08/12/05 第40回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会議事録 第40回労働政策審議会職業安定分科会 雇用保険部会             日時 平成20年12月5日(金)                13:00〜             場所 中央合同庁舎第5号館14階職業安定局第1会議室 ○清家部会長 ただいまから、「第40回雇用保険部会」を開催いたします。本日の出欠状 況ですが塩野委員がご欠席です。本日の議題は前回に引続き、「雇用保険制度について」 でございます。前回までの議論を踏まえ、事務局で資料を準備していただいています。 まず、資料について事務局からご説明をいただき、その後質疑に入りたいと思います。 事務局から説明をお願いいたします。 ○長良雇用保険課課長補佐 私から資料を説明させていただきます。資料No.1とあります のが「雇用保険制度について(検討のたたき台)」というものです。前回までのご議論 を踏まえ、検討に当たってのたたき台を整理したものです。併せて、前回と同様資料1を 中心に、資料2として関係資料を準備しています。必要に応じて資料2を並行して参照い ただきながらご説明を進めさせていただければと存じます。よろしくお願いします。  資料1をご覧ください、「雇用保険制度について(検討のたたき台)」ということで整 理したものです。枠囲いの部分は、1回目に論点として提示したものです。それぞれの論 点について、今回は検討の方向性という形でそれぞれの論点ごとに項目をまとめている ものです。  「ローマ数字の1.当面の優先課題」、「1.セーフティネット機能の強化等について」 です。【検討の方向性】ということですが、ここは言わば総論部分であります。現下の 厳しい景気動向や急速に悪化しつつある雇用失業情勢を踏まえ、今後想定される離職者 の増加などに備え、セーフティネット機能の強化を図るべきではないか。派遣、パート、 契約社員等のいわゆる非正規労働者が雇用失業情勢の悪化等の影響を深刻に受けること が考えられるが、こうした非正規労働者に対するセーフティネットを強化すべきではな いか。その際、暫定的な対応も含め、必要な給付がなされるよう制度を見直すべきでは ないかというものであります。  補足資料として、資料No.2の6頁をご覧いただければと思います。これは非正規労働者 の雇止めなどの状況ということで、全国の労働局、ハローワークが企業に対する聞き取 りなどにより把握した、直近の状況をまとめたものでございます。11月25日時点ですが、 派遣または請負契約の期間満了、中途解除による雇用調整、有期契約の非正規労働者の 期間満了解雇による雇用調整について、本年10月から来年3月までに実施済みまたは実施 予定として、11月25日時点で把握できたものは全国47都道府県で477件、約3万人という 調査となっています。雇用形態別の対象人数の割合を見ると、派遣が65.8%、契約(期 間工など)が19.2%、請負が10.6%などの形になっています。  雇用形態別でまとめたのが2です。派遣、契約(期間工など)、請負、その他、それ ぞれについて製造業、運輸業、卸・小売業、その他、いずれの形態を取っても製造業が 多いという形になっています。  7頁は都道府県別の集計結果をまとめて整理しているものです。8頁は〈参考〉、正社 員の離職者数です。これは労働局から、いわゆる企業整備に伴う離職者数120の事例に ついて集計したものです。産業計で言うと2,028、製造業、運輸業、卸・小売業、その 他とそれぞれの数字を整理しております。  「論点」の各論に入ります。資料1に戻って「(1)給付の見直し」です。「今後想定さ れる離職者の増加等に備え、セーフティネットに万全を期す観点からの給付の見直しに ついて」ということです。【検討の方向性】として、1つ目に「非正規労働者に対するセ ーフティネット機能の強化の視点」です。いわゆる倒産、解雇等による離職者、特定受 給資格者については、被保険者期間が6カ月あれば受給資格が得られる。これは現行の 制度です。「希望したにもかかわらず、雇用期間1年未満で、契約更新がなされなかっ たため離職した有期雇用者などについても特定受給資格者と同様、受給資格が得られる ようにすべきではないか。また、現下の雇用失業情勢の悪化に鑑み、これらの者のほか、 雇用期間1年以上3年未満で、契約更新がなされなかったため離職した有期雇用者も含め、 所定給付日数については暫定的に特定受給資格者と同じ取扱いとすべきではないか。さ らに、更新されることが明示されていたにもかかわらず、契約更新がなされなかったた め離職した有期雇用者については特定受給資格者とすべきではないか」というものです。  参考の資料として、受給資格要件の枠組みを整理したもの、10頁をご覧いただければ と思います。現行制度において、いわゆる期間雇用者の雇止めについて、どういう形で 受給資格要件が整理されているかというのが上の現行制度の表です。「更新が明示され た場合」、「更新が明示されていない場合」と2つに分けた場合ですが、現在の制度です と更新が明示されたにもかかわらず、更新が結果的にされなかった。これについては6月 以上、12月未満の被保険者期間であっても受給資格が得られるというものです。  一方、更新の明示がなかった場合ということですが、太線で囲っている部分について は現在受給資格が得られない形となっています。いま、【検討の方向性】で読み上げた ところですが、「希望したにもかかわらず、雇用期間1年未満で契約更新がなされなかっ たために離職者した有期雇用者などについても、特定受給資格者と同様に受給資格が得 られるようにすべき」というところが枠の太線部分の変更点です。  次の頁をご覧ください。若干複雑な資料になっています。現在、期間雇用者の雇止め、 それから正当理由の離職に関して、期間ごとに特定であるか一般であるかを整理したも のでございます。現在、これは省令で要件が定められておりますが、若干複雑な形にな っているのが現状と言えます。まず、期間工の雇止めに関して言うと、更新が明示され た場合については先ほど申し上げましたとおり6月以上12月未満、これは特定扱いという ことであります。それから、いわゆる雇用期間3年以上、これは更新を繰り返して3年以 上継続して雇用されたという形になった場合、更新の明示・不明示を問わず特定受給資 格者の扱いとなっているものです。  「正当理由のある自己都合の離職者」、正当な理由がない自己都合の離職者について は、給付期間3カ月がございますが、正当な理由がある離職者に関して被保険者期間6月 以上12月未満の部分については前回の制度の見直し、平成19年のときに暫定的に特定の 扱いとしたという経緯があります。ということで申し上げますと、被保険者期間6月以 上12月未満の部分については、特定にするか・特定でないかという部分は純粋に受給資 格の要件にかかってくるところです。  一方、被保険者期間12月以上の部分については、雇用期間3年未満のところについて はすべて一般の取扱いという形になっています。雇用期間3年以上については先ほど申 し上げたとおり、期間雇用者で更新を繰り返しているような方については特定扱いとす るということになっています。現状の整理としては若干不十分な部分があるのではない か、というのが当方の問題意識です。先ほど申し上げた、検討の方向性の具体的イメー ジとして整理したものが下の表ということになります。まず、期間雇用者の雇止めで更 新が明示された場合、言わば労働者が継続して雇用されることが見えているという状況 であるにもかかわらず、急に更新が打ち切られるケースということです。これについて は被保険者期間を問わず、言わば特定受給資格者扱いという形で整理してはどうかとい うものです。  更新が明示されていないケース、現行雇用期間3年以上については、まず6月以上12月 未満の部分については受給資格がなかった形ですが、まず受給資格を得られるようにす るとともに、暫定的に特定の扱いとするという形で整理するものです。一方、正当理由 の自己都合離職、被保険者期間6月以上12月未満については、現在の暫定の特定の取扱い とする。こういう形で整理してはどうかというものです。  資料1に戻っていただければと思います。2頁の「再就職が困難な場合の支援の強化の 視点」です。基本手当の支給が終了しても再就職が困難な場合について、特に必要があ ると認められる一定の対象者については、暫定的な措置として個別に延長して給付が受 けられるようにすべきではないか。その際の基準としては離職者の年齢や雇用失業情勢 の地域差などとし、公共職業安定所長が必要と認めたもものとすることが適当ではない か。また、延長日数については60日とすることとしてはどうか。なお、職業紹介等を拒 否する場合にあっては、他の延長給付と同様、給付制限の対象とすることをすべきでは ないかというものです。  現在、いわゆる基本手当の所定給付日数については、前回、前々回ともにお示したよ うな形で特定受給資格者とそうでない方、それぞれについて90日から、いちばん多い特 定受給資格者の方で330日の範囲でそれぞれ所定給付日数が整理されているところです。 例えば、いま申し上げたように個別に再就職が困難なケース、基準として離職者の年齢、 地域差などを勘案して、原則の所定給付日数を延ばすという枠組みを設けてはどうかと いうものであります。  なお、参考に12頁をご覧いただければと思います。「一般被保険者数の年齢別推移」 という形で過去10年を整理したものでございます。