08/11/07 平成20年度第4回診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会議事録 平成20年度第4回診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会議事録 (1)日時  平成20年11月7日(金)10:00〜12:00 (2)場所  厚生労働省共用第7会議室 (3)出席者 委員:西岡清分科会長、原正道分科会長代理、池上直己委員、        伊藤澄信委員、木下勝之委員、熊本一朗委員、小山信彌委員、        齊藤壽一委員、酒巻哲夫委員、佐藤博委員、嶋森好子委員、        辻村信正委員、難波貞夫委員、松田晋哉委員、山口俊晴委員、        山口直人委員、吉田英機委員、邉見公雄オブザーバー        事務局:佐藤医療課長、宇都宮企画官、他 (4)議題  1 調整係数の廃止に伴う新たな機能評価係数等の検討について        2 その他  (5)議事内容 ○西岡分科会長  ただいまから平成20年度第4回診療報酬調査専門組織(DPC評価分科会)を開催 させていただきます。  それでは、本日の委員の欠席状況ですが、本日は相川委員が御欠席です。また、松田 委員の代理で伏見清秀先生に御出席いただいております。池上委員が少し遅れられると いうことでございますが、間もなくお見えになることと思います。よろしくお願いしま す。  それでは、まず資料の確認をお願いいたします。 ○中田補佐  それでは、資料の確認を事務局からさせていただきます。  まず、議事次第、座席表、委員名簿がございます。資料の1番目といたしまして、小 山委員から御提出いただきました調整係数廃止に伴う提案、資料2、DPC評価分科会 における新たな機能評価係数に係るこれまでの議論の整理、机上のみでございますが、 過去2回分の分科会での資料がございます。  以上でございます。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。資料についてはよろしいでしょうか。  それでは、DPC評価分科会における新たな機能評価係数に係るこれまでの議論の整 理につきまして、事務局より御説明をお願いします。資料D−2でございます。よろし くお願いします。 ○中田補佐  お手元の資料D−2、「DPC評価分科会における新たな機能評価係数に係るこれま での議論の整理」をごらんいただきたいと思います。  パワーポイントのページで申し上げたいと思います。  2ページ目でございます。まず最初に、参考といたしまして、現行のDPC制度につ いてということで、簡単にまとめさせていただいております。  3ページ目でございます。DPC対象病院の定義といたしましては、平成15年3月 28日の閣議決定に基づきまして、急性期入院医療については、平成15年度より特定 機能病院について包括評価を実施する。また、その影響を検証しつつ、出来高払いとの 適切な組み合わせの下に、疾病の特性及び重症度を反映した包括評価の実施に向けて検 討を進めるということでございます。  4ページ目でございますが、急性期の定義といたしましては、昨年度の基本小委、分 科会でも御議論いただきましたが、「急性期とは患者の病態が不安定な状態から、治療 によりある程度安定した状態に至るまで」とする。  5ページ目、6ページ目につきましては、DPCにおける調整係数の議論の経緯を簡 単にまとめさせていただいております。  冒頭の平成18年2月15日の中医協総会におきまして、医療機関別に調整係数を設 定する制度については、DPC制度の円滑導入という観点から設定されているものであ ることを踏まえ、DPC制度を導入した平成15年以降5年間の改定においては維持す ることとする。それに基づきまして、中医協の答申附帯意見においては、調整係数の取 り扱いなど、適切な算定ルールの構築について検討を行うこととしております。  それ以降、平成19年5月、8月、11月の基本小委におきまして、調整係数の廃止、 新たな機能評価係数の設定について検討を進めてきたということでございます。  平成20年2月13日の中医協の総会では、DPC制度の在り方や調整係数の廃止に 伴う新たな機能評価係数等について速やかに検討することを取りまとめられております。  7ページ目以降は、現在の医療機関別係数の概要についてまとめたものでございます。  8ページ目でございます。DPCにおける診療報酬の算定方法でございます。現在、 DPC制度で、包括評価部分の点数と出来高評価部分の点数をあわせた評価となってお ります。包括評価部分の点数につきましては、診断群分類ごとの1日当たりの点数を医 療機関別係数と在院日数で掛け合わせたものが包括評価点数となっておりまして、医療 機関別係数の組み合わせにつきましては、機能評価係数と調整係数で構成されています。  9ページ目でございます。こちらは医療機関別係数に関する考え方の模式図でござい ます。医療機関別係数の考え方といたしましては、(A)、こちらは左側の大きな四角 でございます当該医療機関における前年度実績に基づく医療費の合計、これに改定率を 含めましたものを、(B)、機能評価係数による加算や見直し後の診断群分類点数表に よる診療報酬における割合を計算したものが医療機関別係数となっております。  10ページ目でございます。機能評価係数についての考え方でございますが、現在の 機能評価係数につきましては、入院基本料等のうち、当該医療機関に入院するすべての 入院患者に提供される医療で、病院機能に係るものを係数として評価しているところで ございます。具体的には、7対1入院基本料、入院時医学管理加算等の機能評価係数が 現在設定されております。  下の※にございます超急性期脳卒中加算や妊産婦緊急搬送入院加算等は、入院基本料 等加算でありますけれども、一部の入院患者に係るものや地域加算等のように、病院機 能の係るものではないものについては、出来高で別途算定するというルールになってお ります。  11ページ目でございます。先ほど申し上げました現在の機能評価係数の項目につい て、その一覧を表示させていただいています。ここでは、7対1入院基本料をはじめ入 院基本料に係るもの、その他入院基本料等加算に係る部分が、現在、機能評価係数とし て評価されております。  12ページ目でございます。こちらはDPC評価分科会での議論といたしまして、総 論的な部分を事務局でまとめさせていただいたものでございます。  13ページ目でございます。平成19年度までの議論の整理です。  平成19年度の論点につきましては、平成19年11月21日の基本問題小委員会か ら抜粋したものでございますが、1つ目の○にございますとおり、救急、産科、小児科 などの、いわゆる社会的に重要であるが、不採算となりやすい診療科の評価。2つ目の ○でございますが、救急医療体制の整備など、高度な医療を提供できる体制を確保して いることの評価。3つ目の○でございますが、高度な医療を備えることについて、地域 の必要性を踏まえた評価について、新たな機能係数で検討したらどうかということが論 点として上がっておりました。  これに対するこれまでの主な意見といたしましては、1つ目のポツにございます、救 急、産科、小児科等については、既に出来高で評価されていることから、不採算である ならば、出来高での評価を引き上げるべきではないか。2つ目のポツですが、例えば、 救急医療では、患者が来ない場合でも常に受け入れ体制を確保しており、こうした病院 機能全体を評価する観点から、新たな機能評価係数として評価してもよいのではないか と、といった意見があったかと思います。  14ページ目でございます。これ以降は、平成20年度における議論の整理としてま とめたものでございます。これは、支払いを最適化するための方策といったことにつき まして、前々回、松田研究班提出資料でおまとめいただきました、この考え方に沿って 議論の内容をまとめているところでございます。  15ページ目でございます。先ほどおまとめいただいた部分の一番上の部分、変動費 的な部分の議論の整理でございます。こちらの論点といたしまして、変動費的な部分に ついては、診療報酬の見直しにより対応できるのではないかということです。これに対 するこれまでの主な意見といたしましては、1つめのポツですが、出来高の評価が不十 分であるものは、出来高の評価を最適化すべきではないかといった意見でございます。 2つ目のポツですが、1つの診断群分類において、患者の状態等により診療行為のばら つきが生じているものについては、包括範囲の精緻化で対応できるものもあるのではな いかという意見があったかと思います。  16ページ目でございます。先ほどの下の部分、固定費的な部分についての考え方で ございます。ここでの論点といたしましては、固定費的な部分のうち、すべての患者が 負担すべき病院機能や地域医療への貢献度を新たな機能評価係数で評価したらどうかと いうことです。  これに対して、これまでの主な意見といたしましては、1つ目のポツですが、その病 院の特定の機能を利用するなど、一部の患者のみが負担することが適切なものは加算点 数として出来高で評価することが妥当ではないかという意見でございます。また、2つ 目のポツでございますが、その病院を利用する患者全てが等しく負担することが適切な ものは係数で評価するのが妥当ではないかという意見でございます。3つ目のポツとい たしまして、その病院が地域で果たしている機能を評価するという視点も検討する必要 性があるのではないかという意見があったかと思います。  17ページ目、18ページ目でございます。こちらは、今後議論を進めていくに当た りまして、新たな機能評価係数に関する基本的な考え方ということでまとめたものでご ざいます。  1つ目の○でございますが、DPC対象病院は急性期入院医療を担う医療機関である。 新たな機能評価係数を検討する際には、急性期を反映する係数を前提とするべきではな いか。2つ目の○でございますが、DPC導入により医療の透明化・効率化・標準化・ 質の向上等、患者の利点(医療全体の質の向上)が期待できる係数を検討するべきでは ないか。3つ目の○でございますが、DPC対象病院として社会的に求められている機 能・役割を重視するべきではないか。4つ目の○ですが、地域医療への貢献という視点 も検討する必要性があるのではないか。  18ページに続きまして、5つ目の○でございますが、DPCデータを用いて係数と いう連続性のある数値を用いることができるという特徴を生かして、例えば一定の基準 により段階的な評価を行うばかりでなく、連続的な評価の導入についても検討したらど うかということでございます。6つ目の○につきましては、その場合、診療内容に過度 の変容を来さぬよう、係数には上限値を設けるなど考慮が必要ではないか。7つ目の○ でございますが、急性期としてふさわしい機能を評価する観点から、プラスの係数を原 則としてはどうかということをまとめさせていただいております。  19ページ目でございます。これ以降は、DPC評価分科会での議論の各論に係る部 分をまとめたものでございます。  20ページ目につきましては、新たな機能評価係数の検討項目の整理ということで、 こちらも松田研究班の発表でおまとめいただいた整理事項に従いまして議論をまとめて いるところでございます。  21ページ目でございます。まず一番上のプロセスについてでございます。  22ページ目のプロセスについて1−(1)でございます。こちらにつきましては、これ までの検討の内容といたしまして、同じ診断群分類であっても、医療資源の投入量や入 院期間にばらつきが大きいことが示されているのではないかということでございます。 ここで資料の一部を抜粋させていただきましたが、例えば、左側にある入院日数と1入 院当たりの包括範囲診療行為ということで、入院日数と出来高換算点数が右肩上がりの ようにある程度集約している。