08/12/16 第21回社会保障審議会少子化対策特別部会議事録 日時:2008年12月16日(火) 15:00〜17:00 場所:三田共用会議所 大会議室(3階) 出席者:  委員   大日向部会長、岩渕部会長代理、岩村委員、内海委員、大石委員、清原委員、   駒村委員、篠原委員、庄司委員、杉山委員、福島委員、宮島委員、吉田委員  事務局   村木雇用均等・児童家庭局長、北村審議官、高倉総務課長、堀井調査官、朝川少子化   対策企画室長、杉上虐待防止対策室長、藤原家庭福祉課長、田中育成環境課長、今里   保育課長 議題:  次世代育成支援のための新たな制度体系の設計について   社会保障審議会少子化対策特別部会 第1次報告(案)について 配付資料: 資料1 社会保障審議会少子化対策特別部会 第1次報告(案)     〜次世代育成支援のための新たな制度体系の設計に向けて〜(概要) 資料2 社会保障審議会少子化対策特別部会 第1次報告(案)     〜次世代育成支援のための新たな制度体系の設計に向けて〜 資料3 今後の保育制度の姿(案)(事務局の整理による考え方の比較表)(概要) 資料4 今後の保育制度の姿(案)(事務局の整理による考え方の比較表) 資料5 【修正見え消し版】社会保障審議会少子化対策特別部会 第1次報告(案)     〜次世代育成支援のための新たな制度体系の設計に向けて〜(概要) 資料6 【修正見え消し版】社会保障審議会少子化対策特別部会 第1次報告(案)     〜次世代育成支援のための新たな制度体系の設計に向けて〜 資料7 【修正見え消し版】今後の保育制度の姿(案)(事務局の整理による考え方の比較表)    (概要) 資料8 【修正見え消し版】今後の保育制度の姿(案)(事務局の整理による考え方の比較表) 参考資料1 社会保障審議会少子化対策特別部会 第1次報告(案)      〜次世代育成支援のための新たな制度体系の設計に向けて〜参考資料集 参考資料2 第1次報告(案)に係る第6回保育事業者検討会における各保育事業者の主な意      見について 参考資料3  委員からの提出意見 議事: ○大日向部会長  それでは定刻になりましたので、ただ今から「第21回社会保障審議会少子化対策特別部 会」を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、ご多用のところをお集まりくだ さいましてありがとうございます。  会議に先立ちまして、事務局より資料の確認と、委員の出席状況に関するご報告をお願 いいたします。 ○朝川少子化対策室長  それでは、お手元に配付させていただいています資料の確認をさせていただきます。ま ず、議事次第がございまして、その下に資料1から資料4がございます。これは前回お出 しした資料を修正、反映したものでございます。資料5から資料8まで、こちらが体裁は 同じような資料ですが、前回からの変更点を赤字等で修正点がわかるようにしたものでご ざいます。その下に、参考資料1としまして、参考資料集を付けさせていただいておりま す。これまでの、秋以降ご議論をいただいたときに基本的にはお出しした資料をピックア ップしたものでございます。参考資料2としまして、横書きで「第1次報告(案)に係る第6 回保育事業者検討会における各保育事業者の主な意見について」という資料。参考資料3 としまして「委員からの提出意見」でございます。もし不足等がございましたら、事務局 の方にお声を掛けていただけたらと思います。  委員の出席状況でございますが、本日は佐藤委員、野呂委員、山縣委員、山本委員から ご都合により欠席との連絡をいただいております。それから、杉山委員はご出席のご予定 でございますが、到着が遅れていらっしゃいます。それから、岩村委員は途中でご退席さ れるご予定だとお伺いしております。  ご出席いただいております委員の皆様方は定足数を超えておりますので、会議は成立し ております。  以上でございます。 ○大日向部会長  ありがとうございました。それでは、議事に入りたいと思います。本日は、お手元の議 事次第にありますように、前回に引き続きまして、本少子化対策特別部会における議論の 第1次報告に向けたご議論をいただきたいと思います。  議論に先立ちまして、先日10日に、次世代育成支援のための新たな制度体系の設計に関 する保育事業者検討会が開催されました。従いまして、そちらのご議論につきまして、事 務局よりご説明をいただきたいと存じます。 ○今里保育課長  ご説明いたします。参考資料2を使いましてご説明をさせていただきます。「第1次報告 (案)に係る第6回保育事業者検討会における保育事業者の主な事業について」という、横長 の資料でございます。これは、ただ今、部会長からお話がございました、12月10日に開か れた保育事業者検討会で出た意見ということでございまして、各委員、特に事業者の委員 の方々からは、これまで議論の過程におきましても、意見をペーパーでご提出いただいて きたところでございます。これは、そのつど本部会でもご紹介させていただいているとこ ろでございまして、その中にも本報告(案)に対するコメントとなるものもございます。ただ、 本日は12月10日に出た議論ということで、ご説明・ご紹介させていただきたいと思いま す。  1枚めくらせていただきますと、発言委員の順に内容が書いてあります。上からざっとご 紹介させていただきます。 ・三つあるうちの真ん中の改革案について、直接契約・バウチャー方式ではない方向の仕 組みが不足しているものがたくさん含まれている。この方向をこれからも具体的なところ で生かしていってほしい。この仕組みを基に「特定の財源」が確保されれば、現行の基準 を基にさらに質の向上につながる制度の構築を考えることが可能となる。 ・すべての子ども、すべての家庭を大事にすることが大切。 ・利用料については公定価格・応能負担であるべき。 ・需給バランスが崩れたときに、市町村の利用調整など、入所決定の仕組みが問題となっ てくる。 ・保育料は行政で徴収すべきだが、代行徴収ということはあり得る。 ・事業者参入の仕組みについて、ダブルスタンダードとはならないように。 ・今後、具体的に詳細を組み立てていく際にも、引き続き、事業者の意見を聞いてほしい。 ・保育団体の3団体は、すべて三つあるうちの右側の直接契約・バウチャー方式はまずい という共通認識を持っている。 ・利用者補助よりも機関補助の方が良いのではないか。 ・親のニーズに応えるインセンティブというのは、子どものための保育の質の向上に必ず しもつながらないのではないか。 ・保育料の徴収は市町村の責任であり、義務があるようにすべきではないか。 ・現状の保育制度の課題を改善していくことについては賛成。市場原理に基づく直接契約、 バウチャー方式には一貫して反対。これは今後も変わらない。 ・今回提出された「今後の保育制度の姿(案)はまだフレームなので、保育組織としてはそ の是非を判断できる段階ではない。具体的な制度の細部の検討を詰めたものを示してもら いたい。 ・これらの仕組みで子どもの発達をしっかり保障していけるのか。 ・公私2万1,000か所の会員保育所を有する組織であるので、組織全体で認識を共有する には時間がかかる。 ・財源を確保すること、社会的な理解を得ることが必要であることを考えると、継続して 審議することが必要。 ・保育所で保育料の徴収をするとなると、事務量の増大、未納の問題などについて何らか の対応が必要。徴収の最終的な責任は市町村とすべきである。 ・地域格差が広がらない仕組みの担保、定員20名、30名規模の保育所が成り立つ仕組みを 考える必要がある。 ・現行制度を維持するのではなく、保育の内容を保障しつつ、現行制度を改善すべきとい うのが主張なので、左側の案について、保育の質を保つ現行制度改善案というのが正確な ところではないか。 ・左側の案と真ん中の案は、受給権のところと保育に欠けるというところが一番違うだろ う。公の責任という面から見ると、市町村が受給権を与えるだけでは保育の内容が保障で きないのではないか。公的責任の後退のように感じる。 ・保育の質は、すなわち保育士の処遇の問題。その点で現行制度の維持、新たな保育の仕 組み、市場原理の順番で保育士の処遇は保障される。 ・新たな保育の仕組みは、介護の制度や自立支援の制度に類似している。それらの制度で なぜ職員が困窮したかを反省・検証した後、保育制度の検討の俎上に乗せるべきである。 ・バウチャー方式は反対。現段階で判断はできない。現段階で案を一本化して出そうとい うのであれば、議論の進め方として、不信感がなかなか抜けない。 ・少子化対策が非常に大きな問題となっており、非常に財源にもかかる中での議論で、真 ん中の案は質を保ちながら量を増やしていくことに一歩踏み込んだ案になっていると感じ る。 ・運用面では、さらに詰めた議論が必要。 ・受給権があるのに保育所に入れないという問題が、現実には出るのではないか。 ・専業主婦にも利用の対象を広げるとすると、財源が薄く広くということになってしまう と、現在でも保育が必要な人のサービスまで厳しくなってしまう。従って、財源の配分の 優先順位付けが必要ではないか。 ・指定に当たっては、最低基準だけではなくて、適格性や財務の健全性の確認が必要では ないか。 ・突然の撤退に係る問題は、株式会社だけではなくて、社会福祉法人等にも起きる問題で ある。  といったような、主な意見が出されたところでございます。  以上、ご紹介させていただきました。 ○大日向部会長  ありがとうございました。引き続きまして、前回の議論に関して文書でご意見等の提出 をお願いしておりましたが、清原委員、駒村委員、篠原委員、宮島委員、山縣委員、吉田 委員からご提出いただいております。