一般被保険者数について、過去10年 間のトレンドはいちばん左でございます。これは前回ご説明したかと思います。近年、 平成15年度以降については、被保険者数全体が伸びているというという状況となってい ます。年齢別で見ますと29歳以下、30歳から44歳、45歳から59歳、60歳から64歳、これ は所定給付日数が分かれる年齢別の層がこういうカテゴリーになっています。全体のト レンドとして29歳以下、30歳から44歳以下と分かれているのですが、実は平成10年と比 較すると絶対値については人口構成の影響もあるので、60歳から64歳が非常に増えてい るのはそういう影響もございます。総じて申し上げますと、構成比率自体についてはそ ういう影響もあって29歳以下が若干減っている。30歳から44歳についてはトレンドとし ては増えている。45歳から59歳については大体横ばいの状況です。60歳から64歳は非常 に増えているという形になっているところです。  資料1に戻ります。次の論点、「安定した再就職に向けたインセンティブ強化の視点」 でございます。安定した再就職に向けて、必要な雇用機会の創出や早期再就職に向けた 支援を充実するとともに、再就職する場合のインセンティブを強化すべき。このため、 「再就職手当」について、暫定的に「所定給付日数の3分の1以上」残日数があれば受給 要件を満たすこととし、給付率についても残日数に応じて40%または50%に引き上げる こととしてはどうか。また、「常用就職支度手当」についても暫定的に、40歳未満の若 年者についても支給対象とし、給付率を40%に引き上げることによりさらにインセンテ ィブが高められるようにすべきではないか。さらに、職業訓練を受講する者に対し、暫 定的に受講手当の額を引き上げるなどにより、再就職の一層の支援を図ることとすべき ではないか。  まとめて、いくつかの制度の部分について申し上げました、補足の説明資料をご覧い ただければと思います。13頁をお開きください。13頁は最初に申し上げた、再就職手当 の概要を整理した資料です。これは受給資格者が安定した職業、1年を超えて引続き雇 用されることが確実と認められる職業ですが、安定した職業に就いた場合に所定給付日 数を一定程度残して、早期に再就職した場合に対する手当でございます。先ほどの論点 で申し上げたとおり、安定した再就職に向けてのインセンティブの観点からの給付とし て整理しているものです。  支給要件として現在、下線を引いている部分ですが、「所定給付日数の3分の1以上か つ45日以上である者について支給される」というのが現行となっています。今回お示し したたたき台は、所定給付日数の3分の1以上残日数があれば受給要件を満たす。具体的 には、「かつ45日以上」の部分を撤廃するという整理としてはどうかというものです。  もう1つは3、支給額の部分です。いま、基本手当の日額に支給残日数の10分の3を掛 けて出た額を支給額としているところでございます。今回、お示ししたたたき台では残 日数に応じて40%、あるいは50%に引き上げるというような枠組みを検討してはどうか というものです。  続いて、2点目の「常用就職支度手当」、14頁をご覧いただければと思います。常用 就職支度手当については支給対象者が決まっています。主に障害者、例えば季節雇用者、 手帳所持者等々の方が対象、言わば就職困難者として整理されている方です。こうした 就職困難者の常用就職を促進するという観点から、これらのものが安定した職業に就い た場合に支給される手当です。  先ほどの再就職手当は、早期の再就職のインセンティブの給付でした。この常用就職 支度手当は早期に再就職するケースを除いて、つまり早期の再就職手当が支給されない ようなケースにおいて、一定の支給対象者に手当を支給するという仕組みのことを謳っ ています。この支給額については、基本手当日額×90に30%を掛けるという枠組みのも とで額が定められているところです。  今回のたたき台としてお示ししたものについては、これをまず支給対象者について40 歳未満の若年者について支給対象とすることが1点です。もう1つは、支給額について40 %に引き上げることとしてはどうかというのが2点目ということです。  最後、職業訓練の関係ですが15頁をご覧いただければと思います。現在、いわゆる基 本手当の受給資格者が訓練を受けた場合の措置として、訓練を受けている期間内の失業 している日については所定給付日数、原則の日数を超えて基本手当が支給される、「訓 練延長給付」という形があります。これは訓練期間に応じて、所定給付日数が訓練を受 けている期間中延長されるというものです。それに加えて、訓練を受けている期間に支 給される「技能習得手当」という枠組みがあります。これは日額ですが、受講手当が併 せて支給されるという枠組みになっています。今回のたたき台との関係で申し上げます と、いま申し上げた受講手当を引き上げることによって訓練のインセンティブ、ひいて は再就職の支援を一層図るということとしてはどうかというものです。  大きな論点の2点目、「適用範囲の見直し」です。「雇用のセーフティネットとしてカ バーする労働者の範囲の見直しについて」ということです。次の頁に【検討の方向性】 を整理しています。「非正規労働者に対するセーフティネット強化の視点」としまして、 現在、雇用保険の適用については「週所定労働時間20時間以上、1年以上の雇用見込み」 という基準が設けられているが、特に1年未満の有期雇用者の中には1年以上の雇用見込 みの要件のために適用が受けられない者がいる。こうした者に対してもセーフティネッ トが必要であり、雇用保険において適切にカバーできるよう、負担と給付のバランスを 考慮しつつ、「1年以上の雇用見込み」を「6カ月以上の雇用見込み」に改めるべきでは ないかというものです。  適用の基準については16頁以下をご覧ください。これは前回、お示しした資料でござ います。若干、前回と重複する部分ですが、17頁、「雇用保険の適用基準」については 所定労働時間ごとに適用になるか・ならないかを整理しているものです。週所定労働時 間40時間の方は一般被保険者、週所定労働時間20時間未満の方は適用除外となります。 20時間から40時間未満の方、その会社全体が例えば所定労働時間35時間とか、そういう 場合には一般の被保険者となりますが、典型的には短時間の労働者などですが、通常の 労働者よりも所定労働時間が短いなどの場合においては、1年以上の雇用が見込まれる かという要件がかかってくるものです。これに該当すれば一般被保険者、該当しなけれ ば適用除外という形の整理をしているところです。今回、お示ししたたたき台において は、1年以上の雇用の見込みを6月以上という形に改めることとしてはどうかというもの です。  18頁以下は前回お示しした資料を整理したものです。参考までに21頁をご覧ください。 前回、ちょっと資料としてお出しした雇用者の内訳、労働力調査に基づく雇用者の数を 雇用保険の被保険者に該当するか・否かなどの観点から、一定の試算に基づき人数を整 理したものでございます。全体の雇用者数、平成19年の労働力調査によると5,561万人、 雇用保険被保険者、真ん中あたりの欄ですが3,685万人です。雇用保険の適用除外になる 会社の役員、65歳以上の者、公務員、こういった方がそれぞれ386万人、128万人、356万 人となっています。その他の雇用者として1,006万人ということです。これが確か、前回 までにお示しした資料です。  この1,006万人の方の内訳として、まず雇用保険の適用対象の観点から整理すると、こ の1,006万人の中にはまず昼間学生のアルバイトなどがここに入っているだろうという仮 定を置きますと、この数については130万人となります。こういった方についてまず除く というものです。1,006万人から130万人を引いた方の人数の中で、週所定労働時間が20 時間以上の雇用者、それから20時間未満の雇用者、それぞれがどの程度いるかという整 理をしたものです。これは別の調査から推計した数字ですけれども、週所定労働時間20 時間未満の雇用者が384万人ということで、こういった方についても雇用保険の適用か ら外れているというものです。  現在、週所定労働時間20時間以上の雇用者が492万人という数字を前提として、それ ぞれの中で雇用期間6月以上1年未満、雇用期間6月未満がどの程度の比率で存在するか。 これも別の調査からの推計ですが、雇用期間6月未満の方が344万人、雇用期間6月以上 1年未満の方が148万人となっています。今回、雇用期間6月以上1年未満の雇用者があっ て、雇用保険の被保険者の対象となっていない方について、いろいろな試算を置いて整 理すると148万人程度いるのではないかというものです。  大きな論点の3点目は「育児休業給付の見直し」です。「育児休業給付の暫定措置の あり方」ですが、検討の方向性、「少子化対策としての要請や育児休業の定着状況など の視点」。平成19年改正の経緯や育児休業の定着、取得者の職場復帰の状況なども踏ま え暫定措置を延長すべきではないか。※のところに、平成19年改正の経緯を補足的に整 理しています。「この暫定措置は平成22年3月31日まで」という形で、「育児休業者職 場復帰給付金」、これは職場復帰6カ月後に一括して支給される給付でございます。こ れを10%から20%に拡充、全体の給付率を40%から50%に拡充というのが現行の制度で す。この点、平成22年3月31日までの暫定措置を当分の間延長すべきではないかという ことです。  「育児休業基本給付金」、これは休業期間中に支給される給付になります。