09/02/26 平成21年2月26日薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会議事録 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会 議事録 1.日時及び場所    平成21年2月26日(木) 14:00〜    日比谷松本楼2階 2.出席委員(13名)  五十音順    天 笠 光 雄、○荒 井 保 明、 荒 川 義 弘、 石 井 明 子、    石 山 陽 事、 小 田   豊、◎笠 貫   宏、 北 村 惣一郎、    塩 川 芳 昭、 正 田 良 介、 勝 呂   徹、 土 屋 利 江、    寺 崎 浩 子  (注) ◎部会長 ○部会長代理   欠席委員(4名)五十音順    飯 沼 雅 朗、 川 上 正 舒、 倉 根 一 郎、 武 谷 雄 二 3.行政機関出席者   岸 田 修 一(大臣官房審議官)、    俵 木 登美子(医療機器審査管理室長)、    豊 島   聰(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)、    望 月   靖(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)、他 4.備考    この会議は、個別案件は企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催され、個   別案件以外は公開で開催された。 ○医療機器審査管理室長 定刻になりましたので、ただ今より「医療機器・体外診断薬 部会」を開催させていただきます。先生方におかれましては、御多忙の中御出席いただ きまして大変ありがとうございます。本日は医療機器・体外診断薬部会委員17名の先生 方のうち、現在13名の先生に御出席いただいておりまして、薬事・食品衛生審議会令に 基づく定足数に達しておりますことを御報告させていただきます。  この1月に薬事・食品衛生審議会の委員の改選が行われましたので、本日、新しい先 生も御出席いただいております。御出席の先生のお名前を改めて御紹介させていただき たいと思います。お手元の議事次第の4枚目に、この部会の新しい委員名簿を御用意し ておりますので、御覧いただきながらお聞きいただければと思います。  まず、国立大学法人東京医科歯科大学の天笠先生、国立がんセンターの荒井先生、東 京大学の荒川先生です。本日は御欠席でございますが、日本医師会の飯沼先生に引き続 きお願いをしております。国立医薬品食品衛生研究所の石井先生、杏林大学の石山先生、 東京歯科大学の小田先生、早稲田大学の笠貫先生。御欠席ですが、自治医科大学の川上 先生。国立循環器病センターの北村先生。本日御欠席ですが、国立感染症研究所の倉根 先生。杏林大学の塩川先生、国立国際医療センターの正田先生、東邦大学の勝呂先生。 遅れていらっしゃると思いますが、東京大学の武谷先生。国立医薬品食品衛生研究所の 土屋先生、名古屋大学の寺崎先生でございます。以上17名の先生方が新しい部会の先生 ということでスタートを切らせていただきたいと思います。  委員の改選に伴いまして、1月23日に開催されました薬事分科会におきまして、各部 会長の選出が行われ、引き続き、この部会については笠貫先生に部会長をお願いするこ ととされておりますので御報告申し上げます。また、部会長代理ですが、部会長から御 指名をいただく決まりになっておりまして、笠貫部会長から荒井先生にお願いしたらど うかということで、御連絡をあらかじめいただいておりますので、荒井先生に部会長代 理をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。  本日の議題のうち、議題1〜4までの基準の関係につきましては、薬事・食品衛生審 議会決議に基づきまして、会議を公開とさせていただきます。公開案件終了後、個別品 目の審議・報告になりますが、そちらは非公開とさせていただく予定にしております。 報道の方、頭撮りはここまでとさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いし ます。  それでは、部会長、以後の議事進行をよろしくお願いいたします。 ○笠貫部会長 それでは、引き続きましてこの部会長を務めさせていただきます。皆さ んの御協力をよろしくお願い申し上げます。まず最初に事務局の方から資料の確認をお 願いいたします。 ○事務局 資料につきまして御確認をお願いいたします。お手元に資料1-1〜4-1まで、 それから参考資料として6つの参考資料があります。恐縮ですが、まず一つ一つ確認さ せていただきます。資料1-1「非視力補正用コンタクトレンズ基準を制定することにつ いて」、資料2-1「医療機器の承認基準案について」、参考資料2-1「医療機器の承認基 準に関する基本的考え方について」、参考資料2-2「人工腎臓装置承認基準(他1基準) 案について」、参考資料2-3「承認基準において引用する日本工業規格」、資料3-1「医 療機器の認証基準案について」、参考資料3-1「医療機器の認証基準に関する基本的考 え方について」、参考資料3-2「認証基準において引用する日本工業規格」、資料4-1 「新たに制定されたJIS及び改正されたJISについて」、資料4-2「今後制定・改 正予定のJIS一覧」、参考資料4-1「医療機器関係JIS一覧」。以上でございます。 お手元にないもの等ございましたら、事務局までお願いいたします。 ○笠貫部会長 資料はおそろいでしょうか。続きまして、公開案件のうち、審議案件に 関する薬事分科会審議参加規程に基づく審議参加の可否につきまして、事務局の方から 御報告をお願いいたします。 ○事務局 審議案件の非視力補正用コンタクトレンズ基準の制定に関しまして、御報告 を申し上げます。視力補正用色付きコンタクトレンズについて、既に製造販売承認を受 けている3社から、過去3年間における寄付金等の受取状況について、各委員に確認さ せていただきましたが、本議題は個別の医療機器に関する審議ではございませんので、 すべての委員が審議及び議決に加わることができることを御報告いたします。  ○笠貫部会長 それでは議題に入ります。議題1「非視力補正用コンタクトレンズ基準 を制定することについて」、審議を行いたいと思います。事務局の方から御説明をお願 いいたします。 ○事務局 資料1-1を御覧ください。非視力補正用コンタクトレンズ基準を制定するこ とについての議題です。本件につきましては、いわゆるおしゃれ用カラーコンタクトレ ンズを、薬事法の規制の対象とすることをきっかけといたしまして、策定を検討してき たものです。1枚目の紙の「今回の制定について」とございますが、その3行目から4 行目にかけて、薬事法施行令の一部を改正する政令が平成21年2月4日に公布されまし て、これから9か月後ということで、11月4日よりおしゃれ用カラーコンタクトレンズ、 度のない色付きのコンタクトレンズが、医療機器として薬事法の対象となることとなり ました。  今般、非視力補正用コンタクトレンズを薬事法の対象とするに当たりまして、その品 質確保などについて、実は御存じのとおり、普通の度付きのコンタクトレンズについて は、42条基準が既に定められています。色付きの度のないコンタクトレンズについても、 ほぼ同一の必要事項であろうということから、全く同じように42条基準の制定を御審議 いたたければと思っております。なお、この基準案ですが、2ページから基準案があり ます。こちらについては、以前に御審議をいただきました視力補正用のコンタクトレン ズ基準(案)と内容的に同じものとなっています。  ただ、二つ違う点があります。一点目としては、こちらのものは度がありませんので、 視力補正用の方につきましては、度とその許容範囲がこの基準の中にあったところです が、これにつきましては、3ページの下から2行目にありますように、頂点屈折率など が−0.25〜+0.25D、その範囲内でなければならないという一つだけになっています。  もう一点違うところですが、2ページの2の適用範囲を御覧ください。ここに、3行 目から、「ただし、14条規定に基づく承認を受けた非視力補正用コンタクトレンズには、 細胞毒性の規定は適用しない」とありますが、この「細胞毒性の規定」が今般新たに追 加されています。具体的には4ページです。細胞毒性としまして、「JIS T 0993-1の規 定に基づき、使用上問題となる細胞毒性がないことが確認されていなければならない」 ということですが、これは当然、細胞毒性については、承認されるときに、生物学的安 全性の一貫として確認されることになります。ただし、非視力補正用コンタクトレンズ については、今年の11月から薬事法となりますが、承認が取れるまでの一定の期間、経 過措置としまして、届出で販売を認めることとさせていただいております。その間、生 物学的安全性につきまして、現在でも確認が必ずしもされていませんので、この基準の 中に、承認を受けていないものにつきましては、細胞毒性の確認がなされていなければ ならないというものを追加させていただければという案です。概要につきましては以上 です。よろしくお願いします。    ○笠貫部会長 ありがとうございます。委員の方々から御意見、御質問等がございませ んでしょうか。11月4日からは、医療機器としての薬事法の対象になるということと、 細胞毒性についての御説明があったと思いますが、御意見はございませんか。  それでは議決に入りたいと思います。非視力補正用コンタクトレンズ基準の制定をす ることについては、本部会として制定して差し支えないとしてよろしいでしょうか。御 異議がないようですので、承認可として議決させていただきます。 ○笠貫部会長 この審議結果につきましては、次回の薬事分科会の方で報告をさせてい ただきます。続きまして議題2に移ります。議題2「医療機器の承認基準案について」、 事務局より御報告をお願いします。 ○事務局 「医療機器の承認基準案について」、御説明申し上げます。資料2-1です。 参考資料としまして2-1を御覧いただければと思います。この承認基準に関する基本的 考え方ですが、新たにいらした先生方もいらっしゃいますので、簡単に御説明させてい ただきます。  承認基準ですが、その基準への適合性を確認することによりまして、承認審査が行え るように、一定の範囲の医療機器について定められている基準です。ただし、この基準 に外れたからといって、承認されないとか、そのようなことではありません。あくまで も審査の効率化のために、この範囲内であれば承認の審査がしやすいようにということ で、定められているものです。承認基準はこの3行目にありますように、臨床試験成績 に関する資料の添付が不要の範囲の品目について定められていまして、原則としてJI Sとか国際基準を技術的な基準としているところです。  その内容ですが、そこに5つ示しているとおりです。適用範囲、技術的な基準はどの ようなものであるか。使用目的、効能又は効果、基本用件への適合性、その他について 定められていまして、これに当てはまるものについては、承認基準ありということで審 査がなされます。  今回、御報告申し上げる承認基準案は二つございます。資料2-1の表紙にあります「人 工腎臓装置承認基準(案)」と「人工肺承認基準(案)」の二つです。この各基準案の概要 などにつきましては、基準案の調査を行いました独立行政法人医薬品医療機器総合機構 より御説明を申し上げます。 ○機構 総合機構から御説明申し上げます。資料2-1を御覧ください。資料1ページか らが「人工腎臓装置承認基準(案)」で、9ページからが「人工腎臓装置基本要件適合性 チェックリスト(案)」です。また、24ページからが「人工肺承認基準(案)」、32ページ からが「人工肺基本要件適合性チェックリスト(案)」になっています。  まず「人工腎臓承認基準について」、説明いたします。参考資料2-2、本基準案は平 成20年11月25日付けで制定された日本工業規格、JIS T 0601-2-16、医用電気機器- 第2-16部:人工じん(腎)臓装置の安全に関する個別要求事項に基づき技術基準を定め て、承認基準を作成するものです。適用範囲は、「透析監視装置、多人数用透析液供給 装置、個人用透析装置、多用途透析装置、血液透析濾過用装置及び血液濾過用装置とす るということになっています。ただし、在宅専用として設計された装置、透析液を体内 に意図して注入する装置に該当するものを除く。また、多用途透析装置は持続緩徐式血 液濾過等の機能を除く。」となっております。  対象となる医療機器の一般的名称とその定義は、裏面の記載のとおりとなっています。 また、使用目的、効能又は効果は、「慢性又は急性腎不全などの腎機能が著しく低下し た症例に適用すること。」としています。本認証基準案については、平成20年12月11 日、総合機構で開催された医療機器承認基準等審議委員会において御審議いただき、そ の意見を反映させた上で承認されたものです。