09/03/10 第36回先進医療専門家会議議事録 第36回先進医療専門家会議 議事録 (1)開催日 平成21年3月10日(火) (2)場所  ホテルはあといん乃木坂 ソレイユの間(6階) (3)出席者 猿田座長、谷川原構成員、田中(良)構成員、田中(憲)構成員、赤川構 成員、渡邊構成員、福井構成員、樋口構成員、辻構成員、竹中構成員、加 藤構成員、岩砂構成員 事務局:医療課長、歯科医療管理官、医療課企画官、医薬食品局医療機器 審査管理室長、江口課長補佐、研究開発振興課長補佐 (4)議題  ○先進医療の科学的評価(1月受付分)について        ○先進医療の届出状況(2月受付分)について        ○高度医療評価制度の見直しについて (5)議事内容 午前 10時01分 開会 ○猿田座長  おはようございます。  朝から、また3月に入って年度末が近くなりましてお忙しいところを、今日は36回目 の先進医療専門家会議ということで始めさせていただきます。  2〜3の委員の先生方が、交通の事情で飛行機等が遅れているということで田中先生、 それから赤川先生が、遅れられておりますけれども、始めさせていただきます。  まず、構成員の出席状況でございますけれども、新井構成員、飯島構成員、金子構成員、 北村構成員、笹子構成員、坪田構成員、戸山構成員、永井構成員が御欠席とのことでござ います。申し上げましたように、あと遅れられている方がいらっしゃるということでござ います。  それでは、資料のほうの確認をよろしくお願いいたします。 ○事務局  資料の確認をいたします。まず1枚目、一枚紙で「第36回先進医療専門家会議 議事 次第」でございます。続きまして2枚目、一枚紙で「先進医療専門家会議構成員」名簿で ございます。続きましてこちらも一枚紙、「第36回 先進医療専門家会議 座席表」と なっています。続きまして先−1という一枚紙がございます。「先進医療の新規届出技術 (1月受付分)について」でございます。続きまして先−2、「第2項先進医療として届 出のあった新規技術(1月受付分)に対する事前評価結果等について」でございます。続 きまして、ホチキスどめで別紙がございます。それから先−3、こちらは一枚紙で、「先 進医療の新規届出技術(2月受付分)について」でございます。それから先−3、参考資 料としてホチキスどめのもので、「「先進医療専門家会議」運営要綱」でございます。最 後に先−4として「高度医療評価制度の円滑な運営に関する論点」といった資料がござい ます。  資料については以上でございます。何か不足等ございましたら連絡お願いします。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。  よろしいでしょうか。もしよろしければ、早速それでは議事次第のほうに従いまして、 第1番目の議題でございます。先進医療の科学的評価について1月受付分でございます。 これに対しまして事務局のほうから御説明お願いいたします。 ○事務局  それでは先−1、「先進医療新規届出技術(1月受付分)について」、こちらのほうを ごらんください。  1月分の受付ですが、154、155、156、3つの技術の受付がございました。ま ず154番ですが、先進医療名としては、小児期悪性腫瘍に対するFDG−PET検査、 適応症としては小児期悪性腫瘍、先進医療費用としまして1回12万4,000円、保険 外併用療養費が1,205万9,000円となっております。  続きまして155番、光トポグラフィー検査による脳機能評価に基づくうつ状態の鑑別 診断、適応症としましては大うつ病性障害(うつ病)、双極性障害(躁うつ病)、統合失 調症となっております。先進医療費用としましては1回1万3,000円、保険外併用療 養費については2万1,000円となっております。  それから156番、重度齲蝕歯に対する歯科用CAD/CAMシステムによる歯冠修復 (小臼歯に対する全部被覆冠を用いる症例に限る)となっています。適応症としましては、 歯冠部歯質の欠損・崩壊に対する修復・補綴処置、金属アレルギー患者に対する修復・補 綴処置となっております。先進医療費用としまして1回3万1,000円、保険外併用療 養費については1万円となっております。  続きまして先−2のほうをごらんください。こちらが第2項先進医療として届け出のあ った新規技術に対する事前評価結果等についてです。先ほど、受け付けたものとして3技 術ございましたが、154番の小児期悪性腫瘍に対するFDG−PET検査と、156番 の重度齲蝕歯に対する歯科用CAD/CAMシステムによる歯冠修復、こちら2技術につ きましては、書類不備ということで事務的返戻という形をとらせていただいております。  155番についてですが、先進医療名は、「光トポグラフィー検査を用いたうつ状態の 鑑別診断補助(国際疾病分類第10版においてF2に分類される疾病及びF3に分類され る疾病のいずれかの患者であることが強く疑われる者(器質的疾患に起因するうつ状態の 者を除く。)に係る者に限る。)」、こちらにつきましては、事前評価担当構成員であり ます樋口先生から事前評価をいただいておりまして、総評としては「適」といただいてお ります。こちらの技術につきましては、別紙のほうで詳細が書いてございます。まず1枚 目が、こちらの技術に関する概要、2ページ目、3ページ目が評価表となっております。 3枚目の裏面にトポグラフィー検査の実際と、この検査の典型的な結果のグラフを例とし て挙げさせていただきました。こちらの技術に関しましては、後ほど樋口先生から詳細の ご説明があると思いますのでよろしくお願いいたします。  1月の受付分については以上でございます。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。  今お話がありましたように154、155、156と3つあったんですけれども、2つ がやはり書類上の不備ということで返却されているということで、本日は155の光トポ グラフィー検査による脳機能評価に基づくうつ状態の鑑別診断ということで、樋口先生、 よろしくお願いいたします。 ○樋口構成員  それでは、事前評価をさせていただきましたので説明をさせていただきます。  光トポグラフィーとそこに書いてございますが、この検査、私自身は光トポグラフィー に関しては専門ではございませんでしたので、3名のこの領域の専門家を加えた形で評価 をさせていただきました。  そこの別紙をごらんいただきますと、これは近赤外線スペクトロスコピーというふうに 呼びかえることができるんですが、これを用いてうつ状態の鑑別診断そのものをこの検査 のみで行うというところまでいっておりませんので、臨床診断に加えて鑑別診断の補助と してということが申請されてきておる内容でございます。  先進性のところをごらんいただきますと、まず※のところを先に見ていただいたほうが いいと思いますが、光トポグラフィー検査とはどういうものかということで、これは血液 中のヘモグロビンが近赤外光を吸収する性質を利用しまして、血液中のヘモグロビン濃度 の変化を測定する。