09/2/18 第50回中央医療社会保険協議会薬価専門部会議事録 1 日   時  平成21年2月18日(水)11:30〜12:22 2 場   所   厚生労働省 専用第18〜20会議室(17階)  3 出 席 者  前田雅英部会長 遠藤久夫委員 牛丸聡委員          対馬忠明委員 小島茂委員(代 篠原) 北村光一委員 松浦稔明委員          藤原淳委員 中川俊男委員 渡辺三雄委員 山本信夫委員           長野明専門委員 渡邊自修専門委員          <事務局>          水田保険局長 榮畑審議官 佐藤医療課長 宇都宮医療課企画官           磯部薬剤管理官 他                 4 議   題   ○平成20年度薬価制度改革において引き続き検討を行うこととされ た事項について ○前田部会長  それでは、皆さんおそろいだと思いますので、薬価専門部会を開かせていただきたいと 思います。  第50回中央社会保険医療協議会薬価専門部会を開催いたします。  まず、委員の出席状況でございますけれども、本日は、庄司委員、禰宜専門委員が御欠 席でございます。また小島委員の代理として連合生活福祉局長の篠原さんがお見えになっ ておられます。よろしくお願いいたします。  早速議事に入らせていただきますけれども、平成20年度薬価制度改革において引き続 き検討を行うこととされた事項のうち、日本製薬団体連合会が御提案されておられました 特許期間中の新薬の薬価改定方式について、これは本日は取り上げないでまた次に議論し ていただくとして、本日は「市場拡大再算定の在り方について」を議題にしてまいりたい と思います。  事務局から資料が提出されていますので、まず事務局のほうから御説明をお願いいたし ます。   ○事務局(磯部薬剤管理官)  薬剤管理官でございます。私のほうから資料の説明をさせていただきます。  まず,中医協 薬−1でございます。「市場拡大再算定の検討事項について」というこ とで、今回なぜこの議論をすることになったかという経緯を簡単に御紹介したいと思いま す。  平成20年度薬価制度改革におきましては、市場拡大再算定についても見直しを行いま して、特に再算定を受ける品目範囲の拡大、それから補正加算の傾斜配分の見直しなど、 より厳しくなる方向での改定が行われたところでございます。  一方議論の過程におきましては、特に産業界のほうから、多くの場合、効能追加によっ て市場拡大再算定の対象になるということですとか、市場での評価の結果、売り上げが大 きく伸びた場合に再算定の対象になるようなことについての疑義がいろいろ示されたとこ ろでもございまして、そもそも論としてこの次回薬価制度改革におきまして、市場拡大再 算定の在り方についてはどのように考えるのか、特に使用実態の著しい変化ということを どのように考えていくのかについて検討を行うこととしていることになってございます。  そういった内容につきまして、20年度薬価制度改革の骨子での、19年12月14日 の中医協了解のペーパーの中にそのような内容が記載されているわけでございます。その 点につきましては、次の薬価制度改革までに検討を進めるということにされているという ところでございます。  続きまして、実はその下に検討事項がございますけれども、その前に、薬−2−1をご らんいただきたいと思います。  市場拡大再算定のルールにつきましては、なかなかルールが難しいところもございます ので、少し概念図でもう一度おさらいをさせていただければというふうに思っております。  1ページでございますけれども、まず原価計算方式で算定された新薬の場合ということ で、薬価収載後10年以内か否かで分けられておりますが、10年以内の場合ということ でございます。細かく言いますと、実際には改定時に市場拡大再算定が入りますので、そ の10年を経過して次の薬価改定を経ていない場合ということでございます。  ここでごらんいただきますように、常に新薬の収載の場合につきましては予測の販売金 額が実際にデータとして企業から提出されて、出させていただいておりますが、その金額 が、実際の販売金額がそれを大幅に上回るようなケースが出てまいります。ここのケース で行きますと、初年度から始まりまして5年度目まで行きますと、実際の予想の販売金額 の2倍を超えまして、それでしかも年間販売額が150億円を超える、こういったケース に至った場合について市場拡大再算定を行うというふうになってございます。  原価計算方式の場合でございますと、市場規模拡大率に応じまして実際の引き下げ率が 決まるわけでございますけれども、最大で25%の引き下げを行うようなことになってご ざいます。  その裏をごらんいただきまして、今のは原価計算方式でございましたが、今度は類似薬 効比較方式で算定された新薬の場合ということで、10年以内のケースの場合でございま すけれども、先ほどのケースと違う点が2つございます。  1つが、類似薬効比較方式の場合につきましては、多くの場合が効能追加ということで ございますけれども、使用実態の著しい変化があって、そういう変化がもう明確にあった 上で実際に大きく伸びた、こういったケースについて再算定を行うということが1つ条件 に入ってございます。その上で、引き下げ率につきましては、市場規模拡大率に応じて引 き下げを行いますけれども、最大で15%まで引き下げるということで、原価計算方式と 類似薬効比較方式で最大の引き下げ率が違っているということになってございます。  