08/11/27 第4回ナノマテリアルの安全対策に関する検討会議事録 第4回ナノマテリアルの安全対策に関する検討会 議事録 日時 平成20年11月27日(木)17:00〜19:00 場所 中央合同庁舎第5号館17階専用第18、19、20会議室 ○事務局  それでは定刻になりましたので、ただいまから第4回「ナノマテリアルの安全対策に 関する検討会」を開催いたします。本日の検討会は公開で行いたいと考えておりますの で、よろしくお願いいたします。  まずは、配付資料の確認をさせていただきます。配付資料として資料1から4、参考 資料は1から6までございます。まず、1枚目が座席表、2枚目が議事次第、その次が 委員名簿。そして資料1、左片1点留めの資料でございます。資料2、資料3−1と3− 2が左側2点で留めておる資料です。それで、1枚紙の資料4でございます。参考資料1 が1枚、参考資料2は左2点で留めておる資料、参考資料3、参考資料4、こちらも左 2点で留めております。参考資料5が1枚もの、参考資料6として委員限りの資料を付 けさせていただいております。資料の不足等ございましたらお知らせください。  議事に入ります前に、第3回の検討会以降、厚生労働省の事務局幹部に変更がござい ましたのでご紹介させていただきます。別の会議の出席のため少し遅れて参加する予定 となっておりますが、黒川大臣官房審議官に代わりまして、岸田厚生労働大臣官房審議 官が着任しております。  それでは、以降の議事進行につきまして、福島座長にお願いいたしたいと思います。 それではよろしくお願いいたします。 ○福島座長  それではこれから私が議長を務めさせていただきます。  まず、議題の(1)です。「ナノマテリアル及びナノマテリアルを含有する製品の安全対 策に係る論点について」です。この論点についての議論に入る前に、議論の背景となる 情報をまとめてもらいました。資料1という形にまとまっておりますので、事務局から 資料1「ナノマテリアルの安全対策に関する検討会における検討経緯」ということにつ いて説明いただきます。お願いします。 ○事務局  それでは、お手元の資料1をご覧ください。これまでの検討会における検討経緯をま とめておる資料でございます。これまで3回開いておりまして、第1回が3月、ナノマ テリアルの範囲及び用途、厚生労働省等におけるこれまでの取組について議論していた だいております。第2回は4月に開催しておりまして、引き続きナノマテリアルの範囲、 開発状況及び計測技術の開発について議論していただいております。第3回が5月に開 催されておりまして、「ナノマテリアルの健康影響について」という議題でご議論いただ いております。  第1回の合同会合の概要とそのときの主な意見としまして、ローマ数字Iのところに まとめております。(1)ナノマテリアルの範囲ということで、どういった物質がナノマテ リアルとして定義づけられるかと、そういったことを中心にご議論いただいております。 主な意見としましては、3番目のポツになりますけども、検討するに当たっては、定義 を絞って最初から窓口を狭くするといったことではなくて、最初は広く捉えてその検討 の範囲に入れていくという形でよいのではないかと。あるいはその下ですけれども、意 図的に合成されるもの、あるいは非意図的に合成されるもの、そういったものを区別す る。あるいは、その下のポツですけれども、実際にばく露があるものから検討するとい った観点で進めてもよいのではないかと。こういった議論をいただいております。  頁をめくっていただきまして、次の議題としまして(2)有害性についてということです。 ナノマテリアルの凝集や分散を考慮する必要がある。2番目のポツでございますが、ナ ノマテリアル本来の毒性についてはまだほとんど分かっていないのではないか。(3)その 他としまして、消費者からの相談があるのは化粧品ぐらいだが、少なくとも消費者が選 択できるようにしてほしいと。こういったご意見をいただいております。   第2回の合同会合の概要でございますが、ローマ数字のIIのところにまとめておりま す。第2回では引き続き、ナノマテリアルの範囲ということでご議論いただいておりま す。こちらも検討を進める上で、ナノマテリアルのターゲットを絞ると、あるいは優先 順位を付けると、そういったことも念頭に置いてよいのではないかというふうに事務局 から提案しております。  引き続いて「ナノマテリアルの開発状況」ということで(1)ナノ物質の性質について。 (2)ナノマテリアルの用途・生産量の調査。(3)フラーレン、単層・多層カーボンナノチュ ーブ等の代表的なナノマテリアルの開発状況。(4)ナノ原料と化粧品について。これらの ポイントにつきまして参考人の先生をお呼びして、あるいは委員の先生からプレゼンテ ーションをしていただいて議論しております。4頁に移っていただきますと、第2回の 3番目の議論、議題でございますが、「ナノマテリアルの計測技術の開発について」とい うことで、こちらも参考人の先生をお呼びして発表していただいております。  3回目の概要でございますが、ローマ数字IIIのところにまとめております。3回目は 主に「ナノマテリアルの健康影響について」ということで、現在の研究の状況などにつ いて参考人の先生に発表していただいております。(1)ナノマテリアルの健康影響に関し ては、in vitroのデータに比べ、in vivoのデータが少なく、更にADME、体内動態につ いてのデータがほとんどないという状況だ、というご意見が出されております。具体的 な人健康の研究についての発表について、国立衛研の広瀬先生、あるいはナノ粒子の発 ガン性の評価といったことについて、名古屋市立大学の津田先生、ナノ粒子の評価手法 について、産総研の蒲生先生に発表していただいており、それについてご議論いただい ておるといった状況でございます。  説明は以上でございます。 ○福島座長  ありがとうございました。第3回が5月2日で今日は第4回ですから、相当空いてし まっておりますので、何となく取っ付きにくいところがあると思いますけれども、これ から審議していきたいと思います。ただいま説明していただきました内容について、確 認とか質問がありましたらお願いしたいと思います。論点の議論については、あとで時 間を取っておりますので、ここのところではあくまでこれまで第3回の確認、現状の把 握や事実関係の確認ということについて、何でもご意見がありましたらどうぞ。  私から言いますけれども、まだこの検討会ではナノマテリアルの定義のきちっとした 案というのは、出されてないというふうに理解しているのですが、それはそれでいいで すね。 ○事務局  いまのところその検討するに当たって、いわゆる1nmから100nmとか一般的に言わ れているように限定するものではなく、検討するに当たっては幅広に、広くナノと言わ れているような物質を取り入れて検討してはどうか、というふうな方向になっていると 理解しております。 ○福島座長  しかし、定義として、サイズとしては一応1から100nmということで。ただし、そ このところ、あくまできちっと限定するのではなくて、現実に対応した形でいくという ことですね。  それはよろしいですね、サイズのことについては。あと、どういうナノを扱うかとい うことについては、いろいろな意見が出されておりますが、それはどうですか。そこの ところについても何か、今ありますか。前はどうなってたですかね。 ○事務局  具体的にどういう物質を検討するかということについては議論が進んでないのかなと いうふうに思っておりますが。これは目安になりますけれども、そのOECDのほうでス ポンサーシッププログラムということで、安全性の試験を各国でやっていこうというふ うにプログラムが進んでおります。そこで挙げられているフラーレンとか単層・複層カ ーボンナノチューブとかその代表的な14物質について、それをメインにみていくとい うのは1つの目安かなと考えております。 ○福島座長  どうなのですか。一般的にこのサイズは先ほどとして、どういう内容のナノにするか というところで、いわゆる何らかのベネフィットを取るわけです。ベネフィットを取っ て製造されるものであって、それがこの検討会で扱うナノマテリアルという形で、私は いいんじゃないかと思いますけれどもね。それで、問題となるのはいわゆる自然発生し たものかどうかとか、それから別の目的であるものを作っていたときに、何か夾雑物、 不純物のような形で発生するもの、そういうものはここで除外してもいいんじゃないか と思うのですが、そこら辺についてはいかがでしょうか。何かご意見ございますか。  前回そこのところについても、ローマ数字のIの4つ目のポチのところで「意図的又 は非意図的に合成されるのか、あるいは意図的又は非意図的に体内に入るのか、といっ た分類をする必要があるのではないか」となっておりますけれども、それ以前の問題と して、何をどのように定義づけるかということだと思いますけれどもね。先ほど私が言 ったことが一般的なナノというような扱いだと思うんですけれども、いかがでしょうか。 ○竹村委員  私もそれでよろしいんじゃないかと思います。