08/11/20 「安心と希望の介護ビジョン」第7回会議議事録          「安心と希望の介護ビジョン」第7回会議議事録 ○ 日時及び場所    平成20年11月20日(木) 9時30分から10時50分まで    厚生労働省 省議室 ○ 出席委員    石川(誠)、石川(良)、太田、駒村、袖井、鳥羽、古川、前田(座長)、 村上、村田の各委員    中村、堀田委員は欠席 ○ 議題    安心と希望の介護ビジョンについて ○ 議事内容 ○大澤総務課長 それでは、定刻となりましたので、石川誠委員はまだ御到着で はありませんが、間もなくお出でになると思いますので、ただいまから第7回「 安心と希望の介護ビジョン」会議を始めさせていただきます。  本日は、大変お忙しいところをお集まりいただきまして誠にありがとうござい ます。  本日は、中村委員、堀田委員が所用により御欠席との御連絡をいただいており ます。  なお、舛添厚生労働大臣につきましては、国会用務につき遅れて参る予定とな っておりますので、あらかじめお詫びを申し上げます。  引き続きまして、お手元の資料について確認をさせていただきます。  議事次第、名簿、座席図の次に資料1といたしまして「安心と希望の介護ビジ ョン(案)」、それから参考1といたしまして「安心と希望の介護ビジョン(概要) (案)」がございます。資料に不備等がございましたら、事務局までお申付けいた だきたいと思います。よろしいでしょうか。  それでは、前田座長、議事進行方、よろしくお願いを申し上げます。 ○前田座長 それでは、早速議事に入らせていただきたいと思います。  誠に恐縮なのですが、ちょっと鼻風邪を引きましてお聞き苦しいところがある かと思いますが、お許しいただきたいと思います。申し訳ございません。  前回の会議では、事務局からビジョンの案のたたき台を出していただき、御説 明をいただいて、委員の皆様からさまざまな御意見をいただいたところでござい ます。今回は、まさに前回の御議論を踏まえまして、舛添大臣とも十分御相談を いただいた上で、事務局の方でビジョンの修正案を作成していただきました。  まず初めに事務局から、前回の議論を踏まえた修正点を中心にしたビジョンの 案を御説明いただいた上で、更に御指摘いただいて完全なものに直してまいりた いと思っております。お気付きの点がありましたら、委員の皆様から御意見を頂 戴できればと考えております。  ですから、まず今、申し上げましたように、ビジョンの修正案について事務局 の方から御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○大澤総務課長 それでは、お手元の資料の1をご覧ください。  まず、1ページ目の一番下の方の行になります。これは、前回の会議におきま して、さまざまなサービスを選べるといいましょうか、そういったようなことを 加筆してはどうかという御意見がありましたので、ご覧いただきますように「住 み慣れた地域の中でどのように暮らし、生きていくか、まずは、私たち一人一人 が考え、選択していく必要がある。」という趣旨を加えさせていただいておりま す。  それから、2ページ目の上の辺りでございます。いわゆるコミュニティ・ワー ク・コーディネーターにつきまして日本語で表記をしてはどうかという御意見、 あるいは原案ではどちらかと言えば本省の方から派遣をするというようなニュア ンスが強く出ておりまして、むしろ地域において活躍していただける方々を発掘 して情報共有してはどうかという御意見等がございましたので、それを踏まえま してご覧いただきますように、各地域において担い手役となりたいという意欲の ある地域の高齢者、住民、コミュニティ・ワーク・コーディネーター、高齢者地 域活動推進者、仮称でございますが、それに対しまして「先進的事例や様々なノ ウハウを修得できる機会を提供し、地域の創意工夫を活かした「場」づくりを応 援していく。」というふうに修正させていただいております。  それから、下の方の次の下線部でございますが、前回医療面での記述がないと いう御指摘がございましたので、「要介護高齢者の増加は、慢性期医療ニーズの 増加も意味しており、そのニーズに適切に対応できるような基盤確保・ネットワ ーク整備を進めていく必要がある。」旨、加筆をし、その下でございますが、「 安心の砦となる施設の計画的・戦略的な整備や、要介護高齢者のニーズに対応し た慢性期医療基盤の確保、救急医療に係るネットワークの整備」を加えておりま す。  それから、その下の下線部です。いわゆる療養介護士という仮称ですが、新た な資格の創設について記載をしておりましたが、これにつきましてはやや唐突な イメージがある等の御意見がございましたので、ご覧いただきますように「必要 な知識・技術に関する研修を受けた介護従事者が、医師や看護師との連携の下に、 医療的なケアのニーズが高まっている施設において、経管栄養や喀痰吸引を安全 性が確保される範囲内で行うことができる仕組みの整備」と改めさせていただい ております。  それから、中ほどの行ですが、これは前回の御意見の中で家族に対する支援に ついても記載をすべきという御意見がございましたので、ご覧いただきますよう に、「介護保険は、高齢者が要介護状態になっても、尊厳を保持し、能力に応じ 自立した日常生活を営むことができるようにするという、高齢者本人を支援する ための制度であるが、そのような高齢者を身近なところで支えている家族に対し ても、目を向ける必要がある。そのために、要介護高齢者の介護を行う家族に対 して、適切な介護知識や技術を習得できるような機会を提供していく。同時に、 働きながら要介護高齢者の介護をしている家族が、仕事と介護を両立し、無理な く働き続けることができるよう、現行の介護休業制度(長期の休業)に加えて、 一日単位で取得できる介護のための短期の休暇制度を設けることを検討するなど、 要介護高齢者の家族も支えていくための仕組みを整備していく。」旨、記載をし ております。  4ページでございます。上から2段落目でございますけれども、介護従事者の 雇用環境を改善していくために、前回は介護従事者の労働条件、給与の水準につ いての情報を公表する旨、記載しておりましたが、それ以外の情報もあるという 御指摘等がございましたので、ご覧いただきますように「処遇に関する情報」と 改めさせていただいております。  それから、次の下線部は超高齢社会における「希望」について、年齢や心身の 状態に加え、「所得の多寡」、あるいは「家族の有無に関わらず」という旨、記 載を追加させていただいております。  それから、最後の行ですけれども、このビジョンを計画的に推進すべきだとい うような御意見を踏まえまして、「政府においては、本ビジョンで示した施策を 実現するために、計画的に取り組んでいくことを要請する。」旨、追加をさせて いただいております。  続きまして、5ページでございます。