09/03/27 第3回「日本人の食事摂取基準」策定検討会議事録 第3回「日本人の食事摂取基準」策定検討会 議事録 1.日時:平成21年3月27日(金) 13:00〜15:00 2.場所:厚生労働省共用第7会議室(5階) 3.次第   (1)最新の知見に基づく指標及び数値等の見直しの結果について   (2)ライフステージでの検討結果について(妊婦・授乳婦、乳幼児及び高齢者) (3)活用での検討結果について (4)その他 ○田中指導官 それでは、定刻になりますので、ただいまから第3回日本人の食事摂取基準策定 検討会を開催いたします。  私は、健康局生活習慣病対策室の田中でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  委員の皆様方におかれましては、御多忙のところ御出席いただきまして、誠にありがとうござ います。  まず、開催に当たりまして、上田健康局長よりごあいさつ申し上げます。 ○上田健康局長 健康局長の上田でございます。  本日は年度末の大変御多忙のところ本検討会に御出席いただきまして、ありがとうございます。 5年ごとに改訂されてまいりました日本人の食事摂取基準の2010年版策定に当たりましては、 昨年6月末に第1回検討会を開催いたしまして、本日まで検討会を3回、栄養素ごとのワーキン ググループを延べ40回ほど行っていただいております。9か月間という期間の作業の中で、検 討会、ワーキンググループ合わせて約70名の先生方におかれまして、前回以上の1,300本とい う文献の系統的レビューが行われ、より科学的根拠に基づく策定を行っていただいたと考えてお ります。この場をお借りいたしまして、厚く御礼を申し上げる次第でございます。  本検討会は本日で最後ということになっておりますので、これまで御議論いただきました内容 について御報告をいただきますとともに、本日の検討会の結果を踏まえまして、報告書の作成作 業を行ってまいります。報告書の完成まで引き続き御協力のほどよろしくお願いしたいと存じま す。  食事摂取基準は栄養指導、給食の提供や食品の栄養表示など、多くの場面で利用されておりま す。健康増進施策や栄養改善施策の基本として大変重要な指標でございます。来年度はこの報告 を受けまして2010年4月からの適用に向けた普及啓発を行ってまいります。普及に当たりまし ても、引き続き先生方の御指導・御協力をいただきたいと考えておりますので、よろしくお願い 申し上げます。ありがとうございました。 ○田中指導官 ここで局長は用務のため退席させていただきます。 ○上田健康局長 済みません、失礼いたします。よろしくお願いいたします。 (上田健康局長 退室) ○田中指導官 それでは、お手元の資料の確認に入らせていただきます。 (配付資料確認) ○田中指導官 過不足などがございましたら、お申しつけください。よろしいでしょうか。  なお、本日の会議は公開とさせていただいておりますが、カメラなどはここまでとさせていた だきますので、よろしくお願いいたします。  それでは、これ以降の進行につきまして、春日座長にお願いいたします。よろしくお願いいた します。 ○春日座長 春日でございます。よろしくお願いいたします。  それでは、まず、議事に入らせていただく前に、今回の日本人の食事摂取基準の改訂に当たり まして、いろいろ御議論いただきましたワーキンググループの開催経過について、事務局より御 説明をお願いしたいと思います。 ○田中指導官 お手元の参考資料2をごらんいただきたいと思います。  第1回目が平成20年6月24日に、「日本人の食事摂取基準」策定検討会を開催させていただ いております。その後、ワーキンググループのまとめ役の方々も含めた策定の合同会議を7月30 日にやりまして、その後、エネルギー、各栄養素ワーキンググループごとに検討を重ねたもので ございます。  それぞれ検討結果をまとめ上げたものを調整し、第2回目の検討会議の中で、その方向性につ いて述べさせていただいたということでございます。  今回の第3回目については、更に変更点などの御承認をいただいた結果、数値またはそれにか かわる策定内容を御報告させていただく形になっております。  そういった形で各ワーキンググループのそれぞれかかわった人数と、会議の回数がわかるよう になっておりますが、このほかにもいろいろメールなどでやりとりしながら今回の結果に至った という経緯でございます。  以上でございます。 ○春日座長 どうもありがとうございました。  本日は、前回2月の第2回策定検討会で2010年度版で変更した点について、主に委員の先生 方にディスカッションしていただいたわけですけれども、その結果を踏まえまして決定した基本 的な考え方、あるいは策定した内容及び基準について御報告をいただいて、それに関してディス カッションしていただきたいと考えております。  それでは、議事に入らせていただきたいと思いますが、お手元の資料をごらんいただきたいと 思います。議事次第の1、最新の知見に基づく指標及び数値等の見直しの結果についてというこ とで、これは資料1を御参考にお願いしたいと思いますけれども、策定の基礎理論を取りまとめ ていただきました佐々木副座長の方から御説明をお願いいたします。 ○佐々木副座長 佐々木でございます。それでは、資料1をごらんください。「日本人の食事摂 取基準」(2010年度版)の概要案でございます。ポイントのみ読み上げて、必要なところの説明 をいたします。  策定の目的は、2005年版とほぼ同じでありまして、健康な個人または集団を対象として国民の 健康の維持・増進、生活習慣病の予防を目的とし、エネルギー及び各栄養素の摂取量の基準を示 すものであるとしております。  そして、使用期間は2010年4月から2015年3月までの5か年といたします。  策定方針、基本的な考え方も2005年版で用いられた方針を踏襲し、そして、可能な限り科学 的根拠に基づいた策定を行うことを基本といたしました。そして、国内外の学術論文並びに入手 可能な学術資料を最大限に活用し、直近の5年間のものに関する網羅的な系統的レビューに加え、 更に過去にのぼって必要と考えられる文献等を収集し、それらに関しても検討を加えております。  食事摂取基準は、3つの基本的な考え方に基づいて策定いたしました。エネルギー並びに栄養 素摂取量の多少に起因する健康障害、これは欠乏症または摂取不足だけではなく過剰によるもの も存在すると。更に、栄養素摂取量の多少が生活習慣病の予防に関与する場合もある。よって、 これら3種類の健康障害を回避することを目的としまして、エネルギー並びに栄養素摂取量の基 準が必要であると考えました。  ところが、エネルギー及び栄養素の真の望ましい摂取量は個人になって異なります。また、個 人内においても変動いたします。そのため、真の望ましい摂取量は測定することも算定すること もできません。そのために策定におきましても、また、その活用におきましても、確率論的な考 えが必要となります。ここを考慮いたしまして、策定におきましても、また、活用におきまして も確率論点的な考え方を記述し、説明することといたしました。  そして、ここが特に新しいところになりますが、食事摂取基準は事実の記述を目的とするもの だけではありません。各種の栄養関連業務に活用することを念頭に置いております。そこで、基 礎理論を策定の基礎理論、そして、活用の基礎理論と明確に二分いたしまして今回は記述するこ とといたしました。  設定指標は、エネルギーにつきましては1種類、具体的にはこの後エネルギーのワーキンググ ループのヘッドから説明があると思います。  栄養素については5種類の指標を設定いたしました。栄養素につきましては、すべての栄養素 に共通することでございますので、ここで簡単な説明をいたします。5種類とは推定平均必要量、 推奨量、目安量、耐容上限量、目標量といたしました。耐容上限量とは2005年版における上限 量に相当するものでございます。これは名称変更で、内容、考え方の変更ではございません。  