また、平成20年12月26日〜平成21年 1月27日まで、パブリックコメントの募集を行いました。その結果、透析液に接する回 路部分の材質につきまして、生物学的安全に関する評価に関し、JIS T 0993-1によるの は厳し過ぎるのではないかとの御意見をいただきましたが、透析膜を介し血液に間接的 に接するものでして、必ずしも試験を求めるものではありませんが、生物学的安全につ いての評価は行うべきものとしています。なお、人工腎臓装置については、昭和58年に 承認基準が策定されていましたが、今回の承認基準の策定に伴ない、旧基準は廃止いた します。  続きまして参考資料2-2の3ページ、「人工肺承認基準(案)」です。適用範囲は、「人 工肺(体外式膜型人工肺)であって、ガス交換機能を有するもの、ガス交換機能と熱交換 機能の両方を有するもの及び貯血槽の機能を有するものに適用する。なお、使用時間は 6時間以内であるものに限る。」となっています。  対象となる医療機器の一般的名称とその定義は、ここに記載のとおりです。使用目的、 効能又は効果は、「開心術時、呼吸不全及び心肺不全の治療、又は従来の呼吸・医学的 管理が無効であるハイリスクが新生児のために血液への酸素付加・炭酸ガスの除去を行 うものであること。」となっていますが、使用時間が6時間以内に限定されているので、 この使用目的、効能・効果では誤解を招く恐れがありますので、適用患者の病体の記載 に関しては、また、その取扱いに関しては、再度記載を整備させていただきたいと考え ております。  基準(案)は資料2-1の24ページ以降ですが、ガス交換機能及び熱交換機能については、 日本工業規格JIS T 3230、人工肺ですが、これを、さらに付属する貯血槽については、 日本工業規格、JIS T 3231、人工心肺回路用貯血槽に基づき、技術基準を定めています。 本承認基準案につきましては、平成20年12月11日総合機構にて開催された医療機器承 認基準等審議委員会におきまして御審議いただき、その意見を反映させた上で、承認さ れたものになっています。また、平成20年12月26日〜平成21年1月27日まで、パブ リックコメントの募集を行いましたが、御意見はございませんでした。  「人工肺」につきましては、平成11年に承認基準が策定されておりましたが、今回の 承認基準の策定に伴い、旧基準は廃止させていただきます。報告は以上です。 ○笠貫部会長 ありがとうございました。それでは、この基準案について、御意見、御 質問はございませんか。 ○北村委員 今ちょっとおっしゃいましたが、人工肺の6時間、時間制限をどうすると いうのですか。今の機械は6時間で切ると確かに問題です。長時間やるものもあります から、特に新生児の場合でも、1週間はもたないかもしれないけれども、6時間で切る と多くがこれから外れていきますが、どうする予定ですか。 ○機構 この承認基準につきましては、使用時間は6時間以内ということで、そこで一 つの区切りとさせていただきたいと考えています。 ○北村委員 これは長時間使用型のものを省いているということですか。 ○機構 はい、そのとおりです。 ○医療機器審査管理室長 承認基準の中には入っていないという理解なのですが、もち ろんそれ以上長時間のものについては、この基準外のものとして承認の対象になってい ます。 ○北村委員 それでいいですか。開心術時というだけに限ったら、もちろんそれでも6 時間以上ということになる場合もありますし、しかも呼吸不全とか、新生児の場合のも のは、今求められているのは1週間レベルのものです。御存じのとおり、長期になると 液漏れの問題が大きいのですが、しかし、6時間というような機械は現在では少なくな っているのではないですか。2種類作るわけですか。6時間以上の場合は、また別に作 ろうというわけですか。 ○医療機器審査部長 そのようなものについては、現在、別途性能の評価を行って承認 をしていくということで考えています。そのような準備もされているところもあると思 いますので、この承認基準の中においては、性能の要求事項が一応6時間までの性能を 確認することになっていますので、そういう意味で、この承認基準の中では6時間に限 らせていただきたいと考えています。ただし、6時間を超えるものについては承認しな いというわけではなくて、承認基準から外れたものとして、別途、医療機器審査部にお いて、長時間での性能を確認した上で承認していくという作業になっていくと考えてお ります。 ○北村委員 そうすると、複雑ですね。今6時間で性能が著しく劣化して、継続使用が 困難と。例えば開心術で非常に長時間になった場合、7時間になる場合はありますよ。 そのときに6時間のものをそれに使ってはならないような規約を作ってしまったら、ど うなのか。逆になぜ6時間という区分ができたのですか。理由はありますか。 ○医療機器審査部長 これについては、基になっている承認基準がありまして。 ○北村委員 昔のがそうですか。 ○医療機器審査部長 それが6時間になっていまして、そこから引き継いでいるという ところもあります。それで最近は。 ○北村委員 それを今度変えようというのでしょう。 ○医療機器審査部長 はい。長期のものも多いということで、この承認基準を作るとき に、かなりディスカッションをしました。その中で、そうであれば長期の性能をどうや って担保するかというところについて、ディスカッションをしたのですが、なかなか統 一的な基準というか、項目が設定できないというところもありまして、今回の承認基準 の中では入れ込まないということで、将来的にはそういう部分についても考えていかな くてはいけないとは考えていますが、なかなか統一的な性能基準が、現段階では難しか ったということだと思います。 ○北村委員 私が心配するのは、企業がこの基準に合わせろといって、6時間使用に限 定してきたら、例えば7時間になったら、2台目をもう一遍使えと。プライミングの問 題もあるし、経済的な問題も大きい。しかも今6時間で換えないと血漿のリークが起こ るような人工肺というのは、非常に少なくなってきていますよね。今は長期間使う場合 の問題は、1週間いけるかどうかが一番大きな目標でしてね。もちろんディスポだけれ ども、短期間使うものとの人工肺のファイバーの性能は余り変わらなくなってきている ようにも思うのです。新しく基準がなされるのなら、なぜ6時間も変えないのか。ユー ザー側としてはそう思うのです。ただ平成16年ごろの基準がそう書いてあるのは分かる けれども、21年度改正するのであれば、なぜその6時間を改正しない、あるいは、でき ないと言うのか。 ○医療機器審査管理室長 すみません。私が聞いているところでは、先ほど部長がお答 えしましたように、一定規格、性能基準を設けることが性能の試験法といいますか、そ れを設けることが難しかったということでお聞きしています。承認基準自体は順に確立 しても、確かにできるところから順に作っていっていますので、これはこれで作って、 その6時間以上長いものについて、どう性能の評価をするのかについて、関係業界とも 技術的に詰められれば、さらに基準を別途作ることで対応したいと思うのですが、6時 間を作っても意味がないということであれば、このもの自体をどうしようということで もありますが、これ以外のものについて、もちろんこの試験法を準用して、例えば6時 間以上の性能が確認できるのであれば、それはその時間で承認を受けていっていただけ ればいいのだろうと思います。  承認基準自体はこれ以外のものを排除するわけでも全くなく、限られたところから、 基準ができるものから基準化して、その基準に該当するものは非常にシンプルに審査が 進むということで、別ルートと言ってはなんですが、審査を早めようということで、そ れ以外の、1週間サポートできる機器なのかどうかについては、別途の評価をせざるを 得ないと思いますので、そういう評価を受けたら、それはそれで承認を受けていくとい うことで、承認基準自体は固まったところから順次策定をしていっていただいています ので、非常に部分的なものになるのかもしれませんが、一つの承認基準ではあるのかな とは思っています。それが全く意味がないと、6時間というのは全く意味がないという ことであれば、作ってもしようがない。 ○北村委員 その6時間は、人工肺を研究している多くの企業の研究所の人たちも、6 時間で問題ないと委員会のようなもので決まってきたのなら、私も口出しをする必要は ないと思うのですが、今、人工肺は日本にとって大きな産業ですよ。輸出も随分されて いますし、大事なポイントです。日本の基準が6時間で切ってしまった案を改正に入れ ているということでよいのかと、少し疑問に思うのです。 ○医療機器審査管理室長 関係業界とは相当詰めていて、総合機構では時間もかけて作 ってきていますが、もう一度、先生の御意見も踏まえて、関係業界の意見もよく聞いて、 6時間で限定することの意味については再度確認して対応したいと思います。 ○笠貫部会長 6時間以内という性能評価の定まったものについて、まず審査を早める というということが今回大きな目的で、それ以外の臨床の現場のニーズから長時間のも のが、実際にこれから開発が進みその性能評価が統一されてくれば、それが時代ととも に一つになり得るというプロセスでとらえられるかと思います。今の北村委員の御意見 も是非十分御検討をいただいて、さらに長時間のものについての促進も進めていただく ことにしたいと思います。それ以外には御質問がございますか。 ○石山委員 今、北村先生がおっしゃった6時間以内、もし7時間の手術があった場合 1時間以上超した場合には、ユーザーとしては承認基準をされていない機械を使ってい ることにはならないのですか。 ○北村委員 なりますよ。 ○石山委員 そうなると、なりますよね。その辺はどういうふうに考えるのですか。例 えば6時間までで承認されている機械を、手術で延びて8時間使った。すると、2時間 に関しては承認されていない機械を使っているということになるのですか。その辺はど のように考えるのですか。 ○笠貫部会長 6時間以上の場合の人工肺では、認められたものは存在するのですか。 ○北村委員 ほとんど全部そうでしょう。 ○医療機器審査管理室長 6時間の性能の担保で承認されているのだと思いますが、6 時間以上のものについても、承認の例があるのだとは聞いています。  従来の承認基準ですと、6時間の性能担保ということです。それにしたがって、承認 を受けていっているものについては、6時間ということで承認を受けているのだと思い ます。その場合、2時間をオーバーしたときの2時間分というのは何なのかということ ですが、では、6時間の1分が駄目なのか、10分が駄目なのか、30分が駄目なのかとい う話はなかなか難しいとは思いますが、確かにオーバーした部分については、もちろん 承認をされた範囲は超えていると言わざるを得ないのだろうとは思います。  その評価法が、どこまで評価をして承認を受けたのかによって添付文書への反映が変 わってくるのだろうと思いますので、承認の効能・効果の中身として、6時間というこ とで承認をしているわけではないので、このものの性能として何時間までの性能が確認 されているかということで承認にはなっているのです。この承認基準自体は6時間の性 能を担保したものを早めましょうということで、もしかすると、非常にごく一部の製品 が対象になるだけなのかもしれませんが、もっと長いものが臨床上要求されるのであれ ば、臨床的に要求されるその長いもの、それはもちろん担保されなければいけませんの で、何時間を担保できるかを製造企業としてはきちんとデータを示して、承認を取って いくべきですので、その用途に応じて、使用場面に応じて性能試験を実施していただく 必要があるのだろうと思います。 ○北村委員 それは分かります。 ○土屋委員 これを読んでみますと、ISOの規格との整合性をとられているというこ とでして、やはりそこは国際整合性というのは、医療機器すべてにわたって重要なポイ ントです。そして、承認基準が有る無しで本当に審査の承認数が違いますので、今回は まず6時間、国際整合性のものでお認めいただいて、追加で、即、長時間のものについ て、分科会等で御検討いただくのが、一番迅速性とか承認ということを考えると、効率 がいいのかなと思います。このままではなくて、先ほど言われた、超えた場合について はどうするかを早急に分科会等で御検討をいただく形でいかがなのでしょうか。 ○笠貫部会長 これは医療機器の進歩が非常に速いという特徴ゆえに発生している問題 だと思うのです。臨床の現場のニーズと、医療機器の開発のスピード、そして認可の在 り方であり、今回の捉え方としては、まず6時間以内のを早急に審査を早めることと、 先ほど言いましたように、長時間にわたるものの開発の促進と認可の在り方です。先ほ どの性能評価をできるだけ早く御検討いただいて、臨床のニーズに耐られるものを是非 早く作っていただくということを、お願いしたいと思います。ほかに特に違った御意見 がございませんでしたら、次の議題に移らさせていただきます。  