08/12/15 第49回社会保障審議会障害者部会議事録 第49回社会保障審議会障害者部会議事録  日  時:平成20年12月15日(月)10:00〜12:36  場  所:都市センターホテル5階 「オリオン」  出席委員:潮谷部会長、高橋部会長代理、嵐谷委員、安藤委員、井伊委員、       伊藤委員、梅田委員、大濱委員、川崎委員、北岡委員、君塚委員、       小板委員、新保委員、副島委員、竹下委員、堂本委員、仲野委員、       野沢委員、広田委員、福島委員、星野委員、宮崎委員、山岡委員、       小澤委員、生川委員、林参考人 ○潮谷部会長  皆様、おはようございます。定刻になりましたので、ただ今から第49回社会保障審議会 障害者部会を開催いたします。  委員の皆様方には、師走の大変お忙しいときに朝からお集まりいただきまして、ありが とうございます。  議事に入ります前に、事務局から、委員の出席状況、資料等についての確認をお願いし たいと思います。 ○蒲原企画課長  おはようございます。それでは、初めに委員の出欠状況でございます。本日は、数名の 先生がご欠席ということでございます。欠席の委員の先生方でございますが、岩谷委員、 坂本委員、櫻井委員、佐藤委員、長尾委員、三上委員、箕輪委員、浜井委員から都合によ り欠席との連絡をいただいております。なお、坂本委員の代理といたしまして、東松山市 健康福祉部長の林参考人に出席いただいております。よろしくお願いいたします。それか ら、小澤委員を初め、数名の先生方が出席の予定でありますけれども、遅れるとの連絡を いただいております。よろしくお願いします。  続きまして、本日の資料の確認をさせていただきます。  お手元にございます議事次第をめくってもらいますと、本日は1つの資料でございます。 報告書(案)というものでございます。これについて今日はご議論ということでございま すので、お手元にあるかどうか、ご確認ください。  以上でございます。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  それでは、本日の議事に入らせていただきます。  前回の部会では、事務局から報告書(案)をお示しいただき、それに基づきまして皆様 方から様々なご意見をちょうだいしたところでございます。今回は、前回の皆様方の意見 をさらに事務局のほうで報告書(案)に修正を加えて、お手元に配布しているところでご ざいます。できれば、本日は、報告書の取りまとめを行いたいと考えておりますので、皆 様方、よろしくお願いいたします。  まず、報告書(案)につきまして事務局のほうからご説明をお願いいたします。 ○鈴木企画官  企画官、鈴木でございます。  ただ今部会長からございましたように、本日の障害者部会の資料、障害者部会報告 (案)で、先ほど部会長からもございましたが、前回の報告から修正を入れさせていただ きました。資料中、修正をいたしたところには下線を引かせていただいておりますので、 本日はその修正部分を中心にご説明申し上げたいと思います。  おめくりいただきまして、まず2ページの「はじめに」のところでございます。3つ目 の○のところで、前回、施行後3年の見直しで措置を講じるべきということについて、本 文との関係についてご意見がございましたので、その部分を、見直しにおいて対応すべき 事項というものについて取りまとめたと、修正させてもらっております。  それから、同じページの一番下のところでございます最後のパラグラフ、「さらに」の ○のところですけれども、委員からの個別のご指摘に基づきまして、「今後も絶えず現場 の実態の把握に努めるとともに」という文言を追加させていただいた上で、一部、趣旨の 明確化の修文をいたしております。  おめくりください。次の3ページは、視点の第三のところで、現場の実態を踏まえた見 直しのところに下線が引いてございますけれども、前回ご指摘がございましたので、「事 業者における人材の確保や安定的なサービス提供体制の確保という観点も考慮しながら」 と追記させていただきました。  次に、相談支援のところです。4ページでございます。まず(1)の相談支援体制のと ころですが、4ページの一番下のところで、前回、人材の確保を明記すべきというご意見、 あるいは精神障害分野における取組をはっきりさせるべきというご意見がございましたの で、人材の確保という意味、それから「精神保健福祉相談員等の市町村・都道府県の職 員」といった人の確保と質の向上ということで書き加えさせていただいております。  おめくりください。次の5ページのところで、真ん中の「その際」というパラグラフで ありますけれども、ご指摘を踏まえまして、「画一的に設置することとするのではなく」 という文言を追加させてもらっています。  また、次の○のところですけれども、前回、なじみの関係での相談支援が大事だという ご意見がございましたので、「障害者が日頃接している者による相談支援など」というこ との充実を書き加えさせてもらっております。  次に、6ページの相談支援の2つ目のケアマネジメントについてでありますが、もう1 枚おめくりいただきまして7ページのところで、2つ目の「このため」という○で、先ほ ど申し上げたと同じような趣旨で、「障害者が日頃接している者」というのを明記させて もらっています。  また、一つ飛んで「まず」という人材確保のパラグラフでも、「幅広い活用」というこ とを書き加えさせてもらっています。  それから、7ページの一番下のパラグラフですけれども、前回ご指摘がございました、 相談支援専門員の実務経験の要件の緩和という意見があった、それから一方で将来的に国 家資格化することについても検討すべきというご意見があったということを明記させてい ただいた上で、量的に拡充すること、それから質の向上を図っていくことを検討すべきこ ととして追加させていただいております。  次に、1枚おめくりいただきまして、地域生活の部分でございますが、まず9ページの 最初の基本的考え方の中で、前回会議にご指摘のございました「受入条件が整えば退院可 能な長期入院患者の地域移行がまだ十分に進んでいるとは言えない」という認識のところ に書き加えております。  それから、(1)の地域移行の促進のところでは、次の10ページになりますけれども、 真ん中のところで3つ目のパラグラフで、精神障害者生活訓練施設の新体系への移行を促 進する仕組みについて検討が必要ということを前回のご意見に基づいて書き加えさせてい ただいております。  次の刑務所からの出所者等の支援については、一部文言を修正するとともに、前回ご指 摘がございました、「触法障害者の早期社会復帰の観点から」というのを明記させていた だきました。  その下の入所施設の役割のところですけれども、(1)のところで、こちらも前回のご意見 でございましたので、施設に入所している方について、「地域との交流等、社会体験の機 会を増やしていくこと」といったことを書き加えさせていただいております。  それから、おめくりいただきまして、(2)「住まい」は大きな変更はございません。  次の12ページの(3)の「暮らし」の支援のところで、またおめくりいただきまして、 13ページになりますけれども、下から3つ目の「地域生活を支えるための複合的なニーズ への対応」というのを書き起こさせていただいております。こちらのほうは、前回ご意見 でございました緊急時のサポートを初めとして、様々な複合的なニーズに対応する拠点的 な場所というものを検討すべきというご意見がございましたので、今後、既存事業との関 係も含め検討していくべきということを書き加えさせていただいております。  それから、次のピアサポートのところですけれども、ご指摘で、都道府県や市町村とい うのを主体として明記するというご意見がございましたので、書き加えさせていただいて おります。  次の14ページで、地域の中での支え合いということで、地域社会の中での相互理解や支 え合いが大事ということで、共生社会の理念の普及や地域における支え合い活動の推進等 に努めていくべきという、国民の理解を深めていく意味での記述を書き加えさせていただ きました。  おめくりください。就労支援のところです。15ページで(1)の一般就労への移行のと ころで、一番下の「あわせて」というパラグラフのところですけれども、こちらも先ほど の地域での理解と並びのことで、職場での理解ということで、障害者雇用に対する企業の 理解の促進ということを明記させていただいております。  次の16ページの下から3つ目で、特別支援学校等からの一般就労への移行の在り方とい うことで、特別支援学校だけでないということで、本文中には「高等学校等」ということ で、それ以外もあることを明記させていただいております。  おめくりいただきまして、次の就労の(2)就労継続支援のところですけれども、前回、 A型について充実すべきということを明記すべきというご指摘がございましたので、「A 型の事業所について、B型からの移行を促す条件整備等、その充実を図っていくべきであ る」ということを書き加えております。  それから次のページで上の「また」というパラグラフのところでありますけれども、こ ちらも先ほどと同じように、「特別支援学校等の在学中に」ということ、それから「本人 の適性を見た上で必要と認められる場合には」ということを明記いたしております。  次の(3)の関係施策との連携強化のところでは、一番下の就業・生活支援センターの 充実のところで、これは委員からの個別のご指摘で修正いたしておりますけれども、「一 般就労している者への継続的な支援や利用の促進を含め」ということで、センターの役割 の充実の観点を書き加えさせていただいております。  それから、おめくりいただきまして、就労のところの19ページの一番最後の「さらに」 というパラグラフですけれども、これは前回ご意見がございました、職場内における生活 面・職務遂行面の介助について、職場自らによる取組も含めて、労働施策で行われている 助成なども踏まえながら、充実について検討される必要があるというご意見があったこと を付記しております。  続きまして20ページ、所得保障のところでございます。現行制度の在り方のところでは、 前回、見直しの姿勢をはっきりさせるべきというご意見がございましたので、そこの2つ 目の「その上で」というパラグラフのところの文末を検討していくべきであると修正いた しております。  次の(2)の住宅費など新たな課題への対応のところでございますが、おめくりいただ きまして21ページの障害者特有のものとしての対応事項として、最後の文末のところであ りますけれども、先々の課題であるように読めるのでというご指摘がございましたので、 修正して、「今後、こうした支援の実現に向けて十分に検討を進めていくべきである」と、 先々ではないような文章にさせていただいております。  次の22ページの障害児支援のところですが、こちらのほうはほとんど修正がないんです が、ちょっと飛ばしていただきまして25ページのところで、上から2つ目というか、個別 の支援計画の作成のところですけれども、前回ご意見がございましたので、「当事者の参 加を得ながら」ということで、当事者中心にやっていくことを明記させていただいており ます。  次はまた飛ばしていただきまして28ページ、障害者の範囲でございます。障害者の範囲 の(1)障害者の定義のところでございますけれども、3つ目の「一方」というパラグラ フのところでございます。前回の案では、課題を3つほど列挙させてもらっていまして、 最後の文末が断定的なような感じになっていたのですけれども、そこを断定的にしないと いう形で文章を工夫させていただいております。  次の「このほか」というパラグラフのところで、福祉的支援を要する方への支援につい て、前回は長期的な課題ということを書いていたのですが、こちらのほうも「更に検討し ていくべき課題」と修正させてもらっております。  それから、おめくりいただきまして2つ目の○のところで、前回、発達障害が現在も既 に精神障害の概念に入っているということを明記すべきというご意見がございましたので、 その旨を明記させていただいております。  それから、一つ飛ばして、難病を身体障害に含めることについてでありますけれども、 前回の案では、慎重に検討ということで、それについて何もやらないんじゃないかという ように読めるというご指摘がございましたので、後段のところを修正させていただきまし て、「一律に身体障害に加えることは難しいが、身体障害の認定を受けた場合には障害者 自立支援法により支援を行い、これに当たらない場合にも、他の現行施策等により支援を 行うとともに、今後、必要とされる支援の提供の在り方について検討を進めていく必要が ある」と修正いたしております。  次に、おめくりいただきまして31ページ、利用者負担のところです。次の32ページ、右 側でございますけれども、前回、この利用者負担の考え方に関する議論が負担の上限額の 問題としてすり替えられているというご指摘がございましたので、ご発言の趣旨を「負担 の上限額の問題ではなく、利用者負担を求めるべきかどうかという質的な問題であるとの 意見があった」ということを明記させていただいております。  次の「これらを踏まえ」というパラグラフのところでございますけれども、前回、趣旨 が分かりにくいといったことで幾つかご意見をいただいたものですから、後段のところで すけれども、「所得に応じてきめ細やかな軽減措置が講じられてきていることにより、既 に実質的に障害者の負担能力に応じて負担する仕組みとなっており、このことについて国 民に明確になるようにしていくこと」と修正いたしております。  次に、おめくりいただきまして33ページのところで、こちらも前回のご指摘で、自立支 援医療の診断書の添付が毎年になっているということについて、これを2年ごとに改める ことを検討すべきということで、ご指摘に沿って記載させていただいております。  次の報酬、34ページは変更ございません。  それから、おめくりいただきまして35ページ、個別論点でございます。まず、サービス 体系としては、こちらもちょっと飛ばさせてもらいまして、おめくりいただいて37ページ の(4)の入所授産施設のところですけれども、3つ目のパラグラフ、「他方」というと ころでありますけれども、前回、施設入所支援と就労継続支援について、人について継続 する場合ははっきりしているけれども、施設について、事業について組み合わせが継続で きるということがはっきりしていないというご指摘がございましたので、そこの最後のと ころですけれども、「施設入所支援と併せて就労継続支援についても実施できることとす るよう、検討すべきである」と明確化させていただいております。  それから、おめくりいただきまして、次に障害程度区分についてでございます。(1) の障害程度区分の見直しのところで、最初のパラグラフの最後のところですけれども、前 回ご指摘に基づきまして、障害程度区分の見直しに当たっては、市町村における認定に要 する手間の簡素化にも配慮する視点が必要との意見があったことをつけ加えております。  それから、一つ飛ばして、支給決定の在り方のところでありますけれども、こちらのほ うも前回いろいろなご意見がございましたので、支給決定に当たっては、個々の障害者の 状況に応じて、どれだけの支援が必要かという観点をより踏まえて行うようにすべきとの 意見があったこと、それから、ケアマネジメントを踏まえて支給決定する仕組みとするこ とにより、障害者のニーズに応じた支援がなされるように検討すべきであるということ、 それから、現行法の「障害程度区分」という法律上の名称と定義についても見直していく べきとの意見があったことを書き加えております。  