08/12/03 第19回社会保障審議会少子化対策特別部会議事録 日時:2008年12月3日(水) 15:00〜17:00 場所:厚生労働省 省議室(9階) 出席者:  委員   大日向部会長、岩渕部会長代理、岩村委員、駒村委員、佐藤委員、篠原委員、   庄司委員、杉山委員、福島委員、宮島委員、山縣委員、吉田委員  参考人(オブザーバー)   三鷹市健康福祉部子育て支援室次世代育成担当課長 大堀和彦参考人(清原委員代理)  事務局   村木雇用均等・児童家庭局長、北村審議官、高倉総務課長、堀井調査官、朝川少子化   対策企画室長、杉上虐待防止対策室長、松本育児・介護休業推進室長、藤原家庭福祉   課長、田中育成環境課長、中村児童手当管理室長、今里保育課長 議題:  次世代育成支援のための新たな制度体系の設計について   1.経済的支援について   2.社会全体での重層的負担・「目的・受益」と連動した費用負担について   3.これまでの議論の整理 配付資料: 資料1 経済的支援について(第18回少子化対策特別部会 資料2) 資料2 社会全体での重層的負担・「目的・受益」と連動した費用負担について(第18回少    子化対策特別部会 資料3) 資料3 社会保障審議会少子化対策特別部会第10回(9/5)〜第18回(11/21)における委員等    から出された主な議論 参考資料1 清原委員提出資料 参考資料2 杉山委員提出資料 参考資料3 委員よりお求めのあった資料 (介護保険制度の現状と課題等) 参考資料4 第89回労働政策審議会雇用均等分科会 (平成20年11月28日)資料1「取り      まとめに向けた検討のためのたたき台」 議事: ○大日向部会長  定刻になりましたので、ただ今から「第19回社会保障審議会少子化対策特別部会」を開 催します。委員の皆様におかれましては、本日ご多用のところ、お集まりいただきありが とうございます。会議に先立ちまして、事務局より資料の確認と委員の出席状況に関して、 ご報告お願いします。 ○朝川少子化対策企画室長  それでは、お手元に配付しています資料の確認をさせていただきます。最初に議事次第 があり、その下に資料1として「経済的支援について」、資料2として「費用負担について」、 資料3として、これまでの部会で委員から出された主な議論という資料についてです。参 考資料1として清原委員からのご意見、参考資料2として杉山委員からのご意見、参考資 料3として「委員よりお求めのあった資料」、参考資料4として「取りまとめに向けた検討 のためのたたき台」雇用均等分科会という資料を配付させていただいています。不足等が ありましたらお声掛けいただけたらと思います。  委員の出席状況ですが、本日は内海委員、大石委員、清原委員、野呂委員、山本委員か らご都合により欠席との連絡をいただいています。あと、何名かの委員で、まだおみえに なっていない方がおられますが、遅れてこられると思います。なお、本日ご欠席の清川委 員の代理として、東京都三鷹市健康福祉部子育て支援室次世代育成担当課長の大堀和彦参 考人にご出席いただいています。  出席いただいています委員の皆様方は、定足数を超えていますので、会議は成立してい ます。以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございました。それでは、議事に入ります前に、本日ご欠席の清原委員の代 理としてご出席いただいています東京都三鷹市健康福祉部子育て支援室次世代育成担当課 長の大堀和彦参考人のご出席について、お諮りいたします。ご異議はありませんか。 (異議なしの声あり) ○大日向部会長  ありがとうございます。それでは、議事に入りたいと思います。本日は、お手元の議事 次第にありますように、前回、議論に入ることができなかった二つの議題を先に事務局か らご説明いただき、議論をお願いしたいと思います。資料1の経済的支援、資料2の社会 全体での重層的負担・「目的・受益」と連動した費用負担の二つです。  次に、これまで当部会の委員および当部会で意見をお伺いした参考人の皆様から出され たご意見について、事務局でそれらの意見を議論の項目に沿って整理した資料を作ってい ただきましたので、その資料に基づき事務局からご説明いただき、その後皆様にご議論お 願いしたいと思います  それでは前回の議題について、資料1「経済的支援について」、資料2「社会全体での重 層的負担・『目的・受益』と連動した費用負担について」を事務局よりご説明お願いします。 ○朝川少子化対策企画室長  それでは、まず資料1を開いていただければと思います。2ページ目で、経済的支援とし て、まず今年の春に、基本的な考え方でまとめていただいた内容の確認をさせていただき ます、2の(1)で、財政投入全体の規模の拡充は必要であるけれども、とりわけ、サービス・ 現物給付の拡充に優先的に取り組む必要があるとされ、6で育児休業給付をはじめ、現金給 付についても議論が必要であるとしていただいています。一方、今年11月に国民会議の最 終報告でも、基本的に現物・サービス優先をしながら、現金給付も考えていく必要がある という同様のまとめになっています。  3点目ですが、次世代育成支援分野での経済的支援にどういったものがあるかですが、一 つ目は出産育児一時金で出産費用の負担軽減の現金給付があります。これについては、現 在、負担軽減に向けて見直しを検討中ということです。  次が、出産手当金あるいは育児休業給付で、産前産後休業あるいは育児休業中の所得保 障ということです。こちらは、この下の方に図が出ていますが、6〜12歳ぐらいのところの 少し下に※印がありますが、育児期の短時間勤務制度の強化等に向け、現在見直しを別途、 労働政策審議会で検討中ということです。  なお、育児休業給付については、育児休業や短時間勤務といった制度は、休業中は保育 を利用しないあるいは休業明けから保育を利用し始めるといった意味、あるいは短時間勤 務であれば延長保育が不要になる等、保育と密接に関係がある分野で、新制度体系におい ても育児休業制度をどう考えていくのかというのは重要な点かと思います。それから、育 児休業期間中の育児休業給付については、その体系を裏打ちするものとして、財源面や給 付面から新しい制度体系の中でもかかわりのあるものです。  三つ目の類型として児童手当があり、経済的支援の中心の制度ですが、近年類似の拡充 が図られてきているということです。  4ページ目を開いていただいて、もう一つ、妊婦健診についてですが、現状は5回分を地 方財政措置で、通常必要となる14回のうちの5回分が現行の財政措置ですが、今回生活対 策として、平成22年度分までの間は国が2分の1、残りの9回分について2分の1、地方 財政措置を2分の1とするということで、14回全部を公費で負担していこうという内容で す。  5ページ目は、先ほど少し出てきましたが、育児休業制度の関係で、その見直しが現在、 労働政策審議会で議論されています。その関係の紹介ですが、参考資料4という一番下に 入っている資料で、「たたき台」と書いてあるものですが、こちらが雇用均等分科会の方で、 先般、平成20年11月28日に事務局から提出され、議論をしていただいている最中という ものです。ご参照いただければと思います。  次に、9ページ目を開いていただきますと、昨年末の重点戦略のときに、新しく追加的に 次世代育成支援の分野にしっかりと財源を投入していく必要があるといったときに、約1.5 〜2.4兆円ぐらいを投入していく必要があるという試算を示していますが、その中で今ご説 明した現金給付の関係が、どこにどれぐらい入っているかというものを見てみたものです。 主に左上のところに、オレンジ色の網掛けをしていますが、育児休業給付のところで、 2,000〜4,007億円ぐらいです。これは、継続就業率が上がったり、あるいは給付率を改善 するということを見込んでの費用推計が、ここに入っています。  あと、真ん中の欄ですが、現金給付というところで行きますと、大きい2で右側の方に 一時預かり2,600億円というのがありますが、必ずしも現金給付というわけではありませ んけれども、そういう費用も推計されています。  10ページは、児童手当について、いろいろな場合分けでこれぐらいの費用がかかるとい うものを見たものです。これも、昨年末の重点戦略のときの試算です。  11ページ目は、国民会議の最終まとめの際にインターネットでアンケート調査が行われ ていて、その際に少子化対策で何を優先とするべきかというお答えにも、一番多く挙がっ ているのは育児休業や短時間勤務を取得しやすくするようにということです。二つ目は、 保育所などのサービスの量の確保・質の充実といったところが多くなっています。  資料1については以上で、次に資料2で「社会全体での重層的負担『目的・有益』と連 動した費用負担について」という資料です。  まず1ページ目を開けていただいて、こちらは経済的支援の資料と同じように、春にこ の基本的考え方としてまとめていただいたものの確認をさせていただければと思います。 財源費用負担ということで、最初に社会全体で費用負担をしていきましょうということで、 その中でも2行目にありますが、未来への投資という考え方で、重層的にしっかりとお金 を投入していきましょうということが書かれています。二つ目の丸のところで、国・地方・ 事業主・個人がそれぞれ役割に応じてどのように費用負担していくか、さらに議論が必要 だということです。(2)は、地方財政への配慮が必要ということです。さらに、公立保育所 が一般財源化されたことの影響なども踏まえて議論が必要です。(3)の事業主の費用負担に ついては、現在の労働者の両立支援としての側面あるいは将来の労働力の育成の基礎とし ての側面を考慮して、今後、個別の給付、サービスの目的・性格を考えながら、費用負担 を考えていくべきだということです。(4)の利用者負担については、利用者負担の水準をど うするかという論点もありますし、全体の水準の中でどの所得階層にどういう負担なのか という議論もあります。いずれにしても、低所得層が安心して利用できることに配慮しな がら、今後具体的な議論が必要としています。  1枚めくっていただいて、今年11月の国民会議の最終報告でも、基本的には同じように さらりと触れられています。ちょうど真ん中の辺りにアンダーラインを引いていますが、 少子化対策は未来への投資として国・地方・事業主・国民がそれぞれの役割に応じ費用負 担していくよう合意形成が必要とされています。  大きい4では社会保障制度全体についてですけれども、下から二つ目の段落のところで、 社会保障制度を将来にわたって持続可能なものとしていくために、あるべき給付サービス の姿を示し、それを実現していくための改革の全体像を明らかにしながら、必要な財源を 安定的に確保していくための改革に真剣に取り組むべき時期が到来している。速やかに社 会保障に対する国・地方を通じた安定的財源確保のための改革の道筋を示し、国民の理解 を得ながら具体的な取組に着手するべきであるとまとめられています。  3ページ目は、前々回ご説明しましたが、費用推計が出ているというもので、少子化対策 でも2025年時点で、消費税換算で公費部分だけですが、0.4〜0.6%程度ということです。  4、5ページ目は、1.5〜2.4兆円の内訳を示しているものです。これも既に出ている資料 です。