09/01/14 第140回中央社会保険医療協議会総会議事録 09/01/14 中央社会保険医療協議会          第140回総会議事録 (1)日時  平成21年1月14日(水)10:00〜10:22 (2)場所  厚生労働省専用第18〜20会議室 (3)出席者 遠藤久夫会長 牛丸聡委員 庄司洋子委員 前田雅英委員       小林剛委員 対馬忠明委員 小島茂委員 勝村久司委員        北村光一委員(代 今井) 高橋健二委員(代 清水) 松浦稔明委員       竹嶋康弘委員 藤原淳委員 中川俊男委員 西澤寛俊委員 邉見公雄委員       渡辺三雄委員 山本信夫委員       坂本すが専門委員 黒崎紀正専門委員       <参考人>       加藤治文薬価算定組織委員長        <事務局>       水田保険局長 榮畑審議官 佐藤医療課長 宇都宮医療課企画官        磯部薬剤管理官 他 (4)議題  ○医薬品の薬価収載等について       ○医療機器の保険適用について       ○その他 (5)議事内容  ○遠藤会長  それでは、定刻になりましたので、ただいまより第140回中央社会保険医療協議会総 会を開催したいと思います。  皆様、明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。  まだ委員のお一人が着席されておりませんけれども、いらっしゃると思われます。  まず、委員の出欠状況でございますけれども、本日は、小林麻理委員、白石委員、大島 専門委員が御欠席でございます。  また、北村委員の代理で経団連経済第三本部長の今井克一さんが、また、高橋委員の代 理で全日本海員組合の清水保さんがお見えになっておられます。  それでは、議事に入らせていただきます。  まず、医薬品の薬価収載等につきまして議題としたいと思います。薬価算定組織の加藤 委員長より御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○加藤薬価算定組織委員長  薬価算定組織の委員長を務めております加藤でございます。私のほうから、今回検討い たしました新医薬品の算定結果等について報告させていただきます。  まず、資料の中医協総−1をごらんください。  今回報告いたします品目は、資料1ページの一覧表にありますとおり、2成分2品目で ございます。これら2品目は、HIV−1感染症を効能・効果とする医薬品であることか ら、緊急収載を行うものであります。  それでは、算定内容について説明いたします。まず最初に、インテレンス錠、資料2ペ ージをごらんください。インテレンス錠は、エトラビリンを有効成分とし、HIV−1感 染症を効能・効果とする内用薬であります。資料3ページをごらんください。薬価算定組 織で検討した結果、本剤は効能・効果が類似するデラビルジンメシル酸塩を最類似薬とし た類似薬効比較方式(I)による算定が妥当と判断しました。また、本剤の薬価算定に当 たっては、有用性加算(II)及び市場性加算(I)を適用とすることが妥当と判断し、そ の理由を資料に記載してございます。本剤は、治療選択肢が限られている多剤耐性HIV 感染患者に対して有効性が認められており、新たな選択肢となり得るという点で、治療法 の改善が認められると判断しました。ただし、患者におけるプロテアーゼ阻害剤に対する 耐性の有無と本剤の有効性の関係等について、製造販売後の情報収集が求められているこ とを考慮して、加算率A=15%を適用することが適当と判断しました。  また、本剤は希少疾病用医薬品であり、市場性加算(I)の適用は認められると判断し ましたが、その加算率については、類似の薬理作用を有する抗HIV薬が既に多く収載さ れていることを踏まえ、A=10%を適用することが適当と判断しました。したがいまし て、資料2に戻っていただき、本剤の算定薬価は、最類似薬であるレスクリプター錠20 0mgとの1日薬価合わせに有用性加算(II)、A=15%及び市場性加算A=10%を適 用し、100mg1錠619.80円となりました。  次に、シーエルセントリ錠について報告をいたしますと、資料の4ページをごらんくだ さい。シーエルセントリ錠は、マラビロクを有効成分とし、CCR5指向性HIV−1感 染症を効能・効果とする内用薬です。資料5ページをごらんください。  薬価算定組織で検討した結果、本剤については、既収載品の中に同様の効能・効果、薬 理作用などを持つ類似薬がないことから、原価計算方式による算定が妥当と判断しました。  