08/12/22 第35回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会議事録    第35回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会           日時 平成20年12月22日(月)          16:00〜          場所 中央合同庁舎4号館共用108会議室(1階) ○平野部会長  ただいまから、第35回労災保険部会を開催いたします。本日は、那須委員、藤田委員、 平山委員がご欠席でございます。  それでは、議事に入らせていただきます。本日の議題は、「労災保険料率の改定について」 です。それでは、事務局から説明をお願いします。 ○労災保険財政数理室長  まず、資料1と2を説明いたします。資料1と2は、建設各業種について定めている労 務費率の改定案に関する資料です。建設の各業種については、労務費率の改定案を前提に 労災保険率を算定することになります。  資料1は、労務費率です。労災保険の保険料は資料の上にある式のとおり、賃金総額に 労災保険率を乗じて算定するのが原則です。ただし、事業の特殊性により、賃金総額の正 確な算定が困難な場合の特例があります。具体的には、請負による建設の事業の場合、元 請負人が全体の事業の事業主となって、下請事業分も含めて保険料を納付しますが、下請 事業も含む賃金総額の算定が困難な場合、業種ごとに定められた労務費率を請負金額に乗 じて得た額を賃金総額とすることが認められています。つまり、資料の中ほどの式によっ て保険料を計算します。この労務費率の現在の値は、2頁の下にありますが、徴収法施行 規則の別表第2で規定されております。「機械装置の組立て又は据付けの事業」については、 機械装置の基礎台の建設事業をその他のものとして、別に労務費率を定めています。  資料2ですが、この労務費率は、従来から、下請分も含む賃金総額と工事の請負金額を 調べる労務費率調査という実態調査の結果に基づき、見直しをしています。今回も、本年 7月に実施した調査結果に基づき、改定案をまとめました。調査対象事業場数は9,827で、 有効回答数は5,152でした。この統計表の数値は、下請を含む賃金総額の請負金額に対す る比率の統計です。労務費率の見直しは、統計表のうちの網掛けの部分、つまり労務費率 を用いて保険料を計算している事業場における賃金総額の請負金額に対する比率の分布の 中位数を基に判断しております。  ここで、中位数とは、賃金総額の比率が上回る事業場の数と下回る事業場の数が等しく なる比率です。その中位数が現行の労務費率を上回る又は下回る場合に見直しをすること になります。ただし、改定の幅は前回同様、1ポイントといたしました。この実態調査は 抽出調査であり、調査結果が不規則に変動することがあるためです。  資料2の下に、現行の労務費率と改定案を示しました。調査結果の中位数が、四捨五入 して現行の労務費率を下回ったのは、舗装工事業です。逆に上回ったのは、鉄道又は軌道 新設事業、機械装置の組立て又は据付けの事業のうちのその他のもの、そして、既設建築 物設備工事業の3業種です。そこで、舗装工事業は1ポイントの引下げ、鉄道又は軌道新 設事業、機械装置の組立て又は据付けの事業のその他のもの、及び既設建築物工事業につ いては、それぞれ1ポイント引上げとします。  以上、労務費率の改定案についてご説明いたしました。 ○平野部会長  どうもありがとうございました。ただいま資料1、2の説明をしていただきましたが、何 かご質問ございましたらお願いします。何かご意見ありますか。 ○稲葉委員  1つ要望ですけど、労務費率の改定の調査事業場数が9,800で、有効回答が5,000です。 この中位数を出して改定率の参考にされておられるわけですが、回答数をできるだけ上げ られないかと思います。大体半分程度ですので。この回答していない会社、企業が労災の 率が高いのか低いのかよくわかりませんけれども、それによってもまた変わってくるでし ょうから、有効回答数がせめて6割とか7割になればいいなと要望を申し上げておきます。 以上です。 ○平野部会長  よろしいでしょうか。