08/11/18 平成20年11月18日薬事・食品衛生審議会毒物劇物部会議事録 薬事・食品衛生審議会 毒物劇物部会 議事録 1.日時及び場所    平成20年11月18日(金) 10:00〜    東海大学校友会館「富士の間」 2.出席委員(8名)五十音順   ○赤 堀 文 昭、 石 川 光 一、◎大 野 泰 雄、 菅 野   純、    黒 木 由美子、 白 濱 龍 興、 出 川 雅 邦、 長谷川 和 俊 (注) ◎部会長  ○部会長代理       欠席委員(1名)    森 田 昌 敏 3.行政機関出席者   岸 田 修 一(大臣官房審議官)    山 本 順 二(化学物質安全対策室長)、     柴 辻 正 喜  他 4.備  考   本部会は、公開で開催された。 ○事務局 ただ今より、平成20年度第1回毒物劇物部会を開催いたします。毒物劇物部 会の総委員数は9名ですので、定足数は過半数の5名となっております。本会議では、 9名中愛媛大学の森田先生が御欠席と承っておりますので、8名の先生方に御出席をい ただいております。したがいまして、この会議は定足数に達していることを御報告申し 上げます。  なお、本会議は公開で行われまして、資料及び議事録も公開となっております。開催 に当たりまして、化学物質安全対策室長より一言ごあいさつを申し上げます。 ○化学物質安全対策室長 おはようございます。本日はお忙しいところ、また早朝から お集まりいただきましてありがとうございます。例年、年に1回この「毒物劇物部会」 を開催し、毒物劇物の指定の見直し等の議論をしていただいておりますけれども、本年 は、委員の皆様方の御協力を得て、例年よりも若干早く開催することができました。今 回も15の物質について毒物劇物指定の見直し等の御議論をいただくことになっており ますが、よろしく御議論いただきまして、毒物劇物対策に活用させていただきたいと思 います。よろしくお願いいたします。 ○事務局 次に各委員の先生方の御紹介ですが、あいうえお順に、反時計回りに設定し ております。まず昭和大学の赤堀文昭委員。全国農業協同組合連合会の石川光一委員。 国立医薬品食品衛生研究所の大野泰雄委員。同研究所の菅野純委員。財団法人日本中毒 情報センターの黒木由美子委員。自衛隊中央病院の白濱龍興委員。静岡県立大学の出川 雅邦委員。千葉科学大学の長谷川和俊委員、以上8名の御出席をいただいております。 それでは大野部会長、議事進行のほど、よろしくお願いいたします。 ○大野部会長 審議に入る前に、去年までこの会議に出てくださっていた千葉大学の鈴 木和夫先生がこの夏、7月15日だったと思いますが、亡くなられました。もともと、こ の会議の定員は10名だったのですが、鈴木先生が亡くなられたということで9名なので す。通常なら補充するのですが、今度の1月で改選になり、もう期限が迫っているので、 取りあえずは補充しないで行うことになったと伺いました。ということで残りは9名で、 今日参加したのは8名ということで御審議をお願いしたいと思います。鈴木先生が亡く なられたということで、審議に入る前に弔意を示して黙祷をしていただければ有り難い と思います。 ○大野部会長 それでは審議に入らせていただきます。事務局から、配付資料の確認を お願いいたします。 ○事務局 それでは配付資料の確認をさせていただきます。今回、お手元の資料の一番 上に議事次第が1枚付いてございます。その後、座席表と出席者一覧という形でお配り をしてございます。次に、毒物又は劇物の指定に係る今回御検討いただく15物質につい て、資料1〜13まで番号が振ってございます。その後報告事項といたしまして、資料14 として「マイクロカプセル製剤の取扱いについて」、資料15として「2-ジフェニルア セチル-1,3-インダンジオンの毒性試験の取扱いについて」、二つの資料を付けてござ います。それから参考資料として、毒物劇物の判定基準を用意しております。以上です が、お手持ちの資料に不備等ございましたらお申し出いただきたいと思います。 ○大野部会長 判定基準の資料がない方がいらっしゃいますので、配っていただきたい と思います。  審議に入ります。1番目の議題「亜硝酸ブチル及びこれを含有する製剤」についての 説明を事務局からお願いいたします。 ○事務局 それでは議題1、亜硝酸ブチル及びこれを含有する製剤について説明させて いただきます。資料1を御覧ください。名称は、亜硝酸ブチルです。名称については、 薬事法の省令で指定している名称です。国連危険物輸送勧告において、引火性液体とし て指定されており、薬事法の指定薬物として、日本では、元素又は化合物に化学反応を 起こさせる用途以外は、製造・輸入・販売が禁止されており、現在、試薬、ジアゾ化合 物の合成に使用するために流通しています。  この物質の性状については、2枚目の別紙1を御参照ください。特徴的臭気のある黄 色の油性液体です。毒性試験の結果については、別紙2を御参照ください。急性経口の ラット及びマウスでは劇物。急性経皮のデータは、確認することができず、急性吸入に ついては、飽和蒸気圧濃度を考え、試験結果を換算したところ、毒物相当。また、皮膚 あるいは気管気管支への軽度の刺激性が示唆されています。  よって、薬事・食品衛生審議会の毒物劇物調査会では、原体及び製剤について、「毒 物」として取り扱うことが適当との結論でございました。御審議のほど、よろしくお願 いいたします。 ○大野部会長 先生方の御意見はいかがでしょうか。急性吸入毒性のラットでのLC50 は420ppmで、それが毒物の指定基準以下であるということで毒物に指定したらいかがか ということだと思います。調査会の御意見に対して、問題はないでしょうか。それでは この部会でも、この物質について「毒物」に相当とすることで承認可、として報告させ ていただきます。  次は資料2、「亜硝酸3級ブチル及びこれを含有する製剤」についての説明をお願い いたします。 ○事務局 資料2を御覧ください。名称は、亜硝酸3級ブチルです。名称については、 先ほどと同様、薬事法の省令で指定している名称です。国連危険物輸送勧告において、 引火性液体と指定されており、薬事法の指定薬物として、日本では元素又は化合物に化 学反応を起こさせる用途以外は、製造・輸入・販売が禁止されており、現在、ジェット 燃料として使用するために流通しています。  この物質の性状については、別紙1を御参照ください。透明な黄色の液体です。毒性 試験の結果については、別紙2を御参照ください。急性経口のマウスでは劇物。急性経 皮のデータは確認することができず、急性吸入については、飽和蒸気圧濃度を考え、試 験結果を換算したところ、普通物相当。また、皮膚、眼あるいは気管気管支への軽度の 刺激性が示唆されています。  よって調査会では、原体及び製剤について、「劇物」として取り扱うことが適当との 結論でした。御審議のほど、よろしくお願いいたします。 ○大野部会長 これについて、急性経口毒性は劇物の基準よりも弱く、吸入毒性も弱く、 刺激性も特に強くはないということですが、違法に使われる可能性が非常に高く、脱法 ドラッグとして使われていたということで、調査会では劇物であると判断されたという ことですが、いかがでしょうか。 ○長谷川委員 先ほどと同じなのですが、この場合ですと、用途としてジェット燃料と いうことなので、今まで結構出回っていたと思うのです。国連の危険物でもクラスIIIに 分けられていますから。それが今まで毒物になっていない理由みたいなものはあるので すか。これまでに認定されていなかった根拠みたいなものを、お聞かせいただければと 思います。 ○大野部会長 毒劇物に指定されていなかったという根拠ですか。 ○長谷川委員 今までも結構出回っていたと思うのです。それにもかかわらず今の段階 でというのは、ちょっと腑に落ちないのですが。 ○大野部会長 事務局、いかがでしょうか。 ○事務局 今回この物質に関して、毒物及び劇物のいずれかに該当するか否かは、あく までも急性毒性の試験をもってということなのです。実際にこの物質が、どれだけ国内 での流通があったかということを調査することは、非常に難しくて、調査ができなかっ たというのが現状です。通常ですと、年間の輸入あるいは流通量が大体1,000トン以上 のものを、流通量も含めて、いわゆるここで審議される物質として適当であろうという ことで選定するわけですが、今回は脱法ドラッグという観点からこの物質を選定させて いただきましたので、かなり流通量が少ないものであったとしても、いわゆる毒物又は 劇物に該当するのではないかということにさせていただきました。  今回ここにジェット燃料と書かれているのですが、流通量を把握するのはいろいろな 所で、例えば経済産業省や業界団体の皆さん、そして事務局の方でも、どのくらいの流 通があるのかというのを調査させていただいているのですが、明確な数値は出なかった のです。