09/03/18 第11回薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会議事録 薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方 検討委員会(第11回)議事録                日時:平成21年3月18日(水)14:00 〜16:37                場所:厚生労働省17階 専用18〜20会議室                ○寺野座長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第11回「薬害肝炎事件の検証及 び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会」を開会いたします。  委員の皆様には、大変お忙しい中御出席いただきありがとうございます。  また、昨日は、虎ノ門病院の視察も行われたということでありまして、参加された皆様、大 変御苦労様でした。  本日も国会開会中で、公務で大変お忙しい中、舛添大臣に御出席いただいております。あり がとうございます。ただ、残念ながら、本日も冒頭でのごあいさつだけということになります。  では、大臣から一言お願いいたします。 ○厚生労働大臣 どうも皆さん、いつもお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうござい ます。今回で11回目ということで、薬害を二度と起こさないということで、熱心な御議論を いただいていることにお礼を申し上げたいと思います。今回もまた、是非元気で活発な御議論 をよろしくお願いしたいと思います。  前回、坂田さんの方から提案がございまして、もう少し続けたいということでございますの で、これは座長それから堀内班長とも御相談をいたした上で、来年度もこの委員会、そして研 究班を引き続き継続するということにいたしたいと思います。  研究班には坂田さん、泉さんにも入っていただいてヒアリングなどを行っていただくという形 にしたいと思います。  そういうことで、来年でも委員会を継続することになりますけれども、今年度はもう3月な ので、これまで議論いただいたことについては、次回までで一つの提言をとりまとめていただ ければというふうに思います。  そしてまた、来年度どういう運営をするか、座長さんを含めて皆さん方で御議論いただけれ ばと思います。冒頭、10分ぐらいしか出ることができませんが、どうかよろしくお願いいた します。ありがとうございます。 ○寺野座長 ありがとうございました。それでは、本日は、この委員会の提言のとりまとめに向 けた御審議ということでお願いをしたいと思います。  まず、事務局から配付資料の確認、御説明をお願いします。 (報道関係者退室) ○医薬品副作用被害対策室長 申し遅れましたけれども、高井医薬食品局長が、本日は、国会の 委員会の方に出席しておりまして、遅れてまいる予定です。  配付資料ですけれども、議事次第と座席表、名簿のほかに資料1として、提言案の資料です。  資料2として、前回の提出資料を若干加筆修正しました「医薬品行政を担う組織の今後のあ り方について」の横長の資料です。  このほか、委員の方からたくさん意見書をいただいておりますので、これを配付いたしてお ります。  意見書につきましては、追加で泉委員のものをお配りしています。あと「あいうえお」順で 大平委員、坂田委員、椿委員、友池委員、花井委員と間宮委員の連名のもの、そして水口委員、 これだけ本日はお配りをしておるところでございます。もし、不足等ございましたら、御指示 をいただければと思います。また、乱丁、落丁等ありましたら御指示いただければと思います。 よろしくお願いいたします。 ○寺野座長 ありがとうございました。それでは、議事に入りたいと思います。  まず、この委員会の運営に関しまして、前回の会議で坂田委員から4つの提案がありました。  先ほど大臣からお話がありましたとおり、まず、来年度もこの委員会は継続するということ。 ただし、今年度の議論の成果を提言としてまとめるということについては、前回の会議で委員 の皆さんの合意も得られていると思います。  本日の資料1の「はじめに」及び「おわりに」には、そのことを踏まえた記述案を事務局に 作成させております。  来年度もこの委員会は継続することになるとしまして、具体的にどのような審議スケジュー ルで、どのように開催していくかということにつきましては、これも坂田委員から今年度と同 じペースでという提案がありましたけれども、他の委員の御意見や来年度の研究班のスケジュ ール等も聞かせていただきまして、まずは、今年度末の提言をとりまとめた上で、それで具体 的にどういう形でやっていくかということを皆様と一緒に考えていきたいというふうに思っ ております。  その後、2点、事件当時の関係者へのヒアリングを行うこと。そして、研究班に被害者が参 加することについては、昨日、堀内先生の研究班会議で、既に坂田委員、泉委員も参加されて おりまして、来年度の研究計画を検討されたということでありますので、この点に関しても堀 内委員から状況を御報告いただきたいと思います。よろしくお願いします。 ○堀内委員 今、お話がありましたように、来年度も班会議を続けるということでありますので、 昨日班会議を行いまして、いろいろ来年度のことについて意見といたしました。  その前に、ついでに報告書のことも、今、話してよろしいですか。 ○寺野座長 どうぞ。 ○堀内委員 報告書につきましては、今、最後の段階で整理をしておりまして、これにつきまし ては、全体としますと、400ページ近い大部なものになりますので、そのサマリーと提言の短 いものを付けさせていただいて、それから、今年度検討してきたものについて、来年も続くと いうことで中間報告ということで、この次の最後の委員会で提出いたしますが、来週の初めま でに委員の方にはお送りしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。それをごらんい ただいて、また御意見をいただきたいと思います。   来年度につきましては、今年度、研究期間が半年間と大変短かったものですから、資料だと か文献だとか、そういう既存のものを中心に検討をしてまいりました。委員会の席でもヒアリ ングを行ってほしいとか、アンケートをやってほしいとかいろいろな御意見がありましたが、 とてもその余裕がありませんでしたので、そのようなことを中心に、今年度できなかったこと について検証を続けたいというように思います。  したがって、できるだけ今後のエビデンスを更に積み重ねるということが1つであります。 もう一つが、ヒアリングなんかをやるわけですけれども、発症からもう45年経っておりまし て、ヒアリングといってもなかなか難しい面があるかなと思いますが、最後の機会だと思いま すので、できるだけのことやりたいと思います。  もう一つは、今回のような薬害が起こった場合に、被害者にどのような問題が生じて、どの ような困難が伴うかということについて身体的な問題、精神的な問題、それから経済的な問題、 社会的な問題等について考察をしていきたいと思います。これについては途中から委員にも入 っていただきましたけれども、今回、坂田委員と泉委員に班会議に入っていただけるというこ とでございますので、この辺を中心に、今、お話がありましたようにやっていただきたいと考 えております。  班員については、従来の班員を継続するということと、更に坂田、泉班員、それから、もう 少し場合によっては増やすかもしれないということで、今、検討をしている最中であります。 それから、研究協力者も新たにもう一人加えるということで、松下研究協力者もいますけれど も、山本由美子さんという統計等ができる方について入っていただきたいと考えております。  大体そういうようなことで、もう少し詳しくいろいろな方向性を考えてみますが、大ざっぱに 言うと、その方向で考えているところでございます。 ○厚生労働大臣 では、皆さん方、よろしくお願いします。ちょっと国会に戻りますので、済み ません。 (厚生労働大臣 退室) ○寺野座長 大変お忙しいようで、申し訳ありません。  堀内先生、ありがとうございました。ということでヒアリングについては、研究班で実施して いただくということで、また、肝炎の被害者も参加されて、ヒアリングを含めて事件の検証作 業に当たるということになります。  堀内先生も、今までも肝炎の検証で大変だったんですけれども、今後ともよろしくお願いし たいと思います。  ここまでのところで何か御意見はございますか。大臣が帰られたんですけれども、よろしい でしょうか。  それでは、審議に入りたいと思います。まず、用意した資料について事務局から簡単に説明 をお願いいたします。そして、事前に送付しておりますので、5分以内で要領よくお願いした いと思います。では、事務局お願いします。 ○安全対策課長 それでは、資料1と資料2、2つにつきまして簡単に御説明させていただきま す。  資料1の提言の案というものでございますが、これにつきまして、前回の会議でお配りしまし たものからの主な修正点というものを御紹介いたします。  「はじめに」というところと「おわりに」というところにつきましては、冒頭、大臣からも 御紹介があったような継続をするということを前提にした書き方に修正をしてございます。こ の点は、その趣旨をおくみ取りいただければと思います。  主に第4の部分につきまして、かなりたくさん御意見をいただきましたので、それについて 要点を御紹介します。  これは、先週までに先生方からいただきました意見についての修正をしてございますが、直 近にいただいたものございますので、これにつきましては、更に引き続き反映させるというこ とにいたします。  字句の修正、整合あるいは語尾のトーンを強めるとか、正確にするとか、そういったことに つきましては、こまごましてございます。それはさておきまして、まず、19ページをごらん いただきたいと思います。  「(1)基本的な考え方」の(1)の最後のパラグラフの末尾に、前回まで記載しておりました 情報の過少評価、被害の実態を効果的に把握、あるいは評価に活用等の具体的な施策について は、むしろの方に記述がございますので削除いたしました。語尾は簡潔なものというふうにな っております。  次に、20ページでございます。1つ目のポツですが、ここの最後に薬剤疫学の専門家を養 成するための大学の講座の設置について触れております。  それから、21ページの「(2)承認審査」の(2)の審査手続、審議の中立性につきましては公開 の検討会についても触れて、追記してございます。  22ページ、添付文書のところでございますが、医療現場に対する注意喚起の機能、情報提 供方法等の見直しについても記載をいたしました。  それから、22ページから23ページにつきまして、効能効果、適用外使用というところにつ きましては、知見等のデータがある患者群に対してのみ、厳格に適用を絞るべきという御意見 と、医療現場の実情に応じて、柔軟に対応すべきという御意見がありまして、これは両論併記 という形で整理をしております。  それから、電子レセプト等の活用といったデータベースの関係の26ページの記載でござい ます。ここで、安全性の目的での調査研究の主体につきまして、行政のみならず研究者も主体 となるということも追記してございます。   27ページ、(4)の新たなリスク管理手法につきまして、管理手法を定めた計画の作成と見直 しについて、更に内容と経過を公表するという追記をいたしました。同じ(4)の中の製薬企業の 体制整備の評価に関する記載は削除してございます。整理をいたしました。  28ページ、(6)の必要な情報提供につきまして、質の高い情報提供とMRの育成について追 記をいたしました。  また、適用外に関する記載は削除して、適用外使用の22ページの方に集約する形に整理し てございます。先ほど御紹介した点でございます。  31ページ「(6)専門的な知見を有効に活用するための方策」のすぐ上のパラグラフにつき ましては、地方自治体の人員等について記載を追加してございます。  更に32ページ、臨床研究の点についてこれは治験のみならず臨床研究についても一貫した 形にして制度の整備ということで追記をしてございます。治験だけではなくて臨床研究も含め たという形に整理したということでございます。  33ページ以降でございますが、ここが前回かなり御議論をいただいたところでございます が、医薬品行政を担う組織の在り方でございます。  まず、33ページにつきましては、中間とりまとめの議論の整理を行い、引き続く「(2) 医 薬品行政組織の在り方について」から前回の議論を整理してございます。  34ページ、横棒で始まる項目ですが、まず、権限についてまとめてございます。  2番目の棒は、組織の財源についてまとめてございます。  3番目でございますが、これは専門性の確保という論点についてです。  4番目として、公務員制度というものについてまとめてございます。  このようにまとめまして、これらの意見を踏まえてどのような組織を目指すにせよ、共通の 課題として取り組むべき緊急の課題ということで並べさせていただいているということでご ざいます。  35ページ、緊急的な取組みとしては、当面、医薬品医療機器総合機構に100名増員すると いう体制強化について、前回も御説明をいたしましたけれども、記載をしてございます。  36ページ、(4)、監視機能について追記をして整理をさせていただいておりますが、ここにつ いては、まだ、修正中というところでございます。  資料2をごらんいただきたいと思います。  資料2の修正点、2点とも監視組織、監視機能についてでございます。27ページ、前回こ こで各委員の監視等を担う組織に関する御意見というのを、ここにまとめさせていただいてお ります。  これは一応まとめていただいたということでございますので、御確認いただければと思います。  31ページ、こちらにFDAのオンブズマンという組織がございまして、これにつきまして内 部の監査機関の例ということで御紹介させていただいています。FDAのような巨大な組織が 持っているということ、ここがどのような業務をしているかということについて、簡潔に御紹 介したものでございます。以上、資料1についての御説明をいたしました。  以上でございます。 ○寺野座長 ありがとうございました。それでは、本委員会としましては、次回、今年度の最後 になるんですけれども、30日月曜日を予定しておりますけれども、次回までに薬害再発防止 のための提言をとりまとめるという任務を負っておるわけであります。これに向けて、時間に 限りはありますが、努力をしたいと考えております。