それから、一つ飛ばしまして、(3)の国庫負担基準のところでございます。おめくり いただきまして41ページで、最後の「さらに」というパラグラフでありますけれども、一 つは、小規模な市町村の財政的な支援について、そういう意見があるという文末の記述で ございましたけれども、「検討すべきである」と修正しております。それから、次の下線 部でありますけれども、「将来的に、財源の確保を図り、国庫負担基準を廃止すべきとの 意見があった。これに関しては、国において、社会保障全体の財源の確保を図ることが必 要との意見があった」という形で、こちらのほうも前回意見に基づきまして修正いたして おります。  次に42ページ、地域生活支援事業でございます。おめくりいただきまして、43ページの 真ん中の辺りに「・」で「さらに」というパラグラフでありますけれども、前回、福祉ホ ームについて、グループホーム・ケアホームへの転換も含めてより充実を図るということ を明記すべきという意見がございましたので、その旨、その後段を書き加えさせていただ いて、「障害者のニーズに応じた居住の場が確保されるよう努めていくべき」という形で、 そういう施策全体の推進を図る旨を明らかにいたしております。  それから、おめくりいただきまして、サービス基盤の整備、45ページ・46ページは修正 ございません。  またおめくりいただきまして、虐待防止・権利擁護、それから精神保健福祉施策の見直 し、こちらのほうも修正はございません。  最後に50ページ、その他のところでございます。真ん中のところで「障害者に対する支 援の在り方」というのを書き起こさせてもらっております。「個々の障害者に対して、ど のような支援を行っていくことが適当かという、個々の支援の内容・在り方についても、 今後検討していくべきとの意見があった」ということで意見を明記させていただきました。 その上で、そういう支援の内容をよりよいものとしてということが重要なので、事業者団 体による取組も含めて、研究・検討が進められるべきであるということにさせていただい ております。  以上が修正点でございます。参考までに51ページ、52ページに、こちらは前回もつけさ せていただいておりましたが、4月から9カ月にわたり19回にわたる開催経緯というもの をつけさせていただいておりますので、ご紹介させていただきます。  説明は以上でございます。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  それでは、ただ今の説明を踏まえていただきまして、皆様方からご意見をちょうだいし たいと思います。どなたからでも結構ですので、よろしくお願いいたします。 ○君塚委員  9ページでございます。基本的な考え方で、2つ目の○で今回下線の修正された文章の 部分の「整えば」というのがどこにかかるかが分かりにくい。文章がちょっと、ぱっとし か読んでいないんですけれども、「整えば退院可能な長期入院患者が地域に移行すること が」というほうが分かりやすいかなと思いました。 ○潮谷部会長  この点について委員の皆様方から何かございますか。 ○君塚委員  これは文言の問題だけでございます、内容ではなくて。「整えば長期入院患者が」、 「整えば」がどっちにかかるによってちょっとニュアンスが変わるかもしれませんが。 ○潮谷部会長  どうぞ。 ○福島精神・障害保健課長  これは統計情報部でやっております患者調査の調査票の表現でありまして、趣旨は、受 入条件が整えば退院可能となる長期入院患者の地域移行がということでございまして、調 査票とか、従来から精神関係でこの表現を使っているものでそのまま使いましたけれども、 より明確にするために「受入条件が整えば退院可能となる」と書けば分かりやすいと思い ますが。 ○君塚委員  「となる」のほうが明確だと思います。 ○潮谷部会長  よろしゅうございますでしょうか。  はい。皆様、そこの修文は事務局側も、それから今発言された君塚委員のほうもよろし いということでございますので、お手数ですけれども、それぞれよろしく修文してくださ るようにお願いいたします。  ほかにございませんでしょうか。はい、どうぞ。 ○君塚委員  ヒアリングを各団体が一生懸命やったわけですけれども、最後のところの第何回にヒア リングというのを書いてありますが、できれば最後のページにヒアリング団体一覧表を載 せていただきたいと思いますが。 ○潮谷部会長  事務局のほう、よろしくお願いいたします、ヒアリング、それぞれの団体名を。  井伊委員、お願いいたします。 ○井伊委員  質問ですが、前回、日本発達障害ネットワークの方から発達障害者支援ニーズ調査結果 の概要というのが報告されまして、そういう中に「利用しているサービスはない」という 人が50%といった調査結果が報告されました。これまでも、例えば「こういうサービスを 利用できて、そして幾つか複数が選べるようになってよかった」といった実態ですとか、 あるいは逆に「新サービスになって、残念ながらこれまでのように利用できなくなった」 という障害者の方の実態ですとか、そういう実態そのものを示すような実態調査というの は余りこの中には報告はされなかったように思います。前回出していただいたような実際 の障害者の方のサービス利用の実態を示すような調査というのは重要だと思います。そう いうことについて今後とも十分把握して行っていくべきと思うんですが、それは50ページ の「障害者に対する支援の在り方」の最後の3行ぐらいの中にこういうことをやるべしと 表現されていると理解していいのかどうかということをお尋ねしたいと思います。 ○潮谷部会長  事務局、お願いいたします。 ○蒲原企画課長  一つは、これは現場の実態をきちんと踏まえてやっていくということが最初の基本方針 のところに書いてあります。これは、3ページの基本的な見直しの第三のところでありま す。その意味で言うと、今委員がおっしゃったように、現場で実際にサービスをちゃんと 受けられているのかどうか、あるいは受けているサービスは適切かどうかということをき ちんと現場の観点でやっていくということが1点であります。あと、その前の2ページの 一番下のところに「今後も絶えず現場の実態の把握に努めるとともに」と書いてございま すので、基本的にはそういったことをやっていきたいと思いますし、今おっしゃった50ペ ージのところも、そういう趣旨を踏まえてきちんと現場に合ったサービスの在り方につい て、現場を踏まえて調査・研究していくという趣旨もそこに入っておりますので、おっし ゃっている趣旨を踏まえてきちんとやっていきたいと思っております。 ○潮谷部会長  井伊委員、50ページに付記しないでもよろしゅうございますでしょうか。今、事務局側 から、基本的な視点として整理はしてあるという説明ですが、いかがでございましょうか。 ○井伊委員  2ページと3ページについては理解しました。しかしながら、それを具体的にどうする のかといったときに、50ページの下から2つ目の○の最後の2行で「事業者団体による取 組も含めて、研究・検討」という研究調査というのも具体的には必要かなと思いましたの で、50ページについて確認させていただきました。ご説明は理解いたしました。 ○潮谷部会長  1点確認させていただいてよろしゅうございますでしょうか。今、国のほうの姿勢とし ては2ページ・3ページ。しかし、委員がご指摘になっていらっしゃる、それぞれの事業 者団体に対しても研究・検討とともに実態調査という、そのフレーズが50ページのところ に必要でないかということでございましょうか。 ○井伊委員  この日本発達障害ネットワークの資料は、厚生労働省の自立支援プロジェクトの助成金 を受けということでした。実態を示すのは当事者調査ということが非常に重要だと思いま すので、この「研究」という中に調査研究ということで調査も含まれているのかなと理解 をいたしました。 ○潮谷部会長  いかがでございますでしょうか。 ○蒲原企画課長  そこのところは、そういうものが入っておりますので、そういう趣旨を踏まえてさらに やっていきたいと思います。 ○潮谷部会長  はい、竹下委員。 ○竹下委員  修文ではありませんし、この報告書に対して何らかの修正を求めるための意見ではない んですが、この報告書の議論を終えるに当たって若干指摘しておきたいことが二、三あり ます。  1つは、今回の非常に充実した議論がされた中で、大きな前進もあったと思うんですが、 残念ながら当初の目的に達していない部分が幾つかあるように思います。例えば、障害者 の範囲の問題であるとか、あるいは所得保障の問題については、今後どういう改善がこの 報告書によってされるか、正直言って私には見えてきません。それらについては今後に残 された課題という確認が必要なんだろうと思っております。  2つ目には、先ほどヒアリングの団体名の列記の話がありましたけれども、僕はヒアリ ングの全部を記録できるほどつぶさには読み返しておりませんけれども、せっかくヒアリ ングを行っておきながら、そうした30を超える団体の現場からの声が十分に反映されたか ということについては、審議委員としても十分にそこはもう一度振り返るべきだろうと思 うし、そこで吸収されていない部分についても、それは課題として残ったと考えるべきだ ろうと思っております。  最後に、そうしたヒアリングで出された声もそうですし、この審議会あるいは部会の中 での皆さんの意見の中で、幾つかの意見の対立と言っていいかどうかは分かりませんが、 異なる意見があったけれども、それらについてその異なる意見の内容を深める議論が十分 にできていないと僕自身は認識しております。例えば、日払いの点の今後の在り方であっ たり、あるいは利用者負担の考え方であったり、あるいは介護保険との統合の在り方につ いての意見であったり、そういうものについても本来はもっと深めるための議論が必要だ ろうと思うんですけれども、それらがされていなかったということもきちんと我々として 押さえた上で、今後にそのことを深めるための場所がぜひ与えられることをお願いしてお きたいと思っております。  以上です。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  事務局のほうから、いかがでございますでしょうか。 ○蒲原企画課長  今回までのいろいろな議論で今、案という形になっているわけでございます。こうした 報告書の中身を踏まえながら、まだまだ残されているところについて、いろいろな財源の 問題だとか、いろいろな点があると思います。竹下委員がおっしゃったこと、残された点 あるいはヒアリング団体の要望あるいは深めるべき点について、我々はこれからまた皆さ ん方のいろいろな声をいろいろな形で聞きながら深めていきたいと思っております。 ○潮谷部会長  竹下委員、よろしゅうございますでしょうか。 ○竹下委員  はい。 ○潮谷部会長  それから、私のほうから事務局に確認でございますけれども、1つは、今、竹下委員が 言われました現場からの声もこの資料の中に付記されるということでございましょうか。 それとも、ヒアリングした結果、竹下委員のほうでは、どこが参画したという団体名とと もにその中身もということで今お触れでございますが、ここについてはいかがでしょうか。 ○蒲原企画課長  最終的にはまた部会長ともご相談したいと思いますけれども、ヒアリングの団体名につ いては、きちんとここに入れていくということで考えたらどうかと思っております。一方 で中身については、これはそもそもいろいろな形で議事録などでもこれまでもきちんとや っていますし、見られる状態になっておりますので、そういう形で、何か変に要約するよ りも、そういう議事録という形で見られるほうがいいのかなと思っております。そこはま た部会長ともちょっとご相談したいと思います。 ○潮谷部会長  はい。  堂本委員。 ○堂本委員  ありがとうございます。19回もの大変に長いというか、短い間に数を重ねた会で、本当 に座長さんも大変でいらっしゃったと思うし、それからこれだけいろいろな意見をおまと めていただいて、本当にありがとうございました。いろいろな形で私たちがお願いしたこ とが散見できると思っております。  その上で幾つかお願いしたいと思うんですが、今日のご説明にもございましたし、この 一番頭のところに、当事者中心に考えるべきという視点、それから現場の実態を踏まえて 見直すべきであるという視点、これが一番大事だと思いますし、そのことがきちんと明記 されているので、最後の最後までそれが運用面でもそういう実感を私たちが持てるように、 ぜひともしていただきたい。今、竹下委員からもご指摘がございましたように、しかし報 告書の中には今後の検討というところがまだ多く残っております。それから、財政的な裏 打ちがないとなかなかはっきりおっしゃれないといったこともあるのではないかと思って おりますけれども、私が一番危惧いたしますのは、前回の審議会のときも、終わった時は ああ大変よかったなと、それでいながら運用の場面になって現場におりたときに使い勝手 が悪いということで今回の障害者部会になったんだと思いますけれども、その轍をもう一 回踏みたくないということで、これから厚生労働省のほうでこれを検討されて法制化、あ るいは法律だけではなくて、さらに運用の面で省令とか政令とか通知とかいろいろな形で 出してこられるんだと思いますけれども、そういったときに審議会で終わった報告書とは、 理念はよかったけれども、私たちがお願いしたこと、みんなで現場から持ち寄った意見は 入っていたけれども、実際に現場での運用となったならばそこにずれあるいは乖離があっ たということにぜひともならないためにはどうしたらいいのかなと思います。今日が最後 だとすると、今日から実際に法施行のときまでの間の作業、大変な作業をなさるんだと思 いますが、そのことが今日集まっている委員の方たちにどのように知らされるのかという ことが一つの問題だろうと思っております。  それからもう一つは、竹下委員が指摘されたことですが、30の団体のヒアリングがあっ た、それがどのような形に集約されているのか、その基はどういうことだったのかという ことへの関心もあると思います。私はたまたま全国知事会を代表しているものですから、 本当に日本国中93パーセントの市町村、日本の中の9割の行政の方たちが協力してくださ ってこの間の提言を出させていただいたのですが、今度私が逆にこのように決まりました と言ってそれを各市町村に戻すときに、ここにはどこにも書いていないんです。例えば、 いろいろな方からのヒアリングの内容についても、今、団体名を出してほしいというお話 がございましたけれども、どこの団体からのヒアリングというのが分からない。市長会あ るいは知事会からのヒアリングもあったし、それから全国であの調査をするのに半年以上 の歳月をかけてこちらも調査したのですけれども、それが何かどこかすーっと海綿に吸い 取られたように中に入ってしまっていて、今度お返しするときにどこにそれを……。具体 的に私などが見せていただくと、内容として、文言もそのまま入れていただいているとこ ろも一、二ありますし、そして随分吸収していただいたと思っているのですが、何か報告 しにくいなと思うので、多分どこの団体もそういう問題意識を持っていらっしゃるんだろ うと思います。代表としてここへ出ているけれども、では自分たちが代表している団体の 意見がどうそこに具体化されたのかとか、ヒアリングの結果はどうなったのか、全国の市 町村が全部協力はしてみたけれども、それはどういう形に具体的になったのかといったと ころがもうちょっと見えるといいと思うので、今、これから検討するということを部会長 もおっしゃってくださったので、ぜひそこでそれぞれに委員が持ち帰られるようなことに していただけたらうれしいと思っております。  