続きまして、議題3「医療機器の認証基準案について」、事務局の方から御報告をお 願いします。 ○事務局 資料3-1、参考資料3-1で御説明申し上げます。まず、参考資料3-1「医療機 器の認証基準に関する基本的考え方について」という形で、認証基準について御説明を 示させていただいています。こちらの背景ですが、平成17年4月に施行されました改正 薬事法においては、人体へのリスクが比較的低いと考えられる管理医療機器について、 厚生労働大臣による製造販売承認ではなくて、登録を受けた認証機関、こちらを「登録 認証機関」と呼んでいますが、これによる第三者認証制度が導入されています。その認 証に当たりましては、認証基準を大臣の方が定めまして、これに適合する医療機器につ いて認証を受ければ、製造販売が可能であるとなっているところです。  2ページ目に「参考」として、「医療機器に係るカテゴリー」を示しています。クラ スI〜IVまでありまして、部会で御審議いただくのが主にクラスIII、クラスIVとなって います。不具合が生じた場合でも、人体へのリスクが比較的低いと考えられるクラスII については第三者認証ということで、その際の認証の基準という形で、今回御報告をす る臨床基準を策定しているものです。  資料3-1を御覧ください。今回の認証基準案についての概略を申し上げます。今回2 種類の基準を策定しています。それぞれの対象品目が54品目、それから14品目、53品 目+1ということと、13品目+1ということで、それだけの品目につきまして68あり ます。基準(案)の調査を行いました機構の方より詳細について御説明を申し上げます。 ○機構 御説明申し上げます。今回報告させていただきますのは資料3-1の2ページの 別紙1に掲げました、単回使用眼科用手術用チューブ付カニューレ他、単回使用製品53 種、及び、5ページ目の別紙2に掲げます電動式液晶サーモグラフィ装置他、電動式製 品13種の合計68基準の制定です。  別紙1に掲げます単回使用製品54種は、旧法下ではすべてクラスIに分類され、自己 認証で流通していましたが、改正薬事法により同種製品のうち、再使用可能な未滅菌品 はクラスIに、滅菌されて供給される単回使用製品はクラスIIに分類されたものです。 今回、新たに制定する54認証基準は、同種のクラスI製品との違いである滅菌品である こと。ディスポーザブル製品であることを踏まえ、生物学的安全性に関する基準である JIS T 0993-1を共通の技術基準として制定するものです。本基準の主な要求仕様は、生 体適合性と無菌性保証です。また、基本用件適合性チェックリストは、6ページの別紙 3のとおりとなっています。  別紙2に掲げます電動式製品14種は、旧法下ではすべてクラスIに分類され、自己認 証にて流通していましたが、改正薬事法により同種製品のうち、電動式でないものはク ラスIに、電動式のものはクラスIIに分類されています。今回新たに制定する14認証基 準は、同種のクラスI製品との違いである電動式であることを踏まえ、医用電気機器の 安全通則、JIS T 0601-1を共通の技術基準として制定するものです。  本基準の主な要求仕様は、電気的・機械的安全性と接続の担保です。また、基本要件 適合性チェックリストは、17ページの別紙4のとおりとなっています。本認証基準案に つきましては、平成20年12月11日に総合機構において開催された医療機器承認基準等 審議委員会において御審議いただき承認されています。また、平成21年1月10日〜平 成21年2月8日まで、パブリックコメントの募集を行いましたが、意見の提案がなかっ たことを併せて報告させていただきます。報告は以上でございます。 ○笠貫部会長 どうもありがとうございます。本基準案につきまして御意見、御質問は ございますか。よろしいでしょうか。 ○笠貫部会長 特に御意見等がございませんでしたら、次の議題に移らせていただきま す。  続きまして議題4「医療機器JIS規格の確認、制定、改正又は廃止について」、事 務局の方から御報告をお願いいたします。 ○事務局 資料4-1です。「新たに制定されたJIS及び改正されたJISについて」、 概要を一覧表にしているところです。JISの制定・改廃について、前回のこちらの部 会では昨年の9月27日以降に御報告させていただきましたが、それ以降、18規格を制 定しまして、1規格を改正いたしました。その一覧について資料4-1の一番上に記載し ています。その概要については資料4-1の後ろ側にそれぞれの品目の概要の形で記載し ています。詳細については時間の都合から恐縮ですが、割愛させていただきたいと思い ます。  続きまして資料4-2です。こちらは「今後制定・改正予定のJIS一覧」です。今後 の制定予定としまして8件、改正予定は12件です。なお参考資料4-1として、「医療機 器関係JIS一覧」をお配りしています。現在400の規格が医療機器関係として制定さ れています。以上御報告を申し上げます。 ○笠貫部会長 ありがとうございました。ただ今の事務局の報告について、御質問等は ございますか。特に御意見がございませんでしたら、これで公開案件は終わらせていた だきます。 ○事務局 ありがとうございました。それでは、以後の議題は非公開とさせていただき ますので、傍聴の皆様方、恐縮でございますが、御退席のほどよろしくお願いいたしま す。非公開の案件は、2時55分から開始させていただければと思います。どうぞよろし くお願いいたします。 ── これより非公開 ── ○笠貫部会長 それでは、委員の先生方がお集まりになりましたので、非公開案件の審 議報告に入ります。最初に事務局から資料の確認をお願いします。 ○事務局 お手元の資料について確認させていただきます。非公開案件の資料は資料 5-1から参考資料12-1までです。資料5-1「医療機器『オルソ-K』について」、資料 5-2「オルソ-Kの審査報告」、資料6「医療機器『エンデバーコロナリーステントシス テム』について」、資料6-2「エンデバーコロナリーステントシステムの審査報告」、 資料7-1「医療機器『植込み型補助人工心臓システム』の希少疾病用医療機器としての 指定の可否について」、参考資料7-1「希少疾病用医薬品及び希少疾病用医療機器の指 定制度」の概要を配布しております。資料8-1「医療機器・体外診断薬部会報告品目」、 資料9-1「体外診断用医薬品の製造販売承認について」、資料10-1「優先審査品目につ いて」、資料11-1「医療機器『ボーンマロウコレクションシステム』の製造販売承認に ついて」、参考資料12-1「審議参加に関する遵守事項」です。本日は資料11-1の報告 から御説明をさせていただきますので、よろしくお願いします。  一つ差し替えと当日配布があります。資料5-2、資料6-2、資料10-1は当日配布です。 それから事務的なミスがあり、資料5-1について、一部差し替えがあります。以上です が、お手元に資料のない先生がおられましたら、事務局までお知らせくださいますよう お願いします。 ○笠貫部会長 資料はおそろいでしょうか。続きまして、本日の審議事項に関与された 委員と利益相反に関する申出状況について、事務局から報告をお願いします。 ○事務局 御報告申し上げます。本日の審議対象となっている品目について、申請資料 及び利用資料の作成に関与された先生はいらっしゃいませんでした。競合品目について は、それぞれ類似品目などの品目で、資料12としておりますが、詳細については割愛さ せていただければと思います。 ○笠貫部会長 それでは、先ほどお話がありましたように、議題11から入りたいと思い ます。「医療機器『ボーンマロウコレクションシステム』の製造販売承認について」、 事務局から御報告をお願いします。 ○事務局 資料11-1「医療機器『ボーンマロウコレクションシステム』の製造販売承認 について」です。これは御報告です。次のページに審査報告書が付いております。これ は通常であれば、事務局審査品目で、総合機構で審査がなされ、そのまま承認となり、 部会に報告というものではないのですが、骨髄移植の関係があって、マスコミでかなり 取り上げられた部分がありますので、御報告させていただくことにしました。  その概要ですが、まだ1か月経っていない平成21年1月28日に承認申請がなされた ばかりです。承認申請されてから総合機構で迅速に審査を行ってまいりました。この背 景ですが、実はこのシステム以外に日本で承認されているものでボーンマロウコレクシ ョンキットがあります。こちらは日本国内で承認されている唯一のもので、骨髄移植の ドナーから採取した骨髄を無菌で濾過するための機器として用いられてきました。1か 月当たり□件ぐらいで、非常に少ないものですが、骨髄移植においては必要不可欠なも のであります。一部メッシュで濾過する方法もありますが、これについてはクリーンベ ンチで無菌で操作をしなければならないというテクニックが必要になりますので、現在 ではこのキットが広く用いられています。  ところが、昨年7月にバクスターが事業売却をして、アメリカの工場を停止しました。 売却先の会社がドミニカ共和国にその工場を移転して、1月から製造を開始していたと ころ、滅菌などのバリデーションや工場の再開に手間取り、世界的にボーンマロウコレ クションキット、それからキットが不足してきたという状況になりました。  日本では、世界的に需給が逼迫してきたこともあって、バクスターと追加の輸入はで きないのかとか、いろいろ事務局で調整させていただいたところですが、世界的な需給 の逼迫でそれも困難ということになりました。  一方、米国ではベンチャー企業で、バイオアクセス社という、本日、御報告するボー ンマロウコレクションシステムの承認を持っている会社があります。アメリカには2品 目あり、バイオアクセス社が現在増産をして米国と、最近認証を取ったヨーロッパに供 給をしているという状況です。日本においては、バクスター社のキットしか承認がなく、 3月末にも日本の病院における在庫も底を突くということで、骨髄移植のスケジュール が予定通りできなくなり、マスコミからもいろいろ取材を受けるとともに、患者団体か らは早期承認を、何とかしてほしいという要望をいただいたところです。  それを受けて総合機構で迅速に審査を行ってまいりまして、何とか本日こちらの審査 結果ということで、承認して差し支えないのではないかというところまでこぎ着けたと いう状況です。審査報告書の概要は時間の関係で割愛させていただきます。  物としては血液バッグが付いて、それからフィルターが付いており、それほど複雑な ものではありません。ドナーから採取した骨髄を上のバッグに入れて、フィルターを通 して骨片や脂肪細胞を除去して、レシピエントに点滴できる状態にするものです。気密 試験等の結果や、生物学的な試験結果などを審査して、承認して差し支えないというこ とで、総合機構で判断されたものです。これによって3月の第3週にはバクスター社の 今、承認のあるものが足りなくなるという状況ですが、こちらについては迅速に対応さ せていただいたことを御報告いたします。以上です。 ○笠貫部会長 報告品目ということでよろしいですね。 ○医療機器審査管理室長 審議品目ではありません。 ○笠貫部会長 御質問はございますでしょうか。ただ今の骨随移植にとっては緊急避難 的だという理解はできたと思いますが、よろしいでしょうか。 ○北村委員 こんなに簡単なものを日本ではなぜ生産しないのでしょうか。特許の問題 でしょうか。何かあるのですか。 ○機構 聞いているところでは、1か月□、年間でも□□を切るということで、多分採 算が合わないということで、なかなか製造してくれる所はないというところだと思いま す。このような採算の合わない品目については難しい部分がございますが、今回はバイ オアクセス社の日本でマーケティングをしたいという希望がありまして、今回承認申請 にこぎ着けたという状況です。 ○北村委員 残念なことですね。 ○笠貫部会長 特にありませんでしたら、次に進めさせていただきます。それでは、議 題5「医療機器『オルソ-K』の製造販売承認の可否等について」です。審議品目になり ますので、事務局から御説明をお願いします。 ○事務局 御説明します。医療機器「オルソ-K」ですが、申請者は株式会社アルファコ ーポレーションで、コンタクトレンズを製造している会社です。本品目は、全く新しい タイプのコンタクトレンズです。御存じのとおり、通常コンタクトレンズは昼間に着け るものですが、こちらは夜の間に目に着けて、角膜の形を扁平にして、視力が出るよう にし、朝には外して、そのまま角膜の形状が変化した状態を維持できることから、昼間 は何も着けずに裸眼で視力が出るようにしたものです。  なお、本品目については、現時点ではふさわしい医療機器の一般的名称が定まってお りません。したがって、新しい一般的名称を設けて、クラス分類を定める必要がありま す。資料5-1に「新一般的名称クラス分類等」という灰色のタブが付いているかと思い ます。  資料5-1は「角膜矯正用コンタクトレンズ」という形で案としております。