09/03/30 第44回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会議事録 第44回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会                                                   日時 平成21年3月30日(月)           17:00〜18:30          場所 厚生労働省14階職業安定局第1会議室 照会先 厚生労働省職業安定局雇用保険課企画係 〒100-8916東京都千代田区霞が関1−2−2 TEL03(5253)1111(内線5763) FAX03(3502)6773 ○清家部会長 ただいまから第44回雇用保険部会を開催いたします。本日の出欠状況でござ いますが、中窪委員はご欠席と伺っております。岩村委員、それから大沢委員は少し遅れていら っしゃいます。それから事務局に異動がございまして、課長補佐の渡辺さんが着任されております のでご紹介いたします。 ○渡辺課長補佐 よろしくお願いいたします。 ○清家部会長 それでは議事に移らせていただきます。本日の議題は「雇用保険法施行規則の 一部を改正する省令案要綱案について」でございます。1月の当部会において議論いたしました 「雇用保険法等の一部を改正する法律案」につきましては修正の上、去る3月27日に可決成立 し、本日公布されております。本日の議題としている省令はこの施行に伴うものであり、本日厚生 労働大臣から労働政策審議会に対し諮問がなされる予定でございます。本来であれば職業安 定分科会において先に議論が行われ、当部会において審議することとされるべきものですが、何 分施行まで時間がないことから今回は職業安定分科会に先立ち、あらかじめ雇用保険部会で審 議することとしたものでございます。  それではまず事務局から雇用保険法等の一部を改正する法律の審議経過も含め、ご説明を お願いしたいと思います。 ○渡辺課長補佐 それでは私のほうから説明させていただきます。まず、資料の確認をお願いい たします。  本日の配布資料ですが、資料1として雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令案要綱 ということで縦書きの資料、資料2として雇用保険法等の一部を改正する省令案概要という2枚 紙の資料を、最後に資料3として参考資料をお配りしております。本日の議題であります雇用保 険法施行規則の一部を改正する省令案要綱は、3月27日に成立しました改正雇用保険法の 施行に伴うものでございますが、省令案要綱のご説明に入る前に改正法が成立するまでの審議 経過について先にご報告させていただきます。  まず、改正案の修正についてご報告いたします。資料3の参考資料のほう、6頁をご覧いただ ければと思います。ここにある資料でございますが、改正法案の施行期日、これが育児休業給付 にかかる部分以外は平成21年4月1日として法案を出しておりましたが、3月18日の衆議院 厚生労働委員会におきまして、施行期日をこの平成21年4月1日から平成21年3月31日 に改めることを内容とする修正が行われ、その上で可決されました。このことにより、年度末に向 けて雇止めの増加も想定されますが、3月31日に雇止めとなった場合から受給資格要件の見 直し等について対象となりまして、解雇同様6ヶ月で受給資格が得られることとなります。  また、附帯決議についてご説明させていただきます。資料3の7〜8頁、9〜11頁にかけてでご ざいます。まず7頁のほうでございますが、こちらは3月18日の衆議院厚生労働委員会、それ から9頁のほうからでございますが、こちらは3月27日の参議院厚生労働委員会において修正 案の可決と共に行われた附帯決議でございます。それぞれの附帯決議について配布させていた だいております。以上が報告でございます。  次に省令案要綱について、縦書きの資料1に沿って、適宜この資料3の雇用保険部会報告も ご参照いただきながらご説明いたします。  まず、資料1の第一でございます。こちらの第一は雇用保険法施行規則の一部改正について となっております。この第一の一〜三までが改正内容のうち、非正規労働者のセーフティネット機 能の強化に関係する部分となってございます。一として、特定理由離職者の範囲でございます。 