最後にお願いしたいのは、前回も申し上げましたけれども、国としての福祉に対しての 姿勢の問題だと思うんです。この前この委員会に出たときはたばこ税で1,100億円措置す るということだったのが、たちまちそのたばこ税も消えてしまって、どうなるのか分から ない。こういう中で、こちらが受け身に回るべきなのか、それとも本当にこういうことを まとめましたということだけではなくて、国として今大改革をしようとしているのは経済 だけの問題なのか。一番今の金融不況のあおりを受けているのは、もしかしたら一番いろ いろなところで働くにくい障害者の方たちかもしれない、切られるのもそういう方が最初 かもしれないとすれば、今私たちは本当に障害者部会として国の姿勢を問うていくといっ たアクションがあってもよろしいんじゃないか。それはどういうことができるのか、具体 的には思い当たりませんけれども、これだけ23兆とか、我々から見ればそれだけあればも う本当に気が遠くなるような額がポンポン出てきています、2兆だ、1兆だ、何兆だと。 一体これだけのことに2,200億円切られているがゆえに、それこそ施設で働いている方の 報酬すらも非常に低い。この矛盾というか、そういったものを感じずにいられないんです けれども、そこのところをしっかり訴えていかなければいけないんじゃないか。もちろん 全部ではなく、妥協の面だとか、それから不十分なことだとか、検討ということで先延ば しされていることも、具体的なことが分からないところもたくさんありますけれども、そ れでも19回の会合を大変いい形で集約していただけたので、これをきちんと国の姿勢に反 映させるというところまでみんなで頑張る、あるいは厚生労働省に頑張っていただくのか、 あるいは何らかの方法を考えるのか、そこのところまでもうちょっと積極性を持ったらい かがなものかと思っております。  ありがとうございました。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  本当にエールを送っていただいていると思いますけれども、ただ今の堂本知事のご発言 内容について事務局側から何かコメントはございますか。 ○蒲原企画課長  我々も、この部会の報告書というものを実現するように、いろいろな関係方面に働きか けていきたいと思いますし、こういう考え方をいろいろな形で関係者あるいは国民全体に 分かってもらうという努力を一生懸命やっていきたいと思います。先生方の協力も得なが らやっていくということが一つ。あとは、社会保障全体については、これは障害福祉も含 めてですけれども、全体の在り方を省全体あるいは社会保障に関わるいろいろな人たちの 力を結集して一生懸命やっていきたいと思っています。 ○潮谷部会長  制度設計は、ただ今堂本知事から言われましたように、本当に実効性と分かりやすさと、 それから市町村行政の中で施行するという観点も含めて、ぜひつくっていただきたいと思 います。それから、それぞれの委員の皆様方も、今日が最後になりますので、なるはずで ございますので、いろいろと意見を出していただいて、よりよいものにと思います。小板 委員。 ○小板委員  今、竹下委員と堂本委員の言われたことは、まさに妥当だと私自身も思っておりますし、 そこのところへいくことが大切だと思っております。しかしながら、まだ少し足りないと ころといいますか、私どもは施設で保護者の人たちと会う機会がいつもあるわけです。お 話をする機会があるわけです。ところが、今回は、その保護者の人たちがこの法律ができ たがために大変な不安に陥っている。その状況というのはいまだ議論されていないんじゃ ないかなと思うんです。例えば障害程度区分にしても、「私の子供が程度区分をされると いうことは一体全体どういうことだろう」と。それが高くなければ施設がやっていけない ということになってくると、また一つ大きな問題が出てくるわけなんです。国が程度を決 めるということについてはどうなのかという意見もあるわけなんです。それから、程度区 分を決めた途端に施設から出なければいけないといった事態になってくるということとか、 そういう状況がたくさん起きてきていて、皆さんはかなり不安な気持ちで、いつまた施設 から追い出されるのか分からないという不安を抱きながらの実はこの2年、3年間だった ろうと思うんです。ところが、今回のこの中でそういう意見というのは余りなかったんじ ゃないかという気がします。ここを一体全体その人たちは不安じゃない状況をつくってい くためにはどうするかということは、この法律そのものをきちんとした形で変えていかな ければいけないというところがあるのではないかと思っています。  実は私のところで2日前に92歳で亡くなられた人がいるんですけれども、その人は私ど ものところへ来てから十数年になるのですけれども、全く身内の人はお寄りにならなかっ たわけなんです。ところが、そこにはもう親とかそういう人たちは全くいなくて、多分そ の親の人たちというのはかなり様々自分の息子の行く末を考えながら亡くなっていったの ではないかと思っております。したがって、これは利用者あるいはその保護者の人たちが 安心して亡くなっていけるような施策というのははっきりとつくっていかなければいけな いのではないかと思っています。確かに社会自立も大切ですし、就労するのも当然大切だ と思います。しかしながら、その部分もきちんとしていくべきではないかなと思っていま す。  それから、二、三聞きたいというか、一応ここでまとめられたわけなんですけれども、 先ほどから出ておりますように、日割り日額の問題とか、あるいはその体系の問題とか、 それから障害程度区分の問題などもずっと確かに議論しなければならないということにな っていくと思うんです。これについて、これから先どこでどういうことが起きてくるのか、 あるいはその見通しはどうなのかというところは、やはり聞いておかなければいけないの ではないかと思うわけです。実際にはどの箇所で法の改正がなされるのかということにつ いても、我々としてはきちんと確認していくべきではないかなという感じを受けておりま すので、その辺のところをよろしくお願いしたいと思います。 ○潮谷部会長  39ページ・40ページに関わって小板委員が言われたことは、基本的な考え方の中でもあ る程度明確に示されているところでございますが、事務局のほうはただ今のことについて 何かコメントはございますか。 ○蒲原企画課長  今後、これは一つの報告として大事にしながら、一つは法律改正に関わるという形にな ってくると、いろいろな国会の中での議論もあるでしょうし、法律改正ではないところに ついても、ここはいろいろな団体あるいは現場の声あるいは自治体の声を聞きながら具体 化していくということになろうかと思います。どれが法律改正かどうかということはこれ から精査することになると思いますが、例えば児童の関係で幾つか施設についていろいろ な類型を見直すということも入っておりますので、そうした辺りは法律改正に関わる事項 だと思いますけれども、どこが法律改正かどうかということについては、これから少し精 査していきたいと思っております。その過程でまた関係団体とご相談するかと思います。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  ほかにございませんでしょうか。はい、福島委員。 ○福島委員  福島です。報告書に関連して一つ、それから報告書の中身ではないことについて一つ。  まず報告書に関連してですけれども、内容といいますか、報告書の取り扱いについて、 素朴な疑問がありますので、念のためお伺いします。この報告書の中で、大体各項目の最 後は「○○すべきである」「取り組むべきである」「検討すべきである」と割と行動を促 すような表現で終わっていますね。そのこと自体は評価できると思うんですが、もちろん 意見が分かれたところですとか、いろいろありますけれども、ただ少なくとも何がしかの 対応をすべきであるということで項目の最後の部分のセンテンスは終わっていますが、こ れは一体だれがそれをするのかというのが一委員としての疑問なんです。まず基本的な質 問として、この報告書は親審議会の社会保障審議会に出されるのか、それとも舛添大臣に 出されるのかということが一つと、仮に出された上で、これには厚労省以外の所管の問題 も含まれていますし、財源の問題などは厚労省だけではカバーできないであろうことは分 かりますが、逆に言うと、厚労省内部で対応可能な問題も多く含まれていると思いますの で、そういうときに一体どこが、だれが責任を持ってやるのかという素朴な疑問がござい ます。報告書ですから、この部会での議論のまとめで、部会としてはこのように思います ので、あとはどうぞよろしくどなたか、という性質のものなのかもしれませんけれども、 実際問題、これはどこが責任を持って取り組んでいくのか、少なくとも取り組もうとする 努力をするのかという仕組みが分かりませんので、その辺りをご説明いただきたいという ことが一つ。  もう一つは、「はじめに」のところとか最後のほうで権利条約との関連についての記述 がございます。障害者に関わる権利条約の批准に向けて、この国内法との整合性を含めた 国内法の整備が重要だと書いてあるわけです。そのことはもちろん望ましいことだと思っ ていますが、一方で批准を政府として比較的急ごうという動きもあるのではないかと推察 いたしますので、そうなってくると、仮にもし急いで批准しようとした場合に、国内法の 整備、国内法との整合性などの検討がどこまで十分にできるのか。特に厚労省関係、障害 者関係は非常に複雑ですので、その辺りを懸念しておりますので、これは質問というより はお願いになるかもしれませんけれども、権利条約を早く批准しようという動きが仮に政 府内にあった場合に、必要にして十分な調整期間が必要なんだということを、国内法の整 備との整合性との関連で十分その作業をしないと駄目なんだということが厚労省としては どこまでアピールできるのか、できる見通しがあるのか、その辺り、お伺いも含めて申し 上げました。  以上2点です。報告書の位置づけ、報告書がどういう効力を現実に発揮し、だれがどの ように責任を持つのかということと、権利条約との関連でどの程度国内法との整備作業が 十分事前にできるという状況にあるのかということをお伺いしたいと思います。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  事務局、よろしくお願いいたします。 ○蒲原企画課長  まず1点目が、この部会の報告書の位置づけでございます。これは、ほかの社会保障審 議会の部会も一緒なんですけれども、何かこの部会の報告を改めて親委員会にかけるとい うよりも、この部会の報告でもっていわば一つの方向性として意思表示をするという位置 づけになっております。これを踏まえて、先ほど厚生労働大臣の名前が出ましたけれども、 厚生労働省としてこれを受け止めていくということになります。実は、2ページの「はじ めに」のところの4番目の○のところにこのように書いてございます。この報告に基づき まして、施行後見直しに向けて、要するに厚生労働省において、具体的な制度改正につい て検討し、実現を図るべきであると書いているのが1点と、一方でまだまだ引き続き検討 しなければいけない事項につきましては、厚生労働省等において、きちんと鋭意検討を継 続していくべきであると書いてございます。ここに書いてあるとおりで、基本的には厚生 労働省としてこれを受け止めてやっていくということで考えております。ただ、委員ご指 摘のとおり、この報告書の中には厚生労働省の守備範囲に関わることのみならず、例えば 文科省に関わる事項、そのほか国交省に関わる事項が幾つかございます。そうした事項に ついては、厚生労働省のほうで関係省庁に、こういう意見が出ていて、我々としてはこう いう方向でやっていくので、関係省庁も何とか一緒にやってほしいということを言ってい きたいと思いますし、実はこういう案文をつくる過程では事実上いろいろな相談もしてい るところでございます。そういうことで、厚生労働省が中心となりながら、関係省庁とよ く連携しながら、関係団体、自治体も当然ですけれども、これの実現に向けてやっていき たいというのが、第1点目でございます。  2点目の権利条約との関係については、ここに書かれているとおり、これから国内で関 係省庁の中で権利条約との整合性、国内法全般について、これまでも議論していますけれ ども、丁寧にきちんきちんと詰めていく作業がなされます。先ほど委員のほうから、国内 法との整合性で調整期間という話がございましたけれども、霞が関、国の中では、この問 題は外務省が条約の関係、国内法との整合性については内閣府が全体を取りまとめている ところであります。我々各省としては、自分たちのところの法律について、権利条約との 整合性についてはこのように考えるといったことを一応整理した上でそれを内閣府及び外 務省に提出して、そこで全体としては本当にその条約と合っているかどうかをまずは外務 省及び内閣府で整理した上で、今度は条約との関係ではございませんで、法律専門の担当 の機関のところにも相談していって、最終的に権利条約と合っているかどうかということ、 どういう対応が必要かということを審査していくことをになっております。恐らく内閣府 あるいは外務省のほうでも、条約が動いてございますので、できるだけ早くという方向で いろいろな作業をやっていると承知しているところでございます。 ○潮谷部会長  ほかに皆様ございませんか。野沢委員。 ○野沢委員  これだけのスケジュールの中でこれだけの問題点を広範にまとめてくださった事務局の 方、ご苦労さまでした。私はなかなか出席できなくて申しわけなかったんですけれども、 この報告書を見ると、実に隅々までいろいろな問題に目が行き届いているのを感じており ます。  今日が最後になるだろうということなので、せっかくなのでちょっと発言させていただ きたいんですけれども、先日千葉県の東金で大変痛ましい事件が起きまして、5歳の女の 子が殺されて、死体遺棄で逮捕された方が知的障害であったということで、私どもは大変 ショックを受けております。こうした問題というのはともすれば、広田さんに言われる前 にちょっと言っておくと、マスコミの報道にもたくさん問題があって、その特異性が強調 されて、いかにも障害者が危険であるかのような風潮が流れていきがちなんですけれども、 確認しなければいけないのは、障害がこういう問題を起こすのではなくて、いろいろな支 援が足りないためあるいは理解が足りないために、彼を追い詰めていって孤立させていっ て反社会的なものを引き出してしまうということだと思うんです。私たちはそちらのほう に着目して、どうしたらそれを防げるのだろうかといった取組をしなければいけないんじ ゃないかと思っております。  土曜日に東金へ行ってきました。千葉県では、堂本知事がいらっしゃいますけれども、 中核地域生活支援センターという相談支援事業や権利擁護事業を担う県単の事業がありま して、被害者も加害者も、加害者というのは死体遺棄の加害者ですけれども、地元にいる のでなかなか動きづらいんですけれども、広域のいろいろな4〜5カ所ぐらいの中核地域 生活支援センターの職員が心配して入ってきて、深夜にまでいろいろな対策を練っており ます。こういうときに、子供をねらった犯罪というのはたくさん起きていて、そのほとん どが障害のない人がやっているわけで、時々障害のある人がやってしまう。その多くは防 ぐ手だてはないんですけれども、障害のある人に限っては防ぐ手だてがあると思うんです。 