ただ、5ページ目で少し注意点がありますが、1.5〜2.4兆円といったときには、基本 的にはサービスの量を拡大する費用だけを計算していまして、二つ目の※印にある質の向 上あるいは利用者負担をどうしていくかということをあまり勘案されていないということ です。三つ目の※印にありますように、社会的養護や障害児へのサービスなど特別な支援 を必要とする子どもたちに対するサービスといったものも費用の変化については今後充実 していこうというところについては、踏み込んでいない、あるいはその次の※印にあるよ うに、施設整備費や人材育成のコストといったものも見込んでいないベースでの数字です。  6ページ目は確認ですが、現在、児童家族関係社会支出での費用負担構成で、地方公共団 体が半分を負担して、事業主が1割、国は4分の1ということです。  7ページ目も確認ですが、先進諸国、ヨーロッパ諸国では、どういった財源構成で費用負 担が行われているかという資料です。  8ページ目は国民会議のアンケート調査で、比較してということですが、年金・医療・介 護と比較しますと少子化対策については、今後拡充していくための負担増をやむを得ない と考える国民が、割合として他の3分野に比べると多いというデータです。しかし、9ペー ジで緊急度について聞きますと、社会保障制度の中で少子化対策は、必ずしも緊急度を高 く認識されているとはいえないという状況です。  10ページ以降は、春に一度出した資料ですので、基本的にはご参照いただければという ことですが、まず10ページ目については、財源をどういう財政方式で賄っていくかという 議論があり、これは今回まだ議論を深めていませんが、一応、社会保険という考え方でや る場合とそうでない場合、それぞれメリット・デメリットがあります。それを整理したも のです。あとは、春に出した資料ですので、適宜参照していただければと思います。 ○大日向部会長  ありがとうございました。ただ今、資料1、2についてご説明いただきました。それでは、 皆様にご議論お願いします。佐藤委員、お願いします。 ○佐藤委員  3ページの経済的支援で、全体としては現物給付ということで必要に応じて経済的支援と いう考え方があってよいと思うのですけれども、経済的支援のところだけを取り出したと きに、働き方にかかわらずユニバーサルに経済的支援するということが大事だと思うので すが、一つは、経済的支援で育児休業給付の今は50%ですけれど、原則は40%で10%は 平成21年度末まで暫定措置です。これはどうなるのかということが質問です。  もう一つは、社会保険料免除です。これは、事業主と本人の免除があって、働いている 人にとっては実質的な所得保障で、10%弱の部分の所得保障です。社会保険料免除につい ては、現状でいうと育児休業を3歳まで取れば3歳まで免除です。  もう一つ、期間雇用者について、育児休業の要件を満たせないと、最後になれば別です けれども、育児休業を取れないだけではなく、所得保障もなく社会保険料免除もないので す。例えば、配偶者である夫が自営業ですと自分で払うという形でよろしいですか。そう すると、例えば、働き方に応じてある人は社会保険料免除があり、ある人は社会保険料免 除がないという辺りを少し。つまり、期間雇用者で育児休業取得の要件を満たさないと所 得保障がないし、社会保障料免除もなく、もちろん夫が雇用者で3号になればよいのかも しれませんけれども、自営業ですと社会保険料は自分で払うという理解でよろしいですか。 その辺を少し。横を見たときに何だろうと思いました。多分、社会保険料免除の仕組みが 入ったのは、年金財政を次世代で支える人を育てる期間中を免除という趣旨からすれば、 いわゆる一律でやるということがあるのではないかというのが、二つ目の質問です。  三つ目は、現状でいうと産前産後休業のところは、社会保険料免除がないのです。特に 問題なのは、事業主の方は働いていないにもかかわらず、社会保険料を負担しています。 現状でいうと7割の人が育児休業を取る前に辞めているわけです。これは続けられるよう にと希望する方が出産して育児休業を取って産前産後続けられるということですから、そ うすると現状では7割ぐらいの人が辞めているので産前産後休業を取らないということが あるわけです。これから、どんどんと取る人が増えてくるわけです。そこの部分について いうと、事業主からするとノーワーク・ノーペイといいながら、他方で事業主分の社会保 険料負担があり、これは結構大きいのです。そこを一貫してほしいです。つまり、事業主 の視点で見て、育児休業を取ったあとは社会保険料免除があるのだけれどもということで す。育児休業中はノーワーク・ノーペイだから、事業主の社会保険料を免除しているのだ けれども、産前産後休業は免除していないです。かつ、こちらは取れば3歳まで免除にな っているのです。実際、産前産後休業のところはないというのが、制度の一貫性としてお かしいのではないかということです。後ろ三つは質問です。 ○大日向部会長  これは、どちらにお答えいただけますか。朝川少子化対策企画室長ですか。 ○朝川少子化対策企画室長  二つ目のご質問は所管でないので正確に答えられないと思いますが、多分年金の1号被 保険者になっている場合だと思うのですが、少し記憶が曖昧ですけれど、年金部会で議論 されていたような気がします。私が昔、担当していたときにも一応議論したのですけれど も、サラリーマングループと違って、なかなか難しいところがあったということで、平成 16年の改正のときには、そこまで行けなかったという経緯があります。  産前産後休業の話については、以前も佐藤委員からご指摘いただいていまして、これも なかなか財政的な面での難しい事情があるようですが、引き続き保険局あるいは年金局に は、しっかりと相談していきたいと思います。 ○藤原家庭福祉課長  1点目のご質問ですが、育児休業給付の暫定については、まさにご質問の通りで、平成 21年度末までの暫定措置です。この件をどうするかについては、現在職業安定分科会の雇 用保険部会で、まさに議論いただいているところであると聞いています。以上です。 ○大日向部会長  よろしいですか。他にいかがですか。それでは、杉山委員、その次に福島委員の順でお 願いします。 ○杉山委員  ありがとうございます。経済的支援についてのところですけれども、妊婦検診の公費負 担を拡充していくことや自治体では小児医療を無料化していくなど、いろいろと負担を軽 減していく経済的な支援があるのですけれども、一方で最近よく言われていますが、医師 不足のような部分を一方で見ながら、こちらも進めていくというように進めていかないと、 無料だから良いかというと、では行きたいのだけれども病院がないということになっては 何の意味もないことで、どのようにして医師を増やしていくといいますか、整備していく かということを打ち出して、一方でこういう無料化の話も出していくというような配慮を していただいた方が安心ではないかと思います。以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございました。それでは、福島委員お願いします。 ○福島委員  教えてほしいのですけれど、4ページ目の社会保障審議会で推計の追加所要額が、1.5〜 2.4兆円と出ています。先ほど朝川少子化対策企画室長から、次のページの※印の二つ目、 三つ目、四つ目は入っていませんというご説明だったと思いますけれども、一つは、こう いうものを入れたらどれぐらいになるのかというのが、もしあるのでしたら教えていただ きたいと思います。この数字を否定するものではないのですが、時としてこのような数字 が施策の実施に充分な数字かのように取り扱われてしまうのでマックスでいうとこういう 数字になるとうい検討をいずれかの場で行う必要があるのではないかと思います。それと 併せて、前から言っていますが、そうはいっても今度は財源の規模があるので、施策のプ ライオリティについての検討を、これはどういう場で議論するのが良いのかよくわかりま せんけれど、全部やれたら一番良いと思います。緊急度も施策の内容も違うので、そうい うことを少し検討したらどうかと思います。 ○大日向部会長  朝川少子化対策企画室長、お願いします。 ○朝川少子化対策企画室長  まず、量の推計は比較的単純に現状から量を増やせば計算できるので、そういうことで やっています。例えば、質について考えますと、職員配置をどうするか、あるいは保育士 なら保育士の処遇をどうするかなど、前提を何か幾つか置かないと恐らく計算できなくて、 まさにこれはプライオリティ付けのことと関係してくると思うのですが、何をどう改善す るかということを前提に置かないと計算できないということもあり、去年の重点戦略のと きには計算していないというのは、一つ、そういう要素があります。  社会的養護についても、基本的には今の例えば児童養護施設についての人員配置がかな り厳しい、というのは少ない配置になっていますので、改善していく必要性まではわかる のですが、ではどれぐらい、どのように改善したらよいかというところはまだ検証してい る最中なので、この段階では計算していなかったのです。私どももいずれ何らかの形で計 算する必要があると思っているのですが、現時点ではそこまでできていないということで すので、もう少し施策のプライオリティ付けのような議論を、来年以降、詳細を検討して いく過程で何か検討していかなければいけないと思いますので、そういう過程では何か計 算していく必要があるかと思っています。 ○大日向部会長  よろしいですか。ありがとうございました。他にいかがですか。この議題に関しては、 よろしいですか。 ○岩渕部会長代理  重層的負担・「目的・受益」と連動した費用負担についてというところで、一つだけ申し 上げておきたいのですが、それぞれに重層的な負担をしていくというのはもちろん重要な ことですが、最近特に感じることでありますけれども、雇用を含めたさまざまな形の中で、 事業者の負担がやや軽減されている、あるいはもう少しきちんとした社会的な責任といい ますか、私は歴史的な責任と言っていますけれども、戦後続いた高度経済成長以来の長い 間の労使関係や雇用、働き方も含めて、事業主にはもう少しきちんとした責任を感じても らい、しかも将来的に見れば事業主にとって国内市場それから労働力という視覚的で非常 に重要なポイントになる制度ですので、その辺りのところをもう少し理解いただいて、前 向きに取り組んでいただきたいと、かように思う次第であります。以上。 ○大日向部会長 はい、ありがとうございました。今の点についてよろしいですか。 ○福島委員 今の岩渕部会長代理の意見について何ら異論はないのですけれど、少子化と いうのは国の問題であり、その対策にあたっての財源はやはり国のお金を投入するという ことが基本のスタンスだと思うのです。このようなことに対して、誤解のないようお願い したいのですが、企業も当然取り組まねばならないと思っているのですけれど。日本とい う国にとっての非常に大きなテーマであり国家戦略にかかわるのだと。ですから、当然岩 渕部会長代理がおっしゃるように企業も応分の負担はしますけれども、やはり国の税金を 投入するのだという点を明確にしなければならないと思います。日本経済団体連合会でも、 先日、少子化や高齢化を含めて社会保障と政財税制の改革を行う必要があると指摘し、消 費税引き上げの必要性を指摘したところです。そのためには国の無駄遣いや財政規律は守 るのですよと言っている。