09/02/27 第4回国立更生援護機関の今後のあり方に関する検討会議事録 第4回国立更生援護機関の今後のあり方に関する検討会(議事録) 日時:平成21年2月27日(金)10:00〜11:51 場所:厚生労働省共用第8会議室(6階) ○伊藤座長 それでは、まだお集まりになっていない委員もいらっしゃいますけれども、 定刻になりましたので、第4回の検討会を始めたいと思います。  皆様には、お忙しい中、また雨の中をお運びいただきましてありがとうございました。  それでは、まず最初に、事務局より出欠状況について御報告ください。 ○難波施設管理室長 本日の委員の出席状況でございますが、奥沢委員、箕輪委員、山 内委員から御欠席ということで御連絡いただいております。それから、山崎委員が若干 遅れるとのことでございます。  以上でございます。 ○伊藤座長 ありがとうございました。  それでは、資料の確認をよろしくお願いいたします。 ○難波施設管理室長 本日は、資料は1点だけでございまして、国立更生援護機関の今 後のあり方に関する検討の取りまとめに向けての概要案ということでございます。これ は、これまでの国立施設のあり方の検討の論点、あるいは各委員からの御意見等を踏ま えながら、少し整理をさせていただいたものでございます。 ○伊藤座長 ありがとうございました。  よろしいでしょうか。  今日は、前回までの議論を踏まえまして、本検討会の取りまとめということでござい ます。ただ、全面的にこの概要案がまとまっているわけではありませんので、今日のと ころはこの原案をもとにして皆様から御意見をいただいて、その上で追加、書き加えて いただきまして、あるいは修正していただきまして、次へとつなげたいと思います。  それでは、資料1の「取りまとめに向けての概要案」について、事務局から説明願い ます。 ○難波施設管理室長 それでは、「取りまとめに向けての概要案」ということで、資料 1の具体的な中身について少し御説明させていただきたいと思います。  1枚めくっていただきますと目次がございますが、大きく分けて、1つは、国立更生 援護機関の沿革・現状。それから、2つ目が国立施設の役割・機能。それから、国立更 生援護機関の機能の一元化と、3つに分けて整理をさせていただいております。  1枚おめくりいただきたいと思いますが、国立更生援護機関の沿革及び現状というこ とで、この点については8ページまで沿革・現状を整理させていただいております。  簡単に御説明いたしますと、第1点目が国立光明寮・保養所ということでございまし て、ここに書いていますように、国立光明寮・保養所につきましては、戦中・戦後の傷 痍軍人対策で始まっておりまして、その後、身体障害者福祉法が施行されて、「視覚障 害者更生施設」、「肢体不自由者更生施設」という役割を担ってきたということでござ います。併せて、保養所につきましては、戦傷病者特別援護法の保養所の役割も担って いるということでございます。  それで、国立光明寮でございますが、ここに書いていますように、中途視覚障害者の 職業自立のための「あはき師」の養成と、歩行訓練、家事訓練等の日常生活訓練等を行 っているものでございます。これまで「あはき師」として約1万人を超える理療師を輩 出してきたという状況になっております。  それから、2つ目でございますが、18年10月に障害者自立支援法が施行されました。 それによりまして、視力センターについては「障害者支援施設」という位置付けになっ ておりまして、その中で中途視覚障害者に対する「就労移行支援(養成施設)」、「自 立訓練(機能訓練)」といったサービスを提供しているところであります。  それから、「あはき師」の養成につきましては、性格があと2つございまして、「あ はき師の養成施設」の位置付けがあるとともに、それから、専修学校の位置付けがあり、 そういった3つの役割を担っているということでございます。  それから、一番最後でございますが、視力センターの利用者につきましては、近年大 幅に減少しているという状況がございまして、これは視覚障害者全体の中で比較的若い 方々が少なくなっているという状況がございます。この傾向は盲学校等においても同様 の傾向が示されているということでございます。  2ページでございます。そういった現状を踏まえまして、平成20年度から高等課程、 中卒者を対象とするものでありますが、新規受入れを停止しております。したがって、 24年度末をもって当課程は廃止するという形になっております。  それから、(2)の保養所の関係でございます。保養所は、戦傷病者、重度の身体障 害者を入所させて保養を行うということを目的としております。最近では、利用者の大 半は頸髄損傷者という状況になっております。  18年の自立支援法の施行に伴いまして、「障害者支援施設」の指定を受けておりま して、内容としては、「自立訓練(機能訓練)」を提供しております。  ちなみに、戦傷病者の利用につきましては、18年4月をもって最後でございまして、 現在は戦傷病者はいないという状況になっております。  次に3ページでございます。国立障害者リハビリテーションセンターの関係でござい ます。ここに書いていますように、昭和40年代の中盤に身体障害者福祉審議会の答申 がございまして、「身体障害者の医療から職業訓練までを一貫して実施する国立施設を 設置すべき」という答申がなされまして、その後、4〜5年ほど検討しながら、最終的 には54年の7月に所沢に設置されたものであります。  同時に、同一敷地内に旧労働省が「国立職業リハビリテーションセンター」を設置し ているという状況でございます。  それから、一番下でございますが、平成20年の10月、リハビリテーションセンター につきましては、身体障害中心から障害全体を視野に入れたリハビリテーションセンタ ーということで、「国立障害者リハビリテーションセンター」に名称を変更いたしまし た。さらに、更生訓練所の見直し、研究所に「発達障害情報センター」を設置したとい う状況でございます。  次に4ページでございます。部門別状況でありますが、まず、更生訓練所でございま す。更生訓練所につきましては、肢体不自由者更生施設、それから、視覚障害者更生施 設、聴覚・言語障害者更生施設、内部障害者更生施設、こういった役割を担ってきてお りました。  18年の障害者自立支援法の施行によりまして、障害支援施設の指定を埼玉県から受 けておりますが、1つは身体障害者に対する「就労移行支援」、中途視覚障害者に対す る「就労移行支援(養成施設)」、「自立訓練(機能訓練)」、高次脳機能障害者に対 する「自立訓練(生活訓練)」、こういったサービスを提供しているところであります。  それから、「また」のところで書いておりますが、20年10月から重度の肢体不自由 者に対する「自立訓練(機能訓練)」も実施しているという状況でございます。  更生訓練所の利用者は、全体的には減少傾向にございますが、その中でも特に「あは き師」の養成課程が非常に減ってきているという状況でございます。  それから、利用者の状況を見ると、身体障害に併せて他の障害を併せ持つ方々、それ から、糖尿病等の医療的ケアが必要な方、こういった方々が増えてきているという状況 でございます。  5ページでございます。中段から病院でございます。  病院につきましては、身体障害者や身体障害になるおそれのある方を対象といたして おりまして、センターの設立当初は5診療科20床で出発しておりまして、その後、増 床等を重ねながら、現在では14診療科200床の病院という形でございます。  平成20年10月から発達障害に対する診断・治療等を目的に「児童精神科(発達障害 診療室)」を設置しております。  次に6ページでございます。中段あたりから研究所がございます。  研究所につきましては、身体障害者リハビリテーション全般に係る技術等の研究開発 ということを目的としております。設立当初は補装具製作部のみで出発しておりまして、 その後、運動機能系、感覚機能系障害研究、福祉機器開発の3研究部を設置し、現在で は6研究部13研究室で、医学、工学、社会科学、行動科学の学際的研究を行っている ところでございます。  それから、一番下でございますが、平成20年10月に発達障害情報センター、これは 厚生労働省本省の方から移管された形になっておりますが、発達障害に関する各種情報 を障害当事者やその家族等に提供しているという状況でございます。  7ページでございます。学院につきましては、リハビリテーション専門職員の養成・ 研修ということを目的としておりまして、設立当初は養成部門としては国家資格になる 前の「聴能言語専門職員」「義肢装具専門職員」の2学科でスタートしておりまして、 現在では国家資格である「言語聴覚士」「義肢装具士」と「視覚障害学科」「手話通訳 学科」「リハビリテーション体育学科」の5学科で養成を行っているところでございま す。  それから、特に国家資格である「言語聴覚士」「義肢装具士」の養成につきましては、 最近では専門学校、大学等でその養成が増えてきているわけでございますが、したがっ て、当学院の位置付けの明確化ということが課題になっているということであります。  それから、視覚障害学科、リハビリテーション体育学科については、資格化という問 題が課題としてあるということでございます。  それから、研修については、リハビリテーション専門職員の研修ということで20職 種ほど行っておりますが、最近では「高次脳機能障害支援事業関係職員」の研修である とか、自立支援法に基づく「相談支援従事者」、「サービス管理責任者」、こういった 方々の指導者研修というものを行っているという状況でございます。  次に、8ページでございます。秩父学園でございます。  秩父学園につきましては、昭和29年6月に「精神薄弱児対策基本要綱」というのが 決定されておりまして、その中で「国が知的障害の程度が著しい児童又は盲若しくは聾 唖である知的障害児を対象に入所させ、保護及び指導を行うべき」という指摘がござい まして、昭和33年3月に児童福祉法に基づく知的障害児施設として設置されておりま す。  その後、昭和38年に「附属保護指導職員養成所」が併設され、平成12年4月から発 達外来診療を行っているということでございます。  特に秩父学園につきましては、成人に達している方々が全体の8割ということで大変 多くなってきておりまして、こういった利用者の方々の地域生活への移行ということが 大きな課題になっているということでございます。  それから、今、障害者自立支援法の見直しが行われておりまして、その中で障害児施 設の加齢児、成人に達している方々の対応ということが検討されておりまして、法律改 正があれば、それに対する対応が必要になってくるということでございます。  以上が沿革・現状ということでございます。  9ページから国立更生援護機関の役割・機能という問題でございます。  まず、1点目は、基本的な役割ということでございます。  1つ目でございますが、障害者基本法に規定する国の責務というのがございまして、 その中には、医療の提供、リハビリテーション技術の研究開発、人材の養成等が規定さ れておりまして、そういった基本的な施策の具現化、施策への還元等、障害者リハビリ テーションの中核機関としての役割を担うというものでございます。  