08/11/13 第88回労働政策審議会雇用均等分科会議事録 日時:2008年11月13日(木) 10:00〜12:10 場所:厚生労働省 専用第21会議室(17階) 出席者:  公益代表委員   林分科会長、今田委員、奥山委員、佐藤委員、田島委員、樋口委員  労働者代表委員   岡本委員、鴨委員、斉藤千秋委員、齋藤惠子委員、山口委員  使用者代表委員   遠藤委員、川崎委員、吉川委員、山崎委員  厚生労働省   村木雇用均等・児童家庭局長、北村審議官、高倉総務課長、定塚職業家庭両立課長   安藤雇用均等政策課長、松本育児・介護休業推進室長、大地均等業務指導室長   代田短時間・在宅労働課長、赤松均衡待遇推進室長、堀井総務課調査官     議題:   1.育児・介護休業制度の見直しについて   2.その他 配付資料:  資料No.1 短時間勤務制度及び所定外労働時間の免除に関する主な論点  資料No.2 パートタイム労働者の待遇改善に取り組む事業主に対する女性の拡充(案) 議事: ○林分科会長  ただ今から、第88回労働政策審議会雇用均等分科会を開催いたします。本日は、山本 委員より欠席とのご連絡をいただいております。  それでは早速議事に入ります。最初の議題は「育児・介護休業制度の見直しについて」 です。本日は、前回の分科会において、短時間勤務および所定外労働の免除について、 さらに議論をするべきとの公益委員からのご提案があったことも踏まえまして、これに ついて事務局が関係資料を用意しておりますので、事務局から説明をお願いいたします。 ○定塚職業家庭両立課長  資料No.1をご覧いただきたいと思います。1ページ目は、「短時間勤務制度に関する主 な論点」をご紹介しております。本日は、この論点に従って、一つ一つご議論をお願い したいということでございます。まず、1番目が「制度の位置付け」でございまして、 短時間勤務制度につきまして、現行の選択的措置義務から取り出して、育児休業や介護 休業と同様の仕組み、すなわち請求権とするべきか、それとも事業主の単独の措置義務 という形にするかという点でございます。2点目が、こうした制度についての「対象者 などの範囲」でございます。一つ目の丸は、継続雇用期間が1年未満の労働者や週所定 労働日数が2日以下の労働者、1日の勤務時間が短い労働者などの適用についてどう考え るかという点でございます。この点につきましては、現行の勤務時間短縮等の制度の取 扱いとしては、前者の二つ、1年未満の労働者と2日以下については労使協定で除外する ことができるという取扱いとなっております。これは、参考資料として、勤務時間の短 縮関係の「参照条文」と「指針」と「通知」を用意してございます。「通知」につきま して、4ページ以下に記載がありまして、この通知の中で育児・介護休業と同様に労使 協定の適用除外が可能であることが書いてございます。具体的には、5ページの(2)の ハのところでございます。それから、元に戻っていただきまして、1ページの丸の今ご 紹介したところでございますが、1日の労働時間が短い労働者等への適用につきまして は、これは勤務時間が1日6時間以下の労働者は現行の勤務時間短縮等の措置においては 対象外となっております。これも、今ご覧いただきました通知の7ページ目の(6)のイ のところでございまして、こちらの方で、事業所における通常の所定労働時間が7時間 以上の場合は1時間以上の短縮となるような短時間勤務の制度を設けることが望ましい と考えられること。したがって、短時間勤務制度を設ける場合においては、勤務時間が 1日6時間以下の労働者については、当該制度を適用する必要はなく、また、他の勤務時 間の短縮等の措置についても適用することを基本的には必要ないものであるという通知 となっております。  もう一度1ページにお戻りください。2の二つ目の丸でございます。こちらは業務の性 質や事業場の実態に照らし、短時間勤務とすることが難しい労働者について、どうする べきかという点でございます。この点については、以前からの議論の中で使用者側の委 員から、例えば交替制勤務のラインの労働者などは難しいといったようなご意見も出て おりますが、本日はさらに掘り下げたご意見をお願いしたいと存じます。  次に、「具体的内容」でございまして、これについては、まず短時間勤務の幅、何時 間まで短縮するか、あるいは何時間短縮するかということでございます。  次に、短時間勤務の設定単位ということで、日単位で短くするか、週単位で短くする か、月単位で短くするかということでございます。  3番目に短時間勤務の設定方法ということで、短時間勤務をどこから短時間にするか ということ。例えば、始業から遅くする、終業時刻を早めるといったような方法につい てでございます。こちらにつきましては、現行の勤務時間短縮等の措置をご紹介いたし ますと、今見ていただきました7ページの(6)のイの部分でございますけれども、労働 時間が7時間以上の場合は、1時間以上の短縮ということが、まず通知で示されておりま す。それから、2番目の設定単位につきましては、その前の(5)をご覧いただきますと、 短時間勤務の制度は次のいずれかの内容を含むものであることということで、「イ 1 日の所定労働時間を短縮する」、「ロ 週又は月の所定労働時間を短縮する」、「ハ  週又は月の所定労働日数を短縮する」、「ニ 労働者が個々に勤務しない日又は時間を 請求することを認める制度」ということで、日、週、または月のいずれかの時間、ある いは日を短縮する制度であることとされています。また、その上で先ほどご紹介した (6)のイという形で、7時間以上の場合は1時間以上ということで、1日の短時間の制度 を設けることが望ましいという書き振りになっております。3番目の設定方法について は、現行では通知等で特段の記述等はございません。  次のページをご覧いただきたいと思います。所定外労働の免除に関しての主な論点を ご紹介しております。1点目は「制度の位置付け」、短時間勤務と同様に請求権とする べきか、事業主の単独の措置義務とするべきかという点。2点目の「対象者等の範囲」 の一つ目の丸は、先ほどご紹介した短時間勤務の場合と同様の論点でございます。二つ 目の丸でございますが、事業の正常な運営を妨げる場合などについて、どうするべきか ということで、すべての労働者に適用するのか、そうではなくて事業の正常な運営を妨 げる場合など、一定の除外を設けるのかという点の論点でございます。この点につきま しては、9ページを参考までにご覧いただきたいと思います。9ページでは、「参考条文」 という形で、現行法の時間外労働の制限の規定をご紹介しております。時間外労働の制 限、一月について24時間、一年について150時間という制限がございますけれども、こ の17条の最後の部分「ただし、事業の正常な運営を妨げる場合は、この限りではない」 という規定となっております。 さらに、この「事業の正常な運営を妨げる場合」という点につきましては、その下の通 知で「該当するか否かは当該労働者の所属する事業所を基準として、当該労働者の担当 する作業の内容、作業の繁閑、代行者の配置の難易等諸般の事情を考慮して客観的に判 断するべきものであること」などの記述で説明を加えているところでございます。以上 が本日の資料でございます。 ○林分科会長  ありがとうございました。それでは、今お話がありました主な論点に沿って、順に議 論していきたいと思います。 まず、短時間勤務制度のうち、1の「制度の位置付け」について、請求権とするべきか、 または単独の措置とするべきかという点について、ご意見がありましたらお願いいたし ます。 山崎委員。 ○山崎委員  何回もお願いしていることですが、時期が非常に悪いということと、景気がだいぶ下 向きになっているということで、10月30日に追加的な緊急経済対策が出たのですけれど も、事業費の総額で27兆円、そのうち中小企業あるいは小規模企業については22兆円を 支援するということで、中小企業に対する大変手厚い施策がなされており、中小企業は 大変苦労しているような現状です。倒産も多いというような中で、中小企業にこのよう な改正について理解あるいは納得していただくのは非常に困難なことではないかと思っ ております。現状の制度さえ、なかなか同じグラウンドに立てない企業があるので、ま たこの短時間勤務の他にいろいろな改正事項が多数あるわけでございますから、その点 を加味すると、なかなか理解をしていただくのは難しい状況にあるのではないかと思い ます。企業の実態を見ますと、法律が独り歩きするようなことも危惧されるわけでござ います。今議論されている制度の導入を前提とするものではありませんけれども、やは り二つ目の丸にありますような、事業所の実態に照らして短時間勤務とすることが難し い職場はかなりあるわけでございまして、代替要員というようなことも考えると、一律 の適用というのはなかなか難しいだろうと考えます。その意味では、例外措置を含めた 措置義務というようなことが考えられるのではないかと思います。あくまでこれは制度 の導入を前提として考えるならば、請求権ではなくて、やはり措置義務だと思っており ます。 ○林分科会長  他にご意見はございますか。今の山崎委員のご意見は、もし制度を導入するなら、選 択的措置義務から取り出して単独の措置義務とするということでした。斉藤千秋委員。 ○斉藤千秋委員  これまで労働者側が主張してきましたとおり、短時間勤務というのは労働者が育児休 業後に働き続けるということを見通すことができるとして、措置されている企業の中で は非常に定着している制度だと認識しております。この制度については、男性も含めて 女性が子育てをしながら働くという中では、重要な制度だと思いますので、これを企業 が選べるような選択的な措置ではなく、やはり請求権として労働者がこのような形で働 きたいというときに認められるような形で制度化していくということが必要だと感じて います。 ○林分科会長  遠藤委員。 ○遠藤委員  今、ご指摘がありましたような請求権といわれる位置付けで運用されている企業がど れくらいあるのかということについて、何かお話しいただけるようなことはございます か。私が聞いている状況で申し上げさせていただきますと、やはり短時間勤務を導入す るような場合、短時間勤務を導入することで生産性を維持できるような状況を前提とし た形で導入されていると聞いております。どの仕事であったとしても、請求権的な形で 対応しているという事例を見聞きすることはなかなかできないのですけれども、何かご 存じの点があれば教えてください。 ○林分科会長  斉藤千秋委員。 ○斉藤千秋委員  労使協議の中で既に労使協定という形で結ばれている企業におかれましては、労働者 としてその制度を使いたいという場合に、経営者の方が駄目ですという形になっている という話は聞いておりません。ただ、言われているような、職場においてそれが必ずし もできないという場合には、例えば一時的に短時間勤務が取れないということであれば、 異動をしてもらうというようなことをしながら、継続就業できるような形で対応してい ると認識しています。