08/12/08 第4回周産期医療と救急医療の確保と連携に関する懇談会議事録 第4回周産期医療と救急医療の確保と連携に関する懇談会         日時 平成20年12月8日(月)          18:00〜         場所 厚生労働省17階専用第18〜20会議室 ○指導課長 ただいまより、「第4回周産期医療と救急医療の確保と連携に関する懇談 会」を開催させていただきます。委員の皆様方におかれましては、大変ご多忙のところ ご参集いただきまして、誠にありがとうございます。本日は、阿真委員、嘉山委員、杉 本委員、田村委員がご欠席との連絡をいただいております。  次に、本日新たにおいでいただいている参考人をご紹介します。東京都立東部療育セ ンターの有馬正高院長です。また、舛添厚生労働大臣は若干遅れて到着されると伺って おります。  次に、お手元の資料の確認と簡単な説明をします。上から議事次第、開催要綱、構成 員名簿。資料1「第3回周産期医療と救急医療の確保と連携に関する懇談会議事要旨」 については、委員の先生方からご意見等ありましたら、後ほどでも結構ですので、いた だければと思います。資料2「短期目標として実現可能な対策について(骨子案)」、 前回の議論を踏まえて、骨子案の内容をさらに書き込んだものです。  資料3は、医政局と雇用均等・児童家庭局、総務省消防庁、東京都の連名ですが、そ もそもこの懇談会を開催するに至った原因となった母体搬送に係る事案について、搬送 を受け入れられなかった病院からの聴き取り調査を行いました。その受け入れられなか った理由、原因、さらに背景、そのほか現場からの意見等をまとめたものです。1頁は 調査の対象となった施設の名簿、2頁が調査方法として聴き取りを行ったというもので す。3頁以降が調査結果の概要で、搬送を受け入れられなかった理由としては、表1が 墨東病院を中心とする東部ブロックにおける搬送事案についてですが、MFICUの満床、 NICUの満床等、病床の満床が直接的な理由として挙げられております。4頁の表2が多 摩ブロック、杏林大学医学部附属病院を中心とした搬送事案の件です。そこにあります ように、対応の際に当直の医師が多忙であったこと、またNICU、MFICU等が満床であ ったという理由が、それぞれの病院から述べられております。  5頁ですが、「母体搬送を受け入れられなかった原因及びその背景等に関する医療機 関の意見」ということで、各医療機関から伺った意見は以下のとおりです。「医師の不 足」がまずあって、産科医、新生児科医など周産期医療を担う医師が絶対的に不足して いること。さらに、新生児集中治療室(NICU)が不足しているということ。さらに、NICU の不足に加えてNICUの後方病床(GCU等)やそのほかの退院先の病床(重症心身障害児 施設を含む)が不足しているという指摘があります。さらに、その下の○で「産科病床 の不足」ということで、このような病床の不足が指摘されております。  6頁ですが、「情報の照会や伝達等に関する事項」ということで、周産期医療情報シ ステム、救急医療システムなどについての議論です。  3番は、その他各医療機関からの意見・提言です。周産期医療施設については、「周 産期医療においては、産科等の周産期関連の診療科だけでは対応できない状況の発生も あり得ることを念頭に置いた上で、母体救命に対応できる仕組みを考えるべきではない か」、あるいは「コーディネートできるセンターがあってもいい」。7頁ですが、「周 産期医療を担う医師への支援・負担軽減等について」ということで、「産科医の報酬を 労働量に見合ったものに改善するべきだ」という意見、あるいは「医療クラークの普及 ・配置」といった提言があります。  さらにその下の○で、「地域における周産期医療体制の構築」ということで、オープ ンシステム等々が指摘されております。  8頁は「その他」ということで、ここでも「コーディネーターの活用」が指摘されて おります。  資料4ですが、お手元にはまだ届いておりません。いま鋭意印刷中で、間もなくお手 元に届くことになっております。  資料5は文部科学省からの提出資料で、「『大学病院の周産期医療体制整備計画』に ついて」ということで、NICUの整備などについての記述です。  それに加えて、参考資料として、東京都周産期医療協議会が先月末に開かれておりま すが、その際の資料を一部抜粋したものです。そのあとに「有馬参考人提出資料」、「池 田委員提出資料」、「海野委員提出資料」、「田村委員提出資料」、「藤村委員提出資 料」、「岡本参考人提出資料」があります。さらに加えて、追加資料として総務省消防 庁から「第4回救急業務高度化推進検討会資料(一部抜粋)」、また「東京都立東部療 育センターのパンフレット」があります。以上が、資料全体です。  それでは、議事に入ります。岡井座長、よろしくお願いします。 ○座長(岡井) それでは、早速議事に入ります。いまご説明いただいた資料3の聴き 取り調査に関して、何かご質問等がありましたらお受けしたいと思いますが、よろしい でしょうか。  この中で現場の医師からの意見として書かれていること、ほとんどはこの会でも問題 点として挙げられたことだと思いますが、ここで挙がらなかったこととして、救急の患 者を受け入れるにあたっては、責任問題に関する配慮が必要なのではないかということ が言われていたと思います。これはあまり議論していなかったのですが、今日のメイン のディスカッションではないので、この点もできればあとで時間があれば皆さんからご 意見を聞きたいと思います。  そのあとには、メディアの報道に関する意見もあります。これもいまディスカッショ ンすることではありませんが、目を通しておいていただければと思います。あとは大体 いままでのディスカッションで話題になったことばかりです。この件についてはよろし いですか。  実は、このあと有馬参考人からお話をお聞きする予定だったのですが、少し遅れてこ られる大臣が有馬先生のお話を聞きたいということですので、少し後にお願いすること にして、今日のメインの議題に入ります。  これまで一応順序立ててやってきたつもりで、問題点がどこにあるのか、それに対す る短期的な対応策について議論していただきました。今日は長期的な視野に立って、周 産期救急も含めて救急医療の体制を日本としてどう取っていけばいいのかについて審議 していただきたいと思います。長期的な問題はいくつかあります。その中で、周産期救 急の部門を担当する医師不足、科によって医師の充足度が違っている、いわば偏在を解 決するにはどうすればいいかが1つの大事なポイントになるかと思いますが、それに関 する研究班が厚労省の中にできております。その問題をすべていろいろな点から議論し 始めると、この1回の会ではとても終わりません。そちらの研究班の進行を待って、本 日ここでは救急医療に携わっている医師のインセンティブをどのように高めるか、また 当直等時間外の労働に対する正当な報酬はどうあるべきかという観点から議論をしたい と思います。  もう1つは、勤務を少しでも緩和するというか、適正に近づける勤務体制を取るには どうすればいいかということで、医師不足への対応について議論していただきたいと思 います。  最後に、先ほど言いました長期的な視野に立って日本の救急医療体制をどうするか、 施設の規模の問題や機能、適正配置の問題を議論したいと予定しております。その辺り をディスカッションすると、まだ少し抜けている所があるのですが、骨子案がだんだん 埋まってきて、そこが充実されてくることになります。次の会が最後になりますので、 この会で審議していただいたことをまとめた報告書の案を書かせていただきます。それ を皆さんに審議していただき、いいものにして、最後に提出する予定です。  それを頭に入れていただいて、夜間の勤務に対する適正な報酬をどう見るのか、ある いはそういう厳しい状況で現場で頑張っている医師にどうインセンティブを与えればい いか等について、ご意見をお伺いしたいと思います。今日いただいている資料の中にも その点に関する意見がだいぶ書かれていますので、最初に海野委員から資料の説明も含 めてその辺を整理してご発言をお願いします。 ○海野委員 今日の「海野委員提出資料」についてご説明します。いままでのこの懇談 会の論点は、いろいろな議論がされてきたと思いますが、その中で何らかの形で具体的 な施策につながる可能性がある部分をまとめようと思ってこの私案を出しました。これ は各委員の先生方にはメールでお送りしておりまして、意見をいただいて、この辺は少 しずつ意見が違うという所、下線部分がそういう所になりますが、自分の中で整理して おります。それが1〜5頁です。それ以降は、神奈川と千葉の情報センターのコーディネ ーターがどのように機能しているかのご報告なので、今日の話題とは別だと思います。  16頁からは、私ども総合周産期母子医療センターを中心とした、そこにしかMFICU はないわけですが、MFICUを担当している産科医がグループを作っておりまして、これ は「全国周産期医療連絡協議会」といいます。そこで定期的に調査を行っており、この 調査の一部は前々回の配付資料の中にあったのですが、今年の10月から11月にかけて 定期実態調査を行っております。現在75施設中69施設の回答が出たところで一旦まと めたのが16頁以降の資料です。この数字自身を細かく申し上げている暇はないのです が、それに基づいての提言が16〜17頁にかけてまとめてあります。  いまの岡井座長のお話から言いますと、夜間勤務・当直体制の問題に関しては、18〜 19頁にかけてデータがあります。69施設中シフト制(交替制)勤務を取っている施設は、 いまのところ2施設しかありません。67施設は当直制です。翌日の勤務体制では、5施 設は原則休み、6施設が原則午前中、1施設は原則午後3時までと回答しており、52施 設では通常勤務を行っております。翌日休みと回答した施設からも、実際には仕事があ ってほとんど勤務しているという回答がありますので、少しでも勤務緩和をしようと現 場の努力は始まっているのですが、状況としては当直のあとの連続勤務をほとんどの施 設で行わざるを得ない実態にあることになります。  18頁の真ん中辺りに常勤医師数の表があります。大学病院は医師の数が多いわけです が、大学病院を除く総合周産期母子医療センターは44施設ありますが、ここでは平均で 医師数6.6名です。このような施設の大部分は、産科も婦人科も両方仕事をしており、 その上で総合周産期の機能も果たしています。それで6.6名ですから、これで当直体制 を組むと、翌日休むなどとは到底言っていられないということが現実としてあるのが現 場の実情です。  それを踏まえて、現場の声としては、連続勤務を続けることに関しては、現場として は少しずつでも人数が増えれば改善していきたいという考えですが、現状はやらなけれ ば総合周産期としての機能が果たせないという認識で、みんな頑張ってやり続けている わけです。これはMFICUの実情ですが、NICUはいま申し上げたよりももう少しきつい 状況だろうと思っております。ですから、そのような状況の現場に関して言うと、シフ ト勤務が導入できればそれはそれでいいのかもしれませんが、できない現実を考えると、 そこに関しては特別なインセンティブ、付加的な報酬を払ってもらうしかないのではな いかというのが提言の内容になっております。ただ、病院自体は経営が悪くて、総合周 産期でいくらお金を稼いでも、病院全体としては特別にそこにインセンティブを付けら れるだけの余裕がないということがありますので、これはそういう特別な機能を果たし ている施設であることを前提として、政策的な仕組みでインセンティブを付けていただ く必要があるのではないかと考えております。  1頁の論点整理の最初の「incentiveの付与」ですが、救急現場の入口機能の強化とい うことで、(ア)の(1)の下のほうですが、周産期医療現場はいまどうしても長時間連続 勤務の実態から逃れきれないと。そのような所に関しては、勤務状況を適正に評価する システムが必要になっていくのかなと考えております。 ○座長 ありがとうございました。周産期の中の主に産科の部分を説明していただきま したが、産科に関して池田委員からも資料をいただいているので、いまの関連でインセ ンティブの付与ということで、このような所に財政的支援がいただければということを 中心にお話していただけますか。 ○池田委員 私の資料は薄いものですが、いま海野委員が言われた内容に、実際に私の 役割というか、現場の医師として周産期の地域化をする場合に対して、具体的に顔が見 えるネットワークをどのように張っていくかについてのインセンティブということで説 明します。  図1ですが、「医師と患者の流れからみた周産期システムの再構築」です。患者の移 動だけ見ますと、島が3つあろうかと思います。1つは一次病院という一次の産科施設 で、いわゆる「開業医」と言われるものです。右上の二次・三次病院はいわゆる「勤務 医」で、この中にはNICUの新生児ドクター・麻酔科、そのほかの周産期に関連すると ころで考えていただければいいと思います。  