08/12/09 平成20年12月9日薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会議事録 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会議事録 ○日時:平成20年12月9日(火) 14:00〜16:30 ○場所:厚生労働省 共用第8会議室 ○出席者: 委 員  青木委員、井上委員、大野委員(部会長)、尾崎委員、加藤委員、斉藤委員、 佐々木委員、志賀委員、豊田委員、松田委員、山添委員、吉池委員、 由田委員、鰐渕委員 事務局  國枝基準審査課長、光岡課長補佐、小木課長補佐、江島専門官、中田専門官 関係省庁 農林水産省消費・安全局農産安全管理課農薬対策室 渡辺専門官      農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課     峯戸松係長 1.開会 2.議題  (1)食品中の残留農薬等に係る残留基準設定について    ・チアメトキサム(農薬)    ・クロチアニジン(農薬)    ・フェンブコナゾール(農薬)    ・アセタミプリド(農薬) ・エプリノメクチン(動物用医薬品) ・オメプラゾール(動物用医薬品) ・ヒアルロン酸(動物用医薬品)  (2)その他      3.閉会 ○事務局 定刻よりも1分ほど早いですけれども、予定の先生がお集まりですので、た だいまから「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会」を開催さ せていただきます。  本日は、お忙しい中お集まりいただきありがとうございます。どうぞよろしくお願い いたします。  本日は、山内委員より御欠席なさる旨の御連絡をいただいており、あと、吉池先生に ついては、10分〜15分程度遅れるという連絡をいただいております。  農薬・動物用医薬品部会の委員15名中、現在、13名の御出席をいただいており、部 会委員総数の過半数に達しておりますので、本日の部会が成立しておりますことを御報 告いたします。  それでは、大野部会長に審議の進行をお願いしたいと思います。今後の御審議、よろ しくお願い申し上げます。 ○大野部会長 それでは、議事に入らせていただきたいと思います。  初めに、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。 ○事務局 それでは、資料の確認をさせていただきます。  チアメトキサム、農薬になります。  資料1−1「食品安全委員会における食品健康影響評価結果」。  資料1−2「農薬・動物用医薬品部会報告(案)」。  クロチアニジン、農薬になります。  資料2−1「食品安全委員会における食品健康影響評価結果」。  資料2−2「農薬・動物用医薬品部会報告(案)」。  フェンブコナゾール、農薬になります。  資料3−1「食品安全委員会における食品健康影響評価結果」。  資料3−2「農薬・動物用医薬品部会報告(案)」。  アセタミプリド、農薬になります。  資料4−1「食品安全委員会における食品健康影響評価結果。  資料4−2「農薬・動物用医薬品部会報告(案)」。  エプリノメクチン、動物用医薬品になります。  資料5−1「食品安全委員会における食品健康影響評価結果(案)」。  資料5−2「農薬・動物用医薬品部会報告(案)」。  オメプラゾール、動物用医薬品になります。  資料6−1「食品安全委員会における食品健康影響評価結果(案)」。  資料6−2「農薬・動物用医薬品部会報告(案)」。  ヒアルロン酸、動物用医薬品になります。  資料7−1「食品安全委員会における食品健康影響評価結果」。  資料7−2「農薬・動物用医薬品部会報告(案)」。  参考資料として参考資料1「国民平均、幼小児、妊婦、高齢者別の農産物・畜産物摂 取量」。  参考資料2「食品安全委員会の意見聴取及び食品健康影響評価結果について」になり ます。  配付資料の不足等がございましたら、事務局までお願いします。 ○大野部会長 いかがですか、よろしいでしょうか。  それでは、審議に入らせていただきたいと思います。  本日は、ただいま御説明がありましたように、農薬が4剤、動物用医薬品が3剤、こ れらについて御審議いただくことになっております。  資料の作成に当たりましては、あらかじめ関係委員に資料をお送りしまして御検討い ただいているところでございます。  それでは、最初の品目ですけれども、農薬のチアメトキサムについて事務局から御説 明をお願いいたします。 ○事務局 それでは、農薬の1剤目になります。資料1−2でございますけれども、チ アメトキサムという殺虫剤でございます。本日、4剤農薬がございますが、3剤がネオ ニコチノイド系殺虫剤で、その1剤目です。  この剤につきましては、前回の農薬・動物用医薬品部会で、御審議いただいている剤 になります。昆虫中枢神経系のニコチン性アセチルコリン受容体に作用を及ぼすと考え られているものです。  化学名、構造式は、1枚目のページに示してあります。  事前に、先生方にお送りしている資料から、適用表の方の追加、それから基準値案を 修正したものを本日、配付させていただいております。  前回の部会の審議の際に、残留規制の対象物質ということで、本薬のチアメトキサム と、次に御審議いただく資料2−2のクロチアニジンとの関係につきまして、御説明を させていただき、継続審議とさせていただいた剤になってございます。  2ページ、適用病害虫の範囲及び使用方法です。一覧表にまとめてございますけれど も、2ページ目で言いますと、10%チアメトキサム水溶剤において、だいこんに四角の 枠囲いがされています。これは適用拡大の申請がされたことを示してございます。  先ほど、事前送付資料からの変更点ということで、御説明をさせていただきました箇 所は、12ページ、新しい剤といたしまして、0.0005%エマメクチン安息香酸塩・0.005% チアメトキサム・0.005%ジフェノコナゾール液剤が追加されております。  作物残留試験の結果が並んでおりまして、安全性の評価は、40ページになります。  こちらが食品安全委員会から回報されましたADIの結果になりますけれども、無毒 性量が1.84 mg/kg体重/日で、安全係数を100として、ADIを0.018 mg/kg体重/日と いう結果を回答いただいております。  下の欄において、諸外国における状況といたしまして、JMPRにおける毒性評価は なされておらず、国際基準も選定されておりません。米国、カナダ、EU、オーストラ リア及びニュージーランドについて調査いたしましたところ、米国においてとうもろこ し、ぶどう等、カナダにおいて鶏卵、乳等に、EUにおいては、アプリコット、にんじ ん等に、オーストラリアにおいてかんきつ等に、ニュージーランドにおいてキウィー等 に基準値が設定されているといった状況になってございます。  それらを、一覧表にまとめましたものが、59ページからになります。真ん中の基準値 のところの現行基準に網かけがされており、この部分については、暫定的な基準値が置 かれていた部分です。  登録の有無の欄に丸印が付いているものは、国内での登録の関係を示しており、その 隣に申という文字が入っている部分がありますが、適用拡大等の申請がされたというこ とを示しております。  作物残留試験ですけれども、この表の前に、国内、海外の作物残留試験の成績が掲載 されております。  53ページから海外のものがございますが、送らせていただいているものから、一部、 残留試験の追加等もされておりまして、結果をまとめさせていただいています。  別紙2の右側に、作物残留試験の評価、結果の数字をまとめて記載しておりますけれ ども、例えば、5行目に0.005未満/0.027#、0.024#といったような形で、試験ごと にわかるようにさせていただいております。  #記号と併せて&マークが今回入っており、63ページに注釈が加わっております。こ れらの作物の残留試験は、試験方法の違いを考慮し、この印をつけた試験結果を基準値 策定の根拠としております。  暴露の評価につきましては、均等に使われるという仮定の下に、平均値という算出を しております。  脚注の説明は、以上ですが、送付資料から62ページのいちごの基準値案を調整をさせ ていただおります。  また、コーヒー豆について、0.05 ppmという基準値案を追加で提案させていただいて おります。  畜産物につきましては、資料の中の算出数値、それから最大残留量の数値の方を精査 しまして、0.01 ppmという基準値を置かせていただいております。  規制の対象ですけれども、40ページの一番下に11.として「(1)残留の規制対象」 と記載しております。  チアメトキサムにつきましては、規制対象をチアメトキサム本体としておりまして、 代謝物のクロチアニジンは、クロチアニジンとしての登録もされていることから、クロ チアニジンの使用による残留と本剤の使用に由来するクロチアニジンの残留を含めて、 クロチアニジンとしての基準値を別途設定しているところです。  今回、本剤の基準値の設定の見直しに伴い、クロチアニジンの基準値についても同時 に検討することとしており、なお、米国の基準にあっては、チアメトキサムの規制対象 として、チアメトキサムとチアメトキサム由来のクロチアニジンの和としております。 食品衛生法上は、チアメトキサムの基準はチアメトキサムのみを対象とすることとし、 クロチアニジンの基準値の対象をクロチアニジンとチアメトキサム由来のクロチアニジ ンの和とするという整理にさせていただいております。  参考に、クロチアニジンにつきましても、資料の2−2の30ページに基準値案といた しまして、規制の対象としてクロチアニジン、ただし、クロチアニジンは同じく殺虫剤 として農薬登録されているチアメトキサムの代謝物でもあり、チアメトキサムの使用に よるクロチアニジンの残留が認められている。よって、基準値案はクロチアニジンの使 用によるクロチアニジンの残留のほか、チアメトキサム使用由来のクロチアニジンの残 留も含めて設定した。  なお、米国等の基準に合っては、チアメトキサムの基準の対象として、チアメトキサ ムとチアメトキサム由来のクロチアニジンの和としているが、食品衛生法上はチアメト キサムの基準はチアメトキサムのみを対象とすることとし、クロチアニジンの基準値の 対象を、クロチアニジンとチアメトキサム由来のクロチアニジンの和とするという記載 の仕方でまとめさせていただいております。  元に戻りまして、資料1−2ですけれども、推定摂取量になります。64ページです。  お手元の資料と前回の資料において、基準値案も調整をしておりますので、基準値案 が変わっているところもございます。米、さといも類が該当いたします。  今回、提案させていただいている基準値案を基に、評価対象となる暴露を用いた数値 で算出をさせていただいた結果が、66ページの右側、横にしていただきますと下側とい うことになります。  国民平均といたしまして、EDIの欄を見ていただきますと、273.3μg/人/日であり、 対ADI比は28.5%、高齢者がEDIで304.0μg/人/日、対ADI比で31.2%となり ます。  それから、妊婦につきましては、EDIが220.6μg/人/日で、対ADI比で22.0%、 幼小児では、138.8μg/人/日で対ADI比48.8%という算出結果になっております。  以上が推定摂取量の計算になりまして、以降、67ページに経過を記載しておりますが、 平成17年11月29日に残留基準が告示され、同年12月21日にだいこん、かんきつ、ミ ニトマト等の適用拡大申請がされております。  平成19年7月にほうれんそう、わけぎ、こんにゃく等の登録申請がされておりまし て、今年の9月19日に、薬事・食品衛生審議会に諮問をし、前回の10月24日に一度部 会にお諮りをさせていただいております。  基準値案ですけれども、最後に答申案ということで付けさせていただいております。  基準値案が、変更されている箇所について個別に説明をさせていただきます。 ○事務局 それでは、事前にお配りしておりました資料からの変更点を中心に御説明さ せていただきたいと思います。  まず、資料の60ページを御覧いただけますでしょうか。こちらの中で、事前にお配り した中から変更している点としては、真ん中の少し下になりますが、わけぎです。