ご提出くださいました委員から、コメントをお願い したいと思います。  まず清原委員、お願いいたします。 ○清原委員  ありがとうございます。参考資料3の1ページから3ページまで、前回、第1次報告(案) 議論のたたき台についてお示しいただきましたので、その内容を補強あるいは修正する意 見を提出させていただきました。この間、本当に短期間に、私たちが提出しました意見を 反映する前進をしていただきまして、感謝を申し上げます。特に私が強調したかった点に ついて、ポイントのみ申し上げます。  1点目は、まず、「新たな保育サービスの提供の仕組みの検討に際しての前提」の部分に は、以下の点について補強していただければということを提案させていただきました。つ まり、現代社会が求めている有効な少子化対策、子育て支援施策について検討するに当た って、「保育サービス」について検討することの意義は大きいこと。しかしながら、それだ けでは十分ではなくて、基本的には「仕事と生活の調和」の実現に向けた労働政策、雇用 制度、そして地域の多様な子育て支援サービスとの連携が必要であることを明記すること。  そして、何よりも「保護者の視点」にとどまらず、「子どもの視点」を尊重するサービス の構築・実施・評価・改善等の過程を私たちは検討してきましたので、このことを明記し ていただきたいということ。そして、「すべての子育て家庭への支援」の必要性も念頭に置 いて、今回の検討がなされたということを示していただければということです。  そして、付け加えるならば、子育て家庭のニーズは多様化していますが、それは特に都 市部と農村部で相違があるということの中から、その相違を念頭に置きつつも、認可保育 園等に関する全国共通の施策とともに、認可外保育園・NPO・ボランティア団体などの多 様な担い手が、それぞれの地域の特徴に応じて柔軟に活動できる、その施策の展開を基本 に置けたらということです。  大きな2点目として、自治体の立場、特に基礎自治体である市町村の立場から、新しい 保育サービスの展開に当たっては、重要な担い手であるという認識を持っておりますので、 その立場から「たたき台」のポイントの中で修正していただきたい点について列記させて いただきました。それをできる限り反映していただいた内容が事務局より紹介されると思 いますので詳細は省略させていただきますが、私の思いは、現在の保育サービスの実施に 当たっても、それから、今後も保育サービスを提供する主体として、市町村の役割という のは大変大きいものであり、そのことは変わるはずがないと考えています。  だからこそ、市町村のこれまでの取組について、もちろん不十分な点もありますが、そ の不十分な点をあまりに過大に認識することによって、今後も主たる担い手となり得る市 町村の気概を損ねないような記述にしていただければということから、書かせていただき ました。  なお、人材については、大変重要なポイントだと考えておりますので、例えば3ページ 目の最後の方に書かせていただきましたが、退職等により保育現場を離れた保育士の再雇 用も視野に入れ、研修を含む保育現場に復帰するためのシステムを構築するなど、増大す る保育需要に対しては人材の確保について、より積極的な取組をする必要があるというこ とを強調させていただきました。  大きな3点目に、地域の保育機能を維持するとともに、柔軟な施策の展開を支援するた めの財源の確保と運用の必要性については、各所に強調していただいて感謝しております。 国や都道府県にあっては、基礎自治体である市町村が柔軟な施策展開を支援するための財 源の確保と運用についての拡充が必要です。全国に共通する基幹的な子育て支援策につい ては、国が基本的な設計を行うとともに、その施策ごとの費用を国と地方自治体によって 最適に負担し合うにはどうあるべきかについて、切り口になる論点がイメージされること を期待したわけです。  以上の点につきましては、本日の案の中にかなり反映していただきました事務局に感謝 いたします。そして、繰り返しになりますが、市町村の保育サービスの提供にかかわる責 任・役割というのは大変大きいと認識しておりますので、今回の委員の中では市長の側か ら出ている委員が私1人でございますので、発言の責任は重いと思いますが、新たなサー ビスの展開について、市町村がきちんと保護者の皆様との信頼関係の中で仕事をしていけ る、そのような内容になることを願っております。  以上です。ありがとうございました。 ○大日向部会長  ありがとうございました。次に駒村委員、お願いいたします。 ○駒村委員  ありがとうございます。私は、報告書の文言一つ一つというよりは、前回、山縣委員の ところでお話がありました社会保障制度の持続可能性というところについて、少し私の見 方を再度申し上げさせていただいて、なぜこの改革が必要かという点も強調したいと思い ます。  参考資料3の4ページですけれども、まず改革が必要だというターゲットは、現状の待 機児童だけではなくて、無認可を利用している子ども、それから、将来の潜在的ニーズも 含めて考えていかなければならないということ。政策の目標は、当然子どもの健全育成環 境の保障であり、子ども家族の福祉の向上である。これは当然のことである。そうであり ながら、なぜ社会保障の持続可能性を強調するかという点でございますけれども、保育の 質的・量的な拡充では巨額な安定財源が不可欠であります。これを確保するためには、子 育て世代に限定せず、世代を超えて全国民に理解と協力を求めていく必要がある。しかし ながら、全般的に高齢者や子育て終了世帯からの関心が極めて低いのが現状であります。  その理由は、少子化がもたらす影響が社会保障にどういう影響を与えていくのかという ことが低くて、高齢化社会の中の優先度・緊急度が低い政策と見られがちになっているわ けです。しかしながら、少子化が続けばどのような影響を与えるのかということで、年金、 それから後期高齢者医療はいずれも「少子化進展分」だけ追加が抑制されることが決まっ ているわけです。しかも、新人口推定ではさらに厳しい状況になっている。資料を簡単に つけておりますけれども、次に予定されている年金財政の見通しの中では、この厳しい状 況の中でも年金水準を、2004年に決めた水準以下にならないように目指している。もう既 に下がることは決まっているわけです。具体的な数字を申し上げるのは差し控えますけれ ども、かなり厳しい内容になっております。それよりさらに下がらないようにするために は、やはり新雇用戦略で出生率を下げないで既婚女性の就業率を上げるしかないだろうと いうことになっているわけです。しかしながら、現在まで既婚女性の就業率の改善という のは見られていないわけです。  このように、少子化の進展というのは、社会保障の不安定性を招き、国民全体の老後の 所得保障も非常に不安定化させるという点で、国民に財源を広く、すべての世代の国民に 極めて優先順位の高いものである少子化対策、次世代育成というのは極めて優先順位の高 い政策であるということを認識していただき、その上で巨額な、かなりの額の財源を一緒 に負担していただこうという理由をご理解いただくためにも、これはすべての世代にかか わる点であるということを強調するためにも、社会保障制度の持続可能性という言葉も残 さなければいけないだろうと思います。  ただし、財源の安定性とともに、速やかなワーク・ライフ・バランスの拡充のためには、 速やかな供給の拡充と、地域間での異なる需要への対応というものも必要であるわけです。  こういう意味では、三つの選択肢の中で、現行のフレームのままで果たして大丈夫かと いう問題が出てくるだろうと思います。  しかしながら、真ん中の新しい仕組みの中でも、今後いろいろ議論していかなければな らない問題が残されている。公的契約、あるいは公的保育契約の中身をもっと詰めていか なければいけない。あるいは、そこで保障されているサービスの内容というのは、親を 「消費者」として位置付けていくわけではなくて、現在ある公の公的保育の性格をそのま ま保障していき、さらに親には客体としてではなく、保育サービスの共同生産者であると いうように、主体的に取り組んでもらうような仕組みを入れておかなければならないと思 います。  その他、保育サービスから漏れ落ちることがないような、ラスト・オブ・セーフティネ ット、あるいは保育士の待遇・能力、サービスの質の引き上げを組み込んだシステムにし ていかなければならないだろう。  これまで私が申し上げた内容を、再度申し上げました。どうもありがとうございます。 ○大日向部会長  ありがとうございました。次に篠原委員、お願いいたします。 ○篠原委員  ありがとうございます。まずは、何点かご意見させていただいて、ほぼ反映していただ いたことに感謝申し上げたいと思います。  7ページから9ページに掛けまして、3ページにわたりご意見を申し上げさせていただき ましたが、少しポイントを絞って説明をさせていただきたいと思っております。  まず、総論のところになりますけれども、やはり保育というのは非常に重要な部分を占 めておりますので、特に働く女性にとっては非常に重要なポイントになっておりますので、 働き続けられるような環境整備をする必要がやはり必要ではないかということを明記して いただきたいということで、これは前回発言をさせていただいたところです。  2.のところにつきましては、お読み取りをいただきたいと思います。この部分につきまし ても、ご反映いただいてありがとうございます。  