また、今回の場合、どうしても脳出血などの妊婦を救うために、救命救急や脳神経外 科など、「周産期以外の診療科」が必要です。右の2つは同一の病院になることもあり ますが、ここで実際にどれぐらいの患者が全日本で動いているかを考えますと、患者の 動きは6通りあるのですが、(1)母体搬送ということで、これは3大疾患、早産、前期破 水、妊娠高血圧症候群が80%を占めますが、これが全国で年間3万、東京では3,000の 母体搬送があると思います。  (2)はバックトランスファー(逆搬送)ですが、これは地域によってまちまちです。うま くいっている1つの例で、前回宮崎の例をお話しましたが、地域の約10%の分娩がバッ クトランスファーになっております。これが全国で動いた場合には、100万の分娩があ るので、10万の動きがあるだろうと思います。  (3)〜(6)は周産期以外の診療科の問題ですが、まれであろうかと思います。  3頁ですが、医師の動きを加えて赤で示しました。(7)〜(12)ですが、(7)は一次周産期施 設から二次・三次への医師の移動で、オープンシステム、セミオープンシステムと言わ れるものです。これも全国で多い所と少ない所がありますので、例えば宮崎は非常に多 くて、10分の1の分娩でこのように医師が動いておりますので、これを全国ですべてす ると10万となります。  (8)ですが、これも全国で多い所と少ない所があります。いわゆる二次・三次の周産期 施設から一次への医師の移動、新生児の先生は新生児搬送ということで非常に頻繁に行 われておりますが、産科の場合はある所とない所があります。宮崎は、年間約2〜3%の 分娩でドクターが一次施設へ、帝王切開や分娩の手伝い、出血の介助などに行っていま す。もしこれを全部宮崎的にすると、年間で2万〜3万となっております。あとの救急 の関連の(9)〜(12)は、現在大阪で調べているところです。  結論として、最後の頁ですが、医師の動きや患者の動きというところでインセンティ ブを付けていただくときに、全国的に宮崎方式を取るとこのようになるということで、 太さで表しています。宮崎方式の中でいちばん重要だと思うのは(8)で、二次・三次周産 期施設の「勤務医」が一次産科施設に応援勤務に当たるところのインセンティブです。 これは宮崎の中では非常に重要なところだと思いますが、いろいろな報酬の仕方で、例 えば1回10万であれば30億が必要だということです。  2番目に、バックトランスファー、患者が二次・三次から一次に移動するものです。 これは全分娩の10分の1でありどのようにインセンティブするかは難しいのですが、実 際のトランスファーの時期は帝王切開であれば2日目、経腟分娩であれば1日目という ところで、これが可能となれば非常に二次・三次のベッド数に余裕ができ動きがよくな ると思います。  3番目に、(5)、(6)の周産期診療部と「周産期以外の診療部」との患者の移動のインセ ンティブです。現在では救急加算が取れない所も、このように救急加算が取れるように なっていくことがよろしいのではないかと思います。  4番目に、(7)のオープンシステムです。これは産科医が少ない中では促進すべきだと 思いまして、このインセンティブも海野委員が言われたとおりだと思います。最後は、 (3)の一次産科施設から「周産期以外の診療部」との患者の移動も可能となっているのが、 この会の最初から有賀委員がおっしゃっていることだと思いますが、まず最初に救急で 取っていただくことは非常に大事なことだと思いますので、ここに矢印を付けました。 ○座長 ありがとうございました。質疑に関しては、もう少しお話を進めてからまとめ てお願いしたいと思います。  次は、新生児のほうで藤村委員に資料をいただいておりますので、ご説明をお願いし ます。 ○藤村委員 「藤村提出資料」をご覧ください。すでに2回前にもある程度まとめて提 案しましたが、今回は議論を要約して提言の形でまとめました。特に、今回緊急医療の システム、ネットワークが問題になっておりますので、2頁ですが、NICUの立場から図 を作ってみました。解説しますと、真ん中にあるのが総合周産期母子医療センターの存 在する地域です。この地域をどの程度のサイズに取るかは、通常いままでの考え方では 人口100万ですので、これは100万と考えていただいて、この地域に白い四角の地域周 産期母子医療センターがいくつかあると仮定します。左の上ですが、地域には黄色の丸 で示した産婦人科がかなりあると思います。これは開業の先生と一般総合病院の産婦人 科の両方を示しています。  この3つの関係を示すと、産婦人科でハイリスクの妊産婦、新生児が発生したときに、 双方向の矢印は、総合周産期母子医療センターから産婦人科へ向かっている矢印は新生 児を迎えに行く方向、戻るのが新生児を元に戻す搬送です。母体の場合は、産婦人科か ら総合周産期へ母体搬送するという片側になります。「三角搬送」と書いているのは、 総合周産期から産婦人科に新生児科医が救急車に乗って迎えに行って、その赤ちゃんを 別の地域周産期母子医療センターへ送るということです。  我が国の多くの地域で、過去20年近くこのようなシステムが発達してきました。1990 年代に発達したあと、総合周産期母子、地域周産期母子の制度ができて、それから10 年以上経つわけですが、基本的にはこのような体制ができてきているわけです。ほぼ順 調に動いています。但し、「順調に」というのにはいろいろな前提条件があり、総合周 産期母子や地域周産期母子の医師不足によって、非常に医師の疲弊が進んでいるという 意味では、決して順調ではありません。ただ、患者を受け入れられないという事態は、 全国的にそう頻繁に起こっている問題ではありません。  こうした患者は、最終的に回復したあと自宅へ帰ります。これが(1)ないし(2)から自宅 の方向の黒い矢印で、退院です。多くの患者はハイリスク新生児、低出生体重児、ある いはその他のいろいろな小児外科疾患、心臓疾患等も含めていろいろな赤ちゃんがおら れます。最終的に治癒して、あるいは療育中であるけれど、自宅介護は可能です。問題 は、長期療養の子どもで、(1)ないし(2)に退院できずに残るわけですが、総合周産期母子 からは地域周産期母子に一部移っていく。地域周産期母子からは、いちばん下に並べて いる小児科ないし重症心身障害児施設は、在宅ではまだ難しい、あるいは在宅の条件が 整わない等のこども達に、後方支援施設の役割を果す、そのような体制で進めていくの が今後の1つのシステムではないかと思います。  図の表題に「都市型、地方型」と書いていますが、私のイメージでは、このようなシ ステムは都市も地方もそんなに変わらないのではないかと思います。  次に、地域において相互援助システムを育成するということで、上のスキームは「護 送船団方式」ということになるのではないかと思います。総合周産期母子を中心とした 3、4種類程度の医療ないし療育機関と自宅が、全体として相互に援助し合うと、子ども のニードに見合った進め方ができるのではないかということです。実際に、新生児に関 しては全国で医師の疲弊やベッド不足等ありながら、このような形で動いているわけで す。大きな問題としてくたびれてこないのは、ある意味でそうした現場の頑張りがある からだということです。1つの船団の規模として、そこに四角く囲ってありますが、「人 口100万−出生1万−NICU30床−GCU60床−医療的ケア・在宅支援の必要3床」と、 医療的ケア・在宅支援の必要はこれから有馬先生の意見も伺いながらになりますが、一 応3床程度と。地域の例としては、総合周産期母子は1カ所。 ○座長 数の話はまたあとでしていただきますので、インセンティブの実際的なことを ご提言いただきたいと思います。 ○藤村委員 次の頁にインセンティブのことを書きましたが、「労働環境と経営基盤を 改善・強化することなしに、持続可能な改善は期待できない」という点は、これはしっ かりと踏まえていただきたいことです。診療報酬の内容にインセンティブを含ませるこ とは非常に重要で、持続可能というのは、診療報酬があるからこそ続くというのがいま の日本の医療経営方式だと思います。  診療報酬の決定に当たって原価計算方式に政策誘導を加えていただきたいということ で、(1)総合周産期母子医療センターですが、2名の新生児当直が望ましいです。新生児 の集中治療管理料、そして搬送料、GCU加算等について増額が必要ですが、これはイン センティブではなく診療報酬です。医療確保のためのインセンティブとしては、いまは 新生児科の医師が救急車で搬送しても全く手当てがありませんが、是非手当を支給して いただきたい。大体1搬送で3時間ぐらいかかります。さらにハイリスク分娩の立会い、 時間外入院手当などがあります。  先ほど海野委員から交替制の話が出ましたが、小児科では救急を中心に交替制を敷い ている施設がいくつかありまして、いちばん問題になっているのは給料が下がるという ことです。交替制をやることで給料が下がるため、交替制の導入をしない、できないと いうのでは労働時間の軽減がいつまでもできません。この辺りはまたご意見をいただき たいと思いますが、いまのところは当直料が出るから、何とか給料が確保できている人 が多いわけです。  NICU長期入院支援コーディネーターですが、これは退院先の施設との情報交換や患 者さんの支援手続きなどで医師を支援するので、インセンティブの1つに入っています。 診療報酬については、一般小児科、重症心身障害児施設と自宅の介護とありますが、こ れは省略したほうがいいと思います。インセンティブを中心に申し上げたほうがいいで すか。 ○座長 はい。続けて5頁のほうも説明していただければと思います。 ○藤村委員 大阪のNMCSからの提言を2回前に申し上げましたが、大阪のシステムは 30か所近いNICUが30年間にわたって大阪のほとんどすべてのハイリスク新生児を成 功裏に取り扱ってきました。今後も必ずそれはこれからの医療提供体制の基本になって いくと思いますが、4)の「新生児集中治療を今整備するためには」の各項目は強調した いところです。まず「都道府県ごとに総合周産期母子医療センターNICUの増床・増員 計画の提出を求める」、これは是非実施していただきたい。具体的に何をするかという ときに、いま地方は都道府県が周産期医療の医療計画を進めているわけで、知事に増床 ・増員計画を求めるのが妥当だと思われます。具体的なアクションとしては、是非これ をやっていただきたい。  2番は、搬送や深夜業務にあたる医師の特殊勤務の改善です。3の一般小児病棟ですが、 これは回復してきた子どもで退院できない方を受け入れるということで、医療機関に対 するインセンティブということになると思いますが、超重症児管理料、レスパイト入院 管理料の新設は非常に重要だと思います。診療報酬についてはいろいろと時期的な問題 があるかと思いますが、これを是非念頭に置いて進めないと、重症児のNICUからの流 れがよくならないと思います。医療的ケアコーディネーターが参画してこれを進める。 重症心身障害児施設への重症児管理料の充実、これは上の3番と同じです。  NICU病床の確保に関する提言ですが、そこにまとめているように、病床確保では流 れをよくするということで、1)の2.在宅ケアへの地域福祉サービス、訪問看護の充実は 非常に重要だと思います。重症の子どもを抱えて家庭で毎日奮闘するご家族、特にお母 さんは、このまま続けるのは難しい状況がはっきりしております。レスパイト入院は絶 対必要で、これはお母さんが月に1週間でも子どもの介護を病院、あるいは施設にお願 いして、自分の体調を整えリフレッシュするものです。こうしたレスパイト入院は、欧 米各国でもいろいろな施設を通じて行われていますが、日本ではこの目的で小児科に入 院しても診療報酬がありません。ですから、病院はそういう子どもを入院させることが できません。療育施設がレスパイトを行うこともあります。また、これを進めるための コーディネーターが必要です。  NICUへの医師確保対策については、先ほどインセンティブについては申し上げまし た。2.は人材バンクを進めていってはどうかということで、新生児医療連絡会では、全 国的な組織で人材バンクをどうするか、民間委託で進められないか、現在検討中です。 必要なら資料を出したいと思います。  いままでNICUや新生児科と言われてはいますが、標榜科として「新生児科」は承認 されていません。NICUは「新生児集中治療科」という意味なのですが、これはすでに 専門医制度もありますし、標榜科として認めていただくことによって、周産期の体制に おける新生児ベッドの確保が、病院の中でも地域の中でもはっきりしていくのではない かと思います。科を標榜できないから、一般には小児科との区別がついていないのです。  最後の頁ですが、NICUの後方病床の整備としては、先ほど申し上げた診療報酬によ る裏づけが是非必要です。この点数について、政策的な観点も是非含めていただきたい という意味で書いております。  