09/01/19 第4回高齢者医療制度に関する検討会議事録 平成21年1月19日 高齢者医療制度に関する検討会   第4回議事録 (1)日時    平成21年1月19日(月)17:30〜19:00 (2)場所    厚生労働省 省議室 (3)出席者   岩本委員、大熊委員、川渕委員、権丈委員、        塩川座長、宮武委員、山崎委員        舛添厚生労働大臣        <事務局>        水田保険局長、榮畑審議官、神田総務課長、吉岡保険局高齢者医療課長        武田保険局国民健康保険課長、田河保険局保険課長、佐藤保険局医療課長、        村山保険局調査課長、大西保険局総務課医療費適正化対策推進室長、        岡本医政局総務課参事官 (4)議事内容 ○吉岡課長 大臣、間もなく到着いたしますけれども、定刻になりましたので、会議を始 めさせていただきたいと思います。委員の皆様方には、御多忙のところお集まりいただき まして、誠にありがとうございます。  ただいまより第4回「高齢者医療制度に関する検討会」を開催いたします。  委員の先生方の出欠でございますけれども、本日は岩村先生が御欠席でございます。  それでは、議事進行につきまして、塩川座長にお願いいたします。 ○塩川座長 今日はお忙しい中御参集いただきまして、ありがとうございました。第4回 目の検討会になります。今回も前回に引き続き、前半は国保及び介護、後期高齢者医療に 関する広域連合からのヒアリングを行うこととしておりまして、本日は大雪地区広域連合 の方と、滋賀県後期高齢者医療広域連合の方にお越しいただいております。また、後半は 項目ごとの議論として、医療サービスと財源の在り方について御意見を賜りたいと思って おります。  それでは、まず最初に大臣から御発言をいただきまして、その後、事務局よりお配りし ております資料のことにつきまして、簡単に説明いただきたいと存じます。  舛添大臣、よろしくお願いいたします。 ○舛添厚生労働大臣 皆さん、お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうござ います。この検討会は昨年9月から議論を重ねておりますけれども、与党におきましても、 今年の春を目途として、長寿医療制度の見直しについての基本方針をまとめることが決ま り、議論が開始されております。  私たちも、そういう与党の動きを見ながら、政府・与党一体として一つの案を出せるよ うに議論を進めていきたいと思います。  今、座長の塩川先生からお話がありましたように、今日は2つの地域の方々からヒアリ ングを行いたいと思っております。今日で検討会の議論も一巡しますけれども、引き続き 精力的な御議論を賜ればと思っています。むしろこの検討会は、基礎的な、理論的なこと を含めて、いろんな問題があることをつまびらかにしていく、そしてそれに基づいて良い 方針を出していくということです。また、本日、現場の声もお伺いいたしますので、是非 いい方向での議論ができればと思っていますので、よろしくお願い申し上げます。ありが とうございます。 ○吉岡課長 それでは、資料の御確認でございます。まず、資料1でございますが、これ までの議論の概要の資料でございます。各委員の先生方に御確認いただいて、前回までの 議論を整理したものでございます。  資料2でありますけれども、本日の議題に関します参考資料でございます。あらかじめ お配りしておりますので、内容についての説明は省略をさせていただきます。  この資料の1〜16ページにかけてが、本日の議題の医療サービスについて。  17〜25ページまで、その医療サービスに関連いたします医療提供体制に関する資料であ ります。  26〜37ページが、もう一つの議題、財源の在り方に関する資料であります。  最後に39ページに、ただいま大臣の御発言にもございました、昨年末の与党のプロジェ クトチームのとりまとめでございます。この中で、来春を目途、すなわち今春を目途に枠 組みについての結論を得るということが整理されているものでございます。  資料3と4は、本日のヒアリングについての資料として、それぞれ御提出をいただいた ものでございます。  最後に資料5といたしまして、川渕委員の方から御提出をいただいた資料でございます。  資料につきましては、以上でございます。よろしくお願いいたします。 ○塩川座長 まず、北海道の大雪地区広域連合の合田さんと、滋賀県後期高齢者医療広域 連合の井上さんから、それぞれ10分程度の御説明をお願いしたいと思います。その後、意 見交換を自由にやっていただきたいと思います。  それでは、最初に合田さんからお願いいたします。 ○大雪地区広域連合事務管理者 大雪地区広域連合事務管理者の合田です。よろしくお願 いします。  それでは、私の方から、大雪地区広域連合の設立の経緯、概要について御説明申し上げ ます。  まず、設立の経緯でございますが、2000年の介護保険制度の実施に当たり、従来から消 防ですとか清掃、葬祭事業で、広域連携をしていた東川町、東神楽町、美瑛町の3町にお いて、介護認定審査会を機関の共同設置として実施しておりました。その後、認定審査会 だけでなく、介護保険事業全般、更には国民健康保険ですとか老人保健事業、これらも広 域的に進めていくことが、制度や住民負担の安定化・平準化につながり、更に事務経費の 軽減にもつながることから、平成15年7月に広域連合を設立し、翌年の4月から業務を開 始しております。  その後、障害者自立支援法に基づく障害程度の審査判定及び長寿医療制度の市町村の事 務についても広域連合で行っております。  当広域連合の特徴について御説明申し上げます。大雪地区広域連合の保険料の賦課方法 でありますが、他の広域連合で行っている分賦金方式とは異なりまして、保険料について は統一し、直接、当広域連合で賦課しております。更に住民サービスを維持する観点から、 構成町においても、受付事務や収納事務を処理するために、構成町の担当職員を連合の職 員として併認発令をしております。  保健事業につきましては、現在、それぞれの構成町で行っておりますが、今後は医療費 や健診データ等に基づき、保健事業に係る基本方針を、広域連合において策定し、よりき め細かな保険事業の展開を目指しております。  次に広域連合の組織体系でありますが、資料3の別紙2に付けております。広域連合の 議会議員については、関係町の議会の議員のうちから、関係町の議会の選挙において議員 としてお願いしております。連合長につきましても、関係町の町長のうちから選挙により 選出しております。  事務局の職員体制でございますが、それぞれの構成町から派遣していただいている10 名と臨時職員3名で行っております。更にその他、レセプト点検については、委託業務と して2名が常駐しております。  構成町の事務員ですが、別紙3に書いてあるとおりでございますが、構成町の併認職員 については、国保・介護・長寿等に係る窓口業務、保険料の徴収業務、健診等の保健業務、 保険料の収納、現金給付等の支払いのための会計業務を行っております。更に制度の改正 や住民からの問い合わせ、苦情処理等の対応についても、密接に連絡を取り合いながら住 民サービスを低下させないように、広域連合と構成町が一体となって取り組んでおります。  次に広域におけるメリット、課題及び今後の方向であります。資料4をごらんいただき たいと思います。  まずメリットでございますが、構成町においては、医療費水準や保険料水準に格差があ っても、短期的な視点にとらわれずに、将来にわたり持続可能な保健運営を実施するため に、中長期的な視点に立って保険料の平準化を図る必要があると考えております。こうし た考えにより、保健者がまとまり、財政基盤を大きくすることで、比較的安定した運営が 見込まれること。また、偶発的に医療費が増数しても対応が容易となることから、保険財 政の安定化といった効果が見込まれます。更に同じような事務を一元化することによって、 事務の効率化を図り、経費の削減につなげることができます。また、職員の適正配置によ り、事件費の削減といった効果も出てこようかと思われます。  次に課題でございますが、広域連合の構成町では、いずれも農業が主体であり、気象の 変更によって農業所得の不安定要素があります。そういう点では、国保の財政基盤は脆弱 であり、長期的な見通しが立てずらいという傾向がございます。そのために、突発した医 療費対策に備えて、将来的には医療費の5%程度の給付準備基金等を確保する必要がある と思われます。  課題の2点目でございますが、保険料は医療費・給付費の対価でありまして、医療費・ 給付費適正化対策として、被保険者に対して健康意識の啓発と健全な被保険者育成に努め ることが必要であります。また、地域の実情に応じた効果的な保健事業を展開するために、 疾病統計などの医療費分析は継続して実施する必要があり、それらのデータに基づいた施 策の整理・検討を行った上で、真に効果的な保健事業を実施する必要があります。健康づ くりを推進することは、医療費・給付費の適正化を高め、保険料の引き下げや収納率の向 上、事業運営の安定化につながる大きな課題と考えます。  課題の3点目でございますが、国保の最大の自主財源である国保料の収納率を高めなけ ればなりません。保険料の時効は2年であるため、税と比べて短く設定されています。こ のために、未納者に対する対策については、構成町と徴収担当課との連携強化を図り、収 納情報の共有化と定期的な協議が必要となります。  