09/02/26 平成20年度化学物質による労働者の健康障害防止に係るリスク評価検討会第10回少量製造・取扱いの規制等に係る小検討会議事録 平成20年度 第10回少量製造・取扱いの規制等に係る小検討会          日時 平成21年2月26日(木)          10:00〜          場所 厚生労働省18階 共用第9会議室 ○大淵化学物質評価室長補佐 それでは、定刻になりましたので、ただいまから「平成20年度第 10回少量製造・取扱いの規制等に係る小検討会」を開催いたします。本日はお忙しい中お集まり いただきましてありがとうございます。  本日は、委員の先生方5名、日本化学工業協会の山口様、中災防の棗田さんにもご出席をいただ いております。  議事につきましては、座長の名古屋先生にお願いいたします。 ○名古屋座長 本日は、「少量製造・取扱いの規制等に係る小検討会」の第10回ということです。 最初に、事務局より本日の議事予定及び資料について確認をよろしくお願いします。 ○大淵化学物質評価室長補佐 本日の議事の予定ですが、配付資料のいちばん上にあります議事 次第をご覧ください。本日は、「少量製造・取扱いの作業の把握が可能なばく露評価手法について」 「小検討会報告について」ご議論いただきたいと思います。  配付資料ですが、次の頁の「配付資料一覧」でご確認をお願いします。資料1として、前回の第 9回小検討会における主な意見です。資料2-1として、「新たなばく露評価手順策定のポイント(案)」 です。資料2-2として、「新たなリスク評価スキームについて」です。資料3-1として、「リスク評 価作業のイメージ(案)」です。資料3-2として、「評価対象物質にかかるばく露実態調査と防止措 置との関係」です。資料3-3として、「ばく露評価及びリスクの判定における統計解析手法の活用 について(案)」です。資料4として、「少量製造・取扱い規制等に係る小検討会報告書(骨子案)」 です。資料5として、「少量製造・取扱い規制等にかかる今後の検討予定」です。  以降は参考ですが、参考1として「少量製造・取扱い作業の把握が可能なばく露調査手法の検討」 ということで、これまでにもお配りしていた資料ですが、検討事項です。参考2として、NIOSHマ ニュアル第4章、これについては机上のみ配付です。参考3として、「リスク評価の手法(改訂版)」 です。参考4として、「国内外のリスクアセスメントに採用される『ばく露評価モデル』の概要」 です。資料は以上です。よろしいでしょうか。 ○名古屋座長 それでは、議事に入ります。最初に、前回第9回の議事概要について確認します。 事務局より資料1のご説明をお願いします。 ○島田化学物質評価室長 前回、統計処理等について活発なご議論をいただき、やや同じような 内容のご意見をまとめている部分もありますが、ご容赦いただければと思います。  前回の議事については、資料1に基づいてご説明します。まず、「ばく露レベルの評価方法の検 討」というカテゴリーでご意見をいただいた部分です。ばく露評価の手順について、2点ほどご意 見をいただいております。1つは、個人ばく露濃度の測定のサンプリングデータを全部並べて評価 値と比較して、これを超えている労働者がいればそれら労働者を作業ごとにグループ分けして、 さらに詳細に調査することが適当であると考えるということです。もう1点、大企業のように毎日 同じ作業を行っているのであれば、ばく露濃度を数日間継続して調査することにより、日間変動 等を分析できるとは思うが、日々別々のことをやっている場合は統計処理の意味がないと考える というご意見もありました。  統計的な手法の活用の可能性についてのご議論に関しては、多数ご意見をいただきました。個 人ばく露濃度測定について、全期間分割サンプリング方式を採用し統計的処理をするためには、 何個のサンプルを採れば統計的に意味があるかを明確にする必要があるのではないか。2点目、個 人ばく露濃度の値は、毎日8時間同じ工程で作業するような場合はデータの比較は可能と考える が、実際には1日に10分程度の投入作業が1カ月に1回あるというような場合があり、その辺りを踏 まえてランダム性を維持しようとすると、かなりのサンプルを採らなければいけない。3点目、初 期評価の段階では測定サンプル数が限定され、その段階で統計処理するよりは、その分布を見て、 高い濃度が測定されたものについてその要因を検討し、詳細評価に移行することが妥当である。  次に、企業での業務解析においては、ばく露の程度が同じと推定されるグループごとに区分し、 グループごとに1から数点測定データを採り、ばく露限界値と比較するやり方をしておりました。 初期評価では、高いばく露値について基準値、これは1次評価値のことだと思いますが、を超えて いなければ大丈夫と判断できるが、詳細評価においては全国レベルのことを考える必要がある。 測定した人のうち、何人かが基準値を超え、それ以外は誰も超えていないという場合には、どう 判断するかが難しい。高いばく露を示した作業者のばく露が特殊なケースか否かを判定する手法 として棄却限界が考慮できるかもしれない、というご意見でした。  次に、もしスクリーニング、この場合は初期評価のことだと思いますが、の段階で統計処理を 行おうとする場合、平均値は考えず、全体の分布の棄却限界を超えているか否かの判断のために 統計手法を採用することが考えられる、ということです。  次の頁に、NIOSHの統計的手法の活用についてのコメントをいただいております。NIOSHの統計 解析はあくまで個人の作業者の評価であり、我が国の製造・取扱い作業全体を評価するとともに この手法を当てはめることは難しいのではないか。NIOSHの場合は、個人ばく露測定の結果を基に アクション・レベルとかを確認するので、このような統計的手法を使わざるを得ないけれど、日 本ではもともと作業環境の管理から入っているので、A測定やB測定が統計的手法に該当すると思 われる。3点目ですが、国全体として評価する場合には、NIOSHの統計解析手法を用いるのは難し いのではないか。個人ばく露濃度測定というのは30分程度の作業の連続を計っているので、NIOSH の統計的手法もある程度使えるかもしれない。個人ばく露濃度の分布を見て、評価値を超えてい る人たちがいたら丁寧に調べるべき。その場合には、作業者、あるいはそのグループの中で比較 的ばく露の高い人について、数日間ばく露濃度を継続して測定し、その結果を基に1日当たりの平 均ばく露濃度を求め、これとスタンダードとを比較して判断することが必要。その際には、下方 信頼限界(LCL)を求めることも意味がある。全国的なデータについてNIOSHの手法を活用する場合 には、企業をランダムに選抜する必要がある。ばく露濃度の高い企業のみを集中的に選抜した場 合、CV(変動係数)を採っている意味がないと考える。  サンプル数の確保に関するコメントが4点ほどありました。サンプル数を増やすにも限界があ り、スクリーニング段階では統計処理をするよりもばく露濃度の分布を分析して、その要因を検 討することが妥当。その上で、詳細評価の段階で棄却限界を求め、基準値を超えた作業者のばく 露を評価することも考えられる。ばく露分布を見るためには、できるだけたくさんの情報があっ たほうがよいので、わざとサンプル時間を1時間とかで切って、サンプルサイズを増やしてしまう ことも考えられる。1,000サンプルを採って50サンプル以上が基準値を超えていれば、管理が必要 なレベルと判断することもできる。実際の作業場では2時間程度継続する作業もあり、1時間単位 でサンプリングするからといって、どのぐらいの作業者がサンプラーの交換に協力してくれるか 疑問である。事業場でそれぞれ違う作業をしている労働者のサンプラーを、作業中に何度も付け 替えるのは限界がある、ということでした。  また、「リスク評価手順の検討」に関するご意見ですが、1次評価については、発がん性の閾値 がある物質についてのみ実施されており、「新たなリスク評価ガイドライン(フロー図)」の中の1 次評価の記述は修正が必要である。これまで発がん性に関する評価をしてきた関係で、「リスク評 価の手法」は発がん性がない物質の評価に係る手順を定めていない。そのような物質の評価につ いては、ばく露濃度を最初からばく露限界値と比較することとなる。発がん以外のものについて1 次評価値を出すとすると、動物のデータの毒性試験結果のうち、いちばん低いNOAELから試算する 方法がある。その場合、2次評価はヒトの毒性データに基づくものと考える。  最後ですが、単純に考えると、評価を一本化し、これは2次評価だけを考えているという意味だ と思いますが、TLVが決まっているものは、現時点でその値が妥当かを検証し、TLVがないものに ついては新たに仮のTLVを設定するような作業としてもよいのではないか、ということです。  「有害物ばく露作業報告」についてのコメントが5点ほどありました。有害物ばく露作業報告に ついては、報告対象事業者に条件をつけず、広く使用動向の報告を求めることとし、その際に報 告項目を最小限にして報告者の負担軽減を図るなど、報告率を上げるための配慮が必要である。 使用動向の報告については、作業実態の報告よりも多めの物質を対象に報告を求めるべきである。 また、作業実態の報告については、使用動向の報告を基に数年間報告を求めることとしてはどう か、というご意見でした。使用動向の調査についてのもう1件のコメントですが、ほとんどの事業 場で混合物を扱っており、使用量などの報告を求められると大変な作業になる。そのような事項 を求めることは適当ではない。また、報告者に条件を付さず、広く報告を求めたとしても、報告 すべき者に十分周知がされない場合は、結果的には十分な把握ができないこととなります。報告 対象者をむやみに広げることは意味がないのではないか、ということでした。  また、周知徹底が重要である。PRTR制度の導入の際に、環境省が各県ごとに説明会を開催した が、そのような対応が考慮されるべきである。その他として、いまは企業自らがリスクアセスメ ントを行い、これに基づいて企業が自主管理していく方向にあります。国が何でもかんでも管理 するというのはおかしい。国がどの部分を担うかの区分けをはっきりさせるべき。ハザードの高 いものとか自主管理ができないものに限定するとか、枠組みをはっきりさせるべきであるという ご意見をいただいております。 ○名古屋座長 ありがとうございます。それでは、これについてご意見等ありましたらお願いし ます。何かありますでしょうか。 ○櫻井委員 1頁のいちばん下のポツは、私の言った意見だったかもしれないのですが、「スクリ ーニングの段階で統計処理を行うとする場合、平均値は考えず」のあと、「全体の分布の棄却限界 を超えている」ではなくて、いま修正していいですか。そのとき言おうとしたことは、「95パーセ ンタイル値が評価値を超えているか否かの判断」ということです。 ○名古屋座長 全部並べて、95パーセンタイル値を見るということですね。 ○櫻井委員 それが評価値を超えているか、ということもあるなと。 ○名古屋座長 そうですね。環境の評価はそれでやっていますね。 ○櫻井委員 2頁のいちばん下の「1次評価については、発がん性の閾値が」のあとが抜けている のですが、これは「閾値がある」ではなく「閾値がない」ですね。 ○島田化学物質評価室長 はい。