08/12/25 第42回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会議事録 第42回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会                   日時 平成20年12月25日(木)                      10:00〜                   場所 厚生労働省14階職業安定局第一会議室 ○清家部会長 ただいまから「第42回雇用保険部会」を開催いたします。本日の出欠状 況ですが、岩村委員、大沢委員が欠席です。また、塩野委員は遅れてのご出席とのこと です。本日の議題は前回に引き続きまして、雇用保険制度についてです。前回は報告書 素案について議論していただきましたが、前回の議論を踏まえまして、私と事務局で相 談して修正したものが本日準備されておりますので、まず事務局から修正点を中心に説 明していただき、その後質疑に入りたいと思います。それでは事務局からご説明をお願 いいたします。 ○長良雇用保険課課長補佐 お手元の資料の報告書(案)には2つバージョンがありまし て、1つは「雇用保険部会報告(案)」、もう1つは後ろにある「雇用保険部会報告(案)」 と赤字で記されているものですが、こちらは前回からの修正点を赤い部分で見えるよう な形にしてあります。後者に基づいて前回からの修正点を中心にご説明いたします。  「雇用保険部会報告(案)」の第1、現状及び課題についてですが、前回、いわゆる非 正規労働者の表記についてご意見等がありましたので、派遣労働者、パートタイム労働 者、契約社員の使い分けについて修正を施している部分が1頁目です。  次頁の「雇用保険制度の見直しの方向」の1のセーフティネット機能の強化の(1)非正 規労働者に対するセーフティネット機能の強化ですが、2つ目に受給資格要件の記述が あります。この部分は表現を少しわかりやすくするという観点から修正を施しておりま す。  3頁目の(3)の安定した再就職に向けたインセンティブの強化ですが、いわゆる再就職 手当の部分の記述については、前回委員より雇用創出の観点からのご意見があった関係 で、1つ目の○の部分ですが、「安定した再就職に向けてのインセンティブを強化するこ とが必要である。このためには、雇用保険二事業による対策や産業施策等などにより雇 用創出を行うべきであるが、これとあわせ、再就職に向けてのインセンティブ強化のた め、再就職手当についても暫定的に」といった記述として、再就職支援の部分について は、いわゆる雇用創出とのパッケージングということを明確にした記述としているとこ ろです。  加えて、この部分の3つ目の○の訓練についても前回委員より訓練のメニューの充実 などとその重要性についてのご意見がありました関係で、「安定した再就職に向けては、 必要な職業能力を身につけることが重要であることから、安心して必要な職業訓練を受 講することができるよう、長期間の訓練を含め訓練メニューを充実し、受講を訓練延長 給付によって支援する」といった形で訓練の内容についての記述を盛り込みました。  4頁目は育児休業給付の見直しですが、2つ目と3つ目の○は基本給付金と職場復帰給付 金の統合です。両給付の統合に当たっての慎重なご意見等がありましたが、2つ目の○と 3つ目の○でモラルハザードの表現が少し重複して記述されていることなどを踏まえて、 2つ目の○のモラルハザードに係る記述は削って内容の修正を施しているところです。  5頁目は雇用保険料率の部分です。4頁目の後ろから続いておりますが、5頁目の上から 2つ目の○については、前回料率に関してはいろいろなご意見がありました。いわゆる字 句修正はともかくとして、なお書きとして「労働者代表委員より、雇用保険料率につい て、これを引き下げる場合や引き上げる場合には本来は合理的な理由が必要であり、現 在の状況においては、引き下げるべきでないとの意見があった」ということで、労働者 側代表委員のご意見を報告書の中に盛り込みました。  最後に、今後の課題の部分ですが、○が2つあって、「雇用保険料率のあり方につい ても」云々という件があるのですが、これはちょっとわかりにくいということもありま したので、今後の課題としては「平成22年度以降の雇用保険料率のあり方や、平成19年 1月9日の雇用保険部会報告において『今後の課題』とされた65歳以降への対処等につい ては、今後の雇用失業情勢や雇用保険の財政状況を見極めつつ、引き続き検討すべきで ある」とし、2つの内容を1つの項目に盛り込むと同時に、検討課題が何であるかをわか りやすくという観点から表現の修正を施しました。修正点は以上です。 ○清家部会長 前回の素案で議論していただいた内容について、修正点を説明していた だきました。ただいまの事務局からの説明について、ご質問、ご意見があればお願いい たします。 ○古川委員 2頁目の2つ目と3つ目の○に関係して、例えば、希望したが更新しなかっ たため離職した1年未満の被保険者については、6カ月でオーケーになったとのことです が、この6カ月は暫定的ではないわけですね。6カ月が暫定的でなくて、特定受給者と同 じにするのは3年間ということで、3年経過した後ですが、受給資格期間は6カ月でオー ケーになって、その後の所定給付日数などは一般に戻るのでしょうか。 ○坂口雇用保険課長 いまの点ですが、委員からご指摘があったとおり、非正規労働者 に対するセーフティネット機能の強化の(1)の2つ目の○の受給資格要件に関わるところ については暫定措置という扱いではなく、6カ月で受給資格が得られるようにすべきで あるという記述です。3つ目の○の所定給付日数については、雇止めの方の扱いについ ては、1行目に「所定給付日数については一般の受給資格者と同じとすべきであるが」 とありますが、現下の雇用情勢等の状況に鑑みて、暫定的に特定受給資格者と同じ扱い にするべきであるということでして、3つ目の○については暫定的な取扱いという趣旨 での記述です。 ○古川委員 そうすると3年経った後はどうなりますか。 ○坂口雇用保険課長 3年経った後は暫定期間が終わるということですので、所定給付 日数の部分については一般の受給資格者と同じ扱いとなります。 ○古川委員 被保険者期間が6カ月というのは変わらないわけですか。 ○坂口雇用保険課長 2つ目の○の被保険者期間6カ月という受給資格要件については 暫定措置ではありませんので変わらないということです。 ○古川委員 そうすると、現在所定給付日数が一般ですと1年未満というのはないです が、それも何か変えるわけですか。 ○坂口雇用保険課長 現在、一般の所定給付日数が90日のところは10年未満という書 き方にしておりますので、そこの部分は具体的には90日という形で受給資格が得られ れば、そこの部分についても。説明の概要ペーパー等についてはハイフンで書いており ますが、そこが90日ということです。 ○清家部会長 よろしいですか。その他、何かあればお願いいたします。 ○案田委員 「今後の課題」の中にマルチジョブホルダーなども入っていると思うので すが、マルチジョブホルダーについてはいままでどのような課題というか、認識がされ ているのかということと、今後はどのように取り組んでいく予定であるかをお伺いした いと思います。 ○坂口雇用保険課長 マルチジョブホルダーへの対応については、平成19年の改正の ときも議論となり、平成19年の部会報告でも今後の課題として掲げられております。 マルチジョブホルダーについては、結局2つの事業主に雇用されている方が失業された 場合の雇用保険の取扱いということですが、現実的には主たる事業主がどちらかという 形で今運用しております。そういった働き方が増えてきている状況もある中、どのよう な形であるべきかについての問題が所在するということです。ただ、1つの事業主との 雇用関係がなくなって失業した場合でも、もう1つの事業主との関係が残っているなど いろいろなケースがあったり、どちらの事業主との雇用関係に重きを置いているかとい った点も含めて、さまざまなケースが考えられると思いますので、そういった点も含め て今後いろいろなケースも想定しながら議論していただくことが必要であると認識して おります。 ○案田委員 これからどのような予定でその議論をスタートさせるかという点はいかが でしょうか。 ○坂口雇用保険課長 今後の課題のところについては、いまご指摘のマルチジョブホル ダーの問題、あるいはここにも書いております65歳以降の対処の問題等、相当重いと申 しますか、問題の所在ということになると広範囲に議論していただく点が多いと思いま す。恐縮ですが、本日このような形でお出ししている雇用保険部会報告について取りま とめいただければ、部会報告の内容については法律の改正等も必要な事項が多く含まれ ておりますので、まずもっては法改正等についての対応ということで、部会でも、我々 としてもいろいろと準備したものについてご審議いただくことを先行してやっていただ いた上で、いま委員から指摘されたような今後の課題については改めてお願いしたいと いうことで考えております。 ○清家部会長 そのほか何かあればお願いいたします。 ○平田委員 4頁の育児休業給付の見直しのところに○が4つあって、最後の○に均等分 科会の議論で範囲が拡大してということで、育児休業の趣旨について、下から3行目に 「育児休業を取得しやすくし」ということと「円滑な職場復帰を援助、促進」という2 つの意味が込められていると書いてあります。確認したいのはその1つ上で、統合はや むなしということですが、統合しても育児休業給付には2つの意味が込められていると いう理解でよろしいですか。 ○坂口雇用保険課長 2つのというのは。 ○平田委員 育児休業給付の趣旨は育児休業を取得しやすくするということと、職場復 帰を援助、促進する、この2つの意味が統合しても残っていると理解してよろしいかど うかということです。 ○坂口雇用保険課長 育児休業給付は今回いろいろ取得しやすくという観点で、統合に ついての提言を頂戴するということになっておりますが、当然、育児休業制度そのもの が雇用を継続していただくことを主眼とした制度だと思いますので、その点については ご指摘のとおりです。 ○清家部会長 その他、何かご質問等あればお願いいたします。 ○中窪委員 適用拡大や給付の改正は時期としてはいつぐらいから施行される予定でし ょうか。 ○坂口雇用保険課長 ご指摘の適用拡大、特にセーフティネット機能の強化に関わる部 分の給付の見直しについては、昨今の雇用情勢等の悪化を背景に、やはり国民からのニ ーズというか要請が高いだろうということで、私どもとしてもできる限り早期の施行を やっていきたいと考えております。