09/02/26 平成21年2月26日薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会議事録 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録 1.日時及び場所   平成21年2月26日(木)  14:00〜 厚生労働省専用第18〜20会議室 2.出席委員(13名)五十音順    新 井 洋 由、 飯 沼 雅 朗、 庵 原 俊 昭、 守 殿 貞 夫、    清 水 秀 行、 竹 内 正 弘、 土 屋 友 房、 早 川 堯 夫、   ○堀 内 龍 也、 前 崎 繁 文、 溝 口 昌 子、 山 口 一 成、  ◎吉 田 茂 昭  (注)◎部会長 ○部会長代理    欠席委員(4名)  ○池 田 康 夫、 岡   慎 一、 田 村 友 秀、 山 添   康    3.行政機関出席者    岸 田 修 一(大臣官房審議官) 中 垣 俊 郎(審査管理課長)、 松 田   勉(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監) 成 田 昌 稔(独立行政法人医薬品医療機器総合機構上席審議役)、 丸 山   浩(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター次長)、 4.備考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会を開催 させていただきます。本日もお忙しい中、御参集いただきまして誠にありがとうござい ます。現在のところ当部会委員17名のうち、13名の委員に御出席いただいております ので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。飯沼委員からは途中退席とい う申出がありますが、いずれにしても定足数に問題はないことを、改めて御報告申し上 げます。なお、本日は池田委員、岡委員、田村委員、山添委員から欠席という御連絡を いただいております。また、大臣官房審議官の岸田ですが、所用のため途中退席させて いただくことを御容赦いただきますよう、お願い申し上げます。  事務局からの説明については、前回、特に審査報告書との関係を明確にすべきという 御意見を賜ったことを踏まえて、説明に当たって引用する審査報告書のページ数等の箇 所を明記したものを、本日から机上にお配りしております。説明に当たっては当然のこ とながら、審査報告書の何ページというように申し上げます。お聞きづらい点もあろう かと思いますので、御参考として机上に配付させていただいていることを、御報告した いと思います。それでは部会長の吉田先生、議事進行をよろしくお願いいたします。 ○吉田部会長 それでは本日の審議に入ります。まず事務局から配付資料の確認と、審 議事項に関する「競合品目・競合企業リスト」について報告をお願いします。 ○事務局 まず、資料の確認をさせていただきます。本日は席上に議事次第、座席表、 当部会委員の名簿を配付しております。議事次第に記載している資料1〜5までは、あ らかじめお送りしております。このほかに資料4-4「再審査報告書正誤表」、資料6「バ イオ後続品の品質・安全性・有効性確保のための指針」、資料7「フルコナゾール製剤 における効能・効果等の一部削除について」、資料8「医薬品ドキシル注20mgの承認条 件について」、資料9「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」、資料10「専門 委員リスト」、資料11「競合品目・競合企業リスト」を配付しております。  続いて、本日の審議事項に関して、資料11「競合品目・競合企業リスト」に沿って御 報告いたします。各品目の競合品目選定理由については、資料11を御覧ください。まず 1ページ、本日の審議議題1はタイケルブ錠です。この競合品目としてハーセプチンが 挙げられております。その選定した理由ですが、本申請品目の効能・効果が、「HER 2過剰発現を示す手術不能又は再発乳癌」であるといったことから、この本剤と同様の 効能・効果、あるいは作用機序、薬理作用等を踏まえ、ハーセプチンを選定したもので す。なお、他の化学療法剤については、併用されると考えられるケースがあることから、 従来の化学療法剤については競合品目とはしませんでした。  続いて2ページを御覧ください。審議事項、議題2、クラビット錠等に関する「競合 品目・競合企業リスト」です。こちらではジェニナック錠、アベロックス錠、スオード 錠が競合品目として挙げられております。その理由ですが、本申請品目はキノロン系の 抗菌薬で、その効能・効果、薬理作用等から見た競合品目のうち、さらにその中から売 上高上位の品目であり、かつ重複している企業の品目を除いたものとして、ジェニナッ ク錠、アベロックス錠、スオード錠を本申請品目の競合品目として選定したものです。 ○吉田部会長 今の事務局からの説明に特段の御意見はありますか。ないようですので、 本部会の審議事項に関する「競合品目・競合企業リスト」については、皆様の御了解を 得たものといたします。それでは委員からの申出状況について、御報告をお願いします。 ○事務局 それでは各委員からの申出状況について御説明いたします。議題1、タイケ ルブについての退室委員は竹内委員、議決には参加しない委員は堀内委員です。議題2、 クラビット錠等についての退室委員はいらっしゃいません。議決には参加しない委員は 堀内委員、前崎委員です。 ○吉田部会長 本日の審議事項は2議題、報告事項は5議題となっております。それで は審議事項、議題1、「タイケルブ錠の製造販売承認の可否等について」に入ります。 竹内委員においては議題1の審議の間、別室で待機いただくこととします。 ── 竹内委員退室 ── ○吉田部会長 それでは医薬品機構の方から、概要の説明をお願いします。 ○機構 議題1、資料1、「医薬品タイケルブ錠250mgの製造販売承認の可否等につい て」、医薬品医療機器総合機構より説明させていただきます。  本剤の有効成分であるラパチニブトシル酸塩水和物は、EGFR及びHER2の受容 体型チロシンキナーゼ活性を阻害することによって、腫瘍の増殖を抑制すると考えられ ている抗悪性腫瘍剤です。乳癌患者のうち、ホルモン感受性がない手術不能の進行・再 発例には、延命効果を期待して、アントラサイクリン系又はタキサン系抗悪性腫瘍薬を 含む一次化学療法が施行され、一次化学療法が無効な患者には二次化学療法として、一 次化学療法に使用されなかったアントラサイクリン系又はタキサン系抗悪性腫瘍薬を含 む化学療法が標準治療として実施されます。これらの標準治療が無効又は再発した患者 では、カペシタビン等の抗悪性腫瘍薬が使用されています。一方、予後不良因子である HER2の過剰発現が認められる乳癌患者には、抗HER2ヒト化モノクローナル抗体 であるトラスツズマブが単独又は他の化学療法と併用で投与されます。  本剤は、アントラサイクリン系及びタキサン系抗悪性腫瘍薬、並びにトラスツズマブ による治療歴を有するHER2過剰発現が確認された乳癌患者に、カペシタビンと併用 した場合に有効性を示す薬剤として申請されました。本剤は優先審査に指定され、海外 においては65か国で承認されています。本品目の専門協議に御参加くださった専門委員 は、資料10にありますとおり11名の委員です。品質、毒性、薬理、ADMEについて 大きな問題は認められませんでした。  主な臨床試験成績としては、海外で実施された一つの第III相試験と、国内で実施され た一つの第I/II相試験の中間成績が提出されました。有効性については審査報告書の 42ページの図1、及び45ページ下から6行目以降に示すように、海外第III相試験の結 果、アントラサイクリン系及びタキサン系抗悪性腫瘍薬、並びにトラスツズマブによる 治療歴を有する、手術不能又は再発乳癌患者に、カペシタビンと本剤を併用した場合に、 カペシタビン単独投与に比べて無増悪生存期間の延長が認められており、本薬の有効性 が示されたと判断いたしました。  安全性については審査報告書47ページ下から10行目以降に示すように、本薬の使用 において特に注意すべき有害事象として、心臓毒性、消化器関連事象、間質性肺疾患、 肝機能障害、皮膚障害などが認められており、国内臨床試験においても海外臨床試験と 同様の事象が発現しています。機構はこれらの有害事象については、がん化学療法に精 通した医師による慎重な観察と適切な処置により対応可能と判断しておりますが、国内 における本剤とカペシタビンの併用における検討症例は少数であり、審査報告書68ペー ジ上から8行目以降、及び92ページ下から10行目以降に示すように、日本人に特異的 な有害事象の発現や、海外と比較して高頻度又は重篤な有害事象の発現の可能性につい て、製造販売後調査等を実施し、安全対策を講じる必要があると判断しております。  