続きまして、3ページ目でございますけれども、それでは10年を超えていった場合に 再算定のルールがどうなっているのかということでございますが、この場合につきまして は、ルール上効能追加を行った場合でということ、これは明確に書いてございまして、薬 価収載後10年を経過している場合、つまり10年以降になりますと予測販売金額がなか なか使えないということもございますので、このような書き分けをしているわけでござい ますが、ここのケースで申し上げると、効能追加が9年目のところにあったということで、 これの前後を見まして、年間販売額が2倍以上に増え、また150億円を超えているよう なケースが再算定の対象になるということでございますが、この場合でも最大の引き下げ 率は原価計算の場合25%、類似薬効比較方式の場合15%というようになっているわけ でございます。  続いて、4ページでございます。その裏のページでございますけれども、もう1つ市場 拡大再算定時には補正加算をできる基準がございまして、右側に書いてございますけれど も、市販後に集積されたデータをもとに、真の臨床的有用性について、薬価算定組織で議 論した上で決定になってございます。  例えば、高血圧なんかの場合は、血圧を下げるということで薬が承認されているわけで ございますが、最終的に例えば心血管イベントがどのくらい減少するのかどうか、そうい ったロングタームでの結果をメーカーのほうでいろいろ工夫をして市販後の臨床試験など を組んでやるようなケースがございますけれども、そういったケースについてきちんと評 価をしていこうということからこういったものが入っているわけでございますけれども、 現行の補正加算の仕方につきましては、1つその再算定の対象になるものがあった場合に、 その再算定の引き下げ率、それから加算率については、その対象品が引き下げ率と加算率 が決まりますと、ほぼ自動的にそれから類似品ということで、そのものが再算定の対象に ならなくても、類似品ということでかかってくるものについては自動的にすべて引き下げ 率も加算率もかかるというようなことになっていることが現状でございます。  続きまして、薬−2−2は今のを文章化したものでございますので、ちょっと省略をさ せていただきまして、薬−2−3をごらんいただきたいと思います。  実際に、これまで平成5年11月の中医協了解以降にどのような品目につきまして市場 拡大再算定などを行ったものかということで、リストがございます。平成6年のフェロン から始まりまして、ずっとございますけれども、裏のページをごらんいただきまして、例 えば前回の平成20年の4月の改定におきましては、ちょっと見方をご紹介いたしますと、 例えばブロプレス錠が対象になってございますけれども、これは市場規模が当初の予測を 著しく上回るということで、市場拡大再算定の対象になり、それと薬理作用類似薬、市場 で使われ方が類似している、薬理作用が類似しているということで、その類似品として対 象になりましたものがディオバン錠からプレミネント錠までかかっているということでご ざいます。  それで、これについては補正加算が行われておりまして、加算率は7.5という判断が されたわけでございますけれども、先ほどの市場規模に応じた傾斜配分がかかりまして、 それが半分に圧縮されまして、3.75%の補正加算ということになっているということ でございます。  そのような形でごらんをいただきまして、累計でここに書いてございますような数字に なってございます。  それから、薬−2−4でございますけれども、一応このようなルールになってきた変遷 を少しおさらいをしたほうが御理解も得やすいかということでございますので、少しそう いった資料を用意をさせていただきました。  昭和57年にまず最初に新薬の薬価算定に関する懇談会が当時ございまして、その報告 書に従いましてこのような薬価算定、再算定などを行ってきたわけですが、当初始まった ときにはこのような考え方でございます。いわゆる効能・効果、用法・用量などが拡大し た場合に、必要に応じて価格の見直しを行う、こういうところから始まっておりまして、 平成元年によりその具体的取扱いを明示したということで、使用量が相当程度増加する可 能性があって、類似薬に比べて1日薬価が相当程度高くなるような品目について行う、こ ういうことが明確化され、さらに実際に平成5年の中医協了解の資料によりますと、原価 計算と類似薬効比較方式を分けまして、特に類似薬効比較方式につきましては、ここに書 いてございますような、価格設定の前提条件であります使用方法や適用対象患者の範囲な どが変化いたしまして、対照薬の医薬品との類似性が損なわれたような場合に行うという ようなことがこのときに決められてございます。  次のページをごらんいただきまして、2ページでございますが、平成7年の中医協建議 では、さらにそれの精緻化が行われておりまして、再算定の対象をきちっとルールで、そ こに四角囲みで書いているような具体的なケースを明示をさせていただきますとともに、 実際に収載後10年以内の規定を設けるですとか、それから特に激変緩和という視点から、 改定率の上限というものを設定するというようなことがされております。  このときに、ここに書いてございますような、2倍以上、かつ、年間150億円を超え る場合に行うのだということが明示をされているわけでございます。また、市場規模拡大 率で引き下げを行うということも決められておりまして、類似薬効比較方式のところを見 ていただきますと、先ほど言った比較対照薬との類似性が損なわれる場合というのはどう いうことかということで、いわゆる学会ガイドラインなどが変更された場合ですとか、例 えば重症、中等症の患者に使用されるような薬が軽症患者にまで拡大されたような場合で すとか、実際に使用対象患者や使用方法、使用量などが実態として変わったようなケース ですとか、用法用量、効能効果等が変更されて拡大したような場合、そういった具体的な ことが明示をされているわけでございます。  