09/01/26 第25回厚生科学審議会科学技術部会ヒト胚研究に関する専門委員会議事録 第24回 科学技術・学術審議会 生命倫理・安全部会「生殖補助医療研究専門委員会」 第25回 厚生科学審議会 科学技術部会「ヒト胚研究に関する専門委員会」 議事録 1. 日時 平成21年1月26日(月)15:30〜16:24 2. 場所 中央合同庁舎第7号館東館 16階特別会議室 3. 出席者  (委 員)笹月主査、安達委員、石原委員、位田委員、奥山委員       小澤委員、小幡委員、加藤委員、木下委員、後藤委員       鈴木委員、星委員、町野委員、水野委員、吉村委員  (事務局)文部科学省:永井安全対策官、高橋室長補佐、野島専門官       厚生労働省:北村審議官、宮嵜母子保健課長、小林母子保健課長補佐             梅澤母子保健課長補佐 4. 議事次第  (1)ヒト受精胚の生殖補助医療研究目的での作成・利用に係る制度的枠組みの検討について     ・これまでの議論のとりまとめについて  (2)その他 5.配付資料  資料1:第23回科学技術・学術審議会生命倫理・安全部会生殖補助医療研究専門委員会/      第24回厚生科学審議会科学技術部会ヒト胚研究に関する専門委員会議事録(案)  資料2:生殖補助医療目的でのヒト受精胚の作成・利用の在り方について(案)  参考資料:緑色の紙ファイル       ピンク色の紙ファイル 6.議事 ○笹月主査     それでは、時間になりましたので、ただいまから第24回の生殖補助医療研究専門委員会、 それから第25回のヒト胚研究に関する専門委員会を開催いたします。  審議に先立ちまして、資料の確認を事務局からお願いいたします。 ○高橋室長補佐     それでは、お手元にお配りいたしました資料につきまして、順番に確認させていただきます。 一番上に議事次第がございまして、それから、本日の資料は2種類ございます。資料1が前回 の議事録、資料2が「生殖補助医療目的でのヒト受精胚の作成・利用の在り方について」にな っております。そのほか、参考資料といたしまして、緑色の紙ファイルとピンク色の紙ファイ ルを机上に置かせていただいております。  なお、本日冒頭、カメラが入ってございますけれども、ご了承いただければと思います。ど うぞよろしくお願いいたします。 ○笹月主査     ありがとうございました。  資料1で前回の委員会の議事録(案)を配付しておりますが、これは委員の先生方には前も ってごらんいただいておりますので、特に、ご発言、問題なければ、これで確認していただき たいと思いますが、よろしゅうございますか。  じゃあ、ご確認いただきました。  それでは、本日の議事に入りたいと思います。資料2の報告書(案)につきまして、事務局 より説明をお願いいたします。 ○高橋室長補佐     それでは、資料2のご説明をさせていただきたいと思います。資料2は、前回の資料の2か ら7をあわせまして、報告書(案)としての体裁を整えさせていただいたものでございます。  まず、タイトルでございますけれども、「生殖補助医療研究目的でのヒト受精胚の作成・利 用の在り方について(案)」というふうにさせていただいております。  それから、報告書のクレジットでございますけれども、この報告書は、もし本日決定という ことになれば、今後、厚生労働省におきましては厚生科学審議会科学技術部会において正式に 決定されるということと、それから文部科学省においては科学技術・学術審議会生命倫理・安 全部会において正式決定されるということですので、こちらの両部会の名前をクレジットとさ せていただいております。  表紙をおめくりいただきまして、目次でございます。現在、目次にまだページ数が入ってご ざいませんけれども、最終的にはページ数を入れさせていただく予定でございます。こちらの 目次につきましては、前回の資料7をもとに大枠の構成は変えてございませんで、前回の資料 7のとおりにさせていただいております。  もう1枚めくっていただきまして、ここからが報告書の中身に入ります。以下は、基本的に は前回の資料2から7をあわせまして報告書としての体裁を整えたものでございます。また、 前回の議論を反映して、一部修正もしてございます。したがいまして、前回ご説明した部分と、 細かい文言修正とか用語の整理・統一等は割愛させていただきたいと思っております。前回の ご指摘を踏まえまして主な修正をしたところのみ、ご説明させていただければと思っておりま す。  「第1章 総論」につきましては、前回とほぼ変わってございませんので、割愛させていた だきます。  4ページをおめくりいただければと思います。「第2章 配偶子の入手の在り方」でござい ますけれども、これ以降は、これまでの資料におきまして「基本的考え方」としてまとめていた 部分は四角で囲っております。その四角の下の「第1節 共通的事項」でございますけれども、 これまでばらばらに書かれておりました卵子・精子に共通する事項を冒頭にまとめさせていた だきました。