08/12/26 第63回社会保障審議会介護給付費分科会議事録 社会保障審議会 第63回介護給付費分科会議事録 1 日時及び場所 平成20年12月26日(金)午後2時00分から午後5時00分まで   厚生労働省低層棟2階 講堂 2 出席委員:池田、石川、稲葉、井部、大森、大島、沖藤、小島、勝田、川合、神田(代  理:牧野参考人)、木村、久保田、齊藤、武久、田中(滋)、田中(雅)、池主、対馬、  中田、三上、村川、矢田(代理:森田参考人)の各委員、堀田専門委員 3 議題  <審議事項>  1.平成21年度介護報酬改定に係る諮問ついて  2.その他 (鈴木老人保健課長)  それでは、定刻となったので、第63回社会保障審議会介護給付費分科会を開催させていただく。  初めに、本日の委員の御出欠の状況だが、山本委員から御欠席との御連絡をいただいている。  また、本日は神田委員に代わり牧野参考人、矢田委員に代わり森田参考人に御出席いただいてい る。  したがって、23名の委員の先生方に御出席いただいているということであるので、過半数に達し、 会として成立するということを御報告させていただく。  また、本日も堀田専門委員に御出席をいただいている。  なお、対馬委員は所用のため、途中で退席をされる。  それでは、以降の進行を大森分科会長にお願いする。 (大森分科会長)  本日、諮問、答申であるので、よろしくお願いする。  最初に資料の確認をお願いする。 (鈴木老人保健課長)  それでは、お手元の資料について確認をさせていただく。  議事次第、座席表、委員名簿があり、その後、資料である。  資料1は1−1から1−5までであるが、これが諮問関係、答申関係のものである。  資料1−1、これは「平成21年度介護報酬改定について〜骨子〜」である。  それから、資料1−2、同じく改定の概要、この概要を更にかいつまんだものが骨子というよう に御理解をいただければと思う。  それから、資料1−3、これは舛添厚生労働大臣から社会保障審議会の貝塚会長にあてた諮問書 「平成21年度介護報酬改定について」ということで、文面は略させていただくが、最後の一文で「別 紙のとおり改正することについて貴会の意見を求めます」ということになっている。  別紙であるが、印刷物が入っている。相当分厚い印刷物であり、全部で329ページある。これは、 省令告示等の新旧の対照表になっているが、これは説明すると恐らくかなり時間がかかるので、先 ほどの資料1−2を中心に今日は御説明を差し上げたいと思う。  それから、お手元には資料1−4、これは「介護報酬の算定構造」ということで、どういう構造 になっているかということがサービスごとにわかるようになっている。  また、資料1−5が「介護サービス算定実績」ということである。それぞれのサービスもしくは その加算の算定の回数がわかるということになっている。  資料2は、「「調査実施委員会(仮称)」の設置について」という1枚紙である。  そのほか、参考資料等になるが、参考資料1は「平成21年度介護報酬改定の経緯」という横長の 2枚紙である。平成19年12月10日に始まり、第50回から14回、御討議をいただいてきたところ である。  それから、参考資料の2、これは前回62回までの先生方の御発言、そして提出していただいた資 料についての御意見を私どもの方で集約をさせていただいたものである。  それから、参考資料3、4、5については、これは12日にまとめいただいた改定に関する審議報 告、この本文が参考資料5になっている。その概要は参考資料4で、それを更にポンチ絵的にわか りやすくしたものが参考資料3ということになっている。  今日の御説明は特段これについて言及をしないが、参考資料3を見ていただくと今回の大きな眼 目である介護従事者の処遇改善というものが負担の大きな業務の評価、それから専門性、定着促進 に関する評価、そして地域差への対応という3つの柱の観点に立って評価をしているということが おわかりいただけると思う。今日は、それに沿って御説明を差し上げたいと思う。  事務局からは以上であるが、その後、川合委員の提出資料で、「平成21年介護報酬改定に向けて の意見書」というものがある。また、恐縮であるが、資料番号は振っていないが、持続可能な社会 保障構築とその安定財源確保に向けた中期プログラム、今年の12月24日に閣議決定したものにつ いて手元にお配りしている。  そのほか、このテーブルに座っておられる方の机上にはブルーのファイルが置いてあると思うが、 これは今まで会議のときに出させていただいたそれぞれのサービスに関する資料について、目次も 含めて耳を付けて出させていただいている。もし必要があれば御参照いただければと思う。  以上である。   (大森分科会長)  それでは今、説明があった資料に即して、21年度の介護報酬改定に関する諮問に関わる資料につ いて説明いただく。 ○鈴木老人保健課長から資料1−1から資料1−5までについて説明 (大森分科会長)  今説明があったこの単位報酬の改定と、指定基準の見直しが全部含まれているのは別添になって いるが、今説明していただいたものが全部この中に組み込まれていて、これが私どもに対する諮問 の内容になっている。  この諮問内容について多分いろいろ関係して御意見等があると思うが、それはこれが終わった後 に十分お聞きするので、まずこの諮問の内容に関わって御質問あるいは御意見があれば賜るという ことにさせていただく。それで、答申まで行き着いた上で休憩をさせていただきたいと思うのでよ ろしくお願いする。 (三上委員)  2点ほどお伺いする。  32ページの「居宅療養管理指導」の部分であるが、これは看護職員によるものが追加されている が、訪問看護ステーションからもということは、その前に医療機関からは当然いけるということが 含まれているということでよろしいか。 (鈴木老人保健課長)  はい。 (三上委員)  それから、もう一つは全体の中で居住系施設入居者というような文言がよく使われるが、診療報 酬の告示における居住系施設という場合と、介護報酬における居住系施設というので少し扱いが違 うというか、特別養護老人ホーム、老人福祉施設が診療報酬上では居住系というのは在宅の方に見 られが、介護報酬の中では施設系と変わるが、この辺の不統一というのか、不整合について何か意 味合いがあるのかということと、在宅とか居宅というような文言の使い方、使い分けというのは、 厚生労働省としてはどのような理念で使い分けておられるのかを教えていただきたいと思う。 (大森分科会長)  それでは、今のことについて回答願う。 (鈴木老人保健課長)  前段の点については、御指摘のとおりである。  後段の点について、少しテクニカルなことになってしまうかもしれないが、診療報酬と介護報酬 で原則的には変わらない部分がほとんどだが、一部、特別養護老人ホームで末期のがんのような場 合には居宅施設として診療報酬上は認めている部分がある。これは、確かに三上委員が御指摘のよ うに、24年の介護報酬の改定、診療報酬の改定が同時であるので、用語の統一、考え方の整理とい うのを将来に向けてしっかりしたいと思っている。  また、在宅、居宅の用語の使い方についても、我々としても一応心をして自宅の部分と、施設で はないが、自宅に変わり得るいわゆる多様な住まいの部分というところを言い表しているつもりで はあるが、少しその辺の用語も整理をさせていただいて、きちんと見直しをさせていただきたいと 思う。 (大森分科会長)  法律用語は居宅だろう。 (鈴木老人保健課長)  法律は居宅である。 (大森分科会長)  私の記憶では、介護保険制度をつくったときに内閣法制局は認めなかった。通常、居宅とは言わ ないだろう。在宅がわかりやすいではないかと言ったが、法律を守っている人たちが認めなかった。 だから、法律用語は居宅ということになっているが、現場では余り居宅と言わないで在宅という用 語を使うが、法律用語は居宅で一貫しているのではないか。そのように理解しているが、今のよう なことで三上さんよろしいか。  それでは、沖藤さんどうぞ。 (沖藤委員)  今回の改定は、全般に期待していたというほど高くはないような気がするが、御努力の跡が見え るようにも思う。  ただ、いろいろ残念だなと思うところがあるので、それを述べさせていただく。  まず1点目は、生活援助が30分以上1時間未満というところで、2時間提供が認められなかった ことは非常に残念である。今、買い物難民という言葉があるように、買う場所が非常に集中的にな ってしまったために、年寄りたちは買い物に大変不便をしている。しかも、私たちの足だったら片 道10分くらいで行けるところを、ゆっくりゆっくり休みながら行くから30分はかかってしまう。 買い物に30分かかり、また帰ってくるのに30分かかって、それで90分取ってしまう。買ってきた ものをどうやって整理するのかとか、そのほかの提供メニューが結局、別なケアプランになってし まって、その90分の中に収まらないということがたくさんある。  