09/03/04 第6回受動喫煙防止対策のあり方に関する検討会議事録 第6回 受動喫煙防止対策のあり方に関する検討会 議事次第         日時:平成21年3月4日(水)9:58〜12:20         場所:厚生労働省 法曹会館2階 高砂 1.開会 2.議題   (1)検討会報告書について   (2)その他 3.閉会 照会先:健康局総務課生活習慣病対策室(内線2348,2971) ○生活習慣病対策室長 それでは、定刻より少し早いですが、関係者の方々お集まりでございますの で、ただいまから第6回目になりますが、受動喫煙防止対策のあり方に関する検討会を開催させてい ただきます。  委員の皆様方におかれましては、御多忙の折お集まりいただきましてありがとうございます。御礼 申し上げます。  なお、本日は永井委員から御欠席の御連絡をいただいておりますが、それ以外の委員の皆様方は全 員御出席でございます。  本日は最終回の会合ということで考えておりまして、会の冒頭、上田健康局長よりごあいさつを申 し上げます。 ○健康局長 健康局長の上田でございます。検討会委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中 お集まりいただきましてありがとうございます。  昨年3月に本検討会が設置されたわけでございますが、約1年にわたり関係団体からのヒアリング などを含め、さまざまな視点から活発な御議論をいただいたところでございます。このたび報告書の 案を取りまとめるという段階になったわけでございます。委員の皆様方の多大なる御協力に心から御 礼を申し上げる次第でございます。  御案内のとおり、私どもは健康日本21あるいは健康増進法に基づき、たばこ対策を推進していると ころでございますが、たばこをめぐる環境はさまざまに変化しておりまして、特に受動喫煙防止対策 については平成19年7月に、たばこの規制に関する世界保健機関枠組み条約に基づきガイドラインが 策定されるなど、国際的にも更なる対策の推進が行われているところでございます。  こういう中で、本検討会の報告書が取りまとめられるということは非常に重要なことだと考えてお ります。私どもといたしましては、速やかに対応できるものは実行したいと考えております。  また、昨年末にはたばこ税の問題もございました。言うまでもなく、たばこは健康に害があるとい う前提に立って、価格政策というものが非常に重要であるということを念頭に置いて、そういうこと も含めて中長期的な検討課題にもしっかり対応していきたいと考えております。  この部屋は私は20年ぐらい前から使っているんですけれども、20年前は本当にもうもうたる煙の 中で会議をよくやったものでございますが、そういう点では非常に隔世の感がございますが、なお更 に、受動喫煙防止の対策が進むように我々としても取り組んでいきたいと思っております。  本日は報告書の取りまとめということでございます。活発に御議論をいただければと思っておりま す。よろしくお願いを申し上げます。 ○生活習慣病対策室長 なお、上田局長は、会の途中で所用のため退席させていただきますので、あ らかじめお断り申し上げます。  では、これ以後の進行を久道座長、よろしくお願いいたします。 ○久道座長 それでは、よろしくお願いいたします。前回お話ししましたように、前回の検討会報告 書骨子案についての御議論を踏まえまして、事務局を通じて皆様と御意見のやりとりをしていただき ました。その上で作成いたしました検討会報告書案を基に御議論をいただきたいと思います。本日の 会議でこの報告書をまとめたいと思いますので、御協力のほどお願いしたいと思います。  それでは、議事に入る前に事務局から配付資料の確認をお願いします。 ○生活習慣病対策室専門官 配付資料の確認をさせていただきます。  議事次第、座席表のほかに、資料1としまして「受動喫煙防止対策のあり方に関する検討会におけ るこれまでの議論の整理」というものを4枚8ページで用意してございます。左側に報告書案を載せ ておりまして、それに対する第5回での委員の先生からの御意見と、第5回で使用した骨子案とを併 記する形で載せさせていただいております。  資料2ですが「受動喫煙防止対策のあり方に関する検討会報告書(案)」ということで、4枚7ペー ジのものを用意させていただいております。この文章に関しては資料1と同じですが、報告書の体裁 を整えたものと御理解いただければと思います。  以上です。 ○久道座長 どうもありがとうございました。  それでは、早速議事に入ります。資料1、資料2に基づきまして報告書案、議論の概要について説 明をお願いします。 ○生活習慣病対策室専門官 資料1、資料2について説明させていただきます。資料1と資料2を同 時に見ていただけるとわかりやすいかと思います。  まず、資料2ですけれども、一番最初に「I はじめに」ということで、冒頭の言葉を3パラグラ フぐらい事務局側で用意させていただきました。こちらは骨子案に全くなかった内容でございますの で、後ほど御意見等をいただければと思っております。  「II 現況認識と基本的考え方」ということで、大きく現況認識に関して4つ、基本的考え方に関 して3つに分けて記載させていただきました。当初送らせていただいた分は全部まとまっていたので はないかと思いますけれども、体裁を整えるという意味で2つに分けさせていただきました。  「1.現況認識」の(1)として、具体的に受動喫煙の害はどういったものがあるか、どういったこ とが理解されているかというのを箇条書きで5つ掲げさせていただいております。  先ほど望月先生とお話をしていて、(2)であたかも一酸化炭素が発がん性がある化学物質のように記 載されているので、その辺を直したいと思っていますので、御意見をいただければと思っております。  (2)に関しては、大体どれくらいの方が受動喫煙に遭われているかというのを数字をもって紹介す る方がいいのではないかという御意見をいただきましたので、具体的に現在の喫煙率と非喫煙者の割 合がこれだけにもかかわらず、その多くの方がいまだに受動喫煙の害に遭われているという内容でま とめさせていただきました。  また、前回の話に出ました残留たばこ煙に関しても、ここで紹介させていただくという形をとって おります。  (3)は、ほとんど骨子案からの写しという形になっております。具体的には、日本学術会議からの 報告書、神奈川県の取り組み、JRやタクシーなどの取り組みについて記載させていただき、国民の 関心が高まっているというような内容の文章にさせていただきました。  (4)は、骨子案でFCTCなどの海外の取り組み等について記載するべきということがありましたので、 その辺を膨らませて書かせていただいております。具体的には、FCTCの第8条の内容について紹介さ せていただくとともに、そのガイドラインがまとめられたということを記載させていただいておりま す。  その後は「2.基本的考え方」ということで名前を変えさせていただいて、新しく(1)から(3)の 通し番号をつけさせていただきました。  (1)ですが、骨子案にございましたエビデンスに基づく正しい情報を発信するべきであるというこ とを受けまして、ほとんど文章的には変わっていないんですけれども、報告書案に移させていただい たという形になっております。  (2)ですが、もともと将来的な方向性として全面禁煙を打ち出すべしという骨子案に対し、第5回 で公共的な施設に子どもが利用するような公園や通学路などを含めてほしいという御意見がございま したので、それをまとめるような形で今後の受動喫煙防止対策の基本的な方向性として「多数の者が 利用する公共的な空間については、原則として全面禁煙であるべきである」と最初に書いた上で、具 体的にこういうところが考えられるという書きぶりにさせていただきました。  (3)に関しましては、以前から御議論がありました飲食店や旅館など、なかなか難しいところに対 してどうするかということで、前回の御議論で今まで永山委員や高見委員が言ってこられたことをで きるだけ盛り込むような形で記載するようにということでございましたので、これまでの御意見をで きるだけ集約するような形で、一方で、我が国の飲食店や旅館などではこういう事情があるのでなか なか難しいというようなことを書かせていただきました。その上で「現状では暫定的に喫煙可能区域 を確保することもとり得る方策の一つである」ということで、これは骨子案にあった文章ですけれど も、最後の部分を多少変えるという形で載せさせていただきました。  続きまして「III 今後推進すべき受動喫煙防止対策について」を御説明させていただきます。  これはもともと施設・区域においてということで独立した1つのパラグラフをお示ししていたと思 うんですけれども、今後推進すべき受動喫煙防止対策ということで大きな枠をかけるという形で多少 体裁を変えさせていただいております。  具体的には(1)国及び地方公共団体は、多数の者が利用する施設・区域のうち、全面禁煙とすべき 施設を示す必要があるということで、具体的にはこういったところが考えられるという記載をさせて いただいております。  (2)は国は、多数の者が利用する施設においては、受動喫煙防止対策の取り組みについて、進捗状 況や実態を把握する必要があると。これは骨子案でこういう意見がありましたので、それをそのまま 移すような形で、もともとは「厚生労働省」ということだったんですか「国は」という形で変更した 上で報告書案に載せさせていただきました。  (3)は、いわゆる施設管理者及び事業者がどうすべきかということで、将来的には全面禁煙を目指 すよう努める必要があるという前提条件を置きながら、分煙効果判定基準策定検討会報告書等を参考 に、適切な受動喫煙防止措置を講ずるよう努める必要があるという書きぶりにさせていただきました。  (4)は、中小企業が多数を占める飲食店、旅館等では、現状なかなか難しいということを伺ってお りまして、その現状がどうなっているかということを具体的に記載させていただいた上で、やれるこ とをやりましょうということで「しかしながら、このような状況にあっても、喫煙席や禁煙席の割合 の表示や、喫煙場所をわかりやすく表示する等の措置を講ずることにより、意図せずしてたばこの煙 に曝露されることから人々を保護する必要がある」という文章にさせていただきました。ここに書い てあるのは、前回の御議論の中でも分煙もしくは禁煙の表示ができないかとか、喫煙席の割合を表示 するようにすべきではないかという御議論がありましたので、そういったところを受けております。  (5)は、喫煙可能区域を設定した場合においてはどうすべきかということで、これは骨子案の方で も妊婦、子どもについて立入りを制限する措置を講ずる必要があるのではないかという文章がありま したので、それを受けて書かせていただきました。  また、前回の御議論の中で従業員の方々をどうするんだという御議論もありましたので、そのこと についても書かせていただいて「このような場合においては、従業員についてみれば、長時間かつ長 期間にわたりたばこの煙に曝露されることもあるため、従業員を健康被害から守るための対応につい て検討を深める必要がある」ということと一緒にさせていただきました。  続きまして「エビデンスに基づく正しい情報の発信」ということで、(6)として国内での受動喫煙 防止対策に有用な調査・研究を進める必要があるということで、3つの理由を挙げさせていただいて おります。これに関しては、具体的には骨子案で示されていたものに御意見で、例えば、売り上げや 経費への影響なども調べる必要があるのではないか。外国の調査研究のメタアナリシスをやるべきで はないかという御意見がございましたので、そういったものを盛り込むような形で報告書案という形 にさせていただいております。  (7)ですが「国・地方公共団体については、これらの研究成果を活用し、受動喫煙の実態や健康へ の影響、諸外国の取り組み状況について情報提供を進めることが必要である」と。