まず1の(1)の「コミュニティ・ワー ク・コーディネーター(仮称)の輩出」につきましては、先程申し上げました趣 旨から、下線部ですけれども、地域の高齢者や住民の抱える課題と、自らの持て る力を活かしたい高齢者(要介護者を含む)の「できること」を結び付け、高齢 者が主体的・積極的に参画するコミュニティ・ビジネスや互助事業などを育成す る「キーパーソン」になりたい、という意欲のある地域の高齢者や住民」(「コ ミュニティ・ワーク・コーディネーター(高齢者地域活動推進者)」(仮称)を 地域から募集し、地域独自の「場」づくりに積極的に取り組んでいる先進的事例 や、このような取組を成功に結び付けるための様々なノウハウ(暗黙知)を修得 できる機会を厚生労働大臣が提供する。  「コミュニティ・ワーク・コーディネーター」は、年間300人輩出することと し、それぞれの地域において、地域の創意工夫を活かした「場」づくりに積極的 に取り組む。」と改めてさせていただいております。  それから、(2)の3つ目の丸でございますけれども、地域包括支援センター について、地域における総合相談窓口の位置付けを明確にせよという御意見がご ざいましたので、ご覧いただきますように、「地域包括支援センターについて、 地域の高齢者やその家族が生活を送る上で、何か困ったことがあった場合の最初 の「総合相談窓口」としての位置付けを明確にし、その機能強化を図る。」こと としております。  続きまして、6ページで2の(1)の2つ目の丸につきましては、サービスを 利用する方から見た表記に改めさせていただいておりまして、「なじみのある関 係にある事業者からのサービス提供等により、高齢者が住み慣れた地域で24時間 ・365日安心して生活できるよう」云々というふうに修正を加えております。  それから、3つ目の丸は医療に関する事項でございますけれども、「要介護高 齢者のニーズに対応した慢性期医療基盤の確保、救急医療に係るネットワークの 整備」を追加させていただいております。  それから、2の(3)の「医療と介護の連携強化」につきましては、内容が2 つの要素が混じり合っていてわかりにくいという御指摘がありましたので、ご覧 いただきますように(1)として「関係者間での連携」、次ページですけれども、(2) として「制度面での連携」に区分をさせていただいた上で、まず「関係者間での 連携」につきましては先程申し上げたいわゆる療養介護士(仮称)についての考 え方から、「介護従事者が質の高い総合的なケアを提供できるようにするため、 将来的には、医師や看護師との連携の下に、介護の現場で必要な医療行為を行う ことができるようにすることを含め、資格のあり方の検討」ということにさせて いただきまして、その上で「当面、医療的なケアのニーズが高まっている施設に おいて、必要な知識・技術に関する研修を受けた介護従事者が、医師や看護師と の連携の下に、経管栄養や喀痰吸引を安全性が確保される範囲内で行うことがで きる仕組みの整備」と書いております。  次の丸は、原案ではケアカンファレンスと、それからシステム検討をする会議 なのか、ちょっと渾然一体としているという御指摘がありましたので、趣旨を明 確にすることといたしまして、ご覧いただきますように「個々の高齢者に最適な ケアを提供するチーム・ケアの一層の推進、地域における最適な医療・介護の提 供システムを議論するため、関係機関や団体等が一堂に会した「地域ケア推進会 議」(仮称)の立ち上げ」というふうに表現を改めております。  続きまして、7ページの(4)でございます。「認知症対策の充実」について、 4つ目の丸ですけれども、「認知症高齢者の実態把握、及びその実態把握の結果 も踏まえた」介護サービスの基盤整備をするという趣旨を明確にさせていただい ております。  それから、一番下の丸でございますが、いわゆる成年後見制度につきまして、 「弁護士や社会福祉士などの専門職や、高齢者の権利擁護のための相談支援を行 っている団体等との協力・連携の下で、その活用を一層促進」するというふうに 改めております。  続きまして、8ページでございます。ケア付き住宅の整備に当たって、質の確 保も重要であるという御指摘を踏まえまして、下線部でございますけれども、ケ ア付き住宅の計画的な整備の際には、「福祉政策と住宅政策との緊密な連携、ケ アの質の確保という視点が必要」である旨、追加をさせていただいております。  次に、9ページでございます。3の(1)で、いわゆる情報公表については先 程申し上げたようなことから、介護従事者の労働条件や給与水準に加えまして、 「教育訓練など、介護従事者の処遇に関する情報の積極的な公表」というふうに 修正をさせていただいております。  それから、次の(2)の2つ目の丸、「効率的な事業経営を行うために参考と なる経営モデルの作成・提示」、それから次の下線部ですが、「介護の質の評価、 ひいては介護従事者の技能の評価に資するようなアウトカム指標のあり方につい ての検討」を加えております。  説明は、以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○前田座長 ありがとうございました。前回、御指摘いただいたところを踏まえ て、かなり網羅的にといいますか、各委員の御意向は尊重して書かせていただい たつもりではありますが、やはり御趣旨を完全に汲み取れていないところもあろ うかと思いますし、その点以外でお気付きの点でもよろしいので、今回はどの部 分からということではなくて、全体を通してお気付きの点を御指摘いただければ と思います。もちろん直した文章の意味その他、不明な点があれば御質問いただ ければと思います。いかがでしょうか。 ○石川(良)委員 1点だけですけれども、例の療養介護士のことについてです。 2ページと、6ページの(3)の「資格のあり方の検討」ということですけれど も、前回唐突に療養介護士という概念が出てきて、それに対する説明等々がなく て、これだけが一人歩きで意味不明というような御意見等があって、それに対し て今回はその中身というものを詰めて出してきて、それなりに分かりやすくなっ ているのではないかと思います。  それで、この提言は2025年を一つ目途にしながらの安心と希望のビジョンを打 ち出していくという、それなりのインパクトを求めているわけであります。そう いうことからしますと、療養介護士ということの概念の一定の整理ができたとい うことですので、是非この言葉そのものをなくすというのではなくて、仮称なり 何なりということで、この療養介護士というような表現を私は残した方がいいの ではないか。一定のこういう職を担っていける資格ということで、仮称というこ とであっても療養介護士というようなものも一つ設けたらどうかという提言性と、 一定の提言のインパクトという意味でも、仮称ということでもよろしいので療養 介護士というような表現の仕方を残したらどうかと思います。以上です。 ○前田座長 具体的には、1つは6ページの(3)の丸の2つ目で、「技術に関 する研修を受けた介護者(療養介護士)(仮称)」というようなものを入れてお いたらどうか。本文よりこちらの方に入れた方がよろしいですか。  この問題は、前回も少しだけは議論になったわけですけれども、介護の方に医 療部門をどこまで携わっていただけるかというのは、実はもう長い議論の歴史が あって、今でも進行中でいろいろなところで動きがあるわけです。