09/03/02 第40回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会議事録 第40回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会 議事録 1 日時  平成21年3月2日(月)15:00〜15:45 2 場所  厚生労働省専用第12号会議室(5階) 3 出席者 [委員]  市川委員、市瀬委員、伊藤委員、鈴木委員、 高橋(均)委員、高橋(寛)委員、西村委員、 布山委員、林委員、松本委員、宮本委員、室川委員、 山川委員       [事務局] 氏兼勤労者生活部長、吉本勤労者生活課長、            鈴井勤労者生活課長補佐        4 議題 (1)建設業退職金共済制度に関する検討の課題について (2)中小企業退職金共済法第10条第2項第3号ロ及び中小企業退職金 共済法の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置に関する政令第2 条第1項第3号ロ(1)の支給率を定める件について(諮問) 5 議事内容 ○伊藤部会長 それでは定刻少し前ですけれども、第40回労働政策審 議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会を始めさせていただきま す。  本日は臼杵委員、小林委員が御欠席でございます。西村委員が遅れて 到着されるという連絡を承っております。本日の議題ですが、建設業退 職金制度におけるこれまでの議論を整理した上で引き続き御議論願いた いという点が1つ、次に中小企業退職金共済法第10条第2項第3号ロ 及び中小企業退職金共済法の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置 に関する政令第2条第1項第3号ロ(1)の支給率を定める件です。い わゆる付加退職金の支給率についてです。諮問案件になりますので御審 議をお願いしたいと思います。   議題に入る前に、事務局から今後の進め方について説明があります。 ○吉本勤労者生活課長 1つ目の議題に関連して、建設業退職金共済制 度について、1つは今後の利回りをどうするか、もう1つは支給要件を 中心とする検討課題、大きく2つあったわけですが、前者の利回りに関 しては前回の時点で想定したところより経済環境が大きく変化している ということで、推計をやり直すことを含めて検討させていただくと申し 上げ ていましたが、やはり現下の経済、金融情勢等を踏まえて、推計をやり 直したほうが良いとの結論に至り、鋭意その作業をさせていただいてい るところです。これについては、次回の部会以降に資料を提出させてい ただいて、改めて御議論を頂戴できればと思っているところです。  ○伊藤部会長 それでは、この「特定業種退職金共済制度における予定 運用利回りの検討について」のお話はよろしいでしょうか。何かご質問 等がありましたらお願いします。  それでは、議題(1)に入ります。まず、事務局から説明をお願いし ます。 ○吉本勤労者生活課長 それでは資料に基づいて建退共に関する検討の 課題について説明をさせていただきます。資料1は論点整理としたペー パーでございます。  1つ目に、累積剰余金の在り方、2つ目に退職金支給要件である掛金 納付月数の緩和が主な論点になっていたわけですが、それぞれについて、 前回、前々回2回にわたって各委員から御意見を頂戴しましたので、 今回はそれを整理いたしました。  1点目の累積剰余金の在り方については私どもからも資料を提出して 御説明し、また、いろいろ御意見をいただく中で概ね部会としての共通 認識をいただいているという整理をいたしまして、1ページにあるとおり の整理をしたところです。まず累積剰余金の発生要因についてはいろい ろな指摘もなされていたわけですが、勤続期間が短かったことにより退 職金として支給されなかった額については、長期勤続者の退職金を手厚 くするための原資に充てられているということで、累積剰余金の発生要 因となるものではないという整理をしております。  また、なぜ累積剰余金があるのかということについては前回も資料で 御説明したように、平成15年の将来推計において見込んでいた運用利 回りと実際の運用利回りとの差が生じていたことが考えられるところで す。累積剰余金の在り方については平成19年度に多額の損失を計上し た上に、サブプライムローン問題に端を発した金融危機が深刻になって いること、また平成20年度以降は平成19年度より一層悪い結果が予 想され、市場の低迷は長期化する可能性があるということ。