御協力をお願いしたいと思います。  前回は、ちょっと時間配分がうまくいかなかったということなんですが、できるだけ今日の うちに、今、説明がありました資料に基づきまして、一とおり議論ができるように進めていき たいと考えています。  具体的には、先ほども少し説明がありましたけれども、第1に先ほどの資料1の「はじめに」 から第3の制度改正の経過までということと、それから第5の「おわりに」というところをこ れに入れて、「はじめに」「おわりに」並びに第3の制度改正の経過というところまでを第一段 階とします。  次のステップとして、第4の医薬品行政等の見直しのうちの(1)から(6)まで議論いた します。  そして最後に、先ほどの(7)の組織の在り方ということを議論いたしまして、この3つの ブロックに分けて、それぞれ30分ぐらいずつを目安に議論を進めて、16時には終わりたいと 思っております。  それで、先ほど言いました1ブロックのところ、第1の「はじめに」から第3の「これまで の主な制度改正等の経過」について並びに第5の「おわりに」について御発言をお願いしたい と思います。  大体これが、15時ぐらいまでには終わって、次のブロックに進みたいと思っておりますの で、御協力をお願いします。できるだけ多くの方に御発言をいただきたいと思いますので、簡 潔にお願いします。この点は座長も先般御指摘をいただきましたので、できるだけ発言しない ようにして、全体の運営をしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。  それから先ほど御紹介いただきましたように、意見書を幾つかいただいておりますので、意 見書を出された方は、その場その場で、発言のときに御紹介をいただきたいと思います。これ もあまり時間はとれませんので、簡潔にお願いしたいと思います。皆さんお読みになると思い ますので、それを前提にしての御発言でお願いしたいと思います。  それでは、第1のブロックでありますが、これに関して、御意見のある方はお願いいたしま す。できるだけ簡潔にお願いします。では、小野委員からどうぞ。 ○小野委員 これは別にここだけではなくて、全体の話なんですけれども、私もすっかりだまさ れるところで、この委員会の委員はばかなんではないかと思われるところだったんで、事前に 気づいてよかったんですけれども、これは第3のところも含んでいますね。 ○寺野座長 はい。 ○小野委員 制度改正のところに第4といった、これからの機構をどうするかとか、医薬局をど うするかという話をしているのに、第3にHIVだとかソリブジンだとかで総合機構ではなく 審査センターができた話だとか、それから平成16年でしたか、総合機構がクロイツフェルト ヤコブだとかHIVの反省を踏まえてできた話とかがすっぽり抜けている、意図的に何も書い ていないんですけれども、それは何でですかということを、今までちょっとうっかりしていた んですけれども、その話なしで、第4の世界にいきなり飛び込んでいるというのは、今回、議 論が6月に急にまたさかのぼってしまって、今まで議論はなにだったんだろうとか思った前回 のむなしさにも関係してくるんですが、この人たちは全く何も考えていないんではないか、ま た思いつきを言い始めただけではないかという印象を与えてしまうおそれが強くあると思う んです。  まず、最初にどうして書かないんですかということを、意図的だと思いますけれども、どう いう意図で総合機構ができて、あるいは審査センターができて、あのとき国会なんかで相当叩 かれながらも、頑張って役所の人たちがつくった制度を、何一つ書かないのか、それが現状で すね。現状を踏まえてこの先の話があるべきなのに、そこをどうして何も書かないのかという ことについてお聞きしたいんですけれども。 ○寺野座長 では、事務局の方から、お願いします。 ○医薬品副作用被害対策室長 これは、単に薬事法改正、そういったものを中心に整理をしてき たものですから、組織に関わる制度改正のことは、確かに記載をしなかったということでござ いますので、記載はしたいと思います。「意図的に」だと決め付けられるのは、大変残念でご ざいます。あと、この資料自体は、1月以来お出ししていましたので、早目にご指摘いただけ ればよかったんですけれども、いずれにしろ、要するに「意図的に」ではなく、薬事法改正と いったものを中心に整理するという作業をしてしまっていたので、そこは漏れがあったという ことで御理解をいただければと思います。 ○小野委員 仮にそれはそうだとして、でもこれは抜けていますね。これは委員の先生方にお伺 いしたいんですが、すっぽり抜けていると思いませんかということを、一つ大きな項目が抜け て、現状ですね、ただ単に薬事法のことを書いたから書かなかったでは済まないような大きな 問題が、この報告書に穴としてあると私は思うので、少なくとも次回までで間に合うと思うん ですけれども、そこをどう書くか、どういうふうに埋めるかというのを、きちんと案を、私も 勿論出したいと思うんですけれども、いかがでしょうか。私の意見は直接言いませんので、御 議論いただきたいと思います。山口委員、どうぞ。 ○山口委員 ばかな委員の一人ですけれども、確かに小野委員がおっしゃるとおりでありまして、 私も最初のころから、今の組織がどうであって、どういう観点が抜けているのか、どういうと ころにメリットがあって、どういうところにデメリットがあるのかという、そういうところか らまず考えていかなければいけないという主張をしてきたにもかかわらず、そもそもの審査セ ンターとか機構が設立された経緯とか、そういう点も含めた組織制度に関して書かれていない ので、それは是非入れた方がいいと思います。 ○寺野座長 そのほかございますか。水口委員、どうぞ。 ○水口委員 今の小野委員の御指摘の視点を入れるのは、私も賛成です。入れる場合に「はじめ に」の1ページのところに、過去にいろいろ薬害があったけれども、それが繰り返されていて、 この際抜本的な改革が必要であるというくだりが出てくるわけで、ここを敷衍する形で。以前、 検討会に集団的な薬害訴訟と薬事法改正との関連について整理した表が出ていたと思うんで すけれども、歴史的な薬害事件と、組織再編・制度改革との関連性を意識した記述を盛り込ん ではどうかと。それはやはり御指摘のとおりにやるべきだろうと思っております。 ○寺野座長 この部分は入れるということと、夏までの前の提言のときには入っていませんでし たか。それは入れていないんですね。それは小野委員のおっしゃるとおりだと、皆さん認識し ておられると思いますので、それは入れるということで、意図的ではなかったらしいというこ となんです。  では、それはわかりました。そのほかに御意見はございますか。清水委員、どうぞ。 ○清水委員 ちょっと議論が進んでしまいましたので、蒸し返すことになるかと思うんですが、 被害の事後調査のときに、カルテの問題が相当にネックになったんではないかと思うんです。 それでここで議論すべきか、あるいはここで発信してもらったいいかと思うんですが、今、医 師法ですか、医療法ですか、カルテの保存期間は5年という形になっています。ですから、医 療現場としては、風邪でちょっと来た人のカルテまで5年保存しておく必要があるかどうかと いう議論はあるんですけれども、それはともかくとして、カルテの保存期間を5年以上に延ば す必要があるんではないか。  例えば血液製剤で特定生物製剤のものは、記録を20年保存しておけというようなことが、 今、行われておるわけなんですけれども、そういう観点から踏まえまして、5年ではちょっと 短か過ぎるんではないか。医療の現場にいる立場から、5年以上のカルテをどうやって保存し ておくか、場所の問題をどうしてくれるんだとか、いろいろ議論があることは座長もよく御存 じのこと可と思うんですけれども、その辺の議論が今までなかったものですから、どこかで取 り上げておいてもらった方がいいかと思いまして、以上です。 ○寺野座長 事務局、この議論も大事なところなので、今、これに関して御意見はございますか。  坂田委員。 ○坂田委員 私は清水委員に賛成です。というか、私たち薬害肝炎の原告は、私たちは一定の救 済を受けましたけれども、やはりカルテがない人がたくさんいらっしゃいます。私が本当に逆 の立場だったらどうなんだろうと考えたときに、やはり1年でも保存期間は伸ばしていただき たいというのが私の気持ちです。  それと、意見書の方を言わせていただいてもよろしいでしょうか。 ○寺野座長 どうぞ。 ○坂田委員 今回、意見書を出しておりますので、少しお時間をください。  今回、提出された提言書に私なりに加筆したり、削除したりしております。私の意見書を出し ていただいたら、後ろの方に坂田委員提出意見ということで載っていますけれども、まず1点 目です。  2ページの「薬害肝炎事件の経過から抽出される問題点」の中の(1)の(6)と(7)の間に適用 外使用されていたフィブリン糊が抜けています。昨日の新聞に出ておりましたけれども、厚労 省は排除する理由はないというコメントをされております。是非、加えていただきたいです。  3ページの第4のところで、(1)の(3)の後にでも治験のことを入れていただきたいと思い ます。  3番目に「薬害肝炎事件の経過から抽出される問題点」ですが、その中で6ページです。F DAによる取り消しのところです。7ページになりますけれども、ポツに、厚労省が青森の集 団感染を知ったのは、1987年、昭和62年1月だと私は言い切れると思います。今回の意見書 には添付していませんけれども、63年5月25日、生物製剤課のメモがあります。それには62 年1月、青森県三沢市の産科医により安全課に対してフィブリノゲン投与により8例中7例が 肝炎を発生したとの電話での連絡がありという形で記載されています。  何が言いたいかといいますと、厚労省が1月に連絡があって、ミドリ十字が4月に報告するま で、結局何もされていなかったということです。  今回添付しています参考資料1、前回も出しましたけれども、そのメモにも、4のところに、 一方、本年1月肝炎発生報告が云々と書いてあります。このメモは3枚にわたっておりますけ れども、加熱製剤が売り出されるまでの日程がきちんと決められているというメモになります。  4番目ですけれども、参考資料No.4です。適用外使用がすべてだめだという意見ではあり ませんけれども、フィブリン糊の件です。アンダーラインを引いておりますが、ミドリ十字は 適用拡大のため、本格的に使えと企業が進めていた資料です。1瓶5,000円が3万円になった と聞いています。本来ならば、フィブリノゲンにトロンビンを混ぜたフィブリン糊は承認を得 るのが当然だったと思います。野放しになっていたという資料です。  5番目ですけれども、私が一番言いたいことです。私が加筆修正した提言書の13ページに なります。薬事法改正のことです。  この国は何度も薬害が繰り返されてきました。だからこそ今回はきちんとそれぞれの責務を 法律に入れるべきだと思います。提言書はいつか忘れ去られるものかもしれません。ベストの 形は法律に明記する、そのことだと思います。  それと、国とPMDAだけで薬事行政はなされているのでしょうか。都道府県の役割分担が どうなっているんでしょうか。薬局の許認可、医薬品の規制、麻薬、献血推進など、地方の行 政がされています。新しい体制づくりをされるならば、きちんとそれも入れ込むべきだと思い ます。  最後の意見書として、関係者ヒアリングの必要性の意見書を出しています。これは被害者全員 の気持ちだと思います。私は、この委員会は被害者と国民のためのものと理解しております。 皆さん、是非読んでいただければと思います。  それと、前回の意見書に出したんですけれども、薬害資料館を是非つくっていただきたいと 思います。どこにつくるかなどは、今後の議論で決まっていくことになると思いますが、日本 の薬害か忘れ去られないためにも、歴史に残すためにも是非つくっていただきたいと思います。  それと、先ほど資料を見て気づいたんですけれども、今回出されている提言書の4ページのポ ツ1です。1964年の承認取得のところのポツ1ですけれども「現在の水準で見ると」という のは、是非外していただければと思います。  それと、私の加筆修正の分の9ページですけれども「2002(平成14)年に製薬企業から提 出された資料の取扱い」です。ここでよく見たらポツ3なんですけれども、最初の開示、それ は最初不開示だったんです。そこが、何かぱかんと抜けています。ですから、是非最初は不開 示だったということを入れていただきたいと思います。以上です。 ○寺野座長 坂田委員から非常に詳しい意見書が出ておりまして、それに基づいた意見をただい ま述べていただきました。最初の清水委員のカルテの保存期間の問題も含めまして、この辺り について御意見のある方はお願いいたします。  水口委員、どうぞ。 ○水口委員 賛成です。 ○寺野座長 簡潔にありがとうございました。ですから、ここの保存期間について、実際にはい ろいろ議論があるわけですが、これはどうしますか、どうぞ。 ○医薬品副作用被害対策室長 カルテ保存期間の件は、これまで御議論が必ずしもなかったので 記載してございませんけれども、今回の提言案では、30ページぐらいのところに、医療機関 の問題があります。これは今日の後半の方の議題だと思いますけれども、この辺りに論点の指 摘をするような形かなと、現在、受けとめております。  あと、今の坂田委員からのいろんな裏的な修正の提案なんかもありますので、それは昨日い ただいたので、今日の紙には反映されておりませんけれども、文章の調整をしたいと思います。 ○寺野座長 大変大事なところの御指摘でもありましたけれども、今の件に関して、どなたか御 意見ございますか。  花井委員、どうぞ。 ○花井委員 カルテの保存期間につきましては、清水先生のおっしゃったとおり、血液法のとき にも議論がありまして、なかなか当時はIT化が進んでいなかったので、紙ベースというとこ ろが前提で、ちょっと困難な感じがあって、時期尚早ということだったんですが、電子カルテ かも相当進んできて、オーダーリングシステムも大分変わってきている状況の中で、この辺で やはりちゃんと位置付けて出しておくということは極めて重要だと思います。  それから、薬事法改正にも言及すべきだというのは賛成です。カルテの方は薬事法ではない ですけれども、薬事側からそういったところを整理せよという形で出す方がいいと思います。  それから、情報公開の開示請求を1回目は不開示だったという経緯を、私も今、言われて思い 出したので、これはわざと書いていないとは思いますが、確かに1回目は開示しなかったので、 それはちゃんと書いておくべきだと思います。以上です。 ○寺野座長 そのほか、御意見はございますか。  どうぞ。 ○水口委員 まず、薬事法改正の経過を記載した部分ですけれども、改めて見ましたら、今般の 一般用医薬品の改正のことが全然書いていないんです。今まで議論してきていることは、医療 用の話を中心にしておりますけれども、過去の薬害においては、一般用医薬品で起きた薬害も ありますし、そうした教訓を踏まえて、今回、薬事法を改正して情報提供の在り方も検討した わけですから、やはりそこも改正の経過を書くのであれば、書き加えるべきであると思います。  もう一点、前書の部分、薬事法改正のことに触れるべきということについて、私も賛成です。 それと併せて、今回の提言は、要するに最終提言ではなくて、まず、現段階で提言できること をするという位置付けになっていると思うのですが、その中でも、かなり具体性を持った提言 もあり、すぐ明日からでも実行できるなら着手したらいいという内容もあるわけです。  そういう意味では「はじめに」の終わりが、何となくぼやっとした「関係者の力強い取組みよ う望むものである」という抽象的な表現になっておりますけれども、少し工夫していただいて、 速やかにできることは着手して、そして、来年度も引き続き行われるこの検討会に進捗状況も 含めて、適宜御報告いただくという趣旨の文章を書き加えていただいてはどうかと思います。 ○寺野座長 ありがとうございます。これはもっともな御意見だと思います。事務局よろしいで すね。 ○医薬品副作用被害対策室長 異存はないんですけれども「おわりに」に書くのと「はじめに」 に書くのとどっちがいいかとか、ご意見はありますか。 ○水口委員 そこまでは考えておりませんでしたが、どちらかと言えば「はじめに」の方がよろ しいのではないかと思います。こだわりません。 ○寺野座長 友池委員、どうぞ。 ○友池委員 カルテの保存期間については、確かに長ければ長いほどいいというのは理想だと思 います。ただ、実際に医療の現場を担当する者として、5年と限られているのはそれなりの理 由があると思いますので、いきなり永久保存というのは一つの提言にはなると思いますが、縛 りにはなかなかならないんではないか。5年なりの理由があるというのが1つ。  第2点は、IT化は進んでおりますけれども、病院の監査なんかに行きますと、電子カルテ が進んでいるほど出力がいろんな場所から出力しなければいけないで、従来型のカルテに比べ ますと、情報を引き出すのが大変難しい状況になっております。IT化は進んでいるけれども、 電子カルテはまだ完成していない。ですから、カルテの保存期間は、今回みたいに血液疾患に 限っては20年というふうにして、現実的な路線を取っておられるのも一つの方法だと思いま すので、いきなり長期間の保存については、いろんな方の御意見を聞いた上で実行されるべき ではないかと思います。  病院に行かれるとわかりますけれども、カルテの保管場所がないとか、保管するために10km も20kmも離れた倉庫においていって、1日で出てこないと、1週間かけてやっとカルテが届 くとか、そういう現実もございますので、そこは検討する必要があると私は思います。 ○寺野座長 現場からの御意見でこういう意見もありますので、カルテ保存についてはともかく、 この提言書の中に入れるということと、そしてこれは来年度以降もやるわけですから、その段 階でしっかり議論して、安全性だけの問題でもないかもしれませんね。そういうことでよろし いでしょうか。まず、この問題は入れるということです。  そのほか、友池委員どうぞ。 ○友池委員 先ほど御指摘いただいた「現在の水準で見ると」というのを削除という御意見がご ざいましたように、第2のところには、いろんな修飾語はあります。例えば、5ページを見て いただきますと「規制が強化されていた」とか、あるいは「収集体制は十分でなく」とか、あ るいは「整っていなかった」と、現在の目で見ればたしかにそうだと思いますけれども、私ど もの制度は御存じのように発展途上でして、最初は何もないところからスタートしています。 ですから、現在の目で見れば、たくさん見えますし、今の私どもが目いっぱいやっていること も、5年後、10年後には、ここが悪い、あそこが悪いと必ず出てくるはずです。  したがって、問題点の記載の中での修飾語の使い方については、厳密が要求されるんではない か。例えば「十分でない」とありますけれども、例えばレベル1、レベル2、レベル3、現在 の理想的な形がレベル4だとすると、そのレベルを定義した上で、当時はレベル1の段階にと どまっていたとか、そうしないと、反省することが、具体的にどういう点が問題だったかとい うのが見えてこない。十分でなかったとか至らなかったとか、評価されていなかったとかいう だけでは伝わらないんではないかと思います。ですから、修飾語の使い方と、修飾語を使うと きにはレベルを定義して、そしてどの程度の発達段階だったかということを明示する必要があ るんではないかと思います。以上です。 ○寺野座長 なかなか重要な点ですが、レベル設定で客観的に表現しろということですね。 ○友池委員 そうです。それで、6ページ目に、わずかに7例の臨床経験とございます。昭和 62年、実はこのころは東大の高橋先生は、少数例で有意差を出すにはどうしたらいいかとい う本を出しておられて、私ども、みんなそれを一生懸命読んだものです。できるだけ少ない症 例で臨床上の問題点をはっきりさせたいという意味で、今の考えでいけば、ランダム化だとか、 そのためには、最低何例必要だとか、そういう意味ではかなり科学的になっています。わずか にという表現にしても、やはりこれは不正確、当時のレベルでわずかになのか、現在の目から 見てわずかになのかということも、もしわずかにと書くんだったら、そういう検証も要るんで はないかと思います。ですから、形容詞の使い方は注意して使いたいと私は考えています。 ○寺野座長 それは認識して修正というか、できるところはしていく姿勢というか、ある程度は やむを得ないところは出てくると思うんですけれども、どうぞ。 ○泉委員 4ページの、先ほど坂田委員が指摘された(1)の(1)のポツ1のところは「現在の水 準で見ると」と書いてありますけれども、たしかこれは2回ぐらい前の委員会で、清水先生が どなたか、あちら側の先生が、当時であってもずさんであったということを発言されています。 ですから事務局はそれをきちんと議事に残しているわけですから、この書き方はおかしいと私 は思います。やはり、当時であっても、これはずさんであったということを指摘し、それに対 して反論はなかったわけですから、そのように書き直していただきたいと思います。  以上です。 ○寺野座長 そのほか、御意見はございますか。  花井委員、どうぞ。 ○花井委員 今の議論なんですけれども、今、泉委員の意見と前の意見とを合わせると、記述の スタンスの問題になって、全部論点になると思うんです。当時であってもずさんであったとい うことは、散文的には言うんだけれども、当時であってもずさんかどうかというのは、当時の 知識がどのように伝播したかという検証がないと確定できない話で、その検討はまだなされて いないという理解なので、検証は今後も続くので、ここではやはり現代の視点から見てという ところに統一しないと、確かに泉委員が言うことも可能性としてはあるし、当時でもずさんだ ったかもしれないんです。私もそうかなとは思うんですが、それを意見が出たからここでそう だとしてしまうと、検証自体が、やはり今後の検証のスタンスとの関係でぶれてしまうので、 そこは余り雑に、当時もずさんだったとしてしまわずに、まず、現在の視点からはずさんだと いうところにとどめておいた方が、次年度以降の検証をするスタンスが明確でいいんではない かという気がするんですけれども、いかがですか、泉委員。 ○寺野座長 視点ですか。 ○花井委員 視点です。視点をどちらかに統一しないと、当時でもずさんだということをこの委 員会のだれかが言って、それでここでコンセンサスを得る問題ではなくて、それは実証的な検 討なので、コンセンサスによって決定する問題ではないので、そこを混同して盛り込んでしま うと、政治的にバトルした結果の文章になってしまうので、ちょっとよくないんではないか。 そこは、合意が得られるんだったら、今の視点できれいにそろえるとか、そういう意味では、 先のわずかというのは外してもいいのかなと、そういうことです。 ○寺野座長 どうぞ、泉委員。 ○泉委員 花井委員のおっしゃった、まさにこれからの検証の中で実証が出てくるということを 踏まえれば、そのとおりでありますので、私の発言は外しても構いません。 ○寺野座長 清水委員、どうぞ。 ○清水委員 今の件なんですが、確かに現時点と、当時とではバックグラウンドが随分違うこと がありますので、例えば、6ページのわずか7例と、ここのところはできるだけ客観的な事実 は事実として記載して、でも、というような、事実は事実として、それは揺るがないと、それ に対する解釈というか、バックグランドを配慮したとか、時代によっていろんな考え方が当然 起こり得る可能性がありますものですから、事実だけは揺るがない。それに対してどう考えて 評価するか、わずかと評価する、そういう書き方であれば問題はないんではないか。  これは堀内研究班の方での報告の在り方、記載の在り方というのもそうあってほしいなと思 うわけでございまして、ですから、そういうような基本的な、今、座長が言われたように、な かなか微妙なところもあったりしますので、表現が混乱するところも、なきにしもあらずっと は思いますけれども、基本的なスタンスとしては、実はそうだったと、7例だったと、それは わずかだったというような、そういうような表現で一貫性を持たせる方が、後々のいろんな意 味での検証に役立つのではないかと思います。 ○寺野座長 ありがとうございます。水口委員、どうぞ。 ○水口委員 今の点に関連して、それにしても4ページの「現在の水準で見ると」という言葉を、 ここだけ「現在の水準で見ると」というふうに入れると、その裏返しとして、当時の水準では 問題はなかったという意味が含まれてしまうと、ほかのところには余りどの時点で、どういう ふうに見ているかというのは明記していないのに、ここだけ「現在の水準で見ると」というふ うに入れるということについては問題があるのかなと思います。少なくとも4ページの「現在 の水準で見ると」というのは、削ってよいのではないかと思います。 ○寺野座長 今、花井委員が言われた、視点でと言われたんですけれども、視点でも同じですか。 ○花井委員 なにか記憶があいまいなんですけれども、IOMの報告書には、最初に報告書自体 のスタンスを書いていたように記憶しているんですけれども、これはこの時点で、こういった スタンスで検証している。ここで書かれている記述は、こういう世界であるということが、多 分最初の方に記述があったように思うんです。ですからある程度そういう記述が前の方にあれ ば、今のところは外してもいいとか、そういう統一性が取れるんではないかと思いますけれど も、ちょっと難しいのかもしれませんが。 ○堀内委員 班会議の報告書の検証3というのがありますけれども、そこに当時の審査基準がど うであったか。それに照らし合わせて審査結果がどうであったかという記載がございます。で すから、それを参照していただければと思いますけれども、やはり視点としては、当時の審査 基準が妥当であったか。その審査基準に基づいて当然審査されるわけですから、それがどうで あったかという視点が必要ではないかと思います。  ですから、現在、審査基準から言えば、審査基準が極めて不明確な表現になっていたんだろ うと思います。当時の書類に何が必要かというのも書いてありますので、今、余り細かく話を すると、時間がなくなりますね。ですから、当時の基準で、その時点で判断をするということ が必要だと思いますが、これは基準の問題に入ってくると思います。 ○寺野座長 清水委員、どうぞ。 ○清水委員 今、IOMの話も出ましたけれども、やはり当時の事実が、当時の基準でどう判断 されたか、これは非常に大事なことだと思います。しかし、この委員会は、だから今後どうし ていくんだというところに最大のポイントがあるわけですから、現時点で見ると、それはこう いうところに問題があったから、それを改善するためには、こういう方式を取らなければだめ なんだというところにつなげていかなければならないと思いますので、事実関係と、当時の基 準というのは、それはそれで非常に大事なことですから、それはそれでいいんですが、それに 対してそれをどう評価して、将来の改革につなげるかというポイントは、どうしても必須なこ とで、それはそれぞれの事実関係に対して、現時点から見てどう評価できるのか。それをそう いうふうに評価させるためには、当時であったとすれば、こうあるべきではなかったかという、 それは非常に大事なことではないかと思います。 ○寺野座長 そのほか、この点に関して御意見はございませんか。これをどうするかということ なんですけれども、この点に関して、事務局の見解はありますか。 ○医薬品副作用被害対策室長 ちょっと、うまい工夫ができるかどうかは自信がありませんが、 1つの案としては、4ページの最初の十何行のところに何か一定の整理方針みたいなものを書 けるなら書いて、その上で、先ほど事実の部分と、若干評価的な部分とを書き分けるようなこ とで、それで、具体的な修正の意見なんかもいただいていますので、それで案を整理してみる ような努力をしてみようかと思いますけれども。 ○寺野座長 今まで、いろいろ御意見をいただいた中で、今の点はまた別の議論かもしれません が、そのほか、主観的な表現をできるだけ直して、客観的に表現してほしいという意見があり ますので、一とおり見直して、どうぞ。 ○総務課長 基本的には、評価の物差しは、当時の水準でまず評価するというのがスタートにな るというところは、よろしいわけですね。  その上で、現段階から見て評価するものと、現段階の水準で見て評価していない部分があり まして、今、室長が申し上げた整理で、きれいに書き分けができるかどうかというと、かなり 難しい作業になるのではないかと思います。  現在の水準で見た評価だと、ここはそういう目で評価していますという付加をして記述する という形でないと、どうもうまく整理ができないのではないかと思います。工夫はしてみます けれども、各委員からよく見ていただいて、お知恵を拝借したいと思います。 ○寺野座長 清澤委員、どうぞ。 ○清澤委員 これは、非常に重要ですが、難しい問題だと思います。