08/11/27 第46回社会保障審議会障害者部会議事録 第46回社会保障審議会障害者部会議事録  日  時:平成20年11月27日(木)10:00〜12:45  場  所:虎ノ門パストラル1階 鳳凰東  出席委員:潮谷部会長、高橋部会長代理、嵐谷委員、井伊委員、伊藤委員、       岩谷委員、川崎委員、大濱委員、君塚委員、小板委員、佐藤委員、       副島委員、長尾委員、野沢委員、広田委員、星野委員、宮崎委員、       山岡委員、小澤委員、浜井委員、       尾上参考人、林参考人、久松参考人 ○潮谷部会長  皆様おはようございます。  定刻になりましたので始めさせていただこうと思いますが、まだ出席予定でいらっしゃ る委員の方々で会場に届いていらっしゃらない方もおいででございますけれども、定刻で ございますので始めさせていただきます。  議事に入ります前に、事務局のほうから委員の出席状況、資料の確認等をお願いいたし ます。 ○蒲原企画課長  それでは、おはようございます。  最初に委員の皆さん方の出欠状況でございます。本日十数名の方がご欠席ということで ございます。欠席の委員の方々でございますが、安藤委員、梅田委員、北岡委員、坂本委 員、櫻井委員、新保委員、竹下委員、堂本委員、仲野委員、福島委員、三上委員、箕輪委 員、生川委員、以上の先生方から都合によりご欠席という連絡をいただいております。 それから、数名の委員の方々が遅れるということでございます。  なお、安藤委員の代理といたしまして、全日本ろうあ連盟法人本部事務所長の久松参考 人がご出席でございます。また、坂本委員の代理といたしまして、東松山市健康福祉部長 の林参考人がご出席でございます。また、新保委員の代理といたしまして、全国精神障害 者社会復帰施設協議会の尾上参考人が出席の予定でございます。少し遅れて出席というこ とでございます。  続きまして、本日の資料の確認をさせていただきます。  お手元の資料で、すみませんが、議事次第を1枚とってもらいますと資料がついてござ います。本日の資料は、前回配布させていただいたものと同様ということにしております。 1つが、これまでの議論の整理(案)、右肩の資料番号で言うと資料1でございます。続 いて、資料2として、今の資料の別添資料ということで、この2つが本体資料ということ になってございます。  また、本日は大濱委員より新しく資料の提出をいただいております。また、前回数名の 委員の方々から資料の提出をいただいておりました、君塚委員、小板委員、星野委員から の資料でございますけれども、これも今回お手元のほうに配布いたしております。星野委 員の資料、小板委員の資料、君塚委員の資料ということで、最後に先ほど申しました大濱 委員の資料がついてございます。  以上でございます。お手元をご確認ください。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  これまでは鈴木企画官のご説明の中でまず全体が始まっていくということでございまし たけれども、前回説明が終わっておりますので、すぐ論議に入りたいと考えております。 基本的には障害者の範囲、それから利用者負担、こういうことについて、個別論点につい てご議論をいただきたいというふうに思っております。  今回も前回と同じように、前半、後半に分けて議論を進めさせていただこうと考えてお ります。前半は、資料1の23ページ、障害者の範囲から、27ページ、利用者負担について ご意見をいただきたいと思います。なお、前回のところの中で、どうしても自分は時間切 れのために言い残したことがあるという方もおいでかと思いますので、そういう方の場合 にはご意見を出していただいても構いませんので、どうぞよろしくお願いいたします。  また、後半は資料1の29ページの個別論点から、最後のページの介護保険制度との関係 についてご意見をいただきたいと考えております。  それでは、前半の議論を始めさせていただきます。どなたからでも結構でございますの で、よろしくお願いいたします。  伊藤委員。 ○伊藤委員  おはようございます。  今、部会長から話がありまして、積み残しのところからお話をさせていただきたいと存 じます。まず、9ページのショートステイの充実、加えて医療的なケアが行われるサービ スの充実というところについて意見を述べさせていただきたいと思います。  ご承知のとおり、ショートステイの事業というのは障害者の地域生活の大きなバックア ップになっておるわけでございますが、緊急的な対応あるいは利用者のニーズに応じた柔 軟な利用形態の実現の視点から、日中と夜間を分離した体系としていただきたいと思いま す。障害者支援施設を利用される方は、昼と夜、それぞれ生活介護等の日中活動事業と施 設入所支援でサービスを受けているのが現状ですが、ショートステイは昼夜を一体的に考 える仕組みとなっており、そこにすっきりとフィットしていない。そのため、昼と夜を分 離した体系にしてはどうかと思います。そして併せて、それに合わせた適切な基準と報酬 の設定というのが望ましいのではないかと、かように思っております。  あと一つ、医療的なケアが行えるサービスの充実というところでございます。この医療 的なケアというのは非常に難しい問題かと思うのでございますが、いずれにしても、現場 では医療的なケアを必要としながらも、病院だけではなく施設という「生活の場」での暮 らしを求めて、生活を望んでいる方がたくさんいらっしゃいます。そういった意味で、医 療的ケアの充実のために、きちんと医師との連携を促進するとともに、看護師の配置等を 含めた重度の障害者への支援体制をしっかり実現していく必要があるのではないかと考え ております。これもショートステイと同じように、基準と報酬の検討を併せてお願いした いと、かように思います。  以上でございます。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  今の伊藤委員のご発言に対して、皆様方の中で何かほかにございませんでしょうか。非 常に観点としては新しい観点から出されていると思いますので、委員の方々の中でもし何 かございますならば、出していただきたいと思います。  つまり、デイケアということとナイトケアという、これを分けたほうがいいというよう なことですね。それともう一つはショートケアという。 ○伊藤委員  今大きな問題になっているのは、ショートステイの報酬の問題です。昼夜を包括的に評 価しているため、日中活動を利用した場合、重複した給付となるとの整理がされており、 柔軟に活用することができない状況になっています。また、1日あたりの報酬単価が、例 えば生活介護サービス費+施設入所支援サービス費の額に比べて非常に低い設定となって います。おおよそ2分の1程度です。障害者自立支援法の理念の一つである地域での生活 をバックアップしていくためにはきちんとした整理が必要であると思います。  また、ショートステイ利用者へのサービス提供については、施設入所を利用している方 とは異なった難しさがあります。それは、ショートステイというのは、思いのほかリスク が高いということです。入所利用の方はそこで生活されているわけですので一定期間のア セスメントが十分にできます。つまり、心身の状況や日々の過ごし方の把握というのは的 確にできるのですが、ショートステイの方というのは例えば、その日来て、夜の徘徊や夜 泣き、あるいは、ご家族から持ってきていただいた薬がどのようなもので、どう飲ませた らいいのか等、十分なアセスメントをする時間的な余裕もなく本当に難しい問題もある。 結論的に言うと、場合によっては入所利用の方よりも支援がより難しい場合があるという 点を十分にご理解いただきたいと思います。  あと一つは、サービス提供を昼夜に分離するという国が示されたサービス体系の考え方 についてですが今、部会長が言われたように、ナイトケアとデイケアにサービスが整理さ れているのが現行の仕組みである訳です。その考え方がショートステイでは導入されてい ない。ショートステイについても、ショートステイ事業を実施している障害者支援施設に おけるサービスと同様に、昼夜を切り分けることによって考え方が整理されるのではない だろうか、すっきりするのではないだろうかと思います。場合によっては夜だけの利用と いうこともあると思います。そうすれば、利用する方も選択肢が広がります国の考えも少 し伺えればと思いますが、いかがでしょうか。 ○潮谷部会長  国側で。 ○藤井障害福祉課長  その辺りのご意見は、しばらく前にもちょっといただいたようなことがあったと思いま すけれども、何か工夫ができないか、これから報酬改定を検討していく中で考えていきた いというふうに思います。 ○潮谷部会長  ほかにございませんでしょうか。  長尾委員。 ○長尾委員  今ちょうどショートステイの件が出ましたので、それについてちょっと、精神の場合の ショートステイというのは、今までほとんどが従来の生活訓練施設、いわゆる援護寮で見 られていた部分がほとんどだったと思うんです。やはりある部分、生活訓練施設はそれな りの人員配置とかそういったもので保たれている部分がありますし、夜は職員はおりませ んけれども、割と遅くまで関わっているというような形で、案外、昼夜一体型の形で見て いるという、近くであれば病院からの援助であるとか、夜の見回りであるとか、様々なも のをしながらやっているところが結構多いと思います。  ある部分、精神で言えばそういう昼夜一体型という形の部分が私はやっぱり必要だと思 いますし、前回も述べさせてもらったような生活訓練施設のような部分がやはり昼夜一体 型としてあって、次のグループホームなりに移っていくというようなシステムも、これは 非常にこれまで果たしていた部分がありますので、そういう部分も勘案するべきではない かということ。  それから、今回ショートステイについては、恐らくグループホームとかケアホームとか、 空きがあったところと単独型という話も出ていますけれども、もう一つ言えば、居住部分 で、近くで何らかのサポートがあればできるということで、今、地域生活支援事業に位置 づけてある福祉ホームですね、これなんかもこのショートステイの対象にはなっていませ んけれども、空きがあった場合にはそこも使えるようなシステムというものも入れるべき ではないかというような、やはりいろいろなバリエーションを持ってショートステイとい うのはあるべきだと思いますし、精神の場合には、入院までは至らないけれども、ショー トステイである程度カバーできるという人も結構あるわけなので、そういう部分をやはり できるだけ充実していただきたいと思います。 ○潮谷部会長  ありがとうございます。  広田委員。 ○広田委員  私も今の長尾先生のところと一部同じ意見で、精神の場合ですけれども、ショートステ イの期間にもよりますけれども、例えばそれが1人で単身で住むための宿泊訓練のような 形のショートステイという言い方もあるんですけれど、そういう場合には昼間どこかへ出 かける。それから、そうじゃなくて、本当に疲れて、休息入院ではないんだけれども、福 祉を使ってショートステイという場合には、昼間どこかに行くのではなくて、ショートス テイの場所で休息しているということも大事で、コンシューマーの側から言わせていただ くと、いわゆる事業者が、昼と夜にどこかに出かけてもらったほうが事業者の側でお金が もうかるというふうにならないような感じがいいと思います。本人が選べる。昼どこかへ 行くのか、または行かないでそこで過ごすことのほうが自分らしさを保てるということで、 あくまでも本人の気持ちに沿ってというふうに精神の場合は思います。 ○潮谷部会長  ありがとうございます。  それでは大濱委員、そして小板委員。 ○大濱委員  ショートステイも含め、ケアホーム、グループホーム等についてですが、今、広田委員 のほうから話があったように、やはりこれは本人の意向を踏まえることが非常に重要だと 私たちは思っています。  今日提出した資料の2ページ目にケアホームの対象拡大ということで書かせていただい ていますが、本人の意向に沿わなくてもショートステイに入りなさいというような話が現 場では結構出てきています。ショートステイに入りたくないよと言いながらも、この期間 はショートステイに入りなさいとか、そういう誘導、強要が市区町村から今現在あり、私 どものほうにクレームが来ています。  ですから、これの3ページ目の最後に矢印で書いてありますように、きちんとケアホー ムとグループホームの身体障害者の拡大に当たっては、本人の意向に反して市町村が、シ ョートステイ等も含めて、事実上、強要することが起こらないような仕組みを国は特に注 目して監視すべきであると。本人の意向に反して特定の生活様式に強要されることがない ことをきちんと法律に明記すべきではないかということまで私たちは考えています。特に 障害者権利条約19条は、障害者が、他の者と平等に、居住地を選択し、及びどこでだれと 生活するかを選択する機会を有すること並びに特定の居住施設で生活する義務を負わない と規定しています。要するに障害者が自由にどこでも住める、本人の意向を尊重するとい うことが非常に重要ですし、これは今後、権利条約の19条とも関連してくると思いますの で、やはりきちんとこれは法律に明記していただきたいということを申し上げておきたい と思います。 ○潮谷部会長  ありがとうございます。  それでは、小板委員。 ○小板委員  知的の場合には、精神のほうの考え方とほぼ似ているわけなんですけれども、実際には 入所施設は今、ショートステイとかいろんなことはたくさんやっているわけですね。当然 のことながら、それはやっていかなきゃいけないだろうというふうに思っているわけです。  ただ、今回の、昼夜を分離するという問題があるんですけれども、これについても現実 に知的障害の関係の入所施設については、当初の目標とは違っていて、重度棟というのが 実は入ったわけですね。それによってどんどん重い人たちにお入りいただいたという実態 があって、だんだんそれが閉鎖的になっていったというご批判を受けているわけなんです けれども、実際に、一昨日、全国の会長会議をやったんですけれども、そのときにも出て いまして、かなり医療的な部分だとか、それから、例えば転がってしまうと骨折をしてし まうというようなことで、館内にじゅうたんを敷かなければいけないとか、そういった人 たちもたくさん見えるわけですね。それから、そういう人たちのケアというのは当然必要 になってくるわけですし、だんだん一生のうちにはそういう事態に来るということで、そ ういうところが増えてきているということなんです。  実際にこの部分で、我々としては、本当に自立支援法なのか、今の議論の中でこのこと が全然議論されていないじゃないかという指摘があったわけなんです。ですから、やはり 昼夜ということについては、我々としては、できれば食住分離というやり方、こういう形 の中身というのは必要なのではないかなというふうにも思います。生活そのものをほかの ところへ移していくということ。もちろん昼夜一体型が必要なところもあるだろうと思う ので、その辺も考えていただきたいというふうに思います。  実はその中で、例えば法律の関係でいけば、介護という字が余りにも大き過ぎるという こと、これをやっぱりきちっと支援に直していただきたいような議論も本当は必要なので はないかなと。また、自立支援給付ということであるんですけれども、介護給付と訓練等 給付という形に分かれていることによって、かなり様々な議論が煩雑になってきているこ とがあるだろうというふうにも思います。  PTのほうの報告書の中には、分かりやすい簡素化ということがあるわけですよね。も う一つは、入所施設の人たちについては生活介護、これは障害程度区分を経ることによっ て、そこに入っていってしまうということになるわけですけれども、これも11の事業種別 になって、平均障害程度区分によって分離されていくという状態があると。現実的には 5.3ぐらいの障害程度区分の平均が出てくると、そこに例えば3の人が一人入ることによ って、報酬単価というのはどんと減ってしまうという状況があったり何かしていまして、 なかなかそう簡単には移行できないぞというようなことが出てきていますので、この辺の ところも一体的に簡素化していただきたいというふうに思っております。  