09/01/07 第56回労働政策審議会職業安定分科会議事録 第56回労働政策審議会 職業安定分科会 1 日 時 平成21年1月7日(水)13:00〜15:30 2 場 所 厚生労働省共用第8会議室 3 出席者 委 員(公益代表)            大橋分科会長、白木委員、清家委員、征矢委員、宮本委員 (労働者代表)            斉藤委員、徳茂委員、成瀬委員、野田委員、長谷川委員、堀委員、            古市委員 (使用者代表)            荒委員、石原委員、市川委員、石井委員代理(佐藤氏)       事務局 太田職業安定局長、大槻職業安定局次長、及川審議官、            宮川職業安定局総務課長、上市首席職業指導官、水野雇用開発課長、            坂口雇用保険課長、大隈若年者雇用対策室長、田中雇用保険課企画官 4 議 題   (1)雇用保険部会報告書について(報告) (2)雇用保険法等の一部を改正する法律案要綱について (3)雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案について (4)職業安定法施行規則の一部を改正する省令案等について (5)その他 5 議事内容 ○大橋分科会長 それでは定刻になりましたので、ただいまから第56回「労働政策審議 会職業安定分科会」を開催いたします。議事に入ります前に、当分科会の使用者代表委 員を務めていただいていました尾崎睦委員が、先般、昨年12月にご逝去されましたので、 謹んでお悔やみを申し上げます。 (出欠状況報告)  最初に「雇用保険部会報告書について」の議事に入りたいと思います。本件につきま しては、昨年12月25日の雇用保険部会において報告書が取りまとめられておりますので、 雇用保険部会の清家部会長からご報告をお願いいたします。 ○清家委員 それではご報告申し上げます。ただいま分科会長からお話がございました ように、雇用保険制度の見直しにつきましては、11月11日から雇用保険部会において検 討を進めてまいりまして、去る12月25日に報告書を取りまとめたところです。この報告 におきましては、雇用失業情勢が下降局面にあるということ、また非正規労働者が増大 する中で、当面の暫定的な措置も含め、雇用保険制度の機能強化を中心とした見直しを 行っていくということが適当であるとしています。具体的には、1つは雇止めされた場 合の受給資格要件の緩和と適応範囲の拡大等、非正規労働者に対するセーフティネット 機能の強化、それから再就職困難者に対し年齢等を勘案した個別の給付延長を行うとい うこと、安定した再就職に向けたインセンティブの強化等を行うことが適当であるとし ております。  議論に当たりましては公労使さまざまな意見がございましたが、年末までに取りまと める必要があるという厳しいスケジュールの中で、皆様には真摯にご議論をいただき取 りまとめることができました。報告書を以下に説明していただくような形で取りまとめ ることについて、労使、公益委員のご了解をいただいたものと認識しております。詳細 な内容につきましては、事務局から説明をしていただきます。 ○雇用保険課長 事務局の雇用保険課長でございます。座らせて説明させていただきま す。お手元に配付しております資料No.1-1と1-2です。1-1が、いま清家部会長からござ いました報告文です。1-2がその参考資料ということですので、1-1に沿ってご説明させ ていただきます。  表紙をめくっていただきまして1頁目です。雇用保険部会報告、第1として「現状及び 課題」ということで、この部会報告のご議論の背景等についてまとめていただいており ます。1つ目の○以降にありますように、ご承知のとおりの現下の雇用情勢が非常に厳 しい、特に非正規労働者の雇用情勢の動きも顕在化してきているというような背景。 一方で雇用保険制度についての収支の状況についてのコメントを、3つ目の○でしてい ただいています。  4つ目、5つ目の○は、斯様な雇用情勢の中で政府全体としての取組みということです。 昨年10月30日の「生活対策」の決定ということの中で、雇用保険についてもセーフティ ネットの機能の強化等と併せて、家計緊急支援対策の一環として、国民の負担軽減の観 点から、平成21年度に限っての雇用保険料率の引下げについての検討が謳われている。 また更にということで、雇止め、内定取消しの問題についても、必要な施策を実施する というような動きが政府としてはあるという状況です。  以上のような状況を踏まえて、雇用保険制度としても財政の健全性を維持しつつ、セ ーフティネットの強化についての問題が緊急の課題だということで、当面の緊急対策と しての暫定的な措置も含めて次のとおりの見直しが必要ということで、2頁以降の具体 的な見直しの方向という状況になっております。  2頁ですけれども、第2「雇用保険制度の見直しの方向」ということで、1つ目の柱と してセーフティネットの機能の強化ということです。(1)として、いま部会長からもあ りました非正規労働者に対するセーフティネットの機能の強化ということです。具体的 には2つ目の○以降ですけれども、まず2つ目の○に書いてありますのは、雇用保険の給 付制度の受給資格についてということです。現在もいわゆる倒産、解雇等の方について は、原則1年の被保険者期間ではなく6ヶ月あれば受給資格を得られるということになっ ておりますけれども、1年未満の方で、希望したにもかかわらず労働契約が更新されな かったため離職した有期雇用者という、いわゆる雇止めの方についても、被保険者期間 6ヶ月で受給資格が得られるようにすべきであるというご提言です。  3つ目の○については所定給付日数の内容について、雇止めの方については現下の雇 用情勢に鑑みると、暫定的に、先ほどの倒産、解雇の方については所定給付日数も一般 の離職者に比べて厚いものとなっておりますので、その特定受給資格者たる倒産、解雇 の離職者と同じ扱いとすべきであるということを暫定的に行うべきであるということが 1点。それから、受給資格要件のところに出てこなかった被保険者期間1年以上3年未満 の雇止めの方についても、同様に暫定的に特定受給資格者と同じ取扱いとすべきである というご提言です。この暫定的な取扱いについては、後ほど出てくるものの(2)(3)の部 分も含めて暫定期間としては3年とすべきであるということです。  4つ目の○は、有期契約の場合に労働契約が更新されることが明示されているという ケースがございますけれども、このケースについて、いま一部の被保険者期間について も措置はされているのですけれども、その被保険者期間の長短にかかわらず特定受給資 格者とすべきであるというご提言が4つ目です。  5つ目、6つ目が先ほど清家部会長からありました適用範囲の拡大の問題です。現在雇 用保険の適用については運用上の取扱いとして、「週所定労働時間20時間以上、1年以 上の雇用見込み」という適用基準が設けられておりますけれども、いちばん下の○にあ りますように雇用保険のセーフティネットの適切なカバーということを考え、この1年 以上の雇用見込み要件について6ヶ月以上の雇用見込みに改めるべきであるというご提 言をいただいております。ただ、そのときには適切な周知ということについても必要で あるというご提言です。  続きまして3頁ですが、(2)として再就職困難者に対する支援の強化という点です。先 ほどもございましたように、所定給付日数というものが定められておりますけれども、 雇用情勢の悪化の中では、そういった基本手当の支給が終了しても再就職が困難な場合 が想定されるということで、先ほどのような倒産、解雇によって離職された方であった り、雇止めということで特定受給資格者と同じ取扱いという方については、暫定的に個 別に給付の延長を受けられるようにすべきであるというご提言です。3つ目にあります ように、具体的には所定給付日数が短い年齢層や、雇用失業情勢の悪い地域などの求職 者ということで、ハローワークの所長が必要と認める者とすることが適当であるという ことです。延長日数については、60日とすることが適当であるというご提言です。  (3)安定した再就職に向けたインセンティブの強化ということです。この点について も、雇用情勢が悪化する中で、再就職のいまあったような支援と併せてどのような形で 安定した再就職に向けていくかということで、雇用保険部会の中でも、まず必要な雇用 機会の創出という受皿を作ることが重要でしょうという点についても付言されておりま す。