それと、3番目のところになりますけれども、制度の課題と財源についてというところに なりますけれども、今回、三つの選択肢ということで示されておりますけれども、いずれ の選択肢を取っても、財源確保というのがやはり課題になるかと思います。「想定される 課題」ということで、財源確保が必要との明記はされておりますけれども、やはりきちん と本文の中にも同様の記述をする方が良いのではないかということで、誤解を与えないよ うな記述を明記していただきたいということで、入れさせていただきました。  4点目は、運営費の使途の制限ということで、保育所の運営費は人件費相当部分が示され ておりますけれども、保育士の労働条件を維持する機能を持っております。緩和・撤廃し た場合には、保育士の賃金や労働条件に非常に大きな影響を与える可能性がありますので、 この件につきましても検討に当たっての課題ということで明記するべきではないかという ところになります。  若干飛びますけれども、9.のところでは、最低基準ということで、ここの部分につきまし ては、きちんとわかりやすい明記をするべきではないかということで、提起させていただ きました。「国は標準を示すにとどめ、自治体が条例により決定しうるなど、自治体の創意 工夫を活かせるような方策を検討すべき」とされており、「最低基準のあり方について検討 が求められる」とあるわけですけれども、本部会の中でそのような取りまとめをしたと誤 解をされないように、要は、その地方分権改革推進本部の中でそういう論議があったとい うことに、きちんとした正確な明記を求めたというところにもなります。  あとは、お読み取りいただきたいと思っております。以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございました。次に宮島委員、お願いいたします。 ○宮島委員  どうもありがとうございます。部会で十分に意見を申し上げられなかった部分もありま したので、いろいろ書かせていただき、意見を報告書に反映していただきましてどうもあ りがとうございます。  追加で、あまり申し上げなかったけれども意見書で提案したところについて、考えを申 し上げようと思います。15ページの四角の表の中のところですけれども、保育の質と量の 拡充という二兎を追う上で、より良い施策に努力をしている施設の努力をどのように生か すかということがものすごく大事だと思っています。それは、議論の過程で、いろいろな 保育関係者の方々のお話を聞いて、財源問題とは別のところで「アイデアとしてこういう ことをやりたいのだけれども、それができないのです」というお話が、結構いろいろな施 設の方からありまして、より良い保育を行うための、それぞれの施設の自由度はやはり上 げたいと思って、追加的な文章を提案してみました。  これは、事業者検討会の方に全国私立保育園連盟が出された意見書の中で、「保育事業の 内容は、対象によっては一部応益性を加味することも考えられる」とか、「認可保育所も含 めて多様なニーズの対応をする場合には、利用は保育料で行う」というようなお考えも示 されているところとも、共通する考えではないかと思いまして、最低基準ではない取り組 みに関してはいろいろなやり方があるのではないかと思ったところです。そこで、四角の5 と6のところで、「事業者が追加的なサービスを設定することを認める」ということを書い てみたらどうかと思いました。  具体的に、例として良いかどうかわからないのですけれども、延長枠が足りない保育園 で、そういうところは大体、延長に入れなかった保護者が仕方なくつなぎの形でベビーシ ッターさんをお願いして、1時間か1時間半、1時間3,000円などどいう負担をしてベビー シッターさんにお迎えに行ってもらうことはよくあります。  その保護者たちが、「こんなにそれぞれが高いお金を出しているのだから、国や保育園が お金が足りないというのだったら、みんなでお金を出し合ってもよいから、人を雇って、 延長してもらえないか」と親の話題だけですけれども、したことがありました。そのとき は話題だけで終わりましたが、例えばそれを園の方も賛同してやろうとしたときに、今後、 目標通り、保護者と園がどのような施策が良いかを十分に話し合うということが実現した 場合に、園と保護者の話し合いが具体的な提案の形になっても、それが園で実現できなけ れば、やはりそれはあまり効果がないと思うのです。今の延長保育の例は、他の延長保育 に入っている方とのバランスもありますので、必ずしも良い例ではないのですけれども、 例えばプラスアルファの良いアイデアが出たときに、それをどのような形で実現していく のかということがポイントだと思っておりまして、保護者によっては、別に贅沢なわがま まではなく、この施策は自分たちで少しお金を足してもよいからやってほしいというよう なことがあった場合の個々の園の自由度はもう少しあったほうがよいと思いまして、追加 したところです。  他の部分は、ほとんど今までの発言を文章にした形です。財源の関係では、もちろん本 当に財源は大切ですし、十分な財源が必要だと思います。ただ、今の国の経済状況、税収 が6兆円以上減って、雇用も医療も年金も介護もお金が足りない、足りないと言っている 中で、財源確保を求めているうちに何年も経ってしまうことに対して、私は恐怖を感じて おります。というのは、やはり30歳代後半の人にとっては、このあとの数年というのがも のすごく大事で、財源の確保というのはもちろん大事なのですけれども、それ以外にもで きる運用改善もあると思います。より良い保育のための最大限の工夫や公平性の確保とい うことはしっかりして、それで国民の皆様にも理解していただいて、きちんと財源を確保 するということが大事ではないかと思います。以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございました。それでは、次に吉田委員、お願いいたします。 ○吉田委員  ほぼ、大きいところはどの委員とも共通だと思いますが、再確認をしたいということと、 どうもいろいろな誤解を受けているというか、こちらの思いが正しく伝わっていないので はないかという思いを強くしておりますので、このように書かせていただきました。  簡単に申し上げたいと思いますが、総論で、理念と言えば理念ですけれども、やはり「す べての子どもの最善の利益」、私は常々「ソーシャル・インクルージョン」と申し上げてい ましたが、そこに向けた制度設計であるということ。  それから、財源確保が大前提であることは当然なのですが、ただ、お金を確保するとい うことだけではなくて、そのことが日本の社会全体にとって、やはり未来への大変有効な 投資であるということを確認したいということ。  それから、これはすべての委員がそうだと思いますが、いわゆる単純な市場原理(競争原 理)というものを前提にはしていない、それに基づかない制度ということ。当然公的に考え るということです。  そして、いくつか具体的な各論で申し上げると、この三つの考えの真ん中の部分は、要 保育認定をして受給権を付与するということですが、基本的にそれは、これはどう言葉を 定義するかによるかと思いますが、私は直接契約とはまったく理解しておりません。例え ば、私立幼稚園がいわゆる直接契約にかなり近い姿だと思いますが、私立幼稚園の場合は 市町村介入がまったくない。行政介入が基本的にないということですが、今回の仕組みは 明らかに市町村が、子どもの保育を受ける状況・程度・権利を保障するということですか ら、いわゆる直接契約ではどう考えてもこれはないだろうと私は考えております。したが って、市場原理とも当然ならないだろうと思います。  それから、仕組みを変えるにしても、基本的に市町村に保育に関する実施責任は当然大 きく課しているわけでございますから、これはやはり市場原理ではない、公的な保育の制 度であるということ。  それから、いわゆるまったく自由価格で保育料負担をするという議論はしておりません ので、当然これは公定価格というやり取りもございますので、まずその誤解も解きたいと いうことです。  それから同じように、逆選択その他という不安の声もありましたが、それは一定の応諾 義務を保育所に課すことで、より必要性の高い子ども、あるいは必要性の高い家庭がきち んと保育を受けられるという担保ができるだろう。  それから、これも大事なことですが、低所得家庭、あるいは母子家庭であるとか、ある いは虐待が起こった家庭、養育困難家庭といった、特に配慮が必要な子どもや家庭が優先 されるように。ですから、当然、これは市町村が公的に関与するということなのですよと いうこと。 それから、これはすべてに共通していますけれども、やはり保育の質の維持・向上という ことでは、当然保育士の処遇の改善、あるいは配置基準の改善、あるいは研修等の充実と いうことは当然しっかりやらなければいないということ。  それから、最低基準については、これも各自治体に任せるということではなく、基本的 な部分はナショナルミニマムとしてきちんと国の関与と責任を明確にするということ。  それから今回の大きな改革は単に潜在ニーズに対する待機児童対策だけではなく、地方 の保育機能維持という視点で都市部と地方の両方に目配りをした仕組みにしなければいけ ない。そのことを指向しているということ。  さまざまな不安の声があります。保育料の徴収がうんぬんということもありました。い ろいろなことがあろうかと思いますが、当然それについては丁寧に、必要なセーフティネ ットを構築するということを前提にしたいということです。各論についてはその後の報告 案に具体的なものについてはほとんど反映していただいていますので、これについては省 略したいと思います。