角膜矯正 用コンタクトレンズのクラス分類はコンタクトレンズと同じくクラスIII。特定の保守が 必要というものではありませんので、非該当。生物由来製品又は特定の生物由来製品で はないことから非該当という案にしております。本品目の審査の概要などについては、 審査を行った総合機構より御説明します。 ○機構 医薬品医療機器総合機構より御説明申し上げます。資料5-1です。本品の審査 に当たり、御覧の専門委員の先生方に御意見をいただきました。本品は特殊な内面形状 を持ち、本装用により、高い予測性を持って目標とする屈折度数を出すように、角膜形 状を変化させる角膜矯正用コンタクトレンズです。就寝時装用を繰り返すことで、日中 レンズを外しても、裸眼視力が向上、維持されます。また使用を中止すると、元の状態 に復元されます。  本品の構造を図で示します。レンズ中心部は、角膜形状よりフラットなベースカーブ を有し、角膜中心部に圧力をかけるように設計され、周辺の複数のカーブは涙液調整の 機能やレンズセンタリングのための機能が付与されております。  本品の開発の経緯を示します。オルソケラトロジーとは「レンズを装用して角膜形状 を変化させ、レンズ脱後の裸眼視力を補正する視力矯正法」と定義されます。1960年代 に単にベースカーブをフラットにしたオルソケラトロジーレンズの開発が試みられまし たが、視力が安定せず、また望む視力を得ることができなかったため、開発は発展しま せんでした。近年、レンズの加工技術、広範囲な角膜形状の測定技術、高酸素透過性素 材の開発等の技術の進歩により、本品の開発に至っております。  海外の使用状況を示します。本品の海外における使用はありません。原材料の製造元 による類似製品の認可状況及びその不具合報告についてはお示したとおりです。  臨床試験を除く提出された資料を示します。品目仕様に関する資料で、目標度数を出 すために必要とするフラット化の量について、個人差をどのように考慮するか議論が行 われ、角膜の戻りを押さえるため加える調整量を、臨床試験の成績を踏まえ、−0.75〜 −1.00Dの値が適切であるとしました。そのほか示したすべての資料について、特段に 大きな問題点を認めないため、専門協議の議論を踏まえ了承しました。  国内臨床試験について示します。本品は、国内2施設で視力の安定した−4Dまでの 軽度近視96眼を対象に臨床試験を実施しました。年齢20歳以上、装用期間は52週でし た。有効性及び安全性評価項目は、ここに示すとおりです。  結果を示します。有効性について原則52週後の裸眼視力で評価を行いました。「極め て有効」と評価された裸眼視力1.0以上の眼の割合は78.7%、「有効」と評価された裸 眼視力0.7以上、1.0未満の眼の割合は16.0%、これらの合計、「有効」以上は94.7% でした。  52週間の装用に至るまでの経時的な裸眼視力の改善について示します。1週間で著し い改善傾向が示され、4週間で有効以上は92.6%を占め、その後52週間まで緩やかな カーブで視力はさらに改善されております。  一方、別の見方を行いますと、角膜の変形について個体差があり、1か月を超えて裸 眼視力の改善がない一部の患者にあっては、角膜変形が起こりにくいと言える結果であ るとも考えられます。  日々の視力が安定した後、同一日中で6時間以上空けた2点における視力を測定した 結果をお示しします。1眼を除き、安定した視力を維持しておりました。  睡眠時間は個人差があります。睡眠時間、つまり装用時間と有効性・安全性の関係を 明らかにしてみる必要があると考えました。結果を表に示します。装用時間と有効性・ 安全性の相関は確認できませんでした。専門協議の議論を踏まえ、装用時間は個々の患 者に必要な近視矯正の量及び角膜の応答性等に基づいて決定することが望ましいと、操 作方法欄に記載することとしました。またオルソケラトロジーレンズの知識を有する眼 科専門医が取り扱いを行う必要があると判断しました。  安全性について、不具合発生と装用の継続性の観点から表のような評価基準が設定さ れました。結果、「ほぼ安全」と評価される一時中止は7眼ありました。そのほかはす べて「極めて安全」でした。一時中止の理由は、角膜上皮ステイニング5眼、角膜上皮 障害と球結膜充血が各1眼でした。重篤な不具合はありませんでした。  1年間の臨床試験で本品に特有な安全性に関する所見として、鉄沈着が観察され、ま た経時変化を観察していた角膜中心厚及び眼圧で有意な変化が観察されました。角膜内 皮細胞への影響は確認されませんでしたが、いずれも1年以上の長期の安全性に関する 十分な情報がないことを踏まえ、再生されることがないことから、長期安全性の確認が 重要である角膜内皮細胞への影響を含めて、使用成績調査の重点調査項目とすることと しました。また、ここに示す視力不良の自覚症状については、長期経過後においても出 現の可能性があることから、添付文書にて注意喚起することとしました。  総合評価ですが、有効性について、裸眼視力が約1週間目から改善されること、4週 間を過ぎると、約93%に十分安定した0.7以上の裸眼視力が得られ、またその頃には同 一日中の視力の安定性も獲得されていました。単腕非無作為化臨床試験ではありますが、 臨床上求められる有効性を有すると判断しました。  安全性については、7眼において一時中止しましたが、短期の中止で再装用可能でし た。特有の重要な事項や安全性に関わる変化については、使用成績調査における重点調 査項目とし、また視覚不良について、添付文書で注意喚起しました。  本品は通常のコンタクトレンズと異なり、裸眼視力の改善は個体差があることなどか ら、本品を熟知した眼科専門医による安定な視力維持と安全管理は重要であると判断し、 これを添付文書に記載することとしました。さらに有用性が示された臨床試験の患者選 択基準の範囲に限定して適用するように、承認書の効能・効果欄及び添付文書に記載し ました。  以上より、本品のリスクは臨床上の有用性を上回るものではなく、承認して差し支え ないと判断しました。総合機構は、こちらに示す使用目的及び効能又は効果で承認して 差し支えないと判断しました。  本品は新効能医療機器であることから、再審査期間は3年が適当であると考えます。 なお、生物由来製品又は特定生物由来製品の該当性については、非該当と考えておりま す。  事前コメントとして、土屋先生より二点御意見をいただいております。一点目は、「治 験は40歳未満で行われている、おおよその年齢の上限は不要なのか」。二点目は、「就 寝時間は10時間までを標準とするなどの限定はしないてよいのか」ということです。  一点目の年齢の上限については、添付文書の「重要な基本的注意」の中で、40歳前後 から老視が始まるので、近見視力の障害と眼精疲労の原因になることを患者に説明の上 で、慎重に適用すると記載をさせております。  二点目の就寝時間の件は、本レンズ素材は十分に連続装用できる程度の酸素透過性を 持ったもので、時に長時間装用しても安全性の面から大きな問題はないと考えます。し かし、新しい医療機器で、安全性の面からは効果があるが、できるだけ最短の時間で装 用することが望ましいわけで、専門の先生に、装用時間を考慮の上、決めていただくの が適当ではないかと考え、操作方法に先ほど申し上げた記載をさせたということです。 以上です。御審議のほど、よろしくお願いします。 ○笠貫部会長 それでは、御質問ございますか。 ○天笠委員 専門ではないのですが、質問させていただきたいと思います。  専門家はジオプトリーで書いてある数値はよく分かるのでしょうが、視力で改善率を 見たものが表2にありますが、実際に装用前の視力はどのぐらいなのでしょうか。−1.0 〜−4Dとなっていますが、あとの検査結果が視力で書いてあるものですから、よく分 からないので、教えていただければと思います。 ○機構 初診時の視力は、平均して0.25程度だと記憶しております。 ○天笠委員 中央値はどのぐらいですか。 ○機構 中央値ですか。 ○天笠委員 では、平均値で結構です。もう一つお聞きしたいのは、装用中は見えるの でしょうか、見えないのでしょうか。 ○機構 見えるように作製されております。 ○天笠委員 ということは、それをしたまま昼間でも使えるということですか。 ○機構 使おうと思えば使えるわけですが、そうしないようにということで注意をして います。 ○笠貫部会長 ほかにいかがですか。 ○正田委員 眼科のことはよく分かっていないのですが、レンズ自体はどのぐらい使っ ていいということが何も書いていません。繰り返し使えるということですが。 ○機構 通常のハードレンズと同様に使えます。 ○正田委員 ずっと使っても大丈夫ということですか。 ○機構 壊れない限りは。フィッティングをきちんと確認して、定期検査をしておりま すので、異常がなければずっと使うということで、大体1年間の臨床試験をしておりま すが、その間に使用されたレンズの量は、平均1.1ということですので、10人に1人が レンズを替えています。でも、それは適当でなかった場合に替えたのと、傷が付いたと いうことで替えたのと両方あります。 ○正田委員 問題がなければずっと使えると考えていいのですか。何も書いていないと ずっと使ってしまうとか、少し気になるのは形状が普通のフラットではなくて、くぼみ があったりするような形になっているように見えますが、本当に長く使って安全なのか ということが少し気になります。長期間というのが目にどうのこうのではなくて、同じ レンズをずっと使ってしまうという意味で、問題はないのかということが気になったの です。 ○医療機器審査部長 先生が言われるように、そういう危惧はあるのですが、これにつ いては専門医に定期的に検診に行っていただいて、フォローしていただくことになって おりますので、そこで確認をして、レンズの検査も行いますし、視力に合っているかど うかなどはしっかりフォローしていただくことになっています。 ○武谷委員 レーシックに比べたら、ある意味では非常に生理的だと思いますが、有意 に角膜が菲薄化してきたということは、上皮細胞や内皮の方はいいと思うのですが、角 膜実質そのものの変化が長期的にどうなるのか、ちょっと不安かなと思うのです。ファ イバーそのものは非常に細かなもので、それが伸ばされて、ハードがくっ付いたときに、 ある意味では変形があるので、ネガティブプレッシャーで伸ばして薄くなっているのか と思います。それが逆に52週みて、それから先のオフしたときの戻りというのは、使わ なくなったときの戻りというデータがあって、正常に戻るのか、薄いままなのか、その 辺を知りたいと思います。安全性というのは、内皮細胞や上皮細胞は、ある意味では非 常に活性の高い細胞ですから、かなりリカバリーしてしまうはずです。ですから、実質 の部分の変化を追うべきではないかと思ったので、もし知っていたら教えていただきた いのです。 ○機構 細胞層は、細胞がマイグレーションして中心部が薄くなってくるということだ と思いますが、角膜の復元についてはお手元の109ページに「角膜の復元」ということ で、視力によって復元を見ているだけのもので不十分なのかもしれませんが、1年装用 の場合については、ある程度視力が回復してきているのかなという感じはあります。そ れ以上のことについては、使用成績を調査して安全性を確認していくということで考え ています。 ○武谷委員 視力の問題ではなくて、細胞上皮と内皮があって、そこの間の層は何もな いきれいな層ですが、そこが薄くならなければ薄くならないはずなのです。ですから、 それのリカバリーというのは伸ばされて薄くなっているのだろうと予測はしているので すが、そこの変化がどうなのか。要するに、そこが変化すると角膜の混濁とか、いろい ろなことが起きてくるわけですから、そういう所は、今の詳細な細隙灯顕微鏡だったら、 きれいに分かっているはずだと思います。一応そういうのは聞いた方がいいのかと思い ます。 ○笠貫部会長 先ほど期間の話が出ましたが、添付文書にも長期間使用しないと書いて あります。長期間というのは1年以上ということで、先ほどの「重点調査項目」にも触 れられていますが、1年以上ということを添付文書のどこかに書かなければいけないの ではないかと思います。重点調査項目ということが今回新たに出てきたのかと思うので すが、実際にどういう内容で、どのように企業の方に義務付けをしていくのかについて は、お考えはあるのでしょうか。 ○医療機器審査管理室長 長期間の使用の1年間以上ということについては、御指摘の ように、確かに添付文書で水色の耳が付いている「使用上の注意」ですが、「警告」の 所に、「本品を長期間使用した場合の安全性は確認されていないこと」としか書いてあ りませんので、そこにできれば、「臨床試験は1年しか行われていない」ということを 付記するように指導したいと思います。  「重点調査項目」ですが、再審査期間中に行う使用成績調査については、計画書を、 調査の開始の前に提出することになっておりまして、その調査計画の中に重点的に調査 するべき項目を記載するようになっており、そこに本品については、長期的な安全性に ついてのフォローアップをするように指導しているところです。 ○笠貫部会長 そうしますと、先ほど3年間ということでしたが、先ほどの御質問のよ うに、5年も10年も使えるのではないかと期待されてしまうと、3年間の評価をした上 で、さらに長期にするかどうかはまた検討するということで、現時点で3年間という判 断でよろしいですね。 ○医療機器審査管理室長 はい。 ○笠貫部会長 所要の講習を受講しなければいけないのですが、所要というのは何か決 まりがあるのでしょうか。企業の講習を受けるのですか。 ○医療機器審査管理室長 企業が計画をしております。 ○笠貫部会長 どういう講習内容かについては、ここではなくてもいいのでかが、機構 には御報告があるということですね。 ○医薬機器審査管理室長 はい。 ○笠貫部会長 ほかにはありませんか。 ○土屋委員 角膜の厚さを測るようになっているのでしょうか。大体500μmだと思いま すが、そのうちの何%ぐらいが圧縮されているのか。そのパーセントというのはどのレ ベルなのかというのが分かれば、それほど細胞にダメージがあるのか、ないのかとか、 いろいろな推定ができると思います。今は細胞に対する力学強度とか、いろいろな試験 ができますので。  ○機構 先ほどから御質問いただいている重点調査項目で御説明したいと思います。資 料の194ページに、「使用成績等調査実施計画書」が付いていて、その中に「重点調査 事項」ということで、長期観察、鉄沈着の発生、角膜厚の変化、眼圧の変化、角膜内皮 細胞密度等を測定することになっています。勝呂先生が御指摘の点、あるいは土屋先生 が御指摘の点は、この調査の中で明らかになってくるものだと考えております。  また勝呂先生から御指摘の点ですが、「審査報告書」が一番前の方に付いていて、13 ページに(3)という形で、今回の試験においては細胞密度の変化は認められず、文献上で も角膜上皮の厚さの変化はさせておりますが、角膜の内側は変化させていないという報 告が、今のところ1本認められています。ただ、今回の重点調査項目ということで、さ らに追加して調査する予定です。 ○機構 また土屋先生にお話をいただいた角膜厚に対する変化の量ですが、詳細には 111ページに書かれていますが、「52週後の角膜厚の変化量は−8.7±15.1μmであった」 ということです。通常角膜の平均厚さが550μmで、レーシックですと、250μm以上残 すということで、削除をすることもあって、量的には余り大きい変化ではないのかと考 えますが、若干個体差があって、112ページの表35「角膜厚の変化」を見ますと、測定 誤差等もあるかもしれませんが、大体大きいもので60μmなどの変化があったのもあり ます。それについては個々に1年間の結果ですが、有効性とか安全性を個別の症例で確 認はしてあります。ただ、このもの自身、長期に装用するということで、先生が言われ たような安全性は、今後確認していく必要があるだろうという理解です。 ○笠貫部会長 コンタクトレンズはこれまでネット販売を含めて、その後の安全対策が 非常に大事な問題だと思いますので、新たに出てきた場合に、しっかりとした安全対策 をたて、安全な普及を御検討いただきたいと思います。  それでは、議決に入りたいと思います。医療機器「オルソ-K」については、本部会と して承認を与えて差し支えないものとして、再審査期間は3年として、生物由来製品及 び特定生物由来製品の指定は不要ということでよろしいでしょうか。 ○北村委員 外国の類似製品というのは、使われたことのない、全く新しい医療機器に なるのですか。この製品は日本製で、外国での実績はないと。しかし、オルソケラトジ ーという概念が使われているものが外国にはあることはあるのですね。 ○機構 外国にはあります。 ○北村委員 それは日本では使われていないのですか。 ○機構 承認されているものはありません。初めて承認されるものです。 ○北村委員 それとは構造的には随分違うものなのですか。 ○機構 非常によく似ておりますが、外国では、内部の形が少しずつ違うタイプが何種 類か試されております。 ○北村委員 日本では、この特許は取れているわけですか。 ○機構 そこまでは調べていません。 ○北村委員 もちろん、外国製品と特許に抵触するということもないわけですね。 ○医療機器審査管理室長 この製品についてはですか。 ○北村委員 そうです、大丈夫ですか。 ○医療機器審査管理室長 はい、大丈夫だと思います。 ○機構 この形状については、□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□ □□□、大丈夫だと思います。 ○北村委員 よく似ているものについては、外国にたくさんのデータがあるわけですか。 ○機構 ボシュロムが何種類かの特許を持っておりまして、長短があるので、どれがい いという結論は今のところは出ておりません。 ○北村委員 そういう比較はなしで、これは新しい製品として申請されているわけです ね。 ○機構 はい。 ○笠貫部会長 それでは、御異議がないようですので、そのように議決させていただき ます。この審議結果については、次回の薬事分科会で報告することにいたします。  続きまして議題6「医療機器エンデバーコロナリーステントシステムの製造販売承認 の可否等について」審議を行います。審議品目の概要については、事務局から御説明を お願いします。 ○事務局 エンデバーコロナリーステントシステムについて御説明します。申請者は日 本メドトロニック株式会社です。こちらは経皮的冠動脈ステント留置術に使われるステ ントですが、特に新規なものとして、こちらのステントに含まれている血管内腔の確保 を目的に入っている薬剤が、新しいゾタロリムスというものであるというところが新規 です。ゾタロリムスについては、今のところ、医薬品として承認されているという実績 はなく、この機器において初めて使用されるものです。本品目の審査の概要などについ ては、機構から御説明します。 ○機構 医薬品医療機器総合機構より御説明申し上げます。資料6-1です。医薬品医療 機総合機構での審査に当たり、御覧の専門委員の御意見をいただきました。  本品は、経皮的冠動脈ステント留置術を実施するに際し、血管内腔確保を目的に、病 変部に挿入・留置して使用する冠動脈ステントと、ステントの送達に使用するデリバリ ーシステムからなります。金属ステント部分は同社の既承認冠動脈ステントの「ドライ バー(及びマイクロドライバー)コロナリーステントシステム」と同一であり、ステント 表面には再狭窄の原因と考えられる新生内膜増殖を局所的に抑制する目的で、ゾタロリ ムスがコーティングされています。  本品は、病変部にてバルーンを拡張することで、バルーン状にクリンプされたステン トを拡張し、血管内腔の確保を行います。ステント上に薬剤を含むコーティングが被覆 されており、病変部での薬剤の経時的な溶出によって、血管平滑筋細胞の増殖抑制によ る再狭窄抑制を期待しています。  本品は、2005年に欧州でCEマークを取得、2008年2月に米国でPMA承認を取得し、 それぞれ販売を開始しております。2008年12月までに世界100か国以上で約□□本の 使用実績があります。  不具合発生率としては、スライドに示しましたように、特に大きな問題は起きており ません。  本品の申請に当たり、御覧の資料が提出されています。非臨床試験に関する資料にお いて、本品のコーティング薬剤であるゾタロリムスは国内外で医薬品として未承認であ ることから、その有効性・安全性について詳細な検討を行う必要がありました。ゾタロ リムスについては、通常の医薬品開発と同等に、モデル動物を用いた各種毒性試験に対 する無毒性用量の試験成績が提出されております。  また、ゾタロリムスは既承認の薬剤溶出ステントに用いられているシロリムスと同じ 作用機序を有しており、同程度の血中濃度液において免疫抑制作用を示しております。  ヒト第I相試験において900μgの投与により、約110.78ng/mLの最高血中濃度を示し ましたが、毒性並びに免疫抑制の所見は認められず、臨床試験において行われた薬物動 態試験においても、本ステントに用いられている薬剤量では、最高血中濃度は5.64ng/mL であり、48時間後においては、血中濃度は2ng/mLまで低下しておりました。  上述の試験の結果から、本ステントにコーティングされている薬剤用量では、ゾタロ リムスの毒性発現、及び全身性の免疫抑制作用を示す可能性は低いと判断し、専門協議 の議論を踏まえ、これを了承いたしました。  次に本品について実施された安全立証試験について示しております。黄色に示した二 つの試験について、試験成績が添付資料として提出されており、他の試験成績について は、参考資料として提出されております。  添付資料として提出された臨床試験に関して示しております。ENDEAVORII試験はドラ イバーコロナリーステント、もしくはマイクロドライバーコロナリーステントを対照と した比較臨床試験を行い、ENDEAVORJapan試験においては、単群で本品を用いた臨床試 験を御覧の条件で行っています。ここでは抗血小板療法のみが、本邦では塩酸クロピド グレルに替えて塩酸チクロピジンを用いている以外はすべて同一の条件として行ってい ます。  「臨床試験」の主要評価項目は、術後9か月間の標的血管不全発生率、安全性副次評 価項目は術後30日〜24か月までの主要心事故発生率。また有効性副次評価項目として 御覧の評価項目が設定されています。  「臨床試験成績」です。本品は、対照機器群に対して、術後30日を除いて主要評価項 目及び安全性二次評価項目について、有意差をもって良好な成績を示しており、MAC E以外の他の主要な有害事象発生率において、対照群と有意差は認められておりません。 またENDEAVORJapanの試験の結果は、ENDEAVORII試験の結果と同等であり、本品の日本 人に対する成績についても有効性と安全性が同等であることが示されております。  「臨床試験結果」の有効性副次評価項目についての成績です。急性期の手技に関する ものを除いて、本品は対照群に対して優位に良好な成績を示しており、ENDEAVORJapan 臨床試験の成績もENDEAVORIIと同等の成績を示しております。  本品は、既存のベアメタルステントに対して、その有効性と安全性に優越性を示した ものの、本邦では既に3品目の薬剤溶出ステントが承認されており、本品の臨床上での 位置付けを評価するに当たり、参考資料ではありますが、既存の薬剤溶出ステントの比 較臨床試験であるENDEAVORIII及びENDEAVORIV臨床試験の結果が提出されております。  両試験結果における本品の血管造影に関する評価項目において、既存の薬剤溶出ステ ントと比較して、本品は同等を示すことができませんでした。しかしながら、各臨床試 験において、臨床的な評価項目については、既存の薬剤溶出ステントと差が見られてお らず、特にENDEAVORIV試験においては、主要評価項目のTVF発生率で非劣性を示して いることから、本品の血管造影に関する評価については、臨床上において許容できる範 囲であり、本品の有効性及び安全性を否定するものではないと判断し、専門協議の議論 を踏まえて、これを了承しました。  また本品の申請当初には、ステント内径2.25mm径の製品が含まれておりましたが、臨 床試験での使用数が少なく、当該径の有効性・安全性の検証が十分できないことから、 申請から除外する旨の回答を踏まえて、総合機構はこれを了承いたしました。  これにより本品の使用目的、効能又は効果については、対照血管径の範囲を2.25〜3.5 mm径のものから2.5〜3.5mm径に変更しております。  また薬剤溶出ステントは、ベアメタルステントに比べて、遅発性、超遅発性のステン ト血栓症の発現が多く見られること、またその発症による予後の重篤性が問題となって います。ここでは臨床試験のプールデータを用いたステント血栓症の発生率について示 しています。  本品のステント血栓症の発症率はドライバーステントと比較して劣るものではなく、 安全性においても既存のステントに劣るものではないと判断し、専門協議の議論を踏ま え、これを了承しました。  「総合評価」です。本品の審査についての論点であったゾタロリムスについては、提 出された各試験結果において、安全性上問題となる所見が見られていないこと、及び薬 物血中濃度測定の結果から、本品に使用されるゾタロリムスによる副作用等の問題は大 きくないと判断しました。しかしながら、臨床試験における評価は、評価期間及び評価 症例数において限界があることから、本品を用いた臨床試験の長期経過観察及び市販後 の使用成績調査により、対象患者の予後について解析し、その結果を報告するとともに、 必要な措置を講じることがあることから、後述する承認条件1、2を付すことが妥当で あると判断しました。  