雇用保険制度としても安定した再就職に向けてのインセンティブを強化することが 必要だということで、そういった観点から雇用保険制度の中にある再就職手当について も、暫定的に「所定給付日数の3分の1以上かつ45日以上の残日数」とされております受 給要件の45日以上の残日数要件を緩和するということ。それから併せて給付率について も、現行は残日数の30%ということになっておりますけれども、この給付率についても 記載のとおり、暫定的に残日数が3分の2以上の場合には50%、3分の1以上の場合には40 %に引き上げるべきであるというご提言です。  2つ目の○ですけれども、同様に障害者等の就職困難者の方について、再就職された 場合に最初の給与が出るまでの初期費用支援ということで「常用就職支度手当」という ものの支給という仕組みがございます。これについても暫定的な対応として、対象者を 40歳未満の方について広げるということとともに、給付率についても30%を40%に引 き上げるということで、安定再就職に向けたインセンティブの強化を図るべきであると いうことです。  3つ目ですけれども、インセンティブ強化、受皿の創出ということと併せて求職者の 方の能力開発も重要だろうということです。能力開発政策としても長期訓練のメニュー の充実ということとともに、雇用保険制度の中にも訓練延長給付という仕組みがござい ますので、その仕組みを個々的に活用して支援すること。また、現在職業訓練受講中に 受講手当という、実費の負担軽減ということで日額500円という手当がございますけれ ども、これについても暫定的に日額700円に引き上げることとすべきであるというご提 言です。  続きまして4頁ですが、2「育児休業給付の見直し」です。この点、雇用保険制度の中 で失業と併せて雇用の継続を図っていこうということで、育児の期間について所得保障 をしながら職場復帰、育児休業ということを促進していこうということで、育児休業給 付という制度がございます。現在育児休業給付については育児休業基本給付金と育児休 業者職場復帰給付金ということで、2つの給付金を合わせた制度としてなっております。  全体として前者の基本給付金が30%の支給率、それから職場復帰給付金が原則は10% ですけれども、そこにございますように前回の法律改正、制度見直しの際に、19年の改 正ですけれども、この給付率の10%を職場復帰給付金について20%に引き上げていると いう状況がございます。こちらは法律で平成22年3月末までに育児休業開始者という形 で確定期限を付した制度としてなっており、この点についても国会の附帯決議等も踏ま えながら審議会のほうでご議論をいただいたということです。この点について少子化対 策の要請ということなども踏まえて、当該暫定措置を当分の間延長するということにつ いてもやむを得ないものと考えるというご提言です。  2つ目、3つ目です。先ほど申し上げました基本給付金と職場復帰された段階での給付 金という2つの給付金になっているわけですけれども、育児休業中の所得保障の観点と いうことで、両者を統合して休業中に支給することについてのご検討ということでした。 この点については「一方で」というところにもありますように、職場復帰の支援の観点 からということも含めて考えると、両給付の統合については慎重であるべきであるとの 意見などもあったということですけれども、3つ目の○にありますように、現在の育児 休業取得促進が果たす育児休業給付の役割ということへの強い期待ということも考える と、これを統合して休業中に支給することもやむを得ないというおまとめをいただいて おります。ただ、なお書きにもございますように、今後の制度の周知、制度の運用状況 も見定めるべきであると付言されております。  4つ目、5つ目の○ですけれども、当労働政策審議会の別の分科会、雇用均等分科会に おきまして育児休業制度の見直しの議論が行われておりました。そこにございますよう に、昨年末、12月25日付けで建議がなされております。その内容の中に育児休業給付に 関わる部分としてマル1、マル2、マル3ということで、父母ともに育児休業を取得する 場合の休業取得可能期間の延長や、マル2、マル3にありますように再度取得の場合の拡 大ということが建議されたところです。  5つ目の○にございますように、これまでも雇用保険制度の中で育児休業の給付とい うことについては、法定の育児休業制度という形での国民のコンセンサスが得られてい るような制度については、休業給付の対象としようということとされて、今までもご議 論をしていただいております。部会においてもこの均等分科会の建議を踏まえて、この 法定の育児休業の範囲の拡大ということになるということであれば、これまでの観点も 含めてですけれども、上記の場合について育児休業給付の対象とすることとすべきであ るというご提言をいただいてるということです。  続きまして4頁の下の3「雇用保険料率について」です。まず(1)は平成21年度の失業 等給付に係る雇用保険料率についてです。この点についてはいちばん下にございますよ うに、平成19年度の決算で失業等給付に関わる積立金の残高が約4兆8,800億円になった というところです。そういう状況の中で次の5頁のいちばん上にございますように、先 ほど冒頭の背景のところでも申し上げましたような「生活対策」での検討ということも 決められたということで、2つ目の○にありますように、こういう観点を併せて部会の ほうでもご議論をいただいたということです。  これについては、雇用保険財政あるいは本来の保険制度の趣旨ということから考える と、雇用情勢が悪化しつつある時期で雇用保険料率の引下げについては、本来これを行 うべきではなく慎重に対処する必要があるというご意見がある一方で、国民の負担の軽 減についての政府全体としての強い要請があることなどを勘案すると、特例的に21年度 に限って失業等給付に係る雇用保険料について0.4%引き下げるという、弾力幅を超え て0.4%引き下げるということもやむを得ないものと考えるというご結論です。  ただ、この点についてはそこに記載させていただいているとおり、労働者代表の委員 のほうから、雇用保険料率についてこれを引き下げる場合や引き上げる場合には、本来 は合理的な理由が必要であり、現在の状況においては引き下げるべきではないとの意見 があったという点が、部会報告に付記されております。  (2)「平成21年度の雇用保険二事業に係る雇用保険料率について」ということです。 雇用保険二事業につきましても、積立金同様に平成19年度の決算で雇用安定資金の残高 が約1兆700億円となったということで、20年度の一次補正予算あるいはいま国会で審議 いただいてる二次補正予算という中でも、この安定資金の活用も踏まえての雇用保険二 事業による対策の実施も必要となっております。こういう状況の中で、平成21年度の二 事業に係る雇用保険料率については、現行の弾力条項に沿った取扱い、具体的にはこれ は弾力倍率を超えた場合に1,000分の3.5の料率を1,000分の3.0に弾力条項に沿っ て引き下げるというものですけれども、その取扱いとすべきであるというご提言です。  以上が具体的な方向性ということですけれども、先ほど部会長からもございましたよ うに、部会では11月11日以降非常にタイトなスケジュールでご検討いただいたというこ ともあり、4の「今後の課題」にもございますように、平成22年度以降の雇用保険料率 のあり方であるとか、あるいは前回の法改正に合わせての見直しのときに、19年1月9日 に雇用保険部会報告が取りまとめられておりますけれども、そこの中での「今後の課題」 ということで65歳以降への対処などの諸問題について今後の課題とされており、こうい った問題については引き続き検討すべきであるとのご提言をいただいたということです。 以上事務局のほうから部会報告の内容についてご説明をさせていただきました。 ○大橋分科会長 大変ご苦労さまでした。盛りだくさんの見直し案がご報告されており ます。本件につきましてご質問等がありましたら、発言をお願いいたします。 ○古市委員 忙しい中で、雇用保険部会の皆様が一生懸命にご議論をいただき、この報 告をまとめていただいたことに敬意を表しながらお尋ねを申し上げます。「家計緊急支 援対策」とありまして、月額でも年額でもいいのですが、0.4%引き下げるといくらぐら いの家計の支援ができるのでしょうか。これをお尋ねした上で、改めて質問をしたいと 思います。 ○雇用保険課長 具体的には現在1,000分の12の料率を、1,000分の8に1,000分の4引き下 げるということですので、例えばで申し上げますと、月収が40万円の場合ですと、労使 折半の合計で、軽減額が年額で19,200円、月額で1,600円でございます。