08/11/28 第89回労働政策審議会雇用均等分科会議事録 第89回労働政策審議会雇用均等分科会 第89回労働政策審議会雇用均等分科会 議事録 日時:2008年11月28日(金) 13:00〜15:10 場所:厚生労働省 共用第7会議室(5階) 出席者:  公益代表委員   林分科会長、今田委員、奥山委員、佐藤委員、田島委員、樋口委員  労働者代表委員   岡本委員、鴨委員、斉藤千秋委員、齊藤惠子委員、山口委員  使用者代表委員   遠藤委員、川崎委員、山崎委員、山本委員、佐藤委員代理  厚生労働省   村木雇用均等・児童家庭局長、北村審議官、高倉総務課長、定塚職業家庭両立課長   安藤雇用均等政策課長、松本育児・介護休業推進室長、大地均等業務指導室長   代田短時間・在宅労働課長、堀井総務課調査官     議題:   育児・介護休業制度の見直しについて    配付資料:   資料1  取りまとめに向けた検討のためのたたき台(案)   資料2  短時間勤務について 議事: ○林分科会長  ただ今から、第89回労働政策審議会雇用均等分科会を開催いたします。本日は吉川 委員がご欠席との連絡をいただいております。吉川委員の代理として、日本商工会議所 産業政策部の佐藤健志副部長にご出席いただいております。 ○佐藤委員代理  よろしくお願いいたします。 ○林分科会長  それでは、早速議事に入ります。本日の議題は、「育児・介護休業制度の見直しについ て」です。本日は、これまでのご議論で出てきた論点ごとに検討の方向性について整理 した「取りまとめに向けた検討のためのたたき台」と、短時間勤務に関する補足資料を 用意しておりますので、事務局から説明をお願いいたします。 ○定塚職業家庭両立課長  本日は、資料1として、「取りまとめに向けた検討のためのたたき台」を用意してお ります。この「たたき台」につきましては、公益の委員の方々のご意見を基にいたしま して、事務局で整理をしてまとめたものでございます。この内容につきましては、事前 に各委員には配付をし、ご説明申し上げていますので、本日は朗読を省略させていただ きたいと考えております。  次に、資料2をご覧いただきたいと思います。「たたき台」の短時間勤務についての 部分をご議論いただく際に、参考となる資料として「短時間勤務について(論点)」を用 意してございます。まず第1でございます。短時間勤務制度を導入するということを前 提とした上で、一定の基準の内容を書いております。短時間勤務制度として、単一の措 置、一つだけ措置を企業内に設けるといった場合にはその措置、また複数の措置のメニ ューを選択できる場合には、その複数の措置の中の少なくとも一つについて、以下に示 すような基準を満たしているということを条件としてはどうかというものでございます。  この基準の内容といたしましては、第一に「短縮の幅」でございます。短時間勤務制 度ということで、短縮をする時間の幅はどの程度とすべきか。「たたき台」におきまして は、「(1)勤務時間が1日6時間を上回る分の短縮の措置」を含むということを示してお ります。その他の案としては、(2)としまして、勤務時間を1日2時間以上の短縮とする。 つまり、短縮し削る部分に着目するというものでございます。(3)としましては、2時間 ではなくて1時間短縮するという選択肢を挙げています。また、次の論点としては、今 の短縮時間は1日を単位とする措置ということですけれども、その代わりに週単位の短 縮の措置だけでもよいとするかどうか。例えば、週30時間を上回った分を短縮する措 置のようなものも、例えば毎週金曜日だけを短縮することができることとするという形 での短縮の措置。これだけを短縮の措置として取り入れても良いとするかということで ございます。  次に、「短縮する時間帯」ということでございますが、所定労働時間の範囲内とするべ きかということで、これは例えば、従来の所定労働時間が8〜17時であった場合に、時 間短縮をいたしまして、12〜18時ということで、従来の所定労働時間の幅を超えるけれ ども、労働時間は短縮しているというような場合でございます。また、さらに始業時刻 の繰下げや終業時刻の繰上げといった形での時間の短縮とするべきかといったことでご ざいます。  次のページをご覧いただきたいと思います。「短時間勤務制度の対象外とすることがで きる労働者」ということで、「たたき台」におきましては、業務の性質上または事業場の 実態に照らし短時間勤務にすることが難しい労働者については、労使協定にある措置の 対象から除外できるとしております。こうした場合の労働者につきまして、ここに書か れているような(1)、(2)、(3)という概念上の区分をもちまして、整理をいたした上で例示 を示してはどうかという案でございます。一つ目は、業務の性質に照らして、制度の対 象とすることが困難な業務ということで、例えば国際線キャビンアテンダントの業務な どが考えられます。また、(2)は業務の性質および業務の実施体制の双方に照らして、制 度の対象とすることが困難な業務ということで、例えば流れ作業による製造業務、交替 勤務による製造業務、また、個人単位で担当地域・企業が厳密に分担されていて、他の 者では代替が困難な営業業務などを例示しております。(3)といたしましては、業務の実 施体制に照らして、制度の対象とすることが困難な業務ということで、例示といたしま しては、労働者数が少ない事業場において、当該業務に従事し得る労働者数が著しく少 ない業務について掲げております。このほか、対象外とすることができる労働者といた しましては、週の所定労働日が2日以下の者および継続勤務1年未満の者、こうした者 については現行の育児休業では労使協定により除外されている、また、現行の短時間勤 務制度の取扱いにおいても除外されていますが、同様に除外すべきであるかどうかとい うこと。また、所定労働時間が1日6時間以下の労働者については、法令により対象外 とすべきか。こうした点が論点として挙げられるかと思います。  以上の論点の資料2につきましては、後ほど「たたき台」の短時間勤務をご議論いた だく際に、こちらの論点のペーバーも含めてご議論いただきたいと考えております。以 上でございます。 ○林分科会長  ありがとうございました。それでは、各論点について、「たたき台」の項目に沿って順 に議論をしていきたいと思います。まず、「たたき台」の前文についてご意見がありまし たらお願いいたします。鴨委員。 ○鴨委員  前文のところですけれども、私はこの前文を見て、感情的な言い方になりますけれど も、とてもがっかりしました。なぜがっかりしてしまったのかというと、この前文の最 後に「なお、期間雇用者について」ということで、その部分が前文に入ってしまってい るわけです。ということは、この期間雇用者については、具体的に今回の法改正の中で は、これ以上何もしないということを示していると受け止められますので、この間、審 議会において議論してきたことと違っているのではないかと思うわけです。この「たた き台」の二つ目の丸においても、「すべての労働者を対象に」と、今回の議論がされたは ずです。しかも、最後の「期間雇用者について」ということについては、今回の審議会 の最初の時点で、非正規労働者の両立支援ということでの議論として開始したはずです。 それをまたここにおいては、期間雇用者と元に戻されてしまっているし、この中身自体 もそもそものこの審議会の議論を経る前の段階で提示した中身と、何ら変わっていない という意味において、これでは前文として受け止めることができません。 ○林分科会長  佐藤委員。 ○佐藤委員  ここに書いてあるのは、育児休業のところについて、この前の見直しの施行状況を見 てということですけれども、確かにここに書いてあると、今回の改正の議論は期間雇用 者に一切当てはまらないという誤解を与えるとすれば、それは良くないことだろうと思 っています。これはまだ決まっていませんけれども、例えば所定外労働時間免除でも、 日本の場合は有期でも継続雇用されている人が多いわけですし、短時間勤務といっても 7時間という長い人もいるわけですけれども、多くの期間雇用者については、例えば所 定外免除は該当するわけです。子の看護休暇もどうなるかわかりませんけれども、それ も当然入るわけですので、そういう意味で言いたいことは二つあって、一つは、前文に 全部外れてしまうようなメッセージがあるとすれば、それはそういう議論ではなかった と。ただ、育児休業だけについては、ここに書いてあるような趣旨だったと思いますの で、今回の改正の多くは、育児休業の適用範囲よりは広いわけですから、前1年、後ろ 1年ということではありませんので、それは従来の子の看護休暇も同じですので、それ は増えるとすれば期間雇用者についても適用されるわけですから、そのことがわかるよ うな形で書くことは非常に大事かと思います。 ○林分科会長  鴨委員。 ○鴨委員  そうであったとしましても、今回、非正規雇用労働者の両立支援の中で、やはりこち らが一番大事だと思っていたところというのは、いわゆる有期契約労働者の育児休業の 取得条件というところが、一番大きな問題としてあったと思います。そこで議論がされ たのだろうと思います。第85回の労働政策審議会雇用均等分科会においても、公益の 委員からも「このままでは」という趣旨の発言があるわけです。そういう意味では、こ の育児休業取得そのものについて、このままではというところが今回の中身として入る べきではないだろうかと思っているわけです。 ○林分科会長  遠藤委員。 ○遠藤委員  まず、公益の委員の方々、いろいろ労使の見解に隔たりがある中でまとめていただき ましてありがとうございます。今、鴨委員からご指摘のあった部分についてでございま すけれども、議論はしたということについては、こちらもそのとおりだと思っておりま す。ただ、議論の中身が合意した中身であるかどうかということについては、ここに書 かれている中身が、私どもとしては妥当性のある内容であると考えております。この部 分について議論の結果、具体的にいえば取得要件をわかりやすく周知していくことにつ いては労使たがわず協力してやっていくという話の方向だったと理解しておりますので、 私はこの前文の内容で十分ではないかと思っております。 ○林分科会長  山本委員。 ○山本委員  前文の方ですけれども、基本的に人口減少時代を迎えるということで、その中で仕事 と家庭の両立を進めていかない限り、今後の日本経済の樹立というのは極めて困難であ るということは非常によくわかりまして、理念的には賛同させていただきたいと考えて おります。  その中で、実際に特に中小企業等の運営に当たって、昨今の状況等も絡めて所見を申 し上げますと、とりわけ議論がしばらくの間続き、アメリカ発の問題にも伴って、世界 中が極めて恐慌的な状況に陥っている中で、これが徐々に我々中小企業ですとか、日本 の企業環境を取り巻く状況というものにも、非常に大きな影響が出てくるという感じが いたします。従って、そういう一方の状況とこのトレンドとして我々が捉えなければい けない問題と合わせて、これからの進路の方向性とスピードというものを考えていかな ければいけないところにあるかと思っております。