09/02/13 第2回医療機器の流通改善に関する懇談会議事録 第2回医療機器の流通改善に関する懇談会議事録  日時:平成21年2月13日(金)12:57〜14:58  場所:グランドアーク半蔵門「富士西の間」 (照会先) 医政局経済課 矢作、櫻井 03-5253-1111(2536) ○矢作流通指導官  定刻より少し早いですが、本日ご出席の委員の皆様、全ておそろいになりましたので、 ただ今から第2回医療機器の流通改善に関する懇談会を開催いたします。  本日は、会場の都合により、特に委員の皆様のお席が窮屈な状況となっておりますこと をお詫び申し上げます。  議事に入ります前に、今回初めて出席されます委員の方をご紹介させていただきます。  前回、所用によりご欠席された東京女子医科大学教授、上塚芳郎様と代理出席によりご 参加されなかった在日米国商工会議所医療機器・IVD小委員会委員、加藤幸輔様でござ います。両委員には、初めに一言ご挨拶をお願いいたします。まず、上塚様からお願いい たします。 ○上塚委員  私、今、ご紹介いただきました東京女子医科大学の上塚と申します。よろしくお願いい たします。  私、病院管理学というのをやっているんですが、実は女子医大病院の病院の医療材料購 入改善室というのを5年前に立ち上げまして、いろいろ材料の購入のことにも関わってお りますが、医薬品では大体4つぐらいの卸に集約されているんですけれども、医療材料に 関しましては非常に多くの代理店といいますか、卸業者が入っていて非常に複雑だなとい うことは日常感じております。また、この懇談会を通じまして認識を深めさせていただき まして、また私の意見なども言わせていただきたいと思っておりますので、どうぞよろし くお願いいたします。 ○矢作流通指導官  続きまして、加藤様、お願いいたします。 ○加藤委員  ACCJ、医療機器・IVD小委員会の委員をしております加藤幸輔です。  前回は所用により欠席いたしまして、大変ご迷惑をおかけいたしました。私も本会にお いてしっかり勉強させていただいて、いい方向性が見出せるように頑張りたいと思います ので、よろしくお願いいたします。 ○矢作流通指導官  ありがとうございました。次に、委員の出欠状況でございますが、本日は、全国自治体 病院協議会副会長、末永裕之様からご欠席の連絡をいただいております。また、欧州ビジ ネス協会医療機器委員会診療報酬小委員会委員長、杉山純男様は、本日、所用のためご欠 席とのことで、代理として同小委員会委員長代理米田博様にご出席をいただいております。  続きまして、本日の資料の確認をさせていただきます。  お手元の資料でございますが、まず議事次第、そして座席表、懇談会名簿、資料1とし まして「医療機器への標準コード付与」の推進について、資料2、医療機器流通に固有の 販売形態について、資料3、SPDについて、資料4、「医療機器業公正競争規約」及び 「医療機器等における医療機器の立会いに関する基準」等について、最後に資料5、1枚 ものですが、平成21年度に検討すべき事項等という資料をお手元に配布しておりますので、 ご確認ください。  また、医政局長ですが、本日、所用により途中退席させていただきますので、予めご了 承いただければと思います。  それでは、以降の議事進行につきましては、嶋口座長にお願いしたいと思います。よろ しくお願いいたします。 ○嶋口座長  嶋口でございます。  それでは、早速、本日の議題に入りたいと思いますが、前回第1回では、医療機器の流 通について、全体を俯瞰するという意味で、日本医療機器販売業協会、いわゆる医器販協 の田中副会長様から、それから公正取引委員会の佐久間取引調査室長から、そして産業医 科大学の松田教授からそれぞれご説明をいただきました。  今日は、その中から特に4つに主要なテーマと思われるものを絞って、さらにご説明い ただきたいと思います。今回もまた共通の情報をお互いに確認するという意味の懇談会で ございますので、よろしくお願いいたします。  これから1時間ほどで早速、先ほどの資料に基づいて4つのテーマからご説明いただく ことになりますが、どうしても時間の関係上、各項目についてその場で質問をたくさんし ていきますと時間がございません。そこで、全体的にとらえてご議論いただくということ が恐らく効率的ではないかということでございますので、誠に失礼と思いますけれども、 質問・ご意見等につきましては、その折にお願いできれば、最後の4つのご発表をいただ いた後にいただきたいと思っております。ということで、ぜひご協力をお願いしたいと思 います。ですから、設問を聞きながら、そこの場でいろいろメモをとっておいていただい て、後ほどご意見を出していただければありがたいと思います。  それでは、前回、松田教授のほうから1つの問題提起として、医療機器の標準コードの 普及という問題提起がされたわけでございますが、この点につきまして事務局のほうから 少し資料に基づいてご説明願いたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○櫻井流通指導官  それでは、事務局からご説明いたします。私、医政局経済課流通指導官の櫻井と申しま す。よろしくお願いいたします。  前回、第1回目の説明の中で産業医科大学の松田先生のほうから、厚生労働科学研究事 業である医療機器関連産業における附帯的サービスの実態調査報告書についてのご説明が ございました。その中で、医療材料の標準コードの普及をどういうふうに図っていくかと いうことがこの附帯的サービス等に関連して大きな問題であると判断しましたという発言 がございました。本日は、コードの標準化に関しまして、行政と業界のここ数年の取組の 一部をご紹介させていただきたいと思います。  まず、お手元の資料1をご覧いただけますでしょうか。「医療機器への標準コード付 与」の推進という資料でございます。これの1ページ目をお願いいたします。  厚生労働省が医療機器等のコード情報化に最初に取組み出したのは、平成13年12月に策 定されました「保健医療分野の情報化に向けてのグランドデザイン」において、「医療材 料物流改革サプライチェーン構想」が取り上げられたことによります。  また、その後、平成15年3月の「医療機器産業ビジョン」、それから昨年9月に発表さ れました「新医療機器・医療技術産業ビジョン」においてもコードの重要性が取り上げら れております。  2ページ目をお願いいたします。医療機器のコード化につきましては、日本医療機器産 業連合会、通称医機連と呼ばれておりますけれども、業界が中心になりましてマニュアル を作成して、約10年にわたって取組を行ってきたわけでございます。その結果、医機連の 協力の下に平成14年から行っております「医療機器における情報化推進状況調査」、それ によれば医療機器全体では、おととし、平成19年9月末現在でJAN商品コード取得割合 が93.1%、データベース登録が60.7%、バーコード貼付が79.8%に達しております。平成 14年に調査を始めたときに比べると格段に伸びてきているという状況がうかがわれます。 このように、コードの推進については業界が主体となりまして、行政が陰ながら後押しを するという形で進められてきたところでございます。  しかしながら、平成19年6月22日に政府の「規制改革推進のための3か年計画」が閣議 決定されまして、その重点計画事項において「医薬品・医療材料への標準コード付与の整 備推進」として、ちょっと読ませていただきますけれども、「医療材料においては、生産 ・流通業者の任意に委ねられているため、標準コードを付与する業者、付与しない業者が 混在しており、その効果が十分に発揮されているとは言い難い状況にある。したがって、 医療材料においても、通知を発出し、標準コード付与の整備を図り、その効果の拡大を図 る」ことが求められまして、平成19年度中に結論・措置とされました。  3ページ目をお願いいたします。この規制改革会議の要請に基づきまして、経済課とい たしましては案文を作成して、パブリックコメントを2回かけまして、昨年、平成20年3 月28日に「医療機器等への標準コード付与(バーコード表示)の実施要項」を医政局経済 課長通知として発出したところでございます。1枚めくっていただいて別紙1というのが ございますけれども、それが通知文でございます。  その内容といたしましては、製造販売業者及び製造業者から医療機関までの流通管理を 精緻化し、物流の効率化、高度化及び医療事務の効率化並びにトレーサビリティの確保及 び医療事故の防止を推進することを目的とするということでございます。  それから、「医療機器」、「体外診断用医薬品」及び「専ら医療機関で医療用に繰り返 し使われる医療機器以外の消耗材料」の包装単位を表示対象とする。  それから、規制ではなく、全体最適の観点から、行政と業界団体とが協力してコード化 を推進していくための基準とする。  コード体系としてはGS1コード体系を推奨しますが、それ以外のコード体系は排除し ない。  データベースにつきましては、登録先を限定せず、「公開されている医療機器データベ ース」への登録を求める。  医療機器本体への直接表示でございますけれども、今後の検討事項として今回は対象と しないということといたしまして、特定保険医療材料については、本年、平成21年3月以 降、特定保守管理医療機器と高度管理医療機器については来年、平成22年3月以降、それ 以外の医療機器と消耗材料については平成23年3月以降、体外診断用医薬品については、 業界からの要望があったこともあって、平成21年3月以降をそれぞれ実施時期と定めたと ころでございます。  医療機器等の多様性、複雑性を踏まえますと、当該要項において厳密詳細な記述を施す ことは困難でございました。そこで、当該要項はコード化の大枠を示すことといたしまし て、医機連の業界マニュアルにおいて詳細な説明をすることが無理がなく、有効であると 判断いたしました。資料1の一番最後につけてありますけれども、別紙2というのがあり ますが、これが医機連の「医療機器等の標準コード運用マニュアル」でございますけれど も、これが昨年4月に作成されまして、これに基づく医機連の協力により具体的な運営を 図っていくということで、官民が連携してコード化の推進を図っていくこととしておりま す。  コード化については様々な課題がございます。また、立場立場によって考え方が異なっ ているという側面がございます。討論すれば大変な時間がかかることが予想されますので、 本日は医療機器流通等について考えていく際の切り口を共有するということを主眼として いることを踏まえ、誠に簡単ではございますが、コード化の説明はこの程度にしておこう と思います。よろしくお願いいたします。 ○嶋口座長  ありがとうございました。前回、松田先生のほうからこの辺りの問題で医療機関のほう で結構、元々標準コードはあるんですけれども、それがちょっと病院ごとにまたばらばら になっていたり、そのために業者の方々がまた新たにそれをつけ加えたり、そういうこと をやらなきゃならないし、トレーサビリティという面からいろいろ問題もあると、そうい うご指摘をいただいたわけでございますが、それを含めて少し広い意味での標準コードの 問題についての今ご説明があったわけでございます。これはまた改めましていろいろご質 問、ご意見をいただきたいと思いますが、次の2番目の問題に移って、ご説明いただきた いと思います。  