08/11/28 第14回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会港湾労働専門委員会議事録 第14回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会港湾労働専門委員会          日時 平成20年11月28日(金)          10:00〜11:54          場所 厚生労働省職業安定局第1会議室 ○征矢座長 定刻になりましたので、第14回「労働政策審議会雇用対策基本問題部会港 湾労働専門委員会」を開催いたします。最初に、本日の委員の出欠状況ですが、本日は 全員出席です。  では、議事に入ります。本日の議題は2つです。1つめは、「新たな港湾雇用安定等計 画の策定等について」です。2つ目は個別案件で、「港湾労働者派遣事業の許可につい て」です。2つ目の議題についてはもうご承知のことと思いますが、個別事業主の資産 状況等に関する事項を扱うことになりますので、参考資料8「審議会等会合の公開に関 する指針」にある「公開により特定の者に不当な利益を与え又は不利益を及ぼすおそれ がある」場合に該当すると考えられますので、非公開とさせていただきます。したがい まして、傍聴していただいている方につきましては、2つめの議題が始まる前にご退席 をお願いすることとなりますので、予めご承知置きいただきたいと思います。  それでは、1つめの議題である「新たな港湾雇用安定等計画の策定等について」の説 明をお願いします。 ○今宮建設・港湾対策室長補佐 資料は、配付資料1「港湾労働専門委員会報告書(素 案)」、配付資料2「港湾雇用安定等計画(素案)新旧対照表」。それらの資料との関 連で、配付資料3「港湾労働法適用港における直接日雇労働者の作業内容について」、 これについても我々が調査をした結果につきまして、簡単にご報告をさせていただきた いと思っています。  まず配付資料1の報告書の(素案)を重点的に説明して、その内容が計画に落ちてい るという整理になりますので、計画のほうは、主に報告書の内容に盛り込まれていない 所や構成そのものについての説明に、重点を置かせていただければと思います。  配付資料1「港湾労働専門委員会報告書(素案)」をご覧ください。まず1.「はじめ に」で、今回の報告書全体のイントロダクションとして、記載をしています。読み上げ ますと、『本専門委員会としては、平成12年10月1日に施行された改正港湾労働法の施 行状況又は平成16年4月1日から適用された港湾雇用安定等計画の実施状況等を踏まえ、 平成21年4月1日から適用する新たな計画について検討を行うとともに、必要に応じ、現 行制度の在り方についても検討を行ってきたところであるが、その検討結果として、今 後の港湾労働対策の推進に当たっては以下のような対応を行っていくことが適当である』 という記載の下、それぞれ各項目につなげているところです。  2.「港湾労働法の適用範囲について」、まず(1)適用港湾の範囲について、(2)適用業 種の範囲について、それぞれ前回までの議論を踏まえ、整理した内容を記載していると ころです。読み上げますと、『(1)適用港湾の範囲について、港湾労働法に基づく港湾労 働対策をどの港湾において実施すべきかについては、港湾の荷役量、港湾労働者の数等 を考慮しつつ、国民経済に占める港湾の重要性又は港湾における必要な労働力の確保そ の他港湾労働者の雇用の安定等に関し、特別の対策を講ずる必要性が高い港湾であるか 否か、関係労使の合意が得られている港湾であるか否かといった点などを勘案して決定 すべきものである。  現行制度においては、適用港湾として、港湾労働法第2条第1号及び港湾労働法施行令 第1条において、東京港、横浜港、名古屋港、大阪港、神戸港及び関門港の6港が指定さ れているところである。  こうした前提の下、適用港湾の範囲については、その範囲の変更について関係労使の 合意が得られていない状況にあることなどから、当面、現行通りとし、港湾労働を取り 巻く諸情勢の動向や関係労使の合意形成の進展を見極めつつ、引き続き検討をしていく ことが適当である。』  『(2)適用業種の範囲について、港湾労働法に基づく港湾労働対策をどの業種におい て実施すべきかについては、港湾運送に係る事業活動に波動性が見られること又は港湾 における雇用秩序を確保する必要性が高いことなど港湾労働の特殊性が認められる業種 であるか否か、関係労使の合意が得られている業種であるか否かといった点などを勘案 して決定すべきものである。  現行制度においては、適用業種として、港湾労働法第2条第2号及び港湾労働法施行令 第2条において、港湾運送事業法第2条第1項第2号から第5号までの行為(「船内荷役」、 「はしけ運送」、「沿岸荷役」及び「いかだ運送」)及びこれらの行為に準ずる行為で あって政令で定めるもの(「船舶貨物整備」及び「倉庫荷役」)が指定されているとこ ろである。  こうした前提の下、適用業種の範囲についてはその範囲の変更について関係労使の合 意が得られていない状況にあることなどから、当面、現行通りとし、「検数」、「鑑定」 及び「検量」の各業種に求められる専門性・業務の特殊性等の状況及び変化も踏まえ、 港湾労働を取り巻く諸情勢の動向や関係労使の合意形成の進展を見極めつつ、引き続き 検討していくことが適当である。』  続いて、3.「港湾労働者派遣制度の適正な運営について」です。  まず冒頭1パラ目、続いて「しかしながら」以降の2パラ目のそれぞれについて、これ まで専門委員会でお示しをしたデータに則った形で、現状分析の内容を記載していると ころです。読み上げますと、『港湾運送の波動性により効率的かつ的確に対応するため の方策として導入された港湾労働者派遣制度については、平成16年4月に行われた同制 度に係る派遣就業の上限日数緩和を受けて、例えば以下の状況にあるなど、同制度の導 入以降着実に定着してきているといえる。  ・港湾派遣労働者を使用した港湾運送事業所の6大港全体における割合が8.6%から10.3 %に増加しているとともに、名古屋港及び大阪港においては、港湾派遣労働者を使用し た事業所の割合が日雇労働者を使用した事業所の割合を平成15年と同様に上回っている。  ・港湾派遣労働者・日雇労働者の就労延人日数に関し、名古屋港及び大阪港において は、港湾派遣労働者が日雇派遣労働者を平成15年と同様に上回っている。  しかしながら、例えば以下のような状況にあるなど、港湾労働者派遣制度のより一層 の有効活用の促進及びそれに伴う港湾の雇用秩序の維持の推進を図ることが必要である。  ・港湾労働法適用事業所に占める港湾労働者派遣制度に係る許可取得事業所の割合は 28.9%にとどまっている。  ・6大港における港湾労働者の就労状況割合に関し、港湾派遣労働者が港湾労働者全 体の0.5%であるのに対し、日雇労働者は港湾労働者全体の2.2%を占めている。  ・日雇労働者を使用した事業所の割合が6大港全体で10.9%から13.2%に増加をして いる。このため以下のような取組みを行っていくことが適当である。』  続いて、(1)派遣制度の有効活用、(2)港湾における雇用秩序の維持、についてです。 4頁(3)人付きリース問題への対応、これら3点について項目を起こして整理をしている ところです。  3頁(1)港湾労働者派遣制度の有効活用。読み上げますと、『港湾労働者派遣制度につ いては、港湾労働者の雇用の安定と港湾運送事業における効率的な経営・就労体制の確 立との両立等を図るために設けられた制度であるため、その適正運営の確保の観点から、 同制度に係る許可取得事業所の拡大に一層努めるべきである。  また、港湾運送の波動性に対する効率的かつ的確な対応等といった同制度の導入趣旨 を踏まえ、派遣就業する日数について「1人1月につき7日」と上限が設けられていると ころであるが、当面は、現行通りの上限日数を前提にしつつ、その有効活用を図ってい くべきである。』  (2)港湾における雇用秩序の維持。読み上げますと、『港湾における雇用秩序の維持に 関しては、現行の基本的な枠組みを維持しつつ、港湾労働者派遣制度をさらに有効に機 能させることを通じて推進していくことを基本とすべきである。  港湾労働者派遣制度の機能が有効に発揮されるためには、派遣先事業主のニーズに十 分対応できる港湾労働者が派遣元事業主から派遣されることが非常に重要である。この ため、派遣先事業主又は派遣元事業主が港湾労働者の派遣の受入れ又は送り出しを求め る際には、具体的な業務の内容又は当該業務に従事するに際して港湾労働者に求められ る技能等を明確にすることなどについて更なる徹底を図っていくことが必要である。  具体的には、港湾労働者派遣制度の適正な運営の確保を図るため、港湾労働者雇用安 定センターは港湾労働者派遣契約の締結のあっせん等を行うこととされているところで あるが、センターにおいては、港湾労働者派遣契約の締結のあっせんに際し、これまで 以上に、港湾派遣労働者に従事させようとする業務の内容又は当該業務に従事するに際 して港湾派遣労働者に求められる技能等に関する派遣元事業主又は派遣先事業主からの あっせん申込みの内容をきめ細やかに収集・確認するなどによって、センターにおける あっせん成立率を向上させるなど、その機能の充実・強化を図ることが必要である。ま た、港湾における雇用秩序の維持の観点から、これらの措置と併せて、効果的な現場パ トロール又は立入検査等を引き続き的確に実施し、違法派遣の是正に向けた対応を積極 的に推進していくことが必要である。』  (3)人付きリース問題への対応。