それからもう一つは、入所施設というのはかなり閉鎖的だと言われてきているんですけ れども、実際には通所のところを併設しているところとか、あるいは具体的に地域移行の 支援をしているところというのは、かなり情報公開といいますか、そういうことはどんど ん起きてきているわけです。なぜかというと、通所の人たちは施設の中であったことを全 て家に帰って話をするということになってきますから、当然のことながら、それは透明性 が確保されていくということになるわけでして、やはり入所施設そのものが変わっていく というのは、そういった地域支援の事業をたくさんやることではないかと、またそういう やれるような方策をきちっとつくっていくべきじゃないかというふうに考えております。  したがって、私どもが体系の一覧のものを出しておると思いますので、参考にしながら、 よろしくお願いしたいというふうに思います。  以上です。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  今それぞれのお立場の中から、ショートステイの報酬も含めて、利用者中心という観点 の中でぜひ考えていただきたいということでございますので、ぜひよろしくお願いしたい と思います。  できましたら、今日は予定されているところにたどり着きたいと思いますので、もしよ ろしければ23ページ以降のところでご意見をちょうだいしたいと思いますが。  君塚委員。 ○君塚委員  私どもの施設では、18歳以下の重症心身障害児のショートステイをやっております。利 用延べ人数が400名を超えているんですけれども、医療的ケアが必要な重症心身障害児は どうしても断らざるを得ない状況というのがあって、いわゆる検討会のほうでもこの点に ついては議論されているんですけれども、改めてそういう重症心身障害児を受け入れるた めの医療スタッフが足りないという、看護師さん、ドクターが足りないということで、大 変な重たいお子さんたちというのが、例えば1人同じ部屋に看護師さんがずっといたんで すけれども、呼吸が一時的に停止してしまったということで、今裁判になっています。何 千万円もの補償を求められているということがありまして、東京都を初め全体で、医療的 ケアを要する重症心身障害児のショートステイがなかなかできなくて問題になっていると 思います。そういうところでは、少しでもほかの医療的なケアというところも含めまして、 医療スタッフへの加算のようなものを考えていただけたらありがたいと思っています。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  もうございませんでしょうか。  星野委員、ショートステイに関してですか、じゃないですね。  それでは、副島委員、お願いいたします。 ○副島委員  今日の予定のところの一つ手前の所得保障のところを、ちょっとすみません、つけ加え させてください。  所得保障について、ちょうど昨日も中央施策推進協議会があったので、首相の目の前で 言ったんですけれども、余り耳に入っておられないと思うのでここで再度確認したいと思 います。所得保障というのが一番、我々利用者にとっては大事なことだと思うんです。今 回の内容を見てみますと、障害基礎年金の問題、それから特別障害者手当の問題、この対 象者の拡大、それと住宅の問題については、すごく後退した中身ではなかろうかと思うん です。特に住宅というのは、地域生活へ移行するためには、住む場を獲得できなかったら、 なかなかそこへ進まないんです。  障害の方あるだけじゃなくて、高齢者とか母子世帯のところまで拡大するということよ りも、今回は特別に障害者特性として、例えば地域移行推進手当みたいな形に名前を変え て、住宅に対する手当をするべきではないかと思います。その点を吟味していただきたい と思います。  それから、今日の内容ですけれど、利用者負担のところです。地域で生活していくとき に、この利用者負担というのが、所得保障が確立されていないままにこの負担がなされた ことによって、我々利用者は負担をしたいけれどもお金がない。こういう問題により、所 得保障とはすごく関係がある問題だと思っています。  そういう中で、特別対策とか緊急措置が講じられまして、何とか少しは息継ぎができた というふうには思っているんです。しかし、今後ともこの問題に対しては継続した取組が 必要だと思います。まずは今の軽減策について、これはどうしても平成21年度4月以降に ついても継続、少なくとも今の軽減策は継続していただきたい。それから2つ目に、所得 に応じた軽減措置を強化してもらいたい。それと3つ目が、上限設定のところで、これも 今回は合算の取組のところで、補装具までは合算しやすいけれども、医療のところはなか なか合算しにくいというような説明が加えられております。我々としては補装具も医療も 含めて段階的に、最終的にはそこまでを含めて合算した上限設定をしていただきたい。  それから、前のときのこの議題のときにお話ししたんですけれど、親が子どものために、 親亡き後のために蓄えた預貯金関係が資産要件によって本人の利用負担に加えられ、結局、 資産があるために減免措置がもらえない。親にとっては子どものために残してあげたい財 産ということですから、資産要件は撤廃すべきです。また扶養共済保険の給付金が、入所 施設利用者にとっては、手元に残らないんです。在宅の人たちには残っております。入所 施設を利用する方にとっても扶養共済保険の給付金は手元に残していただきたい。  それからもう一つは、医療のところで、育成医療についてです。これは親の収入によっ て負担が決まっておりますので、どうしても親の負担感というのは大きいです。ここにつ いても負担軽減策をとるべきではないかと思いますので、いろんな角度から、いろんな要 素を組み合わせて、所得保障についても、利用者負担についても、少しでも軽減できるよ うに、所得のほうは増えるように、負担のところは減るようにという工夫をぜひとるべき ではないかと思います。  以上です。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  ほかに皆様、ございませんでしょうか。  川崎委員。 ○川崎委員  今のお話のとおりで、実は精神障害者の場合に、利用者負担と所得保障についてちょっ とお話しいたしますと、利用者から言われたことは、何かサービスを受けるんだから、そ れに対するお金は払うのが当然だと当事者も言っております。しかし、やはり所得保障が ない段階で、これはちょっと不合理じゃないかなという、本当に当事者の言葉です。  精神の場合には無年金の方が多いということで、やはりこの利用者負担というのは所得 保障があって成り立つものではないかということも、実は私は感じております。先ほど来 からお話ありますように、やはり家族がこれを担っているというところで、やはり当事者 所得保障ということを何とか考えていただけないかと思っております。  以上です。 ○潮谷部会長  それでは、星野委員。 ○星野委員  すみません、私今日、午後の日程調整がうまくつかなくて途中で中座させていただきま すので、お許しいただきたいと思います。  先に就労支援の話からいきたいと思います。  今回、この場は障害者自立支援法施行3年後の見直しということで、まずそこの段階で の話は、私どもも繰り返しお話をしてきましたが、就労移行が、あるいは雇用という重点 の方向は了解しながらも、しかしなかなか雇用につながらない、働きたいという障害のあ る方々がたくさんいらっしゃる。この実態については、サービスの利用者数、2月、6月 と国保連のデータでこの場でも出てきましたが、B型のニーズが高いということについて、 そこをきちんと受け止める体制づくりをしていただきたい。職員配置基準が旧法の授産施 設では7.5:1だったのが、いつの間にか10:1になってしまったというところは、大変 大きな苦しみになっております。これは繰り返し言ってきている話です。  そして今後、一つこの委員会の皆さんにもいろんな意味で力を貸していただく、知恵を 貸していただきたい話しですが、そろそろ本当に、この福祉施策を中心に障害者が働くと いう支えの視点をずっと持ち続けていいのかという議論をそろそろ始めないといけないと いうことを強く思っています。障害者権利条約27条の労働及び雇用というところから見て も、なかなかここの整合性が難しい、むしろ社会的な理解や支援を基盤にして、障害のあ る方々が安心してしっかり働くという支えの仕組みを、労基法や、あるいは雇用促進法を 含めて体系づくりをしていかないと、現状でも利用者負担の話を何度も出していますが、 労働政策の入り口で入っていくと訓練手当がもらえたり、あるいは無料で訓練が受けられ る。しかし、福祉政策の入り口から入っていくと、自立支援法で原則1割という負担が生 じる。  やはりどうしてもおかしい。こういった意味も含めて、それから今、ILOの動きの中 で、ディーセントワークという言葉が今非常に強くなってきました。本当に働くことによ って充実した、そして喜びのある生活につながっていく働き方が大切だと国際的にも強く 出てきたわけですから、今後この障害者の働く支援ということについての視点をぜひ共有 して持って、新しい歩みを強くつくっていきたいと思っております。  それから、時間がない中申しわけないんですが、厚生労働省の事務局の方に、日払いの 話にちょっと戻しますが、30ページを見ましても、日払いの方式の議論がこれまでありま した。その中で、この委員会の中の委員の方から、日払いによってどれほどサービス選択 による利用者が増えたのか、そのデータが欲しいという話が前ありましたが、このことに ついて、その後どういうふうになったのかを一つお聞きしたい。  それから、次に31ページ、32ページ辺りのところで、新体系への移行、入所施設につい ての話が出ております。障害者支援施設について、31ページのところでは、日中活動とし て就労継続支援事業を併せて行うことができないこととされているが、なるべく地域で生 活して働くことを促進していくという障害者自立支援法の趣旨を踏まえつつ、どのように 考えるかというようになっています。  この件について私どもは、これも繰り返し言っていますが、働きたいと思っても、今の 段階では実生活につながらない、なかなか難しいという人もたくさんいらっしゃいます。 新規の利用者であっても、なかなか地域生活支援策が十分ではありませんので、そういっ たことを踏まえて、我々入所施設の生活環境をどうするかという改善はもちろん向かいな がら、障害者支援施設が行うことのできるサービスというところに就労継続支援事業の位 置づけを含めていただきたいと強く要望します。  そして、その下にもう一つ書いてあります。平成18年の新法施行前から旧法に基づく入 所授産施設に入所している者については、平成24年3月末までは施設入所支援と就労継続 支援を組み合わせて利用することが可能とされている。経過措置期間が終わる24年4月以 降についても同様の扱いとすべきと示されています、正直ここまで来ますと、18年10月前 にいたとか、あるいはその後からとかということが、この計画期間を延長したりする中で もなかなか整理できないんですね。希望者はもちろんそういう形で希望してこられるわけ ですし、ここについても新法施行後に旧法の入所授産施設に入所した方、この方々も同様 の取り扱いにぜひしていただきたいというように思っております。  働く支援策は、権利条約でもその選択肢の広がりということをしっかりと、権利保護も 含めて、もちろんそれを担保しながらですが、強化していかなければいけないということ が前提で、そして今の状況をきちんと押さえながら先に向かっていくという歩みをぜひ皆 さんでつくり上げていきたいというように思いますので、よろしくお願いいたします。  以上です。 ○潮谷部会長  星野委員、中座されるということで、後段のところの部分も含めてご意見ございました が、皆様方の中で、できましたらこれまでと、それから前半のところでご意見をちょうだ いいただければと思います。よろしくお願いいたします。 ○星野委員  すみません、データの話ですね、日払いによってサービス選択の利用が増えたか、増え なかったか、このデータのことについてはちょっと確認したいと思います。 ○潮谷部会長  失礼いたしました。  藤井課長のほうから、よろしゅうございますか。 ○藤井障害福祉課長  申しわけございません。ちょっとなかなか、何がしかお出しできるようなデータを整理 すべく努力をしておりますが、もう少し時間をいただければありがたいというふうに思い ます。何とか次回、12月3日のときには何とか出せるように努力させていただきます。 ○潮谷部会長  企画課長、何か。 ○蒲原企画課長  同じです。この場での審議もだんだんまとめに向けてというか、そういう時期になって きておりますので、我々、今実はいろんな統計の整理の作業をやっている関係があって、 今日は間に合わなかったので、次に向けて必ず出せるように努力したいと思っています。 ○潮谷部会長  星野委員、よろしゅうございますでしょうか。  それでは岩谷委員、そして嵐谷委員。 ○岩谷委員  障害者の範囲のことです。  23ページのところに障害者の定義と手帳制度についての論点がございますけれども、障 害者の定義は、身体障害者福祉法ではかなりはっきりとしておりますけれども、その判定 基準が時代に合わなくなってきているということがございます。この辺もぜひ何らかの形 で見直していく必要があろうかと思います。  それは、15条指定医、つまり障害判定意見書を書く医師の側からもいろいろな意見が寄 せられております。判定医師の判定のレベルがそろわないと申しましょうか、地域差があ ることも事実でございます。  もう一つ、自立支援法からみますと、3障害の認定基準が必ずしも一致しないというと ころが、問題になるのではないかと思いますので、ぜひその辺は、もう一つ高い見地から 議論を始めていただきたいということでございます。  手帳制度につきましては、手帳の交付により受けられるサービスは、自立支援法以外の 制度によるサービスが極めて大きく、その仕組みは複雑になっております。したがって、 周辺の制度を考慮することなく、手帳制度を廃止したら、例えば雇用率制度などはひっく り返ってしまいますし、非常に混乱するのではないかと思います。手帳の所持により税金 の減免、JRの運賃減免などが受けられるなど、極めて複雑な構造となっています。これ らのことにつきまして、この場で手帳制度をどうするということはとても難しいように思 いますので、ぜひその先の議論を、障害者施策ということだけではなくて、もう一つ広い 立場で議論を始めていただきたいということでございます。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  ほかにございませんでしょうか。  嵐谷委員。 ○嵐谷委員  どうも、嵐谷です。  今の岩谷委員のちょうど反対のような発言になるかと思いますが、手帳制度そのものは、 なければ我々身体障害者は、特に今おっしゃるような福祉サービス以外のサービスという んですか、割引等々には非常に困るというところで、手帳そのものは現状で置いていただ きたい。もちろんなければ、行政でも大変混雑をするであろうと。それから、自立支援法 のところへ行けば、一応、障害者という一つの定義があるので、じゃ、それをどう判断す るかということが、手帳があって初めて障害者という判断ができると私は思っております。  もちろん23ページの一番上に考え方として入っておりますが、いわゆる定義の中で、加 齢による障害者が増えるということが自立支援法の意味とちょっと異なるようなところが あるので、先ほど申し上げた手帳制度そのものも、一応、加齢によるところは今後考えて いただきたい、そのように思います。そうしないと、何か加齢によれば、介護保険のほう で当初、統合という話が出たのがその辺りからかなと私は判断しておりますが、その点は よく分かりません。  それと、手帳が現状に合わないというふうな話もありますが、とりあえず今の状況でや っていただきたい。