08/11/17 第2回肝機能障害の評価に関する検討会議事録 肝機能障害の評価に関する検討会(第2回)議事録  日   時:平成20年11月17日(月)14:30〜16:30  場   所:経済産業省別館10階 1014号会議室  出席構成員:柳澤座長、和泉構成員、岩谷構成員、兼松構成員、田中構成員        林構成員、原構成員、八橋構成員、 ○名越課長補佐  定刻になりましたので、ただいまから第2回の肝機能障害の評価に関する検討会を開 催いたします。  皆様方におかれましては大変お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとう ございます。  では、座長、よろしくお願いいたします。 ○柳澤座長  それでは、座長を務めております柳澤ですが、第2回の検討会ということでございま すので、本日も円滑な進行とそれから十分なご議論をお願いしたいと思います。  最初に、議事に入る前に、構成員についてのご報告を。岩谷先生は遅れて来られるん ですか。 ○名越課長補佐  改めましてご報告をさせていただきますが、本日、委員の先生から全員のご出席のご 連絡は事前にいただいておりますけれども、岩谷先生、若干到着が遅れているようでご ざいますので、到着をされまして、折を見て改めましてご紹介をさせていただこうとい うふうに思っております。  また、本日の議題に関しまして、前回と同じく健康局総務課の宮崎健康対策推進官が 出席をいたしております。どうぞよろしくお願いいたします。 ○柳澤座長  それから、資料の説明をしてください。 ○名越課長補佐  続きまして、資料の確認をさせていただきます。  お手元にあります資料、議事次第のほか、資料1といたしまして「肝機能障害につい て(肝炎の疫学)」、資料2「肝機能障害について(今後の肝炎治療)」、参考資料と いたしまして、1つ目に「肝機能障害の評価に関する検討会構成員名簿」、2つ目に 「肝機能障害の評価に関する検討会(第1回)議事録」をつけております。それから、 資料番号は現在のところ振っておりませんけれども、本日ヒアリングをお願いしている 方々から配布資料を用意していただいております。  こちらのほう、お手元、漏れはございませんでしょうか。 ○柳澤座長  よろしゅうございますか。  それでは、本日の議事につきまして、最初に関係団体のヒアリング、それから肝機能 障害についてのレクチャーを2つということでございますが、議事の進行、それから注 意事項、その他につきまして、事務局のほうからお願いします。 ○名越課長補佐  すみません。最初の段階でちょっとご説明するのを忘れておりました。議事録の公表 の取り扱いでございますけれども、これはいったん確認をさせていただきたいと思いま す。議事録につきましては、事務局より参加しておられます各構成員の皆様方に個別に ご確認をさせていただいているところでございますが、まだ若干の修正等がございまし たらお申しつけいただければと思います。皆様方のご了解をいただいた時点で随時公表 をしてまいることにしたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。 ○柳澤座長  よろしゅうございますね。 ○名越課長補佐  それでは、早速議事のほうでございますけれども、まず初めに、本日ご出席をいただ きました薬害肝炎訴訟全国原告団、日本肝臓病患者団体協議会、肝炎家族の会の皆様方 からヒアリングをさせていただきたいと思います。それぞれ約15分程度のお話をいただ いた後、構成員の皆様方からご質問をいただく時間を、これも10分から15分程度設けた いと考えております。どうかよろしくお願いいたします。  なお、本日ご発言をいただくお三方には、肝機能障害をお持ちの方に身体障害者福祉 が必要と考える理由及び使用すると考えられる障害福祉サービスについて具体的な意見 をおっしゃっていただくよう、お願いをしているところであります。  そのヒアリングが終わりましたら、続きまして肝機能障害の疫学、それから今後の肝 炎治療につきまして、田中構成員、林構成員からそれぞれご説明をいただく時間、質疑 応答をいただく時間を設けたいと考えております。 ○柳澤座長  それでは、お三方からご意見を伺いたいと思いますが、お一人15分ずつということを 目安にしてお話しいただきまして、その後で質疑応答をいたしたいと思います。  最初は、薬害肝炎訴訟原告の平井要様の奥様、美智子様からのお話をいただくという ことでございますので、よろしくお願いします。 ○薬害肝炎訴訟全国原告団(ナカニシ)  すみません。先に簡単に紹介させてもらえますか。 ○柳澤座長  どうぞ。 ○薬害肝炎訴訟全国弁護団(中西)  薬害肝炎弁護団のナカニシと申します。今日はこういう会を設けていただきまして、 ありがとうございます。  本日、意見陳述をします原告は、東京原告の19番の平井要さん─実名原告です─ の奥様です。当初、平井要さんご自身がこちらに来たいという意向が強かったのですけ れども、やはり肝硬変、肝がんと進行していまして体調が悪くて、新潟の自宅からこち らには来られないということで、代わりに奥様とお嬢様が来て意見陳述をしたいという ことであります。  お手元に配布されています薬害肝炎全国原告団意見陳述の資料に従いまして、最初に 平井要さんご本人の意見陳述を奥様が代読して、その後、家族として奥様ご自身の意見 陳述をするという順序で行います。  なお、本日の資料には、そのほか東京原告302番、同じく304番、それぞれ肝硬変、肝 がんに進展されている方々の意見陳述を添付していますので、ぜひともご参照の上、検 討の資料にしていただきたいと思います。  それではお願いします。 ○薬害肝炎訴訟全国弁護団(中西)  東京原告19番、平井要の家内です。まず、夫の意見陳述を代読いたします。  私は昭和25年生まれで、ことし58歳になります。新潟市に居住し、塗装業を自営で営 んでいます。今回のヒアリングには私自身が行って話せば一番いいのですが、体調が悪 く、長距離移動がきつく、しんどいので、家内と娘が行って代わりに話すことにしまし た。  私は、昭和57年、32歳のときに脳内出血で手術をして、クリスマシンを投与され、す ぐに肝炎になりました。そのときの肝機能の数値は無限大に上がり、肝炎の治療で1年 半の入院生活を余儀なくされました。当時はまだC型肝炎は発見されておらず、退院後 の治療は経過観察だけで何もしてくれませんでした。退院後も肝機能は100を超えてい ましたが、若さで振り切ってずっと仕事をしてきました。  平成11年にC型肝炎と診断されたときには肝炎の症状がかなり進行しており、3年前 には肝硬変と診断されました。インターフェロン治療はできないため、週3回、強力ミ ノファーゲンの注射を受けていますが、C型肝炎診断時にドクターから「あと四、五 年」という命の期限を言われています。もっと早く製薬会社から通知があったら肝硬変 になる前に治療ができたのではないかと、悔しい思いをしています。  ことしの7月から8月にかけて、食道と胃の静脈瘤の除去手術をするために3週間ほ ど入院をし、治療を受けました。1回で取りきれず、3回に分けて手術を行ったため、 1日置きの胃カメラ、全身麻酔、週3回の手術のため、のどがひどく痛み食事ができず、 声も出ず、本当につらい体験でした。  現在でも足のむくみ、足の付け根のつりがひどい、腹水のために胃が押されて食欲が 出ない、神経にさわると痛い、鼻血が止まらない、といったいろいろな症状に苦しんで います。仕事は家族に手伝ってもらって何とか続けていますが、特に肝硬変の診断を受 けたころから体がだるくて、疲れやすくなりました。また、週3回病院に通って強力ミ ノファーゲンの注射を受けるために、私自身が現場にいる時間が少なくなり、大きな支 障を来していたところ、今回の入院後はほとんど家で寝ている状態となり、自分では仕 事ができなくなりました。  肝炎患者は病気と治療のために大きな障害を抱えて生活しています。ぜひとも障害者 として十分な支援を求めたいと思います。[代読終了]  夫は我慢強く、自分のことは余り言いたがりません。一番近くにいる者として私が思 ったり感じたりしていることを述べたいと思います。  まず、夫の症状について。  肝臓病の専門医の話では、肝硬変の合併症は5つあるそうです。静脈瘤、黄疸、腹水、 肝性脳症、肝細胞がん。主人は4つもの症状が出ていて、あと一つ、肝性脳症になると 死んでしまいます。主人の血液検査の用紙を見ると、ローとハイがたくさん並んでいま す。1つあっただけでも気になるのに。  肝硬変になって3年目に入りました。車を運転しているとき、食事をしているとき、 人と会って話しているとき、寝ているとき、突然鼻血が出て止まりません。1時間も出 ているので、いつも鼻はティッシュが詰まっています。そして、ティッシュ1箱使って しまいます。体のあちこちが膨れ、こぶができ、血を噴き出そうとしているみたいです。 そして、体のつり。最初はふくらはぎだけだったのですが、だんだんももの上のほうに 上がってきて、今では足の付け根まで来ています。相当の痛みのようです。私自身は経 験がないので分からないのですが、痛みでのたうち回り、大声を上げて痛がっています。 私はただおろおろして、体をさすろうとするのですが、さわられるとなお大声を上げる ので、見ているだけです。それも1時間ぐらい続きます。その後は疲れ切って声も出ず、 一日動けなくなります。塗装の仕事ではけや金づちなどを持っているとき、腕のつり、 指のつりが突然出るので、もうそれでその日は仕事になりません。こうしたことが3日 に1度は起きるのです。それから、腹水や足のむくみがあるので利尿剤を飲むと、夜中 に6回はトイレに行きます。ここ二、三年は夜中に何度も起きて、十分な睡眠がとれな いようです。  夫は、これだけの症状があるのに、お医者様の前に行くと何も話しません。夫は職人 かたぎで、いつも現場を飛び回るのが好きな活動的な人なので、体調が悪くなって仕事 ができないのがとてもつらいのです。1日置きに強力ミノファーゲンの注射を打ちに病 院に行っているのに、症状は悪くなるばかりで、もう少しで静脈瘤破裂で死ぬところで した。主人は血小板が3万5,000から5万の間を行ったり来たりしています。体重はこ こ1年で10キロも減りました。血がたくさん出る手術はできないし、インターフェロン もできません。  レントゲンを見せてもらったのですが、脾臓がお腹の端から端まで横に伸びています。 破裂するかもしれない、破裂したら失血死すると言われています。こんなにたくさんの いつどうなるか分からない症状を持っていて、障害者じゃないなんておかしいです。立 派な障害者です。だって、治らない難病で、つらい治療を受け続けて症状が進まないよ うにしないと死んでしまうからです。  障害者認定で援助を求めたいこと。  現在、週3回、強力ミノファーゲンの注射を打ちに通院しており、3カ月に1度は食 道静脈瘤の胃カメラ検査などがあります。通院は近いので自分で車を運転して行きます が、胃カメラの検査は全身麻酔をしないとできない状態なので、家族が付き添わなけれ ばなりません。日常の身の回りのことは今何とか自分でできていますが、今後病状が悪 くなると、通院をタクシーにしたり、入浴などの介護を依頼する必要があります。手す りなどの介護用の住宅改造も必要です。現に一部はしてあります。  治療費については、現在のところは健康保険で何とかやっていますが、まだ58なので、 できれば最新のインターフェロン治療などの積極的な治療を今から試したいのです。し かし、そのために高額の医療費や遠方の病院への通院費など多額の費用がかかります。  塗装の仕事は、現在、現場作業はほとんどできず、長男に任せていて、現場の打ち合 わせや見積もりで週二、三出かける程度ですが、それ以外はほとんど家で寝ています。 体力が急激に低下し、少し頑張るとどっと疲れが出るのです。そのため、かつては年間 3,000万円ぐらいあった売り上げが現在1,000万を下回っています。家族の生計は赤字で、 貯金を取り崩して生活しています。  このように、私たち家族にとって夫の治療と生活に対する援助への要望は切実なもの があり、障害者認定を強く希望しています。  先ほども挙げましたが、主人はまだ58なので、若いときから家業を継ぎ、大変苦労し た人なんです。1年半も入院していたので、今も自分の責任と思って、本当に家族のた めに一生懸命仕事だけをしてきました。今、認知症の母もいますし、まだ孫の顔も見て いません。積極的な治療をあきらめず、もっと長く生きてほしいです。  どうもありがとうございました。 ○柳澤座長  どうもありがとうございました。  それでは続きまして、日本肝臓病患者団体協議会から江東区肝友会の小名健介様、お 願いいたします。 ○日本肝臓病患者団体協議会(小名)  江東区肝友会の小名健介と申します。本日、肝機能障害の評価に関する検討会に患者 を代表いたしまして発言する機会を与えられたことにつきまして、厚く御礼を申し上げ ます。  患者の立場からお話しさせていただきますが、ウイルス肝炎、これについては医原病 であるということで私は定義をつけております。過去の医療行為によるものの判断では ないかなという感じもいたします。肝炎対策は国家プロジェクトで取り組んでほしいと いうことの要望をまたここでお願いしておきたいと思います。  肝炎患者の私たちの時間はもうありません。なぜかというと、肝炎患者の年齢が少し 上がってまいりまして、皆さんはもう高齢化の方が多いものですから、ひとつその辺も 取り組んでいただくような形でお願いしたいと思います。ウイルス肝炎の対策の施策を 実現・実行できますことを切望いたします。よろしくお願いいたします。  それから、先に、大変申しわけございませんが、私、誤字・落字が多いかも分かりま せんけれども、ひとつ勘弁していただきたいと思います。  それから、この陳述書の中で6番、7番に対しまして、先に、すみません、私の病歴 のほうを皆さんにお話しさせていただきたいと思います。  私は昭和15年3月生まれの68歳でございます。昭和62年2月に白血病の診断を受けま して、大学病院に入院いたしました。62年の4月中旬ぐらいから毎日輸血をいたしまし て、200ccぐらいでございますけれども、62年の9月まで、退院するまで輸血しており ました。63年の3月まで治療いたしまして、平成7年、非A・非Bということで先生の ほうから肝炎の兆候があるということで告げられました。平成7年にウイルス肝炎のC 型のゲノタイプの1bということでお話しをいただきまして、そのまま今日まで主治医 に診ていただいて、治療をしております。  それから、私の病歴の中で、治療を今までやったということでお話しさせていただき ます。平成11年の2月に肝機能障害で19日入院いたしました。平成15年の6月、肝がん 確認のために肝臓造影をいたしまして、肝がんがあることを確認とりました。それで、 平成15年の8月、肝動脈塞栓術で10日間入院いたしました。それから平成16年の3月、 肝動脈でまた入院いたしました。それから平成17年の9月、インターフェロンをやりま したんですけれども、どうしても私には向いておりません。それから18年、これは6カ 月ぐらいやったんですけれども、やはり副作用が出て駄目でした。それから平成18年の 11月、肝動脈塞栓術をまたやりまして、その後またしばらくたちましてインターフェロ ンをやったんですが、これもやはりうまくいかなくて、副作用が出てやめてしまいまし た。それから20年の4月─ことしですね、ことしの4月に肝動脈の塞栓術をまたやり ました。それから、平成10年からは週3回、強ミノを80cc、1回ごとにやっております けれども。それから、ウルソを、当時は6錠だったんですが、ここ1年ぐらい3錠増や しまして9錠に、1回3錠ずつ飲んでおります。現在も消化器の肝臓の内科、それから 外科へ通っております。  それから、肝障害の状態についてですね。血清アルブミンが大体今3.4あるいは3.3に なったり、ちょっと動きますが。血小板は10万と書いてありますけれども、10万はちょ っと切っています。それから、GOT、GPTは、強ミノについて休むと非常に上がっ てしまうものですから、急には上がりませんけれども、なるだけ強ミノだけは打つよう にしております。それから、現在はウルソを9錠飲んでおります。これ以上悪化しない 治療を現在も先生と一緒にやっておりますけれども、今後どうなるかちょっと分かりま せん。  それから、症状としましては、非常にこの一、二年、倦怠感ですね。それから、疲れ やすい。それから、最近になりまして日増しに疲れの状況が強くなってまいりました。 どういうことか、年齢で来ているのかどうかよく分かりませんけれども。それと根気が なくなりました。それから右上腹部圧迫不快感、これが非常に強く出ております。それ から、背中もちょっと圧迫されます。それから、肝炎の方で一番困るのは筋肉痛、足が つるということとそれからこむら返り。これは寝ていても非常に痛いんです。寝ていて も目が覚めてしまいますから。これは何かいい治療がないかなと私も思っておるんです けれども、なかなかこれ先生に聞いても……。うちの患者会でも漢方に何だかツムラの 68というのがあるよなんていう話を聞いているんですが、これは寝ていても目が覚めて しまいます。それからはもうどうしょうもないんですね。それから、手にも来まして、 こんななったり、こんななったりしているんですけれども、非常に困っている状態もあ ります。30分もすると治りますけれども、治るまでがちょっと時間がかかりますので、 大変厄介なものだなと思っています。  それから、私のほうの合併症については、現在、食道静脈瘤は今のところないという ことで、この検査もほとんど6カ月に1遍ぐらいはやっておるものですから、自分から 先生にお願いしております。それから、肝がんは4回、塞栓術をやっております。ちょ っと足にむくみが出てきたということがありまして、アルダクトンという薬を1日2回 ちょっと服用しております。それから、腹水が少し認められるんじゃないかなという先 生のお話でございます。なるだけ腹水がたまらないように頑張っていきたいと思ってい るんですが。  それから、日常生活については、大体皆さん、本なんかにいろいろ書いてありますけ れども、私自体は肝臓に負担をかけない食生活ということで、昨日も私どもの肝友会で これの料理教室をやったんですが、いろいろお話が出まして、参考にもなりました。そ れから、受診日ですね、これは必ず病院に行くということで心がけております。それか ら、医師の処方した薬を飲むこと。それから、売薬は極力避けております。それから、 体に日常負担をかけないということで、ハードな運動、ストレス、それからお話しする ときは私個人は楽しい対話ということで心がけております。それから、歯ブラシ、かみ そり、血の付いた手ぬぐい、ティッシュなどについては、家族の中でも非常に注意して 私はいるつもりでおります。それから、一日の生活の中で自分が肝炎の病を忘れて行動 している。これを実践しておりますけれども、やはり家へ帰りますとどうしても疲れが 出ますので、バターンと寝ちゃうことが多いんですけれども、なるだけこういう中にお いては肝炎というものを忘れようと自分ではしております。  それから、社会生活においては、本人の血液については十分気をつけることを注意し ております。友人との会とか飲食時には、私自体の受け皿に取って食べております。こ の文章に書いてありますから、おまえ、そのようにやっているのかという話が出るかも 分かりませんけれども、私は実行しております。それから、先ほどのお話の中で、他人 との会話で楽しく笑いのある対話に努めております。以前、医療講演をやったときに、 私どもが主催したときの先生が、「笑いの角には福来る」という題名で講演された先生 がおいでであられましたが、これを実行しております。それから、今ちょっと私どもの ところでも自分の病気を分かったらどうするかという話が出るんですけれども、私は別 に自分からウイルス肝炎であるということは告げておりません。ただ、肝臓病だという ことはお話ししております。この問題は非常にやはり女性の方については悩んでいる方 が多いものですから、ちょっとまたこれは今日の問題とは違いますので、失礼させてい ただきます。  それから、就労する上の不利益ということで、私個人については定年までは不利益 なことはありませんでした。しかし、やめた後、やはり私、体の問題、この肝炎の問 題がございましたので、転職後、就労に関しては治療法とか勤務条件でいろいろ考え て再就職いたしました。一番初めにはやはり自宅からの交通便、それから通勤時間、 勤務拘束時間、業務体系。それから、主治医の診察日に通院できる勤務体制。それか ら、3回ミノファーゲンCを現在やっておりますので、勤務終了時間に打てる体制か。 それで、うちのほうの近くの開業医が7時半までやっておりますので、そこでお願い しております。それから、有給制度があるかということですね。それから、週2日制 であるか。なかなか難しい条件で考えみましたけれども、治療を優先して就労を考え ました。それから、プレッシャーとストレスがかからない業務体系ということですね。 それから、肝機能障害が重くなると、収入を得る機会、それから就労が非常に困難に なってまいります。それから、私自体はこの今挙げました問題で、自分ではこれに近 い案で就職ができたんですが、これを全部自分のところでできる方は余りいないんじ ゃないかと思いますね。だから、就労ということについては非常に難しい。要するに、 収入という問題が絡みますので、年金も非常に、大変失礼ですが安くなっております ので、その辺も考えまして、やはり60代の前半あるいは60代という方はまだ働く方が 非常に多いものですから、その辺も考えて話してみました。  それから、介護について。私は現在、介護の必要は今のところないと思います。将 来、先ほどのお話の中で、肝性脳症にならないことと、それから肝炎が引き金になっ て他の病気に、合併症を起こさないことを心がけております。そのために先生に言わ れた受診日には必ず行って、お話しさせていただいております。  それから、支援ということで─どんどん進めて申しわけございません。15分しか ないということでございます。支援ということで、ウイルス肝炎の患者で年金受給者 は、長期治療を余儀なくされて生活に大きな負担を強いられている方が多いものですか ら、これは私ども、江東区の肝友会でも同じような、出てまいります。  それから、平成20年の4月に新しいウイルス肝炎のインターフェロン治療の助成が始 まりました。助成の期間は提出した月の初日から1年間で、再更新できません。1回こ れをやりますともう次のあれができないということで、1年で治ればいいんですが、な かなか1年で治る人はいません。これは非常にいいインターフェロンの新しいあれがで きたということでみんな喜んでいましたけれども、実際からいうと、この間の新聞では、 1割しかまだやっていないというようなことでありましたので、その辺もちょっと考え ていただきたいと思います。それで、患者にとっては非常に厳しい制度です。インター フェロンで完治・寛解の保証はありません。また、この新しい制度は課税年額によって 患者の負担額が変わってきます。患者負担額を軽減していただきたいというのが、お願 いいたします。  それから、インターフェロンの治療に助成はできましたが、患者が輸血とか何かでウ イルス性肝炎の治療助成も大至急考えていただきたいと思います。多分、今ちょっと僕 のキグウしちゃって申しわけないんですが、問題は、要するにインターフェロンをでき ない方という意味でお話ししております。私なんかもインターフェロンを今はできませ んので、自己で金額を出して治療しております。そういう方をやはり救済していただき たいなということでここでお話ししておきます。輸血患者は自己負担で、特に安い年金 受給者には生活費が大きくのしかかってきます。輸血ウイルス患者の負担額を軽減すべ き、早期に見直して検討いただきたいということでございます。よろしくお願いいたし ます。  それから、6番でございますが、上記のとおり、ウイルス肝炎にかかりますと、長期 療法と生涯肝炎との闘いです。私たちウイルス肝炎の患者は、頼るのはインターフェロ ン治療だけです。私個人的には副作用の影響でインターフェロンの治療が不可能だと思 っております。ウイルス肝炎の個人には完治・寛解は無理かと思っておりますが、今後、 重い肝機能障害のウイルス肝炎で移行していくと自分では思っております。もう要する に肝硬変の初期でございますので、それで肝がんにはなっておりますので、あと何年生 きられるか分かりませんけれども、老後の生活と闘っていく宿題が残ります。何でこう いう体になったのか私は分かりませんけれども、恐らくとりあえず白血病のときに輸血 をしたとき、これに対して輸血の中からなったと思っております、このウイルス肝炎に ついてはですね。それから、ウイルス肝炎の私ども患者としましては、甘えて法の介護 を求めているわけではありません。必死にウイルス肝炎と闘っております。日常生活を 健常者と違う生活で生きるために闘っております。何とぞ肝炎対策の施策を後退しない ことを要望いたします。よろしくお願いしたいと思います。 ○柳澤座長  以上ですか。 ○日本肝臓病患者団体協議会(小名)  もうちょっと。すみません。 ○柳澤座長  どうぞ、どうぞ。 ○日本肝臓病患者団体協議会(小名)  申しわけございません。  