08/11/21 第34回社会保障審議会年金数理部会議事録 社会保障審議会 年金数理部会(第34回)議事録 日  時:平成20年11月21日(金)9:59 〜11:18 場  所:厚生労働省専用第18〜20会議室 出席委員:山崎部会長、都村部会長代理、熊沢委員、近藤委員、林委員、宮武委員 議  事   公的年金財政状況報告−平成18年度−について ○石原首席年金数理官  それでは、定刻になりましたので、ただいまより「第34回社会保障審議会年金数理部 会」を開催させていただきます。  審議に入ります前に、前回の部会以降に事務局で異動がありましたので、御紹介させ ていただきます。  大臣官房審議官年金担当の二川でございます。  年金局総務課長の伊奈川でございます。  大臣官房参事官の八神はちょっと遅れております。後で参ると思います。  私が年金局総務課の首席年金数理官を拝命しました石原でございます。よろしくお願 いいたします。  次に、お手元の資料の確認をさせていただきます。  座席図、議事次第のほか、次のとおりでございます。  資料1は、1−1、1−2、1−3の3つ分けておりますが「平成18年度公的年金財 政状況報告書(案)」でございます。  資料2は「平成18年度公的年金財政報告書 要旨(案)」でございます。  配付資料は以上でございます。  次に、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。本日は、牛丸委員と栗林委 員が御都合により御欠席とのことです。  御出席いただきました委員の方が3分の1を超えておりますので、会議は成立してお ることを御報告申し上げます。  それでは、以後の進行につきましては、山崎部会長にお願いいたします。 ○山崎部会長  審議に入ります前に一言、私の方から発言させていただきたいと思います。  非常に残忍で許しがたい暴挙が起こりました。山口剛彦さんと奥様、それから、吉原 健二さんの奥様に対する殺傷でございます。  昭和60年の年金改正というのは年金制度始まって以来の大改革と言われました。浅野 史郎さんが語っておられますが、あの改正は奇跡と言っていいくらい難しい改正であっ たと言われております。そして、あの改正が吉原局長と山口年金課長なくしてはあり得 なかったということも衆目の一致するところでございます。  その後、山口さんは年金局長として再び平成6年改正の陣頭指揮を取られました。そ れから、吉原さんは退任後もこの年金数理部会の委員として客観的な立場から年金財政 の検証作業に御尽力いただきました。  宮武委員は先日の新聞紙上で年金テロとは思いたくないと語っておられます。私ども は皆そうだと思います。しかし、その可能性を否定できない状況もあるように思います。 年金、あるいは社会保障行政に対する挑戦にとどまらないのではないか、社会そのもの に対する挑戦ではないかと思います。テロというのは民主主義の対極にあるものだから であります。我々はこうした事件に惑わされることなく、怯むことなく、引き続き公正 ・中立的な立場から、年金財政の点検、検証作業を進めたいと思います。そのことを我 々は確認したいと思います。  それでは、皆様方の御賛同が得られれば、この場をおかりしまして、犠牲になられた 山口剛彦さんと奥様に謹んで哀悼の意を表し、黙祷を捧げたいと思います。御起立をお 願いいたします。黙祷。 (一同起立して黙祷を捧げる) ○山崎部会長   ありがとうございました。御着席ください。  本日は、平成18年度の公的年金財政状況報告のとりまとめに関して審議を行います。 それでは、議事に入ります。事務局から資料の説明をお願いいたします。 ○石原首席年金数理官  では、説明させていただきます。  資料ですが、まず、資料1−1からごらんいただけますでしょうか。公的年金財政状 況報告、平成18年度の案でございます。  2ページをめくっていただきますと、目次がついてございます。目次でもって簡単に 全体像をまずごらんいただきたいと思います。  「はじめに」はあいさつ文でございます。  第1章が「公的年金の概要」で、これも概要でございますので、毎年と同様の記述を させていただいております。  第2章が「財政状況」で、18年度の財政状況につきまして分析した結果を記載してご ざいます。1が「財政収支の現状及び推移」、2が「被保険者の現状及び推移」、3が 「受給権者の現状及び推移」、4が「財政指標の現状及び推移」という形で、それぞれ 現在の状況について時系列的な分析を行っております。  第3章が、現在の状況ということでは財政の評価ができませんので、財政の評価とい う意味で「平成16年財政計算結果との比較」という形で、この報告書では、財政の評価 的な分析につなげてございます。  まず1で「財政計画と比較する際の留意点」から始めまして、2で「財政収支の実績 と将来見通しの比較」ということで、どの程度将来見通しからずれたのかという分析を 行ってございます。3の「財政指標の実績と将来見通しの比較」で、財政指標の面から 見て、どれだけずれているのかという分析を行っております。4としましては「積立金 の実績と将来見通しとの乖離の分析」でございまして、年金財政を見る場合に、最終的 には積立金のところで収入と支出をすべて合わせて、積立金の乖離というところに集約 される面もございますので、そこの分析を中心に分析を深めてございます。  最後に、次のページですが、5が「収支比率及び積立比率の実績と将来見通しとの乖 離の分析」で、その差異についての分析という形でまとめてございます。  補遺として、実際の計算方式ですとか、付属資料として、年金制度の沿革、時系列表 等を入れてございます。また、参考資料については、各制度の実際の決算の数字等が並 んでいるという構成にしてございます。  それでは、具体的な内容に入らせていただきます。6ページをごらんいただけますで しょうか。公的年金制度全体につきまして、平成18年度の財政状況を、それぞれ全体を とりまとめて合計を出して記載した表をつくってございます。各制度決算をやっており ますが、年金数理部会としまして、決算をとりまとめて、公的年金制度全体でどうなっ ているのかという情報をここで提示してございます。  まず、表の形式ですが、表頭が厚生年金、国共済、地共済、私学共済、国民年金、国 民年金は国民年金勘定と基礎年金勘定に分けて、そして合計という形になってございま す。  それから、表側の方ですが、収入と支出、収支残、年度末積立金という形に並べてご ざいまして、収入につきましては、簿価ベースと時価ベースの2つの数字を記載してご ざいます。