでは、体内動態、代謝物の点で山添先生、 いかがでしょうか。 ○山添委員 問題ないです。 ○大野部会長 ありがとうございます。私も特に問題ないかなと思って、食物中への 残留という意味では親化合物が一番多くて、ほかの代謝物については10%以下という ことが調べられています。実際に食物中の残留成績では代謝物も含めて測っています けれども、代謝物は実際にかなり低かったということでよろしいかと思います。  最終的にテブフェノジド本体を測定対象物としましたけれども、それについてよろ しいかと思いました。  安全性の問題で、鰐渕先生、いかがでしょうか。 ○鰐渕委員 問題ないです。 ○大野部会長 それでは、分析法、分析結果、基準値設定、その辺りはいかがでしょ うか。魚介類の基準について設定方法案を見直していただきましたけれども、先ほど 説明がありしまたように、修正した結果が私も適切だと思います。  いかがでしょうか。加藤先生、何か追加はございますか。 ○加藤委員 少しだけ補足させていただきますと、魚の基準の生物濃縮係数のところ ですが、一番小さい数値を取ったというのは書いてあるとおりでして、これを補足す る情報として、1つの試験、抄録その他のところには入っていないんですけれども、 JMPRの評価書の中に代謝物のデータが出ています。それでいきますと、基本的に この試験とほぼ同じ条件でやられた試験だと思います。その中でTARの40数%から 60%ぐらいが可食部では親化合物で、そのほかが代謝物です。  変わっているのは、可食部の親化合物で一番脂溶性が高いと思うんですけれども、 可食部の方が存在率が高くて、非可食部の方、内臓等は親化合物の存在率が低いとい う変わった特性になっていました。  いずれにしても、所定から逆算して細かい数字は計算できる情報はないんですけれ ども、ラフに見ますと、先ほど見ました一番小さな数字としてBCFss=42というのは 代謝物のパターンから見ても妥当な数字という試算が得られています。 ○大野部会長 ありがとうございます。それでは、国際的整合性というところではい かがでしょうか。全体を見直してみて御意見はございますでしょうか。  志賀先生、お願いします。 ○志賀委員 事前に気がつけばよかったんですけれども、2ページの適用病害虫の表 の2の方、下の方の表のりんごのところ、虫類の2つが重なっていると、ごく些細で 申し訳ございません。 ○大野部会長 ありがとうございます。その他はございますでしょうか。安全性のと ころで気になったのが、これは結構血液毒性は出ていましたね。この構造でどうして 血液毒性が出るのかなと思ったんですけれども、特に何か御意見はございますでしょ うか。  山添先生、お願いします。 ○山添委員 多分、これはターシャルブチルアルコールが切れてヒドラジンができて、 そこが切れるとエステルのどちらかが切れてヒドラジンが遊離して、それが多分毒性 に出るんだと思うんです。先ほど加藤先生からお話もあったように、未変化体で測る というのは、多分このターシャルブチルが切れてしまうと、以降のステップは非常に 早くて、律速にならなくて除去されてしまうということで、非常にゆっくりと切れて いくので、ヒドラジン体そのものの出ていくのも非常にゆっくりなので、それほど強 い毒性がまず出なかったんだろうと思います。  これが「ぱっ」とすぐ切れてしまったら、先生が心配されたようにもっと血液毒性 が出ているのではないかと思います。 ○大野部会長 高用量で血液毒性が出ていて低用量で出ていないということで、こう いうカルボニルが両側に付いているとヒドラジンは余り毒性が強くないのかなと思 ったんです。 ○山添委員 両側にカルボニルが付いていても多分エステレースが血中にもあるの で切れて出ると思うんですけれども、このターシャルブチルがあるために多分出なく て、そこのところがゆっくり切れるので、十分エステレースが切って除去する、つま り防御系の能力を超えない範囲で推移しているのではないかなと思います。代謝物の パターンから見るとそういうふうに想像できます。 ○大野部会長 ありがとうございます。鰐渕先生、何か御意見はございますでしょう か。 ○鰐渕委員 今回、非常に高用量でということであるので、NOAELの設定をする ときに低い用量であれば、先生が言われるように血液毒性が出ていないということな ので、大丈夫かなと思います。 ○大野部会長 そのほか、御意見ございますでしょうか。  それでは、今回、若干テーブルの注のところの修正がございましたけれども、10 ページの注5を削除するということでございます。  キウィーのところで、果皮を含むということで設定しましたけれども、それについ ての分析法は今までの方法でよろしいんでしょうか。特に問題ないんでしょうか。19 ページのところでそういう説明がございましたけれども、これはどなたに聞けばいい でしょうか。では、佐々木先生、お願いいたします。 ○佐々木委員 通常は問題ないと思います。確認はされていないんでしょうか。 ○大野部会長 そういう判断をしてよろしいでしょうか。松田先生、加藤先生。 ○加藤委員 やってみないとわからない。ぎりぎりのところ、定量下限のところにな るとそういう問題が出るかもしれませんけれども、通常は例えばほかの作物のデータ で皮が入っているものがありますので、そういったものでうまくいっているというこ とであれば、多分それほど大きな問題は出ないだろうとは思われます。 ○大野部会長 ありがとうございます。松田先生もそれでよろしいでしょうか。 ○松田委員 はい。 ○大野部会長 では、ありがとうございます。ほかに何かコメントはありますでしょ うか。  それでは、今回の答申(案)を示していただきましたけれども、それを含めてこの 部会報告書(案)をこの部会の報告としてよろしいでしょうか。 (「はい」と声あり) ○大野部会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。  それでは、次の品目ですけれども、次は農薬のジメテナミドの審議をしていただき たいと思います。それでは、事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは、農薬の2剤目、ジメテナミドでございます。資料3−2をご覧 ください。  本剤につきましては、チオフェン環を有する酸アミド系除草剤ということでござい ます。雑草の幼芽部及び幼根部より吸収されまして、タンパク質の合成を阻害するこ とにより作用するものと考えられております。  本剤につきましては、品目名の部分の注釈にございますとおり、2種の光学異性体 (S体及びR体)が存在しておりまして、ラセミ体は既にジメテナミドとして国内に おける農薬登録がなされてございます。  今回、活性成分であるS体の比率を高めたジメテナミドPという剤につきまして、 新たに農薬登録申請がなされております。原体の規格としては、S体の含有量が 93.0%以上ということで定められているものでございます。  14ページのこれまでの経緯をご覧ください。先ほどお話しいたしましたように、ラ セミ体の製剤でございますジメテナミドにつきましては、平成8年4月に初回の農薬 登録がなされました。こちらの部分につきましては、平成10年10月に残留農薬基準 の告示がなされております。その後、ポジティブリスト制度の導入に伴い、登録保留 基準及び海外基準を参照いたしまして暫定基準を設定されてございます。  平成20年4月にジメテナミド−Pの新規登録申請に伴う基準値設定依頼が農林水 産省よりなされましたので、暫定基準見直しの分と併せまして、同年6月に食品安全 委員会に食品健康影響評価を依頼いたしました。  評価結果につきましては、本年の6月に通知がなされております。よって、今回の 審議対象ですが、このジメテナミドPの新規登録に係る新たな基準値の設定と、暫定 基準の見直しということになってございます。  それでは、資料3−1、食品安全委員会による食品健康影響評価書をご覧ください。 本剤の評価が44ページにまとめられてございます。  