3ページも、実際に収載後の効能拡大等の結果、市場規模が拡大する場合ということで 書かれているわけでございます。  平成12年に薬価算定基準が明文化、文書化されておるわけでございますが、その中で は、実際にそれまで再算定ということで一くくりになっていたものが3つに分けられてお ります。市場拡大再算定と効能変化再算定、それから用法用量変化再算定の3区分に整理 された。それから、先ほど類似品とございましたけれども、対象品から実際にそれを類似 薬効で算定されたものを類似品ということで明確化するということと、それから市場性加 算の対象と認められるような効能、つまりオーファン効能でございますが、そういった効 能が追加したような場合については、事実上薬価の引き上げを行うような再算定というル ールも入れたということでございます。  次のページをごらんいただきまして、4ページでございますが、この中で御説明をして おく事項といたしまして、先ほどから市場拡大再算定のお話をさせていただいております けれども、そのほかの再算定のルールといたしまして、効能変化再算定、用法用量変化再 算定がございます。  効能変化再算定のところにつきましては、主たる効能、これまでAという効能で使われ ていたものが、Bという効能が追加されて、Bという効能のほうが圧倒的に市場規模が大 きく、そちらが主たる効能になった、そういうようなケースにつきましては、特にオーフ ァン効能を取りまして、それから大きな効能を取ったようなケースがあるわけでございま すけれども、その場合に、新たな主たる効能に関して再類似薬があるようなケースについ ては、その新たな再類似薬との薬価の格差を是正するために、今までの市場規模別市場規 模で按分をして薬価をつけ直すというのがこの効能変化再算定のルールでございます。  続きまして、5ページでございますけれども、用法用量変化再算定ということで、主た る効能に関する用法用量が変化したものについて、特に大幅に用法用量が増えたようなケ ースについては、特に大きく薬剤費が増えるわけでございますけれども、そういった場合 に1日薬価で合わせて、1日薬価単位の薬価が変わらないような変更を行うということで、 そういう再算定がございます。  そういったケースのほかに、先ほど言った市場規模を拡大するようなケースについて市 場拡大再算定というのが入っているわけでございます。  平成14年につきましては、特に類似薬効比較方式のもの、原価計算方式以外の方式と いうのはそういうことでございますけれども、そういったケースの新薬について大分議論 がございまして、そちらのほうにつきましては引き下げ率、改定率の上限を15%に緩和 をした。それからまた、保険適用上の投与期間や適用対象になる患者の範囲が変更された 場合を追加というようなことが加わっております。  次の6ページでございますけれども、平成16年でございますが、このときに先ほど申 し上げた真の臨床的有用性が検証されているようなケースについては補正加算を行うとい うルールがここで追加をされてございます。ただこのときには、先ほどの傾斜配分のやり 方が1日薬価で傾斜配分をしておりまして、売り上げ規模に、市場規模にかかわらず、い わゆる1日薬価の単価が安いものがより引き上げられるというような形にこのときなって おりまして、それについては平成20年、前回でございますけれども、7ページでござい ますが、その分、平成20年薬価算定基準のときに、その傾斜配分の基準になる数値につ きましては、1日薬価、いわゆる単価ではなく、年間販売金額ということで、市場規模に 応じた傾斜配分に切り替えたわけでございます。  その上で、いわゆる類似品の扱いについては、ここに書いてございますような、いわゆ る比較対照薬になって、そのままあるものが対象になって、それを比較対照薬にして類似 薬効方式で算定していったもの全部を対象にしたわけでございますけれども、特に、ほぼ 同時期に似たような製品がたくさん出てきたようなケースについては、そういったかかり 方がなかなかテクニカルにいろいろずれてくることがあるようなこともございますし、実 際に市場では同じように使われている薬が、一方が市場拡大再算定になり、一方がならな いというようなことについての公平性がどうかということから、薬理作用類似薬全体に拡 大をしたというのが前回の見直しでございます。  こういった経過を経まして、薬−1でございますけれども、戻っていただきまして、薬 −1の資料の2番でございますけれども、薬価制度改革の骨子の上のところにございます ようなことを踏まえまして検討する事項の案として、一応事務局でとりあえず、今まで言 われているようなことを整理させていただいてご提出させていただいております。  まず、特に業界から御指摘いただいております、この再算定がイノベーションの阻害に なっているということについてはどのように考えるのか。また、特に1の経緯にもござい ますけれども、効能追加によって再算定の対象になるということは、なかなか効能追加を しにくいではないか、こういった御意見が特に産業界にございますけれども、そうであれ ば、効能追加の有無にかかわらず、市場規模で、例えば大きく伸びたような場合をもって 使用実態の著しい変化があったと判断するということをどのように考えたらよろしいのか、 そういった判断の仕方、いろいろあろうかと思いますけれども、使用実態の著しい変化を どのように考えるのかということでございます。  それからあと、市場規模の伸びについて薬理作用類似薬を含めた伸びを勘案することに ついてでございますけれども、特にこれも産業界から御意見をいただいておりますのは、 同じパイの中でシェアを獲得したようなケースまで対象にするのはおかしいのではないか、 こういった御意見をいつもいただいているわけでございますけれども、そうであれば、例 えば薬理作用類似薬全体が増えた場合はどういうふうに考えるのか、こういった御議論も あろうかと思っております。  