また、建設 労働者の福祉の増進を図るためには、事業を安定的に運営することが肝 要であり、そのためにはある程度の利益剰余金を保持しておくことが必 要ではないかといった御意見を頂戴しました。この状況を踏まえると、 現在累積剰余金を積極的に取り崩す状況にないのではないかといった御 意見をいただいております。  さらにこの剰余金の活用策として、原資は、従業員の退職金の支給の ために過去に事業主が納付した掛金及び運用益等であり、本来従業員に 退職金として還元されるべき性格のものであるといった御意見で整理さ せていただいております。  次のページは、退職金支給要件である掛金納付月数の緩和といたしま して、共通の御認識をいただいている部分と、それぞれ御意見の異なる 部分が残っていますので、3つに分けて整理いたしました。  まず、共通認識として1つ目はそもそもの制度設計の考え方というこ とで、特定業種の退職金共済制度は業界退職金共済制度をねらいとする ものであり、従業員がその業種で従事する期間が一般中退における一企 業での勤続期間より長いと考えられることから、不支給支給期間を長期 間とするとともに、これによる差額を長期勤続者に振り向けてきたとい う考え方です。このことと累積剰余金の多寡については先ほどの論点に もありましたように、勤続期間が短かったことにより退職金として支給 されなかった額は長期勤続者の原資になっているということである以上、 掛金納付月数の緩和については、剰余金の多寡とは切り離して検討を行 うべきという整理をさせていただきました。  そこで、掛金納付月数の緩和に関して賛成の御意見としては、まず、 退職金の性格は様々な考え方があるわけですが、賃金の後払いという考 え方に着目され、そう捉えれば、働いた分を確実に支給するべく、不支 給期間を短縮すべきといったご意見。また、退職金制度の魅力向上とい った観点から、月数を短縮し、入口を広くすることが制度の魅力を増し、 加入者の増加に寄与するといった御意見。また実際には、特定業種、建 退共の手帳の場合、ひと月21日、1年分が250日といったことで制 度設計されているわけですが、実際には、手帳の更新に18ケ月以上を 要しているという実態がございまして、証紙の貼付枚数より多くの日数 就労している可能性があり、それを加味すれば24ケ月未満の勤続者に も退職金を支給するべきではないかといった御意見をいただいておりま す。  一方で、この緩和について、反対意見として、まず制度の考え方・趣 旨といったところから業界退職金ともいうべき制度であり、一時的に就 労したにすぎない労働者に給付することは適当ではないといった御意見。 また、建設業の期間労働者には、当初から短期間で業界を離れることを 想定している者が少なくないといった観点からの御意見です。  次のページは退職金の性格ということで、反対意見として、功労報償 的な性格に鑑み、短期間に就労したに過ぎない労働者については見合う 貢献をしていないと考えられ、不支給期間を2年としていることは合理 的といった意見です。公平性の観点から、わかりやすく、不公平がなく、 永続性を確保できるように設計する必要があるということで、不支給期 間の短縮は、既加入者と新規加入者の間で不公平感を生むために避ける べきといった御意見です。また仮に、累積剰余金の水準がより低いほう が望ましいという評価をする場合であっても、退職金支給要件である掛 金納付月数の緩和ではなく、利回りの引上げ等で対応したほうがわかり やすく公平であるという御意見です。  緩和によって長期勤続者への支給額を減らすことになるといったこと に関する御意見で、退職金額に係る利回り2.7%、すなわち、掛金に 対して運用益を乗せた退職金支出の額自体を変えないとした場合は、当 然長い方の分を減らして振り向けることになります。これは適当ではな いとする御意見。最後に、仮に、退職金の支出を増やすことによって、 現在の退職金の水準は維持したままで、さらに不支給期間を短縮すると した場合の問題点を指摘する御意見で、3点ほど掲げております。退職 金支出が増加することにより、現下の経済情勢を考えると危険ではない かといった御意見、財政状況によって変更するということになると制度 の安定性確保の観点から問題との御意見、特定業種の不支給期間につい ては、法律上特定業種としてまとめて定められていることから、累損を 抱える林退共についても同様の改正を行うことになるといった問題点等 を指摘するという御意見をいただいています。  次の資料は、前回お出しした資料を参考としてお付けいたしましたが、 ここでは説明は割愛させていただきます。以上です。 ○伊藤部会長 ありがとうございました。これまでこの部会で御議論願 ってまいりましたこの建退共の検討課題につきまして、2点の問題、 論点等を整理していただいて説明していただきました。 