09/03/10 第20回未承認薬使用問題検討会議議事録 速記録 第20回未承認薬使用問題検討会議議事録  日時:平成21年3月10日(火)14:00〜15:36  場所:九段会館 真珠の間  出席委員:堀田委員、井上委員、大津委員、大塚委員、川西委員、久保委員、       後藤委員、佐川委員、樋口委員、藤原(久)委員 ○審査管理課長  それでは、定刻でございますので、ただ今より第20回の未承認薬使用問題検討会議を 開催させていただきたいと存じます。  議事に入ります前に、本日の構成員の先生方の出欠状況についてご報告申し上げま す。  本日は、岩砂先生、浜田先生、藤原康弘先生よりご欠席というご連絡をいただいて おります。また、後藤先生から遅れてこられるというご連絡をいただいているところ でございまして、現在9名の委員にご出席いただいております。また、本検討会より、 青森県立中央病院病院長の吉田茂昭委員に替わりまして、国立がんセンター東病院臨 床開発センター長の大津敦先生にご参加いただいておりますので、ご紹介申し上げま す。 ○大津委員  がんセンター東病院の大津と申します。吉田先生のほうから引き継いで検討会に入 らせていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。 ○審査管理課長  なお、大津先生、15時半ごろ中座されるというご報告をいただいております。  それでは、堀田先生、議事進行をよろしくお願い申し上げます。 ○堀田座長  ありがとうございます。それでは、事務局からの本日の配布資料の説明をお願いし ます。 ○事務局  本日の配布資料につきましては、議事次第、座席表、資料1、平成20年11月より平成 21年1月に欧米4カ国で新たに承認された医薬品(類型I)、資料2、平成20年12月か ら平成21年2月に提出された要望書一覧、資料3、「未承認薬使用問題検討会議」にお ける検討終了から6カ月以上経過後、治験が開始されていない品目について(照会の回 答)となっております。資料4、本検討会議で検討された医薬品リスト、また参考資料 として、参考資料1、開催要綱、参考資料2、構成員名簿、参考資料3、対象医薬品の 類型、参考資料4、未承認薬を治験対象とする場合の考え方、参考資料5としてワーキ ンググループの設置について、参考資料6、未承認薬使用問題検討会議での検討状況を 配布しております。構成員の先生方の机の上には、資料1で出てくる8品目の医薬品の 欧米添付文書等につきまして、コピーを置かせていただいております。ページ数も多く、 かつ英文ですが、傍聴されている方々の中でこの資料をご希望される方は、恐縮ですが、 会議終了後、事務局までお声をおかけください。  また、今回から資料の構成を若干変更しております。詳細については、後ほど改めて ご説明申し上げる予定にしておりますが、まず、検討会での検討の順番を変更しており ます。従来、ワーキンググループで検討した品目の報告等がない場合におきましては、 最初に学会等からの要望があった品目について検討をしていただいていたところですが、 今回より新たに海外で承認があった品目について先にご検討いただきますようお願い申 し上げます。  また、資料4で挙げております各品目の状況についてですが、「治験準備中」や「治 験実施中」などの分類がわかりにくいというご指摘を受けまして、新たな分類を用いる ことにしました。資料4の各ページの下段にそれぞれの分類ごとの集計を記載しており ます。それに伴いまして、参考資料6の円グラフも改訂しております。  以上でございます。 ○堀田座長  ありがとうございます。それでは、資料の欠落等がありましたらお知らせください。  もしなければ、本日の具体的な議事に入りたいと思います。  まず、資料1として、平成20年11月から平成21年1月に欧米4カ国のいずれかで承 認を受けた医薬品のリストでございますが、これについての検討に入ります。  事務局から簡単にご説明をお願いします。 ○事務局  それでは、ご説明申し上げます。  前回の報告以降であります平成20年11月から平成21年1月の3カ月の間に新たに欧 米4カ国のいずれかの国で承認された薬品は資料1に記載がございます8品目でござ います。  まず1番目のエルトロンボパグは、効能・効果が、「コルチコステロイド、免疫グ ロブリンまたは脾臓摘出に応答が不十分な慢性特発性血小板減少性紫斑病患者におけ る血小板の減少症」である経口剤でございます。学会・患者団体等からの要望はなく、 国内での治験は第II相が現在実施中でございます。  2番のタペンタドールですが、こちらは「中等度から重度の急性疼痛」を効能・効 果とする経口薬でございます。国内での治験はなく、学会・患者団体等からの要望も なく、国内での治験は第II相が現在実施でございます。  なお、国内の開発時の効能はがん性疼痛であるとのことです。  ページをおめくりいただきまして、3番、ヒスタミン二塩酸塩でございます。「急 性骨髄性白血病の成人患者に対する初回寛解における維持療法として、interleukin −2との併用」を効能・効果とする皮下注射液でございます。学会・患者団体等から の要望はなく、国内開発は現在なしと聞いております。  4番のフォスプロポフォール二ナトリウムでございます。こちらは「監視下鎮静管 理による成人患者の検査もしくは処置における鎮静」を効能・効果とする注射液でご ざいます。国内既承認薬であるプロポフォールのプロドラッグであり、学会・患者団 体等からの要望はなく、国内開発は現在なしと聞いております。  ページをおめくりいただきまして、5番、プレリキサフォルでございます。効能・ 効果として、「非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫の患者において、自家移植を行う ために幹細胞を採取した後、さらなる造血幹細胞採取を末梢において行うため、G- CSF併用により造血幹細胞を骨髄から末梢血管血液循環に動員させる」目的の皮下注 射液です。学会・患者団体等からの要望はなく、国内開発はジェンザイム・ジャパン において現在検討中であると聞いております。  6番のデガレリクスでございます。効能・効果は「進行性前立腺がん」とする長期 作用型のゴナドトロピン放出ホルモン拮抗剤皮下注射液です。学会・患者団体等から の要望はなく、国内での治験は第II相が現在実施中でございます。  ページをおめくりいただきまして、7番、デクスランソプラゾールです。こちらは 国内で既承認薬であるプロトンポンプ阻害薬のlansoprazoleの光学異性体の徐放性剤 です。学会・患者団体等からの要望はなく、国内での治験は第II相が現在進行中でご ざいます。  最後に8番のウステキヌマブですが、こちら「ciclosporin、methotrexate及び長 波長紫外線UVAを用いた光線化学療法(PUVA)を含む他の全身療法が禁忌ある いは不応・不耐の中等度から重度の成人の尋常性乾癬」を効能・効果とする皮下注射 液でございます。学会・患者団体等からの要望はなく、国内の治験は第III相が現在実 施中でございます。  以上の8品目でございます。先生方のご意見を賜りたいと存じます。よろしくお願 いします。 ○堀田座長  わかりました。  それでは、順番に審議していただきたいと思いますが、こうやって見ますと、2品 目以外は既に国内でもう治験が始まっている、もしくは検討中という状況であります が、最近、大分キャッチアップしてきまして、タイムラグが少なくなってきたのか、 手つかずというものがだんだん減ってきたという状況だと思います。全くの手つかず のものから検討中のもの、あるいは治験実施中のものもありますが、疾患の重篤性と か緊急性から特別にプッシュすべきというご意見があれば、必要に応じてワーキング グループの検討におろしていくということになりますので、ご検討をお願いいたしま す。  まず最初に、エルトロンボパグでありますが、いかがでしょうか。これは、難治性 の特発性血小板減少性紫斑病、すなわちステロイドとか、γグロブリンあるいは摘脾 によってもなかなか上昇しない患者さんがありまして、そういう方に比較的効果が高 いというふうに言われているものであります。従来の血小板を増やすトロンボポエチ ンという造血因子とは構造式は違って、トロンボポエチンレセプターに対するアゴニ ストとして作用する全く別の低分子のものであると聞いております。  いかがでしょうか。疾患としては血小板が1万以下のような厳しい人がいるので、 重篤性はあると思いますが、患者団体からの要望はありません。本剤は現在PhaseII を行っているということでいかがでしょうか。これはそのまま進めていただくという ことでよろしいでしょうか。いいですか。  それでは、PhaseIIの段階にあるようでありますから、引き続き、治験の進捗をし ていただくようによろしくお願いいたします。  それでは、2番目のタペンタドール、これについてはいかがでしょうか。