08/11/11 第38回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会議事録 第38回 労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会                  日時 平成20年11月11日(火)                     18:00〜                  場所 厚生労働省職業安定局第1会議室(14階) ○清家部会長 ただいまから第38回雇用保険部会を開会します。最初に委員の交代があ りましたので、ご紹介させていただきます。雇用主代表の輪島忍委員が辞任され、後任 に平田充委員にご就任いただきました。よろしくお願いします。  本日の出欠状況ですが、坪田委員がご欠席され、代理として日本商工会議所の青山理 事がご出席です。また、原川委員がご欠席されまして、代理として全国中小企業団体中 央会の小林労働政策部副部長がご出席でございます。また、岩村委員、中窪委員が遅れ てご到着というふうに伺っております。  ここで職業安定局長よりご挨拶をお願いします。 ○太田職業安定局長 職業安定局長の太田でございます。このたびの雇用保険制度の見 直しに当たりまして、当部会でご検討いただくに際しまして、一言ご挨拶を申し上げま す。ご案内のとおり、景気・雇用は昨年の夏がピークでございまして、完全失業率で申 し上げますと、9月は4.0%、昨年夏の3.6%が4.0%まで上昇している。あるいは有効求 人倍率も昨年の夏は1.07倍だったものが、0.84倍まで下がってきているということでご ざいまして、全体的に景気・雇用は下降局面にあるわけでございます。いま申し上げま した9月の数字には、今般の、いわゆる金融危機の影響が反映されておりませんので、 10月以降実体経済も相当悪くなってきておりますので、雇用情勢も今後さらなる悪化が 予想されるという状況です。  こうした中で、厚生労働省では、先般10月16日に成立した今年度の補正予算において は、非正規雇用対策の推進等、雇用支援対策の強化を図ったところです。さらに、先月 30日に取りまとめられました追加の経済対策、いわゆる生活対策におきましては、雇用 保険二事業の活用もさせていただきまして、年長フリーターや非正規の労働者、あるい は中小企業や地域における雇用対策を重点とした対策を盛り込んだところです。これも 第2の補正予算に内容として盛り込まれるということです。  一方で、家計緊急支援対策の一環としまして、国民の負担軽減の観点から、1年間に 限って雇用保険料の引下げについて、セーフティネット機能の強化と併せて、関係審議 会において労使と十分協議した上で検討、結論を得るということも盛り込まれたところ です。この点につきましては、政府部内では、私ども大臣以下、雇用情勢が悪化してい る中で、積立金は今後も増大することが見込まれている失業給付やセーフティネット機 能の強化に当てるべきではないかと主張したところでございますが、総理の強い意向で 生活対策として盛り込まれたという経緯があります。  当省としましては、この雇用保険料の問題につきましては、こうした観点に加えて、 将来にわたって雇用保険制度の安定的な運営が行えるかどうか、また、生活対策にも触 れられておりますように、こういった雇用失業情勢下における雇用保険のセーフティネ ット機能のあり方と併せて、給付と負担の両面から、保険料の負担者である労使の皆様 方と十分に議論をさせていただく必要があると考えているところです。  つきましては、現状やご議論いただく論点につきまして、これから事務局よりご説明 申し上げますが、議論に際しましては、こうした状況などについてもご理解いただいた 上で、皆様方のご意見を承りたいと考えています。また、来年度の雇用保険料率などに 関わる問題でもありますので、年末までには一定の取りまとめをさせていただきたいと 考えているところでございまして、非常にタイトなスケジュールで誠に恐縮でございま すが、よろしくお願い申し上げます。以上私からご挨拶とさせていただきます。 ○清家部会長 ありがとうございました。  早速議事に入らせていただきます。本日の議題は「雇用保険制度について」です。ま ず本日提出いただきました資料について、事務局からご説明をいただき、その後質疑に 入りたいと思います。それではご説明をお願いします。 ○長良雇用保険課課長補佐 私のほうから資料の説明をさせていただきます。まず配付 資料の確認をさせていただきます。資料No.1として「制度の現状」というホチキス止め の冊子があります。資料No.2として「適用・給付関係資料」ということで、5、6枚程度 の一綴りの資料です。資料No.3としまして、「財政運営関係資料」ということで、10数 枚程度のホチキスで止めた資料があります。資料No.4としまして「雇用保険制度に係る 論点について」ということで、2枚紙としてつけています。その後ろに参考資料としま して、3点準備しております。参考資料No.1としまして「雇用保険制度の概要」、参考資 料No.2としまして、後ほども若干ご説明申し上げますが、前回平成19年の制度見直しを 雇用保険部会でご議論いただいた際の報告書をつけさせていただいています。参考資料 No.3として、雇用失業情勢として、完全失業率、有効求人倍率の推移をはじめとした、 雇用に関する資料をつけさせていただきました。漏れなどはありますでしょうか。  資料No.1から順にご説明します。まず資料1「制度の現状」です。次頁、雇用保険制度 の概要です。雇用保険制度はいろいろな給付がありますが、これを1枚にまとめた資料 です。ご案内の方も多いかと存じますが、雇用保険は、失業等給付と二事業ということ で、給付に関連して労使折半の保険料、現在の料率は12/1000という形で運営をしてい ます。求職者給付を基盤として、就職促進給付、教育訓練給付、雇用継続給付といった 各種の給付があります。  雇用保険二事業ですが、雇用対策に関連する事業でございまして、事業主のみ負担の 保険料を別に運営している。料率は現在3/1000という形になっております。全体を合わ せまして、20年度の雇用保険料率は15/1000ということです。  1枚めくっていただきまして、雇用保険法等の一部を改正する法律の概要です。これ は平成19年の制度見直しの雇用保険部会でのご議論を受けて、平成19年に法案を提出 し、成立した法律の概要です。中身として大きく2つに分かれております。1点目は、 行革推進法に沿った見直しということで、失業等給付に係る国庫負担のあり方の見直し、 高年齢雇用継続給付に係る国庫負担を廃止し、当分の間、55%に引き下げるという内容 のものです。  2点目は、保険料率の見直しということで、弾力料率を4/1000の範囲まで拡大しまし て、平成19年度からの料率を1.2%に引き下げる。雇用安定事業等の弾力条項は、これ まで2年間連続発動期間の制限がありましたが、これを撤回した。ともに平成19年度か らの料率は3/1000に引き下げているというものです。  3点目が、雇用保険三事業の見直しということで、雇用安定事業、能力開発事業、雇 用福祉事業とあった3本の事業のうち、雇用福祉事業を廃止したという内容です。  4点目は、船員保険制度の統合ですが、船員保険制度は、医療、労災、雇用の総合的 保険制度がありましたが、労災・雇用保険については一般制度に統合するということで す。これについてはまだ未施行でございます。  大きく分けて2つ目として、直面する課題への対応としまして、主として給付関係の 見直しを講じているところです。1点目は、被保険者資格、受給資格要件の一本化とい うことで、これまであった短時間労働被保険者の被保険者区分をなくしたということで、 受給資格要件も一般被保険者として一本化をしたということです。これまでは短時間労 働被保険者以外の一般被保険者は、受給資格要件として6月が必要であった。短時間に ついては12月が必要であったというカテゴリーでしたが、これを倒産・解雇の場合は6 月、それ以外の方については12月が必要という見直しを行っているものでございます。  