共通的事項の(無償提供)のところなんですが、「ただし、提供に伴って発生す る新たな費用(提供者の交通費等)に限り」というところでございますけれども、もともとこ れは「新たな費用」とだけ書いてございましたが、前回のご議論におきまして、具体的に「新 たな費用」とはどういうものかというものがわかるように書いてほしいというご指摘がござい ましたので、こちらは括弧書きで「提供者の交通費等」という文言を入れさせていただいてお ります。  それから、6ページをおめくりいただければと思います。6ページの下のほう、「(2)今 回の検討における議論」というところでございます。いわゆる無償ボランティアの議論でござ いますけれども、ここにつきましても、前回の委員会におきまして、無償ボランティアという 意味があいまいであるので、それがはっきりわかるように加筆すべきというご指摘がございま したので、「いわゆる無償ボランティアからの卵子の採取(専ら研究目的のために卵子を採取 する場合)」というふうに説明をつけ加えさせていただいております。  次に、9ページでございます。9ページには、「第3章 インフォームド・コンセント」と させていただいておりますが、前回の資料では、こちらは「配偶子の入手」という項目の下に 節として入っておりました。しかし、インフォームド・コンセントは内容も豊富かつ重要なの で一つのまとまりとして章にしたほうがよろしいのではないかということで、ここでは1つの 章として新たに立てさせていただきました。  「インフォームド・コンセント」の中の修正点でございますが、11ページをお開きくださ い。11ページの「3.インフォームド・コンセントの撤回」についてでございますけれども、 こちらは、前回の委員会におきまして、位田先生のご指摘だったかと思いますが、その下の (撤回後も研究の継続が認められる場合)の中に、今は2つのポチしかありませんけれども、 3つ目のポチとして「研究結果が既に公表されている場合」というのがございました。こちら につきましては、研究結果が公表されている場合であっても、その後の研究に対しては撤回が あり得るのではないかというご指摘がございましたので、そのご指摘を踏まえまして、「イン フォームド・コンセントの撤回は、既に終了している研究内容に対するものを除き」という文 言を挿入させていただいております。そのかわりに、その下の(撤回後も研究の継続が認めら れる場合)の3番目のポチ、「研究結果が既に公表されている場合」というのを削除させてい ただきました。  それから、その下の「4.医療の過程でインフォームド・コンセントを受ける場合の説明」で ございますけれども、ここで出てくる「医療」というのが、生殖補助医療なのか、それとも生 殖補助医療以外の過程なのか、あるいはその両方なのかということがわかりにくいというご指 摘がございましたので、こちらも括弧書きで「生殖補助医療の過程と、生殖補助医療以外の疾 患の治療過程の両方を含む」というふうに注意書きを入れさせていただきました。  それから、次のページ、12ページでございますけれども、こちらは訂正でございます。 「第2節 卵子の提供におけるインフォームド・コンセント」の2パラグラフ目に「第2章第 1節2.の提供が認められる卵子については」とございますが、こちらは、パラグラフをその前 の部分で入れかえた関係で、「第2章第1節2.」と書いているところはすべて「第2章第2節 2.」というふうに訂正をお願いいたします。「第1節」ではなくて、「第2節」でございます。 申しわけございません。以下、同じように「第2章第1節2.・・・」となっているところは、 すべて「第2節」に置きかえていただければと思います。同じく14ページ等にもそういった 訂正がございますので、どうぞご了承いただきたいと思います。  それから、22ページでございますけれども、「第4章 研究実施の要件及び手続等」でご ざいます。22ページの一番下のパラグラフ、「実験室は、臨床を行う場と分けることとする 」の下、「実験室は、原則として他の動物細胞を用いる実験室と分けることとする」というと ころでございますが、前回の資料においては「人の尊厳を侵すことのないよう、誠実かつ慎重 にヒト受精胚の取扱いを行う」という文章が入ってございましたけれども、これに対してはシ ンプルにすべきだというご指摘がございましたので、そこの部分を削除させていただいており ます。  それから、23ページ、隣のページでございますが、研究実施機関の長の要件の上から2つ 目のパラグラフでございます。研究実施機関の教育研修計画の策定のところでございますが、 これはもともと研修実施機関の要件として入ってございましたけれども、研究実施機関の要件 ということはすなわち研究機関の長がそういったことを策定するというふうに整理させていた だきまして、研究実施機関の長のほうに移動させていただきました。  それから、27ページでございます。下のほうでございますけれども、「第2節 研究実施 の手続等」の「1.