09/02/12 平成20年度第10回診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会議事録 平成20年度第10回診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会議事録 (1)日時  平成21年2月12日(木) 13:00〜15:00 (2)場所  厚生労働省共用第8会議室 (3)出席者 委員:西岡清分科会長、原正道分科会長代理、相川直樹委員、        池上直己委員、伊藤澄信委員、木下勝之委員、熊本一朗委員、        小山信彌委員、齊藤壽一委員、酒巻哲夫委員、佐藤博委員、        嶋森好子委員、辻村信正委員、難波貞夫委員、松田晋哉委員、        山口俊晴委員、山口直人委員、吉田英機委員、邉見公雄オブザーバー        事務局:佐藤医療課長、宇都宮企画官、他 (4)議題  1 これまでに検討された項目の整理        2 DPC評価分科会委員の提案        3 松田研究班からの報告        4 その他 (5)議事内容 ○西岡分科会長  それでは、ただいまから、平成20年度第10回診療報酬調査専門組織(DPC評価分科 会)を開催させていただきます。  本日の委員の出欠状況でございますが、本日は全員御出席でございます。  続きまして、本日は意見交換のために2名の先生にご出席いただいております。事務 局より御紹介をお願いいたします。 ○中田補佐  それでは御紹介させていただきます。  まだお見えになっておりませんが、財団法人脳血管研究所附属美原記念病院病院長の 美原盤先生にお越しいただく予定でございます。  また、JA長野厚生連佐久総合病院診療情報部長の西澤延宏先生にお越しいただいて おります。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。よろしくお願いします。  それでは、資料の確認をお願いいたします。 ○中田補佐  資料の確認をさせていただきます。  議事次第、委員名簿がございます。資料D−1「意見聴取を行う医療機関について」、 参考資料でございますが、「機能評価係数に対する提案」として、山口直人委員より御 提案がございます。続きまして、机上のみの配付でございますが、松田研究班からの報 告として「病院機能係数の考え方について(5)」。続きまして、脳血管研究所美原記念病 院美原先生からの資料でございますが、「専門病院として求められる機能評価係数」で ございます。資料1とあるものにつきましても美原先生からの参考資料で論文集でござ います。続きまして、「地方病院にも目配りした機能評価係数を」ということで、佐久 総合病院西澤先生から御提出いただいた資料がございます。  資料は以上でございます。 ○西岡分科会長  資料についてはよろしいでしょうか。 ○中田補佐  追加でよろしいでしょうか。   ○西岡分科会長  はい。   ○中田補佐  松田研究班からの報告につきましては机上のみ配付資料でございますので、会議終了 後回収させていただきます。  以上でございます。 ○西岡分科会長  よろしくお願いします。  それではまず、前回の分科会を欠席されておられたため、提案につきまして御説明が できなかった山口直人委員からの説明をお願いいたします。 ○山口(直)委員  前回は欠席しまして大変失礼いたしました。  前回委員長先生あてに提案の資料をお送りしましたが、冗長でありました。それで、 前回の委員会の前日、直前に、今日参考資料となっております資料を事務局の方にお送 りしたのですが、間に合わなかったということで、改めて説明をさせていただきたいと 思います。参考資料と書いてあるものであります。  基本的な考え方としまして、医療機関が「根拠に基づく医療」、EBMをベースにし た診療の質向上に向けた取り組みを行っている場合に、それを機能評価係数に反映させ るべきではないかという趣旨の御提案であります。  EBMは、委員の先生方御存じのように、個別的な医療に関するものでありまして、 患者さんのそれぞれの状況、あるいは患者さんの御希望に応じて医療を提供するという、 そういう趣旨でございます。ですから、個別性を前提にした考え方だというふうに理解 をしております。そのことを基本に据えた上で、それでは医療機関として見た場合に、 そのEBMの普及というものをどういうふうに考えたらいいのだろうかというふうなこ とで提案を考えてみました。  「具体的な反映方法(案)」と書きましたが、個別性があって強制するものではない という大前提をベースにして考えますと、(1)が最低限ではないかと思ったのですが、 医師がEBMに基づく医療を実践できるように、医局、図書館あるいは診療用のコンピ ュータ端末などで診療ガイドラインを必要に応じて参照することができているかどうか というふうな整備の状況ということを最低限に考えてはどうか。診療ガイドラインのと ころに小さく(*1)と書きましたが、診療ガイドラインというのはさまざまな学会・ 団体等が作成をしておりますので、その質が保証されたものを指定する必要があるとい うふうなことを付記いたしました。  さらにもう一歩進めますと、(2)ですが、診療方針の決定に当たり、診療ガイドラ インを考慮に入れて患者に説明を行ったということを診療録に記録するような、そうい う制度を採用しているかどうか。患者さんに説明をした上で、最終的に診療ガイドライ ンとは違う治療になるというのは大いにあり得ると思いますので、ただ診療ガイドライ ンを全く無視した診療方針の決定というのはいかがなものかという趣旨であります。  さらに、(3)としまして、実際の診療で、診療ガイドラインの内容を患者に説明し た上で診療方針の決定が実際なされているかどうか。これはどういうふうにそれを評価 するか、ちょっと難しいと思いますが、(2)よりもさらに一歩進めたということであ ります。  それで最後に、(4)としましては、実際の診療で、診療ガイドラインに基づいた診 療がなされた症例が何%ぐらいあるか。これは前回私が欠席したときの議論の中で、特 に大学病院と研究的治療がメインであるからなかなか難しいのではないかという御意見 が出たというふうに聞いておりますが、そういう病院でありましても、研修医もいる、 医学部の学生もいるというふうなことを考えますと、ある程度標準的な治療が行われて いるということも大事なのではないかなというふうな提案であります。%については、 下に書きましたように、何%が妥当かというのはちょっと私にもよく分からない面があ りますし、病気によって標準的治療がかなり確立された領域の病気か、あるいはまだ確 立されてないような議論の多い病気かによっても大いに異なるのではないかというふう に考えております。  最後に書きましたが、(1)から(4)、だんだんレベルが上がっていくのではない かなというふうに考えております。  以上です。 ○西岡分科会長  ありがとうございました。  それでは、続きまして、「病院機能係数の考え方について(5)」につきまして、松田委 員より御説明をお願いします。お手元の資料をごらんください。 ○松田委員  産業医大の松田でございます。  今日は「病院機能係数の考え方について」ということで、実際どういう分析をやって いるのかということの中間報告をさせていただきたいと思っています。まだ研究班の中 で、後でお示ししますけれども、いろいろとデータの分析をやっている過程でございま して、ここで資料をお配りしてしまって外に出てしまうと、その数字がひとり歩きして しまうといろいろ混乱が出ると思いますので、とりあえず研究班の中でまとまるまでは 外には出さないということで、今日は申しわけございませんけれども、資料は回収させ ていただきます。  私たちがやっているのは、今まで御説明したとおり、プロセス、それからケースミッ クスとパフォーマンス、ストラクチャー、こういうところで病院の機能を評価していこ うということで、この機能に対応した固定費的な要素を何とか分析できないかというこ とで、今年度新たに施設調査というのをやらせていただきました。  これはちょっと復習になりますけれども、施設調査がどういうものだったかというこ とを簡単に御説明します。  今回拡大様式3という形で施設の調査をやらせていただいたわけですが、これは医師 数ですとか看護師数、薬剤師数ですとか、あるいはそれぞれの病院がどのような加算を 取っているのか、あるいはどのような医療機器を持っているのか、そういう施設の調査 をやらせていただいたものです。これに今まで私どもがいろいろな形でつくってきた指 標を組み合わせまして、それぞれの病院がどういう特性を持っているのかという、その 評価軸を決めるということを今分析でやってきているわけです。  施設調査はこのような形です。これは施設基準・基本です。それぞれの病院がどのよ うな加算を取っているのか、あるいはどのような医療機器をもっているのか、どのよう な特掲の加算をとっているのか、どのような人員配置であるのか、それからどのような 医療施設を持っているのか、こういう細かいデータを取らせていただきました。  それで、前回いろいろこちらのほうでお願いいたしまして、小山先生をはじめとして いろいろな先生から施設に働きかけをいただきまして、多くのデータを集めることがで きました。まずお礼を申し上げたいと思います。  実際、この集まったデータをもとにして何をやっているのかを説明いたします。67 7施設のデータをいただくことができましたので、これからどのような軸が設定できる のかということを、1つの方法でありますけれども、因子分析という形で分析をしてい ます。これは対象施設を区分するための評価軸として、構造・機能・ケースミックス・ パフォーマンスの類似性からその要因を抽出しようというものです。  これは一応御参考のためにということですが、因子分析とは何かというと、多変量デ ータから潜在的な幾つかの共通因子を推定する方法です。いろんな病院があったときに、 その病院がいろんな機能を持っていると思うのですけれども、例えばCTがあるという ことは、高度医療を行うという機能もあるかもしれないし、何か脳血管障害という専門 性の機能もあるかもしれない。1つの観察変数の中にはいろんな機能がまざっているわ けです。その観察変数の中に共通してある要因を、これは観察できていないものですけ れども、導き出して、それによって各施設を評価する軸を決めていこうということやっ たわけです。このような因子分析というのを今回はやっています。  観察できる変数から、観察できないこの共通因子というものを抽出していって、その 各病院の持っている機能を評価する軸を決めようという、評価する軸を決めるというこ とをやったわけです。  簡単に結果を御説明いたしますけれども、見にくい図で申しわけないのですが、因子 分析というのをやっています。方法としては主因子法でバリマックス回転をやっていま すけれども、因子としては固有値が1以上の因子が8つ抽出されています。これの1番 というのを見てみますと、病床の合計数ですとか100床当たりの医師数、それから1 00床当たりの研修医数とか、あるいは深夜の患者さんの合計とか手術の患者が多いと か、あるいは希な疾患を診ているとか分娩数が多いとか、災害拠点病院である、がん診 療拠点病院である、救命救急センターである、それからDPC6桁の出現数、要するに たくさんの種類の病気を診ているということで、これは病院の総合性に関連するような 何か要因だろうというふうに見て取ることができます。  2番目のところは、これはCMIという、平均的にその病院がどのくらいの、平均在 院日数で言えば長い在院日数の患者さんを診ているのか、あるいはコストで計算して、 出来高換算でどのくらい高いDPCの患者さんを診ているのかということをまとめたも のがCMIというものですけれども、在院日数ベースのCMIで見ても、あるいは出来 高換算のCMIで見ても非常に高い、しかも複雑性が高い、効率性はそんなに高くない のですけれども、複雑性が高い。それで、全麻の患者さんがすごく多いということで、 何かやはり高度な医療をやっているような軸というのが抽出できます。  3番目になりますと、今度は在院日数ベースで長い。CT・MRIの検査数が非常に 多くて、希少性はそんなに高くないのですけれども、患者さんに占める脳血管障害の患 者さんの割合が非常に高いということで、脳血管障害に専門特化した病院という、そう いう機能が見て取れるのかのかもしれません。  その次のところは、医師数が多くて研修医数が多くて、手術患者が多くて、データ病 床比で見ますと入院に非常に特化している病院。それからICUの患者さんが非常に多 いということで、どちらかというと高度性、手術を中心とした高度な医療をやっている という、そういう軸なのかもしれません。  5番目のところが、迅速検査の患者さんがすごく多くて、それでがんの患者さんの割 合が高くて、がんの診療拠点ということで、これはがんに特化しているb要因の機能を あらわしているのであろうと考えられます。  同じように6番目、6番目はこれはちょっと特殊なものなんですけれども、ほかはほ とんど関係ないのですが、非常に在院日数を短く患者さんを診ている病院群というのが ございます。特にこれはDPC6桁でいうと少し少ない患者さんの病院になってくるの ですけれども、非常に病床数も少ない病院ですが、非常に短期間で患者さんの治療をや っているという病院、これをどういうふうに表現するのかなかなか難しいのですけれど も、効率性の機能を見ているのかもしれません。それからその次の7番目の軸としては、 CMIが非常に高くて、心筋梗塞の患者さんが非常に多いということで、循環器に特化 した病院の機能を代表していると考えられます。  8つ目の軸として、地域医療支援病院というのが出てまいります。  ただこれは、あくまでこういう変数でやったということであって、研究班の中でほか にもいろいろな分析をやっているのですけれども、軸が5つになったり4つになったり、 いろいろと出ております。  いずれにしてもこういう形で分析をして、この因子の解釈を行って、各病院の機能を 評価する軸を今決めようと考えています。今各研究班のメンバーがそれぞれこういう分 析をしていまして、できたばかりのデータでこれはやりましたので、次回以降の研究班 の検討会のワーキングの中でお互いに意見を交わしながら評価をする軸を決めていきた いというふうに考えています。  今回私がやらせていただいた中ではこの8つの因子ということで、総合性、高度性、 専門性(脳血管障害)、専門性(手術)、専門性(がん診療)、効率性、専門性(循環 器疾患)、地域医療支援、こんな形の因子が、評価の軸がとりあえず見えたということ です。  