一律に制度的な枠をはめて、それに よってこの段階でステップを踏んでいくことに、あまり速度を速めるということにしま すと、実際に中小企業等の経営をやっております観点から、そういうことになかなか対 応しきれない、体力的に非常に困難な部分が出てくることが想定されると思います。  従って、そういうことの進捗に伴って、実際にそこで生まれてくる企業側の負担等も 若干軽くできるような制度的な改正ですとか、そういうシステム上の変革といったもの も絡めて、そのことを合わせながらこのような方向性が可能となるような考え方も含め ていただきたいと思うわけでございます。  それから、昨今、この両立支援だけの問題ではなくて、その他にも最低賃金法の問題 ですとか、定年延長に関する問題等もございます。その他、パート労働法の改正の問題 等もありまして、企業が改善していかなければいけない諸点というものが、非常にここ で一挙に噴出してきているような感じもございます。そう考えますと、その辺の大企業 の体力、それから中小、その中でも小企業、中企業の違いもあるでしょう。そういう中 での体力の差というものも、やはり十分に斟酌していただいて、この進めるべく方向性 と速度というものをお考えいただきたいと思います。 ○林分科会長  岡本委員。 ○岡本委員  前文というよりは、この「たたき台」全体について申し上げたいと思います。今、鴨 委員が大変がっかりしたと言っていましたけれども、私もこの「たたき台」を見て非常 に残念だと思いました。この審議会がスタートしたときに、育児・介護休業法の見直し については、各方面から非常に期待が高いという話が、8月の時点でありました。少子 化対策は待ったなしだという中で、政府においてもさまざまな委員会でこの対策の議論 がされて、行き着いたところの一つが総合的な子育て支援と働き方の改革、そしてワー ク・ライフ・バランスの推進であったと思います。女性の就労継続をどのようにしたら 実現できるのか、理想と現実の乖離を縮めていく施策を時間を掛けて議論してきたと思 いますし、介護をめぐる環境が変化している中で、働き盛りの人たちが介護のために退 職を余儀なくされている現実を踏まえて、介護休業制度のあり方が現行制度で良いのか どうかということも議論してきました。また、非正規労働者が働く環境の整備は、この 国にとって大きな課題だということも思っています。法を改正するということは、環境 整備のスタートでしかないわけですから、いかに実効性を高めていけるかが問われてい ますし、その意味で労使で実行できる接点を合意しながら進めていくということについ ては理解をしていますけれども、今回出された「たたき台」では就労を継続しながら育 児や介護という、ごく当たり前に私たちに起こることがきちんとできないということに なると思いますし、本当に多くの労働者が、今回の改正議論に期待をしていたことには 応えられていないと言わざるを得ません。個別については、労働側から申し上げますけ れども、今回の「たたき台」を見てみますと、研究会報告で書かれた考え方からは一歩 も出ていないと読めてしまいますし、ワーク・ライフ・バランスの推進はまさに政労使 挙げての大方針であったはずです。育児・介護のための両立支援策の充実は、ワーク・ ライフ・バランスの推進をするための大きな柱であることは誰もが否定しないところだ と思います。総論賛成、各論反対では一向に未来への投資にはならないということを強 く主張しておきたいと思います。 ○林分科会長  佐藤委員代理。 ○佐藤委員代理  前文のところでございますので、書かれた文言というよりも全体的なことで1点申し 上げたいと思います。ただ今もお話がございましたが、この育児・介護休業制度につい ては、少子化対策を進めるという観点で、ご議論が進んでいるわけでございますけれど も、少子化対策全体の中で育児・介護休業制度をどうしていくかという観点をもっと入 れた議論を、この後していくべきではないかと思っております。育児・介護休業制度の 必要性はどうかという点はもちろんですけれども、保育サービスの充実、インフラの整 備といったものが極めて重要であるということは、皆さまお認めいただけることだとは 思いますが、改めて明確にしていただければと思っております。  今週、改正児童福祉法が成立して、保育ママ事業が法制化されたということですけれ ども、こうした取組も重要だと思います。また、今日の「たたき台」の2ページの三つ 目の丸のところも、今申し上げたような趣旨と重なるところかとは思います。ただ、と もすると育児・介護休業制度は、この後の各論の話に入っていくと、一つ一つの制度に ついてどういうことをすべきで、どういう点が課題かということになって、そこだけの 議論になりがちですけれども、少子化対策全体を進める中で位置付ける、つまりどれを 先にやるか、これは今急がなくてもよいのではないか、そういうことも考えながら意見 を申し上げたいと思いまして、1点申し上げた次第です。  なお、先ほど、山本委員からご発言があったことに関連して申し上げます。この件で 全国の商工会議所、つまり中小企業の経営者の方たちと意見交換をしますと、先ほども お話があったのですが、育児・介護休業制度もそうですし、ここ数年たくさんの労働法 制の改正が続いております。今このような議論が進んでいることで私どもから申し上げ ると、先ほどお話があったような景気情勢が非常に厳しくなっていることに加えまして、 これについても「今やるのですか」ということで、本当に悲鳴に近い声が出ています。 短い期間に次々と制度改正が行われているので、とても対応しきれないという企業が出 てくることも十分予想されますので、そういった点についても十分踏まえて、この後も ご議論いただければと思います。 ○林分科会長  鴨委員。 ○鴨委員  この議論が、今、佐藤委員がおっしゃいましたように少子化対策ということで始めら れたということが前提となっているということでいえば、やはりしつこいようですけれ ども非正規労働者の育児休業取得を推進させるということをやらなければ、非正規労働 者の人たちが子育てをしていくという方向性が見えないのです。今、若い人たちの率で いうと50%が非正規労働者になっているわけですから、この50%の人たちが子どもを 産み育てながら働き続けるということをどのように法制化していくのかというのは、今 回のこの中で大きな焦点であると思っているわけです。  確かにこの間、パート法を含めていろいろな法改正が行われていますが、それは、こ の間にそれらをやらなければいけなかったのではないかと。私たちの側からいえば、そ の法改正をやる必要があったから、この間いろいろな意味でされているわけです。そこ まで今の働き方が変化してきているのではないですか。今回のこの中身では、非正規雇 用労働者の育児休業取得にならないと思っているのは、だいぶ前に出された資料におい ても期間雇用者の休業の普及・促進のところで、育児休業を取得しないで退職した人が 4割、育児休業を取らないで復職した人が2割いるということなのです。この資料は何 を表しているのかというと、書きぶりは制度改正の効果があったことが伺えるという内 容で資料が出されておりますけれども、この結果は、期間雇用者は4割しか育児休業が できていないという数字なのです。そもそものこの前提のところがあって、一方におい ていわゆる契約期間なき女性労働者の9割まで育児休業取得が進んでいる現状において、 非正規労働者は4割しか育児休業が取れていないというのは効果があったといえる中身 ではなくて、だからこそ今、非正規労働者の育児休業取得について、このままの条件で あってはいけないというところを、きちんと今回の法改正の中でも提起するべきだと思 っています。 ○林分科会長  山崎委員。 ○山崎委員  前文のところでございますけれども、端的にきれいにわかりやすくおまとめいただい たと理解しております。ただ、今の状況というのは100年に1度の世界的な社会的問題 が起こっている状況の中ですから、今までのケースがどうかはわかりませんけれども、 やはりそういう厳しい状況の中で取りまとめ作業が行われたというようなことも、この 中に一つ入れておいてほしい。今までのケースとして、そういうものが入れられないと いう状況があれば別ですけれども、できることならそういう厳しい中での改正であった ということもわかりやすく入れていただきたいということです。次に、五つ目の丸で男 性の取得率について書いてありますけれども、後半の最後に「1.56%に過ぎず、男性が 子育てや家事に費やす時間についても先進国中最低の数字にとどまっている」、ここは読 んでいて違和感を感じたので、書く必要はないのではないかと感じるのですが。 ○佐藤委員  具体的に違和感というのはどのようなことですか。間違っているといえば。でもデー タではそうなので。男女ともに子育てする仕組みにプッシュすることをしないと女性の 活躍場も減らないし、男性自身も育児休業を取りたいという人がいるということで、そ れを踏まえたような改正を考えているわけですよね。その前提として書いているわけな ので、違和感を感じるというのは、どのような。 ○山崎委員  ここを読んで、なぜここで急に比較が出てくるのかということを感じたのです。今ま で国内の現状を述べていて、ここだけに。それでしたらもう少し世界的な状況の比較を 書いてもいいような気がするのです。 ○樋口委員  よろしいですか。先ほどから景気の話が出ていて、まさに景気の不透明感が強く、お そらく100年に1回かどうかわかりませんが、それぐらいの危機が起こっているという ことは事実だと思うのですが、その問題をここで挙げていろいろ言っていることが、コ ストの増加で企業の競争力を弱めるのだと、企業経営にとってマイナスなのだというこ とが果たして言えるのかどうかというところも含めて、検討していかなければならない のではないかと思います。  これをすることは逆にかなりプラスの面も出てくるというようなことがありまして、 タイミングの問題というのは必ずあると思いますが、景気が悪いからこの法律を慎重に 扱うべきだというのは、なかなか議論が通りにくいなというところがありますので、景 気の良し悪しを法律制定においてどこまで考慮していくのかということは議論のあるべ きところかと思います。 ○山崎委員  それほど重い意味で言っているのではなくて、コストがどうのこうのというのではな く、そのような状況を背景とした中で行われたということだけでも少し書いておいてい ただくということです。 ○林分科会長  前文については、これで皆さまのご意見が出たと思いますので、続きまして「記」の 下の「1子育て中の働き方の見直し」の中で、(1)短時間勤務及び(2)所定外労働の免除に ついてですが、これは議論がいろいろあると思いますし、時間を要すると予想されます ので後ほど議論をいただくことにしたいと思います。  従いまして、3ページの2「父親も子育てができる働き方の実現」について、ご意見 をお願いしたいと思います。山崎委員。 ○山崎委員  2の父親の関係ですが、前の報告書と違って順番が狂っているようなことでプライオ リティが変わったのかもしれませんけれども、一番下の労使協定による専業主婦の除外 規定についてです。