読み上げますと、『人付きリースについては、リース されたフォークリフト等の運転手が行う作業が、リースを受け入れた事業主の指示の下 に港湾労働者が行う港湾荷役作業と一体となって行われる場合には、労働者派遣事業の 適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律、いわゆる「労働者 派遣法」に違反することとなり、人付きリースを行った事業主については、労働者派遣 法上の行政措置の対象となると考えられる。  また、港湾労働者派遣事業の許可を受けて港湾労働者派遣を行う事業主が人付きリー スの受入れを行うことは、港湾労働者派遣制度の適正な運営の観点から問題があるもの と考えられる。もとより、人付きリースにより処理されている港湾荷役作業については、 港湾労働者派遣制度を利用し、他の事業主に雇用されている常用労働者を使用すること によって処理することが可能であるなど、基本的には完全縮小が実現できるものと考え られる。  このため、京浜地区において未だ現存する人付きリースの完全縮小の達成に向けて、 港湾労働者派遣制度の更なる活用の促進又は個別指導の更なる拡充等を行いつつ人付き リースの利用状況及び課題の適確な把握を目的とした実態調査を行った上で、関係事業 主等とも連携しつつ具体的解消策の策定・実行を行っていくなど積極的な対応を進めて いくことが必要である。』  4.「港湾労働者の雇用の改善について」、4〜5頁にかけてこれまでお示ししたデータ に則った形で、現状分析を冒頭に記載した上で、個別項目につなげているところです。 読み上げますと、『港湾運送事業においては、貨物輸送のコンテナ化、専用船化等の輸 送形態の変化など革新荷役への移行が進展している中、例えば以下のような状況にある など、現時点においても港湾運送の波動性は依然として存在している。  ・波動性の大きさが278人日で平成15年当時と未だ同程度存在をし、また、横浜港509 人日・神戸港317人日で平成15年当時と比べ大幅に増加をしている。  また、例えば以下のような状況にあるなど、個別事業所において常時雇用する常用港 湾労働者のみにより波動性を吸収することには一定の限界があり、港湾派遣労働者又は 日雇労働者といった企業外労働力に依存せざるを得ない状況にある。  ・港湾労働者の月間過剰・不足人員に関し、6大港全体における月間の過剰日におけ る平均過剰人数が不足日における平均不足人数より若干多くなっているとともに、東京 港における平均不足人数が平均過剰人数より大幅に多くなっている一方、名古屋港にお ける平均過剰人数が平均不足人数よりも大幅に多くなっている。  ・常用港湾労働者が不足している場合の対応方法に関し、港湾派遣労働者の派遣を受 けた事業所の割合が6大港全体の23.9%から37.4%に、日雇労働者を雇い入れた事業所 の割合が、6大港全体の32.6%から55.3%にいずれも増加している。  企業外労働力として日雇労働者に依存することは、港湾労働者の雇用の安定上問題が あるだけでなく、その就労に際し、第三者が不当に介入する弊害も生ずるおそれがある こと等から、現行制度においては港湾運送の波動性に対応した企業外労働力の活用方策 として1.港湾労働者派遣制度に基づき派遣される他の事業主に常時雇用される港湾労 働者による労働力の需給調整が原則とされ、2.港湾労働者派遣制度を利用したにもか かわらず必要な労働力を確保できない場合には公共職業安定所の紹介による日雇労働者 の雇い入れが認められ、3.公共職業安定所による適格な紹介が受けられない等の場合 に限り日雇労働者の直接雇用が例外的な措置として認められているところであるが、港 湾労働を取り巻く諸情勢の動向を踏まえると、現行制度におけるこうした基本的な枠組 みは引き続き維持していくことが必要である。  港湾労働者の労働条件をはじめとする雇用実態について、港湾労働者と全産業におけ る労働者の状況を比較すると、例えば以下のような状況にある。  ・港湾労働者の実労働時間は年間換算で2,460時間となっており、全産業における労 働者の年間総労働時間2,160時間と比べ長くなっている。  ・港湾労働者の月間所定労働時間159時間は全産業における労働者の月間所定労働時 間と比べ短くなっている一方、港湾労働者の月間所定外労働時間が46時間となっており、 全産業における労働者の月間所定労働時間14時間と比べ長くなっている。  ・何らかの形で週休二日制を導入している事業所の割合は6大港全体の79.1%となっ ており、その全産業における割合88.8%と比べ少なくなっている。  また、平成15年当時における港湾労働者の状況と比較すると、例えば以下のような状 況にある。  ・月間実労働時間に関し、6大港全体では170.6時間から177時間に増加をしていると ともに、東京港・横浜港・大阪港・神戸港・関門港においては平成15年と比べ増加をし ている。  ・月間所定外労働時間に関し、6大港全体では19.7時間から26.7時間に増加をしてい るとともに、6大港いずれにおいても平成15年と比べ増加をしている。  ・6大港平均の土日の就労状況に関し、土曜日が1,462人日から1,644人日に、日曜日 が299人日から481人日にいずれも増加をしているとともに、横浜港・名古屋港・神戸港 ・関門港においては土日両日の就労が増加をしている。  以上のとおり、港湾労働者の労働条件をはじめとする雇用実態については、なお改善 すべき状況にあり、また、貨物輸送のコンテナ化等の荷役機械の技術革新の進展など港 湾労働を取り巻く諸情勢の変化に伴い、日雇労働者の増加等に起因した違法就労問題も 顕在化してきているところでもあるため、こうした状況に的確に対応した対策を適切に 講ずることが求められる。  このため、港湾労働者の雇用改善を促進するための施策を引き続き積極的に推進して いくことが必要であり、特に、今後の施策の推進に当たっては、以下のような点に十分 に留意をして実施していくことが必要である。』  6頁の後段から7頁にかけて、個別項目について内容を記載しています。6頁の後段(1) 港湾労働における違法就労の防止 1.日雇労働者の直接雇用の増加への対応について 読み上げますと、『現行制度の基本的な枠組みにおいて例外的な措置として認められて いる日雇労働者の直接雇用については、違法な日雇派遣による就労防止等の観点から、 その縮小に向けて、あるいは公共職業安定所の紹介を経由した雇用への移行に向けて、 荷役の種類の違いなど各港湾における固有の事情に応じた取組みを積極的に行っていく ことが求められる。  例えば東京港及び横浜港においては、自動車又は青果物等の荷役の種類に応じた縦割 り体制が採用されていることなどもあり、それらを踏まえた取組みを行っていくことが 求められる。このため、関係事業主のニーズと日雇労働者が有する技能・経験等のマッ チングが各港湾における固有の事情に応じて円滑に図られるよう、関係事業主・団体と も連携しつつ、公共職業安定所による適格な紹介の実施に向けた機能の充実・強化を図 っていくことが必要である。  2.港湾労働法等の適用関係の明確化。違法就労の防止の観点からも、厚生労働省は、 港湾倉庫など港湾区域における港湾労働法等の適用関係を港湾運送事業の業務形態の変 化等に応じて明らかにし、それらの運用の整一化を図っていくとともに、関係事業主・ 労働者に対して周知徹底を図るなどその説明責任を十分に果たしていくことが必要であ る。』  続いて、(2)港湾労働者への安全衛生の確保、について読み上げますと、『近年、コン テナ輸送の増大等、港湾における輸送革新はより一層進展し、荷役運搬機械の大型化と 作業のスピード化が進むとともに、他社の労働者等との混在作業となるなどのため、常 用港湾労働者、港湾派遣労働者、日雇労働者等就業構造が多様化する中で、一旦災害が 発生すると重篤な災害となるおそれが懸念される。  近年の災害の状況を見ると、墜落・転落とはさまれ・巻き込まれ災害とで約半数を占 める。機械別ではフォークリフトに関連する災害が多く、クレーンや揚荷装置に関連す る災害も発生している。  厚生労働省においては、平成20年度を初年度とし、平成24年度を目標年度とする第11 次労働災害防止計画を策定しており、この計画を受け、港湾貨物運送事業者が組織する 港湾貨物運送労働災害防止協会では、港湾貨物運送事業の第11次労働災害防止計画(国 と同じ計画期間の5カ年計画)を策定し、以下のような目標を設定している。  ア 労働災害による休業4日以上の死傷者数を15%以上減少させること(毎年、前年度 に比し3.2%以上減少させること)。イ 死亡・重篤災害の撲滅を目指すこと。ウ 定期健 康診断の有所見率について、増加傾向に歯止めをかけ、減少に転じさせること。エ メン タルヘルスケアに取組む事業場の割合を50%以上にすること。事業主は、これらの計画 に定められている事項を着実に実施していくことが必要である。具体的には、安全衛生 教育の徹底等安全衛生管理対策の強化や荷役運搬機械等に係る安全対策の徹底のほか、 「危険性又は有害性等」の調査等の実施等自主的な安全衛生活動の促進に取組むことが 必要である。』  続いて、5.「港湾労働者の職業能力開発について」。こちらも全体の構成としてはデ ータで客観的な情勢の分析、評価をした上で、個別具体的な内容につなげているところ です。  読み上げますと、『教育訓練を社内において、又は外部委託により実施した事業所の 割合が6大港全体の61.6%から66.9%に増加しており、また6大港いずれにおいてもその 事業所割合が平成15年と比べ増加をしているほか、港湾職業能力開発短期大学校をはじ めとする公共職業能力開発施設又は港湾技能研修センターにおいて、港湾運送業務に係 る職業訓練の実施や講師の派遣、施設の提供等が行われており、一定の成果を上げてい る。  