営業利益率については加算の理由を資料に記載してございます。本剤は、CCR5阻害 作用によるHIVの細胞内侵入を阻害するという新規の作用機序を有しており、既存の抗 HIV薬に治療抵抗性の患者への有効性が海外臨床試験で示されていることから、革新性 が認められると判断しました。  ただし、長期投与におけるCCR5指向性HIV−1の変異による有効性への影響につ いては、市販後の情報収集が求められていることを考慮し、平均的な営業利益率プラス2 0%の営業利益率を用いることが適当と判断しました。  したがいまして、資料4ページに戻っていただいて、本剤の算定薬価は150mg1錠2, 278.80円となりました。  次に、注射用ノボセブンの不採算品再算定について報告いたしますが、資料6ページを ごらんください。  今般、既に薬価収載されている注射用ノボセブンについて、緊急用に不採算品再算定を 行いましたので報告いたします。  注射用ノボセブンは、平成12年5月に薬価収載された遺伝子組み換え活性型の血液凝 固第VII因子製剤であり、血液凝固第VIII因子や第IX因子に対して抗体が生じた血友病患 者の出血抑制に使用されている医薬品であります。  遺伝子組み換え製剤である本剤の製造工程では、細胞培養の過程でウシ由来成分等が使 用されていますが、平成15年以降、BSEの対策のため、原材料管理の厳格化が順次行 われてきているところであります。  この原材料管理の厳格化に伴うコストの負担は、これまで企業努力により吸収されてき たところでありますが、開発途上国を含む他国に比べ日本への出荷価格が低いという状況 もあり、現時点では不採算となっていることから、現行薬価のままでは、近々供給停止せ ざるを得ない状況になっております。  他方、本剤については、関係学会から、他に代替するものがなく、医療上必要不可欠な 医薬品であるとして、供給継続にかかわる強い要望が寄せられているところであります。  以上により、本件は、平成18年度薬価制度改定で薬価算定基準に盛り込まれた規定で あるところの「不採算品再算定の要件に該当する既収載品のうち、安全対策上の必要性に より製造方法の変更等を行ったものであって、当該既収載品の薬価をそのまま適用しては 不採算となり、緊急性があるものについては、薬価改定の際に限らず、当該薬価を改定す ることができる」というその場合に該当することが判断されたことから、今般、原価計算 方式による不採算品再算定を実施し、本剤の薬価を引き上げることが妥当と判断しました。  具体的には、原材料管理の厳格化に伴う本社からの移転価格の上昇相当分について不採 算品再算定による引き上げを行った結果、1.2mg製剤の改定薬価が11万6,501円、 4.8mg製剤の改定薬価が43万3,103円となりましたので御報告いたします。  以上で報告を終わります。 ○遠藤会長  ありがとうございました。  事務局から何か補足説明が必要でしょうか。お願いします。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  特にございません。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  ただいま御報告がありました、類似薬効比較方式と原価計算方式で算定されました2つ の医薬品と、それから初めての適用になるんでしょうか、不採算品の再算定のケースと、 以上3件につきまして、何か御質問、御意見ございますでしょうか。  勝村委員、どうぞ。 ○勝村委員  3つ目のノボセブンについて2点ほど質問なのですけれども、一つは、これはデータを 見ますと非常に患者数が少ないので、多分、血友病の患者の中でも、ほかの人が使ってい る薬が使えない人がおられて、そういう患者の人にとってはこの薬しかないということか なと思うのですけれども、これは1社がつくっているとのことですが、海外でもつくって いて、海外でも数は少ないでしょうけれども、不採算になっていないのかなと思うのです が、日本国内の中で見ると不採算だけれども、企業全体ではこの薬をつくっていくことで どうなのか、海外では幸いにも違う薬価がついているわけで、企業として本当につくり続 けていくことが難しいものなのかどうかという、一応その点をお聞きしたいということと、 もう一つは、企業からの申し出の理由と関係学会からの要請などのことについては書かれ ているのですけれど、こういう血友病というような、ある種、希少疾患であれば、患者会 みたいなものもあると思うのですけれども、そのあたりとの話し合いとかはされているの か、納得を得られているのかどうかとか、こういう議論をする場合にはそのあたりの情報 も、ものごとを決めるときには参考のデータとして欲しいなと思うので、そういう点がど うなのかということと、質問としてはとりあえずその2点です。 ○遠藤会長  ありがとうございます。それでは、今よろしいですか、質問。それでは、事務局からお 願いします。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  薬剤管理官でございます。今、2つの御質問をいただきました。最初の質問でございま すが、本剤については、日本国のみならず、ほぼ全世界的に供給が同じノボノルディスク ファーマから供給されているものでございますけれども、私どものほうでは、例えばこの 会社が世界的に供給をやめてしまうことを考えているとか、そういうことは聞いておりま せんので、世界的には当然供給を続けていくものというふうに理解をしておりますし、ま た、ほかの国は日本より相当程度薬価も高いこともございますので、不採算になっている ということは聞いておりません。そういう中で、相対的に日本国の薬価がほかの国に比べ て非常に低いということから、日本国で不採算になっているので、日本国に対する供給の みをとめるというお話が出ているわけでございまして、世界的には供給は続けていくもの というふうに理解をしております。それが1点目でございます。  2点目でございますけれども、原価計算の場合に個々のどういう部分のコストがどうな のかということについて、なかなか企業機密に属する部分が非常に多いこともございまし て、今回のケースにつきましては、患者会の意見を特に聞いていることはございません。 ○遠藤会長  ありがとうございます。勝村委員、どうぞ。 ○勝村委員  例えば、このケースの場合、薬価を上げるという方法以外の方法も、あり得るかもしれ ないと思うのですね、日本としてこの人たちに供給を続けていくための制度の工夫などの 方法で。そのあたりで患者会のほうから何か厚生労働省に対して要望が出ているとか、そ ういうことはないのですか。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  患者会から私どものほうに寄せられている要望は特にございません。今回の場合につき ましては、確かに勝村委員がおっしゃるように、いろいろなケースがあろうかと思います。 実際に例えば製造上の問題で供給ができなくなるようなケースも当然あり得るでしょうか ら、ただ、今回のケースについては、あくまで出荷価格が日本だけ非常に安く、抑えられ ているということから、薬価の問題で供給を停止せざるを得ないという企業側の強い意見 がございましたので、薬価の引き上げをしない以上は供給がとまるということから、薬価 の引き上げに至ったものでございます。 ○遠藤会長  勝村委員、どうぞ。 ○勝村委員  少し前に、そういう同じような理由で薬価を上げたけれども、患者会がそれを十分周知 していなくてびっくりをして、結局、また薬価を下げたというようなケースもあったかと 思うのですけれども。今回のケースでは、特に要望は出ていないということですけれども、 患者会の人たちにこのたび薬価を上げる予定であると伝えてあるということでしょうか。 海外と比べたら安いといっても、患者からすれば高い値段がさらに1.5倍近く上がると いうことになりますが、そのあたりのことは患者会の人たちには伝えてあるけれども、特 に要望はないという理解でいいのでしょうか。 ○遠藤会長  事務局、お願いします。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  このような供給停止のケースについてどういう手続をとっているかということを若干補 足させていただきますと、企業のほうから供給停止をしたいという話があったときには、 関係の学会、ですから多くが医療関係者というか、医師の方になろうかと思いますが、そ の方々の御意見を伺うようにしております。その医療関係者の方々の御意見としてどうし てもこれは必要不可欠であると、薬価引き上げもやむを得なしということの御意見があっ た場合について、引き上げをするということにしておりまして、直接このような場合に患 者のほうからの御意見を聞くようなケースは通常ありません。  勝村委員がおっしゃっているのは治療用ミルクの件の反省としてそういうことを考える べきでないかと、こういう意見だと思っておりますが、その際には、我々としては不採算 再算定をやったわけでございますけれども、一度に何倍の薬価になってしまうと、計算上 なってしまったということが患者負担の大幅な増加につながって、大きな問題になったと いうことでございます。