09/02/05 第58回労働政策審議会職業安定分科会議事録 第58回労働政策審議会職業安定分科会議事録 1 日時  平成21年2月5日(木)16:00〜17:30 2 場所  厚生労働省議室 3 出席者 委員 (公益代表)           大橋分科会長、岩村委員、白木委員 (労働者代表)           斉藤委員、徳茂委員、成瀬委員、野田委員、長谷川委員、           古市委員、堀委員 (使用者代表)           荒委員、石井委員、石原委員、市川委員、高橋委員       事務局 太田職業安定局長、大槻職業安定局次長、及川審議官、           岡崎高齢・障害者雇用対策部長、宮川職業安定局総務課長、           小川雇用政策課長、水野雇用開発課長、坂口雇用保険課長、           鈴木需給調整事業課長、吉永障害者雇用対策課長、           川中地域雇用対策室長、北條就労支援室長、           大隈若年者雇用対策室長 4 議題   (1)雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令案について 5 議事内容 ○大橋分科会長 ただいまから、第58回「労働政策審議会職業安定分科会」を開催いた します。議事に先立ち、当分科会の下に置かれます、労働力需給制度部会に所属する臨 時委員の交代がありましたのでご報告させていただきます。部会に属する臨時委員等に ついては、労働政策審議会令第7条第2項の規定により、分科会長が指名することにな っております。今回、労働力需給制度部会の公益委員代表については北村委員に代わり、 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社政策研究事業本部政策研究業務企画室長 の柴田委員にお願いいたします。 (出欠状況報告)  議事に入ります。本日の議題は、雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令案につ いて(諮問)です。初めに、最近の雇用失業情勢や雇用対策について事務局から説明を お願いいたします。 ○雇用政策課長 資料No.1「現下の雇用失業情勢について」に基づいてご説明いたします。 全体的な判断としては厳しさを増していると判断しております。1頁の下のほうに、完 全失業率と有効求人倍率の動向のグラフがあります。このグラフの網掛けの部分は内閣 府が景気後退期と判断した時期です。昨年10月から景気後退が始まったという判断を内 閣府がしましたので、このように網を掛けています。これをご覧いただきますと、太線 の有効求人倍率と景気後退期はほぼ一致しているということで、有効求人倍率は景気の 一致指標であるということです。一方、完全失業率は景気後退が底を打って、回復期に 入ったときに大体ピークを付けているということで、若干遅行指標であることがわかり ます。  直近の状況を見ますと、平成20年12月の完全失業率は4.4%、完全失業者数が270万人、 求人倍率は0.72倍です。完全失業率は12月の3.9%から0.5ポイント上昇と大幅に上昇し ております。単月で0.5ポイントの上昇というのは労働調査開始以来2回目ですが最大の 上昇幅になっております。求人倍率についても0.04ポイント低下して0.72倍ということ で、ここ数カ月ずっと減少が続いている状況です。特にハローワークに訪れる事業主都 合の離職者の方が新規で前年同月比で84.3%と大幅に増加しております。 日銀短観などで雇用の過不足感などを見ますと、全規模全産業で不足から過剰に転じて おりますし、特に製造業では過剰感が大幅に増加しています。倒産件数も12月は、前年 同月比で24.1%の増加です。平成20年の上場企業倒産件数は33件で戦後最多を更新して おります。雇用保険の受給資格決定件数は、前年同月比39.7%増、受給者は前年同月比 で9.5%増の58万6,000人とそれぞれ大幅に増加しているということで、雇用失業情勢、 各指標全般的に大幅に悪化しているというのが現状です。  2頁は、職業安定局のほうで、ハローワーク、労働局のほうからの非正規労働者の雇 止め・解雇状況について報告を取りまとめたものです。1月の報告によりますと、47都 道府県の1,806事業所で12万4,802人が、昨年10月から本年3月にかけて雇用調整を実施 済みもしくは実施予定となっております。