わけ ぎにつきましては、先生方にお配りした後も、作残の取り方等いろいろ検討した結果、 その欄の一番右の作物残留試験成績の欄に、$マークを付けさせていただいております けれども、行った試験の中での最大残留量3.96 ppmを根拠として、今回10 ppmという 基準値案を提示させていただいております。  次に、61ページをごらんください。61ページの下の部分に、なつみかんの果実全体、 その他のかんきつ類果実がございますが、こちらにつきましても、事前にお送りした資 料では0.7 ppmということで、お示ししていたかと思いますけれども、こちらも作残の 取り方を再度詳細に検討いたしまして、右の欄にあるなつみかんの0.48 ppmという最大 残留値を根拠として、1 ppmの基準値案をお示しいたしております。それ以降のレモン からその他のかんきつ類果実につきましては、このなつみかんの基準値を外挿している という形になっております。  次の変更点でございますが62ページになります。  こちらも、真ん中ほどにいちごが記載されていると思いますが、こちらの基準値案を、 今回2 ppmとさせていただきました。  参照した作物残留試験成績は、&マークを付けた0.802 ppmと0.427 ppmという成績 から置いております。  これは、実は最初に12ページの適用表の追加ということでお話しいたしましたけれど も、これが提示される前は、根拠とした作物残留試験の試験方法が、過剰散布であると いうところもあったもので、ここまでの基準値は置けないのではないかという検討を続 けていたのですが、こちらの液剤での申請もなされており、この回数に収まっていると いうことから、今回、こちらを案としてお示ししております。  変更点につきましては以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。 ○大野部会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に基づいて、審 議に入りたいと思います。  まず、全体として先生方の御意見、いかがでしょうか。薬理作用については、よろし いですね。  代謝については、クロチアニジンが出てくるというところで、それについても考慮す る必要があるということでよろしいですね。  毒性面で何かございますでしょうか。 ○鰐渕委員 食品安全委員会の評価書どおりで、このデータで一番厳しいかと思います。 ○大野部会長 ありがとうございます。分析対象物質はチアメトキサムとクロチアニジ ンについて測るということでよろしいんではないかと思いますけれども、よろしいです か。 (「はい」と声あり) ○大野部会長 分析法については何か御意見ございますでしょうか。特によろしいです か。  分析結果について何かコメントございますでしょうか。  では、基準値というところですけれども、いかがでしょうか。  松田先生、お願いします。 ○松田委員 基準値の表で、1つだけ3.0 ppmになっているのがあるんですが、ケール です。基準値ケールだけ3.0 ppmになっておりますので、これは3 ppmでよいのではな いでしょうか。 ○事務局 こちらは、ほかの剤でもときどき話題になっているかと思いますが、根拠と したのはアメリカの基準値ということもありまして、そちらに桁数を合わせた形となっ ております。 ○松田委員 それで、60ページでは、きようなというのがあって、それはアメリカの基 準値は3.0 ppmで、3 ppmになっているので、合わせるなら合わせるでもいいんですけ れども。 ○事務局 わかりにくくて申し訳ないんですが、きようなの場合は、国内の作残から置 いて3 ppmになっているということなんです。 ○松田委員 いつも申し上げているんですけれども、3.0 ppmと3 ppmは大分違います ので、御考慮いただきたいと思います。 ○大野部会長 佐々木先生、お願いします。 ○佐々木委員 今のケールの3.0 ppmですけれども、アメリカの基準は、代謝物を含め た値ですから、そのまま持ってくると大きい値に設定されていることになるんではない でしょうか。 ○大野部会長 いかがでしょうか。 ○事務局 すみません、確認させてください。 ○大野部会長 確認している間、ほかの御意見を伺いたいと思いますが、いかがでしょ うか。  この規制対象ですけれども、チアメトキサムについては、チアメトキサム本体の方を 対象とする。クロチアニジンについては、ちょっと難しいですけれども、クロチアニジ ンの規制値の対象はクロチアニジンとチアメトキサム由来のクロチアニジンの和とする ということですけれども、こういうやり方が成り立つのは、チアメトキサムを使ったと きの残留を見た場合、代謝物であるクロチアニジンよりも本体の方が多い。そして、ク ロチアニジンの方が、どちらかというと毒性が弱いということがあれば、安心できて、 こういうことでいいんではないかと思うんですけれども、このデータを見てみると、ほ とんどの農産物について、クロチアニジンの方の残留量がかなり小さい、もしくは同等 であり、1件、いんげんがクロチアニジンの方が多いというデータがありますけれども、 ほとんどの場合について、チアメトキサムの方がたくさん残留している。  毒性のデータを見てみると、この無毒性量はチアメトキサムが1.84 mg/kg体重/日で、 クロチアニジンは9.7 mg/kg体重/日ということで、毒性もチアメトキサムの方が強い。 そういう意味で私はチアメトキサムについては、残留の規制対象は、チアメトキサムの 本体でよろしいんではないかと考えたんですけれども、先生方の御意見はいかがでしょ うか。  加藤先生、どうぞ。 ○加藤委員 補足といいますか、私も全く同様に感じます。親化合物と同量のクロチア ニジン代謝物が残っていたとしても、実際の毒性量ということで考えた場合は、5分の 1ですか、20%の誤差でしかないものですから、効率的に管理していく上では、毒性が 親化合物よりも低い。  それから、残留量も親化合物と同等かそれ以下であって、毒性量で換算した場合には、 無視して問題にならないと、そういうレベルであれば、片方で管理していって問題はな いと思います。  こういう問題になるのは、この剤ではないんですけれども、その反対があった場合は どうするかというところにすぐはね返ってくるわけですけれども、それをどの辺りで線 を引くか、合理的な管理、そこをこれから考えていかないとまずいと思います。 ○大野部会長 それは、そういう問題が出たときに、御検討いただきたいと思いますけ れども、とりあえずそういう考えで、この場合にはチアメトキサムを規制対象とすると いうことでよろしいでしょうか。 (「はい」と声あり) ○大野部会長 ありがとうございます。それ以外に御意見はございますしょうか。  先ほどの結果はいかがでしょうか。 ○事務局 先ほどの件について修正させていただきたいと思います。  今回、ケールにつきまして、作物残留試験成績欄のとおり、米国からしなを参照とし ております。  その具体的な値が63ページの中ほど、その他のハーブの右側に、米国からしなの作残 結果が載っているんですけれども、これの最大残留の1.45 ppmを根拠として、今回、ケ ールの基準値を置かせていただきましたので、御指摘のとおり、ここは3.0 ppmではな くて、3 ppmの基準値案で提案させていただければと思います。  値としては、先ほどアメリカの規制は、両方含めているということで、数値的には同 じになってしまうんですけれども、考え方としてはこの形なのかなと思いますが、いか がでしょうか。 ○大野部会長 3.0 ppmを3 ppmに修正するということですね。ということでよろしい でしょうか。 (「はい」と声あり) ○大野部会長 ありがとうございました。では、そのように修正させていただきます。  ほかに御意見ございますでしょうか。  斉藤先生お願いいたします。 ○斉藤委員 全く大した問題ではないんですけれども、13ページの分析方法の上から3 行目のところの高速クロマトグラフというのは、高速液体クロマトグラフということで よろしいですね。 ○事務局 はい、そのように修正いたします。申し訳ございません。 ○斉藤委員 あと、クロチアニジンの話も出ていたので、先ほどちょっと事例に見てい ったら、ほとんど同じなんですけれども、片方はかなり詳しく、片方は、例えば、ケイ ソウ土カラム、カートリッジカラムだけしか、こちらの方は書いていなくて、クロチア ニジンの方は商品名も入って詳しいんですけれども、こういう表記はよろしいんですね。 片方は一般的な名称で、片方は商品名が入っていて、そういう書き方は、クロチアニジ ンの部会書の方の15ページですかね。結局同じものをクリーンナップして分析している かと思うんですけれども、こういう違いというのはよろしいんでしょうか。 ○事務局 申し訳ございません。こちらにつきましては、クロチアニジンは、以前に御 審議いただいていた経過もございまして、この部分の記載はこのまま手を付けずにお出 ししてしまったので、今回、商品名ということではなく、一般的な方にそろえたいと思 いますが、いかがでしょうか。 ○大野部会長 クロチアニジンの方を一般的なものに取りかえるということで、斉藤先 生よろしいですか。 ○斉藤委員 結構です。 ○大野部会長 では、この後審議していただきますけれども、そのときにまた確認した いと思います。  ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。  それでは、若干修正がございましたけれども、その修正の上で、この内容をこの部会 の答申案としてよろしいでしょうか。  どうぞ。 ○基準審査課長 先ほどの大野先生からの御指摘の部分はちゃんと明記しておいた方が よいと思います。そうでないと、アメリカの場合は書いてあるんですけれども、日本の 場合はこれを対象としたという部分が不明確であり、どうして日本は違うのかがわから なくなります。部会長御指摘のような記載を入れた方がいいと思いますので提案致しま す。 ○大野部会長 そういう追加の記載はよろしいでしょうか。 (「はい」と声あり) ○大野部会長 ありがとうございました。では、追加記載させていただくことにします。 その上で、この報告はこの部会の報告としてよろしいでしょうか。 (「はい」と声あり) ○大野部会長 ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。  それでは、関連品目ですけれども、クロチアニジンについて御審議いただきたいと思 います。  それでは、事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局 資料の2−2をごらんください。クロチアニジンです。  同じくネオニコチノイド系の殺虫剤ということで、作用機作についても同様です。  事前に送らせていただいている資料から、こまつな、クランベリー、なたねといった ところで、基準値案を修正させていただいたものを今回、席上に配付させていただいて おります。  2ページ目から、適用病害虫の範囲及び使用方法ということで、作物残留試験が書か れていますが、経過とも関係しますけれども、こちらの剤については、先ほど御承認い ただいた剤との兼ね合いでもって、お諮りしている形になってございますので、特段、 適用病害虫の範囲及び使用方法に枠囲い等変更の記載はされておりません。  46ページ、これまでの経緯が書かれております。一番下に平成19年5月31日に残留 基準値の告示ということで、本基準が設定されてございます。  47ページの上に行きまして、平成20年1月7日に農林水産省より厚生労働省へチア メトキサムの残留基準の改正に伴う残留基準見直しの依頼がございまして、平成20年2 月28日に食品安全委員会から厚生労働大臣あてに、食品健康影響評価についての連絡を いただいており、平成20年9月18日に、本薬事・食品衛生審議会に諮問をさせていた だいた経緯の剤になります。  戻りまして、29ページになりますけれども、資料の記載自体は、そういう意味では残 留試験成績等が変わっているわけではないんですが、食品安全委員会からの安全性評価 の結果が下の9.のところに書かれております。無毒性量として、9.7mg/kg体重/日と いうことで、安全係数100から、ADIを0.097mg/kg体重/日という評価結果が回付さ れています。  諸外国の状況につきましては、JMPRにおける毒性評価はされておりませんで、国 際基準は設定されておりません。  