それから月収30 万円でしたら軽減額が年額14,400円、月額1,200円となります。 ○古市委員 いまご説明がありましたが、例えば30万円だと1,200円。報道を見ただけの 話ですが、保険料率を下げて家計の支援をする一方で、使用者側の負担する分も引き下 がるわけですので、総理が経済団体の代表に対して、その分賃上げに回していただくよ うにとお願いをしたというふうにお聞きをしたのです。これはどなたにお尋ねしていい のか正確にはわかりませんけれど、今期の賃金についての労使交渉は、こういう使用者 側の負担が下がることを前提として、ここをベースにしての交渉が始まると考えていい のでしょうか。 ○大橋分科会長 どなたかよろしいですか。 ○雇用保険課長 事務局のほうですが、生活対策を政府としてまとめた考え方としまし ては、いま古市委員のほうからもありましたように、非常に厳しい景気動向の中で、で きるだけ国民の負担軽減につながるようにということで、この雇用保険料率の引下げも 検討が謳われ、今回の審議会のご議論、ご結論に結びつけていただいておるところでご ざいます。  雇用保険料率はいまもご指摘がありましたように、特に失業等給付の場合、労使それ ぞれ折半でとなっておりますが、具体的に企業負担分について軽減された後の処理につ いては、やはりそれぞれの労使の事情の中で、いろいろな交渉の中で賃金の決定等をさ れていくものと考えておりますけれども、政府としてはいろいろなそういうことについ てもご勘案いただければという趣旨で、総理のほうからはお願い申し上げておるという ことでございます。これはあくまでベースとして何がどうあるかということが決まって おるとか、そこのベースの下でというようなところまで当然いっている話ではないとい うことです。 ○古市委員 すみません、清家部会長をはじめ皆さんがご努力してまとめていただいた ことはよくわかっているのですが、印象を申しますと、この4頁まで書かれていること と、5頁の○の2つに書かれてあることと、ここの部分だけ著しく違うトーンだなと強く 感じるのであります。ここに労働者側の代表の委員の意見が載っていますけれど、この 2行だけトーンが違うというふうに思います。どなたがどういう答弁をしていただくの かよくわかりませんが、よろしいでしょうか。 ○雇用保険課長 また事務局のほうからです。いまご指摘がありましたとおり、雇用保 険の場合はもちろん保険制度でございますので、給付と負担の両面の制度として全体を どういう制度として作っていくかということでありますので、制度全体として給付面・ 負担面の両方を考えていく必要があるだろうと。それから生活対策の中でも5頁には書 いてありませんが、資料にも付けて、1頁にもありますように、第1の4つ目の○で、生 活対策の決定の中でも雇用保険についてセーフティネットの機能の強化等と併せて、こ ういう負担面の検討をということが謳われ、それで雇用保険部会の中では、まさしく負 担面と給付面のセーフティネットの機能の強化の両面からご議論をいただき、斯様な結 論をいただき、事務局としても承知しているところでございます。 ○徳茂委員 いまのやり取りはよろしいでしょうか。 ○大橋分科会長 非常に答えにくいと思いますし、5頁以降と、4頁以前で別に齟齬はな いと、いまの課長のご説明でも判断していいかと思います。 ○徳茂委員 その上で一言だけ意見を申したいと思います。いまの論点と同じところに なりますが、5頁の最初の○、「生活対策」として弾力条項を超えて引き下げることを 検討しろというふうに、政府の側で方向性を出したということになるわけです。この積 立金が4兆を超えているという現状は、今後の雇用情勢を見ればすぐにもっと減ってい くであろうということは明白だと思いますし、失業給付の趣旨からすれば、給付を必要 とする方に給付を厚くすることが最も急がれることだと思っております。  雇用をされている皆様方の月々の負担をわずかながら減じることの経済効果がないと は申しませんけれども、どちらがこの制度の趣旨にとって重要かということで言えば、 給付を厚くすることこそ本来やるべきことであって、前段のところで給付もいろいろ厚 くされておりますが、より一層厚くするという方向でこの積立金の活用はされるべきだ し、今後の情勢を考えれば、安易に引き下げることには到底納得がいかないと私自身も 思っております。労働側の意見もそこに2行書いてありますけれど、重ねてそのことは 強く指摘を申し上げたいと思っているところです。  それから4「今後の課題」で、2行目の65歳以降への対処等ということで触れられてい ます。この「等」の中にきっと入っていると思うのですが、今回の制度改正によりさま ざまに給付対象を広げたりしていますが、その中からこぼれてしまいます20時間未満で、 2つも3つも掛け持ちして就業せざるを得ないような、特に母子家庭にはこのような方々 が多いと聞いているわけです。そういう方々が雇用保険で給付をされないのならば、救 済されないのならば早急に何らかの手立てを取らないと。本来40時間の職を得たいにも かかわらず得られていないために、そういういくつもの仕事を掛け持ちしている。しか も今回の制度の改正から、救済対象からこぼれてしまっている現状があるわけですから、 そのことについて是非早急な検討をすべきであるということは、強くこの職安の分科会 の意向としても政府に対して申し上げたいものだと思っております。是非ご検討をいた だきたいと思います。以上です。 ○成瀬委員 昨年の夏以降の経済情勢の悪化にともない、特に昨年秋以降、雇用情勢が 非常に厳しくなっています中で、短期間で部会報告をまとめられた部会長をはじめ、部 会の委員の皆様には改めて敬意を表したいと思っています。内容的にもこういう状況の 中で取りうる施策ということで、いくつか不十分ですとか、課題はあるとは思いますけ れども、多くの部分については妥当と思っているところであります。先ほどから古市委 員、あるいは徳茂委員からも言われている部分については同感ですが、重複しますので 割愛をさせていただきまして、今後の施策への、どちらかというと要望になるかと思い ますが、1点だけ申し上げたいと思います。  報告の際に参考資料No.1-2のほうは何も触れられなかったわけですけれど、参考資料 の8頁で、今回の部会報告では何も触れられていない部分ではありますが、今後への要 望ということで、是非ご検討いただきたいということです。8頁の「雇用保険の適用基 準」のところでは、週所定労働時間が40時間なのか、20時間以上40時間未満なのか、20 時間未満なのかと3つに分けて、それぞれ場合分けをされているところであります。問 題はその20時間以上40時間未満、これが1つにされた上で、1年以上の雇用が見込まれる かというもう1つの条件が付けられているというところ、これは課題ではないか と思っている次第です。  要望ということで言わさせていただくと、雇用保険法第6条第1号の2の規定に基づく厚 生労働大臣の定める時間数は30時間となっているわけでありまして、本来的にはその30 時間以上40時間未満については40時間の人と同じように、1年以上の雇用見込みがあるか ないかにかかわらず、雇用保険をおしなべてすべて適用すべきではないかと思っている わけです。制度創設以来そういう運用ではなくて、この8頁に書いてあるような運用を行 政解釈をしてきたということはお聞きしましたけれども、行政解釈であればなおさら法 改正を伴わないわけでありますので、審議会等の意見を聞きながら、是非運用を変える という方向でご検討を今後いただきたいというふうに思います。以上よろしくお願いい たします。 ○大橋分科会長 その他よろしいでしょうか。それでは当報告を、雇用保険部会の報告 として了承したことといたしますのでよろしくお願いします。  次に「雇用保険法の一部を改正する法律案要綱について」でございます。本件につき ましてはただいまの雇用保険部会の報告書を踏まえて、本日付けで厚生労働大臣からの 諮問を受けておりますので、これについて審議したいと思います。初めに事務局からご 説明をお願いいたします。 ○雇用保険課長 それでは事務局のほうから、資料No.2の諮問案について説明をさせてい ただきます。資料No.2の1枚目は諮問の表紙ですが、次の別紙で「雇用保険法等の一部を 改正する法律案要綱」でございます。まず第一「雇用保険法の一部を改正する法律案要 綱」でございます。その一としまして、基本手当の受給資格の見直し改正です。