就業形態別に見ますと、派遣の方が8万 5,743人、期間工等の契約労働者が2万3,247人、請負が1万456人、その他となっていま す。産業別に見ますと、製造業がその大半を占めている状況です。雇用保険の加入状況 については、12万4,802人のうち、10万1,243人について分かっており、そのうち 9万9,900人が入っていて、98.7%の加入状況となっています。  3頁は、雇用の安定と生活支援対策です。今までどういうことをやってきたか、これ からどういうことをするかについてを簡単にまとめてあります。既に実施している施策 としては、住宅・生活の支援ということで、雇用促進住宅の入居あっせんですとか、資 金貸付を行っています。細かいデータは後ろのほうに付けてありますが、全国のハロー ワークに特別相談窓口を開設し、住まいに困っている方の相談に応じています。社員寮 付きの求人とか、住込み求人の紹介も行っています。雇用促進住宅の入居をあっせんす る。12月22日から労働金庫で最大186万円の貸付を開始する。また社宅・寮等に離職後 も引き続き居住させる事業主に対しては月4〜6万円助成をするということを現在やって おります。  2点目は、雇用の維持支援ということで、雇調金制度の拡充等を行い、中小企業の場 合、手当の5分の4を助成するということでやっています。対象労働者を拡大し、雇用期 間が6カ月未満の労働者や新規学卒者も対象とする。生産量や雇用の支給要件の緩和と か、事務の簡素化を行い、制度を利用しやすくするということで、これについても申請 が大幅に増加しております。これも後ろに資料が付けてあります。  3点目は、採用内定取消しへの対応ということで、学生のための相談窓口を開設しま す。全国の学生職業センターに、11月28日から特別相談窓口を開設しています。企業指 導を強化するということで、今年の1月19日から企業名を公表できるようにしておりま す。先月、第二次補正予算が成立しまして、雇用創出ということでは都道府県と協力し て雇用を創出するということで4,000億円の基金、「ふるさと雇用再生特別交付金」 2,500億円、「緊急雇用創出事業」1,500億円を創設しまして、地域の雇用機会を創出す ることを支援しています。再就職支援ということについては、雇入れ助成の拡充とか離 職者訓練の強化ということで、中小企業に対する雇入れ助成を拡充するということで、 具体的には39歳までの年長フリーターとか、内定を取り消された方を正規雇用した場合 とか、受け入れている派遣労働者を直接雇用した場合、中小企業に100万円、大企業に は50万円を支給する。離職者訓練についても、実施規模の拡充、訓練期間中の生活保障 給付制度の拡充等を行っています。  平成21年度から実施予定ということで、雇用保険法を現在国会に提出しておりまして、 それが成立したという前提ですけれども、非正規労働者の適用範囲の拡大や、給付日数 を特例的に60日分延長する。雇用保険料の引下げなども含まれているということです。  4頁では、特に非正規労働者に対して前の頁とややダブリますけれども、非正規労働 者に対してどのようにセーフティネットを拡充したかということで、雇用維持の窓口の 開設、雇用維持、失業者の支援、雇用保険についての機能強化、住宅支援、職業訓練、 再就職支援、雇用創出が行われていくとしております。  5頁では、雇用保険の対象者、雇用保険の対象者以外についてどのようにセーフティ ネットが拡大されたかということです。雇用保険の対象者については、既に現行でもあ る程度ありますし、法改正がされた場合には機能を強化する。訓練延長給付がある。そ れ以外の方についても、住宅政策支援ということで、資金の貸付などを行っています。 職業訓練期間中の生活保障などを行っていきます。再就職支援対策については、雇用保 険の対象者及び対象者以外に共通ですけれども、いろいろ支援を行っていくということ です。  6頁は、実際に住宅・生活支援を行っていて、現在どういう利用状況かということで す。住宅確保に関する相談については、12月15日以来、新規相談者数の累計が1万6,167 件、雇用促進住宅への入居あっせんについては3,292件、就職安定資金の融資について は実行件数が1,519件、融資額が8億3,450万円。社員寮の継続入居に関しては、要請件 数が529件、継続入居者数が3,112人となっております。  7頁は、雇調金等に係る状況です。下のほうに参考として、昨年11月の状況がありま す。