収入の内訳としまして、保険料、国庫公経済負担、追加費用、運用収入、運 用収入は時価と簿価に分けてございます。それから、基礎年金交付金等の項目等を並べ ているという形でございます。  支出につきましては、給付費、基礎年金拠出金という形で、それぞれ項目別に並べる という形の表でございます。  公的年金制度全体の合計の欄で説明させていただきますと、収入総額、簿価ベースで 69兆6,664億、時価ベースで71兆3,068億という形になってございます。  支出が66兆1,960億、給付費が43兆7,809億という形でございますが、この中に制 度間の入り繰りがございまして、その状況を見たものが次の7ページの図表2-1-2でご ざいます。  例えば、基礎年金交付金は収入の欄に当然計上されてございますが、基礎年金相当給 付費全体で見る場合に、制度間の出し入れという形になっているものですから、全体と して見る場合には、同額が支出にも計上されている。支出の基礎年金相当給付費という ところですが、同じ額が計上されているものがあります。収支が見かけ上膨らんでいる という形になっているということでございまして、そういったことを調整する。  それから、図表2-1-1の一番下の注に書いてございますが、小さくて申し訳ありませ んが、単年度収支を見たいということもございまして、収入のその他の欄ですが、基礎 年金勘定の前年度の剰余金受入という項目が1兆4,000億ほどあります。この辺の数字 は前年度からの受入という項目でございますので、単年度収入を見るという意味では必 要ないだろうということで、合計から落とした方がいいんではないか。  そういった入り繰りの話と、今の基礎年金のその他収入というところを調整しまして、 それが一番右の欄でございます。公的年金制度全体で見るという形で見たものが、収入 総額で46兆2,102億、支出総額で44兆,539億という形のものでございます。  収支残で見ていただきますと、簿価ベースで2兆563億、時価ベースで3兆6,966億 の黒字という形になってございます。  年度末の積立金で見ますと、簿価ベースで191兆4,928億、時価ベースで204兆6,55 4億という形になってございます。  ただ、この欄で見ていただきたいのはもう一つ、収入の下から2行目ですが、積立金 より受入という形のものがございます。現在、厚生年金と国民年金ですが、保険料収入 と運用収入では賄えない状態になっておりまして、積立金より受け入れるということを 当然やってございます。積立金を活用した財政運営に入っておるわけですが、積立金か らの受入というのは、単年度収支という意味では、収支を見るという意味では、積立金 から受け入れて黒字とか赤字になっているものですから、そこは外した方がいいんでは ないかということで作表してございますのが、11ページでございます。  11ページが単年度収支の状況という形で記載させていただいています。表をつくって います。同じような構成になっておりますので、表の全体像の説明は省かせていただき ますが、公的年金制度全体で、2-1-3の表を見ていただきますと、収入と支出、それぞ れ若干減ってございまして、簿価ベースで収入が42兆5,107億、時価ベースで44兆1, 511億、支出が44兆1,539億、ほぼ収支とんとんという形になってございます。積立金 はさほど変わりませんが、時価ベースで204兆円と、200兆円を超える積立金は依然と して保有しているという状況でございます。これが全体の状況でございます。  それから、その内訳を少し細かく分析したものを付けております。それが12ページ以 降でございます。12ページをごらんいただきますと、保険料収入でございます。保険料 収入の年次推移という形の表を2-1-4でつくってございます。上の方に実額の年次推移、 下の方に対前年増減率の年次推移という形の表で、以後、このような表の形式にしてご ざいますので、見ていただければと思います。  表頭が厚生年金から国共済、地共済、私学共済、国民年金という形で制度別にしてあ るということでございます。  厚生年金の18年度の保険料収入で申しますと、20兆9,835億円ということで、下の 方の対前年度増減率で4.6%の増という形でございます。横に見ていただきますと、国 共済が0.4%の増、地共済が0.7%の増、私学共済が4.6%の増、国民年金は2.3%の減 という形になってございます。全体として、保険料としては3.5%の増というものでご ざいます。どちらかというと厚生年金の伸び率が高く、地共済、国共済がなかなか伸び ていないという状況になってございます。  保険料収入の次に見ていただきたいのは運用収入で、18ページでございます。同じよ うな図表の形式になってございますが、以後、時価ベースを中心に見ていただきたいと 思います。先ほどからそうなんですが、時価ベースは括弧書きにしてございまして、括 弧の中で厚生年金の欄を見ていただきますと、17年度が運用収入9兆1,893億円、それ が18年度は4兆2,790億円ですから、増減率で見ますと53.4%の減という形になりま す。かなり減っておるということでございます。ただ、運用収入の場合、年度の増減率 を見ていただいても、かなり変動がございます。去年17年度が148.8%の増と、かなり 運用利回りがよかったものですから、今年は下がっているということで、増減率等で判 断しにくいという面がございます。  次の19ページを見ていただきますと、運用利回りの表でございます。運用利回りで見 ていただきますと、図表2-1-10ですが、18年度時価ベースで、厚生年金が3.10%、国 共済が2.79%、地共済が3.36%、私学共済が4.07%、国民年金3.07%で、基本的には 3%前後の伸びということで、再計算と比較しても、それほど悪くない運用利回りとい う形になってございます。  後の分析でも出てまいりますが、賃金の伸びとの比較という実質利回りという面で見 ても、賃金が伸びていない状態ですので、運用利回りはかなりよかったという評価にな ろうかと思います。  次のページが交付金等ですが、それは飛ばしまして、給付費を見ていただきます。収 入項目の保険料と運用収入がありましたので、給付費の状況ですが、21ページの図表2 -1-12でございます。厚生年金22兆2,541億という形のものでございまして、それぞれ 数字が並んでおりますが、伸び率を中心に見ていただきたいと思います。