そのことを私もこの場で何回か申し上げていたわけだが、こういう長時間にわたる生活援助とい うのは擬似家族とか、レンタル家族とか、いろいろな言葉で語られていて、余りいいサービスでは ないように言われていたように思うが、日本人の生活の多様性とか、それからさまざまな生活様式 というのはドイツやデンマークと違うので、その生活様式からの必要性として、私は2時間の生活 援助を強く求めていたので、それが認められなかったことは大変残念に思う。これが1点である。 あと3点である。  2点目には、ホームヘルパーの常勤化の道筋が見えなかったこと、これが大変残念である。今、 ホームヘルパーのサービスの質ということがいろいろな形で言われており、人がいさえすればいい というぐらい非常勤化が進んでいる。そういう中で今、在宅復帰加算もまた付き、在宅復帰、在宅 復帰と言われている中で、果たして在宅生活が可能なのか、質のいい働き手が確保できるのかとい うことを大変私は疑問に思っており、なおかつ利用者として不安に思っている。そういう意味から もサービス提供責任者に触れると、このサービス提供責任者を常勤化するのではなくて非常勤でも いいという形にレベルダウンしたように思うことは大変残念である。  3点目に、利用限度額が今回は触れられなかった。確かに利用限度いっぱい使っている人は少な いが、わずかとはいえ大変な人が多いのは事実である。これは保険者の反対もあったそうだが、訪 問看護が加算で引き上げられているから、重度の方は利用量が減少せざるを得ない。だから、利用 限度額を超えた人の問題ということ、ここに触れられなかったことが大変残念である。  まだ申し上げたいこともあるが、これだけ3点、残念論をまず申し上げておきたいと思う。 (大森分科会長)  承った。  それでは、稲葉さん、どうぞ。 (稲葉委員)  1点、もしおわかりになれば質問させていただきたいのだが、今回介護報酬改定率が全体で3.0% 上がったということで、この1ページに、うち在宅分1.7%、施設分1.3%と書かれているが、もと もとの在宅分からすると、施設分からすると、それぞれ何%上がったことになるのかということが もしわかれば教えていただきたい。 (大森分科会長)  回答をお願いする。 (鈴木老人保健課長)  先ほど申し上げたと思うが、今回は介護従事者の方の処遇改善が主ということであるので、在宅 も施設もほぼ3.0%上がったということである。 (稲葉委員)  わかった。 (大森分科会長)  ほかの方から御質問等あるか。意見はこの後で伺うが、諮問に関わることではよろしいか。  では、どうぞ、森田さん。 (森田参考人)   今回の改定の中で、認知症に関する加算というのがかなりいろいろ入っている。例えば認知症日 常生活自立度がIII以上の利用者に対するケアマネージャーの認知症加算であるとか、特養の入所者 のうち自立度III以上の割合が6パーセント以上の場合の日常生活継続支援加算などにおいて、自立 度III以上の方をきっちり見極めるという事務が出てこようかと思うが、なかなか今、現場の保険者 の実務としては自立度がIIかIIIか判定に争いのあるようなケースというのが結構ある。  主治医の意見書と認定調査員で自立度がIIかIIIか判断が違うようなケースというものもある。も ともと双方の自立度判定というものが一致するのは半分くらいで、IIとIIIだけの食い違いがあるの が全体の1割くらいある。どういう基準でIIIであるということを認めるのかということによって、 保険者の事務が場合によっては増えたり、要介護認定の事務にも影響するので、是非よろしく御検 討いただきたいと思う。  また、これに限らず非常に加算が増えたので、事務が繁雑になることが懸念される。また、報酬 請求の適正化という観点からも、どこまで適正な報酬請求がされているのかということも懸念され る。国保中央会で効果的な電算システムの改善等が不可欠かと思うが、保険者の事務が増えないよ うによろしくお願いしたい。  それから、質問なのだが、介護予防支援を400 単位から412単位に増やしていただいたが、「業 務の実態を踏まえた評価を行う」というのは、具体的にはどの辺りをどうとらえて評価されたのか、 その考え方を教えていただけないか。  もう1つは、小規模多機能居宅介護については、国の定めた要件に基づき市町村で独自の介護報 酬加算ができる仕組みがあるが、これについては変更があるのかないのか、合わせてお聞きしたい。 (大森分科会長)  少し前段のことで回答いただいて、その後をお願いする。 (土生振興課長)  まず御質問の介護予防支援業務であるが、12月3日に資料を出させていただいているので、また 後ほど御参照いただければと思う。実は、経営実態調査でも調査をしたが、なかなか地域包括支援 センターとの区分が明確でないということで、審議に供するデータは取れなかったので、別途実際 に所要時間がどのぐらいかかっているか、いわゆるタイムスタディ調査を実施したという経緯であ る。詳細は、12月3日に提出させていただいた。その結果は、一言で言うと非常にばらつきが大き く、平均値あるいは中間値は相応のところには収まっているが、中には非常に時間を要しているケ ースがあり、なかなか一律に機械的に幾らに上げれば賄えるというところまではできなかったとい うことである  そういう中で、400単位については今回の改定率に準ずる形でまず引上げをさせていただき、更 にそれと合わせて非常に手間のかかっている初回加算については250から300に大幅に引き上げる ということ、それから、特に厳しいという御指摘がある地域差の問題については、地域区分全体の 見直しの中で70%という高いカテゴリーに本体と合わせて予防の方も入るので、そういう3点で評 価をさせていただいたというのが事務局の考え方である。 (菱田計画課長)  小規模多機能に絡む独自報酬と認知症の関係の御質問があった。  現在、独自報酬の要件の一つとして、認知症の方々を積極的に受け入れているということがある が、認知症の方を受け入れていることに関しては今回の加算で新たにつくったので、ある意味 重複している。そもそも独自報酬制度については18年の地域密着をつくったときに導入し、1年半 ぐらい実施してきているが、今回改めて要件も含めて在り方を見直し、また制度としては21年度以 降も続けてまいりたいと思っているので、これも早急に検討した上でまたお知らせしたいと思って いる。 (大森分科会長)  この御発言の中に認知症、自立度を含めて現場の方で判定し、実際に運用するときにできるだけ 現場が困らないようにきめ細かい通知等の準備が要るのではないか。そういう趣旨のことも含まれ ていたと伺ったので、その御配慮をお願いするということでよろしいか。  では、勝田さんどうぞ。 (勝田委員)  居宅介護支援費について御質問をしたいが、たしか実態調査の中でマイナス17%ということで大 変赤字になっているということが報告されていた。それから、平均の取扱い件数が27件くらいだっ たと記憶しているが、今回40件未満の場合は全く現行どおりということで、逆に言うと40件以上 60件とか、60件以上というところでのマイナスになっているが、実際にケアマネからは、きちんと 対応した場合はとてもではないが、そんなに40件以上はできないということをよく聞くが、これは どのような形で現行どおりになったのか。それから、実際問題、60件以上なさっているケアマネさ んというのはどんなプランをなさっているのか。そこら辺をどのように見極められて現行どおりに なったのか。そこをお伺いしたいと思う。 (大森分科会長)  お願いする。 (土生振興課長)  まず御指摘があったようにマイナス17%という平均値であるが、そういう実情である。それから、 平均的な取扱い件数も約27件ということで、御指摘のとおり標準件数に達していなかったというこ とである。  そういう中で、この審議会でもいろいろ御議論をいただいたが、まず40件未満は確かに単位とし ては現行どおりであるが、これまで40件以上を超えると、いわば根こそぎに減算になるというとこ ろをまず改めて、39件までのところの単位はいずれにしてもきちんと確保するということで見直し をしたということが1点である。  それから、もちろんそれだけではない。特定事業所加算もちょっとハードルが高くて取りにくい というお話もあったので、特定事業所加算の2ということで比較的中規模で体制を整えればすべて 300単位上乗せになるという措置も講じているし、更に医療との連携、更には特に手間がかかると 言われている認知症の方だとか、独居の方については150単位の上乗せということであるので、全 体としてまず事業所の規模の拡大と件数を35件に達していただくという中で、また各種加算も活用 していただければ相当の効果があるというように期待しているというところである。  ただ、60件以上のケアプランの中身については今、手元に規模別でケアプランの中身までわかる データはないが、御審議の際にお示ししたとおり、標準件数を前回50件から35件に引き下げたこ とで、ケアプラン作成のプロセスについては相当の改善が見られるというところはデータ上、把握 しているところである。 (大森分科会長)  そういうお答えだが、よろしいか。ほかに御質問等ないか。  どうぞ、武久さん。 (武久委員)  少し教えていただきたいと思う。  18ページの(2)の「緊急短期入所ネットワーク加算」で、前からあるが、連携している施設の利用 定員等の合計が100以上というのが37だが、この連携している施設の利用定員というのはどういう 施設を想定というか、どういう施設でやればいいと思ってよろしいのか。  もう一つは、23ページである。下の(1)のところで常勤の看護師の配置や手厚い看護職員の配置で ある。これは場合によっては特養でも夜勤の看護師さんがいる場合があるが、その夜勤をしている 看護師さんの常勤換算をして、それでプラスして数えるということで多分いいのだろうと思うが、 その辺のところを聞きたいと思う。  それから、30ページである。管理栄養士と栄養士の配置のところで、これは基本サービス費に包 括したというようになっているが、これはほとんどが配置しているということでそうなったと思う が、たまに管理栄養士さんとかが急に辞めたり、病気になったりする場合があるが、そのときに管 理栄養士も栄養士も両方いない期間が短期間あるというような場合も想定されるが、そういったと きはどのように算定すればよいかということである。  それから、少し戻り28ページで(3)のところである。認知症行動・心理症状緊急対応加算の 200点であるが、これはそこに書いているように短期入所サービス及びグループホームのショート ステイとなっているが、例えば特養であれば短期入所枠があるが、老健と介護療養型医療施設には 短期入所枠というのは特にないが、例えば最初に入所ということで入った場合、2週間で退所した り退院した場合にはこれは取れないのか。最初からショートだということを宣言して入ったとき以 外は取れないのかなということである。  それから、31ページで「口腔機能維持管理加算」だが、特養でも老健でも最近は歯科衛生士を雇 用している場合があると思う。その場合には、そこにいる医師の指示でやっていると思うが、ここ には歯科医師と書いているので、例えばどこかよその歯科医師の指示の下に自分の施設で雇った歯 科衛生士が動かないと、これは取れないのかということで、これらについて答えいただけたらと思 う。 (鈴木老人保健課長)  申し訳ないが、最初の方は聞こえなかったことと、それからかなり詳細なテクニカルなことが多 いので、その辺は通知レベルでかなり個別に御相談をさせていただいた方がいいと思うが、今日で き得る限りお答えをする。  最初の連携は資料にも出していたが、特別養護老人ホームのショートステイの場合には専用のシ ョートステイ用の定員もあるので、余りたくさんの施設と連携をしなくても100名が満たせるが、 老健等については非常にいわば余剰ベッドで連携をしているので、それで100人分連携をしないと いけないというと、ほとんどこれが機能しないということがあったので、今の100というところを 30に緩和をさせていただいたということである。 (武久委員)  ということは、自分のところのショートの枠ということか。 (鈴木老人保健課長)  自分のところのショートの枠ではなくて、自分以外のところで30名分を確保できるようなことで 連携をしていただくということである。今まで100だったのが30でいいということである。 (武久委員)  それは同一法人でも関連法人でも他法人でもいいということか。 (鈴木老人保健課長)  これは事業所単位で考えるので、自分の施設でなければいいということである。 (武久委員)  わかった。 (鈴木老人保健課長)  あとは、夜勤と常勤換算についてはおっしゃるとおりだと思う。  それから、管理栄養士もしくは栄養士を包括した場合、もちろん原則的にいていただくというこ とだが、委員がおっしゃったようなことでたまたま端境期でおられなかったからと言って、すぐ例 えば減算とか、そういうことではない。  それから、行動・心理症状についてもう一度説明していただきたい。 (武久委員)  行動・心理症状については、ここにはショートとグループホームと書いてあるので、特養はショ ートの枠があるが、老健と介護型……。 (鈴木老人保健課長)  ショート系というのは短期入所療養介護と生活介護の両方入っているので、特養だけではなくて 療養病床も老健も入っている。 (武久委員)  だから、老健と介護療養型医療施設の場合はショートの定員というものがないので、入所をして 長期入所というつもりで入って2週間で退所する場合もあると思うが、そのときに最初にショート だとすぐに宣言してカルテに書いていないとこれは取れないのかということを言っている。 (鈴木老人保健課長)  実情、底点として療養介護の点を取っていただいている場合には、それで請求していただく場合 にはこの点を取れるということである。  それからもう一点、歯科医師の件だが、今、原則的に歯科医師もしくは歯科医師の指示を受けた 歯科衛生士ということになっているから、医師が入るかどうかについては確認をさせていただく。 (大森分科会長)  それでは、勝田さんどうぞ。 (勝田委員)  認知症の短期集中リハビリが今回60から240ということで、随分上がった。この場合に、やはり 加算対応ということになると跳ね返るので、例えば前提条件として本人や家族の同意が必要なのか どうかということである。 (鈴木老人保健課長)  もちろんすべてのサービスに当たって介護保険の給付を提供する場合には、御本人もしくは御家 族の同意がなければサービスとして給付されない。  最後の武久委員からの御質問だが、この印刷物の通しページの160ページである。右側にある 「(8)口腔機能維持管理加算」のところであるが、現状の書きぶりで2行目からだが、「歯科医師 又は歯科医師の指示を受けた歯科衛生士」ということであるので、この2つの歯科医師または歯科 医師の指示を受けた歯科衛生士が実施した場合のみ、この点数の算定を受けるということである。 (武久委員)  そうすると、個別に雇用している場合は、外のだれかの歯科医師に指示をしていただかないとい けないということか。 (鈴木老人保健課長)  この加算を取っていただく場合にはそういうことになる。 (大森分科会長)  ほかに御質問等はあるか。  では、川合さんどうぞ。 (川合委員)  4ページの上の表の直下にある米印の3なのだが、いろいろな人員のあれがあるが、パーセント というのはこの読みでいくと現在多く雇っているところは若干不利になると解釈していいのか。人 員基準のパーセントというふうに考えていいのか。ここは3通り書いているが。 (鈴木老人保健課長)  ここで書いてあるのは、実際に配置しておられる方の中での割合ということである。 (川合委員)  ということは、現在一生懸命、質の高いサービスを出しているところはコンマ以下か1かはわか らないが、若干不利だということになる。 (鈴木老人保健課長)  不利というように呼ぶのかどうかはわからないが、実際に働いておられる、例えば介護職の方の 中で有資格、介護福祉士を持っておられる方の割合で考えている。 (川合委員)  少し解せないが、人員基準の中の何%を占めるというのならばクリアカットでわかりやすいが、 良質なサービスを提供しているところは当然同じパーセントでも40%、30%になってきた場合、人 員は高くなっていく。 (鈴木老人保健課長)  ここはキャリアの側面であるが、そういう形で厚く評価をしていただいた場合には、先ほど申し 上げたサービスごとに厚くサービスをしていただくところはそれなりにきちんと評価があるので、 ここはあくまでも介護職の方の…。 (川合委員)  もう既に厚くサービスをしている施設のことを聞いている。ぎりぎりのところを聞いているので はなくて。 (鈴木老人保健課長)  厚くサービスを配置していただいているところにはついては、その旨の評価は別途きちんとある。 ここのキャリアアップのところの評価というのは、介護職員の方の中で介護福祉士という資格を取 るというインセンティブをこの中で評価をさせていただくということであるので、介護職員として 配置をしていただいている方の中で実際に介護福祉士の方の割合ということである。 (川合委員)  何か腑に落ちないなというような感じがする。 (大森分科会長)  井部さん、どうぞ。 (井部委員)  今の質問に関連しているのかもしれないが、3ページの「キャリアに着目した評価」に関する要 件のところである。例えば訪問入浴介護は「研修等を実施しており、かつ、次のいずれかに該当す る」とある。この研修等を実施している者の対象というのは上の文章を読むと「職員」だが、この 職員の範囲は職種には限定していないようにも見えるが、欄外に説明が※印で3つあるが、この説 明と、3ページの表にある研修等を実施している対象はどの範囲の職員を指しているのか、教えて いただきたい。  例えば、訪問看護は「研修等を実施しており」だけだが、この職員はどの範囲になるのか。 (鈴木老人保健課長)  説明したように、実際の省令告示の改正案はこの厚いものに別紙として書いている。