09/02/26 第36回労働政策審議会障害者雇用分科会議事録 第36回 労働政策審議会 障害者雇用分科会議事録 1.日時 平成21年2月26日(木)10:00〜12:00 2.場所 経済産業省別館第1012会議室(10階) 3.出席者  ○ 委員   (公益代表)  今野委員、岩村委員、菊池委員、平木委員、松矢委員   (労働者代表) 高橋(睦)委員、野村委員、花井委員   (使用者代表) 大島委員、新澤委員、高橋(弘)委員   (障害者代表) 鈴木委員、副島委員、舘委員、松井委員  ○ 事務局           岡崎高齢・障害者雇用対策部長、長門企画課長、吉永障害者雇用対策課長、           藤井地域就労支援室長、渡辺障害者雇用対策課調査官、           佐藤障害者雇用対策課主任障害者雇用専門官、川口障害者対策課長補佐 4.議題  (1)障害者の雇用の促進等に関する法律施行令等の一部を改正する政令案要綱等について(諮問) (2)障害者雇用対策基本方針(案)について(諮問) (3)除外率の見直しについて (4)その他 5.資料    1 障害者の雇用の促進等に関する法律施行令の一部を改正する政令案要綱等(諮問文)     2 障害者雇用対策基本方針(案)(諮問文)    3 障害者雇用率制度における除外率制度の見直しについて   参考資料    1 法改正に伴う政省令等の改正について    2 障害者雇用対策基本方針(案)新旧対照表 6.議事録経過 ○今野会長  時間になりましたので、開催させていただきます。第36回労働政策審議会障害者雇用 分科会を開催いたします。本日は、佐藤委員、泉田委員、豊島委員、飯ヶ谷委員、斉藤 委員がご欠席です。あと、野村委員と平木委員はいらっしゃる予定になっております。 それでは、早速議事に入らせていただきます。  本日の議題は、障害者の雇用の促進等に関する法律施行令等の一部を改正する政令案 要綱等についてと、2番目は障害者雇用対策基本方針(案)について、3番目は除外率の 見直しについて、4番目はその他ということになっております。  では、まず議題1の、障害者の雇用の促進等に関する法律施行令等の一部を改正する 政令案要綱等について、事務局から説明をお願いします。 ○事務局  それでは、障害者の雇用の促進等に関する法律施行令等の一部を改正する政令案要綱 等についてご説明いたします。お手元の資料1が諮問文でございます。今回の障害者雇 用促進法改正に伴う主要な政省令等の改正につきましては、前回の審議におきまして、 委員の皆様方からいくつかご意見をいただいておりますので、それらを踏まえた形で要 綱を諮問させていただいております。  前回の事務局案からの変更部分につきましては、参考資料1をご覧いただければと思 います。  前回から変更のあった部分のみご説明をいたします。まず、3ページでございますが、 2の事業協同組合等算定特例につきまして、事業協同組合等が雇用すべき身体障害者又 は知的障害者である労働者の数については、前回の事務局案では、雇用すべき障害者数 を2人としておりましたけれども、制度創設当初においては少し厳しいのではないかと いうご意見をいただいたところでございます。このため、今回、既存の事業協同組合に おける取組みの可能性等も考慮いたしまして、これを1人としております。なお、これ は、告示によることを予定してございますので、本日諮問はしておりません。  それから、4ページの(3)の特例対象となる組合の部分でございますが、前回の事務 局案の中に、生活衛生同業組合が含まれておりましたが、今回の案では対象から除いて おります。  次に、5ページをご覧いただければと思います。3の、障害者雇用調整金の分割支給 でございます。これにつきましては、1特例につき、分割支給先を10社以下とすると いうことで案を確定しております。  それから、7ページから8ページの中小企業への納付金制度の対象拡大に伴う障害者 雇用納付金の額及び障害者雇用調整金の額でございますが、中小企業が新たに障害者雇 用納付金制度の適用となる施行日から5年間における障害者雇用調整金の額につきまし ては、前回の事務局案では、通常の額である27,000円と報奨金の額である21,000円との 中間の24,000円としておりましたが、前回のご議論も踏まえ、現下の厳しい経済情勢の 下、雇用に対する一定のインセンティブとなることも考慮いたしまして、通常と同額の 27,000円といたしております。また、納付金の額については、前回と同様に、通常の8 割に相当する40,000円ということにいたしております。  それでは、資料1の諮問文の方に戻っていただきまして、これらの点を含めまして、 障害者の雇用の促進等に関する法律施行令の一部を改正する政令案要綱等について、読 み上げをさせていただきます。  障害者の雇用の促進等に関する法律施行令の一部を改正する政令案要綱  一 関係会社及び特定事業主に雇用される重度身体障害者又は重度知的障害者である 労働者の算定に当たっては、その一人をもって二人とみなすものとすること。  二 その他所要の規定の整備を行うこと。  三 この政令は、平成二十一年四月一日から施行するものとすること。  政令案については、以上でございます。続いて、省令案要綱の方を読ませていただき ます。  障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱  第一 事業協同組合等の範囲  特定事業主に雇用される労働者に関する特例の対象となる事業協同組合等は、事業協 同組合、水産加工業協同組合、商工組合及び商店街振興組合とすること。  第二 障害者雇用調整金等の分割支給  独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構は、親事業主、関係親事業主又は特定組合等 に係る事業主に対し、障害者雇用調整金又は報奨金を分割して支給することができるも のとすること。ただし、分割して支給することができる事業主の数は、十以内とするこ と。  第三 短時間労働者等の雇用義務対象への追加 一 雇用義務等に関する規定の適用に当たっては、短時間労働者については、その一 人をもって〇・五人とみなすものとすること。  二 雇用義務等に関する規定の適用に当たっては、身体障害者又は知的障害者である 短時間労働者については、その一人をもって〇・五人とみなすものとすること。  第四 障害者雇用調整金の単位調整額及び障害者雇用納付金の調整基礎額の減額  一 その雇用する労働者の数が常時二百一人以上三百人以下である事業主に係る障害 者雇用調整金の単位調整額及び障害者雇用納付金の調整基礎額は、平成二十二年七月一 日から平成二十七年六月三十日までの間は、それぞれ二万七千円及び四万円とすること。  二 その雇用する労働者の数が常時百一人以上二百人以下である事業主に係る障害者 雇用調整金の単位調整額及び障害者雇用納付金の調整基礎額は、平成二十七年四月一日 から平成三十二年三月三十一日までの間は、それぞれ二万七千円及び四万円とすること。  