そのためにはちょうど頭に帽子のようなものをかぶって、それは実は ホチキスどめの一番後ろのページをごらんいただきますと、これが光トポグラフィー検査 の実際ということで、届出医療機関で患者さんの説明用につくっているパンフレットだそ うですが、そこにありますように頭に帽子のようなものをかぶって、直接頭皮の上にもち ろん光センサーがくっつくような格好になっているんですが、特に痛みを伴うような、脳 波の電極の針に相当するようなものではございませんので、ただ上からかぶるという形で、 そのセンサーが24チャンネルとか、あるいは48チャンネルとかという幾つかのタイプ があるようですが、そういったものを頭皮上に設置をしまして、そこからちょっと戻って いただきますと※のところで、多チャンネルの装置を頭部に用いますと、大脳皮質の血流 量の変化を非侵襲的に計測できるということで、これは実際には今既に脳腫瘍、それから てんかん外科のてんかんの焦点を決める、あるいは脳の優位半球、どちらが優位な半球で、 左半球、右半球とございますので、そういうものを決定するということでは既に保険適用 されているという装置でございます。  これを用いまして、「先進性」の頭のところに戻っていただきますが、実際私どもが専 門にしております精神疾患というのは、器質的なものは例えばMRIとか、あるいはてん かんであれば脳波だとかという客観的な診断方法があるんですけれども、特にここでF2、 F3というふうに書かれておりますのは、実は統合失調症がF2でございます。統合失調 症関連と言われています。それから、F3というのが気分障害でございまして、うつ病で あるとか躁うつ病であるとかというものが分類されるICD−10の分類でございますが、 このF2、F3に属しているものは実際診断としては臨床診断、要するに患者さんの御本 人から出てくる精神的な症状の訴えであるとか、こちらからそれをいろいろ質問して聞き 出していってそれを総合して判断するという、そういう臨床診断を行っておりますので、 時として問診で十分な情報が得られなかったり、あるいは情報は十分であっても診断の確 定が困難であったりということが日常あるということでございます。  特に一番私がこれを見て、後ほどコメントとして申し上げますが、うつ病と躁うつ病の ところの鑑別の問題は非常に難しいところがある。これは後ほど申し上げます。特にうつ 病であるとか、躁うつ病であるとか、統合失調症の初期には、うつ状態を呈することが多 くて、正確な鑑別診断がしばしば困難なことも多いということでございます。  また、先ほど申し上げましたように、これまでは精神疾患に定量的な検査方法というも のは全くないわけでございまして、医師による臨床診断も、時として客観性が十分でない という現状があるわけでございます。  これに対しましてこの光トポグラフィーの検査というのは、今申し上げましたようなこ とで大脳皮質の特に深部は難しいんでございますが、前頭葉、側頭葉の大脳皮質の血流の 量の変化をこれでキャッチすることができますので、それで脳の機能を評価することが可 能であるということから、うつ状態の原因となっている今のF2、F3の中の客観的な診 断を可能にするということでございます。ただし、後で申し上げますが、これのみで、じ ゃ、診断ができるのかというと、そこまではいっていない。あくまでも補助的なものであ るというふうに位置付けられています。  その下の「概要」でございますが、実際には一番後ろのページを見ていただきましたよ うに、この光トポグラフィー装置のプローブを装着した状態で、また裏側へ戻っていただ きますが、1、2、3と番号が振ってある漫画がございます。どういうふうにして検査を 進めるかといいますと、そこでいすに座って頭のサイズを計測して、それに合った形で検 査用の帽子をかぶると、その帽子には先ほど申し上げましたような光センサーがついてお ります。脳全体に分布させるんですけれども、特にここでは前頭葉、側頭葉の活動を記録 していくわけであります。  実際にどういうふうに記録するかというと、4番のところにありますように、検査を始 めますと言語流暢性課題という課題を施行いたします。非常に簡単な単純なものでござい まして、例えば「あ」のつく言葉を次々と思い出す限り言ってくださいということで、そ れを何秒間というふうにして言ってもらうわけですね。その言っていただいている間の血 流が賦活されますので、前頭葉、側頭葉が賦活されてくる、血流が上がってくるというこ とがございますので、それをこれでキャッチするということでございます。  そういうことでもとに戻っていただきますが、概要のところで光トポグラフィー装置の プローブを装着した状態で、指定する頭文字から始まる言葉をできる限り多く発話するよ うに求める課題、これを言語流暢性課題と申しますが、これを60秒間行う。患者さんが 課題を行っている間に光トポの装置で前頭葉、側頭葉の脳の実際には血流ということで酸 化ヘモグロビンを測定するわけですが、脳活動状態の変化を測定しまして、それをリアル タイムに画像化する。そして、さらにそのデータを解析して、課題に対する脳の活性化様 式がどのような状態にあるかということを、これはパターン化したものがございますが、 それによって判断をするということで、時間としては、検査は非侵襲の検査で10分から 15分あれば検査が終了するということですので、それほど負担の多い検査ではないとい うことでございます。  もう一度裏側、一番後ろのページをごらんいただきますが、この申請者たちがこれまで 検討してきた、事例として検討していまして、それは後ほど申し上げますが、この前頭葉 の平均波形というのを、一番下に書いてありますように健常者、大うつ病性障害、双極性 障害、そして統合失調症というふうに並んでおります。一番顕著なのは、大うつ病性障害 は非常に脳の血流が低下しておる。これはこの検査だけではなくて、例えばスペクトル検 査を行っても同じことが見られるわけですが、特に課題を負荷したときにも脳の機能が活 性化されないということで、非常に低レベルでございます。  双極性障害はそういうことで言えばかなり血流が亢進してくるわけでありますが、一番 左の健常者と比べると、そのピーク値というふうに呼んでいるようですが、賦活反応性の ピーク値が後ろのほうに寄ってしまうということ、それから、統合失調症の場合は一番右 にありますように、その最後の検査が終わっているのはちょっと不明瞭ですが、真ん中辺 に縦に点線が書いてございまして、そこまでで60秒の賦活が終わるんですね。それは、 その終わった後にもう一度その反応が再度上昇してくるという、小さなピークが出てくる というようなことがあるようでございまして、こういうパターンとそれを面積とそれから そのピーク値が出てくるところと、それによって定量化して示すこともできるというふう にこの申請者は書いてございます。これは、ここには書いてございませんが。  そういうことで最初のページに戻っていただきますと、「効果」としては、本技術によ って臨床診断の正確性が高まるために、うつ状態が軽度である段階から適切な治療を開始 できる。これにより早期の症状改善や重症化予防が可能となり、ひいては入院期間の短縮、 社会復帰の促進、医療費の削減にも寄与するものと考えられる。さらに適切な治療機会を 逸した精神疾患に起因する自殺等も減少させることが期待されるというふうなことが書か れております。  それから、こういった手法というのが少なくとも統合失調症とか気分障害に関して今ま でないものですから、患者さんに説明する際、言葉で説明してなかなか通じないというよ うなところがあるんですが、こういった視覚的なものが提示できれば、患者さんにとって も病状を理解することに役立つんではないかと、これは付随した、付加的なものでありま す。  