私のスタンスは、今の岩渕部会長代理のお言葉に反論するわけ ではないですけれども、消費税を財源とする公費投入がベースで今のようなことを言うほ うが良いのではないかと思います。どなたも企業の人がいらっしゃいませんので敢えて意 見を申し上げました。 ○岩渕部会長代理  私の言い方が少し不十分だったようで。もちろん国の問題であるということは言うまで もありません。でありますので、当然のことながら、国がどのような制度を作ってどのよ うな人にどのような財源負担を求めるかというようなことを国レベルきちんと決めて、必 要があれば事業者にも応分の負担を求めるということで整理できるのではないかと。以上 です。 ○大日向部会長  それでよろしゅうございますか。はい、他になければ次のコーナーに移りたいと思いま す。よろしいでしょうか。岩村委員お願いいたします。 ○岩村委員  一言だけですが。経済的支援のところで児童手当などの話も出ていて、資料の中では資 料2費用負担のところでフランスの制度の紹介などがあるのですけれども、1点だけ。私の 知っている限りでは、フランスの場合は賃金体系の中に家族手当や扶養手当はないのです。 全部それは家族手当金庫が払う家族手当という形で整理されている。したがって、もし児 童手当その他について何か議論するということになると最終的には今、日本の企業の多く にある賃金体系の中にある扶養手当や家族手当をどうするのかということと結びつけて議 論しないと整合性が取れなくなるということだけ申し上げておきます。 ○大日向部会長  ありがとうございました。駒村委員お願いいたします。 ○駒村委員  一応確認させてもらいたい。これは前も議論があったかもしれませんけれども、その家 族手当・扶養手当は現状どれぐらい普及しているのかどうなのか。今はだんだん変わって きている可能性もありますので。それがだんだん小さくなっている現実があるならばそこ は少しまた、違う議論かなと思いますので。その辺はデータに基づいて見たいと思います。 ○福島委員  一般的には20世紀まではそのようなものが日本の企業の強みということでやってきまし た。ここ10年ぐらいは仕事に対して給料を払うということに日本の企業も変わってきまし て、数年前から、揺り戻しという表現はあまり好きではありませんけれども変わってきて いるのではないかと思います。データ的にはありませんけれども。 ○駒村委員  データで見たほうがよろしいですねという話で、どちらにというわけではないので。デ ータに基づいてということだと思います。 ○大日向部会長  室長、どうぞ。 ○朝川少子化対策企画室長  私の記憶ですと去年重点戦略の何かの資料のときに、扶養手当を入れた分の日本全体の 社会資質のようなものを出した資料があったような気がしますので、次回見つけてきたい と思います。 ○大日向部会長  ありがとうございます。よろしいでしょうか。  続きまして、次のところですが、これまで当部会の委員及び当部会で意見をお伺いいた しました参考人の皆様から出されたご意見につきまして、事務局がそれをまとめた資料を 作ってくださいました。その資料3に基づいて事務局からご説明をお願いしたいと思いま す。また、前回私から最後にお願いいたしました「他の制度における改革の光と影に関す る資料」につきましても事務局がご用意くださいましたので、併せてご説明お願いいたし ます。 ○朝川少子化対策企画室長  それでは資料3につきまして、これまでの第10回から18回の主な議論ということで、 一度ご議論いただいている内容ですので、すべて触れるというよりも少し流れに沿ってご 説明できればと思っております。  まず、1は制度改革の検討が必要となっている背景について。これは多分に各論で重複し ている部分もありますので、各論に譲れるところは譲って総論部分でポイントになるとこ ろだけ紹介させていただきます。まず1ページ目の一番下は駒村委員のご意見で、今後労 働力率・出生率が上がってくれば潜在需要も出てくるし、それを待機の問題を解消しない と社会保障の持続可能性も危ういと。次のページの一番上で、庄司委員もそのようなこと も含めて大きな政策転換が必要ではないか。さらに上から三つ目の駒村委員で両立支援と いう新しい使命が緊急的・国家的課題になっているということを強く認識すべき。さらに もう一つ下で社会保障に占める新しいシステムの重要性の認識をあらためて関係者が共有 する必要がある。もう一つ下の吉田委員もスピード感を持って取り組むべき。福島委員か らは今もありましたが、国家戦略的な視点でのアプローチが必要といったご意見をいただ いております。さらに3ページ目の上から二つ目は駒村委員のご意見で、両立支援が極め て緊急課題であるので、質を下げずにいかに拡大していくかということ。今ある待機児童 の解消の話から、一歩も二歩も進まないといけないというご指摘をいただいております。 大きい1についてはそもそも少子化対策としてということで、このような意見が出されて います。  次に7ページ以降ですが、7〜41ページ目までが、いわゆる保育制度にかかわりますそれ ぞれの各論でございます。ページ゛がいろいろ前後しますがご容赦いただいて、受給権の扶 養ということについてご議論いただいていますので15ページを見ていただければと思いま す。これは現行制度サービスの必要性の判断、「保育に欠ける」要件の判断等、入所の決定 実際の契約のところですが、一体的に市町村によって行われている。そのような仕組みに ついての議論をしていただいたところです。上から二つ目の吉田委員のところで、待機児 童を発生させないために、一体的仕組みになっていることによって入所申し込み時点で、 いわば窓口規制をしてしまう例がある。というご指摘があり、一つ上の宮島委員のご意見 で、最初から申し込むことを諦めてしまう、潜在化してしまうという課題があるのではな いかと。そのようなことに対応して、その下の五つのご意見ですが、宮島委員から保育所 に実際に入れるかどうかとは別に、まず保育の必要な子どもであるということをきちんと 見る制度にすべきである。杉山委員も同様に、認定により受給権が発生することはとても 大事である。小島委員からは介護や障害の例を引かれて、必要性の判断が独立してされて 受給権が発生し、しかもサービス提供基盤の整備責任も明確にされているというご意見。 その下の佐藤委員も必要性があるかないかで判断されるべきで、必要性のある人の中でそ の人を優先させるべきかは別の基準としなければ潜在化してしまうのではないかというこ と。さらに一番下で山縣委員から、利用の認定あるいは要保育認定のようなものが置かれ て、その利用権を基に保育所と利用者で、こういうサービスを受け、かかる費用はいくら という契約をし、事業者に必要なサービスを提供する責任が課せられる。そのような関係 ではないかというご意見を出していただいています。次のページの一番上のところで、仮 に何か独立した認定のような行為をするとしてもということで、岩村委員からそのサービ スの必要性の判断に際して、その市町村のサービスの供給状況を考慮に入れられる仕組み としてしまったら、結局現行制度と変わらなくなってしまうのではないかというご意見を いただいております。このように受給できるという認定を独立させて需要の潜在化を防い で公的な関与をしっかりさせる。併せて、そのサービスの基盤整備責任をしっかり公にか けるというご議論をしていただいているところでございます。  次に14ページでございますが、関連するご議論として14ページの二つ目でございます が、岩村委員から障害の例を引かれて、あちらでは個別のケースについて判定があってそ の判定があれば自ら選んだ事業者からサービスが受けられ、市町村から給付が支払われる というメカニズムになっていて、契約だけで自由に利用となるとコントロールできないの で、誰に受給権があるか行政による判定があるのがポイントの一つではないかというご意 見です。ここでもう一つ公的な責任ということで給付責任ということが触れられています。 もう一つ上の岩村委員のご意見では、現在の保育の実施義務の例外についてのテーマのと ころですが、それについては例外が市町村の幅広い裁量に判例上も委ねられているという ご意見をいただいております。上から四つ目でございますが、小島委員のご意見で保育の 実施義務の例外規定の問題は行く先は量の問題、財源の問題であるけれども、やはりその 問題は考えていかなければいけない。その下の吉田委員のご意見は、保育の実施義務に例 外を認めるべきではないのではないかというご意見です。このように受給権を独立させ、 そこには例外を設けないという、そのようなご議論をいただいています。  それでは認定の後、どのような契約をしてサービスを利用するかということについてで すが、17ページ目でございます。17ページ目は保育所と利用者の当事者間でサービスの向 上に取り組むことを促す仕組みというテーマの部分でございます。一番上の宮島委員のご 意見で、子どもにとってどのような保育が良いのか一緒に考えていきたいけれども、今は 必ずしも仕組みがそうなってはいないのではないか。上から三つ目は今井参考人のご意見 として、利用者のニーズに応じた利用を保障する仕組みの構築が急がれる。そのため利用 者と事業者が直接契約を結び、事業者側はニーズに即した良質なサービスを追求できる体 制が必要ではないか。下から二つ目の山縣委員の意見で、利用者と保育所の間に契約関係 を発生させることが必要ではないかと思うが、このことで市町村と保育所、市町村と利用 者間の関係について中身が変わることはあっても、関係が消えることはないのではないか というご意見。二つ上に戻りまして吉田委員のご意見ですが、サービスを提供者と利用者 が向かい合うのがごく普通のことであり、その上でセーフティネットの整備や行政が必要 な関与をするという制度設計が普通ではないかというご意見です。この点については利用 者と事業者が契約関係を結んだらどうかという議論については、事業者検討会では保育団 体を中心に市場原理に基づく直接契約の導入というのは反対であるというご意見が別途出 されているという状況かと思います。  吉田委員の要請が必要な関与をするということに関連しまして、18ページ目を見ていた だきますと、行政の何らかの関与が必要だというところで一番上、原参考人のご意見のと ころを見ていただきますと、選択が可能なのかという状況の中で、親たちに100%選択を投 げてしまうと、家庭自体が孤立してしまうのではないかという危惧を懸念されています。 その上で、選ぶための情報提供や相談支援あるいは間接的な支援をどのように確立するか。 中間をつなぐケアマネジメントのような体制が必要ではないかというご意見です。同様に 一つ下の杉山委員のご意見は、コーディネーターのような人がいて、子どもを見て親と話 し合いながら認定、利用申込みへとつなげていく。そのような流れができればよいという ご意見です。この点については一度49ページを見ていただきますと、上から三つ目のとこ ろで連合の吉田参考人のご意見としてコーディネーターの仕組みについて斡旋や調整まで やるとなると一定の程度の行政の関与、または行政内でやっていく必要があるのではない かというご意見をいただいています。こうした手続き面での公的関与、そのようなことも 混乱を起こさないようにする仕組みとして提案していただいているところです。以上が利 用手続きなどについてでございます。  