米国での 承認は、急性の疼痛、術後疼痛等を含めてだと思いますけれども、オピオイド受容体 及びノルアドレナリン取り込み阻害作用ということであります。先ほどのご紹介のよ うに、国内の開発はPhaseIIの段階にありますが、がん性疼痛ということで、ちょっ と適用は違う開発が行われているという状況であります。いかがでしょう。  何かご意見ございませんか。久保先生。 ○久保委員  これは、もともとは手術後の急性疼痛ですけど、がん性疼痛にしたのは何か理由は あるんですか。 ○事務局  医薬品医療機器総合機構が、メーカーとの治験相談等を行ったと聞いておりますけ れども、いわゆる急性疼痛もしくはがん性疼痛というところで、明確に今後の開発プ ラン等を確認したわけではございませんけど、段階的な、まずはがん性疼痛からとい う形でやっているものと思われます。 ○堀田座長  いかがでしょうか。藤原先生、いかがでしょう。よろしいですか。  既にそのPhaseIIのがん性疼痛は開発中ですが、この急性という形の術後疼痛につ いてはほかにも同種同効薬がありますので、これは見守るという形でよろしいでしょ うか。特にご意見がなければそのようにさせていただきたいと思います。  それでは、3番目のヒスタミン二塩酸塩、これはいかがでしょうか。急性骨髄性白 血病の患者さんで寛解導入が行われた後の維持療法として、IL−2と併用する形で のヒスタミン二塩酸塩という、ちょっと余り耳慣れない薬のような気がしております けれども、いかがでしょうか。私が事前に白血病の専門家に少し話を伺ったところ、 確かに成人の急性骨髄性白血病の寛解後の維持療法というのは若干手詰まり感があっ て、ここ10年、20年、白血病の化学療法の成績自体は余り進歩していないということ です。ハイリスク例については移植を含めた対応をしているというのが現状なのです。 さりとて、今、日本でIL−2をベースにした新薬を開発すると必要性、緊急性につ いては専門家は余り感じていないというのが数名の方のご意見でありました。余り一 般的な感じとして受け止められていないのかなという印象でありますが、いかがでし ょうか。あるいは、製剤の点で何か確認しておきたい点等はございますでしょうか。  井上先生、いかがでしょうか。 ○井上委員  この薬なのですけれども、併用ということなんです。これ、単剤では全く効果が認 められない薬剤なのですかね。 ○堀田座長  多分そうです。これはIL−2のサイトカインの活性化の補助薬みたいなものだと 恐らく思います。どうでしょう。ほかの先生いかがですか。大津先生、新しい薬の開 発なんか結構おやりになっていると思うのですが、いかがですか。 ○大津委員  私の専門分野ではないので詳細はわからないのですけれども、これは国内では全く 開発治験が行われていない、やる予定もないということでしょうか。 ○事務局  現在のところ、開発計画等はないと聞いております。 ○大津委員  すみません、この会社名というのが耳慣れない感じなのですが。 ○事務局  これは恐らくドイツの会社だと思うのですけれども、日本にこちらの会社の法人が あるかというのはちょっと確認はしておりません。 ○大津委員  承認されたのはドイツだけということ…… ○堀田座長  みたいですね。 ○事務局  そうですね。最後の語尾のところにGmbHがありますので。 ○堀田座長  ただ、アメリカのほうでは、オーファン指定まで受けたというような話があり、ま だ開発には至っていないということでしょうか。 ○事務局  FDAへの申請の有無等は確認していないのですけれども、これもこの会社名のホ ームページ上では、このCepleneというものが欧州で承認されて、米国ではオーファ ンに指定されているとのホームページ上の記述がありましたので、恐らく米国も承認 を見越して開発ということは意図としては持っておろうと推測しております。 ○堀田座長  わかりました。川西先生、何か。 ○川西委員  私もちょっと判断がつかなくて、この製薬企業についてネットで調べたのですが、 この1月に新たな新薬開発はやめて、この製品の臨床応用に経営資源を集中するとい うマスコミ発表をしており、メーカーとしてはこの製品をFDA等からの認可を得て 世界にも広げるということに傾注しているようです。私自身は、この病気に関してこ の医薬品がどれくらいなものかという判断がつかないので何とも言えませんが、ここ におられる専門家の先生方が特段に余り注目していないということであれば、当面は 今後の経緯を見守るというが検討会としては妥当なのではないかと思います。 ○堀田座長  そのような形でよろしいでしょうか。今後また患者団体等の要望あるいは学会から の要望があれば、また再度俎上にはのせることができますので、今の段階では緊急に 治験開始を行う必要性はないという整理でよろしいでしょうか。ありがとうございま した。  それでは、その次、4番目ですが、フォスプロポフォールニナトリウム、これはい かがでしょうか。プロポフォールのプロドラッグのようでありますね。これについて はどなたかご意見は。大塚先生、お願いします。 ○大塚委員  私自身フロポフォールを使用した経験は余りないのですけれども、一般的にはいろ んな検査のときの鎮静に使うということと、適用外使用でプロポフォールはてんかん 重積状態にもよく使われておりますので、ICUや麻酔科でははよく使われている薬 です。プロポフィールのプロドラッグは水溶性ですので血管痛がないとか、効き目が 出てくるまでの時間は少し長いのですけれども、効果の持続が長いというような利点 があるというふうなことが書いてありました。  ICUの麻酔科の先生に、プロポフォール以外にこういうプロドラッグの必要性は どんなものだろうかというようなことも尋ねてみたのですが、個人的な意見ですから 一般的にどうかわかりませんけれども、私どもの病院ではプロポフォールで副作用が 強いのでプロドラッグが必要だというほどの認識はないという意見でした。しかし、 このプロドラッグの利点がどの程度なのかということを調べてみて、とてもいいもの であれば、プロポフォール自体は随分使われている薬ですから、プロドラッグが我が 国に入るといいということもあるかもわからないと思いました。 ○堀田座長  先生のご意見の結論はどのようですか。 ○大塚委員  実は、プロドラッグが承認され、薬価が非常に高いとなると、結局、病院には導入 されない可能性も高いし、今のプロポフォールで大体足りているというのが当院の関 係者の意見ではありました。 ○堀田座長  ありがとうございます。樋口先生、いかがでしょう。こういう向精神薬に近いもの でありますので専門家としてご意見をいただけますか。 ○樋口委員  私どもの領域では、電気けいれん療法をやるときに麻酔科医が今現在はプロポフォ ールを使っております。ですから、それと比較して、うちの場合はむしろ効果の持続 は比較的短い方ですね、数秒間のECTをやった後ですから、すぐにさめていい話だ し、それからそういう今のプロポフォールの持っている効果だとか安全性というもの を何か顕著に上回るようなものがあれば、これは私どもの領域では歓迎されるだろう と思うんですが、その辺の情報がないものですから。 ○堀田座長  なるほど。佐川先生、何か薬理作用的に、あるいは製剤的にプロドラッグにするこ とのメリットというのは何かあるんでしょうか。 ○佐川委員  水溶性というところでは、特に蓄積とかそういった意味合いではメリットがあるだ ろうと思いますが、プロドラッグ、通常ですと、やはり代謝面における問題から、副 作用の点で軽減されるというメリットは通常はあるんですが、細かい、これについて はちょっとまだ情報不足でわからないところでございます。 ○堀田座長  いかがでしょう。 ○大塚委員  胃カメラや内視鏡の検査のときに使いますと、ある程度長く効くほうが検査に好都 合であるというようなことも書いてありましたが、ちょっと胃カメラなどの検査のこ とは私知らないので何とも言えません。 ○堀田座長  なるほど。もともと検査の補助薬みたいな形で鎮静作用として用いるものですので、 重篤性とか緊急性という対象にはちょっとずれるかなということであります。なくて 困る薬剤かどうかという点で、優先順位は先頭にはないのかもしれません。学会の要 望等もありませんので、これについては見守るということで、皆さん、よろしいでし ょうか。また、各方面からの意見があれば、またその時点に検討させていただきたい と思います。  それでは、5番目の成分でありますが、プレリキサフォルは自家末梢血幹細胞移植 のための幹細胞採取をやるときにG−CSFで骨髄から造血幹細胞を動員するわけで ありますが、その効果を高める薬という意味合いですね。対象は非ホジキンリンパ腫 と多発性骨髄腫となっています。白血病は、かえってこういうものを使うと白血病細 胞を動員する可能性があるということで、除外されていると記載がございます。