3ページは、エネルギーの指標、推定エネルギー必要量ですが、その概念図並びに栄養素に関 する指標の説明の概念図を掲げました。ともに2005年版に掲げられていたものに類似いたしま すが、その理論的背景を再度検討し、修正したものとなっております。  4ページに策定いたしましたエネルギーと栄養素の名称が掲げられております。エネルギー、 そして、栄養素は3種類について策定を行いました。この種類並びに栄養素そのものに関しまし ても、2005年版と変更はございません。  しかしながら、記載の順序に関して多少の変更がございます。具体的に申しますと、ビタミン、 脂溶性ビタミン、水溶性ビタミンは変わっておりませんが、その中における記載順を変えようと 考えております。  ミネラルは、2005年版ではたしか3種類に分かれておりましたが、2010年版ではこれを2種 類、すなわち多量ミネラル、微量ミネラルに二分したいと考えております。その記載順に関して も検討を行いました。  特に順序でございますが、これは利用者の便を図りまして、ほかのところで記載されているも のとできるだけ同じにしたい、そして、かつ栄養学的な理論から大きく逸脱しないという2つの ことを考えまして策定をいたしております。具体的には、食品成分表なども考慮いたしまして、 その順序を決定いたしました。  次が、年齢区分でございます。乳児、小児、成人これは18〜69歳、高齢者70歳以上、その他 としてございます。ここは2005年版からの変更はございません。しかしながら、乳児のところ で2区分だったものを3区分に、一部の栄養素で変えるということを考えております。ここは乳 児のワーキンググループから説明いただけると思いますので、ここでは省略いたします。  それから、高齢者についてもそのためのワーキンググループをつくりまして、検討を加えてい ただきました。しかしながら、年齢区分に関しましては今回の2010年版では70歳以上とひとく くりにして値を算定するということでまとめたいと考えております。しかしながら、その値の使 い方、解釈の仕方などに関しましては、いろいろ検討を加えていただきましたので、高齢者ワー キンググループの方から御報告があることと思います。  5ページが、1歳以上の食事摂取基準を設定した栄養素と策定した指標の一覧表でございます。 1つずつ説明している時間はありませんので、それぞれの栄養素群で必要なところ、新しいとこ ろ、変更になったところの説明をいただけることと思います。  私からは以上です。 ○春日座長 佐々木先生、どうもありがとうございました。  ただいま日本人の食事摂取基準の概要案について御説明があったわけですけれども、何か御質 問・御意見ございますか。  今回の改訂の主なポイントとしましては、1つは、特に日本人のデータを基にした科学的根拠 に基づいた策定に努力を払ったということ。それから、「上限量」という言葉を「耐容上限量」、 この耐容の「容」という字も「用」ではなしに、容量の「容」の漢字に変更したということ。そ れから、栄養素につきましては、分類やその記載順を再整理したということ。それから、年齢区 分に関しましては、乳児に関して一部については3区分ということで表記したというような点が 今回の主な改訂のポイントかと思いますが、何か御意見あるいは御質問等ございますか。 ○吉池委員 「耐容上限量」という表現について、事務局に伺いたいのですが、例えば、食品安 全委員会などで食品中の重金属などのリスク評価がされるときにも、“TDI”といった言葉で 整理されていると思うのですが、その辺との関係は今回どのようになっているんでしょうか。 ○田中指導官 前回にもお話ししたとおり、従来、上限量というのは範囲を示したときに上限と いう部分が、とってもいい上の上限という感じでとられておりまして、ある意味では食品で言え ばADIという解釈をされて上限をとられてしまったということがありまして、それをずっと摂 取することについては何らかの健康障害が起こるだろうというようなことから、今回は今までの ULではなく、耐容という容量がそれ以上耐え切れないというような形でお話をさせていただい て、今改訂に至ったと考えております。 ○吉池委員 前回、漢字が「用」となっていたのですが、容量の「容」に変わって提案されたと いうのも、食品安全委員会でもこの「耐容」という言葉で使われているものと基本的な概念とし ては同じと考えてよろしいわけですね。 ○田中指導官 はい、そのとおりでございます。「用」だと、例えば、自動車の耐用年数とか、 そういうものになってしまいますので、容量という意味で、食品と同様の概念ということでござ います。 ○春日座長 どうもありがとうございました。  そのほかに何かございますか。 ○柴田委員 3ページの図2で、下の横軸にスラッシュが入っていますが、これについてもう少 し強調して説明していただけたらと思いますが。 ○佐々木副座長 わかりました。3ページの参考2「食事摂取基準の各指標について概念図」で すね。これは左側の不足部分のリスク曲線、右側の過剰リスク曲線を1枚の図に含めて作図をし ております。そのために、実際にリスクの非常に低い部分の範囲の長さが、現実の長さよりも短 く書かねばならないというところがございました。2005年版ではこの切れ目を入れてございませ んで、それがために横軸がそのまま現実の数字の物差しであるというように誤解を受けるという ことがあったように思われます。また、栄養素ごとにリスクが上がっていく曲線の摂取量の幅と、 リスクが低いところの摂取量の幅は相対的に栄養素ごとに異なります。したがって、その意味も 含ませるということを考えまして、リスクが低いところの真ん中辺りに切れ目を入れて、この間 には何らかの距離がありますということを示したということでございます。 ○柴田委員 ありがとうございました。 ○春日座長 どうもありがとうございました。そのほかに何かございますか。  前回のときに田畑先生から英語の表記に関して少し御質問があったかと思うんですが、耐容上 限量に関してですけれども、耐容上限量は英語ではTolerable upper intake levelということ ですけれども、この略語はULということで、Tは入れないでいこうということでしょうか。 ○田中指導官 実は、アメリカ等が使っているDRIsもそういうような英語にはなっているんで すけれども、そこの中では略としてはULと記載しておりましたので、それを参考にいたしまし た。 ○春日座長 ということで、現時点ではこの耐容上限量の略語としてはULを使うということで ございます。  食事摂取基準に関して科学的根拠となるデータは必ずしもそんなに多くないと思うんですけ れども、特に日本人に関してはなかなかデータがないのではないかと思うんですが、大体どの程 度の日本人のデータに関してサーベイをされて、それを参考にされたかという点についてご説明 頂けますか。 ○佐々木副座長 どの程度という論文を検索した母数はカウントしていないのでわからないん ですが、採用された数を事務局で概算をつくっていただいたのですが、実は2005年版のときが 全引用数871本分の日本人のデータが180本。今回は全引用数1,323本分の日本人のデータが346 本ということで、全体の参考文献数も500本余り増えているのですが、日本人に関しますと180 本から346本ということで倍近くになっております。これは検討会が幾ら頑張ってもだめなもの で、そういう論文が世の中に存在しないと使えませんので、日本人の食事摂取基準の参考にでき るような研究がこの5年間で随分増えたということの一つの証明であろうと考えます。そのため に、この食事摂取基準の策定にかかわってくださった先生方もこの5年間で相当の研究をし、論 文執筆をされて、そして、それが積極的に引用されているということもございます。  それと同時に、日本人だからというのではなく、世界的に見ても十分に使い得る質でないとい けないということも必要条件として我々は最初に挙げました。