現在調査によりますと75%が労使協定によって除外しているという ことで、まさに労働者と使用者が話合いながらしているという基本的なベースがあって、 それに基づいてしているというのが75%もあるということでございますので、ここにつ いてはできれば廃止を検討するのではなくて現状のままでよいのではないかと思います。  それともう一つ、上の二つは男性の取得を向上させるための措置ということだと思い ますけれども、今までも言いましたが、今までもそれほど効果がなかったということは、 まさにこれを二つで、例えば1歳2か月まであるいは再度取得ができるということにな れば果たして男性が取るのかどうかということが非常に危惧されるわけでございます。 例えばそれを入れるとしたら、ある程度の数値目標、今は1.56%になっているのですけ れども、例えば3年ぐらいでどれぐらいのことを見込んだ上でということも難しいと思 いますが、そのような目標のようなものがあって、このようにお書きになったのかと思 うわけです。なかなかこのようなことをしても男性の取得というのはやはり企業の風土 の問題や個人の意識の啓発の問題などが基本にあるわけでして、何となくこのようなも のを出しても環境をつくるということはわかるのですが、果たして本当に法律的に活き てうまく動くものかというのが非常に懸念されるのです。 ○斉藤千秋委員  今、3項目の中でこのようなことをすることによって男性の育児休業が進むかどうか というお話だったと思いますが、多分ご存じだと思うのですけれども、政労使で約1年 前になると思いますけれどもワーク・ライフ・バランス憲章で国の行動計画の中で育児 休業の取得率を確か1割と目標設定されているものがありまして、そこに向かってこの ようなものをしていくということで今回論議もされていると認識しておりますので、そ の中でいうと、このようなこともしていかないと今の1.56%が進んでいかないというと ころの論議をこれまでしてきたのだと思っておりますので、この三つが目標のようなも のがあるのかないのかということでいうと、国の大きな目標に向かってやっていく施策 ではないかと思っております。  その上で、三つ目の廃止を検討すべきではないかということでは要らないのではない かというご意見だったと思うのですけれども、現状では専業主婦の男性は労使で取り外 さない限り取れないということがあるわけです。その時点で、入り口で子育てに参画し たいと思っている男性の配偶者が専業主婦の時点でできないというところは、これを国 の法律の中で取っていくことによって子育てに参画したい男性は誰でも取れるというよ うに変えていく。これは非常に大きな一歩だと思っていますので、これを廃止すべきで はないということにはならないのではないかと思います。 ○林分科会長  奥山委員。 ○奥山委員  先ほどの山崎委員の話なのですが、このポツでいいますと1、2、3は私の理解では連 動しておりまして1、2は現状では難しいところがあります。実際に男性が先ほどの数 値にありますように、取れていない現状があるわけです。そのような現状をどのように して促進していこうかというのが大きな課題だったと思うのです。そのときにおっしゃ いますように3番目のポツが労使協定を結んで外れているわけですけれども、その1と 2の政策効果を高めていくために、私の理解ではむしろこの3は非常に重要な機能を果 たすのではないかと。現状では、やはり組合との間で、組合だけに限りませんけれども 協定を結んであって、そこで女性の場合は専業主婦として家庭にいらっしゃるときには 取らせなくてもよいということになっていますけれども、むしろそうなりますとますま す父親である男性が取れないという実態がありますので、上の二つを活かして実効性を 上げるためにもやはり政策的観点、法制度的には、3は検討の対象になるのではないか と理解しているところです。ですから、このようなものがなくても変わらないのではな いかという議論は違うのではないかと思っております。  それから斉藤委員の最初のところがわからなかったのですが、現行の法制度では協定 がない限り女性が専業主婦でいても男性は取れる形が前提でしょう。 ○斉藤千秋委員  はい。 ○奥山委員  少し違うような言い方だったので。そこだけ確認したのです。 ○斉藤千秋委員  奥山委員の言うとおりです。 ○林分科会長  佐藤委員。 ○佐藤委員  この点は、基本的には労使自治を尊重すべきだという議論はあるわけですけれども、 大枠として最初にできたときと今の状況が変わってきて、基本的には企業で働いている 従業員が、妻が働いている、働いていないに関係なく、その人の貢献に応じて処遇して いく。その家族のあり方とかそのようなことに変えて処遇していくという方向にもって いこうという考え方に変わってきているわけですね。そのような意味では、大枠からす れば労使自治という議論もあるわけですが、大枠のルールの中での労使自治で、大枠の 基本的な方向からすると、もうこのような考え方は今の時代とは合わない。やはり変え ていくということに法律上もシフトしていくことが大事ではないかと公益としては考え ましたので、そこは現状の社会の状況とこれから企業の中で全体をどういう方向に見直 していくかと考えると、当然原則は妻が専業主婦にかかわらず男性も取りたい人が取れ る仕組みですから、それを活かす形での仕組みにしていくことが大事だろうと思います。  それともう一つ。そのような意味では1と2は連動しているわけですけれども、これ はどの程度効果があるかなのですが、海外の例を見ると、いろいろな施策の仕方がある わけで、男性が取りやすい形を社会的にプッシュする仕組みにしているところが増えて いるのです。ですから、日本ではこの三つでこれからプッシュしていこうということで、 取りたい人が取りやすく。そのような人が取るようになれば、他の人も取るようになる のではないかということで。私は海外の例を見ると、増えていくのではないかと思いま す。 ○林分科会長  樋口委員。 ○樋口委員  公益のお二人の意見と全く同じですが、事実関係としてこのワーク・ライフ・バラン スの推進の行動指針の中でその数値目標が手元にありますが、男性の育児休業の取得率、 現状の、このときは0.5%だったのですが、それを2017年までに10%までもっていき ますというようなことが政労使の間で決まっているということ。これは社会的な目標と いうことですので、目標値はあるということですね。  それともう一つ。今の議論の中で、労使の自治は重要でしょうと。重要なのですが、 労使の自治で決めるときに労のマジョリティ、使のマジョリティによって協約が結ばれ ていく。中には労働者の中にも自分は取りたいという個人がいるわけですよね。個人の 権限というものをどこまで尊重していくのかといった場合に、今のやり方ではそれが反 映されないというようなところから、むしろ個人の考え方に基づいて取れる権利を尊重 していくということで、このような提案が公益の中から出てきたのだと理解しています ので、ここのところは十分ご理解いただきたい。  労使の自治といいますと、よく一枚岩で労働側があって使用者側があってというよう なことだろうと思うのですが、実は使用者側の中にもいろいろな考え方があると思いま す。あるいは労働者の中にも組合の中でも、あるいは組合員以外でもいろいろな考え方 があるわけでございまして、全部労使自治で決めてよいというようなことになりますと、 逆にいえば法律は要らないというような。第三者への影響というものまで考慮して外部 効果というものを考えていくべきだろうと、この点については思います。 ○林分科会長  山本委員。 ○山本委員  樋口委員の意見もよく理解したと思っております。専業主婦の問題でございますけれ ども、これは制度から枠をはめて醸成していくという考え方と、それからそのようなこ とが十分理解が至った段階で制度的な枠をはめていくというところの順序というと語弊 があるかもしれませんけれども、その辺りの置きようというものが、実際にここで制度 の枠をはめるまで満ちているのかどうかということを考えて、企業の運営の立場から見 ますとやはり労使の話合いをベースにして、もう一つは労使の話合いもありますが、男 性が実際に育児にかかわっていくことの社会的な理解度の醸成というものも、この前も お話し申し上げましたが、非常にまだ熟成されていないということも一方で抑制してい る要因になっているのではないかという気もいたしますので、必ずしもその制度の枠と いう問題だけではなくて、むしろこのようなことに対する理解度を高めるということの 熟成度を見ながら制度の問題を考えていくべきではないかと思いまして意見を申し上げ ます。以上です。 ○林分科会長  齊藤惠子委員。 ○齊藤惠子委員  今の件ですが、確かに労使協定で結ばれているところについては現在外されているの ですが、私どもでも毎年除外規定を外していこうということで少しずつながら外れてい っているのです。ですから、ここに入れていただければ外れるスピードがぐっと速くな って実際的にはそのような醸成ができてからということも言われておりますけれども、 たくさん取ることによってそのように皆さまが意識を変えていくという場合もあります ので、取れる範囲が少なければ実際に取っている人が少なくなるのは当たり前で、取れ る範囲を多くすれば多くの人が取ることによって男性も取れるという認識も変わってい くと思いますので、ここはぜひ外していただきたいと思います。以上です。 ○林分科会長  岡本委員。 ○岡本委員  今、連合では春闘要求の議論をしているのですけれども、その中でも今回、この除外 規定を外す取組をしていこうということを提案しているところなのです。もともとこの 除外規定が労使協定でというときに考えてみますと、それほどなぜ専業主婦の場合はよ いのかということを議論してきたように思えないのです。ただ、そのときの状況の中で やはりまず女性に取ってもらおうということがあったと思いますし、法律でこう書いて あるから労使協定で外しておこうというような感じで、これは私たちの反省でもあるの ですけれども、それが今に至っているのだと思うのです。今回連合で提案もしています し、私のところでもそれを議論して要求化しているのですけれども、そうすると改めて、 なぜ専業主婦のところは取らなくてよかったのかというところの議論に立ち戻って、改 めて男性も育児休業を取るということに対して意識付けができているという効果も実は あるのです。今回これが議論の俎上に上ったということは連合の中でも大変大きかった かと思っているのですけれども。そのような意味では、改めて先ほどから、上二つの効 果を促進するためにも必要だということは私も非常に実感として思っていますし、やは りこのことを打ち出すことで改めて男性の育児休業参加ということがクローズアップさ れていくのではないかと。その象徴的なことが除外規定だったのではないかと思います ので、これはぜひ入れるべきだと言っておきたいと思います。 ○林分科会長  山口委員。 ○山口委員  先ほど父親が育児休業なりを子育てにかかわることの意識の醸成がまだできていない というようなご意見があったかと思いますが、実際に企業の中で社会的に父親がかかわ ることについて、そのようなところではイレギュラー的にとらえられているというのは 事実だと思いますが、実際に子育て期の男性、これは意識調査の結果にもありますけれ ども、やはり育児にかかわりたいのです。自分たちの親世代がかかわれなくて自分との 接点も少なかったという反省の中で自分はもっと子どもとかかわりたいと思っている多 くの父親たちがいるわけです。けれども、例えば現在、実際に育児休業を取った男性た ちが買い物に行ったりすると、かわいそうねと言われたり、ひどいお母さんねと言われ たりという事例も聞いているわけで、なかなか社会的にも認められない。企業の中では どうかというと、奥さんがいるのにどうしてあなたが取らなくてはいけないのだと将来 を振るのかと。というのは、私が知る中で枚挙にいとまがないぐらいに、理解がないと ころで断念せざるを得ない実態があるわけです。そこにこの審議会の中でも公益の先生 方もおっしゃっていましたし、私たちも主張したのは、取りたいと。もっと子どもとか かわりたい。子育てという大変エネルギーを必要とする一つのライフイベントを両親で、 夫婦で分かち合いたいと思っている父親たちの背中を押すのだと。大きく大丈夫だよと 後押しをしてあげるという意味で、やはり育児・介護休業法の中にこれだけ父親がかか われるという項目を書いてあることは大変意義が大きいことだと思いますし、そのよう な視点でこれはその後社会を変える、企業を変えるぐらいの大きなパワーに繋がると私 たちは確信しているわけです。実例があるのかどうかというご心配があるかもしれませ んけれども、現在、潜在的にあるものが浮上していくきっかけを作るのだと思っており ますので、この3点を入れていただいたことについて労側としてはよかったと思ってお りますので、この審議会の場で3点はキープしていただくようお願いしたいと思います。 以上です。 ○林分科会長  短時間勤務と所定外労働免除という大きな論点が残っておりますので、この論点につ いてはここで一応、次に移るということでよろしいでしょうか。 ○佐藤委員代理  少し付け加えさせていただきます。先ほども申し上げました全国の中小企業の経営者 の方たちの意見をお聞きした中で、男性の育児休業にかかわる部分というのは山本委員 からもお話がありましたけれども、意識の醸成というか、一方で先ほどの経済情勢とも 絡むのですけれども、いろいろやらなくてはいけない厳しい経済情勢で、少子化対策は 進めましょうと、けれども、どうしてこれを今急いでこのタイミングでやらなければい けないのかという点で皆さま非常に疑問が強かったということがあります。専業主婦の 話についても今の規程でもどうしても配偶者のご事情で育児ができない場合は男性が休 業取得できることになっているわけですし、何故やらなければいけないのか。あるいは 早く帰るとか休日を使うとか男性の育児参加の仕方もいろいろあるのに、どうして法律 で一律にやらなければいけないのかという点で何故というのがありました。時期が尚早 ではないかということもあるし、そのようないろいろな理由もあって疑問が非常に強か ったということを加えさせていただきます。 ○林分科会長  奥山委員。 ○奥山委員  今、委員の方からありましたような現実が、企業社会・雇用社会にあることも十分理 解しているところですし、また個人の働く男女についてもそのようなことが個々にある ことは十分承知しております。ただ、法制的な観点からいいますと、これを例えば労使 協定により外せるということを仮に変える形になっても、それは何も父親である男性に 皆取りなさいと言おうとするものではなくて、先ほどの樋口委員のお話に繋がるところ ですけれども、自分は妻である女性と一緒に子育てをしたいのだという形で男性が個人 的に希望を持ったときに、希望する権限や利益などを一律に労使協定ということで失わ せてよいのかということなのです。ですから、これを外したからといって男性は皆取り なさいということではなくて、それは個人の自由な、あるいはそれぞれの世帯の中の夫 婦の自主的な話合いで決まっている。取り方としては今おっしゃったような取り方もも ちろんあり得るだろうと思います。ですから、そのようなものとしてご理解いただくこ とが、この問題については大事なところではないかと個人的には思っております。 ○林分科会長  佐藤委員。 ○佐藤委員  少子化対策に取り組むことの必要性は理解してもらえるのだけれども、男性の子育て をなぜ進める必要があるかというお話がありました。実は何度も審議会の中で資料でご 説明があったと思いますけれども、やはり男性がどれだけ家事育児にかかわるかという ことが、専業主婦もそうですけれど働いている女性が1人産むか2人目産むかというこ とに影響するわけです。男性がどう子育てにかかわるか。もちろん奥山委員が言われた ように無理やり男性に子育てしなさいと言っているわけではないのです。希望する人が かかわれるような仕組みを作るということが実は少子化対策に非常にプラスになる。そ の要因が大事だということは、これまでの研究でも明らかになっていると思いますので、 決して切り離された話ではなくて、ここを動かさないと制度だけ入れてもなかなか子ど もを持ちたい人が産みやすくなるかというと、やはり男性が子育てにかかわれる仕組み を作っていくことが大事だと思います。ですから、この仕組みの環境整備をしていこう ということだと思います。 ○林分科会長  それでは、意見も出尽くしたと思いますので、続きまして3の「子育て・介護の状況 に応じた両立支援制度の整備」について、ご意見等をお願いしたいと思います。岡本委 員。 ○岡本委員  介護のための短期の休暇の新設については、介護計画を立てられた方たちにとっては とても大きいと思うのです。役所にいろいろなことを申請しないといけない。半年に1 回しないといけない。3か月に1回しないといけないなどいろいろなことがありますの で、そのような意味では大変な前進だと理解しております。しかし、前回のデータでも 出ましたように、介護休業を取得した人が3か月〜6か月未満という人が一番多いとい うこのデータを見ても明らかなように、この期間の休業が認められていない労働者、つ まり3か月以上ですよね。その労働者は辞めているということの調査結果だと思うので す。そのようなことを思うと、今回の介護休業の93日の制度の見直しについて一切触 れられていないということであると、これまで5年間で50万人もの人たちが介護のた めに辞めてしまっている。まして40代、50代の一番の働き盛りといわれている人たち が辞めてしまっている状況は何ら改善できないではないかというように思えて仕方があ りません。再三申し上げてきましたけれども、国の方針が在宅介護にシフトしている中 で、結局はこの状況でいけば家族の負担が増えるだけで、辞めざるを得ないということ は変わらないのではないかと思います。  連合はこれまでの議論の経緯に立って、介護方針を決定するまでの期間の休業という そのことは基本的な考えまで変えようということを求めてはいません。せめて育児休業 の延長のような特別な事情の場合には延長を認めると。これはいくつかの企業でも何% かそれをしているところがありましたけれども、そのようなことをぜひ、ここに加えて 欲しい。再検討して欲しいということを申し上げておきます。 ○林分科会長  他に。遠藤委員。 ○遠藤委員  繰り返しのことも含めて恐縮でございますけれども、介護の問題については介護サー ビスの部分で解決しなければならない問題がいくつもありますので、今、介護方針をど うするのかという議論だけではなくて、介護サービスを皆さまが望むような形に一歩で も近づけるようにするにはどうすればよいのか、負担と給付のバランスをどうしていく のかという大きな議論の中で進められている話でございますので、働き方の部分だけを 見直そうという議論については賛同しかねるというのが1点目です。  それから在宅サービスへとシフトする考え方については、連合も含めて労働側の皆さ ま方はご賛同されていると理解をしているのですが、もしそれが施設サービスというこ とに変わっているのだとすれば、そのご見解は後で教えていただければと思っておりま す。施設に入ることについては、イメージされている施設というものがどのようなもの であって、しかも多くの方々がご希望されるのは今自分たちの住んでいる場所に近いと ころといったようなご希望が多いと聞いてはおりますけれども、現実問題として近いと ころで施設といったようなものを確保するのは、なかなか難しい状況があります。その 中で、どのような形で妥当性のある延長期間を定めていくのか、最低基準の法律に中で 整理していくのかといったようなこと等を考えると、やはりそれは現実問題として難し いのではないかと考えております。 ○林分科会長  岡本委員。 ○岡本委員  介護については難しいことばかりだと思うのです。今、他の審議会などいろいろなと ころで議論されていますけれども、まさに介護するヘルパーの方たちの離職率が以上に 高くなっている問題であるとか、ものすごい低賃金の問題であるとか、それから分権化 の中で負担が国から地方自治体に変わっていく中で特別養護老人ホームが減ってしまっ ている問題など、いろいろな問題がありますから、本来は介護の問題については介護の 社会化ということでいうのであれば、全体の議論をするべきだと再三申し上げてきたこ とではあります。ただ、なかなか議論を見ていても本当に遅々として進んでいない。問 題があるというところで終わっているとしか思えない中で、今回、育児・介護休業法の 見直しというものが審議会の議論に上ったことを一つのきっかけとして、働く側からい えばこの介護休業制度を介護の部分についても何らかの措置があるべきではないかとい うことを申し上げているわけで、93日を当初は1年にすべきだということを申し上げて きましたし、方針もそうでしたけれども、それはいろいろな議論の中で、やはりそれは 介護の社会化ということがあるし、在宅介護でも、それはいろいろな人たちの手を借り ながらやるということが基本ですから、そういった意味では家族だけが介護するという ことではないということで、93日を変えようということではなく、先ほども申し上げま したように、それでもなおかつ、どうしてもそういった対応ができない人たちがいて、 その人たちが多分辞めていっているのだろうということを考えると、何らかの特別措置 が必要なのではないかということを申し上げているのです。 ○林分科会長  他に、この件についてご意見はありませんか。  それでは、続きまして「4実効性の確保」および「5その他」を併せてご意見を伺い たいと思います。特にご意見がないようでしたら。 ○遠藤委員  質問させてください。恐縮ですが、「実効性の確保」の三つ目の黒ポツにあります「均 等法と同様に、公表及び過料の規定を設けること」に関し、まず公表制度については、 どういう状況にあったときに公表制度を適用していくのかといった具体的なイメージと、 過料の規定は、どういった事案に対する過料を設定しようということで、このような整 理をされたのかということについて、教えていただければと思います。 ○林分科会長  これは事務局からご説明をお願いいたします。 ○定塚職業家庭両立課長  こちらで記載しておりますのは、「均等法と同様に」ということで、均等法の場合には 法違反がある企業に対して、労働局から助言、指導、勧告と、この手順を追って一つず つした後に、勧告にも従わなかった場合に企業名公表の対象とするということです。従 いまして、違反をしたということですぐに公表するということではありません。助言、 指導、勧告という手続きを経た上での公表制度ということです。  また、過料につきましては、現在、均等法および育児・介護休業法の中で、報告徴収 の規定があります。この報告徴収に対して応じない、あるいは虚偽の報告をする場合に 過料を課すことを想定しております。 ○遠藤委員  ありがとうございます。 ○林分科会長  他に特にご意見がないようでしたら、続きまして、子育て中の働き方の見直しについ て、まず、短時間勤務に関して本日の資料2の論点に従って議論したいと思います。ま ず、「一定の基準の内容」について、ご意見がありましたらお願いいたします。斉藤千秋 委員。 ○斉藤千秋委員  資料2の論点に入る前に、1の子育て中の働き方の見直しで、「たたき台」として提案 されています短時間勤務についての私自身の感想と、どういうお考えなのか聞いてみた い点がありますので、具体的に入る前に、そちらの方を少し言わせていただきたいと思 います。  今回、提案されています「たたき台」についてですけれども、非常にがっかりしてい るというのが正直な気持ちです。というのは、研究会報告の中では、就業継続という意 味では小学校3年生までと出ておりましたので、それぐらいは当然なのかという論議で これまで短時間勤務の請求権、そして小学校卒業までということで、この審議会の中で も実情をいろいろとお話しさせていただいた経過がありました。そして、出てきた「た たき台」がこのような内容になっているということで、研究会報告のアンケートの中で も、労働者側からすると、決して3歳まででよいというアンケートでもなかったし、そ のものを踏まえた研究会報告での小学校3年生だったのではないかと思っておりました。 その点で、この「たたき台」をまとめるに至って、事務局でもよいですし、公益の委員 の意見でもよいのですけれども、どういう経過でこういう形になったのかというところ を、ぜひお聞かせいただきたいということです。 ○林分科会長  佐藤委員。 ○佐藤委員  多分、理由については多少違いがあるかもしれませんが、私の考えということで申し 上げます。  一つは、育児・介護休業法は育児について基本的に子育て支援ではなくて両立支援と いうことです。これを前提とした上で、もう一つは広い意味でワーク・ライフ・バラン ス、働き方の見直し、過度な長時間労働というものを見直して、つまり基本的には必要 なときにはもちろん残業があるにしても、過度な残業時間がないような働き方をつくっ ていく。もう一つは、男性の子育て参加を進めていく。そういうものを進めながら、今 度は同時に育児休業、短時間勤務をどう設計していくかということだと思いますけれど も、確かに小学校入学までということはあるわけですが、育児休業についても短時間勤 務についても、両立支援という観点からすれば、基本的には仕事の継続についてプラス になることが大事で、特に現状でいえば、短時間勤務が入れば多分育児休業を取る女性 が多いと思います。他方で、つまり女性だけが取るだけではなくて男性もということを 進めながら、やはり女性が必要な育児休業は取るし、必要な短時間勤務は取るわけです けれども、働き方が変わっていくことによって、例えば1歳までで復帰して短時間勤務 を取るけれども、そんなに長く取らなくてもフルタイムで時々残業があるような形で仕 事を続けられるということが、女性の活躍の場の拡大には非常に大事だと思います。  そう考えたときに、女性のキャリア継続ということを考えると、まずは最低基準とい うと育児休業1歳プラス半年ということと、短時間勤務3歳。6歳までは努力義務であ るわけですけれども、そういう形で両立支援の観点からすれば、そういう中で男女での 子育てのかかわり。ある面では、女性も必要な人は短時間勤務を取れると思いますけれ ども、残業もそれほどない形で、本当に長時間通勤やいろいろな事情で、今、夫の方が 時間が遅くてという人が短時間勤務という状況を目指す。それが女性のキャリア継続に プラスだろうと。ですから、両立支援の観点から働き方の見直しを進め、男性の子育て 参加を進めるということをしていく観点からすると、3歳が妥当ではないかという私の 考えです。 ○林分科会長  川崎委員。 ○川崎委員  今回の議論を進めていく中で、保育環境も「新待機児童ゼロ作戦」といったようなこ とで、かなり環境の充実を目指していくというお話があったことを記憶しています。そ ういうことを考えると、女性の働き方ないしは夫婦での働き方で、子育てをしていくと いったことは保育環境の改善によっても随分変わってくるだろうということが予想され るわけですけれども、先ほど佐藤委員のお話にあったように、やはり女性の就業継続と キャリア形成。この「たたき台」の前文にもありましたけれども、やはり個人個人が能 力を発揮して活躍できる場を広げていく、そのようなことも考えると、あまり長期にわ たってのものを前提とした法律とするよりは、やはり3年を期限とした枠の中で、子育 てと両立しながら就業継続しキャリア形成につなげていく。そういったあり方の方がふ さわしいと考えています。 ○林分科会長  斉藤千秋委員。 ○斉藤千秋委員  考え方はそういうことなのかと思ったのですが、個人的な意見としまして、子育てを しながらキャリアを積む、あるいは長い時間働く中で子育てをすることを大事にして、 その後にキャリアをまた積んでいくという制度上の企業の中の評価のあり方のようなも のも、やはりこれから変えて、今も変えていこうということで、労使でやっていると思 いますので、別に子育てをしながら働いていくことがキャリア形成にならないと私自身 は思っていません。むしろ子育てをすることによって、子育てをしないで働いて、それ こそ24時間自分のために時間が使える労働者よりも、働きながら労働時間と自分の仕 事と生活時間をきちんと考えながら働いていくことの方が、時間効率が上がるというよ うなことを考えていけば短時間勤務をやることが決してキャリア形成に影響するとはな っていないし、もしそれが企業でそういうことになっているということであれば、その 制度を労使で変えていくことも重要ではないかと思っています。  再三、この審議会の中で言わせていただいておりますが、小1の壁をこの研究会の中 でも書いていただいていましたけれども、今回の法改正をしていかなければ小学校に入 る前で退職する、あるいは3歳から4歳になって保育所には預けられるのですけれども、 時間外労働が対象から外れてしまう。今回の法改正の考え方というようなことからする と、そこは企業の努力義務になってくるということになると、3歳までは働けても、4 歳になる時点で退職する、あるいはそこまで頑張って企業の労使の中で、小学校就学前 まで労使協議の中で短時間勤務ができても、小学校1年生になるときの壁を越えられな いというものを、全然この改正の中で、直面している課題を抱えている労働者に応えて くれていないところが、非常に私自身がっかりしている点です。  小学校に入るときに、どういうストレスがあるかを思うと、子ども自身も保育所から 学童保育に変わる、そして親も保育所から新しい小学校というところで、いろいろな仕 組みが変わっていくわけです。保育所であれば、働いている母親たちですから、月に1 回お手紙で今月はこうですということでお知らせして、それで準備することができても、 小学校に入ると子どもが学校の先生からプリントを2日前などにこういうものを用意し なさい、こういうことをしなさいと。そういうことに対応していくのは、働きながら子 育てをして、小学生の子どもを持ちながら働いている母親たちの気持ちの上での負担に もなっている。せめて働き方だけでも変えずに、環境が変わるところを乗り越えさせて あげられることが重要ではないかと思っていまして、そこに踏み込んでいただけなかっ たこの「たたき台」に対して非常に私自身はがっかりもしていますし、ここを再考して いただきたいと思っております。 ○林分科会長  遠藤委員。 ○遠藤委員  先ほどから、がっかりしたという声が連呼されているようですけれども、使用者側と しましては、この問題については現行の枠組みが合理的な枠組みであるということを主 張している中で、今よりも一歩でも前に進めようという公益委員方のご意思がありまし て、今回このようなご提案になったということであり、大変重く受け止めております。  今の議論に関しては、やはり、でき得る限り皆さま方が能力を十分発揮できる形で何 とか職場復帰してもらって、職場復帰の後は、早い段階でフルタイム勤務という形の中 で、能力の可能な限りを仕事にぶつけてもらうことで対応してまいりたいと考えており ます。そういうことからすれば、今の3歳までの枠組みということであったとしても、 十分現場の中では、まだまだこなし得なければならないような状況があるわけですから、 そういった中で、今回の新たな枠組みをどう考えていくのかということを持ち帰って議 論してまいりたいと思っております。これをまた年齢の延長という形で考えているとい う議論になってまいりますと、とても使用者側としては、このテーマを持ち帰って議論 するところにも至らない状況になり得ますので、そういったことは一言申し上げたいと 思っております。 ○林分科会長  短時間勤務の本文については双方のご意見が出たと思いますので、資料2の短時間勤 務についての論点メモの方へ。では、佐藤委員代理。 ○佐藤委員代理  先に進むところを申し訳ありません。各論に入る前に1点だけ。短時間勤務のところ ですが、先ほど遠藤委員からお話がありましたように、私どもも今の枠組みが合理的な ものと思っております。その観点で今回拝見した「たたき台」の中で、二つ目のポツの ところに「業務の性質上又は事業場の実態に照らし、短時間勤務とすることが難しい労 働者」というくだりもあります。ここにかかわるところで1点申し上げたい。何度も申 し上げて恐縮ですが、このように経済が厳しい状況ではなおさらですけれども、中小規 模の企業の場合に、やはり突然入った仕事、どうしても逃せない仕事、これを逃したら 会社の経営存続にかかわるかもしれない仕事というのがあり得ます。そういったことが あったときに、やはり今度の話というのは選択的措置義務ではなくて、必ずそういうも のを備えないといけない、どの企業も備えないといけないということだとしますと、職 種、性質、事業場というところにどうかかわるかということですけれども、企業の規模 によっても対応できない場合があり得るということで、一律の義務化というのは非常に 厳しいし、そのようにはしていただきたくないと思っております。各論に入る前にすみ ません。 ○林分科会長  では、各論に入りたいと思います。