造血 幹細胞は骨髄の中にいて、骨髄のマトリックスにアンカーみたいなものでくっついて 離れないようになっているのですが本剤はそれを切るといいますか、ブロックすると いう形で離れやすくする薬というふうに理解しております。  この辺についてはいかがでしょうか。疾患としては、造血幹細胞移植の適用ですの で、重篤な疾患になろうかと思いますが、それと同種同効薬としましては、G−CS F自体は動員作用は持っているのですが、それに補助的な役割をするという意味では 同種同効薬はないと思います。一時期、ステムセルファクター(SCF)を併用する 治験が行われておりましたが、それも国内では中止になっております。国内では、開 発検討中ということでございます。いかがでしょうか。 ○大津委員  これは、海外で承認されたのは、どのような有用性が証明されたから承認されたの でしょうか。 ○堀田座長  結局、骨髄細胞の…… ○大津委員  幹細胞を明らかに有意に増加させたということ…… ○堀田座長  そうそう、幹細胞の目印であるCD34陽性細胞フラクションがどのくらい、G− CSF単独の場合とこれを併用した場合で、とれ方が違うかというので、統計学的に 有意差が出ているという話ですね。 ○大津委員  それは、臨床的にどのぐらいの有用性があるのでしょうか。 ○事務局  今、座長の堀田先生からご説明があった結果ですけれども、G−CSFのみの場合 にはCD−34のプラスの細胞のカウントが、中央値が1.4から1.7だったところを、 この薬剤をG−CSFに併用したときに中央値が4.8から5.0と約4倍弱、CD−34 陽性細胞のカウントが増えたと、そういう結果をもってかような承認となっておりま す。 ○堀田座長  先生のご質問の、それが臨床的に何の意味があるのということですか。 ○大津委員  例えば、骨髄の移植の定着率が上がるとかそういうことでしょうか?…… ○堀田座長  それについては体重キログラム当たり2×106個のCD−34陽性細胞がないと定 着しにくいと一般的に言われているんですね。そこが一つのメルクマール、ただ、そ れはぎりぎり最低限であるので、十分量の移植をしようと思うと5×106パー・キロ グラム要ると、その辺が目印になると思います。そういう意味で言うと、5×106個 とれるかとれないかはかなりの差があるんですね。そういう意味では、例えばアフェ レーシスを何回も繰り返しやらなくても1回でとれるとか、そういう利便性はあるか なと思います。  ほかの先生はいかがでしょうか。私は個人的にはこれはおもしろい薬だなと思って います。 ○大津委員  定着率を上げるという意味では、それであれば意義があると。やっぱり臨床的には 十分必要性はあるんではないかと思います。 ○堀田座長  そうですね。特に多発性骨髄腫の患者さんというのは、自家末梢血幹細胞移植がセ カンドラインの治療としての標準治療に上がっているんですね。ところが、非常に採 取が難しくて、1回や2回じゃとれないということが多いものですから、それで非常 に苦労したり、移植自体をあきらめざるを得ないことが少なくないので、そういう意 味ではしっかりとれれば患者さんへのメリットが大きいとは思います。 ○大津委員  私もできるだけ進めたほうがいいんじゃないかと思うんですけれども。 ○堀田座長  既に開発検討中ではありますが、ワーキンググループにおろす必要はございますか。 いかがでしょうか。最近余りおろしていないので、1つぐらいあってもいいかなとい う感じがしていますが。 ○川西委員  他の品目の審議前に申し上げるべきことではないかもしれまんが、今回の検討会に あげられている医薬品の中でワーキンググループに検討していただく候補としてはこ れが一番だと思っています。 ○久保委員  今回の中ではこれが一番重要ではないかと思っています。 ○堀田座長  いかがでしょうか。一度、ワーキンググループでレポートをしていただきましょう か。  はい、それでは、そのような形にさせていただきます。ありがとうございます。  次に、6番目のデガレリクス。これは、前立腺がんのアドバンスのものに対するホ ルモン拮抗作用のあるものですね。  これはいかがでしょうか。もう既に同種同効薬はあることはありますね。進行期の 前立腺がんですから、疾患としては重篤性はあるというふうに考えています。現在、 第II相試験の段階にあるということでありますが、いかがでしょうか。これは今まで にもう既に出ているものに比べて、特徴は長期作用型というところなんでしょうか。 事務局のほうでの情報はありますか。 ○事務局  長期作用型というのは確かに一つの特徴でございます。こちらで行われた臨床試験 では、日本で言うとリュープリンという薬があると思うんですけれども、それの非常 に類似したお薬とこの薬を投与したときの去勢レベル、テストステロンの濃度がどの 程度まで下がるかということで、50以下のところまで下がる去勢レベルの達成率とい う形で確認をしたところ、リュープロライドというお薬では96%の達成率、それに対 して本剤に関しては97から98%ということで、ほぼ既存薬と同等の去勢レベルの達成 率があるということでございます。 ○堀田座長  ということのようでありますが、いかがでしょうか。  どうぞ、井上先生。 ○井上委員  ちょっと私も詳しくはないんですけれども、この前立腺の特に進行性のものに対し て、今までこういう薬剤が非常にクラシックな薬剤が多くて、新しいものがなかなか なかったような気がするんですけれども、現在このPhaseIIというのはどういう対象 の前立腺がんでやられているのか、もしわかればお教えいただきたいんですけれども、 進行性で対象をされているのか。 ○堀田座長  現在のPhaseIIスタディーの治験の対象疾患が、進行期かどうかはわかりますか。 ○事務局  治験の詳細についてはちょっと把握しておりませんので、これはアステラスですか、 メーカーのほうに確認してご報告申し上げるという形をとらせていただいてよろしゅ うございますでしょうか。 ○堀田座長  はい。そのほかのご意見はいかがでしょう。後藤先生はいかがですか。 ○後藤委員  疾患の重篤性というところでは、がんということで該当すると思います。ただ、本 検討会の方針として、一応既存の薬剤と比べて明らかに有効性があるとか、何らかの 明確なメリットが現時点で認められるということですけれども、今の事務局からのご 説明の現在実際にもう使える薬剤が市販されているということと、本剤が既にPhase IIまで開発が進んでいるということからすれば、一応この開発をこのまま見守るとい うことでもよろしいかなと思います。 ○堀田座長  ありがとうございます。ほかの先生もよろしいですか。藤原先生、よろしいですか。  はい、それでは今の後藤先生のご意見のように、疾患自体の重篤性はありますが、 同種同効薬もありますし、現在開発中でもあるということで、この開発を見守るとい う形にさせていただきたいと思います。ありがとうございました。  それでは、7番目の成分でありますデクスランソプラゾールはプロトンポンプイン ヒビターの仲間でありますね。lansoprazoleの光学異性体ということですが、この光 学異性体だとどうなるのかというのはよくわかりませんけれども、どのような作用の 違いがありますか。 ○事務局  この品目については、FDAのホームページで確認したんですけれども、まだいわ ゆる添付文書のほうが公開されておりませんので、光学異性体になったことでどれだ け有用性もしくは安全性の面でメリットがあったのかと、ちょっと細かな数字がまだ しっかり判明していない段階でございます。 ○堀田座長  委員の先生の中で、何かその点について一般的な解説をしていただくことはありま すか。どうでしょう。佐川先生、川西先生、井上先生。 ○川西委員  申し訳ありませんが、解説できるほどの知識はありません。ただし、条件からいえ ば、見守るということが妥当かと考えますが。 ○堀田座長  基本的には、プロトンポンプインヒビターは胃潰瘍や逆流性食道炎などが対象です ので、重篤性という点では、それほどでもありませんし、同種同効薬も一応光学異性 体としては存在するということですし、国内でも開発中ということなので、これも見 守るという形でよろしいですか。  ありがとうございます。  次に、最後の8番目のウステキヌマブです。マブというのですから、これは抗体で すね。これはいかがでしょうか。ciclosporinとかmethotrexate、PUVAなどの療 法が禁忌あるいは不応の成人の尋常性乾癬ということでございます。これはIL−12 とIL−23の両方に対するモノクローナル抗体ですかね。これは1つの分子が両方に 結合して作用する、そういう話ですかね。 ○事務局  免疫細胞のIL−12と23、両方の阻害をするというふうに、添付文書には薬理作用 のところに書いております。 ○堀田座長  これはいかがでしょうか。 ○久保委員  こういう薬って副作用はないのですか。かなりダイレクトにIL−12とかIL−23に働 きますけれども。 ○事務局  一応、添付文書上の警告とかに書かれている内容としては感染という部分がありま すので、特に結核などの免疫を抑えてしまうということなので、必ず使う前に結核の 確認をするであるとか、副作用の中では鼻咽頭炎、上気道炎の頻度が10%以上でちょ っと高くなっているという、そういう報告は添付文書上にはあります。加えて、やは りこちらは免疫を落としてしまうので、悪性腫瘍等の発症も増やしてしまう可能性が あるという形で、そちらも警告のほうに十分注意して使うようにということで書いて おります。 ○堀田座長  これは皮下注射ですが、全身投与になりますので、皮膚科の薬としてはちょっと珍 しいですよね。 ○大津委員  類薬の抗体薬が同様の効能で審査中とありますけれども、この薬剤が何か今審査中 の薬剤を上回るというものはあるんでしょうか。 ○堀田座長  それは何か情報は。 ○事務局  直接対決の臨床試験があったわけではないので、今審査中のものと比べてというの は…… ○大津委員  メカニズム的に何か上回るものがあるのでしょうか。 ○事務局  メカニズム的にですか。 ○大津委員  それがなければ特に、PhaseIIIもやっていますし、見守るでいいのではないかと思 いますけれども。 ○堀田座長  これの同類の抗体薬というのは、やっぱりIL−12とか23に対する抗体ではあるん ですか。 ○事務局  TNF−αの阻害という形で、尋常性乾癬であるとか、そういった部分の治験ある いはお薬の開発というのは聞いてはおりますけれども、直接のインターロイキン12で あるとかインターロイキン23というのは我々も聞いたことがない。そういった意味で は新しい作用機序なのかなというふうに思いますけれども。ただ、それが今説明があ りましたように、直接対決をしているデータがないので、どちらがどうかということ はちょっと我々としても承知はしていないんですけれども。 ○堀田座長  TNF−αに対しては、リウマチの方面で使っている抗体医薬はもう既にあるわけ ですから、大津先生のご意見としては、特別なことがなければ治験の進捗を見守ると いう整理でよろしいですか。 ○大津委員  PhaseIIIが走っていますし、しばらく見守るでよろしいのではないかと。 ○堀田座長  はい。よろしいでしょうか。ほかの先生もよろしいですか。もう既にPhaseIIIの段 階にございますので、それでは進捗を見守りさせていただきたいと思います。  そうしますと、類型Iに当たります新たに欧米4カ国のいずれかの国で新たに承認 された医薬品の8品目の中では、5番目のプレリキサフォルについて、これを次回の 検討会までにワーキンググループの報告をいただくようにしたいと思います。よろし いでしょうか。はい、ありがとうございました。  それでは次に、学会・患者団体からの追加で要請のあったものについて、資料2に ありますが、7件中の6件は申請中もしくは申請準備中という段階で、残りのものも、 現在、治験実施という段階ですので、そういう意味ではある程度進んでいる状況で、 アクションを起こすかどうかということについては、それほど積極的な対応が必要な のかどうかということで言えば、そうでもないかもしれませんが、先生方のご検討を お願いいたします。 ○事務局  まず、事務局のほうから、簡単ではございますけれども、品目について説明をさせ ていただきたいと思います。  資料2のほう、1番目でございます。インクレチン関連作動薬、糖尿病の適応でご ざいます。日本糖尿病学会、日本糖尿病協会より要望をいただいております。該当す る薬物については、GLP−1アナログ製剤やDPP−IV阻害剤などがございますけ れども、それぞれ申請が出されて、現在申請中でございます。  2番目の子宮頸がんワクチンについては、日本婦人科腫瘍学会等より要望書をいた だいております。本品についても国内治験が実施されており、非臨床データ、海外デ ータについては現在審査を行っているところです。  3番目のレベチラセタム、成人部分発作の適応で、日本小児神経学会、日本てんか ん協会から要望をいただいております。本品目については、昨年11月に申請され、現 在審査中です。  4番目の7価結合型肺炎球菌ワクチン、細菌性髄膜炎の予防薬です。千葉県議会よ り要望いただいております。本品についても2007年9月に承認申請が行われ、現在審 査中です。  5番のKW−0761、成人T細胞白血病、リンパ腫(ATLL)の適応です。グルー プ・ネクサス、日本からHTLV−1ウイルスをなくす会、はむるの会から要望をい ただいております。本品については現在国内において治験を実施している最中です。  6番目のセルトリズマブ・ペゴルです。クローン病の適応で、日本消化器免疫学会、 難治性炎症性腸管障害に関する調査研究班から要望をいただいております。本品につ いては治験を終了し、現在、承認申請に向け準備中であると聞いております。  最後の7番目、ラスブリカーゼ、化学療法施行時の腫瘍崩壊症候群に伴う高尿酸血 症の治療の適応でございます。日本癌治療学会、癌保険診療対策委員会から要望をい ただいております。本品については、昨年2月に承認申請が行われ、現在審査中でご ざいます。  以上でございます。 ○堀田座長  ありがとうございました。それでは、先生方のご意見をいただきたいと思いますが、 先ほど申し上げたように、承認審査中のもの、あるいは治験実施中、申請中といった ものがほとんどでありまして、そういう意味では治験として対応はしているんですが、 恐らく早く承認にまで持っていってくれというご要望というふうに思います。この中 で、特別にこの検討会としてプッシュすべきものがありましたら、ご意見をいただき たいと思います。  インクレチン関連作動薬というのは、糖尿病学会のほうから出ておりますけれども、 これは審査中というのは、もう既に出口に近いところにあるという認識でよろしいで すか。いつ申請したかというのはわかりますか。 ○事務局  複数の品目がございまして、具体的にいつというのもちょっとこちらからは申し上 げにくい。 ○堀田座長  具体的には言いにくいですね。 ○審査管理課長  実は、糖尿病の関係の薬というのは、ここ数年、効能追加も含めて非常にたくさん の申請があったところでございます。それが一時期に来たために、申しわけないこと に、一部審査が滞ったところでございまして、昨年の夏に部を新たに設けて対応を今 急いでいるところでございます。そういう意味で申し上げますと、このインクレチン 関連作動薬を含めてこういったたぐいの薬について、確かに遅れてきたという事実が あったわけでございますが、昨年来それを取り戻そうとして今やっているところとい うふうにご報告させていただきたいと思います。 ○堀田座長  この薬はアナログ製剤とありますが、同類薬というのはあるという理解でいいんで すか。 ○事務局  GLP−1アナログでございましょうか。既に承認されているものがあるかどうか。  そういったものはないと。 ○堀田座長  たくさんのものが今開発ラインに並んでいるそうでありますが、できるだけ早く審 査を進めていただけるように、よろしくお願いいたします。  2番目の子宮頸がんワクチンでありますが、これは各方面からの要望書が提出され ております。これは国内治験をやりながら承認審査中ということなんですね。はい、 課長さん。 ○審査管理課長  本件につきましては、数次にわたりこの検討会でもご報告を申し上げてきたところ でございますが、その最新の状況についてご報告したいと思います。  子宮頸がんワクチンにつきましては、2社から申請を賜っておるところでございま す。申請に当たっては、海外の臨床データを基に申請を受け付けたところでございま して、それと並行して国内で治験が実施されてきたところでございます。こういう手 法をとりましたのも、品質でございますとか非臨床でございますとか、そういった点 については国内での臨床治験と並行して審査ができるのではないかということで、こ ういった手法をとったところでございますが、2社のうち1社が国内での治験を終え て、今月にはその大体のレポートが提出されたところでございまして、それを基に今、 分析評価を急いでおるところでございます。最終的な報告書というのはもっと遅くな るというふうに聞いておりますけれども、今いただいている報告を基に1社について は審査を急いでいるところでございます。  以上でございます。 ○堀田座長  ありがとうございました。このようなものにつきましては、たびたびこの会議でも 上がってきておりますけれども、海外データを基に申請をしながら国内治験も実施す るという踏み込んだ対応をしているものでありまして、これも順次進めていただきた いと思います。  それから、その次の3番目のレベチラセタム、これは小児神経学会とてんかん協会 から、11月に申請が出ておりますが、このものは申請中ということでよろしいでしょ うか。  大塚先生、何かご意見。 ○大塚委員  ここの日本てんかん協会というのはそうですか。提出者というところが日本小児神 経学会と日本てんかん協会となっておりますが、正確でしょうか。 ○事務局  確認します。少々お待ちください。 ○大塚委員  私の記憶では、小児神経学会とてんかん学会の連名で出したと思うんですけれども。 ○樋口委員  これ、てんかん協会というのは、患者さんと家族で…… ○大塚委員  いや、てんかん協がどういう組織かは存じています。小児神経学会からの要望書の 作成に私が関与していたもので。 ○堀田座長  てんかん学会ではないかということですか。 ○大塚委員  公式の文書ですから、どこからどういう内容の要望書がでたのか正確に書いて欲し いと思います。 ○事務局  社団法人日本てんかん協会様からもいただいております。 ○大塚委員  そうしたら、日本てんかん学会が抜けているということですか。 ○審査管理課長  てんかん学会の方からこの要望を受けた覚えがございますし、文書も受けたところ だと思います。それが12月から2月の間であったかどうかについては、ちょっとそこ まで覚えておりませんので、いま一度確認した上で必要な手当てをして、この会議の 資料というのはホームページに掲載せていただきますけれども、その前に必要な訂正 をさせていただきたいと思います。 ○大塚委員  それから、もう承認審査中ですからこれで結構だと思うんですけれども、この薬は ガバペンチンとかトピラマートのようにもう既に1年も2年も前に承認された薬と同 時期に最初の治験が始まりました。ダブルブラインドの比較試験として、200人近く 規模の治験を行いました。ところ結果的にうまくブリッジングできていなかったとい うので、もう一回同じ規模の治験をしたんですね。随分現場の私たちは困りながら患 者さんを集めて、やっと治験を終了したということで、なるだけ早く認めていただけ ればありがたく存じます。 ○堀田座長  ありがとうございます。よろしいでしょうか。  それでは4番目ですが、7価結合型肺炎球菌ワクチンでありますが、これは千葉県 議会というのはちょっと珍しいですね。この要望の内容はどういう趣旨でしたか。 ○事務局  少々お待ちください。要望の趣旨でございますか。 ○堀田座長  議会として決議をするに至った理由みたいなもの。 ○事務局  4番の千葉県県議会と、それから2番のほうにもありますけれども、地方自治体、 いわゆる都道府県、市町村の議会は、地方自治法の第99条に、その地域の公益に関す ることを国会もしくは関係省庁に要請することができるという規定がございまして、 それに基づく要望、要請というふうな位置づけでいただいておるものでございます。 ○堀田座長  千葉県で特にそういう肺炎球菌が問題になったというような事例はあったんですか ね。 ○事務局  要望書の中では、この地域的な問題としてというよりも、我が国においてという形 で要望をいただいております。 ○堀田座長  そうですか。学会よりも見識が高いですね。いずれにしても、細菌性髄膜炎という のは大変重篤ではありますので、そういった予防というのは、例えば脾臓を摘出した りする場合には必ずやれということにはなっているんですね。日本では余り厳格にや ってないところも多いようですが、欧米では必ず、摘脾には先行してワクチンを打つ ようにということにはなっているかと思います。  はい、どうぞ。 ○審査管理課長  最近、こういったたぐいのワクチン、先ほど子宮頸がんのワクチンがございました けれども、Hibのワクチンでございますとか、組織培養の日本脳炎ワクチンでござ いますとか、幾つか申請されているところでございます。  また、公衆衛生学的に考えますと、ワクチンの有用性というのはかなり高いのでは ないかというふうにも考えておるところでございます。このために、ワクチン、従来 例えば非臨床試験をどうやればいいのか、臨床試験をどうやればいいのかというよう なガイドラインがなかったところでございますけれども、研究班をつくって、昨年来、 ガイドラインの検討を行っているところでございまして、できたらことしの夏にでも 案を示したいというふうに考えているところでございます。  一方、ここで要望されておりますワクチンそのものでございますけれども、確かに 欧米で売られておるわけでございますが、今回申請がございましたのは、厳密に言い ますと、欧米で売られているものとちょっと違うと。そのちょっと違うところが、ま た本当に大丈夫なのかというのを突き詰めていこうとすると、非常にまた難しいとい うところもあって、若干の時間を余計に費やすこととなっているところでございまし て、欧米と同じものを持ってこられないのかということも含めて、いろんな議論を検 討させていただいているところでございます。現状はそういうところでございます。 ○堀田座長  わかりました。そのワクチン自体はほかにも類似薬、代替薬はあるんでしょうか。 ○審査管理課長  このワクチン自体はユニークなものだと考えております。 ○堀田座長  わかりました。ありがとうございます。たしか2回か、もうちょっと前ですか、ワ ーキンググループからの報告をいただいたエクリツマブですね、これが髄膜炎菌に対 するワクチンを打つことというのが治験で規定されておりましたね。そういうことも ありますので、日本でもそういったものはきちんと対応する必要があるだろうと思い ます。ありがとうございました。  それから、その次のKW−0761ですが、これは記号で書いてありますけれども、ケ モカインにありますCCR4に対する抗体薬ですね。日本に特有の成人T細胞性白血 病リンパ腫と末梢性T細胞リンパ腫も対象に含まれているのではないかと思いますが、 患者団体からの要望がございます。これも治験は既に始まっているという段階ですね。 よろしいでしょうか。  その次、6番目ですが、これはセルトリズマブ・ペゴル、ペゴルというので、ポリ エチレングリコールを結合して徐放型にしたヒト型の抗TNF−α抗体のことだと思 います。これは消化器免疫学会とかあるいは調査研究班からも要請が出ております。 これに似たものは、インフリキシマブとか、それもそうですよね、TNF−αに対す る抗体としては。そこは何が違うかというと、インフリキシマブはキメラ型抗体、だ けどこれはヒト型抗体というところが違うのかなというふうに思っております。先生 方からご意見をいただけますでしょうか。  これも申請準備中ということで、治験自体は終了しているということでありますか ら、できるだけ会社のほうにも早く申請していただけるようにご指導いただきたいと 思います。 ○審査管理課長  先ほどの5番のKW−0761もたしかPhaseIスタディーが終わったか終わらないか というような段階だと、要するにまだまだこれから有効性、安全性を調べていくとい うような段階であるというふうに考えておりますけれども、今までなかなか薬がない 疾患であるというのも事実でございますし、南九州を中心に非常に悲惨な疾患である というのも事実だろうと考えておりますので、5番、6番、あるいは7番も含めて会 社には既にできれば急いでくれというような話をしておるところでございますが、本 日の議論を受けて、もう一度そういう督促をしてみたい、要請をしてみたいというふ うに考えております。 ○堀田座長  ありがとうございます。  特に5番のものは、日本の大学発のトランスレーショナルリサーチから生まれてき た薬ですので、そういう意味では非常に大事にしたい薬ですね。日本発のものです。  それじゃ、7番目にいきたいと思いますが、ラスブリカーゼ、これはいかがでしょ うか。腫瘍崩壊症候群、例えば腫瘍で化学療法後に、急激にその腫瘍が崩れて核酸代 謝が起こって、尿酸値が上がって急性腎不全なんかになってしまうというようなもの に対して、従来は尿酸を排せつさせるとか、代謝をずらすというような薬が多かった んですが、これは尿酸自体を分解する酵素ですね。人では持っていない酵素で、それ を遺伝子組み換え型でつくった薬だと思いますが、癌治療学会とか診療対策委員会か ら要望書が出ております。これはもう08年の2月、約1年前に承認申請が行われてお りますが、これってまだ承認はされていない、承認ちょっと前という段階ですか。 ○審査管理課長  がんの薬も重点対象の一つだと考えております。現在、がんの薬は、医薬品医療機 器総合機構で申し上げますと、新薬第一部というところで、感染症の薬でございます とか、そういったものと一緒に審査の対象となっておるところでございますが、抗が ん剤のみを専門に扱う部をつくれないかと、それでもってこの抗がん剤の審査を早め るとともに、質を上げられないかということで、部の新設も含めて今検討しておると ころでございまして、そういった形で迅速化あるいは質の向上により一層努めたいと いうふうに考えておるところでございます。 ○堀田座長  ありがとうございます。