それで、6番、今日の定義になっていると思いますけれども、肝疾患患者に身体障害 者福祉が必要と考える理由。これを1つお話しさせていただきます。  日本国は憲法第25条で、すべての国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を 有するということをうたっております。当然、ウイルス肝炎患者も医療をひとしく受け る権利があると思います。ウイルス肝炎は一度かかりますと、一生涯、肝炎との闘いで す。重度肝疾患障害者認定を要望いたしますとともに、早期実現をお願いいたします。  1、生涯死亡するまでウイルス肝炎の病気と闘わなければならないということですね。 それから、生存中に完治・寛解見込みは現在の医学では保証はないということです。そ れから、生活で治療・加療のため、先ほどのお話の中で、就労条件が制約されてくる。 それから、他の障害疾患患者には障害認定する手帳が交付されておりますが、肝機能障 害者については身体障害者の交付はなぜか現在までありません。五臓六腑の中で認めて いないのは肝臓だけじゃないかなと私は思っております。重度肝疾患患者は毎日つらい 生活を生涯続けていかなければなりません。本人がなりたくて肝炎になったのではあり ません。つらい日々の生涯を送るならば、国民として、何らかの法的措置を講じて重度 肝疾患障害患者に老後の安心した生活の保障・権利を与えてください。よろしくお願い いたします。  それから、7番になりますが、使用すると考えられる障害福祉サービス。  当患者会では─江東区の患者会ですね─C型肝炎になっておりますが、この方で 1人、肝炎長期治療のため体力が消耗しまして、奥様が車を運転して江東区から東京女 子医大まで通院している方がおいでになります。それから、肝炎が原因で合併症を起こ すこともあります。肝炎で体力を消耗して通院に支障を来して、タクシーで通院してい る方もおいでになります。このタクシー代は自分で払っております。患者の皆さんを見 ていますと、年齢的に元気な方もおいでになりますが、一概にこうだとは言えません。 肝硬変非代償期の方は一度寝込みますと、他の病の患者と比較して回復が遅れるように 見受けられ、退院できる患者は時間がかかっています。幸い私はまだ動けますので、今 後どう体力が変化していくか自分には分かりませんが、体力の消耗、肝炎の進行ぐあい と合併症で福祉サービスにお世話になると考えられます。  福祉サービスの中でお願いしたいことは、介護タクシーサービスですね。他の障害と 同じ条件で確立、地方の行政の所轄に指示を徹底していただきたいと思います。ひとり 住まいの肝炎患者のケアの活動・相談の窓口の確立をお願いいたします。家事の援助が 必要になってくると思います。特に重い肝機能障害になると、食事をつくったりするこ とが困難になります。洗濯やお掃除などが困難になります。1人の方にはヘルパーの派 遣や通院のためのガイドヘルパーなんかも必要になってくると思います。今後、ひとり 住まいの方については障害福祉サービスの介護はより一層重要な必要性が要請されてく るのではないかと思います。それから、これはちょっと余談になりますが、もう少し市 民グループの肝炎患者会と都道府県との連絡体系の強化、こういうことをちょっと考え ていただきたいなと思いますが、よろしくお願いいたします。  最後になりますが、長い間、ウイルス肝炎の問題は放置されておりました。ここに来 て、厚労省で肝炎対策を取り上げていただき、患者の一人として誠にありがたく感謝し ております。それから、早期に肝炎対策で患者に負担をかけない持続可能できる医療制 度の確立と安心した生活の構築ができることを期待いたします。  どうもすみません。ありがとうございました。 ○柳澤座長  ありがとうございました。  それでは続きまして、肝炎家族の会の森上操様からご意見をいただきたいと思います。 よろしくお願いします。 ○肝炎家族の会(森上)  本日、肝炎障害評価に関する検討会に、こちらに言っていただいて、どうもありがと うございます。  実は、ある患者の実例として、患者の病歴と身体障害との関連をちょっと説明させて いただきたいと思うんですけれども。別表にこういう表があるんですけれども、あるC 型肝炎患者の病歴と身体障害という形でちょっと図に書いているんですけれども。  実は、その患者は25年前に肝臓病と判明され、その当時、非A・非Bと言われまして、 22年前、肝臓がんの手術を受けました。そのときに入院、さらに肝硬変などを超えた肝 がんになっていたことがあって、余命3年と先生から言われまして、それ以後、結局、 結論を言うたら、今現在はもうC型肝炎ウイルスがゼロになっているんです。というこ とは、それまでに非常に入院したり退院したりして、いろいろ回数が多く、通算33回ほ どがん手術を受けまして、内科的に治療が無理やということで、移植手術を受けました。 そのとき、その合併症、C型肝炎から目とか腎臓が悪くなって、まず腎臓が肥大して、 移植するときには静脈瘤が破裂状態で、移植をやったときにはそれは削除して、それか ら一応、血小板が手術をやったときに二、三万でしたのが30何万と今現在復元されてい る状態で、C型肝炎ウイルスで治療を何遍もやって、インターフェロンもやりましたん ですけれども。それがどういう症状か分からないんですけれども、インターフェロン、 ペガシスを2分の1だけ8カ月打ちまして、ほかの薬でウイルスはゼロになったのかも 分からないんですが、それは専門医の先生に聞いたら、今年の11月13日に「C型肝炎が ゼロです」と、そういうふうに肝がんになる可能性がないということでなったもので、 そのお土産として薬の関係で目と腎臓が悪くなりまして、それで身体障害の手帳をいた だいたわけなんです。  今現在利用している身体福祉サービスでは介護タクシー、介護タクシーいいますと、 普通でしたら自宅から病院に行くいうのは普通の介護タクシーで、この介護は病院から 専門のクリニック、そこの病院ではちょっと治療ができないいうもので、その先生がそ この総合病院にいてはって、定年退職しはって、開業しはったとこの病院へ連れて行く ために、身体障害で介護タクシーいうのを利用させていただいています。  それともう一点は、私は保険に入っていまして、7割が健康保険、3割が自己負担に なっているもので、平成19年12月4日に、この時期に認定を受けまして、重度身体障害 者医療助成いう大阪市の助成があるんです。それが大体3割。ということは、こちらと しては月1,000円で入退院がいけると。身体障害はそういう形やと思うんです。そこの 点で、こういう形で今現在、身体障害の福祉サービスを受けているわけです。  それともう一点は、肝臓障害を持つ人にとって身体障害者福祉は必要かということで すけれども、これは私の意見としまして、その病気に対して専念して治療する、それで なおかつ寝たきりとか動けない、ひとり暮らしでないとできないというた場合は、身体 障害者手帳をちょっと考えていただきたいなと思うているわけなんです。それで、その 病気いうのは、C型肝炎では黄疸や腹水など治すことができない人、そういうこともち ょっと検討に入れていただいたらありがたいと思うんです。  最後に、専門の医師にその判断を悪い患者さんは認定していただけることが一番望ま しいと思います。それ以上、私のところは今現在、肝炎家族の会の患者さんで、こうい う形で適用で今現在やっていただいているわけです。  以上です。 ○柳澤座長  ありがとうございました。  それでは、お三方からのお話を伺いましたので、ここで構成員の方々のご質疑をいた だきたいと思いますが、その前に、先ほど開会のときはいらっしゃいませんでしたけれ ども、構成員の国立障害者リハビリテーションセンターの岩谷総長がお見えでございま すので、一言。 ○岩谷構成員  すみません。遅れて失礼いたしました。第1回の会には先約がありまして失礼いたし ました。私は身体障害者全体のことをいろいろとお世話をさせていただいております。 いろいろ病気と障害について、難しい問題が起こってきておりますので、皆様方のご意 見をよく勉強させていただいて、考えさせていただきたいと思っております。どうぞよ ろしくお願いいたします。 ○柳澤座長  ありがとうございました。  それでは、ただ今のお三方のご意見に対しまして構成員の方々からのご質問あるいは ご意見ございますでしょうか。順序は不同で結構です。どなたに対してのご意見あるい はご質問でも結構ですが。  どうぞ。 ○八橋構成員  長崎医療センターの八橋でございます。  C型の肝硬変の方の平均年齢は60歳前後かと思いますが、若い方では50歳代、年輩 の方では70歳代で闘病されているかと思います。年齢層で肝硬変の患者さんの周辺状 況を想像しますと、50歳代の方は、日々の仕事をしながら、生計を立てながら肝硬変 の治療、療養や闘病をしなければいけない。60歳以上の方は、年金受給の中で、この 病気と向き合わないといけない、いろいろなご苦労があるだなあと思いながら、お話 をお聞きしました。  それで、私がお聞きしたかったのは、最初に説明された平井様の奥様にですが、ご 主人様は普通どおり仕事をされていた時期は、今からおよそ何年ぐらい前までで、そ の時の仕事量を100%と仮定したならば、現在では、どれ程度の仕事量しかできない のか、その割合をお教えいただければと思うのですが。 ○薬害肝炎訴訟全国原告団(平井)  3年前ぐらいは、ちょっと疲れる程度で、精力的に仕事していました。東京にも出 てこられたんです。しかし、1年ぐらい前から、やっぱり食道に静脈瘤があったんで すが、胃カメラが全身麻酔しないとできず、そして、全身麻酔すると肝臓が悪いため に3日はもうろうとしているので、ちょっとしなかったんです。そうしたら、何か飲 みにくいとかというので胃カメラの検査をしたところ、物すごく破裂しそうな静脈瘤 ができていたんです。その手術をしてから、今はほとんど、10%と言ったらいいか… … ○八橋構成員  仕事量としては10%ということですね。 ○薬害肝炎訴訟全国原告団(平井)  はい。ほとんどちゃんとした仕事というのはしていません。無理やり体を動かして 行っている状態です。自分だったら寝ていると思います。 ○八橋構成員  分かりました。どうもありがとうございました。 ○柳澤座長  ほかにいかがですか。  それでは、私から森山さんにちょっとお伺いいたしたいんですが、この例に挙げら れましたC型肝炎の患者さんは、大変難しい闘病を経られまして、今は結局、移植手 術もして─これは生体部分肝移植ですね。 ○肝炎家族の会(森上)  生体肝移植です。 ○柳澤座長  肝移植ですね。それで、C型肝炎のウイルスはゼロになったということで、この方の 年齢にもよると思いますけれども、今は自立してお仕事なんかもできて…… ○肝炎家族の会(森上)  いや、主婦で57歳です。 ○柳澤座長  ああそうですか。そうすると、家事はもうできる。 ○肝炎家族の会(森上)  いや、家事は。今現在、無菌室にまだ入っているので。目とか腎臓、そういう感じで ちょっと去年の3月からずっと今入院中で、それでC型肝炎がなくなったいうのを非常 に喜んでいまして、ほかの病気を治していくのが自分自身努力せなあかんのじゃないか なということを言うてましたです。 ○柳澤座長  しかし、肝移植による免疫の問題は恐らく希望的にはこれから先だんだん解決してい くと思いますから、ある意味では原因となっている病気がなくなったということで、実 は身体障害者福祉法というのは、福祉ということで、いろいろなそういうサービスをす ることによってどれだけ患者さんがサポートされて自立のほうへ向かうのかということ が法の趣旨ということもございますので、こういう方が自立の方向にいっていただけれ ば、それは大変いいことではないかなというふうにお話を伺って感じました。  ほかにいかがですか、構成員の方から。  どうぞ。 ○岩谷構成員  お三方にお一人ずつお答えいただきたいと思います。障害というのは、身体的な問題 によって日常生活上何らかの支障が出てきている状態、これが障害認定の基本的なルー ルです。つまり、皆さんの日常生活において、そういうルールを満たす条件を教えてい ただきたいわけです。身体的な問題は医学的にはインペアメントというんですけれども、 皆さんの場合には、肝臓の機能が低下しているということがそれに当たります。では、 2つめの条件である日常生活上お困りになることが何であるかということを、2つ、3 つでも結構ですけれども、具体的にお教えいただきたいのです。その場合には病気の重 症度というのと当然関係してくると思いますけれども、例えば、ほかの障害では、日常 生活上、介護を必要とするものとかいうようなこと、ほとんど寝たきりになってしまう ような方もいらっしゃいますが、皆さんの場合、どのようなことに、人の手助けが必要 となるのでしょうか。