2点目は、育児休業制度の拡充等ということで、これまで休業前賃金の40%、この内 訳は休業期間中は30%、職場復帰6ヵ月後に10%を支給するという枠組でしたが、暫定 的に50%。これは職場復帰6カ月後を10%だったものを20%に引き上げるという措置を 講じている。ここで暫定的というのは、法律上平成22年3月31日までに育児休業を開始 する者ということで、法律上、期間が定められているというものでございます。  そのほか、教育訓練給付、雇用保険安定事業の対象範囲の見直しなどへの措置を講じ ているところであり、施行日は平成19年4月23日の公布日で、給付の見直し関係は平成 19年10月1日から施行されたものです。  このときにご議論いただいた、雇用保険部会の報告書の平成19年1月9日の中で、今後 の課題として位置づけられている項目を整理したものです。1点目としては、マルチジ ョブホルダー等就業形態の多様化に対応した雇用保険の適用範囲のあり方、2点目は、 65歳以降への対処について、3点目は、基本手当の所定給付日数、日額水準について、4 点目は、失業認定等、制度の運用や育児休業給付等の運用について、5点目は、高年齢 雇用継続給付については、改正高年齢者雇用安定法等を踏まえた形で措置すべきという 内容、6点目としては、育児休業給付についてのあり方、7点目は、雇用安定事業等につ いては、既存事業の規模を縮減して、各個別事業について、引き続き不断の見直しを行 う、といった内容が盛り込まれているところです。  資料No.2です。「適用・給付関係資料」ということで、いま概要を申し上げた資料の 個別のテーマを含めたご説明をさせていただきます。1枚めくっていただきまして、現 在の雇用保険の被保険者数の状況を整理したものです。雇用保険の被保険者は4つの類 型がありまして、一般被保険者、65歳以上の者で継続して雇われている高年齢継続被保 険者、季節労働者などの短期雇用特例被保険者、日雇いの方の日雇労働被保険者の4類 型です。通常ご覧になっていただければわかるように、一般被保険者が人数としては多 数を占めています。過去10年のトレンドは、一般被保険者で整理をしているところです が、特に近年、平成15年度以降でみますと、一般被保険者数については、年々増加を続 けています。平成19年度の一般被保険者数としては、3,600万人強というような状況で す。  雇用保険の適用基準です。先ほどお示しした4類型の中の一般被保険者の適用基準を 図解で整理したものです。特に週所定労働時間がどういう形であるかということで、区 分けがされています。週所定労働時間が40時間である方については一般被保険者、20時 間〜40時間未満の方については、その事業場において、「通常の労働者」であるか否か によって、2つのカテゴリーに分かれています。「通常の労働者」とカテゴリーされる 場合には、一般被保険者に該当する。「通常の労働者」よりも所定労働時間が短いか、 または「通常の労働者」が存在しない場合というようなケースについては「1年以上の 雇用が見込まれる」かどうかということで、一般被保険者になるか否かの区分がされて おります。20時間未満の方については適用除外になっています。下の枠に、個別の適用 除外として位置づけられているものですが、1番目としては、65歳に達した日以後に新 たに雇用される者は適用除外の扱いということです。2番目としては、短時間労働者で、 季節的に雇用される者などが適用除外となります。3番目は、日雇労働者であって、日 雇労働者の被保険者の要件として適用区域というような要件がありますがそれに該当し ない方。4番目は、4カ月以内の期間を予定して行われる季節的事業に雇用される者。5 番目は船員保険の被保険者、この部分は法改正によって、一般制度への統合という措置 が今後講じられることになります。6番目としては、いわゆる公務員の方がここに入り ます。  次の頁です。雇用保険の給付の中の最もメインの部分を占める失業給付(基本手当) の概要を整理したものです。概要としまして、一般被保険者が失業した場合において、 離職の日前2年間に被保険者であった期間が12月ある場合には(倒産、解雇等による離 職の場合は、離職の日前1年間に被保険者であった期間が6月以上ある場合にも)、この 下線を引いている部分は受給資格要件と言われているものです。これに該当する場合に は、4週間に1回、安定所においていわゆる失業認定を行った上で、基本手当が支給され るという枠組になっています。なお、自己都合離職者等については、3カ月間の給付制 限があるというものです。実際の支給額については、「日額×日数」で定められるもの です。基本手当の日額をまず計算するわけですが、離職前の賃金をベースに算出される もので、基本的には離職前賃金の低い方については、給付率が高く、そうでない方は給 付率が低減するというような形の制度設計がされているものです。もう1つ、所定給付 日数ですが、定年退職者等含めまして、離職前から予め再就職の準備ができるような方 に対しては、一般の離職者という形で、90日〜150日の範囲の所定給付日数、倒産・解 雇等の離職者、これはいわゆる特定受給資格者と称しておりますか、これらに対しては 90日〜330日の範囲で、下の表のようなマトリックスで給付日数を整理したものです。  次の頁です。いわゆる受給者実人員の推移についてということで、過去5年、平成20 年の直近までの数字を整理したものです。受給者実人員について、平成15年度は83万人 ということで、平成16、17年は対前年比で減少が続いてきた。18、19年度は減少が1桁 ぐらいの水準で、平成19年4月以降は、月別で整理していますが、いまのところマイナ スになっている月が多いですが、20年度に入ってからは、マイナスの水準もそれほど多 くはない。ちなみに9月は、前年比でいうとプラスになっている状況です。  次の頁です。平成19年改正で議論のあった、育児休業給付の概要を整理した資料です。 育児休業給付は、労働者が育児休業を取得しやすくして、いわゆる職場復帰、これは雇 用継続に資するという意味での、雇用継続給付という全体の枠組の中で、雇用保険制度 として支給をしていくものです。具体的内容としては、支給対象事由、基本的には育児・ 介護休業法の定められた要件を満たす育児休業というものを念頭に、制度設計を組んで おります。労働者は1歳、一定の場合は1歳6ヵ月未満の子を養育するための育児休業を 行う場合に支給する。支給要件としては、休業開始前2年間に、12月以上の賃金の支払 基礎日数があること。給付額ですが、休業開始前賃金の40%が原則です。先ほどご説明 申し上げましたが、休業期間中に30%、これを「育児休業基本給付金」と呼んでおりま す。職場復帰後、6カ月間雇用されたあとに賃金の10%相当額、いわゆる残り分を支給 する。これを「育児休業者職場復帰給付金」と呼んでいます。これが先ほども申し上げ ましたが、先の法改正によりまして、平成19年度から暫定的に20%に引き上げられる。 全体の給付率は休業開始前賃金の50%に相当するとなっております。ただし、これは暫 定措置でございまして、平成22年3月31日までに育児休業を開始した者についての措置 という位置づけです。  次の頁です。ここはご参考までに前回改正のときの国会参議院厚生労働委員会の附帯 決議を付けています。四ということで、「育児休業給付の給付率の引上げについては、 今後、暫定措置期間が終了する平成22年度以降の継続について、その在り方を検討する」 というような内容が、附帯決議で示されています。  続きまして資料No.3の「財政運営関係資料」です。1枚めくっていただきまして、失業 等給付関係の収支状況ということで、平成4年度以降のトレンドを若干中・長期でござ いますが、整理したものです。いちばん右側が平成19年度決算後の状況で、平成19年度 においては、収入、支出、差引剰余、積立金残高をそれぞれ整理しております。積立金 残高としては、4兆9,000億弱というような状況に現在なっています。そこから左側を遡 っていきますと、平成4、5年度の状況として、当時の積立金残高は現在の水準に近いぐ らい存在しました。