したがって、機構は、承認条件として、「国内での治験症例が極めて限られているこ とから、製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は、全症例を対 象に使用成績調査を実施することにより、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、 本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置 を講じることを設定すること。」としました。また、実施中の臨床試験については結果 が得られ次第、関連情報を医療現場へ迅速に情報提供すること等を指示しております。  以上のような審査の結果、機構は、「HER2過剰発現が確認された手術不能又は再 発乳癌」を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断しました。本剤は、新 有効成分含有医薬品であり、再審査期間は8年とすることが適当であり、原薬及び製剤 は劇薬に該当すると判断しました。また、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれ にも該当しないと判断しました。御審議のほど、よろしくお願いいたします。 ○吉田部会長 それでは委員の先生方から御質問、御意見等々を伺いたいと思います。 いかがでしょうか。 ○新井委員 非常にマイナーな、細かな点で申し訳ありません。審査報告書の15ページ の一番上の方に書いてある、「機構における審査の概略」の「一方で、」からの文章が、 ちょっと変ではないかと思うのです。「本薬はチロシンキナーゼ阻害作用も有しており」 というのは、「を」ではないですか。 ○機構 この点については効能・効果として今回、HER2の過剰発現が確認された乳 癌ということになっておりますが、非臨床の作用機序としては、EGFRのチロシンキ ナーゼ活性についても阻害作用が認められているということで、こういった記載ぶりに させていただいていると思います。 ○吉田部会長 デュアルインヒビターなので、HER2だけをターゲットにした前薬と は違う特色もあるといういことですが。ほかにどうですか。どうぞ。 ○清水委員 この薬剤は、カペシタビンとの併用において用いる薬剤で、記載されてい るとおり、カペシタビンは1日2回食後に服用する薬剤です。タイケルブについては食 事との影響が大きいことと、1日2回に分けると血中濃度が高く上がることがある旨に ついてですが、添付文書の用法・用量、及びその用法・用量に関連する使用上の注意の 記載を、もう少し詳細に書かれた方がいいのではないかと思います。  この資料の中に英国の添付文書と米国の添付文書の事例が載っています。例えば米国 の添付文書ですと、タイケルブの用法のほかに、カペシタビンは食直後又は食後30分以 内に服用するということを記載しております。英国の添付文書ですと食事の影響を受け ないというところで、1日1回の服用時間を個々の患者内での変動を最小にするために、 必ず食前服用とするなどして、食事に対して一定の時間に服用することという旨の記載 が書かれています。  審査報告書の92ページにもありますように、機構の基本的な考え方としては、食前・ 食後の1時間を外せばいいけれども、朝の服用を推奨する旨が書かれています。その辺 の情報を勘案しますと、今回のこの添付文書の用法・用量の記載というのは、もう少し 具体的な表記をする方が好ましいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。 ○機構 御指摘ありがとうございます。先生のおっしゃる点に関しては、専門協議でも 議論になりました。添付文書に関しては、米国と全く同じようにというのは記載ぶり等 が異なるので、検討はさせていただきたいとは思いますが、その点に関しては実際の医 療現場で混乱のないように、あるいは患者さんに不安を与えず、適正な使用をしていた だくために、別資材として、かなり詳しい内容を盛り込んだ形で提示しようということ で、メーカーとは議論をさせていただいております。添付文書の記載ぶりに関しても調 整させていただきたいと思います。方向性としては、先生のおっしゃる考え方で進めて まいりたいと考えております。 ○清水委員 是非、その方向でお願いします。 ○吉田部会長 ほかにございますか。 ○清水委員 もう一点よろしいですか。市販後の調査にかかるところですが、今回の薬 剤については、そこのところも非常に重要だろうと思います。報告書の94ページでは、 確実に全症例での情報を収集するためのことが議論されていて、具体的な手順を検討す るというように書かれております。また、69ページでは「本薬の流通管理について」と いう項目の中で、医療機関や保健薬局から受注したデータを発売元の方にフィードバッ クして、その中で市販後調査への協力がきちんと依頼できるようにということを検討す るという旨が書かれています。その辺についてはこの報告以後、詰まったところが何か あるのでしょうか。要するに、全症例が取れるような具体的な方法というのは、何か詰 まっているのでしょうか。 ○機構 全例調査に関しては、いかに的確に患者さんを全例把握できるかということは、 日本の医療状況としてはかなり複雑なところがあります。先生も御存じのとおり、我々 も過去に幾つかの経験をしております。しかしながら乳癌という部分では、幅広く使わ れる可能性もあるというところも多少想定しております。結論としては今、十分詰めて いる段階です。経口剤ということもありますので、慎重に考えたいと思いますし、やは り患者さんに無理のない形での補足と全例調査を目指して、メーカーと調整させていた だきたいと思います。 ○清水委員 ここに書かれているように、保険薬局で調剤する可能性も出てくるわけで、 そういった情報をきちんとフィードバックするような取組みの中で、御協力いただける ようなことをきちんとしていければ、その辺のところもかなり網羅できる部分があるの ではないでしょうか。 ○機構 了解いたしました。 ○吉田部会長 具体的には市販後全例調査は何例になったのですか。 ○機構 現時点では3,000例ということで、メーカーとは調整させていただいておりま す。 ○吉田部会長 先ほども少しお話しましたが、普通、分子標的治療というのは標的が決 まっていて、多くの場合は1個に限られるとされています。しかし我々の分からない標 的も含めて、1個と言われているものが実際は2個であったり、3個であったりするこ ともあると思うのですが、この薬の場合はCOB1、B2、EGFというように、標的 としてはトリプルぐらいはあると考えられるわけです。そうすると、やはり思わぬ有害 事象に遭遇する場合もあり得ますね。日本が後発であるということを考慮すれば、大分 出尽くした感はあるとは思うのですが、それにしてもやはり経口剤で使いやすい、コン ビニエントだというのは、逆に有害事象を捉えにくいということにもなりかねません。 ですから、例えば今のお話に加えて、何か有害な重大なことが起こったときに、ストッ プできるような担保を、どこかで取っておいていただけるといいのではないかと思いま す。例えば、販売をすぐに止めるとか、もし必要な場合には注意を喚起して、直ちに回 収するような処置も取れるというような体制があることを確認しておいた方がいいかと 思うのですが、いかがでしょうか。 ○審査管理課長 部会長がおっしゃっている件というのは、この件は特にだろうと思い ますが、これ以外の薬でも、我々はいつも念頭に置いて対処すべき案件だろうと考えて おります。また、具体的には薬害肝炎の検証と検討、今後の行政の在り方を検討する会 議というのがあって、その中でも基本的な姿勢あるいは精神として、今、先生がおっし ゃったようなことがうたわれています。特に安全行政を進めていく上で、重々注意をし ていきたいと考えております。 ○吉田部会長 ほかにありますか。 ○溝口委員 報告書の25ページに、「メラニン含有組織に本薬や代謝物が蓄積する可能 性があって、有害事象に民族差が出る可能性がある」と書かれています。症例数が少な いので、これから出てくるのかもしれませんが、55ページの「皮膚関連の有害事象につ いて」を読みますと、まだ色素に関する有害事象が余り多くないようです。しかし「皮 膚色素過剰」と「色素沈着障害」というのが別に書かれています。そうなりますと色素 沈着障害には黒くなる障害だけではなくて、白くなる障害も入っているのでしょうか。 皮膚色素過剰が別に書いてあるので、それを心配してお聞きしているのです。