ほかには何かありますか。 ○小手川委員  同じような意見なのですが、確かに有効回答数が少ないのもありますが、調査事業場数 としましては、前回に比して同程度なのでしょうか。 ○労災保険財政数理室長  お答えします。調査対象事業場数は前回とほぼ同じですが、有効回答数は前回よりも上 回っております。具体的な数字を申し上げますと、前回の43.3%に対し、今回は52.4%で した。督促のハガキを送るなどして、回収率の向上に努めたところです。 ○小手川委員  今後、さらに有効回答が増えますようにお願いします。 ○平野部会長  ほかに何かありますか。よろしいでしょうか。  それでは、労務費率の改定案については、これでよろしいでしょうか。それでは、続け て事務局から説明をお願いします。 ○労災保険財政数理室長  続きまして資料3以降、労災保険率の改定案等についてご説明します。  まず、資料3は全54業種の改定(案)の概要です。後ほど説明する船員に係る事業につ いては含めておりません。  各業種の料率の平均料率とその内訳ですが、合計欄にあるとおり、平均料率は1,000分 の5.4となり、前回改定時の見込み1,000分の7.0より1,000分の1.6下がる結果となり ました。  構成要素別では、まず業務災害分は、前回の1,000分の4.7から1,000分の4.0に0.7 下がります。これは、業務災害に係る短期給付額が減少していることなどにより、平成21 年度から平成23年度の業務災害分の所要額の減少が見込まれるためです。  次の過去債務分ですが、昭和63年度以前に発生した年金受給者に係る積立金の不足解消 に充てる分として、平成元年度以降全業種一律に負担してきたところです。平成19年度末 時点で不足はほぼ解消しており、平成20年度末には、1,000億円強の超過が見込まれると ころです。この超過分を保険料負担者に還元すべく、次の料率改定までの3年間で解消す る分として、1,000分の0.3減じます。  非業務災害分は、通勤災害に係る給付と二次健康診断等給付に充てる分で、現行の1,000 分の0.8から0.6となります。これは、通勤災害に係る新規年金受給者数が減少している ことなどにより、平成21年度から平成23年度の非業務災害分の所要額の減少が見込まれ るためです。  次の社会復帰促進等事業費等ですが、これは特別支給金の支給を除く社会復帰促進等事 業及び事務の執行に要する費用に充てる分です。社会復帰促進等事業は、事業の見直しで 予算が減となっていることなどにより、現行の1,000分の1.4から1,000分の1.1に下げ るものです。  表の下に所要額等として、料率計算に用いた各業種の賃金総額や給付費用の額である所 要額の合計を記載しています。いずれも年間の額です。そして、下に、「3 財政の影響額」 とあるのは、保険料収入に与える影響額で、今回の料率改定により、事業主負担が年間で 1,827億円ほど減少する見込みです。  以上が全業種の概要ですが、次の資料4で各業種別に料率算定の基礎となった数値と算 定結果等をまとめております。左から料率の分母となる賃金総額、分子となる業務災害に 係る給付の所要額等を並べております。  まず、業務災害に係る給付所要額は、労災保険率の設定に関する基本方針に記されてい る算定方法に従い、短期給付の分と長期給付の分に大きく2つに分け、さらに短期給付分 は支給が災害発生から3年以下の分と3年を超える分とに、また、長期給付の分は災害発 生から支給開始までの間が7年以下の分と7年を超える分とに分けてあります。短期給付 の3年超の分、長期給付の7年超の分は、基本方針にあるとおり、全業種一律の負担率と なるように各業種に配分し直してあります。  そして、業務災害の欄の右端に業務災害所要料率として、短期給付分と長期給付分の合 計値を、そして、前回の平成18年改定に対応する業務災害所要料率を並べてあります。こ の業務災害所要料率が、いわば労働災害防止努力いかんで上げ下げする部分といえるもの です。その右が過去債務分です。先ほどご説明したとおり、各業種一律1,000分の0.3の 引下げとなります。さらにその右は、非業務災害分の率で、各業種一律1,000分の0.6で す。