平成6年度から14年度までですが、差引剰余の欄をまずご覧いただけ ればと思います。▲が9年間連続した形になっております。支出の欄もご覧いただきたい のですが、例えば平成11年度で言うと、支出総額は2兆7,000億以上の規模に達しました。 平成19年度と比較すると、倍近い給付費の差が生じていることによります。また、失業 等給付関係の収支は、平成4年から19年度にかけて、特に不況が長かった、9年間連続赤 字が出たというようなことで、いちばん下の欄の積立金残高に際していいますと、平成 14年度の積立金残高が4,064億円という状況で、いわゆる底をつきかけたというのがつい 数年前の状況です。そこから平成15〜19年という形で、収支が好転をしたというような 流れになっています。  1枚めくっていただきまして、いま口頭でご説明した内容を、受給者実人員との関係 と合わせて、グラフで整理した資料です。図解するとわかりやすいのですが、受給者の 動向が平成4年から登り調子になって、これは折線グラフですが、平成10年から14年度 にかけて、ピーク時100万人を超える実人員で5年程度続いていました。平成15年度以降 の状況では景気回復などを受けて、実人員は減少してきたと。それと反比例するかのよ うな積立金残高ですが、これは先ほど申し上げたとおりなので説明は省略します。  次の頁です。旧三事業も含めてですが、雇用保険二事業の収支状況です。こちらは予 算、決算の両方を整理したものです。旧三事業ということで、雇用福祉事業が平成18年 度まで存在しましたが、平成19年の制度改正にともないまして、雇用福祉事業を廃止し たということで、現在は二事業として運営しています。支出の関係で言いますと、まず 予算ということで申し上げますと、黄色い欄をご覧いただければと思いますが、平成15 年度の予算が5,770億円、18年度が4,167億円、19年の制度改正で、3,563億円という予 算を組んで、平成20年度の予算額は、3,357億円という形で推移しています。  決算のほうをご覧いただければと思います。決算の赤いところの括弧書きのところで す。これは予算額分の決算と、いわば執行率に相当する割合を整理したものです。平成 15年度の71.5%から年々上昇を続けまして、平成19年度の決算においては9割弱という ことで、年々執行率が高めだと。詳細な説明は省略させていただきますが、雇用保険三 事業の見直しの中で、PDCAサイクルを通じまして、きちんとした管理を行って、効率的 な事業執行に努めた結果もあるのではないかというように認識しています。  次の頁です。雇用保険料率の弾力条項。これは失業等給付、雇用保険二事業をそれぞ れ整理したものです。原則が上のほうに書いてありますが、原則の料率は法律でいま 19.5/1000で、うち失業等給付分が16/1000。これは労使折半ということです。二事業分 については、3.5/1000。これは事業主のみ負担ということです。これが原則ですが、財 政状況に照らして一定の要件を満たす場合は、雇用保険料率を大臣が法改正を要せずに 引下げが可能。これがいわゆる弾力条項という仕組みです。  具体的に弾力条項の中身が2つ分かれておりまして、給付のほうの弾力条項について は、計算式としては分母が失業等給付費の単年度の水準と、分子のほうに積立金の残高 プラス当該年度の差引剰余という形で整理をして、この計算に則って2倍を超える場合 には、保険料率は引下げが可能と。これは「できる規定」ということでございまして、 12/1000まで引き下げることができるというのが現行の枠組です。なお、平成18年度の 決算額による計算では、この弾力の式に当てはめた数値が4.37。これに基づいて平成20 年度の保険料率を12/1000まで引下げを既に行っているということです。先ほどご説明 した収支の中で、平成19年度決算額により計算しますと、4.52という状況でございし て、平成21年度の保険料率について、12/1000まで引き下げることが可能であるという 状況になっています。  雇用保険二事業の弾力条項については、分母が二事業に係る保険料収入、分子が雇用 安定資金の残高ということで、1.5倍を超える場合には、保険料率を原則3.5/1000〜3/1000 まで引き下げる。これは、「もの」という規定になっていまして、「できる規定」では ございません。18年度決算額による計算では1.72、平成20年度の保険料率は3/1000まで 引下げと。19年度決算額による計算では1.95、平成21年度の保険料率について、3/1000 まで引き下げることが必要であるというような状況になっているということです。  これが現状でございますが、次の頁です。先ほど職業安定局長のほうからの挨拶にも 少し触れさせていただきましたが、10月30日、新たな経済対策に関する政府・与党会議、 経済対策閣僚会議合同会議というクレジットでいわゆる追加経済対策、「生活対策」と 称されるものが決定をしています。その中で、「家計緊急支援対策」という位置づけで、 雇用保険料率についての記述がありますので、紹介させていただきます。勤労者の生活 ・消費を支える「賃金引上げ」の環境づくりを進める。そのため、国民負担軽減の観点 から、積立金残高の状況を踏まえ、セーフティネット機能の強化と併せて、「雇用保険 料引下げ」等へ向けた取組を進める、ということです。  具体的施策としては、1点目は経済界に対する賃金引上げの要請、2点目として雇用保 険の保険料引下げ等に向けた取組としまして、具体的な中身ですが、雇用保険の保険料 については、平成21年度の1年間に限り、0.4%の範囲内の幅(現行1.2%)で引き下げ ることについて、セーフティネット機能の強化等と併せ、関係審議会において労使と十 分協議した上で検討、結論、ということです。現行1.2%と記述されておりますのは、 先ほどの頁でご説明した弾力条項に基づいて目一杯保険料を引き下げられる、いわば平 成20年度の保険料率がそのままになるわけですが、その形が現行1.2%の水準です。現 行の1.2%を超えてさらに引き下げるということについては、法律改正が必要であると いうようなことです。  この0.4%の範囲内の幅で引き下げることについてという形で、生活対策として取り まとめられたということを受けまして、いわゆる失業等給付の財政収支について、一定 の前提をおいて試算をした資料が次の頁です。これは支出の実績がどう推移していくか ということをベースとして、ケースAからケースCまでのパターンに場合分けをしていま す。保険料率については、平成21年度の1年間に関して、4/1000の範囲内の幅で引き下 げる場合として2つのケースです。1.0まで引き下げた場合と、0.8まで引き下げた場合。 それぞれケースA-1、A-2にB-1、B-2、C-1、C-2という形で整理をしています。その他の 部分については先ほど申し上げた、現在の法定料率や弾力条項の枠組がそのまま存在す ることを前提に、22年度以降の収支影響などを整理したものです。  ケースAです。これは支出が過去5カ年平均ということで、平成15年度から19年度まで の平均で推移するケース。これはいわば平成15年度以降、雇用情勢の回復局面がある、 その給付水準のベースとして推移した場合を仮定してどうなるかというものを試算した ものです。  2枚めくっていただきまして、ケースA-1は、支出が過去5カ年平均で推移した場合、 支出については21年度以降は1兆7,000億強で、5年間推移すると仮定したものです。平 成21年度のみ保険料を1.0%に引き下げた場合、当然単年度の収入はここでマイナスに なってくるということです。22年度以降は、現行の枠組に移る。現行の枠組に移ると、 弾力条項の範囲内で保険料を1.2%まで引き下げられるので、それができるかという判 断を受けて、1.2%まで保険料を引き下げたという形で、平成25年度まで推移するとい う場合に関して整理したものです。結論から申し上げますと、この場合では、差引剰余 としてすべてプラスが生じているということです。  