色が抜け て白くなるとなかなか治らないものですから。 ○機構 今、正確に答えられる資料がありませんので、後ほどの部分でお許しいただき たいと思います。皮膚障害に関しては、もちろん特に注目すべき話だと思っております。 色素に関しては動物実験からも情報があります。動物実験の中でも論点となっておりま すが、実際のところメーカーからの回答をいただいている中では、今後の対応として市 販後に注目していきたいということは述べているところです。 ○溝口委員 55ページにはたくさん書かれていますが、添付文書の方にはまとまってパ ーセントが示されていますので、この方が使う方が気を付けてくださっていいと思って 拝見しました。 ○吉田部会長 ほかにありますか。 ○堀内部会長代理 先ほども話がありましたが、添付文書にも用法・用量として、カペ シタビンとの併用が書かれております。また、審査報告書の66、67ページの「それ以外 の抗悪性腫瘍薬との併用について」ですと、現在もパクリタキセルやトラスツズマブと の併用の臨床試験が行われているということですが、臨床の現場ではいろいろな使い方 をする可能性があると思います。これは併用しないと、保険適用にならないと考えるの でしょうか。例えばトラスツズマブ等と併用した場合には、どういうことになるのでし ょうか。こういうように併用薬が一つだけの薬と固定されている場合には、現場として はある面で大変使いにくいわけです。エビデンスがやった所だけしか出ていないからと いうのは分かるのですが、どういうことになるのでしょうか。 ○審査管理課長 効能・効果あるいは用法・用量の書き方と保険診療との問題について は、いつも議論が交わされています。一方において効能・効果あるいは用法・用量は科 学的エビデンスがある範囲内にとどめるべきだと考えております。本件については、薬 害の検討・検証委員会の中でも、議論されています。  今のやり方を御説明申し上げますと、基本はエビデンスのある範囲ということで書い た上で、一般での使い方も考慮して、使用上の注意で喚起するというやり方になってい るのだろうと思います。この薬剤は、具体的に「併用において」と書いているわけです が、今あるデータを見る限り、併用しかデータとして出ていないということから申し上 げますと、薬事サイドとしては用法・用量の中で「併用」と書かざるを得ないのだろう と判断しているところです。  これが医療保険の中で、どのような査定をされるかという点についての御質問ですが、 医療保険は基本として薬事で認められた用法・用量、効能・効果の範囲内ですから、そ ういう意味で申し上げますと、基本としては併用でなければ査定される恐れがあるとい うことになるのだろうと考えております。したがって、この薬剤も海外では併用で進め ておきながら、国内では単剤での試験を若干やって、単剤で申請をしてきたという経緯 もあって、単剤で評価する上ではデータ的にどうしようもなく不足しているということ から、海外にデータがある併用という形に切り替えたという経緯もあるわけです。ある いは海外でも今、先生に御紹介いただいたようないろいろな試験が繰り返されていると ころですから、そういうものをもって早く一部変更申請をしていただくという形で、そ れを整理していくという方向性を採らざるを得ないのではないかと考えている次第で す。 ○堀内部会長代理 そうすると、使用がかなり限られていると。例えばこの後に薬価を 付けるとか、いろいろなことがあるわけです。本来ならこういう部会での議論の内容が、 薬価算定組織にきちんと報告されることが私は必要だと思うのですが、この審査報告書 ぐらいしか行っていないので、妥当ではないと常々思っているのです。薬の位置付けと いうのが、やはりきちんと報告されて、薬価が付くということが大事だと思います。今 のお話ですと、使い方がかなり限定されると思います。単独では有効性が出ないという こともありますので、その辺の伝達を是非きちんとやっていただければと思います。 ○審査管理課長 ありがとうございました。是非、そのようにさせていただきます。 ○吉田部会長 ちなみにハーセプチンは、HER2陽性の乳癌で承認を取っていました ね。相手方の抗癌剤は決まっていない。 ○審査管理課長 はい。 ○吉田部会長 直接この審議には関係ないかもしれませんが、その辺の整合性も問われ る可能性があるので、理論武装をしておいた方がいいのではないかという気がします。 ほかにございますか。やはり一番気になるところは、有害事象の頻度の高さだと思いま す。乳癌の患者さんは仲間意識が高いので「これがいい」と始まると、ダーッと広まる ところがあって、3,000例もあっという間に達成する可能性があると思うのです。そう いった意味で、何度も言って恐縮ですが、メーカー側でのフォローアップや体制は、く れぐれもきちんとお願いしたいと思っております。ほかにありますか。では御意見も出 尽くしたようですので議決に入りたいと思います。 ○事務局 利益相反に関する申出に基づき、議決に際して堀内委員は、議決への御参加 を御遠慮いただきます。 ○吉田部会長 それではお伺いします。本議題について、承認可、としてよろしいでし ょうか。ありがとうございました。御異議がないということですので、承認可、として 薬事分科会に報告とさせていただきます。 ── 竹内委員入室 ── ○吉田部会長 続いて議題2、「クラビット錠250mg、他の製造販売承認の可否等につ いて」、機構からの御説明をよろしくお願いします。 ○機構 医薬品医療機器総合機構より御説明申し上げます。レボフロキサシンは、第一 製薬株式会社(現第一三共株式会社)において創製されたフルオロキノロン系薬であり、 日本ではクラビット錠及びクラビット細粒の販売名で1993年に承認されており、海外で は経口剤及び注射剤が同時に開発され、1996年に米国、1997年以降、欧州各国で承認さ れるなど、2007年3月までに日本を含む124の国又は地域で承認されています。日本に おける既承認の用法・用量は、通常1回100mgを1日2〜3回、最大1回200mgを1日 3回までとされております。一方、本剤が承認されている124か国のうち、日本を除く 123か国においては、用法・用量は、1回500mg、1日1回とされています。  近年、日本ではフルオロキノロン系薬の処方機会が多い高齢者で、肺炎球菌のフルオ ロキノロン系薬への耐性菌が増加しているとの報告があります。申請者は、今後、フル オロキノロン系薬に対する耐性菌が増加した場合、レボフロキサシンに対する感受性が 大幅に低下することを危惧し、将来にわたって有効な抗菌薬として使用していくために 耐性化を抑制するための対策を早急に施すことが重要であると考え、関連学会、行政と の協議を踏まえレボフロキサシンの用法・用量変更についての検討を行い、今回、海外 で一般的な用法・用量である500mg、1日1回へと変更する申請に至ったとされていま す。本品目に関する専門協議に際し、本剤の専門委員としては、資料10にありますとお り、4名の委員を指名し、御意見を賜りました。品質、毒性、薬理、薬物動態について 大きな問題は認められませんでした。  臨床に関して、機構は、審査報告書47ページ上から10行目に記載しておりますよう に、本剤の有効性については、PK/PDパラメータを基に、既承認の用法・用量と申請用 法・用量であるレボフロキサシン500mg1日1回との有効性及び安全性の比較検討を行 い、今般実施された臨床試験成績は、それらを補完するものとして評価しました。その 結果、申請用法・用量ではPK/PD理論から、薬理学的にも既承認用法・用量と同等又は それ以上の有効性が期待できること、審査報告書50ページの表に記載しておりますよう に、今回実施した呼吸器感染症及び尿路感染症を対象とした二つの国内臨床試験及び中 国臨床試験の結果は、PK/PDの観点からの結果を補完するものとして矛盾しないことを 確認し、本剤の有効性は示されたと判断いたしました。  安全性については、審査報告書52ページ下から5行目に記載しておりますように、申 請用法・用量は既承認の用法・用量に比べて1回投与量が増えることから、主にCmax との関係について検討を行いました。その結果、既承認の用法・用量で実施された臨床 試験等において、因果関係が否定できない重篤な有害事象が発現していることを踏まえ ると、既承認の用法・用量と比較してCmaxが上昇することに伴う副作用発現リスクの増 大が否定できないと考えております。審査報告書67ページの上から5行目に記載してお りますように、製造販売後においては申請用法・用量における安全性情報を収集の上、 適切に医療現場に情報提供を行う必要があると考えております。  