失礼しました。 ○名古屋座長 よろしいでしょうか。またありましたら、事務局等に連絡をいただければと思い ます。これを踏まえて今日のところを作成していただいたのだと思いますので。  次の議題に入ります。前回の検討を踏まえて、事務局が「新たなばく露評価ガイドラインを策 定する上でのポイント」ということで見直してくださいました。これについて検討したいと思い ます。事務局よりご説明をお願いします。 ○島田化学物質評価室長 資料2-1、資料2-2について前回ご提出し、ご審議いただいた結果を踏 まえて、事務局なりに修正をしました。ご説明しますので、ご意見をいただければ幸いです。  資料2-1「新たなばく露評価手順策定のポイント」です。これはあくまでポイントで、抜けてい る部分が多少あると思いますが、主に見直された部分を書いているものです。その中に枠囲みで 出てくる番号ですが、これは資料2-2の2頁目にある「新たなリスク評価のフロー図」における番 号と対比しておりますので、併せて見比べていただければわかりやすいかと思います。  「有害物ばく露作業報告」について前回ご議論いただき、対象物質の使用動向の報告について は、特に2段階スクリーニング方式に変更することと、1次スクリーニングでは報告対象者の条件 を付さず、広く報告を求めるということを前回までご議論していただいておりました。それに加 えて、前回の議事では対象物質を次年度の評価物質に限定せず、評価候補を広く対象とし、継続 した報告を求める形でよろしいのではないか、というご議論をいただきました。併せて、報告者 負担の軽減のための報告項目の最小化ということもご議論いただいております。  (2)作業実態の報告については、2次スクリーニングとして作業実態に係る報告を求めることと し、報告項目についてはばく露評価モデルへの入力項目を考慮して設定するということです。前 回から今回の中でコメントをいただいている部分では、EPAがやっているChemSTEERというモデル などが参考になって、そういったものを考慮するとうまくできるのではないかとのご意見もいた だいております。  「事業場の選定」の段階です。(3)ばく露が高いと推定される事業場の選定については、作業実 態に応じた適切なばく露評価のモデルの選定・活用等により、ばく露が高いと推定される事業場 を選定するということです。コメントの中で、特にばく露モデルの選定は熟練が必要であるとい うご意見をいただきましたので、選定について特に重要性を有しているということで付け加えて おります。併せて、実態に応じた適切なということで、作業実態に応じた適切なものが必要であ ることを強調しております。  「ばく露実態調査」ですが、作業実態の調査については、ばく露濃度測定の実施の有無にかか わらず、作業環境なり作業内容、時間、保護具の使用等を聞き取りにより把握する。また、新た に調査票の様式を定めるということです。  (5)濃度の実測です。個人ばく露濃度測定については、統計解析が可能なようにサンプリング方 式を採用することを、ご議論いただいています。ACGIHにおいて、短時間ばく露濃度(TLV-STEL 値)、上限値(TLV-C値)が設定されているものについては、これらのばく露限界値との比較が可 能なように、スポット測定におけるサンプリング時間等を調整する。個人ばく露濃度測定の結果 の要因分析のためにスポット測定、A測定を実施することもあり得るのではないか、とのコメント をいただいています。  (6)作業内容の分析です。これについては、ばく露評価モデルの活用によるばく露レベルの評価 ということで、前回ばく露評価モデルに作業内容等を入力して、ばく露濃度レベルの評価を行う ということでしたが、まだばく露モデル自体がしっかり確立したものではないので、使えるかど うかも含めて検討する必要があるということで、可能な範囲でという形で付記しております。  2頁です。「ばく露評価結果のとりまとめ」については、有害性評価により導出されるばく露限 界値との比較が可能なように、定量的な評価に努めるということでしたが、個人ばく露濃度測定、 スポット測定等から、時間加重平均(TWA)を求めるとともに、ばく露評価モデルを活用してという ことで、定量的な評価に努めるということで付記しております。また、経皮ばく露の評価につい ても、前回から追加されております。  発がん性の有無の確認ですが、これについては先ほど櫻井委員からご指摘がありましたように、 前回事務局の出したものが1次評価値で発がん性以外のものも処理するような書きぶりになって いたので、そこを直して、(8)で発がん性の有無を確認した上で、1次評価にいくか2次評価にいく かを分けております。  「1次評価(初期評価)」の部分ですが、これについては、1つは個人ばく露量について統計解析 により上方信頼限界(UCL)を試算する形で書いておりますが、その後のコメントで、1次評価はリ スクレベルの10-4との比較ということになるので、UCLを採用すると非常に厳しい状況になるとの ご意見をいただいております。一応見え消しではありますが、消しております。  次に、8時間加重平均濃度の最大値と1次評価値との比較により、2次評価への移行の要否を判定 するということで、具体的にはその下ですが、TWAの8時間の最大値が1次評価値を超える場合には、 2次評価に進むということです。また、1次評価値未満であれば、現時点でのリスクは低いと判断 して、自主的な管理に委ねるということです。ここについては、誰が判断したかについても併せ て付記すべきとのご意見をいただいているので、この場合は国が、あるいは行政がということに なると思いますが、付記することといたします。  「2次評価(初期評価)」ですが、これについてはTWAの8時間値と15分値、これは短時間ばく露 の関係ですが、これについて統計解析により上方信頼限界(UCL)を試算するということで書いてお ります。ただ、これについてはまだ十分ご議論いただいておりませんので、併せて今日の資料で ご議論いただく形になっております。  次に、TWAの最大値またはUCLと2次評価値との比較により、詳細評価の実施の要否を判定する。 具体的には、TWAの最大値またはUCLが2次評価値を超える場合には詳細評価に進む。2次評価値未 満であれば、行政指導を前提として要因解析に進むということで、要因解析については、前回の 資料の中で個人あるいは事業場に固有のものか、作業工程に共通した問題かを分析するという形 でご提案しておりますので、それを入れております。また、解析の結果を踏まえて対応を判断す るということです。  追加調査事業で詳細事業に移ったものについては、特に新たな項目として追加事業場の選定と いうことで、より詳細なばく露レベルを評価するため、追加事業場の選定を行う。高いばく露濃 度が推定される事業場、少量製造・取扱い等特殊な作業の把握が可能な事業場の追加選定をする ことが前提ということで、追加事業場の選定にあたっては、関係業界との協力のもとに実施する ということです。  「ばく露実態調査」「ばく露評価結果のとりまとめ」については、初期評価と詳細評価は基本的 には同じですので、同じようなステップを踏むということです。1次評価値についても、同じよう に発がん性のあるものについて詳細評価をする。  2次評価の部分ですが、詳細評価においては以下のように進めるということです。管理措置の導 入の要否に係る判定手順の明確化を図るというステップです。TWAについては、統計解析により上 方信頼限界(UCL)の試算をする。TWAまたはUCLと2次評価値との比較により、管理措置の導入の要 否を判定する。具体的には、TWAまたはUCLが2次評価値を超える場合には、法令による規制の導入 を前提とした要因解析に進むということで、これは特化則の2類に入れることも含めて想定したも のです。TWAまたはUCLが2次評価値未満であった場合には、行政指導を前提として要因解析に進む ということです。  その下の管理措置の部分については、要因解析のほうに移したので削除しております。  要因解析ですが、管理措置として作業者への指導の必要性、あるいは個別事業場への指導・監 督の必要性、法規制の導入等の可能性についての判定をしていただくということです。高い個人 ばく露濃度を示した要因を評価し、個別作業者、事業場に固有のものか、当該作業工程に共通し た問題かを分析する。解析にあたってのことですが、必要に応じ、同じ作業と見られるグループ から採られたTWA、A測定値について統計的処理を行い、95パーセンタイルの上方信頼限界値を算 定するということです。「上方信頼限界値」という用語が適切かどうかはまたご審議をいただけれ ばと思いますが、基本的には先ほど櫻井委員からご説明いただいたようなことを記述したもので す。  解析結果を踏まえ、取るべき措置を判断しますということで、先ほどの管理措置の所に書いて あった特定の作業者・事業場に固有の問題と判断される場合には、対象作業者・事業場の指導・ 監督を行う。作業工程に共通する問題と判定される場合については、2次評価値を超えている場合 には法令の規制の導入を検討する。逆に2次評価値未満である場合には、行政指導による管理措置 の導入を検討するということでまとめました。特に2次評価値の部分の統計解析については、資料 3で詳しい資料を用意しておりますので、そこについてはあとでもご意見をいただくチャンスがあ るということで、ご理解いただければと思います。 ○名古屋座長 ご説明ありがとうございました。ただいまのご説明について、ご意見等をよろし くお願いします。これは順を追わなくても個別で結構だと思いますので、何かありましたらお願 いします。 ○櫻井委員 大したことではないのですが、1頁目の(5)濃度の実測の3こ行目で、「ACGIH等におい て短時間ばく露限度や上限値(TLV-C)」のあとにも「等」を入れたほうがいいと思います。TLV-C とTLV-STELはACGIHだけのものなので。  2頁の(8)発がん性の有無の確認ですが、これは閾値のない発がん性が想定されればということに なるのでしょうか。閾値のない発がん性が想定されれば1次評価、それ以外は2次評価。  2頁の(10)の2次評価の最初に出てくる上方信頼限界ですが、これは何を意味しているのでしょう か。平均値のですか。 ○島田化学物質評価室長 これ自体は個人レベルの、NIOSHのUCLの考え方で、それぞれTLVと比較 する際に、生のデータよりは95パーセンタイルで想定される上方値を比較したほうがいいのでは ないかということです。 ○櫻井委員 これは個人ばく露ですね。 ○島田化学物質評価室長 おっしゃるとおりです。 ○櫻井委員 これは、NIOSHの方法に基づく個人ばく露の上方信頼限界ということになりますか。 ○圓藤委員 TWAを用いてということですね。基準値にTWAを用いてUCLを算出するということです ね。 ○櫻井委員 NIOSHの場合、例えば全期間分割サンプリングで、Time Weighted Averageそのもの はそれからも時間加重平均で出ますね。さらに時間ごとの分布を評価して、95パーセンタイルで 出ているものは単なるサンプルとみなして、1日の中でいろいろな濃度が存在するのは、労働者が たまたまランダムサンプリングしたと考えているわけです。その他のサンプルを採ったとしたら、 また別の平均値が出るだろうと。その平均値の上方信頼限界を計算しているのです。