大企業で1,450人、中小企業で7,423人、合計8,873人です。12月は急増していて、 大企業でも3万7,028人、中小企業では10万81人、合計で13万7,109人と利用が急増して います。以上です。 ○大橋分科会長 ただいまの雇用失業情勢についてご質問がありましたらお願いいたし ます。 ○斉藤委員 2頁のところで、3月において実施予定も含めて12万4,802人となっていま す。いちばん下段のところに、「全ての雇用調整事業を把握しているものではない。 また、現時点で内定が確定している事例」という添書きがありますから、そういう面で はこういう数値なのでしょう。実態的に言ったら、企業の今の動向を見ますと、とても こんな状況ではないという感触が非常に強いわけです。どのぐらいの人員が雇止め・解 雇という状況になるかをベースにしていろいろな方策を立てていくのかということを前 提としたときに、厚労省としては12万4,802人をベースには決して考えてはいないと思 いますけれども、大体どのような規模で予測をされているのか。一説では、桁が1つ違 うのではないかという話も出ているわけですが、この辺はいかがでしょうか。 ○雇用政策課長 ここに書いてありますとおり、これは私どもの把握している範囲でし て、当然これで全部であるとは考えておりません。先ほども申し上げましたけれども、 事業主都合離職者としてハローワークに来た方が、昨年12月単月で見ますと11万8,000 人おられます。ということは、昨年12月に11万8,000人の方がハローワークに新たに事 業主都合離職者として来られています。労働力調査を見ますと、昨年12月に非自発的理 由、勤め先事業の都合で離職という方が77万人おられます。これはストックですけれど も、これを対前年同月と比べると25万人増えています。これは、あくまで非正規で、我 々が把握した範囲でして、当然これがすべてとは思っておりません。もちろん、こうい う全体の数字の中で対策を考えていくべきと考えております。 ○斉藤委員 12万何がしという数字が、ある種の基本的な数字みたいな独り歩きをして いるところがあると思います。まさしくこういう数字を基にして考えてはいないとは思 っておりますけれども、相当数のところで発生をするのだと。数十万単位で発生するの だという予見を持って進めていかないと間違いが出るのではないかという感想を持って おります。今後、こういう調査は随時なされると思うのですけれども、その辺も含めて、 12万4,802人というのは、決して母数としては考えられないと思っております。そのよ うに思っているということを申し上げておきます。 ○大橋分科会長 ほかにないようでしたら、次に「雇用保険法施行規則等の一部を改正 する省令案(諮問)」について事務局から説明をお願いいたします。 ○総務課長 資料No.2-1、資料No.2-2、資料No.2-3の3つの資料を用意しております。資料 No.2-1が、今回諮問でお願いいたします「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案 要綱」です。資料No.2-2は、この省令案のポイント10項目をまとめたものです。資料 No.2-3は、そのうちの助成金の部分についての内容を、1頁目には今回の助成金の全体の 内容の見直しを明示したものです。1枚めくりますと、雇用調整助成金の見直しの表で す。以下この表と、雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令案要綱資料No.2-1を併 せもってご説明させていただきます。  省令案要綱の1頁、横長の表では1枚目の「雇用調整助成金の見直し」です。これにつ いては雇用調整助成金、景気の変動、産業構造の変化等に伴う経済上の理由により、事 業活動の縮小を余儀なくされた場合の休業等の手当の一部助成です。中小企業向けには その下にありますように、中小企業緊急雇用安定助成金という、同じ趣旨の内容ですが 内容を拡充したものがあります。  今回、雇用調整助成金については大企業向けになりますが、従来の助成率の2分の1を 3分の2に拡充する。以下4点については両助成金と共通の内容です。1つは支給限度日数 を従来の1年間100日、3年間150日というのを、それぞれ200日と300日に引き上げる。 クーリング期間と申しまして、制度利用1年後、再度の利用はできない期間がありまし たが、これを撤廃する。