それを教えていただけませんでしょうか。お三方にお願いします。 ○柳澤座長  それでは、ご意見ございますでしょうか。どうぞ、お一人ずつ。 ○薬害肝炎訴訟全国原告団(平井)  主人は食欲がなく、今のところは私がご飯をつくったりしていますが、多分1人だっ たらつくれないと思いますし、それは男だからつくれないとかじゃなくて、立っている のがだるいんですよね。早く寝てしまいたい。休みたい。それから、何かを持つことが もう……。男の人でしたら力がありますよね。そういうちょっとした男の人でも持てる のも、持つともう、また寝たい。そういった感じです。 ○日本肝臓病患者団体協議会(小名)  今、岩谷先生からちょっとどういうことかということで説明してくれということなん ですが、肝炎の患者というのは、足が悪いとか手がこうなっているとか、そういうもの じゃないですね。一生の問題でございます。一生ということは、生涯、死ぬまでこの肝 炎と一緒に闘わなきゃなりません。それで、1つお話ししておきますけれども、運動の 選手が、よく野球をやっている選手がロープタイヤを引いて足腰を鍛えているのと一緒 です。私どもはずっとこういう状況で一生暮らさなきゃならないんです。今一番問題に なるのは、早い医療体制で、僕らみたいのをまた次起こさないようにしていただきたい ということが1つありますね。結局、高いものになってしまいますね、僕らが今こうな って困っているということは。確かに、パーキンソンとかいろんな問題、足腰がどうの こうのと言いますが、今言われましたように、非常につらいんです。例えば、つらいと いう言葉が変だということだったら、岩谷先生も肝炎になっていただきたい。 ○岩谷構成員  私がお聞きしているのは、実際に腎臓でもHIVでもちゃんとそういうふうに身障の 手帳の中に等級があります。それはそれぞれの病気の方が、それぞれに生活上の不都合 であることの理由を示していただいて、その理由がなるほどということであったから、 身体障害者の手帳認定の制度のなかに入ったんです。私がお聞きしたのは、例えば脱力 感で非常に疲労が強くて、そのために日常の基本的な動作ができないっていえば、これ は確かにそのとおりと判断できるのです。それは肝炎に伴う疲労や痛みがあってと日常 生活が極めて不自由であるということがはっきりすれば、それは説明つくわけです。で すから、そのようにおっしゃっていただきたいんです。私は肝炎の専門家じゃありませ んから、私に理解をさせていただきたいという、そういう意味で申し上げているんです。 お願いいたします。 ○日本肝臓病患者団体協議会(小名)  分かりました。先ほども私、肝障害の中でもお話ししております。非常に疲れるとい うことが1つあります。それから、この疲れというものは人に話しできないぐらいの疲 れがあります。それから、要するにさっき言いました筋肉痛ですね。こむら返り。これ、 先生ですね、2時間に1遍ぐらい出るときがあるんですよ。これは痛いんですよ、すご く。  それで、先ほど身体障害者の手帳って、私どもは手帳をもらっていませんから内容は 分かりませんので、ちょっとこれは割愛してもらいたいんですけれども。  それから、年齢的にやっぱり私ども根気がなくなりまして、私、去年の春ぐらいから 非常に体力が落ちてきまして、仕事が週3回行っていたんですが、どうしても無理だと いうことと、それからことしの4月でもう退職いたしました。ということは、非常につ らいですね。帰ってきましても、バターン。それで、1日それで参って、朝がまた大変 になってきます。そういうことがございます。  それから─まだ先生、お聞きしたいことがありますか。 ○岩谷構成員  いや、おっしゃりたいことがそれだけでよろしいですか。 ○日本肝臓病患者団体協議会(小名)  ええ。私自体はそれに全身のかゆみがありますので。 ○柳澤座長  恐らく、今の岩谷構成員のお聞きになりたいことというのは、身体障害者福祉法は、 皆さん方、そういう法律に適用していただきたいというふうなご希望ですから、法律 そのものはごらんになっていると思いますけれども、具体的にどういう障害があるか らどういう等級であるかということが、目の障害であっても、あるいは聴力の障害で あっても、あるいは身体的なものであってもあるわけですね。そういうものに対して 慢性の肝炎の方々の日常のそういったつらさとか、それから障害の度合いというのはど ういう形で─こういう言葉を使うと皆さん方はもしかしたらお気を悪くされるかもし れないんですけれども、客観的にある意味で定量的に評価できるかということで、これ は患者さんたちだけの問題ではもちろんなくて、肝炎あるいは肝障害を専門にする医師 の問題でもありますので、それは構成員の中にも肝臓の専門家がおりますから、また後 ほどその点についてもいろいろと意見を伺おうと思いますが、そういう意味合いだった と思いますので。決して皆さん方が大変ではないとか、そういう意味ではないと思いま す。 ○日本肝臓病患者団体協議会(小名)  どうも先生、すみません、熱くなりまして。 ○肝炎家族の会(森上)  私のところは、一応C型肝炎からいろいろと25年間ずっと治療に専念しまして、原 因としましてはC型肝炎から目とか腎臓、そういう形で今現在、身体障害者の基準に クリアしている形で、目の場合でしたら、具体的に言いましたら0.01、両眼で0.01が 2つですから0.02です。それで、腎臓も4級いうのをもらいまして、4級と2級で2 級いう形になっているもので。そういう身体障害のその前には介護保険があるので、 介護保険は私は以前は使うておったわけで、それがひどくなったもので身体障害いう のを国のほうから認定を受けたもので。そういう形で、私のところはできたらそうい うケースでしたら、肝臓病でもちょっと緩和できる点は、ある程度肝臓病に対しては、 6級でも7級でもええんですけれども、そういう介護とその関係で、それをきっちり と明示していただいたらありがたいと思うんです。介護がどうしてもあるものでね。 介護保険いうのはまた身体障害とは別にあるもので。そういう形で、私のところの患 者さんはそういうふうな考え方を持っているわけで、国がそういう身体障害とかそう いうのを認めてもろうているいうのは、私らも動いたもので初めて分かったものでね。 そういう形でちょっといろいろなことをやっておかな、ほかの身体障害の病気の患者 さんのこともありますから、そこの点、ちょっと難しいですわ、それは。それは私は 何とも言えませんけれども、そういう形があるいうことです。 ○柳澤座長  いかがでしょうか。  どうぞ。 ○八橋構成員  きょうお示しいただいたのは、3人の方、全てC型の肝硬変の方の事例かと思いま す。もちろん、日本の肝硬変の6割の方はC型肝硬変ですが、15%の頻度でB型肝硬 変の方も日本にはおられます。私がお聞きしたいの点は、患者会の中の会員の中でB 型肝硬変の方もC型肝硬変とほぼ同じような状況で闘病されているのか? という点 です。というのは、B型肝硬変の患者さんは、2000年以後、新たな抗ウイルス剤が使 えるようになり、顕著に症状が改善する方が少なくないように思います。一方C型肝 硬変の治療は、未だに画期的に薬剤がありません。そのような状況の中、患者さんの 団体の中で、B型の肝硬変の方の状況がもし分かりましたら教えていただければと思 いますが。 ○日本肝臓病患者団体協議会(小名)  私のところは今80人患者がいるんですけれども、B型の方は少ないです、患者会へ 入っている方。五、六人ですね。80分の6ぐらいですね。治っている方もまずいませ ん。治ったか治らないかということは私どもはよく分からないんですけれども、とり あえず今現状、患者会へ来ている方では治っている方はおいでになりません。ただ、 今後どういうような形でご報告いただくのか分かりませんけれども、今のところは80 人のうち6人がB型の方です。 ○肝炎家族の会(森上)  私のところの会では、B型肝炎の患者さんはいてることはいてるんですけれども、 B型肝炎で、抗原抗体反応いうのがあるんですかね、そういうのでも全然出てこないと いう患者さんもいてはるわけなんです。それは何でかちょっと分からないので、専門の 先生にちょっと聞いていただかな分からないんですけれどもね。私の場合でも、いろい ろ検査したら抗原抗体反応が出ていると。そやさかい、今のところはそういうB型は出 てこないという先生の意見はいただいているわけです。 ○八橋構成員  C型とB型は、もともとの肝硬変の頻度が違うということと、B型肝硬変では薬の効果 が劇的によくなりましたので、そういう状況かと思います。今、肝硬変の方で、身体 的にも症状があり、日々お困りの方は、やっぱりC型肝炎の肝硬変の方が数の上では 多数を占めるというふうに理解しました。 ○肝炎家族の会(森上)  私は、C型肝炎いうて、薬害でなしに全体的なC型肝炎で、そういう重篤な患者さ んは病院に入院して、なかなか出てこれないんです、こういう会にはね。私のところ肝 炎家族の会いうのは、そういう形でちょっと呼ばれたから、こういう形ですよいうこと を国のほうに言いたいな思うて、今回出席させていただいたわけなんです。 ○柳澤座長  ありがとうございました。  ほかにいかがでしょうか。  どうぞ。 ○原構成員  私は腎臓病の身体障害者認定に関わっていたのですが、この肝炎家族の会の森上さん がお示しになられた、腎臓の4級をお取りになっていらっしゃいますよね。この方は22 年前に糖尿病と診断されていらっしゃる。そうすると、恐らく糖尿病から腎臓が悪くな られて、それで4級を取られているのではないのかなと推測するのですが。  腎臓病というのは実は非常にクリアに身体障害者のレベル分けができているのですね。 もちろん、このレベル分けをするには、三、四施設でたくさんの患者さんのデータから、 もうこの方は透析でないと生命維持ができないというのが1級というので分けられて、 クレアチニンという腎臓の老廃物の値と症状などから等級のグレードが分けられていま す。このグレードをつくるのにある程度の年数をかけてつくっているのですね。透析治 療があるということで、生命維持がもうこれしかないというレベルが非常にはっきりし ているのです。身体障害者としての、肝臓のレベルを客観的に表すことが必要と思いま す。  お話からでは、腎臓の4級を取られて、その後、目の2級を取られているというのは、 恐らく糖尿病から来た腎臓、それに伴った目の症状として身体障害者を取られているの ではないかと思いますがいかがでしょうか。  それからもう一つは、肝臓病の方がその病気の経過の中で糖尿病を合併される場合が あります。その糖尿病も本来の糖尿病から来ているのか、肝臓から来ているのか、いず れにしても腎臓が悪くなったときにはある等級を取っていらっしゃいます。実際に肝臓 の患者さんの会の中でほかの等級を取られている方、その方がどれぐらいいらっしゃる のか、その辺もちょっとお教えいただきたいなと思います。 ○肝炎家族の会(森本)  私のところは肝炎家族の会いうて100名ほどのメンバーで構成をやっているもので、 まず、今の腎臓病いうのは、糖尿病の先生に聞いたら、糖尿病いうのは肝臓から来てい る糖尿病やと。その方は─壊疽あるでしょう。壊疽にはならないとその糖尿病の先生 は言うてはるので。「それなら先生、どこから来ているんですか」言うたら、肝臓病か らやと。腎臓はいったん悪くなったら再生はききませんですわね。それで、その患者さ んは一応肝臓が今移植をやって動いているもので、腎臓病を、シャントいうて、いつで も透析できるような状態で手術は去年やっているわけなんです。それで、その腎臓は何 とか維持しているわけなんです。そやから、肝臓病でしたらある程度治療はできるんで しょうが、腎臓病いうのはもう再生できへん、移植しかないいうことで、そういう形で 腎臓の一歩手前いう患者さんがいてはるんですわ。それで、ほかに二、三名、そういう 糖尿病の方もいてはります。 ○柳澤座長  ほかにいかがでしょうか。  どうぞ。 ○和泉構成員  改めて患者さんたちが苦しんでいるのを聞かせていただいて、また闘病に非常に精力 を使われていることをよく理解できました。私は心臓病の身体障害者に関わっている和 泉といいます。  先ほどの原先生のお話から少しご理解いただけたのではないかと思いますけれども、 今ここで討論されている枠組みというのは、やっぱり何かお困りになっていることがあ っても、何か強力に介入する方法があって、そして自立の度合いが高くなるようにして いくというのがこのシステムの根幹の考え方であります。そういたしますと、それの枠 組みで私たちは討論しなければならない。