例えば、一番今回の委員会 の問題として、C型肝炎がいつから想定できたか、当時、非A、非B型肝炎といった、それも 当時のレベルでは、まだ肝炎かどうかわからなかったとか、そのうちにいろんな情報が蓄積さ れて、どうもこれは新しい肝炎だと、そのうちC型肝炎だったと、これはそういうことからも しても、極めて、どこに視点を置くかというのは、重要なことで、今、言ったように、当時の レベル、これがその後、どういうようにレベルが変わってきているかということも、どんどん 変わっていると思うんです。ですから、客観的に表現するというのが、私は一番大事なことだ と思います。その後で、いろんな考察をするということではないかと思うんですけれども。 ○寺野座長 ありがとうございます。椿委員、どうぞ。 ○椿委員 先ほど来の議論は、そのとおりだと思うんですけれども、一方で、最終的に来年度も この検証作業が続くようでしたら、例えば先ほどの承認、現在の水準で見るとずさんなものだ ったと、例えばこの部分に関しては、現在の時点では、それで結構ですけれども、ある時点で、 もう既にこれ自身がずさんであって、それに対する対処を政策当局は行っていたと理解してい ますし、堀内先生の方の報告にも、その種の歴史的経緯はあるので、現在の時点、それからど の時点でこういうことは許されなくなったかということに関して、将来の報告、研究報告の中 で明らかにしていただければと思います。 ○寺野座長 ありがとうございます。この点、非常に重要な点なんですが、時間の制約もありま すので、先ほど事務局の方から、これも含めて一とおり見直して、そしてできるだけという限 定付きですけれども、客観的に表現したいということで、また、それもありますので、それに 関して御意見をいただくということにしたいと思います。  それでは、時間が大分過ぎましたので、今の部分に関しても、議論があれば結構ですけれど も、それから、今の意見に関して、御意見がありましたら、いつものとおりファックスやメー ルでお願いします。  それから、第4の医薬品行政等の見直しで、最後の組織の在り方以外の部分についての御発 言をお願いしたいと思いますので、ここも約30分程度という制限ですので、簡潔にお願いし たいと思います。  水口委員、どうぞ。 ○水口委員 第4の部分については、私は、具体的にここを修正していただきたいということで、 原案、修正案、その理由という形で記載して、意見を出させていただきました。  今日の配付資料としていただいた提言案の中には、私が提案したことをかなり取り入れていた だいた部分があると承っております。  しかし、今日ここできちんと議論しておかないと、この提言案の中で両論併記のままではま ずいのではないかという論点が残っていると思います。  それは、適用外使用の位置づけについての記載です。現段階では、先ほど課長さんからの御 説明にもありましたように、適用外使用の部分のところについて、委員会としての一つのまと まった見解という形ではなくて、基本的に対立する見解が記載されているといってもいいよう な状況になっておりますので、ちょっとここは提言案を出すときに、見苦しいので、どうして もまとまらなければ難しいですけれども、今日少し意見交換をしたらどうかと思います。  私の問題意識は、適用外使用を全部悪いと申し上げるつもりはありませんが、これを、一人 ひとりの医師の個別の判断に委ねるということについては、歯止めが必要であろうと考え、各 医療機関の治験審査委員会等でも客観性を担保するための手続をとるということを、この提言 の中に入れた方がいいのではないかと提案させていただきました。  治験審査委員会での基準の立て方については、それは、弾力性があってよいと思います。例 えばある一定の、これは非常に確固たるエビデンスがあって、海外では承認も取っていて、日 本人の特性を考えても、もはや問題がないというようなものについては、1回この医療機関で は、これで使っていいとしたら、毎回承認を求めるような必要がないとか、いろいろそこは弾 力的な対応はあり得ると思うんです。重要なことは、個々の医師の裁量論にすべてを帰属させ ないということなのではないかという問題意識を持っています。その問題意識がきちんと書け れば、表現はいろいろ工夫があり得ると思います。  この観点で、私は今日初めてここで、友池先生が、意見書で、適用外使用について、私より もさらに広い視野で、(私は改めて自分の限界も感じたわけですけれども)個々の医師ではな くて、医療機関単位できちんと客観性を担保するための手続をある程度考えるような方向性を 出すべきということだけでなく、それ以上に、行政のレベルでもきちんと対応すべきだという 趣旨の御意見を書いていらっしゃるので、なるほどなと思いました。その辺も含めて意見の中 にくみ入れていただければと思っております。 ○寺野座長 清水委員、どうぞ。 ○清水委員 今の御意見は、もっともだと思うんですが、頭の中には、どの程度の規模の医療機 関を念頭に置いておられるんですか。診療所で一人医者の診療所から、昨日いった300人も医 者がいるような病院から大学病院の1,000人近くいるところまであるわけですね。その辺のと ころは、数の多い方はいろいろ対応がとれると思うんですけれども、数が少ない方については、 どういうようにお考えですか。 ○水口委員 医療機関の治験審査委員会なるものがきちんと置かれている医療機関というのは、 限定されているわけですね。そういうところのカバーをどうするかという論点があって、そこ が、先ほど私が申し上げた、行政のレベルとか、もう一つ大きいレベルで、コントロールを加 えるような手立てが、やはり必要なんだと。  そういう意味では、個々の医師のレベルだけでも不足だし、個々の医療機関のレベルだけでも 不足があるというのは、まさに先生のおっしゃるとおりだと思います。重要なことは、そうい う視点を出すということです。具体的な在り方については、弾力的な対応はあり得ると思いま すが、基本的な方向性というのを、この委員会で確認ができればいいのではないかと思ってお ります。  友池先生に改めて伺いたい点もあるんですけれども、資料も出していただいています。、前 にこの検討会で議論するものについて、厚生労働省の検討会や、あるいは研究班報告等、一定 の到達点があるものがある場合には、委員に提供していただきたいということを申し上げたわ けですけれども、適用外使用についても、今の一定の議論の到達点というものを、やはり事務 局には提供していただきたいと思っております。 ○寺野座長 友池委員、どうぞ。 ○友池委員 適用外使用は、今の私たちの問題点でもあります。国内できちんとした統計的な数 値は出ていないと思いますが、私の資料を見ていただきましてもわかるように、アメリカから 出ているのがほとんどですけれども、21%〜60%にも及ぶということで、調べ方によって、い ろんな数値が出てきております。対象となる疾患によっても違います。一番多い領域は、いわ ゆる循環器領域だと言われているんですが、適用外使用で患者さんの立場に立ったときに、一 番問題になるのはがんの領域でもあります。  この適用外使用をどう考えるかは、私は、黒川先生が厚生労働科学研究でおまとめになった ものを下敷きに、少しまとめさせていただきましたので、見ていただきたいと思いますが、単 にここでも議論しなければいけないと思いますが、学会でも議論していただかなければいけな い課題だと思います。  私どもの毎日の処方の中では、処方はすべて保険診療ですので、保険診療は、それなりに適 合の基準を設けています。ですから、効能書きに沿った状況で診療が行われているはずなんで すが、経験とか、難病の場合だとか、重症者の場合、これはどうしても適用を外れることがご ざいます。  その理由は、治験では安全性を第一に臨床治験が行われますので、対象患者が大変絞られま す。ところが、治験で絞られた対象のその外側に、実は対象になる患者さんも実はたくさんお られる。承認になった途端に、グレーゾーンの方々が適用として使われるわけですね。ですか ら、効能書きに治験の結果が書かれた、いわゆる保険診療、薬事の適用の範囲と、診療から見 た場合の適用の範囲は、当然違ってきます。そこをどう埋めるかは、医師主導の臨床試験だと か、あるいは大規模臨床治験がその後積み重ねるようにして行われて、エビデンスを出すとい うことで埋められるのが現状なわけなんで、その辺にどう薬害を防ぐために切り込むかという のは、もう少し勉強させていただきたいと思いますし、ここで議論をして、何か結論らしきも のが出れば、それは学会、アカデミアに対してもそれなりの提言ができるかもしれませんので、 検討に値すると思いますが、一応、そういうふうに考えております。 ○寺野座長 掘委員、どうぞ。 ○堀委員 水口先生にお伺いしたいんですけれども、適用外使用の問題で、確かに医師の個別の 判断だけをはかる物差しというのは、確かに難しいので、ある趣旨は私も、よくわかります。  ただ、それを広く一般化するときに、実際に適用外使用の状態で利益を受けている患者さんも いるという視点がまず1つということ。  あとは、水口先生がおっしゃる、IRBもしくは倫理委員会の方で、どういう内容を検討す ることをイメージされておっしゃっているのかというところがわからないと、ちょっと議論が かみ合わない気がするんです。  というのも、今回のフィブリン糊の場合には、安全性に不幸にして問題があって、それが爆 発的に使用人数が増えたから、当然出てくる問題となってしまった患者さんも出てくるという ことなんですが、単に適用外使用すべてが品質自体に、後から見て問題があったというもので はなくて、常に何かに承認されている以上、その品質は担保されているという前提があるので、 各医療機関で倫理委員会などで審査するときに、安全性の話を主眼にして、だめだ、いいとい う議論をすることをイメージされておられるのか、あるいは第三相試験がないから、この領域 では無理だというような有効性の限界のことを議論して、いい、悪いというようなことをする べきだというふうに考えておられるのか、そこのイメージというか、そこがかみ合わないと、 委員の間で議論がかみ合わないんではないかと思うので、教えていただければと思います。 ○水口委員 私が考えているのは、有効性と安全性と両方です。つまり、今、先生は「品質」と おっしゃられたんですけれども、薬は、品質が備わっていることは当然ですけれども、対象疾 患との間でリスク・ベネフィット、有効性と安全性のバランスがどうなのかということがやは り吟味されるべき性質のものだと理解しておりますので。承認でなぜ適用を限るかというと、 その範囲でしか、いろいろな事情があるとしても、承認手続の中で有効性と安全性のバランス がとれていると判断できなかったからだというふうに理解しているわけです。  それを外れる部分というのは、有効性と安全性のバランスについてのエビデンスが明確には ないわけですから、その明確にない部分について、ある程度の客観性を担保するということが 必要だろうという問題意識です。  ただ、先生がおっしゃるように、適用外の使用といっても、ピンからキリまであるというこ とを、私もある程度承知しているつもりです。  ですから、ピンからキリまであるということを全部考慮に入れた上で、しかし、そういうこ とを考慮に入れた上で、客観的なエビデンスがある程度担保されるような使用を確保するため の手続、そういうものを志向していくべきではないか。  それには、一番はっきりしていることは、一人ひとりの医師がどう考えるかということだけ に委ねてはいけないということで、それは、病院単位あるいは病院の規模や環境によって難し ければ、もっと言えば、行政や学会などの集団的な討議ができる、客観性が保てるようなとこ ろが、配慮していけるような仕組みをつくっていくということを志向すべきだということを申 し上げているわけなんです。  その中に具体的にどういうシステムをつくっていくのが適切なのかというのは、この委員会 で細部にわたってぎろんし尽くすということは難しいだろう。  しかし、現に今まで適用外使用が薬害を生み出してきたという現実もあることは間違いない ので、この委員会が提言をまとめるときに、適用外使用について、基本的な視点をきちんと統 一的に、細部にわたって書く必要はありませんけれども、報告書の中に盛り込んでいくという ことは、やはり被害に遭われた方に対する私たちの使命ではないかと思っているわけです。  ですから、書きぶりとか、そういったことは、工夫が必要だと思いますし、堀先生が意見書 の中でおっしゃっている、医療の現場にいらっしゃる方々の悩みも私なりには理解したつもり なんですが、そういう上に立って申し上げております。 ○寺野座長 間宮委員、どうぞ。 ○間宮委員 提言の案の中に、適用外使用が突然出てきて、全然議論もされていないのにこれだ け出てくるというのは、非常に納得がいかないと思っていて、今日議論ができるということは 非常にいいと思うんですけれども、本当に素人的な発言をしますけれども、やはり薬が承認さ れるときには、この病気のこういう効能効果があって安全性が確認されたので承認しますとい うことで承認されているのであって、それが承認されたからといって、ほかの病気にも適用に なるというのは、本当に素人としては理解ができない。  堀委員がおっしゃった、品質はいいものだということが確認されたからいいんではないかと いうことですけれども、やはり対象の患者さんが各々いるわけであって、それがものがいいか らといって、全部いいかというと、それはそういうことは言えないわけであって、サリドマイ ドの場合なんかだって、やはり承認条件で安全管理システムをつくったわけですけれども、そ の対象の患者さんが、もし、若年層で、しかも妊娠可能な女性ばかりであったら、そういう承 認条件自体も、システム自体も考え直してやらなければいけないわけですから、その辺りで品 質がいいから、いいじゃないかということでもないですし、承認されたから何にでも使えるん だというのは、やはりこれからの時代としては、おかしいと思うんです。やはり、条件という のは、ある程度付けるべきであって、ただ、私もこの病気に承認されたんだから、これだけに 使わなければいけないと、ほかのものには使ってはいけない、というふうな考えではないです けれども、ただ、やはりきちんとした管理というのと、やはり情報共有で、しかも後は、いわ ゆる医療現場においての保険適用ということがあるので、そのところで実際の病名と違うもの が書かれてしまうとかということで、報告がきちんと上がってこないという状態というのがも しあるのだとすれば、それは問題ですので、そういう状態にならないような形で、使っていっ ていただきたいと思います。 ○寺野座長 堀委員、どうぞ。 ○堀委員 誤解があるようなので、議事録に残るので、明確に補足をしますが、私は別に品質に 問題がないから、どの疾患に使っていいだとか、どういう用法・用量で使っていいというよう なことは申し上げておりません。  