これに ついては先ほどの雇用保険部会報告のところにもございましたとおり、有期雇用契約の 雇止めの方などの、やむを得ない理由の離職者を新たに法律上ここの特定理由離職者と いう形で定義させていただいて、この特定理由離職者につきましては、先ほどもお話し ましたとおり倒産解雇等の理由による離職者である特定受給資格者と同様に、5行目の 被保険者期間が6ヶ月以上あれば、基本手当の受給資格を得られるものとする、という ことが、受給資格の改正見直しのところでございます。  二「基本手当の支給に関する暫定措置」でございます。こちらのほうも先ほど雇用保 険部会報告の中で、基本手当の所定給付日数についての暫定的な取扱いについてのご提 言があった部分です。暫定的な取扱いということで、部会報告に沿って3年間という形 の暫定的な対応としまして、先ほどの雇止めによる離職者の特定離職者について、特定 受給資格者である倒産解雇等の方についての手厚い所定給付日数と同様に、基本手当の 支給をするものとすることということでございます。  2頁は、「給付日数の延長に関する暫定措置」の部分が三です。こちらのほうは(一) と(二)の形に書かせていただいております。(一)の部分が給付日数の延長をする方の対 象者、(二)が延長給付の日数という形で分けて記載をしております。(一)の対象者です けれども、4〜5行目にかけて、雇止め等による離職者であります先ほどの特定理由離職 者と、倒産解雇等の離職者である特定受給資格者の方であって、イまたはロに該当する 方については、所定給付日数の延長をいたしましょうということです。これについても 3年間の暫定期間ということで、離職された日であったり、あるいは基本手当の支給が 終わる日がこの3年間にある方について延長をすることができるものとすること、とい うことでございます。  具体的にイとロですが、イの部分等が先ほどのところにもありましたとおり、所定給 付日数の短かい方ということで45歳未満の方。それから雇用情勢が厳しい地域というこ とでは、具体的には厚生労働省令、厚生労働大臣が指定するという形で地域を指定させ ていただきますけれども、雇用機会が不足していると認められる地域として指定する地 域の方ということです。そういった方であって、公共職業安定所長が就職困難であると 認めたものということでございます。ロについても、ハローワークのほうでいろいろ計 画的な再就職支援を行う必要があるということで取扱っているケースですので、そうい った方についても延長給付の対象としようということでございます。  (二)が延長給付の日数です。これについては、所定日数を超えて基本手当を支給する 日数は60日とさせていだくということでございます。  3頁の大きな四「就業促進手当に関する暫定措置」としまして、部会報告に沿って再 就職手当、常用就職支度手当に関する暫定措置という取り扱いについて記載しておりま す。まず(一)が再就職手当に関する暫定措置で、イが対象支給要件、ロが給付率です。 イの支給要件につきましては、これも暫定的な対応として、3年間については先ほど部 会報告のところでもご説明しましたとおり、所定給付日数の3分の1以上の残日数である ものに対して支給するということで、残日数の45日以上の要件については緩和をして削 除して要件とするということでございます。  ロの給付率につきまして、これは10分の3の支給率について、具体的な10分の4から、 支給残日数が所定給付日数の3分の2以上の場合にあっては10分の5という形で、支給率 の引上げをするということでございます。  (二)は常用就職支度手当に関する暫定措置でございます。常用就職支度手当につきま しても、先ほどの部会報告に沿いまして3年間の暫定措置ということで、これも支給率 について、現在基本手当日額に30を乗じていただくのを限度としてという部分について、 40を乗じてという形で支給率を引き上げるというものでございます。対象者の部分につ いて、就職困難者について40歳未満の方に拡大するという部分については、省令事項で すので、また別途お諮りをさせていただくということになります。  4頁の五「育児休業給付の改正」の部分です。まず(一)で、これは先ほどの部会報告 にもございました、休業中に給付を統合するというものでして、育児休業基本給付金と 育児休業職場復帰給付金の統合を行うというものでございます。(一)の部分は原則です ので、支給率については100分の40に相当する額とするものとすることということで、 (一)の段階ではしておりますけれども、(二)の部分で先ほども全体としての50%の給付 率を当分の間延長するということでございましたので、(二)のところで育児休業給付金 に関する暫定措置としまして、育児休業給付金の額については、当分の間100分の50に 相当する額を支給日数に乗じていただくという形にするという内容でございます。  六「その他」としまして、関係条項の整備等という内容としております。  5頁、第二「労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部改正」ということで、雇 用保険料率に関する規定がこちらの法律に規定されておりますので、その法律の一部改 正としての法案でございます。まず「雇用保険料率に関する暫定措置」ですが、先ほど の部会報告に沿いまして、平成21年度における雇用保険料率を引き下げるということで、 1,000分の11.5とするものとすることということです。内訳としましては、失業等給付 に係る率が1,000分の8ということで、現行の1,000分の12という失業等給付に係るもの を1,000分の8まで引き下げるということでございます。  (注)書きを要綱上、付させていただいております。こちらについては法律で定める 料率としまして、平成21年度における雇用保険率は1,000分の11.5という引き下げた料率 ということになりますけれども、これにつきましては法律上は1,000分の8の残りの1,000 分の3.5ということが雇用保険二事業に係る雇用保険率ということになるわけですが、先 ほども雇用保険部会報告のところでもございましたように、平成21年度における雇用保 険二事業に係る雇用保険率については弾力条項に沿って変更するということですので、 それについては別途1,000分の3.5の先ほどの法定の雇用保険率を1,000分の3.0というこ とになるということを(注)書きとさせていただいて、合わせて平成21年度における雇 用保険率は1,000分の11.0ということについて(注)書きとして付しております。  二「その他」としまして、各規定の整備でございます。第三としまして、施行期日等 を「その他」のところで記載をしております。6頁にありますように、この法律につき ましては平成21年の4月1日から施行するということで、施行期日とさせていただきたい としております。ただ、第一の五の具体的には育児休業給付に係る部分ですが、その点 については平成22年4月1日から施行するものとすることということで施行期日としてお ります。二で「経過措置」、三で「関係法律の整備」という形で要綱として作らせてい ただいております。  以上が諮問要綱の説明でございます。 ○大橋分科会長 ありがとうございました。本件につきましてご質問、ご意見等ありま したらご発言をお願いいたします。 ○斉藤委員 非常に緊急的にまとめられた案でございますので、敬意を表するわけです が、いわゆる施行期日との関係において、どうしても4月1日新年度からというふうにや らざるを得ない事柄なのか。緊急的なところでもってまとめて、現下の情勢からいくと そこに手を打たなければならないというところでの内容も、中には相当入っているとい うことを見ますと、施行期日がどうしても新年度4月1日からというふうにならざるを得 ないものなのかどうなのかです。私はこの趣旨から言うと、料率等をきちんと年度を決 めたほうがいいというものについては、ある程度それはしょうがないとしても、そうで はないものについて、もっと早く、少しでも早く施行するということが考えられないの かどうかをお伺いしたいわけでございます。 ○雇用保険課長 いまの点で、私ども昨年も雇用保険部会のほうでも緊急にこのセーフ ティネットの機能の強化についてもご議論をいただき、緊急に取りまとめていただいて 本日に至っておるわけでございます。