御参考までにこの因子得点と調整係数の関係を見てみますと、基本的には、因子7、 循環器疾患以外は一応全て調整係数との有意の相関が見られております。因子6と因子 8に関しましては、地域医療支援と効率性ですけれども、調整係数が低い病院でこうい うものが出ているということで、それ以外は調整係数の高い病院でこの因子に相当する ようなものが正の相関を見ている、こんな結果になっています。  ただ、この結果の数値そのものには余り大きな意味がないだろうと思っています。問 題はこの後、こういう軸を決めてきましたので、例えば総合性を評価するために現行の 加算で取れているようなものがどういうものがあるのか、そういうものを列挙して、そ れを計数化して積み上げて総合性の評価をするというようなことになろうかと思います。 ただし、このあたりは、私たちの議論というよりも、多分中医協等での議論になると思 いますので、私たちとしましてはこういう軸を提示した上で、それに対応するような現 行での加算するものを整理してお示しするという形にしたいというふうに考えています。  今はまだこういう形で検討をしている段階でございますので、報告書の中ではこのよ うな検討をしていることを御紹介させていただきたいと思います。  それからあと、諸外国の状況というのを調べたほうがいいと思いましたので、これは ドイツのことを中心に今調べているのですが、ドイツでどのように包括評価をやってい るかということを調べさせていただきました。  ドイツは、御案内かと思いますけれども、今1入院当たり包括支払いに移行しており ます。全施設共通でやるのが、このDRGに基づく支払いと救急医療、補助人件費、そ れから医療の質に応じた加算・減算ということになりますが、この濃い青のところが、 これがいわゆる1入院当たり包括ということになります。短期の場合にはそれに減額、 長期入院した場合にはアウトライアーというものですけれども、その追加支払いをやる という形で、ここの部分はDRGに基づく支払いになります。これに救急ですとか補助 人件費ですとか、こういうものは別途その状況に応じて予算で支払われるという形にな っております。  それ以外に施設ごとに価格を契約する部分というのはこれだけございます。これは何 かというと、施設間で非常にばらつきの多いDRGの支払い、我が国でいいますと、D PCで包括できない、点数が設定できないDPCがありますけれども、そういうものは これでやって、DRGでカバーされないような追加支払いをやっています。日帰り入院 というのは、向こうは入院になりますので、それはいわゆる施設ごとに価格を契約して 支払うということになりますし、専門医療に関しましては、このDRGの点数だけでは カバーできませんので、それぞれ追加支払いを各病院ごとに設定して出来高で支払って いるという形になります。  それからあと、我が国で問題になっているような高度な診断、治療、高額薬剤、そう いうものにつきましては、これは別途それぞれの病院で出来高で契約ということになっ ています。あと、センター病院なんかも別途ですし、教育研修に対する支払いというの も別途支払われる形になっております。  あと、日本でもケアミックスが問題になっていますけれども、向こうでもいわゆるイ ンテグレートケアの場合、急性期から慢性期までカバーしているような、いわゆる統合 医療というものをやられている場合には、それに対して追加の支払いがされるという形 になっております。大体どこの国もこういう形で、診断の部類のみでカバーできないよ うなものについては加算あるいは係数みたいな形や、補助金というような形で対応して いますので、こういうものもこれからいろいろなことを検討していく上で参考になるの かなということでまとめさせていただいております。  私のほうの資料はこれだけでございます。どうもありがとうございました。   ○西岡分科会長  ありがとうございました。  じゃ、今のお二方の委員からの御説明に関しまして御質問、コメント等ございました らお願いしたいと思いますが。齊藤委員どうぞ。 ○斎藤委員  松田先生に教えていただきたいのですが、大変詳細な分析をされることによって、D PC病院に重要な特性の軸というのが少しずつ見えてきたかなというように思って、先 生方の研究班の御苦労を多としたいのですが、こういう因子で重要のように浮かび上が ってきたものというのは、DPC病院の特性に密着したものなんでしょうか。あるいは 逆に言うと、DPCに入っていない一般の急性期の病院等でも同じような分析というの は可能なんでしょうか。 ○松田委員  基本的には可能です。これはあくまで今は各病院がお持ちになっているいろいろな機 能、施設、医療機器ですとか、あるいは人材とか、あるいはこういういわゆる算定して いる加算の類ですね、こういうものをベースにして各病院の機能を抽出しているだけで すので、ベースにあるのは今の現行の診療報酬表の点数ですので可能です。 ○齊藤委員  先生なんかがイメージしておられるDPC病院の特性をかなり裏づけるものであると いうか、そういうものが主軸になってくる解析結果ですか。 ○松田委員  そうだと思います。基本的には急性期の機能が出ているというふうに考えています。 急性期とか、あと総合的に診療している、広い範囲の患者さんを受け入れているという 総合性とか、高度性とか、そういうのが出てきておりますので、いわゆるDPCが対象 としている急性期病院の特性が出てきているのかなというふうに考えています。 ○木下委員  14ページ目の「調整因子と各因子の相関」という表なんですけれども、ちょっと読 み方がよく分からないのですけれども、どういうふうにこれを読むのか、ちょっと教え ていただきたいのですが。 ○松田委員  一番上の調整係数と各因子の相関ケースだけ見ていただければよろしいのですけれど も、調整係数が高いところで因子1も高い、因子2も高い、因子3も高い、因子4も高 い、因子5も高いということです。下のPというのが、これがいわゆる有意確率でござ いますので、統計学的に有意に正の相関が見られているということです。因子の6とい うのは、これは効率性の指標で、非常に短い在院日数でやっている病院ということにな るわけですが、こういうところでは調整係数とは負の相関があるということです。これ はあくまで今回の分析で出てきた因子得点ですので、絶対値にそれほど意味があるかど うかわかりませんけれども、傾向としてはそういうことでございます。 ○木下委員  すみません、いまだにこれをぱっと見てどこがどう相関しているかというのは、ちょ っと具体的によく分からないのです。今の解説だけでは理解できなかったのですけれど も、例えば因子6とか7のところの上の数値、それから下はPですよね。それを個々の ところで、縦軸の因子と横軸の因子がありますけれども、例えばこのところがどう読む のかというのがちょっと、それから全体の流れとしてどうだというのをちょっと御説明 いただきたいのですが。 ○松田委員  これは因子行列と言われているもので、それぞれの因子間の相関係数がどうなってい るかというものです。ただ今回は因子間の、これはバリマックス回転にかけていますの で、なるべく因子間には相関が出ないような形で、統計学的なことで申しわけないので すけれども、軸の変換を行っています。因子1から因子7のところは余り見ていただか なくてもいいと思うのですが、基本的には調整係数と各因子の相関だけを見ていただけ ればよろしいというふうに思います。 ○西岡分科会長  よろしいでしょうか。 ○木下委員  いや、後ほどゆっくり時間をとりますので教えていただきたい。先生方みんな分かっ てないのですけれども、どうもよく分からない。 ○熊本委員  見方ですけれども、この色かけがされていますね。ただ調整係数と因子7のP値は0. 6ですよね。 ○松田委員  これは間違いです。これは色なしにしないといけないです。 ○熊本委員  分かりました。 ○西岡分科会長  どうぞ、酒巻委員。 ○酒巻委員  もう少しよく教えていただかないと分からないところがあるのですけれども、スライ ド12のところで、地域医療支援病院というのが因子8のところに出てきますね。これ はこれだけが出てくるという極めて特徴的な形をしているのですけれども、そうすると、 その地域医療支援病院というのはかなりほかの形態の病院とは違うというふうに読み取 ってもいいのでしょうか。 ○松田委員  これはちょっと個別に見ていかないとまだ分からないので、こういう議論になってし まうのでちょっと紙をお配りしないのですけれども、あくまでこれはこういう形で分析 をしているということで、この結果の裏側にあるものをずっと見ていくと、当然これら は、因子を除いていって残ったものが残渣として残ってくるわけですから、例えば急性 期医療のほかのものを取っていないけれども、地域医療支援病院であるという病院が多 分地域にはあると思うのですね、地方に行けば。もしかしたらそういうところではこう いうことなのかもしれません。ですから、これはまだ分かりません。  あともう1つ考えなければいけないのは、これは調整係数でやっていますけれども、 本来ここの部分は病院機能評価係数でやらなければいけないというふうに考えています。 これは病院機能評価係数というのが全部入っているわけですから、今僕らがやっている 因子の中には実はその要因はもう入っていますので、ですからほかの評価係数を全部取 っている病院は、当然調整係数は少し低くなりますし、同じ機能を持っていても、それ を申請しなければ調整係数は高くなります。ですからこういう調整係数で分析すること が妥当かという問題はあるのですけれども、ただ私たちはデータとして調整係数しか持 っていませんので、各病院がどういう機能評価係数をお持ちになっているかというのは ちょっと私たちは分からないので、今回は御参考のために調整係数という形で相関を取 ったということだけです。ですからまだその解釈をできる段階ではないと思います。 ○伊藤委員  すみません、データのつくり方で教えていただきたいのですけれども、調整係数を説 明するものとしてこういう主成分分析をされたという理解ですよね。677の施設の調 整係数の説明ではないのですか。 ○松田委員  それは違います。あくまで参考のために調整係数との関係を見ましたけれども、私た ちがやっているのは、670の病院というのは、これは準備病院も入っていますので、 その病院が持っている機能を抽出したというだけです。調整係数とのものというのは、 これはこの中で270の病院についてだけやったものであって、これはちょっと分けて 考えたいただいたほうがいいと思います。私たちはあくまで評価をする軸というのを抽 出しようとしているだけです。 ○伊藤委員  これのデータそのものはストラクチャーのところのデータだけの分析という理解なん でしょうか。 ○松田委員  ストラクチャーと各病院のパフォーマンスですね。ケースミックス・インデックスと かCIとか、複雑性指標とか、効率性指標を出していますので、それからあとどのくら いのDPCをカバーしているかとか、患者数とか、そういうのを全部取っていますので、 ですからストラクチャーだけではありません。 ○伊藤委員  そうですか。 ○池上委員  それで少し分かりましたけれども、この冒頭「ストラクチャーについて」と書いてあ りますので、ストラクチャーの要因と、投入した係数は基本的にこの12ページの因子 分析の結果にあるこの因子だけでということでよろしいのですか。 ○松田委員  今回はこれでやっていますけれども、先生も分析をいろいろされているのを御存じだ と思うのですけれども、こういう因子分析をやるときには、通常まず変数間の全部相関 を取ります。これは膨大な量の変数の相関を取るわけですけれども、その中で、分析を 安定化させるために、なるべく類似しているものは変数を除外していくという作業をや ります。今回、これは私が選んだパターンですけれども、例えば研究班で今日後ろに何 人か研究班のメンバーが来ていますけれども、それぞれの先生がそれぞれのパターンの 変数を選んでいますので、この変数をどれを選ぶかということについてはこれから研究 班の中で少し議論したいというふうに考えています。 池上委員  それはこの中ではストラクチャーに関係するものというのは医師数であるとか、ある いは地域医療支援病院であるとか、一部あるのですけれども、もしストラクチャーに着 目するのでしたら、それの因子を入れるというのが目的に合致するのじゃないかと思い ますが。 ○松田委員  ちょっと聞き取りにくかったのですけれども。 ○池上委員  つまりストラクチャーに注目するのだったら、ストラクチャーの因子を入れたほうが よかったのではないかということで、ここで最初のこの分析の表題としてストラクチャ ーからまず分析するというのだったら、まずストラクチャーの因子をもっと入れたほう が適切でなかったかということと、もう1点は、ストラクチャーについてというのは少 しミスリーディングなタイトルであって、ストラクチャーと先生が設定したDPCの係 数、複雑性指標とか、それとの関係を見るということであるわけですね。 ○松田委員  すみません。説明はそういうふうにしたつもりだったのですけれども、この2ページ のストラクチャーというのは、ストラクチャーを調査するために施設調査を行うことの 前振りでして、その施設調査の結果とこれまでの検討指標をあわせて今回の分析を行っ ているということです。ですからストラクチャーに関して、今回今日御説明したのはこ ういう施設調査をやったということです。それといわゆるいろんなケースミックス指標 ですとかパフォーマンスの指標を組み合わせて分析をしたらこのようになりましたとい うことをお示ししたのですけれども。 ○辻村委員  大変高度な分析で感銘いたしましたけれども、スライド13なんですが、因子1から 8まで、右の言葉で代表されていますけれども、このあらわし方というのはどういう根 拠というか、例えば因子8は地域医療支援、これは地域支援病院が主になっていると思 いますけれども、その他の因子1あるいは因子6、そういう言葉で代表されている適切 さというか、どのようなことでこういう言葉を用いたのか、多分ひとり歩きすると、も うこういう軸になっていくのではないかということを考えまして、その辺どう命名され たのか、ちょっと教えていただきたい。 ○松田委員  そういう誤解を招くといけないので、今回資料を回収させていただくわけですけれど も、これは実はデータが完成しましたのが先週の半ば過ぎでして、そこから研究班の班 員にばらまいて、みんなでそれぞれ分析をして、その後集まる機会がありませんでした ので、これはあくまで私がこのように命名したということですので、これをこれから研 究班に持って帰ると、多分いろいろな議論になるのだろうと思います。