これは新たに入れ させていただきました。せっかく研究をしていただくのですから、それを活用する必要があるという 文章を盛り込む必要があると事務局側で判断いたしまして、新たに追加する形で盛り込んでございま す。  (8)は「このほか、受動喫煙防止対策の推進に当たり、ニコチン代替製剤や内服薬等の禁煙補助薬 等、禁煙希望者が安くかつ楽に禁煙する方法等の禁煙方法を促す情報等についても発信する必要があ る」ということで、これはたびたび御議論いただいておりました。できるだけ喫煙している方が楽に 禁煙に進めるために手助けをする必要があるのではないかというのを盛り込んだ形になっております。  次に「普及啓発の促進」ということで2つ挙げさせていただきました。  (9)「たばこの健康への悪影響について普及啓発し、禁煙を促す法等について、健康教育の一環と して、地域、職域、学校、家庭等において関係者の対話と連携のもとで一層推進する」ということで、 これはもともと骨子案にあった文章です。また、それに対してできるだけ機会をとらえて、そういっ た教育をすべきではないかという御意見を前回いただきましたので、「特に健康被害を受けやすい乳幼 児の家庭内受動喫煙防止のために、妊婦健診や両親教室など様々な機会を捉えて、禁煙とその継続を 図るよう啓発する」という文章を新たに加えさせていただきました。  また、前回の御議論の中で、特にそういった禁煙教育に携わる人にもっと自覚を持ってほしいとい うような御意見がございましたので、それをそのまま入れるような形で(10)「保健医療従事者は、専 門領域や本人の喫煙状況等にかかわらず、たばこの健康影響について正確な知識を得て健康教育、特 に禁煙教育、喫煙防止教育にこれまで以上に積極的に携わっていく責務があることを自覚する必要が ある」という文章を入れさせていただきました。  「IV 今後の課題」です。大きく5つ挙げさせていただいております。当初、御相談させていただ いた分は労働に関するものが一番初めに来ておりましたが、前回までの御議論で特に子どもや妊産婦 のことを強調するのがこの会の趣旨でしたので、それを一番上に持ってくるような形で訂正させてい ただきました。中身に関しては以前メールで御相談したものと変わってございません。  具体的には、(1)「受動喫煙については、子どもや妊産婦など特に保護されるべき立場の人への悪 影響が問題となっている。屋外であっても、子どもや多数の者の利用が想定される公共的な空間(例 えば、児童公園、通学路等)での受動喫煙防止対策は重要である。しかしながら、路上喫煙禁止等の 措置によって喫煙者が児童公園において喫煙する場合が見受けられる」。この文章に関しては前回はご ざいませんでしたが、たびたび喫煙者が公園等でたばこを吸うことになって、結局、子どもが使うべ き公園で煙が蔓延している状況があるという御意見をいただいておりましたので、それを新たに加え る形になっております。  その上で「受動喫煙防止対策の基本的な方向性を踏まえつつ、対策を推進するために、暫定的に喫 煙可能区域を確保する場合には、子どもに被害が及ばないところにする等の措置も検討する必要があ る」という文章にさせていただきました。  (2)で職域について触れさせていただいております。皆さんにお送りした文章では2文あったと思 うんですが、1文目は前回のものとオーバーラップしておりましたので削除して、少し簡潔な形でま とめさせていただきました。具体的には「職場によっては従業員本人の自由意志が働きにくい可能性 もあることを踏まえ、職場において可能な受動喫煙防止対策について検討していく必要がある」とい う形で課題整理をさせていただきました。  (3)たばこの価格・たばこ税について取り上げさせていただきました。「たばこの価格・たばこ税の 引上げによって喫煙率の低下を図ることは重要である」という前提を置いた上で「たばこ価格・たば こ税の引上げと併せて、たばこ農家の転作支援や小売り業者の補助保証金等の対策を講じるなどの方 法を検討するよう関係省庁に働きかけていく必要がある」という形で書かせていただきました。これ は第5回での御議論の内容を踏まえてということでございます。  (4)「国、地方公共団体等の行政機関の協働・連携を図るなど、受動喫煙防止対策を実効性を持っ て持続的に推進するための努力を更に継続する必要がある」ということを言った上で、クイットライ ンの紹介などをさせていただいております。このクイットラインは実は前回までは出ていなくて、第 2回ぐらいで多少触れられていたものを蔵出しするような形で追記させていただきました。  (5)「受動喫煙の健康影響について、国民や関係者が十分理解し、自ら問題意識を持って共同体の 一員として問題解決に臨む必要がある。受動喫煙防止対策を実効性を持って持続的に推進するために は、社会全体として受動喫煙防止対策に取り組むという気運を従来にも増して醸成することが重要で あり、そのための効果的な方策を探るとともに速やかな行動に移す必要がある」ということで、これ は全体の議論の中でたびたび出ておりましたが、みんなが参加して同じ方向を向いてやっていく必要 がある、そういう気運を高める必要があるという内容が繰り返し出ておりましたので、これを締めの 言葉として最後に持ってこさせていただきました。  最後に「V おわりに」ということで、1パラグラフこちらで用意させていただきました。具体的 には、今やっています「健康日本21や健康増進法、条約に基づき、今後とも受動喫煙防止対策を含め たたばこ対策を推進し、国民の健康増進を図る必要がある。受動喫煙防止対策は、その進捗状況及び 実態を踏まえるとともに、諸外国の状況や経験を参考にしながら、更なる対策の進展に向け、関係者 の参画のもとで系統的な取組を行い、評価する必要がある」ということで、具体的には骨子案をまと めて文章にしたと御理解いただければと思います。  以上です。 ○久道座長 今、ざっと読んだところと、読まないところと説明しながらいただきましたけれども、 改めてこの報告書をきちんとまとめるために、一応区切りごとに読んでいただいて、その範囲内で追 加修正あるいは御意見を聞くこととしたいと思います。  確認なんですが、この報告書は誰に出して、誰が読むんですか。 ○生活習慣病対策室専門官 基本的には、厚生労働省健康局長のもとに開かれた検討会でございます ので、報告書は健康局長あてという形になると理解しております。ただし、その内容におきましては、 広くこれから厚生労働省もしくは政府側でやっていくという内容を含んでいてもいいと思いますし、 一般国民に対してこういうふうに考えるべきであるということを含んでいても問題はないと思ってお ります。 ○久道座長 では、ホームページに載って一般国民も見るという前提ですね。そういうことだそうで すので、難しい言葉があったら解説をするか、あるいは別な言葉に変えるかということも含めてお願 いしたいと思います。  それでは、1ページの「I はじめに」についてきちんと読んでいただいて、その上で皆さんの御 意見をいただきます。 (「受動喫煙防止対策のあり方に関する検討会報告書(案)」「I はじめに」朗読) ○久道座長 いかがでしょうか。 ○高見委員 基本的な質問があるんですけれども、座長も今質問されたと思うんですが、この報告書 をまとめてインターネットで一般の人に告示するというお話だったんですけれども、この報告書がま とめ上げられたときに、我々のメンバーの名前も出るのでしょうか。 ○生活習慣病対策室専門官 出ます。 ○高見委員 ということは、例えば、私は組合を背負って代表して出ている認識でよろしいでしょう か。 ○生活習慣病対策室専門官 はい。 ○高見委員 わかりました。 ○久道座長 それでは、「I はじめに」で何か。 ○加治委員 本文の2行目にあります「目標の一つとして『公共の場や職場での分煙の徹底』」云々と いう文章がありますけれども、この「分煙の徹底」は「禁煙・分煙」の徹底というふうに「禁煙」と いう言葉を入れるわけにはいかないでしょうか。これですと、最初から分煙というものを推奨してい るように読み取れるんですが。 ○生活習慣病対策室専門官 ここに関しては、既に平成12年に策定された目標をただ御紹介している ということなので、括弧の中に入っているところは既にこういった形で世に出ているものということ ですので、できればこのままの形でというのが望ましいと思います。 ○加治委員 わかりました。 ○久道座長 ほかにいかがですか。 ○望月委員 先ほどの座長の御質問にも関連するのですが、この検討会の報告書は、局長に提出され て広く政府側の取り組みを促すもの、あるいはこれは厚生労働省及び国の決意を促すものと私はとら えております。と同時に、先ほど高見委員もおっしゃったように、ここに参画した委員、あるいは背 後に存在する業界や色々な団体、あるいはそれ以外にここに参画していない様々な社会の構成員がい るわけで、社会にとってはこれを受けてレディ・トゥ・アクション(Ready-to-Action)というような 位置付けを持つものだと最初から理解してました。例えば具体的に言うと、JR東日本が4月1日か ら全面禁煙となることも、この検討会とどう連動しているのかわかりませんが、政府側の動きを受け て社会として先にレスポンスしたと捉えてもよいのではないでしょうか。健康増進法が施行されたと きも、民鉄協(日本民営鉄道協会)が関東の私鉄全駅を禁煙にしましたが、それだけの社会的なイン パクトを持ちうるものだと思います。なので、その辺りの検討会報告書の重みも持たせたい、持たせ て欲しいと思います。異なる利害を持った人たちが検討会の限られた時間で議論しているので、完璧 なコンセンサスというのは得られないと思いますし、例えば私が2回目の検討会で出した資料につい ては私の今のぎりぎりのベストだと思っても、各先生方の御意見を聞いていく中である程度譲歩した り、同様にほかの方々もある程度譲歩したりということがあってここまで来たのだと思います。従い まして、その重みというのはこの中に書かれたものがどのような内容であれ、次のアクションを促す もの、あるいは厚生労働省の決意を促すものと理解してよろしいでしょうか。 ○生活習慣病対策室専門官 そうですね。 ○望月委員 というと、我々もこの中で書かれたことに対してレスポンスするというか、リアクショ ンする、あるいはここに書いていないことについても、ほかの社会の構成員がそれぞれの中でアクショ ンを起こすものと思っているのです。だから、その辺りを「はじめに」なのか最後なのか適切な箇所 に、これを踏まえて社会に向かって発信する、ただ発信するだけでなしに、やはり促すような書きぶ りというか全体のトーンというのがあるとよいと思います。譲歩せざるを得なかった部分があったと しても、これは最大値的なものを示しているのではなしにぎりぎりのところ、でも、それ以上のもの はここに関わってこなかった人たちが担っていくという、それも含めて「共同体の一員」という言葉 が生きてくるのかなと思います。具体的な文言修正とは違って、この報告書のフィロソフィーという か価値というものは、そういうところにあるのではないかと思って、あえて冒頭で申し上げさせてい ただきました。  もう一つ、具体的に最初のパラグラフで言いますと、今、加治委員から御指摘があったように、平 成12年の段階では厚生労働省としてぎりぎりのところが「分煙」という言葉だったかもしれませんが、 中の文言においても「禁煙」という言葉がスモークフリーとか、タバコフリーというところに世界も 動いていっているということを、「はじめに」のところで、分煙でストップするのではない、というニュ アンスも込めていただけるといいと思います。  それから、2番目のところで、条約の締約国としてたばこ対策の一層の推進が求められているわけ ですが、締約国としての責務というのはかなり重いものなので、もう少し厳し目な言葉があると、な ぜ世界中の合意でこの条約ができたのか、それから、条約ガイドラインはそれを履行するための一つ の道筋として書かれているわけですが、条約の本来の意味からは少し弱いような気がしました。  