7ページ目にお戻りいただきまして、必要性の判断基準についてでございます。ここにつ いては、一番上の佐藤委員のところで、昼間に限定するということはすべきではない。さ らに短時間就労者の必要性とフルタイムの就労者の必要性は同じではないかと。大石委員 も、短時間の保育利用サービスも利用できるようにすべきだけれども保育所以外の形態で の提供も考えるべきである。小島委員から短時間就労に対しては対応することは当然であ る。庄司委員からも今までの認可保育所は朝から夕方まで毎日来ることを前提に保育を行 ってきたけれども、やはり短時間就労者にも保育は必要ではないかというご意見です。  次に12ページ目。これも公的関与に関するものとして、必要性の高い子どもの利用の確 保の仕組みについてのご意見です。一番上小島委員のご意見で、どのような利用方式を採 った場合でも優先度の高い子ども、虐待のケースや母子家庭などを指していると思います が、そのような子どもから優先的に受け入れがなされるような仕組み、応諾義務のような 仕組みが必要である。その一つ下で山縣委員も、市町村にサービスの基盤整備責任をきち んと課すことが必要であるということとともに、仮に直接契約であっても応答の責任があ れば問題ないのではないかというご意見。上から四つ目の清原委員のご意見ですが、母子 家庭・父子家庭、虐待ケースや障害児について、市町村が支援のネットワークを形成して いる。各機関が連携して保育サービスへつなげてきた。契約関係の新しい形を考えるに際 しても、こうした支援のネットワークに必ずつながるということが重要であると。これも 公的な関与ということでのご指摘だと思います。  13ページ目ですが、少し違う議論ですけれども、子どもと親の利益が一致しない場合も あるというご議論について一番上で岩村委員から、そのようなケースもあるということが 触れられていて、保育が必要なのに親が契約する意思がない。そのような場合は応諾義務 も機能しないではないかと。そのようなことも含めて制度設計を考える必要があるという ご意見。関連して山縣委員から、現行制度がその社会的養護という措置の仕組みと保育の 干渉という二つの仕組みがありますのでこれを有効に機能させることが必要だというご意 見。一番下のところは障害児の視点も明確に入れておく必要があるというご意見です。  次に19ページ目でございますが、給付設計に関して公定価格なのか自由価格なのかとい うところのご議論です。一番上の清原委員のところで、公定価格によって価格の信頼性、 安定性、公正さとういものが担保されてきた。自由価格となると質でなくて需給関係で価 格が上昇傾向になってしまうのではないかというご懸念。自由価格となれば多様な価格帯 が生じて、選択範囲が広がるけれども大変不安定な状況が生じるのではないかというご意 見。その次の駒村委員あるいは中村参考人のご意見としては、公定価格なのですけれども それはオプションの部分があるのではないかということ。事業者の裁量で決められるとこ ろがあるのではないかというご意見が出されています。  次に22ページでございまして保育の質の話についてでございます。まず保育の環境、保 育の内容について科学的・実証的に調査研究を継続的に行っていく仕組み。これは必要で はないかという、概ね合意が得られているところだと思います。次のところは最低基準の あり方についてでございますが、これについては一番上の吉田委員のところでは、地域に よって異なる基準ではなくて、ナショナルミニマムとして最低基準が必要である。その下 の小島委員も最低基準は国の基準として必要であるというご意見です。一方で下二つのご 意見ですが、野呂委員からは基準設定を市町村に委ねるべきというご意見と、一番下で、 中村参考人は認可外保育所に触れられて、地域の実情を踏まえて認可基準について柔軟性 を持たせるべきであるというご意見が出されています。  次に、その質に関連しまして24ページでございますが、従事者の養成・研修についてで ございます。一番下から見ていただきますと杉山委員から、専門性の高い保育・子育て支 援を行う場合には、さらにレベルの高い保育士資格を設けることも考えられるというご意 見。その一つ上の佐藤委員のご意見として、研修を実務に生かすような仕組みをどう作る か。ただ単に勤続年数が長いだけではなくて研修を実務に生かすような仕組みをどう作る かという議論も必要ではないか。その一つ上の吉岡参考人のご意見は、東京では保育士の 確保が難しくなってきているので、保育士の量・質の確保が課題になっていると。一番上 の中村参考人のご意見は、サービスを増やしていくためには、保育士の確保が重要なので 多様な人材が保育に従事できるような仕組みが必要とされた上で、例えば認可外保育施設 の勤務実績も評価して、試験を経て保育士資格につなげるような仕組みの導入も考えるべ きではないかというご意見も出されています。  次に、25ページ目は労働条件の関係でございます。大日向部会長から離職率が質にかか わる大事な点なのでしっかり把握すべきであるというご意見。二つ目の杉山委員のところ で、実際の保育現場で実践できるような保育士の育成。そのようなものが要るのではない か。どんどんプラスしていけばよいというものでもないのではないか。質を上げていくと いうことでは職場のマネジメントというような観点も重要ではないかというご意見をいた だいております。その下、指導監督等については大日向部会長から保育の質の維持・向上 のためには、監査の徹底強化が重要であるというご意見。二つ目のところでは、三鷹市は ガイドラインを作って認可だけではなく認証にも適用して情報共有化と共通理解を図って いるというご意見でございます。  質に関して、その他のご意見として非常にたくさん出ていますが、26ページ目ですけれ ども例えば上の三つ目、清原委員のご意見を見ていただきますと、子どもの健全な発達保 障のためにどのような保育サービスが望ましいかという視点は共通認識であると。質とい うポイントに保育サービスを直接受ける子どもたちの視点をいかに担保できるかというこ とが重要である。一つ上で大日向部会長から、良質な保育が提供されなければ女性は働く ことを断念せざるを得なくて、持続可能な社会保障システムそのものが堅牢なものになら ないというご意見でございます。  27ページ目の上から二つ目のところで、大石委員からですが、保育の質については評価 に要するタイムスパンが長いので、質の悪い保育の危険性を親や社会が十分認識していな い場合に近視眼的な行動をとって質の需要というものが過小になる傾向があるということ。 上から四つ目の宮島委員の意見は、親が子どもと余裕を持って接することができる環境を 整えるためにも、親の希望に配慮するということが必要ではないか。一番下の原参考人の ところでは、行政や保育所だけが質について考えるのではなくて、保護者を巻き込みなが ら考える。親の選ぶ目を尊重できるような仕組みもできたらよいというご意見をいただい ております。  次に20ページにお戻りいただいて、事業者の参入についてでございます。一番上は岩村 委員のご意見として、介護・障害の例でいずれも事業運営基準というものがあって、その 基準を満たした事業者に指定がされて、利用者は指定事業者の中から選べる仕組みになっ ていると。上から三つ目の吉田委員のご意見では、待機児童がいる、あるいは潜在的な待 機児童が見込まれている地域では、一定の要件を満たした施設から申請があったら、特段 の事情がない限り認可すべきであると。下から二つ目の中村参考人のご意見は、基準を満 たす施設は速やかに給付対象とすべき。小島委員も同じく、最低基準を満たした所は認可 支援していくことが必要というご意見をいただいています。ここは基準を満たしたら給付 対象にしたらどうかというご意見だったと思います。  21ページ目、施設整備費が株式会社等に入っていないということについて、施設の初期 投資費用というのは大きな負担要素なので減価償却の反映等が必要というのが一番上の今 井参考人のご意見。杉山委員が株式会社やNPO法人に初期投資費用補助がないのは、公平 な事業参入という意味で見直しが必要ではないかというご意見。次は運営費の使途制限に ついてですが、真ん中の中村参考人からは運営費の使途の柔軟性を高めて欲しいというご 意見があります。もう一つ、配当については杉山委員から、配当への充当というのは懸念 があるというご意見。もう一方で中村参考人は、出資者に対する適正な配当は応じなけれ ばいけないというご意見。ちなみに、配当については事業者検討会でも意見が分かれてい るところでございます。  次に29ページ目でございますが、事業者参入に関連しまして認可外保育施設の取扱いに ついてでございますが、上から二つ目の杉山委員のところを見ていただきますと、認可保 育所等の質の維持・改善と平行して認可外保育施設の認可化のための対応が必要であると。 上から四つ目の小島委員も、認可外については基本的に最低基準のクリアを目指すべきで あるというご意見でございます。下から三つ目の杉山委員のご意見は、認可化移行支援に 係る補助制度を手厚く。いきなり厳しい条件を求めるのではなくて段階を経てという道筋 を示すのが現実的ではないかというご意見です。  次に31ページ目でございますが、待機児童が解消できない中で認可保育所の入所の可否 で公費投入が分かれる。その公平性の課題についてのご意見ですが、一番上の佐藤委員の ご意見として、保育サービスを受けられる人と受けられない人の公平性の確保を過渡期に は考えざるを得ないのではないかということ。一番下のところで山縣委員は、全体の仕組 みの中で過渡期対策を行うのが良いのか、待機児童が多い地域のみで考えるのが良いのか という議論があるのではないかという議論が出されています。  次に32ページですが、多様なニーズへの対応というところでは上から二つ目のところで 岩村委員から、認可保育所、認証保育所など幾つか種類がある中で、どこに基準を設定す るのかがポイントである。供給量を伸ばすことと質を維持することの兼ね合いが重要であ るというご意見です。  次に33ページ目では、小規模なサービス形態についてご議論をしていただいて、概ね5 〜20人というところについての小規模施設の類型を支援していくことも必要ではないかと いうご意見をいただいております。  次に37ページでございますが、地域の保育機能の維持向上というところでは、一番上の 野呂委員のご意見として、保育所は保育を提供するだけではなくて、子ども同士の絆や社 会性を身につけさせるスタートとなるもので、若い親にとっても主体的に地域社会に参加 する第一歩となるので、地域社会ではこの機能を大事にすべきであるというご意見です。 一番下のところでは保育所の多機能化ということについての支援を、児童人口が著しく少 ない地域について考えていってはどうかという福島委員からのご意見です。  次の38ページ目は、児童人口減少が著しいところについては、もう少し幼稚園と保育所 の関係をきちんと、認定こども園制度も含めて積極的に踏み込んだ議論があった方が良い というご意見が山縣委員、庄司委員から出されています。  次に39ページからは多様な保育ということですが、延長保育については篠原委員から、 延長の部分についてはある程度事業主にも負担していただく必要があるのではないか。そ の場合、働き方の見直しに取り組む事業主に対しては、負担を軽減する措置等を検討すべ きではないかというご意見です。  