その意味でも、そこに耐えうる論 文が増えてきたと考えてよいと思います。  しかしながら、栄養素ごと、また、それぞれの食事摂取基準のチャプターの中ごとに見ますと アンバランスもございます。それらに関しても真摯に受け止め、更によい食事摂取基準、役に立 つものをつくっていくために必要な研究というものがたくさんあるということも我々は再度認 識をいたしました。 ○春日座長 どうもありがとうございました。  そのほかに何か御質問・御意見等ございますか。よろしゅうございますか。  それでは、次に移りたいと思います。食事摂取基準のエネルギー及び栄養素の策定した基準に ついて、各検討委員の先生方から具体的な数値について御説明をいただきたいと思います。  まずは、エネルギーにつきまして、エネルギーワーキンググループのリーダーでいらっしゃる 田畑委員から御説明をお願いいたします。 ○田畑委員 今回の改訂でございますけれども、エネルギーでは1つの指標である推定エネルギ ー必要量について報告しております。これについては、数値が変更されて2005年版と変わって いるものが多々あるように見えます。その理由は、まずは身体活動レベルに変更があったこと。 これは前回の検討会でも申し上げましたけれども、高齢者70歳以上の身体活動レベルが推測さ れていたよりも実際に測定した値が高いというエビデンスが、この5年間に得られたからです。  もう一つは小児ですが、これも新しい多くのエビデンスによりまして、やや身体活動レベルが 低いであろうということがわかりましたので、身体活動レベルについては0.5程度下がっている ものが多くなっております。6歳から11歳については、今までは前の2005年版では身体活動レ ベルにおいて「低い」というのは設けておりませんでしたが、今回は「低い」というものを入れ たことになります。これは欧米等も二重標識水法を用いた研究によるエビデンスや、我が国にお ける小児肥満という問題が示す小児の身体活動量の低下がうかがわれるということで「低い」と いう身体活動レベルを設けました。  推定エネルギー必要量というのは、身体活動レベルに基礎代謝量を掛けて算出するものですの で、1歳から11歳ではやや低く、逆に高齢者ではやや高くなりました。高齢者につきましては、 この後にも議論があると思いますが、推定エネルギー必要量に大きな影響を与える身体活動レベ ルや体重等に大きな個人差があるということから、食事摂取基準の値を参考にそれらを勘案した 食事指導により、エネルギーの摂取量を決める必要があると考えられます。  次に、体重当たりの基礎代謝量の値が近年低くなったことが若年女性について報告されており ます。したがって、若年女性の推定エネルギー必要量が低くなりました。推定エネルギー必要量 というのは先ほど言いましたように、身体活動レベルに基礎代謝量を乗じて算出されますが、更 に基礎代謝量というのは体重当たりの基礎代謝量に体重、ここでは基準体位をかけます。18〜29 歳の女性におきまして、最近のエビデンスにより体重当たりの基礎代謝量が10%程度低下してい ることがわかりましたので、その分、推定エネルギー必要量が低下しているということになりま した。  一方、身体活動レベルや体重当たりの基礎代謝量に変更のない30〜69歳の成人においても、 値が変更されているように見えるものがありますが、これは、基礎代謝量に影響を与えておりま す基準体重、これは多くて1kg程度の差ですが、2005年版より変化しているところがあります。 エネルギーの丸めの関係で、これは50kcalで丸めておりますが、それが影響して値が変わって いるというものがあります。  次に、妊婦ですが、これは後で吉池委員から説明があろうかと思いますけれども、妊婦の体重 の増加量は2005年版では12kgでしたが、11kgに変更したことにより値が低くなっております。 これは付加量です。  更に、授乳婦におきましては、その付加量が2005年版よりも低くなりました。2005年版では 授乳婦の推定エネルギー必要量に母乳のエネルギー量、更にそれを合成するためのエネルギーを 加えて出していました。実際には母乳のエネルギー量を0.8で割って、つまり2割程度のエネル ギーが母乳の合成のために使われている、それを足していたわけですけれども、今回は妊娠で体 重が増加し、出産後体重が減少しますが、実際のエネルギー消費量は妊娠前の値と差がないとい うことが新しく報告されました。また、総エネルギー消費量には母乳を合成するエネルギーを含 んでいますことから、今回は母乳を合成するためのエネルギーを付加せず、母乳のエネルギーの みを付加量としたことにより、授乳婦の付加量が減少したということになります。2005年版では 少し不明瞭でしたけれども、授乳婦の付加量の基となる値についても、妊娠前の体重を基準にし た推定エネルギー必要量に付加量を加えたものが授乳婦のエネルギー必要量であるということ を明記しました。  これら各性・年齢別もしくは対象別の推定エネルギー必要量の値が大きく変更されているよう に見えますけれども、基本は2005年版と同じです。  以上です。 ○春日座長 どうもありがとうございました。質疑は各委員の御発表の後、まとめて行いたいと 思います。  続きまして、たんぱく質、脂質、炭水化物につきまして、検討会委員に各ワーキンググループ のリーダーがいらっしゃいませんので、佐々木副座長からご報告をお願いしたいと思います。 ○佐々木副座長 それでは、代わりまして佐々木が報告させていただきます。  たんぱく質は京都府立大学の木戸康博先生、脂質は国立健康・栄養研究所の江崎治先生、炭水 化物は同じく国立健康・栄養研究所の山田和彦先生にお願いいたしまして、それぞれのワーキン ググループで御検討をいただき、策定していただいたものでございます。  たんぱく質は従来どおり数多くの試験結果がございます。それらを網羅的に収集して、過去に もさかのぼり再整理をし、新たな知見を加えて値の算定を行いました。値の算定方法自体は2005 年版で用いたものと同じものでございます。しかし、新たなデータが加わったことにより、数値 はわずかではございますが変更になったところがございます。  加えまして、必須アミノ酸がございますが、アミノ酸についての必要量の検討も行いました。 しかし、アミノ酸個々に数値を算定し、食事摂取基準とするには十分なエビデンスがまだそろっ ていないということを考慮し、報告書の本文中で記載したいと考えております。  脂質は、脂質、飽和脂肪酸、n-6系脂肪酸、n-3系脂肪酸、そしてコレステロールについて値 の算定を行いました。欠乏症が存在し、したがって、必須脂肪酸でありますn-6系脂肪酸とn- 3系脂肪酸については目安量を設定し、そのほかのすべて、すなわち脂質、飽和脂肪酸、n-6系 脂肪酸、n-3系脂肪酸、コレステロールについては、生活習慣病の一次予防、特に循環器疾患の 一次予防の観点から目標量を算定いたしました。  目標量は疫学研究の成果に負うところが大きく、特に脂質に関しましては、この5年間で相当 数の関連研究が論文として国内外から報告されました。したがいまして、これらについて精査を 行いまして値の算定を新たに行っております。ただし、一部の年齢階級、具体的に申しますと、 小児はエビデンスが十分ではないとして算定を見送ったものもございます。  加えまして、n-3系脂肪酸は更に2種類の脂肪酸群に細分化されます。その2つはその摂取源 も、また、その健康影響もある程度異なることが最近示唆されております。そのために、これら それぞれについても検討項目に加え、今回検討を行いました。その結果は報告書本文中に記載し たいと考えております。  最後に炭水化物ですが、エネルギー源としての炭水化物とエネルギー源にはならないのですが、 生活習慣病の一次予防に関連すると考えられております食物繊維について、それぞれ目標量を算 定することといたしました。ただし、一部の年齢階級ではエビデンスが十分でなく、算定を見送 ったところがございます。  