09/02/26 第9回がん対策推進協議会議事録 第9回がん対策推進協議会議事録 ○照会先 厚生労働省健康局総務課がん対策推進室                末政(内線2946) ○日時:平成21年2月26日(木)13:01〜16:01 ○場所:はあといん乃木坂6階 「ソレイユ」 ○出席委員:垣添会長、廣橋会長代理、内田委員、海辺委員、江口委員、柏木委員、       金子委員、関原委員、高嶋委員、富樫委員、永池委員、中川委員、       中沢委員、埴岡委員、本田委員 ○前田がん対策推進室長  それでは、定刻となりましたので、ただいまより第9回がん対策推進協議会を開催い たします。  委員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがと うございます。  私は厚生労働省健康局総務課がん対策推進室長の前田でございます。よろしくお願い いたします。  最初に、本日は閉会時に渡辺厚生労働副大臣よりご挨拶を申し上げる予定となってお りますので、ご報告申し上げます。また、カメラ撮りにつきましては、会議冒頭の部分 と厚生労働副大臣のあいさつのときということで、よろしくお願いいたします。  続きまして、本日の委員のご出欠の状況でございますが、仁昌寺委員、麦島委員、門 田委員がご都合によりご欠席との連絡を受けておりますので、委員数18名に対しまして、 現在まだ内田委員が少し遅れられてございますが、現在14名おそろいということでござ いますので、議事運営に必要な定足数に達していることをご報告申し上げます。  続きまして、事務局の紹介をさせていただきます。  まず、上田健康局長でございます。 ○上田健康局長  よろしくお願いします。 ○前田がん対策推進室長  大臣官房審議官の安達審議官でございます。 ○安達審議官(がん対策、国際感染症対策担当)  よろしくお願いします。 ○前田がん対策推進室長  総務課長の岡部総務課長でございます。 ○岡部総務課長  よろしくお願いします。 ○前田がん対策推進室長  本日は、がんに関する研究などで関連のある省庁といたしまして、文部科学省より 研究振興局研究振興戦略官の倉崎様にご出席いただいております。 ○倉崎研究振興戦略官  よろしくお願いいたします。 ○前田がん対策推進室長  また、同じく文部科学省より、高等教育局医学教育課長の新木様にご出席いただいて おります。 ○新木医学教育課長  よろしくお願いいたします。 ○前田がん対策推進室長  続きまして、経済産業省より商務情報政策局医療・福祉機器産業室長の代理といた しまして、室長補佐(総括担当)の廣瀬様にご出席いただいております。 ○廣瀬医療・福祉機器産業室長補佐  よろしくお願いいたします。 ○前田がん対策推進室長  それでは、以後に進行につきまして、垣添会長、よろしくお願いいたします。 ○垣添会長  皆さん、こんにちは。お忙しい中、第9回のがん対策推進協議会にお集まりいただ きまして、誠にありがとうございます。  今日はいつもどおり3時間という大変長丁場でありますが、前半が報告事項、後半 が審議事項ということでお願い申し上げます。前半部で報告事項としまして、平成21 年度のがん対策関係の予算案、それからがん対策推進基本計画の進捗状況、事務局か らそういうことをご報告いただきまして、途中ちょっと休憩を入れまして、後半に入 りまして、後半は協議事項としましてがん対策の推進に関する主な取組、いわゆるア クションプランと、それからがん対策推進基本計画の中間報告、それから平成22年度 予算概算要求に向けた提案書について、これは前回皆さんからご了解いただいてつく りましたワーキンググループ、埴岡委員を中心にして大変皆さん短時間の中に精力的 な仕事をされて、後ほど詳しいご報告があるかと思いますが、これについて協議をい ただきたいというふうに思います。そういう流れであります。とにかく3時間、長い 議論でありますけれども、どうぞよろしくお願い申し上げます。  では、まず事務局から配布資料の説明をお願いいたします。どうぞ座ってやってく ださい。 ○前田がん対策推進室長  では、資料の確認をさせていただきます。  まず、大きくとじてございます第9回がん対策推進協議会議事次第となってございま す資料でございますが、資料1−1平成21年度がん対策関係予算案、資料1−2厚生労 働省におけるがん対策関係予算案、資料1−3文部科学省におけるがん対策関係予算案、 資料1−4経済産業省におけるがん対策関係予算案、資料2−1といたしましてがん対 策推進基本計画に掲げる主な目標に対する進捗状況、資料2−2といたしましてがんの 年齢調整死亡率の年次推移、資料2−3緩和ケア研修会の終了証書の交付件数、資料2 −4市区町村におけるがん検診の実施状況等調査結果(平成20年1月現在)、資料2− 5市区町村におけるがん検診の実施状況等調査結果(平成21年1月時点)の実施、資料 2−6市区町村におけるがん検診受診率の算出、資料2−7都道府県がん対策推進計画 の策定状況、資料3−1がん診療連携拠点病院に関する指定検討会設置要綱、資料3− 2第5回がん診療連携拠点病院に関する指定検討会の概要等、資料4−1第2回がんに 関する普及啓発懇談会の概要、資料4−2がん検診受診率50%達成に向けた受診勧奨事 業に係るキャッチフレーズ等の募集、資料5たばこ税の意見書、資料6−1がん対策推 進計画を推進するための主な取組(アクションプラン)(案)、資料6−2がん対策推 進基本計画に基づく国の主な取組(アクションプラン)、資料6−3がん対策推進基本 計画を推進するための都道府県の主な取組(アクションプラン)(例)、資料7−1が ん対策推進基本計画の中間報告、資料7−2がん対策推進基本計画に掲げる分野別施策 に対する把握方法等(案)、資料7−3がん対策推進基本計画における個別目標とその 評価の様式(案)、資料7−4がん対策推進基本計画の中間報告・見直しスケジュール、 そして資料8が別冊でございます。平成22年度がん対策予算に向けた提案書「元気の出 るがん対策」、そして参考資料ががん対策推進基本計画の概要、以上でございます。  それから、本日机上配布資料といたしまして、がん対策に関するタウンミーティング 意見シート集計結果、都道府県がん対策推進協議会委員がん対策担当者アンケート回答 集、中川委員からのご提出ですが、「最大の国民病がんについて学ぼう」の机上配布資 料をご用意させていただいてございます。  資料の不足がございましたら、お申し出いただきたいと思います。  では、以上をもちまして冒頭のカメラ撮りは終了とさせていただきますので、ご協力 のほど、よろしくお願いいたします。  なお、後ほどの副大臣挨拶の際はカメラ撮影可能となってございますので、その際に またお願いいたします。  以上です。 ○垣添会長  ありがとうございました。  では、報告事項1平成21年度がん対策関係予算案について、事務局からご説明くださ い。 ○前田がん対策推進室長  それでは、資料1−1平成21年度がん対策関係予算についての説明でございます。1 ページ目でございますが、これも非常に見やすい形に直しまして変えてございますが、 3省合計のがん対策予算が平成20年度が545億円に対して524億円と。厚生労働省が237 億円、文部科学省が186億円、経済産業省が102億円ということでございます。そして、 重点的に取り組むべき事項といたしましては、放射線療法、化学療法の推進、これらを 専門的に行う医師等の育成に厚生労働省61億円、文部科学省20億円、治療の初期段階か らの緩和ケアの実施に厚生労働省7億円、がん登録の推進で厚生労働省が0.3億円とい う、重点分野についての予算では以上でございます。そして、がん研究につきましても 厚生労働省86億円、文部科学省166億円、経済産業省102億円でございます。  なお、がん検診につきましては平成10年度から地方交付税措置されているところでご ざいますが、平成21年度におきましては平成20年度649億円に対しまして1,300億円程度 が地方交付税措置されるということでございまして、こちらが倍増となっているところ でございます。  続きまして2ページ目でございますが、がん対策推進基本計画の目標達成へ向けて講 じた施策という資料についてでございます。こちらにつきましては、平成19年度の取組、 平成20年度の国の主な取組、そして20年度の予算額と21年度の予算案というふうな構成 になってございますが、まず平成20年度限りの経費としてがんに係る放射線治療機器の 緊急整備事業がなくなりましたが、平成21年度予算としましてはがん診療連携拠点病院 の機能強化事業、これが約24億円増となったところでございます。そして、専門医の臨 床研修モデル業が新規でございます。  そして3ページ目でございますが、文部科学省のがんプロフェッショナル養成プラン が19億円から20億円となったところでございます。  続きまして4ページ目でございますが、緩和ケアについてでございます。こちらも右 のほうの上から2段目でございますが、緩和ケア研修に係る予算、これが平成20年度が 1億4,000万でございましたが、平成21年度は2億5,000万ということで増額をさせてい ただいているところでございます。  そして、6ページ目でございますが、在宅医療につきましては前年度より若干減額と なっているところでございます。  8ページ目でございますが、医療機関の整備ということでございます。こちらにつき ましても、平成20年度のがん診療連携拠点病院の遠隔画像診断支援事業が昨年度限りと いうことなどで減額となってございます。  それから、その下の9ページ目でございますが、こちらのがんの医療に係る相談支援 及び情報提供に関する予算は増額となっているところでございます。  続きまして11ページ目でございますが、がんの予防につきまして増額となった事業と いたしましては、たばこ対策としまして上から4段目ですけれども、健康的な生活習慣 づくり重点化事業、それからその2つ下の国立がんセンターのがん予防・検診研究セン ター経費、そして肝炎等克服緊急対策研究費、それらが増額となっているところでござ います。  続きまして13ページ目でございますが、がんの早期発見につきましては昨年度より増 額となってございまして、新規事業としてはがん検診受診促進企業連携委託事業、がん 検診受診率向上企業連携推進事業、女性の健康支援対策事業委託費、そして一番下の労 働災害防止対策費補助金などが新規予算となっているところでございます。  続きまして15ページでございますが、がんの研究でございます、こちらにつきまして は第3次対がん総合戦略研究経費など、若干減額されている部分もあるところではござ いますが、肝炎の研究基盤整備事業ですとか地球規模保健課題推進研究経費、がん研究 助成金が増額となっているところでございます。  そして、続きまして資料1−2でございますが、18ページでございます。こちらが厚 生労働省関係の予算についてでございますが、新規事業として申し上げますと、1番目 の放射線療法、化学療法の推進の部分でございますが、専門医師の育成体制の構築が 3.8億円、拠点病院の機能強化につきましては、がん登録実務者の増員なども含めて24 億円の増でございます。2番の緩和ケアの実施につきましては緩和ケア研修部分が2.5 億円と、そして4番目のがんの予防・早期発見の部分では、新規事業として企業との連 携によるがん検診の受診促進、女性の健康支援、がん検診受診率向上に向けた実施本部 の設置、がん対策情報センターによる情報提供及び支援事業の充実、都道府県のがん対 策推進計画の目標達成の実現のための重点的に取り組む施策に対する支援などが新規で ございます。がんに関する研究につきましては、早期承認に向けた治験データにおける 民族的要因の解明の予算が新規でございます。そして、合計額としましては、236億 8,000万円が19ページの図でございます。そして、その細かな施策の内容については、 20ページと21ページにつきまして厚生労働省関係のがん対策について記載をしてござい ます。  以上でございます。 ○垣添会長  ありがとうございました。厚生労働省分の説明をいただきました。  続きまして、文部科学省から説明をいただきます。 ○倉崎研究振興戦略官  文部科学省の倉崎と申します。どうぞよろしくお願いいたします。  続きまして、22ページ目から文部科学省におけますがん対策の予算についてご説明 させていただきたいと思います。  概要につきましては前回、要求時点の内容をご説明させていただいておりますので、 簡単に紹介させていただきたいと思いますが、まず一つは左のがんの本態解明という ことで、基礎研究に関連しまして科学研究費補助金、それとその橋渡し研究というこ とでトランスレーショナル・リサーチ関連の研究、それとがん治療法の研究開発とい うことでがん治療研究ですとか人材育成、大学での対応、それと下に大学における教 育診療ということでの経費を計上してございます。  金額につきましては、次の23ページのほうに全体の増減額が書いてございますけれ ども、当初21年度要求に向けて増額を計上していたわけなんですが、大変厳しい財政 状況の中で十分な増額はちょっとできませんで、23ページの下のほうにそれぞれの前 年度との比較が書いてございますけれども、特に大学での運営費交付金でのところで がん関連の治療施設の建設というのが最終段階に入ったということでの減額が結構全 体としてきいてきまして、全体としては20年度203億に対しまして21年度としては186 億弱の予算を現在計上しているところでございます。  次のページ以降につきましては、人材育成に関連しまして前回ちょっといろいろと ご質問がございましたので、担当の新木課長のほうから内容について説明させていた だければと思います。 ○新木医学教育課長  それでは、引き続きまして24ページ人材養成、前回ご質問をいただいた部分を含めま してご説明させていただきます。24ページ、文部科学省で行っております人材養成、が んプロフェッショナル養成プランというふうに呼んでおりますが、その概要であります。  本年度19億円に対しまして、来年度、21年度は20億円、1億円増でございますが、そ の主な内容は、下のほうに、事業内容のほうにも書いてございますが、特に緩和ケア教 育の充実などを含めた部分でございます。  なお、25ページ目は現在がんプロフェッショナル養成プランに取り組んでもらってい る大学の一覧であります。18件、18拠点、合計で92大学が取り組んでおりまして、北海 道から九州まで幅広く取組が行われている状況であります。  26ページをご覧ください。養成人数、前回ご質問をいただいた部分であります。がん を専門とする医師の養成でありますが、薬物療法を専門とする養成が179人、放射線47 人等合計で344人であります。また、がんを専門とするコメディカルの方々であります が、専門薬剤師が97人、がん専門看護師が90人等合計281人であります。  なお、この人数は今年度の受け入れ人数でありまして、この人数で今年始まったとい うことでありまして、物によって養成に要する期間が違っておりますが、この方々が数 年後に卒業して必要な専門の資格等を取るということでありまして、来年度はまた新し く追加で募集が行われるという、本年度に関する参加人員であります。  27ページ目は、大学のがん診療に関係する講座等の配置状況であります。放射線、化 学療法、緩和ケアというふうに国公私立別に計上をしております。国立について見ます と、放射線治療については17大学、化学療法については10大学、緩和ケアについては2 大学というような状況でありまして、同様に公立については3、1、ゼロ、また私立に つきましては8、3、1と、合計いたしますと国公私立大学全部で今79大学ありますが、 放射線に関しましては28大学、化学療法については14大学、緩和ケアについては3大学 ということで、我々としても一層支援が必要な状況であるというふうに考えております。  以上でございます。 ○垣添会長  ありがとうございました。慌ただしいですが、続きまして経済産業省のほうからです。 ○廣瀬医療・福祉機器産業室長補佐  それでは、経済産業省より資料1−4に基づきまして説明させていただきます。  経済産業省のほうでは、がん対策関連予算としまして、主に研究開発に関するものに 研究を行っておりまして、その関係の説明をさせていただきたいと思います。平成21年 度政府予算は101.5億円となっておりまして、昨年度106.5億円に比べますと要求額時点 では上回っておったんですが、少し減額となっております。中身は大きく1.の医療機 器関係、2.のイノベーション創出・加速、創薬に向けた支援技術となっております。  簡単に一言ずつ各事業について説明させていただきます。1.の医療機器関係の1つ 目、インテリジェント手術機器、こちらはがん等を手術する際に開腹等ではなくて内視 鏡等、体に与える負荷を小さくして行うための手術機器の開発を行っております。2つ 目の分子イメージング、こちらのほうはがん等の疾患を生体分子の動きを特徴をとらえ てなるべく早期発見、早期診断、また早期治療という形でつなげるような形の研究開発 を行っております。3つ目の次世代DDS型、こちらのほうは、がんのほう、抗がん剤 をやると副作用とかあるんですが、その副作用をなるべく起こさないで、がんのみ特異 的に効くようにということで、がん細胞に抗がん剤を集中して集積させて活性化させて がん細胞のみをたたくというような形で、副作用の少ない薬をできないかという形で行 っております。  2つ目のイノベーションの創出・加速の基礎研究から臨床への橋渡し研究、こちらは 厚労省さん、文科省さんとも一緒にやっておるんですが、バイオ技術多様にあるのでそ の辺、円滑な橋渡しを行うことによってイノベーションの創出・加速を行うということ で、経済産業省では主に研究開発のほうを行っております。  