「一定の基準の内容」についての総体的な議論、ご 意見を伺いたいと思います。岡本委員。 ○岡本委員  各論に入る前に、私としてはこの3歳のところについてはずっと申し上げてきたとこ ろでもあって、ここの部分が曖昧という言い方はおかしいですけれども、今の「たたき 台」のままで各論に入ることは、なかなかしにくいのが正直なところです。  M字型カーブを変えていきましょうという議論が最初にあって、20年間なかなか変 えてこられなかったので何とかしましょうということがあったわけですけれども、3歳 という短時間勤務という単独措置義務ということで、このM字型カーブが本当に変わる のだろうかということは疑問に思わざるを得ないですし、企業の負担ということもそれ はそれでわかりますけれども、やはり企業もいわゆる働き方の多様化ということはさま ざまな場面でおっしゃっていたと思います。それは企業がいう働かせ方ではなく、やは り労働者も含んだ、労働者も選択する働き方の多様性だと私たちは思っていますし、そ ういった意味では、キャリア形成のところの議論もなかなか一致しないというか、かみ 合っていないのですけれども、私たちとしては、やはりこのことが延びることで、30年 や40年近い長い労働生活の中でのキャリア形成に影響していくものなのだろうかとい うのは、どうしても理解できないことがあります。そこのところの議論をもう少しして いただけるとありがたいと思います。いずれにしても私たちとしては各論に入りきれな いというところです。 ○林分科会長  今、キャリア形成という視点から、ある程度の年限を限って考えていくことと、まず 選択措置義務から一歩取り出した単独の措置義務としてやっていこうという考え方と、 それから使用者側の負担というか、やはりそれに伴う対応が必要であるという意味での 負担ということも踏まえて、今このように3歳という案が公益並びに事務局の間では出 ているのですけれども、再度検討がないと今日は各論に入れないということになるので しょうか。一応それは置いておいてという形で各論に入るということはできないでしょ うか。斉藤千秋委員。 ○斉藤千秋委員  公益の委員の方も使用者側の委員の方も、3歳は女性のキャリアだというようなこと をおっしゃったのですが、私は大手企業で小学校3年生、一番長い所は小学校卒業まで という所がある中で、大手企業で短時間勤務を取りながら働き続けている女性が、キャ リア形成ができていないのかどうかというところを聞いてみたいのです。ですから、3 歳でないと駄目だということなのか、そこが腑に落ちないのです。なぜ3歳なのかとい うところがわからない。キャリア形成と3歳がわからないです。 ○佐藤委員  まず、短時間勤務のニーズは確か調査をすると出てくるのですけれども、これは現状 の働き方に規制されているものが相当大きい。つまり定時で帰りにくい残業がある。で すから、短時間勤務にしておいて、そういうことによって1日か2日定時までいるとい う形で、短時間勤務でやっと帰れるということで短時間勤務ニーズがあるのが一つです。  もう一つは、つまり短時間勤務のニーズは職場の状況によって相当違っていて、例え ば定時で帰れて時々残業があるような所だと短時間勤務のニーズは実情ないのです。  もう一つは、女性については夫の働き方です。これがやはり夫の方がフレキシブルで なくて残業が多いと妻の方が短時間勤務ということなのです。ですから保育所のことだ けではなくて、相当現状の働き方と夫の働き方。つまり短時間勤務はあるけれども、例 えば残業をいつもしたいという意味ではなく、定時までの仕事をしたいと思っている実 情は、実は短時間勤務を求めているケースがかなり多くて、その中で短時間勤務を選択 している女性が多い。今日はデータでお示ししませんけれども、私はそういう状況があ ると思っております。それがデータ的には出ていまして、そういうことを踏まえると、 私が先ほどお話ししましたように、もちろん保育サービスもやっていくということもあ ります、もちろん働き方もあります、男性の子育て参加も進めていく。そうすると、短 時間勤務の制度はもちろんきちんと作らないといけないと私は思いますけれども、実際 のニーズからすれば現状ほどではないだろうと。つまりフルタイムで復帰して、残業が いつもあって、子育てもきちんとできるような働き方があれば、その方が望ましいと思 っている女性が多い。ですから、そこを目指すのがまず一つです。  それと比較したときに、実はフルタイムで働いているにもかかわらず短時間勤務でと いうと、私はやはり先ほどお話ししましたキャリア形成上どれぐらい影響があるかとい うことですけれども、30歳前後ですよね。この年代以上でいうと、やはり全くフルタイ ムの人と同じ仕事にできるかというと、私はそういう努力はしなくてはいけないと思い ますけれども、8時間の人、6時間の人が同じような仕事ばかりの職場かというと、実 はそうではない。  それからもう一つは、経験の期間と能力の伸長がリンクする仕事が結構まだ多いです。 8時間と6時間でやはり違ってくるわけです。全員がそうだという意味ではないです。 短時間の人は能力伸長の機会がないと言っているわけではなくて、短時間でも能力が高 まる人がいるのは私も事実だと思います。ただ平均的に見ると、やはり不利になる。や はりフルタイムできちんと仕事に就きたい人が多いとすれば、逆にいえば短時間勤務の 用意はするけれども、基本的には法律はミニマムですから、現状3歳。ただし、短時間 勤務を取らなくても、過度な残業をしなくてよいという働き方の見直しと、片方で男性 の子育て参加を進めていくということをすれば、私は十分無理なく子育てと仕事の両立 ができるのではないかということで3歳。それは企業側の負担も適切な範囲内ですし、 女性のキャリア形成上、ミニマムという観点からは、もし平均でマイナスがあるとすれ ば、これをあまり法律で広げておいて、それを使って結果的にマイナスになることは避 けた方がよいだろうと思っています。私は現状でいえば3歳でよいのではないかと思っ ています。 ○川崎委員  では会社の事例ということもありますので少しご紹介しますと、弊社の中で導入して いる短時間勤務の制度については現行小学校3年生までとあるわけですけれども、現実 的に使っているのは育児休業から復帰した後、大体半年から1年ぐらいまでです。3歳 になる前で保育所の延長保育が使えるようになってくると通常勤務に戻る人たちの方が 多いです。それには幾つか理由があると思っています。やはり短時間勤務ですと、先ほ どの仕事の中身の話は佐藤委員からあったとおりですけれども、賃金の面でも通常勤務 の方が全額もらえるといったようなこともあります。後は通勤の環境を見てまいります と、首都圏は遠距離通勤しているないしは通勤時間に非常に時間がかかる、体力的にも 大変といったことがありますけれども、地方ではそういった環境でもなく、非常に職住 が接近しているようなところもあるわけで、そういったところも踏まえると全国的には 3歳になる前までに短時間勤務から通常勤務になる社員の方が多いし、そういうことを 望んでいる社員も多いということが現状だと思っています。 ○林分科会長  斉藤千秋委員、どうぞ。 ○斉藤千秋委員  今、川崎委員から企業の状況、実態としては3歳まででよいという説明いただきまし たが、労使の協議だと思いますけれども、制度としては小学校3年生まで延ばしてきた 経過はどういう経過があったのかを聞いてみたいのですけれども。 ○川崎委員  そこを法律にどこまで反映させるのかということは少し別の議論だと思っていまして、 そこは企業内の独自の判断の中でやっている部分です。それは法律議論とは少し違うと 判断します。 ○林分科会長  斉藤千秋委員。 ○斉藤千秋委員  別議論と言いながらも、やはり労働者側からいうと、どこに交渉の支えを求めるかと いうとやはり法律なのです。努力義務といえども、そこまでは企業として労使で努力義 務だからやらなくては駄目です、そして法律以上を求めるのは、私の出身の電機連合は かなり大手の企業が多いこともあって、社会的使命として労働者側も法律以上のものを 要求して、会社にその必要性を求めて法律を変えていこうということを産業内で非常に 一生懸命にやっています。ワーク・ライフ・バランスや子育て支援に非常に一生懸命で、 厚生労働省からも大賞をいただいている企業が非常に多いのですけれども、そのように やってきている所からすると、やはり法律が支えになっているところもあって、そこが 今のまま変わらないというと、これから先に今回の育児・介護休業法が改正になりまし たと言いながらも、この短時間勤務については、今までの対象年齢が変わらないという ことになりますと、実をいうと、私たちが交渉していこうと思う中での後押しがなくな ってしまうということが正直なところ、あります。ですから、やはり労使でやって小学 校3年生や小学校卒業まで延ばしてこられたのは、やはりそうやってリーディングで走 っていくような企業の労使の所が、従業員のニーズの声を吸い上げて、その大変さやそ ういうものを労使が認識を共有して変えてきている。それが法律を作ってきていると思 いますと、やはりそこを押してくれるような部分はほしいというところがあります。 ○林分科会長  遠藤委員。 ○遠藤委員  まず、今、川崎委員から個別の会社の事情をお話しいただけたのは、こういう公の場 ですから、お話しできる範囲内に限るということで、それはご理解いただきたいと思い ます。  それから今のお話ですけれども、大手企業でやっていたお話がどの段階で法律に入っ ていくのか。これは当然時間も必要かと思います。それから、それに対する国民全体の 中の受け入れ状況といったものも十分に考えていかなければいけないと思います。今の お話でいうと、大手企業がやってきました、引っ張ってきました。ではこの部分につい てはそれ以外の企業の中でもやっていきましょう。最低基準としても入れていきましょ うというのは、いささか乱暴な議論に聞こえてなりません。  今、複数の委員の方からどのような状況なのかということは繰り返し申し上げたと思 います。そういった中で今回出てきたのは新たな枠組みです。新たな枠組みをいかに定 着させて、そして希望する方がいるとしたら、希望する方が利用できるような環境をど うやって作っていくのか。これからもっと労使の皆さま方が話合いを続けていかなけれ ば、この制度も名ばかりのものになってしまうと私は思っております。そういった中で、 今の段階でスタートラインをどこから始めるのかということで、委員の方々がお考えに なってご提案をいただいたと私は認識しておりますので、この中身を踏まえる形で検討 を進めるべきだと考えております。以上です。 ○林分科会長 一応、中小を含んだミニマムの議論として制度設計をしていかなければならないという 状況において、一応ここで本文の議論はおきまして、各論点に入っていきたいと思いま す。単一の措置にするか、複数の措置でもそのうちの一つは少なくとも資料2の短縮の 幅、短縮する時間帯等の条件を満たす必要があるというこの前文のところは今まで議論 はしていなかったのですが、これはよろしいですか。  では、「短縮の幅」についてご意見を伺いたいと思います。