それが全体の概要でございまして、特にその中でも明瞭だと私が思いましたのは、一番 後ろのページの大うつ病と、双極性障害というのは躁うつ病でございます。躁うつ病とい のは比較的若年で発症してまいります。二十歳代で発症してくるんですけれども、躁うつ 病を私たちが診断できるのは、躁の状態が出てきて初めて躁うつ病というふうに診断でき るんですね。ところがうつで始まる方がけっこうあって、それがまた5年とか、一番長い 人では10年ぐらいうつがずっと繰り返していて、あるところから5年たったところで急 に躁の様相が出てきて、あっ、これは躁うつ病だったというふうなことがしばしば経験さ れる。これだけうつ、いわゆる大うつ病と書いてあるうつと双極性障害とのパターンがこ れだけ歴然としているというのは、かなりそういう若いときにこういうテストである程度 の予測、100%ではないと思いますが、そういうことができれば、その後の治療計画と いうのが立てやすくなるんではないかというふうなことを感じました。  それで次のページからが「適格性」ということでございますが、適応症としては妥当で あるというふうに判断いたします。  有効性は、これまでにこのような方法がほかにないものですから、従来の臨床診断とい うようなものに加えていくという補助的な意味では、やや有効というふうに評価をいたし ました。  安全性に関しては、特に侵襲的なものではございませんので、これは問題がないであろ うと。  それから、技術的な成熟度といたしましては、当然のことながらこの分野を専門として 経験を積んだ医師、あるいは医師の指導下であれば行えるという、検査としてはさほど難 度の高いものではないと思われます。  それから、倫理的な問題はそういう意味で特にはないと思いますが、これは後ほど述べ ますように、実際にその患者さんに説明をして、やはり目的と、それから実際にお金を頂 戴するわけですから、そういうことについての理解を得ていくための、インフォームドコ ンセントというのは必要であろうと思いますが、倫理的な問題そのものはないであろうと。  それから、現時点での普及性という意味では、罹患率、有病率から勘案してある程度普 及していると。ここはなかなか何を根拠に判断していいかというのはちょっと分からない ところがあったんですが、幾つかのところで実際にやっていてそのような結果が出ている ということから、ある程度普及していると考えました。  効率性としては、これが既に保険導入されている医療技術というのはないわけですから、 臨床診断しかないわけですから、大幅に効率的であると。  将来的に保険収載を行うことは、これは妥当というふうに言ってしまえるか、あるいは これからのこれを実際に用いていった上での判断が必要になろうかと思いますが、一応、 保険収載にも持っていくことの可能性は持っているだろうと思います。  総評としては、総合判定は「適」といたしまして、コメントとしては、「従来検査結果 に基づくことなく臨床症状のみで行われてきたうつ状態の鑑別に、補助検査とはいえ初め て客観的指標を導入するものである。初診時あるいは治療経過の中で診断の確度を高める ことによって早期診断、あるいは適切な治療選択を行う上で有用である。特にうつ状態で 始まる若年の双極性障害は、うつ病として長期にわたり治療される場合が多く、適切な治 療の遅れが指摘されているが、この問題を解決する上でも有用である」というふうにコメ ントをいたしました。  そして、次のページでございます。医療機関の要件としてどういう要件かといいますと、 まず実施責任医師の要件といたしましては、診療科としては精神科又は心療内科というこ とであろうと思います。  資格ですが、これは本来ですと精神科の専門医というところが一番妥当なんですが、ま だ今、専門医制度の過渡期で正式にはまだ申請されていませんので、それまでの間は精神 保健指定医というふうにいたしました。  それから、当該診療科の経験年数は5年以上、当該技術の経験年数は1年以上といたし ました。  当該技術の経験症例数としては、術者として10例もやれば十分であろうということで ございます。  IIの医療機関の要件でありますが、これは診療科としては精神科又は心療内科というこ とでございまして、実施診療科の医師数、これは常勤の精神保健指定医が1名以上でよか ろうと。  それから、他診療科の医師数は、これはやはり要件のところで器質的疾患に起因するう つ状態は除くということも書かれておりますし、それから、総合診療機能をある程度有し ているほうがこの場合はよかろうということで、神経内科又は脳神経外科の常勤医が1名 以上というふうにいたしました。  その他の医療従事者の配置としては、臨床検査技師を要といたしました。  病床数、看護配置、当直体制は不要であると考えました。  また、緊急手術の実施体制も不要、院内検査体制も不要、それから他の医療機関との連 携体制も不要といたしました。  それから、医療機器の保守管理体制は、当然のことながら要であります。  そして、先ほどもちょっと申し上げましたが、倫理的に問題を有しているということで はないんですけれども、やはりうつ病の状態にある患者さんで、十分な説明と理解を得て 行わないと、安易にそれを押しつけてしまうみたいなことになってはよくないので、少な くとも、初めて実施するときにはこういったインフォームドコンセントを行いますと、こ ういう様式を使いますというようなことを倫理委員会に提出するということは必要であろ うと考えまして、倫理委員会は要といたしました。  医療安全管理委員会も要といたします。  医療機関としての当該技術の実施症例数としては、10症例以上というふうにいたしま した。  3番目のその他の要件は、特に不要と考えております。  以上でございます。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。  非常に詳細に分かりやすく御説明いただきましたけれども、どなたか御質問はございま すでしょうか。  はい、どうぞ、福井先生。 ○福井構成員  すみません、ちょっと伺いたいんですけれども、今まで双極性障害の患者さんでうつで 発症した場合、どこかで躁状態を見ないと診断できなかったですね。ということは、躁状 態が出る前に早期に双極性障害の治療を始めれば治療効果があるということ自体が、今ま で何かそういうことを知ることが可能だったんでしょうか。 ○樋口構成員  これについては実際問題としては、治療法が同じうつの病相であっても、うつ病だけの いわゆる大うつ病と言われているものと双極性のうつ病とでは、用いる薬剤が違うという ことが知られておりますね。これは、ですから診断がつく前にそういう治療を開始して比 較したというのは、残念ながらまだないんでありますが、ずっと長らく経過を追っていっ て初めて、これは躁うつ病であるということが分かったと、それまでは長らくずっとうつ 病の治療をしていてなかなかはかばかしくなかった人が、その時点で躁うつ病の薬を使っ て治療を始めて非常に改善が得られたというような経験は、かなり持たれているところで す。だから、それをもう少し前段階でキャッチできればというようなことも一つあると思 います。 ○猿田座長  ほかにございませんか。  はい、加藤先生、どうぞ。 ○加藤構成員  御説明よく分かったのでございますけれども、漠然とした意見で恐縮ですけれども、少 しスクリーニング検査的な要素があるような感じがいたしたんですけれども、この手のう つ状態の方が進行していく前の状況においては、一般的に精神科であるとか、または心療 内科であるとか小児科や、そういうところにかかりにくくて一般の内科医とか、それから、 私ども成育医療センターのような小児科のかなり年齢が高いところの方、医師に受診をす る確率が高い。自分はうつだと思っていつつ精神科にはかかりにくい、心療内科にはかか りにくいというような方もおられると思うんですけれども、この検査をする資格の拡大要 件として、そのように拡大をすることは不可能なことなんでございましょうか。 ○樋口構成員  先生の御指摘はそのとおりだと思うんですが、今回ある意味では非常に限定した状況の 中で、一気にこれが広がってしまうということをいきなりやっていいかというのは、ちょ っと慎重にしたほうがいいかなというふうに思って、かなり限定した条件の中でしっかり としたもう少し証明といいますか、そういうものをして、実際にこれが汎化してよろしい と、全体に広げてですね。というのは、うつ病そのものは100万とか120万とかとい うオーダーで全国的に存在するということですので、そこにこの検査というものをどうい うふうに位置付けて、どういうケースに有効性が高いのかということを、もう少し見きわ める必要があるのかなというふうに私は思って、こういう要件、かなりある意味じゃ精神 科医であるとか、精神科指定医であるとか、あるいは倫理委員会での要件とか、そういっ たものを加えたというのはそういう意味合いがあるんで、将来的にはそういった方向へ行 ける可能性は持っているんだろうと思います。 ○猿田座長  辻先生、どうぞ。 ○辻構成員  私は神経内科なんで、こういう疾患を診療する機会というのは余りないんで、一般的な 立場からの質問ということになりますけれども、3点ほど御質問させていただきたいんで すが、1つはこの根拠になっています研究業績というのは、この届出書に書かれています けれども、「ニューロイメージ」という英文誌に2006年に発表しているのが一番根拠 になっているかと思うんですが、そこに出ているグラフとかの一部は、先ほどの説明の最 後のページにも引用されているものなんですけれども、その論文でちょっと気になったこ とは、例えばうつの重症度であるとか、そういったこととの関連性は余りないんだという ことが書かれていて、それと、対象になった方々は薬剤を服用していらっしゃるというふ うに書かれていますので、薬剤の影響とかそういったことはかなり気にはなるところで、 この論文自体は症例数がうつに関しては大うつ病では15例だったと思いますけれども、 ちょっと少な目であるというところがあって、その後の検討で、例えば重症度なりあるい は治療によっての改善とか、そういった経過との関連で、こういったものがどの程度有用 であるのかとか、あるいは薬剤の服用の有無に関しての、つまり薬剤による影響を反映し ている部分というのがどの程度あるのかないのかという点などが、ちょっと気にはなった というところが1点です。  それから、2点目の質問なんですけれども、この届出書のほうには、最初の単一施設で のデータとして大うつ病が15例、双極性障害23名ということが書かれていて、その後 他施設になりますが、2施設での再現性の検討というデータが示されていて、そこでは大 うつ病が45名で双極性障害が18名と、少しふえているんですけれども、そのパターン がちょっと気になったのは、最初の単一施設でのデータは非常に顕著な差があってよく分 かるんですけれども、2施設での検討になりますと、少しそのパターンの違いが最初のと きほど際立っていないのかなと。  特に大うつ病と双極性障害を見ると、確かに検査の前半部分に若干高目のピークがあっ たりとか、双極性障害は少し後ろのほうにアクティベーションが見られるとかという傾向 はあるんですけれども、かなり似てきているので、果たして他施設といいますか、症例数 をふやしたときにそのあたりの鑑別ができるのかどうかという点と、それから、これも非 常にスペシフィックな質問で恐縮なんですけれども、ゲインが縦軸なんですけれども、2 つのグラフで少し違っていまして、最初のところのほうがゲインが大きく記載されていて、 後ろのほうが少しゲインが小さくなっているというようなところが、ちょっと再現性とか 施設数がふえたときにどうなるのかなというところが気にはなっているというのが2点目 なんですね。  それから3点目としては、この言語流暢性課題自体の成績は、実はうつの方でも余り変 わらないというふうに書かれていて、だけどアクティベーションのところで顕著な差があ るというふうに書かれているんですけれども、こういう検査による前頭葉のアクティベー ションというのは、比較的ブロードなタスクのようにも見えるものですから、うつの病態 をどれぐらいこれが特異的に反映しているのかどうかと、いろいろな状況で何らかの形で 前頭葉の機能障害というのが起こったときに、やっぱり同じようなことが出てくる可能性 はないのかなという、そういったところもちょっと気にはなったということで、細かいと ころで恐縮なんですけれども、3点ほどちょっと気になりました。 ○猿田座長  ありがとうございました。  樋口先生、よろしいですか。 ○樋口構成員  ありがとうございます。  一番最初の根拠となるところで御指摘いただいた、うつの重症度と余り関連がないと、 そして、薬剤を服用しているのでその影響があるのではないか、あるいは治療との関係は どうなのかという御質問でございました。  これに関しては、私が論文を読んだ限りで、あるいはその後のここには掲載されていな いものに目を通した限りで結論的に言いますと、前頭葉と側頭葉の両方でキャッチをして いくと、改善をしてくると側頭葉が変化をしていくということのようです。前頭葉の動き というのは余り変化しておりません。  治療効果という意味でも、薬を使って薬による反応が出てくる、あるいは薬そのものの 影響というのは余り見ていないようですが、薬によって変化してくると側頭葉が変化して くるということは、ある意味では前頭葉のそういう賦活が非常に落ちているというのは、 余りステートディペンデントではなくて、むしろトレートをあらわすんではないかという 議論がされているということでございました。  それから2番目の最初の施設、24チャンネルで行ったものと、その次の他施設でやっ たものとが少し違うじゃないかと、最初のほうがもっと明確ではないかと。これは確かに 先生がおっしゃるとおりでありまして、私もその点はどういうことなのかという疑問を持 ちました。  1つは用いたトポの検査の装置が最初と、24チャンネルと52チャンネルとで違って いるというようなことがあって、そういうことが影響するのかどうかというのは、もう少 し確かにこれは確認をしていく必要があるんだろうと思いますが、少なくとも24チャン ネルの装置で見たものに関しては、かなりはっきりした差が出ているということなので、 ここは用いる装置というようなことも、これからは例えば指定をする必要があるのかどう か、そのあたりは検討していただく必要があるかと思いました。  