3つ目、右に移らせていただきまして創薬に向けた支援技術、1つ目のゲノム創薬加 速化支援のほうですが、がん等の病気の仕組みを遺伝子情報からたんぱく質の解析等ま で研究開発を行いまして、その結果、疾患の仕組みの解析や治療薬の開発につなげると いうことを目的として行っております。次の糖鎖機能活用技術ですが、こちらのほうも がんや感染症などいろいろな疾病があるんですが、その糖鎖の機能を解析することによ って、こちらも疾病の早期の仕組みの解明や早期診断に貢献するというものを行ってお ります。3つ目の新機能抗体のほう、こちらのほうですが、ポストゲノム研究というこ とで診断や創薬等によって重要な機能を果たしている抗体について研究開発を行ってお りまして、最終的な効果としましては診断、治療につながる新たな創薬標的たんぱく質 を同定することを目的として研究のほうを行っております。最後、個別化医療の実現の ための技術融合バイオ診断技術、こちらのほうですが、個人の遺伝子特性もこれはあり ますので、これに基づいて、いろいろ個人差はあります。これに基づいて、抗がん剤の 選択やがんの早期発見を可能にするための画期的な診断技術の開発というものを行って おります。  以上、経産省のほうからですが、がん関係に関する研究を行っているということで説 明させていただきました。  以上です。 ○垣添会長  ありがとうございました。厚生労働省、文部科学省、経済産業省の平成21年度の予算 について説明をいただきました。何かただ今のご説明に関してご質問あるいはご発言が ありましたらお受けしたいと思いますが。  どうぞ、高嶋委員。 ○高嶋委員  がん検診事業で、地方交付税措置ということで1,300億と倍増になっているのは非 常に評価できると思うんですが、地方交付税というのは用途は指定できるわけでしょ うか。これを全てがん検診に使えるというものではないように私、理解しております けれども、どうなんでしょう。 ○垣添会長  事務局からお願いします。大事なポイントだと思います。 ○前田がん対策推進室長  地方交付税につきましては用途は特に指定されていないものでございまして、各市町 村の裁量に基づくものでございます。 ○垣添会長  どうぞ、廣橋委員。 ○廣橋会長代理  この地方交付税の増額、ぜひとも検診に使っていただくように何らかの働きかけがあ るべきと思います。さらに、ただ単に検診の実施のための費用ということではなくて、 受診勧奨、台帳をつくってその方々に個人別に通知を出す受診促進、そういう取組もこ ういう中でやれるように働きかけがあると、大分変わるんじゃないかなと期待しますが、 いかがでしょうか。 ○垣添会長  はい、どうぞ、事務局。 ○前田がん対策推進室長  厚生労働省といたしましては、がん検診の受診率の向上は死亡率の減少につながる と考えてございまして、平成21年度から受診勧奨事業を全国展開いたしますこととい たしております。その趣旨を十分ご理解いただくために、健康関係主管課長会議です とか、各種会議の場を通じて、国の委託事業を活用するなどにより、健康施設等の人 口集中地域において積極的に受診促進活動を行っていただくとともに、大幅に拡充さ れました地方交付税措置によるがん検診予算の確保に努めていただくよう、協力を要 請していきたいと考えてございます。 ○垣添会長  地方交付税ですから、高嶋委員のご発言のように用途は特定できないということで はありますけれども、しかし、今廣橋委員からのご発言のように、せっかく倍増した お金がやはりがん検診に使われないと、このがん対策推進協議会としては極めて満足 な結果に終わりませんので、今の趣旨をしっかり通達をしていただければと思います が。  どうぞ、中川委員。 ○中川委員  廣橋委員のおっしゃったことに全く同感なんですが、用途を特定できないといって もその色彩はあるわけですよね、間違いなく。したがって、協議会としてもそれがど のように活用されていったか、特に廣橋委員がおっしゃったように中央との連携、た だ単にお金を地方に移譲してということではなくて、やはり例えばいろいろな啓蒙活 動も行いながら中央と連携する、あるいは勧奨を行うと。その結果、どういうふうな 使われ方をしたかということをやはり協議会のほうでもモニターしていく必要がある のではないかなと思います。 ○垣添会長  ありがとうございます。はい、どうぞ、前田室長。 ○前田がん対策推進室長  後ほど報告を申し上げようと思っておりましたが、ちょうど資料の48ページ目に地方 交付税化されたがん検診が各都道府県ごとにどれだけ使われているかということで、平 成19年度の実績と平成20年度の予算を掲載してございます。中川委員おっしゃるように、 毎回できる限りこういう形で県を通じて市町村のがん検診の予算額、こちらについては モニターしてまいりたいと、情報を収集してまいりたいと思っております。 ○垣添会長  どうぞ、内田委員。 ○内田委員  この件に関しましては、実施の主体に当たります医師会のほうでも会員の先生方ある いは都道府県医師会を通じて周知をして、行政と連携しながらしっかりこの予算を使っ ていただくということで取組を進めたいと思います。 ○垣添会長  ぜひお願いいたします。これは本当にこの協議会始まって以来の大ヒットではない かと思われるチャンスですから、これはせっかくのチャンスを生かすのにぜひ各方面 で努力いただきたいと思います。  どうぞ、柏木委員。 ○柏木委員  少し違う側面なんですが、27ページの特化した講座等を置く大学別一覧ということ で、放射線治療、化学療法、緩和ケアというところで、緩和ケアに関しては残念なが らまだ2大学しか講座がないということで、これは世界的な歴史を見てみますと、や はり例えばホスピスというものからスタートして、あと緩和ケアということが注目を されて広がってきて、最終的にはということじゃないんですけど、その国全体の一つ の傾向として緩和ケアの講座がどれほど増えるかということが、かなりその国の緩和 ケアの質を示すというふうな、そんな論文があります。  そういう意味で、国としてというか、対策としてといいますか、緩和ケアの講座を 各大学に増やしていくという、そういう方向性をとる必要があるのではないかと私は 個人的に思っているんですが、これは多分厚労省と文部科学省の協力みたいなところ が必要だと思うんですけど、文部科学省としての見解というか抱負というか、その辺 のことをちょっと聞かせていただけたらありがたい。 ○新木医学教育課長  文部科学省でございます。ご指摘のとおり、緩和ケアの講座を充実していくという のは重要な方向だというふうに考えております。現在、国立大学、国公私というとこ ろで予算の制約だとか、それからまた法人化、国立大学法人化に伴って直接我々が指 導したり命令したりする権限が法律上なくなったというような制約がございますが、 設置充実に向けて、また我々は今回ご説明したがんプロフェッショナル養成事業の費 用などを活用して、これを推進していただくように働きかけているところでございま すし、引き続き強く要請していきたいというふうに思っております。 ○垣添会長  どうぞ、永池委員。 ○永池委員  ただ今の養成に関するところで、私も少し質問させていただきたいと思います。  26ページのほうには、養成人数が提示されておりますけれども、あるべき姿として、 この推進事業が最終的にどういう状態になったときに、どれだけのがんのプロフェッ ショナルが必要なのかという考え方において示された人数は十分に養成されている経 過の中の1点であると考えていいのかどうか、また、緩和ケアに関する養成数も重要 というご意見もございましたが、がんのプロフェッショナルでも様々な医療関係者が いるかと思います。例えばがん診療拠点病院やがんセンターにおける医療従事者の養 成も大変重要ですが、それ以後の、これから居宅においてがん治療を進めるといった ところでの養成プランのような計画がこれから示されるのか、どういった位置付けに なっているのか、関係省庁から何かご説明がいただけるようなことがございましたら ばお願いいたします。 ○新木医学教育課長  がんプロフェッショナル養成事業、養成プランにおける養成を含めての話だと思いま すが、これにつきましては現在、19年から始まって、本格的に始まったという意味では 20年度が初年度という感じもいたしております。そういう意味で、ようやく本格的に稼 働が始まったところであります。その中でいろんな職種の方が26ページの本欄、また注 のところでつけておりますが、大変いろんな職種の方を各大学が、その必要性といいま すか、創意工夫して養成をしているところであります。これがまず現状であります。  この最終的なゴールということでありますが、実はこの養成プランにおきまして一体 最終的に全国での必要数、そのうちこの養成プランにおける養成人数をどのぐらいにす るかというところは今後検討をしていきたいというふうに思っておりまして、現時点で は全体で例えば1万人必要でここで1,000人育てるとか、そういう積み上げといいます か、全体から来た計算で行われている状況にはないという状況であります。来年度、21 年度は本格稼働してというふうに申し上げてすぐであれなんですが、この中間評価を3 年目ということで行うこととしております。その中で養成の状況、また21年度の新規参 加者といいますか、を含めた検討を行ないながら、また全国での養成数をどういういう ふうに見積もってこれを位置付けていく、このプランを位置づけるのかということにつ いて関係省庁の間でも議論をしながら進めてまいりたいというふうに思っております。 いずれにしろまだまだ少ない、足りないというふうな認識は我々も強く思っております ので、充実する方向で検討していきたいというふうに考えております。 ○垣添会長  お願いいたします。では、関原委員。 ○関原委員  私も今の問題に関連するわけですが、やはり育成すべき必要な人数を固めることなし に25ページのような表がよくできるなと思います。つまり、これだけのプロを育成する から3つぐらいの大学でこうやるんだという計画です。例えば九州は十何大学でグルー プをつくっていますがどういう哲学でこういうグループ分けができ、如何にして養成さ れるのか、こんな多いとなかなかリーダーシップを発揮してちゃんとできないんじゃな いか、何か非常にばらばらな養成プランの組み合わせになっているような気がするんで すけど、これはどうしてこういうのができたのかちょっと教えていただけますか。 ○新木医学教育課長  この大学の組み合わせ、地域、地域も場合によってはかなり広域に飛んでいるとこ ろもありますし、1カ所もしくは非常に狭い地域で集中しているところもあります。 これにつきましては、大学の自主的な組織化の中でこのプランを計画してもらってい るという状況からこうなっている。例えば九州が一番ご指摘のように多い状況であり ますが、拠点となっております九州大学初め、この大学の方々から話を個別にお聞き したことがありますが、この中ではネットワークといいますか人的連携、従来からの 人的連携を含めてこのネットワークでいけるといいますか、いく必要があるというこ とでやっておりますし、大学の中で実はこの大学は例えば医師の放射線に特化するだ とか、そういう役割分担も行いながら進んでいる状況であります。  ただ、この中で十分それが調整されているのかということにつきましては、これか らまだ改善すべき点が多々あろうかと思っております。この養成プラン自体が全体を、 最終的な必要数を見据えてこういうネットワークでという積み上げ方式で始まったと いうよりも、大学の自発的な連携を生かす形で、自律性といいますか、創意工夫を生 かす形で始まったというところから現在のような形になっておりますが、ご指摘のよ うに、これが最終的に全体の養成事業の中でどう位置付けられるべきなのかというこ とは、引き続き検討しなければならない課題というふうに思っております。 ○垣添会長  じゃ、たくさん皆さん手を挙げておられますが、申しわけありませんが、先のあれが ありますので、海辺委員でこの議論はいったん打ち切らせてください。申しわけありま せん。 ○海辺委員  ありがとうございます。関原委員のご発言と重複してしまうかなという部分はあるん ですけれども、やはり20億円という予算を投じてやられることですから、きちんとどう いう計画の下にどれだけの期間で何人養成するというプランは早急に立てなければなら ないと私も思います。また、大学等の養成機関は今非常に指導者不足で、そういう講座 が増えてもきちんと指導することが非常に大変であるというようなお話もよく伺います ので、やはりせっかく投じる予算が効率的に効果を上げていくようにならないと、無為 に時間もお金もかかってしまったら本当に何もならないので、きちんとそういうことが 行われるべきだと思います。  以上です。 ○垣添会長  文部科学省は繰返しご指摘のことをきちんと受け止めていただいて、近い将来要請さ れているようなデータなどもぜひご準備いただければというふうに思います。  では、申しわけありませんが、先に進ませていただきます。2番目の報告事項で、が ん対策推進基本計画の進捗状況について、事務局から説明ください。 ○前田がん対策推進室長  資料の29ページでございます。現在の進捗状況について、主な指標として、がんによ る死亡者の減少でございますが、新しいデータとして、平成19年に88.5ということで平 成17年よりも4.2%減したところでございます。医療機関の整備及び相談支援センター でございますが、先日の検討会の結果も踏まえ、21年度には375施設になる予定でござ います。そして、がんの早期発見につきましては、前回は平均値のみでございましたが、 男性、女性、全てのがん種ごとの国民生活基礎調査のデータを挙げてございます。男性 の胃がんの32.5%が一番高く、女性の乳がんの20.3%が一番低いものでございます。  30ページ目でございますが、年齢調整死亡率についてでございます。平成7年から平 成19年までの年次推移を示してございます。まだ長野県の72.7と青森県の103.7という ことで、30ポイントほど地域の格差がございまして、それを各県の年次推移で示した棒 グラフが31ページ目でございます。  32ページから34ページは、細かいデータで恐縮ですが、男女別の年次推移でございま す。これは全てのがん種についてのものでございます。そして、35ページががん種別の データでございますが、2006年のデータですと全がんのトップは青森県ですが、例えば 肺がんですと北海道、胃がんでしたら秋田県などが高いという状況にございます。36ペ ージでございますが、2007年につきましては全がんのトップは青森県、そして肺がんが 青森県、胃がんが新潟県などというところで、それぞれの主ながん種につきまして上位 10県の名前を列挙させていただいているところでございます。  次に37ページでございますが、緩和ケア研修会の修了証書の交付件数でございます。 こちらにつきましては今年度に指針を出したというところもございまして、現在82回の 研修が開催されまして、2,669枚の修了証が交付されているところでございます。  38ページでございますが、これは前回も20年1月時点で資料をお出ししたものでござ いますが、がん検診を実施していない市区町村名を公表すべきではないかというご意見 を賜りまして、再度調査いたしましたところ、47ページでございます。指針以外の方法 でも実施していない旨回答のあった市町村、前回の11月28日の第8回協議会では、胃が んは2つの市町村だったんですが、1つの町、子宮がんは1つの村、そして肺がんは前 回74という数字でございましたが、よくよく県を通じて調べましたところ、51市町村と。 乳がんも15ということでしたが、2市村。大腸がんも3町村だったのが2村ということ でございまして、前回と数字が違ってございますので、こちらが確定版ということで報 告をさせていただいてございます。  そして、48ページ目が、先ほども紹介しましたが、がん検診の費用に係る調査という ことで、全てのがん検診、そして5大がんにつきまして総費用と自己負担額、この差額 が各市町村の確保しているがんに係る予算ということでございますが、例えば平成20年 度の予算でいきますと、全てのがん検診については1,155億の予算で、自己負担が143億 ですので、1,012億の予算が措置されていると。5大がんに限って言いますと958億が措 置されているということでございます。  資料2−5でございますが、こちらにつきましては特定健診が平成20年4月から導入 されたことによりまして、がん検診をやめる市町村がないかどうかということを現在調 査しているところでございます。その調査シートでございます。例えば50ページの胃が んのところでございますが、問2のところで平成20年度から中止というふうに書いてい るところですとか、そういったところを中心に拾っていこうと思ってございます。また、 集団検診か個別検診かというふうな形で、検診についての分類も簡略化しているところ でございます。というのが55ページまで続いてございます。  そして、56ページでございます。市区町村におけるがん検診の受診率の算出について でございます。先ほど机上配布資料でご紹介するのを忘れてございましたが、こちらの ハードファイル、キングファイルに入っているものがこの算定式に基づくものでござい まして、がん検診の受診率の分母、これが各市町村によって独自の考え方で設定されて いるということで、昨年の2月にがん検診事業の評価に関する委員会におきまして、対 象者数の統一的な考え方が示されたところでございます。