国の関与の在り方」、こちらは、今までの資料ですと、研究実施の手続、あ るいは研究実施の要件のそれぞれの前に独立して記述がございましたけれども、この報告書に おきましては、研究実施の手続の1つと位置づけまして、こちらに移動させました。  それから、1枚めくっていただきまして、28ページでございますけれども、こちらも前回 のご議論におきまして、研究の状況をフォローアップして、必要な場合には対応策をとるべき ではないかというようなご指摘がございましたので、国としては、この新しくできる指針の運 用状況を把握しつつ、場合によっては見直して緩和すべき規定、あるいはむしろより厳格にす べき規定もあるかもしれないということで、ここでは「必要に応じ指針の見直しを行うことと する」という文言を新たに入れさせていただいてございます。  それから、最後、31ページ、個人情報の保護についてでございます。第5章のタイトルは、 前回の資料では「その他」になってございましたけれども、「個人情報の保護等」というふう に変えさせていただいております。こちらも、個人情報保護法についてメンションすべきであ るというご指摘がございましたので、四角の中でございますが、「個人情報保護法の趣旨を踏 まえ」という文言を入れさせていただいております。  報告書の内容の記述については大体こういったところが主な変更点でございますが、報告書 の体裁としまして、最後に参考資料として、その後ろになりますけれども、これまでの審議経 過と委員の先生方の名簿をつけさせていただいております。  冒頭申し上げましたとおり、その他の細かい文言修正ですとか用語の統一等については、割 愛させていただきました。  以上でございます。 ○笹月主査     どうもありがとうございました。  これは前回の議論を踏まえて一部修正をいたしておりますけれども、今お聞きになりました ように大きな変更というものはございません。最初からもう一度ごらんになりながら、コメン ト、あるいは、ご意見、ご質問などございましたら、どうぞよろしくお願いします。  「第1章? 総論」。検討の対象はどういうものがあるかということ。これも随分以前に議論 して、このような形になった。2ページの3つ目のポツのところには「正常な胚の着床又は着 床率の向上を目的とする着床メカニズムに関する研究」というものを書き込んでいますけれど も、表面的に眺めると、2週間しか胚をつくって研究をしてはいけない、原始線条ができる前 の話だということなので、それで着床に関する研究ができるのかというふうな疑問を投げかけ る方もあろうかと思いますけれども、研究の中でそれを目指した、細かなことになりますので 詳細は省くとしても、可能だということで、このポツは残すということになっております。  「第2章 配偶子の入手の在り方」。これは、随分議論し、時間をかけたところであります けれども、前回その内容については十分ご検討いただき、その後もコメントをいただいたもの は修文したりしておりますが、何かございますでしょうか。  どうぞ。 ○位田委員     もう一回読み直していると、ちょっと細かなところが気にかかったものですから。5ページ の真ん中辺から下のパラグラフで、「また、このうち」というのの最初のポツですが、「疑念 を持たれる可能性」、これは主語が書いてないので、「疑念が生じる」ということなんだろう と思うんですが。これは表現だけなんですけど。  それから、5ページの終わりから6ページにかけての、先ほどの説明にも少し関係した部分 でもあるんですが、「新たな(不必要な)侵襲」という、この(不必要な)と書いてある表現 がちょっと誤解を生むような気もするんです。新たに不必要な侵襲を加えるということなのか、 新たで不必要なのか、ちょっとその……。 ○笹月主査     そうですね。この括弧の中は要らないですね。「提供者に本来の治療以上の新たな侵襲が加 えられることはない」と。括弧のところは除いてよろしいんじゃないですか。リダンダントと いえば、リダンダントです。ありがとうございます。 ○位田委員     私、その辺はよくわからないので、どちらがいいかなと思いまして。 ○笹月主査     「新たな」でよろしいです。 ○位田委員     よろしいですか。 ○笹月主査     6ページの最初のポツも、「提供者に本来の治療目的以上の新たな(不必要な)侵襲を」と 書いてありますが、ここも括弧の中身は除いていいんじゃないですか。 ○位田委員     ええ。  それから、8ページですが、第3節の下の段落の「また」のところ、これは議論したかもし れませんが、「精子の採取」という言葉が出てきますが、これは「精子の提供」ではないんで しょうか。 ○笹月主査     どこですか。 ○位田委員     2回出てくるんですけど、1行目と4行目の。 ○笹月主査     厳密に言えば、「なお、精子の採取は、卵子の採取と比べ」、提供者にということですかね。 提供者に「肉体的侵襲や精神的負担が小さい」。 ○位田委員     そうですね。すみません、送っていただいたものを読んでいたので間違えましたが、そこの なお書きのところの4行目の「採取」、それから5〜6行目の「採取」、これは採取でいいの か、提供のほうがいいのか。 ○笹月主査     「研究の実施において」ということですから、研究する側から見ると、やはり採取というこ とになりますね。 ○位田委員     「採取が必要」ですね。前はそうですね。後ろのほうは、「特定の者」というのはどなたか、 Aさん、Bさんという男性の方ですから、その者に採取を依頼するというのはおかしいので、 最後の「採取」は「提供」ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。 ○笹月主査     これも研究する側から、特定の患者さんなり、健康人かもしれませんけれども、「特定の者 からの採取」と。「採取」でいいんじゃないですか。 ○位田委員     そこはいいんですけど、その2行下なんですが、「特定の者に採取を依頼できる」。 ○笹月主査     どこですか。 ○位田委員     一番最後の行です。 ○笹月主査     なるほど、ここですね。 ○位田委員     ここは「提供」だと思うんですね。あとは「採取」でもいけると思うんですけど。 ○笹月主査     「インフォームド・コンセントを受けた上で、当該特定の者に提供を依頼できる」。ここは、 依頼するんだから、「提供」ですね。ありがとうございました。 ○位田委員     すみません、あともう1つあります。同じく8ページの今のところの3行下なんですが、 (提供が認められる精子)の(1)生殖補助医療に用いられない精子。これは非常に一般的な書き 方なんですけど、生殖補助医療のために、採取かな? 提供されたけれども、用いられなかっ たという趣旨だろうと思うんですね。卵子のほうはそういう書き方がしてあるんですけど、精 子は、「生殖補助医療に用いられない精子」だと、ほとんど全部がそれになりますので。  以上です。 ○笹月主査     今のところは、先生のご意見は、どういうふうな訂正ですか。 ○位田委員     (1)のところは、「生殖補助医療目的で採取されたが、用いられない精子」という、そういう ことに。えーっと、卵子はどういうふうに書いてありましたかね。趣旨としてはそうなんだろ うと思います。 ○笹月主査     検査というのが(3)に出てきますからね。 ○位田委員     はい。 ○笹月主査     わかりました。 ○永井安全対策官     御確認をさせてください。 ○笹月主査     どうぞ。 ○永井安全対策官     まず5ページは、「疑念を持たれる」は、「疑念が生じない」ということで修正させていた だきます。  あと、6ページの上から5行目、「新たな(不必要な)」、ここはちょっとリダンダントと いうことで、これも削除させていただくということかと思ってございます。 ○笹月主査     6ページも大丈夫ですね。 ○永井安全対策官     はい、6ページの上から5行目です。  あと、8ページの「第3節 精子の入手」の第2パラグラフのなお書きのところでございま すけれども、一番最後の行の「特定の者に採取を依頼」、これはお願いするのは提供すること でございますので、「特定の者に提供を依頼できることとする」ということかと思ってござい ます。あともう1つ、(提供が認められる精子)の(1)でございますけれども、これは、生殖補 助医療目的で採取されたが、結果的に生殖補助医療に用いられない精子というような趣旨で修 正させていただければと思います。 ○笹月主査     ありがとうございます。  ほかに。どうぞ。 ○鈴木委員     少し戻りますが、4ページの第1節の(未成年者等からの配偶子の入手の禁止)というとこ ろなんですが、これは、「未成年者」というふうに書いておけば、一般にはわかるものなので すか。つまり、20歳未満というのは、定義としてだれを指すのか、わかるものなんですか。 読む人にとってはという意味なんですけれども。 ○高橋室長補佐     ほかの指針などでこういう書き方をしてございまして、特段問題が生じてないので、大丈夫 だと思います。 ○笹月主査     定義としてはどうなんですかね。位田先生、どうですか。 ○鈴木委員     あと、例えば婚姻している女性というのはどうなるんだろうかという話は出ていたと思うん ですけれども、その辺とか、定義としてここはどういうことになるのか。その辺、読む人によ って違うということはあり得ないのか。 ○笹月主査     水野先生が一番のご専門です。 ○水野委員     民法の定義ですと、20歳未満ということになります。ただ、婚姻による成年擬制という制 度がありまして、結婚していた場合には婚姻生活を営むために成年と擬制するという制度があ ります。ただ、婚姻による擬制といいましても、公法的な領域、例えば、お酒が飲めないとか、 選挙権がないとか、そういうことには成年擬制が働かないとされております。それ以外の私法 的な領域では原則として成年擬制が適用されるということなのですが、実際には具体的に問題 ごとに判断が分かれます。