08/12/22 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会議事録 ○薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会 添加物部会 議事次第  【日時】 平成20年12月22日(月) 14:00〜15:33  【場所】 中央合同庁舎5号館 共用第9会議室  【出席委員】(五十音順)     石田委員、井手委員、井部委員、佐藤委員、棚元委員、長尾委員、     堀江委員、米谷委員、山内委員、吉池委員、由田委員  【事務局】國枝基準審査課長、光岡補佐、磯崎補佐、小山田専門官 ○磯崎補佐 それでは定刻となりましたので、「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科 会 添加物部会」を開催させていただきます。  本日は御多忙のところ御参集いただき、誠にありがとうございます。どうぞよろし くお願いいたします。  本日は、北田委員、山川委員、山添委員より欠席との御連絡を事前に受けておりま す。また由田委員が、若干遅れるとの御連絡をいただいております。  現在添加物部会の委員14名中10名の委員の先生方に御出席いただいておりますの で、本日の部会が成立いたしますことを、御報告申し上げます。  それでは座長を、長尾部会長にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いい たします。 ○長尾部会長 それでは配布資料の説明を、事務局よりお願いいたします。 ○磯崎補佐 本日先生方のお手元に置かせていただきました資料は、議事次第、委員 名簿、資料一覧、座席表。  そのほかに議題の関連資料といたしまして、資料1−1から始まりますのが、2− メチルブチルアルデヒドの新規指定に関する薬事食品衛生審議会への諮問書、添加物 部会の告書(案)、食品安全委員会における食品健康影響評価に関する審議結果(案) をまとめたものでございます。  続きまして資料2が「粗製海水塩化マグネシウムの成分規格の一部改正に関する検 討(案)」でございます。  次に報告事項の資料といたしまして、報告資料1「平成19年度マーケットバスケ ット方式による摂取量調査の結果について」、報告資料2「食品安全委員会への意見 聴取及び食品健康影響評価の結果について」の以上でございます。  本日お手元にお配りしております資料は、以上でございますが、もし不足等がござ いましたらお申し出いただければと思います。  皆様、おそろいでしょうか。  よろしければ審議に入りたいと思います。 ○長尾部会長 それではまず議題として「2−メチルブチルアルデヒドの添加物指定 の可否について」審議をしたいと思います。事務局より資料について御説明をお願い します。 ○磯崎補佐 まず背景から御説明いたします。2−メチルブチルアルデヒドにつきま しては、平成14年7月に食品衛生分科会で了承されました、国際的に安全性が確認 され、かつ欧米で汎用されている添加物の一つとして、挙げられている品目でござい ます。  本品目につきましては、食品安全委員会へ、平成20年10月14日に食品健康影響 評価の依頼を行いました。食品安全委員会では、平成20年11月11日に、添加物専 門調査会で審議が行われ、その審議を踏まえた評価書(案)が、平成20年12月4日に 取りまとめられました。  それでは、部会報告書の資料に沿って御説明申し上げます。  資料1−1の3ページ目をごらんください。  品目名は2−メチルブチルアルデヒド、構造式、分子式、分子量は、こちらにお示 ししておりますとおりです。  用途は、香料として用いられる品目でございます。  概要及び諸外国での使用状況でございますが、本品目は果実等に天然に存在するほ か、焙煎や加熱調理されたピーナッツなどに含まれる成分です。欧米では様々な加工 食品において、香りを再現し、風味を向上させるために添加されております。  食品安全委員会における審議結果でございますが、2−メチルブチルアルデヒド は、食品の着香の目的で使用する場合、安全性に懸念がないと考えられるとの評価さ れております。  摂取量の推計については、4ページ目でございますが、1995年の米国及び欧州にお けます1人1日当たりの推定摂取量を踏まえますと、我が国の本物質の推定摂取量 は、おおよそ2.0〜4.5μgの範囲になると推定されるところでございます。  なお食品中にもともと存在する成分としての本物質の摂取量は、意図的に添加され た本物質の約40倍であるとの報告がございます。  新規指定についてでございますが、「2−メチルブチルアルデヒドを食品衛生法第 10条の規定に基づく添加物として指定することは差し支えない。ただし、同法第11 条第1項の規定に基づき、次のとおり使用基準と成分規格を定めることが適当であ る。」ということで、使用基準案につきましては、香料として使用される場合に限定 して、食品健康影響評価が行われておりますことから、使用基準は「着香の目的以外 に使用してはならない」とすることが適当と考えております。  成分規格につきましては、5ページ以降に掲載しております。設定根拠は、7ペー ジに、そしてJECFA規格等との対比表は9ページに掲載してございます。  それでは7ページから主な設定項目につきまして、御説明申し上げます。  まず、含量につきましては、JECFA、FCC規格、いずれも97.0%以上という 規格値となされております。しかしながら市販品の5社6製品を分析しました結果、 91.3〜98.6%、平均で96.9%という結果が得られております。市販品の主な不純物を 分析しました結果、2−メチルブチルアルデヒドの原料である2−メチルブタノー ル、そして保存中に生成する2−メチルブチルアシド及び2−メチルブチルアルデヒ ドトリマーが主な不純物と同定されました。  規格値の設定に当たりましては、JECFAでは最低含有量を原則95.0%以上とし ておりますことから、本規格案では市販品を考慮しまして、主たる成分であります2 −メチルブチルアルデヒドの含有量を95.0%以上といたしました。これにより、一部 市販品に適合しないものが出てまいりますが、JECFAでの原則なども考慮しまし て、この値を採用いたしました。  そのほか、確認試験で若干修正がございまして、2行目のところに、「採用してい るがことから」となっておりますが、「が」が不要ですので、こちらは修正いたしま す。  純度試験につきましては、屈折率、比重、酸価を設定しております。  純度試験の屈折率につきましては、JECFA、FCCとも規格値を1.338〜1.393、 20℃としております。一方で、含有量が95%以上の市販品4社、7製品を分析しまし た結果、1.391〜1.396、平均1.393という結果となりました。不純物である2-メチル ブチリックアシド、2-メチルブチルアルデヒドトリマーの屈折率は、そのもの単体で は高いということから、これらの化合物の含有量が増えることにより、屈折率は大き くなるものと考えられたところでございます。