それから、3つ目の言語流暢性課題のそのものの成績は、余りうつとそうでないものと 変わらないということなので、これは2つたしか意味があると私自身は思ったんですが、 1つは例えば注意の障害とかそういったものでも多分、今度は正答率が下がってくるだろ うと。そうすると、うつで注意が障害されているからこういうパターンが出てくるんじゃ ないかというようなことが懸念されるわけですが、そういう点では課題の達成は、正答は なされていると、逆に言えば課題が実行されているという意味なんでしょうか。そういっ たことは言えるんでしょうけれども、これが本当にうつ病の病態にスペシフィックかどう かというのは、これは本当のところまだ分からないと思います。今得られたことだけから それをそういうふうに結論づけてしまうことは、多分できないだろうというふうには思っ ております。 ○猿田座長  辻先生、よろしいですか。  結局これは割と簡単な機器であって、しかし、やる技師の方がしっかりしなきゃいけな い問題と、それとやっぱりあと、言語の流暢性ですね。患者さんに検査を受けやすいよう に上手に指導することで変わってくるかと思うんですね。だから、どこの施設でもやれる ということではないと思います。  ほかにございませんでしょうか。  興味がありますのは、脳外科のほうではもう保険が通っているんですね。そこがおもし ろいんですけれども。ですから、いろいろなところに応用できるということなんですね。 もし先生方がよろしければ認めてはと思います。ただ、やる条件は非常にしっかりさせて やるということで、お認めいただけますでしょうか。  ありがとうございます。  どうぞ。 ○事務局  申しわけございません。事務局からなんですが、技術名の訂正を1カ所お願いしたいと 思います。  訂正というより補足といった形なんですけれども、F2、F3と何度も出てきていると 思うんですが、補足として、F2の後に括弧をつけて「(統合失調症、統合失調症型障害 及び妄想性障害)」と入れてください。それから、F3のほうは括弧をつけて「(気分 「感情」障害)」というように訂正させてください。  よろしくお願いいたします。 ○猿田座長  わかりました。  国際分類だけでなく、具体的に書き入れるということですね。よろしいですね。ちょっ と長くなりますけれども。  ほかにございませんようでしたら、それではこれをお認めいただいたということにさせ ていただきます。どうもありがとうございました。  それでは続きまして、今度は2月分の受付でしょうか。先進医療の届け出の2月分の受 付に関しまして、事務局のほうからお願いいたします。 ○事務局  2月受付分についてでございます。先−3の資料のほうをごらんになってください。2 月分の受付なんですが、全部で6技術を受付けております。  まず初めに157番からです。157番、「全身麻酔下の脳深部刺激術における術中電 気生理学検査」。適応症としましては、視床下核に対する脳深部刺激術が必要となったパ ーキンソン病、先進医療費用としまして1回21万5,000円、保険外併用療養費が5 21万6,000円となっております。  その下158番、「内視鏡下筋膜下穿通枝切離術」、こちらのほうは適応症としまして は不全穿通枝を伴う下肢慢性静脈不全症、先進医療費用が11万1,000円、保険外併 用療養費が64万4,000円となっております。  続きまして159番、「無拘束型シートセンサーを用いた睡眠時無呼吸症候群の検査」、 適応症としまして睡眠時無呼吸症候群、先進医療費用が1回3,000円で、保険外併用 療養費が12万8,000円となっております。  その下160番、「実物大臓器立体モデルによる手術計画」、こちらのほうの適応症と しまして、骨盤・四肢骨・関節の先天的及び後天的変形及び欠損となっております。先進 医療費用が1回24万7,000円で、保険外併用療養費が308万6,000円となっ ています。  続きまして161番、「歯科用CAD/CAMシステムを用いたハイブリッドレジンに よる歯冠補綴(全部被覆冠における歯冠補綴が必要な重度齲蝕小臼歯に限る。)」、適応 症としまして、歯冠部歯質の欠損・崩壊により全部被覆冠における歯冠補綴が必要な重度 齲蝕歯となっております。先進医療費用が3万1,000円、保険外併用療養費が9,0 00円となっております。  最後に162番、「大腸腫瘍に対する内視鏡的粘膜下層剥離術」、適応症が大腸腫瘍と なっておりまして、先進医療費用が1回15万8,000円、保険外併用療養費が17万 2,000円となっております。  それから、整理番号161番についてでございますが、これは歯科の技術ですけれども、 こちらにつきまして、事務的返戻の後に再度届け出がなされた歯科の案件でございます。 この技術につきましては、前回会議の際、事前評価を担当されます赤川先生より、仮に利 益相反の状態の場合についての体制はどうであるかと、こういったお尋ねがあったところ でございます。事務局としましては、利益相反に関する規定を整備する所存であり、今後 も検討しておりますが、現時点でお示しできるといったところまでには現在至っておりま せん。なお、赤川先生より、届出書類を確認したところ広い意味で言う利益相反状態にあ る可能性があるということで、事前評価を含めた審議等への参加を辞退したい旨の申し出 があったということを御報告いたします。  2月分の受付については以上でございます。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。  今2月に関しましては全部で6つ出てきているということです。返戻がなければいいと 思うんですけれども。その中で今お話がありました161の歯科でございますけれども、 前の先進医療会議でもちょっと問題になりましたけれども、現在いろいろな技術は大体お 一方、あるいは、お二方ぐらいで評価していただいております。専門家が少ないものです から。歯科の場合には、赤川先生だけがお入りいただいているということで、赤川先生か らこの間、もし自分が関連するような事例では利益相反のことが問題になるからというこ とでありました。今、事務局からお話がありましたように、どうも利益相反に関係しそう だということです。赤川先生しかいらっしゃいませんので、どうするかです。ご存じと思 いますけれども、受け付けてからできるだけ早く返事を出さなきゃいけませんので、どう しても誰かに技術としては見てもらわなければならないわけです。1つのやり方は、今ま でもそうだったんですけれども、だれか別の方にお願いしてそれで評価をしていただくこ とです。それをここのところで諮らせていただいて、最終的に先生方に審議していただく という形になると思うんですけれども、そういったことをやるとしますと一応、今お手元 の先−3、「「先進医療専門家会議」運営要綱」というのがございますね。ここのところ で、後ろのほうの補足の第10条をちょっと見ていただけますでしょうか。「この要綱に 定めるもののほか、専門家会議の議事運営に関し必要な事項は、座長が専門家会議に諮っ て定める」となっていまして、実は利益相反のことに関しまして事務局のほうとも相談さ せていただきました。  高度医療それから先進医療におきましては、ともかく技術の専門家が少ないものですか ら、今申し上げたことが起こりやすいということで、今の補足の第10条で、私にお任せ いただいて事務局と相談して、どなたかこの制度が分かっている方に、私のほうから事務 局と相談してお願いさせていただき、技術の評価結果をここへかけさせていただくという 方法としたいのですが、御意見をいただければと思います。  