そして、その右が社会復帰促進等事業及び事務の執行に要する費用の分で、各業種一 律1,000分の1.1です。  この表で、1.の欄の短期給付の所要料率、2.の欄の長期給付の所要料率、そして*をつ けた3つの欄にある各業種一律の率を加えた値が「算定料率(激変緩和措置前)」のところ に載せてある数字です。この数字を四捨五入したものが現行の料率と比べて高くなる業種 が11あります。  いちばん上の林業をはじめとして、定置網漁業又は海面魚類養殖業、金属鉱業、非鉄金 属鉱業又は石炭鉱業、さらに3つ下の採石業、そして製造業の中ほどにある陶磁器製品製 造業、その他の窯業又は土石製品製造業、非鉄金属精錬業、鋳物業、また製造業のところ の下から4つ目の船舶製造又は修理業、そして、この表の下から9行目に農業又は海面漁 業以外の漁業、その下の清掃、火葬又はと畜の事業の11の業種が激変緩和前の算定料率と 現行料率との差が1厘以上のものとなっています。11の業種のうち、鋳物業を除く10の 業種が現行の料率に対して乖離の幅が1厘を超えています。まず、乖離が1厘である鋳物 業については、1厘の引き上げとしました。  また、乖離幅が1厘を超えている10業種激変緩和措置について、説明いたします。  資料4の表の中ほどにある業務災害所要料率の欄の数値とその右側の平成18年度の業務 災害所要料率の数値を比較しますと、業務災害所要料率が前回よりも上がっている4業種 と、前回よりも低下している6業種に分かれます。この業務災害分所要料率が前回より上 がっている4業種、具体的には、定置網漁業又は海面魚類養殖業、陶磁器製品製造業、非 鉄金属精錬業、船舶製造又は修理業で、これらは業務災害分所要料率が上がっていること から料率を引き上げることとしました。ただし、引上げの幅は、前回に倣い、激変緩和で 1厘とします。また、業務災害分所要料率が前回より下がっている6業種については、業 務災害分の料率低下という労働災害防止努力を認めて、今回は据置きとしました。  なお、この6業種のうち金属鉱業、非金属鉱業又は石炭鉱業については、適用労働者数 が現在1,500人を切る状況の中で、新規の年金受給者が300人も発生しているため、計算 した料率が1,000分の1,000を超える状況です。前回の改定のときは、労災保険率の設定 に関する基本方針でいう特別な激変緩和措置として料率を据え置いたわけですが、今回も 据え置くことになります。  資料4の激変緩和措置の欄の数値がマイナスとなっているものが、引上げを1厘ないし 据置きとするために負担が緩和されるものです。激変緩和による当該業種の負担が減った 分については、激変緩和をしない業種に負担を回すことになります。その率は、ご覧のと おり、激変緩和の所要料率の欄にある0.2です。正確には0.15厘余りの数値を激変緩和し ない業種に被せる形になっています。  このようにして、激変緩和措置を講じて設定料率を計算して、それを現行の料率と比較 したものが次の資料5の「労災保険料率表(案)」です。改定案の欄が空欄の業種は、据置 きの業種で、全部で54の業種中、引下げが38業種、引上げが5業種、据置きが11業種と なっています。  資料6の「船員保険の統合に伴う労災保険率等の設定について」について説明いたしま す。資料6は、船員に係る事業の労災保険率に関する資料です。船員保険の職務上疾病・ 年金部門は、平成22年1月に労災保険と統合されます。平成21年度予算の関係で、今回 の労災保険率改定と合わせて、統合される船員保険分についても労災保険率を設定します。 なお、いまから申し上げる料率の案については、12月19日に開催された社会保険庁主催 による船員保険事業運営懇談会においても了解が得られています。  まず、船員に係る事業については、平成18年12月の船員保険事業運営懇談会報告書に おいて、船員労働の特殊性を共有する1つの保険集団として、同じ種類の事業として取り 扱い、同一の保険料率を適用すべきであるとされていることを踏まえて、船員に係る事業 を1つの業種とします。そして、労災保険率の算定は、労災保険で取っている方法に従い ます。