その他、NICUにおいて過重労働を是非禁止する方向で、具体的に人員の計画を進め なければいけないと思います。その際交替制勤務が出てきますが、このときに交替制勤 務によって給料に不利がないような仕組みを考えていかなければいけないと思います。 また、いままであまり詳しくディスカッションされていませんが、看護師の役割増大は 非常に重要で、今後のNICUにおける業務の確保は、おそらくこの議論なくしてはなか なか進まないのではないかと思います。 ○座長 ありがとうございました。「産科・新生児」の話がありましたので、有賀委員、 いわゆる一般救急のほうから、過重労働で頑張っている現場の医師にインセンティブを 与えるという立場からのお話をいただけますか。海野委員の資料の5頁に、杉本委員か らのご意見を取り入れて救急の関連についても書いてあるのですが、その辺りを見なが らコメントをいただければと思います。 ○有賀委員 産科救急の話がポイントだと思ったので、体系的に私の頭の中でこの件を 議論するために用意はしてこなかったのですが、基本的に先ほどからあるように、次の 日に即休みにできるのかといえば、多くの場合できないわけです。昭和大学でもそうで すが、交替制勤務をやってみようかという話になると、どう考えても人が足りない。で すから、人がすでに労働者としてどこかにいて、それなりの給与を出せば一緒に働くこ とができるような形で人の配置があるとすれば、それはそれで考えないことではないの ですが、そもそも病院としてそれらの人を、例えば救命救急センターのドクターを50% 増しにしようかといったときに、それだけの人件費が出るかという話が生じるわけです。 原資はどこかといえば、基本的には診療報酬ですから、原資の流れがないときに交替制 勤務の話が具体的にできるのかといえば、それは多くの病院でかなり難しいだろうと。 一部にそのようなことをやっている所はあるのですが、そこそこのごく一部に工夫があ って、全国的に広まるためにはずっとあちこちで言われているように、原資たる部分を どうするかという話をきちんとしていただかないと、鶏か卵かみたいな話で、いつまで 経ってもどうにもならない。  したがって、こちらで新生児の先生方も、新生児科として人をきちんとしていくとい う話があれば、ある意味士気を高めるために新生児科を作ってほしいと。文部科学省の ほうにもありますが、そうなるとおそらく新生児科の講座、我々で言えば教授1、助教 授1といった形での人の配置にも多少目処がつくのかなと思います。そのようなストラ クチャーの部分をきちんと固めるような富の流れを作っていただかないと、ここでの話 は空中をさまよう話になりかねないというのがとても心配です。ですから、その部分を 何とか見えるような形で整理していただきたいと思います。  これは救命救急センターだけの問題ではなくて、例えば東京で言うと、100台の救急 車が走っているうちで、救命救急センターに行くのはせいぜい3台か、最近4台ぐらい になって残りは二次救急へ行く。最近はその救急車が現場に30分以上立ち往生などの状 況があって苦しくなっています。基本的には、救急医療は二次救急がマジョリティで、 そこでのきちんとした治療の上に三次救急が成り立っているので、こと産科や新生児に スポットを当てた議論であれば、とりあえず先が見える気がしますが、救急医療はどう ですかとなってくると、救命救急センターの話だけで済むとはとても思えません。そう いう意味での全体構成を是非考えていただきたいと思います。 ○座長 ありがとうございました。川上委員、いま話しているテーマで、救急医療の立 場から何かご発言をいただければと思います。 ○川上委員 いま有賀委員がおっしゃったように、2交替制をやるには少し工夫が要る のですが、いまのインセンティブの話に出てきた時間外の手当てとか諸々のものは、そ の病院の形態というか、それが公立病院なのか私的病院なのかによって変わってくると 思います。実際にやっている所もありますし、やっていない所もあります。それをルー ルとして決めるのは、なかなか難しいのではないかと思います。 ○座長 ありがとうございました。それでは、いまご発言いただいた先生方に対してで もいいですし、それに関係なくでもいいですが、現場の医師の過重労働に対して適正な 報酬を与えようとか、頑張ってやれる気持ちになるインセンティブを与えようという点 に関して、ご発言があればお願いします。 ○横田委員 いまの話の続きというか、救急あるいは一般の診療に目線を当てると、働 く医師が救急患者を快く受け入れられるのは、確かに勤務上の環境もありますし、お金 ももちろんあります。しかし問題は、システムとして自分が診療したあとの流れをよく つかめているかどうか、言い換えると、システムの中に自分が乗っかっているかどうか が、勤務上非常に重要なことです。  一例を挙げると、「池田委員提出資料」の5頁の図に、「医師と患者の流れからみた 周産期システムの再構築」というストラクチャーがあります。(3)はあえて触れられませ んでしたが、先ほど有賀委員もおっしゃったように、一般の救急の所に数の上では入っ てくることが多いわけです。そのときに、例えば(6)のスイッチが入ったり(11)のスイッチ が入るようなシステムができているかどうかのほうが、救急の前線で働く医師にとって 安心感が生まれます。先ほど来議論が出ているのは、救命救急センター、救急部におい ても診療報酬で賄えない給与の問題や加算点は、何も周産期や小児に限ったことではな くて、救急医療においても全く同じであるというのが事実なのです。その点を付け加え たいと思います。 ○座長 大変貴重なご意見をいただきました。照井先生、麻酔のほうから何かご意見は ありますか。 ○照井参考人 麻酔科では、妊婦さんの麻酔を診ることはリスクが高いことから、診療 報酬面で要望を出しております。本年度の改定においても、帝王切開の麻酔は代々産科 の先生が担当していることから、特に脊髄くも膜下麻酔の診療報酬が8,000円で、是非 麻酔科が主に行っている全身麻酔並みに引き上げてほしいと要望しております。そこま では叶いませんでしたが、麻酔科が周術期管理を行った場合、術前・術中を診た場合の 麻酔管理料は、麻酔法によらず同額となり、妊婦の帝王切開についてのみあげていただ いています。妊婦のリスクという加算は、産科の先生、救急の先生、関係各科に加えて、 妊婦を診る麻酔のリスクを診療報酬の上で反映していただければありがたいと考えてお ります。 ○海野委員 この懇談会は、とにかく妊婦さんにこういうシステムに向かっていますと いうことで、安心してもらえるように進めていくための懇談会だと思います。そういう 意味で、妊婦の受入れをよくする、それはいままで基本的には産科側が受けてきたわけ ですが、何かのときにはほかの科の先生にも積極的に診ていただけるような構造なりイ ンセンティブを考えていただくのがいいのではないかと思います。  それに関しては、今日の私の資料の5頁に「重症母体受入体制の充実」と書いたので すが、これは要するに産婦人科以外の科が妊産婦を診ることに関するインセンティブを 付けることが、診療報酬上等でご検討いただけないかということです。もちろん、救命 救急センターと周産期センターの間での連携の強化に対するそれぞれの施設の評価とい うこともありますが、それだけではなくて、一般の病院に突然そのような患者が来られ て、緊急の場合に対応していただけるかどうかが、現場では非常に大きな問題となると 思いますので、それを積極的にやってもらいたいというメッセージにはなるのではない かと思っております。いまの照井先生のお話や横田委員のお話ともつながると思います。  もう1点、この前の「安心と希望の医療確保ビジョンの具体化検討会」のときにも議 論した話なのですが、分娩手当等の問題です。これは、いま医政局から平成21年度の概 算要求で出していただいてはいるのですが、私どもがお願いしたいのは、時間外の対応 に関して、それも産科だけではなく、ほかの新生児や一緒に力を合わせてやってくださ る診療科の先生方も含めて、ハイリスク分娩に対しての手当てという形で、この概算要 求が通っているのか通っていないのかはわかりませんが、もし予算があるのであればそ ういう形で使っていただくと、より現場にとって意味のあるものになるのではないかと 考えております。これは私の今日の資料の1頁の下のほうに書いてありますが、現場の 医師に対するインセンティブに関しては、そのような財源がないものでしょうかという ことです。 ○座長 ありがとうございました。いくつか出ましたが、木下委員、何かご意見があり ましたらお伺いしたいと思います。 ○木下委員 今お話を伺って、先生方のいろいろなアイディアはそのとおりであろうと 思うのですが、本当に実現できるかとなると、随分先の話だなという印象です。池田委 員が具体的に宮崎県の例をお示しになりましたように、周産期救急の視点からすると、 いかに地元の先生方と二次・三次の病院とが日ごろから緊密な連携を取っているかに尽 きるのではないかという気がします。そのために、現実の病院の勤務医は交替制など、 医師の善意に支えられてきたなとすごく思いまして、我々医師はそれが当たり前と思っ てきたわけです。今日の時代ではそうもいかなくなってきたというときに、診療報酬で いろいろな点数を付けるというお話がありましたが、私も昔は知りませんでしたが、い まの実情からすると、周産期あるいは異常分娩に付けるとすると、ほかの所からどう減 らすかというのが現実です。ですから、財源がないということは、結局現実的にならな いのです。これは政治の問題だろうと思います。戸井田大臣政務官がいらっしゃいます が、財源についてはいろいろ問題にされておりますが、こういった周産期を支えるだけ のものが余計に出せるという配慮がない限りは、絶対に駄目なのです。そういうことを 現実的にやるのは政治の世界だと思いますので、是非お願いしたいと思います。  現実的な話としては、本当に周産期・新生児のドクターがどれだけ小児科に入るか、 新生児を専門にするかというと、極めて少ない。産婦人科に入っても、7割が女性で、 本当に産婦人科をやっている人たちは将来5年、10年したら、おそらくもっとひどくな ります。いまからよくなる気配は全くないのです。そうすると、本当に周産期の産科関 係の医師をどうやって確保するかは、現実的に文科省も真剣に考えていただかなければ、 産科、小児科、救急もそうでしょうし、どこかである程度の枠を現実的に考えないと、 非常に抵抗のある話ではありますが、そうでもしないと我が国の周産期関係は壊滅して いくと、明らかにそうなるだろうと思います。どこかへ一歩踏み出さなければならない 時期が来るのではないかと思いますので、いまから本当に現実的に考えていただきたい と思います。  診療科の医師は、希望は第一にするとしても、ある程度何人は絶対産科に行くとか、 そのようなことを考えない限りは絶対に増えてこないと思います。なぜかというと、卒 業した若い諸君が自分たちの楽な姿勢の所や安全な所に行くことになれば、少ない科の みならず、多く行った科はそれなりの問題が起こってくるに違いないわけです。そうい う視点を現実的に、こういった機会をきっかけにして考えていただきたいと思います。 あまり生産的なことはありませんが、財源に関してはもう一遍我々としても一生懸命こ ういったことに取り組んでいきたいと思いますので、その視点でコメントしました。 ○座長 いまのお話の2つのポイント、1つは実際にお金を行政として支援してくれる のか、それがないと絵に描いた餅になってしまうという大事なご指摘で、それは是非行 政の方々にお願いしたいと思います。  もう1つは、科の選択に関して何らかの義務的なものを加えてやるのかという話です。 これは私が先ほどお話しましたが、厚労省の研究班で、後期研修のあり方の研究の中で 答申が出てくると思います。 ○木下委員 このようなことが起こってきたのは日本だけなのかというと、ヨーロッパ は67%ぐらいが女医なのです。だけど、あまりこういうことは起こらない。とすれば、 女性がいてもちゃんと機能する世界があるわけで、諸外国ではどういうことでうまくい っているのか、うまくはいっていないかもしれないけれど、こんなひどいことにはなっ ていないということも含めて、現状の駒だけで何をしようといったところで、正直言っ てアイディアは全く出てこないわけです。そういったことを提言するだけの国際的な視 点でのアイディアを入れて、こういうことをやったらいいではないかということも是非、 厚生労働省の皆様方にも教えていただきたいと思います。実は我々も始めているのです が、なかなかいいアイディアが出てまいりません。そんな現状です。 ○座長 大野委員からも、地域の第一線で活躍しておられるお立場からのご発言をいた だければと思います。 ○大野委員 インセンティブということに関しては、どうしても二次・三次医療施設で の話が中心となりますので、私のような一次医療施設での話とは違ってきます。昨日も 愛知県の周産期医療協議会で話をして、やはり顔の見える地域でのネットワークという のが基本にあるのだろうという話がありました。