09/03/25 第59回労働政策審議会職業安定分科会議事録 第59回労働政策審議会職業安定分科会 1 日 時 平成21年3月25日(水)17:45〜19:40 2 場 所 厚生労働省議室 3 出席者 委 員(公益代表)           大橋分科会長、大沢委員、征矢委員 (労働者代表)           徳茂委員、成瀬委員、長谷川委員、古市委員、堀委員、           野田委員代理(杉山氏) (使用者代表)           荒委員、石井委員、市川委員、上野委員、高橋委員       事務局 太田職業安定局長、大槻職業安定局次長、及川審議官、           岡崎高齢・障害者雇用対策部長、宮川職業安定局総務課長、           水野雇用開発課長、鈴木需給調整事業課長、長門企画課長、           石坂高齢者雇用対策課長 4 議 題 (1)高年齢者等職業安定対策基本方針について (2)労働力需給制度について (3)その他 5 議事内容 ○大橋分科会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第59回労働政策審議 会職業安定分科会を開催いたします。  議事に先立って、当分科会のもとに置かれます雇用対策基本問題部会に所属する臨時 委員の交代がありましたのでご報告させていただきます。  部会に属する臨時委員等につきましては、労働政策審議会令第7条第2項の規定によ りまして、分科会長である私が指名することになっております。雇用対策基本問題部会 の公益代表委員について、北村委員にかわりまして、読売新聞東京本社生活情報部の月 野委員にお願いしております。 (出欠状況報告)  第1の議題で、高年齢者等職業安定対策基本方針について諮問でございます。  本日の議題はただいま申し上げたとおりですけれども、もう一つ、労働力需給制度に ついて、これも諮問及びその他でございます。  最初の議題は、高年齢者等職業安定対策基本方針について諮問です。事務局からご説 明をお願いいたします。 ○企画課長 お手元の資料の資料番号1−1から1−3が関係の資料でございますが、 資料の1−2、1−3に基づきましてご説明をさせていただきます。  高年齢者等の職業安定対策基本方針につきましては、法律に基づきまして厚生労働大 臣が高年齢者等の職業の安定に関します施策の基本となるべき事項を定めておりますが、 18年の改正高年齢者雇用安定法の施行からこの年度末で3年となり、当初の基本方針の 対象期間としておりました8年間の折返しの時期を迎えますこと等から、この機会に高 齢者の雇用のあり方について、昨年の秋以降、この分科会の下に置かれております雇用 対策基本問題部会でご議論をいただいておりました。  その中で、今年の1月の下旬でございましたが、それまでの議論が大筋取りまとめら れまして、基本方針の見直しを行って新たな方針を定めることが適当だろうということ で、本日お配りしております案がまとめられたところでございます。  その概要は、資料の1−2にまとめてございますが、1−2の2.のところが見直し の内容でございます。  計画期間につきましては、今も申し上げましたように、当初の基本方針では、改正法 の施行が18年4月からでございましたが、その前年の17年度からの8年間ということで 策定いたしておりましたが、ちょうど折返しの時期を迎えたことから、今回の方針では、 この4月からの後半の4カ年を対象とすることにいたしております。  具体的な修正を行いました箇所につきましては、この基本方針は、大きく4つの柱、 第1の高年齢者の就業の動向に関する事項、それから第2の高年齢者の雇用の機会の増 大の目標に関する事項、第3の事業主が行うべき諸条件の整備に関して指針となるべき 事項、そして第4の高年齢者の職業の安定を図るための施策の基本となるべき事項から 成っておりますが、今回の見直しは第1から第3の箇所につきまして見直しを行ってお ります。  お手元の資料の1−3を照らし合わせながらご覧いただければと思いますが、資料1 −3の1ページでございます。ここでは、先ほども申し上げましたように、方針の対象 期間について修正を行っております。  第1の就業の動向に関する事項につきましては、2ページ以降におきまして人口及び 労働力人口の高齢化の現状から始まりまして、雇用・就業の状況、雇用制度の状況、さ らには労災の状況等について記述をいたしておりますが、これらの箇所につきましては、 改正法の施行を踏まえて最新のデータに基づく見直しを行っております。  時間の関係もありますので詳細なご説明は割愛させていただきますが、3ページのと ころをご覧いただきますと、高年齢者等に係る雇用制度の状況につきまして、18年4月 からの改正法の施行状況について最新の状況を盛り込んでございます。平成20年6月1 日現在では、51人以上の企業を対象にしておりますが、96.2%の企業におきまして確保 措置が導入済みであること、それから、次の段落になりますが、希望者全員が65歳以上 まで働ける企業の割合が39%になっていること等を新しく盛り込ませていただいてお ります。  また、次の4ページには、継続雇用時の契約期間についてですが、1年単位とされて いる企業が83.5%を占めるということ等も記載させていただいております。  また、5ページの冒頭のところでございますが、同じく継続雇用の関係で、賃金につ きまして、これは年収の見通しでございますが、年金等も含めて定年到達前の6、7割 という方々が非常に多く、4から5割という方も27.6%おられるといった実態について 記述しております。  以上は、データに基づく事実関係を最新のものに改めたものでございますが、基本問 題部会での議論を踏まえた具体的な修正としては、第2、第3に関する記述を見直して おります。  5ページの中ほどから、第2の高年齢者の雇用の機会の増大の目標に関する事項の記 述がございますが、平成17年4月に基本方針を定めまして以降、政府におきましては高 年齢者の雇用確保に向けて具体的な数値目標を打ち出してきております。最近ですと、 昨年の4月に新雇用戦略を取りまとめる中で具体的な数値目標を打ち出し、夏にはそれ を経済財政諮問会議において経済財政改革の基本方針を閣議決定する際に位置付ける等 しております。  そうした取組みをしてきておりますものですから、これまで打ち出してきております それらの数値目標をこの5ページのところに盛り込むことといたしました。  具体的には、5ページの下から6、7行目あたりでございますが、希望者全員が65歳 まで働ける企業の割合を平成22年度末を目途に50%としていくということ、それから、 下から3行目のあたりでございますが、70歳まで働ける企業ということで、65歳を超え て70歳まで働けるような企業の割合を同じく22年度末を目途に20%とするということ、 という、これまで政府として掲げてきております目標値について、この機会に取り込ま せていただいております。  それから、次の6ページにまいりまして、第2の一番最後、第3という見出しのすぐ 上のところでございます。仕事と生活の調和推進のための行動指針の中では、60歳代の 方々の就業率の目標値を挙げておりますが、それについても、ここで取り込み、60歳代 前半については56から57%、60歳代後半については37%という就業率の目標を書かせて いただいております。  以上が第2に関する見直し箇所でございます。  それから、部会で最もご議論がありましたのが、この第3の事業主において行ってい ただきます諸条件の整備等に関して指針となるべき事項に関する部分でございます。こ こにつきましては、まず、6ページで、募集・採用に係る年齢制限の禁止のところにつ いてですが、昨年度末に最小限の見直しを行っておりましたけれども、今回、少し文言 を補っております。  部会でのご議論を踏まえての修正箇所は8ページからになります。8ページの2のと ころでございますが、事業主の取組みの指針となるべき事項の中で高年齢者雇用確保措 置に関する指針の記述がございます。  その中で、2の(1)でございますが、ここにつきましては、部会での議論を踏まえ て、(1)の最初の段落の終わりの3行下線部分でございますが、年金の支給年齢に合 わせて段階的に確保措置の年齢を引き上げてきておりますが、これに関する記述につい て時点修正を行うとともに、次の段落におきまして、継続雇用制度を導入する場合、先 ほどの現状のところでも継続雇用制度を実施されている企業が大半であるという現状が あるわけでございますが、そういう継続雇用制度を導入する場合には、可能な限り希望 者全員を対象とする制度とすることを検討いただくことを盛り込み、今後のあり方とし ては、少なくとも65歳までの雇用確保措置については希望者全員を対象とするという方 向性を具体的に示したところであります。  また、同じ段落の後半でございますが、継続雇用に関しましては対象者についての基 準を定めることができることとなっておりますが、これにつきましても、労使で対象と なる労働者について十分検討いただいて、希望者全員を対象とする方向で取り組んでい くということを書かせていただいております。  それから、(2)の賃金・人事処遇の制度についての記載をしておりましたところで、 ページでは9ページになりますが、マル2からマル4、3つの項目を追加させていただ いております。  具体的には、継続雇用に関しまして、現状のところでも記述いたしましたが、賃金が 大きく変わると感じている方が多いという状況を踏まえまして、賃金については、継続 雇用される高年齢者の就業の実態、生活の安定等を考慮して適切なものとなるよう努め るということを今回加えております。  また、働き方の選択肢に関しましては、フルタイムを希望され、実際そうした働き方 をされている方が多いわけですが、その一方で、実はフルタイム以外の働き方を希望さ れいる方も4割強おられるといった実態を踏まえまして、高年齢者が希望する形に応じ た勤務が可能となるような多様な働き方の選択肢、制度の導入に努めていただきたいと いうことを追加しております。  それから、マル4でございますが、これも継続雇用の関係でございますが、契約期間 については、先ほども現状のところでご紹介しましたように、1年単位としている企業 の割合が非常に高い中で、確保措置の趣旨が必ずしも十分理解されていないケースも見 られることから、契約期間の設定については、むやみに短い契約期間とすることがない よう努めていただきたいということと、本来、年金の支給開始年齢、最終的には65歳で ございますが、その年齢までは確保措置の趣旨を踏まえて契約更新ができるということ を十分周知していただきたいということを追加させていただいています。  また、マル7においては、現在、継続雇用を実施するに当たって、対象者の基準を設 定して実施している企業がかなりありますが、その基準に該当しないから離職するとい うことではなくて、そもそも継続雇用を希望しないという方が2割前後おられます。そ のような現状も踏まえつつ、今後、継続雇用制度について希望する者の割合が著しく低 くなるような場合には、やはりそれは制度にどこか課題があるのではないかということ で、必要に応じ見直しを行っていただきたいということも記載させていただいておりま す。  以上が第3のところの主たる改正でございます。  それから、第3の3の再就職援助の関係では、次の10ページのところでございます。 