つまり、短期給付は平均して収支が均衡するように、長期給付、統合後の新規の年 金の給付費用ですが、それについては将来支給分も含め、給付費用の全額を徴収するよう に、それぞれ料率を定めます。  また、過去債務分料率とは、統合時既裁定の年金給付の将来支給分の総額と、労災保険 へ統合時に移換される積立金の額との差、つまり積立不足の償却に充てる分です。これは、 船員保険と労災保険の財政方式の違いによって積立金が不足するものですが、労災保険が 平成元年度に充足賦課方式に変更した際、過去債務分料率を設定し、長期間にわたり、償 却した方法に準じて、償却期間35年で積立不足を解消することとします。また、非業務災 害分や社会復帰促進等事業費分については、ほかの業種と同じ率としました。  この考え方で算定した結果については、2頁をご覧ください。料率は1,000分の50とな ります。内訳は、統合後に生じる業務災害の給付分が1,000分の24.5、統合前の既裁定年 金の給付分の積立不足を解消する分である過去債務分が1,000分の23.4、また、非業務災 害分や社会復帰促進等事業費分は他の業種と同じで、1,000分の0.6、1,000分の1.1です。 なお、事業の種類の名称ですが、「船員法第1条に規定する船員を使用して行う船舶所有者 の事業」としました。  2頁の下側に、船員に係る事業の年間の賃金総額、給付費用の額等を掲げてあります。  また、移換金2,371億円とは、統合時既裁定の年金給付の将来支給分の総額、つまり必 要な積立金の額で、これと統合時に実際に移換される積立金の額が982億5,900万円、つ まり約983億円ありますので、その差額の1,389億円が積立不足になります。  3頁は、統合時に実際に労災保険に移換されてくる積立金、約983億円の内訳を示す資 料です。船員保険の職務上年金部門の積立金752億円に加えて、積立不足を少なくするた め、ほかの部門の積立金のうち、船舶所有者拠出に対応する部分などを回して983億円と するものです。  お手元の資料の4頁以降については、統合時に必要な積立金の額、先ほど移換金の額と 申し上げた2,371億円や、あるいは積立不足解消のための過去債務分料率算定関係の資料 です。先の3頁も含め、船員保険事業運営懇談会で提出した資料です。  次に資料7、「第二種・第三種特別加入料率改定詳細表」についてです。資料7は、第二 種と第三種の特別加入保険料率算定の基礎となる数字と算定結果等をまとめたものです。 第二種特別加入は、個人タクシーや建設業の一人親方等特定の事業又は作業に従事する者 に、また、第三種特別加入は、海外に派遣される労働者等に設けた、いずれも任意加入の 制度です。特定の事業又は作業区分について設けた任意加入の制度ですから、ある区分が 別の区分の給付費用の一部を負担するといった費用負担の調整を行うことはなじまず、そ れぞれで給付費用を賄うように料率を設定することが基本と考えています。  しかしながら、特別加入というのは、加入者数が、区分によっては数十人から、あるい は30万人程度と規模がさまざまです。賃金総額が少ないものも多くあり、年金受給者が1 人発生しただけでも、計算上の料率が大きく上昇してしまう区分もあります。そこで、本 体の料率に比べまして、より長い期間の実績を基にして、判断すべき区分も多くあり、従 来から、長期間の給付実績により料率を設定してまいりました。  資料7は、特別加入の区分ごとに左側から、保険料率の分母となる賃金総額、分子とな る業務災害に係る給付の所要額、所要料率、過去債務分等です。賃金総額や所要額は、平 成17年度から平成19年度までの実績に基づくものです。また、通勤災害分は、区分によ っては横棒となっておりますが、これらは通勤災害が補償されない区分です。そして、計 の欄は、この表の1.の欄と2.の欄の所要料率、そして、*をつけた3つの欄の率を加えた ものです。  ここで、料率改定案の考え方ですが、賃金総額の規模に応じることにしました。賃金総 額は、88億円以上ないと、遺族補償年金が1件発生しただけで料率が2厘以上変動してし まいます。賃金総額が88億円未満の区分に黄色の網掛けをしております。