そういうことも、我々、不採算品再算定する場合には十分考えな ければいけない視点だというふうに私ども十分認識をしておりまして、今回のケースにつ いては、企業のほうはもっと高い価格にしてほしいと、こういう意見もあったところでご ざいますけれども、激変を緩和するという意味もございまして、今回見ていただきますと、 あくまで移転価格の上昇相当分の引き上げにとどめたということで、40%程度の引き上 げにおさめているところでございます。  そういうことで、あともう一つこのケースで違いますのは、血友病患者ということもご ざいまして、特に先天性の血友病患者につきましては、公費負担で患者負担が減じられて いますので、学会のほうには、患者さんの負担のほうはどうかということもお聞きをして おりますけれども、そういった問題はまず起こらないだろうと、そういったこともお聞き をした上で今回の不採算算定に至っているものでございます。 ○遠藤会長  ありがとうございます。勝村委員、どうぞ。 ○勝村委員  そういうふうに、患者の立場に立って努力もしていただいているということで、それは 結構だと思うのですけれども、こういうケースというのは今回初めてじゃないかというこ となのですけれども、これからも、そんなに数はないと思いますので、こういう場で議論 する際にやはりある程度限られた少ない人数の患者さんの会であるケースが多いわけなの で、その人たちとも一定協議をし合っているという形を今後とっていただいて、その旨も 資料に記していただいた上で議論ができるように今後お願いができたらなと思います。 ○遠藤会長  大変重要な御指摘だと思います。事務局のほうとしても検討していただきたいと思いま す。  ほかにございますでしょうか。  よろしいでしょうか。それでは、本件につきましては、中医協として承認するというこ とでよろしいでしょうか。              〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○遠藤会長  ありがとうございます。それでは、中医協として承認したいと思います。  加藤委員長におかれましては、長時間どうもありがとうございました。 (加藤薬価算定組織委員長退席) ○遠藤会長  次に、医療機器の保険適用についてを議題といたしたいと思います。  医療区分A2(特定包括)及びBの個別評価について、事務局から報告していただきた いと思います。お願いします。 ○事務局(宇都宮医療課企画官)  医療課企画官でございます。資料、中医協総−2をごらんいただきたいと思います。本 年1月1日より保険適用が開始されておるものでございます。  まず1ページ目でございますが、医科の区分A2(特定包括)(特定の診療報酬項目に おいて包括的に評価されている区分)ということで、ごらんのとおり27件ございます。  続きまして、次のページ、2ページ目でございますが、区分B(個別評価)(材料価格 として個別に評価されている部分)ということで、ごらんのとおり24件でございます。  以上、医科につきましては合計51件ということです。  続いて、3ページでございますが、歯科でございます。歯科につきましては、区分のA 2は今回ございません。区分Bのみでございますが、こちらに一覧として出ております1 5件ということで、歯科については合計15件ということでございます。  以上、医科、歯科合わせまして66件ということでございます。  以上でございます。 ○遠藤会長  ありがとうございます。何か特別な説明が必要なような案件はございますか。 ○事務局(宇都宮医療課企画官)  特にございません。 ○遠藤会長  それでは、ルールどおり行った結果、このような形で評価したということでありますけ れども、何か御質問、御意見ございますでしょうか。  よろしいでしょうか。それでは、ただいま報告があったとおり承認したいというふうに 思います。  それでは、本日の総会は、一応議題としては以上2件でございますけれども、これにて 閉会したいと思います。  次回の日程等につきまして事務局から何かありますでしょうか。 ○事務局(佐藤医療課長)  未定ですが、決定次第早急に連絡をさせていただきます。よろしくお願いします。 ○遠藤会長  それでは、本日の総会、これにて閉会したいと思います。どうもありがとうございまし た。     【照会先】       厚生労働省保険局医療課企画法令第1係       代表 03−5253−1111(内線3288)