なお2005年版では食物繊維には目安量が算定されておりました。しかし、食物繊維の栄養学 上の役割、食事摂取基準に食物繊維を加える目的を勘案いたしまして、今回は目安量を削除し、 目標量のみとすることにいたしました。  最後に、アルコールの健康影響についても、このワーキンググループで検討を行いまして、そ の結果を報告書に含めることとしたいと考えておりますが、アルコールは摂取必要な栄養素では ございませんので、値の算定は行わないということにいたしました。  以上でございます。 ○春日座長 どうもありがとうございました。  続きまして、ビタミンにつきましては、水溶性ビタミンワーキンググループのリーダーでいら っしゃいます柴田先生から、水溶性、脂溶性をまとめて御報告をいただきたいと思います。よろ しくお願いいたします。 ○柴田委員 脂溶性ビタミンのワーキンググループ長は神戸薬科大学の岡野登志夫先生ですけ れども、脂溶性と水溶性をまとめて御報告させていただきます。  まず、ビタミンですけれども全部で13種類ありますので、大きな変更点のみ御説明させてい ただきます。  まず、ビタミンAに関しましては、母乳中の濃度が少し増えました。それに伴って値が動いて おります。  それから、成人の値ですけれども、これは肝臓内のビタミンA最小貯蔵量を維持するために必 要な摂取量、この考え方は変わっていませんが、体外に排泄されるビタミンAの量に関して5年 間に新しい論文も出まして、より適切が数字が出たので、その数字を使うことによって若干数値 が動きました。  ビタミンDに関しましては、大きな変更はありません。本文の中は少しいろいろな記載が増え ましたけれども、大きな変更はありません。  ビタミンEに関しましても、考え方、数値等の変更はございません。  ビタミンKに関しましては外挿方法が変わりました。2005年版では外挿方法がデータのある年 齢区分から体重で外挿していたんですけれども、これは大きな基本方針である体表面積当たりに 変えましたので、それに伴って少し数字が動いております。  続きまして、ビタミンB1ですが、これも大きな変化はありませんが、0〜5か月が少し変わ っていますのは、母乳中のビタミンB1の濃度に関する報告がこの5年間で2〜3報出まして、 その数値も含めて平均化させていただいたので少し数値が動きました。ほかは大きな変動はあり ません。  ビタミンB2に関しては大きな変更はありません。なお、B1とB2というのは、外挿はエネ ルギー当たりで出しておりますので、エネルギー必要量が変わったことに基づく数値の動きはあ ります。  続きまして、ナイアシンで一番大きな変更は、妊婦というところが0になりました。これはこ の5年間で、前からそういうエビデンスは少しずつあったんですけれども、ナイアシンというの はビタミンですが、必須アミノ酸のトリプトファンから合成することができます。これが妊娠時 に転換率が高くなるというデータは出ていたんですが、はっきりとしたデータが出ましたので、 ここで付加は必要なしとしました。これが一番大きな変更です。  次に、ビタミンB6は、たんぱく質当たりで策定しておりますので、たんぱく質の値が動いて 少し変わったものもあります。特に変えましたのは妊婦のところでして、以前は妊婦の血漿中の ピリドキサールリン酸を適正に維持できる摂取量というような考え方で策定していましたが、付 加量がどうも高くなり過ぎるということがありましたので、先ほど言いました1〜69歳の外挿法 と同じく、たんぱく質摂取量の付加量を利用して付加量を算定しました。それに基づいて数値が 下がりました。  続きまして、ビタミンB12は0〜5か月、6〜11か月が大きく変わったんですが、この理由は 母乳中のビタミンB12という濃度は2005年版まではデータが少なかったんですけれども、それ以 降、数報の論文が出まして、それらの平均値をとりました。それに基づいて値が約倍になってお ります。  次は葉酸ですが、たくさんの論文が出ており、たくさん検討いたしましたが、結論といたしま して大きな変化はありませんでした。  続きまして、パントテン酸です。大きく変わったところは授乳婦です。授乳婦が2005年版で は4mgとなっておりましたけれども、パントテン酸というのは目安量で出ておりますので、目安 量は必要量よりも更に付加された量であるということで、目安量に更に4mg、この4mgというの は母乳中に出てくるパントテン酸の量なんですが、それを足すと高過ぎるという議論がありまし て、それではということで非妊婦と妊婦のパントテン酸の摂取量を調べてみますと、プラス1mg ぐらいであるということで、プラス1mgを付加量といたしました。  次はビオチンですが、皆さん御存じのように、5訂増補の食品標準成分表に記載がありません ので、なかなか摂取量というデータがとりにくかったんですが、日本人のデータが3報ほど出て まいりました。2005年版では45μg/dayという値を利用したんですが、その後に出た数値も含め まして平均化いたしまして50μg/dayということにしましたので、それに伴って数値が変化して おります。  最後のビタミンCについては、変更はありません。  以上です。 ○春日座長 どうもありがとうございました。  それでは、最後にミネラルにつきまして、ワーキンググループにも御参加いただきました森田 委員から変更事項について御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○森田委員 ミネラルグループに関しましては、聖徳大学の江指先生にワーキンググループリー ダーとしておまとめいただきました。代わりまして、今回説明させていただきます。13栄養素ご ざいますので、大きな変更点があったところを中心に説明させていただきたいと思います。  まず、ナトリウムですが、ナトリウムは欠乏と言いますよりも、過剰が問題となる栄養素でご ざいますので、目標量という形で前回も設定されておりました。今回は、現在のナトリウムの国 民健康・栄養調査等により摂取量を見ましたところ、中央値またパーセンタイル値等を見まして も、全体として摂取量の低下が見られました。そのため、目標量を生活習慣病の予防という観点 から、男性では10.0gを9.0g、女性では8.0gを7.5g、これは食塩のグラム数で表しております が、そのように今回は下げております。それが大きな変更点です。  次に、カリウムでございますが、逆に生活習慣病上は現在の摂取量よりもやや多くとることが 推奨されておりますので、これも現在の摂取量をかんがみまして、目標量と現在の摂取量から考 えまして目安量という形で示しております。目安量が前回よりも増加しております。  次にカルシウムでございます。今回一番大きな変更点がございました。前回までは目安量、目 標量という形で摂取基準を設定しておりましたが、この5年間にエビデンスが蓄積されましたの で、今回は推定平均必要量、推奨量という形の基準を示しております。また、カルシウムの場合 は推定平均必要量、推奨量が欠乏症状の予防とともに生活習慣病である骨粗しょう症の予防にも つながるというような形で、目標量を別途に策定せず、推定平均必要量、推奨量という形でお示 ししております。  次に、マグネシウムに関しましては、ミネラル全体にわたってのことでもあるんですけれども、 乳児に関しまして日本人の新たなデータがこの5年間の間に蓄積されましたので、それに基づき まして0〜5か月齢、6〜11か月齢の値が変更されております。  次に、リンに関しましては、ほとんど変更はございません。  鉄でございます。鉄に関しましても体重等にかかわって多少の変更はございますが、今回の変 更では妊婦の付加量が前回は1つの値で示されておりましたが、新しいエビデンスの蓄積に基づ きまして、初期は付加量は少なくていいだろうと、中期・末期に多くの鉄を必要とするだろうと いうことで2段階に分けて示しております。  亜鉛に関しましても、ほとんど変更はございません。  銅も同様で、ほとんど変更はございません。  