ですから、請求権というような形よりも使える制度として企業の 中にあるものを使いたい、育児休業復帰後は短時間勤務を取りたいと言うと、ほとんど の場合は認められていると認識しております。 ○林分科会長  遠藤委員。 ○遠藤委員  今のお話に対してどのようにお答えするのかというと、それは措置義務という枠の中 で十分こなすことができる中身ではないかと思うのです。措置義務になったからと言っ て、労働者側が望んだときにできないと拒否されてしまうものではなくて、措置義務と いう枠の中で、どういう形が当該事業所で定着し、運用されて、そして制度を使うにあ って理解、連携し合いながら進める仕組みを考えていくことについては、なんら変わり はないと思っております。 ○林分科会長  措置されている現行の企業においては、請求がある場合は、措置されている以上は認 められているというのが実態だと思いますが、それが請求権なのかどうかということと、 今回立法しようとするのとは、その状態を請求権と位置付けるかどうかは、また別の問 題だと思います。山口委員。 ○山口委員  短時間勤務制度に関する具体的な議論をするわけですけれども、先ほど斉藤千秋委員 が言ったように、なぜこの短時間勤務制度のニーズが非常に高いのかというようなこと を、私たちは非常に重要視しているのです。一番大きなポイントは、男女ともに育児な どライフイベントにおいても就業継続できるためにはというところで、さかのぼります と、特に女性労働者が二者択一に悩まずに就業できるかということから議論を進めてき たということからすると、就業継続のためにあるいは働き方を見通すことができる施策 として、この短時間勤務制度というのは極めて有効だと認識しているので、先ほど山崎 委員がおっしゃったように、法律が独り歩きするというよりも、大変ニーズが高いとこ ろでこの議題について議論しているのだということを申し上げておきたいと思います。 それから、既に労使協定において導入されているという、法律に基づいてという部分も あり、そこの議論に集中しているわけですけれども、ここでは法律について議論してい るわけでありまして、現在、措置義務の中で半数の事業所において取り組まれていない というところを、どうやってクリアするかということが求められていて、それが実際に 労使の中で話し合っても進んでいないのだから、そういう段階で法律化するということ について懸念があるということは重々承知しておりますけれども、やはり最大の問題で ある就業継続のために、ニーズが高いということを十分に認識して議論していかなけれ ばいけないと思っております。そういう意味では、請求権であるかというような法律の 強さの議論になっておりますけれど、要はそういう働き方をして就業継続をしたいとい う人がすべて、すべてというと大雑把かもしれませんけれど、この短時間勤務制度を利 用して就業継続できるということがすべての労働者に実現できるということでいえば、 措置ではなくて、今の議論でいうと請求権でしかないというところが、私たちの主張で あります。 ○林分科会長  斉藤千秋委員。 ○斉藤千秋委員  短時間勤務もうそうなのですが、私の知っている事例からすると、就業規則あるいは 労使協定の中でフレックスタイムなど、いろいろな短時間にするという措置を企業が設 けている中で、労働者が選んでいるのはやはり短時間勤務であると。フレックスを使え るので、それでもよいのではないですかということもあるかもしれませんが、やはり労 働者としては措置の中で短時間勤務を選んでいる人が非常に多いということからします と、短時間勤務というのは子育てをしながら働き続けるという中では成功的な制度にな っていると思っています。  その中で、山口委員からもありましたけれども、今の選択的な中で、法律上定められ ているのが選択的措置という中にあっては、措置をしていないところもまだある。その 中ではやはり請求権という形を設けていくことで、労働者として短時間勤務を行うこと ができるように制度化していくことが、両立支援の中では非常に重要ではないかと考え ています。 ○林分科会長  川崎委員。 ○川崎委員  今回、請求権とするべきかどうかということがかなり論点になっているかと思います けれども、法律の中で請求権というような、かなり強めの短時間勤務に関しての意味合 いを出していくということは、女性に限定するわけではありませんけれども、子育て期 の働き方として、短時間勤務で働くことが、当然である、というような働き方の傾向が 強くなりすぎることを懸念します。保育環境は地域によってもかなりばらつきがありま す。待機児童がゼロのところもあれば、地方においては通勤時間が短くてすむというよ うなことも考え合わせると、女性の子育て期の働き方として、短時間を取って働くのだ というようなことが、最もふさわしいというか、法律がそれを後押ししていくという形 が本当に良いのかどうか。両立するタイミングとしてやむを得ない場合は、こういう働 き方もあるという選択肢として残るというのは、少子化を含めてもよいと思いますけれ ども、ただ、それを請求権という強めの意味合いまで持たせてやっていくような働き方 が望ましいかというと、実はそうではなくて、選択的な措置という位置付けのやや緩や かなところでの働き方があるというような位置付けの方が良いのだと考えます。 ○林分科会長  岡本委員。 ○岡本委員  労働者のニーズということでいえば、これまでもアンケート結果でも明らかであった と思うのですけれども、やはり短時間勤務というものが一番ニーズが高いということは、 歴然とした事実だと思います。やはり、選択的措置義務ということになると、どうして もフレックスであったり、違う形の部分に引っ張られていくということもあります。私 は、措置義務というものもそれなりに強いと思いますけれども、それでも現実的に50% しか措置をしていないという事実、それから、こうした措置義務という形になっていく と、中小企業と普通の企業または大企業で働いている労働者間での差が広がっていくと いう、実際広がっているわけですけれども、そういった事実をどのように解決していく のかということが、今回求められているのだと思うのです。ワーク・ライフ・バランス の憲章の中にも、そこのところはきちんと書かれていて、皆さまご存じだとは思います けれども、特に中小企業においてワーク・ライフ・バランスということを考えていくさ まざまな働く側にとって選択的な、そして働きやすい環境を作ることが、中小企業にと っても次への活力になるのだと、まさに明日への投資ということを書かれていましたけ れど、これは短時間勤務だけではなくて、すべてにおいて言えることだと思っておりま す。措置義務で100%できるのであれば、それで良いのかもしれませんけれども、やは り育児・介護休業法以外のところの措置義務というような法律の中でも、なかなかそこ までいかない。まさにそれは法律が独り歩きしているのだから良いのだというように、 中小企業の方は逆にそういった受けとめ方をしているかもしれませんし、また、日本経 済団体連合会であるとか、商工会議所が指導できない企業が今、非常に増えています。 つまり、そういったところに入っていない企業の労働者の人たちは、こういったことに 対応できていないという事実を考えますと、やはり請求権という形できちんと行ってい くことが何よりも必要だろうと思います。ぜひ、そういった形で考えていただければと 思います。 ○林分科会長  遠藤委員。 ○遠藤委員  2点ほど、繰り返しで申し訳ございません。やはり、どういう制度を受け入れていっ て、そして、その制度をどういう形で定着させて根付かせていくのか。当然それには意 識改革の話もございました。制度を導入するということ、それを眼目に置くというより は、導入後、それをどういう形で運用していくのかが重要であり、うまく運用できなけ れば、それを使える環境も作り出すことができないわけですから、そういったことを考 えていくと、やはり請求権的な位置付けで導入していくことは難しいといえると思いま す。それから、冒頭、使用者側の山崎委員からもお話がありましたように、今後一層、 経営環境が悪化していくという見通しがある程度出てきたわけですから、そういった中 でなお一層どういう形で使えるようにしていくのかということに対して、意を払ってい くということは十分に必要性があるのではないかと考えております。 ○林分科会長  佐藤委員。 ○佐藤委員  整理ということで、もし間違っていれば後で事務局から追加していただければと思い ますが、労働者の請求権化とするか、単独の措置義務とするかという本質の違いは明確 だと思うのです。措置義務の場合は、事業主側が導入しないと労働者の権利が発生しな いということで、それは先ほど経営者側が言われたように、措置義務の場合は本当に措 置されていくのかという、ここの違いは明らかで、経営側も措置義務にするときにその 方が導入しなくてよいからだということではないと思うのですけれども、その違いはあ ります。その違いを踏まえた上で、実際に単独で措置義務が導入された場合、労働者の 請求権化した場合と措置されて入った場合とでは、運用上どのように違うかということ なのですけれども、労働者の請求権化した場合でも恐らくどのような場合にも取れると いう設計は難しいと思います。海外の事例を見ても、経営側がある程度認めるなり、あ るいは合理的な理由がなければ短時間勤務できませんというような仕組みが入っている ことが多いと思います。そうすると、措置義務にした場合も短時間勤務で入れられると ころに入れるわけですから、そういう意味では単独的措置義務にしても、請求権化して も、措置義務として入れられるところに入れるということであれば、実際上の運用段階 で見ればあまり変わらない。つまり、請求権が強いということなのかどうかということ は、運用段階で見ると本当にそれほど違うのだろうかということが一つです。  それから、それに関連して、後ろの方にかかわるのですけれども、現状でも選択的措 置義務でも短時間勤務を入れているところがあるわけです。その場合の運用なのですが、 実際上どう運用されているかということを見ると、入れているところは入れて、基本的 には労働者がそれを求めていれば使える形で運用されているわけです。何を言いたいか というと、請求権化するのと措置義務化することの法律上の違いはよくわかるのですけ れども、実際上、措置義務として導入された場合の運用レベルで見ると、それほど違い はないかと思います。私は法律の専門家ではないのですけれども、運用レベルで見れば 変わらないかと思うので、どう違うのか経営側にご説明をいただけるとありがたいので すが。措置義務として導入されたとしたら、労働者の請求権化とするのと運用上、相当 違うのかどうか。 ○遠藤委員  そういうことで申し上げますと、導入後の話は、佐藤委員が整理されたものなのかも しれませんけれども、入れるか入れないか、職場の中にいろいろな仕事がある中で、ど こに措置していくのかといったようなことについては、この請求権的な位置付けのもの と比べれば、労使の話合いの中で、ここの仕事の部分については、入れる、入れないと いうことの整理がつくのではないかと考えております。