それで、この 間、御指摘があったように、ここで療養介護士を創るというふうに言ってしまう と、これは行き過ぎである。医療の側、看護の側からの反発が強くあるというの は当然だと思います。  ですから、この位のところで抑えて修正案を作っていただいたわけですが、25 年に向けてのビジョンということで、括弧付きで療養介護士位の継ぎ手は出して もいいのではないか。実質は、それによって方向性が特に強まるかどうかという のは、今後いろいろなそういうニーズのあるところで恐らくどこまで、例えば吸 引を認めていくかという議論を積み上げていかざるを得ないと思うのですが、こ れに関しては石川委員の今の御意見を伺わせていただいてまとめたいと思います。 ○石川(誠)委員 私は、今回とてもよく直ってとてもいいと思うのです。  というのは、基本的に在宅ケアを推進する原則がありますが、施設や病院に長 期にいるということの理由の一つに、吸引とか経管栄養があると思うのです。で すから、もっとそれができる人を拡大するということは大変結構だし、そのため だけに入院・入所をずっと続けているという傾向が打破できると思います。  ですから、大変結構なのですが、私はそのためにも介護福祉士という資格を持 っている人全般にこういうことができるようにするということでないと、介護療 養士というごく一部の人にその資格を与えても、普遍化はそう簡単に起こらない と思うのです。ですから、これは介護福祉士の教育制度の中にしっかり組み込む とか、医療の知識をもっともっとふんだんに研修するとか、そういうことで、療 養介護士の名称は入れない方がいいと思っております。 ○前田座長 実質の議論の差ではなくて、方法論といいますか、形の問題なのか とは思うのですが、これは恐らくこのビジョンの中で最も注目される一つのポイ ントになるとは思うのです。それで、他の委員の方の御意見も踏まえて、全員が 完全に満足するというような形はあれなので、やはり大勢の御意見に従ってまと めたいと思いますので、他の委員の方から今の点に絞ってまず御発言いただけれ ばと思います。  では、鳥羽委員お願いいたします。 ○鳥羽委員 短期的には、各職能団体が一定の法律の下で質が落ちるというよう な議論が出されるかもしれませんが、これからは高齢社会で在宅介護・医療の需 要がものすごく増える。10年先には通用しないような議論になっていくと思いま す。  例えば、終末期などではアメリカでは看護師さんが主導権を持ってやったケア の方が、お医者さんがやったよりもQOLというか、生活の質が高かったという 調査が既に10年前に出ておりますので、日本は相当その意味では多職種協働とい うのは医師会の方も言っていることでありますので、その具体的なノウハウや実 効的な効果の確立に向けて10年後のビジョンということであれば、石川委員がお っしゃったようにお互いの譲れるところは譲って、いいシステムにするためにで きるケアの裁量を増やすといった方向を打ち出すべきだと私は考えます。 ○前田座長 石川委員がお2人いるものであれなのですが、要するに介護従事者、 特殊なといいますか、医療にもお詳しい介護従事者を養成していくという方向性 をとるのか。介護士全般にボトムアップというか、医療に関してもレベルを上げ ていくのか。それもそんなに決定的な差ではないのかもしれませんが、括弧付き で療養介護士みたいな言葉を今回の提言の中に入れるかということに絞ると、御 意見はいかがになるのでしょうか。 ○鳥羽委員 名前を入れるかどうかという問題よりも、研修制度ですね。ですか ら、安心のできる研修制度を行った上で、一定の研修を終えた方がという形で、 名前を新しく創設する必要は私もないと思います。 ○前田座長 では、村上委員お願いいたします。 ○村上委員 3回前の提言の時にも、特養の中での重度者の対応についてお話を させていただきましたけれども、特養の中では介護士、介護従事者が医療的な行 為をやっているということは報告書で出してあるのです。  そういう中で今、介護福祉士の人材難の問題だとか、あるいは専門性の問題だ とか、こういうようなことを考えたとき、やはり研修は前提なのですけれども、 そのモチベーションだとか、あるいは専門性を考えたときに、是非この療養介護 士というような位置付けはしていただきたいと思っているわけです。2年前、特 養の医療に関する調査研究をやって報告書を出しているのですけれども、この中 でも我々も提言として療養担当介護士という名称でこれから国の方に考えていた だきたいということは出してあるのです。  ですから、今回療養介護士という名称については大変私たちは歓迎をいたしま したし、うれしかったですし、またこれから更に介護を続ける人たちに対して、 そういう役割を改めてきちんと持ってもらう。こういう方向性としては、大変こ のことについて私たちは大事だと思っておりますので、括弧付きでもいいですけ れども、この療養介護士というような名称は入れていただければと思っておりま す。 ○前田座長 では、古川委員お願いします。 ○古川委員 私の意見は今の意見と逆になってしまうのですけれども、実際に介 護の現場でも医療ニーズのある方の介護というのは日常的にいっぱいあるわけで、 その中で新たな資格を創って、ある一部の方しかそれに対応できないような形に してしまうと、結局介護という中にそれが根付いていかなければケアとして成り 立っていかないかと思うのです。  ですから、もちろん研修というのはしかるべきだとは思うのですけれども、一 定の方に限定をしてしまうと根付いていかないということを考えると、やはり介 護福祉士全体がそういうことをできるような形に将来ビジョンとして持っていか ないと、今後の介護というものが広がっていかないのではないかと思うので、私 はあえて資格という形で限定しない方がいいのではないかと思います。 ○村上委員 私は、将来的には石川先生がおっしゃったようになっていかなけれ ばいけないと思っています。  ただ、現在は現実に医療法だとか、医師法だとか、医療関係の法律に抵触する 問題もあるわけです。ですから、そこをクリアするという意味でこの名称と、こ の内容、それから研修の必要性、こういうようなものが今は必要ではないかと思 っておりまして、先生方がおっしゃったことに反対をしているわけではありませ ん。特別な人だけが療養介護士ということではなくて、将来的には皆そういうふ うになっていってほしいと思いますし、介護福祉士の職務としてそれが入ってい ってほしいと思っております。 ○前田座長 どうでしょうか。袖井委員や村田委員の御意見も伺って、これはま とめたいと思います。  では、村田委員が先に手を挙げられたのでどうぞ。 ○村田委員 私も、制度とか考え方というのはできるだけ多くの人に分かりやす く、輻輳しない方がいいというのがまず基本的にあります。それで、介護福祉士 さんという国家資格を持った方がたくさん配置されて、その方々の質の向上とい うことが強く言われる中で、その方たち全てがこういうことができるようなこと を目指して質の向上を図る。