マンガンに関しましては、先ほど申し上げましたように、乳児のところで新しい日本人のデー タに基づいた値を出しておりますので、乳児で値の変更がございます。  ヨウ素に関しましては、こちらも日本人のデータが蓄積されました結果、ヨウ素の摂取と甲状 腺の体積や低下の機能、機能亢進等々のいろいろな論文が出されまして、それに基づきまして前 回は上限量という形は成人しか設定しておりませんでしたが、乳幼児、小児につきましても耐容 上限量を設定いたしております。また、成人につきましても値の変更を行っております。  セレンに関しましても、耐容上限量におきましては新しいエビデンスに基づきまして、上限量 の値の変更を行っております。  クロムに関しましては、成人の推定平均必要量、推奨量に関しては、ほぼ変更はございません。 乳児に関しまして、このたび新しく目安量として設定いたしました。  モリブデンに関しましても同様に、乳児に関する目安量の設定、また、それと関連しまして授 乳婦の付加量の設定を新たに行っております。  以上でございます。 ○春日座長 どうもありがとうございました。  以上で、エネルギー並びに各栄養素の基準値についての御説明が終了したわけですけれども、 御質問あるいは御意見等がございましたら、どうぞお願いしたいと思います。  ただいま御説明いただいたのを少しまとめますと、エネルギーに関しては小児並びに若年女性、 それから、妊産婦での推定エネルギー必要量を低くしたこと。それから、高齢者の身体活動レベ ルが増加していることが明らかになったということ。あと、ビタミンに関しましては、私が拝見 しましたところ、少し今までにない耐容上限量が加わったビタミンがあったと理解しましたが、 最近サプリメントとかそういう観点から、特に過剰摂取の予防ということから、耐容上限量に関 しまして幾つかの新しい検討が加えられたと思います。それから、ミネラルに関しましては、主 にナトリウムとカルシウムということで、各種の数値が変更したということが主な変更点かと思 いますが、何か御説明の補足あるいは御質問等ございますか。 ○柴田委員 今、座長から少しお話があったことを私ははしょって説明不足だったようです.耐 容上限量、特にサプリメントに関することになりますが、ビタミン、ミネラルを思い浮かべられ ると思います.ビタミンというのは、摂れば摂るほど健康にいいというような神話というか、間 違った知識でついつい摂りがちの方がおられると思います。一番私たちがビタミンの研究をして いまして危ないと思うのは、不足による欠乏症と過剰摂取による健康障害が、表面上に出てくる 症状が極めてよく似ているということです。本文を見ていただければ、欠乏症と過剰摂取による 健康障害は同じところに障害が出てきます。例えば、経験されたことがあると思われますが、口 の中にぶつぶつができる、これはB群ビタミンの摂取量が少ないときに出るという情報が出てい ますので、それでビタミン剤を摂る。そうすると、かえってひどくなる方もおられるんですね。 ビタミン剤の箱にも書いてありますが、飲み過ぎるとぶつぶつが出る方がおられますと。ですの で、耐容上限量の策定が必要ですね。耐容上限量を活用するには、明らかにあなたは摂取し過ぎ ていますよというような生体指標を今後つくるのが必要かなと思っています。  感覚的なことだけではわかりにくいので生体指標、脂溶性ビタミンはとり過ぎたらだめよとい うことが割と普及しているので少ないと思いますけれども、一方,水溶性ビタミンは摂ったって すぐにおしっこに出てしまうからいいのよというようなことを軽く言われる方がおられるんで すけれども、実際にはそうでもないので、水溶性ビタミンに対しても耐容上限量の策定は重要な ことだと思い,かなり慎重に検討いたしました。  春日先生、補足をどうもありがとうございました。 ○春日座長 どうもありがとうございました。それ以外に何か御質問・御意見等ございますか。  カルシウムに関しては、現在の推奨量で目標量というのは特に設定はなかったと思いますけれ ども、生活習慣病といいますか、そういうものの一次予防という観点からは値を策定するのは難 しかったということでしょうか。 ○森田委員 現在の推奨量をとっていただくことが、生活習慣病の予防にも直接つながるという ような考え方でありまして、目標量に同じ数値を入れてもいいんですが、今回は新しい設定とい うことで推奨量という形でそれを示したということになっております。 ○春日座長 基本的には、目標量と推奨量は同じと考えればいいということですね。わかりまし た。  そのほかに何かありますか。よろしいでしょうか。もしも特に御意見等がなければ、議事の2 でございますけれども、ライフステージにおける検討結果について、各ライフステージのワーキ ンググループより、今回の策定結果について御説明をお願いしたいと思います。  まずは、妊婦・授乳婦・乳幼児について、ワーキンググループのリーダーでいらっしゃいます 吉池委員から御説明をお願いしたいと思います。 ○吉池委員 資料2を用いて説明をさせていただきます。前回の会議で大枠の説明をさせていた だき、基本的な御承認が得られたものをまとめたものでございます。  まず、乳児期の年齢区分につきましては、基準体位を4区分で示すということです。  各栄養素の食事摂取基準値について成長の著しいこの時期、4区分で表す意義があるのか、ま た、できるのかということを検討してまいりました。その結果、6か月未満につきましては母乳 の摂取量の量的な変化も少ないということから、1つのくくりとして母乳の栄養素濃度と母乳摂 取量の積から目安量を算出したということです。  また、離乳前期・中期・後期にかかわる6か月以降につきまして、2つの区分で検討ができな いかということについて、各栄養素のワーキンググループにお願いしましたところ、結果的には エネルギー及びたんぱく質について、この時期を2つに分けて推定エネルギー必要量や目安量等 が示されたということでございます。  ほかの多量ミネラル等につきましても御検討いただいたわけですが、十分なエビデンスという 観点、また、データを示したときの意義ということから、今回はこの2種類に限って離乳期の食 事摂取基準が区別されて示されたということです。  また、先ほど各栄養素の数値が示されました、例えばエネルギー、たんぱく質ですが、前回は 人工栄養児の場合、表に横に並べて示されていたわけですが、目安量という基本的な考え方から、 今回は母乳栄養児について本表に載せる、必要に応じて人工栄養児の値の記述を本文あるいは参 照値として示すということにいたしました。  また、乳児期の哺乳量はそこに記載させていただいたとおりでございます。  また、一般的に小児では十分な資料が得られない、特に耐容上限量については十分でなく、先 ほどの御説明にもありましたように、ハイフンとなっている部分が多いわけです。  妊婦・授乳婦につきましては、先ほどエネルギーグループから説明をいただきましたが、体重 増加の標準的な数値を11kgとしたわけでございます。その結果、妊娠末期の付加量が500kcal から450kcalに減っているということですが、前回、中村委員から御指摘がありましたように、 このことは妊娠中に摂取が望まれる食事量が以前と比べて少なくてもよいということを意味す るわけではなく、最近の知見に基づくとこのような量であるということで、本文中また活用に向 けての考慮事項については丁寧な記述をすることとしております。  授乳婦につきましては、泌乳量は前回と同じです。  また、乳児の目安量につきましては、結局本人が何か計画し調整してとるというよりは、母親 の食生活がそのまま乳児の摂取量の多寡に影響しますので、そのような観点から授乳婦の栄養摂 取状況によって乳汁中の含有量が影響される栄養素については、少し整理して参照情報として付 加したいと考えております。  以上です。 ○春日座長 どうもありがとうございました。  ただいま妊婦・授乳婦・乳幼児の今回の改訂のポイントについて御説明いただきましたけれど も、何か御質問・御意見等ございますか。  