ケースA-2ということで、同じ支出の水準ですが、これは平成21年度単年度として保 険料率を0.8%に引き下げて、22年度以降はいまの制度に戻すということを前提としたも のでございます。ケースA-1との違いは、平成21年度の差引剰余で、赤が出る、22年度 以降は差引剰余黒字になるということで、財政運営的に支障が生ずるものではないとい うものです。  ケースBですが、支出は過去最悪状況で、先ほどご紹介申し上げましたけれども、平 成11年度の実績で仮に平成21年度から推移した、いわば最悪ケースとして想定したもの です。ケースB-1が11頁にありますが、支出の水準をご覧いただくと、平成21年度から2 兆7,000億円以上の支出が生じるという形になっておりまして、保険料収入との比較で 言うと、当然ながら赤字が生じるというものです。平成21年度はまず1.0%に引き下げ た場合、これは21年度で8,700億円程度の赤字が生じるということで、平成22年度以降、 元の制度に戻ることを前提としますと、先ほどもご紹介しましたが、平成21年度の単独 倍率が2倍を超えた場合は12/1000まで引き下げることができるという枠組に戻るという ことになりますと、2倍の要件は満たさなくなるということで、平成23年度以降の保険 料率は、法定料率の水準に戻って推移して、何とか財政の上では確保できるというよう な枠組です。  次の頁がケースB-2です。同じく、支出の過去最悪状況の水準です。保険料を平成21 年度0.8%に引き下げたケースです。平成21年度では、単年度で1兆円以上の赤字が生じ るというものです。保険料率を平成23年度から法定料率に戻るというようなことが前提 となった上で、23年度以降も赤字の状況が続いて、ぎりぎりの財政運営になっていると いうような状況は変わらないということです。  続きましてケースCです。ケースA、Bがいわば支出を若干固定した形での推移ですが、 ケースCは支出が現状から悪化して、過去最悪水準に推移するということを念頭におい た試算を示したものです。したがいまして、どの支出水準かということは申し上げにく いのですが、過去の給付実績などの伸び率を参考に、給付が伸びた場合を念頭に作って いるものです。これについてケースC-1は保険料率を1.0%に引き下げた場合でございま して、22年度以降が原則に戻って、弾力条項の運用を行いながら、保険を運営していく ということを前提とすると、だんだん悪化するケースということで、25年度に過去最悪 水準に至ると、その段階で保険料率が弾力倍率2倍を切るということを前提に、保険料 率が25年度において、法定料率に戻るというようなことです。  ケースC-2です。これは同様に支出水準が現状から悪化して、過去最悪水準に至ったと いうケースです。平成21年度で0.8%に保険料率を下げた場合ですが、財政悪化のスピー ドは若干早いということで、同様に平成25年度において、過去最悪の支出水準に至る状 況において、保険料率が1.6%、法定料率に戻るというような形で整理しているものです。  ケースとしては3パターンで便宜的に整理したものですが、もちろんこれ以外に前提 をおく限り、無限の可能性が想定されます。これは雇用失業情勢が今後どうなるかによ って、当然振れ幅が出てくるものですので、この3パターンをもって、どうというもの ではありませんが、ただ今後の景気動向や雇用失業情勢を含めまして、現状で推移する 楽観ケースから、過去最悪水準で推移する悲観ケースまで含めて、1つの参考資料とし まして、提示させていただいたものです。  資料No.4です。「雇用保険制度に係る論点について」です。1枚紙で整理をしているも のです。当面の優先課題とその他ということで整理をしたものです。大きく分けてこの 2つに整理して、今後論点を詰めていってはどうかという形で整理をしています。当面 の優先課題としまして、セーフティネット機能の強化等ということで、給付の見直し、 失業情勢などの状況も踏まえまして、今後想定される離職者の増加等に備えて、セーフ ティネットに万全を期す観点から給付の見直しについて議論してはどうか。2番目とし て適用範囲、雇用のセーフティネットとしてカバーする労働者の範囲の見直しについて 議論してはどうか。3番目、育児休業給付の見直し、これは先ほど申し上げました、平 成22年3月という法定の期限が迫っていることも踏まえて、育児休業給付の暫定措置の あり方について提言してはどうかという点です。  2点目としては、雇用保険料率について、先ほども生活対策の文脈で申し上げたとこ ろですが、平成21年度の失業等給付に係る雇用保険料率について、生活対策におきまし て、平成21年度の1年間に限り0.4%までの幅(現行1.2%)で引き下げることについ て検討、結論を得る、という流れも踏まえまして、来年度の保険料率をどうするかとい う議論を行ってはどうかと。同時に、平成21年度の雇用保険二事業に係る雇用保険料率 についてはどうするかということです。これらは来年度の料率に関わる事項ということ で、共通したものです。これらセーフティネット機能の強化と雇用保険料率の関係をセ ットで当面の優先課題としてご議論いただいてはどうかということで、ご提示させてい ただいています。  大きなII番のその他としまして、最初のほうの資料でご説明申し上げた、雇用保険部 会の報告につきましては、ここで掲げた事項以外にも多岐にわたるご指摘をいただいて います。当然「今後の課題」として指摘された事項について、当面の優先課題を一定の 整備をした段階で引き続き議論を行ってはどうかというものです。以下、参考資料です。 ご参照いただければと存じます。資料の説明は以上です。 ○清家部会長 ありがとうございました。  ただいま事務局から説明のあった資料を参考に、今後、論点の各項目について議論を 進めていきたいと考えますが、本日の所はただいまの説明をもとに、全般的に幅広く、 忌憚のないご意見を頂戴できればと思います。どなたからでもどうぞ、ご自由にご発言 ください。案田委員、どうぞ。 ○案田委員 弾力条項の中で、±4パーミルとありますが、マイナスの4については、弾 力倍率について2で切った場合ということですが、プラスの所は何か基準とかそういう ものがあるのか、お答えください。 ○坂口雇用保険課長 失礼申し上げました。資料3の4頁に、先ほど説明した弾力条項の 数値が書いてありまして、恐縮ですが、実はこれは下げるほうだけをピックアップして います。失業等給付にかかる弾力条項につきましては、ここにあるように、2倍を超え た倍率の場合は4/1000引き下げることが可能なわけですが、逆に1倍を切った場合は4/ 1000まで引き上げることが可能となっております。資料上、昨今の積立金の状況から見 て、下げるケースだけを提示して恐縮ですが、内容的には、法律上そのような状況にな っております。 ○清家部会長 よろしいですか。他にご意見、ご質問等はございますか。 ○平田委員 2点質問があるのですが。論点の前に資料2でございます。まず2頁目、適 用基準の所のちょうど真ん中の箱の所で、「1年以上の雇用が見込まれる」かどうかと いうことで、Yes, Noとあるのですが、ここの所をもう少し、どういう判断なのかを教 えていただきたい。それからもう1点、これも基本的な点ですが、3頁目の上から4行目 の所で、「4週間に1回、失業状態にあることの認定」と書いてあります。昨今、職業紹 介と雇用保険は一体だと言われていますが、認定の仕組みをもう少し具体的に教えてい ただければと思います。以上、2点です。 ○清家部会長 では、事務局からお答えいただきます。 ○坂口雇用保険課長 まず資料2の2頁の、1年以上の雇用見込みという点でございます。 これは先ほども説明したように、雇用保険の制度の中で、特に短期雇用というか、20時 間以上40時間未満の労働者についての雇用保険の適用を位置づけているものですが、雇 用保険の場合は、自らの労働によって賃金を得て生計を維持している労働者の方に対し て、失業している場合に必要な給付を行うという、いわばそういう形の保険対象を基本 としつつ、適用対象ということを考えていまして、ここでいう、1年以上の雇用見込みと いう形については、そういった趣旨から範囲を考えているわけです。