これについては資料3の雇用保険部会報告、2頁の1の(1)、参考資料の3でございますが2 頁の(1)非正規労働者に対するセーフティネット機能の強化の中でとりまとめられました、「希望し たにもかかわらず、労働契約が更新されなかったため離職した有期雇用者等」と特定理由離職 者の範囲を定めておりますが、これに該当する部分をこの第一の一で書き下しております。  一の(一)でございますが、期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約 の更新を希望したにもかかわらず更新がないため離職した者を定めております。一の(二)では、 部会報告の中で、有期労働者等の「等」に該当する部分として、正当な理由によって自己の都 合により離職した者を定めているものでございます。  次に第一の(二)として、特定受給資格者の範囲の改正でございます。これについては雇用保 険部会報告、2頁の1の中で、労働契約が更新されることが明示されていたにもかかわらず、こ れが更新されなかったため離職した有期雇用者については、被保険者期間の長短にかかわらず 特定受給資格者とすべきであるとしており、この部分に該当するところでございます。省令案では、 現行では特定受給資格者の対象となっていない、労働契約期間が1年以上である場合及び1 年以上引き続き同一の事業所に雇用された場合を、新たに特定受給資格者の対象として定め ることとしております。  次の頁の三でございます。三は基本手当の支給に関する暫定措置についてです。これについ ては雇用保険部会報告の中で、これらの者の所定給付日数については暫定的に特定受給資格 者と同じ取扱いとすべきであるとしており、それに該当する部分でございます。省令案におきまし ては、希望したにもかかわらず労働契約が更新されなかったため離職した有期労働者、又は現 在特定受給資格者とされております範囲の12月未満の、正当な理由のある自己都合により離 職した者について、暫定的に所定給付日数を特定受給者並にすることとしております。  以上がセーフティネットの強化に関する部分の省令案でございます。  続いて四として、給付日数の延長に関する暫定措置でございます。これは改正内容のうち、再 就職が困難な場合の支援の強化にかかわる部分でございます。雇用保険部会報告の中では3 頁の1の(2)になりますけれども、再就職困難者に対する支援の強化ということで、雇用失業情 勢の影響を考慮して倒産、解雇等によって離職した者や雇止めされた者などについて再就職の 援助を行う必要があるということで、所定日数が短い年齢層でありますとか、雇用失業情勢の悪 い地域の求職者について公共職業安定所長が必要と認めた者について60日、個別に延長して 給付が受けられるようにすると、そういった内容になってございます。それで省令の要綱案でござ いますが、まず四の(一)でございますが、個別延長給付の対象者となる特定理由離職者を、期 間の定めのある労働契約が終了し、かつ当該労働契約の更新を希望したにもかかわらず更新 がないため離職した者とすることとして定めております。  次に四の(二)でございますが、公共職業安定所長が年齢、地域要件を満たした受給資格者に 対し、就職が困難であると認められる場合の基準を定めているものです。具体的には二のイとし て、特に誠実かつ熱心に求職活動を行っているにもかかわらず、所定給付日数に相当する日数 分の基本手当の支給を受け終わる日までに就業に就くことができる見込みがなく、特に職業指 導その他再就職の援助を行う必要があると認められること。ロとして受給資格者が正当な理由 なく公共職業安定所の紹介する職業に就くこと、公共職業安定所の指示した公共職業訓練等 を受けること及び公共職業安定所が行う再就職を指導するために必要な職業訓練を受けること を拒んだことがないことを基準として定めております。  また、四の(三)は個別延長給付の対象となる地域の基準、こちらをイ、ロ、ハとして、イでは労 働力人口に対する有効求職者の割合が全国の平均以上、ロでは当該地域における有効求人 倍率が1未満、ハでは雇用保険の基本受給率、これが全国の平均以上となるような形で定めて いるものでございます。  次の頁でございます。更に四の(四)ございますが、いま申し上げたもの以外に個別延長給付の 支給対象となる者の基準を定めているものでございます。具体的には、公共職業安定所長が再 就職のための支援を計画的に行う必要があると認めるための基準として、要綱のほうでは4の (二)のロの基準を満たすものとしてますが、その方について正当理由がなく公共職業安定所の 職業紹介、職業指導、公共職業訓練の指示等を受けることを拒んだことがない者で、かつ次の イ、ロまたはハのいずれかに該当することとしております。