2つ目は、リハビリテーション医療、リハビリテーション技術の研究開発、人材育成 等の実践を通じて得られる情報の集積と評価・分析、こういうことによって医療・福祉 施策の向上のための政策提言を行う役割を担うというものでございます。  3つ目が、障害者関係施設として、民間施設等での取組みが十分でないものへの対応、 それから、新たな障害分野の対応といったことで、障害全体を視野に入れたリハビリテ ーションの実践、臨床・現場を有する特性を活かしたリハビリテーション技術の研究開 発、人材の養成等を通じまして、公立のリハビリテーションセンター、あるいは民間施 設等への指導的な役割を担うということでございます。  以上が基本的な役割でございます。  それから、2つ目、国立更生援護機関として持つべき機能ということでございますが、 枠で囲っておりますが、非常に重要な部分であると思いますが、国立施設が全国のリハ ビリテーション関係機関の中心的存在(中核機関)として、その位置付けの整理が必要 であろうということで、まだそこは整理がし切れていないということで、本日また御議 論をいただきたいと思っております。  それでは、10ページから16ページまでが機能についてでございます。7つの機能を 掲げております。  第1点目がリハビリテーション医療の提供ということでございます。  まず、1つ目で、障害全体を視野に入れたリハビリテーション医療を提供するととも に、障害に関する臨床データ等の集積、評価や分析を行い、安全かつ効率的な医療の提 供、医療技術の向上を図る必要があるということでございます。  2つ目は、当面は高次脳機能障害や発達障害等新たな障害分野への対応を強化すべき ということでございます。それから、発達障害の分野につきましては、国立精神・神経 センター等でも行っておりますが、そういったところとの連携、役割分担が必要という ことです。  3つ目で、障害に関するデータベースを構築し、臨床データの集積と評価・分析を行 うための臨床研究開発機能の強化が必要ということでございます。その結果、標準的な リハビリテーション医療モデル、あるいは障害の発生予防、二次的障害を予防するため の手法を開発する必要があるということでございます。  それから、下の方にいきまして、(2)でリハビリテーション技術の研究開発でござ います。  リハビリテーション技術の研究開発の中核機関として、医療・福祉技術のイノベーシ ョンを高めるとともに、障害全体を視野に入れた支援技術や福祉機器等の開発、その実 用化及び普及を図るというものでございます。  次のページでございますが、臨床データや社会的ニーズ等の集積と評価・分析を行う とともに、研究開発テーマ等の企画・立案等障害者リハビリテーション技術の研究開発 の主導的役割を担うということでございます。  2つ目でございますが、外部競争的研究資金の積極的な活用や組織横断的な体制を構 築し、プロジェクト研究を推進するとともに、他の研究機関等との有機的連携による共 同研究を促進する必要があるということでございます。  3つ目でございますが、障害者が安心して安全に福祉用具が利用できるよう、その安 全性等の評価認証機関としての機能を持つということでございます。それから、福祉用 具等の国際的な活動への参加など、その機能の充実が必要ということでございます。  (3)としまして、専門職員の人材育成でございます。  1つは、障害関係機関等とのネットワークを構築し、障害関係分野で必要とされる人 材の育成を図るための企画・立案、実施する機能を有するということでございます。  2つ目でありますが、国家資格である言語聴覚士、義肢装具士の養成につきましては、 大学等で進んでおりますが、当学院においては、臨床・現場を有する特性を活かし、よ り専門性の高い専門職の養成を行うというものでございます。  3つ目でございますが、当学院が行います養成学科につきましては、専修学校の位置 付けとなっておりますが、医療・福祉現場の専門職の養成にとどまらず、教育・研究を 担えるまでの人材を育成するということからしますと、大学校等の位置付けということ も検討する必要があるということでございます。  それから、視覚障害学科及びリハビリテーション体育学科につきましては、その資格 化というものを検討する必要があるということであります。  ここには書いておりませんが、障害全体を視野に入れたナショナルセンターというこ とになれば、当然のことながら、このほかにも、例えば臨床心理士であるとか、そうい った新しい職種の養成というものも今後考えていく必要があるのかどうかということも ございます。  12ページでございます。研修につきましては、現在でも身体障害者福祉法の15条に いう医師の研修であるとか、自立支援法上のサービス管理責任者の指導者研修であると か、そういった受講が要件となっている研修を中心に実施すべきではないかということ でございます。  それから、専門職のリーダー、あるいは包括的な支援を担う専門職員等の指導的役割 を担う人材の養成といったところに重点を置くべきということであります。  それから、書いておりませんが、養成部門で行う、例えばSTとか、POだとか、そ ういった国家資格がある養成をやるわけですが、そういった方々の資質の向上という観 点から研修というものを実施すべきではないかということも一つあるんだろうと思いま す。  それから、(4)でございますが、情報の収集・提供ということでございます。  1つ目でございますが、障害関係機関等との情報ネットワークを構築し、国内外の障 害者リハビリテーションに関する情報を収集するということでございます。  それから、障害者リハビリテーションの実践、支援技術等の研究開発によるサービス モデルの構築、人材育成等センター内の情報の一元化を図り、さまざまな情報の収集提 供ができる「総合情報センター」といった機能を持つべきではないかということであり ます。  それから、2つ目でありますが、情報センター機能に併せまして、例えば障害当事者、 あるいはその家族等に対し、各種の障害者リハビリテーション情報が提供でき、医療・ 福祉・雇用等の総合的な相談ができる機能を有するべきではないかということでありま す。  3つ目でありますが、総合相談を行うためには、センター内の情報の一元化を図るこ と、それから、職業リハビリテーションセンターとも連携し、医療・福祉・雇用に関す る総合相談、ワンストップ相談といいましょうか、そういったような機能を有する必要 があるということであります。  (5)で企画・立案ということでございます。  1つ目でございますが、障害者リハビリテーションに関する情報の収集、障害当事者 や家族等の社会的ニーズ等及びセンター各部門のリハビリテーションの実践・研究等で 得られる臨床データ等の評価・分析、エビデンスに基づく国の障害施策への還元、政策 提言をする機能を有する必要があるのではないかということであります。  それから、1つ目でございますが、センターの事業を効率かつ効果的に行うためには、 各部門が行う事業の内部評価・分析というものを行う必要があるのではないかというこ とです。そういう結果に基づきまして、新たな事業の企画、既存事業の見直し等、企画 部門がセンターの司令塔としての機能を有するべきではないかということであります。  (6)で国際協力でございます。  我が国の障害者リハビリテーションの中核機関として、WHOであるとかJICAな どの事業に協力する。それから、国際リハビリテーション協会等の諸外国の活動への協 力、国際的な活動への参加、国際交流を図るといったようなことも機能として持つべき ということです。  それから、書いておりませんが、特に外国人の処遇困難な障害者というものが世の中 にあるわけでありまして、こういった方々の受入れということも国の機関として視野に 入れるべきではないかということであります。  それから、(7)でございますが、障害福祉サービスの実践ということで、施設機能 の問題でございますが、国に設置義務がある障害関係施設でありますが、特に民間施設 等での取組みが十分でないもの、新たな障害分野の対応等、障害児・者に対する自立の ための先駆的かつ総合的な支援を行うということであります。  それから、2つ目でございますが、リハビリテーション技術の研究開発・人材育成等 の臨床・現場としての機能を果たすということと、先駆的・試行的取組みを通じて、い わゆるサービスモデル等の公立のセンター、あるいは民間施設への提供等指導的役割を 担うというものでございます。  部門別に書いておりますが、更生訓練所でありますが、1つ目で、「医療から職業訓 練まで一貫した体系の下で総合的なリハビリテーションの実施」という現在行われてい る内容でありますが、これは継承してやるということであります。  2つ目で、更生訓練所の利用者につきましては、身体障害者が中心になっているわけ でございますが、今後においては、発達障害等新たな障害分野への対応を図る必要があ るということであります。それから、将来的には知的障害者あるいは精神障害者に対す る就労移行支援等のサービス提供について検討する必要があるのではないかということ であります。  更生訓練所につきましては、他部門あるいは地方センターとの連携による就労移行支 援や自立訓練等に係る先駆的・試行的取組みを行う。それから、そういったことを通じ て個別支援プログラム、あるいはサービスモデルを構築し、民間施設等へ提供するなど 指導的役割を担うということであります。  視力センターにつきましては、「あはき師養成課程」の利用者は年々減少しているわ けでありますが、一方で視覚障害者の職業として「あはき師」の割合はまだまだ高いと いう状況もありまして、引き続き養成機関としての役割を担っていく必要があるのでは ないかということであります。  ただ、視力センターの全国的な配置につきましては、利用者の現状等を踏まえ、見直 しが必要ではないかということであります。  次に、15ページであります。重度障害センターでございます。  特に、民間の更生施設等で頸髄損傷者の利用が余り進んでいないという現状がござい ます。したがって、国立施設として引き続きその機能を有する必要があるということで あります。  それから、急性期あるいは回復期のリハビリテーションを行う病院等と連携して、早 期の機能訓練ができるようにする必要があるということであります。  2つ目でありますが、利用対象の問題でございますが、若年の脳血管障害等の肢体不 自由者についてもその利用の対象の拡大を図るべきではないかということであります。  次に、秩父学園でございますが、重度重複の知的障害児に対する自立のための先駆的 かつ総合的な支援の提供等を通じ、障害児の個別支援プログラムあるいはサービスモデ ル、こういったものを開発して、民間施設等への情報提供等指導的役割を担う必要があ るのではないかということであります。  2つ目の後段の方になりますが、特に加齢児が増えてきているということでございま すが、利用者本人あるいは保護者等の理解を得ながら、地域生活への移行の取組みを強 化すべきということであります。  