最後に、今後の方向でありますが、介護保険とともに国民健康保険、老人保険、福祉医 療事務を広域連合で行うことで、経費の低減が図られますが、さらなる行政コストを削減 しなければなりません。  更に、総経費の縮減を図るためには、全体的な規模の拡大がどうしても求められること から、二次医療圏を単位に、均衡の市町村へ当広域連合の参画について働きかけを行い、 拡大を図る必要があります。今後、当広域連合といたしましても、権益の拡大と事業運営 の質的な向上、真の広域化に向けて、国保・介護等の再編・統合に資するモデルとして頑 張っていきたいと考えております。  以上で、簡単でございますが、大雪地区広域連合の現状及び問題点について御説明を終 わらせていただきます。 ○塩川座長 どうもありがとうございました。  それでは、滋賀県の井上さん、お願いいたします。 ○井上副広域連合長 滋賀県後期高齢者医療広域連合の井上でございます。引き続きまし て、滋賀県広域連合の取組みを、お手元の資料に基づき御説明申し上げます。座らせてい ただきます。  まず1ページ、本県の概要でございますが、26の市町が、琵琶湖を取り囲むように位置 しておりまして、人口は140万人、高齢化率は19.5%、75歳以上の高齢者の割合は9.3% と、全国平均を下回っておりまして、長寿医療制度の被保険者は13万4,000人となってお ります。  また、平成18年度の1人当たりの老人医療費でございますが、79万5,070円、全国27 位となっておりまして、全国平均を下回っております。  その伸び率でございますが、対前年比1.9%の伸びを示しておりまして、全国13位とい う高い伸びになっております。  2ページ、本県広域連合の組織体制でございます。現在、20人の職員で構成しておりま して、そのうちわけは一般職員17名、嘱託職員として保健師を1名、臨時職員が2名とな っております。なお、一般職員は県から2名、市町から13名、国保連合会から2名の派遣 をいただいております。  また、当広域連合の平成20年度の財政規模でございますが、一般会計、特別会計を合 わせまして、991億2,700万円となっております。  3ページ、制度の施行準備から今日までの当広域連合の主な取組みにつきまして、3、 4ページにまとめさせていただきました。まず、制度施行までの取り組みでございますが、 平成18年2月の滋賀県議会で、後期高齢者医療制度の改正に向けまして、知事並びに担当 部長が積極的な支援を表明されました。これを受け、市長会、町村会、国保連合会が県に 対して支援要請を行い、県から事務局長を派遣いただき、4月、全国に先駆けて準備事務 局を設立し、準備に着手したところでございます。  その後、7月に広域連合準備委員会を発足させ、順次事務局体制の強化を図りますとと もに、市町や県などの関係職員から成る研究会を立ち上げまして、広域連合の設立につい て準備を進めてまいりました。  12月には、構成市町の議会で、広域連合設立のための規約の議決をいただきまして、平 成19年2月1日に広域連合の設立に至ったところでございます。  平成19年度に入りまして、施行準備が本格化するに当たり、市町や関係機関と緊密な 連携を図りながら円滑に遂行するために、県、市長会、町村会、構成市町の代表課長で構 成する幹事会、構成市町すべての担当課長からなる課長会議を設けまして、重要事項の協 議決定や調整を行う体制を整え、ほぼ月1回のペースで会議を開催し、準備を進めてきた ところでございます。  このことが、住民の皆さんと第一線で接していただいております市町村の現場の状況や 意見を、制度運営に生かせたものと考えております。  更に、7月には制度運営に関し、広く御意見をお聞きするため、高齢者や医療関係団体、 県、保険者、更には有識者から成る運営懇話会を設置し、適時開催をいたしているところ でございます。  4ページ、制度施行後の取組みでございます。本県においても、4月1日の制度のスタ ート時や、15日の年金支給日前後には、市町窓口や広域連合に多数の来庁者や電話相談が 寄せられまして、混乱も生じたところでございますが、市町や広域連合におきましては、 土日や祝日に職員が出勤するなど、きめ細かな体制を整えまして、丁重な対応に心がけて きたところでございます。  8月に臨時議会の開催を予定しておりまして、国の特別対策に伴います主案件の議決を いただきますとともに、議会において長寿医療制度の定着・安定運営を求める意見書が採 択され、関係機関に提出されたところでございます。  なお、制度の運営に係る諸課題につきましては、準備段階から適時国に対しても要望を 行ってまいったところでございます。  5ページ、当広域連合における平成20年度の施策体系の一覧でございまして、長寿医療 制度の安心・安定した運営を目標に事業を展開しているところでございます。詳細につい ては、説明を省略させていただきます。  6ページ、当広域連合においては、制度の施行準備の段階から、今日まで取り組んでま いりました広報活動の一覧でございます。制度の安定運営には、広報・周知が大変重要で ありますことから、広域連合と構成市町はもとより、県や各種関係団体とも連携・協力し、 きめ細やかで効果的な広報活動を行ってまいりました。その主なものといたしましては、 制度開始直前の20年2月には、県内50万世帯すべてに対し、自治会を通じて制度の説明 やパンフレットを配付いたしますとともに、路線バスの中吊り広告、医療機関や介護施設 のポスターの掲示などを行いました。また、当広域連合で作成いたしましたDVDを活用 した映像による広報、また、目の不自由な方々には点字や録音テープによる広報など、き め細やかな対応をしてきたところでございます。  一方、市町におきましては、地域に入り込んで、自治会単位での説明会の開催やケーブ ルテレビや有線放送の活用など、地域の特性と創意工夫をこらした取組みを、また、県に おいても広報誌や新聞紙面への周知広報の掲載などに取り組んでいただいたところでござ います。  7ページ、当広域連合では、病気になっても保険があるから大丈夫ということではなく、 高齢者の皆さんが元気で活動的に過ごしていただきたいという思いで、健康寿命の延伸を 図ることが、高齢者の皆さんにとっても、また、医療制度の保険財政を預かる広域連合と いたしましても、大変重要であると考えております。  特に75歳に到達してからではなくて、前期高齢期からの生涯を通じた健康管理と健康づ くり、また介護保険との連携による高齢者の居場所づくりや生きがい活動による介護予防 を、積極的に展開してまいりたいと考えておりまして、高齢者健康づくり基盤整備モデル 事業に取り組んでいるところでございます。この事業は、京都大学医学部の協力を得まし て、有識者やモデル市町の保健師に加え、県から医療保険、介護保険、健康推進の各担当 も参画いただいたモデル推進委員会を設置いたしまして、モデル市町における医療費や介 護給付費の分析などを行いまして、今後、保険、医療、介護の連携による健康づくり事業 をモデル的に実施してまいりたいと考えております。  このような事業の効果は、直ちに表われるものではございませんが、長い目で見て、保 険財政を預かる保険者として、医療費の適正化につながり、何よりも高齢者の皆さんにと りまして、これが一番と考えてございます。  8ページ、広域連合を運営する上での課題についてまとめさせていただきました。長寿 医療制度の運営と財政責任を負います広域連合といたしましては、高齢化の進展に伴い、 今後の高齢者医療費の高い伸びが見込まれる中で、医療保険財政を安定的に運営すること が最大の課題であります。しかし、ここでは、組織、体制に限って、人、財源、都道府県 の関与の3つを挙げさせていただいております。  まず、人についてでございますが、先ほども申し上げましたように、現在、広域連合の 職員は市町、県、国保連合会からの派遣職員で構成されておりまして、2、3年の期間で 交代を余儀なくされ、専門的な知識やノウハウの継承が難しい状況にございます。今後、 安定的な運営にはプロパー職員の確保が大変重要であると考えております。  財源でございますが、広域連合の運営は、市町村さんからの分賦金で賄われておりまし て、どうしても財政運営が硬直化するところもございます。今後、保険事業等も含めて、 臨機の対応をしていくためにも、自主財源の確保ができる仕組みが必要ではないかと考え ております。  都道府県の関与でございます。市町村に係る調整・支援機能、医療費の適正化計画や老 人福祉計画を始め、高齢者に関わって都道府県が策定する計画との整合性、更には県職員、 市職員のそれぞれが持っている能力をお互いに生かしていくという点からも、県が広域連 合の運営に積極的に参画していただくことも必要ではないかと考えているところでござい ます。  最後に9ページ、本県の現在の長寿医療制度の状況でございますが、ほぼ落ち着いた状 況にあると考えております。しかしながら、長寿医療制度は、国民の理解が十分に得られ ない中でのスタートでございまして、施行直後から度重なる見直しを行うなど、目まぐる しい変化の中での運営でございまして、広域連合と市町が緊密な連携を図りながら、被保 険者や御家族の皆様の理解を得ながら、制度の安定と定着に懸命に努力を傾けているとこ ろでもございます。  こうした中、制度変更の都度、市町や広域連合で住民対応に追われております。