この場合は、同意能力を欠く者からの入手について、もう結婚して いるのだから大人の判断能力が十分あるから大丈夫だと考えるか、あるいはお酒を飲めない制 限と同じように控えていただくべきと考えるのかというのは、厳密に言えば解釈が分かれうる ところだろうと思います。でも、普通は、公法的な制限に近いものと考えられるのではないで しょうか。危うきに近寄らずということで、20歳以上として運用されれば、問題ないのでは ないかと思います。 ○笹月主査     今の件は、何かほかにご意見ございますか。 ○鈴木委員     私は、議論を蒸し返すわけではないのですが、まさに生殖補助医療分野では、例えば、16 歳、17歳であっても、卵子の保存ということは、逆にこの分野だからこそあり得る話なので、 ちょっとどうなのかなというふうにも思うのですが、別にそれがいい悪いというより、とにか くこの文章で何があらわされているのかということがこれで明確になるのかどうかということ を、ちょっと確認しておいたほうがよいかと思います。 ○笹月主査    そういう意味では、20歳以上を意味しているというふうに、一般的にこれだけを見れば、 見ればというよりも、そういう了解でこういう表現になったと思います。確かに婚姻している 場合はどうかということも議論の対象にはなりましたけれども、一応結論としては、20歳以 上と、成人ということでここまで来ておりますが、よろしいですか。特段ご意見がなければ、 成人と。 ○位田委員     20歳以上と決めれば、それはそれで私も構わないと思いますが、それだったら、20歳以 上と書いたほうがいいと思います。ただ、ほかの指針等では確か「未成年」と書いてあるんで すね。20歳という規定はたしかなかったと思うんですが、どうですか。僕は今、全部調べ切 ってないのですが。 ○高橋室長補佐     ES指針においては「未成年」という書き方をさせていただいていまして、婚姻していれば 成年扱いをしているというふうになっております。 ○位田委員     そういう取扱いで理解をしてきたので、そこと若干そごが生じる可能性があるかなと思いま すが。 ○笹月主査     そこまで書き込んでいるわけですか、未成年の定義として。 ○水野委員     それは存じませんでしたが、この場合、これまで婚姻による成年擬制が適用されるという運 営だったのですか。 ○高橋室長補佐     こちらの書きぶりがそこまでご議論していただいた結果かというと、そうではなかったよう に思いますので、この「未成年等」の意味が20歳以上という意味なのかというのは、こちら の委員会はこちらの委員会でご議論いただく必要があるのかなというふうには思います。 ○位田委員     婚姻による成人擬制ということをきちっと議論して、それも含めて未成年という規定を置い たかどうかは明らかではありませんが、そういう話は出ていたと記憶していますし、そこは、 つまり20歳以上だという明確な了解も必ずしもなかったと思いますね。むしろ、産科婦人科 学会のほうで例えば未成年というのをどういうふうに取り扱われているかとか、そういう現場 のほうの取扱いのほうが参考になるんじゃないかという気はしますけれども。委員会では、未 成年は20歳とか、いやそうでないとかいうことは、必ずしも明確に決めていませんし、そこ は指針にも書いてないと思いますけれども、町野先生、もしご意見があればと思いますが。 ○宇水野委員     そういう意味で、民法は一応20歳ということになっておりますし、もし目下、法制審で審 議中のように民法の成人年齢が18歳に変わったとしても、成年と書いておけば対応できます。 これにもし例えば「等同意能力を欠く者」というようなものを全部書き込もうとしますと、こ れだけで非常に長くなってしまいます。つまり、民法上、成年であったとしても能力制限はあ りえますから、後見に付されている者、保佐に付されている者、補助に付されている者をそれ ぞれどのように考えるかという問題が生じ、保佐人の同意があれば同意能力はあると考えるか というようなことの定義を全部ややこしく書かなくてはならないということになりますので、 非常に面倒です。この指針ではとりあえず未成年者と書いたときには20歳未満の者であると いう合意でよいと思いますが、それ以上に婚姻による成年擬制の場合についてだけ議論をして 書き込むほうがよいでしょうか。 ○町野委員     私、民法をもう忘れてしまってすみませんですけど、婚姻した者は擬制するというのは、主 に法律行為能力の点のあれでありまして、財産法的な問題で、身分法上のものではないんです ね。だから、20歳未満で婚姻した者について、財産的な取引の能力についてはあるというこ となんですけれども、例えば先ほど出てまいりましたように、未成年者禁煙法とか、そういう タイプのものは適用にないのは、そういうことなんですね。それと平仄を合わせますと、考え 方を合わせると、20歳未満は、結婚していようと、していまいと、やはり無能力だというこ とにおそらくはなるだろうと思います。