それはなぜかといえば、こういう相談支援事業とか、福祉のいろいろなサービスやネット ワークがあるからだと思うんです。こういうときにどういう態度をとるかというのは非常 に重要な問題でして、これもまだ真相は明らかになっていないんですけれども、おとなし い愛嬌のある、まじめに働いていた障害者が、だんだんモチベーションが落ちていって会 社をやめてしまうという背景には貧困があったり、お父様が重病で大変な状況になってい たり、あるいは職場内でのいろいろな人間関係があったりするということが、今の段階で も少しずつ出てきているんです。これにどうやって取り組んでいくのかと考えたときに、 この18ページにもありますように、障害者就業・生活支援センターあるいは就労移行事業 所による就業した障害者のフォローとか、こうしたものがやっぱり重要だと思うんです。 その単体の施設や単体のサービスを充実させていくということはもちろん必要ですけれど も、こうした施設やサービスのすき間を埋めていく人とか機能というものは、なかなか数 値化できないので評価は難しいんですけれども、これが地域での生活を支えるという面で 極めて重要だと思っております。土曜日に行って千葉の中核地域生活支援センターの職員 さんたちのあの取組を見て、私はまたさらにそれを確信しました。  ぜひこれは、この報告書を見ると、本当にあれもこれもよくなりそうな気がするんです けれども、ただ、財源のことを考えると、優先順位というものがあると思うんですけれど も、こうしたなかなか評価しにくいものこそ、この改正においては重視していただけたら と思っております。  あともう一つつけ加えて言わせていただきますと、24ページの学齢期・青年期の支援の ところで、児童デイサービスのことが書かれておりまして、「単なる居場所としてだけで はなく」云々とあって、療育的な事業を実施するものについて書かれておりますけれども、 今各地へ行ってみても、児童デイサービスの子供たちはあふれ返っているんです。契約し 切れなくて、何回かに1回ぐらいしか利用できないみたいなところがたくさんあります。 もちろん、単なる居場所にすぎないところも結構あるんですけれども、居場所にすぎない ように見えても、この児童期の家族のもろさみたいなことを考えるときに、乳幼児期から 児童期までにおける家族というのは非常にもろくて、崩れてしまう、つぶれてしまう家族 を私自身もいっぱい見てきました。私自身も崩れそうになったことがあるかと思うんです。 そういったときに家族支援としての機能、あるいは学校と福祉とのすき間をつなぐ機能、 あるいは虐待みたいなものに対するチェック機能とか、いろいろな機能がここには含まれ ているように思います。その療育的な事業をということだと、どうしても心配してしまう のは職員の資格要件が厳しくされるのではないかということで、基準次第によってたくさ んつぶれてしまうところがあるのか、あるいはよりよいものへ向かってかなりのところが 残るのかが決まっていくと思いますので、その点をぜひ勘案していただいて、ニーズを受 け止められるような新しいものへぜひつくっていっていただけたらと思っています。  以上です。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  ほかにございませんでしょうか。新保委員、お願いいたします。 ○新保委員  感想というか、意見でございますけれども、この会が始まる冒頭で相談支援についてお 伺いしたとき、それは市町村事業だから本審議会で審議する自立支援法による障害福祉サ ービス等とは別の課題ということで審議の課題に入っていなかったという状況がございま した。このことを受け、蒲原企画課長の判断で相談支援が検討事項に入ったわけなんです が、相談支援とケアマネジメントというのは一体のものだと私自身は思っているんです。 先ほどの野沢委員のお話のように、様々な障害を持つ方々がいろいろな困り事あるいは相 談したいこと、人に聞いてもらいたいことがあっても、そこを受け止める機関が充実して いなかったら、誰が利用者ニーズを受けとめるんだろうと思うわけです。そういう意味で は、相談支援がこの障害福祉サービスのいわば窓口であるわけですので、その窓口に対応 する相談支援員がその任を担うということになっておりますけれども、この相談員のいわ ば立場性というのがどうも明らかになっていないというか、よく見えないという気がして 仕方がないんです。それが結局ケアマネジメントに関わるサービス利用計画作成費を利用 した者がわずか1,919人しかいなかったという結果になっているんじゃないかと思っても いるわけです。この自立支援法では、基本的にはサービスの一元化ということで、市町村 がその任を担う。これは、どんな障害を持っていてもその地域の住民の一人であるという 意味において大変重要なことですし、その人が慣れ親しんで暮らしているところでその人 なりに安心して暮らせる体制をつくっていく上でも重要なわけなんですけれども、そのこ との中で生じたいろいろな課題をくみ上げて、そして必要なサービスにつなげていくため には、マネジメントが一体的に流れていかなければいけない。そのためにはだれがその役 割を担うのか。現状では、確かに6ページで、例えばサービス利用計画を作成するに当た ってのいわゆる市町村の支給決定後になっていることを改めてもうちょっとちゃんとして いきましょうと書かれてはいるのですけれども、ケアマネジメントを担う人は誰かとしっ かり入れ込んでいただかないと、日常の不安に対してのマネジメントもどこか置き忘れら れてしまっていくんじゃないかという気がします。  例えば、現況では訓練等給付と介護給付に分かれていて、結果として介護給付でなけれ ばサービス利用計画に該当しないといった枠組みを広げるとはおっしゃっていますが、そ ういった枠組みがあるがために、では訓練等給付についてはケアマネジメントは必要ない のかといったら、そんなことはない。だれでもその人なりに必要なサービスを受けられて、 できる限り早く必要なサービスを受けながら地域移行ができるように支援していかなけれ ばいけないわけですから、そういう意味においても訓練等給付・介護給付についての窓口 がちゃんとしている。それを担うのが相談支援員であるとすれば、その相談支援員にいわ ゆるケアマネジメントでいうところの振り分け業務も含めて、役割をちゃんと任せるのか といったことも検討していかなければいけないんだろうと思います。そうしませんと、こ れまで言われているケアマネジメント従事者の人材育成というのは、どう見ても、地域で の総体としてのケアマネジメントを担うためというよりは、地域移行を促進させるための 各種障害福祉サービスに関わる事業のケアマネジメントを担う上で必要なサービス管理責 任者を主とした役割のように見えてしょうがないという部分があるわけです。そういう意 図はないんでしょうけれども、しかしそのように見えてしまう。とすると、かつて言われ た障害者ケアマネジメント従事者と言われるような人、決してそれを国家資格にするとか しないとかという議論ではなくて、そういったいわば中立的な第三者であって、この人は ケアマネジメントを担える人なんだという人を、相談支援員であってもいいんですが、特 定しながら教育し、資質の向上を図っていく。そして、その方が地域で暮らす障害者や家 族の方々から信頼を受けられるような形にシステム化していく必要があるのではないかと 思っております。  いずれにしましても、相談支援の部分でニーズアセスメントを行って振り分けを行って いくわけですから、そこから市町村への認定審査等に向かっているんだとすれば、相談支 援と障害福祉サービスに係るケアマネジメントは一体のものといえます。したがって市町 村との関わりも含めて、しっかりと国がそうした人材の育成ないしは市町村の意識の高揚 に努めていただければありがたいと思っております。  以上です。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  委員は、とても大きな責任感の中で実は病院のほうからこの会に出席していただいてお りまして、改めて私のほうからも委員の高い志にお礼を申し上げたいと思います。どうぞ 今後ともご自愛くださいますように。  皆様、ほかに。高橋委員。 ○高橋委員  これだけの大部な内容のまとめをしていただいた事務局にまずお礼を申し上げたいと思 います。  私がこれからお願いするのは、この報告書に関することではなくて、むしろ障害保健福 祉部全体というか、部長にお願いすることになるかもしれません。  先ほど竹下委員のほうからも、介護保険との統合の在り方についても残された問題だと いったご指摘がありましたし、前回最後に佐藤委員が情熱を込めて、介護保険というか、 障害者の福祉制度の今後の在り方についてお話しされましたけれども、私もこの問題につ いて、近い将来ぜひ関係部局を束ねた形で議論を進めていただきたいと思います。それは、 障害者福祉を保険で行うか税金で行うかという議論になるかと思いますけれども、この会 で野沢委員のほうから国民の視点といったことが大事であって、それを認識することが大 事だというご指摘もありましたし、いろいろな委員の方から、国民の理解を得ていく努力 が欠かせないのではないかということがございました。そういう国民の意識を高める上か らも、障害者福祉サービスはどういう形で提供されるべきかということを基本的に国民の レベルの議論として行っていく必要があるのではないかと思います。といいますのも、障 害というものは、一般の国民の人が障害者になる可能性は非常に高いということで、いつ どこでなるか分からないわけですから、これは全く生活習慣病と同じような形で、非常に 数の多い、しかもそれは支援があれば社会で地域で暮らしていけるんだということも含め て、障害は自分の問題ではないというふうに国民の皆さんの意識を変えていく、自分の問 題としてとらえていくような方向へ意識を高めていくためにも、障害者への福祉サービス はどういう形で行われるべきかという議論が必要だろうと思います。ですから、そのきっ かけとして、介護福祉との統合の在り方がどうあるべきかという目の前にある問題、この 議論を早い時期に、関連の広い部分で国民の議論も取り込むような形でぜひ行っていただ きたいと思います。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  今日は多くの方から意見をちょうだいしたいと思いますので、星野委員、そして大濱委 員、広田員、安藤委員、お願いいたします。 ○星野委員  多くの方が事務局に感謝をされたので、私は座長に本当に感謝したいと思います。本当 にすごい采配だったなと僕は思っております。そのおかげで、たくさん真剣な意見を聞く ことができました。そしてたくさん学ぶことができたと思っています。そういう意味で本 当に感謝したいと思います。  ただ、残念なことに議論にはやはりならなかったなというところが率直な感想でありま す。今も介護保険の話が出ましたが、実は介護保険の制度の統合論が出たときに真っ先に、 介護になじまない、働く支援をどうするのかという議論も一方で大変大きく出てきました。 先ほど野沢委員からもお話がありましたが、授産施設という施設を設立した時に、最初に テーマとしてまず取り組んだのが、就職を目指そうということから始めました。それなり に一生懸命努力して多くの人の就職につながっていった時期もありましたが、あるとき気 がついたのは、一人一人が、就職して自立した生活をと 抜本的に進めていった結果、その後のフォローが抜けていたことでした。結果的に孤立し てしまった人たちが私の目の前にたくさん出てきて、これは本当に就職だけを目指すとい う話ではなくて、ちゃんと一人一人の余暇も含めて生活をつくっていかないと、本当にい い笑顔につながらないと思った経過があります。結果的に、障害のある方々は一般雇用と いう前提だけでいくのではなくて、たくさんの多様な支援が必要で、そして働き方も暮ら し方も一人一人とても多様なんだということを忘れていたなと思って反省した時期があり ます。本当に一人一人が安心して働いて暮らしていく生活、その実際の生活は多様で、そ こをいろいろな形で支える仕組みを地域の中に用意しなければいけない。  そういう意味でいえば、この報告書は理念的には、考え方としてはとても広くなったし、 私もたくさん学ぶことができました。ただ、今現在、労働基準法もある意味でいえば一般 雇用を前提としたもので、障害のある方々に必要な多様な支えをどうするかという視点を 本当に持った労働基準法だとは思っていません。そういう意味からも、終盤、部会で障害 者の働く支援をどうするんだという議論が大変強くなったことはとてもうれしかったです し、この19ページに「あるべき方向について、今後とも更に検討」という言葉が残ったこ とは、あるいはそれをつけていただいたことは、本当にこれからに大きく期待するところ であります。権利条約のことも含めて、他省庁との関係という意味では、教育分野は文科 省ですから、そこはいろいろこれから調整していくことになるにしても、厚生労働省なわ けですから、この文言にあるように、福祉施策と労働施策を統合して、これを一元化して 考えないと本当にばらばらで、福祉から見た障害者の働き方という話だけではつながって いかないんです。そういう意味で、このあるべき方向についてのさらなる検討ということ についてぜひ強くお願いしたいし、できるだけ早く労働行政と福祉行政を一元化して、障 害のある方々の働く支援あるいは働くことそのものをどう我々が社会として用意していく のか、それを権利条約あるいは介護保険制度の議論の中に加えながら、本当に速やかにこ のあるべき方向についての検討の場を進めていただきたいと思います。  以上です。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  大濱委員、お願いいたします。 ○大濱委員  大濱です。今回の取りまとめにつきましては、本当に座長に感謝するところであります。  今回のこの取りまとめに当たって、私は前回の自立支援法への移行に当たっての審議会 から同じような懸念をずっといだいています。私たちは常に地域で暮らすという視点に立 って様々な発言しているわけで、それで前回も同じように発言したつもりですが、実際問 題として重度障害者の不安はなかなか解消されていません。先ほど小板委員のほうから制 度によって保護者が非常に不安になっているといったお話があったのと同様に、地域に暮 らしている重度の障害者は相変わらず非常に不安を抱いている、これで本当に地域で暮ら せるのかという不安を抱き続けているのが現実です。それで、国庫負担基準の廃止も含め て、様々なことを申し上げたつもりです。  そして、障害程度区分については、本当にこのようなスキームでいいのか、厚生労働省 が提示された改善案によって障害者のニーズがきちんと反映される障害程度区分になるの かという疑念もずっと抱いていました。それで、ある意味ではイギリスの障害福祉サービ スの「受給資格基準に関するガイダンス」のように重度の人からまず配分するべきではな いかとか、そういう意見も参考にしながら私はこの委員会に臨んだわけですが、本当に重 度であってもきちんと地域で暮らせる、地域移行ができるということを皆さんがおっしゃ っているわけです。地域移行の理念が本当に生かされて、このまとめによってきちんと地 域で暮らせるようになるのかどうかが相変わらず私は非常に不安です。先ほどの小板委員 の話とは反対のことも起こっていまして、障害が重度になればなるほど施設に行きなさい といった誘導が非常になされているのが現実です。