次は、医療機器流通に特徴的に見られる販売方法につきまして、特に預託品物流という のがこの業界の中に多くあるわけでございますが、それにつきまして日本医療器材工業会、 いわゆる医器工という略称でございますが、その副会長の吉田委員からご説明願いたいと 思います。吉田委員、よろしくお願いいたします。 ○吉田委員  吉田でございます。  表題は、医療機器流通に固有の販売形態ということでありまして、所有権が事業者に留 保されている製品が医療機関に存在するケースというところに焦点を絞りまして、お話を 申し上げたいと思います。  具体的には、循環器分野及び整形インプラント分野、この領域に固有の取引形態であり まして、かなり特殊・専門的な領域でありますので、私に代わって医器工の関連専門部会 の代表を務めておりますテルモ株式会社の星野氏からこの資料についてご説明をさせます。 よろしくお願いします。 ○星野説明補助者  吉田委員の説明補助として、医器工、星野よりこの資料の説明をさせていただきたいと 思います。  まず、1ページ目の説明をさせていただきたいと思います。今ほど吉田よりございまし たとおり、所有権が事業者─こちらで言われている事業者といいますのはメーカー及び 卸さんを指しております─に留保されている製品が医療機関に存在するケースについて のご報告になります。存在するケースは、下に書かれております1件目として紫のところ の帯が入っておりますけれども、貸出しというケース、2件目として緑色の帯が入ってお りますけれども、預託というケース、この2件がございます。  まず初めに、貸出しのほうからご説明をさせていただきたいと思います。貸出しに関し ましては、公正取引協議会の基準にのっとって運用されておりますけれども、医療機関に 医療機器を無償で貸与することでございます。目的はこちらに書いてありますとおり、試 用、デモ、研究、事故・故障、また緊急時の対応、またメーカーの出荷のタイミングで納 期が遅延してしまう場合、あと学会等で使われる研修目的、こちらに対して使用される場 合に医療機器を無償で貸与するということがございます。  対象製品、主としてでございますけれども、医療材料と医療機器を組み合わせて使用す ることが非常に多うございます。医療材料を使用するための機器が対象製品としてござい ます。ただし、機器単独で使われる、例えば整形外科の分野で言いますとドリルとか、そ ういった工具が当たると思います。手術の機械、また工具等を有償で貸出しをすることが ございますけれども、それはこの範囲には含まれておりません。  2件目の説明をさせていただきます。預託でございます。預託に関しましては事業者、 先ほど申し上げたとおり、メーカーあるいは卸さんが事業者に相当しておりますけれども、 一定の目的・用途のために所有権を留保したまま、医療機関に医療材料を預け置かせてい ただくことを預託という形で今回は定義をさせていただいております。こちら、一般的に は富山の薬売り方式というのが一番分かりやすい方式ではないかと思っております。預託、 置材、貸出し、いろいろな立場によりまして呼称はございますけれども、今回は預託とい う形で仮置きをさせていただいております。  預託の目的でございます。2つございます。1番目、救急救命・骨折、そういった疾患 における治療用として一定量の医療材料を預け置く方式。そして、PTCA、整形等に代 表されておりますけれども、適正なサイズが非常に多うございますので選定が使用時じゃ ないと分からない。そういったもののときには医療材料一式を、全サイズを預け置くこと を目的としております。  対象製品は非常に高額でございます。また、サイズのバリエーションが非常に多うござ います。循環器分野で申しますと、PTCA用のカテーテル、また心臓の外科的手術のと きに使われます人工弁というのが対象でございます。整形のインプラント分野ですと人工 関節、人工骨頭等々がございます。こちらの預託品でございますけれども、備考のところ に書いてありますように、預け置きをさせていただいておりますけれども、回収、また使 用製品の補充の際の流通に関する費用に関しましては事業者が負担しております。  また、単回使用を基本的には前提としておりますけれども、使用頻度、また輸送で時間 がかかってしまう場合等がございますので、そういう場合は長期間、医療施設のほうに預 け置きさせていただいているケースもございます。長期間の預け置きの場合ですが、メー カー、また卸さんのほうでトレーサビリティはきちっと管理をしておりますけれども、ど うしても使用頻度が少ないサイズがございます。そういうサイズは使用期限切れでメーカ ー、卸さんのほうで廃棄処分をしているケースも中にはございます。今回のこの預託に関 しましては、医療機関と個別に契約で行われていますSPDに関しましてはこの範囲には 含めておりません。  次の2枚目のご説明をさせていただきます。まず、右上のメーカー営業担当者、(1)のと ころからご覧になっていただきたいと思います。医療機関、卸さんを通じて預託を設定し てほしいという依頼に基づきまして、メーカーの営業担当者が各社の承認部門に対して預 託を実施したいという申請をいたします。承認がとれ次第、(2)のところにいきます。倉庫 に対して預託品を出荷してくださいという指示を行います。倉庫はそれに基づきまして預 託品というものを、(3)のところですけれども、卸さんに対して設置をさせていただきます。 ここの流れですけれども、卸さんとメーカーが預託契約というものを結んでおりますので、 預託契約に基づいて運用されることになります。メーカーより預託品を設置されました卸 さんが、実質は卸さんの営業担当者になると思いますけれども、(4)の欄で預託品を病院さ んのほうに設置をしていただきます。これが預託品を病院さんに預けさせていただく流れ でございます。  病院さんのほうで使用されて、その後の費用と使用報告の流れが赤い線で書かれている ところでございます。病院さんのほうで使用されたというものを卸さんが確認しますと、 営業担当者から卸さんを経由しまして、メーカーのほうに使用報告が流れることになって おります。その使用報告に基づいて、また(2)、(3)、倉庫へ出荷指示。(3)の場合は使用報告 に基づいて納品(補充)を行う、こういう流れが一般的に行われている流れでございます。  今申し上げましたのが預託と、それに使用されたときの売上に関する流れでございます。 病院さんのほうでこの製品をもう預託ではなくてよろしい、卸さんに返却をするという場 合がございます。その場合は、卸さんを経由いたしまして、下の欄の点々の矢印でござい ますけれども、未使用の預託品がメーカーの主に返却センターに返却をされることになっ ております。返却センターで製品を確認させていただいて良品と判断されましたら、また 出荷ができる倉庫に製品を戻しますが、万が一、例えば箱が破損しているとかいった場合 もございますので、そういう場合は工場が主になると思いますけれども、包装替え、その 他製品の確認をして、そこで品質的に担保がとれた場合は、また倉庫に製品が戻されると いうことになります。この戻された製品は、先ほど申し上げたフローに基づいて、また(3) の納品、預託品設置というところに使われることになります。  次のページで整形の分野で人工膝関節についてご説明をさせていただきたいと思います。 こちらの右側のほうに写真が載っておりますけれども、6点ございます。膝関節の手術を するときは患者さんの体形、その他に合わせまして6種類の材料がおのおのたくさんのサ イズがございますけれども、これの組み合わせで使われることになっております。組み合 わせで使うがゆえに、次のページの写真のところでございますけれども、これは術前に使 用材料が決定できない場合に医療機関のほうへ預け置く製品の量になりますけれども、大 体100点〜200点、軽トラック1台分ぐらいの製品が1回の預託として使われることになり ます。それは先ほど申し上げましたとおり、上記の写真6点の組み合わせが非常に多いか らということでございます。ただし、事前に手術で使用される器具のサイズ、大きさが決 定される場合は70点〜100点ぐらいですので、軽トラック半分ぐらいの荷物で済むという ことになります。  次のページでございます。それほど多くの製品を預託で出荷させていただきますが、通 常、手術で用いられる製品は大体このぐらいでございます。4点〜6点が大体使われまし て、先ほどの写真にあったところはほぼまたメーカーのほうに戻ってくるということでご ざいます。この預託品の管理状況でございますけれども、これはある医療施設の写真でご ざいますけれども、左側に書いてあるとおり、本棚のようなラックのところで安全に品種 別に、サイズ別に管理をされております。また、右側のほうですけれども、これはPTC Aのカテーテルでございます。こちらも整形と同様に、非常に多くのサイズが必要です。 手術の当日に決定される品種、使われる材料も変わってくるときもございますので、多く の材料がこのような形で預け置きされている状況でございます。  医器工側からの説明は以上でございます。 ○嶋口座長  どうもありがとうございました。  写真があるし、図がありますから非常に分かりやすく説明していただきました。これに ついてもまた後ほどご意見をいただきたいと思いますが、続きまして今度は医療機器流通 と病院の院内物流の両方に関わる手法として注目されておりますSPD、これについてで すが、本日はSPD研究会理事長の笠原庸介様にお越しいただいておりますので、これか らSPDについて笠原理事長より早速ご説明をいただきたいと思います。よろしくお願い いたします。 ○笠原理事長  ご紹介いただきました笠原でございます。  業界の任意団体でありますSPD研究会の代表をしておりますが、このような場でご説 明をさせていただく機会を与えていただきまして、関係の皆様に御礼を申し上げます。  私の説明ですが、お手元の資料3をご覧ください。SPD研究会につきましては一番後 ろのほうにいろいろ書いてございますので、あるいはホームページをいろいろご覧いただ きたいと思います。設立して10年、現在、会員数が33会員で、2カ月に一遍、研究会等の 活動をしております。  それでは、SPDについてということでお手元の資料、多少端折りながらご説明をさせ てもらいます。  はじめにということで、Supply Processing and Distribution、これは米国のコンサル タントのコードン・フリーセンという方がメディケア、メディケイドの導入によって経済 危機に陥った病院に対しての物流効率化策ということで提唱されたプラン、概念と聞いて おりまして、約20数年前に日本に紹介されたようだということで、実は詳しいことはなか なかよく分かっていないというのが正直なところです。現在、日本では「流通している様 々な物品・物流を包括的に管理する業務」あるいは「医療材料の調達・売買を含む外部委 託業務」など、いろいろなふうに解釈されていると。人によって十人十色の説明がなされ ていると、したがって大きな誤解もいろいろ生んでいるというような背景かと思います。  そこで、SPD研究会では次のように定義付けをしております。「SPDとは、病院が 使用・消費する物品」、医療材料等々、日用雑貨を含めて、「の選定、調達・購入方法の 設定、発注から在庫・払出・使用・消費・滅菌・補充に至る一連の物品の流れ(物流)、 それから取引の流れ(商流)および情報の流れ(情流)を物品管理コンピュータ・システ ムを使い管理することにより、トレーサビリティなど医療の安全性を確保するとともに、 コスト削減、原価管理など病院の経営改善・効率化に資するための『物品・物流管理シス テム』のことをいう」ということで、広義の意味でこのように定義付けておりますが、物 品・物流管理業務を病院が独自に行う場合あるいは外部委託する場合のいずれもがSPD ですよということで、往々にして外部委託をするのがSPDだというふうに理解されてい る方が多いので、あえてこのように書かせてもらいました。  