確かにおっしゃるとおり、薬が有効性と安全性の担保の上に、いろいろな使い方がなされて いくわけなんですけれども、どうしても薬の審査の場合に、製薬企業、今は医薬品という形で いってしまっていますが、製薬企業が申請をしてきて、その結果を吟味して、有効性、安全性 がある程度担保されていれば承認して使えるようにしていくわけですが、今の医療の医学、薬 学の日進月歩の状態で、そういったシステムだけをとった医療だけで、では、現実にできるか というと、現実的にできないというか、そうあっては結局、製薬会社がつくっただけの医療で あったり、国あるいはPMDAが決めていく医療という枠組みの中だけに存在することを意味 していくわけなんです。  さっき水口先生がピンキリがあるということはわかっていらっしゃるということを聞いて 安心はしているんですが、適用外使用の中にも本当に程度があって、そういったいろいろなプ ロセスを経て承認されたもの以外の中で、いろいろな例えば海外の動向なんかを見て、目の前 の致死的な疾患の患者さんがあれば、適用外だということは十分患者にも当然説明をして、同 意を得たら使っていくという状況があるわけなんです。  別に、そういう議論と品質が安全だからいいという議論と別に結び付けてはいないんです。 ただ、たしかに、それが本当におれ様の治療だから正しいという意味になっていくんではなく て、きちんと、例えばどなたかおっしゃいましたけれども、学会なり何かのコミュニティーで もいいんですが、いろんなエビデンスレベルをいろいろ吟味して、これは確かに今の日本の薬 事の承認範囲外だけれども、妥当だというようなことを議論する場というのは、独立に私はあ ってもいいと思うんです。  アメリカなんかは、そういう意味では、民間保険がそこを認めれば、そこに対して支払って いくというところがあるし、日本も現実には、御存じのとおり、昭和55年の通知がまだ生き ていて、ある程度妥当なものであれば、実際に支払いを認めるといったようなグレーと言えば、 グレーですけれども、柔軟と言えば柔軟な運用がなされている。ただ、そこがどういう論拠で、 それに対しては保険としてもいいというのを認めるのかどうかとか、そういったところも含め て、何かそういう最新のエビデンスレベルを製薬会社ばかりの視点だとか、医師の自分勝手な 判断以外に、何か議論するような場をつくるとか、そういうのが1つあるんではないかと思い ます。  アメリカは、そういう意味では、ガイドラインというのが確かにきれいにできていて、日本 もそういうのも、それこそ製薬会社との利益相反を十分明確にした上でやっていく必要は、今 後はあるんではないかと思います。 ○寺野座長 誤解は解いておきたいということなので、そのとおりです。  大平委員、どうぞ。 ○大平委員 この適用外使用については、両論併記みたいな形で、余りコンセンサスを得た書き 方の提案になっていないというところで、それだけ意見が多いんだろうなと思うんですけれど も、私は、原則的に適用外使用について、きちんとルール化というのは必要だと思うんですけ れども、現在、自分も治療している薬とか、そういうのを考えていきますと、やはりだれのた めに適用外使用を、まず考えるかというところで、やはり患者のためにどういうふうに治療し ていくかというところの、患者優先の問題というのが、何か疎かにされているんではないかと 思うんです。  それについて、どういうふうな仕組みとか、そういうものがあって、いかに患者にいい薬を届 けられるか、そして、また安全に届けられるか、それをフォローしていくかということについ て、何か少し抜けているかなと思うんですが、それも含めて、なかなか今の話を聞いていると まとまらないところがあって、両論併記みたいな感じというか、多くの意見がまとまった形で は出てこないかなということを感じました。  ただ、やはりずっとここで言い続けていますけれども、だれのために医療を行っていくかと いうところの安全と健康を守り、そしてまた命を守っていくための仕組みをどういうふうにつ くるかということが、やはり一番基本になるので、原則的にどうなのかというところも含めて、 次回、もし、来期も続くんでしたら、そういうような形で、もっと検討を続けるとか、そうい うような形の提案に続けていただきたいと思います。 ○寺野座長 わかりました。その点は、これが来年度も続くということになりますので、適用外 使用についても、十分考えていくということです。  清水委員、どうぞ。 ○清水委員 このICOというのは、私は2つあるんではないかと思うんです。1つは、この薬 は適用外なんだけれども、使えば、何かいいことがありそうなというのが1つあると思います。  もう一つは、たまたまほかの病気でその薬を使っていたらば、合併しているほかの病気がよく なってしまったと。この後者の場合は、かなりのエビデンスというか、一例、二例のエビデン スから始まるわけですけれども、そうなっていきますと、これは適用外として、こういう症例 があったから使ってみませんかといったときに、乗ってくる場合と、乗ってこない場合とある んです。乗ってきてくれる場合には、一つのチームができて、かなりサイエンティフィックな 議論になるんですが、なかなか乗ってこられないような仕事もある、しかし、結果としてはよ かったという話もあるわけです。  一番問題になりますのは、何かいいことありそうな的の拡大というのが、今まで多くの薬害 に特に血液製剤の薬害に通じてきた道の大きな一つではなかったかなと思いますものですか ら、その辺のところをどういうように、水口委員が言われたような、そういうシステムを同様 に構築してやっていくのかということで、一つのまとまりとして提言できるんではないかと思 います。 ○寺野座長 ありがとうございます。  神田委員、どうぞ。 ○神田委員 私も水口委員の意見とほとんど同じですから繰り返しませんけれども、やはり現実 的にこういった問題が起きている以上、まとめの中にただ単に併記ということでは、やはり違 うんではないかと思います。  今、話を聞いておりまして、やはり何らかの改善が必要だと、使うためにも何らかの改善が 必要だということは、言えるのではないかと思いますので、もう一歩、次のステップに向けて の文章が1行入ってもいいのではないかと思います。 ○寺野座長 ありがとうございます。この点は事務局、工夫できますか。今のいろいろな意見を 踏まえて、どうぞ。 ○花井委員 適用外使用に関しましては、今、出尽くしたので、私の方は2名で出した意見書の 中に、私どもの意見書の4ページなんですけれども、4ページの(2)のイのポツの1の修正とし て、基本原則として、患者の理解と同意の下、医療現場における医師が期待される患者の利益 と危険を比較衡量した医学的に適切な判断により実施されるべきという理念的なものを書い ているんです。  先ほど、大平委員の意見もあったんですけれども、真に患者の利益が確保される範囲におい て実施されるべきという本文の表現についても、別に皆さん異論はなく、かつ適用外使用自体 は容認しなければならないんだということにもコンセンサスがあるということで、あとは、ど ういう形であるべきかということなので、ある程度のコンセンサスは書けると思います。  私が言いたいのは、22ページの案のポツ1、これは適用外使用な話ではなくて、能書に書 かれる効能効果をちゃんと書くのか、緩く書くのかという議論が、もう一段前にあるようなん ですが、ここがちょっと理解できないんですけれども、効能効果を明確に書くことは、あとの 段落で、厳格化すると患者に不利益があるということがあるんですが、これと適用外使用の関 係がいまいちわからない。エビデンスが出て、恐らくメーカーが出したデータとか、メーカー が治験段階でいろんなデータが蓄積され、それで有効性として確定した部分だけを能書に書く。 そうすると、メーカーとしては、本当はこっちの集団にもこれだけの効果があるんだなという 部分は、明確にエビデンスにならなかったものが、本当は聞くんではないかなという可能性と して期待されつつ、そこは記述できないまま市販に出される。そうすると、そこは適用内使用 で受けるという構成になるかと思うんですけれども、ポツの1があると、効能効果の記載自体 が厳格にし過ぎることは、ちょっと問題があるという記述になっているので、こことの関係性 がどう整理されるのかというのがわからないんですが、どうなんですか、事務局なのか、この 意見を言われた方なのか、教えてほしいんですけれども。 ○寺野座長 事務局、これに対して意見はありますか。 ○安全対策課長 事例がかなりいろいろあるものですから、適切なものが、これというふうにず ばりはまるかどうかというところもちょっとあるかもしれない。  ただ、ここで挙げているケースとして、この案文を考えている中で、例えば抗がん剤の場合 の、何とかがんと書いてある。ただ、そのがんが実際には手術した後に、一応がんはなくなっ ているんだけれども、術後補助療法という格好で使われるというのが、これは病名としては、 何とかがんという病名が付いたままなんですけれども、やはり状態としては大分違う。  ですから、当然使っている薬の期待している効果なども実は違うんではないかという話があ るということなんですが、それは現在の表記の中では、そこを峻別して書くかどうかというこ とについては、国際的に見ても余り走行ストリクトに仕切れていない部分があるというような 話だったりする、こういうところに関しては、どっちでやるのかということについて、かなり 議論が分かれている。  それで、実際に使用上の注意という承認されている効能効果以外の部分に、アジュバントで の使用について情報が十分ではないということの記載をしているところ、こうしたことに関し て御意見があったというふうに理解します。  この辺りの部分は、どちらにするべきか、ということについて、なかなか決め手を欠いてい る部分であって、相当苦労しているところであります。その点が、現状の非常に苦労している ところが、そのまま表現に表われているというふうに、私は理解しています。 ○寺野座長 どうぞ。 ○花井委員 わかりましたけれども、この委員会として、ポツ1で、こういう両論みたいな角度 を書くと、その後の適用外使用の議論の基礎とても、相当わかりにくくなるんですけれども、 何かうまい整理がないんですかね。 ○安全対策課長 御指摘のとおり、確かに2つ並べると、適用の中と外というところの関係が、 非常に不整合になっているというか、あいまいになっているところというのが、はっきり見え てしまっているということだと思いますので、やはりもうちょっと論点を整理して、工夫をし たいと思います。  問題の性質は、やはり承認内容をストリクトにしてしまうと、その外側に出てくる部分、た だし、出現作用とか、そこまでやられているデータから類推されるような部分がある。これに 関して使うということに関して、これは恐らく適用外で使うということについて、今、広げら れた議論と本質的には同じではないかと思いますので、それを患者の利益を考えて、使えるよ うにすることが必要であるという、そういう視点からしますと、本質的には同じところだと思 いますので、それを基本にして文言上の整理をもっと工夫させていただきたいと考えます。 ○寺野座長 友池委員、簡潔にお願いします。 ○友池委員 簡潔にならないかもしれませんけれども、今、最後に言われましたように、もう一 度注意しておいていただきたいと思います。なぜかというと、例えば、今、実際の薬剤にしろ、 器材にしろ、適用は大変厳しいんです。ちょっとでも外れると、それは全部査定に関わります ので、病院は適用外使用ができない状態になっています。  患者さんの状態を見て、これを使わなければならないというときは、これはいわゆる高度先 進医療だとか、あるいは医師主導の治験に持ち込んで適用を拡大する方向で私たちは作業をし ています。  ですから、適用外使用を大手をふるってやっていいんだということは、到底ここでは書けな い。日本は法治国家ですから、医療の現場では、物すごく厳密にチェックがありますし、適用 外使用は、100%できない。それほど、今の審査機構は厳しくなっています。  ただ、患者さんの状態あるいはほかに治療がないときには、どうにかして理論的に、この薬剤 は効くから使えるんではないかと、医療の現場では考えるわけです。  それに対して、高度先進医療だとか、医師主導治験とか、いろんな仕組みが現在用意されて います。ですから、その辺も含めて書いていただいていた方が、私はいいと思います。  花井委員も、いともたやすく医者が簡単に適用外使用をしているように御指摘ですけれども、 そんなことはございません。審査官も、それを見破れば、ペナルティーが付きますし、できな いのが、現在の医療の現場です。 ○寺野座長 水口委員、どうぞ。 ○水口委員 この論点については、私は意見書を出させていただきました。私の意見書の4ペー ジの8のところに、修正案という形で、2月27日に配られた案に対する修正案という形で、 原案に対して修正案、その理由というふうにして書かせていただきました。  ただ、今日配付されている文章は、私の修正案とはちょっと違うニュアンスを含む表現になっ ておりますので、また、ほかの方の御意見で、そういう文章になさったのかもしれませんけれ ども、適用外処方の問題の前には、何が適用の範囲かということをはっきりさせるということ が当然前提になってくるわけですけれども、どこが適用の範囲なのかということが一義的に明 確でない適用設定の仕方が、現在、行われているのではないかということが、私の問題意識で す。  そのことは、ここは、薬害肝炎の検証委員会ですけれども、薬害肝炎の場合の低フィブリノ ゲン血症という、わかるようでわからない適用症の設定が実際問題として、いろいろな広範囲 の死を招いたというのと全く同じとは申しませんけれども、共通する問題点を含むのではない かということで提案させていただきました。  長くなるので、理由は余り申し上げませんけれども、例えば審査報告書で、セカンドライン しか臨床的有用性が認められていないというふうに書いているんだけれども、適用はセカンド ラインというふうにははっきりかかないと、そして使用上の注意でファーストラインにはエビ デンスがありませんよという書き方をするというスタイルを私たちの国ではとっているわけ です。  こういう点についての問題意識がその背景にあります。なぜかというと、こういう書き方をし て、実際に医薬品被害が起きたときに、あいまいな適用の書き方をしていることがあえて奇貨 として、と申し上げますけれども、場面場面で説明を変えるわけです。  例えば、今のようにしている場合には、適用症としてはファーストラインを排除しないわけ で、当然に最初から予定しているわけですけれども、被害が起きたり、いろいろ問題点が指摘 されると、いやいや問題はあるけれども、これはセカンドラインの薬ですからというふうに厚 生労働省が検討会で御説明をなさったりする。