第五 障害者雇用支援センターの廃止  障害者雇用支援センターに係る規定を削除すること。  第六 その他  その他所要の規定の整備を行うこと。  第七 施行期日  この省令は、平成二十一年四月一日から施行するものとすること。ただし、第三及び 第四の一に掲げる事項については平成二十二年七月一日、第五に掲げる事項については 平成二十四年四月一日並びに第四の二に掲げる事項については平成二十七年四月一日か ら施行するものとすること。  以上でございます。 ○今野会長  ありがとうございました。それでは、以上の説明について、ご質問、ご意見をお願い します。どうぞ。 ○鈴木委員  人数と率の関係といいましょうか。重度の障害のある人については2人として換算さ れるというふうなことがありましたが、短時間労働の場合は0.5人という換算方法という ことでした。そうすると、単純に考えて、重度の障害のある人の短時間労働というのは、 1人とみてよろしいんでしょうか。 ○事務局  事務局でございます。その点は改正されておりませんので、ご指摘のとおり、重度短 時間の場合には1人とカウントされるということでございます。 ○今野会長  よろしいでしょうか。では、他に、大島委員どうぞ。 ○大島委員  障害者雇用納付金及び障害者雇用調整金の額についてちょっとご意見を申し上げたい と思います。これまでにもさんざん申し上げてきましたので、大変恐縮なんですけれど も、基本的理念として、商工会議所としては中小企業の支払い能力や厳しい経営環境に 配慮して、納付金の額は大企業と十分な差をつけ、また、インセンティブとなる調整金 についての額は、企業規模に拘わらず同額とすべきと考えております。ご承知のとおり、 昨年秋以来、日本経済は急激に落ち込んでおります。百年に一度と言われている今回の 不況は、これまでと比べて、需要の減少が極めて急激であり、かつ、落ち込みが激しい のが特徴であります。企業にとって十分な備えができていないうちに、仕事量が大幅に 減少して、特に中小企業の経営に大きな影響が出てしまったのが現状でございます。  商工会議所の早期景気観測調査の1月の結果を見ましても、全産業の業況の景況判断 指数というのがございまして、これがマイナスの71.3になっておりまして、1989年4月 の調査開始後最悪の数値を記録しております。また、全産業合計の売上景況判断指数、 あと、採算景況判断指数ですけれども、やはり調査開始後最悪の数値を記録しました。 また、さらに受注や売上げの低迷に伴う採算悪化などの影響により、倒産、廃業や人員 削減が増加しておりまして、従業員の景況判断指数はマイナスの18.1と、過剰感が強ま っておりまして、2002年3月の水準となっております。  このように、景気の調査においても、大変厳しい中小企業の経営実態が浮き彫りにな っておりますが、中小企業の多くは、必要とする人材を十分に確保することができない ことが多いこともあり、以前から雇用の維持に必死に努力したが、もはや限界にきてい る企業も少なくありません。今後の雇用問題について、日本商工会議所は2月4日に意 見書をとりまとめておりますが、その内容のポイントは、まず、セーフティーネットの 構築・拡充をすべきであり、雇用問題の根本的解決に、新たな需要の創出が必要であり、 それがなければ雇用は創出できないとしており、多くの企業で雇用を拡大することは困 難な状況である以上、納付金は雇用率を達成したくても達成できない企業にも課せられ ることを前提に議論すべきではないかと考えております。  このように、経済状況、経営環境が大幅に急激に落ち込んでいるということを考え合 わせますと、納付金の金額を通常の8割に相当する40,000円とする厚生労働省案につい ては、最低でも通常の6割程度に減額するなど、中小企業に対して、一層の配慮を図っ ていただきたいと思います。一方、調整金については、非常に厳しい経営環境の中、障 害者雇用に積極的に取り組んでいる中小企業に対しては、大企業と同じインセンティブ を与えるべきであると考えていますが、その点ご理解いただき、大変感謝をいたしてお ります。皆様には、是非とも現在の経営状況、経営環境が、障害者雇用促進法の改正を 審議した当時、つまり平成18年から19年とは全く違っていることを認識していただ いた上で、本件をご議論していただければ幸いに存じます。以上でございます。 ○今野会長  他にございますでしょうか。どうぞ。 ○花井委員  納付金と調整金について、意見を述べさせていただきます。最近の労働関係法制は、 その施行に当たって、中小企業に対して猶予期間を設けるということが当たり前になっ ているのではないかと考えております。例えば、最近では、改正労基法でも、中小企業 に対する執行猶予期間がありました。100人規模の中小企業であっても、大変利益を上げ て経営をしている企業もあります。企業規模によって猶予期間や経過措置を設けるダブ ルスタンダードという在り方は、今後見直すべきではないかと考えております。  また、前回も述べましたが、101人以上の企業に納付金制度が適用されるという時期 はあまりにも先ではないかと考えております。平成32年、つまり、10年先の2020年にな ってようやく制度が通常に実施されるというのが、今の運営状況であります。現下の厳 しい経済情勢の下ということで、一定の理解は持っているつもりですが、経済情勢が好 転して、景気が回復した場合、早期に中小企業に対する猶予期間や経過措置を見直して いくべきではないかと考えております。 ○今野会長  他にございますでしょうか。どうぞ。 ○高齢・障害者雇用対策部長  今、お二人の委員からのご意見がありました。私どもは、一方では、やはり障害者の 雇用を進めていきたいという思いは強く持っております。ただ、一方で、企業におきま す受入れについて、特に、是非ここは積極的にというふうに思っております。そういう 中で、納付金、調整金の制度をどういう形で適用していくか。特に、制度発足以来、こ れまで適用を猶予してきたという、長い経緯もあるわけであります。これにつきまして は、今、経過措置が長すぎる等々のお話もありましたけれども、これは一昨年、法律を 出す前の過程で相当皆さん方にご議論をいただきました中で、こういう形にしていただ いたものでありますが、この猶予がなければ中小企業が障害者雇用をしないというわけ でもございません。中小企業団体の委員の皆さんからも、基本的には積極的にというお 話もありますので、私どもとしては、制度の適用につきましては、この法律の考え方に 基づかせていただきつつ、一方、積極的に障害者雇用に取り組んでいただく企業につき ましては、助成措置の面でも、あるいはハローワークにおきます様々な支援の面でも、 十分に配慮しながら、積極的に進めていきたいということを考えておりますので、そう いうことでご理解をいただきたいと思います。  一方で、現下の厳しい雇用情勢については、私ども職業安定行政全体としまして、雇 用の関係で様々な対応をしつつあります。そういう中で、ハローワークにつきましても、 一方では、離職を余儀なくされて、ハローワークに職を求めている方も急増しておりま す。