また本品は、ベアメタルステントに対する優越性が確認できること、及び臨床的な評 価項目において、既存の薬剤溶出ステントと本品の間に大きな差は見られていないこと から、本品の臨床試験成績は臨床的に許容範囲にあると判断しました。しかしながら、 薬剤溶出ステントにおいては、遅発性を含めたステント血栓症に対する適切な対応が安 全対策上重要であることから、後述する承認条件3を付すことが妥当であると判断しま した。以上の審査を踏まえて、御覧の三つの承認条件を付して承認することが妥当であ ると判断しました。  総合機構は、本品をこちらに示す使用目的で承認することで差し支えないと判断しま した。なお、本品は新性能医療機器であることから、再審査期間は3年とし、生物由来 製品又は特定生物由来製品の該当性については、非該当と考えております。  最後に、川上委員よりいただいた御意見を紹介させていただきます。「審査報告書の 20ページに抗血小板療法に関して、少なくとも3か月の塩酸チクロピジンの投与を推奨 することとするとなっておりますが、現在チクロピジンについては、PTP(無顆粒血 症)、重篤な肝障害のために、2週に1回、血球算定、肝機能検査施行、患者説明、患者 指導、2週間の処方などの制約があります。今後、クロピドグレルなど、他の抗血小板 薬の有効性についても検討することなど、指導があったように思います」という御意見 をいただいております。  これに関しては、審査の段階で海外治験がクロピドグレルとの併用で行われているこ とをかんがみ、添付文書には本品の使用に際し、術後、少なくとも3か月間のチエノピ リジン系薬剤の投与を推奨する旨を記載するように指導しております。  審査報告書の御指摘いただいた箇所の記載と添付文書の内容が整合していないため、 審査報告書の記載を、後日添付文書と同じ文章に訂正させていただきます。以上、御審 議のほど、よろしくお願いします。 ○笠貫部会長 それでは、御質問等はございませんでしょうか。 ○北村委員 規約上は問題ないかもしれませんが、少なくともこの部会でこれを審議す るのであれば、ここの委員が専門委員にも入っていることは対外的にいいのですか。笠 貫部会長、小田先生が入っておられます。ここで審議せよというのに、認める意見を出 してきている専門委員が既に入っているというのは、少なくとも対外的に見ると、馴れ 合いではないかと言われかねない点があるのではないかという気がしますが。通常ほか の委員会はこういうことを極力避ける方向になっていると思いますが、どうですか。 ○医療機器審査管理室長 御指摘の点を事務局としても考慮して、これまでこの部会だ けではないと思いますが、専門協議に部会の先生にも御参加いただいて実施してきた品 目が少なからずあるのですが、今後は部会の先生には専門協議には御参加いただかない という形で審議を進めるということで、機構ともルール化をしてやることにしておりま す。先ほどのコンタクトレンズも実は寺崎先生に今回から御参加いただいたのですが、 専門協議には御参加いただいていたのですが、今後は部会の先生には専門協議には御参 加いただかない。ダブルでの審査が実施されるように対応していきたいと考えておりま す。 ○北村委員 その方が対外的には透明性があって、いいような気がしますし、専門家が 少なくなる事情もあるかもしれませんが、避けた方がいいような気がしましたので。 ○医療機器管管理室長 この部会においては、専門の立場からももちろんですが、その ほかの先生から、医療機器としての承認の妥当性について御審議をいただくということ ですので、御専門以外の先生においても、よろしくお願いしたいと思います。 ○笠貫部会長 ほかにございますか。 ○土屋委員 本品を承認という方向は、私は賛成いたしますが、細胞に対する影響とい うところで、平滑筋細胞と血管内皮細胞の2種類に対する影響を見ておりますが、血管 の中にはそのほかの線維芽細胞もあると思いますが、それは無視してよろしいのかどう かを、あとで企業から聞いておいていただければと思います。それは余り関係ないとお 考えなのですか。 ○機構 そこに対して直接お答えする内容ではないのですが、細胞毒性一般については、 もちろん生物学的安全性まで確認されているという点。それから埋植試験と血管の中に 実際に本品を留置して、そのあと組織学的に検討した試験等においては、特に顕著な毒 性が見られていないところから、おおむねその辺りの細胞に対する影響は許容できる範 囲にあるのではないかと考えておりますが、特にその辺りのほかの細胞等について検討 している成績があるかないか、それを含めた今後の市販後の安全対策を含めて企業とも 相談させていただきたいと思います。 ○医療機器審査管理室長 血管内皮細胞と平滑筋細胞を特に見ている理由を説明してく ださい。 ○機構 今回は血管内皮細胞と平滑筋細胞のみを見ているわけですが、まず血管平滑筋 細胞の増殖がステントを留置したあとに、再狭窄という現象が起こって、それがステン ト治療の一つのアキレス腱と言われている部分があります。そういった部分の新生内膜 の増殖に対しては、平滑筋増殖の抑制が一番顕著に効くだろうというところで、そこが 本品のゾタロリムスが塗ってあるわけですが、その作用ポイントになっています。  それと同時に血管内皮細胞が、そのあと平滑筋の上を覆ってくることによって、内膜 が完成するわけですが、その場合に、その内皮細胞の増殖を抑制することによる血管の 内膜化の遅延と、昨今問題になっているステント血栓症の原因の一つであると考えられ ている点もありますので、この二つの細胞についての増殖抑制効果を検討しているとこ ろです。 ○笠貫部会長 ほかにございますか。 ○北村委員 前から気になっていたことを確認したいのですが、C1の使用上の注意と いう黄色のタグの中に企業からきている添付書類の1ページの右側の下に、「禁忌・禁 止」という項目があります。ここに書いてあることと違う目的で医師が行った場合の薬 事法上の問題はどこにありますか。だれがそれをいけないという権限があって、だれが それに従わなければならないのか。  例えばこの文章は前のCypherの場合も、TAXUS Expressの場合もほとんど一緒です。 同じ文章が載ってますが、実際このステントを使って治療をしているcardiologistの先 生方とは乖離している部門が少なくないのが現状です。また一番新しいステントで、同 じ文章が付いたのです。進歩していませんが、これに違反した場合はだれがだれに対し て、「いけませんよ」という権限を持っているのか。あるいは薬事法上の違反になるの ですか。 ○医療機器審査管理室長 薬事法上は違反になることはありません。ただ、この「禁忌 ・禁止」をしたのは。 ○北村委員 「禁忌・禁止」とした企業がそれを知っていて、それを出荷していること になれば、薬事法上の違反になるのではありませんか。企業に対して。注意書として「注 意する」ことなら分かります。「禁忌・禁止」と書きながら現実と即していないことが 私は気になります。この文章はもう何年も前のCypherから変っていません。 ○医療機器審査管理室長 Cypherからも変わっていませんし、恐らくアメリカの添付文 書等とも整合を取っていますが。例えば委員の御指摘は急性心筋梗塞患者とかのことか と思います。急性心筋梗塞の患者さんにステントをどう使うかということにつきまして は、随分前から御議論があると聞いています。アメリカにおきましては、別途、急性心 筋梗塞患者を対象とした臨床試験が組まれております。 ○北村委員 臨床試験をやるのなら結構ですが、現実には、日本はそうなってはないん ですね。 ○医療機器審査管理室長 急性心筋梗塞の患者を対象とした臨床試験を組んで有効性と 安全性を確認して、解除してきているとのことで、今この急性心筋梗塞の適用を日本で どうするかということについては、学会の先生方からも御要望も多いことは認識してい まして、安全対策課、安全部が私どもと共に、学会とも話をして、どういうふうにここ を、どういうデータに基づいてどう解決をしていくかを。 ○北村委員 幾らおっしゃられても、日本では解決できません。臨床研究に持っていけ ないです。それはなぜかと言いますと、新たに臨床研究としてやると、保険が使えなく なるからです。保険医療との併用ができないためにステントをすべて寄付をしてもらう か、研究費で買うか、さらにその周辺の費用もすべて研究費でやれというのが保険局の 意見なのです。変わっていないわけです。ですから日本でステントの臨床研究をやるの は非常に難しいです。 ○医療機器審査管理室長 臨床研究でやることは、もちろん混合診療が高度医療評価制 度に乗ればできるにしても。 ○北村委員 薬事法で下ろしてしまえば、高度は使えません。 ○医療機器審査管理室長 先進医療に使わなければいけないとのことですね。 ○北村委員 先進医療には使えますが、先進医療に使って。 ○医療機器審査管理室長 禁忌を解除するのに、臨床研究でやる必要があるのかどうか、 わかりませんが。 ○北村委員 それは要りますよ。外国でもそうですから。 ○医療機器審査管理室長 必ずしも臨床研究を実施する必要があるのかどうか。 ○北村委員 それでは何故この8年間程変わっていないのですか。 ○医療機器審査管理室長 すみません。直ちに今、学会との協議の内容につきまして、 細かく報告を聞いてこなかったのでお答えできなくて恐縮ですが、また確認して御報告 できればと思います。今、日本で急性心筋梗塞に対する適用をどうするかについては、 学会の先生方の知恵もいただいて、どういうデータに基づいて解除できるのかは前向き に検討を進めていることだと認識しています。今、詳細がどこまでいっているのかにつ きましては、すぐにお答えができなくて恐縮です。もし笠貫部会長の方で何か御事情を 把握されている部分があれば、教えていただければ有り難いのですが。 ○笠貫部会長 私も北村委員に近い考え方で、この添付文書の禁忌と臨床の現場のニー ズとのギャップをどう埋めていくのか。その最たるものは、このDrug-Eluting Stent だと思います。そういう意味で有効性と安全性の問題を含めて、早急に学会サイドと行 政サイドとの話し合いが必要になるかと思います。 ○北村委員 現状で、そして日本のやれることというのはおっしゃるとおりなのだと思 います。私は企業の方が、先ほどの一番最初の質問で申し上げたように、ここに違反し ていることが明確な場合、だれがこの禁忌、この約束事に「違反していますよ」と言う 立場にあるのか。どのような理由で、あるいはどのような権限をもってそれを言えるの か。もし企業が禁忌・禁止の目的に使われていることをよく知りながら、なおかつ、販 売を続けている場合には、医薬食品局が企業に対して、その点は「薬事の書いたこれと 違うじゃないか」と言えるのではないかと思いますが、それで正しいですか。医者に対 してではなく、企業に対してです。企業が禁忌・禁止のことをやっているという医師た ちの臨床研究のようなものに対して、例えば「左冠動脈本幹は駄目」と書いてあるわけ です。ところが実際はたくさん使われていて、臨床研究としてどんどん内科の先生は学 会に報告されているわけです。しかしこれは禁忌・禁止事項になっているわけです。し かし企業はそれを知りながらどんどん出しているとも言えるわけです。そのときに医薬 食品局は企業に対して、薬事の約束に違反しているのではないですかと言えるのですか ということです。 ○医療機器審査管理室長 厳密に言うと、薬事法に違反していると言うのはなかなか難 しいのではないかと思います。 ○北村委員 では、なぜこれを書かせるわけですか。 ○医療機器審査管理室長 禁忌をですか。 ○北村委員 嘘を書いていることにはなりませんか、医薬食品局から言えば。 ○医療機器審査管理室長 嘘ではないとは思いますが。 ○審議官 今のいろいろな御質問は、現在、「薬害肝炎の検証と再発防止のための検討 委員会」で議論をしているところと、正に非常に近い議論をしていると思います。要は 現場で適応外の使用をすることについて、行政機関から医療機関に対して何らかのアク ション取るべきてはなかろうかと。あるいは、製薬企業がその適応外使用を助長するや り方をしているものについて、何らかの監視・指導ができないのだろうかと。こういっ た観点からの議論がいろいろ行われていますので、そこのところを整理しながら、今後、 今の法律の枠組みでできるのかを含めて検討する課題だと思っております。 ○北村委員 私が先走り過ぎているのかも知れませんが、これは随分長い問題です。 Cypherのときから。御検討いただいて、医者たちも気持ちよく使う。皆心配しながら扱 っているのかも知れませんが、できるだけ使いやすい形で医師と患者さんの対等な関係 においてできるようにしてもいいのではないかと思います。 ○医療機器審査管理室長 恐らく解除のためにはアメリカも基づいた臨床データを、何 らかのデータに基づいて解除をしていかなければならないと思っていまして。 ○北村委員 アメリカは外科の方も強いから、例えば左冠動脈本幹のunprotectedと書 いてある部分のものには使わすような許可が下りないのです。外科医がそれは外科の領 域の疾患であることを、きちんとクラスI、レベルIのハイクラスのエビデンスを証明 しているわけです。