機構は、以上のような審査を行った結果、本剤の有効性及び安全性は確認できたと考 え、審査報告書の2ページ(配付資料の3枚目)の効能・効果、用法・用量にて、承認し て差し支えないと判断いたしました。なお、本剤は、新用量医薬品であることから、再 審査期間については、4年と設定することが適切であると判断しております。また、今 回申請された製剤は毒薬及び劇薬に該当せず、生物由来製品又は特定生物由来製品にも 該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。よろしく御 審議のほど、お願い申し上げます。 ○吉田部会長 ありがとうございました。委員の先生から御質問、御意見を伺いますが、 その前に守殿先生、専門協議で何か論点などがありましたら、御紹介いただきたいので すが。 ○守殿委員 これは書面にて専門協議が開催されましたが、恐らく全体的には呼吸器感 染症、尿路感染症を含めて、特別な意見はないと思われます。ただ、性感染症という狭 い領域での話ですが、性感染症というのは、昨年12月に日本性感染症学会からガイドラ インが出ており、初診時に処方された薬が淋菌性の場合は大体95%以上有効であること が必要条件になっております。ところが本剤は、現状で80%ぐらいが淋菌に耐性です。 それから、性感染症の患者さんは症状が取れると、初診以降、あまり病院へ来てくれな いというところがあります。治癒していないのに、結構症状が取れるものですから、無 症状、無症候性の感染状態で、ずっとキャリア的に感染力を持った状態が継続していき ます。  そういうことを考慮して、効能・効果の添付文書の1ページに、「用法・用量に関連 する使用上の注意」というのがあります。即ち、「本剤の使用にあたっては、耐性菌の 発現等を防ぐため、原則として」うんぬんとあります。ここに、できれば、「本剤の使 用に当たっては、耐性菌並びにその発現等を防ぐため「原則として感受性を確認し」と 続けば、それでいいのではないかと思っております。 ○吉田部会長 この点についてはいかがですか。 ○機構 御意見どうもありがとうございました。添付文書の記載については、検討させ ていただきたいと思います。 ○吉田部会長 今のお話のように、来なくなってしまう患者さんがいるとすると、最初 にドンといった方がコントロールにはいいかもしれないということですね。分かりまし た。ほかに御意見はありますか。 ○堀内部会長代理 そうすると一般的な使い方は、従来の100mgを3回投与するという 使い方と、こういうように1回だけというのと、今後の治療方法というのは、どういう 方向になってくるのでしょうか。 ○守殿委員 今現在ではセフトリアキソンほか注射剤3剤だけがガイドラインで採用さ れていて、内服剤はなしです。もちろんニューキノロンは外されています。現状、アメ リカではクラビット500mgをワンショット、単回療法的に使われて、アメリカでは淋菌 におけるキノロン耐性は、10%を越えていないと思います。日本は100mg×3で1週間 投与しておりました。そういう関係で、耐性菌をつくっているということでした。 ○堀内部会長代理 そうすると、経口の場合には大体大量を1回ドンとやるというよう な、そういう方向になってくると考えてよろしいですか。 ○守殿委員 今はそういう方向に行っております。余談になりますが、私自身、キノロ ン剤をあと5年ぐらい淋菌に使っていれば、きっとまた感受性菌が増えてきて使えるの ではないかと思います。そのときに、この500mgが有用ではないかと思います。今、一 般的には専門的にやっておられる方は、ニューキノロンはファーストチョイスとして淋 菌性尿道炎、腟炎、頸管炎等に対しては、臨床ではまず使用しない状態で行われている と思います。 ○吉田部会長 ほかに御意見はありますか。 ○前崎委員 フルオロキノロンはPK/PDの概念から言うと、1回の投与量を増やした方 が有効性が増すことは確かですが、審査報告書を読みますと、現在の100mgを将来、切 り替えるということが書いてあります。そうしますと今、レボフロキサシンは1日 600mg、100mgを6錠という使い方ができます。中に書いてあります、AUCから見ると 1日600mgに比べて500mg単回投与は、AUCから少し劣るデータになっております。 ですから将来、100mg錠がなくなると、600mg投与法は使えなくなるわけです。その辺は 重症感染者にしか使わないのですが、500mgで十分カバーできるかどうかというところ はいかがでしょうか。 ○機構 その点については先生から御指摘いただいたように、600mg投与と500mg投与 を比較しますと、そのようなことになります。海外においては750mg投与というのがあ るように、国内においても750mgでの開発も検討していく方向であるべきではないかと 考えております。 ○前崎委員 一応添付文書上は「適宜減」ということで、増にはなっていませんね。で すからマックス500mgまでしか、添付文書上では使えないということになっています。 そうすると将来100mg錠がなくなると、患者さんには250mgか500mgか、どちらかの投 与法しかないということになってきます。その辺はいかがでしょうか。 ○機構 御指摘の点は、我々も治験相談の段階から議論を重ねております。御指摘のと おり600mg投与に比べると、やはりAUCが若干落ちるというところはあります。そこ の部分についてはAUCが薬効と相関することから、もしかしたら有効性も劣る可能性 も否定できないということで、現状においては500mg錠に切り替えたときに有効性がど のようになるのか、積極的に情報収集をすることを予定しております。先ほど御説明申 し上げたとおり、この申請者は□□□という米国で承認を受けている□□についても、 一応開発の計画を考えております。ただし、日本においてはずっと1回投与量が少なく、 分割投与という形できましたので、まずは一度500mg1回投与というところで、日本で の安全性を治験だけではなく、製販後調査も含めて広く収集した後に、□□□の開発に 着手したいと聞いている次第です。 ○前崎委員 現時点では250mgと500mgがありますが、これを750mgとして使うという ことは認めないということですか。 ○機構 はい。現段階ではデータがありませんので、我々としては推奨できないという ように考えております。 ○前崎委員 100mg錠と250mg錠と500mg錠の錠剤がありますと、現場では医療過誤の 問題も出てきて、非常に混乱する可能性があります。100mg錠をどういうように扱うか ということについては、少し詰めていかなくてはいけないのではないかと思って御質問 しました。 ○吉田部会長 ほかにございますか。 ○清水委員 今の御質問に関連することですが、細粒も含めて従来品は、このまま市販 を継続する予定なのでしょうか。 ○機構 審査報告書68ページに記載させていただいておりますが、既承認の錠剤、細粒 については、申請者としても併存することによる医療過誤を防ぐためにも速やかに切り 替えることで、現場のMRを通じた情報提供や在庫を極力少なくして入れ替えていくな ど、関連学会や専門家とも連携しながら進めていくように申しております。 ○清水委員 100mg錠についてはまだ250mg錠、500mg錠というように規格の違うものが あるのですが、細粒剤は名称そのものが末尾に、「10%」の文字が付いているか付いて いないかというだけです。そうすると、処方が一定期間「クラビット細粒」というよう に出てしまったときに、どちらをどのように調剤すべきですか。ものとしては2.5%の 主薬量の違いがあるほか、大きな違いはないとも考えられるのです。ただ、承認されて いる用法・用量は違うものが出てしまうわけで、そこを上市のときに十分注意するよう な運用方法を御指導いただければと思います。そこのところは何かお考えはありますか。 ○機構 御指摘どうもありがとうございます。その点については私ども機構としても懸 念しており、申請者の方に極力併存しない方向で検討するようお願いしたところですが、 どうしても現場の状況を考えますと、併存してしまう可能性も現状では否定できない、 避けられないのではないかと考えております。もちろん先ほども申しましたように、様 々な方法、その他の方法も情報提供するなどで、そのような取違いがないように指導し ていくつもりです。 ○清水委員 そこのところは十分よろしくお願いします。それからもう一点、製剤的な ことで確認させていただきます。現場においては結構困りながらもやっていることです が、クラビットを経管で投与するときに、従来の「10%」が付かない細粒剤だと詰まっ てしまうのです。ですからせっかく細粒剤を発売していただいても、経管投与の患者さ んには細粒剤が使えないという現状があります。