そして権利条約との整合性もあるので、今後、厚労省としていかにお 考えになるのか、やっぱりはっきりとしていただかないと、この問題は恐らくごちゃごち ゃになってしまって、結論が出ないというふうにも思いますので、その点は厚労省でしっ かりとした指針というんですか、出していただきたい、そのように思います。 ○潮谷部会長  ありがとうございます。 ○岩谷委員  嵐谷委員は、私が手帳制度そのものについてアゲインストであるようにおっしゃられた のですけれども、私は決してそんなことを申し上げているわけではございません。手帳制 度そのものが、身体障害者福祉法の範囲だけでは動けないということになっていることを ご理解いただきたいわけです。  それから、国際的に見ますと、このような手帳制度を持っている国は日本のほか極めて 少なく、たしかドイツとフランスが最近になってつくったと思いますが、極めて特徴ある 制度であります。私は手帳制度に反対と言っていることは決してございません。 ○嵐谷委員  了解しました。 ○潮谷部会長  了解だそうでございます。  手帳制度、その辺りについてですか。  林参考人。 ○林参考人  手帳制度について今、ご議論になっているわけですけれども、行政の立場からちょっと ご意見を申し上げさせていただければと思います。  身体障害者のほうの別表に該当するというのが確認できれば要らないのではないかとい うようなご議論があるやに聞いておりますが、実際に市町村の窓口でその基準に該当する かどうかといった判定業務といったものができるのかというと、甚だ疑問であるわけです。 単に事務手続が煩雑になるということだけではなくて、公平な判定業務ができるのかとい うことになってくるわけですので、この手帳の要件といったものを、いろいろなサービス を使う場合にも忘れるべきではないというふうに考えているわけです。  また、さらにちょっと乱暴な言い方になると思うんですけれども、知的障害者あるいは 精神障害者についても、身体障害と同様に、全国基準による手帳交付といったものがされ るというのが市町村については望ましいのではないかなというふうに考えています。とい いますのは、市町村窓口でのサービス利用の手続が公平に行われるということが考えられ るわけですけれども、現在、療育手帳等について、各都道府県によって基準が定められて いると。基準に違いが多少あるということでございますが、住所移転をされますと、また 改めて取り直しをするといった手間がかかってしまうという、そういったことも生じてい るということもございます。  そういうことから、現在の手帳制度については引き続き存続していただければなという ような意見でございます。 ○潮谷部会長  ほかに。  嵐谷委員。 ○嵐谷委員  すみません、障害者のことですけれども、難病をどうするかというところでちょっと発 言を忘れましたので。  やはりこれは自立支援法の中では、難病ということは、ちょっと私、個人的に申し上げ て悪いかもしれないけれども、ちょっとなじまないような感じがいたします。だから、こ れは前の、一応難病ということで、医療のみの対象という判断を私はしておりますが、こ こらもやはりきちっと事務局というんですか、厚労省のほうですみ分けをしていただく必 要があるのではないかなというふうに思いますので、どうかよろしくお願いいたします。 ○潮谷部会長  ほかにございませんか。  小澤委員。 ○小澤委員  小澤です。  私は岩谷先生の意見に賛成でして、ここの委員会はやっぱりそこが問題だと思うんです。 長期的にやらなければいけない見直しとしては、どう考えてもやっぱり自立支援法と、ほ かの既に先行している3つの法律と、その他、雇用促進法とかいろいろな法律との整合性 がとれないという、これが最大の難問だと思います。ただ、短期的な妥協案を検討しろと なれば、それは多分、自立支援法の既に踏まえている問題に対して、多分、谷間とか隙間 の問題にどう対応するかと。  そうすると、発達障害、高次脳、難病と3つの領域が長年その課題として浮かび上がっ ていると。その場合に、発達障害と高次脳に関してはある程度、対象拡大で対処できるの ではないかと。にもかかわらず、今難病のお話が出ましたけれども、難病の問題というの は、基本的には難病自体は確かに診断名とか病名ですから医療なんですけれども、ただ、 現実に難病福祉という歩みを見ていくと、難病から派生してくる様々な支障が現実に存在 しているし、また身体障害者手帳になじまないという問題も一方で存在しているわけです。  だから、その問題を踏まえると、やっぱり難病福祉という歩みは無視できないと。そう 考えると、難病問題に今度着手し始めると、これはやっぱりどう考えても総合的な支援の 方策を考えないと解決策が出てこないと、こうなってくるんです。だから、非常に何か短 期的な妥協策を探っているようだけれども、やっぱり長期的な問題に入り込んでいくとい う構造になっているんです。  だから、私はどこがこの審議の当面当座の目標かという話と最終的なゴールかというの で、やっぱりそこの合意がとれないと、なかなか議論も見えにくいかなと思っています。  以上です。 ○潮谷部会長  ちょっと少し座長の立場で整理させていただきたいと思います。  当初、岩谷委員のほうからは、ただ今出ていたような論点については、やはり専門的な 領域の中で少し掘り下げていって、手帳を従来からあった形と、新たに付加していく部分 をどのように考えていくのか、これを別立てのところで論議したほうがいいんじゃないか ということでございましたし、嵐谷委員のほうでは、今それぞれ委員の皆様方から出てい るご意見について、事務局側で少しきちっと整理をするというような形をおとりいただき たいというようなことでございますので、ぜひ皆様、忌憚のないご意見をまずはしっかり 出していただいて、この部会の中で出てきたことを踏まえて、事務局のほうでも整理をし ていただきたいと、そのように思っております。  また、小澤委員からございましたように、非常に抜本的に関わりを持ってくる政策的な 論議、あるいは制度間の問題、こういったことが一方で大きくございますので、その辺の 問題についても事務局側でどんな方向性を出してくるのか、こういったことも整理をしな ければならないと思います。  まずは皆様、様々なお立場の中でご意見を自由に出していただきたいと思いますので、 よろしくお願いいたします。  大濱委員。 ○大濱委員  今回の法改正に当たって、まずどういう対応で行くかということについて、権利条約と いう問題が今後の検討課題に上っているわけですが、抜本的改正の中で権利条約との整合 性をきちっと図っていくような方向なのか、それとも、先ほど小澤委員のほうから話があ ったように、今回は自立支援法の当面の改革ということで、権利条約は全く視野に入れな い方向でやるのか、それによって今回の改正の整理の仕方が相当変わってくると思ってい ます。  それで、権利条約との整合性を図るということですと、今日出させていただいたペーパ ーの4ページ目に、障害の範囲が権利条約1条で書かれていて、そこでは、長期的な身体 的、精神的、知的または感覚的な障害を有する者であって、様々な障壁との相互作用によ り他の者と平等に社会に完全かつ効果的に参加することを妨げられることのあるものを含 むと規定されています。要するにかなり長期的なインペアメント、疾病等を前提としなが らも、それが断続的なのか継続的なのかということを超えて、むしろ社会モデルを基調と して語られると。これが権利条約の基本的な考えなのです。  そうなりますと、難病等も当然この範疇に入ってくるという形になりますので、手帳と の整合性という問題も一つありますが、この法改正に当たって、ある程度権利条約との整 合性を持たせてきちんと見直すのかどうかというのは、かなり大きな問題点だと思います。  それで、第42回の説明のとき、蒲原課長のほうから、疾病等を含むと相当な範囲の病気 の人はみんな自立支援法のサービスを受ける形になるというような話もありました。です が、そうではなくて、この人には長期的にも社会モデル的にも必要だというような医師の 診断書によって判断する等、何らかの救済策を考えるかどうかという考えもあると思いま す。やはりこれは権利条約との関係で法改正をしていくかどうかという視点だと思ってい ますので、そのあたりの整理を、この部会としてどうするのかということと同時に、厚生 労働省側として権利条約との整合性を図りながらきちっと進めていくのかどうかという視 点に立って、少しまとめていただきたいと思っています。 ○潮谷部会長  これまでも再三にわたってこの部会で権利条約との関係をどのように扱うかということ は、座長としても発言し、企画課長としても発言をしてまいったところでございますけれ ども、再度、皆様方にここで明確に企画課長のほうからお伝え願えればというふうに思い ます。 ○蒲原企画課長  こういうふうなことで考えていければと思っています。  権利条約自体はいろんな幅広いことが入っていまして、これは福祉の関係もあれば、教 育もあれば、労働もあるということで、権利条約そのものとの関係について言うと、今、 関係各省が自分のところの法律との関係でどうなっているかということを外務省と整理し て、今度は外務省が条約なり法律との整合性をチェックする専門の機関と相談するという ことになっています。  その意味で言うと、権利条約と国内法一般との全体の関係ということについては、それ はもう一つ別のところできちっとやっていくことだと思います。ただ、一つ一つの今回の 検討項目がそれぞれあって、例えば今の話で言えば、障害者の定期の話がありました。場 合によっては、これまでの議論でいけば、利用することについての条件、あるいは先ほど 出ましたけれども、地域で暮らすといったところ、そういうところの個々の検討項目との 関係で、権利条約のこの条項とどうなんだというところは一つあると思います。そこにつ いては我々、一つ一つ答えていきたいなと思っています。  例えば今の範囲のところについて申しますと、これは権利条約で、実は今、定義という ふうに大濱委員はおっしゃいましたけれども、目的条項として実は権利条約に入っている んですね、そこは。それで、権利条約の目的条項として入っていて、各国における国内法 の定義については、そこは各国でそれぞれ整理をするという整理に今なっているというこ とでございます。  その意味で言うと、権利条約の条文はあるんですけれども、これ自体が即、何か国のと ころということにはならないということで、今そこは外務省とそういう形で整理をしてお ります。その意味で言うと、直接、精神はあるんでしょうけれども、この自立支援法の定 義自体は国内法としてきちっと考えていくということだと思います。  その上で1点だけ追加して申し上げますと、今の条約の次の話になりますけれども、例 えば医師の判断書でという話を今おっしゃいましたけれども、多分この問題は、障害とい うのをどうとらえるかという、やっぱり何か基準がないと、医師の判断といっても、医師 が何に照らして判断するのかということを決めないといけないので、ちょっと大濱委員が おっしゃった、医師の判断で、何と照らすかというところをよくあれしないと、何か単純 に医師の診断であれば、例えば難病であったらいいというふうになるのかどうかとか、そ れはちょっとよく分からないので、そこはちょっと、先ほどの意見だけで、医師の診断書 があればいいということというのは、ちょっと簡単にはそうならないのかなというふうに 思っております。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  ただ今、事務局のほうの説明に、さらにこの部会の中で小澤委員のほうから、やはり専 門的な立場の方たちを委員として、もう一つ別のところの領域の中で、やはり政策論、あ るいは制度の横との連携、そういったものを含めて検討すべきではないかという提案もあ っておりますので、そういったことを含めて、今後とも事務局のほうで対応していただけ ればと、このように思っております。  ほかに皆様。  山岡委員。 ○山岡委員  すみません、手帳の制度と、それから障害者自立支援法の関係について、ちょっと事務 局の方にご確認をさせてください。 手帳の制度と障害者自立支援法の関係について、今 の論議の中でいきますと余りきちっと書かれていないので、どこかにうたい込んでいただ きたいなと思っているんです。手帳を保持していることが障害者自立支援法の色々なサー ビスを受ける条件になっているのか、そうではないのか、だとすると、どういうことで運 用されているのかについてちょっとお答えいただきたいと思うんですが。 ○潮谷部会長  事務局、お願いいたします。手帳とサービスの関係はどのように位置づけられているの か。 ○蒲原企画課長  自立支援法の、これは定義の書き方と完全にリンクしていまして、前の資料に入ってい るんですけれども、自立支援法上の定義は、身体障害者については身体障害者福祉法を引 いてきていると。知的障害、精神についてもそれぞれの根拠法を引いていると、こういう 構造になっています。そうすると、身体障害者のところ、これは身体障害者福祉法で手帳 を持っているということが定義の中に書いておりますので、自立支援法の定義がそこによ っているということは、手帳を持っているということが要件になっているという構造にな っています。  一方で、知的障害、精神障害のところについては、各法で定義、知的障害のところは定 義がはっきりしていなくて、精神障害のところは法律がきちっと書いているわけですけれ ども、それぞれの法律の定義によってくると。そこは厳密に言うと、そこの解釈というこ とになります。  その意味で言うと、手帳制度は別途ありますけれども、知的と精神については、もちろ ん手帳を持っていれば当たるんですけれども、手帳でなくて、別途その法律に書いている、 例えば精神の要件に合っているということで、別の方法で確認できれば、そこはそれで障 害者として自立支援法の対象者になってくると。その上で自立支援法の手続であるいろい ろな支給決定のプロセスに入っていくと、こういうことになっています。 ○潮谷部会長  山岡委員、よろしゅうございますか。 ○山岡委員  結構です。ありがとうございました。 ○潮谷部会長  ほかに皆様、ございませんでしょうか。  広田委員。 ○広田委員  今、障害児のところを見ていましたら、レスパイトケアというのが入っていまして、精 神のほうでもショートステイの話は、さっき一言言い忘れたのは、社会的入院の患者が退 院するためにもショートステイはとても大事な社会資源だと思っていますが、そういうと きに精神疾患を持ち、家族関係がぐちゃぐちゃになって、救急隊を呼んだり、警察を呼ん だりというケースがたくさんありますけれど、そういう場合に精神科救急まで行かなくて もいい場合もありますし、本人が家にとどまりたいときに、家族がどこかに一時休息でき るという、そういうふうなものもとても精神の場合は必要で、それはただ単に家族支援と いう、障害児を持つために家族が疲弊し休息するということだけではなくて、精神障害者 本人と家族の相互のために精神障害者の家族のレスパイトケアというのはとても大事だと いうことで、たくさんご家族を泊めていますが、そういうふうに痛感しています。  それと、さっきの川崎委員の、いわゆる所得の保障はもっともなことなんですけれども、 昨日の午前中たまたまテレビを見ていましたら、予算委員会で麻生総理が赤字国債を出す ということで、ああ、また若い人たちは負担を背負い込むのかなというふうなことがあり まして、それを見ておりました。  その中で、さっき副島委員がおっしゃった、いわゆる利用負担については21年までの措 置とされているが、21年4月以降についてもさらに継続して実施すべきということで、こ ういう形を、私個人的にはそう思いますけれども、昨日夜中に家に帰りましたら、ドサッ と患者の会から山ほど会報などが送られてきていて、多くの仲間が、応益負担に反対だと いうふうな文書が来ておりましたので、お伝えします。 ○潮谷部会長  ほかにございませんでしょうか。  君塚委員。 ○君塚委員  2点ほど。  まず、手帳制度で、岩谷委員からのお話に関連したことなんですけれども、私も国立障 害者リハセンターに登録されている15条指定医数万人の一人で、現場で時々、ご家族から 様々なクレームというか、どうしてこうなんだというふうな手帳の交付に関してのやりと りが時々あります。  