右側では、入院日数と1日当たりの包括範囲医療行為が 1つの固まりのように密集化しているということで、入院期間における資源投入量、入 院期間の間にばらつきがあるのではないかということの資料でございます。  23ページ目のプロセスについて1−(2)でございます。  こちらは、これまでの検討の中では、例えば、手術症例数が多い場合に平均在院日数 や抗生剤の使用量が一定に集約してくる、標準化・効率化してくる傾向が見られている。 症例数に応じて標準化・効率化が進んでいるのではないかということの資料でございま す。  こちらにつきましても資料の一部を抜粋させていただいております。左側は手術数と 平均在院日数のプロットしたものでございまして、手術数が多くなれば、平均在院日数 は一定のところで集約化しているのではないか。同じように右側のグラフでは、手術数 と抗生剤の使用量ということで、ある程度の集約化が見られてきているのではないかと いうことでございます。  24ページ目のプロセスについて1−(3)でございます。  平成20年度より関係学会等が認めている主要な標準レジメンのうち、特に点数のは らつきの多い短期間の入院に関して点数の違いが明らかなレジメンについては新たに分 岐を設定していることを踏まえ、標準レジメンや診療ガイドラインに基づく診療に対す る評価について検討することはできないかというものでございます。  下にございますのは、1つの例といたしまして、平成20年度から導入しております 大腸の悪性腫瘍に関する標準レジメンによる分岐の例でございます。こちらは、手術・ 処置等2の4番目に書いておりますフルオロウラシル+レボホリナート、カルシウム+ オキサリプラチンありといったものを標準レジメンとして、1つ分岐として評価してい るということでございますが、今後、このような評価についてどのように検討するべき なのかということでございました。  25ページ目でございます。こちらにつきましては、これまでの議論を踏まえまして、 論点として整理させていただいております。プロセスについて2−(1)でございますが、 標準化や効率化が認められる場合、症例数に応じた評価を行うべきか。また、仮に評価 するのであれば、評価の在り方についてどのように考えるかということでございます。  これらにつきましては、議論の中で、メリットとしては、標準的・効率的な医療を評 価できるのではないかということがございましたが、課題といたしまして、1つ目のポ ツでございますが、症例数が少なくても標準的・効率的な医療を提供している場合の評 価についてはどのように考えるのか。2つ目のポツでございますが、症例数とアウトカ ムの関係についての検証が必要ではないか。3つ目のポツでございますが、評価するこ とにより、不必要な医療を助長するおそれがあるのではないかという意見があったかと 思います。  26ページ目のプロセスについて2−(2)でございます。標準レジメンや診療ガイドラ イン等に沿った標準的医療が提供される患者の割合に応じた評価を行うべきか。また、 仮に評価するのであれば、評価の在り方についてどのように考えるかということでござ います。  こちらにつきまして、メリットとしては、標準レジメンや診療ガイドライン等により、 治療効果等の裏づけのある標準的治療の促進が期待されるのではないかという意見があ る一方、課題といたしまして、評価の対象とするべき標準レジメンや診療ガイドライン 等の基準についてどのように考えるのかということがございました。  27ページ目のプロセスについて3でございます。こちらは、平成20年度より療養 担当規則におきまして、後発医薬品の利用に努めることとしているところでございます が、DPC対象病院における後発医薬品の使用促進について、例えばどのように考えて いくべきかということでございます。  ここで、下に示させていただいているグラフにつきましては、平成19年度の分科会 でもお示しさせていただきました薬剤費における後発医薬品の占める割合を金額ベース でございますが、平成15年度DPC対象病院が、例えば16年度、17年度、18年 度と年度が進むにつれまして、後発医薬品の占める割合が上昇傾向にあるということで ございます。  また、下の参考でございますが、こちらは薬価専門部会のほうで提出いたしました後 発医薬品の市場シェアに占める割合でございまして、例えば、平成17年9月であれば 金額ベースで5.9%、平成19年9月であれば6.4%というようなことでございま す。  28ページ目でございます。こちらはケースミックスとパフォーマンスということで ございます。  29ページ目でございます。ケースミックスとパフォーマンスについてということに つきまして、これも以前、松田研究班より御提出いただきました資料を抜粋させていた だいております。  プロット図につきましては、左側に患者構成の指標としての複雑性指数、効率性指数 としての在院日数の指標と、この2つの指標をもとにグラフ化したものでございます。  30ページ目の参考にございます複雑性指数と効率性指数の簡単な模式図をここでも 示させていただいております。  簡単に申し上げますと、患者構成の指標につきましては、各医療機関でのDPCごと の在院日数を全国平均に合わせまして、その患者構成による差を評価するものです。同 じように、平均在院日数の指標につきましては、各医療機関の患者構成を全国平均に合 わせて、DPCごとの在院日数の差を評価するものです。  31ページ目のケースミックスとパフォーマンスについて2−(1)でございます。  複雑性指数及び効率性指数に応じた評価を行うべきか。また、仮に評価するのであれ ば、評価の在り方についてどのように考えるかといったことでございます。  これにつきまして、メリットといたしましては、複雑性指数及び効率性指数について は、病院の総合的な能力及び効率性を評価できるのではないかといった意見がある一方、 効率性指数については、患者を早期転院または退院した場合には、効率性が高まること になるが、患者のアウトカム評価とあわせて検証が必要ではないかといったような課題 があるかと思います。  32ページ目のケースミックスとパフォーマンスについて2−(2)でございます。  難病や特殊な疾患等に対応できる専門性を反映した希少性指数に応じた評価を行うべ きか。また、仮に評価するのであれば、評価の在り方についてどのように考えるのかと いうことでございます。  メリットといたしましては、難病や特殊な疾患等に対応できる専門的医療が行われて いることを評価できるのではないかという意見がある一方、いわゆる専門病院が評価さ れにくいのではないか。また、難病や特殊な疾患が必ずしも高度な医療を必要とするも のではないのではないかといったような意見があったかと思います。  33ページ目の副傷病の程度に応じた評価を行うべきか。また、仮に評価するのであ れば、評価の在り方についてどのように考えるかということでございます。  こちらにつきましては、メリットといたしまして、重症の患者を多く受け入れている 医療機関をより評価できるのではないかという意見があったかと思います。課題につき ましては、診断群分類の分岐を行うことにより、既に副傷病に応じて評価しているので はないか。副傷病の重症度に応じた重みの付け方の方法論が確立しているのか。また、 副傷病に応じた重症度の重みづけをどのように行うのか、評価が複雑になるのではない かといったような課題があるかと思います。  34ページ目につきましては、3番目のストラクチャーについての議論をまとめた部 分でございます。  35ページ目でございます。ストラクチャーのまず1つ目といたしまして、望ましい 5要件に係るものでございます。35ページでは検討の経緯についてまとめたもの、3 6ページについてはその望ましい5要件を参考で示させていただいております。  平成19年度の議論につきましては、望ましい5要件につきましては、DPC対象病 院の基準としてではなく、係数として評価するべきものではないかといったような論点 がございました。  平成20年度の議論におきましては、1つ目の○でございますが、望ましい5要件が、 全体の病院機能を評価できるものなのか検討が必要ではないか。2つ目の○でございま すが、望ましい5要件は既に出来高で評価されている事項であり、病院機能として評価 すれば二重評価になるのではないかといったような御意見があったかと思います。  37ページ目のストラクチャーに係る評価の考え方でございますが、これまでの議論 を踏まえまして、まとめさせていただいております。  まず1つ目の○でございますが、望ましい5要件は、出来高での評価項目であり、こ れを単純に新たな評価機能係数として評価することは二重に評価することになるのでは ないか。2つ目の○といたしまして、5要件にある救命救急入院料については、社会的 必要性や地域医療の確保の観点から、単に出来高で算定していることを基準としない評 価の方法について検討できないか。施設の構造及び人的資源等と医療機関との関連性に つきましては、松田研究班のほうで調査を行っているところと聞いておりますので、そ の調査結果等も踏まえて検討してはどうか。質の高い診療情報の提供に当たっては、病 院側のコストを反映した評価をするべきとの意見もございますが、診療情報の透明化を 図りつつ、患者の医療に還元できる方法等を検討し、その後に評価の在り方について検 討してはどうか。最後でございますが、高度な施設・設備を評価することは必要であり ますが、一方、地域として効率的に医療を提供していく視点も必要であることから、医 療計画等と連動して、地域として適切な施設・設備整備の在り方を考慮することについ て検討してはどうかということでございます。  38ページ目でございます。ここは、一番下の地域での役割につきましてまとめさせ ていただいております。  39ページの地域における病院の役割1−(1)でございます。例えば、医療計画で定め ているように、その地域における医療の必要性を踏まえた病院機能の役割を評価するこ とについてどのように考えるべきか、ということでございます。  40ページ目の地域における病院の役割2−(1)でございます。  医療計画で定める事業において、症例数や医療圏における割合(シェア)に応じた評 価を行うべきか。たま、仮に評価するのであれば、評価の在り方についてどのように考 えるかということでございます。  メリットといたしましては、地域医療への貢献度を評価することができるのではない か。課題といたしまして、医療計画に定める事業のうち、どの分野をどのような指標で 評価すべきか。医療圏におけるシェアで評価する場合、医療圏やシェアの定義をどのよ うにすべきか。また、医療圏によっては症例数が少なくとも高い評価を得ることとなる ことについて、どのように考えるか。医療機能は、一つの医療機関だけで完結するもの ではないため、医療機関間の連携状況についても勘案すべきではないかといった課題が あるかと思います。  41ページ、42ページ目でございます。こちらは、前回、DPCの分科会で松田研 究班からいただきました資料を参考で提示させていただいております。  41ページ目では、4疾病5事業の評価の医療機能評価モデルのイメージ図というこ とでございまして、例えば症例数や占有率での評価があり得るのかどうか、それぞれが んや脳血管、心筋梗塞その他医療計画が定める疾病等についてどのように考えているの かといった模式図でございます。  42ページ目では、これをさらに詳しくデータ分析されたものでございますが、症例 数のシェアと、ここでは10症例という区切りでございますが、10症例以上の病院の パーセンテージといったことで、症例数は少ないけれどもシェアの高いところ、またそ の逆に、シェアは少ないけれども症例数が多いところといったような分布が見られてい るということでございます。  