お困りになっているのは、闘病している方々、 私の心臓病も含めて、たくさんの方々がいらっしゃいますので、そのための支援のため に社会はまたいろいろな仕組みを持っています。そことのダブりも私たちは防がなけれ ばならない。そういうことを考えながらお話を聞いていました。  そういたしますと、やはりどこからお困りになって、それで今インターフェロンとい う話もございましたですけれども、どういう─いろいろなシステムでもよろしいと思 いますし、それから何かの手立てで、お薬でもよろしいと思いますけれども、そういう 介入を受けると私たちはもっと自立の度合いが高くなるんだけれどもというふうなご発 言を聞くと、もっと私たち理解がしやすいですし、積極的な提案をしやすいと思うんで すけれども、その点、お三人のうちどなたでも結構ですから、ご意見を伺えませんでし ょうか。 ○柳澤座長  いかがですか、どなたか。 ○肝炎家族の会(森本)  一応、C型肝炎に関しまして、薬の開発いう形で、私のところの患者さん、薬の開 発、製薬会社とか先生方のほうに依頼は大分動きはやっているわけなんです。それがな かなかちょっといろいろな形があるものでやりにくい点もあるんですけれども、私らは そういう形で、C型肝炎でも薬とかいろいろ、一遍には治らないとは思うんですけれど も、そういう形でその患者さんも一応治験みたいな形でちょっとやって、そういう形で やってもええいう患者さんがいてはって、具体的に今薬が一番、治す薬、そのままほっ たらかしになっておったら、がんになって取り返しがつかなくなると。それは先生方も 研究していただいて、私らも患者として体がこういう状態であるいうことを先生とコミ ュニケーションをとってやっていったほうがええと。会としてはそういうふうな形で皆 さんそう思うているわけなんで、そこの点がね。具体例を言いますと、C型肝炎でもイ ンターフェロンでもいろいろ治験段階でやってはると思うので、そのことを薬会社とか そういうところに対して国のほうもちょっと何とか協力してやってオープン─企業秘 密でありますから、そういうある程度のことは患者の考え方をとっていただいてやって いっていただきたいなと思うているんです。それ以上、私は素人ですからそういうのは ちょっと言えないものでね。先生と患者さん、そういう感じの形でやったら、前向きな 考え方でやったらどんどん治っていくんじゃないかなと思うんですわ。そこの点です。 ○柳澤座長  今の和泉構成員のお話で恐らく1つ問題になりますのは、C型肝炎にしてもあるいは B型肝炎にしても、いろいろな薬物あるいはその他の治療法があるわけですね。そうい うもので、肝炎をよくすることによって自立のほうへ向かうということが期待されれば、 それは身体障害者福祉の趣旨に合致すると思うんです、それではそういう薬物治療を受 けるときに、例えば部分的に患者さんご自身が負担しなければいけないために非常に経 済的に困るというふうな点が具体的にありますんでしょうか。例えば一部負担が、もし 3割の一部負担であれば非常に高額な医療費を必要とするとか、あるいは1割の場合で もそうであるとか。一般的に現在我が国で肝炎の治療として認められている治療法で行 われているようなことについて。  例えば、先ほど腎臓の専門家の原先生がお話しをなさいましたけれども、透析という ことによって患者さんは自立できるわけですね。その透析の一部負担をもしも患者さん が全部負担するとしたら、それは非常に大きな問題があるということが、身体障害福祉 の場合には1つの趣旨になっているということがあります。それが1つの例であります けれども、それに似たような形で、肝炎の治療についてそういったような具体的なサポ ートが必要とされる点がもしあれば、お聞かせいただければと思いますが。 ○薬害肝炎訴訟全国原告団(平井)  うちの場合は、インターフェロンが効かないので、もっと違う治療法があるんですけ れども、それをするためには、私今、新潟に在住なんですけれが、やっぱり大きな病院 に行ってもっと積極的な治療を主人に受けさせたいんです。しかし、そうすると、今も 仕事はできませんが、仕事を休まなきゃいけない、あと私もこっちのほうに来て主人に 付き添うとか。そうすると、高額な医療費がかかるので、それとか病院の通院費とかか かるので、障害者として認定していただければ、まだ若いんだし、治って普通の生活が できると思うんです。 ○柳澤座長  その高額な医療費というのは、具体的にはどういうふうな治療に対して患者さんの側 がどのくらい負担しなければいけないんですか。 ○薬害肝炎訴訟全国原告団(平井)  金額はちょっと分からないですけれども、私たちは今国民健康保険なんです。 ○柳澤座長  いや、余り細かくいうつもりはありませんので。一般的に、例えば国民健康保険で一 部負担を患者さんがしなければいけないときに、それをサポートすることによって、患 者さんの治療がよりよく行われて、回復の方向にいくということであるならば、それは それで非常に大事な点だろうと思うんですね。 ○薬害肝炎訴訟全国原告団(平井)  そのとおりなんですけれども。 ○柳澤座長  その点を、じゃあまた制度的なものも含めて事務局のほうによく調べてもらうように いたします。ありがとうございました。  よろしゅうございますでしょうか。ちょっと時間も過ぎましたので。  それでは、患者団体の方々からのお話は以上ということで、どうも今日は本当にあり がとうございました、お忙しいところ、貴重なご意見をいただきまして。  それでは、席はまたいったん移っていただきまして、次の議事のほうに進みたいと思 います。  じゃあ、事務局のほうでご案内してあげてください。  それでは、次は肝炎の疫学について田中構成員のほうからご説明をいただきたいので、 少し準備を。もうすぐできますか。  それでは、お願いします。 ○田中構成員  広島大学の田中でございます。今日は「肝炎の疫学」ということでお話をさせてい ただきます。C型肝炎ウイルスが初めてクローニングされたのが1988年ですので、そ れ以降、膨大な時間と膨大な労力によって積み上げられてきた我が国のウイルス肝炎の 疫学の概要について、マクロ的な面からご説明をさせていただきたいと思います。  座ってさせていただいてよろしいですか。 ○柳澤座長  どうぞ、お座りください。 ○田中構成員  前回、八橋構成員が口頭でご説明になったと思いますけれども、ウイルス肝炎の病型 と病原ウイルスでございます。いろいろウイルスが出てまいりましたけれども、現在の ところ、この5種類に落ち着いています。  伝染性肝炎の病原ウイルスとして挙げられるのがA型肝炎ウイルスとE型肝炎ウイル スで、感染経路は経口、すなわち糞口感染でございます。慢性化、キャリア化はないと されておりまして、肝がんとの関係もないとされております。  血清肝炎の病原ウイルスとしては、B型肝炎ウイルスとC型肝炎ウイルスでありま して、感染経路は血液を介して感染するものであります。B型肝炎ウイルスのDane粒子 が発見されたのが1972年、C型については先ほど申し上げましたように1988年ですので、 それ以降、血液の中にはこのようなウイルスが入っているかもしれないという認識にな ってきたわけであります。慢性化、すなわち、肝臓の中に持続感染をすることによって 肝がんとの関係があるとされています。  ただ、B型肝炎ウイルスとC型肝炎ウイルスはウイルスの種類が異なっております。 B型肝炎ウイルスはDNA型で、C型がRNA型ウイルスですので、慢性化の機序や病 態についてはかなり異なっております。出産時あるいは幼児期の感染により慢性化する 場合が多いB型肝炎ウイルスと、成人における感染でもその7割ぐらいが慢性化をする と言われているC型肝炎ウイルスと認識していただけたらいいと思います。また、前 回、八橋構成員のほうからも説明がありましたけれども、近年日本では、大人になって からの感染でも慢性化率の高い、欧米に多いジェノタイプAによるB型肝炎ウイルスの 感染が都市部を中心に広がってきておりますので、ウオッチングする必要があります。  D型肝炎ウイルスは、そのウイルスの増殖の際にB型肝炎ウイルスを必要とするとい う不完全ウイルスと言われた特殊なものです。今日のお話はB型とC型に関するものに なるかと思います。  これは、我が国における肝がんによる死亡の推移を10万対で率として示したものであ ります。1950年代から70年の初めまでは10万対大体10ぐらいで死亡率は推移しておりま したけれども、70年代の後半から増加を始めております。2002年にようやく頭打ちにな り、肝がん死亡の実数は2002年で約3万3,000から4,000人であります。女性の肝がん死 亡率と比べて男性は約2倍ということが特徴的であります。  肝がん死亡の成因について、人口動態統計と肝癌研究会の資料を用い推計したものを お示しします。1970年代の後半から肝がん死亡率は増加していますけれども、B型の持 続感染に起因する死亡の割合は10万人当たり大体3から4と一定の値を示しております。 90年代に入り、C型感染の確定診断ができるようになり見てみますと、C型の持続感染 に起因する肝がんが全体の7割から8割を占めるということが分かったわけです。すな わち、我が国の肝がんの8割以上はB型あるいはC型の持続感染に起因するものである ということが明らかになってきました。  一方、2000年以降、非B型、非C型に起因するがんというのが増加しています。その 研究も現在行われているところであります。  次に、空間的視点からみてみます。これは、人口動態統計から算出したものですが、 市町村別にみた肝がんの死亡率を標準化したものであります。その時代の全国死亡を 100としまして、年齢と市町村毎の人口規模をベイズ法で標準化したものです。赤色が 肝がん死亡の高いところ、青色は低いところであります。肝がん死亡が10万対9であっ た1970年代では地域差は認められませんが、10万人当たりの肝がん死亡が20、30にであ る2000年代におきましては、地域差が見られるように変化してきています。  では次に、我が国の感染率、キャリア率はどうかということを見てみたいと思います。  日本人全員から血液を取って検査するわけにはまいりません。ある大規模な集団を対 象としてみる、観察するということになります。これは厚生労働省の研究班が日赤の全 面的協力のもとに、全国の血液センターで1995年から2000年までの6年間に献血を行っ た全数の中から─毎年約600万本の献血がありますが、─生まれて初めて献血をし た人、すなわち初回供血者348万人を抽出し、そのHBs抗原とHCV抗体の陽性率を まとめて示したものです。HBs抗原陽性、すなわちB型のキャリア率は0.63%、HC V抗体陽性率は0.49%です。HCV抗体陽性率の大体70%が年齢にかかわらずキャリア 率に相当するとしますと、HCVキャリア率は0.3から0.4%、全体で見ますとそういう ことになります。  まず、このHCVキャリア率について示します。1歳刻みの出生年別に並び替えたも のです。2005年の時点で70歳以上、すなわち1935年以前に生まれた世代におけるHCV 抗体陽性率、大体70%掛けがHCVキャリア率と読み替えていただければいいのですが、 この年齢層におけるキャリア率は高い値を示しております。また、1970年以降に生まれ た若い世代のキャリア率は低い値を示しております。ここで示した、年齢が高いとキャ リア率が高い、という現象が、加齢とともにキャリア率が高くなるという加齢効果なの か、あるいはこの世代のコホート効果なのかということを検証するために行った疫学調 査を次にお示ししたいと思います。  これは10年間にわたる前向き調査です。広島の血液センター、42万人の全供血者の中 から、最初のHCV抗体検査が陰性の人を抽出します。ここから10年間観察し、14人が 2回目以後の検査で陽性と判定されたことが明らかになりました。それを人年法という 疫学的な方法で算出・推計しますと、HCVの新規感染率は10万人年あたり1.6人となりま した。この10万人年あたりというのは、10万人を1年間観察する、あるいは1万人を10 年間観察し新規感染が1人から2人と考え直すことができます。お分かりになるとおり、 非常に低い値であります。  同様の調査を全国の地域で行いました。大阪血液センターにおける新規感染率の数値 は、抗体の陽転数をもとに算出したものですのでやや高い値になっています。広島と大 阪の地域差はありますが、信頼区間の幅には入っており統計学的には同等と思われます。 人間ドッグや老人施設における調査、前向きコホート調査によりまして、C型のキャリ アの新規発生は極めて低い、高くはないことが言えているわけです。  そうすると、先ほど示しました年齢階級別にみた若い世代における低いキャリア率は、 年をとってもその世代の値を維持したまま推移する、すなわち、加齢効果ではなく、コ ホート効果が起こることが予測できるわけであります。  