09/03/04 第2回院内感染対策サーベイランス運営委員会議事録 第2回院内感染対策サーベイランス運営委員会          日時 平成21年3月4日(水)          13:30〜          場所 厚生労働省仮設第4会議室 ○清医療放射線管理専門官 定刻になりましたので、ただいまから第2回「院内感染対 策サーベイランス運営委員会」を開催いたします。私は、厚生労働省医政局指導課の清 です。構成員の皆様方には、本日はお忙しい中ご出席いただきまして、誠にありがとう ございます。開催にあたりまして、最初に指導課長の三浦からご挨拶申し上げます。 ○三浦指導課長 指導課長の三浦です。院内感染対策について、日頃から大変ご尽力い ただきまして、誠にありがとうございます。ただいま司会からお話しましたとおり、大 変お忙しいところ、特に年度末ですので、先生方たくさんのお仕事を抱えられていると 思います。この会にお出でいただきまして、ありがとうございます。 ご案内のとおり、院内感染については、安全で安心できる医療の提供ということから考 えても、非常に重要な課題で、国民の関心も非常に高いと思います。最近でも、特定機 能病院やこの近くの医療機関でも、院内感染が発生するというようなことがありまして、 院内感染の問題は決して治まっている話ではなくて、むしろその緊急性や重要性は日々 増しているのではないかと思います。今後の取組みについても、医療機関自らがその施 設における感染の発生状況を正確に把握することが重要でしょうし、万が一発生した場 合には速やかに対応し、適切な感染の拡大防止を図ることも重要だと思います。そうい う観点からも、このサーベイランスの適切な実施は、基本ではないかと思っています。 お陰様で、この院内感染対策サーベイランス事業は、国内の医療機関における院内感染 の発生の現況を、国として把握し適切な対策を講じるうえで、大変不可欠な事業と考え ています。事業そのものでは、平成19年7月に行われた大きなシステム変更がありまし て、蓄積されてきたデータもたくさんあります。事業の現況についてご理解いただくと 同事に、事業運営に関わる各種の指針を明確にし、データの有効活用をすると。それを 通じて、院内感染の防止をさらに推進することを、私どもとしては進めてまいりたいと 思っています。本日お出でいただいた先生方には、そのご協力、ご提案をいただきたい と思います。先生方による活発なご議論を通じて、今後の院内感染対策サーベイランス 事業がますます充実していくよう、期待したいと思っています。簡単ではありますが、 開会にあたってのご挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○清医療放射線管理専門官 それでは、各構成員のご紹介をさせていただきます。お名 前を五十音順にご紹介申し上げます。国立感染症研究所細菌第二部長、荒川宜親構成員。 東京医療保健大学医療情報学科科長、大久保憲構成員。国立感染症研究所感染症情報セ ンター長、岡部信彦構成員。東北大学大学院医学系研究科教授、賀来満夫構成員。北里 大学医学部感染症学教授、砂川慶介構成員。また本日説明者として、国立感染症研究所 細菌第二部より、鈴木里和主任研究官と、山根一和主任研究官、筒井敦子研究官にご臨 席いただいています。またオブザーバーとして、国立感染症研究所感染症情報センター より、森兼啓太主任研究官にもご臨席いただいております。 なお、写真撮影などはこれまでとさせていただきますので、ご協力をお願いいたします。 まず、本日の進行に際しまして、当運営委員会の座長は第1回の運営委員会に引き続き、 荒川構成員にお願いしたいと存じますが、いかがでしょうか。                 (異議なし) ○清医療放射線管理専門官 それでは荒川座長、よろしくお願いいたします。 ○荒川座長 荒川です。皆様のご協力によりまして、本日の委員会の円滑な運営に努め てまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。議事に入ります前に、当委 員会の前回の議事録や資料の公開の取扱いについてのルールを確認しておきたいと思い ますので、事務局より説明をお願いします。 ○清医療放射線管理専門官 説明します。運営に関しまして予めお断わり申し上げます が、本委員会については公開で行い、議事録についても事務局でまとめたものを各構成 員にお目通しいただいた後、厚生労働省のホームページで公表することとしたいと思い ますので、この点についてご了解をお願いいたします。 続きまして、資料の確認をさせていただきます。本日ご用意しました資料の構成は、議 事次第に記載のあるとおりです。配布資料として、資料1-1は「参加医療機関数の推移」、 資料1-2は「院内感染対策サーベイランス実施マニュアル」、資料1-3は「データ提出状 況確認票(案)」、資料1-4は「管理者サイトの取り扱いについて(案)」、資料2-1は「JANIS 運営に関連した更新業務の進め方(案)」、資料2-2は「公開情報作成から承認までの流 れについて(案)」。資料2-3はAからDまでありまして、2007年1月から12月のデー タに基づくICU部門とNICU部門の公開情報についてです。資料2-4は「検査部門で血液・ 髄液検体のみのデータを提出している医療機関について(案)」、資料2-5は「検査部門 での特殊な耐性を示す菌への対応について(案)」、資料2-6は「検査部門・主要菌等の 見直しについて(案)」、資料3-1「地方自治体を含めたサーベイランス運営体制につい て(案)」、資料3-2「サーベイランスデータの研究利用に関するマニュアルの改訂につ いて(案)」。以上です。資料の欠落等がありましたら、お申し出ください。 ○荒川座長 よろしいでしょうか、欠落等ありませんね。それでは、議事に入りたいと 思います。本日の議題はこの次第にありますように、大きく3つあります。まず最初に、 議題1の「院内感染対策サーベイランス事業(JANIS)の現況報告」について、事務局か ら説明をお願いします。 ○清医療放射線管理専門官 まず資料1-1についてですが、こちらは「参加医療機関数 の推移」です。2007年の7月にシステムを更新しまして、そのときに募集をかけた段階 での施設機関数。それから2008年1月に追加登録をして、9月にデータの提出状況が悪 いところに一部お引取りをいただいたときの経緯です。また、昨年末に新規の追加募集 を行いまして、このような状況です。現在の全国の参加医療機関数が865医療機関で、 各部門の参加数はこのような状態になっています。ここにはデータとして出していませ んが、大規模施設の参加率がより高いということで、500床以上の規模の病院ですと、 どこかの部門に参加している率が大体50%ぐらいに及んでいます。 続いて資料1-2ですが、こちらは「院内感染対策サーベイランスの実施マニュアル」で す。新システムになって、初版が平成19年7月に出ていたのですが、それを11月に改 訂しました。内容はほとんど変わっていないのですが、主にデータの提出の時期に関し てと、この中の8頁のアンダーラインが引いてある5-2-1「提出頻度・期限」というと ころで、集中治療室部門の「8月末日を期限とし、7月から12月分は翌年2月末日を期 限として」というところで、これはデータの提出の時期を揃えると。複数の部門が参加 している施設に対して、より時期が揃った形にしたほうがいいのではということで、提 出期限の変更を行ったというところが、この変更されたマニュアルです。その他に関し ては、一応委員の方々はご存じかと思いますが、何か問題がないかどうかを確認してい ただいて、またご意見を伺えればと思います。 資料1-3は「厚生労働省院内感染対策サーベイランスデータ提出状況確認票(案)」です。 これは、運営マニュアルの中で参加している医療機関に対して、その医療機関がどのよ うな状況でデータ提出ができているかという、いわゆる成績表のような形で、定期的に 参加医療機関に対して案内をするという記載があったのですが、実際は従来まだ行われ ていなくて、こういうフォーマットで行うということです。それぞれ部門ごとで、検査 部門と全入院患者部門については、毎月の提出がありますので、それぞれの月について 提出が適切に出ていたかどうか。それから手術SSI部門のサーベイランスやICU部門の サーベイランス、それからNICU部門についても、それぞれデータの提出状況を参加施設 の方々にわかっていただくという通知を行うものです。 資料1-4は「管理者用サイトの取り扱いについて(案)」です。事務局及びシステム委託 会社に、管理者サイトで閲覧権限がオリジナルのデータに与えられているものが、どの ようなものが見えるのかを表したものです。現在、実際にこのような形で閲覧可能にな っています。例えば参加医療機関一覧や医療機関基本情報、部門別責任者の情報が当然 のように見られますし、提出状況に関しても病院別、部門別、提出状況内訳、エラーの 回数や提出が行われた日、集計表であったり、要するにデータの管理上当然見られなけ ればならないものが全部見えるということです。 ただし、この管理者権限に関してはかなり厳しく制限していまして、当然サイトアドレ スは非公開ですし、パスワード認証でログインして、閲覧権限は必要最小限に絞ってい るという規定を設けています。そして、その管理者サイトの閲覧権限を持つユーザーの リストは、事業の事務局が管理して、新たに閲覧権限を追加する際は、厚生労働省指導 課に連絡をして承認を受けるという流れになっています。受託社に関しては、ユーザー 管理をきちんと行って、年に4回3ヶ月ごとに管理者サイトのアクセスログを事務局に 提出して、不正なアクセスの有無を確認する。それから、セキュリティを確保するため に、不特定多数が使用する可能性のある端末からはアクセスしないというような形です。 現在は受託会社の担当者の3人と、JANISの事務局の中の限られたスタッフ及び荒川構 成員の合計8人ぐらいに絞って、管理者の権限を管理しています。議題1については、 以上です。 ○荒川座長 ありがとうございました。ただいまの説明に関して、何かご質問、コメン ト等ありますでしょうか。資料1-1は、現状の参加状況の表です。いちばん下が現状で す。資料1-2はマニュアル、資料1-3は参加施設に関する確認票、資料1-4は管理者サ イトの資料です。まず、この資料1-1の参加状況に関するご質問等ありますでしょうか。 ○大久保委員 このJANISそのものの最初の考え方はよくわかりませんが、参加施設を どんどん増やすというのは、ベンチマーク等を作っていくうえで1つの方法だと思いま す。ただ、あまり広げてしまうと質が落ちてしまうような場合もあるとは思うのです。 いわゆるあまりきちんとやれていないところも、データを出してくるということです。 例えば、アメリカのNNISにおきましては、たしか315病院のみで長期間続けています。 どのように病院を選んだかは知りませんが、そういう形で質を高めてきたと思います。 その辺りは、ディスカッションをされてきたのでしょうか。 ○荒川座長 それについては、私から説明しましょうか。これについては、一応200床 以上の病院を対象にしたサーベイランス、これは任意の参加によるサーベイランスとい うことです。データの信頼性といいますか、サーベイランスの精度の問題については、 これは研究班の中でも論議されてきました。現在、信頼性を高めるために行っているこ とは、当然データの提出状況があまり熱心でないところについては、脱退勧告のような ものをするということです。