以上です。 ○久道座長 今、意見が出ましたけれども、できるだけこのように直してほしいと具体的な文言を入 れてほしいんですね。そうしないと、いつまで経ってもまた。恐らく私が最後に皆さんに座長預かり にしてほしいというところは、てにをはぐらいだと思いますので、できるだけ今、望月委員がおっしゃっ たようなところを。 ○望月委員 では、案として書いて途中で申し上げます。 ○久道座長 あと、「はじめに」の方がいいのか、後ろの方がいいのかということもありました。重要 なフィロソフィーですよね。その辺ももし後ろの方がよければ、後ろでもいいのかなという感じはい たしましたけれども、今すぐは出ないでしょうから、また後で振り返ったときにお願いします。  ほかに御意見ございませんか。また戻りますので、気がつきましたらそのときに修正をお願いしま す。  それでは、「II 現況認識と基本的考え方」の「1.現況認識」の(1)から(4)まで一括して議論し ます。 (「II 現況認識と基本的考え方」「1.現況認識」朗読) ○久道座長 どうもありがとうございます。  それでは、お伺いします。まず(1)でいかがでしょうか。 ○遠藤委員 (1)の(2)なんですが、先ほど事務局から御案内がありましたけれども、一酸化炭素を発 がん物質と言うにはちょっと無理があると。同様に、ニコチンも発がん物質と言うのは微妙なところ なので、ここは1つの案としてですが「受動喫煙の煙中にはニコチン、一酸化炭素などさまざまな有 害化学物質、特にヒトへの発がん性がある化学物質であるタール、ベンゾピレン」、これにもう一つ発 がん性という意味ではニトロソアミン、特にたばこ特異的ニトロソアミンというものがありまして、 これはたしか一昨年でしたか、IARCの評価でも2Bから1に格上げされておりますし、それから、昨 年ISOのたばこ特異的ニトロソアミンの測定法が出されておりますので、これは入れておいていた だいた方がいいと思います。「等も含まれている」という形にしていただいたらいいと思います。 ○久道座長 具体的にありがとうございます。では、そのときに文献1にはどう書いてあるんですか。 ニトロソアミンは書いていないんでしょう。入っていますか。 ○望月委員 IARCのレポートも引用されればいいと思います。 ○久道座長 文献1にも書いてありますか。 ○生活習慣病対策室専門官 一応確認してみます。なければまた。 ○久道座長 それと、文献1には今修正していただいたように、ニコチンと一酸化炭素は発がん物質 であるとは書いていないんでしょう。 ○生活習慣病対策室専門官 はい。 ○望月委員 今の点ですが、タールというのは総称であって物質名ではないので、できればタールは 落とされた方がいいと思います。一般の方は一酸化炭素、タール、ニコチンというのがたばこの中に 含まれていると、3つしか入っていないような感じに受け止められることもあるのですが、実際には 煙中に十数万種類の物質が存在していて、発がん物質は69種わかっています。それから、有害物質も 200種以上わかっているので、タールというのは一般に認知されている言葉ではありますが、それだ けではリスクを過小評価される可能性もあります。IARCもカリフォルニアのEPAも、個別の物質につ いてのみではなくて総体として発がん性があるかどうかを判定しているので、タールはミスリーディ ングになるのかなと思います。 ○遠藤委員 タール中の代表的なものの1つがベンゾピレンという形になりますかね。 ○望月委員 それはタールだけではなしに、気相にもニトロソアミンなどが出てきますので、そこは 注意深く記述していただくということと、加えて、発がん物質だけではなしに、前にペーパーでも出 し、申し上げましたように、例えば、有害大気汚染物質という位置付けが海外ではなされていて、日 本でも同様の考え方があるけれども、たばこについてはまだ判定されていない。ただ、なぜ有害大気 汚染物質というくくりがあるかというと、生物科学的に感受性の高い集団、特に胎児とか児童に対し ての対策をより促すために、閾値がないという、リスクがゼロになるアッパーリミットがないという ことを強調したいと思います。だから、その部分も海外の文献を引用するのであれば「有害大気汚染 物質としての位置付けもあり」というような一文があると、その後の児童とか妊婦への規制の必要性 につながるのではないかと思うので、「有害大気汚染物質」という言葉も入れていただけたらと思いま す。 ○久道座長 そうすると、(2)の中に入れますか、それとももう一つ。 ○望月委員 (1)でいいのではないか思いますが。 ○久道座長 では、(1)にどう入れますか。 ○望月委員 「ヒトに対して発がん性がある化学物質及び有害大気汚染物質として判定された曝露で あり」と。 ○久道座長 では、(2)を遠藤委員、もう一度確認のために言ってくれませんか。 ○遠藤委員 そうしたら、望月先生、タールをその前に持ってくればよろしいですか。要するに、パッ ケージではニコチン・タールになっているので、タールは入れておいた方がいいかなという気はしな いでもないんですけれども。 ○望月委員 でも、それが出ていることによるミスリードの議論が既に出ており、そうすると低ター ルの方が安全かもしれないといったことになるので、できれば避けた方がよろしいと思います。 ○遠藤委員 では、(2)は「受動喫煙の煙中には、ニコチン、一酸化炭素などさまざまな有害化学物質、 特にヒトへの発がん性がある化学物質であるベンゾピレンや、たばこ特異的ニトロソアミンなどが含 まれている」という形でいかがでしょうか。 ○久道座長 そのほか御意見ありますか。 ○加治委員 (5)の文章なんですが、「規制の前後で減少した」という文章になっていますが、「規制の 前後で減少した」という言い方よりは、「規制の後では減少した」という言い方の方がはっきりするの ではないかと思いましたが。 ○久道座長 ほかにございませんか。  それでは、(2)はいかがでしょうか。 ○曽根委員 最初の文章の「我が国の現在の喫煙率」というのは成人喫煙率ですよね。成人喫煙率と 書いた方がいいと思います。なおかつ「男女合わせて24.1%であり、非喫煙者は未成年者を含む全人 口の4分の3を超えている」とした方が、より喫煙者が割合としては少ないということが強調される のではないかと思います。 ○望月委員 ここは、たしか曝露の実態に関連するところだと思うのですが、実際には子どものいる ような家庭、例えば20代、30代ぐらいの若い世代ですと、男性の喫煙率は50%を超えているし、女 性の喫煙率も20〜30%と非常に高いんですね。そういう環境に生まれた子どもの曝露実態というのは 24%から推計されるものではなしに、日本でも大体子どもの半数が受動喫煙曝露を日常的に受けてい るという結果もあります。それをそのまま引用するかどうかは別としても、私が前に御紹介したUICC のレポートの中でも、世界的にも子どもの半数が受動喫煙に曝露されているという実態があるので、 24.1%というのは事実だし、非喫煙者の方が圧倒的に多いんですけれども、ここから想起される曝露 の実態を支持するにはちょっと弱い。なので、例えば無力な子どもとか文言はまた後で述べますけれ ども、「こうしたたばこの煙に曝露される」というくだりに続けるとしたら「我が国でも世界でも子ど もの約半数が受動喫煙に曝露されているという実態を踏まえ」と具体的にお書きになって、文献が必 要であれば、日本のデータは恐らく厚生科研のデータではなかったかと思うんですが、少なくとも海 外ではきちんとした調査に基づいて出されておりますので、それによる補強の方が、恐るべき暴露の 実態ということで説得力を持つのではないかと思います。 ○久道座長 ここのところは「我が国の」というところで入っていますので、日本のデータでよろし いんじゃないでしょうか。 ○望月委員 それでしたら、例えば、小さな子どものいる世代の喫煙率は男性で何割、女性で何割と いう実態を踏まえると、これ以上の曝露が推定されるというような形ではいかがでしょうか。 ○久道座長 では、また文章をどう入れるか考えておいてください。  ほかにございますか。 ○加治委員 先ほどの曽根先生の御意見を伺って気がついたんですが、24.1%という数字が成人の喫 煙率でしたら、全人口中の喫煙率はもっと低いですよね。当然20%切りますよね。そうしますと、そ の後の文章で非喫煙者は未成年者も含む全人口の4分の3ではなくて、5分の4を超えるということ は言えないでしょうか。 ○生活習慣病対策室専門官 そこに関しては根拠が多分必要になってくるのだと思います。 ○加治委員 未成年者の人口って2,000万人ぐらいですか。 ○生活習慣病対策室専門官 未成年者の喫煙率の問題もございますし、一概にはちょっと難しいかと 思います。 ○加治委員 わかりました。 ○久道座長 男女合わせて24.1%というのは、インパクトが弱いような感じを受けますよね。これか ら出てくる受動喫煙が少ないような感じがね。 ○望月委員 これは事実なんですよ。しかし、たばこを吸う人が100人の中に1人いるだけでも曝露 してしまうというのが受動喫煙の問題だろうし、それから、先ほど申し上げたように世代によって喫 煙率が違いますし、これはあくまでも平均値であって、60歳以上の世代は男女とも本当に喫煙率が低 いんです。だから、どこをターゲットにしているかという対象集団を考えた場合に、若い世代の喫煙 率は圧倒的に多いということを補強するとよいでしょう。 ○久道座長 では、文章ができてからまた。  そうすると、「未成年者を含む」という表現は余り適切ではないことになりますか。ここは事実関係 のことを言っているんですね。 ○生活習慣病対策室専門官 未成年者の喫煙率も調査をされていまして、減少傾向にあって、例えば、 高校3年生まではフォローされているんですが、そこと20歳の間の数字がはっきりしないというのが 現状ですので、「未成年者を含む」という言い方をしてもいいのかどうか、確かに迷うところではある と思います。 ○久道座長 これはどうでしょうか。 ○高見委員 「未成年者を含む」という言い方だと、私たちが未成年者の喫煙を認めているような感 覚があるんじゃないかという気がするので、それは入れるべきではないんじゃないかという気がする んですが、いかがでしょうか。 ○望月委員 ここで言いたいのは、日本の世の中はたばこを吸わない人が平均的には増えてきている と。にもかかわらず、まだ曝露されているという実態と、さっきポピュレーションを区切ったときに、 もっと喫煙率の高い世代における曝露はもっと深刻でしょうという2つの意味合いがあるのかなと思 います。 ○高見委員 ありますけれども、未成年者の喫煙というのを入れてしまうのは、やはり私は反対です ね。 ○望月委員 でも、実態として吸っているんです。 ○高見委員 吸っていますけれども、それはちょっと違うところで議論していただくとか。 ○望月委員 では、書かないで日本人国民の平均喫煙率はこのぐらいとか、非喫煙者は1億人とかそ ういう言い方で。 ○見城委員 今、文章ができ上がっていないので、この場で言うのは申し訳ないんですけれども、こ こはとても大事な部分です。何が大事かというのは先ほど望月先生もおっしゃったんですけれども、 喫煙率が低かろうと何であろうと、この中で1人吸ったら、この中は大変なにおいになってくるわけ です。そこの部分が喫煙率とかそういうことだけで詰めていくと薄まっていくというのでしょうか、 一番大事なのは本当に通りを100人が歩いていても、たった1人が先頭で吸っていたら後ろの人はみ んな煙を吸ってしまう、受動喫煙してしまうということです。そこが(2)のところで、こだわってい くと逆に薄まっていくというのでしょうか、そこがまだ自分で文章ができていないんですけれども、 大事なポイントだと思いますので、数字だけで押していくと肝心なものが消えていきます。