何かこれに加えるもの、あるいは、今後補充してさらに新しい論点等々 ご指摘がございましたら、皆さんのほうから御意見の形で、あるいは質 問の形で御提示願いたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○山川委員 前回欠席してしまって、議論の状況を必ずしも正確に把握 していないかもしれないのですが、おまとめいただいたような形で、累 積剰余金の問題というのは前もちょっと申しましたがいわば状況的な問 題で、それに対応するには状況的な手法で、構造的というか制度的な対 応というのはちょっとどうかということを申し上げましたが、概ねその ような御見解が多数で私も同感です。1点だけ追加しますと、退職金の性 格について、賃金後払いか功労報償かという御議論があったようですが、 労働法の世界でもよくこういう議論が出てきまして、いろいろな見解が あるのですが、ただ、これはそもそもどういうふうに制度を設計してあ るかという制度が前提になって、その解釈をした結果、例えば勤続年数 が長ければ増額するというのであれば、功労報償的ですとか、そういう 形でまず制度があって、その解釈という形で議論されております。従っ て、およそ退職金というのは本質的にこうだという議論は、あまりして ないような感じがします。  従って、性格性からは必ずしも結論は、直接は出てこない問題ではな いかと思います。そうすると、おそらく問題は制度の中立性といいます か、勤続年数。この退職金というのは、勤続年数と言っても、ある業界 における勤続ということで、一企業における勤続ということではないの で一層話が難しいのですが、ある企業の業界において、勤続年数が長い 方とそうでない方との間の中立を強めるかそうでない方向にするかとい うことでして、建退共の退職金がどう機能しているかということにも関 わってきますので、一般には制度を中立的に設計した方がいいというよ うな動きが最近いろいろな面で強いとは思いますが、なかなか単に中立 にすべきであるという単純なことではどうもすまないような感じが致し ております。  ここで、ちょっともう少し林業退職金共済との関係も同じような状況 かと思いますので、この制度の機能みたいなものを、もうちょっと考え たほうがいいのではなかろうかということです。現段階で、制度の改正 を行うのは議論がより必要ではないかと、結論的にはそういう感じを持 っております。以上です。 ○伊藤部会長 他に皆さんのほうから、いかがでしょうか。 ○林委員 賛成意見、反対意見ということですから、そういう意味でいろい ろな立場の意見があるということは重々承知しているわけですが、建退 共の制度は、もちろん企業が掛金を払って従業員の退職金を保証してあ げるという制度が基本ですが、中には自分で掛金を払って自分のために 退職金を受け取るということが存在しておりまして、その人たちは明ら かに自分の掛けた金額が24月未満だと掛捨てになってしまうのですね。 掛捨てというのは、制度的に納得いくものなのかどうか。そこについて はもう少し配慮していただかないと。前回申し上げましたが、大体24 月というのは、最低でも3年ぐらい働いているということになりますか ら、3年間働いて退職金がない。しかも自分の懐から出した掛金で、結 局そこの退職金の制度を信用して、退職金制度に入ったのに、退職金を もらえないというのですね。ここは、少し不合理なのではないかという のが率直な意見です。 ○伊藤部会長 他にいかがでしょう。この掛金納付月数の問題は、法律 改正を要する問題と理解していてよろしいですね。 ○吉本勤労者生活課長 はい、そうです。 ○伊藤部会長 よろしいでしょうか。これまでのこの累積剰余金の在り方、 それから、掛金納付月数の要件の問題、いろいろ御議論願ってきて、今 日整理されて、また、今日山川委員、それから先ほど御意見もありまし たが、いずれにしても法改正を要する問題であり、さらに詰めていく必 要もあろうかと思いますし、他の情勢がなんとしてもこれを、一気にい ろいろと結論を出していくという情勢では必ずしもないというようなこ と等々ございますし、気になる論点もございますので、引き続きこの部 会で今後議論をしていくということでよろしゅうございましょうか。                 (異議なし) ○伊藤部会長 それではそういうことにさせていただいて、この論点整理 をベースにおきまして、先ほどお話のあった特定業種退職金共済制度の 運用利回りの問題と合わせまして、次回以降、さらに議論を重ねていく という形にさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  それでは2番目の議題、付加退職金の支給率のほうに移りたいと思い ます。