特にないようですので、続きまして、高齢者のワーキンググループリーダーの森田委員から、 高齢者について御説明をいただきたいと思います。 ○森田委員 よろしくお願いいたします。  今回、高齢者ワーキンググループがライフステージとしては別途で同じようにワーキンググル ープ会議を5回開催いたしまして、いろいろと話し合ってまいりました。資料を少しお示ししな がらと思います。  まず、基本的事項といたしましては、前回の検討会でも御説明させていただきましたように、 対象としては高齢者としても健康な方々ということで、ただ、今回の我々のワーキンググループ としては、ほぼ自立した日常生活を送ることができている高齢者と考えました。加齢に伴う身体 機能の低下や、健康状態の変化を含む軽微な疾患や障害を有する者も食事摂取基準の対象として よいのではないかと考えました。  年齢と加齢の指標及び高齢者の体位に関しましては、これは国民健康・栄養調査の結果でござ いますが、50歳代以降体重やBMI、後ほど申し上げますが、非常にデータが少ないということ がございまして、一番人数的にそろっておりますのが国民健康・栄養調査だと思いますが、それ でも80歳以上は男女100〜150名程度のデータでございますので、やはり一部の方のデータだと 考えていただいた方がいいと思います。  ただ、ここで見ていただきましたように、年齢に従って50歳代から漸減していくという傾向 がございますが、どこかの年齢で大きく段階的に変わるというような傾向は現在、国民健康・栄 養調査やその他の報告から見ましても確認できませんでしたので、現時点で高齢者はこれまでの 分類と変更する、もしくは細分化するというような明らかな根拠は今回我々のワーキンググルー プとしては発見できませんでしたので、今のところ分類を変えることは困難であるという結論に 達しております。  加齢による消化・吸収・代謝の変化に関しましても、各栄養素についてシステマティックレビ ューを行いましてエビデンスを収集いただきましたが、現時点での高齢者ワーキンググループの 結論としましては、加齢に伴い、明らかに栄養素の吸収代謝障害が起こる。それによって、例え ば、高齢者では低栄養が見られるというような根拠は見られませんでした。  また、現在の高齢者の栄養摂取状況ですが、これに関しましても、日本人高齢者の栄養摂取状 況を詳細に調べた報告は少なく、国民健康・栄養調査の結果を少し図で示させていただいており ますが、これは箱ひげ図ですので、四角の部分が25パーセンタイルと75パーセンタイル、真ん 中に細い棒で示しているのが中央値になりまして、ひげのように上下に伸びていますのが最高値 や最小値を示した、外れ値の方がどのくらいいるかというような示し方にもなっておりますが、 これを見ていただきますと、エネルギー、たんぱく質等のマクロ栄養素は、栄養が上がるに従っ てやや減少する傾向は見られておりますが、これも大きな段階差は見られておりません。  そのほかの栄養素に関しましても、これは50歳代以降を示しておりますが、大きな段階差が 見られるところ、また、80歳代、70歳代以上になりますと非常にばらつきが大きく、この図で 示しますと箱が急に大きくなるというようなところも見られませんでしたので、特に細分化する というようなことは現段階では提案いたしませんでした。  最後に、その他高齢者グループとして検討いたしましたところは、各栄養素に関して健康状態、 疾病と関連するような栄養素が、特に高齢者で特徴付けられるものがないかということで幾つか 疾病を挙げさせていただいておりますが、骨折・転倒との関連でビタミンDやカルシウム、認知 症との関連は現段階では明らかなものではない。また、先ほどビタミンはとればとるほどいいと いうような風潮もございますが、例えば、抗酸化作用を持つビタミンについても現在では研究結 果が一致せず、一部では逆に過剰摂取による健康障害等も報告されておりますので、抗酸化作用 を持つビタミンを摂取すればいいというような結論には至りませんでした。  まとめでございますが、高齢者、特に日本人についてはまだまだ研究が不足しておりまして、 研究調査の推進が望まれると思います。また今後、加齢による身体の機能及び形態の変化、これ は高齢者にかかわらず、加齢によってどのように変化していくか。勿論、現在でも高齢者の総合 評価というようなことは言われておりますが、どちらかといいますと医療的もしくは介護保険の ような立場から高齢者を総合的に評価しようというようなことは非常に推進されているんです が、栄養学的・生理学的な立場から加齢現象を丁寧に評価していこうというような点に関しては、 これからの推進が望まれると思います。  今後、こういった研究が進んでいく上で、今のところは各種調査でも80歳以上を細分化して 調べている調査研究というものが日本ではほとんどございませんが、そういったことを進めてい くと、どんどん長寿社会で超高齢者が増えてくることを考えますと、80歳、90歳、100歳という ような年齢では、また加齢に伴う身体の変化というものを詳細に追っていくことによって、細分 化もしくは年齢区切りの変化ということも今後の食事摂取基準の策定に当たっては考えていく 必要があると思います。  以上でございます。 ○春日座長 どうもありがとうございました。  ただいま高齢者のワーキンググループからの御報告をいただきましたけれども、何か御質問・ 御意見等ございますか。 ○佐々木副座長 小さな点なんですけれども、加齢による消化・吸収・代謝の変化のところで、 加齢に伴う栄養素の吸収・代謝障害が必ず起こるとの明らかな根拠はないと書いてありますが、 栄養素ごとに見ますと、例えば、ビタミンB12のように高齢者で吸収率が下がるというような知 見もございますよね。具体的には、そういうところも含めて総論的にここではこう書かれたと理 解してよろしいですね。 ○森田委員 B12に関しましても勿論レビューをしまして、内因子とか胃の中の状態とかいろい ろ勘案しますと、総合的に見ると特にそれだけを吸収が下がるからといって、突出して高齢者で 増やさなければいけないというような、手当をしなければいけないほどの変化ではないととらえ ていただければと思います。 ○佐々木副座長 わかりました。 ○春日座長 どうもありがとうございました。そのほかに何かありますか。  今、最後にお話があったように、老化の問題は非常に個人差が大きいと思うんですよね。です から、年齢を基準として単純なグループ分けはなかなか難しいんじゃないかと思うんです。同じ 年齢の方でも非常にお元気な方と、そうでない方というのはいらっしゃるのではないかと思うの で、今お話があったような老化の適当な指標があれば、それに従ってある程度栄養の摂取基準み たいなことを設定することは可能かと思うんですが、年齢で設定するのは少し難しいのではない かと思います。  ほかに何かございますか。よろしいですか。  続きまして、議事3でございますけれども、活用における検討結果につきまして、活用ワーキ ンググループリーダーでもいらっしゃいます佐々木副座長から御説明をお願いいたします。 ○佐々木副座長 それでは、佐々木から御報告申し上げます。  資料4をごらんください。2005年版では総論の最後に活用に関する記述がございました。しか しながら簡略なものであり、また、活用に当たって十分な内容を持っているとは考えにくいとい うか、もう少ししっかりと書かねばならないと我々は考えました。そこで、先ほど申し上げまし たように、総論を策定理論と活用理論に分けるということを考えたわけでございます。そのうち の活用理論は独立した章としては初めての設定となります。そのために、どう変更したかではな く、どう策定したかになります。  基本的な考え方は、エネルギー並びに栄養素ごとの活用の方法を記述するのではなく、食事摂 取基準全体をどのように活用するのかということを想定し、策定に当たりました。具体的に言い ますと、どのように使うのかということを考えましたところ、大きく2つの場面が想定できるで あろうと。