43ページ目につきましても松田研究班で御提出いただいた資料をここに抜粋させて いただきました。こちらは、ある地域における病院の役割をこういった図で示したもの でございまして、ここでは例えば、真ん中にあるMDC06(消化器)で見ると、それ ぞれの医療機関ごとのシェアの割合を判定することができるものです。ほかのMDCで も同様に示すことができます。  44ページ目の地域における病院の役割2−(2)でございます。こちらにつきまして、 地域の救急・小児救急患者及び妊産婦の受け入れ数に応じた評価を行うべきか。また、 仮に評価するのであれば、評価の在り方についてどのように考えるかということでござ います。  メリットといたしましては、地域医療への貢献度を評価することができるのではない か。課題といたしましては、重症度、受け入れ数、これは受け入れ要請数に対する受け 入れ数ということでございますが、診療科に応じた評価も検討する必要があるのかどう かといった課題がございます。  45ページ目でございます。これまでの議論で、各都道府県が定める医療計画におい て、一定の機能を担う医療機関として定められていることを評価すべきか。また、仮に 評価するのであれば、評価の在り方についてどのように考えるかということでございま す。  メリットといたしましては、地域医療への貢献度を評価することができるのではない か。一方、課題といたしまして、一定の機能を担う医療機関は、各都道府県の実情に応 じて定められているものでございますが、一律に評価することができるのか。医療機能 は、一つの医療機関だけで完結するものではないため、医療機関間の連携状況について も勘案すべきではないかといった御意見があるかと思います。  46ページ目でございます。これ以降は、新たな機能評価係数等の検討に係る基本的 な考え方ということでまとめさせていただいております。  47ページ目でございます。新たな医療機関別係数のイメージといたしましては、左 側に現在の医療機関別係数、右側に新しい医療機関別係数のイメージを示しております。 これまである医療機関別係数、例えば入院時医学管理加算、医療安全対策加算等、こう いった係数、出来高を反映した機能係数は現在設定されております。現在はそれらに調 整係数を設定を加えたものを医療機関別係数としておりますが、新たな医療機関別係数 のイメージといたしましては、1つ目の上の機能評価係数は、従前と同じように、出来 高で評価している部分は引き続き出来高を反映した加算点数を設定してはどうか。今御 検討いただいている新たな機能評価係数は、それに加わるものとして、例えば機能評価 係数A・B・Cというもので示されるのではないかということでございます。  48ページ目でございますが、経過措置の考え方でございます。経過措置の考え方に つきましては、まだおまとめいただけていないと思いますが、まず経過措置を置くべき かどうか。仮に置くのであれば、どのような方法が考えられるかといったことをここで 論点として挙げさせていただいております。  下にある図は、経過措置を設ける場合の対応方法として考えられる方策の一例という ことで示させていただいております。  左側の黄色い部分の平成20年につきましては、現行方式での医療機関別係数でござ います。  右側のブルーの平成△△年と書いてあるところが、例えば新方式を導入した場合の医 療機関別係数となっております。平成20年度以降、そもそも経過措置を置くのかどう か、どのような方式でどれくらいの期間をかけるのか、これからの検討課題となるかと 思いますが、20年度以降は現行方式での係数と新方式の係数の割合を変えていくこと によって、経過措置として運用できるのではないかということを一つの例として示させ ていただいております。  また、右下の新方式の下の図のほうでございますが、新たな機能評価係数も、年度を 追って経過措置を考えていくのであれば、新たな機能評価係数も、1回で決めるのでは なく、例えば段階的な導入も考えられ得るのではないかということを示させていただい ております。  以上でございます。 ○西岡分科会長  ありがとうございました。  それでは、続きまして小山委員のほうから、調整係数廃止に伴う提案ということで、 当分科会に対しての御提案をいただいておりますので、小山委員から御説明をお願いし ます。 ○小山委員  よろしくお願いいたします。  ただいま厚生労働省から御説明のあった膨大な資料をもとに作成されました議論の整 理に比べますと、私の提出したのはたった1枚のペラでありますけれども、今、病院の 状況は非常に厳しい状況で運営されている中で、ここに書いてあります3つの団体の中 でDPCの機能係数のことについて検討させていただいております。ここにも書いてあ りますとおり、実はまだ検討段階の最中で、最終的な結論といいますか、各団体の完全 な了解を得て提案しているものではありませんので、あくまでもこれは私の私案という 形でもって今回提出させていただきました。  この私案は、1枚のペラではありますけれども、各病院の現場サイドで実際に今動い ている方々の、切なる叫びというわけではないんですけれども、切なる願いを込めて1 枚にまとめさせていただきましたので、御報告させていただきます。  まず最初の1番の調整係数の段階的削減の提案ということでありますけれども、今、 厚生労働省の最後のスライドのところで、48番目のところに出ておりましたけれども、 初めて経過措置の考え方が具体的にここに示されたわけでありますが、恐らく今までの 議論の中では、2回の改定でゼロに持っていく、いわゆる調整係数をなくすという方向 でどうも検討されているようでありますけれども、今お話ししたように、病院はぎりぎ りのところで運営されている中で、急激な変化は逆に医療崩壊をさらに助長する可能性 があるので、できれば3回ぐらいに分けて、一番最後の図では、現行方式が新方式にす べてとってかわるような書き方をしておりますけれども、果たしてあと1年半あるいは 2年ぐらいの間に、今の調整係数にかわる機能係数すべてがここに出そろうということ は、なかなか考えにくいのでありまして、試行錯誤を繰り返しながら、一番最後にお話 がありました48ページのスライドの右の隅にありますような「段階的導入も検討」と 書いてありますけれども、やはり段階的な導入をしたほうが医療現場にとっては余り混 乱を生じないのではないかということで、せめて3回ぐらいのところで廃止するような 提案をさせていただきました。  それから、2番目の問題でありますけれども、これは調整係数と直接関係はないんで すが、調整係数がなくなるということに対して医療現場は非常に心配しております。  ここで言っているのは、今一番問題なのは、救急医療がなぜ問題かといいますと、D PCの評価というのは、診断がついて初めて評価されるものがDPCだと思うんです。 ところが救急現場では、診断がつかない患者さんに診断をつけるまでの間、そこが最も 資源を投じなきゃならないところなんですね。そこが全く評価されない状況であると。 ある意味、そこのところは今まで調整係数で評価されていたわけですけれども、それが 全くなくなってしまうと、もろに不採算部門に陥ってしまうということで、一つの提案 として、入院して24時間または日にちをまたがる場合には48時間ということになり ますけれども、救急入院に関しては、24時間あるいは48時間出来高に算定するよう な方法を講じてもらえないだろうかということが1つであります。  それから、もう一つは評価の方法なんですけれども、ただ救急をやっているというこ とではなくて、内容まで踏み込んでいただきたいという意見がかなり強く出ました。そ れは、例えば救急病院ですといっても、輪番制でやっている救急病院から24時間36 5日すべての診療科をやっているところまで、非常にさまざまであります。ですので、 救急搬送の患者数とか、時間外とか、休日の緊急入院患者による医療体制の評価をもう 少し細かめにやっていただけないだろうかというふうに考えております。  救急体制ですけれども、今、非常に問題になっている小児とか産科については大変目 が当てられておりますが、この後も述べますけれども、精神科の救急というのも非常に 大きな面を持っておりますので、精神科救急についても小児・産科と同様に評価をして いただきたいというふうに現場からは声が出ております。  それから、3番目の現在の加算定数の見直しの提案も一緒にさせていただきました。  まず1番目の入院基本料の見直しということでありますけれども、これはなぜこのよ うな提案をしたかといいますと、現在の7対1の評価あるいは10対1の評価では、ど うも日本病院会の試算ではマイナスになってしまっているというのが報告されておりま す。つまり現在の点数では賄いきれないということで、ここはもう少し見直してほしい と。さらに場合によっては、病棟ごとの5対1の看護についても検討していただきたい という提案が出ております。  それから、2番目の臨床研修病院の加算についての見直しでありますけれども、これ は1人いても20人いても50人いても全く同じという形での採点ですので、もう少し きめ細かな、ある意味で人数に応じるような加算の考え方はできないだろうかという意 見が大分出ました。  それから、診療録管理体制加算のほうですけれども、これは今、松田班にお出しして いるDPCのデータは、全部ここでいろいろなデータを出しているわけです。これに対 する評価は、全くないと言ってはあれですけれども、今の診療録管理体制加算だけでは、 とてもではないけれども賄いきれるものではないので、ここの加算の見直しもしていた だきたい。  それから、医療安全対策に対する加算の見直しでありますけれども、今後ますます医 療安全対策には力を入れていかなきゃならないというふうに病院は考えておりまして、 今は兼任でありますけれども、専任の医師。看護師さんは大分専任になってきておりま すけれども、専任の医師、専任の看護師、専任の事務員がいるようになってくること。 それからもう一つが、医療安全講習会が今、年2回義務付けられておりますけれども、 この講習会の時間に対してかなりコストがかかる。つまり、この講習を受けている方々 に対しても時間外手当を出さなければならないように指導されておりますので、今の0. 15%では十分対応できないので、ここら辺の加算定数の見直しもお願いしたいという 話であります。これは機能係数の提案とはちょっと外れますけれども、調整係数によっ てある意味少し緩和されていたところがなくなると、もろにこれで出てくるということ で、これが現場からの切なる声として出てまいりました。  最後に、4番目の提案として新たな機能係数の提案ということで、ここから本当のと ころが始まるわけですけれども、人員配置に対する評価をしていただきたいということ が一番大きかったです。これは全診療科の充足及び日・当直の体制の評価ということを していただきたい。つまり、先ほどもお話ししたとおり、同じ救急の中でも質が大分違 う、内容が違うというところがありますので、現在は看護師の人数に対する評価はあり ますけれども、医師に対する評価は、基準はあるんですが、多く配置したから多くの報 酬が得られるという体制ではありませんので、そこら辺のところを十分に評価していた だけないだろうかということであります。  それから、2番目でありますけれども、小児の重症患者だけを入れてありますが、こ こへちょっとつけ加えさせていただければ、産科重症患者あるいは精神科の重症患者の 積極的な受け入れ体制の評価をしていただきたい。特に精神科の場合、ここに入れたの は、現在、自殺する方が年間3万人とも4万人とも言われておりますけれども、ここら 辺の救急の対応に現場で非常に苦労しているというのが現状でありますので、ある意味、 最も採算の合わない診療科でもありますので、ここの評価をちゃんとするような形をと っていただきたい。  