それから、極端なデータを出してきている施設に対しては、 研究班ベースで実際に問い合わせたり、実際に見に行ったりもしています。実際に見に 行くまでもないものについては、精度管理という観点で、例えばバンコマイシンに耐性 のStaphylococcus aureusが報告されてくるような場合については、事務局から随時問 い合わせをかけて確認をして、データの精度を管理しています。 ただ、参加施設が非常に多いので作業はかなり大変になるのですが、全般的に言います と、それぞれの病院で比較的誠実な対応をして、皆さんお忙しい中で頑張って協力して いただいているというような印象はもっています。 ○大久保委員 例えば、感染しているかどうかの判定もカルテだけ見て出す場合と、検 査室のデータを基にしてラウンドして判定する場合と、かなり違ってくると思うのです が。 ○荒川座長 この感染症に関するサーベイランスは、全入院患者部門や手術部位感染部 門、集中治療部門が主に感染症の診断がどうしても大事になってきます。これについて は、例えば全入院患者部門については、主治医や担当の先生ではなく、その感染症の診 断をする第三者の方を決めていただいて診断をしていただく。あるいは診断をするため のある程度の目安といいますか、判断の基準は、例えば全入院や集中治療部門、当然手 術部位感染症部門ではありますし、そういう基準をある程度明らかにしたうえで診断を していただくことになっていますので、できるだけバイアスのかからないデータを報告 していただくことになっています。ただ、これはどうしても人間がやることですので、 100パーセントはなかなか期待するのは難しいと思いますが、できるだけ信頼度を上げ るために、先ほどのような問い合わせや実際に訪問して確認するような作業は、研究班 別あるいは事務局の精度管理のほうで、随事やらせていただいているのが現状です。 ○大久保委員 そうすると、当面は参加施設をどんどん募っていくということでしょう か。 ○荒川座長 そうですね。たぶん、もうこれ以上2倍、3倍になるということは、現状 的には我々も正直期待していませんので、800から900ぐらいですね。実際の部門でい うと、1,500ぐらいのところがマックスかなという気はします。中には、データを提出 していただけない施設がありますので、そういう施設については脱退をしていただいて、 意欲のあるところに替わっていただくことになるのではないかと思います。事務局から 何か補足はありますか。 ○賀来委員 いまの大久保委員の質問に関連するのですが、例えば今回送っていただい た資料の中で、人工呼吸器の院内肺炎といいますか関連肺炎で、MRSAがやはり原因菌と して多いのですが、当然耐性菌頻度が高いので、当然MRSAが原因菌になる確率は高いと 思います。なかなか肺炎の原因を特定するときに、MRSA等をしていいかというのは非常 に難しく、研究班の中でもいろいろ議論があるかと思います。その辺りを、是非再度参 加してくださっている施設に対して、診断基準を徹底していただいて。MRSAが多過ぎる ということではないのですが、的確に判断できているかというのは、なかなか肺炎でど のように気管内採痰をするのかなど、いろいろなことを考えていかないといけないので、 是非その辺りの研究班ならびにそういったところで、各施設に診断基準の決定のような ものを再度お願いできればと思います。 ○荒川座長 資料2は、このあとのところでもご審議いただくことになると思いますの で、先生のご指摘はそのとおりです。非常に大事な点ですので、後ほどまた詳しく審議 していただければと思います。ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。それでは 次に、資料1-2のマニュアルについては、先ほど厚労省の事務局から説明いただいたと ころは、少し前のもので変わったということですが、全体について何かご質問やコメン トはありますでしょうか。 ○大久保委員 細いことになりますが、7/11頁の中ほどの4-5の新生児集中治療室部門 ですが、後半でディスカッションがあると思いますが、出生時体重群を前回の会のとき に、NHSNの分類に合わせたらどうかということだったのですが、これはそのままですか。 ○清医療放射線管理専門官 これに関しては、それ以前の研究班の検討で、確かに米国 とはずれているのですが、国内の事情ではこれぐらいが妥当というか、そんなに大きな 問題はないのではないかという研究班の考え方に基づいて、いまこれにしているという 結論だったと思います。 ○大久保委員 そういうことをお聞きしましたが、例えば比較ができないのではないで しょうか。 ○清医療放射線管理専門官 まあ、そうですね。 ○大久保委員 ここにデータがありますが、NHSNは750までと、751〜1,000、1,001〜 1,500、1,501〜2,500、それから2,5001以上という分類で、ずっとデータをこれからも 出してくると思います。 ○荒川座長 一応、これは事業で3つに大きく分けて進めるということと、もう1つは NICUUのサーベイランスの研究班でそのような対外比較などをできるようなスタディー も、可能であれば組んでいただきたいと考えています。あくまでも、多くの病院を対象 としたサーベイランスということになりますと、できるだけ担当の方に負担をかけない ようにしていくのも1つの重要な点ですので、そういう配慮でこの3つのクライテリア に分かれて進めることになりました。 ○大久保委員 これは入力するときに、もうこの分類になっているのですか。それとも、 体重別に報告してくるのですか。 ○荒川座長 NICUUについては、入力支援ソフトではなくて、年間のチャートを皆さん に付けていただいて、それに基づいて画面から患者の数などを入力していただくので、 個票にはなっていません。ですから、病院でサーベイランスシートを別途作っていただ いて、それを用いてのデータの提出というスタイルになっています。事務局で何か補足 はありますか。具体的には、例えば1,000g未満の新生児でMRSAの感染症の方が何人い たとか、敗血症の方が何人いたというような形で、マトリックスの枠があります。そこ に人数を入れていただくというのが、私のデータの提出のスタイルになります。個票で の入力支援ソフトは、このNICU部門サーベイランスにはありません。 ○大久保委員 またあとで伺います。一応、いまのは意見です。 ○荒川座長 ほかはいかがでしょうか。いろいろと細かいことまで盛り込まれています が、よろしいですか。それでは、次に資料1-3です。これは、参加していただいた施設 に対して、年に1度ぐらい施設の責任者に対して、お宅の病院からはこのような形でデ ータを提出いただきましたということで、お礼を兼ねまして報告をさせていただく資料 です。特にサーベイランスに参加していることを、客観的に何か示せるような資料がな いかという施設もありますので、こういうものをもって代えさせていただければと考え ています。これについては、いかがでしょうか。それでは(案)となっていますが、こ の形式で今後定期的にお返しするということで進めさせていただきたいと思いますので、 よろしくお願いいたします。 次に、資料1-4の管理者用のサイトについてのコメント、質疑をお願いします。この管 理者用サイトの目的は、先ほども清先生から説明がありましたように、全体の事業の進 捗管理のために、各病院からのデータの提出状況を事務局側あるいは厚生労働省のほう で確認できるようにという目的のサイトです。第三者から侵入されないように、セキュ リティの面も十分に確保したうえでのサイトになっていますので、これを通じて、一般 に個々の病院の情報が流れるということは、現時点ではないと考えています。それから、 アクセスできる権限を持った人も限りまして、いつ誰がアクセスしたかという記録も残 しますので、もしハッカーのような者が侵入してきて、何回もアクセスを試みたりする 場合も検出できます。そういう場合は、必要な対応をするという手続きで考えています。 そうしますと、これは先ほど清先生からご指摘がありましたように、厚生労働省の担当 の方と感染研の実務担当者及び森兼先生、それから受託会社の2名ないし3名。名前は ここにはありませんがその範囲に限らせていただいて、管理者用のサイトを運用してい くことについて、ご了解いただいたということにしたいと思いますが、それでよろしい でしょうか。                  (異議なし) ○荒川座長 そうしますと、資料1-1から1-3については一応ご確認いただいてご了解 いただいたということで、処理させていただきます。もし何かご不明な点がありました ら、またいつでも戻ってご審議いただければと思います。よろしくお願いいたします。 それでは、議題2「運営に関する方針」です。これについても、まず最初に皆さんに十 分に内容を理解していただく必要がありますので、事務局より説明をお願いします。 ○事務局(鈴木) 「JANISの運営に関連した更新業務の進め方」について説明させて いただきます。資料2-1をご覧ください。いままでの経緯を整理したものです。まず「総 則」として、サーベイランス、いろいろなシステムとか基準など変更に関する提案は、 データを管理している受託社が実務的な面であるとか、事務局のほうから実務的な問題 があるので変更したほうがよいという意見であったり、研究班や運営委員会の先生方か ら専門的な見地から変更したほうがいい、もしくは厚生労働省より保健行政の面から変 更したほうがいいだろうというようなご意見がありましたら、それを事務局のほうが提 出して作業調整を行うようにしたいと思います。実際にデータ管理受託社にこれを変更 してくださいというものは別途費用が発生する可能性もありますので、必ず事務局を通 していただくようにお願いいたします。 「各論」に移ります。変更の内容のインパクトの大きさによって手続きを変えたいと思 います。1つ目は、まずホームページの定常的な更新作業とか、誤植、デザインの変更 など、これに関しては事務局のほうで事務的に進めさせていただきたいと思います。 2番目は、還元情報・公開情報・マニュアルなどやデータフォーマット、コード表、サ ーベイランスシート、判定基準の小規模な変更です。小規模な変更の定義としては、運 用上特に問題とならず、参加医療機関も周知徹底する必要が特にないような用語の変更 とか、そういうことに関しては事務局で最終案を作成のうえ、メーリングリストで研究 班の先生、特に担当部門の先生に確認し、意見がない場合に改訂させていただきます。 研究班の先生より意見が寄せられた場合には、その意見を加えた案を再度配信すること にします。例としては、データフォーマット項目名の変更とか、コード表体裁の変更、 そういった事務的な変更に関しては、この手順で進めたいと思います。 3つ目の還元情報・公開情報等、ある程度変更内容について参加医療機関等に周知徹底 する必要性のあるものについては、変更内容の必要性・妥当性について研究班、特に担 当部門の研究班の先生と協議したうえ、研究班の合意に基づいて事務局が案を作成し、 研究班の先生方が確認した最終案をメーリングリストで他部門の先生方にも確認を取ら せていただきたいと思います。この部分が、前項2番と異なる点で、2番は担当部門の 先生方の承認のみで変更いたしますが、もう少し大きい変更に関しては研究班の他部門 の先生の、第三者のご意見もいただいたうえで変更を確認することとしたいと思います。 4つ目、最後ですがサーベイランスの対象とか収集項目の変更というかなり大きな改訂 に関しては、変更内容等をまずは研究班の意見としてまとめ、続いてこの運営委員会で ご議論いただき、さらに研究班、運営委員会の先生方のご意見と研究班、厚生労働省と の意見調整を行ったうえ最終案を作り運営委員会の了承を得たうえで変更にしたいと思 います。