一番最後でありますが、利用対象の問題でございますが、強度行動障害児あるいは発 達障害児等の利用対象を拡大すべきではないかということであります。  17ページ、機能の一元化ということでありますが、1つは、国の直轄施設として効率 かつ効果的な事業運営を行うということからしますと、共通的・統一的な方針の下で実 施する必要があるのではないかということであります。  2つ目で、国立施設自体は4類型8施設があるわけでございますが、そういった施設 においてもその運営方法が若干違っているということもございまして、そういった意味 からしても、機能の一元化というものが必要ではないかということであります。  いずれにしましても、クオリティの高いサービスを提供するためには、機能の一元化 というものが当然必要ではないかということであります。  駆け足で恐縮でありますが、以上でございます。 ○伊藤座長 ありがとうございました。  本検討会の皆様方のディスカッションの結果は、こういう形の報告書で提言をしたい ということでございますので、1と2と3、国立更生援護機関の沿革及び現状、特に問 題はないかと思いますが、まず実態を示しておいて、その上で役割及び機能をここのデ ィスカッションを踏まえて書き込むということでまとめたいということでございます。  さて、ディスカッションに入りたいと思いますが、最初に、8ページまでの沿革及び 現状、これは歴史から今の現状についてこうですよと規定しているところでありますが、 特に問題はないかと思いますけれども、皆様方から、これは間違っているとか、あるい はどうしてもここは追記した方がいいとかという内容がございましたら、御意見をいた だきたいと思います。どうぞ。 ○東山委員 東山ですが、第1点目の現状の分析のところですが、1ページの下、視力 センターの利用者の減少につきまして触れておりますが、視覚障害者全体31万人、こ れは平成13年の実態調査に比べれば、ほぼ横ばいです。この中で利用対象と考えてい る50歳未満、これは約1割。そこで利用対象と考えている50歳未満というのはどこか らくるのか。あるいは、応募要件とかに入っているのかどうか。私の記憶だと入ってい ないように感じています。また、厚生労働省においては、就労移行支援事業として力を 入れているはずです。一般の労働統計とか、生活保護の稼働年齢層、これを見ると14 歳から64歳という年齢区分になっております。  そういう見方をしますと、50歳未満の1割。1割というのは12.5%になっておりま す。例えば64歳まで入れた場合は、視覚障害者の38%になります。また、60歳未満を とらえれば27.4%と、決して利用者が減っているのが若年層が減ってきたという理由 には必ずしも一致しないのではないかと思います。ここら辺は、一般の方が見たときに、 視覚障害者が減っているというイメージを与えないためにも、正しく稼働年齢層ぐらい はとらえてほしいというのが1点でございます。  もう一点は、5ページのリハビリテーションセンターの病院の病床数の見直しがあり ますが、この入院患者の減少、あるいは外来患者の減少の要因が、例えば人的なものに よるものか、あるいは設備的なものによるものか、職員がこれだけしかいないから、入 院患者を受け入れられないとかという要因を分析し、その要因を踏まえた見直しがされ なければ、ただ減らせばいいというものじゃないと思います。  以上でございます。 ○伊藤座長 事務局、何かございますか。1ページの利用対象と考えている50歳未満 というのはどこから出てきたのかということなんですが。 ○難波施設管理室長 利用対象は、厳密に言えば64歳までが対象になります。ただ、 余り高齢になって「あはき師」になったとしても、現実に職業として活用されるかどう かという問題も一方ではあると思います。したがって、中心となるのは比較的稼働年齢 層が若い方ではないかという趣旨で書いております。  それから、視覚障害者の新規発生という部分では低い状況になっておるんで、そうい う意味からして若い方というのは減ってきているというのは現実の問題としてあるとい うことであります。  それから、病院については、ただ減らすということではなくて、これから病院の機能 としてどういう機能を持つかということも含めて考えないといけないので、単純に減ら すという意味ではなくて、機能の全体の見直しを行うということになろうかと思います。 ○伊藤座長 どうぞ。 ○東山委員 1点目の若い人を対象だというふうに言っていますけれども、視覚障害者、 私ども視覚障害者の団体ですけれども、視覚障害者自身、働く場所があれば働きたいと いうのが本音なので、ここら辺を是非この報告書の中にも入れておいてもらいたい。そ ういう意味では、表の中でも結構ですので、こういう対象者はいますということを、文 章に合わせた表ではなくして、実態調査は5歳年齢で区切っておりますので、そういう 表記をしてもらいたいと思います。  それから、病院の方につきましては、先ほど言ったのは、設備的、あるいは人的な問 題がないのかという要因を踏まえた表記でないと、ただこのまま読みますと、入院者が 減っている、外来者が減っているから減らしましょうという読み方しかできませんので、 表記の方法は検討してもらいたいと思います。  以上です。 ○伊藤座長 ありがとうございました。  1ページについては、稼働年齢層の問題をまず言っておいて、それで主体としての若 年者が減っているんだというような言い方をすれば、ここのところは済むのだろうと思 います。5ページの方は、いわゆる見直しが必要なんだということは、必ずしも患者さ んが来ないから見直しが必要なんだということじゃないということですので、それはそ うだと思いますし、いろいろな事情から見直しが必要で、ニーズの問題だと思いますの で、そこのところを誤解のないように書くようにしていただければということでござい ます。  ほかにございますでしょうか。 ○森委員 森ですが、1ページの下から2番目ですが、障害者自立支援法(平成18年 10月)と書いてあるんですけれども、ちょっと舌足らずじゃないかなと思うんですが。 18年4月で完全実施が10月という形だと思いますので、ちょっと工夫してもらった方 がいいんじゃないかなと思いますが、どうでしょうか。 ○伊藤座長 これは月数まで入れなければいいんじゃないですか。 ○難波施設管理室長 2段階施行になっておりまして、障害者の支援施設は18年の10 月なものですから、こういう表記をさせていただいているという次第です。2段階施行 なので、施行日は取っても別に支障はございません。 ○森委員 わかりました。 ○伊藤座長 そういうことですが、障害者自立支援法の施行に伴う問題ですから、そこ のところは10月と書かない方がいいとは思いますが。  ほかにございますでしょうか。変革及び現状についてはよろしいでしょうか。  それでは、続いて9ページ以降、本題になりますが、そこのところからの御意見をい ただきたいと思います。あらかじめ皆様方資料をごらんになっていると思いますので、 どうぞ突っ込んだ意見をいただければと思いますが、よろしくお願いいたします。どう ぞ。 ○氏田委員 まず、全般についてです。第1回からもお願いをしてきている部分だと思 います。9ページ以降の機能のところとかでいろいろお書きいただいているのですけれ ども、この国の障害分野というのは発展途上の前期にあると言っても過言ではないと専 門家の方もおっしゃっているような状況があります。また、障害者の権利条約の批准も そう遠くはないだろうということもこの間ちょっと耳にしました。障害分野にとっても う一段ギアチェンジをした新たな時代を迎えていくということになるかと思うのですけ れども、当然、その新たな時代にかなった国家的な社会支援が本人にとっても私たち家 族にとっても必要になるということになります。中央障害者施策協議会でも障害分野の 近未来像が論議されていると伺っておりますので、是非新しいリハビリテーションセン ターとして生まれ変わってというか、機能をもう一度見直しをして、その役割を担って いただきたいと思っています。そういう意味で、このまとめの全般のところで、世界も、 そして日本も大変財政が逼迫しているという現状はありますけれども、障害分野に関す る国家的な社会資源であるリハビリテーションセンターを引き続き継承するという大方 針の確認ができるような文言というか、どこかに文章が1つほしいと思いました。  それから、では、それをどうやって実現していくのかというところでは、情報提供で あるとか、人材の育成だとかというところで書いていただいていると思うのですけれど も、障害者リハビリテーションに関する国の内外の資料収集、蓄積、そして統計処理と いうことが書かれていますが、その場合に、もっと国民にとっても当事者にとっても使 いやすいものであってほしいと思います。  次に、現場への支援で、人材の育成で幾つか書かれておりますが、皆さんも御存知の ように、どこも現場は本当に文字どおりの試行錯誤です。そういう中で、現場が持ちこ たえられるような国としての支援機能を拡充してほしいと願っています。全国的な規模 で本当にさまざまな実践が繰り広げられていますけれども、その多くは、我流の域を出 ていないというものも大変多く見受けられると思いますので、確信が持てなくて現場の 職員が挫折してしまうような可能性がすごく大きいので、その辺は是非若い世代を中心 とした人材を確保できる、あるいは迎え入れるというために、国家的な支援機能が欠か せないと思います。どんなに研究が進んでも、現場が疲弊しては何にもならず、本物の 研究とは言えないと思います。方法は簡単ではありませんが、この点に作用するような 機能を構築できないでしょうか。是非是非進めてほしい思いますので。機能の中ではそ の辺のところに触れてくださっているのだと思うのですけれども、もう少しそのあたり が明確に出てくるような書き方をしていただけるとありがたいなと思いました。 ○伊藤座長 ありがとうございました。  この報告書の最初に「はじめに」というのがあるんですね。これはまだ書かれていな いので、「はじめに」で多分そういう情勢だとか、今の社会のニーズ、そういうことが 書かかれることになるんだろうと思いますが、事務局、そういうことですよね。 ○難波施設管理室長 はい。 ○伊藤座長 その後の使いやすさだとか人材の確保だとか、そういう問題についても、 持つべき機能のところでかなり書ける部分というのはあるかと思います。  具体的な点で何かということじゃないですか。そういう重点を、ポイントを絞った書 き方をしていただきたいということですね。 ○氏田委員 はい。 ○伊藤座長 わかりました。  どうぞ。 ○小中委員 全日本ろうあ連盟の小中です。  1つ考えていただきたいということがあって、今、話がありましたように、権利条約 の批准を控えているということで、もう少し踏み込んでということでお願いしたいこと は、リハビリテーションという言葉の定義の内容について、改めて確認といいましょう か、それが必要ではないでしょうか。リハビリテーションの考え方は、昔と今とかなり 変わってきているはずだと思います。