それから、3番目としてコメディカルスタッフの配置に対する評価として、コメディ カルとここで言っているのは、薬剤師とか臨床検査技師とか放射線技師などを、夜間で も当直させて体制をとっているところはきめ細かな評価をしていただきたいという意見 が強く出ておりました。  それから、その次は地域支援への貢献度に対する評価でありますけれども、これは先 ほどの4疾病5事業でもありましたとおり、救急病院あるいは地域支援病院、地域中核 病院、それから、今さまざまな拠点病院があります。がんだったり治験だったり災害だ ったりしておりますけれども、こういうものに対しても新たな機能係数としての評価を していただきたいということです。  最後に、これはちょっと異質になるかもしれませんけれども、大学病院係数あるいは 特定機能病院係数というものを少し考えていただけないだろうかと考えております。そ れは救命救急センターであったり、がん診療連携拠点病院であったり、災害拠点病院で あったり、いろんな役割を大学病院はしております。特定機能病院が満たしている現行 の承認要件が全部で13ぐらいありますけれども、その要件を満たしている、いろんな 意味で地域の最終的な病院として機能しようとしているわけですけれども、現在の大学 病院の運営状況を考えますと、最終砦となり得るような状況を維持できなくなっている のが現状でありますので、ここら辺のところを少し考えていただきたいと思います。  先ほど厚生労働省の発表になりました32番のケースミックスとパフォーマンスにつ いてところで、複雑指数とか難病というところは大学病院が多くとっておりますので、 ここら辺のところも含めて、大学病院係数あるいは特定機能病院係数というものを考え られないだろうかという提案をさせていただきます。  以上です。ありがとうございました。 ○西岡分科会長  ありがとうございました。  それではこれから議論に移りたいと思います。今の小山委員からの御提案も踏まえま して、資料D−2に従って御議論を進めていただきたいと思います。  最初に、DPC対象病院とはというところで、事務局からいただきました資料と、現 在の医療機関係数の概要ということに関しましては、委員の先生方、皆さん大体御了解 されているところだと思いますので、むしろDPC評価分科会での議論というところの まず総論の部分から御議論をお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。  では齊藤委員、お願いします。 ○齊藤委員  コメント2つと質問1つ、よろしゅうございましょうか。  まず、資料D−2の厚労省から出されましたパネルの17、新たな機能評価係数に関 する基本的考え方というものが4項目出されております。これは非常に重要な話の原点 だと思います。それは前回、私、そもそも国民に対してDPC病院が担う役割とは何な のか、期待されている果たすべき役割は何なのかということを言いましたけれども、そ れがこういう言葉で要約されていると思うんです。  その中で、例えば患者満足度とか、かなり重要と思われるものが、評価係数にしにく いから重要でないというすり替えの議論が行われかねないのですが、話の原点としては、 何を評価すべきかということをまずきちんと決めて、その上で、これは重要だけれども、 係数に落とし込むのはこれこれの理由で極めて困難であると、その場合には断念せざる を得ない場合もあると思うんですけれども、例えば患者満足度と言うと、患者満足度は 調べようがないからだめなんですという話になっちゃうんだけれども、その辺、慎重に 今後判断していただきたい。係数化できないものは同時に不要な指標であると、そうい うふうに短絡することは当委員会としては厳に避けるべきだというふうに思います。こ れは将来につながる問題ですから。  それから、コメントのもう一つは、小山委員から出された救急の問題で、これは私た ち日本病院会で400ほどDPC病院があるんですが、そこで280ほどの病院から回 答を得た調査でも、やはり評価すべきは救急であるということが筆頭に出ているんです ね、病院機能評価係数の中で。だから、それはとても重要なんですが、同時に、これも またなかなか難しい中身を持っている。  というのは、平成18年度改定のときに、救急が紹介率の要件から外された経緯があ るんです。それはなぜかというと、当時、救急というのは救急車で来た患者を対象にす るという前提だったんですが、これは日本病院会で議論した後に、夜中に自家用車で来 たひどい人はどうして外されてしまうのかというようなことで、保険局医療課でも御検 討いただいて、そういう点はあいまいさが残るから、今回外しましょうというふうに話 が進んでいった経緯があるわけです。  それから、小児の夜中も、今、コンビニ化というようなことが非常に言われておりま して、夜中に小児が来るということが果たして救急なのかというような問題がありまし て、救急はとても大事なのですが、同時に、何を救急と認定していくのか、しかも実質 性の高い救急性と認定して数値化していくのか、ここがすごく重要な視点だと思います。  それから、3番目がちょっとした小さな質問なのですが、厚労省の資料の29のパネ ル、これは松田班でおつくりいただいたものだと思うのですが、例えば効率性指標で、 全病院の平均在院日数ということで効率性指標を示しておられるわけなのですが、いろ いろな疾病の平均在院日数というのは地域性が非常にさまざまで、疾病構造であるとか、 退院させる後方医療施設があるかどうか、そういう要因で非常に変わってくるわけです。 だから、平均在院日数が短ければ効率いい医療をやっているんだというふうに短絡する ことは、地域医療の特殊性から見て極めて疑問がある。今日は伏見委員がたまたま来て おられますので、その辺について伏見委員の御意見を少し承れればなと思っています。 ○西岡分科会長  伏見委員、お願いいたします。 ○伏見委員  今、効率性についての御質問ですけれども、基本的にこれは平均在院日数の標準値は 全国平均値を用いておりますので、御指摘のように、地域差については勘案しておりま せん。  この数値の用い方ですが、例えば先生の御指摘のように、地域差をどういうふうに含 めていくかということを考えますと、地域によって、効率性が高い病院がある地域と効 率性が低い病院がある地域と、多分出てくると思いますから、そうしますと、場合によ っては地域医療計画とか地域の医療提供体制の中で、なぜうちの地域は効率性が低くな っているのか、高くなっているのか、そういう観点も含めて検討していただくほうが、 よりよいのではないかというふうに考えております。 ○齊藤委員  それを評価係数として数値化する場合に、効率性のよくない病院だから係数は下がる んだというふうに短絡することについては、先生としてもためらいを感ずると理解して よろしいですか。 ○伏見委員  確かに、効率性自体を直接的に係数に結びつけるというのは、いろいろな問題点が出 てくると思いますので難しい課題と思います。やはり地域医療の体制と含めた形で、あ わせて検討していくのがいいのではないかと思います。 ○齊藤委員  ありがとうございました。 ○西岡分科会長  29のパネルの部分ですが、これは毎年報告書のところに出ておりまして、係数にす るかしないかは別にいたしまして、これで非常に興味深かったのは、特定機能病院は時 間とともにかなりまとまっていく。それから、平成16年から入られたDPC病院は最 初はばらばらだったんですが、それもまとまってきているということで、何らかの形で 標準化というふうなものの指標としては、十分価値を持っているんじゃないかというふ うに私は理解しているんですけれども。  ほかにどうぞ、御意見をお願いいたします。 ○難波委員  私は、地方で中核病院として救急医療を支えているという観点から見ても、ただいま の小山委員の提案は非常に共鳴するものがございます。救急の患者さんは種々雑多です し、病名がつくまでにやはり時間がかかりますので、その間はまさに検査をたくさんし なきゃいけないという事情がございますので、どうも現状のDPCにはそぐわない気が いたします。  それから、夜間の救急のためには人員配置を相当しなければなりませんので、人件費 が相当かかります。そのために、ほとんどの救急病院がそうだと思うんですが、市町村 からの補助で何とかこれを賄っているという状況です。県からは出ませんで市町村から の補助です。そういう点数でなければ救急ができないということになると、このままだ と、どんどん救急が悪くなっていってしまうのではないかと危惧しておりますので、こ の辺をもう少し考えていただきたいと思います。  以上です。 ○西岡分科会長  救急の部分も、もちろん議論にこれから入っていっていただくんですが、今ありまし た総論の部分のところで御議論を詰めていただけたらと思うんですが、ここに出ている 御意見というのは、既にこの分科会で各委員の先生方からお出しいただいた意見をまと めた形でまとめていただいています。  DPCのデータで18番。先ほど17番の項目のところを齊藤委員が御指摘いただい たんですが、18番のところで、係数という形で、DPCの場合はいわゆる何が何点と いう形ではなしに、連続性のある数値で出せるというふうなところが非常に特徴だとい うことを御指摘いただいているんですが、このあたりのところの御意見はいかがでござ いましょうか。あるいはそれ以外のところでも結構でございます。  どうぞ、小山委員。 ○小山委員  今の議論からちょっと外れてしまう提案を1番、2番でさせていただいたんですけれ ども、基本的にここで議論しているのは、調整係数を廃止するに当たって、すぐ新たな 機能係数というんじゃなくて、調整係数を廃止するための影響というのはまさに救急の ところにもろにあらわれてくるわけですね。  ですから、ここでの議論をするかしないか、総論的にするかしないかということで決 めていただいてもよろしいと思うんですけれども、私が2番で提案したような、あるい は3番で提案したようなことは議論しなくて、あくまでも新たな機能係数のことだけを これから提案していくのか。それとも、調整係数がなくなるということに、全体に対し てどういう対応をしていくかということの議論が必要なのかというところは、決めても らう必要があると思うんです。  もし、それは要らないんだと、そこは全部厚生労働省がやるんだというならば、機能 のことだけについて、新しい機能はどういう機能にすればいいんだという、それこそ松 田班が考えられたことの議論だけをすればよろしいと思うんですけれども、そうじゃな くて、調整係数がなくなることによって医療現場が混乱することをある意味で防ぐとい うような、混乱しないような制度をつくっていくということの考えであれば、僕が提案 したような1番、2番あるいは3番の見直しというところの議論もしていかなきゃなら ないと思うんですけれども、そこら辺のところの整理は是非していただきたいと思いま す。 ○西岡分科会長  わかりました。すぐに先ほどの救急だとかそういったところに話を飛ばそうとは思っ ていないんです。むしろどういったところで評価されるべきものがあるか、あるいはど んな評価の仕方がいいかというのを御議論いただきながら、その中で、今、先生のほう から御指摘いただきました個々の例も入れながら御検討いただけたらというふうに思っ ているんですが、そういうのでよろしいでしょうか。  木下委員。 ○木下委員  新しい機能評価係数の考え方というのは、4つの大きな項目があって、それについて どういう考え方をしていけば新しい機能評価係数ができるだろうかというふうなこと、 考え方はもっともらしく聞こえるんですけれども、これは数値でありますので、評価係 数というのは明確に書かれているような数値と思っていたんですが、新たな機能評価係 数をつくるに当たりましては、結局今のような考え方を数値化するわけでありますので、 それぞれの項目に関してどのような基準でもってこれを数値化するか。  