18年度ですが、 厚生年金が1.2%の増、国共済が0.0%の減、地共済は0.5%の増、私学共済は2.8%の 増、国民年金は、国民年金勘定が7.1%の減、基礎年金勘定が6.7%の増、公的年金全体 で2.4%の増という形になってございます。  各制度それぞれございますが、公的年金制度全体でごらんいただきますと、例えば、 平成10年度前後ですと4〜6%といった伸びが見られますが、最近ですと2〜3%とい う形で、比較的給付費の伸びも落ち着いてきたかなという形で見ていただけるかと思い ます。  基礎年金拠出金等は置きまして、24ページに収支残がございます。2-1-14の表の見方 でございますが、厚生年金の欄で数字が4つ出てございます。18年度で1兆1,021億と −2兆3,145億、それと、下の括弧書きで2兆8,103億と6,063億の減の4つの数字が ございますが、右側が積立金の繰り入れ等を入れない単年度収支でございます。ですか ら、厚生年金で言えば、単年度収支で見ると赤字という形になってございます。  厚生年金で見ますと、上が基本的に簿価ベース、括弧書きで下に書いてありますのが 時価ベースで、時価ベースですと6,063億円の赤字という形でございます。国共済は47 2億円、地共済は7,301億円、私学共済が1,188億円、それぞれ黒字。国民年金は時価 ベースで、単年度収支で3,107億円の赤字という形でございます。  26ページが積立金でございます。積立金の欄も同様な表がございますが、厚生年金で 簿価ベース130兆980億円、時価ベース139兆7,509億円でございます。伸び率中心に 見ていただきますと、厚生年金で時価ベースの伸びが0.4%の減、国共済ですと0.5%の 増、地共済ですと1.8%の増、私学共済ですと2.4%の増、国民年金ですと3.0%の減、 全体ではほぼ横ばいという状態になってございます。  次に、収支項目を終わりましたので、被保険者の状況を見ていただけますでしょうか。 34ページでございます。厚生年金で3,379万4,000人という数字でございますが、これ も伸び率で見ていただきますと、厚生年金は2.3%の増、国共済が0.5%の減、地共済が 1.1%の減、私学共済2.1%の増、国民年金1号が3.1%の減、3号が1.2%の減でござ います。  厚生年金の場合ですと、平成10年度辺りから15年度までにかけて、マイナスとか、 そういう数字が多かったんですが、17年、18年と伸び率が上がってまいりました。景気 回復に伴いまして厚生年金の被保険者が増えてきているという状況を示しているという ことだと思っております。  国民年金ですとそれが逆になりますので、平成10年度辺りは増加しておりますが、最 近ですと、18年度−3.1ということで、かなり減少が大きくなっているという状況にな ってございます。  国共済とか地共済はずっと微減が続いている。  私学共済は若干増えてきているという状況になってございます。  次に、被保険者につきまして、いろいろ分析がございますが、今年度の新しい分析を 紹介させていただきたいと思います。41ページでございます。年齢階級別コーホートの 増減ということで、今年度、新しくコーホートという見方をした分析を加えてございま す。図表2-2-8でございますが、年齢階級ごとに厚生年金、国共済、地共済、私学共済 でどういうふうに増減があったかということでございます。  コーホート増減率という形にしてございまして、説明をいたしますと、20〜24歳の人 が18年度末でどれだけいたかということでございます。単純に20〜24歳同士を比べる のでなくて、18年度末、20〜24歳の人は19〜23歳だったわけで、19〜23歳だった厚生 年金の被保険者が20〜24歳にずれる、同じコーホートで見て、どれだけ増えたか、減っ たかというのを見てございます。純粋に、そういった対象の年齢で加入状況はどうなっ ているかという数字が見られるという形のものだと考えてございます。  厚生年金で見ていただきますと、20〜24歳が34.0%で、学生から、卒業されて就職し て厚生年金の事業所に勤めるということで、新規加入が入ってくるという状況で、34% の伸びを記録してございます。25〜29で3.8になっていますし、40代でも2.2ぐらいと いうことで、若干増えてございます。景気の回復もあると思っておりますが、40代とか 50代にしても、かなりプラスの数字が出ているということでございます。  55辺りになりますと、厚生年金で1.1%の減。この辺から、厚生年金の事業所から退 職されていかれるのかなと思います。60代になりますと、やはり定年の影響ですが、12. 1%の減、65歳ですと15.3%の減ということで、年間でかなり減少するという形になっ てございます。  男性で見ますと今のような数字ですが、女性で見ますと、特徴的なのは25〜29と30 〜34でマイナスが出ている。この辺が、出産とか育児の関係で女性が退職されるという 傾向を示しているということでございます。それが職場に戻ってこられるのが40〜45 辺りで、5.3%の伸びということで、この辺でM字カーブということで、再度働いていら っしゃるという状況を示してございます。  それから、国共済も地共済もそうですが、30〜50辺りのところが、厚生年金ですとプ ラスですが、マイナスが立っている。ですから、一旦加入してしまうと、中途採用とい う形ではなかなか入ってこないという状況を示してございます。  それから、地共済に比べて、50代で国共済がマイナスが大きいということがございま す。国共済の方が退職年齢が若干早いということもこの辺に出ている。それから、60代 ですと、地共済はかなり定年の影響が大きい。45.4%ということで、人事の異動の状況 が地共済でははっきりしているということが見られます。  私学共済ですと、女性が多いということもございまして、25〜34でマイナスが立って いる。それから、60〜64歳ですと、定年の影響で厚生年金とか地共済などはかなりマイ ナスが大きいんですが、私学共済では−3.8ということで、60代になってもそれほど減 少していないのが特徴的なところと認識してございます。  以上が今年度の新しい分析の御紹介をさせていただきました。  次に、被保険者を終わりまして、標準報酬の関係でございますが、44ページに行って いただけますでしょうか。44ページに1人当たり標準報酬の状況を出してございます。 上の方の実額の表ですが、昔から標準報酬制をとっておりましたので、かぎ括弧にして ございます。標準報酬の場合も時系列的に出しておりますが、かっこをつけない数字が 総報酬ベースでの月平均の額という形のものでございます。  