今回、新製品の「10%」という名称の 付いたものについては、その辺の検討は何かなされているのでしょうか。分かれば教え ていただきたいと思います。 ○機構 その点について、今回の申請に際しては検討しておりません。 ○土屋委員 私は耐性菌の研究をしている者ですが、現在のような100mgを2回、3回 というやり方でやりますと、非常に耐性菌が出やすいのは実験的にも事実です。ですか ら諸外国で行われている250mg、あるいは500mgをドンとやる方が、耐性菌を生まない という点では非常にいいやり方だと思います。一方で副作用のリスクが上がる可能性は ありますが、フルオロキノロンの副作用はそれほど重大なものはありませんし、出ても 比較的速やかに回復するものがほとんどですので、この審査結果は非常に妥当であると 感じます。 ○吉田部会長 日本が124番目になってしまったというのは、何か理由があるのですか。 それは単にメーカー側の対応の問題ですか。 ○機構 先生から御指摘いただいたとおりです。 ○吉田部会長 分かりました。ほかに御意見はありますか。 ○前崎委員 一般論で結構ですが、今回の治験では中国でかなりの症例数の尿路感染と 呼吸器感染がやってあります。いろいろ有効性の判定の違いなどがあって、審査報告書 の中では「参考程度の資料にとどめる」という記載が多く書いてあります。これは今後 のことも含めて、この薬剤だけに限ったことではないのでしょうけれども、日本の中で 臨床試験が難しくなってきた状況で、今後このようなアジア諸国での臨床試験の扱い方 について、少しお聞きしたいと思います。いかがでしょうか。 ○審査管理課長 いわゆる外国臨床試験データの受入れの問題だろうと思います。要は アメリカだからいい、中国だから駄目というルールがあるわけではありません。したが ってICHのガイドラインに基づいて、国内にそのデータを受け入れることができるか どうかを、一つずつ検証していくことになるだろうと思います。もちろん受け入れてそ れを評価資料としていく場合に、その信頼性、GCP適合性についてチェックしていく ことも当然です。今の傾向から申し上げますと、国際共同治験というものをここ1、2 年、非常に活発にやってきております。中でも欧米との間はもちろん、アジアとの間に おいても活発化されてきているところです。したがって、そのデータが恐らく2、3年 後には承認申請に使われてくるだろうと思いますので、今後、先生方が目にされるケー スも非常に増えてくると考えております。 ○新井委員 フルオロキノロン系薬物には、腱への影響という非常にユニークな副作用 があると書かれているのですが、少しでもメカニズム的な考察みたいなものがあるかど うかということをお聞きしたいのですが。 ○機構 御指摘ありがとうございます。先生から御指摘いただいた、腱へについては、 メカニズム的な点については、詳細は今のところ不明です。今後とも引き続き、メカニ ズムについて解明していく必要があると思います。 ○吉田部会長 ほかにありますか。特にありませんか。それでは議決に入りたいと思い ます。堀内委員、前崎委員におかれましては利益相反に関する申出に基づき、議決への 参加を御遠慮いただくことにいたします。それでは伺います。本議題について承認可、 としてよろしいでしょうか。ありがとうございました。特段の御異議がないようですの で、承認可、として薬事分科会に報告とさせていただきます。  続いて報告事項に入ります。よろしくお願いします。 ○機構 それでは報告事項の議題1、「医薬品ロイスタチン注8mgの製造販売承認事項 一部変更承認について」報告いたします。本剤は、アデニンヌクレオシド誘導体の抗悪 性腫瘍剤であり、現在は、「ヘアリーセル白血病」及び「再発・再燃又は治療抵抗性の 下記疾患、低悪性度又はろ胞性B細胞性非ホジキンリンパ腫、マントル細胞リンパ腫」 の効能・効果で承認されております。今般、ヤンセンファーマ株式会社から「再発・再 燃又は治療抵抗性の下記疾患、低悪性度又はろ胞性B細胞性非ホジキンリンパ腫、マン トル細胞リンパ腫」に対する用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申 請がなされたものです。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本剤を承認して も差し支えないと判断いたしました。  続いて議題2、「医療用医薬品の再審査結果について」、まとめて報告いたします。 資料4-1〜4-3です。資料4-1は、一般的名称は「オフロキサシン」、販売名は「タリビ ット錠」の医薬品再審査確認等結果通知書です。資料4-2は、一般的名称は「リファン ピシン」、販売名は「リファジンカプセル他」です。資料4-3は、一般的名称は「クロ ファジミン」、販売名は「ランプレンカプセル50mg」です。これらの品目について、市 販後の使用成績調査等に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、薬事法第14条第2 項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち効能・ 効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要はない「カテゴリー1」と判定した ものです。  なお、当日配付資料4-4として、正誤表をお配りしておりますが、以下の訂正があり ます。資料4-1の上から2枚目の再審査報告書の1ページに、「再審査報告書(案)」と あります。これは「再審査報告書」の誤りです。また、承認年月日の欄にある番号が「2 から8」となっておりますが、これらを「1から7」に訂正いたします。資料4-2につ いても同様に、再審査報告書の1ページの表中で、販売名の番号が「(6)から(10)」となっ ておりますが、これらを「(1)から(5)」に、審査申請者名の番号「(6)から(8)」を「(3)から (5)」に、承認年月日の欄の番号「2から5」を「1から4」に、それぞれ訂正いたしま す。資料4-3についても同様に、再審査報告書の1ページの「再審査報告書(案)」を「再 審査報告書」に、承認年月日の番号「2、3」を「1、2」に訂正いたします。多数の 間違いがありましたことをおわびいたします。 ○事務局 続いて報告事項、議題3、「医療用医薬品の承認条件解除について」御報告 申し上げます。資料5を御覧ください。販売名はレスクリプター錠200mgです。本剤は HIV-1感染症の効能で、平成12年2月25日に承認されている非ヌクレオシド系逆転写 酵素阻害剤です。本邦では承認申請時には、米国での申請資料が評価資料として提出さ れていたため、「国内における薬物動態試験については、試験終了次第、可及的速やか に試験成績及び解析結果を提出すること」という、薬事法第79条に基づく承認条件が付 与されておりました。今般、この承認条件についてファイザー株式会社より資料が提出 され、機構での審査が終わりましたので、御報告させていただきます。  資料5の2ページ(2)「実施された試験等の概要」、(3)「機構における審査の概要」 で、今回の審査の内容が書かれております。提出された資料には、日本人健康成人男性 8例に本剤400mgを空腹時単回経口投与した際の、薬物動態及び安全性を検討する非盲 検試験の試験結果が書かれております。その結果、現時点では日本人における本剤の薬 物動態は、これまで得られている欧米人における薬物動態特性と同様の傾向を示したこ とを確認しております。  以上のような審査を行った結果、本承認条件について確認できたものと考えておりま す。報告は以上でございます。 ○吉田部会長 では、この段階で資料5までを一括して、御意見を伺いたいと思います。 どうぞ、溝口委員。 ○溝口委員 議題2に関して、質問というよりお願いがほとんどですが。らい予防法が 廃止になってハンセン病の治療のための保険適用薬が必要になったわけですが、それで、 何年か経ちまして、このようにまた再審査で認めていただけるのは大変うれしいことで ございます。  先にちょっと細かいことを申しますと、クロファジミンの添付文書の方には、「皮膚 が黒くなるので、そのために患者さんの精神状態が抑うつ状になることもあるので、し かも、消失まで数か月から数年かかることがあるけれども、消失するからあらかじめ患 者さんに説明しておくこと」ときちんと書いてあります。これは非常に必要なことだと 思います。  リファンピシンは、結核でよく使うことがあるのですが、飲むとお小水が真っ赤にな って、患者さんがびっくりして止めてしまうことがあるのです。添付文書のその他の所 には赤くなるとは書いてあるのですが、患者さんにそれを伝えることと書いてありませ ん。