例えば、この場合にはこんなふうな係数、算定方式でやるんだというものが見えてま いりますと少しはイメージがわくんですけれども、今の調整係数以上になるのであるな らば、これはだれも心配ないと思いますが、そうじゃなくて新しくつくるということは、 恐らくそれ以下になっていくであろうということを考えてしまうわけですが、そういう 視点から、数値化するに当たっての基準というのはどういうものか全然出ておりません が、その辺の考え方の例を、今度のときまでには恐らくお示しいただけると思いますが、 それがないと、考え方ばかりで総論だけになってしまうんじゃないか。明確に、例えば こういう基準で数値化するというようなことがあるとありがたいんですが、その辺をぜ ひお教えいただきたいと思います。 ○西岡分科会長  これは事務局のほうで何か御意見ございますか。 ○中田補佐  ただいまのところにつきましては、各論の部分で御意見をいただきまして、その時に 検討させていただきたいと思います。 ○西岡分科会長  酒巻委員、どうぞ。 ○酒巻委員  今、17と18のあたりが議論になっていると思いますので、もう少しお伺いしたい んですけれども、17に示された4つの機能評価係数で、これは全国的に同じ考え方と いいますか、例えば0.何々という数字が出ますね。これはすべて同じというふうに考 えていくのか。最後の地域医療への貢献ということを考えると、必ずしも全国一律では ないという考え方もあるのではないかと思うんですが、上3つは全国でも、一番下はか なり幅を持たせるとか、その辺のお考えというのは何かございますか。 ○西岡分科会長  どうぞ、事務局。お願いします。 ○中田補佐  御指摘の地域によって考え方を変えるのかにつきましては、現在のところまだ案がご ざいません。今後、各論のところで医療計画等、地域の貢献度を検討する際に、地域の 差が重要なんだということであればそういった議論になると思いますし、逆に地域差よ りも絶対値を評価するということが重視されるのであれば、全国的な一律の基準になる だろうというふうに考えております。 ○酒巻委員  その次の18のところで連続性の話が出ているんですけれども、実は今の機能評価係 数については、一律といいますか、連続的ではありませんので、1つ積み上がるたびに 実に大きな変化が起こるわけですね。これは病院の経営者にとっては非常に大きな問題 になるだろうと思いますので、何らかの方法で連続性というものをつくり上げていく方 法を必ず考慮していただきたい。そうでないと、途轍もなく経営者がといいますか、病 院そのものが神経質あるいはとんでもない企てまで考えかねない問題になりますので、 ぜひそこも考慮していただきたいと思います。 ○西岡分科会長  では事務局、お願いします。 ○中田補佐  先ほど例が出ましたが、救急車による搬送された患者数という指標を使った際に、出 来高では、例えば60とか70とか、あつ一定の値以上になれば加算がとれるという設 計になるかと思うんですが、逆にDPCはすべての医療機関からデータをいただいてい るというメリットを生かして、基準が60だとしたら、それが61になるから係数がつ くとか、59だったらつかないとか、そういうのではなくて、61や59に応じた係数 をそれぞれの医療機関ごとに計算すれば、連続性のあるものができるのではないかとい ったような趣旨でございます。 ○西岡分科会長  齊藤委員、どうぞ。 ○齊藤委員  あと、DPCの病院機能評価係数を考える場合に、やはり急性期の出来高に残る病院 との整合性ということも、日本の病院医療政策の中では当然しっかり考えないといけな いと思うんです。DPCがよくなればいいということで、どんどんお手盛りみたいな形 で物事が進行するのは極めて危険だという気がするんです。  それに関連しては、厚労省のパネルの15に、変動費的な部分については、診療報酬 の見直しにより対応できるのではないかと。出来高の評価が不十分なものについては、 出来高の評価を最適化すべきではないかということで、出来高で不十分なものを評価点 数などでどんどん上げていけば、地域への貢献とかそういうものができるということに ついては、必ずしもそれだけでカバーしきれない部分があると思うんです。  これは山口委員が前々回あたり発言されたことに近いのかなと思うので、現時点での 山口委員の御意見、このことについて解説してもらえればいいなと思うんだけど。 ○西岡分科会長  では山口先生、お願いします。 ○山口(俊)委員  私は今、それについては特に意見はございません。 ○西岡分科会長  では邉見委員、どうぞ。 ○邉見委員  P38、39あたりの地域における病院の役割、これは非常に大事ではないかと思う んです。今、地域格差といいますか、地方の医療がどんどんひどくなっているというこ とも含めまして、その中で効率性指標というのが、先ほど齊藤委員のほうからもありま したけれども、地方ではどうしても長くなりますね。アクセスがなかなかしにくいと。 交通機関が悪いとか、あるいは後方病院がないとか、そういうことが東京の視点で全部 いいのかどうかということが1つです。  それから、先ほど小山委員のほうからありました救急は、たくさん来るところはまだ しも、来ないかもわからないために医師1名、看護師2名、薬剤師、臨床検査技師、放 射線技師、約10名大体置いているんですね。来ても持ち出しなんです。来なかったら 丸損なんですね。そういうふうな、交番みたいな、セーフティネットみたいなものです ね。そういうものに対する評価はなかなか難しいと思うんですけれども、どうなるのか ということを1つ考えてほしい。  それから、小山委員、私は直接大学病院に関係ないんですが、各論になって申しわけ ないんですが、(ウ)の大学病院係数あるいは特定機能病院係数は非常に大事だと思う んです。これは文部科学省の予算でつけるのか、診療報酬から出すのかというところも あるかとは思いますけれども、今、日本の医療のトップランナーである大学病院が疲弊 しています。私はいろんな大学に関係していますので、そこで見ましても、教育と研究 がほとんどだめですね。もう臨床のほうだけに追われてしまっているんですね。日本の 医療のトップランナーである大学病院がそういうことでは、日本の医療は欧米の背中が どんどん遠くなって、アジアの足音が近づいて、もう追い抜かれているのかもわかりま せん。私はこれを非常に心配しております。診療報酬か、あるいはそれ以外ででも、こ れをちゃんとした措置をしないといけないんじゃないか。  それから、小山委員の3の(3)、(4)は、もう既に診療録管理体制とか医療安全対策はど この病院でも大きな持ち出しになっております。この辺のところは早急に是正しなくて はいけない。何かの係数でしなくてはいけないのではないかというふうに思っておりま す。  以上です。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。総論の部分でといっていたのが、だんだん各論のほうが、皆 さん興味をお持ちだと思うんですが、山口委員。 ○山口(俊)委員  基本的なところで、総論のところでは17と18がやっぱり重要だと思います。これ を、よく見直してみると、これは小山先生の提案とも関係あるんですけれども、現場の 負担についての評価がここに文言として全然出てきていません。効率化、つまり安上が りにしろということばかりで、DPC病院の負担に対する評価が全くないというところ が一番問題なのです。今後、機能評価係数を具体的にどうするというときに、小山先生 の3番に書いてあるような項目を含めて、そういう視点をここで加えていただいたほう がありがたいと思います。つまり、DPC病院の負担を評価するという視点が欠けてい るように思いました。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。  では池上委員、どうぞ。 ○池上委員  総論的なことを申し上げますと、まずDPCというのは、もともと患者分類であった わけですね。その患者分類に対してつけられている包括係数に関しては、これまでの病 院の出来高の実績に基づいて点数をつけただけですので、これはいわばコスト中立的な 立場からつけられたわけで、DPCに変わることによって格別な病院に対する期待とい うのはなかったわけです。レセ電算化とか10対1看護とか、一応ベーシックな条件は ありますけれども、格別、病院をこのように持っていこうとか、あるいはコスト補償し ようということではなく、単に患者の分類であって、この分類に対してこれまでの出来 高の実績に基づいた包括係数に対して評価しただけでございます。  ここで調整係数をなくそうということは、全く新たな2つのことが浮上してくるわけ です。それは、今までコストの補償が不十分であった機能に対して、そのコストを補償 しようということ。それからもう1点は、政策目標に向かって何らかの経済誘導を行う ということ。それは急性期なり集約化なりということでございますけれども、これは全 く新たなDPCの点数に対して期待される役割でございます。  したがいまして、非常に大きな、これまでとは違う発想に立つわけでございますので、 少なくとも小山委員がおっしゃったように時間をかけて段階的に行うべきであり、また、 一たんあるものを係数として導入しても、それは必ずしもうまくいかない可能性もある わけです、未知の領域に入るわけですから。ですから、いったん導入しても、また実績 を見て、それを廃止しなければいけないことがありますので、少なくとも小山委員がお っしゃったように、3回の改定、それは最低限であって、あるいはもっと5回とか、長 い期間を要して絶えず行わなければいけない課題であると思いますので、少なくとも一 挙に調整係数を廃止するということは、あり得ない選択ではないかと思います。  その上で、コスト補償について言えば、お配りいただいた13ページ、平成19年度 までの議論の整理というところ、下のほうのこれまでの主な意見として、救急、産科、 小児科等について、既に出来高で評価されていることから、不採算であるならば、出来 高での評価を引き上げるべきではないか、これは私は異論がありまして、これはそもそ もDPCの係数としての点数が低いわけで、つまり包括化されている部分は、あくまで も出来高払いのときの実績に基づいて包括の係数がつけられているわけですから、この ような領域における包括の点数を上げるべきであって、新たな機能係数で補償するべき ではないと思うんです。  確かに、松田先生がこれまでも、DPCの係数は全体としてはコストに対応している という研究報告をなさっていただきましたけれども、個別のこのような領域において果 たしてそうかどうかということは、今後さらに追及するべき課題ではないかと思います。  それから最後に、地域における貢献という問題がありましたけれども、地域における 貢献については地域で判断するべき事柄であって、国が一番人口の多い東京都と島根県 に共通する統一的な、たとえ段階的な尺度であっても、国がそのような指標を用いてD PC病院を評価するということは、非常に硬直的であり、かつ不適切だと思います。厚 労省としては都道府県単位での医療の集約化という権限移譲などを考えていらっしゃい まして、保険者の再編なども行われているわけですから、むしろこれは考え方として、 地方交付税みたいな形で渡して、その分の使途については都道府県の判断に任せたほう がよい。それをどういうふうに、診療報酬の枠内で行うかは難しい問題ですけれども、 少なくとも厚労省として、診療報酬として島根県から東京都においても共通に適用され るような統一的な、たとえ段階的であっても、そういった指標に基づいてDPCの機能 係数を新たにつくるということには、私は反対でございます。  