厚生年金で見ますと37万3,849円、国共済54万5,429円、地共済で59万9,560円、 私学共済が48万6,689円ということで、やはり厚生年金よりも国共済とか共済の方が報 酬は若干高くなっているという状況を示してございます。  伸び率ですが、平成18年度の欄でごらんいただきますと、括弧ではなくて総報酬の方 ですが、厚生年金で−0.1、国共済で−0.0、地共済で−0.5、私学共済で−0.7というこ とで、景気が若干戻ってきたという話を先ほど申し上げましたが、賃金はなかなか伸び ていないという状況が示されてございます。  次に、被保険者の方から受給者に移りたいと思います。受給権者の状況が48ページで ございます。図表2-3-1の受給権者数は、厚生年金で2,615万5,000人でございます。 伸び率を中心に見ていただきますと、18年度で4.2%、国共済の伸び率2.5%、地共済2. 4%、私学共済4.5%、国民年金で4.2%でございます。  この数字もそうでございますが、平成10年度辺りに比べると若干ずつ伸び率が中期的 には低下してきているかなという感じで見てございます。ただ、伸び率自体の低下とい う意味では、共済はそれほど落ちていないけれども、厚生年金と国民年金は若干落ちて いるかなという状況でございます。  50ページに受給者数。先ほどの表は受給権者数でございますが、全額支給停止等が入 ってございますので、全額停止を外した、一部でも受給しておられる方という形で表を つくってございます。受給権者で統計を取ることが多いものですから、受給者も記載し てございますが、とりあえず今年から受給権者に対して受給者がどれだけの割合いるか という表をつくって見ていただこうと思って、51ページに表を用意いたしております。  51ページの図表2-3-4表が、受給権者に対する受給者数の割合でございます。これで 見ていただきますと、受給者の割合ですが、厚生年金で91.9%、国共済で97.2%、地共 済で96.1%、私学共済で92.9%、国民年金で98.2%。  若干厚生年金が低目の数字が出てございます。上の方の記述にもございますが、厚生 年金ですと、女性の場合に、自分の老齢年金と、配偶者の遺族年金が出る場合がござい まして、それが併給になると、遺族年金が高くて、老齢年金が支給停止になるといった ケースもあると承知しておりまして、そういった意味で若干低目の数字が出ているとい うことかと見てございます。  次ですが、57ページ、ちょっと細かい数字で恐縮でございます。各制度それぞれ、老 齢、退職、障害、遺族につきまして、受給権者数の推移を見たものでございます。特徴 的なところだけ申し上げたいと思います。国共済の数字、厚生年金の次にございますが、 実人数が上で、下に伸び率で出てございますが、伸び率で見ていただきますと、通老と か通退相当、国共済ですから通算退職年金ですが、通算退職年金相当の伸びが依然とし て大きい伸びが続いているという傾向がございます。  左の方で記述してございますが、国共済の場合には任期制自衛官の方がかなりいらっ しゃいまして、任期制自衛官の方が短い期間の退職年金にそろそろつながってきている という状況を示しているということかと思ってございます。この辺が特徴的なことでご ざいます。  次に、69ページに行っていただきます。年金の受給者数が終わりましたので、受給金 額、年金額でございます。図表2-3-18を見ていただきますと、上の方が老齢基礎年金を 含む金額を掲載してございます。下の方に老齢基礎年金を含まない金額を出してござい ます。老齢基礎年金を含む金額でよく比較されますので、上の表でごらんいただきたい と思いますが、厚生年金で16万2,772円、国共済で20万7,965円、地共済で22万875 円、私学共済で20万6,467円、国民年金5万3,202円という形でございます。  下の方の伸び率でごらんいただきますと、18年度、厚生年金が1.4%の減、国共済が 0.5%の減、地共済が0.8%の減、私学共済0.5%の減、国民年金は0.5%増という結果 になってございます。  ここで厚生年金の伸び率がちょっと大き目の減が立ってございます。その理由は、68 ページを見ていただきたいと思います。60代で老齢年金・退職年金をもらっている方の 年齢別の状況を見たものでございます。現在ですと、60代前半につきまして、定額部分 の支給開始年齢を引き上げているという状態になってございます。  一番上の男女合計で見ますと、青地の部分、60〜61歳のところが定額部分が出ていな いことになります。62歳以降は定額部分は出ております。ですから、厚生年金で見ます と、60歳が平均年金額で8万5,949円、61歳10万6,271円ですが、62歳ですと定額部 分が出ますので15万9,558円ということで、かなりここに段差がございます。  青地の部分が定額がない部分ですが、女性の欄をごらんいただきますと、60歳が青で、 61歳から白になっております。共済は男性も女性も引上げのスケジュールは厚生年金と 同じなんですが、厚生年金だけ女性の引上げスケジュールが5年ずれておりまして、18 年度ですと61歳からが1階部分、定額部分もついた年金が出ているという形になってご ざいます。昨年度は60歳まで、これは全部白地だったんで、18年度に定額部分の支給 開始が上がったという意味で、60歳の人の年金額が昨年に比べて落ちているという形に なってございます。この影響で、厚生年金ですと、他制度に比べて年金額が伸びていな い。要は、定額部分がない女性が新規加入してきているんで、年金額を下げているとい う状態になっているということでございます。そういったことで変化があったというこ とでございます。それが受給者の状況でございます。  以上で被保険者の状況等が終わりましたので、財政指標に移らせていただきます。79 ページの図表2-4-2で年金扶養比率の推移という形です。まず最初が年金扶養比率でご ざいます。年金扶養比率ですが、基本的には、何人で1人の老齢退職年金受給者を支え ているのかという数字でございます。  厚生年金で見ていただきますと2.82、国共済では1.68、地共済では1.89、私学共済 では4.88、厚生年金では2.77ということで、どちらかというと国共済とか地共済で若 干低目の数字が出てございます。  ただ、国共済と地共済で低目の数字が出ていることにつきましては、国共済と地共済 は追加費用ということで、昔の恩給制度を引きずっているという影響がございます。