以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございました。なお、山縣委員からも意見が出されているようです。本日ご 欠席ですので事務局からご紹介いただけますか。 ○朝川少子化対策企画室長  19ページですが、一番上のところは休日や夜間の記述の部分について、例示として医療 現場を例示していましたが、サービス産業も付け加えていただいています。下から二つ目 のコーディネート機能のところについて、「保育の利用に際しての」というところは、必ず しも保育に限らないということで、「保育をはじめ各種子育て支援サービスの利用に際して の」という形へとの意見です。それ以外は文言の修正の意見をいただいています。 ○大日向部会長  ありがとうございました。それでは引き続きまして第1次報告(案)の主な修正点につきま して、事務局よりご説明をお願いいたします。 ○朝川少子化対策企画室長  それでは資料6と資料8をご用意ください。まず資料6です。修正点のみを見ていきま すと、まず2ページ目ですが、前文に当たる部分に清原委員あるいは篠原委員からいただ いている意見を反映しています。まず上の方は子どもの視点が重要であるということの記 述をしているのと、都市部と地方部のニーズの違い、課題の違いといったことの記述をし ています。そういう認識の下に、今後の詳細設計に際しても重要な視点だということを書 いています。真ん中辺りで、「以下、今後の新たな制度体系の詳細設計に向け」の下のとこ ろですが、「なお」の段落は、両立支援系の保育であるとか、あるいは放課後児童クラブだ けではなくて、すべての子育て家庭への支援が重要だということを加えています。これは 複数の委員からいただいています。「また」の段落は、働き方の見直しも車の両輪の一つと して進めることが不可欠であるということを追加して記述しています。  2ページ目の下のところは、前回に吉田委員から保育制度の変遷について少し正確性が欠 けているのではないかという指摘を受けまして、「20年代に」と書き換えているのと、3ペ ージ目の一番上のところに、昭和36年に保育に欠ける旨の判断に関する基準が通知により 示されたということを書き加えています。3ページ目の下の方の修正点は、清原委員からい ただいていますが、基本的には自治体の視点からという意見で、ここの記述は事業者参入 について行政の幅広い裁量性があって、なかなか待機児童が解消されない現実ということ を記述している部分ですが、そこについて広い裁量に委ねられており、より適正な判断を 目指そうとすると財政状況との兼ね合いからどうしても裁量の範囲では厳格な方向になら ざるを得ないということを記述しています。  次に5ページ目ですが、これは先ほど山縣委員、あるいは篠原委員からいただいた意見 でサービス業を加えていますのと、これは前回篠原委員からもいただいていますが、夜間 だけではなく休日もということで書き加えています。  6ページ目の下の方にあるのは文言の修正です。8ページ目は、先ほどの修正とほぼ同様 の趣旨で、清原委員からいただいていますもので、まず(1)の見出しの括弧書きのところを、 市町村が財政状況との兼ね合い等で保育が受けられないことも許容せざるを得ない仕組み ということに書き換えています。  9ページ目の上の方も同様の趣旨の修正です。9ページ目の真ん中より少し上(2)の1段落 目の最後文末の辺りですが、地域の直面する状況によって必ずしも認可されないこともあ る制度となっている。これは前回に野呂知事の代理として出られた速水参考人からいただ いた意見を反映しています。  次に10ページ目ですが、清原委員からいただきました意見を踏まえて先ほどと同様の趣 旨で、まず4)のところは一体実施のところについて、窓口で諦めざるを得ない状況がある ということと、基本的にはすべて同じような趣旨で修正しています。  11ページ目の上の方も同様です。保育の実施義務の例外規定との兼ね合いについても同 様です。真ん中のところですが「一方で」の段落、ここは宮島委員からいただいている意 見で、判断基準の記述のところですが、地域によっては「都市部など多様な就労形態が見 られたり」と加えていますのと、逆に地方部では農林漁業などがあって、必要量を一律に 計ることが難しいという記述。その下の段落の最後のところは「その際には」ということで、 地域の柔軟な対応を可能としつつ、地域の財政事情等が判断基準に影響を与えたり、不適 切な地域差が生じることがないよう配慮すべきとしています。  12ページ目も清原委員からいただいている意見の反映で、上から3行目のところは「政 令において」ということで、制度的にそういう仕組みになっていること。今は同居親族に ついては書けない仕組みになっている。制度的にそうなっているという記述をしています。 3)のところは、開所日数とか開所時間で、まず休日・夜間については市町村の判断に委ね た上で、奨励的に補助する仕組みになっているとした上で、認可保育所においては現場の 環境や体制が抱える課題を克服する困難を伴うこともあり、補助制度の活用と十分な受け 皿整備が進んでいないと修正しています。4)のところは記述を大きく縮めていますが、こ れも同趣旨で、行政として今、実施主体として取り組んでいる市町村が、現行制度の運用 において必ずしも適切にされていないのではないかと読めるような記述が入っていたとい うことを踏まえて修正していまして、3段落目のところで「当事者である保護者と保育所の 間に法的関係がない構成であることから、結果的に保育所においてニーズに即応した対応 がしづらいという声もある。このため、入所前・後を通じ、実情を最もよく理解している 保護者、保育者、保育所の当事者間でより良い保育に向けた相互理解や協働をより深めて いけるような、より向き合った仕組みの制度的な保障が求められている」という記述にし ています。趣旨は変更していません。  13ページ目ですが、真ん中のところは先ほど篠原委員から紹介のあった「地方分権改革 推進要綱」の記述であることを明確にしています。2)は清原委員からいただいていますが、 この記述を少し正確をきして書いているところです。  14ページ目ですが、下から2段落目のところは、先ほど清原委員からご紹介がありまし た人材のところです。その記述を加えています。  15ページ目の真ん中の段落で、保育の質を科学的・実証的・継続的な検証をしていくと いう文脈のところですが、「こうした先行研究の結果」という段落ですが、直前の段落で NICHDを引いていますので、こうした先行研究というのはこの辺を指すのですが、それ以 外にもいろいろあるだろうということで、諸外国の例も踏まえつつということを書き加え ています。  17ページは16ページの下から始まります4)認可外保育施設の選択の状況という項目の 中の17ページ目の上の修正ですが、これは認可外保育施設を最低基準到達に向けて支援を 行っていくという文脈の記述ですが、そこで「質の底上げを図るとともに、同じように保 育を必要としている子ども・保護者の間の公平性の確保のための方策の検討の必要がある」 と、趣旨を明確化している修正です。次の真ん中辺り、「こうした地域は」という段落の修 正は福島委員からいただいている意見で、「地域の実情に応じた設置を可能とするととも に」ということを加えています。その下は人口減少地域における保育機能の話ですが、そ の最後の段落につきましては、こういう人口減少地域における保育の機能について、まず 保育所の機能というものもありますが、認定こども園の活用ということもあるということ で、「認定こども園の活用も含め、柔軟に検討していくことが求められる。という記述に変 更しています。17ページ目の一番下は清原委員からいただいている修正で、先ほどと同様 の修正です。  18ページ目上から4段落目ですが、休日・夜間、多様なサービスのところについて「な お」の段落ですが、こうした多用な保育ニーズの受け皿については、認可保育所はもちろん のこと、家庭的保育や現状の認可外保育施設の質の向上させることなどによって、質を確 保された多様な担い手」としています。2)病児・病後児保育について、宮島委員から意見 をいただいていまして、最初の段落は数が足りないということを書いているところですが、 「こうした中、NPOによる非施設型の取組等が、受け皿の不足を補っている現状がある」 と加えているのと、真ん中の段落は、病児・病後児保育の必要性を言っているところにつ いて、病児・病後児保育は、仕事を続けながら子育てをする保護者にとって、いわばセー フティネットとしての重要な役割があるということと、保護者の抱える多様な状況への対 応の視点も求められるということを加えています。その下の段落は、現行の補助制度につ いて、「施設類型ごとの均一な単価設定となっており、施設の受入人数の規模や実績に応じ た仕組みとはなっていない」という記述を書き加えていますのと、こうした事業の特質を 踏まえつつ、施設規模や事業実績をより評価する制度的な拡充方策が必要となっていると いうことにしています。  19ページ目の上から2段落目は吉田委員からいただいている意見ですが、認定こども園 制度の内閣府で検討されている検討会に触れた後、「認定こども園のあり方をはじめ保育制 度について検討していく際には、幼児期における教育の充実という視点を重視していくこ とも必要」と書き加えています。次に(5)三つの(案)を別紙に委ねているところの後のところ ですが、ここは事務局の方で書き換えていますが、「本部会としては○○の案を基本として、 今後、制度の詳細設計を進めていくべきと考える」と。