その中で、端的には、先ほど時代に合わなくなったという点があったんですけれども、 1つは生活障害、ICFで言う背景因子との兼ね合いで、平地であれば車いすで移動でき るけれども、坂道があれば上り下りできないというような面も含めたり、あるいはちょっ と特種なんですけれども、生まれたときから痛みがまるっきりない疾患があります。その 場合に、車いすでこいでいると、どんどん手が壊れてくると。そして、予防のために電動 車いすが欲しいというときに手帳で該当しないと。そういう場合に、市町村によってはお 母さんの話をよく聞き入れて電動車いすを交付しているところもあるし、そういうのはも う別表にないから駄目ですというところもあって地域差があるということがあります。  そういう形で、ある程度明確に手帳の交付される内容を、予防という面からでも使えれ ば、病状の進行というか、関節を破壊するのが予防できるということがある場合には考慮 されてもいいのではないかということがありますし、私たちは今、小人症、低身長のお子 さんを見ているんですけれども、走るし、プロレスもできるぐらいなんですけれども、一 方で、改札口でコインを入れてという、手が届かないということだったり、ひじが曲がっ ていて腕が短いためにトイレの後始末ができないというような生活障害があったりします。 そういう面でいろんな課題があるんですけれども、身体障害者手帳の中でずっと遅れて脳 原性という分野ができまして、これについてはとても実効的で有用であるということで見 直されたという経緯がありますし、今後見直しをしていく面が多々あるものではないかと 思っています。  少し長くなりますけれども、2番目です。  権利条約の話が出ましたけれども、子どもの権利条約というのを我が国が批准して15年 目を迎えていますが、確かに外務省が主導してやっていると思いますけれども、厚労省に おかれては児童家庭局だと思うんです。本文の中で繰り返し出てくるのは、18歳未満の全 ての児童という形で、障害児も含まれていて、その辺で、15年たったときに、条約の中に 規定されている監視委員会とか、あるいは国連に5年ごとに報告するということが、実際 は15年たっているけれども、目に見えた形でこうなりましたというような有効性というの が出てきていないというのは、私たちの対応が不十分なのかもしれませんけれども、障害 者の権利条約と同じように、児童の権利条約というものが15年間、実際にどうなっていた かという、いろいろ悪口は聞いておりますけれども、余り実際的に反映されていないとい う危惧を感じております。  ちょっとそういう意見で終わりですけれども、ぜひ厚労省の中におかれても、児童家庭 局との連携ということをお願いしたいと思います。 ○潮谷部会長  ありがとうございます。  ほかにございませんでしょうか。  野沢委員、そして宮崎委員、お願いいたします。 ○野沢委員  先ほどからいろいろ聞いていて、本質的に考えて論議していかなければいけないことと、 それから短期的に目の前に解決しなければいけないことというのが、何か寄せ鍋のように、 何かごった煮になっているような感じがして、これをどう考えたらいいのかなとさっきか ら思っていたんですけれども、例えば障害の定義の問題にしても、やっぱり狭い定義より はICFに近いようなものが望ましいと思いますし、障害程度区分にしたって、やっぱり 現実の障害者を見ていると、やっぱりナンセンスだなという感じがするんです。あるいは、 自己負担にしたって、それは金のない障害者から金を取るのかということは感じます。  ただ、それは、我々こういう福祉の業界の中にいる人間にとっては、極めてそういうこ とは当たり前のように思っているんですけれども、ここで考えなければいけないのは、じ ゃ、一般の国民はどういうふうに見ているんだろうかということがやっぱり私は必要じゃ ないのかなと思っていて、どうしても私は障害者の家族という立場もありますけれども、 報道機関で普段仕事をしているものですから感じるんですが、例えば生活保護の人たちの 窮状だとか障害者の今の状況みたいなことを新聞等で記事化していくわけです。そうする と、これまでは同情とか共感とか激励という読者の声がたくさん寄せられました。ところ が、この二、三年ぐらい前から何かすごく変わってきたように感じるんです。  一番衝撃を受けたのは、障害を持った方だったかどうか忘れましたけれども、生活保護 をもらっているお年寄りの方がいかに苦しい状況に置かれているのか、さらにいろんな生 活保護の加算が削られているのかというような記事を書いて訴えたところ、読者から反響 がドサッと来て、みんな「そうだ、そうだ」と言ってくれるものだと思って封を開けたら、 全然違うんです。こんなに生活保護をもらえているのかと。自分たちは働いても働いても、 これだけしか賃金がもらえないと。しかもすぐ首を切られるというような、特に若い人た ちの声がいっぱい寄せられて、これは恐ろしくなったんです、これを見ていて。  そういう人たちに、例えば障害定義の問題にしても、障害程度区分の問題にしても、一 体だれが、どういう人が障害者なのか分からないのに公的なお金が投じられているのかと。 あるいは自分がどういう福祉サービスが必要なのかは自分が一番知っているんだから、や っぱり自分で選択させろというのは、こういう方たちにとってどういうふうに響くのかと いうのが、ちょっと私は恐ろしく思いながら感じているんです。それが間違っているとは 思っているんですけれども、現実の世の中というのはそういう空気が非常に濃くなってき ているのを感じています。  それは政治が悪いと、あるいはマスコミの報道の仕方が悪いんだと言われれば、それは そのとおりかもしれないし、じゃ障害者は一体何を悪いことをしてきたんだと言われれば、 全くその通りだと思うんです。何も悪いことはしてきていないと思います。だけれども、 やっぱりこの時代の国民の政策選択の中でしか障害者とその家族は生きられないわけで、 どこか別の世界に行って生きられるわけじゃないわけで、やっぱり今の国民感情と折り合 いをつけながら生活を守り、かつ一人でも多くの共感者を増やしていくという、そういう 戦略がやっぱりないといけないんじゃないかなと。あれもこれも理想どおりに進めばそれ はいいんですけれども、一人でも多くの共感者を増やしていくことによって、この障害定 義の問題や程度区分の問題、利用者負担の問題なんかを論じる土俵が随分変わってくるん じゃないかなという感じはしているんです。  じゃ、その戦略というのは一体何なのかということは皆さんの意見をたくさん聞きたい んですけれども、私が個人的に思っているのは、やっぱり特に知的障害の分野ですね。家 族とか事業者ではなく、やっぱり本人をもっともっと一般の社会の中で知ってもらうこと が、何といったって一番の大きな共感につながっていくんじゃないかなということを感じ たりしています。  かつて薬害エイズの問題があったときに、なかなか事態が動かなくて、訴訟を起こして 7年もかかったあれが、最後の大きな扉を開けたのは、やっぱり本人たちが自分たち自身 で本を出版したり、あるいは川田龍平さんみたいな方が顔を出して、実名を出して呼びか けていった。それがやっぱり大きな国民の共感を広げていったことだと思っているんです。 ほかにもいっぱいそういう例はあります。  そういうことを考えたときに、個々のこういった重要な問題や、あるいは個々のサービ スについて論じることももちろんいいんですけれども、やっぱり戦略的に見て最優先に、 ここの今回の自立支援法の改正に向けて、僕は最優先してほしいのは、本人の意思をいか に引き出しているのかみたいなところをやっぱり重視すべきだと思うんです。それは相談 支援であったり、あるいはケアマネだったり、あるいは成年後見なんかもやはり特に重視 していただきたいなというふうに思っているんですけれども、そういったことも少し立体 的に考えてみてはどうかなというふうに思っています。  以上です。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  大変大きな問題をはらむ、また私たちが障害問題を考えていくときの悩ましい問題、障 害を持つ子どもや大人たちが社会に存在するということ、これは当たり前。その当たり前 さを獲得していくために法はどのようになければならないのか、そしてまたその意識をど のように醸成していかなければならないのか、そうした大きな課題の中から、現状の中に ある問題点も含めてご発言をちょうだいいたしました。従前、私どもがここで論議をいた しましたこと、大変しっかりと受け止めていってほしいという、そういう野沢委員からの お話でもございました。  宮崎委員、お願いいたします。 ○宮崎委員  今日は本当に根源的な問題を皆さんお話ししていただいているので、非常に私も考えさ せられました。小澤委員の法整備の問題、総合的に考えなければいけない問題、それから 今の野沢委員の根源的な問題など、本当に少し時間があればこういった問題をもっともっ と論議しなければいけないんだなと思いながらお話を伺わせていただきました。  私は、大変各論の話になってしまうんですが、就労に関わる問題で幾つかお話をしたい と思います。  まず、星野委員から先ほどありました、福祉政策と労働政策の本格的な統合という、私 は学齢期のお子さんたちの就労を支援してきた立場で発言をしたいと思うんですが、やっ ぱり少し労働政策とこれまでの福祉政策の中での就労の考え方に少しずれがあって、この 問題がここにも少し色濃く反映しているのではないかなというふうに感じながらこの場に 参加をしていたんですが、まず30ページのところに、個別の論点の中の、特に生活面での 自立や一般就労への移行に伴う自立訓練や就労移行支援の問題が出ているんです。これは 標準利用期間というのを念頭に置いて原則を決めたと。  この考え方はこれで私もいいと思うんですが、問題になるのは、実はいわゆる自立に向 けた訓練でも、一般就労でも、リタイアメントしたり、あるいは少し崩れてしまったとき の再度の訓練ということがやっぱり必要になってくるだろうと。そのときの必要な見直し という視点に多分入っているのかと思いますが、再訓練とかそういったような仕組みをき ちんと位置づけておかなければいけないのではないかというのが1点です。  それは、実は前の部分で出てくるんですが、11ページのところに、旧通勤寮の担ってき た就労する障害者の自立生活に向けた生活面の訓練を行う機能を充実すべきという点、こ れはこの会でも通勤寮問題などはかなり出てきているわけですが、通勤寮の果たしてきた 役割は非常に大きかったと私自身は思っております。非常に数は少なかったんですが、も っともっと広げていかなければいけないというふうに私自身は考えていたわけです。ここ からグループホームへの移行とか、そういったものが就労に非常に大きな役目を果たして きた、そういった視点が少し欠けてきているのではないかという思いがするものですから、 それは就労支援の事業の中での役割として、やっぱりその辺りはきちっと置かなければい けないのではないかという気がしているわけです。  それで、その下の12ページのところに出てきている問題で、在学中からの就労移行支援 事業というのを、これは私が卒業した特別支援学校での動きの中に、就労移行支援計画と いうのを作成して、企業さんや様々な機関に提供をしてまいりました。ところが、その部 分が十分伝わっていなかったというのがここでよく分かったんですが、在学中の情報とい うものをきちっと整理する仕組みをやっぱりつくっていただきたい。この部分は今後とも これからの障害者の就労を考え、特に知的障害者あるいは発達障害者などには非常に大き な役目を果たしていくのではないかなというふうに考えているわけです。  その点で、そういったことを考えたときに、これも繰り返しになってしまって恐縮なん ですが、本人の適正をよく見た上でB型に移ると。つまり就労支援事業を経ずB型に入る 仕組みなどもやっぱり同様の立場からお考えいただきたいというふうに思っているんです。  ちょっと前に戻って恐縮なんですが、2点目は相談支援の問題と絡むんですが、これは 2ページのところに相談支援の拠点的な機関を設置すべきということが書いてあるんです が、ぜひ自立支援協議会等との連動と言っていいのかどうか分かりませんが、連携の下に 拠点的な機関があって、それでその身近な相談支援事業者との連携プレーというのが、個 々のリンクというのが非常に重要になるだろうと。拠点をつくるのはいいんですけれども、 リンクづけをどんな形でしていくかというのが非常に重要。ネットワークづくりと言って もいいかもしれませんが、そういったことがかなり必要になってくるのではないかと思わ れます。  その際に、このことと、実は、児童期というんですかね、幼児期からのことについては 別途でまとめられたんですが、ここでもいわゆる個別の支援計画を作成するということで とりまとめてあるんですが、これは19ページのところですかね。個別の支援計画の作成と 活用。これは児童福祉法の下での対応になるというふうに思うんですが、サービス利用計 画作成費を活用するなどして個別の支援計画をつくるということになっているんですが、 この二者一体の考え方、方向性もぜひ考えていただきたい。  それはどうしてかというと、乳幼児期から学歴、そして成人に至るまでの一貫した支援 ということが非常に求められている部分でもありますので、この辺りの一貫性をどう持た せていくかということも今後ご検討いただければ大変ありがたいというふうに思います。  以上2点です。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  今のに関連してでございましょうか。 ○佐藤委員  個別論点のほうで。 ○潮谷部会長  今、宮崎委員のほうは前段から後段のほうに論点もやや入っておりますので、皆様方、 後段のほうのご意見もお出しいただければと思います。  岩谷委員、今のことに関連して。 ○岩谷委員  就労支援のことであります。この場合、ややもしますと、機能が上がって自立度が高ま って社会参加していくという方たち、そういう方たちをイメージして議論が進んでいると 思いますが、実際は障害を持って就労している方たちは極めて老化が早いんです。50歳ぐ らいになりますとだんだん労働能力が落ちてきます。そのときに受け皿の、つまり通勤寮 とかそういうところで一生懸命仕事をしている方の機能が低下し、少し保護的な就労にな って、最終的な完全に就労をリタイアするというような、機能の向上とは逆のプロセスも かなり問題になってきておりますので、ぜひ高齢の障害者の方たちがどういうふうに、社 会から少しずつリタイアしていくプロセスについても、考えていく必要があるのではない かと思います。このような意見は、労働サイド、特に特例子会社で一生懸命お世話をして いる雇用主の方たちからそういうたくさん出されております。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  高齢だけではなくて、CPの皆さんたちのスピードも全然落ちていくということがあり ますので、障害者実態に応じて支援ということをきちっと整理していく。今、宮崎委員が 言われたことと併せながら、事務局、よろしくお願いいたします。  それでは、ほかに。  佐藤委員。 ○佐藤委員  話が何かあちこちしてはと思っていましたけれども、個別論点のところに入ってきたよ うですので、私はいわゆる障害程度区分の32ページから33ページ辺りのことについて発言 をさせていただきたいと思います。  その前提の問題ですけれども、先ほど議論になりました手帳のことで、手帳制度がない と行政を進めていく上でいろいろスムーズにいかないというお話があって、現に今の障害 者自立支援法も手帳制度というものを基本的には下敷きにしているわけで、先ほど東松山 市の林部長も行政執行上、手帳の制度をもっときちんと、ある意味ではもっと精密にすべ きだというようなお話があったかと思います。  ただ、東松山市ということで言いますと、いわゆる障害者プラン、平成14年に第一次の ものが終わって、次の展開の中で、当時、東松山市の策定に私も参加したわけですけれど も、障害者プランという名前ではなくて、市民福祉プラン東松山という名前で整理いたし ました。