以上、総論的な議論でございましたので、総論的なことを申し上げました。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。総論でありながら各論がいっぱい入ってきておりますので、 どうぞ各論の部分も含めて御討議をお願いできればと思います。  伊藤委員、どうぞ。 ○伊藤委員  DPCが、最近いろんな病院がふえてまいりまして、大きく2つの類型があるのでは ないかというふうに思っています。1つは、大学病院とかマグネットホスピタルと言わ れている大きな病院で、稀少疾患とか、がんだとかを中心にやられているところと、地 域において救急も含めて地域医療をやられている病院と2つあって、それが果たして本 当に同一の指標で評価ができるのかなというのが大いに疑問を持っております。  とりわけ、マグネットホスピタル、大学病院が7対1看護をするに当たって、地域の 病院の看護師不足がかなり深刻な状態、それから医師不足もかなり深刻な状態になって おります。一方で7対1看護をやられれば、看護師の方たちの勤務条件も楽になるし、 よりそちらに集まるということがありますので、今の地域でやられている医療機関を崩 壊させないような係数設計をしていただきたいと強く願うものであります。  以上でございます。 ○西岡分科会長  ありがとうございました。  ほかに。どうぞ、吉田委員。 ○吉田委員  これは直接係数と関係ないですけれども、実は平成18年の大幅な改定のとき、今日 は遠藤会長がいらっしゃいますので、中医協の場で私は発言できなかったんですけれど も、個人的に1号側委員と話したときに、これだと大学病院はつぶれますよという話の ときに、実は今、1点10円ですよね、保険点数。それを大学病院だけ1点12円か1 3円にしてほしいと、それをしないとつぶれますよという話をしたことがあるんです。  そういう議論もできれば中医協の場でやっていただきたい。これは救急医療をやって いる病院に対しても1点12円とか1点13円とか、そういう考え方も持っていいんじ ゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。 ○西岡分科会長  これはちょっとお答えしにくいところで、申しわけございません。  どうぞ、齊藤委員。 ○齊藤委員  ちょっと違ったことでもよろしいですか。先ほどから地域の問題が出ておりまして、 邉見委員とか池上委員もそれに関連した発言をしておられますけれども、私たちは10 月に行ったDPCについての調査でも、やはり地域性を反映させてほしいという意見は 非常に強いんですね。地域による状況を見ますと、例えば増収について、関東甲信越地 区ですと、大きく増収になったという病院は31%あるんですが、九州・沖縄地区では 20.5%と非常に低いわけなんです。それから、逆に病床利用率が低下したというの は、九州・沖縄地区では57%もあるのですが、関東甲信越地区では36%ということ で、DPCの影響を受ける病院の置かれている場所によって非常な経営上の差が発生し ているという現実があって、そのことを考えてほしいという意見なんですね。  そして、この10月から政府管掌健康保険が全国健康保険協会になって、各県に分け られて、地域性を反映した保険料率等も将来は考えるべきであるという意見もある。D PCの係数に国が一気に地域を踏まえて決め込むのがいいかどうかは、池上先生が言わ れるように問題があるかなという気はいたしますけれども、その視点というのはやはり 避けて通れない問題で、今回は全国一律だけれども、こういう格好で地域のDPC病院 については別途補填される道が残されているんだというぐらいの考え方は必要ではない かという気がいたしますので、ちょっと発言させていただきました。 ○西岡分科会長  地域の問題というのはかなり大きな問題で、実態がどうなのかというのは、皆さん地 域のほうは大変だ、大変だという声ばかりがたくさんありまして、本当にこれは基本問 題小委員会、遠藤先生の委員会でも、DPCの病院というのは一体どういう病院である べきかというふうな御議論をしていただけると聞いております。私たちのほうも、どう いう病院なのか、今お話を伺いますと、いろんな病院が入ってきていて、整理がつかな いと言ったらおかしいんですが、もう少し交通整理をしていかないと、DPCの本来の 姿というのが変わってしまうところがあるかと思いますので、これはぜひとも議論を続 けたいと思います。  どうぞ、佐藤委員。 ○佐藤委員  各論でよろしいでしょうか。 ○西岡分科会長  はい、どうぞ。 ○佐藤委員  今日の資料27のプロセスについての3でしょうか、後発医薬品の使用促進関係につ いて私の提案です。新たな機能評価係数について、医療機関の後発医薬品の採用状況を 加味したものの評価をしていただきたいというのが提案です。  といいますのは、この資料にもありますように、現在、2012年までに30%とい う目標に対してまだ18.7%の普及率です。最近の調査ですと、その進捗状況にかげ りが見えてきており、医師向けを対象にした医療機関へのアンケート調査等が行われて おりますが、その中を見ていますと、その原因は2つございます。1つは、製薬企業と 卸などジェネリック医薬品の供給側の問題です。もう一つは我々医療機関とユーザー側 の問題ではないかと思います。  供給側の問題については大きく3つ分けて、品質、安定供給および情報提供というの がございますが、これに関しては、厚生労働省や製薬企業、卸等の改善に向けた最近の 対策が急速に進んでおりますので特に問題はないのですが、今日御議論いただいている 医療機関側、ユーザー側の問題というのが実はまだ残っています。  これは、ジェネリック医薬品の購入が増大することによって、実は2つ経済的なデメ リットがあるということが言われておりまして、1つは購入している先発医薬品の薬価 が、高い場合、差益の減少が経営に非常に影響を与えるということと、もう一つ、先ほ ど小山委員と邉見委員もお話されましたが、大学病院などの特定機能病院というのは、 いわゆるDPC対象病院でありますけれども、地方の中核病院と同時に臨床研究を推進 するとか、そういう意味合いを持っています。実はその研究の資金源というのは少なく て、先発医薬品企業からの間接的な寄附でありますけれども、臨床研究の資金提供のう ち大きな比重を占める現状があります。  ですから、その辺の2つの不安がなかなか解消しないため、特定機能病院などの大き な病院でのジェネリック医薬品の普及が進まないというところがあります。できました らDPCの対象病院においては、医療の質の担保というものに加えて、医療の経済効率 化というのは必要だという観点であれば、実際的な経済的な誘導ということを加味しま すと、DPC対象病院のジェネリック医薬品の採用状況等に関して、新たな機能評価係 数で何か評価していただくことも必要ではないかというのが私の提案です。  以上です。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。ここの各論のところで、係数として評価すべきものというの は、委員の先生方からいただいた御意見をここへまとめていただいているんですが、さ らにこういった面もというふうなことがありましたらどうぞ、御提案いただいたらと思 います。  酒巻委員、どうぞ。 ○酒巻委員  ジェネリック医薬品の採用ということについて、係数化したらどうかというのが今の 御意見だと思うんですけれども、それは一つの前提として、今よりももっと十分な安全 性の情報というものをしっかりと出していただくと、これがないと、私たちユーザーと しては安心して移っていくということがなかなかできないというのが実情だと思います ので、そのこととセットの問題ではないかというふうに思います。 ○西岡分科会長  小山委員、どうぞ。 ○小山委員  ジェネリックに関して、話がちょっとずれちゃうんですけれども、確かに酒巻委員が おっしゃるのはわかるんですけれども、しかし現実問題として、私どもはジェネリック を使っておりますけれども、それなりの情報は全部来ております。  問題は、先ほど佐藤委員がおっしゃったように、ある意味、経済的なインセンティブ が、27で見ますように、DPCになれば、本来だったらジェネリックを使えば経済的 インセンティブは十分働くはずなんです。はずにもかかわらずこれだけ動いていないと いう現実を見ますと、それからもう一つは、今回の改定の中で療養担当規則を変えてま で後発医薬品を使うようにしましたね。それでもいかないというのは、もう一つ何か大 きな問題があるんじゃないかと思うんです。  1つが、我々の医療側の問題もあるんでしょうけれども、もう一つの押す力としては、 ここにちゃんとしたインセンティブを与えるということが、一つの原動力にもなり得る んじゃないかと思うんです。  確かにいろんな問題はまだ含まれておりますけれども、それはだんだん整理されつつ ありますが、一番整理してほしいのは、一つの先発品が後発品になると、30社も40 社も出てきちゃって、30社、40社の中から1つを選ばなきゃならないというような 現実的な問題が、かなり面倒くささというんですか、大変さをつくっているので、両サ イドでもって十分検討しながら進めていく必要はあると思います。これにインセンティ ブを与えるということに対しては私は大賛成であります。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。  どうぞ、伊藤委員。 ○伊藤委員  本来は薬剤費というのはDPCの包括の中なので、医療機関サイドからすると、コス トを下げるという意味では後発医薬品を使っていくという状況になるんだろう。ですの で、後発医薬品に対して引っ張ると二重のインセンティブを与えるのかなというのは危 惧するところであります。  現在、先発医薬品というか、逆に新しく開発された医薬品が使われて、古くから使わ れている医薬品の使われる量が少ないというのは、医者がそれなりに考えがあってやっ ているのか、安かろう悪かろうになっていないということの証かなというふうにも考え 方としてあるので、一律に後発医薬品だけにシフトするのはいかがなものかという考え もあろうかと思います。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。  山口委員、どうぞ。 ○山口(直)委員  小山先生の意見の最後の大学病院係数、特定機能病院係数のお話に関連するんですが、 私はこれは大変重要なことだと思います。トップランナーという表現も出ましたが、役 割として、地域の役割だけじゃなくて国を引っ張るという非常に大きな役割があって、 その中で教育とか研修とか研究というのが診療以外にあって、それが何となく経済的な 観点とか行政的な観点で分けられそうに見えるんですけれども、実際に病院の中で動い ていることというのは絶対分けられないと思います。ですから、この部分は文科省的と か、この部分は臨床研修的とかというふうな形で分けることは絶対できない部分だと思 うんで、この部分を充実させて、むしろ少し余裕が出るぐらいの状態に持っていかない と、日本の医療は非常に危険だと思います。  その中で、臨床研究が非常に乏しい。私はEBM関係の仕事をやっていますけれども、 診療ガイドラインとかつくられるときのベースになる研究のほとんどは海外の研究で、 日本発の研究はほとんどないですね。そういう現状を何とか変えていかないと、日本全 体の医療の底上げは絶対実現できないと思いますので、これは大学のためとか特定機能 病院のためということではないと思うんで、ぜひこの部分の充実を重点的に行ってほし いと思います。 ○嶋森委員  私は現在大学にいますけれども、特定機能病院や中核病院が、今、地域で看護の果た している役割は非常に大きくて、大学病院の場合はそうですけれども、例えば徳島の日 赤病院などでは、地域の看護師さんで研修を受けたいという人を引き受けて、しばらく 研修をして、少し安いお金を使って研修して、その人たちを地域に帰すという役割をと っています。  それからもう一つは、地域から看護師さんを自分の病院に研修に受け入れて、地域に 帰して地域の質を高めるという働きをしていたりしていますけれども、そういう役割が、 先ほど特定機能病院のところに看護師を集めて、地域が非常に崩壊してきているという 面も一部ありましたけれども、もう一回地域を見直そうという中で、高度化していく中 で、中核病院の役割として、看護師の教育研修機能というのも非常に高い機能がありま すから、そういうことも含めて、この中には、ストラクチャーのところにそういう機能 は含まれていませんけれども、そういうところは少し加味したほうがいいかなというふ うに思っております。  特に今、看護職、医師も含めて卒後すぐに臨床になかなかなじめなくてやめる人たち がいて、そういう人たちをどうして支援していくかということも含めて、定着を高める という意味でも、地域の中核的な役割を果たしているところの研修教育機能をきちっと、 医師も看護師もその他の職も含めて評価するというところも、少し加味していく必要が あるのではないかというふうに考えております。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。  池上委員、どうぞ。 ○池上委員  今の大学病院、特定機能病院に対する係数の問題でございますけれども、大学病院も 多様でございまして、調整係数で見ても20%、最大と最小で差があるわけですので、 それに対して一律な特定病院機能加算というのは、ある意味では現状とかなり変わるこ とになると思いますので、そういう基本的な問題が1点ある。  もう1点は、健康保険法の趣旨からしまして、教育研究に対して保険財源を投入する ということはできないわけでございますので、これは何か特定機能病院という日本の医 学臨床研究の基幹としてのことを重視するならば、別途の財源、例えば研修医に対して とられたような別途の財源を確保したほうが、教育研究機能に対する適正な対応ではな いかと思います。 ○企画官  これまでの議論の中で確認させていただきたいんですが、今の大学病院の評価の件に ついて、池上先生がおっしゃるとおり確かに健康保険法の問題があります。ですから、 そもそもそういうものに高い係数を、特に教育研究なども評価しようということになる と、これははっきり申し上げてDPC分科会の範囲を超える話になると思われます。で すから、健康保険法の中であるとしても、研究的なものについて評価しようということ になると、これは多分、こちらではそういう御意見として提案するとしても、基本問題 小委なりそちらのほうで御議論いただかないと、なかなか決められる話ではないという ことではないかと思います。  それから、先ほどの地域の評価についてもそうなんですが、これまでの診療報酬とい うのは全国一律、どこでも同じ質の医療が受けられるときに同じ点数というやり方で来 ているわけです。そうしますと、例えば件数何件以上というようなもので、それが一番 なじみのあるやり方だったんですけれども、今回、地域の評価を行うというときに、少 なくとも基準は全国一律ではないかと思います。例えば、今回の改定で精神科救急だっ たと思うんですが、件数だと人口が余りないところでとれないということで、4分の1 以上でしたか、そういう基準は設けました。ただ、4分の1以上というのは全国、東京 であろうと島根であろうと山形であろうと一緒というような、そういうものであればま だ基準として、できると思うんですが、これをもしその基準も地域ごとに変えるという ような話になりますと、DPC分科会というよりは、在り方の問題に近くなりますので、 基本問題小委員会のほうに上げて御議論いただく話になるのではないかと思います。  それからもう一つ、先ほど齊藤委員のほうから出来高との整合性というお話がござい ましたが、これもどういう係数をつくるかによると思うんですけれども、DPC病院と してデータを出していただいているからつくれる係数というのがあるんじゃないかと思 うんです。それを、データを出していただいていない病院にも同じように当てはめると いうことは果たして可能かと。可能な係数も多分あるとは思うんですけれども、そうで ないものもあるのかなと。その辺についても認識しながら作っていくのではないかと思 います。  以上です。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。少し整理していただきました。  委員の先生方、大学の方が比較的多いものですから、どうしても特定機能病院の話に なると思うんですが、お気持ちはよく分かるんですが、もう少し、ここに今日いただき ました資料の中での各論のところに御議論を集中していただければと思うんですが、い かがでしょうか。 ○伊藤委員  研究とか診療のガイドライン、24のところで、基本的なレジメンについて高く評価 をするという議論があったかと思います。臨床研究をやろうとするときには、当然標準 レジメンとの比較とかという話にならないといけなくなりますので、こういうところで レジメンに載っていないところについての評価が低くなると、臨床研究を阻害するので はないかという懸念が生じると思います。  もちろん、中小の病院で標準化がされていないところを引っ張るという意味では、大 変重要な話だと思いますが、ある一定以上の機能を持つ病院で、臨床研究データを出す 病院に関しては除外するなど、何らかの形を考えていただかないといけないのかなとい うふうに思います。 ○西岡分科会長  どうぞ、お願いいたします。 ○原分科会長代理  DPC病院がどういう病院であるべきかという論議もあると思いますけれども、その 中で、DPC病院が基本的に質が担保された病院であるという認識を持つ必要があると 思います。そういう中で、地域の役割、中核的な役割、これはDPC病院が持つ役割と して非常に大事だと思いますし、また、今、新しい機能評価係数の5要件の中に昨今話 題になっている救急医療の問題が入っておりますし、また画像診断、これはまさに医療 の質に関係していると。画像診断医が少ない。特に欧米に比べて日本の画像診断医とい うのは、これは何十年も前からそう言われていることです。  それから病理ですね、これも病理学会の算定では、病理医の高齢化が進んで若い病理 医が非常に少なくなっていると。そういうためにも、医療機能評価の中に今言いました 救急、病理、画像診断が入っているというのは非常に評価されるし、これは早急にやら ないと、もう手遅れに近づいているんじゃないかと思います。  小山先生にクレームをつけるわけではないんですけれども、2回の改定がいいのか3 回の改定がいいのかは別として、これは早急にやっていただきたいと思います。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。  それから、今話題に出ました、かつて平成19年度の議論のときに5つの条件を上げ てきたんですが、あのときの5つの条件というのは、管理料を算定しているとかという ふうな形だったんですね。それはもう既に一般の保険診療の、出来高のところでも既に これに関しては保障されております。ですから、この文言でかつてつくりました5項目 の文言を少しリストラクチャーしないと、これを機能係数なりに持ち込むというのは非 常に難しいんじゃないかというふうに思っているんですが、どうぞ、小山委員。 ○小山委員  先ほどから出ている、いわゆる連続的な評価ということを考えた場合に、この5つの 項目というのは、確かにある意味で病院の質を担保しているところがあると思うんです。 だから、3つあったら幾つ、4つあったら幾つ、5つ全部あったら幾つというような評 価はしても僕はいいと思うんです。  ダブることはいけないというお話ですけれども、何しろ今の医療費が余りにも安すぎ ますので、これは少しは上げることを考えなければならないので、僕はダブった評価で も、いいものはいいもので、ダブった評価だって堂々とやっていいんじゃないかという ふうに私は考えます。 ○西岡分科会長  ダブるということになるとなかなか難しいんですが、例えば第1項目にあります特定 集中治療室管理料を算定しているというがあるんですが、実際には集中治療室を運営し ているということに対してのDPCの機能係数という形であれば、いけるんじゃないか という気はするんです。だからこのままの、管理料の算定とかというふうな形のままで これがずっと続きますと、やはり二重取りということを免れないんじゃないかというふ うに思っております。  どうぞ。 ○酒巻委員  私も今の案に非常に賛成したいと思います。文言を変えるということだけではなくて、 ここにそれぞれの項目が恐らく数値データとして出てくるわけですから、連続的な評価 というのはできるのではないかと思いますので、これを連続的な評価の可能なものに変 えて、別な表現というと姑息になっちゃいますので、連続的な表現にするという格好で あればいいんじゃないかと思うんです。 ○西岡分科会長  ほかにどうぞ。私が提案してしまうと話がややこしくなる。私は聞く側でございます ので。どうぞ、齊藤委員。 ○齊藤委員  先ほど後発医薬品の問題がありましたので、私たち日本病院会でやった調査の結果を ちょっと紹介させていただきますと、DPC病院の健全な運営に特に重要だと思うのは どういうことですかということを、増収になった病院75と減収になった病院47に伺 ってみますと、増収になった病院は44%が後発医薬品を積極的に使うと言っている、 減収になった病院は積極的に使うべきだというのは29%なんですね。そういう見えざ るインセンティブは、後発医薬品を積極的に使っているところはDPC病院でも増収に なるし、ほかの方たちに勧めるとすれば何ですかと尋ねると、増収になった病院は、後 発医薬品を積極的に使うことが大事ですという病院が半数近くあるんですね。そういう 情報がいろんな形で出てくると、案外、見えざるインセンティブとして広がっていく基 盤になるのかなというふうに思うんで、ちょっと追加させていただきました。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。  どうぞ、邉見委員。 ○邉見委員  少し時間がありそうなので、救急は今、一番喫緊の問題で避けて通れないと思うんで す。だから救急に関しては、二重になっても三重になっても、係数、出来高、どんな格 好でもいいですからつけないと、私はMDC分類の18の中に救急というのは本来入ら ない、ゼロかエックスだと思うんです。診断がついていないわけですから、そのときは 最も資源を要した診断ということですが、ついていないわけですから、一生懸命やらざ るを得ないわけです。やらないと、今の状況では後で医療紛争に巻き込まれるというこ とですから、この辺のところはDPCとの関係が難しいんですけれども、ここは今度の 係数のところでは一番考えなくてはいけないんじゃないか。  特に今、病理の話を原先生がおっしゃいましたけれども、今、DOA、デッド・オン ・アライバル、到着時死亡なんていうのがあります。これはもう心肺停止で来るんです が、一応健康保険上は物体ですから、診療報酬はいただけないんですが、死亡診断書を 書くためには、今はAIというオートプシー・イメージング、死体の画像診断などもや らないと世の中は済まない時代です。みんな病院の持ち出しです。お金はだれからもも らえません。そういうふうなこともありますので、救急医療をやっているほうは大変な んです。ぜひこの辺は考えていただきたいと思います。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。