大体こういうことが問題になってきた 時点で、例えばディーゼル排ガス粒子に関する研究は、もちろん参考になる点はたくさ んあるのだけれど、少なくともナノテクノロジー、ナノマテリアルといったところで扱 う範囲においては、やはりある目的をもって工業的に作られたものを対象とすべきだと いうのが、国際的にも合意が得られたと思います。 ○福島座長  ほかの先生方、いかがでしょうか。 ○長谷川委員  これはちょっと事務局にお伺いすることなのかもしれませんが、前回までの会議と、 それから今回は化学物質に対する労働者ばく露の予防的対策に関する検討会とは別にな ったわけですので、どういう範囲をカバーするのかというか、目的というその辺はどん なふうな位置づけで考えたらよろしいんでしょうか。 ○事務局  基本的には厚生労働省医薬食品局が主管している医薬品あるいは医療機器、化粧品。 あとは食品のところですけれども、食品添加物。また、通常に家庭用品に使われている ような化学物質、そういったところを一義的にはご議論いただきたいと思っております。 ○長谷川委員  いまのお答えは製造時、いわゆるオキュペショナルエクスポージャーではなくて、出 来た製品についてと理解してよろしいでしょうか。 ○事務局  説明をしていませんでしたが、労働側の検討会のほうは既に第9回まで検討が進んで おりまして、ちょうど昨日その最終的な報告書がまとまってナノマテリアルの取り扱い、 事業所内での取り扱いについてのガイドラインといったものが出されております。 ○福島座長  長谷川先生、よろしいですか。 ○長谷川委員  はい。 ○福島座長  他の先生方、いまの理解でよろしいですか。この定義について何かほかにございます か。私としては今回のところも、もちろんあとで追加というのもあり得るのですけれど も、そこの定義だけをこの検討会でしっかりしておいて、そしてあとにずっと入ってい きたいと思っているのです。よろしければ今いただきました事項をこの検討会でのナノ の定義という形でこれから進めたいと思います。ほかにはいかがでしょうか、3回まで のことについて。  そうしましたら、資料1についてよろしいですね。では次にいきます。次は資料の2 ですか。資料の2で化学物質に係る国内規制の現状ということです。説明お願いできま すか。 ○事務局  お手元の資料2をご覧ください。ナノマテリアルの安全対策についてということで、 論点についてご議論いただく上で、どうしても国内規制の現状はどのようになっている のかという辺りを整理する必要があると思いまして、この資料を作成しております。  1頁目の上の部分です。まずは先ほど申し上げましたとおり、厚生労働省が所管する 法律のうち、医薬品などの化学物質と、その化学物質を含有する製品を規制するものと して、薬事法、食品衛生法、化学物質審査及び製造等の規制に関する法律、こちらは「化 審法」と呼んでおりますが、こういったものが挙げられます。いまのところナノマテリ アルに特化したナノマテリアルを規制する法律はありませんし、さらに化学物質のサイ ズに着目した規制もいまのところありません。  ただ、医薬品、医療機器、食品添加物につきましては、市販される前の段階で品目ご とに有効性、あるいは安全性について事前に審査されているところです。化粧品あるい は食品の容器包装につきましても、成分として使用が可能な物質、使用が禁止されるよ うな物質については、リストがあったり、あるいは製品に係る規格や基準といったもの が策定されているところです。それ以外の一般工業品や家庭用品に含まれている化学物 質につきましても、急性毒性あるいは慢性毒性の観点から、製造・輸入が規制されてい ます。このほかに科学的な知見の集積によって、特定の化学物質について規格・基準が 設けられております。  こちらが概要ということで、その次から各論ということで薬事法、食品衛生法、その 他の化審法といった法律について説明しております。  Iの「薬事法」ですが、これは先ほど触れましたが、医薬品、医療機器、医薬部外品、 化粧品についての法律です。医薬品、医療機器及び医薬部外品につきましては、市販前 の段階で原則としてすべての品目について、品目ごとに有効性・安全性の事前審査がな されております。市販されたあとにつきましても、化粧品を含めたすべての製品につい て、副作用の報告などの対応がとられています。さらにその下、それぞれの品目につい て詳細に記述しております。  「医薬品」、次の頁に移りまして「医療器機」「医薬部外品」です。こちらにつきまし ては、市販前の安全性、あるいは有効性に関する事前審査及び市販後の副作用などの報 告などが義務づけられています。3頁目の「化粧品」ですが、こちらについては原則と して全成分を表示するということになっています。全成分が表示されている化粧品につ きましては、市販前の製造承認は不要になっております。化粧品の配合成分につきまし ては、化粧品基準等が規定されており、その配合について、配合を禁止するもの、ある いは配合の制限があるものについて、リストが作成されております。化粧品についても、 1個1個の製品の副作用の報告というわけではありませんが、まとまった研究報告を得 た場合には、企業に対してその報告義務がかかっております。  4、5頁がII「食品衛生法」に関する記述です。食品衛生法では食品添加物と食品の容 器包装等について規制されております。「食品添加物」については、国が定めた食品添加 物以外の製造、輸入、使用、販売等は原則禁止されております。こちらについても必要 に応じて規格・基準が定められております。「器具・容器包装」につきましては、5頁の いちばん上ですが、有害な、あるいは有害な物質が含まれていることによって、人の健 康を損なうおそれがあるもの、あるいは国が定めている規格または基準に適合しないも のの製造販売等が禁止されております。  次の頁です。薬事法、食品衛生法以外の法律をまとめています。一般工業品や家庭用 品に含まれる化学物質に関する規制としては、主として「化審法」「毒劇法」「家庭用品 規制法」の3つが挙げられます。化審法と毒劇法については、それぞれ化審法について は慢性毒性、毒劇法については急性毒性の観点から、化学物質の製造などが規制されて おります。家庭用品規制法につきましては、科学的な知見の集積等により、特定化学物 質についての規格・基準が策定されております。  (1)の化審法について説明させていただきます。こちらがPCBによる環境汚染の問題 を契機に、昭和48年に制定されており、難分解性の性状を有して蓄積性があって、さ らに人の健康を損なうおそれのある物質について、その物質による環境汚染を防止する ために制定されております。  新規化学物質を審査する制度として、まだ市場に出ていない物質について事前に、市 販される前に有害性などの情報を事前に確認し、あるいは事後に監視するといった事前 審査制度があります。既に市場にある既存化学物質につきましては、国側の毒性試験な どを行いまして、その結果により安全性の点検をしているほか、企業からも国に報告さ れてくる有害性情報などがありますので、こちらについても確認して安全性の点検をし ています。  (2)の「毒物及び劇物取締法」ですが、こちらについては急性毒性の観点から規制をし ております。取扱いについていろいろな規制を行っています。取扱者に対して、登録制 度を設けるなど、そういった規制をしております。  次の頁です。(3)家庭用品規制法についての説明です。こちらについてはある家庭用品 を指定して、その中の有害物質の含有量、溶出量についての基準が定められております。 現在のところホルムアルデヒドを含む20物質が有害物質と定められています。この基 準が定められていない家庭用品につきましても、業界団体などで自主的な取組がされて いると伺っています。そのほかに実際に基準が定められた以外の物質につきましても、 病院のモニター制度や危害等重大製品事故といったものについて、情報を入手するよう な仕組みがあり、こういった対応によって安全性などを確保しているといったところで す。駆け足でございますが、説明は以上です。 ○福島座長  いかがでしょうか。先ほどの長谷川先生のご質問に当たるものが、ここのところで規 制内容になっていると思います。これはこれまでの化学物質に対してということで、ナ ノについてはどうかというのは、またあとの議論になります。現状につきまして何かご 質問はございますか。 ○板倉委員  結論を言えば、いまのところナノマテリアルについては、従来の物質と同じ扱いとい うところでとどまっているということですね。実態についても、そういう意味では把握 されていない。化粧品の原材料についても、従来の物質と違わないという扱いの下で認 められているということですね。 ○福島座長  そうですね。そうすると化粧品などはそれぞれの会社が独自の判断で対応している、 使っていると、そういう理解でいいわけですよね。 ○事務局  そういう理解でよいと思います。 ○福島座長  現実問題として、今度は規制対象となっている医薬品とか食品添加物、そういうもの でナノプロダクトが審査に入ってくるケースはあるのですか。また許可になっているケ ースはあるのですか。前に議論があったかもしれませんが。 ○事務局  実際にこちらで審査を担当としているわけではないので、その辺の事情は担当の課に 問い合わせてみないとわからないというのが現状なのです。