こうした中、港湾運送事業における荷役作業のうちガントリークレーン等の革新荷役 が占める割合が58.8%から76.4%に増加をしているとともに、その割合が6大港いずれ においても平成15年と比べて増加をしており、また、革新荷役機械のうちガントリーク レーンの運転手が455人に上るなど、港湾運送事業における荷役作業の革新化が6大港全 体で大規模に行われていることなども踏まえ、例えば・ガントリークレーンのオペレー ターなど革新荷役機械のオペレーターに関し、一定の研修終了を条件として、各港湾い ずれにおいても有用な能力の保有を証する仕組み。  ・各港湾におけるガントリークレーンの未使用時間帯を各企業における教育訓練に有 効活用できるようにする仕組みなどに関し、各港湾におけるそれらの実現可能性及び課 題について検討していくことが適当である。また各港湾いずれにおいても必要な知識又 は技能に関する一般的な研修についても、公共職業能力開発施設又は港湾技能研修セン ター等と連携を図りつつ、個別の港湾におけるその実施機会の拡大に努めていくことが 適当である。』  続いて、6.「港湾雇用安定等計画の期間について」。こちらは計画の期間のみならず、 数値目標等について整理をしているところです。読み上げますと、『計画期間について は、計画において、平成16年度から平成20年度までの5年間とされているところ、新計 画についても中長期的な視点から策定することが重要であること等から、引き続き5年 間としていくことが適当である。また、新計画における数値目標の設定については、実 効性のある新計画にする観点から重要ではあるものの、目標を設定する項目・事項、目 標とする数値内容、目標設定のベースとなる基準時又は目標を達成すべき期限などにつ いて関係労使の合意が得られていない状況にあることなどがあり、定量的な目標の設定 は困難であることから、新計画においては今後の方向性など定性的な目標を設定するこ とが適当である。  一方、中長期的な視点に立った新計画の実効性を担保するとともに、港湾労働を取り 巻く諸情勢の変化に機動的に対応できるようにするため、毎年、本専門委員会を一定の 時期に開催し、新計画に関する事項を中心に意見交換を行っていくなど、新計画の進捗 状況の点検等を行う場を定期的に設定した上で、新計画の実現を図っていくことが重要 である。』  最後に、7.「その他」として、2点ほどこれまでの議論の中で挙がったかと思います。 1点目が福利厚生の話、2点目が「IDカード」と「港湾労働者証」の共用化の話で、それ ぞれについて整理をしている項目です。  読み上げますと、『港湾労働者の福利厚生の増進については、港湾労働を取り巻く諸 情勢の動向等を踏まえれば非常に重要であるため、港湾における国際競争力を確保する 観点から人的資源の有効活用が図られるよう、港湾労働者の福利厚生の在り方について 検討を行い、実施可能なものから順次対応していくことが必要である。  また港湾における国際的なテロ対策の一環として国土交通省において導入予定のいわ ゆる「IDカード」と、公共職業安定所長が港湾運送事業主に、常時雇用されている港湾 労働者に交付させている「港湾労働者証」の共用化については、情報システムの整備、 個人情報の保護、交付主体の整理など検討すべき事項が多岐にわたるため、一元的な管 理によるメリットを踏まえつつ、その実現可能性及び課題について検討していくことが 必要である。』  以上、報告の「素案」ということでご理解いただければと思います。そうした内容をベ ースに、配付資料2「港湾雇用安定等計画(素案)新旧対照表」をご覧ください。  まず資料の読み方ですが、右側(現行)とありますが、5年前の平成16年に告示をされ た計画で、その中で網掛けになっている部分、例えば(イ)労働時間のところであれば、 平成14年8月、8.8時間で、そういった所に網掛けになっている部分は、平成15年当時、 いわゆる現行の計画の前の平成12年の計画からの変更点ということを前提に、ご覧にな っていただければと思います。  一方、右側が現行の計画で、左側は今回検討している新計画の素案になりますが、下 線部分が現行の計画と素案ベースの内容の違い、変更点、修正点を示しているというと ころです。それを前提に説明します。  まず全体の構成としては、現行の計画の内容に沿った形で項目を立てるというように 整理しています。1「計画の基本的考え方」。(1)計画のねらいが上段にありますが、現 行の計画では事業主団体という文言が落ちております。実際現行の計画においても事業 主団体が講ずる措置ということで、項目自体は設けられていますので、ここはいわゆる モレを手当するという意味で、事業主団体という文言を追加しているというところです。  (2)計画の背景と課題の(イ)労働時間。こちらは調査自体、調査そのものの変更があ ったところと時点の修正、最新のデータに置き換えているといった修正を行っていると ころです。  (ロ)週休二日制の導入状況。こちらも5年前の数字を今回の調査に基づいた数字に 置き直しています。(ハ)退職金制度等の有無と(ニ)職業訓練のいずれも、今回平成 20年の調査結果を踏まえた最新の数字、データに置き換えているところです。  ロ 今後の港湾労働対策の課題。(イ)のaの部分で、現行の計画では右側の「共同受 注・共同就労の増加等の変化が生じてきているが」という形で特出しされている部分が あります。この部分につきましては、今回の専門委員会の中では議論として特段挙がら なかったところがありますので、今回の新計画においては特出しする必要性はないとい う判断の下、削除をしているところです。  3頁のdの港湾のフルオープン化の合意。現行の計画では、こういった項目も記載され ているところです。内容をご覧いただきますと、平成13年11月といった時点の内容とな っていますので、今回平成21年度から計画期間として定めるものには、少々内容的には 古いものであるという判断の下、dの項目を削除するという修正を行っているところです。 dの項目そのものを落としたことに伴い、(ロ)現行の計画では大きく変化をしていると 「大きく」という文言が入っていますが、そういった文言自体は省いて、一方で変化を していることは事実ですので、「変化」という文言自体は残す微修正を加えて いるところです。  (3)計画の期間。先ほどの報告書の素案でも説明したように5年間で、具体的には平成 21年度から平成25年度までとするというような修正を行っています。  2、「港湾労働者の雇用の動向に関する事項」。4頁をご覧ください。こちらはデータ で現状分析をしているところです。したがいまして、今回新計画の中でも最新のデータ に置き換えた上で、その傾向について修正が必要な記述については修正を行うといった 対応をしています。  (2)港湾労働者の雇用の動向。イの労働者数。ロの就労状況。ハの入職率及び離職率。 5頁の二の港湾労働者の年齢構成。ここまでがデータを示した上での現状分析という項 目になっています。  5頁の3「労働力の需給の調整の目標に関する事項」。(1)労働力の需給の調整の目標。 原理、原則を述べているところでもありますので、今回は特段修正せず、ただ5頁の「 これらのことを踏まえ」の最終段落ですが、港湾労働者の常用化の推進の所に「更に推 進をする」という文言を付け加えています。  6頁の(2)労働力の需給の調整に関して講ずべき措置。こちらのほうから個別具体的な 内容に入っていきます。イの国及び都府県が講ずる措置。このあとロの港湾労働者雇用 安定センターが講ずる措置。ハの事業主及び事業主団体が講ずる措置。いわゆる3つの プレーヤーを中心にそれぞれ整理されているところです。  まず、イの国及び都府県が講ずる措置として、(イ)港湾労働法の趣旨及び目的。「 趣旨」といいますと、いわゆる港湾労働法全体の意味合いというところもありますが、 一方で港湾労働法第1条の「目的」規定、やはりそれは我々行政としては大事にしていか ないといけないというところもありますので、あえて今回は「及び目的」という文言を 入れる整理をしているところです。  (ハ)直接雇用の日雇労働者問題への対応。こちらの内容については、データについ ては最新のものにリバイスしつつ、先ほど報告書の中で説明をした内容について、計画 は告示という法令的な観点からのチェックも必要になりますので、ある程度文言を丸め た上で記載をしているところです。  (ニ)人付きリース問題への対応。こちらのデータにつきましては最新の数字に置き 換えた上で、言葉足らずの部分を若干補いつつ、先ほどの報告書の素案の中でも記して いたような内容を告示ベース、計画ベースで記載をするという整理の下、修正を行って いるところです。  (ホ)雇用秩序の維持。1段落目は原理、原則を記している所ですので特段修正せず、 「このため」以降のパラで我々がすべき内容について若干修飾語句等の追記をするという 修正をしているところです。  8頁の(ヘ)、(ト)それぞれ形式的な修正、特に(ト)の「現行雇用福祉事業関係業 務」との記載を新計画においては「雇用安定事業関係業務」と修正することになりますが、 こちらは法律改正による雇用福祉事業の廃止との関連で、文言を機械的に置き換えると いう作業をしているところです。  8頁のロの港湾労働者雇用安定センターが講ずる措置。こちらも先ほどの報告書の中 で、港湾労働者派遣制度の項目でご説明したような形で、具体的内容を盛り込むという 対応を行っているところです。