左 の78ページの図表2-4-1の注のところをごらんいただきますと、年金扶養比率でそうい ったものを調整しまして、追加費用の部分の調整があるんで、かなり低目になっている。 財政的に見ると、要するに、追加費用等で支えているものですから、それほど支え手の 数が少ないわけではないのに、年金扶養率が低くなって見えてしまっているものですか ら、それを修正した数字をつくってございます。そういった修正を行いますと、国共済 は2.21、地共済が2.42となってございまして、厚生年金よりまだかなり低いんでござ いますが、大分近づくということが見てとれるかと思います。  79ページの表で伸びをごらんいただきますと、昨年度に比べて受給者が伸びておりま す関係もございまして、各制度とも減が立ってございます。18年度で厚生年金0.05の 減、国共済で0.02の減、地共済で0.06の減、私学共済は0.14の減、国民年金0.10の 減。私学共済で成熟化がかなりスピードが早いということがあって、減少幅も大きいと いう数字が続いてございます。  82ページへ行っていただきます。年金扶養比率の次の指標が総合費用率でございます。 総合費用率と申しますのは、支出を仮に保険料で賄った場合、何%の保険料を取ればい いんだという指標でございまして、そういった指標で見ていただきますと、厚生年金で 18年度、これも括弧書きと括弧がないのがございますが、括弧がついているのが昔のよ うに標準報酬で見たらどれだけで、現在、総報酬制ですので、括弧のないところでごら んいただきたいんですが、総報酬で見たら、17.8%取れば支出が賄えるという状況でご ざいます。国共済ですと17.6%、地共済ですと16.8%、私学共済ですと12.0%という ことで、私学共済は若い制度でございますので、かなり低いということが示されてござ います。  伸びで見ていただきますと、下の方ですが、18年度、厚生年金が0.0%の増、国共済 0.9%の増、地共済が0.6%の増、私学共済が0.2%の増という形でございます。厚生年 金は0.0%で横ばいになってございまして、最近、景気回復等で被保険者数が伸びてお るものですから、その影響で総合費用率なども横ばいということで済んでおりますが、 国共済、地共済については減少しておりますので、その影響でかなり総合費用率も上が ってきているという状況になってございます。上がってきているので、厚生年金と大分 近づいてきたという状況かなと思ってございます。  厚生年金との比較という意味では、総合費用率というのは決算ベースでつくっており ますので、厚生年金ですと、厚生年金基金のところが関係してきます。また、共済組合 ですと3階部分もございます。そういった意味で、純粋に2階部分、厚生年金相当部分 に係る総合費用率で比較しないと、制度間の比較という意味ではまずいだろうというこ とでございます。それをやったものが87ページでございます。  87ページの図表2-4-12でございますが、厚生年金相当分に係る総合費用率の推移で ございます。見ていただきますと、厚生年金の実績が先ほどの数字ですが、実績推計と 書いてございます、これが基金等の数字を調整したものでございます。それを見ていた だきますと18.6%というのが支出を賄うために必要な保険料になってございます。国共 済で3階部分を抜きますと16.5%、地共済ですと15.3%、私学共済11.2%ですので、 まだまだ依然として国共済より厚生年金の方が高いという状況が出てございます。  その1つの理由としては、先ほどから出ておりますが、共済組合の方が報酬が高い。 基礎年金の負担は定額でございますので、そういった意味では差が出るという構造がま だ続いているということだと思ってございます。  次に、93ページ、収支比率でございます。2-4-18表ですが、18年度、時価ベースで ごらんいただきますと、厚生年金107.0、国共済96.4、地共済83.4、私学共済73.2、国 民年金109.8という形になってございます。100%が収支とんとんですので、先ほどから 出ていますが、時価ベースで厚生年金と国民年金は積立金を取り崩す財政運営になって いるという状況を示してございます。  昨年度17年度と比べますと、17年度は厚生年金ですと、運用がよかったということ もございまして90.4ですが、今年は運用はそれほど悪くないんですが、107.0というこ とで、積立金を使う運営に戻っているという状態になってございます。  次に、積立比率が95ページでございます。図表2−4-20でございますが、前年度末の 積立金が今年度の支出に対して何年分あるのかという表でございます。厚生年金で見て いただきますと、時価ベースで5.2年分、国共済7.4年分、地共済11.2年分、私学共済 10.8年分、国民年金4.0年分という形でございます。  昨年度と比べますと、厚生年金は0.0年分の減、ちょっと減ってございます。国共済 は0.1年分の減、地共済は17年度の運用がよかったということもございまして0.4年分 の増でございます。私学共済も0.2年分の増、国民年金は0.3年分の減という形になっ てございます。  以上が財政指標で、次に、資料1−2に移らせていただきます。財政再計算との比較 で、実際にどのような状況かということを見たものでございます。  まず、101ページをお開きいただきたいと思います。被保険者の状況でございます。 財政再計算時に見込んだ被保険者数と実際の被保険者数がどれだけずれているのかとい うことを見てございます。図表3-2-1ですが、表側の時系列は同じような感じでござい ますが、表頭を見ていただきますと、これも同じように厚生年金、国共済、地共済、私 学共済、国民年金と並べてございますが、表頭の欄で、国共済+地共済というのをつく ってございます。これにつきましては、国共済と地共済は16年度から財政単位が一元化 されておりまして、財政再計算では基本的には一体として扱うということでございます ので、国共済+地共済をここではつくって、それで主に見ていこうということでござい ます。  実際の差で見ていただきますと、実績と再計算の比較でございますが、実績が厚生年 金ですと3,340万人、再計算時の見込みが3,220万人、差は120万人ぐらいですが、割 合のところで見ていただきますと3.6%実績の方が上回っているということでございま す。再計算時の見込みよりも、最近の景気回復等を反映して、被保険者もかなり実績で は増えてきているという状況がごらんいただけると思います。  