あとは愛媛県のある周産期医療担当医 師と話をしましたが、「愛媛県では、現在のところ大きな問題なく搬送体制が機能して いるよ」と言うのです。なぜかというと、お互いに顔が見える関係を構築しているので す。つまり、3つの大きな病院があって毎朝話をして、うちは駄目だから、今日はあな たの所で受けてくださいということのようです。開業医は緊急帝王切開をほとんどやら ないらしいのです。それはもう全部受け入れる。それが当たり前の世界になっていると いうことで、少なくとも愛媛県では搬送体制が機能しているのです。地方はわりとそう いうように完結して、うまくいっているということがありますから、地方と大都市圏と では、また違う話になってきます。インセンティブという話では、ちょっとずれてしま いました。  私が母体搬送で送る場合、周産期センターや総合病院の先生方に母体搬送を受けてい ただけるのですが、どの施設の先生方もかなり疲弊しており限界に近い状態で仕事をし ており、私も依頼するのが忍びないものがあります。我々一次医療施設から見ていても 過酷な勤務状態にありますから、我々からも今のインセンティブの話を是非進めていた だきたいと思っております。 ○座長 ほかに、いまのテーマでご発言などはありますか。 ○藤村委員 簡潔に言うと、インセンティブを与えれば、もっと働けるという意味では 決してないと思います。これだけははっきりしておきたいと思います。きちんと定数が ほしい。それによって労働時間が減少し、インセンティブのひとつになります。しかし 定数が少ないということと、定数があっても人が来ないという二面があると思うのです。 ですから、まずは定数を増やして、定数が空いている状態でも待ち、次に金銭的なイン センティブが働くのではないかと思います。いま多くの新生児の分野では、定数が少な いのです。その原因のひとつが低い診療報酬です。次に私が先ほど申し上げた、都道府 県で増床・増員計画を出してほしいということです。NICUの医師を少ないままに放置 しておいて疲弊しているというのは、都道府県としては無責任ではないかと思います。 ○座長 インセンティブといっても、お金の問題だけではないという面もあるのですけ れども、私も藤村委員が言われたことはよくわかります。少し給料が高くなりますぐら いでは、いまの若い医師は動かないのです。  次に問題を移したいと思います。やはり勤務環境のほうが、いま厳しいと言われてい る充足されていない分野に医師を連れて来ることに対して、重要な意義があると思うの で、そちらに話を移したいと思います。勤務環境改善に関して、何かご提案やご意見な どはありますか。先ほど藤村委員から、過重労働を禁止するという話が出ましたね。前 に大臣に、「大臣は労働大臣でもあるのだから禁止してください」と、直接そのことを 申し上げたら、「そんなことをやったら、いまは本当に地域の医療が崩壊しちゃうから できない」ということでした。少ないから過重労働になって、それを見て入ってこない から少ないという本当の悪循環なのです。それを切るためには、強引にでもやらなくて はいけないですね。  東京で1つ出ているのは、たまたま周産期の問題になっているのですが、周産期に関 連する、担当する医師の勤務の環境を改善すれば、その病院に対してお金を出すと。そ れを改善するためにはたくさんの人を集めなくてはいけないから、人を雇う部分にお金 を出すというような形でやっているのです。そういうことで何かいい施策はないですか。 ○藤村委員 ご承知のとおりEUでは現在、2009年目標のWorking Time Directive計画が ほぼ終了しつつあります。これは2003年に始まって、医師労働時間の週48時間達成を 目指して6年かかりました。要するに、我が国でも作業計画をつくるべきです。EUの 作業計画は、労働時間週58時間というのが最初の年で、来年は48時間になり、6年間 で10時間減らします。すべてのレジデントクラス(後期研修医)はそれ以上勤務しませ ん。これは非常に厳しくて、病院から出て行った証拠がないと、雇用者は一定の処罰を 受けます。要するに、ルールをつくるべきだと思います。日本はもっと悪い条件から始 めることになりますが、仕方がないと思います。到達目標を示す、そういう作業委員会 をつくることを提案したいと思います。 ○座長 いまのご意見に対して、ご質問や反論、異論でも結構ですので、何かあります か。 ○大野委員 そういうものを目標設定するのは大事だと思いますが、そのためには何か しなければ変えられないのです。ということは、やはりどこかで切られる病院があって、 集約化して、そこの所の労働環境をよくするしかないのではないかと思うのですが、い かがでしょうか。 ○座長 いまのご発言に対してはいかがですか。 ○海野委員 やり方を考えるとすれば、人を増やす、つまり医師を増やすということと、 医師を助けてくれるコメディカルのスタッフを増やして、働き方を少し変えるというこ とと、働き方の効率性を上げることになると思います。大野委員がおっしゃったのは、 どうやって効率化するかということだと思うのです。人を増やそうとすると、結局は同 時並行して進めていくしかないのです。どれかだけやってほかをそのままにしておくと いうのは、合理性がないと思います。  そういうことに関しては藤村委員がおっしゃったように、今がこうだから、これから よくしていくという明確な方向性をしっかり決めた上で、いろいろな施策をそれに合致 するような形で進めていく必要があるだろうと思います。ですから今回、医学部の定員 を増やして医師の養成を増やそうという話の根本には、そういう部分があるわけです。 いま、現場の医師の仕事の時間が非常識な時間になっていますが、ゆっくりだけれど、 これを少しずつでも減らすために効果があるはずだという試算の下に始めていることだ と思うのです。  ただ、これだけでは時間もかかりますし、結果もなかなか見えてきません。そういう 意味ではいま申し上げたほかの施策も同時に進めていくというのが、いちばん合理的だ と思います。それも藤村委員がおっしゃったように全体がわかった上で、方向性を決め た上で進めないことには、それぞれどういう効果を持っているのかという評価ができな いでしょう。それもきちんと計画的に進めていく必要があります。これは我々周産期の 分野だけではなくて、どの分野でもあることだと思います。我々はどちらかというと小 さめの分野ですから、始めやすいかもしれません。要するに元の数字がひどいので、そ れを改善するのが、より見やすい分野かもしれないと思います。 ○横田委員 先ほど大野委員が少し触れたことに関連します。やはり医師あるいは医療 職員、スタッフの絶対数が少ないとすれば、集約化・連携という方向に進まないといけ ないと思うのです。私自身、いまは自治体病院にいます。ご存じのように公立病院につ いては総務省が昨年来、いわゆる集約化をして、体力の弱い所は強い所と連携をしてや りなさいということになっています。それも1つの考えです。そこで地域の医療を考え たときに、設置母体が自治体病院だけではなくて、他の公的機関あるいは医療法人など、 地域にはさまざまな病院が存在しますから、本来はそれも包括して集約化・連携をやら ないと、意味がありません。  具体的に言いますと、私どもの所では産科医がたくさんいるのですが、小児・新生児 をやる小児科医が非常に少なくてうまくできません。一方、民間のある病院には小児科 医が非常にたくさんおられるけれども、産科医が非常に少ない。「これが一緒になれば、 この地域は非常に楽ですよね」と、よく現場の医師は言います。先ほどの自治体病院の ガイドラインのように、くっついて連携しませんかという提案に対し医療法人と自治体 病院とではなかなか連携がうまくできません。医師が勝手に動けば、弱い強いができて、 その地域の医療計画から外れてしまうということがあります。私の言いたいことは何か と言いますと、構造的に大きく揺すらないといけないということです。即ち、医療資源 の絶対数が足りないわけですから、都道府県のもう少し強い権限なりにより、地域への 働きかけが必要だということです。 ○池田委員 私はディメンションを変える必要があると思います。大野委員のお話を聞 いていますと、患者というのは一次病院から二次・三次病院への一方通行で、それで二 次・三次にインセンティブを付けるというお話には限界があると思います。例えば一次 の先生が二次・三次に行って診療する。これはオープンシステムということで今、非常 に広く受け入れられるようになって進めていこうとしています。逆に、今度は二次・三 次の先生も一次で仕事ができるような。先ほど横田委員から、自治体病院は性格が違う ので、なかなか移動しにくいというお話がありましたが、これを可能にすることによっ て、いろいろなディメンションができます。  結局はこの前、大臣が言われましたように、ドクターフィーとホスピタルフィーとい うのが、日本の場合はなかなか別個に付けられません。そこまでいってしまうと、遠い 将来になってしまいますが、それでも自治体が少し知恵を絞れば、そういったことがで きるように思います。大阪の1つの例として、麻酔科の先生が非常に少ないものですか ら、ある市民病院同士が貸し借りをしています。実際は自分の所で給料を払っておられ るのですが、別の病院で働けるようにしています。やはり少しディメンションを変える という意味で、そういった工夫を考えなければいけないと思います。 ○座長 先ほどの海野委員のお話の続きになりますが、いまお願いしようと思ったので す。パラメディカルと言いますか、医師以外の医療スタッフにどう頑張ってもらうかと いうことでお願いします。 ○岡本参考人 海野委員あるいは木下委員から、外国の例のお話がありましたけれども、 特に産科の先生方のご負担を軽減するには、やはり非常にパーセンテージを占めている 正常お産、正常妊産婦のケアにおいて、助産師との役割分担が必要です。いま厚生労働 省のほうも補助金を付けたりして、院内助産所や助産師外来はかなり進みつつあるので、 そこのところがどうやったらもう少し広がるのか。助産師に全部任せろということでは なくて、あくまでも医師との連携の中で、助産所がそうであるように、ポイント検診は きちんと医師と両方でやりながら、是非このことを進めていただきたいというのが1つ です。  今日の資料について、私は理論は付けなかったのですが、助産師もまだかなり不足し ています。もう少しきちんと自立していくためには、いろいろな意味で再教育というの が要るのですが、潜在助産師も、いま就労しているのと同じぐらいの数おりますので、 活用が可能かと思っています。  それから、ちょっとずれますが、池田委員の資料の中では一次病院という形だったの で「開業医」としか書いていないのです。しかし、わずか1.2%ではあるけれど、助産 所も重要な地域の一次医療機関ですので、いろいろな所で使用されるときには、それも 書いていただきたいということをお願いいたします。 ○座長 ほかにありますか。 ○大野委員 いまの件で、私の立場から少し言わせていただきたいと思います。私の所 でもそうですが、よく助産師にスキルアップをして助けていただきます。だから私も少 しは仮眠が取れるという状態ですが、非常に大変なのです。助産師の数を言うときに、 助産師は足りないけれども足りているじゃないか、潜在助産師がいるじゃないかという 議論がいつも出てくるのです。実際に大病院にはいっぱいいるという話です。しかし全 分娩のおよそ7割を扱っている我々一次医療施設にとって、助産師を見つけるのは至難 の業です。全然いないのです。何をやっても見つかりません。ですから、あの手この手 で探しています。一次医療施設に来ていただける助産師は非常に少ないのです。ですか ら、潜在助産師を掘り起こすといった甘いことではなくて、やはり助産師の数を増やし ていただきたいということを言わせてください。 ○岡本参考人 今年から医師会等が、一次医療機関で働く助産師の教育を始めてくださ っています。しかしネックはやはり教員の人件費で、かなりかかります。私は、これは もう役所のほうにお願いしたいのですが、さらに補助金のアップをしないと、出発はし たけれども、もう疲労しているという実情を聞いております。また、文部科学省の方も 見えているのでお願いしたいのは、現在多くの看護系の大学が選択制度で助産師の教育 を実施しているが、1大学7人ぐらいしか養成できていないけれども、質を維持しなが ら、一番簡単に助産師の養成を増やすには、専攻科に切り替えていただくことです。そ れによって、今の3〜4倍の数になりますから、これを是非進めていただきたいと思って います。 ○座長 いまの議論は一旦、ここで切らせていただきます。後ほどこの続きも話の中に 入ってくると思います。舛添大臣がお忙しいところいらっしゃいましたので、一言だけ ご挨拶をいただいて、先延ばしにしていた有馬先生からのお話をお伺いしたいと思いま す。 ○舛添厚生労働大臣 議論の時間をなるべく取りたいので、引き続きよろしくお願いし ます。