具体的にいうと、 例えば、短期の契約であっても更新規定が設けられているとか、同様の雇用契約をして いる方の過去の実績から1年以上の雇用見込みがあるケースについては、1年以上の雇用 見込みがあるという形で、一般被保険者として扱うというような取扱いをしております。  それから、3頁の失業の認定という問題ですが、これはまさしく失業給付制度の根幹 でございます。雇用保険法でいう失業というのは、労働する意欲等があるにも関わらず、 仕事を探しても得られない、就職ができない方について給付を行うことでして、内心の 意図に関わる問題ではありますが、ハローワークで失業状態にあるかどうかを認定する わけです。いま平田委員からも照会がありましたが、私どもとしては、ハローワークに おいて求職活動をされている労働者の方等の状況も含めて、先ほど申し上げたような、 真に失業状態にあるかどうかについては、求職活動を行っているかということについて、 厳格に判断をした上で失業状態の認定を行うことを取り扱っているわけです。具体的に は、4週間に1度、公共職業安定所、ハローワークに出頭していただいて、私どもの給付 担当窓口で個別に相対で面談をして、その4週間でどのような求職活動をされたかを申 告していただいて、その状況を聴取した上で失業の認定を行うという取扱いをするわけ で、職業紹介相談とも一体となった形での厳格な運用ということに務めている状況です。 ○平田委員 「面談を受けて」という所ですが、面談を受けて、実態を把握して、それ で決めるということで、客観的に外形標準的なものがあるわけではないと、個別に判断 するという理解でよろしいのですか。 ○坂口雇用保険課長 そこは最終的に外形的なものというわけではないのですが、具体 的には、求職活動を行った実績状況等については、いつの時点でどのような会社の面接 を受けに行ったとか、そういうものを自己的に申告していただくわけですし、失業給付 等については、偽った取扱いをされるようなケースであれば、いろいろな形での不正受 給の処分ということも含めて対応していくことになります。 ○清家部会長 他にご質問、ご意見はございますか。 ○青山委員 ちょっと教えていただきたいのですが。資料2の5頁、「育児休業給付の概 要」の所ですが、改正後の内容で、平成19年3月31日から22年3月31日までは暫定的に20 %引き上げられ云々と。参議院の厚生労働委員会の附帯決議があります。私も承知して いないのですが、教えていただきたいと思います。この背景はどういう理由でこうなっ ているのか、この当時の話を教えていただければ大変有難いです。 ○清家部会長 では、事務局からお答えいただきます。 ○坂口雇用保険課長 これについては前回の改正の部会の中でも、最終段階でいろいろ ご議論の中に入ってきたので、私どもも承知しております。参考資料No.2の部会報告の前 文、4頁の下の段で、2の「失業等給付」の(4)で「育児・介護休業給付」という項目があ ります。平成19年1月9日に最終的な部会報告をまとめていただいたのですが、この際に も育児休業給付については、「制度創設以来、育児休業の取得を促進する重要な施策と して位置づけられていることから」と書かれています。私ども雇用保険部会のみならず、 ここにも書いてあるように、ここ数年の状況の中で、少子化対策についての議論がいろ いろな形で行われている状況にあったわけでして、少子化に向けての対策プランも講じ ながらということについて、政府全体とも取組みを議論していたところです。  そういった中で、当部会の中でも、育児休業の促進というか、育児休業給付について どのように考えるかは、雇用保険制度の中で考えるか否かという問題も議論したのです が、ここにあるような形での、制度創設以来の育児休業取得の重要な施策という中で、 そのような少子化対策を強化していく状況の中では、現在の給付率を暫定的に50%の水 準に引き上げるのも必要ではないかと。部会の報告の中でも、雇用保険制度として最大 限の対応を図ることはやむを得ないと、このような報告を受けた上で、雇用保険法の改 正案を立案するにあたり、暫定的な給付率を定めて、国会に諮って成立に至ったという 状況でございます。 ○清家部会長 他にご質問、ご意見はございますか。 ○長谷川委員 資料4のIの1、セーフティネット機能の強化等について教えていただき たいのですが。この間の雇用保険の改正が平成12年と平成15年に行われたと思います。 次回でもいいのですが、平成12年改正の内容と平成15年改正の内容を教えていただきた いのです。それから、いま非正規労働者の雇止めとか、派遣でいうと契約打切りが起き ているのですが、これらの労働者が雇用保険でカバーされているのかどうかを聞きたい のです。  私どもの所に労働相談に来る事例を見ていると、非正規労働者が雇止めされたり契約 打ち切りされたときに、雇用保険から漏れているのではないかと思うのですが、それは なぜか。おそらく制度に欠陥があるのではないか。平成12年、15年のときの改正、いろ いろなことをやっているので、それで漏れているのか、それともそもそもいまの制度設 計の中で漏れているのか、お聞かせいただきたいのですが。 ○坂口雇用保険課長 長谷川委員の1点目のご質問ですが、平成12年、15年の改正の内 容ですが、平成12年の制度改正、これは平成13年4月から施行されています。この当時 も先ほどの収支状況等の中でもありましたように、毎年度の差引剰余が赤字になるとい う状況の中での改正でして、言ってみると雇用情勢そのものも完全失業率が5%半ばか ら5%に向かってという状況で、非常に厳しい雇用失業情勢であったということです。 そういった中で給付の体系について、特に中高年層を中心にいろいろ雇用調整が行われ ていたということで、そういった中高年齢層のリストラへの給付の重点化を図るという 観点での見直しを実施した、というものが平成12年改正です。  具体的には、資料No.2の給付の関係の中で3頁ですが、「失業給付(基本手当)の概要」 の先ほどの説明の中で、給付日数を(イ)の「倒産、解雇等による離職者」の方と(ロ) の「一般の離職者」の方という形で区分をしています。こういう形で従前の離職理由を 問わなかった所定給付日数の体系について、倒産、解雇等による離職者の方と一般の離 職者の2つの種類に分けたのが大きな改正でして、就職支援の再就職予測が不可能だった 方についての支援の緊要度が高い方に給付の重点化を図った改正が、平成12年の改正で す。  また、平成15年の改正ですが、こちらも引き続き非常に厳しい雇用情勢が続いていた、 失業率5%を超えた状況の中での改正でして、こちらにつきましても早期再就職の促進、 多様な働き方への対応を図る観点からの見直しを行ったということです。  具体的には、これは参考資料のNo.1の2頁に「失業等給付の概要」の(1)で「基本手 当」があり、基本手当の日額、給付日数等を規定しています。基本手当の日額について、 再就職時賃金を上回るというような、再就職時の賃金と失業等給付の日額の逆点現象が 起きているという高い賃金層の方についての給付率、日額の上限額の見直しを行ったの が1点です。そこにある高い給付率の、特に原則50%があって50〜80%という形になっ ています。従前はここが60%という形になっていましたが、そういったものを改める、 あるいは日額の上限額を年齢の高い層を中心に引き下げるという形の改正を行った点が 1点です。  また、所定給付日数についても見直しを行っていまして、1点は、従前、通常の労働 者とパートタイムの労働者の方の所定給付日数を別々に作っていたのですが、その所定 給付日数の統一をしたという改正の内容があります。従前は、パートタイムの短時間労 働被保険者の方の所定給付日数について、一般の被保険者の方に比べて短い給付日数を 定めていたのですが、それを統一したということがあります。  また、自己都合離職者等についての給付日数については削減、倒産・解雇等の離職者 の方については維持または一部について拡充という形で、全体の12年の給付の重点化を 引き続き継承する形での見直しを行ったのが、平成15年の改正の内容です。  