それで、在宅療養がここまで進んできたのかという 現実を考えますと、一部の人だけではとても将来的には賄い切れない。多くの介 護に携わる専門職の方々が担えるような方向性を目指すべきだと思います。 ○袖井委員 私も村田委員とかなり似ているかとは思うのですけれども、いろい ろな資格を創るとそこの中でヒエラルキーができてしまうという問題があるのと、 それからかなり大きな人口の多いような地域ですと、そういう資格を持った人も 得られるかもしれませんけれども、資格保持者があまりいないような地域だった らそういうものをどうするかという問題も出てきてしまうと思うのです。  ですから、現実に例えば今、看護師さんがかなり医療行為に近いことができる ように、看護師さんの権限の範囲が少しずつ伸びて広がっておりますし、北欧な どはかなり看護師さんが医療に近い行為もできるようになってきて、少しずつ委 譲してきているわけです。ですから、看護につきましても介護福祉士という人た ちにやはりある程度こういう医療的な行為もできるような研修、それから教育を して少しずつ広げていかないと、一定の資格しかないとできないということにな ってしまうと、サービスを受ける側にとって非常に不利ではないか。  だから、やはり私どもとしては利用者サイドにとって何が一番いいのかという 視点から考えていきたいと思いますので、私は特に資格というものを書くのは反 対で、研修とか、そういうところでレベルアップを図っていくというふうにして いただきたいと思っております。 ○駒村委員 なかなか悩ましいところですけれども、私はどちらかというと資格 ができると、ヒエラルキーというのはまた違う話だと思っております。多くの介 護スタッフができるように広がっていくのはもちろん理想としてはいいのですけ れども、現行時点ではやはりステップアップの目標というものがあってもいいの ではないかと思っています。  もちろん研修だけで何とかしていくのが理想でありますけれども、私はどちら かというと介護の専門職の方にステップアップの目標という意味での何か明確な ものがあった方がいいのではないかという感じは持っています。 ○前田座長 太田委員から御発言は、特に今の点は……。 ○太田委員 大体、皆さんと同じです。 ○前田座長 皆さん、実質は介護の方々が医療的な部分に今よりも広がって働い ていただかなければいけない。それで、その力を付けていただかなければいけな いので、医療についても生きがいのある、やりがいのある職種にしていかなけれ ばいけないというところは共通で、その方向に動かすために療養介護士というよ うな新しいものを先駆的なものとして創ることが、より有効か。むしろ現状で利 用者の側から見て、そういうものができるとマイナスなのかということで、差は ほとんど私のような立場から言うとないのです。  そうすると、この趣旨は明確に認識されて、そういう方向で動かさなければい けないということは認識したとして、療養介護士みたいな言葉を入れておくと、 医療界とかの御懸念がやはりあるから先ほど何人かの御発言が出てくるのだと思 うのです。  修正案としてまとめたのは、そういう趣旨も含めてここまで書いておけばそう いう趣旨は伝わるので、言葉として療養介護士という言葉を出すのはやめておこ うという原案を作らせていただきましたので、もちろん御不満が残るのはよく分 かるのですが、合意としてやはり介護の方が医療の方面で、より積極的に仕事を していくための研修をしていくことが何より重要である。それを広げることが何 より重要であるということを踏まえて、石川市長その他から御指摘いただいたの は非常によく分かるのですが、修正案どおりで諮問をこの部分はさせていただこ うかと。多数決だけでと言っても、ほとんど同じで相半ばしていますので。ただ、 思いはそんなに違わないということでお許しいただけないだろうかということで、 この部分はよろしいでしょうか。  本当に申し訳ないと思いますが、ただ、責任を持ってこれを出すのにいろいろ お伝えしていく中では、介護の方が医療の現場により前に出ていけるような研修 制度を実質化していく。それで、レベルアップにつながっていくということを提 言していくということは強調していきたいと思います。  では、村上委員どうぞ。 ○村上委員 今の座長さんのお話はよくわかりました。それで、表現上入れるか 入れないかという問題もあるのですけれども、現実に特養のような施設では夜間 看護師がいるわけではありませんので、緊急のときには奥までやるかどうかとい うのは別な話として、サクションなどをやらなければ、本当に息が途絶えてしま うというような状況がたくさんあるわけです。  ですから、そのことを踏まえた上でこの療養介護士、ここに文書で書いてある ようなものが必要であることは是非知っていただきたいと思いますし、単にこれ だけの表現ではなくて今のようなニュアンスを何か入れていただけるとか、やら ざるを得ない状況に現在もあるという表現を入れていただきますと、よりこの意 味が出てくるのではないかと思いますので、それをお願いしたいと思います。 ○前田座長 分かりました。それは、6ページのところで医療的なニーズが高ま っているということにそれを込めているつもりですが、もうちょっと具体性のあ る、リアリティのある、切迫感があるような文章に責任を持って直させていただ くということで、今日はこれで諮問の最後をまとめていきたいと思いますので、 御意向は十分理解させていただいたということで前に進めさせていただきたいと 思います。  他の問題点でいかがでしょうか。特に鳥羽先生から御指摘いただいた点は、こ れで十分でしょうか。御指摘は本当に前回、申し訳なかったのですが。特に他に ございますか。  では、村上委員どうぞ。 ○村上委員 3ページのところに、前回あまり入っていなかった家族の問題を入 れてくださいましてありがとうございました。  この下線のところをずっと読んでいくと、本当に家族のことを支えていこうと いうのがあるわけですが、ただ、この中で書いてあることだけですけれども、「 現行の介護休業制度に加えて、一日単位で取得できる介護のための短期の休暇制 度を設けることを検討する」というようなことで、実際上はこちらの方の概要の 項目の1と2を合わせて考えますと、高齢者自らが安心と希望を持って、高齢者 が住み慣れた自宅や地域で住み続けるためには、家族介護の支援というものが大 変大事なのだと思っているのですけれども、そういう観点でこれを読み取れなか ったのです。  それで、もう少しこの中で、例えば家族を支援するためのヘルパーとか、デイ だとか、あるいはショートステイの使い勝手、制度の在り方などがこの中に表現 として入ってこないと、家族に対する支援というものが見えてこないなと思って、 ここのところについて入れていただけたらと思います。  それから、5ページ以降に改めてそれがまとめられているのですが、この中に 家族に関するものがやはり入っていないのではないでしょうか。  それから、この概要の方にも家族のことが入っていない。改めて入れていただ きたいということでお願いをしたいと思います。 ○前田座長 今の点で、何か事務局の方から御説明いただくことはありますか。 ○大澤総務課長 今の御趣旨を踏まえて、6ページ以降の各論なり概要、あるい は3ページの前文についてもホームヘルパー等の使い勝手のよさに対する配慮み たいなものも、御趣旨を踏まえて考えさせていただきたいと思います。 ○前田座長 大きな直しというよりは、付け加えるということで、例えば3ペー ジのところでいろいろな休業の取り方のほかに、その前にそもそも施設が使いや すくなることによって家族の負担が軽減するというような趣旨のことも入れると いうことでよろしいですか。今日の段階でもちろん御受任いただくにしろ、具体 的に御支持といいますか、合意して最後にまとめるということになりますので、 今のような方向で、6ページもさっき課長がお話になったような方向でまとめる ということでよろしいですね。  それでは、そのところはお任せいただくということで、太田委員どうぞ。 ○太田委員 家族のことでよろしいでしょうか。私もこれを読ませていただいて、 全般的に家族のことを前回よりも随分入れていただいてよかったと思うのですけ れども、ただ、やはりこの3ページのところを読ませていただいたときに、介護 知識と技術を家族がマスターして、お年寄りの尊厳を大切にしながら、その上し っかりと仕事の両立をしろというふうに、何か余計に追い詰められるような気が いたしました。それができない現状で今、困っているわけです。  高齢者の尊厳を大切にするということは、本当に当たり前のことで、とても大 切なことです。ただし、高齢者の尊厳を大切にする余りに家族がぼろぼろになっ ている現状というものがあります。以前、プレゼンの中でも紹介させていただき ましたけれども、驚くほど介護家族がうつの薬を服用している現実があります。 介護うつ、介護心中、高齢者虐待、介護殺人、こういったものはすべて介護者家 族の尊厳が損なわれてぼろぼろになっていることが一因だと私は考えています。  それで付け加えていただきたいのですけれども、家族に対してというところな のですが、家族に対して「家族自身の尊厳を大切に」という言葉を付け加えてい ただきたいのと、要介護高齢者の家族に対して家族の尊厳を大切に、そして「適 切な休息の機会や」という言葉をできれば入れていただきたいということです。  それから、「介護知識や技術を習得」というふうに今はなっております。知識 というのももちろん必要なのですが、家族が今、欲しているのは知識と同じくら いというか、もっと情報を欲しています。具体的に言いますと、例えば老人保健 施設とはどういうものかということは知識です。しかし、私たちが欲しいのは、 どこどこの老人保健施設に今、空きがありますよということを教えていただきた いと思っています。ですので、「介護情報や知識、技術の習得」というふうに「 情報」という一文を入れていただきたいと思っています。  それと、仕事云々のところなのですけれども、ワーク・ライフ・バランスでも 象徴されるように仕事というのはすごく顕著で見えやすいものです。しかし、そ れぞれ個人で立場も違って、大切にしているものは皆、違います。具体的に言い ますと、自身の健康とか、要介護者以外の家族、育児、勉学、研究というような こともあるでしょうし、また趣味とか、ボランティアとか、仕事以外のことでも 大事にしていることがあります。  そこで、傍線の最後のところなのですけれども、「要介護高齢者の家族も、自 身の生活と介護を両立していけるよう、支えていくための仕組み」というふうに 入れていただければ、もっと家族が安心して暮らしていくことができるんじゃな いかと思うのですけれども、いかがでしょうか。 ○前田座長 今の御指摘は、先ほどの村上委員のものとかなり重なるというか、 事務の方で何か御発言はありますか。 ○大澤総務課長 御趣旨を踏まえて考えたいと思うのですが、1点だけ、御家族 の尊厳という言い方がこれまで人口に膾炙していないような気がいたしますので、 もう少し具体的というか、どういう趣旨のことを書き込めばいいのかということ をもう一度御確認いただければと思うのですが。 ○前田座長 まず、太田委員の家族の尊厳というのは何となくニュアンスは分か るのですが、その前に高齢者の尊厳という概念がありますね。事務局としては、 それと並んでパラレルな形で家族の尊厳という言葉がちょっと使いにくいという ことですか。 ○大澤総務課長 実は、非常に事務的なお話を申し上げますと、介護保険法の目 的なり趣旨にかかる規定の中では、高齢者の尊厳保持という言葉ははっきり書い てあるのですけれども、家族の尊厳とか、家族というような言い方をしていない ものですから、高齢者の尊厳というのはすとんと落ちるのですが、御家族の場合 はどういう視点でどういうようなことを配慮するのかということをもう少しかみ 砕いて言えないかなという、いわゆる事務的な悩みなのですが。 ○前田座長 太田委員から言っていただいてもいいのですが、ここでは法律の目 的云々というようなこととちょっと離れて、この制度を動かしていく上で今回入 れていただいたのは、高齢者が尊厳を持って暮らしていくためにも家族の支えと いうのはある意味で何より大事なものであって、それが維持されるためにはやは り生活者としての家族も人格を持ったものとして尊厳を持って生きていけるよう な、その意味である意味では同じなんですね。それだけの生活ができるような方 向で今、御指摘の情報を与えていただいたりとか、他の施設に入りやすい状況を つくっていただくとか、やはり高齢者だけが守られても生活者としての家族が潰 れてしまってはという趣旨だと思うのです。  ですから、法文の目的規定とどうこうということはあまり考えなくても、家族 が守られないとこの全体のシステムはうまくいきませんよというふうにつながっ ていけばいいということだと私は受け取ったのですけれども、太田委員、何か御 意見はございますか。 ○太田委員 今、座長がおっしゃったとおりで、家族を全く高齢者の尊厳と同じ 意味として使いたいなと思っています。それで、今、法律でどうのこうのという のはもちろんそうなのでしょうけれども、その辺のことは私には全く分かりませ んが、これはビジョンだというふうに聞いておりますので、家族の尊厳を大切に していかなければ介護というものは成り立っていきませんし、今ある介護うつだ とか、高齢者虐待とか、高齢者殺人事件とか、そういうものをなくすには介護者 の尊厳というものをどうしても入れていただければと思います。 ○前田座長 その点はいかがでしょうか。 ○大澤総務課長 かしこまりました。表現ぶりは考えさせていただきたいと思い ます。 ○鳥羽委員 「尊厳」という言葉が非常に包括的な概念でいいかとは思うのです けれども、やはり分かりやすさとしては家族の介護疲労や介護負担という表現で はいけないかということが1つ問題になるかと思います。  私が調査したものでも、平均の介護者はほとんど女性で、50代という世代がみ ている場合と70代、80代がみている場合とあって、老老介護の方が増えてきてい るわけですから、介護負担というのはこのような働いている人だけではなくて、 老老介護の場合には心身への負担といったものも大変重くなっていく傾向に今後 なっていくと思いますので、その辺の趣旨を踏まえて尊厳というものはその家族 も支えなければいけないのですけれども、心身の負担が過度にならないといった 視点が加えられればいいのではないかと思います。 ○前田座長 太田委員も「尊厳」という言葉自体だけにこだわるということでは なくて、今のような御趣旨が伝わればよろしいということですね。 ○太田委員 今おっしゃったような精神的、肉体的、両方の過度な疲労とか、そ ういう負担という言葉で置き換えていただいても多分いいような気がいたします。 ○前田座長 ありがとうございました。その方向でまとめることは可能だと思い ますので。  他に幾つか問題点を前回も御指摘いただきましたので、どうぞ。 ○袖井委員 問題点というよりも、日本語としておかしいかなというところがあ って、幾つか御指摘したいと思います。  まず1ページ目の2段落目の4行目で、「その中で、介護を支える様々な担い 手が参画できる」というのは何に参画できるかということがよくわからないので、 例えば「様々な担い手が介護労働に参画できるようになり、介護職は職業として 確立してきた」というようにしたらいいのかと思います。つまり、どこにという か、何に参画できるのかという主語が分からないので、「様々な担い手が介護労 働に参画できるようになり、介護職は職業として確立してきた」。つまり、これ は介護職の話をしているパラグラフなので、そういう方がいいのかなと思いまし た。  それから、9ページ目の「(2)介護従事者が誇りとやりがいを持って働くこ とができる環境の整備」の丸の6番目のところで、「介護での長期間勤務を推進 するための」と、これもよく分からないので、「介護での」を取ってしまってい いのではいないか。「長期間勤務を推進するための、資格や経験等に応じたキャ リアアップの仕組みの構築」云々でいいのではないかということです。あるいは、 「介護での」ではなくて「介護職の」かもしれませんけれども、この「介護での」 というのが誰のことを言っているんだか、よく分からないということです。  それから、最後がまたよく分からなかったのですが、10ページ目の上から2つ 目の丸で、「介護未経験者を積極的に雇用する事業者への支援など」です。この 介護未経験者への就業支援について事務局にお伺いしたいのですが、どういうこ とを意図しているのか分からないので説明していただきたいと思います。 ○前田座長 お願いいたします。 ○大澤総務課長 これは、具体的な施策として厚生労働省の別の部局におきまし て介護事業者が未経験者を雇い上げてある一定期間、就労させた場合に雇用保険 サイドから支援をするという具体的にやろうとしている施策があるものですから、 それを念頭に置いたものでございます。 ○袖井委員 ということは、例えば全然これは介護に関する経験というか、学習 していない人ですか。例えば、どこかのそういう介護専門の高校出身者とか専門 学校に行った人ではなくて、全く介護のことを知らない人ですか。例えばフリー ターさんとか、そういう人ですか。その辺をもうちょっと言葉を補っていただき たいと思うのですけれども。 ○大澤総務課長 分かりました。分かりやすく表現を変えさせていただきます。 ○前田座長 今の袖井委員の御質問を整理してから先に進みたいと思いますが、 1ページの「介護を支える様々な担い手が参画できるようになり」、これは「担 い手が介護に参画できる」というと「介護を支える」がダブってしまうので、「 様々な担い手が介護に参加できるように」というふうに直せばよろしいですか。 ○袖井委員 「介護に」とか、あるいは「介護労働に」ですね。職業の話ですか ら。 ○前田座長 あとは、9ページの「介護での長期間勤務」というのは事務局の方 としてはどうですか。この「介護での」というのを取っても日本語としてはいい ですか。 ○袖井委員 全体のタイトルに「介護従事者」が入っているから、いいかなと思 ったのですが。 ○大澤総務課長 「介護での」を取ってはいかがかと思います。 ○前田座長 では、その方向で最終的にまとめたいと思います。  では、村上委員お願いいたします。 ○村上委員 9ページの情報公表のところで(1)の1番です。前の方にもあり ますけれども、これはこういうことをやることによって推進ということなのです が、どういう形でどういうふうに推進をさせようということなのかよく分からな いのと、それからこの公表というものをこちらの案の方でもうちょっとはっきり 書いていいかと思うのですけれども、それをしなければ何らかの罰則があるとか、 そういうような仕組みなのかどうか。これをお聞きしたいと思います。 ○前田座長 これはビジョンですから、具体的なことまで書き込んでいないわけ ですが、方向性として何かお考えがあるのだとすると、課長の方からちょっと御 説明いただけますか。 ○大澤総務課長 以前にも申し上げたかもしれませんが、特に給与水準などは個 人情報も含まれるものですから、公開を義務付けるというのはなかなか難しい面 があると思っております。したがいまして、全部を義務付けるとか何とかという ようなところを直ちに今、腹案として持っているわけではありません。どういう やり方がいいか、どういう推進策がいいかをこれからこのビジョンを踏まえて具 体的に検討させていただければと思います。 ○村上委員 今、介護情報の公表制度があって、関係団体で、これが果たして有 効に機能しているかどうかという問題があります。  この情報公表も私たちとしては好ましい制度ではないと思っているものですか ら、これをどういうふうに取り入れるかということがまず1つ心配なことです。  それから、この一つひとつの介護従事者の労働条件とか、給与水準だとか、研 修をどうやっているかとか、あるいは処遇に関するその他の情報全てをもし何ら かの形で私たちのところに来て調査等をするとしますと、この項目一つひとつは すべての事業に関わってくるわけです。これだけで見るわけには私はいかないだ ろうと思うのです。  ですから、そうなると、これをやることによって事業の全てを公表しなければ ならないというか、その中で調査に対して答えなければならないというようなこ とになりまして、今、行政の監査だとか、情報公表だとか、第三者評価だとか、 またまたいろいろな業務の複雑化というものが出てくるかなと思っておりますの で、そこのところの整理もきちんとしていただきながら、このことについて考 えてやっていただきたいと思っております。 ○前田座長 これは、全体の流れとして介護のお仕事の透明化ですね。事業者、 国民から見た透明化で、いろいろな問題が過去に全くなかったわけではないので、 それを解決するために全体として情報は公開する方向で動くという流れだと思う のです。  その中で、各事業者にとってあまりにもコストがかかり過ぎてかえって介護に マイナスが生ずるとか、それはやはりやれないのだと思います。これはあくまで もビジョンで、それを具体的にどう詰めていくかですね。どういうシステムを組 み上げていくかというのが今後の検討で、そのときにはやはり業界の御意見を聞 かないで前へ進むということはあり得ないと思います。  