これはどういう ふうに評価しようかということを研究班の中で少しもませていただきまして、次回お配 りできるような形にしたときには研究班の合意として因子を命名したいというふうに考 えています。今回はあくまで私の勝手な解釈でございますので、この妥当性がどうなの かということになりますと、私を信じていただけるかどうかということにかかってくる ので、ちょっと何とも申し上げられません。すみません。 ○原分科会長代理  似たような質問なんですが、因子2の「高度性(複雑性)」と書いてあるのですけれ ども、この意味をもうちょっと詳しく説明していただければと思います。 ○松田委員  因子2のところはこの12ページのほうで見ていただきますと、挙がってきているの がいわゆるCMIです。CMI、ケースミックス・インデックスを在院日数ベースと出 来高換算のコストベースで計算しているのですけれども、非常に高くかかる、あるいは 在院日数が長い患者さんをたくさん見ている病院であることを意味しています。また、 複雑性指標が高い、ということは在院日数がより長くなる患者さんを見ている病院とい うことになります。しかも、見ていただきますと、非常に全麻でやっている手術も多い ということで、少しほかより手間がかかる患者さんを見ている評価軸ではないかという 形で一応整理しています。 ○原分科会長代理  そうしますと、これは脳血管障害だって、がんの一部にもそういうのがございますよ ね。それはがんはがんでも完全に……。 ○松田委員  そういうことではなくて、変数の中にいろんなものが交ざっているわけですね。それ を1つずつこうやって抜き出しているわけです。ですから、がんはがんで因子5という のが、これががん患者の割合が非常に高くて、迅速検査の割合が高い。これはもうかな り解釈可能なデータだと思うのですが、こういう因子というのは、がん診療をかなりや っている因子であるだろう。それからその次の3番ですと、これはどちらかというとC T・MRIをすごくやっている。これは施設のほうのデータから実際どのくらいやって いるかということをまた計算し直しているのですけれども、そういうところは脳血管の 換算割合が高いということで、かなり急性期脳血管障害を受け入れている病院ではない かと考えられるわけです。この分析では、それぞれの持っている機能をこうやって集約 しているということです。  ですから、それぞれが分かれているのじゃなくて、それの組み合わせで各病院の評価 をするということになろうかと思います。 ○西岡分科会長  どうぞ、山口委員。 ○山口(俊)委員  私は数学が大変苦手で、この式を見ただけで嫌になるのですけれども、まだ幸いにし て結論が出てないようですので、それが出てから考えたいと思いますが、今日大変勉強 になったのは、一番最後のドイツのやり方です。実は施設ごとの機能ということを考え るときに、この右側のほうを見ると、上から3つの高度な診断・治療の支払い、高額薬 剤ですね。それと専門医療に対する追加、それと教育、この3つがやはり大事だという ことがぴたっと分かって、大変ありがたかったのです。1つ質問があるのですけれども、 具体的にドイツではこの価格を決める際にどういうルールがあるのでしょう。もし分か っていたら教えていただきたい。 ○松田委員  まず薬剤に関して、ヨーロッパは大体どこでもそうなんですけれども、いわゆる医療 経済評価というのはかなりしっかりしています。メディカルテクノロジーアセスメント をかなりやっていますので、価格についてはこのような評価で決まってきます。そして、 高度な診断・治療の場合には、まずポジティブリストがつくられています。例えばある 薬を使うのに、それを扱うに値する病院かどうかということも評価されます。このポジ ティブリストに載っている薬については、出来高で支払うという形になります。  それから教育研修に関しましては、医師1人当たりとか看護師1人当たりとか、OT、 PT1人当たり幾らとかいう形で、これはもともと点数が決まっていますので、それで 支払うような形になっております。 ○山口(俊)委員  1つだけちょっとよろしいですか。これを見ると全施設共通の中に救急医療が入って いて、この救急医療というのは二次救急ぐらいまでで、高度の救急というのはこの右の 専門医療センターの中に入るのでしょうか。どんな状況になっているのでしょうか。 ○松田委員  日本と違って向こうはいわゆるER形式ですので、要するにその地域の中で救急病院 というのは決まっていますので、全施設共通というのは支払を決める計算式が共通であ るということです。もちろんたくさんやっている病院とそうじゃない病院では、この救 急医療に払われる総額は違います。ただそれはスタッフィングと年間どのくらい患者さ んを受け入れているかとか、そういうことで大体予算として決まっている状態でござい ます。 ○西岡分科会長  よろしいでしょうか。どうぞ。 ○齊藤委員  山口委員の御提案についてちょっとお伺いします。  先生はガイドラインを重視した形で評価係数を考えてはというお立場ですけれども、 昨年12月に行った医療機関のヒアリングなどでも、例えば外来化学療法なんか、ガイ ドラインからは考えられないような短い入院日数で、十分これでやれているのですとか、 つまりガイドラインというのは最大公約数ではあるけれども、それぞれの医療機関の能 力によって、特に特定機能病院なんかで非常に高いものを持っているところは、必ずし もガイドラインどおりでなくても、より高度の良質の医療を提供しているというところ も少なくないのじゃないかなという気もするのですが、その辺どんな状況なんでしょう か。 ○山口(直)委員  ありがとうございます。  私も先生の今のご意見に基本的に賛成であります。ただ私、最後のところでちょこち ょこっと申し上げたのですが、高度先進医療をおやりになっている病院、高度先進医療 だけということは僕はないと思うのです。それは多くの高度先進医療の病院が医学部の 教育も行い、あるいは初期研修も行い、専門医の研修も行っているという、そういうふ うなことを考えますと、全くガイドラインはなしで行くというふうなこともどうなのか なというふうな、ただ最後の%で何%以上じゃないとだめだというふうな議論は、先生 おっしゃるように、それは病院の特質によって大いに変わっていいのではないかなとい うふうに思います。 ○西岡分科会長  どうぞ。 ○相川委員  今の件、一部繰り返しになるかもしれませんけれども、前回私も、単にガイドライン に基づいた診療の例数、あるいはパーセンテージが多ければそれを評価するということ には、特に教育病院あるいは高度の医療をしている病院はふさわしくないという意見を、 先生御欠席のときに申し上げて、その趣旨を説明できなかったものですから、提案者の 先生がいらっしゃる前でもう一回追加したいのですが、DPCがスタートしたときは、 特定機能病院、まあ大学病院、センター病院ということでスタートしましたけれども、 実際に私も大学病院におるわけですけれども、大学病院では確かに研修医などにはガイ ドラインのことも教えますし、またガイドラインに沿った治療をすれば、適切な患者さ んが来た場合にはそれをやることもあります。しかしながら、ガイドラインというのは 数年ごとに改正されているように、常に動いていまして、それを新しいガイドライン、 より効率的な、あるいは経済的にも効率的なガイドラインをつくるところがやはりこの 教育病院であり、研究の機関を持っている病院であると思います。  そうしますと、ガイドラインを守ったほうが機能係数が高くなる、これは直線的にす るのか、あるいはある%を超えてするのかはこれから議論があるところだと思いますが、 ガイドラインに準拠した治療を評価するということに関しましては、教育病院では、あ るいは研究機関のある病院では、むしろマイナスに評価される可能性がある。  それからもう1つは、多くのガイドラインは比較的一般的なというのですか、広く頻 度の高い疾患に関してつくられているわけですけれども、大学病院などでは、必ずしも 来る患者さんがそのような疾患が非常に多いというわけではない。ですからその辺のと ころも何かの工夫を持って、大学病院あるいは研究機関の病院などが逆に評価されない ような形で各論的に御検討いただく必要があると思っています。 ○山口(直)委員  ありがとうございます。  %が高いのがいい病院だというふうなことは、先生おっしゃるように、ないのだと思 います。それは特に大学病院ではそういうふうなこと、あるいは大学病院以外でも、高 度専門の医療をしているようなところでは、なかなか多いほどいいというふうなことに はならないと私も思いました。それでこの前の欠席したときの先生方のご議論を間接的 に聞きまして、もっともだというふうに私も、それは同感であります。  それで、そういうふうなことも踏まえて(1)(2)(3)で、(4)は一番最終段 階というふうな形で書いたのは、そういう趣旨もございまして、ただやはり、DPC病 院の中で、ガイドラインが病院の中に全くなくて、考慮したくても手に入らないとか、 病院全体としてガイドラインは全く準拠しませんというふうな、そういう病院があって も困るのではないかなと。大学病院はある意味では1つのエクストリームであって、ず っといろんな病院を見ていった別な側のエクストリームのほうもやはり考えなくてはい けないのではないかなというふうな趣旨で(4)もちょっと残したという、そういうふ うなこともございます。先生のおっしゃることは基本的には私も同感であります。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。  山口委員。 ○山口(俊)委員  私、同じ山口ですが、私も相川先生と同じ意見で、4つあるうちの(4)については、 これはやはり時期尚早というか、本来ガイドラインの本質から外れた使い方だと思いま す。(1)(2)(3)については全く賛成なんですが、これを機能評価係数にするか というと、これはちょっと問題があります。これは病院機能評価とか施設の要件とか、 当然こういう体制が整っていなくちゃいけないということで、むしろ病院機能評価のほ うでやるべきであって、この際ここで持ち出してくるのはちょっと場違いかなという感 じがします。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。  山口先生どうぞ。 ○山口(直)委員  山口先生が今病院機能評価とおっしゃったのは、この評価係数ではなくて、DPCの 中の要件みたいな、そういう意味ですね。わかりました。 ○西岡分科会長  企画官どうぞ。 ○宇都宮企画官  今いろいろご意見を伺っていると、どうしてもやはり特定機能病院とか大病院のお立 場の発言が多いように思うのですが、御存じのように、今度かなり中小病院あるいはケ アミックス病院も入ってくる。今日も実際お2つの病院のほうから先生方に来ていただ いてお話いただくのですが、そういうことを考えたときに、機能評価係数というのは必 ずしも大病院だけの係数ではなくて、例えば中小病院向けの係数とか、以前、酒巻先生 が選択制にしたらいいという御提案も出されましたけれども、そういう大病院向けの係 数、あるいは地域の病院、中小病院向けの係数と、それぞれあると思うのですね。です から、前の基本的な考え方でも、マイナスの評価はしない。例えば中小病院向けの係数 をつくって、大病院だったらこれでマイナスになってしまうとか、そういうことは起こ さないという、これは皆さん合意いただいているわけですから、一応そういう観点で御 議論いただけるとありがたいかなというふうに思います。 ○山口(俊)委員  そういう意味では、やはり中小の病院でもこれは危ないのですね、こういうやり方を やると。というのは、例えば胃がんであれば、2センチまでで分化型であれば内視鏡切 除よろしいということになっています。これを杓子定規に適応すると、それを1ミリで も超えると手術するのだ、それがガイドラインを順守することになるということになり ます。これは例えば、症例数が少ない病院で手術をやりたいために高齢者であろうと何 であろうと、2センチより少しでも大きな病変は手術することになれば、これは大変よ ろしくない。でも病院のほうからこのような形でガイドラインを守るように言われる様 になると、ガイドラインのものすごいネガティブな面が出てくることになります。これ はガイドラインをつくるときからそういうことに利用されるのじゃないかとか、まずい のじゃないかという議論がありました。そういうことにならないように、多くのガイド ラインには、ガイドラインを盲信しないようにということが書いてあるわけですね。そ れをむしろ盲信して、パーセンテージが増えるほどよいという議論をやるのはやはりガ イドラインの精神を理解していないのじゃないかと私は思います。 ○宇都宮企画官  そこのところは山口直人先生がおっしゃったように、盲信みたいな話というのはまさ に(4)に近い話だと思うのですけれども、少なくともガイドラインをアベイラブルに するとか、ガイドラインを用いて説明のときに使えるようにするとか、ですからそこは 段階もあるわけですので、私も決して中小病院にガイドラインを押しつけるという考え じゃなくて、ただ、そういういろいろな視点から御議論いただきたいということを申し 上げたので、すみません、よろしくお願いします。 ○西岡分科会長  多分、医業の標準化というふうな形のところで利いてくるのだろうと思いますし、D PCの急性期医療をやられる病院の場合にはこういったことも考慮してほしいというこ とになるのかもしれないと思います。ガイドラインに関してはかなりいろいろ皆さん御 議論がありますし、これをそのまま係数に持ち込むというのは非常に難しそうなことな んですが、またいろんな、比較的中病院あるいは小病院の先生方の御意見なども聞きな がら、そういったものを検討していったらどうかと思います。  ほかに何か御意見ございますか。どうぞ。 ○松田委員  結果の見方のところでまたいろいろ議論になってくると思うのですけれども、例えば 今日のこの結果を見ていただきますと、病床規模との関係でいいますと、8番の因子と いうのは、例えばもしこれが地域医療支援病院であるとしますと、これは因子を取り入 れているわけですが、病床規模等は実はマイナスになっています。それからあと、3番 目とか2番目のいわゆる専門性とか、そういうところもマイナスになっています。です からやはり 規模が小さくてもそういう機能を果たしているという因子がうまく出していければいい のかなというふうには考えております。  ただ今日、池上先生もいろいろご指摘いただきましたけれども、もう少しストラクチ ャーのデータなんかを入れて、あともう少し研究班の中でもんで、いろいろとお示しし たいと思います。