2点目のご質問のいろいろセーフティネットとしての漏れ等があるのではないかとい うご指摘です。私どもとしても、1点は雇用保険の適用の関係で、資料No.2の2頁でも平 田委員からもご質問がありましたが、一般被保険者についての適用基準を設けながら取 扱いをしているということです。この点については基本的な考えに則るとともに、雇用 保険については被保険者になって適用になることになりますと、労使の方がそろってそ れぞれ折半での保険料を納めていただくことがありますので、そういった負担と適用後 の失業された場合の給付との兼合いも含めて、いまかような形での適用基準を設けてい るのですが、場合によっては適用基準上適用されない方との関係での雇用調整局面につ いて長谷川委員のお耳に入っている状況があるのかもしれないということはあります。 私どもとしてはいまの状況の中ではかような部分が具体的に断定的に申し上げられる状 況ではないですが、適用の問題についてはそういった問題があり得るのかということで 考えています。 ○長谷川委員 結局、資料2の2頁の「1年以上の雇用が見込まれる」という適用基準に 引っかかって適用にならない人たちが発生していると、これが第1の問題だと思うので す。給付の内容で言うと、資料2の3頁の失業給付(基本手当)で、給付日数が「倒産、 解雇等による離職者」「一般の離職者」となるわけですが、「倒産、解雇等による離 職者」に、例えば雇止めはどちらに入るのかという問題があります。いま雇止めが頻 繁に行われているわけです。そのような状況にも関わらず、雇止めの人たちが「倒産、 解雇等による離職者」でないと、給付されるまでの期間の長さや、給与日数について、 十分なカバーがなされてないということになる。  1999年のときに非正規労働者の占める比率が25%ぐらいで、現在35%いるわけですが、 この間10%ぐらいは正規労働者から非正規労働者にシフトしているわけです。いまのよ うに景気が悪い中で、請負労働者、派遣労働者の雇止めなどが起きているわけですが、 結局はこうした非正規労働者が1年以上の雇用の見込みがない、あるいは、「倒産、解 雇等による離職者」でないために雇用保険のセーフティネットから漏れているのだと思 うのです。本日のテーマが「セーフティネット機能の強化等について」であれば、今日 の雇用失業情勢に対して雇用保険がセーフティネットとして機能するためには、そこか ら漏れている人たちを救済することが必要ではないかと思います。  今日の資料は、まだ頭がきれいに整理されてないのですが、もう少しこの所を整理し て、どこの見直しをするのかをきっちりと整理することが必要ではないか。いまの課長 のご説明にあったように、これまで給付日数もそういう形で短縮してきたわけですし、 給付率、日額の上限枠なども変えてきたわけです。これでいいのかどうかは、本当に一 度ここで検討する必要があるのではないかと思います。 ○坂口雇用保険課長 いま長谷川委員がご指摘になりました資料No.2の3頁の「基本手当 の概要」のいちばん上の下線の部分につきましては、このような形で離職前の2年間に 被保険者であった期間が12月以上を原則として、倒産・解雇の場合は1年で6月というの は、実は平成12年・15年改正のあとの平成19年の前回の改正の内容です。これは平成15 年の改正で通常労働者とパートタイム労働者の所定給付日数の統一を図ったのですが、 基本手当の受給資格要件につきましてもパートタイム労働者と通常の労働者の要件を統 一しようということで、当部会でもご議論いただいて行った内容です。  発想的には、循環的な給付であったり、安易な離職を予防する形での観点から、この ような見直しをしたわけです。先ほどもご指摘があったように、特定の範囲の問題、こ れも前回、昨年一度、省令の見直しも行っていただいたわけですが、そういった問題で ありましたり、倒産・解雇等の離職の場合の6月とそれ以外の12月というケースについ ての考え方をどう考えていくかは、前回の改正の趣旨も踏まえつつということではあり ましょうが、議論の題材かということでも考えるところです。  給付の平成12年・15年改正全体像については、そういった点についてもセーフティネ ットの有り様についての議論の中でご議論いただくことかと思います。先ほどもご説明 したように、全体としてはそういう給付を、本来、失業という事故に対しての給付を行 う事業としての必要性という観点からの重点化という思想も含めて、平成12年・15年改 正も行った趣旨も含めてのご議論も併せてお願いを申し上げたいということです。 ○長谷川委員 今日の議論はとてもしにくくて嫌なのですが、2の保険料率の問題はあ とで話すことにします。いま、例えば保険料率を下げるのだったら、給付内容の充実を 図ることだと思うのです。あたかも保険料率を下げることが、労働者にとっても、使用 者にとってもいいみたいに書いてありますが、でも現実に雇用保険から漏れる人たちが 出てきている、給付内容がこれでいいのかということに対しては問題があるわけで、ま ずは保険料率ありきではなくて、保険料率を下げることよりも、給付の内容などそうい う見直しをやることのほうがずっと必要ではないかと思っています。保険料率の話はも っと別にあるので、あとで申し上げたいと思います。 ○坂口雇用保険課長 料率の問題は後ほどということですので、省かせていただきます。 その点については、私どもも先ほど来ご紹介している10月30日の生活対策の中でも、今 回のご議論もセーフティネット機能の強化と併せてご議論いただきたいことですし、本 日お示しした資料No.4の論点につきましても、当面の優先課題ということでは、いの一 番としてもセーフティネット機能の強化ということも含めてご議論いただきたいことで す。今日の段階ではこういう粗い形での論点のお示しの仕方ですが、先ほど来のご指摘 であったり、いろいろな局面でお伺いしている内容等も踏まえて、もう少しご議論に供 する資料も作成してまいりたいと思います。 ○栗田委員 1つわからないので教えてください。いま長谷川委員が言われたのですが、 カバーする労働者の範囲の見直しについてということで言われているのですが、派遣労 働者の中で特に登録型で働いていて、しかも3カ月、6カ月という臨時的・一時的という 扱いの中で、かなりの期間、1年を超えて、2年を超えてなどという働き方を繰り返して いる働き方をしている人が、実際には雇用保険の対象になっていない。そこである日突 然契約打ち切りとなったときに、1年、2年、あるいは3年にもなって長期に登録型で働 いている方がいて、実際にその人が雇用保険の対象外になっているのです。そういう人 たちをカバーすることは、いまの雇用保険の中でできているのですか、それともできな いのですか、そこを少しお伺いしたいと思います。 ○坂口雇用保険課長 派遣労働者の方についても、先ほど来申し上げている20時間以上 であったり、1年以上の雇用見込みの要件があるわけですが、いま委員のご指摘があり ましたように、派遣の場合は派遣元と雇用契約の間隔が生じることもありますので、派 遣労働者の関係については従前よりそういう間隔が比較的短くて、その状態が継続して 1年以上続くケース、まさしくいまおっしゃったケースだと思うのですが、そういった ケースについては適用されます。例えば、雇用契約期間が2カ月以上のものの派遣が1カ 月以内で切れてしまったりして、また繰り返して2カ月という形でも、それはつなげて 全体として見るという形で行っていますので、私どもとしては、どちらかというと派遣 は適用はされていると申しますか、されやすい形にはなっていると思っています。  ただ、いま委員がおっしゃった形で現実にそういう適用から外れてしまっている労働 者の方がおられれば、もちろん我々はいろいろな形で周知にも努めています。事業主が 実際上、雇用保険の被保険者資格の取得の届出をしていただく形にはなるわけですが、 ご指摘のようなケースであれば、労働者の方から被保険者となっている形のことを、私 どものハローワークに確認の請求をしていただければ、手続等も当然行えることもあり ますので、そういった点については、引き続き我々としては周知もしっかり行っていき たいと思っています。 ○栗田委員 私の所の労働相談に入ってくる情報の中では実態としてそういう事例が非 常に多くて、実際の派遣元が雇用保険料を取ってないというケースがあって、故意であ るのかどうかわからないですが、「それは雇用保険の対象ではないから」という一言で 終わっているケースがまま見られていて、そのケースの苦情がいまいちばん多い案件だ と思っています。 ○坂口雇用保険課長 そこは私どもも、いろいろな形で労働局の需給調整担当部門とも よく連携を取りながら、そういった形での労働保険の適用が漏れることのないように、 しっかり指導周知に努めたいと思っています。 ○三木委員 関連して、例えば2年間で1年以上派遣労働をした方を含めて、そうした人 たちがどのぐらいいて、それが実際に雇用保険に入っているのはどのぐらいか、これも データはありますか。それは雇用形態別の所も含めて、できればデータを出していただ きながら、そこに対する問題がどこにある、何があるのか。経営者が保険料を負担した くないという状況の中でそういう点が生じているのかどうか、ほかの別の要因があるの か。日雇いの雇用保険の関係でいきますと、昨年9月に運用が変わりましたよね。そう いう意味で日雇派遣の方たちもそうした給付、加入給付ができるという状況になったに も関わらず、実際はそれほど入ってないというマスコミの報道もあるわけですが、現実 にそこのところはいったい何が問題になっているのか。いま、いちばん雇用を切られて いるのはそこの辺の人たちだと思うので、いちばん困窮化している状況もあるわけです。 その辺の手立ても含めてきちんとやってみる必要があるのではないかという気がします。 そういう意味でのデータ等がありましたら、是非出していただければと思っています。 ○澤口雇用保険課長補佐 派遣の適用状況ですが、我々として詳細に把握はしてないの です。平成17年に需給担当でやっている調査ですが、「労働力需給調整についてのアン ケート調査」ということで、派遣労働者の方に調査をしたところ、雇用保険については 88.7%ほど加入をしているという調査にはなっているのですが、まだ派遣元事業主で十 分手続がされてない状況があるのも実態だと思っています。先ほど坂口課長から申し上 げたように、我々もきちんと派遣労働者の方に適用要件を知ってもらって、「私は適用 すべきではないか」と言ってもらうことも含めて、周知等がまだ必要だと思っています。  2点目にお話がありました日雇派遣の関係ですが、日雇保険制度を適用するというこ とでやっているわけですが、9月末現在で実際に日雇派遣の方で日雇手帳を取られた方 が4件、実際に給付を受けられた方が1名という状況です。これも我々もずっと周知活動 をしているわけですが、1つ問題意識として持っているのは、我々は派遣元事業主を指 導するわけですが、派遣元から本人にうまく伝わってない面があるのではないかと思っ ていまして、こちらも引き続き指導なり周知をいろいろ工夫しながらやっていかなくて はいけないのかと。例えば、携帯で配信をしてもらうなど、そういう形で日雇派遣労働 者の方に行き渡るように工夫もしなくてはいけないのかという問題意識も持っています ので、またその辺は取り組んでいきたいと思っています。 ○長谷川委員 いま派遣の話になってきたので、今日まで私の所に持ち込まれた相談も、 派遣の雇用保険の適用状況はどうなっているのか、どうも雇用保険に加入してないとい った事例がいっぱいある。本日の夕刻にも、困っているので、こうした案件に対する対 策を考えてくれという相談が、連合静岡から持ち込まれてきています。今日、こういう 審議会があるので、厚労省が早急に実態を把握するなりどう対策をするのかは聞いてみ ましょうとしてきたのです。先ほども申し上げたように、今回の雇用調整は派遣と契約 社員が中心です。連合静岡から来た労働相談は東海地方のグローバル産業、製造業、も のづくりの世界でやってきた所で、いま雇用調整をやっているというものです。そこで 派遣、請負、有期契約労働者の人たちの雇用が切られているのですが、そのような労働 相談がずっと舞い込んできていますが、雇用保険には入っていない、何もないで、いま 私どもも地方ですごく混乱しているのです。本日のところにありましたように、雇用保 険はセーフティネットなわけです。これが機能してないということは大きな問題ですが、 いろいろな労働法体系も政府も、この10年ぐらい非正規労働者へのシフトを後押しして きたわけだから、ここできっちりと何らかの改正をすることが必要ではないかと思いま す。厚労省でも実態調査を早急にやってもらうのと、そういう人たちをどうやってカバ ーできるのか、それは直にきっちりとお示ししていただきたいと思います。 ○坂口雇用保険課長 いまの長谷川委員の点については、我々も現行の制度の周知をし っかりやる中で適用がきっちりされることに努めるのが第1です。現実にも確かにご指 摘のとおり、いまの雇用者の中では非正規労働者と言われる方の割合がここ数年非常に 高まっている状況で、3割という水準になりつつあるということです。今後、そういっ た中でこれだけ雇用情勢が厳しくなっていく状況をどう見ていくかと、私どもも十分考 えながら今回のご議論にも資する材料をご提示したいと思います。また、公労使の皆さ ま方でもそういったものについてのご議論を行っていただければ、私どももまた知恵を 絞ってまいりたいと思っています。 ○岩村委員 いまのことで1点だけ発言させてください。派遣の問題でもいま話題にな った適用の問題ですが、これはすでに社会保険でも非常に問題になっていることでもあ りますし、かつて規制改革会議などとの関係で労災保険で未適用事業が大きいというの が指摘され、かなり問題になった状況もあります。雇用保険もそうですし労災もそうで すが、労働保険も強制適用なので、是非、その基本は行政側としては徹底していただき たい。  先ほど少しお話がありましたが、確かに制度上は個別労働者からの資格の確認請求は あるのですが、派遣の例などを考えたときに、個別労働者が雇用保険の資格請求をやっ ていくのは、特に事業主に対してやるのはまず現実的に無理な話です。それは行政側が 事業者をつかまえて強制適用というスタイルにしないと、実際には動かないことだと思 うのです。その辺は今日のセーフティネットとの議論の関係では、是非、行政側にご努 力をお願いしたいと思います。 ○坂口雇用保険課長 これは岩村委員がおっしゃるとおりで、私の説明も舌足らずでし たが、私どもも先ほど来申し上げている適用という問題については、現在、法令あるい は私どもの考え方として適用しなければいけない方については適用漏れがあってはなら ないことですので、そこについては私どもとしても先ほど来の指導周知をしっかりやっ てまいりたいと思います。また、派遣の関係については、派遣元の指針でもそういった ものについてしっかり謳っていますので、需給調整の担当部署とも連携を取りながらそ この徹底をしっかり図ってまいりたいと思います。 ○長谷川委員 2番目の保険料率の話でもよろしいですか。ここの2に「雇用保険料率に ついて」と書いていまして、「平成21年度の失業給付に係る雇用保険料率について」で 「引き下げることについて」、こう書かれているのですが、政府の雇用対策関係の資料、 「保険料率」「生活対策」を見ると、書き方に理解できない所があるのです。「雇用保 険料率等」と「等」という書き方になっていて、私はこの議論に入りたくないから言い たくないのですが、もし保険料率等を下げることが労使の保険料率だけでなくて国庫負 担も下げる話だったら、私たち労働委員はこの議論に乗れないので、次から参加しない と思っていますので、そこははっきり言っておきたいと思います。  国庫負担を下げるということは、国は雇用対策から手を引くことですから、雇用対策 に対する一般会計の占める割合はタカが知れているわけです。その中で一般会計の中か ら入っているのは、失業給付の国庫負担の所が大きいわけで、それを何か下げる、何か するなどということであれば、我が国の政府はこのように雇用が大変なときに雇用対策 をやらないということの宣言なので、こういう議論には乗れません。