国共済+地共済で見ますと、再計算時の見込みが411万4,000人ですが、実績では41 1万2,000人ということで、微減、大体、再計算の見込みどおりの数字という形でござ います。  私学共済ですと、3.5%再計算よりも増えているという形。  それから、国民年金ですと0.8%増えている。国民年金は全体の基礎年金ベースで計 算してございますが、そういう形になってございます。  103ページが標準報酬でございます。表側を見ていただきますと、上の方に標準報酬 の総額がございます。下が1人当たり標準報酬ということで並べてございます。1人当 たり標準報酬の方で見ていただきますと、厚生年金ですと、実績が37万3,849円ですが、 再計算では38万5,632円で、再計算時の見込みよりも実際は賃金が伸びていないという ことで、差の割合で見ていただきますと、右の方ですが、3.1%実績の方が低いという形 になってございます。  国共済+地共済ですと、5%実績の方が低い。  私学共済ですと、1人当たり標準報酬の差の割合ですが、5.0%低いという形の結果で ございます。  被保険者と合わせて総報酬で見ていただきますと、厚生年金ですと、先ほどから申し 上げていますが、被保険者が伸びている影響もございまして、1人当たりの標準報酬は 再計算よりも少ないんですが、標準報酬総額で見ると1.6%再計算より増えているとい う状態になってございます。  国共済+地共済ですと、標準報酬総額は4.9%減っている。私学共済でも被保険者は 増えていますが、1人当たりの減少幅がかなり大きいので、標準報酬が総額でも減って いるという状態になっているということでございます。  105ページが受給者数でございます。受給者数は、表側をごらんいただきますと、受 給者の総数を老齢・退職相当と通退、障害年金、遺族年金と分けてそれぞれ比較してご ざいます。主なところが老齢・退職年金でございますので、老齢・退職年金の欄でごら んいただきますと、厚生年金の実績が1,100万人でございますが、再計算時の見込みが 1,110万人ということで、0.1%の減。実績の方が若干下回ったということでございます。  国共済+地共済で見ていただきますと、実績の方が0.8%下回っている。  私学共済の老齢・退年相当の欄で2段目の右端を見ていただきますと、0.9%下回って いるということでございます。  国民年金でも0.0%下回っている。  ほぼ1%以内のずれですが、若干、受給者の方は見込みよりも下回っているという状 態になってございます。  106ページが保険料収入です。総報酬で大体の傾向はごらんいただきましたが、保険 料収入で見ていただきますと、ここの欄で注意を申し上げなければいけないのは、図表 の3-2-4でございますが、厚生年金のところで、実績の隣に実績推計という欄をつくっ てございます。この実績推計の欄が先ほど申し上げた、厚生年金ですと厚生年金基金が ございますので、厚生年金基金の関係を処理して、再計算は厚生年金基金を含んだ形で 計算されていますので、再計算との比較という意味では厚生年金基金の分も含めて比較 するという形に直して実績推計をつくっておりまして、それとの比較という形で見てい ただいております。実績推計と再計算を比較していただきますと、実績推計21兆9,000 億ですが、再計算は21兆6,000億で、保険料収入は再計算時よりも1.3%上回っている という結果でございます。  国共済+地共済で見ていただきますと、厚生年金は上回っていますが、再計算時の見 込みを0.5%逆に下回っているという形になってございます。  私学共済ですと、一番右の割合の欄ですが、0.3%下回っている。  厚生年金の方は見込みよりも上回っていたんですが、共済ではちょっと下回っている という状態でございます。  国民年金ですと、15.4%下回っているという形になってございます。国民年金ですと 被保険者も減っておりますし、そういった影響でかなり下回っているという状況になっ てございます。  109ページが運用収入でございます。図表3-2-6ですが、運用収入は見づらいので運 用利回りで見ていただきますと、厚生年金実績が3.10%ですが、再計算時の見込みが2. 21%で、0.89%上回ってございます。  国共済+地共済で見ていただきますと、実績が3.25ですが、再計算が2.30ですので、 0.95%上回っている。  下の方の私学共済ですが、運用利回りで見ていただきますと、実績が4.07ですが、再 計算は2.30で、これも1.77上回ってございます。  国民年金ですと、実績が3.07ですが、再計算は2.18ということで、これも0.89%上 回るということで、各制度とも再計算時の見込みをかなり上回っているという状態でご ざいます。  110ページが実質的な支出です。厚生年金の実績推計で33兆円、再計算32兆7,000 億で、こちらですと実績の方が支出が1.0%上回っているという状態でございます。  国共済+地共済ですと、実績の方は5兆4,699億円、再計算5兆5,585億円ですので、 こちらは逆に実績の方が再計算を下回っている。  私学共済では逆に、厚生年金同様に実績が上回ってございます。  国民年金ですと5.8%実績の方が下回っているという状態でございます。  そういった全体の状況でございますが、最後に115ページの積立金をごらんいただき ますと、厚生年金の実績推計で173兆6,000億です。再計算の欄が2つございますが、 括弧書きのところが、再計算のときは公経済負担というか、国庫負担が厚生年金ですと 基礎年金の3分の1等についておりますが、再計算時は3分の1に1000分の11を加え た額で計算しております。実際はそれをさらに若干ずつ引き上げてきているということ がございますので、その補正を行ったのが括弧内に書いてございます。その補正を行っ た形で、実績は当然、公経済負担は上がっておりますので、実績と比較という意味では、 173.6と161.1を比較していただきたいと思いますが、その比較で見ていただきますと、 最終的に積立金としても7.8%上回っているという状況でございます。  国共済+地共済では、その上回った割合が9.3%、私学共済で8.3%、国民年金でも9. 9%で、収支いろいろ変化はございますが、結果的に出てきている積立金としましては、 各制度ともかなり上回っているという状態が続いてございます。  118ページに行っていただきますと、年金扶養比率の再計算との比較分析をしてござ います。