調査票のほうは先生方のほうにお渡ししたいと思いますので、こうい う因子でこういう変数を見たらどうなんだというようなことに関しまして、また先生方 のほうから御意見をいただけたらというふうに思っております。 ○西岡分科会長  どうぞ。 ○酒巻委員  とても難しい分析になってしまうかもしれないのですけれども、ある地域とか何かで、 これは総合的に相補されているのだというようなことが分析可能でしょうか。つまり、 がん支援があったり循環器があったり脳血管があったり地域支援があったりという形に なりますと、当然ある一定の地域では、それ全体は恐らく相補されているはずなんです ね。ある程度相補されているのだということが分かると、このベクトルそのものがかな り有効性の高いものだというふうに逆に言えるような気がするので、とても難しい質問 なので、できるかどうか分かりませんけれども、お伺いしたということです。 ○松田委員  欠けている機能の評価というのは、基本的にはDPCに参加している病院だけですけ れども、1,600幾つの病院に関してDPC単位で何を見ているかというデータが公開さ れていますので、各病院ごとのプロファイリングをやることはできて、私もやっていま す。それを例えば、がんであれば県単位で見る、あるいは循環器系の疾患であれば二次 医療圏単位で見る、そんな形で各病院の特性みたいなものを分析するということはやっ ています。 それで、これはかなり地域性があります。これは研究会の中で伏見先生が主にやられて いるのですけれども、地域によっては金太郎飴みたいに同じような診療をたくさんやっ ていて余り機能分化ができてないところもありますし、地域によっては今先生がおっし ゃられたみたいに機能分化しているところもあります。それをどのように係数化するか ということにつきましてはちょっとまた宿題とさせてください。  ただ、悉皆性がないデータベースですので、悉皆性がないデータベースでそういう相 補性をどういうふうに評価するかというのはちょっとアイデアが必要かもしれません。 ○池上委員  最後に、これは因子得点を用いて係数とすることはできないと思いますので、解析す る上ではこういう解析をして、こういう切り口が8通りあるということはお示しいただ くのは結構だと思うのですけれども、その次のステップとして係数とすると、このそれ ぞれの変数をどう組み合わすかということにまた帰着すると思うのです。それはこの分 析が終わった後の次のステップはどのようにお考えになっているのですか。 ○松田委員  私たちが係数を決める問題ではないだろうと思っています。あくまで評価をする軸を 提示するのが私たちの仕事だと思っていますので、実はこの評価の軸のそれぞれには、 先ほど申し上げましたように裏側には、加算とかがあるわけですね。いただいたデータ で見てみますと、こういう形で、例えばここの基本のところでいいますと、救命救急入 院料ですとか特定集中治療室管理料とか、精神科応急入院施設管理料加算とか、いろん な加算があるわけですけれども、それぞれの軸に相当する加算というものはこういうも のがあるのではないでしょうかということを整理することによって、そこから今までや られたように係数をつくっていくという話になるだろうと思います。評価の軸と、それ に含まれるであろう加算ですとか、あるいは関連しているような指標を提示するところ までが私たちの仕事であって、そこから先の加算や係数をどういうふうにつくるかとい うことはもう1つ上の段階のものだろうと思います。研究班として勝手なことはどこか でいろんなことを言うかもしれませんけれども、私たちがそれを決める権利はないと思 っています。評価の軸と、それに対応する現行制度の中での加算の整理というところま でで私たちの、研究班としての仕事は終えたいなというふうに考えております。 ○池上委員  一言だけ。どのような係数を具体的に提示するかというのは、おっしゃるようにこの 分科会の役割ではないと思いますけれども、ただ、どのような物差しで見るかというと ころまでは提示していただかないと、病院はこのような要素によって見ることができま すというのは、研究としては非常に興味があるのですけれども、あとはブラックボック スになるという……。 ○松田委員  いえいえ、そうじゃなくて、多分それが軸だと思うのです。総合性なら総合性という 軸で、それに対応する現行の加算としてはどういうものがあるのかというところから、 今もいわゆる7対1の看護料とかいうのは、現行の加算の点数をベースとして係数をつ くられているわけですので、総合性とか高度性とか、いろんなものがあると思うのです けれども、それに対応する現行の、現行今はかっている変数値はどういうものがあるの かということを整理して、そこから個別に係数をやっていくということになるのだろう。 多分それは総合性で1つ何かぼんと係数が決まるのじゃなくて、総合性という指標の中 に、例えば何々加算、何々加算というのが対応するのがあって、それぞれが係数になっ ていって積み上がって総合性の係数が幾らという、そういう形になるのかなというふう に研究班としては考えているのですけれども。 ○池上委員  私は加算を整理することにとどまるのではないかという気がいたしますので、今ある ……。 ○松田委員  見ていただいたら分かりますように、CMIみたいなものが出てきていますので、あ るいはカバー率みたいなのが出てきていますので、こういうものをどういうふうに評価 するかということはこの後検討していかなきゃいけないのじゃないかと思います。例え ばそれぞれの加算とカバーしている疾患の範囲というものはどちらのほうが影響が大き いのかと考えたときに、今加算でついていないけれども、カバーしている患者さんの範 囲というものが非常に大きな意味を持っているということであれば、それに対して何ら かの新しい係数をつけるという作業が必要になるのじゃないかなというふうに思います。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。  まだこれは議論がいろいろあると思いますが、さらに松田研究班でこれを深めていた だきましてデータをお出しいただけると、私たちの議論にも非常に役立つのではないか というふうに思っています。松田先生どうもありがとうございました。また山口直人先 生どうもありがとうございました。  それでは続きまして、医療機関との意見交換を行いたいと思います。  まず、財団法人脳血管研究所附属美原記念病院の院長の美原先生から御説明をお願い します。  美原先生には、前回のケアミックス病院のときにも御発言いただいていますので、今 日は特にこの中の「望まれる機能評価係数」というところを中心に御説明をお願いいた します。 ○美原記念病院美原病院長  脳血管研究所の美原記念病院の美原です。今日はお話させていただく機会を得まして、 大変うれしく思っています。お話をいただいたのが大体1週間前で、そしてそれから急 いで資料をつくりまして、今朝できまして、今朝200部のコピーをつくってまいりま したら、電車に遅れそうになりまして、遅れて申しわけございません。  今日僕がお話するのは、今松田先生からお話があったすごく高尚な話ではなくて、も っと現場の話をさせていただきたいと思います。  11月12日にはケアミックスの病院というような形でお話させていただいたのです が、そこで私は、脳・神経疾患の専門病院であるというようなことをお話したと思いま す。そういうような現場からの意見ということで、今日こんなような内容でお話をさせ ていただきます。  まず「ケアミックスの中の専門病院の特性」ということで、前回もお話したのですが、 私どもの病院を少し簡単にお話したいと思います。  ケアミックスの病院というのはいろいろあると思うのですが、大きく分けると、一番 上の慢性期中心の療養型の病院にちょっと一部急性期がある病院、それから一番下の急 性期が中心だけれども、ちょっと療養病床がある病院、こういうのがやはり地域によっ てかなり重要な問題になるのではないかなと思っています。例えば、対象人口が100 万だ何だというときには、それぞれの機能別の病院があってもいいのかもしれませんが、 二次医療圏が30万だとか20万といったときに急性期病院があったら、一部は長期の 療養型も必要である。今日お見えになっている佐久総合病院もそういうような形だろう と思います。  我々の病院はそういう病院とまたちょっと違いまして、急性期から一連の病気を担う 専門病院です。つまり何が言いたいのかというと、機能分化というのが急性期、亜急性 期という病気による機能分化と、それから疾患別の分類というような機能分化というの がやはりあってもいいのではないかなというふうに思っています。  これは複雑性指標と効率性指標によるDPCのデータからつくったものなんですが、 見ますと、こちらの先生方の大学病院というのはいずれも複雑性が高いということが言 えます。我々の病院は一番こっち側にあるここが複雑性が高くて効率性がいいというこ となんですが、ではこういうようなことをちょっとしてみました。つまり専門病院、こ このところで、いわゆる脳血管障害の専門病院というか、そういうような病院かもしれ ないというので、MDC01の割合が上位10病院を見たわけです。そうするとやはり、 専門病院、脳卒中とか脳の病気が30%で、専門病院と言えるかどうかはともかくとし て、ある程度特化した病院というのは右上に来る。すなわち効率性も複雑性も高い病院 というのが専門病院のあり方として1つ見えてくるのではないか。これは必ずしも脳卒 中ばかりではなくて、循環器の病院にしてもやはり同じように、効率性というものが出 てくるというようなことが見えてくるかもしれません。  そうしたときに、我々の病院をもう一度簡単に見ていただきたいと思うのですが、我 々の病院は189床の小規模の病院で、DPCの病床は全病院189分の45しかあり ません。そうした中でミッションとして一貫した治療を、リハビリから在宅、急性期か らリハビリ・在宅まで一貫した治療を提供しようというミッションがあります。  施設基準はここにあらわしていますが、医療機関別の係数は1.2495という調整 係数をいただいています。それで、こちらに示したように急性期の病院は急性期として 非常に高密度の医療を行う。そして回復期は365日のリハビリテーションを行い、さ らに在宅まで一貫して診ていこうというようなことを考えております。  こういうようなことによって非常に効率的な医療というのが展開されて、平均在院日 数の面で見れば、全国平均に比べて急性期の病棟、特殊疾患病棟、ここは神経難病を中 心とした病棟ですが、回復期リハ病棟も、いずれも全国平均に比べて極めて短くなって います。  1つここで見ておいていただきたいのは、利用率がいずれも、現在もう少し高くなっ ていますが、慢性期病棟でも100%以下、必ずしも高くないということです。これは 回復期リハ病棟は、後方病院というか、受け入れ側の病院として常にやはりすぐにでも 入れられるというようなことを考えているわけです。つまり回復期病棟であっても緊急 にというか、すぐに入れられるようにベッドを確保するということも重要であろうとは 思っているわけです。ここは専門病院で急性期、MDC01が、それから外傷等々を入 れると4分の3が脳に特化された病院であるということです。  ここの問題、これは小さい病院で本当に地域に貢献しているのかということがあるわ けですが、我々、たかだか45床の急性期病棟で、人口21万の伊勢崎市というところ の脳・神経疾患の半分の患者様に対応していて、地域においてその存在がきちんと認知 されているということがこれで分かります。  実際にそこで行われている治療に関してですが、今1つ大きな問題になっているt− PAの静注療法ですが、t−PAの使用率は日本が平均1から2%に対して、当院では 5.9%、下の段の人口当たりで見ますと、全国の平均が10万人に対して3.1人な んですが、伊勢崎市は8.6人で、倉敷市とほぼ一緒であります。すなわち小さい規模 であっても、専門病院として地域の脳卒中の救急医療に大きく貢献しているということ が見られます。  もちろんこれに対するアウトカムというのもきちんと評価しないといけないわけです が、このアウトカムも、今までの治験、外国で行われた治験あるいは国内で行われた治 験のデータと比較しても遜色のないものになっています。  手術件数ですが、救急搬送はどんどん増えているわけですが、そのうち全症例の65. 2%が全麻で、来る症例の22.1%が緊急オペになるわけです。この緊急オペのうち の70.4%が全身麻酔ということで、小さい病院であってもかなり高度な、高い専門 性に基づいた機能を持っているということが言えるかと思います。  次に、回復期リハの問題ですが、今地域連携ということでいろいろな病院と連携パス を組んでいて、地域の病院から受け入れています。ここで問題となるのは、今言われて いる機能分化というものが本当に住民のためにいいことかということを検証しないとい けないと思います。  我々は施設完結型で、当院の急性期から回復期まで入院した患者さん、それから病院 間連携で持ってきた患者さん、そして全国平均というのを比べてみます。ここで参考の ところに出ているところなんですが、病院間連携で来ている元の病院というのは大病院、 地域の中核病院というような大きな病院から来ています。そしてそこからこちらの病院 に申し込みがあってから受け入れるまで、7.9日あるわけです。先ほどお示ししまし たように、私どもの病院はもう空いているからいつでも来てもらって結構なんです。と ころが元の病院からはなかなか来てくれないというのが現状です。  で、これが結果ですが、在院日数を見ますと、施設完結型が明らかに短い。そして病 院間連携で来たのと比べると明らかに短い。さらに全国平均と比べても明らかに在院日 数が短くなっています。一方そのアウトカムは、施設完結型は病院間連携、全国平均と 比べて遜色のないものになっています。  すなわちアウトカムが一緒で、アウトカムというか、患者様がどれだけよくなったか ということに関して、在院日数が短ければ短いほど効率的な質のいい医療が展開されて いるということになって、そういうことを考えると、いわゆる機能分化によって連携パ スというものが本当に機能しているかというのは、ちょっと疑問なところもないわけで はありません。  なぜこういうことができるのかというと、脳卒中患者に対するリハビリの実施状況で す。当院では、発症から0.5日、1日以内に入院してきまして、その日のうちにリハ の専門医が処方し、訓練開始を翌日までにはやるわけです。  そしてリハビリの実施量を見ますと、急性期病棟においてはリハビリ実施日における 1日当たりの平均は7.4単位です。