だんだん取りまとめのほうに向かっておりますから、委員の先生方、それから聴 き取りに応じてくださった参考人の方々のご意見がみんな反映されるように、いい報告 書にできればと思っております。よろしくお願いします。 ○座長 ありがとうございました。それでは有馬先生からお話をお伺いできますか。よ ろしくお願いします。 ○有馬参考人 今日はNICUの不足を解決するために、NICUに長期入院していて、な かなか帰れない障害児を受ける後方病院がないだろうかという話です。いまNICUに溜 まっている人たちが全国に縷々おります。その中の相当部分が、いわゆる「重症心身障 害」と言われている、強い脳障害を持ったお子さんたちです。呼吸がうまくいかない、 手足が動かない、飲むことが難しい、そういういろいろな条件があって、なかなかお家 に帰れないのです。そういう状態を国の法律で言いますと、重症心身障害という定義に 入ります。日本では重症心身障害施設というのが、昭和40年ごろからできていますが、 一部それを引き受けたらどうだろうかという話で、このことがもう10年ぐらい前から言 われております。私たちも「お宅で引き取れないのか」という話が、個人的には随分あ ったわけです。今日はそれについて我々の経験を少しと、ほかの施設の経験などもまと めて、私見を述べたいと思います。  私が現在勤務している都立東部療育センターというのは、平成17年12月に開設いた しまして、ちょうど3年です。これは新しい施設です。都の中には重症心身障害の方が 約4,000人というように、非常にたくさんいますが、そのうちの1,200〜1,300人は、も うすでに施設に入っていて、あと3,000人近い方がまだ在宅という状況でした。それで は非常に施設が足りないということで10年来、都に働きかけていました。特に人工呼吸 器を付けているような人が、どんどんそういう中に増えているが、重い人たちが採れな い、何とかできないかということで、東京都が東部のほうに東部療育センターという重 症心身障害児施設をつくったわけです。  しかし敷地など、いろいろな問題がありますので、そう無限に大きなものはできませ んから、とりあえず120床にして、その中で長期に入れる人たちとして、90名を入れる 計画で始めたわけです。それまでは一般のお家の方だけに広報していたのですが、病院 にもだいぶ溜まっているのではないかという話がありましたので、今度は大きな病院、 溜まっているらしい病院、NICUも含めて、こういう施設ができるけれども、重症度や 年齢を問わず、重症心身障害という児童福祉法の定義に当てはまる人は、申請してよろ しいという広報を都は出してくれました。  そして平成17年の初めに公募があり、12月の開設に向けて約300人の方々から申込 みがありました。その約3分の2は大人で、ご本人も40歳、50歳になりますと、当然 ご両親も70歳というような方で、病気になるとか亡くなるとか、いろいろなことがあり ます。そういう家庭的な状況で、入れなくて困っていた方が3分の2おります。あとの 3分の1は子供でした。こちらはお家にいる人よりも、病院に入院している、特に大き な病院の小児科に何年も入っている方、あるいはNICUに5、6年入っている方たちが出 てまいりました。  今度、初めてそういう所から出てきたので、私たちもできるだけ子供もお受けしたい ということでしたが、そういう子供さんは、どちらかというと医療的に非常に重いので、 機械装備、例えば人工呼吸器を何台買うかということから議論がありました。医療的な スタッフの問題、病院の規模の問題、そういうことをいろいろ勘案して、人工呼吸器は 全部で20台にしました。  それから、非常に重いと言われている超重症児、呼吸器にいろいろな問題がある非常 に手のかかる人たちを、採用予定90人の50%を切らない程度で希望者の中から採りま した。そういう条件で90名を埋めるという方針で採ったわけです。  結果的に約15名が小児病棟から、3名がNICUから受けました。現在、その方たちは うちで3年間生活しておられます。これぐらいの装備を最初からやっていれば、少数で あれば受けられないこともないという証拠はあったのです。ただ、これが全国にいくと、 そうできる所はおそらく少ないのではないかという感じはいたしました。今日はお手元 に配りました資料の中で、話題になっている私たちの重症心身障害施設とはこういうも のだというのをご覧いただいて、それに沿って話を進めさせていただきます。  最初に、1頁の「東部療育センター事業の概要」です。東京都立重症重度心身障害児 (者)施設条令というのが、昭和43年に出ております。これは国の児童福祉法において、 まさしく「重症心身障害」という言葉を使っております。法律的に言うと「重症心身障 害」と言ってよろしいわけですが、東京都はこういう言葉を使いました。事業規模とし ては長期入院で、退院の期限を定めない方を90床、お家から要望があったときに短い期 間受ける方を24床、病気になって緊急に入院する人を6床ということで、120床つくり ました。  その頁の6番が職員定数です。定められた定数は医師12名、歯科医2名、医療技術員 27名、そして非常に手がかかるので、看護要員が146名です。この中で実際の看護師は 110名の定員でした。あとはPT、OTです。当然、障害児ですからリハビリテーション はかなり重点的にやらなければいけないという経緯が、この医療技術員の中に入ってお ります。こういう医療技術員などを検査以外にたくさん入れているというのは、一般の 小児科あるいはNICUなどとは、少し違う内容かと思っております。逆に言えば、これ がNICUに欠けているところだろうと思います。  事業の実施状況ですが、どんな人たちが入っているか。医療の問題で、6頁に「医療 ケアの状況」というのがあります。人工呼吸器装着が20名、そのほかに気管切開をやっ た人が36名、全然食べられないので管あるいは胃に胃ろうを作った人が90人のうちの 52名ということで、過半数がそういう人たちです。NICUで帰れなかった人たちも、小 児科病棟に溜まって10年も帰れなかったような人たちも、私たちがお受けした人たち は、ほとんどがこういう状態に入る人たちだったわけです。やはり今後、こういう人を 受けるためにはどうすればいいだろうか。少なくとも我々としては小児病棟から受けた 人、NICUから受けた人、家庭の状況で受けた人ということで、重症の方を全部受けて しまったので、これ以上は受けられないというのが今のところの感想です。  「NICUで退院が困難な要因」と思われる方たちは、どういう方たちかというのは、 前からいろいろな研究班などがありますので、それをまとめたものが9頁にあります。 1.「背景」の次の2、NICUからの人工呼吸管理などの困難な要因というのは、もうすで にいろいろな研究班で述べているところです。医療的に重くて生命にかかわるから、と ても家庭には戻しにくい。ご家族への支援が不足しているので看られない。お家に帰ら れた後、何かあったらどうしよう、何かあったときには入院を受け入れてくれないので はないかという心配で、お家の人が引き取らない。家族の状況で、ほかのお子さんが障 害児だったりして、家庭自体が大変。また、受入施設の不足という意味では、特に医療 的に十分対応できるだけの医療施設が不足しているということでした。これらは従来か ら、特にNICUを担当していらっしゃる方たちが戻せないと言われた理由が、大体こう いうものに網羅されるわけです。  今度、私たちの立場から言いますと、どういう条件があったら我々はこれにプラスし て、また受けられるだろうかということを考えたわけです。NICUにはない我々の機能 としては、先ほども申し上げたように、リハビリや生活機能があります。中に学校を持 っているというように、生活をみるということでは、やはり重症心身障害児施設という のは病院であると同時に、福祉施設という位置づけもあります。それは病院にいるより はずっといいわけです。  逆にそちらのほうに人や設備が行っておりますので、本当に悪くなったとき、例えば 腸閉塞などがしょっちゅう起こりますので、外科的な病気が起こったときに、自分の所 ではとてもできません。その診断を付けるための検査のテクニシャンが夜中にいないと か、いろいろなことがありました。こういうところをまず重点的に整備して、少なくと も夜中に何かあったときに、レントゲンも医師が自分たちで撮らなくてはならないし、 生化学的な検査も自分たちでやらなければならないという状態が、重症心身障害児施設 ですから、そこはやはり大きな総合病院に付属されているNICUのほうが、医療的には るかに強いということは確かだろうということでした。  私たちがお受けしたときは、3歳以後の方を受けたわけですが、長期の重障児施設と いっても、一生これを受けるのはどうか、やはりお家に帰すのが本来だろうと。NICU で帰せなかったのだから、私たちの所に来て何とかお家に帰す努力をしなければならな いと思いました。では、家に帰すためにはどういうことが必要か。そういうことについ て議論をして、「家庭への包括的ケアと提供」にまとめてみました。うちの診療部長の 益山君が最近書いたものがありますので、同じ資料の後のほうにまとめてあります。 「NICU、一般病棟で重度の心身障害を残した児にどう対処していくか−在宅医療へ向け ての支援制度を含めて−」ということで、私たちなりの意見をここにまとめてあります ので、またご参考にしていただければと思います。  現在考えていることのまとめとしては11頁に、従来の重症心身障害者施設で長期の NICU入院児の転出用のケアが可能であろうかということで、どういうところが必要だ ろうかと。やはり現場のドクターやナースたちは、かなり難しい意見を申しておりまし た。もしやるとしたら、こういうことが必要だろうということで、これはたたき台のつ もりでまとめました。私は今日参考人になるということを3、4日前に初めて聞いたもの ですから、手元にあった資料で急いでまとめました。  1つは病棟、保険診療に関係することです。いま、私の所では非常に重い人たちとい うことで、7:1看護という普通の大学病院などに相当するような看護を、何とか確保し てはいますが、NICUのように3:1とははるかに違います。そういう問題が、少なくとも 中間期には必要だろうということです。  それから「中間施設」という言葉が、よくいろいろな会議で出ております。私たちも 中間施設というのは、一体どういうものがいちばんいいだろうかということを考えまし た。重症心身障害児をお家に帰すための中間施設という考えも1つありますし、私たち もそういう考えを持っていたのですが、実際に経験してやってみますと、その前に今あ る制度としては、NICUから受ける方たちを小児病棟で、GCUという制度がどこまで機 能しているかという問題もありますが、やはりそういう所で中間的にちょっと受けて、 NICUという完全に囲まれた所から、ちょっと外の空気を吸わせて、お家の方ももう少 し子供を一般小児科の中で見て、抱いて子供の状態を受容するという親の気持をつくっ てから、我々が引き受けたほうがいいと思います。いきなり我々の所に来ると、最初か ら愛着のない人も、ずっと一生看てくれる所に置いたということで、親はますます来な くなることが考えられますから。  今のところ、親御さんが自分の子供を見る機会として、NICUからもうちょっと軽い 所といえば、小児科のかなりよくできた所ということになります。そういう所で少し期 限を見て、そこで溜まってしまった場合には、重症心身のほうに移すということはでき るのではないかと思います。ただNICUそのものに、かなり高い保険診療報酬を付けな ければならなかったというのは、それだけの人や設備が必要だったからです。外で診る 小児科にも、やはり受け入れたときには配慮する。また、そういう人を受けた重症心身 障害児施設のほうも、診療報酬上それなりの配慮はしないと、今のままではやはり人的 にできないだろうと思いますので、そういうことをやっていただければと思います。今、 そういうところまで話がきているところです。どうもありがとうございました。 ○座長 ありがとうございました。それでは今のお話を聞かれまして、質問やコメント 等がありましたらお願いします。 ○海野委員 重症心身障害児施設という所は、やはり入院期間がかなり長いと聞いてい ます。私がチラッと聞いた話では、いま東京都の重心施設には、お子さんも含めて1,200 人ぐらいの入所者がいて、新規の入所者が年間10人ぐらいというお話でしたが、それは 事実ですか。 ○有馬参考人 それは事実です。 ○海野委員 それぐらいしか、新しく受け入れられるだけのキャパシティーはないとい うことですか。 ○有馬参考人 今の定員でいく限り、そうではないかと思います。 ○海野委員 今はそれだけ皆さん長く入院しておられるような仕組みであり、施設であ るということですか。 ○有馬参考人 そういうことになります。 ○海野委員 あともう1点。この間聞いて、それはなかなか難しい問題だなと思ったの は、重症でいろいろなケアが必要な大人を看る介護施設もありますね。