だから、TWA より高い数字になります。サンプリングと分析のばらつきも入れ、さらに時間による濃度の違い のばらつきも入れていると、両方入れているということです。それならそれでいいのではないか と思います。  ただ、前回の議論の中で、NIOSHを取り入れるのか取り入れないのかについては、まだ意見が一 致していません。実際に棗田さんも言っておられましたが、全期間分割サンプリングを事実上き ちんとすべて採ることは難しいだろうと。そこはどうなのでしょうか。 ○名古屋座長 たぶん手法としてはいいのだけれど、そうするためにどのような測定をするかは 異論が出てくるので。 ○圓藤委員 情報があって、B測定の場所がわかるのだったら、B測定に変えてもいいのかなと思 ったのです。最高濃度をUCLとみなすと。逆にそれができない小さな作業場で、ばく露がわからな い所では、いくつか分割してUCLを算出しなさいということもあり得るとは思うのですが。 ○櫻井委員 まさにNIOSHがそれを言っているわけです。すでに最高ばく露者がかなり確信を持っ て想定される場合は、その人の濃度を測りなさいと、それだけで終わってしまうと。それがわか らないときは、最大のばく露者が含まれる確率を考えて、3人だったら3人採りなさいと、それの 統計処理によって求めよと言っているわけです。 ○圓藤委員 3人測って3人の統計処理というのではなくて、一人ひとりのUCLが出るわけですね。 ○櫻井委員 先に測って、その中でいちばん高くばく露している、それぞれの最高ばく露者。 ○圓藤委員 それぞれの人が基準値を超えるかどうかですね。 ○櫻井委員 その中でいちばん高くばく露している人についても、スタンダードを超えているか いないのかを調べると。 ○名古屋座長 だから、問題になるのは、個別の作業場では確かにそれはいいけれど、全国展開 した、要するに事業場にそれを適用することがどうかを議論しておかないと辛いと思います。 ○櫻井委員 それはそうなのですが、最初の詳細評価へ移行する前の段階では、我々は本当に最 高にばく露する人が評価値を超えていないならば、もういいよ、と言おうとしているわけですね。 ○圓藤委員 規制をする必要はないということですか。 ○櫻井委員 それ以上細かく調べる必要はないと、問題はないとそこで判断しようとしているわ けです。だから、いちばん最初の調査で、とにかく最大のばく露者を見つけて、それがどのぐら いであるかを調べようとしていると。 ○名古屋座長 もう1つ別の考え方があって、ばく露がある程度濃度を超えたら、それは当然超え ているのだから規制がかかるよと。でも、本当に怖いのは、ばく露より下の集団の中に、統計処 理したときにばく露を超えている集団があるかもしれないと。そのときに、統計処理してイレギ ュラーすることがないように防ぐという考え方はあるわけです。要するに、ある平均値より低い グループと高いグループがあると。高いグループはどう頑張っても超えていると、それは当然2 次評価値までいきますと。1次評価値より下にあったグループは、本当にそのグループがその中で 完全にこのレベルを超えないレベルなのかどうか、それより下かどうかというのは、どうなので しょうか。 ○櫻井委員 まずはそれなのです。 ○名古屋座長 超えるほうは超えているのだから評価するのだけれど、そうではなくて、それよ り低いグループの中は統計処理していって、そのグループの中で完全にこのレベルより超えるグ ループはないと評価できないと駄目なのではないかと思うのです。そうすると、この評価の使い 方は若干違うのかなと思うのです。 ○櫻井委員 この中で、そのあとでTWAの最大値またはUCLと2次評価値との比較となっているので す。それはいままでも、今年もやっているのはそれで、実際に測定が出てきて、それの個人ばく 露限界値がどれか1つでも評価値を超えていたら、いいですとは言えないではないですか。それは 詳細評価に進みます。いまおっしゃったのは、一応全部評価値以下だけれど、最大のばく露者を ちゃんと把握できているかどうかという疑問は残りますね。だから、そこで95パーセンタイルを 計算するという統計手法が入っているわけです。それは、たった3つだったら、最大値はスタンダ ードを超えていないけれど、95パーセンタイルは最大値より上をいく可能性があるでしょう。 ○名古屋座長 そこがこわいですね。 ○櫻井委員 それも計算するというならば、それでいいと思います。 ○名古屋座長 超えている分は超えているのだから、当然それは詳細評価でちゃんと把握しなさ いと。そうでなくて、超えていないグループが、もしかしたらそのグループの中でイレギュラー していて入ってこなかったかもしれない。もしかしたら、統計処理したら入ってくるグループが あるかもしれないと。それでなかったら安全ですよ、というのが基本的な移行していく考え方で はないかと思います。5%ぐらいだったらいいという考えもあるかもしれませんが、どうなのかな と。 ○櫻井委員 5%にするのか1%にするのか、厳しくすればするほど幅広くなりますから安全サイ ドにいくのですが、それをどうするかということがあります。その際、統計処理するとき、どん なばらつきを考えるかという話が出ます。そのサンプリングは、まず人をサンプリングしている でしょう。それ以外にばく露する人を見逃している可能性がある。また、日にちによって違う可 能性がある。そういうものを全部考えると、非常に難しいのです。でも、作業環境測定の測定基 準でも、一応日による違いは考慮していますね。それが1つのフィロソフィーで、それを導入して いますね。それと同じように、今回そういったばらつきに対する考え方をどうするかが1つの課題 だと思います。 ○名古屋座長 ただ、UCLを持ってきたときにどういう測定をするかというのもあると思うので す。私はコメントに書いたのですが、測定に関しては、たぶん中災防がばく露濃度評価委員会を 作られているので、ここで、そこまで議論していくと進まないので、測定に関しては、ばく露濃 度評価委員会で議論してもらうの、あるいは、この検討会にWGを作り議論するのかは別にして も、こういう評価を作ったときには、どのように測定を進め、どのように測定結果を扱うのか、 また、測定結果について統計処理が必要なのかなど、測定をする時は評価を含めた検討が必要な のですが、測定の話ばかりになってしまって、先に進まないのかなという気がするのです。お願 いしたのは、仮にここで決まったことを受けて、測定のガイドラインなどが出来、それに従った 現場測定をするようになったときに、そういうところできちんと議論し、詳細な測定方法をきち んと書いておかないと、現場ではなかなか使ってもらえないと思います。行政で基準を決めて、 詳細で規制をかけるという形のものになったら全然問題ないかもしれませんが、現場で測定士が 測定する場合は、ある程度、測定と評価をきちんとしておかなければいけないと思います。スポ ット測定の取扱い、8時間の加重平均は、6時間のを単純にTWAに直していいのかどうかという議論 もしなければいけないのかなと、個人的に思っているところではあります。 ○圓藤委員 いままでばく露報告していただいた物質について、検討してもらう作業をしたらい いのですか。 ○櫻井委員 方針が決まらないと、実際に測定されたデータを目の前にして、すでに悩んでおり ます。 ○圓藤委員 いくつかのモデルを作ってやってみないといけないわけですね。 ○櫻井委員 最善の方法を、衆知を集めてきちんと考え方を決める必要があると思います。 ○島田化学物質評価室長 圓藤委員から、UCLに代えてB測定のデータの活用はできないだろうか とのご意見をいただいているのですが、その辺りをご議論いただければというのが1つです。また、 いま中災防でやっていただいているスポット測定とB測定の違いを認識すべきなのかどうかが、 我々としても疑問で、その辺りのご意見をいただければと思います。 ○名古屋座長 棗田さん、B測定とスポット測定は違うのですか。 ○棗田氏(中災防) そうですね。私どもがやっているスポット測定は、基本的には個人ばく露 で最も高いところがどの作業かを測定したいというのが我々の委員会の中にあります。こういっ た形で、B測定の場合だと10分間という決定事項がありますので、10分を超えてしまう作業、12 分でも15分でもかまわないのですが、それは10分で切ってしまう。短い作業で、例えば2分で終わ る作業でも10分取らなければいけないということなので、なかなか短時間作業をうまく反映でき ないということで、とりあえずスポットに関しては作業時間をぴったり取りましょうという形で、 作業開始から終了までで大体20分以内で終わる作業に関しては、すべてその時間帯を取ってやっ ています。  B測定の場合だと、作業環境測定士がこの位置が高かろうと判断してやっているのですが、なか なかそこの判断が難しいので、スポットの場合には大体発散源をスモークテスターで確認して、 風上、風下で押さえて、それがはっきり分からない、例えば風がまいてしまっているような場合 には必ず4カ所囲む形で採って、なるだけ逃さない形にはしているのです。それでも今年の結果を 見ていると、必ずしも100%高い作業がうまく捉え切れていない、比較的高い作業と個人ばく露の 結果が当たってはいるのですが、それでも100%当たっているわけではないみたいです。 ○圓藤委員 基本概念は、いちばん高い作業なりということですね。一緒ですね。 ○棗田氏(中災防) そうです。 ○櫻井委員 評価値は、TLVとか許容濃度を使うとしたら、大部分の物質は平均濃度ですね。現実 にそれと比較するわけですから、それだけを使うのだったら、B測定値とかスポットのデータをど う使ったらいいとお考えですか。それも評価値以下であることを求めますか。 ○圓藤委員 それがいちばん好ましいので。 ○櫻井委員 もちろん、それがいちばん好ましいのですが、それすら評価値以下ならば、全く安 心なのです。それは超えているのだけれど、平均値を出すと超えていない場合。 ○圓藤委員 結局、UCLが超えているかどうかというのはそういうことですね。95%値が1を超え ているかどうか自体が。 ○櫻井委員 TWA値の平均値のUCLですね。 ○名古屋座長 スポットで測定をしたときに、スポットそのものを直接評価するのは確かにいい のですが、測定現場に行ったときに、スポットで本当にそれが採れているかどうかという、見逃 してしまっている場合の方が多いのではないかなと。要するに、リアルタイムでずっと測定して いれば、そうした見逃しは全然ないのだけれど、本当にその作業がいちばん高いと思っていて測 定したときに、それが本当に高いかどうかの保証はどこにもないと思うのです。それを使うと怖 いのかなという気はします。 ○圓藤委員 そういう意味では、それはB測定でも一緒ですね。 ○名古屋座長 B測定も、測定士の恣意が入るというのは、あります。本来、B測定は高いはずな のですが、溶接などを見るとよくわかるのですが、作業が怖くて、測定士が作業者に近づけない。 そうすると、どうしても離れたところでB測定を行わざるを得ない場合がある。そうすると本来の 濃度より意外と小さくて、本当のB測定でないということが往々にして起こり得るわけです。 ○棗田氏(中災防) もう1つは、今年の結果を見ると、スポットが例えばTLVの100倍とか200倍、 場合によっては1,000倍出ているようなものがあります。