次のページ休日夜間のところでは、一番上の吉田委員のところで、同じ8時間労働でも、 朝8時から始まるのと昼12時から始まるのでは、昼12時からですと6時に終わってしま い2時間延長になってしまい、そこの連続性がないのではないかというご意見です。下か ら三つ目の丸の山縣委員のご意見として、上から3行目、保育所以外で対応するサービス を検討しないと、市町村で計画的にと言われても、なかなかニーズがないということにな ってしまうのではないかと。このような夜間、休日というまばらな需要のサービスについ てです。その下の清原委員の二つのご意見は、延長保育についても需要が通常保育より少 し減る部分があるので、集約化して対応しているのだけれどもということですが、ファミ リー・サポート・センターなどの活用も含めて、少し考える必要があるのではないかとい うご意見が出されております。  以上が保育についてでございまして、42ページからは放課後児童クラブについてでござ いますが、こちらは概ね一致しているかと思いますが、まずは量を増やしていかなければ いけない。そのためには、場所の確保として小学校の活用が重要だということ。そして、 指導員の処遇の改善です。あるいは人員配置。そういったことを考えていく必要があると いうご意見が出されております。43ページの下の枠の中は質の確保ということで、上から 二つ目の篠原委員のところで、放課後児童クラブの質を確保するためには、やはり質の高 い人材を確保することが必要というご意見が出されております。一方で、福島委員からは 厳格な基準を設けると人材確保や設置が困難な場合も出てこないとは限らないので、まず は量の確保が必要であろうと。基準を設ける場合も柔軟性が必要なのではないかというご 意見です。次に44ページ目でございますが、上から二つ目の枠の中の財政的支援について は、一番上の清原委員のご意見で、今の補助単価が実態に見合った補助金額になっていな い現状にあるのではないか、もっと引き上げをといったご意見が複数の委員から出されて おります。  45ページの放課後児童クラブと子ども教室の一体的運営については、一番上の福島委員 のご意見では一体化を進めるべきと。宮島委員も同様のご意見だったかと思います。両方 のご意見があります。一方で、上から四つ目ですが、真田参考人のご意見では、全児童対 策では放課後児童クラブの代わりにはならないというご意見。両面のご意見が出されてお ります。  次の46ページからは、すべての子育て家庭対策でございますが、総論としては、一番上 から2行目の清原委員のご意見ですが、在宅子育て家庭の支援についても明確に位置付け た制度設計にすべきということについて、自治体の現場の実感からその通りだというご意 見をいただいております。下の枠の中ですが、一時預かりにつきましては、一時預かりに 対する期待、あるいはその広がりに対する期待といった意見が複数出されています。48ペ ージのところで、すべての子育て家庭対策についての財政支援について、清原委員から2 行目ですが、ソフト交付金の柔軟性はありがたい、地域格差をなくすためにもきちんとし た財源確保が必要である。その際、交付税措置となるケースが多いのだけれども、不交付 団体についても配慮される柔軟な枠組みにしてほしいというご意見をいただいています。  49ページ目はコーディネート的な機能についてでございますが、これは保育のところで も出てまいりましたが、総じて何らかのコーディネート的な業務、相談支援のようなもの をしっかり位置付けていく必要があるというご意見をいただいております。  53ページですが、情報公表・第三者評価の第三者評価の部分については、一番上の駒村 委員のご意見ですが、対人社会サービスというのは情報の質に非常に不完全性があるので、 ここをしっかり機能させる必要があるのではないか。あるいは、次の大石委員のご意見で、 子どもの視点に立った保育の評価方法を考えていく必要がある。上から四つ目のところで は、駒村委員のご意見で、評価機関の質を高めていくような仕組みが要るのではないかと いうご意見をいただいております。  概ねそういったところでございますが、もう一つ、ご議論が必ずしもまだ十分されてい ないところが幾つかありますので、まずそこを見ていただきたいと思います。9ページ目を お開きいただきますと、保育の必要性の判断のところで、同居親族の要件のあり方につい て、まだご意見をいただいておりません。これは祖父母が同居していれば、基本的には「保 育に欠けない」という取扱いになっていることについて、女性の就労という観点も含めて、 果たしてそういう要件が今の時代に合っているかどうか。そういう議論の部分でございま す。  次に19ページ目でございますが、一つは給付費の支払方式についてです。これについて は、大きく分けて二つほど論点があります。まず、現行は市町村から保育所に委託費とい う形での給付の支払がされていますが、これについてどうしていくかということが一つ。 もう一つは、現行は子ども1人当たり月にいくらという形で払っていますが、それを日当 たり、あるいは週当たりというように見直すのか、見直さないのか。あるいは経営の安定 をどのように考えるのかというような論点がございます。一番下のところは、現在、利用 者負担については市町村が徴収する仕組みになっていますが、それをどうしていくか。あ るいは、未納の場合どのように対応していくかというようなところが論点としてございま す。  21ページ目の下のところで、多様な主体の参入に当たっての質の確保あるいは指導監督 というところです。これは無認可保育所の保育所が中心ですが、一斉に保育所を廃止して しまったケースであるとか、介護でいうとコムスン問題、そういったことへの対応の視点 のところの論点でございます。主に欠けているところはそういうところでございまして、 資料3は以上でございます。  引き続きまして、参考資料3は委員よりお求めのあった資料をご覧いただければと思い ます。最後に申し上げたところとも関連しますが、介護保険制度で課題となっていること を参考にしながら議論をしていただくためにご用意させていただいた資料でございます。 関連するところのみ、ご説明させていただきます。2ページをお開きいただきますと、これ は制度の仕組みの全体像でございますが、ポイントは2回前の事業者検討会で、有識者の 委員から介護の例を参考に、利用者と事業者の間で契約を結ぶ方式とすることによって、 サービスの量的拡大が進むのではないかという意見が出されました。一方で、介護の施設 では、待機という問題が解消していないのではないかと。要するに直接契約を結ぶ方式に しても、待機の問題は解消していないではないかという意見のやり取りがございました。 そういうことがあって、事実関係について若干整理をしておく必要がありますので、ご紹 介いたします。  右上を見ていただきますと、青いところにサービス事業者というところがありますが、 介護保険の仕組みでいきますと、大きく分けると在宅サービスと施設サービスと分かれま す。その右側に、吹き出しがありますけれども、設置主体としては、在宅サービスは法人 主体の制限はなく、株式会社でも何でも参入の制限はないという仕組みになっていますが、 施設サービスについては、特別養護老人ホームであれば社会福祉法人を原則としていると いう参入の制限がございます。そこが大きく違うところでございます。  次に4ページ目を開いていただきますと、介護保険が創設されてから、2007年までのサ ービスの増え方を見たものでございますが、居宅サービスはこの7年間で165%増というこ とで、かなり大きくサービスが増えています。一方で、青い方の施設サービスは、56%増 で、増えてはいますが在宅ほどは増えていないという状況が見て取れます。次に7ページ 目でございますが、こういう一つの背景として、制度的にこのような仕組みになっている ということなのですが、施設あるいは居住系ということで住み込むサービス、特別養護老 人ホーム、老人保健施設などのサービスですが、それらについては総量規制がかかってい るという仕組みになっています。一番上の丸にあります通り、こういう施設、居住系サー ビスについては、国がサービス利用者数について参酌標準を示すということになっていま す。その上で、二つ目の丸ですが、都道府県、市町村は自らの計画で、これらの施設につ いて参酌標準に基づいて定員の総数を定める。そして三つ目の丸にあります通り、計画で 定められた定員総数を超えた場合は、指定拒否が可能ということで、総量規制がされてい る仕組みになっています。下の図は、前回平成18年の制度改正のときに、施設のサービス について適正な整備ということで、将来の参酌標準の決め方について解説したものでござ います。足元は、施設のサービスでは、利用者が41%ぐらいであるものを、将来平成26 年には37%に量としては増やしていくわけですが、割合としては引き下げて施設サービス については一定の枠を掛けながら伸ばしていくという枠組みになっているということでご ざいます。  8ページ目は、参考に介護保険の事業者の指定手続きについて、右上にあるのですけれど も、指定拒否事由に該当した場合に指定拒否ができるという仕組みになっている。その指 定拒否事由が右上に小さい字で書いてあります。制度上、明示されているということです。  次に10ページはサービスの撤退についての議論の参考ということで、コムスン問題を契 機に介護保険法の改正が平成20年になされておりますので、その関連するところを照会し たいと思います。まず、一番左側のところですけれども、事業者の法令遵守に不十分なと ころがあったということで、この改正では下の方に書いてありますが、業務管理体制の整 備を事業規模に応じて義務付けたという見直しがされております。左から二つ目のところ は、監査指導について、事業所ごとの監査の権限は従来からあったわけですが、いくつも 施設や事業所があるところについて、法人本部の立入検査の権限が行政の側になかったと いう反省点があって、事業者の本部への立入検査権というものが新しく規定されています。 左から三つ目のところでは、これは処分逃れという文脈ではございますが、事業所の廃止 届けは、改正前は事後届出であったものが、事前届出になっています。  ちなみに保育の分野でいいますと、認可保育所は事前の承認を得て廃止ということです が、認可外施設は事後の届出になっています。一番右のところでは、事業を廃止したとき のサービス確保対策が不十分であるということに対応して、まず事業者に廃止をするとき のサービス確保の義務付けをしたということと、下にあります通り、行政が必要に応じて 事業者の実施する措置を支援するという仕組みも設けているということでございます。  11ページ目から数ページは介護職員の処遇の状況についての資料でございますが、時間 の関係もありますので省略します。14ページ目ですが、例えばその中でも離職率のところ を見ていただきますと、介護関係の職種の離職率ですが、表の全体というところを見てい ただきますと、訪問介護員16.9%、介護職員25.3%ということで、総じて高いわけですが、 ヘルパー以外の施設の職員などを含めた方が離職率の方が高いというデータになっていま す。最後に18ページ目をご覧いただきますと、介護保険は3年に一度介護報酬の改訂があ るという仕組みになっていまして、そのたびごとに経営の実態調査をすることになってい ます。