通常よく汎用されているということであれば、大体年間1,000トン以上という のを目安としておりますが、今回は別の観点から物質の選定をさせていただきましたの で、確かに流通量は少ないというものではないと思いますが、その把握は非常に難しか ったということです。 ○出川委員 今、事務局から説明がありましたようなことを付記するような形で、劇物 なら劇物に指定するというコメントを付けた形で出されるということですか。規定その ものから言うと、急性毒性うんぬんだけでは入らないわけですね。 ○大野部会長 今までの基準から言うと、ぎりぎりというところですが、入らないと。 ○出川委員 数字だけ単純に見るとそういうことになるのですが、その辺のコメントを 付けるということは可能なのですか。 ○赤堀部会長代理 これまでは、特にそういうコメントは付けないで、毒物であるか、 劇物であるか、普通物であるかという指定だけしてまいりました。非常に値が近いとこ ろ、ぎりぎりのところは、これだけでなくて、例えばパラコートも毒物に指定したとか、 そういう社会的な状況その他を勘案して決めるということも判定基準の一つに加わって おります。このように急性毒性のデータだけではなく総合的に判断して、毒物にすると か劇物にするということで決めてまいりました。そういうことで調査会の方は、これは 劇物に指定することが適切であるということでございます。 ○大野部会長 いかがでしょうか。この部会もそういう社会的な影響を加味して、毒性 値は基準値よりも若干低いけれども劇物として扱うのが適当だというのが事務局の意見 ですが、ここの部会としてはそれでよろしいですか。 ○化学物質安全対策室長 この部会の議事録の中に明記して、その上で御了解いただい たということをはっきりさせておけばいいと思います。 ○大野部会長 議事録確認のときに、そこのところをチェックしてくださるようにお願 いいたします。では、劇物として報告させていただきます。  それでは議題3、「亜硝酸イソプロピル及びこれを含有する製剤」についての説明を お願いいたします。 ○事務局 資料3を御覧ください。名称は、亜硝酸イソプロピルです。名称については、 薬事法の省令で指定されている名称です。薬事法の指定薬物として、日本では、元素又 は化合物に化学反応を起こさせる用途以外は、製造・輸入・販売が禁止されており、現 在、ジェット燃料、医薬品中間体として使用するために流通しております。  この物質の性状については、別紙1を御参照ください。淡黄色の油性液体です。毒性 試験の結果については、別紙2を御覧ください。急性経口及び急性経皮のデータは、確 認することができず、急性吸入については、飽和蒸気圧濃度を考え、試験結果を換算し たところ、毒物相当。また、皮膚あるいは気管気管支への軽度の刺激性が示唆されてお ります。  よって、調査会では、原体及び製剤について、「毒物」として取り扱うことが適当と の結論でございました。御審議のほど、よろしくお願いいたします。 ○大野部会長 吸入毒性の値が毒物に相当ということで毒物に指定したらどうかという ことですが、いかがでしょうか。 ○出川委員 この数値は文献から取られているかと思うのですが、文献の1とか2とか というのは「入手不可」と書かれております。それで、実際のデータがどのように取ら れてこういう形で表示されているのか、データ元というか、その辺を御確認させていた だけると有り難いと思うのですが。 ○大野部会長 元の文献がなくて、どうしてこの数値が出てきたのかということだと思 うのですが、事務局から何か説明できるでしょうか。 ○事務局 お手元に配布されている資料以外に、今回、この物質に関しての毒劇指定調 査のための有害性情報の収集という形で情報収集をしており、その中で当該数値の引用 文献を提示しています。具体的な文献の一つひとつを今これだというのを提示するとい うのはちょっと難しいかと思いますので、後ほど事務局の方から、それらの根拠となる ようなものについて、提示するということでよろしいでしょうか。 ○大野部会長 はい。私はこれは、国立衛研の安全情報部で情報収集したのではないか と思います。これは多分国立衛研で契約している、毒性に関する情報のデータベースか ら引いているのだと思うのです。その情報が必ずしも絶対に間違いないということはな く、原本の引用間違いなどが時々あるので、文献の入手が不可能な場合には、どのデー タベースから引いたということを書いておいてもらった方がよろしいのではないかと思 います。 ○事務局 今後このようなケースの場合にはデータベースの内容も付記するような形で 記載したいと思います。 ○出川委員 議題7の資料5についても、文献情報のところが同じように「入手不能」 というものが幾つかあります。これは先の審議ですが、この辺についても同様の確認、 データの元を出していただいた方がよろしいのではないかと思います。何かのデータベ ースを使われたなら、それが使われたという形にする、その方がよろしいのではないか と思います。 ○大野部会長 これからは、データベースの根拠を示してくださるようにお願いいたし ます。また、今回のものについても、こういうデータベースだったということを後で委 員の先生方に送ってくださるようお願いいたします。 ○事務局 そのような形にさせていただきたいと思います。 ○大野部会長 亜硝酸イソプロピル及びこれを含有する製剤の指定に関しては、毒物と して取り扱うことが適当ではないかということが事務局の案ですが、よろしいでしょう か。  それでは、毒物として報告させていただきます。  それでは議題4「1-(4-メトキシフェニル)ピペラジン(4MPP)類及びこれを含有 する製剤」についての説明をお願いいたします。 ○事務局 資料4を御覧ください。名称は、1-(4-メトキシフェニル)ピペラジン(4M PP)類(3物質)です。4MPP、一塩酸塩、それから二塩酸塩です。名称については、 薬事法の省令で指定している名称です。薬事法の指定薬物として、日本では元素又は化 合物に化学反応を起こさせる用途以外は、製造・輸入・販売が禁止されており、現在、 試薬等として、使用するために流通しております。  これら物質については、4MPP二塩酸塩のデータにおいて、他の2物質も併せて評 価することとし、性状については、別紙1を御参照ください。淡褐色〜褐色の粉末です。 毒性試験の結果については、別紙2を御覧いただきますと、急性経口のマウスでは劇物。 急性経皮及び急性吸入のデータは確認することができず、また、皮膚あるいは眼の刺激 性に関する動物実験での知見は認められませんでした。  よって、調査会では、原体及び製剤について、「劇物」として取り扱うことが適当と の結論でした。御審議のほど、よろしくお願いいたします。 ○大野部会長 毒性試験データからいくと劇物相当ということですが、いかがでしょう か。よろしいですか。それでは劇物として扱うことが適当ということをこの部会の結論 として、承認可、として報告させていただきます。  それでは資料5、「2,2-ジメチルプロパノイルクロライド(別名トリメチルアセチル クロライド)」についての説明をお願いいたします。 ○事務局 資料5を御覧ください。名称は、2,2-ジメチルプロパノイルクロライド(別 名トリメチルアセチルクロライド)です。この名称はIUPACに基づく名称です。当初は別 名を名称として立てておりましたが、構造式に基づく名称ということで、調査会でこの ように変更になりました。  この物質は、国連危険物輸送勧告で毒物に分類されている物質であり、平成18年度 の調査会において、データの精査が必要との回答を得た物質です。国立医薬品食品衛生 研究所において、再度、急性毒性並びに刺激性に関する有害性情報収集を行い、結果が 得られました。  この物質の性状については、別紙1を御参照ください。特徴的臭気のある無色の液体 です。毒性試験の結果については、別紙2を御参照ください。急性経口及び急性経皮で は普通物。急性吸入については、飽和蒸気圧濃度を考え、試験結果を換算したところ、 毒物相当。また、皮膚腐食性あるいは眼刺激性(重篤な眼の損傷)の観点から、劇物に該 当する可能性があるものの、具体的データがないため判断は困難であります。  よって、調査会においては、原体及び製剤については、「毒物」として取り扱うこと が適当との結論でした。御審議のほど、よろしくお願いいたします。 ○大野部会長 吸入毒性の結果が毒物相当ということですが、いかがでしょうか。  これは私からの質問です。毒物の蒸気の基準だと、LC50が2mg/L以下のときに指定 するということですが、この場合だと、マウスで0.07〜0.1mg/L、この基準よりかなり 低いのです。