従いまして、ここの○○をこの当 部会において埋めることによって、この報告書を完成させるというか、報告書(案)の(案)を とって、報告書としたいという意味でこのような表現をしました。なお書きのところは篠 原委員からいただいている意見で、いずれにしてもその実現には財源確保が欠かせないと いうことを書き加えています  20ページの放課後児童クラブですが、一番上のところは宮島委員からいただいている意 見で、まだ未実施が小学校区で3割くらいあるということを書き加えています。(1)に「検 討の必要がある」と加えているのは、山縣委員からいただいている意見です。  21ページ目の(2)の一つ目の丸ですが、3行目4行目のところは趣旨を強調して小学校就 学期の両立支援サービスとして不可欠で、全国横断的に実施していくべきとしているのと、 下のところは対象年齢の範囲について触れていて、質の確保を図りながら、低学年を中心 として小学校全期を対象としてやっていく必要があるという記述にしています。  22ページ目上から3段落目「また」という段落ですが、指導員の養成の後ろに「専門性の 向上に向けた」研修の強化ということを篠原委員の意見で書き加えています。  23ページ目上から3段落目、一時預かりの記述について、現行の一時保育が短時間勤務 の方の受け皿として事実上なっている場合が多いという記述なのですが、原案は、多いの で一時預かりの場の広がりが必要であると単純につなげていたところ、少しわかりやすく 補強していまして、通常保育の受け皿の拡充により本来的な機能を一時保育が発揮できる ようにしていくとともに、一時預かりの場の広がりの必要があると書き換えています。下 の(6)の所は、コーディネーター的役割の必要性について、保育だけではなくて「保育をは じめ各種子育て支援サービスの利用に際して」としています。  23ページ目から見出しを付けています。前回杉山委員からいただいた意見で、わかりづ らいということで、それぞれ何が書いてあるのか一目でわかるように、見出しを以降25ペ ージまで付けています。23ページは全体の方向性で、24ページ目ですが、上の一つ目の丸 をそのまま書き加えている部分があります。5月の「基本的考え方」の際に記述している部 分を、再度宮島委員からいただいた意見で書き加えています。その際、事業を実施してい くに当たっては、保護者、祖父母、地域住民、NPO、企業など多様な主体の参画・協働に より地域の力を引き出して行っていくべきである。また、サービスの担い手としては、従 来の反公的主体以外にも、広く多様な主体の参画を進めるとともに、地方公共団体におけ る政策の決定過程やサービスの現場等においても、親を一方的なサービスの受け手として ではなく、相互支援やサービスの質の向上に関する取組などへ積極的な参加を得る方策を 探る等、全員参加型の子育て支援を実施していく必要がある」としています。  その次に見出しを加えて「一時預かりの方向性」、その下は「情報提供・相談援助やコー ディネート機能」、一番下のところは「地域子育て支援拠点事業等」としています。  25ページ目もタイトルを加えていまして、「その他地域特性に応じた多様な子育て支援の 取組」、その下は「子育て支援事業の制度上の位置付け、財源のあり方」としています。  26ページ目ですが、下から四つ目のポツ、これは前回山縣委員からいただいた意見を踏 まえて、社会保障制度の持続可能性以外に、わが国の社会経済への影響のことも書き加え ています。下から二つ目のところは清原委員に加えていただいていますが、全国に共通す る基幹的な次世代育成支援策については、国が基本的設計を行うとともに、その施策ごと の費用を、国と地方公共団体の適切な負担を検討していくべきであるということを加えて います。  最後は28ページですが、「その他」という大きい項目の中に、一番上の丸は宮島委員か らいただいた意見を踏まえて、「すべてのサービスを通じ、限られた財源を効率的に活用し ていくため、既存施設等の資源を、最大限有効利用していくべきである」。もう一つ下は、 前回に杉山委員からいただいた意見と、今回紙で宮島委員からいただいた意見を合わせま して、「また、本部会は、必要な財源の手当てを前提として、大きな制度設計を行うことを その任務としているが、その検討の過程である本報告書の中で指摘した事項の中には、地 方公共団体による子育て支援の従事者に対する研修などの質の向上の取組や、地域の子育 て支援関係者のネットワーク化、子育て家庭が必要な情報を容易に入手できる環境整備な ど、新たな制度体系の指導を待たずに、できるところから進めていくべきものもある。ま た、社会保障国民会議において示された運用改善事項や、全国の先駆的な事例も参考に、 できる取組を速やかに進めていくべきである」という記述を加えています。  次に資料8をご覧いただきまして3ページ目です。1の(3)判断基準の内容のところの※ 印の二つ目ですが、もともとは二つ目の※印のところは短時間勤務者などの定期的・短時 間利用の場合についてその受け皿をフルタイムと一緒にするかどうかはさらに検討と書い てある部分について、必ずしも定期的な利用の場合だけではなくて、不定期の勤務者のこ とも考える必要がありますので、加えています。  (4)給付上限量の真ん中の欄の下「想定される課題」のところは、前回に中村参考人から ご意見をいただいて、ここが事業主負担が前提の書きぶりになっていたのですが、必ずし もそこの議論は合意を得ているわけではありませんので、そこについて表現の修正をして います。給付上限量を超える利用に一定の公費による支援を行う場合、働き方の見直しの 観点も踏まえ、負担のあり方を併せて検討としています。  4ページ目の必要性の判断のところで、(6)を新たに加えています。保育に「欠ける」と いう用語の問題。それについての見直しの意見を山縣委員からいただいていまして、保育 に欠けるという用語について、例えば「保育を必要とする」など、今後の保育制度の姿に ふさわしいものに見直すこととするとしています。  5ページ目、2の(1)の真ん中の欄ですが、篠原委員からご意見をいただいていまして、市 町村の責務を書いているところですが、給付義務と基盤整備責任と、もう一つ利用調整の 支援からなる実施責任と書いていましたが、これは利用調整の支援と書きますと第三者が 利用調整して、それを市町村が支援すると読めるということだったので、その趣旨を明確 化するために利用支援、利用調整等からなる実施責任としています。その下の(2)の利用方 式の左側ですが、課題として、保護者と保育所が協働して機動的により良い保育を目指し ていく関係になりにくい(保育所においてニーズに即応した対応がしづらいという声もあ る)。としています。真ん中の欄は篠原委員からいただいていまして、市町村の関与や第三 者も含めたコーディネート等の仕組みとしています。  6ページ目ですが3の(3)の真ん中の欄の一番下「想定される課題」ですが、これも篠原 委員からいただいていまして、運営費の使途制限の緩和に関する課題として保育士の処遇 へ与える影響について、さらに検討が必要ということを書き加えています。  7ページ目ですが、3の(4)いろいろな量的拡大に当たっての「質」の担保に関する部分で すが、これは突然の撤退等で子どもが保育が受けられないことにならないようにという文 脈のところですが、括弧書きのところで措置の例示を幾つか書いてある中で、指定の際の 基準のあり方を書き加えています。これは前回に説明をして以降に、事業者検討会も含め て質問等を受ける中で、事務局として明確化を図っておいた方がよいだろうということで 書き加えていますが、前回岩村委員からいただいたご意見を踏まえて、公費による給付の 適正性を確保するための方策のあり方についても併せて検討する必要があると書き加えて います。  8ページ目ですが、5番のところを修正していませんが、先ほど宮島委員からご指摘があ りました付加的なサービスについてのご指摘がありました。これについてはまだ詳細な制 度設計に入っていませんので、想定される課題のところに「付加的サービスについての価 格設定等の取扱いについて、さらに検討」と記述していますので、そちらで表現をしてい るという整理で修正を今回はしていません。6番の給付方法については、真ん中の欄の一つ 目の丸、利用量に応じた単価設定を基本としつつ、安定的運営に配慮としていましたが、 これも前回説明して以降、いろいろ質問を受ける中で趣旨を明確化しておいた方がよいと 思いまして、事務局が加えていますが、利用量の後に「必要量に応じた」ということを書 いています。下の方の丸は山縣委員あるいは篠原委員からいただいている意見で、今まで 保育料徴収について未納があっても子どもの保育が確保されるようとしていたところをプ ラスして事業者への影響に配慮した方策、市町村の関与等を加えています。  9ページ目ですが、左側と真ん中の欄の二つ目の丸を加えています。前回、庄司委員から いただいた意見を踏まえて、認可保育所は保育を必要とする子どもの健やかな育ちを支援 する場の要であり、今後ともその質を確保しながら量の拡充を図っていくことが必要とい う記述を加えています。右側の「課題」の欄に一つ加えています。篠原委員からいただい た意見を踏まえて、コスト削減を目的に、従事者の処遇が悪化し結果として子どもの不利 益になる恐れという記述を加えています。  10ページ目ですが、上の箱の一番下に少し記述を加えています。宮島委員からいただい たご意見を踏まえて「認可外保育施設の質の確保向上に向けて、都道府県の指導監督の強 化とともに、地域内のすべての保育従事者を対象とした研修の実施や、地域内の認可保育 所や子育て支援にかかわるものとのネットワークの形成など、市町村と連携した取組をさ らに検討」としています。  