また救急に戻ってしまったんですが、救急といっても、医師 が1人いるかどうかという施設から、医師を10人ぐらい置いてやっている施設まで、 かなり幅広くありますので、一概にというんじゃなしに、これも先ほどのグラディエー ションをかけたような形の評価がされていくといいのではないかと思っておりますが、 ほかに。  どうぞ、木下委員。 ○木下委員  私は、やっぱり実際の数値ということにこだわるわけでありますけれども、特に新し く機能評価係数を考えていくのに、プロセスとかケースミックスとか、それからストラ クチャー、地域における病院の役割、それぞれ4つの間の関係がまたどうなるのか、重 みづけというふうなことでございますけれども、それはどういう重みづけでいくのかと いうこと。そういうことも客観的に数値化されていくわけでありますので、ぜひお示し いただきたいと思います。  と申しますのは、それは基本的には伊藤委員が先ほど言われたように、新しい改正に よって、大学病院も含め、地域の病院も含め、安心して病院が診療ができていくという ことになっていかなければ意味がないわけでありまして、実際には非常に枠がはめられ ているという事実もあるわけであります。しかし、その枠の中でやってもこれはだめな んだというんだったら、もとを、パイをふやしていくということも、厚労省のほうから でも言っていただくということがあり得る話でありまして、こういう状況では無理だと、 そういうことだって現実的には分かる。しかしこの結果として大混乱を起こすというこ とではあっては絶対ならないと思いますだけに、そういった慎重なことで対応していた だきたいと思います。  ですから、早急に、変えればいいという視点ではなくて、例えばある係数を配置した ときに、大学病院ではどうなる、それから中小病院ではどうなる、新たに入った病院で は実際にはどうなるんだというふうなことで、こういうふうにした場合にはこんな問題 が起こるぞというところまで提示した上で、ではそうならないためにどうするかという ところまで踏み込んだ議論、つまりデータを提示していただいていかないと、軽々な機 能の観念論だけでやっても全く、現実的にはみんなから大変な問題提起をされるだけに なる。したがって、極めて大きな役割を担ってくださっているわけでありますので、そ の辺の視点、特に4つのパラメータの間の関係も含めて、具体的な数値を明確にする基 準というものをぜひお示しいただいて、医療界を救っていただくということが基本であ りますので、その視点だけは忘れないでいただきたいと思います。 ○西岡分科会長  ありがとうございました。大変貴重な御意見でございます。  それで、討議の流れといたしまして総論、各論という形で御議論いただいたんですが、 最後にもう一つ、新たな機能評価係数の考え方ということがあると思いますので、ここ についても御議論をお願いしたいということであります。 ○小山委員  ちょっとずれるかもしれませんけれども、厚生労働省の方にお聞きしたいんですけれ ども、今、我々は調整係数のことをいろいろ検討していますが、一つの新しい今回の収 穫として、連続的なものを考えているということが1つ見えたんですね。あともう一つ は、ざっと見ても10とか20とか30とかという話になっちゃうんですけれども、数 的なものの指標みたいなものはありますか。例えば、ざっくりと10ぐらいでまとめる んだとか、あるいは50あってもいいんだという考え方なのか、そこら辺の機能係数の 総括的な数というんですか、分類というんですか、そこら辺は何かお考えはありますか。 ○中田補佐  具体的にどういった係数をどれくらいの数入れるべきかといったところは、まだ具体 的なイメージは持ち合わせておりません。まさにここで議論いただきまして、また導入 方法も含めまして、検討すべきものだと思います。 ○小山委員  それをお聞きしましたのは、いくら議論しても、すべてのことが係数になり得るのか、 それともある程度、そんなにいっぱいあっても混乱するだけだから、現場としては非常 に混乱するだけなので、できればざっくりというほうがいいと思うんですけれども、ざ っくりで段階的というのがある意味で妥当なところなのかなと思うんですが、そこら辺 も1回議論してみる必要があるんじゃないかというふうに思うんです。 ○西岡分科会長  そういった形で、調整係数の部分を新たな機能評価係数A・B・Cという形でざっく りしたものをつくってくださるんだろうというふうに考えているんですが、その中身あ るいはその考え方について、委員の方々から御意見をいただければ非常にありがたいと 思っているんですが、いかがでしょうか。  伏見先生、今日来ていただいていますので、先生の研究班でこういったものに対する 基本的なパラメータみたいなものを非常にたくさんピックアップされているんですが、 そのあたりの重みづけとか関連性とかについて、考え方を教えていただけると非常にあ りがたいと思うんですが。 ○伏見委員  研究班では、まだ具体的な係数だとか数値の段階の検討までは至っておりませんので、 その辺についてはまだできないんですけれども、先ほどから議論になっている救急医療 等につきましては、今年度も医療機関の行動調査みたいなものをやりますので、その過 程で、実際その医療機関がどういう救急医療を提供しているかということを、例えば救 急医療を提供した患者の数だけではなく、重症度とか、あるいは地域における割合など も含めて調査した上で、それを何らかの形で救急医療の定量的な評価に結びつけられる ような形の検討も今年もやっておりますので、そういうものも含めて、今後あわせて係 数化の具体的な話についての検討をしていきたいというふうに考えております。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。  ほかに御意見ございませんでしょうか。  どうぞ、池上委員。 ○池上委員  シェアという言葉をおっしゃったので、それは私が申し上げたように、東京都と島根 県ではシェアの持つ意味合いが全く違うわけですね。まして医療圏と言うと人口が2万 人から200万人まであるわけですので、医療圏におけるシェアというのは全くナンセ ンスな数値だと思います。したがって、もし件数の絶対値というならまだ理解できます けれども、シェアについての検討は、分析方法について指示する立場ではないですけれ ども、指標化することにはよほど慎重に対応していただきたいと存じます。 ○西岡分科会長  どうぞ。 ○伏見委員  地域医療の評価に関する課題だと思いますけれども、シェアそのものの数値をどうい うふうに使うかという考え方によると思うんです。例えば、先ほどからいろいろ議論が 出ております地域における医療機関の機能をどういうふうに評価していくかというとき に、単純にシェアが低いところが悪くて高いところがいいというと、御指摘のように、 大都会はだめで、地方はどうしても高くなるということが出てくるんですけれども、あ る意味、少ないほうが悪くて高いほうがいいんだという単純な話ではなくて、例えばい ろんな機能を使って、ある医療機関、地域の中核となるような医療機関を評価したとき に、今まで議論いただいた、例えば手術の実績だとか、いろんなスタッフなどという形 で評価しても、本来であればその地域において中核的な役割を果たしているんだけれど も、ほかの係数で評価するとどうしても高く出ないという、そういう医療機関なども出 てくると思うんです。そういうときに、一般のほかの係数では高く評価できないけれど も、地域において重要な役割をしているからその部分を評価したいと、そういうときに は地域のシェアということが、例えば特定の領域、今の救急も含めて、あるいは特殊な 疾患、そういうものを含めて、特定な領域に、その地域で唯一、あるいは非常に重要な 役割を果たしている医療機関を救い上げるとか、底上げするとか、げたを履かせるとか、 いろんな意味があると思いますけれども、そういう形で使うのは、シェアという指標は 1つ使えると思うんですが、単純にシェアが高いからいい、低いから悪いという、そう いう議論では確かに難しいと思いますけれども、地域医療の評価という意味で、個別具 体的に疾患なり治療内容なりのシェアというのは、それなりに地域医療の評価として使 える指標ではないかというふうに考えております。 ○西岡分科会長  どうぞ、企画官。 ○企画官  今のことに関連してなんですけれども、そこで重要な意味を持つのが18枚目のスラ イドの一番下のところなんですけれども、「急性期としてふさわしい機能を評価する観 点から、プラスの係数を原則としてはどうか」という書き方をさせていただいているん ですが、つまり、例えばシェアが低ければマイナスになってしまうとか、そういうこと であれば確かに問題なんですけれども、そうではなくて、ここの案としては、基本的に はプラスです。だから、例えば東京都でシェアが低いかもしれないけれども、症例数が ある程度以上あればそこで係数がつくとか、あるいは何らかの高度な医療を担っている ということであればそこで係数がつくとか、先ほどの議論の中でも、こういう係数をや った場合にこういう病院が低くなってしまうのはよくないとか、そういうお話が聞かれ ましたけれども、あくまでマイナスではなくて、どこの部分をプラスに評価できるかと いう提案なんですね。  ですから、もしプラスということを認めていただけるのであれば、今の課題について もある程度解消されるのかなというふうに思います。 ○池上委員  ただ、その点申し上げますと、企画官は先ほど、全国一律の基準でないと係数化でき ないとおっしゃったわけですね。そうなると、プラスの評価をするにしても、こういう 状況であれば全国基準から照らしてプラスの評価にするという、なかなか現実問題とし て個別的対応というのは難しいという気がするんですけれども、全国統一的基準とプラ ス評価の関連についてもう少し御説明いただけますでしょうか。 ○企画官  全国の共通の基準というのは、例えばシェアというのか、あるいはカバー率というの か、そういうものがある一定以上、例えば20%以上とか30%以上とか、そういう基 準は全国一律でなければ、なかなか難しいというか、これまでの診療報酬の考え方から 外れてしまうのではないかということで申し上げました。  ただ、それで拾われない東京都の場合に、例えば先ほど申し上げた精神科救急の場合 も、4分の1以上または症例数何例以上とか、この様に「または」でつなぐということ も考えられます。ですから、救急なら救急で一つだけの指標じゃなくて、幾つかの指標 を提示して、それなりに機能が、つまり地域貢献という面で評価できるのか、あるいは 高度なものを提供しているということで評価できるのか、あるいは重症患者への対応と か総合的なものを提供しているということで評価できるのか、そういった違った視点か らの係数を幾つか組み合わせるということで、そういう問題についてはある程度解決で きるのではないかと思っております。 ○西岡分科会長  今の御説明でよろしいですか。ほかにはございませんでしょうか。  個々の項目に関してまだまだ御意見が出てくるものと思いますが、時間になってしま いましたので、本日の議論は以上とさせていただきたいと思います。  事務局のほうから連絡事項等お願いします。 ○中田補佐  御議論ありがとうございました。  次回の開催につきましては、来週12日、水曜日、厚労省17階におきまして、医療 機関に対するヒアリングを開催する予定でございます。  以上でございます。 ○西岡分科会長  それでは、平成20年度第4回診療報酬調査専門組織(DPC評価分科会)を終了さ せていただきます。  本日はお忙しい中、どうもありがとうございました。                   −了− 【照会先】  厚生労働省保険局医療課包括医療推進係  代表 03−5253−1111(内線3278)