それから、教科書的なことでい いますと、請求権については必ず民事効というような話も出ているので、やはり請求権 というものでイメージされるのは、ここに書いてあるような育児・介護休業の問題であ ったり、あるいは有給休暇の取得にかかわるようなところであったりします。特に短時 間という形で働くことになれば、欠務された部分をどういう形でその組織内でこなして いくのかというようなことなどを考えなければならないので、やはり、もう少し導入の 段階で労使の話合いがあった方が良いのではないかと思います。 ○林分科会長  佐藤委員。 ○佐藤委員 単独の措置義務とする場合、先の議論になると思いますけれども、全部の職場に入れる というのが原則ですけれども、入れられない場合は別の措置をするか、あるいは入れな くてよいというような議論になっていくと思います。そういう意味では、労働者の請求 権化したときに、これも後の議論だと思いますけれども、すべての労働者が育児休業と 同じようにというのではなくて、何か合理的理由があればそれを行使できないような形 にセットするとすれば、その点でもあまり違いはないのではないか。そういう意味では、 経営側としては必ず措置しなければならない、あるいは労働者が請求すれば必ず与えな ければならないという形になるものではないという気もするのです。それは、後で議論 していただければと思います。 ○林分科会長 他に、この制度の位置付けについてありますか。吉川委員。 ○吉川委員 申し上げるまでもなく、仕事も業種もまちまちですし、働き方も多様化しているわけで すから、むしろ個別の企業の実情に応じた制度ということで、話合いということをまず 大前提にするべきだと思います。それから、私どもの女性経営者の会でいきますと、今 年と来年で3割方が事業の継続が不可能だという考え方といいますか、そういう状況に 置かれているというのが現実で、「100年に1度」の大恐慌といいますか、大不況という 状況にあります。次々と働き方を規制していくということは、むしろ私は働き方を狭め ていくことのように感じていますので、もっとお互いに知恵を出し合って、多様化した 働き方をするためにも、請求権というもので縛るものではないと考えます。 ○林分科会長 鴨委員。 ○鴨委員 経営側の委員から、経済的な問題が出されていますけれども、そういった企業の経済的 に安定的な運営が、これ以上難しい状況があるとするならば、余計にきちんと請求権と して置いておかないと、労働者側からいえばなかなか短時間勤務のニーズというものの 実効性が、ますます職場の中で担保できなくなると考えますので、経営側が経済状況を 言えば言うほど、請求権にするべきだと思います。 ○林分科会長 斉藤千秋委員。 ○斉藤千秋委員 経営が厳しいという話は、この法律の背景としては理解しているのですけれども、そも そも法律がどうあるべきかというところとは少し違うのではないのかというところと、 先ほど、川崎委員から、短時間勤務を取って働くことを後押ししていくのではないかと いう発言があったと思いますが、本人の意思をもって妊娠や出産で退職する場合もあり ますし、そうでない場合も含めて、現在の日本の女性の労働者の7割が、妊娠・出産と いうことで退職しています。なぜそういうことになるのかというと、継続就業できる環 境に置かれていないというところがあるのではないかと考えますと、現下の経済状況の 厳しさはありますけれども、中長期的に日本の労働人口というところを見ていったとき には、女性が就業を続けるという環境を、今、この時点でつくっていかなければいけな いのではないのかと思います。その中では、働き続けることを見通せる働き方の制度と して、短時間勤務は非常に有効的だと考えていますので、ぜひそういう視点でも見てい ただきたいと思います。決して短時間勤務で働きなさいということではなく、退職して しまっている方たちに働き続けてもらえる制度としてとらえていただきたいです。現実 に、短時間勤務を取らずに働いている女性、キャリアを意識して働いている女性という のも非常に多いと認識していますし、その方たちがさらに子どもを出産しながら、2人 目、3人目を産みながら働き続けられる環境をつくっていくというのも、この制度の意 義だと思っていますので、そういう視点でご検討いただければと思います。 ○林分科会長 大体、議論は尽くされたようですが。山崎委員。 ○山崎委員 先ほどから意見が出ていますけれども、中小企業は多分30人前後というのはぎりぎりの 生活といいますか、ぎりぎりの経営をしているわけです。労働者との話合いの中ではか なりやってあると思うのですが、どうしても経営者となると自分の会社ですから、労働 者の意見を聞きながら自分の裁量で決めたいということがあると思うのです。労働者か ら一方的にということは、中小企業の場合あまりないかもしれませんけれども、一方的 に言われるよりも経営権もありますから、その意見を聞きながら自由な裁量で良い方向 に決めていくというのが筋ではないかと思うのです。そういう意味からしますと、急に 進むのではなく、段階的にやるのも一つの考えではないかと思います。 ○林分科会長 今田委員。 ○今田委員 双方のご意見を十分伺ったような気がするので、一言申し上げます。短時間勤務につい て、いろいろな調査・結果を見ていると、今の選択的措置義務という状況では、確かに 制度として定着しつつあるけれど、これ以上拡大しないという現実があるわけです。そ ういうときに、現状を一歩何らかの形で、充実したものにしていかなければいけないの です。それは、今の制度が企業にとって非常に不都合でやりにくいということで拡大し ないということよりも、調査などを見ていると、コミュニケーション不足ということが あるのです。この制度を導入されている企業では、十分きちんとした制度になっている し、それは労働者側のニーズが非常にあって、どういう制度として企業に定着するかと いういろいろな試みもあります。ニーズがあり、短時間の働き方が非常に仕事の効率を 高めているし、何よりも早く復職できるという点に非常に効果があり、効率もあります。 労働者側にとって良い制度であるということです。一方、そういう制度は、企業にとっ ても非常に良いわけです。従業員が早く戻ってくる。働き出してから非常に効率よく休 むこともなく、うまく仕事ができるという企業にとって非常に良い制度で、導入してい るところは、この制度は非常に良い制度だということです。しかし、今の選択的措置の 現状で広がっていかない面があるわけです。それは、多分にコミュニケーション不足が あって、いろいろな調査を見てみますと、そういう企業サイドに聞くと、短時間などの 制度のニーズがないのだという結果が出ています。実際に労働者に聞くと、そのような ことはなく、非常にそういう制度を導入してほしいというわけですが、企業は、そんな にニーズがあるわけではないという認識の場合が非常に多く、実際に制度を導入したら 職場が大変だ、企業が困るというレベルだけではなく、コミュニケーション不足、情報 不足あるいは定着させるときのいろいろなノウハウに関する懸念の部分で、情報不足の 点で拡大していかない現状があります。 そういう意味で、今の選択的措置という現状はこのままだと、せっかく労使にとって良 い制度なのに広がっていかないという面があります。ますます経済状況が悪くなり、非 常に厳しい環境に置かれた企業にとっては、新しい制度導入など、それも強制的にと非 常に敬遠してしまう面がありますが、実際にこの制度というのは、企業にとってもうま く使えば非常にメリットのある制度だという認識に基づいて、現状を一歩でも先に進め るという点で、少なくとも単独の措置義務が必要なのだろうと思うのです。単独の措置 義務は今、話を伺うほど、企業サイドとしてはその制度を導入しなくてもよい面がある と強調されています。佐藤委員がおっしゃったように、請求権と単独の措置の二つの制 度の設計の仕方を、もう少し具体的に正確に理解し合って、企業の側からすれば拒否と はいわないけれど、導入に関して制限を設ける場合もあり得ます。単独の措置の場合も、 やり方次第では強制力をもって、よほどの条件でない限り、措置を拒否することもでき ないような制度にすることもできるという意味で、この二つの制度がただ請求権と措置 義務という言葉だけで二分し合って、どちらかというと請求権は労働者サイドにとって 非常にメリットのある制度で、措置義務は使用者サイドにメリットがあるという感じで、 このまま議論を進めてもあまりに先に行かないということと、付け加えますけれども、 使用者側の委員の方々に、この制度が企業にとってもメリットがある、適用次第では十 分企業にとって都合の良い制度にできるのだという認識を、いろいろな調査結果から出 ていますので、理解していただきたいということです。 ○林分科会長 奥山委員。 ○奥山委員 今のお話を聞いていまして、労働法という法律をやっている者からしまして、理屈から いえば措置義務として置いておくか、請求権化するかというのはかなり大きな違いがあ って、例えば措置義務の場合は、仮にですが経営側の皆さんがおっしゃっているのは、 措置義務にしておいたら書かなくてもよいのだということを思って言っているとは全然 思っていませんので、それは業務上の必要性、企業の円滑な業務遂行との関連でという ことのお話は、重々承知しています。その上で、理屈の上からすると仮に措置義務とし たときに、それが請求権と違うところは、請求権は義務ではなく法律上の基本的な権利 ですから、会社でそういう規則を設けようが設けまいが、取れるわけです。それに違反 した場合は、恐らく裁判規範として司法上のいわば救済根拠になるということが請求権 ということの意味なのです。措置義務の場合には、恐らく行政指導は出てくるのでしょ うが、直ちにそれをもって裁判所で具体的な権利交渉することは難しいです。そういう 点では、かなり違いがあることは間違いないです。ただ、今田委員がおっしゃったこと と、私も共通する認識を持っているのですけれども、現行法では選択的な措置義務とい うことで、幾つかの中のどれか一つを設ければ一応育児介護休業法に適っているという ことなのです。そういうこともあって、現状では、先ほど斉藤千秋委員がおっしゃった ように、こういう措置の中で半分くらいですか、なかなか短時間勤務制度が主流になっ ていないと。労使にとっても都合の良い、使い勝手の良い制度が必ずしもそうはなって いないという現状の問題点が非常に強くあると思います。仮に、今、議論している形の 選択的な措置義務から、この短時間勤務を単独で措置義務に変えるということは、私の 理解ではかなり効果も違ってくると思います。 ただ、先ほど言いましたように、措置義務を就業規則等などに設けなかったときにどう するかという懸念はもちろんあります。それは、仮にこういう形になったときには、ど んどん啓発や労使のお力などというもので、進めていかなければいけないだろうと思っ ているのです。仮に、請求権化したときには、労側の皆さんも認識されているように、 企業規模や業種という点の一定の範囲で、適用除外というものを考えざるを得ないとこ ろがあるのです。