次に11ページ目の一番下の欄ですが、表題を吉田委員からいただいた意見を踏まえて表 題をまず「人口減少地域における保育機能のあり方」とした上で、人口減少地域の実情に 応じ、保育所が担ってきた機能のあり方について、認定こども園の活用も含めさらに検討 としています。  13ページ目、上の方の修正は先ほど3ページで出てきたものと同じ修正です。下のとこ ろは文言の修正です。宮島委員からいただいています。「行う」と付け加えています。  最後の14ページですが、第三者評価について宮島委員からいただいた意見を踏まえて、 「第三者評価については、質の向上を図るための重要な仕組みであり」ということを書き加 えています。以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございました。以上、事務局から保育事業者検討会での主な議論、そして第1 次報告の修正点についてご説明いただきました。ここからは、委員の皆様に議論をお願い したいと思いますが、岩村委員はそろそろご退出の時間ですので、よろしければ、先に。 ○岩村委員  申し訳ありません。ありがとうございます。まず、第1次報告(案)については、私は非常 によく検討していただいて、これまでのこの部会での議論を反映した内容であると思って います。細かいことを幾つか言わせていただきたいのですが、今ご説明いただいた資料6 の3ページで、ご訂正があった「行政の広い裁量」の部分ですが、この文章ですと、先ほ ど朝川少子化対策企画室長がご説明されたニュアンスがあまりうまく伝わっていないので はないかと思います。特に、9ページの「認可の裁量性による新規参入抑制」のところで同 じことが書いてあるのですが、そことやや違っているという感じも受けなくはないので、 ご検討をいただければと思います。  それから、次が同じ資料の5ページですが、これは意見ですのでこだわりませんけれど も、最後の行のところで、「夜間・深夜・休日に就労せざるを得ない」という表現は少しど うかという気がします。少なくとも労働法では、夜間・深夜・休日の女性労働について、 何かマイナスのイメージを持つということではないことになっていると思いますので、そ こは気になります。同じことが、6ページの一番上の行についてもあります。それから、18 ページの3段落目にもやはり「働かざるを得ない」という表現があるので、気になります。  それから21ページですが、「新たな制度体系における方向性」のところの放課後児童ク ラブですけれども、4行目の「全国横断的に」という意味がすぐにはわからなくて、多分こ れは地域差なくということだと思うので、むしろそちらのニュアンスがわかるような表現 にしていただいた方がよろしいかと思います。  それから、資料8の横長の方ですが、3ページのところで先ほどご説明のありました真ん 中の赤字の入っている「不定期勤務者」ですが、私の労働法の頭でいくと「不定期勤務者」 という意味がすぐにはわからないのです。ここは多分、「短時間勤務者などの定期的短時間 利用や短期勤務者などの不定期利用について」というようなニュアンスではないかと思い ます。ただ、そうすると実はその下に「専業主婦のところの不定期利用」というのが出て くるので、両者の関係がどうなるのかということが気になります。あわただしくて申し訳 ありません。  5ページですが、前回も出ましたけれども、「公的契約」というのは法律家の目から見る と、あまりにも茫漠としすぎていて誤解を招くような気もしますし、非常にイメージを結 びにくいので、何か保育に係る契約だというような形での用語を考案していただければよ ろしいかと。その方がより正確にイメージが伝わるかという気がいたします。  最後に、8ページですが、ここは意見ですけれども、最後の「給付方法」の「保育料の徴 収」で、私は保育料の徴収については保育所が行うことを基本とすべきだと考えておりま す。やはり親が喜んで保育料を払ってくれるような保育を行うということが基本ではない かと思いますので、基本的には保育料の徴収はまず保育所に行っていただくことが出発点 だろうと思います。ただ、払えない人については別途考える必要がありますし、医療の場 合も問題になりましたけれども、悪質な未納者については厳とした措置を考えるべきであ って、その際子どもの福祉をどうするかというもう一つの問題があるので、そこについて は、やはりきちんとした方策を考えるべきだろうと思っております。はなはだ駆け足で、 雑ぱくな意見で申し訳ありませんけれども、今日は次の用がありますのでこれで失礼させ ていただきます。ありがとうございました。 ○大日向部会長  ありがとうございました。それでは、他の委員もご意見をお願いいたします。篠原委員、 お願いいたします。 ○篠原委員  ありがとうございます。今回、修正をいただいたものを修正していただきたいというよ うなことではなくて、私の理解が曖昧なものですから理解を深めたいということで、改め て事務局の方にご質問をさせていただきたいと思います。今回、資料2の7ページのとこ ろに「現行の保育制度の課題」ということで、(1)〜(4)までそれぞれ明記されていて、それ に対して資料4や資料8にはそれぞれにどのような課題があるかということを非常に整理 されていると思うのですが、特に、(1)〜(3)のところは非常に良く理解できたのですけれど も、資料2の10ページ目の(2)の上にあります4)のところですが、前段の部分の「必要性 の判断と保育の実施が一体的に行われている課題については、必要性を判断して受給権を 付与して、施設には応諾義務を課す」ということでは理解できるのですけれども、後段の ところで改めて理解を深めたいということでご質問させていただきたいと思うのです。後 段の「サービスの提供主体が多様なニーズに対応していくようにするために直接契約」、こ こでは3段表の中では5ページの中段にあるように、利用者と保育の間の公的契約をする ことが列挙されているのですけれども、これまでの市町村との契約に基づき、市町村が施 設に保育の提供を委託する現行の制度から、公的契約というような言葉で、先ほど岩村委 員からありましたけれども、この言葉を使っているのですけれども、その利用者と施設の 契約に変更する意義が今一つうまく理解できないので、そこにどのようなメリットがある のか再確認したいということで質問させていただきたいと思います。 ○大日向部会長  朝川少子化対策企画室長、お願いいたします。 ○朝川少子化対策企画室長  まず、今ご指摘いただいた縦書きの文章の10ページ目の4)のところで言っていることは、 必要性の判断と契約のところを一体実施しているがために、決定ができない、要するに受 入先がないと必要性の判断もやらないということになって、そうすると、どうしても窓口 でお帰りいただくということも生じるし、そもそも行かないということも生じる、要する に需要が潜在化しやすいという仕組みになりがちであるというのが、一体実施についての 課題だということで4)は書いております。従って、そういう意味で分けた方がより需要も 顕在化するし、サービス量も増えていく方向に働くのではないかという意味での課題です。 その上で、3段表の5ページで、もう一つ、要するに独立させる、必要性の判断と契約のと ころを独立させた上で、契約を利用者と保育所の間で結ぶ公的契約の方式にした方が良い のではないかという真ん中の案。これの趣旨の一つは、利用している人とサービスを提供 している当事者同士ですので、当事者同士で関係を結んでいただく方がより良いサービス につながっていくであろうという趣旨と、もう一つは量を増やしていくに当たって、市町 村からの委託という事前チェックの仕組みよりも、利用したら市町村はお金を支払うので すという事後的なお金の支払いの仕組みにした方が、よりサービスが増えやすい、そうい う意味合いもあって真ん中の案の提案はそういう提案になっているということでございま す。 ○大日向部会長  よろしいですか。ありがとうございました。他にいかがでしょうか。駒村委員、お願い いたします。 ○駒村委員  今のところですけれども、朝川少子化対策企画室長のご説明で良いと思うのですけれど も、10ページの今の仕組みは供給が需要を決めてしまうという供給制限があるということ なのです。5ページの方は、需要が供給を引き出すと展開させようという仕組みの変化だと 整理して良いのではないかと思いました。それから、「公的契約」というのは確かに、岩村 委員がおっしゃるようにわかりにくいので、保育をどこかに入れて「公的保育」か、どこに 「公的」や「保育」を入れるかというのはワーディングの問題かもしれませんけれども、 「保育公的ケア」とか「公的保育ケア」というような名前で明瞭にした方が良いのではない かと思います。 ○大日向部会長  ありがとうございます。他にいかがでしょうか。清原委員。 ○清原委員  最初の方でご報告いただきました保育事業者検討会における各保育事業者の意見の中で、 参考資料2の4ページ目に佐久間委員からのご指摘がありまして、その3番目の丸に、「受 給権があるのに保育所に入れないという問題が出てくるのではないか」という問題提起が あります。なぜ、待機児問題が生じているかということと関係すると思うのですが、基礎 的自治体で当然この対象者は保育サービスを受ける権利があると判断させていただいたけ れども、残念ながら受け皿がないというときに、それを用意すべきインセンティブは大い に働いているわけです。しかしながら、現行の制度の中ではそれがなかなか財政的にもあ るいは制度的にも限界があって、だからこそ待機児というのが残念ながら生じてしまって いる。