08/11/19 第55回労働政策審議会職業安定分科会議事録 第55回労働政策審議会 職業安定分科会 1 日 時 平成20年11月19日(水)15:00〜16:30 2 場 所 厚生労働省職業安定局第1会議室 3 出席者 委 員(公益代表)            大橋分科会長、岩村委員、征矢委員 (労働者代表)            徳茂委員、長谷川委員、古市委員、野田委員代理(杉山氏) (使用者代表)            荒委員、石原委員、上野委員、高橋委員、市川委員代理(原川氏)       事務局 太田職業安定局長、大槻職業安定局次長、及川審議官、            岡崎高齢・障害者雇用対策部長、宮川職業安定局総務課長、            小川政策課長、水野雇用開発課長、坂口雇用保険課長、            石坂高齢者雇用対策課長、川中地域雇用対策室長、大隈若年者雇用対策室長 4 議 題   (1)雇用保険施行規則等の一部を改正する省令案について(諮問) 5 議事内容 ○大橋分科会長 これより第55回労働政策審議会職業安定分科会を開催します。 (出欠状況報告)  議事に入ります。本日の議題は、「雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令案に ついて」です。事務局から説明をお願いします。 ○総務課長 本日お願いします諮問案件は、資料No.1-1「雇用保険法施行規則等の一部を 改正する省令案要綱」です。1頁以下が、その具体的内容です。この内容に入る前に、こ れをお願いする経過をご説明します。  参考資料の参考1と参考2をご覧ください。参考2ですが、これは去る平成20年8月29日 に、政府・与党会議、経済対策閣僚会議合同会議において決められた「安心実現のため の緊急総合対策」のうち、当分科会関係のものを抜粋したものです。この具体的な内容 をまとめたものが、参考1の「安心実現のための緊急総合対策」の中に盛り込まれた雇 用対策関係施策(補正予算関係)としてまとめられた資料です。このうち、今回、省令 事項について諮問をお願いすることになっています。  この雇用対策関係施策の概略を申しますと、1頁の1「非正規雇用対策等の推進」とい うことで、1つは日雇派遣労働者の安定就職支援、職場定着のための指導、そのための ハローワークの相談窓口とか、担当者制による職業相談です。  2番目のポツにある非正規労働者の雇用の安定で、フリーター等の常用雇用化支援の 拡充、これは本日の諮問案件です。また、住居のない不安定就労者に対する総合的な支 援ということで、職業相談、職業紹介の機能強化とともに、民間住宅入居初期費用等の 貸与です。また、三大都市圏に「非正規労働者就労支援センター(仮称)」を設置した という内容です。  2頁です。中小企業関係ですが、事業活動に悪影響が出ている「中小企業の雇用維持 等への支援」ということで、今回諮問内容としてお願いするものです。また、雇用情勢 が厳しい地域における雇用確保・就労支援対策ということで、地域再生中小企業創業助 成金、あるいは雇用創造先導的創業等奨励金などの創業支援のための助成金については、 本日の諮問でお願いする予定です。また、国と道県の共同による就職支援事業を実施す る予定としています。3番目の「女性の就労支援」関係ですが、マザーズハローワーク の事業について、その事業拠点を拡充する内容です。  3頁です。4番目の「高齢者の就労支援」です。これは65歳以上の高齢者を雇い入れる 事業主への支援で、本日の諮問案件です。5番は中小企業に対する障害者雇入れ支援で、 これも本日の諮問案件です。そのほかハローワークの機能強化です。6番目は「介護サ ービスの確保」という観点で、介護人材の確保及び定着の促進のための助成金ですが、 これも諮問案件です。  資料No.1-1と、資料No.1-3で諮問内容をご説明します。資料No.1-1は1頁ですが、資料 No.1-3で主に内容をご説明します。  まず、第一の「雇用保険法施行規則の一部改正」の一の「雇用調整助成金制度の改正」 です。