きちんとそれは文書で残って、立派なパンフレットになって残っていますけれど も、この計画は手帳の所持に関わらず、全ての市民が必要なときに必要なサービスを過不 足なく受けることができる、そういう東松山市を目指しますと。そのためにつくる計画で すというふうに、口幅ったいですけれども、策定委員会としては書きました。  それはこの街にいる人たち、例えば障害のある人も、障害者だから特別なサービスを受 ける資格があるということではなくて、この街の市民だから、皆、市民が安心して安全で 暮らせるようなまちづくりを進めていく上で、当然、障害のあるなしに関わらず、市民だ からあなたに必要なサービスが届けられますという趣旨で我々は議論をいたしました。  したがって、やや先の長い話になると思いますけれども、しかしそれは世界中の国々が 今みんな遠くを見ながら目指していると言ってもいいと思いますけれども、ユニバーサル な社会づくりだと考えています。恐らく遠い将来はこうした障害者手帳、あるいはそこに いろいろ書かれた等級、また支援をしていくサービス方法として障害程度区分に依拠ない しは依存していろいろサービスを組み立てていくというようなことは後景に少しずつ追い やられていくし、追いやっていくべき方向感の中で我々は今の問題も考えなければいけな いと思っています。  私は、障害程度区分のこの記述の中で、入所の問題、障害程度区分と入所資格が絡めら れて論じられていることについて発言をしたいわけですけれども、もう大分前になります けれども、当時の柳澤厚労大臣が、施設から追い出すようなまねはしませんというふうに 言いました。これは結構、説得力があるわけです。施設に入所している方は、その障害の 程度がどうあっても、ある意味で言えば家庭で暮らすことができなかった、地域で暮らす 条件が整わなかったから、やむなく施設に入所してきたわけでありますから、この人たち に対して地域で暮らせる準備も何もしないで、ただ出て行けと言うのは、まさに追い出す ということになるんだろうと思って、当時の大臣の発言がそれなりに説得力がある、なる ほど、国は冷たくないと、ちゃんと考えてくれていると思った人もたくさんいるかと思う んです。  しかし、実はもっと前を考えれば、なぜ施設に入らなければいけなかったのかというこ とについて振り返ることをしなければ、あの言葉は、ちょっと言葉を選びますけれども、 非常に不正確であるし、ある種の恫喝のような気もいたします。施設を選ばざるを得なか ったこと自体が、そもそもその人にとっては、あるいは不公平な話だったのかもしれない。 つまりそれは、今、自立支援法が少なくとも、いろいろ問題がありながらでも、理念の上 で地域で自立した生活を支援するということを目指しているけれど、そのことが決定的に 不十分であったからこそ施設を選ばざるを得なかった。  そしてまた、今、自立支援法がなぜ十分に機能しないのかというふうに考えたときに、 私はやっぱり軸足の置き方がきちんとしていないからだというふうに思っています。財政 問題がすぐに出てきます。パイが決まっているならば、この理念に基づいてパイの切り方 も考えるべきだろうと。そのことをしないで、追い出すようなまねはしませんというよう なことをあたかも追認するがごとく、平成24年4月以降の取り扱いについても考えると。 それはそれで、さっきも申し上げたように、施設に入らざるを得なかった人にはそれなり の事情があります。児童養護施設が虐待を受けた子ども、あるいはいろんな意味で家庭が 崩壊してしまった子どもたちの受け皿として機能せざるを得ないように、障害のある人々 もそういう状況の中で施設に依存しなければ生きていけない人たちがいることは事実だか ら、そのことについてはきちんと対応する。これは当たり前のことだと思います。  だけれども、そのこととは全く別に、だれもが地域で生活できるようなことを目指して いるということを言う以上、そこに不安のあるような施策の展開、両方に、よく言えば目 配りをしたようなやり方が、結局、地域生活支援ということに対しての信頼感をだれも感 じることができない。結果として自立支援法に対しての信頼感も育ってこないということ が、今いろんなところで、この一つ一つの論点の中でみんな出ているのではないかと思い ます。  最後に、いつも同じことを申し上げて恐縮ですけれども、私はかつて障害幼児の通園施 設の施設長をしておりました。そこを卒園していった子ども、もうずっと昔に付き合い始 めた子どもは30歳を超えていますけれども、少なくない子どもたちが思春期を迎えるころ に施設入所という選択をし、さらに成人してから以降、施設入所という選択をしている子 も少なくありません。また、そのうちの少なくない親御さんから電話をいただいたり、訪 問をされたこともしばしばあります。とうとう持ちこたえ切れなくて施設に入れてしまい ましたと、中には涙ながらに報告をされる方もいます。  それは本当にこちらとしては、結局いろいろなことを言いながら、地域でその子たち、 あるいはその家族が安心して暮らすことをつくることができなかったという反省がそのた びに出るんですけれども、親御さんの思いは、むしろ自分が耐えられなかった、持ちこた え切ることができなかったというふうにおっしゃるんです。やっぱりこういうことはもう いい加減にしたいと、しなければならないと思います。  その通園施設は、6年前に施設を閉鎖して認可を返上いたしましたけれども、保育園や 幼稚園で子どもたちを受け入れて、そしてそれを、いわば我々が持っていた人材やノウハ ウで支援をすることによって、そうしたらだれも施設を選ばなくなった、だれも来ないか ら閉めようと。まさに地域移行というのはそういうことだと思います。ぜひこの見直しの 中で、いろいろなことに配慮があって当然だとは思いますけれども、やっぱり基本はいか に地域で暮らすことができるような施策を充実させるかというところに軸足を明確にすべ きだというふうに思います。  長くなりましたが、以上です。 ○潮谷部会長  ほかにございませんでしょうか。  井伊委員、お願いいたします。 ○井伊委員  大変さかのぼって恐縮ですが、前回欠席をしておりましたので、ちょっとそのことでお 尋ねしたいことが1点と、それから訪問通所系サービスに関することが1点です。  1つは、前回の会議のときに配布されました、精神保健福祉士の養成の在り方等に関す る検討会の中間報告書についてです。この部会で議論されている内容は、精神障害のこと に限定したとしても、実際には精神保健福祉士のみを充実すれば済むという問題ではない だろうというふうに認識をしております。  現状では、例えば保健師におきましては、緊急対応のために24時間オンコールの勤務体 制をとっている都道府県も少なくありませんし、精神科の看護師におきましても、訪問看 護を含め、退院支援等、努力しているという状況だと思いますし、日常的に多職種が様々 な形で関わっているというのが現状だろうと思います。報告書の中には連携が必要だとい う文言もありますが、その割には他職種との連携・役割分担等に関する書き方が薄いとい う印象を持っております。  それから、概要のところでも、職域の拡大とか求められる支援の多様化が強調されてお りますが、現在のところどのくらいの実績があるのか、私どもでは存じておりませんけれ ども、極めて少ないのではないかと思っております。そういう状況でこうした表現という のはいかがなものかなと思いますし、実際、行政の中で所属している精神保健福祉士は実 は保健師であるという場合も少なからずあると思っております。  中には、求められる支援の多様化とか分野の広がりということもありますけれども、行 政にいたしましても、教育にいたしましても、あるいは産業保健で精神疾患にかかった方 々の職場復帰支援などは現在も保健師が担っているところでございまして、そしてそうし た領域で保健師の拡充も期待されていると私どもは考えております。こういう報告書がこ の1つの職種だけを取り上げて出される意図がどこにあるのかというのをお尋ねしたいと 思います。  こうしたことが出されることで、精神保健福祉士以外の専門職者の配置に影響があると いうことを懸念するところです。そうだとすると、この内容については賛成できないとい うのが私どもの立場です。意図をお尋ねしたいと思います。それが1点です。  それと、もう一つですけれども、私どもでは医療的なケアの提供も含めて、家族のレス パイトケアの保障などに貢献するだろうということで、療養通所介護と経営・運営の努力 をしているところです。この自立支援法の見直しに関する意見でも、こうしたことの充実、 それからもう一つは、重度訪問介護の対象を知的・精神障害者にも拡大するとともに、報 酬単価の引き上げをお願いしたいというようなことも意見として出させていただいており ます。  これも前回の資料なんですけれども、直接処遇職員等いろいろなサービスの調査の結果 が出されておりますが、その中でも療養介護は客体ゼロ、それから重度障害者等包括支援 も客体ゼロということで集計がございまして、前回の資料の中では、回収状況では療養介 護は対象施設が30、回収数は20、しかし有効回答はゼロ。この理由は、収入比率が全収入 の60%以上を占めるものでない場合は有効ではないという整理だったんでしょうか。この 文章だけを見るとそのように見えます。  療養通所介護につきましては、十分運営ができるのでこうした障害の領域の方々への対 応が薄くなっているわけではなくて、非常に運営そのものについても苦労しているという 現状でして、このような実状も取り上げていただきたいというふうに思います。そちらの 規格に乗らないものについてはオミットしていくということなのかなと、ちょっと疑問を 持っておりますので、これについてもご説明いただきたいと思います。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  1点目は部会報告のことについてですので福島課長のほうから。2点目は意見というこ とで受け止めていただいて、3点目に関しましては再度、藤井課長のほうからお願いしま す。 ○福島精神・障害保健課長  まず、精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会の中間報告書の内容についての ご質問でございますけれども、まずこの検討会をやり始めた背景から申し上げたほうがい いと思いますが、実は精神保健福祉士については、社会福祉士とその養成について、ある いは試験科目について重複をする部分が非常に多うございまして、社会福祉士の養成の在 り方の見直しがされる、これが先行しておるわけです。既にこれは法律が通り、今カリキ ュラムの見直しがされたわけでございますけれども、それに合わせて、当課で所管してお ります精神保健福祉士法についても、その養成の在り方について見直しをすべきという議 論になりまして、その中で養成の在り方を考える場合に、そもそも精神保健福祉士の役割 を明確化し、そういう役割をきちんと果たすことができる、養成をすべきではないかとい う議論になりまして、まずその中間報告ということで、あるべき精神保健福祉士の役割、 あるいは必要となる技術がどういうものかということを明確化するというのがこの報告書 の位置づけでございます。  もちろん精神保健福祉士に求められる役割として、精神障害者の社会復帰、地域移行へ の支援、あるいは地域生活の支援というのが、今後も中核としての役割があるわけでござ いますけれども、ですから、それについては教育の中でも例えば実習を義務付けていく、 ここら辺については報告書の後ろのほうで具体的対応ということで書いておりますけれど も、それ以外に最近広がっている、実際には非常に数は少ないですけれども、対象とする 領域が広がっている中で、それについては教育の中で基礎的な知識を習得できるようなカ リキュラムにすべきと、そういうような議論になっておるわけで、そういう面で、なぜこ の資格だけがというふうなご指摘でございますけれども、そうではなくて、これはそうい う文脈の中で今検討しておるということでご理解いただきたいと思います。  それからもう一点、地域生活支援、地域移行支援についても、多職種が連携して行わな ければいけないということは当然のことでございまして、これはこの養成の在り方等に関 する検討会の中間報告の中にも書いておりますし、また今後の精神保健医療福祉の在り方 等に関する検討会の中でもそういう記載をしているところでございまして、そういう面で は保健師を始めとして、関係職種と連携をしながら取組を進めていくべきという認識は、 私どもは十分持っているところでございます。 ○藤井障害福祉課長  3点目の経営実態調査の関係でございますが、前回もご説明をさせていただいたところ なんですけれども、今回の経営実態調査は、まさに経営実態調査でございますから、事業 種別ごとの収支差等につきまして、いわばマクロ的な状況を把握しようとしたものでござ います。ただ、残念ながら、有効回答数そのものからデータとして使えないようなものを はじいていき、さらに委員がおっしゃった60%ルールをかけていきますと、この療養介護 等につきましては、残念ながら集計に足るようなサンプル数が得られなかったということ で、このような結果になっておるわけでございますけれども、60%ルールと申しますのは、 これは今回初めての調査であったこともございまして、できるだけ調査の対象となる事業 者の方に負担をおかけしないような格好でということで、決算書をそのままできるだけ移 していけば、調査に耐えられるような、そんな格好で調査をさせていただきました。  そうすると、どういうことになるかと申しますと、多くの事業者さんが幾つかの事業を 併せてやっていらっしゃいますので、それが合わさった形でそのまま上がってくるという ような格好になっておりまして、したがいまして、私どもは集計に当たりまして、特に事 業種ごとの集計に当たりまして、いただいた数字全体の中、収支全体の中で、当該事業、 例えば居宅介護であれば、居宅介護が全体の五、六十%を超えているというところだけを ピックアップして居宅介護の集計をしたというような、そういう格好にしてございます。 したがいまして、療養介護等幾つかのものにつきましては、6割を超えてきたものがなか った、あるいはほとんどなかったというような格好でもって、サンプルがとれなかったと いうような結果になってございます。  この辺りの調査の仕方につきましては、また次回以降いろいろ工夫をしてまいりたいと いうふうに考えております。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  今、福島課長のほうからお話がありましたけれども、中間報告のことについて、組織と しては承服しがたいという発言がちょっとあったんですが、今の発言の中で、最終報告の 中できちっとまた見えてくる部分もあるかと思いますが、その辺りのことは了承していた だいてよろしゅうございますか。 ○井伊委員  はい。私どもでは、例えば精神保健福祉士なら精神保健福祉士が充実することについて 反対しているわけではございません。ですので、その連携、それから何を重点でなされる ことになるのかということを明確に、今後の最終報告の中で記載していただければ結構だ というふうに思います。 ○潮谷部会長  ありがとうございます。  ほかに皆様たちの中で。浜井委員、そして長尾委員、そして広田委員とお願いいたしま す。 ○浜井委員  浜井でございます。  やや抽象的な話になるのかもしれませんけれども、先ほど野沢委員の話を受けて質問さ せていただきます。私は刑事司法、つまり触法が専門ですが、刑事司法の分野では、障害 者の世界よりもさらに異質なものを排除する傾向が強くなっています。今、大麻の問題が 騒がれていますけれども、大学生の大麻の問題は、これはずっと以前からある問題で、な にも今に始まったことではありません。以前から刑事司法の中には、大麻で検挙され、執 行猶予等になった大学生は少なからずいました。大麻使用は決して軽んじられるべき問題 ではありませんが、大麻は、覚せい剤などと比較して他の犯罪へと拡大していく危険性が 小さく、大麻で検挙されても、何らかの形で刑事処分を受けた後、大学に復学できれば、 そのまま就職して社会復帰していくケースがほとんどでした。