権利にしたらそれはより強く出てくるので、これはそうだと思うので す。例えば、少し極論を言いますけれども、こちらは本日出していただいている二つの 対象者の範囲のところで、仮に請求権化したら私の個人的な感じですが、企業規模が小 さくなれば非常にそういうところはきつくなってきます。あくまでも場合によればの話 ですけれども、企業規模によって除外ということも検討せざるを得ないということもあ り得るかと思っています。それをしろということではなく、そういうこともしていくよ うなことを議論としてやらなければならないと思っているのです。そういうところで考 えていきますと、公益の皆さんが少しおっしゃってくださったところなのですが、実は 理論的には大きい違いがあるのですけれども、それを請求権として設定するか、単独的 な強行措置義務としてやるか、その後の運用は先ほど佐藤委員がおっしゃったように、 それほど変わってこないところです。どちらにしても、次の問題になると思うのですけ れども、一定の範囲で適用が難しい、範囲を考えざるを得ないところがありますので、 そういったことを少し絡めて、請求権化が適切といいますか、絶対そうなのか、措置義 務としてその後適用の除外をどう考えるかということを、少しリンクして議論していた だいたら、もっと生産性の高い議論ができるかと、今、聞いていてそういう感じを持ち ました。 ○林分科会長 それでは、奥山委員、今田委員等からもお話がありましたように、2の「対象者等の範 囲」とも制度の位置付けは関係してくる面がありますので、2の「対象者等の範囲」に ついて、議論を進めたいと思います。「対象者等の範囲」の一つ目の丸の「継続雇用期 間が1年未満の労働者、週所定労働日数が2日以下の労働者、1日の勤務時間が短い労働 者等への適用について、どうするべきか」ということについて、まず議論いただければ と思います。 遠藤委員。 ○遠藤委員 「継続雇用期間が1年未満の労働者」それから「週所定労働日数が2日以下の労働者」の 二つについては、他の施策の中でも適用除外ができる形での整理がされているかと思う のですけれども、それぞれの施策の中で、この二つについて適用除外するような場合、 どういう仕組みで適用除外されているかというようなことについて、教えていただけま すか。 ○林分科会長 定塚職業家庭両立課長。 ○定塚職業家庭両立課長 まず、雇用期間が1年未満についてですが、育児休業、介護休業、それから勤務時間の 短縮等の措置現行のもの、これらのものについては、労使協定で除外できるという仕組 みになっています。また、子の看護休暇もほぼ同様ですが、これは6か月未満について 協定で除外可となっています。時間外労働と深夜業の制限については、協定ではなく法 律の条文で対象外とされています。週所定2日以下ですが、これも育児休業、介護休業、 勤務時間の短縮等の措置、子の看護休暇、これについては協定で除外可となっています。 また、時間外労働、深夜業の制限については、協定ではなく法律により対象外とされて いるところです。以上です。 ○林分科会長 遠藤委員。 ○遠藤委員 どうもありがとうございました。そうすると、イメージとして、働かないで休業する、 休暇を取る、それからもう一つは、何らかの制度の適用を受けて勤務を続けるといった 場合での整理ができるのかと思っていたら、必ずしもそうではないということが、今の ご説明で理解できました。どのように考えるのかというご質問についてですが、1年未 満の労働者の方々や週所定労働日数2日以下の方々について、短時間勤務の制度の適用 をどうするのかについては、労使協定で抜くという選択肢もなくはないと思いますけれ ど、こういった方々が短時間勤務で適用されながら働くといったことを考えると、法律 の中で合理性がないといった形で適用除外を規定するということで考えるべきではない かと思っています。 ○林分科会長 他に、ご意見ありますか。鴨委員。 ○鴨委員  今の点ですけれども、今までにおいて労使協定で除外するとなっているのであれば、 それを私はそのまま置いておけばよいのではないかと考えます。あえて、法律で合理性 がないからとするべきことではないと思います。今、この中の話合いにおいても、労使 でもっと話合いをしてという実効性の課題としてあるわけですから、その意味において も、その点については労使協定でというところを、そのまま続行するべきではないかと 考えます。 それから、1日の勤務時間が短い労働者への適用をどうするべきかというものが入って います。この点についてなのですけれども、私は1日の労働時間が短い労働者にも、基 本的には適用するべきだと考えています。1日の勤務時間が短いという、他者から見れ ば短いように見えるかもしれませんけれども、当事者からいえばその労働時間が自分に とって目いっぱいの労働時間であるということがあるわけですから、その意味では、 1日の勤務時間が短い労働者への適用もするべきではないかと思います。 ○林分科会長 遠藤委員。 ○遠藤委員  二つ、あります。一つは、現行でもというお話なのですが、現行はあくまでも選択的 な措置義務という枠の中でいえば、労使協定で抜けるということになっているわけです から、仮に新たな枠組みで考えるのだとすれば、新たな枠組みの中で労使協定で抜くの か、あるいは法律で規定して除外するのかということを話合う余地はあるのではないか と思います。 それから二つ目は、勤務時間が長い、短いといった場合に、本人がどう思うかという視 点が当然あってもよいと思うのですけれども、この法律の中でどういう働き方をしてい る人について、どういうところまで短時間勤務という形でいわゆるモデルを書いていく のかということになるわけですから、そういうお話からすれば短時間勤務といった場合、 どこまで短時間の勤務をしていればよいのかということです。例えば例示の中にありま したように、保育所における送迎がゆとりを持ってできるのかといったような視点で、 あるモデルを考えた上で、では法律上どこまでなのだという議論をするべきではないか と思います。以上です。 ○林分科会長 齊藤惠子委員。 ○齊藤惠子委員 2番目の1日の勤務時間が短い労働者等についてなのですが、今、遠藤委員がおっしゃっ たように、保育所等の送り迎え等が利用者側からすると、最も大きなニーズではないの かと考えています。そうすると、現行、事務局から説明があったように6時間を超えて いる場合は、例え短時間勤務労働者についても、この短時間勤務制度が利用できるよう な仕組みが最もよいのではないかと思います。 ○林分科会長 遠藤委員。 ○遠藤委員  私は基準を設けるべきだと申し上げたのであり、それが6時間で良いかということは 別として、基準を設けるということについては賛成します。 それから2点目です。1回目か2回目の会合で申し上げたのですけれども、今この何々 「等」の中の一つとして、私の頭の中の整理もまだ十分できていなくて、今後の検討と いうことで一つ申し上げたいことがあります。この4月から改正パートタイム労働法が 施行されまして、これまで法律で保護されている短時間労働者の方々が、一定の要件を 踏まえるような形で正社員に転換推進するということが、法律上義務化されています。 そうなりますと、一定の要件を踏まえた方々が、短時間労働からフルタイム勤務に変わ ってくることがあるわけです。その場合には、継続雇用という部分だけを見ますと、パ ートタイム労働者として1年以上働いていた方がフルタイムとして同一雇用主の下で働 いていくというケースが考えられ得るわけなのですけれども、そのようにパートタイム 勤務が1年間以上あり、正社員に転換した場合は、継続雇用期間が1年未満の労働者とい うくくりの中でとらえることができるのか、できないのか。この辺で何かご見解があり ましたら、教えていただければと存じます。 ○林分科会長 奥山委員。 ○奥山委員 今の点に関連して、事務局に確認したいのですけれど、今、議論していただいている対 象者等の範囲について、三つが事例的に挙がっていて、2日以下の者、1日の勤務時間が 短い労働者と書いてあり、最初に継続雇用期間が1年未満の労働者を適用除外できるか どうかという形で出ているのですが、これが出ている理由は何ですか。例えば、育児休 業を取る権利で考えれば、一定期間長い休みを取ることを前提にしていて、その上でさ らに継続就業ということを前提にしている権利取得ですから、勤続期間1年未満の者を 外すことは、労使協定で十分考えられるのですけれども、これはあくまでも働いている 現状の中で子育て等を含めて短時間で勤務するということです。どういう短時間にする かは別として、短時間勤務にするということですから、この1年未満の労働者を外すと いう議論が読めないので、少し教えていただきたいです。 ○林分科会長 事務局、お願いします。 ○定塚職業家庭両立課長 このことについては、先ほど紹介した5ページの通知の(2)のハで、育児休業と同様に労 使協定によって雇用期間1年未満の者は除外することができるとされていますので、現 行の勤務時間短縮等の措置について、労使協定除外ができるという取扱いにしている。 ○奥山委員 勤務時間の短縮についてもということですか。 ○定塚職業家庭両立課長 はい。そういうことから、議論の題材として、ご議論していただくということです。そ れから、遠藤委員のご質問については、事務方でお答えするべき点とは考えていません ので、他の委員からご意見がありましたらということで、お願いしたいと思います。 ○林分科会長 1年未満というのを正社員とその前にあったパートの時間も合わせて考えるのかという ことについては、何か皆さんのご意見はありますか。山口委員。 ○山口委員 パートタイマーの正社員転換の事例を出されたのですけれど、これは性格的に違うので はないかと思うのです。そういう意味では、処遇が違ったときに労働時間が長くなる。 例えば、その継続の中で、今まではパートタイマーで短時間勤務して、転換できるとい うことで労働時間が長くなる。しかし、その労働者が子育て中であるなどという状況で あって、フルタイムになるけれど短時間勤務制度を取りたいというのは、レアかもしれ ませんが当然あり得ると思うのです。そういう労働者が、今のパートタイマーという短 時間労働の状況でないと子育てと両立できないから、では正社員転換を我慢するといい ますか、申し出しないということにつながってしまいますので、転換した後のというと ころについては別に分ける必要がないということです。パートタイムで勤めていた期間 があれば、今の場合は継続的には1年以上あるという想定ですので、それは分ける必要 はないと思います。 ○林分科会長 遠藤委員。 ○遠藤委員 私の個人的な見解を申し上げさせていただければ、もともとパートタイム労働法改正の 議論の過程の中で出てきたのは、短時間で働いている人がフルタイムで働くことで個々 の能力をより発揮できるような環境を作っていくということであり、それで一定の要件 をかませた中で転換推進していくという話であります。転換後1年以内の間にまた短時 間勤務に戻ってしまうということがもし仮にあるとしたら、それは法律の趣旨に適うも のではないと理解しますので、転換後からスタートという形で一定の基準を設ける必要 があるのではないかと考えます。 ○林分科会長 鴨委員。 ○鴨委員  今の意見ですが、パートの人たちがフルタイムに転換したいということは当然雇用の 安定性を求めているわけで、雇用の安定というか雇用を安心して継続していきたいとい うことの中でフルタイムを求めているということが転換制度の意味としては当然あるわ けです。そういうことからしても遠藤委員が今おっしゃっている点が私たちはわからな いのです。なぜ、パートの人がフルタイムになってその人が短時間勤務を求めたらいけ ないのですかと逆にお聞きしたくなるわけです。 ○遠藤委員 これは私が答えるよりは、恐らく通達の中の一文をご覧いただければわかる話だと思い ますので、そこに書いてあることを申し上げます。通達の中に、例えばいきなりフルタ イムにいけないような方がいらっしゃる場合については、中継地点として短時間だけれ ども処遇が変わってくるという形の短時間正社員制度、あるいはフルタイムで働くけれ ども有期という形で引き続き働いていただく形での中継地点の部分を設けるといった仕 組みも書いてあるわけです。そういう意味でいうと、あくまで法律の趣旨はフルタイム 勤務をする正規型の労働者への転換ということですから、その趣旨に則った発言をした までです。 ○林分科会長 山口委員。 ○山口委員 基本的には通達の趣旨、先ほどいっていたようにたまたま二つのパートタイマーから正 社員の転換というところでは、鴨委員がいったように短時間労働からフルタイムに転換 するというよりも身分的な雇用形態の私たちの言い方で身分的なものがきちんと安定的 なものにいくというようなところと、育児との両立という状況の中で短時間勤務制度を 選びたいというところが今、例として一緒になっているわけです。そういう例もあるか もしれませんが、そのことを一緒に議論をするということではないと思います。個人的 な見解でとおっしゃっていたのですが、そこは分けて議論するべきではないかと、そう いうケースを想定するという中ではあるかもしれませんが、それは別にするべきではな いかと思います。 ○林分科会長 遠藤委員。 ○遠藤委員 私が質問したことで貴重なお時間をいただくことになって、すみません。この議論はこ れで終わりにして結構ですが、私が申し上げたかった趣旨は資料にある「等」の中に、 もしかするとまだ幾つかあるのではないかといったことの一例で挙げたまでです。そう いった部分も含めて議論を深めていく必要があるということでご理解を賜ればと思いま す。私の言い方が言葉足らずで失礼しました。 ○林分科会長 佐藤委員 ○佐藤委員 育児休業の場合は先ほど奥山委員が言われたように継続就業支援で、ある一定期間取る わけですから、ある期間を勤めた人に限ることは合理性があると思うのですが、短時間 勤務の場合は現行法でそうなっているということもありますが、少し議論は必要なのか なという気がしています。ただ、働く人たちは契約を結んで働いているわけですが、つ まり8時間働いてくださいということで働いているわけですが、そういう意味で契約し ている以上はそういう労働サービスを提供しなければいけないわけですが、事情が変わ ってくるわけです。そういう意味で途中での変更が必要になってくるということもあっ て、短時間勤務という議論になってくると思うのですが、形態からすれば毎月働く時間 を変えるのは一方で難しいと思うのです。ただ、常に同じように働けるかというと、そ うでもないという状況がある。ここのバランスで、この場合1年といったときに短いか らというよりも働くときには一応話し合っているわけですから、少なくとも例えば半年 なり1年先はこう働けると見通しはついているだろうと。ですから、その間は変更しな いでつまりフルタイムで働くといえば当然そこは働いてもらえるだろうという趣旨であ れば、そういう意味で一定期間外すというのはあり得るかもしれない。ただ、それが1 年が合理的か半年がよいのかということはあるかと思いますが、そういう意味で1年が よいかどうか。ただ最低1か月ですぐ変更できるのかというと、多分普通は働いている 人も来月から変えたいということは、なかなかそういう仕組みは海外でもないと思いま すので、それは当然ある程度の期間があって変更ということになるので、1年で切るの がよいかどうかは育児休業とは別に議論をする必要があると思います。 ○林分科会長 それでは対象者の範囲の次の丸の「業務の性質や事業場の実態に照らし、短時間勤務と することが難しい労働者について」どうするべきかの議論に移っていきたいと思います。 ○佐藤委員 事務局にお願いです。次回でもいいのですが、二番目の方で現行でも短時間勤務を選択 的措置義務でも入れている会社がありますね。そういう会社でどういう場合にここは短 時間勤務、ここはどうやっているのか。今わからなくてもよいのですが、現状どうなっ ているのかという、組合の方でわかる方がいれば後でもよいと思うのですが、そういう 情報があると、現状の短時間勤務を入れている事業所で、全部入れている場合、あるい は一部の人を外しているという情報があると議論をしやすいかなということで、今日で ある必要はないと思いますが。あるいはそういう情報を今日わかれば教えていただくと ありがたいというお願いです。 ○林分科会長 事務局、お願いします。 ○定塚職業家庭両立課長 少し調査させていただきたいと思いますが、コアな統計調査という形ではないかと思い ます。 ○林分科会長 齊藤惠子委員。 ○齊藤惠子委員 前の議論の中でも、ラインの交替制勤務等の場合は難しいということをいわれまして、 私どもにも繊維の製造業がありますので、そういったところではどういった取扱いをし ているかを確認してまいりましたので、そのことを述べさせていただきます。もともと ラインの交替制勤務で働いている人が産休をとった場合は、産休明けには交替制勤務は 深夜労働がありますので、そこから外して日勤にするそうです。昼間の勤務にしてライ ンで昼間の勤務もできるものもあるのですが、必ずラインのみの仕事というのはあり得 なくて、周辺業務が必ず存在するということなのです。ですから、周辺業務にその人を 配置する。その周辺業務であれば短時間勤務も可能なので、そういうところで措置をし ているというのが現状のようです。あくまでも原職復帰ではなくて、原職相当職に復帰 する。その復帰する場所については短時間勤務が可能となるような部署にするというよ うなことが現実的に行われているようです。以上です。 ○樋口委員 少し質問してよろしいでしょうか。専門ではないので。先ほどの継続雇用期間が1年未 満というところについて、有期雇用の扱いについては実質的に継続雇用期間が1年未満、 要するに何回も繰り返し雇用契約をする場合に、これは。1年未満の者からは外れるわ けですね。今の育児休業法についての扱いを教えてもらえますか。 ○林分科会長 事務局、お願いします。 ○定塚職業家庭両立課長 これは途中で形式上契約が切れていても、それは通算して数えますので、継続された期 間が合計で1年あれば継続1年ということになります。 ○樋口委員 例えば雇用保険において「1年を超えて見込みのある者」という話がありますが、ここ は過去の実績での判断ということでよろしいのですか。 ○定塚職業家庭両立課長 そのとおりでございます。 ○林分科会長 業務の性質や事業場の実態について、もう少しご議論がありましたらお願いしたいと思 います。 ○奥山委員 これも質問ですが、よろしいですか。業務の内容や性質はよく使うものなので理解して いるつもりですが、事業場の実態に照らして、この事業場の実態というのは先ほどの議 論ですと交替制のライン作業などが典型的にイメージができるのですが、他に事務局で こういう事業場の実態という言葉を使ってイメージされているようなものは、他にどう いうものが具体的に出てくるのでしょうか。そういうものを少し教えていただけたら、 話はしやすいのですが。小規模の事業所もここに入るのでしょうか。例えば、事業場で 10人未満というのもここの事業場の実態に入るのでしょうか。 ○林分科会長 事務局、お願いします。 ○定塚職業家庭両立課長 ここに書きました「業務の性質と事業場の実態」は、明確にこれが業務の性質でこれが 事業場の実態であると分けることは難しいと思うのですが、例えば交替制がラインの組 立工やチーム営業といったことが使用者側から意見として出ておりましたが、こういっ たことについては業務の性質だけではなくて、事業所の実態としてどのように業務の実 施体制を組んでいるかといった実情も含むものだと思っています。それから、純粋に例 えば業務の性質ということに鑑みれば、例えば国際線のキャビンアテンダントの業務な どについてはどのように考えるのかといったことがあるのかと考えています。 ○奥山委員 例えば企業の中のある特定の事業所において、そこは通常常時5人くらいしか使ってい ないという場合も、ここにいう「業務の性質と事業場の実態」と一括して関連付けて考 えていくべきだということはよくわかるのですが、今挙げたような場合は強いていえば 事業場の実態の方に力点を置いた形で除外の問題を考える。そういう特定の事業所の中 に3人しか通常は働いていないとか、5人未満でしかないとかいう場合がここのところで の議論になっていくのですね。 ○定塚職業家庭両立課長 そうですね。今おっしゃったような場合は、どちらかというと事業所の実態の中の人数 が少ない事業所というものも含めて考えていくかどうかということです。 ○奥山委員 わかりました。ありがとうございました。 ○佐藤委員 よろしいですか。 ○林分科会長 佐藤委員。 ○佐藤委員 以前に育児休業する場合と短時間勤務で事業所側の対応の仕方の違いがあって、ある意 味で短時間勤務の難しさがあるとお話ししたのですが、休業の場合は1人全部いなくな りますから、その人の代わりを何らかの形で雇用する、あるいは派遣を活用をするとい う可能性があるのですが、ただ2時間短縮といったときに、2時間分だけ雇えるかとか派 遣で来てもらえるかというと、人員の手当て上難しいということがあるのです。そうい うものもここに入っているのかどうか。結構、短時間勤務の方の対応が難しい場合があ るということで、そういう要員管理上というようなことを想定されているのかどうかを 伺いたいのですが。 ○定塚職業家庭両立課長 これを論点として示しているということです。 ○佐藤委員 まだそういうものもあり得るということですね。わかりました。 ○林分科会長 吉川委員。 ○吉川委員 今、実態としてラインの交替勤務のことに対しても夜勤にしないで日勤にしたり周辺業 務にというような実態があるという話がありましたが、そういうことも事業主のいろい ろな状況判断をしての合理的な判断の下にやっていることだと思いますので、仕事の内 容によって企業によって本当に千差万別ですから、そういう意味では事業主に判断を委 ねるべきだと私は考えています。 ○林分科会長  岡本委員。 ○岡本委員 2点あります。一つは事業規模ですが、私は事業規模によってすべて小さいところは適 用除外にするということは考えられないと思います。