実際に細かなところになりましたら、3番の実務作業に準じた変更を行いたい と思います。以上です。 ○荒川座長 これは2-6まで続けていきますか、それとも1つずつでいきますか。 ○清医療放射線管理専門官 量が多いので1つずつで。 ○荒川座長 いまの資料2-1の更新業務の進め方ということで、サーベイランス事務局 から提案がありましたが、こういった内容で必要な変更を行っていくということでいか がですか。何かご質問、コメント、ご提案等ございますか。 ○清医療放射線管理専門官 ちょっと気になったのが、メーリングリストは非常に便利 なのですが、大雑把な話だったらいいのですが、いろいろ微妙な話になったときに、平 文でメーリングリストに流してしまうとどうかなというような、そういう内容が含まれ る危険性はないですか。要するに、何も暗号化がされてないような、パスワードがかか ってないようなファイルで流してしまっていいような質問の内容に留めるという、そう いうことでいいですか。 ○事務局(鈴木) そうですね、基本的に多少内容を注意しなくてはいけないようなフ ァイルを添付するときには、例えばパスワードロックをかけて、パスワードは別途電話 等で連絡するとかいたします。基本的にメーリングリストということはある程度オープ ンになってしまうものと考えていますので、その辺の配慮はしたいと思います。 ○荒川座長 JANISの関係者用メーリングリストのアドレスというものがあり、これは 変わったりすることはありますが、そういう中で登録されている人は限られていますの で、そこに流す情報はある程度、個別の病院の名前というのはあまり流れません。一応 概略的な、どういう問題が話題になっているとか、そういうことは流れます。ただ、そ れ以上やはり個別の情報、病院の詳しい情報とかそういうものについては、やはり必要 なセキュリティを確保する形で、一応情報は扱かっているのが現状です。 ○事務局(鈴木) 先ほど申し忘れましたが、そのメーリングリストは現在も janis_query、参加医療機関からお問い合わせがあった場合の回答をすべてC.C.という 形で、そのメーリングリストに流していますので、そういった意味では多少病院名とか 担当者の氏名などがメーリングリストに載ることはあります。 ○荒川座長 いま数は何人ぐらいでしたか。 ○事務局(鈴木) 基本的には研究班と厚生労働省、あとはデータ管理委託会社の方が なっています。メーリングリストの管理自体は、私が行っています。 ○荒川座長 ほかはいかがですか。マイナーな変更から、かなりサーベイランスの全体 の大きな構造にかかるようないろいろな変更までございますが、一応軽微なものからそ れぞれのレベルに応じて3段階ですが、こういう形で手続きを行ったうえでの必要な更 新業務を行う。基本はこういう形で進めさせていただくということで、もし何か問題が あれば、その都度またご提案させていただいて修正していくということで、お願いいた します。それでは資料2-2をお願いします。 ○清医療放射線管理専門官 資料2-2は「公開情報作成から承認までの流れについて (案)」ということで、こういう多くの参加医療機関からいただいたデータを解析して、 一般に向けて公開するという、そういうものについてどういうフローで流すかというこ とです。一応この表で、左側が年報、右側が季報という区別になっております。年報に なりますとオフィシャルデータとして文献に引用されたり、かなり公共のデータとして 使われる可能性があるので、より確認を増やしているというのが大まかな流れです。 年報を作る場合においては、取りあえず事務局からデータの提出の督促も行いますし、 それから逸脱データに対してはメール、電話等で問い合わせを行ったことを踏まえてか ら、受託社に対して公開情報の作成を依頼する。事務局で内容を確認して、情報公開担 当者に送付し、そして担当者から各部門の研究班に公開情報の内容確認をお願いする。 その研究班が公開情報の概要を作成し、またさらに修正が必要だった場合は、情報公開 担当者からデータ管理の受託社に依頼する。その最終確認のあとに、事務局から概要付 きの公開情報を厚生労働省に提出して、またその指導課から、この度もそのデータがあ りますが、運営委員会の開催の前に、年報に関しては予めメールで流しておく。 研究班等に対してその修正であったりとか確認が必要な場合は、研究班から情報公開担 当者に作業の具体的な指示を行って、情報公開担当者よりデータ管理受託社に作業を依 頼する。医療機関への問い合わせが個別に必要な場合は、事務局が行う。運営委員会の 中でデータについて説明をして、そのデータに疑義が生じた場合は、修正・確認が終了 したあとにメールなどで再び運営委員の承認を得てから、厚生労働省のほうでそれを情 報公開するという指示を与えて、最終的な公開に至るということになります。 季報に関しては、データの督促の辺りは省いて、そして中間の辺りの流れは一緒です。 運営委員会よりしっかりとした確認が求められる年報に関しては、予め運営委員会の前 に流すというやり方をしますが、季報に関しては3ヶ月に1回とかいう高頻度になりま すので、必ずしもそれに合わせて運営委員会を開催できないこともありますので、運営 委員会での承認は得ずにメールだけの確認で流すというような形でいくという案です。 ○荒川座長 この公開情報の作成から公開までの流れですが、季報の中には月報も同じ ルールではやらないと。月報については別の、検査部門とかについては。 ○事務局(鈴木) 公開情報は月報はございません。月報は参加医療機関のみへの返還 となりますので。 ○荒川座長 今度変わったのですね。季報と年報については公開する、こういう手続き で行うということですね。こういう流れでよろしいですか。この下から4つ目の長い四 角の、その中に「事務局」とあります。これは、このJANISの事務局ということで、厚 生省の事務ではないということでよろしいですね。 ○事務局(鈴木) はい、そうです。 ○荒川座長 このステップに則って、公開情報を確認のうえ公開するということで、特 に問題はないのでしたら、こういう形で取りあえず進めさせていただきます。次に資料 2-3AからCについて、説明をお願いいたします。 ○清医療放射線管理専門官 すみません、2-3Aに関しては、本日オブザーバーにもなり ますが、直接資料に最終的に目を通して確認していただいた森兼先生にお願いしたいと 思いますので、よろしくお願いいたします。 ○森兼主任研究官(オブザーバー) では森兼のほうから説明させていただきます。そ の前に、資料2-2において「情報公開担当者」と示されていますが、いまのところは私 が担当させていただいているという状況です。まず、それをお知らせしたいと思います。 それに基づいて、私がこの一般公開の情報に関しましてはいろいろな形で担当させてい ただいております。いままでも中央会議、それから運営委員会などで公開情報審議とい いますか、最終的な承認をいただくという形になってきたかと思うのですが、今回ご承 認をいただきたいのが、今日提示しております資料2-3A、B、C、Dと4つあります。 AがICU部門の2007年1月から3月です。6枚ほどおめくりいただくと資料2-3Bが出て きます。Bが同じくICU部門の2007年4月から6月です。同じ部門で同じ機関で、時期 だけが違う。また6枚ほどおめくりいただくと、今度はNICU部門の2007年上半期が出 てきます。NICUに関しては半年に1回の集計というのが旧システムです。システム改変 の前に行われていましたので、それが資料2-3Cです。ここまでが旧システムです。つま り2007年6月までのJANIS旧システムによる還元情報です。 ちなみに、その他の検査部門、それから全入院部門、SSI部門に関しては、もう既にす べて2007年6月までの審議を終わっており、ホームページで一般公開もされています。 今日の資料2-3A、B、Cをご審議いただいて承認が得られれば、これで旧システムに関し ては一応一区切りという形になります。資料2-3Dが新システムによる初めての還元情報、 31頁になります。NICU部門の2007年下半期というものになります。 また戻りまして資料2-3A、ICU部門の2007年1月から3月、これが1,349名の患者さん、 10施設から寄せられたデータです。感染率は肺炎が5.6、BSIが2.1、UTIが0.9という 値です。NNISよりは若干低めということで、これはいままでと変わっておりません。そ の他いろいろな細かい、これは旧システムですのでかなり細かいデータ、特にAPACHE スコアに関連するようなパラメータもいっぱい取っておりましたので、そうしたことを 使ったかなり細かい解析が旧システムのままで行われています。 データのその信頼性とかそうしたことに関しては、解析の段階で単純なミスがないかど うか、一応複数の目で確めましたが、もしかしたら先生方あとでご覧になって、あれと 思われるかもしれないのが11頁です。資料2-3Aの11頁を見ていただくと「年齢別感染 率」で、10歳代と20歳代は1名も感染者がいないのです。これはちょっと間違いでは ないかと思いまして、受託会社のほうに確認しましたところ、10歳代と20歳代の患者 さんが合計で70名ぐらいいるのですが、1人も感染していないと。本当かなと思うので すが、データはそうだということですので、そこでこの10から29歳は空白になってい ます。 同様のことは資料2-3Bにも当てはまり、23頁を見ていただくと、こちらも同じように、 今度は0から9歳、10から19歳で感染が0になっています。ここも、0歳代、10歳代、 合計でやはり70名ぐらい患者さんはいるのですが、1人も感染がないということですの で、集計のミスではありません。旧システムによるICU部門の2007年第1期、1月から 3月、それから第2期4月から6月、この2つに関しては資料2-3AとBとなります。 続いて25頁から資料2-3Cになります。こちらNICU部門の2007年1月から6月、旧シ ステムでの最後のものです。こちらに関しては諸事情がありまして 参加施設が少ない。 具体的には1施設となっています。対象となった患者数は23名、非常に少ないのですが、 一応国のサーベイランスとしては定形的な解析をして一般公開するとなりまして、その 解析はしています。感染者数は1名です。2,500g以上の赤ちゃんが肺炎になったと、そ の1名だけです。それがすべての陽性、1、1と書いてあるのはそれです。それで集計を 行っています。ここまでが旧システムによるものですので、1回ここで切らせていただ きます。 ○清医療放射線管理専門官 いままでのところで、旧システムのデータというところで 1回ご意見を。 ○荒川座長 最後の2枚は新システムになってからですね。 ○森兼主任研究官 そうです。 ○荒川座長 その前の資料は旧システムと。 ○森兼主任研究官 30頁までが旧システムに入ります。 ○賀来委員 東北大の賀来ですが、なかなか解析はそこまで難しいのかもしれないので すが、例えばアメリカのNNISに比べて、尿路感染がICU部門、1月から3月、あるいは 4月から6月も。アメリカのNNISは3.9、日本が0.3と低く出ているのが1点です。あ とはCVカテ感染もやはり低く出ている。これはなかなか解析が難しいのですが、例えば 尿路感染の診断基準みたいなものがなかなかうまく浸透できていないのか。あるいはも う1つはCVカテ感染が低いのは、例えば血液培養の、いわゆる検査率が日本と欧米と違 うのか。