総入院日数というのはどういうことかというと、 退院した日、入院した日、あるいは手術の日は入りませんから、総入院日数における1 日平均が4.5日です。回復期リハ病棟でも7.9単位やっています。これが回復期リ ハ病棟の全国平均の1日当たりの平均と比べても倍以上あるということです。  なぜこういうようなことが起きるのかというと、人員配置です。100床当たりの換 算数で見てみますと、全国平均が、回復期病棟のPTの数が7.1ですが、私どもは急 性期病棟で倍、それから回復期病棟が5人のOTに対して6.7、特にSTに関しては 嚥下の問題がありますので、たくさんのスタッフをそろえておりますので、かなりスタ ッフがいるということです。そういうことによって急性期からがっちりと高密度のリハ ビリテーションをすることによって高いアウトカムが実施されているわけです。  さて次に、これまでのデータを我々がDPC導入の影響評価に関する調査報告と比較 検討してみました。  まず、ここのところですが、在院日数は、当院は平成17年及び19年はDPC対象 病院の中で最も短い病院です。  ここのところに御注目いただきたいのですが、救急車による搬送比率です。救急搬送 率は当院はほかの病院の平均の倍になっています。緊急入院の率も80%ぐらいで、か なり多くなっています。現在DPCにおいては緊急入院というのは病院経営上は余りお いしくないわけです。例えばがんの患者様が手術するのだったら全部外来で検査をする わけですが、救急車をたくさんとると、そういうのが全部包括されてしまいますから、 けっこう厳しくなりまして、救急患者様の受け入れを制限するということは実際に行わ れているように聞いております。紹介率は大体同じようなもの。  それから退院先に関しても、ここのところで1つ御注目いただきたいのはやはりここ のところです。自院の外来に来ないでみんなほかのところに帰している。つまり積極的 に逆紹介をしているということがこれで見て取れます。軽快・治癒に関しては大体こん なもので、ほかの病院と変わらない。  ここが今1つすごく大きな問題だと思います。すなわち、再入院率なんですが、再入 院率はケアミックスの病院は病棟間で患者様をピンポン球みたいにして点数を上げるの だというようなことがある可能性もあるというふうに言われていますが、当院は再入院 率は全国平均と比べてかなり低くなっておりますし、6週間以内の再入院率も極めて低 い。すなわち、短期で退院させてもきちんと直して帰っていけるので、アウトカムとし ても再入院率というのは大きな指標になると考えております。  患者構成は、これも今まで述べてきたように、神経疾患が64%で、専門性に則った 疾患割合となっています。  ここのところで、MDC01の、先ほどお示ししたのは全MDCなんですが、MDC 01だけで見てみるとどういうふうになるかというのを効率性で見てみますと、MDC 01の割合が上位50病院でそれを見てみますと、やはりこういうような専門病院とい うのはかなり効率的な医療をやっていることがうかがえるように思われます。  ここに書いてあるパーセンテージは、病院の中のMDC01の割合なわけですが、国 立循環器病院は循環器の病気なんで、必ずしも専門病院とは言えないかもしれませんが、 専門病院という形で見てみますとこういうような経過が見られます。  この問題点なんですが、専門病院で脳梗塞に関して見ますと、脳梗塞の在院日数は約 半分で私どもはやっております。これはとても大きな問題なんですが、こういうことに なってしまいます。これは脳梗塞のDPCと出来高収入のコストとの比較ですが、原価 計算を行ってやるわけですが、ずっとコストが累積していくわけですが、出来高の累計 計算とDPCの計算をすると、DPCだと長く入院していたほうが収益性がよくなりま す。出来高は長く入院しているとよくならないわけですね。DPCであっても入院日数 が短いとかえって収入は落ちてしまうということになります。当院が大体9日が平均の 脳梗塞の在院日数で、ここのところがちょうど調整係数を加えると損益分岐点になって いて、ギリチョンでやっているというのが現状です。  もちろんこれは黙って見ているわけではなくて、何とかコストを下げようということ で、後発品の効率的運用にも心がけていて、数量のシェアとしては全国平均と同じです が、金額のシェアになると、こういうふうにかなり後発品のシェアが大きくなっていま す。  こういうようなことをやってもなんですが、平成20年度の4月、5月、6月は当該 病棟、DPCの病棟は赤でした。すなわち、現行制度においては調整係数を考慮しても、 短い在院日数を前提とした運用では極めて厳しい病棟運営になります。ここのところで 僕は院長ですから、考えまして、スタッフにもう少し長く置いておこうかということを 言おうかと思ったのですが、ぐっとこらえてやって、7月、8月、まあそれ以降は何と か黒になっています。ここの問題というのは、やはり患者様の数だとか、そういうこと が大きな問題になっていると思います。  さて、ここからが今日の私が一番お話したかったところなんですが、「望まれる機能 評価係数」というのを専門病院の立場からお話させていただきたいと思います。  「DPCにおいて急性期医療をどう捉えるか」ということですが、こちらが高度医療 と言われているものですね。大学病院やナショナルセンター、そしてこちらが救急医療 というもので、もう緊急性が高くて、一般的な疾患であって、これとこれはやはりちょ っと求められる機能が違うのじゃないだろうか。もちろんここのところで、では大学病 院やナショナルセンターが高度の脳卒中の治療をしているかと言われると、t−PAを 大学病院でやったのと民間病院でやったのでどっちが高度だと言ったら、そう差はない かもしれない。あるいはもっとこっちのほうがいいかもしれないぐらいに思っているわ けですが、確かに特殊な病気とか非常に難しい病気を大学病院は扱っている。それに対 して救急医療ってもっともっと一般的なので、求められる機能が異なるのではないか。  実際にそれを見てみますとどういうことかといいますと、救急搬送率が高い病院ほど 症例数が少ない。これは、こちらが症例数、こちらがその中にある救急車の搬送なんで すが、この19年度の準備病院なんかも入れますと、こちらの小さな病院が救急車によ る搬送の率が高くなっています。一方大きな病院では、大学病院やナショナルセンター というのは救急搬送率が低くなっているということが言えます。  あるいは緊急入院の率と症例数を見てみますと、緊急入院の高い病院は比較的病院の 規模が小さくて、大学病院やナショナルセンターというのは緊急入院率が高くないわけ です。改めてというか、重ねて申し上げますが、緊急入院を受け入れるということはD PCにおいては病院運営上はけっこうリスキーなことがあるということは皆さん十分に お分かりいただけると思います。  そうしたときに、新たな機能評価係数というのを考えた場合に、DPC対象病院の拡 大に合わせて病院規模や形態にとらわれずに急性期の医療の質と効率性に寄与するよう な要件が求められるのではないか。特に患者の視点に立った場合、各地域によってかな り医療というのは違いますので、社会的なニーズや地域医療への対応というものを考え て評価していただきたいように思います。それを分けますと内部要因と外部要因に分け られると思います。  まず内部要因ですが、急性期医療の提供に対する評価というのを考えていただきたい ように思います。もちろん、こういうのは確かにあるわけですが、救命救急入院料だと かICUの管理料だとかいうのはあるのですが、これはやはり、ある程度小さい病院に は人員配置に対する評価が非常に厳しくてなかなか難しいと思います。例えば脳卒中ケ アユニットというのは私ども取ってないですが、脳卒中の専門医が常駐でずっと24時 間いるということになりますと、7人仮に脳卒中の専門医がいても、週1回は当直しな くてはならない。それ以外に一般外来の当直もするというので、とてもやっていける問 題ではないわけです。  確かにt−PAの治療に関してこういうようなことが言われているのですが、t−P A治療で12万点取れるようになりましたけれども、それは1カ月に多くて2〜3例と いったところにそれだけのコストを考えるのはけっこう厳しいというのが現状です。  すなわち、患者様が入ったら点数という加点ではなくて、急性期医療において中小病 院が担っている役割をかんがみて、その応じた人数設定ということを評価していただけ るようなことを考えていただきたいと思います。  その次に、チーム医療です。チーム医療というのが叫ばれてけっこうあるわけですが、 例えば7対1看護というのは、10対1、DPCですが、7対1看護をやっていて、7 対1の看護のすべて病院が十分な看護、例えば直接看護量を提供しているかというと、 非常に僕は疑問に思っています。やはりいろいろなチームがかかわることによって看護 師さんの直接看護量がつながるだとか、医療密度が充足するとかという、こういうよう なことがあるので、やはりチーム医療というのはそれなりの意味があると思っているわ けです。  しかしながら、リハビリテーションは確かに点数になっています。看護師の配置も点 数になっていますが、それ以外のことは包括点数に含まれてしまって、人件費に見合う ような評価、それぞれの人件費、例えば薬剤師だとか栄養士だとかMSWに関しての人 件費に見合うような評価を考えてほしいように思います。  例えば、これは参考なんですが、当院のチーム医療の実態と効果ですが、人員配置を 見ますと、各病棟に専属の薬剤師がおりますので、100床当たり3.8人ということ になっていますが、機能評価、これは病院機能評価機構のものですね、それのミーンが 1.8人ですから、大分多い、倍ぐらいいるわけです。そして点滴のミキシング等々も 全部やっております。もちろん患者様に予約をやることもしています。その分の看護業 務というのは手が離れるわけですから、看護師さんの直接看護量はふえていくわけです が、こういうような点滴のミキシングをやることによって不明熱が減ったというような データが資料1にあります。こういうことを言うのも何とかエビデンスを示さないとい けないので、何かこういうことが意味があったということを示すので、資料1をちょっ と御参考になっていただければと思います。  それから管理栄養士の問題ですが、管理栄養士も我々の病院では各病棟に専任で置い ています。これも機能評価の参加施設の0.9人の2倍から3倍ぐらいになっています が、これはどういうような意味があるかといいますと、これは平均在院日数の短縮化に かなり貢献していると僕は思っています。  例えば、入院後、今まではドクターが少し食わせないでおいてよということで、禁食 なんてしてしまうと、それだけ栄養が摂れませんので、ルーチンのというか、機械的に というか、全部評価して、全入院患者に管理栄養士が評価し、ミールラウンドというの ですか、落ち着くまでは毎日回診するような形をとっていますので、その結果非常に経 口摂取の開始率が高くなりまして、その結果在院日数が減ったというようなデータが資 料2に挙げてあります。もちろん管理栄養士はNST加算がついているのですが、実際 に本当に意味があるかということをきっちり示しておく必要があるのかもしれないと思 います。  さらにMSWの問題です。MSWは僕は非常に重要な役割を持っていると思いますが、 当院でも各病棟に専任でMSWを置いておりますが、MSWの役割というのは、このた び退院調整加算ということで、退院のための加算をある程度認められたのですが、現実 的にはもっともっと重要なことというのは、入院時から入っていくことがすごく重要だ ろうと思います。  というのは、緊急入院で入ってきた患者様というのは、そのときには何よりも医療、 治療が優先されますので、お金がどのくらいかかるだとか、そういうことが全然わから なくて不安になっているわけです。あるいは緊急入院ですと……。   ○西岡分科会長  先生、もうちょっと時間の節約をお願いできませんでしょうか。 ○美原記念病院美原病院長  はい、わかりました。ではもう止めます。  これもデータがございますので、見ていただければよろしいかと思うのですが、MS Wが入ることによって、患者様と病院にとって大きな意味があると思います。それもデ ータをつけさせていただきました。  アウトカムに関する効率性の評価なんですが、平均在院日数が一定日数ということは もちろんのことですが、先ほどからお話していますように経済的なインセンティブは十 分でありません。そうしたときに、あわせて再入院率及び再転棟率が一定割合以下とい うようなことを考えていただかないと、どんどん短くしてしまうと、その短いことがい いことではなくて、それでちゃんと帰ってこないということで質を評価することが必要 かと思います。そして、こんなことを考えました。  4番目ですが、4番目は、これも出来高とコストの話なんですが、これを見ますとD PCのコストの在り方というのは、長ければ長いほど収入が明らかに高くなってくると いうことが見えています。つまり、初期にがっちり短く治療すると、後のおいしいとこ ろが取れなくなってしまうというようなコストになっています。こういうようなことも 問題かもしれません。  それから、先ほどからお話になっている救急医療の対応実績なんですが、救急医療加 算というのは個別症例ごとで設定されていますが、算定対象は重症患者に限られてしま うのですが、実際に救急患者はどんどん来てしまうわけですから、その辺のところを検 討していただければいいかなというふうに思います。すなわち、患者個人個人ではなく て、病棟の取り組みに対しての加算というのが評価されることを考えたいと思います。  それからもう1つは政策的な医療ということで、いろいろなことがありますけれども、 機能分化ということも1つ入れて、こんなようなことを考えていただければよいかと思 います。  最後のまとめのスライドですが、今までの調整係数の意味合いというのは、従来の医 療提供に対する収入を担保するという意味合いがあったということになっていますが、 それ以上に自院の高いパフォーマンスを継続するための要素であったと思います。すな わち、それが継続されるためにこのくらいの収入が必要であったというように僕は考え ております。  これからは、我が国全体の医療水準というところから、それぞれの地域ということに 目を向けていただいて、住民の視点に立ちながらそのニーズにこたえている高い機能を 発揮している医療機関が適正に評価されることを望みます。  以上です。   ○西岡分科会長  ありがとうございました。  続きまして、佐久総合病院診療情報部長の西澤先生から御説明をお願いします。 ○西澤佐久総合病院診療情報部長  ありがとうございます。それでは、資料に従ってお話をさせていただきます。  今回DPC病院も地方病院がかなり多く入りましたので、それに関して我々の立場か ら少しお話をさせていただきます。  まず最初に、佐久病院の紹介ですけれども、長野県というところにございます。全都 道府県中4番目で非常に大きい県なんですが、人口が220万ということで、高齢化率 とかは下に載っております。  長野県というのは、北信・東信・中信・南信と4地区に分けるのですが、佐久病院は 東信地区、東の部分、これを担当しております。ここの人口は42万でございます。東 信地区の面積は実は神奈川県より広うございます。ですから、神奈川県が850万でこ ちらは42万ですから、20分の1の人口密度しかありません。しかも東信地区は上小 地区と佐久地区という、二次医療圏は2つ持っているのですが、救命救急センターは当 院しかございませんので、重症患者さんはかなり遠距離から運ばれてまいります。  特に、佐久病院の南側は南佐久郡といいますが、ここは神奈川県の約3分の1の面積 がありますけれども、人口が極端に少のうございます。約4万です。そこでの医療とい うのは、開業しているドクターが2件、あと50床レベルの病院が2つということで、 あと国保診療所がございます。ここの国保診療所は全部佐久病院から派遣という形でや っております。  次のページに参ります。佐久病院というのは佐久市というところにありますが、標榜 科目29科目、本院は病床が600、その他もろもろで、全病床821でございます。 そのほかに精神科の分院、小海分院という分院、その他老健施設などなどで、全病床が 1,193という、非常に大きな病院でございます。  救命救急センターを持ち、ドクターヘリも持ち、地域がん診療連携拠点病院、こうい ったこともやっておりますので、いわゆる急性期医療というのはある程度きちんとやっ ているつもりですけれども、それだけでは済みません。  地方という立地条件で、周辺の医療機関が乏しゅうございますので、大きな病院とい えども地域に根差した医療、これをやらないわけにはいかないということになります。 僕らはこれを2足のわらじという考え方ですが、いわゆる高度な部分と、地域に根差し たいわゆる一般医療ということになります。特に院内に地域ケア科という在宅医療専門 の分野を持っておりまして、24時間365日の在宅ケアを展開しております。今登録 患者さんが約400人弱、在宅の死亡率が60%程度を維持しておりますので、こうい ったことはやはり病院でないとできない部分ではないかと思っております。  主な運営指標は、平成19年度ですけれども、病床の稼働率が91.7、一般病床で すが、平均在院日数が15.8、外来が1日平均2,000人の患者さんがお見えにな ります。救急車が3,400、紹介率は22.9ということでございまして、当院の運 営上の特徴としては、まず外来患者さんが非常に多いということ、もう1つは東信地区 の最後の砦でございますので、重症患者さんはすべて断らずに診療するというスタンス をとっております。  当院には、十分ではございませんけれども、各診療科の専門医が一応そろっておりま すので、全ての診療科・すべての疾患の対応、要するに周りに専門医がおりませんので、 一次医療から三次医療まで、全て担当せざるを得ないということになっております。病 院が入院医療あるいは専門分化ということは理解できるのですが、当院のような地方と いうことであれば、このようなことは極めて困難でございます。これは当院の特殊事情 ではございません。地方の大きな病院、こういった病院はすべて同じような状況にござ います。  ですから、地方における高度医療というのは、臓器とか疾患・救急、こういったこと に限局した狭義の専門医療だけではございません。検診・在宅・福祉・保健、こういっ たさまざま医療・保健にわたるサービスを提供する、いわゆる包括という部分もありま すし、あるいは多くの市町村という、ここをセーフティーネットとしてカバーしなけれ ばいけないという、こういう二面性があると思います。  当院は幸いにも、当院に来てくれるドクターがおりますので、マグネットホスピタル という形で、医師の派遣もかなり行っています。本院自体もけっこう苦しいのですが、 やはり地域を守るということで、常勤として、国保診療所へ4人、当院関連の診療所へ 3人、自治体病院へ1人、厚生連の他の病院へ1人、これだけの人数を今常勤医師とし て派遣しております。その他、非常勤医師として出ている数は非常に多くございますの で、こういった形で地域医療をかなり面として支えているということがございます。  現在、地方の医療が危機に瀕しているということは周知のごとくかと思いますけれど も、やはり中小の病院の勤務医が減少して診療機能が低下しております。そのために基 幹病院へ患者さんが集中しまして、基幹病院の診療機能がかなり危機に陥っているのも 事実でございます。当院ではかなり緊急手術が増えておりまして、当院のスタッフにも かなり疲弊が強まっておりますし、病床のほうも常時満床状態ということでございます ので、昨年には緊急事態宣言をせざるを得なかったということになっております。  次のページに参ります。こういった状況において、じゃ「地方病院にとってのDP C」というのはどういうものかということであります。  率直に申しますと、DPCという制度、この制度自体は僕は非常にすぐれた制度だと 思うのですが、そうは申しましてもDPCという制度下では、地域医療を支えている地 方の病院は極めて不利でございます。  その要因は幾つかあると思いますが、大きく分けて、そこに掲げましたように5つご ざいます。  1つは高齢化でございます。当然高齢者というのはいろいろ持病を持っておりまして、 併存疾患を持っておりますから、例えば手術後の合併症が多い。また回復力が十分では ありませんから、治るのに時間がかかる。在院日数が延長する。つまり、同じDPCで あっても高齢者ではコストがかかりますし、また看護ケア、看護度も非常に高くなりま す。ですから、都会に比べて地方というのは高齢化が確実に進んでおりますので、地方 における医療では必ずコスト高になるということがございます。  もう1つは広域性でございます。地方病院では受診者が広域にわたることになります。 また公共交通機関が発達してないので、車の運転ができない場合、通院ができません。 ですから、本来外来で十分治療可能な治療も入院で行っております。例えば乳房温存術 の放射線治療なども、これは入院でやらざるを得ない患者さんが確実におります。また、 化学療法や手術前の検査も入院で行わざるを得ないといったように、経済性・効率性な どでは明らかに不利でございます。  次に機能分化が非常に難しいということです。地方では軽症から重症まで、あらゆる 分野の患者さんを受け入れることになります。その中にはもう明らかに在院日数が長く なる、あるいは収益性が低い、こういう疾患もありますけれども、すべての患者さんを 受け入れざるを得ません。  ですから、周辺の医療機関が乏しいので、外来患者さんが多くなって、初診の患者さ んも多くなります。ですから当然紹介率は低くなって、地域医療支援病院の取得・入院 時医学管理加算などの取得は困難でございます。また、外来患者さんが多いということ は医師の労働条件をきつくするため、避けたいところですけれども、現状で外来を縮小 することは非常に困難でございます。  また、連携施設が不足しております。かかりつけ医が少ない。したがって病院の医師 がもうかかりつけ機能を持っている場合もあります。また、急性期を脱した患者さんが 回復期あるいは慢性期の病院に移ろうにも、そのような病棟は余りございません。  ちなみに、佐久医療圏で回復リハ病棟を持っている病院は当院だけでございます。で すから、いわゆる後方連携ができないということであります。  あとは、ドクター、ナースが不足しているということです。地方においては当然、都 会に比べて医師不足・看護師不足が顕著でございます。そのため、給与も十分でござい ませんので、残っているドクター、ナースの労働は非常にきつくなりますので、疲弊が 進むということになります。  次のページに参ります。佐久総合病院はどうしてきたかということで言うと、佐久総 合病院は「農民と共に」ということをスローガンにして、農村でも都会に負けない医療 を行おうということを目指してまいりました。ですから、地方では標準化とか効率化が 非常に困難であるということを認識した上で、できる部分は徹底的にやろうということ でやってまいりました。そのため、DPCデータにおいて、効率性・複雑性ともに一応、 1を超えております。これは下のグラフにありますけれども、これは率直に申してかな り少ないほうではないかと思います。  佐久病院というのは厚生連に属しておりますので、同じ公的病院である日赤とか済生 会と比べまして、そこの下の図にありますように5万以下の都市にある病院が非常に多 うございます。今回、全部が全部、DPCに参加しているわけではありませんけれども、 厚生連病院を見ますと、DPCに参加している病院の中では、やはり非常に効率性にお いて欠ける病院、効率性が低い病院が多くなっているのはお分かりいただけるかと思い ます。ですから、これはもちろん病院の努力も必要ですけれども、やはりそれだけでは ないというふうに御理解いただければと思います。  次のページに参ります。佐久病院では実は平成10年の厚生省の入院医療費定額支払 いの調査協力から入ってまいりましたので、18年4月からDPC対象病院となってお ります。医療の質向上ということで、医療の標準化に向けて幾つかの取り組みをしてま いりました。  クリニカルパスを充実させ、あるいは外来化学療法室を整備し、術前検査センター、 これは日帰り手術センターを活用しまして術前検査センターをつくり、地域医療連携室 を多機能化し、というような、いろんな取り組みをしてきた中で、効率性とか、そうい ったものである程度高いレベルは維持できているのだとは思っております。  現在の佐久病院の医療機関別係数は1.1329でございます。調整係数は1.02 29ですが、取得できている加算はごらんになっていただいたとおりです。取得できて ないのが入院時医学管理加算・地域医療支援病院入院診療加算でございます。そのいず れもが外来患者さんが多くで紹介率が上がらないということで取得できません。  「地方病院を支えるために」ということで、今のいろんな加算の取得には、ドクター、 ナース、スタッフを十分に集めて機能分化・標準化・効率化を行うことが必要ですけれ ども、医療資源の乏しい地方では対応が困難でございます。そのため、たとえDPCに 参加しても各種の加算の取得ができない病院が多うございます。ですから、ますます地 方と医療の格差が広がってまいります。  ですから、もちろん大病院や大学病院が必要なのは重々承知しておりますけれども、 地方病院もやはり必要なんです。ですからぜひ機能評価係数で地方病院を支えていただ きたいということでございます。  次のページに参ります。それで、具体的にそれでは地方病院の医療をどうやって評価 するのだということになりますと、これはかなり難しい部分がございますが、あくまで 私たち病院の意見としてお聞きになっていただけばいいかと思います。  まず、患者さんの年齢構成による評価でございます。高齢者診療機能と名をつけまし たけれども、都会に比べて地方では高齢者が多く、コストがかかります。これは先ほど もお話いたしました。データにはあらわれませんけれども、看護必要度が高齢者で高く なるのは明らかでございます。本来患者さんの重症度・リスクでコストが規定されるわ けですけれども、現在のDPCではそのような重症度を知ることはできません。ですか ら現実的な方策として、提出されたデータの中で高齢者が占める割合で加算をつけると いうことは御検討いただければと思います。もちろんこれは小児は除かなければいけな いとは思っていますけれども、小児を除きまして、成人の中で高齢者をどのくらい扱っ ているかということであります。地方病院の果たす機能としての高齢者治療という考え 方は成立すると思います。  これは余りいいことではないと思うのですが、やはりハイリスクの患者さんを避ける 傾向があります。いわゆるいいとこ取りですね。特に高齢者ではそういう傾向が若干出 ておりますので、本来あってはならないのですけれども、今のところそれはとめられま せん。ですから高齢者の治療に対する加算は多少なりともそういった歯止めになるので はないかと思っております。  次に、地方の診療所あるいは中小病院へ医師を派遣することに対する評価でございま す。もちろん大学病院が医師を派遣しているのは重々承知しておりますけれども、我々 のような病院もマグネットホスピタルということで、診療所あるいは中小病院へドクタ ーを派遣しております。地方の基幹病院では周辺の医療機関へ医師を派遣して地域の医 療を守るということは行っております。ただ、どこの病院でも決して医師数が潤沢では ないのですが、地域医療を守るためにかなり献身的にやっております。当院でもかなり の数を派遣しているのですが、彼らの研修を保障してあげなければいけない。あるいは 診療所の医師が休む場合に代診を出さなければいけない。こういったことにかなりの手 間とコストがかかっております。ですから、このようなマグネットホスピタルに対して 加算をするということは、地域の医療を守る上で必要だと思います。また、こういった 加算があることによって、こういったところへドクターを派遣しようというインセンテ ィブにもなると思いますので、ぜひ御検討いただければと思います。  あと、入院時医学管理加算の外来縮小要件の廃止ということで、これはちょっとここ で議論するべきことではないかもしれませんけれども、やはり入院時医学管理加算の外 来縮小要件は地方の病院には極めて厳しいものです。特に最近のように周辺の医療機関 の診療機能が低下してきた場合、外来を縮小することは不可能でございます。機能分化 という考え方を否定するものではございませんが、地方において外来縮小の要件を外す ことをぜひ検討していただければと思います。必ずしもこういったものに関しては全国 一律である必要は私たちはないのではないかというふうに考えております。  あと、在宅医療への評価でございます。地方では在宅医療を病院が行っている場合が 多うございます。地方で在宅支援診療所といった診療所がない場合には、当院のような 病院でも在宅へ取り組まざるを得ません。ですから、現在の診療報酬では、病院での在 宅診療というのはコスト面で全く見合うものではございません。在宅医療を行っている 病院に対しての機能評価が望まれるところでございます。  