基本的には規模に応じず、きちん と入れていくということがなければ、今の日本の状況そのものですが、それによって働 き方が違っていく。ごく普通に子育てをすること自体が変わっていくということはあり 得ないのではないかと思います。ですから、原則は事業規模ということでの除外を一律 にかけるということは反対だということが1点。その上で、事業の正常な運営を妨げる ということはどういうことなのかという検討は当然必要であろうと思うのです。ですか ら、小さなところでも先ほど事業所とおっしゃいましたが、そういう意味では企業とし てはもっと大きいのだろうということであれば異動ということもあり得るかもしれませ んし、そういったいろいろな手段を講じた上で、なお事業の妨げになるものは一体何な のかの基本で、ここは検討していただきたいと思います。今、使用者側の判断でとおっ しゃいましたが、これはあくまでも労使での議論の上に適用除外という範囲を決めるべ きだと思います。 ○林分科会長 遠藤委員。 ○遠藤委員 短時間勤務の方々がどの時間帯でという次の項目との兼ね合いもあるのかもしれません が、例えば朝方や夕方の時間帯を考えますと、小売業等では夕方は最もお客さまがいら っしゃることになり、そこが欠務になってしまうとすれば、他と同じような形でそこの 部分も短時間勤務で対応し、次の人が来るまでの間は、今いる現有勢力で賄えるかとい うと、できる場合もあるかもしれませんが、一律にやってくださいということにはなら ないのではないかと思います。今、吉川委員が申し上げましたのは、事業主サイドの判 断といってもそれは当然そこで働いている方もいますから、そういう方々と話合いの中 で、事業主が最終的には措置するというような形で対応させていただけるというのが一 つの枠組みとしてはあり得るのではないかということを申し上げたまでです。 ○林分科会長 山口委員。 ○山口委員 たまたま小売業ということで例が出ましたが、大変営業時間が長くなっている状況です が、短時間勤務というのは多く導入されているところで、後の話になりますが、例えば 2時間であれば始業を遅くするとか就業を早めるというところがありますが、定時とい うのですか一定の時間帯に短くして、そこで短時間勤務者についてはそういう勤務体制 に移るという仕組みにしているところが多くあります。ここについては労側としてはど ういった先ほど佐藤委員も調べたように、いろいろ労使の中で実際に短時間勤務制度を 導入しているところは、さまざまな努力の結果だと思いますが、大体統括的に入れてい てその中でたまたま例外的な対応をしているところがありますので、そういう例外的に というのもあまり見受けられないのです。どういう業務、あるいはどういう事業所が難 しいのかというのが具体的にイメージできないので、これについては議論に参加できな いのですが、具体的なものが明確に出てきたら、労側は短時間勤務制度を請求権という ことでやっていますので、先ほどの佐藤委員のように請求権であったら多少適用除外的 なところを議論しなくてはいけないというようなところには入っていけるのですが、も う少しこの業務の性質や事業所の実態を次に出していただけるということなので、具体 的な例を聞かせていただきたいと思います。労使で協議して最終的には経営者の措置、 労使協定というのはそういうところだと思いますけれども、これもこの勤務制度につい ては労働者全体にというところでいうと労使協定できないようなところが多くあるわけ ですが、そこではどのような議論ができるかというところもイメージできないので、整 理しますと、業務の性質や事業所の実態で難しいというのは具体的にどういうものなの だろうと。それから、それを除外する場合に労使協定ということも考えとしてあるわけ ですが、労使協定ができないところはどうするべきかというところも議論したいと思い ます。 ○樋口委員 よろしいですか。ぜひ議論していただきたい点について申し上げたいのですが、今、短 時間勤務とすることが難しい労働者というのは、多分人によって解釈が違う。特に使用 者と労働者の間で解釈が違う。これを決める枠組み、どういった者が短時間勤務とする ことが難しい労働者と考えるのか。今、経営者・使用者の方からは、それを個別に職場 で判断していくということがよいのではないかというご指摘があったのですが、労働側 はどう考えていくのか。今の労使協議という形で個別企業の中で判断するという方法が よいのか。それとも、一定の何で判断するのかわかりませんが、ここで議論してこうい った職種ですよとか、こういった企業規模ですよというようなところを決めることが望 ましいと考えるのか、その点についてご議論いただけたらと思います。 ○林分科会長  山口委員。 ○山口委員 先ほど申し上げたように、何らかの例外的な対応が必要であった場合は、その対象をど こにするかというのは労使協定で議論できると思います。ただ、先ほど申し上げました ように、労使協定できないところについては、これから具体的に出してくださいと言っ たのは、そういったこういう場合、こういう場合というような具体的にあまりぶれない イメージができるようなものを、例えば指針や通達などで書き込む必要があるのではな いかと思っています。 ○林分科会長 短時間勤務をすることは難しい労働者というものを指針なりに書き込むときの決め方と しまして、例えばこういう業務の性質や事業所の実態に照らすというような一般的な書 き方では駄目だという趣旨なのでしょうか。それとも、リスト的な例示がざっとありま すが、もう少しそれを要求するということですか。 ○山口委員 そういう例示的なものでイメージするようにと。これは「業務の性質や事業所の実態に 照らし」というだけで、ここでも議論できない状況ですから、もう少し堀下げたもので ないと判断できないと思います。そういう意味では、ここで幾つかこういう場合は難し いというところの事例が出ればそういうところも別に指針なりに書けるような。申し訳 ありません。私たちにはそういうイメージがないので、あればお聞かせいただきたい。 お聞かせいただくことによって、そこをどのように書けるかということにつながるので はないかと思います。 ○奥山委員 確認ですけれども、おっしゃっていることは、例えば法律の本体の中でただし書的に、 こういう業務の性質や事業の形態等の特段の事由がある場合については適用しないとい うことが本則としてあって、では具体的にどういうものが当たるかということを、例え ば大臣告示や指針などで明らかにしていただくと。とにかく、それを労使協定で全部す るというのは、企業規模の小さい所では難しいという趣旨ですね。 ○山口委員 はい。 ○林分科会長 今の規定ぶりというか、そういうことについて、使側は何かご意見はありますか。 ○遠藤委員 ご意見はご意見として承りますが、現実問題としては難しいのではないかということだ けは申し上げておきます。 ○林分科会長 では、この対象者の範囲のところは一応、対象者の範囲を除外した場合に、単に適用除 外とするのか、あるいは何らかの代替措置を講じることを決めるのかという点について、 この2のところで議論をしておきたいと思いますので、その点についてのご意見をお願い します。 ○岡本委員 基本的には代替措置を講じるべきだと思います。ただ、私たちとしてはやむを得ないと いう非常に小さい範囲での適用除外というイメージがありますので、それについて代替 措置が本当にできるのかということがありますので、その議論をこちらで私たちももう 少し見えていかないとできないかと思います。基本はそこにも書いてあるような代替措 置は必要だろうと思っていますが、事例を具体的に見てみないといけない気がして、ど ういう事例をと申し上げてきたのですが、使用者側からお話いただかないと。私たちは 基本的にはその事例を挙げる方ではないので。申し訳ありません。 ○遠藤委員 まず冒頭に戻らなければいけないのですが、私どもは、現行の第23条という選択的措置 義務の中で対応することができるのではないだろうかという考え方をまだ変えているわ けではありません。今回はこういう論点についてどうですかという資料提供の下で議論 が進んでいますので、それぞれのポイントについてお答えしているという経緯がありま す。そういう経緯からすれば現行の第23条という部分は生きているので、そういうもの との組み合わせといったことが選択肢の一つとしては考え得ると思います。 ○林分科会長 山口委員。 ○山口委員 そういう意味では、先ほどから情報がほしいと。現行の法律に基づいて選択的措置を講 じられない事業所・企業が、どういう理由で措置できないのかということをお聞かせい ただくとイメージできるかと思うのですが。 ○林分科会長 遠藤委員。 ○遠藤委員 今のご質問は、選択的措置義務としてどのメニューでもよいけれども何も導入していな い企業について、つまり平成19年度調査でいえば50%の話で聞かれているのか、それと も短時間勤務が導入されていなくて他の施策が講じられている、そこの理由を聞かれて いるのか。どちらでしょうか。 ○山口委員 あまり厳密に質問をしているわけではないのですが、この短時間勤務というところでい えば、同じ事になると思うのです。多分放っておいてやらないということではなくて、 やりたくてもできないというところがどういう事業所・企業かということをお聞かせい ただくと、ここで議論している次のステップとして議論したときに対象として難しいと いうところがイメージできると思っての質問です。 ○林分科会長 遠藤委員。 ○遠藤委員 まず選択的措置そのものが入っていない、統計上でいうと50%程度の数字になっている のですが、なぜ入れていないのかといったことについては、お答えするものは何も持っ ておりません。措置することが義務ですから、義務を違反している理由が何なのかと言 われると、こういう理由があるからと明確に申し上げることはできないと思います。た だ、言えることが他に何かあるとすれば、先ほどから話題に出ております請求権的な位 置付けである育児休業や介護休業そのもの一つを取ってみても100%にはまだ至ってい ない状況があることからすれば、やはり企業サイドの中で、いわゆる自分たちは対応し なくてもよいという誤解に基づくものを除けば、やはりそこには何かしらの理由がある のではなだろうかといったことがあって、この会議が始まる第1回目のときに、なぜ、 導入が行き届いていないのかといったような質問をした経緯があります。ですから、そ こは今後の調査の過程の中で、どういった実情があるのかをあぶり出すことができると すれば、当然のことながら皆さま方のご協力も仰ぎながら、対応していく必要があるか と思います。 それから、短時間勤務については、何度か例示はしておりますけれども、その例示以外、 他に何かあるかと言われれば、今、手元にはないと言えるかと思います。具体的に書き 込めるものと、書き込めないものがあり、先ほど調査をしていただけないかという公益 側からのご提案もあったかと思いますけれども、例えば、業務の性質上、できるできな いと一律に切ることさえもできるのかどうか、そこは甚だ疑問だと思います。ある企業 においては、この仕事について短時間勤務ができるかもしれないけれども、他の企業で はできないというケースもあり得るのではないかと思っております。