一般的には、何か専門の方が障害に対してここを 回復するためにいろいろプログラムを作って訓練をするとか、お世話をするというよう なイメージがありますけれども、今は、障害当事者がどのように社会参加していくのか、 人生を生きていくのか、主体的な意思を尊重していくという部分にも変わりつつあると 思います。その権利条約の中に、全体の理念といいますか、それを踏まえた上でリハビ リテーションというそのものを考え方を国としてきちっとすべてをはっきりして、それ を表明する役割があるのではないでしょうか。改めて、リハビリテーションとは何か、 どうあるべきかというようなところを踏み込んだ形で権利条約と絡んでそれを入れてい ただきたいと思います。  その上で、例えば、具体的な面では、まだ私自身わからない面があるんですけれども、 人材養成の面で専門の職域の養成の役割の中で、今の相談支援という体制といいますか、 総合的な支援の中で、自立支援法の中で、例えばピアカウンセリングという言葉が出て おりますけれども、障害を持っている人が同じ障害を持った人に対していろいろ相談を して関わっていくという、それがとても大事だと思います。しかし、現状は、ピアカウ ンセリングのあり方とか、その役割、そういう方の養成検討がまだ全くされていない状 態ではないかと思っています。ですから、ピアカウンセリングという障害者自身が相談 支援の役割を担うという面についてももっともっと養成の役割を持つべきではないかと 考えます。  それに絡んでもう一つ。例えば、聴覚障害者の場合は、コミュニケーションの壁があ るために、いろいろな資源の活用ができないという問題があります。そのために、手話 のできる、手話で直接話ができる、支援を受けられるところがあればいいなと思います。 ろうあ者相談員という、あちこちにはいますけれども、国の制度ではないんです。その あたりをろうあ連盟としては相談支援をする専門の中に新しく聴覚障害者専門支援をす る人を養成する、そういう役割も考えてほしい、資格も考えてほしい。その面での養成 の先駆的な役割を担っていただきたいという期待があります。  また、もう一つ、国立の更生援護機関の中で働いている方々、働き方が皆さん障害を 持っている方々は、どれぐらいのパーセントいらっしゃるのか。つまり、障害を持って いる人がもっともっとこうしたリハビリテーションの職業に対して積極的に関わってい けるように、そういう環境になってほしいという気持ちがありますので、障害を持って いる人をどんどん採用して、研究分野でも働く、当事者として研究に関わっていくとい うことをもっともっと障害者の雇用につながっていくという役割も考えてほしいと思っ ております。  以上です。 ○伊藤座長 ありがとうございました。  リハビリテーションの定義というのは大変難しい話ですが、ただ、「国立障害者リハ ビリテーションセンター」という名前を冠しているわけですので、国立リハビリテーシ ョンセンターとしての立場というのは少し明確にすることはできるかなと思いますね。  ピアカウンセリングの問題等々は、人材育成の中でどういうやり方をするかというこ とだとか、資格の問題についてもどういうふうに幅を広げていくかという課題だと思い ますので、それも書き込める部分というのはあると思いますが、事務局、何かございま すか。 ○難波施設管理室長 具体的な職種については、これからどういう養成なり研修をやる かというのは、それぞれの事業の中で検討しないといけない問題はあるんだろうと思い ますが、例示として書く分には、それは整理はできると思います。  それから、手話の関係は、手話通訳者の養成を行っておりまして、それに加えて、さ らに相談支援の部分でどういうような関与ができるかということは少し整理は必要なん だろうと思います。 ○伊藤座長 ただ、私もピアカウンセリングについては、研修のやり方としてそういう 実習的な意味で入れ込むということは、今後是非必要だろうと思いますので、これはや り方の問題ですから、この報告書に書けるかどうかは別として、今後皆さん御検討いた だきたいと思います。  そのほかにございますでしょうか。どうぞ。 ○黒澤委員 ここでいろいろな話題が随分網羅されているんですね。それぞれよく見る と全部網羅されているので、その内容自体についてはどうこうじゃないんです、私が言 っているのは。例えば、10ページのリハビリテーション機能の3つ目の医療の部分な んですが、大変概念的にきちんとしているんですね。医療モデルを作って、生活習慣病、 二次的予防、手法を開発すると概念が明確なんですね。一方、例えば13ページの福祉 の方なんですが、難しいことはよくわかっているんですが、例えば7番目の1つ目で、 最後に、「自立のための先駆的かつ総合的な支援を行う必要がある」とここに書いてあ るわけです。そして、その前の12ページに、総合相談をワンストップで行う、これも 大変いい提案で、私も賛成なんです。企画・立案がその下に入って準備します。企画・ 立案が社会的ニーズ、センター各部分、いずれも言っていることは正当なんだと私は思 うんです。例えば最後に14ページに更生訓練の話になるんですが、これらをずっと見 ますと、結局、一体更生訓練所は、何をモデルにしてやるのかなということが、やって いる人間はわかっているんですけれども、端から見たときに、医療モデルのようにきち っとわからないところがあるような気がしているんです。  例えば、ワンストップの相談は前の方にある。先駆的なのはこちらにある。プランニ ングはこっちの方にあるというふうになって、それぞれが必要なことは理解するんです が、要するに、医療モデルでやるということを片方で言っているわけです。  ところが、WHOのICFのモデルでは、医療モデルと社会モデル、生活支援モデル でも、自立支援モデルでもいいと思うんですが、そういう統合モデルを国連(WHO) はやっているわけです。今度のWHOでは。したがって、リハビリテーションの定義の 話が出ましたが、一体リハセンターは、医療のモデルと、医療だけでリハビリテーショ ンセンターは成り立っているわけじゃありませんので、やっぱり施設機能、あるいは更 生訓練機能がある。特に今度介護が入ってきますね。そうすると、モデルのパラダイム の変遷があるわけなんですよ。そうしますと、生活支援モデル、若しくは自立支援モデ ルというのが更生訓練所はあって、そして医療モデルとの連携で総合的なリハ体系があ るという理論構築をして、旗印がどこにあるのかということを明確にした方が私はいい のではないかと思うんです。ですから、それぞれの文章は別に異論はないのですが、こ ういう旗印でいくんだということを、障害者の方一人ひとりの生活のプロセスをどこか のモデルで押さえるんだ。それで、医療と連携してリハビリテーション総合プログラム があるんだというふうにした方がいいのではないかという提案でございます。  以上です。 ○伊藤座長 ありがとうございました。  今の書き方は、センターの部門ごとに分けて書いているからこうなるんだろうと思う んですね。問題は、その部門の縦割りをどうするかというところから見直せと、そうい うことでございますので、もう少し国立リハセンター全体としてどうするのかという立 場というか、そのスタンスをどこかで書けばよろしいかなと思いますが。 ○黒澤委員 そうです。そういうことです。 ○伊藤座長 最初にそれを書いておいて、それでそれぞれの部門でまとめればいいのか なと思うのですけれども、横でつながることはいっぱいあるものですから、そこはちょ っと書き方の問題だと思います。  どうぞ。 ○柳澤委員 柳澤ですが、役割及び機能については、本検討会で議論されたことをよく まとめられて、内容自体は私はこれでよろしいと思っています。  ただ、12ページの(5)の企画・立案についてでありますけれども、13ページの方 に「内部評価・分析を行い」という表現がありますと、外部評価の点についても触れて おいた方がいいだろうと思います。現在、国立障害者リハビリテーションセンターでの 定期的な外部評価は運営委員会が行っていると理解していますけれども、やはり国の事 業として、いろいろなこういったリハビリテーション、あるいはまた医療の状況が変わ ってくる中で、定期的な立案、実施、評価というものに外部の委員によるものを加える ということは、これは国の機関全体として現在行われていることでありますので、自明 のことと言えば自明のことかもしれませんけれども、一応言葉としても何らかの形でこ こに加筆しておいた方がよいのではないかというのが私の意見です。  以上です。 ○伊藤座長 ありがとうございました。  ほかに。どうぞ。 ○上野委員 上野です。  全体的に非常によく書かれてありますけれども、もっと前向きなことが必要ではない かと思います。それは何かといったら、こういった国立障害者リハビリテーションセン ターとしての役割と機能を日本の中核的なものとしてさらに推進するために、この際大 学をつくっていくべきじゃないかと思います。そこで、11ページの下の方にはその機 能(大学校、大学院等)の見直しが必要であるという程度に抑えてありますけれども、 積極的に新しい大学をつくるような提言が必要ではないかと思っております。この分野 は非常に重要な分野ですから、これを総合的な大学として作って、そこの附属病院も規 模を大きくして、そしてまたいろいろな訓練施設なんかも規模を大きくして、全国のセ ンターとして、またアジアを含めた世界的なこういった分野の人材育成、研究開発の中 心的な存在としての役割をさらに果たしていくということにした方がいいと思います。  というのは、ちょっと前の方で気になっていたんですけれども、現在の病院が利用者 が少ないということを書いてありますけれども、これはそれなりの原因があるわけであ りまして、大きな総合的な大学にして、そこで大学病院にして、全国的な、地方と中央 との交流をよくすることによって、さらにいい病院もできるし、全体的な意味で前向き な、ポジティブなサイクルができることによって、どんどん発展するんじゃないかと思 っております。 ○伊藤座長 大変大きな話が出ました。理想的な話のようにも思いますけれども、なか なか実現が難しそうですが、総長いかがですか。何か御意見ございますか。 ○岩谷委員 座長の御指名でございますので、意見を述べさせていただきます。  私どもとしては、障害に関する医療・福祉、いろいろなモデルを作る必要があると思 っております。それから、そういうものをどのように社会に根付かせるか、社会のシス テムとして作っていくかということが我々にとって非常に大きな役割と思います。それ が国立の施設の一つの大きな役割だと思います。  と申しますのは、幾らサービスモデルを考案いたしましても、わが国においては障害 者の方々はそれを自分のお金を払って利用することは非常に困難です。ですから、それ らを公的なシステムとして社会にはめ込んでいくということが非常に重要と思います。 我々の 経験、研究成果をいかに社会福祉政策として社会に位置付けていくかを考えていきたい と思っております。  上野先生の御指摘の点につきましては、学院は今人材養成について一つの分かれ目に おりまして、どのような方向に進むのか、大学又は大学院の機能を模索する必要はある のではないかと思っております。  