ただ、8時間のTWAで見ると作業が短いの で、減衰されてTLVより少し低いとか、そういうものが存在していると、そういったものは無視し ていいのかというのは非常に悩ましい問題なのかなと思うのです。ですから、どちらの面もあっ て、うまく捉えられればすごく捉えているし、捉え切れていない場合も確かにあるとは思うので すが、今回の結果を見ると、比較的スポットが高いのは、個人ばく露も高い傾向にあります。 ○櫻井委員 それだけではなくて、週に1回だけしかやらないとか、だけど非常に高いと。それは 週に平均してしまったら十分低くなるにしても、大丈夫と言えるかということです。先日和田さ んと、この間発言しなかったのですが、あとで意見交換をしたら、平均値は低くても非常に高い 濃度にばく露というのはいやだと。それはそうです。労働者の健康ということを考えたら、全部 平均化してそれでいいとは言えません。許容濃度の場合でも、最大値が1.5倍を超えないことを求 めると言っていますね。その1.5倍というのは、少し厳しすぎると思います。 ○名古屋座長 例えば、TLVで8時間と15分値が出てきますね。そこでそれを一緒くたにしてどち らかで評価するのではなくて、作業現場でもA測定、B測定がありますね。A測定で管理区分1、2、 3あって、B測定で管理区分1、2、3あって、そのときに両方ともよかったら第1管理区分で、とい うように、現行の作業環境評価と同じ形で両方の測定結果で評価しておかないと、1つにまとめた データでUCLを求めると、測定概念が違うデータを一つにして評価するのは厳しいのかなという気 はするのです。 ○大前委員 もう1つ考えておかなければいけないのは、影響から見た場合、短時間で濃度で問題 にならないものと問題にならないものがあると思うのです。発がん物質などだと、平均値よりも 短時間ばく露が効くと思います。あるいはアレルギー物質、感染性などもそうですね。そうでな いものは平均でいいのではないかと。それが使い分けできるか、影響によって判断を変えられる かどうか。 ○圓藤委員 急性中毒を起こすようなものは。 ○大前委員 スポットですね。ただ、少なくとも1次評価値、2次評価値、いずれも2次評価値が許 容濃度レベルですから、急性中毒を起こすことはもともと想定しないと思うのです。急性中毒は もっと高い濃度だと思うので、それはあまり考えなくていいと思うのですが。 ○櫻井委員 そもそも短時間ばく露は明らかに問題となると考えている場合には、最大許容濃度 またはシーリングとして勧告しているから、それを使えばいいわけですね。それ以外はそれがは っきりしないから、一応平均でいきましょうと言っているわけです。あくまでそれで通すのか、 それでもあまりひどい高濃度ばく露がある場合、管理状態そのものに対する不安定性というか、 それを考えて直ちにそれを健康に問題があるとはみなさないにしても、管理状況に問題があるか ら、よりよい管理を求めると。行政指導にするのか規制にするのか、それは別として、何らかの よりよい管理を求めると。 ○名古屋座長 いまの場合、15分というのはあくまでもSTELだと、そういう勧告があるものにつ いては、それで対応する。勧告のないものは、TLV、TWAでいいよと。もう1つは、それと同時に、 作業環境だとほかの測定も入れて評価されている部分があるので、もしできたら3-1の資料を先に 説明してもらって、併せてそこで検討したほうがいいのかなという気がします。1つだけではなく て、ほかのファクターが入ってきている部分があるということで、議事とは違って申し訳ありま せんが、資料3-1を説明していただければと思います。 ○島田化学物質評価室長 ご説明します。3-1の資料、3-2の資料が絵になっていて、それと3-3 の資料が一連のものです。特にいまご議論いただいているようなもので、統計処理の考え方につ いての1枚紙を作ったのが3-1で、これについてはリスク評価作業のイメージということで、合計 で3つの区分に分けて説明します。  まず、「リスクレベルの評価」といちばん左にありますが、そこでステップ1ということで、測 定値と評価値の比較をしていただくことになっていると思います。その際には、TWAの8時間値と TWAの15分値とがあって、それぞれ1次評価値のリスクレベルの10-4と2次評価値のTLVの比較によっ て判断していただく形になっていると思います。  それによって、1番として、Cp値というのはTWA8時間値とCsの15分値の最大値が2次評価値を超 える場合には、あるいはいまご議論いただいているUCLが2次評価値を超える場合はステップ2に進 むと。発がん性の物質にあっては、8時間ばく露値の最大値が1次評価値を超える場合はステップ2 に進むということです。超えない場合は、現時点でのリスクは低いとして作業を終えるというこ とで、事業場が自ら管理をしていただくということでよろしいのではないかということです。  問題となる場合には、要因分析をしていただくというのがステップ2からの流れですが、これに ついてはそれぞれ評価値を超えたものの原因工程の特定ということで、これについては8時間ばく 露値、Cp値またはUCLが評価値を超えた作業者の所属する事業場において測定されたCsスポット測 定値から原因工程を分析するということです。原因と推測される工程の作業環境を、A測定を用い て分析をすることになると思います。  ステップ3ですが、原因工程に係るスポット測定値、A測定値の分析ということで、ステップ2 で原因工程とされた工程と同様の工程を有する他の事業場について採られたA測定の値、ステップ 測定値を評価するということです。ここで、先ほど統計処理をするということで、95パーセンタ イルでの上方信頼限界と言っていいのかわかりませんが、同じような作業グループにおいて、そ の最大値を見つけるために95パーセンタイルの上方信頼限界値を取る作業を行ってはどうかとい うことです。  それを踏まえて、ステップ4として要因分析ということで、高いばく露の要因を評価して、以下 のどの区分に入れるかを分析をするということです。その3つのものですが、先ほどから説明して いるように、問題となる特定作業者の作業実態に起因するもの、2番目として特定事業場の作業工 程、作業環境に起因するもの、3番目として作業工程に共通した問題であるということです。  それに従って、規制措置の要否の判定をするステップに移って、ステップ5ということで要因分 析結果の結果ごとの対応ということです。それは先ほどの1、2、3について、個人の作業が問題で あるという場合には、当該作業者の作業改善を指導する。ただし、そういった場合には、他の事 業場においても同様に問題となる作業者が出る可能性があるので、必要があればその対策を検討 していただくということです。 2番目としては、特定事業場の工程に起因するもの、作業環境に 起因するものと言われるものについては、当該事業場の作業工程・環境の改善を監督・指導する ということでよいのではないか。3番目として、共通した問題という認識があれば、当該作業工程 についてのばく露防止措置、それから規制の導入を指示するということです。  併せて、イメージということで、資料3-2ですが特に前回、細田先生のほうから、作業それぞれ において、短時間でいろいろな作業が行われているもの、その積み重ねが8時間ばく露測定値にな るのだということを言われましたので、その辺りを図示しました。これについては、架空の作業 ですので、必ずしも実態には合わないかもしれませんが、作業内容として朝の8時40分出勤、17 時25分退社というものの中で、仮にこういう作業が行われる場合のことについて書いております。 これについては、特にAという物質が問題だということで、9時30分にAという物質を搬入し、9時 50分に投入準備をして、11時に投入をすると。そのあとは反応工程を確認するということで、昼 食を挟んで、2時20分までは反応工程を監視しているという作業です。14時20分には、反応生成物 であるB物質を採り出して、その物質をドラム缶に充填して搬出をするという作業で、併せて反応 槽に残っているB物質等を洗浄するという作業です。  この場合に、個人ばく露濃度測定は、2番目のカラムにあるように、午前と午後に全期間の分割 サンプリングという形で書いておりますが、その場合には午前と午後にそれぞれ4時間前後のサン プルを採ることになりますが、A物質ということであれば、括弧書きで書いてありますが、直接そ のデータは出てきませんが、例えば作業の開始には0.4ppm、投入準備で0.75、投入で2.5ppmとい う高い数字が出ました。そして、反応工程を確認している中でも、0.3ppmという状況にあるとい うことです。それを踏まえてTWA値にすると、0.4ppmになったということです。その際に、スポッ ト測定を2カ所ぐらい測って、投入準備をしている9時50分のところで測った部分、11時のところ で投入をしているときに測ったということです。  いま棗田さんからご説明をいただいたところによると、これは作業を終えるまでやっていただ いているということなので、もしかしたら投入準備であれば投入準備、投入という作業であれば 投入という形で、もうちょっと矢印の幅が広がるのかもしれませんが、それぞれ高い値が出てい るということを表しております。  A測定については、投入準備から投入に当たる大体60分程度、測っているということです。これ については、それぞれのところでは高い数字は出ているのでしょうけれども、全体として統計処 理をすると、あるいは幾何平均、算術平均をすると0.7ppmという形になります。この場合には、 それぞれのところで、例えば個人ばく露については、TLVが0.5ppmだとすれば、TWAは0.4というこ とになって、下回っている状況です。スポット測定のSTEL値が設定されていると仮定した場合に、 4ppmと置いてありますが、その場合には11時からの投入の部分で4.8ppmという形で出ております ので、これは短時間ばく露に問題が生じていることを指摘できるということです。  A測定については、仮にTLVと同じ数字を入れるという作業にする場合には、0.7ppmというのは 場の管理としてあまり適切ではない状況にあるということがわかるわけです。こういった形で、 個人ばく露に対して、それぞれスポット、A測定が絡んで、要因を分析する際に有効に働くのでは ないかということをイメージしております。  併せて、ばく露防止の措置の対象です。これは特化則などといったもので、当該物質を扱う期 間を対象としておりますので、この場合にはA物質を扱っている期間、9時30分から14時20分の間 が当該作業が規制の対象になる期間だと思われます。その前に出てくる、例えばデスクワークを している時間、あるいは他の物質であるB物質を扱っている期間については、A物質という関係か らすると対象外になるというイメージです。以上がこれに関する説明です。  3-3については、あとでまたご議論をいただいたほうがいいかと思いますので、ここで止めさせ ていただいたらどうかと思います。 ○名古屋座長 これはどうでしょうか。 ○圓藤委員 反応物質ゼロという想定の下ですね。 ○名古屋座長 一応、測定するのは、いままで議論しているようにTWAとスポットと作業環境のA 測定をやっている。リスクレベル評価には使わないのですが、要因分析には当然こういう工程が あるので、使うということは納得できることかなとちょっと思いますけれども。 ○櫻井委員 資料3-1に「特定作業者の作業実態に起因すると推定される場合」とありますね。「特 定作業者の作業実態」、これは但し書もあるからいいかなと思うのですが、作業者の作業実態は、 どんな場合でも起こり得るわけですよね。つまり、特定の作業者に問題があるから、ほかのリス クはないということはなかなか言えない。どんな場所にも、必ず自分を守ることのできないよう な行動をとる作業者はいるわけですから。 ○名古屋座長 特定ではないということですね。限定しないでいいと。 ○櫻井委員 特定の作業者ということは、私はこれは入れないほうがいいだろうという意見です。 特定事業場というのはあると思いますから、いいと思いますけれども。 ○名古屋座長 そうすると、先に戻って2次の評価のところですが、いまのところは例えば全体評 価としてはTWAの8時間で評価するのだと。15分値、スポットについては、発がんかそうでないか により個別に評価するという形で、流れとしてはよろしいですか。前の流れはそうなっていまし たよね。STELがあるようなものについては、当然それと比較するという形でしたから、基本的に はこの第2のスキームの流れは、TWAのところで評価していくという形で、よろしいですか。ただ、 ここのTWAを評価するための測定をどうするかは別にして、一応こういう形で出てきたデータを、 この流れに従って評価していくという形の考え方でよろしいでしょうか。 ○唐沢委員 名古屋先生も櫻井先生も、ちょっと触れておられたのですが、例えば3-1の評価の方 法は、確かに1つのポリシーであるし、やり方だと思うのですが、この上の委員会、親委員会にお いて、当初2年ぐらい前に1つの評価のやり方を決めておられるわけなので、いまのような議論で これが適切だということまで、この小検討会では結論を出すことが求められているのですかね。 その点は。 ○島田評価物質評価室長 実はこの検討会自体は、もともとばく露調査について、特に少量を扱 う部分が抜けてしまうということに起因して検討いただきたいということで、お話をいたしまし た。その中で、ばく露評価の部分で、モデルを使うことも含めて、検討しようということで、第5 回目の小検討会だったと思いますが、そこでばく露評価についても、併せて検討したららどうか ということで、そこの部分には触れていただければと思ったのですが、確かに規制措置の要否の 判定については規制段階の話にもなりますので、そこは基本的には対象にしなくてもいいのでは ないかと思います。ただ、この小検討会の報告については、上のリスク評価検討会に上げて、最 終的にはリスク評価検討会での報告書にさせていただきますので、この検討会限りでこの判断が 決まってしまうことにはなりません。 ○名古屋座長 本来は、親委員会ではいままでばく露濃度等の測定結果に対して、いろいろ検討 し、規制を掛けているわけです。その検討と今回行っている検討とがリンクしていないと、たぶ ん何らかの形で整合性について説明しないといけないと思います。ただ、親委員会で、もっと詳 細に検討しろというのか、ちょっとよくわかりませんが、ここでは、少量に対してはこういう形 の流れでいったらどうでしょうかという提案をここですると思っています。ここで決めるという ことではないと私は思っています。ここで決めることだとしたら責任が重くて、とてもきついか なと思っています。 ○櫻井委員 大筋の流れを決められたということでしょう。 ○名古屋座長 そうです。 ○櫻井委員 だって、これは細かく見れば、まだまだいっぱい問題はあります。 ○名古屋座長 ただ、大きな流れとしては、リスクレベルの評価というのは、こういう形で評価 しようと。当然それに対して、要因分析はこれだけではできないから、そういうものを加味して、 作業場の実態などを加味していくという、この流れはこの小委員会で決めてもいいのかなという 気はします。 ○島田化学物質評価室長 事務局から、改めて問題意識を先生方に聞いていただければと思うの です。結局、このばく露評価の中で、前回の議事にも出てまいりましたが、何人かの方のデータ が基準値をオーバーしています。それ以外の方はオーバーしていないという状況の中で、それを 問題となるレベルと捉えるかどうかというのがポイントとなっております。そうすると、特定の 個人について議論すると、どうしても特定の個人に対する指導みたいなことも、資料に出てきて しまうわけです。  前回特に特定の者に対する扱いを、櫻井先生だったと思いますが、棄却限界ということでご議 論をいただいたようなこともあって、そういったもので何らかの判断が下せるのかどうかといっ たことに関して、ご議論・ご検討をいただくと、我々としてもこの場の本来の目的がうまく検討 できるかなと思っているのですが。 ○名古屋座長 要するに、要因分析までもっていく前のところのリスクレベルの評価値の中で、 そこを入れて評価していいかどうかということですよね。 ○櫻井委員 例えば統計的な処理で、10ぐらいデータがあって、そのうちの1つだけがポンと飛び 抜けて評価値を超えていた場合に、同じ母集団では属さないという判断は、99%の棄却限界を超 えているから別の母集団であるという判断はできるかもしれません。だけど、別の母集団という ことは、その個人の問題ではなくて、たぶんその職場の問題なのです。そういう職場なら、その 個人に問題はあるかもしれないけれども、同じように問題のある個人がやはりそこにいる可能性 というのは、全国の場合、当然起こるわけですから、労働者個人の問題というのはちょっとあり 得ないなと。それを保護するのが、そういう人でも問題がないようにするのが管理というものだ と思うので。 ○名古屋座長 棄却限界というのは、あくまでも同じような分析値が集まってきたときに、その 中のばらつきが、要するにその人の分析値によって問題なのかということで棄却検定はできるの ですが、今回の測定結果は、1人の分析結果と違って、データを同じ土俵の上に乗せて評価する、 あるいは、棄却検定をするデータではない部分がいっぱいありますよね。ここの測定目的や方法 が違うので。そうすると、棄却検定で除くというのは、先ほど言ったスポットが高かったのをど う扱うかということと同じことで、今回の場合はたぶん評価はTWAでやっているから、一応、スポ ットについてはスポットがあるものについてという形で限定しようかなという話になっていまし た。そういうことを考えると、棄却検定をすること自体は、同じ土俵の中ですべてのデータを集 めたときの棄却検定と若干違うので、そこを外してしまうと、櫻井先生が心配する部分が起きて くるので、ここのところで入れるのではないかなと、個人的にはちょっと思うのですけれども。 ○島田化学物質評価室長 私の説明が悪かったようです。棄却限界を採用するか云々ということ ではなくて、我々はそういうものも当然ご検討いただければと思うのですが、むしろどういう手 順を採っていったらいいだろうかということです。 ○櫻井委員 そのようにポンと離れた、けれども、明らかに評価値を超えている作業者がいる、 その事業場が特異的なのかどうなのかという判断で、それがごく一部に限られるという根拠があ ればいいし、一方サンプルは十分採れているわけではないから、たまたま日本中で起こっている ことの1つがそこにうまく捉えられている可能性もあるのです。本当に1つなり2つなり、飛び抜け て高いデータが出ているような場合、その作業場とかその事業場が特殊なのかどうなのかという ことを調査するしかないのではないでしょうか。既にいままでもやっていますよ。去年だって一 昨年だって、そういうあれで。 ○山口氏(日化協) いま言ったような内容の設備なり作業環境が、世の中にも存在し得るとい う、やはりその状況を判断しないと、どう考えてもこれはここだけしかないということであれば あれですが、作業の内容、あるいは設備の内容を平均的なものかどうか判断しないといけないと 思うのです。 ○名古屋座長 だから、出てきた数値だけで判断するのではない。それだったら簡単ですから。 そうではなくて、求めた数値の中で少しイレギュラーがあったと思われるときは、たぶんその測 定に際していろいろな記録が記録されているので、そこを読んで判断するという形にして、あく まで出た数値を数学的にただルールに従って流れに乗ってやるというのではないということにし ておかないと。 ○櫻井委員 そう思います。 ○名古屋委員 そこのところは、前回の親委員会でもデータを見ていると、やはり説明を聞いて 初めて、ああそうかというのがわかる部分があるので、出てきた数値をすべてそのまままとめて、 流れに従ってやるというのではないのではないかと思います。作業は多様化しているし、事業場 も違う等いろいろな要因が混じり合った中で、淡々と数値で評価していくのは、ちょっとしんど い部分も無きにしも非ずかなという気はします。 ○圓藤委員 その評価は難しいですよね。だから、測定者が、現場に行った方がよいですね。こ れがほかにもあり得るかということは、まず推定不可能ですよね。 ○櫻井委員 ただ、そこを詳細調査で、要するに業界の方のご協力も得て、もうちょっと調査し ないとわからない。 ○圓藤委員 ほかの似たような所をお願いすると。 ○櫻井委員 はい。 ○棗田氏(中災防) 1つ、いちばんの根本的なところになってしまうのかもしれないのですが、 最初のばく露実態調査を行う際の適正な事業場数という話がなくて、そこが全然抜けていると。 例えば50事業場あって2個しかやっていないとか、3個しかやっていないと。例えば今年の場合、 物質数が多いので、結局、事業場の数が制限されているという形になっています。あと、この新 たなスキームだと、どの段階までが、今回は1年でやるという形ではないと思うのですが、どこの 段階までを1年目で終わらせて、2年目以降はどこに入るのかというところが、それは厚生労働省 にお伺いするのが正しいのかもしれないのですが、実態調査を我々が受けるかどうかわからない のですが、こういう形でその年度にまで結果を出して、そこの評価までとなると、スケジュール 的にかなり厳しくなりますので、その辺のところが非常に心配かなと、逆に我々のほうだと。ま ず、いちばん最初のところは。 ○名古屋座長 事業場数は難しいですよね。 ○棗田氏(中災防) そうですね。 ○櫻井委員 私は、それでNIOSHの考え方を応用できると思うのです。あれは例えば10人いたら、 そのうち3人サンプリングすれば、95%の確率で、その3人の中にいちばん悪いところが入る。つ まり、いちばん悪い場所が入る確率を95%以上にするためのサンプルサイズというのは、わざわ ざ計算して出ていますので、それと全く同じですよ。あれは個人の場合ですが、事業場でも。 ○名古屋座長 それを事業主に当てはめようと。 ○櫻井委員 工場が50あったら、50の場合は10調べれば、その中にいちばん悪いところが入る確 率が95%ありますよと。その数を調べないと、いちばん高いところを見逃すおそれが大きくなる。 ○名古屋座長 8事業場ぐらいなら全部やりなさいということですよね。50あったら、17とか減ら せるのですが、8とか7ぐらいまでは全部やらなければいけないはずですから。 ○櫻井委員 流れとしては、そういうことなのです。それにどこまで近付けるか、現実にそれが できるかどうかは別として。 ○名古屋座長 頼るところはNIOSHの考え方ですね。 ○櫻井委員 はい。論理からいくとそうなるのです。 ○名古屋座長 ただ、50あって2カ所しかなかったときにどうかという懸念ですよね。 ○棗田氏(中災防) 2カ所とか3事業場しかない場合は、もう全部やっているので、ほとんど問 題ないと思うのです。いちばん悩ましいのは、いままでだと10事業場などの場合だと、たぶん3 とか4ぐらいしかやっていないと思いますので、逆にそういうのだと統計的に見ると7、8やらない とまずいという話であれば、それは明確に決まっていれば我々は別に問題がないのです。ただ、 物質数が増えすぎると、結局事業場数が減ってしまって、平均して5事業場しかできないというの よりは、逆に物質を制限してもらって、しっかり事業場の数をやるほうが。 ○名古屋座長 そちらのほうがいいですね。問題が出てくれば、事業場数を増やして、1つの物に 対してきちんとした形で調べたほうが。 ○棗田氏(中災防) そうですね。いまの先生方のご議論で、内容を詳細に見ていくのだという 話であると、やはり事業場数を少し増やして、物質数を減らしたほうがより良い評価ができるの ではないかというのを思っているのですけれども。 ○名古屋座長 それはたぶん先生方の意見は同じだと思いますので、お願いします。曖昧なデー タをいっぱい採るよりは、きちんとしたデータを採って評価されたほうが、それに対してきちん とした管理ができるわけですから、物質が10でなくて5でも正しいほうがいいと思いますね。あと 事業場数の問題で頼るところは、いまのところ事業場数に応じて測定対象事業場数を決めるNIOSH ですね。ただ、17事業場を選ぶ場合、NIOSHの場合はアットランダムに選んでいます。でも、測定 対象事業場の内容を見れば、いちばん高いところがある程度推定できたら、そこのところは外さ ないようにして、残った数の事業場のところはアットランダムに。そこはたぶん皆さんが精査さ れると思うので、数については一応NIOSHに従って数を決めるということで、頼る所はそこしかな いですから、現時点で検討会の中ではそのように思っています。ほか頼る手法が今のところ見当 たりませんので、それでは、それでよろしいですか。 ○島田化学物質評価室長 いま重要なポイントだと思うので確認をさせていただきたいと思うの ですが、いわゆるNIOSH、日本産業衛生学会のほうでも、個人の対象となる従業員数、作業者数に 対するサンプル数を出していただいていて、たぶんNIOSHの場合は22ぐらいやると、かなり無限大 に近いぐらいのサンプルの代表値として確認できると。それから、日本産業衛生学会のほうは30 人程度、28人から32人ぐらいの人数のいる方に対しては、8名ぐらいのサンプル数を採れば十分だ ろうという形になります。これは1つは当然、個人を事業場に読み替えることができるということ で、よろしいですね。 ○名古屋座長 そうです。いまそれしか頼るところがないということだと。 ○大前委員 それは相当危ないのではないですか。あの話は個人だからできる話であって、1つの 事業場の中の話だからできる話であって、会社を選ぶときにその理屈というのは、ちょっと成り 立たないのではないですかね。やはり会社を選ぶときは、例えば使用量なり、あるいは使用形態 なりということで、高いほうを選ぶという、そのような……に選ばないと。 ○島田化学物質評価室長 できない場合ですね。 ○名古屋座長 たぶんいま言われたのは、数についてそうなのですが、数の選び方については使 用書などを見て、その中でいちばんばく露濃度が高いと思われる事業場と、個人は選んでいます。 そうではなくて、事業場の中でアンケートをもらった中で、その中でいちばん使用量が多くて高 いと思われたところから選定していくと。ただ、測定対象事業場数をいくつにするかという、数 だけについてはNIOSHにしてはということです。選ぶときの考え方は、やはり先生が言われるよう な形で、高い所をちゃんと精査して見て、ここは高いからちゃんとやりましょうという形でいく のかなと。ただ、数については頼る所がないから、そこのところをちょっと頼ってみたらどうで しょうかということだと思いますけれども。 ○圓藤委員 ということは、最初にまず把握されている事業場でということですか。 ○名古屋座長 ですから、一時スクリーニング、2次スクリーニングが出てきますよね。その中で、 対象とする物質はどのぐらいあるかというのを、全部書きますね。物質が決まりますね。そうす ると、その事業場がいくつあるか見て、10事業場しかなかったら、たぶん7事業場ぐらいだと思う ので、そのときに優先順位をずっと決めていって、そこで上から7事業場を選ぶという形に、選び 方は事業場の状況とか作業内容とか、いろいろ見てこないと。作業形態によっても違ったら、作 業形態をそこのところでどう取り込んでいって測定するかということを、きちんとその中で決め て事業場の数を選定するという形になると思います。事業場の数はNIOSHの数でやりますが、例え ば50あったときに、いくつと言ったら、50はなかなか難しいですが、17だったら17の選び方、優 先順位を決めて、そこの中で上から17選びましょうという形です。そんな形でいくのではないか なと。選定は、やはりどこかできちんとしたところで決定しないとまずいのではないか。数は、 とりあえずNIOSHの言われている数の決め方で行っては、頼るところがないのでそこに頼ったらど うでしょうかという意見だと思います。 ○櫻井委員 要するに、ばく露の優先順位を付られない状況の場合にランダムサンプリングして、 その中に最も悪いところが入る確率を十分高くするというので考えられている数字ですから、今 回その他の情報で優先順位を付けた上に、さらにその数をやれば、非常に高い確率でいちばん悪 いところを把握しているということになると思います。 ○名古屋座長 そうすると、先ほどの2次のところの書き方、データはどういうものがほしいかと いうのを全部書いてもらう。そこにもつながってくるのではないか。それを推し測って選定して いくという形にしていけばいいかなという気がします。あと懸念は何かよろしいですか。 ○山口氏(日化協) 1点疑問なのですが、資料2-1の(11)の要因解析に入る場合、どういった対象 になるのでしょうか。 ○名古屋座長 2-2ですか。 ○山口氏(日化協) 資料2-1の(10)と(14)でもいいのですが。「2次評価値未満であれば、行政指導を 前提として要因解析に進む」ということで、(14)でも同じように「要因解析へ進む」ということに なっていますが、この要因解析に進む事業場というのは何か限定しないと、全部というわけでは ないですよね。これはまた未満で、例えば100とか事業場があれば、それを全部対象にするという わけではなくて、以下の中の高い事業場を選んでという考え方になるのですか。 ○島田化学物質評価室長 必ずしも事務局が答えるべきものではないのかもしれませんが、少な くとも2次評価の中で出てきているものについては、1次評価値を超えてきているものだというこ とになって、それは閾値のない発がんとの関係になりますので一概には言えないと思うのですが、 いま言っていただいているように、2次評価値を超えなかったけれども、高いレベルを取っている ような事業場、あるいは個人という方々に対して調査を掛けていく。それが先ほど言った3つのカ テゴリーの個人あるいは事業場、そういったものの中で問題が起きているものであるかどうかと いうのを判断していただくことになるのではないかと思います。 ○山口氏(日化協) それはデータの内容を見てということで、全数ということではないですよ ね。 ○島田化学物質評価室長 データの内容は、もちろんいまご議論をいただいているような、どう いうものを判断に使うかは、ここでご議論いただいているものが重視されるのだろうと思います けれども。 ○櫻井委員 いまの所ですが、(10)の3つ目のポツ、「最大値又はUCLが2次評価値を超える場合には、 詳細評価に進む。2次評価値未満であれば」というのは、これはどちらかいずれかが未満というこ となのか、両方とも未満ということなのか、ちょっとはっきり書いていないので。 ○島田化学物質評価室長 ここはちょっと書きぶりが錯綜しており、UCLを使うという場合には、 最大値かつUCLがということになるのだろうと思いますけれども。 ○櫻井委員 いずれも未満。 ○島田化学物質評価室長 いずれも、両方とも上回らない場合、未満である場合ということにな ると思います。 ○圓藤委員 行政指導では。 ○櫻井委員 だから、これは両方未満だったら要らないことになりますね。 ○圓藤委員 要らないですね。 ○櫻井委員 これだと、何にもやらなくていい所は1つもなくなってしまう。 ○圓藤委員 これはよくわからないのですけれども。 ○棗田氏(中災防) 1次評価値を超えているので、RLの10-4を超えていて、2次評価値未満という 話なので、何もしなくていいのは1次評価値も超えていないもので、一応、発がんなので1次評価 値が10-4ぐらいのレベルの、非常に低濃度ですが、そこの部分の濃度は超えていて、だけれども2 次評価値のTLVは超えていないというところの部分のものについては、行政指導を検討するという ことだと思うのです。これは私が説明することではないかもしれません。 ○名古屋座長 この流れから言うとそうですね。 ○島田化学物質評価室長 いまの説明をさせていただこうと思ったのです。ただ、実は櫻井先生 から指摘を累次いただいております。発がんでない場合ということになると、圓藤先生が言われ ているようなものも、確かにその場合には何にもする必要がないという可能性はあるので、ちょ っとそこで躊躇してしまいましたということで。 ○名古屋座長 一応、1次評価値を超えているから、その中では若干、もしかしたらあるかもしれ ない。すべてというわけではないかもしれないけれども、あるかもしれないという流れになって いますので、そういうことだと思いますので。本来は、見ると2つ下がっているのになぜやるのと いうのは、確かにそういうことだと思います。あとは、先ほどお話しましたように、個人ばく露 濃度を測ったのをTWAに持っていくので、それをそのままTWAとしていいのか、あるいは時間で直 すのかどうか。この辺のところは測定をされる方の所で、もう1回きちんとやらなければいけない。 この前の親委員会でもありましたように、6時間なのだけれども、そのあと何もしなかったら8時 間の時間で割ってもいいという形があって、このTWAの直し方については測定のところでもう少し 揉まないといけないと思いますが、とりあえずあくまでも8時間、TWAで評価するのだということ だけは、一応了解されておけばいいのかなと思います。 ○唐沢委員 これは言葉の話ですが、資料3-1の(1)と(2)は「発がん性物質」になっているから、「閾 値がないと考えられる」というのを加えていただく必要があります。2カ所ありますけれども。 ○名古屋座長 一応、2-1、3-1ということは3-2の資料ということで。 ○櫻井委員 もう1つ、資料2-1の3頁の(14)の2次評価という所です。これの5つ目のポツなのですが、 「TWA又はUCLが2次評価値未満であれば」と、これは先ほどと同じように「又は」ではなくて、「い ずれも2次評価値未満であれば」でないと、上が「又は」だから。 ○名古屋座長 先ほど文章は直すということと同じですね。 ○櫻井委員 先ほどと同じでないとおかしいということです。 ○名古屋座長 また、これを受けていろいろ意見を伺っていますが、とりあえずこの所はここで という形にしていこうと思います。3-3に進んでよろしいですか。 ○島田化学物質評価室長 説明を申し上げます。ただ、資料3-3については、3-1と3-2、あるいは それを含めた議論のまとめの部分です。唯一違う部分については、「基本的考え方」の部分に、多 少違うことが書いてありますので、そこだけ説明を差し上げたいと思います。「基本的考え方」の 1)については、前回説明を差し上げたものがそのまま載っておりますが、「国によるばく露評価の 目的は、特定の個人や事業場のばく露量の適合を判定することではなく、我が国における対象化 学物質の製造・取扱い作業におけるばく露レベルが労働者の健康障害を防止する上で妥当なもの であるか否かを評価し、これに応じて、リスク管理措置の導入の要否を判断することであり、右 を目的としてばく露評価、リスク判定を行うこととする」。これは前回どおりです。  2番目として、各測定に関する使用法・活用法というものに関する部分で、事務局なりのまとめ をした部分です。「ばく露評価のために採用する測定法としては、個人ばく露濃度測定、作業環境 測定(A測定、B測定)があるが、これら測定手法は以下に示すような特徴があることから、これ ら特徴を踏まえ、測定結果を有効に活用することが重要である」。1番目として、「個人ばく露濃度 測定については作業者のばく露量を測定する手法であり、また、ACGIHのTLVや日本産業衛生学会 の許容濃度との比較をする場合に有効となる。反面、特定の作業を対象として測定することは難 しい面を有する」。2点目ですが、「A測定については、対象作業場における化学物質の気中濃度を 測定し、対象作業による作業環境のばく露レベルを評価し、リスク管理措置の導入の要否を判断 する上で有効な測定法。反面、評価対象物質のように管理濃度が設定されていない物質について は、A測定による測定値を比較する基準値がないことから、当該測定結果の活用が限定される面を 有する。  B測定ですが、スポット測定も同種のものとして入れております。これについては、「化学物質 の発散源近傍で、製造・取扱いにより発生する化学物質の濃度を測定し、個々の作業によるばく 露濃度を測定し、個人ばく露濃度測定と並行して実施することにより、個人ばく露濃度測定結果 の解析等への活用が可能な手法である」ということです。これはあくまでも定義というものでは なくて、それぞれ特徴という形で入れております。  これについては、またご議論をいただくというよりは、改めてご意見をいただいて、その上で 基本的な考え方をまとめるようにしたらどうかなと思っておりますが。 ○名古屋座長 この3-3については、一応、基本的な考え方で、下の所は今日、議論している部分 があるので、またという形にしてもよろしいですか。 ○島田化学物質評価室長 本日の議論を踏まえて、修正をするようにいたします。 ○名古屋座長 基本的な考え方はよろしいですか。 ○櫻井委員 いまあまり細かくあれしてもしょうがないかもしれないのですが、ただ1つ、基本的 考え方の2)の(2)、「A測定については」という所です。これの下の3行、「反面、評価対象物質のよ うに管理濃度が設定されていない物質については」というのは、意味を成さないと思うのですね。 もともと今回調べようと思うのは、2次評価値で既にあるわけですから、それを流用して調べるわ けですから、調べようと思えば活用できると思います。管理濃度云々という話ではないので。 ○島田化学物質評価室長 実はいまご議論をいただいている評価値自体は、個人のばく露に対す る基準値というように我々は理解していたものですから、そういう書きぶりをしました。A測定に ついては、改めて検討いただいた上で設定されているものだと理解したものですから、そのよう に書いたのですが、実質は先生がおっしゃるように、流用しているということになると。 ○櫻井委員 ですから、今回A測定を利用しようとすれば、2次評価値を管理濃度と同等に考えて 活用できるわけですから。現に、仮に第1管理区分になるのか、第2管理区分になるのかというの を、計算してもらえるわけですよね。それは非常に参考になりますよ。 ○名古屋座長 たぶん言われているのは、管理濃度を決めるときには、もともと許容濃度を使っ ているのですが、管理濃度というのは、本来時間の概念があるのですが、時間の概念がないもの として扱われていて、一方、ばく露というのは時間の概念があるということなので、たぶんそう いう形の棲み分けはされているのですが、実情的には、ないものについてはいま言った2次評価値 を使っているということを、先生は心配されているのではないかという気がしますので。 ○唐沢委員 いま櫻井先生がおっしゃった続きなのですが、2)の(2)の最後の所は、例えばREACH がいまケミカルセーフティレポートでやろうとしているDNEL(Derived No Effect Level)ですね。 そこまではお考えになっていらっしゃるわけですか。 ○櫻井委員 それも全く同じだと思いますね。要するに、ばく露限界値がない物質、決まってい ない物質を取り扱う場合には、それを決めなければいけないだろうと。 ○唐沢委員 判断基準がない場合に。 ○櫻井委員 それは今回、先ほどの「主な意見」という所で、どこか1カ所ありましたね。仮のば く露限界値を決定して、それを評価するしかない。それしかない、頼るものはほかにないですか ら。そうするとREACHでいっているようなのも、全く同じだと思います。 ○圓藤委員 管理濃度そのものが、作業者がそこの現場にいる場合、ばく露が許容濃度を超えな い濃度である。もともとの考え方はそうですよね。 ○櫻井委員 そうです。 ○圓藤委員 だから、それでいいと思います。 ○名古屋座長 若干、文章を検討する用意があるかと思いますので、書き方だけ事務局と。 ○櫻井座長 書き方がちょっと違う。基準値がないことからというよりも、場の管理、ちょっと 意味がずれている。書き方がちょっと変わるのではないかという気がします。 ○島田化学物質評価室長 ご意見を踏まえて、また改めて修正をするようにいたします。 ○名古屋座長 「基本的考え方」の所は間違いなくいいと。書きぶりの話ですので、よろしくお 願いします。引き続き、その他の論点を含めた全体的な検討を進めたいと思います。前回までの 検討事項について、おかげさまで方向性が見えてきたのではないかと思いますので、報告書の検 討を始めたいと思います。今日は15分ぐらいと、本当に議事が悪くて申し訳ありません。資料を 若干説明していただいて、これは個別にやりますか。それとも、ざっと見てしまってしましょう か。次回検討があると思いますので、そのときに個別にやりますが、今日は時間がないので、骨 子だけザッと説明していただいて、またそれを見ていただいて、次回にそれを反映させてもらう という形でよろしいでしょうか。事務局、よろしくお願いします。 ○島田化学物質評価室長 通しで説明をするようにします。前回まで、論点、あるいは検討事項 ということで確認をいただいておりました資料を、参考1ということで用意しております。それを 報告書の形式に直すと、資料4のようになります。前回のご議論として抜けているようなものがあ れば、併せて参考1と見比べながら、指摘いただければと思います。  資料4ですが、報告書ということで、まず「はじめに」というところで、これについてはまだ内 容は入れておりません。第1番目として、「我が国のばく露調査の現状」についてはばく露調査の 流れということで、有害物ばく露作業報告を基点として、中災防に入っていただいているばく露 実態調査、そしてそれを踏まえて国の委員会、あるいは中災防での委員会で、ばく露評価を進め ています。2番目ですが、少量製造・取扱い作業の把握における課題が、今回ホルムアルデヒドの 所で出てまいりました。特にばく露調査で把握されていない作業が問題となるケースがあること を入れております。  それを踏まえて、2番目として、「有害物ばく露作業報告」について、ご議論をいただいたので、 その点についてまとめております。(1)として、有害物ばく露作業報告制度のしくみで、これは法 律上の義務付けのある行為です。それから、趣旨・目的については、リスク評価の実施を目的と した制度です。報告スキームとしては、年間1回だけということで、前年度の実績を報告する仕組 みです。報告内容については、ご覧のような報告内容で、パンフレット等でご確認をいただいた かと思います。報告の運用動向については、合計で59物質に関して報告を求めて、それが現在の 評価につながっているというものです。  (2)ですが、少量製造・取扱いを把握する上での課題です。この検討の中でご指摘いただいたの は、報告に関する認識の不足があるのではないかということで、誤った認識で報告を躊躇する事 業場があるということが指摘されています。報告の意識が高まらない可能性もあるということで す。中では、粗探しをしているのではないかという認識になっている可能性があるので、そこを ちゃんとすべきということがご議論されております。小規模事業場、特にPRTRの対象になってい ない、報告に対してあまり慣れていないような小規模の事業場については、なかなか報告の認識 が上がらないのではないかというご指摘でした。次の報告スキーム上の問題については、パンフ レットにおいて、報告しなくてもいいですということをいくつか書いておりますので、こういう ことによって、報告の必要が判断できないような場合が出てきているのではないかということで す。  次の頁ですが、前年度の実績を遡及して報告をいただく仕組みになっているので、記録が採ら れていない、あるいはそういった報告があることを認識しないと、なかなか記録の充実が図られ ないことになり、報告も上がらない可能性があるということです。また、中小の事業場において は、数年に一度受注があったときに、製造作業が発生するような場合があって、こういったもの は、単年度に1回限り報告を求めるような場合には把握できない、というご指摘もいただいており ます。  それから、その改善方向ということでは、基本的な考え方として、報告スキームの見直しとい うことでご議論いただいた2段階のスクリーニング方式にしたらよろしいのではないかと。それは 報告者の負担と、少量の製造をうまく引き出すという点を考慮するとの趣旨です。2番目として、 報告制度の趣旨・目的の周知ということで、先ほどあったような誤った認識に基づく躊躇をでき るだけ避けるような形にして、積極的に報告いただけるようにするということです。2点目は報告 スキームの改善点ということで、国による粗探しや、国の監督のための情報把握というように誤 認されないように、ちゃんとした周知・徹底を図る必要がある。  報告が必要となる事業場の明確化ということで、これについては2段階スクリーニング方式に移 行して、第1段階では報告すべき事業場については、数量等で限定しない、あるいは使っている物 については、遍く出していただくような仕組みにしていったほうがいいのではないかというご指 摘をいただいております。2番目として、報告率の向上のための方策ということで、1回だけの報 告から継続した報告にすべき、との指摘をいただきました。  