これと「 育児休業者職場復帰給付金」、これは職場復帰後に給付されるものです。前回の資料な どでお示しした、例えば育児休業給付の職場復帰率、職場復帰給付金の受給者の割合な どを見ても、育児休業の趣旨に則った一定程度の定着が図られているのではないかと考 えると、言わば休業中の所得補障の樹立、この観点から2つの給付を統合して育児休業 中に支給するという枠組みとしてはどうかというものです。  なお、育児休業制度については現在、「労働政策審議会雇用均等分科会」において見 直しの議論が行われており、新たに育児休業の対象となる場合について育児休業を取得 しやすくし、その後の円滑な職場復帰を援助、促進する観点から育児休業給付の対象と することとしてはどうか。これは別の会議、林委員が分科会長をやられていますが、こ ちらにおいて現在進められているところです。  直近の状況としては資料の26頁をご覧いただければと思います。「第89回労働政策審 議会雇用均等分科会」、11月28日の資料です。取りまとめに向けた検討のためのたたき 台が示されているところです。育児休業制度の現状からそれぞれの課題を整理した上で、 27頁以下がある程度の方向性を示しているところです。関連する部分を抜粋して申し上 げます。3頁目の2、「父親も子育てができる働き方の実現」、父母がともに育児休業を 取得する場合、育児休業取得可能期間を子が1歳2カ月に達するまでに延長することを検 討すべきではないか。2つ目ですが、父親の育児休業の取得を促進するということで、 この期間に育児休業を取得した場合には特例として、育児休業の再度取得の申出を認め ることを検討すべきではないか。  次の頁、(3)の「育児休業の再度取得要件」でございます。長期にわたる子供の疾病が 発覚した場合や現在受けている保育サービスが受けられなくなった等の事情により、新 たに保育所等に入所申請を行ったが当面入所できない場合について、育児休業の再度取 得を認めることを検討すべきではないか。こういった項目が掲げられているところです。  現在の育児休業給付の仕組みですが、ご案内のとおり、法定の給付として基本的には 育児・介護休業法に定められた要件を満たす休業について給付の対象としているという 枠組みであります。その意味では、育児休業の制度の枠組みの変更に伴って、育児休業 給付の要件などについても雇用保険の給付をあり方として検討をする必要があるという ものでございます。いま申し上げたような、育児休業制度の拡充として、段階としては まだ検討というものですが、こうしたものが新たに育児休業の新しい枠組みとして入っ た場合において、育児休業給付についても同様の枠組みとして対象とすることについて ご検討をいただけないかという趣旨でございます。  なお、「雇用均等分科会」においては、委員の方から育児休業給付の暫定措置の延長 など、休業期間中の経済的支援は重要であるという旨のご発言が出ているものと承知し ているところです。この場において、改めて紹介させていただければと思います。  資料1の4頁、「雇用保険料率」の部分に移ります。論点としては「平成21年度の失業 等給付に係る雇用保険料率について」です。10月30日に決定された「追加経済対策」は、 これまでもご説明したところです。検討の方向性としては、この「『生活対策』におけ る要請や雇用失業情勢の状況」を勘案してどう考えるかというものです。昨年までの雇 用失業情勢の改善傾向などを受け、平成19年度の決算後においては積立金残高は約4兆 8,800億円となったところですが、現下の雇用失業情勢は急速に悪化しつつある。その一 方「生活対策」、これが言わば「追加経済対策」ですが、対策においては、家計緊急支 援対策の一環として国民(家計と企業)の負担軽減の観点から、雇用保険料の引下げを 行うことについて検討・結論を得るとされているところです。雇用失業情勢が悪化する 中で、雇用保険料率を引き下げることについては慎重であるべきである。「生活対策」 に示された観点から特例的に、平成21年度に限って、失業等給付に係る雇用保険料率に ついて弾力条項による引下げ幅を超えて0.4%引き下げることとしてはどうか。  もう1つの論点として、「平成21年度の雇用保険二事業に係る雇用保険料率について」 です。【検討の視点】として「雇用失業情勢、雇用安定資金残高の状況」です。これは 給付のものですけれども、積立金と同様の状況のもと、平成19年度の決算後においては 雇用安定資金残高は約1兆700億円となったところであるが、その一方で急速に悪化しつ つある雇用失業情勢のもと、雇用保険二事業による雇用対策を重点的に実施していくこ とが必要であるという状況です。こうした状況も勘案し、平成21年度の雇用保険二事業 に係る雇用保険料率については現行の弾力条項に則った取扱いとすべきではないかとい うものです。 なお、前々回ご説明申し上げたとおりですが、平成19年度の決算に基づき、弾力条項を 満たす場合には平成21年度の料率について、1000分の3.5から1000分の3に引き下げると いう法律上の枠組みとなっているところです。こうした弾力条項の取扱いにならいます と、平成21年度の雇用保険二事業に係る雇用保険料率については1000分の3.5から1000 分の3に変更されるところです。  最後に「その他」です。これは平成19年1月9日の「雇用保険部会報告」において、今 後の課題とされた事項(65歳以降への対処などについて)ということでございます。 【検討の視点】ということで、平成19年部会報告において今後の課題とされた事項(65 歳以降への対処等)の議論については、今後の雇用失業情勢の状況を見極めつつ、引続 き検討していくこととすべきではないか。以上、今回、検討のためのたたき台というこ とで整理した資料をご説明させていただきました。よろしくお願いいたします。 ○清家部会長 ありがとうございました。ただいま事務局からご説明がありました資料 に基づいて、各項目について順を追って議論を進めたいと考えています。前回同様、1 のセーフティネット機能の強化等について、最初に委員の皆様方からご意見を頂戴し、 その後、2の雇用保険料率以下の部分について、皆様のご意見を頂戴したいと思います。 最初に1のセーフティネット機能の強化等について、皆様からご意見を伺いたいと思い ます。どなたからでも結構ですので、よろしくお願いします。平田委員、どうぞ。 ○平田委員 最初に質問させていただきたいと思います。資料にはないのかもしれませ んが、もしかすると資料2の失業給付の基本手当の概要に関わるところかもしれません。 単純な質問ですが、有期雇用の人の雇止めというときに先ほど給付制限という話もあり ました。有期雇用の人が雇止めになったときに給付制限がかかるのかどうか。初歩的な 質問で大変恐縮ですが、その辺が根拠条文がどうなっているのかを含めて、教えていた だきたいというのが1つです。  2つ目は質問というよりお願いになってしまうのかもしれませんが、資料2の11頁の受 給資格区分の見直しというところです。説明を聞いていてなかなか理解が促進されなか ったので、もう一度ご説明をいただきたいのと、もうちょっとわかりやすく根拠がどう なっているのか教えていただければと思います。  同様に11頁のところで、カテゴリーとして3つ示されていると思います。期間雇用の 更新明示、期間雇用の更新不明示、正当離職という3つの種類が示されています。ここ を序列というわけではないですが、いちばんきちんと作ってあげなければいけない順 番というか、その辺がどうなっているのかを教えていただければと思います。以上、3 つです。 ○清家部会長 では事務局からお答えいただきます。 ○坂口雇用保険課長 いくつかご質問をいただきましたので、お答えさせていただきま す。有期雇用者との関係で給付制限の問題についてというお尋ねですが、一般的な給付 制限については雇用保険法の第33条という条文があります。手元に法例集がありますの で読み上げさせていただくと、33条1項ですが、被保険者が自己の責めに帰すべき重大 な理由によって解雇され、又は正当な理由がなく自己の都合によって退職した場合には、 第21条の規定による期間の満了後、1箇月以上、3箇月以内の間で公共職業安定所長の定 める期間は基本手当を支給しないということで、平たく言いますと自己の責めに帰すべ き重大な理由解雇の場合と、正当な理由がない自己都合の場合の退職については、給付 制限が原則として3カ月かかるということで、その間を失業給付を支給しないとされて いるということです。  いま平田委員のお尋ねであった有期契約等の場合について、いわゆる雇止めという形 になるケースについては、希望されたにもかかわらず労働契約が更新されなかったとい うことになりますので、いま申し上げたこの法律の33条のいずれにも該当しないことに なりますから、給付制限の対象とはならないということです。  2つ目ですが、資料2の11頁の関係についていま一度説明をということで、大変複雑な いくつかの問題を内包した形で資料化していて、わかりにくくて恐縮です。このバイン ダーの前回資料関係で資料No.2の6頁に、特定受給資格者の範囲の概要というものがあり ます。この範囲の概要というのは雇用保険法の施行規則に具体的に定めているものです。 先ほど補佐から説明させていただいたとおり、雇用保険法上、基本手当の所定給付日数 を先ほど来、何回か申し上げているように、倒産解雇の方の場合は給付日数が厚く、そ れ以外の方の場合は短いという形です。