資料No.1-3の左側に現行制度が書かれていますが、「雇用調整助成金」は、景気の 変動、産業構造の変化等に伴う経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされ、休 業あるいは出向等を行う事業主に対する賃金等の負担のものです。今回中小企業を対象 として、緊急に当分の間の措置として、この助成率をアップするなどの内容です。  具体的な内容としては、「平成20年度補正」と書いてある右側の下の欄の「中小企業 緊急雇用安定助成金」です。助成率については、従来、中小企業2/3という雇用調整助 成金の支給率を、4/5に相当する額とする内容です。その他、運用として、支給限度日 数を3年間で200日に引き上げる内容です。  資料No.1-3の2頁をご覧ください。要綱については、二に「特定求職者雇用開発助成金 制度の改正関係」ということで載せています。  2頁の「特定求職者雇用開発助成金」の中の「特定就職困難者雇用開発助成金」です が、これは障害者などの就職困難者を雇い入れた場合の事業主の助成ですが、今回障害 者に対して、中小企業事業主に対する助成を拡充するということで、右側のいちばん上 の欄にあるように、身体・知的障害者については、1年間で60万円のところを、1年6カ月 で90万円としています。重度、45歳以上の方については、1年6カ月で120万円のところを、 2年で160万円としています。短時間労働者については、1年で40万円のところを、1年6カ 月で60万円としています。  また、「緊急就職支援者雇用開発助成金」と言いまして、再就職援助計画に基づき、 対象者を雇い入れる事業主に対する助成については従来どおりですが、その下の「高年 齢者雇用開発特別奨励金」については、要綱では2頁の二の(三)で、いままで対照でな かった65歳以上の方を対象とした場合に、助成を行う内容を新設するものです。  資料No.1-3の3頁をご覧ください。トライアル雇用(試行雇用)を奨励する内容です。 従来の試行雇用の対象としては、左側のマル1からマル5にあるような方々でしたが、ま ずマル1の45歳以上65歳未満の方の部分については、先ほどの高年齢者雇用開発特別奨 励金と同様に65歳以上も対象にするという形で、ここは45歳以上と改める内容です。要 綱では3頁をご覧いただければと思います。  試行雇用奨励金の2番目ですが、従来、年長フリーターという形で35歳未満の者を対 象としたところですが、今回この部分については40歳になるまでの、35歳後半層も入れ る内容に改正しています。  次に、3頁の下の「若年者等雇用促進特別奨励金」です。これについては、従来年長 フリーター(25歳〜34歳のフリーター)について、トライアル雇用後、常用雇用をやっ ていただいた事業主に対する助成措置でしたが、右側にあるように、支給対象年齢を先 ほどのトライアル雇用奨励金と同様に、40歳未満までカバーする内容にするとともに、 2つ目の○にあるように、トライアル雇用終了後の常用雇用にプラスして、有期実習型 訓練終了後の常用雇用も対象とする内容です。そのほか中小企業に対する支給回数の増 加によりまして、支給額を増加する、あるいはこの事業実施はもともと平成21年度まで の措置としていたところですが、平成22年度までの措置に延長する内容です。  次の頁の「地域雇用開発助成金」です。これについては、左側の従来あった雇用失業 情勢の改善の動きが弱い地域における創業支援の助成金がありましたが、今回その部分 を拡充する内容です。右側の真ん中にあるように、雇用情勢の動きの弱い地域を二分し て、※のところにあるように、特に動きが弱い地域の8道県と、その他の13県に分けて、 8道県については、創業支援の助成内容を創業経費の1/2、雇い入れた労働者1人当たり 60万円、その他の県については、それぞれ1/3の30万円として、これらの地域の道県等 が定める地域再生分野での創業により、雇用創出に取り組む事業主に対する創業助成と いう形で、仕組みを変えようという内容です。  2点目の「雇用創造先導的創業等奨励金」です。