次のページ、米国、カナダ、EU、オーストラリア及びニュージーランドについて調 査をいたしましたところでは、米国及びカナダで、とうもろこし、なたね、乳等に基準 値が 設定されております。  それらを一覧表にまとめましたものが、36ページの表になります。後ほど、補足の説 明をいたしますが、先ほどのチアメトキサムとの関連がございます関係で、表のつくり が複雑になってございますが、横にしていただきますと、クロチアニジンの欄があり、 その右側の欄にチアメトキサムということで、先ほど御審議いただいた剤の登録申請の 状況、それから参考基準値、作物残留試験の結果を併記させていただいて、クロチアニ ジンの基準値の設定状況をまとめさせていただいております。  残留の規制対象につきましては、先ほど少し読み上げさせていただきましたとおりで すけれども、推定摂取量といたしましては、次のページから、TMDIすなわち理論最 大一日摂取量の方で算出いたしておりまして、国民平均としては、918.8μg/人/日、そ れから、高齢者で955.3μg/人/日、妊婦で811.2μg/人/日、幼小児で519.8μg/人/日 という算出結果になり、対ADI比といたしましては、それぞれ17.8%、18.2%、15.0%、 33.9%の占有率での基準の設定になっております。  暴露の評価結果をまとめたものが31ページにございますけれども、以上を基に、先ほ どの剤との兼ね合いでもって、答申案として基準値案をまとめましたものが48ページの 表になります。  事務局からの説明は以上となりますが、基準値のところで、個別に補足説明をさせて いただきます。 ○事務局 それでは、36ページの別紙2、基準値案の表をごらんください。  今回のクロチアニジンの基準値の見直しは、何回も御説明申し上げていますとおり、 チアメトキサムの適用拡大と暫定基準の見直しに伴うもの、ということです。  例えば、一番上の米は、チアメトキサムの登録の有無のところに申という文字があっ て、適用拡大の部分が一部あるんですが、残留試験成績の結果等を併せて考えたところ、 基準値案としての変更は必要ないという形で、現行と基準値案が同じものとなっている 場合もございます。  2つ下の大麦なんですが、こちらは、チアメトキサムの暫定基準の見直しの前に、米 国大麦のチアメトキサム由来クロチアニジンの作物残留試験成績結果がございましたの で、こちらを根拠として考え直したところ、基準値案0.1 ppmに上方修正を加えた方が いいのではないかということでこういった案をお示ししております。  説明が前後して申し訳ありませんが、基本的な考え方としましては、クロチアニジン の作物残留試験の代表値と、チアメトキサムの代表値の和を根拠として基準値案を設定 するという置き方をしてございます。  そのほか、36ページの下の方になりますけれども、こんにゃくいもにつきましては、 チアメトキサムの適用拡大申請がございましたので、こちらのチアメトキサム由来クロ チアニジンの試験成績を基に0.05 ppmということで上方修正してございます。  一番下のだいこん類の根と葉につきましては、適用拡大申請がございましたが、米同 様クロチアニジンの基準値案を変更する必要はないということで、同じ値で置かせてい ただいております。  次の37ページをごらんください。  この中でもそれぞれ同じような理由で上方修正をしたり、特に変更していないものと いうのがございますが、先生方に事前にお配りした資料からの変更点としましては、こ まつなについて1 ppmという基準値案に変更させていただいております。こちらは、チ アメトキサム由来のクロチアニジンの残留試験成績の0.40 ppmという最大残留値を取る ということで検討し直した結果によるものでございます。  そのほか、変更点といたしましては、40ページの中ほど下の方になりますが、クラン ベリーにつきまして、最初は0.05 ppmという値を置いておりましたが、アメリカのチア メトキサムとしての基準値の0.02 ppmと比較しても、わざわざ現行基準を上方修正する 必要はないだろうという検討結果に落ちつきまして、現行1 ppmという値に修正させて いただいております。  同じく41ページの上から5つ目になりますが、なたねにつきましても、同様の考え方 で現行基準1ppmということで提案させていただいております。  以上です。御審議のほどお願いいたします。 ○大野部会長 いかがでしょうか。これは薬理作用のところで、これについては、主に ニコチン性アセチルコリン受容体によるものと考えられると、若干さっきのチアメトキ サムと違いますけれども、よろしいですかね。  それでは、体内動態の方のデータ、前回のときに審議したので、今回はないですね。  そうしますと、分析対象物質ということになりますけれども、先ほど御審議いただき ましたけれども、この場合は、クロチアニジンとチアメトキサム由来のクロチアニジン の和とするということで、これはよろしいですね。  分析法については、先ほど御指摘がありましたように、一般的な方法に直すというこ とでよろしいですね。  分析結果についていかがでしょうか。何かコメントございますでしょうか。  次に、基準値についてはいかがでしょうか。  松田先生、お願いします。 ○松田委員 意見ではなくて質問なんですが、アメリカの基準がチアメトキサム由来の クロチアニジンというのと、クロチアニジンと両方置いてあるときがありますね。例え ば、40ページのりんごですが、これはアメリカではどのように運用しているんでしょう か。 ○事務局 アメリカでは、チアメトキサムとチアメトキサム由来のクロチアニジンを含 んでおります。クロチアニジンはクロチアニジンとなっております。 ○松田委員 そうすると、クロチアニジンだけが出たときは、クロチアニジンの基準が 適用されて、両方出たときは、チアメトキサムにするとか、そういう理由、ツールがあ るんでしょうか。別に、日本はそういうことがないようにできているからよろしいんで すけれども。 ○事務局 すみません、その辺は確認しておきます。 ○大野部会長 お願いします。ほかにいかがでしょうか。  私の方から少し聞きたいことがあるんですけれども、今回のクロチアニジンの規制に 関しては、クロチアニジン由来のものと、チアメトキサム由来のものと両方基準値に含 めるということですけれども、基準値案として、答申案として出すのは、この数値だけ ですね。それについて、法的に問題になることはないんでしょうか。例えば、クロチア ニジンの答申案に、このクロチアニジンは、チアメトキサム由来のものも含んでいると いうふうに書かないで、例えば、規制のときに、クロチアニジンが残っていて、その残 留基準よりも残っていたと。でもそこは農場ではそれなりに使っていないと、チアメト キサムは使ったけれども、クロチアニジンは使っていないといったときに、チアメトキ サムを使ったことに対する違反だと、それが微妙なところでうまく表現ができないんで すけれども、法律上の問題が起きることはないんでしょうか。 ○事務局 以前に御審議いただいたときも規制対象物質は変わっておらず、答申として 同じ形なんですけれども、ただ、ほかに規制対象明記している剤もございますので、今 回から、もし記載した方がいいということであれば、そのようにいたします。 ○大野部会長 法制度上の規制とか行政上の規定の上で問題がなければ、よろしいと思 うんですけれども、その辺は判断できないので、どうかと思ったんですけれども。 ○事務局 そうするようにいたします。 ○大野部会長 山添先生、お願いします。 ○山添委員 私もさっき、同じことを先生と考えていて、というのは、チアメトキサム の1ページ目のところに、水への溶解度と、logPowが表示してあるんですが、クロチア ニジンと比較してみると、代謝物の方が脂溶性が高いんです。水に溶けないんです。で すから、元の化合物は流れてしまって、そういうもので消えて、脂溶性の高いものだけ が残っている可能性は否定はできないかなと、さっき少し思っていたので、何か表記し ておいた方がいいかもしれません。 ○大野部会長 では、よろしくお願いいたします。ほかに御意見ございますしょうか。 すべての分野についての御意見でよろしいですけれども、よろしいでしょうか。  それでは、幾つか修正案がございましたけれども、それを修正をするということを前 提に、この答申案をこの部会の答申としてよろしいでしょうか。 (「はい」と声あり) ○大野部会長 ありがとうございました。では、そのようにさせていただきます。  それでは、次の品目でございますけれども、次は農薬のフェンブコナゾールについて 事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局 資料3−2に入らせていただきます。フェンブコナゾールです。トリアゾー ル系の殺菌剤です。作用機構は、菌類の細胞膜を構成する主要成分であるエルゴステロ ールの生合成阻害ということで、菌類の生育を阻害すると考えられているものです。  経過の方を見ていただきますと、17ページにこれまでの経緯が載ってございます。  平成19年12月12日に残留基準が告示をされております。本基準として設定されてお りますが、平成20年1月30日に農林水産省より厚生労働省への適用拡大申請について 連絡がございまして「てんさい」の基準値設定につきまして要請されたものです。  これに基づき、食品安全委員会への健康影響評価の依頼をいたしまして、評価結果が 7月3日に連絡をされ、12月4日に食品衛生分科会の方に諮問をさせていただいた剤と いう経緯になってございます。  したがいまして、1ページの方に戻らせていただきますけれども、本剤につきまして は、一番下のところ「5.適用病害虫の範囲及び使用方法」において、作物名に枠囲い がされておりまして、農薬取締法に基づく適用拡大申請がなされたものを示しておりま す。  事前に送らせていただいている資料から、基準値案のところで、若干変更が生じてお りますので、それぞれについてはまた御説明をさせていただきます。  2ページのところですけれども、(1)の国内における使用方法の(2)の2剤目の乳剤の ところですけれども、枠囲いで「てんさい」というところに枠囲いがされてございます。 適用拡大がされた部分です。  その作物残留試験の結果が、7ページに記載しておりますが、安全性の評価結果とい たしましては、次の8ページの下の欄に、ADIといたしまして、0.03 mg/kg体重/日 という結果を回付いただいているところです。  諸外国の状況は、1997年にJMPRの毒性評価がされていて、ADIが設定されてい て、国際基準はバナナ、大麦等に設定がされております。  米国、カナダ、EU、オーストラリア及びニュージーランドについて、米国において アーモンド、リンゴ、カナダにおいておうとう、プラム、オーストラリアにおいてバナ ナ、ネクタリン等に基準値が設定されております。  今回は、てんさいの適用拡大申請がされております。  まとめましたものが、14ページからの基準設定根拠の参照基準一覧表になりますけれ ども、上から5番目のカラムのところに「てんさい」と書かれておりまして、登録の有 無の欄に申の文字が読み取れます。  右側の欄に、作物残留試験の結果を記載させていただいておりまして、基準値案とし て0.5 ppmと提案させていただいているものです。  戻りまして、9ページのところですけれども、残留の規制対象はフェンブコナゾール 本体です。  作物残留試験において、ラクトンA体及びB体の分析対象とされているけれども、両 化合物とも定量限界未満もしくはフェンブコナゾールに比べて低い値での検出であるこ とから、ラクトンA体及びB体については、規制対象には含めないこと。それから畜産 物等についても、農作物と同様に、フェンブコナゾール本体を規制対象とすることとい たしております。  食品安全委員会による評価書におきましても、暴露評価対象物としてフェンブコナゾ ールが設定されております。  てんさいの基準値を置き、推定摂取量の計算を行いましたものが16ページになります が、別紙の3、一番下の対ADI比をご覧ください。国民平均として10.4%、幼小児で 27.8%、妊婦で9.7%、高齢者で10.6%という占有率になってございます。  19ページにてんさいの基準値案として0.5 ppmとさせていただいております。  事務局からの説明は以上です。 ○大野部会長 ありがとうございました。これはてんさいについての追加だけですので、 細かいところをひとつひとつ審議しなくてもよろしいんではないかと思いますけれども、 全体として御意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。  どこのセッションでも結構ですけれども、どうでもいいことかもしれませんが、もし、 なければ、てんさいというのは食べるものなんですか、砂糖をつくるだけのような気が するんですけれども。 ○事務局 砂糖の原料として使われると認識しております。 ○大野部会長 何か御意見はございますか。よろしいですか。  それでは、この答申案をもって、この部会の答申としてよろしいでしょうか。 (「はい」と声あり) ○大野部会長 ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。  それでは、次の審議品目ですけれども、農薬のアセタミプリドについて審議したいと 思います。それについての説明を事務局からお願いいたします。 ○事務局 アセタミプリドです。ネオニコチノイド系の殺虫剤で、本日の剤としては同 じ系統の薬剤として3剤目ということになります。資料4−2をごらんください。  下に暫定版と書かせていただいております。後ろを見ていただきますと、答申案とい うことでの基準値は、今回付けさせていただいておりません。前に審議をいただきまし たメタミドホスと同様に、参考でAcute Reference Doseの指標を食品安全委員会から回 付いただいた剤になっております。  本剤は、ネオニコチノイド系の殺虫剤で、作用機構は、昆虫神経のシナプス後膜のニ コチン性アセチルコリン受容体に作用し、シナプス伝達の遮断を起こし殺虫活性を示す ということで、ネオニコチノイド系殺虫剤の作用機構を書かせていただいております。 化学名、構造式については、このページの真ん中ほどに書かせているものになります。  74ページに経緯がございますけれども、日付でいきますと、平成17年11月29日に、 これは食品衛生法改正に伴っての残留農薬基準の告示がされて、平成20年の2月10日 に食品安全委員会に残留農薬基準の設定についての評価依頼をいたしております。  8月29日に、食品安全委員会から、先ほどのAcute Reference Doseを含めての食品 健康影響評価についての御連絡をいただいておりまして、12月8日に本食品衛生分科会 への諮問をさせていただいて、部会でご審議いただいている経緯になってございます。  具体的な適用の状況ですけれども、2ページ目から、本薬の病害虫の範囲及び使用方 法を表にまとめさせていただいております。  今回の基準の設定作業に合わせまして、一部の剤の中で、適用の見直しと剤の追加申 請等がされてございますので、その部分について枠囲いをさせていただいて、記載をさ せていただいております。  例えば、2ページ目のりんごを見ていただきますと、本剤の使用回数で、3回以内と 枠囲いがされておりまして、使用方法が変更の申し出がされております。  同様に、11ページに行きますと、(2)の粒剤が中ほどに書かれていて、そのすぐ上 ですけれども、モロヘイヤあるいはセロリで適用拡大申請がなされ農作物等が追加され てございます。  17ページに行きまして(9)にアセトニトリルの1%に粒剤がございますが、こちら は新規の申請がされているということです。  それ以降は、海外での使用方法で、作物残留試験の提出がございました水和剤、それ から22ページに行きまして、水溶性の粒剤で、米国の方での使用方法をまとめさせてい ただいた表を付けさせていただいております。  作物残留試験の記載がずっと文章で書かれておりますが、52ページに行かせていただ きますと、こちらが安全性の評価結果になります。ADIといたしましては、無毒性量 が7.1 mg/kg体重/日で、ラットの慢性毒性/発がん性併合試験から発がん性は認められ ていないということで、2年間の混餌投与で、安全係数100として0.071 mg/kg体重/ 日という結果を回付いただいております。  参考ということで急性参照用量は、無毒性量が10 mg/kg体重で、ARfDとして0.1 mg/kg体重/日を参考として回付いただいているところです。  安全性評価の部分で、食品安全委員会の資料についてのコメントを先生方から事前に 若干いただきましたので、それについて関係機関等に確認した部分がありますので、御 紹介をさせていただきます。  ネオニコチノイド系の殺虫剤の暴露と心電図の所見で、専門家の御意見を参考にした いというコメントをいただいております。投稿論文の中で、一定地域のネオニコチノイ ド系と有機リン系殺虫剤の散布後、自覚症状を訴えて受診した患者の心電図の所見と季 節変動をみると、アセタミプリドの散布時期に、心電図異常が見られたというような論 文があるんですけれども、その妥当性、正当性については、どのような意見が聞かれた のかとのコメントがございました。  この部分については、関係の資料は食品安全委員会の方へ、この資料を含めてすべて 送らせていただいておりますが、食品安全委員会からは、アセタミプリドの心臓への影 響については、毒性病理の専門家に確認をして、一般薬理試験において、心電図はない んですけども、高用量のアセタミプリドを経口投与する毒性試験でいずれの動物でも心 臓に異常は認められないことから、問題ないということで、8月6日の総合評価第一部 会において審議されたとの回答をいただいております。コメントをいただいた委員の先 生には、こちらの方から、この旨お伝えしております。  この件につきましては、食品安全委員会の食品健康影響評価に関する審議結果の案が できた段階で、パブリックコメントが出されております。その意見の中に、同様のコメ ントがされている部分がございまして、それが資料中、意見4−4の回答に対応してお ります。  申請者から提出された資料に、アセタミプリドが心電図に与える影響についてのデー タ、また、ウサギを用いた一般薬理試験で10 mg/kg体重の用量で静脈内投与をした場合 でも、心拍数への影響は認められなかったこと、また、高用量の長期投与含めた毒性試 験においても、心臓への異常は観察されてないこと、農薬専門調査会では、経口摂取に よる健康影脈注射によりアセタミプリド投与を行っているため定性的な症状の観測には 役立つものの、ADIの設定根拠にするには、不適切と考えられたというコメント回答 で食品安全委員会では対応しています。  また、その他の発症事例についても確認が必要ではないかというコメントをいただき まして、この点につきましては、監視安全課において、行政機関を通じて、有症苦情の 有無について、過去10年ほどさかのぼって調べましたところ、この関連の連絡は特に見 られなかったと連絡をいただいております。  あと、散布された農家において、異常を訴えた方がいたかどうかを、農林水産省に問 い合わせたところ、直接又は関係機関等を通じて連絡が入ったというような事例はなか ったという連絡がありました。  同様に農薬メーカーに対しても、こちらの方から問い合わせましたけれども、該当す る事例の報告は見られなかったという御連絡をいただいております。  部会報告案に戻りまして、69ページに行かせていただきます。  現段階で作物残留試験の成績に基づいて、一応の案ということにはなるんですけれど も、基準値を置かせていただいたものです。表の作りは、少し活字が小さいんですけれ ども同じ作りになっております。暫定基準が設定されている部分に網かけをしておりま す。  一部項目については、先ほどの経緯の上の方に出てくるんですけれども、暫定基準を 設定する前に基準を置いていた部分でばれいしょ等ございますので、そちらの部分につ いては本基準扱いということで、基準値が書かれております。  一応、今の段階で記載をさせていただいている基準値案で見ていただければと思って おります。  戻りまして、53ページになりますけれども、残留の規制の対象です。「12.基準値案」 の「(1)残留の規制対象」です。農作物につきましては、アセタミプリド。畜産物につ きましては、アセタミプリド、それから、代謝物IM-2-1に分子量の比である1.067を係 数として乗じてアセタミプリドに換算したものの和とすることを考えております。  これは、植物体内運命試験において、アセタミプリド、代謝物のIM-2-1、IM-1-4、IM-0、 IC-0、IS-1-1、IS-2-1、IM-0-Glcの分析が行なわれていますけれども、代表的な農作物 について、基準値設定に参照する最大残留となる時期には、植物については親化合物ア セタミプリドが大部分を占めている記載がされていること。  それから、従前の規制の取扱いが、アセタミプリド本体であること加味いたしまして、 農産物の規制の対象としては代謝物を含めない扱いに整理したところです。  作物残留試験の試験方法の部分なんですけれども、分析法の経緯もありまして、統一 法による結果と、個別GC法とHPLC法の結果の両方が報告されている例があります。 それは作物残留試験の一覧表の中に、例えば55ページから見ていただきますと、国内に おける作物残留試験の一覧表を付けてございますが、それぞれの分析法があります。と うもろこしで見ていただきますと、最大残留量が右側にありますが、GCとかHPLC、 あるいは下の方に行きますと統一という表現で略語を入れさせていただいております。  それぞれの分析法の検査結果につきましては、農薬抄録を先生方に送らせていただい ておりますが、53ページに、両方の結果が報告されている場合で、両方の残留値の差の 大きい場合は、個別法によるアセタミプリドの値を採用し、両方の結果が類似の場合、 それから統一の結果のみが記載されている場合は、統一の値をアセタミプリドの残留値 と同等に扱って基準の設定を行っております。  一方、畜産物に関しましては、畜産物移行試験において、アセタミプリドの主要代謝 物として、IM-2-1が親化合物のアセタミプリドを上回る濃度で検出が認められている状 況です。  米国、カナダ、オーストラリアにおいてアセタミプリドと代謝物を畜産物の規制対象 にしている記載が認められますので、この点を勘案いたしまして、畜産物の規制対象と いたしましては、アセタミプリド及び代謝物のIM-2-1にさせていただいております。  なお、食品安全委員会の食品健康影響評価において、こちらは農産物の暴露評価対象 物質という記載がされていますが、アセタミプリドが設定されおります。  72ページは、推定の摂取量を算出した表になります。  国民平均としてTMDIで、対ADI比として20.9%、幼小児で41.7%等といった結 果の算出になっております。  なお、星印を中に入れさせていただいていますけれども、牛肉の場合に、米国EPA のメモの記載の中で、IM-2-2という扱いが出ていますけれども、そちらの方も残留を考 慮した方がよろしいだろうということで、基準値案の11倍を一応入れて、暴露の評価の 推計を行っております。また、EDIの結果を参考として併記させていただいておりま す。  少し戻りますけれども、53ページ基準値案の下のところです。別紙2の形でまとめて おりますけれども、なお書きのところです。少し小さい字で書いておりますけれども、 食品安全委員会により回付された急性参照用量ARfDに対して、基準値案の設定にあ たって、5月23日に当部会の先生から御説明いただきまして、JMPRの所要のデータ に沿って、暴露の評価の試算を行うことにいたしております。  今後必要と考えられる農作物の使用方法等の見直しを行うことによって、基準値案の 調整を図らせていただく部分がございますので、今回の資料を暫定版とさせていただい ている段階です。  これに関連して、一部の先生からコメントをいただきましたので、その分についての 現況を述べさせていただきます。コメントといたしましては、アセタミプリドだけに関 連することではなく、食品安全委員会の評価指標ということになってきますが、メタミ ドホスにARfDが設定されたのに続いて、今回アセタミプリドについても、参考情報 としてARfDが設定されています。  「農薬・動物用医薬品のリスク評価において今後ADIに加えてARfDの設定が必 要かどうかという議論が必要なんでしょうか。必要だと考える場合は、今までに評価を 終了した農薬・動物用医薬品についてのARfDの設定を再検討していくのか。