具体的にはイとして、安定した職業に就 いた経験が少なく離職又は転職を繰り返していること、ロとして、産業構造、労働市場の状況か らみて、再就職のためにその者が従事していた職種等を転換する必要があること、ハとして、イ又 はロに掲げる者のほか、特に誠実かつ熱心に就職活動を行っており、かつ公共職業安定所の職 業指導を受けなければその者が適切な職業選択を行うことが著しく困難となることをそれぞれ基 準として定めております。以上が再就職機能の強化のところでございます。  次に五として受講手当の額に関する暫定措置です。これについては雇用保険部会報告の中で、 暫定的に受講手当の額を引き上げる、具体的には日額500円を700円とすべきであるとされて おり、ここに該当する部分を省令の要綱としたものでございます。  六として常用就職支度手当に関する暫定措置でございます。これについては部会報告の中で、 年長フリーターを念頭に置きまして、常用支度手当については暫定的に40歳未満の者について も支給対象とし、支給率を40%に引き上げることによりさらに安定した再就職に向けたインセンテ ィブが高められるようにすべきだとしており、これに該当する部分でございます。  以上が雇用保険法施行規則の一部改正の部分でございます。  次に第二としてその他を定めております。一の施行期日では、この省令は平成21年3月31 日から施行するものとすることとしております。また二の経過措置では、この法律の施行に関し必 要な経過措置を定めるものとし、三でその他所要の規定の整備を行うこととすることとしておりま す。この要綱の案でございますが、本日付けでこのあと労働政策審議会に諮問させていただきた いと考えているところでございます。  最後に、今回の改正により平成21年度の失業等給付にかかわる雇用保険料率について、 0.4%引き下がることとされておりまして、さらに雇用保険二事業に係る雇用保険料率については 弾力条項により0.3%となります。これについては資料3、参考資料の17頁、いちばん最後の頁 でございますが、こちらに書いてあるような形で3月31日に告示する予定でございます。  私からの説明は以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○清家部会長 ありがとうございました。ただいまの説明に関しましてご意見、ご質問等がありま したらよろしくお願いいたします。 ○長谷川委員 3点ほど、四の給付日数の延長に関する暫定措置なのですが、四の(二)のイの ところで、「特に誠実かつ熱心に求職活動を行っているにもかかわらず」とありますが、これはよく 出てくる表現ですが、特に誠実かつ熱心にというのはどのような判断なのかひとつ教えてくださ い。  四の(三)の雇用機会が不足していると認められる地域として、厚生労働省令で定める基準は 次のイ、ロ、ハに該当するとなっていますが、これは相対的数値による判断とのことですが、本来 は雇用の厳しい地域を判断する際は絶対的な数値で行うべきではないかと思いますが、これは どういうことですか。(三)の数字は、随時公表されている方が望ましいと思っておりますが、これら はすべて随時公表されている数字と理解をしていいのかどうか、それだけ教えてください。 ○坂口雇用保険課長 1点目の給付日数の延長の関係の、四の(二)のイの部分の、「特に誠 実かつ熱心に求職活動を行っている」というのは、これはいろいろ安定所の職業紹介あるいは民 間等に対しての求職者の方が、応募活動を一定の認定期間内に熱心に行っていることを安定 所のほうでも把握した上で、客観的に判断をしたいと考えています。  次の頁の(三)の数字の関係で、イ、ロ、ハでは、いま長谷川委員がおっしゃったとおり、ロの部 分の有効求人倍率の部分が1を下回る地域ということで、絶対的な数字ということを1つ置いて いますが、イとハにつきましては全国との関係での相対的基準ということです。この点につきまし ては、なかなかいまの雇用情勢も非常に変動もはげしい中で、絶対的基準を置くことの難しさと、 今次の対応が3年間の暫定的な措置と考えておりまして、このイ、ロ、ハに該当する地域につき ましては、毎月ごとのイ、ハの指標に伴い、ポジティブにと申しますか、積極的に指定をしていこう とのことで、一定の全国との対比の中ではありますが、雇用情勢、雇用機会の不足している地域 につきましては、指定をきっちりしていこうと。今回この省令で答申をいただければ、この形で省令 の規定に沿いまして大臣告示で定めていくわけです。