重症心身障害児 というのは介護保険とは全く別のシステムで、介護保険の対象にはならないと聞いたの ですが、それも事実でしょうか。 ○有馬参考人 重症心身障害児施設というのは完全な病院で、医療が必要だということ が前提です。重い軽いはありますけれども、何らかの病気はしょっちゅう起こします。 大体6割ぐらいはてんかん、痙攣発作を持っておりますし、しょっちゅう肺炎を繰り返 すこともあります。私たちとしては自分の所で医療もできるのですが、重症児施設だけ では難しいとき、例えば外科手術が必要だというときには、すぐ引き受けてくれる総合 病院や専門医が、一般の人が外科疾患だったら外科がすぐに受けられるような、目であ れば眼科が受けられるような対応の病院が、いくら障害が重くても診療を円滑に受けて くれるようにもっと充実してほしいという気持があります。 ○藤村委員 1つは、レスパイト入院というのは、短期入所などに入っているのかどう か。それから在宅の方にどういう支援をされているのか。外来というのは、そういう機 能があるのかということです。 ○有馬参考人 外来というのは、発達障害から何から、障害児であればどういう障害で もおいでいただいております。普通に健康なお子さんの一時的な病気は来ない外来です。 「障害児」と名の付く方の健康管理は、一応全部受けております。ただし、どんどん歩 くような、飛びはねるような障害児だったら入院はできません。すべて外来になります。  それから短期入所というのは、私たちの所では30床ということで、非常に多いわけで す。これにはレスパイトも肺炎等の合併症も受けております。お受けするのは、一応重 症心身障害となっている方で、親御さんのレスパイト、あるいは親御さんが病気になっ たときは受けるようにしております。これは市町村、都でしたら区役所のほうの管轄に なります。 ○藤村委員 最後にコメントです。今、NICUでは入院した日から母親も入院して、だ っこをしたり、GCUに行ったらお風呂に入れたり、毎日いろいろしています。いま先生 は愛着のことをおっしゃいましたが、いまの新生児医療では愛着形成ということでは、 みんなかなり努力をして、最初からうまく進んでいるように思います。その面で、親御 さんのレディネスというか、その点はかなりいい状態になっていると思います。問題は、 やはり在宅における負担、あるいは医療的ケアの重さというのが難しいので、その支援 システムがないと療育施設ということになると思うのです。 ○有馬参考人 私たちは虐待児をよく耳にすることがあるものですから、つい口が滑り ました。 ○舛添厚生労働大臣 海野委員のご質問と関連するのですが、有馬先生の資料の11頁の 上から5行目、6に「在宅介護支援」というのがありますね。これは子供たちが家に帰 っても、全部医療の訪問看護というカテゴリーになって、いわゆる介護保険の適用もな ければ、介護という枠組みも全くないという現状なのでしょうか。役所に聞いたほうが わかるかもしれないのですが、6番に書いていることは、そういうご指摘ですか。 ○有馬参考人 私たちは、どちらかというと訪問看護を考えておりました。しかし当然 大変ですから、留守番をして親御さんをちょっと休ませてあげる、あるいは用事など、 いろいろなこともありますので、その間看てあげるということはあったほうがいいと思 うのです。 ○舛添厚生労働大臣 それが今はないですよね。介護保険というカテゴリーで、今のよ うな子供たちはカバーしていないですよね。 ○障害保健福祉部長 子供さんやそれが年長になった方というのは、介護保険の老化原 因とは違いますので、福祉サービス、あるいは医療を伴う短期入所も含めて、重心医療 でもサービスしております。それプラス、今おっしゃるのは医療一般の診療報酬を増や していこうということです。 ○座長 ありがとうございました。今日、お話をしていただかなくてはいけない人がま だ残っておりますので、そちらのほうに話を移したいと思います。総務省消防庁からデ ータを出していただいています。追加資料というものです。それについてのポイントを お願いいたします。 ○総務省消防庁 消防庁のほうで検討会を設けており、これはそこで発表させていただ く資料です。119番要請があり、救急車で産科・周産期の傷病者がどれだけ運ばれてい るかという状況です。1頁が平成19年の1年間のデータです。我が国の救急搬送は、年 間約490万人運ばれております。産科・周産期の傷病者は4万6,000人、一般の搬送者、 転院搬送、つまり病院間の転送は9%ほどですが、産科・周産期においては、やはりか かりつけの医師からの転院というのが多く、48%あります。これを除いた2万4,000人 ほどが、自宅から119番で救急要請をして、救急車で運ばれています。  医療機関の受入れがどういう状況かというのが、「照会を行った回数ごとの件数」と いうことで、下にグラフがあります。1回から始まって、最大では43回となっています。 4回以上の721からその上を足しますと、1,084件ということで、4回以上かかった者が 比率でいくと4.8%という状況になっております。  2頁ですが、時間で見たときの数字です。「現場滞在時間」というのは、救急隊が現 場に着いて傷病者の観察を行い、医療機関が決まって出発するまでの時間です。30分以 上が1,224で、それ以上のところを足しますと、1,335件ということで、30分以上かか ったのが全体の5.7%となっております。  医療機関のほうで受入れに至らなかった理由ごと、どういった理由で受け入れなかっ たかということですが、全体で見ますと真ん中の表にありますように、「処置困難」と いうのが21.5%、「手術中・患者対応中」が19%等となっております。特に選定が難し かった照会11回以上というのは、10回受入れができなくて、11回以上の照会が必要だ ったものです。そのカテゴリーで言いますと、「処置困難」が38.7%、「ベッド満床」 が17.0%となっております。右から3番目の「初診(かかりつけ医なし)」の比率が、 若干高くなっているのが特徴です。  3頁ですが、これは照会4回以上の事案の年度比較です。4年間で件数、比率ともに高 まっております。  4頁は、産科の方に限らず、救急車による救急患者の搬送において、都市部で医療機 関の選定が難しいという状況が見られます。これは大都市の18都市、政令市プラス東京 消防庁の4年間の推移です。グラフをご覧いただきますと、例えば平成19年において 30分以上かかった事案の比率は、全国で8.0%です。平均を超えているのが東京、横浜、 川崎で、東京都、神奈川県が高いという状況になっております。一般に大都市圏、特に 関西圏なども一般の救急患者の搬送においては厳しい状況ですが、大阪の堺等をご覧い ただきますと、産科・周産期については、時間のデータで見ますと、それほど高くはな っておりません。これは地元のほうで、いろいろシステムを構築されていることが影響 しているのかもしれません。この辺りの分析も今後必要であると、私どもも考えており ます。  5頁が回数で見た18大都市の分布で、若干のばら付きがあります。累計の数値ですが、 右から4番目の「4回以上」が全国で6.6%ということで、仙台や大阪辺りも若干超えて いるわけですが、やはり5番の東京、6番の横浜辺りが高くなっているという数字です。  なぜ都市によって受入れの困難度が違うのか、理由を詳細に調べなければいけないわ けですが、いまの時点でわかっているものが6頁にあります。特に5、6、7の東京、横 浜、川崎においては、医療機関のほうでお答えになっている理由が若干違う傾向があり ます。東京においては「処置困難」が38%となっております。横浜、川崎が31%、42 %です。  東京においては救急医療情報システムの情報更新が非常に的確にされており、いちば ん左の「手術中・患者対応中」という、もともと忙しい所にかける比率が低いのではな いかということに対して、横浜、川崎においては救急医療情報システムの利用自体が十 分でないということがありますので、この辺りの数字が出ているのかもしれません。こ の辺りの背景については、もう少し詳細な調査が必要です。実は12月に東京都において、 消防機関と医師会のご協力もいただいて、もう少し詳細な調査を、期限を限って実施し たいと思っております。その際に「処置困難」とされた傷病者のいろいろな背景の情報 等も踏まえて、分析する必要があると思っておりますので、そういった取組みを消防庁 としても取り組んでいきたいと思っております。 ○座長 ありがとうございました。この件に関してご発言のある方はいらっしゃいます か。 ○有賀委員 1つ質問をさせてください。資料の扉を開けた次の頁の最初の所ですが、 「平成19年度の産科・周産期傷病者搬送の状況」の中で、「総救急搬送人員」の下の 9.2%というのは、転院搬送とおっしゃいましたよね。産科・周産期の傷病者というか、 産科・周産期の妊婦を転院搬送したのは2万2,805人でいいですよね。そうすると、こ れは48%ですが、救急隊が運んでいる51%ぐらいは、実は転院ではなくて、直接的にど こかの病院に運んでいるというように考えてよろしいですか。 ○総務省消防庁 はい。これは119番で自宅から要請があって、救急車が行って運んで いるもの、つまり病院が起点ではないということです。それがこの2万4,000人に入る わけですが、例えば今回東京で起きた1件目は、ご自宅からの救急要請ですので、それ はこちらに入るということですか。 ○有賀委員 この議論を聞いていますと、結構妊婦のお母様たちは、大野先生のような 先生のところにかかっていて、この部分はとても少ないのかなと私は思っていましたの で、そういう意味では救急隊が自宅に行くなり、どこでもいいのですが、そこから出発 するというのは、思いのほか多いなというのが僕のインプレッションだったのです。 ○座長 これはかかりつけの産科医の所に運んでもらうのも入っています。だから、最 初から探すという手間が全部あるわけではなくて、おそらくいままで妊婦健診をやって もらった所の先生に連れて行ってくださいと。そこから探しが始まるという。 ○有賀委員 結局そういうことを含めて産科の先生たちには、救急隊の隊長が、救急救 命士の資格を持っていて、結構難しい国家試験を受けて、産科救急に関しても勉強した 人が現場にきているとか、先週、東京消防庁へ岡井座長に来ていただきましたけれども、 一般救急の中で、そういう隊長の人たちからの情報を基にして、複数の人が一気に病院 を探すなどということを知って頂きたい。そのような状況があるので、場合によってい ろいろなシステムを考えていく上で、単なる運び屋ではないという彼らをどう考えるか というときに、大事なのではないかなと思います。 ○海野委員 その4万6,978人のうちの、いま母体搬送等での受入先困難で問題になっ ているのは、2万2,805人のほうの問題であるということがまず1点です。それから、 自分で救急車を呼ばれた2万4,000人の中には、初期の流産とか、想像をされると、陣 痛が始まったとか、未受診の妊婦さんですとか、そういうイメージで捉えられる可能性 があるのですが、大多数はそういう方々なのです。未受診の妊婦さんで、陣痛が始まっ てから運ばれているというのは、この中では数千人のオーダーだと思います。ですから、 その辺はそのようにご理解いただいた上でこの数字を見ていただければと思います。 ○有賀委員 室長がお話されればいいと思いますが、これから調査をする中で、いま言 ったように、非常に普通の妊婦と、急に医療のお世話になるような妊婦と、家庭の事情 や職場だとか転勤とか、そういう意味ではその真ん中ぐらいの妊婦とを、東京消防庁の 中でどれぐらいあるのかなというのを見てみようかなと思ってやろうとしていますが、 よろしいですよね。 ○総務省消防庁 はい。 ○大野委員 折角いいデータを出していただいたのですが、これを活用するためには、 いま先生方が言われたように、意外な数字だったのですけれども、48%というのは、我 々一次医療施設から、主に高次に行くときにはどのぐらいかかっているのか、それ以外 はどのぐらいか、たぶん全然数字が違っているのだと思うのです。それを1つにまとめ ても、あまり意味がないと思います。すぐできると思いますから、是非2つに分けてい ただいて、それぞれ問題点を抽出していただくということをお願いしたいと思います。 ○藤村委員 新生児のデータも是非やってください。 ○座長 ありがとうございます。貴重なデータで、最後に報告書をまとめるときに、大 いに活かさせていただきたいと思います。  予定の時間が来てしまったのですが、実はいちばん大事なことかと私自身が思ってい る、救急医療を行う病院、あるいは施設の規模に関して、是非理想の姿、変わるべきだ というようなことを話し合っていただきたいと思うのです。それは本当に単純に実現で きることではありませんが、いい姿を目指して、一歩ずつ進めていかないと、こういう 問題が起こったときには対策を出しても、その場しのぎになりがちなことが多いもので すから、本当はそのことはもっと時間をかけてやりたかったのですが、15分ぐらい延長 してよろしいですか。