介護保険は平成12年に施行されて、平成15年、平成18年と報酬改定がございまし たが、2回ほど報酬を下げる改定がされたということで、介護保険制度の悪い部分と強調さ れることがあるわけですが、その辺の関係のデータでございます。一番上の介護老人福祉 施設のところを見ていただきますと、これは特別養護老人ホームですが、参入規制があっ てしかも総量規制もあるサービスのところですけれども、一番右側の平成17年のときの実 態調査のところを見ますと、収支差率は13.6%ということでございました。今回調べてみ たら3.4%ということで、前回は下げる改定がされておりますけれども、今回のこの秋以降 の議論を見ていますと報酬を3%上げるという議論になっていますので、やはり経営の実態 に応じた報酬の改定がされているという状況でございます。以上、参考までにご紹介いた しました。 ○大日向部会長  ありがとうございました。なお、前回の議論等に関しまして、清原委員、杉山委員から 文書でそれぞれご意見をいただいております。ありがとうございます。時間の関係もござ いますので、お目通しいただければと思います。よろしくお願いいたします。  さて、ただ今、事務局からこれまでの委員の皆様、あるいは参考人としてヒアリングを させていただいた皆様の意見をまとめていただきました。9月以降これまで、精力的に議論 をしていただきました。個別項目ごとの議論は本日の前半で一区切りといたしまして、こ れから後は、これまでご議論いただいてきたことを基としまして、年内の取りまとめに向 けまして議論の整理をしていきたいと思いますので、ぜひともご協力をお願いいたします。 この後、皆様にご議論いただくに当たりまして、部会長として若干申し上げておきたいこ ともございます。これは皆様ご承知のように、この部会は少子化対策に本格的に取り組む ということで議論をスターとさせております。先ほど、少子化対策は待ったなしの国家的 戦略だというご意見も出ましたが、まさにその通りで、緊急課題として国を挙げて取り組 むべき課題かと存じます。それに当たりまして、現状の課題を丁寧に見ていくということ は当然なのですが、一方で、これは前回の最後に私が申し上げたかと思いますが、この部 会は持続可能な社会保障のあり方を目指して今後の地平を開くという新たな展望を持って、 積極的にご議論いただくという使命も得ております。従いまして、あまり現行制度の維持 にこだわりすぎまして、結果として待機児童問題あるいは地方の保育機能の維持の問題な どが解決しないとなりますと、私が一番恐れますのは、公立保育所で一般財源化の問題が 起きました。それと同じことが民間にも起こる可能性、危険性があるということを私たち は重々考えて議論を踏み込まなくてはならないと思います。少子化対策なかんずく保育の 分野には、財源を投入しながらという流れがございます。従いまして、公的関与がしっか り入った、そして質の確保された、より良い仕組みを構築すべく、制度改革の議論に向け て年内取りまとめをお図りいただければと思います。  従いまして、先ほど事務局から資料3に基づいて、これまで本当に皆様たくさんのご意 見をお寄せくださったと、改めて感じ入りながら拝聴しておりましたが、最初に、制度改 革の検討が必要となっている背景、1〜3ページ、これは私が申し上げたことと同じような ことがそれぞれの委員の皆様からご意見をいただいていることが記載されていると思いま す。まず、ここについて合意をいただければと思いますが、いかがでしょうか。  国家的戦略として現状の問題ももちろん前提としつつ、新たな制度設計に向けて意欲的 な制度設計の議論に踏み込んでいただきたいということで、この1〜3ページ目に関しては、 よろしゅうございますか。  どの委員も等しく同じような見解に立ったご意見をいただいたかと思いますので、それ では、制度改革の検討が必要となっている背景につきましては、1〜3ページ、各委員のご 意見齟齬はなく、また、私が今まとめさせていただいたような方向で合意いただいたとい うことでまとめさせていただきます。  それでは、各論に入ってまいります。17時までということで、時間も限られております が、大変分量が多くございます。幾つかのブロックに分けてご議論いただきたいと思いま すが、先ほどの朝川少子化対策企画室長のご説明も前後したかと思いますが、朝川少子化 対策企画室長のご説明の流れが非常にわかりやすかったので、その流れに沿って皆様にも ご意見をいただければありがたいと思います。  最初は、保育サービスの提供の仕組みの辺り、ページで言いますと、15、16ページある いは14ページ辺りです。受給権をいかに発生させるか、それに対して行政がいかに関与す るか。この辺りに関して改めてご意見をいただければと思います。  杉山委員、お願いいたします。 ○杉山委員  大日向部会長のご指示に合わないかもしれないのですけれども、保育サービスがあって、 それ以外があって、経済的支援があってという枠組みになっているのですけれども、その 前に、どういう全体像になるのかというのが見えないまま、急に保育になっているという 印象があります。例えば、コーディネーターの話が先ほど朝川少子化対策企画室長からも 出たのですが、18ページの最初にコーディネーターが必要だという話が出ていて、そのと きというのは、保育園の保育サービスを利用するに当たってどのように利用をしていくか というコーディネーターである。そのあと、49ページにもコーディネーターが出てくるの ですけれども、こちらの方のコーディネーターは若干ニュアンスが違って、保育以外のす べての子育て支援に関してどのようにサービスを利用するのかのコーディネートが必要だ という話が出ています。これに出ているように、全体像の中でどう見るのかということか らいくのか、それとも、まず保育があってということからいくのか、その辺がわからない まま、これに沿って議論してしまうというのは。もう少し説明がほしいというか、持続可 能な年内に取りまとめようとしている枠組みというのはどのようなもので、時間の関係も あって細かいところまで完璧なものはできないとするならば、年内にできるのはどこまで だというようなものがあっても良いのではないかと、個人的に思っています。どうかと思 いますが、以上です。 ○大日向部会長  毎回、事務局から見取り図をお出しいただいていると思うのです。それに基づいてお考 えいただければ。例えば、本日ですと資料1の1ページに「基本的考え方を踏まえた具体 化が必要な検討事項」という見取り図が書いてあると思います。そういたしますと、持続 可能な社会保障制度の構築ということになりますと、やはり待機児問題さらには潜在的な 保育ニーズをいかに活性化して、女性あるいはその他の方々の労働力を活性化していくか ということは大きな課題だと思います。一方、それはすべての保育に欠けるという要件の 問題と関連しますが、働く、働かないに関わらず子育て家庭の支援をどうするか。さらに は、保育園の問題だけではなく、就労家庭への支援としての学童をどうするかというよう に、私はこの1ページで見取り図が付いていると思います。  今、杉山委員がおっしゃったコーディネーターあるいはケアマネジャーのお話は、杉山 委員は先般から大変大事におっしゃってくださっていますことは承知しておりますが、そ の点に関しましては、市町村の行政関与のあり方と絡めて後ほど改めてご意見をいただけ ればありがたいと思いますので、その方向でご理解いただきたく思います。他に、いかが でしょうか。  山縣委員、お願いいたします。 ○山縣委員  利用方式のあり方という3番目のところです。私の意見もここに掲載していただいてい ますけれども、受給権の認定と利用の決定は分離が可能ではないかという立場は、基本的 には変わっていません。その中で、今日、事務局から空白がありますという話があったの で、その中の一つについて、一言意見を言わせてください。19ページの利用者負担の徴収 方法ということです。保育に限っていえば保育料を誰がどこに払うかという話だと思いま す。分離の中で意見を言っているときに、ピラミッド構造は基本的には変わらないのでは ないかという話をしておりました。例えば、介護保険であれば利用者の利用料は事業所が 徴収するという形になっておりますけれども、実際に幾つかの事業所や現場で聞いており ますと、その結果支払が滞ったりする方々をどうしても避ける傾向が出てくるという話を 聞いています。そういうことを考えたときに、子どもがそういう形で排除される可能性が あるのは非常に危険ではないかと思いまして、ここについては、私は従来通り利用契約は 事業所と利用者が結ぶということはあり得ると思っていますけれども、保育料の徴収につ いては引き続き市町村でやっていただくという考え方の方が、子どもたちにとって適切で はないかという考え方をしています。 ○大日向部会長  ありがとうございます。佐藤委員、お願いいたします。 ○佐藤委員  私も必要性に応じて受給権を発生させるというのは大事だと思うのですけれども、ただ 現状でそうした後、どういうサービスを利用できるかというのは、供給の制約があるので 認可保育所を希望しても入れないとか、認証保育所を希望しても入れない。認可保育所を 希望して認証保育所なら良いわけですけれども、入れないとか。あるいは、今回取った家 庭的保育というようなことで、それぞれ本人が希望してそれを利用できれば良いのですけ れども、利用できないでということ。希望しても利用できないということもあるけれども、 そのときに希望しないで入って、本人の負担と、そこに投入される公費を見ると、社会的 にその人に提供されている財的支援というのは皆違ってくるのです。希望した場合でも違 ってきてしまうのですけれども、ここをどうするかということで、何を利用できるかによ って、本人負担や認可保育所に投入されている、認証保育所に投入されているものが、1人 当たり公的に支援されている部分が違ってきてしまうということが、必要性の方は同じよ うに認定している。だけれどもどこを利用できるかで公的に支援されている自己負担が違 ってきているというのは、公平性の観点から問題だろうと。これは費用負担の方にもつな がると思うのですけれども、セットで考えなければいけないのではないかと思います。例 えば、今の簡易保険のように必要要素が認定されればこれだけの保育サービスを使えます とすれば、その人を受け入れた事業所の方にお金を付けるというようなやり方であれば、 皆、公平になるわけです。一人一人いくら使えますよと。例えばですけれども。使えるよ うな形になれば、その人を受け入れた事業主にポイント分だけ給付が来るという考え方に なれば、公的な支援について公平性は担保できると思うのですけれども、そういう仕組み を作らないと、現状でいうと、必要性は同じように認められても、利用のところでは公平 性という観点から不公平が生じてしまうというのは、そこを見直す必要があるのではない かと思います。今回、家庭的保育などが出ましたけれども、ここにも一部不公平があるわ けです。何もないところと、少し入っているところと、手厚いところと、いろいろなとこ ろができていますので、その辺の公的な支援、本人負担を併せて、ある程度の公平性を確 保するということもご検討いただければと思います。 ○大日向部会長  ありがとうございます。他にいかがでしょうか。駒村委員、お願いいたします。 ○駒村委員  私もまだ、今の山縣委員のご指摘のところは意見がまとまっていないのですけれども、 先ほどの話だと、払えない人が避けられる傾向が、利用が抑制される傾向があるというこ とが介護保険で観察されていると。それは保育では発生させないようにしましょうという ご意見で、一方では、契約による仕組みになるわけですから、要するに利用者負担部分が 利用者と提供者が直接向き合うきっかけにもなるという気もして、一方では、保育料をど ういう理由かは別にしても、払っていただけない方も出てきているというところで、利用 者としてきちんと認識していただくきっかけとしては、やはり直接支払うということも、 悪くはないのかと。ただ、排除されるということが大きな問題として起きてしまうのなら ば、少しそれは悩ましいかと思います。利用者負担については、私はもう少し慎重に考え た方がよいかと思います。どちらが良いとは今、まとまりきっていないのですけれども、 ただ直接払うことによって、誤った消費者意識が出てきてしまうと、これはこれで問題な のです。そこはなかなか難しいかと思います。 ○大日向部会長  ありがとうございます。岩村委員、お願いいたします。 ○岩村委員  今の問題に関連してですけれども、もし利用者と事業者との間での契約ということで介 護保険のような方式を採るといった場合には、やはり契約という性質上としては、利用者 の方が利用料・保育料を事業所側に、負担の割合の問題はありますけれども、払っていた だくのが自然だと思います。ただ、問題は二つあって、一つは事業者側が払ってくれそう もない人を敬遠するということについては、実は介護保険でも少なくとも法制レベルでは、 契約締結拒否の正当理由にはならないので、従ってそこは結局のところ、利用者側がそう いうことがあった場合にどういう行動をとるのか。特に行政の監督がそこのところをきち んとやるのかという問題だという気がします。  もう一つの問題は、払えない人をどうするかということで、それについては、例えば自 立支援などでも同じ問題がありますけれども、保育料の負担分の所得に応じた減免をきち んと入れるなど、そのような形を採るということによって、そこのところの問題はある程 度解決できていくのではないかと思っております。以上です。 ○大日向部会長  はい、吉田委員。 ○吉田委員  基本的に今の岩村委員のお考えに賛成です。付け加えて申し上げますと、今の制度では 市町村が徴収しますが、逆に現場の保育所に代理徴収をお願いしているケースが実際にあ りまして、そういうことを考えると、基本的な受給権を発生させて当然契約ということで あれば、利用者が利用する保育所に支払をする。ただし、地域事情やいろいろな家庭事情 があれば、逆代理受領というのでしょうか、市町村がそこに積極的にかかわる余地を残せ ばよいのではないかと思います。  もう一つは、その整合性を考える上で、今現在もそうですけれども、例えば特別保育事 業のようなものは利用者が直接施設に支払うケースがあるわけです。あるいは今回のよう に、仮に要保育認定のような形になったとすれば、例えば週4日は公的に保障されます。 ただ、個人の事情で、どうしてももう1日お願いしたい、そこはオプション料金を払いま すということが現実にあり得るわけですから、そうすると公的な部分は市町村に払って、 オプション部分は、また個別にというよりは、逆にそこはトータルで一つにした方がすっ きりするのではないかと考えます。  それからもう1点は、給付費の支払い方式ですが、これは保育現場でいろいろな声を聞 いていますと、あるいは安定的に一定の質の保育を担保する上で、やはり最低でも月払い のような形で、日払い実績のようにすると、例えば風邪で子どもが休みました、では利用 していませんね、その分下げますとなったりすると、これは肝心な安定的な保育が担保さ れませんので、その辺を十分配慮した方式にすべきだろうと思います。 ○岩村委員  1点だけ。先ほどの発言の補足ですけれども、契約締結拒否ができないというのは正当な 理由にならないのが原則ですが、払えるのに払わないという人については拒否できるとい うことです。ですから、そこが実は厄介で、たまたま私がかかわったものでは病院の一部 負担金の問題があったのですが、それも払えない人と払わない人がいるので、そこは分け て議論する必要があるということです。 ○山縣委員  今、岩村委員が言われたことが私の言いたかったところで、現在でも保育料の未納者に 関する徴収は、市町村は相当努力をしておられるのです。単純にそれを導入してしまうと 保育所がその業務を担うことになってしまう。人を配置して追いかけなければ採算が取れ なくなってしまう状況をどう避けるか。払わない人は放っておいてもよいというのであれ ば、別にそれで収入があれば。要するに補てんしてくれたら何も問題はないのですが、昨 今の事情でいうと、今、医療保険未加入の子どもたちの問題も別途補てんせざるを得なく なっていますよね。1回督促して払わなければ、後は全部公費を投入して補てんしてくれま すということであれば、きっと事業所が代理受領でやるのは、私はそんなに問題はないと 思いますが、そこまでは仕組みを作っていかないと、やはり事業者として非常に厳しい経 営になるのではないかという懸念があるという趣旨でした。 ○大日向部会長  大堀参考人、お願いいたします。 ○大堀参考人  すみません。現場で保育料の徴収している者から悩みのところですが、払えるのに払わ ないという方の中にネグレクト傾向の方がいる場合があります。現在、児童福祉法上は「地 方税の滞納処分の例により」強制徴収はできる規定になっているのですが、強制徴収をす るのであれば退所につながりかねない場合があります。そうすると、保育サービスの対象 であるその子どもはどうするのかという現場の非常な悩みがあります。ここは報告とさせ ていただきます。 ○大日向部会長  ありがとうございます。この辺りでよろしいでしょうか。皆様のご意見を伺いまして、 まず受給権をきちんと発生させる。現在、抑制的にはたらいているところは、ぜひとも受 給権で掘り起こしていく。しかしながら、需要と供給がアンバランスな現状の中で、本当 に保育が必要な子ども、家庭が不公平な利用者にならないように。あるいは逆に保育事業 者が安定的な経営ができることも非常に大事です。この辺りに関して、公的関与が非常に 大事だということで、それぞれの委員から細かなご指摘をいただきました。この点は記録 にとどめていただければと思います。  一つ、契約ということに関して、山縣委員と駒村委員でおっしゃっている内容が若干違 うかという感じがします。直接契約といいましても、恐らく山縣委員がおっしゃっている のと、駒村委員がおっしゃっているのもそれだけではないという、市場原理の直接契約で はないと受け取りましたが、それでよろしいですね。ありがとうございます。何らかの形 で利用者と保育事業者が向き合うという意味での取り決めと理解させていただきます。  それでは、次のブロックにいきたいと思いますが、「保育サービスの必要性の判断」とい うことで、少しページが飛ぶかと思いますが7ページ。あるいは必要性の高い子ども、家 庭に対する提供の仕組みということで、今と若干議論が重なるかもしれませんが、12、13 ページ辺りも踏まえて、ご意見をいただければと思います。宮島委員、お願いいたします。 ○宮島委員  これまで議論がなかったとされている三世代同居について、少し意見を申し上げたいと 思います。恐らくほとんどの方がそう思っていらっしゃると思いますけれども、今、子ど もを産む年齢が非常に上がりまして、私たちの親ぐらいになりますと、幼児を育てるのは 無理という三世代同居もありますし、親のライフ・スタイルというものが、それは必ずし も自分の子どもが子どもを産んだということに左右されるものではないと思います。です ので、三世代同居をしていれば、必ず「保育に欠ける」から外れるというルールはもはや 時代と違うのではないかと思います。  それから、流れとしましても、政府や与党の中でも、三世代同居を税制などの形で少し 推進というか、いろいろなご意見があるものの、三世代同居の良さを見直そうという動き があります。そんな中で、もし三世代同居をすれば保育園に入れないということであれば、 三世代同居をすることをやめてしまう人もいるかもしれませんので、これは今の全体の流 れからも少し違うのではないかと思います。まず三世代同居は絶対的な除外要件から外す ということ。後は自治体において、それぞれの優先順位の中では考慮されるべきときはあ るかもしれませんけれども、それは別途だと思います。 ○大日向部会長  ありがとうございます。空欄を埋めていただきましてありがとうございます。このブロ ックに関して他にいかがでしょうか。駒村委員、お願いいたします。 ○駒村委員  ここの判断基準のところですけれども、労働時間を一つの目安にして、保育に欠けると いうものから保育を必要にするという転換がはっきりとできていて良いのではないかと思 います。ただ、これははっきりと労働政策との連携性は高まってきますので、これはある 意味、両立支援やワーク・ライフ・バランスを推進する役割が企業にありますので、後で 財源の話も出てくると思いますので、少しその財源の問題と企業のあり方・役割について、 ここは絡んでくる問題ではないかと思いますので、そこだけ記録を残していただきたいと 思います。 ○大日向部会長  ありがとうございます。他にいかがでしょうか。吉田委員、お願いいたします。 ○吉田委員  先ほどの話と少し重複するのと、今の駒村委員のお話に絡むのですけれども、基本的に は子ども家族政策をベースにしながら、当然緊急性の高い労働政策の視点も入れるという ことで、この働き方の時間の問題が当然出てくると思いますが、もう一つのいわゆる量的 拡大に加えて、保育の質の維持向上という視点から考えると、今回、児童福祉施設最低基 準の第35条が変わっていて、今までは健康状態の確認、衣服の異常の有無、昼寝や自由遊 びと言葉は悪いのですけれども、託児的なニュアンスで記述されていた。要するに家庭養 育の補完というニュアンスだったものが、今回、養護と教育が一体となった保育の特性と いうかなり積極的な役割を打ち出しておりますので、当然保育の必要性についても、単な る家庭保育の補完、託児的なものだけではない、もっと積極的な子どもの健やかな育ちを 保障するという部分でも要保育認定的な要素を入れて、単に欠ける欠けない、0か1かでは ない、市町村がもう少し丁寧にその部分をしっかりと見ると。当然、丁寧に見る場合に、 先ほど議論があったように、場合によっては専門的なケアマネジャー的な、あるいはソー シャルワーカー的な人が当然そこにしっかりと関与する。それは単に定型的な保育サービ スだけではなくて、専業主婦も含めた子育て支援についてもある程度関与できるような公 的に関与できるような仕組みにするということをやはりベースにすべきであろうと私は思 います。 ○大日向部会長  ありがとうございます。他にいかがでしょうか。この辺りでよろしいですか。  それでは次のブロックで、保育の質に関してご意見をいただければと思います。「保育サ ービスの質」について、認可外も含めて、(1)と(2)と併せてご議論いただければと思います。 この保育の質に関しては、ほとんどの委員が同じ思いでご議論いただいたかと思います。 特段vs.