我々も審議会のご議論を経て、それで国会のほう に法案を提出させていただき、できるだけ早い施行ということを目指したいと思ってお るのですが、全体としましては雇用保険の制度に係る部分で、予算との関わり、それか ら雇用保険制度ですので、全国斉一的に公平・公正な観点から、現場も含めて、支給事 務も含めてできるような体制をとっていく必要があるということから考えますと、やは り施行期日ということから考えると平成21年4月1日というところが、我々としてぎりぎ りの最短の施行期日ということで考えておるということでございます。 ○斉藤委員 より以上にこういうことをきちんとやるのだという趣旨を生かすという意 味から言うと、事務局のそういう意見もわからないではないわけですが、なるべくやは り早く施行するという思いというのは、表明していく必要があるのではないかと思って おります。 ○成瀬委員 いまのと少し関連するところもありますが、1頁の第一の二「基本手当の 支給に関する暫定措置」のところの1行目、受給資格に係る離職の日が平成21年4月1日 からとなっています。これは雇用保険制度の制度設計上こういうふうにする以外なかな か難しいと、重々わかった上で改めて質問といいますか、要望ということで申し上げて おきたいのです。  先ほど雇用情勢についても少し触れましたが、それに加えていわゆる製造派遣2009年 問題、これが今年の3月以降、物の製造事業に派遣された派遣労働者が3年という期限を 迎える事例が続々と発生してくると。その際に直接雇用にするのか、どうするのか知り ませんけれども、多くのところでは派遣切りがさらにされるのではないかという懸念も 持つところであります。そういう際に4月1日以降の離職者だけを救うということで、本 当にいいのかというふうに考えるわけです。つまりこの平成21年4月1日という施行日を 取ったということはわかりますが、どこで基準にするのかはもちろんありますけれども、 離職の日がそれ以降ということではなくて、例えば施行日時点で失業している人は、そ の月以降については新制度の適用になるとか、そういうことは考えられないのかと考え ているところです。  先ほどの参考資料No.1-2の1頁に「雇用保険制度の概要」ということで、非常に勉強に なる資料が付けられているわけですけれども、雇用保険のいちばん中心となる給付は失 業等給付で、求職者給付という名称なのですね。ということは、4月1日時点で求職して いる人を対象にしてもいいではないか、という考えだってあると思うのです。制度設計 上難しいということはわかっていますが、是非知恵をしぼっていただいて、なんとかで きないかという点でご検討をお願いしたいと思います。  それから施行日の件についても、重複になるかもしれませんが、可能なものについて は、公布の日から施行するということにしてもいいのではないかと思いますので、それ も可能なものであれば、是非そうしていただきたくお願いをしたいと思います。 ○雇用保険課長 いまご指摘があった施行日であったり、あるいは見直しの適用をどう いう形で出させていただくかということでございますけれども、まず最後にあった施行 日の点については、やはり全国斉一的に用意ドンで対応するということから考えると、 今後の国会審議のほうを踏まえて、それで成立をした上で公布されてという形になりま すので、やはりなかなか全国的に斉一的にどの時点からということになりますと、なか なか確定的な日付けを含めて、施行していくということになるざるを得ないのではない かということが1点。  もう1点、いまの4月1日以降の関係でいきますと、やはり成瀬委員も重々承知のとお りの制度設定のところもございましたけれども、雇用保険でございますので、離職され て、それでそのあと窓口のほうに来ていただいて、受給資格の、先ほどの要件等とを照 らし合わせたりとか、そういうことも含めて受給資格の決定をするということをした上 で、失業の認定給付が始まるということでございます。既に受給した方も含めて、いろ いろと4月1日前ということになりますと、改めて受給資格の決定をし直さなければいけ ないとか、そういう形で制度の設計上もなかなか難しいということもあります。我々と すると、今後の国会審議も含めてということは当然あるわけでございますけれども、こ れまでの過去の法改正を含めての給付体制の見直しからいくと、格段のぎりぎりのとこ ろの準備期間での施行という形を、我々としてはこの4月1日で予定させていただいてお るということでございます。  あと雇用保険制度としては、そういう制度のまさしく成瀬委員がおっしゃったとおり の、制度設計上のこういう対応になるわけでございますが、雇用対策全般としましては、 いま足下の雇用状況等と踏まえて、政府全体としては前回の分科会でもご説明させてい ただいたような点も含めて、いろいろな対応させていただいているということです。ま ずは離職者が出ていかないようにということで、雇用維持を図るための雇用調整助成金 の活用であったりとか、あるいは雇用保険とは別の制度としましても、就職安定資金の 貸付制度というものも新たに設けていく中で、そういったものの活用も含めて、雇用対 策全体として、いま言ったような状況への対応ということをしっかりやっていきたいと いうことです。 ○大橋分科会長 ほかにございますでしょうか。それでは法律案要綱につきましては、 まず当分科会の雇用保険部会でご議論をいただき、その結果を当分科会に報告していた だくということで進めたいと思いますが、よろしいでしょうか。                  (異議なし) ○大橋分科会長 それではそのようにさせていただきます。次の議題は「雇用保険法施 行規則の一部を改正する省令案について」でございます。事務局からご説明をお願いい たします。 ○雇用開発課長 雇用開発課長の水野でございます。お手元の資料No.3-2をご覧いただ きたいと思います。案件といたしまして、雇用調整助成金の対象労働者の範囲の見直し ということでございます。雇用調整助成金と申しますのは、お手元の資料の左側の欄に ありますように、事業活動の縮小を余儀なくされた企業が、休業等を行って労働者の雇 用を維持した場合に、それにかかった費用の助成をするというものです。この雇用調整 助成金につきましては、昨年の12月から中小企業を対象といたしました「中小企業緊急 雇用安定助成金」というものを作りまして、助成率の引上げ等を行っているところでご ざいます。  雇用調整助成金と、中小企業緊急雇用安定助成金につきまして、資料2枚目の欄にご ざいますが、これまでの雇用保険の被保険者のみを対象労働者としてきたわけですが、 昨今の大変厳しい雇用情勢を踏まえまして、より多くの非正規労働者を助成対象とでき ますように、雇用保険の被保険者以外であっても雇用期間が6ヶ月以上あれば、この雇 用調整助成金等の対象労働者にさせていただきたいというふうに考えているわけでござ います。  お手元の資料No.3-1にお戻りいただき、表紙をおめくりいただき、別紙という資料で ございます。第二の「施行期日等」というところにありますように、いまご説明いたし ました対象労働者の範囲の見直しにつきまして、改正省令の公布の日から施行いたしま して、その上で昨年の12月9日に遡り適用させていただきたいというふうに考えている ところでございます。簡単ではありますけれども以上でございます。 ○大橋分科会長 本件についてのご質問、ご意見がありましたらお願いいたします。 ○成瀬委員 質問になります。こちらは省令事項なので遡って適用できるということな のですか。 ○雇用開発課長 中身は不利益処分ではないので、そういう意味で原則としては遡れる ということです。予算的にも、既存の予算と一時補正の予算で担保できるということで すので、それであれば省令でご了解いただければ遡ってできると考えています。 ○大橋分科会長 ほかにご意見はございますか。ないようでしたら当分科会としては厚 生労働省案を妥当と認め、その旨私から労働政策審議会長にご報告申し上げますが、よ ろしいでしょうか。 (異議なし) ○大橋分科会長 事務局から報告文の案をお配りいただきます。                (報告文(案)配付) ○大橋分科会長 お手元の案のとおりですが、これでよろしいでしょうか。 (異議なし) ○大橋分科会長 それではそのように報告します。  次の議題は「職業安定法施行規則の一部を改正する省令案等について」です。事務局 からご説明をお願いします。 ○若年者雇用対策室長 資料はNo.4-1から資料No.4-5までです。新規学卒者の採用内定取 消しの関係の省令、告示の改正です。諮問案件は4-1から4-3までの3本です。1本目が職 業安定法施行規則の改正、4-2と4-3が関係する告示の制定もしくは改正ですが、すべて 同じテーマについてのものですので、資料No.4-4に諮問の内容をまとめています。 