この中小企業退職金共済法第10条第2項第3号ロと中退法の一 部を改正する法律の施行に伴う経過措置政令第2条第1項第3号ロの規 定に基づいて、付加退職金の支給率を定める件について諮問がございま す。厚生労働大臣から労働政策審議会あてに諮問がなされておりますの で、事務局から説明をお願いいたします。 ○吉本勤労者生活課長 それでは資料2をご覧いただきたいと存じます。 お開きいただきますと、資料2−1といたしまして、そのあとに厚生労働 大臣から労働政策審議会会長あての諮問文を付けさせていただいており ます。内容につきましては、このあと資料に基づきまして、順次御説明 申し上げますが、今回の諮問につきましては、「記」にございますとおり、 いわゆる付加退職金の支給率を0とすることといった内容です。中身に ついてですが、この支給率を0とするに当たっての根拠の法令、また算 定等のルールにつきましては、これまで例年御覧いただいてきておりま すことと同様ですが、改めて簡潔に御説明申し上げたいと思います。  ちょっと資料が行ったり来たりすることになり恐縮なのですが、まず 関係の法令ということで参照条文の資料2−3をご覧いただきたいと思 います。お開きいただきますと中小企業退職金共済法といたしまして、 第10条で退職金の額等を定めているわけです。第10条の第2項の第 1号では給付月数が23月以下のいわゆる、掛捨てとされている方々の 額、それから、第2号につきましては、24月から42月以下の掛金相 当の額としている部分。それから、第3号のところで43月以上。ここ が今回の諮問に係る部分ですが、まず、イに書いてあるのは、いわゆる 基本退職金、現在の一般中退で申し上げますと1%で予定して運用して いる部分の額を規定している部分でして、その次のロが今回の付加退職 金の部分です。書き振りがややわかりにくいところがございますが、そ の額につきましては、各年度の計算月というのを定めまして、それは掛 金納付月数が43月、または43月に12月ごとの整数倍の月数を加え た月をそれぞれの計算月といたしまして、仮にそこで退職したものとみ なしたら基本退職金がいくらになるかというのを計算した上で、それに このあと出てまいります支給率を乗じていただく。それが、付加退職金 を規定しているものです。その支給率につきましては、その下の第4項 のところで、この支給率は厚生労働大臣が各年度ごとに厚生労働省令で 定めるところにより、労働政策審議会の意見を聴いて定めるものとする とされておりまして、これが今回のこの諮問に係る部分です。  その次のページを御覧いただきますと、これは、いわゆる制度改正が ありました平成14年の経過措置の部分ですので中身は割愛させていた だきますが、さらにその次を御覧いただきますと、中小企業退職金共済 法施行規則でして、これが先ほどの厚生労働省令で定めるところにより としていた部分でして、付加退職金の支払いに充てるべき部分の額とし まして、そこにございますように、当該年度の前年度の機構の業務運営 並びに財務及び会計に関する省令の第12条の第2項の一般の中小企業 退職金共済事業等勘定の給付経理の損益計算における利益の見込額の2 分の1となっております。要は、当該年度の前年度の一般中退の給付経 理における損益の2分の1、これを充てるべき額としているところです。 これが、根拠法令です。  具体的なこの算定のルールにつきましては、引き続きまして、資料2 −4というのが後に付いているかと思います。現在のこの付加退職金に 係るルールにつきましては、平成17年時点で、この一般中退には、累 積欠損金があるということを踏まえて、配分のルールを定めたところで す。具体的に申しますと、資料2−4の1枚目に、平成17年3月17 日付けの厚生労働省労働基準局長の通達が付いているかと思いますが、 その「記」といたしまして、次のページにわたりまして、下線が引いて あるところですが、各年度で生ずる利益の処理の仕方としまして、1つ 目には、解消すべき累積欠損額の2倍に相当する額以上に利益が出ると いうようなときは、2分の1を累積欠損金の解消に、残りの半分を付加 退職金に充てるといったルールでして、利益の見込額が累積欠損金の額 の2倍に相当する額に至らなかった場合については、まず、解消すべき 累損に充てる額、これに利益を充てて、残った分を付加退職金に充てる。 こういうルールになっております。  さらにこのあと、累積欠損金の解消計画が、資料2−5としてその後 に付けさせていただいておりますが、そこで、平成17年10月に、こ の年度ごとに解消すべき累積欠損金の額としての目安額は、180億円 とするということになりました。