ただし、SPD研究会は上記定義を拡大して、診療部門に対して、人事・会計・財務部 門を除く業務、物流管理、施設、医療情報あるいは医療事務、部門別の採算管理等々を包 括する運用管理部門としてSPDを位置付けていただくことを昨年後半から提唱していま す。このような病院にSPD管理部門があれば、そこを外部委託業者が全部あるいは一部 を受託・サポートするという形が一番望まれる形ではないかなということで、このような ことを言い始めておるということでございます。  ただし、この説明では医療材料、医薬品に限定して話を進めさせていただきます。「S PD(業務)とは、(1)物流管理業務(医療材料・医薬品等の定数管理、在庫・払出・消費 管理、受発注管理業務など)であり、(1)の付随業務として(2)調達・購買業務(医療材料・ 医薬品等の価格交渉・決定、一括調達・購買、帳合いなど)があります」と。「(1)(2)を合 わせてSPDという場合があります」ということで、この辺が非常に混乱するところでご ざいますが、業務を2つに明確に分けたいなというふうに思います。  引き続き、次のページ、2ページ目でございます。医療材料のSPD運用形態でござい ますが、基本的な運用形態は次の3つの組み合わせから成っていると。管理業務ですが、 病院が自ら行う「自主管理型」あるいは外部委託による「管理代行型」。在庫・保管場所 がどこであるか。病院内の倉庫の「院内(供給)型」あるいはSPD業者等の外部の倉庫 ・物流センターの「院外(供給)型」。それから、管理対象物品が病院が購入した「購入 品」か、あるいは使用・消費時に所有権がSPD業者から病院に移転する「預託品」か、 この組み合わせでいろいろな形態があると。  それで、実は上記組み合わせ以外にも納入業者が病院に預託するケース、あるいは納入 業者がSPD業者に預託し、その預託品をSPD業者が病院に預託するケース、預託品以 外の定数外物品あるいは先ほどご説明がありました貸出品預託の管理をどのようにだれが 行うか、SPD業者がそこもやるんだ等々によって、いろいろな運用形態が存在しますと いうことです。  それでは、SPDの代表的な例を図にお示ししております。まず、a)院内供給・業務 委託・管理代行型、これ、対象が購入品ということですね。これは病院と納入業者が物品 売買契約を結び、納入業者が病院に納めたところで病院が購入して所有権が移転すると、 このような形になります。それで、病院はSPD業者と院内の管理代行の業務委託を別途 契約しているということで、この病院内の管理をするわけですが、典型的な例は、まず資 材課・院内倉庫で物を小分け、ピッキング、パッキングしてカードだとかラベルを貼付し て、各部署の棚に定数分を配置する。看護師等が使用するときにカード・ラベル等をボッ クスに入れて、そのカード・ラベルを回収してくる。そこで各部署の消費をそこで読み取 るという形になっております。そのサイクルを繰り返すという形でございます。上に点線 で書いてありますのは、先ほどお話ありました整形のインプラント等の預託は別途直接お やりになっているケースがあるんで、このように点線で書かせてもらっています。  続きまして、次のページ、b)院内供給・預託・業務委託型(預託品)ということで、 まず病院内の院内倉庫をSPD業者が仮置き等の場として利用すると。したがって、SP D業者と納入業者が売買契約をして、院内倉庫に納めた時点でSPD業者の購入となると。 それで、SPD業者はここでピッキング、パッキングして、カードをつけて各部署に配置 する。その時点ではまだSPD業者の所有物でございます。各部署で看護師等が消費、具 体的にはカードボックスにラベルを投入した時点、ここで所有権が移転すると、いわゆる 預託型にここでなっております。あとは同じ繰り返しをする。結果的には、物品の売買は 病院とSPD業者の間で行われるという形になります。それとともに、SPDの院内のこ ういうサービスをやるという業務委託契約が結ばれるという形です。  それから、c)でございますが、これは院内の倉庫がSPD業者等の物流センターとし て院外にあるという違いでございまして、後の流れについては同じでございます。大体が この3つのパターンが多いというふうにご理解いただきたいと思います。  続きまして、4ページ目でございます。先ほどの2番目の調達・購買業務ですが、発注 ・支払業務の簡素化、病院さんの事務軽減、価格の低減(値引き)、預託などを目的に医 療材料等の購入先をSPD業者に一本化するものと。それで、納入業者の選定及び価格交 渉をSPD業者に一任したり、あるいは価格は病院とSPD業者で決定するケース、それ から病院と納入業者で価格を決定したものをSPD業者に伝票を通す、いわゆる帳合取引 をするというケースなど、いろいろ形があります。ここで問題なのは、だれが価格決定権 を持っているか等々ということになろうかと思います。  引き続きまして、3.SPD普及の経緯ということですが、先ほど申し上げました20数 年前にいろいろな形で入ってきておりますが、我々の認識しているところでは、1987年ご ろに中央材料室の滅菌業務に加えて、医療材料管理業務をサクラ精機さん、具体的に企業 の名前を挙げておりますが、サクラ精機さん、あるいはエフエスユニマネジメントさんが ME機器の管理も含めて一元的な院内管理代行業務としてお始めになったという。今でい う委託型とか、そういうのじゃなくて院内管理型でお始めになったというのが一番最初と いうふうに考えております。  それと前後して、千葉の川鉄病院さん、あるいは平塚の市民病院さんだと思いましたが、 ここで病院が独自に医療材料の定数管理方式を導入したと。それと、院外の供給・預託型 につきましては、91年ごろに福岡の原三信病院で始まって、日本医科大学の多摩永山病院 で同じサービスが提供していたんですが、それを94年に伊藤忠商事が引き継いだ。それで、 95年には三菱商事がここに参入してきたと。ただし、医療機器販売業では90年ごろに中川 誠光堂さん、現メディセオメディカルさんが物品管理のシステムを提供され、あるいは管 理業務をお始めになられていると。その後、商社の参入に対抗して、多数の医療機器販売 業の方が院外供給・預託型のサービスの提供を始めたと。商社のシェアの拡大に伴って、 院外供給・預託型がSPDであるとの認識が一部に広まったという大まかな経緯というふ うに考えております。  4番目、多種多様な業者の参入。専門業者が少なく、医療機器販売業、医薬品卸、商社、 滅菌、リネン、医療事務、清掃、物流、医療ガスなど、業界各社に加えて物流管理システ ムを提供するソフト会社、システムベンダーなどを含めると多種多様な業者がSPD業務 受託事業に参入していると。医機連に加入していない業者も多く、異業者である、あるい はSPDが本業外であるなどなどが障害となって、参入業者が結集してSPD業務の質の 向上を図って、業として成り立つような共存共栄を図るマインドが余りございません。S PD研究会はその中でも複数の業界のメンバーを集めて、何とか10年続けているという任 意団体でございます。  SPD導入の目的ですが、これはいろいろ書いてございますので後でお読みいただきま すが、中ごろに書いてありますトレーサビリティの安全管理とか、将来的には電子発注、 EDIの取引等々の基盤になっていくんじゃないかなというふうに思います。  調達・購買業務の最大の目的は、購入価格が下がることにあるわけですが、時間の経過 とともに値下げも限界に達して、病院さんの効果・期待感が薄れるためSPD業務の評価 が下がって、本来の物流管理業務(SPD業務)のあるべき姿を歪めている一因になって いるというふうに考えております。  5ページ目、預託方式について。「預託方式は、SPD業者が病院の選定・指定通りの 定数物品・数量を預託し、定められたサイクルで補充する義務を負う一方で、病院は自分 が選定・指定した定数物品(銘柄・数量)を一定期間内に使用・消費する義務を負う仕組 みです」、これは契約でそういうふうに決めるわけですが、定数物品が使用中止になった り不稼働在庫になった場合、病院の保管棚の在庫のみならず、SPD業者が補充のために 在庫している院外物流センター等の補充用の材料があります。これも病院の責任において 引取り・処分する義務が発生します。この点を契約上で明確に取り決めていないために責 任の所在があいまいとなって、トラブルの原因となっているということでございまして、 単に、お前、これを置いておけと、使わないからすぐ持って帰れという契約ではございま せんよという点を病院の方も十分にご認識いただきたいなと、あるいはSPD業者もこの 辺も含めてきちっとした契約をしていただきたいなというふうに思います。  引き続いて7、消化払い(消費委託補充)について。医療材料をやっていますと医薬品 のSPDもやってくれという話がどんどん出てきます。医薬品のSPDは、病院内の医薬 品倉庫における定数管理・薬剤部から払出される医薬品の搬送等々、薬剤師の支援業務で ございますけれども、まだまだ部署で患者別の消費管理をするまでにはなかなか至ってい ないと。それで、医薬品のSPDは当然は役務支援型の業務なんですが、医療材料の預託 に対して消化払いといわれる方式を指す言葉として一部に使われているようです。預託型 との大きな違いは、消化払いは医薬品が倉庫に納入された時点で所有権が病院に移転する と契約書にちゃんと明記されています。倉庫から払出された分のみを医薬品卸が月末に請 求する仕組みということで、そういう意味で医療材料の預託とかなり違いますよというこ とでご認識いただければと思います。  今後の課題でございます。「SPDが外部委託業務及び新たな流通形態として、又、病 院経営支援業務のひとつとして認められ、医療の質の向上等に貢献して、『業』として成 り立つためには次のような課題があります」と。この課題を克服するために皆さんのご協 力をいただきたいということで書きました。  まず、1)SPD業務の理解と浸透。SPDのやっぱり本質論・仕組みを正確にご理解 いただきたいと。同じような考え・理解の下でSPDの採用・活用の可否をぜひご判断い ただきたい。  それから、適正なSPD業務対価。SPD業者、販売業、卸等が医療材料の商権確保等 のために無償あるいは激安な業務対価でSPDを受託すると、結果的には採算性が悪化し て自分の首を絞めることになる点を認識して、慎重な対応を望みたい。このようなことで 大分業績が悪化されて、あるいは撤退したという業者さんもあります。  それから、公正競争規約の遵守ということで、無償でSPD業者を提供することは公正 競争規約第4条の2号、医療機関に対する取引を誘引する行為、便益労務ですね、これに 該当するということなので、激安の場合も含めて、そういう無償・激安の業務対価を提示 することは自粛していただきたいとともに、病院の方にもその辺をご理解いただきたいな というふうに思います。  最後のページでございます。契約の業務別の分離。最初に申し上げました物品管理業務 (SPD業務)と調達・購買業務の契約をぜひ分離していただきたいと、余りごっちゃに しないでいただきたいなと。それで、おのおのが独立して業務対価なり、あるいは医療材 料の売買の収益が確保されるような形をぜひとっていただきたいと。  