休業規模要件は、一定の規模以上の休業でないとできないとい う要件も撤廃する。短時間休業は、従来事業所単位でのみ1時間ごとを認めていたもの について、これを労働者単位で認める。この内容です。  1枚めくりまして裏側です。「労働移動支援助成金の見直し」です。要項については 2頁になります。この内容については、3つ目の離職者住居支援給付金を新設するもので す。これは、雇用対策法に規定する再就職援助計画を作成し、それによって解雇や雇止 めを行った労働者に対して、離職後も継続して住居を提供したり、あるいは住居にかか る費用を負担する事業主に対し、対象労働者1人につき最大6カ月、月額4〜6万円を支給 するという内容です。  1枚裏返りまして、「特定求職者雇用開発助成金の見直し」です。要綱は2頁の三です。 これは、高年齢者・障害者など、特に困難な者を雇い入れた事業主、それから一部の厳 しい地域で再就職援助計画対象者を雇い入れる事業主など、いわゆる雇入れ助成を行う ものですが、今回中小企業に対する助成額を全体として1.5倍に拡充するという内容で す。  1枚めくりまして「試行雇用奨励金の見直し」です。要綱については4頁です。試行雇 用奨励金の中に、従来、若年者等雇用促進特別奨励金、これは就職困難な年長フリー ター等、25〜39歳の方ですが、従来トライアル雇用後や、有期実習型訓練修了後に、期 間の定めのない雇用契約に移行した事業主に対する助成措置だったわけです。これが右 側の3行目にありますように、それに加えて今回年長フリーターを対象とした求人枠を 積極的に設けて正規雇用、これも期間の定めのない雇用契約ですが、それを対象とする 事業主に対して、中小企業で100万円、大企業で50万円を支給する。それから、4行目の 採用内定を取り消した就職未決定者に対しても求人枠を積極的に設けて、期間の定めの ない雇用契約を行った場合に、中小企業で100万円、大企業で50万円を支給する内容で す。これは、正規雇用後半年後、1年半後、2年半後に支給するという内容です。  1枚めくりまして「育児・介護雇用安定等助成金の見直し」です。要綱のほうは10頁 です。これは、育児・介護休業等の法律施行規則の一部改正です。内容としては、ベビ ーシッター費用等補助コース、これは平成23年度までのものとして、助成率を2分の1か ら4分の3に引き上げる、あるいは助成限度額を引き上げる内容です。  要綱の5頁で、中小企業子育て支援助成金です。中小企業事業主、労働者数100人以下 の中小企業で、育児休業取得者などの利用者が出た場合に、2人目までの助成金を支給 する内容です。今回この内容として、措置を平成23年度までに延長した上で、対象を5人 目までに拡充する。支給額についても、2人目以降従来60万円だったものを80万円に。 短時間勤務の場合には、そこにあるように利用期間に応じた形で額が拡充される内容で す。  1枚めくりまして「人材確保等支援助成金」の内容です。いちばん上が、介護未経験 者確保等助成金です。これは、既に介護未経験者を雇い入れた場合の助成措置です。先 ほどの年長フリーター等に合わせて、25歳以上40歳未満の方の年長フリーター等を雇い 入れた場合の額を、50万円から100万円に引き上げるのが1点です。要綱のほうは5頁の 6番です。  2つ目は、介護労働者設備等整備モデル奨励金です。これは新規でして、作業負担軽減 などで介護福祉機器を導入・運用計画を提出して、認定を受けた場合、そしてその導入 及び運用に要した費用の額の2分の1を助成する内容です。  3つ目は、派遣労働者雇用安定化特別奨励金です。要綱のほうは6頁です。これについ ては、派遣労働者との間で、期間の定めのない労働契約、あるいは6カ月以上の期間の 定めのある労働契約を締結して雇い入れる派遣先の事業主に対し、期間の定めのない 場合は中小企業で100万円、大企業で50万円。6カ月以内の期間の定めのある場合には、 それぞれその半額を半年後、1年半後、2年半後という形で支給する内容です。  1枚めくりまして「キャリア形成促進助成金」です。要綱については7頁、8頁以下が その内容です。これについては従来からありました、訓練等支援給付金の実践型人材養 成システム、あるいは有期実習型の訓練などについて、それぞれ助成率の拡充を行い、 ジョブ・カード制度の普及に役立てようということ。