それは変えられません。アメリカから変えてくれるのを期待してい ても無理です。しかし、日本では特にステントが盛んで良い成績が出ているのでしょう。 ですからどんどんそういうところの領域に実際は入っているのでしょう。 ○医療機器審査管理室長 アメリカも急性心筋梗塞に対しては、臨床データに基づいて 使用できる範囲を博覧していますので。 ○北村委員 それはいろいろ問題がありまして、心筋梗塞はそうかもしれません。その ほかのここに書いてあります12番(左冠動脈本幹)は外国からは出てきません。 ○医療機器審査管理室長 いずれにしてもデータに基づいて解除していくしかないと思 っています。有効性、安全性を確認をして解除していくしかないと思っていますので、 既存のアメリカのデータなり、既存のデータが使えるのであれば、学会の先生又は企業 の協力を得て解除できる範囲について個別に評価していくしかないのかと思います。 ○北村委員 私はやはり医薬食品局が企業に対して指示すべきかと思います。内容を知 りながら、そしてメドトロニックはこの紙を出しているわけですから。堂々と出荷して いるのはおかしいのではないかと思います。そこに対しては医薬食品局が企業に対して、 「それはいけないのではないの」と言える立場にあると思います。ですから日本の中で は、言ってもらいたいという実情もあることはあります。 ○医療機器審査管理室長 この12番につきましては余り知識がなく恐縮です。AMIに つきましては他のステントも含め、全部同じことなのでメドトロニックだけではなく恐 らく全会社のこれまでの薬剤ステント以外も含めて適用をどうするかについては、デー タに基づいて評価をしていくのにどのようなデータを提出いただけるのか。また、学会 の先生方からもどのようなデータをいただけるのか。今、協議を進めているところだと 聞いていますので、そこの詳細の内容につきましては、今日御報告できなくて恐縮です。 ○北村委員 悩んでいるけれど、期待なさっているほど動いてはいないと思います。 ○医療機器審査管理室長 だとすると、データもなく解除するのはなかなか難しいと思 いますので。 ○北村委員 できなければ書くなと言うか、あるいは禁忌の医療をしないよう指導する かになるかと思いますよ。書いてありますが、実情は合っていないわけです。 ○医療機器審査管理室長 ですから事実上に合うようにと言いますか、AMI適用につ いて禁忌から外すのであれば、きちんとした根拠を踏まえまして評価をしていくしかな く、そのためのデータにつきましては、企業に対して提供もお願いしていますし、学会 の先生方にも御協力をいただいて外していくしかないということで、協議を進めている ということです。 ○北村委員 臨床研究をしなさいと言う以外にはないわけです。 ○医療機器審査管理室長 臨床研究をしていただくところまではないのかなとは思って いますが。 ○北村委員 それがまた誤解を招くのです。臨床研究をしていただくのでないけれども、 どうしたら変えられるかを明確にしてやらないと医師たちは現場で困ってしまいます。 臨床研究をしてやらなくて、変えられると言うのならば、どれだけのことをしなさいと 言ってあげてほしいわけです。 ○医療機器審査管理室長 わかりました。その協議がどこまで行っているのかを確認を して、北村委員に御報告をきちんとさせていただきたいと思います。いずれにしても今 回のメドトロニックだけをやるわけにはいきません。 ○北村委員 これだけではないです、全部のステントで同様です。 ○医療機器審査管理室長 全体としてAMIの取り扱いについては、学会ともきちんと した協議を踏まえてやっていくしかないと思います。 ○北村委員 AMIだけをおっしゃっていますが、それだけではありません。12番も忘 れずに。 ○医療機器審査管理室長 わかりました、12番もよく勉強させていただきます。 ○笠貫部会長 ステント治療に関しては、認可の場合の適用外ではなく、禁忌の問題が 御指摘されていますので、非常に大事な問題であると同時に安全対策でも不具合の中で の不適正使用の場合と密接に絡む問題だと思います。そういう意味では私もこのステン ト治療に関しては、「認可と安全」と、「企業と学会」ということで、きちんと検討す る方向で、検討会を設けることは非常に大事なことかと思います。私も内科側として思 っていますので、それを御検討いただくことで、よろしいですか。 ○北村委員 そうですね、結構です。 ○笠貫部会長 この議決に入ります。エンデバーコロナリーステントシステムについて、 本部会として審査報告書にある三つの承認基準を付した承認を与えて差し支えないもの として、再審査期間を3年間として、また生物由来製品及び特定生物由来製品への指定 は不要ということでよろしいでしょうか。 ○笠貫部会長 それでは、御異議はないようなので、そのように議決させていただきま す。この審議結果につきましては、次回の薬事分科会において報告することにいたしま す。  続きまして、議題7の 医療機器「植込み型補助人工心臓システム」を希少疾病用医療 機器として指定することの可否について審議を行います。まず、希少疾病用医薬品、医 療機器に関する制度の概要について、事務局から御説明をお願いします。 ○事務局 御説明申し上げます。参考資料7-1を御覧ください。希少疾病用医薬品・医 療機器の指定制度の概要につきまして御説明申し上げます。こちらの制度は、平成5年 の薬事法の改正で新たに取り入れた制度です。例えば難病、エイズ等を対象とする医薬 品、医療機器等で医療上の必要性が高いのですが、患者さんが少ないことで開発がなか なか進まないものにつきましては、支援措置を行っていくというものです。  2「制度の概要」です。もしこの希少疾病用医薬品や医療機器に指定をされますと、 助成金の交付、税制措置、資金研究に関する指導・助言、優先審査、再審査期間の延長 等の支援措置が講じられているもので、これは主に開発中の品目に対して指定をしてい くことになっておりまして、直ちに医薬品としての製造販売の承認に結び付いていると いうものではございませんが、これに指定されることにより、開発が促進されることを 期待しているものです。  真ん中から下の「指定基準」で(1)〜(3)まで三つあります。対象者数ですが、類似の制 度では、希少疾病は日本で5万、アメリカの制度では10万以下と聞いています。また、 医療上の必要性は、もし製造販売の承認が与えられたら、特に優れた価値を有するもの で、難病など重篤な疾患等を対象とするもので、治療法がなくて、(ア)(イ)の部分があ りますが、既存のものと比較しまして、著しく高い有効性があるのではないかと期待さ れるというものです。開発の可能性は一応論理的な根拠、開発の可能性がそれなりにあ ることが認められます。以上の三条件に当てはまるものにつきまして、希少疾病用医薬 品とか医療機器として指定してその開発を支援をしていくものです。以上でございます。 ○笠貫部会長 ありがとうございます。本医療機器について、委員の方々から御質問、 御意見はございませんか。 ○事務局 その前に、概要につきまして簡単に説明をさせていただきます。今回、希少 疾病用医療機器での指定申請がありました品目は、テルモ株式会社のもので、植込み型 補助人工心臓システムです。資料7-1の3ページに概要が表になっています。  こちらに「予定される効能又は効果」につきましては、末期的心不全患者で心臓移植 が必要な症例に対して循環改善を目的として使用される補助人工心臓です。対象者数は、 御存じのとおり非常に少なく、年間50例程度と予想されまして5万人未満を十分満たす ものと考えています。  「医療上の必要性」では、やはり重篤な疾患で非常にQOLの低い状態になりますの で、こちらを付けることにより、高いQOLが望めるのではないかということから、そ の用途に関しまして、優れた使用価値を有するという条件を満たすと考えられています。  「開発の可能性」といたしましては、既に欧州におきまして臨床試験を実施をしてい るところもございます。既に33名の患者さんに対して実施されています。こちらはCE マークがとられていまして45台が既に出荷されている状況です。日本におきましても開 発の可能性は十分にあるのではないかとのことです。以上です。 ○笠貫部会長 ありがとうございます。御質問はございますか。よろしいでしょうか。 日本では心臓移植に対するドナーがなかなか出ないということで、この機器への期待は 非常に大きいと思います。そういった事情もふまえて御判断いただけたらと思います。  それでは議決に入りたいと思いますが、御意見はございますか。医療機器「植込み型 補助人工心臓システム」につきまして、本部会として希少疾病用医療機器として指定し て差し支えないとしてよろしいですか。  それでは、御異議がないようなので、指定を可とします。この審議結果につきまして は、次回の薬事分科会で報告することにいたします。  次に報告事項に入りたいと思います。議題8「部会報告品目」につきまして事務局か ら御説明をお願いします。 ○事務局 本年10月1日〜12月31日間の3か月間に承認されました品目のうち、本部 会への報告対象となっている品目につきまして御報告いたします。医療機器が11品目、 体外診断用医薬品が3品目です。こちらにつきましては、資料8-1です。横表になって いますが、既に送らせていただいていますので、時間の関係から恐縮でございますが、 御説明は割愛させていただきます。どうぞよろしくお願いします。 ○笠貫部会長 ただ今の報告品目について御質問等はございますか。土屋委員どうぞ。 ○土屋委員 骨プレート等があります。通常プレート上で平らのものが販売されている 状況に恐らくあると思いますが、成形の段階である程度曲げておいて、そして製品化し ていった方が破損等の事故の低減化につながるのではないかと思いますが。将来そうい ったものを一部そのものが売られていると聞いていますが、そういうものの申請は厳し いという状況等はありますか。 ○医療機器審査管理室長 プレートを形に合わせてとのことですか。 ○土屋委員 ある程度合わせておいて使用した方が、効力の面で破損しにくいと。 ○医療機器審査管理室長 今回の承認となりましたクラニオプレートは、骨格に合わせ てプレートを曲げた。 ○土屋委員 これは医師がするわけですか。そういうことをするよりも、あらかじめあ る程度曲げておいたものを少し合わせる形がいいのではないかと言われた方がおられる ので少しお聞きしました。それはなかなか審査が厳しいのではないかとのことで、企業 が余り出してこないのかどうか分かりませんが、そうではないとのことであれば、破損 を防ぐという意味では、そういうものの方が適切ではないかということが分かれば、企 業もそういった物を製品化してくるのではないかと思います。これとは別の話になるか もしれませんが。 ○塩川委員 今のはクラニオプレートの話ですか。脳外科ですと、平面ではなく頭の形 に、あるいは曲がったものが、このビー・ブラウンエースクラップ社のかどうかは分か りませんが、市販されているものもあります。 ○土屋委員 歯科のこういうところのプレートですね。 ○塩川委員 そうです。頭のいろいろな勾配に合わせたものがあります。平面のものが ありますけれども。 ○土屋委員 売られていて、それを医師が曲げて使うときに。 ○塩川委員 使うものもありますし、既にあらかじめ曲げているものもあります、頭の サイズに。2、3種類で。 ○土屋委員 ありますか。 ○天笠委員 私は口腔外科の専門です。プレートの厚さによってチタンの曲げやすさが ありますので、多分クラニオに使うものは、ミニプレートに該当するのではないかと思 います。そうすると、これはその場で非常に簡単に曲げられるのではないかと思われま す。下顎の再建用のプレート等ですと、これはかなり厚みがあり4mmぐらい、正確には 覚えてはいませんが、これはかなりの力を入れて曲げますので、事前にある程度の予想 をしておいて曲げる方が楽だと思っています。実際にもその準備をしてからやっている 方もあるようですけれども。クラニオにつきましては、私の想像ではそうです。サイズ と厚さとかそのものは今分かりますか。 ○医療機器審査部長 今すぐお答えできなくて申し訳ありません。また、後で確認して お答えしたいと思います。このプレートについては、確かにこれまで余り曲げられたも のが出てきていません。特別な領域については出てきていると思いますが、整形外科領 域等については、余り多く出ていないと思います。すみません、整形外科領域で出てい るかどうかというのは今お答えすることはできません。  それで審査において、それが難しいかどうかというところなのですが、実際になぜ曲 げているかというと、患者さんの個人差がかなりあり、多分それに合わせるように現場 の医師の方が曲げているかと思います。ですので、それを最初から曲げておくというこ とになりますと、かなり患者さんの個人差を考慮してどのように曲げておくかがあるの かなと思っておりまして、そこにつきましてどのように規定してくるかは、一部、場合 によりましては、これからオーダーメイド医療に近いところがあると思いますが、そこ につきましては検討する必要があるかも知れません。