そういったことが上がって きたという情報はもらっておりませんので、いまのところはないのかなと思っておりま す。 ○宮田委員  それはちょっとわからないのですが、基本的に例えば酸化チタンとか酸化亜鉛という のは、いままでの我々の規制というのは化学構造に基づいた規制だったのが、今度は分 子集合においてリスクが発生するのではないかという懸念で議論をしていますよね。そ ういう意味で既存の法体系では、化学構造に基づいて、ナノスケールの物質でも、ナノ スケールではない化学構造で、安全性を問われていたことは適用されているのが現状だ、 という認識が正しいのではないでしょうか。あえてナノ構造にした物質に関しては、安 全性のデータを要求するような法体系はないのです。どうですか。 ○事務局  おっしゃるとおりです。 ○福島座長  ほかにいかがですか。医薬品とか食品添加物の延長線上で、いわゆる美容、健康食品 というのがありますが、ああいうもので現実に使っているということはあるのですか、 ないのですか。 ○板倉委員  自分自身は使っていませんけれども、宣伝でそう謳っているものを、インターネット とか広告で見た覚えがありますので、実際にそういう商品も出ているという状況だと思 います。 ○福島座長  ほかにございますか。 ○竹村委員  先ほどのご意見と近いと思いますが、化学物質でしか規定していないので、当然寸法 やアスペクト比とかは一切考慮されていません。もう1つは、医薬品でも何でも、完全 に溶解していれば1分子まで溶けて、最終的にその大きさが決まるわけですけれども、 ナノマテリアルというのは溶解していません。溶けていない粒子には当然粒度分布があ るので、粒度分布等も絶対に考えなければいけないファクターになってくると思います。 ○事務局  医薬品あるいは医療機器など、品目ごとに審査している物質につきましては、化学構 造を見ているのは確かなのですけれども、毒性などのデータを事前に企業が提出すると いうことになっております。もしナノの医薬品を出すのであれば、ナノの医薬品として 承認が上がってきます。それがナノかどうか、明記されて出てくるかどうかは、いまの ところはそれが明記されて出てくるようにはなっておりませんが、一つひとつの製品に ついて、ナノの薬であればその毒性について審査されておりますので、安全性について はきちんと見られているという理解でいます。 ○宮田委員  まあ、それは大まかで正しいのかもしれませんが、いまナノマテリアルが持っている 可能性があるのは、動物実験で見る限りでは中皮腫の発生の可能性ですよね。そうする と、いま薬剤のことをおっしゃいましたが、そんな長期にわたって動物実験なんて取っ ていないですよね。そういう意味では、いまの発言は少し事実誤認があると私は思って います。いままでの法に基づいた安全性のデータを取られているけれども、ひょっとし て起こる可能性があるナノマテリアルの長期慢性毒性、超長期慢性毒性のようなデータ は収集されていないというのが現状だと私は思います。 ○化学物質安全対策室長  医薬品とか医療機器とか、個別に製品ごとに市販前に安全性のデータを取って確認を するというものについては、一般的には安全については確認されているということなの ですけれども、ただし、おっしゃるように、ナノマテリアルの大きさに着目した毒性の データ、どのようにいままでのものと違うのかと、その点をいま議論をしているところ で、はっきりしていないわけです。ナノマテリアルについてどのぐらい違った毒性があ って、どういうデータを見なければいけないのかということについては、わかっていま せんから、そういう意味ではナノマテリアルに着目した毒性のデータというのは、医薬 品の審査でもいまのところ現状では取られていないということです。 ○福島座長  いま言われたことは、あとの論点でディスカッションをすることになると思います。 よろしいですか。  次に資料3-1、3-2です。アメリカとヨーロッパの動きについての資料です。説明をお 願いいたします。 ○事務局  資料3−1からご説明いたします。こちらは昨年の7月に公表されました、FDAに対 する報告書。アメリカのナノテクノロジーに関するFDA内の審議会のようなものです が、そちらについての報告書です。こちらの4、5頁ですが「要旨」ということで報告 書の内容がまとめられておりますので、こちらを使ってご説明させていただきます。  4頁のいちばん上に記載されております。「ナノテクノロジー調査特別委員会」は2006 年当時に発足しておりまして、三角のようなマークのところに書かれている、ナノスケ ール物質の生物学的相互作用に関する科学的概要、科学的課題に関する分析と勧告、規 制政策的課題に関する分析と勧告、こちらについてまとめられている報告書です。  その下の中ほどになりますが、この報告書の一般的所見によると、ナノマテリアルで すけれども、このテクノロジーはFDAが所管するいかなる製品にも利用されること、 あるいは物質の特性がナノの範囲で変化し得るといった可能性があることの双方の理由 から、今後も課題が大きくなる可能性があると考えられると。そこでFDAに対して、 透明で一貫した予測可能な規制のための道筋というものを、タイムリーに作成するとい ったことが提言されております。  その次の段落に記載されておりますが、科学的課題に対して、市販前承認要件外、こ ちらは化粧品とか、市販前の審査がない製品についてですが、こちらについてFDAが 実施する規制をより効果的にするために、ナノテクノロジーに関する科学的情報の向上、 つまり情報を収集し、そういったものの向上に重点が置かれています。ツールと書いて いますが、試験方法などが決まっていない、どうやって試験をすればよいのかというと ころが分かっていないところもありますので、その必要性についても言及されておりま す。  その次ですが、FDAの所管する医薬品などの個別の課題について、FDAのいまの規 制が対応できるか、この報告書では評価されております。次の頁、上から5行目ですが、 調査特別委員会においては、現在のFDAの規制は全体として医薬品、生物学的製剤、 医療機器、食品、着色剤といった市販前に承認を必要とする製品については、包括的で あると。この規制によって、製品の安全性及び有効性を評価するために必要な科学的情 報を入手することができるという結論が出されております。一方で市販前の承認が必要 ない栄養補助食品、あるいは化粧品といったものについては、規制の包括性はそれより も低下するということが述べられております。  次の段落ですが、調査特別委員会は、ナノテクノロジーを利用する製品、特に市販前 の承認を必要としない製品についての、潜在的な規制に関する課題に対処するいくつか の勧告を出しております。勧告の多くは、安全性及び有効性に対するナノスケール物質 の影響に関するデータ等の情報の提出が必要だといったことに関するものです。その一 方で、ナノスケールの成分を使用して規制の区分が変わるといった場合がある、あるい は追加的な特別な措置をとる必要がある場合について、FDAはガイドラインを作成すべ きであるといった提案もされております。「複合的な製品」と書いておりますが、医薬品 と医療機器が結合したような製品についても、FDAの政策が十分かどうかについて、一 般の意見を求めることも推奨しております。最後に製造業者が開発の初期の段階でFDA に連絡して、情報交換をするようにといったことも推奨されております。個別の説明は 省略させていただきます。  資料3-2です。こちらが欧州共同体委員会、European Commissionですが、そちら が作成したナノマテリアルの規制状況についての報告書です。こちらについても、4、5 頁を使って説明させていただきます。この報告書ですが、4頁のいちばん上に書いてい ますように、欧州共同体委員会からヨーロッパの議会などへのナノマテリアルの規制の 状況についての報告書という位置づけです。こちらは、今年の6月に公表されているも のです。この委員会はEUの関連分野について、どういった規制が行われているかとい ったものを再調査しておりまして、それをまとめた報告書です。  4頁の中ほど下の2「ナノマテリアルに適用される法規の再検討」というところに、 関連分野における法律の規制の状況などについてレビューしている記載があります。委 員会においては、人健康のほかに労働安全及び環境に及ぼす影響についても、規制の状 況をレビューしています。  5頁の2段落にありますが、規制の概要、全体としてはナノマテリアルに関する大部 分のリスクは現行の法律によりカバーでき、現行制度により対応可能であると結論づけ ることが可能であると。しかしながら一方で、法律で定められているような閾値を修正 するといったことが、新たに今後収集される情報に基づき、今後は法律を修正する必要 が出てくるかもしれないと。  法律の運用については、依然として課題であると述べられており、その次の段落です が、法律の運用の根拠になっている文書、日本で言うと通知文書に当たると思われます が、こちらについては、ナノマテリアルのリスクに対処可能か、あるいは入手可能な情 報を最大限活用できるか、こういったことを確認するために、将来再検討が必要だろう と。