地方病院にもDPCが拡大しておりますので、地方においても必要な診療機能を果た して地域医療を守っている病院に対しての加算をぜひ検討していただければと思います。 このままでいきますとやはり地方がかなり疲弊してきておりますので、DPCがすべて ではございませんけれども、DPCがある程度地方の医療を悪くする方向に働いてしま う可能性がございますので、ぜひそういった意味で地方病院の意見も御検討いただけれ ばと思います。  以上でございます。どうもありがとうございました。 ○西岡分科会長  ありがとうございました。  それでは、今の美原記念病院、それから佐久総合病院の御説明につきまして御質問を どうぞ。邉見委員。 ○邉見委員  お2人の御発表、地方の仲間として非常に参考というか、敬意を表したいと思います。 美原先生のところは専門病院として、片方、西澤先生のところは総合的な医療というこ とで、我々の悩みというのを全部言っていただいたような気がいたします。  やはり地方というのはどうしても効率性が悪い。めったに来ない、例えば10年に1 度しか来ないようなパラチオン中毒のような薬も置いておかなくてはいけないとか、解 毒剤などを。いろんな断れないというものに、システムもですね、私、中医協の委員に なったときに一番先に言いましたのは、物から技へ、技からシステムへ評価を変えてほ しいということを申し上げました。たとえはちょっとおかしいかもわかりませんが、私 が生まれてから1回も攻められてない自衛隊には年5兆円使っているわけですね。その かわり、絶対断らない。攻められたとき逃げたりはしない。救急もそうであってほしい と思うのです。安心して寝られる、520万台の救急車が年間出ているわけですから、 この人たちに皆命がかかっておるわけです。そういう人たちは絶対断らないというふう なシステムに評価をしていただきたいというのが1つです。  それから、先ほどお2人の先生とも言いましたけれども、チーム医療ですね。これも やはりシステムですね。私、また中医協の第一声は、私は医師ではありますが、医師の 代表ではありません。30の職種が働く病院の代表ですと申し上げました。これは就任 前に何年間かの議事録を読んでみますと、全くMSWのことも書いてなかったです。臨 床工学士のことも書いてなかったです。臨床工学士というのは、今医療安全のキーパー ソンですし、先ほど美原先生がおっしゃいましたように、急性期・慢性期、入院・退院、 病病連携・病診連携のキーパーソンはもう入院したところから退院までずっと、あるい は入院前、プレホスピタルケア、ポストホスピタルケアのところからMSWはかかわっ ておるわけですね。こういう人たちの評価なくして日本の医療の底上げはできないだろ うと私は思っておりました。だからこういう人たちを評価しないと、幾ら点数を細かい ことでつけても日本の医療はうまくいかないのじゃないかという意味で、お2人の意見 に大賛成です。よろしくお願いいたします。 ○西岡分科会長  ありがとうございました。  どうぞ齊藤委員。 ○齊藤委員  佐久総合病院の西澤先生に教えていただきたいのですが、先生は非常に地域医療を支 えるという立場で、かけがえのない役割をとっておられることは深く感銘を持って聞か せていただいたのですが、最後にDPCがかえって地方の病院を疲弊させる可能性もあ るのじゃないかというのは大変貴重な御意見で、例えば在宅であるとか医師の供給とか、 そういう役割は十分に評価されてしかるべきなのですが、こういうものはDPCの病院 評価係数によって評価されるべきなんでしょうか。それともDPCに入っていないけれ ども、DPCから取り残されながら地域医療を一生懸命支えているような病院に診療報 酬体系を通じて報いられるべきなのか、その辺は先生どうお考えになりますか。 ○西澤佐久総合病院診療情報部長  本来は両方だと思います。もちろんDPCに参加できない小さい病院がございますか ら、そういったところの在宅だとか外来だとか、そういったことに対しては確実に報い る必要はあると思います。ただ、ある意味では我々のような病院、いわゆる地方の大き い病院はほとんどのところで在宅をやり、あるいは医師を派遣し、外来をかなりやって いる。だからそういったことに対してある程度評価をしていただくということも確実に 私は必要だと思います。  ですから在宅なんかに関しては、例えば在宅支援診療所が周辺にあれば必ずしもやら なくてもいいし、我々も積極的にどうしてもやりたいということではないのですが、や はり周辺にそういったものがない、医療資源がない場合は、やはりこれは病院で取り組 まざるを得ないし、病院が取り組むべきだと思ってやっております。 ○齊藤委員  どうもありがとうございました。 ○西岡分科会長  どうぞ。 ○邉見委員  すみません、1つだけ追加させていただきたいと思います。  手術の問題なんですけれども、以前、平成16年の中医協の手術数による施設基準と いうことで、手術がある一定数なければ、そこの病院の手術料3割カットという、私か ら思えば、たわけという感じですが、そういうふうな決定がなされました。これは田舎 の医療を大変悪くしました。やはりシェアとか、もし4疾病5事業とか、こういうのが 機能係数に載るとすれば、絶対数でやれば大都市のレベルの低い病院でもクリアできる わけですね。その地域で人口が少ないところ、先ほど言いました南佐久郡などであれば、 どんなに立派なことをやってもクリアできないということになります。今外科医が、今 年400人しか志望者はいません。5年前は1,200人でした。3分の1になってい ますね。いろんなことで、本来であればたくさん手術したところに3割アップ、オンで あればまだ分かるのですけれども、こういう3割カットなんということは、もう産科・ 小児科の次、もう外科の崩壊は目に見えています。今3分の1になってしまったわけで すね。参入が1,200人が400人になったわけですから。いずれ昔のように、手術 は江戸へ行け、長崎へ行けという時代が来ないとも限りません。これはオオカミ少年で なく、本当に我々外科学会では心配しています。  以上です。 ○西岡分科会長  ほかに御意見、はい、どうぞ。 ○佐藤委員  美原病院にチーム医療に関してお聞きしたいのですが、今回の説明の例えば41ペー ジで、先生方のいわゆるストラクチャーというか、薬剤師、管理栄養士、MSWその他、 平均的な病院よりも人員を2倍から、さらに6倍と、ややコストを無視してまでも配置 しているのではないかと思います。もしそういう人件費に関するコストを診療報酬上、 何らかの形でサポートがされるというのであれば、さらにもっとこういうチーム医療に 対するコメディカルの採用比率を上げるなどのお考えは何かございますか。 ○美原記念病院美原病院長  こういう人たちを入れたのは、コストがついたからやったわけではなくて、臨床の現 場に必要だから入れたわけです。そこのところにMSWがいなくてはならない。そこに 管理栄養士がいなくてはならない。そこに薬剤師がいなくてはならないということが先 にあって、それで入れたわけです。  そこで今、先生の御質問が、コストがついたらもっと入れますかと言われたら、僕は 入れないと思います。なぜならば、今各病棟に1名ずつそれを置いていることで何とか 全うしているからです。ただ、そこのところの点数が反映されないと、実際問題として 急性期病棟は赤になってしまいますので、じゃそこのところはカットしようかというこ とになって、首を切るかといったらそうはいきませんので、とりあえずはそれで頑張る しかないと思っております。  つまり、何が言いたいかというと、やはり医療の現場においては必要だから人員を配 置するのであって、コストがつくから人員を配置するとは考えておりません。 ○佐藤委員  私は薬剤師ですが、その立場から言いますと、いわゆる診療報酬上、例えば今日の資 料の1のサテライトファーマシーは、フィーを新たに付けるには非常にいいと思います。 その際、いわゆる固定費にあたるクリーンベンチとか、部屋代の負担分をどうするかで あり、また変動費としての薬剤師コストというものを見ますと、それを担保するフィー である無菌製剤処理加算は、抗がん剤適用50点、その他40点と低いため、とてもで はないけれどもやりたくてもなかなかできない。先ほど斎藤先生が言われたみたいにD PC病院だけではなくても他の病院で同様に行えるよう動いているのです。しかし、実 際上は何処も余裕を持った病院というわけではないので、必要に応じてもなかなか薬剤 師が配置できない。そうすると、嶋森委員が前回も少しお話したみたいに、薬剤師が病 棟に常駐してミキシングをしてほしいけれども、フィーの関係上、なかなかできないこ とがあります。実際の問題は病院では考えられるので、ぜひ先生のほうで先端的にやら れているということに関しては、もっと積極的に御意見を言っていただきたいというこ とで御質問しました。 ○美原記念病院美原病院長  ありがとうございます。 ○西岡分科会長  ほかに。よろしいでしょうか。じゃどうぞ、松田委員。 ○松田委員  佐久総合病院の西澤先生のお話、非常に参考になったのですけれども、実は私どもも 年齢のことを小山先生からご指摘を受けて少し検討しているのですが、2つ立ち行かな くなっていることがございまして、まず1つは、どの年齢で切るべきなのかという話で して、実は65歳以上で切りますと余り変わりません。多分今はやはりもう80歳とか 85歳ということなのかもしれませんけれども、ただこれになりますと実は今世間的に は非常に使いにくい言葉になってしまうので、本当に年齢で切るべきなのか、それは何 かADLみたいなもので切っていったほうがいいのか、これにつきまして現場の先生か らの何か御示唆をいただきたいと思います。  私たちはできれば年齢という、エイジズムにつながるような少し微妙な問題は避けて、 どのような合併症を持っているのかとか、どのようなADLレベルを持っているのかと いう、ベースのところのクリニカルなもので何か評価できないかなというふうに考えて いるのですけれども、その点につきまして西澤先生と小山先生から御意見をいただけた らと思っております。 ○美原記念病院美原病院長  僕のところも高齢者が多いわけですが、実は特殊疾患療養病棟というのが以前あって、 つぶれそうになってまた生き返ったわけですが、そのときに、看護業務量を全部チェッ クしたことがあります。それを「社会保険旬報」か何かに載せたのですが、脳卒中の患 者様の寝たきりと神経難病の患者様でも、圧倒的に神経難病の患者様のほうが直接看護 量は多く必要になって、人件費もコストがかかってくる。ですから、年齢なのか病気な のかADLなのか、いろいろ問題があるかと思うのですが、ADLが低ければ低い、例 えば脳卒中の寝たきりは余り直接看護量はというか、看護量は逆に少なくなってきてし まうのですね。むしろちょっと元気のいいALSの患者様だったり、パーキンソンの患 者様のほうがずっと大変なわけです。ですから、ADLだけでやるのもなかなか問題で ある。あるいはディメンシアがあると非常に大変です。  ですから、年齢というのは1つの要素であろうと思いますが、ADLが低ければ低い ほど手がかかるというのはまたちょっと違うのかもしれないなと。その辺はどういうふ うにしていいかわからないのですが、ただ、特殊疾患療養病棟が生き残ったということ は、神経難病の患者様が手がかかるということを当局が認めてくださったものと僕は理 解しております。 ○西澤佐久総合病院診療情報部長  私も美原先生と全く同じ意見ですので、ADLだけでは多分評価はできない、年齢だ けでも必ずしもすべては評価できないだろうというふうに思っていますけれども、ただ、 全体として考えればやはり年齢のファクターというのは非常に大きく働きますので、そ れが65歳がいいか70歳がいいか80歳がいいか、それはちょっとここではコメント できませんけれども、まあそこはぜひデータを見て御検討いただければというふうに思 います。  ただはっきり言えることは、やはり地方のほうが明らかに高齢者を扱っている。特に 今回DPCで入ってきます中小病院、こういった地方の中規模の病院とかは、多分今デ ータで集めている病院よりも確実に高齢者の診療をしていると僕は思いますので、先ほ ど企画官のほうから中小病院へというお話ありましたけれども、そういうことで言えば、 こういう高齢者を診療する機能というのは1つのファクターにはなり得るのではないか というふうに考えております。 ○小山委員  私が松田先生にお願いしたきっかけは、実は私は心臓医が専門ですので、心臓外科領 域において非常に今高齢者の手術が増えているのですね。そうすると、やはり高齢者の 方は平均在院日数も長くかかるし、コストもかかるしという話から出てきて、何とかな らないだろうかという意見が出てきたので、松田先生と相談させていただいたわけです。  年齢を幾つで切るかというのはなかなか難しいので、とりあえず並べてみるしかない かなというように思っているのですね。場合によると、65歳というのはごく普通に心 臓外科の手術でもできますけれども、75歳を超えてくるとかなりいろんな問題が出て くることは事実だと思うのですね。ですので、70歳か75歳か、80歳というとちょ っとあれになっちゃいますけれども、70歳か75歳ぐらいで一回、線を引いていただ いて、そこに差が出てくるかどうかというところをやはり見ていただく必要があるのか なという感じはして、ただそのエビデンスがなかったものですから、ちょっと先生と相 談させていただいたということであります。 ○松田委員  外科医の立場から見られて、例えば年齢に関連しているだろう副傷病みたいなものと かベースの状態は何かございますでしょうか。 ○小山委員  それはあると思いますね。やはりベースに糖尿病があったとか、そういうことはある と思うのですけれども、でもこれは若年者のものと比べてどうなのかというと、なかな かそこら辺の詳しいデータがないので、自分の見ている患者さんのところの狭い範囲で のインプレッションでしかないので、これはやはり先生が持っておられるようなデータ からある程度客観的なものを出していただくしかないかなというふうに感じております。 ○西岡分科会長  どうぞ。 ○木下委員  今日の参考人の先生方のお話、大変有意義であったと思いますが、邉見委員からもお 話のように、こういった問題点が明らかになっているわけでありまして、そういうこと に対して我々はどうしてほしい、このDPCの支払いの方式とか機能係数の調整だけで 行くものかどうかということも大問題だと思いますが、こういったことに対して基本的 な考え方として、そういうご意見をあえて伺った以上は、厚労省の皆様方はこれに対し てどういう具体的な手を打つのか、そういうことがない、ただ言わせっぱなしでおしま いにするなんというのはもうけしからぬ話でありまして、そういった基本的な姿勢を、 そもそも論かと思いますけれども、本当にDPCだけで救えるのかと。