それから、先ほどのように、対象品の補正加算率が決まりますと、データのあるなしに かかわらず、類似品はすべて同じ補正加算率が適用されるわけでございますけれども、こ ういったものも、個々の銘柄ごと、個々の会社ごとの努力なりデータの取り方によって、 いろいろ実際のデータの内容についてはさまざまでもございますので、そういったものに ついては個々の銘柄ごとに判断することについてどうなのかという御議論があります。こ れについては、特に薬価算定組織の先生方から御意見をいただいているところでございま す。  それからもう1つ、平成7年から市場拡大再算定については150億円を超えるという ようなものが対象になっているわけでございますが、10年以上たちまして、こういった 除外範囲というものもどう考えるのかということも多分議論の対象でもあろうということ で、そういうような項目も挙げさせていただいて、そのほかいろいろあろうかと思います ので、また御議論の結果、つけ加えていくようなこともあろうかと思いますので、その他 ということで入れさせていただいております。長くなって申しわけございません。以上で ございます。 ○前田部会長  ありがとうございました。  システムが複雑なこと、それからかなりの変更が加えられているという意味で、内容が 盛りだくさんの説明を非常に要領よく御説明いただいたと思うのですが、まず、今の御説 明に関して何か御質問いかがでしょうか。よろしいでしょうか。もう御質問を織り込んで 御発言いただければと思いますが、やはりポイントは薬−1の2ですね、検討事項(1)から (5)がやはり現状ではこういう意見として出されてきている。解決しなければいけないので はないかという御指摘を受けているということで、それぞれのお立場からの御意見があろ うかと思うので、今回は具体的な制度を固めるとかということではございませんで、問題 点を確認するということと、相互に認識し合うということが目的ですので、ぜひ忌憚のな いところを御発言いただければと思います。じゃ、藤原委員お願いいたします。   ○藤原委員  新医薬品の薬価算定について、これまで医薬品の登録をする場合、新薬収載希望者によ る市場規模予測、そういった欄がありますけれども、この欄の位置付けについて、それに よって値づけにどれほど影響するか、その辺のところをちょっと教えていただきたいと思 います。 ○前田部会長  事務局お願いします。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  薬剤管理官でございます。  原価計算方式と類似薬効方式をちょっと分けて御説明したいと思いますが、原価計算方 式の場合については、実際にその新薬をつくることによるコスト、実際の材料費から始ま りまして、労務費、それから設備投資、そういったものを勘案して、その1錠当たり幾ら かかったかということで計算しておきますが、その際にいわゆる研究開発費や市販後の調 査費用その他の一般管理販売費がいろいろかかり、また流通経費や営業利益を見ることに なってございます。  それで、共通経費の分をどう見るかということでございまして、実際にそれがある一定、 例えば1万人に使う薬なのか5,000人に使う薬かで、実際に出る錠数とかも変わって まいりますので、共通経費が、実際に割り返す数が変わってまいりますので、原価計算方 式の場合にはそういった対象患者数の違いによりまして実際に額が具体的にかわってまい ります。  それから、類似薬効比較方式の場合については、資料を出させていただいておりますけ れども、基本的にはその類似薬と1日薬価を合わせていくという考えでございますので、 その算定時については、一応参考情報として出していただいておりますけれども、算定時 に必ずしもそれが、じゃ幾らだからどうだということがルール上あるわけではございませ ん。  以上でございます。   ○前田部会長  よろしいでしょうか。 ○藤原委員  つまり市場規模、予測販売金額等もある程度考慮されてその値づけが行われると理解し ていいのですね。  続けていいですか。 ○前田部会長  どうぞ。 ○藤原委員  そういうことになりますと、これはメーカー側にとって最初の時点で市場性を抑える、 つまり適応をある程度抑えた形で、登録するときにはある程度効能効果も広がりがあると いうことは分かっておって、それを小出しするという、これは余り高次な話じゃないので すけれども、そういったことも戦略的には十分考えられるということですね。  だから、最初のときに薬の革新性をうたうと、ある程度高い値づけができる。こういう ことになりますと、そうだとは言いませんけれども、そういった可能性を残しているとい うことは、やはり問題が多くて、これまでのような薬剤の適切な配分のメカニズムを崩す という大きな要因にもなるかと思います。したがいまして、市場の動向とか市場の実勢価 格をある程度敏感に反応するような形の、今は恐らくそういう形で動いていると私は判断 しておりますけれども、やはり今の形は尊重すべきではないかと私は考えますけれども、 それが私の意見です。 ○前田部会長  分かりました。効能追加をすると、今のところでは再算定という意味では、やり方は幾 つか分かれていますけれども、効能追加をしたら逆に減じられるという面もあるわけです よね。ただむしろ専門医の側からとか、山本委員から何か御意見があれば。じゃ、山本委 員、それから長野専門委員の順にお願いいたします。 ○山本委員  ただいまの藤原委員の御指摘ですけれども、私もその部分は懸念しておりますが、ただ、 今までのケースを見ますと、効能追加をしなさいという、むしろ現場からの需要があり、 あらかじめわかっていながら隠しておいて順番に出してくるというような、そういう方法 をとられればまた別なんですけれども、これまではそういうことではなかろうと思います し、かつ、効能追加するための手間も考えてみれば、まさにイノベーションというところ につながりましょうし、片方ではよい薬をうまく使っていこうという効能追加の部分がそ がれてしまいますので、こうしたルールがあるのはやむを得ないと思いますけれども、単 に効能追加をされたものが、じゃ比較薬効でいったから前に比較したものと同じものなの かどうかということになると、この中の薬−2−4にも書いてございますけれども、もの が変わってしまうという認識でしょうか、4ページに書いてあります効能変化再算定とい うのは、単に効能が変わったという評価でありますけれども、実際には別のものになって しまったという理解もできるわけで、そのときに改めて現にある類似の医薬品との比較を して再算定をするというようなこともちょっと方法論としてはあるでしょうから、単純に その前のものをただ下げていくという方法ではなくてというのが1点と、それからもう1 点は、原価計算で行くともともとこれぐらい売れるだろうという予測のもとに計算をする わけですけれども、市場に出て見て、実は意外に、メーカーが思うほど悪くなくて、とて もよくてみんなが使ってしまったというケースがどんどん増えてしまうわけであります。 それは使う側からすれば患者にとっても決して悪いことではない。そのために増えてしま って、増えちゃったから削るよというのも、一定のルールのようなものが要るのじゃない かなと。  それは先ほどの管理官の説明に十分ございましたから、理解はいたしますけれども、片 方でいい薬を一生懸命つくって、いい薬を一生懸命売って、現場で使っていこうという方 法と、薬価が下がるということだけ考えますと、今の方法は残しつつも、何か合理的な基 準のようなものをつくっていただかないと、恐らくメーカーとしてはなかなか新しい薬の 開発に向かおうというインセンティブが働かないのかな。片方でまだ議論の途中でありま す新しい薬についての格付けもありますので、そうしたことを踏まえて、先ほど藤原委員 の御指摘にあったような、あらかじめわかっているのをしまって、いいから出そうなんと いう姑息な手段を使わないで、きちんとやっていただければ、そこは問題なかろうという 気はしております。   ○前田部会長  さっきの順で、長野専門委員。 ○長野専門委員  発言をさせていただきます。  私自身、約20年間製薬産業にありまして、あるいは製薬産業界にありまして、薬価基 準制度あるいはこの今回の議論であります再算定につきまして、さまざまな議論、検討、 研究に参画してまいりました。  その中で、まず基本的な私の専門委員としての考え方なんですが、先ほど管理官から御 説明のあった2−1の資料がございます。この2−1の資料で、1枚目に原価計算がござ います。簡単に事例をお示ししますと、例えば100人しかこの薬は使われませんとして、 新薬算定時に原価計算で薬価が決まった。当然その100人の製造原価というのはあるわ けでございます。しかし実態としてそれが5,000人、1万人と使われたときには、1 錠あるいは1本当たりの製造原価は変わってくると思います。したがって、当初の見込み 以上に患者さんが使われた場合は、当然ながら再算定すべきと私は考えておりますし、こ れは産業界の中もそこはもう理屈でありますから、ルールとして受け入れているというふ うに承知しております。  それで、2枚目の原価計算の次に類似薬効がございます。この類似薬効で今日も新薬の 算定が行われております。再類似薬が薬理作用に基づいて選ばれて、その1日薬価を基本 に新薬の薬価が算定されております。その再類似薬と同様の薬価、ほぼ近い薬価が新薬に ついてくる。その場合も、当然どのぐらいの患者さんに使われるかというのが想定されま すから、それで薬価×患者さんの数で実績金額が出てまいります。それが実は200円の 再類似薬であったのが、実態は例えば100円の別の類似薬があって、そこにたくさん患 者さんがいて、それでたくさん使われてしまって、当初の予想をはるかに超えた金額実績 を稼いでしまった。これはそもそもの類似薬の類似性が損なわれているわけですから、こ れも使用実態の著しい変化ということで、再算定の適用になるものだというふうに理解を しております。  実は、ここからが専門委員の意見じゃなくて、このことに対する産業界の日米欧の団体 の意見を簡単に御説明いたしますと、使用実態の著しい変化というのが、今御説明したよ うな範囲を超えて、実はそもそも初めから想定された範囲の患者さんなのに、非常に今度 の新薬がいい評価を受けて、対象となる患者さんに全部使われてしまったということも、 いい薬ほどあるわけでございます。これはまさに今山本委員が御説明された中の1つだと 思っておりますが、そういういい薬であっても、再算定の対象になったことがかつてある のじゃないかという、どうも疑心暗鬼が産業界、団体、日米欧に存在しているのだと私は 感じております。  したがって、最後になりますけれども、産業界の皆さんも、私の承知しているところで 申し上げますと、特許が切れたら速やかに後発品にその市場を委ねて、革新的新薬の創出 に向けて、あるいはドラッグラグの解消に向けて、より良質な、かつ効率的な薬剤市場と いうのを目指しましょうというふうに、産業界のトップも大きく転換をしたと私も承知し ております。  