国にお いては、当面の対策はなされたものと考えており、1日も早い制度の安定・定着の上から も、これ以上制度を動かさないでほしいというのが率直な思いでございます。  また、制度の対象となります75歳の高齢者の方々でございます。この方たちに、制度の 説明をすることは大変困難を伴うということもございます。度重なる制度の変更が、高齢 者の皆さんに、制度の不信感や不安を与えておりまして、このことが1つには制度の安定・ 定着をしない一因でもあると考えております。しかしながら、新たな制度については、歩 きながら考えることも必要な部分がございますが、長寿医療制度の根幹については、維持 すべきではないかと考えております。  更に今後、制度の見直しに際しましては、広域連合や市町村も参画させていただきまし て、現場の声も聞いていただけたらと考えております。  最後になりますが、国において10年来の議論、検討の末にスタートされた長寿医療制度 でございまして、この制度を設計されました国におかれましては、国民の皆さんへの説明 をしっかりと果たしていただきまして、制度の安定と定着に向け、一層の取組みを図って いただくことをお願い申し上げまして、滋賀県後期高齢者医療広域連合からの説明とさせ ていただきます。  どうもありがとうございました。 ○塩川座長 どうもありがとうございました。合田さん、井上さん、御説明を要領よくや っていただいて、ありがとうございました。  それでは、この後約20分ほどかけまして、お二人に対する質疑応答をお願いしたいと思 っております。  宮武先生、どうぞ。 ○宮武委員 御足労願いまして、大変ありがとうございました。大雪地区の広域連合につ いて、3点ほどお聞きしたいんですが、1点目は、3つの町が広域連合をおつくりになっ た。分賦金方式ではなくて、保険料を統一なさったわけですので、保険料が安くなれば喜 びますけれども、高くなった場合は嫌がられるので、その御苦労があったかと思いますが、 教えていただきたいと思います。  2番目は、二次医療圏に向けて広域連合を拡大していきたいというお話を聞きましたが、 三次医療圏、北海道はたしか6ブロックに分かれたかと思いますけれども、三次医療圏ま で広域連合を広げていくことは視野に入っているのか。あるいは三次医療圏まで広げた場 合には、非常に難しいのかどうか。その辺、個人的な御意見でも結構ですが教えてくださ い。  3点目は、広域連合のメリットを書いてございますけれども、もう一つ、恐らく広域連 合化することによって、医療や介護のサービスの供給体制というのが、効率的に配置でき るのではないかと思うんですが、まだ、広域連合をお始めになって、そう間がないわけで すから、そこまでいっていないのかもしれませんけれども、医療サービス、介護サービス、 それぞれが適正に地域に配置ができるようなメリットはないのかどうか。その3点を教え ていただければと思います。 ○塩川座長 それでは、合田さん、3点について御説明をお願いします。 ○大雪地区広域連合事務管理者 まず1点目の保険料の高い・安いという点でございます が、この3町をそれぞれ、高齢化率も若干変わるんです。特に東神楽町というのは、旭川 市の隣の中核市でございまして、36万都市なんですけれども、そこのベットタウンで、北 海道で今、一番人口が増えているところなんです。ということで、東神楽町は高齢化率が 一番低い、美瑛町が高齢化率が一番高い、東川町は2番目ということで、そんなこともあ って、保険料も若干下がります。  でも、それは首長の決断で、合意でやらないと、そういう細かい点で議論していると、 広域連合のようなものはなかなか難しいのかなということで、最初に申し上げましたよう に、消防ですとか、清掃ですとか、葬祭で長い歴史があるものですから、首長のトップの 判断で連合をやったということでございます。  住民からは、そんなに大きな批判もないという状況にあります。  2番目の三次医療圏の拡大ということなんですが、これもなかなか難しいんです。今、 3町では長い歴史の中で、何とか広域連合しましたけれども、今、考えているのは、旭川 市を中心とした周りの8町、そこはいろいろ人口の多い・少ないもありますし、高齢化率 もかなり違いますので、この8町をまとめるだけでも大変な苦労なんです。今、進めてい ますけれども、三次医療圏まで拡大するのは、そういう点ではかなり難しい点があると思 います。  医療ですとか介護のサービスですが、今、特に介護保険事業計画を立てて、21年度から スタートするわけですけれども、特に介護保険施設、どうしても首長となると介護保険施 設を自分の町にも設置したい。当然、働く場にもなりますので、首長としてはそういう誘 致をしたいんですけれども、当然その3町の介護保険料などにもはね返りますので、そう いう点ではなかなかサービスを一定にするということは難しいのかなということはありま すけれども、たまたま3町とも接近していますので、車で大体10分か20分以内で行けま すので、どこにあっても3町の施設、医療施設、介護施設ということで、現在のところは 運営しております。  以上であります。 ○宮武委員 ありがとうございました。 ○塩川座長 宮武先生、よろしいですか。 ○宮武委員 はい。 ○塩川座長 ほかに、川渕先生、どうぞ。 ○川渕委員 私、いろんな人の話が聞けるのが楽しみなんですけれども、今週末、北海道 に行ってきまして、北海道って広いなと思いまして、北海道の方にまず一点お聞きしたい のは、介護保険と長寿医療制度と国保とを統合できるような感じがしてきたんですけれど も、私自身、今日の事務局の資料の9ページに生活習慣病対策の話があって、いわゆる特 定健診・保健指導ですね。予防は非常に大事だと思うんですけれども、静かにスタートし ておるんですが、私も研究しているんですが、先ほどの合田さんの資料の中にも、健康づ くりという話が出たんですけれども、どうでしょうか、保険者の機能として、今回のいわ ゆるメタボ対策をやって、後期高齢者の支援金加算・減算というのがあるんですけれども、 まだ当局の方からも、ここにも健診の実施率とか、健康指導の実施率とか、あるいはメタ ボリックシンドロームの該当者・予備群の減少率ということで出ているんですけれども、 まだ明示されているところはないと思うんです。そういう中にあって、先ほどの健康づく りということで頑張っておられますけれども、こういう加算・減算というものを意識して やっておられるのかどうか。  そしてもう一つは、御苦労ですね。私もレセプトの分析をやると、おかしくなるぐらい 病名が大変なんですけれども、ITを使ってのシステマティックなことができるのかどう かというところがお聞きしたいところです。  もう一つは、実は滋賀県も先日行ってきまして、滋賀県の地図を見て、やはりそうだっ たのかと思ったのは、先ほどの1ページ目の地図にもあるんですけれども、栗東市という 例の新幹線が止まらない駅と、先日余呉町に行ってきまして、こういうところもあるのか と思って、高齢化率が33.9%ということで、いわゆる京阪神の通勤圏と、ある意味では限 界集落に近いようなことが起こっていると思うんですけれども、そういう中にあって単刀 直入に聞きたいのは、大臣の案、長寿医療制度と国保とドッキングができるのかどうか。  ここが今日のヒアリングのメインテーマでありますし、多分福祉、生涯の非常に充実して いる滋賀県を選ばれたのもそうだと思うんですけれども、忌憚のないところで現実可能性 はいかがか。都合、2点というか3点というか、それを聞きたいと思います。お願いしま す。 ○塩川座長 それでは、まず合田さん、その後に井上さん、お願いいたします。 ○大雪地区広域連合事務管理者 最初の御質問は、特定健診の受診率のペナルティーのこ とですか。 ○川渕委員 そうです。一部の保険者にはペナルティーを払ってもやらない方が安上がり なんだという不届き者がいます。そんなことが世の中にあるのかと思っていたんですけれ ども、保険者機能といいながら結構あるんですね。しかし、今日のお話を聞いていると、 熱い思いが伝わってきましたので、この北海道の3町に関してはうまくいっているのか。 あるいは統合すると、ITを使ってできるのかどうか。 ○大雪地区広域連合事務管理者 今、3町の特に保健師が中心になって受診率を高めよう ということで、連携を取っていろいろ頑張っております。  先生が言われたように、加算率を意識して云々というのは、特別にないと思いますけれ ども、目標、5年後は65%ですね。今のところ、到底その受診率には追い付かないという 状況で、今は恐らく30%弱ぐらいだと思います。  これからも65%に向かって、頑張っていかなければならないと思いますけれども、受診 率云々、ペナルティー云々ではなくて、やはり予防が将来の医療費削減の最大の課題です から、3町がスクラムを組んで予防を強化して、将来の医療費削減に努めたいということ で頑張っております。  以上です。 ○塩川座長 井上さん、どうぞ。 ○井上副広域連合長 国保の広域化のお話でございますけれども、仮に国保を広域化しま すと、約50万人の保険者を扱うということになります。140万人のうち50万人ですから、 ほぼ3分の1です。そうなったときに、本当に保険者機能として十分な機能が果たせるか どうかということがございます。  ただ、先生のおっしゃるように、市町村側では、広域化ということは以前から要望を県 に出しておりました。その要望は、大変厳しいということもございます。  