たとえば、今相談を受けていて、私も 本腰を入れて取り組まないといけないと思っている事例に、熊本に住んでいる27歳の青年 のケースがあります。  彼は、呼吸器をつけていて、お母さんと一緒に暮らしていたんですが、今は長崎の国立 病院に入院して暮らしています。そして、彼も地域で暮らしたいという思いがあったにも かかわらず地域で暮らせない、施設もなかなか受け入れてくれないという状況で、ようや く長崎の病院に入って暮らしいるわけです。本人は、まだ27歳という若さですが、呼吸器 をつけていることもあってか、地域で暮らしたいという希望がありながら暮らせない。こ ういう現実の問題が私たちの目の前にあるということは忘れないでもらいたい。それを解 決するための、本当に地域で暮らせる地域移行のための自立支援法、そう言える状態にな って初めてこの自立支援法が確立するのだと思っていますので、そのあたりを忘れずに、 障害者福祉をきちんと仕上げていっていただきたいというのが、厚労省に対するお願いで す。 以上です。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  広田委員、お願いいたします。 ○広田委員  この間、佐藤さんが、これが最後ですと帰られるときに、広田さんの話が毎回おもしろ かったと言って笑って帰られたのですけれど、いつも私は皆さんに笑われているんです。 確かに本当に座長はとても優秀な方で、美人で、(笑)またお召し物もよくて、女性から 見てもすばらしいと思っております。  しかし、発言したけれど、全然入っていないところもたくさんあります。例えば9ペー ジ目の四角い囲みの中の2つ目の○の最後のところの「受入条件が整えば退院可能な」 「社会的入院」という言葉を厚生労働省はずっとこの間使ってきたのに、ここに来て「長 期入院患者」に変えてしまったということで、前回も「社会的入院」という人がいること を国民に忘れられては困る、国内の拉致なんだという話をしたのですけれど、ここに「長 期入院患者」に変えられてしまっているので、これは「社会的入院」に変えていただきた いと言ったら事務局は嫌なんだろうと思いますが、変えていただきたいと思います。  それから、今、大濱さんも言ったし、先ほど小板さんも言ったけれど、小板さんが、親 が不安だと言うと、それはちょっと違うんじゃないのか、それは事業者から見た不安を親 に転嫁しているんじゃないかというふうにずっとこの間思ってしまう私がいて、実に医療 も福祉もお金なんだなということを思い知らされた会議であるけれど、それはお金がなけ れば生きていけないから仕方がないんでしょうと思うんですけれど、この報告書を竹下委 員がお話しされたように、所得の保障とかいろいろな課題を残しながらこういう形で出す ということは、まさにこの国のいわゆる財政が非常に厳しいという中でこれを出している ということをどこかで書いておいていただきたい。私はよくいろいろな人に聞いたんです。 「国の委員というのは、精神医療サバイバー、精神医療の被害者として出ているわけだか ら、障害者のことだけを考えて発言すればいいのかしら、それともこの国の置かれている 状況、財政のことも含めて発言しなければいけないのかしら」と言ったときに、多くの方 が、「それは国民の中の障害者、国民の一員の障害者だから、やはり国の財政とか地方自 治体の財政を考えながら発言していただきたい」ということを多くの一般の国民から教え ていただきました。ということで、お金が、例えば富士山から石油でも降ってくればそれ こそみんなただにして極楽天国で暮らせるでしょうけれど、ぜひ財政を反映した結果厳し い内容しか盛り込めなかったということをどこかに一文入れておいていただきたい。  この2泊3日も長崎県に行ってまいりましたが、長崎の民主党と社民党が共同で広告を 出していまして、いわゆる自立支援法は廃止だ。自由民主党は抜本的改革ということで、 これはどちらにも当たらないような内容ですので、そう言っている方たちは非常に勇まし いんですけれど、現実はこうなんですね。  ということと、それから私はいわゆるボランティアの話を出したのですけれど、車イス に乗っている方とあるところで講演をしまして、私がボランティアの話をしたら、「広田 さんは体制寄りだ、体制派だ」といった評価というか、批評を受けたんです。ですけれど、 たまたまその方と駅まで一緒だったからずっとご一緒して、最後に駅員さんに、「彼をよ ろしくお願いします」とお送りしたところで、彼が「体制派だ」と言ったときの顔とは違 ってとてもにっこりと、「広田さん、どうもありがとうございました」という形でお礼を 言っていただいたんです。そういう意味の、だれもがまちの中でいろいろなことで困って いるようなときに何かお手伝いしましょうかということを、ここにボランティアという形 で出ていますが、ぜひ教育の中でやっていただきたい。  皆さん、今日で終わりだから非常にきれいなお話をされていますが、私は実は本当は17 日までやっていただきたくて、なぜかというと、東京新聞の12月13日に「家族を隣人を深 い理解で包む」という全国中学生人権作文コンテスト東京都大会という中で、ででいるん です。さっき矢田貝さんに、私の長男みたいに太っているんですが、「資料として出した かった」と言ったら「全文読み上げてください」と言われたんですけれど、読みますと30 分ぐらいかかりますから読めないんですが、この中で、いかに教育が大事かということで す。教育の中で、社会の中にはそのようないろいろなハンディを持った障害者・高齢者や いろいろな人がいるということを学ばせる。  きのうも、地下鉄に乗っていたら、9歳の少年に会いました。「君、幸せ」と聞いたら 「幸せです」と。「何で」と聞いたら、こう言っていました、「アフリカは貧困です。で も、自分は豊かな日本に暮らしていて幸せです」と。これは今、日本の大人はそう感じて いないんです。彼の言い分がすごかったです。小学生です。「ニュースは見ない」「どう して」と聞いたら、「怖いニュースばかりやっているから」と。これはまともな子供だと 思いました。確かにいろいろなニュース性のある事件が多いけれど、とりたててそれを大 騒ぎして、いわゆる報道連鎖というんでしょうか、ちょうど野沢さんが見えていてよかっ たと思いますが、無用な報道を繰り返している。そして不安をあおり立てている。不安神 経症のこの国の中でそういう子供に会えたことが、アフリカが貧困だから幸せじゃないと は私は思わないけれど、お金のない豊かさもあると思いますけれど、そういうことです。 それで、彼にこう聞きました。「障害者って知ってる」「はい、知っています。生まれた ときから、例えば片手がない人です」「そういう人に会ったらどうするの」「優しく思い やりを持って」と、これを9歳の子が言うんです。「君は賢いわね」と言ったら、その子 は「いや、僕より頭のいい子はいっぱいいます」と言うから、「いや、頭のいい子と賢い 子とはちょっと違うのよ」という話をしたら、降りていくときに丁寧に「どうもありがと うございました」ということを何回も何回も私に言ってくれたんです。その子はたまたま 私立の学校に行っていました。だからと言って教育委員会が悪いとは言いませんけれど、 橋下さんと違いますから、それは言いませんけれど、学校教育の中で、家庭で、日ごろか らそういう障害者や高齢者が社会の中にいるということをきちんと認識し教えることがと ても大事だと思います。それにはお金がかからない。お金のかからない啓発をしなければ いけないということで、私も長崎でタクシーに乗って運転手さんに「精神障害者って知っ ていますか」と言ったら、「精神の異常な人」と言っていましたから、「私が精神障害者 なのよ」と言ったら「えっ」と驚いて後ろを振り向いたから、「運転手さんも精神障害者 になる可能性がありますよ」ということで、それも啓発なんです。そういう意味で、何か 人を集めてお話を聞いていただくといった形だけではなくて、幾らでも、ここにいる私を 含めた障害を持つ人、または高齢になって障害者を持っている方、それから将来障害者に なろうとしている人、障害者の近くにいる人は、全て啓発の伝えられる人、伝道師だと思 っております。  そういう中で、さっき野沢委員が孤立というお話をされたんです。私は危機介入の相談 を何十年もやっていますが、自殺も、それから結果的に残念な痛ましい事件になってしま うような事件も孤立から生まれるんです。そうすると、いかに孤立を防ぐかといったとき に、新保委員のところでさっき私は拍手したんですけれども、話の内容に拍手したんじゃ なくて、話の内容はいつもどちらかと言えば対峙していて、何でもかんでもケアマネジメ ントではないだろう、そこにもまた金がかかるよといった考え方なんですけれど、ただお いでになったことに敬意を表して拍手をし、それをまたお話しくださった座長に対しても 拍手をしたまでで、中身じゃないということはくれぐれもよろしくお願いしますというこ となんです。(笑)そういうふうに貧乏人の私はいかにお金がかからないでやっていくか ということを常に考えているということで、前回も申し上げた、近所の商店を使うことに よって、障害者やだれもが高齢者になったときに安心して暮らせるまちであるだろうから、 障害者問題や高齢者問題は、いわゆる地域づくり、まちづくり、都市づくりの中に位置づ けるべきだと。それは障害者権利条約のいわゆる合理的配慮にも入ってくるのではないか と思っております。  それから、10ページ目の3つ目の○の「刑務所に入所していた障害者等」の最後のとこ ろに、「なお、触法障害者の早期社会復帰の観点から、刑事手続の段階からの支援につい ても今後検討が必要と」、こういう意見があったんですけれど、これも私からみると、何 かまたこの新しい仕事を始めようと思っているんだなと思ったんですけれど、これは、近 隣の人だろうと、親戚だろうと、友達だろうと、だれでもこういう形でお手伝いできるわ けですし、その人が事件を起こす前から孤立しないようにすることが大事だということが 1点。  それから、例えば私は精神障害者です。私が今ここで野沢さんを刺したとしますと、私 自身の精神状態が問われたときに、措置入院になる可能性があります。極めて強制的な、 ここは東京都ですから石原さんの命令で私が入院になったとしたら、そのときの入院費は、 国が出す。そして措置がなくなると私の入院費は生活保護で払っていただいて、家賃も6 カ月間払っていただけるんです、生活保護で。これはセーフティーネットでとても大事な ことだと思います。将来財政がどんなに立ち行かなくなっても、生活保護というセーフテ ィーネットはとても大事なんですが、もう一つ、私が刺した。だけれども、広田和子は責 任能力がありそうだ、あれだけしゃべりまくっているからということで、私の希望してい る権利につながるため警視庁に逮捕された。ここは何署かちょっと分かりませんが。そう しますと、私は逮捕された瞬間に家を失います。同じ人が加害者として入院した場合には、 6カ月間、生活保護はきちんと家賃を保障してくれるんだけれど、逮捕された瞬間家を失 うということは、ここに書いてあることとは全く逆なんです。支援ではなくて、手放すぞ と。だから、この犯罪のことについては、手放さない生活保護法にしていただきたいとい うことが1点です。  ここにやたらと新しい仕事として人をつけてくるのは反対ということと、それからどこ かでどなたかが先ほど国家資格のお話を相談員か何かのところでされていましたが、私は 前回も言ったように、精神障害者本人として、私の経験や体験で相談をやっている。国家 資格という言葉はきれいなんですけれど、例えば精神保健福祉士の国家資格化に10年前に 応援したけれど、10年たってみたらサバイバー&コンシューマーとしては、全く何も役に 立っていなかったということで、国家資格というのはいかにあやふやなことかなというこ とは私自身身をもって体験していますので、国家資格を取ったらいきなりその人がすごい 力量があって、許容量がすごく増えて、そして物事が解決していくのではないということ で、ぜひ精神障害者のことのお話をさせていただくとすれば、相談員とかピアサポート、 いろいろなものが出てきますが、そういうときに体験・経験を重視していただきたいとい うことです。  それから、ここには盛り込まれなかったんですが、その犯罪を防ぐためには、家族から 独立するお金が必要だと。例えばアパートに住んだところから始まる生活保護法なんです けれど、そのスタートするところの前家賃と敷金と礼金の4カ月分が事情より引っこす場 合など普通生活保護では出るのを、社会的入院ではそれを自立支援法で見ましょうとここ に書かれているようなんですけれど、世帯分離それは自立支援法の中なのか、または生活 保護なのか、そこのところをきちんとできるようになれば、かなり精神障害者による家族 に対する事件の加害者という形は防げると私は認識しております。  それから、39ページ目の、本当にとてもいろいろな課題の多いこの障害程度区分のとこ ろの1つ目の○印の上から4行目に「各々の障害特性を反映したものに抜本的に」となっ ていて、その後の下に点線が引いてあるところで「市町村における認定に要する手間の簡 素化」と入ったのですが、これは当然、市町村の手間の簡素化ということになれば、この 障害特性を反映しながらもっと程度区分そのものを簡素化してくれということを再三お話 ししていますので、そこのところをきちんとしていただきたいと思います。  そのぐらいですね。本当に皆さんお疲れさまでしたということと、とても勉強になりま したし、小板委員や北岡委員やいろいろな人の意見を聞いていると……。それと、本当に 重度の通所のいわゆる事業者などから、日割りでは困るとか、そういう話をいっぱい聞い てきたのですけれど、なかなかそのような意見を出せる場面がなかったのかもしれないけ れど、そういう意味で言えば、くれぐれも、何度も何度も言うようだけれども、この国の 厳しい財政の中で打ち出した報告であるということを入れておいていただきたい。  それからもう一つは、長崎でも全国から人が集まっていましたから聞いてきましたけれ ど、いろいろなものを建てるときに、住民説明をすると反対運動が起きる。ある意味では 説明するから反対運動が起きるので、例えば糖尿病の人が6人、仲よしが集まってアパー トを借りたり家を建てようとしたときに、糖尿病の家だからという説明は全然しないんで す。なぜ精神科の患者だけが説明するのか。他の障害の方も説明されているのかもしれま せんけれど、そういうことを考えるときに、もう国連の障害者権利条約ができたような時 代ですから、もっと昔からそうなるべきだったと思いますけれど、一々そのような障害者 の社会資源をつくるときに住民の説明は要らないということにしていただきたいと思いま す。住民の騒ぎが起きたときには、それこそ行政が体を張って守り抜く。それで、「なぜ 説明をしないのだ」と言われたら、「なぜ説明するのですか」と、「ただ病気を持ったり、 ただ障害を持っている人が住んだり通ったりするところに、なぜ説明するのですか」と逆 に相手方に聞く。「なぜなんですか」と。私は十何年前からずっと、なぜ説明が必要なの か全然分からないんです。「理解を求めたい」とかとよく言うんですけれど、理解などと いうのはそばに暮らして初めて理解するもので、説明した段階で理解などできないと思う んです。そういう意味では、そういうものも変えていただきたい。  そしてぜひぜひ、さっき申し上げたように、入院はキープされるけれども、その人が逮 捕された瞬間から家がなくなってしまうというところ、これこそがまさにいわゆる刑事手 続のところの支援で、人をかけるとか、そういうことではないでしょうということ。