結論といたしましては、その当該年度 の利益が180億円の2倍ですので、360億円を上回るようなときは その半分を欠損金に充て、半分を付加退職金に充てる。その360億円 に至らなかったような場合は、まず、180億円を欠損金に充て、残り を付加退職金に充てる。そういったルールで、これ以降運用させていた だいているというところです。  そこで恐縮ですが、資料2−2に戻っていただきたいと思います。今 回、平成20年度における給付経理の損益計算における利益の見込額。 これは、2,249億円のマイナスと見込んでいます。その結果といた しまして、マイナスですのでただいまご説明申し上げた180億円に到 底至らないということで、残念ながら付加退職金に回す部分はないとい うことで支給率0といった結論が導かれるわけですが、その年度の損益 の見込額の算出の考え方を少しご説明したいと思います。その次の次の 紙に、「平成20年度の収支の見込みの算定について」とございますが、 ここにございます前提をおきまして計算したものです。まず、掛金収入、 退職金支出につきましては、11月末までの実績値を基に推計しており ます。また、責任準備金の額につきましては、1の推計結果を基に平成 21年3月末に見込まれる責任準備金の額を算定しております。問題に なりますところは、この運用収入のところですが、これにつきましては、 自家運用と委託運用で分けて考えておりまして、自家運用は主に国債、 政府保証債等ですので、今後の利払日や償還日のデータから運用収入を 推計しております。  それから、委託運用につきましては、現在、一番直近で把握している 1月末時点の時価額を用いて計算をしております。その結果が前につい ている表ですが、それぞれ今申し上げたような計算の方法によりまして、 収入・支出を算出しました結果、当期の損益といたしまして2,249 億円のマイナスといった結果になったものです。    説明は以上です。 ○伊藤部会長 よろしいですか。いま御説明のあったこと、また付加退 職金の支給率をめぐりまして何かご意見、御質問等ありましたらどうぞ お願いいたします。 ○高橋(寛)委員 特にコメントはしづらいです。こう見るだけでも、 そうなんだろうなという感じですね。 ○伊藤部会長 私のところもやっぱり加入している厚生年金基金の運用 資産が相当目減りしていますから、財務内容が相当足を引っ張られてき ついのですが、目下のところこの退職金共済制度も、もう少し先に希望 をつないでおかないと。大変厳しい情勢であるとまとめるしかないのだ ろうと思いますが、よろしいですか。 ○高橋(寛)委員 今言ったとおりなのですが、この平成17年でここ の部会でお決めになったことが筋だと思っておりますので、それに基づ いてここの意見とするほうがいいのではないかと思っております。 ○伊藤部会長 使用者側も、よろしいですか。 ○宮本委員 1つ聞いてよろしいですか。この平成17年のこの当時の解 消計画抜粋を見ると、この当時も欠損金が2,284億円と今年とあまり 変わらない額ですよね。13年間で解消するという、私は前にも聞いたの かもしれませんが、なぜ13年になったのか、13年で解消するという 設定をしたのか、もし、よろしければお聞かせ願いたいなと思います。 ○伊藤部会長 厚生労働省のほうで何かありますか。 ○吉本勤労者生活課長 正確にはまた改めてお答え申し上げたいと思いま すが、この独法の中期計画が5年ごとですので、1つはその区切りという年 度を意識したということと、あとは、年々収益としてあげられる額をど のぐらいに見込み得るかといった推計の結果ということだと思います。 ○氏兼勤労者生活部長 当時目標の利回りを2.2と見込んでいたと思う のですが、平成17年当時としては、その2.2というのを毎年、平均す れば13年間達成できるという考え方だったと思います。 ○宮本委員 利回りから逆に計算すると13年ということですか。 ○氏兼勤労者生活部長 先ほど吉本から申し上げましたように独法の中期 計画の期間が5年ですので、平成15年から始まっておりまして、平成1 7年でもうすでに2年経っておりましたので、区切りのいいところで1 3年ということだったと思います。 ○伊藤部会長 よろしいですか。それでは皆さんのほうで特段何もなけ れば、この平成17年に当部会でまとめました考え方に沿って今回の諮問 を受け止めることにさせていただきまして、結論としては、この付加退職金 の支給率を0とするという厚生労働大臣からの諮問を適当と認めて答申 をいたしたいと思いますが、よろしゅうございますか。                   (了承) ○伊藤部会長 それでは、平成21年度に係る付加退職金の支給率を諮問ど おりで適当と認めるということで、答申をすることにいたしたいと思い ます。