まず、建設業の 一人親方や特定農作業従事者等のように、賃金総額が88億円以上の区分、つまり加入者数 の多い区分ですが、これらについては、労災保険の本体と同様に過去3年間の給付実績に 基づいて改定案を考えることにします。計欄の数値と現行料率を比較して、計欄の数値が 現行を上回るか又は下回る場合に、1厘を上限として料率を引き上げ、又は引き下げ、そ れ以外の場合は据置きとしました。ここで上げ下げの幅を最大1厘とするのは、特別加入 は任意加入の制度ですので、料率の上げ下げが加入者の状況、あるいは賃金総額、ひいて は保険料収入に影響を及ぼしかねないためです。  次に、林業の一人親方等のように賃金総額の規模が小さい黄色の網掛けをしている区分 ですが、これらについては、計欄の数字が前回の改定のときと、今回改定のときと、6年 続けて現行料率を上回るか下回る場合、そのときに1厘を上限に料率を引き上げ、又は引 き下げ、それ以外の場合は据え置くこととしました。  以上のような考え方で改定案を作り、現行と並べたものが資料8の「第二種・第三種特 別加入保険料率表(案)」です。現行と比べまして、引下げとなる区分が7つ、引上げとな る区分が5つ、据置きとなる区分が6つあります。  以上、資料3から資料8について労災保険率の改定(案)、船員に係る業種の労災保険率、 そして特別加入の保険料率の改定案についてご説明いたしました。 ○平野部会長  はい、ありがとうございました。それでは、ただいま事務局から説明していただいた件 について皆さまからご確認、ご質問その他ございましたらお願いいたします。 ○内藤委員  内藤でございます。激変緩和措置の取扱いについて質問します。労災の発生状況が年に よって変動することがあることは承知しておりますので、そのことが直接的に料率に反映 されないように激変緩和措置を講ずることそのものは、私も賛成なのですが、1つの業種 に対して、この激変緩和措置をいつまで続けてやるのか。例えば必要な料率が40ある、し かし今は20ですと。この40がずうっと続いているときに、21、22、23と上がっていきま すと、20年間かかるわけです。その20年間、その他の業種でその差額を全部持つという 状況が続くわけですが、そういう状況を含めて激変緩和措置と称して講ずるのか、もう少 し状況を見ながら、例えば何年間以上しか適用しないというルールを設ける検討をする必 要があるのかどうか。これは意見ではありません。どういうお考えなのかだけお聞きした いと思います。 ○労災保険財政数理室長  この激変緩和措置の具体的な内容については、改定の都度原則として3年毎の改定です が、そのときの数理計算に基づいて考えを決めるものです。今後については、その時々の 数理計算、保険料収入の状況、あるいは災害がどのようになっているか、そういったもの が変わってきますので、その都度考えを設けていくことになるのだろうと考えています。 ○内藤委員  そうすると、この労災保険部会でそのことに対して、この業種に対する激変緩和措置を するとか、しないとかという論議の対象になるのですか。 ○労災保険財政数理室長  もちろんこの激変緩和措置の内容も含めての改定案ですので、部会でご議論いただくこ とになると思います。 ○内藤委員  要望ですが、この激変緩和措置の適用状況について、もう少し昔からのデータを提供い ただけると、それらを考慮して適切であるかの判断がこの部会でできるのではないかと思 いますので、そのような資料提供については是非検討いただきたいと思います。 ○平野部会長  将来のことにかかるので、なかなか難しいのではないかと思います。データが不十分で すか。 ○内藤委員  3年前、3年前、3年前と、このときはどうでしたかというデータがあれば、それでわか ると思います。 ○労災保険財政数理室長  今後そのような形でやっていきたいと思います。 ○平野部会長  よろしいですか。 ○内藤委員  結構です。今回は結構ですから。 ○平野部会長  他には何かご意見、ご質問はございますか。 ○輪島委員  資料3で、過去債務分について、現在1,000億円ぐらい、ある意味取りすぎなので、改 定案のところでは、△0.3が立っておりますが、そうなりますと、次回の3年後の見直し のときにこの過去債務分はどういう取扱いになるのか、項目としてはなくなっていくもの なのかどうかを教えていただきたいと思います。  