それ以外のところでは、余り審査 の中で大きな問題になるところはないのではないかと思っているので、開発の検討をし ていただいてもいいのではないかと思っています。 ○土屋委員 ありがとうございました。 ○笠貫部会長 それではほかになければ、この議題は終了とさせていただきます。議題 9「体外診断用医薬品の製造販売承認について」、事務局から御説明お願いします。 ○事務局 お手元の資料9-1を御覧ください、今般の申請会社、ロシュ・ダイアグノス ティックス株式会社から申請がありました「遺伝子多型解析用の体外診断用医薬品の承 認について」、御報告させていただきます。体外診断薬の一般的名称の件で若干説明を させていただきます。体外診断薬につきましても、医療機器と同様に「一般的名称及び 定義」があります。これが告示レベルで定められておりまして、それに合致するものに 関してはその箱の中に入っていくというものです。  今般申請されてきた品目については、「一般的名称及びその定義」を新たに設定しな ければならないというもので、一般的名称から御説明します。  「CYP450ジェノタイプ解析キット」という一般名称を新設する予定です。定義といた しまして生体由来の試料に用いて、薬物代謝酵素肝チトクロームP450の遺伝子型の解 析を目的としたキット。主に薬物代謝酵素活性の予測の補助その他に使用されるものと いう定義付けをさせていただきたいと。  今般申請されてきましたものは、販売名がアンプリチップCYP450という品目です。使 用目的は、全血中の薬物代謝酵素CYP2D6及びCYP2C19のジェノタイプの解析(薬物代謝 酵素活性の予測の補助)を目的にしたものです。原理といたしまして、全血検体から抽 出いたしましたゲノムのDNAを用いまして、薬物代謝酵素CYP2D6及びCYP2C19のジェ ノタイプの解析を行うDNAチップです。測定方法といたしましては、大まかに3項目 で表現させていただいてます。(1)としまして、PCRによりゲノムDNAを増幅したの ちに、増幅産物を断片化する。(2)としまして、断片化DNAをビオチン標識したものを DNAプローブ固相マイクロアレイ上のプローブにハイブリダイズさせた後に、蛍光標 識と結合させます。最後に(3)としまして、レーザー光によりまして蛍光物質を惹起させ て、発光強度をスキャンし、それにより算出した相対発光強度から、ジェノタイプを解 析する品目です。本品目につきましては、このような内容で承認して参りたいと思って います。以上御報告です。 ○医療機器審査管理室長 追加です。本品は遺伝子多型、いわゆるDNAのジェノタイ プ診断薬としては二つ目です。一つ目は去年の秋ぐらいの部会だったと思いますが、御 報告させていただきました。抗悪性腫瘍剤イリノテカンの代謝酵素に関連する遺伝子多 型を分析するインベイダーという製品を御報告させていただいて承認いたしました。こ れが第二号の遺伝子多型解析用体外診断薬でして近く承認できる段取りになりましたの で、本部会で承認前に御報告をしておくものです。  これらの遺伝子多型の解析診断薬が今後もどんどん出てくるのだと思います。それぞ れ患者さんの、今回は肝薬物代謝酵素ですけれども、その代謝酵素の多型を分析するこ とでいろいろな薬物治療の最適化をやっていくことができるとのことで、今後こういっ た体外診断薬が徐々に出る、出始めてきているもので、日本で二つ目の承認ということ で事前に御報告させていただくものです。以上でございます。 ○笠貫部会長 ありがとうございました。御質問をどうぞ。荒川委員、お願いします。 ○荒川委員 「一般的名称」ですが、実際測定しているものが2D6と2C19だけであ れば、もう少し一般的名称も限定した名前でもよろしいのではないでしょうか。今後ま た他のタイプの多型を測定するようなものが出てくれば、それにまた合わせて一般的名 称が必要になってくるような気がします。余りにも少しジェネナルな一般的名称のよう な気がしますが。 ○医療機器審査管理室長 どのくらい細かく一般的名称を作るかといういことだと思い ますけれども、P450のジェノタイプとのことで一般的名称としてはくくってもいいの かなとは思ってはいたのですが、ほかの一般的な名称の大きさも見て、最終的には確認 をしたいと思います。 ○荒川委員 クラス分類的な表現であれば、これでいいと思いますが、実際これを今後 他社も同じようなものを作ってきたときに、名前が少し苦しくなるのではないのかなと いう気がします。違う多型を測定をするときに、同じ一般的名称では少しまずいのでは ないかと思います。 ○笠貫部会長 これは、商標になるわけですか。 ○医療機器審査管理室長 販売自体はこのアンプリチップCYP450で出ていまして、一般 的名称では、これまでの体診の一般的名称はかなりグループごとに作ってきていますの で、もちろんこの製品が多型の何の酵素を見るのかにつきましては、添付文書等で明ら かにしていくことにはなりますが、どのくらいにくくるかは最終的には事務局で調整さ せていただきたいと思います。 ○笠貫部会長 これからの新たなジェノタイプを見ていくものが出てきたときに、混乱 しないかどうかで御検討いただきたいと思います。 ○医療機器審査管理室長 はい。 ○笠貫部会長 この場合は、二つのジェノタイプで見ていますが、どういう薬のテーラ ードメディスンに使うかということも書いていくことになりますか。 ○医療機器審査管理室長 こちらの添付文書には書いてはいませんが、医薬品サイドの 添付文書には、この薬剤は2D6なり2C19で代謝されますと分かっている範囲で書か れていってまして、こちら側には今のところ書いてません。 ○笠貫部会長 これの適用はこの二つのジェノタイプが問題になるという薬について書 くと。それが適用になるという話ですか。 ○医療機器審査管理室長 この2D6と2C19の多型を分析できるのが効能の範囲で して、その結果どの薬物の、例えば投与の設計に使えるかは恐らくどんどん薬物の方が 増えていく、これで代謝される薬物がどんどん増えていく、分かってくるということで、 そのたびに効能・効果を変更する手続をとるのは必要はないと考えていまして、2D6 と2C19の多型が分かるということの範囲で承認をしていこうと思っています。  医薬品のサイドで、どういう酵素で代謝されるのかにつきましては、添付文書上情報 を提供していくということで対応をしたいと考えています。 ○荒川委員 もう一ついいですか。ジェノタイプですので、一生に一回測ればもう十分 だという、もちろん信頼性のおけるデータであればですが、その辺の運用の問題がある だろうと思います。今後保険証等ICチップ化していけば、診断結果はこのレベルにお いては個人情報うんぬんという問題は余りないかとは思いますので、それをきちんと有 効に活用できるようなシステム作りを是非お願いしたいと思います。 ○笠貫部会長 これからこういう体外診断薬は増えてくると思いますので、是非御検討 いただけたらと思います。それでは、ほかにございませんでしたら、この次の議題に移 ります。議題10「優先審査品目について」、事務局の方から御説明をお願いします。 ○事務局 お手元の資料10-1を御覧いただきたいと思います。「優先審査品目につい て」の御報告です。今年1月27日にセンチュリーメディカル株式会社から、販売名「Merci リトリーバルシステム」という品目が申請されてきておりまして、そのものにつきまし ては優先審査の指定に関する御報告です。  経緯から御説明申し上げます。7ページを御覧ください。本品目ですが、平成18年度 から当部会の委員の北村委員に座長をお願いしまして開催してきています「医療ニーズ の高い医療機器等の早期導入に関する検討会」におきまして御審議いただいた品目です。 この検討会は、目的といたしまして、国内で未承認又は適応外の医療機器及び体外診断 用医薬品につきまして、我が国の医療ニーズの高いものを選定し、これらの迅速な医療 現場への導入について検討することを目的とした検討会です。この検討会では、各学会 の先生方の方から要望を頂戴いたしまして、その内容を検討し選定していくというプロ セスを取ってきています。  2ページ以降を御覧ください。このリトリーバルシステムは、本年1月16日に開催さ れましたニーズの検討会で御審議いただいたものです。その当日に配付いたしました報 告書というものを付けております。この報告書を基に少し御説明させていただきます。  当日は二品目の血栓除去用のカテーテルが品目に上がりまして、今回その一品目の Merciが申請されてきたという状況です。  3ページですが、このリトリーバルシステムですが、カテーテルの中にワイヤーが通 りまして、その先端が渦巻き状になっています。この構造をいかしまして、血栓を捕捉 して除去するというものです。対象疾患は、3ページの下の方です。超急性期脳梗塞の 治療法といたしましては、内科的治療法が主流です。特に血栓溶解作用を有する組織プ ラスミノーゲンアクチベータ(t-PA)の静脈内投与が第一選択薬とされています。発症 から3時間以内に治療が開始できなければ、t-PAは有効ではない。また、副作用とい たしまして、重篤な出血が発生されるおそれがあることから出血のおそれの高い患者に は禁忌として使用できないこと等の理由がありまして、急性期における脳梗塞治療の選 択枠の拡充が望まれているという御専門家の御判断です。  5ページでは、検討結果といたしまして、この脳塞栓症は、脳梗塞のうち最も重症な 病型でありまして、急性期の速やかな血栓除去が、その後の予後を大きく左右すると。 t-PA静脈内投与による血栓溶解療法の適応にならない患者や無効であった患者にと りましては、本対象品目による血栓除去が行えるとすれば極めて有用であり、速やかな 導入が望まれるという検討結果をいただきまして、この点を踏まえまして、今回申請の あったものにつきましては「優先審査品目」という形で取り扱いたいという御報告です。 以上です。 ○笠貫部会長 ありがとうございました。本品目につきまして御質問はございますか。 ○塩川委員 私は脳外科ですが、「Merciリトリーバルシステム」のニーズが高いので すが、お尋ねしたいのは初めの表紙で、むしろ「適用外」というよりも、t-PAは3割 ぐらいしか効かないので、t-PAが無効というのが、あらかじめ分かっているものに本 当は現場としては使いたいのです。お伺いしたい点は、今t-PAは市販後調査だと思い ますが、要するに24時間以内のほかの治療を禁じているというか、それがいつ頃まで続 くのか、今正確には思い出せませんが、その辺とのこの文書の整合性というか、t-PA により血流の再開を得られなかった患者が対象であるとするときに、今、t-PAが投与 されていると、その後のあらゆる治療を止められていますので、t-PAをやったが効か なかったから、ほかの治療をやるというのは、今の時点では、現場ではルールとして使 えないようになっているので、そこを確認していただいた方がいいかと思います。  ○医療機器審査管理室長 よく知らなくて恐縮ですが、t-PAが無効だった症例にはそ の他の治療が禁止されているとのことですか。 ○塩川委員 併用禁止になっています。24時間以内にほかの血液を溶かす薬その他ある のが、現場では多分市販後調査がある期間で確認するまでとのことだと思います。 ○医療機器審査管理室長 市販後調査の対象症例はとのことですか。 ○塩川委員 はい、なっているので。 ○医療機器審査管理室長 そうですか。確認いたしまして、いずれにしても、これから この品目Merciにつきましては優先審査で迅速に審査を進めていきますが、その中でt- PAとの適応の関係については整理をして、そこの混乱がないようにします。 ○塩川委員 使用目的でt-PAが無効だった対象例があると記載されるのであれば、そ こが矛盾されるおそれがあると思います。 ○医療機器審査管理室長 はい、分かりました。ありがとうございます。 ○笠貫部会長 そういう形で優先審査の過程において、御検討いただくことにしたいと 思いますが、ほかにはございませんか。それでは本議題は終了といたします。  私の進行の不手際で時間がオーバーしたことをおわびいたします。それでは事務局か ら連絡事項がありましたらお願いします。 ○事務局 御審議ありがとうございました。次回の部会は5月から6月上旬の開催を予 定しております。近日中に委員の方の御都合をお伺いしたいと思っております。FAX 等で御連絡させていただければと思いますので、よろしくお願いします。連絡事項は以 上です。ありがとうございました。 ○医療機器審査管理室長 それでは、すべての審議を終わりました。事務局の方の不手 際で時間が大変超過して申し訳ございませんでした。どうもありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先:医薬食品局 医療機器審査管理室 室長補佐 江原(内線 2912)