これを全部 説明申し上げるとかなり時間がかかってしまうということで今は省略をさせていただいたが、例え ば訪問看護における研修等とは何を指すのかという御質問ならば、通しページで言うと17ページの 右側に四角がある。  ここの中で「※」印に「別に厚生大臣が定める基準の内容は以下のとおり」ということで、これ は別告示になっている。別告示の中の「(1)次に掲げる基準のいずれにも適合すること」となってい て、その中で(1)のところは「当該指定訪問看護事業所のすべての看護師等に対し、看護師等ごとに 研修計画を作成し、当該計画に従い、研修(外部における研修を含む)を実施又は実施を予定して いること」、ここまでが告示のレベルである。具体的にどういうところの研修を言うのかというのは 前例も踏まえて、通知レベルできちんと規定をするということになる。 (大森分科会長)  今やっていることと変わらないのではないか。この読み方は、現在行っていることと変わらない 趣旨ではないか。 (井部委員)  確認だが、訪問看護ステーションには例えば看護師、准看護師、そのほかの職員、いわゆる勤務 している者がいる。  だが、訪問看護だと、訪問看護に関係する、例えば看護師、准看護師が研修等の実施という要件 に関わるというように考えるのか。 (鈴木老人保健課長)  訪問看護ステーションからいわば直接処遇として実施していることは、看護師の方も准看護師の 方も、もしかするとPT、OTの方もいると思うが、そういう方の中での割合ということである。 (大森分科会長)  よろしいか。  では、田中さんどうぞ。 (田中(雅)委員)  資料1−2の29ページと、別紙の見直し案の121ページに関連して質問をする。  厚い見直し案の121ページを見ていただきたいが、認知症専門ケア加算1について、その要件に 関しての1のロについてだが、ここには認知症介護に係る専門的な研修を修了している者というよ うにある。同じく、2に関しましてのロには認知症介護の指導に係る専門的な研修を修了している 者と書いてある。  しかし、これまで御説明いただいた資料1-2の29ページになると、専門の研修について具体的に 明らかにしてしまっているが、この辺りについてはどういうことなのか。要するに前回別の機会に も私どもは、そういったものに類似する研修は今後きちんと評価していただいて、専門的な研修と いうことで実施できるのではないかということを申し上げたが、そういうことを期待してもいいの か。あるいは、この概要に、この特定に示された研修の修了者のみを算定要件とするのかどうか。 この辺りが、この見直し案とこちらの概要との一致が見られないので、その辺りについて御説明い ただければと思う。 (大森分科会長)  では、回答願う。 (井内認知症対策室長)  今の御質問だが、この分科会が認知症ケア加算を御議論いただいたときに、いろいろな資料も提 出して御説明をし、御議論いただいたかと思うが、今の御質問の中で言えば資料1の29ページにあ る名称で研修の内容を書いているが、そちらの研修、これが具体的に規定されて、それが評価され るということである。  したがって、認知症ケア加算Iであれば先ほど説明にもあったが、(2)にあるような認知症介護実 践リーダー研修の修了者が一定程度の人数配置をされている場合に適用になる。それから、認知症 専門ケア加算IIの方であれば(1)になり、1行目の後ろの方だが、認知症介護指導者研修を修了した 方ということである。  このどちらの研修についても、例えばケア加算Iの方であれば実践リーダー研修というのは都道 府県なり市町村なりが実施する、あるいは指定するというようなことで規定しているので、そのカ リキュラムなどに沿って行われる研修ということで考えている。 (田中(雅)委員)  今、室長の方からそのような御説明をいただいたが、既に実施している研修として今、御説明の あった2つの研修かと思うが、これまでも私ども日本介護福祉士会として申し上げたのは、日本介 護福祉士会が既に厚生労働省の補助を受けながら全国社会福祉協議会とともに5年をかけて進めて きたファーストステップ研修については、先ほど言われた資料1-2の29ページの認知症介護実践リ ーダー研修の中身に十分相当するものと確信しており、きちんとした検証もないままに資料1-2の 29ページに、この研修の修了者のみを特定化するのは今後のこれからの認知症専門ケアの修了者を 増やすためにもいかがかと思うが。 (井内認知症対策室長)  もう一度御説明させていただくと、例えば認知症実践リーダー研修というのはただいま一定の研 修のカリキュラムを示させていただいて、それで各都道府県もしくは市町村で直接実施する、ある いはそこが指定する研修ということでやられているものである。その研修のカリキュラムについて はやはり座学だとか、それから実習だとか、いろいろなある程度の時間配分だとか、その研修の内 容というようなものをお示ししているわけであり、今後、今お話があったような研修も含めてそう いったカリキュラムの中で、カリキュラムに当たるような研修を実施されれば、それは都道府県な り市町村の方で指定をされて、それが実践リーダー研修の一部になると考えている。そのように御 理解いただければと思う。 (田中(雅)委員)  では、もう一度だけ確認する。  ということは、今の御説明ならば今後国がこれまで示したものの研修カリキュラムに沿うもので あるというように認められれば、それも認めると解釈してよろしいか。 (井内認知症対策室長)  おっしゃるとおりで、都道府県もしくは市町村の方がその実践リーダー研修のカリキュラムだと いうようなことで指定されれば、それは当てはまるということである。 (田中(雅)委員)  わかった。 (大森分科会長)  よろしいか。いろいろ残念だという御意見もあるし、まだ皆さん方の中で、繰り返すが、細かい 点については多分実施の段階で、現場で困らないようにきちんと判断できるという材料を国の方か らも提示するということかと思う。それで、この内容で私どもとしては答申をさせていただいてよ ろしいか。  答申案文を用意してあるので、配っていただく。 (鈴木老人保健課長)  答申は貝塚会長から大臣に提示されるので、この分科会としては貝塚会長に報告をしていただく ということで、報告案文を配らせていただく。 (大森分科会長)  貝塚会長に出すための答申にするということである。                 (報告案文配付) (大森分科会長)  では、下の3行を読み上げていただきたい。 (鈴木老人保健課長)  それでは、読ませていただく。  「平成20年12月26日 厚生労働省発老第1226001号をもって、社会保障審議会に諮問のあった 表記について、当分科会は審議の結果、諮問のとおり改正することを了承するとの結論を得たので 報告する。」  以上である。 (大森分科会長)  以上である。よろしいか。  これについてどうぞ。 (小島委員)  今回の諮問の内容、そして今の答申についての内容だが、やはり今回の介護報酬改定は答申の概 要のところにも書いてあるように、まさに介護職員の人材確保、処遇改善を主要な目的として、政 府としては3%改定を示したのであって、その3%が実際介護従事者の賃金なり処遇改善にどう結 び付くかということがこれからの課題だろうと思う。  そういう意味では、今回の答申の中身、具体的な3%なりの配分については、おおむねその内容 については了解はしたいと思うが、是非答申の中に附帯意見という形でその3%改定内容が具体的 に介護従事者の賃金、処遇改善に結び付くよう、国の責任できちんと検証すべきだという旨の附帯 意見を付けていただければと思う。  今回はまさに3%引上げと合わせて別途、介護保険料の上昇を抑制するために特別措置1,200億 円の公費、税金を注ぎ込むということも合わせて行われている。その分、これは特に国の税金を使 うわけだから、それが具体的に介護従事者に配分されることが必要だと思うので、十分にその趣旨 が生かされたどうかの検証はやはり国の責任として当然だろうと思うので、その旨を是非意見書の 中に附帯意見として付けていただければと思う。 (大森分科会長)  既に審議報告でおまとめいただいたものがお手元にある。相当それは皆さん方の御意見を入れて 今のようなことが生きるように、しかも厚生労働省は厚生労働省としてきちんと検証するし、でき るだけ事業者の皆さん方も御努力いただきたいということでまとめており、そのことを前提にして 今回、全体のこれがどのように改定するかということになっているので、当然のことだと思ってい るので、あえてそれをここに付記する理由はないのではと思う。  事務局、今のような御意見が出たがいかがか。   (鈴木老人保健課長)  12日におまとめいただいた審議報告がある。これは、もちろん文章として残るということである が、そこの関連の部分を読み上げさせていただきたいと思う。  冒頭のところで、「以上のような諸点を踏まえ、平成21年の介護報酬改定に関する基本的な考え 方を以下のとおり取りまとめた上、報告する」とした上で、これは参考資料5の1ページ目の下か ら4パラグラフである。  