特に毒性が強い場合には特定毒物として指定するということになっていた かと思うのですが、特定毒物の基準はどのくらいですか。 ○事務局 毒物及び劇物の判断は、今の段階では、毒物劇物の判定基準に基づくという ことになっておりますので、さらに毒性が強いものの取扱いをどうするかというのは、 改めて審議会の場で物質ごとに行っていくことになるかと思います。 ○大野部会長 これを毒物に指定しておいて、危害発生のおそれが著しいものは特定毒 物とするという考え方で、指定した後様子を見て、場合によってはそちらに指定すると いうことになるのでしょうか。 ○事務局 そのような形になると思います。 ○赤堀部会長代理 事務局の方で使用実態をきちんと把握しておいた方がいいという気 がいたしますので、お調べいただけますか。 ○事務局 それについては、実態調査をさせていただきます。 ○大野部会長 よろしくお願いいたします。ほかに御意見はございますか。よろしいで しょうか。それでは、これについては非常に毒性が強いので毒物として指定するのが適 当かと思いますが、先生方の御意見はいかがでしょうか。よろしいですか。では毒物と して扱うということで承認可、として報告することにいたします。  次は資料6、「アバメクチン及びこれを含有する製剤」の混合物について説明をお願 いいたします。 ○事務局 資料6を御覧ください。名称はアバメクチンです。正式名称は別紙2のさら に後ろに付いている名称資料に記載のとおりですが、少々長い名前ですので、本検討会 の資料及び事務局からの説明といたしましては、アバメクチンという略称で申し上げた いと思います。  こちらは現在農薬登録申請中の物質でありまして、アベルメクチンB1a及びB1b という2種類の物質の混合物です。このアベルメクチンB1aとB1bは、一番右端の 置換基が異なるのみです。  この物質の性状については、別紙1を御覧ください。25℃で類白色結晶粉末です。毒 性試験の結果については、別紙2を御覧ください。原体の経口毒性試験結果及び吸入毒 性試験結果から考えまして、原体は毒物相当と考えられます。一方、1.8%製剤の毒性試 験の結果につきましては、いずれも普通物相当となっておりますが、毒物の製剤は原則 として普通物への除外は行わないという判定基準があります。  原体の毒性試験について一点補足を申し上げます。2種類の経口毒性試験の結果が出 ておりまして、かなり毒性に開きがあるわけですが、これは毒性試験の際に用いた溶媒 の違いに起因するものです。一方がメチルセルロース水溶液で原体を溶いたもの、もう 一方がごま油で原体を溶いたものということで、試験結果にも違いが出るものです。い ずれにしても、毒性の値が強い方を採用し、原体は毒物相当と考えられます。  以上のことを考えまして、調査会では、アバメクチン及びこれを含有する製剤(ただし、 アバメクチン1.8%以下を含有するものを除く)を「毒物」に、そしてアバメクチン1.8 %以下を含有する製剤を「劇物」として取り扱うことが適当との結論でした。御審議の ほど、お願いします。 ○大野部会長 1.8%製剤は劇物ということですが、そういう案について、いかがでしょ うか。 ○石川委員 今、事務局から説明があったので、そうかと思ったのですが、確かにラッ トの急性経口が1けた以上も違うので、どうしてかと思っていたのですが、これは溶媒 の違いだけで、ラットの系統の差などは余り関与していないのですか。 ○事務局 アバメクチンの類似物質であるトラメクチンというものがございまして、構 造式も非常に似通ったものです。こちらの方でも、セルロース溶液で溶くか、ごま油で 溶くかで毒性が1けた以上違うという補助データが出ております。そのことを考えても、 アバメクチンについてもそういう違いであろうと考えております。 ○大野部会長 1.8%製剤の方は、どちらでやったのでしょうか。毒性が弱く出る溶媒に 溶かしてやったのか、強く出る方でやったのか。 ○事務局 原体は粉末なのですが、製剤につきましては乳剤ということで、液状ですの で、そのまま投与しております。 ○大野部会長 わかりました。よろしいですか。毒物の場合、1.8%製剤だと891mg/kg で劇物にも相当しませんが、毒物を基にした製剤については原則として普通物にはしな い、という考え方がございますので、劇物に指定するということです。それでは、原体 は毒物、1.8%製剤は劇物に指定するという結論にし、承認可、として報告したいと思い ます。  次の資料7、「S-メチル-N-[(メチルカルバモイル)-オキシ]-チオアセトイミデー ト」についての説明をお願いします。 ○事務局 資料7を御覧ください。名称は、S-メチル-N-[(メチルカルバモイル)-オキ シ]-チオアセトイミデート(別名メトミル)です。これは現在国内で広く使われている農 薬ですが、昭和43年に、原体及びこれを含有する製剤が劇物に指定されています。しか し、昨今野鳥の死骸からメトミルが検出された事例など、その毒性が社会的に問題視さ れていることから指定の見直しを行うというものです。  毒性試験の結果については、別紙2を参照してください。経口毒性試験はLD50が30 mg/kg程度で、昭和43年当時は劇物相当の毒性ということだったのですが、現行の判定 基準に照らしますと、原体は毒物相当という結果になっております。一方、45%製剤に ついての毒性試験結果を見ますと、こちらは毒物ではなく、劇物相当の毒性となってお ります。  このことを考えまして、調査会では、メトミル及びこれを含有する製剤(ただし、45 %以下を含有するものを除く)を「毒物」に、45%以下を含有するものを「劇物」として 取り扱うことが適当であるとの結論でした。御審議のほど、お願いいたします。 ○大野部会長 以前の基準だと劇物に相当するが、現行の基準では毒物に相当する。そ して、それを希釈した45%製剤については劇物相当であるということです。この場合に、 製剤の急性経口毒性が、LD50で、雄で56mg/kg強と、非常に毒物の基準に近い。毒物 を希釈した場合に劇物に変えるというときの考え方というのは何かあるのでしょうか。 ○事務局 現行の判定基準上は、原体が毒物相当のものを製剤化して劇物にするという ことについて、明確な判定基準は特に設けてはございません。 ○大野部会長 劇物を普通物に変えるときには、基準値の10倍以上という基準がありま すが、毒物を劇物に変えるときは、そういうものは特にないということですね。 ○事務局 特にそういうルールはございません。 ○赤堀部会長代理 今、事務局から説明していただいたとおりですが、調査会でも大野 先生の御指摘のような議論で、委員の中では意見がかなり割れました。ただ、先ほどの ように、毒物は普通物に外さない基準がありますが、劇物については特に基準がないの で、このデータをそのまま評価せざるを得ないだろうと。このデータを見ましても、製 剤は56mg/kgということで極めて毒物のデータに近いということがありましたけれど も、先ほど事務局からお話がありましたように、出てきたデータで判断した方がいいだ ろうという意見が多数であったということで、本日、事務局案として提案させていただ いているものと思います。 ○大野部会長 今までも、こういう前例はあったのですか。 ○事務局 昨年ですが、ドジンという農薬登録申請中の物質がございまして、その原体 は毒物としておりますが、ある一定の濃度を境にし、一定濃度以下を劇物ということで 御審議いただいた結果、そのように指定させていただきました。 ○大野部会長 先生方の御意見はいかがでしょうか。 ○黒木委員 調査会での議論を教えていただきたいのですが、このメトミルについては 事件性も結構あり、野鳥のみではなくて、公園に犬猫の餌としておかれているなど、か なり市民に近いレベルにまかれているということがあります。カーバメートの中では、 中毒情報センターでも問い合わせが一番多くて気になるものの一つになります。調査会 の御意見として、事件性という観点ではいかがでしたか。 ○赤堀部会長代理 私も調査会ではその立場で発言させていただきました。それで、先 生の御指摘のような議論は十分してきましたが、個人的な考え方と調査会の結論は少し 違うという気がしておりますので、この部会で御議論いただければと思います。 ○大野部会長 毒物と劇物との管理上の違いというのはどういうところにあるのです か。 ○事務局 毒物と劇物の管理上の違いはラベルの色です。特定毒物は別ですけれども、 毒物と劇物について、特に法的な規制という意味では、余り差はございません。 ○大野部会長 流通段階での規制は同じように行われるということですか。 ○事務局 はい、同様です。 ○大野部会長 毒物を劇物に変えても特に管理上甘くなるということでもないというこ とでしたら、よろしいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。 ○菅野委員 堂々巡りになりそうで怖いのですが、半分に薄めただけですね。LD50も、 30が60になったということなので、先ほどの18%が5分の1だから良くて、半分に薄 めたものは駄目かということも問題にはなるのですが、事件性というのをどのくらい加 味するか。それと、余りにも値が、けたが同じですから丸めてしまえば同じというレベ ルまでのLD50が出ているとなると、ちょっと悩みます。 ○大野部会長 基準値に近いので迷ってしまうのですね。 ○菅野委員 これだったら、原体でも製剤でも事件性は同じですね。はっきり倍量です から。そういう意味では、もし事件性というのが重要であれば、同じ扱いでもいいので はないかという気が個人的にはいたします。 ○大野部会長 40%製剤というのは悩ましいですね。 ○菅野委員 逆に言うと、これより薄めた製剤というのは実用上商品にならないという ことでしょうか。 ○事務局 もっと薄い濃度の製剤というのはありますが、45%製剤も国内で出回ってい るということになります。 ○菅野委員 もっと薄いのもあるのですか。 ○事務局 はい。薄いのもあります。 ○菅野委員 それは当然劇物になるわけですね。 ○事務局 現行上も劇物になります。少々補足を申し上げます。先ほどドジンという昨 年御指定いただいた例を申し上げましたが、これは65%を境にしておりまして、65%か ら上を毒物、65%から下を劇物ということです。毒性データは正確に覚えていないので すが、原体と65%で、毒性試験の差が、けたが違うまでという差はなく、こういう指定 をしたと認識しております。 ○赤堀部会長代理 もし、ここで御議論いただくとすると、一般の方の身近にあるとい うことを考えると、これは毒物から外さない方がいいという考え方は多分できるだろう と思います。ですから数値だけではなくて、そういう判断をより重く部会では採択して 毒物にしようということは、可能性としてはあるのではないかと思うのですが。 ○大野部会長 以前希釈したものを毒物から外して劇物にしたのとは少し状況が違うと いうことでしょうか。いかがでしょうか。 ○石川委員 私としては、正直に申し上げて農薬を使用するサイドの意見もあるわけで す。このメトミルについては、現在45%水和剤が殺虫剤、農薬としてかなり使われるの ですが、これについては、当然原液で使うわけではなく1000倍などに希釈して使用しま す。そして、使用に当たっては十分な注意、例えば胸の高さ以上の作物に対しては散布 しないとか、密閉状態のハウス内では使用しないというようなことで、かなり異例なほ ど厳重な注意を喚起しながら指導しているということもあります。  では、そこまでして、なぜ使わなければいけないのかということになると、これは農 薬の薬効として非常によく虫に効くということと、残留性が低いということで、逆に、 環境への影響が少ないという利点も確かに持っているということです。数値的にはぎり ぎりですけれども、事件性があるということだけの理由で製剤についても毒物扱いにな るということになると、農業現場での使用が非常にしにくくなるということはあると思 います。 ○大野部会長 流通上特に毒物と劇物の違いはラベルの違いだけで、販売のときに名前 を言って記録しなくてはいけないという、そういうところでは同じですよね。農薬使用 上、毒物にしてはまずいというのは何かあるのでしょうか。 ○石川委員 使用者に対してのイメージの問題があると思います。もちろん、表示上も 違いますし。 ○赤堀部会長代理 調査会委員の私が発言するのは変な話ですけれども、この製剤の試 験データがGLP非対応になっております。ですから、データそのものの信頼性という ことになりますとGLP対応とはまた少し違ってくるかなという観点もございます。そ ういう意味で評価できないということで御議論があれば、これをもう一度検討するとい うことは可能なのでしょうか。 ○大野部会長 部会としてペンディングにして、もう少し資料を調べてということは可 能だと思うのですが。白濱先生、この件でいかがですか。 ○白濱委員 この会は年に1回ですが、早めにこれを決めてもらいたいとか、何か求め られているのでしょうか。 ○大野部会長 そういう事件があったので、できれば劇物から毒物に指定を変えたいと いう意向です。 ○事務局 こちらの方は去年も御審議いただいておりまして、データが若干足りないと いうことで再審議になったという経緯がございます。その際には吸入毒性のデータが足 りないという御指摘を受け、45%製剤について吸入毒性の結果、0.76mg/Lという結果を もって今回審議にかけたという経緯はございます。2年越しになりますでしょうか。 ○大野部会長 2年越しであり、事件もあったので放っておくわけにもいかないという ことだと思います。黒木先生はいかがですか。 ○黒木委員 個人的には毒物でもいいような気がしております。実際に健康被害事例を 受信しますので、感触的には毒物に指定してもよいと思うところはあります。ただ、実 験データには毒劇物の基準がきちんとあるわけですから、それにものっとりたいと一方 では思うわけです。GLP対応、非対応の問題でかんがみますと、40%製剤はGLP対 応で、ラットの雄で61mg/kg、45%製剤がそれより毒性が低い状態になりますね、LD 50は雄73mg/kg。そして、このGLPの条件でマウスをしてみると、40%製剤の方が 50mg/kgを切るのではないかと思って、本当に悩ましいと思っているのです。いかがで しょうか。 ○大野部会長 本当に悩ましいですね。菅野先生、いかがでしょうか。 ○菅野委員 LD50というのは一般的にばらける傾向がある中で、よくこれだけそろっ ているなという印象の方がまずは強いわけです。いろいろな濃度の製剤があるというこ とで、農薬によって、ドーズレスポンスカーブが急峻なものなのか、だらだら行くもの なのかという問題が、究極的には一般化すると出てくると思うのです。前の薬は65%で 境目にしたとおっしゃっていましたが、そこはドーズレスポンスカーブの形まで考慮し てやったかどうか分からないのですが、将来的には、ひょっとすると、いろいろな濃度 の製剤が流通した場合、ドーズレスポンスカーブの落ち方の速いものと、多少減らして もほとんど毒性が変わらないようなパターンを示すものとで扱いが変わるような科学的 な方策も考えなければいけないのだろうかと思いつつ、今悩んでいるわけです。LD50 で動物実験を行う立場からすると、ほとんど同じレベルである。ですから、40とか 45%までは、幾ら数値が出ているとはいえ、生物反応の測定の範囲からすれば同じと見 ることもできる。ですから、この製剤が用量反応曲線がここら辺で寝ている物質だとす れば、ちょっとやそっと薄めても、余り変わらない物質であろうと言う根拠にはなるか もしれないのです。その場合は、社会性も考えると劇物一本の方が合理的という論理に もなるかもしれない。ただ、その辺が難しいところですね。 ○大野部会長 調査会に差戻しという意見も出ているのですが、そういうことは可能な のですか。 ○菅野委員 ただ、1年をまとめてしまうというのであれば、原体だけこのままにして 製剤の扱いだけ差し戻すとか、そういうことができるといいのではないかと思います。 原体については文句ないですね。 ○化学物質安全対策室長 ずっと御議論を聞いていますと、原体を毒物にすることにつ いては余り異論がないということでよろしいでしょうか。これ自体は現在、劇物として 規制されていますので、これ以上規制を緩くするということではないわけですね。いず れにしても、これを丸ごと毒物にするのか、あるいは、原体を毒物にして、45%製剤を 今までどおり劇物扱いにするのか。原体を毒物にすることについて異論がないのであれ ば、取りあえず、今日事務局でお示しした案も、原体については毒物となっていますの で、製剤の取扱いについては、もう少し慎重に見る必要があるのであれば、取りあえず これまでどおりにして、新しいデータがあれば、もう一度御審議いただいて、必要なら、 製剤を毒物にするか再度検討していただくということも可能ではないかと思います。 ○大野部会長 室長からそういう意見が出ました。菅野先生がおっしゃったように、 LD50の値というのはばらつくものですが、今回の場合には、半分くらいに希釈したら 倍くらいのLDになっているということで結構合っているのですね。そういう意味で、 希釈の効果というのは結構出ているのだろうと思います。取りあえず、室長がおっしゃ ったように、原体について毒物に指定するということでは皆さん異論がないようなので、 それはそういう形でこちらで結論を出させていただいて、それを希釈した製剤について は、今後データを集めて、毒物に指定した方がいいというようなことが出てきたら、ま た審議していただくということでよろしいでしょうか。 ○出川委員 私も今の部会長の結論でよろしいかと思うのですが、希釈製剤について、 これ以外にどういう資料が必要なのか、それについて具体的におっしゃっていただいた らいいと思います。菅野先生が言われたように、ドーズレスポンスのことも非常に大事 だと思いますし、必要なデータをある程度具体的に提示できれば、それを持って次回と いう形の方がよろしいような気がするのですが。 ○大野部会長 ありがとうございます。そういう意味では、45%製剤の急性経口毒性に ついて、ここにはLD50でしか出ていませんが、具体的な用量等を振ってあるはずなの で、そのデータを見させていただいて、何例中の何例とか、そういうものを見た上で判 断したいと思います。それから、GLP非対応ということですが、GLP対応のデータ がもしあったら、それも見させていただきたいと思います。探して、もしあったら出し てほしいと私は思いますけれども、先生方は何かございますか。 ○菅野委員 話を変えてしまいますが、眼の刺激性が原体で陰性、製剤で陽性とひっく り返っているのですが、これは製剤にしたせいで刺激性が増すということですか。それ ともミスプリントですか。 ○大野部会長 添加剤の影響もあるのかもしれませんが、このデータもちょっと見てみ たいですね。 ○菅野委員 界面活性剤だけによる刺激ならいいのですが、それで相乗的にドレイズで 派手な所見が出ているのだったら、製剤は製剤で別の毒性が出るという意味合いになる のではないかと思いますが。 ○大野部会長 そのデータも含めて調べてもらって、次回にでも提出していただいて審 議するということで、いかがでしょうか。 ○事務局 眼刺激性について若干補足させていただきたいと思います。虹彩の充血や角 膜浮腫などが製剤の方で見られ、48時間〜5日間かけて消失したということですが。 ○大野部会長 では二つ、LD50の細かいデータを示していただく、また、GLP対応 のデータがあったら探していただくということでよろしいでしょうか。 ○赤堀部会長代理 その場合、製剤は45%の製剤だけの検討でよろしいですか。それと も40%も含めて議論をすべきということでしょうか。 ○大野部会長 そちらも含めてデータがあったら出してもらった方がいいと思います。 毒性学的には同じ濃度と考えてもいいのではないかと思いますので。そういうことで、 部会の結論としては、結果として事務局案と同じですが、原体について毒物に指定し、 それ以外のものについては今までどおり劇物とすることで承認可、として報告させてい ただきます。  資料8、「2,4,6,8-テトラメチル-1,3,5,7-テトラオキソカン(別名メタアル デヒド)」についての説明をお願いします。 ○事務局 資料8を御覧ください。名称は、2,4,6,8-テトラメチル-1,3,5,7- テトラオキソカン(別名メタアルデヒド)です。主にナメクジの駆除剤や燃料として用い られておりまして、普通物として現在流通している物質です。  この物質の性状については、別紙1を御覧ください。アルデヒド臭を有する白色粉末 です。毒性試験の結果については、別紙2を御参照ください。こちらは、原体のラット の経口毒性試験ですが、劇物相当という結果になっています。一方、10%製剤のデータ も出ていまして、こちらはいずれも普通物相当という結果になっています。  以上を踏まえて、調査会では、2,4,6,8-テトラメチル-1,3,5,7-テトラオキソ カン及びこれを含有する製剤、ただし10%以下のものを除くものを、「劇物」として指 定、取り扱うことが適当であるとの結論でした。審議のほどをお願いします。 ○大野部会長 いかがでしょうか。急性経口毒性のLD50が劇物の基準値よりも若干低 いということで、劇物相当ということです。10%製剤については、LD50も高いし、普 通物でいいのではないかということです。特に問題ないでしょうか。特に問題なければ、 原体については劇物に指定する、10%製剤については劇物の指定から除くということで 承認可、として報告させていただきます。  資料9「2-イソプロピル-4-メチルピリミジル-6-ジエチルチオホスフェイト(別名 ダイアジノン)」についての説明をお願いします。 ○事務局 資料9を御覧ください。2-イソプロピル-4-メチルピリミジル-6-ジエチル チオホスフェイト(別名ダイアジノン)というものです。現行で、原体及びこれを含有す る製剤が劇物に指定されていますが、3%以下を含有する製剤及びマイクロカプセル製 剤にあっては、25%以下を含有するものについては、劇物から除外されています。今般 こちらの5%製剤のデータが出されましたので、劇物除外の検討を行うものです。  この物質の性状については別紙1を御参照ください。原体については無色透明の液体 です。毒性試験の結果については別紙2を御参照ください。5%製剤の試験結果ですが、 実際にはダイアジノン原体がそもそも96%くらいの純度だということですが、これを 5.53%、したがってダイアジノンそのものの成分が5.26%を含有する製剤の試験結果と して、普通物に除外できるのではないかと考えられる結果となっています。  調査会では、2-イソプロピル-4-メチルピリミジル-6-ジエチルチオホスフェイト5 %以下を含有する製剤を「劇物」から除外することが適当との結論でした。審議のほど をお願いします。 ○大野部会長 質問ですが、5%粒剤を除外するということですが、別紙2の最後の行 の注だと、実際は5.26%含まれているということですね。こうなると、5.26%含んでい ても、5%粒剤ということで除外されることになるのですか。 ○事務局 5.26%というのは、毒性試験に用いられたものの濃度ということです。  こちらは農薬として使われているものですが、農薬の製法として、10%くらいの振れ 幅があるということでして、濃度の最大上限をとると、御指摘のとおり5%を若干上回 る場合があるということで、調査会でも少々議論になりました。農薬の場合はそういう ことが有り得るということを、何かしらの方法できちんと勘案した上で、5%製剤とい うのが、ロットによっては5%を若干上回るものがある、そういうものも含むような形 で、5%以下を除くと、何かしらの方法でやるということで結論をいただいております。 ○大野部会長 農薬の場合の5%粒剤というものの品質基準のようなものが、明確にな っているのですか。石川先生、いかがですか。 ○石川委員 その辺は余り詳しくないのですが、以前の国内での農薬は有効成分が最低 濃度を保証ということで、例えば5%粒剤といった場合には、最低5%を確保している。 ですから、実際には仕込み上は5%より多めに入るということだったのですが、最近は 国際的な農薬の基準で、中央値で管理するとなっています。ですから、±何%というこ とで、中央値で表示するという動きになっています。国内の農薬もそれに合わせるよう になっていると聞いています。 ○大野部会長 心配なのですが、5%粒剤はいいと言っていて、分析したら5.26%だっ たということで、これは駄目ではないかという告発は起きないのでしょうか。 ○赤堀部会長代理 その議論が調査会でも出まして、表記のことについては、今事務局 から説明していただいたとおりなのですが。 ○事務局 そういうことも含めまして、資料も含めて整備しまして、法的な規定の仕方 も工夫しなければならないだろうかと事務局では考えています。現行では「5%以下を 除く」と書いてあったら、5%を上回っていれば除外されないだろうという考え方にな ります。ただ、一方では農薬は中央値で管理していて、振れ幅は若干あるということと、 実際に試験をしている者が、5%粒剤を想定して、5.26%で、きちんと5%を上回るも のでやっていることにかんがみまして、法的な規定の仕方も含めて、この試験結果があ るような濃度までは除外できるような方策ということで、資料の整備も含めて、事務局 としては提案させていただきたいと思うのです。 ○大野部会長 こちらでは除外するということでいいと思うのですが、実際の現場で混 乱が起きるのではないかと思ったのです。 ○石川委員 実際に流通している、存在する物質として、ここで言えば5%粒剤という のが存在していて、その実際の成分は5%で±幅があるということなので、除外するの は5%粒剤についてであるという解釈になるわけですね。 ○事務局 そういう意味合いで資料は用意しています。 ○大野部会長 5%粒剤の定義をはっきりしておかないと、例えば5%粒剤でも10%く らいのばらつきを認めているのだったら、6%くらいでもいいとか、そういうふうにな りかねないですよね。 ○石川委員 上限で規定しようということになればですね。 ○赤堀部会長代理 これまでの製剤は、5%製剤と言いますと、試験データも5%製剤 を使って、こういう結果があったと結論を出してきたのです。