その辺りで何か、先生のところでの解析は難しいかもしれないのですが、何か 議論がありましたか。 ○森兼主任研究官 研究班レベルでいろいろと議論が、研究班会議でいろいろ議論され ています。先生がおっしゃったようなことは、やはり話としては出てきております。 ○賀来委員 それを検証するのは難しいですね。 ○森兼主任研究官 大変なところはありますね。 ○賀来委員 ずっとこれを見ていますと、8部門2000年ですか、2001年ですか。それか ら7年間ぐらい見ていますが、だんだん感染率が下がっているのですね。それは本当に 感染対策が良くなっているのか、あるいはサーベイランスの精度といいますか、検査の 感度が落ちてきているのか。そのどちらかなのかは何とも言えないのですが。特に肺炎 も、最初10ぐらいだったと思いますが、それが3.9というのですから、そんなに急速に 良くなると思えないので、やはりその感度が若干落ちてきているというのはあるかと思 います。 ○大久保委員 1頁目もそうですし、それからその次の13頁も同じですが、3つ目の○ の説明文の中で、右のほうで(2)の血管留置カテーテル装着患者の血流感染の発生率は高 いとあるのですが、表を見るとCVカテとなっているのです。これ末梢は入っているのか 入っていないのか、文章のほうは両方入るような文章になっているのですが。 ○森兼主任研究官 末梢は入ってないですね。 ○大久保委員 では、この説明のほうに、中心静脈内という言葉を入れておいたほうが いいですね、細かいことですが。 ○森兼主任研究官 中心静脈内、そうですね。前からずっとこれできていたのですが。 ○大久保委員 これはディバイスに関係したということですね。表の中の肺炎も、VAP のことですね、これは。 ○森兼主任研究官 これを修正しましょうか。 ○清医療放射線管理専門官 そうですね、明示していただいたほうが、後々わかりやす し、公的な記録になりますから、旧部分とはいえ。すみませんが、文字だけの問題です が、お願いします。 ○荒川座長 この文案は研究班だけで作ってもらったのです。だから、研究班のほうに もう1回戻して、正確を期するようにしたいとおもいます。 ○森兼主任研究官 旧システムに関しては、もうこの数年間に流れてきた同じフォーマ ットを使って、この数字だけを受託会社のほうで出してもらって、それでただ機械的に 改めています。 ○荒川座長 では文言の修正をこちらのほうで行って、適切な表現に変えるということ でよろしいですね。 ○森兼主任研究官 それで十分だと思いますので、よろしくお願いします。 ○荒川座長 ほかはいかがですか。 ○岡部委員 感染研の岡部です。NICU部門の、これフォローしてないのでよくわからな かったのですが、参加施設が1、2007年のだからそうだったと思うのですが。これは研 究班が動いていて、そのデータがこの中に今後は入ってくるということですか。 ○荒川座長 いや、研究班のデータではなくて、あくまでもサーベイランス事業として データを出していただいたのが、この最後の、旧システムの最後は1施設だったと。要 するにNICUの皆さんお忙しくて、前の旧システムのような形でのデータの提出はもう皆 さん大変だからと参加施設が減少しました。 ○岡部委員 これは新しくなると、どのくらいの見込みになるのですか。 ○荒川座長 これは資料2-3Dの裏のほうに、これたしか10施設ぐらいでしたか。 ○森兼主任研究官 45施設。 ○荒川座長 登録はそうですね。登録されていて、データを実際出していただいたのは。 ○森兼主任研究官 44です。 ○荒川座長 44ありましたか。ですから、この旧システムの最後のときは、そういう入 力の手間とか、いろいろ皆さん病院のほうのご都合で、1施設が出されたということで す。そういうこともあって、このシステムを大きく変えましょうということで改善を行 ないました。 ○岡部委員 見込みとしてはNICUのほうも、もっと数としては増える可能性が高いと。 ○荒川座長 いま日本のNICUがどのくらいあるか、私も詳しくは知らないのですが、ナ ショナルデータとして、ある程度代表性を持たせる程度のNがあってもいいかなという 気がします。いま、手を挙げてきているのがこの表で見ますと。 ○岡部委員 この表ではずいぶん。 ○荒川座長 実際データを出せるところは、皆さんご多忙な日常業務の中で頑頑張って いるところですので、今年2月の段階で参加の意思を示しているのは112ということで、 実際はその4割ぐらいのところから提出があるということですね。 ○岡部委員 データの追加提出はもうせずに、これで固めるということですか。 ○事務局(鈴木) はい、2007年の下半期はこれで固めています。 ○荒川座長 データの追加はもう求めないということですね。ほかはいかがでしょうか。 ○大久保委員 先ほどと同じ頁、あるいは13頁でいいのですが、4つ目の○、これも文 章の問題です。「集中治療室に入室の患者の」という文章、右のほうに「その内訳は、人 工呼吸器関連肺炎(2.2%)」とあります。これは「人工呼吸器」を取るべきではないで しょうか。例えば、感染率の出し方は入院患者数分の感染者数ですから、一般の肺炎が 入っているのではないかと思います。 ○荒川座長 これはそうではなく。 ○大久保委員 ディバイスで計算するなら、VAPだとこの文章でいいかなと思います。 このデータの取り方がわからないのですが。入院患者数分の感染患者数ですから、誤嚥 性肺炎なども入っている数字ではないでしょうか。 ○荒川座長 ICUではVAPだけを取っていなかったかな、たしか。 ○大久保委員 そうするとこの式が、ディバイスでなくても、入院患者数分の感染患者 数ではなくて。 ○荒川座長 入室患者数を分母にしてVAPを起こした患者さんの率を計算しました。 ○大久保委員 VAPではなく、ベンチレータを装着した方という意味です。 ○荒川座長 ベンチレーターを装着した分の感染率、肺炎を起こした人の率も出す必要 がありますか。 ○大久保委員 おそらく、この2.2という数字は一般肺炎、人工呼吸器に限っていない と思われます。 ○荒川座長 わかりました、そこについては再度確認をして必要な訂正をすることにし ます。 ○大久保委員 入室患者分の感染者ですから。 ○事務局(鈴木) ICUに入室した患者のうちで人工呼吸器関連肺炎を発症した患者数 という意味です。 ○大久保委員 では、分母のほうは人工呼吸器を装着していない人も入っているわけで すね。 ○事務局(鈴木) はい。 ○大久保委員 普通はディバイスでいいのですが、それは今からできないから。 ○森兼主任研究官 ディバイスは上にあります。その上、5.6とか3.9とかがディバイ スの例です。 ○大久保委員 解説のところに、人工呼吸器関連という言葉は入っていいのですか。 ○森兼主任研究官 入れるべきだと思います、それは。入れないと誤嚥性肺炎なども入 っていると解釈されます。実際には分子はVAPだけですので、入れるべきだと思います。 ○大久保委員 肺炎2.2というのはVAPのことでしょうか。 ○森兼主任研究官 そうです。 ○荒川座長 そこは大事なところですので、再度、もう1回確認したうえで適切な表現 にすることにしましょう。どうもありがとうございました。大久保先生のご指摘、非常 に大事なご指摘でしたので確認いたします。ほかはいかがでしょうか。ここですべてチ ェックというのもなかなか難しいですが、もしお気付きのことがありましたら、一両日 中というか、今週いっぱいぐらいでご指摘いただければ確認をさせていただきます。よ ろしくお願いします。ざっと見ていただいて、何かお気付きの点はありますでしょうか。 よろしいでしょうか。 旧システムは最終的には参加施設、特にNICU、ICUもそうですが、サーベイランス自体 に負荷のかかる形のサーベイランスですので、どうしても参加施設が伸び悩む、あるい は減少するという傾向があります。それを改善するために2007年の7月以降、大きく変 えたということです。その点では確かにデータの、例えば先ほどのペイシェント・デイ ズにするとか、ディバイス・デイズにするとかいうようなことで、いろいろまだ改善の 余地があります。引き続きこういう形で進めながら、また次回の事業の見直しのときに 織り込んでいきたいと思います。 ○岡部委員 NICUの先ほどの数のところなのですが、かつてはもうちょっとあったもの がガクッと落ち込んだのです、このときだけ。これ、また、後半期のほうに44に増えて きているというのは、このやり方自体はもうNICUのほうは受入れOKという措置はでき ているのですか。 ○荒川座長 そうですね。その前は、入力支援ソフトに個票みたいな形で入力していた だくような形式でしたので、担当者の方の負担が非常に大きかった。それを避けるため に、チェックシートを付けていただいたものを、年に2回まとめて、数値のほうだけを 入力していただく形に変えましたので、現場の人の負担はかなり減ったと理解していま す。そういう影響もあって、いま44施設でデータを出していただけたということです。 たぶんこのあとの半期については、これからデータが出てくるのではないか。もし、未 提出のものがあれば依頼をして、集計に反映をしていくという形になると思います。手 を挙げていただいた施設の中で、できるだけ多くの施設が出していただけるように事務 局からお願いしていくことになると思います。 ○岡部委員 非常にバランスが難しいところだと思います。たくさん情報がほしい部分 だけれども、どんどん現場が圧迫されるということだと出てこなくなる。さりとて、あ まり少ない情報だと役に立たないということがある。そのバランスを考えながらやって いかなくてはいけないと思います。 ○荒川座長 見本としてOKということであれば。 ○大久保委員 NICUも検討していますか。 ○荒川座長 はい、NICUは。 ○大久保委員 ではちょっとよろしいですか、32頁です。 ○森兼主任研究官 ここはまだです。 ○森兼主任研究官 いまはまだ30頁までです。 ○大久保委員 失礼しました。 ○荒川座長 それでは森兼先生、2-3Dの説明をお願いします。 ○森兼主任研究官 2007年7月から新システムになって、集めるデータ、参加施設も大 幅に変わりました。別のシステムと言ってもいいぐらいになりました。新システムの一 般公開も順次進めています。今日ご用意できたのは、結果的にNICUの2007年度下半期 だけでした。それぞれの部門で研究班の先生方あるいは委託会社、事務局の先生方とい ろいろやり取りしながら準備を進めてきています。 公開情報の内容もずいぶん違いまして、ここに出しているNICUは比較的内容が少ないと いうか、割とシンプルですので話もとんとんと進み、今日皆さんにご提示できる運びに なりました。ただ、例えば検査部門に関しては10数枚、かなり細かいデータを一般公開 することを考えています。昨年から1年以上、いろいろなやり取りを研究班の先生方と やっておりまして、まだそれが続いている状況ですので今日お示しできておりません。 申し訳ありません。 1つ手前まで来ているものもあるのですが、今日ここでお示しできるのがNICUの2007 年下半期です。NICUは基本的に一般公開は年報だけ、12ヶ月分の集計データを一般公開 する。ただ、最初の2007年だけは7月から新システムが始まりましたから、6ヶ月分が 結局年報に相当しています。ですから、下半期なのですが、位置づけ的には年報という 形になります。ですので、これで最終確定という形になる年報です。 内容としては先ほどからご指摘いただいているとおり、施設は44と大幅に増えています。 患者数は31頁を見ていただきますと5,678名になります。感染症発症数が346名、6.1% ということです。