2つ目の質問は、保険料率、ざっくりした考え方ですけれども、1,000分の1で約1,500 億という覚え方をしているのですが、−1.6になると、大体2,000億から2,200億ぐらい になりますが、この資料3のところですと、1,827億ということで、少し差があるのかな という気がするのですが。その差は何でできているのかなと素朴にお聞きします。以上2 点です。 ○労災保険財政数理室長  順番が逆になりますが、財政の影響額の1,827億円ですが、前回改定時の見込みは1,000 分の7.0です。今回1,000分の5.4となるわけですが、この1,000分の5.4の計算をする 際の、今回使った業種ごとの賃金総額でもって現行の料率を平均いたしますと、1,000分 の6.6となります。料率の低い業種のほうのウエイトが高まってきたりすることが原因で す。6.6と5.4の差の1.2で1,827億円は計算しています。言ってみれば、改定がなかっ たときに比べて今回の改定でそれだけ負担が減るという考え方です。  1番目の過去債務分ですが、これはいわゆる必要な積立金の額、つまり既裁定の年金受 給者に対する将来給付することになる金額の合計額と、実際の積立金の額は、料率を計算 するとか、予想どおりでいけば同じになるわけですが、なかなか予想どおりにならない場 合に、不足したりあるいは過剰になったりその調整部分という形で、今後もこのような項 目が置かれることになると考えています。 ○輪島委員  昭和63年からですから20年間で過去債務分を償却してきて、今度のところで−0.3と いうことなので、その部分がもう無くなるのかなということなのですが。 ○労災管理課長  −0.3は少なくとも21年度から、23年度の3年間に限っては、−0.3であって、24年度 以降については、見込みどおりいけば基本的にはなくなる見込みでありますが、実際の設 定した料率と、実際の災害の率とか、事業費のずれとかがありうるので、またその時点で いくらかというのは計算して、場合によってはそこが出てくる可能性はあるということで す。 ○輪島委員  そういう理解でいいわけですね。 ○労災管理課長  はい。 ○輪島委員  ありがとうございました。 ○佐野委員  ちょっと申し訳ないです。聞き損なったのかもしれませんが、資料7の第二種・第三種 のところで、「林業の一人親方」で特4があります。この特4の林業の一人親方で、指数か らいきますと、18年度からいくと下がっています。下がっているのだけれども現行から上 がっています。これは先ほど聞き漏らしているのかもしれません。 ○労災保険財政数理室長  特別加入の料率については、このような計算上の料率が、前回、今回と両方とも現行の 料率を上回っている場合には、これは1厘上げるという考え方ですので、確かに340.9か ら320.9に下がっていますが、いずれも現行の料率の51を上回っているので、今回も1 厘上げると考えているわけです。 ○労災管理課長  特別加入については、平成18年度と比べて今回がどうかという見方ではなくて、この黄 色く塗っているところは、非常に集団として小さいので、2回続けて現行よりも上回って いれば上げるし、2回続けて現行より下回っていれば下げるということが基本的な考え方 です。 ○平野部会長  他には何かございますか。  意見がないようであれば、労災保険料率の改定案、船員保険統合に伴う労災保険料率の 改定案、特別加入保険料率の改定案については、これでよろしいでしょうか。                 (異議なし) ○平野部会長  どうもありがとうございました。改定案については承認されましたので、「労働保険の保 険料の徴収等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱」についての諮問に移り ます。  資料の配布をお願いします。事務局から説明をお願いします。 ○労災管理課長  それではまず省令案要綱について読み上げます。 ○課長補佐  厚生労働省発基労第1222001号。労働政策審議会会長 管野和夫殿。  