再就職援助の中で、解雇等の非自発的な離職をされた方については、改正高年齢者雇用 安定法では求職活動支援書の作成をお願いしているところでありますが、この求職活動 支援書の作成等を行っていただく際に、現在、能力開発局の方の取組みになりますが、 ジョブカードの普及に向けた取組みが進められており、職業キャリアが長い方に向けて のジョブカードというものも作られてきていることを踏まえ、その様式を整合性のある ものとすることによって求職活動支援書として活用していただく、また、支援書として 活用することによって、ジョブカードの普及にもご協力いただくというようなことを11 ページの下線部分で書かせていただいております。  また、11ページの一番下のところに見出しがございますが、職業生活の設計に関しま す援助の指針として、次の12ページのところでございますが、雇用確保措置の対象にな る時期直前からの取組みということではなくて、比較的若い年齢のときから少し中長期 的な視点を持って将来の職業生活について考えていただくことができるように早期から の情報提供に努めるということも、労使のご議論を踏まえて今回加えさせていただいて おります。また、(3)では、私どもが所管しております高齢・障害者雇用支援機構と いう独立行政法人がございますが、そこで退職期を迎えた高年齢者の職業生活設計につ いて相談援助を行っておりますが、その事業を今般見直して積極的に実施していこうと していることを踏まえて、若干の文言の修正をさせていただいております。  以上が、基本問題部会でのご議論等を踏まえての今回の基本方針の見直しの概要でご ざいます。 ○大橋分科会長 ありがとうございました。  本件につきましては、当分科会における審議に先立ちまして、私が部会長を務めてお ります雇用対策基本問題部会において、昨年8月以降、計5回にわたり精力的な検討を 行ってまいったところですが、ことし1月21日に開催されました第38回雇用対策基本 問題部会においてご了解いただき、その後のデータの更新など細かな訂正は部会長にご 一任いただくことでご了解をいただいております。  それでは、本件につきましてご質問、ご意見がありましたらご発言ください。 ○成瀬委員 意見ということで申し上げさせていただきます。  過去に職業安定分科会でも何度か申し上げたかと思いますが、この高年齢者等職業安 定対策基本方針ですか、今回の改正案で言うと新旧対照表で言う5ページから6ページ にかかる部分、それから、今回改正対象ではないですが、17ページ、一番最後の部分に も関連することでございます。  といいますのは、5ページのほうで言えば、年齢にかかわりなく、その意欲と能力に 応じて働くことができる社会を実現することは必要である。同趣旨のことはほかにも何 箇所も出てくるわけではありますけれども、この5ページの中で、年齢にかかわりなく ということを言っておきながら、その数行下に、70歳まで働ける企業とか、次のページ でも、65から69歳の就業率を37%とすることを目指すとかいう記載があるわけでありま す。多分、たしか2年ぐらい前かと思いますけれども、私もちょっと事前に知らなくて びっくりしたんですけれども、70歳まで働ける企業の募集か何かをされていまして、そ ういう意味で言うと、公労使が参画する職業安定分科会で議論も経ずに、多分この70歳 まで働ける企業を促進していくという形で始まったんではないかというふうに記憶をし ておりますけれども、もし間違っていたらご指摘いただきたいんですけれども、そもそ も年齢にかかわりなく働き続けられるということと、70歳までという年齢を切ってそれ を促進するということとは理念的に矛盾するのではないかということを過去から何回も 申し上げているわけです。  私の所属する団体の活動のご紹介になって非常に恐縮なんですけれども、私ども電機 連合でございますけれども、電機産業の労使では、この間の経済情勢、雇用情勢の悪化 で、今、中断をしているわけですけれども、年齢を区切ってということではなくて、65 歳以降も年齢にかかわりなく働き続けられる制度とはどうあるべきかということでの研 究をしていこうという労使合意もあるわけでございます。そういうところからすると、 年齢にかかわりなくと言っておきながら、一方で70歳までという形で目標を立て、実際 にそれを推進するということが非常に私ども労使協議をやりづらくさせているというふ うに思いまして、この点、何度も申し上げているんですが、厚生労働省としてどのよう に考えていらっしゃるのか、再度お伺いしたいと思いますのでよろしくお願いします。 ○企画課長 、今のご指摘の点は、以前に、今もご指摘がありましたけれども17ページ のところの一番最後の(10)を、前々回の分科会、ですから平成19年の3月末であった と思いますが、追加したときにも、随分ご議論があったところかと思います。  結論から申しますと、基本的に70歳という年齢自体を目標にしているわけではなく、 あくまでも厚生労働省としては、これは今までの労使の議論を踏まえてもそうですが、 年齢にかかわりなく、要するに意欲と能力のある方については、年齢にかかわりなく働 ける社会を実現するということ、これが掲げている目標でございます。  それにもかかわらず、70歳という数字をなぜ掲げているのかというご質問だと思いま すが、具体的な取組みをしてまいります場合には、やはり法律上で明記して取組みをす る場合もありますが、法律以外にいろいろな予算も含めた取組みを進めていくときには、 やはり一つの具体的な目安の数字を示しながら取組みをしていくということも、取組み を進めていく上での一つの手法として必要であろうということです。65歳までは確かに 法律で一律の義務づけということをしたわけですが、そこからは、もともと60代前半も 含めてかもしれませんが、高年齢者の方はかなり個人差もあり、特にそれは60歳代後半 から70歳を超えていくと、より顕著になってまいります。そういう中で、一つの目安と して65歳までの一律の取組みは取組みとして、さらにそこからもう少し柔軟に、一律で はないけれども、個人個人の意欲や能力を見ながら、あるいは事業主の必要性というも のも見ながら、高年齢者が意欲と能力がある限り働く場を見つけていくことができるよ うな社会をつくるための、一つの例として70歳まで働ける企業という掲げ方をさせてい ただいております。ですから、決して70歳までということに拘泥しているということで はないということでございます。 ○成瀬委員 とは聞きますけれども、その手法の問題で言えば、定年年齢の廃止という 選択肢も当然、個別の企業で言えばあるわけですよ。にもかかわらず、65までできたか ら今度は70だ、じゃ次は75ですか、その次は80ですかということに、当然、そういう 手法がいいのかどうかという議論もあるかと思うんですね。その議論はされた記憶は私 はありません。  かつ、70ということで区切っていきますと、先ほど答弁の中で、高齢者の場合は個人 差が非常に大きくなると言いながら、70という一律の年齢でやっていくということが、 また一律的な推進になって現場ではいろいろな無理が出てくるのではないかという気も いたします。  もともと2年前に、70歳まで働ける企業というキャッチフレーズ的には言うけれども、 その定年年齢を70あるいはそれ以上とするか、あるいは定年年齢をそもそも廃止するか ということについては、全部ひっくるめて推奨、促進、奨励するんだということで聞い たような気もするんですが、やはり実際問題として定年年齢の廃止ということは、現場 から見ると全然奨励されているようには受け取れなくて、70歳まで働ける企業というキ ャッチフレーズだけがひとり歩きしている。ということは、手法として、やはり年齢を 5歳刻みずつで上げていくのかというように現場では受け取れてしまうわけなんです。 それはやはり非常にまずいのではないかというふうに思うわけですけれども、どうでし ょうか。 ○企画課長 一つは、ちょうど65歳までの雇用確保措置を法律上義務化して施行してい く話と、それからそれはそれとして、その一方で、もう少し柔軟な取組みとして、65歳 を超えた以降の働き方をどうするのかということで、年齢にかかわりなく働く、その一 つの目安として70歳まで働くということを掲げて取組みをしていこうという話が、ほぼ 同時期に始まったことによって、70歳までというのがあたかも一律に70歳まで年齢を 引き上げることを求めているかのような誤解を与えた面があったかもしれません。実際、 地方でこの問題に取り組んでおります労働局やハローワークの職員にも一時期そういう 誤解があったことは事実であります。  そういうことがありましたので、今は、この70歳まで働ける企業、さらに言えば、年 齢にかかわりなく働くことができる社会の実現を図るという取組みについては、個別に、 柔軟な取組みとして行っているということを、かなり丁寧にご説明しながら、関係者の 理解を得ながら進めているところでございますので、少なくとも一律に5歳ずつ年齢を 上げていくというようなことの議論を今しようとしているということではないというこ とはご理解いただけるのではないかと思っております。 ○成瀬委員 であれば、今回、諮問即答申を求められているようではありますけど、今 回になるのか今後になるのかわかりませんが、70歳まで働ける企業というこのキャッチ フレーズ自体をそもそもやめて、別のキャッチフレーズに変えるということも大胆にも う一回検討をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。 ○大橋分科会長 これ、手法の問題というふうに位置づけられていますので、70歳まで 働ける企業を目標とはしていない。とりあえず、年齢にかかわりなく働けるということ を目標として、それを実現するための手法という位置づけ、それと同時にデータ的にも 65歳を過ぎてまだ働きたいという高齢者の方がいらっしゃる以上は何らかの対策が必要 であるという認識で、それをどうやって実現していくかということで、手法という位置 づけで、先ほど課長のほうから説明がありましたけれども、そういう形でいかがかと思 うんですけれども。 ○成瀬委員 ですから、2年前も申し上げたとおり、手法として5歳刻みで65を次70、 さらに75、80とあるかもしれませんけれども、そういう年齢を上げていくという手法も 一つあると思います。それは否定しません。  それと別に、定年年齢を廃止しようじゃないかと、そういう手法ももう一つあるわけ ですよ。そのどちらの手法がより有効なのか、この社会を変えていくのに有効なのかと いうことについては議論がされていないわけですので、少なくとも私の出身母体は後者 のほうが望ましいと考えているわけでして、そういう意味でどちらの手法が、もしかし たら第3、第4の手法もあるかもしれませんけれども、それをやはり議論し直す必要が あるのではないか。  少なくとも、現段階で手法の議論をしていない以上は、このキャッチフレーズだけが ひとり歩きするという形はいかがなものかということなんです。 ○大橋分科会長 わかりました。危惧はよくわかりました。  そのほか、いかがでしょうか。 ○石井委員 定年を60歳から63歳あるいは65歳と、あるいは将来は70歳という形で延長 していくということは、今の高齢者の人たちの気力とか能力とか体力とかを考えると、 また年金の支給が65歳までになるとかということを考えると、そういう延長していくと いうことはそれなりに正しいことかと思いますが、一方、経営側から考えますと、継続 雇用をどんどんしていくということは、バランスをとるという観点から考えると、若年 労働者の採用を手控えていくという危惧もあるわけですね。  ですから、社会としてあるべき姿は、60歳なら60歳になったときに喜んで退職して次 の職場へ転換できるというような仕組みづくりというんですかね、それはるるここに いろいろ書かれてはおると思うんですが、その辺にもう少し精力的に力を入れて、例え ばいろいろな規制があるとすれば、具体的にはちょっとわかりませんけれども、規制が あるとすればその規制を撤廃するとか、もっと高齢者が働ける場所、サービス業とか運 輸業とか、あるいはいろいろな医療とか介護とか、いろいろな分野で働けるような場所 をより多く拡大することによってその辺の問題が解決されるんではないかなと思います ので、ここに書かれていることの高齢者の雇用の拡大というところをもう少し何か知恵 を出していただければありがたいかなと思います。 ○大橋分科会長 いいですか。 ○企画課長 今回は、高年齢者の雇用確保措置の施行がちょうど折返しの地点を迎える ということで、そこを中心に基本問題部会でもご議論いただきまして、結果として見直 しもそこの部分に集中する形で見直しを行っておりますが、施策的に申しますと、高年 齢者雇用の支援に当たっては、今働いておられるところで働き続けるという環境整備と 同時に、他の場所で働く場合や、場合によっては起業するという形で、自営のような形 で新しく社会で活動される場を見つけていく場合、さらには、私どもの関係で言えば、 シルバー人材センターであるとか、ボランティア活動などを選ばれる場合など、いろい ろな選択肢があることを考えて取組む必要があろうと思います。  現に、私どもで講じております施策におきましても、雇用確保措置を普及、定着させ るための取組みとあわせまして、商工会議所等の事業主団体等の協力を得ながら、再就 職を目指す方への新しい職場の紹介や、あるいは新しく働くための能力開発のようなお 手伝いをする等の事業も、力を入れて行っておりますので、ご趣旨を踏まえて今後とも そうした取組みを続けていきたいと思っております。 ○大橋分科会長 どうもありがとうございました。  ほかにございませんでしょうか。  ほかにご質問、ご意見はないようでしたら、当分科会としましては、厚生労働省案を 妥当と認め、その旨私から労働政策審議会長にご報告申し上げたいと思いますが、よろ しいでしょうか。 (異議なし) ○大橋分科会長 それでは、報告文案の配付をお願いいたします。 (報告文案配付) ○大橋分科会長 お手元に配付していただきました報告文案により、労働政策審議会長 あて報告することとしてよろしいでしょうか。 (異議なし) ○大橋分科会長 それでは、そのように報告させていただきます。  続きまして、議題は労働力需給制度について諮問です。事務局からご説明をお願いい たします。 ○需給調整事業課長 それでは、資料のナンバー2と、それに続きます参考資料の1、 2、3、4と4つございますが、これに基づきまして、本日の諮問案件についてご説明 いたしたいと思います。  まず、資料のナンバー2が諮問文でございますけれども、今回は派遣元事業主が講ず べき措置に関する指針と、それから派遣先が講ずべき措置に関する指針、この2点につ きまして一部改正ということで告示案の要綱を諮問させていただいているところでござ います。  内容につきましては、後ほど詳しくご説明しますが、いわゆる派遣切りと言われてお ります派遣契約の中途解除に伴いましていろいろ問題が起こっておりますので、それに 対処するために派遣先事業主の賠償義務について規定したり、派遣元におけます義務を 規定していくという部分でございます。  まず、背景でございますが、参考の1というのをお開きいただきたいと思いますが、 昨年のリーマンショック以降、非常に製造業を中心としまして、いわゆる派遣切りと呼 ばれております派遣契約の中途解除に伴いまして派遣労働者が大量に離職するという事 態が起こってございます。この参考1につきましては、それを私どもがハローワーク等 を通じまして調査したものでございまして、製造業の派遣労働者につきましては46.6 万人、これは19年の事業報告ベースでございました。それにつきまして、ことしの3月 までに、派遣先で派遣契約がなくなる、いわゆるこれは派遣契約の期間満了に伴う不更 新及び派遣契約の中途解除という趣旨でございますけれども、それで仕事がなくなる派 遣労働者が10万7,000人、これは2月段階でございました。  このうちの派遣契約の中途解除に係り労働者については5万人でございますが、この 方たちが、では派遣契約を解除されてその後どうなったか、追っかけていって調査した のがその下の四角の中でございます。  まず、現行の派遣先の指示によりまして、こういう中途解除をした場合には派遣先の 関連企業等をあっせんしまして就業機会を確保してくださいと書いてあるんですけれど も、これが派遣先によって実際就業機会を確保できたケースが2.6%でございます。そ の後、いろいろございますが、派遣元に戻りまして、ではそこで雇用主として雇用継続 ができたかどうか、これが右側の部分でございますが、結果としまして雇用継続ができ ましたのが10%、それ以外、予定もございますが、100%になりませんけれども、それ 以外の81.6%につきましては離職という形でございます。その81.6%のうちの、これを 100としまして、解雇が85.9%ということで、派遣は有期契約、無期契約いろいろござ いますけれども、製造業派遣の場合、有期の反復更新で長期に就業しているというケー スが非常に多うございますけれども、その有期契約も中途で解雇されまして離職してい ると、これが実態でございます。  これが大体昨年の10月ぐらいからちょっと始めておりますが、特に年末、12月末か ら1月にかけて非常に起こったということでございますが、今度3月末、これは年度末 でございますので、ここも一つ派遣契約の不更新とか中途解除が非常に起こりやすいだ ろうということでございます。そこで、何らかの対応が必要ではないかというふうに考 えた次第でございます。  一方、当審議会の建議、それから答申をいただきまして、派遣法の改正案、現在国会 に提出しておりますけれども、これにつきましては衆議院の厚生労働委員会で提案理由 説明を読みました後に継続審議となりまして、現国会でも継続審議になっておるわけで ありますが、ちょっと審議の順番がまだ来ないということもございます。  したがいまして、その与野党の審議を待っていたんではこの3月末の派遣切りの予想 される派遣契約の中途解除は対処できないだろうということで、これは与党の新雇用対 策プロジェクトチームというところでいろいろご議論がございましたんですが、その資 料は全体の資料の一番最後に参考資料という形でつけてございますけれども、私が今申 し上げたような認識のもとに、何とか法律によらない形でこの派遣契約の中途解除に対 応することができないだろうかということで、3月19日に与党PTから政府に対して提 言をいただいてございます。  いろいろな項目がありますんですが、この参考資料2の1の部分が具体的な提案でご ざいまして、中途解除に伴う派遣元の損害額の派遣先による賠償の確保、派遣元による 基準法の遵守及び派遣先の確保と、こういったものを指針の改正という形でやったらど うかというご提言でございます。  本日の諮問につきましては、この与党PTの提言も受けた形で政府部内で検討いたし まして、諮問を行っているものでございます。  具体的なものにつきましては、資料ナンバー2の参考の2というところ、1枚紙で指 針の改正のイメージというのをおつけしておりますので、こちらでご説明いたします。  まず、現行の派遣先指針、派遣元指針におきましても、中途解約に伴います規定が一 部ございまして、まず派遣先指針におきましては、中途解除が行われた場合には、まず 相当の猶予期間を持って派遣先から派遣元に解除の申し入れを行えと、こうなってござ います。その上で、中途解除を行う場合には、関連企業等を調べまして新たな就業機会 を派遣先で確保しろと、こうなっておりまして、これができないときには解除日の少な くとも30日前に予告して、それも行わない場合には30日分の賃金相当額についての損害 の賠償を行うと、こういう流れになってございます。  それから、派遣元につきましては、この派遣先から受けたあっせん等をもとに新たな 就業機会を確保するということと、解雇等を行う場合には労働基準法に基づく責任を果 たす、こうなってございますが、まずこのうちの派遣先につきましては、まずあっせん ができない場合に、その後に解除日の30日前に予告とありますが、これは派遣元の解雇 を行うということを前提とした規定でございまして、この指針自体が労働契約法の成立 前にできているということもございまして、そもそも派遣先で派遣の契約がなくなった からといって、派遣元で解雇ができるかどうか、これは特に有期契約の場合、やむを得 ない事由がなければ解雇をできないという規定が労働契約法に明記されてございますん で、この解雇に至る以前にいろいろやることがあるのではないか。  例えば、1年間の派遣契約を結んでおって、それに合わせて1年の雇用契約を労働者 が結んでいる。これが半年で派遣契約が解除されたと伴いますと、もとはそもそもそこ で解雇するのではなくて、残りの6カ月については、新たな派遣先を見つければそれで 結構ですけれども、できない場合は、事業主の責めに帰すべき休業に入るということで、 本来は雇用維持を行うというのが原則なんではないだろうか。そうなりますと、休業の 場合には、労働基準法上、休業手当を6割払えと、こうなっておりますので、そういっ た形での継続雇用を図っていく。  こうなりますと、仮に派遣先で派遣契約がなくなったとしても、派遣元では休業でそ の休業手当を支払うと、こうなりますので、これについて派遣先の責めに帰すべき契約 の解除に伴いますこれは派遣元での損害ではないかということで、この契約の解除につ きましては、解雇に行くのではなく、派遣元で生じた実損額、例えばこれは休業の場合 でしたら休業手当でありますし、やむを得ず事情があるということで解雇ができる場合 には、この現行の規定どおり解雇予告手当の支払い等々ありますが、いろいろな場合が ありますけれども、そのすべての場合について実際に派遣元に生じた損害の賠償を行わ せると、こういう形がいいのではないかということで、右側の改正案でありますけれど も、マル2のところの3つ目の丸のところ、ア、イとございますが、そういった形で実 損賠償の原則を書いたらどうか。  それに伴いまして、さかのぼってマル1のところでありますが、そもそもこういう契 約の中途解除については、そのときにどうするかというのを契約の最初から決めておく べきだろうということで、まず派遣契約を結び際に、就業機会を確保する、それから損 害額の賠償を行うというのをまずあらかじめ派遣契約に定めておくというような指針に 直したらどうかというご提案でございます。  