表現も整 理の仕方もここはこだわりたいところですね。 ○久道座長 この文章には1人でも影響は大きいというところが余り出ていないですね。 ○見城委員 そうなんです。だから、数字が大事なんですが。 ○望月委員 どんなものに曝露されるのかと考えたときに、実は(1)が前提で、物質的に言うと、発 がん性のある物質があると。それから、有害大気汚染物質としても位置付けられるようなものに他者 危害を受けると。原理原則は本人が自由意志で毒性のあるものを吸う問題ではなしに、他者危害が実 際に起こるし、においとかそういうものではなしにはっきりとしたリスクを持った、しかも、致死性 のものも含むような曝露源、汚染源であるというような位置付けをすることによって、人と人の問題 ではないという位置づけをする。日本人は実は思ったよりも圧倒的に非喫煙者が多い世の中になって きたと。ところが、局所的には路上というのも局所かもしれないけれども、実態として曝露があるし、 本当はここでデータがあればいいかもしれません、事業所だってデータがあれば説得できるかもしれ ない。今のところそういうデータを基にした議論は行っていないので、ポピュレーションとしてどの くらいの曝露実態が想定されるかという論理構成の方が、私はすんなり来るんですね。多分同じこと を目指しておっしゃっているのだと思うんですけれども、恐らく(1)から(2)への飛躍があるような 気がしています。  後の方で言おうかと思ったのですが、他者危害というのは耳慣れないような言葉かもしれますが、 この問題に対して国によっては規制という形で完全禁止という形で取り組んでいる。なぜかといった ら、他者危害の問題だということをもう一度再認識することも大事ではないかと思います。恐らくど こかの文章に埋めるということもあるんですけれども、原理原則としてそこがあるかなと思っていま す。 ○久道座長 それでは、お二人に文章を考えていただいて、それから議論しましょう。  関連してなんですが、「残留たばこ煙」という言葉は、この間の加治委員のサード・ハンド・スモー クの日本語訳のことですか。この訳は大体決まっているんですか。 ○加治委員 実は、産業医科大学の大和 浩教授に伺いましたところ、「残留たばこ成分」という言葉 が適切ではないかという御意見をいただきました。煙というよりは、むしろ揮発したガス成分が中心 になりますので、煙という文字は入れないで。 ○久道座長 では、「残留たばこ成分」がいいということですね。わかりました。 ○望月委員 これは、むしろ(1)のたばこの煙の危険性について言っていることではないかと思いま す。サード・ハンド・スモークというのは先生がこの間御紹介された時期を前後して随分メディアを 賑わしていて、実態としてあると思うのですが、どのくらいエビデンスがあるかといったときに、はっ きりとした害があるというところまで証明し切れるかというと、そこまでの疫学研究はないのではな いでしょうか。ただ、成分が揮発して出てくることについてはそうだろうし、大和先生のような専門 家が検出すれば出てくると思いますが、ちょっと唐突だということは前回も申し上げたと思います。 なので、どのくらいサード・ハンド・スモークという言葉があるいは概念が定着しているのか。それ から、そういう認識を変えることによって、更に受動喫煙の問題がより理解されるということであれ ば、リスクコミュニケーションのところで概念として浸透させるのに非常に効果があるものだと思い ますが、それ以前のセカンド・ハンド・スモークについてすら日本はまだ十分な理解を持っていない ので、逆に前提が少し弱まって、センセーショナルな部分が目についてしまわないかという懸念があ ります。  それから、ペディアトリックスに出た論文は、ほかにも沢山出ているのかもしれませんが、私が読 んだ範囲ではそういう害があると信じている人を測定しているのであって、それによる本当の赤ちゃ んがどうのこうのというような疫学研究ではないので、ここで成分の害も報告されていると言い切っ ていいのかなと思います。もし、害についての論文なり研究があるのだったら是非御紹介いただきた いと思いますし、今までのIARCのレポート等と重みがちょっと違いますが、最近の報告では心筋梗塞 の害は減った、というような幾つかの論文を紹介するようなベースで埋めるのはいいと思うんですが、 少なくとも私が読んだ範囲ではビリーフ(belief)だったので、その辺先生が御専門なので是非お答 えください。 ○加治委員 確かにおっしゃるとおり、はっきり残留たばこ成分の害というものに関してはエビデン スはまだないと思います。 ○望月委員 そうすると、害ではなしに、残留たばこ煙という考え方もあるとか、その辺は客観的に 報告されたことは間違いないし、あると思います。実際にたばこを吸った人が出ていったところはく さいし、恐らく測定すれば出てくると思います。ですが、害といいきるのはまだ時期尚早かなと思い ます。余りにもメディアが繰り返し取り上げたことによって、恐らくみんなが何となくそう思ってい たことが確信に至ったのだと思うのですが、こういう書きぶりをするにはそれこそエビデンスが弱い のではないかと思います。 ○久道座長 では、望月委員のお考えは「近年では」から「害も報告されている」はとった方がいい ということですか。 ○望月委員 むしろ「衣服や室内に付着した煙の成分が時間をかけて放出され、それに曝露されると いう実態もある」とか。でも、もし実態があるとしたら、測定データがどこかにあるはずで、今から でも事務局に探していただいて、それを裏付ければいいと思います。  問題はたばこの煙というのが汚染源であり、曝露源であって、それが出てきているわけですね。そ れを浴びた人が直接吸い込んで曝露される場合もあれば、付着したものが時間を置いて出てくる場合 もあるという問題だと思うんです。だから、環境問題ととらえ直した方がいいと思うし、害というと それは生体への害まで言い切ることなので、どうかと思います。 ○久道座長 害という表現は使えないと思うんですよね。 ○望月委員 「残留たばこ煙という考え方も出てきた」とか、あるいは「残留たばこ煙の害があると 信じている人がいるけれども……」、何か変ですね。 ○久道座長 そうなると、根拠の薄弱なことをあえて入れる必要はないような気がしますね。 ○望月委員 もっと前段でたばこの煙というのはどういうものか、どんなものが入っていて、それを 吸い込む場合もあれば付着する場合もあれば、逆にこういうところにベタベタ付着しているニコチン とかそういうものを子どもが触ってなめてしまう可能性もあるわけですよね。そういう問題だと思う んです。 ○久道座長 これだけに時間をとることはできないので、お二人のいい文章で議論しないでもピタッ といくのが出るかもしれませんので、これは置いておいて次に行きます。もう出ますか。 ○望月委員 今の続きですが、「無力な」というのがちょっと。子どもや妊婦を優先的に保護すべきと いうことはコンセンサスがあると思うのですが、「無力」というとちょっとなじまないような。1つは、 先ほどから言っている生物的な感受性が強いから少量の短期間曝露でも影響があるということと、動 けないということがあるし、自分で選択ができないということを恐らく事務局は総体として「無力」 という表現をなさったと思うんですが、これに代わるよい言葉が浮かばないんですけれども、むしろ 事務局にもうひとひねりの今のところを考えていただければと思います。 ○久道座長 そこも併せて考えてください。文章ができたらどうぞ、手を挙げてください。  (3)はいかがですか。よろしいでしょうか。  (4)はいかがですか。これは条約の要点を紹介しているんですよね。余り問題ないと思います。  それでは、次の「2.基本的考え方」を(1)から(3)まで読んでください。 (「II 現況認識と基本的考え方」「2.基本的考え方」朗読) ○久道座長 どうもありがとうございます。  (1)でいかがでしょうか。 ○望月委員 さっきから言っている他者危害の問題で、ここにも入れていただきたいと思うのは、「ま た」以下ですが、「意図せずして他者危害としてのたばこの煙に曝露される」と、ここに「他者危害」 という言葉を入れていただけたらというのが1点。  それから、エビデンスに基づく正しい情報を発信するべきだと思うのですが、発信する側としてそ れが果たしてニーズに見合った情報かというと、そうとも限らない。だから、これから動こうという レディ・トゥ・アクションの方たちに届けるべき情報の中には、今度はニーズに基づくと言ったら変 ですけれども、あるいは受け手側のニーズもあると思います。それが常にエビデンスに基づいて、そ れもニーズに合わせてエビデンスに基づいた情報を発信すべきではあるのですが、例えば海外の状況 にしても、あるいは実はホスピタリティインダストリーには経済的な影響がないよということも、そ れは進めたい側が聞きたい情報なのかと思うので、「国民のニーズに合わせた」とか。 ○久道座長 それはどこに入れますか。 ○望月委員 「エビデンスに基づく正しい情報の発信とともに、ニーズに合わせた情報提供のあり方 を考える」、だから、効果的な普及啓発の方ですね。「ニーズに合わせた情報提供による効果的な普及 啓発」。そうすると多分「あまねく国民から求められる気運」というところに基づくかなと。 ○久道座長 「一人ひとりがたばこの健康影響について理解を深めるとともに」というのはどこに。 ○望月委員 このままでいいんですけれども。 ○久道座長 そうするとつながりませんよね。 ○望月委員 「ニーズに合わせた情報提供による効果的な普及啓発を一層推進する」。 ○久道座長 そうすると、その前の文章が。 ○望月委員 だから、これはこのままでいいんです。3行目までイキで「深めるとともに、ニーズに 合わせた情報提供により効果的な普及啓発を」と。「により」が重なっちゃいますけれども。「ニーズ に合わせた情報提供を通じて」とか。 ○久道座長 わかりました。  それから、さっき「また、意図せずして」の「また」のところはどうなりますか。 ○望月委員 「意図せずして、他者危害としてのたばこの煙に曝露される」。 ○見城委員 同じところだと思うんですけれども、(1)の5行目「喫煙者の喫煙の自由や権利が主張 されることがあるが」の後に、ここまで言った方がはっきりするかなと思うのは、喫煙者は自分の副 流煙と呼出煙が周囲の人を曝露しているという認識を持つべきであると。吸っている人への認識を促 すという部分が足らないかなと思いますので、お吸いになっている方は自分が曝露しているという認 識、吸う権利もあると同時に、曝露しているという認識を持つべきであるとして「喫煙者の周囲の者 が」というところは、「喫煙者の周囲の者は意図せずしてたばこの煙に曝露されることから保護される べきであること」とつながっていく方が、明確ではないかと思います。 ○望月委員 それならば、私の他者危害という言葉は見城委員のところに続けて一緒の文章にしてい ただいた方がいいかもしれません。 ○生活習慣病対策室専門官 もう一度おっしゃっていただけますか。 ○見城委員 「喫煙者の喫煙の自由や権利が主張されることがあるが、喫煙者は自分の副流煙・呼出 煙が周囲の人を曝露しているという認識を持つべきである」。ここはもう少し言葉が違っても構わない んですが「認識を持つべきである。」として、喫煙者の周囲の者は守られるべきだという論理に行くと。  できるだけ文章の基本として1つのセンテンスを短く「。」で切って、一般の人がインターネットで 読むときは特にそうなんですが、文章が長いと主語と述語がわからなくなりますので、できるだけ1 回「。」で切るというふうに心がけていただきたいと思います。 ○生活習慣疾病対策室専門官 そこに「他者危害を」というお話だったんですけれども、どこに入れ ますか。 ○久道座長 今、見城委員が言ったことが他者危害の話でしょう。 ○望月委員 でも、曝露というのは何に曝露しているか、そういう危害を与えるものに曝露している のと、曝露だけだと。 ○遠藤委員 恐らく、見城委員の文章が入るとまた違ってくると思うんですけれども、今ある現状で 言うと、他者危害という言葉は1つは下から2行目の「意図せずしてたばこの煙に曝露されること(他 者危害)」か、あるいは一番最後の行で「リスク(他者危害)から守られるべきこと」のどちらかに入 るのだと思うんですけれども。 ○望月委員 では、後者に置きましょう。 ○久道座長 括弧書きで入れるということですか。よろしいですか。  では、(2)はいかがでしょうか。 ○永山委員 ここで初めて具体的にどうするべきかというのが出てくるので、念のため確認をしてお きたいんですけれども、我々の検討会のタイトルが受動喫煙防止で、ここまでもたばこの煙にさらさ れることからの保護をするんだということが何遍も書かれているんですけれども、それに対するアプ ローチがここで即全面禁煙となってしまっているんですね。ちょっと極論かもしれないですけれども、 例えば、交通事故から国民を守るみたいな検討会であれは、当然車道と歩道を分離して、きっちりと 事故を減らすという方向と、車自体を減らすという議論と並行していくべきだと思うんですけれども、 どちらかというと車を減らすことばかりにここから流れてしまっている。当然、禁煙を勧めるという のは一番有効な手段ではあるんですけれども、この後(3)にも絡んでくるんですが、どうしても禁煙、 禁煙、禁煙で、喫煙可能区域を確保するというのが物すごく弱く書かれてしまっているのが気になる んですね。やはり私が何遍も申し上げているように、喫煙者がいる以上はきっちりと非喫煙者に迷惑 がかからない環境に隔離した上でたばこを吸ってもらって、そのことが受動喫煙対策になるという考 えを何遍も申し上げさせていただいているので、まず(2)に対して「原則として全面禁煙であるべき である」の「全面」が少し強過ぎるのかなという部分。  (3)は(3)でまた違う時間であれば申し上げますけれども、(3)については下から2行目「現状で は暫定的に」という部分が、対策としてはネガティブに過ぎるのかなと。もう少し喫煙可能区域を確 保して、非喫煙者と隔離された環境をつくるとか、隔離された空間を積極的につくるとか、もう少し ポジティブな表現にならないかなということを感じています。 ○久道座長 今、(2)と(3)を両方言っていただきました。いいですよ、両方やりましょう。今「原 則として禁煙であるべきである」という表現の方がいいのかなという意見のようです。「全面」をとっ た方がということですが、いかがでしょうか。 ○高見委員 私も飲食業界の立場といたしましては、公共的な空間というのがあるんですけれども、 これには我々の業界の飲食店等も入るんでしょうか。これはあくまでも国及び地方団体の公な施設な のか、それとも大勢の人間が出入りするような飲食店もそこに入っているのかということが非常に気 になるところでございまして、それについての全面禁煙ということであれば、ちょっと同意しかねる なという気はいたします。そこを確認させてください。 ○久道座長 どうですかね、公共的な空間ですね。公共施設となると、いわゆる学校とか県庁・市役 所とか。 ○高見委員 公共的な空間となると私たちの業界も入ってしまうのかなと。もし、入ってしまうので あれば、この全面禁煙というのがちょっと引っかかるなという気はいたします。 ○久道座長 例えば、飲み屋などはどうなんですかね。 ○高見委員 公共になるんでしょうかね。 ○望月委員 1回目にその辺は話していたと思うのですが、公共的な空間で、含む職域、という形で スタートしていたと思います。 ○高見委員 となれば、やはり全面禁煙ということに対してはちょっと。 ○望月委員 原則なので。方向と原則という言葉で。 ○高見委員 飲食業界の代表で来ている人間としてはちょっと難しい。分煙対策とかであれば多分納 得はできると思うんですけれども、全面禁煙となると、飲食業界もゆくゆくは全面禁煙となるとやは り組合の意向とはちょっと違うなと。組合の代表として来ているということに関しましては、ちょっ とどうかなという気はいたします。 ○内田委員 公共的な空間ということに関して、厚労省の見解はどうなんですか。飲食店も入るんで すか。 ○生活習慣疾病対策室専門官 勿論入ると思います。 ○遠藤委員 1つは、前のページの(4)の2の「屋内の職場、公共の輸送機関、屋内の公共の場所及 び適当な場所」というところに飲食店ですとか、高見さんがおっしゃっているのが入るのか入らない のか、ちょっと私も勉強不足であれですが、望月先生、その辺はどのようになっているんですか。 ○望月委員 これは1回目に十分議論したと思いますけれども、プライベートな空間とパブリックな 空間をどう考えるかというだけの話で、あと、健康局の検討会なので職域の受動喫煙対策については 具体的には検討する時間もなかったと思います。どの国にも喫煙者はたくさんいらっしゃるし、ホス ピタリティインダストリーはあるし、小さなお店もあれば、日本とそんなに大きく状況は変わらない と思うのですが、そこを乗り越えるときに、職域から入ってうまくいったところもあれば、あるいは 職域から入らなくても全部パブリックプレースでひとくくりで入った国もあります。日本で今やる意 味として過去には分煙で終わっているので、その現状から踏み込むというのは国際的な潮流に乗って いこうという、冒頭申し上げた厚労省の決意を促すためのものだと思うんですね。  現状はたくさん喫煙者もいらっしゃるし、喫煙者のお客様の顔を見ながら日々営業をしていらっしゃ る方々もいるけれども、方向性を示した方が、これもペーパーで出しましたように、将来的には全面 禁煙の方向に向かうんだな、だったらその流れに乗って準備をしていこうというようなものを促して いけたら、この検討会に6回参加した意義があるということを申し上げました。  だから、ここで原則として基本的な方向性であって、例えば3年後に全面禁煙にするぞというよう なタイムラインはここでは示されていないわけですよね。それから、徐々に喫煙者の方たちも少なく なっているし、新規開店のお店とかホテルにしても禁煙にしているところの方が増えているかもしれ ない。だったら、やはり世の中変わっていくスピード感をもう少し込めた方がよいのではないかと思 いました。  私は1回目の検討会のことをよく覚えているのですが、いろいろ用意していた意見はほとんど委員 の方々がおっしゃって、非常にハイパーなペースで進み、業界の代表の方々もやるなら一律禁煙にし てほしいというような、一律規制という言葉だったと思いますけれども、ひしひしとその業界の状況 が受け止められたので、最後になって実は喫煙所を設けて暫定的という言葉であっても消極的という ように前回から永山委員がおっしゃっているのは、1回目のトーンから随分変わられたなとかんじま す。組合の方々が個別にいろいろな状況をおっしゃればおっしゃるほど現実的にならざるを得ないの は分かるのですが、やはりこの流れをここで食い止めるというのは、ここまで参加した意味が私とし ては薄れてしまいます。 ○見城委員 煙であるだけに問題なんですね。分煙しても全部シャットダウンしない限りは、例えば プラットホームでも今度やっと全面禁煙になるので助かるんですけれども、立っていられないわけで すよ。乗る号車がそこだとわかっていても、そこが喫煙場所であれば仕方ないから遠くへ行って待っ ていて、自分の号車ではないところから乗って煙を避けるとか、そういうことをみんな我慢してやっ ているわけですね。この検討会は受動喫煙なので、やはり何らかの形で受動喫煙させられてしまうと いうことは今後一切やめよう、そういうことは避けようという、それを基本的にもっと出すことです。 私も状況はわかるんです、今は大変厳しい状況です。だけれども、基本は受動喫煙の検討会ですので、 とりあえず部分的に禁煙しても受動喫煙させられてしまうという現状があるものですから、原則とし て全面禁煙ということはまず基本として打ち出すべきだと思うんです。これがパッケージ化されてこ こだけというふうに分煙ができればいいですけれども、現状はそうではないので、ここを崩すと結局 は変わらないんですね。ですから、とにかくここはこれで私はいくべきだと思うんです。  ただ、そこに対してどういう現状に対応すべきかは、もう少し検討するべきだと思います。 ○永山委員 望月先生も見城先生も、6回お話をさせていただくと本当に御理解をいただいていて、 業界の事情も推察していただいておりますし、文章として独り歩きするのが怖いだけなんです。先ほ ど望月先生から、原則としての中に3年後だとかそういう急ぐ話ではないんだよとはおっしゃってい ただいたので、それは理解できるんですけれども、現実には喫煙者が最後の1人になるまでというの は相当な時間を有するでしょうし、その間に我々はどういう取り組みをしていけばいいのかなという、 どうしても不安はぬぐえないですね。その中で、喫煙可能区域が暫定的にはいいんだよとか、その間 は従業員さんの健康を考えていきましょうとか、この後、随所随所にお気遣いいただいた部分が出て はくるんですけれども、ただ全体として考えたときに、どうしても全面禁煙というのが表にぶら下がっ ていると、取り組み自体がすごく限られてしまうという、これはイメージ的なお話で申し訳ないんで すけれども、その根本がこの「全面」という一言なのかなというのが、私としては気になっていると いうのが本音のところです。 ○望月委員 でも、カリフォルニアなどはかなり早く取り組んだのですが、みんな普通にたばこを吸 う人も禁煙のお店でご飯を食べて、ちょっと外で吸ってくるみたいな感じで、あとオーナーすら外で 吸っているというのが、一種のライフスタイルというか当たり前になってきていました。だから、逆 に最初におっしゃったように、やるなら一律にやってほしいということは不公平がないようにという ことだろうと思うし、一方で、これだけの短期間ではそこまではとても事務局側も準備とかあるいは まだ受動喫煙の害が世の中に徹底していない現状を踏まえると、まだまだやるべきことはあるのだと 思います。それでも、将来のビジョンを描いてそこに行くための道筋と位置付けないと、いつまで経っ ても足踏みをしていて、国際的な潮流から取り残されるし、海外のお客様が来たときに、日本は今大 分よくなっているにもかかわらず、まだスモーキーだねと言われてしまうのではないでしょうか。成 田に下りた途端におうとか、あるいは旅館とかレストランにいらっしゃる方々が、まだたばこを吸っ ているのというように、国際的な目で見られたときに逆に日本のホスピタリティインダストリーにとっ てのイメージダウンにもなるのではないかと思います。  もし、最後の1人のお客様まで喫煙所を設けますといったときに、そのコストは誰が払うのか。そ のお客様が喫煙席のあるところにプラスアルファのお金を払ってまで快適な喫煙できる空間が欲しい と言われるのであれば、それはお客様が払うべきだろうし、もし喫煙所と書いたときに、それを誰が 手当するのか。それはやはり過去の分煙のあり方の検討会の中でも喫煙所とか分煙がいろいろ書き込 まれていましたが、それが進まなかった理由は、コストが負担できないという問題もありますよね。 なので、やはりそこまで業界は負担してでも喫煙所を設けていきたいのか、実は相当なコストもかか る話だろうし、たばこ会社がそれを提供しますよというような話もあるかどうかはわかりませんが、 ヒアリングでもいろいろコンサルテーションを無料でしますとおっしゃっていたけれども、では、喫 煙所を設置するのかと言ったら、それを業界として受け入れるのか。国としてあるいは税金から喫煙 所の設置に対して税制云々という話までいくとしたら、圧倒的に多い納税者の方たちはそれでよしと するのかどうなのか。また、たばこ税とかややこしい問題になっていきますけれども、やはり方向性 がないと進みにくいのは間違いないと思うので、方向性についてノーとおっしゃるのであれば、今こ の時期に厚生労働省としてやる意味がないような気もしました。 ○久道座長 大事な基本的方向性なので、いろいろ議論があると思うんですよね。しかし、6回もやっ てきたのですから、これはかなり前にも議論したと思うんですが、要するに「全面」という言葉が強 過ぎるので、これはとってほしいというのがお二方の要望ですよね。しかしながら、この検討会の基 本的な方向性としてやってきた流れとしては、ここにまた改めて基本的考え方ということで、更に(2) で基本的に方向としてという表現をしているわけですので、両者どちらも譲れないということになり ますとまとまらないんですよね。まとまらないままに両論併記の格好にするのは、私は格好悪くてや りたくないんです。まとまるまで何回もやるかということになってしまうんですが、この辺りの何と かいい工夫がほかの委員の方々も含めてないでしょうか。 ○見城委員 (3)に暫定的に喫煙可能区域を確保することもとり得る方策の一つということ、ある部 分吸っていいということですよね。そこまで書いてあるということは、全面禁煙で1本も許さないと いう強さばかりではなくて、現状をしっかりと認識している、現実離れしていないと。現実を見据え つつ、しかし、方向は公共の場、多くの人が集まるところ、否応なく受動喫煙させられてしまうとこ ろは全面禁煙であるという、ここは崩さない方がいいと思いますし、崩したら意味がないのではない かと思います。 ○高見委員 最初に組合の代表として名前が出るのですかという確認させていただいたんですけれど も、個人で参加しているのであれば、流れとしてはそうなので同意はしないですが、いいかなと思う んですが、やはり飲食業界を代表して来るとなると、全面禁煙でこれをそのままということであれば 納得がいかない。  それと、我々の業界の中には30〜50人単位の宴会、親戚の法事といったような、一堂に会されて会 食をされるという営業形態の店もあると思うんですけれども、その中で後からも出ると思うんですが、 幼児と妊婦さんに関して完全にそこは入れないということはちょっと難しい。そういうものを全部い けないとここで決めて、ゆくゆくは飲食業界も全部そうなっていくという懸念がありまして、それが 怖いなという気がいたしますし、それによって必ず営業の状態が悪くなる店もあると思いますし、そ れにはすごく反対があると思います。  飲食業界の現状を3回目か4回目に報告させていただいたんですけれども、飲食業界の会員の中に は健康増進法をまだ知らないという人が六十何パーセントいたと思います。まだそういった段階なの で、その辺も是非組合としましては、ガイドラインのハンドブックとかを配って啓蒙活動はしている んですが、そこで非常にギャップを感じます。個人的には非常にわかるんですけれども、やはり組合 の事務局、組合の意向、役員の意向を考慮した場合には、全面禁煙とおっしゃられると違和感を感じ ます。 ○久道座長 「原則として」というのが入っていてもですか。 ○高見委員 この公共的な空間に我々飲食店が全部入るというのであれば、やはり全面禁煙というの は厳しいかなと。 ○久道座長 ただ、(3)で結構フォローはしているんですよね。公共的な空間として飲食店も入ると 思うんですけれども、そのことについては(3)で「一方で」という表現で、特に飲食店や旅館などと 限定した形でフォローしている感じはするんですけれどもね。 ○曽根委員 折衷案ではないですけれども、「原則として」というところがなかなか理解されないのか もしれないので、例えば「可能な限り」として、「全面禁煙であるべき」というのも強いということで あれば、「全面禁煙を目指すべきである」とか。 ○高見委員 これは平行線だと思うんですけれども、公共的な空間と全面禁煙はどうしても譲れない というのであれば、「原則として」とおっしゃいましたけれども、もう少しやわらかい言い方で。 ○久道座長 「原則」が入っているから強く感じるわけですか。 ○望月委員 プリンシプルなので精神的なもの。だから、規則としてじゃないんですよ。原理原則は やはり必要なのです、経営にも原理原則はありますよね。そのバックボーンがない中でふにゃふにゃ やるから進まないんです。そこはびしっとすべきでしょう。これによって恐らく事業者の方々も、他 者危害という言葉がこのまま生きるとしたら、実はたばこの害ってこんなものだったのかとお気づき になるだろうし、啓発普及ということは今後厚生労働省あるいは我々もやっていかなければいけない と思いますが、それを前提にした取り組み、あるいは世界的な潮流というのは何なのだろうかという のを真剣にこれから検討するためのまさに土台だと思います。どこかの回で10年前にやっていたこと をまたやるんですか、と思わず言ってしまいましたが、保健医療関係者の中ですらそこの部分の認識 が及んでいないかもしれない。だから、伝え切れていない、それは我々の反省でもあるし、これから やらなければいけないことだと思うので、是非プリンシプルというものは残して欲しいと思います。 ○久道座長 原則としてとなると、私はむしろ弱くなるような気がしたんですけれども、そうではな いですか。 ○望月委員 私は弱くなると思うし「べき」だし、「基本的」だし。 ○見城委員 「原則として」を抜くと、本当に何としてもほかは許さない全面禁煙と大変強いです。 ただ「原則として」と入るのは、そこに原則としてこうだけれども暫定処置としてこれがあるとか、 個々の対応によってこういうことが考えられるということに文章の成り立ちとしてなっていくんです ね。 ○久道座長 あるいは、曽根委員の「原則として」をとって「全面禁煙を目指すべきである」はどう ですか。 ○見城委員 もう目指してきて今どうなのかということですから、目指してきた結果、遅々として進 まなかったことも含め原則禁煙とすると。現在それに追いつかない業界等は、このような暫定処置を とり、今後の福利厚生も含め、従業員の健康も考え対応していくべきであるという流れではないかと。 大変わかりやすくリーズナブルですね。ここは私はそうとらえます。 ○望月委員 恐らく全面禁煙に踏み切りたい事業者の方たちもいると思います。ある業界の方たちは、 流れは間違いなく禁煙です、とパブリックなところでおっしゃっていました。そういう方々はこれを 利用して進むだろうと思うし、進めなかったら暫定処置があるだろうし、列車から乗り遅れない方が いいと思います。 ○高見委員 多分しなければいけないと感じている方はされていると思うんですよ。今されていない 方がおられるということは、やはり何かそこに問題を感じているんじゃないかと思うんですよね。そ の人たちのために、私たちは代表してきていますので、売り上げ減少とかいろいろ断り切れないよう な経営者もいらっしゃいますので、その辺の方に対して配慮というのをしないといけないのではない かと感じます。 ○加治委員 私はこのままの文章でいいと思いますけれども、今、高見委員がおっしゃいましたよう に、まだ対策の必要性について認識されていない方が非常に多いということでしたが、失礼な言い方 かもしれませんけれども、意識が非常に遅れているのではないかと思うんですよ。健康増進法を御存 じない方も飲食店経営者の6割近くですか、それこそ異常な事態だと思います。だからこそ、逆にこ ういうインパクトのある報告書を出して、そういう方に意識改革を是非行っていただきたいと思いま す。高見委員はそういう責任のあるお立場にいらっしゃるんじゃないかと思うんです。  いまだに飲食店経営者の中には、お店の中でたばこを吸っていただくことがサービスであると思い 込んでいらっしゃる方が多いのかなと思うんですが、私はそれは間違いだと思います。お店の中で1 人でもたばこを吸われますと、周りのお客さんに煙を吸わせるわけですよね。それがここで問題になっ ていることですけれども、それは明らかに他者危害ですよね。御自身のお店の中で、そういう人を傷 つける行為が行われていることをどういうふうに感じられるのかなと思います。  それから、受動喫煙の害について御存じない経営者の方が非常に多いからだと思うんですが、受動 喫煙の害について正確に情報を提供すれば、私はほとんどの心ある経営者の方はお店の中を禁煙にし ようと思ってくださると思います。お客さんに禁煙を強制しているわけではなくて、そこでは吸わな いで外へ出て吸ってくださいというだけのことですよね。それがどうしてできないのかなと私は思い ます。 ○見城委員 もう一つ、今後の経営としても吸わせることがお客さんを呼ぶのではなくて、若い人た ちでたばこ離れをしていく、もう吸わないという傾向が多いということは、お客さんの裾野が広がっ ていくときに、たばこを吸って楽しむという顧客は減ってくるわけですね。しかも、たばこがそこに あると行かないというお客さんが増えてくるということも勉強会なども開かれて、今後よりよい経営 をしていくためには、顧客を呼ぶためにはたばこを吸ってもらうのではなくて、たばこの煙のない空 間をつくることが、これからの新しい顧客を呼ぶことだという、逆に業界での展開も考えて、私は説 得していただきたいと思うんですよ。 ○高見委員 おっしゃることは非常によくわかるんですけれども、やはり、まず分煙ということを段 階を踏んでしていかないと非常に難しいような気がいたします。まず分煙しているところも非常に少 ないんです。 ○見城委員 一気にいった方がいいんじゃないかという気がするんですけれども。 ○内田委員 我々の常識から言うと、分煙対策の方がはるかにコストもかかるし、効果もないという ことだと思います。この議論はたばこの害に対する認識の強さ、差が出ているので、そこを幾らこの 場で議論しても解決しないという気がしますが、私は「原則として全面禁煙であるべきである」とい うのは決して強い言い方ではないということが1つと、なおかつ、その次のところでしっかりフォロー してあるので、私は事務局は苦労されて、よくこういう形でまとめていただいたと思っているんです が。 ○生活習慣病対策室長 事務局も一緒に悩むという立場で考えるんですが、1つは文言をめぐっての 話で、特に「原則」という言葉と「全面」という言葉と「あるべき」というところだと思うんですが、 私どもも今「原則として」という言葉が強いというお話を伺って、ある意味びっくりしたんですけれ ども、ここまで弱めて大丈夫かということでここまで来たのでというのがあるんですが、実際問題と しては永山委員と高見委員が背負っておられる業界の方々がこれに猛反発されて何かということであっ ても、また私どもも困るということもありまして、例えば文言をどうするかということは決めていた だくしかないわけですけれども、今のようなポイントで相互に譲れるところがあるのかという話とと もに、文言が決まってくれば、これがきつ過ぎて立っていられないと永山委員と高見委員がおっしゃ るのであれば、事務局としてはこういう趣旨ですということを懇切丁寧に説明するように業界に回る ということは、永山委員と高見委員はこういうことで懸念を表明されていて、業界内での誤解という ようなことがないように、ただ、精神としてはこういうことで醸成されてきた雰囲気というものがあっ て、こういう表現になっているという説明をして回るということはやぶさかではないんですが、あく まで委員が決めていただくことではあると思うんですけれども、その先のフォローとしては行政の方 でもそういった努力はしていくつもりでございます。 ○内田委員 検討会の報告書という形になると、一応これは全員一致という形で出すということにな るんですが、私はこれだけの文章を出しても余り読んでもらえないと実際のところは思うんですね。 ですから、もう一つは座長の声明文みたいな形で最後に取りまとめをしていただいて、その中で少し 強い文言を入れるとか、もっと簡略にするとか、そういうことがあってもいいかなと。それは座長の 責任になってしまいますから、検討会の全員の合意という形ではなくて、座長見解で出していただく と。 ○久道座長 余りしたくないやり方ですね。  