別紙「労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱」 について、貴会の意見を求める。平成20年12月22日。厚生労働大臣 舛添要一。  別紙。労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱。  第一 労災保険率の改正等。一、労災保険率を、別添一のとおり改正するものとすること。 二、非業務災害率を、1,000分の0.6(現行1,000分の0.8)に改正するものとすること。 三、船員法第一条に規定する船員を使用して行う船舶所有者(船員保険法第三条に規定す る場合にあっては、同条の規定により船舶所有者とされる者)の事業に係る労災保険率を 1,000の50とするものとすること。  第二 労務費率の改正。請負による建設の事業に係る賃金総額の算定に当たり請負金額 に乗ずる率(労務費率)を、別添二のとおり改正するものとすること。  第三 特別加入保険料率の改正。一、一1人親方等の特別加入に係る第二種特別加入保 険料率を、別添三のとおり改正するものとすること。二、海外派遣者の特別加入に係る第 三種特別加入保険料率を、1,000分の4(現行1,000分の5)に改正するものとすること。  第四 施行期日等。一、この省令は平成21年4月1日から施行するものとすること。た だし、第一の三については、平成22年1月1日から施行するものとすること。二、この省 令の施行に関し、必要な経過措置を定めるものとすること。  別添一以下につきましては、読み上げは省略させていただきます。以上です。 ○平野部会長  はい、ありがとうございました。 ○労災管理課長  説明をさせていただきます。  別紙の第一、労災保険率の改正ですが、一の労災保険率の別添一のとおり改正する別添 一に表があります。これは先ほどの資料5にあります、現在ある54業種についての労災保 険率の改正案で、下線を引いている部分が改定案で、下線を引いてない部分は、据置きで 変更なしです。  第一の二、非業務災害率ですが、これは通勤災害と二次健康診断等給付に要する費用に 係る率です。これは先ほどの資料3にありますように、1,000分の0.6に下げるというこ と。第一の三で、船員に係る事業の労災保険率は、先ほど資料6の2頁にありましたよう に、1,000分の50とします。  第二の労務費率については、先ほどの資料2の改定案によって別添二の表のとおりに改 定します。下線を付けている部分が改正の部分で、それ以外は据置きです。  第三で、特別加入保険料率について、第二種特別加入保険料率については、先ほど資料 8にありました率で別添三のとおり改正するということです。第三種の特別加入、これは 海外派遣者の部分ですが、これも先ほど資料8にありましたとおりで、1,000分の4に引 き下げるということです。  施行日については、一般の料率等の改正は来年の4月1日からの施行でありますが、第 一の三の船員の部分については、船員保険からの統合が平成22年1月1日となっておりま すので、その部分だけを平成22年1月1日から施行するということです。  以上です。 ○平野部会長  ありがとうございました。それではただいまの説明につきましてご意見あるいはご注意 いただく点がありましたらお願いします。  よろしいでしょうか。それでは特にご意見もないようですので、諮問のあった件につき まして、当部会としては「妥当」と認める旨、労働条件分科会に報告したいと考えますが いかがでしょうか。                  (了承) ○平野部会長  はい、ありがとうございました。それでは、そのようにさせていただきます。  報告文につきましては、例によって私にご一任していただければありがたいと思います。 よろしくお願いいたします。  以上をもちまして、本日の部会は終了といたします。本日の議事録の署名委員は、労働 者代表の林委員、使用者代表の輪島委員にお願いしたいと思います。よろしくお願いしま す。  本日はお忙しいところ、どうもありがとうございました。これで閉会にいたします。 照会先:労働基準局労災補償部労災管理課企画調整係                          03−5253−1111(内線5436,5437)