それを、ベネッセスタイルケアの佐久間委員がご指摘になったように、この枠組み、 考え方としてはあるのだけれども、受給権を提供したけれどもそのサービスを提供できな い現実が起こったときにどのように対応するかというご指摘は、大変重い問題提起だと受 け止めました。これは、循環してはいけないのであって、どこかできちんと受給権のある 方すべてがそれを行使できるようなものにしていかなければいけないわけですから、そこ にサービス保障の強化というまさに大きな課題があって、そのためにこれから前進してい かなければいけないのです。今回、現行制度を維持するのではなくて、何らかのサービス 保障の強化を進めるための制度変更をしていくときに、いろいろな問題を議論してきて前 進はしてきたと思うのですが、私ども自治体の立場ではやはりこの受給権をいかに保障し ていくかというときの体制といいましょうか、こちらの実現可能性を高めるような制度に していただかないと根源的な問題は解決できないのではないかと思います。それを私は財 源だけの問題に起因させてはいけないと思っていて、これは他の委員も同じだと思います が、それではどうすれば、自治体であれ、民間であれ、保育のサービスを受ける必要性も あり、求めていらっしゃる方に保障していくかということについて、単純に潜在的な需要 を喚起するということだけではなくて、今、目の前にある方のサービス保障をしていくた めの起爆剤となるべきものは何なのかということについて悩んでいるわけです。  今回、私はそのような現行制度の中の矛盾を打破するべき方向性というのが、今、2008 年12月の時点で示されるということは大変意味があると思っています。しかし、相変わら ず頑張りたい自治体にとっても、何ともいえないこの責任を果たす上でのジレンマという のでしょうか、それがあるということをお話したいと思います。その上で、繰り返しにな りますが、私は現行制度に対して今回の取組の中で多くの皆様から今までの制度の良い点 もありますと、市町村が頑張ってくれているということによる信頼性とか安定性とか公共 性などがありますと、評価していただいてきたということを大変ありがたく思います。  その上で、しかしながら、市町村だけが全部を担いきってしまうことよりも、多様な担 い手によって総合力で解決をしていければというような検討もなされているということは 重要です。私としても基礎自治体である市町村の役割の重さを再認識するとともに、それ は変わらないと思いますけれども、先ほど申し上げましたような直面している課題を打破 するようなNPOや民間の皆様の活力が、より出やすいような形ということについては、参 画の可能性の窓を開けておかなければいけないのではないかという気持ちでいます。 ○大日向部会長  ありがとうございました。福島委員、お願いいたします。 ○福島委員  非常に多様な皆様の意見をよくまとめていただいて、良い第1次報告の案になっている のではないかと思います。私は前回欠席していたのですが、ここにも出ていますように少 子化対策はまさに待ったなしの最優先のテーマでもありますし、ここに書かれていますよ うに国家戦略でもありますので、ぜひこの真ん中の案で、きちんとやっていただきたいと 思います。お伺いしたいのですが、これは1次案ですけれども、皆様が財源も含めてこの 実効性やスピード性に危惧をされていますので、これだけ全部は無理としましても、サマ リーを作って世の中に発信していくべきではないかと思います。それが国民の皆様の理解 を得まして、この少子化対策に対する施策の加速につながるのではないかと思いますので、 その辺はどのような段取りをされているのか教えていただきたいと思います。 ○朝川少子化対策企画室長  まさに今、ご指摘いただいた通りでございまして、この案が一本化されてまとまった暁 には、まさに今、議論しておりますことは財源がきたらこの改革をやりますということは 大前提にあるわけですが、財源を呼び込むためにも、こういう改革をするからしっかり財 源をくださいというようなPRにも役立っていくと思いますので、今、サマリーとおっしゃ いましたが、わかりやすく訴えかけていくような努力を考えていきたいと思います。 ○福島委員  ぜひ、やっていただきたいと思います。ここでやりましても、この前新聞に出ていまし たけれども、この保育というのはある意味では専門的な話で、当事者の方は非常に関心が あると思うのですが、駒村委員もおっしゃっていましたように、どうしても少子化という のは高齢化、年金、介護に打ち消されているのです。それを打ち消すためにここにあるこ とをやるためにもこういう会ができたと思うので、重ねてお願いしたいということが一つ です。  細かい話で申し訳ないのですが、この第一次報告(案)の2ページ目に「1これからの保育 制度のあり方について」、「2放課後児童クラブ」、3、4、5と続いていますが、2ページ目 からの「1これからの保育制度のあり方について」を見ると、中身がどうもわかりにくいの です。「1これからの保育制度のあり方について」、「保育制度の検討が必要となっている背 景」、「保育の必要性等の判断基準」などとあり、最後に「多様な保育」とあります。これ をずっと読みますと、この目次と中身が対比になっていないと思うのです。細かい話です けれども、こういうところからわかりやすく世の中の人に知ってもらうことも必要かと思 います。少しわかりにくいと思いますので、事務的なことで申し訳ありませんが。おわか りでしょう。ほとんど対比ができていないと思いますので、少し直していただいたらどう かと思います。最後に細かいことで申し訳ありませんが、よくできていると思いますので、 これを力強くいろいろな人の共感を得ながらやっていくということが一番大事かと思いま すので、ぜひよろしくお願いいたします。 ○大日向部会長  ありがとうございました。他にいかがでしょうか。杉山委員、お願いいたします。 ○杉山委員  ありがとうございます。資料6の28ページで確認というかお願いをしたいのですが、前 回に発言させていただいたことを、最後に書き加えていただいて感謝しているのですけれ ども、現状だとこういう書き方になってしまうのかというか、もう少し具体的に、例えば、 3行目くらいから「地方公共団体には子育て支援の研修とかネットワーク化とか環境整備な ど」となってしまっているのですが、前段のここに書いてあることを反映させて、「財源確 保とか新たな制度体系の指導を待たずにできること」などを羅列するとか、それは難しい のかどうかということなのですが。  もう1点は、「新たな保育の仕組みと議論」と並行してやるべきことということで、どう してもわかることがあるではないですか。保育士の養成とか、市町村の受け皿体制作りな ど、保育の仕組みができたら絶対必要であるというものをここに書いて、時系列にどのよ うに動くのかというのが見えるように、大変ご苦労なことだと思うので、できる範囲でよ いと思いますので、やるのだなということを国民の皆様やいろいろな方に知っていただく ためにも、これをこのようにやるのだということが見えてくると良いかと思います。 ○大日向部会長  ありがとうございました。他に、いかがでしょうか。 ○杉山委員  もう1点言い忘れたのですが、これはどちらでも良いのですが、12ページで「保護者と 保育所の関係性」のところがかなり大幅に削除されていて、私がヒアリングを受けたいろ いろな方々、特に「びーのびーの」の方たちの取組等を伺っていたときには、現状そうい うニュアンスがあったと記憶しておりますので、全部取ってしまうと惜しいというか、実 際にそういうことがありますので、もう少し入れても良いかと思いました。 ○大日向部会長  他に、いかがでしょうか。 ○福島委員  細かいことですけれども、少子化人口減少はワーク・ライフ・バランスと子育て支援が 車の両輪です。前回も出ているようなのですが、2ページ目にも一応「仕事と生活の調和が」 と書いてありますけれど、ここをもう少し大きく書いていただけないかと思います。それ から、保育のところの最後で27ページに「6その他」とあります。ここに書いてあるのは 残課題ですよね。その中で、ここはまた急に「仕事と生活の調和に向けて」と書いてある のです。整理もいるかと思うのですが、二つ目の丸のところに「ワーク・ライフ・バラン ス」ときちんと書いてあるのですが、書く場所が違うのではないかと思います。要は、こ こは保育なのですけれども、世の中に発信するときにはトータルをいうことが大事だと思 うのです。ですから、分量を増やすとか別立てにするなど、ワーク・ライフ・バランスを もっと力強く書いてほしいと思います。それが、この審議会のミッションの一つかと思い ますので、前回もそのような意見が出ていたので3行ほど書いていただいていますけれど も、少し目立つようにポジショニングしてもらう方が良いのではないかと思いますので、 できましたらお願いしたいと思います。 ○大日向部会長  ありがとうございます。他に、まだお声のない委員はいかがでしょうか。大石委員、庄 司委員、内海委員、よろしいでしょうか。 ○庄司委員  どうもありがとうございます。今回、ここの特別部会では多くの方々が共通の認識を確 認できたのではないかと思います。特に、当初、供給の抑制が働いているところに、例え ば都道府県の裁量的な認可権といいますか、そのことを強く意識しすぎることによって保 育への公的な関与が逆に薄れる形でこの問題を乗り越えようとするようなことになっては いけないと、私は大変心配しておりました。特に、状況的にもやはり財源が厳しい中では、 そういう力が相当に働いていると。