すべて 設定しないとしたら、どのような考え方で設定するもの、しないものを決めていくのか、 一定の考え方の整理が必要なのではないかと思う部分がある。」とコメントをいただいた んですけれども、食品安全委員会との関係がありますので、食品安全委員会に問い合わ せましたところ、急性参照用量については、今後、農薬専門調査会で設定方法を検討す る予定であり、すべて農薬を対象に急性参照用量を設定することはないのではないかと 思う。既に評価済みの農薬をどうするのかは今後の課題だと思っているので、現時点で は明確に答えられない。除外規定または設定すべき農薬の要件をつくることにはなるの ではないか、といったようなコメントがありました。関係省庁とも相談しつつ調整して 進めていきたい、とのことです。  現況といたしましては、以上のような形で、資料の方を現段階でとりまとめさせてい ただいております。  従いまして、短期暴露量評価の推定により、基準値の方を若干調整させていただくこ とがあることを前提に見ていただければと思っております。  事務局の説明としては以上でございます。 ○大野部会長 ありがとうございます。それでは、ただいまいろいろ説明がありました けれども、これについての、御質問、御意見はございますしょうか。  山添先生、お願いいたします。 ○山添委員 資料の4−2の1ページ目のところに、分配係数で一番下のところに6.27 と書いてあるんですけれども、これは0.27の間違いですか。 ○事務局 修正させていただきます。 ○山添委員 いや、よくわからないんですけれども、52ページのところに「9.魚介類 への推定残留量」のところで、アセタミプリドの分配係数は3.5未満であるから必要は ないと書いてあるのに、ここのところは、6.27なんです。ですから、何かの間違いだと、 多分水溶性から見るとゼロではないかと思うんですけれども、 ○事務局 確認の上、修正させていただきます。 ○大野部会長 お願いします。急性参照用量の案を詰めていただいたということで、そ れに基づいて、今回の基準値が妥当であるか、それについてはいかがなんでしょうか。 それはこれからチェックするということなんでしょうか。急性参照用量を参考データと してですけれども、食品安全委員会が出てますね。それについてこれからの取扱いです けれども、この部会としての取り扱いですけれども、今、割り当てた別紙2の数値が適 当であるかどうか、これから確認するということでよろしいんでしょうか。 ○基準審査課長 そういうことになります。この前少し御説明しましたように、急性参 照用量を用いて、妥当性を判断する場合には、摂取量とか、あるいは作物残留データを 用いてやらなければいけないんですけれども、この短期暴露量の部分は、厚生労働科学 研究の方でやっていただいており、そのデータの取りまとめ等、若干まだ時間がかかっ ております。それができ次第確認するような形にしたいと思います。  ですから、今回はあくまでも、従来のADIの範囲内で、作物残留試験に基づいて残 留基準値の設定を淡々とやった場合には、大体こういう形になるというのを御説明した ことになります。 ○大野部会長 今日のところは、従来のやり方では、妥当であるかどうか、それを審議 して、そういうことでよろしいですか。 ○基準審査課長 そうです。 ○大野部会長 吉池先生、お願いいたします。 ○吉池委員 短期暴露量の試算のところで、例えば40ページの記載で、ほうれんそう 43-2というところがあります。ここでなお書きで、本農作物の残留基準値の適用方法に ついては、短期暴露量の推計の試算も勘案した上でとなっております。  ここで数値としては2ポイントですが、13.0 ppm、2.1 ppmが出ており、摂取量につ いてはかなり細かいデータが得られたとしても作残データが2ポイントですと、13 ppm を用いて試算せざるを得ない訳です。ほとんどここのところで決まってきてしまうこと になると思いますが、今後、作残データ、特に急性暴露評価を考えたときに、この辺の データ情報が増えてくるということは考えられるのでしょうか。現時点では、ワースト シナリオに近いところで、13という数値と摂取量の97.5パーセンタイルをかけ合わせ て、ワーストシナリオを単純に見るということで、サイエンティフィックな確率論的な 手法が2ポイントでは取れないという状況があります。 ○大野部会長 いかがでしょうか。 ○農林水産省 メタミドホスのときにも議論をしているんですけれども、作残試験の場 合、日本の場合、2例しかありませんので、暴露量の基になる基準値は、基準値で評価 したかと思います。 ○事務局 先生の御質問は、今後、作物残留試験の登録に当たって、データの追加され るような、例数が増えるような報告があるのかと。 ○吉池委員 今回ということではなく、例えば食品安全委員会のリスク評価でも、急性 暴露をどうしていくかという議論がこれからされる部分があるようなので、今後に向け て、この辺のデータの蓄積がどうかという質問です。 ○農林水産省 先ほどの例数については、日本の場合、現在、2例以上ということで要 求しているんですが、世界的には、6例、8例、そういうたくさんのデータを取って、 それで、統計的に処理して基準値が設定されていますので、現在、農林水産省では、農 薬登録制度に係る懇談会というのを設置して、作物残留試験の例数の見直しを検討して います。 ○大野部会長 それが出てくれば、サイエンティフィックな規制ができるということで す。よろしいでしょうか。  ほかの点で御意見はございますでしょうか。  豊田先生、お願いいたします。 ○豊田委員 今ちょっと出てきた52ページの「9.魚介類への推定残留量」と書いてご ざいますけれども、これで読みますと要請されていないから基準値はないということで すね。ここの説明としてはよろしいんですけれども、ほかの剤のときに、要請されてい ないものを皆こういうふうに書くのかという話になってしまうので、少し矛盾していな いかなという気がしないでもないんですけれども、いかがでしょうか。 ○事務局 記載の整合ということで、御質問いただいているかと思います。項目として 入れておくケースが必ずしも適当でないということもあるかもしれませんので、今、見 ましたところ、オクタノール水分配係数なんですけれども、Powが6.27、25℃、logPow で0.80ということですので、結果としてはこういう形なるかと思いますけれども、記載 の方は割愛させていただけばよろしいでしょうか。記載の整合ということであれば、そ ういうことになると思います。 ○大野部会長 誰が求められているのかわからないところがありますけれども、これは 削除ということでよろしいですか。 (「はい」と声あり) ○大野部会長 それでは、この部分を削除させていただきます。ほかに御意見はござい ますでしょうか。  佐々木先生、お願いします。 ○佐々木委員 細かいことなんですが、例えば13ページ辺りの適用の表の書き方ですけ れども、商品名が入っているんですが、通常は入れていなかったかと思いますので削除 されたほうがよろしいかと思います。 ○事務局 了解しました。 ○大野部会長 お願いします。そのほかのところで、分析対象物質についてはよろしい ですか。先ほども説明で、農産物についてはアセタミプリドを対象とする。その理由と しては親化合物が最大残留量になる時期に親化合物が大部分を占めているということで、 この内容は報告書には書いておりませんけれども、食品安全委員会の方の報告書にはそ ういう記載がされておりますので、よろしいかと思うんですけれども、山添先生よろし いですか。 ○山添委員 はい。 ○大野部会長 畜産物については、それが上回る濃度で代謝物が含まれるケースが認め られているので、それを含めるということでよろしいですか。  ほかに何かございますでしょうか。どうぞ。 ○基準審査課長 先ほど心電図の関係で、今日、御欠席の山内先生からコメントがあっ た件に関連いたしますが、今回のアセタミプリドの食品健康影響評価というのは、昨年 の7月にアセタミプリドの中毒が疑われるということで、ある医師から厚生労働省に連 絡があったもので、該当する県にも確認したものです。県ではいろいろ調べましたが、 該当する農薬が検査では基準内であったとか、あるいは実際に報告された医師に、食衛 法上の届出を行うまでのエビデンスはないということで届出を行う意志がないことを確 認し、問題ないものとの判断がなされています。他方、私どもとしては、こういうよう な問題があるということから、できるだけ早く暫定基準の見直しをやった方がいいとい うことで、その医師の先生から提供された情報もすべて提出して、2月に食品安全委員 会の方に食品健康影響評価をお願いしたものでございます。  今回、この医師からの報告内容の中には、先ほどあったような心電図の問題だとか、 あるいは短期記憶障害とか、小児の異常行動とか、そういうことがあると同時に、暫定 基準の設定が、例えばお茶とかで高く、見直すべきという指摘もされておりましたので、 これらについては、先生方には事前にお配りしております。  その中で山内先生から心電図のコメントがありましたけれども、これについては先ほ ど言いましたように、食品安全委員会の方にそもそもそういうきっかけでこちらが食品 健康影響評価をお願いしたということもありますし、それから、その評価(案)へのパ ブコメでも新たにもう一度その件について指摘があって、食品安全委員会の方で整理を して、回答した経緯があります。  山内先生からは、企業あるいは農林水産省等に、農薬を散布する人などに、異常の届 出がなかったのかと質問もありましたが、それについては先ほど述べたようになかった ということです。健康影響については、そもそも食品安全委員会が評価ということにな りますが、これらの部分も何かあれば、御意見を賜りたく思っております。 ○大野部会長 いかがでしょうか。暫定基準のところも含めて、御意見がありましたら お願いしたいということでございますけれども、今の御説明を伺うと、心電図異常は、 これによって起きると、そういうことはなさそうですけれども、それについて御意見は 特にございませんでしょうか。  それでは、これについてのこれからの扱いについて少し説明してもらいますか。 ○事務局 先ほどの資料のところで申し上げました53ページの基準値案のなお書きに 関係してくる部分で、短期暴露量推計の関係がございます。先ほど例示として先生の方 から御指摘があった部分がございますけれども、ほうれんそう等で、数字が2例で、高 い値になっているようなところもございますので、その辺は短期暴露評価で、評価をし 基準値を調整させていただいて、また御提案させていただくという形になろうかと思わ れます。 ○大野部会長 それはいつごろになりますでしょうか。次回とかそのぐらいですか。よ ろしいですか。 ○事務局 それに向けて調整を行いたいと思います。 ○大野部会長 では、でき次第ということで、それまでに何か御意見があったら事務局 に寄せてもらうということでよろしいですか。 ○事務局 はい。 ○大野部会長 それでは、今までのやり方に基づいて、今回提案された基準値案は、今 回決定でなくてもよろしいんですね。継続審議ということでよろしいんですね。 ○事務局 仮に基準値案で置かしていただく数字が、ARfDに対して、それを上回る ケースが仮に想定される形になってまいりますと、使用基準に立ち返ってその部分を調 整しなければいけなくなるかと思います。そういうこともございますので、その辺を勘 案して調整させていただくということになるかと思います。 ○大野部会長 とりあえずは、これについては継続審議ということでよろしいですね。  先生方、よろしいでしょうか。 (「はい」と声あり) ○大野部会長 ありがとうございます。それではアセタミプリドについては継続審議と いうふうにさせていただきます。ありがとうございました。  それでは、次の品目に行きたいと思います。これからは動物用医薬品ですけれども、 まず、エプリノメクチンについて御説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは、御説明させていただきますけれども、その前に資料に訂正という か差し替えがあります。9ページになりますけれども、別紙1について、誤りがありま したので、別にお配りしております1枚紙を差し替えていただければと思います。誤っ ているところについては後で御説明いたします。  