ところが、メディアが日本 中から大麻で検挙された大学生を探して、大きく取り上げたとたんに、昨今は、社会的な 非難が強まり、大学側も大麻の事件が発覚すると、社会的非難を回避するために、すぐに 退学処分にして切り捨てる傾向にあります。切り捨てられると社会復帰が難しくなります。 これは一つの例ですが、いろんな形で社会全体が異物を排除していく、あるいは何らかの 形でルール違反をした人や過失を起こした人を自己責任ということで切り捨てていく、あ るいは何かちょっと得をしている人を見ると、ずるい、不公平だと非難するような、日本 は、今、非常に非寛容な社会になりつつあるという気がします。  刑務所なんかでも今、高齢化が非常に進んでおりまして、施設のバリアフリー化なども やっているわけですが、参観者にバリアフリー化をしたような刑務所をお見せすると、な ぜそんな老人ホームのような刑務所をつくるのかと、そういうふうに居心地がいいから刑 務所に戻ってくるんだという、私からすればとんでもないような意見が出るわけです。刑 務所は、基本的な自由がなく、暖房もありませんし、高齢者の多くは冬場になってくると、 ほとんどの人はしもやけで手がパンパンに腫れるというような状態になるなど、決して居 心地のいいところではないわけです。  そういう非寛容的な社会の中で、障害者自立支援法は、地域社会への移行ということを 掲げているわけですけれども、野沢委員が先ほどおっしゃったように、どうやって国民の 共感を得ていくのかということが、触法障害者の分野は特にそうですけれども、障害者問 題全体で重要な問題になってくるだろうと思われるんですが、そのあたりに関して何か戦 略的な方策というか、そういうものが、何らかのアイデアが厚生労働省のほうにおありな のかなと思って、ちょっとお尋ねしたいと思った次第です。 ○潮谷部会長  大変大きな課題が事務局のほうに問われておりますけれども、1つ、私は座長の立場で すけれども、志は高くあるべきだと思います。低きに平等感を求めていくのか、やはり障 害者が地域で自立して生活をしていくということに対して、事務局を含めて皆さんたちの 意見を伺いながら、よりよい形の中で持っていく、そして一方で障害者の理解という、こ ういう啓発的な役割だとか、あるいはソーシャルインクルージョンという立場の中で、私 ども関係者がきちっと発言をしていくというような点は大変大事な点ではないかと、私個 人はそのように思います。  そこで、事務局のほう、いかがでございますでしょうか。浜井委員からの問いかけでご ざいます。 ○蒲原企画課長  これはいろいろな方法があると思いますけれども、例えば就労支援の関係でよく、自分 の事業所の作業だけではなくて企業に出かけていくだとか、あるいは地域の中でレストラ ンみたいな形で接する形でいろいろな訓練をやるというのがあります。  それに出てくるように、やっぱり福祉のいろいろなサポートを受ける際も地域の人と触 れ合うような形というのを常につくっていくということが非常に大事だと。その方々がい ろいろな地域で活動している姿を見ることによって、障害の方というのはこういう形だと。 かつ、その人たちに対して自分たちができることはこういうことだと考えていくという、 やっぱりそういう姿が見えるということが非常に大事かなというふうに思っています。  小板委員が最初におっしゃったように、通所で入所のところに来るという話がありまし たけれども、今度は逆に地域の人たちもそういう入所なり通所のところにボランティアに 出かけていって、そこに入っていくということも出てくるでしょうし、要は混ざり合うと ころをいろいろなところでつくっていくといったことが長期的にはすごく大事なことじゃ ないかと思っているので、それは地域生活支援事業とかいろいろな仕組みの中でそういう ことをこれからやっていきたいと思います。 ○潮谷部会長  よろしゅうございますでしょうか、浜井委員。 ○浜井委員  この問題は、かなり大きな問題なのでこの場で議論しても解決のつく問題ではありませ ん。私も個人的に啓蒙活動に努めたいと思いますけれども、ぜひそういった、特に社会が 排他的、排除的な方向に向かっている中で、一般国民の方に、障害者の方とか触法の方を 理解してもらうというのは制度を円滑に運用する上で非常に大事なことなので、何らかの 形で厚生労働省としても力を入れていただきたいということで、よろしくお願いします。 ○潮谷部会長  先ほどちょっと順番としては、長尾委員、広田委員というふうにお願いしましたが、小 澤委員のほうから何か今のことに関して。 ○小澤委員  何か厚生労働省という名前が出たんですけれども、私実は内閣府の障害者週間の企画担 当をしておりまして、必ずしも厚生労働省ではないということを、もちろん非常に協力し ていただきたいんですけれども、やっぱり内閣府の取組としてものすごく大きな柱という ことと、それからもう一点は、多分、重点施策実施5カ年計画に余り目を通されている方 がひょっとしたら多くないかもしれないんですけれども、第1番目に心のバリアフリーと いうのを掲げております。ただ、私どもも実は企画でいろいろ内閣府の担当の方と相談中 なんですけれども、どういうのが一番ベストな在り方が問われてくるか。やっぱり国とし ての中央行事だけでは済まないですので、その辺りはやっぱり今後もうちょっと検討の余 地が必要かなと。  それから、もう一点だけなんですけれども、ちょっと理論的な話を申し上げて申しわけ ないんですけれども、全体的な傾向としては、要するに福祉の法律というのは選別主義と いうのがありまして、ある特定の人に対して特別なサービスをというのは、やっぱりどう しても差別・偏見が発生しやすいんです。普遍主義的な法律、私は介護保険法がいいか悪 いかはちょっとコメントは差し控えますけれども、介護保険法は以前のスタイルから言う と、どちらかというと普遍主義的な要素を持っているので、介護保険法に対しての意識は かなり変わったと思うんです、高齢者福祉を含めて。  だから、本来やっぱり自立支援法の議論も本当は、さっきICFの話も随分出ましたけ れども、ICF自体はかなり普遍主義なんです。だから、この辺りが本当は結構重要な論 点なんですけれども、かなり長期的な議論になるというのが、ちょっとさっきの話との参 考です。  以上です。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  それでは、長尾委員、お願いいたします。 ○長尾委員  1つは、障害程度区分につきましては、本来的には障害程度区分はなくて、ちゃんとケ アマネジメントがやられればいいというのがあるわけですけれども、障害特性をきちっと 反映したものに見直すということで、これは結構なんですが、障害程度区分と違って、訓 練等給付の場合、これもアセスメントをやられて、サービスがいっぱいになってきたとき の優先度をつけるためにそれをやるんだという話があったんですけれども、訓練等給付に はアセスメントとか調査は、私はもう要らないのではないかと、なくてもいいのではない かというふうに思うんですが、その辺はいかがかということ。  それから、この自立支援法は自立就労を目指すということで、非常にそれは結構な理念 ではあるんですけれども、一方で、精神でも、訓練等でどんどんやればそれなりにステッ プアップして、どんどん就労できるかというと、なかなかそうはいかない部分があります し、自立就労できない人たちにもどういうふうに陽を当てていくかということをやはりき ちっと踏まえておかなければいけないんだろうと私は思っております。  その部分で、自立訓練等の期間とかそういったものについて見直していただくというの は、これはもうぜひともやっていただいて、そういった自立就労ができなくても安寧に暮 らせる状況というものを担保していくということが非常に必要だろうというふうに思いま す。  それともう一点、先ほどショートステイのことが出たんですが、ショートステイはいわ ゆる介護給付に当たるわけですよね。精神の場合、急にショートステイが必要になるとい う場合もあって、介護給付にもし当たらない場合であってもそういったことがある程度緊 急的に使えるような、そういった施策もぜひとっていただきたいというふうにお願いしま す。  以上です。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  今のアセスメントの問題は、事務局に今質問という形でしょうか。 ○長尾委員  はい。 ○潮谷部会長  それでは、藤井課長、お願いいたします。 ○藤井障害福祉課長  またほかの委員の皆様のご意見もお伺いできればとも思いますけれども、私どもとして は、基本的に訓練等給付につきましては、例えば今回ご議論いただいております相談支援 の中にケアマネジメントを普遍的に取り入れていこうとか、そういうご議論もいただいて いますけれども、そういったことも含めて、あるいはさらに、長尾委員がおっしゃったよ うな、そもそも一般就労できなとすれば、じゃ、できない方がどんなふうな組み合わせの サービスが必要なのかということも含めて、そこは訓練等給付も含めたアセスメントとい うことが必要なのではないかというふうに思ってはおりますけれども、そこはまた委員の 皆様のご意見をいただければありがたいというふうに思います。 ○潮谷部会長  それでは、広田委員のご質問、ご意見を受けた後に、少しショートステイに関わるアセ スメント、個別給付も含めたアセスメントの必要性について、皆さんたちの中で何か意見 がございますなら出していただいてと思います。  それではお願いいたします。 ○広田委員  さっき野沢委員のほうから国民感情のお話が出て、私も生活保護制度で暮らしています が、それを近所の人が知っていまして、例えば疲れ果ててタクシーに乗って帰ったことが あったんですね。そうしましたら、飛んできて、「生活保護なのにタクシー乗って帰って きた」と言うから、「今日疲れているからまたにしてください」と言って、こういうのが 国民感情ですね。  それから、5年半前に足の骨折をしました。いわゆるリハビリと介護予防という言い方 をしましたら、あるテレビ局の解説委員が、介護予防なんていう言葉を使ったら身体障害 の方たちが怒り出しますよという話になりました。でも私は介護予防なんですけれどもね。 特に5年半行っている中で、今日も水風呂に入ってまいりましたが、5年間風邪を引いて いないということで、医療費の抑制になっているということですね。そういうことがあり ます。それは非常に大きな問題なんですけれども、これがまた、いわゆるフィットネスク ラブに生活保護の人が行っていると「生活保護の人がこういうところに来ているから密告 してやる」と。こういうことで、本当に生活保護に対する社会の見張っているという感じ はすごく強いというふうに思っています。  そういう中で、じゃ生活保護がどうかというと、今日生活保護課、来ていただきたかっ たけれども、単身とか2人ぐらいは大変です。私も単身ですけれども。でも、3人いたら、 前にもここで言ったか、精神で言いましたけれども、タクシーの運転手さんより、実質、 いろんな付加価値を含めて生活保護のほうが上だということは、たくさんあると。6人、 4人子どもがいる神奈川県警の若いおまわりさん、手取りの月給を教えてもらって、計算 したら、付加価値を入れると生活保護のほうが上だった。おまわりさんがっくり来て、 「私は使命感を持って働いていますから、生活保護以下の給料だけど、そのことは広田さ ん話すときにお願いしますね」と、そういう感じですね。  そういう中で、野沢委員が、本人の意向そういうものはきちんと把握するために相談支 援が大事で、ケアマネジメントが大事だと言ったんですけれど、私、精神のほうでもここ へ来ても、相談、相談と聞くんですけれど、私もいっぱい電話がかかってきます、あっち からこっちから。本人、家族、それから関係者、記者も悩んで電話をいただきますし、公 務員も医者も悩んでいるということで、いっぱいかかってきますけれど、本当にそれが相 談なのかと。話し相手がいない人が本当に多いんですね。  だから、私、精神障害者の仲間に言うのは、「眠れて食べれて話し相手がいればとにか くいいね」ということで、ある意味で相談事業者が相談、相談と受けてかかえこんでいる のではなくて、いかにその人たちを、例えば患者会みたいなところを紹介できるかという ことと、私、これ出ていてとっても残念なんですけれども、野沢さん以外の業界人であっ た横河電機さんとIBMさん、来なくなっちゃったんですよ。あの人たちがいたら、もっ と話がいい方向に行くんじゃないかと思うんですけれど、マスコミの報道によると、今、 企業で求めている求人は、コミュニケーション調整能力だというんです。コミュニケーシ ョン調整能力。今、日本社会が非常に不足しているのは、コミュニケーション能力だと思 うんです。みんながインターネットに向かって、メールに向かって話しかけている。  私、先日集会があって、「私はインターネットを見ない、書かない、気にしない」と言 ったら、それじゃひとりぼっちだと言われたんですけれど、ひとりぼっちじゃなくて、人 といろんなことで接することが多いから、インターネットを見ている暇もないし、お金が ないからインターネットもないし、機械音痴だからインターネットを操作することもでき ない。そういう感じなんです。  そういう中で、さっき警察の話も出ましたけれども、私は相談活動をやっていることを 地域の人が知っています。そうしますと、お弁当を買いに行くと、「あなたがやっている 相談活動を、今度町内会館を建て壊しするから、一部屋つくってもらってそこでやった ら」というようなお話も出てきます。そういう意味で、もっとボランティアの活用と。  これは、私の友人がアメリカに行って帰ってきたときのせりふです。「成田に行くまで 障害者だったけれども、成田に帰ってくるまで障害を忘れていた」と。そのぐらい、外国 に行きますと、「May I help you?」という形で自然にサポートしていただける、そうい うふうなことです。  潮谷座長は、志は高くと。私も志高く、家族のレスパイトだ、所得の保障だ、何だかん だと言っていますが、現実は746兆円の赤字国債が749兆円に増え、借金財政のこの国で、 昨日も神奈川県の職員が漏らしていました。「自立支援法になって、県の負担が増えた。 なぜならば、神奈川県内には横浜市と川崎市という大都市特例の大きな市が2つある。中 核市もある。そういう中で、なぜ大都市特例を外しちゃって、県に負担がかかるんだ。 110億円ぐらい神奈川県は、この自立支援法ができたためにお金を使わなきゃならない」 というような、悲鳴とも思えるようなことをお話しされていましたが、そういう中で、制 度は大事です。でも、制度としてやらなければいけないことは制度で、それ以外のところ は、本当に国民の一人一人がボランティア精神を持ってボランティア活動をすることによ って、将来自分が障害者になります、だれもが。そういうときに、精神なのかそれが身体 なのか、分かりませんけれど、そのとき私自身が、10代で危機管理の、重度の脳性のまひ のお子さんを産んだお母さんが、夜な夜な線路に入って死のうとして、ご主人が国鉄の車 掌さんで、夜勤のときに心配だから、広田さん、泊まりに来てくれと言われた、その危機 介入の相談が、結果的に私が精神医療の被害者になって、そして相談活動を始めたときに 役に立ったということなんですね。  人間が生きてきた、いわゆる経験体験全てが役に立つ。何かの形で役に立つ。それが社 会貢献につながる。私自身が、車いすのボランティアも得意ですから、車いすのボランテ ィアをやっていた延長線上で自分が車いすを乗りこなしていたから、骨折していた3カ月 間、車いす生活を送っていたということです。  この瞬間に関東大震災がここに襲ってきたら、大濱さんには介助者がいるけれど、DP Iの尾上さんには介助者がいないから、みんなでサポートするわけですよ。だから、普段 の生活の中で、ぜひ私たち障害者は皆さんに声を出して、こんなことをサポートしていた だくとありがたいんですよというポジティブなメッセージを送って、お金をかけないでや れることを、市民に、国民に協力を求めていったほうが、私は精神障害者も身体障害者も 知的障害者も高齢者も、だれでもいいんです。