そういう議論は若干しましたけれども、そういうこと かなと思って私などは納得していたんですけれども、もう一回これをやるとなると、先ほどの ご議論にもありましたとおり、婚姻していようと、していまいと、16歳だっていいじゃない かという議論だってあり得るわけですね。それぞれのあれがあるわけですから、どこまで下げ られるかという議論をもう一回しなきゃいけないということですから、私は、ここの理解とし て、20歳未満と書かずに未成年者ということで、今のような了解でいいんじゃないかという ぐあいに思います。 ○笹月主査     ただ、一つだけこれの特殊なのは、卵子の提供を許す場合として、できれば1回は生殖補助 医療を受けた経験がある者というふうなことを議論して、ここに書き込んでいると思います。 そうすると、生殖補助医療を受けたことのある女性というのは当然婚姻しているということで ありましょうから、その人たちを入れるのか、入れないのかというような議論は。こういうテ ーマが以前出たときに議論して、最終的にはさらりとみんなが納得したということは、婚姻し ているか、していないかは問わずに、未成年というふうに理解したと、私は記憶しております。  吉村先生、いかがですかね。現実的な問題として、婚姻していれば未成年者でもよろしいと いうことをあえてつける必要があるかどうか。未成年だけれども、結婚して生殖補助医療を一 度ぐらい受けたことがあるという人が18歳、19歳ぐらいの女性に登場するかというと、そ ういうことは数としては少なかろうと思いますので、未成年でいいんじゃないかという気がし ますけど。 ○吉村委員     私もそのように思います。でも、いろいろなご意見を聞いていて、そういうことがあるのか なということが私もわかったという状況で。私はこの表現でよろしいんじゃないかなと思うん ですが。 ○笹月主査     いかがですか。皆さん、よろしいですか。  どうぞ。 ○位田委員     ちょっと整理させていただきたいんですが、20歳以上とは書かないで未成年と書くという ので、これはこれで合意をするとしても、だけど、取扱いとしては20歳まではだめだという ふうにするとすれば、生殖補助医療は女性は16歳で受けられますから、生殖補助医療を受け に来られたカップルが、男は18歳、女は16歳、そこから20歳までは、生殖補助医療は受 けられるけれども、この研究に提供はできないと、そういうふうに整理できると思うんですが、 それでよろしいですか。 ○笹月主査     理屈ではそのようになりますけれども、現実問題として、生殖補助医療を受けに来る人は、 結婚して数年たっても子供が生まれないというときに初めて来るんでしょうから、結婚してす ぐ受けに来るということはないので、16歳の女性が、あるいは17歳の婚姻した女性が登場 するということは、おそらく現実的ではないんじゃないかと思います。 ○鈴木委員     多分、今の解釈はちょっと違うと思います。学会のほうでも、今、婚姻してなければ体外受 精は受けられないということではなくなりましたよね。事実婚でもオーケーと。 ○石原委員     婚姻していることを必要要件としています。なくなったのは、以前のものに「戸籍を確認し ろ」と書いてあったのが、記載がなくなっただけです。 ○鈴木委員     わかりました。では、もう1つだけ。「手術等により摘出された卵巣や卵巣切片からの採取」 というのも認められているわけで、これは婚姻は全然関係ないことですね。例えば十七、八歳 でもこういった手術を受ける方は現実にいらっしゃるということで、その場合にどうするかと いうことを整理しておいたほうがいいという話で、今のお話ですと、20歳未満でシングルの 女性がこういった手術を受けた場合、そこからの提供はいけませんよということになると。そ ういうことですよね。 ○笹月主査     この条文だけでいけば、そうですね。  第2章はそれでよろしいですか。またあれば戻るとして、「第3章 インフォームド・コン セント」。  それこそ細かなことですけど、13ページのインフォームド・コンセント以下、アンダーラ インがあるのは何か? ○高橋室長補佐     すみません、訂正させていただきます。間違いです。 ○笹月主査     第3章は全部、アンダーラインがありますね。以下もそうなのか。全部そうですか。3章以 下、全部そうですね。 ○永井安全対策官     すみません、(i)とか、(ii)とか、(iii)というところ、これはどれがどの構造のうち の一部かということがわかりづらいのでアンダーラインを引かせていただいたんですけれども、 どちらでも結構でございます。 ○笹月主査     除いたらどうですか。  よろしいでしょうか。  「第4章 研究実施の要件及び手続等」、それから「第5章 個人情報の保護等」というの がありますが。  どうぞ。 ○後藤委員     31ページの第5章ですが、1が「個人情報の保護」と書いてありまして、2が「情報の公 開」というふうに書いてありますが、これは研究成果の情報ということで、1の個人情報の情 報と2の情報というのは紛らわしいので、研究成果の情報公開とか、そういうふうなタイトル にしていただきたいなと思います。 ○笹月主査     そうですね。個人情報は公開されちゃぐあいが悪いわけで、「原則として研究成果を公開す ることとする」ということですから、研究成果の公開ということでよろしいですかね。ありが とうございました。  どうぞ。 ○位田委員     細かい話ですけど、31ページのその「情報の公開」のすぐ上の、「基本的に同様の規定を 置くこととする」と。ガイドラインをつくるときにはそうなんでしょうけど、ここは、「同様 の措置を予定する」とか、そういう言い方じゃないですかね。 ○笹月主査     そうですね。 ○永井安全対策官     ありがとうございます。「基本的に同様の措置を講ずることとする」とか、そういうような 感じでやらせていただきます。 ○笹月主査     はい。  全体を通して、最初からもう一度、何かご意見ございますでしょうか。  我々が論文を書くときには、書いて、何度読んでも修正したくなり、それは英語だからだろ うと言われるけど、日本語の文章でも、自分で書いた文章を何度も何度も読んで、私は秘書に いつも怒られて、もう10回目ですよ、いいかげんにしてくださいと言われるんですが、読ん でいますと、「てにをは」も気になりますし、文章の流れも気になるということで幾らでも出 てくるんですが、一応、中身としては、これで委員の方々のご意見も出尽くして、ご了解を得 られたものというふうに思います。それで、ごらんになって、修文したいところといいますか、 「てにをは」とか、そういうところで細かなことはあろうかと思いますが、もしありましたら 事務局にご連絡いただいて、あとは主査の私と事務局とで調整させていただくということでよ ろしゅうございますか。  じゃあ、そのようにさせていただきたいと思います。  それでは、本日の議事はこの報告書を作成するということが主でありましたので、これで終 わりますが、事務局から、今後の本報告書(案)の取扱い、その他の予定をご説明ください。 ○高橋室長補佐     事務局でございます。委員の先生方、ほんとうに長い間、どうもありがとうございました。 この報告書につきましては、厚生審議会の科学技術部会と文科省の科学技術・学術審議会の生 命倫理・安全部会でこの後それぞれ審議されまして、最終的に決定される予定でございます。 それから、その後、総合科学技術会議の生命倫理専門調査会への報告が予定されてございまし て、さらにその後、この報告書に基づいて両省で指針を作成いたしまして、パブコメ等などを 経まして、できるだけ早く指針の公布・施行を行いたいというふうに考えてございます。その 間に先生方には必要に応じましてさまざまな形でご相談させていただくこともあるかと思いま すけれども、そのときはどうぞよろしくお願いいたします。  この委員会につきましては、基本的に本日の会議をもちましてしばらくは開催しないという ふうに考えてございますので、そういう意味で本日は一区切りということになります。という ことですので、事務局からごあいさつを申し上げさせていただきたいというふうに考えてござ います。 ○北村雇用均等・児童家庭局審議官     厚生労働省の大臣官房審議官の北村と申します。一言、御礼のごあいさつを申し上げます。  主査の笹月先生をはじめ各委員の皆様方には、生殖補助医療研究目的でのヒト胚の作成・利 用というテーマにつきましてご議論を賜りまして、報告書の取りまとめのためにご尽力をいた だいてまいりました。この場をおかりして、厚く御礼を申し上げます。  生殖補助医療のニーズは今後とも増大していくものと予測されております。そのような中で、 不妊治療の安全性の確保、あるいは治療成績の向上など、関連分野の研究を推進していくこと は重要な政策課題の一つというふうに、私ども認識してございます。ヒト胚を用いた研究を実 施することで、不妊症の病態解明、あるいは新たな診断・治療法の確立などの成果が期待され ますが、他方、卵子採取に伴う身体的・精神的な負担の問題、あるいはまた人間の道具化・手 段化といったことに対する懸念等々、さまざまな課題もございます。このため、この委員会に おきまして、ヒト胚作成を伴う生殖補助医療研究の実施のための条件整備に向けた検討を行っ ていただきました。複雑で難しい論点が多々存在する中で、長期間にわたりまして先生方の熱 心なご議論を得て、本日、本委員会としての取りまとめをいただきましたことに、改めて厚く 御礼を申し上げます。  厚生労働省といたしましては、本委員会でのこれまでのご議論、あるいは本日お取りまとめ いただきました報告書を踏まえまして、文部科学省はじめ関係省庁とも緊密な連携をとりなが ら、今後ともこの分野について真摯に政策に取り組んでまいる所存でございます。  委員の皆様方におかれましては、どうぞ今後とも引き続きご指導賜りますようお願いを申し 上げまして、御礼のあいさつにかえさせていただきます。どうもありがとうございました。 ○永井安全対策官     申しわけございません。