3ページの10「その他の注意」に着色が書いてありますが、ここにもやはり患者さ んに伝えておくことを書き加えていただけないでしょうか。あらかじめ言ってから処方 しますと、びっくりして止めるようなことはございませんので、今から変更が可能でし たら、よろしくお願いいたします。  それから、オフロキサシンがハンセン病の治療薬として認められるのは非常に結構な ことで有り難いのですが、実際に日本の医療機関はこのオフロキサシンがほとんど置い てありません。先ほど高用量が認められました、クラビットの方が置いてあるのです。 それで、ハンセン病の患者さんの新患は、最近10年は、大体、年間10例程度なので、 そのためにこのオフロキサシンを置くということもできないことだと思います。それか ら、WHOが関係していますので、また、ハンセン病の場合は途上国が多いものですか ら、値段の安いオフロキサシンが使われますし、今後もそれで検討するのだと思います が、日本は、オフロキサシンだけですととても使いにくいのです。それから、高用量を 使った方が耐性ができにくいというのは、らい菌も同じだと思いますので、できたら、 今日、高用量のを認めたので、こちらの方にもなるべく早く適用拡大をしていただける と有り難いのですが。  ほかにもお願いがあります。レボフロキサシンだけではなくて、クラリスロマイシン、 ミノサイクリン、スパルフロキサン、モキシフロキサシン、これもハンセン病に効果が あり、実際に使われていますので、適用拡大の方に向かっていただけると有り難いと思 います。しかし、こういうものはほとんどの病院に置いてあるので困ることは余りない のですが、一番困るのがサリドマイドでございます。先般、多発性骨髄腫に対して承認 されましたので、多分藤本製薬が対応して安全管理などをしていただけると思いますし、 個人輸入しなくても使えるのかもしれませんが、らい性結節性紅斑、らい反応に近いも のなのですが、急性の症状で急を要しますので、早く手に入るような方法を講じていた だけると有り難いのです。もしできましたら、ほとんどのハンセン病患者さんのコンサ ルトを受けている国立感染症研究所ハンセン病研究センターの石井則久先生が、すぐ処 方できるようにというような御配慮をいただけると、有り難いのです。決めるのはなか なか難しいかもしれませんが、何とか早くハンセン病に適用を拡大していただきたいと いうことでお願いしているわけなのです。話が承認とちょっとずれてしまって申し訳な いのですが、見通しとしてはいかがなものでしょうか。 ○機構 まず、添付文書の改訂に関して説明いたします。皮膚の着色に関しましては、 多剤の併用療法で行いますので、どうしてもクロファジミンを投与すると、もともと染 色剤だったということもあって沈着があると。リファンピシンの方が注意喚起がちょっ と少ないということでありますので、これは申請者と相談いたしまして、改訂に関して はもう少し検討いたしたいと思います。御指摘、ありがとうございました。 ○溝口委員 尿の方の色だけで結構ですが。 ○機構 はい。オフロキサシンに関しましては、審査報告書に書いてございますように、 まだWHOの臨床試験の結果が公表されておりません。国内の使用実態から考えますと、 一応現行の承認の用法・用量の範囲内で使用されているという状況でございます。現時 点ではデータがございませんので、改訂がなかなか難しいところもございます。今後、 もしデータが出ましたら、また、再度検討いたしたいと思います。 ○溝口委員 では、レボフロキサシンの方はなかなか。実際には使われていると思うの ですが、報告されていないかもしれないのですが。 ○審査管理課長 先生より御指摘のございました、いわゆる効能追加の件でございます。 この効能追加というのは、実は、いろいろなところからいろいろな品目について御意見 を賜っているところでございます。したがって、御指摘は、今、省内でもいろいろな議 論をしていますし、また、製薬業界の中でも議論がされていますので、その中の御要望 の一つとして宿題にさせていただければと考えています。 ○溝口委員 ありがとうございます。ハンセン病は数が少ないので、臨床試験のデータ はなかなか集まらないと思うのです。外国人の就業も減っているようですから減るかも しれませんが、日本人より、日本に働きに来ている外国人が発症しています。そういう こともありまして、できたら特別に、普通の病気と違いますのでお認めいただければ有 り難いと関係者は考えておりますので、よろしくお願いします。 ○吉田部会長 政策的な取組みをお願いしたいということだろうと思います。議題2に 関しまして、ほかに御意見のある方はいらっしゃいますか。なければ、その他の議題で 何かございますか。 ○堀内部会長代理 資料5ですが、HIV薬、レスクリプター錠の体内動態を日本人で やって比較をしたというデータなのですが、これを見ますと、ロットによってかなり違 いがあるのです。後発品よりも大きいくらい。こういうことを言うと怒られるかもしれ ませんが。  それから、日本人でAUCを外国人と比較をして、やや高値だけれども同様であると いう評価をしているのですが、これはそう言えるのですか。ロットによって違いますか ら、12.6、16、14と、真ん中ぐらいのところですね。ロットによってあって、日本人で すと22.4と。AUCがかなり違うように思うのですが、同様の人種間で大きな違いはな いと考えるという評価をしているようですが、もう少し説明していただけませんか。 ○機構 機構よりお答え申し上げます。今、堀内先生から御指摘いただきました点、我 々としましても、なぜそんなにロット間で違いが出るのかというところをこの承認を有 しております製薬企業の方に確認したのですが、明確な答えが得られなかったというの が実情でございます。薬物動態についても、ここに表示しておりますのが平均値等にな るのですが、固体間のバラつきも大きくて、分布としてはさほど違わないのではないか という結論に落としたというのが実情でございます。この薬は、実際、日本で使われて いらっしゃる患者さんが現在7名ということで、その患者さんにおいては、使用されて いても特に安全性の問題もないというような状況も確認はしております。ですので、薬 物動態学論として細かく詰めていくと、なかなか厳しいところはあるかと思いますが、 臨床的な安全性の観点も踏まえまして、分布として大きな違いがないという結論に至ら せたところでございます。 ○堀内部会長代理 7名でやってバラつきが大きいからということですね。その面では しようがないかと思いますが、ただ、このロットによって違いが大きいというのは気に なるところで、それはやはりメーカーに指導すべきではないのでしょうか。 ○機構 私どもの方でも、引き続き、その原因について究明するように指示をしている ところでございます。 ○吉田部会長 本件に関しましては、その承認条件である国外における薬物動態試験に おいて解析結果を提出しなさいという点についてはこの報告で確認しましたと。ただし、 先生御指摘のように、幾つか疑問が残っている部分については引き続きメーカー側に要 請していく、ということの解釈でよろしいかと思うのですが。ほかにございますか。 ○庵原委員 議題1に戻るのですが。この薬ですが、7日間持続点滴静注を、2時間点 滴静注の5日間連日投与に変えたいという申請が出てきたバックグラウンドはどういう わけですか。要するに、現在の投与方法では悪いから新しい方法が出てきたのか。でも、 あとの方を見ますと、両方とも使いますという形で書かれていますので、この出てきた バックグラウンドの説明をお願いします。 ○機構 機構の方からお答え申し上げます。5日間投与という用法ですが、そもそも海 外では7日間連続投与というところでヘアリーセル白血病で承認を取っていたのです が、CLLの開発の中で7日間持続投与というのがちょっと使いづらいという声があっ て、5日間の投与法というのがCLLの開発で出てきたというところで、英国のところ ではCLLでこの5日間投与の用法が使われております。  前回の7日間連続投与の承認のときにも、この5日間連日投与の開発はどう考えてい るのかということは当時の審査センターと開発者の中で協議が行われて、この用法につ いても国内で開発を行っていこうという形で、今回、申請がなされているという状況で す。 ○庵原委員 と言いますと、病型によって7日間投与するタイプがいいのと5日間投与 するタイプがいいという、そういう解釈ですか。 ○機構 いいえ。審査報告書の方にも記載させていただいたのですが、奏効率の数値を 見る限りは、いろいろな病型がありまして、厳密に言えば比較はできないものではある のですが、全体としては同じような成績が出ているので、治療選択肢として、どちらか いずれかを医師が選べるように選択していくという形になるかと思います。 ○吉田部会長 と言いますのは、抗がん剤の投与が7日間になりますと、土・日が入っ てきますので、管理しにくいというのと、医師もいないことが多いということで、一般 的にはやはり週5日間投与というのが世界標準になっております。これが本当にいいこ とかどうかはまた別の問題ではあるのですが。ただ、患者さんの安全管理上のメリット がかなり大きいのだろうとは思います。ほかにございますか。 ○吉田部会長 議題1〜3までで特に御意見がなければ。では、残りの議題4、お願い します。 ○事務局 報告事項、議題4、資料6になります。「バイオ後続品の品質・安全性・有 効性確保のための指針」についてでございます。  1.「概要」でございますが、まずバイオ後続品でございます。こちらは、国内で既 に承認されたバイオテクノロジー応用医薬品(以下「先行バイオ医薬品」という)と同 等/同質の医薬品として異なる製造販売業者により開発される医薬品のことでございま す。  なお、本指針におきましては、「同等性/同質性」とは、先行バイオ医薬品に対しま して、バイオ後続品の品質が全く同一というものではなく、品質特性におきまして類似 性が高い、かつ、品質特性に明らかの差異があったとしても、最終製品の安全性や有効 性に有害な影響を及ぼさないと科学的に判断できることを意味しております。  これまでも審査基準の明確化という観点から各種指針の作成に努めてきているところ でございますが、そういう観点を踏まえまして、本指針におきましても、バイオ後続品 の開発を行う際に配慮すべき要件というものを示しますとともに、承認申請に必要なデ ータについて明らかにしたものでございます。  下には、本指針に示されております項目としまして記載しております。詳細は4ペー ジからの所にガイドラインの全体が書かれています。項目としましては、まず適用範囲、 バイオ後続品開発における一般原則、バイオ後続品の製法・品質特性の解析、品質特性 に関する同等性/同質性の評価試験、規格及び試験方法、非臨床試験、臨床試験、製造 販売後調査ということで記載しております。  2.「今後の対応等」でございます。本指針に関しましては、この第二部会、また、明 日開かれます第一部会に報告後、通知等の発出を予定しております。関係する通知につ きましては、資料の20ページから付けております。今後とも、最新の知見等を踏まえま して、必要に応じて改訂を実施することとしております。また、薬事・食品衛生審議会 との関係におきましては、バイオ後続品に関しましては、部会報告という形で考えてお ります。以上でございます。 ○吉田部会長 ここで溝口先生、何か御質問が。 ○溝口委員 指針ですのでこれから決まっていくのだと思いますが、大体何年後にバイ オの後続品が出てくるのかということ。それから、今あるバイオでない後続品は種類が 非常に多くて、その安定供給とか有効性・安全性がまちまちですので、バイオの後続品 に関しましても、あらゆる会社にその開発を認めているのか、あるいは、それこそ何か 制限があるのか、ちょっと知りたいのです。アメリカですと、そんなにたくさんいろい ろ種類がなくて選択しやすいと思うのですが。 ○審査管理課長 バイオ後続品がいつごろ出てくるかということでございますが、例え ばソマトロピンで考えますと、ソマトロピンは、もう複数の会社から承認され、発売さ れているところでございます。あるいは、インシュリンなども同じようなところがある わけでございます。これを実際上、バイオ後続品と考えるかどうかというのはいろいろ な議論があるのだろうと思います。また、今現在、承認申請に出ているものの中にも同 じようなものがございますし、ヨーロッパにおいては、既にバイオシミラーとかバイオ 後続品と言われるものが承認されているのではないかと思います。  アメリカでございますが、薬事法においては、後発品と同じようにいわゆる簡略審査 というものが認められていますが、バイオの製品というのは、薬事法とともに、Public Health Actの適用も受けると。Public Health Actの方に簡略審査という規定がないの で、その点でいわゆるバイオ後続品というようなものは、今現在、アメリカには存在し 得ないと聞いているところでございます。  二点目でございますが、後発品の品質、安全性、有効性について、確かにいろいろな 文献、いろいろな学会発表等がなされているのも事実でございます。ですから、その発 表なり文献が科学的にどうなのかというのを評価していただく必要があるのだろうと思 いますし、それが的を射ているのであれば、我々として、また手を打っていかざるを得 ないと考えているところでございます。  また、他方において、厚生労働省全体として後発品の使用を上げる、普及していくの だということを出しておりますので、科学的に、客観的に評価していただくという意味 では、厚生労働省から一応切り離して、国立医薬品食品衛生研究所の所長を中心とした 有識者から成る検討会を作っていただいて、そこで定期的に発表されている文献、ある いは学会発表を一つずつ議論していっていただいている状況でございます。そういう形 で後発品の品質等の確保を図りたいと考えておりますし、このバイオ後続品についても、 あらかじめどういう企業が申請していいとかいけないとかというようなことを決めると いうのは、今の薬事法の枠組から言っても、欧米においてもそのような方策はとられて いませんので、出てきた申請について医薬品機構で審査していただき、又は先生方に御 報告させていただく中で御意見を賜る形にさせていただきたいと考えている次第でござ います。 ○溝口委員 ありがとうございました。バイオ後続品に関しては、ものにもよるかもし れませんが、臨床試験が一応義務付けられるのでしょうか。 ○事務局 資料としましては、臨床試験の方も、原則、必要ということで考えておりま す。 ○溝口委員 ありがとうございました。今出ているものですと、ものによっては、替え た途端に血中濃度が下がって、有効性がなくなって、元へ戻したということもあります。 ただ、私どもは、そのようなことを学会で発表しても、なかなかまとめて、今言った審 査機関に報告などしておりませんので、反省すべき点が多いかと考えております。  それから、不純物で今一番問題になっているのは、不純物の障害が起きたときに、重 症であれば救済の制度がありますが、軽症だったときにどこが補償するか、処方した医 者か薬局か、あるいは国がしてくださるのかというようなことも議論されたことがござ いますので、ちょっとその点も伺いたいのです。 ○審査管理課長 どのレベルのいわゆる副作用を救済するかという点についての御議論 だろうと思います。もちろん副作用被害救済、法律として制定されているわけでござい ます。一応そこでは、先生御存じのとおり、入院相当となっているわけでございます。 その入院相当未満の副作用を救済する仕組みは現実問題として今ない、また、それが経 済的、あるいは肉体的、身体的に公的な制度として救済するまでには至っていないとい う判断なのだろうと思うわけでございますが、一概にだれが救済すべきかと。また、副 作用というのは、主作用との関係で考えますと、発現してもやむを得ないという性格を 持っていますので、それを基に直ちにだれかが救済しなければならないというようなこ とを組み立てられるようなものでもないのではないかと。今の副作用救済制度自体が、 いわゆる賠償とか製造物責任とか、そういうものから離れて社会的な責任だという整理 をしておりますので。そういう意味からしても、なかなか難しいところがあるのではな いかと考えているところでございます。 ○溝口委員 分かりました。不純物で起きた場合ということなのですが、結構でござい ます。 ○吉田部会長 早川先生、何かコメントを頂けますか。 ○早川委員 私の理解では、バイオ後続品というのは、名前として言えば普通のケミカ ルな後発品と似ているのですが、評価方法は異なる。ケミカルの場合には多分 bio-equivalency、生物学的同等性というのとケミカルな証明というのがベースになって やられていると。バイオ後続品の場合は、特許が切れたので、したがって、ある業者が 同じような製品を作りたいということですが、物質的にも、作用的にもケミカルとは異 なり、また製品間でも異なるさまざまな特徴がある。医薬品の場合には、当然のことで すが、最終的な目標は有効性と安全性の証明ということだと思うのです。ですから、バ イオ後続品もそれぞれの特徴に応じた対応をする必要がある。そういう精神でこのガイ ドラインは書かれてあると。  ただ、その有効性・安全性を証明するのに、例えば品質のところで非常に精密な分析 がなされていると。例えば不純物も含めて。そうすると、その臨床でどの程度やればい いのかというのは、そういうメーカーのデータ次第で次の必要な事項は決まってくるの だろうと思うのです。