これはいわゆる地域雇用創造推進事 業という形で、地域の関係者が意欲的に雇用創出に向けた取組みを実施している地域に おいて、さらに地域求職者を雇い入れて創業していこうという事業主に対して、費用の 2/3に相当する額を助成するものを創設するものです。ここについては、要綱の3頁から 6頁にかけての内容です。詳しい内容は省略します。  表の5頁、要綱の7頁の五で、「人材確保等支援助成制度の改正」です。今回「介護未 経験者確保等助成金」を創設するもので、介護関係業務で学卒者を除く、介護業務の未 経験者を被保険者として雇い入れた場合に助成していこうというもので、支給要件はマ ル1からマル3に記載されているものです。そのほか要綱には「雇用対策法施行規則の一 部改正」がありますが、特定就職困難者雇用開発助成金については一般会計に基づく制 度もあるので、雇用保険に合わせて内容を同様に改正するものです。施行期日は8頁にあ るように、12月1日から施行するものです。  最後に、参考までにですが、これは今回の「安心実現のための緊急総合対策」に基づ く補正予算の関係で、今回省令改正の諮問をさせていただいているところですが、参考 3をご覧ください。参考3については、10月30日に政府・与党会議、経済対策閣僚会議合 同会議においてまとめられた、追加的な経済対策ですが、本審議会に関係する部分の抜 粋を作らせていただきました。簡単にご説明します。  第2章の「具体的施策」の1番「家計緊急支援対策」ですが、これについては具体的施 策の中にあるように、雇用保険の保険料引下げ等に向けた取組み、具体的には雇用保険 の保険料については、平成21年の1年限り、0.4%の範囲内の幅で引き下げることについ て、セーフティネット機能の強化等を併せ、関係審議会において労使と十分に協議した 上で検討し、結論を出すということで、この部分については、去る11日に雇用保険部会 において、議論をスタートしていただいたところです。  2の「雇用セーフティネット強化対策」ですが、具体的施策の内容としては、非正規 労働者対策です。すなわち年長フリーター等の積極雇用の支援強化で、事業者に対する 特別奨励金の創設です。具体的な内容については、先ほど申しました年長フリーターの 今回の改正にさらに追加して、ハローワークに年長フリーター枠のような形で、フリー ターを雇っていただくことを明確にしていただいた上で、常用雇用化していただいた事 業主に対する助成措置を追加するものです。2つ目のポツにあるように、今回の補正予 算において、3カ所設置することになっている「非正規労働者就労支援センター」につ いては、5カ所に増設するなどの対応です。  裏にいって、中小企業関係の雇用維持支援対策の強化です。中小企業緊急雇用安定助 成金については、今回の諮問でお願いしているところですが、さらにこの助成金の使い 勝手をよくする形で、先ほど3年間で200日の支給限度日数と申しましたが、これを300 日に引き上げる方向で検討しています。そのほか雇用調整助成金そのものについても、 助成率、要件緩和などを検討しているところです。  地域における雇用機会の創出ということで、雇用情勢の厳しい地域における安定的雇 用機会の創出という観点から、「ふるさと雇用再生特別交付金」を都道府県に交付し、 都道府県において基金を創設し、委託事業の形で、雇用機会の創出、吸収という形の事 業を展開していただくことを考えているところで、予算規模としては2,500億円を考え ています。  そのほか「生活安心確保対策」の中の介護関係において、先ほど申し上げました、未 経験者を新たに雇い入れた場合の対象について、年長フリーター等を対象とした場合の 増額、介護作業負担軽減のための設備・機器導入のモデル奨励金、あるいは障害者雇用 の促進ということで、障害者雇用の経験のない中小企業に対する奨励金、あるいは障害 者雇用の特例子会社の設立促進助成金などの創設を含めているものです。私からの説明 は以上です。 ○大橋分科会長 本件について、ご質問、ご意見がありましたらお願いします。 ○長谷川委員 参考1が1次の補正予算で、今日の施行規則の改正のところに盛られてい る内容ですね。その中で、参考資料1の1頁の「非正規労働者の雇用安定」で、「民間住 宅入居初期費用等の貸与」ですが、これは補正ではなくて来年度の予算ですか。 ○総務課長 補正予算です。 ○長谷川委員 これをやるときというのは、法律とか、規則の改正はあるのですか。 ○総務課長 いまのところ不要だと考えております。 ○長谷川委員 要らないのですね。 ○総務課長 要らない形です。 ○長谷川委員 そしたらお願いがあるのですが、あとでいいのですが、このスキーム、 どういう制度なのかがわかるような資料を提出していただきたいです。それと、予算が どの程度なのかわかりましたら教えていただきたいと思います。 ○総務課長 わかりました。後ほど各委員に送らせていただく形にします。 ○長谷川委員 それと、第1次補正でこの制度が活用できるとなると、住居のない人た ちはいつの時点から活用できるようになるのですか。 ○総務課長 これは予算の執行ですので、予算の執行のできる体制ができ次第、制度が 仕込まれるというものです。 ○長谷川委員 いつ頃ですか。 ○総務課長 これは委託事業になるので、委託先への説明、その契約等がありまして、 準備機関が必要ですので、いま準備中だとご理解いただきたいと思います。 ○長谷川委員 というのは、私どものところは地方で労働相談を行っているのですが、 連合の労働相談のところに派遣労働者が労働相談に来ているのです。それで、派遣契約 の打切りと同時にアパートも追い出されて、駅前に放り出されたという相談などがあっ て、いま救いようがないので、早く準備作業をやって、こういう制度があることをはっ きりと周知してほしいと思います。  いろいろな人も制度のスキームもよくわからないみたいだし、手続きもわからないよ うなので、是非これはきっちりとやってほしいと思います。 ○総務課長 ご趣旨を踏まえてやらせていただきます。 ○長谷川委員 それと、1頁の○のいちばん最後に、「非正規労働者就労支援センター」 が、1次補正で、東京、愛知、大阪なのですが、私どもが先週、全国の地方事務局長会 議をやりましたときに、群馬、静岡、広島、福岡の日系2世の問題も起きているので、2 次補正で増加させるとなっているので、2次補正を組むときには、そういった地域を考 慮していただきたいと思います。 ○総務課長 先ほど申しました3大都市圏の就労支援センターですが、生活対策では「2 カ所に増設する等」となっていまして、2カ所増設するほかに、このセンターの設置さ れない府県においては、それぞれハローワークにそういう機能をコーナー的な形で行う 方向で検討しているところです。 ○長谷川委員 いまこういう景気の状況ですから、雇止め、解雇が、連日いろいろなマ スコミで報道されている状況なのですが、セーフティネットとか雇用保険で一時的な救 済をするとしても、やはり雇用の受け皿がないと大変なわけで、そういう意味では、ど ういう雇用の受け皿を用意するのかは非常に重要なのだと思うのです。それは産業界と 一緒になってやらなければいけないわけですが、今回も人材確保支援助成金が提起され ているわけですが、新しい仕事というか、新しい産業というか、それを育成することが 必要だと思うのです。  毎回言われているのが、福祉の関係、介護、食糧自給率を引き上げれば自ずと農業、 林業、水産加工業の受け皿をつくって、雇用の受け皿をつくることが必要だと思います ので、そういう関係する省庁とも連携を取りながら、雇用対策をきっちりやることも重 要だと思いますので、この人材確保支援助成金をうまく活用しながら、そういうことに ついても経済産業省と連携を取りながら、是非やっていただきたいと思います。 ○総務課長 人材確保支援助成金については、今回介護未経験者確保等助成金を拡充し たところですが、従来の助成金も含めて、ご趣旨を踏まえた、関係省庁との連携あるい は地方公共団体との連携などを強めた上で、こういう助成金も拡充しながら、必要な求 人を確保していく考えでいきたいと思っています。 ○大橋分科会長 そのほかにございますか。