ですから、ここではやはりこの程度のことはうたわせていただきたいというこ とだと思います。他に何かございますか。 ○駒村委員 私も、今の点は是非入れていただきたいと思います。介護で働いて いる方の労働条件が一体どうなっているかということや、あるいは民間の中では 労働分配が著しく問題があるようなケースもあるかもしれませんので、そういう 意味では透明性を高めて介護にいい人材が流れ込んで国民の信頼を高めるような 仕組みというものがあって、具体的なものはまた工夫して今のシステムがうまく いっていないならばそれも含めて直していけばいいのではないかと思います。 ○前田座長 ほかに全体的に何かございますか。  では、村田委員お願いいたします。 ○村田委員 細かいことになりますが、前に戻るようで恐縮ですけれども、6ペ ージの先ほどの療養介護士のことです。「関係者間での連携」の上から3行目に 「資格のあり方の検討」とありますけれども、ここは「資格・研修」と入れるこ とはできないだろうかという提案が1つです。  それから、7ページの成年後見ですが、ちょっと書き加えてくださって大変あ りがたいと思います。ただ、第三者の後見を務める人の中で一番成年後見制度や 地域権利擁護事業に向き合って一生懸命やっているのが司法書士の団体ですので、 司法書士もここは入れておいていただいた方がよろしいかと思います。  それから、これはこの報告書だけではないのですが、さっき「尊厳」という言 葉が出ました。高齢者の尊厳を支えると、高々と理念を掲げて、なかなか一般的 にはなじまない言葉でしたけれども、だんだん定着し始めているのかなとは思う のです。  ただ、現場で多くの関係者の方がやたらと尊厳あるケアをするのだとか、尊厳 ある介護が大事なのだということをおっしゃるのですが、では尊厳あるケアとい うのは一体どういうものか。具体に聞くと、ほとんど一人ひとりの答えが返って こなかったり、思っていることが違ったり、尊厳という格調高い言葉をどうとら えるか。それを具体にどう活かすかということがまちまちで、こういう言葉を安 易に使うということの難しさを感じます。  あまり安易にこういう言葉を使うべきではない。高々と理念として掲げる程度 ぐらいにとどめておいて、先程出ました家族の尊厳とか、そこまで使うにはもう 少し具体にかみ砕いて報告書はまとめた方がいいのではないかと思っております。 ○前田座長 ありがとうございました。最後の点は、先程の家族のことについて は具体的な御提言もいただいていますので、その方向でということですけれども、 どうでしょうか。6ページの「資格」の後に「研修」を入れるというのは、先程 の御趣旨から言っても皆さんの合意が得られていると思うのです。むしろ研修は 大事である。  それと、司法書士です。これは我々の業界の話になるのですけれども、成年後 見を支えているのは司法書士さんを中心としていますから、これは無いとやはり まずいと思いますので、是非入れていただいてというか、こちらの落ち度なのか もしれませんので私の方で申し訳なかったのですが、そういう形に直させていた だきます。  村田委員がおっしゃるように、抽象的なというか、大事な言葉ほど意味は広く ていろいろな意味で使って、民主的とか、いろいろな概念というのは本当に多種 多様な意味を持ってしまうのです。「尊厳」も、ある意味ではそうかもしれませ ん。ですから、基本理念のところには、ただ、それをどう肉付けしていくかがや はり将来の課題ということで、今回出させていただいた範囲で「尊厳」という言 葉を使い、具体的な家族の部分などは別の言葉で置き換えていくという方向で案 をまとめさせていただきたいと思います。他に何かございますか。  では、石川市長お願いいたします。 ○石川(良)委員 2ページと5ページのコミュニティ・ワーク・コーディネー ターのところですけれども、特に5ページのコミュニティ・ワーク・コーディネ ーターの1つ目の丸のところで、センテンスが全部一つの文章でつながっていて、 言いたいことは何となく分かるのですけれども、文章としてあまりにも長過ぎる ので2つか3つくらいに切っていただきたい。むしろ2ページ目の方が分かりや すいという感じはしますので、この辺りの表現を少し活用して文章をもう少し整 理していただければありがたいと思います。 ○前田座長 これは、大丈夫ですね。中身が変わることではございませんので、 責任を持って直させていただきたいと思います。他にいかがでしょうか。  では、村上委員どうぞ。 ○村上委員 先程の職に関する情報なんですけれども、やっていることを高齢者 あるいは地域の人たちに公表するということ、透明性を確保するということ、こ れは非常に大事なことだと思います。  ただ、例えば今回2万円の人件費の問題もありました。前回、前々回に質問さ せていただきましたが、一律2万円ではないわけですね。そういうようなことも 含めて、それでは介護報酬全体に占める給与水準というのは一体どこにあるのか。 この辺のものに何か一定のラインがあるかというと、あるわけではないと思うの です。  そうすると、例えば給与水準を公表するという場合、何を根拠にして水準を公 表するのか。私は、やはり非常に難しい問題があるだろうと思うのです。例えば、 介護報酬上で昔の措置費のように人件費はこれだけという固定されたものがある のだったらそれを使っているかどうかを見ればいいわけですが、そういうことに はならないだろうと思うのです。その他、一つの事業所というのはさまざまな事 業をやっておりますし、資金の使い方もいろいろあります。この中で人件費とい うのをきちんと出すべきだと思います。  ただ、このときにそれを公表させることによって今度は上下が付いて、例えば 低かったところがやむを得ず低くせざるを得なかったという場合、ここを悪い施 設というふうに言えるかどうか。こういう判断も含めて公表ということを考えて いかなければ、安易に公表すればいいという問題ではないと私は思っているので すが、そこをこれからどうしていくかということを検討していただけたらと思い ます。 ○前田座長 先程もちょっと申し上げたのですが、今回のビジョンは大きな方向 性として公表に向かうことはここで宣言する。ただ、具体的にもちろん公表と言 ってもそういうデメリットといいますか、マイナス面を伴うところも当然ありま すので、それをいかに最小にしていくかとか、それが大きければやれないわけで すね。  その検討はもちろん踏まえるということで、今こうやって御発言いただいたこ とも記録に残っていきますので、初めから公表のときにはそういう問題があると いう御指摘もあったのだということを踏まえて検討していきますので、基本的な 方向としては先程駒村委員もおっしゃいましたけれども、介護していただく方の 質を上げていくためにも労働環境みたいなものをガラス張りに近いものにしてい く。いろいろな意味で情報を公開する方向で、ただし、それによって伴うデメリ ットにも十分考慮するという方向で今のところはビジョンを出していくというこ とにさせていただきたいということです。  