動物体内運命試験の結果から記載されてございますけれども、ラットに経口投与さ れたジメテナミドは、ほとんどが糞尿中に排泄されたということでございます。若干 用量によって雌雄差が見られているようでございます。排泄経路といたしましては、 胆汁が主要なものであろうという評価もなされております。  主要組織中の残留放射能濃度ですけれども、血液及び脾臓では投与後160時間後ま で高い濃度が持続したということで、共役結合等についての考察もなされております。  とうもろこし等を用いた植物体内運命試験の結果では、植物体に吸収された放射能 につきましてはほとんどが根または茎葉部にとどまり、穀粒及び種子への移行は少な かったということが確認されております。  植物におきましては、親化合物は検出されておりませんで、4種類ほどの代謝物が 認められております。作物残留試験の結果につきましてもコメントがございますけれ ども、作物中の親化合物及び代謝物の残留値はいずれも定量限界未満ということで確 認されてございます。  各種の毒性試験結果からは、ジメテナミド投与による影響は主に肝臓に認められて おります。発がん性、繁殖能に対する影響、催奇形性及び問題となる遺伝毒性は認め られておりません。また、本剤については、ラセミ体の剤とほとんどがS体である剤 ということから、こちらの両方の試験が行われておりまして、これらを比較したとこ ろ、両者の動態及び代謝は同等、毒性プロファイル及び毒性の程度もほぼ同等である ということで評価されてございます。これら各種の試験結果から、農産物中の暴露評 価対象物質はジメテナミド、親化合物のみと設定されております。  無毒性量等の考察は記載のとおりでございますが、結論といたしましては、46ペー ジにございますとおり、マウスを用いた94週間発がん性試験の3.8mg/kg体重/日とい うことで、これを根拠といたしまして安全係数100で除した0.038mg/kg体重/日がA DIとして設定されてございます。  それでは、資料3−2にお戻りいただければと思います。用途につきましては、冒 頭で御説明したとおりでございます。また、化学名、構造式及び物性につきましても 記載のとおりとなってございます。  2ページ目以降に本剤の適用の範囲等について記載しておりますが、今回、この剤 につきましては、ジメテナミドPの新規申請のほかに、インポートトレランスによる 基準値の設定要請がなされておりまして、米国の基準を基にしましたかぶ及びホップ に係る基準値の設定が要請されているところでございます。よって、こちらの2つの 作物については、海外における使用方法ということも併せて記載してございます。  4ページ以降に作物残留試験の結果を記載しております。分析の対象といたしまし ては、親化合物、こちらはS体及びR体の合量ということで分析されております。こ のほか、代謝物M23と代謝物M27についても一部の作物において分析がなされてお ります。分析の結果は記載させていただいたとおりとなってございます。  8ページ、こちらに先ほど御説明いたしましたADIの評価結果ということで、 0.038mg/kg体重/dayということで記載しております。本剤の諸外国における状況で すが、2005年にJMPRによる毒性評価が行われておりまして、現在、国際基準とし てばれいしょやにんにく、畜産物等に設定されております。米国、カナダ、EU、オ ーストラリア、ニュージーランドについて調査した結果でございますが、米国、カナ ダ、EU、オーストラリアにおいていろいろな作物等に残留基準が設定されておりま した。  これらを踏まえました基準値案ですが、今回残留の規制対象といたしましてはジメ テナミドは光学異性体ということですので、S体とR体の和ということで設定させて いただければと考えております。  代謝物につきましては、一部作物残留試験において分析されているところでござい ますが、そもそも親化合物そのものは勿論、代謝物質等も定量限界未満という結果が 得られておりますので、規制対象物質としてはジメテナミド本体ということでよろし いのではないかと書かせていただいております。  また、食品安全委員会において評価された暴露評価対象物質も親化合物のみという ことになってございます。  詳細な基準値案につきましては、12ページの別紙2をご覧ください。先ほどの剤同 様、左から3列目になりますけれども、基準値現行の欄に網かけを施してございます のが暫定基準が設定されている剤ということになっております。  また、その隣の登録の有無の欄で○が付いているものが、もともとラセミ体で登録 がなされている作物ということになります。今回、ジメテナミドPとして申請がなさ れたものは「申」が記載されている作物となっております。また「IT」の文字によ り、インポートトレランスによる基準値設定が要請された作物について記載してござ います。  本剤の暫定基準設定時には国際基準が設定されておりませんでしたので、その際は 参照とするものがなかったのですが、先ほど御説明しましたとおり、2005年のJMP Rの評価を受けて、現在は国際基準が設定されておりましたので、今回そちらの欄を 埋めてみまして、採用できる基準値は採用したという形での表となってございます。  特に畜産物関係につきましては、国際基準を参照として、0.01という値でございま すけれども、個別の基準値を置く案とさせていただいております。これらの基準値案 を踏まえまして、暴露評価を行った結果が13ページの別紙3でございます。  表の一番下にTMDI試算の結果が記載されてございますが、一番高い幼小児でも 1.0%という占有率となってございます。  16ページに答申(案)としてお示ししてございます。先ほど御説明しましたが、「今 回基準値を設定するジメテナミドは、S体とR体の和をいう」ということの注釈を加 えました上で、これらの答申(案)をさせていただければと思っております。  また、ラセミ体の剤とS体の剤について、毒性ですとか代謝の件ついて同等と見ら れるということは食品安全委員会の評価書の説明のときにお話ししたんですけれど も、作残試験は、ラセミ体でしか行われていないということで、そのラセミ体とS体 としての作残の同等性はどうなるんでしょうかということで松田委員からコメント を頂戴しておりました。  その件について農水省等にも確認させていただきましたけれども、S体、いわゆる 有効成分の投下量としては、計算すると同じ形で実施しているということで、評価は 可能ではないかと考えているとのコメントをもらっております。  あとはその旨をこの部会報告書案に記載を加えた方がいいのかどうかというとこ ろは事務局としても若干悩んでおりまして、インドキサカルブ等のときは書いていな かったという経過もありまして、その辺についても併せて御審議いただければと思い ます。よろしくお願いいたします。 ○大野部会長 御説明ありがとうございます。それでは、御審議いただきたいと思い ます。まず、化学名、化学構造の点ではいかがでしょうか。  斉藤先生、特に問題ないでしょうか。 ○斉藤委員 はい。 ○大野部会長 ありがとうございます。山添先生、お願いします。 ○山添委員 いいんだと思うんですけれども、4のところに水溶解度と書いてあるん ですが、これはこういう表現をするんですか。そのときにラセミ体とS体とで、S体 の方が溶解度は低いんですよね。ところが、分配係数でいくと、S体の方がlogPow は低くなっているんですね。これはいいんですよね。脂溶性という観点。こういうこ とはあると思うんですけれども、単純に考えると逆のような感じがするんです。 ○事務局 わかりました。 ○大野部会長 では、確認をお願いします。薬理作用の件なんですけれども、気にな ったところがありますので尾崎先生の御意見を伺いたいんです。この食品安全委員会 の報告の8ページでは、この薬物が雑草の超長鎖脂肪酸の生合成を阻害することによ って作用するということが書いてあって、今回の当部会の報告案では、タンパク質合 成を阻害することによって作用すると書いてあるんですけれども、この辺、いかがな ものかなと思ったんです。どうですか。 ○尾崎委員 私も今、気がつきましたけれども、確かにおかしいですね。 ○大野部会長 私も確認できなかったので、またこれは確認していただきたいんです。 お願いします。 ○事務局 わかりました。 ○大野部会長 それでは、体内動態と代謝物に関して、先ほど事務局から作残試験は ラセミでやっているんだけれども、それでよろしいかどうかというような御質問がご ざいましたが、山添先生、その辺の御意見はいかがでしょうか。 ○山添委員 基本的に代謝経路はクロール酢酸部分のクロール基の部分がグルタチ オンで置換されるという反応で、これについて基本的にグルタチオンで立体選択的な 反応が起きているというような証拠は代謝物のパターンからは見られません。という ことで、基本的には両方が多少程度に差はあったとしても、同じような反応を受けて 代謝を受けていると想像されます。そういうことから、ラセミ体のデータを使っても それほどおかしくはないのではないかと判断します。 ○大野部会長 どうもありがとうございます。それについてほかの先生で御意見はご ざいますでしょうか。ありがとうございます。分析対象物質について御説明がござい ましたけれども、食品安全委員会の方の報告に書いてございますように、親化合物が ほとんど検出されない。代謝物としては幾つかM23とか26とか27とかいろいろ検出 されるんですけれども、いずれも10%未満であったというようなことが食品安全委員 会の報告に書いてございます。  実際の作残試験では、本体と代謝物23、27について両方測ってみたということで すけれども、いずれも低い値か未検出であったということで、最終的に規制の対象物 としてはジメテナミド、S体とR体の和とするということに関してこれでよろしいか なと思います。御意見ございますでしょうか。 では、安全性の面ではいかがでしょうか。ラセミ体とS体との間で毒性学的にそれほ ど差がないというのならばまとめになるかと思いますけれども、その辺、鰐渕先生、 よろしいでしょうか。 ○鰐渕委員 はい。今回の試験ではきっちりと両方の試験をしていて、ほぼ同等の毒 性であるということから問題ないと思います。前回、最後の安全係数を200にしたよ うな剤もあったんですが、あのときはちゃんとした試験がなかったものですから、倍 の安全率を見る形でした。今回はちゃんとしていますので、大丈夫だと思います。 ○大野部会長 90日の試験をやっていてその差がないということですね。それでした ら私もよろしいかなと思います。  この30ページのところの、食品安全委員会の報告書で、経口での急性毒性が同じ SDでやっても雄で371というのと、2,140というのと、451、これは急性毒性試験だ けに頼るのは危ないかなという感じがしますね。これは前から急性毒性のLD50の値 はばらつくということは言われています。  ほかに安全性について御意見はございますでしょうか。それでは、分析法と食物中 分析結果、基準値の辺りについていかがでしょうか。それから、国際的整合性はいか がでしょうか。JMPRで設定された値が出てきたので、それについて2つ反映させ たということでございます。よろしいでしょうか。  それでは、1つ漏らしたところがございまして、これはラットのヘモグロビンと強 力に結合するんですね。これはどうもよくわからないんですけれども、山添先生、何 か御意見はございますでしょうか。 ○山添委員 これは先ほどグルタチオンと抱合体をつくると言いましたけれども、こ の化合物は結構脂溶性があって、そのままの形で血中に入るんだと思うんです。その ときにヘモグロビンのチオール基が幾つかありますけれども、それとこういうクロー ル酢酸系のものは共有結合するというのは知られています。恐らく、血球で半減期だ けが非常に長い、ほかの組織は非常に短いのにというのも多分これにくっついたまま の形で存在しているためだと思われます。  ですから、これに暴露された状況を考えますと、グルタチオンの濃度がそれの防御 系の非常に大きな要素になっていて、先ほど大野部会長もおっしゃいましたけれども、 LD50にすごく大きな差があるのも、それは溶媒で溶剤の投与のときに違いが、結局 防御系のところのグルタチオンの濃度が枯渇するまでに急速に枯渇するときと、ゆっ くり暴露されるために回復してきて除去されるために、こんなに大きな差が出たと考 えれば説明はつくかなと理解しています。 ○大野部会長 ヒトではヘモグロビンが結合しないということですよね。 ○山添委員 結局経口で吸収された場合を考えた場合、消化管等のところでくっ付い てしまって、実際には入った形としてはグルタチオンコンジュゲートになっていて、 つまり防御系のレベルが十分あるために、低濃度のときには実質的に血球のバインデ ィングが検出されなかったというように考えればいいのではないかと思います。 ○大野部会長 ありがとうございます。  鰐渕先生、いかがでしょうか。 ○鰐渕委員 先生が言われたこととも関連すると思うんですけれども、ラットにおい てはヘモグロビンと非常に結合しやすくて半減期が長いような化学物質、例えば砒素 の中にはジメチルアルシン酸というのがあるんですけれども、ラットでは非常にヘモ グロビンに付きやすいんですけれども、ヒトではそういう事実がないという化学物質 もありますので、ヒトとラットの差であると考えてもいいのではないかなと思います。 ○大野部会長 ありがとうございました。このクロールがとれる反応で、ヒトとラッ トで相当大きな差があるというのはありましたか。 ○山添委員 多分、クロール酢酸そのものについては酵素的にも反応は進みますので、 ヒトと実験動物というのは基本的に同じだと思います。ただ、暴露のレベルと消化管 等のところのキャパシティーの大きさの違い、防御系のレベルで低濃度暴露の場合に は、恐らく循環血流中に入る以前に除去されてしまうので、実際には検出されないと 理解した方が素直かなと思います。 ○大野部会長 ありがとうございます。そのほか御意見はございますでしょうか。よ ろしいでしょうか。  それでは、全体を通してそれ以外に御意見はいかがでしょうか。よろしいでしょう か。  それでは、16ページの答申(案)に示されてあるような答申(案)と部会報告の文 章全体についてこの部会としての報告としてよろしいでしょうか。 (「はい」と声あり) ○大野部会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。  それでは、次の品目ですけれども、次は農薬のピリブチカルブでございます。それ について御審議していただきたいと思います。  では、事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは、資料4−2をご覧ください。ピリブチカルブです。本剤はチオ カーバメート系の除草剤でございます。詳しい作用機構は未解明ですが、植物体内の 物質転流阻害あるいは老化促進等により作用すると考えられているとのことです。  ここで本剤の経過といたしまして、12ページ、これまでの経緯をご覧いただきたい と思います。  本剤につきましては、平成元年11月に初回の農薬登録がなされております。大変 申し訳ございません、こちらは記載が漏れていたのですが、それについての基準値の 設定が平成10年10月に告示がなされておりますので、後ほど修正させていただきた く思います。  その後、平成19年7月になりますけれども、農林水産省から魚介類に係る基準値 設定依頼を受けましたので、同年8月に食品安全委員会あてに食品健康影響評価につ いて要請してございます。  評価結果の通知が平成20年9月になされまして、今回の審議となっておりますの で、審議の対象といたしましては、魚介類への基準値設定ということになってござい ます。  それでは、資料4−1の食品安全委員会による食品健康影響評価をご覧いただけれ ばと思います。本剤の評価結果が35ページにまとめられてございます。動物体内運 命試験につきまして、ラットを用いて行われておりますけれども、ピリブチカルブは 吸収された後、主に尿中に排泄されたということです。  