今回の場合は5%製剤の 有効成分の濃度を括弧書きで示してきたというところで、実際に5%と言っているけれ ども5.23%ではないかということで、そうすると5%を基準としたときに、それを超す 分については規定から外れるのではないか、劇物になるのではないかという議論が出る だろうということで、議論をしてきたというのは事務局から話があったとおりなのです。 したがって、議論はこの点をどうするかということになろうかと思います。  これまでは5%製剤の基準というか、何%〜何%の範囲のものを5%製剤とするとい う規定はないわけですので、新たな判断をしなければならないということになろうかと 思います。 ○大野部会長 このデータは、いずれもダイアジノン原体5.53%を含有する製剤の試験 結果ということですね。それを5%粒剤という形で言っていると。 ○菅野委員 問題を提出した方は良心的に提出してくれたわけですね。薄めのものを出 してきたわけではないです。良心的なのですから、それは何とかしなければいけないの ですが。 ○大野部会長 5%以下というのを、実際にダイアジノン原体を5.53%を含有する製剤 ということなので、5.5%というわけにはいかないのですか。 ○事務局 5.5%以下を除外するということでよろしいでしょうか。 ○大野部会長 最後の数字は切り捨ててしまってですね。そうすれば、少なくとも原体 を5.5%入れたものに関しては対象外となります。5%粒剤と言っていながら、5.5%を 実際に企業でも入れていたと。実際に定量しても5%以上あったということになると、 告発される可能性があるのではないかと思うのです。5.5%としておけば、会社としては 5.5%入れたということになりますよね。それより若干多くても、ばらつきの範囲であれ ば、問題はかなり少なくなるのではないかと思いますが。 ○事務局 もし、このデータで5.5%以下を除外するという結論をいただけるのであれ ば、確かにその製剤のものを完全にカバーすることになるかと考えます。 ○大野部会長 いかがでしょうか。 ○菅野委員 事務局案の中に「5%製剤」という言葉を使えないシステムのままいくの なら、今の先生の案が一番手っ取り早いですが、将来的にいちいちそのようなことをや っていると大変なことになるから、造られる側の振れ幅を先に狭くしておいていただい て、一番高めのもので試験した場合は中央値でやっていいという作法を作らなければい けないということですよね。 ○大野部会長 統一したそういう案は出ているわけですね。基準が出ていればそれでい いのですが、この場合は、5%粒剤といっても5.53%入れているのだから、それは5.5 %と。 ○菅野委員 ただ、事務局案も微妙で、「(マイクロカプセル製剤)」とここには「製剤」 と書いてあるのです。ですから、5%製剤と。駄目ですか。製剤にあっては中央値が5 %以下のもので、精度管理幅が±10%以内のものと限定すればいいのですが。 ○大野部会長 そこまでは書けないですよね。 ○黒木委員 確認ですが、農薬において、製剤においても幅は違うのではないかと思い ますし、メーカーによっても幅は違うのではないかと思うので、事務局の書き方という のは現実的に厳しいのかと思うのですが、石川先生、いかがでしょうか。 ○石川委員 例えば農薬取締法上、何%製剤となっていたら、例えば5%といったら、 5%を切っていると規格上問題になるわけです。ですから、そういう意味では、5%製 剤といったら、製造上は5%より少し多めに入ります。また、農薬の有効期限は2年く らいですが、その間にも当然瓶の中で少しずつ有効成分が分解して、落ちてくるわけで すから、その2年間は有効成分を保証するというのが、商品としての農薬の規格になり ます。ですから、今の議論をし出すと、すべてこれまで何%以下は除外といった場合の 何%というのは、実際には分析すればもう少し上ではないかという気がします。 ○菅野委員 その場合、上限の方は指導があるのでしょうか。 ○石川委員 ですから、中央値管理ということで、一定の幅を設定しようとしているの だと思います。そこについてどうやっているかの最新のことについては、私は直接関係 していないので承知していないのですが。 ○菅野委員 昔はどうだったのですか。 ○石川委員 昔は下限保証ですから、5%といったら、場合によっては6%くらい入っ ていても問題はなかったわけです。ただ、必要以上に原体を入れたらコストがかかりま すから、そんな無駄なことはしないわけです。 ○大野部会長 いかがでしょうか。はっきりと「データはいずれもダイアジノン原体 5.53%含有製剤の試験結果」と書いてありますので、5.53%の製剤について試験をやっ た結果、普通物にしてもいいという結果が出ているわけです。5.5%以下を含有する製剤 を劇物から除外するということで、この部会の結論としたらいいのではないかと思うの ですが。 ○赤堀部会長代理 そうしますと、今後の対応にもなると思うのですが、今後製剤につ いて毒劇物を指定していくときに、製剤の濃度ではなくて実際に含まれている有効成分 の濃度を示しなさいと。それに基づいて判断するということになるのでしょうか。 ○大野部会長 そういうことになりますね。試験をやったときの濃度ですね。 ○赤堀部会長代理 事務局、どうですか。 ○事務局 このようなばらつきはどの製剤でも必ず付いて回るものですが、そのばらつ きをもって品質管理をするということであれば、ロット管理が非常に重要になってくる と思います。ロット管理をどこで行うのか、基本的には自社の製造メーカーがロット管 理をきちんと行って、振れ幅がないようなに製造しなくてはなりませんが、メーカーで ロット管理をしても、±10%より大きくかけ離れた振れは少ないと思うのです。  もしこのようなことを厳密にするのであれば、その辺のロット管理等の規制をメーカ ーに課せる必要が出てくることから、それがこの物質だけに限ったことでいいのか、も っと広範囲の製剤に及ぶのかの判断も必要になってくると思いますので、非常に難しい という気がします。 ○出川委員 今事務局から説明があり、あるいは菅野先生、大野部会長からあったこと、 社会的ないろいろな影響を考えて、劇物にするか毒物にするかの扱いですが、今の5% 粒剤のことを考えると、実際の製品は1割前後のばらつきがあるかもしれない。それを 踏まえた上でこのデータを見たときに、どうかということです。個人的には、10%ずれ ても多分何でもないということではないかと思うのです。  この5%粒剤とか、実際に製品になったときにこういう形でくるのでしょうから、そ れはそういうものとして取りあえず受け止めて、その中で10%前後の違いがあったとし ても、この場合にはどうかというような判断を、今はせざるを得ないような気がするの です。実際に科学的に実験をやった量というのは重みがあるわけですが、その製品とし て世の中に出ていくときに、どういう状況になっているかというのは、もう一度調査す る必要があるかと思うのですが、この場においては、この剤についてはそういった形の 判断でいいような気もするのです。  それから、その前の農薬のメトミルについてもある意味では同じで、これも製品とし てこのように書かれていますが、多分同じようなことになるわけです。そのときにどう なのかということが、すべてかかわってくると思うのです。実際に市販されているその ものに、±何%かを踏まえた上でこのデータを読んで、これは非常に危険だというので あれば、それ相応に、これは大丈夫だということであれば、そういった判断を現在はと らざるを得ないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。 ○大野部会長 それでいいのではないかと思うのですが、問題は5%粒剤と言っていて、 実際に流通しているときも5%を目標にして入れるのだったらいいと思うのです。とこ ろが実際は5.5%入れているとなると、違うような気がするのです。実際は5.5%の製剤 を売ろうとしているのだったら、5.5%製剤と言えば、5.5%以下だったら普通物でいい ということになるのではないかと思うのです。5%粒剤といったら、企業は5%を入れ たというところがないと、まずいのではないですか。裁判で負けてしまうのではないか と思うのです。5%は普通物としていいと言っていながら、企業は5.5%をいつも入れ ていたというのは。 ○菅野委員 この場で±10は振れることを承知で5%を許したと誤差法を作れば、訴え られることはなくなると考えられるのですか。 ○大野部会長 どうでしょうか。 ○化学物質安全対策室長 事務局で示している案のように、5%以下を含有する製剤を 劇物から除外して普通物に扱おうとしたら、いったんそのように政令で決めれば、5% 以下を含有するものは普通物という扱いですので、5.1%、5.5%となると、それはこれ に該当しませんとなって、監視上は劇物扱いとなる可能性が高いでしょうね。 ○大野部会長 例えば5.1%という基準で製剤を造っていたら、普通物にならないとい うことですね。 ○化学物質安全対策室長 そうです。ですから、このデータで、実際に出回っている製 剤の幅が5%前後でどのくらい振れるのか分かりませんが、その上限よりも高いところ で足切りの値を決めて、仮に10%以下を普通物に扱うと、そういう判断ができるのであ れば、そういう決め方をするのが一番安心ということです。このデータだけでそれがで きないのであれば、5%以下にして大丈夫かどうかは心配があるので、そこで切ってし まうのは難しいのかと思います。  試験をしているのは5.何%だけれども、実際に出回っているのが5%を超えるものが ないのであればいいのかもしれませんが、その保証は難しいのかと思いますので、そう すると、基準値を5%以下にしても5.5%以下にしても、普通物にならないような製剤 が出てくる、意図したものと違ってしまうことになるおそれはあるのではないかと思い ます。 ○大野部会長 企業としては5%以下を含有する製剤については、劇物から除外してほ しいという希望が出ているのですか。 ○事務局 メーカーの希望は、粒剤を除外することを想定してやっていますので、石川 委員が言われたように、5%を下回らない濃度が、現在5.3%、5.4%くらい仕込めばな りまして、そこからさらに振れ幅があるものを5%粒剤と称して、それを除外してほし いという希望で出ています。 ○大野部会長 余分な議論を出してしまったかもしれませんが。 ○石川委員 メーカーとして5%という製剤を造るときに、5.5%で仕上げようとして造 っているわけではなくて、あくまでも5%は5%なのですが、製造の工程の中で厳密に 5%に造ること自体が難しいわけです。そのほかの成分、ましてやタンクで造るわけで すから。そこでのアローワンスはどのくらいは許せるのかということで、そのアローワ ンスの中での高い値が、これだったのかもしれないのですが。ですから、その問題は今 回議論になっていますが、今までもずっとあったはずの話であるわけです。  それで、あくまで今回の規制というのは、実際に存在して流通しているもの、もしく はこれから新たに登録されて、製造販売して、流通させようとするものですから、存在 しないコンテンツの議論をしても、余り意味がないのではないかと思います。今回はこ の剤についてどうなのかということで、この剤はこういう濃度であったということだと 思います。 ○大野部会長 この剤はそういうことですが、5%以下ということでよろしいですか。 そのばらつきをどのくらいまで許容できるかは、ここで議論することではないので、5 %ということで企業が希望しているのなら、5%を普通剤にすることに関しては、この データからいって問題はないので、この部会としては事務局の提案のとおり、5%以下 を含有する製剤を劇物から除外するとしておいて、あとは企業は5%を目標にして造っ てもらえばいいとなると思います。 ○黒木委員 この事務局案の書き方ですと、成分に対して5%と書いてありますので、 それは室長がおっしゃったように、5%以下だと普通物という形になると思います。た だ、ほかの資料を見てみますと、これこれを含有する製剤を劇物から外すとか、毒物か ら除外するという書き方もありますので、この成分を5%含む製剤をといった形で。す いません、「以下を含有する」、これは後ろにもかかっているのですか。 ○大野部会長 そうですね。 ○黒木委員 そうすると、5%製剤を劇物から除外するという、それは±を含んだ製剤 ということですか。 ○大野部会長 5%粒剤を暗に意味しているけれども、法律上の正確な意味はそうでは ないですよね。製剤であっても粒剤であっても、5%を超えてはいけないということに なりますよね。5%を目標に造って、これはばらつきが農薬の販売上常識の範囲内であ ったら、法律上も許容できると思うのです。ただ、それを実際は5%粒剤と言っておき ながら、いつも5.53%を仕込んでいたということになると、それは違うのではないかと いう非難が出るかもしれませんが、あくまで5%ということでやっているのであったら、 問題はないと思います。  ですから、企業が5%ということでよろしいと言っているのであれば、これでやって、 また問題があるようだったら、企業からデータを出してもらって、もうちょっと上げる なりすればいいのではないかという結論でいかがでしょうか。事務局の提案どおりとい うことですが。 ○事務局 確認させていただきたいのですが、5%以下を含有するものを除くというの は御了承いただいたということで、ただ、5%の中には、例えば企業が5.5%を狙って 仕込んだ場合には認められないという御結論ということなのでしょうか。 ○大野部会長 そこまではここは言えないです。そこは法律家が判断することだと思う のです。 ○化学物質安全対策室長 おっしゃるとおりで、いったんこの場で5%で切るのが科学 的に妥当であるという意見をいただいて、政令で、5%以下のものを劇物から除外しま すという規定を設ければ、5%を超えるものについては普通物扱いにならないと、法的 にはそういう解釈以外になり得ないと思いますので、そういう扱いになると思います。  そうすると、これから出てくる製品であれば、5%を超えないものを造っていただく ことが可能であれば問題はないと思うのですが、5%だったけれども、実は5.何%のが 出ているという話になると、劇物か普通物かでは扱いが全然違いますので、法律違反の ものが出てきてしまう。それを回避するのであれば、決めるときに、政令に5%以下と なっているけれども、実際に出回るのは何%のものか、そこをこちらで確認をした上で ないと、そこで切るのが妥当かどうかは言えないとなってしまいます。そこは我々の方 の執行上の問題ですが。 ○大野部会長 確認していただいてから結論を出すようにしましょうか。 ○菅野委員 過去にこういう事例があったとすれば、造る側は全部その線から上を狙っ ていて、こちらの書類はその線から下を狙っていますから、過去にやったものも含める と、すべて違法なはずなのです。ですから、そこは行政的に対応していただくしかない と思います。 ○化学物質安全対策室長 従来もそういう扱いでしたので、従来の扱いがどうかが問題 なのですが、そこの扱いの整理も含めて。取りあえず審議会ではこのデータでもって妥 当という話でしたが、実際にその値をどうするかはこちらで企業に確認した上で決める とさせていただければと思います。 ○大野部会長 そういうことで、今、室長が言われたように、この部会としては5%以 下を含有する製剤を劇物から除外することが適当と。それが実際の運用上問題がないか どうかは、事務局で確認していただいて、問題があったらまた審議ということですね。 ○化学物質安全対策室長 そうです。 ○大野部会長 そういう形で処理をさせていただきます。よろしければ承認可、として 報告させていただきます。  資料10、「4’-メチル-2-シアノビフェニル」についての説明をお願いします。 ○事務局 資料10を御覧ください。名称は4’-メチル-2-シアノビフェニルです。医 薬品の中間体として用いられている有機シアン化合物です。有機シアン化合物というの は、包括的に現行上劇物に指定されております。こちらの物質についても、例外なく劇 物となっています。  この物質の性状については別紙1を御参照ください。粉末状の物質です。毒性試験の 結果については別紙2を御参照ください。原体の試験結果が、いずれも普通物相当とな っています。  調査会では、4’-メチル-2-シアノビフェニルの原体及びこれを含有する製剤を劇物 から除外することが適当との結論でした。審議のほどお願いします。 ○大野部会長 いかがでしょうか。別紙2のデータからだと普通物にしてもいいという 毒性データだと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございます。承認可、と して報告させていただきます。  資料11、「シクロポリ(3〜4)[ジフェノキシ、フェノキシ(4-シアノフェノキシ)及 び[ビス(4-シアノフェノキシ)]ホスファゼン]」についての説明をお願いします。 ○事務局 資料11を御覧ください。シクロポリ(3〜4)[ジフェノキシ、フェノキシ(4 -シアノフェノキシ)及び[ビス(4-シアノフェノキシ)]ホスファゼン]の混合物です。こ ちらは難燃剤として用いられている有機シアン化合物で、現行では劇物として扱われて います。  こちらの物質の性状については、別紙1を御参照ください。粉末状の固体となってい ます。毒性試験の結果については、別紙2を御参照ください。こちらも原体の試験結果 は、いずれも普通物相当となっています。  