今の「原則として」というのは私はやわらかくした表現だと思っていましたので、また印象の受け 方がいろいろ違うようですけれども、確かに代表してきているというのはなかなか大変だという気持 ちもわかりますので、もしできるならば、今、事務局から出た話と併せて、この文言はこのままで了 承していただいた上でやっていただくということは可能ですか。 ○永山委員 済みません、話を蒸し返したように思われたのであれば大変申し訳ないなと思いますけ れども、先ほど申し上げたように独り歩きはしてほしくないということで、この検討会で話している ようなニュアンスが業界に伝われば、私としては問題ないと思っています。ただ、どうしても例外と いうのはどんなことにも残るわけであって、外に出て吸えばいいじゃないかで済む地域と済まない地 域というのがどうしても最後は残ってくる。業態によってはそれがないと成り立たない人というのも、 たとえ1%にしても飲食店でもそういうところが残ってくるかもしれない。そういうところには、こ ういう基準にのっとった上で喫煙可能区域を確保すれば営業を続けられるんだというコンセンサスを つくれる要素がこの内容には残っているんだというのが、何かの形で伝われば問題はないのかなと思っ ています。 ○見城委員 ちょっと質問なんですが、この間入ったお店がシガーバーだったんですね。ある人が知 らないで打ち合わせをそこに定めて、本当にあんな苦しかったことはないんですけれども、あれは今 後も全面禁止ということで進んでいく中で、シガーコーヒーショップである、シガーバーであると設 定して可能なんでしょうか。そういうことをきちんとうたうと、それは喫煙空間として囲われていれ ば。 ○内田委員 それは法規制次第じゃないですか。 ○見城委員 きちんとシガーカフェと看板を掲げているのだから、むしろ吸わない人が入ったのが間 違いだったと、私はそういうふうに見られたんですね。口を押さえていたら、全員から非難の視線を 浴びて。ですから、そういうことが一つの方法としてあるなら、むしろこちらは本当に原則として全 面禁止ということで進んでいくということ。 ○久道座長 喫煙所があること自体がそうではないでしょうかね。あそこにはたばこの嫌いな人が入 るのは間違いで、堂々と吸っていたいという人が入るわけで、そういう場所があってもいいんじゃな いでしょうか。明示してあればと私は思うんですけれども、そこまで何もかもと言ったら、それこそ 人類1人たりともとなりますから。 ○高見委員 我々というのはサービス業ですし、おもてなしというのを非常に今まで大切にしてきた んじゃないかと考えます。その中で、確かに受動喫煙は体に悪いというのはよくわかるんですが、吸 われる人も吸わない人も、やはり同じようにサービスするというか、おもてなしをしてしまうという 感覚はまだずっと残っていると思うんですよね。それが体に悪くて吸わない人がというのはあるんで すが、その認識をわかっていただくのが、この会議とは非常に温度差があるような感じがしますし、 その辺のところをまず一般の組合員さんに認識を持っていただくことが大事じゃないかと思いますし、 我々のサービス業、おもてなしというのも皆さん方にちょっと理解していただければと思います。 ○久道座長 この問題は大変時間をとりましたけれども、時間をとっただけのことはあったと思うん です。お互いの両面のところで御理解があったと思うんです。お二方には苦渋の了承を得たというこ とで、この文言はこのままにさせていただくということで、先ほど室長からいろいろなフォローの仕 方があるということがありましたので、是非それをやっていただきながら、代表するお二方が誤解さ れないように、また業界の方々にも理解していただくような形で是非フォローしていただきたいと。 これを前提にここの文言はこれでよろしいということにさせていただいていいでしょうか。 (「異議なし」と声あり) ○久道座長 これで時間をとって、あと15分しかないんですが。 ○加治委員 3行目の「児童公園」の前にテーマパークを入れていただきたいたいと思うんですが。 ○見城委員 遊園地で一緒になりませんか。 ○生活習慣病対策室専門官 もしあれでしたら、「児童」を落として「公園」にすれば。 ○加治委員 わかりました。 ○久道座長 それから、先ほど永山さんから「積極的な」という表現がありましたね。それはいいん ですか。 ○永山委員 先ほどの議論と重なる部分なので、検討会として何が何でもがちがちにというニュアン スでなければいいとは思うんですが、「暫定的」というのがどうしても仕方なくというイメージにとれ てしまうので。 ○見城委員 でも、これがないと方向が定まらないですよ。どちらにベクトルが向いているのか。 ○永山委員 逆に「暫定的」というあいまい過ぎる言葉よりも「一定の基準にのっとった」とか、逆 にその方が前に進んで聞こえるのかなと。これは先ほどの話で私の中で両方意見があるんですけれど も。 ○望月委員 基準というのは、どんなイメージなんですか。 ○永山委員 例えば、先ほどのシガーバーで言えば、店頭にちゃんと表示がしてあるとか、そこに勤 めている従業員さんはちゃんとそれを理解して勤めているとか、例えば、そういうシガーバーを営業 するときに、それは暫定的ではないと思うんですよ。そのニュアンスとしては。 ○見城委員 シガーバーが非常に繁盛すれば暫定的なままいくでしょうし、シガーバーの客足が落ち ればそれは業態が変わるわけですね。だから、暫定的というのはここは検討会であって規制をかけて いく、それを決める場ではないので、方向として暫定的に対応していくという意味では、私は現状で は暫定的にというのは非常に納得のいく表現でわかりやすいと思うんです。 ○久道座長 では、ここは永山さん、何か考えておいてください。前に進みませんので。  それでは、宿題ばかり残しましたけれども、前に進めます。「III 今後推進すべき受動喫煙防止対策 について」。4ページのエビデンスの前までお願いします。 (「III 今後推進すべき受動喫煙防止対策について」(5)まで朗読) ○久道座長 今いろいろ議論していただいたことが、ここでかなり具体的に明示されていますね。い かがでしょうか。ここにも「全面禁煙」という言葉もありますし、「全面禁煙が困難である場合におい ても」とあえて書いてありますよね。 ○望月委員 (4)ですが、「意図せずしてたばこの煙に曝露されることから人々」というところなんで すが、その後に従業員についても触れているので、これは従業員を排除するものではないということ を入れるといいと思いますが。「人々(従業員も含む)」と。 ○久道座長 従業員のことは下の方に書いてありませんでしたか。 ○望月委員 そこで十分であればいいのですが。 ○久道座長 意図せずという意味を考慮して、そこに「人々(従業員も含む)」とした方がいいわけで すね。どうですか。 ○永山委員 従業員についてが(5)とも絡んでくるんですが、(5)で割と積極的に従業員について書 いている中で、最後「IV 今後の課題」のところにもわざわざ1項目使って従業員のことが書いてあ るんですけれども、今も考えて、今後も考えてとちょっと二重のような気がするんです。(5)が残る のであれば、(4)はこのままでもよいのではないかと思うんですが、逆に今後のところで書く方がぼ やけてしまうのかなと。 ○望月委員 繰り返しになるようであっても、例えば(4)のところは先ほどのお話でもお客様のこと ばかりおっしゃっていたわけですが、現にそこで働く従業員がいて、例えば(5)の「このような場合 においては」と言ったときに、一般の事業所の従業員だけを想定しているわけではないという、しつ こさをそこに込めてなんですが。勿論それによる影響というのもあると思いますが、まだここに関し ては、少なくともこの検討会で具体的に検討したわけではないし、恐らく経営者側も従業員の健康の 面からどうというところまではいっていないとしたら、もう一度ここで考えるべきだろうし、具体的 に検討を深める、そして、今後も検討をスタートしてほしいというような気持ちがあります。 ○久道座長 入れることがどうしてもだめだというほどでもないですよね。ですから、強調するとい う意味で望月委員はおっしゃっていると思いますので、入れてもいいのかなという気はしますが、ど うですか。 ○加治委員 望月先生のお気持ちには全く同感なんですけれども、日本語の文章として見た場合に「こ のような状況にあっても、割合の表示や、喫煙場所をわかりやすく表示する等の措置を講ずることに より」と書いてありますので、この措置によって守られるのはお客様ですよね。この文章があると、 ここに従業員の方が入るのはちょっと文章としてそぐわない気がするんですけれども。 ○久道座長 加治委員の表現は、文章としてここに入れるのはちょっと違和感があると言うことです ね。では、削除でいいですね。 ○見城委員 (5)にも従業員のことが書いてありますし、更に「IV 今後の課題」のところでも書い てありますから、むしろその方が強烈に感じるのではないでしょうか。 ○久道座長 よろしいでしょうか。  それでは、次の「エビデンスに基づく正しい情報の発信」を含め「普及啓発の促進も含めて」(10) までやってください。 (「III 今後推進すべき受動喫煙防止対策について」(6)から(10)まで朗読) ○久道座長 いかがでしょうか。 ○加治委員 (8)なんですが、3行目の「薬局にて」の後に「医師の処方箋なしに」という言葉を入 れてはどうかと思いました。 ○久道座長 「医師の処方箋なしに禁煙補助薬が入手可能」ということですか。 ○内田委員 要るやつもありますよね。 ○久道座長 入れますか。 ○加治委員 その方がわかりやすいかなと思ったんですが。 ○久道座長 処方箋が必要なものもあるんですか。 ○内田委員 パッチは要りますね。 ○久道座長 そうですね。 ○加治委員 これも、そんなにこだわるわけではありませんが。 ○久道座長 かえって入れると間違う可能性がありますね。では、入れないということで。 ○加治委員 では、その下の行の「残留たばこ煙成分」の「煙」を削除していただきたいと思います。 ○久道座長 この概念があることと、これに関する情報が必要だというのはいいですよね。 ○加治委員 それから、その一段下の行ですが「健康影響」という言葉がありますが、「健康への悪影 響」とした方がはっきりするかなと思いました。 ○久道座長 同じことが(10)にもありますね。そこはこのままでいいですか。 ○加治委員 そこも「健康への悪影響」としていただいた方がいいかと思いますが。  (10)については、もう1点よろしいでしょうか。1行目の「保健医療従事者」の後ろに「教育関係 者」という言葉も入れていただいた方がいいかなと思いました。学校で児童生徒さんに喫煙防止教育 をするのは学校の先生方が中心ですので。 ○久道座長 ほかはどうですか。 ○曽根委員 (6)の(2)なんですけれども、ちょっと文章が「受動喫煙曝露による生体への影響の詳細 について」の後に「、」があると、その後の「規制によるサービス産業」へのかかり方がおかしくなっ てしまうので、この「、」をとって、「詳細について諸外国との比較研究調査や規制によるサービス産 業への経済影響に関する調査研究、これまでの研究成果を」と、これらを並立させた方がいいんじゃ ないかと思います。 ○久道座長 あと、ここにメタアナリシスとかバイオマーカー、エビデンス、コンセンサスと片仮名 で使っているところがあるんだけれども、変わるべき日本語があれば使った方がいいし、なければそ のまま使って注釈を加えると。メタアナリシスなんていうのはどういうことかわからないんじゃない でしょうかね。ですから、これは誰が読むんですかと聞いたのはこのことだったんですけれども、こ れは注釈を加えると。注釈の加え方は座長一任でよろしいですか。 (「異議なし」と声あり) ○久道座長 ほかに何かありませんか。  予定の時間が来てしまったんですが、15分ほど延ばして事務局よろしいですか。私は延ばすことは 今まで滅多にしたことはなかったんですけれども、最後だからしようがないですね。