腎臓、肝臓及び褐色細胞でTmax付近において残留放射能濃度が高かったということ ですが、経時的に減少したということで、体内蓄積性はほとんどないと考えられてお ります。  水稲を用いた植物体内運命試験におきましては、収穫期における玄米及び茎葉部で は親化合物は検出されなかったということでございます。  各種毒性試験結果からは、ピリブチカルブ投与による影響としては、肝臓及び血液、 主に貧血ですけれども、こちらに認められておりまして、神経毒性、繁殖能に対する 影響、催奇形性及び遺伝毒性は認められておりません。  発がん性試験に関しまして腫瘍性病変についての記載がなされております。まずは ラットの2年間慢性毒性/発がん性試験ですが、5,000ppmの投与群の雄で精巣間細 胞腫が有意に増加しております。本腫瘍の発生機序は不明でありますけれども、変異 原性試験成績はいずれも陰性ということから、遺伝子傷害性作用によるものとは考え 難いということで、評価に当たり、閾値を設定することは可能ということで評価され ております。  また、マウスの18か月間発がん性試験におきましても、5,000ppmの投与群で、こ ちらは雌雄において肝細胞腺腫と癌の合計の発生頻度が対照群に比べて有意に増加 しているということで、こちらの増加に関連して、肝における薬物代謝酵素誘導及び 細胞増殖活性について検討がなされておりますけれども、こちらの5,000ppm投与群 において、酵素誘導のパターンということで細胞増殖活性を伴うものであった。また、 変異原性試験成績はいずれも陰性であるということから、この肝腫瘍につきましても 閾値を設定することが可能ということで結論付けられております。  これら各種の試験結果からは、食品中の暴露評価対象物質としてピリブチカルブが 設定されております。また、無毒性量等についての検討は表記のとおりでございます が、37ページに無毒性量としてはラットを用いた2年間慢性毒性/発がん性併合試験 の0.88mg/kg体重/日を根拠といたしまして、安全係数100で除した0.0088mg/kg体重 /日がADIとして設定されているところでございます。  それでは、資料4−2にお戻りください。化学名、構造式、物性等については記載 のとおりでございます。  2ページ以降に本剤の適用の範囲、使用方法等について記載してございます。移植 水稲の水田一年生雑草等に対する適用ということでございます。  5ページ以降に作物残留試験の概要を記載してございます。分析対象の化合物とし ては、ピリブチカルブということで分析がなされております。  作物残留試験は水稲を用いて行われておりまして、結果といたしましては記載のと おりと、ほぼ定量限界以下というような結果が出てございます。  6ページの7.魚介類への推定残留量です。本剤につきましては、当部会の報告書 案では食用の部分の適用しか記載しておりませんが、非食用作物として芝への適用が あるということで、水田及び水田以外のいずれの場面においても使用されるというこ とから、2つのPECを比較いたしまして、水田PECの0.12ppbを採用するという ことで記載してございます。  7ページ、生物濃縮係数でございますが、2つの濃度区で実施されたコイの魚類濃 縮性試験のデータがございまして、これらの分析の結果から、第一濃度区では572、 第二濃度区では492というBCFが算出されてございます。  これらの結果から、推定残留量を算出してございますが、PECとして0.12ppb、 BCFとして572という数値を採用いたしまして、推定残留量が0.34ppmということ で算出してございます。  ADIの評価につきましては、先ほども御説明いたしましたとおりですが、 0.0088mg/kg体重/dayということで評価されております。  諸外国における状況ですが、JMPRにおける毒性評価はなされておりません。ま た、米国、カナダ等の基準値設定状況でございますけれども、こちらについても基準 値の設定てはなされておりません。  以上を踏まえました基準値案でございますが、残留の規制対象はこれまで同様ピリ ブチカルブ本体のみといたしたいと考えております。  今回、基準値案としましてお示ししているのが10ページの別紙2になりますが、 現行の本基準として米に0.1ppmという値が設定されているところですけれども、今 回、作物残留試験成績をもとに見直しまして、0.03ppmという基準値でいいのではな いかということで、本基準ではありますが、見直しを行っております。  また、先ほどの推定残留量から魚介類に対して0.4ppmという値を設定する案とさ せていただいております。  これらの基準値案を基に推定摂取量を算出いたしましたのが、11ページの別紙3で ございます。一番下のADI比として、一番高い幼小児で14.4%の占有率となってお ります。  13ページに答申(案)といたしまして、今回見直した米の基準値と、新しく設定し た魚介類の基準値をお示しする案とさせていただいております。  事務局からの説明は以上です。御審議のほどお願いいたします。 ○大野部会長 どうもありがとうございました。先ほどのジメテナミドですけれども、 薬理作用のところが若干確認しなければいけないところがありましたので、その確認 の結果、修正するかもしれないということを了承しておいてください。お願いします。  それでは、ピリブチカルブについて御審議いただきたいと思います。  まず、化学名、構造、その辺のところではいかがでしょうか。  斉藤先生、よろしいでしょうか。 ○斉藤委員 はい。 ○大野部会長 ありがとうございます。薬理作用の点で尾崎先生、いかがでしょうか。 ○尾崎委員 物質転流阻害という言葉が出てくるんですけれども、これは多分植物学 の用語だと思うんですが、私は判断しかねました。  カーバメート系というのは、カルバメートかなと思いました。 ○大野部会長 いかがでしょうか。 ○加藤委員 以前にここで議論があって、たしか従来はカルバメートをずっと使って いたのをここの部会でカーバメートでいいのではないかというお話できていたと思 うんです。ですから、ここで変えることになるとまた同じ部会で食い違いが出るので はないかという感じがします。 ○大野部会長 カーバメートとして使ってきたということですね。 ○加藤委員 そうです。ここの中でです。 ○大野部会長 尾崎先生、そのままでよろしいですか。 ○尾崎委員 はい。 ○大野部会長 それでは、そこの物質転流阻害というところは私もよくわからないと ころがあるんです。  加藤先生、お願いします。 ○加藤委員 私も引っかかって、なぜこんな変な古臭い言葉を使うのかというところ で気になって幾つか調べましたら、タンパク阻害と脂肪酸合成経路の阻害という方が どうも具体的な内容のようです。テルペンとスクワレンの合成系の阻害というので、 この酵素もある程度はっきりしているようです。それは引っ張った資料は農薬ハンド ブック、植物調節剤研究会のレポートです。それを確認していただいて、ここはでき ればもう少し今の時点での成果を入れていただいた方がいいのではないかと思いま す。 ○大野部会長 志賀先生、お願いします。 ○志賀委員 関連で、その次の老化促進というのも非常に漠然としているんです。こ れを含めて食品安全委員会の評価書も同じワードなんです。食品安全委員会の方はと もかくとしまして、もう少し具体的にならないものかなという感じがします。 ○大野部会長 それでは、加藤先生。 ○加藤委員 先ほどの酵素はわかりました。スクワレンエポキシダーゼです。 ○大野部会長 スクワレンエポキシダーゼを阻害するというのは、農薬抄録の方に書 いてあるんですか。 ○加藤委員 そこには出ていないです。農薬抄録もたしか同じ表現だったと思います。 ○大野部会長 現時点の学術的な情報によると、スクワレンエポキシダーゼの阻害が 中心であるという。 ○加藤委員 少なくとも脂質の合成系の阻害はそういうふうに考えられると思いま す。 ○大野部会長 脂質の合成系阻害により作用するもの。 ○加藤委員 ですから、ここは実際の申請者が一番よく御存じでしょうから、そちら に問い合わせて。 ○大野部会長 それでは、それを確認していただいて、現在のレベルの表現にしてい ただきたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。 ○事務局 わかりました。 ○大野部会長 ほかに御意見はございますでしょうか。  それでは、体内動態、代謝物について御意見を伺いたいと思いますけれども、山添 先生、いかがでしょうか。 ○山添委員 その前に一言だけ。この食品安全委員会の評価のところの酵素誘導のと きに私のデータが引用されているんです。厚労の今回のには入っていないんですけれ ども、それはいいですか。発言を控えた方がいいですか。食品安全委員会の方の酵素 誘導のデータは私のデータを利用されている。公表した論文なので別に異論はないん ですけれども、それだけの判断をお願いしたい。 ○基準審査課長 御発言いただくことについては結構だと思います。 ○大野部会長 では、酵素誘導のところ以外のところについてお話ししていただくと ころについてはよろしいということで、了解いただけますでしょうか。  それでは、そういうことで、それ以外のところの説明をお願いいたします。 ○山添委員 そうしますと、これも先ほどの化合物と同じように、エステルが切れた チオール基のところでグルタチオンのコンジュゲートで抱合を受ける体の化合物だ と思います。したがって、血球に対してはほかの組織よりも長期間残るという動物実 験の結果が出ていると思います。  ですから、ヒトのシチュエーションを考えた場合には、暴露量が低ければこれも大 量の投与との場合とはかなり違って、十分に除去されていると判断できるのではない かと考えます。 ○大野部会長 ありがとうございます。代謝物に関しては、食品安全委員会の17ペ ージに書いてございますけれども、稲に暴露した場合に、玄米中の放射能の大部分は デンプンとして存在しているということで、そのものはほとんど残留していないとい うことでございます。ということで、最終的に今回残留の規制対象物質としてピリブ チカルブ本体のみということでございますけれども、それで私もよろしいかと思いま す。  それでは、安全性の観点で鰐渕先生、御意見はございませんでしょうか。 ○鰐渕委員 この剤に関しては、発がん性を含めて長期暴露によって問題になるよう なところはありませんので、十分量のNOAELを設定すれば問題ないと思います。 ○大野部会長 雄で精巣に腫瘍が出ていますけれども、それは遺伝毒性がないので問 題がないということでよろしいということですね。 ○鰐渕委員 はい。遺伝毒性がないということでNOAELを設定できる、ADIを 設定できるということです。 ○大野部会長 ありがとうございました。  それでは、分析法、食物中分析結果、基準値のところはいかがでしょうか。特に問 題ございませんでしょうか。  それでは、国際的整合性ということですけれども、この薬剤についてはいずれの国、 地域においても基準値は設定されていないということで特に問題にならないかなと 思いますが、よろしいでしょうか。  それでは、本剤の薬理作用について、場合によって修正をしなければいけないとい うことがありますけれども、それは確認した上で修正していただくということを踏ま えて、含んでこの部会報告書(案)、米については0.03、魚介類については0.4ppmと いうことです。それを含めた部会報告書(案)の文章全体です。これで皆さん、御了 承いただけますでしょうか。 (「はい」と声あり) ○大野部会長 ありがとうございます。それでは、薬理作用のところに若干変更があ るかもしれないということを踏まえて、この部会の報告とさせていただきます。  あと、先ほどの件もありますけれども、薬理作用のところの変更の文章のところで すが、確認した後、私が確認して修正するということでお任せいただけますでしょう か。 (「はい」と声あり) ○大野部会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。  それでは、次が農薬オキサジアゾンの審議をお願いしたいと思います。  それでは、事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは、資料5−2をご覧ください。オキサジアゾンです。  本剤は、オキサジアゾール環を有する除草剤でございます。クロロフィル生合成経 路中のプロトポルフィリノーゲンオキシダーゼを阻害することで、細胞膜の過酸化を 結果的に引き起こしまして、植物を枯死させると考えられているものでございます。  12ページにこれまでの経緯ということで記載してございます。こちらの剤につきま しては、平成15年に再登録ということで農薬登録がなされております。その後、平 成17年にそのポジティブリスト制度導入に伴い、当時の登録保留基準と米国の基準 を参照いたしまして暫定基準が設定されております。  平成20年1月に農林水産省から魚介類に係る基準値設定依頼がございましたので、 そちらを受けて、同じ月に残留基準の見直しも含めまして、食品安全委員会あてに食 品健康影響評価について要請しているものでございます。  評価結果につきましては、平成20年9月に通知がなされております。よって、今 回の審議対象といたしましては、魚介類への基準値設定と暫定基準の見直しというこ とになっております。  それでは、資料5−1の食品健康影響評価書をご覧ください。本剤の評価結果につ きましては、38ページからまとめられてございます。  動物体内運命試験の結果でございますけれども、ラットに投与されたオキサジアゾ ンの吸収及び糞尿中への排泄は速やかであったということが確認されておりますが、 排泄経路については性差が見られたということで、低用量、高用量ともに結果が記載 されてございます。  また、臓器・組織への蓄積性は認められなかったということも確認されてございま す。稲及び大豆を用いた植物体内運命試験の結果では、主に茎葉部に親化合物として 分布するということで、可食部への移行は少ないということが確認されてございます。  各種毒性試験の結果からは、オキサジアゾンの投与による影響は主に肝臓及び血液 に認められておりますが、繁殖能に対する影響、催奇形性及び生態において問題とな る遺伝毒性は認められておりません。  発がん性試験におきまして、ラット及びマウスで肝細胞腫瘍の増加が認められてお ります。また、ラットを用いた二段階発がん性試験では、肝発がんに対するプロモー ション作用を有することが示されております。  ラット及びマウスでは、オキサジアゾン投与により肝の超微細構造ではペルオキシ ゾームの増殖が認められたということでございますけれども、その増殖因子として作 用することは示唆されておりますが、肝細胞腫瘍との関連は不明であったということ になっております。  これらの結果から、ラット及びマウスにおいて認められた肝細胞腫瘍の発生機序は、 遺伝毒性メカニズムとは考え難い。よって、評価に当たり、閾値を設定することは可 能であるということで結論づけられております。  これらの各種試験結果から、食品中の暴露評価対象物質はオキサジアゾン、親化合 物のみと設定されております。  無毒性量等の評価は記載のとおりでございますが、ラットを用いた2年間慢性毒性 /発がん性併合試験の0.36mg/kg体重/日ということを根拠といたしまして、安全係数 100で除した0.0036mg/kg体重/日がADIとして設定されてございます。  それでは、資料5−2にお戻りいただければと思います。  化学名、構造式及び物性につきましては記載のとおりです。  2ページ目以降に本剤の適用の範囲が記載されておりまして、移植水稲の水田一年 生雑草への適用があるということでございます。  3ページ以降、作物残留試験の概要が記載されておりまして、分析対象の化合物と してはオキサジアゾンとなってございます。  また、水稲を用いた作物残留試験結果を記載してございますけれども、こちらもほ とんどが定量限界という数値として見られております。  6ページ、7番といたしまして、魚介類への推定残留量について記載してございま す。