下の欄の2番に派遣の関係で、派 遣終了後に、派遣先での常用雇用を予定する紹介予定派遣について、有期実習型訓練を 派遣元、派遣先それぞれで行うような場合に、それぞれの助成を行うものを新設する内 容です。  1枚めくりまして「障害者雇用」の関係です。要綱のほうは6頁です。2つの助成金で すが、障害者初回雇用奨励金です。これは、いわゆる雇用率が適用される56人以上300 人以下の事業主で初めて、この場合ですと過去3年間に障害者を雇用したことがない事 業主が障害者を雇用する場合に100万円支給する内容です。  下の段は、特例子会社等設立促進助成金です。新たに特例子会社、あるいは重度障害 者多数雇用事業所を設置し、継続して雇用する労働者の数に応じて助成を行う内容です。 以上が助成金の内容です。  要綱の7頁ですが、2点新たな事業が追加されております。八番で、1つは地域の雇用 機会の創出を図ることを目的とする交付金ということで、地域において求職者等を雇い 入れて行う雇用機会を創出する取組みを支援するため、地域の雇用機会の創出を図るこ とを目的とする交付金を都道府県に対し交付すること。現在、補正予算で付きました、 ふるさと雇用再生特別交付金です。  九番は、住居を喪失した離職者に対する資金の問題です。これについては資金の貸付 に係る信用保証を行う一般社団法人、又は一般財団法人に対して、当該信用保証に要す る経費の一部の補助を行うという内容です。  これらの内容のほかに、9頁以降に雇用対策法施行規則で、一般会計で行っている特 定求職者雇用開発助成金についても、中小企業事業主に対する同様の助成額の引上げを 行っております。  施行期日ですが、この省令は公布の日から施行するものといたしまして、第一の二、 即ち労働移動支援助成金の中の離職者住居支援給付金については平成20年12月9日から、 第一の六の(二)の人材確保の関係での介護未経験者、これは既に一次補正で付いたも のから遡ってということで平成20年12月1日から。第三の育児・介護休業関係は月単位 で行うということですので、平成21年2月1日から適用するという内容です。説明は以上 です。 ○大橋分科会長 本件についてご質問、ご意見がありましたらお願いいたします。 ○長谷川委員 第一の雇用調整助成金の2分の1から3分の2については、施行日公布の日 からとなっているのですけれども、公布の日はいつですか。 ○総務課長 本日答申をいただければ、明日にでも公布したいと考えております。 ○斉藤委員 雇用調整助成金のところで、現下の情勢からいって、支給限度日数が拡大 されるというのは非常に効くと思っております。今、見てみますと一時休業などが大変 増えておりますから、これが延長されるのは大変結構なことだと思います。かつ、短時 間休業という意味での労働者単位で1時間ごとの休業を対象とする、というのも非常に 使い勝手がいいといいましょうか、非常にいい内容になっていると思っております。  そこで質問なのですが、1時間ごとの休業を対象とする場合の、いわゆる給付限度日 数におけるところのカウントの仕方というのは実態的にはどのように考えたらいいのか が1点です。  それから、雇用情勢の報告の中にもありましたけれども、非常に集中するハローワー クにおいて、一斉に来ているものですからなかなか申請まで辿り着けない、という時間 的な要件が非常にきつくなっているようです。そういう面において、ハローワーク等の 陣容について緊急的な拡充等をするべきだと思っております。既に手は打たれているや にも聞いておりますが、その辺の考え方をお聞かせください。申請の簡素化は非常に求 められていて、どのような簡素化を行って、最終的に助成金が行き渡らなければあまり 意味のない話ですので、是非この辺についての考え方をお聞きしたいと思います。 ○雇用開発課長 今3点のご質問をいただきました。1点目の短時間休業をする場合のカ ウントの仕方です。これは、1日ごとに所定労働時間がありますので、短時間休業した 時間を、その1日の所定労働時間で割って、日数に換算してカウントするということです。  2点目は、申請が大変増えていてハローワークが混雑しているということです。確か にご指摘のとおりで、これは都道府県によってだいぶ差はありますけれども、製造業等 が集積している都道府県においては非常に利用が増えている状況です。そういう所の労 働局なり、ハローワークの助成金の窓口は大変お待ちいただく時間が長くなったり、場 合によっては電話がつながらないという状況も出てきています。こういう状況も早急に 改善をしなければいけないと思っております。