それから、SPD業務契約の精緻化ということで、特に預託の場合ですね。先ほども説 明しましたような病院・SPD業者の責任の範囲、中止になった場合、どうするんだ等々 の内容を契約で明文化いただきたい。  それから、SPD業務の質の向上。SPD業者は、やはり質を向上して病院経営支援に 貢献できるような努力もやってほしいと。  それから、最後でございますが、SPD業務の正当な評価ということで、病院におかれ ましてはSPD業務の質を公平に判断・評価いただいて、SPD業務の対価の安さだけで 業者を選定することを控えていただきたいということでございます。  以上でございます。ありがとうございました。 ○嶋口座長  笠原さん、どうもありがとうございました。笠原様には、この後の討論も引き続きご参 加いただけるということでございますので、質問等についてはその折にお願いしたいと思 います。  それでは、4番目に入ります。続きまして、公正な競争という観点と、それから医療現 場の運営に非常に関係の深い「立会い基準」というのが前回も議論されましたが、それら について医療機器業公正取引協議会常任運営委員会副委員長であります青柳委員よりご説 明いただきたいと思います。資料の4でございます。青柳委員、よろしくお願いいたしま す。 ○青柳委員  ただ今ご紹介いただきました医療機器業公正取引協議会の青柳でございます。  議題4の「医療機器業公正競争規約」及び「医療機関等における医療機器の立会いに関 する基準」等について説明をさせていただきます。  資料が非常に厚くなっておりますけれども、法律に根拠がありますので、正確を期すた めに厚くなっております。ただし、この説明では、例えば医療機器業公正競争規約を規約 ですとか、それから医療機関等における医療機器の立会いに関する基準は立会い基準とい うふうに略して説明させていただきますので、ご容赦いただきたいと思っております。資 料は本文と、それから別紙1、2、3に分かれております。本文のほうと、それから立会 いと貸出しに関する基準については別紙のほうで説明をさせていただきたいと思っており ます。  それでは、まず最初に医療機器業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約に ついてという形のこの資料に基づいて説明をさせていただきます。  まず、はじめにという形になっておりますけれども、医療機器業の発展が医療機器業界 の発展に寄与しているというのは、これはもうだれでもご承知のところだと思いますけれ ども、それにつきまして、はじめにの下から16行目からちょっと話しますけれども、「こ のような医療機器の特殊性から、医療機器業界で行われていた過剰なサンプルの提供や長 期間にわたる『医療機器の無償貸与』等の過大な景品類の提供に当たる行為は、公正な取 引や適切な医療保険制度の確保の観点から問題があるとして、平成5年に中央社会保険医 療協議会(以下『中医協』といいます。)から、『できるだけ早い時期に、公正競争規約 が設定され流通改善を積極的に進めることが望まれる。』旨の指摘を受けました。」とい う形になっております。ですから、中医協の平成5年の指摘が結構大きなきっかけになっ ているというところでございます。  次のページにお移りください。次のページの上から7行目です。「現在、当協議会が運 用しております公正競争規約、すなわち『医療機器業における景品類の提供の制限に関す る公正競争規約』(以下『規約』といいます。)は、前記の中医協の指摘を踏まえ、医療 機器業界における告示第54号による不当な景品類の提供の防止が、より的確、かつ効率的 に行われるようにするために、公正取引委員会の認定を受け、医療機器業界における景品 類の提供に関するルールとして、平成10年11月に設定されたもの」、ですからここでポイ ントなのは公正取引委員会の認定を受けているというところでございます。2ページ目の 2の規約と法的な背景については、4ページの表で見ていただけるとお分かりになると思 いますのでちょっと省かせていただきます。  続いて、3番です。規約の設定等について。3ページです。ここにおきましては、やは り下から13行目から説明をさせていただきます。「したがって、このようにして設定され た規約は、言わば、医療機器業界における告示第54号の運用細則ということができ、医療 機器の取引に当たって、規約を遵守していれば、告示第54号で制限されている不当な景品 類の提供に当たらず、景品表示法第3条の違反に問われることはありません。」というと ころになっております。「このようなことから、規約は、医療機器業界の自主規制ルール ですが、会員である医療機器事業者(以下『会員事業者』といいます。)は、その遵守を 義務付けられており」、会員事業者が規約に違反した場合には、協議会が独自に調査をし て、それでいろいろな形の手続を経て制裁措置をとるという形になります。  ただし、規約は会員事業者しか及びませんので、非会員事業者、俗にアウトサイダーと 呼んでおりますけれども、どうするかといいますと、その下から3行目に書いてあります とおり、公正取引委員会が景品表示法に基づいて規約を参考に直接に指導するというよう な形になろうかと思っております。4ページの法体系は、規約がこういった形の景品表示 法に基づいた、根拠にした自主ルールになっているという形のものがその法体系の簡略図 でございます。  続きまして、貸出しに関する基準にいきます。  貸出しに関する基準につきましては、別紙2を、通しページがついていないので申しわ けないんですけれども、「医療機関のみなさまへ 医療機器の貸出しについて」というと ころを見ていただければと思っております。別紙2です。  そこの表紙に「中でも、医療機器の無償貸出しについては」という真ん中のところなん ですけれども、「医療機器の無償提供と同様に不当な取引誘因の有力な手段となり得るこ と」、2つ目です「現行医療保険制度の枠組みの下では価格に反映させないので償還価格 の算定を歪めること」、それから3番「取引内容が不透明であること」、こういったこと の理由がありまして、医療機器の貸出しについてのルールを設定いたしました。  次のページです。貸出し、貸出しと言っていますのは、あくまでも無償貸出しと有償貸 出しの部分については、ここには含まれないということを大前提にしております。それで、 無償貸出しについてなんですけれども、大きく分けて原則として制限している貸出しと、 原則として制限されないけれども、期間で束縛しますよ、拘束していますよという分け方 になっております。  まず、原則として制限している貸出しが4類型ございまして、四角で囲ってあるもので す。医療機器等に対する費用の肩代わりになる貸出し、それから医療材料の販売を目的と した貸出し、医療機関等がすでに使用している同一医療機器の貸出し、4番、自社の取り 扱う医療機器と直接関連のない医療機器の貸出し、これが4類型です。例えば、費用の肩 代わりになるのがどうかといいますと、そこにありますとおり、四角の下の(1)のとこ ろに書いてありますけれども、予算と非常に綿密に絡んでおります。ですから、予算があ っても売買契約が締結していなければどうのこうのというような形の書きぶりになってお りますので後ほど見ていただければと、そう思っております。これが規約を制限している ものです。  続きまして、次のページですけれども、今度は原則として制限していないが、貸出し期 間等で制限している、これが8類型ございます。ですから、こういった行為類型は原則と して制限されませんけれども、ただし期間を限度に縛りますよという形のものになってお ります。特に8類型ありますが、その中でデモと試用という形のものの違いを時々混同さ れておりますので、ここでちょっとはっきりしておきたいんですけれども、まずデモです。 「臨床試用のためでなく、当該医療機器の実物を使って商品の外観及び基本的性能をPR するための貸出し」、ですからこれは臨床には使えないという大前提になっております。 これが1カ月以内。試用といいますのは「医療担当者が当該医療機器の試用に先立って、 有効性及び安全性の評価に資するため臨床試用することを目的とする貸出し」、ですから これになって初めて臨床試用ができる。ですから、当然、事業者側のほうはデモと試用を 区別して使っておりますので、ひとつこういったところもご留意していただきたいと思っ ております。  その他、研究ですとか、それから事故・故障対応、それから緊急時、納期遅延、それか ら研修、それからその他となっております。その他という形の7類型にないものにつきま しては、都度、公取協に相談していただいて公取協が判断するという形になっております。  続いて、次のページなんですけれども、非常に複雑というか誤解しやすいものについて 2例、ちょっとお話をさせていただきます。  まず、事故・故障時の代替機器貸出しという形。当然、事故とか故障になりますと、実 際に病院で使われている機械を引き揚げなくてはいけません。ですから、それに代わって 代替の機械を貸出さなくてはいけないということになりますけれども、そういったところ でルールを決めております。  1番ですけれども、許されるのは保証期間内、機械によって保証期間が設けられており ますけれども、その保証期間内と外において代替機器の無償貸出しが可か不可かという形 のものを書いております。保証期間内のものであったならば、まあいいだろうという形に なります。ただし、その場合にも3カ月という期限の限度を設けております。といいます のは、これは事業者側のアンケートで大体3カ月あれば修理のものができるという判断で ございますので、3カ月といたしております。  それからもう一つは、2番目の医療法規の遵守に伴って行われる代替機器の無償貸出し。 これはどういうことかといいますと、リコールですとかPL法に基づいた、そういったも のについては当然メーカー責任になりますので、事業者側の責任になりますので代替機器 の貸出しもいいだろうという形になっております。  続いて、在宅用医療機器の貸出し。在宅の機器の貸出しにつきましても、当然、病院と 在宅というフィールドは違いますけれども、医療機関の管理下の指示の下にいろいろと治 療行為、医療行為をしますので、当然、在宅の医療機器の貸出しも貸出し基準の中で縛ら れるという解釈でございます。  分かりやすく真ん中に図が書いてございますけれども、その下の事業者側、それから医 療機関等、在宅医療患者、この流れがありますけれども、その下の患者トレーニング用貸 出し(注1)、それから医療機器等を経由しない貸出し等(注2)という形があります。 これは基本的には不可ですという形になっております。ですから、必ず在宅患者さんとい ろいろな形をやる場合には、当然、医療機関の指示の下に動いていただきたいという形を 事業者側に徹底しております。  貸出しの最後になりますけれども、医療機器の貸出しに関する確認書という形、これが 公取協が定める公式書類になっております。ですから、全ての事業者が貸出しを行うとき には、この確認書をもって行うという形になります。すなわち、確認書のない貸出しは規 約違反になるという形の解釈になっております。ここには医療機関の皆様方に記入してい ただくこともございますので、ぜひ事業者側から要請がありましたら記入していただきた いと思っております。これが1つ目です。  それから、2つ目は下のほうにちょこっと書いてございますけれども、医療機器への表 示なんですけれども、貸出した機械については、商品と明確に判別できるように所有権が 事業者側にある、もしくは何々株式会社とか、(株)何々という形で事業者側に明確に所有 権があるという形のものを書いていただきたいと、そう思っております。