それからもう一つ、HCVの母子感染についてですが、広島と愛媛の1万6,000人の 妊婦を対象に前向きコホート研究を行いました。そうすると、HCVキャリアの母親から 生まれた児も出産100あたり2から3という低い値を示していることも追加して申し上 げておきます。  次に、HBVキャリア率について、1歳刻みの出生年別に並び替えたものです。HCVキャ リア率とは分布が異なります。1945年生まれ、つまり団塊の世代と言われる2005年の時 点で60歳前後の世代が1%から1.5%のキャリア率を示します。それから、1980年以降 に生まれた年齢集団が非常に低いHBVキャリア率を示しております。先ほどのC型の新 規発生率の調査と同じように、B型についても前向き調査の成績を示しますと、10万人 年あたり2から3という、やはり低い値を示しております。  HBV感染につきましては、国は1986年以降に出生したすべての児を対象とした母子感 染予防を行っております。これは全国全面実施以前から治験で行われてた静岡県の資料 を示しておりますけれども、母子感染による児のキャリア化阻止率は95%であります。 胎内感染を除いた母子感染によるキャリア化阻止がほぼうまくいっていることが分かる と思います。  この効果について、岩手県における調査成績を示します。母子感染防止事業開始以前 に生まれた児と以後に生まれた児では、HBs抗原陽性率、すなわちHBVキャリア率は 10分の1の値になっておりますし、HBs抗体陽性率も約半分の値を示しております。 この事業が効果的に運用されているということが分かると思います。さらに、HBs抗 体陽性率に占めるHBc抗体陽性率の割合をみることで、そのほとんどがワクチンによ り獲得したものであり、この母子感染対策事業がうまく実施されていることが分かりま す。  ということで、次世代からのHBVキャリア率について考えますと、事業開始の1986年 生まれは今22歳、23歳でございます。その世代の人たちが子供を生むときには母子感染 対策事業の対象者が非常に少ない、さらに母子感染対策が行われますから、2世代後の 数十年後、将来的にはHBVのキャリア数はかなり低くなるということが容易に予想が つくということであります。  今まで示しましたHBVとHCVの新規感染率、水平感染の成績からみまして、我が国の感 染予防対策は、一般健常者集団においては、軌道に乗っているのではないかということ が言えると思います。  では、存在しているキャリア数がどれぐらいかについて、先ほどお示ししました初回 供血者の資料をもとに推計したものをお示しします。初回供血者資料からの推計ですの で、自覚症状がないまま、潜在しているキャリア数となります。2000年時点ですからや や古いのですが、2000年時点における該当年齢人口9,300万人中、C型のキャリアは大 体88万人、B型のキャリアは96万人、その約80%が40歳以上と示されています。  地域別にみますと、これは当然のことですが、背景人口が多い東京とか大阪を含めた 関東地区、近畿地区のキャリア数が多いことがわかります。ただし、これは2000年時点 の推計値であります。後ほどお示ししますが、2002年から肝炎ウイルス検診が全国規模 で行なわれております。また、マスコミ報道等によりまして、肝炎ウイルスに対する関 心が高まり、知識が向上したことによって、入院時、手術前後、他の検査と同時に肝炎 ウイルス検査をする機会が非常に増えていますので、ここに示した潜在しているキャリ ア数は、2008年の現時点では大幅に下回るのではないかと私自身は考えております。  次に、キャリアの病態推移について、特にHCVキャリアの病態についてお示ししたい と思います。  これは、献血を機会に初めて自分がC型に感染しているとわかった、つまり自覚症状 がなかったけれどもC型のキャリアだとわかった集団の病院初診時の臨床診断の内訳で あります。広島血液センター1992年から、献血時の検査でHCVキャリアと分かった人に 対しては肝臓専門医に受診するように勧めております。病院初診時の臨床診断ですが、 約6割が慢性肝炎よりも病態がすすんだ状態であったということから、C型につきまし ては、自覚症状がなくても、適切な診断を受けて治療することが大切であることが示さ れたわけであります。  5年以上の経過観察が可能であった408人を抗ウイルス療法を受けた人と受けてない 人に分けてみますと、これはインターフェロン治療が開始されたばかりの1990年代の最 初ですが、ウイルスの排除すなわち、HCV−RNAが消失した例がかなりあります。 自覚症状がなくても的確な治療により、肝がんのリスク集団からの離脱が望めると期待 が持てるわけであります。  例えば、抗ウイルス療法を行わない場合にはどうなるのかということを数理モデルを 用いて推計したものをお示しします。40歳の時点で無症候性、自覚症状がないキャリア が100人おられたとしますと、10年たちますと80%が男性では慢性肝炎に進展し、その 後、病態がすすんでいきます。男性では50歳を過ぎた辺りから、女性では60歳辺りか ら肝発がん率が高くなり、生涯肝発がん率は男性では約38%、女性では約20%と考え られます。  先ほどの推計キャリア数から40歳以上の年齢集団だけ抽出し、今示した数理モデル に当てはめて病態の推移を見ています。そうすると、適切な治療を受けない場合には 肝臓の病態別の人数がこのように推移していきます。たとえば、国民全てが一斉に肝 炎ウイルス検査を受け、一斉に治療を受けるとすれば、一斉に相当の方々からウイル ス排除が行われるわけですから、効果的な肝がん阻止になると頭の中では考えられます。  これらのエビデンスを元に、肝がん対策の一環として、2002年から5年計画で、肝炎 ウイルス検診は住民健診に取り入れられた形で開始されました。肝炎ウイルス検診は節 目検診と節目外検診とからなります。40歳から70歳までの5歳ごとに行うのが、節目検 診であります。主にC型肝炎ウイルス対策を主に行われたわけですけれども、せっかく ですから、B型肝炎ウイルス対策も同様に行うこととなりました。住民健診受診対象者 は大体約2,500万人ですが、その約3分の1、約870万人がこの5年間に受診しました。 B型のキャリアが約10万人、C型のキャリアが約10万人ほど見出されております。した がって、各10万人のキャリアの方が医療機関に受診され適切な治療を受けられることに なれば、さらに肝がん死亡が減ると推測できるわけですが、実際にはなかなか医療機関 受診率が上がらない現状がありまして、現在対策が取られているところと伺っておりま す。  これは肝炎ウイルス検査の結果であります。節目検診受診者が620万人です。40歳か ら70歳まで5歳刻みで5カ年実施されたわけですから、40歳から74歳までの1歳刻みの キャリア率が明らかになりました。年齢が高いところでキャリア率が高い、年齢が低い ところで低い、これはHCVキャリア率です。初回供血者350万人の年齢階級別HCVキャリ ア率と同じ分布を示しております。B型についても、団塊の世代で1%を超えるキャリ ア率を示しています。日本において2つの大規模集団からわかってきたC型のキャリア 率、B型のキャリア率の年齢分布が同じ分布を示したことが明らかとなっています。  これが最後のスライドです。C型のキャリア率です。赤色が日本であります。日本で は年齢が高いところでキャリア率が高く、低いところで低い値を示しております。この 青色は米国CDCのデータで、薄いブルー色は一緒に算出したキエフ血液センターのキ ャリア率です。国によってやはり背景となる年齢階級別にみたキャリア率の分布が異な っています。この右の青いところが肝がん好発年齢に当たるわけですが、新規感染はほ とんどない日本では、そのまま右に推移します。これから10年間が日本における肝がん 対策、キャリア対策の要だと考えております。  国の医療事情によって、また対象とする疾患の分布によって、疾病対策は異なってく るわけでありますので、背景状況をしっかりつかんだ上で疾病対策を立てることが必要 だと考えております。疫学とはただの調査ではなく、一つの疾病の予防や撲滅を目指し た実践学と認識しております。今日はその意味からも肝炎の疫学の話をさせていただき ました。  以上です。時間の関係で用意した資料よりも少なくなりました。 ○柳澤座長  どうもありがとうございました。  それでは、ただ今の田中構成員によります肝炎の疫学についてのお話に質疑がござい ますでしょうか。  キャリアに対する抗ウイルス療法をどれだけ徹底して行うかということが今後、大変 大事な課題だというふうに考えられますが、先生、最後のところで、新しいC型肝炎の 感染はないというふうにおっしゃったんですか。 ○田中構成員  新規ですか。 ○柳澤座長  新規。 ○田中構成員  C型ですか。 ○柳澤座長  はい。 ○田中構成員  ないというか、一般集団においては非常にまれであるということです。 ○柳澤座長  もう考える必要がないくらいまれであると。 ○田中構成員  一般集団においては、です。やはり同じような調査を、観血的な処理を行う透析医 療施設であるとか、習慣的に観血的な処置を行う場においての新規の感染率のやはり 同じような調査を行っております。諸外国でも感染率を出しておりますけれども、や はり一般集団におけるの10万人年あたり約1.6よりも、オーダーが2つ違う高い値を 示しております。やはり特定の感染のリスク集団に対しては感染予防をきっちりやる ことが必要です。その上で、一般集団におけるマクロで見た新規の感染はほとんど日 本ではないということです。将来的にもほとんどないであろう、現在の社会・経済・ 医療状態が存続する限りは、という条件付きですが。 ○柳澤座長  欧米には既にそういったC型肝炎に対するワクチン療法とか、あるいはまた…… ○田中構成員  ワクチンでしょうか。 ○柳澤座長  予防。ワクチンはちょっとまた別ですか。そうすると、C型肝炎の感染予防をきち んと行った結果、実質的にキャリアが非常に減少したというふうな、そういう実績を持 っている国はございますか。 ○田中構成員  恐らくC型肝炎対策については日本が先進国でありますので、そういう対策を行って いるところは、私の知る限りでは、少なくともアメリカではありません。国の施策とし て検診を取り入れていく、というのは恐らく世界初と思います。 ○柳澤座長  そうですね。意外にヨーロッパは、医療や福祉とかが進んでいると思っても、こうい った検診とかあるいは例えば労働安全衛生法による企業健診とか、そういうものはきち んと行われていないんですよね。そういう点では我が国はモデルになるのかもしれない。  どうぞ。 ○兼松構成員  地域によってウイルスのタイプ、これが違うというようなことがありますでしょう か。と申しますのは、先生さっきお示しになられました、地域によってがんの標準化 死亡率辺りがちょっと違ってくるというふうなこともあるようですが、非常にインタ ーフェロンが効きやすい、特にC型肝炎ウイルスのタイプにおいて効きにくいところ が集中的に発生しているところがあるとか、そういうデータは何かあるんでしょうか。 ○田中構成員  肝がん死亡を考える上では、やはりB型とC型とちょっと分けて考えないといけない とは思うんですけれども、今さっきの肝がん死亡の死亡率のマップが局所的に地域差が 出てきたということをおっしゃっているわけでありますか。 ○兼松構成員  そうですね。 ○田中構成員  肝がん死亡の低い1970年代ではB型の持続感染によるものが主でありましたが、B型 の感染率の地域差というのはそれほどない。C型についても、キャリア率を全体でみる と地域差はあまりない。また、40歳以下の年齢集団でみますと、地域ごとのキャリア率 はほとんど変わらず1%以下の低い値を示しています。しかし、肝がんが好発する年齢 集団、50歳、60歳、70歳でのキャリア率が地域ごとにやや異なることによって、肝がん の死亡率が異なってきていると考えられます。B型とC型によるものが混じっています ので、その結果として肝がん死亡が算出されていますので、はっきりとこれが原因とい うわけではないと思います。 ○兼松構成員  Cの中のタイプによってどこが非常に多いとか、そこまでは今回のことでは。 ○田中構成員  Cの1bとか1aのタイプによって治療効果の差はありますが。 私は知りません。 ○柳澤座長  ほかにいかがでしょうか。  はい、どうぞ。 ○和泉構成員  結論的にお伺いしたいんですけれども、マクロ的に見たときに、ウイルス肝炎に対 する脅威というのは、21世紀中に我が国からは払拭されるし、そしてさっきのカーブを 行きますと、2060年ごろですか、2070年ごろ帰結点に達するだろうと思われるわけです けれども、ウイルスを駆逐する技術が進めば進むほどそれは加速すると、そういう理 解でよろしいんですか。 ○田中構成員  大筋ではそのとおりだと思います。今のままの医療、それから薬の開発、それから 感染予防対策がこのまま進んでいって、国の施策が進んでいくと、そういうことにな ると理解しております。ただ、外国由来のたとえば欧米型の感染が新たに入ってくる とか、新たなウイルス感染が起こった場合にはまたシナリオを書き直す必要があるか と思います。危険群に対する感染の防御対策と、一般集団でのキャリア対策・肝がん 対策をやっていけば、先生がおっしゃるとおりのことになると思っております。 ○柳澤座長  ありがとうございました。  ほかにいかがですか。  それでは、どうも田中先生、ありがとうございました。  続きまして、「今後の肝炎治療」というテーマにつきまして、林構成員からお話を いただきたいと思います。  よろしくお願いします。 ○林構成員  大阪大学の林でございます。  先ほどからお話がございますけれども、肝炎患者さんの経過に一番大きな影響を与 えるのはやはりこれはウイルス感染でございますので、ウイルスを完全に排除できる か、あるいはウイルスの量を減らすことができるかということによります。今日は、 肝硬変の成因で一番多いC型肝炎患者さんとB型肝炎患者さんの治療の現状と今後を 少しお話しさせていただきます。  C型肝炎患者さんの治療でウイルスの排除を起こすことが可能な薬剤というのは、 今のところやはりインターフェロンベースの治療しかございません。1992年からイン ターフェロン治療が始まりましたが、現在治療効果が大きく変わった最大の理由とい うのは、このリバビリンという抗ウイルス剤を併用可能になったということと、イン ターフェロンの投与期間を─このときは半年でございますけれども─1年間と長 くすることができたということでございます。ここにペグインターフェロンというの がございますが、これは従来のインターフェロンの製剤を変えただけで、週3回投与 が週1回投与でいいという、製剤の変更でございますので、数えると非常に利便性が ございますが、根本的なものではございません。  昨年、肝炎を専門にやっている医療機関で、従来インターフェロン治療をされたデ ータをまとめさせていただいたのがこのスライドです。先ほどもご質問がございまし たけれども、ウイルスの型あるいは1型あるいは1型以外でインターフェロンの治療 効果が大きく変わりますので、それで分けております。こちらが従来の1990年の初め に行われましたインターフェロンの24週投与で、このときのウイルスの排除率は大体 14%です。現在の標準治療でございますペグインターフェロンとリバビリンを併用し て48週間投与しますと、52%の排除率だということになります。1型の高ウイルス量 以外ですと59%と84%と、1型の高ウイルス量に比べますとそれ以外のほうがウイル スの排除率が高いということになります。  実際にインターフェロン治療を行ってウイルスの排除が起こって、これはSVRと 書いてございますのが、サスティンド・バイラル・レスポンスということで、ウイル スの排除が起こった方です。non−SVRと書いてございますのはウイルスの排除 が起こらなかった方でございまして、インターフェロン治療を終わってから、これ5 年、10年、15年でございますが、治療後に肝がんが起こる確率と肝疾患の関連死で亡 くなる方の率を見たものでございます。インターフェロン治療を行ってウイルスの排 除を起こすと、ウイルスの排除が起こらなかった方に比べて肝がんが起こる確率は確 実に下がります。10年で見ますと、ウイルスの排除が起こらなければ21%の方に肝が んが起こりますが、ウイルスの排除を起こせば5.9%にしか肝がんが起こらないとい うことになります。一方、こちらは肝疾患関連死でございますけれども、ウイルスの 排除が起こった方では疾患関連死で亡くなる割合は非常に低くなりますが、やはりウ イルスの排除が起こらなかった方については肝臓関連死で亡くなる方が多いというこ とで、10年のところで見ますと0.1%対1.2%、10分の1ぐらいになるだろうと思いま す。  それで、実際にインターフェロン治療をしますと、すべての方に同じような反応が 起こるわけではありません。個人によって大きく反応が異なります。これが現在標準 的な治療でございます。ペグインターフェロンとリバビリンを48週間治療したときの、 これはウイルスの下がり方だと思っていただければいいんですが、反応のいい方はす ぐウイルスが下がってまいります。大体治療を開始してから12週目までにウイルスが 陰性化するようなものを、非常に反応が早いということで、これは日本語がないんで ございますけれども、アーリー・バイラル・レスポンス、EVRと言っています。12 週を超えてから陰性化するのがスロー・バイラル・レスポンスでSVRと言っていま す。治療終了時にウイルスが陰性で、治療をやめてもそのままウイルスの陰性化が続 く方が、先ほど申し上げましたウイルスの排除された例でございまして、普通は著効 と言っています。一部の方は、終了時ウイルスが陰性でも治療を終えますともう一度 元のレベルまでウイルスが戻ってまいりまして、この方は再燃という方で、全然反応 の悪い方は無効という分類をしております。  まず、日本で一番多くて治療が難しい、遺伝子型が1型で高ウイルス量の患者さん の先ほどの48週間の標準治療のウイルスの排除率を見たのがこのスライドでございま す。これは年齢と性別によって大きく異なってきております。年齢が高くなりますと 治療効果は悪くなりまして、65歳以上の方は65歳未満に比べますと治療効果が悪くな っています。それから、男性と女性は基本的には女性のほうが治療効果が悪くて、65 歳以上の女性はウイルスの排除率が31%と非常に悪いということです。ところが、現 在、日本で実はこの層で非常に発がん率が高いということで、我々もこの治療効果の 低い患者さんの治療効果をどのように上げるかということで、現在苦心をしていると ころです。  この治療でやはり一番困りますのは副作用でございます。副作用がございませんと、 慢性肝炎患者さんではなくて肝硬変の患者さんにも非常に使うチャンスが増えてまい りますが、実は副作用で実際は肝硬変の患者さんになかなかこの治療を行いにくいと いうことになります。副作用の一番大きなものは貧血でございまして、これは先ほど のリバビリンという薬剤で起こってまいります。貧血が起こるためにリバビリンを減 量せざるを得なくなって、有効率が悪くなるということです。これが一番大きな副作 用でございまして、これは年齢が高くなるほどその副作用による中止率は高くなって まいります。年齢が高いほど肝がんになる確率が高くなりますので、本来治療を行っ てウイルスの排除を起こしたいわけでございますが、その方ほど貧血とかあるいはそ れ以外の副作用で治療が中断する確率が高くなるというのが、治療をやる上で非常に 困ったことだということになります。  先ほどの治療は、現在の日本の標準治療は48週間の併用治療でございますが、ある 患者層については72週まで治療を延ばすことによって有効率は高くなってまいります。 それはどういう方かといいますと、これは治療を開始してからどの時期にウイルスが 血液中から消えたかというのと治療効果の関係を見たものでございまして、12週目ま でにウイルスが陰性化した方の治療効果は高くなります。治療を開始してウイルスが 陰性化する時期が遅くなるほど治療効果が悪くなってまいりまして、この赤は標準的 な48週治療、黄色は72週投与したものでございますけれども、この16週以後、ウイル スの陰性化時期が遅れて起こってくる方に72週投与をしますと、ウイルスの排除率は 確実に上がってくるということで、日本でも肝臓専門医の間では、都道府県によって 認められていない県と認められている県がございますけれども、認められている県で は、こういうレート・バイラル・レスポンダー、いわゆるウイルスの陰性化が遅くな る人に72週投与を行うというのが行われております。現在、ウイルスの判定方法は、 少し感度がよくなりましたので、24週以後36週までにウイルスが陰性化した人につい ては、72週投与を行うことによってウイルスの排除率を上げられるというのが大体日 本の一致した意見になってきております。  それでもまだ完全にウイルスの排除が行うことができませんで、国際的には新しい 抗ウイルス剤の開発が盛んに行われております。私が文献上だけで知っているぐらい だと、30種類ぐらいの薬剤の開発が行われています。抗ウイルス作用を強くする薬剤 と、C型肝炎の患者さんは免疫機能が悪いのでその免疫を賦活する、大きく2つのカ テゴリーに分かれておりますが、一番最初に日本で導入されるのは、ここに書いてご ざいますC型肝炎選択的な抗ウイルス剤で、その中でもプロテアーゼという場所を特 異的に阻害することによってウイルスの増殖を抑える薬剤でございます。現在、この 最初のテラプレビアというのは既に日本で臨床試験が始まっております。次のボース プレビアというのも始まる予定でございまして、この2剤が国際的には一番臨床成績 が出そろっています。その後に2剤書いてございますが、この抗ウイルス剤も恐らく 日本で臨床試験が始まるだろうと思われていますし、これ以外にあと2剤候補がござ いますので、恐らく来年にかけて日本で6剤近くのプロテアーゼ阻害剤の臨床試験が 始まると考えられています。  ポリメラーゼ阻害剤は、上のNM−283とHCV−796というのが国際的に一番多く の成績がございますが、これは副作用によって国際的にもう開発が中止になっており ます。下の2剤、R1626とR7128というのが国際的に現在成績が多く出てきておりま すが、そのうちの1剤については日本でも臨床試験が始まるかも分かりません。  それから、免疫を賦活化する薬剤については、一番有効だと考えておりますのが、 自然免疫のトールライクレセプターを活性化する薬剤でございまして、これは単独で 投与するだけでウイルスを抑制できるということが既に明らかになっています。  それから、国際的に最近注目されていますが、ここにニタゾキサナイドと書いてご ざいますが、これはウイルスのシグナルを活性化する薬剤でありまして、後ほどデー タを少しお見せいたしますが、副作用がないということで、割と注目されています。  このプロテアーゼ阻害剤もやはり副作用の問題が一番大きな問題だというふうに現 在考えられています。  これが現在日本で臨床試験が行われておりますプロテアーゼ阻害剤の欧米のデータ でございまして、赤が標準的な治療法で、こちらのブルーのほうが標準的治療法にこ のプロテアーゼ阻害剤を追加して投与しているときのウイルスの排除率です。これが アメリカの成績、これはヨーロッパの成績ですが、どちらもプロテアーゼ阻害剤を追 加することによってウイルスの排除率は上がっています。こちらがもう一個、ボース プレビアといったものでございまして、これも従来の併用療法に比べてプロテアーゼ インヒビターを追加するとウイルスの排除率は確実に上がっていますので、抗ウイル ス効果としてはかなり期待ができると我々も思っていますし、実際にその成績どおり だと思いますが。  問題は副作用でございまして、プロテアーゼインヒビターの副作用が大きなものが 2つございまして、1つは皮膚病変でございまして、これは日本で現在臨床試験が行 われているものですが、欧米で少しシビアな皮膚病変が出るということが言われてい ます。それからもう一つ、貧血でございまして、リバビリンで貧血が起こって治療が 中断する例が多いと申し上げましたけれども、それに加えてこのプロテアーゼインヒ ビターを使うとさらに貧血が強くなります。これは治療開始後のヘモグロビンの減少 を見ておりますが、この一番上のラインが現在の標準的なリバビリン併用でございま す。リバビリンを併用しても3グラムぐらいヘモグロビンが減少しますが、それにプ ロテアーゼインヒビターを加えますとさらに1グラム程度ヘモグロビンが下がります ので、日本で治療に困難をしております女性の方はもともと貧血傾向ですので、なか なか女性の方に使いにくい。それから、高齢の方に使いにくいということで、我々が 一番治療したい層に貧血のためにプロテアーゼインヒビターをどのように使っていく かというのが非常に大きな問題に現在なっていると思います。  ポリメラーゼ阻害剤については、現在、プロテアーゼ阻害剤も少し臨床試験が遅れ ていますが、確実に使えますと、これは従来の治療で、これがポリメラーゼ阻害剤を 追加したものでございますけれども、RVRというのは、1カ月目にウイルスが陰性 化する率は明らかに高くなりますので、ポリメラーゼ阻害剤についても抗ウイルス活 性は確実にあるだろうと思っています。  