あるいは出来高 のほうが実はいいのではないか、そうしなくちゃいけないものがあるのではないかとい うことも含めまして、やはりある程度の指針というか方針をお示しいただくのが立場だ と思いますので、ぜひ伺いたいと思います。 ○西岡分科会長  今回こういった形、今までの意見交換の場では、大体大きな病院が中心の御発言が多 かったのですね。それでさらに幅広いDPCに参加される病院の御意見をということで 今回2つの病院に来ていただいたわけでございます。これを言いっぱなしには絶対なら ないだろうというふうに考えておりますが、企画官何か。 ○宇都宮企画官  大変難しい御質問で、今確かにいろいろな問題を提起していただきまして、本日はD PC分科会ということで、当然そのDPCの中で対応できるものについては、先生方の 御議論あるいは中医協のほうでの御議論をいただいて対応していくべきというふうに思 いますし、また、DPCに限らず出来高も含めてのお話については、これも中医協の基 本問題小委員会なり、そちらのほうに問題提起をして、御議論いただく必要があるもの につては御議論いただくということだと思います。  いずれにしましても、昨年末でしたか、このDPCについて、またその在り方の検討 をしましたときに、まず論点の1として、改めてそのDPCの評価ということをしてい ただいたときに、一応それなりの効率性なりについて評価をいただいて、これを続けよ うという話になったということが1つ。もう1つは、その前提としてDPCと出来高と、 すべてDPCにするというのじゃなくて、両方ありますということで、それは医療機関 が自分で選択できるということになってございますので、強制的にDPCにするという わけではございませんので、それはもう中医協の中でも了解を得ているということです ので、そういうことでDPCはDPC、あるいは出来高は出来高ということで議論を進 めていくということではないかなと思います。  また大きな話については、もちろんこちらではなくて、繰り返しになりますが、基本 問題小委員会なり、中医協のほうで御議論いただくことになるということだと思います。 ○木下委員  委員長がお話になりましたように、大病院で余り問題ないような病院もあるかと思い ますが、今回のように地方の病院としても、それでもかなり大きな病院でありますけれ ども、もっと地方の病院にいろんなアンケートやあるいはご意見を賜ればもっと問題が 出てくるのだろうと。  たびたび我々が意見を言わせていただいたことは、この新しい病院機能係数で本当に すべての病院、つまり地域の小さな病院ですらも救われるような機能係数がつけられる のかということをみんな心配していたわけでありますが、果たして今日のようなお話が 今回新しい機能係数でどのように手当てがされるかということの具体性が実はまだ見え てまいりませんのでなかなか分からないのでありますが、先ほど池上委員がお話になっ たお話、大変大事であったと思っておりますが、ファクターが1から8まであった。私 もそれをどのように機能係数に結び付けていくのかなというのはちょっと読めなかった のでありますが、御質問のとおりでありまして、そのようなことが今お話になったよう な2つの病院の問題点を、ストラクチャーだけじゃありませんけれども、どのように救 われていくのかなと。本当に機能を評価するような係数にしていくのかなというのが目 に見えてきませんと、なかなかこれは総論だけでいつも終わってしまったのでは分から ないのでありますので、そこは次のステップだと思いますが、その意味できょうのお話 は非常に参考になりましたので、それがぜひ新しい機能係数として、ああなるほどそう なのか、これなら大丈夫だというところまで深めた議論をして数値を出していきたい。 それは実は松田先生じゃなくて、厚労省のほうから実際の数値が出てくるのだというお 話でありましたので、非常に期待しておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。 ○西岡分科会長  よろしくお願いします。  どうぞ。 ○嶋森委員  厚労省のほうに話が行ってしまいましたが、少し戻ります。年齢の問題ですが今2つ の地方の病院から、年齢が高い方たちをきちっと治療しているということについて評価 してほしいと述べられました。これについての意見なんですが、年齢の高い方を見てい るということと同時にその方の看護必要度を見ることによって年齢が高いだけでなく医 療の必要な方への診療を行っているという評価ができるとおもいます。今多くの病院で 看護必要度は取られていますが、このA得点というのは診療の補助行為をみるもので、 B得点は身体的な状況をあらわす点数です。これは年齢と関係なく、病気の状態によっ て、診療が必要な人はA得点が高くなるということがはっきりしていますので、これを 使って看護必要度の高い治療の必要な人がある一定の期間に治療ができてA得点が下が ったりする状況を評価していくというのはあり得るなと思います。年齢の高い患者を診 ることの評価の視点としては、看護必要度というのは視点として使えるのではないかと 思います。  すみません、ちょっと戻ってしまいました。以上です。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。  どうぞ、小山委員。 ○小山委員  長野県厚生連の西澤先生の御意見、大変参考にさせていただきますけれども、ただ、 いま1つ発言の中で気になるのは、都会の大病院には問題ないけれども、地方の病院と いいましたけれども、3ページのところに書いてあります、1番から5番まであります けれども、高齢化、広域性、機能分化困難、連携施設不足、医師・看護師不足なんとい うのは、我々まさにこれが一番悩みの種なんですね。一番最後にまとめられた6ページ のところに書いてある(1)から(4)に関しても、我々も非常に悩ましいところで、決してこ れは大きい病院、小さい病院ということじゃなくて、都会の病院とか田舎の病院という のじゃなくて、これはまさに共通した指摘事項だと思うのですね。ですので、これに対 してはやはりこの会において十分評価いただけるような議論をこれから進めていただき たいと思います。  以上です。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。  どうぞ、松田委員。 ○松田委員  ありがとうございます。いろいろと宿題をいただいたのですけれども、DPCで評価 すべきところとそうでないところ、やはり少し切り分けなければいけないのじゃないか なということを今聞いていて思いました。  例えば、ドイツの表、ドイツの表はまた後でお配りしたいと思うのですけれども、参 考になると思うのですけれども、地方の診療所や中小病院に医師を派遣するということ、 例えばフランスなんかの場合ですと、ネットワーク医療への貢献ということで、DRG に関する支払いとは別に、それに対するお金がついています。  それからあと、在宅医療の評価というのは、これは病院がやるものとしての在宅入院 制度というのがございまして、これはこれで別に得点がついている。  恐らくDPCと切り分けてそういうところをきちっと評価するということ、多分これ はDPCの枠外できちっとやらなければいけないことだと思いますので、それがごちゃ ごちゃになってしまうと多分大変なことになってしまうと思いますので、邉見先生から のご指摘もありましたけれども、地域医療を支えるということに関して言うと、そうい うものに対してDPCとは別にきちんと評価するという枠組みをやらなければいけない のじゃないかと思います。  あと、看護必要度につきましては、私たちもやってみてこれはそうだなと思っている のですが、ただ実はお願いしたいことがございまして、1入院での評価はどうやるかと いうことを、毎日毎日の指標は出てくるのですけれども、入院トータルとしてその看護 必要度をどういうふうに評価したらいいのかということに関して、実はほかの国だとミ ニマムナーシングデータサマリーというのがあるわけですけれども、日本にはサマリー がないですね。いわゆるDPCでやっている様式1に相当するものですけれども、そう いうものも看護サイドのほうから御検討いただけるとありがたいなというふうに思いま す。  あと、西澤先生のお話と小山先生のお話で、まさに実際今大学病院の外来にたくさん 患者さんが集まるようになってきていまして、大変なことになっております。こういう ものも少し考えなければ、この3番目の問題への対応は難しいなというふうに思います。 これは感想でございます。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。  どなたかご質問ありますか。ちょっと私、1つだけ今の関連でお伺いしたいのですが、 西澤先生のところで、私はずっと数十年前に先生の病院にいたことがあって、佐久病院 というのはよく存じておるのですが、地方の総合病院というのはいろんな機能が全部そ こに託されているように思うのですが、今松田先生のご指摘がありましたように、本当 にDPCに関係する機能とそれ以外の機能、例えば在宅なんかもそうなんですが、そう いうのを分けて御意見をいただけると、私たちにとっては非常にありがたいなと思うの です。もちろん在宅が軽いとか重いとかいうわけじゃないのですが、多分私たちの病院 でも、ある有力者の紹介で、こんな患者まで診なきゃいけないのかというのが入ってき たりすることがあって、多分地域の病院はもっと大変なのだろうというふうに思います。 それを、急性期医療という視点でまとめないと、前に進まないのでないかなというふう に思っております。そんな点は西澤先生いかがでしょうか。うまくまとめることができ るのでしょうか。 ○西澤佐久総合病院診療情報部長  急性期医療という言葉をどう定義するかだと思うのですが、やはりどうしても地方は 急性期という定義が非常に難しい。回復期とかがかなり乗り合わせている部分がござい ますので、例えば寝たきりの在宅の患者さんが肺炎で入院してきた、これはある意味で 急性期なんですけれども、ある意味では地域の一般の病院があればそちらで対応してい ただくべきものですが、そういった患者さんも今当院に集中してきている状態ですので、 こういったところがやはり病院の機能がもう少し、急性期病院であっても高度な病院と いわゆる地域の一般病院とに分かれていけば、多分それでいいのではないかとは思いま すが、現実今そういうふうにクリアカットには分かれませんので、この辺は日本の医療 制度がまだちょっとそこまでは行ってないのかなというふうに私は感じています。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。  どうぞ、佐藤委員。 ○佐藤委員  高度なお話をされている中、また少し話を戻して申しわけありません。美原病院の3 2ページのデータで、後発品の効率的運用でかなりいい線が出ていると思うので、その 際に2つお聞きしたい。1つはこれだけ注射を含めて後発品を使われて何か問題点が起 きてないかということと、2つめは、我々というか、厚労省の方もそうでしょうけれど も、いわゆる数量もしくは金額のベースで、ジェネリックに対する係数みたいなものを つけてはどうだろうかという議論もあります。それに対して、二重取り、三重取りとい う伊藤委員の意見もあるのです。されども、係数があれば、それを使ってさらに病院に 対する再投資が可能です。ジェネリック係数がつけばさらにもっと積極的に後発品を使 って問題ないか、この2点について、もし個人的な御意見があればお願いします。 ○美原記念病院美原病院長  ちょっとよく分からないのですが、ジェネリックを使うことによって、その薬に何か 問題があったかということは、今のところありません。どのジェネリックを使うかとい うことをかなり厳しく薬剤部のほうもチェックします。その会社がつぶれないような会 社であるとか、そういうことまで全部チェックをして入れますので、今までのところジ ェネリックを使ってそれで問題になったということはありません。  そして、それを使ったことによってほかとの差がどうのこうのということでしょうか と思うのですが、実際に原価計算上ではそれは低くなっていますから、支出が多い、そ れが減るだけで、その分何か余分にもらうということは今のところ考えておりません。 ○佐藤委員  最初のものはいいのですが、もしジェネリック係数といって、その病院が今普及率が 15%だったのを20%とかさらに進めば、そのインセンティブとして何らかのお土産 をあげるというお話も一部出ているのですが、その辺について。 ○美原記念病院美原病院長  いや余り考えたことありません。 ○佐藤委員  診療報酬が増えたとしても、特にまたジェネリック医薬品採用を増やすということで はないと。 ○美原記念病院美原病院長  どうなんでしょう。それはジェネリックを使っていると少し点数を上げるということ に関して、いや、あったらいいかもしれないけれども、余り考えたことがありませんで した。 ○佐藤委員  ありがとうございました。 ○西岡分科会長  ほかに。どうぞ、松田委員。 ○松田委員  医療は質が第一であるべきだと思うのですけれども、僕は薬剤の選択に価格を持ち込 むべきではないと思います。いいジェネリックがたくさん使われるということだと思う のですけれども、安いからジェネリックをたくさん使って、それが何%以上だったら係 数をつけるという発想は、余り医療の質を高めるという発想と合わないとこれについて は思うので、余り賛成できません。 ○西岡分科会長  ほかに御意見は。大体皆さん似たようなご意見ではないかというふうに思うのですが、 もしないようでございましたら、美原先生、西澤先生、本当にどうもありがとうござい ました。  それでは、時間が過ぎてまいりましたので、本日の議論は以上としたいと思います。  そのほか、事務局から連絡事項等ございますでしょうか。 ○中田補佐  次回につきましては、今月の23日月曜日の15時30分から予定しております。場 所につきましては追って連絡させていただきます。  また、会議終了後、回収をお願いしておりました資料につきましては、机上にそのま ま残していただけばと思います。  以上でございます。 ○西岡分科会長  それでは、平成20年度第10回診療報酬調査専門組織(DPC評価分科会)を終了 させていただきます。  本日はお忙しいところ、どうもありがとうございました。 −了− 【照会先】  厚生労働省保険局医療課包括医療推進係  代表 03−5253−1111(内線3278)