1つは、食事改善に用いる場合です。もう一つが給食管理に用いる場合です。前者の 食事改善に用いる場合は、活用の方法が2つ異なりまして、1つが個人に用いる場合、もう一つ が集団に用いる場合でございます。以上、「食事改善(個人に用いる場合)」、それから「食事 改善(集団に用いる場合)」、そして「給食管理に用いる場合」というように、3つの活用の仕 方に大別できるであろうと考えました。  更に、それぞれが評価と計画から成っていると考えたわけです。縦糸と横糸でございます。そ れぞれが現状の評価を基にした計画、そして、実施ということになります。そこで、この縦と横、 縦が先ほどの3つ、横が評価、そして、計画並びに実施という2つに分けて、合計6つのセルが できます。これに関して、どのように活用を考えるべきかということを文章化するという目的で つくりました。  それをまとめたものが資料4の1ページ目、これが「食事改善(個人に用いる場合)」でござ います。2ページ目が「食事改善(集団に用いる場合)」でございます。重複する部分が多いの ですが異なる部分もございまして、現在2009年時点でございますが、この辺りの考え方が十分 に周知されていないのではないかという意見もございます。この辺りを考えまして重複記述も可 とし、この2つの表をつくっております。また、それに関する説明文書を本文を記述いたしてい るところでございます。  3ページ目が「給食管理を目的とした場合」の基本的な考え方ということで、ここでも評価、 そして計画という並びになってございます。それぞれにおいてどのような指標を持ち、それをど のように使っていくのかということを記述いたしました。  このようにつくりましたが、実は大きな問題がございました。ほかのワーキンググループの先 生方と比べますと、当ワーキンググループは十分な系統的レビューに基づき、相当数の論文を用 いてということは言えません。系統的レビューは試みました。しかし、十分な論文を発見し、抽 出することは結果としてできませんでした。そして、我が国においてこの食事摂取基準で活用で きる参考文献はほとんど見当たらずという結果になってしまいました。これはとても重大なこと であり、今後、食事摂取基準を正しく、そして、広く使っていただきたいという観点からいたし ますと、この方面の基礎的・科学的な研究、報告が非常に重要であると私たちは考えています。  その一方で、活用する場面を考えますと、対象とする個人並びに集団というものを「基本的に 健康な」というふうに形容詞をつけておりますが、先ほど高齢者のところでもございましたよう に、加齢に伴い疾患等が増えてまいります。そうすると、そのような人たちにも使いたいという ような要望も出てまいりますし、それが現実だと思います。  それから、給食のことを考えますと、病院等での利用ということも1つ、それから、ある程度 の疾病の管理をしている以外のところでの活用も考えねばなりません。したがいまして、そのよ うな従来健康な集団とは若干言いにくい部分の集団並びに個人に対して、どのように活用すれば よいのかということにつきましても、あくまでも基本的、基礎的、理論的な記述にとどめざるを 得ませんでしたが、少し記述をするというところまでつくってみました。しかしながら、重複し ますが、十分なエビデンスに基づいているとは言えない部分もございますので、この活用理論は あくまでも理論と考え、そして、これを更に質を向上し、実際に活用しやすいものにしていくた めに、更なるこの分野の研究が必要であると感じました。その範囲内での策定とお考えいただき たいと思います。  以上です。 ○春日座長 どうもありがとうございました。  ただいま活用ワーキンググループからの御発表をいただきましたけれども、全体を通じて、何 か御質問あるいは補足があればどうぞ。  本日予定しておりました御報告は以上でございますけれども、 ○吉池委員 今の活用について、乳幼児のワーキンググループから補足をさせていただきたいと 思います。  OHPでたんぱく質の表を出していただけますか。基本的に乳幼児につきましても、佐々木先 生が説明されたような枠の中で考えるのですが、特に小児期においては成長ということが非常に 大事になってきます。そういうことから、エネルギーの多寡についてはやはり体重・身長等の変 化を見ていくということになりますが、BMIといった一律の基準では判定できませんので、成 長曲線を乳幼児期から学童期ときちんと追っていくことが重要となります。これについては厚生 労働省のほかのガイドライン等でも強調され、また、そのツールができているところですので、 その辺を今後強調していく必要があると思っています。  また、先ほど説明したように、たんぱく質について、離乳期を2区分にして目安量を示してい ただいた結果、一緒にすると20gぐらいになって、1〜2歳の推奨量の20gと同じくらいになる ところなんですが、目安量が離乳前期15g、その次25gで、1〜2歳の推奨量が20gというふう に見た目の数値上の逆転が生じています。これはある意味では、数値の策定プロセスあるいは意 味を理解する上で大事なことだと考えています。実際にこれを使う現場の方、例えば保育所の栄 養士の方などは、この辺をよく理解した上で、適切にこの数値を解釈していただきたい。目安量 という根拠と推奨量という根拠が違うところから来ていることを、計画を立てるときに、推奨量 をどうとらえるかという基本的な考え方の整理につながるのかと思っています。 ○佐々木副座長 むしろ逆であったら困るんですよね。 ○森田委員 活用で、以前から2005年版でも総論の部分に個人と集団ということは書かれてい まして、今回1つの大きな目玉として給食管理を別途取り上げられたということは非常に大きな 点だと思います。  また、高齢者の部分で考えましても、そういう対象者を広げたということも含めまして、高齢 者のそういう施設はたくさんございますし、先ほどちょっと言い忘れたんですけれども、実際の 今回の摂取基準を見ていただきますと、たんぱく質は少し策定方法を高齢者で変えておりますが、 ほかはほとんど基準体重に準じてということで、高齢者だからといって特に摂取量が上がる下が るというような栄養素はございません。そういった点も含めまして、今回こういう基礎理論とし て給食管理というのを新たに設定されたことに対して、そういった施設から実際どのような反響 が出るのかということも私たちには想像できないんですけれども、今後の考え方かもしれせんが、 やはり食事摂取基準というのは国の1つの指針として5年間使うということで出されるので、実 際そういった施設の給食管理をするような現場として、これが出たときにどのように対応される のかとか、例えば中村先生などにも是非御意見をお伺いしたいと思うんですけれども、いかがで しょうか。 ○春日座長 どうもありがとうございました。  ということで、中村先生、御意見を求められていますけれども、いかがでしょうか。 ○中村委員 今日初めてこの基本的考え方を見させてもらったので、まだ整理ができていないの で、本当に活用できるかどうかもわかりませんが、この基本概念でどこかの給食施設で動かされ てみたことはあるんですか。 ○佐々木副座長 動かしてみた研究が本来は必要です。ありませんでした。我々がなし得たこと は、このワーキンググループが動いている間、実際に給食管理に携わっておられる栄養士の方々 に、我々がそのときの文書案を持っていって見ていただいて、そして、赤ペンを入れていただい たり、意見をいただいたりという意見交換をするということを非公式な場で幾つか進めました。 それに基づいたものであると考えていただければと思います。 ○田畑委員 エネルギーの方でも今回、エネルギー摂取量の過不足の評価の指標として2005年 版ではBMIしかなかったわけですけれども、体重変化量というものを入れていただいたという のは非常に大きな変化だと思います。