先ほどお話がありましたように、体制整 備ということで、そういう利用が増えている労働局の助成金の窓口に、助成金支給申請 アドバイザーという、社労士等の資格を持った方を配置させていただきました。今も研 修をしているところでして、近々実際に窓口を配置し、それによって窓口を増やし、で きるだけ短時間で事業主の相談に乗れるようにしてまいりたいと考えております。  3点目の申請書の簡素化、申請手続の簡素化も非常に大事なことだと思っております。 今までの申請書の中身を私もよく見たのですけれども、書いていただく項目もかなり多 いということです。これまで、いろいろ支給要件の緩和等をやってまいりまして、それ によって書いていただく必要がなくなった項目もたくさんあります。今回の要領の改正 に合わせて、記入していただく項目は概ね3分の2程度に減らし、できるだけ事業主の負 担を減らしていこうと考えております。 ○市川委員 大変厳しい雇用情勢の中で、セーフティネットの拡充という観点から非常 に妥当な改正であると考えております。ついては、こうした変更内容を、是非全企業に きちんと周知徹底させていただきたい。特に中小企業にです。私どもの団体でも、周知 に協力させていただきますが、せっかくの改正ですので、全企業の事業主が認識をする ように周知徹底方よろしくお願いいたします。  2点目は既に今お話のあったことですが、窓口が非常に混雑している。資料No.1の7頁 の表において、特に愛知県辺りが1万件を超えるような申請が出ているということで、 受付までに大変時間がかかるという状況であるという報告を私どもも把握をしておりま す。先ほどお話がありましたような体制の強化をお願いしたいと思います。  3点目は、この手続の簡素化ということです。小規模の中小企業においても、いろい ろな品目、いろいろな部品を作っているということです。現在は、生産量がいかに減少 しているかということを書くようになっています。生産量といったときに、いろいろな 品目の合計を出さなければいけないということが手間であるという報告が出ております。 できれば売上高によってそれを代替できないか。通常、融資の申込みなどは売上高を使 っているということですので、そういうことも含めて是非手続の簡素化を進めていただ きたいと思います。 ○雇用開発課長 ただいま3点ご指摘をいただきました。こういう助成金の見直しにつ いて周知を徹底する、というのは大変重要なことだと思っております。こういうものは 当然労働局なり、ハローワークでやるのは当たり前のことですが、それに加えて、事業 主団体のご協力等をいただきまして一緒に説明会をやるとか、会員企業の方に周知をし ていただくといったご協力もいただきながら、積極的な周知に努めてまいりたいと考え ております。  2点目の、愛知の状況についてはご指摘のとおりでして、先ほどの助成金支給申請ア ドバイザーを愛知に集中的に配置をし、体制の強化をしたいと考えております。愛知の 場合は、もともと助成金業務を名古屋に集中化をしておりまして、広い県内で助成金を 申請する場合には、名古屋に来ていただくことになっておりました。それは事業主に負 担をおかけすることになりますので、これは早急にハローワークでもそういう助成金の 説明なり、申請の取り次ぎができるように今手配をしているところです。  3点目の、生産量を見るときの手法ですが、これもご指摘のようにこれまでは生産量 が原則でしたけれども、これも昔とは産業構造も変わってきておりますので、企業によ っては売上高で見てほしいという要望も当然あるわけです。それも今回の見直しで、生 産量を見るときは売上高又は生産量と改正いたしますので、この点についてもご周知い ただければと思います。 ○成瀬委員 事前にお聞きしている部分もあるのですが、確認的な意味での質問も含め て何点か質問させていただきます。1点目は、資料No.2-3の最後の頁で、障害者初回雇用 奨励金、その下の特例子会社等設立促進助成金の2つとも新規です。その2頁前で、介護 未経験者等助成金。この3項目について、「短時間労働者として雇い入れる場合を除く」 としてある理由を教えてください。  2点目は、最後から3頁目のところの、派遣労働者雇用安定化特別奨励金についてです。 