高度医療のときもそうなんですけれども、ともかく専門家が少ないので困っているわけ です。ともかく早急に事務局のほうからは利益相反に対する結論を出していただきますけ れども、もしよろしければこの件はそうさせていただきたいと思います。赤川先生、そう いう形でよろしいでしょうか。 ○赤川構成員  結構でございます。 ○猿田座長  そうしたら、そういった形で相談させていただいて、リストアップをして、技術が分か る方に相談させていただきます。では、そういう形にさせていただきたいと思います。  事務局は、何かほかはございますか。 ○事務局  今後もこのように同様の事象が発生するであろうということも予想されますので、利益 相反等、こちらに関しましては早急に、先進医療専門家会議におけるこういった利益相反 等に関わる規定の整備を図っていきたいと、事務局としても考えております。 ○猿田座長  では、そういう形でよろしくお願いいたします。  それではこの問題はそういうこととさせていただきます。2月は大分受付がございまし て、先生方にお願いすることが多いと思いますけれども、よろしくお願いいたします。  それでは続きまして、第4番目の高度医療評価制度の見直しにつきまして、これも、そ れでは事務局のほうから御説明お願いいたします。 ○事務局  先−4の資料のほうをごらんください。平成21年2月27日に第5回の高度医療評価 会議が行われまして、その際に配付した資料の内容につきまして、そちらの会議のほうで 議論がなされたということでございます。こちらは本日、高度医療を担当しております医 政局の山本補佐に出席していただいていますので、資料について山本補佐のほうから説明 をお願いしたいと思います。 ○猿田座長  山本さん、よろしくお願いいたします。 ○研究開発振興課長補佐  医政局研究開発振興課の山本と申します。よろしくお願いいたします。  それでは、資料先−4に基づきまして御説明させていただきます。先生方は御承知のと おり、高度医療評価制度というのは昨年4月より設立されまして、約1年間運用を行って まいりました。今まで4件審議を行いまして、2件はこの先進医療の専門家会議を経て、 保険外併用というのが認められてきておりますけれども、その運用を行っていく中でやは り何点か、制度の根幹自体というわけではありませんけれども、より円滑に運営していく 上でさまざまな論点が出てきておりますので、それを今、先生方に議論を開始していただ いているという状況でございます。本日はその内容について御説明をさせていただきます。  それでは、資料先−4に基づきまして説明をさせていただきます。論点の1つ目といた しましては、高度医療を実施する医療機関の要件でございます。現在、高度医療を実施す る医療機関というのは、特定機能病院または緊急時対応、医療安全に対する必要な体制を 有する医療機関とされておりまして、その際にこの医療機関の実施要件をどう考えていく かというところで、この2つの要件をきちんと満たしている場合につきましては、実施す る医療機関というのを拡大していってはどうかということを論点として挙げさせていただ いております。  2つ目と3つ目は、これは当然のことでございますけれども、今現在2つ目につきまし ては臨床研究の倫理指針に適合しているということが1つ要件として挙げさせていただい ているんですけれども、先般の再生医療、ヒト幹細胞指針等々がございまして、そういう 技術に応じては対象となる指針が異なってこようと思いまして、そういったことについて は、対象となるであろう指針にそれぞれ適合しているということを通知上も明記していく 必要性はあるのではないかと、これは当然のことでございますけれども、論点として挙げ させていただいております。  3番目といたしましては、過去の使用実績等の科学的知見に応じた試験計画の考え方と いうことで、高度医療というのは未承認、薬事法に基づく承認や認証のない医療機器や医 薬品を用いる技術ということですので、さまざまな技術が今後も恐らく申請があろうと思 っています。その場合に予定の試験期間ですとか症例数、あとはモニタリング体制等々に ついては、これは当然のことでございますけれども、安全性をきちんと管理していかない といけないものについては症例数を少なくする、もしくは厳格なモニタリング体制を敷い ていくということを、条件として付していく必要性があるのではないかということでござ います。  4番目といたしましては、申請に当たって必要な文献ということで、現時点ではそこに お示しさせていただいているとおりで、当該技術の内容を論述した論文、当該技術の有効 性を評価した原著論文が必要ということになっております。今お話しさせていただいたと おりで未承認の医薬品、医療機器を使用していくことで、対象となる疾病が希少疾病であ る場合など原著論文がない場合、こういった場合について申請をしたいというときがあっ た場合に、どういうふうに考えていくかということについても、論点であろうというふう に考えております。  5つ目、これも当然のことでございますけれども、現在は定期及び予定の試験期間が終 了した場合には医政局長に報告することになっているんですけれども、これを必要に応じ て例えば5年の試験計画で切っておりますけれども、やはり1年ごとに報告を求める。こ れは先進医療でも既にやられていることでありますけれども、同様に随時の報告を求めて いく体制が必要ではないかということが5つ目の論点でございます。  6つ目といたしまして、これも先般乳がんのセンチネルリンパ節の検索について議論に なってきておるんですけれども、高度医療として技術として認められているものが試験計 画が一定程度試験が終わってくるという段階で、次にどうしていくのかということについ て論点があろうと思っております。基本的には高度医療評価会議において、その計画、実 施状況を評価していくというのがベースだと思うんですけれども、その確認の結果、高度 医療を一定程度実施した後に、次にどうつなげていくのかということが大きい論点だと思 っていまして、最後のところ、具体的な方向性について記載させていただいているんです けれども、高度医療の結果を踏まえて治験を次に実施していくのかどうか。また、2つ目 のポツのところにありますとおりで、「適応外使用に係る医療用医薬品の取り扱いについ て」という通知、いわゆる公知申請と言われている制度がございますので、そういったも のの運用を考えていくのか。また、高度医療評価制度をこれは一旦打ち切った上で、例え ば試験対象者や用法・用量を変更した上で継続していくのかと、いろいろその技術によっ て高度医療を実際に実施した上で、次の方向性はさまざまな方向が考えられると思ってい まして、そういったことを高度医療評価会議において確認していただいた上で、事務局と 相談の上、当該技術の今後についてどのように考えていくかということを検討していきた いというふうに考えております。  以上でございます。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。  委員の先生方はご存じのとおり、高度医療制度は1年前に始まって、やってみるといろ いろな問題が起こってきました。今ここに書いてあるような問題以外にも、先ほど言った 利益相反の問題も起こってきました。