(ロ)同様に、「雇用福祉事業関係業務」から「雇用安定 事業関係業務」へと形式的な修正を行っています。  9頁は、3つめのプレーヤーである事業主及び事業主団体が講ずる措置としてハの(イ) で、まず直接雇用の日雇労働者問題への対応。こちらも報告書の内容をベースに事業主 から見た場合の内容、具体的に言いますと、「国が講ずる措置にして積極的に協力をす るなど」といった形で、視点を事業主側のほうに移した上での内容、文章として整理を し、追記をするという対応をしているところです。  (ロ)人付きリース問題への対応。こちらも同様に、視点を事業主、事業主団体の視 点に移した上で、先ほどの報告書ベースの内容を記載するという整理をしているところ です。  (ニ)港湾労働者雇用安定センターへの協力。こちらも派遣の話の中での先ほどの報 告書の内容を、事業主サイドの視点に立った形で書き振りを修正した上で追記するとい う対応を行っているところです。  10頁の大きな柱の4点目、4.「港湾労働者の雇用の改善並びに能力の開発及び向上を 促進するための方策に関する事項」。まず(1)雇用の改善を促進するための方策。この 項 目についても国が講ずる措置、センターが講ずる措置、事業主及び事業主団体が講ずる 措置という3つのプレーヤーに分けて、それぞれ項目が整理されているところです。ま ずイの国が講ずる措置。先ほどの報告書の内容に沿った形で追記をしています。まず冒 頭は、福利厚生の話を追記し、それ以降のパラで安全衛生の話と労働災害防止計画の文 言を追記するとともに、最終パラで、港湾労働法等の適用関係の明確化の内容を法令の 観点から丸めた文言で追記をするという修正を行っているところです。  ハの事業主及び事業主団体が講ずる措置。こちらはまず港湾のフルオープン化等によ りという特出しの文言は、冒頭お話したようにフルオープン化のお話は若干時期的に古 いところもあるので削除する一方、「労働災害防止団体法第8条第2号に掲げる労働災害 防止協会の一つである港湾貨物運送事業労働災害防止協会の活動を通じ」という形で、 今回初めて計画の中にこういった協会、いわゆる我々が積極的に活用をする必要がある 団体も盛り込むといった整理をしているところです。  11頁の(2)は、能力開発のお話です。こちらも国、雇用安定センター、事業主、それ ぞれ分けて整理されているところです。イの国が講ずる措置の中で、先ほどの報告書の 内容に沿って追記をしています。  また、それ以降のパラが、「ガントリークレーン等の革新荷役機械に係る教育訓練を効 果的に実施できるよう、その仕組みについて検討する」。更に、「一般的な研修について の個別港湾におけるその実施機会の拡大に努める」。こういったことを個別具体的に追記 し整理をしているところです。  12頁からは、港湾労働者派遣制度の話になります。イで国が講ずる措置として、これ までは「派遣日数の上限の緩和等により」、という書き出しがありました。こちらは5年 前は上限日数の緩和を行ったということを受けた書き振りになっていますので、今回、 現時点では現行通りという整理をしていますので、この書き振りの部分は削除をする。 一方、ロで「雇用福祉事業関係業務」を機械的に、「雇用安定事業関係業務」と置き換える 整理をしているところです。  (2)港湾労働者雇用安定センターが講ずる措置で、イとして事業主支援業務の適正な実 施。こちらも先ほどの報告書の内容をベースに、法令的な観点から若干文言を修正した 上で、新たに追記をしています。  12頁の最後段、「雇用福祉事業関係業務」も機械的に修正をする。と同時に、最終頁の 13頁になりますが、(3)事業主及び事業主団体が講ずる措置として、イのセンターの活 用という項目の中で、報告書の内容をベースに、派遣の話として個別具体的に文言を追 記すると。またロの許可基準等の遵守。こちらも派遣就業日数の上限の緩和等を受けた 書き振りについて削除をする。こういった内容の修正を行ったもので、現時点において は計画の「素案」の整理をしているところです。  最後に、配付資料3について簡単にご説明させていただきます。報告書の中でも日雇 労働者の直接雇用の問題について言及をしているところです。その中で、各港湾におけ る固有の事情に応じて取組みを行っていきましょうという整理をしています。では、各 港湾における特有の事情、固有の事情、直接雇用されている日雇労働者がどんな作業内 容に従事をしているのか、こういった疑問を解消すべく、各港の傾向を調べるため、各 労働局にヒアリングを行いました。数字については概数でありまして、また、ここに記 載している状況というのは、あくまでも直近の状況ですので、過去を遡れば当然これと は違う状況があろうかと思います。したがいまして、我々が今後、来年度以降計画に則 った形で対応を行っていく際には、より精査をした上で、それぞれ各港における固有の 事情を改めて把握しつつ、対応することを考えているところです。  本日は、現時点での概略というところでご説明させていただきます。まず東京港です。 直接日雇労働者数を平成19年度の月平均で見ますと、まず1,888人日です。東京港での 作業内容は、43%が青果物に係る作業、16%が玉掛を行う作業、16%がコンテナ内にお ける作業(搬入、搬出)、9%が自動車に係る作業、16%がその他となっているとのこ とです。  横浜港ですが、直接日雇労働者数は平成19年度平均では6,294人日となっています。 横浜港においては、29%が自動車に係る作業、19%がコンテナ内における作業、18%が コンテナの固定・区画作業、14%が青果物に係る作業、20%がその他となっている状況 です。  名古屋港ですが、直接日雇労働者数としては、平成19年度平均では17人日で、名古屋 港においてはそもそも日雇労働者の数が少なく、特定の企業が使用しているというとこ ろです。作業内容としては、船内の清掃作業のみという状況です。  大阪港ですが、直接日雇労働者数を平成19年度の月平均で見ますと279人日で、作業 内容としては95%が固定・区画作業、5%が船内の清掃作業であり、関連作業のみと、 こういった状況にあります。  神戸港の直接日雇労働者数としては、平成19年度月平均で見ますと2,157人日と。 作業内容としては40%がコンテナ内における作業で、具体的には雑貨等の搬出、搬入、 20%が青果物の搬出、搬入、12%が鋼材の搬出、搬入、10%が自動車に係る作業、18% がその他という状況になっています。  最後は関門港です。直接日雇労働者数については、平成19年度月平均で見ますと1,158 人日で、作業内容としては41%がコンテナ内における作業、25%が船内清掃、固定・区 画作業、19%が鋼材の搬出、搬入、10%が青果物に係る作業、5%がその他という状況 になっています。簡単ではありますが、事務局からは以上です。 ○征矢座長 どうもありがとうございました。それでは、本件についてご意見、ご質問 等がありましたらお願いいたします。 ○伊藤委員 拝見いたしまして今までよりも能力開発の問題とか、福利厚生問題につい て踏み込んだ点が期待されている面では評価をしているところであります。ですけれど も、労働側がこの間求めておりましたのは、港湾運送事業の規制緩和が全港全職種で実 施されているという状況におきまして、やはり、総合的に港湾労働対策を議論し、検討 する場はこの委員会しかないわけでありますので、そういう意味では、より広くさまざ まな港湾労働問題を検討できるようにしていくべきであると主張してきたわけでありま す。  そういった意味からいたしますと、福利厚生の問題、能力開発の問題、安全の問題等 々は六大港の現況だけの問題ではないと私ども考えておりまして、一番目の問題であり ます港湾労働法の適用範囲の問題につきましては、やはりいまの時期再検討すべきでは ないかと考えております。今回の段階で、すぐどうするということも難しいのであるな らば、一定期間を区切って検討を更に行うというふうにしていただきたいなと思います。 引続き検討をするという表現はもう20年来続いている表現でありますので、今回やはり、 例えば1年を目途に検討を更に進めるという形で、積極的にこの辺の検討を進めていただ きたいと思っております。  特に適用業種の問題でありますけれども、「検数」、「鑑定」、「検量」、この業務 がなぜ港湾労働法から除かれているのか、適用除外になっているのかに関していままで こういう説明があったわけですね。検数、鑑定及び検量の業務はいわゆる事務的な専門 職種であって、しかも、これが業務に従事する検数人、鑑定及び検量人には港湾運送事 業法の規定による登録制度が設けられており、しかも、ほとんどが常用港湾労働者で雇 用も安定し、その労働実態は港湾労働の特殊性、港湾労働の特殊性というのは波動性な り前近代性ということだと思いますけれども、そういう特殊性はほとんど認められない という理由で除外になっていたわけでありますけれども、私どもが指摘したように登録 制度が既に廃止をされている点、それから、派遣労働者の就労が常態化をしているとい う点、そして、波動性が見られるということがありますので、是非ともこれも1年間の検 討課題にしていただきたいと思います。  それから、港湾労働者の雇用、労働条件の改善についてであります。いままで以上に ニーズと日雇い労働者が有する技能・経験のマッチングということで踏み込んだ記載に なっていると思いますけれども、職安機能を更に高めていくと同時に、私どもとしては 日雇い労働者をセンターに登録するとか、一定の、その労働者の資質をきちんと把握で きるシステムも必要だろうと考えておりますので、その点もご検討をいただきたいなと 思っております。