表側の欄をごらんいただきますと、年金扶養比率がどれだけ違うかをまず出し まして、被保険者数と受給権者数の割算でございますので、被保険者でどれだけ違って、 受給権者でどれだけ違うという形で分析してございます。  割合の欄だけ見ていただきますと、厚生年金は再計算に比べて実績が扶養比率3.1% 上回ってございます。その上回った最大の要因ですが、被保険者のところの同じような 欄を見ていただきますと、4.8%実績が再計算よりも増えておりますので、その影響で扶 養比率も3.1上回ったという形になっております。  国共済+地共済ですと、0.8%上回っている。  私学共済で4.4%上回っている。  国民年金ですと0.4%、若干下回ってございます。そういった状況です。  それから、総合費用率ですが、121ページでございます。総合費用率もいろいろ分析 できるようにしてございますが、一番上に総合費用率の差がございます。実績推計、再 計算の右最後の割合の欄でごらんいただきます。18年度で見ていただきますと、厚生年 金で0.5%、再計算よりも下回っているという状態でございます。下回った最大の要因 ですが、一番下の表の標準報酬総額でごらんいただきますと、総合費用は上回っている んですが、標準総額は1.6%更に上回っているということで、被保険者数の増加等で標 準報酬総額が大きくなって、その分で総合費用率なども下がっているという状況が見て とれるかなと思います。  国共済+地共済では3.5%上回っておりますが、要因としては、標準報酬総額が4.9 %下回っているということが大きく効いていて、総合費用率も上がってしまっていると いうことでございます。  それから、123ページが私学共済でございます。私学共済も2.5%上回っておりますが、 原因としましては、標準報酬総額が再計算に比べて下回っていることが影響していると いうことかなと思います。  次に、財政指標ですが、収支は飛ばしまして、最後に積立比率だけごらんいただきま すと、130ページでございます。厚生年金でごらんいただきますと、今の割合のところ でごらんいただきますと、積立比率が再計算に比べて実績は5.3%上回っているという ことでございます。この積立比率が5.3%も再計算より多くなっているという原因です が、下の方で総合費用と年度末積立金で見ますと、年度末積立金が6.4%上回っていま して、費用というよりは、積立金がかなり再計算より多く残っていることが原因で積立 比率も多く出てきているということでございます。  国共済+地共済でも10.2%上回っております。これも勿論、年度末積立金の影響が大 きい。  下の方で私学共済も6.4%、国民年金ですと17.8%も積立金は再計算よりも多くなっ ているという状態になってございます。これも前年度の積立金の運用が好調ということ もございまして、その影響で積立比率も見込みよりかなり上がっているという状態でご ざいます。  133ページでございますが、これからが実質的な分析に入ってございます。実質的な 分析をするに当たって、数理部会の立場としまして、年金制度の仕組みですが、賃金が 伸びると給付も伸びるという構造がございますので、賃金に対して、どれだけ利回りが あったか、賃金に対しての実質利回りがどうだったかという形で、実利回りで見て考え るということで出してございます。  図3-4-1でございますが、実績の実質利回りの計算と、下の方に再計算上の前提がご ざいます。再計算ですと、賃金上昇率が2%程度の伸びを見込んでおりましたので、ど ちらかというと賃金は伸びておりませんので、そういった影響でございまして、実質利 回りを見ていただきますと、実績の一番下ですが、厚生年金で3.09%の伸びでございま す。財政再計算上は実質0.21%でございますので、その差はかなり大きいといったこと が、先ほどからごらんいただきましたように、積立金が増えたり、いろいろなことにな っているという原因としてはあるのかと思います。実質利回りが再計算時の見込みより もこれだけよくなっているということがごらんいただけると思います。  その原因は、どちらかというと、再計算に比べると賃金が伸びていないことで実質利 回りが上がっていて、その影響で積立金等が実質的によくなっているということだと考 えてございます。  次に、最終的な分析が139ページでございます。積立金で見まして、その要因を比較 してございます。表頭が基本的には制度でございますが、表側で見ていただきますと、1 8年度末の積立金の将来見通しとの乖離が、厚生年金ですと12兆5,000億実績の積立金 の方が多くなってございますが、それをいろんな要因に分解してございます。  まず1つが、16年から分析を開始しておりますが、16年度でどれだけ積立金が再計算 より多かったのかということでございます。厚生年金ですと、16年度末で4.2兆円多か った。それが18年度末には12.5兆円に差が拡大してございます。その内訳ですが、17 年度に発生したのが6.7兆円。細かくて恐縮ですが、6.7兆円は17年度の財政がよかっ たんで、積立金が見込みより更に増えた分です。18年度は、やはり再計算の見込みより よくなったということで、1.7兆円増えているという状態になってございます。  その内訳ですが、17年度の6.7兆円は、名目運用利回りがよかった分が7.4兆円ござ います。先ほど申し上げましたように、実質的な運用利回りがよかった分は9.8兆円あ りまして、賃金上昇率は伸びていないことでは、2.3兆円本当は減ってもよかったのが 減らなかったという形の分析になってございます。運用収入以外の収支残で見ますと、 ここはそれほど大きくなくて、0.8兆円の減でございます。これも賃金上昇率と賃金上 昇率以外の経済要素、人口要素等に分けて計算してございます。18年度も同じように出 してございます。こういう形の細かい分析をしてございます。  先ほどから申し上げていますように、名目賃金上昇率が伸びた分は、実質的な再計算 の比較では評価として問題があるということで、実質的な面で見て、どれだけの差があ るかということを最終的に見たのが141ページの表でございます。  141ページの表でごらんいただきますと、実質的な差で見ますと、16年度との乖離で すと、厚生年金で4.2兆円と出ていますが、下の方で、17年度、18年度で、ア〜ウの合 計の欄をごらんいただきたいと思います。厚生年金ですと、実質的には18.1兆円、再計 算よりも多いと評価できるだろうということでございます。  国共済+地共済では5兆9,602億円、私学共済で4,219億円、実際、再計算より多か ったというふうに評価できるという形でございます。  