一方では、中小企業を中心に何とか雇用維持をしたいという中で、雇用調整助成金 等、雇用維持のための助成措置を使いたいと、これもまた相当多くの中小企業の皆さん 方が来ております。それは、何とか雇用維持をしたいという意欲の表れというふうに思 っております。こういう厳しい環境の中で、どうやって進めていくかということであり ますが、そういう状況を、それぞれの立場で理解し合いながら、進めていくということ にせざるを得ないのではないかと思っております。  そういう中で、やはり、積極的に雇っていただく部分につきましては、今回お示しし ましたように、調整金につきましても、同額ということにしましたし、それ以外の雇入 れの助成につきましても、20年度の第一次補正、第二次補正それぞれで、相当拡充をし ております。従いまして、中小企業等で、厳しい中でも雇入れをしていただく企業につ きましては、最初の1年、2年の部分についての助成は相当やっております。そういう 全体の中で、中小企業の厳しい状況と、それから障害者雇用を巡るこれまた厳しい状況 があります。障害者の解雇者数も、10月までは昨年並みだったのですが、11月、12月は 増えてきております。1月はまだ全国的には調査中ではございますが、これもまた厳し い状況ではないかと思われます。そういう状況でありますので、その全体をご理解いた だきまして、私どもといたしましても、中小企業に対しては最大限支援をしていくとい うことをお約束したいと思いますので、そういう中でご理解をいただければ幸いでござ います。 ○今野会長  他にご意見ございますか。よろしいでしょうか。それでは、私としましては、今回の 厚生労働省案は、これまで長い議論を重ねてきた結果として出されてきたものですので、 妥当であるというふうに認めたいと思っております。ただ、今日ご意見がございました ので、少し異例なんですけれども、現在のこの厳しい経済状況の中で、中小企業が障害 者雇用を進められるようにするための支援等の配慮をするというような趣旨を付記して、 厚生労働省案を概ね妥当というふうに認めたいと、私としては考えておりますが、いか がでございましょうか。  (異議なし) よろしいでしょうか。それでは、そういうことで、労働政策審議会の会長に私からご報 告を申し上げるということにさせていただきます。それでは、報告文案をお願いします。 お読みいただけましたでしょうか。よろしいでしょうか。  (異議なし) この内容で報告をさせていただきたいと思います。それでは、今後につきましては、こ の内容を労働政策審議会会長宛に報告をして、労働政策審議会会長から厚生労働大臣に 答申するということになります。ありがとうございます。  それでは、次の議題に移ることにします。議題2は、障害者雇用対策基本方針案につ いてです。事務局から説明をお願いします。 ○事務局  それでは、障害者雇用対策基本方針(案)についてご説明いたします。障害者雇用対策 基本方針については、厚生労働省告示によることといたしておりまして、お手元の資料 2が諮問文となっております。これにつきましては、前回の審議におきまして、委員の 皆様方からいただいたご意見等を踏まえた形で諮問させていただいております。本案は 大変分量が多くなっておりますので、恐縮でございますけれども、前回の事務局案から 変更している主な点についてご説明をさせていただきまして、諮問文の説明とさせてい ただければと思います。資料につきましては、お手元の参考資料の2、障害者雇用対策 基本方針(案)の新旧対照表になっておりますが、これをご覧いただければと思います。  まず、6ページをご覧いただければと思います。第2の1でございます。これにつき ましては、前回の事務局案では、障害の種類及び程度に応じたきめ細やかな措置の開発 としておりましたが、前回の舘委員のご指摘を受けまして、「措置」を「支援技法等」 と改めております。併せて、それ以降の部分についても、これを反映する形で所要の修 正をいたしております。  次に9ページでございます。5専門的知識を有する人材の育成の「福祉から雇用への 移行を促進するため」、以下の下線が引かれている部分でございますが、地域の就労支 援に従事する者に対する研修の実施主体として、障害者職業総合センター及び地域障害 者職業センターを明記いたしております。併せて、地域の就労機関の例示として、障害 者就業・生活支援センターを追記いたしております。  次に10ページをご覧いただければと思います。第3事業主が行うべき雇用管理に関し て指針となるべき事項でございます。前回の審議で「その適性と能力に応じて」という 文言について、障害の種類と程度に応じた支援ニーズという点を踏まえて工夫すべきと のご意見をいただいておりましたので、これを踏まえまして、「その能力や適性が十分 発揮できる」と修正をいたしております。  それから、11ページをご覧いただければと思います。1(5)職場定着の推進でござい ます。ここでは、障害者職業生活相談員について、障害者就業・生活支援センターとの 連携による生活面も含めた相談・支援を図る旨を追記をいたしております。  おめくりいただきまして、13ページの2(1)ロ聴覚・言語障害者の部分でございます。 下線を引いておりますが、光、振動、文字等、視覚等による情報伝達の設備の整備、そ れから、手話のできる同僚等の育成を図ること等について、追加しております。  同じく、13ページのヘ中途障害の部分でございますが、鈴木委員からのご指摘を踏ま え、視覚障害者に対するロービジョンケアについて、これが全盲を含むものである旨を 明記いたしております。  それから、16ページをご覧頂きたいと思います。第4の1障害者雇用率制度の達成指 導の強化につきまして、公的機関については、未達成機関を公表すること等により達成 指導を強力に実施する旨を追記いたしております。  それから、19ページの6でございますが、難病相談支援センターの後に、高次脳機能 障害支援拠点機関を追記いたしております。  20ページをご覧頂きまして、9関係機関との連携等でございますが、地域障害者職業 センターにおける地域の就労関係機関に対する人的支援を含めた助言・援助等について 追記をいたしております。  それから、21ページの11研究開発等の推進でございますが、前回、松矢委員からご意 見をいただいておりましたが、発達障害者への支援機器の開発の必要性を踏まえまして、 「発達障害者を含め」と追記しております。また、障害・疾患等について雇用管理に関 する情報の収集、蓄積等につきましても、発達障害者が対象に含まれる旨を明示をいた しております。以上でございます。 ○今野会長  ありがとうございました。それでは、以上の説明について、ご質問、ご意見をお願い いたします。はい、どうぞ。 ○舘委員  この基本方針は、法的にいうと、どういう位置付けになるんでしょうか。 ○事務局  事務局でございます。この基本方針でございますが、いくつかの法的性質をもってお りますが、大きくは今後の障害者雇用施策の方向性を示すものです。