具体的には、適用の拡大については通達の改正等と いうことになりますので、前回の部会でも出た現場での混乱が生じないように周知する ことに留意するということがありますし、元より給付面の関係では、先ほども述べたと おり、法律改正ということが必要になりますので、年が明けてから審議会のほうにも要 綱をお諮りした上で、ご了解いただければ国会に提出していくという段取りになってき ます。いずれにしてもできる限り早くという趣旨からいくと、4月の頭を目途に、施行 に向けて対応できるようにと事務局としては考えております。 ○清家部会長 ほかにご意見、ご質問があればお願いいたします。ないようですので、 ただいま報告していただいた雇用保険部会の報告書(案)はそのように取りまとめるこ とといたしまして、年明けの職業安定分科会に報告させていただきたいと思いますが、 よろしいでしょうか。                   (了承) ○清家部会長 ありがとうございます。そのようにさせていただきます。さて、育児休 業給付の雇用均等分科会の議論に関わる部分については、議論を踏まえて対処すること となっておりますが、雇用均等分科会においては本日午後にも建議が行われる予定と聞 いております。したがって、建議がまとまりましたら、いま配付していただいたとおり、 文面に当該部分を差し替えまして取りまとめ、1月の職業安定分科会に報告したいと思 います。ただいま配付された文面の差替え案をご覧ください。念のため、もう一度差替 えの当該箇所を示していただけますか。 ○田中雇用保険課企画官 差替えの当該箇所は、4頁目の育児休業給付の見直しに○が 4つありまして、いちばん下の○の部分を、いまお手元にお配りした紙の○2つに差し替 えていただくという内容となります。 ○清家部会長 なお書きの部分を、「建議を踏まえ」という形で○2つに分けたというこ とですね。 ○田中雇用保険課企画官 そうです。 ○清家部会長 本日の均等分科会でそのように建議されましたら、4頁の部分をお手元 にお配りした形に差し替えて、それを報告として職業安定分科会に報告させていただき ますがよろしいですか。                   (了承) ○清家部会長 それではそのようにさせていただきます。今回は11月から開始いたしま して、年内にこの案を取りまとめるという、大変厳しい日程でご議論をいただきました が、皆様のご協力の結果、このように取りまとめることができました。皆様、どうもあ りがとうございました。それでは、事務局からご挨拶をいただきたいと思います。 ○太田職業安定局長 一言御礼のご挨拶を申し上げます。委員の皆様方には、いま部会 長からもお話がございましたとおり、11月以降非常にタイトな日程、かつ濃密なご議論 をいただきまして本当にありがとうございました。ただいま部会長からございましたよ うに、本日報告として取りまとめていただいたわけでして、改めて御礼を申し上げる次 第でございます。今回の制度の見直しに関しては、非正規労働者が増大し、また雇用失 業情勢が急速に悪化するという状況の中で、非正規労働者に対するセーフティネットの 強化等々について方向をお示しいただいたところです。ご案内のような景気、雇用の状 況ですので、政府としても、何よりも雇用対策について重点を置いて、スピード感を持 って対策に取り組んでいかなければならないと考えているところでございます。  したがいまして、この報告を踏まえまして、年明け早々にも改正案要綱を職業安定分 科会に諮問させていただきたいと考えております。その内容につきましては、雇用保険 部会でまたご議論いただきたいと考えておりますので、引き続きご指導をよろしくお願 いいたします。なお、法律改正に関わらない部分につきましても、いただいた報告書を 踏まえまして、早急に具体化を進めていきたいと考えております。また、前回最終調整 段階にあるとお伝えしました雇用保険の国庫負担ですが、12月20日に予算の財務省原案 の内示がありまして、24日に平成21年度政府予算案が閣議決定されたわけでございます。 皆様方には大変ご心配をおかけしましたが、国庫負担の廃止・削減はなしということで、 私どもとしては当然ですが、大変ご理解、あるいはご支援いただきまして、改めてご報 告申し上げるとともに、御礼申し上げる次第でございます。以上、簡単ですが御礼のご 挨拶とさせていただきます。誠にありがとうございました。 ○清家部会長 ありがとうございました。その他、事務局から何かあればお願いいたし ます。 ○長良雇用保険課課長補佐 1点だけ補足いたします。この報告書の取扱いは年明けの 職業安定分科会に報告ということを先ほど来申し上げておりますが、1月7日を予定して おります。1月7日の職業安定分科会に合わせまして、ただいま局長からもありましたよ うに、いわゆる法律の改正案の要綱についての諮問という手続を予定しております。 ○清家部会長 以上で「第42回雇用保険部会」を終了いたします。本日の署名委員は雇 用主代表が西馬委員、労働者代表は栗田委員にお願いいたします。委員の皆様、早朝か らお忙しいところをありがとうございました。 照会先:厚生労働省職業安定局雇用保険課企画係     03−5253−1111(内線5763)