イ、ハの部分につきましては、毎月数字が 出てくるわけで、そのようなものにつきましては、毎月の状況で地域の追加ということも、このイ、ロ、 ハに該当をすれば、していこうと考えています。  3点目の数字の部分につきましては、指摘がありましたとおり、これはすべて客観的な数字であ りまして、具体的な労働力人口、求職者数等の数字につきましては、公表といいますか、全部公 表をしている数字ではありませんが、具体的な、客観的な1つの基準ということで、特段私どもで 調整するような数字ではないということです。 ○清家部会長 長谷川委員如何ですか。 ○長谷川委員 はい、わかりました。 ○清家部会長 他に何かご質問、ご意見はございますか。 ○平田委員 ごめんなさい、理解が進まなくて質問ですが、説明の中で要綱の第一の一から三 が雇用保険部会報告でいうセーフティネット機能の強化という説明がありました。念のため確認 ですが、一の特定理由離職者の範囲は、雇用保険部会報告でいうと資料3の2頁ですが、2つ 目の○、「希望したにもかかわらず、労働契約が更新されなかったため離職した有期雇用者」が 一の(一)で、「等」で(二)なのですか。  二の特定受給資格者の範囲の改正は3つ目の○の3行目、「暫定的に、特定受給資格者と 同じ取扱いとすべきである」というところでよいのか。三ですが、雇用保険部会報告で言いますと、 どこで読み込むのかが俄にわからないので、そこだけ教えてください。 ○清家部会長 事務局からお答えください。 ○坂口雇用保険課長 説明のしかたが前後になりますが、いま平田委員ご指摘のとおり、要綱 で言いますと第一の一の特定理由離職者の範囲が、これが今回雇止め等の方も含めまして、倒 産解雇の方と同じく基本手当の受給資格要件を1年で6月、12ケ月で6月で受給資格要件を 得られるようにする措置という部分で、ご指摘がありましたように雇用保険部会報告の今日の資 料の2頁の第2の1の(1)の上から2つ目の○のところで、「これを踏まえ」と3行目から書いて ある部分です。いまも話がありましたように、先ほども説明をしましたように、「有期雇用者」のとこ ろまでが(1)の雇止めのところで、「等」というのが正当理由の自己都合の離職者ということです。 横の順で先に申し上げますと、第一の二の特定受給資格者の範囲の改正が、これは特定受給 資格者にかかわる範囲を厚生労働省令で定めているのですが、これにつきましては契約更新の 明示の場合についての取扱いとのことで、これにつきましては部会報告の2頁の○の4つ目の、 さらに明示されたにもかかわらずというところで書かれています。こちらにつきましては、恒久措置 で行うとのことです。  要綱の2頁では、三の基本手当の支給に関する暫定措置の部分です。こちらのほうにつきまし ては、部会報告の2頁の3つ目の○のところで、雇止めの方と正当理由の自己都合離職者のう ちの一定の者につきまして取扱うことを、部会報告に基づいて暫定措置で行うということです。 ○清家部会長 平田委員、よろしいですか。 ○平田委員 はい。 ○清家部会長 他に何かご質問、ご意見はございますか。 ○林委員 先ほどの地域の指定のところで四半期ごととか、最近1ケ月ということで、統計的に 微妙に動く場合におきましては、一度そのようなところに入れば、地域がそれに該当すれば、その 人たちはずうっとこのメリットを受けられると考えてよろしいですか。 ○坂口雇用保険課長 個々の方につきましては、その方に対しての給付延長を決定するわけで すが。地域の指定につきましては、先ほど長谷川委員からの質問にお答えしたように、まず省令 に基づいて基準を定めることをするわけですが、ある程度いま委員のご指摘のように、あまり出た り入ったりということになりますと、個々の運用あるいは求職者の方、受給者の方につきましても 問題が出てくるということで、一定の1年間のスパンを取りましてまずは指定をします。先ほど申し 上げましたように、イ、ロ、ハにつきましては四半期ごとあるいは毎月データが変わってまいります ので、新たに追加すべき地域になりましたら追加をしていきます。1年のスパンの最後のところで、 実際もう一度その時点で、今回でありましたらこのいまの時点ですが、来年の1年後に全体の告 示につきまして、22年度の告示につきまして、いま一度定め直そうと予定をしております。 ○清家部会長 長谷川委員、どうぞ。 ○長谷川委員 今回、暫定措置とそうでないものがありますが、暫定措置が例えば終わるときに は、暫定措置なのでもしかしたら延長することもあり得るわけですが、その時は「もうこれで終わ り」とか、「延長する」とかは審議会にかかると理解をしてもよろしいですか。 ○清家部会長 では事務局お願いたします。 ○坂口雇用保険課長 そこは今回もいろいろな、昨年来ご議論いただいて、部会報告をとりまと めていただき、このような形で部会報告に基づき法律を改正し、今日の省令案をご提示する形に なります。正直なところいろいろ19年改正、あるいは19年改正を踏まえての昨年の議論で、この 部会でまだいろいろご議論をいただく点が多々あります。  また、今回の国会の審議、あるいは附帯決議も含めましていろいろ別途ご検討をいただく点も ありますので、どのような形でご議論をいただくかも含めて、当部会でもいろいろご相談をさせてい ただかないとと思っておりますが、そのような形を踏まえた上で、また部会の委員の方々にもお諮 りをしなければいけないと。法律上の期限としては3年間という形を置いておりますので、その時 の部会の審議の状況も踏まえて、また相談させていただきたいと思います。 ○清家部会長 その他にご質問はございますか。 ○原川委員 施行期日の質問です。当初4月1日を3月31日に修正とのことで1日早めたと のことですが、この修正の趣旨と、これによりましてどのくらいの人が対象となるのか。大体いくら ぐらいこれにかかるかを教えていただきたいと思います。 ○坂口雇用保険課長 今回いまご指摘がありました、施行期日を3月31日にする修正につきま しては、衆議院の厚生労働委員会における審議を通じていろいろ議員の中でご議論をされたと のことですが、提案者等の趣旨等からいきますと、あるいは私どももその点につきまして、ご質問 を受けた段階で我々との理解ということでも申し上げましたが、施行日を1日早めるこの3月31 日という日付けでありますが、やはり3月31日の日付けで離職される方が相当年間の中でもウ エートが高いとのことで、国会のほうでも答えましたが、19年度の雇用保険記録での推計により ますと、年間の離職件数の約12%の方が3月31日で離職されるということも推計されていまし て、やはりこの日にちで離職される方につきまして、改正の効果を及ぼすということにつきましては 相当な効果、影響があるのではないかということが野党の中でご議論されてこのような修正が行 われたと承知をしております。  今回のこの3月31日にしたことによる影響の度合いは、なかなかどの程度の人数に影響する かを詳細にするのはなかなか難しいわけで、いまの12%という数字も含めて推測をしますと、今 回新たに6ケ月で受給資格要件が3月31日で離職をされた方でも得られるということで、そうい う方々が新しく出てくるとのことで、およそ2万人程度の方が対象になるのではないかと考えてお ります。  これもこういったものが予算にどういう形で影響するかは、なかなか難しいですので、それぞれの 個別延長とかいろいろ影響具合もありますので難しいとは思っています。全体として30、40億程 度の影響額ではないかとのことで、粗々ですが我々としては見込んでおります。 ○清家部会長 他に何かご質問、ご意見はございますか。はい、長谷川委員。 ○長谷川委員 改正法ではないのですが若干関係がありますので。先日新聞でILOの報告で、 日本の失業手当が不支給率77%と衝撃的数字が出されてびっくりしています。これはなぜそうい うことなのかという分析を厚労省で行っているのなら教えていただきたいと思います。  2つ目は今般、雇用保険法の改正を急いでいろいろやったわけですが、私はそれは全体的には 評価されてもいいと思っていますが、ただこの間、派遣だとか、有期契約労働者から見えてきた、 雇用のセーフティネットとしての雇用保険が、これで本当に対応できるかはまだ私自身も確信が ないです。いますぐというわけではありませんが、雇用保険部会なりで雇用就業形態の多様化の 中で、雇用のセーフティネットとしての雇用保険は、どのような形でフォローできるのかにつきまし て、ある一定の時期が来たら少し議論していただきたいと思います。私のところも何か、いま考え があるわけではありませんので、その問題は着手をしようとは思いますので、是非検討をしてほし いです。  3点目は、雇用保険はどうしても給付の関係がありますので、必ずしも法律と省令だけではでき なくて、通達が結構一杯ありまして、通達のところにいろんなことが書かれているわけですが、基 本的には通達までは一般の人たちは見ないので、本来は法律と政省令のところでなるべくいろん な制度がわかるようにすべきだと思います。通達とそれらの関係につきましては、少し検討が必要 ではないかなと。例えば1年の雇用見込みは、やはり通達でしたし、派遣の一年の雇用見込みも 通達だったというところでは、通達をどう扱うのかは少し検討が必要なのかと。