それ から、何度も何度も言って、ここには盛り込まれなかったけれど、要するに患者がお見舞 いに行ったときにきちんと病棟まで入っていれば、入院している患者の人との関係には継 続性がある。みんなが繰り返し繰り返し相談支援、相談支援と言ったけれど、孤立しない で、家の中で、地域で、学校で、職場で、いろいろなところでコミュニケーションがとれ れば、そんなに本当に相談、相談と言わなくても、昔そんなに相談機関がない時代に私た ちは生きてきました。それでも、何とか生きてきましたから、相談、相談と言わなくても いいような、本当にいい国アンケートで多くの外国の世界2位だと人から評価されている この国でそれらしく生きていけるような障害者施策がこの法律によって前進することを願 って、広田和子の話を終えさせていただきます。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  福島課長のほうとこの後やりとりをしていただかなければならないところ、あるいは生 保に関わっては、他法優先という原則もありますので、その辺りのこともありますので、 書き込むということは難しいかもしれませんが、受け止めていただいてもらいたいと思い ます。  ただ、広田委員のご発言の中で、ページ9、「長期入院」を「社会的入院」に書き換え るという点につきましては、これは委員の皆様方、それから事務局側からのご返事をちょ っといただいて、ここで委員の皆様方の納得も必要かと思います。  それから、財政による制約、これがあって志の中では妥協せざるを得ないのだといった 書き込みも必要ではないかということでございますが、そこまで報告書の中に踏み込むか どうかという点についても少し皆様の意見をいただければと思います。  それから、14ページのところに関わって、実は広田委員はボランティアの問題を一生懸 命言っていただきますし、大変妥当なご発言だと思いますので、「地域の中での支え合 い」、ここに「共生社会の理念の普及や地域における支え合い活動の推進等に努めていく べきである」ことで、ボランティア活動のニュアンスも入っているかとは思いますが、こ こにもう1フレーズ踏み込んで書くとという形で、この辺は了承いただきたいと思います。  それでは皆様、先ほど申しました2点について少しご意見を出していただければと思い ます。「長期入院」を「社会的入院」という表現にするのか、あるいは報告書の中に財源 論まで書き込む形にするのか、この点、皆様少し……。事務局、何かその前にありますか。 少し意見をいただいた後でいいですか。皆様方の中で、いかがでしょうか、この点に関し て。堂本委員。 ○堂本委員  私は、どうして「社会入院」が「長期入院」になったのか、ちょっと説明を聞きたいと 思います。イタリアでは、病院を廃止するということを国で決めて、今では国立と公立だ と思いますが、総合病院に15床の精神科に限っているということで、人口は日本の半分ぐ らいの国ですけれども、かつて、その法律ができるまでは大体15万人ぐらいの入院患者が いたのが、今は九千何百人と。有名な改革のお話がありますけれども、それでは残りの14 万人はどういうことだったのですかと、この間イタリアからいらっしゃった方に聞いたら ば、「要するにそれは全部社会的入院でした」と。だから、病院にかかっていたお金をそ のままあの国では、地域でのそれこそサポートセンターとか、まさにそういう施設をつく って、そして皆さんそこで生活しておられる。日本と比べると雲泥の差でございます。私 も本当にこんなに入院が多いということは世界の中でも日本だけだろうと思っているので、 大変に精神の方たちが必要のない入院をしておられる。もっと住むところを、なぜ説明す るのか、しないのかということ以前に、住めるような環境づくりをすれば、私は社会的入 院は、イタリアとまではいかなくても、少なくともそこに向かって日本はいくべきだろう と。だから、なぜそういう言葉を変えられたのか、またやはり社会的入院は減らす努力を 国全体としてやっていかなければいけないのではないかと思っております。  以上です。 ○潮谷部会長  福島課長、お願いします。 ○福島精神・障害保健課長  行政といたしましては、いわゆる「社会的入院」という言葉を使っておりませんで、こ れまでも平成16年につくったビジョンのときも、患者調査のデータである受入状況で、例 えば「退院可能な患者の10年間による解消を目指す」という表現を使ってまいりました。 もちろんいわゆる社会的入院という存在があることは否定いたしませんが、行政の中でそ ういう言葉を使ってこなかったことで、この数について、例えば平成11年の段階で7万 2,000人でしたけれども、平成17年度は7万5,000人に増えておりますけれども、例えばこ の中身が、ではどういう人がどういう状態でどういうサポートをすべきなのかという議論 もまだ十分にできていない段階ですし、この言葉は従来も使っておりませんので、変えた わけではないということをまずご理解いただきたいと思います。ですからここについては 従来から使っている用語を使わせていただきたいということでございます。 ○潮谷部会長  行政側の説明といたしましては、従来から退院可能な長期入院患者という意味合いで使 ってきたということでございますが、皆様、これに関して。はい。 ○広田委員  高齢者でも「社会的入院」という言葉を使い出しているんです。「長期的入院患者」と いうのでは分からないんです、一般の人は。「社会的入院」というのは、私は今これで部 会に3期出させていただいていますけれども、前期の部会でも「社会的入院」が7万 2,000人で出てきました。今日見えていないからあまり言いたくないんですけれど、日精 協さんと大げんかした結果、やっと入っているんです。ここを、これを単なる「長期入院 患者」と出すのか、「社会的入院患者」と出すのかでは、すごくインパクトが変わると思 うんです。ぜひ私は「社会的入院患者」にしてほしいと思います。ぜひここは「社会的入 院」にしていただきたい。 ○潮谷部会長  皆様、これに関して何かございませんか。どうぞ。 ○仲野委員  私も広田さんと同じ意見で、長期入院患者さんというのは、実際にたくさんいらっしゃ って、その背景も違いはあるんですけれども、今、堂本委員が言われたように、いろいろ な受け皿がないとか、非常に複合した、病状がある程度安定しても帰れないという方々は たくさんいらっしゃるんです。国がそういう方々を帰すといった目標を立てて、現場でも それなりに頑張って一生懸命やってきたんですが、実際に数字を見たら余り改善されてい ないということは、やはりみんなの認識として受け止めてというか、きちんとここに目印 がある、ここを目指せといったことが表現されたほうがいいと私も思いました。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  事務局、いかがでしょうか。内部的に少し検討を……。はい。 ○蒲原企画課長  このようにしたいと思います。またいろいろご意見をこれから調べて、座長とも相談し たいと思いますけれども、実はこの審議会の部分と別に、また一方で例の精神の検討会と いうのをずっとやっていまして、それ自体についての報告はここに一応ご説明したという ことはございました。そうした精神の今後の保健医療の全体についての検討会の中で、中 間的にある程度まとめをしているわけですけれども、その中でもこの議論はいろいろあっ て、その中での表現としては、そこの場では精神の関係者は大半の方がおられたわけです けれども、そこの中では、ここでいうこういう趣旨で「受入条件が整えば退院可能な長期 入院患者」という表現で整理されて、中間的なものが一応整理されているという経緯も一 つありまして、ちょっとそこも頭に置きながら、また少し座長とも相談していきたいなと 思っております。問題としておっしゃっているようなこと自体については我々は認識して いるのですけれども、この表現ぶりのところは、そういった報告書の中で作成過程でいろ いろ議論された経緯もひとつちょっと尊重していったらどうなのかと考えております。い かがでしょうか。 ○広田委員  なぜそこにそんなにこだわるのかが分からないんです。「社会的入院」という言葉にこ だわっていることが分からない、厚労省は。私はこだわります、国内の拉致だから。つま り、これは国民に出すわけです。国民の代表である国会に出すときに、「長期入院患者」 という言い方よりも「社会的入院患者」のほうが分かりいいんですよ。国及び地方自治体、 社会全体のために入院させているわけですよ、本人の理由ではなくて。何でそんなにこだ わるのか。 ○潮谷部会長  福島課長。 ○福島精神・障害保健課長  例えば、先ほどの7万2,000人の数の問題もございますけれども、それが実際にどうい う背景を持っている人なのか。実際にその数は6年間で増えているわけですが、中身を見 ると、例えば認知症の人が増えていたり、統合失調症の人が入れ替わっていたり、いろい ろな状況があり、実はその問題で数だけがひとり歩きすることに抵抗があること。それと もう一つは、今全体としては32万人以上の入院患者がおりますけれども、この問題につい ては、今後精神の検討会の中でさらに、それ全体をどのように考えていくのか、もう少し 細かく中身を見ていくという議論をしているわけで、現時点ではそういう表現は使うべき ではないんじゃないかと考えております。 ○潮谷部会長  大濱委員。 ○大濱委員  私も先ほど27歳の呼吸器をつけた青年の話をしましたが、彼などは明らかに社会的入院 以外の何者でもありません。きちんとした受け皿があれば、入院などしなくて済んでいる はずです。それなのにこのような社会的入院が現実問題として存在するのは、それをきち んと解決する手法が自立支援法の中で確立されていないからです。受け皿がない、条件が ない、整っていないということは、これは社会的な理由で入院を余儀なくされているわけ ですから、そういう区分けが必要だと思います。要するに、社会的入院とはがん患者の長 期入院のような医療上の理由による明らかに医療的な一般的入院と、本来だったら入院の 必要がない人たちの入院とを明確に区分けするということです。 ○潮谷部会長  はい。 ○竹下委員  1点質問があります。先ほどから、福島課長あるいは蒲原課長の答弁をお聞きしていて、 全く広田さんの言っていることの答えになっていないと思うんです。結論から言えば、 「社会的入院」という言葉を使わないという理由を全く説明しておられないわけですし、 それを使うことに不都合があるという説明は一つもなかったと思うんです。ですから、 「長期入院」と「社会的入院」とは意味が違うということは共通認識のはずですから、最 低でも例えば「退院可能な長期入院(社会的入院)」という形なり、そこに必ず入れてい ただくことを私からも希望します。  以上です。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  いかがでございますでしょうか。例えば、今の竹下委員のお話ですと、「退院可能な長 期入院(社会的入院)」という、そのフレーズを入れることでよろしいのではないという ことでございますけれども、専門的な立場の中で、もう少しこれは、今までの流れと、そ れから今の意見等々を踏まえて、少し検討していただくという形でお願いしたいと思いま すが。 ○蒲原企画課長  すみません。そこは少し皆さんの意見を踏まえて、あといろいろな座長あるいは副座長 ともよく相談して、ちょっとどういう工夫ができるかということを考えたいと思いますの で、改めてもう一回ちょっとご相談をしていきたいと思います。 ○潮谷部会長  ありがとうございます。  それと、皆様からぜひご意見をちょうだいしたいのは、この報告書の中に、先ほど広田 さんからございました、財源的なことまで踏み込んだ報告書にするかどうか、この点につ いて。伊藤委員。 ○伊藤委員  現実の問題として非常に重要なご指摘ではありますが、今までの長い議論の中で、財政 難ありきというところでの議論をしてきたと認識をしてはおりません。。あくまでもより よい見直しということでお話をさせていただきました。したがいまして、十分な財源の確 保に向けた取り組みを進めていただくことが大前提として必要でありますが、特に報告書 には、財政的な問題について書く必要はないのではないかと思います。  以上でございます。 ○潮谷部会長  福島委員。 ○福島委員  私も基本的には同じです。広田さんがおっしゃった気持ちは分かりますし、また高橋委 員がおっしゃったような介護保険の問題についてきちんと議論できていないんじゃないか とか、今日お休みの佐藤先生なども当初からおっしゃっていましたし、しかしながら、第 一にこの部会のミッション・使命として、財源問題の在り方について議論するというミッ ションは与えられていないということ。そうではなく、私たちは、障害者福祉関連で、こ れこれの理由によりこれこれの問題があるので、例えば報酬単価の増額とか利用者負担の 軽減などには当然財源が必要になるわけですけれども、したがって財源の確保が重要であ るというところまでは言えると思いますが、その先のことは、いかなる財源の確保が必要 かというところを我々がこの部会で検討すべきであるというミッション・使命を与えられ ていないので、それを報告書に盛り込むのは、いわば越権行為というか、守備範囲を越え てしまうだろうと思います。そもそもそういう課題を与えられて議論していないわけなの で。しかしながら、竹下委員も言われたように、今後そういった議論をする場が保障され ていくこと、もちろん決定権は政治に与えられているわけですけれども、当事者・関係者 として意見を述べるような場が与えられることは非常に重要だろうと思います。さらに私 も個人的には非常に財源の問題には関心がありますし、そもそも財源がなければ何も始ま らないという閉塞感もあるわけです。けれども、なおかつこの部会のそもそもの存立基盤 とかミッションという点からいうと、財源確保が必要だというのがぎりぎりの線で、その 先具体的に何をもって財源にすべきだというのは恐らく守備範囲を越えるものだろうなと 思わざるを得ないです。  以上です。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  この件に関してでございましょうか。君塚委員。 ○君塚委員  我が国の福祉は一般的に中福祉・中負担というスタンスだと思うんですけれども、前に 話をしたんですけれども、特別会計の黒字200兆円が霞が関埋蔵金と言われてあるわけで す。その辺にはマスコミは余り触れない。広田委員も、一般財源のところでの赤字、赤字 というところに振り回されているのではないかと。その200兆円の使い道を、有効に福祉 ・医療にも回してほしいという話を出す。あるいは、以前から我が国の消費税を上げろと いうECの勧告があったんです。イギリスが今回金融危機で17.5%を15%に下げましたけ れども、そういう全体的に考えるととても奥が深いので、ここは載せるべきではないと考 えます。 ○潮谷部会長  広田委員。 ○広田委員  ここで財源を考えるという話ではなくて、私自身が、埋蔵金がどこにあるかは知りませ ん、私は一般国民ですから、マスコミの報道でしかニュースを知らない。そういうものを 受けて、厳しい財源の中での意見を言ってきましたから、ほかの方もそうじゃなかったの かなと思ってお話ししただけで、みなさんが「そうじゃない。私たちはちゃんと志を高く、 座長が言ったように話をしたんだ。それでこれができたんだ」と言うなら、それはそれで もう結構なんです。私はたまたま厳しい財政を反映した意見にとどめましたから、そうい うことですから。