そこで本規格案では、市販品の実態を 考慮して、1.388〜1.396という値を設定することといたしました。よって、上限値が JECFA、FCC規格より、若干高目になっております。  次に比重でございますが、JECFA、FCCとも規格値は0.799〜0.804となって おります。一方で、含有量は95.0%以上の市販品4社7製品を分析しました結果、 0.804〜0.815、平均で0.809という結果となりました。こちらにつきましても、不純 物である2-メチルブチリックアシド、2-メチルブチルアルデヒドトリマーの比重が 大きいことから、これらの化合物の含有量が増えることにより、比重が大きくなるも のと考えられたところでございます。そこで本規格案では市販品の実態を考慮して、 0.799〜0.815とし、上限値をJECFA、FCC規格より高い値に設定することとい たしました。  酸価につきましては、JECFA、FCCとも規格が10.0以下となっておりまし て、本規格案でも同じ値を採用しております。  次に8ページの定量法でございますが、JECFA、FCCともGC法により、含 量測定が行われております。よって本規格案でもGC法を採用することといたしまし た。しかしながら食品添加物公定書の一般試験法にございます、香料試験法の9.香 料のガスクロマトグラフィーの面積百分率法の操作条件(2)により試験を行います と、保持時間の関係から、不純物である2-メチルブチリックアシド、2-メチルブチ ルアルデヒドトリマーを測定できない可能性が懸念されますことから、公定書の試験 操作条件(2)を基に移動相の流量、カラムの温度を変更しております。またピーク を読み取る時間につきましても、香料試験法では、0〜40分とされおりますが、本規 格案では先に申し上げましたような理由を踏まえ、0〜60分と規定することといたし ました。  次にJECFA、FCCで採用されているが、本規格では採用しなかった項目とし て溶解性と沸点がございます。  溶解性につきましては、JECFAでは設定されておりませんが、FCCで参考情 報として設定されております。しかしながら本規格案ではIRによる確認試験、純度 試験として酸価、含量等を規定しており、溶解性を項目として設定する必要性は低い ため、採用しないことといたしました。  沸点につきましては、JECFAで93℃と設定されております。しかしながら、品 質管理はGC法により実施されるため、沸点は必ずしも香料化合物の品質管理項目と して重要ではないと考えられることから、本規格案では沸点に係る規格は採用しない ことといたしました。  本品目に係る説明は、以上でございます。よろしくお願いいたします。 ○長尾部会長 それでは2-メチルブチルアルデヒドについて、御意見をお願いいたし ます。 ○井部委員 細かいことですけれども、一番初めの化学式、品目名のところの英語名 は違っていますか。メチル、ブチルもlですね。 ○長尾部会長 2-メチルブタノールの方はlが入っているんですが、こちらは落ちて いますね。ブチルはいいんですよね。メチルのlが抜けています。  資料1-2の3ページの品目名の英語名です。  井部先生、それでいいですか。 ○井部委員 はい。 ○長尾部会長 ほかにはいかがでしょうか。  JECFAと比べて含量も多少違ってきます。それにしたがって純度試験も多少違 ってきますけれども、よろしいですね。  何か、佐藤先生の方からありますか。 ○佐藤委員 済みません。これと同じような4−アルデヒドでイソバレルアルデヒド というものもあるんですけれども、それも大体含量95%、比重、屈折率もほとんど同 じような範囲に入っているので、問題ないと思います。 ○長尾部会長 ほかには御意見ありませんでしょうか。  それでは一通り御審議をいただきましたので、2-メチルブチルアルデヒドの新規指 定については、可とすることでよろしいですね。  それでは部会報告書を取りまとめて、分科会報告書とする手続きをとりたいと思い ます。  今後のスケジュールについて、事務局から説明をお願いします。 ○磯崎補佐 今回の審議結果につきましては、食品衛生分科会での審議のほか、パブ リックコメント、WTO通報等の手続きを開始したいと思っております。 ○長尾部会長 では、適切に手続きを進めてください。  そのほか、審議事項として、事務局から何かありますか。 ○磯崎補佐 審議事項は、本件のみでございます。 ○長尾部会長 それでは、それではその他の議題をお願いします。 ○小山田専門官 それでは右肩の資料2という資料をごらんになっていただきたい と思います。  「粗製海水塩化マグネシウムの成分規格の一部改正に関する検討(案)」でござい ます。    前回11月25日開催の添加物部会にて、参考人として日本食品添加物協会並びに食 用塩公正取引協議会の方々の出席を賜りまして、御要望の内容につきまして、御説明 をいただいたところでございます。  その説明に基づきまして、各委員の先生から御意見を賜りましたが、今回も引き続 き、粗製海水塩化マグネシウムの成分規格の改正につきまして、御検討をいただきた いと思います。  まず資料1ページの1番でございます。これは現行の規格成分を抜粋したものでご ざいます。今回改正する対象になる項目だけを、ここに掲載させていただいておりま す。  2番目が前回の御検討をいただいた議論を、事務局として整理させていただいてお ります。一つ目が「定義について」ということで、「海水から塩化カリウム及び塩化 ナトリウムを析出分離したものの他に、塩化ナトリウムを析出分離して得られたもの も含めてもいいのではないか」という案でございます。  その理由といたしましては、現在流通しているものの多くは、塩化カリウムを析出 分離してはいない。また既存添加物名簿がつくられた当時の実態というのが、必ずし も反映されていないのではないかという御意見もございました。  また、食用塩公正取引協議会からの御意見ですと、塩化カリウムを析出分離する工 程の付加により、事業者の負担が大きく、これは現実的ではないという御意見もござ いました。  よって前回いただいた二つの御意見を考慮いたしまして、定義を変更することとい たしまして、「海水から塩化カリウム及び塩化ナトリウム」、この文言が新たに追加 させていただき、「又は塩化ナトリウムを析出分離して得られたもの」という定義に 変更する案でございます。  次に「表記について」でございますが、定義にあります主成分の表記といたしまし て、従来は塩化マグネシウムということでございましたが、事務局案としては、マグ ネシウムというような、電離しているイオンが多く含まれるということから、主成分 の標記をマグネシウムとしていいのではないかという案でございます。  理由といたしましては、マグネシウムイオン、硫酸イオン及び塩素イオン等が電離 した状態で含まれており、本品の本質がマグネシウムイオンということでございます ので、マグネシウムとしての表記を、案として御提案させていただきました。  