そのご意見を踏まえまして、 この下の枠囲みに書いてございますが、推計対象者数といたしまして市区町村の人口か らサービス業ですとか建設業とかそういった第2次、第3次産業に関わる方を除いた人、 そういった方をこれから市町村のがん検診の受診者数の分母というふうに考えて統計を とって評価をしていきたいと考えています。そして、その元データとなりますのが右の 57ページでございますが、現在は平成17年の国勢調査、これが5年ごとに行われますの で、分母としては国勢調査を使っていくと、分子としては健康増進事業報告を使ってい くことを考えているところでございます。  駆け足で恐縮です。58ページでございます。前回の11月の段階では、3つの県がまだ がん対策推進計画を策定されていませんでしたが、25番の滋賀県が12月に策定されまし た。33番の岡山県、こちらも予定となってございますが、けさ確認しましたら今日にも 決裁がとれるということで、残りが奈良県のみとなっているところでございます。奈良 県に対しましては、早急に奈良県の担当者に来ていただきまして早急に策定するという ことと、それから、マスタープランだけではなくてアクションプラン的なものを含めて 策定をしてほしいということ、そして今後策定状況については適宜報告をすることとい うことで、強く指導をいたしているところでございます。  以上でございます。 ○垣添会長  ありがとうございました。ただ今のご報告に関して何かご発言いただけますでしょう か。  どうぞ、本田委員、それから中沢委員。 ○本田委員  まず、29ページのところなんですけれども、これまではそういう医療機関なり相談支 援センターなりをちゃんと整備していくということが目標だったのかもしれませんけれ ども、今後それがちゃんと機能しているのかという意味で、例えば相談支援センターが どれだけありますではなくて、どれぐらい使われているかとか、そういうことも示して いただければなと思います。  私、先日取材に行ったある病院で、がんの取材ではなかったんですけれども、拠点病 院だったものでついでに立ち寄ったら、すごいきれいな相談支援センターはできている んですけれども、だれもいませんでした。相談支援員もどこにいるんだろうという状況 でしたので、よろしくお願いします。  もう一つが37ページなんですけれども、ちょっと説明では飛ばされたかと思うんです けれども、緩和ケア研修会というのが引き続き行われているかと思います。それで、予 算でもいろいろ緩和ケアのことを充実するなり研修を続けるなりおっしゃっていました けれども、これもちょっと調べてみますと、私のこれも取材というか、ちょっと知人の 話で恐縮なんですけれども、ある患者さんが4期の段階で見つかった際に、痛みも出て きているので抗がん剤治療も続けながら緩和治療も受けたいと思って、その病院では緩 和治療をちゃんとやっていないということで、近くの拠点病院の緩和ケア外来に行った そうです。そうすると、緩和ケア外来の人に、抗がん剤治療を実施中であれば緩和ケア は受けられませんのでだめですと断られたそうです。拠点病院の緩和ケア外来でもそう いうことをやっている。私はそれはレアなケースなのかと思っていると、実は結構そう いうことがあるということが分かってきました。そういうことは初期からの緩和ケアの 導入、緩和ケアが受けられるようにというのはもともとの目標でしたけれども、それは がん治療と連携して両立してということだと思うんですけれども、これは質問なんです けれども、緩和ケア研修会の中では先ほどの化学療法をやっている状況であれば、がん 治療をやっている状況であれば緩和は受けられないというような、そういうことを指導 されているのかどうか確認したいと思いますが、それは教えてください。  以上です。 ○垣添会長  事務局から支援センターの使用状況について。 ○前田がん対策推進室長  まず、相談支援センターの使用状況につきましては、医療水準調査という形で調査を 既に行っているところでございますし、また、各都道府県を通じて拠点病院の現況報告 で、相談件数がどれくらいあるかについて把握をしております。そして、できる限りが ん対策推進基本計画の中にも拠点病院における診療実績、専門的にがん診療を行う医師 及び臨床試験の実施状況に関する情報等をさらに充実することを目標としており、情報 提供の内容を充実していくということが記載されてございますので、その趣旨に沿って できる限り相談支援センターの活用状況についても公開していくよう努力していきたい と思います。  それから、後段の緩和ケア研修の内容についても、実際そういう事例があるというこ とにつきましてご指摘ありがとうございます。緩和ケア研修の中には、治療の初期段階 からきちっと緩和ケアを行うということについて内容に入っているところでございます。 ○垣添会長  緩和ケア研修に対して中川委員、それからあと江口委員もお願いします。 ○中川委員  東大病院でも去年11月の後半に丸々2日かけてやるんです。そして、それは実は各施 設に内容を任せるんではなくて、かなり学会と、江口先生の緩和医療学会とそれから厚 労省のほうでしっかりしたプログラムができているんです。ですから、そこから逸脱す ることができないくらいしっかりしていて、私は逆に逸脱ができなさ過ぎると思うくら いなんですが、ちゃんとやっているんです。ただ、その研修がやはり臨床の現場にまだ 浸透していないところがあるとすれば、それはそういったことがモニターされて、そし て具体的にここはおかしいということがガイスウあるいはこういう協議会で上がってく るようなシステムが必要なんじゃないですかね。具体的に指導していく必要があるんだ と思うんです。  ちょっと話が戻るんですが、先ほどのがんプロフェッショナル養成プランのことなん ですが、これはちょっと難しいのは、関原委員、海辺委員のご指摘なんですけど、主に 大学院生が関わってくるんです、その医者の中で。それが文科省の対象になってきて、 この大学院生が何人入学するかというのは読めないところがあるんです。したがって、 大学院に入学しろということは言えないわけですから、なかなか実際にどれぐらい、例 えば来年度どれぐらいということを言いがたいところはあります。しかし、何が律速か というと指導者不足なんです、これは海辺委員が言われたように。多くの予算が教官の 雇用に当たります。東大病院でも医学物理士、これは放射線治療の一番弱いところです、 医学物理士。それから、来年度は緩和ケアの専任の教員、こういった形で予算をつけて います。そのことは非常に重要な進歩で、しかしそこが律速でもう少し、今20億という 予算がさらに増えればこれはやはり養成数が増えてきます。したがって、この協議会で もぜひ養成プランを支持して支援していただきたいなというふうに思っています。 ○垣添会長  じゃ、緩和ケア研修に戻って江口委員、どうぞ。 ○江口委員  今のテキストの中にそういうような状況、内容が含まれているかということですが、 これは緩和医療学会が委託事業としてやっている指導者講習会とか、そういうところの テキストは全国統一してありますので、早期からの緩和ケアという形でのお話が十分盛 り込まれています。今までに去年から指導者講習会というのは、国立がんセンターで行 われているものも含めると、全体で指導者講習会を受けた、修了した人が400人ぐらい おりまして、そういう人たちが現在全国に戻ってそこでまた研修会をやっているという 形なので、徐々にではありますが、恐らくそういうような教育というのが浸透してくる と思います。現場でのエピソードは、そういうものはあると思いますけれども、それは 改善すべきものだというふうに思います。 ○垣添会長  ありがとうございました。 ○本田委員  すみません、一言だけ。 ○垣添会長  はい、どうぞ。 ○本田委員  早期からの緩和ケアはもちろんそうなんですけれども、治療と両立する緩和ケアとい うふうにも言っていただきたいと思います。よろしくお願いします。 ○垣添会長  はい、大事なポイントだと思います。中沢委員、どうぞ。お待たせしました。 ○中沢委員  がん検診の受診率の件ですが、資料2−1、29ページには国民生活基礎調査の結果で 基本的にはフォローするということで、計画の進捗状況を見るという整理だと思います が、基本的にこれだと3年に1回しか結果が出ないため、間の2年間をどうするかが課 題であると思います。国としては、オール・ジャパンで考えるとこの国民生活基礎調査 のデータを使っていくのかということと、もう一点、今回56ページに市町村におけるが ん検診の受診率の算出が出たんですが、前回ちょっと質問させていただいて最終的にこ うなったのかと思うんですけれども、前回は介護度の高い方をマイナスしていたんです が、それが今回変わっているんですが、これについて変わった理由等を教えていただき たいということと、さらに基本的にはこの形で今後ずっとやっていくのか、そこら辺の ところを含めてお尋ねしたいと思います。 ○前田がん対策推進室長  オール・ジャパンのがん検診の受診率の把握につきましては、後ほどまたご議論いた だく中間報告に向けた指標の把握方法のところでもご説明申し上げますが、国民生活基 礎調査で評価していきたいと考えてございます。そして、各市町村におけるがん検診の 受診率の分母につきましては、先ほど本当に説明を少し省略して恐縮でございます。報 告書の中にはこのデータ、分母から要介護度4、5の方を引くということになってござ いますが、厚生労働省の統計情報部ともいろいろとデータがとれるかどうか、協議を重 ねてきて本日に至ったわけでございますが、まずその要介護度のデータについて、介護 報酬の改定ですとか、そういったこと以外に、目的外に使用してほしくないという市町 村がかなりの数あるということでございますので、実際にこのがん検診の受診率のため に要介護度4、5の方の数を提供することを拒否されている自治体が多いというのがま ず一つの点でございまして、そしてこの分母を使うというふうな形で結論に至ったわけ でございます。 ○垣添会長  まだおありとは思いますが、申しわけありません。まだ先、大分ありますので、進ま せていただきます。  がん診療連携拠点病院に関する指定検討会について説明ください。 ○前田がん対策推進室長  資料の60ページでございます。がん診療連携拠点病院の指定に関する検討会でござい ますが、平成18年2月に指針が策定され、20年3月に指針が改定されたところでござい ます。この委員の任期が2年ということで運用してございまして、そして今まで8名の 方で構成していただきましたが、今回委員の見直しを行いまして、この石川委員を初め 10名の方に構成員として就任していただいたところでございます。自治体の意見を代表 するということで、広島県の迫井局長にも参加していただくなど、幅広くがん診療連携 拠点病院の指定についてご議論いただくということで、この61ページの方々にご議論を 2月3日にいただいたところでございます。 ○垣添会長  続きまして、第5回のがん診療連携拠点病院に関する指定検討会の概要について、こ れは私、座長を務めておりますので、私から報告させていただきたいと思いますが、こ の2月3日に第5回の指定の検討会がありまして、それで62ページから63ページにあり ますように、今回は都道府県から39病院が推薦されまして、そのうち37病院の指定が適 当であるということになりました。内訳はお手元にあるとおり、都道府県拠点病院と地 域拠点病院の内容はそこにあるとおりです。それで、37病院を入れますと現在376病院 になるわけです。それであと、ただ1病院が3月末日で指定を辞退したいという話があ りますので、恐らく375病院になるんじゃないかというふうに思います。  この拠点病院の指定に関しては、2次医療圏に1カ所程度というのが一応目安になっ ているわけですが、それを超える数の医療機関をがん診療連携拠点病院に指定する理由 に関しては、これを十分説明ができるような形で推薦をしてほしいということになって おります。それから、都道府県拠点に関しても都道府県で1カ所程度ということであり ましたが、若干それを超えているところがありますけれども、これに関しても都道府県 の推薦意見書の中に数値目標等を入れて、合理的な説明ができるような形の推薦をして ほしいということになっておりまして、その内容に沿った指定がなされているというこ とであります。  あと、岩手県の3病院については、新しい入院がん患者数とか相談支援センターの相 談件数の把握ということを条件付きで承認、それから2次医療圏の数を大幅にオーバー する埼玉県、大阪府、それから兵庫県については、更新申請に向けてこれまでに指定さ れた病院の場合によると見直し等を含めた整理をするという条件付きで認めることにし たということであります。したがって、現在は376病院、恐らく最終的に375病院になる だろうということであります。  これが拠点病院の現況でありますけど、何かご発言ありましょうか。  はい、どうぞ、永池委員、それから埴岡委員。 ○永池委員  検討会の内容ではございませんけれども、検討会の構成員を拝見させていただいて、 主に医師を中心とした委員の構成にあるのかと拝見いたしました。私の今隣に座ってい らっしゃる富樫先生もメンバーではございますけれども、既に指定要件が定められてい るので医師を中心とした構成員でいいというふうにお考えなのか、あるいはこれからが んに関しては相談支援の部分であったり、ケア中心というところも大変重要な部分であ りますので、今後そういった視点で発言できるコメディカルの方々が構成員として参加 させていただけるのかどうか、お尋ねしたいと思います。 ○垣添会長  ちょっとそれは、ご発言を大事なポイントとしてよく受け止めさせていただきます。 今はこれで動き出しましたので、改めて検討させていただきたいと思います。  埴岡委員、どうぞ。 ○埴岡委員  62ページの資料に1病院ががん拠点病院から辞退予定とありますが、報道によります と、その他の施設においても辞退の動きがあるようですが、この辺り、辞退あるいは取 り消しに関してのどのような方針になっているのかを伺いたいと思います。均てん化を 目指しているわけですが、質を高めていくというところと、それから日本全国をカバー していくという両面のバランスをとるのは非常に難しい課題ですが、どのような方針か お尋ねできればと思います。 ○垣添会長  今の辞退のことに関して、事務局からお願いします。 ○前田がん対策推進室長  辞退の件につきましては、その県の中でも十分ご議論をされて新要件を満たすことが 1年後でも困難ではないかということで、現段階でのご辞退のお届けをいただいている ところでございます。そして、ほかにもそういった県があるかという点でございますが、 まずこの新要件の充足状況、そういったものについて昨年の10月末日までに出されまし た現況報告書によりまして把握を行っているところでございます。そして、その取りま とめた結果につきましては公表をする予定でございます。そして、拠点病院について今 後新要件に則り、円滑に移行できそうか、それとも更新ができなくて、そして手をおろ すところがあるかどうか、そういったことにつきましては、都道府県と連携して、きち んとその県の中でのがん診療連携体制がとれるような形でうまく運用していただけるよ うに調整を行っていきたいと考えております。そこはもう指定要件が決められたので、 県とのコミュニケーションなしにそこですぐにばさっと切ってしまうというふうなこと はせずに、きちんとの県との連絡はとっていきたいと思っております。 ○垣添会長  確かに医療従事者の充実という点で、今、一方で文部科学省を中心にして養成してい るという段階ですから、指定要件に合致するというのが必ずしも簡単ではないという機 関がたくさんあるということを承知で今はこの形で進んでいるということです。 ○埴岡委員  コメントですが、全ての病院がパスするような基準とする仕組みも質を高めるために ならないかもしれないので、脱落するところが出るとうことは仕方がない面もあります が、日本全体の状況によく合った制度にしていただいて、いい意味でみんなが伸びて切 磋琢磨ができるような仕組みにしていただければと思います。 ○垣添会長  ありがとうございます。本田委員、一言。 ○本田委員  一言、すみません。拠点病院のあり方というのは、先ほど私がこだわっている連携、 緩和とかその他の連携のあり方に大変大きな意味合いをなすと思っています。私も埴岡 委員と同じように全てみんなを認めてという考え方もあるでしょうし、それから日本の 現状に合わせたという認め方もあるでしょうけれども、やはりその辺をもう一度きっち り方針を示していただきたいという、もちろんこちらでも議論があったほうがいいと思 うんですけれども。  それと、拠点病院のあり方として確認なんですけれども、拠点病院というのは連携拠 点病院となった時点でその地域の連携についてどうあるべきかということをプログラム するというか、そういうことをアドバイスしながら地域全体を見ていくのが拠点病院だ というふうに私は聞いていたんですけれども、どうも実態を見ると、自分たちががん医 療をするプレーヤーでしかなくて、全体を見るのではなくてプレーヤーとして手術件数 を競ったり、そういうことに拠点病院が邁進しているような感じがするんです。もちろ んそちらも大事かもしれませんけれども、地域全体を見るというのが連携拠点病院の基 本的な考え方なのかどうかの確認をしたいと思いましてお伺いしました。 ○垣添会長  それはもう全く、連携拠点病院の連携というところと極めて重視しているというのは 間違いありません。ただ、中に一部、今ご指摘のようなこともあるかもしれませんけれ ども、もう少し時間がたつとだんだん落ちついていくというふうに思います。 ○埴岡委員  今、本田さんがおっしゃったようなことが図れる手法をみんなでこれから開発してい くのがすごく大事だと思いました。 ○垣添会長  ありがとうございました。申しわけありませんが、先に進ませていただきます。  続きまして、第2回のがんに関する普及啓発懇談会の概要につきまして、中川座長か らお願いいたします。 ○中川委員  まずご報告ですが、昨年12月26日に第2回のがんに関する普及啓発懇談会がありまし た。ここに資料4−1をご覧いただくわけですが、まず第1部で公開シンポジウム、こ の中ではアフラック、がん保険の企業ですね、この普及啓発活動に対する取組、それか ら島根県における取組、これはバナナを買うと一部ががん対策に当てられるという非常 にユニークな仕組みで勉強になったと思うんですが、それから、ちょっと順序が違って いますが、牛乳に関して中央酪農協議会からの報告がありました。タレントの山田邦子 さんが委員の一人でして、急遽山田さんが指導というんですか、しているスター混声合 唱団のメンバーが飛び入り参加されて歌など歌っていただいた。その後に「チーム・マ イナス6%」、これは環境省の地球温暖化対策ですが、この取組の事例を紹介いただい た。こういったことがまず公開シンポジウムで報告されました。  その後に懇談会がありまして、私も少しお話ししたんですが、学校での取組が大事だ ということで、がん教育が大事だということで国立の中学校での、私ががんに関する授 業をしてまいったんですが、それから日本テレビの「世界一受けたい授業」の番組の話、 それから実は韓国でがん検診が50%、受診率が50%を達成したということで、韓国での 取組を今後学ぶ必要もあるのではないかということをお話ししました。その後、委員か ら国民運動「チーム・マイナス6%」の事例などを踏まえて、企業、団体、NPO等を 巻き込んだ実施本部を設置して明確な形のメッセージを国民に出していく、がんを知り、 検診を受けていただくという、そういうキャンペーンを行っていくべきだというような ご説明がありました。  今後、第3回の懇談会を3月17日に行うということになっております。少し私のこの 懇談会の座長としての考えを申したいと思うんですが、最終的にこの基本計画の目標の 一つであるがん検診受診率50%達成、これに向けて幾つかのポイントがあろうと思って います。今回3つほど提案したいですが、一つは学校でのがん教育、これが重要です。 先ほどの国立第一中学校のほかに、先般、岡山の朝日高校でも私ががんの授業をしてま いりました。学校でのがん教育というと、ちょっと長期的あるいは場合によっては迂遠 というふうな印象をお受けになる方もあるかもしれませんが、これは実は禁煙対策より も短期的なところがございます。  例えば、子宮頸がん検診は二十から受けなきゃいけないわけです。そうすると、15歳 で義務教育が終わる、そういった女子にとってはもう5年後のことになります。したが って、これは決して迂遠なものではない。実際、今日は皆さんに配布させていただきま したが、これは懇談会でも説明いたしましたが、がんについて学ぼうという、これは学 童向けのがんの啓発用のパンフレットでございます。ちょっと開いていただくと、例え ば3ページ目、クラスの2人に1人ががんになる。これはたまたま配った6歳の男の子 が、家に帰ってお父さんに「これ知ってる」というふうに聞いてくれたそうです。こん なこと、あるいは14ページを見ていただきますと、結局がんで死なないためにはがんに ならない。しかし、リスクは半分にしか減らないから検診を受けると、これに尽きるん ですが、そういったことを分かりやすく、なるべくがんにならない、なっても検診で発 見して完治させようと、こういったメッセージ。それから、先ほどの本田委員のご指摘 にも関係するんですが、30ページ、「「治す」も「癒す」も大事」というふうに書いて あります。これは、治すときでもいやしが必要、いやすときでも治しが必要ということ で、これは拠点病院の先生にぜひこの冊子をお送りしていただいて、勉強していただく のもいいのではないかなというふうに思います。  第2点目は、先ほどありました地方交付税、倍増になった1,300億円、これは冒頭で 廣橋委員、私もご指摘いたしましたが、ただ、どうぞお使いくださいというのではなく、 やはり中央との連携、特にがん検診を受けなさいと言って受けてくれるんだったら、も うこれはとっくに終わっているんです。しかし、そこに何が欠けているかというと、簡 単に言うと日本人ががんを知らないということなんです。これは学童からの啓発の活動 とやはり歩調を合わせる必要があるんですが、中央からの勧奨、がん啓発を含めた勧奨 とのタイアップが必要だなというふうに思っています。  3つ目、最後ですが、このがん検診を受けよう、あるいはがんの啓発のキャンペーン が、にしきの御旗が立つ形でだれから見てもこれは日本国が一生懸命やるんだというこ とをきちっとしたメッセージを出していただくということが必要かというふうに思って おります。第3回目の啓発懇談会では、富士フイルムあるいはオリンパスといった企業、 それから第2回目で発表したアフラック、さらに先般少し話題になっていますが、オリ ックスの宮内会長とお話をさせていただいて、ああいった企業も実は非常にがんのキャ ンペーンが行われるならば、はせ参じて応援しようじゃないか。宮内会長はトヨタの奥 田名誉会長を来月ご紹介いただいて、ぜひそういった日本を代表する企業を巻き込む形 でやってくれ、にしきの御旗さえあれば皆が結集する、参上するということを言われて おりました。  この3点を座長として今回この場で申し上げたいと思います。  以上です。 ○垣添会長  どうもありがとうございました。今のご発言、どうぞ、海辺委員。 ○海辺委員  がんに関する普及啓発懇談会について質問なんですけれども、私は1回しか傍聴して いないんですが、それであと2回目についてはこれで拝見いたしまして分かったんです が、がんに関する普及啓発ということだったので、私はがん全体に対して、例えばやっ ぱりたばこのことですとか、あとがん登録のことですとか、国民に普及啓発しない限り 進まない対策について全般的にやるのかなと思っていたんですが、とりあえず当面は検 診について重点的になさるということですけれども、とりあえずそれはしばらく、この 向こう1年ぐらいは検診しかやらないのであるのか、それとも、この5月下旬が終わっ たところで次にたばこやがん登録に対して取り組んでいく予定なのか、それについてお 伺いしたいと思いました。 ○垣添会長  どうぞ。短くお願いします。 ○中川委員  大変重要なポイントで、プライマリーエンドポイントとしてはがん検診受診率50%な んですが、しかし私が先ほど申し上げたように、受けろと言って受けるわけではないで すね。したがって、たばこのこと、なぜ検診を受けなきゃいけないか、がん登録もそう です。ですから、最終的には全部、しかしそれによってがん検診を受けなきゃいけない というふうに分かっていただく。例えば、たばこをやめたってがんになるリスクという のはないわけではないです。したがって、全体を分かっていただく中で、これはがん室 とも話合いながらそちらのほうも、がん登録も国民に分かっていただかなければこれは 進まないんです。ですから、そこもやりたいと、座長としてはそう思っております。 ○垣添会長  分かりました。じゃ、今の議論と続きますけれども、がん検診受診率50%達成に向け た受診勧奨事業に関わるキャッチフレーズに関して、事務局からお願いします。 ○前田がん対策推進室長  資料4−2、65ページ目でございます。このキャッチフレーズ等の募集につきまして は、先ほど中川委員にご提言いただきました3点目の先ほど「錦の御旗」という形でき れいにご表現いただいた内容に関するものでございます。  趣旨といたしましては、がん対策推進基本計画の5年以内に受診率を50%以上という ことを個別目標の一つとして掲げてございます。そして、前々回のがん対策協議会にお いて了解されました今後の国の取組におきましては、個別目標を達成するために平成21 年度から国、自治体、企業、検診機関、患者団体が一体となったがん検診受診率の向上 のための広報を全国展開をすることとしてございます。そのためには、国主導の下に全 国の関係機関、関係団体が明確かつ共通のキャッチフレーズなどの下に統一的な事業を 展開することが重要でございますので、一般国民に対して検診の必要性が正しく認知さ れ、行動を促すためにキャッチフレーズ、イメージキャラクター、ロゴなどの公募を行 うということを予定いたしているところでございます。本日この報告をさせていただき まして、また懇談会でもご報告させていただきまして、4月以降にインターネット等に よるキャッチフレーズの募集を開始いたしまして、第4回普及啓発懇談会及び第10回の がん対策推進協議会におきまして決定、公表という予定で現在考えているところでござ います。  以上でございます。 ○垣添会長  ありがとうございました。何かご発言ありましょうか。よろしいですか。はい、海辺 委員。 ○海辺委員  先ほどの繰返しにやっぱりなってしまうんですけれども、余りにもたばこ対策とかが ん登録というのもそれなりにもうちょっと、5年以内にとか3年以内にというニーズが こちらとしてはある中では、やはりみんなが知ってだんだんにというふうなのだとちょ っと気長過ぎるのではないかなという印象があるので、こちらのがん検診のキャッチフ レーズの事業も大切ですけれども、ぜひ普及啓発の懇談会ではたばことがん登録に対し てもアグレッシブに取り組んでいただけたらなというふうに思います。 ○中川委員  そのようにいたします。 ○垣添会長  ありがとうございます。では、先に進みます。  前回ご議論いただきましたたばこの増税に関する当協議会としての意見書に関して、 事務局からお願いします。 ○前田がん対策推進室長  66ページ目でございます。資料5の意見書でございます。前回の協議会におきまして、 内田委員の発案によりましてこの協議会でまとめられた意見書の文でございます。一応 読み上げます。  私たちは、がんによる死亡者の減少、がんによる苦痛の軽減を目標に、鋭意検討を重 ねてきた。  言うまでもなく、喫煙は、がんを初め、様々な疾病の原因となっており、今後のがん 対策において、喫煙率の低下及び未成年者の喫煙防止は、極めて重要な課題である。  国民の喫煙率低下、特に未成年者の喫煙防止に向けて、たばこ価格の引き上げの実現 を強く要望するものである。平成20年11月28日、がん対策推進協議会会長垣添忠生様。  ということで、自由民主党の税制調査会会長の津島雄二会長宛てに提出したところで ございます。ただ、この意見書、出させていただいたところでございますが、ご存じの とおり、今回は見送りとなったところでございます。  以上でございます。 ○垣添会長  文面に関してはご一任いただいて一生懸命努力したのでありますが、結果はお聞き及 びのとおりで誠に残念な結果でありますが、これに懲りずにまた頑張りたいと思います。 それで、何かたばこのことに関してご発言ありますか。よろしいですか。はい、富樫委 員。 ○富樫委員  富樫です。先ほどの普及啓発のことについてですけれども、中川委員につくっていた だいたこれは本当に小学生向けということですけど、大人にもよく分かる資料なので、 これは全国民に配布していただきたいなと思います。みんなが、やっぱりここだけでが ん対策について話していたのでは進まないと思いますので、国民一人一人が本当にがん について本当によく知っていただきたいなと。私たち毎日電話を受けますけれども、乳 がんと言われただけでもう私は死んでしまうのという心配事というか、そういう電話が かかってきます。今、治療をしっかりすればそう簡単に、ほかのがんでもそうですけれ ども、そう簡単には死なない、治っていくがんもあるということを本当に全国民が知っ ていただきたいなと思いますので、この普及啓発懇談会、懇談会からすぐに活動ができ るようにお願いしたいなと思います。 ○垣添会長  中川委員、このパンフレットはどのくらい印刷されて、どこにどういうふうに配られ るの。 ○中川委員  これは簡単に言うとつくってみただけです。本屋で売れるようなものでもありません し、ただ、これを例えば自治体の方が欲しいとおっしゃればそれはもう刷れますので、 東京法規という会社と一緒につくったものなんです。  今、富樫委員が、子どもたち全員に、そういう気持ちは私ありまして、中学校3年生 の、120万人いるんですけれども、50円でつくれば6,000万で済みます。そういったこと をやっていくということも必要ですし、文科省からも今日ご参加いただいていますので、 ぜひ初等教育、中等教育の中で、初等教育の中でぜひこういったことができるように、 特に日本って保健体育というんですが、事実上体育なんです。保健の知識がない。だか ら、我々というか国民は人体に関する知識がない、ましてや病気に関しての知識はない、 いわんやがんのことは全く知らない。それが世界一のがん大国という、そういう矛盾に 満ちたことが行われているんです。  ただ、私どもが例えば対がん協会などで冊子をつくったとして、それをどうやって学 校に配布するか。そういうロジスティックスの面でぜひお力をいただければ。それから、 学校の先生の教育です。保健体育の先生が一番喫煙率が高いようなんです、教職の中で。 そういったことをやはり正していただいて、保健体育の中でがん教育をしていただくと いうことが大変大事かと思います。  ありがとうございました。 ○垣添会長  初等教育からのがん教育といいましょうか、早い段階からのがん教育の重要性という ことで、文部科学省にもちょっと話を向けられましたけど、何かご発言いただけますか。 ○倉崎研究振興戦略官  すみません、ちょっとこんなことを申し上げるのはあれですが、担当の局がちょっと 別になりますので、今日のお話を伝えたいと思います。 ○垣添会長  縦割りとよく言われるように、担当の局は違うかもしれませんけれども、これはぜひ 真摯に受け止めていただいて、文部科学省としても真剣に取り組んでいただければとい うふうに思います。  皆様方に大変ご無理を申してあれしてきましたが、大体スケジュールどおり進んでお りますので、ここで報告事項を終わりまして、5分ほど休憩をいただきます。それで、 協議事項はこの後入りますが、14時25分からお願いいたします。休憩に入ります。 14:21(休憩) 14:27(再開) ○垣添会長  後半の部分に入りたいと思います。  協議事項に入りまして、まず最初にがん対策の推進に関する主な取組、いわゆるアク ションプランの案について事務局から説明ください。 ○前田がん対策推進室長  資料の67ページでございます。がん対策の推進に関する主な取組(アクションプラ ン)についてでございます。  こちらにつきましては、前回もご議論をいただいたところでございますが、2番の (1)の今後の対応方針のところで、都道府県に対する通知の時期として3月中旬目途 というものを書き加えて時期を大体明確にしてございます。そして、68ページからの国 の取組、75ページまでは前回と同様でございます。  そして、76ページ以降でございます。こちら、県のアクションプラン例でございます が、前回は、たばこ、検診、医療の均てん化という順番でございましたが、がん対策推 進基本計画の順序に合わせまして、医療、たばこ、検診の順に直してございます。そし て、前回ご指摘ございましたが、医療の均てん化の目標項目の中に、この到達目標とア クションプラン、そういった目標を明示すべきではないかというご議論をいただきまし たので、案といたしまして77ページでございますが、年齢調整死亡率の減少、そして緩 和ケア研修を行う指導医師数、指針に基づく研修会の修了医師数、在宅療養支援診療所 数、そしてがん患者の在宅での死亡割合、そしてがん診療連携拠点病院における地域連 携クリティカルパス整備率、がん対策情報センターによる研修を修了した相談員、そう いった目標を例として挙げまして、そして24年の目標と現在の現状、それを比較すると いうことをアクションプランとして各都道府県に策定をお願いしたいというふうに考え てございます。  そして、78ページ以降のものでございますが、これが一つの表で非常に長いというこ とでございましたので、6つの分野に分けてございます。78ページにつきましては、が んによる死亡者の減少、患者のクオリティーオブライフ向上を目指したがん医療の推進 ということで、行政、医療機関、関係団体、県民、患者・家族の役割分担を示している ということ、そして79ページにつきましては、放射線及び化学療法の推進におけるそれ ぞれの役割を示していること、そして80ページにつきましては緩和ケアの充実に向けた 役割分担を示していること、そして81ページにつきましては在宅医療の充実についての 役割分担を示していること、そして82ページが地域医療の充実に向けた役割分担、そし て83ページが、がん医療に関する相談支援及び情報提供についての役割分担ということ で、それぞれがん医療の均てん化の中でも6つの細項目に分けて、それぞれの役割分担 を各県で策定をしていただくということを推奨していきたいと考えてございます。  84ページからはたばこ対策でございます。こちらにおきましては、85ページに到達目 標と各機関のアクションプラン、これは例示ということでございますが、現状と目標と いうものを掲げてございます。そして、たばこに関する正しい情報と啓発活動について の役割分担、そして86ページの学校における禁煙教育の標準化・強化、そして健康増進 法25条の努力義務を有する全施設における受動喫煙防止策の実施、そして87ページの禁 煙指導の充実、それぞれにつきまして関係機関による役割分担を示しているところでご ざいます。  88ページでございますが、がん検診についての取組例でございます。