つまり、どうにでも場面によって、説明を変え ることができるようなわかりにくい適用の設定になっているということを問題意識として、根 底において提案はさせていただきました。  でも、その問題を離れたとしても、適用外処方云々の話をする前提としては、何が適用の範 囲なのかということが、一義的にわかるような適用症の設定の仕方が必要なのではないかとい う問題意識を持って修正意見を述べたという次第です。  とりあえず、経過については、御説明させていただきました。 ○寺野座長 適用外使用については、いろいろ議論があると思うんですが、いずれにしても続け て議論しなければいけない。それを含めるような表現を考えてください。堀委員、適用外使用 については、これを最後にします。 ○堀委員 補足というか、追加の意見なんですけれども、私も例えば、事前に計画的にできる治 療で、それなりにリスクも伴う治療で患者さんに使う場合には、それは水口先生がおっしゃる ようなIRBとか倫理委員会なのか、あるいは学会としての指針とかなのか、そういう各論は ちょっと置いておいたとしても、そういう計画的な議論をするというのは、別に賛成なんです。  先ほど友池先生がおっしゃったような高度先進医療だとか、医師主導治験だとか、確かに枠 組みはあって、そういうものも事前に計画できるもの。例えば、私の実際にやってきた領域で 言えば、骨髄移植の中での適用外使用で、どうしてもウイルス感染のために必要だとか、あと はがんの治療で、今の日本ではこれはまだ治験中とか、あるいは海外では申請されているけれ ども、日本で申請されていないから、この薬はこの病気には使いましょうというルールを事前 につくっていくとか、そういう可能なものというのは、質を高めるために、私は別に大いにや ればいいと思うし、やるべきだとは思っているんですが、中には、実際に保険で切る、切らな いといっても、余りにコストが安くて、適用外使用云々の問題に出てきていないような薬剤だ とか、あとは恐らく鎮痛剤なんか、アスピリンとかルキソニンとかはいい例だと思うんですが、 適用外かどうか、だれも気づいていないようなものまで、現実にはいろいろあるわけで、計画 的にできるものと、そうではなくて、緊急的に使うだとか、そういった余りにもいっぱいにな っているものだとか、そういうところを分けて、後者の分まで事前に委員会でかけてとか、コ ンセンサスを取ってとかとやっていると、実際の医療の現場は回らないということだけは、ち ょっと補足をしたいと思います。 ○寺野座長 ありがとうございます。この問題は、先ほど言いましたように、また、継続して議 論しなければいけないし、安全性だけの観点から言えるかどうかわかりませんので、一応、そ ういうことが来年度以降の議論をする必要があるということも含めて、その辺の表現を事務局 にお願いしたいと思います。  この第2ブロックについて、ほかによろしいですか、時間がもうなくなってしまったんです けれども、間宮委員、どうぞ。 ○間宮委員 意見書も出しているんですけれども、それに書き切れていないというか、少し漏れ てしまったところを言いますけれども、個人輸入のところで、まず、薬監証明等により、使用 する量という数量だけのことを書いてあるんですけれども、実際に使用実態というのを把握す るべきなので、使用実態も把握するということを書いていただきたいということと、これは提 言が出てすぐやっていただきたいんですけれども、前から言っている話ですけれども、早急に 電子データ化していただきたい。それによって使用実態等を把握していただきたいというとこ ろです。  それから、広告のところなんですけれども、前に私が意見を言ったことから、大分変わってき てしまって、MRがみたいな話になっているんですけれども、企業がなんです。広告とか宣伝 するのは企業ですから、MRが勝手にやっているわけではないので、これは主語を企業にして いただきたいというのと、適用外使用だけでの話ではなくて、適用症についても、やはり患者 に対してのマーケティング手法ですとか、あとはテレビCMなんかについても、私から見れば、 ちょっと行き過ぎのような状態も感じられますので、この辺りの書き方というのは、変えてほ しいというところがあります。  あと、教育のところで、薬害も含むというような、教育のところで、初等、中等教育のとこ ろで、薬害を含むと書いてありますけれども、薬害を含む医薬品との関わりということではな くて、薬害を学ぶことによって、医薬品との関わりを勉強するんだということで書いていただ きたい。  平和を教えるときには、やはり戦争が起きて、何で戦争がいけないのかということを学ぶわけ であって、環境破壊ですとか、環境の保全というのは、やはり公害とかそういうものが起きて、 そういう問題があったからちゃんとしなければいけないんだという話をしつつ、勉強を教える わけですから、医薬品との関わりというのは、やはり薬害なくして語れないと思いますので、 その辺りは、少し書き方を変えていただきたいと思います。 ○寺野座長 ありがとうございます。事務局、よろしいですね。  高橋委員、どうぞ。 ○高橋委員 私の方から、一応、30ページのところの医療機関の取組みの強化のところについ て、一か所お願いをしたいと思います。  今、プッシュメールの加入について、積極的に勧奨するなど、行政から強力に働きかける討 論を行う必要があるというような記載があるんですけれども、この記載では甘いんではいない かと思っています。  今、現実、1万8,000件ぐらいの登録だろうと思います。それも医療機関のほかに、企業も 含めた登録件数というところですので、2万件以上、22〜23万件の医療機関に送付している DSUの送付の数からすると、1けた以上も少ないというようなことです。  これについては、一応、安全管理責任者に登録の義務づけをするくらいのことで、是非お願い をしたいと思っています。  以上です。 ○寺野座長 事務局の方、これぐらいの少し強い意見でやるべきだということなので、よろしく お願いします。  そのほか、よろしいでしょうか。  大熊委員、どうぞ。 ○大熊委員 ここのどこに入るのか、ぴったりするところが見つからないんですけれども、レセ プトのデータの活用のことがしきりに書いてあるんですけれども、その活用以前に、御本人に 渡すということを、きちんとここで奨励するような書き方をしていただきたいと思います。  レセプトのデータを、昨年1月中医協の公聴会では、肝炎の被害者の方がそのように医薬品の 正式名称も含むレセプト情報を記した医療費明細書を全患者に無料で発行するようにという ことをおっしゃっていて、まだ、それが全面的には実施されていなくて、国立の高度医療セン ターは、舛添さんのご指示で実施しましたけれども、それを全医療機関に広げていく。  これは、先ほどのお薬の教育という意味でも効果的で、やはりおうちの中にそういうものがあ れば、それをもっていらっしゃいといって、子どもたちに教育することもできると思いまして、 昨日、内閣府の検討会でも、要らないといった人以外には、レセプトを自動的に提供するよう にということが書き込まれたというところでございます。よろしくお願いします。 ○寺野座長 ありがとうございます。堀内委員、どうぞ。 ○堀内委員 22ページに添付文書の在り方というところがありますけれども、添付文書の在り 方についてはいろいろと議論があるところですので、来年度以降でもいいんですけれども、製 薬企業については、最新の知見を反映するように義務づけるということになっているんですけ れども、クリティカルな内容については、公的な確認手続を明確にすべきであるという、ちょ っと難しい表現の仕方になっていると思いまして、できれば、この間の検証の中で、やはり添 付文章に不適切な表現がたくさんあって、それが医療機関に十分危険性というか、それが伝わ らなかった一つの要因ではないかと思いますが、それは、製薬企業は当然ですけれども、製薬 企業と行政と両方が責任を負うようなニュアンスにも少しならないかと、表現の仕方をちょっ と御検討いただければと思います。 ○寺野座長 小野委員、どうぞ。 ○小野委員 9番の個人輸入のところなんですが、今後どういう薬害が起きるか、オッズをかけ たら多分No.1がこの領域だと思うんです。海外からだだ漏れでお薬が入ってきていて、厚 労省は全く把握していない。事実上、把握していない。それから、お医者さんもそこをコント ロールされていない。  先ほど水口先生がコントロールと言いまして、コントロールすることに、私は疑問もありま すけれども、しかし、コントロールという意味では、ここなんかははっきりわかりやすくやっ ておかないと、また、これも委員会、何をやっていたのと、次に何か起きたときに必ず言われ るところで、ここに関しては、例えばバランスを取りながら、実際に使っている患者さんがお られるわけだから、例えばコンパッショネートユースなんて海外でやっているのを真似すれば いいような制度を導入すれば、厳しくする方向と緩くする方向のバランスを取りながら先にう まくいける領域なんですが、今回のこの記載は基本的に今以上何もしないということなんです けれども、これは厚労省としてはこれでいいと、だだ漏れ状況は、今、私が言ったから明らか になったわけではなくて、皆さんも知っていますね。これについてはどう考えているか、ちょ っと意見をお聞きしたいんですが、これを見逃していたと言われるのはしゃくですから。 ○寺野座長 事務局の方、どうですか。 ○監視指導・麻薬対策課長 だだ漏れかどうかは別といたしまして、先ほど間宮委員からいろい ろ御意見をいただきまして、本当にありがとうございました。どこまでコントロールというか、 把握というか、管理というか、どういう言葉が適切かはわかりませんけれども、最近の例では、 例えばサリドマイドに係るスマッドというシステム、これを構築いたしまして、薬監証明なん かをこれとリンクさせるような形のものなんかが、一つの例として、最近モデルとして出てき たのかなと思っております。  コンパショネートユースの在り方なんかとも絡むようにも私も考えておりまして、そことの 絡みの検討になるのかなと個人的には思っております。 ○小野委員 今回は何も触れないと、何か検討していないように言われると、我々が手落ちがあ ったように思われるので、何か一言触れるべきだと、私は思います。 ○寺野座長 その点、可能な表現を考えていただいて、よろしいですね。では、この点で最後の 御意見で大平委員。 ○大平委員 3点ありまして、教育の件につきましては、薬害教育というのは大変重要なんです けれども、それ以前に、医薬品の消費者教育という形で、本当は、小さい小学校、中学校なん かは、添付文書の読み方とか、そういうのはまた難しいのかもしれませんけれども、薬の効能 とか、そういうものを、もう少し平易なところで教えるということ、これは今後の医療の関わ り方とか、そういうことについても関係する問題なので、是非、そういう観点から取り上げて いただき、そしてまた薬害教育というのは、きちんとそれなりの位置付けをやっていっていた だきたいと思います。ですから、ここは割と教育ということで、結構人材の確保と育成という ところで書かれているんですけれども、その対象者としての子どもたちとか、そういう者につ いても、ある程度少し、何か分けた形というか、そういうのが必要なのかなと思ったので、も し、できれば、そこを整理して、教育というような項目で、何か1つ、2つ分けて書き分けて いただければ、わかりやすいんではないかと思いました。  あと、今の個人輸入の問題は、小野委員の言われることももっともで、私なんかもいろんな ところのお話を聞きに行ったときに、日本ほど個人輸入にルーズなところはないということを いろいろ御指摘は受けるんですけれども、実態は余りよく知らないものですから、そうなのか なと考えておりますけれども、ただ、医薬品はピンからキリまであると思うんですけれども、 本当に個人輸入がいっぱい入っていて、アメリカなんかですと、海外から輸入する場合にはリ ストをきちんと提示するとか、これは私が確認したことではないので正確かどうかはわかりま せんけれども、ある程度のコントロールというか、把握ができているとお聞きしました。  ですから、今後、研究輸入ですとか、いろいろな形で制度的に準備されていく中では、きち んとそれを将来的にもっと安全な輸入の仕方とか、そういうものも検討していくことというこ とは、ここに触れていただければありがたいかなと思いました。  もう一点は、救済の問題につきまして、救済は割と前からも指摘があったんですけれども、 少し短くまとめられているんですけれども、もう少し今後の治験とかいろいろなものも含めて、 拡大した医薬品の使い方とか、そういうのが出てくる場合に、救済の在り方についても、幅の 広い取組みというものをどういうふうに検討していくかというところには、少し触れていただ きたいと思いました。  ですから、今の現行制度の中ではなかなか難しい点もあると思いますけれども、今後はいろ いろ製剤の使い方または医薬品の在り方なにかを考えていきますと、救済というのが、いろい ろなランクでランク分けをするとか、いろいろな形で準備されていく、整備されていくという ことが、薬を使う方にとっては信頼を得ていくんではないかと思いました。 ○寺野座長 時間がだんだんないんですが、本当に簡潔にお願いします。  泉さん、どうぞ。 ○泉委員 個人輸入のことに関して、事務局にお伺いしたいんですが、当該データを公表すべき であると書かれていますが、厚労省が把握できるデータと、財務省しかわからないデータとい うのがあるはずなので、そこはどういうふうに検討されるおつもりでいるのか、それともそこ は手つかずの状態なのか。  御存じのように、個人輸入は税関を通して個人で1か月単位ぐらいでしたら、薬監証明がなく ても入れられる場合があります。  こういう場合は、厚労省が把握できないですね。税関も統一HS番号でしか把握していませ んので、薬の名前では把握できないと思うんです。そういうことを、今後、どうするかという ことと、それから病院関係の方に、どのような場合にこういうことを使うかというアンケート を取ったことがあるかどうか、それはどうでしょうか。麻薬対策課だと思うんでけれども。 ○寺野座長 どうですか。答えられる範囲でお願いします。 ○監視指導・麻薬対策課長 税関当局は恐らく取っていないのではないかと思います。個人限り で通れる量であれば、個人のまさに使用の話になります。  我が方は、薬監証明を出した分は、薬監証明のデータとして持ってございます。これは事実で す。 ○泉委員 ということは、全体の把握にはならないですね。 ○監視指導・麻薬対策課長 全体というのは、個人の・・・。 ○大平委員 個人といっても、いわゆるサプリメントのような個人ではなくて、抗がん剤のよう なものであっても、場合によっては、そういうものがあるということを聞いておりますので、 一度医療機関を使って入ったものが、上手に税関を通して入れるというケースもあるというこ とであれば、その把握を今度はどうやってしていくかというのを検討していかなければいけな いのか、それを考えていただければと思います。 ○監視指導・麻薬対策課長 医師が患者のために使うということで輸入されるのは全部薬監証明 が要りますので、当然把握していますが、患者さん本人が自分のために、例えば1週間こっき り分で使うというのであれば、それはデータとしては取っておりません。日本に外国から未承 認のものが入ってくる全部をトータルで本当に把握しているかですが、それはありません。 ○寺野座長 坂田委員、本当に最後ということで、お願いします。 ○坂田委員 健康被害救済制度について、私はPMDAを視察した際、本当に素人だからなんで すけれども、こういった制度があるのも、全く知らずに、パンフレットで初めて知りました。  先日、熊本の調剤薬局の薬剤師さんから、こういった制度があるけれども全然救済されないと、 実際に聞いたもので、調べてみたら毎年1,000人ぐらい申出があって、実際に救済されている のは、30人〜40人ということを聞きました。ですから、周知徹底も勿論なんですけれども、 対象範囲というのも考えていただいて、これも是非検討していただきたいと思います。  あと、事務方にお願いなんですけれども、目次が書いてありますけれども、その横に、とこ ろどころでいいですから、何ページというのを入れていただけないでしょうか。ぱっと言われ たときに、見返すときにとても便利だと思いますので、よろしくお願いします。 ○寺野座長 それでは、この部門は終わりにしまして、最後のブロックで、組織の在り方という ことについて御発言がありましたら、どうぞ。 ○医薬品副作用被害対策室長 済みません、今の1,000件で30件というのは、多分数字の見間 違いかもしれないので、ちょっと機構から説明させたいと思います。 ○医薬品機構 昨年度は、支給、不支給の決定をしたのが855件ありまして、そのうち支給決定 したのが718件でございます。 ○寺野座長 では、最後の組織の在り方、余り時間はないんですが、15分から20分までに終わ りたいと思っていますけれども、時間がぎりぎりになってきまして、夏までに大変議論の多か ったところでございますけれども、これについて、まず大熊委員。 ○大熊委員 すごい簡単なことで、二言入れてほしいということです。済みません。  20ページの下の方なんですけれども、薬害教育医薬品評価教育のところで、薬害問題や医薬 品評価に関してというところに、薬の複合作用という、もっといい言葉があったら入れていた だきたいのと、医療に従事することになる者及び既になった者と入れていただきたいと思いま す。  具体的には、極めて近しいものが、ペースメーカーが必要な状況になって、大きな病院に行 きましたところ、2つお薬を抜いただけで、歩けるようになったわけで、つまり恐ろしい薬害 的なお薬ではなくて、日常的に使われている薬が、余分に処方されたり、飲み合わせが悪かっ たりすると、死に至るということが日常的に行われており、この話をすると、実は私の親戚も ということになるので、是非、広げていただきたいと思います。 ○寺野座長 では、33ページになりますか、医薬品行政を担う組織の今後の在り方ということ で、これは、次回も議論していただいて結構なんですけれども、1つの重要な場面でございま すので、御議論をお願いいたします。 ○西埜委員 最初からずっと使われておりましたから、確立された用語かもわからないんですが、 承認審査というのがありますね。先ほど議論したところで言いますと、21ページにも承認審 査というのが出てくるんですが、この承認審査というのは確立された用語なんでしょうか。私 はちょっと紛らわしいんではないかと思うんです。正確に言うとこれは承認のための審査と違 うんでしょうか。事務局の方に、前提問題としてお聞きしたいと思います。 ○寺野座長 33ページにも承認審査という言葉が使われているんですが、これはどうなんです かね。A案、B案のところにも承認審査安全対策。ちょっとこれは調べるということで、次の 御意見、神田委員、どうぞ。 ○神田委員 質問ですけれども、(4)の監視機能のところに、現在、いろんな監視機能が果たされ ているということの次に、更にという形で、消費者庁について触れられておりますけれども、 この趣旨がよくわからないんです。食品については語られておりますけれども、医薬品につい ては語られていないし、そういった役割を果たすという位置付けにはなっていないように記憶 しているんですが、ここで言っている趣旨を確認させていただきたいと思います。 ○寺野座長 ちょっと待ってください。今のは、事務局わかりましたか。 ○総務課長 調べます。 ○寺野座長 承認審査はね。 ○総務課長 西埜先生がおっしゃったことで正しいと思いますが、承認審査という法令上の言葉 があるかどうかは調べますけれども、行政上こういう形でよく使わせていただいているという ことは事実でございます。 ○寺野座長 公文書なので、お願いします。  どうぞ。 ○泉委員 実は、去年の5月16日だったと思いますが、日弁連が消費者庁の関連関係で、その 被害に遭った方たちを呼んで話をされましたけれども、そのときに、薬害の者も参加していま すから、もともとそういう形で消費者庁のところにも入るカテゴリーなのかというのは、あっ たのではないかというふうに思います。 ○寺野座長 どうぞ。 ○神田委員 一応ここには法案が提出されているというふうになっておりますけれども、その中 には入っていないと思いますので、確認が必要かと思います。食品のところに、今のところは 限定されていますし、そこは正確に見ておく必要があるかなと、これから期待するということ であれば別ですから、そういった書き方もあると思いますけれども、正確にしておいた方がい いかと思います。 ○寺野座長 そうですね。この点は正確なところを出しておいていただきたいんですが、私もよ くわからないので、いいですか。 ○総務課長 消費者庁の権限として、薬事法の関係が含まれているかどうかですが、少なくとも 今、国会で御審議いただいている法案の中に薬事法の関係が含まれていないということは事実 でございます。ただ、一般論として、各種の消費者に関わる安全性情報が、消費者庁に伝えら れた場合に、そういう問題の1つとして薬の問題が入ってくることは確かだと思います。でも、 それは最終的には、消費者庁から厚生労働省に伝えられて、勧告があって、そして厚生労働省 で処理するという流れになると思います。 ○寺野座長 水口委員。 ○水口委員 消費者庁の議論の経過から言うと、何もかも新しく発足する省庁に全部入れ込むの は難しいということから、当面は扱いやすい問題について消費者庁に共管なり移管するという ことで、第一弾として今の法案が出ているという理解をしておりまして、これに関する報告書 の中では、将来共管を検討されるべき事項の中に薬事法というのは入っていたと理解しており ますので、確認していただく際には、当該法案だけではなくて、その元になった報告書も含め て確認していただきたいと思います。 ○寺野座長 そのほか、この組織に関して、どうぞ。 ○水口委員 監視機能を持つ組織についての、36ページの(4)の記載なんですが、私はこれを見 てとてもがっかりして。物すごく消極的で、今までの議論の経過の中で、監視的な機能を持つ 組織が要らないという意見があったのかというと、私はなかったのではないかと。  堀先生が監視という前に、まず、組織が自らチェック機能を持つ必要があると、萎縮効果を 心配するという御意見を述べられていたことは確かですけれども、ですから、外部のチェック 機能が要らないということをおっしゃっていたわけではないと、私は理解しているんです。  前々回の会議でも、やはり第三者的な立場で、それを監視する組織が必要であるという意見 がかなり多かったように私は記憶しているので、ここのところはもう少し積極的な記載にして いただきたいと思います。  あと、もう一回会議がありますので、そこでもう少し内容についても十分な意見交換をして、 このようなぼやっとした書き方ではない書き方を是非お願いしたいと思っております。   併せてここに記載されております独立行政法人評価委員会、それから、機構に設置されてい る運営評議会についてですけれども、これがあるからいいという議論が今まで出たことはなか ったと思うんです。  なぜかというと、この2つの委員会というのは、実際、インターネット上で確認できますけ れども、それは本当に業務をトータルに見て、事業計画はどうなのかとか、主たる業務内容が どうなのかとか決算がどうなのかとか、そういうトータルとしての組織がどうなのかという観 点から年何回か見ると。  例えば独法についての評価委員会で言えば、その評価委員会は厚生労働省のすべての組織、 機関の独法の評価をするわけで、医薬品に限って特化して、今、起きている問題について厚生 労働省の安全対策が本来権限を発動できるべきなのにできていない点についてどうなのかと いうことを吟味するような組織ではないわけですね。  ですから、この2つの委員会があるということをただここに羅列することにどういう意味が あるのかということを大変疑問に感じます。  そういう意味で、今日は時間が限られておりますけれども、私としては、ここの監視機能を 持つ組織というのをこの委員会で積極的に打ち出していただきたい。監視という言葉が、嫌な 感じがするのであれば表現を変えていただいても結構ですけれども、第三者的な組織をきちん とつくるということを明確にしていただければと思っております。 ○寺野座長 ありがとうございます。大平委員。 ○大平委員 今、水口委員が言われた指摘というのは、多分、全体のコンセンサスはもう取れて いるんだろうと私も認識しております。ですから、これについてどういうふうにあるべき姿を きちんとしていくかというところの書き方の問題なのかなと思います。  それと、私の方で意見書を出しましたけれども、前回にも意見書を出したんですが、1つは、 医薬品行政の方の、本当に実務的なところの問題と、責任論というんですか、1回薬害とかい ろんな問題が起きた場合に、そこの被害者はずっと恒久的に救済の問題として、どこと関わっ ていくかというと、そこは出先機関と関わっていくのではなくて、国との協議の下に、いろい ろ救済の問題を抱えて協議していくという、そういう構造というか、それはやはり被害者が生 きていくためのいろいろな手当ということを必要な問題として、どこが責任を持ってやってい くかということになると思います。  私たちの今回の意見書に出しましたけれども、なぜ責任、それから、一つの一貫した責任と いうのにこだわっているかと言いますと、やはり科学的な知見とか、科学的見解というのは、 科学技術に携わる方たちだと思いますけれども、専門家の先生たちは、テクノクラートとして の、一つひとつの責任を持って仕事をなされているんだろうと思うんですが、ただ、問題が起 きた場合に、それをお解決していくという対応は、結局、どこが担っていくのかというところ は、例えばPMDAとか、ああいうところで解決できない問題なんです。私たちはそれをずっ と20数年苦労してやってきて、ここの意見書にまとめたのは、やはり一貫した姿として、薬 害が絶対に起きないという保証がきちんとなされれば、それはそれでいい。  ただ、やはり科学、いろいろな水準があって、そしてまた将来的にもそれは人の誤りとか、 そういうところで起こるかもしれない。それは否定できない問題なので、それに対してどうい うふうに備えをつくっていくか。国民がずっとそれを日本の国として確保できるような対応が できる1つのあるべき姿というのを、是非、ここの検討会で、そこを具体的にこういうのをつ くれという話ではないんですけれども、そういう一つの案をつくるような検討に取りかかって ほしいということを、ここでまとめてほしいと思っているんです。  ですから、今回、もう一回しかないので終わってしまうかもしれませんけれども、その後に もう少し具体化した形で設計図ができて、そしてその中身については、私たちはいろいろ意見 を申し上げたいと思うんですけれども、そういう財政的な裏付けですとか、また、どういう形 が最適なのかというところは、また、きちんとそれぞれの有識者が集まったところで決めてい ただくとか、それとも国としてきちんと政治的な判断で決めていただくか、それは私たちはま だわからないところですけれども、そういう形で是非進めていただいて、二度と薬害を起こさ ない。これは大変いい言葉なんですけれども、でも人の誤りというのはあるわけなので、それ がもしあった場合にも備えて、きちんとした対応がとれる組織体制というのも、これまでの教 訓を得て、そしてそれをつくってほしいと思いました。 ○寺野座長 来年度も続けるということですので、重要な問題提起だと思います。  それから、36ページの監視機能についてというのは、先ほどの意見からも最後に意見が交わ されたというのが多分そうなんでしょうけれども、この表現は弱いのではないかという意見が ありますので、その点辺りを工夫して表現してもらいたいと思います。 ○大熊委員 補足ですけれども、実は、私はあるところの評価委員会に入っておりまして、その 人間で、この間自分たちはなにの役に立っていないという話が出たんです。それから、何か起 こったときに、どうにかする権限もない。役にも立たないし権限もないというような、形ばか りのものが非常に多いので、こういうことに頼るのは百害あって一利なしで、やはり今回いら っしゃっているような二度と自分たちのような目に人を遭わせたくないという使命感を持っ た方とか、清水先生のように、医療集団がそういう過ちを起こしたくないと思っている、ずっ と長く見ているような人のいる組織というようなものをつくるべきだろうと私は思います。  お役所の方は、極めて優秀ですけれども、やはり2年で代わっていくので、さっきいろんな ことを、悪気がなくて忘れてしまいましたとおっしゃって、きっと悪気はなかったんだと思う んですけれども、やはり部署が変わっていきますから、紙を見ても過去の歴史はわかりません ので、是非、ここをもっと書き込んでいただきたいと思います。 ○寺野座長 ありがとうございます。椿委員、どうぞ。 ○椿委員 私の方はすでに監視機関という言葉は、さっきありましたように、勤めていらっしゃ る方からすると非常にネガティブな表現なので、私自身は評価委員会でもいいのではないかと 思うんですけれども、やはり評価委員会の機能というのは、ここに書かれているようなものと は相当違うと思いますし、評価委員会自体は、構成として、やはり患者さんといいますか、治 療の受益を受ける方と、医療従事者ないしは、患者に治療の提供を与える側と、それから、専 門家の集団できちんとした構成をもって、ちょうどこの委員会自体がそういう形になっている かと思うんですが、そういう方々が評価を行う。