それにもかかわらず、今回、まとめの中で清原委員が 前回も今回も繰り返し強調しておられるように、特に今回市町村が非常に重要な役割で、 義務や責任というトーンでこの報告をまとめられたということに対しては、私は非常に重 要な意味があると思います。前回、私も申しましたように、日本の認可保育所の制度をま さに国民的に2万か所、200万人もの子どもが利用してきたこの保育制度というのは、やは り世界的にも誇るべきものがあって、そこが積み上げてきた実績をきちんと評価した上で、 さらに前に進むという確認がなければいけないと思っておりましたので、そのことが概ね ここで確認できたのではないかという意味で、私は今回大変良かったと思います。いろい ろとりまとめをされました事務局にもお礼申し上げたいと思います。 ○大日向部会長  ありがとうございました。内海委員、お願いいたします。 ○内海委員  何回かお休みをしたので少しついていけないところがあるのですけれども、今、庄司委 員がおっしゃったようなことが、これで読みやすいように、詳しい人がじっと読まないと わからないというようなものだとわかりにくいので、行間も読むとなるととてもわかりに くいので、動かしたくないところと動かさなければいけないところをはっきり書いて、動 かしたくないところはやはり公的な関与を守るのだということは皆が危惧していることだ と思いますので、そこは堅持する。それでも社会的なニーズがこうなので、ということで 書いていかないと、一般の人にはなかなかわかりにくいし、むしろ高齢者対策とかそうい うことに匹敵するくらいのアピールをしないと、多分、少子化がスピード感をもってやら なければいけないと思っているのは、全人口からいえばものすごく少ない人数だと思うの です。ここでは共通の話題だと思いますけれども、別の部会に行けばとんでもない議論に 巻き込まれるということがありますので、そういう意味ではもう少しわかりやすく、アジ テートするくらいのものを。  それからもう一つ、「すべての子どもに」ということが一方で謳われているので、今まで の保育だとやはり客観的に必要性が判断されたものに限られるわけです。それと、すべて の子どもにというところがわかりにくい。ですから、保育所だけで子育て支援ともう一つ 言葉があるわけではないですか。保育所だけがやるわけではないのに、その部分が同じ土 俵に入ってしまっているのでとてもわかりにくい感じがするのです。ここは新たな保育の 仕組みを考えるところですけれども、保育園に限るのか、子育て支援は他の場所でもたく さんされていますから、そういうものとどう絡んでいるのかということがないと、全部保 育所が機能しなければいけないというように、人も金もよこさないで機能ばかりが覆いか ぶせられるような現場もあるので、その辺のところを明確にしないと、今までやっていた 公的な保育園の人たちが青息吐息でやっていますので、非常に働く意欲をなくすというよ うなメッセージではないということを、安心して働けるようなメッセージを出してほしい と思います。 ○大日向部会長  ありがとうございました。それでは、大石委員お願いします。 ○大石委員  おまとめいただいた報告書については特にありません。全体的なコメントですが、歴史 的な経緯として、保育所に子どもを預けることに対してかなりネガティブな見方が強かっ た時代から、女性の社会進出が進み、均等法第一世代が保育所を利用しながらワーク・ラ イフ・バランスを模索するような時代を経て、今、足元では子どもの貧困率が15%に達す るような世の中になってきています。そういった時代の流れの中で子どもの育ちを保障す る役割としての保育所というものに対する期待は大きいと思っています。この報告書での 最初に書かれていますように「未来への投資」という意味での役割がこれからますます強 まっていくと思いますので、そういう意味でこの報告書の内容を強調していただければと 考えています。以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございました。一通りご意見をいただいたと考えてよろしいでしょうか。前 回の部会で皆様からいただきましたご意見、そしてその後に文書で提出くださいましたご 意見、いずれも事務局において大変適切に盛り込み、修正をいただいたかと思います。な お、本日ご指摘のありました点につきましては、再度、事務局においてご検討いただけれ ばありがたく思います。  さて、9月以降本部会では回を重ねてまいりまして、委員の皆様におかれましては鋭意ご 検討をいただいてまいりました。その議論の結果が前回より第1次報告(案)として事務局よ り示していただいたところです。この具体的な「今後の保育制度の姿」ということに関し ては、添付資料として本部会としての議論と、保育事業者検討会における議論、また関係 各方面の議論、3通りを示していただきました。それにつきましては前回、そして本日委員 の皆様の議論を伺いましたところ、事務局に示していただいた三つの案のうち中央に掲げ られている案で、委員の皆様のご意見の集約がなされてきたのではないかと思いますが、 いかがでしょうか。そのように理解してよろしいですか。これまでの長い保育制度の歴史 を誇りつつ、今、抱えている課題に対しては果敢に展開するという意味で、真ん中の案が 委員の皆様からご支持いただいたと思います。市場原理に基づく直接契約、バウチャー案 は本部会でも、また事業者検討会でも支持するご意見は見られませんでした。しかしなが ら、一方それ以外の2案につきましては、本部会で設置をお願いいたしました保育事業者 検討会での議論と本部会の考え方の間には、なお隔たりがあるようにも感じます。この件 につきまして、保育事業者検討会の座長でいらっしゃる岩渕部会長代理は、取りまとめに 向けてどのようなお考えでいらっしゃるか、お聞かせいただければと思います。 ○岩渕部会長代理  保育事業者検討会におきましても、前回第1次報告(案)が出されて、それについて今後の 保育制度の姿が具体的に見えてきたということで、大分議論が深まったという感をもって います。先ほどの事務局からの説明にもあった通り、保育事業者の皆様の中にも中央の案 について評価する声も出てきています。しかしながら、一方で現行の保育制度のままでよ いというわけではなくて、行政の公的責任を明確にしつつも、今すぐの判断は難しい。特 に全国組織として地方も含めた組織全体で認識を共有するためにはもう少し時間が必要で あり、それを待たずに取りまとめをするということでは不信感が拭えないという強い意見 も頂戴しているところです。こうした議論の状況を踏まえますと、保育団体が組織全体で 認識を共有し理解を深めるため、いましばらく時間がほしいというのが保育事業者検討会 座長としての私の意見です。  ついでに、本部会の委員としての個人的な意見を述べたいと思います。いろいろ皆様の 議論を伺いまして、それはその通りでありますし、慎重な取り運びも必要だということも 非常によくわかります。ただ、1年かけてやってきて、この間にも十分な保育サービスを受 けられずに、時を失っていく子どもたちがたくさんいるということ。そのことも我々はき ちんと認識しなければならない。時間が過ぎてしまえばサービスを受けることができない ので、まだ時間が必要という議論はありますが、いつまでもやっていられる話ではないと いうことでありまして、喫緊の課題といわれながらいつまでも堂々巡りで改革が進まず待 機児童が増えていくようでは非常に問題が多いと思います。1年前に私はスピードが重要 と申し上げましたが、保育事業者検討会の運びとは別に、私自身の個人的な意見としては そういうことを、ぜひ申し上げたいと思います。以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございました。部会長代理としてのお気持ち、それに保育事業者検討会の座 長としてのお考えをお示しいただきました。確かに本部会の部会長代理としておっしゃっ たこと、すなわちこの部会の検討事項が非常に緊急性を求められているということは私も 同感です。ただ、そのためにも本当に理解をいただいた上で、私どものこの結論が現場の 皆様に実践していただくということが何より大事かとも思います。現場で日々子どもの保 育を担っていらっしゃる保育事業者の皆様のご理解を、可能な限り、得ながら進めていく ということが、今、岩渕部会長代理が最後に個人的なご意見として懸念を示されたことを 解決していく上でも大切かと思います。先ほど吉田委員から部会の議論に対して誤解もあ るかもしれないという指摘もありました。従いまして、どうか事務局におかれましては、 本日の特別部会の議論を保育事業者検討会によくお伝えいただきまして、再度ご議論いた だくなどお願いし、保育事業者の皆様の検討を踏まえた上で、本部会で改めて議論をし、 第1次報告を取りまとめることにしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでし ょうか。  ありがとうございます。それでは日程につきましては追って事務局よりご連絡いただけ ればと思います。年の瀬に委員の皆様には大変申し訳ございませんが、引き続きよろしく お願いします。それでは事務局にお返しします。 ○朝川少子化対策企画室長  本日は、お忙しい中、ありがとうございました。今、部会長にまとめていただきました 通り、少し日程について皆様方に調整をさせていただけたらと思います。また追ってご連 絡いたします。よろしくお願いします。ありがとうございました。 ○大日向部会長  それでは、本日はこれで閉会とします。ありがとうございました。 (照会先)  厚生労働省  雇用均等・児童家庭局総務課  少子化対策企画室  (内線7944)