こちらにつきま しても、到達目標と各機関等のアクションプランということで、現状と目標を示してい るということと、前回はこの検診の受診率の向上と精度管理、これが一つの同じ表でご ざいましたが、受診率の向上と、そして90ページの精度管理の均てん化、それぞれにつ きまして行政、医療機関等の関係機関の役割分担を示した形で例を示そうというふうに 考えているところでございます。そして、それぞれの目標値を一つの表にまとめたのが 91ページでございまして、各都道府県からの報告のイメージとして毎年こういう形で目 標と実績の対比を出していただくということと、各県におけるアクションプランにおい て変更などがあった場合には、毎年10月末を目途に提出していただいております拠点病 院の現況報告の時期に合わせて提出をしていただくというふうな形で考えているところ でございます。  以上でございます。 ○垣添会長  ありがとうございました。何か今のアクションプランに関してご発言、どうぞ、関原 委員。 ○関原委員  この77ページの表にありますような、例えばこの在宅診療支援のための診療所は何カ 所という数字を全て都道府県につくれということは現実的にできるんですか。例えば山 形県にもこの数字を作ってもらうわけですね。 ○前田がん対策推進室長  そうですね。 ○関原委員  これはちょっと私には分からないんで、都道府県の方にぜひともお伺いしたい。 ○垣添会長  中沢委員、どうぞ。 ○中沢委員  神奈川県なんですけれども、在宅療養支援診療所は基本的に保険診療の一つの評価 項目という形になっており、手を挙げた医療機関がこれについて一定の要件を満たし た場合には、それの指定を受けるような形になっております。  それともう一つ、がん診療における在宅療養というところなんですけれども、各都道 府県ともにがんとか脳卒中、心筋梗塞等の4疾病5事業に関しての地域連携の仕組みを 基本的には各都道府県の保健医療計画の中に位置付ける形になっております。神奈川県 におきましては、ホームページ上で在宅療養をやっていただける医療機関のリストとい うのは、医療機関の了解を得て公表はさせていただいているんですが、今おっしゃるよ うな形で本当にどこまでやっているのかというところになると、なかなか評価のところ は問題が残る、課題があるかもしれませんけれども。 ○関原委員  平成24年度に神奈川県としてはこういうがん患者が増える結果、この患者の内このぐ らいの人が在宅治療を受ける、そのためにはこういう地区にこのぐらいの在宅施設が必 要ですと、そういう計画ができるならありがたいんだけれども、それを各県に全部求め るのか、それなら今どうなっているのかを含め目標はつくれるものなんですか。 ○垣添会長  はい、どうぞ。 ○中沢委員  今回のアクションプランを見ていて、全体的にそうなんですけれども、委員おっしゃ るようなところを含めてその目標値をどのような形で定めていくのかというのが、各都 道府県悩んでいるところです、実際は。それで、ある意味国の法律に基づいて都道府県 の計画を、1県を除いてつくっているわけなんですけれども、その中にこういう細かい ところは実際入っていないというのがあります。そういった中で、県の計画に入ってい ないものをこのアクションプランの中に目標値として挙げるというのがなかなか難しい ところですので、そこら辺のところはどういう形でこれを挙げさせようとしているのか、 僕からもちょっとお聞きしたいところなんですけど。 ○垣添会長  どうぞ、これは事務局から答えてください。 ○前田がん対策推進室長  まさに在宅療養支援診療所の箇所数、目標値などについての事例も掲げたご議論でご ざいますが、基本的には各都道府県において5カ年のマスタープランをつくられたんで すが、それをきちんと各県のがん対策協議会で進捗管理をして、そして評価しているか どうか、そういったことを進めていただくためのものが大きな目標でございます。この 個別の目標については、もちろん各都道府県において異なってくるところはあると思い ます。ただ、例としてやはり在宅医療というキーワードを語るときには、在宅療養支援 診療所というのは重要ではないかということで、例示として挙げさせていただいている ものでございますので、ここの項目については各県の推進計画の中でしかつくれないと いう県もあろうかと思いますが、やはり推進計画をもう少し深めていくためには、推進 計画に載っていない項目でも目標値として定めていく必要がある県を応援したいと考え てございます。 ○垣添会長  ほかに。どうぞ、海辺委員。 ○海辺委員  2点伺いたいことがあるんですが、まず68ページのがん医療の(3)番のところですけれ ども、これはもう何回も協議会の場で申し上げていて、前回も申し上げたんですが、抗 がん剤等の医薬品については、5年以内に新薬の上市までの期間を2.5年短縮というふ うなことはもう大分前から掲げられていますけれども、今全くそういう状態になってい ないところで、このアクションプランを見ますと、人員を増員するなどということは書 いてありますけれども、この人員を増員したことでどのぐらいペースアップすることが 見込めるとか、そういうふうな内容が全然盛り込まれていない中で非常に、私、担当の 方なんかにお会いしても全く危機感を感じていらっしゃらないのじゃないかというふう な、私自身は日々危機感を感じているんですけど、それに対して今日は審査管理課長と かご出席いただけていないので、プランについて伺うことは無理かなと思うんですけれ ども、やはりもうちょっときちんと、いつまでにこれを達成するということは見える形 で出していただかないと、こちらとしても協議のしようもないですし、むなしく何回も 同じことを繰返して言っていても全然進展がないので、もう少しきちんとしたものを出 して、結果についてもシビアに受け止めていただきたいなと思います。  あともう一点は73ページのがん登録なんですけれども、やはりこれもいつまでに達成 するんだということがない中で検討していても、いつまでたっても検討しているという ことで終わってしまうと思うので、これについても(3)番を見ると、研究班で課題及び対 応策について検討というのが平成23年度までずっと続いているんだったら、いつになっ たらこれ終わるんだろうと思いますので、やはりアクションプランというからには、も うちょっときちんとしたアクションが見える形で提示していただきたいなと思いました。  以上です。 ○垣添会長  今の抗がん剤の審査の期間短縮ということと、それからがん登録の話に関して、事務 局から何かお答えありますか。 ○前田がん対策推進室長  まず1点目の抗がん剤の件につきましては、確かに委員おっしゃるとおりで、審査管 理課にも問題意識は伝えております。そして、一応メモとしていただいておりますので、 読み上げさせていただきます。  平成20年4月の時点で独立行政法人医薬品医療機器総合機構において約70人審査員の 増員を行い、審査期間の短縮に向けて取り組んでいるというふうなメモをいただいてい るところでございます。 ○垣添会長  その結果としてどのくらい短縮したかというのを知りたいという意味なんです。 ○前田がん対策推進室長  そこまで含めて聞いたんですけれども、審査管理課からの答えはそこまでしかなかっ たというのが現状でございます。問題意識につきましては十分審査管理課に伝えている ところでございます。申しわけございません。  それから、がん登録についてでございます。確かにこのアクションプランにおきまし ては、5年間ずっと検討というふうな形にはなっているところでございます。ただ、地 域がん登録についてはまさにそういう点はございますけれども、院内がん登録につきま しては拠点病院における院内がん登録の人員の増ということで、今年度もかなり増額を させていただいたところでございますので、そちらにつきましてはまず拠点病院の院内 がん登録を充実させていくという形で予算も確保し、あとがん対策情報センターにおけ る研修も引き続き充実して行ってまいりたいと考えているところでございます。  ただ、地域がん登録については、委員ご指摘の点を十分重く受け止めたいと思ってお ります。 ○垣添会長  どうぞ、本田委員。 ○本田委員  先ほどの海辺委員の関連なんですけれども、抗がん剤等の医薬品の早期承認とか人員 増に関しては、私たまたまPMDAの分科会の委員をさせていただいていて、PMDA のほうで抗がん剤薬がどれぐらい承認を早めたかとか、人数を増やしたことでこの数年 新規承認がどれぐらい早くなったか、もしくは遅くなっているとか、待機の時間がどう なっているとかというのを全部分析して出しているので、その分をがんの部分を抜き出 してぜひここの協議会にも示していただけるとありがたいなと思います。よろしくお願 いします。 ○垣添会長  大事な情報ですので、ぜひ強く申し入れをしてください。できれば次回辺り報告いた だければ大変ありがたいと思います。  どうぞ、永池委員。 ○永池委員  前回も発言させていただきましたが、がん医療や緩和ケアに従事する人たちの健康被 害、こういった点が今どのような実態になっていて、国の対策として何かをしなければ いけないのか否かを把握するような行動をアクションプランの中に入れていただきたい と前回申し上げましたが、どのようになりますでしょうか。実態、緩和ケアといった領 域では、中川先生に今従事している医療従事者の中で、既に問題を把握されているよう なところがあるのかどうかご助言いただければと思いますが。 ○垣添会長  緩和ケアに関してそんなことありますか、中川委員。 ○中川委員  例えば、東大病院の緩和ケアチームのナースがうつ病で入院するというようなことが たまたまありまして、やはり緩和ケア、必要な人数が足りていませんので、現場にもの すごい負荷がかかっているのは確かです。ですから、そういったことも現実的には大事 なポイントかもしれないです。 ○垣添会長  あとはもう一つは抗がん剤の取り扱いに携わる例えば医師や看護師の健康被害も問題 だと思いますが、何かありますか。 ○前田がん対策推進室長  その点につきましては、前回もご意見いただいたところでございますが、なかなか把 握することが困難だと思ってございます。今後もそういったことがうまく把握できるか どうか、例えば抗がん剤でしたら臨床腫瘍学会ですとか、あと放射線でしたら放射線腫 瘍学会ですとか、そういった関係学会から情報を収集するという方法も考えられると思 いますし、どういった形で把握できるかということについては検討してまいりたいと思 います。 ○垣添会長  よろしくお願いします。先に進ませてください。ぜひとも。今手を挙げられたからに はぜひともだろうと思うけど、じゃ短くお願いします。 ○海辺委員  手短に。ちょっと伺っていて、私、今のお話に関しては違和感を持ちましたのは、一 応これがん対策の全般的なものに対してということで、もちろん医療従事者の方の健康 状態とかというのも物すごく大事だとは思うんですけど、ただ、それ自体は労働条件に 関する発がん性とかの話になってくると、いわゆる労働の場でのアスベストの対策とか、 いろいろとそういう問題を全部加味した上でのお話になってくるのかなと思って、医療 従事者の方だけについて話すのはちょっと違和感を感じたということをちょっと申し上 げておきます。 ○垣添会長  分かりました。要するに、がん対策推進協議会ということで、それになじむかという 話になりますよね。はい、柏木委員。短く。 ○柏木委員  緩和ケアの充実の中で、非常に難しいんですけれども、提供しているプログラムの質 の問題をどう評価するかということがすごく大切で、数字として何回研修を受けたとか どこの県には何カ所あるとか、そういうアンケート調査その他のことで数字として出て くるのはそうなんですけど、先ほど本田委員が言われたちゃんと施設は十分あるんだけ ど、そこでほとんど仕事が行われていないというようなこと。質の評価という点を、こ れは総論的な話ですけど、しっかり入れていかないと充実になかなかなっていかないと いうふうに思うんです。  例えば、今ホスピス緩和ケア協会と、それからホスピスの私の関係している財団とが 協力して遺族調査というのをしていまして、5,000名ぐらいのご遺族の方にアンケート 調査をして、各ホスピス、緩和ケア病棟で亡くなった患者さんのご遺族にきちっとした 調査をして、そしてどういう問題点があったかというのをその各病棟にフィードバック をするという、そういう今事業をしているんです。それをするとすごく質が上がるんで す。やはり緩和ケア全体に、数字であらわすことのなかなか難しいケアの質を評価する という仕組みみたいなものを全体として考えていくことがすごく大切だと思うので、余 り具体的な提案ではないんですけど、とにかく質の評価ということに目をしっかり向け ていただきたいという提言です。 ○垣添会長  はい、受け止めます。ありがとうございます。中沢委員、どうぞ。 ○中沢委員  都道府県のアクションプランをつくるということで、かなり全面的に関係するという ことで一言お話をさせていただきたいんですけれども、基本的に進捗状況を把握すると いうことは大切なことですので、こういった形で調査をかけるというのは重要なことか と思います。ただ都道府県にがん対策の計画を立てさせるときに具体の目標値は、例え ば20%減とか50%とか全てとかという形で出ていたのが、かなり数値目標としては種類 としては少なかったわけですよね。今回こういった形で目標値を各都道府県に示して出 せと言っても、どういう手続きでそれを出していくのかというのはなかなか難しいとこ ろがあります。現状に関しては多分数値はまとめられると思うんですけれども、目標に 関してはなかなか難しいところがあろうかなと思いますので、今後これ3月末辺りに通 知を発出して、各都道府県が10月ぐらいに報告すると思いますけれども、各都道府県に 対してしっかり説明会等を開くなどして、しっかり本省の思うところを伝えていただき たいというところと、ある意味空欄で出さざるを得ないような状況についても了解いた だきたいと思っています。 ○垣添会長  非常に現実的なご発言だと思いますが、少なくとも説明会はぜひ実施していただけれ ばというふうに思います。  どうぞ。 ○前田がん対策推進室長  1月に衛生部長協議会という会がございまして、そのときにそのアクションプランの 内容については説明申し上げましたが、今後またがんに関する主管課長会議などを開催 いたしまして、また説明は繰り返しさせていただきたいと思います。 ○垣添会長  ありがとうございます。  では続きまして、アクションプランの今後の予定について事務局からお願いいたしま す。 ○前田がん対策推進室長  では、92ページでございます。  今後の予定につきましてでございます。ただ今いただきましたご意見を踏まえまして このアクションプランの内容等を修正しまして、今年度中に各都道府県にアクションプ ランの作成を依頼し、毎年10月にその進捗状況の報告を求めたいというふうに考えてお ります。その進捗状況につきましてはまたこのがん対策推進協議会に適宜報告させてい ただきます。 ○垣添会長  次に、がん対策推進基本計画の中間報告について事務局から説明ください。 ○前田がん対策推進室長  次に、資料の92ページ目でございます。がん対策推進基本計画の中間報告ということ でございます。92ページは前回も示させていただいた資料でございますが、やはりがん 対策推進基本計画の分野別施策を評価していくこと、そしてどういうふうにデータを把 握していくかということをまずご議論をいただきたく思いまして93ページの表を用意さ せていただきました。そして、それをうまくご議論いただいた後に、94ページ以降の 「個別目標とその評価について」というこの空白が多い表を今後埋めていき、それに基 づいてまたご議論をいただこうということでございまして、本日はその前段階の把握方 法等についてのご議論ということで93ページを用意いたしました。  まず、放射線療法及び化学療法の推進並びに医療従事者の育成についての目標の把握 方法でございますが、各がん診療連携拠点病院からの現況報告書等に基づきまして、放 射線治療機器であるリニアックですとか外来化学療法室の有無、その他の様々な事項を 把握していきたいと考えてございます。そして、緩和ケアにつきましては、国において 把握しました修了証書数に基づきまして、開催指針に準拠した緩和ケアの研修会の修了 者数などを把握していきたいと考えてございます。在宅医療につきましてでございます が、参考値ではございますが、人口動態統計に基づきまして、がん患者の在宅での死亡 割合を把握していきたいと考えてございます。診療ガイドラインの作成についてでござ いますが、がん対策情報センターの調査により、作成されている診療ガイドライン数の 数を把握していきたいと考えてございます。医療機関の整備についてでございますが、 現況報告に基づき拠点病院の整備率の把握を行うということと、相談支援センターにつ きましても同様に把握していきたいと思ってございます。がん登録につきましては、現 況報告に基づきまして拠点病院における予後調査の実施率、がん対策情報センターの研 修を受講されたがん登録実務者を配置している拠点病院、そういったデータについて把 握していきたいと考えてございます。そして、院内がん登録を行っている医療機関の数 についてでございますが、こちらにつきましては研究費などにおいて把握することを検 討いたしてございます。がんの予防の点でございますが、こちらも未成年者の喫煙率の データにつきましては厚生労働科学研究において実態調査を行い、把握していきたいと 思っております。がん検診受診率につきましては、先ほどもご議論ございましたが、国 民生活基礎調査等に基づき受診率等を把握していきたいと思っております。がん研究の 評価でございます。