その中でこの著しい使用実態の変化というのをどうきちんと定義づけるか、今日的に定 義づけるか、それは一に特許期間中の医薬品の価格のありようにもかかわってまいります ので、ぜひその点も交えたこの使用実態の著しい変化の御検討をこの場でお願いをしたい と思います。これは専門委員としてのお願いでございます。  以上でございます。 ○前田部会長  ほかに。関連してでもよろしいのですが、藤原委員は今のことにつながった御質問です か。それじゃお願いします。 ○藤原委員  今2点言われたと思うのですが、1つは類似薬の件と、もう1つは最初の新薬の件なん ですけれども、これは少し分けて議論しなければいけないかなと私は思っております。先 ほど私が言った中で、これは厚労省のリードの中で、効能追加によって市場拡大再算定と いうことになっておりますけれども、ただ実際に拡大するのはこの効能追加だけではなく て、これはMRの方の非常な努力によってどんどん拡大しているというケースも多いわけ ですね。そういったことで、やはりいろいろな要素が働いてこれは市場拡大ということが 起こっているわけですから、そういったことを考えると、それは画期的な新薬という、本 当にそれだけで動いているのではなくて、もっともっと市場メカニズムで動いていること を考えると、やはり一定のルールのもとに、これは山本委員もそういうような意味合いの ことを言われたと思うのですけれども、その一定のルールをどの程度縛るかということに 尽きると思いますので、そこのところを、私は現状でいいと思いましたけれども、それを 緩和するかどうか、そのところの議論をきちっとしていただきたいのと、類似薬はもう少 し、恐らく論点が違うところも入るかと思いますので、そこのところを分けて議論しなけ ればいけないのかなと私は考えますけれども。 ○前田部会長  分かりました。今回はいろいろそういう御意見を出していただいて、具体的にここの再 算定のやり方、現状から根本的に変えるというのは、今までの蓄積がありますし、あり得 ないことだとは思うのですが、合理的な範囲で修正できるかどうか、なるべく具体的な御 意見を。じゃ、対馬委員お願いいたします。 ○対馬委員  ちょっと専門的、技術的、複雑なところがありまして、なかなかこうだということは言 いにくいところがあるのですけれども、ちょっと2つほど質問があるのです。  1つは、専門委員の方にお伺いしたいのですけれども、先ほど特許期間中の特例維持と の絡みの話が出ましたけれども、それと今のお話の中で、例えば原価計算方式なんかの場 合には、製造原価なんかも変わっていくので、ある意味再算定するのは当然ではないか、 こういったお話もいただきましたけれども、その2つの関係、今現在どうお考えになって おられるのか。つまり、特許期間中であっても、例えば原価計算方式で患者の数が明らか に大幅に増えたといったときには、これは再算定ルールを使うのだよねというのか、それ ともそれも特例期間なので、再算定ルールというのは適用にならないのか、そこが1点。  それからあと、これは事務局に伺いたいのですが、この資料1の真ん中の四角のところ に問題意識をいろいろ書いています。特に(1)というところでは、10年内、基本的には1 0年の中の話を言っているわけですけれども、今は効能追加があった場合に、特に類似薬 効比較方式の場合には、効能追加ということが一番大きな起点といいますか、原因として 再算定をしているわけですけれども、ここに書いてある効能追加というのは、(1)というの は入っておりませんから、ということは効能追加があろうがなかろうがということになり ますから、メーカーサイドから見たら、従来以上に厳しいということを意味しているのか どうか、この2点です。 ○前田部会長  では、まず専門委員のほうから、第1の点でお願いいたします。 ○長野専門委員  第1の点についてお答えします。  少なくとも新薬算定のときに100人に使われますと言って原価計算で薬価が決まった ものが、例えばそれが1,000人、5,000人と増えていけば、原価自身が変わって くるということになりますから、再算定はすべきだし、それは特例引き下げ、いわゆる維 持特例とは違うもの、両方存在し得るものと私自身感じております。 ○前田部会長  ありがとうございます。  それでは、管理官お願いいたします。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  薬剤管理官でございます。  今の対馬委員の御質問に関しまして、現行では効能追加ということを、まあほかのケー スもあり得るのですが、多くの場合効能追加でございます。効能追加がなくて非常に大き く伸びたものについては、自主的に使用実態の著しい変化が、どこでどう変わったかがな かなかとらまえにくいこともございまして、現実には効能追加が明確に薬理上はっきりす るものですから、これをメルクマールに非常に使っているわけでございますけれども、そ れがなくて非常に大きく伸びたものが対象になるということは、企業側にとっては非常に 厳しいルールになる可能性が高いというふうに私どもとしては認識しております。  ですから、実際に使用実態の著しい変化をどういうふうに見るのかというところを、こ この例示のところでは、単純に販売金額で見るというのはどうだ、こういうのが1つのあ れでございまして、そのほかにもいろいろ見方があろうと思いますが、単純に金額だけで 見ますと、事実上の要件緩和になりますので、対象になるものが増えてくる可能性が高い、 こういったふうには思っておるところでございます。 ○対馬委員  今の話に関連するのですけれども、今日の説明なんか伺いますと、全体的には引き下げ の対象範囲が拡大していく、ここ10数年の動きを見ていますと、対象範囲が拡大してい く。