上野先生の御指摘いただくような大きなお話ではないのですが、考えております。 ○伊藤座長 どうぞ。 ○上野委員 誤解がないように。私、現在ある国立リハビリの研究所とか、こういった 学院を中核として、それを大きくして大学院のレベルにしたいというのが僕の考えなん ですよ。別に現在あるのを壊して新しく大学をつくれということではございません。 ○伊藤座長 壊して作ってもいいかなと思ったんですけれども、いずれにしても大学機 能に高めていくんだと、そういうことですよね。 ○上野委員 はい。現在、例えば、旧労働者で産業医科大学がございますね。もう一つ、 清瀬に日本社会事業大学があるそうですけれども、こういったまさに厚生労働省の社 会・援護局障害保健福祉部、これを中心とした生きた学校の大学と大学院と研究所があ って、それと病院ですね。この時期に、このような大学をつくることを提言するのが一 番時宜を得たものと思っております。 ○伊藤座長 総合的な大学機能を構築していくんだと、そういう内容を盛り込めという ことでございますか。 ○上野委員 はい。それと、先ほど小中さんですか、おっしゃいましたけれども、やは り障害を持った方が積極的に参加するということは非常に大事なことでありまして、そ ういった新しい概念の大学にそういったことを積極的に採用する。例えば、東京大学に 視覚障害者、聴覚障害者の方が教授としておられます。これは非常に明るいニュースで あって、障害者だけでなくて、普通の人にとっても非常に希望を与えるニュースなんで すね。そういったことをもっともっと積極的に取り入れるべきだと思っております。 ○伊藤座長 ありがとうございました。  どうぞ。 ○寺山委員 私も上野先生の意見には大賛成でありまして、盛り込めるのなら是非盛り 込んでいただきたいということですが、それとは別に、先ほど10ページだと思うんで すけれども、先ほど黒澤先生ですが、リハビリテーションのモデルの話で、医療モデル の方はしっかり書いてあるけれども、社会モデルあるいは統合モデルのところは抽象的 ではないかということなんですが、私もそれは非常に気になっていて、10ページの上 のリハビリテーション医療の提供ということで、ああ、提供されるんだな、新たな形で と、これはよくわかると思うんですが、もう一つのここは、医療・福祉ということです から、(2)のリハビリテーション技術の研究開発ということで、ここが福祉技術とい うのかな、ソーシャルワークとか、職能技術だとか、視能訓練の技術だとか、さまざま な福祉技術がありますけれども、それについては、研究開発はするけれども、提供はし ないのか、どのように提供してくれるのか、そっちの方が社会局のリハセンターとして はメインであったはずではないかというように私なんかは思うんですけれども、その辺 の工夫が必要なんじゃないかなと具体的には思いました。  以上です。 ○伊藤座長 ありがとうございます。  確かに福祉のところは具体的なイメージがなかなかわきにくいところがありまして、 書き込むのも難しいでしょうが、少し工夫をしていただきたいと思います。突っ込んで いただきたい。具体性を持たせた書き方にしていただきたいということですね。  どうぞ、山崎委員。 ○山崎委員 皆様のいろいろな意見を総合化してこのようにまとめていただきまして、 大変ありがとうございました。  今、皆様の御意見などを伺っていて、私どもの大学でもリハビリテーション学科とい うのがありまして、そこで養成訓練といいますか、そういう専門教育をやっているんで すけれども、さらに大学院をつくりまして、大学院の中にリハビリテーション専攻の学 生たちが、この間、修士課程の報告会をさせていただいたんですけれども、方向が2つ に分かれてきているなという印象がありましたのは、リハビリテーションの領域が非常 に細分化してきているといいますか、それぞれの専門領域が深められてきて、そしてそ のニーズに合わせて、それを深めたいというニーズを持って、私どもは社会人教育です ので、全部が現場にいる方なんですね。現場にいる方が学校へ戻ってきて勉強していら っしゃるんですが、これから医学に近いような形の専門分化していく人たちの領域が、 例えば呼吸器だったり、いろいろな領域ですね。それから、ある筋の部分だったりとい うふうな、かなり医学に近いような形のリハビリテーションをやろうという人たちが1 グループあります。それから、もう一つのグループは、自分の専門領域だけではもうや れないんだ、つまり、全人的な流れを作っていかなければいけないというふうに本当に 思い詰めて、地域の中でチームを作ろうとしている学生群といいますか、現場群といい ますか、その2つのニーズが私たちの教育に向けられているように思われます。そのい ずれも私は必要だろうと認識できるんですけれども、ここで個別支援プログラム、ある いはサービスモデルを作ろうということはわかるんですけれども、もう一つ、そこに私 どもの大学の教員なんかを見ていてもそうなんですが、本当に苦労しながら養成校、例 えばこちらの養成校ですね。養成校などを出て、それからドクター、自分がドクターを とらなければ大学の教員になれませんから、その間に10年、20年と現場経験を皆さん 持っていらっしゃるんです。  その中で、自分たちが非常に現場で突き当たったりしながら、それをふくらませて教 育の中に入れていこうというふうに考えている人たちなので、いわゆる他の領域のアカ デミックグラウンドを持っている人とは違うんですね、リハビリテーション関係の先生 方というのは。  そういう意味で、先生方お一人おひとりの努力は非常にわかるんですけれども、でき れば個別支援モデル、サービスモデルのほかに、リハビリテーション教育といいますか、 どっちかというと専門学校を出てやってきた方々が現場の中の非常にエンピリカルな体 系の中で日本風のやり方をしていらっしゃるんですけれども、国際的な学会にかなりみ んな発表はしていらっしゃるんですけれども、日本としてはどういうリハビリテーショ ン教育をしたいのかということを非常に悩んでおられます。そういう意味では、ナショ ナルセンターとしての機能として、というのは、全人的にとらえていかないと、これか らはチーム医療だったり、コラボレーションだったり、この前もちょっと発言しました けれども、新しい連携学会が立ち上がってきますね。新潟の方で作られるようですけれ ども、インタープロフェッショナルエデュケーションができることが多分必要だと思う んです。その点もできれば教育モデルというものをお考えいただくということも、こち らは研修や教育のプログラムをお立てになるので、その辺のところを是非提示しながら、 できればアジアに発信できるような、先生方は随分アジアに行っていらっしゃって、ア ジアにいろいろなプロジェクトを下ろしていますけれども、アジアの中での、変な言い 方ですけれども、先駆的な日本の国が持っている力をお出しになれるような意味では、 上野先生などの御提案もできれば実現の方向に向かっていけるといいのかな。みんなそ れぞれがまだ若い教育現場ですから、その辺のところについての総合的な研究といいま すか、聴覚の方だったり、視覚の方だったり、多様なマルチプルなその辺を考えながら、 そこから目線を離さないで、そして、障害者当事者が実際に主体的に活用できる舞台装 置を作る。その舞台装置の後ろ側で支援ができる専門職を作らないと、ますます細くな って、自分の専門化、医療モデルが中心かもしれませんけれども、できれば教育モデル を是非御考案いただいて、現場は非常に悩んでいるように思われます。その辺をよろし くお願いしたいと思います。  それから、もう一つ、総合的なワンストップ相談を入れていただいたのはすごくあり がたいと思いますし、今度の新しい教育改革といいますか、介護やいろいろな領域の教 育改革、看護、介護、栄養、福祉、いろいろな領域で今年から新しい教育改革に取り組 みますけれども、どの教科書にも出てくるのはワンストップ相談なんですね。総合的な 相談体制を作っていこうということでこれを入れていただいたのはすごくよかったと思 うんですけれども、できればこのあたりについても、モデル的なというのは地域の中に 生活支援センターを障害者の場合に作っているんですが、それも皆さん非常に困りなが らやっていらっしゃいますね。そういう意味では、ワンストップ相談という新しい手法 は、まだまだ緒についたところで、地域・ワンストップ相談なんです。だから、いろい ろな資源開発からエビデンスを積み上げていくところからやっていかなければなりませ んので、この辺のところもできればモデル化できるような方向をお考えいただけると、 医療モデルだ、何々モデルだと言う前に、発生予防や生活習慣病など二次的な障害を予 防する手法につながっていくのではないかと思いますので、できますればそのような、 支援モデルというだけではなくて、今のようなことも含めたことをお書き込みいただけ ると、それが目標になっていくのではないかなと思います。 ○伊藤座長 ありがとうございました。  大学機能をというような内容で書き込むとすれば、当然サービス提供者側のモデル化 も必要だと思いますので、その中で書けるように思いますが。  ほかにございますでしょうか。では、片石委員。 ○片石委員 いつも余り本質的な意見じゃなくて申しわけないんですが、13ページの ところに国際協力というのが書いてありますが、非常に結構なことだと思いますけれど も、リハビリテーション事業に関して、国内協力も是非お願いしたいと思います。今や っていないということじゃないんですけれども、うちのリハビリテーション協会も毎年 リハビリテーション研究大会というのをやっていますが、そういうときのマンパワーの 派遣とかが中心になりますが、それも項を立てることかどうかわかりませんが、一言書 いておいていただければありがたいと思います。  それから、15ページの重度センターのところに一番上のところに、急性期及び回復 期リハ病院との連携により早期の機能訓練というのが書いてありますが、その前のペー ジの視力センターについても、同じように眼科医が相当中途失明の方の情報を持ってい るわけですので、より一層眼科医と連携をいろいろな形で深めて、眼科医がなるべく早 く視力センターを患者に紹介し、又は見学を勧めるような体制をとっていけば、失明直 前又は失明した後で2〜3年徒労に生活を過ごしている例もあると聞いておりますので、 大きな減少傾向の回復の要因にはならないと思いますけれども、何人かはそこで救われ る方もあるのではないかと思いますので、視力センターの方にも一言触れていただきた い。  以上でございます。 ○伊藤座長 ありがとうございました。  ほかにございますでしょうか。どうぞ。 ○氏田委員 1つは、先ほど小中委員の方からもお話がありましたピアカウンセリング ということで、情報を提供させて頂きたいと思います。同じ障害の当事者同士の相談体 制というふうに考えると、障害のある子どもを持つ家族への相談支援をということで、 これまでもそれぞれの地域で少し先輩の同じ障害を持つ子の母親たちが後輩のお母さん の話を伺ったりなど相談を受けることがありましたが、今、家族同士で相談を担える人 材を育てていこうということで、ペアレントメンターを養成しています。