把握につきましては、研究費の総額に基づき把握をしていきたいと いうふうに事務局としては考えているところでございます。  以上でございます。 ○垣添会長  何かご発言ありましょうか。  どうぞ、埴岡委員、それから本田委員。 ○埴岡委員  分野別の進捗管理に関してですが、私は、パートA、パートBのように分ける必要が あると思います。例えばパートAは必ず把握して報告しなきゃいけない義務的なところ です。パートBはみんなで新しい指標を探しながら考えていくというところです。パー トBとして今後の指標を見つけていくことに関してぜひやっていただきたいのは、現場 のニーズをよく聞いていただくことと、学会等の専門家の意見を聞いていただくことと、 がんの専門家に限らず、評価学や計画管理学のことをやられている専門家の意見を聞く ということです。そしてそれを議論する場にはいろんな立場の方が参加され、そうした 場でそれを決定していただくと。そして、そこで出た結果に関しては、義務的な指標に 関しても、みんなで新しくつけ加える指標に関しても、公表していってみんなで現状を 見るというような、そういういいサイクルを回していただければというふうに感じまし た。 ○垣添会長  ありがとうございました。大事なご指摘だと思います。  続きまして本田委員、どうぞ。 ○本田委員  基本的にここに把握方法と、93ページですか、書かれているものは基本的に外形指 標というか、今の埴岡委員の話で言うとパートAに当たるところではないかと思うん ですけれども、私も埴岡委員のような考え方は必要だと思います。例えば一番初めの、 全ての拠点病院における放射線療法及び化学療法の実施体制の整備ということをどう 把握するかというところで、リニアックがあるとか外来化学療法があるとかというこ とはあくまで前提でしかなくて、先ほども各委員おっしゃっていましたように質をど う評価していくのかというのを指標の開発とともにここでやっていかないと、後回し にしてもしようがない問題だと思います。次の計画策定までに必ずしも完璧な指標は できなかったとしても、やっぱり開発していくということを前提にやっていくべきだ と思います。  例えば抗がん剤治療なんかで、これもちょっとびっくりしたんですけれども、例え ば大腸がんのフォルフォックス療法というの、全ての人がやるべき治療ではないかも しれませんけれども、標準療法の一つなんですけれども、関東近辺のこの辺の病院で あるA病院では80%フォルフォックスをやっている、大腸がんの患者さんのうち。で も、B病院は18%しかやっていない。どうしてそんなことになるのか。実は、来てい る患者さんがすごい違うのか、でも実は裏にDPCの問題があるからだとか、いろん な理由があるみたいですけれども、実際何でそんなことになっているのかで患者にと っては、あっちに行くとフォルフォックスを余りやってくれないらしいよとかって、 そういう単純なうわさになってしまうわけですよね。そういうことをちゃんと分かる ような指標、把握の仕方を考えていくべきだと思っています。 ○垣添会長  ありがとうございました。何かありますか。 ○前田がん対策推進室長  まず、計画の評価について、これはがん対策推進室の中でも議論いたしました。やは りインプットとアウトプットとアウトカムということで、一番評価に適するのはアウト カム指標であろうと。それが全体目標の2つに当たると思います。一方、個別目標につ きましては、基本計画をきちんと評価していくということで考えていきますと、やはり どれだけのリニアックが配置されて、どれだけの外来化学療法室が置かれているか、そ れをもう少し細かく見るとしても、どれだけの治療法が実施されているかということぐ らいが実施体制の整備に当たると思います。ただ、そこでどれだけの方ががんからの痛 みから解放され、治療されたかとか、そういうアウトカムまでがこの基本計画の個別目 標には記載がされていない。ですから、もしこの基本計画の個別目標に忠実に把握しよ うとすると、先ほど本田委員がおっしゃったような形で、外形的な現況報告等のものか らの評価になるということが、現状では対応できるものとして考えられるということで ございます。もちろんそういう問題意識は持って室内で議論したのは事実でございます。 ○本田委員  それは確かに分かる部分もあるんですけれども、ただそこに縛られる必要は私はない んではないか、皆さんの合意の下で縛られる必要なないんではないかというのが一つと、 外形基準という意味でも、どういう治療法をやっているのかというのは外形基準として 必要だと思うんです。この数、リニアックが何台あるかとかだけじゃなくて、そういう 意味ではもう少しいろんなものが出せるんではないかと思います。 ○垣添会長  じゃ、海辺委員、短くお願いします。 ○海辺委員  本田委員のご発言と重複する部分もあろうかと思うんですけれども、まず、やはりリ ニアックが幾つあるとか、外来化学療法室があるとかということでは全然はかれないだ ろうなというふうに思います。と申しますのが、がん難民問題が出てきて、がん対策基 本法をつくってくれというこの一連の流れのときには、例えば、放射線の治療機器が七 百何十台も全国にあるのに、その専門医が四百何十人しかいないということで、全く稼 働していないという現実があるのを何とかしていかなきゃいけないとか、そういうお話 があった中で、それでも現状ではなかなか対応できないということで、法律までつくっ たというところがありますので、やはりちゃんと稼働率を、稼働がどのぐらいなのかと か、月にどれぐらい治療者数がいるのかとか、そういうふうなことでもって把握してい かない限り、全く中身が詰まっていかないだろうなと思います。  あともう一つ基本計画のことに関しましては、私どもが5月に患者代表委員としてす ごい一覧表になっている基本計画を出して、全く顧みられなかったということがありま すので、私からすれば基本計画が基本計画の体をなしていないのは、もしかしたら事務 方がストッパーになっていたんじゃないのかなというような印象を持っておりますので、 私はもっと頑張って本気になっていただきたいなと思っております。 ○垣添会長  事務方のために一言申しますと、彼らは猛烈に働いていますよ。だから、やっぱり仕 事量が多過ぎるんだという気がしますけれど、だけどそれはそれとして、リニアックの 数だとか、あるいはこれまで繰り返し議論がありましたように、外来化学療法室の整備 とか、そういう数の把握も大事ですけど、そこで何が行われているのか、相談支援セン ターは立派にできたけど、全然相談されていないということだったら、やっぱり形だけ を整えていることになりますから、やはり委員の多くが認識されているように、質の評 価が分かるような評価の体制をとっていただきたいということをぜひ事務局のほうに申 し上げておきたいと思います。  先に進ませていただきます。次に、平成22年度、再来年の概算要求に向けた提案書案 についてであります。これは皆さん、前回ご参加いただきました委員の方はご承知のよ うに、昨年11月に開催されました第8回の協議会におきまして、この提案書案を取りま とめる有志のメンバー、ワーキンググループと申しましたが、10名の方を決定して、そ の取りまとめの責任者として埴岡委員を指名しておりますので、埴岡委員から説明をお 願いいたします。 ○埴岡委員  埴岡です。提案書取りまとめ担当委員責任者として、10人のメンバーの代表というこ とでご説明をさせていただきます。  まず、資料の確認でございます。左側が黒いプラスチックとじになっており、表紙に 「元気の出るがん対策」と書いてある資料が1冊ございます。それから、委員の方には、 この「アンケート回答集」という分厚いものと「意見シート集計結果」というものがご ざいます。傍聴席には恐らくこれ両方がコンパクトに束ねられたものがいっているはず です。すみません、いってないようです。ご興味のある方は予備がございますので、後 ほどご覧いただけます。  まず、それではこの「元気の出るがん対策」とある資料をご覧ください。まず、この 計画の特色について述べます。我々ワーキンググループでは「元気の出るがん対策」と いうキャッチフレーズを使い、また、「みんなで考えつくったがん予算」とも申してお ります。大勢の意見を集約したことが一つの特色であります。それから、多くの意見と いうだけでなく、ボトムアップで特に全国各地の声、それから現場の声を集めて作成を したということが2つめの特色でございます。それから、3点目の特色としましては、 立場を超えてみんなで取り組んだということがございます。ワーキンググループのメン バーも4人の医療従事者、4人の患者代表委員、そして2人の有識者の立場で構成され ておりましたけれども、立場を全く感じさせないように一つ一つの施策に関してみんな で意見を出し合いました。またタウンミーティングを2回実施しました。タウンミーテ ィングの会場に来られた方は実感していただけたでしょうが、会場に来られた方々が一 体となって少しでもがん対策をよくしたい、本当にがん医療を進歩させたいということ で意見を集約いたしました。  それから、お手元で見ていただいております資料は1冊とじになっておりますが、こ れは実は2つの資料が合わさったものでございます。71ページまでが提案書の本文でご ざいます。その後また1ページから62ページまで続いております。第2部の表紙にあり ますように、これは資料編で、推奨施策として出ました意見のシート集でございます。 71ページまでをご説明してまいります。  まず、1枚開いていただきまして2ページ、3ページの目次でこの提案書の構成につ いてご説明をいたします。最初の黒い四角のところにあるように、「要旨」がついてお ります。そして次、「はじめに」のところでは、この提案書の位置付け、現況、全体で 言っていることの要約等を書いております。次に、21ページから「提案」ということで 提案の具体的な内容に入っていきます。この中が3部構成になっております。21ページ からが「がん対策の総論」でございます。そこで2つのテーマを扱っております。30ペ ージからは提案の中の第2部の「分野別施策」であります。ここから11の分野に関して それぞれ取り上げております。それぞれが3つのパートに分かれておりまして、1つが 推奨施策であります。2つ目が皆さんにいただいた意見の構造的な要約であります。3 点目が寄せられたご意見から個別の意見をピックアップしたものです。そういう3部構 成が連続しておる形であります。つまり、我々は全国各地へのアンケートあるいはタウ ンミーティングでの意見集約ということで、お手元にある別冊の分厚い資料になるよう なたくさんのご意見をいただきましたが、こうした声を集めて、そしてこれを少し構造 的に整理をして、そしてそれを推奨施策にまとめたという、そういうプロセスであると ご理解いただければと思います。そして、目次の63ページを見ていただきますと、「推 奨施策の解説」ということで出た施策全体の分析を少ししております。目次4ページめ くっていただきますと、最後に「おわりに」ということで、私たちの考えを少し述べて おるところでございます。  それでは続きまして、5ページから8ページに当たりますところまでが、この71ペ ージの提案書を4ページにまとめました要旨でございますので、まずここをご説明いた します。  5ページをご覧ください。私たちはこの3点のことをこの提案書で申し上げておりま す。まず第1に、がん対策予算を大幅に増やす必要があるということです。第2点目が、 がん対策予算の策定プロセスを改善すべきであるということです。そして3点目に、今 回我々が提案しました59本の推奨施策に取組を進めていただきたいということでござい ます。この後、その3点に関して少し説明しております。がん対策予算は大幅に増やす 必要があるということに関しましては、ワーキンググループの総意でございます。また、 予算プロセスの変更に関しましては、改善により進歩するためには、現在は国と都道府 県、地方自治体とのコミュニケーションが不足している面もあり、今後はもっとみんな で取り組む形にすることが大切ではないかということでございます。そして、59本提出 しました推奨施策に関しましては、できるだけたくさんの施策を実施していただきたい ということです。  6ページ目です。サブタイトルに「元気の出るがん対策」とつけたのですが、この趣 旨を書いております。現在多くの都道府県が財政難に悩んでおりますし、また、国と地 方自治体の予算策定上のプロセスでのコミュニケーションも十分ではない面もございま す。また、がん対策を強化するためには、地域の医療関係者、患者、市民などとの連携 活動がまだまだ不足しているため、一部にはがん対策を進めるに当たって若干の沈滞ム ードや疲労感も漂っているところではないかと思います。ただ、そこでとどまるのでは なくて、この提案書に書いているようなことをみんなで再度確認し合って、国と地域、 両方のレベルで多くの当事者がともにがん対策をさらに力を入れていくと。そして、信 頼と協業に基づいて進めるということで活力のあるがん対策が進むのではないかと。そ れを一言で象徴すれば「元気の出るがん対策」ということではないかということで、サ ブタイトルとさせていただいております。  後ほど見ていただきますように、我々は59本の施策を提案いたしますけれども、それ ぞれ重要だと思っております。また、横ぐしを刺しますと5つの共通テーマが発見され ました。一つは「がん難民対策」で、切れ目のない医療の実現ということです。これは 分野に限らず何度も出てくるテーマ、施策でございました。それから、2番、「がん診 療に係る医療従事者の確保と育成」、これも大きなテーマとして繰り返し出てまいりま した。それから、「がんおよびがん対策の現況の見える化、可視化」ということです。 先ほどの議論でかなり出ておりましたけれども、これも我々も共有するものでございま した。そして、「がん対策の情報提供と普及啓発」、さらに「各地の好事例の育成・発 掘と全国への浸透」ということ。そういうことが繰り返し出てきたテーマであり、我々 は重要であるというふうに考えております。  ページ番号を打っておりませんが、6ページの次の、7ページと8ページをご覧くだ さい。これが、我々10人が推奨します59本の施策のタイトルと予算額でございます。左 側に通し番号と分野番号があります。分野は1から13の13の分野に分けております。こ の分野の分類に関しましては、基本的にがん対策推進基本計画の柱をベースにし、それ にプラスアルファをしたものでございます。13の分野に関しまして、2施策から7施策 ぐらいそれぞれ出ております。予算額を付記しております。これに関しましては、精密 に掲載した確実な額というよりは、我々として概算をしたものでありますので、実施に 当たってはさらなる検討の上、実施されることが必要だというふうに思います。このよ うに59本の施策を示させていただいたということでございます。  それでは、9ページから本文を説明してまいります。9ページに「はじめに」がござ います。まず、本提言書とワーキンググループの位置付けについて書いております。本 提言書の位置付けですが、昨年11月28日に開催されたがん対策推進協議会で2010年度、 平成22年度のがん対策予算への提案を行ってくださいということで我々が宿題をいただ いたものです。  10ページにまいります。ワーキンググループのメンバー表があります。そして、10ペ ージの下のほうに、「現状に対する問題意識」を書いております。問題意識を端的に述 べますと、11ページの図に示してあるとおりです。上の図は、国と地域の間で悪循環的 な状況が現在見られると。地域のニーズが十分汲み上げられずに国が予算をつくり、そ の予算のメニューがニーズに合わない。その結果、確保した予算が十分に活用されず、 対策が進まないという悪循環が生じるといったことです。それを我々は、下の図のよう な好循環に変えていくことが必要だというふうに考えています。それは地域と現場のニ ーズが汲み上げられて、新しい施策予算作成プロセスをもってがん予算が策定され、結 果、有効な活用と成果が生まれ、がん計画の早期達成が生まれるといった流れです。  12ページ、我々として「がん予算の概況及び推移」を少し押さえております。13ペー ジの表に、国がつくっていただいたがん予算の消化率、使用率を示しています。せっか く確保していただいた予算が必ずしも十分には使われていない、というよりは非常に使 われていないものがあるということがあり、我々としては大変にショックでありました。 こういうところからどういうふうに改善できるかという問題意識が強くございました。 例えば、特別事業に関しましては消化率、使用率が4.4%ということになりまして、こ れが国の行政支出総点検会議において指摘を受けることになってしまいました。ただ、 我々はがん予算が不要であるから使われないのではなくて、まだまだ必要性は高い、そ れがうまく回っていないシステムの問題を考える必要がある、がん予算全体の仕組みを 改善する必要があるというふうにとらえております。この辺は多分、当協議会委員の神 奈川県の中沢さんなどは実感を持っていただけるんではないかと思います。  13ページ、項目番号2−3のところにまいります。「都道府県の予算」に関して少し 分析をいたしました。まず、「予算額の水準」について。続きまして「都道府県格差」 です。各県に投入されているがん対策予算について、人口で調整をした際に200倍の差 があるということ、それが14ページの上の図であります。また、「ハードの偏重」とい う側面も指摘をされました。今後、地域を挙げてがん対策と取り組む、あるいはいろん な形の連携をする、人材を育成する、いろいろなサービスを開発していくといったソフ トが重要だということが言われていますけれども、そういうところにお金が回りにくい ということです。