そういうルール でございます。  続いて、立会いに移ります。これは別紙3になります。「医療機関の皆さまへ 医療機 関等における医療機器の立会いに関する基準実施のご案内」というところでございます。  続いて、ページをめくっていただきたいと思っています。今まで事業者側がいわゆる立 会いという形で、非常にこの業界は多くの立会い行為をいろいろな形の言葉で、それから 概念でやっておりましたので、まず立会いの定義という形で運用基準上、定義をしました。 基準を読みます。「本基準で規定する『立会い』とは、医療機器事業者の行う以下の行為 をいいます。」という形で、「医療機関等の管理下にある患者に対して、医師等の医療担 当者が診断や治療を行う際に、事業者がその医療現場に立ち入り、医療機器に関する情報 提供や便益労務の提供を行うことをいい」、在宅医療についてもという形の云々がござい ます。ですから、ポイントなのは医療現場に立入るということです。  じゃ、医療現場とはどういうことかという形のものをここで説明させていただきますけ れども、言葉の定義ではなくて概念的な定義になります。すなわち、どういうことかとい いますと、例えば同じオペ室でも患者さんがいてオペをしているときには医療現場になり ますけれども、患者さんがいなくなって治療行為とか手術をしないときには医療現場とは 言いません。すなわち、それは外来も同じで、患者さんがいて、それで治療とか検査とか、 そういったものをしていれば医療現場と言いますけれども、患者さんがいないところの外 来は医療現場とは言わないという形の解釈をしております。ですから、ここで明確になっ ていて、いわゆる立会いと称していた事業者側の言葉の定義を明確にしたというのが2つ 目です。  3番目ですけれども、「この基準でいう立ち会いは、当然のことながら関連法則に抵触 しないことを前提としております。」、あえて運用基準の中にこういった形の関連法規に 触れないという形のものを第2項の中でつけ加えております。といいますのは、立会いと いいますのは医療関連法規、医療法とか医師法とか、そういった形の関連法規、それから 労働者派遣法に綿密に関わりますので、そういった法律違反をしないというのが大前提に なります。ですから、法律違反をしないというところになって、初めて次の段階で規約の 運用になってくるという形の解釈でございます。  4番目にいきます。本基準の具体的な内容について。これも貸出しと同じように、大き くは2つに分かれます。1つ目は、立会いの行為自体が制限される立会いという形になっ ております。これは2類型ございます。1つ目は、医療機器の販売を目的とした立会いで す。ですから、販売を条件とした、そういった立会いは駄目ですという形になります。2 つ目は、医療機器に関する費用の肩代わりになる立会い。ですから、費用の肩代わり、例 えばどういうことかといいますと、これは医療関係者の方々が急遽病気とか何とかで休ん だときに、事業者に声をかけてちょっと手伝ってくれというような形のものも費用の肩代 わりになるという形になります。これが1つ目です。  それから2つ目は、制限されないんですけれども、ただし期間と回数で区切るという形 の書き方になっております。これは、まず自社の取り扱う医療機器の適正使用の確保のた めの立会いと、大きく分けて、それから2つ目の安全使用のための立会いという形に分け させていただいております。適正使用と安全使用の違いといいますのは、大きく分けます と適正使用というのは、要するに医療担当者の方々がその機械に熟知して、それを適正に 使いこなすかどうかというところに主眼を置いております。ところが、もう一つの安全使 用というのは、機械そのものが安全に使用できる状態というところで大きく分けておりま す。  おのおのその中に、適正使用の場合には小さく5分類になっております。特に新規に納 入したものとか、既納入品のバージョンアップ、それから試用の貸出しの基準にのっとっ た使用のためですとか、それから医療担当者の交代ですとか、緊急時又は災害時というと ころでおのおのに条件をつけると。ざっくり言いまして、回数は1つの診療科に対して、 1つの手技に対して4回を限度とする。期間は大体4カ月という形のものが、個々によっ て若干条件が違いますけれども、その一覧表を見ていただければと、そう思っております。  続いて、安全使用の場合もそういった形になっております。安全使用は、保証期間内の ものでしたら1年ぐらいはいいですよという形になります。それから、2番目としては、 故障修理ですね。それから、3番目として保守点検、そういった業務契約の内容について。 医療法で医療機器は保守点検が義務付けられております。そういった保守点検の内容で契 約を結んでいるときには、そちらのほうに遵守するという形になります。  いずれにしましても、貸出しとか立会いにつきましては期間を設けております。これは 最大値だという形でご理解していただきたいと思います。すなわち、これより短い期間で 物事が全部完結すれば短いにこしたことはないものですから、その時点で終了という形で す。ですから、あくまでも最大期限だという形でご理解していただきたいと思っておりま す。  続いて、次のページをお願いします。3番目です。在宅医療における医療機器の適正使 用及び安全使用のための立会いです。医師等の医療担当者が行う患者への医療機器使用・ 操作方法の説明等を補足するための立会いです。この補足するための立会いというのは、 あくまでも薬事法の77条の3に照らしまして、口頭で補足的に説明するという形のご理解 をしていただきたいと思っております。保守点検については、保守点検の遵守をしていた だきたいというところです。  貸出しと同じように、立会いの実施確認書もございます。それはこの立会いの最終ペー ジにございますので、後ほどちょっと説明をさせていただきます。立会いの実施確認書は やはりとっていただきたい。これは貸出しの実施確認書と同様に、医療機関とのしっかり した条件の下に打ち合わせをして、それで双方に確認したという形の確認の証になります ので、しっかりと事業者側にはとるようにという形の義務付けになっております。  じゃ、最後のページに移りますけれども、立会いの実施確認書です。特にここのところ も医療機関等に書いていただくところがございますので、医療機関のご協力をお願いした いのと、それからもう一つは、上のほうの欄なんですけれども、5番目です。「事業者が 立会いを行うことの患者へのインフォームドコンセントの実施」という形で、医療機関の 皆様方に患者さんへの了解を得たかどうか、事業者が立会うことの患者さんへの了解を得 たかどうかという形を必ず聞くようにしてチェック欄を設けておりますので、ひとつこれ はよろしくお願いしたいと、そういうような思いを込めております。  以上がざっくりと立会いと、それから貸出しにつきましての基準の説明をしました。  元の本資料に戻っていただきたいんですけれども、15ページです。規約違反事案につい てというところなんですけれども、どういった形の事案に対する対応をしているかという 形なんですけれども、「規約は、医療機器業界の自主規制ルールですが、景品表示法にそ の法的根拠を有することから、拘束力や罰則が規定されております」という形になってい ます。迅速かつ的確、それから公正に行うために規約違反事案処理要領、それから規約違 反措置基準、それから規約違反に関する公表等の基準、こういったものを設けて運用して おります。その程度によって指導、注意、警告、厳重警告、違約金の賦課、除名処分とい う形の段階的な措置基準を設けております。  2番目の最近における貸出しに関する基準及び立会いに関する基準の違反事案について、 まず貸出しについてなんですけれども、これはいろいろとありますけれども、1つ目は2 行目からです。「『医療機器の貸出しに関する確認書』を医療機関から受領しないで無償 での医療機器の貸出しを行った事例、貸出しに関する基準で許容されている無償で行うこ とができる貸出しについて、目的別に定められた期間を超えて貸出しを行っていた事例、 無償で行うことができる貸出しには当たらない貸出しを行った事例など」、こういったも のが数件ございました。いずれにしろ、これは全部注意処分を行ったというのがここの貸 出しについての措置の基準です。  続いて、次のページをお願いいたします。立会いに関する基準の違反事例についてなん ですけれども、立会いの基準は平成20年4月1日から実施されていて、まだ事業者間への 周知徹底、それから医療機関へのご理解の推進という形のものに主眼を置いております。 ですから、そういった面ではいろいろな形の違反行為が見えても、会員事業者側を招致し て、それで注意しているというのが現状です。しかし、ほぼ1年近く過ぎてきていますの で、この間、12月19日に、下のほうにございますけれども、「立会いに関する基準の完全 実施について」という通知文を出して、今後は厳正に対処するというところのものを会員 事業者に発出をして、より厳正に対処していきたいと、そう思っております。  今後の対応についてなんですけれども、最後になりますけれども、いずれにしろ当協議 会は、日常的には最後のところについておりますけれども、組織図を見ていただきたいん ですけれども、総会とか理事会がございますけれども、その下に常任運営委員会という形、 四角で囲ってある小さな字のところがございます。常任運営委員会がありまして、その下 に専門委員会として企画・広報委員会、それから指導・審査委員会、立会い基準策定委員 会、この3つの委員会があります。ですから、都合4つの委員会が日常的に活動しており ますけれども、いずれにしろ規約の未然防止、それから規約の周知徹底、これを主眼にお いて活動しております。ですから、皆様方のご協力のほどをぜひよろしくお願いしたいと いうところで、私の説明に代えさせていただきたいと思っています。どうもありがとうご ざいました。 ○嶋口座長  青柳委員、どうもありがとうございました。  以上で、特に第1回の議論を踏まえて、恐らく医療機器の流通改善懇談会の中で中心テ ーマとなるようなもの、その4テーマを今日はご説明いただいたわけです。1つは、標準 コード付与についての問題、それから2つ目が特に貸出しだとか預託品物流なんかに関わ る固有の販売形態について、それから3番目にはSPDについて、それからただ今の医療 機器業公正競争規約、とりわけ貸出しだとか立会い、この辺りの幾つかの規制についての お話、これをいただいたわけでございます。  かなり膨大な情報量になりましたが、以上、ご説明いただいた内容をベースにしまして、 これから総括的にいろいろなご質問や要望などを踏まえてご議論いただきたいと思ってお ります。どの立場からでも結構でございますが、委員の先生方からどうぞご自由なご発言 を求めたいと思います。よろしくお願いします。上塚委員。 ○上塚委員  病院の立場から。東京女子医科大学の上塚ですけれども、この4つのテーマが今日、掲 げられているんですが、私はちょっと病院の立場から述べさせていただきたいのは、医療 機器に固有の販売形態についてということですけれども、やはり預託販売方式というのが 医療機器の価格が高止まりしているということの1つの原因だとは思うんですが、病院と してもやむを得ないだろうと。  