例えば、BMIが24.5でも、その人が体重が増えてきて 24.5を保っている人と、24.5を維持している人について、どういうふうに違った形で指導すれ ばいいのかということが示された点は、非常にやりやすくなったんじゃないかと思います。 ○春日座長 どうもありがとうございました。  そのほかに全体を通じて何か御意見あるいは御質問、いかがでしょうか。 ○中村委員 私は第1回のときからお話ししているんですが、食事摂取基準が利用されるのは健 康人ともう少しグレーゾーンのところまで使ってもいいよと書かれています。それはそうだと思 うのです。ただ、臨床の場だと肥満と肥満症を分けるように病的状態まで過剰になったり、欠乏 症のような病的状態にいった場合、その病名は診断基準で医師が診断するのだろうと思うのです けれども、そういう患者さんに対しても、摂取エネルギーや栄養素が満たされているか満たされ ていないかという判断をしなければいけなくなるわけです。そのときに、何を基準値として使う のか。恐らく食事摂取基準しか今のところないんですが、それは使ってはだめなのでしょうか。  例えば、貧血の患者さんの食事に含まれる鉄は満たされているのか、満たされていないのかと いうことを判定しないと、その貧血がどういう貧血かはわからない。そういう場合も参考にして はいけないんですか。 ○佐々木副座長 栄養士判断でお任せするのが個人的にはよいと思います。食事摂取基準では参 考にしてはならないとは2010年では書かないつもりです。しかし、参考にしなさいとも書かな いつもりです。活用の範囲をどこまで広げるかというグレーゾーンに関しては、グレーゾーンは こういう集団だということはある程度記述をいたしまして、グレーゾーンにおいては食事摂取基 準で記述されていないもの、そして、食事摂取基準で記述をされているものをその担当の栄養士、 管理栄養士が自らの知識と経験を用いて、食事摂取基準をそのほかの基準並びにガイドラインの 1つとして使っていくという方法もあるというような記述を含めたいとワーキンググループと しては考えております。 ○中村委員 ありがとうございました。 ○春日座長 ただいま中村先生が御指摘になった点は、おっしゃるとおり第1回目から非常に重 要な点だと考えておるわけですけれども、それこそエビデンスを集めるのが実際にやってみると 難しいのではないかという気はするんですが、いずれにしろ次期の改訂時にはそのような方向に ついても、どのくらいエビデンスがあるのかということをまずチェックすることは必要なのでは ないかと思います。  例えば、鉄欠乏性貧血の患者さんに鉄をどのくらいとってもらったらいいか。正常な方の耐容 上限量というのはあるわけですけれども、それ以上のものを急性にとってもらっていいかどうか というのは、医療の現場では違う方法で治療をしてしまって、そういう食事の中の鉄を変えるよ うな形でのデータがあるか、あるいはとれるかというのはなかなか難しいところがあるのではな いかと。中村先生の御指摘は非常に重要な点だと思うんですが、そのようなエビデンスがどのく らいあるかというのが問題かなという印象を持ちます。  ほかに、全体を通じまして御質問・御意見等あれば、どうぞ御遠慮なくお願いしたいと思いま す。  特にないようでございましたら、この1年間にわたりまして非常に精力的に御検討いただき、 それに基づいて作成していただいた内容及び数値につきまして、報告書として作成して公表した いと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。  次に、事務局から目次案と今後のスケジュールについて御説明をお願いしたいと思います。 ○田中指導官 それでは、お手元の資料5と資料1を見ていただきたいと思います。資料5は目 次なんですが、目次の構成は大きく分けて総論と各論となっておりまして、最後に参考としてお ります。  総論は、資料1で議論いただいた策定方針などをもう少し詳細にし、策定において留意した基 本事項などを踏まえて策定の基礎理論をつくっていきたいと考えています。  また、資料4により副座長から御説明いただきました活用の基礎理論を整理していきたいと考 えております。  各論の方は、資料1の策定したエネルギーや栄養素というところで御説明したとおりに順番に 記載していくということです。その次にライフステージを掲載していきたいということでござい ます。  参考としては、資料1の概要と各基準値を記載していくというような形で現在目次案を考えて おります。  また、今後は御審議いただいたとおりに基準とした策定値にとどまらずに活用していただくた めに、文言の整理や総論、各論の策定に関係した引用文献の整理、または確認をしまして、大変 恐縮ですが、来月末ぐらいを目途にホームページに掲載するなど2005年版と同様に報告書とし て基準値と併せて取りまとめていきたいと考えております。  その際に、軽微な修正などにつきましては、正副座長に御確認いただいた上で確定していきた いと考えております。  以上でございます。 ○春日座長 どうもありがとうございました。  目次案と今後のスケジュールについて御説明をいただきました。また、軽微な訂正は正副座長 に確認いただくということでよろしいでしょうか。 ○佐々木副座長 1つ事務局に質問ですが、ホームページに掲載するとなっていますが、これは 概要ですか、それとも全文ですか、どちらを予定されていますか。 ○田中指導官 報告書全文で掲載する予定です。 ○佐々木副座長 相当な分量になると思いますが、可能ですか。 ○田中指導官 今、国民健康・栄養調査の現状が報告書として同様に、その程度のボリュームも 載せておりますので可能と考えております。また、併せて報告書として冊子としても当然つくる ようには考えております。 ○佐々木副座長 わかりました。 ○春日座長 そのほかに何かございますか。よろしゅうございますか。どうもありがとうござい ました。特に何もないようでしたら、これで日本人の食事摂取基準の策定検討会を終了したいと 思います。  最後に、閉会に当たりまして、事務局から一言お願いいたします。 ○関生活習慣病対策室長 それでは、事務局を代表いたしまして最後に一言お礼の言葉を申し上 げたいと思います。  本日の審議で、こうした会議としては最後となることは冒頭局長が申し上げたとおりでござい ますけれども、本当に膨大な数の文献、資料をこれだけの短時間で精力的に御議論いただきまし て、本日の議論に集約されるようなところまで来たわけでございます。あとは先ほど来のお話の ように、報告書として取りまとめるという作業、それから、これを実際に普及していくことが必 要となり、来年度の主な課題はそういったところに移ってまいるわけでございます。引き続き先 生方におかれましては、いろいろな意味で御協力、御助言いただきながら事務局としても進めて まいりたいと思っております。  本当に実りある会の運営ができたと思っておりますが、座長の春日先生、副座長の佐々木先生 を初めとしまして、委員の皆様方に本当に感謝申し上げたいと思っております。新たな課題とし て、例えば高齢者という年代における対応は、今回、ライフステージごとの検討の1つの領域と して新しく出てまいりましたし、また、本日も議論がありました活用の基礎理論といったところ でも新たに論点整理が図られた箇所もございます。5年前に比べて文献の数を見ても新しいエビ デンスが増えていますし、いろいろな視点、視座という意味でも、更には、現実の活用に向けて も、今後さらに多面的な展開が見られていくものと思います。そういった意味で、今後とも、国 民の健康増進のための基盤として、また、実施に有効活用されるツールの根幹にあるものとして、 日本人の食事摂取基準がますます定着していくように、あるいは発展していくように、事務局と しても努めてまいりたいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。  本当にどうもありがとうございました。 照会先 厚生労働省健康局総務課 生活習慣病対策室(2973)