困っていることを困っていると言える社会 になってほしいということ。せっかく野沢さんに残っていただきましたから。  毎日新聞は、犯罪報道で精神科の入院歴と通院歴をやめましたが、マスコミ全体で言え ば、とあるまたタクシーの運転手さんです。「統合失調症って知ってる」と聞いたら、 「統合失調症って、何の統合」って聞かれた。「昔の精神分裂病なのよ、精神分裂病って 知ってる」と言ったら、ああ、事件や犯罪が起きたときに新聞やテレビで出ているあのこ とかなって。これが一般国民なんですよ。ですから、今、大学などに行って講演する際に、 どういう形であなたはニュースを知りますかと言うと、1割が新聞で、残念ながら、2割 がネットで、7割がテレビなんです。新聞は読み比べる中で、自分の考えを整理すること ができる。インターネットはちょっと、私は分かりませんので、こっち置いておきます。 テレビは、報道されたものが、自分の中へすーっと入っていって、ときには洗脳されてし まう恐ろしさがあると思っています。  そういう中で、皆さんお忙しいから、昼間いらっしゃらないでしょうけれども、私たま に家にいると、本当にワイドショーでいろんなことを流すんですね。今、厚生労働省の元 次官がお亡くなりになった、いたましい事件が起きました。ご家族も被害者ですが、昨日 も夜中に電話かかってきました。精神障害と全く関係ない犯罪者の方のサポートもしてい ますが、泣きながらかけてきた。なぜか。「自分が犯罪したときのことを思い出しちゃっ ている」んです。おれは大丈夫かと言うんです。大丈夫よ、信頼している、みんなが信頼 しているから大丈夫よと言ったときに、先生って泣くんですね。  そういう意味で、マスコミがああいう報道をすればするほど、かつてそういうふうなこ とをして、きちんと刑期を務め上げて、一人の市民として暮らしている人の、いわゆる心 の傷をつけている。事件周辺にいる人のメンタルヘルスだけじゃないんですよ。そういう 傷をつけているということを考えれば、報道自身が自粛して、節度を持った報道をしなけ れば、国民にどんなに厚生労働省が、内閣府が、逆立ちしたって、あのテレビにはかなわ ない、新聞の見出しにはかなわない、週刊誌のいわゆる電車内の広告にはかなわないんで すよ。  そういうことを含めて、ここはちょっと野沢さんに代表して頑張ってもらって、マスコ ミが、こういうふうないろんな障害を持つ人だけじゃなくて、日本に住む全ての人が安心 して暮らせるような報道になってもらいたい。その一環として、国民全ての人が、いわゆ るボランティア精神の下の社会貢献をすることが、その人が自殺に向かおうとしている人 が人に役に立つということで自殺も止められるということと、井伊委員がさっき、PSW の検討会の報告書の話をしていまして、私は委員が連携という話に持っていきましたけれ ども、あの内容については不服で、今度30日にPSWの10周年のシンポジウムがあります から、そこで何が不服かお話ししてこようと思いますが、くれぐれも人はコミュニケーシ ョン能力、お話しできないハンディのある人もいるけれど、できるんだったらコミュニケ ーション能力を大事にして、人と人のつながりを大事にしていく中で、癒され、安心して 暮らせるということが、精神障害者にとっての最大の、お金とともに精神安定剤だという ことで、ちょっと長くなりましたが、お話を終えさせていただこうと思います。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  施策の充実ということは当然ですけれども、今、広田さんおっしゃいましたように、そ れぞれのお立場の中で何ができるかという、そういう問いかけで活動をしていくというこ ともとても大事だと、改めて感じさせられるところでございます。  実はあさって、熊本県はボランティア活動日本一を目指そうという、そういう発信をさ せていただくことにもなっておりますので、ぜひ皆様たち、委員の方々を含めて、存在感 豊かに、そしてボランティア活動をと、座長としても願うところです。余計なことでした。  ほかに意見ございませんでしょうか。大濱委員。大濱委員の後に、川崎委員、お願いい たします。 ○大濱委員  今日、ペーパーを出させていただいていますので、ペーパーを説明させてもらってよろ しいですか。  個別論点、その他、今の相談支援も含めて出させていただいています。  個別論点の中の障害程度区分と密接に関係ある国庫負担基準を、まず最初説明させてい ただきたいのですが、国庫負担基準につきましては、これ支援費時代にスタートして、こ の当時は3区分だったのですが、ペーパーには15区分と書いてありますが、障害児とか重 度包括対象者の数を入れますと現在は17区分あります。それで、結局、この基準額が、利 用者に対する支給量の目安、支給量の上限というように作用し、これが非常に重度障害者 にとって適切な支給量の決定の妨げになっている、地域で生活できない原因になっている ということです。  それで、自立支援法の本来の在り方として、やはり地域で暮らす、みんなで支え合うと いうことを考えますと、基本的には国庫負担基準を廃止すべきではないかと考えます。国 庫負担基準があると、やはりそれが支給量の目安となって、支給量の上限となってしまい ます。本来でしたら、自立支援法の理念を考えると、国庫負担基準は廃止すべきだと思っ ていますが、現実問題として予算という制約がありますから、短期的には、国庫負担基準 の区分間合算と、それから、国庫負担基準の全体的な大幅引き上げを行っていただきたい というお願いです。  特に、ひとり暮らしの障害者については、どうしても長時間の介護が必要だということ でして、様々な生命の危険もありますので、国庫負担基準の3倍程度の特例的な基準を設 けていただきたいと考えています。そして、やはり最終的な目標としまして、中期的に、 必要な予算をきちっと確保した上で、24年度までに国庫負担基準を全廃するというような 方向に向けて、きちんと議論を進めていただきたいし、場合によっては、今度の法改正の 中で、襲来的には国庫負担基準を全廃するという方向を明確に位置づけてもらいたいとい。  2点目としまして、市町村への財政支援ということで、小規模市町村ではやはり25%負 担もなかなか難しく、地域で暮らすのに必要な支給量がなかなか決定されません。市町村 はなかなかお金を出せないよという話になっていますので、やはり国から小規模市町村へ 直接財政支援を行う何らかの仕組みが必要ではないかと思います。財政調整交付金の構想 もありましたが、そういうことも含めて厚労省のほうで改めて、何らかのきちんとした財 政支援の仕組みを考えていただきたいと思っています。  そして、その次で、2ページ目をめくっていただきたいのですが、措置の時代では上限 でない等について厚労省が自治体に対して通知等で何度も指導していたのですが、現行制 度ではやはり通知等での指導ではかなり難しいので、きちっと法改正の中で明示してもら いたいということです。措置時代のように、必要なサービス量をきちんと支給決定すると きちんと打ち出してもらいたい。そうでないと、やっぱり地域では暮らしていけないとい うことになっていきますので、このあたりはもうちょっと厚労省のほうで何らかの仕組み、 または法改正の中で明示するような方向性を示していただきたいということです。  大きな2番目のケアホームやショートステイについては、先ほどお話ししましたので、 飛ばさせていただきます。  そして、大きな3番目の相談支援事業及び支給決定のプロセスということですが、まず、 今般、厚生労働省のほうからご提示のあった、支給決定以前に計画作成については私たち も非常に歓迎しているのですが、ただ相談支援事業、相談支援事業者については、いわゆ る高齢者のようなケアマネジメント方式というのはなじまないと私たち障害者は思ってい まして、障害者をエンパワーメントするような形のマネジメントが重要だと考えています。 ですので、ケアマネジメントという言葉が適切なのかどうか、別の言葉を使ったほうがい いのかどうかも含めて、やはり最終的には利用者各自がセルフマネジメントすることを目 指すためのマネジメントだというような位置づけで、これは考えていただきたいと思いま す。  そして、相談支援事業者。これに関連して、先ほどからボランティアの話も出ています が、この相談支援事業に障害者施策の少ない予算を多く割いていただきたくないというの が本音でして、ここに書いてありますように、一定の資格があれば相談支援事業になれる んだということにも疑問があります。そうではなくて、ボランティア団体等の様々な団体 が今も相談事業を行っているわけですから、やはり相談を受けるにあたって重要なことは、 資格がある云々ではないように思います。今、広田さんも実際に相談を受けていますし、 私も様々な形で相談を受けていますから、やはりそういう緩やかな形での、ボランティア も含めた形での相談支援事業を考えていただきたい。ここにお金を使ってほしくないとい うのが私たちの意見です。  それで、先ほどちょっと虐待等の問題がありましたが、実際に様々な相談を受けている 中で、障害者においても家族介護を受ける中でドメスティックバイオレンスのような問題 が実際に起こっています。それで、家族が自分の子どもを介護しているうちに疲れ果てて、 包丁を持ち出す等の事態になって、場合によっては事件になる寸前ぐらいになって相談が 入ってくるわけです。ですので、やはりこういう場合に備えて何らかの方策を考える必要 があるのではないかと思います。非定型なケースでも、審査会に意見を照会する前に市町 村で支給量を決定する、緊急に対応してくれる事業所を市町村で探す、またはヘルパーの 求人費用や教育コストについては市町村で補助する等、何らかの緊急対策として厚生労働 省は至急考えてもらいたいと思います。そうでないと、障害者への虐待に対する緊急避難 的な施策がない現状のままでは困ります。  以上でございます。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  川崎委員、お願いいたします。 ○川崎委員  ショートステイの利用についてなんですけれども、実は利用の一つに、やはり緊急時の 利用ができたらという思いが、家族としてあります。例えば親戚の葬儀に出なくちゃいけ ないこととか、あと家族が急に入院しなくちゃいけないときに、ショートステイを利用し たいと申し出ますと、ではアセスメントいたしまして、これからいろいろ手続をというよ うなことになって、なかなか利用ができていかない。やっぱり家族は、じゃあその親戚の 葬儀も出られないというような、そういうことが出ておりますので、やはり一つ、そうい うときにも利用できるようなシステムにしていただきたいという思いであります。 ○潮谷部会長  ありがとうございます。  皆様方の中で、二、三、時間はまだございますので。  じゃあ、伊藤委員の後、小板委員、お願いいたします。 ○伊藤委員  今のまず1点、ショートステイの対応ということで、利用される方にとっても、あるい はまたお引き受けする我々の立場にとっても、やはり必要な時にスムーズにご利用いただ けるということは非常に大切な視点であると認識しています。そこは運営面での工夫を少 し考えれば、それほど難しいことではないのではないかと思っていますので、ご検討いた だきたいと思います。  それと、38ページのサービス基盤の整備という中での、「中山間地等におけるサービス の確保の在り方」というところで、丸がついております。また、39ページのところに、囲 いの中に丸が出ています。ここで示されている内容に加えて、追加の意見でございますが、 小規模の施設あるいは小規模の事業所への配慮もお願いしたい。例えば定員が30名以下の 施設・事業所であるとか、あるいは、特養に併設している定員20名以下の入所施設が、本 会会員施設にも現実にございます。これらの施設や事業所というのは、それぞれの地域の 特性に合わせてその規模で事業を展開しているわけでございます。この小規模のところが、 運営上、なかなか厳しいという声とデータがございます。。  他の部分で指摘されておりましたが、新事業体系への円滑な移行という視点からもこの 小規模の事業所に対する基準の柔軟な取り扱いであるとか、あるいは報酬面での配慮が必 要であると思っております。  以上でございます。 ○潮谷部会長  ありがとうございます。  どうぞ。 ○小板委員  サービス体系の部分なんですけれども、実は前の資料に、3障害一元化の場合に、サー ビスの内容についてもというところがあったように思うんですけれども、ずっといろいろ 話を聞いていると、やはり3障害、それぞれ別のサービスの内容がなければならないだろ うなというふうに感じているわけですけれども、特に知的障害の場合ですと、先ほどから 出ているようないろんな問題点がたくさんあるわけですね。特に幼児の間から、なかなか コミュニケーションが取れないという、そういうことがたくさんあって、やはり私どもの 経験からいけば、できるだけたくさんの体験をさせていくというところから、その人たち の社会性というのはついてくるだろうというふうに思っているわけですね。  そういう意味では、学校の体制というのは非常に大切だろうというふうに思っています し、その学校との連携は、我々にとっては非常に大切な部分があるだろうというふうに、 不可欠だろうと言っていいと思うんですけれども、このごろの傾向を見ていますと、学校 からお見えになった人たちが、ある程度コミュニケーションができつつあるなというふう に、私どもは理解をいたしてきております。これはやはり学校の教育体制が変わったから だというふうに思えるようになってきております。  ただ、今までの学校を卒業してきた人たちが、私たちの施設の中にたくさんお見えにな るわけです。この人たちは、コミュニケーションができないがために、自分のことが言え ないがために、たくさんの問題点をはらんできているということになるわけですね。その 人たちをどのようにして社会性をつけていくのかどうかということは、かなり長時間にわ たってやらないといけないということなんです。また様々な工夫をしないといけない。一 人一人違うわけです。  しかしながら、一人一人の個別支援だけでは、これはできない。1対1でついていても 駄目なのでして、これは施設のサービス内容の中に、やはり集団で生活をしながら、そし て集団で助け合うという、そういうような部分の中身というのをきちっとつくっていかな いといけない。その中で、初めてその人たちがコミュニケーションとか、あるいは社会性 とか、それから人を助けるということとか、そういうことが分かってくるはずになります。 そこが実は、ものすごく時間のかかることでして、そこをやはりやり切らなければ、施設 が地域移行に出していったとしても、必ずそれは失敗をして返ってくるという状況になる はずだと思うんですね。  ですから、例えば、グループホーム、ケアホームというのがあるんですけれども、重い 人たちばかり一緒にしたケアホームでいいのかというと、そうではないような気がするわ けですね。やはり軽い人も入って、そしてそこで助け合いをするとともに、何か緊急事態 があったときには物事のある程度分かる人たちが緊急連絡をするとかという、そういう部 分があって、初めてその人たちは安全に暮らしていけるという。どこかには、やはりその 1つの集団の中に、そのリーダーとなる人たちが入っていなければいけないわけですね。  ですから、これは体制の話なんですけれども、ケアホーム、グループホームについて、 やはり分けてしまうんじゃなくて、1つの制度の中でやっていくべきだろうというふうに も思うわけですね。  それから、またもう一つは、施設を運営する中に、様々な制度の制約がたくさんあるわ けですね。例えば2年だとか3年だとかという、こういうものもあったりとか、あるいは こちらの人がこちらへ行ったらいかんとか、あるいは仕事が同じ仕事をしてしまえば、そ れについて事務的な内容で処理をしていかなければいけないということで、かなり煩雑に なってきているわけですね。  