「市販前管理」と書いていますが、市販前に承認されるような物質について、そのリ スクに特に注意しなければならないだろうと述べられております。  次の段落ですが、法律の適切な制定及び改正、そして特に法律の運用に当たっては、 科学的知見の水準を向上させる必要があると。いまのところ情報が不足しているという ことで、「知識の差(ギャップ)」と書いておりますが、そこを埋めるために、今後も情 報収集する必要があるといった結論が出されております。概要だけの説明になりますが、 説明は以上です。 ○福島座長  ありがとうございました。ご質問をお受けいたしますが、まず資料3-1、FDAのレポ ートですが、これについて何かご質問はございますか。いま事務局のほうからの説明で、 先ほどの議論に関連したことが、この要約の中にも記載されております。委員の方々で、 事前に読まれて、中のほうの内容について何か疑問点がありましたらどうぞ。これは発 行になったのが2007年ですか。 ○事務局  昨年の7月です。 ○福島座長  7月25日ですね。そのときに公表になった報告書です。よろしいですか。 ○宮田委員  質問させてください。この中身を読むと、ガイダンスを適宜いろいろんな分野ごとに 出すべきであると勧告が出ているのですが、これが出たあと、1年経っておりますが、 具体的なガイダンスは出されているのでしょうか。 ○事務局  FDAの担当官に確認したのですが、まだ出されていないとのことです。いまナノマテ リアルの情報を業界内、一般市民から収集して、FDAに対して出してほしいといったよ うに言っていると。上がってきた情報を基に、おそらくガイダンスが出されるのだろう と思います。 ○宮田委員  わかりました。ありがとうございます。 ○福島座長  資料3-2のほうはいかがですか。ヨーロッパのほうですが。EUの報告書です。EUの ほうは、先ほどの要旨の説明ですと、現在の段階では現行制度で問題はないと、そうい う理解でよろしいですか。 ○事務局  法律については、いまの制度でカバーできるだろうと。ただ、情報が今後集まってく れば、法律を変える必要があると。また、運用面の工夫が必要なのではないかというこ とです。 ○福島座長  こちらは今年の6月17日に公表されております。いかがでしょうか、よろしいです か。もう一度お読みいただいて、アメリカの動向、ヨーロッパの動向について、この報 告書を通じてご理解いただきたいと思います。  次に資料4に入ります。ナノマテリアル及びナノマテリアルの含有製品の安全対策に 係る論点です。これについてこれからご議論いただきたいと思います。まず説明をお願 いいたします。 ○事務局  資料4です。「ナノマテリアル及びナノマテリアルを含有する製品の安全対策に係る 論点」ということで、事務局として7点論点を挙げさせていただいています。「ナノマ テリアルの人健康に対する安全性を確保するための今後の対策について」ということで、 7つ挙げさせていただいています。  (1)今後も、ナノマテリアルの人健康の影響についての情報、用途情報、製造・輸入量 について引き続き情報収集をする必要があると考えられますが、それ以外の情報でナノ マテリアルの安全対策に必要な情報はあるか。(2)ナノマテリアルの安全性を確保する上 で、ナノマテリアルの試験方法、体内動態、毒性発現の機序、人へのばく露状況等につ いての研究が必要と考えられますが、ナノマテリアルのどのような点について研究を特 に推進すべきか。もし優先順位をつけるとすると、どれを優先的に推進すべきか。どの ナノマテリアルについて重点的に研究をすべきか。(3)省内及び省庁間のナノマテリアル についての情報共有を十分に行うべきではないのか。  (4)関係企業、業界団体等においては何をすべきか。ナノマテリアルについての情報収 集及び情報提供、安全対策等の企業における自主的な取組を促進すべきではないか。ナ ノマテリアルについての情報交換が必要ではないか。(5)ナノマテリアルについての国際 的な協力及び情報交換が必要ではないか。(6)消費者に対するナノマテリアルの安全性に 関する情報公開及び情報提供が必要ではないか。その場合、どのような情報を公開・提 供するのがよいか。特に優先的に情報公開するべき品目はあるか。どのような方法が消 費者にとってわかりやすくかつ効果的か。(7)そのほかに検討すべき事項または取れ得る 措置はないのか。このように挙げております。説明は以上です。 ○福島座長  いかがでしょうか。事務局のほうでは、(1)から(6)まで論点として書いていただきまし た。まず(1)から(6)について、個々にご議論していただいて、疑問点、質問事項、さらに これに対する議論をしていただきたいと思います。(1)から(6)以外に、論点としてある項 目については(1)から(6)について終わった時点でディスカッションしたいと思います。ま た、事前に申し上げますけれども、これは今日でおしまいということではありませんの で、また後日、持って帰って、事務局のほうへ連絡していただくという形をとります。 そしてそれを基にまた次回議論するという形をとりたいと思っています。そのような進 み方でいきますが、(1)について、何か疑問点、ご質問、さらに検討を加えるべきことが ありましたら、ご意見をお願いします。 ○板倉委員  (1)のところに、引き続き情報を収集する必要があるということが書かれていますが、 今の情報収集の仕組みがどうなっているのかについて、一度整理をしていただきたいと 思うのです。情報収集をする必要はあるというのは、もう誰も同じだと思うのですが、 情報収集が適切に行われているかどうかが、項目以上に重要なことではないかと思いま す。ですから、どういう手立てで情報収集をしているのか、その引き続きでよろしいの かどうか、そういったことについてご議論をいただければと思っています。 ○福島座長  いま板倉先生の言われるのは、(1)のところに健康ヘの影響についての情報とか、用途 情報、製造・輸入量ということを書いていますが、それぞれについてその情報収集の方 法、どういうことについて、いまここでですか。 ○板倉委員  いま事務局がお持ちでないかもしれませんし、委員の先生方はご存じかもしれないの ですが、いま情報収集が、どういう形でやられているか自体も、私たちにはわかってい ない状況ではないかと思うのです。ほかの国での勧告では、かなり積極的にナノマテリ アルについて、事業者にも聞くとか、提出を求めるとか、いろいろな方法で集めること が考えられているような感じを報告書から受けたのですが、それが非常に抽象的なので、 どういう意味なのかよくわかりません。  いま各事業者自体が、自分が使っているものの粒度分布すら把握できていない状況で あれば、そこから考えて情報を出してもらうという方向まで進めなければいけないかも しれないわけです。よその国でやっている情報だけをもらってというような時代ではな いと私は思っていますので、引き続きでいいのかどうか。いままでどおりの情報の収集 だけでいいのかどうかも含めて、お考えいただければと思います。 ○福島座長  事務局、その辺、現実的な対応としてとり得るご意見が何かありますか。 ○事務局  現在の仕組みということですが、参考資料の6、委員限りでお配りしている資料があ ります。こちらが昨年度、業者に委託して行ったナノマテリアルの安全対策の調査につ いての報告書の資料です。生産量あるいはその用途情報については、各業界にヒアリン グ調査を実施していただいて、その資料をまとめています。毒性の情報については、文 献調査を実施しています。現在のところ昨年度はこういう事業を行っていまして、今年 も同様な事業をいま実施しているところです。 ○福島座長  板倉先生、いまの事務局の答でよろしいですか。 ○板倉委員  その資料自体はわかりますが、というか、ヒアリングしてこちらのほうが教えていた だくという立場で情報を集める時期なのか、あるいは少なくともそれを利用していると いう企業であれば、当然その物質についての責任はあるはずだと消費者は思いますので、 こちらからお聞きするのではなくて、自主的に提出していただくような仕組みがまず必 要なのではないかという気がするのです。  結局のところは、この問題は長期的なところでの安全性ですから、化粧品そのものも 長期的にずうっとそれを使い続けるかどうかもわからないので、結局は問題が起こって いてもわからないままになり、表には出てこないということもあるわけです。そういう 意味では、将来的に問題がわかるような仕組みも考えておくということは、大切なので はないかと思います。 ○福島座長  いわゆる有害、ナノマテリアルの人への影響については、まだ何もわからない現状で、 ただ、予防的アプローチという重要性、そこからいろいろな対策を検討しているわけで す。確かにいま板倉先生が言われるような、いろいろな所の情報を厚労省は厚労省とし て、いますぐというのはやはり難しいと思うのですが、そういうことも検討に、頭に入 れておいてもらって、将来それについてさらに検討をすることは必要だと思うのです。 実際にあるのか、このまま人への影響がどれだけ出るのか、相当な年数がかかると思い ますので、その点は確かにそうだと思いますね。  ○宮田委員  このヨーロッパの報告書を読んでみると、結局REACHはナノフォームに対応してい ないけれども、バルクで輸入されたものがナノのような形にされた場合は、そういった ものを報告するようにすべきだという文章があります。