これは雇用保険法の23条に所定給付日数が定め られているのですが、具体的に特定受給資格者という形で給付日数を厚くする方につい ては、その離職が倒産または事業の縮小もしくは廃止に伴うものであるものとして、厚 生労働省令で定めるものというのが1つです。2号として、その号に定めるもののほか、 解雇、その他の厚生労働省令で定める理由により離職した者という、この2つのカテゴ ライズについて、特定受給資格者として厚生労働省令で定めることになっています。具 体的には雇用保険法の施行規則の35条で、いま申し上げた特定受給資格者の23条第2項 1号の厚労省令で定めるものはどういう方で、2号の厚生労働省令で定める理由というの はどういうものかを省令で定めているというものです。いまお開きいただいている資料 No.2の6頁の倒産等により離職した者というのが、いま申し上げた雇用保険法施行規則の 34条、解雇等により離職した者というのが雇用保険法施行規則の35条で定められている というものです。  この中で今回の資料No.2の11に関わる部分ですが、6頁の解雇等による離職した者の ○の7○の8です。1つにはローマ数字の2の○の7のところが、期間の定めのある労 働契約の更新により3年以上引き続き雇用されるに至った場合において、当該労働契約 が更新されないことにより離職した者ということがあります。これが今日の資料2の11 頁に現行の期間雇用者の雇止めとあり、右側の雇用期間3年以上の「特定」と書いてい るところに該当する部分です。  もう一度戻って前回資料の6頁のローマ数字の2の○の8ですが、期間の定めのある 労働契約(当該期間が1年未満の者に限る)の締結に際し、当該労働契約が更新される ことが明示された場合において、当該労働契約が更新されないこととなったことにより 離職した者というのがあります。これが本日の資料2の11で、現行の期間雇用者の雇 い止めのところに「更新明示」とあり、被保険者期間6月以上、12月未満で「特定」と なっているところが、ここの○の8に該当する部分となります。  それともう1つ、前回資料No.2の7頁で、ローマ数字の3に被保険者期間が6月以上、 12月未満であって、以下の正当な理由のある自己都合により離職した者というのがあり ます。これが今日の資料2の11頁で、現行の正当理由離職の被保険者期間6月以上、12月 未満のところで、暫定的な特定となっているものです。  なぜこういう書き方をしているかということですが、また複雑になって恐縮ですけれ ども、前回、前々回の中でも、委員からいろいろご質問やご意見等が出ていた受給資格 要件について、前回の平成19年の法改正により、受給資格要件を原則的には2年間で12 月以上あったときに受給資格要件とし、特定受給資格に当たるような倒産解雇の場合に ついては、6カ月で受給資格要件という形で申し上げたところです。かような形で法律 上の整理を雇用保険法の13条で行ったわけですが、平成19年の法改正の際の国会審議等 でも、もう少し、この6カ月という形での受給資格を得られる範囲を作ることが、必要 ではないかという議論があり、その後の法改正を経て、この19年法改正の施行に当たっ ての雇用保険法施行規則の審議に当たり当雇用保険部会でもご議論いただき、実はいま 申し上げたローマ数字の3の被保険者期間が6月以上、12月未満であって正当な理由の ある方については、これを特定受給者扱いとすることによって、6月で受給資格要件が 満たせるように整理をしたという経過があります。  そちらのほうの省令は、雇用保険法施行規則の附則の第3条で、特定受給資格者に関 する暫定措置ということで規定していて、技術的になりますけれども、先ほどの特定受 給資格者という形で扱う、23条第2項第2号の厚生労働省令で定める理由として、先ほど 申し上げたローマ数字の2に当たる35条に規定する者のほか、当分の間、法律33条第1 項の正当な理由とするということで、この正当な理由の自己都合離職者ということを、 特定受給資格者として暫定的に措置するとしたのが、現行法の作りとなっています。先 ほど申し上げた更新明示の場合の6月以上、12月未満の特定というところと併せて、前 回の19年法改正の施行に合わせての雇用保険施行規則の省令改正を、この部会でもご議 論いただいた上で措置をしたのが、この11頁の作りと根拠になる条文の説明です。  縷々申し上げましたが、先ほど補佐の長良から申し上げたように、昨今、いろいろ更 新を希望されていたけれども雇止めもあってということで、受給資格要件等の見直しを 今回行ってはどうかということで、ご提示しているものです。なかなか序列を付けると いうのは難しいですが、ここの中身をご覧いただいてもある程度ご推察のとおり、先ほ どの説明の中でも、いわゆる期間雇用者の雇止めに当たって予め更新することを明示し ている場合になると、一定の更新予定にもかかわらず、その更新がされなくて打ち切ら れたということですから、いわば労働者にとってみると解雇等と同じような形になるの ではないかということで、11頁の資料上も、そのところについては、現行と同じく特定 という形で扱ってはどうかという形にしているところです。  更新をするということが明示されていなかった場合で雇止めされた場合、あるいは前 回の19年の省令改正で暫定的な形で自己都合という形ではあるけれども、正当理由があ るということで暫定的に特例扱いとしたものについては、その次のカテゴライズとなる のではないかと私ども事務局としては考えているということで。説明が長くなりました が以上です。 ○清家部会長 平田委員、よろしいですか。ほかにご意見はありますか。古川委員、ど うぞ。 ○古川委員 再就職が困難な場合の60日間延長のことで、ちょっと教えていただきたい のですが、訓練延長給付というのがありますね。それには訓練終了後にどうしても就職 できない場合は延長が30日ぐらいあると思いますが、それとの関係はどうなるのでしょ うか。 ○清家部会長 事務局からお答えいただけますか。 ○長良雇用保険課課長補佐 延長給付は、実は雇用保険制度上複数あります。いまで言 うと訓練延長給付と広域延長給付と全国延長給付です。こうした延長給付の枠組みとし て設ける場合、訓練の延長給付と今回のたたき台としてご提示申し上げた給付の延長と、 これについてどう関係を整理するかという、おそらくご指摘かと思います。そういう意 味では延長給付が複数ある、その枠組みをどういう形で整理を付けるかという論点だと 思いますが、そこは今後整理をしてまた検討させていただければというものです。 ○清家部会長 古川委員、よろしいですか。ほかに何かございますか。中窪委員、どう ぞ。 ○中窪委員 先ほどの平田委員に対するお答えのところで、非常に複雑だなというのが 改めてあるのですが、1つはバインダーのほうの先ほどからある解雇等による離職した 者という、前回資料の6頁で有期雇用について更新があることが明示された場合ですが、 これは必ず更新するということではなくて、一定の条件を満たした場合には更新すると いうことが書いてある場合も、これは含まれると理解してよろしいのでしょうか。これ は常に更新するということですか。 ○清家部会長 事務局のほうから。 ○澤口雇用保険課課長補佐 一応、いまの運用上の判断としては、会社側と労働者の間 で更新するという、これは口頭でも構わないという形にはしているのですが、お互い、 更新するということでコンセンサスが得られている場合については、更新明示があった ということで運用しています。ですから、いま委員ご指摘のように条件が提示されてい て、その労働者が更新されるかどうかわからない状況の下だとすれば、それは更新明示 に当たらないという整理をしています。 ○中窪委員 そうすると、その仕事の状況によっては更新されないこともあると言って いれば、これに当たらないということですか。 ○澤口雇用保険課課長補佐 そうですね。ただ、雇用契約後でも構わないのですが、「 あなた、更新しますよ」「わかりました」ということで、両者の間で合意ができていれ ば、それは更新明示があったという形で、いま運用させていただいています。 ○中窪委員 わかりました。それから、これは昔は入っていなかった気がするのですが、 前回の法改正の後の省令改正で加わったというふうに考えてよろしいのですか。 ○坂口雇用保険課長 先ほど説明を割愛しましたが、いまご指摘の6頁の○の8の部分 は、前回の19年の制度見直しに際し、雇用保険施行規則の改正のときに改正したものと いうことです。 ○中窪委員 これは、もともと入れたのは、前回の改正で特定受給資格を得るために12 カ月要るという形に基本的に揃えて、特定であれば6カ月でいいという形にしたので、 このあたりが更新と言っていながら更新されなかったのに、6カ月以上なのに12カ月未 満では満たさないのは可哀想だと、そういう趣旨でたしか加わったと思います。ただ、 それは特定という形にしたものですから給付日数も増えてしまって、12カ月以上のとき は一般で、むしろそこよりも有利になったという形です。ある意味で12カ月以上、3年 未満のところが間に残ってしまったという理解をしてよろしいのでしょうか。 ○坂口雇用保険課長 いま、まさしく委員からわかりやすくご説明いただいたとおりで す。ご指摘のとおりで、前回の中では、このカテゴライズのところが12カ月なければ受 給資格要件が得られないということで、ここの部分を追加したということです。11頁の 資料の現行の上のところをご覧になっておわかりのとおり、被保険者期間が6月以上、12 月未満の更新明示のところは特定扱いですが、現行は12月以上、雇用保険が3年未満のと ころは特定ではなく、そこだけ一般扱いになっているという形の状況にあるということ で、今回、そこの部分を併せて整理させていただきたいということです。 ○中窪委員 1点、お願いなのですが、参照するために条文があったほうが望ましいので、 労働法総覧でもあれば是非、次回からお願いします。 ○清家部会長 ほかに何かご意見はございますか。 ○栗田委員 意見と質問ですが、安定した再就職に向けたインセンティブということで は再就職手当、または今回の提起されている常用就職支度手当というのは、インセンテ ィブを高める方向性としてはいいのではないかと思います。特に常用就職手当は働き始 めてから給料をもらうまで生活の糧ということでは、まさしく失業給付手当の命綱であ ると思いますので、是非、そういう方向で考えていただけたらと思います。  1つ質問ですが、給付資格の区分で前々回も私は言ったかと思いますが、要は被保険期 間が6カ月に満たなくなっている人です。実はそこは実際に20時間以上働いていて、自分 は受給資格があると本人は思っていても、派遣元の会社が雇用保険をとっていなかった 場合には、実際に6カ月未満の人はその対象から外れるという考え方でいいのですか。そ こは今回の場合は救われないということになるのでしょうか。 ○澤口雇用保険課課長補佐 そういう理解です。 ○栗田委員 それは本人が確認しなければいけないということですか。 ○澤口雇用保険課課長補佐 一応、本人が確認するという点もありますし、この間、ご 指摘もありましたように基本的に安定所のほうで指導し、適用すべきところが適用され ていないのは、できる限りのところできちんと回復すべきで、我々も指導すべきだと思 っていますから、そういった形で適用をやっていくということではあるのです。 ○清家部会長 本来、強制適用のはずなのではないですか。 ○大槻職業安定局次長 いまの問題は適用要件そのものと、適用になった後の受給資格 の問題を混同されているかと思います。委員がおっしゃっているのは適用要件のことを おっしゃっているのかなと思います。仮に1年という要件ですので、当初1年雇用の見込 みがなかったという場合、被保険者資格は得られないということですが、結果的に1年 以上継続されて雇用が止まるということでなく、引き続き雇用される見込みであれば、 1年以上経った時点でそこから適用になるというのが、いまの適用の考え方です。その 1年経って適用された時点から被保険者期間を数えることになります。そのときの受給 資格要件というのは、先ほど来議論になっていることでカウントするということです。  仮に1年以上適用されておらず、会社が手続を取らないために現実に被保険者資格の 届け出も行われていないと。しかし、そういうことで1年以上雇用されていて、それに もかかわらず会社が手続を取らない場合は、本人がハローワークのほうに確認請求をす ることができます。そういう手続を取って、会社がやらなくても本人の確認請求という 形で資格の手続を取ることができることになっています。 ○清家部会長 栗田委員、よろしいですか。 ○栗田委員 はい。 ○大沢委員 そういう意味で確認請求を取らない場合には、1年以上雇用されても会社 は加入せずに2年後に解雇されてしまった場合には。 ○大槻職業安定局次長 そういった場合、実際の実例でもよくありまして、行政として それを見つければ、職権でも遡及手続というのを取ることができますので、そういった 然るべき適用されるべきところが適用されず、受給資格があるにもかかわらず受給でき ないという場合には、そういう遡及確認手続を取る方法があります。現にそういうこと をやっているわけです。 ○大沢委員 非常に初歩的な質問ですが、雇用契約が交わされて、その契約の中でいろ いろなことが明示され、その約束に基づいて雇用期間などが決まっていますが、雇用契 約を結ぶという段階ではすべての有期雇用者が契約を結ぶ。結ばない場合にはどうなる のでしょうか。 ○大槻職業安定局次長 先ほど議論がありましたが、文書によって更新する、しないが ちゃんと明示されているというのが、いちばんいいわけですけれども、そうでなくても 実態として会社と本人の間で更新するというコンセンサスがあって、そういった場合に 雇止めになれば特定受給資格者になるということです。 ○大沢委員 そう言った、言わないで、実際には非常に難しいと思うのですが。 ○大槻職業安定局次長 そういった場合はハローワークで、労働者本人と会社事業者と 両方の事情を十分聞いて、客観的資料があれば出してもらうし、なければとことんお話 を聞いた上でハローワークのほうで判断をするということで。 ○清家部会長 よろしいですか。ほかにご意見はございますか。 ○三木委員 再就職が困難な場合として、離職者の年齢だとか地域差の関係を含めて、 公共職業安定所長が必要と認めた場合は延長するということで提起されていますが、こ の基準というのはこの中でも議論されるのですか。それとも省令か何かでいって議論す るという考え方なのですか。これをちょっとお聞きしたいのです。 ○清家部会長 事務局からどうぞ。 ○坂口雇用保険課長 その点は、具体的に部会のほうでご報告をいただいた上で、我々 としても法律改正の形の絵姿を作っていくことになるわけですが、その段階で今後、ご 議論していただく中で、法律上、どういったところまで書いて、あと省令等でどういっ た基準を設けながら具体的な特定をしていくかについては、またご意見をいただきなが ら考えて作っていきたいと思っています。今日もたたき台として提示させていただき、 先ほどご覧いただいたように給付日数についても特定の倒産解雇の場合でも、所定給付 日数が短い年齢層のところもありますから、そういったところに着目するとか、雇用情 勢についても前回来ご説明しているように、いろいろ求人倍率であったり求職者の厳し い状況ということで判断要素にもできると思います。そういったものも扱いながら具体 的な形のものを、またご相談しながら作っていきたいということで考えています。 ○清家部会長 三木委員、よろしいですか。長谷川委員、どうぞ。 ○長谷川委員 今日の資料には「暫定的な対応」という記載がありますが、暫定的な対 応というのはどのように受け止めればいいのかというのが1つ目の質問です。もう1つは、 11頁の受給資格区分の表ですが、前回の議論は忘れてしまいましたけれども、6月以上、 12月未満と、12月以上、3年未満と、3年以上の3つの区分というのは何が根拠でしたか。 ○清家部会長 以上、2点です。 ○坂口雇用保険課長 暫定的な対応ということですが、今回あるいは前回、お諮りした 資料のいちばん最初のセーフティネット機能の強化というところで、暫定的な対応も含 めて制度の見直しをすべきではないかということで書いています。今回もいろいろご議 論いただく前提として雇用情勢が悪化してきている中で、非正規の方の雇止め等の雇用 調整という局面も出てきており、今後も危惧されるということです。私どもとしては、 今後もいろいろ景気動向あるいは雇用情勢の悪化ということから考えると、いま政府全 体の中でもいろいろな対策、対応ということも議論していますけれども、そういったこ とも加味しながら考えると、3年程度の期間が1つの暫定的な対応の措置の対象かなと思 っていますが、最終的には法律等の議論の中で決めていきたいと考えています。  11頁のところですが、これは前回資料の特に雇止めのところの雇用期間3年以上とい うところで区分して、そういったところについては特定扱いをしたというのが、実は前 回の19年改正以前に特定の区分を設けたときから、こういう形で雇用期間3年以上のと ころについて、かような措置をしているということです。これは裁判の事例であったり、 実際の雇止めのときの雇用期間の状況も勘案しながら、雇用期間3年以上について特定 扱いするということで整理したということです。先ほど中窪委員からも出ましたとおり、 12月という問題については特定受給資格者と受給資格要件の整理の中で、そこの線が出 てきたということです。 ○長谷川委員 雇止めのこの区分ですが、有期の雇止めで契約を更新すると明示してい て更新しなかったのは、解雇と一緒だというのはそのとおりだと思います。最近、使用 者もそこはとてもしっかりしているし、社会保険労務士もしっかり指導しているので、 1カ月更新でやるわけです。有期契約を結ぶとき契約更新あり、なしはちゃんと書けと なっていますけれども、しかし、あえて更新なしと書いておくのです。更新なしで1カ 月したら、更新なしできたから合法的に雇止めもできるし、そのままもう1回やるとき は、また更新して、そのときも更新のあり、なしでは更新なしとしたときは、ここで言 うとどこに該当するのですか。いまの期間工とか有期契約の人たちの契約は、おそらく 1カ月とか2カ月で反復更新しているのですが、訴訟したときのことを考えているから、 使用者は更新なしとしていると思います。そのときはどこにこれは入るのですか。 ○坂口雇用保険課長 そこは、また個々の事例ごとに当てはめをしていく必要が出てく ると思いますが、総じて言うと、更新不明示という形のカテゴライズの中での雇止めと いう事案になってくる可能性が高いと思われます。今回は特にそういった雇用調整局面 で、いろいろな形での雇止めということも行われる素地もあるので、この検討の具体的 な俎上の中では、この更新不明示の中の暫定特定という扱いにして、特定と変わりのな いような形での所定給付日数とする扱いにしてはどうかということです。  なお、慣例で更新の明示がされていないけれども、そういう同一事業所の他の労働者 の状況から、慣例としてそういうものが確認できるということであれば、それは更新明 示されているという扱いと同じ形ということで、取り扱うことはあろうかと思います。 ○長谷川委員 この更新不明示のところも、一般(暫定特定)となっているけれど、一 般・暫定特定と両方あるのだと思います。だから一般(暫定特定)と書くと、本来は基 本は一般ですよと、今回は暫定特定でやりますというけれど、この更新不明示というの は本当に1カ月という雇止め、悪意のない雇止めもあるし、別な雇止めも行われる。だ からここのところは一般(暫定特定)だけではないと思います。何でかというと有期の 人がばんばん切られているから、そこを何とかしなければいけないわけで、だから暫定 措置だということなのだと思いますが、そこはもう少し考えてもいいのではないかと思 います。 ○清家部会長 いまの部分はご意見の部分ということで、よろしいですか。 ○三木委員 ちょっと関連して、例えば1カ月更新ということになれば、結果として6カ 月以上になった場合に遡及で技術的にやれるのかどうか。1カ月更新だと、おそらく保 険料というのは掛けていないでしょう。いま現在、これを改正したとしても、その部分 は救われないわけです。しかし現実的に生活困難者は出ているわけだし、その救済措置 みたいなものは考えられないのか。そうでないと、いま大変な状況になっているという 局面で、その点がもし救済できないというならば、そこは検討すべきではないかという 気がします。 ○坂口雇用保険課長 1カ月更新を、その都度、その都度判断をして、それで繰り返し ていくということであれば、現実的には6カ月の時点で初めてそこから先の適用という ことになってくると思います。先ほどの更新明示、不明示等の扱いと同じく、そういう 判断がほかの同一事業所の他の方の扱いも含めて、慣例としてそういうものが行われて いるということであれば、それは実質的に判断していく余地はあるのだろうと思います。 ○三木委員 実質的に判断と言うと。 ○坂口雇用保険課長 本来的には6カ月の雇用と同じような形でセットされるべきだけ れども、本当に小刻みに1カ月ずつという形に、機械的、慣例的にやっているという形 になっているかどうかということだと思います。 ○岩村委員 先ほど次長がおっしゃったことと関連しますが、被保険者資格の問題と受 給資格の問題を混同されている感じがします。いま課長がおっしゃっていたのは、被保 険者になるかならないかという議論ですよね。そうしますと、いずれにせよ雇用保険一 般、それから社会保険もそうですが、基本的には多くの事務を大量にこなさなければい けない。そうすると第1次的には、形式基準でいかざるを得ないところがどうしてもあ ります。そうするとたぶん本当に1カ月ということで、更新なしというので契約が締結 されていてということだと、第1次的には、もうそれで判断せざるを得ないことになる と思います。  ただ、その後、雇用保険課長がおっしゃったのは、社会保険は強制適用ですので、し たがって、その事業所で実はみんな1カ月でもって契約していて更新しませんとなって いるけれども、みんな実は6カ月以上雇用されている実績があるということであれば、 実態としてはもともと6カ月以上の雇用の見込みがあったと認定できる可能性もあり、 その場合には最初から被保険者となることもあるでしょうということになる。社会保険 の場合は強制適用ですから、形式的に1カ月で区切っていればアウト、6カ月を超えたと ころしかならないということでは本来ないはずなのですが、大量事務ですからいちいち 全部についてそれを悉皆的にやるのは困難です。もし実態としてそういうものが認めら れれば、1カ月で区切っているというのは非常に形式的な話なので、実態でもってそれ は最初の雇入れ時から被保険者ですよということもやることは、場合としてあり得ると いうことだと思います。  もう1つは、要するに受給資格の問題というのはそれとはまた別で、被保険者期間が6 月以上という形になったとき、ですから先ほどで言えば1カ月ごとでやっていって、6カ 月を超えたところからだと、普通はその6カ月目から被保険者期間がスタートして、最 終的に被保険者期間が6カ月超になれば、今回の一応のたたき台から言うと、更新不明 示の場合であって更新しませんとなっていたとしても、期限を限ってですけれども、暫 定的な措置として特定で扱いましょうということですよね。いずれにしても私も最初は よくわからなかった。要するに被保険者資格の問題と受給資格の問題がある。両方混同 されているので、わかりにくいと思いますが、そういうことだと思います。 ○清家部会長 よろしいですか。ほかに何かご意見はございますか。大沢委員、どうぞ。 ○大沢委員 いろいろなご質問の中にも、雇用契約が有期が反復されて長期雇用あるい は6カ月の雇用になっていた場合についてのご意見がありましたが、私も心配している のは1年が6カ月になって、確かに適用が拡大したことについては良いことだと思います が、そういうことであれば6カ月未満の雇用をもっと増やす形で、より不安定な就労形 態が増える可能性があると思います。意見です。  先ほど見せていただいた図の中で、一般被保険者の年齢別の推移を見たのがあります が、29歳以下の一般被保険者数の数が減っています。同時に、最近出された調査を見て も、10代、20代前半で非正規労働者の数が増えている。増え方が非常に大きいです。 そういうことを考えて、非正規の場合には親と一緒に住んでいるということで貧困から 逃れていますが、韓国や日本では親世代から子世代への所得移転によって生活している という世帯も増えているという結果が出ていまして、雇用保険のここの枠組の中で話す ことではできる範囲のことではないですが、そういった意味からいって、いまいちばん 救済が求められているのと、むしろ非常に雇用が不安定で、雇用期間が短い人たちの生 活をどう保障していくかについては、まだ雇用保険でセーフティネットをどうするかと いう議論が不十分であると思います。以上です。 ○清家部会長 ご意見ですが、事務局から何かありますか。 ○坂口雇用保険課長 私ども行政としても、できるだけここ数年来も含めて、フリータ ーの方も含めて不安定な雇用の層が増えてきてしまった部分もありますので、そういっ た層に対して、できるだけ常用雇用化に持っていくようないろいろな雇用対策も含めて、 施策としてそういうものを懸命にやっていきたいということです。 ○岩村委員 いまの大沢委員の意見はおっしゃるとおりです。ただ難しいのは、雇用保 険の論理の中で救える人たちの問題と、どうしても雇用保険というのは限界があって、 保険の世界に乗せるのが非常に難しい人たちの問題というのがあって、特に若年のフリ ーターの場合はそもそも雇用保険の世界に乗せて、失業の場合のリスクをというふうに なりにくい部分がどうしてもあります。特に、6カ月未満になった短期の人たちのとこ ろは、非常にその世界に乗りにくい部分がどうしても出てきてしまうので、そこは雇用 保険の枠の中での失業保険、基本手当とは別の雇用政策の枠組の中で、就業機会の確保 や就業できなかったときの所得の問題、住居の問題というのを考えていくという整理に せざるを得ないのかなと思っています。ただ、今回適用範囲の問題で、1年というのを 6月にすること自体は、私も効果としてはリパーカッションとして、いままで1年という のを6月にしてしまうという行動が出てくるのではないかという危惧は私も持っています。 ○坪田委員 1点だけ申し上げます。1年を6カ月以上に拡大するというのはセーフティネ ットとしては必要なことかとは思いますが、特に中小企業においては、手続面で負担が かかってくることはご認識いただきたいと思います。 ○平田委員 岩村委員のご指摘は非常に説得的でしたが、雇用保険にどうしても乗らな い、同じぐらいのリスクでそこをみんなでシェアするという考え方だろうと思いますが、 乗らない部分は例えば雇用保険二事業もありますし、それはフリーターを常用に持って いった上でかけていくという考え方はありますので、制度としてはそういうのがあるだ ろうなと思っています。  検討のたたき台にもありますが、セーフティネット機能の強化というところで、まさ に今後雇用失業情勢が悪くなっていく中で、範囲の問題と給付の問題の2つが出ていま すが、そういう方向で対応していくことは非常に重要だろう。いま求められているのだ ろうと基本的な認識としては思っています。  それで質問も含みますが、適用範囲を1年の見込みから6カ月の見込みにするときに、 受給資格を得られるのが6カ月加入してからということなので、そことの整合が取れる という理解でいいのかどうかを教えていただければと思います。給付の拡大のほうは、 まだ今日の時点ではどれぐらいという規模が出ていないので、それは次回以降かもしれ ませんが、循環的な給付は絶対に避けていただきたいと思っています。そういうことに ついての言及は何もない中で、何か新たに防止策を考えるのかどうかを教えていただけ ればと思います。以上です。 ○清家部会長 事務局からお答えください。 ○坂口雇用保険課長 まず、適用他の受給資格要件の考え方の関連というお尋ねかと思 いますが、いまおっしゃいましたとおり、今回適用の問題について1年以上の雇用見込 みを6カ月以上の雇用見込みというご提案をしていますが、いま平田委員からもお尋ね がありましたように、先ほど来の岩村委員をはじめ出ているように、保険の世界という ことになりますので、負担と給付のバランスも考える必要がある。その意味では、給付 のほうの受給資格の要件が倒産、解雇等の場合でも6カ月は要しているということで、 そことのバランス、整合性ということも考えつつ、この適用の要件を考えていくべきで はないかということで事務局としても考えています。  