特に、「はじめに」、 あるいは「第4」の辺りがこの部分に相当します。この他に、障害者雇用促進法に基づ く雇用管理についての、事業主の方の努力義務、責務というものに関する、それを具体 化する事項として、この基本方針の中では、第3に当たる部分ですが、こういったもの を定めることとなっております。 ○舘委員  そうしますと、事業主に関する雇用管理のところを抜かせば、厚生労働省さんの決意 表明というか、これからの施策の方向性を明示したものと考えていいわけですね。 ○事務局  そうですね。政府のといいますか、厚生労働省のといいますか。 ○舘委員  旧の時も結局何も総括というのは行われていないで、次の新に移ってしまったんです けれども、やはり私は、こういう方針を出したんだったらば、24年度までこれでいくわ けですから、やっぱり総括をして、また新たに目標を持って進むべきではないかなと思 うのです。これは前回も申し上げたことですが、いわゆる政策評価ということなんです けれども、それが無理だとすれば、実行上、いろいろな情報の公開といいますか、提供 といいますか、そういうものを積極的にやっていただきたいなというのが私の願いでご ざいます。 ○今野会長  何かございますか。 ○事務局  ご指摘のことは、前回、この分科会で舘委員からご意見があったことと共通する部分 があると思います。おっしゃるとおり、障害者雇用に関する様々な施策を実施するに当 たっては、毎年の事業評価もございますが、おっしゃったように、実行上も含めて、し っかり評価をしながら進めていくべきということは、事務方としても認識をしておると ころでございます。 ○今野会長  舘委員の意見は、もう少し外から見て分かりやすいように、総括と情報を出せという ことですね。はい、どうぞ。 ○障害者雇用対策課長  障害者雇用の状況につきましては、この審議会でも、私どもが持っている情報をかな り提出して議論をしてきたというつもりでおります。今回、特に法改正の関係もござい まして、進捗状況、今後の課題等々、かなりの回数でご議論いただきました。その中で、 私どもとしても、持てる資料につきましては、提供してまいったつもりではありますが、 今後とも障害者雇用の進捗状況等々、審議会あるいは一般に提供しながら、全体として、 どういう形で更なる底上げを図っていけるかということにつきましては、努力してまい りたいというふうに考えております。 ○今野会長  他にご意見はございますか。それでは、この基本方針の文面については、もう3回か 4回ぐらい皆さんのご意見をいただいては修正する、ということをやってきましたので、 この文面で、当分科会としては、この厚生労働省案を妥当というふうに認めて、その旨 を私から労働政策審議会会長に報告申し上げるということにしたいと思いますが、よろ しゅうございますか。 (異議なし) よろしいですか。それではまた、報告文を配布してください。お読みいただきましたで しょうか。よろしいでしょうか。 (異議なし) それでは、その案のとおりにしたいと思っておりますので、よろしゅうございますでし ょうか。(「異議なし。」)ありがとうございました。それでは、今後につきましては、 この内容を労働政策審議会会長あてに報告をし、労働政策審議会会長から厚生労働大臣 に答申するということになります。ありがとうございました。  それでは、次の議題にいきます。除外率の見直しについてです。これも、まず事務局 から説明をお願いします。 ○事務局  それでは、資料の3に基づきまして、障害者雇用率制度における除外率制度の見直し につきまして、ご説明をさせていただきます。ご案内のとおり、障害者雇用率制度にお きましては、社会連帯の理念に基づきまして、事業主が雇用する常用労働者の数の一定 割合に見合う数の身体障害者又は知的障害者を雇用すべき事業主に課しているところで ございますけれども、除外率制度につきましては、この雇用義務となる障害者数を算出 する際に、障害者が就業することが困難とされる職種の労働者が、相当の割合を占める 業種の事業所について、業種毎に定めた割合により雇用義務を軽減するというものでご ざいます。  除外率制度につきましては、ノーマライゼーションの観点から、平成14年の障害者雇 用促進法改正におきまして、除外率設定業種における障害者の雇用の状況等を考慮し、 段階的に縮小・廃止していくということとされておりまして、平成16年4月に、全業種 について、一律10パーセントの引き下げが行われております。資料の3ページ、4ペー ジをご覧いただきますと、これまでの経緯といたしまして、関連する障害者雇用促進法 の規定、障害者基本計画及び労働政策審議会の意見書等をまとめておりますので、適宜 ご参照いただければと思います。  平成14年の法改正におきましては、除外率の段階的な縮小・廃止という方向性に沿い まして、法律的には除外率制度にかかる規定については、本則から削除されて、法の附 則において、経過措置として措置されております。また、平成14年12月に閣議決定され た障害者基本計画、これは平成15年度から24年度の10年間を計画期間とするものでござ いますが、同計画におきましても、段階的な縮小及び廃止の方向性が盛り込まれている ということでございます。  このような除外率制度の見直しの方向性の中、近年における障害者の雇用の状況につ いて見ますと、障害者の就労意欲の高まり、それから、企業におけるCSRの意識の高 まり等を背景として、着実に進展していると考えられるところでございます。  実雇用率につきまして、前回除外率の引下げを実施した平成16年と20年を比較します と、この1ページの下のところにありますけれども、除外率設定業種の実雇用率につき ましては、全体として1.56から1.74%へと、0.18ポイント、約0.2ポイントでございます が、上昇いたしているところでございます。なお、その下の、参考2のところに、民間 の全事業主の実雇用率推移についてございますけれども、これにつきましては、平成16 年の1.6%から平成20年には1.59%ということで、全体では0.13ポイントの上昇となってい るところでございます。  2ページをご覧いただければと思います。こうした状況の中でございますが、平成19 年12月の労働政策審議会の意見書におきまして、除外率については、法律の規定等に沿 って段階的に引き下げ、廃止を目指すという基本的方向に基づき、今回、一定の引下げ を行うことが適当としていただいたところでございます。また、同月に、障害者施策推 進本部で決定された重点施策実施5カ年計画、これは障害者基本計画の計画期間の後半 5年を対象とするものでございますが、同計画においても、除外率の縮小・廃止の方向 性が明記されております。また、4ページの(4)のところにございますように、労働政策 審議会の意見書におきまして、障害者雇用率の見直しについて、短時間労働の雇用義務 化とともに除外率の引下げを行うことを前提に、障害者雇用率を現行どおりとすること が適当とのご意見をいただいているところでございます。  