本農薬につきましては、水田においてのみ使用されることから、水田PECを算 出いたしまして、0.27ppbという値として算出されております。  生物濃縮係数につきましては、コイの魚類濃縮性試験が実施されておりまして、2 つの濃度区の試験結果からBCFが388、397ということで算出されております。  これらの結果を基に推定残留量を算出しておりまして、PECの0.27ppb、BCF としては397という値を採用いたしまして計算しました結果、0.54ppmという推定残 留量が算出されております。  7ページにADIの評価といたしまして、先ほど御説明いたしました0.0036mg/kg 体重/dayという値を記載してございます。諸外国における状況ですが、JMPRにお ける毒性評価はなされておりません。また、米国において暫定基準を設定した際は、 畜産物、肉類と乳に設定されておったんですけれども、現在では削除されているとい うことを確認しております。  また、参照基準国ではないんですけれども、EUやニュージーランドにおいてこれ らの作物に基準値が設定されております。以上を踏まえました基準値案でございます が、残留の規制対象といたしましては、オキサジアゾンのみといたしたいと考えてお ります。  基準値案につきましては、10ページの別紙2をご覧いただければと思います。本剤 も米を含め網かけの部分は暫定基準が設定されているということでお示ししており ます。今回、米につきましては国内の作物残留試験成績に基づき基準値を見直しまし て、0.02ppmの案をお示ししております。  また、陸棲哺乳類に関する乳を含む基準値につきましては、先ほども御説明しまし たとおり、暫定基準設定時に参照しました米国におきまして削除されておりますこと から、我が国におきましても基準値案としては削除し、一律基準での規制とするとい うことといたしたいと考えております。  また、魚介類につきましては、先ほどの推定残留量を踏まえまして、0.6ppmとい う基準値案をお示ししております。  これらの基準値案を基に推定摂取量を算定いたしましたのが11ページの別紙3と なっております。一番高い幼小児で48.6%の占有率となっております。  13ページに答申(案)といたしまして、今回基準値を見直した米と新たに設定いた しました魚介類について記載しているという案になってございます。  事務局からの説明は以上です。御審議のほどお願いいたします。 ○大野部会長 ありがとうございました。それでは、化学名、構造について、斉藤先 生、いかがでしょうか。 ○斉藤委員 食品安全委員会のと若干表記が違うところがあるんですけれども、部会 はこちらの方でよろしいかと思います。 ○大野部会長 ありがとうございます。  それでは、薬理作用についていかがでしょうか。 ○尾崎委員 これについては、食品安全委員会の方の記載が7ページの2行目以降に 書かれているんですけれども、読ませていただいくと、むしろこちらの方がより具体 的に書いてあって、この部会案は少し丸めてあるような気がするんです。何か特に間 違いがないのであれば、食品安全委員会の評価書と一緒にしておいた方がいいのかな という気がします。 ○大野部会長 いかがでしょうか。事務局はどうでしょうか。 ○事務局 当初作成した段階では食品安全委員会の評価書と同じような記載ぶりに していましたが、書いている途中でこのオキシダーゼを阻害しているのにどうしてプ ロトポルフィリンIXが蓄積するんだろうというところが引っかかりまして、いろいろ 確認したところ、結局生合成系外のところで蓄積してそれがこういう活性酸素の一種 を生成させて枯死させるというより複雑な経緯を見てしまったもので、ここは確かに 記載ぶりについて悩んだところなんです。 ○大野部会長 そこを調べた上で、今回のうちの方の部会報告書案で示された表現の 方がいいのではないかと判断したということですね。 ○事務局 はい。 ○大野部会長 尾崎先生、それでよろしいでしょうか。 ○尾崎委員 それであれば。 ○大野部会長 ありがとうございます。ほかの先生で何か御意見はございますでしょ うか。よろしいでしょうか。  それでは、体内動態、代謝物について、山添先生、お願いいたします。 ○山添委員 これについては、酸化的な代謝で進行するということで、あと環の開裂 等のところがあります。若干高用量で雌雄で差があるということで、雌雄間で差のあ る律速段階が違うのかなということですけれども、低用量のところでは差が見られて いませんので、一応十分な代謝活性があって代謝をされているのではないかなと思い ます。  代謝そのものについて残留性とかはなさそうですので、私は問題があるとは思いま せんでした。 ○大野部会長 ありがとうございました。分析対象物質について悩ましいところがあ ったんですけれども、食品安全委員会の方は原体だけでよろしいということだったん ですが、この食品安全委員会の報告書の12ページのところで玄米で残留していると ころの22%が親化合物、代謝物4が22.9%、代謝物25が16.5%というところで、代 謝物4については動物実験で出てくる代謝物の中に含まれているので、それを含めて 安全性が評価されているのでいいのかなと思ったんですけれども、25のところがそう いうものが出ていると表現されていないんです。  若干それが気になっているんですけれども、化学構造から見てどんな構造をしてい るか、食品安全委員会の42ページの25によくわからないところがございまして、山 添先生、斉藤先生、どんな構造をしているのか、見ておいていただけませんでしょう か。 ○山添委員 これは五員環のところが開裂をして、カルボン酸がとんで、そこのとこ ろにアセチル基が入っている構造です。 ○大野部会長 これは構造的に見て安全性に関して懸念を与えるような構造ではな いと判断してよろしいですか。 ○山添委員 フェニルヒドラジンが出てしまうとまずいんですが、ここはアセチル基 が1つ入っているのと、多分これは脂溶性がそのまま高い構造で、そのままではなく て、多分更に脱アルキル化を受ける経路が要るんだと思います。哺乳類、ラット、動 物の実験では、そちらの側のエーテル環の切れていった経路とほかの代謝経路が含ま れているので、少量であればそちらの経路の代謝経路が存在するのではないかなと思 います。 ○大野部会長 加藤委員、お願いします。 ○加藤委員 25については私もヒドラジン誘導剤ということでかなり気にしまして 見ましたら、抄録を注意して見ますと、変異原性は実験データで少なくともマイナス となっています。  作物代謝試験のところで、このデータの補足のような形でやられた実験です。そう ではなくて、圃場でやったときには、代謝物の25は検出されなかった。その理由に ついては、余りクリアーには書いていないんですけれども、どうも光が絡んでそうだ というようなことを少し書いております。  時間的な問題も先ほど山添先生が指摘されているようにあると思います。今、申し 上げたように、少なくとも圃場レベルで屋外での栽培、そういう条件環境ではどうも 検出はされないということと、変異原性は実験的にはマイナスで陰性ということで出 ているということで、量は確かに代謝実験では多く出ているのでかなりのレベルが出 ているんですけれども、安全性評価ということでは問題にしなくてもよろしいのでは ないかなと感じております。 ○大野部会長 今、加藤先生がお話になったところは、農薬抄録に。 ○加藤委員 農薬抄録に出ています。 ○大野部会長 ありがとうございます。安心しましたけれども、それでよろしいでし ょうか。どうもありがとうございます。  あと分解物が遺伝毒性を表していますけれども、それも含めて鰐渕先生、安全性の ことについて御意見をお願いいたします。 ○鰐渕委員 この剤自身は、げっ歯類に対してペルオキシゾームの増殖作用があると いうことで、ラット、マウスで肝腫瘍を作っていますけれども、ヒトとか犬とかでは そういう作用にはならないということで、十分説明がつきます。ただ、食品安全委員 会のまとめのところで、肝細胞腫瘍との関連は不明であったと書いてあるんですが、 この1行は気になるんですけれども、これは明らかにラット、マウスの腫瘍ができた のはペルオキシゾーム増殖によるものだと考えられるので、不明とするのはかえって おかしいかなという感じがしました。 ○大野部会長 ありがとうございます。不明としてしまうと問題ないと言えなくなっ てしまうんですね。私も鰐渕先生が説明してくださったように、明確なペルオキシゾ ームの増殖が認められていますし、ペルオキシゾームに存在する酵素の活性も増加が 認められているということで、それが原因で癌になるということは一般的にげっ歯類 で認められていることなので、特によろしいのかなと思いました。  なぜ「不明である」のかと書いたのかわからなかったんですけれども、この不純物 の9は遺伝毒性がありますね。その辺はいかがでしょうか。不明としたところが、不 純物9による発がんとかそういうことも考慮して言っているのかもしれない。 ○鰐渕委員 もしかしたらそうなのかなというふうに、先ほど先生と少し話していた のもそういう点なんですけれども、これに関しては微妙ですよね。不純物に対して「あ る」という疑いはぬぐいきれないということなのかもしれません。 ○大野部会長 発がん性実験とかそういうのは原体でやっているということですけ れども、不純物がそこに含まれた状態でやっていたんだと思うんです。ただ、製剤の ときに不純物がどれだけ含まれているかというデータが見当たらなかったんです。そ の辺、何か情報はないですか。 ○事務局 確認してみます。 ○大野部会長 お願いします。原体の成分組成としては、混合物9の存在量は規格値 では0.3%以下で、通常値としては0.1%以下か0.1%ということだそうです。  その量が安全性上問題ないかどうかということになると思いますけれども、この摂 取量の限度が無毒性、ADIが0.0036μg/kg体重/dayと、3.6μg/kg。この1,000分の 1というと、3.6ng/kg体重/dayと、そのくらいの量が安全性上懸念があるかどうかと いうことですけれども、このくらいの量だとすると、たしかJECFAの評価では香 料関係の評価のときに一日当たりの摂取量が1.5μg以下だった場合には、たとえ発が ん性物質であっても安全性上の懸念はないというような統一見解が出ていますので、 勿論、アフラトキシンとかそういうものについてはもっと低いところを設定しなけれ ばいけないんですけれども、特にこれについてそこまで懸念しなければいけない、1.5 とすると体重50kgとすると、30ng/kg体重/dayです。それよりも更に10分の1以下 であると問題ないのかなと思います。  少なくとも通常の遺伝毒性物質とか発がん性物質の場合には問題とするレベルよ りも低いということで、代謝物9については問題ないのではないかなと思いますけれ ども、鰐渕先生、いかがでしょうか。 ○鰐渕委員 先生が言われるように、非常に量的には低い、摂取しても低いというこ とで大丈夫だとは思いますけれども、食品安全委員会の影響評価の最後のまとめのと ころに、不明であったというところを残して含んでこういうふうに書かれているんだ と思うんですけれども、基本的には大丈夫だと思います。 ○大野部会長 それでは、私が今頭で計算したのがもしくは間違っているといけない んですけれども、確認させていただいて、それで私が申し上げたのが確認できればそ れでいきたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。 ○鰐渕委員 あともう一つ、この二段階肝発がん性試験をしておりまして、最高用量 の1,000ppmを投与しても、GST-P陽性細胞巣が出ていないということなので、イニ シエーション作用はほとんどないんだと思うんです。だから、たまたま混合物で出て いますけれども、実際問題としては1,000ppm投与してもイニシエーション作用とし てはほとんど見られなかったということなので大丈夫かなと思います。 ○大野部会長 ありがとうございます。 ○山添委員 コメントも出ていないんですよね。アルコールで多分アルデヒドになっ て変異原性を示しているので、アセトアルデヒドと同じような感じで結局生体内では 還元を受けて戻るし、カルボン酸に行く可能性も大きいので、多分vivoでの変異原性 というのはそんなに強くないとは思います。 ○大野部会長 ありがとうございます。vivoではネガティブであるというデータがあ る。短期発がん性実験でその原体でポジティブというデータがない。1,000倍までや っているということで、それはネガティブだということなので、不純物9が入ってい たとしても安全性には懸念はないだろう。先ほど私が計算したようなところもありま すけれども、特にこの部会としてはそういういろんなことを考慮すると安全性に懸念 はないのではないかと判断したいと思いますけれども、よろしいでしょうか。 (「はい」と声あり) ○大野部会長 それでは、次に分析対象物質についてはお話ししましたけれども、分 析法と食物中分析結果、基準値について御意見を伺いたいと思います。いかがでしょ うか。よろしいでしょうか。  国際的整合性についてはいかがでしょうか。それについても問題ないでしょうか。 ありがとうございます。  それでは、この答申(案)が13ページに書いてございますけれども、お米が0.02ppm、 魚介類が0.6ppm。それを含む全体としての報告書の案をこの部会の報告としてよろ しいでしょうか。 (「はい」と声あり) ○大野部会長 ありがとうございます。特に御意見はごさいませんので、そうさせて いただきます。  それでは、次がメタアルデヒドについての御審議をお願いいたします。  では、事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは、農薬の最後の剤になります。メタアルデヒドです。資料6−2 をご覧いただければと思います。  本剤は殺虫剤ということで、特に軟体動物駆除剤として作用のあるものです。要す るに、ナメクジですとか、カタツムリ、淡水性リンゴガイ科巻貝の経口吸収及び腹足 部からの接触吸収によりまして、最終的に筋肉の部分を収縮させるということで死に 至らしめると考えられているものでございます。  本剤のこれまでの経過でございますが、9ページ、初回農薬登録は昭和56年とな ってございますが、中ほどより少し下に記載してございますとおり、本剤におきまし ては、一度平成19年10月にこちらの部会におきまして御審議いただき、その後20 年4月に残留基準の告示がなされております。このときには、新規登録に関わる部分 と当時設定されていた暫定基準の見直しということで御審議いただいたものとなっ ております。  その後、平成20年の7月に適用拡大と魚介類に係る基準値設定依頼ということで 農林水産省より連絡がございました。それを受けまして、同年12月に食品安全委員 会あてに食品健康影響評価を依頼してございます。  食品健康影響評価結果につきましては、平成21年2月に通知がなされておりまし て、よって今回の審議対象といたしましては、適用拡大に伴う基準値設定と魚介類へ の基準値設定ということで御審議いただければと思います。  本剤の毒性評価につきましては、今お話ししたとおり一度御審議いただいていると いうことから若干割愛させていただきまして、資料6−2、当方の部会報告書案の説 明をさせていただければと思います。  引き続き、化学名、構造式及び物性ということで、1ページに戻りますけれども、 こちらにつきましては記載のとおりでございます。適用病害虫の範囲及び使用方法と いたしまして、1ページの下から2ページにかけて記載しておりますが、今回、作物 名としてみかんやレタスに枠囲みをしておりますが、こちらが適用拡大申請がなされ た作物となっております。  2ページの下から作物残留試験の概要を記載してございます。分析対象の化合物と いたしましては、以前同様メタアルデヒド親化合物のみということで試験がなされて おります。  3ページに作物残留試験の結果が記載されておりまして、今回の適用拡大になる部 分、みかんの果肉と果皮及びレタスについての結果も記載してございます。  