そして、「国庫補助金の活用状況」も差がある。そして、「都道府県 の単独事業」の取り組みにもかなり差がございます。ただ、「好事例と創意工夫の兆 し」のところですが、そうした中でモデル的な県も出ておりますので、よい事例を学ぶ 必要があるということです。  15ページにまいります。「都道府県別のがん検診費用」ですが、これも人口調整デー タで県によって4倍ぐらいの差があるということでございます。15ページの項目3、 「意見集約のプロセスとアンケート結果の概要」です。先ほど申し上げましたように、 今回は広く深く意見を聴取したことが特色でございますが、3−1にありますように、 まず都道府県庁のがん対策担当者アンケートをいたしました。予算がどこかで決まって いきなりおりてくるという感触を持たれているところもありました。今回意見を聞くこ とで、日ごろ感じている疑問とか意見を開陳していただきました。また、ともに予算を つくっていこうという意識をもっていただけたのではないかと思います。3−2、都道 府県がん対策推進協議会の委員にもアンケートを行いました。現在47都道府県のほとん どがこのような協議会を持っておりまして、それぞれ20人程度の委員を任命されていま す。47都道府県に依頼をしまして各委員にアンケートを転送していただきました。その 結果、百数十人のアンケート回答をいただくことができました。  16ページにまいります。タウンミーティングを開催しました。県庁への意見聴取や県 の委員の方へのアンケートだけではなくて、広く一般の方にも意見を聞こうということ で2度開催しました。2月1日に東京で、2月7日には宮城県で開催をしました。2月 7日の開催に関しましては宮城県庁のご協力を強く得たものであります。16ページに写 真が出ておりますけれども、そうした雰囲気で行われました。3時間半の長丁場のイベ ントでしたけれども、たくさんの意見が出ました。そして、その場で意見を言っていた だくだけではなく、ご意見シートによって意見を回収しました。それらを取りまとめて 今日の資料として提出しております。  17ページ、アンケートの結果です。選択肢で選んでいただきました回答の集計です。 がん予算は充実しているかという問いに対して、充実とした方は14%。がん予算決定プ ロセスの改善が重要だという方が、95%。がん予算決定プロセスに満足という方は16% にすぎません。がん予算が現場ニーズに合致しているという方は11%にすぎません。が ん予算が現場で使いやすいかということに関しては、そう考える人が9%にしかすぎな い。このように、多くの問題点が浮き彫りになりました。  19ページにまいります。我々としては「実施すべき改革」の方向としてこのように考 えるということです。少し下のポツにありますように、まず「プロセスの透明性」、そ して「リーダーシップ」、それから「地域と現場重視」の考え方、さらに「斬新な新施 策群」に挑戦的に取り組んでいくということ。20ページにまいります。その際にやはり 「壁を破り、つなぐ」ということで連携を進めていくこと、そして、「六位一体のがん 対策」が必要であるということです。六位一体とは、患者関係者、政治家(立法府)、 行政(県庁など)、医療従事者、マスメディア、民間などが一体となって取り組むこと です。それから、提案書のサブタイトルになっております「元気の出るがん対策」です が、関係者が気持ちを合わせていくことが重要であること。そして「がんから改革を」 というのは、がんに限らず医療一般において、資源の不足や偏在で大変だという環境は ございますけれども、やはりがんから変えていく、あるいは他領域のよいところから学 んでがんを変えていくということが大事という認識をしております。  21ページから提案の本編でございます。本編のまず第1部として、21ページにがん対 策の総論がございます。総論の1、「がん対策全般にかかる事項」としまして、推奨施 策を6本挙げております。これは、先ほど言いましたように、幅広い意見聴取、そのコ メントの抽出、そして論点整理、それから、ワーキンググループによります5回の審議 を経まして抽出をしたものです。1番「がん対策予算の100%活用プロジェクト」、2 番「がん対策ノウハウ普及プロジェクト」、3番「都道府県がん対策実施計画推進基金 の設置」、4番「がん対策へのPDCAサイクルの導入事業」、5番「医療従事者と患 者・市民が共同で実施するがんの普及啓発活動支援」、6番「がん患者によるがんの普 及啓発アクションプラン」でございます。  25ページです。この2つの図は、がん対策、がん予算の総論的部分に関しまして、皆 さんから集まった意見をチャートにまとめたものです。構造的な問題がたくさん指摘さ れたということでございます。  27ページに進んでいただきますと、全体テーマの2番です。この「がん計画の進捗・ 評価」に関しても推奨施策をまとめました。2本ございます。1本目が「がん予算策定 新プロセス事業」です。次に、「都道府県がん対策推進協議会などのがん計画の進捗管 理」でございます。  以上ここまでが、がん対策の総論に関する意見集約と推奨施策、合計8本でございま した。  30ページを開いてください。ここからは分野別の施策になります。11の分野に関して、 同様に意見集約、論点整理、施策の提案を行っております。ここからの後は推奨施策の タイトルだけ述べさせていただきますので、ざっと目で追って内容を把握していただけ ればと思います。  分野1、「放射線療法及び化学療法の推進並びに医療従事者の育成」に関する施策で す。1番「がんに係る医療従事者の計画的育成」、2番「放射線診断学講座と放射線治 療学講座の分離」、3番「医学物理士の育成と制度整備」、4番「がん薬物療法専門医 のためのeラーニングシステム」、5番「専門資格を取得する医療従事者への奨学金制 度の創設」、6番「専門・認定看護師への特別報酬事業」。  続きまして34ページ、「緩和ケア」分野でございます。5本の施策があります。1番 「切れ目のない終末期医療のためのアクションプラン」、2番「長期療養病床のがん専 門療養病床への活用」、3番「がん診療に関わる医療者への緩和医療研修」、4番「緩 和医療研修のベッドサイドラーニングの推進」、5番「緩和医療地域連携ネットワーク のIT化」です。  分野3にまいります。37ページをご覧ください。「在宅医療(在宅緩和ケア)」でご ざいます。ここでは6本の施策がございます。1番「在宅ケア・ドクターネット全国展 開事業」、2番「在宅医療関係者に対するがんの教育研修」、3番「在宅緩和医療をサ ポートする緊急入院病床の確保」、4番「大規模在宅ケア診療所エリア展開システム」、 5番「介護医療に看取りチームを派遣する際の助成」、6番「合同カンファレンスによ る在宅医療ネットワーク」でございます。  40ページをご覧ください。「診療ガイドラインの作成(標準治療の推進)」でござい ます。3本ございます。1番「ベンチマーキングセンターによる標準治療の推進」、2 番「診療ガイドラインの普及啓発プロジェクト」、3番「副作用に対する支持療法のガ イドライン策定」でございます。  42ページにまいりますと、分野5、「医療機関の整備等」でございます。1番「がん 診療連携拠点病院制度の拡充」、2番「拠点病院機能強化予算の交付金化」、3番「サ バイバーシップ・ケアプラン(がん経験者ケア計画)」、4番「医療機関間の電子化情 報共有システムの整備」、5番「がん患者動態に関する地域実態調査」でございます。  45ページにまいります。分野6、「がん医療に関する相談支援及び情報提供」でござ います。1「がん相談全国コールセンターの設置」、2「『がん患者必携』の制作及び 印刷、3「外来長期化学療法を受ける患者への医療費助成」、4「全国統一がん患者満 足度調査」、5「地域統括相談支援センターの設置」、6「相談支援センターと患者支 援団体による共同サポート」でございます。  48ページにまいります。「がん登録」分野でございます。3本の施策がございます。 1「地域がん登録費用の10分の10助成金化」、2「がん登録法制化に向けた啓発活動」、 3「がん登録に関する個人情報保護体制の整備」でございます。  51ページ、「がんの予防」分野でございます。3本ございます。1「たばこ規制枠組 み条約の順守に向けた施策」、2「喫煙率減少活動への支援のモデル事業」、3「学校 の完全禁煙化と教職員に対する普及啓発」でございます。  54ページ、「がんの早期発見(がん検診)」でございます。1「保険者・事業者負担 によるがん検診」、2「保険者負担によるがん検診のモデル事業」、3「がん検診促進 のための普及啓発」、4「がん検診の精度管理方式の統一化」、5「長期的な地域がん 検診モデル事業」、6「イベント型がん検診に関する助成」でございます。  58ページ、「がん研究」です。1「抗がん剤の審査プロセスの迅速化」、2「希少が ん・難治がん特別研究費」、3「がんの社会学的研究分野の戦略研究の創設」、4「が ん患者のQOL向上に向けた研究の促進」。  分野11が61ページにあります。「疾病別対策」です。1「疾病別地域医療資源の再構 築プロジェクト」、2「子宮頸部がん撲滅事業」、3「小児がんに対する包括的対策の 推進」でございます。  62ページまで11分野の個別分野にわたりまして51本の施策を説明してまいりました。 63ページから若干の考察を加えております。先ほど申しましたように、59本の施策の中 に共通テーマ5つを見出しました。個別施策それぞれを推進すると同時に、こうしたテ ーマに関して施策セットとして推進する必要もあると感じるところであります。  64ページ、65ページに当たるところに59本の施策と5つの観点とのおおよその対応表 を作成いたしました。これは観点によってはもう少し該当するものが増えるかもしれま せん。  66ページ、67ページ前半にそうした観点に関する考察があります。67ページには別の 考察がございます。金額の観点からです。59本の推奨施策の合計想定予算の総額は、単 純計算で487億円となりました。ただし、68ページ、69ページに当たるところにある一 覧表を見ていただければ分かりますように、基金の創設ですとか保険者負担への切り替 え等、別の会計に移行するものに関しましては合計から除外をしております。また、あ くまで我々の計算は概算でありますので、実施に当たってはさらなる検討が必要である と考えられます。  めくっていただきまして70ページ、別の観点から分析をしました。必要な制度上の対 応に関して4つの分類をいたしまして、68ページ、69ページの表に4分類した際の番号 を打っております。法律の改正が必要なものもありますけれども、多くの場合は既存の 枠組みでの対応が可能ということでございました。  71ページ、「おわりに」ということで1ページ入れております。「おわりに」と書い てありますけれども、ある意味で始まりでございまして、新しい予算策定のプロセスの スタートになればというのが、がんワーキンググループの気持ちでございます。今回分 かったプロセス的な問題の構造改革を、がんのところからみんなで力を合わせて進めて いくことが、みんなの利益になるということです。今回平成22年度予算を提言させてい ただいたわけですが、2010年3月までの策定プロセスを見守っていきたい。そして、 2010年4月からの実施も見守っていきたいということでございます。また、平成22年度 予算で確実な変化と成果をお願いしたいということがございます。構造変化だけではな く、59本の施策に関して具体的に採用をお願いしたいということです。  最後に謝辞であります。今回この分厚い資料でも分かっていただけますように、大変 多くの方々の意見を寄せていただきました。アンケート、タウンミーティング、委員会 の運営等、多々多くの方々にご協力いただきまして大変ありがたく思っております。ま た、この提案書のまとめの機会そのものも、このがん対策推進協議会と厚生労働省事務 局にいただいたものであります。その新しい考えに深く感謝を申し上げるものでござい ます。この場をかりまして、ご協力いただきました皆さんに感謝をさせていただきます。  その後、施策シートが続いておりますので、1ページだけ紹介をさせていただきます。 2ページ、3ページのリストをめくっていただいて4ページ目を開いてください。我々 は今回意見を出すに当たって、いわば思い付き、場当たり的な意見はよそうと、そして、 みんなでこの施策シートに意見を書いて出すということにしました。そして、出た意見 をみんなで批判して落としていくのではなくて、育てて肉付けしていくという作業をや りました。そして、施策の提案がかなりたくさん出たのですが、医療従事者と患者の別 の立場から同じような施策が出たことも多く、それをブラッシュアップしながら統合す る作業を行いました。その結果、これだけの数に絞られました。先ほど各推奨施策のタ イトルだけご説明しました。提案書本文には5行だけの解説がありますが、一体どうい う内容かということはこの施策・予算提案シート集の個別表に当たっていただければ分 かるというふうになっております。  以上、長時間になりましたけれども、説明をさせていただきました。なお、傍聴者の 方でこの参考資料、たくさんの意見を集約した資料に関してご興味のある方は来ていた だければご覧いただけます。また、厚生労働省のホームページには全編掲載をしていた だけるというふうに伺っております。それから、この場をお借りして連絡をさせていた だいて恐縮ですが、記者の方々には後ほどワーキンググループからの説明の場を、この 協議会が終わった直後にこの場で設けさせていただきますので、よろしくお願いします。  以上、長時間ですが、説明をさせていただきました。よろしくお願いします。 ○垣添会長  どうもありがとうございました。埴岡委員を初め、取りまとめを担当された委員の皆 様方は大変短時間に膨大な作業をされたということで、大変お疲れさまでした。ありが とうございます。  ただ今説明をいただきました提案書の案に関しまして、これから質疑応答を行いたい と思いますが、かなり膨大な内容ですので、私の独断で3つぐらいのパートに分けて順 次ご議論いただきたいと思いますが、まず提案書の「はじめに」とがん対策全般に係る 施策についてご発言がありましたらお受けしたいと思いますが。  そうですね、9ページから29ページまで。これだけでも相当膨大な内容ですけれども、 「はじめに」とそれから…… 〔渡辺厚生労働副大臣ご着席〕 ○垣添会長  ただ今渡辺副大臣が到着されましたので、後ほどご挨拶いただきたいと思いますが、 もう少し議論を続けたいと思います。提案書の「はじめに」から……。  失礼しました。中沢委員、どうぞ。 ○中沢委員  こんなに膨大な資料を短期間にまとめていただきまして、本当にありがとうございま す。この施策一つ一つ、これから深く拝見させていただきたいと思うんですけれども、 都道府県レベルでできることは、生かしていくことに使えるのではないかなという形で 印象を持ったところでございます。ただ、国と地方自治体のコミュニケーションについ てかなり厳しい記載が書かれているわけでございますが、決して都道府県レベルからす ると厚生労働省の方々には常日ごろからお世話になっておりますし、また、わざわざ福 岡の公衆衛生学会と同時に併設されている衛生部長会にもお越しいただいて説明を願っ たりとかというところもありますので、忙しい中でいろいろやられているなという印象 は持っているところでございます。確かに都道府県レベルですと予算を決める時期が国 とちょっと違うというところもありますので、そういった意味では新規事業はなかなか その年にできないというのもあります。そういったところを含めて今後とも国と都道府 県、協調してやっていくところはしっかりやっていきたいなと思いますので、コミュニ ケーションが不十分というよりは、十分とは言えないぐらいなのかなと、そんな印象を 持ったところでございます。 ○垣添会長  ありがとうございます。確かに県によって違うでしょうけど、今のご指摘も今後の展 開をスムーズにしてくれる大変大事な点だと思います。ありがとうございます。  ほかにいかがでしょうか。内容が膨大ですから、もう少しじっくり読まないとなかな かご発言のしにくいところはあるかと思います。  どうぞ、柏木委員。 ○柏木委員  一つ教えていただきたいのは、タウンミーティングを持たれて、それを反映させられ たというのは非常に私はいいというか、とても感激をしたんですけど、恐らく文字化で きない部分があったというふうに思うんですが、タウンミーティングの中で一番こうい うことを感じたということをぜひお伺いしたいというのが、それが一番大きなことで、 それから6ページの、これは小さな文言で多分間違いかなと思うんですが、2番の推奨 施策の内容の2番、がん診療に、これは「関わる」のことですか、「かかる」ですか。 がん診療にかかる医療従事者というのがちょっとよく分からなくて、右の表の9番の1 に「がんに関わる医療従事者の計画的育成」というのがあるので「関わる」かなと思っ たんですが、これはどうなんですか。いや、純粋な間違いかどうかということです。 「かかる」ですか。 ○埴岡委員  2点お答えします。  タウンミーティングで感じましたことは2つありました。1つは、宮城県に開催に関 して協力依頼をお願いしたときに、わずか2、3週間後の日程での依頼にもかかわらず、 お願いした日に即座に受諾をしていただいたことです。また、開催当日には、宮城県の 方々がいろんな方面に声をかけ合って大勢参集していただいて、会場においては患者・ 市民も医療従事者も行政の人も、地域を挙げて取り組みたいという気持ちが、熱気に満 ちて感じられました。地域のがん対策に関わる人が集まっていっしょに意見を出し合う 重要性を感じました。また、東北の方も、東北以外の遠方の方も来られていました。  