「派遣労働者との間で労働契約を締結して」とあるのですが、これは派遣先が派遣労働 者に対して直接雇用の申込みをした結果として、希には派遣労働者が派遣先に直接雇用 になりたいと申し出て、それを受け入れた場合というのもあるかもしれませんが、その いずれか、もしくは両方の結果として、派遣先との間で直接雇用になった場合に支給さ れるものと考えればいいのか。  その上で3点目は支給のタイミングです。雇入れ後、半年後と、1年半後と、2年半後 の3回に分けて支給するということですが、これについてはそのタイミングで在職して いる場合に限るということで、こういう3回に分けて支給するということになっている のか。そういうことだと思うのですが、一応念のために確認させていただきます。  それに付随して細かい話になりますが、6カ月という有期の労働契約で直接雇用にな った場合において、更新がなくて1回きり、つまりちょうど6カ月の雇用期間が終わって、 それで更新されなかったという場合も、初回の半年後の支給はされるものなのか、それ とも6カ月という場合については更新をされて、初めて初回というのは支給されるもの なのかについても教えてください。 ○障害者雇用対策課長 初回雇用奨励金と特例子会社等設立促進助成金の関係につきま して、短時間労働者の取扱いにつきましてお尋ねがありました。短時間労働者について、 精神障害者の場合ですと雇用率制度で0.5のカウントになっております。初回雇用奨励 金について、短時間労働者に対して100万円という形であると若干過大ではないかとい うことで、短時間労働者を除くという観点よりは、雇用者数として1人としてカウント されるケースにお支払いする方向で調整をしております。したがって、精神障害者の短 時間労働者についてであれば、2人雇用していただければ対象とする方向で考えている ところです。表記について必ずしも整合性が取れていない部分がありまして恐縮ですが、 雇用率として1人としてカウントできる者について対象としていきたいと考えていると ころです。 ○雇用政策課長 介護未経験者確保助成金について、短時間雇用者を除く理由ですが、 これは基本的に介護業界はなかなか人が集まらなくて困っている。そういう中で、介護 をやったことのない人を介護業界に来てもらって、引き続きやっていただくというのが 基本的な狙いです。パートタイムという短時間労働者よりは当然のことながらフルタイ ムで働いている方を対象としているということです。 ○需給調整事業課長 派遣の奨励金について3点ご質問がありました。1点目は、派遣先 から労働者に対する申込みでも構いませんし、労働者から申し入れて派遣先で雇われる 場合のどちらでも構いませんので、結果として派遣先が雇い入れた場合に支給の対象に なるということです。  2点目の、半年後とか3回に分けてお支払いしているのはご指摘のとおり、一遍に払っ てしまいますと、その後にすぐ解雇してしまうことになると意味がありませんので、3 回に分けて支給することにより、より長く継続してもらうという趣旨です。  3点目の、6カ月で更新されずに、そこで切られた場合に半年目は出るのかということ です。ここには書いてありませんけれども、6カ月の有期契約の場合は、更新ありとい うことを明記している場合に、そもそも対象にするとしておりますので、6カ月で更新 なしというのはそもそも対象にはしないということです。 ○成瀬委員 最後の部分だけもう一回質問させていただきます。6カ月の有期雇用で更 新ありと明示されている労働契約を結んだ場合で、それでいろいろ情勢が変わって、い わゆる雇止めをされた場合にはどうなるのでしょうか。あるいは2回更新されて、つま り3回で1年半経った場合に、そこで雇止めされた場合については2回目、つまり1年半後 の支給は同じ扱いだと思いますけれどもどうなりますか。 ○需給調整事業課長 基本的に雇い入れられて6カ月時点、それから1年6カ月時点等々 で在籍している者が対象ですので、その時点で在籍していれば支給されるわけです。 もともと更新が明示されていても、更新がなされないことについては基本的にはもとも との制度の対象になりませんので、6カ月1回ということであれば支給されないというこ とです。 ○石井委員 先ほどの失業者が12万4,000人というのはちょっと少ないのではないか、 1桁違うのではないかという話がありました。わかりませんけれども、これからどんど んそういう失業者が増えてくるということは、同時に資料No.2-2の(9)の住居を喪失した 離職者等に対する資金の貸付が膨大になってくる気がするのです。