それから、派遣元につきましては、同じくこの派遣契約でそういうのを定めろという こととあわせまして、まず派遣元が雇用主でありますから、派遣元が就業機会の確保を 図るというのが一番重要なことでございますので、派遣先のあっせんだけではなく、派 遣元においてもこれはポジティブに動きまして派遣先の確保を図るというのを指針に加 えたらどうかということと、それができない場合には、いきなり解雇に行くんではなく て、まずは休業、その際には労基法上の休業手当の支払いの責任を果たすということ。  あと、契約法上やむを得ない場合には解雇できる格好になりますけれども、やむを得 ず解雇しようというときには、まず契約法を守るということと、解雇予告手当等の支払 いなどの基準法を守ると、こういう形で指針を強化いたしまして、ある意味、当たり前 の民法上の原則、責めに帰すべき事由によりまして契約を解除する際にはその損害を賠 償する。それから、派遣元は雇用主でありますから、雇用契約の主体としまして雇用の 確保に努めると、こういったものを指針に追加いたしまして、これの指導を図ることに よりまして、3月末に予定されます派遣契約の中途解除等に対応させていただけないか という趣旨でございます。  ということで、ショウトウの写しではございますが、この諮問の内容の改正につきま しては、できましたら3月31日の時点で施行ができるようにご審議いただけたらと思っ ております。以上でございます。 ○大橋分科会長 本件につきましては、当分科会の労働力需給制度部会で議論していた だきたいと思いますが、特段のご質問、ご意見がありましたらご発言ください。 ○長谷川委員 質問が1点ですが、参考資料1で一番上のページに、派遣先指針に基づ く指導、941件とございまして、これは1月末までというデータをお示しいただいてい るところですが、これ現行の派遣先指針に基づいた指導の実績といいますか、だという ふうに受け取りましたが、この中で現行の指針にあります解雇予告を行わない派遣先が 損害賠償を行うに至ったような、指導の結果ですね、そういう事例がどのくらい入って いるのかわかればお教えいただきたいなというふうに思います。  それから、お示しいただいた新しい指針、改定後ということについてなんですが、参 考資料2の中で、方向性としてはきちんと契約にうたって、中途解除の場合にいたずら に派遣先が何の責任も負わないようなことがなくなるような方向性というのは、私も大 変重要というふうに思いますので、よいことというふうに基本的には思うわけです。 しかし、派遣元が派遣先に、改正後、1のマル1のア、イの事項を定めるよう派遣先に 求めるということになっていまして、派遣先はそれを受けて契約の中にそのことをうた うということになっているわけですが、そもそも派遣先との派遣契約の量も相当減って いるやに聞いております。そういう中で派遣元事業者としては、新しく派遣先を開拓す る営業をする場合に、こういうことを契約に盛り込むように求めるというのは、大変営 業上不利になるというふうに考えるのが常識的なのではないかなというふうに思うので す。まずは仕事をとってこないことには、中途解約を受けている労働者に補償ができな いというふうに考えますと、どの程度の実効性があるというふうに考えているのかにつ いて、または指導等について、これが実効性を持つような可能性を高めるための工夫が どのようにあるのかなどについて、もしお考えがあればお教えいただきたいと思います。 ○需給調整事業課長 まず1点目でありますけれども、この指導の941件の内容ですが、 これの結果どうなったかは、実はまだとっておりませんので、その結果どうなったか、 例えば損害賠償がどの程度とれたかというのは集計してございません。  ただ、これは私のいろいろな聞いたところの感触でありますけれども、どうも中途解 約する場合、特に大企業の製造業が中途解約する場合は、どちらかといえば30日前に予 告をしまして、それで30日後に解約するというケースがどうも多いと聞いておりますの で、現行の指針からしますと、予告さえしておけばその後何カ月雇用契約が残っていよ うがオーケーになっちゃいますので、それで合法になっているというようなことがござ います。どちらかといえば、指針の指導については、そもそもあっせんで就業機会を確 保しなかったと、ちゃんとやってよねというような指導が中心だったやに聞いてござい ます。  それから、もう一点の改正後の話でありますが、これは派遣元指針にこういう形を書 くことによりまして、これは全派遣元事業所がこの指針上の義務を負うという形になり ますので、その意味では、これをやる、やらないで契約上の、みんなこういう契約を盛 り込んでいただくという格好になりますので、その部分でこれをやるところの事業所の 不利というのはないかと思います。  逆に言うと、これを守らないようなアウトサイダーが逆にそれで有利になるようなこ とがないようにしなければいけませんので、委員おっしゃられたように、そこはまず私 どもの指導を行うことによりまして、すべての派遣元がこの派遣契約におきましてこう いったのを入れ込むという形の指導は、この指針をご了解いただけましたら徹底してま いりたいと思っております。 ○高橋委員 単純な質問を一つだけ申し上げたいと思いますけれども、改正指針の施行 後の話でございますけれども、指針に基づく指導なんですけれども、これにつきまして は遡及適用はない、すなわちこの施行日以降に締結された労働者契約に基づくものにつ いてのみ指導を行うという理解でよろしいかどうかをちょっと確認したいと思います。 ○需給調整事業課長 まず、派遣先自身と派遣元自身で、例えば派遣契約に入れるとい う部分は、これは施行後に派遣契約を結ぶ部分でございます。それと、あと中途解除時 にどうしろという部分は、これは今回の指針の施行後に中途解除されたものということ で、それについては、施行前に契約を結んで、それが施行後に解約されるものについて は、この指針が適用になるというものでございます。 ○成瀬委員 まず質問のほうから述べさせていただきますが、先ほどの説明を聞いてい て、この中途解除時、新たな就業機会を確保できなかったときについては、実損額を賠 償するというようなことを言われたと思うんですが、ということは、要綱を見ていても よくわからないんですけれども、契約締結時についてのこの書きぶりは、要綱の派遣元 指針で言えば1ページになりますけれども、損害である休業手当、解雇予告手当等に相 当する額以上の額について損害の賠償を行うこと、これは実損額という意味なのかどう なのか。  それで、実際にそういうことが起こった場合には、このイメージ、参考2の資料で言 うと、例えばということでアとイが並列されていて、これが、またはなのか、多いほう なのか、少ないほうなのかわからなかったんですけれども、実際に発生した損害額とい う意味なのかということについてお聞きしたいと思います。 ○需給調整事業課長 基本的には、今おっしゃられたように発生した損害額でございま す。というのは、この指針の先立つ議論におきまして、そもそも例えば解雇予告相当額 とか休業手当相当額、派遣先が派遣元へ払ったとしても、実際それで休業手当や解雇予 告手当を業者が払わなかったら、これは派遣元が不当に利得を得ることになりますから、 それはおかしいだろう。ですから、それはあくまでも派遣元がこれは基準法等に基づく ものでありますとか、民法上の契約の不履行に基づくものとか、いろいろございますが、 この派遣先が派遣契約を中途解除したことに伴いまして、派遣元がいろいろな支払いを 法的な意味で負わなければならない。それを実際払った場合に、それを損害額と考えま して、それをさらに派遣先が契約を切ったことが原因による損害でありますから、それ に賠償させようという考えでございます。  ということで、今、後者でおっしゃられましたのは、派遣先指針のマル2のア、イの 部分だと思いますが、これはあくまでも例示でございまして、実際、派遣元で休業させ た場合には、その休業に必要となった休業手当、そうではなくて、解雇を行った場合に は、その解雇予告手当とか実際に労働者に支払われたもの、休業した後で解雇をすると いうこともありますので、そういった場合には、それプラスしたものになろうかと思い ますけれども、実際に派遣元でどの程度労働者等にこの手当等を払われていたかという ことによりまして、派遣先の賠償が決まると、こういう考え方でございます。 ○成瀬委員 その上でちょっと意見を述べさせていただきたいと思いますが、今回の派 遣元、派遣先指針の改正については、一歩前進、もしかしたら半歩ぐらいかもしれませ んが、前進という意味では評価できると思いますけれども、それでもいろいろ懸念も含 めて申し上げたいと思いますのは、この参考2のイメージの資料で申しますと、これを 読みますと、労働者派遣というのが登録型派遣を前提にした書き方になっていると思う んですね。常用型派遣の場合どうするかという視点がまずそもそもないという気がいた します。  といいますのは、中途解除があったとして、もちろん新たな就業機会の確保は当然し ていただかないといけないんですけれども、新たな就業機会を確保できなくても、まず はその休業よりもさらにその前に、休業せずに雇用を維持したまま、次の就業先を見つ けるまで職業能力訓練を受けさせるですとか、あるいは派遣会社の社内でいろいろな作 業をさせるだとか、そういうことがまずあってしかるべきではないかと思うんです。そ れがここに無視されて、これができないときはということで休業になっていると。休業 もできないときは、やむを得ず解雇というふうになっているのは、そもそもいかがなも のかというふうに思います。  その上で、それも含めて申しますと、まずやはり基本は雇用を維持していただくとい うことが一番望ましいわけで、そうした場合に、これは人材派遣協会のほうで出されて いる資料ということになりますけれども、派遣料金の内訳、派遣料金のうち実際にその 派遣労働者の賃金に回る部分は7割、残りは法定福利あるいは法定外福利もしくは派遣 会社の諸経費、さらには営業利益、これらひっくるめて3割という構成になっているよ うなんですけれども、派遣会社において雇用を維持するとなれば、やはり休業手当では なくて契約の残り、つまり残存期間の派遣料金そのものをやはり丸々損害賠償額として 示す必要があるのではないか、努力義務ですから、ぜひそのぐらいはやるべきではない かと考えますけれども、いかがでしょうか。 ○需給調整事業課長 常用のことを考えていないんではないかということなんですが、 実損額の賠償というのはまさにそれも含んでおりまして、それが派遣元のほうで解雇も 休業も全くせずに、それで労働者の賃金を100%払っているということになりましたら、 それが基本的には損害額になろうかと思います。  ただ、実態としまして、先ほど参考の1でもお示ししましたが、現在の派遣契約の中 途解除に伴いますと、この中の参考1の3ページをお開きいただきますと、2万1,000 人切られているうちの休業教育訓練50人というんで、レア中のレアでございます。特に 現下で行われております製造業派遣につきましては、どうも常用といっても有期の反復 更新が多いということと、無期ですらそういう形で教育訓練等でやっているケースが極 めて少ないということで、ある意味例示としては実態に一番合った形の例示をしようと いうことで、こういう書き方にしておるということと、あと、技術派遣なんかで確かに、 本当に正社員扱いで、仕事がなくなっても全く休業もせずにということがありますけれ ども、それも聞いていますと、どんと仕事がなくなって、要するに戻ってくると人がい る場所もなくなる、教育訓練するスペースすらないというので、自宅待機せざるを得な いという実態もありますので、確かにそれは100%賃金を払いましてほかの仕事をさせ て通常のようにやるというのが一番望ましいかもしれませんけれども、とりあえず今回 のものについては、典型的なものを例示させていただいているということでご理解いた だきたいと思います。 ○成瀬委員 その上で、さらに要望ということになりますけれども、職業安定局のご見 解はわかりましたが、派遣元指針、派遣先指針の実際の書きぶりをどうするかというこ とは別にしまして、かつ今の答弁の中で、製造派遣が、実際は解雇や休業すらなく、雇 用が維持されているというケースが非常にレア中のレアだということも十分にわかった 上で、実態がそうであればなおさらやはり雇用を維持して職業訓練教育なり、あるいは そのほかの社内の仕事なりをさせることの重要性を訴えるためにも、指針の書きぶりは 別としまして、事業主向け、あるいは労働者向けの啓発のリーフレット、パンフレット 類においては、ぜひ雇用を維持することの重要性がよく強調されるような、そういうも のにつくっていただきたいということを要望しますので、よろしくご検討をお願いしま す。 ○大橋分科会長 その他よろしいですか。 ○長谷川委員 部会に落とされて部会で検討しろということなんで、それは検討するこ とになると思うんですけれども、秋からずっと続いている派遣労働者の派遣の途中解除 だとか雇いどめだとか、いろいろ派遣労働者のところで問題が起きているんですが、こ れだけなんでしょうかね。  私は、これだけ社会を非常ににぎわしたといいますか、我が国の国民に雇用の不安定 というものを突きつけた派遣労働という働き方の問題への対応が、単なるこの指針の改 正だけで事足りるのかと、本来はもっとあるのではないか。だとするならば、あえて派 遣の問題は何なのかということについて、前回の派遣法の改正、今、国会にかかってい ますけれども、それは本来はもう少し時間をかけてゆっくり議論するところを急げ、急 げと言われて、秋に終わったわけです。私はそういう意味では審議会委員として不十分 だったという認識を持っているわけで、今回は恐らく与党のプロジェクトから、足りる ところがあるからやれという、そういうふうなことで提言があって、厚生労働省は与党 のプロジェクトから提起されたものをもとに指針の見直しをしてくれというわけですけ れども、本当にこれだけなのかというところについては非常に疑問なわけですね。  だとするならば、単なる派遣元と派遣指針の話ではなくて、審議会では中途半端で終 わってしまった登録型派遣というものと常用型派遣というもののあり方だとか、一般派 遣と特定派遣というもののあり方だとか、そういうものを抜本的に見直すというような、 そういう視点が必要なのではないかというふうに思います。  審議会は言われたことだけをやればいいというわけではなくて、与党プロジェクトの 要請があって検討項目が出されたとするならば、本来は審議会委員からも発議があって、 検討項目事項が出されて、それらについても検討するというようなことがあってもいい のではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。 ○需給調整事業課長 まず、一番最後におっしゃられたのはそのとおりかと思いますけ れども、経緯を申し上げますと、まず派遣法につきましては、政府の立場からいたしま すと、法律を閣議決定して国会に提出してございます。したがいまして、今、法律の改 正につきましては、国会にお預けしているという形でございますので、基本的にはまず この国会で法律をどうするか、十分なのか不十分なのかということも含めましてご議論 いただいているというところでございますので、政府の側から法改正をさらに必要な部 分についてこの審議会に検討依頼をやるというのは立場上ちょっと今困難な状況でござ います。その中で、与党のご提言もございましたことも踏まえまして、法律以外でやれ ることを検討しまして、この指針の改正ということでお願い申し上げているというとこ ろでございます。  ただ、政府の立場と審議会の立場はまた別でございますから、これはこれといたしま して、審議会の中でこの派遣につきまして今の問題を踏まえて議論いただくということ は、これはあり得ることかと思いますので、またこの分科会より、今後といたしまして は部会におきましてご議論いただけたらと思います。  そもそも今回の派遣法の改正に至ります検討につきましても、もともとは17年に安定 分科会のほうから検討依頼がございまして、部会で検討を始めたということが、結果と して法案をつくって出しておるということもございますので、そういった形でのご検討 はこちらからもお願いしたいと思います。 ○大橋分科会長 時間も追っておりますけれども、はい、どうぞ。 ○大沢委員 今回の指針の改正について、それぞれの派遣元、派遣先の責任をはっきり させて雇用維持を図るということに関して前進したというふうには思うのですが、ただ、 現在、派遣村や、あるいは家を失っている人たちは数多くいるわけですし、そういった 人たちのすべての人たちがまだフォローできていないという状態にあると思います。  雇用保険の制度の問題がありまして、このところで見ると、雇用保険に加入している 人がほとんどだということなのですが、実際には、派遣の契約が切られると、同時に家 も出なければならなくて、住居を失っている。住居を失っているがために、生活保護も 受けられないというような問題についても皆さんご存じだと思いますけれども、そのこ とを考えますと、セーフティーネット、雇用保険の問題だけではなくて、そういうこと が実際に起きてしまったもとのセーフティーネットをどのように考えるのかということ を、それが不十分であったということの反省というのをしていく必要があると思います。 そういった実際にもう仕事を失っている人たちに対してどういったことができるのか、 どういう住居の提供ができるのかというようなことが今一番重要になってきているとい うふうに聞いておりますし、それについての厚生労働省の対応が聞きたい。  それからもう一つ、こういった指針ができているにもかかわらず、そういったことを 派遣労働者本人が知らないということがある。あるいは、ハローワークでもそういうこ とを知らずに、派遣労働者に対して対応していないというようなことも聞いております。 ですから、非常に重要な命の危険にさらされている人が今いるというような認識のもと に、ハローワークを通じてこういったことを徹底すると同時にやはりフォローしていく。 派遣で離職して、解雇されて仕事がない人の中に住居がない人が何人いるのか、そうい う人たちがちゃんと生活できるところまでフォローするために一体何が必要なのか、そ こら辺が非常に不十分だったということを審議会の中でもやはり反省して対応策を考え る必要があるというふうに思います。  厚生労働省としての対応を今何か緊急にしていらっしゃるのであれば教えてください。 ○総務課長 ただいま、住宅、生活の支援の関係でのご質問がございましたので、現在 取り組んでいる状況などについてご説明申し上げます。  今、先生がおっしゃられましたように、住宅の問題というのは非常に重要な問題だと 私どもも感じておりまして、昨年12月15日に全国のハローワークに特別の相談窓口を 緊急に開設いたしまして、離職に伴って住まいを失うという実態自体が出た方に対して の相談という形で行っております。現在、その住宅確保に係る相談件数2万8,000近く ハローワークで受けているところでございますが、その関係の手法といたしましては、 一つは全国の雇用促進住宅、既に廃止決定しているところもございますけれども、そこ も含めまして、そこを緊急にあっせんするという内容でございまして、これは3月24 日現在ですと、この入居決定件数で5,255件という数字が上がってございます。  また、労働金庫を通じまして、最大186万円の住宅確保あるいは生活支援のための貸 し付け、これは雇用保険を受給されていない方は186万円借りられるという内容でござ いますけれども、家賃補助月6万円、就職活動月15万円などを含んだものでございます。 これにつきましても、現在、3月24日現在の最近の速報値ですと、5,245件という形で やってございます。  そのほかに、社宅や寮などに離職後も引き続き労働者を居住させていただきたいとい う形での事業主への指導、それからその指導を裏支えするための助成金といたしまして、 12月9日分から遡及適用しております助成金、これ6カ月を助成期間としておりますが、 月額、地域によりまして6万円から4万円と、こういう形で行っているところでござい ます。  私どもは、この住宅、生活の支援というのは、ハローワークでの就職を、職業紹介を する上でも非常に重要な問題だという形で現在取り組んでおるところについてご理解い ただきたいと思っています。  現状の報告は以上でございます。 ○大沢委員 もう一点なんですが、そういった離職した派遣労働者に対して教育訓練を 行ってよりよい職業についてもらうような、その間にそういう教育訓練が受けられない 理由としては、生活ができないということで、なかなかそういう非正規労働者がスキル を向上できない現状にあるということに対しての厚生労働省の対応を教えてください。 ○総務課長 現在のところ、職業能力開発行政のほうで、前ありました、ちょっと従来 の名前を忘れましたけれども、月10万円ないし12万円の貸し付けをする生活保障給付と いう貸付制度を既に実行しております。また、今回の与党のPTでの提言の中でも、 それらの拡充ないしは実質的な充実というものがうたわれておりまして、今後のまた大 きな一つの能力開発と生活支援という形での大きな課題ではなかろうかと私どもも思っ ているところでございます。  以上でございます。 ○大橋分科会長 貴重なご意見、ご質問ありがとうございます。  全体に派遣先・元指針を改正することについてのご反対の意見ではないというふうに 解釈いたします。  つきまして、本件につきましては、当分科会の労働力需給制度部会でご議論いただき、 その結果を当分科会に報告いただくことにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。 (異議なし) ○大橋分科会長 それでは、そのようにさせていただきます。  次の議題のその他ですが、雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱について、 事務局よりご説明願います。 ○雇用開発課長 雇用開発課長の水野でございます。  それでは、お手元の資料の3−2、「雇用調整助成金の見直し」と書いた横長の資料 をごらんいただきたいと思います。  ご案内のとおり、去る3月23日に雇用の安定、創出の実現に向けた政労使の合意がで きたわけでございますけれども、政府といたしまして、こういった取り組みを支援をさ せていただくために、雇用調整助成金を拡充させていただきたいというふうに考えてお るわけでございます。  お手元の資料の左側が雇調金の現行の仕組みでございますけれども、これを右側にご ざいますように拡充をさせていただきたいというふうに考えておるところでございます。  具体的な中身といたしましては大きく分けて2つございまして、まず一つは上のほう の「雇用調整助成金」と書いてある部分でございます。