藤村委員の資料で、あとに回してくださいと言った、総合周産期 にNICUがどれぐらい必要かというスタンス、そこから突破口としてお話いただければ と思います。 ○藤村委員 私の資料の2頁です。「護送船団方式」という言葉は妥当かどうかわかり ませんが、人口100万人程度の規模のスキームのような配置、そして総合周産期母子は、 人口100万に対しては、総合周産期1カ所でNICU12床、GCU24床が標準的な構成にな るだろう。地域周産期母子は、一応2カ所と考えますと、9床のNICUを2カ所、18床 のGCUを2カ所というものを想定しています。そうした施設だけではやっていけない というのが、従来から問題になってきているわけですけれども、支援小児科ないし療育 施設、四角の部分ですが、これを2、3カ所。そして、この護送船団全体を束ねる情報シ ステム(空床情報)ですが、これはこの護送船団専用ではなくて、都道府県で1カ所の 空床情報でいいだろう。それぞれ総合周産期母子、地域周産期母子が空床情報を照合し ながら、患者を適切な場所に搬送する。できるだけ迅速に、できるだけ照会回数を少な くする。新生児搬送の特徴ですが、照会している間に新生児搬送のドクターカーは出発 していると。時間のロスが全くないというのが特徴だと思います。以上です。 ○座長 ありがとうございました。先生がお示しになったこの数字なのですが、地域の 例として、総合周産期母子医療センターNICU12床、GCU24床とあります。この数字は そこの地域の人口密度はあまり高くない地域と考えていいですか。 ○藤村委員 それは1つの船団、人口100万人と考えた場合です。 ○座長 私が言うのは、地域によっては距離があるので、総合センターまで運んでいく のに時間がかかると。だからある地域には小規模なものを配置するほうが、住民のため にいいと。ただし、東京のようにすごく密集しているところにばらばらと小さな施設を 置くよりは、総合周産期の規模を大きくして、そこに一気に行くというスタイルのほう がおそらく医療体制としたらいいのだろうと思います。「大都市では複数の護送船団」 というのが少し気になるのです。もちろん護送船団となるのですけれども、大都市で人 口が密集しているところほど、センターの機能を強化して、規模を大きくすることが大 事だと思うのですけれども、その辺はどうですか。実際にNICUのベッドは、先ほど藤 村委員がおっしゃったのですが、20いくつとかあるわけですよね。それが12というの はどうなのか。というのは東京でいま12床ぐらいが多いのは、平成6年に「周産期医療 の整備体制の指針」が出たときに、MFICUが6床、NICUは9床だったのですが、望ま しい数字として“12床”を付けたからだと思います。それぐらいの規模が総合周産期と してはいいと言われてきて、そうやってきた結果、常に満床ということになっているの ですから、もう一回り大きいものを考えていかないといけないのではないかと思います。 ○藤村委員 大阪で実際考えてみますと、人口800万で総合周産期母子が6カ所、地域 周産期母子が12カ所、それに連携するのが約15カ所と。ここに載っていない、地域以 外のNICUです。ですから、それで周産期母子が満床にならずにやられていると我々は 考えています。そういった予備力を我々は総合援助システムと呼んでいます。軽い方は、 地域の近くでレスピレーターのケアもせずに帰るという、そういう新生児はたくさんお られるわけです。そういう人を総合周産期母子や地域周産期母子に送る必要がない。そ の振分けを情報センターで搬送チームは行っているのです。次に、人口100万で1カ所 が適正かどうかは、例えば200万で1つの船団でもいいのではないかというのは、異論 はございません。人口300万でも1つの船団になり得ると思います。その場合は、いま 言われたベッド数は20床、30床と人口に見合う数字になってくると思います。 ○座長 ありがとうございました。東京では300万ぐらいを1つの船団にしようという ことを考えていたものですので、委員に質問いたしました。このNICUのベッド数や配 置の問題に関して、ご意見はございませんか。あとは、一般救急をやっておられる先生 からご意見をお伺いしたいのですが、いま三次救急をやっている施設の規模に関して、 これが日本の医療で理想の規模なのか、もっと大きくしたほうがいいのか、もっと小さ いものをうまく連携するような配置がいいのか等についてお願いします。 ○有賀委員 昭和大学病院の救命救急センターは、20床です。多くの救命救急センター が大体20から40の間です。私自身は昭和大学病院に赴任していたときに、前の病院の 救命救急センターは、26床だったのですけれども、昭和大学病院に赴任してきたときは、 東京都の衛生局に「10床でもいいのではないか」と言いました。どうしてかというと、 本当に重い患者さんだけが流れてくると。つまりフロウさえ確保できれば、10床でもい いのではないか。いまさら思えばそれは15床ぐらいでもよかったのかなとも思います が、「10床ではいくら何でも小さ過ぎるので20床でやってくれ」と言われたので「で はわかりました、やりましょう」と。結局のところ、流れさえ出来ていれば、15〜20床 ぐらいで、多くの救命救急センターがやっていけるのではないかと思います。救命救急 センターが東京のように生きるか死ぬかという患者ばかりを運んでいる、つまりさっき 「東京では」と言いましたが救急車3台ないし4台の、いま診ないと死ぬという患者ば かりを診るのならそういうことになりますけれども、地方に行きますと、あの建物が救 命救急センターですよといって、そこではトコトコ歩いてくる人も診ているというよう なことも、実はあるのです。そうすると、やはり規模としては、かなり違うことを考え ますので、一概に救命救急センターはどうですかと言っても、地域によって随分違うと 思います。ちなみに私がさっき言った前任地の田舎のほうは、いわゆるインテンシブ・ ケア・ベツドは8床でしたけれども、そうではない普通のレスピレーターが要らないよ うな患者に関しては20床です。周辺の医療機関から見て「大変そうだ、ちょっと診て診 断を付けてほしい」というような患者も入れるとすれば、30床ぐらいはないと辛いのか もしれません。600床規模の病院で言えばそういう感じがします。大阪もそうですよね。 ○横田委員 はい、救命救急センターというか、救急の規模を整理して考えますと、以 前は三次救急施設というのは、確かに重症度という尺度で、外因性の傷病、脳血管障害、 心筋梗塞いずれであっても重症例というカテゴリーでとっていました。しかし最近は脳 血管障害、循環器疾患については、それぞれの診療科で救急対応し、救命救急センター の役割も二次の診療科の強いところとの垣根がなくなってきているのです。言い替えま すと、何床の救命救急や二次のような病院がいいかということよりも、最近は二次・三 次を一緒くたに捉え、診療科の内容がわかるような形の救急システムが必要になってき ています。というのは、働く者の側からいって、救命救急センターで怪我人を診て、そ の一方で脳血管障害を診たり、心筋梗塞を診るという、こんな器用なことは現実はでき ないわけです。働いている者にとっても、それぞれのチームのスタッフを組まないとい けないという問題がありますので、何床ぐらいが適当ですかという質問については答え にくい。むしろどういう診療科のグループ単位で、救急部門、即ち二次・三次のところ を重点的にするか。その延長線上に今回の妊婦さんのような救急も話として出てくるの だろうと思います。 ○木下委員 このデータがすごく面白いと思って見たのですが、5頁の東京や地域によ って非常にばらつきがあります。山形県、新潟県などある地域ではうまくいっているの ですが、東京は突出しておかしなところではないかなと。つまり4回以上も照会を行っ たのが計算をしたら8%くらいありまして、何と19回が6例と。8%ということは、周 産期の176名、200弱が5回以上になっているわけです。この理由を見てみますと、6 頁にありましたけれども、東京だけで見ましても、「手術中・患者対応中」とか、「処 置困難」だとかというのが、非常に多いわけです。本当にそうだろうと思いますけれど も、だとするならば、処置ができるようなところでなくてはいけないでしょうし、「手 術中・患者対応中」という場合に、そういう場所であるならば、オンコール体制でほか の人たちが来てもいいではないかというようなことも含めて、もっと現実的な対応を考 えたときに、やはりほかの地域と同じように、せめて4回までにするのだという努力を するためにどうするかということを考えた場合に、5回以上の176人についてどういう 理由であったのかということは、是非見せていただいて、現実的な対応を考える資料に していただいたらどうかなと思います。  それから、先ほど来お話がありましたが、過労であるということも当然なのですけれ ども、前にも触れましたように、例えば東大病院のような国立大学病院が1,000例近く やって、正常分娩もかなりとっている。横浜もそうですが、横浜市大も正常分娩でも救 急になって、本当に疲れ切っているというような状況があったときに、特殊な病院、つ まりそこに運ばれたらば機能として十分に母体救急ができる所には、正常分娩にある程 度枠をはめてもいいではないかと。その代わり、そこに行ったら全体にとるのだという ようなことの体制も要る。東京の場合にはかなりの数の大学があるわけですから、別に 総合周産期に限らず、それだけの機能を持っているところには、それだけの姿勢を求め ていくということも、現実の対応ではないか。できない理由ばかりを言うのは、現状と してはあるのですけれども、そうでもしないと、このデータを見る限り今のままだった ら、また同じことが起こるなと、何の改善策も出てこないのではないかと思います。そ ういった意味では、是非5回以上の具体的な事例を見せていただいて、それに対して、 各対応すべき病院は選んだらちゃんとやるという姿勢を作っていく。それには財政の援 助も必要かもしれない。そのくらいの提言をしていただかないと、同じだなという感じ がしますので、是非よろしくお願いします。 ○座長 基本的にはたくさん病院があるということが、受け入れ病院を探すということ につながっているのです。委員が言われた処置中で対応ができないとか、その話は私は 規模の問題だと思っています。産婦人科は2人当直しなさいということになっています。 2人では帝王切開が一症例入ったらもう受けられないのです。何でも受けるのであれば、 規模が大きくなくてはいけないと思うのと、もう1つは医師の勤務環境の問題です。施 設が多くあるので、当直回数が多くなってしまう。お産を200ずつやっている病院が3 つあるとして、その病院に3人ずつ医者がいるとしますと。それぞれの医師が3日に1 回当直することになります。それを集めてしまえば、9日に1回で済みます。そうしな いと、医師の勤務環境も悪く、働く効率も悪い。そして、一人の患者を受け入れるとベ ッドが満床になってしまうとか、医師がほかの症例にかかったら受けられないというこ とになるので、中長期的視点でみた場合、私は規模をもう少し大きくするほうが理想的 な姿ではないかなと思っています。 ○海野委員 2点あります。まず救急の話なのですが、産婦人科に関しては、一次救急 のシステムはほとんどないです。東京都にも一次救急のシステムはありません。ですか ら、夜中に具合いが悪くなった人を診てもらおうと思うと救急車を呼ばなければならな いというのが、東京の状況です。しかも二次救急のシステムもありません。救急病院の 中で情報システムがありますけれども、更新は産婦人科がやっているわけではありませ ん。こういう病院の大多数は、周産期センターとかそういうところではなくて、一般的 な病院側の話なのです。一次・二次を含めた救急システムができていないところで、一 生懸命探すとこういうことになってしまうというのが、いまの状況です。  また話がずれますけれども、私の資料の11頁の下段に、神奈川県の障害を有するお子 さん、特にNICUの長期入院児の状況というシェーマを作ってみました。この元のデー タは2回前に神奈川県の保健福祉部が作ってくれたデータです。NICUに1年以上入院 しているお子さんが26人おられます。このうち18人はNICUの側からみれば、小児科 病棟、あるいは在宅、あるいは福祉施設で診ていただけないものかと思っているけれど も、行けない状況にあるというお子さんです。先ほど有馬先生のお話の、重心施設が非 常に厳しい状況というのは、よく理解できたのですけれども、先生が最後にお話された 中間施設です。要するにどこをこれから強化していかなければいけないか。NICUを増 やすとしても、やはりこの問題は残りますので、その中で重心施設も必要でしょうし、 中間施設も必要なのだと思うのですが、どこをどういう形で整理していくのがいちばん 合理性があるのかということを、この機会に教えていただければと思います。 ○座長 先生のほうから答えていただけますか、中間というのは何を考えるのですか。 ○有馬参考人 私はむしろ小児科病棟がいちばん手っ取り早いのではないだろうかと思 います。 ○海野委員 そうすると、小児科病棟のHCUをもうちょっと病床数を増やせるような 制度を作ったりとか、それで5:1ができるような小児科病棟を作るということですね。 ○有馬参考人 はい、そういうようなものが1つの方法だろうと思います。 ○海野委員 小児科病棟は、いま大学病院のようなところでも7:1看護でやっているの ですけれども、そうすると、看護必要度の高いお子さんというのは、少ない数しかとれ ないのです。ですからそれを集中的に診れるような病棟の形態を考えてもらえればとい うことなのです。 ○有馬参考人 第一義的には私たちはそう考えています。今度は少し余裕があれば、在 宅にいけるようにアドバイスもできますし、そこでは重症心身障害の施設もレスパイト をとることの協力はできるだろうと思います。 ○座長 ありがとうございました。いかがですか。病院の規模と配置の問題で、もう少 しご意見をお願いします。 ○藤村委員 いまの小児科の話なのですけれども、2頁のいちばん下に、小児科と書い てありますが、これは総合周産期母子の小児科ではないです。その他の病院の小児科病 床を、こういう形で活用していこうということです。重心施設もそうです。いま一般の 小児科病棟は、このような子どもをケアするにはあまりに診療報酬が低くて、体制も取 れない。ですから、これはやはり診療報酬の問題をしっかり考えないと、この問題は解 決しない。しかも、小児科の病床数のパイはすごく大きい。実際はたくさんの子どもを お願いしなくても済む。つまりお金はそんなにかからないということです。パイはもの すごく大きい。これは成功する可能性が強いということなのです。まだ十分に練った計 画ではありませんが、いろいろな関係者の話を聞いたところではそうです。 ○座長 ありがとうございました。もう1つ横田委員が言われたお話で、同じ救急セン ターでも、機能が分かれていいのではないかと。ある施設は心臓に強いと、ある施設は 脳に強いとか。それは反対の意見も私はあっていいと思うのです。そこに持っていけば、 何でも診てくれる、そのためには施設を大きくしなければと思うのが私の考えですが。 ○横田委員 ですから救命救急センターというのは、1つの受け皿としての形であって、 その中で診療を行ういわゆるチームというのには、いわゆる各方面の診療科の支援が必 要なのです。救命救急センターだけがこんな規模であればいいというのではなくて、救 命救急センターとコラボレートする診療科、それは脳血管障害や循環器、あるいは今回 のような周産期も含めて、組織化することが大変重要であるということで理解していた だきたいと思います。 ○有賀委員 それは、先回木下委員が「救命救急センターにその手の患者が入ってきた ら、うまくいくのか」と質問されたときに、「それはもう産科の先生と一生懸命やれば それでいいのではないですか」と私が答えたのと同じですよね。救命救急センターのよ うな所は、とりあえず訳の分からない患者でも、とにかく入れるという意味ではそうで す。だけれども、先ほどのお話のように、東京も問題があると言っていますが、いずれ にしろ9割方は救急隊長の判断で、いまはそれなりの所に運んでいるのです。運べると いう意味においては、横田委員が言うように二次救急はそういうふうにしてやっている。 今回かなり時間的にも急いで回答しなければいけないという患者がいた場合には、やは り俎上に載せるのは救命救急センターだろう。救命救急センターに産科の先生たちが入 り込んでくるような形を取ってさえいれば、そこにとにかく来ればいいだろうという話 です。そのあとは流れの問題になります。 ○座長 ありがとうございました。ほかにご意見はございますか。 ○川上委員 先生方のご意見を聞きまして以前から思っていたのですが、藤村委員の指 摘されている、総合周産期母子医療センターを増やす、Level4を増やすというのと、岡 井座長の、いまある総合周産期母子医療センターの規模を大きくする。それには私も賛 成です。なおかつ、MN型となるような施設を大きく作るのが1つ。もう1つは、支援 小児科・療育施設という指摘が藤村委員からされましたけれども、我々の施設はたぶん ここに当たるのだろうと思うのですが、NICUでもなく、地域の周産期母子医療センタ ーでもないのですが、そこそこの未熟児や低出生体重児を診るという施設はたくさんあ ると思うのです。そういうところが、前回もお話しましたが、診療報酬上問題なく運営 できるようなシステムにしていただくというのがいいのではないかと思います。 ○池田委員 もっと大きなスーパー周産期センターを作るということについては、地方 ではなかなか実現できないと思います。いま、10個総合周産期センターで脳出血や救急 症例が全く診られないというところが全国でありまして、そこの責任者の先生が言われ ているのは、そこのセンターを大きくするということは不可能だと。地域で救急センタ ーや大学病院とネットワークを組むべきだとおっしゃっていますので、そういうところ が、人員が豊富な東京という所ではできるかもしれませんが、なかなか地方では限度が あって大変な場合もあります。状況は地域によって違うと思います。 ○座長 時間が予定より20分ほど過ぎていますが、何かいまのことでご発言があれば、 よろしいですか。最初に申し上げましたが、次の会では、報告書の案を提示させていた だきますので、それをご審議いただいて、これまでの議論でまだ結論が出ないところは 残しておいて、もう一度ディスカッションし直すところもあるかと思います。先生方に は、できるだけ早く会の前にご送付させていただいて、チェックしていただく時間も取 りたいと思いますので、お願いします。次の会が最後になります。是非いい報告書を出 したいと思いますので、よろしくご協力お願いしたいと思います。では、大臣からお願 いします。 ○舛添厚生労働大臣 いろいろありがとうございました。途中からでしたが、若干コメ ントを含めて申し上げます。最初に、有馬参考人の重心施設のお話ですが、先ほど11 頁について質問をしたのですが、実を言うと、前に並んでいる雇・児家庭局長、医政局 長、福祉部長、この3つの部局に全部関わる話であって、例えば個々にご提案がありま す。確かに3:1、7:1、できないならば真ん中の5:1はできないのかという配置基準など、 様々なご提案があって、私が見る限り、こういうものが実現できれば、いろいろな意味 でプラスの面があるなと思うのですが、行政の立場でこれをやるとなったらどうなるの か。これは3局でやらざるを得ないので、1つのケース・スタイルとして、例えばこれ が要望であったときに、これに答えるにはどういう答えが出るかというのをやってもら うとありがたいです。まさに縦割行政の悪いところが出てきて、局あって省なしという ことになってしまう。診療報酬のことを藤村委員もおっしゃったので、こういう問題に ついて、折角ご提案いただいたのに医政局長の担当だからとか、これは保健福祉部長だ からと言うと、結局まとまりが取れなくなるのではないか。こういうことについて、省 全体できちんとやる体制というのは、まさにこれは厚生労働省改革の1つだと思うので、 簡単でいいので、3者の担当課長辺りで話をして、これに対して答えを出せるのかどう かということを、やってみてもらうとありがたいのが1つです。  同じことが消防庁の話にもあるのですが、木下先生がおっしゃって私も非常に興味深 いのは、例えば5、6頁だけれども、なんで名古屋市でこんなによくできて、東京や横浜、 川崎で駄目なのかということの分析をやる必要があって、例えばこういうデータが毎月 コンスタントに我が省にこないといけないのです。あなたが悪いと言っているわけでは なくて、ないしはこっちが要求しないのが悪いのかもしれない。これを常に見て、日本 国民全体の健康に我々は責任を持っているわけですから。東京のひどさはどこに問題が あるか。例えば6頁を見たらわかるのですが、「処置困難」というのが38.4%、新潟、 名古屋は0です。なぜこういう数値が出てくるのか。名古屋がものすごくいいことをや っていて、こういうことになったのか。前の頁を見ても、3回目で全部いっています。 浜松もそうですが。名古屋は小さな町ではなく、大きな町なので、何で名古屋でできて 川崎、横浜、東京でできないのか。地元だから大野委員がよく知っておられると思いま すが、それは3人の知事の質の問題なのか、いろいろ問題があると思います。そうする と、ここは悪いから通達を出すときに、こういうふうに変えないと、お宅はいくら経っ ても駄目だということを、ナショナル・ガバメントとしては、ローカル・ガバメントに 対して出す必要があるのです。これをコンスタントに私にくださいというか、我が省に くれるような体制ができていないのなら、これは問題なので、それはそのために1人総 務省から私のところに来てもらっているので、それを活用する必要があります。  先ほど言った我が省の局の縄張りもいま変えつつありますから、変えていくというこ ともやります。先般一部報道にあったように、地域医療の改革推進本部を立てます。本 部長は総理大臣、官房長官が入る。私のほうから鳩山総務大臣と、塩谷文部科学大臣に も入れということで、厚労大臣、文科大臣、総務大臣が入る。そして官房長官が入って、 総理が本部長だと。これで地域のことをやるときに、いまのスーパー周産期センターの 話もそうですが、重心施設が後方支援体制としてある。地域全てで考えることは、政府 全体で考えないといけないので、まさに省あって政府なしというのでは話にならないの です。ですから、そういうこともあって、地域医療の推進本部ができるならば、その仕 組みを使って、省庁間で連携を取るし、申し訳ないですが、我が省の中もまだそこまで いっていなくて、それぞれの分野で仕事が忙しくて、とても連携できないとか、いろい ろな細かい事情はあるにしろ、これをやっていかなければならないので、むしろテーマ ごとの問題です。いまの周産期医療と救急医療の連携というのは、テーマごとの体制、 国民や患者、家族から見たときに何が必要なのかということを言うときに、それは省庁 の行政の仕組みは関係ないですから、それを越えてやらないといけないと思います。総 務省のほうにも是非そういう体制を消防庁で取っていただくということが必要ではない かなと。なぜそうなったかという解明は、総務省消防庁はやっているのですか。 ○総務省消防庁 ある程度消防隊のほうから見た理由、例えば名古屋ですと、輪番が非 常に確立しているということを聞いています。それと、最後の砦といいますか、2つあ る救命救急センターでかならず大体とってくれるということで、先ほどの護送船団方式 ではないですけれども、大都市ではありますけれども、1つのルールができているとい うことですので、我々は搬送の立場ですので、消防と医療との共通のルール作り、そう いった協議のシステムを作ることも必要があるということで、私どもの検討会でも、是 非省庁連携をやっていきたいと思います。 ○舛添厚生労働大臣 臨床研修医の話は、文科省と連携していて、これは総務省とやる。 いまのようなデータというのは、宝の山なのです。それを我々が活用しないことはない と思います。そういう感想を含めていただきましたので、できるところから変えていく ということでやりたいと思いますので、よろしくご協力をお願いします。 ○有賀委員 いまの搬送の件は、患者を抱えている救急隊が、都市部においては困って いるということですよね。これは搬送の面倒を見ている救急隊はどうなってるのだとよ く聞かれますけれども、ピッチャーが投げようと思っているときに、キャッチャーが構 えてくれない、そういう状況にあったときには、そちらの問題もあるのです。ですから、 同時に同じ質問をきちんと受手側の部分にもすることがあるのです。それは「総務省、 どうですか」という話ではなくて、「厚生省、どうなってるのだろうね」と、全くそう です。だからそういう意味で是非連携をしていかなければいけない。私は消防と医療の 連携に関するその手の委員会などで、いろいろ発言することがありますので、是非この 件はしっかりと入れ込んでいただきたいと思います。 ○座長 このデータの分析は、もう少し細かく突っ込んでやらないと何が本当の原因な のかはわかりません。大臣が言われたように、名古屋市は202例なのです。東京は2,200 ですから、10倍に運んでいるのです。そうすると難しい症例が出てきても受け入れ先が 見つからないということも起こります。更に、東京は千葉、神奈川、埼玉から30%とっ ていますから、ある意味では非常に大変な状況にあるというのもあるのではないか。詳 細を調べる必要があると思います。 ○舛添厚生労働大臣 東京の責任者だから。 ○座長 そういうことで、これはこれでききちんと分析をして、改善させていきたいと 思います。それではありがとうございました。次の回もまたよろしくお願いします。 (照会先) 厚生労働省医政局指導課 課長補佐  中谷 (代)03-5253-1111(内線2554)