例えば、ペースメーカーなんかは1台120万とかする機械でございますので、病院のほ うで買い取れればいいんですけれども、買い取るといっても、うちの病院は大体年間250 件ぐらいのペースメーカーの植え込みをやっておりますが、やはり日本の病院というのは 中小病院から少ないところでは年間3件とか4件しかペースメーカーの植え込みを行わな い施設もございますので、買い取るということはリスクが大きいということになりますと、 先ほどお話が出たような富山の薬売り方式のような預託在庫という形にならざるを得ない かなというふうな気がするんですが、一方でやはりペースメーカーの植え込みなどにつき ましては症例を集中させる、あるいは病院の規模あるいはグループ病院であれば本部のほ うで一括して購入するというようなことを心がければ預託方式に頼らなくてもできるんで はないかと思いますが、女子医大規模の病院であってもやはりなかなかそれは無理だとい うことが言えます。  また、薬剤溶出ステントなんかの場合ですね、冠動脈に治療に使われる。これは使用期 限が限られているものがあります。そうしますと、その期間内に使用しなければならない ということで、これもまた預託方式にしておかないと病院のリスク、何例使うか分かりま せんものですから、そういった問題を抱えておるということを報告させていただきます。 ○嶋口座長  どうもありがとうございました。それに関連して何かご発表のお立場から意見というか、 ご説明がございましたらお願いいたします。 ○崎原委員  日本病院会の崎原でございます。  病院の立場からまたちょっと発言させていただきます。今に関係したSPDの問題です けれども、私どもの病院はSPDに求めるのは購入が安いこと、それから在庫調整、在庫 をなるだけ少なくすることができること。それから、消費期限とか消毒の期限なんかがご ざいますけれども、そういう期限内に使うという合理的な目的、そういったことを期待し てSPDと契約しているわけでございます。今後のSPDの病院についてのご理解を求め るというような先ほどのお話もございましたけれども、SPDの業界も病院のほうが今、 私どもが求めているようなことを勘案いたしまして、業界として努力していただきたいと 思います。  つまりは、購入安につきましてはSPDの業者自体が病院がたくさんございますので共 同購入とか、そういう購入を広げることによって1つ1つの病院の購入安に貢献していた だくということとか、それから預託の在庫のことなんかがございましたけれども、病院で 例えば余りそうなものなんかはほかの病院で回して使っていただくような、そういう業者 としての努力など、消費期限の問題もございますが、そういうことをやっていただいて、 病院とSPD業者がともに栄えるというような、そういう観点が必要なことだと思います ので、病院のほうから言うのは、私どもも努力をしますけれども、SPDの業者も病院の 立場を理解していただいて、お互いに努力して合理的にやっていこうということだと思い ます。  病院のほうは、ご存じかと思いますが、物品の購入につきましては消費税が損税になっ ておると、医療材料を買うときは5%の消費税を納めるんですけれども、それを患者さん に請求することはできないということで損税ということになっておりますので、そういっ たようなことで病院のほうは最大限経営的な努力を求めるということ、そういうようなこ ともご理解いただきたいと思います。 ○嶋口座長  今、お二方、医療機関の側からでございますが、大塚委員、お願いします。 ○大塚委員  SPDでございますけれども、10年ぐらい、SPDで医療材料を購入いたしております。 薬剤はしておりませんけれども、価格、それから在庫管理、これがうまくいくということ はメリットだと思います。それと、さらにデッドストックがございません。ところが、だ んだんとコストが高くなって、いつの間にか医療材料に対する価格が増えてきています。 だから、いつの間にか価格が高くなってくるという、だから医療機関としてはしばしばチ ェックをしておかないといけないということです。  それと、もう一つ、医療機器の立会い、それから貸出しについて、医療機関側としては いいものを使いやすく、しかも適切に利用するためには競争原理をやはり求めます。サー ビスがいいということは、十分競争原理につながってくるんだと思います。サービスも悪 い、物も悪けりゃ医療機関は購入いたしません。それで、立会いを4回に制限するとか、 あるいは厳しくチェックすることは選択権が非常に狭くなって、いい物を買うチャンスが やはり少なくなるんじゃないかと思います。一般に、通常、物を買った場合には1年間は 保証されるというのが社会通念のように考えております。そういう点も考慮して、余り厳 しく立会いあるいは貸出しを制限することはいかがなものかなと思います。 ○嶋口座長  お三方、医療機関側といいますか、ユーザー側のほうのお立場からのご意見、どうして も貸出しであるとか預託、こういうのは支障の可能性がある。ただ、ここを何とか合理化 できないかと、そういうご意見だったような気がしますが、ご説明いただいた吉田委員と 笠原理事長のほうから何かコメント的なご意見、もしございましたらお願いします。 ○吉田委員  先ほどのご質問でペースメーカーと薬剤ステントの例を挙げられ、預託が高購買価格、 流通コストのアップを招いているという既定のつながり方をされておられますが、そこに ついては本当に預託方式が医療経済上、どういう影響を与えているのか、本当に緊急の都 度に緊急出荷や緊急対応することとのコストなり安全性の差ということをどう見ていくの かという点について、医療器材工業会としてはきちっと事実をもって、データをもって検 証する必要があると考えます。この点については、単純に預託は高いんだというように結 論付けるのはいかがなものかという感じで受け止めました。事実をもって、きちっとデー タで明らかにすればいいと思います。 ○笠原理事長  お二人の先生からいろいろご意見をいただきましたが、価格が安くなる在庫管理、それ はごもっともでございまして、ただしサービス提供あるいは物を売る側の状況もいろいろ ございまして、病院さんのそういうニーズでSPD業者が一括購入の窓口になるとか、い ろいろそういうことで期待にこたえてやるわけですが、一方では医療機器販売業の方がた くさんいらっしゃって、それがやはりそこで一括にまとめられる云々というのはいかがな ものかというご意見も実はいろいろございます。  ご存じのように、いろいろな分野があって、いろいろな業者さんがいるわけですから、 それを1本にまとめるというのは分かりますけれども、各販売業者さんもいろいろお立場 がありますし、一蓮托生で、えいやで値引きさせられるというのもちょっと皆さんのお立 場からいくといろいろ不満のあるところというのもございます。その辺をどういうふうに やっていくかということで、やはり購入とSPD業務というのをちゃんと分けて、購入な ら購入でコンサルタント業務を任すのか、言葉は悪いですけれども、納入業者さんの価格 を何しろ値切る役をやらせるのか、その対価は何なのかというところまで深く入ってやは りやっておかないと、なかなかそこの全体のバランスといいますか、なかなかとりにくい。  それと、私どもの立場でいきますと、やはり各地方等々で医療機器販売業者さんがたく さんいらっしゃいますが、その方たちがやっぱりなかなかいらっしゃらないと物の供給が スムーズにいかないという点もございます。ですから、その辺も勘案していろいろやる必 要があるかなというふうにも1つ思います。  それと、先ほどのお話の中で、大塚委員のほうでSPDをやって購入しているとそのう ちコストが高くなると、あるいは医療材料の価格が高くなっていくというのは、最初導入 したときに100で買っていたのを90にして、その90の価格が高くなっていっているのか、 あるいは今病院経営の中で高度医療をやっていきますと材料費も高くなっていますから、 材料比率がかなり上がっていくわけですね。そのことをおっしゃられているのか、後者の ほうですと我々、何ともできない。前者ですと、最初安売りしておいて、後で高くするの はけしからんなという話になるわけですが、その辺のことをちょっとお聞かせいただけた らと思います。 ○大塚委員  当初、契約するときは価格についてかなり厳しい、双方チェックして決定いたしますが、 数年たつ間に注意が非常に疎くなって、いつの間にか医療機関側が高い価格で買うような 状態にしばしばなっているという傾向がございます。それで、改めて数年後に価格調整を やったら、何でこんなに高くなっていたかと。それから、場合によっては、品数の適切な 個数の管理ができていなかったとか、非常にマンネリ化するような傾向のために価格が高 くなっているケースが私たちの病院では経験いたしております。 ○笠原理事長  そういう話もしばしば聞くんですが、要はSPD業務の対価と価格があるわけですね、 物の価格。それで、先生のところはこちらの対価というのは十分な対価をお支払いになら れているのか。業者のほうはこちらが少ない、最初安くとって、こちらも安いと。そうす ると、こちらを上げてくれないと、ここを高くしてリカバーするようにするというのが当 然出てくるわけですね。いいか悪いかは別ですよ、赤字にはできないですから。ですから、 その辺のところでこちらのSPD業務対価をある程度ちゃんと相場でお支払いになられて いるのか、これが安いのか。これが安ければ、変えなけりゃ、そのうちこちらを上げられ てもしょうがないよねという乱暴な話にもなるわけですけれども、その辺のところがもう 少し詳しくちょっと具体的な例で、あるいは多分言われている仕組みでどれだけ高くなっ ているうちの多分あの方式だなというのは、多分想像では分かりますけれども、それとも う一つは病院さん側がやはりSPD業者に委託を頼むわけですから、そこを野方図に勝手 にやらせるんじゃなくて、やはり病院さん側もちゃんときちっとした責任者の方がSPD 業者のパフォーマンス等をきちっと常にウォッチいただかないと、やはりそこで水が漏れ ていくような形になろうかと思うんですが、その辺はいかがでございましょうか。 ○嶋口座長  これ、余り各論のところで細かい話になってきますとちょっとこの委員会の全体にそぐ わないので、問題点を指摘いただくことにしましょう。 ○大塚委員  簡単に。そういう不適切なことが起こっておりますのが、例えば1箱の中に物が何個入 っているというのが数が少なくなっているとか、それから同じ製品の価格が変わっている というような、だれが見てもおかしいような状態がやはり起こってまいります。 ○嶋口座長  ありがとうございます。この辺りは、むしろ青柳委員のほうで公正取引のほうからいろ いろ問題が云々というところにも触れるかもしれません。もし何か青柳委員からそれらに 関連してコメントがございましたら一言。 ○青柳委員  特にございません。 ○嶋口座長  結構でございます。どうもありがとうございました。  じゃ、上塚委員。 ○上塚委員  SPDのことでは笠原先生もお話になったんですけれども、私どもの病院は購買は一切 SPD業者にはやらせないで、月額数百万円の委託料を払いまして院外の物流センターに ピッキングとパッキングで病棟別に取りそろえをして、それをまたそこの院外の倉庫から、 業者の倉庫ですけれども、病院に運んで、そして病院で直接病棟へジャスト・イン・タイ ムというんでしょうか、物を運ぶと、それに月額数百万円の委託料を払っているというこ とで、こういう方式をとっているんで物品の購買は病院の購買課のほうで全く別途にやっ ております。  ですから、先ほどのお話、多分物品の購買も絡んで、卸業とSPDが合体したような形 態で契約なさっているとSPD業務に対する報酬が不十分なために、業者は恐らく物品の 価格に上乗せするということが起こっているんじゃないかと思いました。 ○嶋口座長  ありがとうございました。ちょっとそれに関連して、SPDは元々アメリカで起こった こういうもののような感じがするんですが、そうではないんですか。 ○笠原理事長  資料にも書きましたけれども、SPDの経緯がよく分からないんですね。SPDという と中央材料室のことを今意味しているケースもありますし、一部こういう管理をやられて いる、あるいは北欧ですとこういう管理をSPDと言っているというふうにも聞いておる んですが、アメリカで日本で言っているSPDみたいな概念で言うと、向こうの方はほと んど分からないというようなところが実情かなと。 ○嶋口座長  いや、私の聞きたかったポイントは、元々Supply Processing and Distributionですか ら、余り価格のところは触れないのが普通じゃないかと思ったんですが、こちらは触れて いらっしゃるので、それで先ほどのような議論がちょっと出たのかなという感じがしまし た。 ○笠原理事長  価格は入っていないというふうに理解してよろしいかと思います。 ○嶋口座長  そうですか。ほかに。はい、どうぞ、お願いいたします。 ○田中委員  今、物流の合理化ということを皆さんと話をされているわけですけれども、物流の合理 化というのは何かというと、物がつくられて、それが消費されて、そこまでの一連の流れ を物流というふうに言うんだと思いますけれども、そういった中で今のお話の例えば預託 をすることで病院さんが楽になる。これは事実だと思いますけれども、少なくとも一時的 にはですね。だから、それがいいんだというふうには必ずしも言えなくて、例えば今、預 託という話に随分話がいっていますけれども、全体を考えたときに一番合理的な状態は何 かというと、預託量が少なくなって、しかもそれでも病院のニーズには不足がないと、そ ういう状態が一番合理的な状態だというふうに思います。  そういう状態を一体どうしたらできるかというふうに考えるのが、我々がお話をさせて いただかなければいけないことだというふうに理解しておりますけれども、現状では預託 の種類であるとか、あるいは量であるとか、そういったものを要求されるのは医療機関の 側が要求すると。それを専ら預託を受ける、この場合はSPDの業者もいるでしょうし、 あるいは販売業者もいるかもしれませんけれども、そういったところは専ら受け身で受け るしかないと。そうすると、どうしてもお客様のほうが優位な立場にいますから、預託の 量が増えていく傾向にある。これは事実だと思います。そうすると、先ほど申し上げた預 託の量を合理的にいかに減らすかということに反するわけですね。ですから、ぜひご議論 していただきたいのは、いかにして預託の量を合理的に減らすかということでお願いした いというふうに思います。  それから、もう一つ、預託で一番我々が問題だと思っているのは、預託されたものは我 々の持ち物です。そうして預託されたものの管理は、我々はどこまでできるかというと、 それは非常に自信がない。我々の管理が及ばないところに預託された品物というのはある わけです。それで、果たして安全性をお前たちは担保できるのかと言われると、私どもは 非常に答えに窮すると、そういう場面がよくあります。  以上でございます。 ○嶋口座長  ちょっと関連して、平均的に預託の期間というのはどのくらいなんでしょうか。 ○田中委員  これは、今は基本的にさっき先生おっしゃいましたけれども、いつ使うか分からないと いうような性質のものがあります。それもいつも一月ごとに平均的に起きているとかいう ことではなくて、それこそ何年来起きていないけれども、それでも置いておかなければい けないもの。例えば、最近ですとAED、体外式除細動器、これなんか随分たくさんいろ いろなところに置いてありますけれども、多分、使用頻度は相当少ないと思います。 ○嶋口座長  それは何カ月の単位ですか、それとも何週。 ○田中委員  平均と言われると非常に、今数字を持っていませんけれども、多分よく回転するもので 2週間とか3週間でしょうね。我々は半年に一遍とか1年に一遍、実態がどうなっている かを調べるわけですけれども、相当量の仕損品をそこで処分するということにはなってい ます。そこで、我々自身で仕損品が出ないようにできるだけ努力はしますけれども、我々 は当事者のほうというよりも、当事者の20%か30%ぐらいにしか預託については力がない わけですね。ですから、70%、80%の力を持っていらっしゃる医療機関の方にぜひご協力 をいただいて、とにかく合理的な仕組みをつくりたいと、そういうふうに思っています。 ○嶋口座長  じゃ、お願いいたします。 ○崎原委員  今の議論にちょっとつけ加えたいんですけれども、預託というのは病院側の経営上だけ の目的で預託をしているわけではなくて、例えば病院には救急の患者さんが常に来られる わけです。そのときに対応するというためには、院内にある程度余裕のものを持っておか なきゃいかんと。そういうものが無駄にならないために預託しているというようなことが もちろんあるわけですので、病院の経営だけではなくて患者さんのためにもある程度やっ ているということをご理解いただきたいと思います。  AEDというのは除細動器なんですけれども、これは今、各病院で購入している例が多 いんじゃないでしょうかね、預託されているよりは。 ○田中委員  そのとおりだと思います。要するに、使用頻度はということでこんなものもございます という意味で例に挙げさせていただきました。 ○崎原委員  実際に使用頻度は余りないんですけれども、病院は安全にとって必要上、多分購入して おります。病院はやはりそういう経営的な損益を離れても購入しなきゃならないものもあ るということもちょっと頭の中に入れておいていただけたらと思います。 ○米田(代理)委員  私は、EBCの者ですけれども、先ほどの期間ということで、メーカーの側から見たと きのお話をさせていただきます。まず、先生方からいろいろな要望があります。それに対 して卸さんを通じて物が納められるという形になりますけれども、やはり物流のところで はトラック業者あるいは飛行機でいろいろなところへ物流センターから運んでいくことに なります。そうすると、行って戻ってでやっぱり1日、2日はいる。またオペで手術の貸出 し器械などもありますので、滅菌・オペ・洗浄のため病院の中で3日、4日はどうしても いるということで、最低1週間は要るということになります。最短はそれで、長い場合は 行って戻って、また次の手術があるというようなことになるとまた出さなくちゃならない んで、それであれば戻してくるよりはそのまま置いていたほうがいいと。経費もそちらの ほうが圧倒的に我々としては助かりますので、そうするとあとは補充の分だけ送るという 形になります。後者の場合であれば、その製品が使われなくなるまでの期間という形にな ろうかと思っています。 ○笠原理事長  今、後半のほうを皆さんお話になられているのは、先ほどの固有の販売形態での預託で すね、機器の。医療材料、いわゆるSPDの預託といっているのは定数物品ですね。要は 1カ月あるいは常時使うよと。例えば、10個置いてあれば、それは必ず1カ月には1回転 するよというものを定数物品として置いている。半年に一遍とか3カ月に一遍ぐらいしか 使わない医療材料は、それは病院さんが購入して自分で置いておくという違いがあります ので、したがって話も医療機器の預託なのか材料の預託なのか、途中で話がまた込み入っ たようでございますが、その辺、また追加しておきます。 ○嶋口座長  ありがとうございました。じゃ、お願いします、吉田委員。 ○吉田委員  ちょっとついでに質問させていただきたいんですけれども、今、日本固有のサプライチ ェーンの中での預託という存在の議論になっていますけれども、ACCJ、EBC、要す るにヨーロッパとかアメリカでこのような預託形式みたいなところというのは、実際には どんな実態になっているんでしょうか。 ○米田(代理)委員  EBCのほうから先に話をさせていただきます。全ての国を知っているわけじゃないん ですけれども、ドイツなんかを見ていますとやはり預託はしております。ただ、先ほど先 生がおっしゃられたように、症例数が圧倒的に多い病院はそのまま買い取っておられると ころもあります。症例数というのは、例えば人工関節なんかでいいますと年間500例以上 1,000例ぐらいというようなレベルになります。日本の場合だと多い病院でも年間100例、 もう年間50例あれば相当大きい症例数だと思います。50例といいますと月に4つぐらいで すね。ということは毎週やっているということになりますけれども、そのぐらいの病院は 日本では多くの症例数を持った病院と言われていると思います。海外だとその10倍ぐらい だというふうに考えていただいてもいいと思います。そういう病院は購入していますけれ ども、それ以外は預託をしております。  以上です。 ○加藤委員  ACCJの加藤ですけれども、全ての国について詳細に存じ上げているわけではないん ですけれども、例えばアメリカなんかだと、やはり預託在庫になっている製品と、そうじ ゃない製品というのは製品によって分かれている、診療科によって若干分かれていると。 それはやはり歴史的な競争の状況からそうなっている部分というのはあります。  ただ、EBCさんがおっしゃったように非常に症例数が多いものですから、病院買い取 りのものというのはまず間違いなく病院で消費されているものと私どもは認識しておりま す。先ほどの話で、例えば心臓の人工弁なんかはサイズが6つから7つくらいあって、端 っこのサイズというのは、日本では多分期限切れを迎えてメーカーあるいは卸がコストを 負担して廃棄ということになるんですけれども、実際、大規模な欧米の病院ではそういう ことはまずないんではないかなというふうに思います。 ○嶋口座長  預託の議論が大分いろいろ出ていますが、あと流通のこの分野の独特の取引慣行かもし れませんが、立会いとか、それから貸出し、この辺りについて何かご質問ございますでし ょうか、お願いいたします。 ○崎原委員  この問題で今議論されたことは非常によく分かるんですけれども、まず規約についての 法的な根拠というのがどういうところにあるかということをまずお聞きしたいと思います。 この規約につきましては、先ほどご報告ありましたように中医協のご指摘、それから公正 取引委員会のご指摘というものに基づいて医療機器業公正取引協議会というものがつくっ たというふうに、そういうふうに理解してはいるんですけれども、それがどの程度、私ど も組合の方以外の、私は病院ですから病院に対してどの程度及ぶものかという、そういう まずは法的な根拠。  それから、こういう基準をお決めになったときに病院の代表ですね。現場の代表などの 意見を聞いてくださったかどうかということです。そういったことをまずお聞きしたいと いうふうに思っております。  それで、判断でありました中医協の過大な景品ですね。過大な景品という言葉なんです けれども、それがどういうふうな評価をなされてこういうようなものをつくられたのかと いうこと。  それから、有償であるならばというようなことでございますが、有償の場合、それを幾 らぐらいということの基準というのがあいまいであると思います。私どもの病院も業者の 方の犠牲ばかりでというふうにはもちろん思っていないので、そういったことも合理的な 解決はしたいと思いますけれども、その基準というのがまだ示されていないところなんか もあると思いますので、そこら辺のご意見をお聞かせいただきたいと思います。 ○嶋口座長  恐らく、規制にかかる部分はグレーゾーンのところが相当幅があると思いますが、それ でもこういうものをちょっと、精神的な背景、その他についてもし青柳委員のほうからご ざいましたら、ちょっとご説明願えたらありがたいと思います。 ○青柳委員  資料の2ページに規約と独占禁止法、景品表示法というところに確かに……。 ○嶋口座長  4−2ですね。 ○青柳委員  資料4の2です。そこに詳しい説明があって、それを法体系で図にしたのが4ページに あるという形です。ですから、あくまでも公正競争規約というのは景品表示法に基づいて、 根拠にしてつくられた自主ルールであるという形なんです。  先ほどの先生のご質問の医療関係の医療機関には影響が及ぶのかという形なんですが、 残念といいますか、何といいますか、これは事業者の自主ルールなものですから事業主さ んのほうには責任は及びません。ですから、当然措置とか何とかという部分もございませ ん。あくまでも事業者側が罰せられるという形になります。 ○崎原委員  それで、法律的な根拠で言われました医療法とか医師法、その他、それから労働者派遣 法、それからあとやはり個人情報保護法が多少これにかむと思いますけれども、そこいら 辺のところが私どもの病院はコンプライアンスを守って、法律に触れない範囲でいろいろ なことを工夫してやっておるつもりでございますので、私の病院は法律は守っているとい うことはちょっと申し上げたいと思います。 ○嶋口座長  これは、病院側は直接は規制の対象じゃない。 ○青柳委員  そうです。 ○嶋口座長  例えば、優越的地位の乱用みたいなものは今回触れないということでございますね。 ○青柳委員  そうですね。ですから、立会いの基準と貸出しの基準につきましてはあくまでも事業者 側の。 ○嶋口座長  あくまでも景表法に従ったものだという、そういうご説明ですね。 ○青柳委員  はい。ただし、立会いの部分については非常に医療現場と密着に関わっておりますので、 要するに関連法規に触れないことという形で条文は入れてあります。 ○嶋口座長  ありがとうございました。まだいろいろ実はこの辺りから本格的な質問をしていきたい 方もいらっしゃると思いますが、せっかくの機会ですが、一番最初に標準コードについて のご説明が事務局からございましたが、この辺りについては松田先生が、松田先生はちょ っと今退席されていますかね。標準コードについて、何かご質問あるいはご意見等ござい ましたらお願いいたします。 ○米田(代理)委員  事務局の方に標準コードの付与についてお聞きしたいと思います。松田先生が前回言わ れましたように、トレーサビリティのみならず、流通問題の解決には非常にこれは有効な 手段であろうということは自明の理だと思います。こういった中で、先ほどお示しされた 2ページ目に規制改革推進のための3か年計画という形で書かれております。これのでき ればマイルストーンのようなものがありましたら教えていただければと思うんです。  なぜかといいますと、我々のところで見ていますと商品というのを基本的には2つに大 きく大別しています。1つは、特定保険医療材料のようなもの、どちらかというとちょっ と特殊なという感じ。これには滅菌でもって対応できるだろうと思います。もう一つの一 般材料に対しては個装といいますか箱へのラベリングでもって対応できるだろうと思って います。ただ、最後にぶつかってしまったのが今回の話にもあります貸出しの機器です。 最終的にそこまでを見据えたような形の標準コードの付与という形になっているのかどう かお教えいただければと思います。 ○嶋口座長  お答えできる範囲の中で。 ○櫻井流通指導官  基本的にマイルストーンという詳細なものがあるわけではないんですけれども、一応販 売のもの、出荷分からということで、資料1の3ページでございますけれども、特定保険 医療材料であるとか、薬事法で管理を厳しく求められている特定保守管理であるとか高度 管理医療機器については少し早目にお願いすると。その他の医療機器については、平成23 年でレセプト請求事務のオンライン化も始まりますので、そこを目指して今進めていると。 あくまでも法的規制ではございませんので、今、アメリカは法で規制しようとしています けれども、あくまでも行政と業界が協力して全体最適の面から進めていくということでご ざいますので、今のところは購入物品ということで考えております。 ○嶋口座長  じゃ、最後になります。お願いいたします。 ○目黒委員  今の医療材料と医療機器の区分けの部分のバーコード、基本的に今、GS1という形で 動いているかと思うんですけれども、実際、私、医療現場の技師、臨床工学技士なんです けれども、医療材料の中に注射器とか、要するに大量でいっぱい使うものに関して言えば 管理上はバーコードをそのまま使って、どういうふうな分配をするか分からないですけれ ども、SPDが絡んできて管理して流通を眺めるというのはいいんですけれども、医療機 器、例えばモニターとか大きな機械に関する部分については、この中でバーコードだけで いろいろなものが全て、機械についているバーコードだけで全て運用できるような、ちょ っと理想的な考え方が、僕もそうは思っていたんですが、実際の現場はやはり機械の場合 にはバーコードだけではなくてその機械、例えばモニターが何台あるとか、それから輪液 ポンプが何台あるかという場合には、やっぱりその機械に対してまたその施設固有の番号 を振っていかないと全体が把握できなくなってくるんですね。  ですから、バーコードに関しては私自身ですけれども、かなり期待はしていたんですが、 実際の運用になっていくと個々の機械については物すごく長いコードの機械について、そ れを全部頭の、簡単にすぐ思い浮かべられなくなってくるので、結局、例えば輪液ポンプ、 インフュージョンポンプだったらインフュージョンポンプのその病院の20番目の機械だと かいうふうな、ちょっと分かるものがないと運用上は非常に難しいというのがコードにつ いての現状です。  以上です。 ○嶋口座長  大変貴重なユーザー側のご意見として承りました。ありがとうございました。  それでは、時間がもうなくなってしまいました。最後に座長代理の三村先生のほうから コメントをいただければありがたいと思います。 ○三村委員  今日は貴重なご議論をいただきまして、大変勉強になりました。預託の問題、これは今 回の一番大きなテーマになってくると思うのですが、幾つかご意見があります中で、預託 が流通コストを上げるということはそのままストレートに言えないだろうということにつ いて、私もそのとおりだろうと思います。また、そのことが結果として医療現場において 融通性とか機動性に繋がっていますので、問題は預託そのものにあるのでなくて、恐らく 先ほどご意見ありましたように、納入者側がある意味で受け身でやってきている、あるい はそこにおいて大きな無駄が発生していることに対しても、きちんと対応できない状況が 生まれているというところに問題があるような感じがします。  もう一つ、これも放置してはいけないと思うのですが、預託された機器に対して管理と か安全面でのメンテナンスとか、いろいろなことが非常に難しくなっているということが あります。むしろこれが問題の本質であって、預託契約がメーカーと納入業者の間にはあ るのですが、恐らく病院との間に明確な約束事とかルールとか、だれが管理運営責任を果 たすのか、あるいはメーカーとの間でどういった対応をするのかというところがルールと してできていない。その辺りはかなり実務的な問題ですので、それをきちんと詰めていく ことが重要ではないかいう印象を受けます。預託そのものが悪いのではなくて、合理化す べき要素は幾つも残っているということについては、実態を踏まえながら改善していく可 能性はあると思いました。  それから、SPDですが、私は大変おもしろいと思っております。ただ、いわゆる商流 と物流と情報流が三位一体で行われているところがSPDを非常に分かりにくくさせてい るし、日本で実行する場合いろいろ歪みを生じてさせている感じもしました。SPDは元 々病院内の在庫管理あるいはそれの一元的な管理と効率化という発想から生まれたという ように考えましたら、よく一般の分野で行われているサード・パーティー・ロジスティク スとか物流センター委託みたいな活動に近くて、それは在庫管理だとか受発注だとか補充 だとか、医療材料に関しては安全性管理やトレーサビリティという要素が入ってくると思 いますが、そのような活動に対してサービス機能を発揮する専門業者であるという位置付 けが明確になると、1つのビジネスとして独立し可能性を持ち得ると感じます。  先ほど、いわゆる取引(購買)とSPDとの間の委託契約を完全に分けていらっしゃる というお話がありましたが、それは適切な方向性ではないかと思いました。SPDはそう いう意味からしますと、SPDという言葉を、少し定義し直すとか、もう少し実態に合っ た表現にしていったほうがよいという感じがしております。  それから、立会い基準ということですが、これも何度もご指摘がありましたように、確 かに厳しいという面はあるのですが、一度明確な基準と明確な指針の方向を出すことによ って、やはり一度現場の状況を整理していくことが必要だと思います。この方向性に合わ せて頑張っていただくのがよろしいんじゃないかと思います。  それから、標準コードですが、これは非常に可能性があると思いますし、SPDを日本 的な医療材料の物流管理の仕組みとして構築するためにコード化は相当にきいてくると思 います。  ただ、先ほどご指摘ありましたように、現場の運用で、例えば医療機器においてはもう 少し別のやり方のほうがいいとかとありますので、これは実態を踏まえながらいろいろ修 正したり工夫したりしていくことで十分可能性が生まれてくると思っております。いろい ろご意見は若干対立しているところもありますが、しかし安全性だとかトレーサビリティ だとかいうところに集約されるならば、意見が対立したままで収拾できないということで はないというのが私の印象です。  以上です。 ○嶋口座長  ありがとうございました。前回と今回、どちらかというとかなり勉強会的な性格があっ た会でございますが、大体問題の所在と課題というのがおぼろげながら見えてきつつある と、そんな印象を受けました。本当に委員の皆様方、ありがとうございました。  それでは、最後に事務局のほうから一言お願いいたします。 ○矢作流通指導官  それでは、事務局から申し上げます。  前回、第1回及び今回、第2回で行った情報の共有を踏まえまして、本日、皆様に資料 5としてお配りいたしましたアンケートにつきまして、2月末日までに各委員の皆様にご 回答いただきまして、それを集計した上で来年度以降本格的に検討する必要のある事項及 びそのために必要な調査について検討したいと考えております。各委員におかれましては、 それぞれのお立場で積極的にご意見をお寄せいただければと思います。  その上で、来月3月下旬に第3回を開催することを予定しておりますので、よろしくお 願いいたします。 ○嶋口座長  それでは、ぜひこのアンケートにこういう問題をぜひここで課題として取り上げていた だきたい、それからこういう調査をとにかくやったらいいんじゃないかと、そういうご指 摘がございましたら、この用紙にお書きいただきたいと思います。  それでは、今日、なかなか活発なご意見をいただきまして、本当にありがとうございま した。以上で全て終わりでございます。どうもありがとうございました。 (了)