これは従来の雇用調整助成金の 延長線上にあるものでございます。従来の雇調金は、労働者を解雇しても残った労働者 で休業等実施をして、その雇用を維持すれば助成金が支給されるわけでございますけれ ども、これをさらに拡充をいたしまして、労働者を解雇していなければ助成率を引き上 げて助成をさせていただくというものでございます。  具体的には、そこの見直し概要というところにございますように、被保険者の解雇や、 それから有期契約労働者の雇いどめ、それからあと受け入れている派遣労働者の中途解 除、これらをまとめて解雇等といっておるわけでございますけれども、こういった意味 での解雇等をしていなければ、そこの上のほうの雇用調整助成金の場合、助成率が通常 3分の2であるわけでございますけれども、そこのところを4分の3に引き上げて助成 をさせていただくというものでございます。  その下の中小企業緊急雇用安定助成金のほうでございますけれども、こちらのほうは、 同じように解雇等をしていなければ、助成率が通常5分の4のところを10分の9に引き 上げて助成をさせていただくというものでございます。  このように休業等を実施した場合に支給される通常の雇調金で、解雇等をしていなけ れば助成率を上乗せするというのが一つのパターンでございます。  もう一つのパターンは、その下の残業削減雇用維持奨励金というものでございます。 これは、そこの制度概要というところにございますように、休業等ではなくて、残業を 大幅に削減をして、それによって有期契約労働者や派遣労働者の雇用を維持したら、そ れに対して一定の助成を行うというものでございます。  支給要件といたしましては、そこの支給対象事業主というところにございますように、 生産高や売上高が減少しているということは、これは通常の雇調金と同じでございます けれども、それに加えまして、先ほどご説明しました通常の雇調金の助成率の上乗せと 同じように、被保険者を解雇等をしていないということと、被保険者等というのは、先 ほど申しましたけれども、有期契約労働者を含む被保険者と派遣労働者のことでござい ますけれども、そういった意味での被保険者等の解雇等をしていないということ、それ からあと、被保険者等の数が直前6カ月の80%以上の水準が維持されているということ、 それからもう一つ、残業時間を大幅に削減しているということ、大幅にと申しますのは、 そこにございますように、直前6カ月の平均の2分の1以上、かつ5時間以上削減して いるということでございまして、こういった4つの要件を満たしていれば助成金が支給 されると、こういうことになるわけでございます。  具体的な助成金の中身といたしましては、そこの助成額というところにございますよ うに、有期契約労働者の場合、1人当たり20万円、それから派遣労働者の場合は1人当 たり30万円、それから中小企業の場合はこれが1.5倍の30万円と45万円になるわけでご ざいますけれども、こういった額の助成金が半年ずつ2回に分けて助成をされるという ことになるわけでございます。  今申し上げました助成額につきましては、これは正社員以外の賃金額や、それから派 遣労働者の派遣料金をベースにしたものでございまして、ちょっと詳しく申し上げます と、平成19年度の賃金構造基本統計調査によりますと、正社員以外の賃金が月額19万 2,000円でございまして、これは1万円単位で四捨五入をすると20万円になりますので、 これを大企業の場合の有期契約労働者の助成額とさせていただいたわけでございます。  それからあと、同じく平成19年度の労働者派遣事業報告によりますと、派遣労働者の 派遣料金が月額28万円でございまして、これを同じように四捨五入いたしますと30万円 になりますので、これを大企業の場合の派遣労働者の助成額とさせていただいたわけで ございます。  その上で、中小企業の場合は助成額を大企業の1.5倍にするということで、有期契約 労働者30万円、それから派遣労働者45万円とさせていただいたわけでございます。  こういった助成金の額につきましては、有期契約労働者の雇いどめや、それから派遣 契約の中途解除を防ぐという、そういうことがこの助成金の目的でございますので、そ ういった助成金の目的に照らして、適正な額になるようにしなければならないというふ うに思っておりまして、そこのところは今後のこの助成金の運用状況も踏まえながらよ く見てまいりたいというふうに考えております。  それからあと、残業削減型雇用維持奨励金については、その後1年間は再度支給を受 けることができないと書いてございますけれども、これは助成金をもらい終わったら、 すぐまた残業をふやして、再度助成金をもらうといったようなことを防ぐために、こう いった仕組みを設けたものでございます。  今回の雇用維持奨励金の拡充につきましては以上でございますけれども、こういった 見直しを行うために、ちょっとお戻りいただいて恐縮でございますけれども、お手元の 資料のナンバー3−1に省令案要綱をおつけしておりますけれども、来週の3月30日付 でこの省令案要綱にございます内容の省令改正をさせていただきたいというふうに考え ておるところでございます。  簡単でございますけれども、以上でございます。 ○大橋分科会長 ありがとうございました。  それでは、ご意見、ご質問ありましたらお願いいたします。 ○野田委員代理 代理出席ではありますけれども、せっかくの場なので、若干意見と質 問をさせていただきたいと思います。  今ご説明いただいた雇調金の関係で、助成率を引き上げるという方向性については、 これは賛同できるのかなと思っていますけれども、現下の雇用情勢の中でやはり緊急的 にやっていかなければいけない施策であろうと。そういったときに、助成率を引き上げ るというものも一つあるんでしょうが、今の日額限度額、そちらのほうもやはり企業を 見た中で、限度額で結局はキャップがかかってしまうことが本当にどうなのかというこ とも少し検討してもいいのではないのかというふうにも思っていますので、その限度額 の考え方等があれば少し教えていただきたいということ。  そして、2つ目に残業削減雇用維持奨励金の関係ですけれども、これは去年の夏ぐら いから中小含めて相当景気が悪くなってきています、実態としては。もう昨年末からこ としに入って実態的に残業は減ってきているところも数多くあると。これから奨励金を 申請しようとして、直前6カ月と言われちゃうと、既にもう残業は減っている段階の数 値が出てきてしまう。もっと言えば、夏以前は順調に事業が回っていたときに比べれば 相当実態としても違うだろうと。  そうすると、使い勝手という面で、機械的にただ単に半年間見てしまうと、この経済 状況と事業の状況とマッチしないんじゃないかなというふうに危惧するわけですけれど も、その辺はお考えがあれば少しお伺いしたいなと。  あと、これも質問なんですけれども、残業削減の2分の1というのは、これは事業所 単位という理解になるんでしょうか。要は母数をどのようなくくりでとるのかというと ころをぜひ教えていただきたいと思います。  あと最後ですけれども、先ほど大沢先生が派遣の問題のところでもおっしゃられてお りましたけれども、やはり雇調金だとかこれからのこの残業削減の関係についても、相 当使ってもらいたいところは数多く私どもの中にもいると。だた、使い勝手の面ですと か、まずはこういう制度があるんだということも含めて、まだまだ周知が相当要るんで はないかなというふうに思っています。  仮にこの周知を受けてその制度に気づいたとしても、今後はその申請のやり方がとて も、言葉は悪いんですけれども、非常に複雑だということで、なかなか助成金の申請で すのでそう簡単にはいかないというふうには理解しますけれども、こういう状況に追い 込まれた中で雇用を維持しようとしている中小の経営者、そこに助成をしようというこ とであれば、やはり窓口の充実ですとかコンサルの充実ですとか、そういったものもひ っくるめた総合的な措置をぜひやるべきではないかなというふうに考えていますんで、 その点についても何かあればご見解をお伺いしたいと思います。 以上です。 ○雇用開発課長 ただいま4点のご質問をいただきましたけれども、順にご説明をさせ ていただきますと、まず1点目の助成額の上限の関係でございますけれども、これは雇 調金の助成額、これは雇用保険の失業給付の上限額に合わせた上限額があるわけでござ います。これはそもそも雇調金の趣旨、目的から来ると、どうしてもそういうふうにせ ざるを得ない部分がございまして、雇調金というのは何のためにやっているかというと、 労働者の雇用の維持なり安定を図って、それによって最終的に失業給付の抑制を図ると、 そういう趣旨、目的があるわけでございますので、そういった趣旨、目的の中で失業給 付を上回って雇調金のほうで助成をしてしまいますと、何のために雇調金をやっている のかと、そういうことにもなりかねませんので、そういった趣旨、目的からなかなか助 成額を上げるのは難しいと、そういった問題がございます。  もう一つは、ご案内のとおり、最近、雇調金の利用が本当にふえております。本当に 予想を上回るぐらいなペースでふえておりまして、月を追うごとにけたがふえるぐらい にふえているということで、そういった状況を考えますと、余り助成額を上げてしまい ますと、予算の面でもなかなか難しい状況になってしまうと、そういった問題もござい ます。  2点目の残業削減雇用維持奨励金の直前6カ月の問題でございますけれども、おっし ゃるように、非常に今回の景気の悪化が昨年の秋以降急激に生じたということで、おっ しゃることは非常によくわかるんですけれども、残業の減り方、これは業種あるいは職 種によってもかなり違いがあって、おっしゃるように相当残業が減っているところもあ れば、必ずしもそうでないところもあるというふうに思っております。  そういうことで、おっしゃる点については非常によくわかるんで、これはこれからこ の助成金を立ち上げて、運用状況を見ながら、ちょっと改善すべき点があれば、そこは 改善をさせていただきたいと思っております。  雇調金についても、昨年の12月に中小企業緊急雇用安定助成金を立ち上げまして、そ の後、同じような問題が出てきて、そこについては直ちに改善をさせていただいたとい うこともございますので、そういった問題があれば迅速に対応させていただこうという ふうに思っております。  それから、3点目の残業時間が2分の1ということを見るときの単位でございますけ れども、これはおっしゃるように事業所単位で見させていただきます。事業所の労働者 全員、それからあと派遣労働者を受け入れている場合には、派遣労働者も含めて見させ ていただくということでございます。  それからあと、最後の雇調金、それからこの新しい助成金もそうだと思いますけれど も、使い勝手の問題、これは非常に大事なことだと思っております。雇調金については、 既にいろいろなご指摘をいただいて、支給要件の緩和なり申請書の見直し、そういった こともさせていただいておりまして、支給要件の緩和をすると必然的に事業主の方に書 いていただく項目も少なくできますので、先月の6日から、支給申請書の様式を大幅に 見直しをいたしまして、おおむね従来の3分の2程度に減らさせていただいたというこ ともざいますし、それから、その後も、例えば事業主からお出しいただくことになって いる様式について、必要なことが書いてあれば、国のほうで定めた様式ではなくて、事 業所のほうでパソコンで打ち出した様式でもいいというふうにさせていただきました。  