住居のない不安定就労者等に対する施策で すが、目処としてはいつ頃でしょうか。 ○総務課長 先ほどお話のあった資金を貸付けする事業をやっていただく相手方と準備 中で、相手方のある話ですので、いつまでというのは明言はできませんが、今日お話の あったことを踏まえまして、できるだけ早期にやらせていただきたいと思います。 ○大橋分科会長 ほかにございませんか。特にないようですので、当分科会としては、 厚生労働省案を妥当と認め、その旨私から労働政策審議会長にご報告申し上げたいと思 いますが、よろしいでしょうか。 (異議なし) ○大橋分科会長 事務局から報告文(案)をお配りいただきます。                (報告文(案)配付) ○大橋分科会長 お手元の案でよろしいでしょうか。 (異議なし) ○大橋分科会長 それではそのように報告させていただきます。そのほかにご意見等は ございますか。 ○長谷川委員 せっかくですので少し意見を述べさせていただきます。先ほども申し上 げましたように、いま全国的な状況だと思うのですが、派遣労働者の契約の停止、打切 り、それに伴う労働者の雇用の雇止め、解雇などが起きていると思うのですが、どうい う状況なのかを実態把握していただきたいと思うのです。派遣労働者について、個別に はこういうのがあるというのは聞いているのですが、どういう状況なのかについて、早 期に把握していただきたいと思います。  もう1つは、不適切な案件に対しては、派遣元、派遣先指針がありますので、それに 基づいてきっちりと指導を行っていただきたいと思います。  もう1つは、雇用保険の話です。雇用保険の部会で議論されると思いますが、この雇 用保険がきっちりとしたセーフティネットの機能を持つような、前向きな形で、いろい ろな要件だとか給付の内容について、きっちりと議論していただくことが必要なのでは ないかと。私も部会の委員ではありますが、この分科会の中でも、そういうことを部会 にきっちりと申し立てていただきたいと思います。  もう1点は外国人労働者の問題です。フィリピンから介護の人たちが入って来ること になっていると思うのですが、その際に、フィリピンから特に介護の人たちが入って来 ることに対して、彼らに対するフォローというか、特に母国語の通訳、そういうことが できる人を配置した相談を是非やっていただきたいと思います。  それと、フィリピンから入って来る人は女性が多いと思うのですが、セクハラとか、 パワハラとか、いろいろなことが起きると思うので、そういうものに対する対策もきっ ちりやっていただきたいし、そういうものの印刷物も母国語で提供していただきたいと 思います。  それから、他の国から来ると、文化とか慣習が違うわけで、宗教もフィリピンの場合 はクリスチャンが多いと聞いていますので、そういうものに対する対応もきっちりとや っていただきたいと思います。それから、これらの人たちについてヒアリングなどをし ていただいて、どういうことが起きているのかも把握していただきたいと思います。以 上です。 ○雇用政策課長 ご指摘のありました実態把握ですが、現在派遣契約社員等の非正規労 働者の雇止め状況については、都道府県労働局の把握できる限り、定量的な情報を報告 するように指示しています。今月中にはその結果を取りまとめるように、現在準備中で す。 ○雇用保険課長 雇用保険の関係のご指摘ですが、雇用比率も高まっている非正規労働 者の、有期であったり派遣労働者の雇用保険のセーフティネットの機能のあり方につい ては、先日の11日の部会でも長谷川委員をはじめ、いくつかご指摘をいただいていると ころです。適用、給付両面で、部会でも議論を深めていただきたいと思っていますので、 またよろしくお願いします。 ○高齢・障害者雇用対策部長 インドネシアの場合もそうなのですが、JICWELSが政府 唯一の受入機関になっていまして、ここにインドネシアの場合であればインドネシア語 の通訳を配置して、いつでも相談を受けられるようにしています。そういう体制を取っ ていることについては、全員に周知する体制を取っています。  