また、循環的な給付等については前々回にも申し上げましたが、私どもとしても安易 な離職、そういうことを通じての失業給付が受給されるということは我々としても避け なければならないと思いますし、これは保険に関わる労使の立場から言ってもそういう ことだろうということで理解していますので、我々としてもこの運営に当たっては失業 の認定等をしっかり厳格に職業紹介、職業相談と絡めてやっていくことが引き続き重要 だと考えていますし、また今回もご提案している給付の延長についても、2頁の○の最 終行「困難な場合の支援の強化の視点」のなお書きにもありますように、職業紹介等を 拒否する場合については給付制限の対象の形にして、延長給付というものがその後行わ れないようにすることも含めて、安易な形での給付と離職が繰り返されることがないよ うな仕組みにならないようには心してまいりたいと思っています。 ○長谷川委員 雇用保険は、先ほど岩村委員がおっしゃったように保険であるわけです から、保険に加入した者が給付を受ける。これが基本的な枠組みだと思います。だから、 雇用保険に加入していた人は、何らかの形で失業したり雇止めがあったときは、雇用保 険で救済できる。今回の改正で、非正規の人たちも雇用保険に入っていれば、こういう 救済がされるというのはこれで見えたと思いますし、例えば延長給付を60日にすれば、 90+60で150日なので、こういうのを使うとか、常用の就職支度手当があれば、次の賃 金が入ってくるまでの間はこれでつなげることなどがあるので、雇用保険の改正として は今日出された事務局の案は、労側としては支持できるのではないかなと思っています。  それはそれとしても、いま大沢委員がおっしゃったように、雇用保険でも漏れてくる ところがあるわけです。そこをどうするかというのは、この雇用保険部会でやるかどう かは別としても、何らかの方策を取らなければならないのではないか。今日いろいろな 新聞やマスコミによれば、雇用対策で一般財源1兆円を使うという話も官邸あたりから 聞こえてきますが、1兆円を使うのだったらば例えばヨーロッパのような扶助制度を作 って、どうしても雇用保険のところで拾えない人たちについて何らかの措置を取ってい く。そのときに、私ども連合がよく言う最低保障などを使いながら、制度設計すること も必要だと思います。厚労省は、あまりこの制度は乗り気ではないし好きではないみた いだけれども、そういうものもあえてこの時期に考えたり検討することは必要ではない かなと思います。これは意見です。 ○古川委員 訓練給付を受給する者たちへの受講手当の引き上げですが、これは大変望 ましいことではないかと思います。要望ですが、金額もさることながら訓練給付のメニ ューですが、今後雇用の受け皿になるような介護とかグリーン・ジョブというものも充 実をしていただきたいと思います。関係省庁との連携も必要だと思いますが、雇用・能 力開発機構としっかりタイアップしていただいて、その推進を進めていただきたいと思 います。 ○清家部会長 まだご意見もあるかと思いますが、いまの論点1に戻っていただくこと もあり得るということで、少し時間も押していますので、2つ目の大きな論点、雇用保 険料率以下の部分についても、皆様方からご質問、ご意見を承りたいと思います。資料 1の4頁以降について、ご質問、ご意見、もちろんその前のところも含めてです。 ○岩村委員 育児休業のところを一言よろしいですか。育児休業給付の見直しについて ですが、基本給付金と職場復帰給付金を統合して、育児休業期間中に支給することとし てはどうかというご提案だと思います。そういう考え方もあるかなと思いますが、こう すると将来、今後の問題としては育児休業の給付を雇用保険でやるということの説明が つかなくなるのではないかと思いますので、その点はテイクノートしておいていただけ ればと思います。 ○西馬委員 絡んで育児休業のところですが、そもそもこれをやっているのは岩村委員 がおっしゃったような点も問題としてあると思います。それと、職場復帰していただく ことを前提にして、その間の補助ということで出しているわけで、これを分けることが 直接の原因かどうかはわかりませんが、うまくそれなりに機能しているということであ るにもかかわらず統合してしまうということは、もう少しよく議論すべきではないかと 思っています。以上です。 ○原川委員 私も、いまの育児休業で一言言わせていただきます。資料2の25頁の表の 職場復帰給付金の受給状況を見ますと、○の1の初回受給者と○の2の復帰給付金の受 給者の数が平成18年度は大体2万2,000人ぐらい、平成15年、平成16年は1万7,000人ぐら いだと思いますが、率にして大体15%以上、人数にして2万2,000人ぐらいの乖離がある。 いま出ましたように、この基本と復帰の2つを統合するということで、最初のところで 給付金を払ってしまうことになると、悪い言葉で言えば食い逃げというか、実際に83% あるからいいのではないかということは制度上はなかなか言えないと思います。いまは 一応復帰後は6カ月で給付される制度で、なぜいけないのか。いまのほうが、支給する 側としても合理的ではないかと思いますが、そこを変える理由というのはいったい何に あるのかということを疑問に思います。 ○平田委員 まさにご指摘のとおりで、付け加えるとすれば仮に統合ということであれ ば、いまコメンタールを見ましたが、趣旨は休業後職場復帰に当たって種々の費用が必 要となることと濫用を防ぐというのがあって、そういう趣旨を考えれば戻ってこなかっ たら統合しても中で仕切りを付けておいて返してくれという話もあるでしょうし、そん なけちなことを言うなということかもしれませんが、もしくは本人の選択というのもあ ると思います。復帰後にもらいたい。30%は休業期間中にもらっておいて、返せと言わ れるのであれば後でもらう。本当に復帰できたら、きちんともらうということで、本人 の選択の余地を残しておくことも考え方としてはあるのではないかと思いますので、意 見として申し上げておきたいと思います。 ○清家部会長 これは、事務局から何かお答えになることはありますか。 ○坂口雇用保険課長 いろいろご意見をいただきましたが、たしかそもそもの問題とし ては育児休業給付というのは平成17年以来、当部会の中でも育児休業中の所得保障とい うのを雇用保険の世界の中で扱うのかどうかをご議論いただき、そしてそれは別の場面 でも担当のところで議論をきちんとしていくべきではないかというご指摘も平成17年の 部会報告でもいただき、平成19年の部会報告のときもその審議経過もきちんと踏まえる べしだという部会報告にもなっていますが、なかなか政府としてはその宿題がまだ果た せていない部分が大きいのが反省の第1ではあります。ただ、育児休業給付そのものが 先ほど岩村委員等からもお話が出ましたように、雇用の継続を図っていくことも含めて 雇用保険の世界の中で位置づけることもあるだろうと思いますが、一方でいま平田委員 からもあったように、分割的な支給等をしていることについては復帰に当たっての出費 も必要だし、逆に言うと濫給の部分もあるのではないかということもあって、制度の当 初からこの2つに分けてということも考え方としては事実だろうと思います。ただ、一 方で少子化対策の観点から、前回の平成19年の改正のときにも暫定的に給付率を引き上 げる動きも含めてですが、先ほどの冒頭の宿題との関係でいくとやや反省する部分が大 きいので言いづらくなりますが、全体の少子化対策の推進ということからいくと育児休 業を取得しやすくすることによって、少子化対策にもつなげていくような観点で育児休 業給付を休業中にまとめて支給するほうが、そういった観点から効果的ではないかとい うことでご提案をしているということです。  先ほど、原川委員からも職場復帰の率についてのコメントがありましたが、10数パー セントの職場復帰されなかった方の理由の詳細がわかればいいと思いますが、若干古い 調査でいくと子供の預け先が確保できなかったとか、実際に復帰後、自分や夫の親、配 偶者の親が世話をする予定だったけれども病気になってしまったとかということが、復 帰できなかった理由としては最も多かったこと等々もあり、本当に濫用というものにつ ながっていかないような形にしていくことを含めて、この制度の統合ということも考え ていかなければいけないのかなと、事務局としても考えています。 ○清家部会長 ほかに何かありますか。大沢委員どうぞ。 ○大沢委員 少子化対策との関係で、これは意見ですのでこの修正ではないですが、こ の間育児休業の取得率は増えていまして、特に大手企業では制度もあり、それを使って いる人もおり、かつ継続就業している割合も増えているという結果は出ています。効果 がないわけではないですが、私がいちばん気になっている、これは雇用保険の限界とい うこととも関係があると思いますが、1990年代から現在に至るまで、20代の女性の半数 以上が非正規になっています。いま資料を見ましたが、パートタイマーで雇用保険に加 入している人は40%に満たない割合になっています。そういった育児休業の制度の適用 を受けられない人が一方で増えていき、かつ少ない数の中の人たちは適用を受けて継続 就業をしており、全体的な数字を見ると、育児休業制度が継続就業につながったという 結果につながっていないことになっています。ですから、今日もいろいろと話が出てき ましたが、雇用保険でカバーしてセーフティネットあるいは少子化対策をしていくこと について、もう一度考えざるを得ない時期に来ていると思います。  