今お話しがありました中で、1番目とすれば、最初 は高度先進医療は特定機能病院、それに準ずるところからしか申請できなかったのですが、 施設を拡げたい。すなわち安全性がとれているような病院であればいいだろうということ です。高度医療でございますから、効果と安全性は非常に重要ですが、しっかりした施設 で、それが大丈夫であれば許可しようということで、応募しやすくしようということです。  それから2番目は、技術に応じた対象となる指針ということで、これは当然のことかと 思います。  3番目の過去の使用実績等の科学的知見に応じた試験計画の考え方というのは、病気に よって非常に症例が少ないものもあったりしますので、各病気ごとに議論して決めていこ うということです。  一番問題なのは4番目の、申請に当たって、先生方が技術を評価するときに論文がきち んと書かれていなくてもよいかです。ご存じのように、このごろ最先端の医療というのは 論文にするよりもまず特許を取る必要があると、大分考え方が変わってきています。そう いったことで、そういう論文がない場合はどうするかです。いかに早くいい研究を医療と して国民のほうに届けるかという方向に動いてきていますから、申請時に立派な論文がな くても、学会等で技術や結果が高く評価されている場合は高度医療として良ければ認めた いということです。  それから、あと今お話がありましたセンチネルリンパとか、そういったことをやってき て今後の方針ですね。こういった高度医療としてやっていて、一度技術として認めたのは この先進医療の先生方のところへ回ってきて最終的な許可をいただいているわけですけれ ども、結局これから先、高度医療を終わったものが高度医療のままで行くのか、あるいは もうやれなくなったからやめてしまうのか。それから、いかに早く保険適用に持っていく かというところの出口、そこのところがいろいろ議論されているというのが、今お話しい ただいたことのまとめでございます。ここが高度医療の親委員会でございますので、先生 方の御意見がいただければと思います。画期的な医療が次々に今後ここへは出てくるもの がふえてくるはずでございますので、御意見をいただければと思います。  課長さんのほうは補足はございますか。 ○医療課長  ありません。 ○猿田座長  大丈夫ですか。  はい、どうぞ、谷川原先生。 ○谷川原構成員  谷川原ですけれども、出口の後の取り扱いは非常に大きな論点とおっしゃったんですけ れども、ちょっと確認させていただきたいんですが、高度医療というのは、非常に医療上 必要で先進的に必要なんですが、治験の実施が難しいケースに、相応の医学的根拠を持っ て、いわゆる保険併用で行うというような位置付けであったと思うんですが、それが終わ ってからさらに治験を要求するというようなことになるんですか。むしろ私の理解はそれ は……。 ○研究開発振興課長補佐  基本的にはケース・バイ・ケースの部分、原則治験が必要なんだろうとは思うんですけ れども、必要ない場合等々もあって、そのあたりは本当にケース・バイ・ケースと考えて おります。  俵木室長、何か補足で。 ○医薬食品局医療機器審査管理室長  医薬食品局の医療機器審査管理室の俵木でございます。  薬事法上の承認を取って保険適用にという道筋を考えるときに、どうやって承認を取る かということでございますが、もちろん一番普通のといいますか、多くのケースはGCP に基づいた治験データで信頼性の高い、エビデンスの極めて高いデータで科学的に評価を 行っていくということですけれども、全部が全部、薬事の承認もGCPに基づいた治験デ ータではなくて、非常にまれな疾患の場合とか、または既に欧米では使われていて日本で はまだ承認がないようなものについては、これから申請は来るかもしれませんが、アメリ カの例えば臨床データ、GCPに基づいた治験データで日本の申請もできるけれども日本 ではまだ使えないというような例についても、この高度医療が日本のまずは導入というこ とで活用されている面もありますので、必ずしもこの高度医療の終わったものが全部治験 に行くんだということでは理解していませんけれども、その承認を取るためにどういうデ ータで承認を取って、最終的な出口へ向かうかということについては、個々の恐らく高度 医療の置かれた状況に応じて治験に行かざるを得ないもの、または、ここにありますよう に公知申請というルートを使って、この高度医療のデータを参考データとして使いながら 行くもの、または外国の臨床データが使えて、特に医療機器の場合はそういうケースが多 いですけれども、外国の臨床データを使うんだけれども、日本の実際の臨床使用実績とし て高度医療の成績を参考データとして使っていくという幾つもの道があるのかなと思いま して、高度な医療について患者さんにアクセスを確保するために高度医療自体は極めて重 要な制度だと思いますけれども、出口に向かっていただかないと広く使われないというこ とで、出口に向かうためにここにありますような幾つもの方法があって、それを、できま したら私どもとも御相談をさせていただきながら、できるだけ早く出口に向かっていただ けるようにしていくことが必要なのかなというふうに考えております。 ○谷川原構成員  よろしいですか。  確かにケース・バイ・ケースにならざるを得ないと思うんですけれども、大きな流れと して治験が非常に難しいケースに対して、先進的な技術をできるだけ早く医療現場へ届け るというトラックとして、この高度医療というのはできたと思うんですよね。ですから、 それが終わってから治験をやると言われると、またさらに何年もかかりますから、高度医 療として1回ハードルを越えて、それで相応の臨床的な経験とかデータを得たら、やっぱ り公知申請といいますか、医学・薬学的公知みたいな考えですよね。それに基づいてでき るだけ早く使えるようにするというのを本来のルートにしたほうが、この趣旨にかなって いるんではないかなというふうに思います。  そのためには高度医療で実施するときのデータの質の担保、いわゆるここに書いていま すけれども、実施上の試験計画であるとか、安全性のモニタリング体制とか、そこのクオ リティーを担保しておけば、その後にさらに治験を要求しなくても、もっと早く医療現場 へ届けられるようになるんじゃないかと思うんですが。 ○猿田座長  どうですか。 ○医薬食品局医療機器審査管理室長  治験の実施の極めて困難な事例としてどう考えるかということだと思うんですけれども、 データの信頼性を担保するためにGCPというものが課せられて、それを治験と呼ぶわけ ですけれども、例えばアメリカなどではすべての未承認の医療機器、医薬品の使用につい てはGCPがかかって、それは申請するしないにかかわらずGCPがかかって実施されて いますので、すべてのものが例え申請に使おうとしても使えるという状態で行われている んだろうと思いますけれども、日本の場合には申請に使うものについてはGCPというこ とですね。もし高度医療のというか、これからやろうとする臨床研究を、非常に症例数が 集めにくいにしても申請データとして使うということであれば、医師主導治験という方法 論もありますし、GCPに基づいた治験という形で実施するのが一番出口に近いというこ とで、そういうことが本当に難しいのか、GCPに基づいた医師主導治験も難しいのか。 