3ページの下からは、魚介類への推定残留量を記載しております。本農薬は、今回、 みかんとレタスということで水田以外の場面ということでも使用されるということ から2つのPECを比較いたしまして、水田PECの5.9ppbを採用するということ にいたしました。  生物濃縮係数でございますが、一応魚類濃縮性試験ということでデータはあったの ですけれども、総放射能として分析されており、これについてメタアルデヒドとして の実測値等を推測するほかのデータもないということから、オクタノール/水分配係 数から相関式を用いましてBCFを算出し、結果0.4という値で算出されております。  これらの値を用いまして推定残留量を算出しておりますが、結果として約0.011ppm という推定残留量となってございます。ADIの評価につきましては、以前の食品安 全委員会の評価と結果的には数値は変わっておりませんで、0.022mg/kg体重/dayと いうADIが設定されております。  諸外国における状況ですが、こちらはJMPRにおける毒性評価はなされておりま せん。  ほかの国ですけれども、EUにおいていちご、にんじん、オーストラリアにおいて 穀類、野菜類等に基準値が設定されております。  以上を踏まえた基準値案ですが、規制対象といたしましては、これまで同様メタア ルデヒド本体のみでいいのではないかということで記載しております。実際の基準値 案ですが、7ページの別紙2に記載しております。  左から4つ目の登録有無の欄に申請の「申」の字を記載しておりますのが今回適用 拡大に伴い基準値を設定した作物となります。レタスに対して3ppm、みかんでは0.2、 あとはその他のスパイスとしてみかんの果皮のデータから0.7、現行0.2ですけれど も、その基準値を改正して0.7という基準値を設定する案としております。また、魚 介類につきまして、先ほどの推定結果から、0.02という基準値を設定しております。  これらの基準値を踏まえまして、暴露評価を行いましたのが8ページの別紙3でご ざいます。一番高い幼小児で15.4%のADI占有率となっております。ちなみに適用 拡大分及びは魚介類の基準値を設定する以前のは幼小児で10.9%という占有率でし た。  以上を踏まえた答申(案)を11ページにお示ししてございます。今回、新たに基 準値を設定したものと、見直したスパイスについてとりまとめた表となってございま す。  事務局からの説明は以上です。御審議のほどお願いいたします。 ○大野部会長 ありがとうございます。この品目については、今、御説明がありまし たように、以前に一度審議していただいたものということでございます。  そういうことで、化学構造とか化学名について問題ないかと思いますけれども、一 応確認ということで、斉藤先生、よろしいでしょうか。 ○斉藤委員 はい。 ○大野部会長 ありがとうございます。薬理作用の点についていかがでしょうか。 ○尾崎委員 多分薬理作用というか作用点というか、作用機序があいまいだからこん なふうな表現になっているのかとは思うんですけれども、あえて意見を言うと、2行 目のところが気になるといえば気になります。  多分この書きぶりだと、粘液分泌を促して脱水状態になってこのカタツムリなりナ メクジが収縮をして運動麻痺が起こって死に至るのかなと思えたんです。 ○大野部会長 そういう表現のようですね。実際、私は使ったことがありますけれど も、ナメクジが黒っぽくなって。作用機序があいまいだということでこういう表現に ならざるを得なかったということなのかもしれませんけれども、そういうことでよろ しいでしょうか。 (「はい」と声あり) ○大野部会長 ありがとうございます。それでは、体内動態についていかがでしょう か。特によろしいですか。 ○山添委員 ほとんど呼気になって出ているということですので、急速に分解するん だろうと思います。ですから、逆に言うとこれが体内に入ったときにどういう形で存 在しているのかよくわからないというのが正直なところです。 ○大野部会長 ありがとうございます。私の見たところでも、食べ物の中に残ってい るものに関しては、ほとんど原体としては残っていない。タンパク質とかそういう生 体構成成分の中に組み込まれているのではないかということでございます。そういう ことで、未同定の代謝物とかそういうのが非常に多いかもしれませんけれども、ほと んどがレタスの場合には残っているのはこのメタアルデヒドであったということで、 本体をそのまま残留基準の設定の分析対象物質とするのに特に問題ないと思います。  安全性のところではいかがでしょうか。 ○鰐渕委員 この剤自身に遺伝毒性がないということ、あと神経毒性があるんですけ れども、非常に高濃度でしかも一過性というんでしょうか、代謝が早いということな ので、低用量では問題ないと考えられます。 ○大野部会長 ありがとうございました。  それでは、分析法、分析結果、基準値、その辺の御意見はございますでしょうか。 特にないようでしたら、11ページに記載してあります今回の答申(案)、レタス、み かん、その他スパイスと魚介類、それらについての残留基準値と、この部会報告全体 として御意見はございますでしょうか。  それでは、これをこの部会の報告としてよろしいでしょうか。 (「はい」と声あり) ○大野部会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。  一応、今日の審議していただく品目は終わったかなと思いますけれども、事務局か ら今後の手続についての説明をお願いいたします。 ○事務局 その前に1つ、部会報告書の記載の方法で確認させていただきたいと いいますか御提案したい点がございまして、今回資料1−2、一番最初に御審議いた だいた豚の注射剤なんですが、今回の報告書から「今般の残留基準の検討については」 という1文をこのタイトルの下、剤名の下に入れるような形式にしているんですけれ ども、農薬についてもこれまでその部分については確かに口頭では御説明していたと ころなんですが、なかなか入っていなくてわかりづらかった部分があったと思いまし て、今回の修正の部分から、次回以降記載を入れていこうかなと考えておりますがよ ろしいでしょうか。 ○大野部会長 特によろしいかなと思いますけれども、皆さんよろしいでしょうか。 (「はい」と声あり) ○大野部会長 では、資料1−2に示されたような最初のパラグラフといったものが これから入るということですね。そういうことでよろしくお願いいたします。 ○事務局 ありがとうございます。 ○大野部会長 では、そのほか、今後の手続についてございますでしょうか。 ○事務局 本日御審議いただきました動物用医薬品1剤、農薬5剤につきまして は、食品安全委員会から評価結果の通知を受けているところでございます。  本日の御審議におきまして、一部確認をする事項、それを踏まえて修正をする事項 等がございますので、これらにつきましては確認、修正した後、大野部会長に御確認 をいただいた上で部会報告書とさせていただきたいと考えております。  今後の手続でございますけれども、食品衛生分科会にお諮りするとともに、残留基 準値の設定等を行う農薬5剤につきましては、パブリックコメント、WTO通報等の 必要な手続を進める予定としているというところでございます。 ○大野部会長 ありがとうございます。ほかに議事はございますでしょうか。 ○事務局 次回の本部会の開催日程でございますけれども、12月1日、火曜日の午後 を予定させていただいております。後日、各委員の日程につきましては御確認させて いただきたいと思います。詳細については追って御連絡差し上げます。 ○大野部会長 ありがとうございます。そのほか、ございますでしょうか。先生方も ございませんでしょうか。ありがとうございます。  それでは、10分ほど12時を過ぎてしまい、申し訳ございませんでした。御協力い ただいて、いろいろ御審議ありがとうございました。では、これでおしまいにさせて いただきます。 照会先:医薬食品局食品安全部基準審査課残留農薬係、乳肉水産基準係 (03−5253−1111 内線4281、2487、2489)