ここに上がったものはどれもこれも要望も強くて、ある程 度重要なお薬ばかりでありますので、特にこれをどうしてもというご意見がなければ、 審査管理課のほうから、今言われた新しい枠組みも含めてご検討願って、できるだけ 早く薬が承認に向かうようにご指導いただきたいと思います。よろしいでしょうか。 はい、ありがとうございます。  それでは、次に資料3のほうをお願いします。未承認薬使用問題検討会議における 検討終了から6カ月を経過した段階以後、治験がまだ開始されていないという品目で ございます。  事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局  それでは、資料3についてご説明いたします。  まず、大変申しわけありませんが、まず参考資料の6の円グラフをご確認いただけ ますでしょうか。各品目の進捗状況について、従前の分類がわかりにくいというご指 摘を踏まえ、今回から新しい分類にいたしました。具体的に申しますと、「開発企業 募集中」、「治験計画等検討中」、「治験実施中」、「申請準備中」、「審査中」、 「承認済み」の6項目に分類いたしました。本検討会議で検討された品目で、本年1 月の段階でライセンス交渉を含めた治験計画等検討中に該当する品目に対し、開発企 業に対してその後の進捗状況の報告を照会いたしました。資料3には各企業からの回 答について示しております。  なお、開発企業募集中の品目については、日本製薬団体連合会等にご協力を依頼す る通知を別途発出したところでございます。  それでは、資料3に戻りまして、各品目についてご説明いたします。  まず、11番、ストレプトゾシンです。こちらは昨年夏、本品目の全世界の権利一括 導出が海外の企業との間で具体化し、国内での導出交渉が中断しておりました。今後、 導出企業との契約などが整い次第、国内企業と新たに交渉を開始していくことになる とのことです。  続きまして、16番、クロファラビン、こちらは昨年4月の総合機構との治験開始前 相談を踏まえ、成人急性骨髄性白血病を対象とする第I相試験を準備中でございます。 この第I相試験に続きまして、小児を対象に治験を開始する予定とのことです。  18番、ペグアスパラガーゼは、海外開発企業と国内導入に向けた契約交渉をしてい たところですけれども、本剤に係る権利を他社へ譲渡する計画を発表したということ から中断をしておりました。昨年12月、上記の計画の撤回を受け、国内導入交渉が再 開したというところです。  なお、本件については厚生労働省からも海外の開発企業に対して国内導入につき協 力依頼を行っております。  19番、フェニル酪酸ナトリウムは、国内導入について国内企業と交渉をしてきまし たが、契約に至らず、現在、新たな国内企業との交渉中とのことです。  なお、昨年9月には、希少疾病用医薬品として本品目は指定を受けたところでござ います。  続きまして、32番、アレムツズマブは、当初、日本人B−CLLの患者を対象とし た臨床試験を実施せず、海外の承認データのみをもって申請をするように計画をして おりました。平成20年8月の総合機構との対面助言を踏まえ、現在、国内での臨床試 験の治験実施計画書を作成中です。本年、第1四半期に治験届を提出する予定である と聞いております。  続きまして、33番、タルクです。昨年8月の総合機構との治験相談を踏まえ、本年 4月に治験届を提出し、5月から医師主導の治験という形で治験を開始する予定と聞 いております。  続きまして、37番、スチリペントール、こちらは国内治験計画について現在検討中 ということで、今後、総合機構との相談を予定しております。  39番、ルフィナマイド、こちらは平成20年5月の総合機構との対面助言を踏まえ、 現在、海外臨床試験の評価方法の詳細について調査をしている最中です。本年6月を めどに調査を完了し、国内の申請に必要な治験計画について改めて検討を予定とのこ とです。  41番、メサドン、こちらは海外の開発会社と国内開発に向けた条件交渉を実施して おります。平成20年5月及び平成21年2月の総合機構の事前面談を踏まえ、米国にお いて第I相試験、国内において第II相試験を実施予定です。米国における第I相試験 は本年中に開始予定であるとのことです。  43番、ヒトヘミン、こちらは、昨年3月の本検討会において、ワーキンググループ から報告をいただいた品目でございます。本年8月に機構と治験相談を行うべく、現 在資料の整理中です。本年11月の治験開始を目標としておると聞いております。  資料3の説明は以上です。事務局といたしましては、今後も今回のように一定の時 間を置いて状況を確認し、開発の促進を図っていきたいと考えております。  以上です。 ○堀田座長  ありがとうございました。治験が開始されていないけれども、いろんな対応がなさ れているというところでありますが、特別に先生方のほうから何かご意見いただくよ うなケースはございますでしょうか。  大塚先生。 ○大塚委員  37番のスティリペントールと39番のルフィナマイドですが、この2つは特に子供に 多い重症の難治てんかんの特効薬であります。スティリペントールは乳児重症ミオク ロニーてんかん、ルフィナマイドはレンノックス・ガストー症候群という特殊なてん かんに効く薬ですが、この両方の治験のことに私もいろいろ相談を受けたりして関与 しているというところでございます。これらのてんかんの患者さんは数自体が疫学的 に見ても500人かそこらなんです。  その500人程度の患者さんの中で治験のできる施設で診ているのは100人とか200人 とかいうことになってしますわけですね。この両方の治験に関して開発メーカーは PMDAに相談は既にされているわけですが、PMDAからはプラセボ対象の無作為比較試験 を要求されているんですね。そうしますと、実際、治験ができる人が100人、200人な のに、コントロールを含めて200人規模の治験というのは不可能だという現状がござ います。そういう場合に、それでは外国の治験のデータを持ってきて、それを生かし てということになると、ブリッジングライクということになりますが、そうしますと、 ヨーロッパなどのてんかんの治療の現状と薬の使い方とか薬の状況が違いますので、 ブリッジングライクにすることもとても難しい。 ○堀田座長  それは用量が違うということですか。 ○大塚委員  用量とかいうより種類です。外国で日本にない薬が使われているとか、日本ではよ く使う薬が外国では使われていないとというような治療環境の違いがありまして、な かなかブリッジするというのも難しいというようなことで、できればオープンスタデ ィーで安全性と有効性を見るというような、比較的小規模の治験で何とかやっていか ないとちょっと実現不可能だと思うんですね。PMDAと何度もやりとりをしているみた いですけれども、先が見えていないという状況で、両方の薬の治験準備現状を知って おりますので、何とかこのような疾患に対する実施可能な治験のやり方を推進してい ただきたいと思います。ただ頑張れ頑張れと言っても頑張りようがないじゃないかと 思うのですが。 ○堀田座長  はい、課長さん。 ○審査管理課長  余り個別品目の個別の状況をこういった場で議論するのがどうかとは思いますけれ ども、一方においては正確な状況というのをご説明しておく必要があるのだろうと考 える次第でございます。  一般論で申し上げますと、こういった疾患におきましても、有効性があるかどうか というのを試験するというのは非常に重要なことだろうと思います。ムコ多糖症の薬 でアメリカが何をやったかというと、やはりダブルブラインドをやってきたと。ただ、 それは症例数を極力絞っても有効性が統計学的に実のあるものができるようなエンド ポイントを考えてやってきたということだろうと思います。しがたいまして、一概に 疾患の患者が少ないからオープンスタディーでいいではないかというのは、オープン スタディーの限界ということから考えますと、直ちにうなずけるかというのは非常に 議論があるんだろうと思います。  一方において、海外のデータを最大限利用できないかということは当然考えるわけ でございます。例えば、この39番におきまして、海外臨床試験の評価方法の詳細等に ついて調査中となっているのも、まさしくそういうことを念頭に置いて海外データを 分析あるいはより詳細な情報をとろうとしているところでございます。もちろん、今 先生がおっしゃったとおり、ICHガイドラインにあるようなブリッジングというの を厳格にやっていく必要があるかどうかというのは、またそこはケース・バイ・ケー スで考えていかなければいけないんだろうと思いますけれども、まずは有効性を確認 するという観点からいうと、今申し上げたようなことというのを考えておると。