JICWELSの事業主向けのパンフレット等において、宗教の問題その他にも触れていて、 インドネシアだとイスラム教が多いですし、フィリピンだとカトリックが多いのですが、 そういったところについての配慮その他についても書いて、事業主に対する指導もして います。  あとセクハラその他の問題があった場合には、すぐにJICWELSの窓口に電話するよう にということも周知していますが、JICWELSが年に1回以上事業所を回って、きちんとし た管理がされているかも確認することにしています。いずれにしても、政府が責任をも って対応しているスキームですので、ちゃんとした対応をしていきたいと思っています。 ○職業安定局長 1つ落ちているのが、派遣の雇止めと中途解雇の話で、しっかり実態 把握をした上で、指針等に基づいて、派遣元なり派遣先なり、厳正な指導をしていきた いと思っています。 ○古市委員 雇用保険のことについてですが、部会で議論される期待をしているわけで すが、報道などを見ると、積立金がたくさんあるので、あれを使えというご意見がたく さんあるようですが、このように急激に経済状況が悪くなってきたときにこそ、しっか りと働いてもらわなければならない制度ですので、そういう観点から是非議論をしてい ただきたいと思います。  1つ質問なのですが、この前の雇用保険部会の資料を見させていただきますと、平成 21年度の雇用保険の二事業に係る保険料率について議論するのだと書いていますが、こ こはどのように議論するのでしょうか。どのようにというのは、上げるとか下げるとか、 何もなくて議論することになるのでしょうか。 ○雇用保険課長 まず、ご質問の点からですが、先日の11日の雇用保険部会でもご議論 いただくべき論点として、いまご指摘のあった平成21年度の雇用保険二事業の保険料率 についても、当面お急ぎいただきたい論点として掲げたものです。  そこは平成19年度の二事業に係る決算の状況から、二事業についても法律の規定に従 って、雇用保険の料率の規定を弾力的に変更するという規定があります。具体的には雇 用保険二事業については、雇用安定資金の額が年度の収入額の1.5倍を超えた場合には、 法定の保険料率二事業、3.5/1000なのですが、それを3.0/1000に引き下げるものとす るという規定がありますので、まず法律に従っていけば、平成21年度の保険料率も、そ のようになるということで、大臣告示で改めるとなるわけです。そこの部分の確認は、 一方で先ほどもご指摘にありました、一定の失業給付については、積立金があるわけで す。この積立金というのは労使の方から頂戴している保険料が将来の給付に備えてとい うことであるわけですが、一方で、先ほども資料3にあったような生活対策の中で、平 成21年度の保険料率の引下げの検討も含めて、部会でご検討いただくことにしています ので、そういった点で、平成21年度の保険料率全体の姿をご議論いただこうということ で、論点としてご提示しています。 ○徳茂委員 別の点ですが、先ほど派遣の雇用雇止めの件について、実態把握をしてく ださいということがありましたので、それはしっかりとお願いしたいのですが、関連し まして、新卒者の内定取消しなども大変話題になってきていますし、高卒新卒者などが 秋口から本格化する雇用のところで、大変厳しい事態になっているという報道もありま すから、そこについても、しっかりと実態把握などを行っていただき、究極的には雇用 を産み出していかないことにはいけないと思いますので、そういう観点での各省の連携 を取った対応をお願いします。 ○若年者雇用対策室長 採用内定取消しについては、ハローワークのほうで、採用内定 取消しをしようとする場合は、事業主から予め通知するという規定がありまして、その 通知を受けた場合には撤回できないかという指導を行うことにはなっています。ただ、 最近報道等でいろいろな事例が出ていますので、いま全国のハローワークで把握してい る件数を調べています。それから、文部科学省とも連携して、大学等が把握している件 数も併せて調べておりまして、これは11月中にはまとめて、どのような対策を打つかと 併せて、取りまとめたいと考えています。 ○職業安定局長 ちょっと補足ですが、基本的には内定取消しは法的理由がないとでき ないという最高裁判決がありますので、いまでもその指針に基づいて、ハローワークで 通知させて、撤回指導もやっておりますし、それは引き続き厳正にやっていきます。い ま全体の状況を把握していますので、その上でハローワークでの取組み強化、あるいは 事業者団体への要請、文科省とも連携して取組みを強化していきたいということです。 ○長谷川委員 雇用保険の話ですが、今日の新聞に雇用保険の話が載っているのですが、 雇用保険部会なり安定分科会、厚労省の審議会にかかわった者から見ると、この間保険 料率を引き上げて、かつ、保険の給付内容を締めてきたのです。直近で言えば、季節労 働者は50日あったものを30日、当面40日とか、そういうことをやってきた結果が、いま ある話なのです。  もう1つ新聞に載っていましたが、労働者の4人に1人が失業の不安を持っているとい うわけなのです。そういうときに、失業をしたときに唯一の頼り、収入は雇用保険しか ないのです。一般のサラリーマンは、失業すればすぐにハローワークに来て、どんな人 だって雇用保険の給付の申請をして、それで当面仕事探しをするわけです。そうすると、 最近この間の失業期間は長いわけですから、そういうものに応えるとか、もし別な仕事 に変わるとすれば能力開発しなければいけないわけですし、そういうものをトータルで 考えなければいけないわけで、給付は明らかにこれまでと違うボリュームになっていく わけなのです。  そういうことを雇用保険部会で議論するつもりではありますが、最近の雇用保険の議 論があまりにも乱暴すぎるので、雇用保険というのはセーフティネットであるというこ とと、きっちりと要件とか給付内容を見直すとか、そういうことが重要なのではないか と思います。  もう1つ言いますが、二事業のところは使用者が負担しているわけです。使用者が負 担していて、それだってものすごく締め上げてきたわけです。前のときに二事業の中身 についてもいろいろと見直して、スリム化して、いまの制度にしてきたわけですが、そ のときだってかなりスリム化したのです。その結果なのです。そういう意味では雇用保 険の国庫負担がなしとか、保険料率を下げるありきではなくて、こういう失業状況、雇 用状況の中で、雇用保険がきっちりとセーフティネットになっているかどうか、その議 論をしてから保険料率の話はしていただきたいと思います。保険料率ありきの話は私は 納得できないです。 ○雇用保険課長 いまの点も11日の雇用保険部会でもご指摘いただいていますが、先ほ ど申し上げましたとおり、一定の積立金の保有については、労使の保険料という形で、 これまでそういう額になってきたということですし、先ほど長谷川委員もおっしゃった ように、過去も積立金が同規模あったけれども、雇用情勢が非常に厳しくなってきて、 積立金も底を突きかけたときに、保険料率を引き上げたり、給付内容の見直しを図った りということで、労使の皆さんにもいろいろとご議論をいただいた上で現在の状況があ るということで、私どもも認識しています。  ということですので、今回も生活対策との関係で、雇用保険料率の平成21年度の姿に ついてもご議論いただきたいということで提示しているわけですが、11日の雇用保険部 会でも申し上げましたとおり、雇用情勢が非常に悪化しており、さらに悪化が見られる という状況の中で、いまご指摘のあったような雇用保険のセーフティネットの機能を、 その中でどう強化していくかもしっかりご議論いただいた上で、そういった保険料率の 点についてもご議論いただきたいと思っていますので、引き続きよろしくお願いします。 ○大橋分科会長 そのほかにございますか。よろしいですか。特にないようでしたら本 日の分科会はこれで終了します。 (署名委員指名) ありがとうございました。 (照会窓口)                       厚生労働省職業安定局総務課総務係 TEL:03-5253-1111(内線 5711)