従ってもしこの保 険料率の議論をするときに国庫負担も下げるということであれば、労側はこの審議には 臨めないことだけはきちんと申し上げておきたいと思います。 ○坂口雇用保険課長 いまの国庫負担の関係につきましては、前回の平成19年の法改正 のときも労使ギリギリの選択の中で原則の国庫負担率55%にするという形でのご判断を いただいたことです。そもそもの国庫負担の有り様は、政府の経済対策、失業対策と関 係が深いということで、我々としても国庫負担はまさしく政府の責任の一端を担うもの を具現化しているものと考えています。そういった観点につきましては、前回の法改正 に当たっても、国会審議の中でも、厚生労働大臣等も答弁をする形でやっているところ です。私どもは、いろいろなマスコミの報道等の中でもいろいろな政府部内の議論も取 り上げられているわけですが、私どもとしてはいま申し上げた考え方を堅持し、国庫負 担については、いまも平成19年の段階でそのような形でやむなく引き下げられている現 状ではありますが、さらなる削減・廃止については私どもとしても考えていないという ことです。今般、お示しをしている資料No.4の「雇用保険制度に係る論点」につきまし ても、セーフティネットの強化といまのところは雇用保険料率の問題についてのご検討 を、論点としても掲げているということです。 ○長谷川委員 資料No.3の5頁です。「雇用保険の保険料引下げ等」と書いたときに、 「等」は何だろうと。これはこの間のいろいろな動きから見れば、国庫負担だというこ とは誰が見てもわかるわけです。国庫負担を下げることがこの議論と一緒にされるので あれば、それは本当にとてもではないけれども付き合いきれない。だから、いまこれだ け失業率が高まってきて、有効求人倍率も下がっている。現に地方で有期契約労働者、 派遣労働者が雇止めに遭っている。そういう労働相談が来ているときに、雇用保険の給 付内容の見直し、つまりどうやってセーフティネットとしての機能を充実させるかとい う議論が私は保険料率の話よりも重要だと思います。いま積立金がありますから積立金 を使うとすればそういう所に使うべきであって、保険料率を下げることに使うべきでは ないと思います。審議会をズルズル引っ張っていって、最後に国庫負担を下げますなど という議論に私たちを巻き込まないでいただきたいと思います。 ○坂口雇用保険課長 いまの点につきましては、私どもは10月30日の生活対策の中の項 目につきましては、セーフティネットの機能の強化が雇用保険料の引下げとともに議論 されるべき項目と考えています。一部セーフティネットの機能の強化にまたさらに「等」 が付いているのは、私どもとしては、資料No.4にもありましたように育児休業給付であっ たり、短期的にご議論できるかどうかはあったのですが、なかなか難しいかということ で、そこは書いてはありませんが、高齢継続給付の扱いであったりということも含めて ということの気持があったということで、そこの点については私どもとしても考えてい ますので、国庫負担についての私どもの気持はないということです。  もう1点の料率の引下げにつきましては、長谷川委員もご指摘の部分も然りでして、冒 頭に局長の挨拶の中でも申しましたように、本来的な労使の保険者の方々のご負担によ っていざというときのために積み立ててきた積立金ですので、その内容については、本 来、将来の給付の増加であったり、セーフティネットの機能をどう考えるかを、公労使 の皆さんでご議論いただいてどう活用していくかであり、特に雇用情勢等も見渡しなが らということかと存じ上げます。ただ、一方で今般の10月30日の追加経済対策を定めた ことにつきましては、政府としても、全体的にこの金融危機を端緒として景気が相当深 掘りして下がっていく状況の中で、家計を支援していくためには、緊急的に特例的な形 でのいろいろな支援を行う必要があるのではないかということで、その1つとしての雇 用保険料の引き下げを、10月30日の生活対策の文言でいけば、平成21年度の1年間に限 ってこういう形での特例的な扱いでの引き下げについてご議論をいただくことを、この 対策の中では盛り込んだということです。そういった趣旨についてもご理解いただきな がら、この論点の平成21年度の雇用保険料率についてのご議論を是非いただきたいとい うことで、事務局としては考える次第です。 ○平田委員 資料No.4でまた少し戻るのですが、Iの「当面の優先課題」のセーフティ ネット機能の強化で、それぞれ給付の見直し、適用範囲の見直し、育児休業給付の見直 しとある所です。いまの時点でこれだけしかないので、また次回以降いろいろなものが 出てくるのでしょうが、例えば給付の見直しについても、これだけ見るとプラスかマイ ナスかもわからないし、それは行間を読めということかもしれませんが、いま何が問題 になっていて、給付を増やす、伸ばすなどということであればどういった問題が起きて いて、だからそういう対策は必要だと。長谷川委員からもありましたが、前2回の改正 は給付を切ってきた中で、どういう問題があって、対策を打つためにどういう見直しが 必要か。それは客観的な事実、理由が欲しいと思っています。同様に、カバーする範囲 の見直しも範囲を広げるのか減らすのかがわからないですが、現状、どういったことが 問題になっている、問題になりそうだということをきちんと実態を踏まえていただいて、 先ほど岩村委員からもありましたが、現状、ちゃんと適用がないからということがもし かしたらあるかもしれないということであれば、その辺をきちんとつかんでいただいて、 次回以降、資料をお示しいただきたいと思っています。  (3)の「育児休業給付」についても、暫定措置ということで前回見直したところです が、例えばというところで、前回の改正、暫定措置を延ばしていることの効果みたいな ものが見られれば、そういった資料もご提供いただければ、理解が進むのかと思ってい ます。最初の局長のご挨拶の中の「年末までのまとめ」で、最終的に報告書や建議すべ きであるということでまとめるのかもしれませんが、実態はどうなっていて、どこに問 題があって、だからこういうふうに対策を打つべきだと。その最初の所が、いまの時間 的な問題もあってということもあるのでしょうが、資料4ですとなかなか読み取れない ところですので、その点はきちんと次回以降、資料を充実させていただければと思って います。 ○坂口雇用保険課長 いま平田委員がおっしゃったご指摘等については、今日のところ は実は資料No.4は論点という形でお示しをしているだけです。今後の問題としてセーフ ティネットの機能の強化、現状としては、今後、景気・雇用情勢が厳しくなっていく中 で、どのような形で雇用保険のセーフティネットの機能の強化を図っていくかという観 点に立って考えていただく資料を、私どもとしても準備をしたいと思っています。いま ご指摘があった点も含めて、非常にタイトな日程でのご議論をお願いすることですので、 私どもも資料については工夫をし、次回以降にご提出をしたいと思います。 ○清家部会長 ほかに何かご意見、ご質問はありますか。よろしいですか。いま平田委 員からもご意見はありましたように、ここに出ております見直し等については、根拠と なるデータ、論理、それの肉づけを少ししていく必要があると私も思っていますので、 今日、できるだけ委員各位から注文がありましたデータ、資料等については、できるか ぎり幅広く出していただきたいと私からもお願いしておきたいと思います。  以上をもちまして、第38回雇用保険部会を終了します。次回は、本日の議論を踏まえ つつ、事務局で資料をご用意いただき、これらの事項を中心にご議論いただきたいと思 います。日程につきましては、事務局において調整の上各委員にご連絡をお願いします。 なお、本日の署名委員は、雇用主代表平田委員、労働者代表三木委員にお願いします。 委員の皆さまには、お忙しいところどうもありがとうございました。   照会先:厚生労働省職業安定局雇用保険課企画係     03−5253−1111(内線5763)