内訳的には出生体重が低いほど感染率は高かった。あとは菌種別の感 染症発症患児数、感染症の種類もサーベイランスを取っています。種類別の患児数とい ったものもそのあと、32頁から34頁で提示しています。 NICU部門は以前、旧システムがデータ入力が非常に大変だった。新システムではできる だけシンプルな、身軽な形にしようということで、逆にこのぐらいの解析しかできない ということになります。これを一般公開する形になります。あとは以前のNICU、先ほど 見ていただいた2-3Cの資料だと、説明が全くなかったのですが、今回北島先生にお願い して解説を少し付けていただきました。低出生体重児に感染率が高いとか、コメントや 解説を少し付けていただいたのが以前との1つの違いということになります。私からは 以上です。 ○荒川座長 それでは、ただいまのご説明に関してご質問、ご意見がありましたらお願 いします。 ○大久保委員 森兼先生が言っておられたのですが、内容が身軽過ぎるような気がしま す。身軽というか、シンプルというか。この表で見ると、すなわち入室した患児数が分 母にきて、そのうち何人感染したかということで、施設によって、もちろん治療法も違 うのですが、在室日数が相当違うと思います。極端なことを言うと、1ヶ月入っている 患児と2、3日の患児、それを1人で分母として比較していいかどうかということがあり ます。 本来は参加施設を増やすとか、データを入れる人の負担を軽くするという意味ではもち ろんこれでいいと思うのですが、もう少しほかと比較できるデータということになると ペイシェント・デイズぐらいは考慮していただきたいと思います。 ○森兼主任研究官 先ほどから何度か説明がありましたが、新システムデータは12ヶ月 分のデータを個票の形ではなくて、12ヶ月分に患者が何人というようにして、例えば敗 血症が何名ということになる。それぞれの起因菌が何であったというようなデータだけ ですので、ペイシェント・デイズも取っておりません。 ○大久保委員 このサーベイランス事業は、どういうところを目的にしているかにも関 係するのではないかと思います。 ○荒川座長 結局、前のシステムでは、ペイシェント・デイズもたしか出せたはずなの です。入力支援ソフトの中にかなり細かい入力支援項目がありまして。ただ、いまの日 本の現場の先生方の労働状況からすると、あるいは看護師の労働状況からすると、とて も継続性を持ってできないという大きな問題があります。それを克服するために、一応、 研究班の皆さんで検討いただいた結果、サーベイランスとしてはこういうざっくりとし たものとしてやっていく。 ただ、先ほども少しご紹介しましたが、結局、研究班、要するに意識の高い施設で研究 班ベースでより詳細な解析をすることは可能なので、対外比較などについては意識の高 いところを中心にやっていく。全国サーベイランスは少し区切りというか、線引きをし てやっていくのが現実的なところではないかという判断でこういう形になっています。 確かに先生のご指摘のように、なかなか不十分な点はあると思いますので。 ○大久保委員 少なくとも、海外と比較できないにしても、参加施設がこの数字を見て 自分のところは良い・悪いを判断する場合、在院日数のところが把握できないとあまり 比較にならないと思います。 ○荒川座長 リスクで調整したいところです。先生のおっしゃる点もごもっともで、我々 も運営していくということと板挟みで、現時点ではこういう形で取りあえず2007年後半 からスタートしているという状況です。これについて何かご質問、あるいはご指摘はあ りますか。 ○事務局(鈴木) NICU部門で非常にデータ収集項目が限られている原因ですが、先ほ ど岡部先生からご指摘がありましたように、参加医療機関数がやはり激減してしまった。 その要因として、とにかく細かい情報を入れるのはNICUには正直言って無理だと。これ を長期間続けていくのは、サーベイランスとしては実行継続は難しいというご意見が非 常に強い。逆に、ある程度人手がある限られた10施設のサーベイランスを、国、ナショ ナル・サーベイランスとして継続していくことに関しては、やはり疑問があったという のがずっと研究班の議論でした。 その中で、研究班でより詳細な解析をするとして、ナショナル・データとしてどういっ た形で集積をしたらいいだろうかという議論がありました。先ほどより海外との比較等 というお話が出ていますが、海外の論文ですと必ずしも在院日数を入れずに、100入院 当たり、100アドミッションあたりいくつかというような論文が多々出ています。なら ば、まずはこの形でのデータ比較が可能な収集をして、その中で人手がある病院ではも う少し詳細なデータを集めていこうという形で現在の形式に至っています。以上です。 ○砂川委員 感染症の種類ですが、普通、敗血症と髄膜炎とか、肺炎敗血症という例が 結構あるのです。こういうものは割り切ってどちらかに入れているのですか。例えば、 肺炎プラス敗血症症例というのは肺炎(1)、敗血症(1)になるのですか。 ○事務局(鈴木) NICU部門の場合、両方あった場合には重複で登録することになりま す。 ○砂川委員 そうすると、1人でも2つ入っているわけですね。 ○事務局(鈴木) はい。 ○荒川座長 それもやはり研究班内で論議がありました。主たる最初のきっかけとなっ た感染症だけにするかどうかということですが、確かにダブることにはなりますが、や はり両方カウントしたほうがいいのではないか。取りあえず、そういう形の集計になっ ています。もし、研究班で最初の感染症のほうだけのデータと両方カウントしたものと 出してみて、どの程度違うのか、一致するのか、もし必要であればやってみようとは思 います。 ○砂川委員 NICUも大変忙しいのはよくわかるのです、現場の苦労が。 ○荒川座長 あれも出せ、これも出せということですと、病院のJANIS担当者の方々の 負担もなかなか大変になりますので。 ○事務局(鈴木) 先ほど、冒頭で出生体重750gという分類があったのですが、現在の NICU部門はExcelベースのサーベイランスシートというものを用いています。実際には 出生日、体重を入力すると自動的に振り分けるシステムになっていますので、細かい体 重は各医療機関は一応保持している形で、ただ、それをデータベースに入れてはいない だけです。今後の意見では、サーベイランスシートは現場の先生方が「このぐらいだっ たら運用可能である」という非常にシンプルなものですけれども、それを発展していく 形で今後より詳しいデータ収集を目指すことも可能というのが一応研究班の先生の見解 です。 ○砂川委員 経過を持っているから、それがうまくドッキングするといろいろな手間が 省けると思います。 ○事務局(鈴木) 実は旧システムのとき、各病院のNICUは症例のデータベースを大体 保持している。それをうまくドッキングして吸い上げるシステムを作れないかというこ とを、研究班の先生方にはシステム会社と組んでかなり試行錯誤していただきました。 ただ、やはり、異なるデータベースを結合するというのは非常に困難であって、特に入 力しているクライテリアが違ったりすると不可能ですということで、今回は実行に至り ませんでした。 ○砂川委員 菌名とか、全部違うから。それを最初から全国統一してしまえばよかった のだけど。 ○荒川座長 2-3Dについて、ほかはいかがでしょうか。できるだけこのあと、44施設か らさらに数が増えるようにしていくこと、もう1つはデータの精度、信頼度を高める努 力を進めていきたいと思います。何点か確認事項はありましたが、その点を確認したう えで、もう1回運営委員会の先生方にお回ししたうえでアップロードという手続きでよ ろしいですか。 ○森兼主任研究官 直す項目だけがはっきりしていれば事務的に直して。 ○荒川座長 先ほどの2-3Aの1頁、13頁、大久保先生からご指摘いただいた点につい て。 ○森兼主任研究官 中心静脈カテーテルがいちばんポピュラーな用語だと思います。「中 心ライン」でもいいと思うのですが、いちばん皆さんがわかりやすいのは「中心静脈カ テーテル」、CLA。 ○大久保委員 CVという言葉は使えないのですか。 ○森兼主任研究官 あってもいいのかもしれませんが、基本的には。 ○大久保委員 「中心静脈」という言葉が入っていれば、先端がそこだということがわ かりますから。 ○森兼主任研究官 はい。ですから、「血管留置」という言葉を「中心静脈」に変えよう かと考えてます。もし、よろしければ、あとは事務的に変えさせていただきたいと思い ます。 ○荒川座長 では、森兼先生のほうでその辺りを修正していただいたうえで、アップロ ードということでお願いいたします。次に資料2-4、これも事務局から説明をお願いし ます。 ○清医療放射線管理専門官 資料2-4を説明いたします。「検査部門で血液・髄液検体の みのデータを提出している医療機関について(案)」ということで、平成19年7月から サーベイランスシステムの更新が行われ、検査部門についてはこの際、血液・髄液検体 のみから全検体に変更いたしました。ただし、それ以前から参加していた医療機関にお いては、移行措置として血液・髄液検体のみのデータ提出を認めているという経緯でし た。それから、ぼつぼつ2年が経とうかというところ、昨年秋の段階で血液・髄液検体 のみでは全体の精度にもかかわるので、そういうことになっている機関に対して、17あ った医療機関に対して全検体のデータ提出を再度依頼したという経緯がありました。 現状について、2月の段階で問い合わせたところが、2医療機関は既に全検体のデータ提 出になっていたのですが、残り15に対して以下の表のとおり、「可能」が3、「おそらく 可能」が1、「おそらく不可能」が5、「不可能」が2、「検討中」が4という形でした。 どこかの段階で、やはり足切りをせざるを得ないということがあるであろうということ で、検査部門の参加数が500を超えていますから、それからするとかなり少ない数にも なってきているので、2年となる平成21年7月を目途に、できないというところに対し ては一応1回は脱退をしていただく。いずれ、検査システムもどんどん変わっていくも のですから、それが対応できるようになったときにまた再参加をお願いしたいという対 応でいこうと考えています。いかがでしょうか。以上です。 ○荒川座長 検査部門については、旧システムでは血液・髄液のみということで、新シ ステムに変わって全検体と変わったのにもかかわらず、従来どおり血液・髄液のみを出 してきている施設に対しては、移行措置としてそういう形になっていたものをこの辺り で統一するというご提案です。いかがでしょうか。この施設はたぶん最初のときから参 加していただいている施設なので、なかなかご辞退いただくというのは忍びないところ があります。しかし、サーベイランスシステム全体を考えると、あるいは集計データの 活用のことを考えますと、皆さん足並みを揃えていただくことが必要だということです。 それでは、こういう形で進めていく。具体的には、15施設に対しては脱退していただく ように事務局から推奨するという手続き、それとも機械的に切ってしまう。どういう手 続きを取りましょうか。 ○清医療放射線管理専門官 データ提出が滞っている機関に対し、「いついつまでにいた だけないと登録末消になってしまいます」というものをやっていたので、それに準じた ような形で、少し期間を置いてこの時期までに判断をして、それが無理だと判断された ら所定の手続きをお願いしますという依頼でよろしいかと思います。 ○荒川座長 今年の7月を目途に。 ○清医療放射線管理専門官 少し早めのほうがいいと思います。あれよりちょっと早め がいいですよね。