構造もなかったと思いますし、科学的・実証的な研究と同時に、保育士の研修、さ らには財源確保ということも入っていたかと思いますが、認可外も含めて「保育サービス の質」の(1)と(2)に関してはここに書いてあることでよろしいでしょうか。はい、ありがと うございます。  それでは、次に「多様な保育サービス」ということで、延長保育、休日保育、夜間保育、 病児病後児保育。それからもう一つ、地域の過疎や地方の問題も含めてご意見をお願いい たします。ページで言いますと、31〜41ページ辺りまで、ずっと入ります。多分この辺り は特に、休日保育、夜間保育、病児・病後児保育に関しては、ワーク・ライフ・バランス の関連が随分ご指摘いただけたと思いますけれども、その理解でよろしいでしょうか。佐 藤委員はよろしいですか。 ○佐藤委員  基本的には働き方を見直しながら、今の働き方を前提として、それに合った夜間保育や 延長保育なら要らない。ただ、もちろん必要な場合もありますので、必要なものは用意す る。ただし、働き方の見直しを当然進めていくという趣旨で理解いただければと思います。 ○大日向部会長  ありがとうございます。どうぞ。 ○福島委員  書類が多いので見つけきれないのですけれども、ずっとここに出ていますように、都会 と地方と地域と過疎地の分け方を私は提案すべきではないかと思います。素晴らしい説明 なのでどこに入るかと。何かそれは次回に何か出てくるのですか。何かそういう整理を外 してはならないと思いますけれども。 ○大日向部会長  多分、入っていたのではないですか。 ○朝川少子化対策企画室長  まず、37ページで「地域の保育機能の維持向上」が出てきますけれども、ここはどちら かというと、過疎地域やそういった所を中心に念頭に置いている議論の部分ですが、そう いうことではなくて、ご指摘の意味は。 ○福島委員  例えばナショナルミニマムですと。しかし、一定の地域の特性はという話があって、し かしそれは日本全体の話。しかし、よくよく見ると、どうも都会と地方と、要は対策が違 うのではと思うのです。そこへの言及は、ここまでやっていたら、触れるべきではないか と思います。 ○大日向部会長  ありがとうございます。大事な点です。それに関連したことが若干37、38ページ辺りに ご意見をいただいているかと思います。 ○朝川少子化対策企画室長  あと22ページにも。 ○大日向部会長  22ページですか。 ○佐藤委員  改革の見直しは、実は都市部の問題は通勤時間の問題があって、ここは企業がいくら過 度な残業をなくして定時にしても、やはり長時間通勤は都市部ですよね。ここの部分が都 市部は特に大きくて、企業が一生懸命努力してもそこの部分が解消しないと、やはり一定 程度延長保育が必要な場合が出てくることもあります。一つはそういうこともあると思い ます。 ○福島委員  それから、まさに先ほど言ったワーク・ライフ・バランスです。都会と地方で働き方を 変えるのは少し暴論かと思いますけれども、何か少しそのような視点を。大体わかりまし たけれども、何か少し要るのかと。 ○大日向部会長  ありがとうございます。  それでは、「放課後児童クラブ」それから、「すべての子育て家庭」ということで、子育 て支援拠点等も含めてご意見等をいただければと思います。駒村委員、お願いいたします。 ○駒村委員  先ほど杉山委員のご指摘もあったのですけれども、コーディネーターのところがどうも 違う意味で使われている。確かにその通りで、49ページにある「コーディネーター」は少 し性格が違うかと思います。この辺については、こういう新しい仕組みの中で、先ほどの 虐待を受けている子どもや、これまではきちんと見られていた人が見られなくなることが ないように、何か包括的なワンストップのようなものを別途用意しておかないと。そうし たセーフティネットが必要なのではないかと思います。この49ページがよいかどうか、あ るいは37ページの方がよかったかどうかわかりませんけれども、そういう漏れがないワン ストップのような、要するに利用者もそこに行けば、すべてのことがわかるという仕組み が必要ではないかと思います。 ○大日向部会長  この点に関して杉山委員は補足がありますか。 ○杉山委員  そういったワンストップは大事だと思いますので、それは必要だと思います。 ○大日向部会長  庄司委員、お願いいたします。 ○庄司委員  もうだいぶ前のところで申し上げるべきだったかと。しいて言えば21ページのところも、 「『質』の担保、指導監督」が空欄になっているので、そこを埋めるという意味もあります が、保育所が非常に多様な主体の参入が認められるようになれば、施設長といいますか、 園長あるいは保育そのものにきちんとしたリーダーシップを持つ人の検討は、今は認可保 育所ですらと言うと変ですけれども、施設長のための資格など、そういうことはないわけ です。今後一層そういうことが大事になってくると思いますので、今後の課題としてそれ を意識しておいていただく必要があるのではないかということを少し補足したいと思いま す。 ○大日向部会長  ありがとうございます。21ページの空欄部分、大切なところを私が飛ばしていました。 ありがとうございます。宮島委員、どうぞ。 ○宮島委員  同じようなことですので続けて。やはりいろいろな多様な主体が入って、良い部分がと てもみんなに見えやすくなってきた中で、多様な主体が入っていく上では、今度は参入の ときの質の担保と、そのあとの監督はものすごく大事だと思うのです。危ないから最初に 入れない、何が主体であるかということで入れないことではなくて、中身をきちんと見て いくことがものすごく大事だと思いますし、その見ていく上でも、十分な情報公開も必要 だと思います。私ども最近たまたま放送の仕事で、認可してほしいけれども認可されない、 認可してもらえると思っていたのに認可が下りなかったなど、いろいろな保育所を取材し ました。実は保育所の方もなぜ認可されていなかったのがよくわかっていなかったり、預 けようとする親側もなぜここは認可されていて、ここは認可されていないのかということ を十分理解できないケースがありました。しっかりと質を監督して、それを見た上で、そ の事業をやっている人も預ける人もみんなその状況がきちんとわかるということが非常に 重要だと思いますので、その情報の公開もそこをきちんとと思います。 ○大日向部会長  ありがとうございます。ただ今のご意見は評価や情報公開に関する大事な点で、ありが とうございます。そちらの方に進めさせていただければと思います。あと残り時間も少な いので、「経済的支援」あるいは「財政方式・費用負担」等についてもご意見をお願いいた します。大堀参考人、よろしくお願いいたします。 ○大堀参考人  私どもは、今日は清原委員からの意見書を出させていただきました。その中で二つ挙げ た内の二つ目の方ですが、所得税等の税制における保育料負担等の控除等の税制について 一定程度の議論が必要ではないかと参考資料にはあるのですが、あらためてその点を指摘 させていただければと思います。 ○大日向部会長  ありがとうございます。駒村委員、お願いいたします。 ○駒村委員  既に56ページで篠原委員に第18回でご指摘いただいていることなのですが、これは延 長保育に限定したような書き方になっていますけれども、両立支援に非常に積極的な企業 と、そうでない企業に対しては、このようなメリット制があってもよいのではないかと。 延長保育には限定しないで、もう少し全般的にいろいろな工夫ができるのではないかと思 いました。 ○大日向部会長  それでは篠原委員、お願いいたします。 ○篠原委員  ありがとうございます。特に延長保育にこだわるということではなくて、先ほどのお話 ではないですけれども、やはり企業の事業主の皆様も今非常に大変な状況であるというこ とは十分に認識した上で、ただ、そうは言ってもやはり何分かのものを出していただくと いうところと、後はそれぞれの企業によっても非常に積極的に子育ての部分に取り組んで いただいている企業もありますので、そのような何らかの措置ができれば、非常に企業も 積極的に出していただけるのではないかと思いまして、このようなことを言わせていただ きました。よろしくお願いいたします。 ○大日向部会長  ありがとうございます。他はよろしいでしょうか。どうぞ。 ○山縣委員  戻ってもよろしいですか。 ○大日向部会長  もちろん、どうぞ。 ○山縣委員  発言する機会を逸してしまいました。先ほど認可外保育に触れるところがあったのです けれども、特にページはなくても認可外のことについて議論している6番です。29ページ 以降のところです。この部会でも、何度か認証保育所あるいは横浜保育室の例などの話を 伺ったと思いますけれども、この委員会は、あくまでも国レベルではなく、全国レベルで 考えておりますので、私はまとめ方として例と出されることについてはやぶさかではあり ませんが、はっきりと認可外の枠組みであるということをきちんとした整理にしておいた 方がよいのではないか。これはきっと非常に反論もあろうかと思います。認証保育所や横 浜保育室がまるでいわゆる世間一般で言っている認可外とは別の固有のものといいますか、 半ば認可されたような認可外という議論になる傾向があると思っております。国の制度と は違うところで、都道府県、市町村が待機児童対策として努力されているというのは認め ますけれども、そこはしかし国の制度上は認可外であるから、認可外の基準でいろいろな ものを見ていかないといけないし、何人かの方が指摘されておりますように、認可外施設 を認可化するように、認可化できるような応援をするのが全体的な立場ではないかと思っ ております。 ○大日向部会長  ありがとうございました。 ○篠原委員  少し前の方に戻ってしまうかもしれませんが1点。新聞の方にも政府の地方分権改革推 進委員会の記事が載っておりまして、あえてまた再び、既に意見が載っているということ を踏まえた上で、あらためて最低基準の部分を少し申し上げたいと思います。量的な拡大 や柔軟なサービス提供や保護者の利便性のために、保育の質を犠牲にしてはならないと思 います。最低基準ということに代表される保育の質を確保するための規制は改善すること はあっても、下げるべきではないと思っております。ましてや国の基準をなくして地方に 任せるということはあってならないと、あえて付け加えさせていただきたいと思います。 ○大日向部会長  ありがとうございます。それでは、時間もそろそろ尽きてまいりました。本日は活発な ご意見ありがとうございます。既に皆様からいただいておりましたご意見を確認させてい ただき、さらに新たに付け加えたものもありました。それらを含めて事務局で次回までに 整理の方向でお願いしたいと思います。なお、毎回同じことをお願いしますが、本日発言 が足りなかった点等がありましたら、文書で事務局にお届けいただければと思います。  それでは次回の日程についてご説明お願いいたします。 ○朝川少子化対策室長  本日は誠にありがとうございました。次回の日程につきましては、12月9日火曜日17 時から厚生労働省9階省議室で予定しています。引き続き、新しい制度体系の設計につい てのご議論をお願いします。お忙しいところを恐縮でございますが、ご出席いただきます ようよろしくお願いいたします。 ○大日向部会長  それでは、本日はこれで閉会とします。ありがとうございました。 (照会先)  厚生労働省  雇用均等・児童家庭局総務課  少子化対策企画室  (内線7944)