ただ給付の関係で、 それはなかなか法律に書けないので通達、ということだったらわからないわけではないですが、な るべく労働者に理解をしてもらうためには、見えるものはなるべく法律と政省令がいいのではない かと思っています。以上3点です。 ○清家部会長 事務局からお願いします。 ○坂口雇用保険課長 まず1点目の、先だって報道になりましたILOのデータは、実は我々もな かなか事前にキャッチができなくて、ILOの雇用社会政策委員会、ESP委員会の資料でそのよ うなものが出されていたとのことです。ただ正直に申し上げて、まだ我々も詳細のデータが、どのよ うな形であのような比較が、マスコミで取り上げられた部分だけでありますが、なされたかは現在 情報を収集中でありますが。なかなか他の国のデータが、あそこでいう支援という部分が、どうい うものを含めて取り上げられているかも、いまの段階では明らかではないとのことなので、我々と するとまだ一概にあのデータそのものにつきましての評価というわけにはいかないのかなと思って います。  ただ雇用保険の関係でいきますと、あそこでいくと日本は2割台、77%の裏返しになるわけであ りますが、一定の雇用者数に占める被保険者割合は、7割台を逆に占めていることもありますし、 全体としては、今回も給付日数の延長でありましたり、いま長谷川委員からもありましたような、 適用基準の拡大もやっておりますので、そういった部分も含めまして今後施行をしていく中で、ま たよく分析していかなくてはいけないかなと思います。少し我々としてもさらなる情報の把握、分析 を行って参りたいと思っております。  2つ目、3つ目の点は相関連すると思います。昨年雇用保険部会報告をまとめていただくに際 しましても、いろいろ公労使でご議論をいただき、今回この保険部会報告をまとめていただきこの 施行になりましたわけです。その時もいろいろ議論がありましたし、先ほど来話にも出ますし、今 回附帯決議でも報告をしましたように、国会の審議の中でもいろいろ出てきているとのことで、い ま長谷川委員からご指摘があった法律、政省令と通達の考え方も含めてありますが、今日、今 年の適用をいただきたいということでこの施行をしっかりやっていくことが大事だと思います。そう いった施行状況を踏まえながら、また皆さんの議論もいただきながら、この問題につきまして考え ていきたいと思っています。 ○清家部会長 ILOが出した数字は委員の皆さんはもちろんですし、一般的にも関心があるかと 思いますので、是非分析していただき、こちらにご報告いただければと思います。 ○坂口雇用保険課長 よろしくお願いします。 ○清家部会長 他に何かご質問、ご意見はございますか。 ○栗田委員 省令案要綱ではないですが、今般附帯決議が出ているわけですが、非正規労働 者に対するセーフティネット機能の一層の充実強化のため、さらなる緩和を検討することという附 帯決議が出てますが、イメージ的に今後どんな機関で、どのようなことを検討をするのかが、少し 附帯決議のそういったものが想定できていません。もしわかる範囲内でわかりましたら。 ○坂口雇用保険課長 正直に言ってまだわからないと申しますか、先ほど申し上げましたとおり、 今回もこの適用基準の部分につきましても、4月1日から短期間の方等につきまして、1年雇用 見込みの分を6ケ月の雇用見込みに拡大をして緩和してやるとのことです。まず労使を含めてそ この部分をきっちりご理解いただきまして、適用漏れとならないようにきっちり周知、施行をやって いくことがまず大事かと思います。その施行状況も含めながら、あるいはいまご指摘あった点以外 にも先ほど申し上げましたように、相当いくつかの課題、議論いただくべき点もありますので、そう いった今後の部会の進め方につきましては改めて、部会長はじめ皆さま方とも相談させていただ きながら、進めさせていただきたいと思っておりました。今日は具体的にご提示するようなものは 持ち合わせていないのが正直なところです。 ○清家部会長 この点につきましてはこの部会でも、昨年末の部会報告の際に今後の検討課題 をいくつかいただいておりますので、それも合わせまして今後の部会の進め方につきましては、改 めていま課長がおっしゃいましたとおり少し相談をさせていただきながら決めさせていただければと 思います。そのような形でよろしいですか、よろしくお願いいたします。他に何かございますか。 ○大沢委員 もう言い尽されたことなのですが意見を申し上げます。