こちらの構造式について補足させていただきます。この物質は幾つかの構造を持った ホスファゼン化合物の混合物で、中央のホスファゼン部分が6員環か8員環かというこ とで、これがn=3、4の意味です。また、置換基がシアノフェノキシ基かフェノキシ 基のいずれかとなっている。そういったものの、本当に何種類もの構造式の混合物とな っていることから、こういう名称を付けさせていただいています。  調査会では、こちらのシクロポリ(3〜4)[ジフェノキシ、フェノキシ(4-シアノフェ ノキシ)及び[ビス(4-シアノフェノキシ)]ホスファゼン]の混合物ということで名称を 付けさせていただき、この原体及び製剤を劇物から除外することが適当との結論でした。 審議のほどお願いします。 ○大野部会長 いかがでしょうか。資料2の毒性データは、普通物にしてもいいという データですが、そういうことにしてよろしいでしょうか。よろしければ承認可、として 報告させていただきます。  資料12、「3,4-ジクロロ-2’-シアノ-1,2-チアゾール-5-カルボキサニリド(別 名イソチアニル)」についての説明をお願いします。 ○事務局 資料12を御覧ください。別名イソチアニルと言われる化合物で、現在農薬登 録申請中の有機シアン化合物で、現行は劇物に指定されています。  こちらの物質の性状については別紙1を御参照ください。白色の粉末です。毒性試験 の結果については、別紙2を御参照ください。原体の試験結果は、いずれも普通物相当 となっています。  調査会では、3,4-ジクロロ-2’-シアノ-1,2-チアゾール-5-カルボキサニリドの 原体及びこれを含有する製剤を「劇物」から除外することが適当との結論でした。御審 議のほどお願いします。 ○大野部会長 いかがでしょうか。別紙2のデータですと普通物にしてもいいのではな いかというデータですが、よろしいでしょうか。よろしければ承認可、として報告させ ていただきます。  資料13、「2-[2-(4-メチルフェニルスルホニルオキシイミノ)チオフェン-3(2 H)-イリデン]-2-(2-メチルフェニル)アセトニトリル」についての説明をお願いしま す。 ○事務局 資料13を御覧ください。名称は、2-[2-4-メチルフェニルスルホニルオキ シイミノ)チオフェン-3(2H)-イリデン]-2-(2-メチルフェニル)アセトニトリルで す。現在、有機シアン化合物として劇物に指定されている物質です。この物質の用途は、 微細パターンを形成するフォトレジスト用光酸発生剤として用いられています。  この物質の性状については、別紙1を御参照ください。黄褐色の粉末です。毒性試験 の結果については、別紙2を御参照ください。急性経口、急性吸入、皮膚刺激性及び眼 刺激性からは普通物、また、急性経皮については、皮膚刺激性及び眼刺激性がなかった ことからも、問題ないと考えています。  調査会では、この物質の原体及び製剤を「劇物」から除外することが適当との結論で した。御審議のほどお願いします。 ○大野部会長 これについても別紙2から見ると、毒性学的には普通物にしてもいいの ではないかというデータですが、いかがでしょうか。このような判定でよろしいでしょ うか。よろしければ承認可、として報告させていただきます。  これで今日の個別の品目についての審議はおしまいです。次に議題16で、マイクロカ プセル製剤の取扱いについての報告をお願いします。 ○事務局 資料14を御覧ください。今年の6月20日付けの毒物及び劇物指定令の一部 改正に併せて、中で書いている物質、1-(6-クロロ-3-ピリジルメチル)-N-ニトロイ ミダゾリジン-2-イリデンアミン(別名イミダクロプリド)の12%以下を含有するマイ クロ製剤についての取扱いについて、通知を発出しました。  この物質指定において、前回の部会でマイクロカプセル製剤の取扱いについては、ど うしたらよいのかという御議論があり、それについては、マイクロカプセル製剤の定義 付けが必要などとし、マイクロカプセル製剤の形状等を提示することにより、他のメー カー等でこのマイクロカプセル製剤を製造するのであれば、同一規格のものを提供可能 とするために、御参考にしていただきたいということの通知です。  今後のことも踏まえまして、私ども事務局側としますと、現在劇物指定されています マイクロカプセル製剤というのは、この物質も含めて6物質ありますが、その6物質そ れぞれ製法があります。今後マイクロカプセル製剤が何らかの形で毒物及び劇物に指定 される場合には、このような同様の方法で、マイクカプセル製剤の形状等を提示し、通 知として、各物質ごとに発出する形を取らせていただいて、マイクロカプセル製剤の規 格基準を明確にした上で、毒物及び劇物の管理基準を明確化することが必要と考えてい ます。以上です。 ○大野部会長 今説明がありましたように、前回の議論で、マイクロカプセルといって もいろいろな形があるので、指定しないと危ないではないかという議論があったかと思 います。それで、こういう形で出していただきました。御意見はございますか。特にな ければ報告を承ったこととします。  次は議題17、「2-ジフェニルアセチル-1,3-インダンジオン」の毒性試験の取扱い についてです。説明をお願いします。 ○事務局 資料15を御覧ください。今お話いただきました物質の0.005%以下を含有す る製剤は、現在、劇物に指定されていますが、この配合量の下限値をもって普通物で、 殺そ剤として、販売したいというメーカーからの意向がありました。その後、平成18 年度の毒物劇物調査会及び毒物劇物部会で審議されました。  そこで、この物質が、血液抗凝固作用による致死的な作用があることから、毒物劇物 の判定基準で要求している試験データとは別に、血液抗凝固作用に関する試験データが 必要ではないのかの意見を踏まえ、その部会が終了した後、部会長、調査会長他、事務 局を含め、今後の対応を検討したところ、2-ジフェニルアセチル-1,3-インダンジオ ンの毒性(血液抗凝固作用)に対する安全性をどのように見ていくかということについ て、この物質の0.005%製剤にて5日間の反復投与における無毒性量(NOAEL)を求めると いうことで、NOAELが3000mg/kgであることを判定基準として評価することとし、申請 のあった企業にこの内容を提示し、追加の試験データを要求しました。  申請のあった企業は、当該試験データの提示の指示を受け、試験の実施を検討したと ころ、この試験を実施するには至らず、試験データの提出が毒物劇物の判定基準に基づ いた従来の方法により実施しない限りは困難であるとのことであり、試験データの提示 はありませんでした。  このようなケースは今後も生じてくることがありますので、基本的には従来どおりの 毒物劇物の判定基準に基づいて、判断するところですが、このような判定を特例とする こともありますし、今回はその試験を実施するには至らなかったのですが、試験データ が出てきた場合にはこの部会で議論をしていくという方針です。以上です。 ○大野部会長 ただ今の説明について、御意見はございますか。よろしいでしょうか。  ありがとうございます。次は「その他」となりますが、事務局から何かございますか。 ○事務局 連絡事項です。本日御審議、御決議をいただいた物質については、次回の薬 事・食品衛生審議会の薬事分科会に報告させていただきます。また、本日の議事録につ いては、事務局において取りまとめた後に、先生方に御確認いただき、その後公開の手 続を進めさせていただきますので、よろしくお願いします。  また、先ほど部会長からお話がありましたが、来年1月には薬事・食品衛生審議会の 委員の改選があることから、再任される委員の先生方には、手続等お手数をおかけする ことになると思いますが、どうぞよろしくお願いします。連絡事項は以上です。 ○大野部会長 何かございますか。 ○審議官 ごあいさつさせていただきます。9月に大臣官房審議官医薬担当になりまし た岸田と申します。よろしくお願いします。今日は国会の関係で遅れて参りました。今 日の審議を聞いておりますと、お忙しい中、たくさんの議題を議論していただきました。 若干事務局の不手際もありましたが、円滑に審議をしていただいたということで、感謝 申し上げたいと思います。  今後とも、先生方の専門的あるいは経験から、毒物劇物の取締りに関して、御意見を いろいろ応用していただきまして、この法律の運用を適切にやっていきたいと思います ので、どうぞよろしくお願い申し上げます。どうもありがとうございました。 ○大野部会長 先生方から何かございますか。よろしいでしょうか。それでは本日の部 会はこれで終了します。ありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 化学物質安全対策室 室長補佐 柴辻(2910)