特に自閉症と か発達障害は、スペクトラム上にいたり、障害が重なりあっていたりするものですから、 幅広く知識を得ていただくための知識研修や、あるいは相談を受けたときに役立つよう 相談の基礎技術などの研修を受けていただいています。特に障害の受容期のお母様たち にとって、本当に途方に暮れたときに共感を持って話を伺うことが出来るという意味か らも、家族同士の相談支援も大変役に立っていると思うので、そういう形の相談支援と いうこともこの中に位置付くようなことになるとありがたいなと思っています。よろし くお願いします。  それから、もう一つは、前回、秩父学園の高木先生の方からプレゼンをいただきまし て、15ページの方に3つの項目を書いていただいていますが、皆さんの今日の議論の 中にも出ていました、外部に開いて、外部の研究者とネットワークするということが1 つキーワードとしてあったと思いますが、この1つ目と3つ目のところについて、昨日、 事務局にお届けしておりますが、次のようなことを書き加えていただければありがたい です。  1つ目ですが、「国の施設として」というところから始まっているところですが、 「重度重複の知的障害児に対する自立のための先駆的かつ総合的な支援の提供等を通 じ」という「重度重複の知的障害児」のところですけれども、前回の議論でもありまし たように、重度重複の知的障害児から知的障害のない、いわゆる発達障害児までを含む 支援ニーズのあるすべての子どもたちが対象になると思いますので、「すべての児の社 会的な自立のために」というふうに入れ込んでいただけるとありがたいです。その子ど もたちに対する知的障害児の個別支援プログラムやサービスモデル、事業モデルなどを 外部の研究者たちとのネットワークを形成し、外部の研究者の指導による支援効果に対 するエビデンスの評価方法を開発し、民間施設等に情報提供するなど、指導的役割機能 を果たす必要があるという、外部の研究者たちとのネットワークの部分とかを入れ込ん でいただけたらと思います。  それから、3つ目になりますけれども、「また、主たる入所対象は重度の知的障害と 肢体、視覚及び聴覚の障害を併せ持つ知的障害児であるが、強度行動障害児や発達障害 児等入所の拡大を図るところで」というところも、できれば、強度行動障害のお子さん とか発達障害児のお子さんというところに関して言いますと、ニーズが違っている部分 については少し分けて書いていただけたらと思います。そこのところで拡大を図ってい ただいて、社会的要請の大きい課題の解決に向けて、具体的な短期入所などの試みを行 うとともに、外部の研究者たちとのネットワークを構築し、発達障害児・者における短 期間のレスパイトサービスやデイケア、ナイトケア等に関する支援効果に関するエビデ ンスの評価手法を開発し、それらに対するサービスの提供を図ることが必要であると具 体的に書き込んでいただきたいと思います。  なお、従来の知的障害者・児を支援する職員の養成研修の状況からかんがみますと、 今後、知的障害で強度行動障害を持つ児童であるとか、発達障害児を支援する職員の養 成のために、時代と現場のニーズに応じるように、ここもまたいろいろな研究が進んで いますので、外部の研究者たちとのネットワークを構築して、職員の養成と研修のシス テムを抜本的に見直していただけたらと思います。  予防的な対応をモデルに加えるというところがほかのページにも書いてあったと思い ますが、発達障害というのは、障害特性があったとしても、それが社会的に不適応とし て発現するかどうかというところを考えると、それは予防できると私たちは思っていま す。そこを考慮していただいて中に入れ込むという、つまり、障害がはっきりしてから の支援というよりは、その前にきちんとその辺が取り込めるような考え方をここに加え ていただけたらと思います。そういう意味では、障害特性を十分に考慮してというよう なことになるかと思うのですが、地域生活や社会的自立を組みたてていかれるような研 究とかを実施していただいて、支援サービスプランを提供していただけるような形を国 リハにお願いができればと思っています。  高次脳機能障害への取組みが随所に書かれていますが、例えば認知機能については発 達障害の人だったらLDの研究と重なってきますし、注意機能についてはADHDの研 究とも重なっています。また、PDDについても社会的な認知機能に関わる研究という のが位置付けられることができると思いますので、その辺でリハビリテーションセンタ ーとの連携で、基礎レベルから地域の生活を支援する、あるいは社会的な自立に向かう というところの研究を是非取り込んでいただくような形のものになっていただけるとあ りがたいなと思っています。御検討いただければ幸いです。 ○伊藤座長 ありがとうございます。  外部とのネットワークだとか、そういう全体に絡む話は、9ページの国立更生援護機 関として持つべき機能、この四角で囲んである部分、まだここに文章が入っておりませ ん。これから書くわけですから、ここで書き込むのが一番いいのかなと思います。  あと、具体的なこととしては、それぞれの部署で書くようになるかと思いますが、ど こまで書くのか、少し検討させていただきます。  ただ、お子さんたちに関しては、家族への相談支援というのは非常に重要な位置付け だろうと思いますので、そこは落とさないようによろしくお願いします。  ほかにございますでしょうか。どうぞ。 ○仁木委員 仁木でございますが、今の氏田さんの外部とのネットワークということに 関連して発言したいと思います。  この中でも10ページの上の方に関係機関との連携とか、10ページの下の方には、産 学官や他の研究機関等とのネットワークの構築とか、11ページの上の方の4行目には、 共同研究を促進する必要があると書かれておりますけれども、この関係機関として、学 校教育との連携、特に発達障害の分野について言えると思うんですけれども、久里浜の 特別支援教育総合研究所との連携ということも関係機関の一つとして念頭に置いていい のではないかと思っております。障害を持つ子どもたちの支援ということを考えた場合、 今、個別の支援計画というものを作って、総合的に子どもたちを支援していこうという ことが進められておりますけれども、そういう中でも個別の支援計画というものを、特 に教育分野と福祉分野で共同して作っていこうという動きがありますので、そういう意 味でも久里浜の研究所等との発達障害分野での連携ということがあってもいいのではな いかと思います。学校の先生方も発達障害というものについての勉強の意欲が大変旺盛 でございます。障害というものに対する理解という意味でも、国立援護機関の中の研修 機能を教育関係者にも提供していくということも考えられていいのではないかと。例え ば久里浜の研究所なりに、こちらの機能をいわば出前で提供するということも、そうい う形での協力もあってもいいのではないかとも思います。  もう一点、12ページのワンストップのことでありますけれども、基本的にワンスト ップというのは大変好ましい方向であろうと思いますけれども、総合的な相談、ワンス トップと言った場合、通常は地域においてあちこちに行かなくても1カ所ですべて解決 するという意味でのワンストップということが今非常に重要なことだと考えられており ますけれども、これを全国ベースでワンストップというものをやることの意義と、全国 1カ所のワンストップというものがどこまで期待される機能が果たせるんだろうかとい うこともあえて問題提起させていただきたいと思うんです。所沢でワンストップの相談 窓口を開いた場合に、全国を相手にしてやるのか、関東近辺の人を相手にしてやるのか、 その辺はどう考えるのか、結局、一般的な制度の説明に終わってしまう恐れもあるので はないかという気もするんですけれども。あえて所沢でワンストップの窓口をやるとい うことについて、もう少し事務局としてお考えをお話しいただければと思うんですけれ ども。 ○伊藤座長 事務局、よろしくお願いします。 ○難波施設管理室長 ちょっと文言が足りないかもしれませんが、ワンストップの趣旨 は、リハビリテーションセンターとしてワンストップというような意味合いで整理をさ せていただいたということです。したがって、今、医療の分野とか、福祉の分野とか、 それぞれがそれぞれに相談を受けているという形になっておるんですけれども、そうい ったものについても、隣に職リハもありますので、医療・福祉・雇用という部分で、リ ハセンターとして一本の窓口で相談をするというような趣旨で整理をしたものでござい ます。したがって、厳密に言えば地域のワンストップとはちょっと意味合いが異なりま す。 ○伊藤座長 リハセンターの総合相談という意味ですよね。 ○難波施設管理室長 はい。 ○伊藤座長 よろしいですか。ほかにございませんか。どうぞ、山崎委員。 ○山崎委員 先ほどもちょっと言ったんですけれども、ワンストップ相談というのは構 造的に二重構造はあると思うんです。ワンストップ相談のあり方検討委員会というのが ありまして、そこで提言をまとめて出しておりますけれども、学問的なといいますか、 実践上の考え方として、総合化していくための保健医療福祉の連携ができる、その新し い学問として、学問といいますか、実践としてのありようというのと、それから、もう 一つは、さっき生活支援センターのことをちょっと言いましたけれども、地域・総合相 談というのと二重構造あるんですね。だから、ここだけが総合相談しても機能しません から、ここでエビデンスをしっかりためていただいたものが、今度、循環するようなシ ステムを作らないと、ここだけの自己満足に終わってしまうので、それが地域の中にネ ット化できるような手法をもう一つ、それは情報の出し方とか、いろいろな教育の仕方 とか、訓練の仕方とかをこちらは持っていらっしゃいますから、それを今度はスキルと してのプログラム化をされればできると思うんです。  実際には、地域の中で起こっているワンストップ相談の手法と、ここでおやりになる エビデンスとの間の行ったり来たりをしないと、またそれは一方通行になってしまいま すから、その二重構造をしっかりお作りになればいいのかなと思って、さっきああいう 言い方をしたんですけれども。 ○伊藤座長 今の話はそういうことで、ワンストップ相談という言葉の定義の問題があ りますので、きちっと書いた方がいいんだろうと思います。 ○山崎委員 ここだけで自己満足しても意味がありませんから、有機的に利用できるも のにしていかないとならないと思います。 ○伊藤座長 確かに仁木委員がおっしゃったように、制度の説明だけで終わってしまう とか、そういう問題もございますので、我々がやっているのは、バックアップ相談も含 めて構築しています。ですから、窓口で受けて、そこで受け切れないものについてはバ ックアップする体制があって、その上で地域に依頼する、地域のネットワークがないと できないんですね。ですから、そういう双方向のネットワークを作っていくという意味 では、モデル地区がないと多分困難だろうと思いますけれども、そんなイメージをした 上で使っていただければと思いますが、ほかにございますか。 ○岩谷委員 いろいろな御指摘をいただいて大変感謝をしております。