現在1,000万人以上の人が 雇用保険の適用除外になっていますし、6ケ月に適用拡大になりましても、100万人をそれによっ て救うに過ぎないということで、900万人以上の人が、何かあった時のセーフティネットから排除さ れているということは、大きな問題だと思います。これをどうしていくかは早急に考えていかなけれ ばいけませんし。それと生活保護との間の隙間が非常に大きくなっていることは、派遣村その他 いろいろと言われてまして、さらに政府もいま緊急の対策を考えているということは聞いています が、非常にいま経済のグローバル化の中で厳しい状況が続いています。雇用保険の制度ができ た時の条件と今後の日本の経済が抱えるであろう問題が全く異なってきた、前提条件が全く異な ってきた中でセーフティネットをどう考えるか。雇用保険制度をいかに拡充するかの発想ではなく、 そういう柔軟に活用をしたいという労働者の需要がどんどん増えていく中で、セーフティネットをど う考えていくかという問題につきまして、是非前提条件から考えていき、すべての人がカバーされ るようなセーフティネットの拡充を是非考えていただきたいと思います。以上です。 ○坂口雇用保険課長 いまの点は、まさしくそういった形でセーフティネットの網を広げていくこと につきましての認識は私どもも全くそのとおりです。ただ、いま大沢委員のほうから言葉された 1,000万人の中でというのは、従前の雇用保険部会のほうでも提示しましたとおり、その中でも約 半分の500万人ぐらいの方、週20時間未満の方でありましたり、昼間バイト、昼間学生のバイト さんもおられたりする中での、いろいろこれまでも議論をしていただいた結果かと思っています。今 回も確かに6ケ月の雇用見込みにすることで、約150万人ぐらいの適用の拡大ということがあり ますが、先ほど来申し上げてますように、施行をしっかりやるという中でまたご議論をいただくこと も必要かと思います。全体にセーフティネットを広げていくことにつきましては、現在もいろいろ融 資制度でありましたり、いろいろ諸々の雇用保険の網がかからない方についてのセーフティネット をどうするかの施策も行いましたり、あるいは今般、今後に向けまして職業訓練との関係で、そう いうセーフティネットの訓練期間中の生活保障をさらに強化するためにはどうしたらよいかも、政 府としても与党であったり、国会でのご議論を踏まえながら議論していかないといけないと考えて ます。そういった全体像も含めてのセーフティネットのあり方につきましては我々政府全体、厚生 労働省全体としても、しっかり取り組んでいきたいと思っています。 ○大沢委員 20時間という壁が高すぎることも、是非検討いただきたいと思います。ドイツは15 時間だと思いますし、こういった時間での要件を設けている国がないわけではないですが、特にい ま母子世帯などで、生活が困難になって2つも、3つも仕事を抱えて子供を育てている人も多くお りますし、そういったことにつきましても派遣の問題だけではないのです。私が心配しますのは、派 遣のことが問題になり使い勝手が悪くなりますと、今度は別の形での就業形態が、非正規の就 業形態が増えていくことになりかねないし、20時間未満のパートタイマーを増やしていくという形で、 いま企業でもそういう対応をしているところが増えていますし、いままでは派遣を使っていたところ をパート労働者に変えていくという動きを、いま企業が強めていることも聞いてます。総合的に非 正規の1つの雇用形態だけを保護するのではなくて、すべての雇用形態が守られるようなセーフ ティネットにならないと、セーフティネットが機能しないところの労働者が増えていくということで、階 層化がより進んでいくと思います。この要件をどうするかは非常に重要だという、意見としてだけ 申し上げたいと思います。 ○清家部会長 他に何かご質問、ご意見はございますか。よろしゅうございますか。他にご意見 等がございませんでしたら、ただいま事務局からご報告いただきました「雇用保険法施行規則の 一部を改正する省令案要綱案」につきましては、当部会としては妥当であるということでよろしい ですか。                  (異議なし) ○清家部会長 「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱案」につきましては妥当で ある旨、私のほうから今後開催されます職業安定分科会に報告させていただくことにいたします。 どうもありがとうございました。以上をもちまして「第44回雇用保険部会」を終了いたします。なお、 本日の署名委員は、雇用主代表塩野委員、労働者代表古川委員にお願いいたします。それで は委員の皆さまお忙しい中ありがとうございました。