次に、「含量について」でございます。塩化マグネシウム(Mgcl2)の含量につき ましては、値の範囲を広げて規格を設定してもいいのではないかという案でございま す。なお、仮に、「マグネシウム」の標記とした場合は、含量の値としては2.0〜8.5% になるものでございます。  この理由といたしましては、塩化マグネシウムの含量の流通実態を調査しましたと ころ、8.0%以上のものが多くを占めておりました。これ以下のものはほとんど豆腐 の凝固等に用いられておらず、塩化マグネシウムとして8.0〜33.0%に変更すること により、多くの事業者が範囲に含まれ使用できることになると思われます。  また、定義にございます主成分の解釈といたしまして、構成成分のうち、主たる用 途の成分としてとらえれば、必ずしも成分含量が一番多くならなくともよいと解され るという案でございます。  次に性状についてでございます。「零細事業者の製造するいわゆる『にがり』とい うものや輸入品も含め、現行の淡黄色を茶色に変更する必要があるのか」という案で ございます。  これも理由といたしましては、藻が含まれる海水を原料として食塩を製造した場 合、「にがり」は確かに茶色になるということでございました。また、既存添加物名 簿に収載された当時は、「藻塩にがり」というものは流通していなかったということ もございます。また、韓国、中国等で行われております工業用の塩を目的とした塩田 法で製造された「にがり」は茶色でして、塩田に使用される農薬等の有害物質が含ま れる可能性が高く、このような「にがり」が輸入されることにつながる規格の改正は、 適当ではないということで提案させていただきました。  最後に純度試験でございますが、純度試験の(1)として、硫酸塩がございます。 「硫酸塩として6.5%以下に変更することにより、多くの事業者が製造することがで きるようになるのではないか」という提案でございます。  理由でございますが、塩田法で製造される一部に硫酸塩として4.8%を超えるもの があり、規格値を変更することによって、この方法で製造されている多くのにがり製 造業者が添加物として流通させることができるようになるというのが、理由でござい ます。  次に純度試験の(3)の重金属でございます。これにつきましては、原料となる海 水の汚染を考慮し、新規に鉛の項目を設定するとともに、重金属を削除するという案 でございます。  理由といたしましては、現行規格においては、重金属として鉛を20μg/g以下に設 定されておりますが、定義あるいは塩化マグネシウムの含量及び純度試験項目の硫酸 塩、またはナトリウムの規格値を広げた場合、従来の重金属の規格に比べ、より感度 の高い鉛試験法を採用し、規格値を鉛として4.0μg/g以下に設定し、より安全性を 確保することが適当ではないかという案でございます。  なお重金属でございますが、JECFA、EU、FCCにおきましては、塩化マグ ネシウムの鉛の規格が設定されておりますが、重金属の規格については、設定されて いないということで、国際的な規格との整合性を図るためにも、削除することが適当 であるという案でございます。  3ページに行きまして(6)ナトリウムでございます。ナトリウムといたしまして 6.5%以下に変更することにより、多くの事業者が製造することができるようになる のではないかという案でございます。  これも理由といたしましては、塩化ナトリウムを十分に析出分離しない一部の「に がり」には、ナトリウムとして、4.0%を超えるものがあり、この範囲を広げること により、多くの業者が添加物として流通させることができるようになるのではないか という理由でございます。  最後でございますが、これは「原料となる海水の汚染防止のための衛生管理につい て」周知を図る必要があるということから、「原料となる海水が農薬などの化学物質、 カドミウムなどの重金属や放射性物質による汚染がないよう、採取する地点及びその 周辺海域の衛生確保に努めること」が必要である。また、採取した海水の濃縮工程に 用いる施設・設備において、化学物質等の汚染がないよう、その衛生確保にも努める よう、自治体に対して通知を持って周知を図る必要があるのではないかという案でご ざいます。  以上について、御検討をよろしくお願いいたします。 ○長尾部会長 今、御説明がありましたように、前回、御検討いただきましたときに は、定義を変えないで、すなわちKClを析出したものという前提のもとに、御議論を いただいたわけですが、よく事務局で検討された結果、成分規格を決定した段階、規 格をつくった段階で、既に流通しているものを十分反映されていないで、規格が決定 されているということで、定義を含めて、この際見直して、なるべくその当時流通し ていたものは、カバーできるように定義を変えて、しかも規格を変えようということ で、それでどういうふうにするかということで、事務局からの提案が四角に入ってい るわけです。  ということで前回の続きというのではなくて、頭を切り替えまして、定義を変える。 基本的な考え方は、当時流通していたものをカバーする。そういう規格にしたいとい うことで、御検討いただきたいと思います。  まず最初のKClを析出しないでするという項目を外すということから、御議論をお 願いしたいと思います。 ○米谷委員 私は既存添加物名簿ができたときの担当者で、国立衛研の食品添加物部 にいたのですが、その当時の実態が必ずしも反映されていないと書いてありますの で、当時の実態をお調べくださいとお願いしたのですが、出てきたのでしょうか。そ の辺を教えていただければと思います。 ○小山田専門官 資料といたしましては、詳細な資料はございませんでした。  先生から言われた後に、先生の方にお渡ししている資料のような概要についての資 料しかございません。 ○長尾部会長 いいですか。 ○國枝基準審査課長 追加ですけれども、前回のときには、たしか棚元先生から、既 存添加物の名簿をつくったときの定義、それを変えるか、変えないかが非常に重要で すというお話がありました。原則、変えないということで整理できないかということ に、その場はなったかと思います。名簿を作ったときの御議論などもその後聞いてみ ましたが、確かに平成7年の既存添加物の取込みのときには、当時の資料は必ずしも 残っていないんですけれども、多分大多数のものは、今の定義どおりののものであっ たと思います。  しかし、この「にがり」について、塩専売法が導入されるもっと前の段階も含めて ですけれども、要するに海水からぐつぐつ煮て得るというような形のものは既に存在 していて、そういったものが非常にローカルですけれども流通して豆腐などの凝固に 用いられたという実態もあるようです。必ずしも今の定義、つまり海水から塩化カリ ウム、塩化ナトリウムを析出分離するという定義以外のものがないのかというと、確 かに平成7年当時は、大多数のものはこの定義に則した方法でつくらていたわけです けれども、にがりそのものの昔からの状況を考えてみると、それはあったというふう に想定されます。  