また、港湾労働法の適用関係の明確化、その運用における整一性とい う言葉でなされております。その点に関しても私ども期待をしておりますので、特にこ の間労使で職域の明確化と言いますか、職域拡大に関しては努力をしてきたところであ りますので、そういった努力が反映できるようにこの整一性について進めていただきた いと思います。  それから、港湾労働者の安全教育の問題がちょっと記載されていないのですけれども、 私どもはこれを非常に重視している中身であります。やはり、事故が多発するという問 題、それから、就労関係で違法な日雇い労働者が入らないようにという防止の意味も含 めて安全教育をきちんとやることが必要なんだろうと思っております。それはまた、一 面におきましてはいまの港湾運送事業法におきましては、労働者保有基準は単なる頭数 の数字だけの問題であり、一定の技能を持った労働者が港湾労働に従事するという形に はなっておりません。そこはやはり港湾労働法で担保すべきではないかと考えておりま す。  それから、項目にはありませんけれども、港湾労働者の労働時間が長時間になってい るという点につきまして、やはり、一歩踏み込んで長時間労働の解消をすべきだとこの 報告書の中に記述をすべきではないかと思っております。私どもは労働時間の短縮にと もなって行政支援を行うべきだということまで主張したわけでありますけれども、その 辺も含めて検討という表現がなされればいいのではないかと思っております。  そのほか、港湾雇用安定等計画の期間でありますけれども、委員会を毎年毎年開催し てチェックをしていくことは非常にいいことだと思いますけれど、計画の期間はこのよ うな状況変化の中で5年ではなくて3年にすべきだと考えております。これは、前回の地 区の港湾労働部会からもそういう意見が出されております。現場のそういった意見もき ちんと踏まえて情勢変化に対応できる議論ができるように、見直しができるように計画 の期限に関しては3年とすべきだと思っております。  それから、福利厚生の問題が入っているわけでありますけれども、この問題について はどこが責任主体なのかと私どもは常に思っているわけです。ですから、厚生労働省と 国土交通省が責任の擦り付け合いをしないでいただきたいと主張してきたわけであり、 今回の中でこれは厚生労働省が責任を持ってやるのか、国土交通省が連携を持つのか、 そのときの連携の仕方はどうなのかというところももう少し明確に、国の責任のところ を明確にしていただかないと、この施策を更に検討していくことはいいことであります けれども、責任が曖昧のまま検討は進まないだろうと考えておりますので、その辺は明 らかにしていただきたいなと思っております。以上です。 ○鈴木委員 文章の表現の問題で、正確に記録するために質問したいのですが、7頁の 2.港湾労働法等の適用関係の明確化の三行目の港湾倉庫等港湾区域における問題です けれども、それらの運用の整一化を図っていくと。この整一化というのは内容的にはど ういうことですか。それが1つです。  それから、2つめは9頁、6.の「港湾雇用安定等計画の期間について」の第2パラグラ フの終わりから2行目、「新計画においては今後の方向性など定性的な目標を設定する」 と、定量的な目標から定性的な目標という表現の使い方になっているのですが、この2 つの意味合いを説明していただきたいと思います。 ○志村建設・港湾対策室長 まずは鈴木委員からのです。伊藤委員は8点ぐらい指摘さ れましたが、鈴木委員のほうの整一化です。7頁のところの我々、事務方の考え方とい うことで、最近、いろいろ企業外労働力の話もあって、あるいは労働者派遣をめぐるい ろいろ、労働者派遣事業というものが拡大してきたということに伴っていわゆる港湾運 送事業に携わる労働関係が非常に複雑化しているというような事情があり、簡単に言え ば、解釈は比較的明確にしていかなくてはいけない。ただ、問題が起こる局面というの は、それは横浜で起こったり、東京で起こったりしているわけですが、そういったもの に際して労働行政、中央、支分局を通じて指導していくわけですが、それがいわゆる事 業主、その指導される立場、あるいは労働者もあるのでしょうけれども、明確に揃って なくてはいけないというようなこと、あるいは、相手方あるいは従事する者に対してA とBでは違うではないかというような指摘を生まないようなことを努力していくと、そ ういった意味合いで整一化ということを使っているということです。  9頁の安定等計画の期間の定性的な目標ということで、私どもも、今回のそういう計 画の議論の中で、まさに港湾労働対策として取り組まなくてはいけないという事項の中 で定量的な目標というものが、何については何パーセントとか、いろいろあるわけです。 例えばその派遣。港湾労働者派遣事業の許可事業所は事業所数の大体3分の1程度ですか ら、例えばの話ですが、では、その事業所許可数を半分程度に増やすのかとか、いろい ろ考えてみましたが、ベースとする、どこを基準にして何パーセント増やしていくのか というのも目指していくのはなかなか難しいだろうというような、そういった意味での 量としての目標設定は難しいということがあります。そういったことの中で、ただし、 日雇労働者というものは減らしていくというようなこと、あるいは、港湾派遣事業にお ける派遣のあっせんや職業紹介のマッチングを向上させるためには求人者、求職者サイ ドでどういった分析をしてやっていかなくてはいけないかということを、質的には具体 化して掘り下げて少し書いていこうというようなことがどちらかと言えば定性的な取組 みにつながる、そういった意味で定性的という言葉を使っているということです。  伊藤委員ご指摘の数点については、それぞれ、簡単に説明させていただきたいと思い ます。  適用範囲の話です。1年を区切って再検討ということですが、私どもは、港湾労働法 の趣旨からすると、こういったものの港湾の指定というものは常に検討状態というか、 そういった状況にあるのかと思います。ただ、現実問題、指定というのはやはり、6大 港を指定したまま数は動いていないわけですが、法の求める理念としては基本的には追 加指定という形なのか、基本的には追加指定というのは順次指定という形が法の想定し ていたものだと思うのですが、そういったことについてはそういった事情が認識されま したら、それは政策として指定していくということです。  ただ、それを指定していくに際しては、やはりそのバックデータというか、基礎とな るデータを揃えなくてはいけませんし、これまでに指定してきた実績というものもなか なかないわけです。仮に、もしかしたら昭和の年代に想定していた指定のための基準に 加えて、有効なインデックスというか、そういった指標というものも出てくるかもしれ ませんので、まずはやはりそういったところ、あるいはそういったデータをどうやって 継続的に把握していくか、現代的な状況も踏まえて、そういった点をもう少し精査して いかなくてはいけないとは考えているところです。  2番目の検数の話につきましても、まさに、どちらかと言うと、検数・検量・鑑定と いうのがいわゆる事務的な専門職種であることとか、港湾運送事業法に基づく登録制度 が設けられているというようなことですが、それが、簡単に言っても、現代的にこうい った業務が変容しているかどうかというところが基本的にはポイントなのだと思います。 それは何にしても、新たに政策の対象にするかしないかという判断についてはですね。 これもやはり、その判断要素としてどういったものを現代的に捕まえていくかというよ うなところがあるのだと思います。  1つ、確かに参考になるのは、いわゆる港湾運送事業という業界はあまり変わってい ないのですが、同じ労働力需給調整システムである一般の労働者派遣法は、16業務ぐら いの限定からこの10年ぐらいの間にまさにポジティブリストまでひっくり返ってきてし まったわけですし、その辺にかかる労働者の需給調整システムの対象としていいのか悪 いのか、あるいはそういったものがよりよく産業の交流に貢献するのかどうか、そうい った観点はやはり精査していかなくてはいけないというようなことであり、個別、検数 ・検量・鑑定ということであれば、そこのところがまさに港湾運送事業という中での位 置づけがどのように、また変容という言葉に戻ってきますが、変容しているかというよ うなことが必要になってくる。そのためにやはりしっかり検討を。その検討というもの をいわゆる公式なスケジュールに出して検討していくかという話と非公式的にいろいろ 事務局内で検討していくかということについてはいろいろやり方があるので、また、1 年の検討期間を区切ってというご意見もありましたが、そこは、またひとつ検討させて いただきたいということだと思います。  3番目の雇用労働条件のところですが、安定所の日雇の需給調整システムの問題とい うことも、私ども、事務方の認識としては、この計画策定ということも1つの契機とし て、いま安定所で行われている職業紹介、あるいは港湾の雇用安定センターが行ってい る港湾労働者派遣のあっせんというか、そういったもの。これは、いずれにしても、労 働力需給調整を結びつけていく基本的な要素、ノウハウです。そのノウハウのところが うまく機能しているかどうかというのは、行政として襟を正して少しちゃんと見ていか なくてはいけないというところがあります。  ただ、伊藤委員ご指摘のようなセンターに登録ということに関しては、また、登録と いうことになると、しっかり組織立ててやるということですが、しかし、そのように組 織立てて労使それぞれに義務づけるということについては、やはり政策的な判断のよう なものが必要なことがあります。