これも全くの意見ですが、なぜ1年以上、20時間以上の人のみが雇用保険の対象にな っていくのかの議論を考えてみますと、正社員は雇用の安定があって、非正社員は被扶 養者で、世帯主に扶養されている前提から、正社員を中心とした雇用保険のあり方とい うのが出てきて、それが全く見直されていないことが非常に大きな問題になっていると 思います。結婚しても離婚する人もいるし、単身で一生を終わる人もいるし、そういう 人たちの生活保障。特に親と同居していない人たちが、いま変更のリスクに晒されてい る、それがまさに、そこにセーフティネットの強化が必要だという時期になっていると 考えますので、これはあくまで意見で、ここですぐに解決できる問題ではないですが、 雇用保険と生活保護の整合性が全く取れない形でいまは機能しています。母子世帯の場 合は、生活保護を受けたほうが努力して働くよりも生活ができる状態になっていますの で、セーフティネットということを考えるのであれば、雇用保険と生活保護の見直しと いう整合性の問題にまで、いずれは踏み込んで考える時期では、なるべく早くそういう ことについて考えることが重要だという意見です。 ○清家部会長 ほかにご意見はありますか。 ○案田委員 雇用保険料率については、引き下げることについて慎重であるべきである がと書いた上で、生活対策に示された観点からとありますが、生活対策の中の家計緊急 支援対策の中で、この保険料率の引き下げはどの程度の効果があるかが非常に疑問に思 いますし、逆にセーフティネットの機能を強化することが必要だというこの時期にあっ て、積立金の減少が今後予想される中で、料率を下げることについてはいまのセーフテ ィネットを守るという視点からも賛成しかねるということです。このことがなされるよ うであれば、今後例えば料率を上げる際の説明責任についても果たせなくなるのではな いかということですし、保険制度というのは基本的には中期のトレンドを見極めた上で 料率を決定することが大事ですので、あまりにもここで引き下げることについての整合 性がないように思います。  あとは、保険の二事業については使用者負担でありますし、生活対策とは切り離して 考えるべきだということです。ただ、これも雇用調整助成金などを活用する必要性が高 まっていくだろうということがありますので、当面はその料率を引き下げるべきではな いのではないかというのを意見として申し上げたいと思います。 ○坪田委員 料率についてですが、12月1日に総理から経済界の首脳に対して、雇用に ついていろいろ要請をいただきましたが、その際に、「特に中小企業の場合には大多数 が賃上げの余力はない。むしろ、雇用の維持に全力を尽くしたい。」と申し上げました。 そういう意味からも、中小企業の負担を少しでも減らして、雇用の維持を行うための環 境整備の一助として必要ではないかと思いますので、お願いしたいと思います。 ○原川委員 私も、いま坪田委員がおっしゃったことを言おうと思っていました。まさ に雇用維持ができるかどうかというところにあるわけで、1円のコストを節約したいと いうところで、中小企業の場合は生き残りをかけて毎日必死の思いでやっているわけで す。ですから、保険料を下げていただくのは我々としては歓迎しますが、聞いてみます と3年ぐらいはなんとか下げてもらいたい。麻生総理が全治3年と言っていますので、効 果を考えれば3年ぐらいがいいのではないかという意見があります。ただ、平成15年の 引上げのこともありますし、いま出ました率を上げるときのほうが非常に大変なことが ありますので、保険料を下げるという議論も、あるいは例えば育児休業給付を暫定的に もう少し延長するとか、給付の拡大をするとか、そういうこともすべて同じように考え ないと、保険料を下げることだけではないと思います。  そういう支出が増えることについて、資料2の32頁を見ますと、平成19年度はまだ2兆 2,000億円の収入がある。支出は1兆5,000億円ぐらいですが、先々収入がどのぐらい減 って、支出がどのぐらい増えるのかの見直しによって、どのぐらいの支出が増えるとい うこともよく考えないと、その料率を下げるだけではなくて、給付を上げることも支出 の押上要因になるわけですから、そういったことをよく検討する必要があるのではない かと思います。ただ、我々の立場としては保険料を下げていただくのは、短期であって もそこは一時凌ぎかもしれませんが、ありがたいことだと思います。 ○平田委員 時間も過ぎていますので、手短に申し上げたいと思います。雇用保険二事 業に関して重点的に実施というところで、効率的に効果のあるものは実施すべきだと思 いますし、まさにいま使うべきときかもしれないなと思っています。  料率については5頁の二事業の料率ですが、中長期的な制度の安定というのは非常に 大事だと思いますので、特段いまの状況の中で、いま溜まっていて使うべきときだろう と思っています。この二事業の弾力条項は自動的にということなので、ここで冷静な議 論がないままに上げ下げということではなくて、いまのルールに基づいてとりあえずや ってみて、その上でどうなるのかという負担のあり方も含めて、冷静な議論が必要だろ うなと思っています。そういう意味では、その他の事項で今後の課題というのは、事実 上何も検討ができないかもしれませんが、今回緊急対策としてそれも踏まえて引き続き 検討というか、今後必要なのではないかなと思っています。引き続き検討という意味の 中には、次回数字というか、適用範囲の拡大とか給付の拡大とかがあって、どれぐらい 負担が増えてどれぐらい給付が出るのかというのが出てくると思いますので、それを実 際に施行していって、どれぐらい影響が出ていくのかは絶えず冷静に議論をしていくこ とが必要なのではないかと思っていますので、意見として申し上げておきたいと思いま す。 ○長谷川委員 そもそもこの保険料率を下げるという話は、ある日突然湧いてきた話で ありまして、保険料率はどういうときに上げるのか、どういうときに下げるのかという 合理的な理由が必要だと思っています。去年でしたら私は保険料率を下げるべきだと主 張していましたので、下げるべきだったと思っています。でも、今日の状況で雇用情勢 が悪化していて、さまざまな給付を拡充しなければいけないときに本当に下げていいの かどうなのか。一方、使用者の皆さんが保険料率を下げる意向に対して理解はします。 労働者も下がったほうがいいですから。でも、その裏にもう1つあるのは、国庫負担を 下げるということが隠れているわけですよね。国庫負担を下げるから、保険料率も一緒 に下げましょうというのははっきりしているわけで、私は保険料率を下げることと国庫 負担を下げることが一緒だとしたら、認めることはできないと思います。  いま、使側のほうからも言われましたが、今回の制度改正をすると、いろいろな給付 は少し非正規のところを厚くしたわけですから、その結果、本当に保険料率を下げなけ ればいけないのかどうかはシミュレーションを見ない限りは言えないと思います。次回 の議論をしっかりとやることが必要になる。もし1回下げたら、上げるときにまた大騒 ぎします。次のときも、今度上げるときは前回と同じ思いをもう1回私たちはしなけれ ばいけないということをしっかりと覚悟しなければいけない。下げたら、上げるときが 大変だと思います。 ○中窪委員 保険料率に関しては前回申しましたので繰り返しませんが、このままの形 で好ましくないと思っています。  それから、先ほど失業扶助というお話もありましたが、大沢委員の発言とも関係しま すが、前回の法改正の附帯決議の中に諸外国の失業扶助制度について言及するようなこ とがあったような気がしますが、それについてはどういう状況になっているのかを教え ていただければと思います。 ○清家部会長 それについて、事務局からもしわかればお願いします。 ○坂口雇用保険課長 いま手元にないので恐縮ですが、ドイツの失業扶助の動きやヨー ロッパの失業扶助の状況等について、文献等も含めて私どもでも材料を集めたりはして いますので、次回なのか今後のその他のご議論の中でということも含めて、資料のほう は精査したいと思います。 ○岩村委員 あと残された回数がないようなので、一言だけ手短に保険料率について申 し上げます。私も雇用がこのように急速に悪化している局面で、保険料を下げるのはあ り得ない政策だと思っています。また、今日資料に付いている生活対策というものを見 ても、雇用保険料を下げるという理屈づけ自体がもう破綻していて、これの論理では説 明できないと思います。そういうことも含めて、慎重にご議論いただければと思います。 ○清家部会長 まだいろいろご意見もあるかと思いますが、時間も参りましたので、以 上をもちまして第40回の雇用保険部会を終了します。今回は、各項目についてそれぞれ 皆様からご意見をいただきましたが、諸般の事情により年内には一定の取りまとめをす るということで検討を進めることになっていますので、次回は今回までの議論を踏まえ て、報告案について具体的な議論ができるよう、今日委員の皆様からご注文のありまし た資料等も含めて事務局で資料を用意していただいて、議論をしたいと思います。日程 等については事務局において調整の上、各委員にご連絡をお願いしたいところです。  なお、本日の署名委員は雇用主代表坪田委員、労働者代表長谷川委員にお願いします。 委員の皆様には、お忙しい中どうもありがとうございました。 照会先:厚生労働省職業安定局雇用保険課企画係     03−5253−1111(内線5763)