結局、それも含めて、メーカーごとに、また製品ごとにもフレキ シビリティというか、違いがあるのだろうと思います。データ如何で、どの程度の非臨 床をやるのか臨床をやるのかということは変わってくるのだろうと思うのです。  ですから、ここの目次に示されていますように、フルセットで一応項目としては挙が っていますのは、とりあえずは念頭に置いてみるという意味です。ただ、この一つ一つ の項目の、特に後半に関するその内容、程度の深さというのは、前半における検討如何 ですし、周辺にどれぐらいそれに関する情報があって、それをうまくメーカーが、どの ように自らの製品を、有効性・安全性の観点からジャスティファイできるかということ がこのガイドラインの肝なのだろうと、精神の基だと私は理解をしております。  このガイドライン自体は、今おっしゃったようないろいろな論点を一般化したもので す。実際にはいろいろなケースが考えられると思うのです。そういう意味では、Q&A をしっかり作っていただければいいのではないかと思います。  それから、「てにをは」等についても、なるべくその疑義が生じないように、本来の 精神をきちんと伝えられるように少し精査していただいてもいいのではないかと思いま す。あと一点だけよろしいですか。 ○吉田部会長 どうぞ。 ○早川委員 これは私の質問というか、コメントとしてなのですが。参考2の一般的名 称等というところですが、これにつきましては、科学的な立場から言えばいろいろな議 論の余地があると思います。しかしながら、これは、行政的な観点からこうするという ことだと感じております。そういう意味で、この名称の付け方が本体ガイドラインの科 学的な部分の理解とか解釈とか運用を縛る、あるいは影響を及ぼすというものではない、 ということを確認させていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。 ○吉田部会長 ありがとうございました。 ○堀内部会長代理 このバイオ後発品の場合は、当然のことながら、その先発品を作っ た時代と違ってテクニックなどがいろいろ進んでいるので、そういう製造する段階は新 しい技術を使ってやっても構わない。作ったあとのものについては、例えばバイアル中 にどのくらい入っているかとか、そういうのは先発品と同じにしなければいけない。あ と、要するに、毒性試験とか薬理試験とか、そういうものは必要ないが、臨床試験はや らないといけない。そのように大まかにとらえてよろしいのですか。 ○審査管理課長 大まかにとらえられれば、先生がおっしゃったようなことだろうと考 えております。もちろん個別に、単一の蛋白で非常に構造がわかりやすい場合はどうと かというようなものはありますが、糖鎖がついてなかなか難しいようなものについては どうとか、考えていく必要があります。  また、先ほど早川委員から御質問のあった件でございますが、これは、早川委員のお っしゃるとおり、販売名については行政的な判断が含まれているものでございます。 ○堀内部会長代理 ですから、薬価としては下がるというのが基本と考えてよろしいで すか。 ○審査管理課長 薬価について答えるのはなかなか難しいのですが、いわゆるバイオ後 続品というのをここで整備して、その評価方法を固めるということにつきましては、当 然のことながら、先発の会社が独占して売っていくということについて、科学的にそれ と同じようなものが供給できるというような体制が整ったということが念頭にあるわけ でございますから、そこで競争が起きるということを考えれば、当然のことながら、先 生がおっしゃっているような効果もあるのだろうと考えております。 ○吉田部会長 ほかにございませんか。いずれにしても、バイオ後続品と言ってもいろ いろ出てくる可能性があって、一概に一つのイメージに整理しきれないところも相当あ るだろうと思います。そういった意味で、バイオ後続品については部会報告ということ になっております。ですから、こういったことを部会で議論、あるいはそのコメント等 々を交わしながら、いい指針がさらに必要に応じて指針を改訂するということもできま すので、いきなり100点満点でないかもしれないですが、80点ぐらいからだんだん100 点を目指すような感じでもいいのかなと、私、個人的には思います。ほかにございます か。では、なければ、最後の報告事項、議題5をお願いします。 ○事務局 議題5、資料7でございます。「フルコナゾール製剤における効能・効果の 一部削除について」でございます。  まずフルコナゾールの概要でございます。こちらは、販売名、ジフルカンカプセルと いうことで、先発、ファイザー株式会社が販売しておりまして、ほか8社。また、注射 剤におきましても、先発、ファイザー株式会社で、ほか16社でございます。こちらの効 能・効果につきましては、カンジダ属、クリプトコッカス属及びアスペルギルス属とい う形になっており、下記感染症ということでございます。また、用法・用量につきまし ても、記載のとおりでございます。  2.でございます。この先発会社からの申出でございますが、アスペルギルス症につき ましては、平成14年にミカファンギン、平成17年にボリコナゾールが販売され、有用 な製剤数も増えており、アスペルギルス症に関するフルコナゾールの必要性というもの は減少しております。また、「深在性真菌症の診断・治療ガイドライン2007」におきま して、「フルコナゾールはアスペルギルスに対して無効である」旨が記載されておりま す。そういったことをかんがみ、現在の科学水準で同症に対する本剤の意義は極めて低 くなっていることがございますので、本剤の「効能・効果」から「アスペルギルス属」 を、「用法・用量」から「アルペルギルス症」を、それぞれ削除することとしたいとい うことで考えております。以上でございます。 ○吉田部会長 本件につきまして、何かコメントはございますか。特にないようでござ いますので、続きまして、「その他」の事項にまいりたいと思います。議題1、「医薬 品ドキシル注20mgの承認条件について」。 ○事務局 「医薬品ドキシル注20mgの承認条件について」、御説明申し上げます。本品 につきましては、1月の本部会で承認して差し支えないとの御結論をいただいたところ でございますが、その際に全例調査の承認条件を付与することとなっており、既承認と なっておりましたエイズ関連カポジ肉腫との文面のところで更なる整理が必要ではない かという御指摘をいただき、整理を進めていたものです。今回、承認条件、資料8に取 りまとめておりますが、卵巣癌につきましては、「全症例を対象に使用成績調査を実施 する」等という形で、いわゆる審査報告書にまとめていたもののとおりでございます。  一方、エイズ関連カポジ肉腫につきましては、これまでは、可能な限り全症例という ような形で全例調査を指示するような条件でしたが、それをさらに詳しく書き下したよ うな形で、今現在、行われておりますHIV感染症治療薬に関する共同調査等の方法を 用いて、可能な限り全症例を対象に使用成績調査を行うという形で、より詳しく、今の 実態に即した形で書き直す形で整理を行ったものでございます。以上でございます。 ○吉田部会長 本件につきまして、何か御質疑はございますか。より具体的に明示され たということだと思います。では、御質疑がないようですので、以上から報告事項及び その他の事項については御確認いただいたといたしたいと思います。本日の議題は以上 ですが、事務局から何か報告等はございますか。 ○事務局 どうもありがとうございました。1件、御報告でございます。前回の当部会 で御審議いただきました日本脳炎ワクチン、ジェービックVにつきまして、前回の議論 の際に、通常、分科会の報告というものが行われるわけでございますが、あらかじめ文 書にて分科会委員の御意見を踏まえた上で迅速に承認したいということを御報告させて いただきました。前回の部会終了後、薬事分科会の委員の先生方にも文書にて御意見を 伺い、早期に承認することについては差し支えないと、特段、御異論はありませんでし たので、今週月曜日、23日付けで承認いたしましたので、御報告させていただきます。 なお、本品目につきましては、3月に予定されています薬事分科会で改めて御報告はす るという形でございます。  それから、次回の部会でございますが、既に御案内のように、4月27日(月)の午後4 時から開催とさせていただきますので、よろしくお願いいたします。以上でございます。 ○吉田部会長 よろしいでしょうか。それでは、本日はこれにて終了とさせていただき ます。ありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 下川(内線2746)