ですから、この件に関しては、行政としては、やはり 慎重に見極めさせていただきたいというようなことになるのだと思います。ただ、いず れにしても、現行機能として職安のあっせんや港湾センターの派遣の仲立というかあっ せんというか、そういったものがどうやったらよりよく機能するかについてはしっかり 精査していかなくてはいけないと考えております。  4番目の適用関係の明確化のところは、一部鈴木委員の意見と重なるかと思っており ますが、これは、簡単に適用関係、いわゆる解釈です。実は、まさにここに「港湾倉庫」 と書かせていただきましたが、港湾倉庫などが、率直なところ、行政としての解釈が非 常に難しい領域なのだと思います。港湾運送事業法もありますが、倉庫業法というもの もあります。  誤解のなきようあれなのですが、職域の拡大ということで、労使関係はそれのところ であれなのかもしれませんが、私どものところは労働関係の法律をやっておりますので、 労働関係という立場から見てどうかという行政解釈をさせていただきたいと思います。 それは一部、国交省さんが事業を規律されているところと関わってまいります。だから、 そこのところは、国交省さんにもいろいろ教えていただいた上で労働行政としての解釈 をしっかり作っていくということで考えております。  5番目の安全教育のところです。この報告書案を作るに際して、基準局の安全衛生部 と協議をさせていただいております。私どもが安定行政としてあまりよく認識していな かった点、そういったところでわかったようなところもいろいろありました。安全衛生 部からは、どちらかと言うと、国の定めている11次計画の、国の厚生労働省の計画体系、 あとは、どちらかと言えば各論である港湾災防のところも含めた、どちらかと言うと垂 直の体系のようなところと、あと、要素としては「港湾のところは雇入時にちょっと教 育をやっているのではないですか」みたいなところの議論があって、あと、労働衛生マ ネジメントシステムといったようなところもいろいろ雑多に議論をした結果がいまのよ うな文言になってきているわけです。この専門委員会の場では、特に日雇労働者を重視 した、あるいは、どういったこともわかりやすい安全教育みたいなことが議論されたわ けです。そういった当事者の問題意識が、または港湾、アプローチとしては港湾災防と いったようなところを通じて進めていかなくてはいけないのですが、そういった関係の 問題意識は持っております。文言はここに出ているとおりですが、そういったようなこ とで考えていきたいと思っております。  6番目、長時間労働の解消です。一般的には、まさに伊藤委員のおっしゃっているよ うに、長時間労働は解消していかなくてはいけないということであり、ただ、それ以上、 レベルを掘り下げて文言に消化させていくためには、ある程度業務プロセスのところに 踏み込んで分析を進めなくてはいけないというところもありますので、本日のところは このようになっているということです。  7番目、計画期間を3年にすべきというような話がありましたが、事務方としては、や はり5年というふうな。いわゆる告示という法形式の法的な安定性というような話も結 構ありまして、行政として見る場合に、告示という法形式というところも1つのあれな のかなと思っております。あと、ほかの計画は、大体5年ぐらいで運用してきていると いうところがあります。ですから、3年であること、計画期間が短いということのメリ ットの代替をどういったところで実質図っていくかというところがポイントなのかな と考えております。  8番目、最後のところで、福利厚生はどこが責任主体かというところの明確なところ です。福利厚生に関しましては、雇用保険の3年ぐらい前の見直しによって何か財源的 な予算要求というものを、担当する立場からすると、率直に申し上げると、しにくくな ったというところがあります。福利厚生的なものを安定事業のほうで読み込んでやって いくというようなことでどうにか予算要求を、能力開発はある程度明確なところはある のですが、どちらかと言うと、そこの新旧のところにも出ているような安定事業という ところに帰着させて予算要求をしていかなくてはいけないのが現状です。ただ、福利厚 生施設というようなことについては、いま、いろいろ整理とかそういうふうにやってき ているわけですが、そういった意味とはまた次元的にちょっと違うようなレベルから新 たに福利厚生というものを捉え直すことができないのだろうかという問題意識がありま す。  計画の報告書のところにもちょっと国際競争力みたいなところを書かせていただいた のは、確かにフルオープン化というようなところも、やはり港湾運送事業の新たな局面 というようなこともあり、それは、当然、海外の港湾と切さたく磨していくためのハー ド面の整備というところも当然あるのだと思いますが、ハード面だけで港湾運送事業が できるわけではないので、当然、人の面もあるというようなことを読み込んでいき、そ の人の面の検討に関しては、やはり厚生労働省が主体となって計画を立てているわけで す。当然、この話に関しましては、まさに国交省さんともいろいろご相談しながら、ど うも国交省さんのほうもいろいろモデル事業とか、そういった予算要求などもされてい るところですので、それについてのモデル事業ですから、そういったものの成果みたい なものもいろいろ教えていただきながらそこから、もしかしたらそういったものの中に 福利厚生といったところで表現されるといったところが、厚生労働省としての何か新し い対策に関わるものが出てくるのかもしれないといった意味も含めて、このような文言 を整理させていただいているということです。大体事務方的に補足して説明させていた だくと、以上です。 ○伊藤委員 私どもの考えておりますのは、やはり港湾労働法が、旧港湾労働法は、ど ちらかと言うと労働力確保、日雇労働者を確保して雇用調整と言いますか、を行ってき たと。新港湾労働法になりまして、むしろこの革新荷役に対応した技能をきちっと修得 した労働者を。これは、日雇ということではなくて、常用労働者としてきちっと確保し ながらやっていく、ということに新港湾労働法は変わってきたと。そういう中で、もう 1つ事業法のほうでの規制緩和が進んできた段階において、いま、港湾労働法はどうい う形で運用されていくべきなのか、という問題意識を強く持っております。そういう意 味では労働時間の問題なり安全の問題、確かにこれは基準局の範疇になるかもしれませ ん。また、いまスーパー中枢港湾のいろいろなプロジェクトが進んでいますが、その中 では、社会実験というようなことも含めて24時間体制、そこの働き方の問題も含めた 議論が進められている。という中で、港湾労働全体を議論できるものに港湾労働法が位 置づけられなければいけないのではないか、という問題意識で見直しをいろいろ考えて おります。  そういう観点からすると、例えば「引き続き検討」という形で書かれている文章が、 そういう意味では20年前からずっとこういう表現で書かれている点がありますので、 それよりはもっと1歩踏み込んだ対策が必要なのだということの共通認識をまずこの専 門委員会の中で持っていただいて、具体的にどこからできるのか、やれるところで具体 化したところから進めていくと、こういう進め方をする必要があるのではないかという ことを強く言っているわけです。ですから、適用港湾の問題にしても、すべてがいまの 港湾労働法の体系をそのまま地方にも適用しろということを言っているわけではありま せんので、その中でもできるもの、できないものが当然あるだろうと。しかし、我々の 目線としては、全港、全職種の港湾労働対策をここできちっとやっていくのだという中 での対応策が必要なのだろうと私は思っております。そういう意味での発言ですので、 報告書の中にそういう観点でまたどこまで文章化で折り込めるかということをご相談さ せていただきたいと考えております。 ○久保委員 前にもお話させていただいたのですが、6大港と地方港というのはその後 ろに抱えている経済圏が違いますよね。先ほどおっしゃったスーパー中枢港湾というの も、そういうものを加味して6大港に主力的につくっていますよね、国土交通省さんが 主体的にやっておられますよね。ですから、そういう経済格差とかそういうものがある 中で、地方港にも港湾労働法を適用していくというのは、いままで厚生労働省さんがお 決めになったのは、そういう需要の高い港をということで指定されたと思っているので す。ですから、それは、今後もやはりそうあるべきではないかと。伊藤さんがおっしゃ っている全港的に港湾労働者の地位の向上とか福祉とかというのは、いまあるほかの決 められているような、各協会とか福祉などは福利厚生協会とかがありますし、そのよう なものをもっと活かしてやっていけばいいのではないかと思うのです。地方港にこれを 適用していきますと、いろいろな煩雑な事務作業が起きてきますよね、いま6大港で起 こっていますけれども。私どもは、これは規制緩和に逆行するようなことではないかと 思っているのです。ですから、このままでと言ったらおかしいのですが、従来通りの適 用港湾でいいのではないかと思います。  それともう1つ。適用職種で検数・検量と鑑定ですかね、これは、港湾労働法では、 港湾労働者の港湾運送に従業するのは、我々はいわゆるブルーカラーだと思っているの です。検数・検量・鑑定というのは事務的な専門職種であるので港湾労働からは適用を 除外されてもいいのではないかと、私どもは、基本的にはそのように思っています。 ○伊藤委員 鈴木委員が怒りだすのではないですか。  この前、ホワイトカラー論は、現場に報告したら、反発がかなり強いですよ。 ○鈴木委員 時代に合わないと言いつつこの港湾の不動・風化の問題とか共同就労問題 は削除しているのですが、先ほど室長が言ったように、むしろ港湾の24時間・365日稼 動というのが日本の政府がいま進めているアジア・ゲートウェー構想なり国土交通省が 進めているいまの港湾の効率化、活性化と言うのですか、アジア圏をシームレス物流に していくということを言っていますよね、港湾はほとんど素通り、スルー化していくと いう構想を打ち出して。そして、いま政府がODAの予算を使って、国際的にASEANの2015 年の経済統合辺りも視野に入れて、実際にもう実証実験をしているわけですよね。24時 間・365日稼動に向けたそういうアジアでの人材育成からハード・ソフト面の開発も、 政府が財政投資をして支援して、そして国内での整備もしていると。  しかし、そこで、先ほど室長が言うように、実際にハード面はいいのですが、アジア の人材育成ということでは、政府は、金を出してソフト面の人の育成もしているわけで すよね。しかし、では、日本でそこの港湾で働いている労働者、ここは24時間・365日。 特に、政権を投げ出しましたが、安倍首相は、アジア・ゲートウェー構想で空港港湾の 24時間・365日化を打ち出しているわけです。一国の首相が打ち出して、そして、それに 基づいて、いま検討がやられているわけです。ところが、労働対策は全く検討する場が ないのです、経済界が中心になってそういう協議や検討がされて、そして、国家予算も 相当つぎ込まれているのですが、そのときに、労働対策問題はここしかないと私たちは 思っているものです。そういう意味では、雇用秩序なり安全対策なり技能の向上という ところではそれが入っているのですが、労働環境の整備というところが具体的な問題と して触れられていないのです。せいぜい、事業者が交替制就労問題の雇用管理をしろと いう事業者責任は負わされていますが、これは計画の10頁辺り、ハの事業主の所に書い てあるのですが、そういう事業主に対する、あなたたちが努力しなさいよと言うだけで、 国としてどういうふうに、国策としてフルオープンするのか、国としてどのようにこの 支援措置をしていくのか、ここが必要なのではないかと思うのです。だから、これがど のように盛り込めるのか、盛り込めるのかどうか、次回までには是非検討していただき たいとお願いしたいと思います。  というのは、前回の安定等計画のときに、私はいま平成12年の港湾運送事業法の一部 改正に関する法律の付帯決議と、同じく平成12年の港湾労働法の一部改正に関する付帯 決議を参考までに持ってきたのですが、そこでは、規制緩和による港湾労働者への過度 のしわ寄せが及ばないように、料金立てなり、日曜、夜間荷役サービスの更なる向上の ための労働環境の良好な労働条件の確保に関する環境整備なり、必要な環境整備にも努 めろということまで言われているわけです。港労法のところでも同じような付帯決議が、 日曜荷役、夜間荷役の推進に伴いと、労働時間が増大しないようにしろということを言 っているわけですね。  ところが、実際、先ほどの数字を見ると、5年前から比べたら労働時間は増えている という報告になっているわけですから。前回はこういう付帯決議に基づいて基本的なあ れも網羅していたのですが、今回はそういう発言もなかった、時代も変わったというこ とで削除されているので、できればこの労働時間問題というのはむしろこれからますま す求められてくる課題だということになっていますので、先ほど繰り返すようですが、 次回には何らかの文言を入れていただきたいと。これは、どちらかと言うと、国の講ず べき措置のところで網羅していただきたいと思います。  計画のほうの11頁、素案の1番(2)のイの国が講ずる措置の赤字で書いてある所の4行 です。これは機械化荷役の教育訓練の効果で、その仕組みについて検討するとなってい るわけですが、報告書の8頁では第1番目の黒ポツの所です。「ガントリークレーンのオ ペレーターなど革新荷役機械のオペレーターに関し」と一定の研修修了を条件として有 用な能力の保有を証する仕組みを作ったらどうかという例えばの事例があるわけです。 誰がこれを証するかという問題もあるのですが、ここの「これ」と「その仕組み」とい うのは、仕組みの中にこういう内容も検討課題になりますよと汲み取ってよろしいので しょうか。 ○事務局 然り。 ○鈴木委員 そうですか、はい。それと、最後ですが、伊藤委員が言っていましたよう に、日雇の研修、安全教育は是非入れてください。事業主にその日暮らしの安全教育と いうことではなく、ここでも、混在作業、機械荷役ということで、危険性が増大してい ると即重篤災害になるということまで指摘しているわけですから、そこには、日雇労働 者についても安全教育をして、そして、できれば、私たちは最低限の教育をした日雇労 働者をある程度掌握して紹介するという仕組みを作っていただきたいと思っているので すが、そこは、できれば何らかの形で触れていただけないかなと思うのです。すみませ ん、長くなりましたが、以上です。 ○若林港湾経済課長 いま鈴木委員からアジア・ゲートウェー構想などについての発言 がありましたので、公益代表の先生方にも一応いまの現状を共有していただく意味でち ょっとご説明させていただきます。  安倍内閣のときに、根本補佐官が中心になってアジア・ゲートウェー構想というもの がました。中身は、例えば羽田の国際化とか、さらには留学生をもっと入れましょうと かありますが中心的なものとして、「貿易手続改革プログラム」を作りました。その中 で、「港湾の深夜・早朝利用の推進」がうたわれています。それを踏まえまして、現在、 国土交通省で、来年度の予算要求で3年程度、深夜早朝利用拡大の実証実験をさせていた だいこうと考えております。それは、経済界の方は深夜早朝時間帯にも港に運ぶ荷が出 るとおっしゃるのですが、実際にやってみないとわからない部分もあります。しかも、 企業の工場では生産体制の変更などを考えると実証実験もある程度長くやってみないと わからないではないかというようなお話をいただいておりますので、そのような方向で いま予算要求をさせていただいている、このような状況です。 ○土井委員 1つ意見と1つ質問なのですが、まず報告書の9頁の定性的というところで す。公の立場から聞くと、最近も、実は某省の管轄の需要予測が気がついたらもう下を 向いていたというかなり大きな変化があったのですが、やはり公の立場とすると、この 数字を出すというのはものすごく責任を感じますので、相当の調査をして根拠を明確に してやりたいというのが非常に希望であります。そういう意味でこの計画が、計画のい ちばん最初に「指針を示すもの」と書いてありますが、これで基本方向から数値目標ま で全部をやろうと思うと、やはりものすごく膨大な調査計画作業が要ると思うのです。 いろいろな省庁でいろいろな計画がありますが、基本方針があったり、構想があったり、 計画があったり、いろいろな段階があって詰めていくので、全部をこれで、ここでやろ うとするのに、公の立場からはものすごく緊張感が出てくるのです。  例えば、今日見ますと報告書の7頁、港湾貨物労働災害のほうは目標を数値化してい ただいていますが、これは、別の関連の機会で目標を作っていただいてそれをここに何 とか関連づけていただいているということなので、何とかこのような工夫も必要かなと 感じます。  ただ、では、定性的と言ってあまり抽象的なことだったら、皆さん、安全に仕事をし ましょうということでは、それもまた我々としては、公の立場からは国民に対して説明 はつかないので、具体的に方向とか、そういうところは欲しいので、定性的というとこ ろに、方向等でしたっけ、今後の方向性などというのが入ってきて、具体的な姿勢など をここに折り込みながらできるところはほかの関連の機会で捉えた数値目標を含めて総 合化していくという、そういう姿勢が必要かなと、それだけ、公の立場からはちょっと 感じております。  それとも完全に無縁でないかもしれないのですが、1つちょっと気になったのは、報 告書の4頁の人付きリースのところで「完全縮小」という言葉が2回出てくるのです。 それで、我々はどうしても文章にこだわるのですが、縮小と言ったら縮小で、もし完全 と言ってしまったら撤廃なのですよね。だから、普通に縮小か撤廃かだったらいいと思 うのですが、頑張って言ったら完全撤廃で、縮小を頑張るとしたら抜本的縮小とか大幅 縮小とか、何かそういうものになるのです。しかし、これを見ると、報告書の前回の言 葉として残っているのです。現行の計画に残っていますから、どなたか、もし「完全縮 小」という言葉が出てきた背景を覚えておられたら教えてほしいと思うのですが。 ○伊藤委員 いえいえ、それは前の業側の増永委員のまさに名言でありまして、縮小に 完全を付けると。 ○久保委員 増永委員の。 ○伊藤委員 はい、これは増永委員の造語です。 ○土井委員 だから、これから実態調査もやるというような報告書でここで明記されて いますので、ちょっとわかりやすいというか、納得のしやすい縮小なのか撤廃なのか、 あるいは、頑張ってもとを決めるのなら完全撤廃か、このときは縮小ですが、やはり調 査をするからには調査をしてみないとわからないことがあるという面では完全に決めつ けないほうが公の立場からは、先に答えがあってあとで調査するというのはちょっと無 理があるような気がしますので、これは最後の報告書、詳しい文言が決まるまでにご検 討いただけたらと思っています。