しかし、その影響度、激変緩和で言いますと減収緩和、ここはきっちりやっていきま しょうねと、こういった全体の流れかなというふうに自分なりに理解したのですけれども、 そういう中で今回どういった議論をするかですけれども、やや抽象的な形で書いているの で、こういった議論をしていくと何が影響するのだろうかというのをもう少し具体的に書 いていただけるとありがたいのですね。  例えば、何を言っているかといいますと、ここで2の下のほうに、四角で囲った下のほ うに具体的な案として(4)というのがありますね。真の臨床的有用性を個々の銘柄別に判断 するということ、これだけを見ますと、きめ細かな対応をするのだなと、これでいいのか なというふうに思うのですけれども、ただ、資料なんか見ますと、薬理作用が類似だと、 こう書いていますね。そうすると、薬理作用が類似ということは、個々の銘柄ごとに見て いっても、結果的にはほぼ加算率は同じになりはしないのかなとか、いやそうじゃなくて、 やはり個々の銘柄ごとに見ていくと変わってくるのだとか、そこが全く見えないのですよ。 ですから、そういったことを含めて、次回以降もう少し我々の議論ができるような形にし ていただければありがたい、こういうふうに思います。   ○長野専門委員  1つだけ、すみません。 ○前田部会長  じゃ、専門委員お願いします。 ○長野専門委員  専門委員といたしましても、再算定で総枠規制をするというような考え方には反対でご ざいます。ますます日本のメーカーも含めて、国内での開発を回避してしまうだろう、こ のように懸念をいたします。それだけ申し添えます。 ○前田部会長  ありがとうございます。  じゃ、渡辺専門委員、その次、山本委員の順で御発言をお願いいたします。 ○渡辺(自)専門委員  要望だけ申し上げたいと思います。  市場実勢価主義というのが基本に流れているわけなので、その考え方は大事にしていた だきたいということと、それからドクターの皆さんは、私も営業しておりますと、基本的 にエビデンスを大事にして投薬をなさっているのが原則だと思うのですね。それで、MR というのは、そのエビデンスをどう話をするか、説明をするかにかかっているので、エビ デンスをつくるのに規模がだんだん拡大していまして、かなり費用がかかるような形に今 メーカーのほうはなってきていると思います。その点もやはりよくお考えいただきたい。  それからドクターの方にお話をお聞きすると、実際に血圧がきちんとコントロールでき るようになったのは最近のお薬が出てからだよとおっしゃってくださるのですね。そうし ますと、やはり使用実態の著しい変化というところにも関与すると思うのですが、実際に はたくさんの人々がドクターの、お医者さんの医療行為とリンクして薬が使われて健康が 維持されているわけなので、そういう意味ではたくさん使われているということ自体は社 会に貢献しているともとれるわけなので、そういう点もあわせて考えていただきたいとい うふうに思います。 ○前田部会長  山本委員どうぞ。 ○山本委員  今、長野専門委員のお話で、再算定が総枠規制になるというようなお話があったのです が、ちょっとそこが理解できないので、御説明いただきたいのと、もう1点は、この仕組 みそのものが、単に市場拡大再算定だけではなしに、薬価制度全体の議論の中の1つだと いうふうに理解をしておりますので、先ほど申されたように、仮に薬価維持特例という新 しい方式が導入されても、このものについては一定の理解を示されているというふうに理 解をしておりますが、そういった意味からすると、片方で後発品を使っていくということ があって、しかも先ほどMRさんの活動についてまで言及されていたわけですけれども、 そうしたことからすると、本当に市場拡大再算定と、それからさらによい薬を含めたもの をジェネリックに移していくということ、さらにもうちょっと言えば、前のほうの薬価維 持特例というようなもののリンクはどうお考えなんでしょうか。  私どもとしては、何を使うかというのは、よりよい薬が安く使えればいいという、ある 意味での議論がありますけれども、先ほど申されたように、予測以上に売れてしまったら、 それはもう再算定はしようがないなということでもありますので、長野さんの御発言は、 そうなると後発品との関係を少しお考えいただかないと、単にここだけの議論では済まな いと思いますが、少しそのあたりの御意見を聞かせていただけますか。 ○前田部会長  よろしいでしょうか、第1点は総枠の話と……。 ○長野専門委員  まず、私が先ほど総枠規制という言葉を突如申し上げたところを御指摘いただきました ので、御説明いたします。  要するに、新薬算定のときの前提条件の変化なしに、一定の規模売上高が高まったら、 そこで再算定するのだというのを総枠規制という言い方で発言をいたしました。それでは とてもではないけれども日本で新薬開発する気が失せてしまうと懸念をいたしますという ことを発言いたしました。  それから、私が再算定に賛成な部分は、最初の値づけのときの前提と違ったら、これは 最初の薬価がおかしいのだから、それは再算定すべきだというところ、過去からの流れで 一貫しているところだけを私は賛成して、それは理屈である、このように思っております。  それから維持特例との関係で、特許期間中のものがそれぞれ関係してくるわけですから、 全体的に理屈の合った制度、議論を具体的にして、この再算定も定義づけして、対象を明 確にしていったらどうかというのは私は大賛成でございます。  以上でございます。 ○前田部会長  じゃ藤原委員どうぞ。 ○藤原委員  先ほど渡辺委員だったですか、説明がありましたけれども、追加のエビデンスを臨床医 が求めるということについて、そのエビデンスというのは、費用がかかるエビデンスを求 めているということなのでしょうか、ちょっとそこを。 ○渡辺(自)専門委員  全くそうではありません。エビデンスが必要だから非常に広範囲な大きな実験をしつつ あるという、その費用がかかるという意味です。ドクターが求めておられるというような 狭い範囲じゃなくて、もう少し広く考えていただければありがたいと思います。 ○藤原委員  それで、これは今話がどんどん散漫になってきているのですが、この議論の中にやはり これまでも挙げられていました、議論されておりました特許期間または審査期間の間の引 き下げについて対象から外すとかどうか、その辺のところについても議論として挙げるの かどうか、やはりそういうところを1つひとつ詰めながら、あるいは詰めなくていいとい う結論があるかもわかりませんけれども、もう少し具体的な話し合いをしないと、どんど ん話が流れるような気がするのですけれども。 ○前田部会長  それはちょっと整理させていただいて、私の責任で本当に申しわけないと思いますが、 特許期間の問題は、案が出てきて次の段階に進む段階なんですが、ちょっとお待ちいただ いて、別の角度から、市場拡大再算定の側から今の問題点を出していただいて、それを組 み合わせていずれは必ず、今日の御議論にもありますようにつながっていくのですけれど も、ただ、今日の段階で全体の図が見えていてきれいに描き分けられる段階はまだ来てな いのですね。それで申しわけないのですが、市場拡大再算定について、現場でどういう問 題があるか、ここに5つぐらい挙げたものが出てきているけれども、それについて1号委 員、2号委員でどういう感覚を持っていらっしゃるか。それを踏まえてさらに具体化して、 最終的にはやはり特許の問題と結びつけてやっていかなきゃいけないということだと思い ます。  それで当面は、企画官なんかと議論したところでは、やはり類似薬効比較方式における 著しい変化のところでの効能追加の問題が確かに不明朗で、同じ問題、いろんな側からの 見方が出てきているわけですね。そこは詰めていかなきゃいけないというのが1つ。そこ のところはやはり忌憚のない御意見をいただきたかった。  今日は時間がないので、もちろん全体像を描くわけにいかないのですが、今の段階での 御議論を集約して次回に準備させていただくということで、先ほど……。北村委員お願い します。 ○北村委員  皆さんの御意見を伺っていて強く感じるのは、今日、市場拡大再算定の問題が提起され ていますけれども、20年度の薬価制度改革すべての問題が全部関連してきていますね。 ですから、私、事務局に御質問したいのは、全体をどういうふうに考えて、なぜ今日ここ にこの1項目が提案されて、それは全体の中でどういう位置づけになって、今後どう進む のかということをちょっと御質問したいと思います。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  今の北村委員の御質問で、薬−3の資料の関係だと思っておりますが、結局平成20年 度の薬価制度改革で決めたものの宿題事項をどうこなしていくのかということでございま す。それで、事務局の認識としては、その中でもかなり時間がかかるとか、いろんな議論 がありそうだというものが大きく2つあるだろうと、こう思っておりまして、1つがこれ まで議論をしてまいりました業界のいわゆる特許期間中の新薬の薬価維持特例の問題とい うふうに認識をしておりまして、もう1つ大きなのがこの市場拡大再算定の取扱いではな いか。当然そのほかにも、後発品のある先発の薬価改定の特例引き下げの問題ですとか、 それから頻回改定の議論などもあろうかと思います。  今のところは大きなパーツ単位で少し議論を進めていただいて、ある程度整理ができた ところで全体としてどんな感じになるかというのをまた話に入って、その辺をちょっと繰 り返していくのかなという感じでございまして、全体をばあっと並べてしまうとたくさん 項目があるだけでございますので、少し大きなパーツから早めに議論を始めているという ような段階でございます。当然どこかの段階で全体をまた俯瞰して議論を進めていただく 必要があるという認識はしております。 ○北村委員  それならばよく分かりました。最初にそういうことをおっしゃっていただければ非常に 分かりやすいのですけれども、皆さんにちょっとそういうところを、これからの動き方と いうのを、全体像を見せていただかないと、と思いました。 ○前田部会長  よろしいでしょうか。  ほかに何か御指摘いただくことがございましたら。よろしいでしょうか。ですから今日 は、今北村委員御指摘いただいたようなこと、全体像のまとまらない段階でパーツを出し てきたという感じで申しわけないのですが、ただ、次回にこれは必ず生かしてまいりたい と思いますので。  御議論を伺っていても、先ほど申し上げた効能追加の問題とか、ただやはりどうしたっ て利害の対立はありますので、そこを踏まえながら、ただ、申し上げたようにこれだけの 積み上げがある中で具体的にどこをどう変えていけるか、変えていくのが全体のシステム にとってプラスになるかという方向で議論を進めてまいりたいと思いますので、ちょっと もう20分で、予定の時間を過ぎて、まあ前が押していた面もちょっとあるのですが、今 日のところは議論はこのくらいでまとめさせていただきたいと思います。公益の方にも御 発言の機会がなくてあれですが、よろしいでしょうか。  それでは、事務局のほうで次回の予定等、いかがでしょうか。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  まだ未定でございます。 ○前田部会長  それではこれで閉じさせていただきます。どうもありがとうございました。 【照会先】 厚生労働省保険局医療課企画法令第二係 代表 03−5253−1111(内線3276)