そういう意味で申 し上げますと、先ほどの見えてこないという部分については、見えるような手だては必 要かもしれませんけれども、そこが例示と言いながらも、幾つも書いていくような形で の規定ぶりといったことを求めてくるとすれば、それは現実問題、枠組みとしてはうま くいかないと考えております。お答えになっていなくてすみません。 ○林分科会長 この点は一応ここで議論を終わりにしまして、次の「3.具体的内容」に入っていきます。 まず、一つ目の「短時間勤務の幅」です。何時間短縮すると決めるのか、何時間まで短 縮するという決め方をするのか、そのような点について、ご意見をお願いいたします。 斉藤千秋委員。 ○斉藤千秋委員 何時間まで短縮するのかという意見というよりは、私どもの産別の実態としては、短縮 として4、5、6、7時間というような非常に幅広い短時間勤務を導入している企業もあり ますし、隔日勤務も育児・介護を行う者については行うという制度化を図っている企業 の事例もあるということです。ただ、実態としてどれが一番使われているのかといわれ ると、やはり6時間という2時間の短縮が一般的ではないかと思っております。短時間の 幅を法律でどのように定めていくのかというところとは少し意見としては違うのかもし れませんが、やはりそれぞれの子どもの成長段階によって、保育所の送迎であれば、恐 らく今の実態からすると2時間程度の短縮が理想的で、実態として企業が認めて実施さ れていると思いますけれども、小学校に入学して学童保育となったときに、場合によっ ては地域や預ける場所の状況では7時間でも働けます、もう少し働きたいというニーズ も出てくるのではないかと思いますので、実態としては6時間が非常に多いと思います けれども、そこを一つの短時間という形で縛るのではなく、労使で幅を持たせることも 可能にしていくことも必要だと思っております。 ○林分科会長 何時間短縮するかということではなくて、6時間働くという形で決められていることが 実態としては多いと。 ○斉藤千秋委員 そういう意味では、2時間短縮という法律上でいうと、7時間以上の場合は1時間以上と いう中では、2時間と設定していることが多いと思っております。 ○林分科会長 先ほど、労働時間が8時間の企業もあれば、7時間半という企業もある中で、どのような 決め方が実態として多いということですか。 ○斉藤千秋委員 そこまで具体的な労使協定の部分までは、今日は情報として持ち合わせておりませんの で、必要であればまた調べてみたいと思います。 ○今田委員 事実については、この報告書の中にあります。45ページに報告結果が出ているのです。 これはいろいろなデータが出ていて、この制度設計に当たっての実態というのは、短時 間としても何時間短縮しているかといったようなデータが出ています。 ○定塚職業家庭両立課長 そうですね。今、ご紹介いただいたとおり、45ページを見ていただきますと、2時間以上 3時間未満、それから1時間以上2時間未満がとても多くなっております。 ○林分科会長 遠藤委員。 ○遠藤委員 まず、1日の勤務時間が短い労働者についてですが、現行の枠の中では、6時間以下の方 については対象外になっているというお話がありましたので、そういう一つのイメージ として6時間という数字を持つことはあろうかと思います。ただ、今、斉藤千秋委員か らお話がありましたように、例えば地方等に行きますと、もう少しカットの部分を短く するような形での働き方も十分可能かと思います。そういうことを考えると、やはり最 終的には、それぞれの現場の中でどういう形のものが使い勝手としてよくて、なおかつ、 労務管理上の対応が可能なのかを、お決めいただくという枠組みをしっかりと組み合わ せるようなことが求められていると思います。法律上書くところは書くのですけれども、 そことの組み合わせもしっかりと置くような形での枠組みです。今後、定着して利用し ていく方々を増やしていこうと考えるならば、そういう手だても必要になってくるかと 思います。 ○林分科会長 樋口委員。 ○樋口委員 これについても議論していただきたいのですが、多分ケース・バイ・ケースという話が かなりあると思います。そうしたときに、法律でどのようにかかわってくるかというこ とについては、例えばマキシマム何時間まで短縮するかというのを入れるか、入れない のかということ。あるいは、逆に何時間まで短縮ということになれば、ミニマム何時間 までの短縮ということを入れるか。あとはケース・バイ・ケースで違ってくるでしょう から、それを入れるかどうかということを議論していただくとよいのではないかと思い ます。 ○林分科会長 今、樋口委員からご提案のありました件で。遠藤委員。 ○遠藤委員  今、樋口委員からうまく切り口としてはご指摘いただいたのですけれども、では、ど ういう答えを出そうかと思うと、これはなかなか難しい答えだということがよくわかり ました。今、私が存じ上げている範囲内で申し上げますと、最大にカットしている企業 で所定労働時間の半分なのです。確かにそれができる企業であれば、半分というものは あるのかもしれませんけれども、この育児・介護休業法の枠の中で、どのようなものを 書いていくのか、小さな企業、あるいは地方の実情といったものを考えると、やはり最 低ラインのところで書いて、それを上回るような形のものについては、労使のお話合い の中でという組み合わせの方がよろしいかと思います。 しかし、逆にマックスで書いておいて、マックスに届かないような場合については労使 のお話合いでという落とし方もあると、自分で言っておいてわかりました。そうですね。 大変失礼いたしました。これは答えが今のところ出ていないので申し訳ありません。 ○林分科会長 では、その点については、今後のご議論でまたお考えいただく形で、次の「短時間勤務 の設定単位」を、日単位、週単位、月単位で設定するのがよいのかという点についての 議論に移りたいと思います。 ○遠藤委員  これにつきましては、冒頭に事務局からお話がありましたように、現行認められてい る枠があるとすれば、やはり先行して取り組まれている企業の実情もあるわけですので、 今後も使えるような形のものであるということが望ましいと思います。 それから、三つ目の丸で、「始業時刻を遅くする、終業時刻を早める」ということにつ いて、当初の労働契約にある所定労働時間帯の中での対応という書きぶりになっている のですけれども、これは例えば、当該労働者との合意の下にということであるとすれば、 短時間勤務をすることによって頭の部分は随分カットできるけれども、お尻の部分につ いては当初の所定労働時間帯が少しずれるような形での対応もあり得るのではないでし ょうか。例えば小売業等で取られているような対応もあるのではないかと。簡単にいう と、9〜17時で働いていた人が短時間勤務をすることによって、12〜18時といった形で の組み合わせもあり得るのではないかと思いますので、その辺のところも柔軟性を持た せるということで考える必要があると考えております。 ○岡本委員 質問ですけれども、それは短時間勤務とフレックスタイムを併せるという考え方なのか、 いわゆる短時間勤務の人の所定時間を完全にずらすという、今おっしゃったのはどちら でしょうか。 ○遠藤委員 あくまで所定労働時間をずらすということです。その場合もモデルがあると思います。 樋口委員からお話がありましたように、どのようなモデルがあるかと考えたときに、例 えば、朝と夕刻の送り迎えの部分をペアで対応していくような場合もあり得ると思いま す。そういうモデルを考えていくと、そのモデルも一つではなくて、いろいろとあり、 やはり柔軟性を持たせる必要があると思います。ただ、柔軟性を持たせるに当たっては、 当該労働者ときちんと話合いをして、その組み合わせの中でやっていく。法律の枠組み でしか対応ができないというよりは、そういう合意の下で柔軟性を持たせる方が使い勝 手という部分でいえばあり得るのかとご提案申し上げたということです。 ○林分科会長 山口委員。 ○山口委員 今、遠藤委員がおっしゃったことに全く賛同します。要は、利用するサイドがどういっ た短時間の設定方法であったら、利用しやすいかというところ。現在もどちらかといえ ば入っている所も多いと思うのです。ただ、先ほどの例で、9〜17時の労働者が10〜18 時というのはどういうことでしょうか。 ○遠藤委員 12〜18時です。 ○山口委員 要は短くするということですね。 ○林分科会長 鴨委員、何かありますか。 ○鴨委員  今、山口委員が質問したところをはっきりとさせたかったわけです。 それから、もう一つ付け加えますと、「短時間勤務の設定方法」のところでは、ここに は「始業時刻を遅くする、終業時刻を早める」と入っているわけですけれども、設定の 仕方としては、始業・就業時間の両方から時間を短くするということも具体的には考え られるのではないだろうかと思いますので、そういう設定方法も「あり」と考えてもよ いのではないかと思います。いろいろな対応性を持たせる意味からいっても、「あり」 ではないだろうかと思います。 ○林分科会長 では、短時間勤務は一応終わりまして、次の「所定外労働の免除に関する主な論点」に 入りたいと思います。山口委員。 ○山口委員 大変申し訳ございません。短時間勤務制度のところで、具体的な項目に入っていないの ですが、労働者側として考えているのは、これからどういう形で法律の枠組みが変わる かは別として、この部分に、現在なかなか短時間勤務制度が進んでいないというところ も併せて、実効性を高めるという意味で、例えば、公表や過料などというような罰則に なるのか、要は実効性を高めるような措置をこの短時間勤務制度の中にぜひ入れたいと いうところを発言しておきたいと思います。 ○林分科会長 では、「所定外労働の免除に関する主な論点」に移りたいと思います。「1.制度の位置 付け」です。先ほどの短時間勤務と同じように、請求権とするべきか、単独の措置義務 とするべきかという点について、ご意見をいただきたいと思います。齊藤惠子委員。 ○齊藤惠子委員 所定外労働の免除につきましては、この所定外労働そのものがイレギュラーなものです から、基本は8時間労働であって、基本的にこれは例外的なものということを認識して いただきまして、この部分については措置義務ではなく、請求権であるべきだと考えて おります。 ○林分科会長 山崎委員。 ○山崎委員 私ども全国中小企業団体中央会でも、これは50人未満の企業だと思いますけれども、労 働事情実態調査をやっているのですが、そこで残業を見ますと、少ないのです。正確な 数字は持っていないのですけれども、中小企業の小さい所は少ないのです。ただ、多い ときというのは、やはり何か受注して短時間でやれというときには当然やりますし、そ こは労働者の方も企業主の意向をくんで協力的にやっていただいているということだと 思います。普段はそれほどないのです。そうなると、数字的に若干あればというお考え もあるのでしょうけれども、総じていえば、これがあまり使われないのではないかとい うような実態ではないかと思うのです。