スクリーニング方式の報告のスキームを採用するということで、作業の負担と軽減と、できる だけ少量の物も含めて出していただくということで、第1段階では報告項目を最小のものに絞る。 2番目として、第2段階としては特に作業上の作業動向を図るような仕組みにして、詳細な報告を 求めるということで、これについては第1段階で報告をされたものの一部から、より詳細な報告を いただく形になります。その際には、報告項目については、ばく露モデルの活用を考慮に入れる ということも、ご指摘をいただきました。報告対象物質の拡大については、特に第1段階において は、あまり次の年にやるものを限定して報告を出すというよりは、長期的にやるべきかどうかを 判断することも含めて、少し多い物質数について、報告を求め、最終的な作業のばく露実態調査 をやる事業場数は、逆に絞ったほうがいいというご指摘もいただいております。  報告対象期間の見直しについては、より精緻な取扱実績を把握するため次年度においてやるよ うなものを報告するような形にしてはどうか。それによって、次年度にやるということで、少量 の取扱いの実績の把握も期待できるのではないかということです。  報告内容の見直しについては、報告者の負担の軽減に重点を置くべき。報告しやすいスキーム の検討ということで、翌年度の取扱いを報告していただくようなスキームにする。それから、電 子入力方式の採用ということで、いま事業場では当然パソコンなどの導入が進んでいるわけです ので、そういった報告ができるような仕組みを検討したほうがいいというご指摘です。報告項目 の見直しについては、先ほどから申し上げたような関係で見直しを図ったらどうかということで した。  3点目ですが、「ばく露実態調査」については、調査の概要については、法律的な位置付けは任 意の調査であって、事業場の協力を得て行う調査である。目的としては、ばく露評価のために行 うものです。調査のスキームについては、ばく露が高いと推定される事業場を特定し、こういっ た事業場の協力の下に、作業内容の確認、個人ばく露測定、併せてスポット測定等を実施してい く。調査の内容については、事前調査として、対象化学物質の取扱工程、あるいはばく露レベル が高いと推定される作業に関する情報として、例えば取扱量・頻度、就業形態、作業時間等を把 握している状況です。それから、A測定、スポット測定も併せて実施していただいている状況です。 その結果の活用については、ばく露評価の情報として活用いただいています。  課題として挙げられているのは、調査全般としての課題については、1つは初期に出てきた調査 事業場において、企業ノウハウ等に該当する作業工程がある事業場の調査の協力の取り付けが、 なかなかできない状況にあるということと、国に代わって中災防にやっていただいておりますが、 それに関して多少の不安があって、情報漏洩にかかわる不安を払拭する必要があるということで した。  少量製造・取扱いを把握する上での課題としては、年度・季節が限定される作業の実態調査が 困難であるということで、中小企業等で、数年に1回のものとか、あるいは実際に調査に入る、秋 口から年度末ぐらいまでの間には行われないような作業が結構あって、調査ができない場合もあ ったということです。  (3)の改善の方向ですが、基本的な考え方については、調査手順の明確化・周知を図ることが重 要で、ガイドライン等を作っていく必要がある。それから、改善の内容としては、調査の趣旨・ 対象の明確化ということで、平均的な作業場を取るというよりは、ばく露の高い作業の特定を図 ることを検討いただきました。併せて、国の調査である旨の明確化を図る必要があるということ で、これに関する周知の努力が必要ということでした。  調査の手法の改善ということで、事前調査を充実していくべきということです。測定ができな い場合でも、モデルの活用が考えられるので、その前提として、聞き取りの調査も充実すべきと いうことです。ばく露モデルの活用については、実測ができない場合について、できるだけモデ ルの活用によって、推定をする試みも必要である。測定手法の改良については、個人ばく露測定 について、NIOSHのサンプリング手法などを参考にして、我が国でそういうマニュアル化を検討す べきであるということです。  A測定、スポット測定について、ACGIHなどでやっている短時間ばく露値なり、上限値との比較 が可能なスポット測定の採り方も検討する必要がある。個人ばく露測定と作業環境測定の効率的 な組合せの考慮ということで、本日もご議論いただいたような要因分析等で、うまく使っていく ようなことも考えられるのではないか。統計処理を可能とするサンプリングの採用ということで、 NIOSH等のサンプリング手法の採用ということです。これについては、必ずしもNIOSHということ ではありませんが、ご議論いただいて進めていきたいと思っています。  その他ですが、併せて経皮ばく露の調査についても、必要があると指摘されるものについて、 やっていくべきである。配慮すべき事項については、企業情報の保護と開示に関する手続につい ては、しっかりしなければいけないというご指摘でした。  「ばく露評価」の部分ですが、ばく露評価の現状については、評価のスキームでリスク評価手 順が定められているということで、現在、発がん性の評価に重点が置かれているという状況にあ ります。リスク評価検討会での方針がありましたので、そういうものについて把握する必要があ るということです。  2番目として、ばく露評価を進める上での課題です。我が国全体としてのばく露レベルの推定が 困難であるということで、本日メインの議題でご議論いただいたところです。把握された少量製 造・取扱い作業のばく露評価のあり方ということで、少量の物について、どのように除外をする なり何なりを検討する必要があるということで、これについては手順がまだ不明確な状況です。 国内外のばく露評価の動向ということで、特にヒアリングを行っていただいて、外部の情報を得 ていただきました。統計学的手法の活用ということで、NIOSH等のモデルを見ていただきました。 次の頁ですが、ばく露モデルの活用ということで、これについてもヒアリングをいただいたとこ ろです。  (4)として、ばく露評価の改善の方向ですが、ばく露評価手法の見直しということで、製造扱い 作業グループの分類とグループごとのばく露評価という形で挙げられておりますが、まだ十分ご 検討いただいていません。それから、ばく露評価の方法、基準の明確化についても、引き続きご 検討いただいております。統計的解析手法の活用も、いまご議論いただいているところです。モ デルの活用については、ばく露モデルの活用方策ということで、いくつかご指摘をいただいてい るところです。併せて、イの所で、ばく露モデルの活用のための体制の整備ということで、やは りモデルの検証、データベース化というものは、国が特に長期的なビジョンでやるべきだという ご指摘もいただいておりますので、そこについては報告書の中でとりまとめたいと思います。  モデルを活用する専門家の養成についても重要であるということで、若い専門家を長期的なビ ジョンの下で育てていく必要がある、との指摘をいただきました。詳細評価の新設については、2 段階の中で、詳細に評価をしていく必要があるということで、それについては今日、日化協のほ うからも山口さんにご出席いただいておりますが、業界との連携の下で進めていく必要があると いうご指摘をいただいております。その他、調査対象事業場の追加を策定する。ばく露評価の手 法の見直しについても、併せてご議論をする。  最後に、「まとめ」ということで、そのあとずれておりますが、6として開催経緯、小検討会の メンバーをご紹介しております。そのほか、付属書として、先ほどフローチャートのようなもの を作っておりますが、こういったものでスキームを明確にすることと、付属書の2で実態調査につ いての調査改善のポイントみたいなものを付して、このあとの技術的な検討に期待をするという 形にしたいと思います。付属書の3で、新たなばく露評価手順について、ばく露ガイドラインとい うことで、今日もご議論いただいている2-1の資料といったものをまとめて、ここに添付する予定 にしております。それからばく露の評価のモデル一覧ということで、まだ詳細な調査には至って いませんが、参考4を付けることも検討しております。  いずれにしても、これは報告書の骨子案ですので、今後この場でご議論をいただければと思う 次第です。説明が長くなって恐縮でございました。 ○名古屋座長 いままで議論されたことが骨子として盛り込まれており、本来これを個別に議論 していかなくてはいけなかったのですが、今日は申し訳ありません。時間の関係でできませんで、 次回以降になるかと思いますが、これを踏まえながら、骨子案を作っていただければということ です。今日は説明だけでしたが、持ち帰って何かお気付きの点がありましたら。 ○唐沢委員 直ちに気が付いてしまったのですが、5頁の4の「ばく露評価」の上の(3)「配慮すべ き事項」ということで、「調査に関連した企業情報の保護」ということで、矢印が2つあります。 上のほうで、原案の表現だと、「企業ノウハウに該当する場合があり、ばく露実態調査により得ら れた製造工程等の情報は、公開手順を明確化し、公表することが必要」と書いてある。これはこ のままだと、企業ノウハウは原則公開だということに受け取られてしまうので、そういうことで はなくて、企業ノウハウに該当する場合は、秘密は守るということ。それも含めて、「ばく露実態 調査により得られた製造工程等の情報については、守秘することも含めて取扱手順を具体的にき ちんと決める」と、こういう意味だと思いますから、その点はこの資料が独り歩きすると、誤解 を招きかねないので。  3頁の「報告対象期間の見直し」のいちばん上の矢印で、前年度実績方式にすると。これは確か にこの小検討会で出されたご意見だと思いますが、このようにやると、従来のやり方とかなりド ラスティックに変わるということですよね。場合によっては、アクションが1年遅れることになる ので、実務的に行政のほうでそれで差し支えないかどうか。私は前々から気になっているので、 あとは化審法の改正案では、一般化学物質の届け出制度が新たに導入される。これは完全に前年 度の結果を次年度に報告するということにはなっているようですが、ちょっとその辺が気になる ので、本当にそれでいいかどうかということです。 ○名古屋座長 それを含めて、今日説明いただいたものについて皆さんによく読んでいただいて、 次回以降これについて、個別のセクションごとに議論して、最終的な骨子案を作っていきたいと 思います。今日は時間がなくてそこまでいきませんで、申し訳ありません。お詫び申し上げます。 最後に、資料5の説明をよろしくお願いいたします。 ○大淵化学物質評価室長補佐 今後の検討予定の説明をさせていただきます。本日が第10回とい うことで、次回は11回になるのですが、こちらは少し時間を空けるような形で、また先生方と日 程調整をして、いつにするかは決めさせていただきます。 ○名古屋座長 ちょっと時間をオーバーしてしまいましたが、本日は大変ありがとうございまし た。また次回以降あるということですので、そのときはよろしくお願いします。どうもありがと うございました。 照会先: 労働基準局安全衛生部化学物質対策課                化学物質評価室  電話03-5253-1111(内線5511)