「なお、介護報酬がサービス提供の対価として事業者に支払う性格のものであること、事業所に よって規模や経営状況、従事者の雇用形態や属性、地域の労働市場の状況等々が様々であることか ら、介護報酬の引上げにより賃金が一律に引き上げられるものではないが、今回の介護報酬改定に より介護従事者の処遇改善に結び付けていくことが重要である。  そのためには、各事業者において、効率的な事業運営への努力を行いつつ、給与水準の向上のみ ならず、研修体制の充実、キャリアアップの仕組みの導入、福利厚生の充実など、実態に即した処 遇改善への取組みを行っていくことが不可欠である。  今回の介護報酬による対応に加えて、国は、雇用管理改善に取り組む事業主への助成、効率的な 経営を行うための経営モデルの作成・提示、更に、今回の介護報酬改定が介護従事者の処遇改善に つながっているかどうかという点についての事後的な検証の適切な実施など、多角的な対策を講じ、 事業者における処遇改善を支援していくことが必要である。」とした上で、最後の13ページをご覧 いただきたいと思う。  「今後の方向性について」というIIIがあるが、その中で1、2パラが終わった後、5つ丸がある が、以下のような対応を着実に行うことが求められるとしている中で、一番上の「今回の介護報酬 改定が介護従事者の処遇改善につながっているかという点についての検証を適切に実施すること」 という記載をしている。  以上である。   (大森分科会長)  そういうことで、十分御意見が生きているのではないかと思うが。 (小島委員)  分科会長もそうおっしゃるのであれば、是非社会保障審議会会長に答申を受け渡していただくと きにその旨を改めて強調していただければと思う。 (大森分科会長)  最後にご挨拶をするときに若干それに触れる予定でいるので、多分それでいけるのではないかと 思う。今回の改定はそのことが一番大きな狙いだから、是非とも私どもとしてはそういうことを強 く期待しているということで、私からも申し上げるつもりでいるので、ここには付記しないで今の ような御了解に立っていただければと思うが、よろしいか。 (小島委員)  少し労働組合としての立場での意見になるが、分科会長がおっしゃられたようにこれからの介護 報酬改定が介護従事者の賃金、処遇改善にどうつながるかというのはまさに課題だと思う。  労働組合の立場からすれば来年春の賃金交渉の場ではやはり介護従事者の賃金あるいは処遇改善 に向けて取組みを進めていきたいと思っているし、それが今、労働組合に課せられた社会的な役割 だと思っている。  その意味で、今後各事業団体の皆さんにおいてもその趣旨を十分に理解して対応をお願いしたい ということを、最後に私は労働組合の立場から御発言をさせていただく。 (大森分科会長)  それでは、この報告文書でよろしいか。よろしければ、これを決定していただきたいと思うが、 よろしいか。  それでは、そのように決定させていただく。  少し長時間になっているので、休憩を挟みまして、この後、皆さん方から御意見を伺う。それか ら、お諮り申し上げたいこともあるので、10分ほど休憩をさせていただく。                                (休憩) (大森分科会長)  それでは、そろそろ再開をさせていただく。  諮問、答申の運びになったが、多分先ほど沖藤さんからも御意見が出ているように、皆様方から この機会に一言ということがおありになるのではないかと考えており、一応その御意見を伺った後 でお諮り申し上げたいこともあるので、それで全体を締めくくりたいと思う。  川合さん、どうぞ。 (川合委員)  それでは、最後の日である今日に提出資料を出させていただいた。介護報酬改定を経験し、少し 思いがあるので、この意見書を出させていただいた。  「平成21年度介護報酬改定に向けての意見書−持続可能な介護保険制度の構築へ向けて−」、前 文があるが、前段のことに関しては上の2行と下の2行、その間の6行はサンドイッチである。  下の2行、「社会保障制度の充実によって、雇用の確保、内需の拡大、現在と将来にわたる生活へ の不安の解消こそ問われている。」、このような状況下で、この介護報酬が今、労組の代表もおっし ゃったが、本当に介護職あるいは介護の世界が明るい未来を持つのかというようなことについて、 以下の5点についてまとめさせていただいた。  現場を預かる人間としては、初めの1の中でリハビリであるとか、認知症であるとか、口腔ケア であるとか、そういうことについてまとめさせていただいたが、2.財源について、あるいは今年 の9月ごろまで私は盛んに指摘させていただいたが、この経営実態調査の方法論、それと前回ある いは前々回、日医の代表からも話が出たが、要介護認定の方法論が今のままでいいのか。また、新 たに今、条件を変えてされようとしているが、その検証も都道府県だけではなくて我々の事業者団 体にもきちんとさせていただきたいと思う。そういう5点をまとめて最後に8行書かせていただい た。  社団法人全老健は、「介護職員の生活を守る署名」運動を実施、全国で166万の署名を得た。この 数は、全国の老人保健施設職員とその家族のみならず利用者・家族、地域の人までも巻き込んだ国 民の声が形になったものであると言える。「介護従事者の処遇改善」という国民の要請に、3%のア ップで報いることができるのか。その判断は難しい。  更に、平成20年11月14日付で、日本医師会、全老健、日本慢性期医療協会の三団体連名にて提 出した「次期介護報酬改定率ならびに本分科会のあり方等に関する緊急要望」は、本分科会の在り 方を問うたものである。審議会での真剣な議論を飛び越え、政治的決着によって介護報酬プラス 3.0%が決定されたことは、今後に問題を残しているのではないか。  以上、今までの慣例と違うかもしれないが、介護報酬の諮問答申が出た後で全老健として意見表 明をさせていただいた。 (大森分科会長)  では、木村さんどうぞ。 (木村委員)  まず、さっき聞くのを忘れたことが1つある。その確認の後に意見を1つよろしいか。  資料1−2の7ページのところに特定事業所加算がある。それの(II)の300単位のところであ るが、たしか3年前に特定事業所加算ができたときの人員の基準のところにあったことと同じだと 思うが、7ページの下の特定事業所加算(II)とあって、1行目があって、最後の方に「主任介護 支援専門員等を配置している」とあるが、この「等」はたしか主任介護支援専門員の要件を満たす ために研修を受ける人とかというのがあったと思う。それと同じことかの確認をまず1点、事務局 にしたいが、答えていただけるか。 (土生振興課長)  特定事業所加算(II)の主任介護支援専門員等ということでだが、これは具体的に要件に合致し ていて、当該年度に研修を確実に受講される予定がある方を含むということで、3年前に特定事業 所加算を導入したときにも同じ導入措置をとらせていただいているが、それと同様の趣旨である。 (木村委員)  関連して、主任介護支援専門員の受講要件があるにもかかわらず、県によって主任研修の受講者 数の規制をしていることが結構あり、そこのところはやはり受講要件が満たされた場合には研修を 必ず1年以内に受けられるように国と県と、それから我々協会とも連携をとって、その研修をきち んとやっていけるような体制を整えていただきたいと思う。  そして、今日まとめていただいた報酬に関してであるが、居宅介護支援費で見ると経営実態調査 が3期連続2けたのマイナスだったが、現状の介護支援専門員は在宅で頑張っている、その一つひ とつのことに対して一定の評価が出たのではないかと考えている。これで本当に厚生労働省が在宅 側の居宅介護支援というものを本気で認めてくれたのではないかということも感じているところで ある。  施設の方は、また次回にということであるが、私どもがやらなければいけないのは、とにかく利 用者が地域で安心して選択できる、そしてまた経営が安定した事業所づくりのために、介護支援専 門員の質の向上に向けてきっちりやらねばならないと、今、感じているところである。  また、いろいろなデータ等を出させていただき、この分科会の中で提言もさせていただいた。一 定の評価を得たのは分科会長ほか、委員の皆様にいろいろ御理解いただいた結果だと思っている。 一層全国の介護支援専門員の質の向上に励みたいと思うので、よろしくお願いする。 (大森分科会長)  どうぞ、勝田さん。 (勝田委員)  認知症の人と家族の会では、昨年11月に提言、私たちが期待する介護保険を厚生労働省や関係機 関にお示しをしてきた。この間、委員会でも何度もそれに沿って発言させていただいた。認知症の 医療と生活の質を高める緊急プロジェクト報告などを踏まえ、認知症高齢者や若年性認知症の受入 れや認知症ケアなど、今回介護報酬では認知症に関わる介護報酬が多く盛り込まれたことは大きく 評価できる。  しかし、一方、利用者の立場としては認知症関連やその他の項目もほとんどが加算である。加算 が多く、それは当然利用料に跳ね返る。高齢者の多くは国民年金受給者であり、そのため介護サー ビスに回せる金額はおのずから限られてくる。  