雇調金の場合は、やはりきちんと休業をやっていると、だれがいつ休業をやっている かということをどうしても確認をする必要がございますし、それからそもそもの支給要 件である事業量が減っているということも確認させていただかないと、後で不正受給で ひっかかってしまうということがございますので、そこのところは最低限確認する必要 があるということで、そこの部分はどうしてもやっぱり書類をお出しいただく必要があ るということはご理解をいただきたいというふうに思っております。  それからあと、新しい助成金につきましても、今ちょうど申請書をつくっておるとこ ろでございますけれども、そこのところはできるだけ事業主の方にご負担にならないよ うに、できるだけ簡便なものにさせていただこうというふうに思っております。  その上で、あと新しい助成金、それから従来の雇調金も含めて積極的な周知、事業主 団体等も通じた周知は積極的にやらせていただこうというふうに思っております。 ○大橋分科会長 その他ご意見ありますか。 ○成瀬委員 それでは、質問、意見、要望含めまして何点か申し上げたいと思います。  一つは、今回の雇用調整助成金、中小企業緊急雇用安定助成金の拡充、それから残業 削減雇用維持奨励金の新設ということについて、概要及び要件の中で雇用を維持するこ と、その雇用を維持の中身がさらに被保険者等とあって、括弧して派遣労働者を含むを 解雇等せずということにしたということは、従来にない新しい概念でありまして、その 点は非常に高く、現下の雇用情勢のもとで派遣切り等々問題になっておりますが、そう いう中では非常に高く評価をしたいというふうにまず申し上げたいと思います。  その上で、この残業削減雇用維持奨励金の部分ですが、助成額のところですけれども、 有期契約労働者1年1人当たり20万円、派遣労働者1年1人当たり30万円とされてお ります。これについては、先ほどこの金額の根拠ということで、正社員以外の賃金が19 万2,000円であり、派遣労働者の派遣料金は28万円であるということを根拠に引いてお られましたが、この根拠で使われているものが、そもそも前提がそろっていない。つま り、直雇用の有期契約労働者の場合は賃金を使い、派遣労働者の場合は当該派遣労働者 の賃金ではなくて派遣料金を使っているということは、これは大きな問題ではないかと いうふうに思います。  先ほどの議題の中で触れさせていただきましたけれども、人材派遣協会の調べによれ ば、派遣料金のうち、実際の賃金は約7割、残り3割はマージンといいますか、諸経費、 法定福利、法定外福利、営業利益、それら全部含めて3割という調査になっております けれども、そういうことからいうと、直雇用で雇っている場合には、当然賃金以外にさ まざまなコストがかかっているわけですが、一方では、一方ではというのは、直接雇用 の場合はそちらを無視して、間接雇用の場合にはそれら経費を含めるというのはいかが なものかというふうに思います。大臣も国会答弁等々で、直接雇用、常用雇用ですか、 その重要性ということを折々に触れていらっしゃいますが、そういう観点からすると、 有期契約労働者よりも派遣労働者1人当たりの助成金額のほうが高いというのはいかが なものか。少なくとも同等、同額もしくは直接雇用のほうが高くなってしかるべきでは ないかと思います。  といいますのは、こういうことをしますと、頑張って直接雇用ばかりで運営をしてい た会社よりも、少し前に派遣に置きかえていた会社のほうが相対的に得をするというこ とにもなりますし、この間、労働組合として派遣から直接雇用の切りかえということを 会社に訴えて、一部実現しているところもありますけれども、そういうところは派遣か ら直接雇用の有期に切りかえたがために助成金の額が少なくなるというこれまた正直者 がばかを見るような事例も出てきかねないわけでありまして、コストを見るんであれば、 やはり前提条件をそろえた上で、労働行政として直接雇用が望ましいということであれ ば、そちらに誘導するような額の設定をすべきではないかと思います。  加えて、あと要望ということで2点ほど申し上げたいんですが、要望の1点目は、先 ほど杉山委員(代理)のほうからもありましたが、雇調金の手続面の関係で、簡素化、 これはさらに一層進めていただきたいということと、あと現場からいろいろ聞いてみま すと、労働局が非常に混雑をしていて、多分申請が殺到しているからだろうと思うんで すけれども、非常に待たされるということをよく聞きます。こういう情勢なので仕方が ないとは思うんですけれども、ぜひ臨時職員等増員をしていただいて、労働局での申請 手続、申請事務がスムーズかつ迅速に進むように、既に努力しているということはわか っていますが、さらに一層の努力をしていただきたいということ。  それから、要望の2点目は、これも先ほどの杉山委員(代理)からの意見と関連する わけですけれども、雇用調整助成金の仕組みからいって、雇用保険の失業等給付の基本 日額、これを超えられないというのは、仕組み上非常にそれが妥当だというのはわかっ ています。その上での要望なんですが、きょうはちょっと雇用保険課、来ていらっしゃ いませんけれども、失業等給付の基本日額そのものを、そのものの限度額をやはり引き 上げる必要があるのではないか。これはぜひ雇用保険課のほうにお伝えしていただいて、 前向きなご検討をお願いしたいというふうに思います。  以上、意見、要望まざっておりますけれども、よろしくお願いします。 ○雇用開発課長 今1点ご意見とそれから2点ご要望をいただきましたけれども、まず 1点目のご意見のほうで、残業削減型雇用維持奨励金の助成額の問題でございますけれ ども、助成額設定の根拠は先ほどご説明したとおりでございまして、今、委員のご指摘 は、有期契約労働者のほうは賃金しか見ていないのに、派遣労働者のほうは労働総費用 で見ていると、そこがバランスがとれていないんではないかと、そういうご指摘かと思 います。それについて私どもの考え方を申し上げますと、基本的に助成金というのは賃 金をベースにして、賃金に対する助成になっている、それがまず原則でございます。そ ういうことで、有期契約労働者については賃金ベースについて助成をさせていただくと いうことでございます。  その上で、じゃ派遣労働者のほうも賃金ベースにすべきではないかと、そういうご意 見もあろうかと思いますけれども、今回の助成金は、そもそも有期契約労働者の雇いど めや派遣労働者の中途解除、こういったことを防ぐと、要するに派遣労働者の雇用の維 持を図るということが目的でございまして、そういった場合に、派遣先としては、派遣 労働者の受け入れを継続するためには派遣料金がコストとしてかかることになるわけで ございますので、そういったコストを踏まえて助成をしないと、なかなかその派遣労働 者の雇用の維持に対するインセンティブにならないということで、こういう助成額の設 定にさせていただいたわけでございます。  ただ、ご指摘いただいた点については、私ども理解できないわけではございませんの で、この助成金の趣旨、目的が、先ほど申しましたように有期契約労働者の雇いどめや 派遣労働者の中途解除を防ぐと、そういうことでございますので、そういった目的に照 らして、適正な助成額にしていくということは大事なことだと思いますので、これから 制度を運用していく中で、よくそこら辺は見きわめさせていただきたいと思っておりま す。  それから、2点目の雇調金の手続の簡素化、それから労働局の混雑の解消、これも本 当にあちこちからご指摘いただいていることで、大変重要なことだというふうに思って おります。手続の簡素化は先ほど申し上げたとおりでございますけれども、労働局の混 雑の解消、これも非常に重要なことで、かつては本当に利用が急増した労働局では、1 時間、2時間、それ以上お待たせするようなケースもあったわけでございまして、そう いったところについては、労働局の中で応援態勢を組みまして、助成金の従来の担当だ けではなくて、職業安定部の中の他の担当職員あるいは場合によっては総務部からも応 援職員を出しまして、それによって窓口をふやしまして、これで相当程度混雑の解消が できたのではないかというふうに思っております。  またあと、地域によっては、商工会議所さん等のご協力もいただきまして、集団説明 会をやって、初めて雇調金を利用される方については、やはり集団でいろいろな制度の 仕組みとか手続をお教えしたほうが効率的でございますので、そういった集団説明会を やったりとか、あるいは局によっては予約制の相談をしたりとか、そういったいろいろ な工夫をして、かつてのような混雑はなくなったというふうに思っておりますけれども、 ただ、そうはいってもまだ一部の労働局では相当程度混雑しているというところもござ いますので、この労働局の態勢整備については、さらにできる限りの努力をさせていた だきたいというふうに考えております。  それから、上限額の問題については、これはそもそも失業給付の上限額については、 毎年たしか夏に物価の状況とか、それから賃金の状況を踏まえて見直しをするというふ うに承知をしておりますけれども、ご要望の点については雇用保険課のほうに伝えさせ ていただきたいというふうに思います。 ○高橋委員 時間が超過しておりますけれども、ちょっと発言させていただきたいと思 います。  まず何よりも初めに23日の政労使合意を受けまして、このような形で雇用調整助成金 のさらなる拡充について早速ご検討いただいたことにつきまして、まず何よりも感謝を 申し上げたいというふうに思います。その上で何点かちょっとご質問させていただきた いというふうに思います。  先ほどのご説明の中で、雇調金につきまして、解雇等のところのご説明で雇いどめと いうことも入るということをご説明いただきましたけれども、雇いどめにつきましては、 契約期間満了に伴って雇いどめを行う場合が当然あるわけでございまして、それはこの 要件には抵触しないという理解でよろしいかどうかということの確認でございます。  2点目は、雇調金につきましては、被保険者等の後に括弧書きで派遣労働者等を含む というのがあります、他方、中小企業緊急雇用安定助成金のほうにはその括弧書きがご ざいませんけれども、これは全く同じであるという理解でよろしいかどうかというとこ ろであります。  3点目は、雇調金の場合、当然直接雇用契約のある方に休業をしていただくというこ とを考えますと、派遣契約を維持しつつ、直接雇用契約のある方については休業してい ただくということにつきましては、納得感の問題もいろいろとあろうかというふうに思 います。  その観点から考えますと、派遣契約を維持するために、例えば派遣契約自体中途解約 をするのではなく、契約を変更を行って稼働日数を減らすといったような場合も想定さ れるのではないかと思いますけれども、そうしたような場合でも要件に抵触しないとい うふうに理解してよろしいかどうかということであります。  それから、残業削減雇用維持奨励金でございます。