このような状況を踏まえまして、今回除外率の引下げを行うこととして、見直し案を お示ししているところでございますが、まず、除外率の引下げ率につきましては、意見 書におきまして、社会連帯責任の理念の下、平成16年に一律10%ポイント引き下げたこ とを参考としつつ、具体的な引下げの方向について検討することが適当とされておりま すので、これを踏まえまして、全ての除外率設定業種について、一律10%引き下げるとい うことを考えております。  5ページをご覧いただければと思います。ここに見直し後の除外率設定業種毎の除外 率の案について、お示ししております。  それでは、2ページに戻っていただきまして、除外率引下げの実施スケジュールでご ざいますが、事業主によっては、除外率の引下げによる実雇用率の低下に伴いまして、 法定雇用率を達成するために新たに障害者を雇用する必要が生じることになりますが、 今般の大変厳しい経済情勢に鑑みまして、事業主の負担についても考慮する必要がある と考えております。このため、引下げの実施に際しましては、一定の準備期間を設ける ことといたしまして、平成22年7月より引下げを実施するということで、案をお示しし ているところでございます。  それから、公的機関でございますけれども、これにつきましては、ご案内のとおり、 平成16年より、民間事業主の除外率の縮小・廃止の方向性と合わせまして、警察官や自 衛官などを除いて、除外職員を廃したところでございまして、経過措置として、廃止さ れた除外職員の割合に応じて除外率を設定しているところでございます。公的機関につ きましては、障害者雇用について、民間事業主に率先垂範すべき立場にあると考えてご ざいますので、民間事業主と同様に、除外率を引き下げることといたしまして、引下げ 率についても、同じく一律10%とするということで案をお示ししております。今回、こ のような廃止に向けた段階的縮小という方向性に添った形で事務局案をお示しさせてい ただいておりますが、これにつきまして委員の皆様のご議論をいただければと思います。 以上でございます。 ○今野会長  それでは、以上の説明について、ご意見、ご質問をお願いします。どうぞ。 ○鈴木委員  今、除外率の表をずっと見ていたんですが、郵便業には2つあって、10%から0%に なったのと、もう1つは、30%から20%になったというものがあります。業種が違うから 2つなんでしょうが、郵便は職員全員がそれを配達するというのではないので、ここの 除外率は、30から20ではなくて、30から10とか、または0にしてもいいのてはないかと 思うのですが、どうなんでしょうか。 ○今野会長  まず、これは郵便局と郵便業だよね。そこがどう違うかも含めてお願いします。 ○高齢・障害者雇用対策部長  郵政公社の民営化の際に業種区分が分かれました。いわゆる郵便局会社の部分と郵便 事業の部分と分かれております。郵便事業の方は、配達なりあるいは局間の運送なりを 含めて、運送業に類似した業種というふうに認識をしています。郵便局会社の方は、む しろ配達等の業務はあまりないということでありますので、民営化の際にご議論してい ただいて、10%と設定したわけでありますが、今回10%ポイント下げれば、ゼロになると いうことであります。従って、残された部分は、どちらかというと、運送業に近いよう な業態というふうに、私どもとしては認識しているということでございます。 ○今野会長  よろしいですか。どうぞ。 ○鈴木委員  言っていることはよく分かるのではありますが、この郵便事業会社というのは、もの すごく大きい組織ですよね。今まで公だったということもあって、民間になったとはい えども、結構組織的にはものすごく大きいところなので、ここの除外率が20%というのは いかがなものかと思います。なおかつ、一般事務ですとか、仕事をきちんと見ていけば、 いわゆる出来ない仕事はないのではないでしょうか。あまり、この辺を甘くしてしまう と、一般企業さんのところが、郵便事業は一般企業と言われてしまえばそうかも知れな いんですが、他の中小企業さんとか、そういったところで頑張っているところの模範に ならないのではないかと思うわけです。ですから、もう少し下げて、ゼロにしていただ ければなおさら結構なんですが、どうなんでしょうか。 ○障害者雇用対策課長  今ほど岡崎部長の方からご回答いたしましたとおり、日本郵政の民営化に際して、こ れをどうするかという形は、一昨年の秋になりますが、議論いたしまして、この水準に させていただいたところでございます。実際に、この郵便事業の30%の部分というのは、 実際にやっている仕事が道路貨物に極めて近いということ、ちょっと手元に数字はもっ ておりませんけれども、その時の整理として、中身が類似しており、全くの民間企業に なったということで、そういった形でやらせていただいたということでございます。旧 郵政の関係の会社は、特例子会社をつくったり、一定の努力はしていると思っておりま すので、そういう中で、ご指摘の点を踏まえて、公的分野ではなくなってはおりますけ れども、率先垂範するような立場で障害者雇用を進めていただきたいという形でむしろ 進めていきたいと思っております。従来ですと、もう少し高い除外率が全体としてかか っていたという状況でありますので、そういう中で、こういう形で進めていくというこ とで一つひとつやりながら、鈴木委員ご指摘のとおり、公的な部分で、しかも規模の大 きな企業ということを踏まえ つつ、こういう形で障害者雇用を進めていきたいと考えております。 ○今野会長  はい、どうぞ。 ○舘委員  今の鈴木委員の発言に関してなんですけれども、ヤマト運輸のメール便はかなりの人 数の障害者がやっているんですね。ですから、ヤマトができて、日本郵政ができないと いうことはないわけなんですね。ですから、やっぱり鈴木委員がおっしゃるように、ち ょっと甘いんじゃないかなという感じがするんですけれども。 ○今野会長  ヤマトはこの業種でいくと、どこに入るんですか。多分どこかに入るんですよね。 ○障害者雇用対策課長  道路貨物です。 ○今野会長  どうぞ。 ○菊池委員  高等教育機関なんですけれども、例えば、私どもの大学なども、まだまだ障害のある 方の参加が少ないということがありまして、例えば高等教育機関などについては、まさ に30ではなくて、ゼロでもいいぐらいではないかというふうに思うんです。これは、も しそういうふうになりますと、大学の校舎自体のバリアフリー化ですとか、そういうも のにも波及していきます。それからまた、高等教育機関の学生に対する、いろいろな意 味での教育的なことにもなりますので、この高等教育機関に関しては、もっと下げても いいのではないかと思います。いずれこの除外率はゼロに向かうということであれば、 これでいいのかも知れませんけれども、でも、少し早めにといいますか、高等教育機関 はもう少し低くてもいいのではないかと思います。 ○今野会長  どうぞ。 ○高橋(睦)委員 除外率の表の中に、中等教育機関が入っていないのですが、これは除外率はゼロと考 えてよいのですか。また、特殊教育諸学校とありますが、これは現在の特別支援学校と いうことでしょうか。 ○事務局  ご指摘のとおり、幼稚園とか小学校は入っていますが、中学校は入っておりません。 ○高橋(睦)委員  中等教育機関の除外率がゼロであれば、高等教育機関の除外率はもっと低くてよいの ではないでしょうか。 ○今野会長  今の岩村委員のコメントは、小学校の場合は全教科担当だからということなのかなと いうことでした。中高だと専門分野別だからということなんですかね。今日は皆さんの 意見をいただく段階ですので、あまり不正確なことを聞いても仕方ないので、調べてお いていただきましょう。はい、どうぞ。 ○花井委員  除外率については、今回の政省令等の改正によって企業グループ特例や、事業協同組 合等特例が認められることになったことを踏まえて、少なくとも今回は除外率を50%まで 下げるべきではないかと思います。例えば、除外率の見直しが5年に1回で、除外率を 10%ずつ引き下げた場合、現在の除外率が80%の職種は、40年かかることになります。し たがって、引下げのスピードを上げるということと、少なくとも今回除外率50%までは下 げるべきではないかということが第一点です。  もう一点は、小学校と幼稚園の除外率は、55%と60%となっておりますが、今教育分野 ではインクルーシブ教育が盛んに主張されて、実践に移されているかと思います。そう いう観点から、少なくとも小学校と幼稚園の除外率は50%に引き下げるべきであり、さら に引き下げることを目指して、スケジュールを早めるべきではないかと思います。以上 です。 ○今野会長  今、花井委員が言われた50%というのは、とにかく最高でも50にしろという意味ですね。 ○花井委員  はい。今回、グループ企業特例等が認められることになったこと等を踏まえたうえで、 ということです。 ○今野会長  どうぞ。 ○菊池委員  この業種というのは、昭和何年かのかなり前の分類だと思いまして、既にこの中にな いのはいいんですけれども、新たに今の時代で、例えばIT産業ですとか、今の時代の業 種があると思うんですけれども、そういうものについてはどこに入っているんでしょう か。例えば、IT産業などはどこに入るんでしょうか。 ○高齢・障害者雇用対策課長  業種分類については、標準産業分類の見直し等に伴って、これまで見直してきており ます。ここに入っていないものについては、除外率はないということですから、ゼロと いうことでございます。 ○菊池委員  分かりました。 ○障害者雇用対策課長  いろいろご意見をいただきましたので、これまでの経過につきまして、再度確認的に 発言させていただきます。元々この除外率制度は昭和35年に、現在の障害者雇用促進法 の前の法律であります身体障害者雇用促進法ができた時に導入されたものでございます。 その時には、雇用率制度は導入されておりましたが、努力義務ということで、かつ対象 は身体障害者に限られていたということでございます。その当時、3つの要件を定めま して、それに該当する職種、当時は職種でやっておりましたけれども、職種について、 雇用率を除 外するという形で設定しておりました。  1つは、専門知識等があるということで、任用の幅が非常に狭いということ。もう1 つは、例えば高所作業があるとか、そういう非常に危険があるというようなところで、 なかなか身体障害者が就きにくい職種ということでございます。それから、交通機関の 職員のような形で、他人の生命・身体に重大な影響を与える職種について定めたという ことです。この3つの要件を前提として定めたものでございます。この3つの要件が適 正であったかということも考える必要があるかと思っておりますけれども、それに基づ いて職種が設定されたということでございます。  今の障害者雇用促進法に変わったのは昭和52年でございますが、その際に、努力義務 から義務化をされました。その際に、1人の人がいろんな職務に就きますので、職務で やるとなかなか分かりにくいということで、それをそのまま平行移動させて、除外率と いう形にしたというものでございます。また、それ以降、平成14年まで、除外率制度が 存在してきたということでございますが、元々の発想としては、昭和35年の段階のもの がそのまま生き残ってきてしまったということでございます。そういう意味で、ここに 書かれておりますリストだけ見ると、非常に違和感のあるものもございますし、また、 今は知的障害者 が雇用率制度の中に入っており、また、精神障害者が実雇用率についてカウントできる という状況の中でどうかということからすると、早期に解消していく必要があるのだろ うと思っております。また、過去、昭和35年以降、10%は下げましたけれども、なかなか いじってこれなかったということ、また、対象の労働者数については、まだ500万人ぐら いいるという状況の下で、いきなりなかなか大きな改正ができないという中で、今回、 前回同様10%ポイント引き下げるということのご提案をさせていただいているところでご ざいます。なかなか個別で見ると、もうほとんどなくなりつつあるような産業も入って おりますし、またご指摘の点のように、障害者の雇用の余地のあるような産業というの も入っているわけでございます。現時点において、これだけの業種が残っている中で、 解消する方向で動いていくということで、ご提案としては前回同様、10%ポイントの引 下げでどうかという形でご提案しているところでございます。全体の状況、あるいは経 済状況等々というものもありますので、その辺りもご賢察いただきながらご議論いただ ければと考えております。 ○今野会長  どうぞ。 ○高橋(睦)委員  先ほどの花井委員から、小学校、幼稚園の除外率が高いのではないかという指摘があ りましたが、私も同じ意見を持っております。特に小学校です。中等教育機関は除外率 がないということについては、教科担任制ということで、一定の納得はできるのですが、 小学校も全教科を1人で受け持つということだけではなくて、今は専科制を敷いている ところもあります。それから、教員という職種でなくても、例えば事務局などの、様々 な職種が学校の中には入っています。仮に小学校の除外率が50%になったとしても、1,0 00人規模の学校で障害者が雇用されるのは、9人程度です。小学校の除外率がもっと低く てもそれぞれ学校の中において、健常者と障害者が、共に働ける場として、可能ではな いかと思います。 ○岩村委員  ちょっとよろしいですか。ここで出てくるのは民間ですよね。公務部門ではないです よね。ですから、ここでの小学校というのは、私立の小学校を前提としているというこ とです。 ○高橋(睦)委員  そうですか。民間だけですか。 ○岩村委員  これは公務部門も含めてですか。 ○障害者雇用対策課長  これ自体は民間の数字でございますが、これをそのまま公的部門にも平行移動する形 で適用はしております。 ○高齢・障害者雇用対策部長  省令で定めている除外率は民間部門で、公務部門は政令で定めるという、違う形には なっておりますが、率は同じにしています。そういう意味では、公務部門も同じ率だと いうことでご議論いただいて結構だというふうに思います。 ○岩村委員  ご承知のように、小中学校なんかになると、民間と公務とでは、公教育の経営規模の 状況がかなり違うので、除外率を10%下げるということによる影響は、やはり民間と公 教育ではかなり違うということは考えておく必要はあるかと思います。 ○今野会長  どうぞ。ご意見を出してください。 ○花井委員  例えば、民間の学校法人の中に5つの学校があるといった場合、今回のグループ特例 が適用されれば、グループ全体によって障害者雇用率がカウントされるのでしょうか。 ○高齢・障害者雇用対策部長  全体の雇用義務数は、企業なら企業、あるいは、グループ適用を受けていればグルー プ全体になりますが、除外率については、個別の事業所毎になりますので、大学と小学校 をもっている場合、大学の方については高等教育機関の40%、それから、小学校について は65%というふうに、それは個別に計算されます。だから、例えば、ある大学で、大学と 大学病院があれば、除外率の計算は大学と大学病院は別々に計算されるということです。  つまり、法定の雇用義務数については、事業所毎の除外率をかけたものに雇用率をか けて出しますが、それをどこで雇うかは、全体の中で工夫していただければいいので、 全体として確保されていれば、それは義務を満たしているということになります。 ○今野会長  そういうことになりますね。どうぞ。 ○松矢委員  考え方なんですけれども、個別的に業種について検討すると、これを議論したところ では、要するに欠格条項の見直し等と絡んできて、そこからスタートしているんですね。 ですから、その時に、どこにこれを計算したのかというところをやっていくと、非常に 難しい議論になっていったんですね。ですから、一律に減らしていくということがポイ ントだったんですよ。そうでないと、合意できなかったんです。1つずつやると、全部 崩れてしまうんです。ですから、今回は10%なのか、15%なのか、20%なのか。要するに、 段階的ということを、そういうふうに考えて、全体を縮小する。公立の学校とか、それ をやれば、やっぱり教育委員会に2%となっていますし、それぞれ官公庁であれば2.1%に、 民間は1.8%をかけるわけですよね。その違いもあるわけですね。ですから、むしろ個別 に入ってしまうと、まとまらなくなってしまいます。つまり、私どもは国連権利条約を 批准しなければならないですね。そういう全体の大勢の中で、今まで10%だったけど、10 %でいいんですかということは、やはりこれは審議会として15%にしようとか、20%にしよ うとかということなんです。それが今の国際的なあるいは国民のこれからの行く方向と しては、そういう見方ではないかと思いますが、いかがでしょうか。 ○今野会長  どうぞ、ご意見ありましたら。松矢委員の意見は、えいやで行こうということですね。 15か、20か、10とか。 ○岩村委員  私も今の松矢先生と一緒で、松矢先生がおっしゃるとおり、これは個別にどれをどう するという話をすると、もう利害調整がつかなくなって、どうにも動きがとれないとい うことになると思います。やるとすれば、やっぱり一律でということで考えるしかない のではないかと思っています。それと、あと、除外率をいじるということは、結局、最 終的にはその企業なりの障害者の雇用者数に跳ね返ってきて、結局それは最終的には、 納付金などのところの問題に跳ね返るということになりますので、それをどういうふう に考えるのかということです。一律に引き下げるとして、その下げ幅というのをどう考 えるのか。そこを考慮して、どう考えるかということだと思います。そういうことが、 今の時期に下げるとすると、一番の大きな焦点なんだろうという気がします。 ○今野会長  他にご意見はいかがですか。今日は使用者側の人はおとなしいから、少しご意見を伺 ってから終わりにしようかと思っているんですが。どうぞ。 ○松井委員  最近いろんな学校で、特に小学校の高学年ぐらいを対象にした学校で、例えば車椅子 の乗り方の指導をして欲しいと、私どもの団体にいる職員のところに要請が結構あるん ですね。それで、それだけで対応できなくて、生活支援センターでピアカウンセリング をやっている職員なんかにも派遣要請があって、しょっちゅう出ているんです。そうい う状況を考えますと、都道府県か、あるいは政令市か、あるいは中核市以上ぐらいには、 そういったことで頑張る諸君を職員として採用してもらえる可能性もあってもいいので はないかと思っているというか、お願いをしたいと思います。 ○今野会長  そうすると、ご意見としては、ここのところの除外率も実質的に下げろということな んですかね。 ○松井委員  そうです。 ○今野会長  これは、先ほど事務局から話がありましたけれども、この除外率適用の労働者の範囲 というのは、500万人ということですか。全雇用者の約1割ということですね。そうす ると、それが10%落とすということは、単純に考えれば、500万を450万にするというこ とかな。そんなことはないか。 ○障害者雇用対策課長  単純に言えば、それぐらいの形で減っていくということになります。 ○高齢・障害者雇用対策部長  ただ、それはゼロになる業種そのものが外れるだけのことですから、10%下がったか ら、10%対象者が減るということではありません。 ○今野会長  他にどうですか。ご意見があれば今日いただいておいた方がいいと思いますが。そう すると、ゼロになったところだけ対象労働者数が減るということは、上から3つ目の輸 送用機械なんかは大きいですね。 ○岩村委員  はい、結構大きいですね。 ○今野会長  あと、上から5つ目の、電気業というのは、これは電力会社ですか。 ○障害者雇用対策課長  電力会社です。 ○今野会長  そうですか。そうすると、一番大きいのは、輸送用機械ということですか。 ○障害者雇用対策課長  輸送用機械で90万人ぐらいは対象になります。 ○今野会長  そうすると、これはゼロだけ見ていくと、最低100万人ぐらいは減りそうですね。 ○障害者雇用対策課長  もう少し、120か130はいくかと思います。 ○今野会長  そうすると、適用対象者ベースでいくと、結局2割ぐらい減ることになるんですね。 すると、労働市場全体で考える影響度からすると、数字の出方としては、10%というよ りはそっちの方が大きいんですね。  さて、他にご意見はございますでしょうか。 ○鈴木委員  「その他」はありますか。 ○今野会長  もちろん。それでは、この議題はこの辺で終わりにさせていただきます。「その他」 は何かありますか。 ○鈴木委員  「その他」のところで、ちょっと今後の課題といいましょうか、検討していただきた い事項として、情報提供させていただきたいと思うのでありますが、いわゆる雇用率と、 雇用される人員というものの差が結構出てきてしまうのかなと思っています。要するに、 率だけでいくと、いわゆる重度の方がダブルカウントだったりしますね。それから、0.5 だったりします。