これは、国から信用 保証協会を通して補助をするということですが、中長期的に考えると相当な金額になる とすれば、その補助は国からというのですが、一体どこから出てくるのかという心配が 1つあります。  もう1つは、非正規社員を正規社員にしたときに100万円の助成金が出るという場合で す。結構なことだと思いますが、実用上で問題はないのか。例えば、事業者側でセレク トすることも多分に考えられるので、その辺で無駄なお金が出ていくのではないかとい う懸念が私はするものですから、以上2点ご質問します。 ○大橋分科会長 いまのセレクトというのは、誰が何をセレクトするのですか。 ○石井委員 例えば、事業者側がいろいろな人を非正規社員で雇っています。そのうち 優秀な人はセレクトして正規にすることに結果的にはなります。その辺の運用上の問題 で何か問題はないのかという心配があるわけです。 ○就労支援室長 就職安定資金融資の関係でご質問がありました。この制度は、労働金 庫が住宅を喪失した離職者等に対して貸し付けるものです。総額で最大186万円まで貸 し付けられるものです。これで、仮に返済の免除の規定に合致する方であるとか、返済 不能になった方が出てまいりますので、俗な言葉で言うとそこの穴があいた部分、専門 的に言うと代位弁済という形で信用保証機関からそこを措置していく形になります。  さらにこの信用保証機関に対して、厚生労働省が雇用保険二事業で補助金を交付して いく流れになっており、この補助金の額は平成21年度の当初予算で約204億円を要求し ているところです。いまのペースでいって、この予算を突破する状況にはなっておりま せん。 ○総務課長 セレクトの関係についてですが、今回の助成金の中では、例えば年長フリ ーター、あるいは就職内定取消者の雇い入れというのはまさに新たな雇い入れですので、 既存のものからのセレクトという話ではない形ではなかろうかと思います。考えられる のは派遣の関係です。派遣先は、派遣労働者としていままで使用されていた中から、あ る意味セレクトするということは十分あるかもしれませんが、そこは逆に言えば雇い入 れたいという方をまさに選ぶという、ある意味で事業主の一種の権利と。ただ、是非雇 っていただきたいという政策的なものとの関係の中で、ある意味でのセレクトというか、 そういうことがあり得るというのはやむを得ないところはあるのではなかろうか。問題 がどういうふうに出てくるのか、というのはやってみないとわからない面はあるかもし れませんが、基本的には是非雇い入れていただきたい。ただし、雇い入れること自身に ついては、事業主の雇入れの権利と申しましょうか、そういうものがあるのではなかろ うかと考えられるところです。 ○長谷川委員 8頁のハのところが、「派遣先の事業主の事業所に通常の労働者として 雇用される」という、この「通常の労働者」というのはどのように規定しているのかを 教えてください。 ○総務課長 能力開発局に確認しましたところ、期間の定めのない労働者だということ だそうです。 ○長谷川委員 そうだとすると、ここは「期間の定めのない労働者」と明確に書いてほ しいのです。いつも私の所でも、通常の労働者とは何かとか、特に派遣などでは常用と 登録型とあって、常用というのが複雑怪奇な点なのです。もし、通常の労働者として雇 用されるというのだったら、これが期間の定めのないということであれば、「期間の定 めのない」というふうにきっちり書いたほうがいいのではないかと思います。 ○総務課長 ご意見の内容・趣旨は能力開発局に伝えさせていただきますが、内容的に は先ほど申しましたように、期間の定めのない労働者であると了解しているところです。 ○大橋分科会長 ほかにないようでしたら、当分科会としては厚生労働省案を妥当と認 め、その旨を私から労働政策審議会長にご報告申し上げたいと思いますがよろしいでし ょうか。 (異議なし) ○大橋分科会長 それでは、事務局から報告文案をお配りください。 (報告文案配付) ○大橋分科会長 この案のとおりですが、これでよろしいでしょうか。 (異議なし) ○大橋分科会長 それでは、そのように報告させていただきます。その他ご意見はござ いませんか。 (特に発言なし) ○大橋分科会長 特にないようでしたら、本日の分科会はこれで終了させていただきま す。 (署名委員指名) どうもありがとうございました。  (照会窓口)                        厚生労働省職業安定局総務課総務係  TEL:03-5253-1111(内線 5711)