これはこの訳語が問題なのかも しれないと思っているのですが、いずれにしろ、この委員会は何をやるべきかというこ とを考えると、ある程度、予防的な原則、それから本当に一部のデータですが、カーボ ンナノチューブが中皮腫みたいなものを発生する危険性が出ているのです。ですから、 まだわからないというよりも、ある種の危険性を含んでいる可能性があることを、予防 的にどうして防ぐか。そのために例えばナノ的な物質の日本での使用量を、きちんと我々 がまずつかむべきではないかという議論をすべきではないかと、私は思います。疫学的 にもそういったことと、今後ひょっとして起こるかもしれない、最悪の場合の患者の発 生度のクォリフィケーションをつかむようなデータを持てるかどうかが、すごく重要だ と思います。 ○福島座長  確かにそうだと思います。先生は使用量と言われましたが、現実にばく露量がどうか ということだと思いますね。 ○宮田委員  そうですね。ただゼロ近似でしょう。ばく露量までは取れないでしょう。 ○福島座長  ですから、何をもって近似とするかということも議論をしなければいけないと思いま す。その予防の原則でどこまで業界が費用負担をするかというのも、またもう1つの問 題ですから、最も現実的な解を持つべきで、全く集めないというのは現実的な解にはな らないだろうと思います。 ○庄野委員  産業界として、こういう立場でお話ができるかどうかはわかりませんが、コメントさ せていただきます。いまお話になったREACHの内容というのは、我々はある意味でこ の内容というのは暫定的見解だと思っています。本来REACHは化学物質を対象とした 規制ゆえに、REACHというのは一応すべての化学物質をカバーしているわけです。た だ、物質というのはいろいろな粒径があるわけです。そういった意味で、ある特定の粒 径、非常に小さな粒径については、それなりの特定のリスクが発生するということです から、それに合わせた対応は決して間違った対応ではないだろうというと思います。  先ほどございましたが、各社、実はナノマテリアルに対しては、皆さん企業でも非常 に関心が高くある意味ではリスクというものをできるだけ回避したいと考えているわけ です。そういった意味では、粒度分布と粒径、これは最近の分析技術の開発の問題もあ るのですが、できるだけそれを把握し、その中で、ナノマテリアルの持つ本質的なリス クは何かということを解明しようとする努力に取り組んでいるものと私は認識していま す。  実は先ほどからご指摘があったように、ナノマテリアルというのは私は中皮腫だけで はないと思います。いろいろなリスクがあり得ると思うので、それはそれなりの対応を することが必要です。それと化学物質独自の対応と、ナノのサイズになったから起こる 対応と、その点をきれいに分けながら整理して対応していくことが必要と思います。た だ、(1)に関しては情報を収集するだけでは、基本的になんでもかんでも情報が集まるだ けになりますので、その妥当性を評価し、これを解析、それを正しく理解していって対 応していくことも必要なのではないかなと思います。以上です。 ○福島座長  いま(2)のことについてちょっと言われましたが、(1)のことに対して、確かにそれは情 報収集するだけでは何も意味がなくて、実際にそれをどのように活用するかということ だと思います。ほかにご意見はございませんか。先ほど宮田先生からも言われた使用量 ということですが、現実問題として、その使用量というのは二次製品としての使用量と いう意味でよろしいですか。 ○宮田委員  先生がおっしゃったように、正しくはばく露量なのですが、それになるべく近づくよ うなデータで、取りやすい最良のものをということです。だから、遮二無二そのばく露 量を取らなければいけないのが、いまの段階かどうかは私はよくわかりません。 ○福島座長  私がお聞きしているのは、使用量という意味は、あくまで二次製品としてという意味 ですね。製品となったものの。 ○宮田委員  理想的にはそうですけど、ただ、先ほども申し上げたとおり、ヨーロッパのREACH ですらそこまではいっていません。要するにバルクとして入ってきたところのナノフォ ームの量を、まずは確認すべきだというプラクティカルなものと言っています。今回、 私たちはなるべく、座長がおっしゃったようなばく露量に近づくべきだと思いますが、 現実的な対応ということも、一方で考える必要があると思います。 ○福島座長  この安全対策に必要な情報について、ほかにいかがですか。 ○板倉委員  安全対策ということになると直接的ではないのですが、逆にナノマテリアルについて メリットを謳って、使っている製品の広告内容みたいなことを把握していただくことも 必要なのではないかと思うのですね。当然、有効性の裏腹にデメリットというのでしょ うか、そういったものもあるはずだと思うのです。ですから、事業者が謳っている限り においては、それなりの情報も持っていて然るべきなのです。消費者のほうからすれば、 やはり有効性だけを謳っているということではない事業者であっていただきたいと思い ますので、実際にいまどういう実態であるかということは、物事がどう進んでいくかを 把握するためにも、どの方向で伸びていくのかを把握するためにも、ある程度は押えて おく。そうでないと、消費者にとってはこの議論自体が、自分たちの生活の中に一体ど うつながっているのかすらわからない状況にあるのではないかと思います。 ○福島座長  現在、例えば医薬品の場合ですと、副作用情報で各メーカーが集めていますね。その ほかの化粧品とかいうものに関して、なんらかの副作用が起こったときに、その情報を 届けるという制度は、いまできているのですか。 ○事務局  製品ごとの副作用の報告というのは、義務にはなっていなくて、研究報告としてこの 化粧品を使ってこういう副作用が出ましたとか、そういった研究論文が出てきた場合、 それをその企業の方が知った場合には、それを報告をする義務はあります。 ○高野委員  副作用につきましては、化粧品も規制ではありませんが、医療機関の方がそれを知っ た場合には、国に届け出てくださいという通知は出ています。ですから医薬品と同じよ うなレベルにあると思いますが。 ○福島座長  化粧品以外のことについて、いま板倉先生が言われたようなことについて、現実に現 在はどうなっているかについて、ご意見がありますか。庄野先生その辺はどうなのです か。 ○庄野委員  特にそれに関してどうこうという話はないとは思います。ただ、いまのご質問の意味 をもう1回確認したいのですが、この話の流れのお話ですか。 ○福島座長  はい、板倉先生が言われましたね。その辺の流れということです。なんらかの有害事 象が起こったときに、それをいかに早く我々としてもキャッチするかということにつな がるわけです。 ○庄野委員  業界自身もそれなりのネットは張っていまして、消費者センターから入ってくる情報 とか、あるいはいろいろな団体からといいますか、トラブルが起こったら、たしか家庭 用殺虫剤でもそうですが、そういうPL/消費者情報センターがありますよね。そういう 所からの情報を見ながら、企業はその内容を解析しながら、それが必要な場合であれば その企業にお問合せすることもできるという体制は、一応とっているのです。ただし、 まだナノの話だけではあまり聞いた例がないという状況ですね。 ○福島座長  結局それぞれの延長線上として、きちんとその辺もお互いに国としてもウォッチング する必要性は、やはり出てくると思うのですね。 ○長谷川委員  いま医薬品の副作用情報の話が出ていましたが、大体副作用の報告は年間3万件くら いあると思います。いわゆる副作用情報で、例えばナノマテリアルによる有害影響が出 ているかどうかを見るのは、たぶん不可能だと思います。そういう段階での報告にはい まの段階ではなっていないし、相当のことをしてもなかなか難しいと思いますので、そ れは別のファクターで。例えば動物実験等も含めて、別の角度からある程度のどういう 現象があり得るかということから、また人のほうに移っていくという方法でないと、な かなか難しいのではないかなと思います。 ○福島座長  そうでしょうね。同定するのはなかなか難しいと思います。ただし、そこに目を向け ているということは大事と思います。 ○長谷川委員  関連事項かもしれないのですが、1番の(1)で情報収集ということなのですが、いわゆ る情報の質をかなりしっかり見て集めないと。例えば書いてあるから、じゃあこれはこ のサイズだということと、本当に試険をしてみたらそうではないとか。あるいは先ほど のナノをメリットとして売っているけれども、実は調べてみたらサイズがもっと大きい とか、また逆のケースもあるでしょうから、その辺もしっかり精査しながら調べていか ないと、いけないのではないかと思います。 ○庄野委員  長谷川先生と全く同じ意見でございます。我々も精査をさせていただいたところ、ち ょっとこれは首を傾げるというものが結構ございましたので、それをきちんと見極めな いと、かえって変な方向に行くような気がしています。 ○福島座長  ありがとうございます。まだあると思いますが、時間の関係上、次に移りたいと思い ます。