ただ、この問題については、いろいろと都道府県側の思いもあるわけでございまして、 我々としては、今、後期高齢者がスタートした段階で、私のところは13万5,000人なんで すが、この対応を何とかうまくやりたいという思いがございまして、ただ、50万人を被保 険者としてやったときに、どういう課題が出るかということが十分整理ができてない中で、 誠に申し訳ございませんが、やれるかやれないか、現段階ではちょっと御勘弁をいただき たい。  ただ、この後期高齢者もそうなんですが、実施主体の問題は、やはり都道府県という話 になれば、県側の十分な理解も大変必要かと思っておりまして、そこらも含めて今後の議 論を待ちたいと思います。答えになりませんが、以上です。 ○塩川座長 川渕先生、よろしいですか。 ○川渕委員 わかったようなわからないような話なんですね。北海道は前回参加頂いた高 知県・福岡県と同様、老人医療費が高い県でもありまして、非常に私も興味のあるところ ですので忌憚のない御意見をいただきたいと思います。 ○塩川座長 樋口先生、どうぞ。 ○樋口委員 大変初歩的な質問で申し訳ないんですけれども、私などはこの後期高齢者医 療制度は、やるとしたら都道府県が保険者になってくれたらいいんじゃないかと漠然と思 っておりましたけれども、お二方ともに伺いたいことは、今のような広域連合の方が絶対 にメリットがあるという点が、もしございましたら承らせていただきたいと思います。  滋賀県の井上様に伺いたいんですけれども、今日出されましたペーパーを拝見いたしま すと、今日はこれがおっしゃりたかったんだろうと思いますけれども、長寿医療制度の根 幹は揺るがさないでほしい。制度を見直すときは、現場の声を十分に聞いてほしい。制度 を設計した国が責任を果たしてほしい。ということでございまして、制度の定着のために、 こちらの広域連合が非常にきめ細やかな、具体的な活動をなさっているということは、大 変敬意を払うべきだと私も伺っておりました。  しかし、とにかく制度を見直さないでほしいということの理由に、なんていったって見 直すたびに市町村の財源の持ち出しが増えるとともに、膨大な業務に追われているとか、 あるいは長寿医療制度の被保険者は75歳以上の高齢者であることを配慮してほしい。その 辺りが、どういう配慮なのか余りよくわからないのです。もしかして後期高齢者医療制度 の被保険者である75歳以上は、もう先も短いし、かつ余り理解ができないだろうからいた ずらに不安感をあおるようなことをしてはならないという、そういう意味でおっしゃって いるとしたら、国民としての75歳以上を、少々軽くごらんになったのではないかという辺 りをお答えいただければ幸いでございます。 ○塩川座長 それでは、最初に合田さん、その後に井上さん、お願いします。 ○大雪地区広域連合事務管理者 後期高齢者の都道府県の連合のメリットなんですけれど も、正直言って私はわかりません。ただ、こういう末端の市町村にいる我々も、制度改正 になれば本当にここに滋賀県の広域連合が書かれているように、膨大な業務量があるんで す。簡単なものではない。ただ、それを都道府県単位の広域連合で、またそれを改正する となったら大変な御苦労があると思います。  そんな点で、今、滋賀県の方が言われていますけれども、ころころと、本当に目先で制 度を改正されるのは、本当にたまったものではないというのが実感でございます。  メリットの方は、よくわかりません。 ○井上副広域連合長 まず1点目の都道府県単位でやってはどうかという御意見でござい ます。この制度のスタート時に、都道府県も運営主体になるという議論もあったと我々も 聞いておりますが、1つメリットとしては、先ほども御説明申し上げましたけれども、例 えば都道府県の全体的な調整機能は大変高いものだと思っています。そういう面で、本県 も県が支援したということもございます。  そういう意味で、都道府県が広域連合に主体としてお入りいただくということは、1つ の方法かもしれません。  ただ、お入りいただく中には、都道府県が一番心配しております、今後の財政的な見込 みとか、そこらを十分都道府県も納得する中で御参加いただくことが必要ではないか。そ ういう意味で申し上げたわけです。  もう一点、決して75歳以上の方を除け者にしているわけではございません。先ほどから 申し上げていますように、制度の安定・定着は何よりも大事だと思っております。1日も 早くの制度が安定・定着していただきたいというのが思いでございまして、75歳以上の方 に書いたもので説明しても、なかなか理解が難しいという意味を込めて申し上げただけで、 決してそういう意味で申し上げたわけではありませんので、御理解をいただければと思い ます。 ○塩川座長 ほかにございませんか。どうぞ。 ○岩本委員 滋賀県さんの方からの御説明の中で、プロパー職員の確保の必要性をお話し されたんですけれども、これまで市町でやられていた業務が、広域連合と市町の方に分か れた形になってきまして、今後、職員のキャリアを考えた場合に、ここで書かれているこ とからいきますと、広域連合の方で専門性の高い職員が養成される形になった場合に、そ の方が市町でやられている業務に精通する必要があるのかないのか。あるいはある期間、 市町の方に出かけて行って、その仕事をやるのがいいのかどうか。逆に言うと、市町でや られている職員の方が、広域連合でやられている業務に関して、どこかで経験した方がい いのか。望ましい形での職員のキャリアの形成というのは、どのようにお考えになってい るのかをお聞かせいただきたいと思います。 ○井上副広域連合長 職員については、すべてをプロパー化ということではなくて、今、 先生がおっしゃいましたように、いわゆる現場の状況を知っている職員も必要かと考えて います。そういう意味では、派遣職員とプロパー職員が構成する組織が一番望ましいと考 えております。  具体的に、プロパー職員を養成するとなれば、今おっしゃいましたように、現場の状況 をまず勉強させる必要もございます。現場との交流が大変重要な課題になってくると思っ ています。 ○塩川座長 よろしいですか。山崎先生、どうぞ。 ○山崎委員 大雪地区の方にお尋ねします。1点だけでございます。国保を広域連合でや っているところが、ほかにあるのかどうか。事務組合でも非常に難しくて、ほとんどない という理解だったんですが、いかがでしょうか。それだけです。 ○塩川座長 どなたが答えられますか。 ○山崎委員 事務局でも結構です。 ○塩川座長 事務局、どうぞ。 ○大雪地区広域連合事務局長 広域で実施しているところはあると思いますけれども、大 雪地区のように保険料を統一しているというのは、恐らくないと思います。 ○吉岡課長 国保の事務を行っている広域連合は、全国では4つの広域連合がございます。 保険の徴収については、今、御説明のあったとおりでございます。 ○塩川座長 よろしいですか。大熊先生、どうぞ。 ○大熊委員 ころころ変わる件ですけれども、例えば天引きでなくなると、どんなふうに 大変かというのを、両方に伺いたいと思います。  それから、滋賀県の7ページ目の「高齢者の健康づくりによる適正な医療受診への取り 組み」に、大変感銘を受けました。美しく描けていますけれども、実際にこれはうまく動 いているんでしょうか。今、何合目ぐらいまで来ているのでしょうか。 ○塩川座長 井上さん、どうぞ。 ○井上副広域連合長 天引きについてですが、今回、選択性を導入されて、今、それぞれ 広報に努めているところでございまして、今後、普通徴収を御希望される場合には、その 都度納付書で収めていただくなり口座振替になるんですが、どうしても収納率が落ちるん ではないかという心配もしておりますし、それに係る事務も増えるんではないかと心配し ております。  もう一つ、健康づくりでございますが、これは昨年の9月から始めまして、これを何で 始めたかというと、先ほども申し上げましたけれども、1つは医療保険財政に責任を持つ 広域連合として将来的に見たときに、また、私のところの医療計画でも、将来的には医療 費の半分以上を高齢者の医療費が占めるという状況の中で、我々としては保険者として医 療費だけを支払うだけではなくて、高齢者の方を生活面からも何かの形で支えることがで きないかという思いでやったわけでございまして、現在やっております内容は、ここにご ざいますように、モデル市町村における医療費と介護給付費の調査分析を現在やっており まして、これが出来上がり次第、次の段階に移ってまいりたい。具体的な事業に入ってま いりたいと考えております。 ○大熊委員 他のところで、どこまでやっているか聞かれたことがありますか。 ○井上副広域連合長 広域連合でということでございますか。 ○大熊委員 はい。 ○井上副広域連合長 その情報については、特に持っておりません。 ○塩川座長 よろしいですか。合田さん、お願いします。 ○大雪地区広域連合事務管理者 年金の特徴の関係ですが、やはり一番心配なのは徴収率 ですね。今、介護保険が特徴になっていますけれども、大雪地区では99%の徴収率になっ ています。国保については、若干落ちまして95%になっておりますので、やはり徴収率が 一番心配かなという懸念はしております。  以上です。 ○塩川座長 よろしいですか。ほかの先生方もよろしいですか。  それでは、時間の都合もございますので、次の議題に移りたいと思います。合田さん、 井上さん、並びにそのお付きの皆さん方、大変御苦労いただきまして、ありがとうござい ました。厚く御礼申し上げます。お引取りください。 (大雪地区広域連合関係者・滋賀県後期高齢者医療広域連合関係者退室) ○塩川座長 本日の議題の医療サービスと財源の在り方について、参考資料もお配りして おりますが、御意見がある方は順次お願いいたします。なお、本日は議題が多岐にわたっ ております。時間の制約もありますので、財源の在り方について、全体的な議論に関わる 問題として、次回以降においても引き続き議論をいただきたいと思っております。したが って、本日は要領よく御質問していただくようにお願い申し上げます。  それでは、各委員の方から随時御質問がございましたらお手を挙げていただけたらと思 います。  川渕先生、どうぞ。 ○川渕委員 今日は医療サービスと世代間の納得と共感の得られる財源の在り方というこ となので、それぞれ私なりに、資料を持って参りました。まず、世代間の納得と共感の得 られる財源の在り方についてです。今回の長寿医療制度改革の中で、健康保険組合の前期 高齢者の負担が随分増えたということが一つの問題のようです。これは、第1回目のとき にも申し上げました。ある方の論文を読んでみると、2005年度に1,569組合あって、その うちの31.2%、489組合が、いわゆる協会健保の保険料率(8.2ポイント)を超えている そうです。昨年、西濃運輸さんとか京樽健保が解散して、協会健保に移行した事例があり ました。私はそういうことが今後も続くのかどうかわかりませんけれども、仮にこの489 組合が解散して、協会健保に移行した場合、一体全体国保の負担は、どれぐらい増えるの か。多分、今日お答えいただけるとは思えませんので、是非次回にお教えいただきたいと 思います。  併せて、協会健保に関しては、都道府県単位になりましたので、ある意味では舛添大臣 の案、都道府県ごとに国保と長寿医療制度をつくるやり方もあると思います。その場合、 現在は8.2ポイントの保険料率が、昨年の10月1日から1年かけて、たがえていいことに なっております。これもシミュレーションだと思うんですが、一体全体2015年とか2025 年には、この保険料率差は一体幾らになってくるのか。都道府県ごとに難しければ、現行 の8.2ポイントが今後どうなるのかをお聞きしたいと思います。  宿題ばかりで恐縮ですが、よろしくお願いします。  もう一つは、医療サービスについてということで、座長、よろしいですか。あるいは切 った方がよろしいでしょうか。 ○塩川座長 どうぞ。 ○川渕委員 医療サービスについては、実は今日、私が書いた駄文とシミュレーションが あります。それを説明がてら御質問させていただきます。1つは、そもそも論ということ で、厚生労働省の方は間違いないと思うんですけれども、データの信憑性についてです。 これは、実は今日の事務局の資料の中を見ますと、3ページから、国民医療費とか医療給 付費とか老人医療費の話があります。その次のページは、調査課がやっておられるんでし ょうか、生涯医療費は2,300万円使いますよという話です。特に75歳を超えるとすこぶる 使っています。そしていつもその次に出てくるのが、5ページ目のお年寄りは若人に比べ て医療費が高いという話です。おそらく単純に医療費を人口で割っているということはな いと思うんですけれども、私が実際に厚生労働省保険局医療課が集めておられるDPCの データで分析してみますと、結果に齟齬があります。75歳以上と75歳未満を比べますと、 これは疾患によっても違うんですけれども、確かにがんなどは75歳以上の方がかかってい るんですが、心疾患とか脳血管疾患は、むしろ逆転しているんです。ただ、DPCは入院 の医療費だけで、外来とか調剤薬局とかは入ってないので、恐らくトータルでマクロで見 るとそんなことはないのかなと思いつつ、私自身、いわゆる終末期医療の問題も含めて、 亡くなった方の医療費の分析をやってみても同様の結果でした。75歳以上がいろいろ言わ れるんですけれども、むしろ75歳未満の方が多くかかっているんです。  これは、2007年の『週刊社会保障』の特集に書きました。データの信憑性も含めて、本 当に75歳以上は医療費が若人よりもかかっているのかどうか。  それから、終末期医療の話も多分今日出てくると思いますが、厚労省は2つ目として、 終末期医療がかかるんだということで、死亡前の1か月のデータをベースに終末期医療は 9,000億円と推計されています。しかし、実際に亡くなった方の医療費を入院のDPCデ ータで分析すると、そんなにかかってないのです。  実は、私のデータベース86病院の中で一番医療費がかかっている病院について、最期1 週間にかかった医療費とその処置内容を事後的に「見える化」すると『週刊社会保障』の 53ページの図のようになります。この病院で最も医療費を使っている病気は肺ガンで、1 回目の樋口先生のお話に出てきたようなスパゲティー現象のようなことが、あるのかと思 ったら、あにはからんやポスピスに入って、モルヒネとかボルタレンとかロキソニンとい う鎮痛剤が入っていました。亡くなった方はどんな方かわかりませんけれども、こういっ た治療だとすれば、私は問題がないのではないかと思います。  終末期医療のデータに関しても、厚労省はデータを持っておられるので、次回で結構な ので、是非もう少し見える化をやっていただきたいと思います。  3点目は、この関連で療養病床についてです。療養病床については、もう介護療養は廃 止するということで、国会でも通った法案なので今から言っても仕方ないのですが、ポイ ントは介護療養が療養型老健に転換するかどうかです。この4月から介護報酬が変わりま して、いわゆる介護療養から老健に転換すると、1人当たり3万円ぐらい増えましたので、 シミュレーションをしますと、これまでよりも収入も増え、増益になります。これは、言 わずもがなですけれども、老健に変わりますと職員の数が少なくていいんです。というこ とで、実は私のシミュレーションは全部厚労省の公表データ、中医協とか医療経済実態調 査をベースにやっておりますので、多分計算間違いしてないと思うんですけれども、その 前提条件は1ページ目にあります。それを踏まえて計算すると、老健に移ると、これまで は利益が減ったんですけれども、今回は利益が増えます。ただ、このシミュレーションで は今いるスタッフの数を減らさないといけないんです。つまり人員整理をすると増益にな るということです。説明すると時間がかかるのでやめますが、4、5ページに、医療療養 病床をベースラインとした差額分析の結果を紹介しました。一番下の利益率を見ていただ くと類推できると思うんですが、人員整理をもしできるんだったら、利益率はプラスを確 保できるんですが、これができない場合、つまりスタッフの数を減らせない場合は依然と して赤字です。これは2つの理由があって、一つは短期的に経営者は人の首を切れない。 特にこの御時世ですからね。もう一つは、手間隙かかる人が結構入っている(要介護度 4.25)ので、本当にスタッフの数を減らすと、いわゆる介護難民が出現するのではないか と思います。  ですから、不安を払拭するための解決策が要るんではないかと思います。自分の解決策 は、今ある介護療養を、老健に転換する必要はないということです。つまり、今あるもの はつぶさないということです。現実問題として老健になかなかシフトしないのではないか と思います。この辺は、当局の考えも聞いてみたいと思います。私自身はこういうシミュ レーションをやりましたけれども、お考えはいかがですか。  都合4点であります。 ○塩川座長 審議官ですか。 ○舛添厚生労働大臣 今日、全部答えなくても、時間の都合がありますからね。 ○塩川座長 どうぞ。 ○村山課長 資料2の5ページについてだけコメントさせていただきたいと思います。先 ほど先生御指摘の老人の1人当たり医療費という計算のやり方でございますけれども、老 人の1人当たり医療費というのは、老人の医療費の総額を、実際に受診された方、されな い方も含めた総老人数で割って幾らという計算になっております。  ですから、考え方としましては、老人の1人当たり医療費をあえて分けるとすれば、総 老人数のうち、実際にお医者さんにかかった人数の割合掛ける、実際にお医者さんにかか った1人当たりの医療費ということになるわけです。  そして、先生がお書きになっている文章の中で、外来について1日当たり医療費、ある いは1件当たり日数について、若干高いぐらいといわれているのは、まさしくかかった方 については、勿論老人はちょっと多いわけですが、5倍ということにはなっていない。で は、なぜ5倍かというのが、先ほど申しましたような、老人数のうち実際に受診される方 の割合が高い。外来の場合ですと、通院回数が多い、あるいは入院の場合ですと入院の期 間が長くなるということが、この5倍の中の算定根拠になっているということでございま す。 ○川渕委員 これは驚きですね。諸外国と比べて、日本はお年寄りにすごく医療費がかか っているという議論は、定義が同じなのでしょうか。例えばドイツは2.2倍といって、日 本はお年寄りがすごく高いように言われますが、それは分母と分子の定義が合っていない のではないか。 ○権丈委員 今のところに触れておきますと、分母の若人が外国と比べて低いんですね。 だから、日本の高齢者の医療費が比率として高いというときには、分母を増やせばいいで はないかと私はずっと言っているわけで、別に高齢者の医療費がぼんと高いわけではなく て、救急医療であるとか、産科系の医療であるとか、いろんな若い人たちが利用できるよ うな医療を充実させていけば、世間が問題視している比率は小さくなっていくわけで、ど うしてそういうことがずっと言われないまま、今まで高齢者の医療費は高いとしか言われ なかったんですかということは、いろんなところで言っておりますし、ここでも言ったと 思います。 ○川渕委員 これは驚きですね。諸外国と比べて、日本はお年寄りにすごく医療費がかか っているという議論は、定義が同じなのでしょうか。例えばドイツは2.2倍といって、日 本はお年寄りがすごく高いように言われますが、それは分母と分子の定義が合っていない のではないか。 ○権丈委員 今のところに触れておきますと、分母の若人が外国と比べて低いんですね。 だから、日本の高齢者の医療費が比率として高いというときには、分母を増やせばいいで はないかと私はずっと言っているわけです。別に高齢者の医療費がぼんと高いわけではな くて、救急医療であるとか、産科系の医療であるとか、いろんな若い人たちが利用できる ような医療を充実させていけば、世間が問題視している比率は小さくなっていく。どうし てそういうことがずっと言われないまま、今まで高齢者の医療費は高いとしか言われなか った。そういうことは、いろんなところで言っておりますし、ここでも言ったから、配付 資料にある「これまでの議論の概要」の1頁にも、「医療費を増やすべきであるこの国の現 状と高齢者の医療費抑制の目標は矛盾する。現在の医療費の老若の比率の大きさを問題視 するというのであれば、急性期の医療を充実させたりすることにより他国に比して少ない 若人の一人当たり医療費を増やして高齢者医療費との差を小さくすべきではないか。(権丈 委員)」とあります。 ○塩川座長 どうですか。何かお答えはありますか。 ○村山課長 ドイツの話を先生がおっしゃいましたけれども、今は手元にないのでござい ますけれども、考え方としては、普通考えられる1人当たり医療費というのは、やはり細 かい統計はなかなか取りずらいので、大体かかった医療費を受けない方も含めた形で、ま ず最初にそういう取り方をしているだろうと思いますので、また、ドイツについても引き 続き確認させていただきたいと思います。 ○塩川座長 樋口先生、どうぞ。 ○樋口委員 私は後期高齢者が、もし医療費を使い過ぎているのだとしたら、それは他の 年代の人とのバランスも考えなければいけませんし、後期高齢者に医療費をどんどんかけ ろと言っているわけでは全くございません。ただ、客観的なデータを是非出していただき たいと思っております。  例えば先ほどからお話の出ている若人対老人の約5倍ということを、他の国々と比べる とどうなんだというのは、さっきもうお話に出ていましたか、ドイツは2倍ぐらいですか。  また、例えばターミナルのときに、諸外国は一体どのぐらいの費用を特に老人と呼ばれ る65歳以上の人にかけているのか、それが日本と比べて多いのか少ないのか、少し客観的 なデータで考えてみたいと思っております。  その上で、例えばターミナルについてですけれども、これは、恐らく今、高齢者間で物 すごく大きく変動しています。後期高齢者医療制度で変なことをおっしゃるものですから、 少しストップしたかと思いましたけれども、やはり我々世代から上の人たちの中でも、無 理な医療はしないで安らかにあの世へ行きたいという思いは、むしろ国民的に非常に広く 受け入れられてきているような気がいたします。つい最近も友人が1人死にました。ほと んど積極的安楽死に近かったようでございますけれども、弁護士を呼んで、これは違法に はならないという状況の中で安らかに逝きました。  このデータの中に、救急がございました。これもよく調べていただけないでしょうか。 昨年でございますけれども、富山県に行きましたら県のデータが出ておりまして、この1 年間に救急搬送で、増えたもののうち90%でしたか、大変な比率で高齢者が占めていたそ うで、反射的に背中がぞくぞくして恥ずかしくなりました。  何しろ昨年1年の富山県の救急搬送で、増えた分の大半が高齢者であるということ。そ のことが若い助かるべき人の救急のベッドをふさいでいるとしたら、私は高齢者の一人と しても申し訳ないことだと思います。しかし、その背景には理由があるはずです。  そういう状態が一体なぜ起こるのか。高齢者の側、あるいはその家族の側として、救急 車を使わざるを得ないような状況があるとしたら、それはどういうことか。是非こういう ことも冷静に議論していただきたいと思います。  それから私は、介護保険制度の中の、今の介護予防制度には、かなり批判的なんですけ れども、しかし、広い意味での予防というのは大事だと思いました。つい最近ドイツの介 護保険制度が、発足13年ぶりに改正になりました。私にとって一番ショックだったのは、 日本でいえばケアプランをつくる段階で体重加算というのを入れるんだそうです。これは 保険料を余計取るということではないんです。80キロ以上の人は介護にお世話がかかるか らということで、提供されるサービスを割るときに点数が高いわけです。私はメタボがど うのなどと言われてもいささかも動じなかったのですけれども、80キロ加算といわれたら、 日本だったら60キロかもしれませんから、あの論理的なドイツが保険対策としてこういう ことを言っているというのは、高齢者も少し考えに入れてもいいと思いました。  以上です。 ○塩川座長 問題が非常に多岐にわたっておりますが、どなたか。審議官かな。 ○榮畑審議官 今の樋口先生からの御指摘、国際比較が多いものでございますから、どれ ぐらい精密に取れるかどうかわかりませんけれども、やれるところはやらせていただきま す。  ただ、直感的に言いますと、終末期医療、ターミナルにかかった費用の国際比較がどれ ぐらい取れるか、そこは私どもも各種の資料を当たってみないと、なかなかどうかなとい う感じがいたしますが、やれるところまでやらせていただいて、次回また御準備させてい ただきたいと思います。  また、救急搬送の利用者に関しても、もうちょっとデータを当たってみたいと思ってお ります。 ○樋口委員 ありがとうございます。 ○塩川座長 権丈先生、どうぞ。 ○権丈委員 ターミナルのところは、たしか社人研の布川先生などが、かなり良質のデー タを使ってアメリカと比較して、そんなに日本は高くはないということをされていたと思 いますので、私はその辺りのところが頭の中にあり、そんなに極端に高いわけではないと いうところでいろんなものを判断しております。それと2007年に開催されていた「医療費 の将来見通しに関する検討会」では、死亡前1ヶ月間の医療費は、総医療費の3%程度だ という資料が提出されていました。ただこの問題は、終末期を死亡前どの程度の期間をと るかということで量的には変化してくるのですけど、長くとると、いわゆる「みなし末期」 の問題が出てくる。2002年頃、広井良典さんが死亡前1年を終末期とした論文を書かれ、 それに石井暎禧さんや滝上宋次郎さんが反論した論争がありました。あれは、石井さんや 滝上さんの圧勝の論争でした。   そして、今この場を借りて伺いたいと思うんですが、今日は世代間の納得と共感の得 られる財源についてというところでして、これは6ページからあります。「これまでの議論 の概要」というところで、世代間の納得と共感の得られる財源の在り方についてというの がありまして、ここで前回、岩本先生が、非常にいいことをおっしゃってくださいまして、 私がこういう試算をやってくださいとお願いしたことを一言で言えばどんなことかといい ますと、「高齢者の財政調整の現実的な解決策として、医療費の国保の総額と被用者保険の 総額は均等割りで分けておいて、被用者保険の総額の中身は応能負担でやるという考え方 がリーズナブルではないか」とまとめてくださっております。  これは、基本的に前期高齢者医療制度の65歳〜75歳までに全部適用していって、後期 のところには50%の公費が入っている。それ全額を総報酬で割ってしまったら、被用者保 険の方で高齢者用に大体3.3%の費用を使うことになるという話があったと思うんです。  そこで一つお伺いしたいのが、よく組合健保とかいろんなところで、前期にも公費を導 入してほしいということが言われておりますね。もし前期にも公費を導入するとなれば、 それは何のためにということを明確にしておきたいと思います。仮に、今の前期の財政調 整の方法の下で、ここに国庫負担を投入するとすれば、被用者保険の保険料率が下がるだ けだのように見えるんですけど。国保の方にはお金は流れないですね。そこを確認させて いただければと思います。後期のところだったらあれだけれども、前期のところは基本的 に国保は今もらう段階なので。 ○塩川座長 これは審議官ですね。 ○榮畑審議官 前期の財政調整の仕組みを、役所の資料2の33ページに書いておりますが、 矢印の下が今の姿でございますが、今の権丈先生のお話は、前期に公費を入れたときに、 市町村国保の方が負担が変わるのかというお話だろうと思いますが、それはまさに入れ方 によって変わってくるというか、例えば33ページの矢印の下の図で、これは前期の給付費 をこういうふうに割った形ですから、こういうふうに按分する前に公費を何割か入れれば、 按分する割合が小さくなりますから。 ○権丈委員 ただ、私が言っているのは32ページの今の方式に国庫負担を投入しても、こ れは政管健保と組合健保のところに回るということです。  よく前期のという言葉を使って国庫負担を増やそう、増やさないという話が出てくるん ですが、そのときの今の32ページの方式のまま国庫負担を投入すれば、これは組合健保と 政管健保の負担が軽くなるということでしょうか。 ○榮畑審議官 今のというのが、もう一つよくわかりませんけれども、そういうやり方も あるし、33ページの図で申しますと、公費を先に幾らか入れて、残りを按分するというや り方もあるだろうと。 ○権丈委員 今の方式で、前期高齢者の制度を適用したまま国庫負担を増やすという形に していくと、そうなりますね。だから、方式そのものを変えないといけなくなってくる。 要するに国庫負担を投入したときに、国保が楽になるように国庫負担を投入することにな ると、前期の仕組みそのものを少し変えなければいけなくなりますかということです。 ○山崎委員 33ページでいいますと、私の理解ですと、要するに前期高齢者にかかる給付 費5.2兆円を頭割りで割っているんですね。それを、例えば健保連が言うように一律に公 費を入れますと、例えば5.2兆円が4.5兆円とか4兆円になって、それが頭割りになりま すから、すべての保険料が軽くなるはずだと思います。  一方、権丈委員がおっしゃるようなやり方もあると思うんです。被用者保険の拠出分だ けを減らすように公費を入れるというやり方もあると思います。 ○権丈委員 前期高齢者加入率、やはり32ページが重要だと思うんですけれども。 ○山崎委員 32ページは、頭割りの説明をしているだけでございますから、外から公費を 入れると頭割りの総費用は減るはずでございます。 ○権丈委員 そのときに、現在は国保はもらっているんですね。もらう側ですね。 ○山崎委員 マクロ的な見方をしますと、老健と同じなんです。 ○権丈委員 老健と同じだと考えているんですけれどもね。 ○山崎委員 ですから、公費が一律に入れば、みんなの拠出金が減る、負担金が減るとい うことだと思います。 ○権丈委員 拠出金は減るけれども、もらっている部分があるわけで、結局国庫負担が減 ると国保がもらう分が減る話にはなりませんか。拠出金も減るけれども、もらう分も減る。 ○岩本委員 国保がもらう分は増えますね。国庫負担が新しくきますから、それによって それぞれが潤うわけでして、拠出する側は拠出する金額が減る、もらう側はもらう金額が 増える、その割合が、入れ方にもよりますけれども、一番簡単に考えると、加入者に応じ て金額が決まるという形になると思います。 ○権丈委員 結果的に国保はもらっているんですね。出してから、再びもらうというのを 足し合わせると、結果的に国保はもらっているんですね。そこに国庫負担が入るという話 なわけですね。それで全国平均の負担で済みますよという国保になるわけで、国保の収支 そのものは変わらないですね。今、トータルでネットでは国保はもらっているんでしょう。 ○塩川座長 これは、担当は神田課長ですか。 ○神田課長 どこまでご説明できるかは分かりませんが、33ページでごらんいただくと、 自然体の加入率ですと国保の医療費が4.3兆かかっています。それを前期の加入率で分担 すると、国保は2兆になりますと。したがって、差し引きの4.3兆から2兆を引いた2.3 兆分は国保に交付金として入っているということだと思います。  したがって、交付金が入ってきた分を除いて、市町村国保には原則半分の公費が入って いるというのが今の現状だと思います。これ以外に、前期の財政調整というのは、高齢者 支援金も入っていますのが、ただ、公費を先充てで入れる。極端な話、例えば半分公費を 先に入れてしまうとすれば、その部分、市町村国保が持つべき部分が減るので、市町村の 国保の財政にもプラスの影響があり得るのではないでしょうか。 ○権丈委員 では、次回、試算してほしいんですけれども、今、ネットでもらっていると ころが国保として存在するのであれば、そこに国庫負担がぼんと投入されたときに、そこ を今度試算していただければと思います。  だから、国保は基本的にもらっているんですね。結果的にはもらっている。そこに国庫 負担が投入されました。そのときに一体何が起こるかというと、私には被用者の負担が減 るというふうに見えるんですけれども、組合とかが言っている、国庫負担を投入しましょ うと、もっと多く入れましょうというのは、一体何のために入れるかということを考えて いくときに、別にいいんですよ、入れることに反対していないんだけれども、要するに前 期に国庫負担を入れるということが、実は何のためにと言ったら、被用者保険の負担を減 らすためにという議論になるのか、医療保険全部の負担を減らすためにという議論になる のか、その辺りのところを明確にしておきたいので、もしよろしければ試算していただけ ればと思います。 ○塩川座長 審議官、どうぞ。 ○榮畑審議官 私どもの理解がまだ足りてないものですから、また個別に御相談させてい ただければと思っておりますが、33ページの下の図で、例えばこれに2分の1の公費が入 れば、各制度の持ち合い分は2分の1になりますから、そうすると国保の持ち分も小さく なるというやり方もあると思います。 ○権丈委員 そういうやり方もありますけれども。 ○榮畑審議官 ですから、そういう点で言うと、国庫負担の入れ方によって違ってくると いうことではないかと思っていますが。 ○権丈委員 そこら辺を詰めることができればと思います。 ○榮畑審議官 そこはまた御相談させていただければと思います。 ○塩川座長 宮武先生、どうぞ。 ○宮武委員 追加で恐縮ですが、その資料の36ページに、市町村国保の調整交付金につい ての、現在の概念図が載っておりますけれども、今のところは給付費の定率で言えば国庫 負担34%、調整交付金が9%ということですが、かつては、私の記憶では1980年代の初 めのころまでは、この定率国庫負担だけで45%だったという気がいたしますけれども、調 べればいいことですが、これから議論する際に、市町村国保が今のままでもつのかという 危機感もあって、県単位の再編成ということを考える案があるわけでございますけれども、 市町村国保の定率国庫負担と調整交付金の推移を次回の会議で出していただければ、大変 ありがたいと思います。 ○塩川座長 川渕先生、どうぞ。 ○川渕委員 これも次回の宿題なんですけれども、今日は医療課長もお見えなので、事務 局の資料の12と13ページ、いわゆる高齢者にかかる診療報酬についてお尋ねします。若 人とお年寄りの医療のあるべき姿ですが、そんなに差があるのかどうか。分けた方がいい のかわからないところがあるんですが、歴史的には診療報酬は老人診療報酬と一般診療報 酬がありましたが2006年に一本化されました。ところが2008年度からまたこういう形で 分けた。その経緯はいろいろあったと思うんですけれども、問題は12ページの一番下の後 期高齢者診療料、これは6,000円ですね。その要件が13ページ目に書いてありますが、ユ ニークな点は総合的に診る医師が出てきた所です。私はこの点数の政策評価をやらなけれ ばいけないのかなと思います。というのは第一回目に申し上げましたけれども、やはりお 年寄りにとっては、保険料を取って6,000円ぽっきりかという話はあまりに寂しすぎるか らです。何でこんなことを言うかというと、昔は寝たきり老人在宅総合診療料があって、 これは処方せんの交付があるかないかによって若干違うんですけれども、それでも2万 2,000円〜2万5,000円は付いていたんです。  先ほどの私の駄文の中にもあるようにお年寄りは1回7,260円で、一ヵ月に2.2回通院 していますので、そうすると6,000円は余りにも安過ぎる。ですから、医療界の中でもや る気をそぐという御批判があったと思うんです。  中医協にも検証委員会がありますが後期高齢者診療料については、何をもってうまくい っているかどうかわかりません。また、これが普及しているのかどうか。それから先に述 べた特定健診・保健指導に係る後期高齢者の支援金の加・減算。そろそろ評価基準を明示 してあげないと、保険者機能はやっていけないのではないかと思います。5年後に結果を 見てというのではなくて、今の進捗状況を、わかる範囲で結構でございますので、是非お 教えいただきたいと思います。  質問は2点です。 ○塩川座長 私もこれは聞きたいと思っていました。どうぞ。 ○佐藤課長 医療課長でございます。今、川渕先生の方から半分答えを出していただきま したけれども、中医協の下に検証部会を置きまして、その中のテーマに入っておりまして、 アンケートが中心になりますけれども年度内には検証して、議論していただいて、次期改 定に結び付けていく形にしたいと思います。今日のところはそんな形です。 ○川渕委員 少なくとも3か月後に出てくるわけですね。 ○佐藤課長 そうです。ただし、具体的な点数の算定の状況、例えば回数がどのぐらいか とか、本当に細かいところは、社会保険診療行為別調査によらなければいけませんので、 年度内にすべてが出るというわけではないということでございます。 ○川渕委員 その結果が出てくるのは2年後ですね。 ○佐藤課長 社会保険診療個別調査は6月にやりまして、速報値が初秋、9月ぐらいに出 てまいりますので、ちょうど今年の秋ぐらいには大体算定の状況がわかってくると思いま す。 ○川渕委員 でもこの点数は08年4月からスタートですね。 ○佐藤課長 4月からです。 ○川渕委員 6月ということは、4月に導入して、2か月間の直近の分析ということです ね。 ○佐藤課長 直近のといいますか、届出制度になっておりますので、届出医療機関につい てはおおよそのことはわかります。しかしながら、実際どういうふうに算定されているか、 それから、算定してどういうふうに思ったかみたいなことについては、今も申しました検 証部会と社会保険診療行為別調査で、もう少し丁寧に見ていくことになると思います。 ○塩川座長 どうぞ。 ○岩本委員 世代間の納得と共感の得られる財源の在り方について、1つ意見を申し上げ たいんですけれども、在り方の議論と同時に、納得と共感の得るプロセスが非常に大事だ と思うんですけれども、そのことを事務局の資料の27ページの図を使ってお話させていた だきたいんですけれども、こちらの方で4案が提案されて、議論されて、関係者が全面的 に賛同できる案はなしというふうに色付きで書かれています。けれども、関係者ってだれ なんだろうと見た場合に、ここに日医、健保連、経団連、連合という名前が挙がっており ますけれども、本当の大事な関係者というのは国民ではないかと。ここに書かれているの では、高齢者、国保加入者、被用者、保険加入者ではないかと思います。  それぞれの利害関係者が集まって、例えば私ども医療保険部会とかに出ていますけれど も、制度を実施する段階で実施に関わる人とやりとりするということは、それなりに意味 があるとは思うんですけれども、制度設計をするところで、国民不在の議論になってしま ってはいけないんだろうと。それが結局後期高齢者医療制度の制度設計のところで、高齢 者の意見をどこで反映されたのかという批判を浴びたことにつながっていると思いますの で、これまでの政策決定のプロセスではだめなんだろうと思います。どういうふうにやれ ばいいかわからないんですけれども、きちんと国民の納得と共感の得られるプロセスをつ くっていただきたいと考えています。  そのためには、ここに出ている中で、余り利害の薄い関係者の方は黙っていただいた方 が、恐らくいいんでしょうと思います。  この中で、ここの合意を得ないと先に進まないというのは、やはり拠出する側の健保連 ということになると思うんですけれども、ただ、健保連というのはだれを代表しているん だろうかと考えると、私も健保連の方の御意見というのを医療保険部会などでお伺いしな がら思っていたんです。私は共済組合ですから健保組合の加入者ではありませんけれども、 現役世代ということで、ある程度利害は一致しているかもしれませんけれども、私が自分 のことだけ考えて制度設計した場合に、高齢者にお金を渡すのは嫌だということで、現役 世代だけで保険をつくりましょうという気持ちにはならない。その理由はなぜかというと、 そんなものを一生懸命つくっても、私はいずれ高齢者になるわけだし、今度は自分がつく った制度の被害者になるということですね。  世代間の1つの対立が、財政調整した場合に表に出てくるんですけれども、現役世代で 拠出をして、高齢者の医療費の財源調達するという形に、どうしてもならざるを得ないん です。けれども、それは若者と高齢者の利害対立ではなくて、若者はいずれ高齢者になる ということを考えると、そういう形で対立した場合には基本的に高齢者の勝ちなんです。  そのことが、例えば健保連が意見を出した場合に、本当に反映されているのか。健康保 険組合の加入者は、やがて健康保険組合を抜けて国保に移られる。今の制度ですと後期高 齢者医療制度に移られることになった場合に、そういうライフサイクルで見た場合の国民 が望む医療保険の姿というのが、こういう形の関係者の議論で果たしてうまく設計できる のかどうかということが、疑問に思っております。  そういったことからいくと、本当に国民がどういうふうに考えるのかということを、何 らかの形で吸い上げることが必要だろうと思います。ここは、利害関係者はいなくて、学 者が主に集まっていますけれども、学者だけで決めてもだめだと思います。ただの専門家 ですから。やはり実際に保険料を払っている国民が一番大事だと思っております。  国民が望むことを全部聞いていたら、財政のつじつまが合わなくなるということが起こ りますので、その場合は我々で何とか議論して収めることになるかと思いますけれども、 やはり議論の方式としてはプロセス、これから与党の方でも議論されると伺っております けれども、与党・政府の方で今までの形ではない形で議論していって、共感と納得を得ら れる形のものをつくっていただきたいというのが希望でございます。  以上です。 ○塩川座長 時間がきておりますので、簡単にお願いします。 ○権丈委員 私も岩本先生のおっしゃることと全く同じで、企業側から見る、健保組合側 から見るものと、我々生活者から見るというのは、ちょっと視点がずれてくるわけです。 我々生活者はいずれ65歳以上になるわけだから、65歳以上は1割負担になるような制度 ができて、それを将来も変えないというんだったら、それが1つの世代間公平といいます が、制度として安定するんではないかと思えるわけです。若い元気な人しか雇っていない 企業側の視点と生活者の視点は違いますねということを、前回も言っております。そして、 先ほどのところと同時に、岩本先生がリーズナブルと、私が前回試算してもらった案をリ ーズナブルと評価していただいたので、もう一つ、私も岩本先生がおっしゃっている全年 齢を対象とした財政調整もリーズナブルだということも言っておきたいと思います。  保険者機能というのは大切なんだけれども、医療保険料率にどうしてこんなに差がある かというと、主に年齢と所得に原因があるわけで、この部分は本当に保険者機能の対象な んだろうかというところがある。それを調整するのに、言わば妥協案として65歳以上だけ を対象として調整しましょうという、これは健保組合に対する孫子の兵法で言う「逃げ口」 のようなものを私は提案したんですけれども、正論で行けばやはり全年齢を対象として、 財政調整の対象にするというのはありだと思います。私が提案したように、保険者機能を 効かすのは65歳未満を対象にしてという形で、各自やってくださいというのはあるかもし れないけれども、全年齢を対象とした一元化、財政調整というのは、岩本先生はずっとお っしゃっていまして、それは非常にリーズナブルだというふうに考えておりますので、そ こも議事録に残していただければと思います。 ○塩川座長 どうですか。これは非常に基本問題にも触れておりますし、御意見あります か。  それでは、山崎先生、簡単にお願いします。 ○山崎委員 簡単に事務局にお願いします。「老人医療費の特性」資料の5ページですが、 先ほど来いろいろ議論があります。権丈委員は、若人の医療費が低いことが問題だと、そ れは診療報酬のことをおっしゃっているんでしょうが。  もう一つ、高齢者の医療費が相対的に高い大きな要因は、やはりケアの部分が相当これ にかかれているということだろうと思います。昨年末、社会保障国民会議から、非常に意 欲的な医療・介護サービスの将来ビジョンのようなものが出てきましたが、そこで言われ ているのは、医療については思い切った機能分化を図る。急性期、回復期、慢性期という ことだろうと思います。  それから、医療・介護サービスの連携を強化し、全体として在宅に今後、力を入れよう というビジョンだったと思いますが、そのために相当お金もかかるわけですけれども、そ ういった状況を実現した場合に、5ページの、現在でいうと77万円という費用の相当な部 分が介護に回るんだろうと思うんです。特に在宅というのは意外にお金がかかるものでご ざいまして、それがどのようになるかというのを出していただきたい。  恐らく高齢者にかける費用を全体として削減するよりも、役割分担をして、全体として 介護にお金をかける、在宅にお金をかける、トータルとしての費用は決して軽くならない んだと、ただ、高齢者にとって、あるいは我々負担する側にとって、どういう形が納得で きるかというと、やはり社会保障国民会議が示したような形だろうと思います。  ですから、その辺のモデルを組んで、費用面から見た将来像のようなものを出していた だくといいんだろうと思います。  ここに書いてあるように、いきなり4.7倍というのは、ちょっとひどい話だろうと私も 思います。 ○塩川座長 それでは、どうでしょうか。まだこの問題、財源の在り方と医療サービスの 問題は、もう一度議論することになっておりますので、近いうちにできるだけ早く、この 会合を開きたいと思っております。  そのときに、当局の方から文章でも結構ですし、あるいはまとめて発言でも結構ですか ら、答弁の用意をしておいていただきたいと思っております。  今日の議論は、これをもちまして一応この辺で終わらせていただきたいと思っておりま す。一方、与党におきましても、先ほど大臣から御発言がございましたように、今春を目 途にいたしまして、見直しの基本方針をまとめる方針を言ってきております。したがって、 当検討会といたしましては、こうした与党の議論の状況を踏まえながら検討を進めて、歩 調を合わせながらとりまとめておく必要があると考えております。  そこで、次回以降につきましては、事務局においてこれまでの議論をまとめて整理した 上で、総括な議論を進めていきたいと考えております。ついては、先ほどお三方から御意 見がございましたものを含めての答弁にしていただきたいと思っています。したがって、 次回の日程につきましては、改めて連絡いたしますが、できるだけ早く開会いたしたいと 思っておりますので、繰り合わせ御出席いただくことをお願いいたします。  本日はこれにて終了いたします。どうも御苦労様でした。ありがとうございました。 ○舛添厚生労働大臣 どうもありがとうございました。 照会先 保険局高齢者医療課 企画法令係     (代)03−5253−1111(内線)3199