こちらでご説明させていただきます。  資料No.4-4です。「採用内定取消し問題への対応について」ということで、まず「趣 旨」です。現在の経済情勢の下で、新規学卒者の採用内定取消しの事例も見られている ところです。内定取消しの防止等を図るために、ハローワークにおいて取消し事案を一 元的に把握すること、事業主からハローワークに通知する事項の明確化、このようなこ とによって、企業に対する指導を徹底することが1つです。それから、学生生徒等の適 切な職業選択に資するために、採用内定取消しを行った企業名の公表を内容としていま す。  資料No.4-5に、この辺りの背景についての実態をまとめてあります。厚生労働省でハ ローワークを通じて把握している採用内定取消し件数を、11月末に一度発表しましたが、 2回目の昨年12月26日に発表したもので、12月19日現在で確認できたものです。  いちばん最初に「合計」とありまして、事業所の件数でいうと172件、人数ベースで いくと769人という取消しが把握されております。括弧で(87)(331)と書いてありますが、 これが1月前時点で把握された数です。この数字はハローワークに通知された数ですが、 1年前の平成20年3月卒でいうと、31件94人で、今年は経済情勢の関係もありますが、か なり多くの取消し事案が見られます。  その下に、産業別、規模別、地域別のデータがあります。産業別では、不動産業、製 造業が多くの人数となっています。規模別で見ると、300人以上の企業が多くなってい ます。下に取消し理由別がありますが、企業倒産の場合もありますが、それ以外は経営 の悪化がいちばん多くなっています。  いまの資料の4頁のこれまでの取組みです。11月末に一度数字を把握して、「当面の 取組み」にありますが、11月28日からハローワークに特別相談窓口を設置しています。 それから、いま「新規学校卒業者の採用に関する指針」ということで、事務次官通達に 基づくもので指針を定めていまして、これをハローワークから事業主に改めて周知して います。あるいは事業主団体に、採用内定取消しの防止について要請を行ってきました。 それから、文部科学省あるいは大学と連携して、取消し事案を的確に把握して、このよ うな相談窓口につなげていく取組みを行っています。  その後、12月に入って、「与党新雇用対策に関するプロジェクトチーム」において、 さらなる取組みが提言されています。今回はこれを受けた形のものですが、マル1「内 定取消しに関する相談、企業指導等の強化」ということで、この中でハローワークによ る取消し事案の一元的把握あるいは企業名公表が言われています。その提言の中のマル 2からマル4は、例えば特別奨励金や雇用調整助成金というような、助成措置の面からの 支援です。この提言を受けて、12月9日に政府として「新たな雇用対策」をまとめて、 可能なものから順次実施ということで取り組んでいます。  5頁です。経済団体、事業主団体の方への要請ということで、大臣をはじめ、これま で取り組んできています。それと、今回諮問でお願い申し上げる企業名公表等を含む企 業指導の強化ということで、職業安定法施行規則を改正するということになっています。  6頁以下は、それ以外の特別相談窓口ということで、ハローワークに設置しているも の、あるいは平成21年度予算で、例えば内定取消しされた学生を正規雇用した企業に対 する奨励金という形で、措置をとっています。このような取組みの一環としてお願いし ているものが、資料No.4-4です。  資料No.4-4をご覧ください。1番の「趣旨」を実現するための改正の内容が2番以下に 書いています。職業安定法施行規則、省令の一部改正と、それに関係する告示の制定と いうことで、2番にまとめています。  (1)ハローワークによる内定取消し事案の一元的把握ということで、これは省令の中で 書くことにしています。※の現行規定で、現在も内定取消し事案について、事前通知制 度がありまして、ハローワークまたは施設の長、「施設の長」というのは、例えば職業 紹介を行う大学ですが、「又は」ということで、いずれかに通知することになっていま す。ただ、施設の長に通知があった場合は、ハローワークに連絡するという仕組みにな っていますが、ハローワークで一元的に把握する、それから迅速な対応を図るというこ とで、仮に内定取消しを行わざるを得ないような事業主がいれば、ハローワーク、施設 の長の双方に通知していただくことが1つ目です。  (2)事業主がハローワークに通知する事項の明確化です。これも現在の通知制度があり ますが、特段様式等の定めもなく、通知する場合はその旨を通知するとなっています。 そこの(注)にあるような、しっかりした様式を定めて事業主から報告をいただく。そ のときに、特に内定取消しを実施しなければならない理由、取消しを回避するためにど のようなことを検討したか、学生生徒へどういう説明をしたか、学生生徒に対して例え ば関連会社へのあっせんなどの支援を行ったか、というようなことを記載事項として明 確化したいと考えています。  (3)採用内定取消しを行った企業名の公表です。これは省令と告示に分けて書くことに しています。厚生労働大臣が(1)(2)によって、事業主からの通知があった内定取消しの 内容について、一定の場合に該当するときについては、学生生徒等の適切な職業選択に 資するように、その内容を公表することができるものとするというものが1つです。あ とはハローワークからその管轄区域にある大学なり高校に、この公表された情報を提供 するということです。  そこの(注)にあるように、内定取消しについては、学生側の責めに帰すべき理由が ある、例えば卒業が条件になっている場合は卒業できなかった場合などのようなケース は、ここでの対象には入れません。  どのような場合が厚生労働大臣が定める場合に該当するかについては基本的に告示で 定めることにしています。「内定取消しの内容が、次のいずれかに該当する場合とする もの」として、マル1からマル4の要件を置いています。ただ、全体を通じて、先ほどあ ったように倒産による案件もかなりありまして、倒産によって翌年度の新規学卒者の募 集・採用が確定的に行われない場合は除くということです。  マル1は2年度以上連続して行われた場合です。マル2は同一年度内において10名以上の 取消しが行われた場合で、この場合は経営上の理由でギリギリの判断で行う場合もあり 得ることから、その対象となった学生の安定した雇用を確保するための措置を講じて、 実際に安定した雇用が速やかに確保された場合は、公表の対象から除くこととしたいと 考えています。  マル3は生産量その他の事業活動を示す最近の指標、雇用者数その他雇用量を示す最近 の指標などにかんがみて、事業活動の縮小を余儀なくされているものとは明らかに認め られないときに内定取消しが行われた場合です。ここでは例として掲げていますが、例 えば生産量も雇用量も増加しているとしても、それだけでは急激な経営悪化の場合もあ るので、今後の事業縮小の見通しもお聞きした上で、今後の事業縮小の具体的見通しも 存在しないような場合です。例えば単に「先行き不透明だから」という理由で、内定取 消しを行ったような場合が、典型的に該当すると考えています。  マル4は取消しを行う場合の手続的な部分に関するものです。「次のいずれかに該当 する事実が確認されたもの」ということで、1つ目に「内定取消しの対象となった新規 学卒者に対して、内定取消しを行わざるを得ない理由について十分な説明を行わなかっ たとき」です。いくつか報道されている例もありますが、単に内定を取り消す旨の電話 を掛けただけ、あるいは単に内定を取り消す旨が書かれた通知を送っただけであって、 その後学生が問い合わせても説明をしてくれないというような場合は、典型的に当ては まると考えています。  2つ目は「内定取消しの対象となった新規学卒者の就職先の確保に向けた支援を行わ なかったとき」です。例えば関連会社へ就職あっせんの努力をする、あるいは最低限ハ ローワークで支援が受けられることを学生に伝えていただいて、つないでいただく。そ ういう連絡すら、何ら行わないような場合がこれに該当すると考えています。  いずれにしても、これから就職活動を行う学生の職業選択に資するようにという趣旨 です。  大きな3番です。雇用対策法に基づく大臣の告示がありまして、平成19年に定めた「青 少年の雇用機会の確保等に関して事業主が適切に対処するための指針」です。例えば年 長フリーターに対して採用の機会を与えてほしいというようなことが書かれていますが、 採用内定に関する事項についても、規定があります。