私たちの調査によると、認知症の人、本人の収入で賄える介護サービスの費用は五十数%である。 残りは、貯金の取り崩しとか家族をあてにしている。昨今の景気動向により、その介護家族がリス トラに遭うことも想定される。また、連日報道される介護心中とか、介護殺人には胸が痛む。そう いう点では、やはり経済的に余裕のある人は限度額を超えてサービスを利用できるが、お金のない 人は現在介護サービスの利用回数を減らすことでしか対応できない。低所得者対策が盛り込まれな ければ、絵にかいた餅になりかねない。その点では、御配慮を是非お願いしたい。  次に認知症の場合、特に軽度のときこそ本人を始め家族の混乱への対応が必要だということを当 初から申し上げてきた。早期からの切れ目のない支援体制がこれでは図れないのではないか。今回 の重点は認知症の中・重度となっているが、重度化してからの対応では費用対効果も薄くならざる を得ない。ほとんどの認知症の加算は自立度3以上になっているが、これはやはり軽度から、自立 度1以上のときからきちんと対応することでこそ重度化が防げるし、費用対効果も大きいと思って いる。  また、在宅介護を支える訪問介護については、今回報酬アップになった。しかし、ここでは同居 家族の有無や散歩など、国としてはOKということだが、ローカルルールとしては現に依然として 同居家族の有無によって受けられないケースがある。もっと現場に即応した対応ができるような指 導を今後とも強化していただきたい。  全体として介護報酬3%アップということだが、介護従事者を確保できるだけの報酬につながる のか。4月改定後の情報公開などでは、人件費割合など、利用者にわかりやすい公開が必要と思わ れる。  また、介護報酬の改定については多くの国民や利用者が注視をしている。だれにもわかりやすく、 例えば認知症があって要介護度3とか4とか5の場合、在宅だったらこうなる。施設だったらこう なるという例示などを示して、わかりやすく公表していただきたいと思う。  最後になるが、先ほど川合委員も触れられていたが、要介護認定についてはこの委員会では検討 されないということになっているが、認知症が軽度に判定されるなど、問題点が多々ある。今後、 関係機関できちんと利用者も交えたところで検討をしていただきたい。  また、低所得者対策については、この部会では扱わないということだが、09年4月改定に間に合 うように、例えば介護保険部会などを早急に開催されて対策をお願いしたい。  私たちは、今回の介護報酬でこれらのことが少しでも実現するように関係者各位の御努力をよろ しくお願いしたい。 (大森分科会長)  三上委員、どうぞ。 (三上委員)  ただいまの介護認定の問題を1つ申し上げるが、老健局の予算の概要の中で介護給付適正化対策 の推進の中に要介護認定適正化事業というものがある。  適正化というのは行政用語で、効率化とか削減という意味合いと前回説明があったように思うが、 介護給付を適正化する中に要介護認定の適正化事業が入っているということは、今回、前々回に示 された一次判定ロジックの見直しのためのモデル事業の報告があったが、介護給付を適正化する、 効率化するための見直しなのかということも含めて、この給付に直接関係するものであるから、介 護保険部会でも結構だが、是非この給付費分科会の中で早急に検討していただきたい。というのは、 来月の中ごろには新しいソフトが配布されて、4月から新しい認定の方法が始まるということなの で、是非これはお願いしたいと思う。  もう一点は、以前にも指摘させていただいたが、介護サービスの情報公表制度の問題ですが、こ れは16年の3月にシルバーサービス振興会の中にある利用者による介護サービスの適切な選択に 資する介護サービス情報の公表ということについての調査研究委員会の中間報告が16年5月に介 護保険部会に出された。そのときには審議をされず、実際の報告書は17年の3月に出されているが、 これはどこにも出されていないようである。  その中に書いてあるものを読ませていただいたが、費用負担の在り方については事業所自らが利 用者の選択に資する情報を公表するために行われるものであって、事業所が負担することが適当と なっている。この情報公表制度は、事業所自らが選択、公表するということではなく義務化された ものであるので、この報告書自体も少しニュアンスの違ったものであるし、なおかつ最終報告書が どこにも出されずにこういう事業が出ていったということは非常に遺憾だと思うので、是非見直し をしていただきたい。  この見直しについては、介護報酬改定と直接関係するものではないので、来年、この分科会ある いは介護保険部会等で是非やっていただきたいと思う。 (大森分科会長)  それでは、稲葉さんどうぞ。 (稲葉委員)  居宅介護支援事業所の特定事業所加算についてであるが、先ほど木村委員の方からも主任介護支 援専門員の研修受講機会のお話があった。これについて、当然機会を増やしていただくことも必要 だが、法人種別による受講機会の不平等が生まれないように、これだけは気をつけていただきたい。  それから、地域包括支援センターを運営している法人が優先的に受けられるというようなことが これまではあったと思うが、これは事業所加算を取るための一つの大きなポイントになると思うの で、そこは十分に配慮をいただきたいと思う。それが1点である。  それから、先ほど御質問させていただき、介護報酬アップが在宅分3%、施設分3%ということ だったが、先の経営実態調査の中でサービスごとにそれぞれ賃金や収支差には差はあったと思う。 処遇を改善するというところから、比較的の結果、改善がより必要なところに厚めに報酬が設けら れたということで、その結果、在宅分で合計すると3%、施設分は合計すると3%と、たまたま同 じ結果になったという解釈はしているが、期待したところだともう少し在宅は上がるのかなと思っ ていたところだが、少し残念である。  いずれにしても、3%上がったということは当然、事業者の立場とすると処遇改善に結び付き、 人材確保が進み、よい人材が定着をしたらそれで終わりではなくて、質の向上というものにつなげ なければ当然、国民の負担が若干でも増えるので、その国民の生活が少しでも豊かになるような事 業所の努力が必要であるということを、改めて思った。  以上である。   (大森分科会長)  それでは、田中雅子委員、どうぞ。 (田中(雅)委員)  今回の介護報酬の見直しが、介護従事者の確保、定着に着目して行われたことについては、私た ち介護福祉士を始めとする多くの介護従事者は、自分たちの雇用環境の改善が図られるということ について大いに期待を抱いているところである。  しかし、先の分科会で大筋の報酬の方向性が明らかになって以来、会員や、あるいはその他の方々 から私ども日本介護福祉士会にさまざまな声が寄せられている。その代表的なものとして御紹介す ると、法人の経営者から今回の介護報酬改定額は来年度以降の施設修繕費や設備投資に充てるので、 介護従事者に回せるのは3分の1程度にしかならないという説明を受けた。本当にそうなのかとい った悲痛な声も出されている。  それで、12月12日の審議報告の中の今後の方向性については、今回の報酬改定が介護従事者の 処遇改善につながっているかどうかについての検証を適切に実施すると明記してある。是非この際、 私は大森分科会長にこの分科会でも処遇改善がどのような状況にあるかについて適宜報告していく ようなシステムを確保していただきたいと思う。  また、この場を借りて事業者及び経営者の皆様には是非とも自主的な公開ということになってい るが、人件費率等の公開についてもしていただくことを切に願っているところである。  もう一点である。これまでもこの介護の現場においては、景気が悪くなると介護職の希望者が増 えると言われてきた。介護に従事するには従事する者の適、不適正があるから、すべての方々が介 護労働に定着するとは言えないが、少なくとも今回志ある方々が介護という仕事に興味を持ってい ただき、なおかつ介護に魅力を感じて働いていただくわけだから、かつてのように漫然と計画性の ない人材養成では、再び景気がよくなったときに介護離れが起こるのではないかと、もう既に危惧 しているところである。  是非、人を育てることについて計画的、戦略的な取組みをしていただきたい。そのためには、人 材養成については事業者任せにせず、是非国としても積極的、具体的な支援法に乗り出していただ きたいということを、この場を借りて切にお願いする。  以上である。   (大森分科会長)  それでは、沖藤さん、どうぞ。 (沖藤委員)  先ほど川合委員もおっしゃっていただいたが、老健では可能な限り在宅復帰、在宅生活支援とい うような目標を掲げておられるということを大変ありがたく思う。そして、施設にあっては本当に 至れり尽くせり、噂だが、カラオケにまで連れて行ってもらえるという手厚いサービスを受けるの だが、一歩在宅に帰ると非常に生活援助サービスが制限される。これは、私は何回も何回も言って いることだが、ここでもう一度申し上げる。