またはGCPに基づいた企業の治験をお願いするということも難しいのか、そこを高度医 療に入るときに出口を考えながら、私どもとも御相談をしていただけるのが一番いいんじ ゃないかなというように思っています。  いずれにしても、出口に早く結びつけたいという思いは同じでございますので、そのた めにはどうすることが一番早いのかということを考えています。 ○猿田座長  現状を申し上げますが、今、各大学でトランスレーショナルリサーチが始まりまして、 新しい技術が臨床応用されるようになりましたが、研究費で多数例の検討は経済的に大変 であります。優れた技術で安全なものであれば高度医療として申請したいということです。 そこで、このようなことを医薬品医療機器評価機構に相談していただくようにしています。 機構のほうで、その技術に関して治験に行ければ治験で企業治験か医師主導治験なのか、 あるいはまずは高度医療として実施するかなどです。  今、一番問題になっていますのは、例えばお話にありました乳がんのセンチネルリンパ、 これはもうたくさんの病院でやっております。これは早くなんとか出口を見つけてという 形で、その出口のところを検討しているところです。今、谷川原先生がおっしゃったこと は非常に重要でございますので、こういう形でやられているという現況を知っていただき たいと思います。  はい、どうぞ、竹中先生。 ○竹中構成員  具体的にはというところの、適応外使用に係るというところは、これは医療機器は、こ こでは医薬品しか挙がらないのかと。 ○猿田座長  この間ダビンチのものでありましたね。 ○研究開発振興課長補佐  これは、医療機器につきましても同様の通知がございます。 ○竹中構成員  であれば、ここの書類上も医療機器というものをつけ加えて、そこの道をどういうふう にされるかというのは、同様に審議されたほうがいいと思います。 ○猿田座長  御意見はございますか。 ○医薬食品局医療機器審査管理室長  先ほど山本さんがおっしゃいましたように、医療機器についても同様の取り扱いになっ ておりますので、公知に認められるということであれば、幾つかの外国でのデータである とか、または公的な臨床研究のデータ等によって審査ができる部分もあると思います。 ○猿田座長  どうぞ。 ○竹中構成員  特に医療機器の場合は治験に関わる書類とか、いろいろなGCPの規定が遅れて出てき ている都合もあって、それ以前に認可申請されたものとかなり現在お薬の治験とは、まだ 整合性が出ない部分があると思うんですね。そこら辺も含めてどこで取り扱われるのかと いうのは大きな問題ではないかと思います。 ○猿田座長  ありがとうございます。  どうぞ、辻先生。 ○辻構成員  2点ほどコメントなんですけれども、メーカー主導の治験、あるいは医師主導の臨床治 験、あるいは高度医療というようなことが出ましたですけれども、全体のグランドデザイ ンといいますか、それを道筋をしっかりつけていただくのがやっぱりいいんだと思うんで すけれども、医師主導の臨床治験なんて、実際にやってみると本当に大変だと聞くんです よね。だから、現実にはいろいろなところでハードルが物すごく高くて、物すごい負担に なっていて、その辺のことも考えて、やっぱりフットワーク軽く動けるシステムにしてほ しいなというふうなところが現場の実感だと思うんですね。  それから、3のところについてなんですけれども、「過去の使用実績等における有効性 及び安全性に関する知見に応じて」というのは、これはどういうことを意味しているのか、 これは医療現場でこういったことを実際に実績をつくろうとすると、これはすべて臨床研 究としてやりなさいということになるんでしょうか。 ○猿田座長  はい、どうぞ。 ○研究開発振興課長補佐  よろしいでしょうか。考え方としてはやはり、技術として一般的に医療現場である程度 行われてきているものと、そうでない本当に新しくやり始めのものとあろうと思っていま す、技術というのは。それについて本当に新しく出てきたばかりのものは長期間、多症例 というよりは、やはりきちんと少ない症例で試験期間も短く切った上で、高度医療評価会 議できちんと再度評価をしていただいた上で、その技術をどうしていくのかということを 議論していくと、そういう意味で技術に応じてというふうに記載をさせていただいている ところでございます。 ○辻構成員  厳密に議論をしていくと、そういう臨床研究的に行おうとすると、やはりそれは制度の 整備なり、あるいは経済的なサポートというか、研究費とか、そういったことも含めてや らないと精神論だけではできないと私は思いますので、何か無理があるんじゃないかと常 に感じるんですよね。だから制度を整備する上では、現場でやっぱり実行しやすい、ハー ドルが余り高くないものにやっぱりしていく工夫は要るんじゃないかなというのは1点な んです。  もう一点なんですけれども、原著論文のことに関して先ほどちょっとお話がございまし たですけれども、例えば特許の申請というのは、そんなに科学的に厳しい評価があるわけ ではないと私は思うんですね。早く出せば何とかなるというところがあって、だから特許 がサイエンティフィックに適切な基準にはなり得ないというふうに私は思いますので、そ ういう意味では原著論文はやっぱりあったほうがいいと思うし、もしそれが難しいとなる んだったら、それに代わるきちっとしたルールをやっぱり定める必要があるんじゃないか なと思うんですね。そういった報告書なり何なりというものを、しっかりとした基準で認 めるというようなことをつくっていかないと、原著論文または特許という話にはならない んだと私は思います。 ○猿田座長  貴重なご意見をありがとうございます。学会で非常に高く評価されている場合に、その 状況でもいいんではないだろうかという意見も今出ていますが、もちろん早く論文ができ 上がっていればいいんですけれども、そうでない場合にどうするかです。  もう一つ問題になったのは、ご存じのとおり文科省のほうでスーパー特区が始まりまし たね。あれがまたその出口をどういうふうに持っていくかということで、これも結局、機 構のほうへみんな相談に行くようになっていて機構のほうは大変と思います。高度医療制 度が始まって1年のところで、いろいろなことが分かってきたものですから、議論をさせ ていただきました。ここが、親委員会でございますので、できるだけ連携をとりながら進 めたいということで皆様方に本日まとめて説明させていただいた次第です。何か御意見ご ざいませんでしょうか。せっかくの機会ですから、その御意見をまた高度医療のほうにも 反映させていきたいと思います。こういうところが問題だということだけはお分かりいた だければということなんですが。  もし御意見がなければ山本さん、それでよろしいでしょうかね。こういう形で今やって いるということで。  そうしますと、今日、御議論いただく議題は以上かと思いますけれども、この先の予定、 事務局のほうから何かございますでしょうか。 ○事務局  日程につきましてはまだ詳細が決まっておりませんので、追って連絡いたしますので、 よろしくお願いいたします。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。  それでは、これで先進医療専門家会議を終わりたいと思います。どうも御協力ありがと うございました。 <了> 【照会先】  厚生労働省保険局医療課医療係  代表 03−5253−1111(内線3276)