データ提出よりはもうちょっと早めということで、5月ぐらいに。 ○事務局(筒井) 早めにこちらから、平成21年7月までに全検体を移行してください という勧告をして、それでもなお移行できない場合には脱退の措置を取らせていただく ということになると思います。 ○荒川座長 それでは、そういう手続きで進めさせていただくことにしましょう。よろ しくお願いいたします。資料2-5「検査部門での特殊な耐性を示す菌への対応について (案)」の説明をお願いします。 ○事務局(筒井) サーベイランス事務局からご説明いたします。検査部門ではデータ を提出していただきますと、提出1、2時間後に特殊な耐性を示す菌の警告の一覧が出る ようになっています。その基準としてはここに挙げた表のとおりです。それぞれの耐性 菌に対して、医療機関側に警告を出して、事務局側の対応としてはどのようにしたらい いかということは決まっていなかったので、ここで確認をさせていただきたいと思いま す。 耐性菌の種類としては大きく3つに分けています。まずAですが「国内で報告がない菌」、 例えばVRSAとか、バンコマイシン耐性の肺炎球菌、ペニシリン耐性のStreptococcus pyogenes、そういったものに対して案としてはこちらから毎週なり、毎月なり、定期的 に電話で問い合わせをします。医療機関側で菌株の再検や保存をお願いしているのです が、こういった報告がないような菌では改めて研究班で再検を行うようにしたいと思い ます。再検がないような場合、あとは研究班へ菌株が送付されないような場合には、医 療機関側のデータを修正していただいて、依頼してもなお修正がされないような場合に は、その医療機関の全データを全国集計から除外する。そうした処置を考えています。 というのも、こちら側で各医療機関側のデータを1つひとつ修正することはできません ので、あくまでも各医療機関側に修正を協力していただくことが必要になります。 次に「国内で稀な菌」、Bです。これはVREとかリネゾリド耐性の腸球菌です。こちらに 関しては日本でもある程度見られることもあるので、事務局側で一応確認として、電話 で毎週ないし毎月問い合わせをいたします。医療機関側で再検をしてくださいという希 望があった場合には、研究班のほうで再検をしていただきます。再検がされてないデー タは医療機関側に修正を依頼しますが、修正されないような場合には、そちらの医療機 関の全データを全国集計から除外いたします。 Cですが「国内である程度分離されている菌」、そちらの一覧にあるように、テイコプラ ンニン耐性の腸球菌やテイコプラニン耐性の黄色ブドウ球菌などです。こちらは一応特 殊な耐性を示す菌が警告に上がった場合には事務局にメールで報告をしてくださいとお 願いをしているのですが、そちらでメールでの報告があった場合に、医療機関側が再検 を希望されれば、研究班で再検を行うという処置を考えています。以上です。 ○荒川座長 いまの国内で珍しい菌を3つのランクに分けてそれぞれ対応、データの精 度管理の一環ということで、そういう対応をとらせていただくということで、このよう な手順でよろしいですか。                    (了承) ○荒川座長 では、これで進めていただくということでお願いいたします。資料2-6に ついての説明をお願いします。 ○清医療放射線管理専門官 資料2-6「検査部門・主要菌等の見直しについて(案)」で す。カラーの「主要菌の分離患者数(分離率)及び「特定の耐性菌の分離患者数(分離 率)」ということです。検査部門で各病院に対しての還元情報として出しているものの一 覧です。 この中で、今回皆さんご存じのとおり、福岡大学のほうで多剤耐性アシネトバクターと いうものの集団発生があって問題になったわけですが、現時点でもその多剤耐性アシネ トバクターに関しては還元を行っているわけですが、その全体としてのアシネトバクタ ー族というものの分離率は出していないという現状になっています。こういう問題にな るのは、多剤耐性の定義は、いわゆる3剤耐性の最も耐性の強いものだけを相手にして いて、それからすると2剤耐性のようなものはこぼれてしまっているという状況になっ ています。ですので、主要菌の中にアシネトバクター族を加えると、ある程度広く捉え ることができる可能性がある。ただし、広くなりすぎてしまって、かなりその中でも2 剤なのか1剤なのかというのは、データとしては出てこないので、そこまでやる必要が あるのかということのご意見を伺いたいということです。 ○荒川座長 これは各施設に関する月報のデータですね。月報の中の表にアシネトバク ターを入れるかどうかと、いかがですか。アシネトバクターは、海外ではかなり問題に なっていますね。 ○賀来委員 いま先生おっしゃったように、韓国も東南アジア、フィリピンもタイも含 めて、アシネトのアウトブレイク、結構起こっています。耐性のという形も結構多く報 告されています。そういう意味では、これから注意していかないといけない菌ではあり ますね。 ○荒川座長 その表に入れられる菌の種類は、いくつまで可能でしたか。 ○事務局(筒井) 1枚に納めるのであれば、1つは追加可能です。もしほかにも増やす 菌があるようでしたら、この主要菌の部分を2頁にしたりとか、そうした形で増やす対 応はできます。 ○清医療放射線管理専門官 これ以外にも増やす可能性があるかどうかというのも、も しご意見があればということです。 ○賀来委員 この菌以外にもですね。 ○清医療放射線管理専門官 そうです。取りあえず今回はアシネトですが、それ以外に もこれはというのがもし先生方で。 ○賀来委員 キノロンの耐性菌が非常に増えてきていまして、特にキノロン耐性大腸菌 がいま6大学なんかでも、固有名詞を出していいのかわかりませんが、主要な大学でも 20%近くはたぶんもうキノロンが効きにくい、いわゆる大腸菌が増えてきているのです ね。これはやはり結構外来でもキノロンが使えなくなる可能性が出てきていて。これは どこかで、化学療法学会などでもいま問題にはなっているのですが。キノロン耐性の大 腸菌は候補としては挙げておいてもいい。 ○荒川座長 この下のほうの表の2ということですね。 ○賀来委員 下の表ですね。 ○荒川座長 取りあえず耐性・感性に限らず、菌種として、この上の表に加えたほうが いいというものがあれば、ご指摘をお願いしたいのですが。 ○事務局(鈴木) システム的な補足ですが、各頁、できれば1頁に納めることが、シ ステムの改変が不用ですので、しやすくなります。ただ、現在フットノートという形で 下に説明が入っていますので、これをどこか別のところにして、一応12までは大丈夫で す。プラス、あとは例えばVRSAとか、特定の耐性菌に入っていますが、現時点で報告さ れてないものに関しては一時的に削除してという手段もとれますので、その辺りも含め てご検討いただきたく、お願いいたします。 ○荒川座長 そうすると上の表では、取りあえずアシネトバクターを加えてはどうかと いうことで、それは加えていただくと。それでも11なのでこの枠には納まるということ でよろしいですね。 それ以外に、1つの菌種として加えるべきものがあるかどうかですが、どうでしょうか。 これ以外に監視しておく菌種があるかどうか。臨床的に先生方、皆さん第一線の診療に 従事されておられる中で、これはちょっとやはり。 ○賀来委員 もし小児も成人もなのですが、インフルエンザ菌、ヘモフィルスインフル エンザがやはりβラクタムの耐性がすごく進んでいますので、結構インフルエンザ菌は 注目したほうがいいのではないかと思いますが。 ○荒川座長 それはインフルエンザ菌単独ということなのか、ペニシリン耐性、アンピ シリン耐性のインフルエンザ菌ということですか。上の表に入れるか下の表に入れるか です。 ○賀来委員 どちらかですね。 ○砂川委員 私もどちらに入れたらいいのか悩んで。ただ上でもいい、分離がどのくら いあるかというのでもいいのだと思う。いま小児は3分の2ぐらいが耐性なのですね、 ブルナール。そうすると下の表になってしまうのです。 ○荒川座長 両方に入れたほうがいいということであれば、上には「インフルエンザ菌」 と入れて、下にはペニシリン耐性の、要するにβラクタマーゼ非産生のペニシリン耐性 菌というような形で。ただ、これは感受性試験からだけではちょっとわかりにくいです ね。 ○賀来委員 そうですね ○荒川座長 だからペニシリン耐性と非感性のインフルエンザ菌ということですね。 ○砂川委員 ペニシリン耐性、非感性でいいのでしょう、こういう場合に。 ○賀来委員 下に入れたほうがいいのですかね。 ○荒川座長 余裕があれば、アシネトバクターとヘモフィルスインフルエンザを入れて 12と、これでぎちぎちとということですね。 ○事務局(鈴木) 確認ですが、まずアシネトバクターのほうはスピーシーズという形 で、バウマニー単独とSPで報告しているものも、現時点では多剤耐性アシネトは両方す べて含めてやっているのですね。同定が少し難しい場合もあるということでしたので。 それはアシネトバクタースピーシーズということで加えると。ヘモフィルスに関してで すが、まず月報に加える場合は、目的としては月々の分離率を監視して、主に院内感染 の監視という目的でして。もしその全国的にどのぐらい分離されているのかということ でしたら、公開情報の季報、年報のほうに一応髄液検体だけからのものもある、髄液の 中でヘモフィルスが何パーセント分離されているか、ありますし。主要な菌の各薬剤に 対する感性率というものも、季報、年報では出せます。月報の毎月モニタリングする必 要性のある菌ということでご検討いただけると。 ○岡部委員 そういう意味では年間でもいいですね。 ○賀来委員 そうですね。ですから上でなくて、もしかしたら下。 ○岡部委員 いわゆる分類、これを見てて、院内感染があるかないかという菌ではない ですね。 ○事務局(鈴木) そうしますと、現状でも公開情報ではHaemophilus influenzaeは分 離率ですとか、あと薬剤耐性率は公開情報ということで出ることになっております。 ○荒川座長 分離率をいうのではないのです。喀痰ですね。 ○賀来委員 そうですね、喀痰。 ○事務局(鈴木) 感性率も出せますので、耐性率を1年に1回確認するという意味で あれば、現状のままで特に変更は不要ですね。 ○荒川座長 一応その年報、季報のほうで全体のざっくりとした分離率とか、耐性率が わかるということで、月報のほうには入れないと。月報は、どうしても院内感染、その ときそのときで院内感染対策のための情報ということですので。ではアシネトバクター については追加すると。 ○事務局(鈴木) アシネトバクタースピーシーズ(Acinetobacter spp.)ということで 入れるように、追加します。 ○荒川座長 インフルエンザ菌については季報、年報のほうでデータを出していくとい うことにさせていただきます。 ○事務局(鈴木) キノロン耐性の大腸菌のほうはいかがいたしましょう、下のほうに。 ○荒川座長 下ですね。キノロンは海外でもって、いまキノロン耐性大腸菌はナーシン グホームとか、そういうところでもかなり広まって、非常に大きな問題になっています ね。 ○事務局(鈴木) これはあくまでも入院患者さんからの検体に絞った解析ですので、 外来検体は入らないのですが、それでもよろしいですか。 ○賀来委員 たぶん入院患者でもキノロン耐性菌増えてきているので、入れておいたほ うがカバーというか、これからの対応に。 ○荒川座長 広がらないうちに、皆さんに注意を促すという意味でもいいかもしれませ んね。 ○事務局(鈴木) そうしますと、実際に耐性の基準ですね。