生活援助の運営基準の見直しを是非ともやっていただ きたい。閉じこもり、生活不活発病等々によってせっかくよくなったものが在宅で悪くなる。行っ たり来たりの繰り返しになる。そういうことで、在宅生活に希望を失っていく高齢者が非常に多い ということを申し上げたいと思う。  そしてまた、更に散歩です。散歩については、12月12日にこの場で申し上げたが、全国の保険 者が知らないという情報が寄せられている。通達が国からきていないので、変える気はないという 保険者もいるそうだ。具体的な件名としては、例えば新潟、文京区、杉並区、中野区、岐阜市等々 ではそのように知らない、散歩を予定に入れるつもりはないというようなことも聞いている。  このことは、先ほどの買い物とも関係してくる話だが、やはり家から出たい、空気に触れたい、 太陽を浴びたい、そういう願い。もうじきこの世からいなくなる人たちに、どうして心のあるサー ビスを制度上で表現することができないのか。このことを、私は大変残念に思う。だから、是非と も運営基準について、散歩も含めて、同居家族の問題も含めて再検討をしていただきたいというこ とを申し上げたいと思う。  それからもう一点、これは少し言いにくいが、資料2の調査実施委員会の設置について申し上げ る。ここにメンバーのお名前が出ており、どの先生も立派な先生だから固有名詞がどうこうという ことではないので、絶対に誤解なさらないでいただきたいし、先生方への尊敬の念は揺らぎないが、 この給付費分科会の改定の結果を検証する委員会に介護給付費分科会の委員の先生が加わるという ことは、何か身内が身内の検証をするようなイメージも受け、これは第三者的な方として調査実施 委員会をつくられるのが筋ではないかと思うが、これを事務局はどのようにお考えか、伺いたい。 (大森分科会長)  お話が出たから、この調査委員会について説明していただき、諮っていきたい。 (鈴木老人保健課長)  後ほど説明をしようと思ったが、今、御質問が出たので、申し訳ないが、資料2について説明を させていただきたいと思う。 ○鈴木老人保健課長より資料2について説明   (沖藤委員)  趣旨はわかったが、データの解釈という部分で学識経験者の先生方が望ましいというお考えなの だと思うが、やはりこの介護報酬の問題は私たちのような利用者や一般市民、更にはさまざまな形 でこの改定に関わったいろいろな立場の方がおられるわけで、そういう立場の方々がもう少し加わ ってもいいのではないか。  給付費分科会以外の方で客観的な目をというか、この先生方が客観的な目を持っていないという 意味ではないが、第三者的な目で関わっていただけるような立場を持った方にも入っていただく必 要があると思うし、学識経験者だけではなくてさまざまな立場の方にも入っていただく必要がある のではないかと思うし、何としても私には身内が身内のことをやるのはどうなのかという思いが抜 けないものだから、回答を伺っても釈然とはしない。 (大森分科会長)  厚生労働省は担当省としていろいろなものを決めて、自分たちでいろいろ調査をして評価をして 世間に出している。そういう作業なしでどうやってやるのか。最初から外の人たちだけでこういう ものがどうやってやれるのか。まず私どもの責任として、ここでは客観的な立場できちんと議論し ていただく方にお願いして、その上でオープンにして、資料もオープンにして御議論いただくとい うのが最も真っ当なやり方だと私は思っているが。 (沖藤委員)  一般的に介護サービス第三者評価というような言い方で、第三者が関わるということが常識的に なっていると私は思っていたので、今の分科会長のお話を聞いて……。 (大森分科会長)  第三者評価というのをやっているというのはわかるが、直ちに第三者評価が可能になるわけでは ない。どこのところも、まずそれを担当している人たちが自分たちのことをきちんと評価し、その 評価をしているかどうかを第三者的な立場で見られる人がいない限りできない。その上で、広くさ まざまな方々の御批判を受けるというやり方以外には、すべての評価の作業というのはもともと成 り立っていない。  逆に言えば、今回はむしろこの調査会をつくることによって私どもの分科会の責任としては、自 分たちでまず自分たち全体として決めていったこと、あるいはその枠組みがどうやって機能してい るかについて、まず自分たちの責任で世の中に向かって自分たちはこのように調査して、こういう ことだがいかがかということを問うのがまず最初の作業ではないか。そう私は思って、事務局の提 案を理解しているが。 (沖藤委員)  分科会長が了承したということで。 (大森分科会長)  小島さんどうぞ。 (小島委員)  この調査実施委員会の設置については、分科会の介護報酬改定の議論がスタートするときに、私 もやはりきちんと今回の介護報酬改定が実際にどうなったかという検証をすべきであり、その検証 を踏まえて、次の改定に臨むことが必要だということで、その設置については発言をしたところで ある。  それで、医療の診療報酬改定にある中医協の方にも学識経験者、学識者を中心として検証部会と いうのがつくられている。ここは、同じく中医協のメンバーの中での公益委員、学識経験者で検証 部会というのがつくられており、この間、2回ほど診療報酬改定も行っているので、そこはやはり 中医協の自分たちで決めた内容が実際にどう現場で動いているのか。どういう状態になっているの か。まさに自らの責任で検証するというのは当然必要だろうと思う。今回こういう形で介護給付分 科会の下にこういう実施委員会がつくられて、学識者の先生方が中心でそこを担ってもらうという ことでは、基本的に私としては賛成をしたいと思う。そういうことが今、求められているのだと思 う。 (大森分科会長)  できるだけ先ほど御説明があったように、もしお願いをするとしたらいろいろな意味で御苦労を かけるが、できるだけさまざまな方々から意見を伺っていただいて、今の沖藤さんのような御意見 も取り入れられるような形で全体の調査会の活動をしていただくということで、まず私どもの責任 でさせていただくというような提案ではないかと思うので、私としては是非とも直ちにこれは踏み 出さなければならないものであるから、できれば今日これをお認めいただきたいと思う。よろしい か。  石川さん、どうぞ。 (石川委員)  この介護給付費分科会の議論の大きなテーマとしては、先ほど来お話があったように、介護従事 者の賃金あるいは処遇等がどう具体的に改善されるのかということをきちんと検証するということ は大変重要なことだと思う。  それで、今回の調査実施委員会の中身を見ると、基本的にはこの分科会の議論をきちんと検証し て把握をしている人がいる必要が当然あるだろうと思う。しかも、メンバーもきちんと学識者と限 定されているので、私は非常にいい人選ではないかと思う。是非この陣容でやっていただければと 思う。  また、最後の発言ということになるが、今回この給付費分科会で特に介護保険料の徴収の問題で 口座振替等の選択制の問題が出てきたが、直接この委員会のテーマではないわけであるが、会長を 始め協議をさせていただく機会をいただいたことに対して、改めて委員の皆様にも感謝を申し上げ たいと思う。  また、最後になるが、私ども保険者としては第4期の介護保険事業運営に関しては、保険者とし てしっかりとした責任を果たしてまいりたいということを改めて表明をさせていただきたいと思う。  以上である。   (大森分科会長)  今回この調査実施委員会は大事なので、活動開始して、次の介護給付費分科会を運営するかはわ からないが、そこの事情等をできるだけこちらの方にもいろいろな報告をいただきつつ、御意見を 伺っていただくということで、まず本日はこの立ち上げについて御賛同いただきたいと思っている が、沖藤さん、いかがか。 (沖藤委員)  説明を聞いて少しわかってきたような思いがするし、何よりも分科会長がそのようなお考えでい るということを伺って、少し安心した。  諸先生には失礼なことももしかしたら言ったかもしれないが、個人名がどうこうということでは なくてということであるので、御了解いただければと思うし、よろしくお願いする。こういう少数 意見も、是非とも解釈のときには入れていただきますようにお願いする。 (大森分科会長)  どうぞ、武久さん。 (武久委員)  少し戻るが、先ほど川合委員がおっしゃった介護職員の総数の2分の1、50%以上の介護福祉士 がいたら加配するとなっていたが、例えば介護療養型であれば資料にあったように実際の介護職員 の必要数の倍近く加配している。そうしたときには、その加配している数の半分ということになる。  例えば、老健で言うと34人の介護職員が仮にいるとしたら、17名以上いれば介護福祉士の50% 以上の加配が取れるが、そこで40人実際に介護職員を雇っていれば20人いないとこの加配が取れ ない。しかも、この介護職員の加配については、特養では看護職員の加配で点数が付く。