それ に併せて、今度は安全性というのがもう一つ重要な要素になってまいるわけでござい ますけれども、それはより多くの例数があったほうがいいのは当然ではあるわけでご ざいますけれども、例えば0.1%の副作用をどう考えるかということになりますと、 膨大な例数が必要となってまいるわけでございまして、そういう観点から申し上げる と、希少な疾患でもう専門医が治療されるということであれば、そういったところに 限定をして綿密な観察の下で使っていただくということで一定のリスク低減というの も可能でございましょうし、いろんな工夫ができるんではないかというふうに考えて いる次第でございます。  以上でございます。 ○堀田座長  ありがとうございました。今の説明に何かご意見はございますか。  大津先生。 ○大津委員  使用する側の一定の条件というのは、どのようなものを想定されているのでしょう か。 ○審査管理課長  例えば、最近で申し上げますと、一番厳しく規制をしたのがサリドマイドでござい ます。また、今審査中のもので申し上げますと、先日部会を通りましたクロザリルと いうあれは、統合失調症でございますか、てんかんでございますか、いずれにしても 精神神経系の薬でございます。また、同じ精神神経系では、昨年リタリンについても やったところでございますけれども、ドクターを、あるいはそれを調剤する薬剤師の 方々を登録あるいは限定をしていくというようなやり方、さらには、サリドマイドで 申し上げますと、患者さんも登録していくとか、そういった形で一定の条件に合った 方、また例えばクロザリルでございますと、検査を2週間に1回か4週間に1回か、 定期的にやるというような条件をチェックしていくというようなことがリスクマネジ メントとしてあるんだろうというふうに考えております。 ○堀田座長  ということでよろしいですか。いずれにしても、そういう希少疾患ではあってもや っぱり安全性・有効性について科学的な評価をしなければいけない。そのときにどの くらいの規模でやるかというのは恐らくそういう極めて限られた疾患で、ほかには代 替薬のないようなスペシフィックな薬であれば、効果というのはクリアに出てくるの で、規模としてはそんなに大きくなくてもいいはずですよね。  同種同効薬があるとどうしても比較試験でまさるところがあるかという話が出てく るのではないかというふうに思います。いずれにしてもそういう極めて希少な、特に 小児で発達障害を残すようなものについては踏み込んだ対応をしていただきたいと思 っております。この件に関してはこのような経過の説明でよろしいでしょうか。  藤原先生。 ○藤原(久)委員  今の大塚先生の質問に対しては、何か何も答えてくれていないように思いますね。  だから、こんな希少な疾患に関しては、もっとどんどんやるほうがいいんじゃない ですか、承認していくほうが。副作用は、むしろ日本の場合問題になっているのは、 FDAなんかで副作用報告があるにもかかわらずそのまま放置していたとか、そうい うこと、終わった後の経過観察中の問題が非常に大きな問題になってきているんじゃ ないかと思うんですけれどもね。 ○審査管理課長  余り直截的に答えるのがいいのかどうかというのは、企業が提出した資料あるいは 企業とのやりとりの中に触れてまいりますので、そういう意味で勘弁していただくと ころがあるわけでございますが、今の大塚先生のご要望というのが、国内データだけ で判断をしてくださいと。しかも、希少疾病だからオープンスタディーだけで認めろ というようなご要望であるとすれば、それはなかなか難しいのではないでしょうかと いうことをお答えさせていただいたところでございます。これらのものがどうしてこ この席上に上がっているかということを考えてみますと、欧米で承認されておるから ここで上がっておるわけでございます。であれば、欧米で承認されたデータを手に入 れて、それを分析することによって一定の評価がされるのではないかと。  また、大塚委員がおっしゃった中にブリッジングという話がございまして、ブリッ ジングも、欧米と日本で使われている薬が違うなど、医療環境が違うので、なかなか 難しいんだというお話がございました。それに対して私がお答えしたのが、こういっ た希少疾病の中でICHガイドラインで言う非常に厳格なブリッジングというところ まで求めるかどうかというのはフレキシブルに考えていいのではないかということを お答えしたところでございまして、現実問題として、39番のルフィナマイドにありま す海外臨床試験の評価方法の詳細等を調査しているというのは、そういう方針にのっ とってやっているということをお答えさせていただいたところでございます。 ○堀田座長  よろしいですか。では、この件に関してはもうこの辺で議論をおさめたいと思いま す。ちょっと議題の順序が前後して申しわけないんですが、先ほどの資料2の表でご ざいますが、その2枚目に、本来はこの検討会の趣旨ではございませんけれども、参 考資料として、少し小さい字で書いてある、主に適応外効能追加に対する承認の要望 書がございますので、それについて事務局のほうから説明をお願いします。 ○事務局  事務局のほうからご説明させていただきます。資料2、2ページをご覧くださいま せ。  こちらにありますのは、既に品目そのものは承認されておりますけれども、効能追 加や剤形追加等に関する要望書が提出されたものについてご紹介しております。  ご報告申し上げます。1番がAD/HD治療薬、これはえじそんくらぶ等の患者団 体様、それから日本小児神経学会等の学会様から要望書をいただいております。要望 の概要としては成人への適応の拡大でございます。備考のところにアトモキセチンと 書いてありますけれども、これは小児のほうのAD/HDで、本年1月の医薬品部会 で取り上げられております。成人に関しては現在治験が実施中ということでございま す。  2番、ペメトレキセド、癌と共に生きる会から要望書をいただいております。要望 の概要としては、非小細胞肺がんへの効能拡大でございます。本品についても現在承 認審査中でございます。  3番のレボフロキサシンでございます。これは日本化学療法学会、日本感染症学会 から要望書をいただいております。要望の概要といたしましては、いわゆる高用量を 1日1回使うという新たな用法、用量の追加でございます。本件につきましても、本 年の2月の医薬品第二部会で既に審議を終了しております。  4番の123I−MIBG製剤でございます。日本小児がん学会から要望をいただいて おります。神経芽腫の診断への効能拡大への要望でございます。本件につきましては、 現在承認審査中でございます。  5番、ドキシル、本品につきましては、以前、本検討会でも取り上げていただいた 品目でございます。卵巣がんへの効能追加について患者団体等からの要望をいただい ております。本件につきましては、本年1月の医薬品第二部会で審議が終了しており ます。  続きまして、6番、7番は同じ品目でございますけれども、6番が吸入剤、これは 小児気管支ぜんそくへの適応拡大の要望でございます。日本アレルギー学会、日本小 児アレルギー学会からご要望いただいております。現在、承認審査中でございます。 7番は、これは経口剤で炎症性腸疾患への適応ということをご要望いただいておりま す。患者団体のほうからご要望いただいております。本件につきましては、現在、治 験実施中であるということです。  8番は、ヘリコバクター・ピロリの除菌、これにつきまして要望の概要としては胃 のMALTリンパ腫等への効能拡大のご要望を日本ヘリコバクター学会のほうからい ただいております。本件につきましては、ピロリ除菌の効能を持っておる薬剤のメー カーが申請の準備に入っております。本件につきましては、公知申請ということで今 準備を進めておるところでございます。  9番、デスモプレシンの経口剤の開発のご要望をいただいております。患者の会か らいただいております。これはデスモプレシンを持っている製薬メーカーのほうが現 在検討中であるということです。  10番のメトトレキサート、これは成人に対する高用量追加ということを日本リウマ チ学会のほうからご要望いただいております。本件につきましても現在、メーカー、 学会等を含めて検討中であるということでございます。  順番、入れ替わりまして大変失礼いたしました。以上でございます。 ○堀田座長  中垣課長さん。 ○審査管理課長  この今のページについて、1点追加させていただきたいと思います。1番のAD/ HD治療薬の提出者でございますけれども、精神神経学会からもいただいておること をご報告したいと思いますし、その中でアトモキセチンと並んでコンサータについて も成人の適応拡大が要望されておるところでございまして、我々といたしましては企 業に開発を要請するとともに、この成人のAD/HDというのが、まだ学会としても 疾患の定義等々、議論があるようでございますから、そういった学会としての活動も お願いをしたところでございます。  以上、追加でございます。 ○堀田座長  ありがとうございます。はい、大塚先生。 ○大塚委員  中垣課長さん、どうもありがとうございます。AD/HDの治療薬の成人への適応 拡大の要望書の提出者の中で、日本小児神経学会、日本小児精神神経学会、日本小児 心身医学会の3学会がまとまって一つの要望書を出させていただきました。