これにつきまして、要件の支給対 象事業主の3点目のところでございますけれども、被保険者等の数が直前6カ月平均の 80%以上、この「等」には恐らく被保険者以外ですから派遣労働者の方が入ってくるん だろうというのが理解だと思いますけれども、この要件なんですが、やはり当然、定年 退職ですとか自己都合退職ですとか、あるいは契約期間満了に伴って当然に契約が終了 される方々というものも当然この要件の中に入ってきてしまいますので、この80%とい う数字のもし根拠があれば教えていただきたいと思いますし、そもそも趣旨からいって 2番目の被保険者等を解雇しないことという要件がありますので、果たして3番目の要 件がなぜ必要なのかということについて教えていただければというふうに思います。  いずれにいたしましても、今回、拡充していただくことになると思いますけれども、 ぜひ利用状況を見ながら、利用者の意見を十分酌み取っていただきながら、必要に応じ て弾力的な要件緩和なども検討していただければと思います。  私からは以上でございます。 ○雇用開発課長 今、4点ほどご質問をいただいたかと思いますけれども、まず1点目 の有期契約労働者の雇いどめについて、契約期間の満了については、これは当然のこと ながら解雇等の中には入りません。  それから、2点目の被保険者等の後に、雇調金のほうは括弧書で派遣労働者が入って いるけれども、中安金のほうは入っていないと、これ、すみません、ちょっと私どもの 資料の不備でございまして、中安金のほうも当然入ります。  それから、3点目の派遣契約の変更はどうなるのかということでございますけれども、 おっしゃるように、派遣契約が途中で変更されて、派遣労働者の就業日が減るというこ ともあるかと思いますけれども、それについては、一応の基準を考えておりまして、派 遣労働者の1週間当たりの労働時間が20時間、要するに被保険者になるかどうかという 基準と同じでございますけれども、そこをベースに考えておりまして、そこを下回らな い限りは中途解除されたとは見ないというふうに要領上させていただこうと思っており ます。  それからあと4点目の、被保険者等の数が直前6カ月平均で80%以上の根拠、あるい はそもそもこういった規定が必要かどうかと、そういうご質問かと思いますけれども、 まず80%以上、これについては明確な基準があるわけではございませんで、これはおっ しゃるとおり被保険者の数というのは、解雇等しないという要件があるわけですけれど も、それ以外におっしゃるように定年退職とか、あるいは自己都合でおやめになる方が いらっしゃるんで、100%の雇用の維持はあり得ないということでございまして、そこは 一つの目安として80%というふうにさせていただいたということでございます。  それで、あと、そもそもこういった規定が必要かということでございますけれども、 これはこの助成金の目的が、正規だけではなくて非正規労働者、有期契約労働者とか派 遣労働者を含めた雇用の維持を図ると、それが趣旨、目的でございますので、助成金の 支給の要件として、そこのところを確認するというのが最低限必要だというふうに思っ ておりまして、そこのところはちょっとご理解をいただきたいというふうに思っており ます。  ただ、おっしゃるように、やはりこの助成金、これから新しくつくるわけでございま すけれども、新しくできた助成金が事業主の皆様方にとって使いやすい制度にするとい うことが大変大事だと思っておりますので、そこは運用状況をよく見ながら注意をして まいりたいというふうに思っております。 ○大橋分科会長 他にご意見ありますか。 ○成瀬委員 ちょっとすみません、時間を超過している中で非常に恐縮なんですけれど も、細かい点で1つだけ。  今の質問に対する答弁の中で、1点目ですけれども、有期契約労働者の雇いどめが含 まれるのか含まれないのかという質問に対する答えで、含まれませんと言われたように 今聞こえましたが、有期労働契約、契約更新予定がない場合の満期での雇いどめは含ま れないにしても、更新予定がある場合の雇いどめについては含まれるのではないでしょ うか。ちょっと確認のためご質問させていただきました。 ○雇用開発課長 すみません、ちょっと説明が言葉足らずで恐縮でございます。そこの ところはおっしゃるとおりでございまして、ここの有期契約労働者の雇いどめについて は、その離職時の離職理由で判断をすることにしておりまして、特定受給資格者とか特 定理由離職者なる、そういう場合は、これはここでいう解雇等の中に含まれると、そう でない場合は含まれないと、そういう整理で考えております。 ○徳茂委員 時間超過の中、申しわけありません。単純な質問が1件です。  資料の3−1の要綱案のほうでは、雇調金のところの第一の一(一)の中には「被保 険者を解雇せず、」ということになっておりまして、資料2のほうでは、この横長の表 ですと「被保険者等(派遣労働者を含む。)を解雇等せず、」となっているのですが、 先ほど来から被保険者等の「等」の中には雇用保険の対象外の勤務実態の方々を指して いるというふうに受け取ったんですけれども、この要綱案のほうで被保険者を解雇せず ということですと、その方々は解雇していいというふうにも読めるんですが、そのとこ ろをちょっと解説をいただきたいんですが。 ○雇用開発課長 この要綱案の読み方なんですけれども、一の(一)は、まず被保険者 の解雇のことだけを言っていて、それ以外の有期契約労働者の雇いどめとか派遣労働者 の中途解除、こちらのほうは(二)のほうで読むことにしております。そこの「有期契 約労働者及び派遣労働者の雇用を維持する」と、そこのところで読むということにして おります。 ○大沢委員 これはすべて雇用保険に加入している正社員、非正社員を対象にしている ということですが、雇用保険に加入していない、あるいは適用除外条件を受けている人 も派遣労働者の中にいると思うのですが、それは雇用保険部会の中でも、かなりの人が そういう適用を受けていないということがありました。  そこがないと、結局、今本当に助けを必要としている人は、既にもう雇用保険の適用 除外を受けているわけなので、これは余り緊急的な対策として助けにならないのではな いかというようにも思えてしまうのですが、いかがでしょうか。 ○雇用開発課長 この助成金上、派遣労働者についてはそこは被保険者であるかどうか ではなくて、先ほど申しました週の所定労働時間が20時間以上あるかどうかで、そこで 対象にするかどうか分けておりますので、そういった観点から、なかなか20時間以上あ る方で被保険者じゃない方というのはいないかもしれませんけれども、そういうことで 整理をさせていただいております。 ○大沢委員 あと、2カ月未満の雇用とか、そういうことも関係ないんですか。ただも う時間だけで見ているということですか。20時間未満の人が派遣労働者の中で何人いる のかということ、あるいは期間労働者の中で20時間未満働いている人が何人いるのかと いう統計はございますか。 ○雇用開発課長 すみません、ちょっと今おっしゃったような統計数字は手元に持ち合 わせておりませんので、それは後で調べて届けさせていただきます。 ○大橋分科会長 その他、よろしいでしょうか。  特にないようでしたら、緊急性を要する対策でもありますし、当分科会としましては、 厚生労働省案を妥当と認め、その旨、私から労働政策審議会長にご報告申し上げたいと 思いますが、よろしいでしょうか。 (異議なし) ○大橋分科会長 それでは、報告文案の配付をお願いいたします。 (報告文案配付) ○大橋分科会長 お手元に配付していただきました報告文案により、労働政策審議会長 あて報告することとしてよろしいでしょうか。 (異議なし) ○大橋分科会長 それでは、そのように報告させていただきます。  その他、何かご意見ございますか。 ○大沢委員 いいですか。やっぱり気になるので、ここに対しての反対というわけでは ないのですが、今回の派遣切りのいろいろな状況を見ていますと、こういったセーフテ ィーネット、既にセーフティーネットを持っている人の適用の問題ではなくて、そうい ったところから外れている、つまり我が国のセーフティーネットの構造そのものの問題 が、住居を追われたり、貧困問題にかかわっているということだというふうに思うんで すね。ですから、このことで雇用保険を使って休業して、雇用維持をすることで現在の 問題が解決できるというふうに考えてしまうことは間違っていると思います。それにつ いては、別にここの部会ですべてを解決することができると思いませんが、そのことの 対策をやっぱり厚生労働省としてちゃんと立てるということを考えていただきたいと思 います。  これはあくまで意見です。 ○職業安定局長 大変重要な問題でございますので、ちょっと私からお答えさせていた だきますが、確かに従来、非正規労働者のセーフティーネットが十分ではなかったとい う認識は持っておりまして、昨年の秋以降、さまざまな形で補正予算あるいは新年度予 算、さらには今後の対策ということで拡充を図ってきたところでございます。  先ほど、今申し上げました住宅とか生活支援も昨年の12月からまさに派遣切りになっ て仕事のない人あるいは住まいのない人に対する対策を始めてきたということ、あるい は職業訓練に関しましても、雇用保険の手当のない人は訓練の手当が出ないということ でありますので、今、生活保障給付ということで、先ほど申し上げたとおり月10万、12 万というような対策を講じてまいりましたけれども、さらにこれは給付金にして訓練を 受ける方にきちっと手当てしたらどうかという提言もいただいておりますので、政府と しても至急検討、早急に検討して対策を講じたいと思っておりますし、また、雇用保険 につきましても今回の改正で非正規労働者に対するセーフティーネットの機能の強化、 審議会の提言の中でいただき、今、法改正を議論しておりまして、何とか今月中、3月 31日から施行したいということで国会へお願いしているところでございます。  そういう形での非正規労働者のセーフティーネット整備というのは大変重要でござい まして、今までもかなり対策を打ってきておりますけれども、さらにまだ十分でない点 もありますので、それは引き続き対策をしっかりと講じていきたいと考えているところ でございます。 ○長谷川委員 時間がないところをすみませんけど、今、大沢先生がおっしゃったこと は、国会の議論の中で、雇用保険の中で、衆議院の中では附帯決議がつけられまして、 それが今、参議院で議論している内容と非常にかかわるんですが、その扱い方について お聞きしたいんですが、今回の今やっている貸し付け、融資のやつを、今、国会で議論 されている制度が実際制度設計されるとなると、訓練とそれと生活給付、貸し付けから 給付になるんだと思うんですけれども、それを新しい制度としての制度設計をこの審議 会でやるのか、それとも別な何かの方法でやるのか、その扱い方をちょっとお聞きした いんですが、まだ決まっていない話ですけれども、与党のプロジェクトからそういうご 提言もされていますし、先日の政労使の合意の中でも、恐らくそのことを意図したよう なことが記載されていると思うんですが、それらの今後の扱いはどうなるんでしょうか。 ○職業安定局長 国会の附帯決議もございますし、与党の提言もありますし、政労使の 合意もありますので、今、政府部内で早急に検討しておりますので、その検討状況を踏 まえてどういう形で扱うかということをまた検討させていただきたいと思います。 ○大橋分科会長 よろしいですか。  それでは、本日の分科会はこれで終了いたします。 (署名委員指名)  どうもありがとうございました。    (照会窓口)                        厚生労働省職業安定局総務課総務係   TEL:03-5253-1111(内線 5711)