最初に申し上げましたように、この論点についての議論はこれでおしまいという ことはありません。また次回にでも議論をしてもらいますので、その点ご了解いただき たいと思います。  (2)についていかがでしょうか。人への健康影響と動物でのデータ、当然それが両輪の ごとく進んでいく。特にいろいろな同定ということになりますと、動物のデータが当然 必要になってきます。ここのところではナノマテリアルの試験方法、これはおそらくナ ノマテリアルの有害性に対する試験方法ということだと思います。有害性、それからそ のリスク評価に関する試験方法だと思います、体内動態、歯止めの問題、それからもし 発生した場合のメカニズムの問題、人へのばく露状況ということになります。そういう 研究は、どのような点についての研究を特に推進するかということです。当然そうなる と、人がばく露する形態の研究が当然優先されると思うのですが、その点について何か ご意見いただけましたら。  現在の段階ですと、化粧品などでは経皮ということになるでしょうし、そのほか、さ らに吸入ということになると思います。ばく露形態からしますと、目にもあるし、食べ るということ、いろいろな形態があると思いますが、そこで私としてはいちばん取り組 むのは、やはり経皮であり吸入であると思うのですが、何かほかにありましたらどうぞ。 ○庄野委員  いま座長のおっしゃったとおりだと思いますが、最近いろいろな所で、例えばOECD でも議論があったのですが、要するにナノマテリアル、要するに形状によって、あるい はそのサイズによって生じる毒性と、化学物質自体の持つ生物学的な影響、分子生物学 的な影響かもしれませんが、それによる毒性といかに切り分けて、あるいはいかに整理 して議論をしていくかが必要だという議論がございました。  例えば一部の化学物質の毒性試験をやる場合に、水に溶けない物質は、ある程度ミク ロナイズをして、サスペンドをして経口投与をするということをやりますが、このサイ ズは特に決まっていないのですね。ですから、この粒子径はさらに細かくしたらナノサ イズになっていくわけでしょうが、それをある研究者が実験をやったところ、異なった 毒性所見が出てきている。そういう部分も含めて考えていくような体系で、研究のスト ラテジーを作っていく必要があるのではないだろうかという議論がありましたので、こ ういうことも参考にしていただければと思います。要するに同じ物質を普通のサイズで やった場合と、ナノでやった場合と、それがどういうふうに違うのか、このような知見 も集積していくのが有用かという議論です。 ○福島座長  ありがとうございます。当然それと、どういうナノの物質かとなりますと、これまで に得られている物質ですね。有害事象がわかっているもの、繊維状なものなのか、粒子 状なものなのか、それの延長線、そこも考えて実験・研究をするということになると思 うのですね。 ○高野委員  事務局の方にお伺いしたいのですが、この検討会の報告書がいずれ出来るのですが、 それの位置づけだとか、活用方法をどのようにお考えなのでしょうか。 ○事務局  報告書としては、現状ですとナノについての情報がどうしても不足しているというふ うになってくると思うのですが、それを受けてどういう研究を進めていく必要があるか とか、まさにいま議論をしていただいている内容をまとめる形になろうかと思います。 その中で当然、化粧品などの規制についての話とか、その辺の話がもし出るようであれ ば、各化粧品なら化粧品、あるいは医薬品なら医薬品の規制のところで、さらに深く議 論をしていただくといったイメージでおります。 ○高野委員  ありがとうございました。 ○宮田委員  いま分子生物的なものの動物実験とかのお話をしていますが、これ疫学的に調査はや らなくていいのですか。 ○福島座長  やはり必要でしょうね。 ○宮田委員  ですから、先ほどの(1)に関係してくるのですが、そのためにも日本の国土におけるナ ノマテリアルの総量みたいなものの推計値というのは、ほしいというのが1つあります ね。仮にどこにナノパーティクルが濃密にあるかはわかりませんが、そういったものが 濃密な地区と、そうではない地区の比較研究という可能性だってあり得ますよね。それ はなぜかというと、いまの私どもの知識で、動物実験をデザインすることが本当に可能 かどうかということに関しては、極めて疑問なのです。  先ほど先生方からもサゼッションがありましたが、中皮腫だけならなんとかなるかも しれませんが、それ以外の、これも予防の原則で言っているのですが、リスクを評価す る実験系をすべて組めるなんていうことは、とても人知の及ぶところではないのです。 そうなりますと、ちょっと荒っぽい手法かもしれませんが、いま言ったような疫学的な 研究を片一方で走らせるという必要もあるのかなというふうには思っています。 ○福島座長  動物のほうにいきますと、すべてのナノについてやるというのは、現実に不可能だと 思うのです。ですからここに書いてあるどれを優先するかということで、それはまた、 ここの議論とそれぞれの研究者が、それに関して一遍ディスカッションする必要がある と思うのです。いま先生が言われるのは、それぞれ濃度の違う地域ということを言って おられるわけですね。 ○宮田委員  もしやるとしたらそれが1つと、あとはヒストリカルな疫学研究で、一方では、きち んと日本のナノ物質の総量みたいなものが推計されていて、いずれもっとナノ物質とい う大雑把なものではなくて、あるクリスタルのナノ物質が危険だといったら、その量と、 なんらかの疾患の発生率の差ができるかどうかみたいな、両方やらないとわからないよ うな気がします。予防の原則で言うならば、そういう疫学的なスタディをやっておいて 異常がなければ、非常にいいことでもあるのです。 ○福島座長  確かにそれはそうだと思います。ただ、疫学というのは非常に時間がかかりますので、 そういう面では動物なら動物のデータが一歩先に出ると思うのですね。 ○宮田委員  もちろんそうですが、動物でたとえ出なかったからといって、安心できるわけではな いと思います。 ○福島座長  それはないと思います。 ○宮田委員  ですから、あくまでも予防の原則を考えるとするならば、そういう二本立てでいかな ければいけないと思います。座長がご指摘なさりたいのは、いま大量に使われている美 白化粧品の中の成分みたいなものは、確かにばく露量も高いし、量も大きいので、喫緊 に動物モデルか何かで、安全性をある程度評価していく対象とするのは当然かなと思っ ていますが、それだけですべてのナノに対する懸念は無理だろうと思いますね。 ○福島座長  それはそうです。それはこのナノに限らず、一般的な共通的な事項ですよね。 ○長谷川委員  化粧品のことは私自身はほとんど知らないのであれですが、ちょっと聞くところによ ると、ヨーロッパでは動物実験を化粧品についてやったものは一切許可されないという ような話を聞いているのですが、もしそうだとすると、化粧品に関して動物実験をどう いうふうにできるのかと、そのような話はご存じないですか。 ○庄野委員  化粧品原料に関して、今後ヨーロッパでの動物実験、特に眼、皮膚刺激性あるいは感 作性試験ですよね。ここは一応ペケの方向だと思います。ただ、全面的ではなくて、む しろヨーロッパの場合には、化粧品に対してはそういうふうな考え方なのですが、化学 物質についてはまだそこまでいっていないのですよ。そういうふうに聞いています。確 認する必要がございます。 ○高野委員  一部の毒性試験を除きまして、来年3月からですが、それ以降、動物実験を行った化 粧品は、ヨーロッパでは販売等ができなくなります。もちろん輸出もできなくなります。 ○竹村委員  (1)とも絡みがあるのですが、皆様ご存じのように、ナノマテリアルには考えなければ いけないパラメーターがいろいろあり、それに対して実験データが全然少ないというの は認識されています。しかし、その割には過去の研究結果が、割と単純に扱われてしま っているような気がしてならないのです。例えば先ほどのカーボンナノチューブは中皮 腫を起こすかもしれない、それは1つの研究結果ではあるのですが、逆にカーボンナノ チューブは有害性は低いという結論が出ている研究結果もあるのです。一見全く矛盾す る結果がなぜ出るのかなど、そういうところを深く追究する努力が少なすぎると思いま す。例えば今のカーボンナノチユーブと昔のカーボンナノチューブの不純物濃度の差が 実験結果の差となって現れる可能性もありますが、だからと言って、過去のデータは薬 に立たないと考えることは適切でないと思います。  とりあえずきちんと各パラメーターですね。だから論文のファクトシートというので しょうか、きちんとした実験条件と結論の記述をきちんと比較しながら、俯瞰的に見え るマップのようなものを作って、そこから重要なパラメーターが見えてくるような気が してならないのです。  過去の研究を拝見すると、個々の研究者がもうインディペンデントに、自分の手に入 った材料、使える試験装置、例えば吸入ばく露試験器といっても規格があるわけではな くて、それぞれの研究者が独自の工夫をしながら作っています。だから当然、結果の差も 出てくるわけです。そういうものが出てきて、何かかえって混乱しているだけのような 気もしています。