必ずしも全部のキノロン を測っているわけではないですので、その基準等を研究班のほうと詰めたうえで、実務 的な手続きのほうにもいかせていただいてよろしいですか。 ○荒川座長 では、上の表にはアシネトバクタースピーシーズということで、下のほう にはキノロン耐性の大腸菌をそれぞれ加えるということで、お願いいたします。作業を 進めていただいて、ある程度の修正ができたら、これはもうご確認いただかなくとも事 務局のほうでやっていくということで、いいですか。 ○事務局(鈴木) 一応、検査部門の専門の先生方に、最も一般的な耐性率を反映でき る基準というものを検討していただいたうえで、なるべく速かに月報に入りきるように システムを作りたいと思います。 ○荒川座長 では、そういうことでよろしくお願いいたします。時間があと20分ぐらい になりましたが、続きまして「今後に関する協議事項」ということで、資料3-1と3-2 の説明をお願いいたします。 ○清医療放射線管理専門官 まず資料3-1から「地方自治体を含めたサーベイランス運 営体制について(案)」、協議事項の情報提供のあり方についてです。これは前回の第1 回のときにも議案提供をしていただいたところで、その後少し動きがあったというか、 検討を行ってみたので、それを見ていただきたいというところです。それが資料3-1の (案)ですが、この裏側には現在の運営体制を書いています。現在の得られた情報が運 営している事務局と、参加している医療機関には見えていますが、実際にその都道府県 が、例えば院内感染が発生した際には実態調査が入るわけですが、そこでのこの情報が 活かされてないというか、彼らは全く見ていないところで動いている。そういうのがあ りまして、本来は公的に集めているものなので、そこにも参加いただきたいということ です。では、どういう形が可能であるかということの案を作ってみたものです。 現在、事務局が行っている運営業務に関しては、引き続き事務局です。例えば、サーベ イランスの参加登録や脱退の管理、問い合わせ対応は事務局が行います。というのは、 その都道府県がこういう辺りの運営業務を分散した場合に、データの管理等が煩雑にな る危険性があるので、それに関しては集約した管理が効率的であろうと思われますし、 県担当者に対する負担が大きすぎるだろうということです。そして、各都道府県の担当 者が、所管の県の参加医療機関のデータの提出状況及び還元情報を閲覧可能するという、 そういうところで管理者サイトの部分的閲覧機能ということで、上図のA、都道府県担 当部局と書いてあります。 ただ、現在のところは複数の医療機関の還元情報を一覧できる機能がなくて、個々のpdf ファイルを1つずつ確認していく作業が必要になってしまいますので、実際にいますぐ やれと言うのは無理なわけです。もし、やるとするならば管理者用のサイトに、「特殊な 耐性菌の報告医療機関一覧表」とか、「分離率の一覧表」というような閲覧機能を追加す るという、そういうことを考えなければいけません。一覧機能を追加された場合はアク セス権限を分けて、その都道府県の担当者が所轄県内の参加医療機関の一覧のみを閲覧 できるようにする。事務局は、全参加医療機関の閲覧権限を持つとするというのが、上 図のBでイメージとして加えたものです。 そして参加医療機関と事務局側との連絡内容、例えばデータの内容確認、異常データに 関する問い合わせ及び回答などは、各都道府県の担当者が自県内の参加医療機関に関し ては閲覧可能とすることによって、事務局と各都道府県の担当者がほぼ同時に参加医療 機関の情報を共有できるということで、これが上図のCになります。 協議が必要な点としては、医療機関側からJANISの事務局を介して、運営委員会に院内 感染対策に関する支援要請もしくはその支援に関する問い合わせがあった場合、医療機 関を指導する権限を持つ都道府県がその情報をほぼ同時に共有することになります。こ の場合は、その保健所に対しての報告や支援要請と実質的には同じになる可能性、もし くはその所轄の保健所を経由しないで都道府県担当者のみに情報が届く可能性があって、 そういう命令系統が2つになってしまう、そうした二重になったりとか、異なる内容を 指示してしまって、それが混乱を起こす危険性があるというようなことです。 その他としては、上の3の参加医療機関と事務局との連絡内容は現在E-mail、メーリン グリストを用いて行っていますが、将来的にはWebでの閲覧ができるようなシステムの 開発を検討したりであったりとか、参加申込は都道府県を通じて行っているわけですが、 脱退届け等は直接厚生労働省へ提出しているため、将来的には一本化することが望まし いのではということです。これに関しても、実際に事務を担当している側からすると、 だいぶ新規の参加とか脱退の数も落ち着いてきているので、もう一括して都道府県を経 由せずに、その辺りは一括管理でもいいのかなとは思っております。 「参考2」として、参加医療機関に対してアンケート調査を行ったので、その結果の報 告です。これはサンプル調査なのでまだ少ないのですが、16の医療機関に対して、参加 医療機関の各部門担当者ないしは責任者にメールでご回答いただいたものです。JANIS のデータを地方自治体が共有することについてどう思っているかということです。これ を見ますと「賛成」が半数、「どちらかといえば参成」が31%で、「どちらかといえば反 対」が13%、完全な「反対」が6%、1施設のみであった。 さらに、「賛成」「どちらかといえば賛成」を選ばれた方に対して、どういうレベルまで のデータ開示を望まれるかということです。病院が見ているもの全部を自治体が共有し てもかまわないとしたのが62%、3分の2です。事務局でデータを加工し、病院名は開 示せずに全国平均とその自治体所管地域平均のデータぐらいに留めてほしいというご意 見がありました。これはかなりまだ素案というところで、いろいろ議論が尽きないとこ ろかとは思うのですが、また先生方のご意見を伺いたいということで提出させていただ きました。以上です。 ○荒川座長 新しいシステムでは、情報の共有を地方自治体のほうとも行うということ です。具体的には、例えば今回の福岡のようなケースがあったときに、自治体の職員の 方々に、自分の所管の病院でどういう状況なのかをわかるようにということですね。 ○清医療放射線管理専門官 そうです。不幸にというか幸いにというか、意外とああい うのが出るところは参加していないということになったりして、今回も福岡は部門とし て検査部門が落ちてしまっているので、そこのアシネトのものに関しては、こちらとし ては把握できていなかったという経緯があります。だから必ずしもすべてがこれで引っ 掛かってくるわけではないですが、たくさんやっている中では確実にこういうことは起 こり得るということで、どういう対応をしたらいいのかはやはり決めておく必要あると 思うのです。 ○荒川座長 地域支援のネットワークの関係にもかかわってくるかもしれませんが、賀 来先生これはいかがですか。 ○賀来委員 皆さん、参加医療機関がある程度アンケート調査で、「賛成」「どちらかと いえば賛成」という形が多いと思うのですが、やはり共有したいという意見はかなり強 いと思います。ただ共有することで、逆にいうと個々の名前が出てしまうことに対して の、漏れてしまうことへの懸念も併せてなのです。ただ共有したいという意見が強いと いうのは、そのとおりだと思います。 ○清医療放射線管理専門官 もう1つは、やはり自治体を巻き込むということで、自治 体の関係者に負担を増やすことにもなるので、そちらの意見を当然聞かないといけない わけなのです。やはり私も行政にいる者なので、担当者はどんどん変わっていきますか ら、そういう中であまり過大な負担をやると、結局実効性がないとかですね。自治体の 意見として、そうは言っても地域の蔓延状況は絶対に興味があると思うのです。だから、 まず当たり障りがないところから、そういう全国の流行動向と自分の所管地域の流行動 向をまず見ていただく辺りから、無難なところから取っ掛かりをつけて。さらに実際に たぶん自分の所管区域の中で起こった場合には、周辺の医療機関もひっくるめた対応を 求められることもあります。ですから個別のほうまでもある程度当たるとか、そういう ように公的なデータベースとして使える方策はあってもいいのかなとは思います。 ○荒川座長 この件についてはいかがですか。方向性としては、将来的には都道府県と データを共有して、いろいろアウトブレイク対策などにも活用していけるようにしてい くということです。これはすぐスタートするというわけではなく、そういう方向性を目 指して今後いろいろ調整をしたり、当然先ほどおっしゃられたように自治体のほうの状 況も確認、把握しなければいけませんので、そういうことも含めながら進めていくとい うことで、よろしいですか。では、そのように準備をさせていただきます。  資料の3-2について、引き続きお願いします。 ○事務局(山根) 資料3-2に関して簡単にご説明いたします。このマニュアル改訂に 関する話は、サーベイランスの提出されているデータを参加医療機関がグループを組ん で研究等に使用する場合のルールについての提案です。現在の該当する部分は8-4-2で す。この裏にありますが、データを厚生労働省から研究班に出すというところまではき ちんと決められているのですが、その後、どのようにして、どのような人に、どのよう な形で、どのようなデータが貸与されているかということを決めている、該当するとこ ろがなかったので、この改訂案に出しておりますが、追加をお願いしたいと考えていま す。 具体的には、端的に申しますと、データの貸与は我々の事務局を通じて行うこととし、 どのような人に期間はいつまでというようなことを明らかにするようなシステムに変え たいと考えています。そうしないとデータが散逸する恐れが出てきたりということがあ りますので、このような改訂をさせていただければと考えています。以上です。 ○荒川座長 データを活用したあとのデータの扱いと、そのデータを使ってこういうこ とがわかりましたというような報告を必ず出してもらうことを盛り込むということで、 よろしいですね。 ○事務局(山根) データはあくまで厚生労働省から貸す、ですから借りたものは返す というルールを追加させていただくと。 ○荒川座長 そのための申請書として資料3-2、2枚目のような資料、このいちばん最後 の頁の貸与請求書というのを出していただくと。これはデータを使い終わったあとには お返しする、あるいは破棄する、いろいろな方法がありますが、これはあくまでも貸し たので返してもらうと、そういう理解でいいのです。 ○事務局(山根) いいかと思います。 ○荒川座長 取りあえずそういう形で、少し上乗せした形で運用させていただくという ことで、よろしいですか。何かご質問はございますか。 ○清医療放射線管理専門官 一応、研究班というのは厚生労働科学研究に限らず、いわ ゆる、それ以外でも多施設共同研究という形に乗せたいときにも使えると。そういうこ とで、こういう運営ルールを作りましたということで、お願いしたいかと思います。 ○荒川座長 研究グループと、研究班と独立した例えば地域ごとの研究グループとか、 あるいは学会の中での研究グループにも使えるようにということですね。わかりました。 ○清医療放射線管理専門官 ここはそういうところが明示されていないので、文言が何 かいい言葉がないかなと思ったのですが、ちょっとそれが間に合わなくて。 ○荒川座長 その辺りをもし可能であれば加えていただいて、最終的なものとして固め ていただくということでよろしいですか。 ○清医療放射線管理専門官 研究班を、例示でこういう研究班でやった場合はこういう 研究班、というような具体例を挙げてもらってもいいかもしれません。 ○荒川座長 そういう形で進めさせていただきます。あと5、6分という時間ですが、全 体を通じて何かご意見とか、ご確認をされたい項目とかございますか。 ○清医療放射線管理専門官 すみません、資料がないのですが、アウトブレイクを疑う データを検出した際の対応についてということです。この度アシネトの件があった際に、 検査部門のデータに対してスクリーニングをかけて、多剤耐性アシネトが国内でどのく らい出ているのかという調査というか、内部的に検討を行ったのです。するとアシネト バクターのうちの0.3〜0.4%ぐらいのもので、中には小規模だけれども交差感染が起こ ったのではないかという事例がありました。本当は運営委員会で協議を経てからが望ま しかったのですが、知ってしまった以上はということで、事務局を経由して検査の精度 管理ということで、ちょっと変わったのが複数出ているけれど、それは何か検査上の問 題がなかったのかとか、実際にそれで何か対応されましたかというような照会という形 で入れさせていただきました。 その結果としては、1施設はこちらが知る以前にちゃんと把握していて、対応済みでい まはもう終息しておりますという返事が得られたところもありますし、もう1施設は、 さらに検査が必要ですということで、まだ再検ができていない。基本的にこのサーベイ ランスの趣旨は、あくまでも自施設の対応をその病院が主体としてやっていただきたい というのが趣旨でして、まずはそれを優先したいのです。 そうは言っても、やはりたくさんのデータになると確実に起こりますので、ある程度は フィルターはこちらのほうからも、要するにメッセージです。病院側に対しては、ちゃ んと見ているんだよというメッセージを与えるという意味では、一定の率でやりたいと は思うのです。ただ、どういう形でやるか。いまのように検査データの精度管理という 側面でやるというやり方が1つ。いちばん無難なやり方ではあるのですが、一応運営委 員会名を出して、対策を講じてください、あるいはよろしくお願いしますというような 文言を付けるのがいいのかという、そういう辺りはいかがでしょうか。 ○荒川座長 いまのご説明に関して何かご提案ありますか。要するに、何か事例が起き たときに、それと同等のことがほかの施設で起きていないかをこのデータで一応確認を して、もしそういう可能性のある施設があった場合は、その病院に対して、お宅は大丈 夫ですかというようなことを確認をさせていただくというのを、手続きとしてこの運営 委員会に諮らずに、厚生省の判断だと思うのですが、そちらのほうで進めていくと。そ のときの名前は、サーベイランスの事務局、あるいは運営委員会ですか。 ○清医療放射線管理専門官 この度はやはり事務局の名前でいかせてもらったのですが、 例えばパターンとしては、こういう事例があってということで、先生方にメールを流し て、よろしいですかという確認をいただいたあとに出すというやり方もあろうかと思う のです。それをあまり高頻度にやると、たぶん先生方も困ると思います。この度のよう に、何かイベントが起こったときに、そこに応じてやるというやり方がいちばん楽なや り方かとは思うのです。日常すべてに対してやって、アラートをかけていくというのは たぶん現実的ではないし、無理だと思いますので。 ○賀来委員 さっき、聞いていなかったかもしれないのですが、アラートをかけるのは 意外と楽な、楽というかその作業は結構大変なのではないですか。 ○事務局(筒井) いまこれからやろうとしているのは特殊な耐性を示す菌に対してで すが、それとは別にアシネトバクターというのはその特殊な耐性を示す菌に入っていな いので、そういったところにもアウトブレイクが疑われるデータ、こちら側が見てしま った場合にどのような対応をするかと。今回やったのは、そのデータとして合っていま すかということを聞いただけで、対応についてまでは踏み込んでいないのですが。 ○賀来委員 アラートをかけていただくと、逆に言うと医療施設側はありがたいことも あるのですけれど。 ○清医療放射線管理専門官 たまにはあろうかと思いますし、多少の緊張感は必要かな と思うのです。参加施設の中には、出しているだけで満足してしまっていてというよう な意見もあります。この間も学会のほうでディスカッションがありましたが、折角のデ ータがあるにもかかわらず、有効活用されてないということがありますので。 ○賀来委員 折角サーベイランスをこれだけやっていただいているので、やったという か、集計していただいているので、逆に言うと、そういったところから何かアラートと 言っていいのかどうかわかりませんが、注意喚起みたいなことをいただくことは、医療 施設側としてはそうしたフィードバックのあり方としては、決してネガティブに考えて ないというか。結構気付かないときって、気付かないことという言い方は変なのですが、 やはりそういう意味では注意喚起をいただくのも1つのフィードバックのあり方かと思 うのですが。 ○清医療放射線管理専門官 1つは感染症法に基づく報告とは意味合いが違うんだよと いう、そういうのをアピールするというのもあるかなと。あれと混同されているところ もあるようなのです。なので、あれとは目的も趣旨も違うのですよということですね。 ○荒川座長 そういう特別な事例の場合はデータを確認のうえ、運営委員会の先生方に もメール等で簡単にその状況の説明と結果についてご紹介したうえで、特段何か問題点 の御指摘がなければ、その病院に対して運営委員会名で確認のための文書の案内をお出 しするということで、よろしいですか。 ○賀来委員 運営委員会まで上げると、結構どうなのですか。運営委員会までもし上げ てしまうと、かなり本当にアウトブレイクなのかどうなのかという議論がたぶん、いち ばん上までいくよりも。 ○清医療放射線管理専門官 あとタイムラグが出てしまうと、そういうことなのですよ ね。だからデータシステムみたいなもので多少誤報が混じってもいいけれども、わりと 頻度が高いほうがいいといえば。 ○賀来委員 異常値みたいな形で、パニック値というか異常値が出たときに、意外と自 動的にというと変なのですが、自動的にはならないのですが、そちらのほうが。上まで あげてしまって、先生方の確認を取っているよりも。 ○荒川座長 そうしましたら事務局のほうで、その辺りもまた整理して頂くことにしま しょう。 ○清医療放射線管理専門官 今回のような対応で、事務局側と厚生労働省の中でのディ スカッションをやって、そういうことがありましたということは、また事後報告という ことで委員の先生方に流すというような、そういう流れでよろしいですか。 ○荒川座長 そういう形で今後進めさせていただきます。よろしくお願いいたします。 ほかは何かありますか。最近情報管理が非常に重要視されていまして、こちらのJANIS のシステム本体はかなりその辺り厳しく入札などの時点で確認をしていますが、個々の 病院側で、データを出していく側でやはり患者さんの個人データは出ませんが、いろい ろな情報が扱われるので、その辺りの情報管理のより厳密化といいますか、適正化も一 方でしていく必要があるのではないかというご指摘もあります。それで、例えば医療情 報システムの安全管理のガイドラインというのを、公的に出されていると思いますので、 そういうものを参考にして、特に病院側でこのサーベイランス事業に参加されるときに、 いろいろなシステム会社さんに業務を委託するときなどには、必ずそういう情報管理を 徹底できるような形でのチェックもしていただく必要があるのではないかというご指摘 もあるのです。この点についてはいかがですか。 いろいろなデータがネット上に流出したりとかで問題になって、もしそういうことが起 きますと、この事業自体が非常に存亡を問われる状況にもなりますので、そういうこと がないようにこれまでも配慮してきましたが、この先その辺りのところをさらに充実し ていく必要があるのではないかということです。 ○清医療放射線管理専門官 補足ですが、医政局の研究開発課というところが主体にな って取りまとめた「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」が、ホームペ ージ上にも掲載されています。これが160頁あるすごいボリュームのもので、すべて理 解してやるのはなかなか難しいのです。その委託事業として、委託というか、外部団体 として財団法人の医療情報システム開発センターが、その認証を行っています。病院に 対しても認証を行いますし、システム開発業者の認証も行います。 最近のいろいろな入札の際に関しても、そこの認証を取っていることを要件として、あ るいは少なくともお宅は取っていますよねと、取っていれば比較的ほぼスルーというか、 このガイドラインに則ってやられているということがほぼ担保できるということです。 逆に、それを取っていないと言われた業者の場合は、かなり慎重に対応されたほうがい いというようなご意見も伺っています。 先生方、もちろん病院の中でもかなり中心的な立場にあられる方ばかりなので、必ずそ の情報システムの質的な管理を、公的な判断を仰いでいるという辺りをご確認いただけ たらと思っております。 ○荒川座長 いまの件については、例えば参加施設に対しては何か特別な注意喚起をす るとか、そういうことはいまの時点では、運用マニュアルか何かに書き込む。 ○清医療放射線管理専門官 新規募集のときにはやりやすいかなと思うけれども、例え ばこの運用マニュアルの中で、そのデータを外部に委託して加工していただくようなシ ステム、開発する際の業者選択に関してはそのガイドラインに則った業者に参加いただ くことであったりとか、という形での記載は加えることはできるかなと思います。 ○荒川座長 マニュアルの中に加えるかどうか。 ○清医療放射線管理専門官 既に入ってしまっているところに対して、お宅は認証を取 っていないからすぐやめてくださいと言うのは、なかなかこれは難しいと思うのです。 例えば、システム更新のときだったらいいと思うのですが。 ○荒川座長 では一応そういう方向で、今後さらに情報管理を徹底していくということ で、よろしくお願いいたします。ほかにありませんか。ないようでしたら時間も過ぎて おりますので、これまでいただきましたご意見を取り込みまして、事務局のほう、これ は厚生労働省の事務局とサーベイランス事務局のほうでまとめまして、各構成委員の 方々に再度確認のためにメールにてお回ししますので、概略についてご意見をいただい て、それを最終確認として作業を進めていきたいと思います。それでよろしいですか。 ほかにもし特に何か構成員の先生方でご意見、コメント等ありませんようでしたら、こ の会はこれで終わらせていただきたいと思います。引き続き、この院内感染対策サーベ イランスの発展のためにご支援、ご協力をお願いしたいと思います。よろしくお願いい たします。今日はどうもありがとうございました。 ○清医療放射線管理専門官 貴重なご意見をいただき、誠にありがとうございました。 本日いただきましたご意見をもとに、院内感染対策について、引き続き取り組んでまい りたいと存じます。構成員の先生方におかれましては、指導を賜りますよう、よろしく お願いいたします。                          (照会先)                           厚生労働省医政局指導課                           03−5253−1111                                 (内2556)