それでは、資料5−2にしたがって説明させていただきます。エプリノメクチンです。  用途は、寄生虫駆除剤、牛の外部寄生虫及び内部寄生虫並びに鹿の内部寄生虫の駆除 になります。  エプリノメクチンは、放線菌Streptomyces avermitilisから発酵生産されるアベルメ クチンB1a及びB1bを出発原料として、4”位の水酸基を化学合成的にアセチルアミノ基 に置換した誘導体で、アベルメクチン系化合物に分類されます。  エプリノメクチンB1aは、エプリノメクチン中の90%以上を占めるということで、B1a とB1bがありまして、B1aが9割、B1bが1割となっております。  牛及び鹿の寄生虫駆除剤として、欧米等51か国で承認をされておりますが、国内では 承認されておりません。  今回の残留基準の設定については、農林水産省よりエプリノメクチンを有効成分とす る製剤の承認申請がなされたことに伴い、内閣府食品安全委員会においてエプリノメク チンについてADI設定がなされたことによるものです。  2ページに構造式及び物性があります。B1aとB1bについて、Rで書かれているとこ ろが少し違います。  適用方法、用量について3ページにあります。牛、泌乳牛、鹿について対象動物及び 使用方法がありまして、いずれも500μg/kg体重/日を背中に沿って直接塗布するという ことで経皮投与を行います。  日本について、今回動物用医薬品として承認申請がなされましたので、そこのところ について下線を付してございます。  代謝試験などが、3ページの中ほど、2番のところから記載されております。  3ページの一番下にあるんですけれども、各検体においてエプリノメクチンの未変化 体は最も多く認められ全放射活性に対する割合は、肝臓、腎臓、脂肪、筋肉、投与部位、 血漿、糞便で大体8割から9割あるんですけれども、そのうちエプリノメクチンB1aが ほとんどを占めると書かれております。  次に、4ページの3行目から乳牛に標識エプリノメクチンの750μg/kg体重/日という ことで、用量の1.5倍量を経皮投与したデータについて記載がされております。 こちらの方でも、エプリノメクチンB1aとB1bが大体9対1で代謝されております。  4ページの中ほどに3番ということで、対象動物における残留試験結果が記載されて おります。  分析対象化合物についてはエプリノメクチンB1aということで、B1aのみを分析対象 としております。B1bが1割ありますけれども、国際基準についてもB1aのみですし、 あと、動態についてもB1aとB1bが特に異なっているわけではありませんので、B1aだ けで特に問題はないと考えております。  分析法について記載されております。  そして「(2)組織における残留」ということで、4ページの下辺りから記載がされて おります。  5ページに表1ということでエプリノメクチンとしては500μg/kg体重/日を単回背正 中線に直接塗布したときの食用組織中のエプリノメクチンB1a濃度ということで、残留 試験成績の結果が出ております。表2も別の試験ですけれども、残留試験成績の結果が 出ております。  (2)として泌乳牛の結果が出ております。  6ページの表1、表2ということで、乳の値が出ております。0.5日、1日、1.5日、 2日ということで、半日刻みでデータがありますけれども、乳については、投与直後は 定量限界以下に対して2日、3日辺りである程度高い値になっており、10日を過ぎた辺 りで、また定量限界程度に下がっております。  あと、シカについて、1.5倍量のデータが6ページの一番下の(3)のところに書かれて おります。  7ページの頭のところに、エプリノメクチンとして、1.5倍量である750μg/kg体重/ 日を単回背正中線に直接塗布したときの組織中エプリノメクチンB1a濃度ということで 表が記載されております。  それで、許容一日摂取量ということで、食品安全委員会の評価がなされております。 エプリノメクチンとして0.004 mg/kg体重/日というADIが設定されております。  諸外国における使用状況ですけれども、米国、EU、オーストラリア、カナダ、ニュ ージーランドを調査したところ、すべての国で牛に、オーストラリア、カナダ、ニュー ジーランドで鹿に使用が認められております。  また、JECFAにおいて評価がなされておりまして、JECFAの評価はADIと して0.01 mg/kg体重/日が設定されております。  基準値案ですけれども、残留の規制対象としてエプリノメクチンB1aとしたいと考え ております。  食品安全委員会による食品健康影響評価において、主要な残留物はエプリノメクチン B1aであり、乳汁及び肝臓における適切な残留マーカーであると評価されており、また 各国においても分析対象物質として、エプリノメクチンB1aが用いられているためエプ リノメクチンB1aのみを規制の対象といたしました。  基準値案が別紙1ということで、9ページにあります。差し替えの訂正部分について は、網かけの数字がすべて間違っておりました。申し訳ありません。  あと、オーストラリアのところで、オーストラリアの基準値で「その他の陸棲哺乳類 に属する動物の肝臓」が空欄になっておりますけれども、2 ppmになります。  それから、オーストラリアの「その他の陸棲哺乳類に属する動物の腎臓」、ここも空欄 になっておりますけれども、2 ppmになります。  基準値案について説明をさせていただきますが、まず、牛の筋肉について、現行の基 準値が0.10 ppmとなっております。  これは、ポジティブリスト制度施行前に既に基準値があったもので、その当時、恐ら く牛の脂肪のところで、0.25 ppmという値が小数点2桁あったために、ほかの牛の筋肉、 肝臓及び腎臓についても小数点2桁まで取っていたと考えられますが、国際基準の値が、 例えば牛の筋肉であれば0.1 ppmということで、小数点1桁までになっておりますので、 今回、牛の筋肉については0.10 ppmから0.1 ppmに変更したいと考えております。  牛の脂肪については、国際基準が0.25 ppmということもありますので、ここは変更し ないということです。  牛の肝臓については、基準値の現行が2.00 ppmになっていますが、国際基準と整合性 をはかりまして、2 ppmに変更したいと思います。  あと、牛の腎臓についても同様に0.30 ppmから0.3 ppmに変更したいと考えておりま す。  その他の陸棲哺乳類に属する動物、例えば、オーストラリアでは休薬期間が0日とな っております。残留試験成績については7日のデータ、しかも1.5倍量のデータしかご ざいません。そういう点で、少しデータとしては足りない印象もありますが、皮膚に塗 布するということで、吸収がゆっくりということもありますので、7日のデータで基準 値を置きたいと考えております。  オーストラリアの基準値が0.1 ppmということもありますので、基準値案は0.1 ppm、 その他の陸棲哺乳類に属する動物の脂肪についても、残留試験成績から0.1 ppmという 値を置きたいと考えております。  その他の陸棲哺乳類に属する動物の肝臓について、オーストラリアの基準値を参考に 基準値の現行が2 ppmとなっておりますが、残留試験成績を見ますと、ppbということ でかなり低い値になっております。そういうこともありますので、0.3 ppmという値を 置きたいと考えております。  その他の陸棲哺乳類に属する動物の腎臓についても同様に残留試験成績から0.3 ppm という値を置きたいと考えております。  牛の食用部分については、牛の肝臓を参考とし、2 ppmという値を置きたいと思いま す。  その他の陸棲哺乳類に属する動物の食用部分については、肝臓と腎臓の値があります ので、それを入れたいと考えております。  10ページにADI比を算出しております。国民平均、幼小児、妊婦、高齢者ともかな り低い値になっております。  最後のページになりますけれども、答申案ということで、先ほど申し上げました基準 値案を答申案としたいと考えております。御審議のほどお願いいたします。 ○大野部会長 ありがとうございます。それでは、御審議いただきたいと思います。  まず、薬理作用ですけれども、いかがでしょうか。  尾崎先生、お願いします。 ○尾崎委員 薬理作用に関する記述はこの剤だけやたらと長い文章になっています。私 なりに半分ぐらいにしました。赤を入れましたものを後ほど事務局にお渡ししますので 見ていただければと思います。 ○大野部会長 お願いします。井上先生、いかがですか。よろしいですか。 ○井上委員 はい。 ○大野部会長 ありがとうございます。  それでは、尾崎先生に修正していただいた案を、事務局に送っていただいて、修正し たものを皆さんに送ってもらって確認するということでよろしいですか。 ○尾崎委員 読み上げましょうか。 ○大野部会長 では、お願いします。 ○尾崎委員 資料5−2の用途、寄生虫駆除剤の4行目からが薬理作用になりますけれ ども、「エプリノメクチンの作用機序は、アベルメクチン系化合物に共通する作用機序、 すなわち寄生虫の筋肉細胞及び神経細胞に存在するグルタミン酸開口型塩素イオンチャ ネル活性を高めて、筋肉細胞及び神経細胞に過分極を生じることにより寄生虫の麻痺に よる駆虫作用をもたらすと考えられる」、というふうにすれば半分ぐらいになります。 ○大野部会長 ありがとうございます。それでは、代謝物についてはいかがでしょうか。 エプリノメクチンB1aの本体を測定するということですけれども、データに基づくと、 未変化体が一番多く認められるということで、山添先生よろしいですか。 ○山添委員 ほとんどサイズも大きくて、そのままの形みたいですので、多分、これは P-gpのポンプに乗っかって排泄されるタイプの典型的なものだろうと思います。 ○大野部会長 ありがとうございます。次に、毒性の面ですけれども、この毒性のとこ ろには、NOAELのデータは書いていないんですけれども、動物薬はいつもこうでし たか。NOAELは書いてあって、それで安全係数で、それでADIをいくつというの を決めていたと、農薬の方はそういう書き方になっていますけれども。 ○事務局 確かに今までは、食品安全委員会の評価書を見ればわかりますので、NOA ELと安全係数については書いてはいなかったんですけれども、農薬では書いています ので、今回からは入れたいと思います。 ○大野部会長 では、同じようにお願いします。 ○基準審査課長 具体的に直す内容については、一応部会長の方に御了解いただいた上 で。 ○事務局 直した上で、御了解いただきたいと思います。 ○大野部会長 では、農薬の方と同じような書き方にするということでお願いします。  そのほか、毒性の部分で、鰐渕先生、いかがでしょうか。よろしいですか。 ○鰐渕委員 はい。 ○大野部会長 ありがとうございます。それでは、分析法についてはいかがでしょうか。 特にございませんか。 ○斉藤委員 特にないんですけれども、1つだけ確認なんですけれども、これは基はア ベルメクチンB1a、B1bから作られていて、基のものが90%であるから規制対象はB1a だ けだというふうにとらえてよろしいかと思うんですけれども、確かに基が決まっていれ ばいいんですけれども、基は発酵ですから、変化することはないんですか。 ○事務局 変化ですか。 ○斉藤委員 変化です。要するに比率の変化です。B1aが90%以上、たしか資料だと92% でしたか、そういうふうに記載されていたんですけれども、あれは常に92%で一定と思 っていていいものなんでしょうか。私は発酵の方はわからないんですけれども、つまり、 基が変わったらば、例えば1対1になってしまったら、B1bも当然対象になってしまう だろうと。  それで、送られてきたクロマトグラムのデータを見ると、ちゃんとB1bも、投与後何 日かのデータにはちゃんとピークとして出ているんです。ですから、増えた場合には当 然そちらも増えるだろうということは予想されるんですけれども、今、前提が90%だか ら、残りは10%以下だから無視していいだろうという前提なんですけれども、大本の原 材料は、常に変化がないということは担保されていますかということです。 ○基準審査課長 これはこの資料ではわかりませんけれども、動物用医薬品ですので、 規格が定められていると思いますが、農林水産省さんお答えいただけますか。 ○農林水産省 それでは、私の方から回答させていただきます。