既存のデータを、より一層深く整理、解析した上で、活用していくべ きと考えます。 ○福島座長  例えばどういうナノにするか、そして、そのナノのサイズはどのサイズにするべきか。 そういうことについてだったら、これはそれこそ厚労省の科研費での、ということでな ければ、実際問題できないと思うのです。そうすればきっちりしたデータがまた出ます けれども。 ○高野委員  そういう意味では酸化チタンというふうに一括りになるのですが、アナターゼ型、ル チル型、コーティング有り無しということで、そこでも毒性が分かれますので、そうい うことも見ながら、是非評価をしていただきたいなと考えるわけです。  ○福島座長  細かいいろいろなところに入りましたけれども、今日のところは今まとめていただい て、また議論をしたいと思います。(3)に入ります。(3)はいかがでしょうか。省庁間の情 報共有を十分に行うべきではないか。そうですよね。どうやってやるのですか、その辺 お聞きしたいのです。これについて、何かこうしたらいいかというようなご意見があり ましたら。これは事務局で考えていただくということで(4)に入ってよろしいですか。  (4)はいかがでしょうか。「関係企業、業界団体等においては何をすべきか。ナノマテ リアルについての情報収集及び情報提供、安全対策等の企業における自主的な取組を促 進すべきではないか。ナノマテリアルについての情報交換が必要ではないか」。この辺の ところ庄野先生いかがですか。 ○庄野委員  本来的にはNBCIさんのお答えになる話かと思いますが、いま世界的な国際的な化学 物質管理の中で、いろいろなことを我々業界にも求められています。ナノマテリアルに 関して情報収集、提供も必要ですし、安全対策等の自主的な取組も是非必要だという観 点で我々は考えています。  そういった意味でこれに関しては、一応、基本的な意味での異論はございませんが、 これをどういう形で、どういうふうに反映させていくか。特に消費者の皆様に対して、 あるいは、我々のお客様であります川下の加工メーカーさんに対して、どのような情報 をいかにうまく出していくかということを、いま我々としては考え始めているし、アク ションも一部起こしています。一時に比べてだいぶデータは我々としても開示する方向 に進めてきているのですが、やはり裏には企業としての知的所有権の問題とか、いろい ろ解決しなければならない問題もございますので、できるだけ透明性を確保しながら進 めたいと、日化協としては考えています。 ○福島座長  その点、高野先生いかがですか。 ○高野委員  やはり情報収集が当然基本になるのですが、それ以外のことにつきましては化粧品な ので経皮吸収ということを意識しております。化粧品原料の中では、やはり酸化チタン がすぐ念頭に浮かぶのですが、ナノの酸化チタンについては、これまでも経皮吸収され ないというデータはいくつかございます。ただ、そのときのキャラクタライゼーション を確認した試験では残念ながらないものですから、その辺の確認をしながら経皮吸収さ れないということを確認するための試験の検討をしています。まだ実験をするというこ とではないのですが、いろいろな方が、いろいろな研究をされていますので、重複して 実験することになることは避けたいものですから、そういうことを念頭に入れていま対 応をしているというところです。 ○小川委員  こちらにあります情報収集、情報提供という意味、それから自主的な取組ということ では、全く異論はないわけです。NBCIには、特に産業材向けのナノマテリアルという メーカーが多いわけですが、その場合は、まずはほとんど間違いなくマテリアルセーフ ティ・データシートという物質を特定した危険性を謳った、リスクを喚起させるという 意味での情報は、必ずほとんどの場合、二次加工業者に伝わっていると考えてよろしい と思います。 ○板倉委員  消費者のほうからすると、いちばん心配なのは化粧品と食料品なのですね。食料品で 食品添加物のナノがどうなっているのかも全然わかりませんが、特に健康食品などで、 ナノだということを謳って商品が出ているのを、以前広告で見たような気がします。や はりその辺については、ここでは産業界や物と言っても食品以外の部分のイメージが非 常に強いのですが、化粧品以外の食料品についても、そのグループできちんとそれなり の対応をしていただきたいと思っております。 ○福島座長  ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。健康食品などは協議会とか何かあ るのですか。私、質問をしておいてあれなのですが、確かにそれらしいのがありますね。 ○長谷川委員  いま食品のお話が出ましたが、食品安全委員会のほうに答申と言うのも変かもしれな いのですが、少し検討をしていただくというようなことは、この検討会として出せるも のなのでしょうか。 ○事務局  答申といいますと、正式なものということですか。食品安全委員会のほうに申し伝え ることは可能ですが、正式な答申という形で出せるかどうかはわかりませんが。  ○化学物質安全対策室長  諮問するのは別に手続はあるのでしょうけれど、この検討会で特に食品に使った場合 の安全性については、特に慎重にやるべきではないかというようなご意見があれば、そ れを我々の関係の所にしっかり伝えて検討していただくことは可能と思います。 ○庄野委員  ナノって本当に食品に使うような形になっていますでしょうか。ナノというのは、何 かセールスキャッチフレーズで使われている可能性が強くて、本当にそれがナノによっ て行われるのであれば考えなければいけないでしょうが、そこの実態も一応確認されて からのアクションでいいのではないかなと思いますが。 ○事務局  そうですね。それで厚労省のほうから食品安全委員会に投げかけることは可能と思い ますね。 ○福島座長  その前にきちんと確認していただきたい。 ○化学物質安全対策室長  食品安全委員会にこれを評価してくださいというふうにお願いするわけにはいかない でしょうが、問題提起と言いますか、こういう問題があるということをこの検討会で議 論していただければ、さらにその次の検討に進めるための第1の段階としてここで問題 提起をしていただくということは可能です。 ○福島座長  ほかにございますか。そうしましたら(5)に入ります。国際的な協力及び情報交換が必 要ではないか。これは行政レベルではどうなっているのですか。いろいろな取組ですね。 ○事務局  いまのところはOECDのほうでナノマテリアル、工業ナノ材料について、各国で決め られた代表的な14物質について、その安全性の試験を行って、各国そのデータを持ち 寄って全体の安全性の評価をしていこうというふうな流れになっています。日本として は3物質、フラーレンと、単層と複層のカーボンナノチューブについて試験を担当する となっています。あとはFDAとも定期的にやっているわけではございませんが、必要 に応じて情報交換をしている状況です。 ○福島座長  OECDを通じて、比較的しっかりやっているのですね。よくやっているのか、どうな のですか。先週韓国でやったのは。 ○事務局  先週は、来年、今後その14物質について試験をやっていく、その計画を出すことに なっておりまして、それがどの程度出来上がっているかというのを各国持ち寄って、今 後残された期間でどういう問題点があるかというのを出して、来年の3月の提出に向け て議論をしたという状況です。 ○高野委員  厚労省のホームページに出ていますが、ICCRという化粧品規制協力国際会議という のが1年ほど前に出来ています。それは日本とアメリカ、EU、カナダの化粧品担当の 政府の方、日本は厚生労働省ですが、そういう方々と一応4つの国、地域の業界団体も 一部参加するような形で、情報交換をやっています。その中のテーマにナノが入ってき ています。今年から具体的な議論が始まっていますが、まだ使用実態の把握といったレ ベルにとどまっていますが、これからどんどん議論が深まっていくと思っています。 ○福島座長  ほかにいかがでしょうか。 ○竹村委員  これはご紹介になってしまうのですが、もう少しボランタリーなコンソーシアムとい うか、大学が中心なのですが、この9月にInternational Alliance for NanoEHS Harmonization、IANHという略称なのですが、それを立ち上げました。これは提唱者 がアイルランドのユニバーシティカレッジ・ダブリンのケネスドーソン教授なのです。 要するにもっと基礎的なFDAにもありますナノスケール物質の生物学的相互作用とい うレベルで、もっと一緒にやらないかということで、アメリカでもゲンターオバドース ター先生とか、ライス大学とか、かなり著名な方たちが加わってくれています。日本か らは名古屋大学の市原先生と、物質材料研究機構が関わっています。  これは単にディスカッションするとか情報交換するということではなくて、実際にラ ウンドロビンテストをやろうと。つまり、同じ材料と同じ試験方法でやって、どれだけ 差が出るかということをやっていこうということで、今いろいろ準備をしているところ です。やはりラウンドロビンテストなので、最初はin vitroということにはなるのです が、そういうことも起こっていますということです。 ○福島座長  そのほか現在、国際的な協力関係ということについて、情報をお持ちの先生方がお見 えですか。ないようでしたら、この点についてまとめていただく。そういう意味からす ると、これ事務局のほうで、これまでの国際協力関係のまとめを簡単に作ることができ ますか。我々の知識を向上させるためにも簡単でいいのですけれどもね。動きですね。 ○事務局  半年前の状況ですと、第1回の合同委員会の時点での資料になりますが、参考資料3 ということで、厚生労働省等におけるこれまでの取組ということで、ここに国内の取組 の紹介をしています。その後、4頁から先ほど申し上げましたOECDの工業ナノの材料 部会の話と、6頁から米国、7頁にイギリス、8頁にドイツ、Europian Commission、9 頁オーストラリア、これぐらいに一応まとまってはありますけれども、いまご紹介いた だいたIANHや、ICCRとかいった情報はまだ入ってはおりません。 ○福島座長  わかりました。結構です。いずれにしても積極的にやっていただくということには論 を待たないと思います。よろしいですか。そうしますと次(6)です。「消費者に対するナ ノマテリアルの安全性に関する情報公開及び情報提供が必要ではないか」。その場合云々 となっていますが、これは板倉先生いかがでしょうか。 ○板倉委員  消費者の方はやはり不安はありますね。二酸化チタンについては特に安全か安全でな いか。それから先ほど高野先生がおっしゃったように、吸収されないというデータもあ るというのは聞いています。ただし、では本当にすべてが同じような挙動を示すかどう かも今はわからない。ですから、もし自分の所のデータがあるならデータがあるという ことも含めて、きちんとやり取りをしていただけるような状況にもっていくことが、1 つは信頼関係につながるのではないかと思っています。 ○福島座長  結局コミュニケーションの問題ですね。 ○板倉委員  そうです。そういうことです。だから今の状況を正直におっしゃっていただければい いわけです。ただし選択ができない状況で、結局不安によっても体の障害は出てきます。 ひょっとしたらあのせいではないかということにつながってきます。逆に言えば、もし ご自分の所で使っている商品について、体内動態から考えて、中に入る可能性はほとん どないなら、ほとんどないということをきちんと伝えていただけることも企業の方には お願いできればと思います。別に不安感を掻き立てるために書くということではないけ れども、ともかくコミュニケーションをやるには書いてなければ話はスタートしない。 結局、疑心暗鬼でいることが、いちばん問題であると思います。 ○福島座長  これはある面でいうと、コミュニケーションの仕組みをどうするかということ、そう いう意味で厚労省としても考えてもらいたいことになっていくわけですね。厚労省が先 導的なことかもわからないですね。 ○高野委員  コミュニケーションをとるということにつきましては、全く異論はございません。た だ、その書くということについては、今日の冒頭にも出ていましたように、そもそも定 義がまだないですね。仮にその定義ができたとしても、定義と安全性の話とは決して一 致しないと思いますので、いずれ何か書くということについての議論をする時期は来る のでしょうが、まだちょっと早いのではないのかなと考えています。 ○福島座長  ここに書いてある、特に優先的に行うべき品目はあるかということですが、消費者と しては板倉先生が言われたような、どうしても化粧品のところにいってしまうというこ とだと思うのですね。その辺りのコミュニケーションをどうするか。ほかに何かここに ついてご意見がございますか。小川先生、この辺りいかがですか。 ○小川委員  消費者の立場から言えば、例えば使っている物の中に何が入っているのかというのは、 重要なことであろうとは思います。ナノ材料以外の物もすべて一定の毒性がある物もす べて、そういう意味では情報としては知っておきたいということにもつながっていくと、 すべての材料を書くということも現実的ではないだろうと思いますし、どういう強弱を つけて表示していくのかというのは、もう少し論議が必要だろうと思います。 ○庄野委員  化学工業界という立場で見れば、今はできるだけ情報を公開していく方向に動きつつ あります。板倉先生のご指摘のように、消費者の立場からしたら、まさしくそこはご心 配なことだろうと思いますし、ご懸念が出てもやむを得ないという部分はあるのですが、 我々が今いちばん頭を悩めていますのは、どのように情報をうまく消費者にわかりやす いように説明させていただけるかどうかというところが、ポイントだろうと思っていま す。  例えば安全性の試験1つにしても、試験方法、結果をお話するのは簡単なのですが、 実はそれがどの程度安全で、どういうふうにすればそれが影響があるのかどうかという ようなことまで含めてご説明をするのは、今はなかなか難しい状況になっています。今 後これを皆さんと一緒に解決していかなければいけない状況にきているのかと、特に情 報伝達と情報の加工の仕方、この辺を今後留意していく必要があるのかなと思っていま す。  ○福島座長  まさしくそうですね。 ○宮田委員  これはもう少し正直に話したほうがいいのではないですか。例えばアメリカの報告と か、ヨーロッパの報告を見ても、基本的にいまの法体系で、まあ、皆さん安心ですよと、 ただ、いまのサイエンスの進展がまだまだ不十分なので、ポテンシャルなリスクはある かもしれないから、今後こういうような体制で国家はこのリスクを見守っていって、そ のリスクが発生したときには、タイムリーにきちんと情報を提供するという、まず大き な枠組みというのを提示すべきだと思うのですね。小さなところばかりやっていると、 科学はまだ全く進展していないので、結局わかりません、提供もできませんという話に なります。  ではこのヨーロッパの報告書、アメリカの報告書と比べて日本の現状はどうなのとい うことに関しては、きちんとステートメントをまとめて出すのがこの委員会の1つの目 的かなと思うのです。それが大枠、それが原則です。この原則を与えることがいまいち ばん重要だと思うのです。  2番目の問題は、先ほどから皆さんおっしゃっていますが、本当にリスクをどうやっ て評価したらいいかとか、本当にナノ物質の定義を一体どうしたらいいのかという基礎 研究をファンディングすることが重要で、それに関しては先ほどOECDが共同でやろう としていますが、それに対してサイエンティフィックなプロポーザルがこっちはできる ぐらいサイエンスの質を高めていくというところが、すごく重要なのではないかと思い ます。  もう1回戻りますが、小さなことをいま一生懸命言う必要はなく、大きなアメリカ、 ヨーロッパで出た報告書に対して、日本はどういうようなスタンスをとるのだというこ とを早めにきちんと伝えることが、たぶんこの(6)の消費者にとってはいちばん重要だと 思います。その後、本当のプラクティカルなコミュニケーションをどうすればいいかと いうことを、サイエンスを、業界がこれはまだだと言う場合もあるだろうし、大学の先 生はこれはちょっと危ないよと思うだろうし、そういう曖昧なところに一体どういうよ うな形で、例えば国として情報を発信する仕組みを作るかというような議論をすべきだ と思います。せっかくこんなにいいレポートを各国が出しているのですから、これに匹 敵するようなものが日本にないというのは、ちょっと恥ずかしいと思います。 ○福島座長  ありがとうございます。宮田先生から発破をかけられましたが、皆さんその意味で、 このあとのディスカッションをしたいと思います。いま(1)から(6)まで議論をしましたが、 ここのところでもう少し言い足りないということがございますか。これまとめていただ きまして、また次回になるかはわかりませんが事務局で整理をしていただいて、この場 に出していただいてまた議論をしたいと思います。その結果が宮田先生の言われたよう なきちんとした報告書に反映できればと思います。  (7)で「そのほかに検討すべき事項又は取り得る処置はないか」。現在ここで何かご意 見をお持ちの方お見えですか。ここに関しまして、それから前のほうでもいいのですが、 考えていただきまして、1週間を目処に事務局に意見がありましたら提出していただき たいと思いますが、それでよろしいですか。事務局、大体1週間でいいですか。 ○事務局  1週間を目処に出していただければ、次回の資料に間に合わせやすいかなと考えてい ます。これ以外の論点もたぶん多く出てくると思いますので、それについて出していた だければなと思っています。 ○福島座長  そうしましたら、新しく出していただいた論点について次回ディスカッションすると いうことにしたいと思います。それから今日の内容についても再度議論をしたいと思い ます。次、議題の2、その他ですが、これは何かありますか。 ○事務局  次回の検討会の日程をお知らせします。12月22日の15時から予定をしています。 場所などの詳細については追って事務局からご連絡をいたします。事務局からは以上で こざいます。  ○福島座長  本日の検討会を終了いたします。どうもありがとうございました。 照会先 厚生労働省医薬食品局審査管理課化学物質安全対策室 電話03-5253-1111(内線2798)