これはやはり現状として既に出回っているものもかなりあるということを考慮す ると、定義の部分を、より現状に則した形に改めた方がいいのではないだろうかとい うことで、今回提案させていただいたものです。 ○棚元委員 前回からの問題となっている、既存添加物の定義部分をどう扱うかとい うところで、前回の議論を受けて、基準審査課の方では定義自体を変えましょうとい うところに踏み込まれたのだと思います。  これは、今後の既存添加物全体、すなわち食品添加物公定書に既収載のものも、こ れから新たに導入するものも含めて、すべての括弧書きの定義部分の扱いということ の本質に触れるところだと思います。  そういう意味でここの定義部分を変更するならば、どういう場合に変更が可能であ るのかというところの話になると思います。  今のお話ですと、平成7年当時の実態というものをあくまでもベースにするという ことなんでしょうか。  その場合、今、おっしゃったことの中でちょっと釈然としなかったのは、「平成7 年当時はそういうふうであったと想定される」という表現をされましたが、そのよう な表現では今後の議論がまたぼやける可能性が出てくるので、基本的な考え方がある 程度かたまっておられるのでしたら、お聞かせいただければと思います。本議題とは 少し離れるかもしれませんが。 ○國枝基準審査課長 既存添加物というのは、法律で指定添加物の定義を、更に天然 にまで拡大したときに、それまで流通していた天然のものを取り込んだことに伴うも のです。従来のものを取り込んだのは、一定の食経験があるということからです。そ れから国会での決議もありましたから、安全性の検討、あるいは規格の作成もしなけ ればいけないということで、現在も作業を進めているところです。  今回のにがりについて言うと、取り込んだ平成7年当時は、食塩はほとんど隔膜法 でつくられており、塩化ナトリウムそして塩化カリウムを落として、その残りのもの というのでつくられたものですけれども、平成7年当時の定義のものはです。  もっとさかのぼった原点に帰ると、非常にローカルだったかもしれませんが、今回 御提案するような定義、つまり塩化カリウムも落とすということではなく、塩化ナト リウムだけを析出させたようなものが、実際出回っていたのではないかと推定される ので、これについては、定義をより正確にするという改正は認められるのではないか と思っています。  それ以外のものについて今後どうするかという問題については、基本的には厳密に 解釈すべきと思います。全く誤記であるとかそういうものは別として、基本的には既 存添加物というのは、その当時の食経験等も斟酌しながら、その当時として一番容認 できる範囲のものということで認めたものですから、それ以外のものについては、基 本的には、新規の指定添加物という扱いでやるべきだろうと。  ですから前回、棚元先生から定義の解釈をどうしますかと問われたときに、私自身 は、例えば定義の部分を変えないということであれば、新たな指定添加物という形で、 どの程度までを認めるか再整理することも必要ということでお話をしました。その 後、いろいろ検討して、それについては先ほど御説明したようなことだったので、今 回は、定義を変える形で整理した方が、適切ではないかというふうに考えた次第です。 ○棚元委員 今のお話ですと、やはり基本的な姿勢が大きく変わるということではな くて、今回のものについては、その当時の実態を見るけれども、今までどおり括弧書 き定義というものには非常に厳密に対応していくという、そういう整理ということで しょうか。 ○國枝基準審査課長 はい。 ○棚元委員 わかりました。 ○長尾部会長 ほかにはいいですか。どうぞ。 ○棚元委員 もう一つ、次の問題点になるかと思うんですが、この定義部分で前回問 題になったのは、今の塩化カリウムの問題が一つと、もう一つは、塩化マグネシウム を主成分とするというところがあったかと思います。  今回マグネシウムの規定が、塩化マグネシウムではなくて、マグネシウムでという 提案になっていますね。  このマグネシウム8%までとした場合には、主成分、すなわち一番多い成分という 形で整理できるんでしょうか。 ○長尾部会長 そこの「含量について」というところの次のページに説明があります。 「構成成分のうち、主たる用途の成分として捉えれば」。 ○棚元委員 一番多くならなくてもよしとするわけですね。 ○國枝基準審査課長 例えば豆腐の例を挙げると、豆腐を凝集させるのはマグネシウ ムイオンということなので、関与成分というか、有効成分というか、そういうもので 見ると、マグネシウムイオンだと思うのですが、それが一番多くなるのではないかと 思います。  ただし、全体的な、例えば塩化ナトリウムだとか塩化マグネシウムという形式にな ると、従来の塩化マグネシウムを仮に8%まで下げると、塩化ナトリウムが、たしか 一番多くなる形だったと思います。 ○長尾部会長 しかもナトリウムの濃度を4%から6.5%に変更するというところも ありまして、実際にそれに該当するようなものの、ここに提出されている資料を見ま すと、食塩の方が濃度が高くなりますね。全部クロールイオンで計算しますと。  したがってここに説明がありますように、マグネシウムの項目の次のページですけ れども、「主たる用途の成分として捉えれば」という説明を、事務局ではされていま す。  この前、提出された資料を拝見しますと、豆腐を凝固させるのには、海水でも十分 だというんですね。海水中のナトリウム塩の濃度が1%で、マグネシウムイオン濃度 が0.12%というようなデータがありました。それから計算しますと、マグネシウムが 2%ですから、これが16.6倍の濃縮なんです。それからナトリウムが1%から6% に濃縮ですから6倍、相対比としては約1/8だったのが上がるんですね。片方が16.6 倍に濃縮され、片方は6倍。6%ということですから、相対比としては、かなりマグ ネシウムが濃縮されたものというふうに計算できます。   ですからここの説明が主成分というのは、用途の成分として、マグネシウムがその 目的に合ったものだというところが、添加物一般に、主に既存添加物だと思いますが、 そういうもの一般の考え方として、それでよろしいかという問題になりますね。  この場合に限って、そういう使い方をするとか、何かそういうことにするのか、そ の辺のところは、ちょっと全体の事情に詳しい先生に。 ○棚元委員 私がお聞きしたかったのは、要するに主成分というものをどういう形で 定義するかという問題だったんです。  例えば主成分の一つの考え方としては、量的に最も多いものというのが当然あると 思います。それから既存添加物全般を見てみますと、有効成分というものが非常に純 度の高いものもあれば、ほとんど量として入っていないものまでいろいろあるわけで すね。そういった中で、主成分というものの有効性ということを主体として考えて、 それを基準にして、有効成分として最も多いものといった形で定義するのか、という 問題です。  