文部科学省も審議官がごあいさつさせていただく予定でございまし たけれども、出先から戻ってくるのが遅れておりまして、会議が予定より早く進んでいるとい うことで、間に合っておりません。大変失礼しました。  いずれにしても、文科省としてもこれまで手探りで進めてきたところがございまして、先生 方には大変なご苦労をおかけしたかと思いますけれども、おかげさまで本日こうして報告書の 取りまとめに至ることができたということで、ほんとうに感謝してございます。これから厚労 省と協力しながら指針の整備に向けて努力してまいりたいと思いますし、また、その過程でい ろいろと御指導いただきたいと思っております。  以上、簡単でございますが、おわびとともに、最後でございますけれども、感謝申し上げた いと思います。どうもありがとうございました。 ○笹月主査     どうもありがとうございました。  それでは、最後に私からも一言ごあいさつをさせていただきたいと思います。この参考資料 1にございますように、第1回の会議は平成17年9月29日ということでありますので、最 初のころを思うと遙けくも来たりという感じがいたします。もともとこのテーマは、生殖補助 医療に資するということが大前提でありまして、その資する研究ためには、ヒトの未受精卵を 手にして、そして受精させて胚をつくって、しかもそれを研究に用い、滅失させる、廃棄する ことを認めるという、これは国の決断としては非常に大きな重い決断であったと思います。で すから、その重い決断を私どもも真摯に受けとめ、非常に重要に感じ、非常に大事なことだと いう認識のもとに、ほんとうに慎重に議論をしてまいりました。多くの方々、それぞれの分野、 それぞれ違ったご専門の立場から、たくさんの貴重なご意見を賜りまして、ほんとうに委員の 先生方のおかげで本日の取りまとめの案に到達することができましたことを心から御礼申し上 げたいと思います。  私も、正直に自分の感ずるところも申しましたし、いろんな、個人的な体験に基づいた意見 も呈しました。主査として至らぬところも多々あったと思いますけれども、本日を迎えること ができたことを、私は大変うれしく思っております。この指針がほんとうに活用されて、大事 な生殖補助医療、そして、大事なヒトの胚の取扱い、研究、そういうものが真っ当に、適正に 行われることを期待いたしまして、私としてはこれでほっと、重荷をおろしたということで、 解放される喜びもございます。  ほんとうに先生方、長期にわたりまして、ありがとうございました。(拍手)  あとは、何か。 ○鈴木委員     先ほどのスケジュールの件で、ちょっとお伺いしてよろしいですか。この報告書が上に上が って、承認を受けた暁ということですけれども、その後にパブリックコメントということです ね。そのときには、この報告書とプラス、さっき何とおっしゃったんでしたっけ?具体的な運 用……。 ○高橋室長補佐     パブリックコメントにつきましては、指針という形でパブコメをさせていただくか、もしく はこの報告書という形になるのか、もしくは報告書の概要という形なのか、いろいろやり方は ございますが、そこはまだ検討していません。 ○鈴木委員     なるほど。そうしますと、これについて、パブリックコメントのときにもきっといろんなご 批判やご意見が上がってくると思うわけですけれども、それに対してどのような受け方をなさ るご予定なのか。それともう一つは、そういった意見の中でも国は具体的にどのように審査す るんですかという声が上がってくると思うんですが、そのあたりのことが事務局のほうからあ る程度の案として出てくるのは、どのような過程で、いつぐらいになるのでしょうか。 ○永井安全対策官     具体的には、基本的にこの報告書の内容を条文化するということでございますけれども、そ の中で、今、先生がおっしゃったように、審査のところの条文とか、いろいろ規定の仕方があ ろうかと思います。こういった点につきましては、両省で相談しながらでございますけれども、 その中で適切な形で、そういったこともわかるような形でパブリックコメントをさせていただ くことになると思ってございます。また、パブリックコメントの過程で多分いろいろご意見が あろうかと思いますし、それがもし非常に検討を要するご意見ということであれば、また先生 方に、どういう取扱いがいいのかということをご相談させていただくこともあろうかと考えて ございます。 ○鈴木委員     わかりました。 ○笹月主査     よろしいでしょうか。  それでは、これをもちまして第24回の生殖補助医療研究専門委員会、それから第25回の ヒト胚研究に関する専門委員会を閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。 ―― 了 ――  事務局:文部科学省研究振興局ライフサイエンス課生命倫理・安全対策室       電話:03−6734−4113(直通)      厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子保健課       電話:03−5253−1111(内線7939)