一応製剤の原体の規格 の方にB1aが90%以上という規格を定めておりますので、そこの規格を外れるものは製 剤にできないということになります。それ以後の製剤化の過程等では変化をしないとい うことが確認されております。 ○斉藤委員 製剤を基に原料としていると考えてよろしいわけですね。アベルメクチン 製剤からつくられていると。 ○農林水産省 アベルメクチンを修飾した後に、エプリノメクチンを作った後に規格で B1aが90%以上であるということは確認してございます。 ○大野部会長 ありがとうございます。そのほか分析法について何かコメントはござい ますでしょうか。よろしいでしょうか。  それでは、分析結果と、基準値と併せて御意見を伺いたいと思いますけれども、いか がでしょうか。  いつもやっていることかもしれませんけれども、牛の食用部分というのはどこを指し ているんでしたか。 ○事務局 例えば肝臓、腎臓以外になりますので、小腸などになると思います。 ○大野部会長 これは、今までもその他の牛の食用部分とか、そういう書き方はしてい なかったんですね。これで表現としてはよろしいんですかね。 ○事務局 そうですね。食用部分というふうに書かれています。 ○大野部会長 では、牛の食用部分というだけで、上にリストアップされているもの以 外の部分という理解でよろしいわけですね。 ○事務局 そうです。 ○大野部会長 わかりました。ほかに御意見はございますでしょうか。  それでは、御意見がないようでしたら、薬理作用のところは簡潔に修正させていただ きましたので、そこの修正と、資料の間違いの訂正がございました。そういったことを 踏まえた上で、この答申案をこの部会の答申としてよろしいでしょうか。 (「はい」と声あり) ○大野部会長 ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。  それでは、次の品目ですけれども、次は、オメプラゾールについて説明をお願いいた します。 ○事務局 オメプラゾールについて御説明をさせていただきます。用途については馬の 胃酸分泌阻害剤ということで、胃潰瘍の治療、胃潰瘍の再発率の低下及び胃潰瘍悪化の 軽減です。  オメプラゾールは、胃酸分泌阻害剤ということで、非常に有名な薬だと思います。  今回の残留基準設定については、農林水産省よりオメプラゾールを有効成分とする製 剤、ガストロガードの承認申請がなされたことに伴い、内閣府食品安全委員会において、 ADI設定がなされたことによるものです。  2ページに、適用方法及び用量が記載されております。対象動物はウマです。使用方 法は4mg/kg体重/日を、28日間連続して経口投与です。日本で承認申請がなされていま すので、承認申請がなされたところについて下線を引いております。  2ページ目の中ほどに「2.対象動物等における分布、代謝」ということで、分布、 代謝試験がなされております。  まず、静脈内投与になります。  そして、3ページの頭から(2)ということで経口投与のデータが出ております。  (3)が排泄、そして(4)が組織分布になります。組織分布については、4ページ にも続いておりまして、あと4ページの中ほど(5)ということで代謝物のデータも出 ております。  5ページには、オメプラゾールと代謝物についての記載があります。代謝物がA、B、 C、D、E、F、G、H、I、Jということで、各種出ております。  6ページにどの動物でどの代謝物が生じるのかということが表に記載されております。 マウスでは、代謝物A、B、そしてラット、イヌ、ヒト、ウマということで、幾つかの 代謝物が出ております。  オメプラゾールの代謝パターンは、動物種間で質的には同じであると考えられており ます。マウス、ラット、イヌの代謝パターンで差が見られたのは、主に量的な点であっ た。すべての動物種で量的な差はあるが、オメプラゾールは以下のように代謝されると いうことで、  (1)ベンズイミダゾールの6位の芳香族ヒドロキシル化(その後グルクロン酸化)、  (2)として、メトキシ基のいずれかのО-脱アルキル化(その後、ベンズイミダゾール環 についた水酸基の硫酸エステル生成)、  (3)として、5-ピリジンメチル基の脂肪族ヒドロキシル化の後、得られたアルコールが 対応するカルボン酸に酸化、  (4)として、スルホキシドがスルフィドに還元あるいはスルホキシドがスルホンに酸化、 という代謝経路を取ります。  代謝物について、半減期が記載されておりまして、終わりの方ですけれども、代謝物 Aの半減期は10分であるのに対して、代謝物Bの半減期は、より長く2時間以上の終末 半減期を有するが、ラット及びヒトで7日間投与後に蓄積性はなく、イヌに7年間毎日 投与した後でも薬理学的な動態に変化は認められなかったとされております。  オメプラゾールの代謝物の薬理活性、特性について実験動物で検討した結果、薬理活 性を有する可能性がある代謝物はオメプラゾールスルフィド(代謝物B)のみでありまし た。そのオメプラゾールスルフィドは、オメプラゾールに変換されるか、活性体である スルフェナミドに酸化されることにより薬理活性を有します。ウマにおいては、オメプ ラゾールスルフィドは多くの代謝産物の一つで、実質的には、ウマの可食組織中の総放 射能の少量を占めるにすぎず、マイナーな代謝経路です。  あと、スルフィド代謝物は高い極性を持つため、細胞内に浸透することが難しい。加 えてスルフィド代謝産物中の硫黄はスルフェナミドを形成するものとして不適切な酸化 過程であることから、代謝産物はスルフェナミドにほとんど変換しないと考えられてい る。したがって、投与72時間後では残留自体が非常に微量である上にスルフィド代謝物 からスルフェナミドにほとんど返還されないことから、ヒトに対する薬理効果を有する ほどの活性を有する代謝産物は生成されないと考えられております。  ということで、対象動物における残留試験結果ですが、分析の対象はオメプラゾール の未変化体としております。  ウマにおける残留試験の成績ということで、7ページの中ほどに表がありますけれど も、1日目、3日目、5日目ということで、1日目の小腸で少し定量限界以上の値が出 ている以外はすべて定量限界未満でした。  あと、本薬については、基本的には競争馬のみに用いられるため、恐らく本薬が食用 のウマに供されることはないと考えております。  それで、許容一日摂取量評価について食品安全委員会は、オメプラゾールとして0.007 mg/kg体重/日という値を設定しております。  残留基準の設定ですけれども8ページになります。基準値については(1)使用される動 物種が馬に限られており、頻繁に食用に供する動物種ではないこと、(2)として、残留試 験結果から馬の食用組織にはほとんど残留しないこと、(3)EUにおいて毒性、使用形態、 吸収排泄、代謝及び蓄積性に関する評価結果に基づき、基準値を設定する必要がない物 質とされていること、(4)米国、オーストラリア、カナダにおいて食用に供する馬への使 用は認められておらず、基準値は設定されていないことから、本剤については残留基準 を設定しないこととしております。  また、馬の食用組織において一律基準まで、本剤が残留したと仮定した場合、理論最 大摂取量のADIに対する比は0.001%未満になります。  ということで、答申案としては、最後のページになりますけれども、オメプラゾール については、食品規格を設定しないことが適当であるということで、一律基準での管理 をしたいと考えております。御審議のほどよろしくお願いいたします。 ○大野部会長 ありがとうございます。では、ただいまの御説明について御意見を伺い たいと思います。  薬理作用については、皆さん御存じのことだと思いますけれども、これでよろしいで すかね。 (「はい」と声あり) ○大野部会長 ありがとうございます。代謝物とかはどうでしょうか。  ちょっとわからないところがあるんですけれども、6ページから7ページにかけて、 スルフィド代謝産物中の硫黄はスルフェナミドを形成するのに不適切な酸化過程にある ことから、スルフィド代謝産物はスルフェナミドにほとんど変換されないと考えられる、 とありますが山添先生、いかがでしょうか。 ○山添委員 ここの文章はすごく難しいです。スルフィドは、結局薬効を発揮するのに、 もう一度酸化を必要とするので、実際には、薬効にほとんど寄与しないと考えられてい るという表現でいいんだと思うんです。 ○事務局 わかりました。では、そのように修正したいと思います。どうもありがとう ございます。 ○大野部会長 ちょっと不思議だなと思ったのは、代謝物Bが薬理活性を有する可能性 があると書いてあるので、そうすると戻るのかなと思ったんです。 ○山添委員 ここのところが難しいのは、実は、硫黄の酸化反応は、プロダクトが酸化 されてスルホキシドになるんですけれども、実はこれは立体特異性があって、SとRに なります。片方だけが薬効を持っています。  ですので、立体選択的に酸化をされて、薬効のある基の薬物側に、基の薬物もラセミ 体なんです。ですから、どっちもR、Sがあって、片一方だけ有効なんです。ですので、 どちらに行くのかわからないと、薬効の問題点が出てくるので、ヒトの方では最近では、 立体に分けたものも薬にされているんですけれども、これはウマ用なので、そのまま使 われているんですけれども、ですから、余り詳しく書くとよけいに混乱するので、さっ き言ったように、薬効を発揮するには、更に酸化的な過程を必要とするので、実際には 寄与しないと考えられるとしておけばいいと思います。 ○大野部会長 それでは、そのように修正をお願いします。また、細かいところで、メ モが取りにくかったら山添先生に確認してください。 ○事務局 その際はよろしくお願いいたします。 ○大野部会長 分析対象物質、食品中の分析結果、基準値等、全体として御意見はござ いますでしょうか。 ○事務局 あと、先ほどの御指摘もありましたけれども、ADIの根拠となったNOA ELと、安全係数ですね。それについては、これに書いていなかったので、それについ て書きたいと思います。 ○大野部会長 お願いいたします。それでは、毒性学的にも別に問題ないですね。人間 でいっぱい使われているものですからね。 ○鰐渕委員 毒性のところで、NOAELを置いているのが、13週のデータが0.5 mg/kg 体重/日なんですけれども、1年間の慢性毒性の方の0.7 mg/kg体重/日を根拠に、最終 的に置いているというのは、要は、13週の方で取っているのが非常に幅広くとっている ので、0.5 mg/kg体重/日の上が5 mg/kg体重/日なんです。設定がどんと落ちたところ で出ていないので、0.7 mg/kg体重/日というのが慢性毒性の方で出ていますので、そち らの方でいいだろうということに決めているということ、それでいいかと思います。 ○大野部会長 わかりました。どうもありがとうございます。  それでは、結論として、食品規格を設定しないことが適当であるという答申案ですけ れども、これについてはよろしいですか。 (「はい」と声あり) ○大野部会長 それでは、幾つか修正がありましたけれども、オメプラゾールの答申案 をもってこの部会の答申としてよろしいでしょうか。 (「はい」と声あり) ○大野部会長 ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。  それでは、今日の最後の品目でございますけれども、ヒアルロン酸ナトリウム及びヒ アルロン酸ナトリウムを有効成分とする馬の注射剤(ハイオネート)の御説明をお願いい たします。 ○事務局 それでは、ヒアルロン酸の説明をさせていただきます。用途については、馬 の非感染性関節炎の治療になります。  ヒアルロン酸ナトリウムは、多細胞生物で自然に産生される多糖類で、生体内に広く 分布する細胞外基質になります。  外因性ヒアルロン酸ナトリウムの治療効果は、静脈内に投与され滑膜の血管に移動し た高分子のヒアルロン酸ナトリウムが代謝される前に、滑膜細胞を刺激、すなわち軟骨 細胞を活性化することにより、内因性ヒアルロン酸ナトリウムの産生を促進させて、滑 液のヒアルロン酸ナトリウム濃度の低下を抑制することで、発現されると考えられてお ります。  今般、農林水産大臣よりヒアルロン酸を有効成分とする製剤(ハイオネート)の静脈内 投与について承認を受けた後、所定の期間が経過したため、再審査申請がなされたこと に伴い、内閣府食品安全委員会において食品健康影響評価がなされたものです。  