老健では 夜勤の数で加算が付くということであって、介護職員をたくさん雇っているからといって特に何か 大きな評価をされるわけではないのに、この介護福祉士の加算の12点が取れなくなる可能性がある ので、これは法定の介護職員の50%というふうに変えていただかないと、例えば34人のところを 50人も入れているところは25人以上いないといけないことになって、一生懸命やっているところ の方が加算が取れないというちょっと矛盾したことになるので、そこをもう一回御説明いただきた いと思う。 (大森分科会長)  では、もう一度説明をお願いする。 (鈴木老人保健課長)  先ほども少し説明したが、今回手厚く配置をしているという観点からの評価、それからキャリア アップという観点からの評価、更には地域の特性という観点からの評価という3つの評価というも のを考えてきた。  その中で、今、施設系に限定すると、施設系のいずれにしても最初の手厚い配置をしているとこ ろについては何らかの形で、それぞれ基準が違うので全く同じではないが、きちんと手厚い配置と いうものを評価するということである。  ただ、真ん中のところ、これはオア、またはで結んでいるので、資格要件を絶対満たさなければ ならないということではないし、かなりのところが我々の把握をしている限りでも満たすというよ うに考えているが、やはり介護職の方の中で介護福祉士という資格を取っていただくインセンティ ブとするということで、加配も含めて実際に配置しておられる介護職の中での介護福祉士の方の割 合とキャリアアップのインセンティブを評価させていただく。  ただ、そこだけしか評価をしないというわけではないし、今、武久委員から御指摘があったよう な手厚い配置というのは別途きちんと評価をしているというところである。 (武久委員)  手厚い加配をしていただけているとは思っていないが、川合委員、いかがか。 (川合委員)  算定要件が出た段階において御判断いただけるのだろうと見ている。 (大森分科会長)  ほかに御意見等はあるか。  それでは、先ほどの調査実施委員会の立ち上げについては御了解いただいたということで、皆様 方よろしいか。それでは、早速にもその作業をさせていただいて、適宜御報告いただければと思う。  最後に私から発言したいことがあるが、その前に次回等についてのアナウンスメントはあるか。 (鈴木老人保健課長)  次回は、また中身なり日程は御相談の上、調整をさせていただく。 (大森分科会長)  最後に、一言申し上げたいことがある。  これまで皆さん方から御熱心な議論をしていただき、御協力を賜り、当初の意図どおり年内の諮 問答申にこぎつけることができ、改めて御礼申し上げたいと思う。  この間、宮島局長以下、職員も大車輪であり、この方々の御労苦にも感謝申し上げたいと思う。  今回、向こう3年の報酬改定が事実上決まり、3%アップということになっているが、先ほど来、 議論があったように、今回の報酬改定は何よりも介護の現場で御苦労されながらお仕事をされてい る方々の処遇改善に確実に結び付く、それによって人材確保も可能になっていくということを、私 としては皆さん方とともに強く期待したいと考えている。その運びに是非ともいたしたいと思う。  実は、今回の改定は18年の改定と違い、大きな制度改正を伴っていない。したがって、皆さん方 からいろいろ御意見が出たが、今後に向かってさまざまな意味で現在の介護制度の内容、運用実態 あるいは新しい課題とか、新しいサービスの質的向上等、検討すべき課題が宿題として残っている と思う。それは、何よりも審議報告の最後の終わりのところで書き込んでいるように、たくさんの 課題が待ち受けていると、私は考えている。  そのことが1つと、もう一つ、皆さん方のお手元の最後に何の番号もないが、12月24日に閣議 決定というものがなされている。少しこれに触れて、これの重大さについて皆さん方の注意を喚起 いたしたいと思う。  「持続可能な社会保障構築とその安定財源確保に向けた中期プログラム」であり、これが閣議決 定になっている。それで、後でご覧いただくとわかるが、恐るべき閣議決定であり、恐るべきとい うのは私からすると2025年に向かって望ましい閣議決定がなされたと思う。閣議決定だから、どな たが総理になろうが、次の内閣がこの閣議決定を変えない限り、この閣議決定は生き続けるという ことになるし、私の見通しではそう簡単にこれが直るということはない。これでいくのではないか と見ている。  それで、重大なものだから一言、皆さん方のお手元に配付している。当面は景気回復のためにい ろいろ取組みを行うが、IIIに「国民の安心強化のための社会保障安定財源の確保」とあり、この安 心というのは社会保障機能のことだと理解されればいいものと思っているが、この社会保障機能の 強化の3原則というものが打ち出されている。1つは、中福祉中負担の社会を目指す。第2原則が、 安心強化と財源確保の同時進行を行う。3番目が、安心と責任のバランスの取れた安定財源の確保 を図るということになっている。  それで、後で読んでいただくとわかるが、何がすごいかというと、2ページである。2ページに 「2.安心強化と財源確保の同時進行」と書かれている。ここは重大なことなので読み上げると、 次のようになっている。  「国民の安心強化と持続可能で質の高い中福祉の実現に向けて、年金医療及び介護の社会保障給 付や少子化対策について、基礎年金の最低保障機能の強化、医療介護の体制の充実、子育て支援の 給付サービスの強化など、機能強化と効率化を図る」。その後だが、「このため、別添の工程表で示 された改革の諸課題を軸に、制度改正の時期を踏まえて検討を進め、確立制度化に必要な費用につ いて安定財を獲得した上で、段階的に内容の具体化を図る。」となっており、末尾に工程表が出てい る。  見ていただくと、これは何が基盤になっているかというと、川合さんが今回の提出資料の中で御 指摘があった社会保障国民会議の中間報告と最終報告を元にしており、それで工程表に書かれてい るものは年金、医療、介護、少子化対策がそれぞれ足下で何をやるのか。  そして、私どもにとって一番重大なのは、2010年に実は診療報酬と介護報酬の同時改定が行われ ます。これを目指して、当面どういう改革に着手していくのかという工程表を閣議決定で決めてい るということであるので、当然ながら介護給付費部会もこの方向でさまざまなことを考えざるを得 なくなっているというのが全体のことではないかと思う。  もう一つ、3ページに税制抜本改革の道筋というものが出ている。この中で、今までこのように なるのかということで驚くべきことが3ページの(2)以下に書かれている。それで、基本的に言 うと、今後景気などの好転を前提にして、消費税を含む税制抜本改革を2011年度に実施できるよう な必要な法制上の措置を予め講ずることになっている。そうすると、(2)のようなことになるとい うふうに書かれている。ここも重大な文章なので、読み上げる。  「消費税収が充てられる社会保障の費用は、その他の予算と厳密に区分経理し、予算決算におい て消費税収と社会保障費用の対応関係を明示する。具体的には、消費税の全税収を確立制度化した 年金医療介護の社会保障給付及び少子化対策の費用に充てることにより、消費税収はすべて国民に 還元し、官の肥大化には使わない」ということになっており、これは新しい方式になる可能性が十 分あり、国と地方を含めてこういう対応をこれからやっていかなければならない。  消費税が必ず上がるということは前提になっていないが、もしそうなれば非常に大きな大改革が 待っていて、そういう大きな改革の方向の中で仮に介護の必要な財源はどうやって確保するか、ど ういうもので確保するか、それが社会保障制度全体の中でどう位置付けられるかということで、非 常に大きな閣議決定がなされたものと私は理解しており、このことについて皆さん方にもう一度こ れを読んでいただければと思う。  私の希望で言えば、社会保障国民会議の第2分科会の中間報告、最終報告をご覧いただくと、今 後2025年に向かってあるべき姿を描いて、これに向かってどうやって体制を整備するか、どうやっ て安定的財源を確保するかということが書き込んであるので、何かの機会にもう一度見ていただけ ればと思う。  実は、このことを申し上げたのは、今回皆さん方から出た宿題となったさまざまな検討課題を含 めて、大きな社会保障制度改革の中でこの議論を運んでいかざるを得なくなるのではないかと考え、 特段に社会保障のここの分科会の役割はますます増すものと思っているので、更に充実した御議論 をほしいと思っている。何となく漠然とした議論で恐縮であるが、非常に重大なことが決められ始 めているので、そのことを念頭に置きつつ、今後に備えていただければと思う。  繰り返しであるが、年内に諮問答申が可能になったのは、何よりも皆様方の御協力だったと思う ので、現場の皆さん方にはこれから大わらわで御準備に入っていただくので、できるだけ現場に混 乱なくスムーズに新しい改定が実現できるようなことを祈念いたし、私の締めの言葉とさせていた だく。  御協力ありがとうございました。 照会先  老健局老人保健課 企画法令係 TEL03(5253)1111(内3949)