このような問題点に関しては、この部会で討論したことは、恐らくなかったと思う んです。今後もそういった問題は、当然出てくると思いますので、既存添加物に関し てはどういったものを主成分と定義していくのか。もし主成分を量の多いものと定義 しますと、これは今回の定義部分にも抵触することですから、そういったことも含め て、整理していただければと思います。 ○國枝基準審査課長 甘草抽出物というのが既存添加物にございます。これの定義 で、最初に、本品は、いわゆる起源植物が書いてあるんですけれども、こういったも のまたは近縁植物の根もしくは根茎から得られたグリチルリチン酸を主成分とする ものであるというのがございます。甘草抽出物の中のグリチルリチン酸というのが、 有効成分と考えられています。これは構成成分からすると、非常に一部のものです。 ちょっと前例なのかどうかわかりませんが、そういうのがございます。 ○棚元委員 おっしゃるとおりで、それは公定書改正のときに議論になったところで す。ただその場合は、確定された成分の中で最も多いものというところはあるかと思 います。  今回の場合ですと、他の成分量が明らかになっているわけです。すなわち、他の成 分よりも主成分が少ないということが、数値として出てきますので、考え方としては っきりと、今後は効果のあるものを主成分とするということを、決めていくのかどう かというところだと思います。 ○國枝基準審査課長 御指摘のところは、この主成分というのがいわゆる主要な用途 に使う関与する成分なのか、構成成分として主かというのが、不明確ですが、実態的、 現実的に使われているということもあります。また既に似たような類似の定義もあっ たので、今回は特に変えなくても読めるかと思ったのですが、もし必要があれば主成 分という部分がわかるような形というふうに少し変えてもいいかと思います。 ○米谷委員 古い話なんですが、既存添加物名簿をつくる前に、化学的合成品以外の 食品添加物のリストがありました。それの改定作業で、主成分はこういうふうに表し ますというような約束事がありました。それを最近私は書かせていただいたのです が、それが既存添加物名簿収載品目リストに反映されているんです。  一つは有効成分が80%以上か未満か。もう一つは有効成分が明らかな場合と明らか でない場合、それによって全部書きぶりが違うようにしてありますので、その辺も再 度チェックしていただければと思います。  それから有効成分の含量が低いというのは、一番、皆さんよくわかるのは着色料で ございます。着色料は、天然着色料の主成分といいますか、有効成分の含有率は低い のですが、その場合は主成分とは書かないで、主色素成分というふうな表現をさせて いただいています。その辺の言葉の使い方も踏まえて、いろいろ御議論いただければ と思います。 ○長尾部会長 関連した御発言ですか。どうぞ。 ○佐藤委員 多分今、米谷先生がおっしゃったのは、既存添加物の収載品目リストの 方の細かい定義で、それを全部の既存添加物名簿にするときに、括弧書きは有効性分 も何もすべて主成分という一つの言葉にまとめてしまっているので、混乱が生じ、誤 解というか、いろいろわかりにくくなっているのかなというところがあると思いま す。  そこを今後、定義の中に主成分という言葉ではなく、細かい使い分けをするのか、 今までどおりすべてを主成分と書いてあっても、品目ごとに読みかえて解釈するか。 その辺はまた法律的なことに関与してくるのかなと思いますけど。 ○國枝基準審査課長 前回から今回までの期間が短かったので、今日、決定するとい うことではなく、今日賜った意見及び前回、御意見を賜った関係団体にも、もう一度 今日の案についての御意見を聞き、これらをもとに再度整理したいと思います。  あと残りの部分、いろいろと御意見があると思いますが、一応この部分については。 ○長尾部会長 はい。御意見をなるべく出していただいて。 ○井部委員 最後の項目の○で示してあるところ、「原料となる海水及び濃縮工程に おける衛生管理」、これをつけた意味と、それからこれをつけることで衛生管理が確 保されるのかと、ちょっと疑問に思ったのですが。 ○國枝基準審査課長 前回のとき、日本食品添加物協会の方から、例えば韓国などで は、塩をつくるときに塩田を使うのですけれども、そこは当然のことながら田んぼな ものですから農薬とかも使われているということで、規格基準を緩めることで、そう いったものが入ってくる可能性もあるとのご意見でした。  おそれのある全てに規格基準をつくるというのは、結構大変なことになってしまい ます。他方海水を採取するところ、あるいはそれを濃縮するようなところ、実際には 塩田、あるいは塩田を使わなくても竹などを使って濃縮するような場合、そういった ものからの汚染もあります。従って、規格では書かなくても、事業者としては当然の ことながらこうした汚染に対してしっかり対応して管理をしなければいけないんで すけれども、入念的にこういった原料の海水、あるいは濃縮工程での汚染防止の衛生 管理を、規格基準が定まった段階で、事業者の方に通知をする形にしたらどうかと。  前例としては、ミネラルウォーターのときに、原水の汚染防止のためにいわゆる泉 源の衛生管理というのが通知として出ています。 ○井部委員 特にミネラルウォーターの場合は、原水の基準があったと思いますが、 そういう形では、しないわけですね。 ○國枝基準審査課長 ミネラルウォーターの場合には、原水の衛生確保と、それから そこの環境保全という両方の意味で通知が出ています。 ○井部委員 つまりここではそういう通知といいますか、基準みたいなものは出さな いわけですか。 ○國枝基準審査課長 そこは先ほども言いましたように、そもそも食品事業者が、安 全性を確保する責務があるのですけれども、仮にこれを基準にしてしまいますと、例 えば農薬でもさまざまな農薬が、あと重金属も、一応鉛をやることにしていますけれ ど、それ以外のものもございます。問題がないかどうかを調べるときに、すべてをい つも日常的に検査して安全性を確保するということは現実的ではなく、最初のところ で検査をし安全性を確保しておけば、その後は一定の間隔ぐらいでの検査でも十分担 保が出来ます。  従来の規格のときは、それでいいという整理だったんですけれど、今回少し定義を 変えたりするということになるのであれば、そこをきちんとしておかないと、海外で 工業用途に用いられる食塩のおまけで出てきたようなものが、食塩の方は濃縮させて 析出したものですけれど、残りの液なので、どんなものが入ってくるかわからないと の懸念もあり、そこはやはり入念的に指導するのがいいのではないかということで す。 ○井部委員 そのとおりだと思いますが、そこのところがきちんとしているのかなと 思ったものですから、つまり安全確保に努めるということだけで、きちんとできるの かなと思ったわけです。基準をつくれとは言いませんけれども。わかりました。 ○井手委員 表記について、これは前に議論があったかもしれません。マグネシウム としてもというのは、主成分の表記を塩化マグネシウムではなくマグネシウムにする ということですね。  これはマグネシウムというと、金属マグネシウムみたいに聞こえるんですけど、例 えばマグネシウム塩とかというそういう表記ではなくて、こういうふうな形をとる例 が、ほかにもあるんですか。  ここの理由に、硫酸イオン、塩素イオン、塩化物イオンですか。などが含まれるの でと書いてあります。硫酸塩の形も塩化物イオンの形もありますよということだと思 うんですけれども、それだったら表記としてマグネシウム塩とすれば。つまり定義の 部分とどういうバランスかなと思ったものですから、ちょっと教えていだだければ。 ○小山田専門官 この表記でございますけれども、自主規格の際は、マグネシウムと いう含量として表示されていた経緯がございます。それを定義に合わせて、いわゆる 塩化マグネシウムというような書きぶりにしたということなんですが、それを今回は 塩化物とするかしないかというような表記で、マグネシウム塩とするのかイオンとす るのか。この辺はこれから皆様の意見も含めて、塩化物としてあくまでも定義に合わ せて表記した方がいいという御意見があるのか。イオンとしての表記としてするべき だという御意見があるのか。その辺もいただきたいと、そういうふうに考えておりま す。 ○井手委員 多分、ほかのところでもイオンを主成分名にしているところは、ないの ではないかと思います。そうすると塩化マグネシウムというのが化合物名ですが、そ れが複数の塩から成っているのであれば、単にマグネシウム塩とする方が妥当かなと 感じただけです。ちょっと正確にはわかりませんけれども。意図的に複数の塩である ことを示そうとするのであれば、その方がいいかなと思います。 ○長尾部会長 そうしますと、マグネシウム塩として2%とか、そうすると、考える ときにどうやって考えたらいいのか、かえって難しいんですね。マグネシウムイオン として2%なんですね。測定しているのがマグネシウムイオンを測定しているんで す。ですからどういう表現をするのが、一番適切なのか、御意見をいただければいい ですね。 ○佐藤委員 定義はマグネシウム塩で、含量はマグネシウムとして幾つという表現 は、可能なんでしょうか。 ○國枝基準審査課長 当初こちらから御提案したのは、定義が塩化マグネシウムとし ていたので、含量規格も塩化マグネシウムとしてというふうにしていました。この前 の部会で、委員の先生より、実際には塩化マグネシウムが入っているわけではなくて、 仮の姿としてマグネシウム塩というのをすべて塩化物とした場合という形にしたと きということなので、それだったら関与する成分はマグネシウムだから、マグネシウ ムにしたらいいのではないかという御意見があったので、今回そのように提案させて いただいたものでございます。  事務局からというより、そのときの部会の御意見を踏まえて、直させていただいた ものです。 ○長尾部会長 ちょっとそこはどうでしょうね。 ○佐藤委員 今のは、結局塩化マグネシウムという存在ではなくて、井手先生の硫酸 マグネシウム、いろんな塩が入っているのを、定義に盛り込めないかなという御提案 じゃないかなと思ったんです。  品目名は、粗製海水塩化マグネシウムなんですが、定義としてもマグネシウム塩と いう定義にするのが、先生としては適当ではないかという御提案だと思うんですが、 じゃないですか。そういう。 ○井手委員 ややこしいことを言って申し訳ないです。単にちょっと違和感を感じた だけで、定義は塩化マグネシウムとするということですね。それでこの表記というの は、どのときに使うかということだと思うんです。主成分の表記、例えば純度試験や 何かのときだったら、マグネシウムとしてという注釈をつければよくて、成分という のに対応するのが単にマグネシウムというのは、ちょっと不思議な気がしただけなん です。  ただ、その下に書いてある説明を見ると、いろんなのが入っているから、いろんな 塩の形があるから、それをひっくるめてということであれば、塩という言葉をつける しかないかなと、そういう感じですね。 ○小山田専門官 そうしますと今の御意見ですと、含量のところの、1番の現行の成 分規格になりますけれども、本品は塩化マグネシウムとしてということではなく、マ グネシウム塩として2〜8.5%ということでしょうか。 ○井部委員 マグネシウムとしてでよろしいのではないですか。含量は。そういう先 生の意味だと思います。 ○井手委員 そうです。 ○長尾部会長 本品はマグネシウムとして2%という。  ほかにはいかがでしょう。どうぞ。 ○佐藤委員 最後の○のところなんですけれども、衛生管理のところで、自治体に対 して周知を図るだけでよろしいんですか。事業者に対しては何もなくて、自治体でい いのかというちょっと。輸入の場合は自治体じゃないですね。 ○國枝基準審査課長 そうです。 ○長尾部会長 どうぞ。 ○山内委員 2ページにあります色の点は、この塩にがりは今回は入れない方向でと いう案ではないかなと思いますが、先生方にお聞きしたいのは、茶色を排除すること で後半部分、韓国や中国での工業用塩を目的した農薬等の有害物質が含まれる可能性 の高いものを排除ことが実態的には可能だと考えてよいのでしょうか。教えていただ ければ。 ○長尾部会長 恐らくほとんどの先生方は、それではわからないと思っておられるの ではないかと思うのですが、その点は。 ○國枝基準審査課長 日常的な品質管理の観点で見ると、やはり性状というのが、問 題がある場合、非常にクリティカルにすぐにわかるものです。藻塩にがりについては、 当時流通していなかったというふうに、私どもは認識していますので、今ここであえ て改正して、性状を変えるのはいかがなのかなと考えています。この前のとき、食用 塩の公正取引協議会の方からは、茶色を是非認めてほしい、日本食品添加物協会の方 からは認めるべきでない、という対立した部分でした。  この前の御議論の中では、やはり色がついているのはどうかなということだったの で、今回、あらためて変えないという形でよろしいかということを、確認させていた だいたということです。 ○長尾部会長 藻塩にがり入れないことはいいんですけれども、それだけで十分かと いう問題ですね。 ○國枝基準審査課長 性状を変えない、それだけで十分というのは、どういう意味で しょうか。 ○長尾部会長 藻塩にがりを排除するために、色の問題、色は現行の淡黄色を維持す るということですね。 ○國枝基準審査課長 というか、藻塩にがりがあるので、緩めてほしいという趣旨だ ったんです。 ○長尾部会長 ですけれど、それはそうしないんですね。 ○國枝基準審査課長 それは藻塩にがりを認めることによって、本来入るべきでない ものが入り込むので、ここは性状を緩めるのは、適当ではないと。 ○長尾部会長 ですからそれはアグリーしておられるんです。今の御質問は、それだ けで農薬や何かが入ってくるということを排除できる。