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  ほかに皆様方の中でございませんでしょうか。(傍聴席から何事か呼ぶ者あり)すみま せん、委員の方でございましたら、お願いしたいのですが。 ○君塚委員  一つは、与党PTの抜本的な見直し、いろいろな項目がありますけれども、この報告書 がそれにこたえられていて、評価に値するかどうかというのは、とても気になります。こ の部会で抜本的改革の示唆を与えているかどうかというのが一つ気になって、本部会の評 価が低くなる懸念を感じております。  2つ目には、他との連携という中で、例えば、経営実態調査のときに、財務省案内のと きに、障害児入所施設というときに、重症心身障害者施設とか肢体不自由施設はあの中に 1施設しか入っていません。そういう中で財務省との交渉をするというときに妥当性を欠 いておりますし、それから雇用均等・児童家庭局と児童部会では、肢体不自由施設の社会 的入所が8割となっている。実態は2割ですので、その辺も連携されていないなというこ とを感じます。財務省とのデータの件あるいは厚労省の部局の中での連携というのが気に なりました。  それから3番目に、介護保険については今回討議はしないという話であったので意見を 言わなかったんですけれども、障害者に保険でということになると、国際的に国の品格が 問われると思います。そういう意味で反対でございます。  それから、意見が分かれたという中で、相談支援事業の在り方の中で、相談支援は門だ と思います。その門のところでいろいろ、こちらへ行きなさいとアドバイスを受けたとき に、社会資源に到達するときに、この部会なり以前からの審議会などで社会資源の不足と いうのが前提にありましたので、本当に門を整える前に中の家屋を整えるべきであるとい ったことを、前にも言いましたけれども、繰り返させていただきます。  それから、児童の権利条約は、我が国は150番目ぐらいに批准で、本当に国際的に遅く て話題になったぐらいでございますので、今回の権利条約の何番目ぐらいに批准するかと いうのも気になるところでございます。  最後に、堂本委員からみんなで頑張ろうという話があったんですけれども、事務局にど のように頑張ればいいかという方法についてアドバイスがあればお尋ねしたいと思います。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  事務局、何かございますか。 ○蒲原企画課長  これは、9カ月にわたる皆さんの意見がこういう形に反映されたと認識しております。 これは、一つはこの内容を広くいろいろな人にきちんと伝えていくということが大事だと 思います。我々もこうした内容について審議会がこうだということでいろいろな形で広報 していきたいと思うんですけれども、例えば君塚委員も一つの団体の会長であられますし、 そういういろいろな立場で委員の先生方が発信する機会があるんだと思います。その際に、 この報告というのがこういう経緯でもってこういうことが方向として出されている、さら に議論すべきこととしてこういうものが検討課題であるといったことを、いろいろなとこ ろで提示していくということが一つ大事なことではないかと思います。我々としては、そ うした中で国民的にいろいろな議論が盛り上がってくる中で、障害の問題は非常に大事で あるということが盛り上がってくる中で、我々は制度を詰めていって、そうした盛り上が りがあれば、例えばこれからいろいろな形で財務省なりとやるときにも、これは非常に大 事なものだという国民の声があれば、いろいろな形で財源の確保もしやすいと思っており ますので、それぞれいろいろな立場でこれから、これが今日うまくまとまるとすれば、そ ういう形で発信していくということが一つ大事なことだと思います。もう一つは、具体的 にこれから現実化する過程でも、また皆さん方とよく相談していきたいなと思っています。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  ほかにございませんか。小澤委員。 ○小澤委員  遅れて来たものですから、ひょっとしたら何か議論されていたかなと思って、最後の機 会ですので、2点ほど。別にこれは私の意見というんでしょうか、留意点でお願いなんで すけれども、19ページのその他事項で「福祉施策における就労支援」という表記があるん ですけれども、これは多分何回か前の「福祉就労」という用語をどう見るかというのと関 係するかと思うんですが、一つお願いは、冒頭から最後に至るまで障害者権利条約との問 題が随分巻頭にも書かれているし、その他でも書かれているんですが、私、実は一番深刻 で大きな課題が19ページのその他の1つ目の○だと思っているんです。これは、この表記 を入れるかどうかは私は分かりませんが、障害者権利条約の動向を踏まえてという問題が 相当この検討に影響を与えるだろうと予想されますので、それがこの1点目のちょっと申 し上げたいことです。  それからもう1点は、32ページの利用者負担のところに、32ページの上から3番目の○ なんですけれども、私はこれはちょっと表記が変だなという気がするんです。負担の上限 の問題ではなくて、利用者負担を求めるべきかどうかという質的な問題というのは、当然 量的な問題と質的な問題という対比関係で通常思いますので、これは相当、実は質ではな くて、根本的な考え方の相違というんでしょうか、根本的な考え方に対する課題があって、 つまり利用者負担というのは本来どう考えるべきか。つまり、障害ということで派生して くる日常生活の必要に関わる事項に関する負担とはどうあるべきかという意見と、それか ら、別の言い方をすると、サービスに対して一定のサービス利用を負担していくと、これ はかなり根本が違っているという気がするので、これはどうも質というよりも根本的な問 題がここに潜んでいる。この2点が全体を読ませていただいてちょっと気になった点です。  以上です。 ○潮谷部会長  ありがとうございます。  安藤委員、ございますか。はい。 ○安藤委員  安藤です。この見直しの審議の一つの基本的な目的は、自立支援法を障害者が信頼でき る法律にすることです。3年間の施行がある中で、自立支援法に対する障害者の信頼は余 り大きなものではなかったんです。  それを、信頼を取り戻す法律にしようということです。したがって、この報告書の中身 は、基本的には厚生労働省が責任を持つんですけれども、この部会の皆さんたちにも一定 の責任があるのではないかと思うんです。 残された課題もたくさんあるんですけれども、この報告書の内容を現実的に見直しにどう 反映させていくかが非常に大切なんです。  ただ、この見直しに反映させる点は、障害者の部会の論議とは別に、厚生労働省の検討 事項になるわけですけれども、その見直しの検討の過程や結論をこの部会の皆さんたちに 説明するとか、今の財政的な状態や他の制度との整合性の中で、この報告書の内容が支援 法の見直しに入れられない部分も多いと思いますが、絶対に入れなくてはならないという ような重点事項などが事務局で整理がされと思うんですけれども、そのようなことを含め たこれからのスケジュールとか見直しの過程や結果を障害部会の皆さんにきちんと説明す るお考えがあるかどうか、お伺いしたいんです。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  この新しく生まれるであろう自立支援法に対して、障害者あるいは国民も含めてと思い ますが、信頼性のあるものとしてという、大変意義深いお言葉があったかと思います。さ らに、この報告書というのは、私たち委員一人一人もともに責任を担いつつ作成し、報告 書に盛られているという、この自覚が必要ということでございます。さらに、その報告書 を受け止めて、今後厚労省事務局においてどのような形の中で委員の皆様に対して、ここ はこのように制度設計いたしました、しかしここはできませんでしたといったプロセスを 重視した形でのご説明がいただけるかどうかというご質問でございますけれども、事務局、 いかがでございますでしょうか。 ○蒲原企画課長  この報告書が仮に本日何らかの形で整理できるようなことになるとすると、これからは、 一つは来年度の報酬改定に向けての予算の中でどのようにやっていくかということがあろ うかと思います。もう一つは、これを受けて制度改正に向けてどうやっていくか。制度改 正については恐らく、先ほど話がございましたけれども、法律改正に係る部分とそうでは ない部分があり得ると思いますけれども、法律改正について言えば、来年の通常国会に提 出するということになると思いますので、それに向けて具体的な作業をやっていくという ことになると思います。法律が国会に出された後どうなるかはなかなか今の段階では申し 上げにくいですけれども、最終的にこれを施行する過程で、いろいろな形の現場のところ で運用の問題も含めよく相談していくことだと思っています。その過程におきまして、本 委員会に参加されている委員の方々あるいは関係団体のところには、恐らく一定の節目で いろいろな形での情報提供ということ、あるいは先ほど来申しましたとおり、各団体とそ れぞれまた今後の制度改正に向けてのいろいろな情報交換あるいは意見交換というのもや っていかないと現場に即したものはできないと思っていますので、今後、先ほど言った予 算あるいは予算を受けてのいろいろな手続、法律改正の提出まで、そうした過程で委員の 先生方を初め、いろいろな関係団体あるいは自治体の方々とよく意見交換ということをや っていきたいと思っております。 ○潮谷部会長  安藤委員、よろしゅうございますでしょうか。はい。  それでは、副島委員、お願いいたします。 ○副島委員  今いろいろな意見が出たんですけれども、我々知識障害の団体として考えるのには、 「当事者中心に考えるべき」ということを3ページの「見直しに当たっての視点」の一番 最初に挙げていただきました。まさに障害者福祉がだれのためにあるのかということを明 示されたものだと思っています。これこそが福祉事業のあるべき姿ではないかと思うんで す。特に、これまでは本当に必要なサービスがなかなか手元に届かなかったということも あったり、それから事業者と利用者の対等な関係というかな、すごく親密な関係もなかな か築けなかったところもあって、そういう点では見直しの視点のところでそれをうたって いただいたことは私もすごく納得しております。  しかし、今回の報告書の内容を見てみますと、まだまだ不十分なところがあります。特 に地域生活移行ということを進めていくときに一番大事な所得保障などの問題も残ったま まだし、それから所得保障がないのに利用者負担がまだあるということに対する問題、こ こも不十分だと思います。要は地域で安心して暮らしていける制度と支援をどうつくって いくかというところに結びつくと思うし、その取組の中で、広田委員も言われていました ように、社会の中で支えていくという、福祉事業とか関係者とかだけが支えるのではなく して、社会の中でともに支え合って生活していくというところにつなげていかなかったら、 この取組も結局先へ進んでいかないのではないかと思います。そのためにはどうしても、 今回のこの報告書を我々だけではなくして国民にいかに理解してもらうか。要は、国民の 理解が得られなかったら、この取組自身も税金を使うところへはなかなか進んでいかない と思うのです。ぜひそういうところの取組をさらに強化してもらうことと、先ほども報告 がありましたように、その具体的な内容がどう進んでいっているのかということの報告を ぜひ受けたいと思います。もう一つ心配なのが、与党PTで報告書を出された、以前の取 組と今回の報告書の整合性の問題とか、ちゃんとそれに沿って取り組まれているのかとい うところです。何か最終的なところでそれらのつじつまが合わなくなるとか、また、ずれ が発生することがないかということに対してすごく懸念を持っています。ぜひそういうと ころでは、この報告書でまとめた内容をしっかりと先へ進めていくために皆さん方の同意 をしっかり持っていただいて、委員1人1人も責任を持って進めていくべきであると思っ ておりますので、よろしくお願いしたいと思います。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  山岡委員、福島委員、お願いいたします。 ○山岡委員  山岡でございます。前回はまだ発達障害ということで検討に加えていただいていなかっ たのですけれども、今回の障害者部会では、発達障害ということで今回の検討に加えてい ただきまして、本当にありがとうございました。日本発達障害ネットワークという団体を 代表して出ておりまして、これは、例えば日本自閉症協会とか全国LD親の会とか、当事 者団体であったり、それから日本LD学会とか日本自閉症スペクトラム学会という学会も 入っております。それからもう一つ、日本臨床心理士会とか日本作業療法士協会とか、そ ういった職能団体も入ったJDDNETという団体でございまして、例えば今回の精神の ほうの委員を見ますと、当事者団体もあり、施設もあり、それから当事者の方もあり、お 医者さんもありと、たんさくあるわけです。私の場合はいろいろな立場のものを一身に受 けて言わなければいけないような立場でございまして、今回は不慣れなこともありまして 発言がなかなかうまくいかなかったりということもございましたけれども、今回の検討に 発達障害を加えていただき、またたくさんの委員の方からも温かいお言葉をいただいて、 前向きな内容にまとめていただきましたことをまずもって感謝申し上げたいと思います。  私は、今回実は障害児支援の見直しに関する検討会が11回ございました。それから、こ の障害者部会が19回です。そのほかに発達障害の関係の施策検討会を2回やりまして、こ の3月以降今日まで32回の委員会がございまして、一部、君塚委員とか副島委員とか宮崎 先生とかはほとんどご一緒させていただいたんですが、残念ながら1回だけ休ませていた だきましたが、ほぼ皆勤賞でまいりましたことは、お礼申し上げます。  今回、本当に皆さんおっしゃっていましたけれども、潮谷先生という非常にすばらしい 部会長で、委員の方が難しいことをおっしゃって私がよく分からないことも、最後に潮谷 部会長がまとめていただいて、なるほどと思いながら意味をとったりもしておりました。 それから、事務局は本当に対照的な体形のお二人の方が事務局で頑張っておられたと思う んですけれども、本当にすばらしいお仕事ぶりで、今までのイメージと違って、感嘆しな がら、本当にありがたいなと思っておりました。私ども当事者団体のほうはいつも、例え ば自分でまとめるときも言いたいことを言っていればいいというところがちょっとあるわ けでありますけれども、恐らく事務局の方というのは、法律であり、予算であり、事業化 であり、省内の調整であり、場合によっては関係省庁との調整でありということで、文書 に一文字織り込むことが大変なことだったということを思いますと、ここまでよくおまと めいただいたなと思っております。  私は、理想的に言うと、日本のどこに住んでいても、障害や困難のある方お一人お一人 が自信を持って生き生きと暮らせるような世の中になってほしいと願っておりますし、そ のためには、お一人お一人のニーズをきちんととらえて、長期的な展望で支援していくと いうのが、国であり、地方公共団体であり、国民一人一人の責務だと思っています。そう いう一つの理想像からして、今回の報告書がどういうところにあるかといいますと、今ま での中からいくと、一歩、間違いなく前進したものだと受け止めておりまして、そういう 意味で、私もこの委員に参加させていただいたことを名誉に思っておりますし、私自身、 その実現に向けて取り組んでいきたいと考えております。