2ページ、適用方法及び用量について、ウマの関節腔内、1関節当たり20mg、または 静脈内40mg/頭に1週間間隔で最高3回まで反復投与を行います。  分布代謝の試験が行われておりまして、まず、ウサギにおける分布、代謝ですが、2、 6、18mg/kg投与後の消失半減期はそれぞれ40分、2.5時間、及び5時間というかなり 早い段階で消失をいたします。  ヒアルロン酸ナトリウムを10mg/kg静脈内投与した後の組織内濃度は、特に細胞内皮 系組織の脾臓及び腎臓で比較的高く、投与後8時間で最高濃度に達し、以降、徐々に低 下しました。  心臓、肺及び、腎臓では投与後、5分から4時間後にやや高く、それ以降低下をしま した。その他の組織濃度は、脾臓中濃度の10分の1から数分の1程度でありました。  あと、ラットについての分布試験がなされておりまして、ラットの静脈にヒアルロン 酸ナトリウムを投与したところ、消失半減期は0.4、2、10mg/kgの用量で、それぞれ9 分、32分及び2時間ということで、かなり早い段階で消失をいたします。  3ページです。諸外国における評価状況と評価ですけれども、米国、EU、オースト ラリア、カナダ及びニュージーランドにおいて、馬に使用が認められております。  なお、JECFAにおいては評価されておりません。  それで、許容一日摂取量(ADI)評価ということで、食品安全委員会が以下のとおり 評価をしております。  「本製剤の主剤であるヒアルロン酸ナトリウムは、元来あらゆる哺乳動物の体内に分 布する物質である。食肉の食経験があり、安全性上問題となる蓄積性は認められず、240mg のヒアルロン酸含有錠剤食品を摂取しても有害事象は認められていない。さらに、安全 性を懸念させる研究報告も認められないとされている。  以上より、本製剤が適切に使用される限りにおいては、食品を通じてヒトの健康に影 響を与える可能性は無視できると考えられる」 という評価をしております。  基準値案ですけれども、ヒアルロン酸は哺乳動物の結合組織中に広く、かつ大量に分 布しております。  あと、血清中にも分布しておりまして、血清中に4μg/mLという値が含まれておりま す。それで、肉のヒアルロン酸の天然含有量については、調べられておりませんけれど も、血清中の濃度が約4ppmであるのに対して、体重1kg当たり0.08mgの投与というこ とで、非常に少ない量しか投与されません。  そういうことで、恐らく肉には移行はするとは思うんですけれども、ヒアルロン酸は わずかであろうと思います。  4ページの最後にありますとおり、以上を考慮すると、ヒアルロン酸は動物用医薬品 として使用した場合に、特段ヒトの健康を損なうおそれがあるとは考えにくいことから 残留基準を設定しないこととしたいと考えております。  最後のページなりますけれども、答申案ということで、ヒアルロン酸については、食 品規格を設定しないことが適当であるとしたいと考えております。御審議のほどよろし くお願いいたします。 ○大野部会長 どうもありがとうございました。それでは、審議をお願いいたします。 ここの表現が、用途のところの第2パラグラフの2行目からが、この作用というのはよ ろしいんですか。ちょっとわかりにくかったんですけれども、ヒアルロン酸ナトリウム が、代謝される前に、滑膜細胞を刺激して軟骨細胞を活性化することによって云々、そ のもの自身がそのものの合成を促進させる、今まで、そういうのはありましたか。 ○尾崎委員 私も、ヒアルロン酸の薬理作用を知らなかったのですけれども、2段落目 の一行目「静脈内に投与され」からずっと続いて、「滑膜細胞を刺激」までの文章は要ら ないですね。要するに、ヒアルロン酸がヒアルロン酸自身の産生を盛んにするというこ とが確かであれば、そこをきちんと確認した上でということになりますが、この段落の 1行目から3行目にかけての文章は削除してしまっても構わないと思います。 ○大野部会長 そうですね。よくわからなかったんです。これはどこから引用した文章 なんですか。食品安全委員会の評価書の方だと、分解された後、それが滑膜の中に入っ て、そしてまた合成し直される、非常にわかりやすいんですけれども。 ○事務局 では、御指摘を踏まえて、書き換えたいと思います。その際は皆様に確認し ていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 ○大野部会長 では、修正案の作成をよろしくお願いいたします。  山添先生、お願いいたします。 ○山添委員 今回、微生物由来のヒアルロン酸が製剤化されたと書いてあるんですが、 そのものはいわゆるヒトとか哺乳類のものと、物質的には同じものと考えていいんです か。なぜならば、今回静脈内に入れていて、もし構造が違うと、免疫原性が出たら高分 子なので、そのことと、今までと使い方が違い、いきなり静脈内に入れますので、その ことは、テストをされているのかどうかということになる。もし同じであればいいんで すけれども。 ○農林水産省 今、手元に資料がないのではっきり確認できないんですけれども、これ は6年ほど前に承認されており、その際に、違うものであるといった御指摘を踏まえて 安全性等の検討をしているかということになりますが、今、資料をいただいたので確認 をさせていただきます。 ○大野部会長 では、確認している間、ほかの御意見がありましたら伺いたいと思いま す。  では、薬理作用のことは今調べていただくということで、分布、代謝についても同じ ことですね。そこも含めてほかに御意見ございますしょうか。  佐々木先生、お願いいたします。 ○佐々木委員 4ページの最後の行なんですが、文章が「おそれは」と「が」が重なっ ているということと、もう少し簡単に、おそれはないとか言い切るわけにはいかないん でしょうか。おそれがあるとは考えにくいというのは、すっきりしないような気がしま す。 ○大野部会長 そうですね。天然のものというか、動物体内に存在するものとかヒトの ものと同じだったらいい切ってもいいと思うんですけれども。 ○事務局 そうであれば、ここの部分についても、わかりやすく書きたいと思います。 ○大野部会長 では、農林水産省の御意見を伺ってから。 ○農林水産省 一応、構造の件なんですけれども、基本的な構造については、分離した ものと、構造や立体はほぼ同じであるということで記載されておりまして、ただ、微生 物から採った場合は、デルマタン硫酸であるとか、コンドロイチン硫酸、その他哺乳類 では入っているものが、入っていないものが幾つかあるというふうには記載されていま す。  それを注射することについてなんですけれども、ウマに注射しますので、何らかの影 響を示さないか等については、実際にウマを使った安全性試験というのが行われており まして、十分な安全性が確認されたということで承認されているものと理解しています。 ○大野部会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。  吉池先生、お願いします。 ○吉池委員 表現のことだけですが、「ボランティア」によるという表現があります。そ の前がずっとウマのことが書いてあると思いますが、ボランティアですから、きっとヒ トだと思うのですが、また、投与経路が書いていないので、「ヒト」ということと、投与 経路をここに入れておいた方がいいと思います。 ○事務局 ありがとうございます。 ○大野部会長 では、ヒトと投与経路を記載してください。お願いします。  ほかに御意見ございますでしょうか。  では、先ほどの、このものが、体にあるものと同じかどうかというのは、若干違うと ころもあるけれどもほぼ同じだということでよろしいですか。ですから、健康を損なう おそれはないと考えられるということからという表現ですね。 ○山添委員 もし、きちんとしたデータがあるのなら、抗原性についてはないというこ とが確認されているということがあれば、それだけ記載しておけばいいと思います。 ○事務局 ありがとうございます。 ○大野部会長 では、それについても記載してくださるようお願いいたします。  ほかに御意見ございますでしょうか。よろしいですか。  それでは幾つか修正がございましたけれども、答申案としては、ヒアルロン酸につい ては、食品規格を設定しないことが適当であるという結論の案ですけれども、その案を 含めて、答申案はこれでよろしいでしょうか。 (「はい」と声あり) ○大野部会長 ありがとうございます。では、これを修正した上で、これをこの部会の 答申とさせていただきます。また、幾つか今日の文章の中で、修正事項で皆さんに確認 していただくところがございますけれども、それについては確認をお願いいたします。  それでは、事務局から今後の手続きについての説明をお願いいたします。 ○事務局 申し訳ありません、ヒアルロン酸については、説明が抜けていたんですけれ ども、本薬については残留基準は設定いたしません。ということで、残留基準を設定し ない場合は、天然含有までの残留を認めるという形の規制になります。それを言い忘れ ておりまして申し訳ございません。 ○大野部会長 わかりました。ありがとうございます。  それでは、今後の手続きについて、事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局 ちょっと私の説明がまずくて申し訳ありません。このヒアルロン酸について、 天然含有ということになるんですけれども、先ほども申し上げましたとおり、肉につい てのデータがありません。ないんですけれども、恐らくは本薬の投与によって、肉のヒ アルロン酸の量が変動することは恐らくないと思われますので、あえて肉についてのデ ータを求める必要はないのかなと思いますが、その考え方でよろしいでしょうか。 ○大野部会長 よろしいんではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。その考 えでよろしいですか。 (「はい」と声あり) ○大野部会長 では、ありがとうございます。それでお願いいたします。 ○事務局 どうもありがとうございました。不手際があって申し訳ありませんでした。  それでは、今後の手続きについて説明をさせていただきたいと思います。本日、御審 議いただきました動物用医薬品エプリノメクチン及びオメプラゾールにつきましては、 食品安全委員会からの通知を待って部会報告書とさせていただくこととします。  農薬クロチアニジン、チアメトキサム及びフェンブコナゾール並びに動物用医薬品ヒ アルロン酸につきましては、食品安全委員会からの通知を受けていることから、すみま せん、先ほどのエプリノメクチン、オメプラゾールについても修正がありますので、修 正点を先生方に確認をしていただいた上で部会報告書とさせていただきたいと思います。  あと、農薬アセタミプリドについては、御指摘いただいた件につきまして整理させて いただいた後、再度御審議していただくこととさせていただきます。  なお、今後の手続きにつきましては、食品衛生分科会にお諮りするとともに、農薬ク ロチアニジン、チアメトキサム及びフェンブコナゾール並びに動物用医薬品エプリノメ クチンについてはパブリックコメント、WTO通報の手続きを進める予定としておりま す。 ○大野部会長 ありがとうございます。そのほか、何かございますでしょうか。 ○事務局 次回の本部会の開催日程につきましては、2月3日火曜日午後を予定してご ざいますが、後日委員の日程につきまして御確認させていただきたいと存じます。詳細 につきましては、追って御連絡申し上げます。 ○大野部会長 2月3日は、私の予定表で一度書いてあったのを消してありますけれど も。 ○事務局 そちらにつきましては、先日、もしかしたら1月に動かすかもしれないとい うことで、御連絡差し上げていたんですが、結局変更しないということで、再度連絡さ せていただいたところです。 ○大野部会長 そうですか。わかりました。どうもありがとうございました。  ほかに御意見ございますでしょうか。連絡事項等ございますしょうか。よろしいでし ょうか。 ○事務局 特に議事はございません。 ○大野部会長 ありがとうございます。それでは、以上をもちまして、本日の部会を終 了させていただきます。  どうもありがとうございました。 照会先:医薬食品局食品安全部基準審査課残留農薬係、乳肉水産基準係 (03−5253−1111 内線4281、2489)