事務局のほうで答申文案を用意していただき、読み上げていただ きたいと思います。                 (答申文案配布) ○鈴井勤労者生活課長補佐 読み上げます。    「中小企業退職金共済法第10条第2項第3号ロ及び中小企業退職金 共済法の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置に関する政令第2条 第1項第3号ロ(1)の支給率」について。    平成21年3月2日付け厚生労働省発基勤第0302001号をもっ て労働政策審議会に諮問のあった標記については、本部会は、審議の結 果、下記のとおり結論を得たので報告する。    記、  厚生労働省案は、妥当と認める。以上です。 ○伊藤部会長 今朗読していただきました文案によりまして、厚生労働大臣 あて答申をいたすことにしたいと思いますが、よろしゅうございますか。                  (異議なし) ○伊藤部会長 では、皆さん異議なしと認めさせていただきまして、これを もって当部会における答申といたしたいと思います。    なお、この労働政策審議会令第7条第9項により部会の議決をもって 分科会の議決とすることができ、労働政策審議会令第6条第9項により 分科会の議決をもって労働政策審議会の議決とすることができると定め られておりますので、今御承認いただきました答申も、労働政策審議会 の答申として、厚生労働大臣あて提出をいたしたいと思います。    それでは、この平成21年度の付加退職金の支給率についてご了承い ただいた答申を、審議会会長に代わり私のほうから厚生労働大臣の代理 である氏兼勤労者生活部長にお渡しいたします。 (伊藤部会長が、勤労者生活部長に答申を手交) ○氏兼勤労者生活部長 一言御挨拶申し上げます。本部会におかれまし ては,ただいま平成21年度の付加退職金の支給率についての答申をおま とめいただき、ありがとうございました。本日いただきました答申を基に、 事務局におきましては年度内に所要の告示の整備を行うこととしたいと 考えております。残念ながら、平成21年度の支給率は0とせざるを得 ないということですが、本日いろいろな御意見もいただきましたところ です。今後とも、中退制度の安定的な運営に努めてまいりたいと考えて おりますので、皆様方のより一層の御理解、御協力を賜りますようお願 い申し上げます。どうも、ありがとうございました。 ○伊藤部会長 どうもありがとうございました。それでは、本日予定いた しました議題はこれで終わりということになりますが、今後の進め方等 について、もし皆さんのほうから何か御発言等ありましたら、どうぞお 願いいたします。 ○高橋(寛)委員 はい、さっきの議題の(1)なのですが、今後の利回り はいいのですが、先ほど山川先生のほうからもお話がありましたが、こうい うことを基にして制度を考えていこうではないかということまで、今後 考えていくかどうかですが。 ○伊藤部会長 先ほど山川委員からもお話があった、退職金制度の理解 の仕方等々も含めて議論を展開していくかということですね。その辺に ついての御意見も承りながら、議論を深めていくということでよろしい のですか。 ○吉本勤労者生活課長 はい、そうですね。1つは今回の検討の契機と なりましたのは、皆様方よく御存知ですが、累積剰余金が非常に大きく なっているといった中で、こうした問題提起があったと。経緯としては そういうことだと思いますが、そこの状況が非常に大きく変わってきて いる。かつ、その財政状況等についても次回一定の推計をお示ししたい と思っておりますが、何分、非常にこの変動の大きい時期がしばらく続 くのではないかというようなことを踏まえつつ、次回以降、また、御議論 いただければと思っております。そもそもの制度の根幹に関わる部分ですの で、それをどのようなタイムスケジュールを念頭に結論を出すのか。こ の独法の合理化計画で指摘された事項については、措置する法案の提出 のタイミングをにらみつつ、それまでに一定の結論はいただきたいと考 えております。 ○伊藤部会長 よろしゅうございますか。高橋委員からお話あった点も、 そもそも共済制度がどういう考え方で制度設計されていたのかということ を少し遡って吟味して、また、事務局の方からもお話を伺う機会もある だろうと思いますので、その辺も頭に置いて進めさせていただきたいと 思います。  ほかに、ございますか。よろしゅうございますか。それでは、本日の 当部会は、これで終了させていただくことにしたいと思います。最後に なりますが、本日の議事録の署名委員を鈴木委員と市川委員にお願いし たいと思います。よろしくお願いします。どうもありがとうございまし た。  照会先:厚生労働省 労働基準局 勤労者生活部 勤労者生活課 企画係  (内線5376)