13ページの国 際協力の項についてです。先ほど難波室長が外国人の障害者支援、国内における外国人 の障害者の方たちの受入れということも追加発言していただきましたけれども、同じよ うなことは、外国人研修生の受入れも考えていくのがいい、いくべきだろうと私は思っ ております。  一つの例といたしましては、東南アジアにおいては、「あはき」、あん摩マッサー ジ・はり・きゅうという技術は、コミュニティでの健康維持にかなり効果的な手段にな り得ると思っております。理療課程の教官の方が退職をなさってから東南アジアに出か けていって、そういうことを教育をしておられますし、WHOがCBRに関する啓蒙を 進めているなか、草の根的に健康を管理・維持できる技術として、我が国の「あはき」 の技術をうまく伝えられればと思います。理療教育の存続を図るのであれば、それも一 つの道ではないかと私は考えております。  それから、もう一つ、小中委員からの御指摘がございましたリハビリテーションの意 味ということでありますが、私たちは、リハビリテーション医療の提供とか、リハビリ テーション技術とか、リハビリテーション専門職とか、リハビリテーションという言葉 を多義的に使われることを余り好んでおりません。障害者の方々の社会生活においては 保健サービスは非常に重要です。医療にすべてを頼りますと、障害者の方々は社会での 自立は非常に難しくなるので、健康の自己管理が重要になってきますので、保健も含め て考えていかなければいけないと思っております。保健も医療の一部だという考えもあ りますけれども、制度とすれば、保健と医療というのは違った制度で動いておりますの で、その辺は政府の機関、国の機関としては分けて考えております。  それから、現在世の中では高齢者の方が、肩の痛みにマッサージしてもらうこともリ ハビリテーションと言われています。私たちが、障害のもとの意味に戻って、国連とか そういうところが定義しているリハビリテーションの定義を守っているのは、我々の立 場として概念をはっきりさせておく必要があると考えているからです。  社会が余りに概念がはっきりしないまま進んでいるということに対して、そこを何と かはっきりさせたいという強い望みがあります。リハビリテーションという語をもう少 し言葉として具体的に定義を、操作的な定義になるかもしれませんけれども、具体化を してもらいたいと思っております。 ○伊藤座長 それは、例えば今、国連でやっている定義だとか、あるいはWHOが出し ている定義だとか、幾つか定義はあり、そういう定義のどの定義に自分たちは足場を置 いていくんですよというその程度のことは書けるんだと思うんですけれども、独自にま た定義を作るということはとてもできませんので、国際的に通用されている定義をある 程度ベースに、それにスタンスを置いてやっているということで書ければいいですね。  ほかにございますでしょうか。どうぞ。 ○黒澤委員 私、今の意見はよく理解するというか、賛成なんですが、基本的に大きな 理念というか、定義を作るということよりも、現在、我々人類がたどってきた最高のと いうか、至高の観念というものは掲げた方がいいと思うんですね。それは余りにも抽象 概念ですから、理念概念ですから、したがって、今、総長先生がおっしゃったように、 その下位概念、中位概念といいますか、その中位概念の中でリハビリテーションセンタ ーの理念というものを考えるという必要があって、先ほど出ましたピアカウンセリング であるとか、ワンストップ型の相談業務であるとか、その次のいわゆる方法論としての システムとしての機能のことが多いわけです。で、医療モデルでこうやるんだというこ とは中位概念なわけです。ただ、私が言っているのは、こういうレポートを書くときに、 大きな理念を掲げておかないと、いかなる根拠に基づいて医療モデルがあり、生活モデ ルというか、自立支援モデルがあって、その次に、いろいろな相談機能やあれがあるか という一貫した概念をモデルとしては作っておかないといけないのではないかというこ とです。それが先駆的かつ中心的なリハセンターの旗印ではないかと思うんです。です から、さまざまな機能を全部書くわけにいきませんけれども、少なくとも昭和20年代 に私が勤めたころ、国立施設はそういうものを持っていたと思うんです。その伝統は見 直しに当たっても活かすべきだと思いまして、時代の変遷はありますけれども、基本的 な観念(上位概念)というものはそんなに変わっているものではないという感じがいた します。私、総長先生の意見はそういうことだと思っています。 ○伊藤座長 わかりましたが、今おっしゃったことは、国立更生援護機関としての理念 ですか、それともリハビリテーションの理念ですか。 ○黒澤委員 リハビリテーションは上位概念で理念概念ですよね。国立施設は組織です から、したがって、国立施設はいかなる考え方を持って運営しているかという問題にな りますよね。リハビリテーションをやっているだけじゃ曖昧過ぎますでしょう。したが って、その次に、リハビリテーションというのはさっきから出ていますような、持つべ き機能を盛んに議論したわけです。これはいわば中位概念なわけなんです。そこからさ らにいろいろな方法論が出てきているというふうに考えないと、何でもかんでもリハビ リセンターに持ってきたんじゃごちゃごちゃになってしまうと私も思いますけれども、 理念なくして方法論はないと私は思います。 ○伊藤座長 これは「はじめに」で書くべきだろうと思います。 ○黒澤委員 「はじめに」のところでちょっとお書きいただければ十分だと思います。 ○難波施設管理室長 今、黒澤委員が言われた点は、いずれにしても、国立更生援護機 関、それぞれ今、4類型あるんですが、それの設置根拠が設置規程で書かれているわけ ですね。したがって、そこで行うべき仕事がきちっと書かれるので、それ以上のことを ここに書いてもなかなか実態としてはどうなのかなという感じで考えています。  それで、今言った全体のまとめの中は、先ほど冒頭御説明したときに、機能のところ では枠を入れておりますけれども、その部分で全体の話をしないといけないんだろうと 思っております。 ○伊藤座長 ちょっと私からも1つ申し上げたいんですが、9ページの枠の中に何を書 くかという話なんですが、この全体を通しまして、こういうことは是非国立リハセンタ ーの位置付けとして明確にしていただきたいと思っていることがあります。先ほど外部 とのネットワークという話が出ておりましたが、ここの中に情報ネットワークというか、 情報システムについても考慮に入れていただきたいと思っています。私は、国立リハセ ンターを軸に、全県、政令指定都市まで含めて、総合的なリハセンター、あるいは更生 相談所、あるいはその管轄の部局ですね、そういうところと層別化した情報ネットワー クを是非作っていただきたい。そういうネットワークを作る基点として国立リハセンタ ーが役割を果たして、双方向の情報交流ができる状況を作る。これを基盤にして、国際 的な活動、あるいは研究、研修、あるいは人事ですね。人事交流も含めて具体化するこ とができればと願っています。特にそれぞれの総合センターが外部の血を入れるという ことも含めて、そこまで発展できればいいなと思うんですが、あるいは先ほどの外国籍 の人たちのこともあります。利用者の方々の相談、バックアップ、私たちも外国人の方 を治療することがあるわけですが、それはそれぞれの地域でやるにしても、本当に国際 的な外交問題に発展してしまうような訴訟が起こることもございますし、そういう問題 もありますので、国立リハセンターが、ナショナルセンターとしてそれをバックアップ していただきたいという面もございます。  そんなことで、そういう情報のネットワークをベースに、国際貢献や研究・研修、あ るいは人事等、双方向で位置付けることができればと思うんですね。ピラミッドの頂点 に国立リハセンターが位置付くという話になると、地方はそっぽを向きますから、これ は平面の上での話ですけれども、そういうネットワークをきちっと構築していく作業が 極めて現実的だと思います。そういうことをここに書き込んでいただけるといいなと思 っているんですが、いかがでしょうか。  その中で層別化がとても大切だと思うんですね。一般の利用者の方々に対する情報と、 あるいは役所同士の情報と、専門職集団の情報というように、いくつものレベルがあり ますので、それらを分けて取り扱う必要があります。総合リハセンターは、例えば地方 にも幾つかありますが、その間の交流というのは、個別的には行われておりますが、人 事についても個人レベルでは行われていますね。あるいは部門別でしょうか、例えばエ ンジニアならエンジニア同士の交流は行われている。しかし、未だそのレベルなんです ね。全国の例えばそういうところが集まった研究会が開かれるとか、そういうこともあ りません。総合リハセンターとしての独自の問題もあるのですが、大学の先生たちやそ のほかのところと一生懸命研究会を持っても、必ずしも総合的なリハビリテーションセ ンターとしての特性の問題は話されないし、突っ込んだ検討も行われないというのが現 状です。  例えば、高次脳機能障害の問題は、実は総合リハセンターにほとんどの人たちが集中 しているんです。アンケートをした結果でもそうなわけで、大学病院だとか一般の病院 では、そのことが明確にならないまま退院されている。結果として総合リハセンターに 皆さんが集まってきているということがございます。  ですから、そういう意味も含めて総合リハセンターとしての交流研究というのは是非 必要なことではないかと思いますので、そういうネットワークが基盤にあると、全体が 発展するのかなと思います。先ほど大学機能という話が出ましたので、そこにいく非常 に現実的な一つの手法としても意味があるように思うんですが、よろしくお願いしたい と思います。  ほかにございますでしょうか。どうぞ。 ○仁木委員 最後、17ページにあります一元化の問題でございますけれども、この中 で現在4類型に分かれていると。リハビリテーションセンターと視力センターと重度セ ンターと秩父学園と。そのことによって、事務部門等において非効率が生じておると、 あるいは実施方法が微妙に異なっているというような表現があるわけですけれども、4 類型を一元化するという趣旨で一元化という言葉を使っておるんだろうと思うんですけ れども、そういう一元化によるメリットについて事務局としてどういうメリットがある と考えているのか、具体的に実施方法が微妙に異なっておると、どういうふうに問題が あるのか、その辺を御説明いただければと思うんですけれども。それと併せて、それに 伴うデメリットとしてはどんなことを想定されているのか、そのデメリットを最小限に することによって実現可能になっていくかもしれませんので、メリットとデメリットに ついて、事務局としてはどういうふうにお考えになっているかをお話しいただければあ りがたいと思います。 ○伊藤座長 質問ということでございますね。どうぞよろしくお願いします。 ○難波施設管理室長 なかなか難しいところなんですが、メリットからすれば、ちょっ と事務的になりますけれども、今、予算にしても人にしてもそれぞれ区分がされており まして、相互の活用を全くできないということでありますので、一方で余っても一方で 足りないといったとき、相互の流用ができないという事務的な問題もあって、それが機 能を一元化して組織的にも一本にしてしまえば、そういったものが大きく解消されて、 必要に応じてそれぞれが有効に使えるということがあるんだろうと思います。  それから、デメリットとしては、メリットとデメリットの裏返しの問題なのかもしれ ませんが、一元化することによってのデメリットというのはそんなにないんじゃないか なと感じております。 ○仁木委員 予算が4つの区分になっているが、それが固定的で、こちらに資金ニーズ があっても、あちらに逆に少し余っていても、そこら辺のやりくりができないというこ とが一番大きな問題のようですが、プールを大きくすることによって、その時々の緊急 なニーズに資源をそのときに投入できるようになる。人材の面でもお金の面でも緊急性 を要するテーマに、弾力的に機動的に資源を投入できるという意味において、国民のそ の時々の時代のニーズに適切に応えて、迅速に応えていくという意味で、今のお話であ れば、一元化することは意味があるんじゃないかと思います。一方でデメリットはそれ ほどないということであれば、一元化の方向で考えるのが望ましいんじゃないかと思い ます。 ○伊藤座長 17ページのこの文章の中では、今言われたニーズということが書かれて いないんですね。これは非常に大切なことで、国民のニーズに併せて私たちは見直すわ けですから、組織の見直しというのはそういうことから起こるので、そこのところを明 確にしましょうと。ニーズというのは、単にあることをしてほしいとか、そういう話だ けではなくて、早くにやってほしいということもございますので、時期の問題もござい ますから、そういう効率ですね。効率を追求するという立場もニーズの一つだろうと思 います。そんなことを入れた方がよろしいという発想ですよね。 ○仁木委員 はい。 ○伊藤座長 同じように、私は14ページの更生訓練所のところで、これは前に発言し たんですけれども、一番上で「更生訓練部門と医療部門及び職業訓練部門の密接な連携 が必要である」、これは当たり前なんですけれども、何のために密接な連携が必要なの かという話がないといけないと思います。これは、医療保険と介護保険の問題が今取り ざたされておりますけれども、同じように、早期からの効率のよいリハビリテーション の提供、適宜適切なリハビリテーションの提供、そのために密接な連携が必要だと。ま た、それだけじゃなくて、実はそれぞれの部門のあり方を見直す必要もあるんですね。 そうじゃないと、これがなかなかできない。そういう現実的な問題もございますので、 そこのことについてももう少し具体化した方がいいのかなと思っております。  どうぞ。 ○黒澤委員 今、仁木委員さんの言ったことと座長さんの言ったことと重なるんですが、 聞きにくいんですよね。質問しにくいんですよ、今の話。しにくいんですが、ちょっと 聞きたくなるんですよね。これ、見直しですよね。一元化と言っていますよね。私も深 く踏み込まないで微妙な問題があるのかと思っていたんですけれども、このレポートは 組織の一元化じゃなくて機能の一元化と書いてあるんですよ。機能の一元化ということ は、例えば同質の、例えば伊東の重度センターと所沢のセンターの一元化というのはよ く理解できるんです。函館の視力センターと福岡の視力センターとちょっと違いますよ ね。視力障害者の意味では、機能と言ってもそれぞれ独立しているわけですから、した がって、一元化というと、さっき片石委員さんが言った、眼科とか整形のそのことはわ かるんだけれども、施設機能の一元化というのはよく理解できないところがある。  それで、こういうことはあるんですか。つまり、こういう時代なので、国立リハセン ターとしてはこういうことをやりたい。しかし、予算も人員もある程度制限がある。そ れから、例えば重度のセンターと国立リハセンターをやったときに、一元化することに よってニーズが、複合的なニーズが複合的な対応を図ることができるという発想がある という程度の一元化なのか、どういうところに一元化の意味が、見直しの意味があるの か、よくわからないんですよね。それは今、仁木委員さんもたまたま質問されたので、 差し支えない範囲で構想を聞かせていただきたいんです。 ○難波施設管理室長 国立施設も御案内のとおり歴史が半世紀以上たって、4つの区分 に分かれて、同じ種別のセンターであっても、現実はそれぞれが運営の方法も相当変わ ってきているんですね。したがって、例えば重度は重度、視力センターは視力センター、 共通的にやっていかないとやはりおかしいんだろうというのが根底にございます。  それから、事務的な話になると、先ほど来出ているように、なかなか予算なり人の関 係から見ても、小規模の施設がそれぞれやるというのは運営も厳しいという形にもなっ てきているというのもございます。  したがって、機能の一元化というのは、国立機関を一つとして見たときにどういう機 能を持つべきかということが一つあって、それで今、7つの項目の機能を国立施設とし て持つべきであると。それが要するに有機的に連携して、共通的な方針のもとに、同じ 方向に向かって動いていかないといけないのではないかという趣旨から一元化という整 理をさせていただいているということであります。 ○伊藤座長 遠く離れた地域にありますから、組織を一元化することはなかなか難しい。 機能は一元化できると思いますけれどもね。 ○黒澤委員 なるほど、わかりました。 ○伊藤座長 ほかによろしいでしょうか。どうぞ。 ○柳澤委員 以前の検討会でもディスカッションしたことなんですが、リハビリテーシ ョン技術の研究開発ということで、大変いい言葉としてまとめていただいていて、私は それはそれでよろしいと思うんですが、実際にどのようにしてそれが機能していくかと いうことを考えてみると、当然研究開発ということは人が行うわけで、人の問題なわけ ですね。人がどれだけ自由にプロジェクトに則った形で集まって共同研究をして、それ をまたほかへ情報発信なら発信をするというシステムを本当に実用的なものにするため には、日本のような人事交流とか予算の使い方の硬直化した状態のもとでは非常に難し いですね。  欧米なんかでは、イギリスなんかは特にそうですけれども、かなり予算が少なくても、 いろいろな財源を持った人たちが全部一つの研究所に集まって、一定の期間共同研究を して、それで分かれていくということが日常普通に行われているわけですね。私はやは りこういった11ページにありますようなプロジェクト研究であるとか、産学官の共同 研究ということを具体化するために、センターとしてどういうふうなシステムを作るの かということ、先ほどの大学、大学院ということのぶり返しにもなりますけれども、是 非検討していただく必要があると思います。それはこの中にどういう形で盛り込むかと いうのは、いろいろ法的なものもあって技術的に難しいところがあると思いますけれど も、現在の我が国の体制では、やはり研究というのは大学院を中心として行う。人事交 流も理研のような非常に特殊なものがありますので、何とかそういったものをモデルに して、これは国リハが中心になって頑張ってやるんだということを是非明確にしていた だきたいというのが希望です。  以上です。 ○伊藤座長 ありがとうございました。  どうぞ。 ○上野委員 追加したいんですけれども、柳澤先生のおっしゃるとおりでありまして、 私、たまたま今、国リハの研究所の外部評価をしていまして、よく存じ上げているんで すけれども、なかなかいい研究をなさっています。東大を中心に、各大学院の学生が短 期間国リハの研究所に来て研究して、それを持ち帰って学位論文の種にするとか、非常 にいいことをなさっています。だから、そういうことで研究所の機能をますますこれか ら充実しなければならないと思いますから、さらなる研究所の発展のために人材を予算 を多くしていただきたい。  また、国際的には、今は非常にグローバリゼーションで、30代前半から後半、ポス ドクが全世界を動き回っているんですね。それをインターネットで見てから、いいポス ドクのポジションがあるかどうか。ポスドクを、あとテニュアを皆さん望むんですけれ ども、テニュアとテニュアトラックがありますけれども、テニュアトラックした後、い い研究をやったら、そのまま永久のポジションになるというわけですけれども、そうい ったテニュア、テニュアトラックの制度も国立の研究所で取り組んでいただくようにす れば、柳澤先生がおっしゃる短期間のプロジェクトなんかにも自由に参加できる機会が 増えてくると思います。よろしくお願いいたします。 ○伊藤座長 いずれにしても、お互いに知り合わないといけないので、情報の双方向の 関係を是非作っていただいて、そこから立ち上げていくのもいいのかなと思ったりもし ます。  いずれにしても、そういう方向性を追求していきたいというお話でございますが、そ ろそろお時間なのですが、どうしてもという方、いらっしゃいますでしょうか。  大変長時間にわたりまして熱心な御討論ありがとうございました。ここだけでちょっ と言い足りなかったと、後で気づいたこと等ございましたら、次回の最終的な取りまと めに至るまでの間、事務局に御連絡をいただきたいと思いますが、これもタイムリミッ トがありますよね。いつごろまでお受けできますか。3月の10日ぐらいまでですか。 ○難波施設管理室長 でき得れば3月6日金曜日ぐらいまでにいただけると、全体のま とめがスムースに進むのではないかと思っています。 ○伊藤座長 わかりました。それでは、言い足りなかった分、どうしてもということで あれば、3月6日までに事務局まで具体的な文書をもって御連絡いただきたいと思いま す。文書までなくても、こういうことを是非ということがあれば、それでも結構でござ います。  その上で、こうなりますと、まだ今日書き込んでいないものがございますので、第5 回をやらざるを得ないようでございますが、その点につきまして、事務局から御連絡く ださい。 ○難波施設管理室長 どうも本日は御熱心な御議論ありがとうございました。今、さま ざまな御意見をいただきましたので、少し整理をして、また御連絡させていただきたい と思います。  次回の開催日程でございますが、年度末の大変お忙しいときに恐縮でございますが、 3月25日水曜日、13時30分からということで、場所についてはここと同じ場所でご ざいます。正式な通知は、別途また御連絡をさせていただきたいと思っています。どう ぞよろしくお願いいたします。 ○伊藤座長 よろしいでしょうか。3月25日、13時30分からということで、第5回、 これは最終的な報告書の取りまとめということでございますが、御参集いただきたいと 思います。よろしくお願いいたします。  それでは、今日の会議をこれで閉会とさせていただきます。ありがとうございました。 【照会先】  [国立更生援護機関の今後のあり方に関する検討会事務局]   厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部   企画課施設管理室指導係   電話:03-5253-1111(内線3085)