現行のこの指針においては、内定 者に対しては、文書によって採用の時期、採用の条件、内定の取消し事由などを明示す る。学校の卒業を採用の条件としている場合は、内定時にその旨を明示するよう留意す る、ということが規定されています。今回の内定取消し防止の取組みの一環として、こ この規定を補強したいと考えています。  マル1からマル5まであります。これは現行の新規学卒者の採用に当たっての指針とい うことで、現在事務次官通達で定めて、各事業主に周知を図っている内容について、改 めて大臣告示ということで書きたいと思っています。  マル1採否の結果を明確に伝える、マル2採用内定に当たっては、確実な採用の見通し に基づいて行う、マル3労働契約が成立したと認められるような場合は、合理的理由が なければ取消しが無効とされることに十分に留意する、マル4内定取消しを防止するた めに最大限の経営努力を行うなどあらゆる手段を講ずること、マル5就職先の確保につ いて最大限の努力を行うとともに、補償等の要求については誠意をもって対応すること ということで、これらの内容を追加したいと思っています。  4番目の「施行期日等」です。省令1つ、告示2つですが、すべて内定取消し防止の一 連のものですので、省令は公布日施行、2つの告示は省令の施行日から一緒に適用した いと考えています。  適用の関係ですが、内定取消しを行った企業名の公表は、施行日以後に就業開始を予 定していた新規学卒者に係る内定取消しについて適用するということで、具体的に言え ば平成21年3月卒業者に係る内定取消し事案について適用ということです。例えば11月、 12月とか、省令、告示の公布施行日前の案件であっても、適用するということです。た だし、施行日前に行われた内定取消し事案については、施行日のあとに公表の対象とな る要件に該当しなくなった場合、例えば内定取消しを一部撤回するとか、就職先を確保 するような形で、公表の対象となる要件に該当しなくなったとき、あるいは対象となっ た新規学卒者の安定した雇用が確保されたときについては、適用しないという経過的な 措置をしたいと考えています。  いずれにしても、例えば4月以降に就職活動をする学生については、前の年度に行わ れた内定取消し事案のうち、一定の要件に該当するものについては幅広く情報提供して、 翌年度の就職活動に役立てていただきたいという趣旨です。私からの説明は以上です。 ○大橋分科会長 本件について、ご質問、ご意見がありましたらお願いします。 ○長谷川委員 今回の内定取消しに対する対応は重要だと思っています。資料No.4-1の 省令改正の中で、内定取消しを行おうとする場合においては、ハローワークに通知する となっているのですが、通知しなかった場合に企業に対する制裁はあるのでしょうか。 罰則規定はないようですが、もし制裁がないとすれば、私は本来はこれは制裁を加える べきで、罰則を掛けたほうがいいのではないかという意見です。  もう1つ意見ですが、資料No.4-3の二で、「採用内定の時点で労働契約が成立したと見 られる場合には、解雇の場合と同様、合理的理由がない場合には取消しが無効とされる ことについて十分に留意し、採用内定取消しを防止するため、最大限の経営努力を行う 等あらゆる手段を講ずること」というのは、いい記載だと思うのです。職業安定局とし ては青少年の雇用機会の確保に関してはこれでいいのですが、局は違うと思うのですが、 こういう内定取消しの場合は労働契約にかかわることなので、労働契約法もできたわけ ですし、判例も大日本印刷などで確立しているので、そういうものについては労働契約 法の中で内定取消しの条項を作って、解雇権濫用法理と同様に扱うことを明記するほう が、企業にはよくわかると思うのです。行政の指導ですと一定の限界があるのですが、 法律に書かれれば、解雇と同じように扱われて無効になることが明確化されます。  最近、労働審判の取扱件数が増えていて、今後労働審判にいく事例も出てくると思い ます。労働審判にかけるときに、こういうものは労働契約のような法律が必要なので、 これは安定局の仕事ではないと思うのですが、是非労働契約法の中に採用内定の項も入 れるような努力を同時に行っていただきたかったのですが、この時点ですので、将来の 会議の中でその旨を労働基準局等に伝えていただければと思います。 ○若年者雇用対策室長 通知については、法律上罰則が付いていないのが現状です。あ くまでも職業安定法上の行政指導の規定があって、それを受けて省令で通知するものと するものです。ハローワークあるいは労働局として、とにかく通知を出していただくよ うに強く指導していくことで、当面の対応はしていきたいと思っています。  労働契約法の関係では、労働基準局ともいろいろと話をしながら進めています。12月 に労働基準局でパンフレットを作っていまして、「厳しい経済情勢下での労務管理のポ イント」ということで、その中で採用内定取消しについて、労働契約が成立したと認め られる場合には、労働契約法第16条の解雇権の濫用についての規定が適用されますとな っています。法律の条文そのものには書いていませんが、少しわかりやすくしたパンフ レットがあります。  それから、先ほどご指摘のあった大日本印刷の裁判例をそこに付けたものを作成して、 事業主向けに配付していますので、問題意識は労働基準局に伝えたいと思いますが、当 面の迅速な取組みとしては、パンフレット、事業主への周知、解釈として労働契約法第 16条の適用があるということで進めたいと思っています。 ○成瀬委員 質問です。資料No.4-4の2頁で「厚生労働大臣が定める場合に該当するとき」 ということで、「内定取消しの内容が、次のいずれかに該当する場合」とあります。 「いずれか」ですので、どれか1つでも該当すればということだと思います。  1つ目は、10名以上の場合はマル2になりますので、1から9名の場合でも、マル1マル3 マル4のどれかに該当する場合ということだと思うのですが、その際のマル4で、「次の いずれかに該当する事実が確認されたもの」ということで2項目あります。数人の内定 取消しをした場合で、そのうちの1人でもこれに該当した場合は対象となるのでしょう か。例えば企業が5人内定取消しをして、そのうちの1人でも新規学卒者の就職先の確保 に向けた支援を行わなかったことが発覚した場合には、企業名公表の対象とするという 理解でいいのでしょうか。  2つ目は、マル2で「同一年度内において十名以上の者に対して行われたもの」とあり ますが、括弧書きがあって、「内定取消しの対象となった新規学卒者の安定した雇用を 確保するための措置を講じ、これらの者の安定した雇用を速やかに確保した場合を除く」 とあります。ということは、安定した雇用を確保するための措置を講じなかった場合、 またはそういう措置を講じたけれども、これらの者の安定した雇用を速やかに確保でき なかった場合は、企業名公表の対象とするという理解でいいのでしょうか。 ○若年者雇用対策室長 1点目ですが、マル4で、例えば1人の内定取消しで十分な説明 を行わなければ、当然当てはまります。こういうことがあるのかわかりませんが、5人 のうちの1人だけに全く説明を行わないことがあれば、基本的にはそれも対象になると 思います。ただ、4人に十分な説明を行って1人だけ行わないという、例えば連絡が付か ないとか、そのような理由があるのかどうかは斟酌しないといけないと思いますが、1 人でもいずれかに該当すれば、基本的に要件に当てはまると考えています。  マル2の括弧書きについては、10名以上のときに雇用を確保するための措置は講じて いただく必要があります。例えば別の就職先を確保するための企業としてのプログラム なりを作っていただいて、その上でほかの就職先を確保するという、両方が必要だと考 えています。ただ、例えば進路を進学に変更する人がいたり、取り消された企業自身で の就職支援を希望しない学生がいれば、そういう人は除いた上でという話になるとは考 えていますが、基本的に雇用を確保するための措置を講じていただいて、その上で就職 先も確保されることの両方が必要だと思っています。 ○成瀬委員 2点目の質問の答弁に再質問します。「これらの者の安定した雇用を速や かに確保した場合」というのは、本人が進学に希望を変えたとか、明らかに提供された 就業先は嫌だという、純粋な本人の希望の場合は除くということでいいと思うのですが、 それら以外の場合については、「速やかに確保した場合」ということでいいのでしょう か。確保に向けた努力では駄目で、確保したということでないと駄目、それのみに限る という理解でいいのですね。 ○若年者雇用対策室長 単に努力しただけで、結果的に全く確保されていない場合は、 入りません。先ほどのように個別の人で、とにかくたくさん求人は紹介されたのだけれ ども、ことごとく拒むとか、進学への進路変更など、個別の事情がある場合は除くので、 そういう事情も考えないで100%すべて確保しなければならないという機械的なもので はありません。 ○成瀬委員 そういう人は除いて、全部確保されたということですね。 ○若年者雇用対策室長 そのように基本的に考えています。 ○斉藤委員 同じところのマル4で、十分な説明を行わなかったときはこの対象になる ということですが、「十分な説明」というのは、どのように理解をすればいいのでしょ うか。例の中では、「学生からの問合せがあっても説明を行わない場合」とありまして、 これは説明をしていないので明確です。「十分な」というのは、学生側が捉えて十分だ と判断する要件が入っているのか、それとも説明する側が十分に説明したということで もって足りるのか。「十分な」というのが非常に曖昧に感じるのですが、いかがでしょ うか。 ○若年者雇用対策室長 ここはそこの例にあるとおり、単に電話1本で内定は取り消す と、それでも一応説明は行ったと言えるのかもしれないのですが、それだけでは足りな いと。例えば経営状況が厳しいのであれば、「こういう経営状況の中で会社がこのよう な事情にあって」というようなことを、一通り説明していただく必要があると考えてい ます。 ○斉藤委員 解釈によってはどうとでも解釈できるような感じがするものですから、十 分な説明というのは、少なくとも「学生が十分に納得する要件はこういうことではない か」ぐらいのことは示しておかないと、書いてあるだけの文言になるような気がしてし ょうがないわけです。 ○大橋分科会長 ここに例が書いてありまして、この程度だけでは駄目ですということ ですので、もっとやりなさいということです。ただ、そのやり方はいろいろあると思う ので、書き様としてはこれぐらいかなと思うのです。  ただ、この点と違って1つ気になったのは、あっせんの努力のところです。成瀬委員 から、「努力しても結果が伴わなかった場合にどうするのですか」という質問がありま した。この場合に、解雇権濫用法理に沿って考えれば、努力しても仕方がないというと きにはどうなるのでしょうかと。 ○若年者雇用対策室長 マル4の2つ目は、あっせんの努力で、こちらは就職先の確保に 向けた支援なので、こちらは結果までは伴わなくていいのですが、マル2は単に努力し ましたというだけでは緩いのではないかと考えているために、ここに結果までを含めた 要件を課しています。個別事情で、事業主ではどうしようもないような、学生本人の都 合でという場合は除くということで、その部分は配慮しているつもりです。 ○大橋分科会長 わかりました。そのほかにご意見はございますか。特にないようでし たら、当分科会としては厚生労働省案を妥当と認め、その旨私から労働政策審議会長に ご報告申し上げますが、よろしいでしょうか。 (異議なし) ○大橋分科会長 それでは、事務局から報告文(案)を配付してください。                (報告文(案)配付) ○大橋分科会長 お手元の案のとおりですが、これでよろしいでしょうか。 (異議なし) ○大橋分科会長 そのように報告します。次に「その他」ですが、事務局より説明をお 願いします。 ○総務課長 職業安定局総務課長の宮川です。資料はありませんが、派遣労働者を含め た非正規労働者に係る雇用失業情勢に鑑みまして、ハローワークにおける非正規労働者 に対する支援の取組みの現状について、簡単にご報告させていただきます。  非正規労働者の安定した就職を支援することは重要な課題となっていまして、昨年12 月15日に全国の主要なハローワーク187カ所に、「安定就職コーナー」などの名称で、 担当者制による一貫した職業相談、職業紹介、キャリア・コンサルティング、職業訓練 などの、さまざまな就業支援を提供するコーナーを設けました。あるいは東京、大阪、 愛知の3カ所については、特別の非正規労働者就労支援センターということで、「キャ リアアップハローワーク」という名称で立ち上げたところです。また、年末の29、30日 においては、キャリアアップハローワークを含めた全国のハローワーク61カ所で、緊急 職業相談窓口を実施したところです。  その支援内容としては、先ほど言ったような担当者制によるきめ細かな就職支援、そ の中には住居喪失者のニーズに応じて、社員寮付き、あるいは住込み可能な求人なども 用意して、職業相談、職業紹介等を実施したところです。  併せて、雇用促進住宅の最大限の活用、あるいは住宅生活支援の資金貸付で、これは 労働金庫でやっていただいています。そのようなツールも含めて、現在非正規労働者に 対する支援を行っている現状です。  それから、新聞等で報道されている、日比谷公園の年越し派遣村入所者に対する就労 支援も簡単にご説明します。年越し派遣村自身は、1月5日に閉鎖されたところですが、 現在入所者については、中央区2カ所、練馬区、大田区の4施設に分散して入所されてい ます。就職希望者に対しては、ハローワークにおける就労確保は重要な課題となってい ます。  現在、これらの4施設における就職希望者に対して、就労確保のためのさまざまな支 援ということで、先ほど申しました寮付きあるいは住込み求人の紹介、就職安定資金の 活用あるいは雇用促進住宅を含めて、それぞれ4カ所の施設に、ハローワークから出張 相談の形で、今週の月曜日から行う予定でしたが、入寮の手続等で夕方以降に入られた ということですので、昨日以降に取り組んでいるところです。現状を簡単に口頭でご報 告しました。 ○大橋分科会長 何かございますか。 ○長谷川委員 いろいろな緊急対策をやったことはよかったと思います。私どもの心配 は、先ほど成瀬委員も話をされていましたが、製造業の派遣は3年が最大だったので、3 月に雇止めが出てくるのではないか。その人々に対する対応が十分かを省でも検討して いただいて、3月の製造業派遣に対する対策を引き続き行っていただきたいと思います。  それと、製造業で働いている派遣労働者は、働きたいという意識をはっきりと持って いますので、出張相談も作ったと聞いていますが、なるべく期間を置かないで働けるよ うな環境づくりにも引き続き努力していただきたいと思います。 ○職業安定局長 いまの点については、我々も問題意識を共有していますので、年度末 に向けて総合的な支援対策をしっかりやっていきたいと思っています。  1つは、できる限り雇用を維持していただくことは大事ですから、雇用調整助成金を 中小企業の場合には5分の4まで補助しますので、そういうものを使ってやっていきたい と。あるいは派遣先への就労というのも助成金を作ったので、こういう形での雇用維持 をやっていきたいと思っています。  ただ、やむを得ず離職される方はおられると思いますので、その方の就職支援、生活 支援、住宅支援も含めて、しっかりやっていきたいと思っています。かなりの部分は雇 用保険の適用はあると思うのですが、雇用保険のある方は雇用保険を使いながら支援し ていきたいと思っていますし、そうでない方は、いまの生活資金などもやっていきたい と思っています。福祉部門との連携も必要だと思いますので、総合的な体系的な対応で、 またいろいろとご意見を伺いながらしっかりやっていきたいと思っています。 ○長谷川委員 そのほかなのですが、昨年大分キヤノンで、「労働組合は加入対象とな りません」と記載された求人票が出されまして、これは労働組合に加入しないことが雇 用条件であると受け止められかねない不適切な記載として、いろいろなところで報道さ れたわけです。全国のハローワークで、こういう求人票が出ているのか出ていないのか を調査していただいて、不適切なものは排除することで、再発防止の徹底をお願いしま す。 ○首席職業指導官 大分キヤノンの件もありまして、昨年12月に緊急の職業安定部長会 議を開催しました。その際に、私からその事案を例に上げ、こういう不適切な問題が二 度と起こらないようにということと併せて、そういうことがないかどうかのチェックを 窓口の求人の確認の際に、業務を徹底する指示をしたところです。 ○大橋分科会長 ほかにございますか。特にないようでしたら、本日の分科会はこれで 終了します。ご協力ありがとうございました。 (署名委員指名) どうもありがとうございました。 (照会窓口)                       厚生労働省職業安定局総務課総務係 TEL:03-5253-1111(内線 5711)