それから、2つ目の「かかる」という言葉に関しましては、少し検討いたします。行 政的用語で「かかる」という言葉は使うと思います。ただ、分かりやすさが信条ですの で、表現を検討したいと思います。 ○垣添会長  ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。  どうぞ、前田室長。 ○前田がん対策推進室長  事務局から質問してもよろしいでしょうか。 ○垣添会長  どうぞ。 ○前田がん対策推進室長  質問というよりは感想ということなんですけれども、かなり施策の中に国が10分の 10とか100%補助するというふうな施策が出ているんですが、議論の中で、国と都道 府県、市町村との役割分担についてどの程度ご議論されたか、本当に100%国が補助 するというものでしたら、本来国がやるべき事業なのを県にやっていただくというも のならば100%は分かるんですが、そこの役割分担についてもう少し議論を深めてい ただければよかったかなというのが1点ございます。  それからあと、平成19年度の予算の余りが結構、不用額が多かったというのはもち ろん事実ではございますけれども、実際に平成19年度予算を策定して、そして県に対 して説明した人、厚生労働省の関係者だと思いますが、そういった方へのインタビュ ーなどももしされれば、サプライサイドとデマンドサイド、両方の意見が聞けたのか なというふうに考えました。  それから、13ページにメニューの予算の消化率について提示されてございます。こ れはがん対策推進協議会資料よりということになってございますが、資料としては、 事業と対象と予算と決定額のものを示したもので、補助率ですとか使用率については この資料、このままの形の資料では出してございませんので、これは「がん対策推進 協議会の資料を基に改変された」というふうな形でしていただくほうが正しいのかな というふうに思いました。  それからあと、この時期にご議論されたということでございますので、非常に経済 情勢が厳しい状況ですので、雇用の確保という観点からの事業が中には盛り込まれて いると思うんですが、そういったものも視点として必要ではなかったかなというふう にも思いました。  以上、感想でございますので、特にご答弁必要ございません。 ○垣添会長  でも、ちょっと答えていただければ。 ○埴岡委員  1点目の国と県の役割分担について。第1に、やはりがん対策基本法というのがベ ースにあります。ワーキンググループの中の議論も、あるいはアンケート、タウンミ ーティングの意見でも、やはりそれを基にがん対策というのは国を挙げてやっている のではないかという認識がかなりあったと思っております。  第2に、都道府県財政の疲弊ですね。当然、規律とか応分の負担ということはある と思いますが、一方で、都道府県財政で非常に困っている地域、そしてまた地域格差 があるところが、がん対策でどんどん後退していくといった状況にある。そういうこ とは、がん対策基本法で目指している均てん化の精神とは違うのではないかというこ とです。  第3に、私が皆さんの総意として感じましたのは、がん対策予算を増やす必要があ ること。そして、増やすというのも何%かの増加というのではなくて、何倍かの増加 ということ。それが、やはり広く皆さんに感じていられたと。がんは、国民の2人に 1人がなるということで、その重要性、優先度がもう一度再確認されたのではないか と感じました。そういう意味では、都道府県格差を減らすためには応分の負担という 考えよりは、10分の10負担という考え方をかなり抜本的に入れないと、がんの格差、 地域格差は直らないという意識が共有されているというふうに感じたものです。  2番の不用に関するデータに関しては出典を明記するようにいたします。  雇用促進に関してですが、59本の施策をひとつずつ見ていただきますと、何本かは 雇用促進に大きく結び付けられる可能性があるものがございます。また、医療と介護 を連携した形で患者さんをケア、サポートする広い体制が必要だという指摘は、たく だんございました。そうした領域では、雇用促進効果もかなり想定できるのではない かと考えます。  以上です。 ○垣添会長  ありがとうございます。  それでは、時間の関係で少し先に進ませていただいて、中ほどの提案書の内容に入 りまして、分野別施策のテーマとして6つに分けてあります。それについてご意見を いただけますでしょうか。例えば、放射線療法とか化学療法の推進並びに医療従事者 の育成、あるいは緩和ケアとか在宅ケアとか、先ほどざっと説明をいただきましたこ の中身に関して、何かご発言ありましたら。  金子委員、患者さんの立場でいかがですか。どうぞご遠慮なくご発言ください。 ○金子委員  質問ということではないんですけど、プッシュということで聞いていただけたらな と思うんですけれども、このワーキンググループに私実は2回ほどしか参加できてい なくて、皆さんにお任せ状態ではいたんですけれども、仙台のタウンミーティングの ほうには参加させていただきました。私は患者本位って一体何だろうといつも思って いるんですけれども、今回のこの仙台のタウンミーティングに参加して、私がやっぱ り言わなきゃいけないことってあるんだなと再認識させられた部分というのは、やっ ぱり所得の格差はあっても医療点数に格差はないんですよ。  北海道で言いますと、札幌と地域で言うと格差がすごくあって、所得に5万円以上 の格差があったりとかもします。本当にこの病気になると全く助成だったり、そうい ったものの恩恵というものが全く皆無な状況の中で、患者さんはすごく大変です。仙 台のタウンミーティングに行ってご意見をちょうだいしたときも、すごく切実な問題 を話されたご家族の方がいらっしゃいました。私はものすごく身につまされる思いで すごく胸が痛くなって、私は何をやっているんだろうと、本当にもっと言わなきゃい けないことがたくさんあるのに言っていないな、自分ってすごく反省させられたんで すけれども。  福祉協議会の貸し付けでさえ1年半の治癒する病気ということに限られていて、お 金も借りられないんですよね。ですからもう本当に、そこにやっぱりがん難民という のがいるんですよ。前回の会議の委員会のときにも私、外来に移行している化学療法 の患者さんが多い中、今標準的治療の中に分子標的薬のすごく高額なものがすごくあ って、なかなか工面するのに大変な患者さんがすごく増えてきているんです。ですけ れども、そこに対しての何ら施策が何もなくて、せめて入院で使用している限度額認 定証を外来でも使用していただけるということのプッシュもぜひしていただきたいな と。あと、長期における化学療法の助成に対しても、本当に心から前向きにご検討い ただきたいなと切にお願い申し上げます。本当にどんなに立派な病院でも、どんなに たくさん医療機器がそろっていても、やっぱりそれを受ける患者さん、全てのがん患 者さんが受けられなければ、それはやっぱり絵にかいたもちになってしまうのではな いかなと私は思っております。  本当にここにある施策は全部患者さん、家族、本当に皆さんの意見が詰まった大切 なシートです。前向きにご検討くださいますよう、よろしくお願いいたします。 ○垣添会長  ありがとうございました。金子委員は前回もこのがん患者さんの長期にわたる、特 に化学療法における経済問題のご発言をいただきましたけれども、これは全てのがん 患者さんに通じる非常に大きな問題ではないかと思って、今のご発言を重く受け止め させていただきます。  ほかにご発言ありましょうか。よろしいですか。では、もう一つ先に進みまして、 分野別施策のテーマ7以降、がん登録とかたばこ対策とかがん検診とか、その部分に 関しては何かご発言ありましょうか。  本当に短期間によくこれだけ詳細に分析されたと思いますが、本当に資料が膨大で すので、ちょっとこれまで極めて活発にご発言いただいた各委員も少し考え込んでお られますけれども、また後ほどでも気がつかれたことがありましたら寄せていただけ ればと思いますが、一応ただ今幾つかいただいたご意見を踏まえて、協議会からの提 案書を作成したいというふうに思います。それで、協議会からの提案書につきまして は、ただ今の意見を踏まえて修正の上、ワーキンググループからの提案書の5ページ から8ページの要旨といいますか、5ページから8ページの分、この要旨の部分を協 議会として厚生労働大臣に提出することにしたいと思いますが、いかがでしょうか。  はい、海辺委員。 ○海辺委員  こちらの前半の8ページまでももちろん大事なんですけれども、タウンミーティン グの分析や中身や市民の声ですとか、いろいろなものがこちらの71ページまでにぎゅ ぎゅっと詰まっていますので、これを厚生労働大臣に見ていただかなかったら余りに も意味がないのではないかなと思うので、もう少し厚生労働大臣に見ていただく方向 でご検討いただきたいなというふうに私は考えます。  と申しますのも、厚生労働大臣もいろいろな懇談会を開催されていらっしゃって、 広く国民の声をお聞きになりたいという姿勢でいらっしゃると思うので、まさにこの タウンミーティングの国民の声が反映されたこの施策というものをこのまま本当にそ れができるかどうかということはまたプロの視点でというところになるのかもしれま せんけれども、いかに国民が真摯にこの問題をとらえて訴えてきたかということをぜ ひ肌で感じていただきたいので、これはぜひ後半のところまで大臣に見ていただける ような方向でご検討いただきたいなと思うんですけれども。 ○垣添会長  この要旨だけで終わるというわけじゃなくて、それに当然資料としてこの全部と、 それとこのタウンミーティングの意見シートとか、それからアンケートも、これも資 料として必ず添えますので、やっぱり忙しい大臣にこれだけ全部71ページまで読んで くれというのはなかなか難しい問題だと思いますから、エッセンスの部分を届けると。 それで、資料としてほかの分は届けるということでいかがでしょうか。  具体的な文言については幾つか修正を求められておりますので、これに関しまして は埴岡委員ともご意見を参考にしながら、座長にもし一任いただければそういうふう な取りまとめにしたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。  永池委員、どうぞ。 ○永池委員  予算額が既に具体的に提示されている点に関して、どのような視点でこの額を決定 されたのかということをお伺いしたいと思います。  例えば、推奨施策の中の重点項目として、テーマを5つに絞っていらっしゃいます ので、その1から5に関して優先順位をつけていって、具体的にこの金額を提示され たのかといったところをお伺いできればと思います。 ○垣添会長  それでは、埴岡委員、どうぞ。 ○埴岡委員  この施策の優先順位に関しては第1回の会から議論をしました。ただ、我々として、 この59本のうち、例えば3つ星がどれとどれで、2つ星がどれとどれで、1つ星がど れということを、本当に責任を持って言えるのかというと、そこまで詳細な分析はで きない、あるいはそれをエビデンスを持って説明できる材料が公表されていない、も しくはその材料を我々が持ち得ていない、あるいは今回のワーキンググループでは時 間が足りないということに直面をいたしました。ですので、我々はあくまで我々が分 かる範囲でのざっくりとしたことを出させていただいて目安としていただこうと。そ して、実施・採用に当たって詳細な検討をしていただければというスタンスでござい ます。そういう前提で見ていただければと思います。  渡辺副大臣がさきほどいらっしゃいました。先ほどの説明の際にいらっしゃらなか ったので、少し説明させていただきます。この資料の5ページと6ページが提案書の 要旨となっています。ワーキンググループは10人で、そしてお手元の合計400ペー ジあまりの資料にありますようなこれだけ膨大なご意見を全国から聴取いたしました。 これを我々として分析をして、その結果、5ページにある3本柱を示し、具体的な59 本の推奨施策を出させていただいたものであります。がん対策基本法制定の立役者で もあられます渡辺副大臣がご臨席されるこの機会に、がん対策基本法がなければあり えなかったこの提案書を説明させていただく機会を得ましてうれしく思います。少し 説明をさせていただきました。国民の声を挙げて、新しいプロセスで、立場を超えて、 ボトムアップでつくった提案です。みんなで考えるがん予算、元気の出るがん予算と いうことで策定させていただきました。 ○垣添会長  本田委員、短くお願いします。 ○本田委員  確かに全部を届けたいという気持ちもありますし、ただ実際に目を通していただか ないと困るという部分もあるので、もしも私たち的に大丈夫なのであれば、この提出 する部分をもう少し見やすい、特に盛り込みたいところをちょっとつくり直してとい う形が可能なのであれば、特に訴えたいところ、全部を読んでもらうというのはなか なか難しいので、特に訴えたいところというのをつくり直して、文言直しもあります ので、そういうことももしかして可能なのだったらありかなと思いました。  それと一つだけ、文言直しについでに私ぜひ申し上げたいのが、がんの薬の承認プ ロセス、審査プロセスの見直しという分野のところで、ぜひ適用外のお薬のことを書 いていただきたい。新薬のことに関してはすごく、私自身がワーキング委員なのでち ょっと恐縮なんですけれども、主張し忘れていたんですけど、適用外の問題が今とて も大変なので、それの承認プロセスの審査の見直しという、ちょっと言葉を足しても らいたいなと感じています。 ○垣添会長  2点指摘いただきました今の本田委員のご意見も踏まえて、埴岡委員とも相談しな がら修文してまいりたいというふうに思います。  この提案書につきましては、提案された施策の数が非常に多くて、それから施策の 効果や実現性についての検討もまだ必ずしも十分でありませんので、今後関係する省 庁ともいろいろ検討いただき、この提案書の必要性、緊急性の高いものを取捨選択し て、22年度の概算要求に結び付けていく必要があるというふうに考えております。  委員の皆様方には貴重なご意見をたくさんいただき、大変ありがたく思っておりま す。本日の一応報告事項及び協議事項はこれで終わることになりますが、事務局から 何かこのことに関してお願いいたします。 ○前田がん対策推進室長  がん対策推進協議会委員の任期の件でございますけれども、がん対策推進協議会審議 会令で2年と定められておりまして、本年4月は委員の改選時期を迎えてございます。 本日が現委員の任期として開催される最後の協議会となります。つきましては、閉会に 当たりまして渡辺厚生労働副大臣よりご挨拶がございますので、よろしくお願いいたし ます。 ○渡辺厚生労働副大臣  厚生労働副大臣の渡辺孝男でございます。本日は3時間という長時間にわたり各議題 に対しまして活発な、そしてまた有意義なご議論をいただき、ありがとうございます。  本協議会は、平成19年4月5日の設置以来、委員の皆様方には就任早々2カ月余りの 短い間に、がん対策の総合的かつ計画的に推進する基盤とも言えますがん対策推進基本 計画の策定に際しまして貴重なご意見をいただいたところでもあります。さらに、基本 計画が作成された後も、基本計画に沿った具体的な施策の実施に当たりまして、その進 捗状況を踏まえた貴重なご意見もいただいておるところでございます。今後、がん対策 基本計画の進捗状況を国会に中間報告をする際におきましても、皆様方よりいただいた ご意見を参考とし、がん対策のより一層の推進に向けて全力で取り組んでまいりたいと 考えております。  また、本日ご議論いただきました平成22年度予算概算要求に向けた提案書につきまし ては、内容を詳細に検討いたしたいと考えております。  最後になりましたけれども、本日まで9回にわたりお集まりいただきましてご議論を いただいた委員の皆様の多大なるご尽力に対しまして心より感謝を申し上げますととも に、今後とも引き続きがん対策のより一層の推進に向けてご指導、ご支援を賜りますよ うお願い申し上げまして、閉会の言葉とさせていただきます。本当にありがとうござい ました。 ○垣添会長  私からも一言。  今、副大臣のお話にもありましたように、平成19年の4月1日にがん対策基本法が施 行されまして、それで直ちにがん対策推進協議会が設置され、そして4月、5月の間に 5回にわたって非常に激しい議論をしていただきました。それで、5月の末に何とか大 変厳しい議論でありましたけど、たしか3回と4回は夜10時近くまで4時間近い議論を したときもあったということもありますが、それで、それに基づいて6月15日に国のが ん対策基本計画がつくられたということであります。  通常こうした協議会はそこまでいきますと、それからは委員の任期は2年といっても 休眠状態に入ることが多いのでありますが、この協議会の委員の皆様方は大変熱心で、 引き続き進捗管理をしないと委員の責任が全うできないという強い意見を皆様方からい ただきまして、ご覧のように第9回まで至ったわけであります。  今日、埴岡委員を中心として提案されました平成22年度の予算に関係するような提案 もいただきましたが、今後やはり基本法に基づき基本計画ができ、そしてそれにきちん とした人材と予算をつけることによって、我が国でも必ずこの基本計画でうたわれてい る2つの目標を実現することが可能だというふうに思います。  この協議会の皆さん、この2年間本当にありがとうございました。引き続きこの基本 計画が大きな成果を上げるように見守っていただければというふうに思います。座長と して私からも心から御礼申し上げます、ありがとうございました。  これをもちまして第9回がん対策推進協議会を閉じさせていただきます。ありがとう ございました。 (了)