もう大臣が入られるのだとすると、このくらいのタイミングで質疑は切ってお いた方がよろしいですか。 ○大澤総務課長 そろそろこちらに来ると思いますので。 ○前田座長 では、まだございましたらどうぞ。 ○村上委員 8ページですが、地域の特性に応じた高齢者住宅等の整備のところ は別にしていただけたらと思うのです。私は安心を得る、あるいは家族の人が安 心して介護ができる、地域で支えていけるという、このバックボーンとして私は これまでもお話をしましたように、介護保険施設というものは必要だろうと思う のです。  私が今いる特養に関しましては、そういう役割を今も果たしていますし、この 間の社会保障国民会議の中でも特養の数値目標を一応出されていると思います。 それから、我々も全国老施協の総研の中でグランドデザインを作りまして、これ から特養の数については数値目標を一応考えております。そういう中で、最後ま で地域で住み続けてほしいと私も思います。  でも、家族も、地域も、それから本人も選択肢として住みたいという施設が私 は必要になってくるだろうと思いますが、そういう施設の考え方がここに全然出 ていないのです。私は、そういう意味では特養という表現が一番、皆さんにはっ きり分かるだろうと思いますけれども、私の解釈の中では特養というのは前にも お話をしましたように住居、医療、介護、食事、あるいは見守り、それから交流。 こういうものを一体的に提供する生活一体型の介護支援施設が特養なんだと思っ ています。この必要性をこの中でビジョンとしてうたっておいていただかないと、 最後をどこでみるのですか。どこを選択できるのですかという選択肢の問題とし ても、私はこれはないだろうと思いますので、是非この中でどこかにそれをうた ってほしいと思っております。 ○前田座長 この点はいかがいたしますか。 ○大澤総務課長 それでは、御趣旨を踏まえて8ページのところにいわゆる施設 といいましょうか、介護保険施設についての文言を加えさせていただきたいと思 います。 ○前田座長 今回のビジョンの目玉は、やはり地域の中でということを中心に、 もちろん今までの大枠を全部否定するということはありませんし、最終的な特別 養護老人ホームの重要性を軽視するという趣旨ではございませんので、今、課長 がおっしゃったような形で付け加えていただけるということで、バランスをとっ て参りたいと思います。  他にもしよろしければ、これで先程承ったものを全部修文したとして、ビジョ ンとして大臣に提言するという段取りにさせていただきたいと思います。大臣は 国会との関係で何分後にいらっしゃるかは分からないわけですね。 ○大澤総務課長 もしよろしければ、一度休憩といいますか、それで確認させて いただきます。 ○前田座長 その方がよろしいですね。では、そういうことで一応ここで休憩を 少し取らせていただいて、その後、大臣がいらしたところでこの後のまとめの部 分に入りたいと思いますので、何とぞよろしくお願いいたします。                (午前10時40分休憩)                (午前10時45分再開)                (舛添厚生労働大臣入室) ○前田座長 それでは、前回たたき台を出していただいて、「安心と希望の介護 ビジョン」ですね。今日は、その時いただいた御意見を元に修正案を出していた だいて、大体御意見が全部出て、細かい調整は御一任いただいて直しますが、大 きくは家族のことについてもうちょっと書き加えるということで、ただ、それも 動いたというよりは補正したということでございます。読んでいただいています 介護ビジョンの修正案の形で大体この委員会の意見はまとまりましたので、大臣 の方からそれを踏まえて一言お言葉をいただければと思います。 ○舛添大臣 どうも皆さんおはようございます。国会その他の公務で、参るのが 遅れまして申し訳ございませんでした。  皆さん方には精力的に、今日で7回目ですけれども、この検討をしていただき ましてありがとうございました。急速な高齢化の進展ということで、認知症の高 齢者、それから独居の高齢者が増加している。それから、先般、生活支援の対策 でも政府与党で解決策を一つ出しましたが、やはり介護の従事者の処遇、待遇、 職場環境、こういうものに問題があるということで、それの改善の方向を介護報 酬3.0%のアップという形で打ち出しをいたしました。  その他、日々介護の問題をめぐる議論が行われているところでありますけれど も、今、座長の前田先生からお話がありましたように、大体提言の形が概ねまと まったということでございます。特に、現場重視ということでやってまいりまし たし、先般は杉並でしたか、小規模多機能施設も行いましたので、現場にお詳し い、しかも第一線で活躍している皆さん方の御意見を賜ったという形で「安心と 希望の介護ビジョン」を一つの形にしていただきましてありがとうございました。 2025年を1つの大きなターゲットとして、これからこの御提言内容を一つひとつ 着実に実現していきたいと思います。  先般は「安心と希望の医療ビジョン」の方を設けて、ほとんどの政策がそこに 盛り込まれまして今、一つひとつそれを具体化する状況にありますけれども、や はり医療と介護のある意味でシームレス化、両方あって初めて国民の生活、特に 御高齢の方々の生活は守れるんだと思いますので、この介護ビジョンは先般の医 療ビジョンと対を成すものとして非常に重く受け止めて、今後はこれの具体化に 全力を挙げたいと思います。  経済情勢も厳しい情勢にあり、なかなか財源予算の獲得ということについて困 難な面もあろうかと思いますけれども、やはりこういうときだからこそ国民に安 心を与える。そして、将来に希望を与える。実はそういうセーフティネットをき ちんと張り巡らせるということが経済の活性化にもつながるし、国民の活力を生 み出すものだというふうに思っておりますので、今日は本当にお忙しい中、7回 にわたって前田座長を始め、皆さん方、熱心に御討議いただき、また遠くからも 毎回お越しいただきましたことに深く御礼を申し上げます。  また、今後とも皆さんのお力をお借りして、いい政策の形でこれをまとめてい きたいと思います。本日は誠にありがとうございました。 ○前田座長 それでは、この会議の目標が介護ビジョンを大臣に御提言申し上げ るということでございましたので、基本的には読んでいただいたものでというこ とですが、一部修正したものを最終的にお渡ししたいと思います。  ただ、会としては、私などはともかくとして本当にお忙しい中、大変誠心誠意 審議をしていただいたので、是非有効に使っていただきたいし、なるべく実現し ていただきたい。いや、実現していただけると信じておりますので、何とぞよろ しくお願いいたします。 ○舛添大臣 はい。しっかりやりますので。 ○前田座長 それでは、この会はこれで散会したいと思います。  どうもありがとうございました。 ○舛添大臣 どうも大変ありがとうございました。またいろいろよろしくお願い します。 【照会先】  厚生労働省老健局総務課総務係 小野   TEL 03−5253−1111(内線3913)   FAX 03−3503−2740