ところが、1人は1人だったりするというか、人的には1人なんだけ れども、重度だったら、それが2人として換算されてしまっていることがあるので、実 質的に何人が雇用されているのかというところが、ちょっと分かりづらいこともあった りします。その辺のところの、何人で、いわゆるみなしで、重度だとか、0.5だとかとい う話の中での数字というのが、出てきて欲しいなというのが1つあります。それから、 そういったことで、実質的に、今いろいろ調査をさせていただいているところなんです が、障害別の雇用状況というのが掴めてこないということがあります。これらは、どう いうふうにいったら分かり得るのかなというのがまず1つです。雇用率と実人数の人的 な換算方法はどうなのかということと、それから、障害別の人数はどうなっているのか なということが、なかなか把握できないということが2つ目にあります。そして、3つ 目なんですけれども、公のところで働く人たちのガイドラインというのが、雇用する際 のガイドラインというのはあるらしいんですが、そういう調査ものだとか、そういった ものに関しては、個人情報という言い方をするのかどうかよく分からないのであります が、何やら制限があって、調査がなかなか進まないという問題が今1つ出てきておりま す。その3点について、今ご回答は難しいかも知れないので、今後の検討課題というこ とで提起しておきたいと思います。 ○今野会長  何かありますか。 ○障害者雇用対策課長  今、ダブルカウントあるいは0.5カウントということで、雇用率における雇用数と実 際の人員の数の乖離というお話がございました。これ自体につきましては、毎年私ども で6月1日に調査をしている報告では、実際にはカウント数をメインに公表しております けれども、それと併せまして、実際の人員の数も併せて公表はしておりますので、その 数値については、拾っていくことはできると思っておりますし、必要があれば、次回に でもご提示したいと思っております。  それから、あと、障害種別の関係でございますが、実際には3障害まではそれなりに 出てくる数字はありますが、ただ、例えば、身体障害者の中で、視覚障害者の方とか、 個別になりますと、なかなか雇用の数字という形では出てきません。実態調査等々では 若干の数は出てまいりますけれども、ちょっとサンプル数が少ないということもあり、 かなりずれがあるということでございます。いずれにしても、ちょっと私どもで確認を して、どこまでデータを出せるかということを見た上で、次回、お出しできるものにつ いてはお出ししていきたいと考えております。  3点目についてですが、ご指摘の点が、例えば個票で集計というような話になります と、例えば、総務省の統計の関係ですと、いろいろな形で難しい面もございますが、通 常の調査等であれば、必要な情報については提供できると思っております。ただ、何れ にしても、個人情報の関係に触れますと、それなりに厳しい部分もございます。ただ、 必要なデータにつきましては、当然調査目的に入っておりますので、ご提供できる部分 はあるかと思いますので、具体的なお話をいただければ、私どもとして最大限努力いた したいと考えております。 ○今野会長  鈴木さん、よろしいですか。 ○鈴木委員   はい。 ○今野会長  他にございますか。どうぞ。 ○舘委員  これが最後の発言になるかもしれません。ちょっと皆さんに聞いていただきたいこと がございます。特に、座長に要望あるいは提言をしたいことがあります。それは、この 分科会に私は個人で出ているようになっているんですけれども、実は、元は全家連とい うバックがあったんですね。そのバックの全家連というところで不祥事があって、解散 してしまって、私が一人取り残されたという状況になっております。次期にもしこの座 席に座るとすれば、僕はやはり障害当事者の方に座っていただきたいと思っております。  私事で恐縮なんですが、精神障害者の雇用率については、3年前、特例適用になりま した。それは、15年も運動してきたんですね。やっと適用できた。私は、自分の仕事は それで良かったなと思っていますけれども、いろんなことがあって、バックが解散して しまいました。私がカミングアウトするのもあれなんですが、うつ病になってしまった んですね。そして、治療を受けながら、産業医の勧めもあって、精神障害者保健福祉手 帳も今所持しておりまして、当事者であります。その時、笑い話なんですけれども、そ の産業医の先生から「あなた、手帳を取って、職場に言ったら、カウントされますよ」 と言われたんです。「私はそれに関係していました」と言いましたら、びっくりされて いました。そして、学校で、人事の方に言いましたら、「報奨金がもらえる」というこ とで、喜ばれて、いろんな配慮を受けながら、どうにかこうにか働いているわけなんで す。  私が病気になってから、その前と比べると、何かだ大分障害者雇用に関するものの考 え方が違ってきたなという気がします。これから、さっきの基本方針にもございました けれども、精神の場合は、雇用義務化について、正念場というところです。ですから、 やっぱり働いて苦労されている当事者の方に、この席に座って発言を是非してもらいた いと思います。それから、この分科会というのは、雇用を通じて障害者のインクルージ ョンを議論する場だと思うんですね。でも、例えば、学者とか、家族とかに代弁させる というのは、私はエクスブルージョンではないかと思うんですね。松井委員とか、鈴木 委員も堂々と発表されておられるわけです。当事者がいろんな政策に参画するというの は、今は世界的な流れです。多分、権利条約の中にも必ずあるはずだと思うんですけれ ども、日本でも、そういう当事者の団体もできておりますし、全国大会もやっておられ ます。立派な見識をお持ちの方もたくさんいらっしゃるわけですから、次期にもしやる とすれば、私は当事者がここで席を占めて、積極的に発言していただきたいという、そ ういう願いでございます。どうぞよろしくお願いします。 ○今野会長  ありがとうございました。それでは、他によろしいですか。それでは、今日はこの辺 で終わりたいと思います。次回の分科会について、事務局から何かありますか。 ○事務局  次回の分科会でございますが、次回の日程、それから場所については、大変申し訳ご ざいませんが、現時点では未定でございます。これにつきましては、速やかに確定をい たしまして、後日ご連絡させていただければと思います。なお、その際の議題でござい ますけれども、可能であれば、除外率見直しについての諮問等をさせていただきたいと 考えているところでございます。以上でございます。 ○今野会長  いずれにしても、メインテーマは除外率ということですね。そうですね。それでは、 終わります。今日の議事録の署名についてですが、労働者代表は野村委員、使用者代表 は大島委員、障害者代表は松井委員でそれぞれお願いをいたします。それでは、これを もちまして終わります。ありがとうございました。  <照会先>  厚生労働省 職業安定局 障害者雇用対策課 調整係  〒100-8916 東京都千代田区霞が関1−2−2  TEL 03(5253)1111 (内線 5783)  FAX 03(3502)5394