色だけで排除できるかという 御質問なんです。ちょっとずれた問題なので、ここの色とはちょっと別に考えて。 ○國枝基準審査課長 ここは先ほどの井部先生の御質問にも関連するのですけれど も、3ページのような形で、担保するのでどうかと。規格でそこまでやると、日常的 に例えばさまざまな農薬を検査しなければいけませんし、あるいは重金属も今は鉛だ けにしようという形になっていますけれども、それ以外のものも検査をしなければな りません。そこは事業者が、自らの責任で担保という形にすればよろしくて、規格の 中では改めて担保しなくてもいいのではないかと。  しかし、議論もあったので、通知としてあえて事業者としての責務を明記させてい ただくということを提案させていただいたものです。これ以外のものは何もしなくて もいいということではないんですけれど、通知をすることによって、例えば工業用途 の塩田を用いたようなものは、当然事業者としてそういうものを取り扱うのはだめで すよということにしたいということです。  変な話ですけれども、いろんなおそれがありますので、これらに対応するには、こ うしたおそれすべてに規格をつくらなければいけなくなってしまいます。やはりそれ は規格で担保する部分と、それからそれ以外でも事業者が目配りをして担保する部分 があり、それぞれ役割分担があると思います。  やはり規格というのは、あくまでもminimum requirementなので、それだけで守ら れるわけではないので、その部分は事業者が目配りして担保するということになる。  ただそのときに、特に汚染が懸念されるような場合は、通知としてその留意点を示 す方が、よりベターではないかなということで、御提案させていただいています。  仮にこれを規格としてやると、従来のよりものすごく重装備な規格をつくらなけれ ばいけなくなってしまいます。そうすると今回のような中小の事業者の方も入ってい るときには、せっかく規格をつくろうという一歩前進が、今度は逆に余り高いものを ねらい過ぎると、それすらできなくなってしまうという状況があります。そこは事業 者がminimum requirementとして義務的にやる部分と、それ以外でも自主的に責任を 持ってやる部分があるかと思います。  勿論、食品衛生法上は第6条というのがありますので、不衛生なもの、あるいは有 害なものであれば、規格がないものであっても対応することは可能であり、最終的な 安全性の確保はされています。 ○佐藤委員 済みません。3番目の重金属、鉛の件なんですが、鉛4μg/gというの は、どの濃度のマグネシウムに対しても4μg/gという。結局マグネシウムの濃度が 4倍以上違うわけですね。それで例えば鉛が、16μg/gあっても、それを1/4に希 釈すると合格になるとか、そういったところがあって、マグネシウム何%に対してと いうことではなく、すべての粗製海水塩化マグネシウムに対して、4ppmという規格 で縛るということでよろしいですか。 ○國枝基準審査課長 今の案はそうなっていますが、それが適切でないというのであ れば、むしろ佐藤先生の御意見を賜りたいと思うんですけれど。  ○長尾部会長 佐藤先生、どうでしょう。 ○佐藤委員 実態としてどうなのかというのもあるんですけれども、ほかの規格は、 全部2μg/gでほかの添加物の規格を大体つくってきているので、これだけ4μgで 結構高いなと。そんなに厳しくする必要もないのかどうかというのもあるんですけれ ども、これは結局ほとんど水なんですよね。それで先ほどのお話とは違うんですけれ ど、この4μgというのはどこから、ほかの海外と一緒ということですか。 ○小山田専門官 これは日本食品添加物協会の要望案にある規格でございまして、こ れは日添協の案の12%という現行の規格に合わせて、鉛を設定する際には、この値が 必要ではないかという案を記載させていただいております。 ○佐藤委員 そうするとやはり12%に対してという、ある程度の疑惑があってもいい のではないか。日添協の最初の要望を、マグネシウムに変えた形で、マグネシウム何々 に対してというのがあってもいいんじゃないかと、私は思いますけど。 ○長尾部会長 その点、事務局の方で御検討を。 ○小山田専門官 そうですね。ここは海外の規格を参考としたもので、たしか12%を 前提にしていたもので、佐藤先生がおっしゃったように、希釈した場合にどうするの かということもありますし、いろいろほかでも御意見を賜っていますので、そこを整 理した上で、次回、提案させていただきたいと思います。 ○棚元委員 よろしいですか。一応確認ですが、先ほどマグネシウムの表記のところ が出ています。定義部分のところをどうするかという結論が出なかったような気がす るんですが、塩化マグネシウムを主成分とするということを今度お考えになられると きに、そこのマグネシウムという表記のところも、あわせてお考えいただければと思 います。 ○小山田専門官 わかりました。 ○長尾部会長 最後のところの、自治体に周知を図るというところですけれども、こ ういうのは一般に海水に農薬とか化学物資、カドミウムとか水銀とかそういうものが 入っていない、放射線物質の汚染がないようにと、自治体に周知することによって、 自治体はそういう濃縮をするような海水について、きちんとそういうデータが出され る。農薬がないとか、汚染度はどうだとかということを、ちゃんと把握するものです か。 ○小山田専門官 事業者としての責務ということで、例えば田んぼの汚染とか、ある いは近くの海の汚染がないかどうかを把握していただきたいという意味で、添加物で あれば添加物の業態の許可を行っている自治体でも、海水や施設の衛生管理を担保し ていますというようなことは、示さざるを得ないと思います。  ただ、一定の頻度で製造所ごとにやる必要はないと思われます。  これはあくまでも行政指導で、そういう意味でいうと、これを無視した場合にどう なのかということについては、なかなか難しい部分もあると思います。  いずれにせよ、自治体の判断でそういう事業者の衛生管理を遵守してもらう形で の、一定の歯止めはできるのかなと考えております。 ○佐藤委員 先ほども申しましたけれども、輸入品に関しては、自治体がやはり行政 指導をするんですか。検疫所ですか。 ○小山田専門官先 先ほど申したのは、自治体を例にしたため、輸入事業者について は、検疫所とか、輸入に関連する団体、添加物事業者や合わせてやっているようなと ころは、受け皿があります。また、塩の公正取引協議会に加盟する輸入の塩やにがり を扱っているようなところがございますので、そういったところに対しては周知を図 っていくということになると思います。 ○長尾部会長 いかがでしょうか。ほかに何か御意見ありますでしょうか。 特にないようでしたら、いろいろありました意見を事務局で反映させて、改正案をつ くっていただきたいと思います。 ○小山田専門官 はい。いただきましたご意見をもとに、また案をつくりまして、次 回の部会等で御審議をいただきたいと思います。 ○長尾部会長 それでは、次に報告事項でしょうか。 ○磯崎補佐 それでは次に報告事項でございますが、今回は2件ございます。  まず1件目といたしまして報告資料1にございます、「平成19年度のマーケット バスケット方式による摂取量調査の結果について」御報告させていただきたいと思い ます。資料に沿って御説明申し上げます。  これまでもマーケットバスケット方式による食品添加物の1日摂取量調査を、年度 ごとに対象品目を変えて実施してまいりました。  平成19年度は、安息香酸ソルビン酸といった保存料9種類とノルビキシンやター ル色素といった着色料14種類について調査を行いました。  具体的な品目については、目的の下半分に記載してございます。  実施方法でございますが、調査に参加いただいた地方衛生研究所の6機関でマーケ ットバスケット方式により調査用加工食品群、これを混合群と申しますが、これを調 整いたしまして、国立医薬品食品衛生研究所を含む7機関で、今回対象とした食品添 加物について、混合群ごとの含有量を測定し、それに対応する食品の喫食量を乗じる ことにより、1日摂取量を算出いたしました。混合群の調整に当たっては、平成17 年等に作成された食品喫食量リストをもとに改訂した、混合群の調整方法に基づき、 実施したところでございます。  結果でございますが、8食品群ごとの添加物の含有量に、喫食量を乗じて求めた1 日摂取量を表1にまとめてございます。  こちらの表のうち横棒で記載してありますものは、欄外にも記載がございますが、 含有量が定量下限未満であったために、摂取量が0となった品目でございます。  このようにして求められた摂取量につきまして、ADIとの比較を行ったものが、 資料3ページ目の表2でございます。こちらの結果の一番右のカラムが、ADIと摂 取量の比率を%で表したものでございますが、ADIが設定されている食品添加物に つきましては、いずれもADIから算出される1日許容摂取量を大きく下回る結果と なっております。このことから、今回調査した添加物については、安全性上、特段問 題はないと考えられるところでございます。  また表2は大人20歳以上、体重50キロ以上という群に対して推計したものでござ いますが、これを年齢層別に算出したものが、4ページと5ページにございます。4 ページの表3は、一日摂取量を算定したものでございまして、表4は表3の結果に基 づき、それぞれADI比を求めたものでございます。  表4の結果から、すべての食品添加物において、一日摂取量のADIに対する割合 は、1歳から6歳が一番高くなるという傾向が認められました。しかしながら、いず れの年齢層においても、ADIに対する割合が、一番高いのが、安息香酸の1歳から 6歳で1.12%であり、他はすべてこれ以下の値となっておりますので、特段問題がな いものと考えられるところでございます。  マーケットバスケット方式による調査は、年度ごとに対象品目を変えて実施してお ります。本年度は酸化防止剤、防煤剤を中心に行っておりますので、またその結果が 出てまいりましたら、御報告させていただきたいと思っております。  以上でございます。 ○長尾部会長 ただいまの御報告につきまして、御意見ありますでしょうか。 ○米谷委員 質問といいますか、教えていただきたいんですが、今回、指定添加物を メインに分析されたのですが、ビキシンとノルビキシンのところで、ビキシンは全部 検出されずに、ノルビキシンが検出されておりますけれども、ノルビキシンですと、 合成添加物の水溶性アナトーと天然添加物のアナトー色素のH型の、両方が入ってく るかと思うのですが、これはどちらが多いかというのは、生産量統計しかわからない ので、生産量統計の方から、どちらが現在たくさん使われているかというのを、事務 局の方でもし御存じであれば、教えていただきたいんですが。  分析しますと、当然ノルビキシンとしてしかわからないので、これのもとが、指定 添加物か既存添加物かという、両方混ざっているとは思いますけれども。  後でも結構ですので、おわかりになった時点でといいますか、生産量統計をちゃん と入手しておられないと、多分わからないので。  昔は生産量統計も、いろいろ厚生労働省の研究費で調査されていたと思いますけれ ども、今はどうなっているのか、ちょっと知らないものですから。 ○佐藤委員 済みません。生産量統計の方もこちらでやっておりまして、ただちょっ と今、19年度に第8回の報告をまとめておりますが、アナトー色素と水溶性アナトー についてのデータを、ちょっと今は覚えておりませんので、調べまして報告いたしま す。 ○長尾部会長 ほかにはいかがでしょうか。  御意見がないようでしたら、それでは次の報告事項をお願いいたします。 ○磯崎補佐 それでは、2点目の報告事項といたしまして、「食品安全委員会への意 見聴取及び食品健康影響評価の結果について」ということで、それぞれの品目の進捗 状況についてご報告させていただきます。  報告書資料2をご覧ください。前回の添加物部会、11月の25日以降に進捗のあり ました点についてのみ、御報告させていただきます。  まず4ページ目でございますが、このページの下の約1/4程度のところにござい ます、2,3-ジメチルピラジン、2,5-ジメチルピラジン、2,6-ジメチルピラジン、こち らにつきましては、12月11日にパブリックコメントを開始いたしました。  その下の2-エチルピラジン、2−メチルピラジンにつきましては、10月の添加物 部会で御審議いただいたところでございますが、こちらについての食品安全委員会か らの最終報告が、11月27日に通知されてきております。  それから次の5ページになりますが、こちらは本日御審議いただきました2-メチル ブチルアルデヒドでございまして、本日の日付を入れてございます。以上でございま す。 ○長尾部会長 今の報告に対して、御意見ございますでしょうか。  ほかに議題はありますでしょうか。 ○磯崎補佐 ほかの議題はございません。 ○長尾部会長 それでは全般につきまして、委員の先生方から御発言等ございますで しょうか。よろしいですか。  それでは次回の予定について、御説明をお願いします。 ○磯崎補佐 次回の添加物部会でございますが、現在のところ1月開催の予定はござ いませんで、次回は平成21年2月での開催を予定しております。日程につきまして は、また調整いたしまして、日時、場所、議題については、後日改めて御連絡させて いただきたいと思います。  なお年明け1月に各部会委員の改選が行われる予定になっておりまして、本食品添 加物部会に現在御参画いただいている先生方での開催は、今回が最後ということにな ります。  これまでどうもありがとうございました。 ○長尾部会長 私は今回が最後になりまして、いろいろと至らない点がございました けれども、皆様の御協力を得まして、とにかく一応任務を終えましたもので、どうも ありがとうございました。  以上で、本日はありがとうございました。 照会先:医薬食品部食品安全部基準審査課     (03−5253−1111 内線2453)