なぜ18.1兆円の差が出てきたかの要因を分析してみると、下の方に要因分析の割合が 書いてございますが、ア〜ウの合計のところが全部100になってございます。分解して ございまして、そのうち、実質的な運用利回りと名目賃金上昇率以外の経済要素と人口 要素に分けてございます。これで見ていただきますと、ア〜ウの合計を100%とします と、80%は実質的な運用利回りで差が出ているという形になってございます。  国共済+地共済で85%はやはり運用利回りの影響で差が出ている。  私学共済ですと73%でございますので、各制度とも実質的な運用利回りが高かったと いうことで、積立金もかなり積み上がってきているという状況でございます。  それをグラフにしたものが144ページでございます。144ページの厚生年金の欄でご らんいただきますと、16年度から分析を始めておりまして、茶色い線が将来見通しの積 立金の変遷で、緑色の線が実績でございます。茶色い線は実績とかなり差が開いて、積 立金がかなり積み上がっているということを申し上げましたが、評価としましては、実 質的には賃金が伸びておりませんので、下の赤い線、名目賃金上昇率を除いた場合の推 計値と比較するのが正しいんではないかということでございます。名目賃金の上昇を除 いた推計値で見ますと、積立金というのはもっと減ってもよかったということになりま すので、その差を見ますと、更によくなっているという状況が見てとれるかと思います。  各制度とも同じような形状をしてございますが、基本的には運用が好調ということも ございまして、好調というか、再計算よりも実質利回りが好調という意味でございます が、そういった意味では、積立金はかなりよくなっているということでございます。  150ページに収支比率の分析、153ページが積立比率の分析ですが、同様な結果でござ いますので、長時間になりましたので、省略させていただきます。  私からの説明は以上です。 ○山崎部会長   ありがとうございました。  それでは、ただいまの事務局の説明に対する御質問や、報告書の案に対する御意見な どがありましたら、お願いいたします。熊沢委員。 ○熊沢委員  133ページの図表3-4-1に名目運用利回りと実質的な運用利回りの比較が載っている のですが、説明にもありましたけれども、17年度は運用はよくて、18年度は再計算の前 提よりは若干いいというような状態になっています。御承知のように19年度は運用が非 常に悪くなっています。こういう実質ベースでの比較とかをわかりやすくすることによ って、単純に名目値の運用利回りがよかったとか、そういう報道などが多いですので、 こういうところを丁寧に記述していくということは、運用結果の変動が大きくなってい る時代になっている中で、特に必要だというふうに感じています。こういうのをわかり やすく書いくことがこれからますます必要になってくるという感想です。 ○山崎部会長  ありがとうございました。  では、私の方から、例えば、資料1−2の101ページですが、再計算と比べて被保険 者が相当伸びていて、国共済、地共済が若干減っておりますが、厚年が増え、国民年金 も再計算に比べると増えているわけで、20〜60歳の間では、相殺するような、一方が増 えれば一方が減るような、ですから、厚年が増えれば国年が減るような関係にあるんで はないかと思うんですが、全体として、再計算値より上がっているというのはどういう ことでしょうか。高齢者の雇用が伸びているのかどうか。どのように見ておられますで しょうか。 ○山崎数理課長  数理課長でございます。  101ページでございますが、右下の国民年金(基礎年金)というのは、1号、2号、 3号全部合わせました被保険者でございます。2号の方が増えて1号の方が減る分、20 〜59歳のところでは、既にそこがもう全部入ったものになってございまして、更に、こ れは被保険者ということでございますので、20歳前でございますとか、60代の方も全部 込みになった被保険者でございますので、まさに部会長おっしゃいますように、高齢者 雇用が伸びた分につきましては純粋にプラスになるということで、こちらの方が若干プ ラスになっているというふうに評価しているところでございます。 ○山崎部会長  当時、見通した以上に雇用が伸びている。私は印象として、随分無理な雇用見通しを しているんではないか、期待を込めた見通しになっているんではないかなと当時思って いたんですが、実際にはそれ以上に雇用が伸びているということのようでございます。  ほかにございますでしょうか。近藤委員、いかがでございますか。 ○近藤委員  11ページの単年度の収支状況ですが、数理部会として、こういう分析が必要というこ とでやっています。去年に比べると、単年度の収支残、簿価ベースで大分よくなってい ます。これは料率が上がっていくことで相殺されてよくなっているので、積立金からの 取り崩しというのはあと数年で多分ゼロに持っていけると思います。 単年度の収支は、どちらかというと、積立金からの繰り入れがある間にこういう形で判 断の基準を考えてみようということでやっています。年金財政そのものを単年度ベース で赤字とか黒字とかという判断を私はするべきでないと考えますので「赤字」という言 葉ではなしに、できたら「不足」であり、それはいずれ調整されるという、年金財政と いうのは長期的に見るべきものですから、概要にもその辺のところを触れた方がよかっ たのかなと思います。 ○山崎部会長  そのほかに、林委員、いかがでございますか。 ○林委員  特にございません。 ○山崎部会長  宮武委員、いかがですか。 ○宮武委員  事前に少しお聞きをしたり、あるいは2〜3注文したりしたことを反映していただい ておりますので、追加はございません。 ○山崎部会長  都村さん、いかがですか。よろしいですか。  熊沢委員、そのほかによろしいですか。  それでは、特にないようでございます。委員の皆様にはいろいろと御指摘いただき、 議論を尽くしていただいたものと思います。特に報告書の修文が必要だという御意見は ございませんでしたので、これをもちまして本部会の「平成18年度公的年金財政状況報 告」とさせていただきます。よろしいでしょうか。 (「はい」と声あり) ○山崎部会長  異議がないものと認めます。それでは、これを本部会の報告とさせていただきます。  本日はこれで終了したいと思います。どうもありがとうございました。 −了− (照会先)  厚生労働省年金局総務課首席年金数理官室  (代)03-5253-1111(内線3382)