コンサー タを迅速に承認いただき、アトモキセチンも迅速審議をしていただいて、本当に現場 は喜んでおります。  ところが、ちょっと困ったことが今発生しておりまして、コンサータは13歳未満で 治験をしたんですけれども、実際には18歳未満まで使えるということで通していただ きました。アトモキセチンは18歳未満で治験をして、そういう適応で通るだろうと思 います。ところが、私達は子供の時から診ておりますが、患者さんはどんどん年をと っちゃって、18歳を迎えて薬が正式に使えるようになったら、その人はもう既に19歳、 20歳ということになります。特にアトモキセチンは承認されるまでの長期の継続の治 験に今入っています。ですから、その治験をしている人の中には既に19歳以上になっ てしまった患者さんもいるんですね。ですから、今度薬が承認されたら「あなたは規 則上、薬は使えません」といわなければならなくなる患者さんが1割ぐらい、治験を している患者さんの中の1割ぐらい、10人ぐらいいることになります。  成人でAD/HDと初めて診断されて、成人の時期から薬物療法を始めるというよ うな人も実際あり得るわけですから、成人の治験も頑張ってやっていかなければいけ ないと思うのですけれども、今、緊急に困っているのは、今度アトモキセチンが通っ た場合に、薬をやめてしまわなきゃいけない人があるということなんです。ヨーロッ パなんかでは、子供のときから飲んでいて、効いている人に限り成人に達しても飲み 続けることができるというようなことが添付文書に書かれているという事例もあるよ うです。私たち現場としては、お誕生日が来たからもう薬は上げられませんというこ とはとても言えないので、結局また、要するに適応外使用をしてしまうということに なってしまう。そうしますと、結局、きっちりしたルールの下に処方するという原則 がゆがめられてしまって、そんなことがずっと残っていくというのがとても困ったこ とだと思っているんですけれども。 ○審査管理課長  今のは、恐らく添付文書の使用上の注意のご議論だろうと思います。もしそうでな いとすると、今度は医療保険のルールの問題となってきて、なかなか難しい問題にな ってしまうわけでございますが、仮に今、先生がおっしゃったように小児から飲み続 けている、その人が19歳とか20歳とかいうデータがきちんとしたものがあるのであれ ば、それをもって使用上の注意を改正をしたいというような申出をしていただくとい うのがあるんだろうと思います。  一方においてフレキシブルに対応しなければいけないと思っておりますけれども、 一方においてデータに基づいて科学的に判断していかなきゃいけないというふうに考 えておりまして、そのはざまをいつも議論をして埋めていくということなんだろうと 思いますけれども、今、先生がおっしゃったような、仮に認証、クリニカルトライア ルのデータがあるのであれば、そういったものを基に使用上の注意を改定をするとい うような申出をしていただくというのも一つの方法ではないかと考える次第でござい ます。 ○堀田座長  ありがとうございます。樋口先生。 ○樋口委員  私、成人のほうの臨床にいるものですから、先ほど中垣さんが言われたように、成 人になって初めてAD/HDであるということが診断されるとか、最近だと発達障害 もそうなんですけれども、大人になってアスペルガーであるということがわかったと いうような、そういうケースが確かにあるんですが、これは今言われたように、なか なか概念とか、診断のクライテリアとか、そういったものがまだ十分に整理されてい ないというところがあって、それを対象にして症例を集積して治験をするというのは なかなか難しいところがある。なかなか進まないところがあるという現実がございま す。それはもうそのとおりで、これはもっときちんと臨床のまず診断、クライテリア をしっかり共有していくというところからトレーニングをしながらやっていかなきゃ いけない。  それと、今、大塚構成員が言われた子供のときからずっと使ってきて、大人になっ たというそのAD/HDの方と一緒には論じられないだろうと思うんですね。だから、 そういうことをきちんと認識した上で、今、課長が言われたような、そういう添付文 書の改定とか、そういうところで、子供のときからのケースはそれだけの実態があっ てエビデンスがあるとすれば、それで対応していただけるのだったら、これは非常に いいことではないかと。  成人を対象にしたものというのは時間がかかると思います。これは時間がかかって もやむを得ないだろうと思うんですね。子供さんのときから使用していて、途中で切 れて使えなくなるというのとはちょっと状況が違いますので、そんなふうに考えます。 ○堀田座長  ありがとうございます。大体方向性が見えてきたと思います。  そのほかの品目についてはよろしいでしょうか。このヘリコバクターに対する除菌 療法は公知申請ということで治験なしでも承認に持っていこうということだと思いま す。ここにはリンパ腫とか特発性血小板減少性紫斑病とか胃がんの異時性発生抑制が 記載されていますが、ほかに例えばヘリコバクターが関係するものに習慣性流産だと か鉄欠損性貧血も最近はそうだと言われていますね。 ○事務局  今回の本件につきましては、エビデンスがある程度固まってきたであろうというこ とで、学会さんのほうとご協力しながら進めていくという形になろうかとは思ってお ります。 ○堀田座長  学会の要望、あるいは内保連、外保連から上がってきている内容に基づいて公知申 請されるもので、踏み込んだ対応だと思います。よろしいでしょうか。  それでは、その次にまいりたいと思いますが、現在のところは資料3までが済んで、 資料4のほうにいきましょうかね。  資料4として、これまでにこの検討会議で検討品目で現在までの対応状況をまとめ た資料でございます。事務局から説明をお願いします。 ○事務局  それでは、資料4に基づきご説明申し上げます。  網かけの太字の項目が多いのですが、今回より進捗状況の分類を変更したことに伴 い、記述を更新した品目が含まれております。また、幾つかの品目は先ほど資料3の ときに進捗をご説明した内容も重複しておりますので、資料3でご説明したもの以外 について主に説明をしたいと思います。  それでは、資料4の2ページ目をご覧ください。14番のリポソーマルドキソルビシ ンは本年の1月29日の医薬品第二部会で審議され、承認して差し支えないとのご結論 をいただいたところです。今後、今月末に開催予定の薬事分科会にてご議論いただく 予定です。  3ページをご覧ください。30番のダサチニブは本年1月22日に承認されました。そ の後、3月13日に薬価収載の予定です。  続きまして、4ページをご覧ください。44番のテトラベナジンです。前回12月の本 検討会にてご検討いただいた品目でございます。現在、海外の開発元とライセンス交 渉中の国内企業があると聞いております。  資料4の表の欄外をご覧ください。これら44品目の現在の状況をまとめて集計した ものがございます。44品目中、現在開発企業募集中は3品目、治験計画等検討中が11 品目になっています。その次が治験実施中が8品目、申請準備中が1品目、審査中1 品目、承認済み20品目となっております。そのまま資料、先ほどご説明いたしました 参考資料6の円グラフをご覧ください。ただ今説明いたしました品目の平成21年2月 末現在における状況をグラフにしたものです。本検討会にて検討を行った44品目の約 半数が既に承認されております。今後、これらの品目の国内開発が進むよう、引き続 き製薬会社、製薬企業に対し要請をしていきたいと考えております。  以上でございます。 ○堀田座長  ありがとうございました。順番にこの円グラフの黒いところが増えてくる。ある程 度そういう流れにはなってきておりますので、これが我々のこの検討会の実績にもな るということであります。  いろいろご検討ありがとうございます。何かご質問いただけますでしょうか。ある いはコメント。よろしいでしょうか。  それでは、なければ本日の用意した議題はここまででございます。全般的に何か進 め方等について何かご意見があれば伺っておきたいと思いますが、いかがですか。  次年度については基本的には今までのペースを一応踏襲しようかというふうに考え ているところです。検討すべき品目のたまりぐあい、未承認薬への対応状況によって は、この検討会のインターバルをどうするかということを含めて次年度の課題にさせ ていただきたいと思います。  それでは、事務局のほうから次回のご案内をお願いします。 ○事務局  次回の会議は、既にご案内のように、6月18日木曜日午後2時より開催させていた だきます。詳細については改めてご連絡いたします。 ○堀田座長  それでは、皆様方、どうもご協力ありがとうございました。これで終了いたします。 (了) 照会先 厚生労働省医薬食品局審査管理課 03−5253−1111