本当に今回はこういった重要な 会議に委員の一人として参加させていただいたことをありがたく思いますし、これからも 頑張っていきたいと思っております。どうもありがとうございました。 ○潮谷部会長  どうもありがとうございました。  福島委員、お願いいたします。 ○福島委員  少し前に小澤委員が発言なさったことについて、利用者負担のところ、その必要な部分 は利用料を取らないという意見に関して、これは質的な問題だと言っているのは、これは 私の発言なので、ちょっとだけ補足説明させていただきます。この質的と言っているのは、 例えばサービスの質といった意味での質的と言っているのではなくて、その後に負担がそ れほど重くないから、軽減措置があるから、それほど問題は事実上起きていないですよね という議論になってきているので、そうではなくて、小澤委員がおっしゃったように、本 来的に根本的に利用料を取るべきものと取らないべきものがあるのではないかという意味 合いを込めて、本質的な問題だということで言っています。ただ、量的な問題と、コント ラストをはっきりさせるために質的と言っているということです。ちなみに、このように 非常に相反する意見が盛り込まれているということは、それが現実の反映であって、この 報告書の中には必ずしも一致しないものあるいはほぼ対立するような意見も含まれている ということは評価すべきことだと思っていますが、しかしながらそれだけに合意形成には 至っていないという限界の一つの証明だろうと思いますので、それだけ障害者施策をめぐ る問題が複雑であって、意見の対立も含んでいるというのが現実だろうと思います。  以上です。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  ほかに皆様、ございませんでしょうか。川崎委員。 ○川崎委員  実は、家族・家族会の立場でお願い事がございます。今回の報告書の中で、確かに家族 に対する支援とか、障害児の問題の中でも「家族支援」という言葉が出てきておりまして、 これは、先ほど副島委員が言われましたように、本来ならば家族でなく社会が受け皿にな るべきではないかと思っておりますが、現状では障害者の支援者の位置として家族がいる んだなという認識をいたしております。それに関しましてですが、この中で具体的にこの 家族に対する支援を推進するということなんですが、自立支援法の中でこの家族支援をど のように具体化するかというのがちょっと疑問に思っておりまして、実はこれは別枠で、 障害者や障害児だけに対する家族支援でなく、今高齢者を支えている家族に対しても支援 が必要ではないかと思っておりまして、そういう意味での福祉の立場での家族支援策とい うことが必要ではないかということを一つ意見として申し上げたいと思っております。  以上でございます。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  北岡委員。 ○北岡委員  先ほどの社会的入院といったことはこれから事務局と座長・副座長の間で調整されると いうことで、ぜひお願いしたいんですが、その際に一つ、全体の報告書を見たときに、で は施設に入所している人には社会的入所はないのかという問題が他方出てくるんじゃない かと思います。同じように、基盤が整っていれば地域で暮らし働くことが可能な障害者の 方が、施設の中で暮らすという現実があるということも事実ではないかと思います。僕は 全てがと言っているのではなくて、中にはそういう方がいらっしゃるのではないかと。先 日ある県に行きまして、70歳を越えてケアホームでの暮らしが始まったというある女性の 方と出会いました。71歳だったかな。今3年目で74歳とおっしゃっていました。その方に ついていろいろ関係者の方に伺ったら、その利用者の方が何とおっしゃったかというと、 「お母さんとお父さんが亡くなったから私はケアホームに出られた」というお話がありま して、非常に複雑な思いをしましたし、何となく腑に落ちるところもなかったと言えばう そになるということがありました。精神に障害をお持ちの方も、知的に障害をお持ちの方 も、基盤が整っていないということで入所・入院を強いられているとしたら、それはまさ に社会的な背景があるんだろうということでありますので、これからいろいろな場面でお 金がかかることになってくるときに、制度の優先順位として、そういう相談支援事業を初 め、地域で暮らすための基盤整備を進めていただいて、それを阻害している要因というか、 そういうことが実現できない要因を何とか取り除いていただいて、そういう社会的という 意味合いが小さくなっていくような努力をしていただきたい。ですから、文言を整理して いただく際に、精神のほうは社会的入院となった場合に、では知的障害の方やその他の障 害の方については社会的ではないのかということが他方で問われますので、全体の報告書 の中でその辺もぜひ整合性がとれるようなご検討を事務局と座長・副座長のほうでお願い したいと思います。  以上です。 ○潮谷部会長  広田委員。 ○広田委員  川崎委員の意見を受けて、今の北岡委員のお話もそうなんですけれど、親亡き後ではな くて、この親をどうしたらいいのかと、親のことで本当に苦しんでいる仲間がたくさんい ます。親が高齢化になって、ほかの兄弟がみられないので精神障害者と暮らしているんだ けれど、実際そういう親に認識がなくて苦しんでいる仲間がいっぱいいるということと、 それからレスパイトケア、家族のための緊急の一時休息所というのをずっと発言してきま したけれど、今朝も早く事務局に来ていただいて説明を受けていますが、「それは精神の ほうでしょう、障害者自立支援法だから、いわゆる家族のサービスではないのですよ」と いう説明を受けていますから、精神のほうで言おうと思いますが、私もさんざん本人とし てピアサポートが大事だと言ってきました。ぜひぜひ家族も、運動とか運営も大事かもし れませんけれど、ぜひぜひ原点に返って、家族同士のピアサポートを本当にやっていただ きたい。家族でなければ分からない苦しみ、悲しみ、切なさ、やるせなさ、たくさんある と思います。ですから、ぜひそこをお願いしたいということと、レスパイトケアは、来年、 年が明けて精神のほうに突入していくということで、福島課長、それでよろしいんですね。 ○潮谷部会長  ありがとうございます。  生川委員。 ○生川委員  この議論の中で先のほうに出ていましたけれども、ケアマネジメントに関しましてです けれども、結局ケアマネジメントが大事だ、大事だと言っていましても、だれが責任を持 つんだということも出ていますね。そこのところが不明確で、結局市町村とか、そういう ところでケアマネジメントが大事だ、大事だと。では市町村のだれがその人をケアマネジ するのかといったことをきちんと決めておかないと、あるいは決めるような仕組みがない と、だれに相談に行っていいかも分からないし、それが大事なのは皆さん分かっている。 ところが、そういう自分は一体だれに相談に行ったらいいのか分からない。例えば今回の 千葉の件ですか、あの方のことをちょっと聞いてみますと、結局孤立といったことを何人 かの委員の方が言われていますけれども、孤立、孤立と言われていますけれども、その孤 立された状態の中で、自分の場合だったら、自分のケアマネジャーなり、あるいはケース マネジャーというんですか、そういう担当の方はこの方だから、この方のところへ相談に 行けばいいといったものがはっきりしていれば、こういう事件もひょっとして防げたので はないかと思われるんです。現実問題のところ、例えば我々の周りで見ていましても、就 労支援だとか何だとかといいましても、高等部を卒業して、絶えず高等部時代の担任の先 生が相談に乗ってくれるとなりますと、これは単に就労だけではなくて、就労以外の、例 えば日常生活の送り方とか、サービス利用の仕方とか、そういうことも絶えず相談できる わけです。たまたまそういう人が得られている人はいいんですけれども、今回の千葉の方 の場合のように、そういう相談できる方が、今の特別支援学校ですか、養護学校を卒業さ れてから3年以上経過していて、そういう相談できる方がなかったんじゃないかと思うん です。だから、そういうケアマネジメントも大事ですけれども、市町村の中でケアマネジ メントあるいはケアマネジャーに当たる人を指定するというか指名するといった仕組みま で踏み込まないと、なかなかケアマネジメントというのはうまくいかないのではないかと 思われるんです。これもあくまでも意見というか、希望なんですけれども。  以上です。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  嵐谷委員。 ○嵐谷委員  まずこの委員会がどういう形で発足したのかということから申し上げれば、障害者がい わゆる自己決定・自己選択できるという自立支援法の、欠陥と言えばちょっと失礼かもし れないけれども、制度上に余りよくないということがあって今この委員会があったんだろ うと私は判断しております。それについて、部分的に確たる審議はできなかったなと思っ ておりますが、全体的には、皆さんご意見のとおりで、いい方向へ行っているということ で、私も幾ばくかはそのように感じておりますが、それにしてもその中で程度区分あるい は利用者負担、その辺りがもう少し中身を審議できたらよかったかなと思っております。 もちろん金額的な面は後で多分出されるだろうと思いますが、できればその辺りまできち んと諮っていただいて、すればよかったかなといった意見を持っております。もちろん、 新体系に移れなかったという現状が今ある中において、今後どうするのか、この辺りも平 成24年4月以降延長されるものかどうかという辺りもまだはっきりと出されていない。そ ういう点も今後においてはっきりとした姿勢を出していただきたい。そのように思います。  以上です。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  それぞれ皆様方から報告書に対してのご意見をちょうだいいたしたところでございます。 文字的な修正、それから内容的な修正、そういったものも今日の会議の中で出ております ので、その点に関しましては、事務局、そして私、そして副部会長とご一緒に検討させて いただきたいと思います。検討した結果の内容については、それぞれ皆様方にまた改めて ご報告はいたしますが、一任させていただくという取り扱いでよろしゅうございますでし ょうか。  はい。ありがとうございます。  本当に長い間ありがとうございました。今日の会議はこれで全て終了いたしました。  私のほうから一言皆様にご挨拶をさせていただきたいと思います。  9カ月、そして19回の論議でございました。これは、冒頭のところで、この自立支援法 に向けては、事務局と私ども委員の共同作業、そしてその中核に障害を持つ人たちをきち んと位置づけていく、そういう姿勢の中で論議を積み重ねていきたいという願いで今日ま で歩んできたところでございました。事務局には短い時間の中で本当に多くの労をとって いただきましたことに感謝を申し上げたい。そして、会を開く前の段階で私と事務局との 間で様々なやりとりをさせていただきましたが、そのことにつきましても柔軟で非常に耳 を傾けていただくという姿勢の中で会議の資料が作成されてまいったことを皆様方にご報 告させていただきたいと思います。このことは大変感謝でございました。さらに、皆様方 お一人お一人が忌憚のないご意見を出していただいたことが今日まであったということに も私はお礼を申し上げたいと思います。未熟な私ですが、委員の皆様、事務局、そして部 会長を支えてくださる高橋委員、本当にお礼を申し上げます。  ところで、1948年12月、世界人権宣言が行われて、ことしで60年という節目のときを私 たちは迎えています。その世界人権宣言の第1条の中に「人間は理性と良心とを授けられ ている」という高らかな文言がございます。障害があろうとなかろうと、社会に私たちが 人間として存在していくという視点を、この会議を通しながら皆さんと共有してまいりた いと願うところです。さらに、2006年12月13日、障害者権利条約が始まりました。まだ日 本においては、署名が2007年9月に終わっただけで、批准はされておりません。この障害 者権利条約の中では、「全ての人権を追求している我々にとって歴史的な瞬間」というこ とをパン・ギムン国連事務総長は言葉にされていらっしゃいます。考えてまいりますと、 21世紀、初めて人権という条約に向かってこの障害者の権利条約がスタートしたというこ とを考えると、とても意味合いが深いと思います。そんなときに私たちは、12月、人権を 意識するこの人権の歳月、そしてこの12月という人権の月、ここでこのような障害者自立 支援法をまとめることができたということも、何かとても印象深いものがあるということ を私自身は感じております。  しかし、その一方の中で、この報告書がどのように実現していくのか。権利条約の中で、 さらに障害者権利条約、ここの中でうたわれているのと同じような理念に向かって、この 報告書が制度的に設計され、多くの方々の支持の中でこれが動いていくということは、私 たち委員の切なる願いでございます。事務局、そしてマスコミの皆様方の大きなバックア ップの中で、障害者自立支援法が21世紀にふさわしいスタートラインを切ることができる ように、今後ともお力添えをいただきたいと心から願うところでありますし、委員の皆様 方もこの報告書をともに担う責任があるという観点の中で、今後とも歩み続けていりたい と思います。  本当に皆様、お支えくださいましてありがとうございました。(拍手)  最後に、木倉部長のほうからもお願いいたします。 ○木倉障害保健福祉部長  座長、大変ありがとうございました。私のほうからも一言御礼を申し上げたいと思いま す。  4月以来、長いけれども、大変な時間を費やしていただきまして、厳しいご議論、ご指 摘をいただいたと思っております。この報告書を踏まえまして、私どもは全力で自立支援 法の充実、それから法律以外の事項でも、報酬を初めとする様々な諸般の仕組みの充実と いうことに取り組んでまいりたいと思っております。その際には、今日もたくさんご指摘 をいただきましたけれども、まずは当事者の皆様ということを中心に据え、当事者の皆様 のご意見、事業者の皆様のご意見、それから自治体で取り組んでいただいている皆様のご 意見、こういう様々、障害者を支えるために力を尽くしていただいている皆様のご意見を 踏まえながら、そして最終的には国民の皆様のご理解をきちんといただく形の中で、しっ かりと歩みを進めていかなければいけないと認識した次第でございます。その結果として、 まだまだ我々は微力でございますが、皆様のお力をかりまして、この社会を障害の有無に かかわらずともに安心して暮らせる社会に何とか築き上げていきたい、そのように力を尽 くしてまいりたいと思っている次第でございます。本当にこの間ありがとうございました。 今後ともご指摘、ご指導いただきますようにお願い申し上げまして、御礼に代えさせてい ただきます。ありがとうございました。(拍手) ○潮谷部会長  それでは、これで終了させていただきたいと思います。  ありがとうございました。 ○蒲原企画課長  本当にどうもありがとうございました。 (了) (照会先)     社会保障審議会障害者部会事務局                    厚生労働省 社会・援護局障害保健福祉部                       企画課 企画法令係(内線3022)