ですから、でも、利用されている人たちというのは、その日その日が少しずつ変わって いくというふうに理解したときに、やはりそれはかなり早いペースで、その処遇について、 適切な場所に配置をしながら、そして指導をしていく、あるいは支援をしていくというこ とが最も大切じゃないかなというふうに思う。ですから、この事業を展開していく中で、 かなりの形のそういう行き来ができる、あるいは年限を切るというような、そういうよう なことではなくて、やはり必要に応じて自由に生活ができる、支援をしていただけると、 こういった配慮というか規制緩和というか、そういう部分というのはものすごく大切では ないかという感じがいたしますので、その辺のところもお考えいただきたいというふうに 思っております。  以上です。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  ほかに皆様。野沢委員、そして尾上参考人。 ○野沢委員  やっぱりこういうテーマを話していると、どうしても暗くなりがちなものですから。  先ほど星野さんのほうから、日払いで業者選択が増えたのかどうなのかという、次回出 していただけるということなんですが、数字はそうでもないと思うんです。あちこち各地 行くと、割と新しいタイプの事業所というのに出会うんですね。これは日払いかどうか分 からないです。いろんなほかの、例えば市区町村が前面に立つようになってきたとか、3 障害が一緒になってきたとか、いろんな理由があると思うんですけれども。  先日も東北のほうのある町に行きましたら、1年前に市が5,000万円を投じて、地域生 活の拠点となる事業所を町の中につくると。ほかの、病院の中にいた精神の方とか、施設 にいた知的の方がそこに入ってくると。それでパンとか何かつくっているんですね。非常 にそれ魅力あるということで、客が殺到して、それで余計にまた利用者が増えて、1年た ったら6,000万円売り上げがあって、3万人訪れたと言っているんですね。それを聞いた 地元の精神病院が、本格的に地域移行を始めて、それを聞いた町おこしの市民グループが、 JRと提携して無人駅を改装してカフェにして、そこを出てきた精神の人たちの地域の拠 点にしようかみたいな話が広まっている。  そういうのを聞くと、日払いだけじゃないにしても、いろんな自立支援法によってもた らされたものというものが、こんな広がりを見せている例もあるんだというのを聞いてび っくりしましたけれども、割とあちこちでちょこちょこ聞くんですよね。そんな数は多く ないですけれどもね。  そういうのを考えたときに、先ほど佐藤さんのほうから、パイが相対的にはやっぱり限 られていると。むしろ小さくなっている中で、地域のほうにやっぱり移すしかないんだと いうのは、私は本当にそのとおりだと思っているんですね。  また日割りの話に戻りますけれども、今現在事業をやっている方は、日割りによって収 入が減って、赤字になれば借金をしなければならなくて、あるいは現在雇用している職員 を解雇しなきゃいけないなんていうことになれば、私もやっぱりその立場になれば反対と 言うかもしれません。  ただし、もう一つ考えなきゃいけないのは、日割りが事業者の収入減を招くということ ばかり言われていますけれども、日割りになれば、利用者は、現在利用しているサービス じゃない、別のサービスを利用できることになるわけで、そうなれば、別のサービスを提 供している事業者の収入は増えるわけですね。魅力のあるサービスを提供している事業者 に客が集まって、魅力のないサービスが淘汰されていくというのは、これは世の中の常だ と、私は思っています。  こういうことを言うと、福祉に市場原理を持ち込むなということをよく批判されますけ れども、市場原理を持ち込まれて困るのは、魅力のないサービスを提供している事業者で あって、決して利用者ではないと私は思っています。いや、福祉はそうじゃないんだと、 福祉は特殊なんだと、そういう市場原理では語られないんだということを言われますけれ ども、その魅力のないサービスを淘汰させなかったこと、あるいは変えなかったことが、 利用者のニーズにこたえる新しいサービスへと財源が回らなかった状況をつくり出して、 それを固定させてきたんじゃないかなというふうに思うんですね。  よくこの審議会で意見を聞いていて、この自立支援法というのは現実に合わないんだと いうことをたびたび聞きますけれども、それはそうだと思うんですね。これまでの現実を 変えるための法律であって、先ほど言った東北のような、新しい現実をつくり出している その事業者の声は、ここの審議会に反映されなくて、これまで現実を担ってきた方たちの 声がやっぱり反映されるという、そういう場なんだということも、やっぱり押さえておく 必要があるんじゃないかというふうに思います。  金もうけ至上主義が跋扈しているような、そういう福祉にしたくないと、私もそう思っ ていますけれども、もうちょっと強調したいのは、市場原理というと、金もうけ主義を連 想するかもしれませんけれども、そうじゃなくて、利用者がよりよい商品を選ぶことがで きて、よい商品を提供できない事業者が撤退したり変わったりして、消費者の心をつかむ 商品を提供できる事業者が生き残るという、こういうことだと思っているんですね。これ までやっぱり施設の引力というのは余りにも強くて、障害者側が選択肢を支配されている ような、そういう関係性の中で生きてきたわけで、消費者でありながらよい商品を選ぶこ とができなかった。そういう状況というのを少しでも、今回の改正によって変えていけた らなということを思っています。  障害者がサービスを選べるようにするんだなんていうことは、ずっと言われてきました けれども、相変わらず選択肢も増えなくて、情報や経験もないままで選べと言われたって、 その選ぶという概念すら持っていない人にはやっぱり無理だと思うんですね。だから、心 理的には、措置時代そのものの現状だと思います。  私は、知的のことで言えば、知的障害者本人がいませんので、あえて家族という立場で 代弁しますけれども、やっぱり日割りというのは利用者にとっては当然歓迎すべきものだ と思います。ただし、それには条件があって、現在のようなサービス単価はやっぱり低過 ぎると思います。特に地域で生活を支援していく事業に関しては低いと思うんですね。相 談支援体制も不備なままでは、日割りによって、既存の事業者が衰退していくだけに終わ ってしまいかねないかなと。それも懸念します。  なので、日割りを維持する条件としては、もっと利用者がよい別のサービスを選べるよ うにするために、単価だとか相談支援体制、こういうものを充実させていくと。時代のニ ーズに合ったサービスを提供できる事業者を育てていくような財源や人的な資源というも のを、もっともっと充実させていってほしいということを思います。  それと、繰り返し言いますけれども、相談支援の機能が圧倒的に不足しているというこ とに加えて、やはり判断能力に何らかのハンデがある方たちの法的な権利といいますか、 法的な主張をバックアップしていく、代弁していく成年後見というものは、これは不可避 だと私は思っております。政局もこんな状況で、どんなふうになっていくか分からないの で、いくらソフトの部分を充実させたって、OSがいつどういうふうに変わっちゃうか分 からない状況の中では、やはり一番の基本的な機能を今こそ充実させるようなところに重 点を置くべきだと思っております。  以上です。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  どうぞ、お願いいたします。 ○尾上参考人  すみません、今日は参考人という形で参加させていただいております。  まず、先ほどのショートステイの部分なんですけれども、やはりショートステイの部分 に関しては、いろいろ対応、非常に日常生活をしていく中では必要な資源だというふうに 思います。ただ、かなりやっぱりそういった意味で、数の上でもショートステイは少ない んじゃないかなと。選べるだけの確保がまず足りないというところがるんじゃないのかな と思います。  そういった意味で、ショートステイをやっぱりこれからもう少し選べるだけのものを増 やしていくということも、いろいろと工夫が必要なのかなと思います。その上で、さらに やっぱり、先ほども出た普及的な啓発的なものと、あと啓蒙的なもの、やはり障害者基本 法の理念の中でも、障害の理解というところで第1番にうたっているところがありますの で、そういった意味で、障害の普及とか啓発とか啓蒙とかという、それは本当にもう、厚 生労働省だけじゃなくて、横並びでそこをやっていくと。やっぱりこの法律は、地域の中 でいろいろ話を聞いていると、実質理解されていないようなところもまだまだあると思い ます。こういうこともまだまだ理解されていないんだということとか、そこの足りなさの 部分であるとか、そういったところもやっぱり加わっているのかなと思います。それとや っぱり、じゃどういった資源が使えて、どういうところに何があるのかということも全然 分からないというのが今の現状であります。  そういった意味では、そういったところもきちっと、権利という部分で、知る権利とい うものをしっかりつくっていくということが大事なんだろうなと思います。  あと、それとやっぱり事業者が増えていく中で懸念されるのは、障害者の方々の権利と いう部分です。先ほど大濱さんの意見の中にもあったように、危機的な状況に陥っている ケースというのは本当に見えないところでたくさんあります。やはりそういったところが、 いろいろ事業者が増えていく中で、そういったところで権利という部分が大きく揺るがさ れると思います。  それと、先ほど野沢さんのお話にあったように、そういった意味でちょっとやっぱり報 酬単価の部分というのは見直しが必要だなというふうに思っています。  以上です。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  皆様方の中で、虐待防止、ここについて何かございませんでしょうか。広田委員。 ○広田委員  虐待防止というと、すごく言葉がいかめしいんですけれども、ある意味で精神病院に入 院している患者のところにお見舞いに行ってもお見舞いさえできないという、そういう状 態に置かれていること、すなわち虐待防止みたいな感じですから、虐待防止という言葉と 言えないまでも、そういうことを、もう障害者の権利条約も出てきていますし、虐待防止 法というのも出てきていますから、ぜひぜひそういうふうな、人に会えない、相談事業で もいっぱい出ていますが、私は相談より会話という意見ですので、コミュニケーション、 コミュニケーションと言っていますが、あの温室のような鍵と鉄格子のある精神病棟の中 にいて、外の人との会話もできない。これ以上の人権の侵害があるか。日本政府が北朝鮮 に向かって、拉致被害者を返してくれと言っているけれど、この国の中にも拉致は存在し ている。それは社会的入院の仲間たちというふうに、私は思います。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  皆様方の中で、あと介護保険について、これまで論議の中でこの問題が出てまいりまし たけれども、個別論議で再び何かございますでしょうか。  ございませんようでしたら、本日予定をされていた論議の項目は、一通りこれで終了さ せていただきたいと思いますけれども、皆様、言い残しはございませんでしょうか。大体、 全体の個別論議については今日で終わりということでございまして、あと皆様方からのご 意見を事務局のほうでもう一度再整理をして、皆さんにおかけをすると、こういう作業に なろうかと思いますが、言い残しございませんでしょうか。  言い残しがあるそうですので、君塚委員。 ○君塚委員  すみません、時間があれですのに。  野沢委員のご意見、ごもっともと理解いたします。しかし、私たちのところ、スタート してから68年たちました。この間に、ニーズに応じて、それぞれ私たちの内部をそれに対 応するべく変えてきて、その結果68年間もってきて、そのニーズに応じたということで、 財政的なバックアップもあったわけですけれども、そういうところで、現実と理念とのバ ランスということをよく職員に言います。そうしたいのは分かるけれども、現実、少しず つそちらに向かうけれども、こういう現実があるという。  今、この現実の中においては、このグランドデザインから始まって、いつも財政問題が つきまとっているんですね。骨太の方針で、10年間にわたって2億2,000万円減らすとい う方針が堅持されているという形ですね。一方、特別会計では200兆円の黒字があるとい う中で、国際的に10兆円拠出する準備があるという総理大臣の発言があるように、そのお 金の話がいつもついて回ると。  一方、現実としては、重度重複障害が増えているし、例えば障害児であれば、児童養護 学校の生徒数も増えているという、そういう実態の中で、医療も崩壊というような形にな ってきて、イギリスで既に日本以上の医療費をかけているけれども、なかなか回復できな いという中で、さらにこういう財政問題で上限があるからという形で進むと、本当に現場 がつぶれていってしまうかなというふうに思っています。  スクラップ・アンド・ビルドというのが当然と思っておりますけれども、現実、入所と いう言葉だけで、中身を知らずにそういうふうに言われると困るかなという面があったも ので、ちょっと蛇足かもしれませんけれども。 ○潮谷部会長  ありがとうございます。  嵐谷委員、何かございますか。 ○嵐谷委員  すみません。  地域生活支援事業がちょっとなかったように思って、私、一番問題にしているのは、地 域間の格差というところが非常に問題というふうに受け止めております。もちろん、いわ ゆる費用の問題が二次的に出てきております。ある程度の部分は賄い切れているのかなと 思ったりもしているんですが、費用面で、いわゆる裁量的経費という部分と、どうするか という、今後義務的経費になるのかならないのか。ぜひともそこらを今度検討していただ きたい。そのように思います。  もちろん、これにはいろんな要素が含まれていると思いますが、特に相談支援事業等も かなり落差があるように思いますので、その辺りもぜひとも、今回、きちっと直していた だきたい、そのように思います。 ○佐藤委員  先ほど、介護保険との関係でどうかというので、もういつも同じことばかり言っている からやめようかと思いましたけれども、財源の調達ということ、あるいはその安定化とい うことはもとより、先ほど私自身の問題意識として、やっぱり今後の障害者施策、あるい はいろんなニーズにこたえ得る施策、福祉施策の基本的な思想としてのユニバーサルな展 開ということを考えたときに、少なくともそういう意見があったときちっと書いていただ きたいんですけれども、将来の介護保険との統合ということを真剣に議論すべきであると いうことを、重ねて申し上げたいと思います。  以上です。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  それでは、全体像が次回見えてくるかと思いますが、そこのところの中でも、また次回 は長い時間かけての論議でございますので、また皆さん、整理をなさって発言をちょうだ いしたいと思います。  時間がオーバーをいたしましたけれども、ここまでとしたいと思います。  次回のことについて、事務局のほうからお願いいたします。 ○蒲原企画課長  本日はどうもありがとうございました。  次回に向けまして、本日提出している資料をベースに少し整理をしていきたいと思って います。  次回の日程でございます。12月3日水曜日、午後2時からということでございます。場 所は、厚生労働省2階の講堂で予定をいたしております。今、話がございましたけれども、 次回については、少し長い時間をとってご議論いただきたいというふうに思っています。 2時スタートで、一応18時ごろまでをめどとしてやっていきたいと思っておりますので、 よろしくお願いいたします。  本日はどうもありがとうございました。 ○潮谷部会長  それでは、皆様、お疲れさまでございました。ありがとうございます。 (了) (照会先)     社会保障審議会障害者部会事務局                    厚生労働省 社会・援護局障害保健福祉部                       企画課 企画法令係(内線3022)