すみません、長くなりまして。 ○征矢座長 ほかにございますか。 ○今宮室長補佐 鈴木委員から労働環境のお話がございましたが、計画の10頁をご覧に なっていただいて、現行の計画にも入っているお話でもございますので、一点確認とい う意味でこれ以上詳しい内容を書いてほしいのか、あるいは、報告書にも計画と同様の 書き振りを書いてほしいのか、その辺を明確にしていただきたいというところがあり、 ご質問させていただきます。  10頁の4の(1)雇用の改善を促進するための方策、イ国が講ずる措置、現行がそうです が、現行で見ますと、「変化等により」のあと、「労働時間や労働災害の増加、労働保 険への未加入、その他労働環境の悪化が生ずることのないよう」と一応触れております。 この文言をさらに詳細に書いてほしいというご意見なのか、あるいは、確かに報告書の 中にはこういった書き振りは現時点においてありません。したがって、この計画の書き 振りを報告書のほうにも記載してほしいというご意見なのか、その辺をちょっと明確に していただければと思います。 ○鈴木委員 先ほどの提案の中で指摘もなかった時代的にも、あれがありましたので、 報告書の中にもやはり時代的な背景と言うのですか、いまの政府が推進している内容な どは、港湾の労働環境の変化と言いますか、取り巻く状況の中ではちょっと触れていた だきたいということと。  先ほどの10頁のところは労働安全衛生のほうに入ってしまったものですから、むしろ 私が言っているのは、これから、長時間労働ですか、月間60時間を超えるところの割増 しのペナルティの措置も法案として出されようとしていますので、人員不足なり、交替 制が導入されないで一直線の延長線上でやっているものですから、むしろ長時間労働に なっているわけです。だから、そういう交替制の導入もできるような仕組みと言うので すか、これはいまの港湾経済課、というか国土交通省のほうで、24時間フルオープンに 当たっては労働者の交替制も入れて実証実験をしますということで、前回、神戸でやり ましたよね。 ○若林港湾経済課長 去年ですね。 ○鈴木委員 ええ、去年ですね。あれは交替制を導入したらどのぐらいの経費がかかる かということもそこの実証実験の中に入れたいという、私たちとの話合いの中であれは 入れていただいたのです。そのように単なるいろいろな、24時間実証実験だけではなく、 やはり国として、その場合に労働環境としてはこのようなものも入れていくと。そこで、 業界事業者のほうには交替制勤務との適切な管理の実施を図るようにということで求め られているわけですが、行政としてもやはり、だったらそれに必要な支援措置は何なの かというところを行政としての支援、何か検討する必要があるのではないかということ が入れられないかなということなのです。 ○大槻職業安定局次長 いまお話がありました労働環境の改善の中の、例えば長時間労 働問題ですね。また、安全衛生教育問題、もう少し具体的な突っ込んだ記述ができない かというご意見だろうと思いますので、関係局とも相談しながら、いま少し国としてど うかと。あるいは事業主、あるいは事業主団体のところもそうかもしれませんが、次回 までにもう少し突っ込んだ検討もさせていただきたいと思います。 ○伊藤委員 土井委員の完全縮小の話ですが、当時の議論としては、私どもは、人付き リースは法的に違法だからもうなくすべきだという主張を労働側がいたしまして、使用 者側は縮小していくのだという話でしたが、そういう議論の中で、当時の増永委員だっ たと記憶しておりますが、完全縮小だと、すぐゼロにはしないけれども限りなくゼロに していくから時間を追ってやっていくのだという、業側の決意も含めてこういう言葉を 提案されました。私どもはそれで納得してということですが、もっと早くゼロに近くな っているべきだと思っております。ですから今回も、私ども、言葉としてはこれで結構 なのですが、本当にゼロに近づけていただきたいと、ゼロに近づける決意でこういう言 葉があるのだということをもう一度確認していただきたいと思います。 ○土井委員 お気持ちはわかりますので、何か国民にわかりやすい言葉をあと1、2回で 探していきたいと。 ○花島委員 撤廃でいい。だから、これも地域的なものなのですね。この人付きリース は関東だけでしょう。フォークリフトだけではないのです、ストラドルキャリアを借り るときもありますし、クレーンを借りるときもありますから。そうすると、フォークリ フトならありますが、クレーンとか特殊な車はなかなか。そういうものもやはり人付き リースになるのですか。 ○久保委員 フォークリフトはやはりそうですが、特殊の機器についてはそのリースを する企業が、自分たちの資産ですからそれを壊されたらいけないので、その技術者を付 けて貸すという場合はありますよね、大型クレーンとか。それをちょっと言われている と思うのですが、それとこれとを一緒にするというのは。ここで言っているのは、フォ ークリフトの簡便な荷役機器のことを言っているのでしょう。 ○糸谷委員 しかし、表現するなら逆ですよ。撤廃して、そういう例外的なものはどう するのかという話にしたほうが、違法性をそのまま放置しておくわけにはいきませんか ら。しかし、違法であっても契約上必要だというものは、それはそういう契約に基づく ものとするといくのが筋だと思います。事情はわかりますよ。 ○中谷委員 それはもう相当減ってきているでしょう。 ○糸谷委員 相当とは言えないですね、テンポはのろいですよ。 ○中谷委員 定着したのではないですか。 ○糸谷委員 テンポはゆっくりしています。あるときグーッと減って、そのまま定着、 いま定着している。 ○花島委員 コンテナが進めばもっともっと減りますよ、コンテナには要らないのです から。いままでだったら、船の中にフォークリフトを入れるという作業はもうどんどん 減っているのですから。 ○久保委員 こういう方を使うというのはやはり波動性があるのでしょうね。恒常的に ずっとあれば、借りて人を雇ってしたほうが安くつきますよね、本来は。 ○土井委員 私が変なことを言いましたが、完全縮小のまま目をつぶっておけばよかっ たのかもしれませんが、引き続き検討ということでお願いしたいと思います。 ○征矢座長 では、とりあえずはよろしいですか。ただいま、いろいろご意見が出まし た。1つの視点としては、やはり労使合意の形成という問題が1つあると思います。だか ら、そこのところの意見が大幅に食い違う考え方の部分もあります。そういうものにつ いてどう対処するかという問題については、それを踏まえて検討することが必要であろ うと。それから、24時間操業の非常に広大な構想もおありのようですが、これはどのよ うになるかがまだわからない状態で、そういう問題についての対応策をこの計画の中で 書くのはたぶん難しいと思います。ですからそれは、別途検討すべき課題ではないかと 思います。  もう1つは、労働側のおっしゃる意味もよくわかるのですが、港湾労働の全体を検討 する場がここしかないというご意見もあるのですが、ただ、一方では港湾労働法という 法律を踏まえて対処しなければならない問題もあるのですから、そこは、議論をするこ ととそういう法律上の問題は一応きちっと区別して対処していく必要があるのではない かというような感じがいたします。  労働時間の問題は、ただいま次長さんのお話がありましたが、これは労働災害防止法 の話ではなくて労働基準法の話ですから、少なくとも労働基準法はきちっと踏まえてい かなければいけない。これもはっきりしているところで、その辺をどう考えるのか。と いうようなことがいろいろあろうかと思いますが、いずれにしても、引き続き事務局で 調整していただいて、この報告書あるいは計画について、次回、またご議論いただきた いと思いますので、よろしくお願いいたします。  そういうことでよろしければ、1つめの議題については一応このぐらいとしまして、2 つめの議題、個別案件の港湾労働者派遣事業の許可について等ですが、これにつきまし ては、冒頭で申し上げましたように、非公開でありますので、傍聴者がおられましたら、 恐れ入りますが、退席していただきたいと思います。                  (傍聴者退席) ○征矢座長 ありがとうございました。そのほかにご意見、ご質問等がございましたら。 もしないようでしたら、本日の委員会はこれで終了させていただきたいです。最後に事 務局からございましたら。 ○今宮室長補佐 今後の日程についてです。次回の専門委員会につきましては、既にご 連絡しています通り、12月16日(火)15時から、場所は、本日と同じくここ、職業安定 局第1会議室で開催いたしますので、よろしくお願いいたします。 ○征矢座長 本日の会議に関する議事録の署名委員ですが、労働者代表は伊藤委員、使 用者代表は花島委員にお願いしたいと思いますが、よろしいですか。では、本日はお忙 しいところ、どうもありがとうございました。                               (以上)                       照会先                   厚生労働省職業安定局建設・港湾対策室                    港湾労働係 運永博史・安田喬                  〒100−8916 千代田区霞が関1−2−2                    電話:03(5253)1111(内線5802)                       03(3502)6777(直 通)                    FAX:03(3502)0516