まずどのような決め方を するのかということで、勤務する時間の方を決めるのか。短縮する時間を決めるのかと いうところですが、この点はいかがでしょうか。 ○遠藤委員  すみません。質問からよろしいでしょうか。 ○林分科会長  はい、遠藤委員。 ○遠藤委員  まず基本的なことで恐縮ですが1点。仮に短時間勤務といったようなものを企業内の 中で措置するといった場合、法律の中でどこまで書き込まなければいけないかというこ とでお聞きしたい。ここに書いてあるような短縮の幅ですとか、短縮する時間帯の問題 といったところも法律の中に書き込んでいかないと、今ここにご提案されているような 新たな枠組みの中では回っていかないという理解でよろしいのでしょうか。 ○定塚職業家庭両立課長  この資料については、今まさにご質問がありましたとおり、法律あるいは省令、法令 の中でこうした基準を定めることが必要なのではないかという意識に基づいて作ってい ます。ですから、選択肢としては、まずこの柱立てにあるようにこうした基準を設けな い。つまり使用者側が短時間勤務制度だけを導入すればよいという基準であって、それ 以上短時間勤務制度の内容は問わない。例えば30分の短縮ということでも構わないし、 1日にということではなくて週1回の短縮ということでも構わないという制度としてし まうことも概念上はあり得ると思います。ただ、この議論の過程から見て、子育て中の 労働者が時間が確保できるということに鑑みますと、少なくともこれだけのものは準備 していただきたいという基準を法律または省令によって準備をする必要があるのではな いかという発想に基づいてペーパーを用意しています。 ○林分科会長  遠藤委員。 ○遠藤委員  どうもありがとうございました。そうなりますと、ご議論の中にありました一つの目 的としては保育所への送迎が余裕をもってできるということであるのだとすれば、ここ にあるような6時間という数字は基準になると思います。ただ、先ほどから使側の中で 意見がありましたように、例えば職住接近といったような場合で保育所への時間がそれ ほどかからないといった地域の実情等を考えていきますと、最低基準として描く絵姿は どういったものになるのかということを考えれば、一番ミニマムの部分である(3)が一つ 考えられるのかなと思っています。 ○林分科会長  他に、ご意見はありますか。鴨委員。 ○鴨委員  質問ですけれども、(2)ですが「勤務時間を1日2時間以上の短縮となるような措置(た だし、短縮に6時間を下回ることとする必要はない)」となっているのですが、1日の勤 務時間は8時間以上を想定しているという考えですか。 ○林分科会長  7時間半が所定労働時間のときに2時間を短縮すると5時間半だけ働けばよいという ことだけれども、その必要はなくて6時間まで短縮すればよいということになると思い ます。 ○鴨委員  わかりました。 ○林分科会長  齊藤惠子委員。 ○齊藤惠子委員  先ほど遠藤委員の方から、労働者の希望もあるのでということもありますが、この措 置は企業側が決めることですので、両方を入れて労働者が選択するというものであれば よいと思うのですが、労働者が毎日少しずつ短くしたいと希望しているのに、企業の方 が週1回どうこうとなるとこれは齟齬が起きますので、もし下の丸の週30時間以上を 入れる場合であれば、1日単位も両方入れてただし労働者がどちらか選択できるという 形になるのであればよろしいのではないかと思いますが。 ○林分科会長  柱立ての2番目ということになりますね。 ○齊藤惠子委員  幅が毎日短縮するのと週単位での両方を入れて労働者が選択するのであればよろしい のではないかということです。 ○林分科会長  (3)というのは短縮の幅の1番目の丸の(1)(2)(3)の(3)を遠藤委員が先ほどおっしゃって、 今の齊藤惠子委員は1日単位か週単位で決めるかというところですね。  まず、短縮の幅の1番目の丸のご意見をお伺いしたいと思います。岡本委員。 ○岡本委員  1日6時間の勤務の方たちが除外されているなどの現行のことを考えますと、私はこ の(3)ではなくて1日6時間が短時間勤務の最高取れる、最高何というのかいろいろな議 論があってわからなくなりましたが、それは最低基準というのですか。それは6時間だ ということを入れた方がよいと思います。先ほどもおっしゃいましたが、大都市圏など は本当に勤務時間が長いということもありますので、1時間でよいというように引っ張 られてしまう恐れもあるので、私たちとしてはこの(1)でも(2)でも考え方は同じだと思い ますが、6時間ということを明確にする必要があると思います。 ○林分科会長  山本委員。 ○山本委員  いろいろご意見を伺っておりますと、なかなか一律的な概念の中でこの問題をとらえ るのは非常に難しいと思いました。今この短時間を何時間にする。どのように時間的な 枠組みを決めるのかということのみ議論をするというところで話が進んでいますが、週 単位という問題を重ねて考え合わせていきませんと。従って、それほど企業の環境、そ れから従業者の環境が極めてまちまちな状況の中で、それぞれ情報量の多いものを取っ てそれぞれの方がいろいろな発言をするというのが恐らく現在の状況になっているのか という気がしますので、そういうことから考えますと、一律の制度的あるいは数字的な 枠の中でとらえていくことは実は難しいと感じました。従って、これについては労使が それぞれの状況を斟酌し合った中で話合いがさらに進んでいくような手法をさらに考え ていく必要があろうということで、私の意見として申し上げたいと思った次第です。以 上です。 ○林分科会長  岡本委員。 ○岡本委員  そういうことでいうと、企業によっていろいろな働き方があるでしょうから、週30 時間を上回る分を短縮する措置ということも考え方としてはあると思いますので、むし ろそういう考え方か1日の短縮かということの複数の措置を選択できるという最初に戻 りますが、それでよいというか、そういった形なのかと思います。私たちも1日だけに こだわっているものではないです。 ○佐藤委員  今の確認ですけれども、最初の丸の(1)(2)(3)というか、この上の二つの丸の選択という ことですね。中の(1)(2)(3)上の一番上の丸のセットでよいのではないかという話ですね。 今のご意見は(1)の中については、(1)か(2)ならよいということですか。 ○岡本委員  はい。 ○林分科会長  この短縮の幅の2番目の丸は週単位だけの措置でよいかという問題提起になっていま すので、それに対しては労側から今までの発言はそれだけの措置では駄目だということ で、それはそれで特にご意見がないということでよろしいですか。遠藤委員。 ○遠藤委員  確かに今お話がありましたようにいろいろなニーズがあって、そのニーズに応えられ るような労務管理上の対応ができるのであるとすれば、それは望ましいということがい えるかと思います。しかし、実際問題として就業パターンは限らざるを得ないと思って います。そうなった中で、フルでない形で短時間の人が働くのだとすれば、複数のパタ ーンをそこで出していくというよりも、まず1パターンからそれを皆さまの中で共有し 合っていくということになるのではないかと思っています。それはもちろん大手をはじ め複数の用意ができればそれに越したことはないわけですが、繰り返し申し上げており ますように、最低基準という形で対応していこうとすれば、そうならざるを得ない部分 があると思います。6時間をターゲットにしてしまいますと、本来だったら7時間でよ い人が6時間までの短時間労働におさまってしまうということもあるわけです。もちろ んその法律の基準をもってして上げ下げするということが現場の中で対応できる状況が あれば別なのかもしれませんが、必ずしもそういう状況でもないということも考えない といけないと思います。  地域の実情等を考えると、ミニマム基準といったものが私はふさわしいのではないか ということを繰り返して申し訳ございませんが申し伝えたいというのが1点です。  それから週単位の部分につきましては、週単位だけでないと駄目なのかというぎりぎ りの選択を迫られますと、なかなかそういう事例がこうであってということが申し上げ にくい状況があると思います。ただ、今後新たな枠組みを多くの職場の中で広げていこ うということが現場の中の取組であるとするならば、イメージで申し上げて大変恐縮で すが、1日単位という部分では難しいかもしれないけれども、週単位という部分であれ ば導入可能という状況も見えてくるのではないかということも考えます。1日単位を必 ず用意した上でさらに週単位ということだけではないのではないかと思っています。 ○佐藤委員  遠藤委員の前半の方の確認ですが、1日2時間短縮にしてもそういう場合多分2時間 短縮しなければいけないということではなくて、2時間までの短縮を用意しておけば労 働者側が30分短縮、2時間短縮というのは当然取れるという制度になるのですよね。そ うではない。2時間短縮ならば2時間短縮しなければいけない。会社として2時間短縮 を作っておけば当然労働者が1時間短縮を選べるということでしょう。 ○定塚職業家庭両立課長  それはすみません。私が思いますには、会社の方がどう決めるかで2時間でも50分 でも40分でも30分でもよいということになると、かえって不都合だという企業もある のではないかと思います。 ○佐藤委員  措置義務だからね。私はそういう理解をしていた。 ○樋口委員  この文章の読み方がとても複雑で、皆さまいろいろな解釈をしていると思うので、明 確にした方がよいと思うのです。丸で書いてある短時間勤務制度による短縮時間はどの 程度にすべきかは最低限どこまで保障するべきかの解釈ですね。最初の(1)であっても1 日6時間を上回る分ということですから、例えば企業によっては5時間以内であれば6 時間を上回る部分について何分でも個人が選択できるようにという制度を用意せよとい うことでしょう。 ○林分科会長  この点については、あまり今まで議論を深めていなかったので。 ○定塚職業家庭両立課長  もう一度申し上げますけれども、もちろんそういう制度にするのがよいということで あれば構わないのですが、今申し上げたように6時間の中であればよいということにな ると、Aさんは7時間、Bさんは7時間半、Cさんは6時間ということで、いろいろば らつきが出て、かえって企業の労務管理が大変なのではないか。むしろ、パターンを決 めて1日6時間のパターン。それから法律ではそこまでしか決めないけれども7時間の パターン、7時間半のパターンと幾つかのパターンを用意するのは「どうぞ、ご自由に」 ということで、最低限として決めるのは何かということを議論いただきたいと思ってい ます。 ○佐藤委員  もう一度整理すると、2時間短縮にした場合に幾つか選択肢があって措置義務で2時 間短縮までをつくっておけば、あとは1時間短縮、30分短縮という制度を企業側が用意 しておいて労働者が選ぶという一つのやり方があります。もう一つは。 ○樋口委員  それでは、まずいでしょう。 ○佐藤委員  2時間までは用意しておかなければいけない。ですから、2時間の制度も選べるよう にしておかなければいけないのだけれども、労働者が1時間という制度を選んでもよい と。 ○樋口委員  企業側は、2時間は最低限ということでしょう。 ○佐藤委員  そのときに事前にABCと用意しておくか、その中で自由で30分でも45分でも短縮 できるようにするかどうかはもう一つあり得るのだけれども、それは煩雑なのではない かという議論です。 ○樋口委員  それは企業が選べるのではなくて個人が選べるのでしょう。 ○奥山委員  (1)は2時間までは認めますという考え方ではないですか。6時間までは短縮してもよ いという。そうしなくてはいけませんというのが法律で担保している。 ○林分科会長  6時間までの短縮を希望したら、それは取れるように6時間にしなければいけません ということは法律で決めておいて、かつ企業の方が企業の措置として6時間だけではな くて7時間とかその中間も認めるという措置を認めるような、措置として決められれば その中から労働者が選べる。ただし、基本的には労働者は6時間をどんな場合でも希望 すれば要求できる。そういうことですね。ですから、会社がその中間を措置しない場合 は、労働者は自由に選べないという、8時間か6時間のどちらかしか選択できないとい うこと。 ○佐藤委員  措置がないと駄目なのです。 ○林分科会長  (1)(2)(3)については遠藤委員は(3)、使側は(3)、労側からは(1)(2)ということで承っておい て、週単位は遠藤委員の趣旨がよくわからなかったのですが、先ほど労側が言ったよう な意味での選択でよろしいということでしょうか。それとも単独でこれを。 ○遠藤委員  もちろんそういう選択肢もあり得ると思っていますから、そういう部分もご用意いい ただきたいのですが、その場合に必ず1日単位も用意してくださいという枠でよいのか どうかについては十分検討がまだ行き届いていません。ただ今後の展開等を考えたとき に、1日単位の部分の措置はできないけれども週単位であるのであればこの職場におい て短時間勤務ができ得るという状況が出てくるとすれば、その対象を広げていくことを 考えれば必ず1日単位のものを用意しなければいけないという形での要件をかませなく てもよいのではないかという趣旨で申し上げました。 ○林分科会長  これはニーズの関係ではどうなのでしょうか。 ○奥山委員  確認ですけれども、今の労側と使側の遠藤委員の意見は大分違っていて、私の理解す るところは労側は1日単位が最低基準で、これがあってさらに上乗せでそういう形のも のが入ってもよいというご主張だと思うのです。遠藤委員の方はそうではなくて、必ず しも企業の実態も含めて今この改正の入り口のところで1日単位でやられても、なかな かそれに馴染めない事業所もあるから、とりあえずこういう週単位のもので導入を図っ てもよいのではないかという議論ですね。そこはもう少し詰めていただかないと、かな り違っているかなと聞いていて思いました。 ○林分科会長  山本委員。 ○山本委員  企業の形態いかんによって例えば流通関係の場合ですと、1日辺りの従事しなければ いけない時間というのはある程度制限される場合に、1日単位の問題が必ず枠にはめら れてきてしまうということになりますと、非常にフレキシビリティがとりづらいという 性質の企業もあると思います。そういうことなので、しかし週単位あるいは月単位で考 えればというところの中で、週単位ではそれをやっている意味がないということになっ てしまえば終わりのことですが、業種のありようによってはそういうことによって対応 できる企業も多々あろうかと思います。その意味でいうとそこの弾力性はもたせておか ないといけないと思います。1日辺りですべてが縛りきられてしまうと、そこのところ で対応に苦慮する企業形態もかなりあるのではないかと思います。 ○林分科会長  鴨委員。 ○鴨委員  この短時間勤務の問題で、労働者側が短時間勤務を望むというところでいうと、毎日 の中でのそれこそ送迎の問題とかそういったところで言っている訳です。そういうこと からしたら、それを週単位にという話とは。毎日短くしてほしいということを望んでい ることが、どうして週単位でできるのかということになってしまうのです。基本は1日 単位で労働時間を短くするというようにしなければ、この短時間勤務制度そのものの意 味が違うのではないかと思います。 ○林分科会長  岡本委員。 ○岡本委員  基本は1日の短時間だと思います。ただ、現在も例えばフレックスをやっていて定着 している企業もあると思うのです。この週単位も二つ目に入ってもよいと申し上げたの は、流通業などではそういったことのケースもお互いにわかっていて、それを選択する ということが企業の労使で合意しているだろうと思いましたので、それは一つ入れてお くことも必要なのかと思ったのでそういう発言をしましたが、このうちのどちらかだけ でよいということになれば、本来フレックスも必要でないような所でも週単位を入れた ということになって、実態として労働者が使えなくなるというケースが想定されるので はないかなということを危惧しますので、そういった意味で、まず基本は1日。その上 で企業の労使の中で必要性があるとすれば週単位も入れておくという措置義務かと思い ます。 ○林分科会長  では双方の意見が出たと思いますので、次の「短縮する時間帯」に移っていきたいと 思います。この点については、特にご意見がありますか。岡本委員。 ○岡本委員  基本的には選択肢が広い方がよいと思いますので、一番上の繰り下げと繰り上げ双方 の選択肢ということだと思います。 ○林分科会長  その上の丸の「所定労働時間の範囲内とすべきか」のところは。 ○奥山委員  これは、具体的な例を挙げて聞かれた方がよい。  例えば所定が17時までだったら17時を超えてもよいけれども、全体で短時間になっ たらいいという考え。8時から17時までの会社の就業規則の所定労働時間の枠の中でし か短縮ができないのか、所定労働時間を超える通常は17時だけれども18時まで働いて 全体として短くなっていることもありなのかということです。これは使用者側の委員の 意見もいただかないと。勝手にしゃべりましたが、そういうことでよろしいのでしょう か。 ○定塚職業家庭両立課長  そうですね。そもそもこの短縮する時間帯について基準に盛り込む必要があるのかな いのかという点もあるかと思います。盛り込むとした場合に、奥山委員がおっしゃった 所定労働時間の範囲内としなくてはいけないということを盛り込む必要があるか。つま り所定が8時から17時だった場合に、短縮して12時から18時ということがあっても よいのかどうかということです。もう一つとして始業時刻、終業時刻の繰上げで行わな くてはいけないということとを最低基準として盛り込む必要があるかどうかということ です。 ○林分科会長  遠藤委員。 ○遠藤委員  まず、所定労働時間の範囲内とするべきかということにつきましては、当然のことな がら従前の労働契約があるわけですから、まず所定労働時間帯はどうなるのかというと ころが当然あるかと思います。ただ、短時間労働をするといった対応の中で、それを多 少なりともずらすといったことで労働者の方々の合意も得られるという状況があるとす れば、それは労働時間帯を変えるといった形でより柔軟に働いてもらうということが現 実問題として必要になってくると思います。 ○林分科会長  斉藤千秋委員。 ○斉藤千秋委員  そうなると、企業側の管理が非常に煩雑になるのではないかと思いまして、所定労働 時間内で短時間をとるというのが一般的に考えると普通なのかなという気がします。た だ、企業によってフレックスを併用してそこにフレキシビリティをもたせることをかま すのであれば、こういうことができるのかなという気がするのですが、短時間勤務だけ を導入するのに時間外があると、例えばそこの時間外労働の考え方をどうするかとか、 結局全体をずらして働くシフト勤務のような短時間シフト勤務。 ○奥山委員  契約上の個別化。特約という意味ですから、時間外労働ではないのです。短縮の枠を どこで決めるのか。所定労働時間の枠の中で短縮をするか。所定を超えて短縮か。所定 を超える場合には個々の労働者との間の特約です。それがよいのかどうか。 ○斉藤千秋委員  そうなると、今までの流れから、できるだけ企業側には負担をかけないようにという ところからすると、そういう必要性はないのかなという感じはするのです。 ○林分科会長  遠藤委員。 ○遠藤委員  お気遣いいただきありがとうございます。負担になるような時間の変更はそもそも提 案する段階でこちら側から申し入れないということがあると思います。それで先ほどか ら出ていますように、いわゆるシフト勤務をやっているような流通の方の話等を伺いま すと、時間の長さによって、この長さの場合については何時から何時までといったよう な形で年間でお決めになっているという実情もあるようです。そうであるのだとすれば、 前回も申し上げましたように9時から17時という部分について、それが6時間という 短時間になるのであれば、12時から始まって18時までに変える。もちろん前提として、 労働者の合意もいただいてということになると思いますが、そういう形での対応という ことが労働者の方にとっても働きやすいということであるのならば、そういうことを法 律で駄目だと縛る必要はないのではないかということを申し上げたまでです。 ○林分科会長  斉藤千秋委員。 ○斉藤千秋委員  労働者の合意をどのようにとっていくのかというと、労使協定があってこういう働き 方ができますといって個々の労働者にあなたの勤務時間帯は12時から18時までですと いう形で個別契約を結んでいくというやり方をされるということを想定されているのか。 短時間勤務で働く場合の時間帯として12時から18時の時間帯設定を労使協定を結んで、 その働き方を労働者が選択するということを想定されているのか。そこのイメージがわ からないのです。基本的に所定労働時間の範囲内だと思っていたので、そもそもこの質 問がどういう意味かわからなかったので。今、それはわかったのですが、そこをどのよ うに考えられているのかが、もし事務局の方でもあるのであれば。 ○林分科会長  今日皆さまが論点として認識したという点があると思いますので、この議論は次回に 続けるということにして、大分予定時間も過ぎていますので、今の議論、それから以下 の議論、所定外の議論も含めまして次回にまた議論を続けたいと思います。  次回は「たたき台」について本日の議論を踏まえまして、事務局において公益委員の 方と相談しながら分科会としての報告の素案を準備し、次回の分科会に用意してもらう こととしたいと思います。よろしいでしょうか。それでは素案をまとめるに当たりまし ては、少し今の未了になった議論も少し審議会以外でご意見も伺いながら意見をまとめ ることになると思います。それではそのように進めます。  本日の署名委員は齊藤惠子委員と遠藤委員にお願いします。次回の日程については追 って連絡とします。本日は皆さまお忙しい中ありがとうございました。 <照会先> 厚生労働省雇用均等・児童家庭局 職業家庭両立課企画係 〒100-8916 東京都千代田区霞が関1−2−2 電話(代表)03−5253−1111(内線7856)