もう一個、インターフェロンのシグナルを増強する、これはニタゾキサナイドとい う薬剤ですが、これは現在の併用療法をやる前に12週間、前投与をやった上で併用投 与プラスこの薬を追加するという治療法が一番最初に行われました。そういたします と、そのときのウイルスの排除率でございますけれども、これ白が従来の標準治療で す。赤が、今申し上げました薬剤を併用しますと、インターフェロンで治療していな い方ですと、ウイルスの排除率が50%から79%になります。こちらが、既にインター フェロン治療をやってウイルスの排除が行われなかった方でも、併用しますと25%の 方でウイルスの排除率が起こるという成績なんですけれども、これはエジプトのグル ープ、ジェノタイプが4の患者さんです。それで、1型と2型はさほど大きくござい ませんが、現在アメリカでグループ1の患者さんで臨床試験が進んでいるところでご ざいます。  一方、B型でございますが、B型は現在保険で認められておりますのが、インター フェロンでも従来のインターフェロンの6カ月投与だけでございまして、ペグインタ ーフェロンによる1年間投与は現在臨床試験が進行しております。  それから、B型肝炎の現在治療は、B型肝炎の逆転写酵素というのを特異的に阻害 する薬剤、先ほどのC型のプロテアーゼ阻害剤のような薬剤でございますけれども、 それで上から3剤については既に保険で使用可能でございまして、ラミブジン、アデ フォビル、エンテカビルというのは現在保険で使われています。この薬剤の弱点は、 抗ウイルス剤を単剤使いますと、ウイルス側に突然変異が起こって薬が効かなくなり ます。そういうことで、ラミブジンで耐性が起こった方にはアデフォビルを追加する ということです。エンテカビルは一番新しい薬剤で、ラミブジンに比べますとその変 異率が非常に低いので、現在このエンテカビルというのが日本のメーンの治療薬剤に なっていますが、この薬剤もやはり低率ではございますがウイルス側の変異が起こっ ていますので、さらに新しい薬剤を導入する必要がございますが、アメリカではこの エンテカビルよりも、最近データを見ておりますと、より強力なテノフォビルという のが非常に使われていますが、今のところ日本にはこの薬剤が導入される予定がござ いませんので、B型の患者さんで一番重要な問題は、上の3剤に加えて新しい薬剤を 日本にどのように導入してくるかというのが大きな問題だろうというふうに思われま す。  B型の治療でC型と一番違うのは、これはウイルスの排除ができませんので、B型 肝炎の患者さんはB型肝炎のウイルスの増殖の抑制をすることによって病気の進展を 止めるだけになります。だから、完全にウイルスの排除を起こすことができません。 確かに、台湾のデータで見ますと、これはB型の患者さんをウイルスの量ごとに肝が んの発生率を見たものでありますが、10の5乗コピー以下にウイルスの増殖能を抑制 すると発がん率が確実に抑制できますので、我々の考えというのは大きく間違ってい ないと思っています。実際、台湾では、これは治療しない方でありますが、ラミブジ ンで治療をすると肝がんの発生率を確実に抑えることができるということも明らかに なっておりますし、日本でも同様の成績がございます。  ただ、B型肝炎のこういう抗ウイルス療法の問題点は、これは治療薬を投与してい るときにウイルスの増殖を抑制するだけでございますので、治療期間が長期化すると。 それから、お薬に耐性株ができて、新しい薬剤を次々投入する必要がある。それから、 インターフェロンの1年半という治療ではございませんので、やはり医療費が非常に 高額になるというのが一番大きな問題ではないかと思います。  以上でございます。 ○柳澤座長  どうもありがとうございました。  ウイルス性肝炎に対する薬物療法の進歩ということでお話しいただきましたが、構 成員の皆さんのほうからご質問ございますか。  どうぞ。 ○岩谷構成員  ウイルスのSVRと、要するに陰性化したということと症状または障害との関係と いうのはどういう関係になりますでしょうか。 ○林構成員  C型肝炎患者さんですと、ウイルスが陰性化しますと、やはり元の病気は、時間が かかりますが元に戻ってまいります。慢性肝炎の患者さんですと、線維化が進んで肝 硬変になりますが、その線維化は消退してまいりますので、肝機能上もよくなってまい ります。 ○岩谷構成員  それで、それはどれぐらいの期間でしょうか。 ○林構成員  それは病気の進行の程度によって大きく変わっていまして、肝硬変の初期ぐらいの患 者さんですとまだ線維化は元に戻るんですけれども、やはり肝硬変でも非常に線維化が 進んでしまうと、ウイルスの排除が起こっても、病気は進行しなくはなりますが、元 には戻りにくくなりますので、軽症の患者さんのほうが元に戻る期間は早くなります し、個人的に少しばらつきがございます。 ○岩谷構成員  こういう抗ウイルス剤というのはある意味で、抗生剤のように耐性菌が次々に現れ てどこかでコントロールが不能になってくるというようなことは起こるんでしょうか。 それから、起こるとして、どれぐらいの期間……。 ○林構成員  C型肝炎の患者さんは、ウイルスの排除が起こりますと、ほとんどウイルスがもう 一度陽性になることはございません、日本では。だから、ウイルスの排除が起これば、 非常に例外的な例を除くと、もうウイルスは完全に排除されたものと考えていただい ていいと思います。 ○岩谷構成員  残った場合にはやっぱり……。 ○林構成員  残った場合は、先ほど申し上げましたように、新しい薬剤を使わないとなかなかも う一度ウイルスの排除を起こすことは難しくなってきます。ウイルスがなくならなか った方に同じ治療方法を行いますと、基本的には同じ結果になります。 ○岩谷構成員  それで、そういうふうにして残ってしまう方というのが大体今ですと…… ○林構成員  残った方は、やはり病気は徐々にではございますが、進行してくると。 ○岩谷構成員  ありがとうございます。 ○柳澤座長  今のディスカッションの続きなんですけれども、ちょっと確認したいんですけれど も、C型肝炎で肝がんになった方もそこでウイルスを減らすあるいはなくすと、肝が んの予後はよくなるということはあるんでしょうか。 ○林構成員  C型肝炎の特徴は、一度肝がんが起こりましても、最近肝がんの治療が進んでいま すので、そのできた肝がんを完全に破壊するということは可能なんですけれども、問題 は、肝臓全体が肝硬変ですのでまた他の場所に肝がんができてしまうということが、実 は生命予後を規定する因子になります。それを下げるのがやはりウイルスの排除でご ざいまして、肝がんが起こった方でもそこでインターフェロンを使ってウイルスの排 除を起こしますと、もう一度肝がんが起こる確率は確実に下がります。そういうこと で、そういう方でもこの治療方法というのは非常に大きな意味を持つと思います。 ○柳澤座長  ありがとうございました。  ほかに。  どうぞ。 ○原構成員  非常に最近の治療の情報を教えていただきまして、ありがとうございました。  肝硬変の初期は使えるけれども、進展したものは使えない。その辺の薬剤が使えな いレベルというのはどの辺で、何か客観的なデータなものはありますでしょうか。 ○林構成員  個々の患者さんによってかなり変わります。使えない理由というのは先ほど、要す るに貧血がございますのと、もう一個、肝硬変になりますと血小板が下がってまいり ます。この薬剤を使うと血小板が下がる場合もあって、どうしても肝硬変の患者さん ではこの併用療法ができないのは、血小板の問題と白血球の問題と貧血の対策、これ が大きな問題になってまいりますので、肝硬変の患者さんでも血小板とか白血球とか 貧血に耐えられる患者さんについては、別に治療は可能な方もおられます。 ○原構成員  それからもう一点、リバビリンとプロテアーゼを使うと、そのプロテアーゼでより 貧血が強くなって薬剤が十分使えないということですが、この辺は例えばエリスロポ エチンを適宜使うと十分治療ができるというようなことはあり得るんでしょうか。 ○林構成員  アメリカでは使っております。アメリカではプロテアーゼインヒビターを併用する 場合については使っておりますが、今のところ日本とヨーロッパについては、使いた いんですが使えないんではないかと思っています。現在進行中の臨床試験では使うと いうことにはなっておりません。 ○原構成員  分かりました。腎性貧血の場合にはエリスロポエチンを使ってよくなるものですか らね。 ○林構成員  ただ、ちょっとこれは私が個人的にFDAの情報を聞いた話ですけれども、やはり アメリカのFDAについても少し使うことについては疑義が出ているみたいです。 ○原構成員  分かりました。どうもありがとうございました。 ○柳澤座長  はい、どうぞ。 ○和泉構成員  大変勉強させていただいたんですけれども、論点になるのは、チャイルド・ピュー のクラスCのレベル、これがいわゆる先ほど患者さんたちが訴えていた、だるいとか、 そういう症状を出してくる最も多いところではないかと思うんですけれども、そこへ 例えばインターフェロンを使うことによって自立の度合いが高まってくるぐらい症状 が軽減してくるかどうか、それがエビデンスレベルであるかどうかということが多分 非常に論点になろうかと思うんですけれども、その点についてはいかがでございまし ょうか。 ○林構成員  現在、インターフェロン治療に保険診療下においては慢性肝炎しか適用がございま せん。肝硬変には適用はございません。それから、チャイルドのCについては、今のと ころやはりインターフェロンは使えないと思います。国際的に肝硬変で病変の進んで いる方に将来こういう抗ウイルス剤の可能性として考えるのは、先ほどご紹介いたし ました、インターフェロンを除いた抗ウイルス剤で副作用が余り強くないものが出て くると、それが複数剤使うという、そういう選択肢は出てくるとは思っておりますが、 やはり肝硬変で病変の進んだ方にインターフェロンベースの治療をやるというのはな かなか難しいと思います。 ○柳澤座長  ほかにいかがですか。  よろしゅうございますか。  それでは、どうもありがとうございました。  以上をもちまして、今日の主な議題でございました、関係団体の方々からのヒアリ ングとそれから肝障害について、肝炎の疫学、それからまた最近の肝炎の治療のオー バービューをお伺いしたわけでありますが、そのほかに今日の議題として何かございま すでしょうか。  事務局、何かありますか。よろしいですか。  それでは、もう時間も近くなりましたので、今日の審議は以上というふうにいたした いと思いますが、次回はやはり、今日、薬物治療の進歩につきまして詳細に新しい知見 をご披露いただきましたけれども、重症の肝機能障害についての治療として、長崎大学 の兼松構成員からのお話もぜひ伺いたいと思いますので、次回にお願いしたいというふ うに思っておりますが。  それとあと、次回の予定などについて事務局のほうから説明をしていただけますか。 ○名越課長補佐  ありがとうございます。  次回でございますけれども、ただ今のお話を踏まえまして、重症の肝機能不全につ きまして兼松先生にお話をいただくほか、第1回目、第2回目をまとめたものを論点 整理として提出させていただきたいと思います。そのほかの議題につきましては、ま た座長と相談をいたしまして各先生方にお伝えをしたいというふうに思います。  それで、次回の日程でございますけれども、今のところ、先生方からいただいた日 程調整表を、事務局のほうで適当な日を探しているところでございます。適当な日が 決まりましたらまた改めてお伝えをいたしたいというふうに思っております。  事務局からは以上でございます。 ○柳澤座長  ありがとうございました。  それでは、以上をもって第2回の検討会を終わりたいと思いますが、改めて関係団 体の皆様方には今日はお忙しいところをおいでいただいてご意見をいただきましたこ とを、ありがとうございました。それから、構成員の皆様、どうもご苦労さまでした。  じゃあ、以上で第2回を終わりにいたします。 ○名越課長補佐  大変ご多忙の中を熱心にご議論いただきまして、ありがとうございました。  先ほど申しましたとおり、次の日程につきましては、改めてご連絡をさせていただ きますので、どうかよろしくお願いいたします。  ありがとうございました。 (了) 照会先 [肝機能障害の評価に関する検討会事務局] 厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課指導係  TEL 03−5253−1111(内線3029)  FAX 03−3502−0892