それは企業によって違います。平均を取れば、 そのようなデータが出ているのです。 ○林分科会長 斉藤千秋委員。 ○斉藤千秋委員 私どもの産別で調べていても、やはり規模が大きいほど、なぜか時間外労働が非常に高 い傾向値もありますので、それは多分認識は同じなのかと思っております。やはり、齊 藤惠子委員も言ったように、そもそも時間外労働はイレギュラーな労働ですので、そう いうものを企業として、1年の間でならしてあるときにどうしても忙しいというのは、 今もそういう形で三六協定の範囲でされていると思いますけれども、それが労働者の時 間外労働が恒常的な労働時間になっている今の日本の働き方の実態を改善するためにも、 やはりこの件については請求権としていただいて、育児や介護という理由を持って働け ないというところについては、経営側の理解を求めていきたいと思います。 ○林分科会長 次の議題に入ってよろしいですか。遠藤委員。 ○遠藤委員  位置付けというご質問に対するお答えとしては、次のところとの兼ね合いになるのか もしれませんけれども、やはり所定外労働免除をどういう形で適用していくかというこ とになると思います。そうなったときに、やはり所定外労働免除という形で対応しきれ ないような状況ということで、過去に例を挙げさせていただいております。  繰り返しで恐縮ですが、いわゆる決算期を迎えたときの経理の業務であったり、株主 総会など重要な会議を持っているような広報や総務の業務であったり、あるいはプロジ ェクト業務といったような形で、期間は限定されるけれども、その間は集中的に仕事を しなければいけないといった幾つかの事例を考えれば、所定外労働免除という形で、も しご希望されたとしても、やはりそこは組織の中で、うまく回らないのではないかとい うことは容易に想定できると思います。 次に入ってはいけないのかもしれませんけれども、「事業の正常な運営を妨げる場合」 というようなものでくくってしまうことになりますと、冒頭の事務局の説明にありまし たように、これは大変厳しい要件になってきておりますので、ほとんどこれが機能しな いことになります。そうなってくると、ここの部分についても柔軟な対応が当然求めら れてくることになります。やはり事業主の単独の措置という枠組みの中で実効性を高め ていくということで考えるべきではないかと思っております。以上です。 ○林分科会長 基本的に所定外労働の免除は、原則の所定に戻すという考え方で考えるべきではないか ということについての反論のようなものはありますか。 ○遠藤委員 特に育児期の方々について、どう支援していくのかといった中で、その方々がどれぐら い所定外労働をされているのかをみる必要があると思います。企業の中では当然そうい う状況にあるような方については、所定外労働の部分について配慮しているといった実 情も聞いてはおります。ただ、繰り返しになりますけれども、先ほどから申し上げてい るような状況下で働くような場合があるとすれば、所定外労働免除といったことで希望 されることは、なかなか現場の中では対応しきれないのではないだろうかということを 申し上げたまでです。もちろん所定外労働が恒常的になっていて、労働時間の適正化と いった形で取り組んでいることについては、今後も一層労使の皆さま方のご協力の中で、 実現していくべき課題だとは十分認識しております。 ○林分科会長 「制度の位置付け」を考えるときに、「2.対象者等の範囲」の決め方とも、どうしても 絡んできますけれども、その対象者の範囲は2ページに挙げられております。先ほどと 同じように、雇用継続期間が1年未満、週所定労働日数が2日以下、1日の勤務時間が短 い者についてどうするべきか。ここについては、短時間勤務とは違ったご意見がありま したら、どうぞおっしゃってください。鴨委員。 ○鴨委員 ここに「1日の勤務時間が短い労働者」と入っておりますけれども、1日の勤務が短い労 働者であっても残業ありという人たちが、数字的に見ると、正確ではないのですけれど も、25%ぐらいが、パートであっても残業ありとなっているといわれているわけです。 その25%の人たちがすべて育児休業と介護休業の対象者になるか、ならないかという問 題はありますけれども、いずれにしても、1日の勤務時間が短い労働者であっても残業 ありという現状がありますので、その人たちについても適用するべきであると考えます。 ○林分科会長 斉藤千秋委員。 ○斉藤千秋委員 そもそも論になるのですが、週の所定労働日が2日以下、1日の勤務時間が短い方たち に、時間外労働をしてもらわなければいけない職場の体制が実は問題ではないかと思い ます。この方たちを対象者の範囲ということで論ずること自体が少し違うのではないか という感じがします。ただ、継続雇用期間が1年未満の労働者は、時間外労働の免除を させるか、させないかという論点では、やはりこういう方たちは、まだ企業の中で慣れ ていないわけですので、そういうことからすると、長時間労働ありきの働き方をそうい う方たちに見せていくのはどうなのかというところを考えますと、所定外労働の免除と いうこともあるかと思っています。 ○林分科会長 はい、齊藤惠子委員。 ○齊藤惠子委員 今の話と同じなのですけれども、そもそも本人がなぜ勤務時間を最初から短くするか、 週2日にするかというような場合には、子育て期ならそれぞれの事情があってわざわざ そういう設定にしているわけですから、それで所定外労働を免除させないというのは問 題ありだと思います。労働時間が短い労働者で所定外労働をさせるのであれば、その本 人は最初から短時間労働をする必要はないのであって、最初から8時間なりで設定でき るはずなのですが、それができないから、最初から5時間や4時間という設定をしている わけです。その方々に対して、所定外労働を免除させないというようなものについては、 理解しにくいので、これも対象者として当然入れるべきものだと理解しております。 ○林分科会長 次の「事業の正常な運営を妨げる場合など」に議論を移してよろしいですか。それでは、 そちらの方の議論をお願いいたします。これは当然この文言であるのならば、入るのか もしれません。具体的にこれが何を指すのかというのが結局問題になるわけですので、 その点を議論いただければありがたいと思います。山口委員。 ○山口委員 この部分については、現状の「事業の正常な運営を妨げる場合」の通達に準じてよいの ではないかと思っております。 ○林分科会長 遠藤委員。 ○遠藤委員  所定外労働がどういった状況下において発生するのかということを考えれば、一つは 繁忙期の話だと思いますので、繁忙期については通達の中で大変厳しい要件として書か れている現状があるかと思います。 もう一つは、緊急時の対応といったようなものもあるかと思います。使用者側の委員か らも確か例示としてあったかと思いますけれども、本来想定された予定であれば、所定 内で終わっていたのに、先方との兼ね合いの中で、あるいは何か交通事情のトラブル等 があって、所定外になってしまったといったケースも当然あり得るわけです。あるいは、 クレーム処理を担当している方々からすれば、当然相手方がいるわけですから、相手方 との対応の中で所定外も出てくるだろう、必要に応じて対応しなければいけないといっ た事情もあるかと思います。そういったようなことを考えてくると、「事業の正常な運 営を妨げる場合」ということだけで、適用除外の範囲をそこでくくってしまうというこ とであれば、なかなか運用上難しい部分もあるのではないだろうか。もしかしたら狭い 事象かもしれませんけれども、緊急時の対応、繁忙期の部分についても通達であるよう な大変厳しいものではなくて、もう少し緩やかな形での適用除外とされる状況について、 そういったようなものがあれば、それは使い勝手ということでいえば、良いものになる のではないかとは思います。 ○林分科会長 斉藤千秋委員。 ○斉藤千秋委員 繁忙期や緊急性という話ですけれども、今の日本の働き方自体が1年中繁忙期で、1年中 人手不足という実態の中で、それを免除の規定として認めていくと、ほとんどの子育て 期、あるいは介護に当たっている労働者はみんな除かれるという実態になるのではない かと思いました。繁忙期や緊急性が、もっと正常な形の働き方、所定労働でほとんどの 時期は帰れるけれども、繁忙期と緊急時だけが時間外が起きている働き方という実態の 中であれば、そういうものを対象にしていくことは理解できるのですけれども、今の日 本の労働者の働き方を見ている中で、これを免除にしていくことになると、30歳代のほ とんどの男性労働者は免除に当たってしまうというところからしますと、これを免除の 規定にしていくことは理解できません。 ○林分科会長  繁忙期、緊急時というイメージが相互でずれているのではないかという気もしますけ れども、今出たようなお話を踏まえて、もう少し、次回はこのテーマではないのですけ れども、今後の議論の中で考えていきたいと思います。 本日はもう一つ、資料No.2に基づく議題の「その他」がありますので、それについて事 務局からご報告があるようなので、お願いいたします。 ○赤松均等待遇推進室長  短時間在宅労働課の赤松でございます。時間がまいっておりますので、簡潔にご報告 させていただきます。  お手元にございます資料No.2のパートタイム労働者の助成金の関係です。先般の経済 対策、「安心実現のための緊急総合対策」において、パートタイム労働者に対する支援 が掲げられております。具体的には、短時間労働者均衡待遇推進助成金について一定額 を増額する内容です。下の方の左右に「現行制度」「拡充内容」という形で書いており ますが、「現行制度」は大きく二つに金額的なメニューで分かれております。助成金50 万円のもの、それからその他に30万円のものがありまして、次のページに現行制度の内 容について補足的に添付させていただいております。2枚目の支援対象メニューの(1)が 50万円の内容です。具体的には、「正社員と共通の待遇制度の導入」。正社員とパート の方で共通の俸給制度を設けたといった場合には、50万円を支給するような形になって おります。その他の(2)〜(6)につきましては、それぞれ30万円の支給になっております。 現在、これらについて、大企業、中小企業といった形での事業所の規模による金額の差 はないのですけれども、今回の拡充においては、中小企業についてそれぞれ10万円を加 算する。50万円については60万円に、30万円のものについては40万円にするというもの です。 最後に、この拡充措置については省令改正と必要な手続をしまして、できるだけ速やか に施行したいと思っております。以上です。 ○林分科会長  ありがとうございました。特にご質問がなければ、本日の分科会はこれで終了といた します。本日の署名委員は、斉藤千秋委員と川崎委員にお願いいたします。次回の日程 につきましては、追って連絡させていただきます。本日はどうもお忙しい中、ありがと うございました。 <照会先> 厚生労働省雇用均等・児童家庭局 職業家庭両立課企画係 〒100-8916 東京都千代田区霞が関1−2−2 電話(代表)03−5253−1111(内線7856)