まとめたいと思 いますので、御協力をお願いします。なお、列車の関係でどうしてもという方は、どうぞ御遠慮なさ らないで、言いたいことを言ってから。  それでは「IV 今後の課題」をお願いします。 (「IV 今後の課題」「V おわりに」朗読) ○久道座長 どうもありがとうございます。いかがでしょうか。 ○高見委員 (2)に関してですけれども「職場によっては従業員本人の自由意思が働きにくい可能性 もあることを踏まえ」とあるんですが、従業員の中には例えば仲居さんとかであれば、お客さんがた ばこを吸われているのもわかっているけれども接客の仕事が好きである、そういう仕事をしたいとい う人もいらっしゃいますので、「従業員本人が望むのであれば職場において可能な受動喫煙防止対策に ついて検討していく必要がある」とかそういうふうに変えていただいたらどうでしょうか。「従業員本 人の自由意思が働きにくい可能性もあることを踏まえ」というのは、いかにも健康を害しているんだ けれども、それはなかなか雇われている側としては言えないというようなニュアンスがあるように思 うんですが。 ○見城委員 これは、私の意見が少し反映されているかと思うんですが、それは旅館とかそういうこ とばかりではなくて、ショップの店員さんたち、従業員さんたちが、お茶時間とか限られたときに個 室がそこしかなくて、そこで休むしかないんですね。そこが禁煙でないと否応なしに30分休憩とかに そこに行かなければならない。そこは煙だらけ。でも勤めている以上は言えないわけですよ。だから、 そういった職場環境を受動喫煙防止の方向に持っていかなければならない。だけれども、本人はなか なか自分で煙いとは言えない、苦しいとは言えない、そういう意見を申し上げてこのような形で反映 されたのではないかと思います。 ○高見委員 私の個人的な考え方としては、そういう方もいらっしゃると思うんですけれども、仲居 さんなどに関しましてはそういう害はわかっているんだけれども、それよりもそういう仕事がしたい という方もいらっしゃるので。 ○加治委員 たばこの害がわかっていても喜んで煙の中に入っていきたいとおっしゃるような方は非 常に少ないんじゃないでしょうか。むしろ見城先生がおっしゃったように、つらいけれども何も言え ないで我慢させられている方が圧倒的多数だと思いますので、私はこのままでいいと思います。 ○高見委員 もし、そういう方であれば辞められるんじゃないかなという気がするんですが。それが 嫌だったら、そういう仕事から離れられるような気がするんですけれども。 ○見城委員 これはいろいろな意味を含めて職場環境ということで、例えば、百貨店とかいろいろな ショップというのは店頭ではたばこは吸いません。その緊張感の中でやっと休憩に行くと、その休憩 室でたばこを吸う人がいても、そこで休まざるを得ないと。そういったことでは自分からここを禁煙 にしましょうとは絶対に言えないと言うんですね。そういう職場環境、そういう意味でも「自由意思 が働きにくい可能性」という表現になったんだと思います。 ○高見委員 これだと雇用側としましては、従業員に対してそういうことも言わさないような感じに なるんじゃないかという気がするんですよ。決してそんなことはないので、永山委員、その辺どうで すか。飲食業界としましては。 ○永山委員 とらえ方だと思うんですよ。私は見城先生の発言も記憶にありますので、その意味があっ たので余り違和感は感じなかったんですけれども、やはり読んでみると高見委員のおっしゃるニュア ンスも。私たちが強制しているようなイメージが。 ○見城委員 強制ではなくて、従業員の中でも古株の人が吸っていたら禁煙にしてほしいとはとても 言えないとか単純なことなんです。だから、そういう従業員の関係を察して、それは受動喫煙防止対 策について検討していく必要があるんですと言っているんです。 ○高見委員 よくわかります。それも「本人が望むのであれば」とか、そういうニュアンスを入れて いただければ。 ○望月委員 それはこれから検討していくわけで、誰が検討するのか、各事業者が検討すべしと言っ ているのか、国が検討していくのか、また同様の検討会が今後発生するのかどうかわかりませんけれ ども、残された課題としてそこで浮き彫りにしているので、喜んでやっている人たちはいいんです。 私たちは保護しなければいけない人たち、状況とはどういうことかということを前提に話していたと 思うので、これはそういう場合もあるので「職場において可能な」と。 ○高見委員 というのは、従業員のことに関して、永山委員もおっしゃったんですけれども、ここで 従業員、従業員、従業員というのが3回も出てくるんですよ。それが非常に誇張されているように思 えたので、確かに箇所によっては違うと思うんですけれども、ちょっとそこが気になったんです。 ○見城委員 一連の今のやりとりを通して感じられるのは、格差社会という気がします。ゆとりがあっ て、恒久的な高給取りがいるような、そういうハイソな職場であれば当然、分煙も禁煙もできるのに、 経営難のような零細というようなところか、または企業自体はそうではなくても、従業員の状況が派 遣であったり零細であったりいろいろ格差を受けているところは環境改善ができないということがあっ てはならないから、そういうところもすべて健康に生きる権利があるんだということで書いているん ですよね。 ○高見委員 おっしゃることは私も非常によく理解できるんです。 ○見城委員 だから、さっきもそういう飲食店があるというようなことで許していくと、しわ寄せが 全部弱い、貧しい、格差のある、差別を受けているところにどんどん行ってしまうと。ですから、そ うではないんだということでは、みんなそこで健康に生きる権利があるということではとても重要で、 環境をよくしていくということでは、むしろ企業の方にとってもいいことだと思うのです。 ○高見委員 わかります、非常によくわかるんですが、「自由意思が働きにくい可能性もある」という のは非常に……。 ○内田委員 回りくどいですね。「従業員本人の意思が表明しにくい場合もある」とか。 ○高見委員 その方がやわらかいかもしれないですね。 ○久道座長 では、それをいただいて。  あと2分でここを立ち退かないと次の会議ができなくなるので、ですから、今の皆さんの意見が必 ずしも一致したわけではない部分もありますけれども、大筋では大体まとめられそうだなという感じ がいたします。しかし、宿題としていた望月委員と見城委員の(2)のところだけでも短時間で言って いただいて、そのことで議論すると、恐らくまた時間を超過しますので、案を言っていただく段階で 終わりにして、それ以上のことは座長一任というわけにはいきませんので、事務局と話し合いながら 皆さんとやりとりをした上で最終的な直しを座長一任にさせていただきたいと思いますが、そういう ことでよろしいですか。 (「異議なし」と声あり) ○久道座長 では、そういう前提で望月委員、案を読んでみてください。 ○望月委員 頭出しだけで議論はしませんが、6ページの(3)たばこ価格のところです。ちょっとこ こだけ、たばこ対策でたくさんやらなければいけない中で一番ホットな課題としておっしゃられたと 思いますが、たばこ価格については、例えば、小売り業者への補償まで我々は議論していなかったの で、内田委員の御意見が非常に強かったと思いますが、たばこ価格を上げるということについては勿 論引き続き運動としてやっていかなければいけないものの、むしろ今困っていらっしゃる事業者の方々 への補てんの方が優先順位としてはありかなと思うので、ここは納得がいきません。 ○久道座長 これを削れということですね。「小売業者」云々。 ○望月委員 小売業者の補助保証金等の対策という、こんな具体的なところまでは議論していないん ですが。 ○久道座長 だから、この辺りはたばこ農家の転作支援もそうかな。 ○内田委員 この辺から余り踏み込まない方がいいと思います。 ○久道座長 わかりました。 ○望月委員 先ほどの「はじめに」のところでごちゃごちゃ言ったことは、パラグラフの2と3の間 に「これらの動きを受けて、公的機関や民間事業所においても禁煙区域の拡大が見られている」と。 分煙ではなくて既に禁煙に踏み込んでいるというニュアンスを入れさせていただけたらと。それで「こ うした背景のもと」と。だから、10年前の状況からもう一歩進んだフェーズに日本社会として入って きたということで、もう一度読ませていただきますと「これらの動きを受けて、公的機関や民間事業 所においても禁煙区域の拡大が見られてきた。こうした背景のもと、改めて現状」というふうにつな げていただけると、最初の分煙ありきでなしに、禁煙のところまで踏み込みつつあるということが伝 えられるかなと思いました。 ○生活習慣病対策室専門官 「たばこ対策の一層の推進が求められている」の後に今のを入れるとい うことですね。 ○望月委員 それから、もう一つIIの「1.現況認識」の男女の喫煙率云々のところですけれども、 2行目の「未だに多い」の次に「また、子どもや妊婦のいる若い世代の喫煙率は男性で50%以上、女 性では30%近いことから、曝露の実態はより深刻であると言わざるを得ない」。いかかでしょうか。 ○久道座長 それ以下は全部とるんですね。入れるんですか。 ○望月委員 「近年では」は入れないです。 ○久道座長 「害も報告されている」までとって、今の文章を入れた上で「無力な子ども」の「無力」 をとった「子どもや妊婦などが」こうした云々と入れるんですね。わかりました。事務局大丈夫です ね。  見城委員、どうですか。 ○見城委員 私は(2)に関しては、受動喫煙の害というのは喫煙者と非喫煙者の単純な割合ではない ということを専門家ではなくて一般の国民に情報発信して理解してもらいたいし、伝わるべきだと思 うんです。喫煙者が少なくなればそれで曝露が減っていく問題ではなくて、たった1人でも吸ってい れば、そこの場にいる多くの人が被害を受けると。更に、今の望月先生がおっしゃった妊産婦の喫煙 率が高く……。 ○久道座長 何か表現を言っていただけますか。 ○見城委員 私は、1行目の「21.4%であり、非喫煙者は未成年者を含む全人口の4分の3を超えて いる。しかし、受動喫煙の害は喫煙者と非喫煙者の単純な割合によるものではなく、たった1人でも 喫煙者がいれば、その副流煙・呼出煙による」云々、害を受けるものであると。そういうものである のに、近年ではさっき望月先生がおっしゃった、むしろ妊産婦の喫煙が多く、害は深刻であるという 文章になっていった方がいいと思ったんです。 ○久道座長 では、今の2つの点は少し調整をした上で、またやりとりをいたします。そういうこと でよろしいですか。 (「異議なし」と声あり) ○永山委員 私も宿題をいただいていたんですけれども、30秒でよろしいでしょうか。「2.基本的 考え方」の(3)の一番下の行で「現状では暫定的に」のところを「暫定的に」を残すのであれば「現 状では」を「社会情勢の変化に応じて」というような形にしていただければ、ニュアンス的にわかり やすいかなと思います。 ○久道座長 どうも座長の不手際で大分時間を延長して申し訳ありません。こんなにもめるとは思い ませんでした。これから宿題がありますけれども、この検討会は恐らくこれで解散ですよね。ですか ら、最終文案ができるまで解散しませんので、しばらくお付き合いをいただきたいと思います。どう ぞよろしくお願いします。 ○生活習慣病対策室長 最後まで決めていただきまして、ありがとうございました。これで会として の集まりは終了でございますけれども、今、座長から御説明いただきましたように、若干のメール等 でやりとりをしながら再確認する必要がある部分もございますので、それは責任を持ってやらせてい ただきたいと思います。その上で、本当に6回にわたりまして活発な御議論をいただきまして、あり がとうございました。冒頭に局長が申し上げましたように、この検討会を軸にまた受動喫煙対策を一 歩ずつ前進していくという勇気をいただいた気がいたします。本当にどうもありがとうございました。