それは、その新しい組織のプロセスというも のをきちんと評価し、やったパフォーマンスをチェックするということだろうと思います。  更に若干余分なことを2ページ目ぐらいに書きましたけれども、やはり委員会とか評価委員 会形式では、仕事のプロセス自体をチェックすることはできないので、それなりの力量の持っ た監査人に、仕事のプロセスを監査することを依頼するという機能まで持っているべきだと理 解いたしました。  今回の意見書の中では、そういういわゆるマネージメントシステムというものを確立してい ただいて、そこを透明化するということを申し上げたんですけれども、それ以外に、独立性と いうことに関しまして、若干やはり政策当局が薬の承認や最終的な政策的な行為をして責任を 取るというのはそれでいいと思うんですが、新しい組織は、繰り返しになりますけれども、や はり非常に専門家であって、事実を認定する集団であって、場合によっては医療従事者ないし は患者さんから事実の認定を迫られれば、それに対して答えるという組織であるべきだと思い ます。  私が何でこんなことを申し上げているかというと、今回、余り歴史的な経緯の中で、訴訟に 入ってからのことというのは余り問題視されていないと思うんですけれども、政策当局、許認 可側がやはり被告になってしまった段階では、裁判という場の中で、事実に関してどうであっ たか。現在の目で見れば非常に問題であったということすら政策側はなかなか発言できないん ではないかという危惧があって、政策側と事実自体をきちんと評価する部隊といいますか、専 門家集団というもの自体も独立されている方が望ましいのではないかと思います。  ただ、これも議論になったとおりですけれども、その新組織自体は非常に大きな調査権限を 持っていなければならないということがあるために、独立した庁であるとか、あるいはその他 もろもろの組織になっている必要があるということで、先ほど消費者庁のような話が出ており ましたけれども、そのようなものができるということでしたら、そういうものの中で吸収して いただくということは妥当なのではないかと思います。  あと、私の意見書の中で、スポンサーシップに関して異論があることはよく承知しておりま すので、これは国民な安全性に関して、それなりの税を払うことは重要だと判断していただけ れば、むしろそういう形で運用をしていただくということに関して、私自身も特に反論する意 図はございません。  最後に、余り今まで言われていない、今日、消費者庁のことが出ていたんですけれども、実 は、この物質に関するリスクを評価する人間ということに関しては、医薬品の分野は非常に潤 沢かもしれませんけれども、化学物質とか、あるいは労働安全性環境とか、極めてよく類似し た評価の仕方が必要な分野というものが、全く人材が枯渇してしまっているという現状があり ますので、すぐにとは申しませんけれども、ある種将来的には、この種の物質に係わるリスク ベネフィットをきちんと評価する組織というのが国の中で統括的にあって、人材をうまくシェ アしていただきたいと考えている次第です。 ○寺野座長 ありがとうございます。間宮委員。 ○間宮委員 ここに書かれている総合機構の運営評議会の委員と審査安全業務委員会の委員を やっています。その私が思うのは、監視しているかというと、そんなことはなくて、何を目的 にしているかというと、機構が変な方向に行かないように、薬害被害者としての役割という意 味では、変な方向に行かないように歯止めをかけたり、あとはよりよい国民に信頼されるよう にするにはどうしたらいいかというような意見を述べているわけであって、中身のことについ ては、やはりチェックするまでの能力は、私は持っていないと思いますし、中身の話というか、 メンバーのことを言えば、関係する業界の団体の方々も出てきていて、その団体の希望するよ うな、こうしてください、ああしてくださいというお願いをしている姿をよくお見かけします ので、決して監視機能が果たされているというふうには思っていないということですので、こ こで監視機能が果たされていると書くのはちょっとそごがないかなと思いますし、監視機能と いうのは、もっと専門的に、きちんと判断がなされたかどうかというのを判断する能力がない といけないと思いますので、その辺りは少し検討し直した方がいいのではないかと思います。 ○寺野座長 ありがとうございます。この点、よく認識して文書をつくってください。  小野委員、どうぞ。 ○小野委員 時間もあれですので、簡潔に3つ申し上げると、まず、一つは、いきなりタイトル が今後の在り方ですけれども、今後というのは過去20年とか、30年がつながった今後ですか ね。今のことがいきなり出てくるのは不自然ですので、これは近い過去、現在及び将来、こう 書かなくてもいいですけれども、当然そうあってほしい。  それで、確実に別の項目をつくるべきだと私は思っています。先ほどの繰り返しなりますが、 ソリブジン事件とか、HIVの薬害を踏まえてつくった医薬品医療機器審査センターというの をつくったわけです。あのとき格好のいいことをいっぱい言っているんですけれども、例えば、 有効性、安全性評価を適正に行い、欧米先進諸国と比べて遜色のない体制の強化を図るんだそ うですね。高度化、迅速化、透明化を進める。専門家を育成するとか云々いっぱい書いていま すね。これは達成されたんですか、されていないんですかという議論を我々は1回もしていな いですね。それで、すぐ今後になってしまっている。  それから、その後にも平成16年に、今ある総合機構というのができたんです。そのときに も、ここにおられる方は、ほとんど関係者だと思いますが、国会に対しては厳しい質問をされ る。例えば、某先生に対して、これはこれでいいんだと、科学性を十分担保するんだと、責任 は別途取れるだとか、さんざん言ってきたわけです。  それが実際達成されているのかどうかということですね。現状がどうなっているのかという ことをすっ飛ばして、いきなり今後というのは、もうそろそろやめませんかと、こういうこと をしているから役所の人に、もしかしたら我々がばかにされるんであり、国民をばかにしたよ うな態度取るんではないかということです。  ですから、今の状況をきちんと評価しましょうということを、少なくともこの報告書の中には っきり書きましょうということが1点。  これは全体の話なんですが、今の報告書は箱の話としてはいいですけれども、地に足のつい た業務の話、これは余りないと思います。例えば審査官とかが日々どう仕事をしているか、本 省から電話がかかってくるんです。本省のその辺の怖い方から、科学的な審査をされている 方々が、あれはこう書けよと、こういう書き方はまずいぞと言ってくるわけです。例えばそう いう状況下で仕事をしているわけですけれども、そういうプレッシャーが例えばどういう影響 を与えているのかなんていうのは、実際に研究課題としては面白いんですが、そういう状況を 踏まえて地に足のついた議論を1回してみませんかと私は提案してみたいですね。あるいは専 門委員とされる先生方が、何とか部会の先生方が資料を全然読まないものだから、最近はどこ を読んでいるか、ページ数をあらかじめ書いておけと、そんな人が入っていいのかという話な んですが、そういう話も現実なんです。  そういうところの地についた議論を、これからやると思いますので、1回じっくり来年度以 降をやればいいんではないかと私は思います。  もう一点、これで終わりです。監視機構の話がありましたけれども、これは事務局の方が今 回付けてもらったFDAのオンブズパーソンというのがまた別にありましたね。苦情を聞くん です。とにかく困ったことがあったら、おれのところに来いと、厚生省が困ったということで あったら、企業の方であろうと患者であろうと、お薬がない、あるいは副作用が出た、どちら でもいいんですが、そういう方を置くという提言を、今、ここにないですけれども、書いてお くと体感的な皆さんの満足度はかなり上がるんではないかと思いますので、是非、それは加え ていただけないかと、仕事で、皆さんの苦情を処理する人を置くんです。今は嫌々なんです。 ここにおられる方は善意で仕事されていますけれども、苦情を持っていくと嫌々仕事するんで す。それは本来自分の仕事ではないですから、自分の本来業務の邪魔だと思っているわけです けれども、そういう専門でそれをやる人を是非置いていただくなんていう提案は、1行書くだ けですから、是非提案されてはどうでしょうかということです。 ○寺野座長 オンブズマンは、資料でアメリカのですか、書いてありますので、また一つの提言 になると思います。  泉委員、どうぞ。 ○泉委員 私も意見書でそのことに踏まえさせてもらっています。21年度の委員会の中で一番 そこが重要になってくるんではないかと思っております。というのは、初めにも、終わりにも 事務方の方が書かれた資料に医薬品行政の在り方などについて検討し、提言を行ってもらいた いというのは、今まで10年近くこういった薬害の形で、再発防止はずっと言い続けていたけ れども、何ら実現ができなかった。でも、この機会に実現したいということは大臣が第1回目 も言っております。途中からも言っています。ということは、実際にこういう形をしたらどう なんでしょうかという提案をしていかなければいけないと思っているんです。  最初のころに、薬事行政はこういうふうに変わりましたと書いてあります。そして、肝炎事 件というのは、過去こういうことのときにあったとありますけれども、実際にそうでしょうか。 2000年度になってからやはり薬害が起きているわけです。厚労省は今、被告になって国と一 緒に闘ってはいますけれども、そうすると、そういうことも一生懸命薬事行政を変えていても、 まだ起きてしまう。それをどういう組織がどういうふうに監視して、そして承認申請と安全性 副作用、この2つの中の連結をどうするかということも踏まえて、今、簡単に言えることでは ないので、次年度を使ってということで。 ○寺野座長 そのとおりだと思いますね。次年度の大きな課題になると認識しています。  水口委員。 ○水口委員 組織の問題は恐らく今日は時間がないから次回にもう一回ありますので、そこでま た時間を取って議論することになると思うんですが、その際に、資料として是非事務局に御用 意いただきたいことがあります。今、2本になっていますけれども、組織を1本にするのか、 2本にするのか、また1本にしたときに独法なのか、それが役所なのかというくくりの問題が あると思うんですけれども、法的に独法が医薬品を止めるというところまでの権限を持ち得る のかという論点が残っていて、そこはまた次回議論しなければいけないと思うんです。そうい う全体としての法的な論点の議論のほかに、もう少し視点を変えたメリット、デメリットの議 論というのもあります。前回申し上げましたように、私自身は、どういう形であれ基本的な組 織は独立して公正な判断ができる、専門性を発揮できる、透明性が確保できる、人材が確保で きるというような要素を備えていなければいけないと思うんです。そういう観点から、やはり 考えるときの材料が、余りにも少ないのではないか。  今日、友池先生の意見書を拝見しましたら、公務員型だと人材の確保が難しいというような 御指摘もあって、それが本当のことなのかというか、うそという意味ではなくて、それはどう いう意味を持っているのかということも含めて、機構と、現在の厚労省と、それから前に審査 センターというのがございましたね。それぞれに関与していらっしゃる方は、いらっしゃるわ けで、その方々から見たときに、例えばどういう問題点があるかというふうに考えていらっし ゃるのかといったような辺りを。現在、そこに関与している人がここの問題だと言ったからと いって、ああそうですかという議論には多分ならないと思うんですが、しかし、そのことを知 らないで議論するということは、やはり私たちが責任を持って結論を出すということにはつな がらないと思いますので。本当だったらヒアリングをしたっていいぐらいの話で、そういう要 素をできるだけ次回の会議資料として御用意いただく方向で御検討いただけないかと思って おります。 ○寺野座長 今の問題は泉委員の意見も同じですけれども、21年、来年度の検討の大きなテー マになると思うんです。ですから、これに関する資料は、今、水口委員が言われたように、で きるだけそろえていただいて、次回は今年度最後になりますけれども、そこで来年度ではどう いう検討をすべきかということを具体的に挙げていただいておきますと、来年度の全体の運営 が非常にやりやすくなり、効率的になると思うので、今回の提言の中身についてという表現が あるべきかということは勿論ありますけれども、是非、その辺を考えておいていただいて、次 回の会のテーマにするということを最後の委員会の内容にしたいと思っています。  もうお時間が来ましたので、言いたいことは、まだあると思います。これは次回に発言してい ただくことにいたしまして、本日はこの程度にさせていただきたいと思います。  次回の30日までに、またいつものとおりメールとかファックスで、できれば3月24日まで ということですが、厚労省の事務局まで御提出いただきたいということです。余り時間がない ですけれども、よろしくお願いします。  それから、研究班の薬害肝炎事件の検証作業、堀内先生、大変御苦労でございますけれども、 また年度末に向けて鋭意取り組んでいただいとりますし、また来年度も先ほど議論がありまし たように、ヒアリング調査などを引き続き行うということですので、よろしくお願いいたしま す。また、検証の在り方についても、お気づきの点がございましたら御指摘いただきたいと思 います。堀内委員を始め、検証作業の委員の先生たちにもよろしくお願いいたしたいと思いま す。  そういうことで、今日の委員会は閉会としたいと思うんですけれども、事務局の方からアナウ ンスをお願いいたします。 ○医薬品副作用被害対策室長 次回は、30日の月曜日で、場所は同じ場所です。15時から始め ますので、間違いのないようによろしくお願いします。 ○寺野座長 そういうことでございますので、御協力ありがとうございました。できるだけ座長 も発言はしないようにしてきたつもりですけれども、また、余計なことを言ったかもしれませ ん。申し訳ありません。  それでは、次回、よろしくお願いします。どうもありがとうございました。 (了) 連絡先: 厚生労働省医薬食品局総務課 医薬品副作用被害対策室 TEL 03-5253-1111